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2014/10/01 第187回国会 参議院 参議院会議録情報 第187回国会 本会議 第2号
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2014/10/01 第187回国会 参議院

参議院会議録情報 第187回国会 本会議 第2号

#1
第187回国会 本会議 第2号
平成二十六年十月一日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成二十六年十月一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る九月二十九日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。田中直紀君。
   〔田中直紀君登壇、拍手〕
#4
○田中直紀君 民主党の田中直紀です。
 私は、民主党・新緑風会を代表し、安倍総理の所信表明に対する質問を行います。
 冒頭、御嶽山の噴火によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、負傷された方々の一日も早い回復を心より願っております。
 さて、具体的な質問に入る前に、安倍総理の政治姿勢について一言申し上げます。
 安倍政権は、巨大与党の数におごり、違う意見を持つものを力で排除する政治を推し進めてきました。まさに国民不在の政治であります。
 最近、こうした今の政治を端的に言い当てる投稿が九月二十日付けの毎日新聞に載りました。安倍内閣の施政を評して、集団的自衛権行使容認の閣議決定、全般的な社会保障政策の後退などを併せて考えると、通底するのは、政治に最も必要な命や健康、人権を守る姿勢の欠落である、国民の希望と懸け離れた政治が進む一方だとあります。
 今、国民は、一人一人がかけがえのない個人として尊重され、多様性を認めつつ、互いに支え合う共生社会を目指す政治を求めています。
 本日、私は、安倍政権がいかに国民の希望と懸け離れた政治を行っているかを明らかにしてまいります。答弁は言葉の羅列ではなく、深みのある内容を要求します。
 まず、福島再生について質問いたします。
 政府は、九月十一日に、政府事故調査委員会のヒアリング記録の一部を公開しました。その目玉は、いわゆる吉田調書です。私も、参議院の原子力問題特別委員会の理事として、委員会の場などを通じて吉田調書の公開を求めてきたところであります。今回の公開は一歩前進と考えております。ただし、政府事故調が聞き取りを行った七百七十二名のうち、公開されたのは十九人分にすぎません。さらに、当時の東京電力社長である清水正孝氏の調書はいまだに公開されていません。清水調書の公開も実現するべきではないですか。
 また、新潟県の泉田知事は、福島原発事故の検証なくして原発再稼働はなしと言っています。私も同感であります。事故の検証のための第三者機関の設置が必要ではありませんか。あわせて、総理の答弁を求めます。
 また、私は、九月十七日に、岩手で行われた民主党の国会議員研修会終了後、墳墓の地である福島県相馬市に帰郷いたしました。安倍総理も同日に広野町と川内村を視察されたことを現地の報道で知りました。
 南相馬の農家の皆さんから、来年も稲作は難しいと聞きました。その原因は、福島原発から昨年の八月に放射能が大量に飛散した事実が今年の八月になって、何と一年たってようやく明らかになったからです。昨年の八月に放射能が放出されたときには、国や東電から全く説明がなかったとのことであります。
 南相馬市で実証栽培された米には放射性物質が付着し、基準値を超える一キロ当たり百六十ベクレルが検出されました。東電福島原発が新たな放射性物質を飛散したものと考えられます。この事実を国はなぜ一年間も隠蔽してきたのか、総理、お答えください。
 また、農水省は、最近になって、昨年の八月十二日と十九日に、三号機から放射性物質が最大で四兆ベクレルが放出された可能性があると現地では説明しているとのことです。その事実関係について、農林水産大臣に正確な答弁を求めます。
 昨年八月に大量の放射能が放出されていたことが明らかになったことで、改めて、昨年のオリンピック招致の際にアンダーコントロール発言を行った安倍総理に猛省を促したいと思います。発言の撤回と国際社会への陳謝を求めますが、総理、いかがでしょうか。撤回と陳謝を要求いたします。
 その一方で、原町川俣線で飯舘村を通ると、除染中と書かれた旗が立ち並び、至る所で黒いビニール袋に入れられた汚染土が積まれております。中間貯蔵施設が早期にできなければ、このビニール袋はそのまま放置され、劣化により、また汚染した土が飛散するリスクが高まっていきます。
 しかし、中間貯蔵施設はあくまでも中間貯蔵にすぎません。三十年以内に県外で最終処分するとなれば、最終処分地も確保しなければなりません。今後、どのような日程、手続で最終処分地を決定するおつもりですか。総理に伺います。
 また、民主党福島復興推進会議でまとめた中間提言において、国有化ではなく、関係自治体が所有し管理する土地を国が借り受け、地元合意を得ながら丁寧に建設を進めるべきであるとしているところであります。現状では、土地の権利関係についてどのようにするつもりなのか、環境大臣に伺います。
 原子力規制委員会は、十七日、東電福島第一原発の汚染水対策で、凍土遮水壁について、敷地の山側の地下へ設置を了承いたしました。しかし、海側の地中には高濃度の汚染水がたまり、工事が難しくなっています。第一原発では汚染水がいまだに海に流出しています。その量は約二兆ベクレルとも言われています。これでもアンダーコントロールと言えるのでしょうか。
 総理は、自ら先頭に立って汚染水の海への流出を止める責任があります。総理、海側の現地を直接視察し、すぐに対策を講じたらどうですか、伺います。
 また、東電と国は、漁業関係者へ新しく処理水を海へ放出する計画を説明しています。トラブルがあった場合、浜通りの漁業は壊滅すると心配をしています。国の方策について総理に伺います。
 さて、今年の夏は、広島での集中豪雨による甚大な被害を始め、全国各地で、台風、集中豪雨に伴う洪水、土砂崩れなど、大きな被害が発生しました。亡くなられた皆様にお悔やみを申し上げ、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
 私は、去る七月十三日、十年前に集中豪雨で河川が決壊して大きな災害に見舞われた新潟県三条市の水害追悼式典に参加しました。太田国土交通大臣も出席され、三条防災センターを視察しています。ヘリポートの設置、夜間の照明車、排水ポンプ車、そして防災資材の備蓄など、緊急時の二十四時間体制が整備されています。
 警戒区域指定の促進はもとより、今回被災した市町村にない緊急時の防災センターの設置を進めるべきと考えますが、国土交通大臣の答弁を求めます。
 次に、集団的自衛権行使容認について伺います。
 さきの国会での議論で、安倍総理の答弁には曖昧にして矛盾している点がありましたので、三点について伺います。
 まず、自衛隊は、国内的には専守防衛で海外派兵はしないと言いつつ、新三要件を満たせばホルムズ海峡において武力行使に当たる機雷掃海活動を行う可能性はあると明確に答弁しています。自衛隊が海外の紛争地域で機雷掃海を行えば、結果的に海外派兵そのものです。海外派兵をしないとの矛盾をどう説明しますか。総理、お答えください。
 また、総理は、今回の閣議決定で、他国軍の後方支援で紛争地域に派遣された自衛隊の活動範囲について、従来の後方地域やいわゆる非戦闘地域に限るという制約から、現に戦闘行為を行っている現場では支援活動を実施しないと変更しました。
 しかし、紛争地域において、一見平穏に見えた場所が一瞬で戦闘地域になってしまうことはよくあり、現に戦闘行為を行っている現場であるか否かはどのように判断するのですか。その現場からどれぐらい離れていればいいと言えるのか。自衛隊の活動範囲について、総理の具体的な説明を求めます。
 さらに、自衛隊が海外で武力行使に加わり、より広い範囲で後方支援を行うようになれば、自衛隊員の命がより危険にさらされることは間違いありません。新しい閣議決定と自衛隊員のリスクの増加について、総理の明快な答弁を求めます。
 そもそも、今回の閣議決定では、憲法を改正せずに、解釈で集団的自衛権に対応する方向へかじを切りました。解釈変更によって自らの最大の要求をかなえようとしたのでしょうが、憲法改正の旗は下ろすのでしょうか。九十六条先行改正もやめたのでしょうか。総理、お答えください。
