くにさくロゴ
2014/11/12 第187回国会 参議院 参議院会議録情報 第187回国会 憲法審査会 第3号
姉妹サイト
 
2014/11/12 第187回国会 参議院

参議院会議録情報 第187回国会 憲法審査会 第3号

#1
第187回国会 憲法審査会 第3号
平成二十六年十一月十二日(水曜日)
   午後一時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月二十二日
    辞任         補欠選任
     堀井  巌君     北村 経夫君
 十一月十一日
    辞任         補欠選任
     那谷屋正義君     江崎  孝君
     野田 国義君     森本 真治君
     儀間 光男君     小野 次郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         柳本 卓治君
    幹 事
                愛知 治郎君
                高野光二郎君
                堂故  茂君
                豊田 俊郎君
                丸山 和也君
                金子 洋一君
                小西 洋之君
                西田 実仁君
                松田 公太君
                仁比 聡平君
    委 員
                赤池 誠章君
                宇都 隆史君
                大沼みずほ君
                木村 義雄君
                北村 経夫君
                熊谷  大君
                上月 良祐君
                佐藤 正久君
                滝波 宏文君
                中曽根弘文君
                中西 祐介君
                山下 雄平君
                有田 芳生君
                石橋 通宏君
                江崎  孝君
                徳永 エリ君
                福山 哲郎君
                前川 清成君
                牧山ひろえ君
                森本 真治君
                魚住裕一郎君
               佐々木さやか君
                矢倉 克夫君
                松沢 成文君
                小野 次郎君
                清水 貴之君
                吉良よし子君
                江口 克彦君
                福島みずほ君
                浜田 和幸君
   事務局側
       憲法審査会事務
       局長       情野 秀樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基
 本法制に関する調査
 (憲法と参議院について)
    ─────────────
#2
○会長(柳本卓治君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査のうち、憲法とは何かについて、来る十九日午後一時に参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○会長(柳本卓治君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(柳本卓治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○会長(柳本卓治君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。
 本日は、憲法と参議院について委員間の意見交換を行います。
 まず、各会派一名一巡により、各七分以内で意見表明を行っていただきたいと存じます。発言時間の経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らします。あらかじめ御承知願います。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、意見のある方は順次御発言願います。
 愛知治郎君。
#6
○愛知治郎君 自民党の愛知治郎でございます。
 本日は、憲法と参議院というテーマで意見交換を行い、我々参議院憲法審査会の委員がまさに参議院議員として憲法問題についてどう考え、参議院憲法審査会がどう取り組むべきか、より具体的な議論を展開していただきたいということで御要望を申し上げたところ、そのように開催をしていただいたところでございます。
 この「憲法と参議院について」でありますが、我々は平成二十四年に日本国憲法改正案を策定、提案をしております。今回は、この中からの国会の中から、参議院に関係する内容を中心に憲法草案の主要な規定のポイント及び今後の憲法議論の方向性について述べ、今後の議論の参考にしていただきたいと存じます。
 まず、二院制についてでありますが、自民党としての意見表明は、二院制を維持するとともに、衆議院の優越についても現行の立場を踏襲するというものであります。この理由としては以下のものがあると考えます。
 二つの院の相互抑制、均衡により慎重審議を実現する、第二に第一院の審議の不十分さや欠陥を補うことができる、第三には議院内閣制の下で国会の行政監視機能を高めるためには二院制が必要である、第四に国民の多様な意見や多元的な価値をきめ細かに反映することができる、第五に長期的視野に立った安定的な議論ができるなど、参議院には衆議院と異なる役割があるということであります。
 なお、一院制を採用すべきか否かについては、党内議論では一院制を採用すべきとの意見が多く出されたところであります。しかしながら、今回の草案は、サンフランシスコ平和条約発効六十周年を機に、自主憲法に値する憲法草案を策定することを目的に、あくまでも平成十七年の新憲法草案を土台としてその見直しを行うものであり、一院制導入の具体化には詳細な制度設計を踏まえた慎重な議論が必要でありますが、今回の作業の中ではそれを行うことは困難であり、党内での合意形成の手続がなお必要と考えたところであります。このため、今回の草案では、平成十七年の新憲法草案を引き継ぎ二院制を維持しておりますが、今後、二院制の在り方を検討する中で一院制についても検討することといたしました。
 参議院自民党としては、我が国のように両院とも公選の場合、両院の機能に優劣を付けるよりも、機能のすみ分けを目指すのが妥当な選択と思われます。現行憲法を前提としつつ、憲法の許容範囲内で参議院独自の機能を付与することが適当と考えているところであります。
 その参議院の機能、特に独自性を目指すべき分野については、参議院が補完、抑制、多様な民意の反映といった本来の役割、機能を果たすためには、衆参両院の構成、機能等の相違を明確にするとともに、役割や機能の分担を考えるに当たって、参議院は六年間と任期も長く、しかも解散がなく安定していること、全国単位の比例区と都道府県単位の地方区という選挙制度の下で何十万を得て議員になっていることなどの参議院の性質を生かすことが重要であると考えております。
 参議院が独自性を発揮すべき具体的分野と果たすべき役割、機能については以下のとおり考えております。
 まず、立法機能の強化については、第一に議員立法の推進、第二に特定法律案の参議院の先議、第三に条約の先議等であります。次に、行財政の監督強化について考えております。まずは、第一に決算審査の充実、第二に人事案件の先議等であります。
 次に、衆議院で法律案を再議決するのに必要な三分の二の緩和についてであります。
 五十九条二項では、参議院で否決された法律案を衆議院で再議決する場合には、出席議員の三分の二以上の賛成が必要としております。この再議決の要件を緩和するべきかどうか党内で議論がありましたが、最終的には変更いたしませんでした。議論の中では、三分の二以上の賛成から引き下げて、ねじれ現象ができるだけ起きないようにするべきではないかという意見や、要件を過半数とするという意見もございました。他方で、それでは参議院の存在を否定するものだという意見も多くございました。間を取って十分の六とする意見もありましたが、法令上、議決権の規定で十分の六というものは前例がなく、この部分の変更はいたしませんでした。
 次に、国会議員の選挙制度に関する規定についてでありますが、四十七条に後段を設け、この場合においては、各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならないと規定をいたしました。これは最近、一票の格差について違憲状態にあるとの最高裁の判決が続いていることに鑑み、選挙区は単に人口のみによって決められるものではないことを明示をしたものであります。ただし、この規定もあくまでも人口を基本とすることとし、一票の格差の是正をする必要がないとしたものではありません。選挙区を置けば必ず格差は生じるので、それには一定の許容範囲があることを念のために規定したにすぎないという考え方でございます。
 この選挙制度改革について、公職選挙法は、参議院議員については、衆議院議員と選出方法を異ならせることによってその国民代表の実質的内容と機能と独自性を持たせるため、参議院議員を全国選出議員と地方選出議員とに分かち、前者によって事実上ある程度職能代表的な色彩が反映されることを図るとともに、後者については都道府県を構成する住民の意思を集約的に国会に反映させるという意義、機能を加味しております。
