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2014/11/18 第187回国会 参議院 参議院会議録情報 第187回国会 法務委員会 第7号
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2014/11/18 第187回国会 参議院

参議院会議録情報 第187回国会 法務委員会 第7号

#1
第187回国会 法務委員会 第7号
平成二十六年十一月十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十四日
    辞任         補欠選任
     太田 房江君     有村 治子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                熊谷  大君
                三宅 伸吾君
                有田 芳生君
                真山 勇一君
    委 員
                猪口 邦子君
                鶴保 庸介君
                牧野たかお君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                江田 五月君
                羽田雄一郎君
                牧山ひろえ君
                矢倉 克夫君
                行田 邦子君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   副大臣
       法務副大臣    葉梨 康弘君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  大塚  拓君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       審議官      塩川実喜夫君
       法務大臣官房長  黒川 弘務君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省矯正局長  西田  博君
       法務省保護局長  片岡  弘君
       法務省人権擁護
       局長       岡村 和美君
       法務省入国管理
       局長       井上  宏君
       公安調査庁次長  小島 吉晴君
       外務大臣官房審
       議官       河野  章君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (ヘイトスピーチへの対抗言論に対する警備に
 関する件)
 (テロ行為を目的とした渡航の阻止に関する件
 )
 (女子高齢者犯罪の再犯防止施策に関する件)
 (法務省職員の抜本的増員に関する件)
 (開発途上国に対する法制度整備支援に関する
 件)
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十四日、太田房江さんが委員を辞任され、その補欠として有村治子さんが選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、警察庁長官官房審議官塩川実喜夫君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(魚住裕一郎君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○有田芳生君 おはようございます。民主党・新緑風会の有田芳生です。
 十一月十五日に横田めぐみさんが拉致をされて、三十七年の月日がたちました。拉致現場である新潟県では毎年県民集会が開かれておりまして、今年も千人を超える方々が集まって、拉致問題、何としてでも解決しなければいけないと、そういう決意を表す集まりが催されました。
 同じその日に、東京では、全国協議会からは除名をされましたけれども、救う会いばらき、あるいは救う会宮城、全国協議会からは除名をされたその二つの組織、さらには十六日に新しく在特会の会長になった八木康洋さんを始めとして、そういうヘイトスピーチを主な目的とする人たちが、拉致問題を解決するべきだということを利用しながら、いつものようにヘイトスピーチをまき散らすということがありました。横田滋さん、早紀江さんは、私に何度も、ああいうことは何とか止められないのか、特に拉致を掲げながらめぐみさんの写真を使われることはもうとても耐えられないと、そのようにおっしゃっております。そういうデモが行われました。
 あるいは、十一月十六日には、神戸の元町、あるいは神奈川県川崎市、横田御夫妻の地元ですけれども、そこでヘイトスピーチを行うデモが繰り広げられました。
 私は、八月の二十日、二十一日にスイスのジュネーブで行われた人種差別撤廃委員会の日本審査の傍聴に行きました。その審査の中で、ヘイトスピーチに対してどういう対策を取らなければならないのかということを議論されましたけれども、法規制の必要とともに、カウンタースピーチが重要であるにもかかわらず、差別扇動デモを表現の自由として警察が過剰に守っていること、さらには現行法で犯罪となり得る場合でも警察は規制に消極的であり、他方、ヘイトスピーチ対応として重要なカウンターを過度に取り締まり、表現の自由が損なわれているんだと、そういう指摘が十八人の委員のうち八人からありました。
 まず、外務省にお伺いいたしますけれども、そういう会議の内容、承知されておりますでしょうか。
#7
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 本年八月に行われました人種差別撤廃条約の対日審査におきまして、この審査に当たる委員会の複数の委員から、これは審査に先立ってこの委員の方々がいわゆるヘイトスピーチのデモに関するビデオを御覧になった印象というふうに理解しておりますけれども、その複数の委員から、警察がデモに付き添って守っているように見えたという趣旨の発言があったというふうに承知しております。
 ただ、これに対しましては、我が国政府代表団から、警察としては、いかなる立場からのものであれ違法行為は看過しないという基本方針の下で、公平中立な立場から必要な警備を行っているものであって、デモを守っているもの、いわゆるカウンターを阻害しているものではないという旨を代表団から説明した次第でございます。
#8
○有田芳生君 資料を御覧ください。
 明るい写真二枚の下に、平成十九年、これは外務省のホームページより抜粋いたしましたけれども、人種差別撤廃条約の第一回、第二回定期報告、日本政府が出したものですけれども、その真ん中ぐらいにこう書いてあります。政府としては、国民、社会の人権意識は、本来、表現の自由によって保障されている自由な言論等を通じて高められていくべきものであるという中身になっております。
 法務大臣にお伺いをいたしますけれども、人種差別の扇動が日本全国を今でも吹き荒れておりますけれども、それに対して、組織されず、個人がインターネットなどを通じてこれには抗議をしなければいけないということで多くの人たちが集まって批判活動を行っておりますが、そういういわゆるカウンター活動、これは表現の自由として保障されるとお考えでしょうか。
#9
○国務大臣(上川陽子君) ただいま先生の方から御指摘がありましたいわゆるヘイトスピーチに対してのカウンターということでございますが、このカウンターにつきまして、いろいろな報道等でも取り上げられているし、また、先生も今のような御指摘をおっしゃったところでございます。
 カウンターの活動そのものにつきましては様々な形があろうかというふうに思っておりまして、それが表現の自由として保障されているかということを一対一で一概にお答えするということはなかなか難しいというふうに考えております。
 ただ、一般論といたしましては、表現の自由ということについて憲法二十一条の第一項で保障される大変重要な権利であるということでありまして、その基本につきましてはしっかりと尊重されるべきだというふうに思っております。
#10
○有田芳生君 先ほども御紹介しましたけれども、人種差別撤廃委員会の日本審査において、カウンタースピーチ、つまり差別の扇動に反対することは重要な役割を担っているんだという指摘がありました。これは、人種差別撤廃委員会だけではなくて、一つの国際基準として、人権基準として定められているものだと思いますけれども、私はそういった一般市民の自発的な反対行動というのは非常に高く評価されるべきだというふうに思っておりますけれども、大臣はどうお考えでしょうか。
#11
○国務大臣(上川陽子君) カウンタースピーチという定義とそしてその対応についての理解ということについては、ヘイトスピーチの理解と対応ということも含めまして、やはりこれからしっかりと実態を見ながら考えていくべきことではないかというふうに思います。
 人権に対して侵害をするということについては、これはあってはならないことでありますので、そういう意味でのこの意識そのものの啓蒙啓発も含めまして、いろんな角度で取組をしていくということが何よりも大事だというふうに思っております。個々の皆様の表現の自由の中で、いろいろな形で御自分の意思を表明しながら、そしてこの意識そのものを変えていくということについて、これは大変大事なことだというふうに思います。
#12
○有田芳生君 北海道の札幌から九州まで、日本全国でヘイトスピーチが今でもデモを通じてまき散らされておりますけれども、私も、機会があるたびにそういう現場に行って、警察官の方々が事故が起きないように努力をされているというのは本当に十分承知をしております。特に、昨年などはコリアンタウンである東京の新大久保で多くのヘイトスピーチが行われるデモが続きました。六月、そして九月、それをもって今、新大久保ではそういうことができなくなっておりますけれども、あの夏の暑いときでも本当に重装備で警察官の方々が努力をしてくださっていたということはよく承知をしております。