 また、吉田茂元首相はその著書の中で述べているように、改正の功を急ぐことなかれ、憲法改正のごとき重大事は、仮にそのことありとするも、一内閣や一政党の問題ではない、国民の総意がどうしても憲法を改正せねばならぬというところまで来て、それが何らかの形で表面に現れたときに、初めて改正に乗り出すべきであるとあります。自分だけの思い込みで政治を進めることを戒めていますが、総理の見解を伺います。
 次に、イスラム国への空爆について質問いたします。
 イスラム国掃討をめぐり、オバマ大統領が主導する有志連合は、共同声明で、適切な軍事支援を含め、必要な全ての措置をとると発表しています。しかし、やはり日本としては、現憲法上、軍事支援はせず、人道支援に限るという姿勢を明らかにしておく必要があると考えます。改めて、総理の口から軍事支援はしないと明言した上で人道支援を行っていくべきであります。総理の発言を求めます。
 我が国の外交防衛の在り方については、紛争と災害、貧困など、あらゆる脅威から人の生存を守る人間の安全保障政策の重要性が増しています。集団的自衛権の行使容認ではなく、人間の安全保障など、軍事力に過度に傾斜しない形で、人道支援を中心に国際貢献をしていくべきと考えます。総理の見解を伺います。
 次に、経済対策について質問いたします。
 経済についても変調の兆しが見えています。ここでも国民の希望は失望に変わりつつあります。
 異次元金融緩和実施から一年半が経過し、大幅な円安と預貯金の実質マイナス金利現象が発生しています。輸入物価の上昇で家計や中小企業に負担を強いており、また、高齢者や庶民の虎の子である預貯金を奪い取り、国や地方及び大企業の借金の負担を減らしているだけであります。アベノミクスは、日銀の異次元金融緩和によるインフレ増税政策と古い自民党の復活の象徴である公共事業等のばらまき予算という側面があることが分かってきました。
 率直に言って、アベノミクスは既に破綻しているのではありませんか。そうした専門家の意見もありますが、政府はこのようなアベノミクスの負の側面を認識し、政策変更すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 真面目に働く人が暮らしが良くなったと実感するには、株価が高いことではなく、給料が着実に上がることが必要であります。総理も、今年三月の予算委員会で、賃上げに向けた動きが中小企業も含めて広がっていくことを期待したいと述べられました。しかし、中小企業、零細企業の中には、ベースアップを実施していない企業がいまだ九割弱など、賃上げの動きは進んでいません。
 全体についても、物価の上昇を考慮した実質賃金指数を見ると、マイナスが続いています。また、復興特別法人税の前倒し廃止や所得拡大促進税制の創設、拡充について、賃金引上げ判断を後押ししたと答えた企業は僅か七・七%でした。総理、期待を裏切ったことについて御説明願います。
 この一か月で円安が急激に進んでいます。これまで円安については、いわゆるJカーブ効果によって貿易収支は徐々に良くなるとされています。しかし、近年の傾向を見ると、貿易赤字が定着したように見えます。これについても総理は、昨年四月二十五日の予算委員会で、貿易収支は一年後には間違いなく改善し、プラス四・六兆円、二年後には八兆円と答弁しています。あれから約一年半がたっています。逆に、今年上半期は過去最大、七兆六千億円の貿易赤字となりました。見通しの甘さにつき、総理の釈明を求めます。
 結局、景気の回復が思わしくなく、GDPの成長率は四月から六月期で大きく落ち込みました。
 国内経済へのてこ入れは、法人税の引下げや公共事業を更に拡大するというのではなく、生活者の購買力及びその意欲を高めて内需を拡大することであって、所得税の減税や安心して年金生活を送れるような社会保障制度の充実策などが急務であります。つまり、税や社会保障再配分を通じて可処分所得を増やしていくという施策を講ずるべきではないでしょうか。総理、御意見を述べてください。
 次に、消費税一〇%への引上げについてでありますが、安倍政権は、八%への消費税引上げを実施した一方で、税制抜本改革法に違反して、引上げ分を事実上、公共事業など社会保障以外の用途に使ってきたことが明らかになっています。このような消費税の使い方では、消費税引上げについて国民の理解は得られないと考えます。消費税一〇%への引上げに当たり、税制抜本改革法を厳守すると約束すべきと考えます。総理に具体的かつ明快な答弁を求めます。
 GPIF改革について質問いたします。
 GPIFの運用委員長に任命された米澤康博氏は、国内株運用率を二〇%台に引き上げると明言しています。例えば、株式運用比率を一%引き上げるだけで一兆円の株式新規購入を意味します。米澤氏の発言については、金融商品取引法で刑事罰の対象である相場操縦に該当する可能性があるとの批判や、運用委員長として不適切との声もあります。金融担当大臣の答弁を求めます。
 TPP交渉についてお伺いをいたします。
 総理はこの夏も各国を訪問していますが、TPPの原型とも言える、交渉妥結に向けた重要な役割を果たすP4協定国のブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポールの各国とは首脳会談などでTPPに関する具体的な話合いはされましたか。総理の報告を求めます。
 昨年十二月のシンガポールにおけるTPP閣僚級会合の際、全米商工会議所のファザリー上級部長は、日経新聞のインタビューに対し、TPPについては、関税ゼロが前提であり、例外は認めない、日本はその前提で関税撤廃に向けた猶予期間の交渉を進めるべきだと述べています。
 そこで、伺います。現在、関税撤廃に向けた猶予期間について各国との交渉は行われているのですか。総理、お答えください。
 自由化率についても伺います。
 既に発効している米韓FTAにおいて、米国側の自由化率は九九・二%、韓国側は九八・二%となっています。その後、韓国は豪州ともFTAを締結し、豪州側は一〇〇%、韓国側は九〇・八%の自由化率となっております。
 言うまでもなく、TPPは、このような二国間FTAより高い自由化率の水準を目指す枠組みであります。この度の日米閣僚級協議において、日本は柔軟性のある案を提示したとのことですが、自由化率何%を提案したのですか。また、総理は、何%までが許容範囲であるか、お答えください。
 加えて、このように、より高い水準の自由化を目指すTPP交渉については、事前の情報公開と万全の国内対策が必要なことは言うまでもありません。現時点での交渉の進捗状況を国会に中間報告すべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。また、現時点での国内対策について、総理、具体的な対策をお示しください。
 私は、この夏、佐渡市に行きました。そこで北朝鮮による拉致被害者、曽我ひとみさんの思いに接しました。御本人が書かれた手記にもあるごとく、新たな拉致被害者が帰国できる可能性が現実味を帯びてきた、私の母も含まれていれば、そして、一日も早く拉致問題の完全解決をとあります。
 安倍総理は、自らの手で拉致事件を解決すると約束されました。こうした思いに政府はどう応えるのでしょうか。そして、拉致被害者の皆さんや御家族、国民が現状に納得していないことについて総理の見解を求めます。
 次に、地方創生について質問いたします。
 九月四日に参議院民主党・新緑風会の研修会が高知で行われました。尾崎高知県知事は、その講演の中で、高知県の観光振興、移住促進、地産外商などの取組について説明がありました。こうした取組を国として全国各地で後押ししていくべきだと考えます。総理の意見を伺います。
 その一方で、総理は、九月九日、石破担当大臣に、各府省の縦割りを断固排除し、ばらまき型の対応を絶対にすることがないようにと指示をしました。にもかかわらず、各省から出された概算要求においては、地方創生関連という冠が並び、完全縦割りの水膨れ予算要求となっています。概算要求の構造は、縦割り排除、ばらまき型の対応を絶対にしないよう石破大臣に指示したものとは月とスッポンほどの違いであります。こうした矛盾について総理に詳しく説明を求めたいと思います。
 今臨時国会は、十一月末までと僅か六十三日間の会期であります。その一方で、消費税引上げ、TPP交渉、原発再稼働の動き、不安定な景気動向と実質賃金の低下、国際紛争への日本の対応など、内外の課題は山積をいたしております。
 また、本院の片山さつき議員が大変不見識かつ事実に反する言動を示していることに民主党参議院といたしまして厳重に抗議をしているところでございます。その言動の撤回と謝罪を要求しておきたいと思います。