 これは昭和五十八年の最高裁の判決でありますが、参議院自民党としては、このような参議院が担ってきた地域代表的な使命を尊重する観点から、とりわけ地方での人口減少が著しい今日、現存の広域地方自治体である都道府県を単位とする選挙区を尊重したいと考えております。このことから、平成二十八年度参議院選挙に向けては現行憲法で対応しつつ、近い将来の憲法改正を掲げ、全ての都道府県が三年改選ごとに少なくとも定数一を確保し、全国比例代表とともに参議院を構成するよう明記することを目指しております。
 時間が来ましたので、以上でございます。
#7
○会長(柳本卓治君) 小西洋之君。
#8
○小西洋之君 民主党の小西洋之でございます。
 憲法と参議院という命題に対し、まず踏まえるべきは、日本国憲法においては、参議院議員も衆議院議員と同じく、憲法の目的価値である第十三条の個人の尊厳の尊重を主柱とする国民の自由と権利について、公共の福祉の調整原理の下に最大の尊重をもってその実現確保に取り組む唯一の立法機関の構成員であるという点で何ら変わるものではないということであります。すなわち、参議院議員も国民への憲法保障について衆議院議員と同一の責任が付与されているのであり、この点は、憲法において、参議院に属する議員もひとしく第九十九条の憲法尊重擁護義務を負い、また一部国会の権能において衆議院の優越等を定めつつも、国民主権の原理の最たる発現である第九十六条の憲法改正発議において参議院は衆議院と対等の権能が定められていることからも明らかであります。
 この点、我が党の二〇一三年二月の新綱領においては、民主党が政治を担うに際して国民の皆様のために何を根源的な価値とし、それをどのような社会において実現しようとしているのかについて、まさに憲法十三条の理念の具現化ともいうべき、一人一人がかけがえのない個人として尊重され、多様性を認めつつ互いに支え合い、全ての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共に生きる社会、すなわち共生社会をつくることを目指すとしています。
 さらに、新綱領には、その前提として、このような憲法十三条の理念に基盤を置く価値と社会を実現するための憲法原理について、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の基本精神を具現化する、自由と民主主義に立脚した真の立憲主義を確立する党として日本国憲法が立脚し採用する諸原理を保持するとともに、その本来趣旨の実現を図るとの憲法観に立つことが規定されています。すなわち、憲法における国民のための至高の価値と憲法が立脚し採用する立憲主義や基本原理は論理必然的に一体のものであり、この体系的な保持こそがその国における国民の人権保障や公権力の暴走抑止の実効性を決定付けるものとなるのであります。
 この点、民主党においては、個人の尊厳の尊重という憲法の目的価値とそれを実現する社会の在り方を見据え、その基底にある憲法の諸原理が十全にその趣旨を発揮することこそがその基盤であり推進力になるとの認識を踏まえつつ、さらにそれらをより豊かに深化させた内容として党綱領を定め、これを民主党に参画する全国会議員が共有し、体現を目指す憲法観としているのです。
 他方、憲法上の参議院及び衆議院の権能の差異に着目してみると、法律案の議決、予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名等において衆議院の優越を定め、内閣の信任、不信任の決議において衆議院のみの権能を認め、他方、第五十四条において緊急集会の権能を参議院のみに付与しているところです。
 こうした我が国の二院制の憲法上の在り方について、民主党は、二〇〇五年憲法提言において、二院制を維持しつつ、両院の機能、役割分担を明確にし、議会の活性化につなげることが基本的に必要であり、その際には、予算は衆議院、決算と行政監視は参議院といった役割分担を明らかにすることなどの見解を示しているところです。
 なお、二院制の運用に係る重要な問題として、いわゆるねじれ問題があります。憲法が定める二院制という制度に内在するねじれ問題をめぐっては、法律案の議決など衆議院が優越の権能を行使できる場合と、憲法の規定上そうした権能が及ばない議決事項の場合など、いずれにおいても、場合によっては慎重審議の確保などの本来の二院制の趣旨を超えて、国政の停滞や混乱、あるいは国民からの二院制、ひいては議会政治そのものへの不信を生じさせるおそれもあるなどの指摘が本審査会でも議論されてきたところです。
 こうしたねじれ問題への対処としては、憲法第五十九条二項の、衆議院のいわゆる三分の二の再可決要件の見直しなど、憲法改正に至る事項を含めて様々に議論をされてきたところですが、当問題をめぐるこれまでの議会の経験等から得るべき教訓としては、憲法第五十九条三項に定める両院協議会の運用の改革について不断の取組を行っていく必要があるということであります。
 この点、二〇〇九年に両院協議会の議事録の公開が実現したことは一つの前進であり、今後とも、憲法の定める二院制の機能を適切に発現あらしめるために、両院協議会の在り方について、その更なる公開を含めた開催方法、委員の構成と人数、議長の選任方法といった組織の在り方、議事の進め方、採決ルールなどの事項について、党派を超えて真摯な議論を続けていくことが必要であると考えます。
 さて、憲法と参議院という命題に向き合うときに、これらの整理に加えて、我が参議院が憲法の定める二院制の下で、良識と理性により律せられる国政審議の場として機能する良識の府としてあるべく、自らを自覚し、立法府の一翼としてその伝統ある営みを積み重ねてきたその在り方と憲法問題の関係について考察する必要があると考えます。
 すなわち、憲法と参議院という命題を考えるときに、我ら参議院が国民の個人の尊厳原理に根差す憲法保障を実現し、その前提である日本国憲法が立脚する立憲主義、法の支配、あるいは恒久平和主義等の基本原理の確保とそれらの本来趣旨の具現化を図るために、一、これらについての自らの審議機能を充実強化すること、二、議院内閣制の本旨として、党派を超えてこれらに係る内閣監督機能の十全なる遂行を確保していくことが参議院の良識の府としての在り方に照らし最も本質的かつ重要なことであると考えます。
 この点、我が参議院においては、まさに憲法問題について良識の府と称されるにふさわしい各種の決議などの取組がるる実践されてきたのであります。このうち、この場で同僚委員の皆様と共有させていただきたいものは、さきの第百八十六回国会の改正国民投票法採決に当たり、本憲法審査会で可決された附帯決議であります。
 この附帯決議においては、第一項及び第二項において、立憲主義及び国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義の基本原理に基づいて、徹底的に審議を尽くすこととするとともに、さらには、安易な憲法改正論議を抑止するために、第三項において、憲法改正原案の目的が立法措置によって可能とすることができるかどうかについて、徹底的に審議を尽くすこととされています。すなわち、まさに現在及び将来への国民への憲法保障と、その前提である憲法が立脚する諸原理の本来趣旨の確保等のための良識の府における我が憲法審査会の在り方が本附帯決議に示されていることを、同僚委員の皆様とともに誇りを持って受け止めたいと考えます。
 最後に、日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行い審議することを国会法上の任務とする我が憲法審査会が、本附帯決議の趣旨等を十全に踏まえ、良識の府参議院における国民への憲法保障並びに立憲主義と法の支配のとりでとしてその権威ある活動を積み重ねていくことを同僚委員の皆様にお訴えし、私からの意見表明とさせていただきます。
#9
○会長(柳本卓治君) 矢倉克夫君。
#10
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。
 本日の議題であります憲法と参議院につき、一言述べさせていただきます。
 二院制は、一院だけでは満たすことのできない欠点を補完し、一院がともすれば陥りがちな欠陥を補正し、議会の機能をより適切なものにしようとするためにある。我々公明党の大先輩であり、参議院議員を四期務められた峯山昭範氏が、著書「参議院」において冒頭、記す言葉です。この一院制の補完、補正と議会機能の適切化を果たすに当たり、参議院はいかなる機能を有するべきか。まず最も重要な視点は、国会の行政監視機能を担うものこそ参議院であるという点です。
 我が国憲法は議院内閣制を採用します。行政、政府との連帯を重視する議院内閣制においては、ともすれば行政監視という議会が本来果たすべき機能が埋もれてしまう危険性があります。この回避を図ることができるのは、政府と政治的一体性を求められる衆議院とは違う独自性を有する参議院です。
 この行政監視のうち、中心となるものは何か。それは、行政の組織及び人事に対する統制であると考えます。これは、弁護士事務所から出向した任期付公務員として霞が関で働き、民間から霞が関全般を見る幸運に恵まれた私の経験から申し上げる結論であります。
 組織について。行政組織は、ほっておくと増殖するものです。ニーズがあって生まれたはずの組織が、時代の変化にかかわらず存続し、いつしか存在自体が目的となることがあります。また、人事について。公務員は全体の奉仕者であり、その人事は職務遂行を通じてのみ適性を測るべきものです。しかし、仮に人事が単なる慣行により行われてしまうことがあれば好ましくありません。現行のキャリアシステムによる公務員の人事体系はその危険性を有しているものです。
 この組織と人事の正しいやり方がなされているか常時監視をすることが行政監視の要であり、そのようなものであるとの観点の下、政府と官僚組織をつくる衆議院と、それを監視する参議院という役割論を深めることを強くお訴えしたいと思います。