 その上で、警察庁、お聞きをしたいんですけれども、中には、これは東京だけではなく、特に京都、大阪、兵庫などでは、プラカードといっても、紙に印刷した差別を許すなというようなものを持っている人までもが規制をされる、警察官によって連れていかれようとする、こういったことは過剰警備ではないかと思いますけれども、どういう法的根拠があってそういうことをなさるんでしょうか。
#13
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。
 警察は、警察法第二条により、個人の生命、身体及び財産の保護や、公共の安全と秩序の維持に当たることとしております。
 警察は、多数の通行人がいて混雑が予想されるなどの現場の状況に応じて、円滑な人の流れの確保、関係者やそれに反対するグループとの間におけるトラブル防止などを図るため、あるいは関係者や周囲の安全を確保するため、情勢に応じた必要な体制を確保し、厳正公平な立場に立って所要の措置を講じているところであります。
#14
○有田芳生君 現場の警察官にそれはやり過ぎじゃないかということを聞きますと、必ず警察法の第二条、今おっしゃったことを言われます。
 だけど、現場に行かれた方は誰でもが分かるように、本当に叫びもせずにただ紙を持って、差別反対という、そういう立っている方々をもかなり強制的に排除をしている。特に関西地方が甚だしいんですよ。そういうことは御承知でしょうか。
#15
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。
 委員御指摘の、おとといですか、十六日の神戸の街宣活動におきましては、在特会及びその活動に反対するグループの双方が現場となった繁華街に集まっている中で、警察としては、円滑な人の流れの確保、両者の間でのトラブルの防止、また関係者や周囲の安全の確保を図る観点から必要な警備を実施しておりました。
 その一環として、現場において警察官が判断した上で、プラカードを掲示する一部の方に対して場所を移動するよう要請しました。それで、その要請を聞いていただいた方もありましたが、一部聞いていただけなかった方というのがありまして、そういう方については下げるよう要請したものであります。
 こうした状況の下で警備措置を実施した結果、違法行為や重大なトラブルの発生がなく、また歩行者の円滑な通行も確保され、警備が終了したものと承知しております。
#16
○有田芳生君 十六日の神戸のことはこれからお聞きしようと思っていたんですが、先に語ってくださいました。
 神戸の元町で、在特会、その周辺の人たちが約十二人、それに反対する人たちが約五十人、公安警察官が約二十人、制服警察官が約二十人、非常に警察のきっちりとした対応を取ってくださって、在特会がヘイトスピーチのデモをやってくる、それに反対する人たちは固定した場所を確保していただいて、拡声機とかそういうものはそこでやってくださいという指導をしてくださっていたんですよね。あるいは、拡声機などで叫ばずに、こういう差別のデモはいけませんよということを街頭でも配っている人に対して、警察官はそれを排除するということはありませんでした。ですから、そういったスムーズな、対立がないような形というのは、非常に警察官としてしっかりしたことをやってくださっていると思います。それが今お話しになった十六日の神戸元町でした。
 じゃ、更に一年遡って、昨年、二〇一三年九月二十九日、同じ神戸の元町のことをお聞きしたいというふうに思います。
 この日は、京都朝鮮初級学校襲撃あるいは徳島県教組襲撃事件で逮捕をされて、さらには奈良県の水平社誹謗中傷事件で損害賠償判決を受けた川東大了という、そういう人物がやはり昨年九月二十九日には神戸のデモをやっておりました。
 そのとき彼は、アンチレイシズムの旗、レイシズム、つまり差別はいけないんだよという旗をカウンターの人たちが作っていたんだけれども、なぜか彼はそれを持っていたんですよね。それに対して、反対する人たちが何でそんなものを持っているんだと言ったところ、今指摘をした人物が拡声機で名誉毀損だということを大声で叫んだら、そこにいた警察官がその反対している人を生田署に連れていくということがあったわけですけれども、そういう事実は御承知されていますでしょうか。
#17
○政府参考人(塩川実喜夫君) 今委員御指摘の事案の概要ですけれども、平成二十五年九月に兵庫県神戸市内において、在特会などが実施する街頭宣伝に対し抗議活動が行われ、街頭宣伝の終了後も在特会などと抗議を行うグループとの間で口論が続く中、在特会会員から、当時現場にいた警察官に対し名誉毀損の被害に遭ったとの被害申告がなされました。
 そのときの言動ですけれども、おまえがするなよ、○○、これは被害者、被害者というか名誉毀損をされたと言われている人の名前を言っていますけれども、人のものをパクったら犯罪やぞ、ほな、買うたって証拠出せよ、おまえ、名前出してみろよと、こういう言動があったということでございます。
 そこで、管轄警察署では、当時の状況を踏まえた上で、在特会及び抗議行動を行うグループの関係者の双方から、あくまでも厳正公平な立場に立って事情を聴く必要があると判断したものでございます。
#18
○有田芳生君 ところが、名誉毀損だという被害届の後に、その当事者、在特会側の人物は、名誉毀損から威力業務妨害の被害届に変えているんですよ。それは御存じでしょうか。
#19
○政府参考人(塩川実喜夫君) お答えします。
 名誉毀損についてもですというか、は告訴がされておりますし、威力業務妨害についても、その後同様の対応が先方からあったものと承知しています。
#20
○有田芳生君 威力業務妨害で被害届を出しなさいと兵庫県警が指導をしたというのは御存じですか。
#21
○政府参考人(塩川実喜夫君) そのような報告は受けておりません。
#22
○有田芳生君 これは本人が語っていることです。つまり、本人というのは、京都朝鮮学校襲撃などをやった人物が兵庫県警からの指導でそういうことをやったと。これ、確認のしようがないんですけれども、本人はそう言っているという。
 だから、そこは、去年の段階の兵庫県警生田署の対応というのは、このケースだけではなくて、例えば抗議を街頭でやっていた人に対して、生田署に来なさいと。何でですか、いや、それは来れば分かるんだと。じゃ、行かなかったらどうするんですかと、それは逮捕する。それで渋々行くんですよ。行って何を聴かれたかというと、カウンター、つまり抗議活動をやっている人たちの名前を言え、住所を言え、そういうことが実際あったんですけれども、御承知でしょうか。
#23
○政府参考人(塩川実喜夫君) そのような具体的な報告を受けておりませんが、一般論として申し上げれば、捜査を行う上で、そこにいた関係者、いろいろと更に証拠を採取するという観点で事情を聴くということもございますので、そのような観点で、関係者について更にどういう方がいるかということを聴くことはあることでございます。
#24
○有田芳生君 任意同行しなければ逮捕するというのは、よくあることなんですか。
#25
○政府参考人(塩川実喜夫君) 今、私申し上げたのは、あくまでも関係者の名前を聴いたかと言われたので、その報告は受けておりませんが、一般論としては捜査上あり得ることだということを申し上げたのであって、任意同行をしなければ逮捕する、そのようなことを当時、現場の警察の方で言ったということについての報告は受けておりません。
#26
○有田芳生君 去年の九月二十九日のその神戸の事態について、私は生田署の高田警備課長に電話をしました。どういうことですかと聞いたところ、非常にぞんざいな対応を取られました。何が悪いんだというようなことですよ。ふんというような音を電話でも語りました。
 そういうことは私以外にも多くの人たちが抗議あるいは疑問の声を上げているんだけれども、全然取り合うことなく、そういう憮然とした対応。いろんな人間いらっしゃいますから、そういうこともあるとは思うんですけれども、一連の今の流れから見てくると、やはり警察がカウンター勢力の方に厳しい過剰警備をやっているとしか見えないんですよね。
 今の事態についての一連の報告というのは受けていらっしゃいますか。
#27
○政府参考人(塩川実喜夫君) 今の事態ということにつきまして、どこまでをお指しになっているのかはちょっと必ずしも私にとってつまびらかでございませんけれども、いずれにいたしましても、警察としては、この問題というか、この点につきましては、警備も含めまして厳正公平に行うということでして、まいったところでありますし、今後また、そのような点について更にきちんとやるように現場の警察を指導してまいりたいというふうに考えております。
#28
○有田芳生君 繰り返しますけれども、人種差別撤廃委員会の日本審査の中でビデオを多くの委員に見ていただいて、先ほど外務省の方からお示しいただいたように、ヘイトスピーチの現場においては差別する人たちを警察が守っているように見える、そう見えてしまう残念なところがあるんですよね。だから、やはりそれを改善していただかないと、現場で努力されている警察官が本当に嫌な思いをしてしまうと思うんですよ。
 これは、公正中立ですから何も言えない現場の警察官かも分かりませんが、例えば、東京の新宿などで私は現場で頑張っていらっしゃる警察官にどうですかと聞いたら、いや、ひどいデモですねというようなやっぱり本音をおっしゃってくれる方々は何人もいらっしゃるんですよね。ところが、それが海外から見れば何か差別者を守っているように見えるというのは、非常に残念なことだというふうに思うんです。
 一点お伺いしたいんですけれども、国連の人種差別撤廃委員会の日本審査で、警察が差別者を守っているように見えてしまうと多くの委員の方々が発言をされました。その後、東京で行われた在特会などのデモについて、現場の警察官が、いや、誤解されないようにという指示が出たんだと私は直接聞いておりますけれども、そういう指示は出たんでしょうか。
#29
○政府参考人(塩川実喜夫君) 本日度々お答えさせていただいているとおりでございますけれども、警察はあくまでも厳正公平な立場での警備措置を講じてきておりまして、このことについての変わりはございません。