 安倍総理、あなたは、国民の希望と懸け離れた政治を改め、正々堂々と国会で議論し、国民と向き合うべきであります。今求められていることは、世界の四十、五十か国の訪問で自らが空回りをしておるような状況ではなく、そしてまた胸を張ることでもありません。先ほど来私が指摘をいたしました諸課題に明快な答えを出していくことだと申し述べまして、質問を終わらせていただきたいと思います。また、回答が不十分な場合には再質問させていただくことを付け加えまして、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 田中直紀議員にお答えをいたします。
 政府事故調査委員会のヒアリング記録の公開についてお尋ねがありました。
 政府事故調査委員会のヒアリングは、非公開を前提に任意の協力を得て行っており、この記録の公開の可否については本人の同意を尊重することが重要と考えております。現在、政府では、ヒアリングに協力いただいた方々の意向確認を行っており、本人の同意が得られたものについて、準備が整ったものから順次公開してまいります。
 福島第一原子力発電所事故の検証についてのお尋ねがありました。
 福島原発事故の原因の解明は、国として継続的に取り組むことが重要であります。これまでに国会、政府の事故調査委員会において事故の検証が行われ、報告書が取りまとめられています。さらに、独立した原子力規制委員会が事故原因の技術的解明を進めており、今後も中長期にわたって継続的に取り組んでまいります。
 放射性物質の飛散についてお尋ねがありました。
 昨年八月の放射性物質の飛散については、東京電力は警報が発生した日に報道発表を行うとともに、速やかに政府に報告し、政府はこれを公表しています。一方、昨年十月に南相馬市で米の放射性物質濃度の基準値超過を計測しましたが、瓦れき撤去との関係を含め原因が不明であったため、関係省庁や福島県で調査を行っていたところであります。調査結果を本年二月に南相馬市で説明したところであります。
 情報は適宜公表しておりますが、報道等を通じて初めて知った方もあったと考えられることから、今後更に丁寧な情報提供を行ってまいります。
 福島第一原発に関する私の発言と汚染水対策についてお尋ねがありました。
 私自身、現地の視察を行い、原子力災害対策本部で決定した予防的、重層的な汚染水対策を着実に進めているところです。
 福島第一原発の放射性物質の影響は、外洋では基準値をはるかに下回っており、港湾内でも水質は更に改善しています。また、原子炉建屋から新たに放出される放射性物質による敷地境界上の被曝線量は低い値で安定しています。このため、全体として状況はコントロールされていると考えています。
 汚染水対策の抜本対策の一つとして、建屋近くの井戸で地下水をくみ上げ、浄化した上で運用目標を下回ることを確認して放水することを計画しています。関係者の御理解が得られるよう、期限を設けず丁寧に説明を行ってまいります。
 引き続き、東京電力任せにせず、政府も前面に出てしっかりと取り組んでまいります。
 中間貯蔵後の県外での最終処分に向けた取組についてお尋ねがありました。
 最終処分については、放射能の物理的減衰を踏まえつつ、幅広く情報収集しながら、まず、研究、技術開発、減容化、再生資源化等の可能性を踏まえた最終処分の方向性の検討にしっかりと取り組みます。並行して、情報発信等を通じて県外最終処分に係る全国民的な理解の醸成に努め、県外最終処分の実現に向け、一歩一歩着実に取り組んでまいります。
 自衛隊の機雷掃海についてお尋ねがありました。
 海洋国家である我が国にとって、国民生活に不可欠な資源や食料等を輸送する船舶の安全確保は極めて重要です。シーレーンにおける機雷掃海は、国際法に違反して敷設され、船舶の安全を損なう水中の危険物を除去する行為です。ただし、あくまでも国際法上の分類に従えば、一般に武力の行使に整理されるものであることは事実であります。
 しかしながら、これは、純粋に、水中の危険物から民間船舶を防護し、その安全な航行を確保することを目的とするものであり、その性質上も、あくまでも受動的かつ限定的な行為であります。このように、機雷掃海は、敵を撃破するために大規模な空爆や砲撃を加えたり、相手国に攻め入るような行為とは性質を異にするものであります。
 いずれにせよ、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して判断することとなりますが、新三要件を満たす場合には、武力の行使に当たる機雷掃海も、自衛のための必要最小限度の措置として憲法上許容されるものと考えています。このような考え方と、海外派兵は一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであり許されないという新しい閣議決定の下でも変わらない原則との間に矛盾があるとは考えておりません。
 現に戦闘行為を行っている現場についてのお尋ねがありました。
 先般の閣議決定で示された、現に戦闘行為を行っている現場とは、戦闘行為、すなわち、国際的な武力紛争の一環として行われる、人を殺傷し、又は物を破壊する行為が現に行われている場所をいいます。そのような現場であるか否かの判断の前提となる事実関係については、自衛隊の部隊が活動している地点において、そのような、人を殺傷し、又は物を破壊する行為が現に行われているか否かという明らかな事実により客観的に認識できるものと考えています。
 その上で、実際に自衛隊が活動する範囲については、現場の部隊で判断する事項と政府として判断する事項の整理を含め、支援活動の実施に関する具体的な手続を法整備作業の中で十分検討してまいります。
 先般の閣議決定と自衛隊員のリスクの増加についてのお尋ねがありました。
 自衛隊員の諸君の任務はただ一つ、国民の命と平和な暮らしを守ることであります。言うまでもなく、これまでも、自衛隊諸君の任務、すなわち、我が国有事における任務は文字どおり命懸けのものであります。そして、隊員諸君が命を懸ける理由もただ一つ、任務達成のため、他に手段がないからであります。
 新たな法整備により与えられる任務も、これまで同様、命懸けのものであります。しかし、それはあくまでも国民の命と平和な暮らしを守り抜くためのものであり、隊員諸君の任務には何ら変更はありません。自衛隊員が海外で、国民を守ることと無関係な戦争に参加することは断じてありません。
 また、先般閣議決定した基本方針の下、法整備を行っていくことで、我が国独自の抑止力は間違いなく高まります。さらに、日米連携の強化も可能となり、日米同盟の抑止力も高まります。我が国の抑止力は飛躍的に向上し、これにより、紛争が生起するおそれは一層なくなっていきます。このことははっきりと申し上げておきたいと思います。
 憲法改正についてのお尋ねがありました。
 自由民主党は、立党以来、憲法改正を主張しており、既に憲法改正草案を発表しています。さきの国会において国民投票法が改正され、十八歳以上の若者の投票参加の道が開かれました。これは、憲法について、未来を担う若者を含め、国民的議論を深める上で大きな一歩です。今後、国民的な関心と改正の必要性を見極め、憲法審査会における検討も踏まえつつ、どの条文からやるべきかということも含め、議論を深めてまいります。
 イスラム国を名のるテロ集団への対応についてのお尋ねがありました。
 イスラム国を名のるテロ集団による攻撃により、イラクやシリアで多くの犠牲者が出ている事態を深く憂慮しております。日本は国際社会のテロとの闘いを支持しており、難民支援や周辺国に対する人道支援など、軍事的貢献でない形で可能な限りの支援を国際社会と連携して行っていく考えであります。
 人間の安全保障に基づく国際貢献についてお尋ねがありました。
 人間の安全保障は、人間一人一人に焦点を当て、人間の保護と人間の能力強化を通じ、人々が持つ豊かな可能性を実現させることを目指す理念です。人間の安全保障は我が国外交の重要な柱であり、積極的平和主義と並んで、今後とも人間の安全保障に基づく国際貢献を一層推進してまいります。
 経済政策についてお尋ねがありました。
 安倍政権では、デフレ脱却を目指し、三本の矢の取組により、経済最優先で政権運営に当たってきました。その結果、賃上げが過去十五年で最高水準となるなど、経済の好循環が生まれ始めています。
 引き続き、成長戦略を確実に実行し、経済再生と財政再建を両立させながら、経済の好循環を確かなものにしてまいります。そして、燃料価格の高騰、この夏の天候不順などによる景気への影響にも慎重に目配りしつつ、景気回復の実感を全国津々浦々にまで届けてまいります。
 賃上げの現状についてお尋ねがありました。
 三本の矢の取組により、経済の好循環が生まれ始めているところであります。また、経済産業省の調査によれば、中小企業・小規模事業者でも六五%で賃上げが実施されています。一人当たり名目賃金に雇用者数を乗じた国民全体の所得、賃金である雇用者所得は、昨年四月以降、上昇基調にあります。一方、今般の物価上昇により、まだ賃金の上昇を実感しづらい状況であることも事実であります。
