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2014/10/22 第187回国会 参議院 参議院会議録情報 第187回国会 憲法審査会 第2号
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2014/10/22 第187回国会 参議院

参議院会議録情報 第187回国会 憲法審査会 第2号

#1
第187回国会 憲法審査会 第2号
平成二十六年十月二十二日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月二十一日
    辞任         補欠選任
     北村 経夫君     堀井  巌君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         柳本 卓治君
    幹 事
                愛知 治郎君
                高野光二郎君
                堂故  茂君
                豊田 俊郎君
                丸山 和也君
                金子 洋一君
                小西 洋之君
                西田 実仁君
                松田 公太君
                儀間 光男君
                仁比 聡平君
    委 員
                赤池 誠章君
                石井 正弘君
                石田 昌宏君
                宇都 隆史君
                大沼みずほ君
                木村 義雄君
                熊谷  大君
                小坂 憲次君
                上月 良祐君
                佐藤 正久君
                滝波 宏文君
                中曽根弘文君
                中西 祐介君
                堀井  巌君
                山下 雄平君
                有田 芳生君
                石橋 通宏君
                徳永 エリ君
                那谷屋正義君
                野田 国義君
                福山 哲郎君
                藤末 健三君
                前川 清成君
                牧山ひろえ君
                魚住裕一郎君
               佐々木さやか君
                矢倉 克夫君
                松沢 成文君
                清水 貴之君
                吉良よし子君
                江口 克彦君
                福島みずほ君
                浜田 和幸君
   事務局側
       憲法審査会事務
       局長       情野 秀樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基
 本法制に関する調査
 (憲法に対する認識について)
    ─────────────
#2
○会長(柳本卓治君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
 本日は、憲法に対する認識について委員間の意見交換を行います。
 まず、各会派一名一巡により、各五分以内で意見表明を行っていただきたいと存じます。発言時間の経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らします。あらかじめ御承知願います。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、意見のある方は順次御発言願います。
 丸山和也君。
#3
○丸山和也君 自由民主党の丸山和也です。
 これまで、当憲法審査会において、現行憲法について各党の委員の方から意見表明、真摯な議論がなされてきたことは大変有意義なことであったと敬意を表しております。
 現行憲法には、尊重、承継しなければならない基本的人権の尊重、平和主義、国民主権などの基本原理があります。同時に、日本国憲法制定の経緯、その後の時代の変遷とともに生じる現実との乖離から解釈では乗り切れない限界など、様々な現行憲法の矛盾が指摘されております。
 そのために、我が自民党は、平成二十四年に日本国憲法改正草案を策定、提案しております。また、本年六月十三日には参議院本会議において憲法改正国民投票法改正案が成立し、六月二十日に公布、施行されました。憲法改正実施のための手続法が整備されたことになります。現在、憲法改正国民投票法改正案を提出した政党間で公職選挙法の選挙権年齢を十八歳に引き下げる議論がなされていると承知しておりますが、今後、できるだけ速やかに憲法改正の議論も行うべきと考えております。
 以下、自民党の日本国憲法改正草案の主要なポイント及び今後の憲法議論の方向性について述べさせていただきたいと思います。
 まず、前文であります。
 現行憲法前文については、全体がかなり翻訳調であり、その原案がアメリカの憲法やマッカーサー・ノートなど、占領時代に西洋の思想哲学的文章から取り入れられたと見られる文章がたくさん並んでおります。自国の安全保障については、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と記載されております。これはまさに、ある意味ではユートピア的思想、ある意味では他力本願的発想による自衛権の放棄にほかなりません。現行憲法の前文を全面的に書き換え、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三原則を継承しつつも、日本国の歴史や文化、国や郷土を自ら守るという気概を示した分かりやすいものに述べなければならないと考えております。
 具体的に幾つかの点を指摘します。
 第一章、天皇でありますけれども、第一条の天皇については、現行憲法では象徴と定義されておりますけれども、我が国の天皇制は既に国民から強く支持されておりますが、国際的に見ますと、やはり象徴というのは非常に分かりにくく、天皇が元首であるということを明記する必要があると考えております。
 次に、安全保障であります。第九条については、現行憲法には、先ほど言いましたように、独立国としての自衛権の記述がなく、自衛隊の位置付けも規定されておりません。草案では、平和主義を継承するとともに、自衛権を明記し、国防軍の保持を規定いたしました。
 第三章、国民の権利、義務。自民党改正案では、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならないと規定しました。これは、やや現行憲法が権利に偏重しているという意見からこのようになったものでありますけれども、私の個人的意見はやや違いまして、必ずしも権利に偏重しているとは個人的には思っておりません。むしろ、日本は個人が強い権利を主張することによって強い個人が成立し、強い国家が成立していくという考え方を持っておりますけれども、自民党の多数意見ではこういうことになりました。
 また、家族の尊重、家族は互いに助け合うべきことを規定しましたが、さらに環境の保全の責務、犯罪被害者等への配慮など、新しい人権規定を設けました。
 さらに、国会の章では、選挙に関する条項に、選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならないと明記しました。
 第五章、内閣の章では、内閣総理大臣の専権事項として、衆議院の解散決定権、各行政部の指揮監督権、国防軍の最高指揮権を明記しております。
 それから、時間の関係でややはしょりますが、司法の章、裁判官の報酬の減額を規定しました。
 地方自治の章では、地方自治の本旨を明らかにするとともに、国及び地方自治体の協力関係の規定などを明示しております。また、外国人に地方参政権を認めないということを明記することにしました。
 特に、次に第九章、緊急事態、これは重要でありまして、現行憲法にはない章として新たに緊急事態の章を設け、外部からの武力攻撃、地震等による大規模な自然災害等の法律で定める緊急事態において、内閣総理大臣に一時的に緊急事態に対処する権限を付与する規定を盛り込みました。
 十章、改正、これも重要であります。憲法改正手続について、現行の衆参それぞれの三分の二以上の発議要件は余りにも厳格で、国民の憲法改正への意思を表明する機会を狭める結果となっているので過半数ということに緩和いたしました。
 最高法規の章では、国民の憲法尊重義務を規定しています。
 以上がそれぞれの項目の説明でありますが、今後の方向性については、憲法全体について見直しを行った上で、発議要件が各議院の三分の二以上であることや、国会法で憲法改正の発議は項目ごとに個別に行うと定められていることから、各党間でおおむね了解を得られた事項から個別テーマごとに国民投票にかけていくことになると考えております。
 現在、公職選挙法の選挙権年齢を十八歳に引き下げる議論がなされていますが、早急に結論を出すとともに、速やかに憲法改正原案の議論に入るべきだと考えます。憲法改正を国民の意思でできることを国民に実感してもらうためにも、各党で憲法改正への一致点を見出し、憲法改正原案を作成しなければならないと考えます。
 まず、そのための第一歩として、国会あるいは各党でどのようなテーマで集中的に議論すべきか、その絞り込みを行うことから始めるべきだと考えております。国会が憲法改正案を提示し、しっかり国民に説明し、改正の手続を踏んでその承認を得ることがまさに国民主権の精神を具体的に体現するものであると考えられます。
 憲法は国民の手で今の日本にふさわしい内容としなければなりませんので、自民党はこれからも堂々と憲法改正を実現していくために、国民各層の理解を得ながらも、全力で取り組む覚悟でございます。
 以上であります。ありがとうございました。
#4
○会長(柳本卓治君) 小西洋之君。
#5
○小西洋之君 民主党の小西洋之でございます。
 我が党は、二〇一三年二月の新綱領において、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の基本精神を具現化する、自由と民主主義に立脚した真の立憲主義を確立する等を規定し、こうした考え方の下、二〇〇五年にまとめた憲法提言について議論を深めるなどしてまいりました。
 一方で、立憲主義と憲法の三大基本原理の趣旨を踏まえ、本審査会の在り方を考えるときに、我々立法府が議院内閣制の下、その存在意義の全てを懸けて直ちに取り組むべき課題は、集団的自衛権行使を容認した憲法九条の解釈変更であります。安倍内閣は、この七・一閣議決定について何ら立憲主義に反するものではなく、また、平和主義をいささかも変更するものではない旨主張していますが、それが実は無限定かつ歯止めなきものであり、そうした改憲を可能にしたからくりの存在が国会審議を通じ明らかになっています。