 なお、一点申し上げますと、今委員御指摘のビデオというものでございますけれども、これはどのような角度から撮るかによって、やはり人間の目というのは三百六十度ございまして、その三百六十度を撮るものでございませんので、それが一〇〇%その現場の状況を正確に映しているかということはあるところでございます。
 その点を踏まえた上で、この人種差別撤廃委員会によるものについて御説明させていただきたいんですけれども、繰り返し申しておるところでございますけれども、警察としては、あくまでも厳正公平の観点から、いかなるデモであっても、デモ参加者とこれに反対する者や団体とのトラブルから生じる違法行為の未然防止の観点などから必要な警備措置を講じております。また、違法行為を認知した際には、法と証拠に基づき、厳正にまた……
#30
○有田芳生君 そういう繰り返しはもう結構ですから。
#31
○政府参考人(塩川実喜夫君) はい。
 したがって、特定の団体を守っているなどという御指摘は当たらないものと警察としては考えております。
 なお、いわゆるヘイトスピーチをめぐり、人種差別撤廃委員会委員から指摘を受けたことは承知しているところ、厳正公平の観点から警備措置を講ずるよう現場の警察をまた指導してまいりたいというふうに考えております。
#32
○有田芳生君 質問は、誤解されないようにという指示を出したか出さないか、二つに一つ。お答えください。
#33
○政府参考人(塩川実喜夫君) 従来からそのような指導をしておりますし、引き続きそのような指導をしているところでございます。
#34
○有田芳生君 ビデオは撮る角度によって違うというのはまさしくそのとおりなんですが、事この問題について言えば、現場に行けば明らかなんですよ。警察官の努力、本当に大変なものがあると思うんだけれども、私も実感として分かりますよ、現場にいれば。だけど、そういう誤解されてしまうこと自体が残念なことなので、これからは改善するところがあればきっちりと対応していただきたいというふうに思います。
 次に、十一月十一日に、この場で質問をさせていただいたその日、法務省の人権擁護局がヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動の実施についてという発表文をお出しになりました。まず、法務省あるいは人権擁護局にお聞きをしたいんですが、このペーパー、今、法務省のホームページに出ておりますか。
#35
○政府参考人(岡村和美君) 本日は出ておりません。
#36
○有田芳生君 せっかく前向きな一歩踏み込んだ対応をこれから取ってくださろうとしているのに、今日の朝七時に私はホームページ見ました、この委員会が始まる前も見ましたけれども、残念ながら出ておりませんでした。そういうことを、やはり迅速に意味あることを広報するというのは大事だと思うので、そこのところはよろしくお願いいたします。
 人権擁護局、一歩踏み込んだと記者会見で語っていらっしゃったようですけれども、このヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動の実施について、どういう内容なんでしょうか。
#37
○政府参考人(岡村和美君) 具体的には、ポスター、リーフレットを活用した啓発、新聞、インターネット、交通広告を活用した啓発、さらには、人権教室などの各種研修における啓発の機会をより一層充実させることなどを考えております。また同時に、そうしたポスターなどにおいて、各地の法務局、地方法務局で行っている人権相談の窓口の周知、広報も積極的に行うことを考えております。
 内容等の詳細につきましては引き続き検討中でありますが、できるところから順次取り組んでまいりたいと考えております。
#38
○有田芳生君 予算措置なんかは今後どうなっていくんでしょうか。さらには、中身については、新聞広告、ポスター、リーフレット、交通広告、インターネット広告などなどというふうにありますけれども、その予算の配分の状況とか予想とか、そういうところまで考えてくださっていますでしょうか。
#39
○政府参考人(岡村和美君) 御指摘のとおりでありまして、まさに予算の事情なども踏まえながら、できるところから順次に取り組んでまいる所存です。実施規模の詳細などについて引き続き検討しております。
#40
○有田芳生君 拉致問題について言えば、皆さん御承知のように、津川雅彦さんがお金をもらわずにポスターに登場されたり、あるいは、今度、横田めぐみさんの新しいポスターができるということがあります。ただ、拉致問題が長い間解決しないことによって、いろんな努力で啓発活動が今でも様々な形で行われているんだけれども、拉致の事態が進まない状況の下で、いつまでこんな啓発活動をやっていていいのかなというようなことを御家族なんかからも批判的な意見なんかも出るようになってしまっております。
 しかし、ヘイトスピーチというのはこの一年本当に多くの国民が耳にするようになったわけですから、最初が非常に大事だというふうに思います。
 皆さんに資料をお手元に配付をしましたけれども、ちょっと見ていただけますでしょうか、上の二枚の写真。左側はJR新宿駅で掲示されたある企業のポスターです。女優の宮崎あおいさんが出ておりますけれども、ヘイトスピーチって何ですかと。あるいは、右側、これ元AKBの方ですけれども、篠田麻里子さんがNHKの番組でヘイトスピーチを取り上げるということがありました。
 ですから、津川雅彦さんは拉致問題で熱心に取り組んでくださっているんですけれども、やはり国民にアピールする、特に若い人たちにもアピールするような、こういう努力をしていただきたいなというふうに思っております。
 一昨年、私が知る限り、新聞にヘイトスピーチという言葉が出たのはたったの一回です。ところが、去年、今年と、もう毎日のように新聞、テレビなどでヘイトスピーチという言葉を聞きます。だけど、ヘイトスピーチというと、国会議員の中でも、アメリカ軍にヤンキー・ゴー・ホームと言うのはヘイトスピーチだと言うような方もいらっしゃいますけれども、そうではなくてマイノリティーに対する差別の扇動なんだと、そういう言葉の正しい意味というものもこれから知っていただかなければいけないというふうに思うんですよね。
 去年、新大久保の現場でも、ヘイトスピーチ反対という大きな垂れ幕があると、若いお母さんそれから女子高生なんかが私のところに来て、ヘイトスピーチって何ですかということを聞いてこられました。今ではもう本当に、毎日新聞の東海林さだおさんの連載漫画の「アサッテ君」にもヘイトスピーチというようなのが出てきたり、ヘイトスピーチというのは悪いものだという理解はもうあまねく広がったというふうには思うんですが、その正確な意味というのを知っていただくのはまだまだこれからの課題だというふうに思っております。そうしたことを具体的なイメージでこれからも強化していただきたいというふうに思っております。
 先ほどお示しした人種差別撤廃条約の第一回、第二回定期報告、資料の中に引用しておきましたけれども、これは平成十九年です。で、もう平成二十六年。もう何年も前のことですけれども、日本政府の当時の認識というのは、啓発が再発防止のために相応の効果を上げているところであるというふうに書いているけれども、だけれども、今問題になっているヘイトスピーチが更に大きく問題になったのは、この日本政府の定期報告以降のことなんですよね。だから、これまでの啓発活動ではまだまだ不十分なんですよ。ですから、そういう意味では、一歩を踏み出してくださった法務省、人権擁護局、本当に有り難いことだというふうに思っております。
 最後に大臣に、そうしたことも含めて、もし具体的なイメージなんかもお示ししていただくことができるのならば、これから法務省としてこのヘイトスピーチに対してどのように対処していくのか、その決意を最後にお聞きをしたいというふうに思います。
#41
○国務大臣(上川陽子君) ヘイトスピーチへの対応ということで、これまでも現行法をしっかりと適用しながら、また啓蒙啓発に対しては尽くしていくということで進めてまいりましたけれども、外国人の人権という非常に幅広い中での取組になっていたということ、その中で、特にヘイトスピーチに焦点を当てて、そしてこの人権の啓蒙啓発についてはしっかりと取り組むということが大変大事だというふうに認識しているところでございます。
 できる限り早い段階で早急に、こうしたヘイトスピーチがあってはならないということについて一人でも多くの皆様に理解していただくことができるように更に進めてまいりたいというふうに思っておりまして、法務省といたしましても、ヘイトスピーチは絶対に許さないと、こうしたメッセージにつきまして各種媒体を通してしっかりとしてまいりたいというふうに思っております。
 また、ヘイトスピーチについての相談窓口ということで、今窓口が人権関係全般にありますけれども、ヘイトスピーチに特化した形におきましてもそのことに対して十分に対応することができるようにと、こういうところの窓口の業務の中での位置付けということについても特出しをしながら対応していくということも大変大事だというふうに思っておりますので、そういう動きをしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。
#42
○有田芳生君 終わります。
#43
○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 先週、この委員会におきましてテロ資金提供処罰法の審議がなされました。我が国においても、テロを根絶するということで国際社会の一員としてしっかりと協力をしていくということの必要性、改めて私も認識をしたところでございます。そして、先週の法案審議ではテロへの資金提供をさせない、しないといったことへの対応だということでしたが、今日はテロ行為を目的とした渡航の犯罪化について伺いたいと思っております。
 九月二十四日に国連安保理におきまして、テロ行為による国際社会の平和と安全に対する脅威に関する安保理決議第二一七八号が全会一致で採択されました。ここでは、テロ行為の実行を目的とした渡航、渡航への資金提供、渡航の組織化、渡航への便宜供与の犯罪化を全ての加盟国に対して求めるといったことで、日本もこれに対して対応することになろうかと思っております。
 そこで伺いたいんですけれども、テロ行為を目的とした渡航又は渡航の企図を国内法で犯罪化することになろうかと思いますが、どの法律のどの条文で対応するおつもりでしょうか。
