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2014/10/16 第187回国会 参議院 参議院会議録情報 第187回国会 法務委員会 第2号
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2014/10/16 第187回国会 参議院

参議院会議録情報 第187回国会 法務委員会 第2号

#1
第187回国会 法務委員会 第2号
平成二十六年十月十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月十五日
    辞任         補欠選任
     有村 治子君     井原  巧君
 十月十六日
    辞任         補欠選任
     井原  巧君     有村 治子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                熊谷  大君
                三宅 伸吾君
                有田 芳生君
                真山 勇一君
    委 員
                井原  巧君
                猪口 邦子君
                牧野たかお君
                溝手 顕正君
                宮沢 洋一君
                柳本 卓治君
                江田 五月君
                羽田雄一郎君
                牧山ひろえ君
                矢倉 克夫君
                行田 邦子君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
   国務大臣
       法務大臣     松島みどり君
   副大臣
       法務副大臣    葉梨 康弘君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  大塚  拓君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   堀田 眞哉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       能化 正樹君
       内閣官房総合海
       洋政策本部事務
       局長       加藤由起夫君
       内閣官房法曹養
       成制度改革推進
       室長       大塲亮太郎君
       総務省自治行政
       局選挙部長    稲山 博司君
       法務大臣官房審
       議官       小野瀬 厚君
       法務大臣官房司
       法法制部長    萩本  修君
       法務省民事局長  深山 卓也君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省保護局長  片岡  弘君
       法務省人権擁護
       局長       岡村 和美君
       法務省入国管理
       局長       井上  宏君
       林野庁森林整備
       部長       本郷 浩二君
       国土交通省政策
       統括官      松脇 達朗君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (裁判員制度に関する件)
 (性犯罪の重罰化に関する件)
 (法の支配に関する件)
 (公職選挙法上の有価物に関する件)
 (再犯防止に関する件)
 (不動産登記制度に関する件)
 (選択的夫婦別氏に関する件)
 (犯罪被害者の支援に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、有村治子さんが委員を辞任され、その補欠として井原巧君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官能化正樹君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(魚住裕一郎君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○三宅伸吾君 皆さん、おはようございます。自民党の三宅伸吾でございます。
 本日は質問の機会を賜りまして、魚住委員長を始め委員の各位に心より御礼を申し上げます。よろしくお願い申し上げます。
 まず、私、今日は裁判員制度についてお話をお聞きしたいと思っております。今国会では裁判員法の改正案が審議される予定でございます。この点につきましては、一昨日の本委員会でも大臣の御挨拶の中で言及がありました。そこで冒頭、大臣の裁判員制度への基本的な考え方をまず確認をしておきたいと思っております。
 松島大臣は、十年前でございます、ある雑誌で、裁判員制度には反対ですというふうにインタビューに答えておられます。少し引用いたしますと、もし私を支持してくれる有権者から裁判員の通知が来たらどうしようと相談を受けたとしたら、私は、やめなさい、行くなら覚悟しなさいとはっきり言うつもりですねと発言をされておられます。
 正確を期すために申し上げますと、このインタビュー記事は裁判員制度の導入を議論している際の発言のようでございます。裁判員法は二〇〇四年の五月に成立をいたしております。導入後の現時点におきましては、松島大臣の裁判員制度に対します考えが違っている可能性も高いのではないかと思っておりますので、裁判員法改正案の審議を前にしまして、法務大臣として松島先生の同制度に対する基本的なお考えをまずお聞かせいただけないかと思っております。
#7
○国務大臣(松島みどり君) お答えいたします。
 今御質問がございましたのは、おっしゃいましたように、裁判員制度ができる前の、およそ十年前の雑誌での私のインタビューなんですが、このときは一議員として裁判員制度に関して、例えば小さな都市などでは裁判員の氏名が被告人に知られる、そうした場合に裁判員の方々が、いわゆるお礼参り、つまり被告人から暴力や脅迫などといったことに後で遭う危険があるといったような危惧を述べた上で、委員が御指摘のような発言をいたしました。しかし、現実に裁判員制度の施行後五年間以上にわたり、その被告人たちから裁判員に対するこういった暴力や脅迫などのいわゆるお礼参りの事案は把握されていないことに一安心している次第でございます。
 また、私が当時、裁判員制度の導入に反対しておりました大きな理由は、裁判員となることの辞退が柔軟に認められないのであれば、国民に過重な負担を課すことになるのではないかと危惧があったからです。しかしながら、制度が施行されてみますと、安心しているわけですけれども、制度が施行されてみますと、例えば裁判員法施行から平成二十六年七月末までの選定された裁判員候補者のうち、辞退が認められた割合は五九・七%、つまり六割近くに達しており、また平成二十五年の統計では、裁判員等選任手続の場へ行ってからその日に辞退を申し立てた裁判員候補者のうち、辞退が認められた割合は九一・四%に上っております。そういったような状況でありまして、裁判員となることの辞退が柔軟に認められており、この点に関する私の当初の危惧は解消されたと思っております。
 さらに、裁判員経験者に対するアンケートによれば、九五・二%の裁判員経験者が良い経験をしたと感じた、そのように回答していること。また、最高裁判所が行った一般の方々への意識調査によれば、裁判所や司法が身近になったと思う旨の回答をした人は五四・〇%、裁判の結果に国民の感覚が反映されやすくなったと思う旨の回答をした者は五六・一%である。こういったことなどからしますと、裁判員制度は、広く国民が裁判の過程に参加することによって司法に対する国民の理解や支持が深まるといった制度導入の意義を果たしてきているものと考えております。
 つまり、私は、裁判員制度導入の議論の際には、いろいろな事情で、先ほど申し上げましたような事情でこれはまずいんじゃないかと思っておりましたけれども、やってみた結果、本当によかったと思っております。
 以上です。
#8
○三宅伸吾君 ありがとうございます。安心をいたしました。
 裁判員制度は、司法制度改革審議会の深い幅広い議論を経まして、国民の司法参加、特に刑事事件における司法参加というところでそれを進めようということで導入されたわけでございます。大臣がたしか法務委員会の委員のときの御発言も私読ませていただきましたけれども、自民党の各部会におきましても、大臣の十年前の御発言と同じような懸念を持っていた議員は多かったと私も記憶をいたしております。ただ、その後、大臣がおっしゃられましたように、様々な制度的な担保がなされまして、大きな危惧はなく国民の中でも浸透しているということで、私自身もほっとしているところでございます。
 今国会におきまして、更に裁判員制度をより国民に定着させるために、よりブラッシュアップするための改正法案が出ていると私は理解しておりますので、また細かな点につきましては後日の委員会で議論もあろうかと思います。
 次の質問でございます。性犯罪の罰則についてというところでございますけれども、一昨日の本委員会で、大臣、こういうふうに御挨拶をされました。刑法の強姦罪の法定刑の下限が強盗罪のそれよりも軽く、強姦致死傷罪の法定刑の下限が強盗致傷罪のそれよりも軽いのはおかしいと述べられたわけでございます。かねて松島大臣の御持論と承知をいたしております。
 お手元に配付をしております資料の資料一でございます。この表を見ますと一目瞭然なんでございますけれども、刑法、平成十六年改正後の一番右のところを見ていただけると分かりやすいと思いますけれども、一番上、強姦致傷、それから二番目、強姦致死、いずれも無期又は五年以上の懲役というふうに法定されております。しかしながら、その下の段、強盗致傷になりますと無期又は六年というふうになっておりまして、五年と六年の差異があるというわけでございます。
 この差異などについて、松島大臣、かねておかしいのではないかというふうな疑問を呈されているわけでございますけれども、そこで法務省にお聞きしたいのでございますけれども、この強姦致傷なら無期又は五年以上の懲役、強盗致傷なら無期又は六年以上の懲役など、強姦と強盗で法定刑に差を、現在付いているわけでありますけれども、これはどういうふうにこの差をこれまで刑法学者は、講学上と申しますか、整理をしてきたのか、立法趣旨も踏まえまして一般的な説明をいただけないかと思います。
#9
○政府参考人(林眞琴君) 御指摘のありましたその強盗罪あるいは強姦罪、こういったものの法定刑の差について網羅的に、理論的にその整理がなされているわけではございませんが、これまで法務省が例えばこういった強盗罪、強姦罪の差についてどのような国会において説明をしたことがあるかという点でお答えいたしますと、例えば強盗罪につきましては、その成立の要件として、被害者の反抗を抑圧する程度の暴行、脅迫が必要とされているのに対して、強姦罪については、反抗を抑圧する程度の暴行、脅迫でなくても反抗を著しく困難ならしめる暴行、脅迫があれば成立するとされていることから、強盗罪と強姦罪を比較してどちらが重いあるいは軽いということを考えるのが必ずしも相当と言えるかどうかは疑問があるという説明をしたことがございます。
 また、次のような説明をしたことがございます。明治四十年に現行法が制定される過程において、帝国議会での修正により強盗罪の法定刑が引き上げられ、その結果、強姦罪の法定刑の方が強盗罪の法定刑より低くなったものと承知しており、これはその当時の強盗をめぐる犯罪情勢の認識などによると思われる、このような説明をしてきたことがございます。
#10
○三宅伸吾君 ありがとうございます。
 一応、今、林局長がおっしゃったような整理があるのかもしれませんけれども、なかなか一般国民にはその説明では非常に分かりにくいような気がいたしております。海外の状況、まだ全てを調べたわけではございませんけれども、強姦と強盗につきまして、同等又は強姦の方が厳しい法定刑を定めている国もあるように聞いております。しっかりとこれから議論をして、女性が輝く国の政府の方針に恥ずかしくない、刑法の分かりやすい書きぶりが大事ではないかと私思っております。
 もう一つ、この裁判員制度との関係で、どのような量刑の変化が、強姦関連の刑事事件の量刑がなされているのか、概略を法務省の方から御説明いただけますか。
#11
○政府参考人(林眞琴君) 性犯罪の中で、また裁判員裁判の対象となっている例えば強姦致傷罪について、この裁判員制度導入後の量刑状況について御説明いたします。また、裁判員制度を導入前と導入後でどのような変化が生じているかについて御説明をいたします。
 まず、強姦致傷罪の量刑状況でございますけれども、最高裁判所が作成しました裁判員裁判実施状況の検証報告書、これは委員からの資料の中にもございますけれども、それによりますと、二十一年五月の裁判員制度施行から二十四年五月末までの強姦致傷罪の量刑を見ますと、一番件数の多い量刑は五年から七年という範囲のものが最多でございます。その次となりますと、その両側に位置します低い方での三年から五年という範囲、あるいは重い方での七年から九年という範囲、こういったものが最も多くなっておりまして、結局、その五年から七年という量刑が一番多い判決となっております。
 それでは、強姦致傷罪が裁判員制度導入前と後の量刑の変化について言いますと、この報告書によれば、裁判官の裁判と裁判員の裁判を比較すると、裁判員裁判の方がこの実刑のうち最も多いという刑期が重い方向にシフトしているという指摘があります。具体的に申し上げますと、裁判官裁判のときには三年から五年というものが一番多い範囲だったものが、裁判員裁判になりますと五年から七年という量刑が最も多くなっている意味で、重い方向にシフトしているという指摘がなされております。
 以上であります。
#12
○三宅伸吾君 刑事裁判に国民が参加をする裁判員制度になって、強姦関連の罪に対する厳罰化と申しますか、量刑が重くなってきたとも受け取られるような統計があるということではないかと思います。事案が必ずしも全て同じだということはあり得ませんので、この統計をもって絶対的に厳罰化の方向だと言い切るのもなかなか難しいかとは思いますけれども、そういう厳罰化の可能性が出てきているという示唆はこの表から読み取れるように私思うわけであります。
 この強姦関係、性犯罪関連の罰則につきまして、刑法改正に向けて法務省の方で性犯罪の罰則に関する検討会の発足準備が整ったと大臣の方から一昨日御発言がございました。この検討会の法的な位置付け、それから、特にどういうことを検討されるのか、検討の方向性、また結論の時期、改正法案提出の段取り等につきまして、現時点で大まかなところで結構でございますのでお知らせをいただけないでしょうか。
#13
○国務大臣(松島みどり君) この性犯罪の罰則に関する検討会でございますが、九月末に発足いたしまして、今月十月の末に最初の会合を開くことができるように、非常にスピードを上げてやっていただいております。
 この検討会は、性犯罪の罰則の在り方全般について検討を行うものであり、具体的な論点につきましては検討会において御議論いただくものですが、例えば、一つ、性犯罪の法定刑が強盗罪等のそれと比較して低過ぎないか、一つ、暴行、脅迫がなくても強姦罪等が成立する年齢、いわゆる性交同意年齢が十三歳未満とされているのは低過ぎるのではないか、一つ、強姦罪等の成立に必要な暴行、脅迫の程度を緩和するなど性犯罪の構成要件を見直すべきところはないか、一つ、親告罪とされている強姦罪等について告訴がなくても起訴できることとするべきかどうかといったようなことなどが検討対象となると考えられております。
 まず、省内の検討会という位置付けで、少なくとも来年の春、暖かくなる頃までに一つの考えをまとめていただいて、もちろん検討会を検討会で終わらせてはいけませんので、その後どういう形で、法制度審議会を開くにしてもどういう部会とかどういう構成でやるのかということをまた考えてまいりたいと思っております。
#14
○三宅伸吾君 是非、しっかりまず省内で御議論をいただいて、できる限り早めに法制審の刑法部会というのでございましょうか、立ち上げていただいて、国民が納得しやすいような刑法の制度整備をやっていただきたいと思います。
 次のテーマに移りたいと思います。テーマは法の支配ということでございます。
 安倍総理が、よく国会それから様々な国際会議の場で法の支配という言葉をお使いになられております。去年の一月から先月末まで、ざっと調べただけでも少なくとも三十七回、総理は法の支配という言葉を国会の本会議又は委員会でお使いになられておられます。また、松島大臣も一昨日の本委員会におきまして法の支配という言葉をお使いになられました。刑事司法実務家を対象とする国際研修、法制度整備の支援といった国際協力に関して、大臣は、国際協力が、我が国が尊重してきた法の支配の理念を各国と共有しようとするもの、各国の法の支配の実現に貢献するものという感じでこの言葉をお使いになられました。
 まず、法の支配という言葉をどのように捉えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#15
○国務大臣(松島みどり君) 私が所信で用いました法の支配とは、権力が正しき法により拘束されることによって人々の権利や自由が擁護されることであると考えております。
#16
○三宅伸吾君 法の支配につきましては様々な定義がありますけれども、私の理解では、憲法を頂点とする広い意味の法律によって基本的人権が確保されているというのが、私は私にとっての法の支配の核心ではないかと思っておりまして、学者の方の御意見もそんなに大きく違ってはいないと思います。細かいところでいろいろな、どこから視点を当てるかによって定義は変わってくるかと思いますけれども、基本的人権の擁護のために憲法の理念を実現するための公権力であるということではないかと思っております。
 それでは、日本において法の支配の実現がどの程度達成されたと考えておられるのか、日本が法の支配がどの程度充足しているかという評価につきまして、大臣の御認識をお聞きしたいと思います。
#17
○国務大臣(松島みどり君) 法の支配というのは、その前に具体的に申し上げますと、憲法が最高法規であること、適正手続の保障、権力の行使をコントロールする裁判所の役割に対する尊重などによって実現されるものであると考えております。
 その前提に立ちまして、我が国におきましては一〇〇%実現していると私は信じております。ですからこそいろいろな途上国に対して法の支配という概念を持っていただきたい、そういう思いの中で法整備支援も行っているところであります。ただ、これについては、常に本当に一〇〇%実現できているのかどうかということを私ども一同しっかりと毎日見極めていくことが大事だと考えます。
#18
○三宅伸吾君 今の質問に関連いたしまして、もう少し突っ込んだ質問をしたいと思っております。
 憲法理念を実現するためには、様々なことで被害を受けた方が司法手続を通じて救済をされるということが大事でございます。例えば、あってはならないことでございますけれども、違法な公権力の行使によって市民の方が損害を受けたとか、人権をじゅうりんされたという場合に、そういった国民の方の利益をきっちり代理をして国を訴える、自治体を訴える、そういう弁護士の活動は私は正しい国の姿だと思っております。
 そういった点も含めまして、我が国の法曹人口の現状、特に権利の救済を受けようとしている方の訴訟代理人を務める弁護士の数も、私は法の支配の充足という意味では大きなファクターだと思っております。我が国における法曹人口の現状について、大臣の御意見を賜りたいと思います。
 それから、その関連で、法務省は多くの法曹を抱えております。裁判所から出向されている方も含めまして、検事さんがたくさんいらっしゃるわけであります。また、法務省は基本法を所管しているわけでございまして、そういった観点から、法の支配と法務省の役割、そしてそのトップに立たれる法務大臣としての抱負をまずお聞きしたいと思います。
#19
○国務大臣(松島みどり君) まず、お尋ねの法曹人口の問題でございますが、昨年六月の法曹養成制度検討会議が、全体としての法曹人口を引き続き増加させる必要があることに変わりはないと取りまとめていると承知しております。そうして輩出される法曹の方々には、御指摘のような、公権力の不当な行使からの救済を含め、国民の権利を守るために様々な分野で活躍していただきたい、そういう思いを持っております。
 他方、適正な法曹人口につきましては、現在、内閣官房法曹養成制度改革推進室で調査を実施中であり、その結論が迅速に出されることを望んでおります。
 先ほどお尋ねの法務省がそれをどのように担っていくということでございます。委員がおっしゃいましたように、法務省という組織は裁判官や検事の経験を有する者がたくさんおります。そして、法務行政の中で、一つは、基本法である法律を社会情勢に合わせて改正したりすることも、こういったことももちろん必要ですし、と同時に、先ほど委員がおっしゃいました、国の行政について、それに不備があって国民の方々が権利擁護を求めてこられるという、そういったときに訟務という形で法と証拠に基づいて立ち会うのも、その裁判がしっかりと行われるようにしていくのも法務省の仕事であると思います。
