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2014/10/28 第187回国会 参議院 参議院会議録情報 第187回国会 財政金融委員会 第3号
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2014/10/28 第187回国会 参議院

参議院会議録情報 第187回国会 財政金融委員会 第3号

#1
第187回国会 財政金融委員会 第3号
平成二十六年十月二十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月二十日
    辞任         補欠選任
     石田 昌宏君    三原じゅん子君
     長峯  誠君     木村 義雄君
     尾立 源幸君     蓮   舫君
 十月二十一日
    辞任         補欠選任
     木村 義雄君     長峯  誠君
     鶴保 庸介君     宮沢 洋一君
    三原じゅん子君     石田 昌宏君
     蓮   舫君     尾立 源幸君
 十月二十七日
    辞任         補欠選任
     平野 達男君     荒井 広幸君
 十月二十八日
    辞任         補欠選任
     大塚 耕平君     浜野 喜史君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         古川 俊治君
    理 事
                愛知 治郎君
                若林 健太君
                大久保 勉君
                西田 実仁君
                藤巻 健史君
    委 員
                石田 昌宏君
                大家 敏志君
                伊達 忠一君
                塚田 一郎君
                長峯  誠君
                西田 昌司君
                森 まさこ君
                山本 一太君
                礒崎 哲史君
                尾立 源幸君
                大塚 耕平君
                風間 直樹君
                浜野 喜史君
                前川 清成君
                竹谷とし子君
                中西 健治君
                大門実紀史君
                中山 恭子君
                荒井 広幸君
   副大臣
       財務副大臣    御法川信英君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 伸一君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局長       池田 唯一君
       金融庁総務企画
       局総括審議官   三井 秀範君
       財務大臣官房総
       括審議官     迫田 英典君
       財務省理財局長  中原  広君
       財務省国際局長  浅川 雅嗣君
       厚生労働大臣官
       房年金管理審議
       官        樽見 英樹君
       厚生労働大臣官
       房審議官     山崎 伸彦君
       厚生労働省政策
       統括官      今別府敏雄君
   参考人
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
       日本銀行副総裁  岩田規久男君
       日本銀行理事   雨宮 正佳君
       日本銀行理事   櫛田 誠希君
       日本銀行理事   武田 知久君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく
 通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件
 )
    ─────────────
#2
○委員長(古川俊治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、鶴保庸介君及び平野達男君が委員を辞任され、その補欠として宮沢洋一君及び荒井広幸君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(古川俊治君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長池田唯一君外七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(古川俊治君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、同副総裁岩田規久男君、同理事雨宮正佳君、同理事櫛田誠希君及び同理事武田知久君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(古川俊治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(古川俊治君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。
 日本銀行から説明を聴取いたします。黒田日本銀行総裁。
#8
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。
 最初に、我が国の経済金融情勢について御説明申し上げます。
 我が国の景気は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響から生産面を中心に弱めの動きが見られていますが、家計部門、企業部門共に所得から支出への前向きの循環メカニズムはしっかりと維持されており、基調的には緩やかな回復を続けています。
 まず、家計部門ですが、雇用・所得環境は着実に改善しています。すなわち、完全失業率は三・五%とほぼ構造失業率と同じ水準まで低下しているほか、九月短観における全産業全規模ベースの雇用人員判断DIは九二年五月以来の不足超となっており、労働需給の引き締まりは着実に進んでいます。こうした雇用環境の改善を背景に、今春のベースアップの実施などから所定内給与が前年を上回っているほか、夏季賞与もしっかりと増加するなど、一人当たり名目賃金は緩やかに上昇しています。こうした雇用・賃金動向を受けて、雇用者所得は前年比上昇率を緩やかに高めています。家計支出に目を転じると、駆け込み需要の規模が大きかった自動車などの耐久財消費や住宅投資では反動減の影響が長引いているほか、夏場にかけては天候不順も個人消費に悪影響を与えたと見られます。しかし、雇用・所得環境の着実な改善を背景に個人消費は基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響は自動車などの耐久消費財以外の分野では和らいできています。
 次に、企業部門ですが、我が国の輸出は、ASEAN諸国の一部など我が国と関係が深い新興国経済のもたつきもあって弱めの動きとなっています。鉱工業生産は、こうした輸出の動きに加え、駆け込み需要の反動減の影響が長引いている自動車や住宅に関連する業種で在庫調整の動きが見られており、このところ弱めの動きとなっています。一方、設備投資は、企業収益が改善する中で緩やかに増加しています。この点、今月初に公表した九月短観の結果を見ますと、企業の業況感は良好な水準を維持しており、二〇一四年度の事業計画についても、収益見通しが上方修正される下で設備投資をしっかりと増加させていく計画となっています。これは、多くの企業が、消費税率引上げ後の需要の落ち込みは一時的なものと見ていることを示唆していると考えています。
 我が国の景気の先行きについては、家計、企業の両部門において所得から支出へという前向きの循環メカニズムが引き続き働く下で緩やかな回復基調を続け、駆け込み需要の反動などの影響も次第に和らいでいくと考えられます。
 こうした経済活動を支える我が国の金融環境は、緩和した状態にあります。銀行の貸出金利が既往最低の水準まで低下するなど、企業の資金調達コストは低水準で推移しています。企業から見た金融機関の貸出態度は改善傾向が続いており、CP・社債市場では良好な発行環境が続いています。銀行貸出残高は、中小企業向けも含めて緩やかに増加しており、前年比二%台前半で増加しています。
 物価面を見ると、消費税率引上げの直接的な影響を除いたベースで見た消費者物価、除く生鮮食品の前年比は、このところエネルギー価格の動向を反映して幾分プラス幅が縮小していますが、一%台前半で推移しています。量的・質的金融緩和導入以来、物価上昇の基本的な背景となってきたのは、需給ギャップが改善し、予想物価上昇率が上昇していることです。すなわち、需給ギャップは労働面を中心に改善を続けており、最近では過去の長期平均並みのゼロ近傍となっています。また、予想物価上昇率は全体として上昇しており、こうした動きは賃金、物価形成にも影響を及ぼしています。消費者物価の先行きについては、しばらくの間、一%台前半で推移した後、本年度後半から再び上昇傾向をたどり、二〇一四年度から一六年度までの見通し期間の中盤頃に、物価安定の目標である二%程度に達する可能性が高いと見ています。
 こうした経済・物価見通しに対するリスク要因としては、新興国、資源国経済の動向、欧州債務問題の今後の展開、米国経済の回復ペースなどが挙げられます。したがって、金融市場の動向を含め、今後の経済情勢には十分注意していく必要があると考えています。
 次に、日本銀行の金融政策運営について御説明申し上げます。
 日本銀行は、昨年四月、消費者物価の前年比上昇率二%の物価安定の目標を、二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、量的・質的金融緩和を導入し、その後、これを着実に進めてきています。その下で量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しており、日本経済は二%の物価安定の目標の実現に向けた道筋を順調にたどっています。
 もとより、二%への道筋はなお道半ばです。日本銀行としては、今後も二%の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続していきます。また、仮に何らかのリスク要因によってこうした見通しが下振れ、物価安定の目標の実現のために必要になれば、ちゅうちょなく調整を行っていく方針です。
 今回、平成二十四年度下期の通貨及び金融の調節に関する報告書を説明することといたします。日本銀行は、日本銀行法五十四条の定めに従って、半年ごとに通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出し、その説明に努めてまいることになっておりますが、遅滞なく国会提出、国会説明が行われるように日本銀行法の趣旨に沿って引き続き鋭意努力してまいりますので、御審議を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(古川俊治君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○愛知治郎君 おはようございます。自民党の愛知治郎でございます。
 私、この財政金融委員会に長く所属しておるんですが、久々の質問の機会をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、ちょっと後で質問させていただきたかったんですが、財務副大臣にも来ていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
 日銀総裁にお伺いしますが、より専門的な質疑、議論というのは、私の後に、これは与野党問わず、この財政金融委員会、専門家ぞろいですから、その先生方がしっかりと議論をされると思いますので、私はポイントを絞ってお話、お伺いをさせていただきたいと思います。
 まずは、短期国債、これについてお伺いをしたいと思います。
 先週のことなんですが、短期国債、三か月物だと思うんですが、平均落札利回りが初めてこれはマイナスになったという報道を伺いました。基本的には、日銀が国債を大量に買っているということもありまして品薄になっている、そのせいで結果としてマイナスになったとは思うんですが、改めて総裁の、このマイナス金利になった、平均落札利回りがマイナスになった原因とこの見解についてお伺いをしたいと思います。
#11
○参考人(黒田東彦君) ただいま御指摘の点についてお答え申し上げます。
 日本銀行は、量的・質的金融緩和の下でマネタリーベースが年間約六十から七十兆円に相当するペースで増加するよう、長期国債あるいは短期国債など幅広い金融資産を買い入れております。これによってイールドカーブ全体の金利低下を促しているわけでございます。こうした下で、御指摘のように、最近の短期国債市場ではしばしばマイナス金利が見られるようになりましたけれども、これは日本銀行がそれだけ強力な金融緩和を進めているということの現れであるというふうに考えております。
#12
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 このマイナス金利、金融緩和をして市場にお金を潤沢に用意をして経済の活性化を図るという基本的な考え方はいいと思うんですが、マイナス金利、これを政策的に、ヨーロッパなんかはそういう国があると聞いておりますけれども、意図してこのマイナス金利を引き起こすと、こういった考えがあるのかないのか、今後可能性があるのかないのか、今の段階での見解を伺いたいと思います。
#13
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、欧州中央銀行、ECBは、政策として短期の市場金利がマイナスになるように超過準備、中央銀行における預金に対する付利をマイナスにして、現に市場の金利もマイナスになっているわけでございますが、我が国においては日本銀行が格別、短期金利をマイナスに誘導しようということをしているわけではございません。あくまでも、イールドカーブ全体を押し下げて経済にプラスの影響を与えようと。ただ、その下で短期金利がマイナスになることがあっても、これ自体は特に問題ということではなくて、むしろ金利水準全体を押し下げる中での一現象であるというふうに考えております。
#14
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 あくまでも結果として今回のマイナス金利が起きたというお話だと思いますが、ちょっと違う話で、視点を変えまして、円安についてお伺いをしたいと思います。
 今の円安というのは、あくまでも金融緩和、デフレ脱却のための金融緩和をした結果として円安になっているという認識は私は持っておりますし、そのとおりだと思うんですけれども、この円安自体は、この委員会でも藤巻先生がよく円安が大事だというお話をされていますけれども、全く私も同感でありまして、実はデフレの大きな原因の一つに内外価格差というものがあります。つまり、日本の製品、日本の高い人件費ではなくて、安い人件費の下で物を作り、結果として同等の物を安く作れるようになりました。そのせいで、いい意味でも悪い意味でもありますけれども、一つの物の値段がどんどん下がってきた。例えば、テレビを一つ作るにも、全く同じ物を賃金が安いおかげで安く提供できるようになった。これがデフレの原因の一つだと思うんですけれども、この問題を解決する、それは内外価格差がありますからどうしようもない話でありますが、問題を解決する方法がないと思っていたんですけれども、こういった問題を解決するのに一番有効な方法が実は円安だったと思います。
 それをもちろん誘導したわけではないんですが、結果として今円安になっておりますけれども、実はこの円安、最初はいいと言われていたんですが、だんだんだんだんマイナス要因も出てくるんじゃないかということも言われ始めました。私はまだまだ十分円安、もっと円安になってもいいぐらいだと思っているんですが。
 ちなみに、昨今、つい先日ですけれども、主要企業、決算を発表しておりますが、こういった決算等々を見て、現在どのような影響があるのか、その円安、プラス影響、マイナス影響を含めて見解を伺いたいと思います。
#15
○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、円安は、もちろん輸出企業にとっては輸出数量の増加につながる可能性があるほかに、仮に輸出数量が変わらなくても、同じ現地価格で販売した場合には、当然のことながら円建てで見た輸出分の収益は増加をいたします。また、グローバルに展開している企業、特に海外で生産などをしている企業にとっては、海外部門における収益が円建てで見てやはり増加するということで、収益の改善につながります。