 今後とも、政労使の会議での議論などを通じ、経済の好循環拡大に向けた環境整備を図り、賃金が毎年しっかり増えていく状況を実現してまいります。
 貿易収支についてお尋ねがありました。
 二〇一二年秋以降、輸出数量は横ばいで推移しております。この背景には、新興国の需要が減速したことや、日本企業が現地の外貨建て販売価格を余り引き下げず、輸出数量ではなく収益で稼ぐ傾向が強まっていることがあります。
 貿易収支は、世界経済の動向、その他様々な要因により影響を受けるものであり、その動向については慎重に見極めていく必要性があると考えています。今後の見通しについては、地政学リスク等に留意する必要があるものの、海外景気の底堅さ等を背景に、輸出が次第に持ち直しに向かい、貿易収支の赤字は緩やかに縮小すると見込まれます。
 可処分所得の増加に向けた取組についてお尋ねがありました。
 安倍内閣では、デフレ脱却を目指し、経済最優先で政権運営に当たってきました。その結果、賃上げは過去十五年で最高水準になるなど、経済の好循環が生まれ始めております。
 持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイは縮小していき、個人の所得も減少していきます。このため、引き続き民需主導の持続的な経済成長の実現に向け成長戦略を確実に実行し、景気回復の実感を全国津々浦々にまでお届けしてまいります。
 消費税増収分の使途についてのお尋ねがありました。
 今般の消費税率の引上げは、国の信認を維持するとともに、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくためのものです。このため、消費税増収分は全額社会保障財源化することとしており、公共事業など社会保障以外の用途に充てることはありません。
 TPP交渉における各国首脳との協議についてのお尋ねがありました。
 お尋ねの各国とは私や甘利大臣がTPP首脳会合やTPP閣僚会合等でお会いしており、TPP交渉全体の話や二国間の懸案事項について話合いを行いました。また、その他の個別の会談の機会にもTPPの早期妥結に向けて取り組んでいく考えを確認しています。
 TPP交渉における関税撤廃の期間についてのお尋ねがありました。
 物品の関税については、昨年二月、オバマ大統領との日米首脳会談において、聖域なき関税撤廃が前提とされるものではないとの認識に至り、我が国は交渉に参加しました。交渉の具体的内容についてお答えすることは差し控えますが、TPP交渉では、守るべきは守り、攻めるべきは攻めていくことによって国益にかなう最善の結果を追求してまいります。
 TPP交渉における自由化率についてのお尋ねがありました。
 九月下旬、甘利大臣が訪米し、フローマン米国通商代表と、農産品と自動車について率直に意見交換を行いました。自由化率に関しては、交渉の内容に関わるため、申し上げることは差し控えさせていただきます。
 TPP交渉における情報提供等についてのお尋ねがありました。
 TPP交渉参加する際に我が国を含めた各国が署名した秘密保持契約においては、交渉の具体的内容に関する情報については秘密にしなければならないこととされています。このような制約の中で、政府としてはこれまでも、交渉に臨む我が国の基本姿勢、首脳、閣僚の共同声明や交渉会合の結果報告などは、国会、党、関係団体等に随時説明してきております。
 現在、全力で交渉に当たっているところであり、国内対策について言及することは時期尚早と考えております。
 拉致問題についてお尋ねがありました。
 拉致問題の全面解決は安倍内閣の最重要課題であり、全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き締める日が来るまで私たちの使命は終わらないとの決意で取り組んでおります。
 今後とも、全ての拉致被害者の帰国に向けて、対話と圧力、行動対行動の原則を貫き、全力を尽くしてまいります。
 地方自治体の地域振興の取組に対する国の姿勢及び各省の概算要求の状況についてお尋ねがありました。
 地方創生の推進に当たっては、各地方の活気あふれる発意に基づく自主的な取組を後押しすることとしており、観光や地域の産業振興、移住の促進など、地域の良さを生かした創意工夫を国として積極的に支援してまいります。
 また、私の下に設置した、まち・ひと・しごと創生本部において、各省の縦割りを排し、一元的、効果的に政策を実施する体制とします。この体制の下、各省の施策の効果を厳格に検証することにより、限られた財源の中で効果の高い政策を集中的に実施してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣西川公也君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(西川公也君) 田中議員の御質問にお答えいたします。
 三号機からの放射性物質の放出についてお尋ねがありました。
 農林水産省といたしましては、これまでも南相馬市に対して、米の基準値超過の原因調査を行う過程で得られた結果などについて随時説明をしてきたところであります。
 なお、放射性物質の飛散量の説明につきましては、本年七月の説明会の場において、東京電力より、今後の一号機の建屋カバー撤去に係る飛散防止対策についての説明があった際に併せて行われたものと承知しております。(拍手)
   〔国務大臣望月義夫君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(望月義夫君) 中間貯蔵施設に係る土地の権利関係についてお尋ねがありました。
 中間貯蔵施設は、周辺住民の皆様の安全、安心の確保につながるよう、長期にわたり安定的に運営、管理していく必要があります。
 他方、候補地は先祖伝来のかけがえのない土地であり、手放したくないという思いや、最終処分場になってしまうのではないかとの御懸念の声を重ねて伺ってまいりました。
 このような住民の皆様の思いや懸念に応えるべく、中間貯蔵施設の用地については、地権者の皆様の御意向を踏まえ、買取りに加えて地上権も選択肢として、両者から選べるようにしました。これにより地権者の皆様の御理解を得てまいりたい、このように考えております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(太田昭宏君) 集中豪雨対策についてお尋ねがございました。
 まず、土砂災害警戒区域につきましては、この度の広島市の災害を踏まえて指定を促進することが必要であると考えています。このため、土砂災害の危険性のある区域を住民に早期に示すことなどを内容とする土砂災害防止法の改正案を今国会に提出したいと考えております。
 また、災害時の応急対応等が的確に行われるためには、活動の拠点となる防災センターが有効だと考えています。私も今年七月に新潟県三条市の防災センターを訪問をいたしましたが、排水ポンプ車や照明車等の資機材やヘリポートを備え、また市民向けの水防学習館も整備されており、有意義な取組だと認識したところです。
 引き続き、必要な箇所の整備を進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(麻生太郎君) GPIF運用委員長の発言についてのお尋ねがあっております。
 一般論として申し上げて、金融商品取引法におけます相場操縦というものは、取引の状況に関し他人に誤解を生じさせるなどの目的をもって有価証券等の売買を行うというものであります。したがいまして、個別機関の運用方針について発言することのみをもって直ちにこれに当たるということはないということであります。
 運用委員長を始めとするGPIFの運用委員としての資質についてという御質問がありましたけれども、適切に判断されているものと理解しております。(拍手)
#10
○議長(山崎正昭君) しばらくお待ちください。
 答弁の補足があります。内閣総理大臣安倍晋三君。
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#11
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 吉田総理の御見識に対する私の感想を聞かれたわけでございますが、この吉田総理の御見識というのは、国民の総意、そして国民の理解が深まるということでございますから、これに対して私は先ほど既にもう答弁をしておりますが、さきの国会において国民投票法が改正され、十八歳以上の若者の投票参加の道が開かれました、これは、憲法について、未来を担う若者を含め、国民的議論を深める上で大きな一歩であるということを申し上げたわけでございます。