 加えて、何か起こってから対処するのではなくて、できることならば今訟務の充実という面で考えておりますのは、各省庁に対して言わば顧問弁護士みたいな形で、会社に顧問弁護士がいるように各省の政府の顧問弁護士という役割を果たして、法務省がいろんな施策、各省が法律に基づいてこういう施策を行うけど、これで間違いはないだろうかとか、こういう観点に気を付ければ、後、訴訟にもならないだろうかとか、そういった相談事を引き受けていく、そういった仕事も加味してやっていくべきだと法務省内で我々は今議論しているところであります。
#20
○三宅伸吾君 ありがとうございます。
 先ほど大臣は、法の支配、日本では一〇〇%実現していると思うけれども、日々検証して磨きを掛けていかなきゃいけないというような趣旨の御発言がございました。法の支配の実現度合いの物差しというのは実はないんですけれども、皮膚感覚では何となくは分かるような気がいたしております。
 私が知っております団体にワールド・ジャスティス・プロジェクトというのがございます。配付資料の四ページ、五ページ、六ページ、七ページがその非営利団体のレポートの抜粋でございます。
 このワールド・ジャスティス・プロジェクトというのは、法の支配、ルール・オブ・ローを世界に広めようということを狙いとしている非営利団体でございまして、毎年、世界各国を法の支配の実現度合いというところでランキングをいたしております。お手元にございますのは、四回目のランキングのデータの引用でございます。基本的人権が守られているかどうか、社会秩序の状況はどうか、あと、民事、刑事の司法の使い勝手はどうか、政府の汚職はないかとか、そういった全部で九つの切り口で各国ごとに測定をいたしております。
 二〇一四年のランキングを見ますと、資料四ページの一番左側にありますけれども、日本は結構高いというか、十二番でございまして、古典的な法の支配が生まれた国とされる実はイングランドより一位上にランクをされております。また、アメリカ合衆国は十九位でございまして、アメリカよりイギリスより日本の方が法の支配がうまくいっているというふうにこのワールド・ジャスティス・プロジェクトは言っておりまして、ちなみに一位はデンマーク、二位はノルウェーでございます。この表によりますと、ベネズエラという国が実は九十九位で最下位になっております。
 ただ、一つだけ問題がございまして、この配付資料の六ページ、資料六でございますけれども、日本は総じて全ての調査項目で高い評価を受けてはおりますけれども、一つだけ評価が低いところがございまして、この資料六ページの下側の右の方にシビル・ジャスティスというふうに書いているところがありますけれども、ここでアクセシビリティー・アンド・アフォーダビリティーというのがあるんですけれども、これが極めて低いポイントで〇・四八しか点が取れておりません。いわゆる民事司法におけるアクセスが悪いと、コストが高いというところで、ここが突出して低いランキングというか、スコアしか取れていないというふうにこのリポートは言っているわけでございます。
 私が先ほど大臣に行政事件訴訟の話における弁護士の在り方をお聞きしたのも、司法制度改革審議会は、法曹、特に弁護士を社会生活上の医師だというふうに表現を使っておりまして、お医者さん、ホームドクターがいた方がいいわけでありますし、国民生活の中においても気軽に相談できる弁護士がいる国の方が望ましいと私は思っております。
 そういった意味で、このランキングを見たときに一つ残念だったのは、この民事司法における使い勝手が余り良くないんではないかという国民感情とこのプロジェクトの成果物が結論が一致しているというところで御紹介を申し上げた次第でございます。
 まだまだお聞きしたいことはございますけれども、時間となりましたので、三宅伸吾の質問はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#21
○江田五月君 松島大臣、御就任おめでとうございます。しっかりと職務を果たしていただきたいんですが、その前に、いろいろな大臣が雑音と称された問題がございまして、これもたださなきゃいけない。
 ただ、私は、実は今日は七年五か月ぶりの委員会での質問でございまして、もう質問の仕方もちょっと忘れてきたかなという感じで。なぜこんなことになったかといいますと、三年ほど参議院の議長を務めました。議長は行司役ですから、現場へは降りてまいりません。その後も、議長を務めた者がもう一度まわしを締め直して土俵に上がるというのもいかがなものかという声も当然ありますし、そのことも分かりますので、控えてまいりました。
 しかし、私は実は、大臣の何代前になりますか、法務大臣を務めていまして、昨日の法務大臣なんですが、民主党に明日の内閣という制度がありまして、明日の法務大臣もやれということですので、今日の法務大臣と明日の法務大臣がきっちり議論しなければ論戦が始まらないだろうという、そんな思いもあって今日は立たせていただきました。
 大臣に言わせると雑音問題、これは後ほどしっかり有田委員、同僚委員からこの質問、たださせていただきますが、私は、そうした話と別に、それが大事でないというんじゃないんですが、もう少し法務行政そのものについてお尋ねをさせていただきます。
 まず、先ほども三宅委員から御質問がございました法の支配ということについて伺います。
 衆議院の十月の三日の予算委員会での質疑で、稲田委員から関連の質問がございました。ちょっと読みますと、私は、政府全体として司法戦略を練る時代に突入しているのではないかと思いますと、いろいろ例を挙げて、そういう体制をつくるべきだと思いますが、総理の御見解をお伺いいたしますという質問に安倍内閣総理大臣が、議員御指摘のとおり、国の制度の在り方や政策の根幹、あるいは日本の名誉に重大な影響を与える訴訟が様々な形で増加していることについては、事実であると認識しています。これら訴訟に適切に対応していくことは、国として喫緊の課題であると考えています。政府全体として、しっかりと訟務機能の充実強化に迅速に取り組んでいく、戦略的にしっかりと取り組んでいきたいと思いますと。こういう安倍総理大臣の答弁があって、次に稲田委員が法務大臣に質問を振りまして、松島法務大臣、今、総理からの答弁にもございましたように、ちょっと中略して、国としてこれらの訴訟に適切に、迅速に対応していく必要がますます高まっておりますという答弁をされています。
 つまり、これは、安倍総理大臣の答弁、この答弁は、松島法務大臣としても当然これはこのとおり了解するといいますか、異存はないと、このとおりの答弁でよろしいということでございますか。まず、その確認をさせてください。
#22
○国務大臣(松島みどり君) まず冒頭に、法務大臣として大先輩であり、それより何より国会議員として大先輩である江田委員の久方ぶりの質問に答弁させていただくこと、非常に緊張と同時に楽しくやらせていただきたいと思っております。
 今御質問がございました十月三日の衆議院予算委員会でのやり取りですが、この中で安倍総理が言われました、政府全体としてしっかりと訟務機能の充実強化に迅速に取り組んでいく、戦略的にしっかりと取り組んでいきたいと思うという答弁に関しては、私、法務大臣、そして法務省といたしましても、政府の一員として、同じくしっかりと訟務機能の充実強化に迅速かつ戦略的に取り組んでまいりたいと考えております。
#23
○江田五月君 まあ総理大臣と法務大臣ですから答弁が食い違うことはないと思っておりますが、ちょっと細かなことになってしまうかもしれませんが、本来なら安倍総理大臣にただした方がいいのかもしれませんが、同じ答弁だということなので、松島法務大臣にお伺いをします。
 安倍総理大臣が、日本の名誉に重大な影響を与える訴訟がいろいろな形で起きてきているという答弁をされています。日本の名誉、訴訟で問われる日本の名誉というのは、一体これはどういうことだと思われますか。
#24
○国務大臣(松島みどり君) これは、各種なされている日本の、特に戦時体制下における諸問題について国内の裁判所に提起されたり、あるいは海外の裁判所に提起していることの問題ではないのかと考えております。この点については具体的に質問通告をいただかなかったので、今この場で考えて返答申し上げました。
#25
○江田五月君 これは、私は一般論として分からないわけじゃないんですけれども、しかし、もうちょっと厳密に考えると、国にももちろん名誉もあるけれども、国民にも名誉があるわけです。国と国民と、これは一体その訴訟の場でどういう関係に立つのかということをやはり考えていかなきゃならないと。
 そこで法の支配ということになるんですが、大臣は、今、三宅委員の質問に対して、法の支配についてのお考えを述べられました。三宅委員もいみじくもおっしゃられたように、法の支配ということが始まった元はイングランドだと、そういうお話でございましたが、イングランドということですと、法の支配というのは英語で何と言うんでしょう。発音はどうでもいいですから、答えてください。
#26
○国務大臣(松島みどり君) ルール・オブ・ローと申し上げると思っております。
#27
○江田五月君 そうですね。ルール・オブ・ローで、これは日本語で法の支配と言ってもなかなか、一体、法とは何だ、支配とは何だ、余り言葉だけですっと分かる用語ではないと思うんです。ルール・オブ・ローの日本語訳であることはこれはもう間違いないことでございまして、じゃ、イギリスでルール・オブ・ローというのは一体どういうことなのか。
 私は、実は国会議員になる前に裁判官をやっておりました。その当時に、国民のお金で、国家公務員の在外研究という制度がございまして、私は四期なんですけれども、二年間、イギリスのオックスフォード大学に最高裁判所から勉強に出させていただきました。大変有り難かったと思っておりますが、そのときにある人から、ある日突然私の下宿に訪ねて来られてびっくりしたんですが、江田さん、今度私チュートリアルで、これは教授との個人授業ですよね、チュートリアルでルール・オブ・ローをやることになったので教えてくれませんかと来られまして大変恐縮したんですが。いろいろ話の前にその人がお尋ねになって、江田さん、ルール・オブ・ローというのは日本語で何と言うんですか。その方は法学部の出身の人だったんですけれども、ちょっとびっくりして、これはすごい質問をされたなと。ルール・オブ・ローを日本語で何と言うのかというのは、考えようによっては物すごく深い質問なので困ったんですが。
 イギリスでルール・オブ・ローというのは、ローというのは裁判官なんですね。裁判所が全てルールをちゃんと決めるんですよ、裁判所の前に出ると皆同等なんですよ、これは、女王であろうが平民であろうが、皆平等な立場で裁判所の前に座るんですよと。こういうことがこのルール・オブ・ローの一番の基本で、したがって、同等なんですから、女王は裁判所に行くのは何の障害もない、しかし国民が裁判所の前に行くにはいろいろ障害がある。これではいけない。これは、さっき三宅さんがおっしゃった点ですよね。そうした司法アクセスを、極力取り除いていかなきゃいけないと。こうしたこともルール・オブ・ローの一つなんですが。
 だけど、もう一つ、裁判所の前に行くと本当に武器対等で闘えるのか、そういうことになっているかと。これもルール・オブ・ローの一つの重要なことで、私は、今安倍総理やあるいは松島大臣がお考えの司法戦略、司法戦略という言葉は、これは稲田委員が使われていて、大臣の発言の中には司法戦略という単語自体は、あるいは私見落としがあるかもしれませんが、出てきていないように思いますが、考え方としては、恐らく別に違った考えをお持ちではないと思います。
 ちょっとその点、まず聞かせてください。司法戦略というのはどういうことなのか。簡単に、余りいろいろ敷衍されなくて結構ですので、ちょっとどういうことなのか、教えてください。
#28
○国務大臣(松島みどり君) 司法戦略というのは、先ほど委員が言われましたルール・オブ・ロー、ローは裁判官、裁判所であるというお話でしたが、司法戦略というのは、裁判所の適正な判断をいただくために十分な主張と証拠を裁判所に提供し、適切かつ迅速に対応していくとともに、先ほども少し三宅委員に対して申し上げたんですけれども、言わば法務省が政府の顧問弁護士として、訴訟が起きてから対応するのではなく、それを未然に防止するため、各省庁に法的な支援、アドバイスを行っていくことが言わば司法戦略と呼ぶものではないかと考えております。
 せんだってのアスベストの訴訟などでも、これは確かに戦中戦後のそういった時代の不法行為に国の行動が足りなかったことによるものですけれども、ですから、あの時代に振り返られることができるかどうかは別として、現在同じような事案があるとしたら、将来訴訟になるようなことを避ける、それが国民にとっても幸せですから、それに対して法務省が持っている知識、そして陣容によってアドバイスするということも考える、そう思っております。
#29
○江田五月君 昨日、質問通告をして、いろいろ私の質問に対してこういうふうに答えてほしいなというようなヒントを差し上げましたので、法務省の皆さん方がそれを十分そしゃくして、結構いい答弁にだんだんなってきているようには思うんですが、例えば、今アスベストの話を出されました。提訴から八年掛かっているわけですよね。こうやって、救済が八年も掛からなければ確定しないと。
 これは、司法戦略上どうなんですか。国民にそれだけの大きな負担を与えなければ国民が救済を受けられないと、そういう司法の状況であるということは、司法戦略上、国の名誉は守られているんですか、あるいは守られていないんですか。
 私は、国にも名誉はあるけど、国民にも名誉があると。国民としては、そんなに長い期間掛けていなければ救済されない司法の状況というのは、これは国の名誉はむしろ下がる話ではないんですか。司法戦略上は、こうしたものはもっと早く確定できるように、救済できるようにしていく、そうした考えがなければいけないんじゃないですか。
#30
○国務大臣(松島みどり君) おっしゃるとおりだと思います。
 国の名誉、その前に国民の幸せ。国民の幸せを守れない、そのような訴訟制度、戦略を取っているとしたら、それはやはりこうやって国家賠償をすればいいんだという規定に対しての信頼が揺るぐ、そういう意味も含めて国の名誉が守られなくなる。特に、こうした被害者の方々、原告の方々が高齢になったり病気になられたりして一刻も早くというときには、このおっしゃいました歳月というのは非常にまずいことだと思います。
#31
○江田五月君 国が当事者になるというのは、損害賠償、民事事件だけではありません。これは行政事件ももちろんございます。
 国家賠償で原告勝訴、つまり国が負ける、これがどの程度あるかといいますと、どうも国が負けるのは一割程度だ、九割ぐらいは国は勝つと。これは国の名誉が守られている状態なんでしょうか、どうなんでしょうか。
 私は、もちろん国が訴訟で負けるのがいいということを申し上げるつもりはありません。しかし、行政事件では、行政側というのは行政の手続のプロセスを、これをちゃんと記録に残していて、いろんなプロセスでのやり取りもほぼもう書面になって、ちゃんと訴訟対応ができるようになっている。ある意味で、訴訟になったらどうする、どうなるかを考えながら行政手続を進めておる。
 一方、国民の側は、そんなことを分かりませんから、そのときそのとき一生懸命窓口に訴えて、そこではね返され、はね返され、しかしそういうものは何にも残っていない。そして最後に、もう泣くに泣けず、やむを得ず裁判所に飛び込むというようなケースが私ども知る限りでは多いんだと思いますが。それでも裁判所の前に立つと、行政側は、これはもう、はい、こうです、何も、どこも間違ったところはございませんと。国民の側は、ああだこうだ言っても全部はね返されて、結局は負けると。
 これだけ行政側が訴訟で圧倒的に優位な状況であるという日本の今の裁判の状況、これは日本の名誉に合致するんですか、しないんですか。
#32
○国務大臣(松島みどり君) 一つは、裁判所の判決に関しての評価は差し控えさせていただきたいと思います。と同時に、国の名誉ということが、国家賠償で勝つ率が高いことが名誉なのかどうかは何とも言えない事象だと思っております。
#33
○江田五月君 私は、願わくば、裁判のことをいろいろ論ずるときに、国の名誉という、そういう概念はなるべく使わない方がいいと。そこはむしろもっと権利救済あるいは義務の履行、これが法に従ってきちっと行われるかどうか、そういうことで、名誉という点でいえば価値中立的に考えていった方がいいし、司法戦略も是非そこは、必ず国が勝つんだと、そういう司法、訟務の体制を整えるんだと、そういうことではなくて、むしろ逆に、訴訟になったら勝てるようにではなくて、国民が訴訟までしなくてもちゃんと自分の権利が守られるように、そういう行政手続がちゃんと保障されるように、法務省として、国の顧問弁護士ならそれでもいいですけれども、国民が訴訟にまで訴えなくても自分の権利はちゃんと確保できるように、そういう行政手続を行政全般にわたって整えていくような、そういう法律家としてのアドバイスをすると、そういう立場に是非立っていただきたいと思いますが、異存ありませんでしょうか。
#34
○国務大臣(松島みどり君) まさに法務省が目指すべきこと、政府の中において役割を果たすべきことを江田委員から今御発言いただいたと思っております。そのとおりだと思います。
#35
○江田五月君 ついでにといいますとちょっと恐縮ですが、国家賠償法というのがございまして、これも大臣も御存じだと思いますけど、戦前は、国家無答責、国の官吏は天皇陛下に忠誠を尽くせば、国民にはどうでもいいんだと。天皇陛下に対してきっちりしたことをやっていれば、国民から損害賠償を請求されるということはないと。これは別に日本だけじゃありません。イングランドでも、キング・キャン・ドゥー・ノー・ロングですから、そういうことがずっと続いていましたが、これはやはり法の支配からいうとおかしいということで国が賠償すると。その場合に国家賠償法は、国家公務員が安んじて公務に専念できるように、余り心配しなさんな、公務員が落ち度があっても、そこは国が賠償しますと。そして、故意や重過失がある公務員の場合には、国がまず賠償して、国が後からその公務員に求償すると、そういう立て方にしているわけですが。
 こうした国家賠償法というようなものも法の支配の重要な一つの制度であると思っておりますが、これも異存はないですね。
#36
○国務大臣(松島みどり君) はい。法の支配の中で、公権力は人々の権利や自由を擁護するために法にのっとって行使されなくてはならない。しかしながら、公権力も常に無謬ではありませんから、公権力の行使によって個人の権利や自由を侵害することも生じ得るところであり、そうした個人の救済手段の一つが国家賠償法に基づく損害賠償請求ということだと考えております。
#37
○江田五月君 法の支配ということについてはまだまだいろいろお尋ねしたいこともありますが、次へ行きます。
 大臣は、法務大臣というものはどういうものか、いろんな切り口あるので、ぽっと聞いてもなかなかお答えにくいから、もう少し絞ります。
 これは、参議院の予算委員会、先日ですね、例の夫婦別姓の関係での質問のことです。今日は夫婦別姓自体について議論しようとは思っておりません。そうではなくて、大臣が福島みずほ委員の質問に対して、これはずっと各女性大臣に次々答弁していただいて、最後に松島大臣が夫婦別姓についていろいろ述べられて、したがって、引用です、法務省といたしましては、現在、民法改正による選択的夫婦別氏制度の導入はできないと考えておりますというお答えをされています。その中身を問いません。そうではなくて、法務省としてというのは一体何ですかと。法務省というのは、この場合何を指すんですか。
#38
○国務大臣(松島みどり君) 法務省といたしましてと述べましたのは、法務省全体としての意思決定の結果を述べたためです。
 具体的に申し上げますと、民法を所管する民事局とも十分相談、協議の上、現段階での導入は困難との判断に至りまして、そのことは法務省全体としての意思決定の結果であるという趣旨で、法務省といたしましてはという表現でお答えをいたしました。
#39
○江田五月君 法務省全体としてそういう意思決定をしたことがあるかどうか。
 というのは、私はこれは寡聞にして存じ上げておりません。むしろ逆に、法務省といたしましては、法制審議会にかつて諮問をして、法制審議会から答申が出ておりまして、その答申に従った法整備をするというのが法務省の普通の行政プロセスの立場であろうと思いますが、大臣、私が聞くのは、法務大臣と法務省というもの、この関係なんです。
 これは、行政組織法上は一つの法務省という行政組織がある。法務省の建物もある、地方にもいろいろな機関がある。そこにいっぱい、事務次官をトップにして局長がいる、各部局がある、地方にもいろいろな人がいる、法務局もある。そういう一つの行政組織というものがあります。
 しかし一方で、行政作用法というのがございまして、これは行政行為あるいは行政事件訴訟法などで言う処分、これは誰が行うのかと。法務省が行うわけではありません。行政主体というのは、これは法務大臣で、法務大臣というのが行政の主体で、客体は国民になる。法務大臣の行政行為を補助する、それが法務省全体の機関なんですね。ですから、法務省という組織をつかさどる法務大臣というのは行政庁で、法務大臣という行政庁の意思決定は、あるいは行為は、法務大臣が行うと。あとの全ての法務省の職員は法務大臣の補助機関であると。こういうのが行政法の基本だと思いますが、大臣は、今、そういう意味で法務行政全てに責任を負う行政庁としての法務大臣の立場におられるわけですが、そういう認識はおありですか。
#40
○国務大臣(松島みどり君) そのように認識を、自分のことを、法務大臣という職を認識をしております。
 委員もおっしゃったことと少しダブりますが、法務省職員と法務大臣は、それぞれの役割分担に基づき、一体として国家国民のために職務を遂行すべきものだと考えております。