 からくりの第一は、実は集団的自衛権の行使が必要不可欠であり、そのための解釈変更が必要不可欠であることの根拠である、いわゆる立法事実が存在しないことです。日本国民の生命が危険にさらされる場合に、それを救うための必要最小限度の武力行使のみは許容されるという憲法九条解釈の基本論理の下、集団的自衛権の行使を可能にするためには、その全ての大前提として、一、我が国に武力攻撃が発生していない集団的自衛権の状況にあるにもかかわらず、その生命を失うことになる日本国民の存在と、二、それを救うためには外交等や個別的自衛権の行使では不可能で、集団的自衛権の行使以外に手段がないこと、この二つの社会的事実の存在が立証される必要があります。
 この六十年以上にわたり歴代内閣があり得ないとしてきた集団的自衛権行使の目的の必要性及び手段の合理性、すなわち立法事実の存在について、恐るべきことに内閣法制局長官は何の審査もしていないと国会答弁し、かつ国家安全保障局も何の審査資料も作成していないと説明をしています。
 もし、こうした立法事実が存在しないのであれば、そもそも解釈変更の必要すらないことになり、逆に言えば、このように根拠もなく新しい法規範が作れるのであれば、それは我が国が法の支配を失うことを意味します。つまり、自衛隊員は実は命を守るべき日本国民が存在しないのに集団的自衛権の戦闘で戦死を強いられることになり、また一般国民もその反撃により理由もなく命を落とすことになるのでございます。すなわち、まさに国家権力による立憲主義の否定となるのであります。
 なお、立法事実とは単なる観念上の想定では足りず、確実な根拠に基づく合理的な判断でなければならない旨明確に指摘し、立法事実の不存在を理由とした有名な最高裁薬事法違憲判決は、閣議決定に基づく自衛隊法改正等に際し、我々立法府にこの上なく重い課題を突き付けているのであります。
 次に、閣議決定のもう一つのからくりは、安倍内閣が継承したと称する憲法九条解釈の基本的な論理から実は最も重要な平和主義の法理が切り捨てられていることです。その証拠に、閣議決定においては、一九七二年政府見解に明示されている、平和主義をその基本原則とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解されないという文言が丸ごと削除されています。そもそも、憲法九条解釈の指針としての効力を有する憲法前文の平和主義の三つの法理は、全世界の国民に確認された平和的生存権の規定など、そのどれもが他国防衛のための先制攻撃である集団的自衛権の行使とは本質的に相矛盾し、これを真っ向から否定する法理となっているのであります。
 実は、我が参議院憲法審査会においては、主権者国民のために閣議決定の強行を阻止するための強力な措置が講じられていました。それは、六月十一日、改正国民投票法附帯決議第四項から第六項であり、そこには、政府が憲法解釈の変更を行う際には、事前に解釈の変更の案、すなわち七・一閣議決定の最終案そのものについて、その論理的整合性等につき十分な国会審議を受けることが明記されていました。この国権の最高機関の委員会決議を安倍内閣は真っ正面から否定し、閣議決定を強行したことは誰の目にも明らかな厳然たる事実であります。もし事前の国会審議があったならば、我々立法府の力により閣議決定は法令解釈の名にすら値しない暴挙としてこれを阻止することができたものと確信いたします。
 この点、七・一閣議決定に対し、本附帯決議第一項及び第二項により、立憲主義及び恒久平和主義等の基本原理に基づいて今後徹底的に審議を尽くすことこそが、まさに日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うことを任務とする我が審査会が国民のために自ら担った崇高なる使命であって、この全うこそが我が憲法審査会が立法府における立憲主義と法の支配のとりでとしてその権威を保持していく唯一の道であることを会長及び同僚委員の皆様に心よりお訴えさせていただき、私からの見解の表明とさせていただきます。
#6
○会長(柳本卓治君) 西田実仁君。
#7
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 参議院の憲法審査会は、参議院憲法調査会報告書を踏まえ、衆議院とは異なる独自性ある議論を行うことを旨として運営されてまいりました。一昨年の常会では、「東日本大震災と憲法」ということで人権、統治機構、国家緊急権が議論され、昨年の常会では「二院制」、「新しい人権」がテーマとされてまいりました。そして、前常会では懸案の国民投票法を整備する内容の改正が行われました。今回、憲法審査会長、会長代理を始め審査会メンバーが大幅に替わったことから、憲法論の原点を再確認する議論を行う必要があると思われます。
 そこで、まず、公明党の憲法に対する基本的な立場を述べたいと思います。
 それは、憲法の骨格を成す恒久平和主義、基本的人権の尊重、国民主権主義の三原則は人類の英知というべき優れた普遍の原理であり、平和、人権、民主の憲法精神を国民生活と日本社会の隅々まで定着させ、開花させる闘いに全力を尽くすというものであります。
 憲法改正については、現憲法は優れた憲法であり、平和、人権、民主の憲法の三原則を堅持しつつ、環境権など時代の進展に伴い提起されている新たな理念を加えて補強する加憲が最も現実的で妥当であるとの考えであります。
 国権の最高機関とされる国会は、本来、政府と官が法を誠実に遵守するよう見張る立場にあり、とりわけ政府から距離を置くことができる参議院は監視を行うにふさわしいと考えます。参議院の行政監視機能の強化は、二院制支持者の共通の認識となっております。
 本来、良識の府である参議院では、公共の利益の実現を超党派で目指すよう努力すべきであります。その際、特に行政の組織、人事に対する統制という観点、すなわち、政府と官僚機構をつくる衆議院、それを監視する参議院という観点が重要であり、この観点での参議院の役割論を深めるべきことを強く訴えたいと思います。
 参議院の行政監視機能の強化と併せて、参議院の決算重視も重要です。ただ、決算審議の目的は予算審議へのフィードバックであり、予算審議と決算審議は本来一体のものとして行われるべきであり、単純に衆議院は予算、参議院は決算と役割を分けることには慎重でなければなりません。むしろ、衆参それぞれの特徴に応じた審議をする前提で参議院の決算重視の内容を考えるべきであり、年金制度や特別会計制度等、数年度にわたり長期的検討を要する事項に、より重点を置いた決算重視の審議を行うべきではないでしょうか。
 大震災に関する議論も参議院憲法審査会の特徴であります。
 本年、広島市等を襲った豪雨による土砂災害や御嶽山の噴火では、誠に残念ながら多大な犠牲者が出ております。国民一般にも自然災害への対策の重要性が認識されつつあり、中央防災会議防災対策推進検討会議最終報告では、自然災害による国家的な緊急事態への対応の在り方について憲法審査会で議論するよう求めております。
 なぜなら、首都直下地震などの巨大災害に迅速に対応するためには、国会の開会中でも行政府の権限、すなわち緊急政令を認める必要がある場合が考えられますが、立法府と行政府の関係の根幹、三権分立の在り方が問われる憲法問題となるからであります。ここでは私権制限と併せて人権保障のために行政をどのように統制していくかが問題の本質であり、災害対策基本法第百九条第四項にある、いわゆる議会拒否権制度をどのように組み込むかが最重要の論点となると考えられます。
 災害と憲法は本審査会の重要課題と言えるのではないでしょうか。今後、活発な議論がなされることを期待したいと思います。
 以上でございます。
#8
○会長(柳本卓治君) 松田公太君。
#9
○松田公太君 みんなの党の松田公太です。
 みんなの党を代表して、日本国憲法に関する基本的な考え方を申し述べたいと思います。
 前国会において国民投票法改正案が可決され、二〇一八年には投票権年齢が十八歳以上へと引き下げられます。これでようやく国民投票のためのスタートラインに立つことができました。
 先日、未来国会という若者のための国家デザインコンテストに参加をさせていただきましたが、このイベントは、三十歳以下の若者たちが三十年後の日本の国家ビジョンを描き、それを実現するための十年後の予算を策定するというもので、五回目の開催となる今年は百名以上がコンテスタントとなり、現地での聴衆は四百名を超える盛況ぶりでした。プレゼンの内容もそれに対する聴講者からの質問も非常にレベルが高く、政治を自分のこととして真剣に考えている様子に大変関心いたしました。
 このような若者は日本全体から見るとまだ少ないのかもしれません。しかし、しっかりとした政治参加教育を行っていけば、各々が自分なりの判断基準を身に付け、政治へも関心を抱くようになり、十八歳であっても立派に意思表示をすることができるようになります。参政権を認める上で重要なのは、年齢ではなく素養なのです。
 憲法は最も重要な国の羅針盤ですので、これからの日本を引っ張っていく若い世代の意思が可能な限り反映されるべきです。今後、憲法改正が実際に行われるときには、多くの若者が積極的に自らの考えを表明できるよう、参加教育の充実を図らなくてはなりません。また、十八歳以上に国民投票権が認められる以上、同じ参政権グループである選挙権についても平仄を合わせるべきです。現在、選挙権年齢に関するプロジェクトチームで御検討いただいているところですが、できる限り早く実現することを期待しております。
 さらに、私が非常に重要であると考えているのは国民投票の対象拡大です。これまでにみんなの党では原発国民投票法案や国民投票型の首相公選制法案を提出してきました。原発の在り方や首相の選定等、国の根本に関わる事項については国民の多数意思を反映しなくてはいけないからです。憲法前文に主権が国民に存するとされていることの意味です。
 国会閉会中の七月一日、安倍総理は集団的自衛権の行使容認を閣議決定しました。私は、自分の国際経験や日本の未来を考えた上で集団的自衛権には賛成をしておりますが、本音を申し上げると悩んでいる部分も多々ありました。しかし、このように重大な岐路に直面して悩まない国会議員がいたとしたら、私はその方が怖いことだと思ってしまいます。国民もこの問題についてもっと考え、もっと議論したかったと思います。そう考えると、今回の閣議決定は余りにも拙速過ぎたと言えます。
 安倍内閣は、自民党内の反対勢力や公明党との調整に多くの時間と労力を費やした一方、国民に対する説明や説得が十分とは言えませんでした。NHKの世論調査でも、十分な議論が行われたと答えた人は一割にも満たなかったのです。主権者である国民をおろそかにしてしまったと言われても仕方がありません。
 我々は、国民の手に政治を奪還することを目的に掲げ、国民本位の政治を目指しておりますので、このようなことは決して許容できません。幾ら支持率が高い政権であったとしても、重要な政策については、メリットについても、最悪の事態を想定したデメリットについても十分に情報を提供し、その上で国民にしっかりと判断してもらい、その結果を真摯に受け止める必要があるのです。
 今臨時国会での関連法案の改正等はないようですが、次期通常国会では提出される予定だと聞いております。そうなった場合には、まさに九条を始めとした憲法そのものの問題として憲法改正も選択肢に加えながら、本審査会でしっかりとした審議をしなければなりません。