#44
○政府参考人(林眞琴君) テロ行為の実行のために渡航し、又は渡航しようとする行為等につきましては、もちろん個別の具体の事情にもよりますけれども、我が国の現行法の下では、刑法九十三条、私戦予備及び陰謀でありますとか、あるいは現行のテロ資金提供処罰法二条一項によるものなどが処罰対象となり得るものと理解しております。
#45
○行田邦子君 今局長から御答弁がありました刑法九十三条でありますけれども、私戦予備及び陰謀ということであります。刑法九十三条では、外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その予備又は陰謀をした者を処罰するという規定でありますが、ここで、この外国に対して私的に戦闘行為をする目的ということとそれからテロ行為の定義がこれは微妙に違うんではないかというふうに思っておりまして、テロ資金処罰法ではテロ行為の定義というのは、公衆又は国若しくは地方公共団体若しくは外国政府等を脅迫する目的をもって行われる犯罪行為というふうになっています。どちらが幅広いかどうかというのは、私自身はテロ行為の定義の方が幅広いのではないかとは思いますけれども、これを見る限りでも必ずしも一致していないというふうに思います。
 そこでお伺いしたいんですけれども、刑法九十三条でテロ行為目的の渡航やまた渡航の企図が全てカバーできるとお考えでしょうか。
#46
○政府参考人(林眞琴君) 一般論として申し上げますと、刑法九十三条の私戦予備・陰謀罪は、外国に対して私的に戦闘行為をする目的、すなわち、外国に対し武力による組織的な攻撃、防御の行使を行う目的、これが必要となります。他方で、いわゆるテロ行為というものの中には、例えば特定個人に向けられる場合もテロ行為には含まれますし、また、必ずしも戦闘行為と言えないようなものも含まれるものと考えられます。
 したがいまして、お尋ねのテロ行為目的の渡航や渡航の企図の全てが私戦予備及び陰謀罪の処罰対象となるものではないと考えております。
#47
○行田邦子君 そうしますと、テロ行為目的での渡航といったことが全て刑法九十三条ではカバーし切れないというふうに理解をしておりますけれども、今後、こうしたテロ行為を目的とした渡航を国内法において犯罪化するためには、刑法九十三条だけではなく、例えば何か新たな法律であったりとか特措法のようなもの、先週審議をしましたテロ資金処罰法などのようなものが必要とお考えなんでしょうか。
#48
○政府参考人(林眞琴君) そのテロ行為目的の渡航等について、もとよりテロ資金提供処罰法によって処罰の対象となり得るものも含まれておりますが、いずれにしましても、この安保理決議との関係で国内法の犯罪化というものがどの程度に必要であるのかということにつきましては、今後、その詳細については、各国の対応も踏まえつつ、関係省庁とも協議の上、検討をしてまいりたいと考えております。
#49
○行田邦子君 ありがとうございます。
 この国連安保理決議がなされた背景には、イスラム国に対して外国人戦闘員が少なくともこの三年間で八十一か国から一万二千人以上は行っているのではないかというような、このような背景もあるわけであります。
 そこで、入管局長に伺いたいんですけれども、憲法二十二条では移転の自由が担保されているわけでありますが、基本的には、有効な旅券を所持していれば日本人の出国というのは入管では止めることができないというふうに思います。それでは逆に、どのような情報があったり、またどのような状況があれば、入管でこうした日本人の出国を止めることができるのでしょうか。
#50
○政府参考人(井上宏君) 委員御指摘のとおり、入管法上、入国審査官は、有効な旅券を所持する日本人が出国しようとする場合には、その出国を確認はすることになっておりますけれども、出国を禁止するということはできませんし、また、外国人の場合のように出国確認を一時留保するというような措置を行うこともできません。
 ただし、外務省が旅券法の規定に基づいて我が国の旅券の失効の措置を講じた場合には、その有効な旅券を所持していないことになります。そして、旅券失効の措置がとられたという情報は入管当局に即時に提供されておりますので、空港における日本人の出国確認に際しましてその者の出国を防止することはできることとなってございます。
 その他、有効な旅券を所持している場合には制度上は出国を止めることは困難なわけでございますが、捜査機関等の関係機関から情報提供があれば、これは事実上の措置にはとどまりますが、その日本人が渡航しようとして出国の確認を行う場合に、行っていますよというその情報を情報提供元の関係機関に直ちに連絡することができますので、当該機関による身柄の拘束等の措置に協力することができます。
 このような形で、関係当局と連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
#51
○行田邦子君 二つあって、一つは、旅券法でしょうか、で旅券の失効がされれば、それは入管に連絡が行って出国を止めることができるということと、それからあとは、捜査機関からの情報提供があれば、それは出国を止めることが可能であるということであるかと思います。
 そこでなんですけれども、では、旅券の失効をするには合理的な理由がなければなりませんし、また捜査機関が入管に情報提供するといったことが、その適切な情報といったものをいかに入手するのかということも重要かと思いますけれども、公安調査庁に伺いたいんですが、イスラム国に外国人戦闘員として参加しようとして渡航を企てた北大生のケースがありましたけれども、これについては事前に情報を得て、また動きを察知できたわけでありますけれども、特に、昨今のこのようなイスラム国のようなテロ組織というのはインターネットなどで勧誘を巧みにするといったことも聞かれております。
 いわゆる普通の、犯罪歴がない学生がインターネットなどによって勧誘をされ、そして外国人戦闘員になろうと思うということも多々あろうかと思いますが、これをいかに、事前にその動きを察知するというのは大変難しいのではないかと思いますが、どのようにこうしたテロに参加しようとする動きを察知することができるのでしょうか。
#52
○政府参考人(小島吉晴君) 委員御指摘のとおり、国際テロに関しましては、イスラム国等、国際テロ組織等がインターネットを幅広く活用いたしまして過激思想の伝播、さらにリクルートという活動を行っているという現状がございます。
 当庁といたしましては、こうした現状認識を踏まえまして、インターネットを活用した過激思想の伝播等を含め、国際テロ組織等の動向につきまして情報の収集、分析を鋭意進めるとともに、国内におきましても、これら国際テロ組織等との関わり、接触が疑われる人物、これらにつきまして幅広く調査等を行いまして、情報の収集、分析に努めているところでございます。
 このような活動によりまして得られました情報とか分析結果につきましては、必要に応じまして適宜適切に捜査機関等、関係機関に提供しておるところでございます。
#53
○行田邦子君 余り具体的なことをこれ以上お聞きできないのかなとも思っているんですけれども、テロに参加しようとしている者の動きを事前に察知するということもありますし、また、今日はちょっと質問は時間の都合でしませんけれども、外国でテロに参加してしまった、そのような日本人の情報というのをいかに公安調査庁としても収集するのか、これも大きな重要なテーマだというふうに思っておりますので、しっかりと適切に対応していただきたいというふうに思っております。
 それでは、最後の質問ですけれども、話題を変えまして、大臣に伺いたいと思います。
 女性の人権ホットラインというのがありまして、実は昨日から、十一月十七日から十一月二十三日まで強化週間となっているということでありますが、私も大変認識不足だったんですが、女性の人権ホットラインというものを存じ上げておりませんでした。
 昨日から始まっているんですが、これは恒常的に行っているものでありまして、女性の人権ホットラインのこれまでの成果、そしてまた必要性について大臣に伺いたいと思います。
#54
○国務大臣(上川陽子君) 御質問をいただきました女性の人権ホットラインということでございますが、平成十二年の七月に、全国五十の法務局、地方法務局に、様々な女性の人権問題をめぐります相談を専門的に受ける体制として整備したものでございます。その後十年以上が経過したところでございまして、女性の人権問題の専門的な相談電話として定着してきたのではないかというふうに認識しているところではございますが、更にそれについては努力をしていくべきことではないかというふうにも思っているところであります。
 直近のデータでございますが、二十五年の女性の人権ホットラインの利用件数ということでありますが、二万一千百十九件でございます。平均して月に千七百件程度ということでございまして、こうしたホットラインにお寄せいただきました相談を端緒といたしまして救済措置を講じた事例というのも実は相当数ございます。例えば、夫により家から閉め出されて野宿をしていたという女性につきまして、婦人相談所及び警察と連携をして一時保護に至った例があると、こういうことも事例として挙げられているというふうに思っております。
 今なお、ドメスティック・バイオレンスなど女性に関する様々な人権問題が存在しているという現状でございますので、この電話相談の体制につきましては充実してもし切れないというようなことでございますが、いち早く問題をつかんで、そして解決に導くということでいきますと、大変大事な制度だというふうに思っております。
 今、今年のということで、昨日から二十三日までの一週間、人権の強化週間ということで実施をしているところでありますが、通常、平日八時半から午後の五時十五分までの受付時間ということでありますが、この期間中は午後の七時まで延長するというふうになっておりまして、また同時に、閉庁時であります土曜日、日曜日につきましても午前十時から午後五時までを受け付けるということでありまして、そういう意味では、人権問題に様々な形で悩んでいらっしゃる女性の皆さんからの電話相談に丁寧に応じていくという強化週間となっているところでございます。