 また、それ以外の企業の影響について見ますと、もちろん輸出企業からの波及あるいは外国人観光客の増加による需要増といったプラス面がある一方で、輸入原材料のコストの増加といったマイナス面があることも事実でございます。
 このように、円安の企業収益への影響というのは、個々の企業やあるいは業種によって異なると思いますけれども、これまでの円安が日本経済全体として見た場合にはやはりプラスに働いてきたということは確かであろうというふうに思っております。
#16
○愛知治郎君 ありがとうございました。
 いずれにせよ、為替を操作することはできませんので、結果としての事象をしっかりと見極めながら政策を取っていく必要があると思います。
 今、効果についてお伺いをしたんですけれども、改めて金融緩和全体の効果についてもお伺いをしたいと思います。
 報告の中にもあったんですが、銀行の貸出金利が既往最低の水準まで低下するというお話がありました。私も、副大臣終わってから地元に帰れるようになりまして、頻繁に帰って、若手の経営者等々といろいろ話をしていたんですが、びっくりしました。といいますのは、彼の企業は非常にうまくいっているんですけれども、特に新規事業をするわけでもなし、設備投資の予定もないんだけれども、銀行さんからどうしても借りてくれと、金利〇・九%でいいから是非借りていただきたいと言われたらしいんですね。
 それを聞いて、普通じゃ考えられない、〇・九%ですよ。それで、借りてくれと言われたから借りちゃったというんですね。私は、多分先生方、経験されている方は多いと思うんですが、バブル期ですね……(発言する者あり)ないですか。バブル期によく、私は分からないんですけれども、よくそのはじけた後に言われていたのが、晴れている日に傘を貸して、雨降ったら持っていっちゃうと、そういうふうによく言われていたので、ちょっと危ないんじゃない、気を付けろとは言いましたけれども、実はそういう現象が起こっている。まず、多分報告に載っているから十分御承知だと思うんですけれども、そういった現状認識についてお伺いしたいと思います。
#17
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げましたとおり、量的・質的金融緩和の下で、イールドカーブ全体の金利低下を促すという観点から大規模な資産の買入れを行っているわけでございますが、そうした下で、金利が相当低下しておりまして、例えば十年国債の利回りが〇・四%台後半となるといったことに現れておりますとおり、金利全体が低下をしているわけであります。
 そうした下で、先ほども申し上げましたとおり、銀行の貸出金利が既往最低水準で推移していると。短観の結果を見ましても、企業から見た金融機関の貸出態度というのは大企業、中小企業共に緩和された状況にあるということでありまして、そうした下で、銀行貸出残高全体としては二%台の伸びを続けておるわけでありまして、大企業だけではなくて中小企業その他、業種、地域、企業規模の面で広がりを持ちつつ銀行の貸出しが増加しているということは景気回復にプラスになっているとは思いますけれども、他方で、金融機関にしても企業にしても、適切なリスクを取るということは正しいわけですけれども、過大なあるいは過剰なリスクを取るということは確かに適切でないわけですので、私ども日本銀行としても、金融機関に対しては考査あるいはモニタリング等を通じて適切なリスク管理が行われているかということはチェックしておりますし、今のところ、相当大幅な金融緩和の下で過大なリスクテークが行われているという状況にはないように思っております。
#18
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 基本的には、私は、黒田総裁、就任してからのこういう金融政策、大胆に行ってきたところを大変高く評価をさせていただいております。また、絶対これが安心というか大丈夫だという正解なんてないですから、あらゆるリスクを取りながらやっていく、これは仕方のないことだと思いますし、また、そういう経済状況も的確に常に把握しながら、難しい判断迫られると思いますけれども、頑張っていただきたいと思います。
 いずれにせよ、その前に、ちょっと不安要素だけ幾つか議論させていただきたかったんですが、ちょっと違う話で恐縮です、せっかく副大臣にも来ていただきましたので、消費税について伺いたいと思います。
 経済状況、いろんな数字が出てきておりますし、最終的には総理が判断、年内に判断するということだったんですけれども、いずれにせよ、我々も法律に賛成しましたし、次の一〇%へ上げるのは当然かと思いますけれども、景気条項もありますし、七―九、これを判断して上げないという可能性はゼロではもちろんありません。仮にですね、仮に上げなかったとしたらどういうリスクがあるんだろうか、今のうちにちょっと想定しておかなくちゃいけないなと思うんですが、特に日銀総裁には、この金融市場においてどのような影響があるのか、可能性の範囲で結構ですので、見解があればお答えいただきたいと思います。
#19
○参考人(黒田東彦君) もとより、この消費税引上げの問題につきましては、政府、国会において経済状況等を総合的に勘案して判断されるというふうに認識をいたしております。
 その上で申し上げますけれども、仮に消費税を引き上げた場合、あるいは先送りした場合の影響について、それぞれリスクがあると思いますけれども、仮に先送りして万一財政運営に対する市場の信認が失われると対応が極めて困難になる可能性があるということはこれまでも申し上げてきたとおりであります。もっとも、その数学的確率は非常に低いと思いますけれども、そういったリスクというものはあり得るというふうに思っております。
#20
○愛知治郎君 これは、確定的に何が起こるというのを言うのは難しいですし、余り総裁がお話をすると市場に無用な混乱というか不安を植え付けてしまう可能性もあるので言えないとは思うんですけれども、その範囲で結構ですから、同じような質問を、今総裁がお話しされた以外の部分で影響がある可能性があるならば、そのことをお答えいただきたいと思います。これは財務副大臣に質問したいと思います。
#21
○副大臣(御法川信英君) お答え申し上げます。
 今、黒田総裁の方から、仮に引上げを行わない場合には市場の信認が失われるという可能性があるというお話がございました。これは、具体的に言えば、来年、プライマリーバランスの半減等々の様々な目標があるわけでございますが、こういうものが達成できなくなるのではないか、そういうことも含めた市場からの疑念を持たれるおそれがあるということがまず一つあると思いますが、もう一点、政策的な分野での影響というのを若干お答えをさせていただきたいと思います。
 もとより、消費税引上げ分五%、これは一〇%に上げることをもちろん前提とした中で、四%分を社会保障の安定化、そして一%分を充実に向けるという考え方がございますけれども、これは社会保障・税一体改革に対する三党、自民、公明、民主の議論の前提となっておるところでございます。これがもし引上げがならないという話になりますと、この四%の社会保障に対する安定化、そして一%の充実、この部分が若干変わってこざるを得ないということになってくると思います。
 具体的な内容としては、例えば所得の低い年金受給者の皆様に対する福祉的な給付、これ月最大五千円ということになっておりますけれども、こういうものが実施をされなくなるおそれがある、あるいは、今回新しく出てきました子育て支援の充実に対する施策、こういうものの財源の確保が困難になってくるおそれがあるということだと思いますが、いずれにしても、最終的な判断に関しては、様々な経済状況、指標を総合的に判断をするということになると思います。
#22
○愛知治郎君 ありがとうございます。
 余りマイナス要因ばっかり、悪い悪いと言っていると逆にマインドも冷え込んでしまいますのでよくないと思いますけれども、ただ、しっかりとそのリスクだけは、もしそういう可能性があるんであれば、引き上げないという可能性があるんであれば、リスクはしっかりと踏まえた上で対応しなくてはいけないというふうに思います。
 いずれにしましても、今お話ししましたが、総理が判断されるわけですけれども、総理は実体経済をしっかり見て、その上で判断をされると思います。一番大事なのは、その実体経済がしっかりと堅調に成長してプラスに進んで推移をするというのが大事なんですが、私、先ほど、黒田総裁の今までの金融政策、大変評価はしましたけれども、金融政策だけで実体経済が全ていくというのはなかなか難しいかと思います。だから、実体経済を強くしなくちゃいけないんですが。
 一方で、先ほどのプラス面、もう一つ言いますけれども、株価、アベノミクスを取り始めてから株価が飛躍的に上がってきたというのがありますので、それは非常に重要ですし、マインドもプラスになりましたし実体経済もプラスに動いた。これは相互がリンクしていると思うんですが、この株価を引き上げていく、プラスにさせるという政策、ありとあらゆる手段を講じていくべきだと思うんですが、一点、財務副大臣にお伺いします。
 聞き慣れない言葉で、私もやっているときに聞いていなかったというかよく分からなかったんですけれども、改めてこういう話を聞きました。配当軽課という言葉があるんですが、配当、株式の配当に軽課、軽いに課税の課ですね、配当軽課、これについてどのようなものか、お伺いしたいと思います。
#23
○副大臣(御法川信英君) 配当軽課というのは、支払の配当に対する法人税の負担を軽減することによって、株式による資金調達を容易にし、企業の自己資本の充実を図る観点で行われている政策だというふうに考えております。
#24
○愛知治郎君 一言だとなかなか分かりにくいと思うんですけれども、要は企業の内部留保、これがいろいろ問題視をされておりましたけれども、内部留保をするよりも株主に対して配当した方が企業にとって有利になる、そういった考え方でよろしいか、改めて伺いたいと思います。
#25
○副大臣(御法川信英君) 基本的にはそういうことだと思います。
#26
○愛知治郎君 実は、こういう眠っている政策というのは、私は是非やるべきだと思うんですね。昔々、昭和三十年代ですかね、取っていた政策だと聞いておりますが、歴史的経緯というのは分かりますか。分かればちょっと教えていただきたいと思います。
#27
○副大臣(御法川信英君) 詳しいものではございませんけれども、昭和三十六年にこの制度を導入をいたしましたが、制度の創設の目的に照らして必ずしも効果が明らかではないということで、昭和六十三年度の抜本的税制改革の一環としてこれは廃止になっていると、こういうことでございます。
#28
○愛知治郎君 今、効果が明らかでないということでありましたけれども、私は、あらゆる手段、講じていくべきだと思いますし、これは基本的なことですけれども、単に株価というのは、その上げ下げで投資、まあ投機的な目的ではなくて、それを持っていることによって純粋に資産価値というか、今金利が低いですから、配当等がもらえるのであれば普通の人も資産として保有する、保有してみようかなと思う気持ちになると思いますので、是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#29
○副大臣(御法川信英君) 大変示唆に富んだ御提言をいただきました。
 内部留保をどうするかというのはこれは大変大きな問題だというふうに思っておりまして、二〇一三年度末でも三百二十八兆まで積み上がっているという数字もございます。このために、第二次安倍政権において、二十五年度の税制改正からでございますが、賃上げあるいは設備投資を促す税制を導入し、この取組を行っている真っ最中であるということでございます。
 こういうものに加えまして、今御指摘のあった配当軽課制度あるいは配当損金算入制度というようなことも話題に上っているということだと思いますけれども、こういうものについて、十年前と比較をしますと、平均給与というのは増えておらない、一方で企業の配当というのは二倍に増えているというようなことがございます。そういうことがあり、また、配当の軽課等に伴って少なからず減収が生じてくるというようなこともありまして、そういうところにこれは留意をしていく必要があるというふうに考えております。
 いずれにしても、経済の好循環を定着させるために、企業が得た利益をただ内部留保としてため込むんではなくて、しっかりと好循環に結び付くような形で還元していくということを望んでいきたいというふうに思っております。
#30
○愛知治郎君 ありがとうございました。
 黒田総裁、今、アベノミクスで異次元の金融緩和、大胆な政策を幾つも行ってきております。是非、財務省も、私、一緒に仕事をさせていただいて皆さんすごく優秀だなと思ったんですけれども、頭を柔らかくして、いろんなあらゆる手段を検討して、これから日本経済のために、財政のために頑張っていただきたいと思います。
 ちょっと時間早いですけれども、私の質問は以上です。ありがとうございました。
#31
○大久保勉君 民主党の大久保勉です。
 私も、愛知委員に続きまして、久しぶりのこの第三委員会室での質問であります。二年間ほど別の委員会におりましたので若干浦島太郎になっていると思いまして、量的・質的緩和に関して原点に立ち返って、まずいろんなことを検証してまいりたいと思います。ちょっと古いニュースになるかもしれませんが、失礼したいと思います。
 まず、原点といいますのは、例えば岩田日銀副総裁就任前の衆議院議院運営委員会での質疑を見てちょっとびっくりした件がありましたので、確認したいと思います。こちらに関して、津村委員の質問に対してこういうことがありました。「二年間というのは、二年後の春、つまり、二〇一五年の春の消費者物価の上昇率二%ということを目標とされる、そして、最高の責任のとり方としては、職をかけるということでよろしいですね。」、これに対して岩田参考人は、「それで結構でございます。」ということでありますが、現在もこういう状況でよろしいでしょうか。あと半年しかありませんので、念のために聞きたいと思います。
#32
○参考人(岩田規久男君) 昨年春の副総裁の任命に関わる国会での承認の所信声明では、二年たって二%の物価目標安定を達成できなかった場合には何か自動的に辞めるというような、そのような説明で理解されるようなことになってしまったことを深く今反省しております。
 その当時ももう既に反省して、それが本当の責任の取り方ではないということで、その昨年の春の副総裁就任の記者会見においては、私の責任の取り方の説明を次のようにいたしました。もうそれは昨年の春の就任のときの記者会見ですが、仮に二年程度たって二%の物価上昇が達成できない場合に、まず果たすべきは説明責任だということであります。そうした事態に至った経緯も含めてしっかりと説明していくなど、真摯に対応することが必要だというふうに思っています。そして、その場合に、仮に、説明責任を果たせないと、誰も納得できないというような説明であるということであれば、そのときの最高の責任の取り方は辞職することという考えには今でも変わっておりません。
 ただ、繰り返しになりますが、まずは説明責任を果たすということが先決であるというふうに、それが私の真意でございます。
#33
○大久保勉君 実は、平成二十五年三月五日といいますのは、いわゆる政府の方から日銀副総裁候補に関して登録ありまして、この議運で内容を確認して賛否を決めるということでありました。そのときにこういった表明をされたので、ちょっと大丈夫かと思ったんですが、それによって各党は賛成、反対があったと思います。ですから、それだけ重いものということでありますから、そこはしっかりと考えてもらいたいと思います。
 次に、いろいろ調べてみましたら、日銀法改正論者であると承知しておりますが、現在も日銀法は変えるべきであると考えていますか。岩田副総裁にお願いします。
#34
○参考人(岩田規久男君) 日銀法改正に関しては、就任前から二%目標というのを政府との間できちっと設定するという、そのように主張しておりました。その点に関してはきちんとそういう合意がなされておりますので、日銀法の改正をあえてする必要はないと思っております。
 そして、一部に報道等で、私が日銀法改正に当たって、総裁や審議委員が説明責任を取らない場合には国会に解任権を与えるべきだという、そういうふうに私が主張しているという報道等があります。また、そういうふうに理解されているということがありますが、私はそのような主張をしたことはございません。ニュージーランドはそういうことをしているけれども、日銀法は、いずれにしても政策委員会の合意で決めるものですので、一人が何か責任を取って罷免されるというような改正はすべきでないというふうにずっと申し上げてまいりました。
#35
○大久保勉君 よく分からないんですが、もう少し後で詰めていきたいと思いますが、二年間で二%のインフレ目標を達成すると、達成できなかったら日銀法改正をすべきというふうに聞こえたんですが、そういうことですか。
#36