 その他、かねてから申し上げているとおり、二院制から一院制への移行、政党規定の新設、そして地域主権型道州制の導入等の集中的な議論が必要であると考えております。
 施行されてから約七十年、日本国憲法は制定当時のままです。これほど長い間一度も憲法改正を行っていない民主主義国家は日本だけです。今の憲法を不磨の大典とすることはなりません。激動する時代を乗り越えていくためには、今を生きる国民が、若者にもこれまで以上に参加していただいて、自分の国をどんな国にしたいかを議論していかなくてはならないのです。
 憲法審査会の皆様とともに憲法についての国民的議論を牽引していけるよう、私も精励していくことを申し上げて、意見表明とさせていただきます。
#10
○会長(柳本卓治君) 清水貴之君。
#11
○清水貴之君 維新の党の清水貴之です。
 我々維新の党の現行憲法に対する考え方、そして認識をお伝えしたいと思います。
 維新の党は、統治機構改革でこの国の形を変えていくべきであると考えています。我が国は今、経済のグローバル化と大競争時代の荒波の中で、新陳代謝が遅れ、国力が停滞あるいは弱体化し、国民は多くの不安を抱えています。我が国がこの閉塞感から脱却し、国民の安全、生活の豊かさ、伝統的な価値や文化などの国益を守り、かつ国の将来を切り開いていくためには、より効率的で自律分散型の統治機構を確立することが急務です。
 このような統治機構を確立するため、まず国と地方の役割を抜本的に見直す必要があります。国の役割を外交、安全保障、マクロ経済政策などの国家的に取り組むことがふさわしい課題に集中させる一方で、地方にできることは地方に任せるべきです。
 住民に身近な課題は基礎自治体が担うとともに、広域地方政府として道州制を導入し、九十二条に明記し、権限と財源の地方への移譲、さらには規制緩和を図り、国からの上意下達によらない、地域そして個人が自立できる社会システムを確立するのです。道州制は、地域、個人の創意工夫、民間の自由な競争によって経済、社会の活性化を促す成長戦略の切り札としての可能性を有しています。
 国家的課題に取り組むため、国においては、憲法六十七条を改正して首相公選制を導入するとともに、内閣予算局、人事局の設置等により政治主導の体制整備を図るべきです。あわせて、国の会計制度への発生主義、複式簿記の導入、そして米国会計検査院型の強力な会計検査機関を国会に設置、これは憲法九十条に関わることですが、設置することで財政運営のコントロール強化が可能となります。
 次に、我が国を取り巻く国際情勢に目を移します。
 年々、アジア太平洋地域の重要性が急速に高まっている一方で、北東アジア地域では大規模な軍事力を有する国、さらには核開発を強行する国も存在します。地域の平和、安全を確保する基軸としての日米同盟の意義はいまだ大きく、今後も我が国の外交、安全保障の基軸であることは変わりませんが、昨今の核・ミサイル技術の進展等を踏まえ、自衛権の再定義も必要であると考えます。
 従来からの政府見解では、自国に対する武力攻撃が発生したか否かで個別的及び集団的自衛権を区別し、憲法で認められるのはこの定義に沿った個別的自衛権のみとしてきました。しかし、仮に我が国が直接的に武力攻撃を受けていない状況下であっても、密接な関係にある他国に対する攻撃の結果、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性が相当に高く、国民が被ることとなる犠牲も深刻なものになる場合には、それを阻止し、我が国を防衛するために自衛権を行使することは憲法解釈として許容されるものと考えます。これを我が党は自衛権の範囲の明確化、すなわち自衛権の再定義と呼んでいます。
 なお、純粋な他国防衛のための自衛権行使を認めるものとは異なります。
 ただいま述べたような自衛権の再定義を行う場合など、もちろん恣意的な憲法解釈や、それに基づく運用は避けなければなりません。三権分立の確立と憲法保障の観点から、憲法の解釈に際しては、憲法裁判所若しくは最高裁判所の憲法部などの抽象的な憲法判断を担う司法機関によることが必要であると考えます。
 最後に、これらの提案は憲法改正抜きには実現は困難です。大幅な統治機構の改革ゆえ、何より主権者である国民にその案を提示し、その手で意思決定してもらうことが重要です。国民的な憲法議論を喚起するためにも、憲法改正発議要件、九十六条ですが、のハードルを下げることが重要です。また、国民投票の投票権年齢の引下げにつき、維新の党は、国民が直接的に主権を行使し、この国の方向性を決める国民投票がいつでも行えるように、一日でも早く環境を整えるべきだという考えから、改正法の施行後、直ちに国民投票権年齢を十八歳に引き下げるべきだと考えます。
 このような国民の皆様に憲法改正の是非を直接判断していただく機会を整えた後に、我が党としては現在の日本に適した統治機構改革についての改正を進めていきたいと考えております。
 以上です。
#12
○会長(柳本卓治君) 仁比聡平君。
#13
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。
 私はまず、改めて、当憲法審査会は動かすべきではないということを強く主張いたします。
 当審査会の設置根拠である改憲手続法は、第一次安倍政権で強行され、元々できるだけ低いハードルで改憲案を通せるようにした極めて不公正かつ反民主的で、国民主権と憲法九十六条の趣旨に反するものです。さきの通常国会では、その根本的欠陥をそのままに、国民投票権年齢と選挙権年齢のリンクを切り離し、十八歳選挙権の法律上の期限をなくしてしまうことによって、ともかく国民投票を動かせるようにしようという改憲手続法改定が強行されました。
 これを受けて、次のステップは改憲テーマの絞り込みだという動きがあり、今日、自民党会派からそのような発言がなされましたが、仮にも当審査会がその舞台になってはならないのです。憲法審査会は改憲原案の審査権限を持ち、明文改憲に直接つながる重大な機関であり、この審査会の活動は、勢い改憲手続の具体化、改憲原案のすり合わせにつながります。まして、日本国憲法の尊重擁護義務を負う国会議員が、憲法改正を求めていない国民に改憲機運を押し付けるなど、もってのほかと言うべきであります。
 逆に、世論調査でも街頭でも、国民多数から吹き上がっているのは、九条解釈改憲の暴走はやめよ、集団的自衛権行使容認反対の声です。七月一日、安倍政権が閣議決定を強行した総理官邸は、前夜から憤然たる怒りの人波に包まれました。十代、二十代の青年たちが、絶対に私は戦争に行かない、同世代を戦場に送るような政治は許さないと次々にマイクを握り、子育て世代が、一人でも参加者が増えることで抗議の声が政治に届けばと、初めてのデモに加わりました。とりわけ印象的だったのは、憲法知らない総理は要らないという若者たちのコールでした。
 政治権力の暴走が最も危惧されるのが戦争であり、立憲主義の最大の焦点は軍隊と軍事力の行使です。戦争と、戦争遂行の強権国家への痛恨の反省の上に立った憲法九条は、戦争の放棄を戦力の不保持、交戦権の否認にまで徹底し、国際紛争の平和的解決の道を示す日本国憲法の根幹です。これをどう逆立ちして読んだって、我が国が攻撃されていないのに、他国間の戦争に地球の裏側まで自衛隊を派兵し、戦闘地域で武力を行使するなど、できるはずもないではありませんか。
 国会における議論さえ行わず、与党幹部の密室協議と一片の閣議決定で憲法が変えられるはずもありません。それはもはや、法的、論理的な解釈ではなく、単に国会の多数を獲得すれば時の政権の判断次第という、憲法破壊宣言にほかなりません。
 十月八日公表された日米軍事協力の指針、いわゆるガイドライン再改定に向けた中間報告は、閣議決定を適切に反映すると冒頭に明記し、これまでの周辺事態という概念も後方地域という概念も取り払い、アジア太平洋及びこれを越えた地域に対する切れ目ない日米軍事同盟の強化を宣言しています。閣議決定の具体化を、国会審議もまともにやらず、何ら国内法の土台もない下で日米両政府間の協議を先行させ、海外で戦争する国づくりのレールを敷くやり方は、憲法の上に日米同盟を置き、国民も国会もそっちのけに、憲法を二重三重に踏みにじる暴挙にほかなりません。
 安倍総理は、広島の平和記念式典で国民的非難を浴び、その挙措が注目された長崎で、被爆者代表から、今進められている集団的自衛権の行使容認は日本国憲法を踏みにじった暴挙ですと面と向かって批判され、会場から大きな拍手が沸き起こる中、いかにもおざなりに三回手をたたいただけでした。沖縄では新基地建設反対の圧倒的民意が安倍政権に突き付けられています。幾ら辺野古新基地建設は過去の問題、粛々と進めるなどと開き直り、国会の多数にあぐらをかいて暴走しても、巨大な民意が越えられない壁となって立ちはだかることになるでしょう。
 閣議決定を撤回し、日米ガイドライン再改定に向けた作業を直ちに中止し、辺野古新基地建設をやめることを改めて強く求め、意見表明といたします。
#14
○会長(柳本卓治君) 江口克彦君。
#15
○江口克彦君 次世代の党の江口克彦です。
 解散前の日本維新の会時代に一度、中間報告として党としての憲法改正の方向性を示しました。次世代の党もこの中間報告を尊重しつつ、新たに党内憲法調査会での議論を始めております。
 次世代の党は自主憲法制定を党是として発足いたしております。自主憲法制定という言葉そのものがイデオロギー化しているという指摘もありますけれども、我が党としては、占領下に押し付けられた占領のための憲法から早急に、早期に脱却して、日本国民自らの手による憲法を制定すべきというふうに考えております。
 そういう趣旨からすれば、本来ならば全文一括改正が望ましいというふうには思います。しかしながら、党内の意見としては、手続的な現実論から、逐条改正を繰り返すことにより最終的な全面改正を目指す方向で考えていきたいというふうに思っております。
 具体的にどのように改正していくかということでありますけれども、まず真っ先に取り組まなければならないのは緊急事態に関わる条項の追加であります。
 御案内のとおり、現行憲法には緊急事態に関する規定が全くありません。これは、昨今の国際情勢や頻発する大災害、今後懸念される伝染病の流行などに適時適切に対応していく上で甚だ心もとない状況であると言えます。緊急時には迅速かつ効果的に執行権限を行使できる仕組みを憲法に規定する必要があるというふうに考えます。
 また、現行憲法には自衛権の規定が全くありません。憲法改正時には明確に自衛権の保持が掲げられるべきであります。
 憲法前文についても、我が国の国柄、精神や文化、伝統について四百字から八百字程度で書かれた、子供でも暗唱できるような美しい日本語で書かれることが私は望ましいというふうに思います。
 現在、次世代の党では、我が国の憲法改正原案を議論する前段階として、各議員に今依頼をいたしておるわけでございますけれども、それぞれの議員の前文私案を提出してもらいたいと、そういうことで進めております。同時に、国民にも幅広く呼びかけながら憲法改正への機運というものを高めてまいりたいというふうに思っております。
 改正手続について申し上げます。
 さきの国会で、八党合意の下、国民投票法が改正され、手続上はいつでも憲法改正を発議できる環境が整いました。次世代の党も、引き続き八党合意を尊重し、憲法改正の環境整備に尽力してまいります。