 次に、この行政監視という課題と根は同じものですが、別途考えなければいけない点として、官僚肥大社会への歯止めという観点があります。これは、我が国政治、行政の根本問題であり、政治主導はいかにつくるかという点でもあります。
 その象徴というべき課題は、委任立法の増大です。委任立法そのものは、いわゆる行政国家に求められる専門性、機動性等により避けられないものです。しかし、安易に法の運用が官僚に丸投げされることを是認しては、官僚機構に対する国会の監視が十分になされているとは言えず、議会制民主主義の原理が疑われる事態に陥りかねません。
 この委任立法の増大という現象がもたらすリスクは、災害等の緊急時においてより顕著に現れます。なぜなら、災害時は国民の生存権確保のため政府に非常権限が認められる余地があり、それが委任政令という形で人権の制約を伴うこともあるからです。とりわけ、私権の制限と併せ、人権保障のために行政をどのように統制していくのかが問題の本質となります。
 平成二十四年七月三十一日に発出された中央防災会議・防災対策推進検討会議最終報告は、自然災害による国家的な緊急事態への対応の在り方について憲法審査会でも議論をされるよう求めております。これら平時と緊急の場合に切れ目なく、肥大化する行政に対する歯止めとなる最後のとりでとなるべきが行政監視機能を有する参議院と考えます。そのために、特に非常時に対応するためにも、通常時から常時監視をする仕組みをつくらなければなりません。
 この点、信州大学の田中祥貴准教授は、参議院の憲法保障機能という新たな視点から、災害対策基本法第百九条第四項にある議会拒否権制度の拡充を提唱しており、注目されます。国会でもこれを議論すべきかと思います。
 さらに、参議院の決算機能も重要であります。
 これに関し注意しなければならない点は、単純に衆議院は予算、参議院は決算という役割を分けることには慎重であらねばならないという点です。なぜなら、決算審議の目的は予算審議へのフィードバックであり、予算審議、決算審議のどちらも税金の使い方の議論であって、この二つを一連のものとして議論しなければ国会によるチェックは機能せず、その点において衆議院も参議院も同じであると考えるからです。
 財政再建が急務である我が国にとり、決算の目から予算を見ることは重要です。議員の任期が短く解散もある衆議院は決算の目を持って次年度予算に直結する短期的事項を見る一方、参議院は決算の目を持っていかに数年度にわたる長期的検討を要する事項に重点を置いた審議を行うか、この点が重要であり、例えば年金制度、特別会計制度など制度を議論すべきものと考えます。
 以上、行政監視、災害など緊急時も含めた官僚肥大社会への歯止め、長期的観点に立った決算、この三点が我が国憲法における参議院の役割のうち主なものと考えます。
 最後に一言申し上げます。
 参議院の最大の責務の一つである行政監視とは、すなわち国民主権の徹底です。政府及び官が国民一般の利益と異なる国家の利益や官独自の利益を追求することを防止し、公務員を全体の奉仕者たらしめることこそ行政監視の府として参議院に求められるべきものであり、参議院は国民主権を徹底させることをその最大の責務と考えるべきと思料いたします。
 以上の点を強調いたしまして、意見表明とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
#11
○会長(柳本卓治君) 松沢成文君。
#12
○松沢成文君 みんなの党の松沢成文でございます。
 みんなの党を代表して、憲法と参議院というテーマで話をさせていただきます。
 私たちみんなの党は、そもそも今の中央集権体制、国家体制というのは完全に限界に来ていると、もっともっと地方の独自性を促して、地方自らが様々な政策を実現できる、そういう体制に持っていくべきだということで道州制の推進を掲げております。
 今後、憲法改正が道州制に必要かどうか議論はありますが、そういう大きな改革、道州制が進んでいくと仮定して、そうなった場合には、私は一院制でいいと思っています。今のように中央集権体制で、霞が関、永田町が様々な権限抱えて多くの行政を握っている、ここをしっかりチェックするには、衆議院、参議院の二院がなければできないわけですね。ところが、道州制で小さな中央政府になった場合には、当然、議会機能の縮小ということも含めて一院制を目指すべきだと思っています。
 実は七月に、参議院の統治機構ですか、調査会の派遣でドイツを視察してまいりました。ドイツも上院、下院があって二院制だと、こういう形で思って行ったんですけれども、ドイツの方々をいろいろ取材してみると違うんですね。ドイツには国家の体制が、行政府、司法府、そして連邦議会、これは日本でいう衆議院ですね、それともう一つ、連邦参議院という機関があるんだと。つまり、ドイツは連邦制度、日本でいったら道州制の下に国全体で様々な立法活動をしていくのが連邦議会、日本でいう衆議院、州の代表が中央政府と交渉をして国と地方の様々な行政の調整を行っていくのが連邦参議院ということで、我々は二院制の国ではないんだと、国家の四つの機関の一つとして連邦参議院があるという言い方をしていましたが、そういう捉え方なんですね。ですから、私は、参議院が今後存続するとしたらそういう形で、地方、道州制の州の代表者が国と様々な行政の連携、交渉を行っていく、そういう参議院の姿が想像できるんではないかというふうに思っています。
 二点目でありますが、今まで先輩、同僚議員の皆さんからも、参議院の存在意義、独自性というのを発揮するには衆議院と参議院が違う機能、役割を持つべきだというお話がありました。予算は衆議院中心、決算は参議院中心ですとか、あるいは条約を含めたこういうものは衆議院でやっていただいて、人事なんかは参議院でやっていこうと。まあ、衆議院の優越の下でも、そういう役割分担というのはいろいろ機能論として私はあると思います。
 ただ、私は、あえて参議院の独自性を発揮するために一つだけ改革するとしたら何をやるかというふうに問われましたら、私は、参議院の議長の権限によって法案によっては党議拘束を外せる、この権限を保障することだけで私は参議院の議論が相当変わってくると思いますし、独自性を発揮できると思います。
 参議院というのは六年間議員の任期もあるわけで、また、党派、利益団体、利害にとらわれずに国民的視野、長期的で総合的な視野で議論ができるというのが参議院の特徴でありますから、そうした中で、衆議院はどうしても党派中心になります。参議院は、例えば生命倫理だとか国民の健康だとか、こういう何党だから賛成とか何党だから反対というよりも議員個人としての価値観としてこうあるべきだという投票行動を尊重する、議長が法案による党議拘束を外すということを一つやっただけでも、これは参議院の独自性というのが大きく進んでいくんじゃないかなというふうに思っています。
 三点目は、今後のこの審査会の在り方について皆さんに進言をさせていただきたいと思います。
 憲法の審査会、もう何年も続いてきました。私は実は衆議院に十年前にいたときから憲法審査会やっていましたが、当時から今まで余り変わらずに、各党の意見発表と、そして識者からの意見聴取、これを何年も何年も繰り返してきたんですね。ただ、今回、国民投票法もできて、もういよいよ日本国憲法は、やっぱり国会の発議と国民の投票によって、おかしいところ、時代に合わなくなったところは改正ができるわけですね。ですから、この審査会もそういう議論に入らなければ意味がないと思います、ずうっと意見発表と識者からの聴取を繰り返していても。
 そこで、次期の通常国会のこの審査会から、まず各党が、今の憲法は変えるべきか変えるべきでないか、変えるべきとしたらどこを変えるべきかというのをしっかりと党で議論した上で発表をしていただく。そして、その改憲をするべきだという政党あるいは委員が多数派を占めたら、これ多数で動かしていくしかないですから、速やかに、どの部分を改憲の条項として提起をしていくか、このコンセンサスづくりに入る。そうしないと永遠にこの審査会は意見を言い合うだけで終わってしまうんですね。
 私どもみんなの党は、憲法は時代とともにしっかりと見直すべきだと思っています。例えば、それが緊急事態条項みたいなのを入れる、これでいくべきだという政党が多ければそこから議論を始める。あるいは、九十六条をしっかりと見直してもう少し国民に憲法改正の意思を問えるような体制にすべきだと、そしたら九十六条をどう改正していくか議論を始めると。
 もうそういう具体的な改正議論に入っていかないと、この審査会の私、役割が果たせないんじゃないかと思っています。もちろん、憲法は一字一句変えてはいけないという政党もあるでしょう。しかし、やはり変えるべきだという政党が多数であるならば、どこをどう変えていくか、そしてそれをどう国民に発議をしていくか、この本当に真剣な議論に入っていかない限り、この審査会の役割は果たせないと思いますので、是非とも次の通常国会からそういう議論をお願いしたいと思います。
 以上です。
#13
○会長(柳本卓治君) 清水貴之君。
#14
○清水貴之君 維新の党の清水貴之です。
 憲法と参議院について、我々維新の党の考え方をお伝えしたいと思います。特に、維新の党が考える統治機構改革の全体像の中に参議院あるいは国会の在り方をどのように位置付けていくかという観点から意見を述べたいと思います。
 今、日本は、経済のグローバル化と大競争時代の荒波の中で、新陳代謝が遅れ、国力が停滞、弱体化し、国民は多くの不安を抱えている、そのように考えています。我が国がこの閉塞感から脱却し、国民の安全、生活の豊かさ、伝統的な価値や文化などの国益を守り、かつ国の将来を切り開いていくためには、より効率的で自律分散型の統治機構を確立することが急務です。
 維新の党は、以上の認識の下で、憲法改正による統治機構改革を基本政策として掲げています。その柱は、第一に、国の役割を外交、安全保障、マクロ経済政策などに集中した上で道州制を導入することであり、第二に、憲法六十七条改正による首相公選制の導入です。参議院あるいは国会の在り方もまた、これらの政策との整合性の観点から考えていく必要があります。