○参考人(岩田規久男君) 元々、二年の想定で私たちはこれを目指しておりますが、それができなかったからといって、できない場合には日銀法改正というふうには考えておりません。つまり、機械的に、人間の行動に働きかけるのが金融政策でありますので、何か電車の時刻表のようにきちっとはどうしてもできないという不確実性は大きいものがありますので、それは、目的として二年程度でできるだけやると、そのときに考えられるシナリオで最大の努力をするということで、そのように日銀が行動しているということが大事であって、そうでないように、例えば金融政策では永遠に物価が上がらないような態度であるということでは、それは問題だというふうに思いますが、今の日銀はそういうふうに立て付けになっておりませんので、あえて日銀法を改正する必要はないというふうに考えております。
#37
○大久保勉君 頭脳明晰な岩田副総裁にとっては、ちょっと分かりづらいんですが、この辺りはあえて曖昧にした方がいいと思っています。といいますのは、私は、学者の立場から副総裁という組織の幹部になったということですから、考え方も変わるべき部分もあるのかなと思います。逆に言いましたら、実は、二年たって二%にならなかったら辞職しますと、今でもその気持ちは変わっていませんと言ったら、私はかえって大丈夫かと思いました。
 といいますのは、もしそうしましたら何が起こるかといいましたら、拒否権があります。これは戦前の内閣と一緒です。軍隊から、海軍とか若しくは陸軍から大臣を派遣すると、予算が通らなかったら辞めると。ですから、もし副総裁が辞めてしまいましたら、新たに今度は政治、政府の方から新たな人が送り込まれます。
 私は、じゃ今から一年後、二%にインフレが達成しなかったら辞めますということで、事実上、政治、つまり安倍政権が日銀をコントロールすることになりますから、是非この辺りはしっかりと、もう副総裁だからこれまでとは違うということをはっきり言ってほしいんです。
 ですから、明確に、もう二%、二年後に物価が達成しなくても辞めることはない、また、日銀法改正は日銀副総裁であるからには言わないということは約束できますか。
#38
○参考人(岩田規久男君) どうも御助言ありがとうございました。
#39
○大久保勉君 いや、私は、助言ではなくて、イエスかノーかと言っています。
#40
○参考人(岩田規久男君) そのように承知しております。どうもありがとうございました。
#41
○委員長(古川俊治君) 指名してから御発言ください。岩田副総裁。
#42
○参考人(岩田規久男君) はい。
 今委員がおっしゃられたようなこと、理解いたしました。
#43
○大久保勉君 済みません、次に行きますが、またいろいろ調べたら、いろんなことが国会で起こっているんです。なかなかマスコミが報道していなくて、びっくりするような話もあります。
 例えば、予算委員会、平成二十五年の四月二日、こちらは小沢鋭仁委員が日銀法改正に関して安倍総理に対して提案したものです。読み上げます。「維新の会は、今、日本銀行法の一部を改正する法律案をつくらせていただいております。これは、みんなの党と一緒に提出したいということで、今修正協議をやっておりますが、ぜひ総理も前向きに取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。」と。
 途中省略しますが、重要な部分だけ読み上げます。現在の段階では、二%という物価安定目標を設定し、かつ二年間という期間においても、もう一回繰り返します、二年間、つまり二〇一五年の春ということですね、二年間という期間においても、そしてその責任においても、岩田副総裁、そして黒田総裁もコミットしておられる中においては、今は日本銀行にお任せしようということでありますが、しかし、常にこの法改正については視野に入れていきたいと思っておりますということです。
 ですから、二〇一五年春までは二%になるか日銀に任しているんだけど、駄目だったら、当時の安倍総理の理解は岩田さんが辞めると、それで日銀法も改正すると、こういうことを考えているのかなと思いますが、こういった理解に対して、黒田総裁、御意見を聞きたいと思います。こういった二年間、総理が二年間と言っていますから、二〇一五年春というのは極めて重要です。いかがでしょう。
#44
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたとおり、昨年の四月に量的・質的金融緩和を導入した際に申し上げておることでございますけれども、二%の物価安定の目標を二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するということで、そういうことのためにまさに量的・質的金融緩和を導入したわけでございます。
 それと同時に、そのときから一貫して申し上げていますけれども、二%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続するということを約束しておりまして、意図として、二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現すべく量的・質的金融緩和を導入したわけでございますが、具体的に二%が達成され、それが安定的に持続するときまで現在の量的・質的金融緩和を継続するということですので、量的・質的金融緩和自体について何かあらかじめ決まった期限があるわけではございません。
 ただ、委員御指摘のとおり、意図として、まさに二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するために量的・質的金融緩和を導入いたしました。
#45
○大久保勉君 ここは政策が変わったという理解でおります。といいますのは、量的・質的緩和が決定されました政策決定会合の直後の総裁記者会見の要旨があります。これは有名な二倍、二%、二年と、二、二、二ということで、二年というのを明言されているんですよね。二年間で二%にするということです。
 先ほどの答弁でしたら、オープンエンドということで三年後もあり得ますと。ですから、恐らく当初の目標が変わったんだったら、しっかりと政策が変更したということを言わないと、国民は混乱しますし、市場も混乱します。是非、政策が変わったか、変わったということに関して答弁をお願いします。少なくとも、この答弁には、二〇一三年の四月四日の記者会見においては二年程度と明言されています。また、総理大臣、安倍総理も二年間と言っています。いかがでしょう。
#46
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げていますとおり、二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期にこの二%の物価安定の目標を実現するために量的・質的金融緩和を導入いたしましたので、そういった政策の目的自体は変わっておりません。
#47
○大久保勉君 総裁はそう思っているかもしれませんが、私、過去に立ち返っていろんな資料を見ていきましたら、どう見ても二年程度ということで来年の春しか読めないんです。
 多くの人はそう感じますから、そういう意図じゃなかったら、少なくともこの記者会見の発言が舌足らずであったのか、若しくは説明責任が不十分であったということは認めてもらえますね。
#48
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げていることの繰り返しになって恐縮ですけれども、日本銀行の政策委員会で昨年の四月四日に決定いたしました量的・質的金融緩和につきましては、一貫して二%の目標を二年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現するためにこれを行いますということを明確に申し上げると同時に、先ほど申し上げたとおり、この二%の物価安定の目標の実現というのが一番重要な点でありますので、それを実現し、安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和は続けますということは申し上げているわけでございます。
 誤解があったとすれば、その一貫した説明について何らかの、何というんでしょうか、ミスアンダースタンディング、誤解があったとしたら、それは訂正しなければならないと思いますけれども、私としては、四月四日以来、一貫してある意味で同じことを申し上げてきたつもりでございます。
#49
○大久保勉君 そうでしょうか。ここに関しては極めて重要なポイントですよ。
 政策決定会合の中でもそういった議論があるんですね、実は。実際に、資料の中で、資料一に関しましては、政策決定会合におきまして木内委員から、議案の提出及び内容に関してあります。要するに、二%の物価安定の目標の実現は中長期的に目指すとした上で、量的金融緩和を二年間程度の集中対応措置と位置付けると、こういう提案なんです。
 ポイントは何かといいましたら、二年間ではもう二%はならないと。実際に、今一%程度ですから、半年で二%というのは極めて難しいです。だから、もうそこを認めましょうと。だから、二年間を集中期間として二%にし、それ以降は、二%という目標がありますが、一%ぐらいでもいいんじゃないかと。こちらの方が金融市場も安定するし、また副作用もないと、こういうのを毎回提案しているんです。
 それなのに黒田総裁は御承知ないということでしたら、どういう議論をされているんですか。黒田総裁、お願いします。
#50
○参考人(黒田東彦君) 今御指摘の木内委員は一貫してそういった修正案を提案をされておられます。四月四日の金融政策決定会合において量的・質的金融緩和を導入した際に、量的・質的金融緩和自体については木内委員も含めて全員一致で賛成されたわけですが、その対外公表文の書き方については、委員御指摘のとおり、木内委員は一貫して、この二%の物価安定の目標の実現は中長期的に目指すとした上で、量的・質的金融緩和を二年程度の集中対応措置と位置付けるという提案をされておられますけれども、ほかの八人の委員の方はそれに反対をしておられまして、そうした下で、先ほど申し上げたとおり、量的・質的金融緩和は、二%の物価安定の目標の実現を目指し、それを安定的に持続できるようになるまで継続するということが委員会の決定でございます。
#51
○大久保勉君 よく分かりませんね。
 今日、今さっき黒田総裁が通貨及び金融の調節に関する報告書で説明された内容を読み上げますと、三ページの中ほどです、消費者物価の先行きについては、しばらくの間、一%台前半で推移した後、本年度後半から再び上昇傾向をたどり、二〇一四年度から一六年度までの見通し期間の中盤頃に、物価安定の目標である二%程度に達する可能性が高いと見ていますと。
 どう考えても二年程度で二%は達成しないでしょう。これ、二〇一四年度の末というのがいわゆる二〇一五年の春です。日銀の事務局が、そこを議論していましたら、いやいや、二〇一五年度中には二%になりますからという答弁に変わりました。二〇一五年度のといいますのは二〇一六年の四月、一年間延ばすと。さらに、これを今度は二〇一六年度までということでしたら二〇一七年の春と、二年間延ばしているということでしょう。
 ですから、まさに木内さんが言っていることのとおりになっているんでしょう。だから、これっていわゆる日銀文学じゃないんですか。周りの人から見たら意味不明、ただ、日銀としては、いわゆる政治から責任逃れをすると、いわゆる伝統の日銀文学じゃないかと思いますが。
 これは、誰にしましょうか。では、雨宮理事、お願いします。日銀文学に関して説明をお願いします。
#52
○参考人(雨宮正佳君) 日銀文学とは何かという御質問かと思いますけれども、私どもとしては常に、私どもの政策決定あるいはその背景にあります経済、物価に関する情勢判断や政策運営の考え方につきましてはできるだけ丁寧に、かつ正確に御説明申し上げますよう努めているというところでございます。
#53
○大久保勉君 もう少し、じゃ一般の人が分かるような言葉で言います。つまり、日銀は二〇一五年の春までに二%に達成するということですが、これを見たら、最長二〇一七年の春までに二%に持っていきますというような言い方に変わっています。誰がその政策決定を判断し、いつ決めたんですか。黒田総裁。
#54
○参考人(黒田東彦君) これも、昨年の四月四日に量的・質的金融緩和を決定して以来、一貫して同じ見通しを出しているわけですけれども、政策委員会の物価見通しの中央値が二〇一五年度につきまして一・九ということになっていまして、そういったことから、二〇一四年度から一六年度までの見通し期間の中盤頃、具体的に言えば、二〇一五年度を中心とする時期に二%に達するだろうと。それは先ほどから申し上げておりますとおり、初めから一貫して二〇一五年度の物価上昇の見通しは一・九というのが委員会の中央値でございます。そこはこれまでのところ変わっておりません。そういったことを踏まえて、今言ったような言い方をしているわけでございます。
 二%の物価安定目標を二年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現するということのために量的・質的緩和を導入し、それを忠実に実行しているわけでありまして、何度も申し上げますけれども、仮に、物価上昇のこの道筋について何らかのリスク要因でこういった見通しが下振れて、物価安定の目標の実現のために必要になればちゅうちょなく調整を行っていくという方針、これもまた一貫して申し上げております。
#55
○大久保勉君 二つコメントがありまして、まず、安倍総理にちゃんとおっしゃってください。安倍総理は、日銀に対して二%という物価安定目標を設定し、二年間という期間を与えていると、そうじゃなかったら日銀法改正をしますよと。自民党さんにおきましては、実際に、山本幸三議員が中心になって虎視眈々と狙っていますということですから、私は、日銀の独立性は重要ですから、しっかりとそこは答弁しておかないと日銀にとっても将来不安になると思います。
 二点目、リスク要因という話をしましたが、私は黒田総裁の今の発言が一番のリスクと思います。
 といいますのは、二年程度で二%に持っていくということですから、そこを撤回していないということは、この半年間、何とかして二%に持っていこうということをします。今、物価はせいぜい一%ちょっとですから、何が起こるかといったら、もっと第二、第三の量的緩和が行われるのじゃないかと、若しくは為替をもっと円安に持っていくんじゃないかと、こういった予見不能な状況に陥りますから、日銀の説明の透明性としては非常に不安定だと思います。このことは、かえって日銀がリスク要因になっているということです。
 やはり、しっかりと、政策が変更した、今後は二年間では難しかったから三年とか四年後に二%を目指すと、こういうふうにした方がいいんじゃないかと思いますが、黒田総裁、お願いします。
#56
○参考人(黒田東彦君) これまでのところ、量的・質的金融緩和の下で二%の物価安定の目標の実現に向けた道筋を順調にたどってきたわけであります。したがいまして、金融政策の運営につきましては、この二%の物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで量的・質的金融緩和を継続していくということが重要であると思いますし、何度も申し上げましたが、何らかのリスク要因によって見通しに変化が生じて、二%の物価安定の目標を実現するために必要になればちゅうちょなく調整を行う方針でございます。
 その場合にどういうことが行われるかとか、あるいは為替とか何かにどういう影響が出るかという点につきましては、具体的な対応を事前に申し上げるのは難しいわけですけれども、あくまでもその時点における金融経済情勢を踏まえた上で、物価安定の目標を実現するために必要かつ最も適切な施策を行うということに尽きると思います。
#57
○大久保勉君 非常に抽象的な話が多いですから、もう少し具体的な議論をしていきたいと思います。
 資料の二を御覧ください。今何が起こっているかと言いましたら、これは藤巻委員の議論にも非常につながっております。国債の保有者別の割合の推移であります。日本国国債、一番上が銀行で、一番右側見てもらいますと三七・六%が銀行の所有です。次が、もう日銀が一九・九%。いわゆる年金が一一・七%持っています。点線といいますのは量的金融緩和の開始時です。これまで日銀が、当時は一一%台だったのがあっという間に一九%。銀行の方が売りに回って四三%が三七%。年金基金に関しては、これまではずっと安定していて一二%前後でしたが、恐らく塩崎改革によって国債を売って株を買うということですからまた減ります。ということは、日銀しか今国債を買っていないという状況です。これが二年で終わるのか、若しくは更に二年、更に二年とずっと続きましたら、日銀がずっとずっと国債を買い取ってしまうという状況が発生します。
 次のページを御覧ください。国債のいわゆる店頭売買市場です。いわゆるセカンダリーマーケットです。これは、国債を発行するため流通市場は極めて重要な問題ですが、この流通市場がだんだん細ってきているということであります。量的金融緩和からだんだん流通市場が細っているという意味は、日銀さんが新発の三割、四割を買っているケースがあるから、結局は流通市場としてはもう機能が達成していないと。
 その結果、次の資料の四、これは財務省に作ってもらいました、国債の引受けをしていますディーラーの人数の変化と。まだ一年半しかたっておりませんから端的には見えていませんが、国債に従事している人たちが減ってきています。恐らくは、これが二年、三年たっていったら国債の流通市場の関係者も減ります。これで何が起こるかといいましたら、もし出口戦略を打ったときに、日銀が国債を買わなくなった場合に国債はどういうふうになるかということです。