 しかしながら、一言申し添えれば、選挙権年齢については公職選挙法改正、成人年齢については主に民法など、それぞれの所掌で国民投票法の議論を尊重しつつやるべき議論であり、憲法改正を議論する上でそれらを取り上げていく積極的理由はないというふうに考えております。
 次世代の党といたしましては、環境整備を進めつつ、再来年の参議院通常選挙と同時に憲法改正のための国民投票を実施すべく、国会での憲法改正原案作りに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 以上です。
#16
○会長(柳本卓治君) 福島みずほさん。
#17
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 憲法審査会での検討ということであれば、立憲主義の危機ということを言わなければなりません。
 安倍内閣は、集団的自衛権の行使を合憲とした初めての内閣です。まさに立憲主義の危機です。
 七月一日、安倍内閣が集団的自衛権の行使を合憲とする閣議決定をしました。戦後七十年近く、自民党政権も集団的自衛権の行使は違憲であるとしてきました。国会の答弁で、憲法の解釈を変えるのであれば明文改憲をすべきであって、解釈で変えることは憲法の規範性を害すると繰り返し答弁がされてきました。憲法九条の解釈からすれば、自国が攻められていないにもかかわらず他国で武力行使をすることは明らかに憲法違反です。
 また、集団的自衛権の行使だけではなく、後方支援の在り方も問題です。イラク特措法でイラクに自衛隊を送ったときには、非戦闘地域にしか自衛隊は行かないということが繰り返し答弁をされました。しかし、閣議決定と日米ガイドラインの中間報告によれば、自衛隊は戦場以外のところであれば後方支援をすることができるとしています。明らかに自衛隊が行く範囲が拡大をしました。後方支援という形で米国に武器を供与すれば、武力行使を一体として行っていると見られることは明らかです。
 集団的自衛権の行使という形で、また後方支援という形で武力行使が無限定になっていっています。
 ライプチヒの裁判所は、ライオンに鎖が掛けられています。ライオン、つまり権力に対して法で鎖を掛けるというものです。憲法九十九条は、国務大臣、公務員、裁判官などに対して憲法尊重擁護義務を課しています。憲法を誰よりも守らなければならないのは国務大臣であり、国会議員であり、とりわけ総理大臣です。総理大臣が、国務大臣が、国会議員が憲法を守らないことは明確に憲法違反です。まさに立憲主義に反するのです。
 社民党は、憲法九条の明文改憲にも解釈改憲にも反対です。しかし、解釈改憲は明文改憲以上に極めて問題です。国会や国民の一切の関与なくして、民主主義を踏みにじり、立憲主義を破壊し、憲法を破壊するものだからです。憲法に違反する内閣の行為は憲法九十八条によって明確に無効です。無効な閣議決定をされたことは極めて重大です。社民党はこのことに強く抗議をします。
 憲法改正の国民投票法の改正法が可決をされたときに、参議院の憲法審査会は附帯決議を付けました。六項、「本法律の施行に当たっては、憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、政府にあっては、憲法の解釈を変更しようとするときは、当該解釈の変更の案及び第四項における政府の憲法解釈の考え方に係る原則への適合性について、国会での審議を十分に踏まえること。」。
 安倍内閣が七月一日、全く国会にかけることなく憲法解釈を明確に変えたことは、この附帯決議を真っ正面から踏みにじるものです。参議院の憲法審査会は極めて重いものです。しかし、安倍内閣が国会の憲法審査会を全く顧みず憲法解釈の変更をしたことは、国権の最高機関たる国会を踏みにじるものです。参議院の憲法審査会はこのことから議論しなければなりません。
 ナチス・ドイツは、国家授権法を作り、内閣によって自由に法律が作れるようにしました。そのために基本的人権が踏みにじられ、ナチス・ドイツの蛮行を招きました。日本において同じようなことが行われ始めようとしているのではないでしょうか。
 立憲主義を守らなければならないということは、政党を問わず尊重されなければならないことです。国会が今こそ国民のために違憲の閣議決定が無効であることを確認し、立憲主義を回復しなければなりません。そのことこそ憲法審査会に求められていると考えます。
 憲法とは何かを考えるときに、この立憲主義の考え方に立脚しなければなりません。間違いなく憲法とは権力を縛るものです。社民党が大きな危惧を感ずるのは、自民党の日本国憲法改正案です。
 自民党日本国憲法改正案は、国民に憲法尊重擁護義務を課しています。また、国民にたくさんの義務を課しています。これは、憲法とは国家権力を縛るものであるという立憲主義に反しています。また、自民党の日本国憲法改正案についてのQアンドAの説明において天賦人権論に立たないということも書かれています。しかし、基本的人権とは天賦人権論に立つものです。天賦人権論を否定するということは、基本的人権を尊重するということに反しています。
 憲法とは、基本的人権を尊重するための仕組みです。そのことのために権力を縛るものです。社民党は、そのような憲法の考え方、立憲主義にのっとって、基本的人権を尊重し、個人が尊重される社会を全力でつくるべきだと考えています。
 また、憲法は到達すべき努力目標です。現実をこの理想に近づくべく国会、行政、司法が全力を尽くさなければなりません。日本国憲法は、十三条において幸福追求権を保障し、憲法十四条によって法の下の平等を規定しています。二十五条は生存権を規定しています。しかし、日本の社会において、全ての人が幸福追求権が保障され、法の下の平等が実現され、生存権が実現されているとは言えない状況です。沖縄では平和的生存権が侵害されています。憲法九条はノーベル平和賞の候補になりました。平和の構築こそ求められています。
 現在の日本社会において日本国憲法の各条文の理念を生かすべく全力を挙げるべきだと表明し、社民党としての意見表明といたします。
#18
○会長(柳本卓治君) 浜田和幸君。
#19
○浜田和幸君 新党改革・無所属の会を代表して、憲法に対する考え方を若干表明させていただきたいと思います。
 我が国の憲法、最高法規として世界に誇るべき平和主義を貫いています。そういう意味では、大変貴重な精神的な要素がある。しかしながら、この世界に誇るべき平和憲法の精神は引き継ぐ必要があると思いますけれども、我々が今直面している大きな時代の変化、そしてまた国際情勢の変動等を考えますと、やはりもう少し柔軟な発想で我が国の憲法の在り方というものは議論すべき、そういう時代に掛かっていると思います。
 今までの議論の中で、例えば我が国が攻撃を受けているときに反撃できるかどうか、そのことがきちんと明示されていないという議論もありましたが、今の国際情勢は必ずしも国家が他国を攻撃する、そういう場合だけではありませんよね。いわゆるテロリスト集団であったり、国家の範疇には入らない国、あるいは個人ですらサイバー攻撃を相手国に対して行うということも可能な時代になっているわけであります。そういうサイバー空間が言ってみれば世界中に様々な問題を引き起こしている。そういう状況下において、日本の国益といったものがどのような形で守ることができるのか、そのことについては我々もっともっと柔軟な発想で捉えていく必要があると思います。
 また、我々日本人が誇るべき憲法ですけれども、日本人というものの存在の在り方、個人や家族、共同体の在り方が大きく今変貌を遂げています。二〇一〇年の国勢調査の結果を見れば、単身世帯が三一%を超え、このままの趨勢でいけば、二〇三〇年にはほぼ国民の半分は単身世帯。要するに、家族というものが日本国からどんどん減り始めているわけですよね。そういう中において、憲法が想定している個人、また国というものの在り方、これをやはりもう一度今真剣に考える必要があるのではないかと思います。
 また、国際社会の中で生きるという日本、国際社会とともに歩まなければ日本の存立はないと思うんですけれども、そういった意味で、国際社会にどれだけアピール力のある憲法というものを我々が持っているかどうか、そこは大変大きな問題だと思います。いわゆるGHQ、占領軍によって起草された憲法、現在の憲法ですね、憲法発布五十年の際に、この起草に当たったアメリカの人たちが日本に来て、日本人というのは何だ、もう五十年もたっているのに自分たちで自分たちの憲法を作れないのかというような発言もあったぐらいであります。
 そういうことを考えれば、やはりここは我々自らの手で新しい時代にふさわしい、日本人になりたいと思われるような、外国の人にも訴えるような、そういう憲法という視点もつくる必要があるのではないかと思います。
 日本の人口がどんどん減る一方で、また地域社会がどんどん崩壊する中で、また日本人の家族、家庭というものが消滅する中において、やはり日本人がもう一度、再びよみがえる、そういう原動力となるような憲法というものを作り、それを世界にも発信していくということがこれからの日本の憲法にとっては欠かせない要素ではないかと思います。
 国土が今やなくなりつつある。サイバー空間の中で様々な取引が行われ、そこに新しい国民が言ってみれば新しい市民権を得ようとしている、そういう時代がありますので、是非そういう大きな変化に対応できるような日本国憲法というものを作り直していく、改正していくということの必要性を訴えて、意見表明に代えさせていただきたいと思います。
 以上です。
#20
○会長(柳本卓治君) 以上で各会派の意見表明は終了いたしました。
 次に、各委員の発言希望に基づいて、会長の指名により意見交換を行います。
 憲法に対する認識に加え、今後の本審査会の進め方等についても幅広く意見をお述べいただいて結構だと存じます。
 発言を希望される方は、お手元に配付した資料のとおり、机上の氏名標を立てていただき、会長の指名を受けた後、御発言願います。
 多くの委員が発言の機会を得られますよう、一回の発言時間は各三分以内を遵守していただきたいと思います。発言時間の経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らします。あらかじめ御承知願います。発言を終わった方は、氏名標を横にお戻しください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、発言を希望される方は氏名標を立ててください。
 赤池誠章君。
#21
○赤池誠章君 参議院の憲法審査会、今後の進め方に関して一言お話をさせていただきたいと思います。
 私は、さきの憲法審査会でも議論になりました憲法教育、政治参加教育の充実について、是非、今後この参議院の憲法審査会で議論を深めていければいいのではないかと思っている次第であります。
 御承知のとおり、本年六月に憲法改正の国民投票改正法が成立いたしました。今後、選挙権年齢が十八歳へ引き下げられるわけでありまして、これは、高等学校はもとより、小中学校においてもきちっと憲法に関する学校教育をどのような形で充実をさせ、民主政治、政治参加に関する意識を向上を図っていくかということが大変な課題になってくると考えている次第であります。
 御承知のとおり、このため学習指導要領に基づいて、それぞれ小学校の社会科の段階、中学校の公民という学科、また高等学校においても公民、特に現代社会などにおいて憲法の基本的な考え方や我が国の民主政治、議会の仕組み、政治参加の重要性が発達段階に応じて位置付けられているところであります。