 では、道州制や首相公選制と最も整合性の高い国会の在り方とは何か。最終的には一院制というところに行き着かざるを得ないものと考えます。すなわち、国の役割を限定し、広域地方政府である道州に権限や消費税を含めた財源を移譲するとなれば、統治の在り方に民意をくみ上げていく機能も、直接公選の下で大統領的位置付けを持つ道州の首長ですとか道州議会に期待する部分が大きくなり、国レベルでの国会の役割は相対的に限定されることになります。
 この観点から、維新の党は国会議員の定数を大幅削減することを提案していますが、この議論を国会の在り方そのものにまで進めれば一院制に行き着くことになるのではないかと考えます。加えて、首相公選制を導入すれば、国民から直接選出される政治部門が首相、参議院、衆議院の三つとなります。このことから生ずる複雑性を考慮すれば、新たな一院制の国会を創設することも十分選択肢に入ってくるはずです。
 他方で、国の統治におけるチェック・アンド・バランスの機能を重視すれば、いきなり一院制まで行くのはどうかというそういった議論もあり得るかと思います。その場合、チェック機能を有効に働かせるためには、両院がそれぞれ異なる観点から異なる役割を果たすことが望ましいと考えます。
 したがって、現在のように、参議院と衆議院の位置付けや権限、議員の選出方法が似通っており、そのため、ねじれによる国政の停滞がしばしば生ずる状況をいかに改めるのかという議論を避けることはできないものと思われます。
 その場合、道州制との整合性を高めるという視点からは、参議院議員の公選制を維持しつつ、議員の選出方法の原則を憲法に明記し、参議院では道州代表的な要素を打ち出していくこともあり得るでしょう。道州の首長と参議院議員の兼職を認めるということも一つ選択肢としてあるかもしれません。
 道州代表的な側面をもっと強調していけば、国民代表としての二院制ではなく、松沢委員からもありましたが、ドイツの連邦参議院のような道州代表としての性質に純化し、全ての参議院議員が道州の首長や大臣から構成されるという形もあるかもしれません。しかし、この場合には、連邦制と道州制の違いなど、国の成り立ちに関わる根本的な議論を踏まえる必要があると思います。
 また、特に首相公選制との関係でいえば、参議院の役割について、首相に対するチェック機関としての性質を強調していくことが考えられます。この点で維新の党は、米国会計検査院型の強力な会計検査機関を国会に設置することを提案しています。これと参議院の決算審査とのリンクを強化していくこともあり得ると考えております。
 ただ、政治部門に対するチェックという文脈では、維新の党は、政治、行政に恣意的憲法解釈をさせないために憲法裁判所を設置することも提言しているところです。道州制により国の役割が限定されていく中で、政治部門の外からの憲法裁判所による法的なチェックと国会内部でのチェックを重ねていくことによる煩雑さ、国政の停滞という弊害も考えなければいけないと思います。
 以上、憲法と参議院に関して、我々維新の党の基本政策を基に意見を述べてまいりましたが、これらの項目はいずれも憲法改正抜きには実現することは困難です。大幅な統治機構の改革を実現するためには、何より主権者である国民に憲法改正の案を提示し、その手で意思決定してもらうことが必要です。国民的な憲法論議を喚起するためにも憲法九十六条の憲法改正発議要件の改正が急務であることを申し上げ、意見表明といたしたいと思います。
 ありがとうございました。
#15
○会長(柳本卓治君) 仁比聡平君。
#16
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 憲法四十一条は国会が国権の最高機関であることを定めています。議院内閣制は立法府と行政府の抑制と均衡、協働を求める、その意味で高度のバランスを求める統治機構ですが、仮に立法府が一院制であるなら、第一院を構成する多数党がそのまま内閣を組織し、対する第二院のチェック機能もなくなって、肥大化する行政権力、官僚制の弊害はますますひどくなります。
 憲法が二院制を定めた理由について、憲法制定期の松本烝治説明書は、当初総司令部案にあった一院制ではなく、あえて二院制を採用すべきとした日本案の理由をこう述べています。世界各国の例に倣うとか、貴族院の伝統を墨守するといった横並び、後ろ向きのものからではなく、不当なる多数圧制の抑止と行き過ぎたる偏奇、偏りの制止にあるというのです。すなわち、議会政治はややもすれば多数党の専制を生じ、その政策は時には一党の利害に専念する弊害があることは従来幾多の実例が示すところであり、二院制を採用すれば、衆議院多数派の横暴なる提案はある程度参議院においてこれを抑止し得るだけでなく、こうした抑制機関の存在自体が多数党をしてもとよりその横暴を戒める機能を生み出すことになるというのです。これは今日においても示唆に富むものだと考えます。
 こうした二院制を含む統治機構を憲法が定めた根本には、戦争と戦争を遂行した強権国家体制に対する深い痛恨の反省があります。基本的人権の保障、国民主権と地方自治、そして平和主義を生き生きと発展させ、三権分立と議院内閣制を国民主権の下に十全に機能させるには、全国民の代表として、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会が、国政調査権の行使、議員の質問権を十分に保障した国会審議によって強大な行政権力を監視する重大な任務をしっかり果たしていくこと、そして衆参両院がそれぞれ多様な民意を反映する選挙制度によって選ばれた議員で構成されることが重要であり、それが憲法の求めるところです。憲法が参議院を直接選挙、普通選挙によって選出された国民代表である議員によって組織するものとし、法律案再議決要件を特別多数決としているのはその表れであり、揺るがすことはできません。
 参議院の在り方と題する議論は、実際には、参議院のありようではなく、統治機構をめぐる改憲論の中で、総じて国会の権能、機能を弱める、切り縮める方向の議論の中で行われてきました。
 例えば、参議院の独自性が発揮されるときは立法機関の効率性が阻害されるとか、衆議院で単独過半数を取っても参議院でそうではないときに議会対策上の都合で連立を組まなければならなくなるとか、政権交代効果が阻害されるなどの一院制論あるいは参議院無用論、有害論が、とりわけ財界から法案を早く成立させよと唱えられてきました。しかし、これは憲法が本来求める三権分立と議院内閣制の在り方を壊し、まさに不当なる多数圧制による行き過ぎた偏奇をもたらすものです。
 現実に提案される法案が憲法に照らし国民と国の進路にとってどういう意味を持つのか。現に重大な権利侵害や生活破壊、平和主義の侵害が法律によって行われてきた幾多の経験、また行われ得ることを直視するなら、憲法上重要なのは法案成立の効率性ではなく、民主主義の府として徹底した審議を十分に尽くし、国民的な議論の意思形成の要となること、すなわち審議の原理が尽くされることです。
 衆議院において国民的非難と大混乱の中で強行採決が行われ、それを参議院が良識を持って再考する大きな役割を果たした幾つかの経験がありますが、それは二院制の本来の姿を示すものでした。二院制のこうした役割が発揮されるためには、衆議院、参議院それぞれが国権の最高機関として自律性を発揮し、徹底した審議を尽くさねばなりません。参議院の役割分担、機能分担といって、憲法が定める院の権限を切り縮める議論は取るべきではありません。
 まして、昨年の臨時国会でも前の通常国会でも繰り返された衆議院の強行採決、参議院における強行審議入りと、極めて不十分、不公正な審議をも打ち切っての強行採決は参議院の自殺行為であり、もってのほかと言うべきであって、二度と繰り返されてはならないということを強く申し上げ、私の意見といたします。
#17
○会長(柳本卓治君) 江口克彦君。
#18
○江口克彦君 次世代の党の江口克彦です。
 次世代の党は綱領で、我々は、自立、新保守、次世代の理念の下、国民の手による新しい憲法、すなわち自主憲法をつくり上げると宣言いたしております。
 我が党といたしましては、占領下で押し付けられた占領の道具としての憲法から早急にかつ完全に脱却すべく、日本国民自らの手による憲法を制定すべきであるということ。それから、具体的には、緊急事態に関わる条項の追加を真っ先に行うべきであること。次に、自衛権の保持を明記すべきであること。次に、憲法前文を子供でも暗唱できるような美しい日本語で書かれるべきことを前回の審査会で述べたところであります。
 特に、現行の前文については、先日の衆議院予算委員会で我が党の石原慎太郎最高顧問が取り上げましたけれども、間違った助詞の使い方をしており、正しい日本語にするための憲法改正が必要であると考えております。
 現行憲法はGHQが作成した英文が基となっておりまして、その中でも前文は、合衆国憲法、マサチューセッツ州憲法、リンカーンの演説などの継ぎはぎであります。こうした文献は、また参考書はいっぱい出されております。日本国憲法の前文は、継ぎはぎで作られた英文案を間違った日本語に訳したものであります。このような前文をそのままにしてはおけないと強く申し上げるところであります。
 次世代の党といたしましては、環境整備を進めつつ、再来年の参議院選挙と同時に憲法改正のための国民投票を実施すべく、国会に提出する憲法改正原案の作成に取り組んでまいりたいとも前回の審査会で述べたところでございます。
 私は、政治家になる前の二〇〇四年に、既に議論する時期はもうとうの昔に終わっているのではないか、もう改憲に向けてより具体的な提案をすべきではないかと考えまして、「二十一世紀日本国憲法私案」を発表いたしました。あれからもう十年たっているわけでありますけれども、その間、憲法調査会が報告書を出し、国民投票法が整備され、また憲法審査会が設置されるなど、憲法改正の環境の整備と憲法改正の内容についての議論が一定の進捗を見たのは評価するところではあります。その一方で、いまだに議論のみに終始しているということについて、また一向に憲法改正原案という具体的な形につながってこないということに、党としても私個人としても憤りを感じております。