 二十五年に行いました同じ一週間の強化週間の中では、通常時の約二・六倍の相談件数があったということでございまして、これについては大変効果が上がっているのではないかというふうに思っております。
 これからも、全国の法務局、地方法務局、それぞれの利用状況に照らした形での工夫もしているということでありますので、人権擁護委員の皆さんと職員、連携協力しながら、相談に丁寧に応じてまいりたいというふうに思っております。
#55
○行田邦子君 今週が強化週間ということですので、是非、法務省でこういうことをやっているということを積極的にPRをしていただきたいと思っています。
 終わります。
#56
○真山勇一君 維新の党、真山勇一です。
 先日、先週末の十四日なんですけれども、平成二十六年版の犯罪白書というのが閣議報告されまして、発表されました。犯罪白書ということで法務省が出しているものなんですけれども、これは、我が国のいわゆる犯罪全般の最近の傾向ですとか様々な分析、大変網羅しておりまして、私は大変貴重な資料で、活用の方法もある白書だなというふうに思っているんですけれども。
 今日はその中から何点かちょっと取り上げて伺いたいと思っているんですが、白書によると、このところの傾向としては犯罪というのは件数は減ってきていると、これは大変喜ばしいことで、減ってきているということが出てきております。
 一般の刑法犯が減少しているその一方で、ただ気になることも幾つか起きておりまして、検挙した人に占める再犯者、再び犯罪を犯す再犯者、それから刑務所に入所受刑者の占める中の再入所者の比率、こうしたものが上昇傾向にあるということなんですね。つまり、犯罪全体は減っているけれども、今法務省並びに警察関係なんかが力を入れている再犯率というのは、やはり依然として、減るというよりはむしろ増えている傾向があったり、それから、刑務所の中でも再び入ってくる人が多くということが一方である。
 そして、もう一方で、犯罪件数全体、減っていても、窃盗犯という比率は相変わらず増しているという統計が出てきているわけなんですね。窃盗犯というと比較的軽い犯罪ということで、この多くは万引きということなんですけれども、こういう万引きというのは繰り返し起こすという率も高いことになるわけです。
 もちろん、今盛んにメディアをにぎわしている危険ドラッグ、こうしたものも多いし、それから、相変わらず振り込め詐欺というのは、これもどういうわけかなかなか減らない、多いというようなことも指摘されております。
 これらの中からまず伺いたいのは、白書の中の資料からいただきました、見ていただきたいんですが、棒グラフの資料を配らせていただいております。一番上、これは一般刑法犯、検挙した人の内訳を調べたものなんですが、初犯の人と再犯者率ということを調べたものなんですが、棒グラフの方を見ていただくと、確かに犯罪全体が減っているということも受けておりまして、一般刑法犯、これ減ってきて、検挙されている人の数というのは少なくなっています。
 この棒グラフのただ気になるのは、この青と赤で区分されている部分の、全体減っていますけれども、その減り具合でいうと、この赤いのは再犯者ということなんですね、人数は減っているんですが、その上にある折れ線グラフを見ていただくと、この実態、別な側面がよく分かると思うんです。検挙の人数は減っているけれども、そのうちの再犯者率というところだけを見ますと右肩上がりでどんどんどんどん増えている。二十五年では四六・七%という、これ、平成へ入って最高だということなんですが。
 再犯防止ということに力を入れている法務省としては、この数字を見てどういうふうなことを思われるのか、大臣の見解をまずお伺いしたいというふうに思います。
#57
○国務大臣(上川陽子君) 平成二十六年版の犯罪白書、先週閣議決定されまして、お手元にお届けさせていただいているところでございますけれども、刑法犯の認知件数は、御指摘のとおり十一年連続減少ということでありまして、平成二十五年、昭和五十六年以来の三十二年ぶりの二百万件を下回っているという状況でございます。
 一方、一般刑法犯の検挙人員に占めます再犯者の割合ということで、先ほど棒グラフということで御指摘いただきましたけれども、平成九年から一貫して上昇しているということで、この二十五年の時点で四六・七%に達しているという状況でございます。そういうこともございまして、まだ我が国の犯罪動向につきましてもなお予断を許さない状況であるというふうに考えておりますので、このような犯罪情勢の下で、特に再犯の防止ということについては最重要課題ということで取組をしているところでございます。
 引き続きまして、この刑務所出所者等の効果的な再犯防止対策につきましては、着実にこれの推進ということでしてまいりたいというふうに考えております。
#58
○真山勇一君 再犯防止対策をいろいろやっているけれども、やはりなかなかそれは難しいなという、そういう感じも受けるわけなんですけれども。
 では、再犯者率の高い中でも特に繰り返すということが多い、例えば先ほど申し上げたような万引きなどもありますけれども、その中でも、比較的そういう犯罪が繰り返される率というのが高いということでは窃盗犯というのがあると思うんですね。
 今回、この白書でも特別調査をしたということで挙げているんですけれども、再犯率が高いと言われている窃盗犯の最近の傾向、それからその実態というのがどういうものなのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
#59
○政府参考人(黒川弘務君) お答えいたします。
 窃盗犯の動向等について御質問がございました。これは、まず手口で見ますと、まさに委員御指摘のとおり、大半の手口が減少している中で万引きについては高止まりの傾向にございます。窃盗犯の特徴として何より顕著なのは、高年齢化が進んでいることでございます。窃盗の検挙人員に占める六十五歳以上の高齢者の割合は平成六年は四・六%でございましたが、平成二十五年ではこれが二四・五%となっておりまして、この二十年間で約五倍に上昇しております。また、これを特に女子について見ますと高齢者の占める割合が非常に高く、平成二十五年は三四・六%でございました。
 以上です。
#60
○真山勇一君 窃盗という軽い犯罪だからと言ってしまえばそれまでなんですが、やはり犯罪の中で占める割合が大変多い、半分近くというふうに言われているわけですけれども、今その最近の実態というものを伺ったわけですが、窃盗犯の中身を見てみると、高齢化が進んでいるということと、もう一つは女性の犯罪が増えているというようなことをいただきました。
 真ん中の第二図というところを見ていただきたいんですが、これで見ると、窃盗の統計、これもやはり、多少増える時期もありましたけど、ここのところ、最近は減る傾向にあると。もちろん、その中で女性の数は減っているけれども、棒グラフとは別の折れ線グラフを見ていただくと、女性の比率、女子比と書いてありますが、これは少しずつでありますけれども上がっているということで、やはり先ほどお答えがあったような女性も増えているということがこういうことで多少裏付けられるのかなという気がしまして、第三図の方を見ていただきたいんですが。
 これが今お答えいただいた、窃盗犯全体の中で年齢別で見ると、ブルー、緑系の若者、若い層よりも、赤、オレンジ系の高齢者が増えているということがまず総数の中で分かる。それからあと、女性の方、女子で見ますと、やはり赤、オレンジという部分が、特に高齢化していると、増えていますね。本当にびっくりするのは、六十五歳以上の方の増え方というのは、むしろ若い人の減った分を全てこの高齢者が増えている分に入ってしまっているというような、そんな感じもするんですけれども。
 女性のこうした窃盗で、もちろん比較的再犯も多いというふうに言われているんですけれども、これについては、大臣、女性の立場からどんなふうに分析をされていらっしゃるでしょうか。
#61
○国務大臣(上川陽子君) 今回、窃盗につきましては特集を組んで、特別な調査をするという形でこの背景につきましても分析をし、また白書にまとめさせていただいているところでございます。
 生活とかあるいは御家庭の問題というものを抱えながらのこうした犯罪ということが大変色濃く出ているところでございまして、この比率につきましても、この先、こうした比率が減るようにというふうに思うところでありますが、根本の原因をやはりたどっていかなければいけない、それに応じて解決策も導かなければいけないということでありますので、そういう意味で、今回の調査で問題の課題というものが把握できたということもありますので、それに対応していきたいというふうに思っております。
#62
○真山勇一君 もう一度ちょっと詳しく伺いたいんですけど、窃盗犯の中で特に高齢者の女性が多いというその背景、原因というのは、どんなふうに分析、捉えていらっしゃるかをお答えください。
#63
○政府参考人(黒川弘務君) お答えいたします。
 犯罪白書においては、窃盗事犯者のうち女子高齢者につきましては、他の年齢層と比べて、近親者が病気であったり死去している者、家族と疎遠であったり身寄りのない者が多いという結果が出ております。このような家庭的状況が一つの背景になっているのではないかと考えております。
#64
○真山勇一君 今高齢者の特に女性が多いという問題でいうと、近親者の病気あるいは家族間のトラブルというものが例えば原因で高齢者の女性の方がこういう犯罪に走る、特に窃盗、こういうふうに走るということなんですけど。そうすると、これ私は、やっぱりこれまでの犯罪の中でも少し質の違う、今回特別調査をした結果出てきた新しい一つの傾向ではないかなというような気がするんですけれども、再犯率が高いということがやはり気になるので、この辺り、例えばこうした高齢者の女性、特に今おっしゃったような原因ということになると、それに対する対策というものは何か考えられておられるんでしょうか。
#65
○政府参考人(黒川弘務君) 委員御指摘のとおり、そのような環境にある方々に対しては福祉的支援が得られるようにも調整する必要があると考えております。
 現在、保護観察所においては、受刑者の円滑な社会復帰を図るために、受刑中から家族等を始めとする釈放後の帰住先について調査し、その調整を図っていく生活環境の調整を行っております。