 こうした議論を通じて国民的な議論が深まる中において、憲法改正についての言わば民意がだんだんだんだん広がっていくということが期待されると、こういうことで申し上げたところでございます。(拍手)
#12
○議長(山崎正昭君) 田中君から再質疑の申出がございます。これを許します。田中直紀君。
   〔田中直紀君登壇、拍手〕
#13
○田中直紀君 追加質問をさせていただきます。
 景気回復が思わしくなく、答弁漏れの点につきまして質問をさせていただきます、税や社会保障再配分を通じて可処分所得を増やしていくという施策を講ずるべきではないでしょうか、総理、御意見を伺いますというところが答弁漏れでございましたので、総理に伺いたいと思います。
 それから、昨年八月に大量の放射能が放出されていたことが明らかになったことで、改めて、昨年のオリンピック招致の際にアンダーコントロール発言を行った安倍総理に猛省を促したいと思っております。発言の撤回と国際社会への陳謝を求めましたけれども、その点も何ら触れておられません。総理、撤回と謝罪をしっかりやってもらえますか。
 原子力の事故におきましては、止める、冷やす、閉じ込める、これが原則であります。総理も御存じでありますが、アンダーコントロールというのは閉じ込めるということでありまして、世界の皆さん方はこれをしっかりと認識をしているわけでありますから、海においても、そしてまた空中においても、特に昨年の八月に新たに東電が大量の放射能を飛散したということは事実であります。これは農林水産大臣に追加して回答していただきたいと思いますが、事実について明確にしていただくということを質問をしたわけであります。
 事実関係について、農林水産大臣にまず更に回答をしていただき、そしてまた、総理には撤回と謝罪を要求いたしまして、質問といたします。(拍手)
#14
○議長(山崎正昭君) 追加質疑じゃなしに、再質疑ですね。確認です。
#15
○田中直紀君(続) 再質疑でございます。
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#16
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 田中直紀議員から再質問がございました。
 これは、撤回と謝罪ではないと思いますが、再質問につきまして、可処分所得の増加についてどう考えるかということでございまして、先ほど既に、既に……(発言する者あり)いや、これは答弁漏れではなくて、再質問に答えているわけであります。再質問に対してはお答えをいたしますが、これは既にお答えをしているとおりでありますが、我々は、言わば可処分所得の増加に対して、それは、例えば減税をしたりお金を給付でばらまいたりということではなくて、経済を成長させ、そして賃金を上昇させることによって可処分所得を増加させていくと、そしてさらに、それによって消費が上回り、景気が好循環の中に入っていくという我々は手法を取っているということであります。
 そしてもう一点は、アンダーコントロールということについての御下問であると思いますが、先ほどこれも答弁したとおりでございますが、福島第一原発の放射性物質の影響は、外洋では基準値をはるかに下回っている、港湾内でも水質は更に改善をしているということでありました。
 こういう中において状況はコントロールされていると、こういうことを申し上げているわけでありまして、正確な情報を出していくことによって福島の農産品に対する風評被害を排除していかなければならないと、このように考えているところでございます。(拍手)
    ─────────────
#17
○議長(山崎正昭君) 伊達忠一君。
   〔伊達忠一君登壇、拍手〕
#18
○伊達忠一君 自由民主党の伊達忠一でございます。
 自由民主党を代表して、安倍総理の所信表明に対して質問をしてまいります。
 まず最初に、広島市で七十四名が亡くなった土砂災害について、四十日余りがたちました。また、御嶽山が先月二十七日、七年ぶりに突然噴火し、尊い人命が失われました。現在、救助活動をされておられる関係の皆さん方に心から敬意を表します。
 冒頭に、参議院自由民主党を代表して、犠牲となった方々に深く哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。災害に強い、安心して暮らせる国づくりに向けて、全力を尽くしてまいりますことをお誓いを申し上げます。
 七年ぶりに噴火した御嶽山は、噴火予知の難しさを示したこととなりましたが、政府におかれましては、噴火活動に最大限の警戒を行い、万全の対策を講じていただきたいと思います。
 さて、安倍総理は、所信表明演説で、全体として、将来を悲観し立ち止まるのではなく、地方の個性や女性の力など、あらゆる可能性を開花させ、将来を切り開いていくというメッセージを発信しました。
 安倍政権は、これまでも歴代政権がなし得なかった、憲法改正手続の整備、国家公務員制度改革、集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法の制定など、困難な課題を次々と実現させています。私は、安倍総理の信念と実行力に深く敬意を表します。
 続いて、今回の内閣改造に伴う重要課題について順次質問をしてまいります。
 まず、地方創生について伺います。
 今回の改造の最大の目玉は、何といっても地方創生でしょう。地方創生担当大臣の新設は、人口減少や超高齢化といった地方が直面する構造的な課題にどう対処するか、まさに内閣を挙げて取り組む姿勢を示したものであると高く評価をいたします。
 担当になられた石破大臣におかれましては、しっかりとした成果を上げていただきたい、このことを強く要望し、その決意のほどをお示しをいただきたいと思います。
 今年五月に増田寛也元総務大臣らの有識者グループが行った提言では、二〇四〇年までに全国千八百の市町村の約半数が消滅する可能性があるというショッキングな予想が示されました。多くの自治体では、若者だけでなく高齢者も減り始め、人口が本格的な減少期に入っています。消滅という強い言葉には賛否両論がありますが、ショック療法としてはよかったのでしょう。地方の側にも強烈な危機意識が芽生えたことは確かです。
 総理は、今年の骨太方針に、五十年後に一億人程度の人口を維持することを国家目標として掲げられました。そのための戦略を策定する組織として、担当大臣の設置と同時に、まち・ひと・しごと創生本部も設置されました。具体的な目標を掲げて正面から取り組むという姿勢は、これまでの内閣の姿勢から一歩も二歩も踏み込んだものであり、人口減少と高齢化に悩む地方にとりましては願ってもないことであります。
 東京一極集中に歯止めを掛け、地方から大都市へという人の流れを変えるということは、今まで何度も言われてきた課題であります。と同時に、総理、これはまだ誰もがなし得なかった、成功しなかった課題でもあります。私は、安倍政権なら必ずこれを成功させ、成果を上げていただけると信じて疑いません。
 総理はこの困難な課題にどう取り組んでいくお考えなのか、総理の断固たる決意のほどをお示しをいただきたいと思います。
 創生本部では長期ビジョンと総合戦略を年内にも決定するということですが、その際一つだけ申し上げておきたいことがございます。創生本部には、是非地方の声を積極的に聞いていただきたいのです。地方の切実な声に基づいた、各地域の特色に応じた戦略でなければ、決して実効性のあるものにはなりません。
 同時に、地方の側も国からのばらまきを安易に期待するような今までの姿勢でいてはならないことは当然であります。これまで、そうした姿勢が中央への依存を生み出し、地方が自立できない一因となってきたことも否定できない事実であるからです。国主導ではなく、地方が自ら提案し、行動し、実現することが地方創生の本旨だと思います。
 創生本部では、今後、地方の声をどのように聞いていくお考えなのか、お伺いをいたします。
 また、基本方針には、従来とは次元の異なる大胆な政策、地域の特性に即した課題解決と書かれていますが、これまでの政府のやり方とどう違うのでしょうか、お伺いをいたします。
 地方の経済を活性化し、成長軌道に乗せるためには、そこに雇用が生まれ、人が集まってくることが大切です。結局は、皆働くためには仕事があるところに住むわけです。そして大都市に人口が集中してきたのがこれまでの歴史です。
 これに加えて、都市と地方の教育の格差もあります。地方では学校の選択肢が少なく、自分のやりたい勉強や研究をするためにはどうしても都会の学校に進学せざるを得ない。高校、大学と進むに従って、皆どんどん都会に出ていってしまうのが地方の実情です。