 国民の生命、自由、権利、財産などを守るために国家があり、憲法があります。このことを否定する国会議員、政党は、たとえ改憲、護憲、保守、革新の違いはあっても存在しないものと思っております。憲法改正案の発議は国会の権限であり、その国会は国民の代表として真っ先に国民の生命、自由、権利、財産を守ることに対して動かなければなりません。
 さきの東日本大震災を見ましても、大規模災害の発生は国民の生命、自由、権利、財産に重大な影響を与えることは明白であります。それにもかかわらず、緊急事態に関する条項が現行憲法にないことは欠陥でありますし、またそのことが証明されたと思います。
 そこで、参議院憲法審査会において緊急事態をテーマに取り上げ、再来年の参議院通常選挙の際に、緊急事態条項を追加する憲法改正案についての国民投票を実施できる日程で憲法改正原案を取りまとめるべきだというふうに考えております。それこそが、「東日本大震災と憲法」をテーマに本格的活動を始めた参議院憲法審査会が取り組むにふさわしい内容であり、また参議院憲法審査会の使命でもあると思います。
 具体的な取組といたしまして、一つは、憲法上の緊急事態条項とは何かについて、学者だけでなく実務に携わっている方も含めて意見聴取を行う。各国の緊急事態条項の現状について現地調査を行う。三つ目は、東日本大震災を念頭に、現行の制度の不備と、それから法律上の不備だけでなく緊急事態条項が憲法に存在しないことによって生ずる問題点について、学者だけでなく実務に携わる方も含めて意見を聞くなども効果的に行っていくべきであるというふうに提案いたします。
 提案したような取組を踏まえて、各党が緊急事態に関する新たな規定を示して、具体的な憲法改正原案をまとめていくべきだと考えます。その際、もし憲法上に緊急事態条項を設けることに反対の会派があれば、憲法改正原案を憲法改正案として国民投票に付することに反対する旨を主張され、後はもう民主主義のルールによる意思決定に委ねていただければよいのではないかと思います。
 我が国を取り巻く環境は厳しく、また激変いたしております。そうした中で、参議院憲法審査会として具体的なスケジュールを持って、国民の生命、自由、権利、財産などを守る具体的な行動を起こすべきであろうかと思います。十年前の主張を今こそあえて繰り返します。議論をする時期はとうの昔に終わっているのではないかと、もう改憲に向けてより具体的な提案をすべきではないかということを申し上げて、意見表明とさせていただきます。
#19
○会長(柳本卓治君) 福島みずほさん。
#20
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。社民党を代表して発言をいたします。
 憲法審査会において今最も議論し共有しなければならないことは立憲主義であり、立憲主義の危機の問題です。立憲主義とは、およそ権力保持者の恣意によってではなく、法に従って権力が行使されるべきであるという原則です。また、立憲主義とは、個人の自由、権利を守るために憲法で権力者を拘束するという考え方です。
 私たち国会議員や国務大臣は、憲法九十九条によって憲法尊重擁護義務を持っています。安倍内閣は、七月一日、集団的自衛権の行使を認める閣議決定をしました。戦後、自民党政権も、集団的自衛権の行使は違憲であり、集団的自衛権の行使を認めるためには明文改憲をしなければならず、解釈改憲で認めることは憲法の規範性を侵害すると国会で答弁をしてきました。そのことに真っ向から反しています。
 また、十月八日に公表された日米ガイドラインの中間報告は、これまでの周辺事態という概念も後方地域という概念もなくし、切れ目のない日米同盟の強化を宣言をしています。閣議決定をした後に国会審議を一切やらずに、周辺事態法を始め様々な法律や日米安保条約にすら反する日米ガイドラインの中間報告を発表したことは、国会をなきものにしようとしたものです。まさに立憲主義を踏みにじり、憲法を踏みにじるものです。
 憲法審査会は、憲法を前提に議論を深めるものです。憲法の規範性は極めて重要です。憲法は最高法規であり、憲法の規範性が機能しない中での憲法審査会の議論はあり得ないものです。したがって、憲法審査会の議論を、国会の審議を、憲法規範を遵守し、立憲主義の立場からやり直す必要があると考えます。その意味では、違憲の閣議決定は憲法九十八条により無効であり、違憲の日米ガイドラインの中間報告も無効だということを確認すべきではないでしょうか。
 更に言えば、政府は来年の五月に自衛隊法の改悪法案、周辺事態法改悪法案、PKO法改悪法案、船舶検査法改悪法案等の十幾つもの法案を出すと言われています。アメリカ戦争支援法という一般法、通則法も出てくるかもしれません。それは国会の事前あるいは事後承認すらなくして、新たな立法なくして自衛隊を海外に出すことを可能にするかもしれません。
 それらの立法は、集団的自衛権の行使を認め、かつ後方支援という名の下に、大森政輔内閣法制局長官の四原則を踏みにじり、戦場のすぐそばでアメリカに対して弾薬などの武器を提供し、一体となって戦争することになる可能性があります。これらは日本国憲法に反する違憲の立法です。よって、憲法九十八条により無効です。
 憲法審査会は、憲法の規範性を十分に理解し、憲法に照らしてどうかということについて論議を深めていくところです。しかし、安倍内閣は憲法解釈を超えた決定をしています。
 立憲主義の危機ということを言いました。立憲主義は、政党にかかわらず、また立場を超えて共有できる価値観だと考えます。この参議院の憲法審査会の大きな役割は、踏みにじられた立憲主義を回復することにまず主眼が置かれるべきです。憲法を踏みにじった行き着く先はナチス・ドイツの暴虐でしかありません。
 参議院の役割について申し上げます。
 社民党は二院制の廃止には明確に反対です。そのための明文改憲にも反対です。現憲法の下での二院制は堅持すべきです。国会の重要な役割、今の政治の大きな役割は行政権の肥大化をどうチェックするかということです。三権分立の中で内閣に対するチェックをどうしていくのか、立憲主義の強化が極めて大事です。国会の権能の強化が必要です。一院制よりも二院制、つまり、参議院が内閣と衆議院の両方をチェックしていく、参議院が肥大化する行政権に対してしっかり国会の立場からチェックをしていく、そのことは極めて大事です。
 このように社民党は、参議院は議院内閣制の弱点を補完して衆議院及び内閣に対してチェック・アンド・バランスを発揮するところだと考えています。さらに、異なる制度、異なる時期による選挙によって国民の多元的な意思をより良く国会に反映することから、議会の任務である行政の抑止の点で、日本の参議院は、連邦国家における二院制や貴族院型の二院制と異なり、民主主義を、立憲主義を強化する二院制の先駆的制度であり、良識の府にふさわしい参議院の機能の強化こそ必要であるとの立場です。
 よって、二院制の廃止には反対であり、明文改憲にも反対です。
 以上で意見表明を終わります。
#21
○会長(柳本卓治君) 浜田和幸君。
#22
○浜田和幸君 新党改革・無所属の会を代表して、憲法並びに参議院に対する考え方、意見表明したいと思います。
 憲法もやはり生きている生命体ではないかと思います。その時々の環境の変化にどれだけ対応して生命力を維持し、長くその生命を維持できるかどうかということが極めて問われていると思うんですね。病気になったり、けがをしたり、その時々にどういうような措置をしていくのか。いろいろと本日の議論を聞いていますと、元々この憲法が生まれたときから大変な難産であった、あるいは意図的な病原菌を植え付けられていたのではないかと、そういう観点の下で、当然日本人の手による日本人のふさわしい憲法をつくるべきだ。基本的には私どももその考えに同調しております。
 アメリカのGHQによってある意味では準備された今の日本国憲法、この憲法というのは、ある意味ではアメリカが世界に対して自由、民主主義あるいは資本主義といったものを広げるための大きなツールであった、そういう側面もあると思うんですね。また、戦争ということを経験して、再び日本が軍国主義的な道に歩まないようにするための歯止めを掛ける、様々な要素があったと思います。あれからもう既に七十年近く時間がたっているわけですから、日本人自らが新しい時代にふさわしい憲法につくり替えていくということは当然の責任ではないかと思っております。
 一つには、地球環境を含む大きな変化、そういう状況に対して、原発の問題を含めエネルギー対策をどう講じていくのか。そういう日本が誇るべき自然とともに生きるといった価値観、あるいは自然の力を十分に活用した自然再生エネルギーを世界に提供していく。そういう科学、研究といったものを支援していくような体制を憲法の中でもしっかりと世界に打ち出していく、そういう必要性があると思います。
 また、経済もこれだけグローバル化しているわけですから、日本が一国だけで生存できる状況ではありません。そういう中で、どうやって世界のビジネスモデルを日本から発信していくのか、そういうことを考えたときに、日本がまだまだ遅れていると思われる分野、その象徴が今の憲法にも表れているんじゃないかと思います。
 どういうことかと申しますと、国が存在するためには国民も、そして領土も、そしてそこでどういう国体、これを掲げるのか、この三つの要素が必要だと思うんですけれども、今世界では、その領土ですとか国民ですとか、そういったものの在り方がネットの時代において大きく問われているわけですね。必ずしも国土というものにとらわれない様々な組織が世界で力を鼓舞するというか、発揮するような時代になってきています。