 具体的に申し上げますと、政策の立案、調整、決定に当たっては、法務省職員は、職務遂行上把握した国民のニーズを踏まえ、法務大臣に対し、政策の基礎データや情報の提供、複数の選択肢の提示等、政策の立案、調整、決定を補佐する。それに対し、法務大臣は責任を持って政策の立案、調整、決定を行うといった関係に立つと理解しております。
 先ほどおっしゃいました選択的夫婦別氏制度導入のための民法改正につきましては、平成八年の法制審議会で、そのように方向性、つまり変更すべきだという方向性は出されておりますが、現在のというか、それから今日に至るまでのそれぞれの時期の法務省、主として民事局ですが、そして現在に至った状況におきまして、世論調査の流れなどを見て、その結果、導入が困難であると、民法改正が困難であるという判断をして、それを受けて私が法務省としてはと述べた次第でございます。
#41
○江田五月君 松島大臣、恐縮ですが、あなたの部下の責任にしてはいけません。あなた御自身の判断としておっしゃらなければいけない。全ての法務省の職員のすることは、これは全てあなたに帰属し、あなたの行為になり、もし間違いがあればあなたの間違いになるわけで、そういう覚悟を持っておやりいただきたい。
 この関係で、検察庁のことをいろいろ伺ってみたいと思っておりました。とりわけ検察庁法十四条の指揮権、こうしたことも伺いたいと思っておりましたが、今日はちょっと時間配分間違ったかもしれませんし、同時に、こうした質問の前提として、法務大臣の例のうちわ問題などが、内輪もめじゃありません、これは重要な問題で、こうしたことがありますので、この点は有田議員に質問していただきたいと。
 これで私の質問を終わります。
#42
○有田芳生君 おはようございます。民主党・新緑風会の有田芳生です。
 今日は、質問のタイトルとしては松島みどり大臣の諸問題についてとさせていただきました。全て大臣にお答えいただきたいと思っております。
 松島大臣は、昭和五十五年、一九八〇年に朝日新聞社に入社をされて、宮崎支局、そして経済部、政治部、そして政界へと進まれました。
 私も実は、松島大臣が朝日新聞に入社して六年後なんですけれども、フリーランスの立場で、当時存在した朝日ジャーナルで毎週のように原稿を書かせていただきました。恐らく、ひょっとしたら廊下で擦れ違ったり、食堂で擦れ違ったりしたのかも分かりませんけれども、私はその朝日新聞の多くの記者、優れた人たちから様々なことを学びました。それは、ほかの新聞社の方々についてもそうなんですけれども、やはり表現者として、文章について、言葉に対して、厳密に使わなければいけない。ましてや今回、大臣は法務大臣に就任をされてお仕事をされているわけですから、今、江田議員の方からもお話ありましたように、大臣として法律の概念というものを正確にやはり表現していかなければならない。
 表現者に加えて法務大臣という重い責任を負っていらっしゃると思いますが、今、御自分の立場、表現者、そして法務大臣としてのお立場というのをどのように判断、認識されておりますか。
#43
○国務大臣(松島みどり君) 私の経歴も述べていただいたわけですが、新聞記者という仕事を経て、そして政治家、現在は法務大臣になっている。表現者、もちろん表現者でありますし、言葉というものに対する敏感性というのは誰よりも強く持っていなければいけない人間だと。
 そういう意味におきまして、先日、これから御質問があるかもしれませんけれども、私自身が、自分が本当に大ざっぱに言ってしまった雑音という言葉が、自分の言葉の選び方がまずかったために、自分の意思とは違う形に当然取られて当然な形に解釈されて、いろんな方に御迷惑を掛けたと。今まさにその問題においては、私はもう本当に毎日、自分自身に対して反省をしている次第です。
#44
○有田芳生君 今お話しになりました雑音発言、十月十日の記者会見、大臣はこのように最後の方で語っておられます。いろんな雑音で御迷惑を掛けたことは残念でございましたと、そういう表現、これ語られましたね。
#45
○国務大臣(松島みどり君) はい。
#46
○有田芳生君 そして、二日前に法務委員会、この場で大臣所信の前にいわゆる謝罪というものをなされました。しかし、私はそれをずっと丁寧にお聞きをしていて、これは謝罪じゃないんだという判断をせざるを得ませんでした。
 実は、十月十日、記者会見で雑音という発言をされたことに対して、参議院自民党の国対委員長は、許すまじき発言だと語られました。さらに、衆議院の自民党国対委員長は、言えば問題になる意見は黙っていた方が得だ、少しよく考えて発言してほしいと。さらには、昨日、衆議院の法務委員会でも、奥野委員長の方から民主党などの質問に対してこう語られました。奥野自民党の衆議院法務委員会の委員長は、皆さん資質問題を聞きたいと言っている、なるべく誠心誠意お答えいただきたいと、こう語っていらっしゃいます。今日の産経新聞は、委員長叱責、棒読みはやめろというようなタイトルになっておりました。
 なぜ私がこういうことを言うかというと、先ほども申しましたように、二日前のこの場での大臣のお言葉、謝罪になっていないんじゃないかという判断をしたんです。それはなぜかということをお伝えしましょう。
 大臣は、まず第一パラグラフの最後に、ざんきに堪えませんという表現取られました。ここだけを考えれば自分の行いに恥じ入ることなんですけれども、次のパラグラフ、ここが核心部分です。本月十日の記者会見において、私自身に対する予算委員会での御指摘や報道について、次です、あたかもそれらが雑音であるかのように受け取られる発言をいたしたことを陳謝いたします。
 あたかも雑音であるかのように受け取られたんじゃなくて、雑音と発言されているじゃないですか。あたかもじゃないんじゃないですか。
#47
○国務大臣(松島みどり君) 雑音という発言しました。私が先ほど申しました、私自身の言葉が本当に大ざっぱだったと申し上げました意味は、私自身は雑音という言葉を、私がいろんなことをやってしまったし、それに対しての説明も不十分で誤解を招いたりして、つまり、法務行政以外のことに雑音を私自身の行動として生じせしめた。私のこと、自分のなしたことを雑音と申し上げたつもり、言ったつもりだったんです、記者会見のときは。
 それに対して、後から聞き及ぶと、各党、参議院の予算委員会の皆様方がせっかくの参議院の予算委員会で審議したこと、そのお言葉を、発言を私が雑音であると言ったように解釈されたというのを知りまして、後で読んだら、自分で読み返したら、確かにそのように取られて当然だなと、自分が思ってしゃべったことは本当に受取手と全然違うばかな言葉遣いをしてしまったんだと、そのようなふうに自分で思っております。
 つまり、これは、あたかも雑音に掛かるというよりは、私自身、あたかも予算委員会での御指摘や報道が雑音だというふうな形で聞こえる言い方をしてしまった自分に対する申し訳なさで陳謝という言葉を使いました。
#48
○有田芳生君 それは違うんです。あたかもという副詞は適切な例えを用いる様子なんですよね。具体的に言えば、例えば花びらのように舞う雪とか、適切な評価としてあたかもなんです。あたかも雑音だったら、雑音というのが適当だったということじゃないですか。
#49
○国務大臣(松島みどり君) あたかもという言葉が、形容詞的に、あるいはいろいろな修飾語として後に来る言葉が肯定的なものについてだけ言うのか、それともあるいは、あたかも何とかのようだと言うときに、何とかのようだがマイナスのネガティブなイメージのことでも言うのか、私自身は、語感としてはいいことだけだとは、自分では感覚上、今辞典を調べたわけでも何でもございませんけれども思っておりません。
#50
○有田芳生君 大臣は昨日の衆議院の法務委員会でも、先ほども御説明なさっていましたけれども、御自身のこととして自分が雑音をまいてしまったという解釈をなさっているということですけれども、しかし、そもそも雑音というのは、これは幾つかの辞書を調べていただいても分かるんですけれども、他人の無責任な話や批評なんですよ。これはもう国語学者で権威ある大野晋さんもそうですけれども、他人の無責任な話や批評。だから、大臣のおっしゃったことは、参議院の予算委員会での質問とかあるいはマスコミの報道などが無責任だというふうに取られてしまったわけですよね。そうじゃないんですか。
#51
○国務大臣(松島みどり君) 国語辞典を引用してもなんでございますが、広辞苑の中には雑音の一つ目で、騒がしい音、不快な感じを起こさせる音というのがあります。私自身がそういう音を発してしまったんだと、そういう意味でございます。
#52
○有田芳生君 松島大臣は昨日の内閣委員会でその雑音問題について謝罪をされましたよね。そのときには撤回するという表現でした。
 ところが、二日前のこの委員会の場では、あたかもというようないろんな解釈が取れるようなことを語り、更にどうかと思ったのは、雑音であるかのように受け取られる発言をした。だから、受け取った方が悪いかのような聞こえ方がしてしまうんですけど、そうじゃないですか。
#53
○国務大臣(松島みどり君) 本当に言葉を取り扱って生きてきた人間として、そのように受け止められる言葉、その陳謝の言葉がそうであったとすると、本当に恥ずかしいことだと思います。
 もちろん、撤回ということの方が正しいのならば、私は撤回でもちろん、させていただけるものならそれで、ただ、記者会見で言った言葉を撤回というのがどういう手続になるのかちょっと分からないんですけれども。
#54
○有田芳生君 次の問題もありますから更に進みますけれども、もう一度最後にこの問題で確認しておきたいのは、そうすると、おとといこの場で大臣が語ったいわゆる謝罪について、私の判断だと、あたかも謝罪であるかのように受け取られる発言なんですけれども、二日前のこの場でのいわゆる陳謝、撤回されますか。そしてまた新たに謝罪をされますか。
#55
○国務大臣(松島みどり君) この全文、全文が間違ってたというふうには思いませんので、この全体の、陳謝全体を、陳謝といいますか、法務委員会での全部の謝罪を取り消してまた新たな謝罪をするということではなく、その大本になりました雑音という言葉を、これは記者会見の場で申し上げたことですけれども、私の基本的国語力の問題として取り消させていただきたいと思っております。
#56
○有田芳生君 先ほど江田議員の方から、大臣と法務省の関係について質問がありました。次の問題として大臣にお尋ねするんですけれども、法務省設置法三条、これはどういう規定でしょうか。
#57
○国務大臣(松島みどり君) 法務省設置法第三条には、「法務省は、基本法制の維持及び整備、法秩序の維持、国民の権利擁護、国の利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理並びに出入国の公正な管理を図ることを任務とする。」と定められております。
#58
○有田芳生君 次にお尋ねいたしますけれども、大臣は、公職選挙法がこの日本の民主主義社会についてどのような意味を持っていると判断されていらっしゃいますか。
#59
○国務大臣(松島みどり君) 日本に公正な民主主義を根付かせるために必要な重要な法律だと考えております。
#60
○有田芳生君 法務省設置法三条にある法秩序の維持との関わりで、やはり公選法というのは非常に大事なものだと、そう理解されていますね。
#61
○国務大臣(松島みどり君) はい。
#62
○有田芳生君 大臣、これは何でしょうか。(資料提示)
#63
○国務大臣(松島みどり君) うちわです。
#64
○有田芳生君 ここに政治家が名前を記入をして、一般の有権者に配布をすれば、これは公選法に違反していますか、それとも合法ですか。
#65
○国務大臣(松島みどり君) 政治家の名前だけだと、それは二つの問題があると思います。公職選挙法で言うその財産上の価値があるものを配ったと言えるか、その使い捨てのうちわが言えるかどうかということが一つと、もう一つ、名前を書いて、名前だけなのか、それともいろいろ政策的事実、今日本で行われている政策的な事実をも含めて書いた資料とも呼べるものなのか、という意図も持ったものかという幾つかのケースがあると思います。
#66
○有田芳生君 大臣、これは何でしょうか。
#67
○国務大臣(松島みどり君) 先日来問題になっております、私が今年の夏から九月の初めにかけて配りました、私の名前とそしてこの一年間の法律、国会で成立した主な法律について概要をまとめた資料を書いた、それを、資料を印刷してうちわの形に、うちわ状の形にしたものであると思っております。
#68
○有田芳生君 うちわという形にしたんですね。
#69
○国務大臣(松島みどり君) はい。結果的にはうちわです。
#70
○有田芳生君 じゃ、それは松島大臣が何度もおっしゃっているように、討議資料という形を借りたうちわじゃないんですか。
#71
○国務大臣(松島みどり君) 討議資料を読んでいただく、そのための形がそのような形になっております。
#72
○有田芳生君 大臣、落語で豊竹屋というのは御存じですかね。上方落語で、落語好きの方は御承知でしょうけれども、ミカンのようでミカンでない、それは何かと尋ねたらキンカン、キンカンという。大臣のこの間の答弁を聞いていますと、うちわのようでうちわでない、それを何かと尋ねたら、討議資料、討議資料。これは成り立たないんじゃないんですか。これで、小学校どこへ行って、あるいは幼稚園行って、これとこれを、みんな、これ何って聞けば、うちわって言いますよ。討議資料なんて誰も言いませんよ。
 恐らく大臣が配られたイベント会場でもうちわの認識しかないんじゃないですか。違いますか。
#73
○国務大臣(松島みどり君) 確かにそれで風を仰ぐ方も多かったですから、そういう意味ではそういう認識をされた方も多いと思いますし、同時に、書かれた中身について、ああこういう法律ができているのかというようなことをおっしゃったり、あっ、もう一度明るいところでちゃんと見るねとおっしゃったりもしていただきました。
#74
○有田芳生君 昨日、衆議院の法務委員会でも議論になりましたけれども、大臣はこの、何といっているのか、うちわのような討議資料というか、討議資料のようなうちわというのか、うちわですけれども、これについて発注伝票、あるいは請求伝票などはもうお示しになりましたか。
#75
○国務大臣(松島みどり君) まだよその委員会などでは提出をしておりません。それぞれの委員会の、問題になった委員会は、参議院の予算委員会がスタートで幾つかの委員会がございますので、それぞれの理事会なり御意向なりをお諮りいたした上で提出させていただきたいと思っております。
#76
○有田芳生君 その発注書などにはうちわって書いてないですか。
#77
○国務大臣(松島みどり君) ちょっと私自身確認していません。近日中に確認ができると思います。
#78
○有田芳生君 理事会に提出していただけませんか、委員長。
#79
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
#80
○有田芳生君 大臣は、参議院の予算委員会の蓮舫議員の質問の中で、有価物である物品ではないと解釈して製作をいたしました。大臣になってからもこういう解釈をされてるんですか。
#81
○国務大臣(松島みどり君) はい。解釈は変えておりません。
#82
○有田芳生君 そうしたら、これからもこういうものはどんどん印刷をして配布をする、そういうおつもりですか。
#83
○国務大臣(松島みどり君) ただ、こうした疑念を招かれ、いろいろな指摘を受けましたので、今後は配布をやめます。
#84
○有田芳生君 やっぱりまずいと思うから、配布をしないんじゃないんですか。そこはどういう判断なんですか。
#85
○国務大臣(松島みどり君) 先ほどの言葉と同じでございまして、まずい、まずくないというのは、私といたしましては、公選法で定める価値のあるものではないと考え、かつ討議資料に資するものだと考えておりましたが、いろいろなお考えが、いろいろな解釈の仕方があるということを学びまして、それで配ることは、配布することはやめようと、そういう考えに至った次第です。
#86
○有田芳生君 昨日、衆議院の法務委員会で柚木議員が質問をされました。そのとき、この経済産業副大臣のうちわを掲げて、ネットオークションでは五千二百五十円で落札されたという言及がありました。実は、これは経済産業副大臣のときのうちわだから五千二百五十円なんですが、何とこの法務大臣のうちわ、今一万六千五百円でオークションで落札しているんですよ。まあそのときはそんな価値はなかったということかも分かりませんが、有価物じゃないですか。違いますか。
#87
○国務大臣(松島みどり君) 私がお配りしたときは、そんな価値などは何も付いていなかったと思います。
#88
○有田芳生君 大臣、二〇〇〇年に宮城県選出のある衆議院議員が辞職をされました。どういう出来事だったでしょうか、お答えください。
#89
○国務大臣(松島みどり君) 特定個人の方の過去の出来事に関しますので、お答えは差し控えさせていただきます。
#90
○有田芳生君 ならば、こちらからお伝えしましょう。
 ある衆議院議員が選挙区で線香セットを配布をしました。その中には御自分の名前も入っておりました。線香セット、五百五十一人に総額五十二万七千二百五十円、単価当たり約九百五十七円です。このうちわに比べれば高いでしょう。だけど、五百五十一人に配られた。一方で、大臣はこのうちわを選挙区内で、あえて言えば無制限に配られたわけですが、これどこが違うんですか。
#91
○国務大臣(松島みどり君) それぞれ個別の事案に関しましては答弁を差し控えさせていただきます。
#92
○有田芳生君 これはもう日本の政治史の事実として、社会的事件として記録をされていることを、あえて個別名は語りませんでしたけれども、どうしてお話しできないんですか。
#93
○国務大臣(松島みどり君) 私自身としては、先ほども申し上げましたように、いろんなイベント会場でいろんな方々、イベントの主催者が配ったり地元の金融機関が配ったり、無料で配ってその場に打ち捨てられている、そういううちわと同じような財産上の価値しか持たない、ただ、法律をいろいろ書いていますから是非一目でも見てほしい、そういう思いで配りました。
 そして、この事案とまた別の方の別の事案を比べて、それが一緒だとか一緒じゃないとか、そういったことは申し上げる立場にないと考えております。
#94
○有田芳生君 昨日も衆議院の法務委員会でそのような発言をされました。
 じゃ、大臣にお聞きします。イベント会場で無料で配られているものと同様のものだと、これが。じゃ、このうちわ以外にイベント会場で無料で配られているものというのはどういうものがあるんですか。
#95
○国務大臣(松島みどり君) 私が見ている限りでは、例えば、たばこを捨てるためのこういう、携帯用のたばこを捨てる袋だとか、あるいは……(発言する者あり)ああ、まあプログラムもそうですね、その団体をアピールするプログラムがいろんな形状で、形で作られていたり配られたり、あるいはティッシュペーパーが、選挙に行こうとか人権擁護とかいろいろありますけど、それ以外のイベントの方でもティッシュペーパーとかポケットティッシュだとか配られていると思います。
#96
○有田芳生君 イベント会場で配られる、今大臣がお示しになった例えばティッシュにしても、あるいはイベントによってはボールペンなんかも配られていることがありますけれども、そこに政治家の名前が入っていれば公選法違反じゃないですか。
#97
○国務大臣(松島みどり君) ちょっと分かりません。
#98
○有田芳生君 もう一度お尋ねします。大臣が語っていらっしゃるわけです。イベント会場で無料で配られているものと同様のもの、その中に例えば今明示されたティッシュというものがあったとする。そこに政治家の名前が入っていたら公選法違反じゃないんですか。分かりませんと法務大臣が答えるんですか。
#99
○国務大臣(松島みどり君) この寄附行為という意味でなくても、名前だけそこに例えば書いてあった場合には、それは文書違反その他、書きぶりによってはいろんなケースがあると思います。
 そういう意味で、分かりませんというのは、その中の名前の書き方とか、あるいはそうじゃないことを書いているとか、いろんなケースがあると思って分かりませんとお答えいたしました。
#100
○有田芳生君 そういう曖昧なことでいいんでしょうか。
 もう一度お聞きをします。先ほどからうちわの話をしてまいりましたけれども、例えば、これは全国どこ探してもあるんですけれども、埼玉県の選挙管理委員会の寄附禁止QアンドA、政治家が自分の名前の入っているうちわやカレンダーを選挙区内の人に贈ることができますか。答えは明白です。どういう答えですか。
#101
○国務大臣(松島みどり君) 埼玉県選管のQアンドAについては見ておりません。
#102
○有田芳生君 じゃ、埼玉県でなくてもいいです。公選法に基づいて政治家が自分の名前の入っているうちわ、カレンダーなどを選挙区内の人に対して贈ることができますか。
#103
○国務大臣(松島みどり君) うちわとかカレンダーというのもいろんな形、形状のものがあります。そして、どんなことが書かれているかもそれぞれでございます。選管が想定しているものがどういうものを規定しているのかが、それは不明でございますので、かつ、それはそれぞれに応じていろいろな判断がなされるものだと思っております。
#104
○有田芳生君 大臣、今朝の毎日新聞の社説をお読みになりましたか。毎日新聞の社説、「松島法相の言動」、「政権にゆるみはないか」ということで今日社説が出ております。そこの中に、うちわは盆踊りなどで配られたもので柄があり、名前やイラスト、成立した法律が記されていた。有価物ではないかと追及された松島氏はうちわのように見えるかもしれないが価値のあるものではない、討議資料などと苦しい釈明をした。だが、うちわはうちわである。当たり前じゃないですか。