 地方における雇用の問題と、そして教育の格差の問題について総理はどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
 地方創生に関し、国家戦略特区についても伺います。
 政府は、国家戦略特区として、東京圏、関西圏のほかに、新潟市、兵庫県養父市、福岡市、沖縄県の合わせて六地域を指定しました。私は、これも地方創生と軌を一にする考え方であると思います。東京あるいは大阪だけが富と力を結集して世界と戦って日本を引っ張っていく、そういう国の在り方を目指すのではない。それをはっきり示したのが、今回、新潟市、兵庫県養父市、福岡市、沖縄県が選ばれた意味に違いありません。それぞれの地域にはそれぞれの活性化のやり方があります。成長の仕方があります。その実験場となるのが私はこの特区の意義だと思います。
 東京か地方かという対立軸ではなくて、東京も地方もそれぞれのやり方で成長していくというのがこれからの成長戦略であり、我が国の将来であります。そうした観点から、今国会に提出予定である国家戦略特区法の改正案には、地方の創意工夫を生かすためにどんな具体案が盛り込まれているのか、安倍総理及び石破担当大臣からお聞かせをいただきたいと思います。
 成長戦略という観点からもう一点、国会で審議が予定されています統合型リゾート推進法案、通称IR推進法案について伺います。
 さきの通常国会に議員立法で提出された法案ですが、地域の経済活性化という面では大きなインパクトのある法案です。統合型リゾートは、ホテル、商業施設、国際会議場、カジノなどを備えた複合施設であり、海外からの観光客の呼び込みと地域経済の活性化に大きな役割を果たすという期待をされております。
 カジノについては、メリット、デメリットがあります。世論にも賛成と反対の両論があるのは事実です。しかし、諸外国では当然のようにカジノが設置されており、G8の中では唯一我が国だけがカジノを認めていません。いかにデメリットを抑え、健全な運営を行っていくかという点に注意をすれば、必ずや成長戦略にとって大きなプラスになるものと考えております。
 安倍総理も、シンガポールに行かれた際に、統合型リゾートを視察されたと聞いております。是非今国会でIR推進法案を成立させるべきと考えますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
 次に、女性の活躍について伺います。
 内閣改造のもう一つの目玉は、女性の活躍です。今回の改造では、過去最高に並ぶ五名の女性の閣僚が誕生したのに加え、新たに女性活躍担当大臣が任命をされました。
 女性が輝く社会の実現は、我が国にとって大きなチャレンジです。女性が職場でも家庭でも能力や情熱を開花させる社会をつくらなければなりません。しかし、あらゆる分野で二〇二〇年までに指導的地位にいる人の三割を女性にするという大きな目標に対して、女性管理職の割合が一割にも満たないというのが今我が国の現在の状況です。国際的にも、米国では四割、欧州各国では三割を超えており、日本の少なさが際立っています。
 先頃、経団連が主な会員企業四十七社の女性登用計画をまとめたところ、約六割に当たる二十七社が数値目標を設けているそうです。今後は、男性でも女性でも、親の介護をする人も増え、仕事と家庭を両立するための工夫をしなければなりません。管理職に占める女性の比率の数値目標を経営トップが掲げれば、こうした改革の推進力になり、日本企業の風土や文化にも変化をもたらすはずです。
 安倍総理は、先日、東京で行われた女性が輝く社会に向けた国際シンポジウムに出席され、女性がいつでも誰でも夢にチャレンジできる社会を二〇二〇年までに実現すべく、切れ目なく政策を打ち出すとおっしゃいました。また、今後、女性登用の目標や行動計画の策定などを内容とする新法も提出されると伺っております。
 総理としては、女性が輝く社会に向けて、また、指導的地位を占める女性の割合を三割にするという目標に向けて、何が最大の課題で、どうすればこれを克服できるとお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
 これまで、日本企業、特に大企業は、終身雇用や長時間労働を前提に成り立ってきました。その結果、世界でも有数の生え抜きの男性中心の組織になっているという見方もあります。
 近年では、多様な人材を生かす組織でなければグローバル競争を勝ち抜けない中において、安倍総理の目指す女性の活躍推進は、中長期的に見れば日本企業の競争力強化にもなるはずです。そのためにも、正規と非正規の格差の問題や、長時間労働、年功序列といった日本型の雇用について総合的な見直しを進めるべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
 次に、安全保障について伺います。
 去る七月に、新しい安全保障法制の整備のための基本方針が閣議決定されました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、あらゆる事態に対して切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備し、万全の備えをすることが重要です。この閣議決定は大きな意義を持つものです。
 しかしながら、今回の決定は、集団的自衛権やグレーゾーン、国際平和協力など、ある意味抽象的な考え方に関するものであり、国民にとって分かりにくいことも確かです。政府は、閣議決定に至る議論において、憲法との関係、国際法との関係、安全保障政策として考え方を分かりやすく説明する努力を行い、具体的な事例も挙げて説明をしてきており、これらについては国民の理解も進んでいると思います。
 安全保障法制に関しては、政府が次期通常国会に関連法案を提出すると伺っています。その目的は、閣議決定にあるとおり、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くという国家百年の大計に関わる極めて重要なものであります。
 政府は、関連法案の提出に向けて、引き続き国民に対して丁寧に説明し、一層の理解を得るよう努力していく必要があると考えます。この点について総理の見解を伺いたいと思います。
 次に、拉致問題について伺います。
 拉致問題の解決は、安倍内閣にとって最重要課題です。総理は、拉致問題に強い思いを持たれていますし、裏も表も含めて、恐らく誰よりも詳しく御存じのはずです。対話と圧力という基本方針の下、これまで断固たる姿勢を示されてきたのは、誰よりも総理御自身です。その上で、総理は、拉致問題を自分の内閣のうちに解決をするという決意も述べられておられます。
 我が国にとって、これが最大で最後のチャンスだと言っても過言でないと私は思います。
 今年の三月に一年四か月ぶりに日朝政府間協議を再開して以来、今日まで交渉を続けてきているわけですが、現在の状況はいかがでしょうか。一時期、九月前半には北朝鮮側の再調査結果が示されるという話もありましたが、既に十月を迎えております。
 ここに来て、北朝鮮は調査結果の報告は延期するという姿勢を示してきました。政府は早々と制裁の一部解除という融和措置をとりましたが、これに応えようとしない不誠実な姿勢には非常に怒りを覚えます。
 もちろん、交渉事ですから言えないこともあるでしょう。昨日総理に報告をされたことも含めて、是非総理から、交渉の現状と見通しについて、可能な範囲で結構でございますので、お聞かせをいただきたいと思います。
 次に、農業政策、特に農協改革について伺います。
 今年の五月、政府の規制改革会議がJA全中の廃止を唐突に提言したときには、我々は耳を疑いました。時代に合ったJAに変えていかなければならない、それは誰もが思っていることです。しかし、それはあくまでも地域の現状を踏まえた自発的な改革でなければなりません。審議会での机上の空論だけで、地域に大きく貢献をしているJAの姿を上から変えてしまうということなど許されるはずがありません。
 その後、我々自民党との協議の結果、廃止ではなく自律的な新たな制度に移行ということになりました。まずは、自発的な改革を尊重する姿勢が示された点では評価しております。
 政府は、来年の通常国会に農協改革法案を提出するお考えだと伺っております。法案の策定に当たっては、現場の意見を十分踏まえて、農業者が将来への希望と安心感を持てる制度とするよう、この場を借りて強く申し入れさせていただきたいと思います。西川農林水産大臣の御意見をお伺いいたしたいと思います。
 農業に関してもう一つ、TPPについてお伺いいたします。
 日米関税協議が難航しており、交渉全体も停滞ぎみだと伺っています。また、アメリカの中間選挙などの事情もあって、すぐには進展が見込まれないという見方もあります。各種メディアでも、重要な進展があったとか、いや進展がなかったという報道が入り乱れており、一体どうなっているのかはっきりと分かりません。