 そういう時代を受けて、本家本元のこの日本国憲法を提案したアメリカの国内においても、憲法というものを捉える発想が変わってきていると思うんですね。最近、特にグーグル等が、世界の憲法に対して国際的な市民のための憲法をつくるんだという形で、日本国憲法を含めて様々な国が持っている憲法の問題点、これを明らかにし、それを国際的な討議の場で世界に共通する、世界に言ってみれば共有してもらえるような価値観をどうつくっていくのか、そういう憲法づくりというのを提案していますね。そういうものを世界の人たちが見て、仮想空間かも分からないけれども理想の世界をつくっていくんだというような、日本という島国の中とは全く違う発想で、国際的な憲法づくりという動きも一方で進んでいるわけであります。
 そういうところを鑑みますと、通貨にしても領土、あるいはどこに国民としての国籍を置くのか、そういうことを含めて根底から価値観が問われるというような状況、今はそういう時代に我々は生きていると思うんですね。そういったことを考えますと、この憲法の在り方というものも、従来の延長線上ではなくて、全く新しい発想で取り組む。その意味では、先ほど議論になった参議院において党議拘束を外すですとか、緊急事態に対する柔軟な法案というか条項を織り込むべきだというのは、私ども大変賛成したいと思っております。自由な発想で、行動の自由が保障される、そういう中で、本当に新しい時代にふさわしい憲法、そして、その中で参議院の果たすべき自由な役割というものがあるのではないかと思っております。
 今話題になっていますTPPにしても、これはやはりアメリカの法律、制度を世界、アジアに広めようという、そういう試みの一環として受け止めることもできると思います。そういったアメリカの法律というものに対する認識を言ってみれば十分理解した上で、本当にTPPで今議論されているアメリカ式の法律の制度が日本あるいはアジア太平洋地域にとってふさわしいものかどうか、そういう現代的な課題も含めてこの憲法審査会で議論していくことが必要ではないかと思っています。
 以上で意見表明を終わります。ありがとうございました。
#23
○会長(柳本卓治君) 以上で各会派の意見表明は終了いたしました。
 次に、各委員の発言希望に基づいて、会長の指名により意見交換を行います。
 発言を希望される方は、お手元に配付した資料のとおり、机上の氏名標を立てていただき、会長の指名を受けた後、御発言を願います。
 多くの委員が発言の機会を得られますよう、一回の発言時間は各三分以内といたします。発言時間の経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らします。あらかじめ御承知願います。発言が終わった方は、氏名標を横にお戻しください。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、発言を希望される方は氏名標を立ててください。
 高野光二郎君。
#24
○高野光二郎君 発言の機会、ありがとうございます。自由民主党の高野光二郎でございます。よろしくお願いします。
 まず、参議院の意義を私なりにお訴えをさせていただきたいと思います。
 まず、参議院でございますが、基本的には個の代表が衆議院であって、参議院は、全国的な職域代表、都道府県を単位とする地域代表など、広域的、多角的な見地から専門的な審議を行い、多数派の意思を体現する第一院に再考を促す立法府の重層的な機能を持つ、このことが必要だと考えております。
 他方、衆議院を通過をして参議院で審議されるということや、長い時間公開の場で議論にさらされることになり、政府・与党には丁寧な対応と国民に対する説明責任を果たすことにつながり、議論を深化させ、不十分なところを担い、国会審議を十分なものにし、二つの議院の審議によって多様な民意を反映することができると考えております。その際に、参議院においてはできるだけ政党色によって言動を縛られたり影響を受けるべきではないと私は考えております。
 それで、参議院の独自性を担保するには、院を構成する議員がどのような方法で選出されるのかが大きな影響を与えると思います。今年中にも最高裁の判決、これは平成二十五年の参議院議員選挙に対しての判決でございますが、これが出ると言われておりますが、衆議院議員は小選挙区制を中心とした個々の民の代表であり、等価性、つまり一票の格差に関しては厳格さが要求をされています。しかし、参議院議員は従来から職能代表や地域代表としての要素が期待されていると考えております。しかし、参議院が衆議院との差別化を意識するのであれば、職域代表という全国単位の比例区と地域代表という地方区を前提にした選挙制度を用いて、そのことで参議院の独自性を発揮し、地域の実情を知ることが、国政の場で機能することが重要であると考えます。
 今まで諸先輩方がこの参議院議員選挙制度について様々に議論をされてきたことは承知をしておりますが、やはり憲法を改正すべきだというふうに考えております。参議院の在り方をやはり憲法改正にしっかりと明記をすべきであります。その際に、地方の意見の国政反映、そして衆議院と参議院の機能分担、これを入れるべきだと考えております。
 以上をもちまして、私の意見表明とさせていただきます。ありがとうございました。
#25
○会長(柳本卓治君) 前川清成君。
#26
○前川清成君 ありがとうございます。
 まず、私たち民主党は、二〇〇五年に憲法提言というのを取りまとめさせていただきました。また、私は二〇一三年の一月以降、大畠、枝野、現在の江田、民主党憲法総合調査会の会長の下で事務局長を続けさせていただいています。その中で、会長、事務局長、限られた議員だけではありますけれども、今の憲法に足らない点はないのか、見直すべき点はないのかという議論を進めさせていただいています。
 したがいまして、その意味で、私たちも現行憲法が決して不磨の大典だというふうには考えておりませんが、憲法九十六条を改正することには私個人としては大反対でありますし、党としても慎重であるべきだという考えであります。それはなぜならば、多数決を強調することは自由の保護法たる近代憲法の本質には合わない、憲法の改正であれば、より広範な合意の形成を意図するべきだというふうな視点からであります。
 また、現行憲法四十二条は二院制を定めておりますけれども、憲法提言の中で、私たちも、二院制を維持する、そして役割を明確にして議会の活性化につなげるというふうなことを定めさせていただいています。
 また、参議院プロパーの話ではありませんけれども、憲法の前文は、日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動するというふうに書かれています。この点で、私たちも、代議制民主主義を基本としながら、憲法提言の中で、議会政治を補完するものとして国民投票制度の拡充を検討するというふうに書かせていただきましたし、二〇〇七年の国民投票法の制定に当たっては、そのこともいわゆる三つの宿題の一つとして取りまとめをさせていただきました。
 あと時間が一分になりましたので、両院協議会のことだけ申し上げさせていただきたいと思います。
 二〇〇七年の参議院選挙の結果、自民党が政権を持って、しかし、自民党、公明党が参議院で過半数を失うということを御経験されました。私たちも二〇一〇年の選挙の結果、政権は私たちが持ちながら、しかし参議院での過半数を失うという結果がありました。その結果、いわゆる決められない政治というのが続きました。
 憲法五十九条の三項に基づいて、衆参の議決が異なった場合には両院協議会を開催することができますが、御案内のとおり、衆議院で可決され参議院で否決された法案については、衆議院で賛成した会派の代表十名と参議院で反対した会派の代表十名が集まって、議長をくじで選んだ上で協議会が開催されます。この構成上、互いに譲り合って合意を形成するという仕組みになっていません。
 そもそも二院制、いや参議院というのは抵抗勢力でいいんだという考え方も一つかと思いますけれども、様々な利害を調整して合意をつくり上げることが政治の役割であるとするのであれば、この両院協議会のありよう、今、今日現在、自民党、公明党は衆議院で三百議席、つまりは再可決に必要な三分の二以上の議席を持っておられます。今、今日直ちに利害関係のない問題だからこそ、将来にわたって、将来のためにこの両院協議会のありようを議論すべきだということを御提案申し上げて、私の意見表明といたします。
#27
○会長(柳本卓治君) 中西祐介君。
#28
○中西祐介君 自民党の中西祐介でございます。
 本日は、憲法と参議院というテーマでございまして、私の所見を述べさせていただきたいと思います。
 冒頭、愛知幹事より二院制の意義について言及がございました。まさに私の所見といたしましては、この参議院の位置付け、この機能を明確化するということが極めて必要なんじゃなかろうかというふうな思いを持っております。
   〔会長退席、会長代理金子洋一君着席〕
 まさに平成二十五年の参議院選挙の最高裁判決が間もなく予定をされている中で、結論的に申し上げると、この昭和三十九年から続く一票の格差訴訟に対して、早く終止符を打たなければいけないなと、こんな思いを持つところであります。
 平成二十五年選挙以前までですが、十三回の一票の格差訴訟、この参議院選挙に対して行われました。毎度のように行われる中で合憲が十一回、違憲状態が二回ということでございまして、この二回の内訳は六・五九倍、そして五・〇〇倍という状態が違憲状態だというふうにされておるところであります。繰り返し五倍を超えても許容してきたということは事実でもございますし、憲法の平等原則を前提にしながら、衆議院とは違う角度で、反映されていない民意を反映させるべきだというふうに思うわけであります。そのためには選出の意義を明確にするということが何よりも重要であります。
 参考までに衆議院の格差訴訟を申し上げると、昭和五十一年以来十一回行われておりまして、合憲判決が五回、違憲あるいは違憲状態が六回ということであります。最も重要なのは、最初の訴訟、格差が四・九九倍から、現在二倍前後まで抑えられているということであります。参議院の方と比べると、衆議院の方は常に格差を縮めながら、そしてその意図も国民の皆さんに一定の理解を示されているというところであります。参議院の方は都道府県単位、そして全国比例区が現在もう定着をしておりまして、まさに衆議院と参議院の意義がこうした経緯も含めて明確だというふうに思っております。