#105
○国務大臣(松島みどり君) その文章全体を読んでおりませんので何とも言えませんが、一般に違反であるかどうかというのは法と証拠に基づいてそれぞれの場合に判断されるのだろうと考えております。
#106
○有田芳生君 繰り返しになって恐縮なんけれども、これを持って、どんな子供たちにこれ何と聞けば、うちわ以外何物も言わないんです。子供だけじゃありませんよ。多くの方々、いや、もう全部と言ってもいいぐらい、ああ、うちわですね、それが一般的な認識なんです。だから、それが公選法に違反をしているんではないかという疑惑でこれまで追及をされてきたわけですけれども。
 じゃ、大臣、最後にお聞きをしますけれども、今、弁護士や大学教授などを含む市民団体が東京地検にこの問題について告発をする動きがありますけれども、御存じですか。
#107
○国務大臣(松島みどり君) 存じません。
#108
○有田芳生君 そういう動きが進んでいるようです。ですから、法務大臣がそうした疑惑を更に社会に対して広げていってしまうことに対して、そのことについて御自身はどのように思っていらっしゃいますか。
#109
○国務大臣(松島みどり君) 告発ということでありましたら、それに関連して何か述べることは法務大臣の立場としては述べるべきではないと考えております。
#110
○有田芳生君 国会の論戦が政策本位でなければいけないというのはもうこれは当然のことなんですけれども、毎日新聞の社説も指摘をしておりますけれども、閣僚が自らの問題について説明責任を果たし、政策論争の環境を整えるのは政権側の責務であると。だから、そういう思いがあるから菅官房長官も松島大臣に対して口頭注意をされたんではないですか。どう思っていらっしゃいますか。
#111
○国務大臣(松島みどり君) 官房長官からは私の、先ほど来問題になりました発言の雑音というようなそういう言葉遣い、それは非常に思慮に欠いたものである、十分言葉は大切にして脇を締めていくようにという指導をいただきました。
#112
○有田芳生君 衆議院でも、あるいは私たち参議院でも今後いわゆるテロ資金凍結法などの審議に入らなければいけませんけれども、こうした説明責任が十分果たせないような大臣の下でこれからこの法務委員会というのは着実に進んでいくとお考えですか。
#113
○国務大臣(松島みどり君) 今後しっかりと法務大臣としての職責を果たし、法務委員会で重要な審議がなされることを願っております。
#114
○有田芳生君 大臣に深い重い資質の問題があるということを最後に指摘させていただきまして、質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#115
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。法務委員会では初質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、松島大臣、葉梨副大臣、大塚大臣政務官、御就任おめでとうございます。改めて、着実かつ的確な法務・司法行政、邁進されることを御期待いたしたいと思います。私も微力を尽くさせていただきたいと思います。
 それで、一昨日の大臣所信、大臣、冒頭、世界一安全な日本を掲げ、真っ先に再犯防止について触れられました。私も今、実は超党派で形成されている超党派で再犯防止を進める議員連盟の事務局次長、仰せ付かっております。今日はまず、再犯防止に向けた取組から先にお伺いをしたいと思っております。
 事前に法務省からいただいた資料によりますと、例えば平成二十五年に新たに刑事施設に収容された受刑者の数は二万二千七百五十五名になります。そのうち再入所してきた人、要は再び罪を犯してきた人というのは数にして一万三千四百七人、割合的には五八・九%になります。まさに犯罪の六割が再犯者によって行われているというような状況があると思います。
 大臣の言う安心な日本の実現のためには実効性のある再犯防止策、必要であると思いますが、そこで、再犯防止に向けて現状どのような取組がなされているのか、特に地域で支える仕組み等も含めまして、その辺りを御説明いただきたいと思います。
#116
○政府参考人(片岡弘君) お答えいたします。
 刑務所出所者等のうち住居のない者についてでございますが、その行き先として更生保護施設、福祉施設、医療施設等がありますが、さらにそのほかに最近ではNPO法人等が運営する施設をいわゆる自立準備ホームとして登録していただいております。その登録事業者数は二百八十九事業者となっております。
 また、再犯防止の関係でございますが、刑務所出所者等に対する就労支援につきまして、その事情を理解していただいた上で雇用してくださる協力雇用主に登録をいただいております。その登録事業主の数は全国で一万二千六百三となっております。
 なお、委員御指摘の満期出所者につきましては、保護観察の対象にはならないことから、更生保護法におきまして更生緊急保護として応急的な保護措置を保護観察所の長が行うことができるということで、原則として六か月以内で関係施設、特に自立準備ホームを中心とした施設に宿泊等の委託をするという運用が行われてございます。
 以上であります。
#117
○矢倉克夫君 今、一通り御説明をいただきました。私も弁護士時代、企業法務を中心に扱ってはいたんですが、国選弁護も度々受任もさせていただきまして、特に印象に残っているのは常習累犯窃盗の事案で、前科何犯だったかちょっと覚えていないんですが、初めて被疑者の方にお会いするときにどういう方かなと思って想像しておりましたら、会ってみたら本当にもう人生に疲れたような顔をされて、自分はもう生きている価値がないんだというようなことを私にもう涙ながらに拘置所で訴えているのが非常に印象に残りまして、何としても肉親の方を捜したいという思いで、彼自身が肉親の方がどこにいるのか、ある程度の町しか分からないというような状況があって、ただ、この人に肉親をちょっと見付けないとまた再犯を犯してしまうなという実感もいたしました。
 それで、少ない手掛かりを基にしていろんなところに聞き込みもしたりして、何とかお姉さんを捜し出したというようなことがありました。それを伝えたときに、本当に被疑者の人が感動して喜んでくださった顔が今でも忘れられないところであります。
 私、これをもって改めて思ったんですけど、罪を犯す人というのは人であって人ではないんだと、やはり環境というのが大事なんだなということを改めて実感もした次第であります。やはり、生きるために罪を犯してしまうという、そういう人がなくなっていくような社会、これをどうやってつくっていくかということについて、参考になる取組がありましたので御紹介をしたいと思います。
 配付資料を御覧いただきたいと思うんですが、これ「月刊福祉」という本の二〇一〇年、ちょっと若干前になるんですけど、三月号に書かれていたある論文で引用されていた図になります。非常に細かな説明があるので、ここでちょっと一つ一つ御説明する時間はないので、簡単にポイントだけ申し上げたいと思うんですが。
 まず一つは、刑務所から、これ一、二、三、四、五という形になります。四のところに書いてある、緊急一時シェルターという言葉が書いてありますが、要は、刑務所から出所したり又は判決が出て執行猶予付きということで社会に戻った場合に緊急避難的に住む家、これをしっかり確保していると。これによって、家が見付かるまで路上生活をするようなことがないような取組もしております。
 これまず一点目、こういうような設備を整えているというところと、第二点目のポイントとしては、この図からは分かりにくいんですが、事前に弁護士と社会福祉士がやはりちゃんと連携をしていると。法律の専門家である弁護士が被疑者段階からしっかり情報を把握して、それを福祉の専門家である社会福祉士としっかりつながっていると。
 これをつなげているのが、一のところに弁護士とNPO法人との申込みと受付連絡というような流れになっておりますが、実はここは個別の案件での対処ではなくて、具体的にはこれ埼玉弁護士会なんですが、埼玉弁護士会が採用している社会復帰支援委託援助制度というものが制度として存在をしております。弁護士会があらかじめ指定をした団体に委託料を払った上で、何か被疑者から要望があったときにはそれをすぐにその指定団体につなげるということを制度として取り広げているというようなところがあるかと思います。
 まず、今申し上げた、ちょっと通告と順序を変えまして、社会復帰支援委託援助制度について取り上げたいと思うんですが、弁護士との連携でありますね。被疑者が逮捕、勾留された段階、言わば刑事司法の入口からコーディネート支援ができているということ、これは非常に重要であると思います。
 先ほども法務省の方から話もありましたが、再犯を犯す人は、特に住居がない人が再犯を犯す率というのが非常に多いと。その中で、判決が出た、若しくは執行猶予になってすぐに社会に復帰するというときに、そこから住居のないホームレスの方をしっかり支援をするという体制を組んでももうまさに遅いという状況。そうであれば、被疑者の段階からそういうような対応をしっかりと取っていくようなつながりというのをつくっていくのは非常に重要であるかと思っております。ポイントは、これを個々の事案ごとに対処するということではなくて、制度としてしっかり持っているということ、これは非常に重要なことであるかと思っております。
 そこでお伺いしたいんですが、全国の弁護士会でこのような仕組みが行われているかどうかは定かではないんですが、再犯防止のため、それを推進する法務省としては、このような司法の入口でしっかりと社会福祉士とかにつなげていくような仕組みというのをやはり積極的に支援していくべきと考えておりますが、この点いかがでございましょうか。
#118
○政府参考人(林眞琴君) 今、再犯防止で司法の入口というふうに言われましたが、再犯防止の場合のいろんな社会復帰支援の取組というのは、通常、刑務所からの出所者に対して行うと、こういうことが最初に想定されておりますけれども、一方で、捜査、公判段階、いわゆるまだ刑務所に至る前の、入口の段階での再犯防止支援というのは非常に重要であると考えております。
 捜査、公判段階におきましても、いわゆるまだこれは検察の段階と申し上げてもいいと思いますが、その段階においても、起訴猶予で釈放される、あるいは裁判で執行猶予が付いて釈放される、こういった釈放される者の中には福祉的な支援を必要とする者がおり、またそういった福祉的支援を施せば再犯防止にもつながると考えられる者がおりまして、これに対して検察といたしましても、外部の機関と連携して、確実にその社会福祉サービスの受給でありますとか帰住先の確保につなげられるような取組を現在しているものと承知しております。
 その場合の外部機関の中には、保護観察所はもとよりですけれども、地方の自治体の福祉部門あるいは地域生活定着支援センター、あるいは御指摘のありました弁護士会における取組、こういったものとの連携というものも非常に重要であると考えております。
#119
○矢倉克夫君 大事な点は、制度としてしっかりと整えていくと。弁護士会もこういう形で仕組みをつくっているところもあるので、そういうところと更に連携をして全国展開するように、また積極的に推進をしていただきたいと思います。
 もう一点、先ほど申し上げた緊急一時シェルターについて、やはり民間の力を再犯防止のためには使っていく必要があるなという典型であるかと思います。環境整備という点では、特にこういう公的な施設としては更生保護施設があるわけですが、私、地元である埼玉、私が認識している限りでは更生保護施設も一か所しか恐らくないかと思っております。やはり民間の力を活用することをこういう点では改めて大事なんだなということを実例として私は挙げさせていただきたいと思います。
 そこでお伺いしたいんですが、再犯防止に向けた取組をこういうふうに進めているNPO法人に対してどのような今支援の在り方をされているのか、その辺りを御説明いただきたいと思います。
#120
○政府参考人(片岡弘君) お答えいたします。
 先ほどお答え申し上げましたように、保護観察所の長が自立準備ホームに宿泊等を委託する場合がございます。その場合に、件数ごとに更生保護委託費を支給することができるということになってございまして、その予算額として本年度は三億七千五百万円の予算措置を講じているところでございます。
 なお、その自立準備ホームの登録事業者数、今、登録事業者数を獲得する、増やすということに力を注いでおるわけでございます。NPO法人のほかに、会社あるいは宗教法人、社会福祉法人、医療法人等、様々な形態の施設に登録をいただいているところであります。その運用の実態も様々であることから、今後ともその特性を見定めながら予算の適正な執行に努めてまいりたいと考えております。
 以上であります。
#121
○矢倉克夫君 先ほど自立準備ホームという形で御説明あったと思いますが、もし今データがありましたら、平成二十三年にその制度を発足されたと思いますが、その当初の登録数から今はどれくらい数が伸びているのか、数値を挙げていただければと思います。
#122
○政府参考人(片岡弘君) お答えいたします。
 平成二十三年度は百六十六事業者でございました。それで、平成二十五年度の数字ですが、二百八十九事業者ということになってございます。特に、NPO法人がそのうち百四事業者を占めているという状況にございます。
#123
○矢倉克夫君 今NPO法人と、私、先ほど緊急一時シェルター、例に挙げましたけど、これ実際行ってみましたら本当に普通の一軒家でありまして、外から見たら全く分からないようなところでありました。そこの中に入って、それぞれ出所をされた方に個室が与えられていたんですが、その方々ともお話もしましたが、やはり非常に安定した、しっかり前向きに希望を持った形で次に向かって頑張っていくというような姿勢が見られて、やはり住環境というのは大事なんだなと、心の平静にとって与える部分というのは非常に大きいんだなということを実感もいたしました。
 一部でこういう部分を利用して貧困ビジネスなどもやったりとかしているところもある、大きなところに二段ベッドを何十個も並べて、そこに人を押し込めてお金を取るだけのビジネスをやっているようなところがあると思います。そういうしっかりやっているところとそうでないところ、これもやはり区分けをしていかなければいけない、その前提で先ほど予算も計上されているというようなことありました。
 さらにですが、百六十六あったNPO全体の登録数が二百八十九まで今伸びている。着実に伸びているかと思います。ただ、NPOの方からいろいろ聞くと、やはりなかなかそれ以降頭打ちになって伸びないのではないかというような観測もある。さらに、どうしても業務として成り立たない、ペイしない部分もどうしても出てきてしまうかもしれないと。その辺りはますます、これ財政的な部分もあると思うんですけれども、しっかりと支援の部分も拡充して、より良いNPOの方々が支援に入りやすいような制度をつくっていただきたいと改めて思うんですが、この辺り、いただければと思います。
#124
○政府参考人(片岡弘君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、更生保護施設、これはなかなか収容能力に限りがございます。この二年後には刑の一部執行猶予で出所者が保護観察付きで多数出所してくることが予想されます。その場合には自立準備ホームの収容能力あるいは各種の対応能力に頼らざるを得ないということになろうかと思いますので、更生保護の観点から保護局としてその支援の充実に努めてまいりたいと考えております。
#125
○矢倉克夫君 大臣にお尋ねしたいんですが、再犯防止のための課題は多岐にわたっているわけですが、今日は住環境整備について特にここまでお訴えするためにお話もさせていただきました。
 先ほども一部もう既に御説明あったんですけれども、事前に法務省からいただいた資料によると、平成二十五年に、刑事施設を出所して、そのうち適当な住居、居住先がない満期出所となった者の割合、要するに、出所はしたはいいけれども定まった住所がない人の割合というのは大体二四%いるというふうにお伺いもしております。その上で、平成二十一年から平成二十五年までの間に、適当な帰住先がないまま満期出所となった受刑者のうち、出所後一年未満、もう一年未満で再犯に及んでしまった人、出所したはいいけど帰るところがなくて、じゃそういう人がその後どうなったかというと、一年未満に再犯に及んでしまったのは五四・五%、半分以上が新たに罪を犯してしまうというようなデータもあるかと思います。
 再犯防止のためには、やはり住むところをしっかり確保するような社会政策を取っていく必要も大事なんだというふうに私思っているところではあるんですが、生活保護とかも考えましても、やはり住居がないと生活保護も受けられない、そういういろんなところで波及がしてくる。再犯防止を進める上ではやはり住居の確保という部分も大事であると思っております。
 大臣、所信の中で、保護司の方や協力雇用主の方々への支援充実を訴えられておりました。就労支援であるとかそういう部分、非常に大事な部分はおっしゃるとおりであると思うし、その重要性はまさにそのとおりであるんですが、やはり加えて出所者の住環境の整備についてもより積極的に動いていただきたいと思いますが、その辺りを御決意をいただければと思います。
#126
○国務大臣(松島みどり君) 今委員が非常に熱心に、出所者の人たちが生きていくためにはまず住むところが、居場所が重要であること、そして、いろいろな取組の例をお話になられました。まさにおっしゃるとおりでありまして、今委員が言われたように、居住先がない満期者が二四%、そのうちの五割を超す人が一年未満にまた再犯に及んでいるという事実を考えますと、就労支援以前の、落ち着いて住んでいるところがないと仕事を獲得することもできない。
 そういう意味で、今、更生保護施設はありますが、それだけでは足りない部分などもどうしていくのか、これは本当に今の更生保護施設の充実で済むのか、もっと予算を取ることか、予算だけでなくて、うちが借りられるような手元資金の用意をどういうふうにするのか、そういったことも含めて委員の皆様とも御相談しながら、そして省内を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
#127
○矢倉克夫君 力強いお言葉をありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。
 では、次に行かせていただきます。今の話とまた一部実はかぶる部分もあるのかもしれないんですが、いわゆる司法と福祉の接点についてであります。
 私、先日、埼玉の方で弁護士会の登録もしているんですが、士業間の交流があって行ってきたんですけど、そこで司法書士の先生から言われたのは、やはり今、高齢化社会で成年後見の非常にニーズがどんどん高まってきていると。ただ、受任をする人がやはりどんどん足りなくなってきている、潜在的に人が足りなくて、もうどうしようもなくなっているという。親族後見人はやはりなり手がなかなかいなくて、第三者後見人ということで市民後見人の方もいらっしゃるわけですが、なかなかニーズに合うような方もいらっしゃらなかったりとか、そうすると、やはり専門家後見人ということで、弁護士であったり司法書士であったり、そういうような人々が役割を担っていかなきゃいけないところはあるんですが、数が全然、その部分で受任をしてうまくいくような人がなかなかいないというような話がありました。
 それで、この辺りの事情を調べ上げたデータがあるわけですが、新潟の法テラスと、あと社会福祉協議会が調べ上げたデータがあるんですが、二〇一三年の九月時点で調べたんですけど、例えばこれ新潟の話なんですけど、新潟県内では、成年後見制度に対する需要者数はその時点では五千六百五十三人いると。そのうち、身寄りがないなどの理由で市町村長による成年後見申立てが必要であり、それゆえに第三者後見人が必要なのが千二百二十九人。ただ、それに対しての対応ができる人として登録しているのが三百七十人しかいないと。ニーズよりもやはり四分の一の対応しかできていないというようなことがありました。
 先ほど私も直接聞いた司法書士の方からの話をデータでしっかり裏付けているところではあると思うんですが、この後見過疎の問題、これは、要するに担い手不足の問題ですけど、法務省としてどのように対応されるか、その辺りを御説明いただきたいと思います。
#128
○国務大臣(松島みどり君) まさに後見人が足りない、これだけ決定的に需給の数のギャップということでございますので、今やっている取組といたしましては、法テラスが司法ソーシャルワークの一環として、法テラスの常勤弁護士等が、法的支援が必要な高齢者、障害者の方たちの代理人として成年後見の申立てを行うほか、必要に応じてその成年後見人に就任しております。
 今後、超高齢化社会を迎え、成年後見制度の活用を含めた司法ソーシャルワークの取組は非常に重要であると考えておりまして、さらに、その人数が足りないということと同時に、どこにどういう方が、やってもらえる人がいるかということも分かりづらい問題があると思いますので、法テラスがいろんな相談窓口、そしてまたそのスタッフが応じることができるように、そういった面でも法テラスの取組及び広報活動にも努めてまいりたいと思っております。
#129
○矢倉克夫君 今大臣、法テラスの可能性を御答弁くださいました。私、法テラス、非常に可能性は無限に広がっている、可能性が高いところであると思います。やはり給与制の弁護士さんが常勤でいらっしゃると。やはり個別に受任をするとなかなか業務としてという部分が入ってしまって判断を控えるような方もいらっしゃるんですが、給与制の方がいるということ。あと、やはり全国的に組織がどんどん展開してきているということ。その他も含めて、法テラスが、この後見過疎も含めて、やはり福祉の分野でのニーズをしっかり吸い上げていく、その役割を担うべき大きな可能性はあるのではないかと思っております。