 そういったことをしっかりと考えて、絶えず市場に対して若しくはいろんな金融機関に対して、二年後、三年後何をしようとしているのか、はっきり伝えるべきであります。今の黒田総裁のやり方は、二年程度と言って、実際は三年、四年とも読めると、何を言いたいか分からないという状況です。
 ですから、日銀の政策は異次元な政策です。つまり、ほかの人からは全く意味不明な異次元になりかねませんから、しっかりと説明責任を果たしてもらいたいなと思っています。いかがでしょう、黒田総裁。
#58
○参考人(黒田東彦君) まず、長期国債の流動性につきましては、いろいろな市場関係者との意見交換等を行っておりまして、必要に応じてオペ運営面の工夫なども行っておりまして、市場の安定に努めております。今後とも、当然そういったことを続けてまいります。
 なお、この長期国債の店頭売買高の推移は、昨年の四月は量的・質的金融緩和を導入した直後で、市場が考えていたよりも恐らく大規模な量的・質的金融緩和が行われたということで一時的に取引が非常に大きくなったわけですが、全体として見ますと、基本的に長期国債の店頭売買高の推移は変わっておりません。その他、いろいろな指標を見ましても、国債市場の流動性が相当程度低下しているというようなことはないというふうに思っております。ただ、御指摘の点も踏まえまして、今後とも、国債市場の動向については注意深く点検するとともに、引き続き市場の安定に努めてまいりたいというふうに思っております。
 なお、出口の問題につきましては、従来から繰り返し申し上げておりますとおり、道半ばといったところでございますので、今の時点でいつどのように出口に差しかかって出口戦略を実行するかということを今申し上げるのは時期尚早であろうと。それはその時々の経済・物価情勢、あるいは市場の状況などによっても変わり得るわけでございまして、そういった点を踏まえて適切な時期に適切な市場とのコミュニケーションを図る必要はあると思いますが、今の段階で、早い段階で具体的なイメージを持って出口戦略を語るということはかえって市場に混乱を招くおそれがあるというふうに思っております。
#59
○大久保勉君 量的・質的金融緩和で二年二%ということで、二年というのはもうないということでもう分かったと思います。じゃ、二%という旗を下ろすことがあるか、ここに議論を集中したいと思います。
 今でしたら、二%を目指してずっと、二年たとうが三年たとうが四年たとうがこの旗は下ろさないということなんですが、実は、二%に物価が行くかどうかというのも疑問視されております。もし二%に行かず、だらだら四年、五年たっていきましたら、結局、国債を日銀が大量に買っていたと、いわゆる財政ファイナンスじゃないかと、こういったリスクが出てきます。実際は財政ファイナンスなんでしょうね。ところが、それを理論付けて二%ということなんです。
 この議論に関しましては、実は白川総裁と黒田総裁の違いという形で議論したいと思います。
 実は、白川総裁、ここに何度もいらっしゃいまして議論をしました。まずは一%と、それが達成したら二%ということをおっしゃっていて、まさに今起こっていることは、二年たってやっと一%プラスと。さらに、二%まではもしかしたら行かない可能性があるということで、白川総裁が行っていた政策とほぼ同じになっていると私は思いますが、黒田総裁、いかがでしょう。
#60
○参考人(黒田東彦君) 昨年の一月に、白川前総裁の下で日本銀行は物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率二%ということを決めて、これをできるだけ早期に実現するということを約束して、しかも政府との共同声明でも明記されておられます。
 したがいまして、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するという点で、私と白川前総裁との間で大きな違いがあるとは思っておりません。
#61
○大久保勉君 ここに「日本銀行と政治」という中公新書があります。これは三日前に出たばっかりの本で、面白かったので一日で読みまして、非常に内容は正確だと思います。
 いわゆる日本銀行の独立性の問題も書いていますが、その中で白川総裁の最後の発言がありますが、要するに、黒田総裁下の政策に関しては、いわゆる二%、二年ということで、いわゆるインフレ期待を高めていって物価を二%まで持っていこうという政策に対して、読み上げます、中央銀行が市場の期待に働きかけて期待インフレ率を上昇させるという考えについては、期待に働きかけるという言葉が中央銀行が言葉によって市場を思いどおりに動かすという意味であるとすれば、そうした市場観、政策観に危うさを感じるという趣旨のことが述べられています。
 黒田総裁、いかがです、このコメントに関して。
#62
○参考人(黒田東彦君) 金融政策につきましては、特に最近のいわゆる非伝統的金融政策のみならず、従来の伝統的金融政策におきましても、期待というものが非常に重要であるということは認められておりまして、もとより、期待を政府や中央銀行が自在に操るということはできないわけですが、期待に対する影響、期待に対する働きかけというものを無視して金融政策を行うことはできないわけでありまして、その点については、いわゆるエコノミストの人にせよ中央銀行総裁にせよ、全ての方が認めておられるというふうに思います。
#63
○大久保勉君 あと、黒田体制とその前の白川体制、大きな金融政策の変更がありましたが、それを支える事務局に関して質問したいと思います。
 今日、雨宮理事がいらっしゃっていますが、いろいろ読んでいましたら、日本銀行法が改正されたときに、日本銀行事務局の政策理念というのがあります。企画一課長の雨宮正佳さんは四分の一理論を唱えていると。この四分の一理論というのはどういうものでしょう。
#64
○参考人(雨宮正佳君) 私も、今日の先生の御指摘で、何か昔の若いときの愚行が引っ張り出されたような気がいたしますけれども、少なくともその著作に書かれている四分の一理論なるものは、日本銀行の主張と違う主張との間で、その半分よりも日本銀行の理念に近い四分の一のところを念頭に置くべきだというような説明がされているところは承知しております。
 ただし、私、実は、かつてそういう議論をしたことは覚えておりますけれども、私が申し上げようと思いましたのは、日本銀行が金融政策運営を考える上で、中央銀行としての理念はしっかり守った上で、より幅広い多様な意見を聞くべきだという意味で申し上げましたので、どうもここで書かれていることとは文脈が逆であるという気がいたしますし、政府と日本銀行の関係に特定して申し上げたという記憶もございません。
#65
○大久保勉君 ここに書いてありますのは、政府の主張と、いわゆる安倍政権の主張でもいいです、安倍政権の主張と日銀のいわゆる主張、日銀も原理主義ですから、理論に立ち返った人です。その半分よりも更に半分、四分の一のところに、日銀寄りに持っていくべきということで、日銀の独立性から考えたらこれはすばらしい理論だと思いますが、どうもさっきの話を聞きましたら、四分の一理論が一か四分の一理論に変わっているような気がしまして、この一か四分の一といいますのは、実は量的・質的金融緩和をつくられたのが事務局としては雨宮理事と。
 ですから、本来だったら二%でよかったものを二年という言葉も入れて、つまり政府の思い以上に政策をつくってしまったから、私は一か四分の一理論、つまり安倍政権よりももっと超えた日銀をつくっているから、大丈夫かなと思ったんですが、いかがでしょう、雨宮理事。
#66
○参考人(雨宮正佳君) まず、今回の量的・質的金融緩和につきましては、これは四月の金融決定会合で議論を行いまして決定されたことでございます。
 その上で、この金融政策の決定されたプロセス、事務局としてもちろんサポートさせていただきましたけれども、議論はやはり物価安定、長らく続くデフレを日本経済が脱却して物価安定を実現するためにはどういう政策がベストかということが徹底的に議論されてこうした政策が採用されたということでございますので、今先生御懸念のような一か四分の一かとか一か四分の二とか、そういうことではないというふうに理解しておりますし、政府と日本銀行の関係という意味では、これは日本銀行法で、御案内のとおり、明確に規定されている上に、昨年の政府と日本銀行の間の共同文書でもそれぞれの役割がきちっと明記されているわけでございますので、こうした法制度なり共同文書の下で中央銀行としての責務を果たすということに尽きるというふうに考えておりますし、量的・質的金融緩和もその結果であるというふうに理解しております。
#67
○大久保勉君 是非その言葉の重みを感じてください。といいますのは、恐らく日銀職員全員が聞いていると思いますから、やはり日本銀行の理論はしっかりと述べ、筋を通してほしいんです。そうしないと、この二年間の急激な変化に対して自分たちの政策はどうなっているのかと。恐らく、政策に関しては、政権が替わっても政治が変わっても変わらないと思います。だから、そこに対して、一部妥協も必要ですが、やはり日銀の独立性というのはどうして必要なのか、自分たちの職務は何かというのは是非考えてほしいと思います。
 特に、次の質問なんですが、日銀エコノミスト、あとは学者、そこには違いがあるかということです。つまり、一つの理論が、学者としていろんな理論を持っていますが、いわゆる総裁が替わって政策が変わった場合に、いわゆる日銀の負っている理論も変わるかと。つまり、日銀エコノミストは転向することはないかという話です。こういったことはあるかないか、この辺りに関して、日銀を代表するという意味で黒田総裁に対して何かコメントをいただきたいと思います。
#68
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行法で定められているとおり、金融政策の決定は政策委員会が行うということになっております。
 理事以下の役職員、エコノミストも含めて、政策委員会が政策決定を行うに当たって必要な様々な情報あるいは分析結果を提供して政策委員会の金融政策の決定を助けるということと同時に、決められた政策を着実に実行していく、そしてそういった政策についての日本銀行としての考え方を対外的に説明すると、そういった立場に役職員はあるというふうに考えておりまして、こうした役割はしっかりと果たされているというふうに思います。
#69
○大久保勉君 是非しっかりとその言葉どおり運営してもらいたいと思います。
 時間が参りましたので、最後なんですが、この「日本銀行と政治」の一番最後に面白いコメントがあったので申し上げます。読み上げますが、対米開戦をめぐり米内光政は、じり貧を避けんとしてどか貧にならないようと発言したと言われると。当時の日本は、アメリカの石油禁輸によるじり貧を脱しようとして対米開戦を決定し、敗戦というどか貧に至った。それから七十年後、デフレというじり貧を脱しようとし、大胆な金融緩和と機動的な財政出動が決定された。これらの政策は、将来、バブル崩壊や財政悪化を引き起こし、日本経済をどか貧に陥らせる危険性があると。こうした危惧がないようにと思います。
 先ほど資料を使って申し上げましたが、二%の物価安定目標に固執することによって、結局は日銀は国の財政赤字の買取り機関に陥る可能性があります。また、今年の十二月には消費税引上げに対する判断があると思います。もし消費税が一〇%にならなかった場合には、財政的なインパクトも大きいと思います。その場合に、日銀がいわゆる二%に物価を持っていくという名目の下でどんどん国債を買い続けるということにならないか、そういった危惧を持っております。
 最後でありますが、黒田総裁、いわゆる財政規律と日本銀行の政策に関して御所見があったらいただきたいと思います。
#70
○参考人(黒田東彦君) これも本委員会を含めて国会で様々な機会に申し上げているわけでございますけれども、日本銀行として、その目的に従って、まさに物価の安定あるいは金融の安定ということを目指して最大の努力をしていくと、そういう形で法律に定められている中央銀行の独立性というものを維持していくと、確立していくということに尽きると思います。
 なお、現在の量的・質的金融緩和で国債あるいはETF、J―REITなどの資産を購入しているわけですが、これはあくまでも金融政策、物価安定目標の達成という目的のために行っているわけでございまして、財政ファイナンスといったことは全く意図しておりません。
 一方で、政府は、中期財政計画を決定し、それを実行しておられるわけですが、来年度のプライマリーバランスの赤字の半減、二〇二〇年度までにプライマリーバランスの赤字を解消するという中期財政計画の目標の達成に向けて着実に取り組んでいかれることを期待しております。
#71
○大久保勉君 幾つか質問の積み残しがありますが、次回に質問したいと思います。
 これで終わります。
    ─────────────
#72
○委員長(古川俊治君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、大塚耕平君が委員を辞任され、その補欠として浜野喜史君が選任されました。
    ─────────────
#73
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 まず初めに、日本経済の見通しについて総裁にお聞きしたいと思います。
 日銀は、四月の展望レポートにおきましては、この二〇一四年度の実質GDP成長率、政策委員の見通しの中央値でありますが、一月時点の一・四から一・一へと下方修正されておられます。しかしながら、この一%を達成していくためには、この七―九をどう見るかによりますけれども、民間の予測の平均値、四%程度というふうに見ますと、下期全体として五・五%ぐらいの年率成長が必要になってくるわけでございまして、果たして現実的なのかどうかという視点でお聞きしたいと思います。
 ちなみに、IMFの予想でありますけれども、一四年の日本経済につきましては〇・九%成長ということで、七月の段階からはマイナス〇・七%、先進国の中では最大の下方修正をされておられます。そのIMFの予想は、本年の下期につきまして上期とほぼ横ばいという数値になっておりまして、日銀の当初の見通しとはかなりこのIMFの下期に関する見通しも異なっていると言わざるを得ません。
 そこで、総裁にお聞きしたいと思いますが、今週、展望レポートありますので、数値のことはともかくとして、経済の見方としてお聞きしたいと思いますが、仮に四月発表の展望のように、下期に力強い回復というものを見込むのであれば、IMFの見立てとどこがどう違うのか。また、今週末に発表する展望について様々な記事も既に報道もされているようでありますけれども、仮に下に向く場合には当初の見立てとどこがどう予測の誤差があるのかということについて、消費税増税の影響も含めてお聞きしたいと思います。
#74
○参考人(黒田東彦君) まず、IMFの世界経済見通しにおきまして、日本経済の成長見通しが下方修正されたことは御指摘のとおりであります。IMFは、一般的に消費税の税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減がやや予想よりも長引いていると、あるいは天候不順などもあって消費の回復が遅れているという点を非常に重視して、委員御指摘のようなかなり大幅な下方修正を行ったようでございます。足下、先ほど申し上げたとおり、確かに駆け込み需要の反動減の影響から生産面を中心に弱めの動きが出ているということは、まさにそのとおりでございます。
 ただ一方で、家計部門、企業部門共に所得から支出への前向きな循環メカニズムはしっかりと維持されているということも事実でありまして、言わば、足下の弱さと底堅い家計、企業部門の所得から支出への循環メカニズムというところをどのように見るかということでありますけれども、いずれにせよ、私どもとしては、前向きな循環メカニズムがしっかり維持されている以上、我が国経済は基調的には緩やかな回復を続けておるということで、先行きも緩やかな回復基調を続けるというふうに判断をしております。
 なお、委員も触れられましたとおり、具体的な実質GDPの成長率の見通しにつきましては、今週末の決定会合で取りまとめる展望レポートにおいて、政策委員会で十分に議論してお示しすることになると思います。
#75
○西田実仁君 かなり今おっしゃったような反動減あるいは天候の不順等によるものが影響しているというのは実感としても感じるわけでありますが、それに加えて、やはり消費税の影響というのも、地元に戻りますと、家計は底堅いとおっしゃいますけれども、なかなか実際にはそうではない声の方が多いのも事実でありましょうし、また、中小企業等も大変に厳しいという声もたくさん聞いておりまして、そうした実態に基づいての的確な判断が必要ではないかというふうに思っております。
 次に、異次元緩和政策の成果と課題ということについてお聞きしたいと思います。
 金融緩和と景気との関係についてお聞きしたいと思います。