 また、高齢者等で釈放後の帰住先がなく自立も困難な方々に対しては、特に特別調整という取組を行っております。これは、保護観察所や刑務所が、厚生労働省の事業として都道府県が設置しております地域生活定着支援センターと連携いたしまして、出所後速やかに地域の福祉サービス等を受けることができるように受刑中から必要な調整を行うものでございます。
 また、近年、受刑者に占める高齢者の割合が年々高まっておりまして、この特別調整のニーズも増えていることも踏まえまして、今年の七月に、関係省庁で構成されている再犯防止対策ワーキングチームの下に、法務省、厚生労働省、警察庁の関係課長を構成員とする福祉・医療的支援タスクフォースというものを設置いたしまして、高齢者等の自立が困難な者に対する関係機関の支援体制の整備等について検討を始めたところでございます。
 今後とも、関係機関と密接に連携を図りながら、窃盗を犯した女子高齢者などの再犯防止に鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。
#66
○真山勇一君 やはり、ちょっと私は、高齢化の中でこれはまた少しこれまでとは違った犯罪の形、それから防止の形を考えていかなくちゃいけないんじゃないかなという、そんな気がしているんですね。
 今おっしゃったような、住むところですとか、あるいはお仕事ですとかということはこれまでもやってきた。しかし、それプラス今回の、高齢者の特に女性の方が家族のトラブルとか近親者のそういうトラブルとかということになると、やはりプラス心の問題ということが出てくるのかなという気がしております。まさに、高齢化の中で、新しいこういう犯罪の類型みたいなもの、社会復帰のまた難しさが出てきているんじゃないかなというふうに思っております。
 ですから、私も実は保護司をやっていて、担当していた方が再犯に走ったという経験があって、なかなかその心の中まで読むということが大変難しい。保護司の、私もその辺りは限界もちょっと感じてしまったんですが。もちろん保護司の努力、それから地域の協力ということも必要ですけれども、それプラスやはりこういう新しい形に対しては、例えば新しい対応、カウンセラーなんかの形というのもこれから考えていただいて、一つの更に協力した形でこうした再犯を防ぐ、高齢者、女性の犯罪を防ぐという、そういう対応をしていっていただきたいというふうにお願いをして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#67
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は、大臣に法務省職員の抜本的増員についてお尋ねをしたいと思うんです。
 九月にTBSのニュース番組の特集で少年院ウオーターボーイズという特集がありまして、これが大変感動的でした。大阪の和泉学園なんですけれども、厳格な少年院生活や職業訓練とともに、映画にヒントを得て、この十年以上、シンクロナイズドスイミングに少年たちが取り組んできているわけです。その練習風景も含めた取材が特集をされたんですけれども、これ是非委員の皆さんに御覧いただきたいし、一度委員会で視察に行ってもいいぐらいじゃないかと思っているんですけれども。
 その特集の中である少年が、非行より楽しいことがある、成長した自分を親に見せたい、親に感謝の気持ちを伝えたいというその思いを語っています。一方で、同じような思いはあっても、衝動を自制できずにその取組に参加できなくなってしまう、言わば処遇困難な少年の姿も伝えられているわけですね。
 私、これを改めて拝見して、少年院における処遇というのはやっぱり教育なんだということを痛感しました。全国の少年院でこうした努力が行われていると思うんですが、ところが、その処遇を担う教官の体制はどうなっているかという問題です。
 そこで、まず局長に人員についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、年度初めに定員割れでその年が始まる、年度途中に退職者もしばしばという院が少なくないと思うんですね。今年度でいいましても、四月に定員の四十九名減で始まって、九月には五十九名減ということになっていて、教官が十九名減員になっています。現場は圧倒的な職員不足だと思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。
#68
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 御指摘ございましたとおり、多くの、例えば医師も含めまして年度当初から確かに欠員がございます。やはり、今おっしゃっていただきましたように、少年の処遇というのは法務教官が担っておりまして、彼らの献身的な努力というか気持ちが大事でございまして、欠員があるということは彼らの負担を強くしているものですから、これを何とか解消したいというふうにはずっと考えております。
 以上でございます。
#69
○仁比聡平君 通常国会でも質疑をしましたけれども、法務教官の皆さんの勤務というのは三、四日に一度は夜勤があるという、もう一人休むと全てが壊れてしまうというような過酷な状態なんですね。この少年院の教官の教育力、指導力、ここに少年院処遇が懸かっていると言っても過言ではないと思うんですね。
 NPO法人非行克服支援センターといいます元家裁調査官や弁護士や親たちの団体があって、親や少年に聞き取りの調査をして、「何が非行に追い立て、何が立ち直る力となるか」という調査研究を最近出版をされました。ここで拝見をすると、例えば親御さんが、信頼できる大人に会えた、行かなくて済むなら少年院には行かない方がいいけれども、体を張ってくださる先生方に人間不信から脱却できたといったアンケートを出されておりまして、子供たちも、人間を信じられなかったけど少年院の先生はそうじゃなかったとか、先生たち、すげえな、本気なんだなという、こうした思いが立ち直りの力になっているわけですよね。
 近年、処遇困難な少年も増えている中で、個別の少年たちの処遇計画を充実をさせていくという少年院法の改正の方向も考えたときに、これはもう少年院の法務教官の抜本的な増員というのはどうしたって必要だと思います。少なくとも、今予算要求をしておられる来年度のこの増員は必ず達成をしていただきたいと思いますけれど、大臣の思いを聞かせてもらいたいと思います。
#70
○国務大臣(上川陽子君) 先生から御指摘をいただきました、少年の立ち直りに大人との信頼関係が非常に大事だということで、その先端で担っている職員の皆さんの努力と、新しい少年院法の改正に伴う様々な業務の推進ということにおきましても、増員につきましては大変大事だというふうに思っているところでございます。密度の濃い矯正教育ということで、先ほど教育というお話がございましたけれども、そのことを担うためのきめ細かな対応をしていくために、平成二十七年度の予算要求におきましては、少年院につきましては五十五名の増員をお願いをしているところでございます。
 今後とも、必要な人数の確保ということについてはしっかりと訴えてまいりたいというふうに思いますし、また、それに実現をしてまいりたいというふうに思っております。
#71
○仁比聡平君 この大阪の和泉学園で保護室がないという物的な問題もあるんですね。落ち着かなくなった子供を保護室のある加古川学園に移さざるを得ないという事例もあります。自殺念慮の子供たちも入ってくるという中で、この和泉学園、西日本で二番目というような大きな院なんですよ。ここにさえ保護室がない。日本中見ますと保護室のない少年院というのが結構あるわけで、私、これ全てに直ちに造るべきだと思いますけれども。
 和泉学園でいいますと、保護室の設置場所というのも空けて待っているという状況で、これは直ちに造っていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
#72
○国務大臣(上川陽子君) 保護室の役割については、先生御指摘のとおり大変重要であるというふうに思っております。役割としては、収容している少年の鎮静及び保護に充てるための特別な設備あるいは構造を持っている居室ということでございまして、大変大事な施設であるということでございます。昭和六十二年から少年院の保護室の整備を進めておりますが、まだ少年院の五十二庁のうちの約四割程度というところにとどまっているところでありまして、この和泉学園につきましてもまだ整備をされていない少年院の一つであるということでございます。
   〔委員長退席、理事熊谷大君着席〕
 法務省といたしまして、今後も順次、財政当局の理解をしっかりと得ながら所要の予算確保に努めながら、施設の状況を検討して、でき得る限り早期にこの保護室の整備を進めてまいりたいというふうに思っております。
#73
○仁比聡平君 前々回、矢倉先生の方から御指摘のあった刑務所の老朽化の問題もそうなんですが、これまでの予算の枠内で何とかやりくりというみたいなことで順次と言っていたら、いつになるか分からないわけですよ。もう本当に直ちにという整備を求めたいと思います。
 人員の問題に戻したいと思うんですけれども、先ほど、来年度の増員を頑張りたいという御趣旨の御答弁だったんです。それは頑張っていただきたいんですが、来年度以降の、平成二十七年度から平成三十一年度の定員合理化目標数という数字があります。これ、とんでもない。私、安倍政権は一体、法務省あるいはその中の行政をどうするつもりかと、憤りをあらわにせざるを得ない思いがしているんですけれども。今の少年院を含んだ矯正施設で、合理化目標数は五年間で二千三十人マイナスとなっています。法務局はどうかと、千百二十一人マイナスだというわけですね。
 この法務局で千百二十一人減員といいますと、私、出身九州なんですけれども、九州の法務局、支局、出張所、これ全部で働いている人員をいなくしてしまうというものになるんですね。そんなことを仮にやって、法務局の機能がもう果たせなくなるんじゃないのか。実際、九州でいいますと、支局というのは離島などに存在をしています。例えば壱岐や対馬や五島というところで、係長さんの下に人がいないというような支局も全国見渡せばある中で、これ以上減らすなんて、これあり得ないじゃないですか。