 今、司法ソーシャルワークというお言葉も大臣からありました。先ほどのいろんな午前中からの議論についても司法アクセスというような言葉があったんですが、私、この問題を通じて感じましたことは、人員を増やすこととともに、やはり福祉に関わる方々にとっても司法をより顔の見える存在にしていく必要はあるかと思っております。
 いろんな福祉関係者の方と話もしても、まず法テラスというのがまだそんなに認識もされていないと。あそこに持っていけばいいんじゃないかというようなことを認識されていない方もやっぱりいらっしゃると。その上で、やはり弁護士とかそういう方々に相談しようとかいうような思いにもなかなかならないと。早い段階に弁護士に相談するであるとか、そういうようなやはり気付きというのがこれも大事であるかなと思っております。
 そのためにも法テラス、より積極的に福祉ネットワークに入っていく必要もあるかと思っております。例えば、話が来たときに、受け身の姿勢だけではなくて、ネットワークのある意味つなぎ役として、福祉ネットワークの中の一部にしっかり法テラスというのが入り込むという位置付けをやはり取るためにも、それぞれの連携役であったり調整であったり、そういうような役回りもどんどん担っていくというようなことも必要かとは思っております。
 当然、業務として拡大する必要もあるわけですし、体制を充実させるための予算組みなどもこれから必要になると思いますが、法テラスをまさに福祉事業者を含んだ司法ネットワークのつなぎ役として更に積極的推進をしていくために、法務省にはより積極的に関わっていただきたいと思っておるんですが、この辺りはいかがでしょうか。
#130
○大臣政務官(大塚拓君) まさに、法テラス、そうした社会の結節点としての役割も非常に重要だというふうに考えております。現状は、様々な地域包括センターですとか社協、警察、婦人相談員とか、そういった皆様といろいろ連携、情報交換をさせていただきながら、なかなか自ら法的支援を求めることができない高齢者でございますとか障害者の皆様に働きかけをすると、こういうことを司法ソーシャルワークというところで取り組んできているところでございます。
 一方で、大臣所信的挨拶の中でも触れられておりましたように、法テラスそのものの広報活動、周知、どれだけされているかという問題もあろうかと思います。こういったところ、予算も関わってまいりますので、委員各位の御支援も賜りつつ、法務省としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
#131
○矢倉克夫君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 これから特に爆発的に成年後見の部分に関して、それ以外も含めてやはり福祉の中での法的ニーズを吸い上げる必要性というのは大きくなってくると思いますので、より一層の充実をよろしくお願いいたします。
 時間もあれですので、最後、一言といいますか、今後のあるべき法曹の姿というものをもし御意見をいただければと思っております。
 私、弁護士登録をしていたんですが、実際、実は十三年たって、そのうち弁護士事務所にしっかり在籍をしていたのが、在籍というのは机に座っていたのが三年間ぐらいで、その後留学したりとか、経産省の方に任期付公務員で仕事もさせていただきました。本当にいろんな経験をさせていただいたんですが、その中で得た実感というのは、やはり法曹の持っている能力というかそういうものは社会にとって本当に有益なんだなと。法曹三者という形で枠組みはあるわけですが、先ほど来から話にもあった法の支配、それを、海外の支援の中で法の支配をしっかりと世界的にも広げていく役割も、やはり法曹のリーガルマインドというのは必要になってくると思いますし、行政の中でも法曹の人たちの持っている能力というのを活用していくやはり部分は必要であると思います。
 法曹三者というカテゴリーにとらわれず、やはり社会の中での法のスペシャリストとしての法曹をこれからまた更に養成していく必要あるかと思いますが、将来的な法曹の在り方について、最後、一言いただければと思います。
#132
○国務大臣(松島みどり君) 矢倉委員から御指摘のように、そして委員自身が経済産業省に出向されたり、いろんな経験をお持ちだと今伺いました。実際に政府におきましても、経産省のみならず金融庁その他いろんな役所に弁護士資格を持った方が任期付きの採用という形で来られています。
 法曹制度をこれからどうしていくかということを考える中で、旧来型のこの三つのパターン、裁判官、検事、弁護士というその概念だけでなくて、そういう国の機関やあるいは地方公共団体、あるいは企業、企業でも少しずつ法曹資格持った人を採用するようになっております。そういったところの活動や、あるいは私どもが各地で行っている国際的な法支援、あるいは国際的な法分野でいろんな国に出ていった企業をどういうふうに助けるとか、そういったことも含めて、広い範囲にその法の支配というものに関わる部分をあまねく実現するという観点からもいろいろな広いところでの活躍をしてもらう、それが重要だと思っております。
 実際問題、法曹有資格者の活動領域の拡大に関する有識者懇談会というのを設置いたしまして、その下で、日弁連との共催で、国、自治体、福祉等、あるいは企業及び海外展開の各分野における法曹有資格者の活動領域の拡大に関する分科会を開催して、これらを進めるための取組をやっているところでございます。これからも進めてまいります。
#133
○矢倉克夫君 終わります。
#134
○委員長(魚住裕一郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#135
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、井原巧君が委員を辞任され、その補欠として有村治子さんが選任をされました。
    ─────────────
#136
○委員長(魚住裕一郎君) 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#137
○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 松島大臣が御就任されてから初めての質疑ですけれども、その最初の質疑のときにこのようなことを申し上げなければいけないのは大変残念なんですが、今、松島大臣は、恐らく安倍内閣の閣僚の中で最も国民から注目をされている大臣ではないかなというふうに思っておりまして、先週末も、地元を回って様々な行事に出ていますと、大臣みたいにうちわ配っちゃ駄目だよとか、いろんな方から言われました。また、行田さんは議員宿舎入っているのと、大臣は入っちゃいけないのみたいなことも随分と言われました。
 そうした国民が松島大臣の言動に注目をされている中で、大変にこれも非常に私としては残念なんですけれども、十月十日の記者会見での雑音発言があって、また一昨日の委員会で陳謝をされたということでありますが、その陳謝を私もお聞きしまして、残念ながら、これは何か素直に陳謝されているんだろうかと、反省されているのかなと疑問を持たざるを得ませんでした。その理由というのは、午前中の質疑でもあったとおりでありますけれども、やはり法務行政、司法行政を所管される法務大臣というお立場でありますので、特に言動には御注意をいただけたらなというふうに思っております。このことを申し上げまして、質問に入りたいと思います。
 まず最初に、裁判所職員の採用試験の採点処理ミスについて伺いたいと思います。
 六月、七月にかけて裁判所職員の採用試験が行われたんですが、第二次試験の憲法の筆記試験について採点処理にミスがあって、第二次試験に合格していた十七人が不合格となっていたことが判明したということであります。これに合わせて、一般職試験で本来だったらば合格のはずの方七人が不合格となっていたということが判明したということであります。
 まず、伺いたいと思います。なぜこのようなミスが起きたのでしょうか。
#138
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) お答え申し上げます。
 まず、この度は、今回の過誤によりまして、受験生の皆様、その他関係者の皆様に御迷惑をお掛けいたしましたこと、深くおわびを申し上げます。
 採点処理のミスの内容でございますが、得点をパソコンに入力いたしまして、偏差値に直す計算をした上で得点順に並べ替えるなどの作業をする過程で、受験者と得点の対応関係に誤りが生じたというものでございますが、この事務は五人の職員で担当しておりますが、データ入力の際には複数の担当者でダブルチェックをするなどして確認を徹底する手順となっておりましたけれども、最終的な合否を判定する段階で、受験者の実際の得点と資料に記載された得点を突き合わせるという手順がマニュアル等に抜け落ちておりまして、その結果、その確認作業を怠ったということが原因というふうに考えております。
#139
○行田邦子君 採点結果をエクセルのようなプログラムでいろいろ偏差値を掛けたりとかいうことで、作業でずれてしまったということだと理解していますけれども、それでは伺いたいんですが、正しく採点処理を行っていたら不合格であったはずの受験者が合格となっているのではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#140
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) 今回の総合職試験、八月の時点での最終合格者が三名と非常に少ないという事情がございまして、具体的に申し上げますと個人が特定されてしまうおそれが高いということから、プライバシーの保護の観点から、そのような方がおられたかどうかということをお答えすることは御容赦いただきたいと存じます。
#141
○行田邦子君 それでは、更に伺いたいんですけれども、この合格された方、三人の方に対して正しい採点結果を伝えているんでしょうか。
#142
○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) 現時点では、まだ結果についてはお伝えできておりません。現在、追加合格の措置をとらせていただいた方の第三次試験の準備をしております段階で、そういった最終的な判定作業も終えた後で、御本人への御連絡、どのような形でさせていただくかということを決めさせていただきたいと思っております。
#143
○行田邦子君 何か非常に伺っていて後味の悪い事件だったなというふうに思うんですけれども、再発防止に努めていただきたいというふうに思います。やはり人間ですから必ずミスというのは起こります。それはもう当然だと思うんですけれども、その必ず起こってしまうようなミスをいかに組織として防いでいくのかという体制づくりが重要かと思いますので、この点踏まえて行っていただきたいというふうに思います。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。不動産登記制度について伺います。
 不動産登記制度は、民法、また不動産登記法など法務省が所管をしていますけれども、その登記されている土地所有者の情報を利用している多くの行政機関があります。今日は、まずその登記情報の利用者である様々な行政機関の方にも、省庁の方にもお越しいただいていますので、まず、国土交通省に伺いたいと思います。
 国土交通省におきましては、皆様のお手元にお配りをしている資料の一なんですけれども、平成二十五年三月に、このような森林や農地の所有者不明土地の推計といったものを公表されました。所有者不明の土地は、農地では二〇五〇年までに約十万ヘクタール、森林では約四十六万ヘクタール発生すると。この面積というのは、総農地面積の二%、総森林面積の一・九%に当たるといったものを公表しています。
 国土交通省に伺いたいと思います。どのような問題意識でこのような試算を行って、そしてまた結果を公表されたんでしょうか。
#144
○政府参考人(松脇達朗君) お答えいたします。
 お尋ねの試算につきましては、平成二十四年度に国土交通省が行ったものでございますけれども、今後、人口減少、高齢化等の急激な進行により、所有者の所在の把握が難しい土地が増加すれば国土管理や地域づくり等に障害になるおそれがあるという問題意識から、二〇一〇年から二〇五〇年までの間に発生する所有者の所在の把握が難しい農地と森林の面積について、どの程度になるかという試算、推計を行ったものでございます。
#145
○行田邦子君 済みません、もう少し教えていただきたいんですが、どのような問題意識でこの試算を行ったんでしょうか。
#146
○政府参考人(松脇達朗君) 所有者の所在の把握が難しい土地が増えますと、これによりまして、国土管理とか地域づくりについて、障害、支障が生ずるおそれがあるということで、そのような問題意識に基づきましてこの試算、推計を行ったところでございます。
#147
○行田邦子君 国土管理、それから地域づくりといった視点もありますし、また、恐らく国土交通省さんですと、公共事業、様々なことを行っていますので、こうした例えば道路を造るといった公共事業を行うときに、土地の所有者を特定してお話をしてそして用地買収をしなければいけないということも多々あろうかと思います。そういうときに土地の所有者が分からないと非常に公共事業も遅れてしまうと、こういった問題もあるのかなというふうに思っております。
 そこで、続けて国土交通省に伺いたいんですが、公共事業等のために土地所有者と連絡を取るような必要が生じた場合、どのようにしてその所有者を特定しているんでしょうか。
#148
○政府参考人(松脇達朗君) 国土交通省が公共事業を実施する場合には、まず土地の登記記録により土地所有者の住所、氏名等を確認した上で、所有者が個人である場合には、戸籍簿、住民票等により、登記名義人の転居、死亡等の有無を調査いたします。また、所有者が法人である場合には、法人登記簿、商業登記簿により、法人の代表者等の変更の有無を調査し、所有者を特定しております。さらに、登記記録や戸籍簿等の調査だけでは真の土地所有者を特定できない場合には、地元自治体の協力を得たり、あるいは周辺住民の聞き込みを行う等、更なる調査を重ねまして所有者の特定を行うこととしております。
#149
○行田邦子君 先日も国土交通省の方とお話をしていて、実際、土地の所有者を捜すのに苦労することが多いというお話でした。登記をまず見るんですけれども、登記の権利の部に所有者が書いてありますが、その方がお亡くなりになっている場合は戸籍をたどらなければいけない。ただ、なかなかそれがうまくいかなかったりとか、あるいは、中にはその権利の部が空白になっているという土地もあったりするということでした。ですから、登記の情報が正しいか正しくないかによって非常に公共事業にも支障を来すということではないかなと思います。
 続けて、農林水産省に伺いたいと思います。この国交省の推計というのは、農地と林地、森林の土地を対象にしたものなんですけれども、そこで伺いたいんですけれども、農地や森林の土地の所有者が不明だと森林・林業の再生や、また地域の農業の活性化などにどのような支障を来すんでしょうか。
#150
○政府参考人(本郷浩二君) お答えいたします。
 森林につきましては、所有者が不明の森林が増加した場合、施業の集約化が困難となり、利用間伐の実施や路網の整備など、効率的な森林経営の推進を図る上で支障となりかねないと認識しております。
 このため、平成二十三年の森林法改正により、新たな森林の土地の所有者の届出制度、他の行政機関や部局が有する森林所有者の情報を利用できる制度、所有者不明森林における間伐の代行や林道等の設置を可能とする仕組みを措置したところでございます。
 また、農地につきましては、所有者の不明の農地が増加した場合、農地が適切に管理されず耕作放棄地が増大し、農地の利用集積を図る上で支障となりかねないと認識しております。このため、平成二十一年の農地法の改正で、農地相続時の農業委員会への届出が義務付けられたことに伴い、市町村へ死亡届出を提出した際に農業委員会への届出を促す指導を多くの市町村が行っているほか、本年四月の改正農地法で、所有者不明の農地は、公示を経て都道府県知事の裁定により農地中間管理機構に権利が設定される措置を講じることにより、適切に管理を行えるようにしているところでございます。
 農林水産省としましては、都道府県等と密接に連携し、森林や農地の所有者の適切な把握、管理に努めてまいりたいと考えております。
#151
○行田邦子君 今、御答弁の中に、森林の土地の所有者が不明だと路網を入れようにもなかなかできないといった森林・林業再生、また地域の農業の活性化にも支障を来すということの御答弁をいただきましたが、そこで、今御答弁の中にもあった森林の土地を新たに取得した場合の届出制度について伺いたいんですけれども、この届出制度を導入した理由というのは森林の土地の所有者が不明な場合が非常に多いという問題意識からだと思いますけれども、この届出件数の実績と、それから届出制度の認知状況を教えていただけますでしょうか。
#152
○政府参考人(本郷浩二君) お答えいたします。
 新たに森林の土地の所有者となった者による市町村への届出の件数につきましてでございますが、制度がスタートいたしました平成二十四年四月から当年の十二月までの九か月間に約一万五千件となっております。
 届出制度の認知状況につきましては定量的に把握することは難しゅうございますが、本制度につきまして、これまでパンフレットの配布や自治体の広報紙、業界紙への掲載を通じて、森林所有者、都道府県及び市町村の林務担当部局や林業団体、これに加えて、さらに行政書士団体、不動産関係の団体等、また市町村の住民窓口担当部局が提供する相続時の手続リスト、こういうものに記載していただくことなどの対応をいたしまして、幅広い関係者に周知をしているところでございます。
 今後とも、自治体や関係機関と連携を図りながら、本制度の一層の周知を図ってまいりたいというふうに考えております。
#153
○行田邦子君 年間で一万五千件届出ということですが、この件数というのは農水省として少ないのか多いのか、どう捉えていますでしょうか。
#154
○政府参考人(本郷浩二君) 本制度につきましては平成二十四年の四月からスタートしたところでございますので、私としては十分な数字であるとは思っておりません。今後とも十分に制度の周知を図ってまいりたいというふうに考えております。
#155
○行田邦子君 できたばかりの制度ということですが、まだまだ、こういう罰則規定もある届出制にもかかわらず、なかなか十分に届出がなされていないというような状況かと思います。
 そこで、平成二十三年の森林法の改正では、届出制だけでは足りないんではないかということで、登記の情報を市町村が共有できると、データ単位でもらえるというような情報共有規定も盛り込んだわけですが、実際には、市町村においては、この登記の情報をデータで共有できる、もらえるといったことは、かなりその所有者特定には実際には効いているんではないかなというふうに理解をしています。
 そこで、もう一つの、今現在、その登記情報を利用している関係省庁に伺いたいと思うんですが、内閣官房の総合海洋政策本部に伺います。
 最近、無人島、離島に名前が付けられたということで話題になりました。これらの島というのは、我が国の領海あるいはEEZを根拠付ける重要な離島であります。そうした島に名前が付いていないと心もとないということで、まず名前を付けたわけでありますけれども、今、更に何をしているかというと、こういった領海外縁を根拠付ける離島の低潮線を損壊されては困ると、国土保全という意味でもしっかりと所有者を把握していかなければいけないということで、総合海洋政策本部ではこうした約五百ある離島の所有者の特定作業を行っていますが、具体的にどのような作業を行っているのでしょうか、簡潔にお願いします。
#156
○政府参考人(加藤由起夫君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、名称は付けました。その後、今、所有者情報の調査を進めてございます。具体的に、土地所有者の把握につきましては、不動産登記簿それから国有財産台帳や公図を確認することによって調査を進めているところでございます。これらにつきましては、不動産登記簿、国有財産台帳や公図の確認に当たっては、いろいろまた土地の所有関係が複雑である場合もございますので、当該土地の所有者の特定をするということにつきまして、ただいま関係省庁と連携を図りつつ鋭意作業を進めていると、こういう状況でございます。
#157
○行田邦子君 この作業はたしか昨年の六月ぐらいから始まったと思うんですけれども、当時の大臣、山本大臣は二年で完了すると言っていましたが、今どのぐらいまで来ているのか、あといつ完了するのか、お答えいただけますか。
#158
○政府参考人(加藤由起夫君) 前回先生に御質問を賜ったときは、まだ名前も付けていない、数もよく分からないという状況であったと思いますが、今大体、無人離島の約八割につきましては、いわゆる所有者のない無主の島であるということが判明してございます。残りにつきまして、先ほど申し上げましたように、いろいろ土地の所有関係が複雑である場合もございますので、これらにつきまして鋭意作業を進めていきたいというふうに思っております。
#159
○行田邦子君 なかなか困難を極めているというふうにお聞きをしております。