 日銀がベースマネーを増やして景気拡大ができるかどうかというのは、この信用乗数と、それから通貨回転率の掛け算で決まってくるわけでございます。そこで、この信用乗数についてでありますけれども、実際の数値を見ますと、昨年の四月の異次元緩和以降、二〇一三年の三月の六・二一倍が一四年九月には三・五八倍に低下をしてございます。しかし、限界信用乗数という、まさにマネタリーベースの前年同月比の増加額に対してどのぐらいM2の前年同月比が増えているかという限界信用乗数、これは本年の七月、〇・三五〇でありましたが、九月には〇・四三八と、限界信用乗数自体は僅かながら改善をしているという数値でございます。
 日銀による異次元緩和ということによりまして、M2の増加効果というのは、僅かながらでありますけれども出始めているというふうに数字が裏付けております。実際、銀行の貸出しにつきましても、ここに来て、僅かながらでありますが増加に転じているということであります。
 一方、通貨回転率の方でございますけれども、これは、一三年三月の〇・五六九が、一四年六月には〇・五五九と低下してしまってございます。リーマン・ショック前は大体〇・七前後でございました。しかし、同じく限界通貨回転率という数値を取ってみますと、数字は、一三年三月のマイナス〇・一五四だったのが、この六月にはプラスの〇・三七一と、これも僅かながら増えていると。つまり、限界信用乗数あるいは限界通貨回転率は、いずれもここに来て日銀による異次元緩和という効果が出始めているというふうに言えるんではないかと思います。
 もちろん、異次元緩和で信用乗数が、限界ではなくて信用乗数そのものが物すごく改善、あるいは通貨回転率も大幅に改善していくということになれば景気は一気に良くなるというふうになるわけですが、なかなかそこまでは行きませんで、ようやく、しかしその改善の兆しが出てきたというふうには言えるんだろうというふうに思います。これは数字が物語っているわけであります。
 しかし、ここで総裁にお聞きしたいことは、日銀の当初の期待というものに対しまして、今申し上げた信用乗数あるいは通貨回転率の改善のテンポというものが遅れているんではないかというふうに私は見ております。そこで総裁に、この信用乗数あるいは通貨回転率の改善のテンポですね、改善はし始めているということは申し上げましたが、そのテンポがやや遅れているということについてはどう認識なさっておられるのか、お聞きしたいと思います。
#76
○参考人(黒田東彦君) この量的・質的金融緩和の下で、大量のマネタリーベースを供給して金利の低下などを通じて銀行が貸出しを増加させやすい環境をつくり出すということでありまして、銀行貸出しもプラスに転じ、現在は二%台で推移しているわけであります。このことはマネーストックの増加にももちろん寄与していると思います。
 こういったマネーストックの伸びというものは、銀行の貸出し姿勢がある一方で、また個人や企業の資金需要にも影響されますので、先ほども少し議論が出ておりましたけれども、企業は潤沢な手持ち資金を有しておりますので、企業の資金需要という面では、すぐには貸出しにつながりにくい、したがってすぐにはマネーストックの増加につながりにくいという面があったことは事実でありますが、委員御指摘のとおり、貸出しもマイナスからプラスになり、しかも、中小企業も含めて、業種、業態、あるいは地域の広がりを見せつつ貸出しも増加しておりますので、マネーストックも今後ともある程度増加していくのではないかと思っております。
 ただ、昨年、量的・質的金融緩和を導入した際に考えていたときと比べてどうかと言われますと、貸出しについては、手元流動性が厚いということでそれほど大きく増加するというふうには考えておりませんでしたので、予想を裏切って非常に伸びが低いということではないと思いますが、マネーストックの伸びが若干低いと、マネーストックの伸びは貸出しだけではなくていろんな要因で左右されますので、そういったことはあるかなと。
 一方で、貨幣流通速度というか回転率の方は、マネーストックと名目GDPの関係は比較的安定しているようでありまして、委員御指摘のとおり、足下で限界的に上昇してきているということはプラスであろうというふうに思っております。
 ただ、これらはいずれもいろいろな要素によって微妙に変化いたしますので、委員御指摘の点も含めて、経済全体の、実質GDPとか名目GDP、あるいは失業率、物価上昇率といった各種の指標を総合的に注意深く見てまいりたいというふうに思っております。
#77
○西田実仁君 財務省の法人企業統計を見ますと、企業の現預金残高、今総裁からお話がございましたが、アベノミクス前には百四十二兆円余りありましたが、直近では百五十五・六兆円なんですね。そのキャッシュフローに対する設備投資比率というのは大体三五%ぐらいと、設備投資は大体キャッシュフローの範囲内で収まっているというのが現実でございます。これは、企業の投資マインドがまだ、これからにしても今現時点ではまだなかなか改善は実はしていないということ、さらには、GDPギャップに象徴されます需要不足経済というものからまだ脱却し切れていないというふうに思います。
 こういう需給ギャップがまだ解消しない状況では、金融緩和効果というのはどうしても湿りがちになってしまうんではないかというふうに思いますけれども、総裁はどう思いますか。
#78
○参考人(黒田東彦君) 一般論として委員御指摘のとおりだと思いますが、足下で、需給ギャップ自体は特に労働市場を中心にかなりタイトになってきておりまして、そうした下で、企業は収益状況は極めて良好ですので、今年度の設備投資計画というのはかなりの伸びになっております。
 ということは、一方で、人手不足というか、賃金が上昇し始めていると。他方で、設備投資意欲があるということは、省力化投資、能力増強投資がどこまで行くかはまだはっきりしませんが、更新投資であり、あるいは特に省力化投資というのは今後かなり進んでいくのではないかと、そういった企業の考え方というものがいろいろなアンケート調査等で示されておりますので、その動きを十分注視してまいりたいというふうに思っております。
#79
○西田実仁君 次に、円安につきましてもお聞きしたいと思います。
 総裁は、先ほど御答弁でもありました、円安については全体としてプラスであるというふうに評価されておられます。その根拠についてお聞きしたいと思うんですけれども、私なりに国際収支へのこの円安の影響というものを試算をしておりますが、時間もありませんのでそれをネグりますけれども、基本的に為替益、為替損それぞれ輸出入に関してありますけれども、加えて、輸出に対する数量効果というのもございます。この輸出の数量効果については、いわゆるJカーブ効果というものによりまして上向きつつあるわけであります。九月の貿易統計が先日発表ありました。輸出数量は順調に伸びているわけでありまして、三か月移動平均で見ますと、二〇一三年の二月を底にいたしまして今一〇%ぐらい増えているわけであります。
 時間の関係でまとめて質問しますが、総裁は円安のJカーブ効果についてどう認識されているのかというのが一点。さらに、日本経済全体ではプラスであったとしても、当然、この円安のプラスを享受できるセクターと、それからマイナスを被るセクターというのが当然異なってくるわけでありまして、円安の影響に極端な偏在が見られることに対して、総裁はどう対処すべきとお考えになっているのかというのが二点目。
 済みません、まとめて、もう時間ないのでお聞きしますけれども、三点目でありますけれども、購買力平価は、いろんな計算の仕方がありますけれども、OECDでは百三円、まあ百三円程度であります。それを超えた円安というのは逆に経済のひずみを拡大してしまうんではないか、更なる追加緩和は控えるべきではないかという意見がございます。と申しますのも、総裁はこの今の円安、円の水準は経済のファンダメンタルズを反映しているものであるという認識も示されておりますけれども、むしろそのファンダメンタルズで数字を見ますと、例えば貿易赤字、日米間では逆の方向を向いているわけでありますし、また、日米の実質短期金利差ということを見ても、日本が米国よりも高くなっているのは事実でございまして、むしろファンダメンタルズを反映するのであれば、円安に向かうというよりも円高の方に向かっていくべきではないかというふうにも思ってございます。
 以上、三つまとめてお聞きします。一つは、円安のJカーブ効果について。そして、円安のマイナスを被るセクターについての、偏在する場合のその対処の仕方。さらには、本当にファンダメンタルズを反映したものと言えるのかどうかという、為替に関することでありますけれども、以上まとめて総裁の所見をお聞きしたいと思います。
#80
○参考人(黒田東彦君) まず第一点でございますが、円安、あるいは行き過ぎた円高の是正ということにもかかわらず貿易収支が改善していないということがあるわけですが、その背景としては、まず輸入が燃料輸入が大幅に増加したということもあって高水準になっている一方で、輸出がこれまでやや弱めの動きとなってきたわけでございます。足下で若干の動意が見られますけれども、やや輸出が期待外れであったということは、一方で、新興国などの海外経済のもたつき、特にアジアは日本の輸出の半分以上が出ているわけですが、そこのもたつきの影響と、それから自動車を中心に製造業において海外生産を相当拡大したわけでございまして、まだこれは続いているわけですが、そういった構造的な要因もあったと思いますけれども、円安にもかかわらず貿易収支がなかなか改善していっていないというわけでございます。
 ただ、委員も御指摘のとおりでありまして、海外経済の成長率が高まっていく下で輸出は緩やかな増加に向かっていくと考えられますし、やや長い目で見ますと、過度な円高の修正によって海外生産比率の上昇のペースも、出た工場が戻ってくるというのはなかなか難しいと思いますけれども、どんどん出ていくというか、そのペースはややペースダウンするのではないかと。そうした下で、Jカーブ効果と言うかどうかは分かりませんが、遅れていた貿易収支の改善が起こってくるのではないかと思っております。
 二番目の円安のマイナスの影響を受けるセクターの問題でございますが、確かに円安は、他の事情にして一定であれば、輸入コストの上昇、それからその価格転嫁を通じまして非製造業の収益あるいは家計の実質所得に対する押し下げ圧力となることは事実でありまして、マイナスの影響を受けるセクターがあるということは御指摘のとおりであります。他方で、円安は、輸出の増加とか、グローバルに展開している企業の収益の改善、あるいは株価の上昇といったプラスの効果も持っております。
 そこで、全体としてプラスかどうかという判断でございますが、これまでの円安の影響というのは経済主体によっていろいろでございますけれども、基本的に経済、金融のファンダメンタルズを反映して円高が是正されてきたというふうに見られますので、全体としてはプラスではないかと思っております。
 三点目の経済の……
#81
○委員長(古川俊治君) 時間ですので、申し訳ありません、答弁は簡潔にお願いします。
#82
○参考人(黒田東彦君) はい。
 経済のファンダメンタルズですが、これは、御指摘のような金利とか国際収支、物価上昇率、経済成長、様々な要因があるわけですが、それらを、基礎的な条件を反映しているかどうかということの判断でございますが、私どもとしては、これまでの円安というのはそういうものを反映して動いてきたというふうに思っております。
#83
○西田実仁君 終わります。
#84
○中西健治君 みんなの党の中西健治です。時間がないので早速質問の方をさせていただきたいと思います。
 先ほども話が出ました、二年程度で二%という達成時期についてまずお伺いしたいと思います。
 総裁が昨年の四月に就任されたときに、二年程度で二%ということでおっしゃられましたので、我々はもう来年の春頃には消費者物価が二%ぐらい上がるだろうというふうに思っておりました。それを誤解というふうに言われてしまうと、それは、誤解せしめたのは総裁の方じゃないかというふうに私は言いたくなるということであります。
 総裁が主張されていることはこれまで変わっていないということでありましたけれども、記者会見などを丹念に見ていくと、やはり変わっているんじゃないかなというふうに言わざるを得ないと思います。
 一つ、去年の四月二十六日の記者会見、これは決定会合の後の記者会見ですけれども、この二%程度にいつ達するのかということに対して、二〇一五年度の早いうちか前半、こういうふうに総裁はおっしゃられました。そして、今月の、これはニューヨークの講演だったのでしょうか、そこでおっしゃられたのは、二〇一五年度を中心とする期間に達するということであります。
 これ、やはり時期的な意味で大きな差異があると言わざるを得ないと思いますけれども、さらに、今日は、これは決定会合のいつもの文章ですけれども、二〇一四年度から二〇一六年度の中盤ということでありますが、これ、総合して考えると、そもそもは二〇一五年度の春に近い夏ぐらいだったとおっしゃられていたのが、今は二〇一五年度がメーンシナリオで、二〇一六年度にもずれ込むことがあり得るということをおっしゃっているとしか解されないと思うんですが、そこはいかがでしょうか。
#85
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げていますとおり、二%の目標を二年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期に実現するということで量的・質的金融緩和を導入したという点に全く変わりはございません。その一方で、物価の足下の数字というのは上下いろいろな要因で動きますので、そういったことに影響されて今後の物価見通しについての政策委員の見通しというのも変わってくる可能性はございます。
 ただ、先ほど申し上げたとおり、量的・質的金融緩和を導入して以来、二〇一五年度の消費者物価上昇率の見通しというのは一・九%ということで変わってございません。その意味では、政策委員会の委員の見通しというのは一貫しておりまして、二年程度を念頭に置いてできるだけ早期に実現するという量的・質的金融緩和の意図、それに沿って着実に実施していくと。そこで、これまでのところその道筋を順調にたどってきたと。
 ただ、一方で、足下の成長率とか物価上昇率というのは様々な要因で変動していることは事実でございます。ただ、その基調として経済の緩やかな回復というのが続いているという下では、今申し上げたような好循環が続き、従来からこの対外公表文で申し上げているとおり、二〇一四年度から一六年度の中盤にかけてということで、具体的に言えば二〇一五年度を中心とする時期に二%の物価安定目標が達成される可能性が高いという政策委員会のこれまでの見方は変わっておりません。
#86
○中西健治君 一点だけ確認したいと思います。
 去年の四月の二十六日におっしゃられていた二〇一五年度の早いうちか前半に二%に達するというのは、今の想定ではないということでよろしいでしょうか。
#87
○参考人(黒田東彦君) そこは、先ほど申し上げたように、政策委員会の見通しの中央値としては一・九と、これは二〇一五年度の見通し、これはずっと変わっていないわけですが、それが具体的に二〇一五年度の早いうちに二%に近づいていくのか、年度の遅いところで行くのか、その辺は詳しい予測を政策委員会は出しておりません。したがいまして、あくまでも政策委員会の見通しの中央値は二〇一五年度一・九ということで、昨年の四月以来変わっていないということでございます。
#88
○中西健治君 二〇一五年度中のいつなのかは、そこまで詳しくは出していないということですが、そうすると、先ほどの議論でもありましたけれども、二〇一五年度中ということであれば二〇一六年三月までというようなことになり得るということですから、二年で二%ではなくて三年で二%だったんだなというような説明も必要になるんじゃないかなというふうに思います。
 一点、今日の報告にもありましたが、消費者物価の先行きについては、しばらくの間、一%台前半と、こうおっしゃられていますけれども、これ、総裁、今年の初めも使っている言葉なんですね。ということは、それから一%台前半、このしばらくの間っていつまでのことを指しているんですか。
#89
○参考人(黒田東彦君) ここは、政策委員会でいろんな議論をして、そして対外公表文を決め、そういった政策委員会の議論や対外公表文を踏まえまして、私が記者会見その他で申し上げているわけでございます。実際のところ、足下で、今年に入りまして一%台が続いているわけですが、一%台前半で上がったり下がったりしているということは事実でありまして、一番直近の数字ですと一・一%という数字になっております。
 そういったことを踏まえて、従来から政策委員会としては当分、しばらくの間、そのしばらくの間が二か月なのか半年なのか、そういう具体的な期間は特定しておりませんが、しばらくの間、一%台前半で推移して、二〇一五年度の後半から少しずつ加速していくのではないかというのが政策委員の大方の見方でございます。
#90
○中西健治君 しばらくの間、その後、今二〇一五とおっしゃられたかもしれません、二〇一四年度の後半に……
#91
○参考人(黒田東彦君) 一四年、はい。
#92
○中西健治君 加速ということのようですけれども、もう後半に入っていますから、二〇一四年度の。それからしばらくの間が数か月続いたら、もう二〇一五年度に入っちゃうじゃないですか。ですので、私は、今、日銀がおっしゃっているこのしばらくの間というのは達成できないというようなことを、少なくとも二〇一五年度の前半には達成できないと言っているのと同じことなんじゃないかなというふうに私自身は考えています。