 そんな中で、先ほどお話ししましたとおり、法律が改正をされたわけでありまして、衆参の憲法審査会の議論を踏まえる中で、総務省からそれぞれ文部科学省に依頼がされて、学校教育段階において憲法に関する教育を充実させていただきたいという旨の通知が各教育委員会、七月二十五日付けで通知が発出をされているということを聞いているところであります。
 ただ、実際のところ、各教育委員会がその通知を踏まえどのような形で具体的に教育をしているのかということは、これからそれぞれの先生方のお地元や、また是非こういった憲法審査会の中で取組が行われているかということを是非議論をさせていただければというふうに思っております。
 今後、ちょうど学習指導要領の見直しという問題も出てまいります。自民党は高等学校教育段階におきまして新たに新教科、新科目公共というものを設置すべきであるということを提案をさせていただいているところでもありますし、この中身というのは、従来の知識というものだけではなくて、具体的にどう活用できるかということを憲法、政治教育のみならず消費者教育含めてしっかり位置付けていくということが大事ではないかと思っております。
 本参議院のこの審査会においても、松沢成文議員の方より神奈川県の選挙管理委員会の事例もお話をいただいたところであります。模擬選挙ということ、これ、文部科学省の資料によりますと、神奈川県の教育委員会のみならず、鳥取県の米子西高校、それから横浜の市立の軽井沢中学校においても同様の取組がなされているということでありますから、そのような事例を参考にしつつ、新科目公共の中に模擬選挙、そしてそれを踏まえた模擬議会、模擬国会みたいなものが具体的に全国津々浦々の高等学校でも展開をされていくということが大事になってくると思います。
 また、小中学校段階からも教科だけ、社会科の教科だけではなくて、特別活動としての児童会とか生徒会とか、そういった形を踏まえる中で、実際として自分たちの学校をどう自分たちの思いの中で実現をしていくかという取組も大事ではないかというふうに考えております。
 是非、本参議院憲法審査会においても具体的な教育の在り方を議論をさせていただければと思います。
 以上です。
#22
○会長(柳本卓治君) 藤末健三君。
#23
○藤末健三君 柳本会長、どうもありがとうございます。
 私は一点、この審査会におきますことを御提案申し上げたいと思っています。
 提案内容は何かと申しますと、我々のこの審査した内容を海外に発信できないかと。例えば、英語だけではなく中国語、韓国語、そしてサウジアラビア語といった多言語で発信をできないかというふうに考えております。当然細かいところは発信するのは難しいと思いますが、要所要所で取りまとめられたものを多言語でインターネット等で発信できるのではないかということを提案させていただきたいと思います。
 その理由は何かと申しますと、一つは、この十月十日にノーベル平和賞の受賞者が発表されました。結局パキスタンのマララさん、インドのカイラシュさんが受賞されたわけでございますが、その中の候補者として、平和憲法九条を有する我々日本国民というのも候補者になっていたわけでございます。これは、四月にノーベル委員会が受賞候補者の受入れということをしていただき、そのうち署名も集まり、全体で四十四万人の署名、そして我々国会議員も六十名以上の署名が集まり、海外でも同時に非常に注目を浴びております。今回のいろんな海外の報道をこうやって調べてもらいますと、中国、韓国、そして英語でもこの日本の平和憲法九条がノーベル賞の候補になったということは流れておりまして、非常に大きな注目を集めている状況でございます。
 今年におきましてはそのノーベル平和賞を受賞はできなかったわけでございますけれども、ノーベル委員会からは来年も平和賞にエントリーするという連絡がもう既に来ているわけでございますし、また、あとオスロの国際平和研究所のトネソン前所長には、来年また頑張ればどんどんどんどん可能性上がっているんではないかということをおっしゃっていただいている状況でございます。
 私個人としても、一国会議員としてネットを使っていろいろ情報は発信していこうというふうには考えておりますが、是非とも我々国会から、この憲法審査会の議論をきちんとまとまった段階で多言語で海外に発信するということによって我々の活動を広く知らしめることになるんではないかということを提案申し上げまして、私の発言に代えさせていただきます。ありがとうございました。
#24
○会長(柳本卓治君) 石田昌宏君。
#25
○石田昌宏君 自由民主党の石田昌宏です。この度は権利について発言したいと思います。
 日本国憲法には様々な国民の権利規定がありますが、私が特に重要だと考えておりますのが第二十五条の生存権です。条文には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という第一項に続いて、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」という国の使命が述べられています。
   〔会長退席、会長代理金子洋一君着席〕
 この国の使命を果たすため、様々な法律が制定され、現場でそれが運用されているわけですが、私は看護師の参議院議員です。ここで改めて、看護師始め医療従事者が生存権に関する国の使命を果たすために日々厳しい現場で努力しているということを強調しておきたいと思います。
 例えば、直近の重大な例としては、これは日本にも脅威をもたらしているエボラ出血熱です。WHOによると、十月十五日現在で疑いを含む感染者数は八千九百九十七名で、およそ半分の方が亡くなっております。医療従事者に限定すると感染者数は四百二十七名で、うち二百三十六名が亡くなっています。中でも、患者の体に直接触れることが仕事である看護師がその大半を占めております。
 今、私は、人々の健康な生活を守るために医療従事者が命を落とすことがあるということについて、悲しみだけでなく、その使命の重さも感じています。つまり、ここで私が申し上げたいのは、権利を保障するために各現場においては極めて大きな努力がされており、時としてそれは人の犠牲の上に成り立っているんだということです。
 従来より、憲法審査会におきましては様々な人権に関して検討を行ってまいりましたが、憲法における権利の議論をするときには、その権利を保障するために現場で行っている努力や、どこかで犠牲が起きているかもしれないということ、これを私たちは忘れてはならないのだと思います。自衛隊もそうだと思います。そして、その犠牲に対し、それを減らす努力を怠ってはならないし、どうしてもそれが避けられないなら、犠牲に対し心から感謝し、当事者が誇りを持ってそのことに当たれる方法についても議論をすべきだと思います。
 今後は、憲法の具体的な中身の議論が進むと思いますが、権利と義務のバランス、お互いさまという精神、さらに感謝と誇りの思いといった基本的な理念を共有しながら議論を進めていってほしいと考えます。
 以上で意見表明を終わります。ありがとうございました。
#26
○会長代理(金子洋一君) 牧山ひろえ君。
#27
○牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。
 七月一日に行われました閣議決定に触れられた先生方が何人も今日はいらっしゃいました。それに関連して申し上げますと、以前、政府・与党におきまして憲法九十六条の改正論が議論の俎上に上がったことがあります。
 日本国憲法は、通常の法律よりも厳格な改正手続を備えた硬性憲法の立場を取っています。この九十六条改正論に立たれる方は、これでは改正の要件が厳し過ぎ、時代の変化に沿った改正ができない、そのために戦後七十年近くたっても一度も改正が行われていないと主張される傾向があるようです。
 確かに、改正は低いハードルとは言えません。しかし、諸外国の事例におきましても、日本と同様に加重された改正手続を課している国は複数ございます。それでも、それらの国は憲法改正は行われているわけです。
 つまり、日本において戦後一回も憲法改正が行われなかったのは、最終的にはそれが国民の意思だったからだと判断すべきだと思います。そして、憲法九十六条がこのように改正に厳格な要件を課している以上、憲法の解釈の変更は極めて厳格に、抑制的に行われなければならないというのが憲法の立法趣旨のはずです。そうでなくては、全ての憲法条項の改正に国民の過半数の賛成を要件とした趣旨、つまり国民主権、民主主義の原則が失われてしまう、名ばかりになってしまうと思うんです。
 閣議決定が行われた集団的自衛権の行使容認に関しましては、平和原則に関わる条項で、憲法規定の中でも重要性が高く、解釈の変更で方針を変更するのは日本国憲法が硬性憲法を取った立法趣旨からも問題があると思います。このような国の根幹に関わる方針の変更は、もし必要であるならば王道、すなわち憲法改正によって行われなければならないと思います。九十六条の改正につきまして反対論が強いことから憲法解釈の変更でというのでは、国民と議論を回避しているのではと思われても仕方がないと思います。
 これは日本国内だけの問題ではなく、このような重要な変更を憲法解釈の変更で済ませるのは、国際的にもマイナスの影響があると思います。憲法という国の根本法規に書いてあることと運用が懸け離れていく、日本は原理原則を大事にしない国という見方がなされ、長期的に日本の信頼が失われるのではないかと心配しております。
 私たちは、憲法という国の根本法規の重みを改めて真摯に受け止めなければならないと思います。
 以上です。
#28
○会長代理(金子洋一君) 上月良祐君。
#29
○上月良祐君 発言の機会をいただき、大変ありがとうございます。
 現行憲法は制定以来約七十年改正されておりませんが、憲法は大変重要であるからこそ、時代に合わせて不断の見直しがなされるべきだと考えております。国内、国外の環境変化を見極め、変化に対応することで国力を上げる、国を更に発展させていく、そういう考え方が必要だと思っております。そのことを前提に、何点か申し上げます。
 まず、先国会での改正法附則により、施行後四年で選挙権や成人年齢と切り離して投票権が十八歳になります。そのずれが仮に生じた場合でも法的には問題ないのでありますが、どうもすっきりした感じがしません。四年という短い期間内に宿題をこなせるよう最大限の努力を行うべきであり、役所をしっかり動かすといいますか、役所にしっかり動いてもらい、集中的に作業を進めるべきだと考えております。
 次に、憲法改正に当たっては、テーマに分け関連性を有する内容ごとに審議や発議がされるものと思います。改正内容は多岐にわたりますので、先ほど述べた観点からよく順番というんでしょうか、それを考えるべきではないかと思っております。
 例えば、統治機構をめぐる課題というのは大変重要であることはよく認識しておりますけれども、政治や行政のみならず、社会経済的にも膨大なエネルギーが掛かるものの、喫緊の課題であります人口減少や経済力の低迷からの脱却といったことにどういう意義や意味あるいは効果があるのか、理論といいますか頭といいますかが先行になっていないか、慎重に検討して対応すべきだと私は思っております。
 次に、人権です。憲法の心臓部は人権であり、最も大切に繊細に扱われるべき部分だと思っております。しかし、ややもすれば個人の権利ばかりが強調され過ぎることには違和感を感じております。我が国のありようを踏まえた公共や公益とのバランスも重要ではないかと考えます。