 そこで、法務省に伺いたいんですけれども、登記を見ても、その情報が正しくなかったりということはよく言われます。又は権利の部が空白であったりと、なかなか真の所有者を特定できないということがよく言われていますけれども、それでは伺いたいんですが、所有者不明の、ここでは農地、森林に絞らせていただきます、所有者不明の農地、森林の土地はどのぐらいあるんでしょうか。
#160
○政府参考人(深山卓也君) 先生御案内のとおり、不動産登記制度は、民法の百七十七条の規定を受けて、物権変動の過程を登記簿に記録してこれを公示するいわゆる対抗要件制度でございます。そうしますと、登記の上で所有権取得時における所有者の住所というのは記録されておりますが、その登記後に所有者の住所が変更されたというようなことがあったとしても、その住所変更の登記は義務付けられておりませんで、次の物権変動、更なる転売とか、物権変動があったときにその住所の登記も是正すれば足りると、こういうふうにされております。
 このように、不動産登記制度は所有者の現在の住所を明らかにする仕組みとはなっておりません。権利移転時、物権変動時の住所を明らかにするという仕組みになっているものですから、登記制度を所管する法務省として、その御指摘のような、所有者の現在の所在が不明となっている農地、森林がどれぐらいあるかについて、お答えをすることができない状況にございます。
#161
○行田邦子君 例えばなんですが、これはよく例として挙げられるのが、北海道が平成二十四年、平成二十四年だったと思いますが、に水源地を守るということで、一万数千件の登記簿情報からその所有者に対してアンケートを郵送したところ、四割が宛先不明で戻ってきてしまったと。登記の情報というのはこのようなものなんだということがよく言われます。
 これまでも質疑の中でありましたけれども、公共事業や、また産業の振興だけではなくて、復興にも支障を来すといったことも言われています。どうにかならないのかなというふうに思っていまして、やはり一番大きな土地の所有者のデータベースというのは登記ですので、これを、登記を義務付けするということを検討してはいかがでしょうか。大臣に伺います。
#162
○国務大臣(松島みどり君) 委員がおっしゃる登記の義務付けというのは、不動産登記を効力要件とする制度への移行ということではないかと思っております。ただ、他方、我が国では、先ほど深山局長も申しましたように、所有権の移転は当事者間の合意のみで効力を生じて、これを当事者以外の第三者に主張するためには不動産登記を必要とする、いわゆる対抗要件の制度を採用しております。
 対抗要件の制度を効力要件の制度へと変更するということは、我が国の不動産取引に関する法制度を根本的に変えることになりますので、困難であると考えている次第であります。
#163
○行田邦子君 確かに、日本の登記制度は第三者への対抗要件ということであります。諸外国見ると、いろいろあるかと思いますけれども、効力要件という義務付けということになると思いますけど、という制度を用いているところもあります。
 この日本の登記制度を義務付け、義務化するとなると、民法の根本から変えていかなければいけない、大変に大きな問題になろうかと、そこは承知はしているんですけれども、ただ、このまま余りにも国土の所有者が不明、分からないと、行政が事務を執行しようとしても所有者がなかなか特定できない、安全保障上離島の所有者を特定しようとしてもできないというのは、やはり私はこれは大きな問題だと思っていまして、もちろん登記制度だけで解決できることではないとは思うんですけれども、土地法制全体でも見直すべきとは思うんですけれども、ここは何とか、登記を所管する大臣としても何か解決策はないのか、もう一度伺いたいと思います。
#164
○国務大臣(松島みどり君) まさに委員のおっしゃる、もう本当に問題が多いテーマだと思っております。ただ、どうしても、明治二十九年の民法制定以来、不動産取引につきましては登記を対抗要件とする法制度を取ってまいりましたので、これを改めるということになりますと、取引関係者の理解を得ることが難しい、そしてまた社会的にも膨大なコストが必要となるため、非常に困難な問題だと考えております。
#165
○行田邦子君 今日は一般質疑ということで、私の問題意識を言わせていただきまして、そしてまたこの後も、登記を中心とする土地法制について、国土をしっかりと保全するという視点からも考え直していかなければいけないという思いで、機会があれば質問させていただきたいというふうに思っております。
 質問を終わります。
#166
○真山勇一君 維新の党の真山勇一です。
 私の松島大臣に対する御質問というのは今回初めてになります。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めての質問なんですが、やはりうちわ問題からということで、ちょっと非常に残念な気もいたします。というのは、うちわですから、あおげば飛んでしまいそうな小さな問題だという、そうした見方もありまして、なかなか私もどう扱うべきかというふうに悩みましたが、やはりこれは法の問題、そして松島大臣は法務大臣ということで、やはりこの辺は是非けじめを付けていただけるような答弁がいただければというふうに思いまして、私もこの問題から始めたいというふうに思っております。
 大臣は政治家になられる前は新聞記者だったというふうに伺っております。私は議員になる前は、民放ですけれども、テレビの記者をやっておりました。同じマスコミ出身ということで、質問通告実はしていないんですけれども、一つ伺いたいのは、その記者時代の松島大臣はどんな心構えで仕事をなさっていたのかということなんです。
 実は、私は記者時代、仕事をするに当たっては、やはり取材は何よりも正確でなければいけないということで、事実をどれだけ自分で調べられるか、自分の目と耳と足というものを動員して取材をしてきました。そして、そのために大事なのは、事実なり正確な情報を取るための裏付け、これは私たちのいわゆる記者の用語では裏取りといいますが、その裏取りをやっぱりするわけですね、恐らく松島大臣はもう当然知っていらっしゃることだと思うんですが。そうしたことと、それから、やはりできる限りマスコミという立場で客観的、偏りのない、公平公正、そうしたことでなければならない、そして、あくまでも記事を書く自分の立場はフェアでやっていかなくちゃいけない。
 そんなマスコミで働くというルールを私は守りながら仕事をしてきたわけなんですけれども、松島大臣は政治の世界に入る前、どんなふうな考えでマスコミの仕事、記者の仕事というのをやっていらっしゃったか、まずこの辺を伺わせていただきたいんですが。
#167
○国務大臣(松島みどり君) 今お話ございました、目と耳とそして足で稼ぐということ、これは私自身も常に心掛けてきたことでございます。と同時に、一般の方に身近なこと、私は経済部の記者が長かったですけど、それの後、政治の記者になりましたが、経済であれ政治であれ、一般の人に身近な視点で、そしてそこに分かりやすく書いていくということ、それを心掛けといたしておりました。
#168
○真山勇一君 私がマスコミで一番大きく印象を受けて仕事をしてきたのは、やはり客観的でなければならない、公正公平でなければならない、フェアでなければならないということなどから、やはりマスコミで働くルールというのを大事にしてきたつもりだし、それが大事じゃないかというふうに思っているんですが。そしてそれは、私は、今この政治の世界へ入ってもやはり同じことが、自分の仕事で必要なこと、求められていることではないかなというふうに思っているんですが。
 松島大臣は政治の世界へ入られて、その辺り、私は、同じマスコミで働いていた人間とすると、何か変わってしまったのかなというようなことも感じるんですけれども、御自身は、記者時代と今の政治と、やはり自分が仕事に対しての、政治の世界ということでの、何というんですか、ルールを守っていくということはやっていらっしゃるんでしょうか。
#169
○国務大臣(松島みどり君) もちろん、そうです。そして、同じという点で申し上げますと、分かりやすい言葉で一般の方にいろいろな事実を伝え、そして、かつてとの違いにおきましては、ただ事実を書いていたのではなくて、新しい法律を作ったり、いろいろな制度をつくったりする、それが政治家の喜びだと思ってやってまいりました。
#170
○真山勇一君 変わらないでやっていらっしゃったということなんですけれども、やはり私は、今回のうちわの問題ですとか、それからストールですか、大臣はスカーフというふうにおっしゃっていましたけれども、それから宿舎の問題など、やっぱり、こうした一連のものの発言それから対応、そうした大臣の動きを見ていますと、昔は確かに優秀なきっと新聞記者でおられたというふうに思うんですけれども、議員としてのその辺のルール、まず法務大臣以前の議員としてのルールを守っているというふうには思えないんですけれども、御自身はその辺についてはどう思われますか。
#171
○国務大臣(松島みどり君) 余り具体的な質問という気がしないんでちょっとあれなんですけれども、自分としてはルールは守って仕事をしている、そして気付かないルールがあったときは気付いた時点で直ちにやめる、そのように考えております。
#172
○真山勇一君 人間ですから、知っていること、それから気付かないことあると思います。気付かないことは確かにその時点で改めていくということは必要なことじゃないかと思うんですけれども。
 ところで、大臣は、ある大臣に関しての経歴のものを見させていただいたら、趣味、盆踊りと書いてございました。盆踊りなんですか。
#173
○国務大臣(松島みどり君) 盆踊りとラジオ体操とエアロビクス、ズンバ、運動系ではそういったところでございます。
#174
○真山勇一君 ふだんからきっと健康に留意されているということがよく分かりますけれども、いつ頃から盆踊りって好きになったのか、それでどういうところが好きなのか、ちょっと聞かせていただければと思います。
#175
○国務大臣(松島みどり君) 私は、盆踊りに限らず、そういった踊る関係のことは、学生時代は大学でバトントワリングというのをやっておりまして、体を動かすことは好きでした。そして、盆踊りに本格的に接したのは、東京の下町で政治を行うようになって、それがきっかけで、当初は人と出会う場だと思っていましたけど、そのうちそのもの自体が大好きになりました。
#176
○真山勇一君 何か、下町で仕事をされていらっしゃるし、多分下町というのは、私は実は生まれが墨田区の向島なもので、お祭りという感じはよく分かりますし、墨田とかお隣の江東区とか、あの辺はやっぱり物すごい数のお祭りがある地域だなというふうに私も理解しておりますけれども、やっぱり、盆踊りというと付き物は、大臣も着られるかもしれませんが、浴衣とそれにうちわだと思うんですよね。
 盆踊りで配られたのは、やはり盆踊りだからうちわがいいんだよといってうちわを配られたんじゃないんでしょうか、その辺、どうだったんでしょうか。
#177
○国務大臣(松島みどり君) 先日討議資料ということを述べましたけれども、私は、自分がというか、自分が中心になってこの国会でどんな法律ができてきたか、それをいろんな方に知ってほしいといつも思っております。もちろんビラなどで郵送することもございますけれども、それをどうやったら見てもらいやすいかということを考えた中で、盆踊りの会場に持ち込む、その中で、確かにうちわの形をしたものが読みやすいのではないかと、そのように思った次第です。
#178
○真山勇一君 私は、盆踊りというところに、下町の粋なことが集約されたようなお祭りの場所に討議資料というのは、ちょっと何かかえって不粋で似合わないんじゃないかというふうに思うんですよね。松島大臣でしたら、下町の事情もよく御存じならば、やっぱりこれは討議資料じゃなくて、討議資料のようなうちわの方が皆さんが喜んでもらえるんじゃないか、そんな気持ちはなかったんでしょうか。
#179
○国務大臣(松島みどり君) 私の、作り手の討議資料を読んでいただきたいという思いと、受け取った方がうちわの形しているから便利だと思ったのと両方の面はあるだろうとは思います。
#180
○真山勇一君 大臣もういろんなところでたくさんの質問を受けてきて、今日も午前中もありましたけれども、それでもまだ大臣としてはうちわではなくてうちわのような討議資料という考えはお変わりになっていないわけですね。
#181
○国務大臣(松島みどり君) いずれにしても、どちらであるかにしても、私が申し上げたかったのは、いわゆる公職選挙法上でいう財産上の価値のあるものだとは思っておりません。
 そして、なおかつ、先ほど申しました、本人の意図がどうであれ、やはりこれだけ受け止め方があるということは、ルールのことを考えますと今後一切配布はやめようと考えております。
#182
○真山勇一君 今公職選挙法の話がちょっと出たので総務省にお伺いしたいんですけれども、今回の松島大臣のいわゆる、ちょっと私とやっぱり見解がそれは違いますね。大臣は、うちわのような討議資料。私は、やっぱりどう見ても、先ほどのあの午前中の有田委員から見せていただいた、お示ししていただいた形を見れば、あれは一般的にはやっぱりうちわだなという認識は持っておるんですが、今回は公職選挙法の百七十九条それから百九十九条の二というふうに理解をしておるんですが、今回のこのケースはどういうふうな見解をお持ちでしょうか。
#183
○政府参考人(稲山博司君) 総務省といたしましては、個別の事案につきまして具体的な事実関係を把握する立場にもございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じますが、一般論として申し上げますと、ただいまお話にありましたように、公職選挙法におきましては、百九十九条の二におきまして、公職の候補者等は、選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならないとされております。また、同法の百七十九条におきまして寄附の定義がございまして、寄附とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものというふうに規定がされているところでございます。
 うちわかどうかといったようなことが御議論があるわけでございますが、総務省として個別の事案についてそういったことが確定する立場にはございませんが、一般的な解釈として申し上げますと、これは昭和五十年当時の質疑集におきまして、候補者等がうちわを選挙区内にある者に贈ることはできないと示した例はございます。当時、一般的に普及していたうちわというものを念頭に置いてお示ししているところでございますが、うちわ、あるいはうちわのようなものというのは時代とともに様々なものがあるところでございまして、いずれにいたしましても、個別の物品の頒布が寄附に当たるかどうかといったことにつきましては、先ほど申し上げましたような財産上の利益の供与に当たるかどうか、個別の事案に即して判断がなされるべきものと考えております。
#184
○真山勇一君 大変御丁寧な説明だと思ったんですが、もう一回ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども。
 一般論として伺いたいんですけれども、一般論として、うちわ、先ほど大臣が作られたうちわと一般的にうちわと言われているものと比較して、私は違いは全然分からなかったんですけれども、その一般的なうちわというのは、そうすると財産的価値があるのかどうか、そしてそれが寄附の禁止の対象になるのか、一般論としていかがでしょうか。
#185
○政府参考人(稲山博司君) うちわというものが何なのかというのは、これはいろんな態様のものがあると存じますので、具体のものについて、それが寄附に当たるかどうかということにつきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
 先ほど申し上げましたような質疑集において、当時の一般的に普及していたうちわというものを念頭に置いたものは、一般的な解釈としてお示しをさせていただいたということでございます。
#186
○真山勇一君 昭和五十年当時に普及していた一般的なうちわと、今の、先ほど有田委員が例えばの例としてお示ししたうちわで違ってきていますか。
#187
○政府参考人(稲山博司君) 個別のことにつきましてのお答えは、これは私どもの立場ではちょっとお答えできかねますので、差し控えさせていただきたいと存じます。
#188
○真山勇一君 いや、個別のことではなくて、一般的なうちわというふうに私はお伺いしているつもりで、うちわというその一つのもの。
 だって、例えばじゃ、何ですか、御飯のときに使うお箸だって角が四角のもあるし、最近は、何ですかね、五角形、六角形というのもありますし、それから割り箸なんかはぱちんと割る。でも、それは全部お箸ではないですか。そういうのはどう考えますか。
#189
○政府参考人(稲山博司君) 先ほど五十年の当時のうちわと申し上げましたけれども、恐らくはでございますが、材質におきましても恐らく竹等の中心のものだったと思います。
 一定の寄附というのは財産上の利益の供与に当たるのかどうかと、こういった観点から当時一般的な解釈をお示しさせていただいたということでございまして、個々のものについて今のいろいろ、例えばビラ状のもの、ビラでございましたら、ビラの交付というものが寄附に当たるとは一般的には考えられておりませんし、そこら辺の具体なものについての御答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
#190
○真山勇一君 どうも擦れ違っていて、私は具体的事例ではないと思って伺っているんですが、具体的だと言われてしまうとそうなってしまうんですが。
 私は、やっぱり見ていて、うちわかうちわじゃないかというのは、うちわかビラかというふうなことを聞かれたら、骨が入っていりゃやっぱりこれはうちわでしょうと、これは小さなお子さんからお年寄りまでみんなうちわだと思いますよね。骨が入っていなければ、もしかするとうちわとは言わないかもしれませんね。例えば、たこはそうですね、揚げるたこ。あれ、骨なかったら揚がらないし、あれ、たことは言わないでしょう。ただ、何というんですかね、たこのような格好をした紙じゃないでしょうか。そういうことだと思うんですよね。
 やっぱり物を決めるための必要十分条件というのがあって、それが整っていれば、個別具体かどうかじゃなくて、一般論として、条件が整っていればそれはそのとおりの名前で呼んでもいいと思うんですが、もうちょっとこれ以上あれしたくないんですけれども、もう一回それだけちょっと。
#191
○政府参考人(稲山博司君) 先ほど公職選挙法の規定を御説明させていただきましたけれども、うちわが寄附に当たるとは書いてございません。あくまでも財産上の利益の供与に当たるかどうかという観点でございますので、そういったことで御理解いただきたいと存じます。
#192
○真山勇一君 この辺は、法律は、というのはやっぱり先ほどの昭和五十年代という話もありましたけれども、時代によって大きく変わってくるので、その辺の認識というのはあるんじゃないかというふうには思っておりますけれども。
 そこで、松島大臣、昨日の衆議院の法務委員会でも、私たちの維新の党の井出議員始め皆さんが指摘されておりましたけれども、大臣はうちわのようなものを印刷業者ではなくてうちわの専門業者に発注されていたということなんですが、これはそういうことなんでしょうか。
#193
○国務大臣(松島みどり君) 今、その会社が印刷もやっているのかどうかはちょっと分かりません。そしてまた、そういう中小企業の場合、そこで実際に印刷しているのか、どこかに下請というか協力会社に出しているのか、その辺りもちょっとつかんでおりませんので。
#194
○真山勇一君 チラシならうちわの業者に出さなくてもいいと思いますし、それから今、今どうなっているか分からないとおっしゃいましたけれども、それはこの品物を発注した時点では多分この業者の方はいらっしゃった、営業していたということだと思うので、これはこれ以上私の方も、うちわの業者さんに頼んだんじゃないですかということを伺っても、ここではそれ以上のやり取りはなかなか難しいと思いますので、先ほど有田委員の方から資料要求ということで理事会で検討していただくということなので、私もその結果を待ちたいというふうに思っております。
 今回の大臣のおっしゃること、本当にある部分、何というんですかね、私はやっぱりへ理屈なんじゃないかなという気が、そういう感じを強くするわけですね。やはりみんなが大臣の説明を素直にああそうかというふうに受け入れるというような御説明はまだまだされていないんじゃないか。
 大臣のおっしゃることを例えますと、こんなことじゃないかと私思うんですよね。先ほど体を動かすこと好きだと、健康志向が強いようですけれども、例えばおいしくて栄養たっぷりなお肉が食べたいと思うんですね。と思ったけれども、体のことを考えたら、いや、ちょっとカロリー取り過ぎちゃうな、体のことを考えたらやっぱりお魚の方がいいなと思って、それでお魚屋さんに行こうか、お肉屋さんに行こうか、町のお店の前で迷った。でも、やっぱり誘惑に負けて、栄養たっぷりのおいしいお肉が食べたいって、肉を買って帰りました。でも、自分としてはこれは魚のつもりだ、そう思って食べていらっしゃるんじゃないかなと、そんな気がするんですね。
 ですから、横から見ている人が、松島さん、いや、おいしそうなお肉食べてるねって。いや、これは肉じゃないんですよ、お魚なんですって言っても、やはりなかなかそれは一般的には通じ難いんじゃないかなという、そんなような気がいたします。