 まず、憲法上におきましては、この選挙制度の構築を国会の立法事務に委ねていると言われております。憲法四十七条の章で述べられておるところでありますが、憲法四十三条でも、全国民を代表する選挙された議員で構成するというふうに定義をされております。この全国民を代表するという意味と、公正かつ効果的に議員を選出するという大きなテーマに基づけば、実は、投票価値の平等を選挙制度の仕組みの決定における唯一の絶対的基準ではなくて、国会が正当に考慮することのできる政策目的をもしんしゃくした上で、その具体的に定めたところが立法裁量権の行使として合理的に是認し得るなら、投票価値の平等が損なわれてもある種やむを得ないというふうにも解されるところであります。
 そのためには、憲法の中で、そしてこの法の中で明確に参議院の意義そして選出の方法を、目的を明らかにすべきだというふうに考えておりまして、その方向から、憲法改正ということも我々は正面から捉えなければいけないというふうなことを申し上げて、所見とさせていただきます。
 以上です。
#29
○会長代理(金子洋一君) お待たせいたしました。小野次郎君。
#30
○小野次郎君 維新の党の小野次郎です。
 私は、日本国憲法の基本的な価値観というのは維持しつつも、特に統治機構を中心に憲法改正に取り組むべきだと考えています。その意味で、私は一院制というのが有効なのではないかと思っていますが、今日はその一院制の問題はちょっと横に置きまして、参議院の役割というものを私なりに、四年半参議院議員をやって感じるところを申し上げたいと思います。
 一つは、同僚議員からも既に指摘が出ましたけれども、学生時代から憲法を習うときにいつも出てくる言葉でありながら、実際、国会議員になってみたら全く機能していないというのが両院協議会というやつだと思うんですね。必ずいろんな試験にも出るんですけれども、来てみたら何もこれ動かないじゃないかということを感じています。
 実際、我々は各常任委員会とか特別委員会でも理事会、理事懇と開くわけですが、そういった形で各派の代表が集まるような両院協議会の構成にすれば、何らかの案というものが出せるようなところまで煮詰めて機能するというような両院協議会の制度にしていくべきじゃないかなと。そうでないと、今のままでは憲法上の両院協議会というのは名前があるだけで何の役にも立たないと思いますので、是非、同僚議員も提案されていましたけれども、委員の構成ということですけれども、私は、一番普通に考えられるのは、今でもあるような各派の代表が出てくる理事会のメンバーみたいな形で構成させてはどうかなというふうに思っています。
 それから二つ目には、参議院先議というのも、これは逆に憲法には余り出てこない言葉ですけれども、実際存在するわけですが、現在はどちらかといえば余りもめないような案件を参議院先議にするというような慣習になっているようですけれども、私は、いろんな法案なり条約の中で参議院から回した方がいいというものについては何らかのルールを作って、参議院先議をもっと有効に使った方がいいんじゃないかと思います。
 三つ目には議員立法です。
 これは、審議時間をしっかり確保して、それが半年掛かるか一年掛かっても法律にしていこうということが可能なのはむしろ参議院だと思いますので、私は、参議院の議員立法について、ハードルを下げるとかあるいは審議時間をしっかり確保するとか、そういった、立法事項になってしまうかもしれません、憲法事項ではないかもしれませんが、是非そういった改革を進めていきたいというように思っています。
 以上です。ありがとうございました。
#31
○会長代理(金子洋一君) 大沼みずほ君。
#32
○大沼みずほ君 自由民主党の大沼みずほでございます。
 憲法と参議院の在り方ということで、憲法が二院制を設けているのは慎重審議と多様な国民の声を反映させるためでありますけれども、にもかかわらず、我が国の女性国会議員の数は、衆議院四百八十人中三十九人と八%、また参議院においても二百四十二人中三十九人と一六%、両院合わせても一〇%と、OECDでも最低の数値となっております。国民の半数を占める女性の声が反映されていないものと思わざるを得ません。
 参議院の独自性を発揮させるためには、いっそ参議院は全て女性で構成するとしてもいいのではないかと思いますが、まあそれは非現実的でありますから、ただ、衆議院の倍、女性議員の割合の多い参議院において、任期が六年、また解散に左右されないなど、地方区、全国比例区に分かれており女性候補者を立てやすいことなどからも、参議院において女性議員の増加に向けてどのような取組ができるか、また憲法との関係はどうあるべきかも含め議論していく必要があるのではないかと思っております。
 女性議員を増やす取組としては、政党によるクオータ制、また国によっては憲法や公職選挙法、さらに政党法、政治資金法などで様々な取組がなされておりますが、この政党によるクオータ制は憲法との問題で違憲判決が出る国も出ております。
 そんな中、フランスにおいては、一九九九年に憲法改正を行いまして、選挙によって選出される議員及び公職への男女の平等なアクセスを促進する、政党及び政治団体は法律の定める条件に従ってこの原則の実施に貢献するという二文が付け加えられ、翌二〇〇〇年にパリテ法、選挙によって議員及び公職への男女平等なアクセスを促進する法律というものが制定されたことで女性議員の割合が増えております。
 二〇二〇年までに指導的役割に就く女性を三割にするという政府目標を達成するためには、参議院においてもこの目標を達成していく必要があり、二〇二〇年までにあと二回しか選挙はございません。参議院で女性議員の割合を三〇%まで達することができるための議論、また、憲法におけるこの四十四条、両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律で定める、ただし、人種、信条、性別、社会的身分等によって差別してはならないというこの平等原則との関係性においても、しっかりと議論していく必要があるのではないかと思います。
   〔会長代理金子洋一君退席、会長着席〕
 参議院における独自性という観点からも、女性の声をより反映できる国会の在り方というものも議論させていただければと思います。
 以上でございます。
#33
○会長(柳本卓治君) 山下雄平君。
#34
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
 先ほどから各委員の皆さんから二院制並びに一院制について様々な御議論がありましたけれども、私からも一院制について批判的な立場から意見を表明したいと思います。
 一院制の議論が一番盛んだったのは、衆議院と参議院の多数派が異なるねじれ現象だったときのように思います。それは迅速な決定ができないと、決められない政治ということで、迅速に決められるようにという文脈で一院制が主張されることが多かったように感じております。
 ただ、早く決めていいということは、国会議員が独断で物事を決めていいということではなく、民意に沿った形で迅速に決断をしなさいという主張だったんだろうと思います。そうであるならば、今現在の民意と一致した形での迅速な意思決定、つまり代議制民主主義の下であっても直接民主制的な仕組みが最も望ましいというような帰結になるんだろうと思います。
 瞬間、瞬間の民意に基づいて意思決定する、これに極限まで近づけた政党がハンガリーにありました。
 ハンガリーにインターネット民主党という政党がありました。この政党は、国会の議論をネットで中継して、市民が政党のホームページから賛否投票を行い、その結果を踏まえて国会で投票する、こういうことを公約に掲げておりました。まさに議会制民主主義、代議制民主主義の下での直接民主制です。個々の政策はその都度世論の動向に合わせるだけなので、政策の一貫性は担保されません。しかし、世論とは一〇〇%一致します。中にはそれでもいいんじゃないかという人がいらっしゃるかもしれませんが、このハンガリーのインターネット民主党というのは、二〇〇四年に設立されましたけれども、二〇〇六年と二〇一〇年の二度の総選挙で議席が得られずに二〇一〇年八月に解散しました。民意に一〇〇%沿うということを求めた直接民主制的な試みに対し、国民自身がノーを突き付けたわけです。
 これに対して代議制民主主義というのは、職業政治家が一定期間、継続的、安定的に議論し、整合性を持った結論を得ることが期待された制度です。ただ、代議制であっても民意を酌み取る必要があります。その際に、複雑で多様な民意を上手に集約し国政に反映させていかなければならないという趣旨から、日本では、効率的ではないかもしれませんが二院制を設け、衆議院、参議院共に国民の直接選挙で選ぶという現行憲法の仕組みができたのだと考えます。これは現実にかなった制度と言えるのではないでしょうか。
 この制度の中で重要なのは、多様な民意を国会議員の選挙を通じてどういう形で集約させていくかという点です。現行の憲法の規定では、一票の格差訴訟で衆議院でも参議院でも一票の価値を同じにすべきだという判決が出ています。結果、司法を通じて両院が同じような選挙制度に誘導されていっているのではないでしょうか。同じような選挙制度、つまり民意を同じ仕組みで集約するのでは二院制の意味がありません。
 私は、多様な民意を上手に集約できるように、衆議院、参議院の選挙の在り方をそれぞれ憲法自体に書き込むべきではないかと思っております。
 以上です。
#35
○会長(柳本卓治君) 小西洋之君。
#36
○小西洋之君 二度目の発言をありがとうございます。
 私は、先ほど党の見解表明の中で申し上げました、参議院の良識の府としてのこの憲法問題への当たり方、すなわち国民への憲法保障とあと内閣監督機能、それについてもう一つの実践例について御紹介をさせていただきたいと思います。