 それから、法務局が担っている登記はもちろん、戸籍や国籍、供託、訟務、人権擁護、こうした現場での取組を本当にやっていくためには、こんな減員の計画というのは、これはもうきっぱりやめなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
#74
○国務大臣(上川陽子君) 答弁の前に、先ほどちょっと発言をいたしました保護室の整備状況ということで、四割まだ残っているということでございますので、訂正させていただきます。
 ただいま委員から、二十七年度から平成三十一年度までの五年間においても、閣議決定によって定められた方針に沿って千百二十一人の定員合理化の目標数ということで設定をされたところでございます。先ほど御指摘いただきました、法務局自身が大変国民の権利義務に係る重要な所掌をしておりまして、登記もそうでございますが、その機能を十全に果たすためには、やはり十分な人的体制というのが極めて大事だというふうに思っております。
 他方、その定員の合理化につきましては、厳しい行財政の事情もございますので、政府全体としても取り組まなければいけないということでございますので、法務局においてもこれに対しての協力については様々な工夫をして体制整備をしていこうということでありまして、これまでも、登記所の統廃合でありますとか、あるいは乙号事務につきましては包括的に民間に委託をする、あるいは情報通信技術を最大限活用していこうということでこの業務処理の効率化につきましても進めてきたところでございますが、いささかこれにつきましても限界のところもございまして、片やそうしたことの努力はするものの、やはり同時に必要な人数につきましては確保していかなければいけないというふうに思っております。
   〔理事熊谷大君退席、委員長着席〕
 業務上の必要性となる増員の要求、さらにその確保に最大限努力をし、法務局の機能の維持、そしてさらに向上というところに資するように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
#75
○仁比聡平君 大臣、いささか限界とおっしゃいましたけど、いささか限界どころじゃない、もう法務行政そのものを遂行すること、あるいはこれを継承していくことがこのまま行ったらもう困難になるという事態に立ち至っていると思うんですよね。
 定員合理化のこれまでの政府の取組の下で、平成十九年度から新規採用が抑制されました。法務局でいいますと、平成十九年度、三人しか採用していない。二十年度、二十一年度はゼロで、その翌年、二十二年度は六十三、二十三年度が十七、二十四、七十九、二十五年度は七十人ということで、こうした下で、現場に行きますと法務局に二十代の職員がいないわけですよ。かつては、乙号の業務を若手の職員も担いながら先輩たちの仕事を受け継ぐ、あるいはたくさんある古い地図なんかもここの中で勉強するというような取組があったけれども、いや、大臣、乙号業務、民間委託して何かこれが協力だみたいなことを言っているけど、それが法務局を壊しているわけですよ。
 そうした下で、この二十代がいないという今の職員体制の下で、これ以上の仕事が増えたり、あるいは新しい事態が起こってきたりとかしたら、もう到底どうにもならないじゃないですか。いろいろ工夫するといって現場に努力を押し付けたら、この中で長時間労働や、今もう始まっている在職死や自殺という本当に取り返しの付かない事態が起こるじゃないですか。
 こんなやり方はもう絶対やめなきゃいけないと思うんですけど、大臣、いかがですか。
#76
○国務大臣(上川陽子君) 御指摘いただきました若い世代の職員が極めて少ないという意味では、大変いびつな年齢構成になっているというふうに思っておりまして、そのため、将来的な法務行政を担う知識あるいは経験ということを世代間で継承していくというところについては、大変十分ではないということで危惧を抱いているところでございます。
 そして、そういう状況の中で新規採用の抑制政策というのが見直されたという、その後の二十六年度につきましては三百人規模の新規採用をすることができたということでございまして、その意味で、法務局がこれまで培ってきました知識や経験をこうした新規職員の若手の職員に継承させるべく、各法務局におきましても、若手研修、職員研修、あるいはオン・ザ・ジョブ・トレーニングという形で育成方針を新たに検討をし直して実施に移しているというところでございます。
 御指摘いただきました、若手職員が途切れなく採用することができるようにしていくということは非常に大事なことであるというふうに思っておりますので、今後ともそのような方向で尽くしてまいりたいというふうに思っております。
#77
○委員長(魚住裕一郎君) 時間ですので、仁比君。
#78
○仁比聡平君 いびつである、危惧を抱いているという認識を示されたのは大変大事なことで、これを打開するのは抜本的な増員しかないんですよ。その立場で、財政当局はもちろんのこと、政府を挙げて取組を転換するように、大臣にちゃんと責任を果たしていただきたいと強く求めて、質問を終わります。
#79
○谷亮子君 生活の党、谷亮子です。
 本日の議題は法務及び司法行政等に関する調査の一般質疑ということでございまして、まず出入国管理行政について伺いたいと思います。
 出入国管理行政につきましては、本委員会の十月十六日の質疑におきまして入国審査官の増員確保、人材育成等につきまして、また十月二十八日の一般質疑におきましては、国内空港における自動化ゲートの利用状況等について質問させていただきました。本日は、出入国管理行政の顔認証技術について伺ってまいりたいと思います。
 法務大臣の私的懇談会であります訪日外国人二千五百万人時代の出入国管理行政検討会議が、二〇一二年三月の中間報告におきまして、自動化ゲート利用者拡大の方策として顔認証を提示するとともに、その実証実験の実施を提言し、同年、二〇一二年、これを受けまして、八月から九月にかけての初の実証実験が行われております。そして、本年、訪日外国人旅行者の大幅増加の目標を踏まえまして、八月四日から九月五日までの間、成田国際空港そして東京国際空港で顔認証技術に係る再度の実証実験が行われたところでございます。
 そこで、今後、顔認証技術の本格的な実施に向けてどのように取組を推進されますでしょうか、伺います。
#80
○国務大臣(上川陽子君) 委員御指摘の顔認証技術についての実証実験ということで、今年八月から九月にかけて実施したところでございます。
 実は、本日、外部の有識者から成ります出入国審査における顔認証技術評価委員会からこの実証実験結果につきましての報告が法務省に提出されたところでございまして、活用に向けた検討課題はあるものの、顔認証技術を日本人の出帰国審査に活用することにつきましては十分可能性があるという、そうした評価をいただいたところでございます。
 法務省といたしましては、諸外国の実施状況、これも参考にしながら、観光立国の推進、そして二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの東京大会の開催に向けまして、日本人の出国、帰国の審査へのこの顔認証技術の実用、導入につきまして速やかに検討を進めてまいる所存でございます。
#81
○谷亮子君 大臣、ありがとうございました。今、本当に最も新しい発表をしていただいたというふうに思います。
 私も、朝、報道ベースですけれども目を通させていただきますと、二〇一二年度の実証実験の際には誤認率が一七・七%と非常に高かったんですけれども、今回、二〇一四年度の実証実験ではその誤認率を〇・二六%まで抑えることに成功したということが発表されておりまして、今回は参加企業五社のうち二社が一%未満を達成されたということで、やはりこれは法務省と関係企業また関係者の御努力によるたまものであるというふうに思いますし、さらに、こうしたことが今後、観光立国を目指す政府、そして東京オリンピック・パラリンピックを開催、成功に向けていくためには非常に前進したのではないかなというふうに理解いたしております。
 そして一方で、空港での実証実験にて提供されました顔の情報につきましては、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に規定する個人情報として取り扱われまして、法務省は実験結果の検証終了後五年間保存した上で消去すること、そして実験参加事業者は本年末までに消去するとされておりますが、個人情報の取扱いの観点から見まして、こうした措置を万全のものと更にしていくためにはどのように取り組まれますでしょうか。
#82
○政府参考人(井上宏君) 委員御指摘のとおり、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づきまして厳格に管理をしてまいる所存でございます。
 具体的に申し上げますと、実証実験によって得られました顔の情報につきましては、入管当局と実証実験の参加事業者と両方で保有してございます。まず、当局の保有する情報につきましては、これは実験結果の終了後五年間保存した上で当局において確実に消去することにいたします。また、実験の参加事業者が保有する情報につきましては、これは本年末までに消去していただくことにしておりますが、その消去したことについての証明書の提出をしていただくことにしておりまして、確実に消去が履行されたことを確認することにしてございます。
 このように、御協力いただいた方々の個人情報の管理につきましては、情報の漏えいとか不正利用の防止の観点から万全の措置をとってまいりたいと思っております。
#83
○谷亮子君 局長、ありがとうございました。
 やはり、今回こうした非常にすばらしい取組を進めるに当たりましては、個人情報、プライバシーの問題というのが一点あるし、さらにはこうした非常にいい施策をどんどん充実させていく、両方の観点からあると思いますので、更に取組をお願いしてまいりたいというふうに、お願い申し上げたいと思います。
 そして、今申し上げました、更に法務省の取組というのを充実させていくためには、やはり予算の拡充というのがここで一つ挙げられると思いますので、その点も併せてお願いさせていただきたいというふうに思います。
 次に、法務省が実施されている国際協力についてお伺いしたいと思います。