 本当にたくさんの質問を受けて、松島大臣御自身ももう本当に大変だと私は思いますけれども、やはりその立場上、説明責任というのはきちっと果たしていかなくてはいけないと思いますし、誰もがやっぱり納得できる、ああそうか、そういうことなのかということが分かるような、そういう説明を是非繰り返してやっていただきたい。
 でも、これ以上、私は自分が質問しながら思うんですが、ある部分やっぱりこれは不毛の論議になってしまうというところもあると思うんです。是非その辺りで大臣の説明責任を果たしていただきたいということを重ねてお願いして、このうちわの話は取りあえず終わりにしたいというふうに思っております。
 残り時間がちょっと少なくなってしまったんで、ざっとしたことをまず初回の一般質問ですのでお伺いしたいんですが、更生保護行政についてお伺いしたいと思います。
 大臣の所信表明演説の中で、まず最初に、世界一安全な日本、そのために全力で犯罪対策に取り組んでいくという強い決意を述べられております。
 私もそのとおりだというふうに思いますし、実は私は非常にこれは有り難いことだなと思っているのは、私、実は保護司をやっております、現職でございます。もう十年ぐらいになると思うんですけれども、そういうことで、例えば保護司の制度、それから今いろいろと話題になっている協力雇用主制度ですとか、そういうものを通して、やはり非行を犯した少年とか、犯罪を犯した人たち、そして刑務所から出てきた人たちの保護観察、そして更生を一緒に助けるという意味でいえば、再犯防止というのはとても大事なことだということを毎日のその活動の中で実感しております。
 その辺りのことをちょっとお伺いしたいんですが、そうはいっても保護司が、いただいた資料によると、定員が五万二千五百人、全国でなんですが、やはりだんだんだんだん少なくなっていって、今四千人ぐらいの欠員が常にあるような状況になってきているわけですけれども、この保護司の確保ということで何か特にやられていること、それからこれから考える対策というのは何かありますでしょうか。
#195
○国務大臣(松島みどり君) 今、真山委員が十年間保護司をお務めいただいているというのを伺いまして、本当に心から敬意を表する次第でございます。
 保護司の充足率が九一%でどうすればいいか、そういった中で、一つは、保護司制度の基盤整備に関する検討会というのをかつて開きまして、それは二十四年、かなり前ですが、に報告書が出ておりますが、その中で常に出てくるのが、この定年を引き上げるか、再任時の定年を引き上げるかどうかという、これもこのときも結局はまとまらずに両論併記のような形でした。でも、今これだけ高齢社会というか、七十六歳過ぎてもお元気な方が多い中で、それを引き上げるというのも一つの手だと思っております。
 もう一つは、今度、更生保護サポートセンター、御存じのようにどんどん増やしていっている。全国四百四十六か所、来年でそろうようにしようと目指しているわけですが、ここで、おうちが狭かったり何かすると家で対象者と会えないというふうな方々にこのサポートセンターも活用していただく。そういうことによって、保護司って大きなおうちの立派なちゃんとした人じゃないと難しいねなんというようなことが地域で声が出るようだったら、それを払拭できて、そういう公的なところも使えるんだという、それもアピールしてまいりたいと思っております。
#196
○真山勇一君 私、実は保護司の充足率って結構地域によって物すごいばらつきがあるんですね。とてもよく充足しているところと、それから全く足りないところというのはその地域によって、大ざっぱに言うと、大都市圏はいいんですけど、地方へ行くとやはり大変だということがあるんですが、私の印象では、やはり最近の若い方というのは、この保護司というのはボランティアなんですね、法務省の特別職公務員ということで。ですから、ボランティアということで、今若い方にはそういう意識があって、結構、保護司やってみたいという方がいらっしゃる。でも、絶対数が少ない。
#197
○委員長(魚住裕一郎君) 時間を過ぎておりますので、おまとめください。
#198
○真山勇一君 はい。
 一方で、やはりお年寄りでまだまだ元気な方いらっしゃるので、そういう方も残っていただきたいというようなことがあります。また現場の話は折々伺いたいと思っております。
 それから、今日予定していた質問まで行かなかったので、参考人の方で来ていただいたんですが、大変失礼をいたしました。
 私の質問を終わります。ありがとうございました。
#199
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 松島大臣の所信を伺いまして、今日は二点お尋ねしたいと思っております。
 まず、選択的夫婦別姓の問題について、先日、十月八日の参議院予算委員会でこのように御答弁をされました。法務省といたしましては、現在、民法改正による選択的夫婦別氏制度の導入はできないと考えておりますと。先ほどの江田議員に対する御答弁を伺っておりますと、この答弁によって、あれですか、九六年の法制審議会答申に至った積み重ね、その後もこの国会で、例えば私自身もその法制審答申の内容を議員立法として提出をさせていただく、そうした議論も行われてきたわけですが、七五年の国際婦人年以降の世界的な女性地位向上運動の中での女性差別撤廃条約の批准、あるいは政府の国内行動計画に、氏や待婚期間の在り方などを含めた法制の見直しを図るんだということを政府として位置付けてこの答申が出た。その実現のために努力が国会の内外で進められてきた。こうした積み重ねそのものを、大臣、御破算にするというんですか。
#200
○国務大臣(松島みどり君) 答弁申し上げます。
 委員がおっしゃいましたように、平成八年に法制審議会の民法改正に向けた幾つかの項目の中にこの項目が確かに入っておりました。そして、ただ法制審の結果というのは全て行政を縛るものではございませんし、それを受けて、平成八年当時から何年か掛けて、法務省はそのときの状況を見極めるためのいろんな働きかけをされてきたと私も承知しております。
 その結果といいますか、現在のところ、ここ数年及び現在の時点においては、この間私が申し上げましたように、我が国の家族の在り方の根幹に深く関わるものであることから、国民の理解を得て行う必要がある、そして世論調査の結果、平成二十四年の世論調査を見ましてもこの意見が大きく分かれているから民法を変えることはできないという、その法務省の現時点の状況判断というものをお伝えしたものであります。
#201
○仁比聡平君 いや、とんでもない答弁だと思うんですよね。
 法制審が行政を縛るものではないというような議論を一体いつどこで行ってきたというんですか。現在できないと考えております、法務省といたしましてはできないと考えておりますなんという、できないと断定する御答弁というのはこれまでになかったことだと思うんですよ。もちろん、提出をされない、あるいは与党の中で了承されないと、そうしたお話はあってきましたよ。ですから、困難だとか難しいだとかという言葉遣いはあったかもしれませんけれども、できないという断定を一体どこで決めたんですか。
#202
○国務大臣(松島みどり君) 現時点での状況判断で、もちろん今後いろいろな状況が変わっていけばまた状況変わりますが、現時点での状況におきましてはこれができない、困難であるというよりはできないという状況であるという、そういう御説明をさせていただきました。
#203
○仁比聡平君 そうすると、現段階では、与党の了承がないからとか、あるいは世論がいろいろだからといってできないという、そういう意味だというわけですか。現在、法務省としてはできないと考えておりますというのは、そういう意味には聞こえませんよ。
#204
○国務大臣(松島みどり君) まさにそういう意味のことを表すために、平成二十四年の世論調査の結果など、つまり世論調査の結果などを見て現在できないと、そういうふうに述べたつもりでございます。
#205
○仁比聡平君 現在できないという御答弁はそういう意味には取れない。今は、過去はそういう検討をしてきたけれども、今できないと決めたというふうに取られかねないわけですよね。現段階ではと、将来はあり得るという話と、できないと決め付けるのとは全然違うじゃないですか。
 大臣の認識をちょっと伺いたいと思うんですけれども、昭和六十三年の最高裁が氏についてこういう判決をしたことがあります。氏名は、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成する。さきの婚外子差別違憲判決で最高裁は、本件規定の合理性は、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らし、権利が侵害されているか否かという観点から判断されるべき法的問題である、こう判示したわけですが。
 私は、このことわりは別姓の問題でも同じだと思うんですよね。つまり、基本的人権に関わる問題だからこそ、人権問題だからこそ、その解決が政治、行政に重く課せられていると、そういう問題なんだという認識はあるんですか。
#206
○国務大臣(松島みどり君) 夫婦が別氏のまま法律上婚姻するということが憲法における基本的人権として保障されているものとは考えておりません。また、現在の夫婦同氏制度が、これは現実には圧倒的に女性が氏を変える場合が多いのですけれども、制度としては夫婦のいずれの氏を称してもよいとされている、そういうことに鑑みますと、憲法における法の下の平等に反するものでもないと考えております。
 したがって、民法を改正して選択的夫婦別氏制度を導入するか否かは、基本的人権に関わる問題ではなく、立法政策上の問題であると考えております。
#207
○仁比聡平君 そうした認識だから国際人権機関から数々の勧告が繰り返され続けるわけですよ。人権として保障されているからこそ、国際人権関連の委員会、とりわけ女性差別撤廃委員会から繰り返して勧告がされているわけでしょう。
 〇九年の八月の女性差別撤廃委員会の最終見解ではこう言っています。本条約の批准による締約国の義務は、世論調査の結果のみに依存するのではなく、本条約は締約国の国内法体制の一部であることから、本条約の規定に沿うように国内法を整備するという義務に基づくべきであるという指摘ですよね。
 これを、何だか人権問題ではないとか、基本的人権の保障とはならないとか、そんなことを勝手に言って、これまでの積み重ねにさえ背を向けるなら、それは法務大臣でありながら基本的人権を否定するという答弁になってしまいますよ。私は頭を冷やしてよく考えるべきだと思います。女性活躍なんていうのとは全く逆じゃないですか。
 この別姓の問題についてはこれからも徹底して議論をしていきたいと思いますけれども、今日はもう一問、ヘイトスピーチの根絶についての認識を問いたいと思います。
 今年の八月二十九日に国連人種差別撤廃委員会の総括所見が示されました。この所見が示されたということは、私は、この間の我が国における深刻なヘイトスピーチの蔓延が国際人権基準に照らしても看過できない状況にあるということを示していると思います。もちろん、政府は批准国として委員会勧告の諸点について改善に向けて努力する義務を負う立場にありますよね。
 差別と暴力をあおる民族排外主義をスローガンにして、特定の民族や人種、集団、とりわけ在日コリアンの人々を、殺せ殺せ朝鮮人とか、良い韓国人も悪い韓国人もみんな殺せとか、ガス室に朝鮮人、韓国人をたたき込めとか、鶴橋大虐殺を実行しますよなどと罵って暴力で排斥する言動、ヘイトスピーチは断固として根絶をしなければならないと思います。大臣の御認識はいかがですか。
#208
○国務大臣(松島みどり君) 今委員から本当に恐ろしいおぞましい言葉の数々を伺いました。断絶しなければいけない、全く同感であります。
 一部の国や民族を排除しようという言動は、その方々の心をひどく傷つける、それだけでなくて、一般の人々にも不安感や嫌悪感を与える、そして差別意識を生じさせる、そういったことにつながりかねません。甚だ残念ですし、あってはならないこととして、私どもも人権擁護を守る法務省としてしっかりと取り組んでまいります。
#209
○仁比聡平君 こうした排外主義的な言論が、個々の人権侵害はもとより、民族や人種、集団への暴力を激化させ、対立と紛争、ひいては戦争にまで至る危険性があるということをナチス・ドイツや戦前の我が国の歴史は教えていると言うべきだと思うんです。
 毎日新聞の世論調査を見ますと、国民の皆さんの七割近くがヘイトスピーチを不快だというふうに回答しておられます。四十七都道府県と二十政令市にアンケートを実施したら、実に約九割の自治体は、恥ずべき行為である、差別意識を助長させ、許されないというふうに問題視をしているわけですね。
 現場で、ヘイトスピーチのデモが行われているところで、カウンターデモと呼ばれるこのヘイトスピーチそのものに抗議する活動がとりわけ若者たちによって取り組まれていることが大きく被害者の皆さんを励ましています。その中には、仲よくしようデモと、抗議だけじゃなくて、本当に共生、人権保障と、そういう社会を求めようという国民の中からの大きなうねりが今起こっているわけですね。こうした国内外の声に真摯に耳を傾けて、政府が適切な対策を講じるべきだと、例えば毎日新聞の社説はそう書いてありますが、私はそのとおりだと思うんですね。
 そこで、まず、啓発活動の規模について大臣の認識を伺いたいと思うんですけれども、法務省に伺いますと、そうした啓発活動に力を入れるんだとこの委員会でも前大臣も御答弁されたんですが、外国人というテーマで取り組まれている例えばポスターの配布というのは、既にヘイトスピーチが問題になり始めている平成二十四年度でも六十枚なんですよ。昨年度、平成二十五年度の外国人というテーマでのポスターの配布というのは九百六十五枚なんですね。一億数千万人の国民社会に対して、外国人の人権保障、差別は許されない、そしてヘイトスピーチは許されないということを発信し、みんなで社会的に包囲して根絶しようというには極めて甚だ不十分じゃないですか。大臣、これどう思っているんですか。
#210
○国務大臣(松島みどり君) 今委員のおっしゃった数字を見る限りでは、本当に甚だお粗末だと思います。
 そこで、法務省、今ポスターの枚数をおっしゃったんですが、平成二十四年度が六十枚、僅か、そして次の年が九百六十五枚、これではいけないという委員のかねての御主張も、御指導もいただきまして、私ども法務省、今年の三月、今年の春の時点でポスターをそれまでの十倍のおよそ一万枚作り、リーフレットもこれまた十倍の一万一千枚用意いたしまして、ポスターを貼るのも自治体の役所や図書館だけでなくて、例えば駅だとかいろいろなところに各法務局通じて貼る努力を、まだ一斉に全部貼り終えられた状況じゃないかと思いますけれども、その努力を進めております。
 リーフレットにつきましても、今年度は昨年、前の年の十倍に増やして一万一千枚とし、さらに来年大幅に、この一万一千をリーフレットは十三万枚にするために、一挙に増やすために、この外国人差別の問題の啓発だけでもそれだけにするために今予算要求しているところです。しっかりと取り組んでまいります。
#211
○仁比聡平君 いや、十倍にするとおっしゃっても、日本中に一万枚ですか。規模だけ取ったって、飛躍的に強化が必要でしょう。大体、法務省にこの問題での啓発と言うけれども何をやっているのかと伺うと、今のような数字であったり、あるいは前大臣の記者会見、これをホームページに掲載をしておりますというような話になるんですけれども、だけれども、法務省のホームページに大臣の記者会見掲載しているからといって、一体誰の目に触れるんでしょうか。
 八月末の国連委員会の最終意見は、そうした取組しか行っていない安倍内閣にこそ厳しい対策を求めたと私は受け止めるべきだと思います。今必要なのは、正面から国際社会に対して、もちろん日本の社会に対して、ヘイトスピーチは許されないと、根絶をするんだという構えをきっぱりと示すことなんじゃないでしょうか。まず大事なのは、人権擁護行政を所管する大臣として、松島大臣御自身がその音頭を取るということだと思うんですね。
 その観点から中身について伺いたいと思うんですけれども、先ほど一万枚ポスター貼れるように努力したいとおっしゃった。今、現状努力されているポスターがこれなんですよね。外国人の人権を尊重しましょう、理解し合うことが大切ですという、そういうポスターです。それは、外国人の人権の尊重やあるいは共生社会の実現というのは、これは大切なことですよ。ですけれど、このスローガンといいますかメッセージで、ヘイトスピーチは許されないんだということが伝わるかといったら伝わりませんよ、それは。
 京都の朝鮮初級学校の事件について、大阪高等裁判所は、在特会に対してこういう判示をしました。本件活動に伴う業務妨害と名誉毀損は、いずれも在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図の下、在日朝鮮人に対する差別的発言を織り交ぜてされたものであり、在日朝鮮人という民族的出身に基づく排除であって、在日朝鮮人の平等の立場での人権及び基本的自由の享有を妨げる目的を有するものと言えるから、全体として人種差別撤廃条約一条一項所定の人種差別に該当するものと言うほかない。
 今、法務省が行っている外国人の問題についての啓発では、この人種差別撤廃条約が何を禁じているのか、ここが伝わらないんですよね。なぜ政府がこれを、ヘイトスピーチを許されないと言うのか、ここを焦点にした啓発に変えるべきじゃありませんか。
#212
○国務大臣(松島みどり君) まさに委員おっしゃいましたように、何年前かでも通用するような割と漠然とした本当にふんわかしたポスターでは、その今の直面している問題が伝わり難いと思います。私自身も事務方と一緒に相談して、予算の都合もありますけれども、どのようなやり方が今直面している日本の問題を的確に多くの方に理解してもらえるか、それに力を尽くしたいと思います。
#213
○仁比聡平君 条約や現実に起こっている人権侵害を直視して、政府挙げての取組の音頭を取るというのが人権擁護担当としての大臣の務めだと思うんですよ。ですから、必要な予算を取るんだということを絶対にやってもらいたいと思うんですね。
 現実にそうした啓発の中でも、大久保だとか鶴橋などヘイトスピーチデモが起こっているわけですね。この現実に起こるヘイトスピーチデモに対して断固とした対処を行うこと、これは委員会の勧告によっても求められていると思います。
 国、行政は、在日コリアンの皆さんを始めとして住民の安全を保護する責務があるのであって、とりわけ脅迫や威力業務妨害に当たる行為、生命、身体への著しい危険な行為については適切な警告と制止をするべきだと私は思います。
 実際にこんなとんでもない言辞がされているのに、これを制止しないなんて私はあり得ないと思うんですけれども、内閣の一員としての大臣の所見を伺います。
#214
○国務大臣(松島みどり君) 現場での取締りというような、取締りというか、現場での対応ということにつきましては警察その他であるかもしれませんけれども、我々も、一般論といたしまして、検察当局において刑事事件として取り上げるべきものは、そのおっしゃいました侮辱や威力業務妨害などで刑事事件として取り上げるべきものにつきましては、警察とも連携してしっかりと対処をしてまいりたいと思います。
#215
○仁比聡平君 もう一つ、国連委員会の最終意見の中では、ヘイトスピーチや憎悪扇動を流布する公人及び政治家に対する適切な制裁を追求せよということが求められています。
 アイヌの人々との関係で、札幌の、自民党をこの件で離党をされたそうですけれども、市会議員がツイッターで、アイヌ民族なんて今はもういない、利権を行使しまくっているなどと書き込み、なおその主張を変えないということで、市議会では辞職勧告決議が可決をされました。
 残念ながら、自民党会派はこの辞職勧告には反対をされたというふうに承知をしているんですが、アイヌ民族は北海道からサハリン、千島の広い地域に先住をしていましたけれども、とりわけ明治以降の北海道開拓の中で、土地を奪われ、漁業、狩猟の禁止、同化政策による伝統文化の制限や禁止など、生活基盤も伝統文化も奪われ、差別されてきたわけですね。アイヌ民族を先住民族とする、我々参議院、そして衆議院の国会決議もその共通認識に立っているわけです。
 現実に、現にその偏見、差別は存在をしているのに、これをなくすために力を尽くすべき公人、政治家が逆に踏みにじると、これを許されるわけがないと思いますけれども、大臣はいかがお考えですか。
#216
○国務大臣(松島みどり君) この件に関しましては、もう即八月に内閣官房長官がこの問題について極めて遺憾なことだとして、るる発言をされています。
 私自身は、報道では承知しておりますけれども、この市議会の発言の事情とか背景については承知していないわけですけれども、この発言がアイヌの人々に対する認識不足、理解不足であるとすれば、そうだろうと思いますが、これは甚だ残念なことだと考えております。
 法務省は先ほど来出ておりますように人権を守る役所でございますから、法務省といたしましても、アイヌの人々に対する理解と認識を深めてもらうとともに、偏見や差別の解消を目指して、今後ともインターネット広告の実施や啓発冊子の配布など、啓発活動にしっかりと取り組んでまいります。
#217
○仁比聡平君 いや、公人、政治家が理解不足、認識不足と言ってどうするんですか。それは、理解を深めていただきたいなんという緩いことを言っている場面ではないと私は思います。だからこそ委員会は適切な制裁を求めているわけですよね。
 このヘイトスピーチの問題について、法規制の検討や議論は私どもも必要だと考えておりますけれども、その是非や在り方については国民の中に様々な意見があります。この下で、現行制度や、そもそも政治家としての役割として、総理始め閣僚が、そして人権擁護行政を所管する大臣がこのヘイトスピーチを許さないという断固とした立場を表明し、社会的批判で包囲をする先頭に立つべきだと私は思います。