 幾つかちょっとデータを御覧いただきたいんですけれども、消費増税後の物価の動きについてということで見ていただきたいと思います。
 まず一枚目、国内企業物価指数、これ日銀が公表している数値でありますけれども、これは三月に一・七%だったものが九月の速報値では〇・七まで落ち込んでいるということであります。消費増税後にデフレ圧力が掛かってきているんじゃないかということを私は大変心配をしています。
 そして、次のもう一枚、御覧いただきたいと思うんですが、これは東京大学が開発した日次の、デイリーの物価指数ということであります。これ文字どおり、毎日の物価の動きを迅速に示しているものでありますが、通常、総務省が発表している消費者物価指数というのは、ある月のものが翌月の最後になって出てくるというものでありますけれども、総務省の発表のものとは対象が違っているのはよく存じています。しかし、この迅速に出てきている東大の日次物価指数というのがマイナス圏で今推移しているということであります。
 この二つの指標を御覧になられて、やはり今デフレ圧力がまた掛かりつつあることに対して警戒はしていかなきゃいけない、そういうことなんじゃないかと思いますが、総裁の御所見を賜りたいと思います。
#93
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、国内企業物価指数につきましては、最近の国際商品市況の動きを反映して、前年比のプラス幅が縮小してきております。また、この東大日次物価指数につきましては、前年比マイナスで推移していますけれども、このグラフの示すとおり、かなり振れが大きくなっているということでございます。
 物価の短期的な動きは、エネルギー価格など、まあエネルギー価格にとどまらずそういった様々な要因で左右されるために、基調的な動きをやはり評価することが重要ではないかと思っております。この点、需給ギャップの改善と、それから予想物価上昇率の高まりと、このメカニズムはしっかりと作用し続けているのではないかということで、先ほど申し上げたような見通しを持っているわけでございます。
 ただ、御指摘のとおり、こういった様々な指標の動きというものも十分モニターしていく必要があろうというふうに思っております。
#94
○中西健治君 モニターしていくというのはおやりになられていることだと思いますけれども、これ消費増税後ということで、特にこの企業物価指数について私申し上げましたけれども、実はその前から、去年の夏をピークに随分下がってきているということも言えるんじゃないかと思います。二%台の後半まで行っていたものが〇・七というところまで来ています。
 それから、今、総裁、基調的なものということをおっしゃられましたけれども、基調的なものを見てみても今物価がなかなか上昇しづらい状況になっているんではないかということについて、改めて御認識をいただきたいと思います。
#95
○参考人(黒田東彦君) 私ども、基調的な動きを見る一番重要な指標は、やはり消費者物価、除く生鮮食品であるというふうに思っております。先ほど申し上げたとおり、その他の企業物価あるいは様々な物価指数についても十分モニターはしておりますけれども、あくまでも私どもが基調として見ております一番重要な指標は、やはり消費者物価指数で生鮮食品を除くといったものであると思っております。
 そういったものを見つつ、かつ、先ほど申し上げたように、需給ギャップが縮んで賃金も上がり始めている、あるいは、物価上昇期待、期待物価上昇率自体がかなり高いところで推移しているといったことも考慮していく必要があろうというふうに思っております。
#96
○中西健治君 総裁、今、期待物価インフレ率ということをおっしゃられました。日銀が予想物価上昇率について非常に細かくモニターしているというのは、重視しているということを存じておりますが、三枚目の資料を御覧いただきたいと思います。その予想インフレ率、BEIと、よくこれで示されることが多いと思いますが、この財務省が発表している十年物BEI、ブレーク・イーブン・インフレ率ということになりますけれども、これが六月頃から顕著に下がっているということが見て取れるのではないかと思います。
 今日の総裁の報告では予想物価上昇率は全体として上昇していると見られるという御報告でしたけれども、このBEIを見る限りにおいては、予想インフレ率は実は下がっているということなんじゃないかと思います。その点について、その矛盾について黒田総裁の御意見をお伺いしたいと思います。
#97
○参考人(黒田東彦君) 予想物価上昇率は、いわゆるそのハードデータというものがないわけですので、様々な指標を用いて予想物価上昇率を把握しようと努めておりまして、御指摘の物価連動国債を用いたBEIというのも重要な一つの指標でございますが、そのほかにも、企業、家計、エコノミスト、市場参加者に対するアンケート調査などいろいろなものを考慮しております。また、企業の価格や賃金設定行動というものもモニターをしております。
 このうち、このBEIについて、このところ横ばいになっているということは事実でございます。なお、この七月に……
#98
○委員長(古川俊治君) 時間ですので答弁は簡潔にお願いします。
#99
○参考人(黒田東彦君) はい。
 七月に少し大きく落ちたのは、この消費税の関係があってでございます。
 いずれにせよ、BEIも重要な指標でございますので、今後とも十分注視して、予想物価上昇率の動きを把握していきたいというふうに思っております。
#100
○中西健治君 終わりますが、高インフレも困りますけれども、デフレにまた戻ってしまうとこれも大変困るということですので、このナローパス、是非しっかりやっていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#101
○藤巻健史君 維新の党、藤巻です。よろしくお願いいたします。
 本日は、量的緩和の出口戦略についてお聞きしたいと思います。
 国会でも、黒田総裁、何度も聞かれていらっしゃいますけれども、必ず出口戦略を考えるのは時期尚早とお答えになっていらっしゃいます。今日も大久保委員が聞かれましたけれども、そのときも時期尚早というお答えでありました。ただ、昔、ほかの過去の日銀総裁だったらそういうお答えをされていないと思うんですね。
 実は、二〇〇〇年まで私は外資系金融機関におりましたけれども、そのときに、例えば一年先若しくは二年先にインフレになる、インフレが加速すると、そういう予想があれば、総裁はどういう方法でインフレを抑えますかと聞けば、必ずや答えてくれたと思うんですね。例えば公定歩合を上げるとか、預金準備率を上げるとか、売りオペをするというふうに具体的に方法をお答えくださったはずなんです。私は、別に今日も時期とかそれから額とか規模とかを聞くわけじゃなくて、どういう方法があるのかだけを聞きたいと思っておりますので、是非お答えいただければというふうに思っております。
 これはなぜ出口が必要かというと、これ、歴史の示すところ、お金をじゃぶじゃぶにした中央銀行若しくは政府は必ずやハイパーインフレになっているわけですね。これは歴史を無視すれば話は別なんですけれども、なぜハイパーインフレになったかというと、出口がなかったからなんです。ブレーキがなかったからなんです。ですから、出口議論というのは極めて重要なことでございまして、今日はそれを是非お聞きしたいと思っております。
 今日の通貨及び金融の調節に関する報告書概要説明でも、三ページ目、金融政策運営のところで、消費者物価指数二%の道筋はなお道半ばですと。四ページ目に入りまして、下振れした場合、要するに消費者物価が下振れした場合は、ちゅうちょなく調整を行っていく方針ですというふうに書いてございますが、より大きいリスクというのは、二%インフレが達成した後、一〇%、二〇%、三〇%になってしまうインフレだと私は思っております。
 もう一つ、先ほど来、大久保議員が質問されて、お答えがちょっとあれかなと思ったところがあるんですけれども、白川総裁と黒田総裁の違い、これは私、物すごく違うと思うんですよね。それは何かというと、白川総裁は二年から三年までの国債しか買っていないんですよ。今、黒田日銀は、十年国債を大量に買い、三十年国債、四十年国債を買っているんですね。これ、どういうことかというと、白川総裁は少なくとも出口を気にしていたんです。三十年を買ったら出口は本当にあるのかと私は疑問に思います。
 この議論は今日するつもりなかったので次回に回したいと思いますけれども、極めて、私が思うに、出口がないんではないか。ないんだとすると、こんなことをやって、量的緩和なんという政策を、私は政策ミスだと思っていますけれども、量的緩和をやっているとハイパーインフレに行っちゃうんじゃないか。それが行かないというふうに私を説得されるつもりだったらば、きちんとこういうブレーキ方法があるということを御説明いただければというふうに思います。
 質問する前に幾つかの数字を押さえておきたいんですが、これ、時間がないので、担当者の方で結構ですが、数字だけおっしゃってください。
 まず、私が作りました表一ですね、日銀のバランスシート、九月末のバランスシート。これ、数字的に合っているか間違っているかだけお答えいただければと思います。日銀の担当者で結構です。
#102
○参考人(武田知久君) お示しいただいている図表の計数は、本年十月七日付けで公表いたしました営業毎旬報告、平成二十六年九月三十日現在ですが、この計数と同一であります。
#103
○藤巻健史君 そうしますと、これは正しいということなので確認しますが、日銀の引当金は三・八兆円、準備金は二・九兆円ということで、日銀が六・七兆円以上の損失をした場合、日銀は倒産の危機がある、若しくは政府から資本注入するかもしれませんけれども、日銀の信認が極めて危なくなるというふうに私は理解いたしました。
 二番目に、もう一回日銀の担当者にお聞きいたしますけれども、バランスシート、今、表一で国債二百二十九兆円、日銀さんは持っていらっしゃいますけれども、この平均利回りは幾らなのか、一つの数字だけでお答えください。
#104
○参考人(武田知久君) 平成二十五年度におきます国債全体の平均利回りは〇・四八二%であります。
#105
○藤巻健史君 ということは、日銀が持っている保有国債利回りは〇・五%以下でかなり低い、日銀の収入はかなり低いということだと思います。
 次に、もう一つだけ数字を確認しておきたいんですが、財務省の担当官の方にお聞きしたいんですが、直近の国債の外国人保有率は何%かを数字だけお答えください。
#106
○政府参考人(中原広君) 日本銀行の資金循環統計によりますと、二十六年六月末現在、発行から償還までの期間が一年を超える国債の海外保有比率は四・一%となっております。
#107
○藤巻健史君 よく言われていることですけれども、日本人がほとんどで外国人はほとんど買っていないということだと思います。これは、日本人がたくさん買っているという、逆な言い方をすると、外国人にとっては魅力のないということだと思います。
 次に、本題に入りまして日銀総裁にお聞きしたいんですが、あしたの米国のFOMCで、まずテーパリング、要するに量的金融緩和の縮小が完了すると言われております。テーパリングというのは、金利引上げとか、すなわちその出口戦略の前段階だと思いますけれども、そのテーパリングを、米国は終わりましたけれども、日銀はテーパリングをできますか。お答えいただければと思います。
#108
○参考人(黒田東彦君) 現在、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するよう最大限の努力を行っている最中でありまして、出口戦略を議論するのは時期尚早であるというふうに思っております。
 また、出口に向けた対応、その後の政策運営の在り方については、その時々の経済・物価情勢、あるいは市場の状況などによって変わり得るものでございます。出口についての議論というのは当然内部ではやっておりますけれども、今から具体的なイメージを持って外にお話しすることは適当でないと思っております。
#109
○藤巻健史君 それは、テーパリングができないから、そうおっしゃっているんじゃないでしょうか。
 というのは、テーパリング、アメリカではできましたよ。それはなぜかというと、FRBが国債を買わなくても、ドルは基軸通貨ですから、他国の政府が買ってくれるんですよ、外国人が。日銀の代わりに外国人が国債を買ってくれるか。先ほど数字を見ましたように、日本の国債は外国人は興味ないんです。外国人が興味がなかったらば、日銀がやめれば日本人しか買う人いないんですよ。
 先ほど大久保議員も確認していただいたように、そして私が前回確認しましたように、みんな日銀以外は売っているんです。日銀が引いた場合、これ大量の国債を売らなくちゃいけない、政府としては売らなくちゃいけないわけですね。売らないと、資金繰り倒産をしてしまうわけです。
 新発国債、毎年四十兆円の赤字が出ているわけです。それから、日銀が今まで持っていた保有国債が満期が来て、借換国債が発行されるわけです。その国債を誰が買えるんですか。特に、一番こんなに買っている日銀が手を引けば、前回も申し上げましたように、資金運用部、これがちょっと引受けをやめる、それから買いオペをやめるといったときにマーケット大崩れしたんです。
 それで、あのときは、まだ議論としては、いざとなれば日銀法を改正してでも日銀が引き受けてくれるだろうということで、何とかマーケットを保ったんですよ。今、日銀自身が大量に買っているわけで、日銀がいなくなったら誰が買ってくれるか。いないのであるならば、そして外国も買ってくれない、アメリカと違って買ってくれないのならば、いつまでも日銀は買い続けないと政府が倒産しちゃいますよ、これ。資金繰り倒産ですよ。だって、お金くれないんですから。
 そういう状況の下でテーパリングはできるかできないかをお聞きしたんです。これは、出口戦略の前、次の段階ですよ。
 FRBは、九月十七日に出口戦略を公開しています、プレスリリース。あと、ちょっと今日時間なさそうで、次回聞きますけれども、プレスリリースでやっています。プレスリリースで公表しているんです。その前の段階も公表しています。どうしてFRBは公表して、日銀は公表できないんですか。まず、次のステップ、出口戦略の前の前ですよ、テーパリングというのは。その方法も明示できなかったら出口がないと思わざるを得ないと思うんですが、いかがでしょうか。
#110
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げているとおり、現段階で出口について具体的なイメージを持ってお話しするのは時期尚早であり、適当でないというふうに思っております。
 FRBが、最近、政策正常化の原則と計画というのを公表したことは承知しておりまして、その際、短期金利の引上げを先にやって、バランスシートの縮小は緩やかに、かつ予測可能性を持って行うといった方針を示しているということは理解しております。
 我が国の出口ということになりますと、金利をどうするかとかバランスシートの扱いをどうするかということが当然課題になると思いますけれども、何度も申し上げますが、二%の物価安定目標の実現に向けて最大限の努力をしている最中であり、その道半ばの時期において出口のことを具体的に申し上げるのは時期尚早であると思っております。
 米国が今の時点で出口について具体的な計画を公表したということは、まさに米国経済が順調に回復し、日本と違って、物価について二%辺りでアンカーされているという状況の下でそういったことが行われていると承知しておりまして、ほかの国の中央銀行、量的緩和を続けているところがありますけれども、そういうところはまだ物価の安定目標に向けた努力が続いている最中ですので、出口について具体的なことは示していないというふうに承知しております。
#111
○藤巻健史君 何度も申し上げますけれども、私が聞いているのは、単なる一種の頭の体操ですよ。どういう方法があるか。例えば、大学で量的緩和をやったときにどういう方法があるかという、その方法論を聞いているだけなんですからね、実際。昔でいえば、公定歩合を上げるとか準備率を上げるとか、そういう方法論を聞いているのになぜ答えられないのか。まあ私は出口はないと思って、私も長い間金融機関におりまして、私の頭じゃ、どうしたって出口戦略、考えられないんですよ。だから、私は、量的緩和というのは間違いで、マイナス金利政策を取るべきだとずっと申し上げていたんですよね。
 先ほど、愛知議員が最初に、短期国債の金利がマイナスになったということを質問されていましたけれども、あれは私は、札割れ、日銀さんがちょっと計算ミスをしたのか、札割れによってマイナス金利が行っちゃったのか、それはどうでもいいんですけれども、あれは確かに総裁がおっしゃったように結果なんですよ。ですけれども、私は、やはりマイナス金利という、これは先ほどおっしゃったように、当座預金にペナルティーを掛けるというマイナス金利政策を取るべきであって、量的緩和というのは政策ミスだったと思います。
 マイナス金利政策と量的緩和というのは百八十度逆の政策ですからね。量的緩和というのは当座預金の残高をむちゃくちゃに大きくするし、マイナス金利政策というのは極小、最大限小さくする方法ですから、百八十度違う方法で、私はマイナス金利政策を取るべきだったと思うんです。