 最後に、今、地方創生が大変重要なテーマとなっておりますが、これは古くて新しい課題です。ただ、人口が伸びていた時代の過疎過密対策と人口減少下での対策は、文字どおり次元を異にしたものであるべきだと思っております。例えば、一票の格差の問題に関しましても、人口だけで是正をしていけば地方の過疎化がますます加速していくことは想像に難くありません。それが日本の将来のために本当にいいことなのでしょうか。
   〔会長代理金子洋一君退席、会長着席〕
 平等原則は重要でありますが、その解釈や適用次第で国滅ぶといったことでは困ります。自民党の改正草案のように、人口以外の要素を反映できるよう大いに議論すべきだと考えております。その際には、他国に先例があるとかないとかではなく、課題先進国と言われている我が国にとって何がベストなのかを白地から考える、そういう姿勢こそが大変重要であり、憲法改正に取り組む大切な意義ではないかと考えております。
 以上です。
#30
○会長(柳本卓治君) 佐々木さやかさん。
#31
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
 発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 私からは子供の人権について発言させていただきます。
 先日、今年のノーベル平和賞の発表がありました。武装勢力に銃撃されながらも女性の教育を受ける権利を訴えたパキスタンのマララ・ユスフザイさんと、児童労働に反対する世界的な運動家であるインドのカイラシュ・サティヤルティ氏に授与されました。マララさんは、命の危険を顧みず女性や子供の権利の保障を訴えましたが、子供の人権侵害は途上国だけで起こっているものではなく、日本でも起こっている重大な問題です。
 憲法は、二十五条で生存権、二十六条で教育を受ける権利を保障していますが、日本の生活に困窮する子供の割合、子供の貧困率は、二〇一〇年OECD加盟三十四か国中二十五位、厚生労働省が今年の夏に取りまとめた調査では二〇一二年に一六・三%と、子供の貧困率が過去最悪を更新したことが分かりました。
 こうした状況を打開するために、子どもの貧困対策の推進に関する法律が昨年議員立法で成立しました。今年八月には子供の貧困対策に関する大綱が定められています。これらを着実に実行するとともに、子供の貧困対策は憲法上定められた国の責務であるとの認識で十分な対策を行っていく必要があります。
 また、子供に対する性的搾取については、かつて日本は国際社会から児童ポルノの供給国と非難されるほど規制が遅れていました。通常国会で成立し、七月十五日に施行された改正児童ポルノ禁止法では、いわゆる単純所持も罰則の対象となりましたが、罰則の適用が開始される施行から一年に向けて、違法性の意識啓発を強化していく必要があります。
 児童買春、児童ポルノは、幸福追求権を始めとする児童の権利を著しく侵害するものです。被害に遭った児童の保護のために、インターネット上のポルノ画像の速やかな削除、被害申告や相談を受ける体制の整備などが必要です。
 人口減少、超高齢化社会の中で少子化対策が急務であると言われておりますが、新しく生まれる子供たちを大切にすることはもちろん、今いる子供たち一人一人を貧困や暴力、性的搾取から守り、育んでいくことが、今社会が早急に取り組むべきことであると思います。少子化対策は必要ですが、質の高い必要な教育を受け、能力を十分に発揮できる子供の数を増やすことが重要です。
 憲法は、国家権力を制限して国民の権利を守る基本法です。憲法審査会においても、子供の人権を始めとする国民の基本的人権の実質的保障の実現について議論をより深めるべきことを申し上げ、私からの発言とさせていただきます。
 以上です。
#32
○会長(柳本卓治君) 山下雄平君。
#33
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
 自由民主党は結党以来、憲法改正を掲げております。先ほど丸山和也幹事からもおっしゃられたとおり、我が党は憲法改正草案というものを作成しております。論点は数多くありますけれども、今日は選挙制度の一点に絞って意見を表明したいと思っております。
 我が党の改正草案では四十七条で、選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならないと書いております。
 一方、現行の日本国憲法は四十三条で、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」、「両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。」と規定し、具体的な選挙制度については四十七条で、選挙区、投票の方法その他両議院の選挙に関する事項は、法律でこれを定めると書いてあるだけです。参議院については四十六条で、六年任期の三年ごとの半数改選を書いてあるだけです。
 これを受けて、現行憲法の法の下の平等を根拠に、一人一票の価値が同じでなければならないという一票の格差訴訟が幾たびも起こされ、平成二十四年の最高裁判決では、投票価値の平等は選挙制度の仕組みを決定する唯一絶対の基準となるものではないと指摘しながらも、投票価値の不均衡は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態として、参議院でも是正を求めています。
 しかし、今地方では人口が減少し、自分が住んでいる町がなくなるんじゃないかというような危機感が広がって、どうやれば地方が盛り上がっていくんだろうか、元気になるんだろうかというような議論が国会でもなされています。そうした中で、地方の人口が減って都会の人口が増えたからといって、そのスピードに合わせて地方の国会議員を減らし都会の国会議員を増やすというのは地方創生に反する、逆行するんじゃないでしょうか。
 そうした観点からも、我が党が改正草案で掲げているように、選挙区は人口を基本としつつも、都道府県といった行政区画だったり、島や中山間地、面積といった地勢などを総合的に勘案して定めるということを憲法上に盛り込むなど、何らかの手当てが必要だと考えます。
 以上です。
#34
○会長(柳本卓治君) 松沢成文君。
#35
○松沢成文君 みんなの党の松沢成文でございます。
 先ほど我が党の松田幹事の方からも表明がありましたように、みんなの党は時代とともにより良き憲法を目指して柔軟に見直していくと、これがあるべき姿であって、国会の発議をするという責務であると思います。
 先ほど、自由民主党の赤池先生から御提起がありました。いよいよ憲法の国民投票法ができて、憲法改正の手続が整ったわけですね。これから本格的な憲法改正議論になる。ただ、そのときに国会で幾ら改正を発議しても、国民が無関心のまま、投票率が三〇%も行かないなんということがあったら、これは憲法改正の正当性も持ち得なくなってしまうと思います。
 特に、今回、十八歳からの投票権です。そして今、選挙投票権も、一般の公職選挙の投票権も二十歳から十八にするということでプロジェクトチームで議論が進んでいます。こういう若年層、若い皆さんに、政治参加、憲法のこと、あるいは国政のこと、地方政治のこと、興味を持ってもらって、選挙権は権利であると同時に義務であるんだと、選挙には必ず行くんだという意識を持ってもらえなければ日本の民主政治というのは発展していかないと思うんですね。
 実は、私は神奈川県知事を務めておりまして、そのときに若年層の低投票率に大変な危機感を抱いておりました。そこで、実は教育委員会と選挙管理委員会と大議論をしまして、神奈川県の百五十五校の全ての県立高校で、公職選挙のときにその選挙と同じテーマで模擬投票をやってもらおうということをやって、実は三年に一回の参議院の選挙が一番タイミングが合うので、三年に一回ですね、もう二回やっています。参議院の選挙で、神奈川県立高校生は全て自分たちで、先生の指導もありますが、各党のマニフェストを学び、選挙公報を自ら読んで、そして高校の玄関、ロビーに投票箱、本物と同じような投票箱と投票用紙がありますから、そこで、自分は今回の選挙、日本の将来を考えて、何党がいいかなと自分で書いて投票するという、つまり本物の選挙を通じて投票の練習をしてもらっているんですね。
 そのために、事前に三時間、社会科の先生を中心にレクチャーをします。そのときに重要なのは、選挙制度や選挙に参加する意義を教えることであって、政治教育をしてはいけません。先生が自分の政治志向を生徒に押し付けるような教育をやったら、これはもう絶対に許されないことであります。こういう政治参加教育を全ての学校でしっかりとやれたら、私は若年層の政治的関心も増して投票率も上がってくると思うんですね。
 実は私、世界各国の民主政治の国を調べましたら、ほとんど日本以外の国では中学校、高校で、特に高校では本物の選挙と合わせて模擬投票をやって、選挙の重要性というのを実地訓練で学んでいます。日本だけなんですね、それをやっていないのが。したがって、今回国民投票法もできて、いよいよ普通の選挙権だけでなくて国民投票にも若年層も参加するわけで、私はこれを一つの仕組みとしてやっていけたらいいと思っています。
 赤池先生がおっしゃいましたように、学習指導要領を改正してその中に政治参加教育というのを位置付けるというのも一つ。もう一つは、政治参加教育推進法という法律を作って、国の方でその重要性や方向性を示して、それを受けて各自治体が、うちの自治体では、じゃ、参議院の選挙で模擬投票をやってみよう、うちの自治体では高校生県議会をやってみよう、いろんな形で政治参加を促していけたらいいと思います。
 そこで、会長に御提案があるんですが、政治参加教育推進法、実は選挙権年齢プロジェクトチームでも議論をしてもらっています。この憲法審査会でも、もう要綱まで用意してありますので、是非とも政治参加教育を促すための法整備という意味でこの審査会で議論をしていただきたいなと思っておりまして、要綱もできておりますので、是非とも幹事会の方で今後の在り方を、進め方を議論していただければと思います。
 以上です。
#36
○会長(柳本卓治君) 分かりました。
 堂故茂君。
#37
○堂故茂君 自民党の堂故茂です。
 日本国憲法の三原則を守るということを前提としながらも、前文の日本語表現とは思えない英訳的表現、それから、例えば八条では、皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与するときは云々と、皇室に財産を持ってもいいような表現をしながら、八十八条では全ての皇室財産は国に属するという、ちょっと矛盾したような表現など、憲法全般にやっぱり日本人の心に届く美しい日本語に表現を整える必要があるということが一点。
 それから、私、自治体の長をしているときに、市民の、あるいは市の道しるべとなる市民憲章というのを作り直そうということで提案しました。最初は、美しい言葉が並んでいるから要らないよという方が多かったんですが、結果として二千五百名ぐらいの方々から意見やアンケートが寄せられまして、その中で読み取れたのは、環境問題、それから多発する災害、さらには急激な少子高齢化、人口減の中で集落や家族の在り方、さらには、飛躍的な交通手段が発達する中で交流ということが非常に大事な私たちの生き方になっている、そのようなものに対応していく市民憲章でなければならないという提案をいただきました。改めて暮らしの中で、私たちの暮らしの中で、社会の在り方、私たちの生き方、また新しい人権の在り方、それに伴う権利義務、責任といったものも大きく変化していると感じました。