 そうした中で、年内合意という目標はどうなるのか、また、合意を急ぐ余りに、我が国が不利な妥協を強いられるという最も避けるべきシナリオになってしまうことはないのか、皆心配をしているところであります。
 交渉の現状と今後の臨む姿勢について、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
 次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まったのは、昨年の九月七日でした。あのときの感動をつい昨日のように思い出しますが、早いものでもう一年余りがたちました。それ以来、開催に向けた交通インフラの整備計画が相次いで発表されており、まさに我が国の成長戦略の起爆剤となっている感があります。
 一方で、東京都知事の交代や、国立競技場の設計変更、他の競技会場の計画見直しなどの動きもあり、肝腎の大会本体の計画が順調に進んでいるのか、やや不安な面もあります。オリンピック・パラリンピックに向けては、我が国の誇るおもてなしのシンボルとして、都市のバリアフリー化も重要な課題になってくるでしょう。
 ハード面のみならず、ソフト面においても、国民的なスポーツの振興、日本選手の活躍を目指した競技力の向上、外国人観光客の受入れに向けた多言語、多文化への対応など、課題は山積しております。
 政府は、五輪担当大臣を専任ポストとする法整備やスポーツ庁の設置に関する法整備を行うということですが、大会の成功に向けて、国を挙げて一丸となって準備が進められるよう体制づくりをお願いしたいと思います。
 東京オリンピック・パラリンピックに向けた準備状況と今後の取組について、総理にお伺いをいたします。
 次に、エネルギー政策について伺います。
 鹿児島県の川内原発が、原子力規制委員会の審査に合格し、この冬にも再稼働する見通しになりました。政府が四月に決定した新たなエネルギー基本計画では、原発が重要なベースロード電源と位置付けられていましたが、原発が再稼働していないため、具体的な電源構成は盛り込まれていません。
 現在は、老朽化した火力発電所を無理やり動かし、CO2をどんどん出しながら発電をし、年三・六兆円もの余分な燃料代を海外に支払っています。国民や企業に高い電気料金を支払ってもらいながら何とか電力不足を乗り切っている状態です。国富が流出し続けているこの状態を一日も早く脱しなければなりません。
 発電量の九割が火力発電という我が国の現状は、燃料価格の変動や為替の変動に対しても非常にもろく、不安定です。これは、単に経済のみならず、社会の安定や国家の安全保障にも直結する重大な問題です。安全性の確保を大前提として、原発の再稼働を急ぎ、バランスの取れた電源構成を早期に実現すべきと考えます。
 原発の再稼働の必要性と具体的な見通しについて、総理の見解を伺いたいと思います。
 次に、外交政策について伺います。
 安倍総理は、第二次内閣の発足後、歴代総理の中で最も多い四十九か国を訪問し、まさに地球儀を俯瞰する外交を実践されています。来年は日本が立候補を予定している国連安保理の非常任理事国選挙もあり、更に安倍外交の真価が問われる年になることと思います。
 そうした中、総理がまだ訪れていないのは隣の中国、韓国です。日中、日韓の首脳会談もまだ実現していません。
 中国の習近平国家主席は、九月三日、日中関係について、長期の安定的で健全な発展を望んでいると述べました。韓国の朴槿恵大統領も八月に、日韓国交正常化五十周年となる来年を新たな出発の元年にしなければならないと述べています。いずれも、従来の反日一辺倒の姿勢から、僅かではありますが、変化が見られるのではないでしょうか。
 こうしたシグナルに対して我が国がどう対応していくか、重要な局面になっていると考えます。安倍総理は、今後の日中、日韓の外交にどう取り組まれるお考えか、また、首脳会談の可能性についてはどうなのか、お聞きさせていただきたいと思います。
 最後に、総理はこれまで、歴代の内閣がなし得なかった数々の難題に取り組み、実現してこられました。まさに獅子奮迅の活躍であります。
 獅子というのはライオンのことであり、ライオンは普通、一日二十時間休んでいるということです。つまり、獅子が奮迅するのは一日四時間ということです。集中して成果を出すにはゆっくり休むことも必要ということでしょう。
 総理に一日二十時間休んでくださいとは申し上げませんが、十分に休養を取って、安倍政権でなければできない改革を引き続き進めるため、元気で御活躍を続けていただきたい。我々も全面的に安倍内閣を支えてまいることを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#19
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 伊達忠一議員にお答えをいたします。
 地方創生に向けた決意と課題解決に向けた基本的な方向性についてお尋ねがありました。
 若者が将来に夢や希望を持てる、魅力あふれる地方の創生は、安倍内閣の最重要課題です。景気回復の波を全国津々浦々にまでお届けするとともに、若い方々が安心して働き、子育てができる地域をつくることにより、我が国が直面する人口減少を克服する道筋を描いていくことが必要です。
 この課題に正面から取り組むため、私の下に、まち・ひと・しごと創生本部を創設しました。この本部の下で、各省の縦割りを排し、従来の取組の延長線上にはない大胆な政策を力強く実行してまいります。
 創生本部では、今後、地方の声をどのように聞いていくのか、また、これまでの政府のやり方とどう違うのかとのお尋ねがありました。
 地方創生を進めるに当たっては、地方の声を十分にお聞きすることが重要です。このため、私や地方創生担当大臣等が、首長など地方のリーダーとの意見交換の場を持つほか、積極的に地域へ赴き、現場の意見をお聞きするなど、様々な機会を捉えて地域の声に十分耳を傾けていきたいと考えています。
 政策の検討、実施に当たっては、これまでの国主導のやり方ではなく、地方の発意に基づく自主的な取組を国が後押しすることを基本とします。また、客観的な現状分析を踏まえた数値目標を設定し、厳格な検証を踏まえ、効果の高い政策を集中的に実施していきます。さらに、各省の縦割りを排除し、ワンストップ型の政策を展開することとしております。
 地方における雇用と教育の問題についてお尋ねがありました。
 雇用については、地域の特性に即して課題の解決を図ることが必要であり、各地の創意工夫を生かした良質な雇用機会の創出や、地域経済を支える人材育成の取組が重要と考えております。
 教育については、地方大学を始めとする教育環境の魅力を高めるとともに、都市部の学生が地方の魅力を知る機会を一層増やすことなどにより、地方への新しい人の流れをつくり、地域活性化の好循環を生み出してまいります。
 国家戦略特別区域法の改正案についてお尋ねがありました。
 地方創生は、都市対地方という構図ではなく、双方とも発展するとの視点が重要であり、国家戦略特区では、新潟市、養父市などの地方拠点も指定しております。
 特区法の改正案には、やる気のある自治体や事業者から提案された、地域の起業や高齢者の雇用につながる具体的な規制改革事項も盛り込む予定です。
 統合型リゾート、いわゆるIRについてお尋ねがありました。
 我が国経済の成長と地域の活力のため、観光は大変重要な分野だと考えます。IRは、私もシンガポールで視察をしましたが、観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待されます。一方で、カジノについては、治安や青少年への悪影響等の観点から、制度上の措置の検討も必要です。
 政府としては、現在国会で審議中のIR推進法案の状況や、IRに関する国民的な議論を踏まえ、関係省庁で検討を進めてまいります。
 女性の登用促進に関するお尋ねがありました。
 現在、女性は就業人口の四割を占めるにもかかわらず、管理職に占める割合が一割に満たないのは、出産などを機会に仕事を離れる人が多く、就業継続年数が短いことや、非正規での就業が多いことなどに要因があると考えております。
 そのため、安心して子育てと仕事が両立できるよう、待機児童の解消や放課後子ども総合プランによるいわゆる小一の壁の打破に取り組んでまいります。また、非正規雇用から正規雇用への転換、子育て後の再就職の支援等を進めてまいります。さらに、企業等における女性の登用の目標や計画の策定を促進する新たな法案を国会に提出してまいります。
 日本型雇用の見直しについてお尋ねがありました。