 それにもかかわらず、量的緩和をやった。要するに、ハイパーインフレ、出口を言えないような量的緩和政策をやったというのは極めてミステークだと思うんですが、いかがお考えでしょうか。
#112
○参考人(黒田東彦君) 私どもの考え方は、委員の考え方と全く違っておりまして、量的・質的金融緩和によって二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということに尽きております。
 出口について具体的に申し上げる段階にないということは、何度も申し上げているとおりでございます。
#113
○藤巻健史君 まあハイパーインフレにならないと思われるのは勝手なんですけれども、その方法を是非教えていただきたいなというふうに思っています。
 出口の戦略が時期尚早、時期尚早なんておっしゃっていたら、誰も信用しないですよ、それはやっぱり。だって、簡単なことで、頭の体操を教えてくれと言っているだけなんですから。これは是非、また何度もお聞きしますけれども、是非具体的な方法を教えていただければと思います。
 ということで、時間、まあちょっと次の質問をすると長くなってしまいますので、一応今回はここで終わりにして、次回、また更にいろいろなことを聞いていきたいと思っております。
 以上です。
#114
○大門実紀史君 大門でございます。
 私も今の関連で質問をしようと思ってはいるんですけれども、今回、黒田さんが総裁になられて、異次元緩和について議論をするのは今日で四回目かと思いますし、予算委員会でもやらせていただいて、何といいますか、円安、株高、なったのは確かですけれども、今指摘されているとおり、グローバルな大企業と株主が潤っていますけれど、やっぱり円安の影響で庶民や中小企業は大変になっているという点でいくと、決して褒められたことが進んできているとは思いません。
 同時に、ずっと私が指摘してきたのは、今もありましたが、日銀が大量に国債を買い込むことのリスクについて一貫して指摘してきましたし、これは、白川さんのときから実は、白川さんでさえやり過ぎじゃないかという議論をしてきたんですけれども、まあ黒田さんになったらもうむちゃくちゃになっちゃって、幾らでも買うような、もう私は異次元というよりも異常な政策だということをずっと指摘してきておりますけれども、さらにREITとかETFもですから、これだけ買い込んだら、あとどうするのという話なんですよね。
 出口戦略も、当然、そんなに買い込むというのも変だから、どこかで手放すんだろうと、売却するんだろうと、そうするとマーケットが許さないよと、あるいは暴落するよと、経済混乱するよというところで、この出口がどうなるんだという話があると思うんですけれども、ひょっとしたらもう手放さないことも出口なのかと思ってしまうぐらい何もおっしゃらないから、思われてしまうというところもあるわけですよね。
 ですから、私は、ずっと一貫して時期尚早だとか、経済への影響を与えるとか、あるいはそのときにならないと手段もいろいろだとおっしゃいますけれども、黒田さん自身がこれはそもそも出口がない戦略だということをもうお分かりになっているから言われないんじゃないか、言えないんじゃないかと。
 出口があるならば、具体的にお聞きしたいんですけれども、要するに保有し続けるんですか。どこかで、やっぱり異常なバランスシートだからどこかで吐き出されるんですか。これはそもそもの話なんですよね、出口の。出口って何かという話なんですけど、それぐらいはお答えできると思うんですけれども、いかがですか。
#115
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げているとおり、出口について具体的に申し上げますと、実際に出口に差しかかったときに、そのときの経済とか市場の動向を踏まえて出口戦略というのは実行されるわけですので、まだ物価安定目標の達成に向けて道半ばのときに言ってみても、そのときの状況とまた違っちゃったりするとかえって市場に対して不測の影響を及ぼしかねないということで、各国の中央銀行とも極めて慎重にやっていまして、今回のFRBの文章も、読んでいただくと分かりますように、いつどのようにやるかというのは書いてないんですね。順序だけ、まず短期金利を上げますと。それから、バランスシートについては、要するに慎重にゆっくりと市場の状況を見ながらバランスシートの調整を行っていきますと言っていまして、そのやり方がどうなっているのかと、つまり、満期が来たものを再投資しないという形で極めて緩やかに減らしていくということなのか、あるいは一部マーケットに売るのか、そういうことも含めてはっきりしておりません。
 ただ、はっきりしているのは、市場とか経済の動向を見ながら緩やかにバランスシートは減らしていくと。その前に短期金利の引上げを行うということだけ言っているわけでございます。
 それはもちろんアメリカの実情に合わせてやっておられることだと思いますので、それ自体は評価してよいと思いますけれども、日本が将来二%を実現し、安定的に持続するという状況で出口を、実際に戦略を実行していくというときには、やはりそのときの経済、特に市場の状況を見ながらやっていくということになると思います。
#116
○大門実紀史君 前も予算委員会で御指摘したかと思いますけれども、アメリカのFRBの、あれは異例な量的緩和ですけれども、日本は異次元、私から言うと異常な、量も質も違って比べられないわけですけれども、黒田総裁言われたのとちょっと違うと思うのは、FRBも、最初は何も言わなかったわけじゃなくて、最初からやはりこのFRBの金融政策の効果とそしてコストについてはずっと言及はしてきたんですよね。出口が近いからいろいろ言っているんだと、衆議院ですか、ちょっとおっしゃいましたけど、ちょっと違うのかなと。そのときに合わせてやはり効果とリスク、コスト等の問題についてはずっと言及してきて、ところが、もちろん中身は違うし、ちょっとなかなかすごい規模のことをやっていらっしゃるから言及しにくいのかも分かりませんけれども、しかし、何もおっしゃらないというのは、やはり藤巻さんからあったとおり、そのことの方が異常じゃないかと、ちょっと私は思ったりするわけであります。
 少なくとも、僕が本当気になるのは、出口というのは本当に緩やかでもそういうふうに吐き出していこうという方向を本当に考えておられるのか、もうここまで来るとちょっとそれも難しくて、別のウルトラCもお考えになっているとか何かじゃないと、ちょっと異常な買い込みだなと思うところもあるわけですよね。そういう点で、いや、緩やかでもどこかで吐き出していくんだと、バランスシートを正常化するんだということであれば、やっぱりFRBのようなやり方を最低限のところだけは説明責任を果たすということは果たされるべきではないかと思うんですけれども、どうなんですかね、今のまま、言わない言わないでいいんですかね。
#117
○参考人(黒田東彦君) FRBの出口の議論につきましても、御承知のように、いろいろな経緯がございまして、そもそも、QE1はカレンダーベースですので時間が限られていたわけですけれども、それでは不十分だということでQE2になりQE3になりということで、しかも、どういうところでそのテーパリングを始め、それから、出口についてやるかという手順についても、前に言っていたこととちょっと違ったことになっているわけですね。
 前は、バランスシートの修正があって、その後に短期金利を上げるようなことを言っておられたんですけれども、それをひっくり返してしまったわけですね。ということは、前言っていたことは実際は市場をミスリードしたことになってしまうということから見ても、やはりこの出口に具体的に差しかかったところで、その経済とか市場の状況を踏まえて金利の調整なりバランスシートの調整をどういう順序でどういう手順でやっていくかということが、まさに市場に大きなショックを与えないような形で当然FRBもやっていくでしょうし、私どもそういったことも十分勘案しながら正常化に向けて、その時点で具体的なことを示していくということになると思います。
#118
○大門実紀史君 私は、昨日、日銀の事務方の方とちょっと話をしてびっくりしたんですけれども、私は市場に影響を与えず、これだけ買い込んだ国債、REIT、ETFを戻していくとしたら、これはかなりの時間が掛かる、市場に影響を与えないでそんなばっと買ってくれるところはありませんからね。そうなると、やっぱり原発じゃないですけど、原発の廃炉じゃないけど、相当リスクを見ながら時間が掛かる問題だと言ったら、そんなことはありませんと言うんですね、簡単に。それじゃ、五年や十年で解決する話なのかというふうに到底思えないんですよね。五年、十年で今の持っているのを吐き出したら、もう暴落ですからね。だから、そうなると、どんな手があるのかと。どんな手があるのかという疑心暗鬼が広がるわけですね。
 結局、ずっと国がファイナンスじゃありませんと言いながらも抱えていくんだろうと。そうすると、それはそれでみんなそれに安堵しちゃって、またこの異常な事態をずっと周りが、それでみんな乗っかっちゃうというような、世の中そのものがおかしくなるんじゃないかと思っているわけでありますので、やはりそろそろ。黒田さんの任期はあと三年ですよね。三年以内に出ますか、そんな方向。方向を出されるおつもりですか、自分の任期中に。いかがですか。
#119
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げていますとおり、二%の物価安定目標の実現、これもできるだけ早期ということでやっているわけですけれども、政策委員会の見通しに沿って申し上げますと、二〇一四年度から二〇一七年度にかけて、二〇一五年度を中心とした時期に二%に達する可能性が高いといっていますので、当然そういった時期には出口戦略についていろいろな議論が行われることは間違いないと思います。
#120
○大門実紀史君 もう一つは、出口戦略に関連して、今マスコミ等々で、あるいは研究者の中で言われているのは、その出口に伴うコスト負担の問題でありまして、日銀も今年の三月、法定準備金への積立額を過去最高の金額にされました。通常は剰余金の五%を積み立てるわけですけれども、それを二〇%積み立てられて一千四百四十八億円ですかね。今まで多いときでも一五%が最高だったと思いますけれども、一千億を超えたことは今までなかったんじゃないかと思いますけれども、これだけの積立てをされてきていると。この剰余金から積立金を増やすということは、イコール国庫納付金が減りますから国に納めるお金が減ると、つまり国民負担がその分生じるというような関係にもあるわけですね。
 したがって、日銀そのものとしては、出口戦略というか、国民に対しては何の説明責任も果たされていないんだけれども、経済のコスト、経済がどうなるかということについて、日銀の中だけではそのときに備えてこうやってもう積立金を増やして、いざというときのコストの対策を立てられているというのはちょっと違うんじゃないかなと。自分たちだけその対策を、コスト、負担の対策を立てて、国民には一向に何も説明責任を果たさないというのはちょっと違うんじゃないかなと思うわけですね。
 あれですか、この多額の積立てをされた理由というのは何なんですか。
#121
○参考人(黒田東彦君) 現在の量的・質的金融緩和といった大規模な金融緩和政策を実施しておりまして、これに伴って、従来よりもこの収益の幅が、振幅が大きくなる可能性があるわけでございます。こうした下で、二十五年度決算では、日本銀行の財務の状況あるいは収益動向等を総合的に勘案して、剰余金について、法定の五%を超える二〇%相当額を準備金として積み立てるということにしたわけでございます。
#122
○大門実紀史君 今日はもうこれぐらいにしておきますけど、日銀だけは、自分たちの世界だけは振幅が大きくなるリスクに備えていると。国民の皆さんに対しては、この先、日銀がやっていることが出口に入ったときに何をもたらすかということについては一向に口をつぐむというのは、もうそういう時期じゃないと、やっぱりきちっとした説明責任を果たしていかれるべきときに来ているということを申し上げて、今日は質問を終わります。
 ありがとうございました。
#123
○中山恭子君 次世代の党の中山恭子でございます。
 今日、いろいろ議論がなされておりますが、私自身は、黒田総裁就任後、昨年四月に日銀が導入した量的・質的金融緩和によって日本経済は確実にデフレを脱却しつつあると言えると考えております。当時のマネタリーベースは、他の先進国に比べても極端に日本の場合は小さい状況でございました。まだまだ気を許せない毎日が続いていると思いますが、あのときの、この二十年、長い時間、デフレマインドが払拭された、あの何とも言えない重苦しい雰囲気が日本から、地方まではこれからかもしれませんが、ほぼ消え去ったと言えると考えております。
 今日の概要説明で、家計部門、企業部門の両部門において高いコンフィデンスが維持されており、所得から支出への前向きな循環メカニズムがしっかりと維持されておりと述べていらっしゃいますが、その中で少し、例えば家計部門について伺いたいと思っておりますのは、労働需給は非常にもう引き締まっているとおっしゃっていらっしゃいますが、これはある意味ではそのネックにならないのだろうかという心配が一つございます。
 ついででもう一つ、私の場合、いろいろ話を聞く相手が年金生活者の場合が多いわけでございますが、この方々は、金利がほぼゼロという状態で物価が上がることが非常に恐ろしい、詰めて詰めて生活していますというような話をよく聞くことがございます。高齢者の消費の動きについてどう見ていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#124
○参考人(黒田東彦君) まず第一点の雇用情勢でございますが、先ほど私冒頭に申し上げたとおり、失業率も三・五ということで構造失業率レベルに来ておりますし、有効求人倍率もリーマン・ショック前のピークを超えるような状況になっておりまして、ある意味で言うと人手不足が顕現化していると。ただ、全ての業種、全ての地域というよりも、例えば建設業とか運輸業とかあるいは小売等でかなり目立った人手不足というのが起こっておりまして、これが例えば公共事業の執行の面とかあるいは住宅建設の面で若干ネックになっているのではないかという議論がございます。
 そういった面では、確かに様々な努力が政府においても必要だし民間においても必要だと思いますが、長い目で見ますと、まさにデフレで経済が沈滞しているときには人口が減り高齢化していくということで人手不足の問題が顕現していなかったわけですが、今は顕現してきているということですので、前向きにその問題には取り組んでいく必要があろうと思います。
 二番目の年金生活の問題は大変難しい問題でありますけれども、二%の物価安定目標の実現ということによってデフレから脱却し経済全体が好循環を遂げていく中で、年金生活者も含めて生活がより安定していくということが期待される。そういう意味では、物価さえ上がればいいということではなくて、あくまでも好循環、実現する下で物価が緩やかに二%に向けて収れんしていくということが望ましいと思っております。
#125
○中山恭子君 また、企業部門につきましては、先ほど西田委員の方から非常に詳しい質疑が行われておりましたので、ほとんど問題ないと思っておりますが、一つ、円安になっても輸出がもたついているという問題がございます。
 もう二十数年以上前ですが、経常収支の中で貿易収支が減少し貿易外収支が非常に大きく伸びていくという予測を立てたときがございます。そのときも本当にこれでいいんだろうかと、やはり日本としては貿易収支が常に黒であってほしいという思いを持ちながらその予測を立てた経験がございます。
 やはり、日本としては物づくりを大事にして、円安によって貿易収支がまた非常に拡大していくというような状況をつくっておく必要があると思いますが、この点についていかがでしょうか。
#126
○参考人(雨宮正佳君) 最近の輸出の動きを見ますと、御指摘のとおり、この間の円高修正、円安傾向にもかかわらず勢いを欠くという状況が続いてございます。この背景としては、やはり日本からの輸出の最大のお得意先でもあります新興国を中心に世界経済がもたついているということですとか、この間、円高の進行過程で製造業で海外生産を拡大する動きが続いたといったようなことが挙げられるかというふうに思っております。
 ただ、先行きを展望いたしますと、先進国、米国を中心に海外経済の成長率が高まっていくということが見通せられますので、その下で輸出は緩やかな増加に向かっていくというふうに考えておりますし、この間、やや長い目で見ますと、かつての過度な円高が修正されるという過程で製造業の海外生産比率の上昇ペースも鈍化するだろうということが見込まれますので、これも海外生産の増大が輸出を下押しするという程度を和らげるという方向に作用するというふうに見ております。
#127
○中山恭子君 いずれにしましても、日本の企業の中で、省力投資だけではなくて、先端技術の設備投資を増やした形で日本の貿易輸出が盛んになるという方向へ持っていっていただけたら大変有り難いことだと思っております。
 今回のこの異次元の金融政策、黒田総裁でなければなし得なかったでしょうと、デフレマインドが払拭されていく様子を見て、率直に敬意を表し感謝していると申し上げたいと思います。