 ささやかな、全くささやかな体験を申し上げましたが、日本国が進むこれからの道においてもしっかりとした座標軸をつくり直していく必要があるのではないかなということを強く感じています。
 以上です。
#38
○会長(柳本卓治君) 吉良よし子さん。
#39
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
 私は、安倍内閣による集団的自衛権行使容認の閣議決定という解釈改憲は、最高法規である憲法の尊重義務を課せられている内閣による立憲主義を否定する改憲であると思います。だからこそ、学生、サラリーマン、高齢者など広範な国民から厳しい批判の声が上がっているのであり、私は閣議決定撤回を求めます。
 また、私は、国会において憲法について議論される場合、現憲法の歩みに対して余りにも否定的な議論が横行していることに驚いています。大日本帝国憲法の下での五十七年間の歴史はずっと戦争に次ぐ戦争でした。現憲法はそうした歴史への反省から出発したものであり、平和をうたう憲法前文と九条の下、一度も戦争で殺し殺されていないという六十七年の実績、歴史があります。それは大日本帝国憲法よりも長い歴史です。
 今、改憲論者からもこの九条の役割について、誇っていい日本の新しい国柄ですとその価値を認める発言も出されています。私はまさに今、この六十七年の現憲法の歴史そのものに誇りを持ち、守り抜くことが重要だと考えます。
 もちろん、大日本帝国憲法下の社会への反省から生まれたのは平和だけではありません。生存権、教育権、働く権利、幸福追求権など、国民の暮らしと権利を保障する誇りある規定が現憲法に定められています。
 例えば、働くということについて考えれば、二十二条に職業選択の自由、二十五条、生存権、二十七条、勤労の権利などがあり、これらに対応するために職業安定法や労働基準法が制定されました。ところが、現状はどうか。働く人、とりわけ若い世代の半数は非正規雇用であり、それを背景にブラック企業もはびこって、低賃金、長時間過密労働で将来の夢や希望を持てない生活を強いられています。それは決して彼ら自身に能力がないからではありません。戦後の歴代政権によって働く権利を踏みにじる改悪が続けられてきたからです。例えば、禁じられているはずの労働者供給や中間搾取を労働者派遣の名によって解禁しました。今またそれを野方図に拡大し、ただ働き残業の合法化も進めようとしています。
 私はさきの国会で憲法の理想に現実を近づけることこそが政治の仕事だと訴えましたが、もし憲法を語るなら、様々な改悪により現憲法の掲げる理想を壊している今の政府のやり方こそ、最も真剣に語られなければならないと思います。それは憲法を具体化する立法権を有する国会としての第一義的義務であるという考えを述べ、発言といたします。
#40
○会長(柳本卓治君) 儀間光男君。
#41
○儀間光男君 維新の党の儀間でございます。
 冒頭、先ほど共産党の幹事さんが発言がありましたが、本審査会、改憲を前提とするなら立ち上がるべきじゃないというような聞き取りのできるお話がありましたが、それはそうじゃないということを前提と、もう一つは二院制、今、今日行われている二院制を前提に少しく国会の審議の在り方について意見を陳述したいと思います。
 四十年ぐらい私、地方議会と地方首長をやってまいりまして、その折に国会審議をずっと興味を持って見てきたんですが、当時疑念に思ったのが、昨年七月、参議院、国政へ参加するようになっていよいよ疑問になって、これはそうすべきじゃないというのが幾つかありましたから、その幾つかを申し述べさせていただきたいと思います。
 それは衆参の審議の在り方で、先議権、特に衆議院の優位性、優越性のある議案、例えば予算であるとか条約であるとか、これは、特に予算などというのは、衆議院で決まれば参議院でどうあがこうが三十日規定があってそのまま通るんですね。衆議院の結果がそのまま通るんですよ。にもかかわらず、参議院に送られてきて、参議院でも同じような議論をして、何の決定権もないままに参議院で議論されている。この時間と経費の無駄、こういうのをやっぱり改革しなきゃならぬだろう、行財政改革をいうならば、その辺からやって改革していかなければならぬであろうと常々地方におって感じてまいりました。
 したがって、二院制の場合、衆議院が優位であるならば、先議は参議院からやって、参議院で結論を得て、衆議院に送って、衆議院で最終決定してもらうというのが一番二院制の下での合理的な審議の在り方だと思うんですね。
 是非とも、そういうことに一つのポイントを置いて研究していきたいなと、そういうふうに思っております。
 以上です。
#42
○会長(柳本卓治君) 小西洋之君。
#43
○小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。各委員の先生方が札を今一巡されたと認識いたしましたので、札を上げさせていただきました。
 私の方からは、先ほど発言させていただきました本審査会の附帯決議の内容について、いま一度申し述べさせていただきます。
 附帯決議の第六項でございますが、福島みずほ委員がおっしゃられましたように、政府が憲法解釈を変更する際には、その事前に、前です、事前に国会で十分な審議を受けること、これを国会の委員会の決議として政府に対して議会から命令しているわけでございます。この附帯決議に違反するというのは、議院内閣制を否定し、ひいては国民主権を否定する、そうした暴挙であると私は認識しています。
 では、我々が事前に審査する場合に何を審査するか、それを規定したのが第四項でございます。第四項に書いてありますのは政府の憲法解釈についての考え方、これ、歴代内閣、第二次の安倍内閣も含めて国会で答弁している考え方でございますけれども、憲法の解釈というのは論理的に確定されなければいけない、論理的な追求の結果として得られなければいけない、そしてそれが至当である、もう至極当然、適切であると、すごい言葉でございますけれども、憲法解釈の変更がもう至当であると、そういう見極めがなければ変更してはならないとされているわけでございます。先ほど申し上げました全ての法令解釈の大前提でございます立法事実、それすらない、また憲法の平和主義という大切な憲法九条解釈の基本論理を切り捨てている。まさにどこに論理があるのか、こうしたことを我々憲法審査会としてしっかり審議する、そのことが我々の責務でございます。
 なぜ責務かと申しますと、附帯決議の第一項、第二項がございます。我々憲法審査会におきましては、立憲主義に基づいて徹底的に審議を尽くす、また、日本国憲法の三大原理に基づいて徹底的に審議を尽くす、このことがはっきりと書かれております。
 これからの憲法の在り方について議論すること、これは私は賛成でございます。ただ、その前に、国民の大切な立憲主義、また国民の大切な憲法の三大原理についてこれほどの問題が生じているのをこの憲法審査会が議論しない、そのことについて私は国民の理解は到底得られないのではないかというふうに考えるところでございます。
 最後に、そもそも日本国憲法が何かということでございますけれども、先ほど丸山先生の方から、自民党の個人の権利の尊重とはまた違う見解をお持ちということで敬意を表させていただくところでございますけれども、一点だけ申し上げさせていただきますけれども、憲法前文にございます、日本国民は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」、この言葉でございますけれども、この意味は砂川判決で最高裁によって解釈は確立しております。これはユートピアでもなく他力本願でもなく、まさにこの規定を根拠に日米同盟を締結する権限を国が持っていると、そうしたことを最高裁は説いていることでございます。もちろん、この言葉の意味そのままの平和主義の意味もあろうかと思います。
 このような日本国憲法が、決して私は押し付けのものではなくて、むしろアメリカ合衆国憲法をはるかに凌駕する、はるかに凌駕する世界屈指の人権法典であり、先ほど石田先生がおっしゃられましたような憲法二十五条の生存権、これも我々の先輩の議会の手で入れられたものでございます。そうした憲法のその本来趣旨に基づいて、この憲法審査会で国民のために議論することを御提案申し上げさせていただきます。
 ありがとうございました。
#44
○会長(柳本卓治君) 牧山ひろえさん。
#45
○牧山ひろえ君 先ほどの松沢先生のお話に関連してお話ししますと、私も若い人の投票率について大変心配をしており、「国民総政治家」という本を書いたことがあります。その中で、投票に行かない場合のペナルティーを科す国の事例ですとか、あるいは逆に投票に行った場合に御褒美がもらえる国の事例を幾つか御紹介しております。
 私の持論ですけれども、やはりペナルティーとか御褒美を与えて投票率を上げるというよりも、やはり教育の中で、どのようにして投票に行くか、どのような考えを持って投票に臨むかということをしっかりと教育の中で盛り込んだ方がいいのかなと思います。
 そこで、私は、もう一つ御紹介をしたのが、その本の中で御紹介をしたのがノルウェーのスクールエレクションという事例なんですけれども、これ、以前、予算委員会でも御紹介しました。ノルウェーのそのスクールエレクションというものでは、本物の政党や本物の政治家に投票できる、ただ模擬選挙なんですけれども、ただし投票箱は学校に置いてあるというものなんですね。
 是非、スクールエレクション、あるいは神奈川県の事例を踏まえて、若者を始め全ての年齢の投票率アップへの取組も考えていただけたらと思います。
 ありがとうございます。
#46
○会長(柳本卓治君) 丸山和也君。
#47
○丸山和也君 一言。一番関心が高い、いつも国民的にも関心が高い第九条に関連するんですが、私が先ほど前文で言って、小西先生が今ちょっと少し補足説明をされましたけれども、私はこれが、国際平和を愛する諸国民の信義にというのが、これがけしからぬとかおかしいと言っているわけじゃなくて、あくまで、それはすばらしいことなんだけど、やはり自分の国は自分で守るという、ここはやっぱり個人にあっても国にあっても、個人も自分の身の安全、自分がどう生きていくかと、このやっぱり自分は自分で守るという、これはもう根本だと思うんですね。そこら辺が国家に関してもやはりややはっきりしないというより、他力本願的というかね。これはやっぱり敗戦、戦争に負けたということで押し付けられたとかいろいろありますけれども、根本的に一番問題なのは、自分は自分で守る、日本の国は日本で守るという、この固い気概みたいなものがやっぱりないんですよね。
 ですから、それは、そういうのがないところにやっぱり強い日本国民も生まれませんよ。だから、強い日本国民なくして強い国家も出てこない。確かにそれは哲学的にすばらしいことはすばらしいかもしれないけど、例えばノーベル平和賞の候補になっていると、これはすばらしいと言うけれども、ノーベル平和賞をもらったからって国が守れるわけでも何でもないんですから。だから、そこら辺をもっと冷徹な目で見なきゃ。そのノーベル平和賞をあげるという国は、別に自分の国がそうなっているわけじゃないんだからね。他人の国のことだから気楽に言っている面もあるわけですから。気楽にと言ったら失礼かもしれないけど。