 戦争の痛苦の反省の上に立って、憲法は諸国民の協調と平和主義、基本的人権尊重を定めました。
#218
○委員長(魚住裕一郎君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。
#219
○仁比聡平君 憲法は国内外における外国籍の人々、先住民との平和的共存と共生を求めているわけですね。音頭を取るべき大臣として、その立場に立って、これからそのスピーチ根絶に向けて取り組んでいただきたいということを強く求めて、今日は質問を終わります。
#220
○谷亮子君 生活の党、谷亮子でございます。
 先般の本委員会におきまして黙祷をささげさせていただきましたけれども、まず冒頭に、今般の御嶽山の噴火によりましてお亡くなりになられました方々に心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。そして、現在、日々、危険と隣り合わせで懸命な救助活動等に従事されている警察、消防、そして自衛隊、また地元の自治体の職員の皆様、そしてさらにはボランティアの方々に心より敬意と感謝を申し上げさせていただきたいと存じます。また、広島を始めとする豪雨災害、そしてさらには台風十八号、十九号によりお亡くなりになられた方々に対しましても心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げさせていただきます。
 それでは、本日の議題となっております法務及び司法行政に関する調査につきまして、先日、十月十四日に行われました松島法務大臣の挨拶の中にございました犯罪被害者の支援、再犯防止対策の推進、出入国管理行政につきまして本日は伺ってまいりたいと思っております。
 九月三日、法務大臣就任後の法務省初登庁の記者会見におかれまして、松島大臣が国会議員になられまして十一年の中で一番印象に残っている、また思い出に残っていることとして、議員立法によって成立いたしました犯罪被害者等基本法について触れられていらっしゃいました。法務大臣になられまして、この制度をより一層被害者に、そして遺族に寄り添えるものにしていきたいということを述べていらっしゃいました。
 議員立法によって、犯罪被害者等基本法は平成十六年十二月八日に成立、そして平成十七年四月一日からこれは施行されましたけれども、松島大臣がこの基本法成立に向けて取り組まれました思いですとか、今後この制度をより一層被害者に、そして遺族の方々に寄り添えるものにするためにどのようにお考えでいらっしゃるのか、まずお伺いしたいと思います。
#221
○国務大臣(松島みどり君) どうもありがとうございます。
 私がこの法律に取り組んだその時点におきましては、日本の法律に加害者の人権というものは規定されているけれども、被害者の人権というのが明示されていない。例えば自分自身が被害を受けたり、暴力的被害を受けたり、あるいは本当にお気の毒に家族をそうやって失われた遺族の方々、犯人がいつ捕まったのか、逮捕されたのかされなかったのか、何という名前の人なのか、起訴されたのか、裁判で有罪になったのか、刑務所へ入ったのか、入ったのなら、その後、釈放されたのか、満期で出たのか、全く分からない状況でした。警察が調べ、検事が起訴して、裁判官が裁くという、そういうスタイルでした。これはひどいと、そして、かつその被害者、遺族の方々からいろんなお話を、つらい思いを伺う中で、これをきちんと確立しなければならないと、そのように思った次第です。
 わけても印象に残っておりますのは、性犯罪に遭った東京の女性が、そうやって全然犯人の情報も分からないまま、犯人は、刑務所から出てきた後、親告罪でおまえが親告したからだと言って、結局その女性を殺すに至った。その報道が非常に印象に残っております。
 そうした中で、これは単に法務省だけの問題じゃなくて、厚生労働省や国土交通省、内閣府、警察、いろんなところが一緒になって集まってもらって、結果的に議員立法で作って、最初はいろいろ抵抗、反対していた諸官庁も、本当にその後、協力して、いろんな制度を新しくしてもらったという状況です。
 法務省に関しましては、刑事裁判において、被害者の方や遺族の方が参加することができる、刑事裁判に参加して、自分の愛する人は最後どんな状況だったのかとか、犯人は反省しているのか、絶対に許せないとか、いろんな思いを述べることができるようになりました。これは本当に大きな進歩だと思っておりますが。
 この後、更にということで申し上げますと、実際、そうやってその立場になって参加するのだけど、それでもやはり自分の家族の最後の状況、悲惨な状況を教えられて、つらい思いをして気持ちが悪くなる方なんかもいらっしゃる。それはその現場、現場のいろんな立場の職員、もちろん法務省も、それから法務省の関係者もいるだろうし、それで裁判所の方もいるでしょうけれども、そういう人たちが寄り添えるようにということ、そしてまた、今一つずつ、そのときの交通費を国が面倒見るとかいろんなことを進めていますので、これをしっかりと充実させてまいりたいと思っております。
#222
○谷亮子君 松島大臣、ありがとうございました。
 やはり加害者の規定は明示されているけれども、被害者の規定というのは明示されていないということで、いろいろな思いが長年、これまでもおありになったと思いますし、各省庁がそれぞれの深い御理解とそして積極的に被害者に寄り添っていくんだという思いが詰まった、私も犯罪被害者等基本法であるというふうに理解をいたしております。
 そして、現在は第三次の犯罪被害者等基本計画等も今策定中であるというふうに伺っておりますので、こうしたことも更に実効性のある、公正公平な法律として機能していくように臨んでまいりたいというふうに私も思っております。
 次に、振り返ってみますと、平成十七年十二月二十七日に犯罪被害者等基本計画を閣議決定されまして、その後、平成二十三年三月には計画期間を平成二十七年度末までとする第二次犯罪被害者等基本計画が策定されました。
 今申し上げましたとおりに、第三次の犯罪基本計画策定に向けて、内閣府におかれまして、第二次犯罪基本計画の見直しに当たりまして新たに計画に盛り込むべき事項について、今は犯罪被害者団体、そして犯罪被害者支援団体等からの要望、そして意見聴取会が行われておりますけれども、第一次、そして第二次の犯罪被害者等基本計画による法務省の主な施策の評価、そして進捗状況についてお聞かせいただきたいと思います。
#223
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 法務省におきましては、犯罪被害者等基本法やこれまでの犯罪被害者等基本計画を踏まえまして、犯罪被害者等のための施策に取り組んできたところでございます。
 具体的に申し上げますと、第一次犯罪被害者等基本計画に基づくものといたしましては、仮釈放等の審理において犯罪被害者等の意見等を聴取する制度や、保護観察所が犯罪被害者等から心情等を聴取し、これを保護観察対象者に伝達する制度の創設、また被害者等通知制度の拡充、さらには被害者参加制度や被害者参加人のための国選弁護制度の創設などを行っております。
 また、第二次犯罪被害者等基本計画に基づきまして、被害者参加人に対する旅費の支給、被害者参加人のための国選弁護制度における資力要件の緩和、被害者等通知制度における通知内容の充実などを行っておりまして、二つの計画に盛り込まれている主要な施策につきましては基本的に全て実施できているものと考えております。
 引き続き、犯罪被害者等基本法や第二次犯罪被害者等基本計画に基づきまして、犯罪被害者等に関する情報の保護、職員に対する研修の充実など、常時取り組むべき諸施策について着実に推進してまいりたいと考えております。
#224
○谷亮子君 御丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございました。
 更に良くなる計画としてしっかりと機能していただくように、被害者に寄り添ったものとなるように、いろいろな意見を幅広くお聞きいただきまして取組を進めていただきたいというふうに思っています。
 次に、犯罪被害者支援についてお伺いいたしたいと思います。
 今月十四日の松島大臣の法務大臣挨拶の中で、世界一安全な国日本の実現に向けた犯罪対策の推進として、安倍内閣総理大臣から、関係大臣と協力し、世界一安全な日本をつくるために、犯罪被害者の支援、刑務所出所者の再犯防止や社会復帰支援、そして組織犯罪対策などの施策を総合的に推進するよう指示を受けたと述べていらっしゃいました。
 私は、昨年十一月十九日に行われました法務委員会で、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案、そして今年四月八日、十日に行われました少年法の一部を改正する法律案の質疑におきまして、第一義的に行われなければならないのが被害者救済であるということをこれまでも申し上げてまいりました。
 また、本年六月十七日に行われました法務委員会での児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案の質疑では、被害者が児童や障害のある児童である場合、その起こった犯罪に対して、どれだけ的確にそして明確に児童が話をしてそれを立証していくことができるのかということに非常に心配をしているということと、更に疑問が残る点もあるということを申し上げてまいりました。
 児童の定義というのは児童ポルノ法の第二条に定義されておりまして、児童はゼロ歳から十八歳未満の男女でございます。
 そこで、今回、犯罪被害者支援の観点から、児童やまた障害のある児童、そして障害等のある方々への配慮というものをどのようにお考えでいらっしゃるのか、松島大臣にお伺いしたいというふうに思います。
#225
○国務大臣(松島みどり君) 特に被害者が児童である場合、今、委員がこれまでの取組の中で、危険運転致死傷などで子供たちが傷ついた事案ですとか児童買春の問題に取り組んでこられたということに非常に敬意を表しますが、被害者が子供である、児童である場合、もちろん児童といってもゼロ歳から十八歳ですから、年齢によってその理解度も違いますが、小学生、いや、もっと幼児、そういうことを特に念頭に置いた場合には、いろいろな政策の運用に当たっては傷つきやすい児童の心情や立場に十分配慮した対応に努めなければいけない、そのように考えております。
 PSTD、いわゆるトラウマ、心的外傷といったようなことなどにも気を付けなきゃいけない。例えばで申し上げますと、被害児童が法廷で証言する場合に、検察官が裁判所に対して、必要に応じては保護者が付き添うといったことやビデオリンク方式による証人尋問を求めるなどの配慮をしているものと承知しております。
 また、児童の中でもいろいろなタイプの障害を持っているようなお子さんの場合は、特にやはり理解してもらうということに、分かりやすいように付添いが必要だったり、それも障害の内容や程度に応じて適切な配慮を行っているところであります。
 今ちょっと間違いまして、PSTDじゃなくてPTSDですね、済みません、間違いました。PTSDです。
 それで、子供の場合だけでなくて、子供でなくても、たとえ成人に達しておりましても、障害をお持ちの方々、場合によっては知的障害をお持ちの方々、そういった被害者の方々に対してもいろんな施策を取らなければいけないと思っております。
 そしてまた、法律用語、難しゅうございますし、供述云々といっても、ちゃんと分かりやすく、それも易しい問いかけによって分かりやすく質問をして、質問と答えというようなそういう雰囲気になるように、そういったことを心掛けるようにしてまいりたいし、私も指導をしてまいりたいと思っております。
 今後とも、そういった柔軟かつ適切な施策の運用に努めてまいります。
#226
○谷亮子君 松島大臣から御答弁いただきましたように、やはり説明をしていくということは、児童といいましても年齢層がいろいろ、もうゼロ歳から十八歳未満ということで、児童に関してもありますし、さらには、児童だけに限らず、やはり多くの被害者の方たちがその恐怖心から、実際に遭ったその犯罪の過去を振り返りたくないといったようなトラウマに駆られる方たちもいらっしゃるというわけでございまして、私も被害者の方たちとお会いさせていただきましたけれども、非常にその思いというのは深刻な状況でございますので、何らかのやはり配慮ある手だて、配慮をしつつ取り組んでいきたいという大変実効性のある御答弁を今いただいたと思いますので、今後更にそうした点もしっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思っています。
 そして、次に、再犯を防止していくということによりまして犯罪が減る、また犯罪がなくなっていくという問題意識から、今後の再犯防止の施策等についてお伺いしてまいりたいというふうに思います。
 私は、これまでも法務委員会におきまして再犯防止の施策等につきまして質問してまいりましたけれども、政府におかれましては、平成二十四年七月に、全閣僚が出席する犯罪対策閣僚会議におきまして四つの項目の重点施策が示されまして、今後十年間で刑事施設への再入所率を二〇%以上削減をするという目標が掲げられております。
 また、平成二十五年十二月十日に「世界一安全な日本」創造戦略を閣議決定されまして、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催を視野に、再犯防止が治安に関する七つの重点課題の一つとして取り上げられております。
 また、本年九月三日、法務大臣就任後の法務省初登庁の記者会見におきまして、松島大臣が再犯率についてもお話しいただいておりました。平成二十一年から平成二十五年の累計で、有職者の再犯率が七・六%に対しまして無職の方が二八・一%とこれは四倍の開きがあり、犯罪を犯した方や非行のある少年の再犯防止のためには雇用の確保が重要であると述べられていらっしゃいました。
 私も、再犯防止のためにはやはり雇用の確保というのは重要であると思っておりまして、本年五月二十二日の本委員会におきまして、平成二十五年八月に、谷垣前法務大臣、そして法務省矯正局、保護局の皆様が視察されましたフランスのソーシャルファームにおける再犯防止の取組や、また日本におきましては、日本の熊本県の菊池市にございますソーシャルファームでの取組、また協力雇用主の方々の現況、そして職場定着協力者謝金、こういったことについても取り上げさせていただきました。
 そこで、出所者の新規雇用を促すために、平成二十七年度予算の概算要求に、刑務所出所者等を雇用した協力雇用主への支援の強化として十三億七千三百万円を計上されてありました。協力雇用主の更なる増加、そして雇用者数の増加に向けた法務省の取組についてお伺いしたいと思います。
#227
○政府参考人(片岡弘君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、刑務所出所者等の就労の確保のためには、その事情を理解した上で雇用してくださる協力雇用主の確保が極めて重要であります。現在、全国の保護観察所を通じまして協力雇用主の確保に努めているところでありまして、平成二十六年四月一日現在で一万二千六百三事業主の御登録をいただいております。しかしながら、実際に刑務所出所者等を雇用いただいている協力雇用主は四百七十二事業主にとどまっております。実際の雇用に結び付けて就労を継続させるためには、更なる施策を講じていく必要があるものと考えております。
 そこで、刑務所等に入所中の段階から協力雇用主による受刑者等の雇用を実現するための取組を推進するとともに、実際に雇用に至った場合には、その就労を継続させるための措置を講じることなどが必要となってまいりますことから、そのような雇用と就労の継続を促進するための予算を概算要求に計上したところでございます。
#228
○谷亮子君 再犯防止の観点から、ただいまお話しいただきましたようなことも併せまして、今お話の中にございましたけれども、刑務所内における職業訓練、就労支援ですね、こういったこともより一層私も必要になってくるのではないかなというふうに考えております。
 松島大臣におかれましては、記者会見の際にも、刑務所内における職業訓練に、確実に就職できるような資格といたしまして介護福祉士を追加したい、また、介護福祉士は現場経験がないとこれは取得できない資格であるが、刑務所内に入所している七十歳以上の方の割合が約五・三%でございまして、高齢の入所者の介護によって資格取得できるようにすることによって、出所した際に仕事が見付けやすくなるのではないかとおっしゃられていらっしゃいました。
 こうしたことを考えますと、出所後も確かにこうして重要ですけれども、刑務所内におけるそうした就労の支援というのも併せて取組を進める必要があるのではないかなというふうに私も思っております。
 続けて、保護司の方につきましても一点お伺いしたいというふうに思います。松島大臣は九月三日の記者会見の際に、保護司の方々が二人一組、三人一組で取り組むようにしたいと述べられていらっしゃいました。平成二十七年度概算要求における再犯防止対策の推進について、全国に約四万八千人いらっしゃる保護司の方々がより活動しやすく、また活動しやすい環境整備にどのようにつなげていかれるのかをお聞かせいただきたいというふうに思います。
#229
○政府参考人(片岡弘君) お答えいたします。
 保護司についての御指摘でございますが、実情を申しますと、近年、保護司は減少傾向にあります。保護司の確保が困難な状況になってきております。また、今後、刑の一部執行猶予制度の導入等により処遇困難な保護観察対象者が増加することが見込まれておりまして、保護司の活動は一層困難なものになることも予想されているところでございます。
 そこで、保護司の方々の不安や負担感を軽減するというための施策を講じる必要がございます。そこで、保護司の活動を支援するために、平成二十七年度概算要求におきまして、保護観察対象者との面接場所や保護司同士の相談、会議の場などを備え、地域における保護司活動の拠点となる更生保護サポートセンターの増設、あるいは、処遇困難な薬物事犯者等の保護観察対象者を御指摘のように複数の保護司で担当する複数担当制の推進などのための予算を計上しているところでございます。
#230
○谷亮子君 ありがとうございました。
 先ほど松島大臣も他党の委員の先生の御質問にも答えていらっしゃいましたけれども、保護司の方の活動拠点である更生保護サポートセンターを新たに百一か所増加をされまして、本年ですね、そして合計で四百四十六か所にされるということで御答弁、先ほどされていらっしゃいましたが、平成二十五年度に比べて二億六百万円増加されまして、九億六千三百万円が計上されているということになっておりますので、保護司の方の更なる環境整備というものもお願いを申し上げたいというふうに思っております。
 そして、次に、出入国管理行政についてお伺いしたいと思います。
 我が国の観光立国実現に向けた取組といたしまして、外国人の出入国審査の円滑化や迅速化は大変重要なものであると私も考えております。
 そこで、法務省といたしまして、現在、全国で二千二百人程度の入国審査官がいらっしゃいますけれども、二〇二〇年度までに約八百人から千百人の増員方針を打ち出されていらっしゃいまして、第一段階といたしましては、来年度はまず三百人の増員を要求されていらっしゃいますけれども、この増員分をどのように確保されまして、有為な人材として育成していこうとされるのかについて伺ってまいりたいと思います。
#231
○政府参考人(井上宏君) お答えいたします。
 上陸審査等に従事する入国審査官は、これは、厳格さを維持しつつ円滑かつ迅速な審査を実施するという重要な職責を担っておりまして、我が国を訪れる外国人が増加する中にあって、その役割は一層重要性を増していると認識しております。
 そこで、その入国審査官ですが、その採用は、一般職の国家公務員試験に合格した者の中から意欲や能力が高い者を採用した上で入国審査官に任命し、そして経験年数や専門性に応じた研修を行って人材育成を図っております。
 少し具体的に申し上げますと、まず、採用後、速やかに一か月余り研修施設に合宿いたしまして初等科の研修を行いまして、そこで基礎的な事柄をたたき込みます。具体的には、入管法の詳細な講義とか、外国語とか接遇の講義なども行われております。その後、現場の所属官署に配属されてからは、いわゆるOJTの方式によりまして、先輩職員が、最初はマンツーマンでその新人に付いて、後にはペアを組んで入国審査のブースに入るなどをして、そんな体制上の工夫をいたしましてきめ細かい指導、育成を行っております。
 いずれにいたしましても、増員を認めていただきましたら、可能な限り有能な人材の確保に努めるとともに、各種の研修や職場での指導を充実させることによって、その職責を十分に果たすことのできる入国審査官の育成を図ってまいりたいと考えております。
#232
○谷亮子君 丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございました。しっかりとした取組が進められていくということが分かりました。
 今日は、自動化ゲートについても、そして顔認証技術等についても質問させていただきたいと思っていたんですけれども、時間となりましたので、この出入国管理行政につきましては、法務省としてしっかりと予算を確保されまして、更なるシステムの構築をやっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#233
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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