 今日、もう一点、IMFが出した世界経済見通し、二〇一四年十月というのがございまして、ここでインフラ投資について、IMFにおいても公共投資の有用性というものが支持され、済みません、これ質問通告していなかったかもしれませんが、非常にうれしい、今日は西田先生がいらっしゃらないのはちょっと残念ですけれども、非常にうれしいものでございまして、IMFは、インフラの必要性がある国ではインフラ推進の適当な時期である、それから、公共投資は生産の要である、さらに、借入資金によるプロジェクトは、効率的な投資が明確に特定されたニーズを満たすことができれば、債務の対GDP比率を上昇させることなく産出高に大きな効果をもたらし得る、言い換えるならば、公共インフラ投資は正しく行われるならば元が取れるだろうと、そこまでIMFが指摘しておりまして、日本の公共投資に対しても公共事業の経済効果について再考するというような状況が出てきております。
 そのIMFの世界経済見通しでインフラ投資、公共事業について相当誘導するようなことまで述べられているところでございますけれども、日本を見てみましても、公共インフラの整備、現在の日本はまさに新興国と同じ状態、あらゆるインフラを整備し直さなければならないという状況にあると言っても過言ではないと思いまして、最新式の災害に強いインフラ、例えば共同溝の敷設などを含めて、大いに公共事業でインフラの整備をしていく必要があると考えております。
 今、まだ民間需要の拡大というのがそれほど期待できない状態である中、また輸出も余り拡大しないということであれば、今財政出動をして日本を安全な国につくり変える、つくり上げるということを進めていくまさに好機であると考えております。
 財務省のテーマかもしれませんが、そういったときに、IMFの見通しの中では、公共インフラ投資は正しく行われるならば元が取れるとまで言っておりますので、財政規律の確保や日銀の金融政策の自主性というのは大事であることは、重要であることはよく分かっておりますが、必要な公共事業については、その実施のために日銀としても政府とともに知恵を絞っていただきたい、次世代のために、安全な国づくりのために一肌脱いでいただきたいと切に願うものでございますが、この点について御感想、御所見を伺えたらと思います。
#128
○参考人(黒田東彦君) インフラ投資その他財政運営の具体的な点について私の立場からコメントすることは差し控えたいと思いますが、ワシントンの会議に私も出てまいりましたので、そこでG20あるいはIMFの関連の会議であった議論を紹介をしたいと思います。
 これはG20が、特にオーストラリアの議長国が熱心でありまして、単に途上国、新興国だけでなく先進国も含めてインフラの整備を進める必要があるという議論を展開いたしまして、具体的にはG20のサミットで議論され、採択されると思いますけれども、グローバル・インフラストラクチャー・イニシアチブというものを立てまして、具体的に先進国、途上国でのインフラの整備のボトルネックを排除して、それはファイナンスだけではなくて様々な規制も含めてインフラ投資を促進しようということを考えておられます。
 それから、IMFも、今委員御指摘のとおりの議論で、この際、単に短期的な需要を付けるということだけではなくて、むしろ長期的に供給力を増やすためにインフラの整備を考えてはどうかということを述べておられたというふうに認識しております。
#129
○中山恭子君 非常に難しいかじ取りだと思いますが、これからも是非気を緩めずにしっかりしたかじ取りをしていただきたいと期待しております。
 ありがとうございました。
#130
○荒井広幸君 改革の荒井でございます。
 年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFの基本ポートフォリオ変更について、それに関連して今日の通貨、金融調節に関する報告書と関連してお尋ねをさせていただきたいと思います。また、提案をさせていただきたいと思っております。
 GPIFは国内債券を中心に運用しておりますが、この目安を六〇%から例えば四〇%、こういうふうに大幅に引き下げると、こういうことになって株の世界に入っていくということになりますと、GPIFは今持っている国債を売却をしますから国債価格が下落し金利が上昇するリスクがあるのではないかと私は考えています。一方で、市場においては、日銀が国債買入れをするようになるから相場変動の影響は吸収できるのではないかと、こういう見解もあります。
 金利上昇リスクや市場の日銀による下支え、先ほどもありましたが、まあこれも期待ですが、こうしたものについて日銀の見解をお尋ねします。
#131
○参考人(黒田東彦君) GPIFの資産運用の方針につきましては、政府とかGPIF自身で検討が進められるべきものでありまして、私の立場からコメントすることは差し控えたいと思います。
 その上で、日本銀行の国債買入れ自体について申し上げますと、量的・質的金融緩和において長期国債の保有残高が年間約五十兆円に相当するペースで増加するような国債の買入れを行っております。こうした買入れは、先ほど来申し上げているとおり、イールドカーブ全体の金利に下方圧力を加えておって、長期金利は安定的に推移しているというふうに思います。
 日本銀行としては、今後も二%の物価安定目標の早期実現に向けて量的・質的金融緩和を着実に推進してまいる所存でございます。
#132
○荒井広幸君 続きまして、日銀として国内の金利など金融政策面にどう影響が及ぶかというもの、今も答えはあったんですが、改めて、国内債券から国内株式へ一%比率を移行した場合、日銀としては、金利に対する影響、どの程度出ると見込んでいらっしゃるか。
 二つ目。株式の比率上昇による損失リスクが高まれば、将来の年金財政に対する不信を招き、消費の減少につながるということも懸念されます。こうしたポートフォリオの変更が経済の活性化に本当につながるかというところはまだまだ検討しなければなりません。経済の先行きに対してポートフォリオの変更、見直しというのはどのような影響が出てくるか、日銀総裁としての御見解を聞かせてください。
#133
○参考人(黒田東彦君) 繰り返しになりますけれども、GPIFの運用方針自体については、政府やGPIFで検討が進められるものでありまして、私の立場からコメントすることは差し控えたいと思いますが、GPIFに限らず、金融資本市場は様々な要因の影響を受けて変動するものでありまして、日本銀行としては、引き続き、金融市場の動向については注意深く点検してまいりたいと思っております。
#134
○荒井広幸君 なかなかこれは際物なんですよね。今ずっとお話があるように、出口戦略のお話が既にあったわけです。日銀のバランスシートを見ても、果たして、もしこの運用に失敗したら、どうやって国債を引き受けるのか。引き受けて、どんどん今度はバランスシートが崩れていきます。出口戦略どうしていくか、これ直結する問題なんですね。ですから、日銀としては、これはかなりはらはらしながら見ているという、それぐらいの姿勢でなけりゃならないと、このように思うんですね。
 同時に、株高になっても家計の方はまだまだ影響がないわけですから、好循環をさせるときに、株高から持っていくというやり方ではなくて、家計を起点にして好循環をさせていくという起点に変えていくときに私は来ている、これは、アベノミクスの功罪の功を私は高く評価しているんですが、今、次のステージに来たんだなと、新しい三本の矢を用意しなくちゃいけないだろうと、こういうふうに思うんですね。そういうときに、家計あるいは個人というところの起点からこの好循環を回していくというところに政策として入っていく時期に入っているということを黒田総裁には、私の私見ですが、申し上げておきたいというふうに思います。
 そこで、この年金制度の問題なんですが、これは日銀のやはり考えておくべき重要なファクターなんですね。年金制度という要素をこれから考えていかなけりゃ、これからの財政金融政策できないですよ。例えばどういうことかということで厚労省等々に質問していきますので、どうぞお聞きください。
 我が国の年金制度、これ、例えばポートフォリオの話がありましたが、もう一回考えていくと、我々は、運用利回りが今低いから、約束を達成するために今度は少し株の世界にということ、それは理屈は分かりますよ、理屈は。しかし、今この年金に本当に信用があるかというその基本的な問題なんですよ。この年金に信用がないときに、また株の世界に行ってというふうな話になりますと、その百三、四十兆の積立金はありますが、取り崩して今やっているのが現状です。そして、それは同時に、財政に直結している問題なんですよ。
 こういう観点に立つと、年金そのものの安定性というものがいわゆる景気に大きな影響を及ぼしているということです。将来不安があるから今貯蓄を取り崩しているという家庭が非常に多いし、貯金をしていない世帯が三〇%ぐらいあるわけですよ、もう既に。こういったことを考えると、私は今こそ、アベノミクスの功を大としても、第二の段階として、家計、家庭、その中でも年金というところを極めて重要視した政策的対応が必要になってくるということで申し上げたいと思います。
 厚労省にお尋ねしたいと思いますが、株のいわゆる運用比率を上げるために、上げて、そして目標としている数値を出すためには運用の運用益が必要なんですが、今達していないから、そのために株に運用先を向けるということに賛成しているのかどうか。厚労省、お尋ねします。
#135
○政府参考人(山崎伸彦君) お答え申し上げます。
 年金積立金の管理運用は、厚生年金保険法等に基づきまして、専ら被保険者の利益のために安全かつ効率的に行うものとされているところでございまして、被保険者の利益以外の他事考慮をすることは法律で禁止されておるところでございます。
 改訂日本再興戦略におきましても、運用の改革は専ら被保険者の利益のために行うものとされておるところでございます。同じく改訂日本戦略では、こうした被保険者の利益のために行う運用が結果的に成長への投資、ひいては日本経済に貢献して経済の好循環実現にもつながるということにされておりまして、専ら被保険者のための運用と日本経済への貢献は両立するものというふうに考えておるところでございます。
#136
○荒井広幸君 まあ含みは残しましたよね、含みは残した。含みは残しておるんですが、私どもが一番最初に年金通帳というのを世に、法案としても、これはみんなの党さん含めて法案としても出しましたし、新党日本の時代から申し上げまして、そして民主党さん等々の賛同もいただいてきたということがあるんですが、年金通帳の根幹というのは何かといいますと、四十年の保険料の納付金額、四十年ですよ、今、それを毎月積み立てていくというふうに見せかけて通帳に記帳をしていくんです。そして、国等々の、今度は運用益も含めまして、国がこれを入れますから、二分の一、前提として。それによって今一・六倍ぐらいです、一・五倍以上は二十年間で平均余命でもらえるという計算になっているわけです、年金は。四十年毎月積み立ててきたものが二十年平均でいえば一・五倍以上になって戻ってきますということを約束するのが最大の根幹なんですよ、年金の。この保証がないから、今の生活が大変だから納めていない方もいるし、そんなものよりももう別な方に使った方がいいわというケースもあるから四割未納者がいるわけですね。はっきりしているんです。銀行よりも安心、株よりも安全、この約束を契約書として見せるのが年金通帳なんです。
 この年金通帳方式は全く、ねんきん定期便、特別便というのがありますが、まあ私は郵政でしたからこの定期便とか特別便という名前からしてもう賛同し難いものがありましたけれども、この中身はそのような仕組みになっていないんですよ。どうぞ年金通帳、今申し上げましたように、最低でも一・五倍は保証するんだと言わない限りは、これは瓦解しますよ。これ言えないから、この通帳方式にうんと反対している。約束しないものを誰が四十年先に投資するかというふうな意見を言われたら、当たり前じゃないですか。
 年金通帳方式を含めて、今申し上げましたような考え方、それを年金通帳というふうに言っておりますが、どう厚生省はその後考えていらっしゃいますか。
#137
○政府参考人(山崎伸彦君) お答え申し上げます。
 現行の公的年金制度は、将来の保険料を固定した上で、その固定された財源の範囲内で長期的な給付と負担の均衡を図るために将来に向けて給付水準を自動的に調整する仕組みとなっております。
 将来の給付水準は、今後の人口や経済の状況によって変動を受けるものでございまして、少なくとも五年に一度行われる財政検証におきまして、将来の人口や経済を一定の幅を持って仮定した上で、人口や経済の姿に応じて所得代替率や年金額の見通しを明らかにしているところでございます。平成二十一年の財政検証では、どの世代で見ましても、支払った保険料に対して国民年金では一・五倍以上の給付が受けられるという試算をお示ししたところでございます。
 一応こういう試算をお示ししてはおりますが、公的年金制度は世代間扶養を基本とした支え合いの仕組みということでございまして、物価や賃金の水準の変動に応じて年金額が終身受け取れること、あるいは障害年金や遺族年金といった万が一の場合の備えにもなっているといったメリットを有している、このことが最大の特徴と考えているところでございます。
 したがいまして、公的年金と申しますものは、個々人の損得を超えた保障機能を有しているということで、平均余命まで生きた場合に給付が負担の何倍になるかということのみをもってその公的年金のメリットを議論するということは必ずしも適切ではないと考えておるところでございまして、社会保障制度改革国民会議の報告書におきましてもそのような御指摘を受けているところでございます。
#138
○荒井広幸君 適切じゃないというのは、それはもう机の上の人たちが言っていることだけ。国民目線と国民感情というのはすごく重要なんですよ。先ほどの経済財政金融についても、期待値というのは今完全にもう、何と言ったらいいのかな、織り込まれる最大のポイントなんですよ。その期待を約束するという作業をしない限り、変わりますよ、変動しますよ、そして低くなりますよ、また、七十歳になりますよ、そんなことをやっていたら、そもそも誰もお得感を感じないんですよ。世代間の扶養とお互いの相互助け合いだということを分かりつつも、そこをきちんと表明するには見通しじゃなくて約束しなさいと、こういうことを言っているんです。これ、できなければ大変難しい。
 そこで、二つ目の提案です。なぜ民間の、そういう中でも、年金保険等々に入ると思いますか。養老年金、なぜ入ると思いますか。これは総裁だってそうだと思いますよ。例えば、六十歳、七十歳から今度、皆さんもそうですが、もし今二十歳だったとしたら四十年先見通せないでしょう。約束するといったって分からない。ところが、なぜ保険に入りますか、民間の医療保険に。その過程でけがをするからですよ。そこに年金の形態が付いている養老的なもので貯金もありますが、病気しながら、そのときには病気の入院費とか治療費をもらいながら満期が来ればきちんとお金が下りるということで、その満期以降が老後であればそこを保障するというのがあるんです。
 ですから、私は、郵政の活用という意味では、少子高齢化の中でこの保険制度が、年金制度が非常に厳しくなると私は見ていましたから、六割方は大体入っているこの郵便、かんぽですね、かんぽ保険を活用しながら、これとジョイントして、この年金制度とジョイントして、若いときにも疾病、病気をした、入院をしたといったらお金をもらいながら年金ももらえていくということで、本当に人生を通してそういう保障をしていくということを考えていたんです。
 そこで、時間がありませんから結論を言います。
 医療保険、介護保険、これと年金というのを、一人の人間としてずっとこの三保険制度を、世界に冠たるものです、これをスリーインワン、三つを一つにする制度を考えていかないと分母として加入する人が少なくなる、つまりは成り立たなくなるということを私は考えていますので、私が言う医療、介護、年金、この三保険を一つの保険とする検討に入っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#139
○政府参考人(今別府敏雄君) お答え申し上げます。
 今の簡易保険に言わば医療、介護特約を付けていくというような御提案かと思いますけれども、医療保険は御承知のように公的医療保険は現物給付でございます。したがいまして、ただ現金給付で補填をするだけでいいのかというような問題があろうかと思います。
 いずれにいたしましても、それぞれ医療保険の保険者機能でありますとかあるいは利便性とかいろいろと論点があろうかと思いますので、長期的な研究課題とさせていただこうと思います。
#140
○荒井広幸君 仮に消費税を上げることになっても、こうした生活のベース、将来の先が約束される、ある程度の相互扶助を含めて、自分も自助、防衛もしていきますが、そのベースがきちんとしないと、消費税の国民に対する影響というのは、消費に回らないという意味で非常に大きな課題を抱えていると、年金制度はそういう観点から運用等も含めて考えてみるべきだと注文を付けて終わります。
#141
○委員長(古川俊治君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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