 だから、やはり自分の国は自分で守るんだという気概が、根本的な気概がやっぱりこの憲法には欠けているということを私は言いたくて、他力本願でありユートピア的であるという表現を使いましたので。
 それから、基本的には私はこういう考えなんですよ。個人と国家という関係で、日本は非常に集団主義が強い国ですから、個人というのは決して強い国じゃないと思っています、私は。だから、個人の権利を、個人がいろいろな権利を主張するから国が弱くなるという発想は全く間違っていて、むしろもっと強い個人の権利を主張する国民であるべきだと思っている。そういう強い国民がいてこそ強い国家というのができてくるということで、決して個人と国家というのは対立する構造じゃなくて、自由な市民社会、強い国家という発想というか、それが私の理想でありますから、どうか誤解なさらないようにひとつお願いしたいと思っております。
 以上です。
#48
○会長(柳本卓治君) 福島みずほさん。
#49
○福島みずほ君 今、丸山理事が個人を強くすることが強くなることだとおっしゃった点についてはそのとおりだと思うのですが、今の憲法九条に対する発言について私自身の意見を述べたいというふうに思っております。
 日本国憲法に関して、個別的自衛権の行使は認められるというのが従来の自民党の見解でした。現在、立憲主義の破壊を行っている安倍内閣がやったこと、閣議決定をしたことは、集団的自衛権の行使を容認するということです。集団的自衛権の行使とは、自国が攻められていないにもかかわらず、他国防衛を理由に他国で武力行使をするというものです。
 今、自分の国を守るとおっしゃいましたが、立憲主義の破壊は、まさに集団的自衛権の行使と後方支援の拡大によって武力行使を無限定的にやっているということが根本的に問題であるというふうに思っております。
 自民党の日本国憲法改正案九条は、自衛隊を国防軍とし、また、自衛隊の権限について何の制限も基本的に設けておりません。地域も手段も設けておりません。国会の事前承認、事後承認すら厳密に言えば要件としておりません。国会の統制に服するとしておりますが、要件としておりません。まさに、集団的自衛権の行使も含め、あらゆる武力行使が可能となる自民党の日本国憲法九条は、今の丸山理事の日本の国を守るということとは一致しないというふうに考えております。
 私たちは、憲法九条の明文改憲、解釈改憲が問題ありという立場です。
#50
○会長(柳本卓治君) 藤末健三君。
#51
○藤末健三君 私も丸山先生に対してちょっと一つ申し上げたいことがありまして、私も防衛力が要らないということは全然考えておりませんで、バランスだと思います。やはり、きちんとした防衛力に基づく自衛ということと、もう一つ大事なことは、やはり防衛力ではない平和の構築、安定化というのは必要でございますので、その二つのバランスをどうするかというふうに考えています。
 その中で、憲法がノーベル平和賞をいただくということについては、後者の、我々が今外交で掲げています人間の安全保障しかり、そのような概念、防衛力によらない外交による平和の維持という意味では非常にプラスだと思います。実際に昨年のノーベル平和賞の受賞を見ますと欧州連合が、EUが受けていまして、そのような国際的な注目を浴びる、我が国の外交というものを発信する意味では重要だと思いますので、ちょっと意見だけ申し上げます。
 以上です。
#52
○会長(柳本卓治君) 御発言ない方で御発言をされる方おられますか、ほかに。よろしゅうございますか。
 愛知治郎君。
#53
○愛知治郎君 自由民主党の愛知治郎でございます。
 私にとってこの審査会は初めて、前に憲法調査会では議論させていただいたんですが、この審査会は初めて参加をさせていただくことになりました。各会派の皆さん、各委員の皆さん方の基本的な考え方ということで、御意見を拝聴させていただきました。非常に勉強になりましたし、これからもしっかりとした議論をしなくちゃいけないなと思います。
 私は自民党でありますから、自民党であるからというわけではないんですけれども、改憲論者であります。が、自民党の中でもやはりいろいろな議論がある。どういった分野について高い関心を持っているか、様々な議論をずっとなされてきたところであります。だからこそ、これからもしっかりとした議論が必要と思います。特に、良識の府である参議院としての堂々たる議論、これが何よりも重要かと思います。また、我々だけでなく、国民にも広くこの議論、参加してもらう必要があると考えています。
 先ほど、赤池、松沢両委員から憲法教育の必要性という話がありましたが、私も憲法の中身を知ってから、これは是非、国民全員一人一人がしっかりとこの憲法というのを分かってほしいという思いでここまで来ました。
 私がこの憲法を勉強させていただいた、最初は小中学校のときですか、義務教育のときに三原則、国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義ということは教わったんですが、その中身について大学時代しっかりと勉強させていただいたとき、愕然としました。こんなにすごい考え方があるのかと。
 私は、人類の発明の中で一番すごいものというのは憲法だと思っているんです。たった一人が作ったのではなく、人類がまさに血を流しながら、歴史を積み重ねて、そして作り上げたというのが憲法だと思っていますから、このすばらしいものをちゃんと国民にも分かってほしいと思います。
 また、ここでもそのことを前提に議論しなくちゃいけないんですが、改めて、私の個人的な考え方ですが、今度、憲法の基本的な考え方を整理しなくちゃいけないなというふうに思います。
 三原則一つでもそうなんですが、これはいろいろな意図があるとは思うんですけれども、例えば地域主権という言葉一つでありますが、私が少なくとも憲法学上習ったのは主権は一つですから、どういう意図があるのか、こういうことも整理をして、考え方を整理していかなくちゃいけないと思います。
 また、何代か前の総理が日本国憲法は三権分立ではないという話をされていたのを聞いてびっくりしましたけれども、やはりそういった基本的な、学者、学説、いろいろありますけれども、異論のない部分についてはちゃんと整理をした上でここでも議論をしていかなくてはいけないと思います。
 その上で、藤末先生がおっしゃったとおりに、ここでの議論を国民また外国も含めてできればということでしたけれども、発信をしていくこと、これは本当に必要なことだと思いますので、是非、委員の皆様方の御理解もいただきたいと思います。
 いずれにせよ、会長から、会長とお話をしたときに、勝手に言って申し訳ありませんが、参議院らしいすばらしい、参議院の権威を高めるような議論をしたいということだったので、私もそのようにしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。
#54
○会長(柳本卓治君) 有田芳生君。
#55
○有田芳生君 発言するつもりはなかったんですが、丸山委員の御発言を聞いていて、一言感想を含めてお伝えしておけばいいかなというふうに思いました。
 憲法九条のノーベル平和賞の問題です。
 実は、私は今年の八月に人種差別撤廃委員会の日本審査、国連が開催をしたその会議に参加をしました。いわゆるヘイトスピーチ問題で今日本でも多くの議論が進んでおりますけれども、私が日本審査を傍聴して思ったのは、やはり日本が世界からどのように見られているかということだったんですよね。結論的に言えば、人権問題でまだまだ非常に遅れている状況にある、そういう厳しい指摘がありました。
 ノーベル平和賞の九条の問題について言えば、何というんですか、いろんな思惑があるという評価があります。端的に言って、安倍首相が記者から問われて、政治的ですねという発言をされました。それに対してネット上でも批判を語る方もいらっしゃいましたけれども、私はそうは思いませんでした。ノーベル平和賞というのは、ある意味政治的なんですよね。それはオバマ大統領がノーベル平和賞を取ったり、あるいは沖縄の核疑惑の状況の下で佐藤栄作元首相がノーベル平和賞を受賞したりという、だからある意味政治的なんだと思います。
 だから、そういう意味で、なぜ今憲法九条がノーベル平和賞の受賞候補になったかといえば、やはり海外から見れば、特定秘密保護法、集団的自衛権の閣議決定の問題など、日本というのはこのままで大丈夫かと、そういう厳しい目があるという背景があるということをやはりノーベル平和賞の九条問題を考えるときには注目しておかなければならないと、そのように認識しているということだけお伝えしたいと思いました。
#56
○丸山和也君 一点だけ、それに反論があるんだけど。反論というより意見なんですが。時間なければ結構です。
#57
○会長(柳本卓治君) よろしいですよ。
 丸山和也君。
#58
○丸山和也君 私が言わんとしていることは、要するに、日本国民がどう見られているかという、これも大事ですよ。これもある種の他力本願なんです。他力本願、どう見られているかという、受け身的なんだよね、そこから発想するという。
 それで、もっと根本的に欠けているのは、日本人が自己主張をするということなんですよ。これが圧倒的に多いんですよ、世界では。私も海外に何年も住んでいたこともあるし、海外でも訴訟もいろいろやっていますけれども、要するに自己主張を余りしない国民なんですよ。ということは、自己を主張しないと自己がないと見られる、そして自己が強くならない、そして他人はどう思っているんだろうかと非常に気にする。そして世界の中で最も自信のない国民は日本国民ですよ、海外に行ってみると、若い人も含めて。自分を主張しないし、自分をきちっと主張できないの。それは国もそうなんですよ。
 だから、そういう国に少しなっているということを我々は反省する、これはやっぱり気概とかそういう、自分の確立ということが非常に弱い。そういう意味で、憲法だってすばらしいけれども、自分というのが非常に希薄なんですよ。ここがやっぱり国の在り方にも関わってくる。
 そして、すぐ武力だとかこうだとか、武力の問題だとかノーベル賞だとか平和主義だとか、こういう理念だけが非常に哲学的に抽象的に飛び交っているんだけれども、もっと中身をやっぱりつくらなきゃならぬ。それはもう憲法の欠陥ですよ。憲法の欠陥というより、日本人、やっぱりこういう憲法の中にも、それをある種の唯々諾々としてすばらしいなと思っているだけで、本当の自分のものにし切っていないと思うの、僕はね。
 そういうことを言いたいので、有田さんがおっしゃっていることもよく分かりますけれども、外国がどう見ているかということもね。ただ、我々が自己をどうしようとするかという点をもっともっとやっぱり世界の中で主張すべきだという、そういう国民をつくるべきだし、またそういうものを体現した憲法にすべきだと思っている。
#59
○会長(柳本卓治君) 他に御発言ございませんか。──他に御発言もないようですから、委員間の意見交換はこれにて終了いたします。
 本日の調査はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。
   午後二時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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