 安倍総理は、第二次安倍内閣発足後、これまで世界五十か国を訪問されまして、延べ二百回以上の首脳会談を行ってきたことを踏まえ、地球儀を俯瞰する外交を更に積極的に展開し、日本の立場を国際的に発信していくとの姿勢をお示しになられています。
 こうした状況の中、上川大臣は、十月二十三日の委員会における法務大臣挨拶で、法務省による国際協力として、開発途上国の法制度整備支援を実施しており、こうした取組が外交や国際経済における我が国の地位や影響力を高める役割を担っていることから、今後も積極的に推進していくと述べられていらっしゃいました。
 私もやはりこの国際協力の重要性というのは認識しておりまして、本年四月十日に行われました少年法の一部を改正する法律案に関する質疑におきまして、十八年前に我が国の援助でタイに少年院が設置をされまして、法務省から職員の方々が派遣された上で取組がなされた結果、罪を犯した十八歳未満の少年の再犯率の減少につながったことを取り上げさせていただきまして、当時、谷垣大臣より、こうした取組がタイで非常に高く評価されているとの御答弁をいただいたところでございます。
 法務省による法制度整備支援ですが、これは開発途上国が行う法制度整備のための自助努力を支援するために行われているとも伺っておりまして、三つの基本的な柱がございます。
 また、法務省として、二〇〇一年四月に、法制度整備支援を専門に行う部署として、刑務所や矯正施設のような法務省の施設等機関の一つでございます法務総合研究所に国際協力部が設置をされ、その取組が現在も進められているわけでございますが、そこで、国際協力部設置前の取組状況と設置後の取組状況について、設置から十三年が過ぎ十四年目に入っておりますが、具体的にどのような充実が図られて、またどのような成果が上げられたのか、伺いたいと思います。
#84
○政府参考人(黒川弘務君) お答えいたします。
 まず、国際協力部設置前の一九九四年から法務省はベトナムの法制度整備支援を開始いたしまして、支援対象国をカンボジア、ラオス等に広げて立法支援などを行ってまいりました。その後、委員御指摘のとおり、二〇〇一年には各国からの拡大する要請に対応するため法制度整備支援を専従的に行う国際協力部を設置いたしまして、その後は、従来のベトナム、カンボジア、ラオスへの支援を更に充実強化させるとともに、支援対象国についてもインドネシア、ウズベキスタン、ネパール、東ティモール、ミャンマーなどに着実に拡大してきております。
 これまでの支援の成果としては、ベトナムでは、二〇〇五年に改正民法、二〇一一年に改正民事訴訟法が成立しております。また、カンボジアでは、二〇〇六年に民事訴訟法、二〇〇七年に民法がそれぞれ成立しております。また、インドネシアにおいても、二〇〇八年に和解、調停に関する改正最高裁規則が成立するなどしております。また、これに加え、法務省が支援した人材がそれぞれの国の司法制度の現場等で現に活躍していること自体が大きな成果ではないかと考えております。
 以上です。
#85
○谷亮子君 これまで法制度支援につきましては非常に幅広く取組が行われてきたということを御丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございました。
 今年は、日本が政府開発援助、ODAを始めてから六十周年でございますが、政府は十一年ぶりにODA大綱を見直し、他国の軍が関わる非軍事目的の支援を援助対象から排除しない方針を打ち出しました。また、ODAは、途上国の発展や、そこに住む人々の福祉の向上が目的でございまして、各国の日本への信頼と好感につながってきたものと承知いたしております。
 東日本大震災のときに、途上国からの支援には、日本の支援への恩返しという声が多く添えられておりましたし、やはりこのODAは日本が平和国家として世界に貢献するための大変重要な手段であるというふうに私も思っております。
 また、法制度整備支援につきましては、先進国のみならず国連や世界銀行などの国際機関も行っているとのことでございますが、日本はこれらの機関と、またさらには先進諸国と連携をして、より効率的で効果的な法制度整備支援を推進していく必要が今後あると思いますし、今日のように国際的な経済活動がより活発化する中では、日本が国際社会において果たすべき役割はますます重要になってくるものと思います。とりわけアジア諸国の法制度整備のニーズは非常に高まっておりまして、日本の法制度整備支援に対する期待や要望は、先ほどもお話ございましたが、高まる一方であるというふうに思われます。
 そこで、日本の法制度整備支援の課題や今後の展望についてお伺いしたいと思います。
#86
○国務大臣(上川陽子君) 委員の方から、法制度整備についての支援が極めて大事な役割を果たしてきたし、またこれからも果たすであろうということで御指摘いただきまして、私も全く共有するところでございます。
 法務省におきましては、とりわけアジアの地域の諸国に対しまして、これまでも国際機関、協力機関でありますJICA等の機関等と協力をして、対象国であります地域や国の実情あるいはニーズをしっかりと踏まえながら基本法令の起草を図り、またその運用、さらにはその人材育成、これらを内容とする支援を行ってきたところでございます。
 日本の法制度整備の支援の特徴ということで、あくまで相手国の主体性、自主性を尊重するという、そういうことを通して、相手国の歴史、文化、社会に適合した法制度の整備を図っていく、これに支援をしていくということでありまして、法律案を作るだけではなくて、その執行、運用のための体制整備、さらには人材育成、こうしたことも含めての包括的な支援を行ってきたというところに特色があるのではないかと考えておりますし、また、この日本ならではのこうした包括的な支援そのものが相手国からも高い評価を得てきたのではないかというふうに思っております。
 これから、アジア諸国からの様々な法制度整備支援に対する期待と要望が高まっているというふうに認識しておりまして、今後とも、各関係省庁も含めまして連携をしながら、所要の予算措置も十分にお願いをしながら、アジア地域全体の発展のための積極的な法制度整備の支援の推進に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#87
○谷亮子君 大臣、ありがとうございました。
 包括的な支援が行われてきたということで、さらに今予算の部分についても最後触れていただいておりましたけれども、この予算面においては国際協力推進費として、平成二十五年度は一億五千七百万円、そして今年度、平成二十六年度につきましては二億五百万円が計上されておりまして、来年、平成二十七年度概算要求は三億百万円を要求されているという段階でございますが、対前年度比は九千六百万円の増額となっておりまして、予算額は年々増加しているという傾向にございます。
 また、本年六月に閣議決定されました日本再興戦略改訂二〇一四では、経済財政運営と改革の基本方針二〇一四について、我が国が強みを持っている分野での法制度を含む制度整備支援を活用することとし、日本企業の海外ビジネスを支える制度的基盤を整備するため、中国、ASEAN地域を中心に法制度整備支援を一層推進することを取り上げられているという状況でございました。こういったことが盛り込まれておりまして、政府においては法制度整備支援の重要な意義を鑑み戦略的に推進していくということが確認されている状況でございます。
 こうしたことを踏まえますと、法務省が担う役割というのは大変重要でございますし、このように法制度を含む制度整備支援について非常に高い評価を受けているという状況、そして高い期待をされているという状況にも同時にございますので、今後におきましては、やはりしっかりとその予算の拡充と、計画そして施策の充実をお願い申し上げまして、質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。
#88
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#89
○委員長(魚住裕一郎君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。上川法務大臣。
#90
○国務大臣(上川陽子君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。
 これらの法律案は、政府において、人事院勧告の趣旨に鑑み、一般の政府職員の給与を改定することとし、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出していることから、裁判官及び検察官についても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改定する措置を講じようとするものであります。
 改正の内容は、次のとおりであります。
 第一に、一般の政府職員について、平成二十六年度の給与改定のため、俸給月額を若年層に重点を置きながら引き上げることとしておりますので、判事補等の報酬月額及び九号以下の俸給を受ける検事等の俸給月額についても、これに準じて引き上げることとしております。これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、平成二十六年四月一日に遡ってこれを適用することとしております。
 第二に、一般の政府職員について、給与制度の総合的見直しのため、平成二十七年度から俸給月額を一部の号俸を除いて引き下げることとしておりますので、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額についても、これに準じて引き下げることとしております。これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、平成二十七年四月一日から施行することとしており、これに伴う所要の経過措置も定めております。
 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。
#91
○委員長(魚住裕一郎君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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