 安倍内閣が推進している女性の活躍推進に当たっては、女性を始め全ての人々が生きがいを持って働くことができる、何度でもチャンスを与えられる環境や、多様で柔軟な働き方を実現することが重要と考えております。このため、非正規雇用の方々について、キャリアアップ助成金などの支援により処遇改善を進めるとともに、正社員を希望する方々に対して正社員への転換を推進します。
 また、長時間労働については、法に違反するものに厳正に対処するとともに、残業を減らす労使の取組を促進すること等により、働き過ぎの改善に全力で取り組んでまいります。
 なお、年功序列の問題については、どのような賃金体系とするかは個別の労使交渉で決められるべきものと考えておりますが、年功だけでなく様々な観点も考慮して決定されることが望ましいと考えています。
 安全保障法制の整備に係る国民への説明についてお尋ねがありました。
 政府としては、閣議決定で示された基本方針の下、安全保障法制の整備に向け精力的に準備を進めていますが、御指摘のとおり、内容が非常に多岐にわたるため、法整備に当たっては、何よりも国民の皆様の御理解を得ていくことが第一と認識しております。
 引き続き、国民の皆様に、より一層の御理解を得られるよう、丁寧に御説明をしながら法整備を進めてまいります。
 拉致問題についてお尋ねがありました。
 北朝鮮による調査については、九月二十九日の瀋陽での会合において、初期段階であり、具体的な調査結果を通報できる段階にはない、調査の詳細な現状については、平壌に来て、特別調査委員会のメンバーに直接会って話を聞いてほしいとの説明がありました。これに対し、日本側からは、北朝鮮側が調査を迅速に行い、結果を速やかに通報するよう強く求めたところであります。
 政府としては、今後とも、全ての拉致被害者の帰国に向けて、対話と圧力、行動と行動の原則を貫き、全力を尽くしてまいります。
 TPP交渉についてお尋ねがありました。
 アジア太平洋地域の成長を日本に取り込む潜在力を持つTPPは、成長戦略の主要な柱の一つであります。TPP交渉は最終局面にあり、関係国と協力し、早期妥結に向け、交渉に全力を尽くしてまいります。
 TPP交渉では、守るべきは守り、攻めるべきは攻めていくことによって、国益にかなう最善の結果を追求してまいります。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会についてお尋ねがありました。
 二〇二〇年の東京大会は、日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけとなるよう、今後更に準備を加速します。各地の自治体が参加するホストシティ・タウン構想などを進め、全国津々浦々にまで大会の効果を実感できるようにするとともに、被災地を走る聖火リレーを行うなど、復興五輪として大会が復興の後押しとなるようにしてまいります。
 今後、政府として、必要な法整備を行うなど、大会の成功に向け一丸となって取り組んでまいります。
 原発の再稼働の必要性と具体的な見通しについてのお尋ねがありました。
 原発が全て止まった結果、海外の化石燃料への依存度が石油ショックの頃よりも高くなるとともに、エネルギー価格の高騰は、中小企業・小規模事業者の皆様を始め、国民生活に深刻な影響を与えています。また、我が国の電力分野の温室効果ガスの排出量は震災前に比べ大幅に増加しています。
 このため、いかなる事情よりも安全性を最優先させる前提の下、独立した原子力規制委員会により、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合すると認められた原発については、その科学的、技術的な判断を尊重し、再稼働を進めていく方針です。
 日中・日韓関係についてお尋ねがありました。
 私は、中国や韓国との関係を改善していきたいと考えています。中国も韓国も日本にとって重要な隣国です。隣国同士であるがゆえに様々な課題が生じますが、課題があるからこそ前提条件を付けずに対話していくべきと考えています。
 十一月には北京でAPECが開催されます。中国の平和的発展は、日本にとって、そして世界にとってチャンスであると言えます。地域の平和と繁栄に大きな責任を持つ日中両国が安定的な友好関係を築いていくためにも、APECで北京を訪問する際、日中首脳会談ができればよいと考えています。そのためには、先般のニューヨークにおける外相同士の協議のように、両国が互いに静かな努力を重ねていくことが必要であります。韓国とも、先般、ニューヨークで外相会談が行われました。
 今後も、一歩一歩お互いに努力を重ね、様々な国際会議の機会に首脳会談ができればよいと考えています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(石破茂君) 伊達議員より御質問を二問いただきました。
 まず、決意についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
 人口減少を克服し、地方が成長する活力を取り戻す、それが与えられた使命だと認識をいたしております。
 まず重要なことは、人口減少に対する危機感の共有であります。これは、都市も地方も、あらゆる国民が世代を超えて共有をすべきものだと考えております。残された時間や選択肢は決して多くありません。この認識を基礎として、人口減少克服、地方創生という構造的な課題に取り組んでまいります。
 まち・ひと・しごと創生本部で決定されました基本方針にございますように、人口減少、超高齢化という危機的な現実を直視しつつ、景気回復を全国津々浦々で実感できるようにすることを目指し、従来の取組の延長線上にはない次元の異なる大胆な政策を、中長期的な観点から、確かな結果が出るまで断固として力強く実行してまいります。
 次に、国家戦略特区法の改正案についてのお尋ねをいただきました。
 総理から答弁がございましたように、地方創生は、都市対地方という構図ではなく、双方とも発展するとの視点が重要であります。地方において、若者が安心して働き、家庭を持ち、子供をつくり育てられる、また高齢者も安心して住まえる、そういう地方をつくるということと、東京が、より活力を持ち、より安心、安全で快適な町になるということは両立させなければならないものであります。
 国家戦略特区につきましては、この夏に追加の規制改革事項の提案を募集いたしましたが、全国各地の意欲、熱意のある自治体や民間事業者から二百六件の提案をいただきました。これらの提案を基に、今国会に提出予定の国家戦略特区法改正案に、地域の起業や高齢者の雇用につながる具体的な規制改革事項を盛り込んでまいりたいと考えております。
 できません、なぜならばということを言うのが我々の仕事ではございません。できるためにはどうするかを考え、実行することでございます。総力戦で取り組んでまいります。よろしくお願い申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣西川公也君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(西川公也君) まず、田中議員の再質問にお答えをいたします。
 三号機からの放射性物質の放出についてでありますけれども、先ほどもお答えいたしましたが、農林水産省としましては、これまでも南相馬市に対して、米の基準値超過の原因調査を行う過程で得られた結果などについて随時説明をしてきたところであります。
 なお、放射性物質の飛散量の説明については、本年七月の説明会の場において、東京電力より、今後の一号機の建屋カバー撤去に係る飛散防止対策についての説明があった際に併せて行われたものと承知しております。
 以上です。
 次に、伊達忠一議員の質問にお答えいたします。
 農協改革についてのお尋ねがありました。
 農協改革は、改革ありきではなく、あくまでも農家の所得を増やし、農村のにぎわいを取り戻していくために行うものと考えております。このためには、地域の農協が主役となって農業の成長産業化に全力投球できるようにし、農業の将来に希望や安心感を持てるようにしていくことが重要であります。こうした観点から、本年六月には与党の取りまとめが行われ、これに基づき、政府においても農林水産業・地域の活力創造プランの改訂、規制改革実施計画の閣議決定等が行われたところであります。
 農林水産省としましては、こうした枠組みを前提に、農協系統の検討状況を伺いながら、次期通常国会における関連法案の提出に向けて検討を進めてまいります。(拍手)
#22
○議長(山崎正昭君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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