 それは、一九五四年、我らが参議院の本会議で全会一致で議決されました本会議決議でございます。「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」と申し上げまして、決議文でございますけれども、「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、ここに更めて確認する。」というものでございます。
 すなわち、この本会議決議は、自衛隊の海外出動、自衛隊の海外派兵、つまりは集団的自衛権の行使を憲法九条のその運用解釈において絶対に許さないという、この国会としての憲法九条解釈を確定させた本会議決議でございます。
 当時の趣旨説明、鶴見祐輔議員の趣旨説明の一部を御紹介させていただきますけれども、何ものが自衛戦争であり、何ものが侵略戦争であったということは、結局水掛け論であって、歴史上判明いたしません。ゆえに我が国のごとき憲法を有する国におきましては、これを厳格に具体的に一定しておく必要が痛切であると思うのであります。自衛とは、我が国が不当に侵略された場合に行う正当防衛行為であって、それは我が国土を守るという具体的な場合に限るべきものであります。中略させていただきまして、外国においては、今日の日本の戦闘力を利用せんとする向きも絶無であるとは申せないと思うのであります。さような場合に、憲法の明文が拡張解釈されることは、繰り返します、憲法の明文が拡張解釈されることは、誠に危険なことであります。ゆえにその危険を一掃する上からいっても、海外に出動せずということを国民の総意として表明しておくことは、日本国民を守り、日本の民主主義を守るゆえんであると思うのであります。
 この本会議決議は、今申し上げましたように、内閣による憲法の解釈の変更、九条の解釈の変更によって集団的自衛権の行使を絶対に封じる、そのことを国民の総意、つまり我らが参議院の本会議で確定したものでございます。
 実は、この本会議決議、私が調べただけで三十回以上、自衛隊法の改正の審議に当たりまして、この参議院の中で必ずと言っていいようにその趣旨が確認されております。平成十七年には、当時の安倍官房長官、つまり安倍晋三現首相が自ら、これは自衛隊の海外派兵を禁止したものであると、そのように答弁をしているところでございます。
 そして、そうした国会での積み上げを前提といたしまして、さきの通常国会で、予算委員会で、また本会議決議で、私もやらせていただきましたけれども、参議院議員がこの本会議決議を前にして、内閣の一存だけで九条の解釈の変更をする、そんなことが許されると思っているのでしょうか。それは、議院内閣制を否定し、良識の府の参議院を否定し、ひいては国民主権を否定する究極の暴挙であると、そうしたことを追及をさせていただきました。にもかかわらず、安倍内閣は七月一日に解釈の変更をいたしたのであります。
 まとめさせていただきますが、本憲法審査会は、国会法上の任務に当たりまして、日本国憲法そのものを審議する役割がございます。今申し上げました議院内閣制が果たして守られているのかどうか、あるいは七月一日の閣議決定が憲法九条に違反していないのかどうか、そのことをしっかりとこの憲法審査会で審議することが法の支配の下の国会運営の在り方であるということを申し上げさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#37
○会長(柳本卓治君) 福島みずほさん。
#38
○福島みずほ君 二度目の発言させていただいてありがとうございます。
 私が申し上げた立憲主義の回復をすべきだということについては、今発言がありました小西理事の国会の様々な決議に照らして、議院内閣制の下における国会の復権をこそすべきだということと、表現は違いますが同じことだと思っております。憲法審査会において是非憲法の規範の回復が行われるように、心からお願いを申し上げます。
 そして、同じみずほですが、大沼みずほ委員の方から、女性の政治参画とクオータ制についての話がありました。それはそのとおりで、参議院の中における選挙制度協議会の中で、是非女性の登用や女性の政治参画についてやりたいと思っても、なかなか選挙制度の議論の中に入っていきません。しかし、二〇二〇・三〇、二〇二〇年までに三割というのは、全ての意思決定の場の努力目標です。であるとすれば、この参議院においても是非二〇二〇・三〇が実現できるように、その点についても、この憲法審査会以外のところでなかなか議論ができないものですから、議員連盟をつくろうという動きもありますが、是非、女性のその二〇二〇・三〇を参議院でどう実現するかということについて審議を深めることができれば大変有り難いというふうに思っております。
#39
○会長(柳本卓治君) 愛知治郎君。
#40
○愛知治郎君 自民党の愛知治郎でございます。
 先ほど、参議院の在り方、二院制の在り方について党を代表して発言をさせていただきましたが、今度は、この参議院の憲法審査会の進め方について私個人の提言等をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、テーマなんですけれども、この憲法審査会において深掘りをする大きなテーマとして主に三つ挙げられると思うんですけれども、一つは新しい人権について、もう一つは国家緊急権について、最後は二院制についての議論、これらは深掘りをするに十分値する大きなテーマだと思います。特に私は、やはりこの参議院憲法審査会では二院制、参議院の意義についてしっかりと徹底的に議論をすべきだと考えています。
 衆議院の憲法審査会においては新しい人権をしっかり議論するという話を聞いておりますし、国家緊急権もテーマに挙がっていると聞いております。ただ、二院制については衆議院で議論をすることはまずないと思います。やはり我々参議院自身がこの二院制について議論をする役割を担っている、ここを明確にしていきたいと思います。
 議論は多岐にわたります。参議院と衆議院の関係はもちろん、参議院と行政権との関係、参議院と、これは選挙制度の話もありますけれども、司法との関係等々多岐にわたりますから、これらは徹底的に議論しなければいけないと思います。
 私は参議院議員になって、年は若いんですが、もう十三年たちます。その間、安定的な与党、そしてねじれ状況の与党、野党、様々経験してきましたけれども、安定的な与党のときには衆議院のカーボンコピーだと、ねじれのときには議論を停滞させ政治を停滞させる邪魔な存在だと言われ、常に不要論と闘ってきました。この際、参議院の不要論を徹底的に議論をした上でもう根絶したいと、我々の役割を明確にしたいというのが私の思いであります。
 現行憲法上、先輩方とともに様々な取組をしてきました。これからもやるべきだと思います。例えば議員立法であるとか、先議であるとか、決算審査の充実であるとか、様々な取組はしていくべきだと思いますが、一つ矛盾点もいろいろ感じておりまして、例えば決算です。
 私は今年の前通常国会で政府の側でこの決算審査は参加をさせていただきましたが、私が参加したのは政府の立場でありましたけれども、前政権下における決算の審査、つまり民主党政権下における決算の審査をやっていて、非常に毎日矛盾と闘いながらやっていた、こういうこともしっかりと考えた上で、現実的な対応をしていかなくてはいけないと思います。
 そこで、これはちょっと大胆な提案なんですが、私は憲法調査会時代、十数年前にもこの話をしていたんですけれども、憲法を大胆に変えるということもある。是非考えていただきたいんですが、憲法第四十三条は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」という条文がございます。これにただし書を付けると。ただし、参議院は政党に属さない議員でこれを構成すると、この一言を仮に入れたとしたら、参議院の役割というのは画期的に全く違うものになる。衆議院は政権選択選挙、より政府と一体となった、内閣と一体となった存在。まさにそういったもののチェックをする国会としての機能は参議院が担っているということになると思います。
 まあ、いろいろ想定されることはあると思うんですけれども、そういった大胆な提言も含めた議論を、与党、野党を問わずに党派を超えてこの参議院憲法審査会でしっかりとした議論をできればと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。
#41
○会長(柳本卓治君) 牧山ひろえさん。
#42
○牧山ひろえ君 多数党が民意を外れた暴走や横暴なやり方に走った場合のチェック機能として、参議院の有効性は引き続き存在すると思います。
 衆参の役割分担を明確化することで停滞を解消することがいいと考えます。例えば、予算などの年単位で決める案件は衆議院に権限を重くする、あるいは、人事など長期的に扱う案件は参議院に権限を重くするという形が良いと考えます。
 また、参議院におきましては、党議による拘束の範囲をできる限り縮小する方向で議事運営を行うことも併せて対策とすることが大事だと思います。
 私も昨年の夏、二期目を迎えましたけれども、一期目で経験したことですけれども、実際に臓器移植法のテーマでは、民主党は党議拘束は行いませんでした。あの当時のことを思い起こしますと、あらゆる病院を訪ね、あらゆる本を読み、そしてあらゆる専門家に会いに行き、また、できる限りいろんな情報を、アンケートや地元の方々に限らず、ファクスやEメール、いろんな、もうあらゆる情報を集め、そしてじっくりと考えて、本当に夜も眠れないときもありましたけれども、そのぐらいに考えた末の私の決断でした。
 参議院におきましては、このような運用をより積極的に行っていくことが重要だと考えます。
#43
○会長(柳本卓治君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もないようですから、委員間の意見交換は終了いたします。
 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト