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2014/10/02 第187回国会 参議院 参議院会議録情報 第187回国会 本会議 第3号
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2014/10/02 第187回国会 参議院

参議院会議録情報 第187回国会 本会議 第3号

#1
第187回国会 本会議 第3号
平成二十六年十月二日(木曜日)
   午前十時二十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成二十六年十月二日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕
#4
○山口那津男君 公明党を代表して、ただいま議題となりました安倍総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、この夏の平成二十六年八月豪雨により、広島での大規模な土砂災害を始め、全国各地で甚大な被害が発生しました。また、去る九月二十七日、御嶽山で噴火災害も発生しました。亡くなられた方々の御冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 今国会で、土砂災害防止法や災害対策基本法の改正が議論される予定です。この際、是非とも、災害情報について、発信する側の情報提供の在り方と情報の受け手側の利活用の在り方に関する災害リスクコミュニケーションの議論を深め、被害の防止にあらゆる努力を払う必要があると考えます。
 さて、公明党が再び連立政権に参画して一年九か月。東日本大震災からの復興を始め、経済再生、社会保障と税の一体改革を最重要課題に掲げ、真正面から取り組んできました。いずれの課題も確実な成果を示すために正念場を迎えております。今後も、連立政権の力を結集し、これらの課題に最優先で取り組んでいただきたいと思います。
 以下、具体的に質問します。
 足下の日本経済は、四―六月期のGDPが前期比マイナス一・八%と大きく減少し、緩やかな回復基調が続くものの、天候不良の影響による需要の伸び悩みなどにより、一部に弱さが見られます。また、最近の円安によって生活に身近な生鮮食料品やガソリンなどの価格が高止まりし、そうした物価上昇に賃金アップの動きが追い付かない状況も見られます。
 過度な円安によるコスト面の上昇が特に家計や中小企業に深刻な影響を及ぼすことがないよう、政府、日銀が連携して為替安定に努めるとともに、明年十月の消費税率一〇%への引上げ判断に際しては、足下の経済状況をしっかりと見詰めつつ、景気、経済を下支えするために、必要に応じて補正予算の編成も含めた万全の対策を講じるべきであります。
 こうした状況を踏まえ、本年改訂した日本再興戦略を着実に実行に移し、成長戦略の推進をマクロ経済の更なる好転につなげ、持続的な経済の好循環を生み出すことが肝要です。特に、政労使の三者が会する場において、収益が賃金に振り向けられるよう、総理のリーダーシップを期待します。
 成長戦略の実行に当たっては、改革の進捗状況をしっかりとフォローアップするとともに、地域経済への波及効果が大きい観光に力を入れることが期待されます。東京オリンピック・パラリンピックが開かれる二〇二〇年を目標に、訪日外国人二千万人を目指し、外国人にも分かりやすい道路標識の整備、世界最高水準の通信環境を整えるための無料公衆無線LANの整備促進、全国各地にあるふるさと名物や観光資源を生かした事業の応援、日本の伝統や文化を生かした観光政策など、地域の魅力を再発見し、それらを国内だけでなく世界へ発信する取組を積極的に行うべきと考えます。
 一方で、我が国の国際競争力を強化する上で重要な法人税改革については、減税分を投資の拡大、賃金上昇、雇用拡大など、真の経済の好循環につなげる観点から、今後いよいよ財源確保を含め本格的な議論が求められます。財源確保のために、アベノミクスの効果が乏しい中小企業に対する課税強化につながらないよう、中小企業への法人事業税の外形標準課税の対象拡大については十分慎重に検討しなければなりません。
 あわせて、実体経済の回復に勢いをもたらすためには、長期的な製造業の産業空洞化への対策や、GDPや雇用の約七割を占める非製造業の成長力強化が不可欠です。高度な技術を持つ中小企業と地域金融機関を始めとする多様な主体が連携し、物づくり技術基盤の強化を図るとともに、人材教育やICT、いわゆる情報通信技術の活用によって生産性を高めるなど、産業構造の変化や構造的な人手不足に対応した施策により、国内産業力の強化を図る必要があると考えます。
 以上、経済認識、成長戦略の実行、国内産業力の強化について総理の見解を伺います。
 東日本大震災の発災から三年半が経過しました。
 公明党は、被災県それぞれに国会議員の担当者を配置し、地域の地方議員と連携しながら、現場の声、要望を受け止め、課題解決に力を注いできました。
 人間の復興が私たちの願いです。
 安倍内閣は、全閣僚が復興担当との意気込みを示し、所信表明で心の復興にも力を入れると述べられました。公明党も、所属国会議員全員が復興担当との自覚で、これまで以上に現場に寄り添い、党のネットワークの力を結集して復興加速に取り組んでまいる決意です。
 以下、現場の声を踏まえ、質問します。
 災害公営住宅や高台移転など住宅再建は着実に進んではいるものの、なお仮設住宅で暮らさざるを得ない方々も少なくありません。仮設住宅は、二年の仮住まいの前提で建設を急いだため、耐久性は高くなく、三年以上が過ぎた今、劣化、腐食等が進み、生活に支障が出てきています。冬が近づく中、政府は地元自治体と調整し、迅速に対策を講じるべきです。
 我が党の宮城県本部は、継続的に仮設住宅の方へのアンケートを行っていますが、直近の結果によれば、健康面での不安、仮設住宅内における孤立という課題などが浮き彫りになりました。
 インフラ整備、町づくり、産業振興などのハード面の整備も重要ですが、避難生活が長期化する中、被災者の健康・生活支援、とりわけお年寄りの孤立防止や子供たちの心のケアなど、ソフト面の対策にもこれまで以上にしっかりと取り組む必要があります。総理の答弁を求めます。
 福島再生に向けては、廃炉・汚染水対策や除染を着実に進めることが被災者のふるさと帰還の大前提です。そうした中で、本年四月一日には田村市都路地区で、昨日には川内村東部で避難指示が解除され、いよいよ本格的復興が始まる状況になりつつあります。
 また、福島第一原発の廃炉・汚染水問題については、昨年九月より、国が前面に立つとの方針転換の下、現地事務所を立ち上げ、また、技術的難易度が高い対策に国の予算措置がとられた結果、四号機建屋からの使用済燃料棒の取り出しが予定より早く進捗するなど、着実に前進しています。厳しい現場環境で作業に従事している多くの方々に心から敬意を表するものであります。
 事故を起こした原子炉の廃炉は、人類史上初めてのチャレンジであり、三、四十年掛かると言われる一大難事業であります。廃炉に係る技術開発や遠隔操作のできる災害対応ロボットの開発や実証フィールドづくり等を進めるため、国の責任で、世界中のあらゆる英知を結集できる受皿づくりが重要と考えます。
 私は、福島の未来に向けては、中長期的な地域の将来像、具体的には、帰宅困難区域にある町でであっても、五年後には住める町づくりを目指した取組が大切だと考えます。特に、本年六月にまとめられた福島イノベーション・コースト構想を中長期的な産業振興の柱に位置付け、その早期の具体化、実現に向けた政府内の体制整備が急がれます。
 以上、福島の再生に向けた総理の決意並びに答弁を求めます。
 被災地の復興について、我が党の提案を受けて被災三県における共生型福祉施設の整備が進められています。せっかく年齢や障害の有無を問わず横断的な利用ができる共生型福祉施設として整備されたにもかかわらず、その運営は、従来どおりの障害者と高齢者を分ける縦割りの行政指導がなされており、共生型施設の強みを発揮できていない状況が我が党の現地視察により明らかになりました。
 こうした共生型福祉施設こそ、今後、人口減少の地域にあって、多世代交流の多機能型施設として全国展開を進める必要があると考えます。ついては、被災三県の共生型福祉施設の運営状況を十分把握の上、さらに、制度間の縦割りを排除し、地域福祉の充実強化にも活用できる支援拠点の実現を強く求めるものであります。総理の答弁を求めます。
 子ども・子育て支援について伺います。
 公明党は、子供を安心して産み育てられる社会の構築を目指し、子育て支援を強力に推進してきました。来年四月からは、子ども・子育て家庭を社会全体で支援するための重要な制度として、子ども・子育て支援新制度が本格的にスタートします。この新制度には、消費税財源を含め一兆円超の財源を要します。目下の課題である財源確保に向けてどのように取り組んでいかれるのか。
 また、新制度の柱である認定こども園に関しては、大規模園ほど公定価格が現行の水準より低くなること等、制度上の問題が指摘されています。早急に検討し、新制度の着実かつ円滑な実施を確保すべきだと考えます。総理の答弁を求めます。
 労働政策について伺います。
 政府は、本年六月に改訂した成長戦略に働き方改革を盛り込み、時間ではなく成果で評価される新たな労働時間制度を創設するとしました。
 それに先立つ本年四月、公明党は、時間で測れない創造的な働き方の検討に当たっては、内容によってサービス残業の合法化、長時間労働の常態化につながる懸念もあり、労働者の健康管理に十分配慮の上、慎重な検討を進めることを政府に申し入れました。長時間労働の是正や過重労働の防止など、労働者の健康確保が大前提と考えます。
 現在、労働政策審議会において議論されていますが、労働者も使用者も共に遵守すべき安全衛生の観点を踏まえた議論が進められることを期待します。総理の見解を伺います。
 年金についてお聞きします。
 昨年十一月、政府の有識者会議は、年金積立金などの公的資金について、国債中心の運用を見直し、多様な運用対象への分散投資を提言。本年改訂された政府の成長戦略には、この提言を踏まえた施策を実施することが明記されました。
 国民から集めた年金保険料を原資とし、国民共有の財産とも言える年金積立金を過度なリスクにさらすことのないように、長期的な観点から安全かつ効率的に運用すべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
 再生医療についてお尋ねします。
 目の難病のため視力が低下した七十代女性に対し、iPS細胞、いわゆる人工多能性幹細胞から作った網膜の細胞を移植する世界初の手術が行われました。iPS細胞が初めて人への移植に使われたことで、再生医療研究は新たな段階に入りました。
 今後、先進的な研究開発への助成などの支援、臨床研究や治験環境の整備、承認審査の迅速化、専門知識を有する人材の確保、養成などを推進することが不可欠です。一方で、安全性の確保や治療の効果などの検証作業も重要です。再生医療に懸ける総理の決意を求めます。
 感染症対策について伺います。
 国内ではデング熱感染者が増え、西アフリカでは致死率が高いエボラ出血熱が猛威を振るうなど、国内外で感染症対策の重要性が増しており、ワクチンや治療薬開発の研究体制整備は世界的な課題となっています。
 研究拠点として、海外では、既に十九か国、四十か所以上の高度安全実験、いわゆるバイオセーフティーレベル4の施設が整備、稼働中ですが、我が国ではまだ実現できておりません。
 去る九月二十五日のエボラ出血熱に関するG7外相声明では、エボラ出血熱のような疾病に対して、予防、早期発見、即時対応できるよう世界中の能力構築のために行動する必要があるとされながら、G7のうちバイオセーフティーレベル4が稼働していないのは我が国だけという立ち遅れた実情にあります。
 国民の命を守り、国際協力を推進する意味でも、今こそ、高度安全実験の施設や検疫体制の整備を始め、世界をリードする感染症対策に本腰を入れて取り組むべきときです。総理の答弁を求めます。
 地方創生について質問します。
 人口減少問題を乗り越えるためには、若い世代の就労、結婚、子育ての希望が実現できる社会づくりや、東京圏への過度な人口集中の是正、さらに、各地域がそれぞれの特徴を生かし、将来にわたって活力ある社会を維持していくための施策を総合的かつ計画的に実施することが喫緊の課題です。
 今国会においては、まち・ひと・しごと創生法案、地域再生法の一部改正法案の成立を図るとともに、まち・ひと・しごと創生本部が決定した基本方針では、各府省の縦割りを排除しながら、従来の取組の延長線上にはない異次元の大胆な政策を進めていくこととされています。
 国から地方へ画一的な政策を押し付けるようなことなく、地方の自主性を尊重し、潜在的な力を引き出すための施策が望まれます。人が希望を持てる町、人が生き生きとその人らしい日々を過ごせる町、人が生きる地方創生でありたいと強く思うのであります。総理の決意を伺います。
 防災・減災について質問します。
 高度経済成長期に急速に増えた道路や橋などの施設について、老朽化対策のみならず、今後、どう維持管理し、長期間にわたり使用できるようにするかが重要かつ喫緊の課題です。
 国土交通省は、本年五月、インフラ長寿命化計画を取りまとめ、インフラの維持管理・更新等を着実に推進するための中長期的な取組の方向性を明らかにしました。この長寿命化計画は国土強靱化にもつながる極めて重要な取組であり、急ピッチで総合的な対策を進めています。
 あわせて、地方自治体のインフラ長寿命化対策も非常に重要です。特に小さな地方自治体に対して国が財政面、技術面などでしっかりバックアップすべきだと、さきの国会の代表質問で私は主張しました。今年七月から、橋梁やトンネルなどを管理する地方自治体に対して施設の点検、診断が義務付けられたことから、支援の重要度はこれまで以上に増しています。
 国土交通省は、地方自治体が管理する高知県仁淀川町の大渡ダム大橋、福島県三島町の三島大橋、群馬県嬬恋村の大前橋に道路メンテナンス技術集団をそれぞれに派遣し、全国初の直轄診断を開始しました。これらの自治体では大変に喜ばれていると伺っております。
 支援を要する自治体は全国にたくさんあります。さらに、地方自治体の支援策を地域の実情に応じて進めていただきたいと思います。太田国土交通大臣の見解を伺います。
 災害時における救急医療体制整備の一環として、ドクターヘリの拡充について伺います。
 地震など大規模災害の発生直後は、一刻も早い人命救助活動が最優先の課題です。首都直下地震や南海トラフ巨大地震など大規模災害が懸念される中、ドクターヘリの拡充は重要な課題と考えます。
 ドクターヘリは、我が党の推進で平成十九年に全国配備を目指す法律が成立して以来、着実に配備が進みました。東日本大震災で集中活用されたことは記憶に新しいところです。一日も早く全都道府県への配備を実現すべきです。一方、配備が進むことで近い将来、ドクターヘリのパイロット不足が深刻になるとの指摘もあります。今後の配備計画とともに、パイロットの人材確保策について塩崎厚生労働大臣に伺います。
 日中・日韓関係について質問します。
 領土をめぐる外交上の課題や歴史認識等の問題により、二国間の首脳会談が開かれない状態が続き、各国の国民感情にも悪影響を及ぼしています。こうした問題がエスカレートしないよう双方が制御しつつ、首脳間による胸襟を開いた対話で事態の打開を図ることが必要です。
 また、中韓両国とは、経済、文化、学術、環境など共通の利益につながる分野も多く、こうした分野での協力関係を拡大し、民間レベルを含めた様々な人的交流を促進していくことも重要です。
 中韓両国との首脳会談実現に向けた御決意と、中国との友好関係再構築や韓国との関係改善にそれぞれどう取り組んでいかれるのか、総理の所見を伺います。
 平和外交と国際貢献について伺います。
 我が国は、憲法の平和主義や国際協調主義の精神に基づき、専守防衛や非核三原則を堅持しつつ、国連の平和活動への参加など、国際社会の平和と安定に積極的に寄与してきました。こうした平和国家としての基本姿勢を今後も貫きながら、これまで勝ち得てきた信頼の上に更なる貢献を果たしていくべきと考えます。
 その第一が核軍縮・不拡散の推進です。本年八月、公明党は、原爆投下から七十年を迎える明年に向け、核兵器のない世界に向けた法的枠組みの構築を柱とする提言を発表しました。具体的には、明年春のNPT再検討会議での議論を積極的に主導することや、明年秋に開催される広島での国連軍縮会議、長崎でのパグウォッシュ会議世界大会を政府としても積極的に支援することなどを求めています。
 第二は、日本の平和外交の柱であるODAの効果的活用です。現在進められているODA大綱の見直しに当たっては、これまで我が国が進めてきた平和構築支援や人道支援など、非軍事的手段による貢献というODAの基本方針を今後も堅持することが重要です。その上で、人間の安全保障分野への更なる支援や、開発途上国の自立的発展に資するインフラ整備、人材育成支援などに一層取り組む必要があります。また、課題であるODAと国連平和維持活動の連携強化や、災害援助や気候変動対策における関係国との協力体制など、ODAを通じた支援がこれまで以上に効果的な役割を果たせるよう検討すべきではないでしょうか。
 以上について総理の見解を伺います。
 女性の活躍推進について質問します。
 公明党女性委員会は、本年五月、全国九百人を超す女性議員から、現場の声を集大成させた政策提言をまとめ、あらゆる分野で女性の活躍を加速する女性元気応援プランを総理に申し入れました。女性の登用促進を始め、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた長時間労働の是正、在宅テレワークや短時間勤務など多様な働き方への支援、さらには、仕事と育児、介護の両立支援、女性の起業支援、生涯を通じた女性の健康支援の推進などを訴えております。
 政府は、女性の活躍を成長戦略の中核と位置付け、全ての女性が輝く社会をつくることが安倍内閣の最重要課題としていますが、そのための具体策は必ずしも明らかではありません。安倍総理は、女性の活躍を後押しする政策パッケージの取りまとめを表明されておりますが、今後の取組について総理の答弁を求めます。
 青年政策について伺います。
 本年、公明党青年委員会は、青年層を対象とする青年市民相談会を全国各地で五十回以上開催し、八百名を超える若者から生の声を聞きました。その現場の声を踏まえ、五月には若者雇用に関する提言を、八月には青年世代のための政策集、青年政策アクションプランを政府に申し入れました。
 二つの提言を通じて訴えたのは、若者雇用対策の強化です。総合的、体系的に若者の雇用対策を推進するための法整備などを提案しています。また、アクションプランでは、深刻な社会問題となっている危険ドラッグについて、取締りの強化や相談・治療体制の整備、薬物依存症対策など、総合的な対策の強化を提案しました。
 日本の将来を担う青年が遺憾なく活力を発揮できるように、政府は若者雇用を始めとする青年政策に一層力を入れるべきと考えますが、総理の答弁を求めます。
 教育について伺います。
 教育は、人と社会が輝く源泉です。少子化・人口減少社会を迎えた今、我が国の持続的な発展、そして地方創生という面からも、ますます教育の充実に力を注がなければならないことは論をまちません。
 その意味で、公明党は、義務教育段階においては、今後、子供たち一人一人の個性や学習状況に応じた、よりきめ細やかな教育を推進し、さらには、学校のみならず地域ぐるみで質の高い教育環境づくりに一段と力を入れて取り組むべきと考えます。
 少人数教育の一層の推進とともに、教員の増員と資質向上、また、教員に加え、スクールカウンセラーなど専門性を持つスタッフが一体となって教育課題に対処するチーム学校、そして、保護者や地域住民が学校運営に参画するコミュニティ・スクールの導入促進など、これらの施策を積極的に推進する必要があります。
 関連して、親から子への貧困の連鎖による学びの弊害や格差を減らす取組も重要です。先般取りまとめられた子供の貧困対策大綱を踏まえつつ、各種奨学金や低所得者世帯への学習支援の拡充など、実効性のある対策を毎年着実に実施すべきです。総理の見解を伺います。
 ストーカー・DV対策について伺います。
 近年、ストーカー・DV被害は増加傾向にあり、昨年、警察に認知された両事案はいずれも過去最多を記録、殺人事件等の重大事案に至るケースも後を絶ちません。
 こうした事態に対応するため、先般の改正ストーカー規制法及び改正DV法の施行に伴う規制強化と併せ、現在、全国各地の警察組織におけるストーカー・DV事案等の一元的な対処に向けた人員や体制の増強、被害者支援の拡充など、警察庁を始め関係行政機関による対策が進められています。しかし、深刻化する被害に歯止めを掛けるためには、更なる人員や体制の整備に加え、加害者の再犯防止策など、一層の対策強化が不可欠です。
 特に、ストーカー対策については、去る八月五日に警察庁の有識者検討会により取りまとめられたストーカー行為の罰則強化などを求める報告書に基づき、我が党が議員立法として準備しておりますが、ストーカー規制法を再改正することを前提に新たな対策の具体化を急ぐべきと考えます。総理の見解を伺います。
 最後に一言申し上げます。
 公明党は、九月二十一日、結党五十年を記念する党全国大会を行い、次の五十年へと勇躍前進を開始しました。これからも、大衆とともにの立党精神に立脚し、国民の幸福、国の安寧、世界の平和を実現していくという公明党の基本的な目標は変わりません。
 さらに、連立与党の立場から、実行実現内閣として新出発した安倍改造内閣をしっかり支え、国民のための政策実現に全力を傾けてまいりたいと決意を新たにしております。
 その上で、安倍内閣におかれましては、政権合意を実行するために幅広い合意形成に努め、国民の期待に応える政策の実現に邁進されることを切に願いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
 今般の災害についてお話がございました。
 まず、昨日の時点で、今般の御嶽山の噴火により四十七名もの方がお亡くなりになったことが明らかになりました。改めて、犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 いまだ連絡の取れない方々がおられますので、政府としては、引き続き二次災害に留意しつつ捜索・救助活動に全力を尽くすとともに、今後の防災対策につきましても、今回の貴重な経験を踏まえ、万全を期してまいります。
 円安の影響、景気対策等についてお尋ねがありました。
 安倍政権では、公明党の御協力をいただき、デフレ脱却を目指し、経済最優先で政権運営に臨んできました。その結果、賃上げが過去十五年で最高水準となるなど、景気の好循環が生まれ始めています。成長戦略の確実な実施等により、家計や中小企業にも広げてまいります。
 為替についての言及は差し控えさせていただきますが、今後、本年七―九月期のQEなど各種の経済指標が明らかになってきますので、それらをよく見ながら、燃料価格の高騰を含め、経済の状況等に慎重に目配りしてまいります。
 消費税率の一〇%への引上げについては、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断してまいります。
 経済の好循環についてお尋ねがありました。
 三本の矢の取組により、我が国を覆っていた暗く重い空気は一変し、経済の好循環が生まれ始めています。この動きを持続的な成長、発展につなげていくため、先般、日本再興戦略を改訂いたしました。経済の好循環の拡大に向けて、この成長戦略を後戻りさせることなく、確実に実行してまいります。あわせて、政労使会議での議論などを通じ、労働生産性の向上を図り、企業収益を拡大させ、それを賃金上昇や雇用拡大につなげてまいります。
 訪日外国人二千万人を目指した観光政策についてのお尋ねがありました。
 我が国経済の成長と地域の活力のため、観光は大変重要な分野だと考えております。昨年は、史上初めて外国人観光客一千万人の目標を達成いたしました。今年も半年間で六百万人を超え、過去最高のペースとなっております。
 更なる高みを目指し、本年六月に省庁横断的に策定したアクション・プログラム二〇一四に従い、御指摘のような道路標識や無料公衆無線LANなどの環境整備を進めるとともに、世界各地で行われる旅行博等の様々なイベントの機会などを通じ、日本全国各地の魅力を積極的に世界に発信するなどの施策を政府一丸となって強力に推進してまいります。
 法人税改革と法人事業税の外形標準課税の対象拡大についてのお尋ねがありました。
 法人税改革については、日本の競争力を高める観点から、法人税を成長志向型に変革していくことで、経済の好循環を通じ、国民生活の向上につながっていくものと考えています。
 また、外形標準課税の在り方については、地方経済を支える中小企業・小規模事業者への配慮の観点も含め検討していくこととしております。
 国内産業力の強化についてお尋ねがありました。
 安倍内閣では、物づくり技術基盤の強化を図るとともに、サービス産業の生産性向上、失業なき労働移動の実現、グローバル人材の育成など、産業構造の変化に対応した成長戦略に取り組んでまいりました。今後、これらの成長戦略を更に進化させるとともに、確実に実行、実現することによって国内産業力の強化を確かなものとしてまいります。
 仮設住宅での生活が三年を過ぎ、冬が近づく中での仮設住宅の劣化対策についてのお尋ねがありました。
 東日本大震災で建設した仮設住宅については、本来二年の提供期間であるところ、現在四年目に入っているところであります。政府としては、今後とも、地元自治体と連携しながら、劣化、腐食等に対する補修、補強等のハード面についてしっかりと対応するなど、被災者の方々の生活に支障が生じないよう万全を尽くしてまいります。
 復興における被災者の健康や生活支援の対策についてのお尋ねがありました。
 仮設住宅での避難の長期化や災害公営住宅への移転など、様々な復興のステージに応じた健康管理、生活支援はますます重要な課題となっております。このため、相談員や復興支援員による高齢者の見守りや生きがいづくりの支援、子供に対する心身のケアの充実など、政府一丸となって被災者の方々の心の復興にも取り組んでまいります。
 福島再生に向けた決意についてお尋ねがありました。
 福島を原子力災害から一日も早く再生することは国の責務です。避難指示等の出た十二市町村の地域の将来像については、この地域の再生の道筋を示すものとなるよう、地元と一緒になって中長期かつ広域的視点から検討を深めてまいります。
 御指摘のイノベーション・コースト構想は、将来像の中で産業復興の柱となるものであり、その具体化に向けて政府一体となって取り組んでまいります。
 多世代交流・多機能型の生活支援サービスについてのお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、人口減少や高齢化が進む中、地域の方々の生活を支えるため、介護保険や障害福祉サービスといった制度の縦割りを超えて柔軟に対応していくべきであると考えています。このため、制度の縦割りを排除した多世代交流・多機能型の生活支援サービスについて推進を図ってまいります。
 子ども・子育て支援新制度についてお尋ねがありました。
 平成二十七年四月に施行予定の子ども・子育て支援新制度に基づき、子育て支援の質、量の充実を図るため、財源の確保については、消費税分はもちろん、それ以外のものも含めしっかりと対応してまいります。
 また、認定こども園を始め新制度の内容については、地方自治体や事業者から問合せや課題の指摘もあると承知しています。今後、制度内容の正確な周知や予算編成過程での必要な調整を行い、制度が着実かつ円滑に実施できるよう対応してまいります。
 新たな労働時間制度に関するお尋ねがありました。
 高度な専門性を持つプロフェッショナルな方が才能を発揮し、柔軟に働き方を選べるようにするとの考え方の下、新たな労働時間制度の創設を検討しているところです。
 検討に当たっては、公明党の御指摘のとおり、長時間労働を強いられることがあってはならないと考えており、働き過ぎ防止のため、企業等に対する監督指導など取組の強化を図っているところであり、さらに制度的な対応の在り方について検討を進めることとしています。その上で、希望しない人には適用しない、職務が明確で高い職業能力を持つ人材に絞る、賃金が下がることのないようにするとの三原則の下、対象となる勤労者の方々の健康確保を前提として制度を構築できるよう、関係審議会で議論を進めてまいります。
 年金積立金の運用についてのお尋ねがありました。
 デフレ脱却に向けた経済・運用環境の変化の中で、基本ポートフォリオについても機動的に見直すこととしています。この見直しは、結果として日本経済の成長にも貢献するものと考えています。他方、年金積立金の運用は専ら被保険者の利益のために行われるものであり、引き続き長期的な観点から安全かつ効率的に行うこととしています。
 再生医療についてお尋ねがありました。
 iPS細胞を始めとする再生医療の実用化については、日本再興戦略等に位置付け、積極的に推進してきました。本年九月に世界で初めてiPS細胞を用いた患者への移植手術が行われたことは、日本発のiPS細胞技術の実用化に向けた大きな前進であると考えます。
 政府としては、本年十一月に施行される再生医療等安全性確保法により、安全性の確保等に配慮しつつ、研究開発への助成や体制整備等の取組を通じ、再生医療の実用化に向けて全力で取り組んでまいります。
 感染症対策の強化についてお尋ねがありました。
 鳥インフルエンザなど新たな感染症の発生や西アフリカにおけるエボラ出血熱の蔓延等を踏まえ、感染症対策の更なる強化が必要と認識しており、一層の取組を進めてまいります。
 御指摘の高度安全試験検査施設は、エボラ出血熱等が発生した場合、ウイルスの特性に応じた対策を行う上で非常に重要であり、施設が立地する地元関係者の理解を得て、早期に稼働できるよう対応してまいります。また、感染症の国内への侵入を防ぐための検疫の徹底や国内で発生した場合の医療提供体制の確保など、引き続きできる限りの対応を図ってまいります。
 地方の自主性を尊重し、潜在的な力を引き出すための取組についてお尋ねがありました。
 地方創生を進めるに当たっては、地方の声を十分にお聞きすることが重要です。このため、私や地方創生担当大臣等が首長など地方のリーダーとの意見交換の場を持つほか、積極的に地域へ赴き現場の意見をお聞きするなど、様々な機会を捉えて地域の声に十分耳を傾けていきたいと考えております。
 政策の検討、実施に当たっては、これまでの国主導のやり方ではなく、地方の発意に基づく自主的な取組を国が後押しすることを基本とし、国の示す枠にはめるような手法を排します。国は、地域の個性を尊重し、その潜在力が十分発揮されるようしっかりと支援してまいります。
 中国、韓国との関係改善についてお尋ねがありました。
 私は、中国や韓国との関係を改善していきたいと考えています。中国も韓国も日本にとって重要な隣国であります。隣国同士であるがゆえに様々な課題が生じますが、課題があるからこそ前提条件を付けずに対話していくべきと考えています。
 十一月には北京でAPECが開催されます。中国の平和的な発展は、日本にとって、そして世界にとってチャンスであると言えます。地域の平和と繁栄に大きな責任を持つ日中両国が安定的な友好関係を築いていくためにも、APECで北京を訪問する際に日中首脳会談ができればよいと考えています。そのためには、先般のニューヨークにおける外相同士の協議のように、両国が互いに静かな努力を重ねていくことが必要であります。韓国とも、先般、ニューヨークで外相会談が行われました。
 今後も、一歩一歩お互いに努力を重ね、様々な国際会議の機会に首脳会談ができればよいと考えています。
 御指摘のとおり、中国、韓国との間で、経済、文化、学術、環境、共通の利益がある分野で協力関係を拡大し、議員交流、青少年交流、地方交流など、民間レベルも含めた様々な人的交流を促進していくことが重要と考えております。
 核兵器のない世界に向けた取組及びODAについてお尋ねがありました。
 我が国は、唯一の被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けて、世界をリードしていく道義的責任があります。このような観点から、明年春のNPT運用検討会議での議論を積極的に主導してまいります。また、御指摘の広島での国連軍縮会議や長崎でのパグウォッシュ会議についても、可能な限り積極的に支援してまいります。
 ODAについては、人道支援や平和構築支援など、非軍事的手段による貢献という基本的方針を堅持しつつ、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、人間の安全保障や途上国の自立的発展等への支援にしっかり取り組んでまいります。
 また、御指摘のとおり、PKOとの連携強化や、災害援助や気候変動対策における関係国との協力強化等にも努力していきます。
 全ての女性が輝くための今後の取組についてお尋ねがありました。
 今年五月、公明党より、女性の元気応援プランを御提言いただきました。その目指しているところは、全ての女性が生き方に自信と誇りを持ち、輝くことができる社会の実現であると認識しています。
 こうした社会の実現のためには、女性の登用促進、ワーク・ライフ・バランスの実現、非正規雇用で働く女性の処遇改善、健康支援等、様々な状況にある女性を応援する施策を推進する必要があります。政府としても、こうした施策を全ての女性が輝く政策パッケージとして近く取りまとめてまいります。また、企業等における女性の登用の目標や計画の策定を促進する新たな法案を国会に提出してまいります。
 若者雇用等の青年政策についてお尋ねがありました。
 我が国の未来においては、都市でも地方でも若者の活躍が必要です。このため、法的整備を含め、若者の雇用対策を推進してまいるほか、先般取りまとめた危険ドラッグに関する緊急対策や、子供の貧困対策に関する大綱に掲げた施策を着実に実行するなど、引き続き青少年政策を総合的に推進します。
 教育の充実についてお尋ねがありました。
 教育を重視する公明党と我々自民党が連立与党を形成し、手を取り合って我が国の教育の充実に取り組むことにより、これまで多くの実績を上げてきました。
 御指摘のように、きめ細かで質の高い教育体制を構築し、世界トップレベルの学力と規範意識を身に付ける機会を保障することは重要であり、御提案のあった教員の増員や資質の向上、スクールカウンセラーなど専門的職員の配置、コミュニティ・スクールの導入促進などに積極的に取り組んでまいります。
 また、子供たちが家庭の経済状況にかかわらず十分な教育を受けられるようにすることも重要です。奨学金や授業料減免等の拡充、子供の学習支援の充実など、家庭の教育費負担の軽減を図ってまいります。
 今後とも、公明党の皆様と協力しながら、我が国の最重要課題の一つである教育再生に全力で取り組んでまいります。
 ストーカー・DV対策についてお尋ねがありました。
 ストーカー・DV事案は、国民の安全で安心な生活を脅かす重大な事案であり、議員御指摘のとおり、一層の対策強化が不可欠であると考えています。
 政府としては、被害者の安全確保を最優先に、取組を一層強化し、警察の人員や体制の整備を行うとともに、ストーカー対策については、有識者の方々から示された被害者支援の取組や加害者の再犯防止対策等の具体的な対策を取りまとめ、政府を挙げて取組を推進してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(太田昭宏君) 地方自治体に対するインフラ長寿命化対策の支援についてお尋ねがございました。
 地方自治体は、多くのインフラを管理する一方で、技術力や財政力について人員等の体制が厳しい状況にあります。一方で、道路や河川などの施設について点検の義務化が行われており、支援が一層重要であると認識しております。
 国土交通省では、これまで技術的な支援として、維持管理に係る基準やマニュアルの整備、研修の充実強化に努めてまいりました。また、財政面では防災・安全交付金によって重点的に支援をしております。さらに、本年五月にはインフラ長寿命化計画を策定し、対策を強化しているところであります。
 例えば、地方自治体が管理し、緊急かつ高度な技術力を要する橋梁に関しまして、国が直接調査し技術的な助言を与える直轄診断を、御指摘の三橋梁を対象として本年九月から試行的に実施をしているところであります。
 また、技術力のある民間技術者の活用を図るための資格制度の具体的な検討を進めており、来年度からの運用を目指しております。
 今後とも、地方自治体の長寿命化対策に対し一層の支援を充実してまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(塩崎恭久君) ドクターヘリの配備計画とパイロットの人材確保についてお尋ねがございました。
 ドクターヘリは、現時点で三十六道府県に四十三機が導入をされております。今後も、大規模災害にも対応できるよう適切に対応を図ってまいります。
 また、パイロットの人材確保策につきましては、民間運航事業者の取組のほか、防衛省の再就職支援により、退職した自衛官がドクターヘリ操縦士として再就職しており、また国土交通省においては、民間運航事業者が効率的なパイロットの養成をできるよう技術的支援を行っていると承知をしております。
 厚生労働省といたしましては、引き続き関係省庁とも協力をしながら、ドクターヘリの安定的かつ効果的な運航が図れるよう必要な支援を行ってまいります。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(山崎正昭君) 行田邦子君。
   〔行田邦子君登壇、拍手〕
#9
○行田邦子君 みんなの党の行田邦子です。
 会派を代表しまして、安倍総理の所信表明演説に対する質問をいたします。
 冒頭、御嶽山の噴火によりお亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 今年は孔子の生誕二千五百六十五周年、そんなニュースを目にしました。そこで、質問に入る前に論語の一節を紹介させていただきます。
 春秋時代の魯の君主、哀公は、飢饉で財政が窮乏しているが、どうしたらよいかと、孔子の弟子、有若に問うたところ、有若は、どうして十分の一税、減税を実施しないのですかと答えました。既に十分の二税を徴収してもまだ足りないというのに、どうして減税などできようかと言った哀公に対して、有若は、人民が豊かになれば君主も富み、人民が貧しければ君主も貧しくなる、凶作のときこそ減税を行って、人民の負担を少しでも軽くするのが君主というものではないですかと答えました。
 論語から私たちが学ぶことは多々あるようです。
 みんなの党は、結党以来、増税の前にやるべきことがあると申し上げてきました。増税の前にやるべきことは、デフレ克服であり、国会議員の定数削減や報酬カットなど自ら身を切る改革です。残念ながら、全て道半ばです。
 さきの通常国会を、総理は好循環実現国会と位置付けました。ところが、実態はどうでしょうか。株価は高値で推移していますが、それ以外は好調な経済指標を探す方が困難です。
 政府は、平成二十六年度の経済成長を実質一・四%増と見通しています。ところが、四―六月期の実質GDPは、民間エコノミストの予測も大きく下回る年率七・一%減少となりました。
 九月三十日に発表された八月の現金給与総額は、前年に比べて一・四%増、つまり三%の増税に追い付いていません。給料は上がらないのに税金が上がれば、当然国民は財布のひもを締めざるを得ません。同じ日に発表された家計調査では、八月の消費は前年に比べて四・七%の減少。総理、このような景気の現状をどう認識されていますか。
 また、昨今のガソリン価格高騰は、移動の足の中心が車である地方にこそ大きな負担となっています。冬を迎えるにつれ、東日本大震災の被災地の生活にも打撃を与えます。円安が進み、中東情勢も不透明な中、燃料価格の上昇にどのような対策を取っていくお考えでしょうか。
 みんなの党では、租税特措法に定められているトリガー条項は東日本大震災後に凍結されていますが、被災地を含めた窮状を鑑みれば、凍結を解除してもよいのではないかと考えています。総理の御見解をお伺いします。
 総理には、みんなの党の主張である大胆な金融緩和をアベノミクス第一の矢として採用していただきました。しかし、この政策が功を奏していた昨年秋とは今明らかに状況が異なります。今年十二月には、来年秋の消費税再増税を判断するタイミングが来ます。十八か月で二度の増税。税金の重みが景気に暗い影を投げかけています。そもそも法律の設計がおかしいのです。十二月まで待たずに早めに増税凍結を決断されたらいかがでしょうか。総理の御見解をお伺いします。
 世界経済に目を向ければ、好景気が続く米国では、FRBが金融政策の出口を慎重に見極めようとしています。その中では、雇用の量のみならず、雇用の質を重視しています。
 総理は、所信表明演説の中で、有効求人倍率の向上を雇用の改善の例として挙げられましたが、その質にまで注目していらっしゃるのでしょうか。
 昨年の我が国の民間給与は三年ぶりに増加に転じましたが、雇用者の三分の一以上を占める非正規雇用労働者の給与は引き続き減少しています。パートタイム労働者の八月の現金給与総額は昨年に比べて一・三%減少、また、総理が改善の例としている八月の有効求人倍率は、実は正社員だけで見ると〇・六八と大変に厳しい状況です。
 非正規から正規への転換など、雇用の質を向上させて、所得の向上から消費の拡大へとつなげる真の好循環実現施策が必要と考えますが、総理の御見解をお伺いします。
 新たな担い手が誕生する起業、創業、次世代にバトンを渡す廃業、産業や企業の新陳代謝、特に企業数の九九・七%を占める中小企業や八六・五%を占める小規模企業の新陳代謝は地域経済の活性化に重要な役割を果たし、我が国全体の生産性向上に貢献すると考えます。
 しかし、日本再興戦略では、起業、創業への支援策は目に付きますが、事業の終了を自ら決断する廃業への支援は余り見受けられません。中小・小規模事業者の高齢化も進み、廃業を考える経営者も増えると予測されます。町場の工務店を営んでいた私の父もその一人でした。起業、創業支援だけではなく、中小・小規模企業経営者の廃業支援も必要と考えますが、経済産業大臣のお考えを伺います。
 総理は、今国会を地方創生国会と位置付けました。地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服する。喫緊の重要課題として問題意識は共有しますが、総理の所信表明演説では残念ながら具体策がお聞きできませんでした。
 地方創生は、弱い地方を中央が助けてやるという発想では、これまでのばらまき政策で終わってしまいます。地方創生を本気で実行するのなら、地方自治体にも自らの主体性と覚悟が求められます。
 みんなの党は、地域主権型道州制を導入し、権限、財源、人間の三ゲンを地方に移譲することを提案しています。地方を元気にするためには、国民に最も身近な地域が主体となり、地域住民のための政治を行っていくことが不可欠だと考えるからです。担当になられた石破大臣、まち・ひと・しごと創生本部で議論の俎上にのせていただけませんか。
 地方が主体となって地方創生を行うには、その地域の自治体の財政が健全であることが前提となります。二〇〇七年の夕張市の破綻は第三セクターが主因でした。政府において二〇〇九年度から始まった第三セクターの廃止、整理の集中改革では、二〇一二年度までで、経常赤字法人数は二千七百八十三から二千七百十一へ、債務超過法人数は四百九から三百十四へと少しは減少したものの、それでもまだかなりの数が残っています。集中期間は今年三月で終了しました。これで終わりにしてよいのでしょうか。第三セクターの破綻処理ルールを再整備すべきと考えますが、いかがですか。総務大臣に伺います。
 地方に現役世代を呼び戻すには安定的な雇用を増やすことが肝要です。福井県知事は、東京以外で法人税を安くして企業の地方分散を促すふるさと企業減税を提案しています。また、国家戦略特区に指定された福岡市は、創業五年以内に限り、法人実効税率を一七%以下に引き下げることを要望しています。
 どちらも大いに検討に値すると思いますが、これら地方からの税の特例要望に対してどのように対応されますか。税制だからといって、できません、なぜならばという回答では、意欲を持った地方はがっかりします。石破大臣に伺います。
 安倍総理が女性が輝く社会の実現について内外で熱く語られていることに共感を覚えます。また、社会のあらゆる分野で二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合を三〇%以上とするという目標、二〇二〇・三〇の達成に意欲を燃やされていることも、目標に賛同する議員の一人として心強く思います。
 けれども、協力が不可欠な企業経営者など雇用者側は案外冷ややかです。労働政策審議会の分科会において、女性の採用比率などの情報開示の義務化、女性管理職の登用などの数値目標の義務付けについて、経営者側から否定的な意見が相次ぎました。二〇二〇・三〇という大きな目標の達成は、企業の自主性に任せていては思うように進まないことは、企業における女性管理職比率が一〇%以下という現状が証明しています。分科会では数値目標の義務付けをしないことで了承されたようですが、実効性が乏しいと言わざるを得ません。厚生労働大臣、いかがお考えですか。総理が笛吹けど踊らずとなってしまうことを危惧しています。
 この度入閣された五人の女性閣僚にエールを送ります。テレビやインターネットを通じて女性の閣僚が活躍する姿を日常的に目にすることは国民の意識改革にもつながります。安倍総理は内閣改造においては自ら範を示されましたが、翻って国会はどうでしょうか。総理のお席からこの議場を見渡して、どのようにお感じですか。国会での女性議員の比率は一〇・八%、百八十九か国中百三十四位と、恥ずべき数字です。この際、百か国を超す国において導入されているクオータ制を検討されてはいかがですか。みんなの党では、国政、地方選挙でのクオータ制を検討しています。女性議員を増やす行動に踏み出しました。
 総理、まずは御自身が総裁を務める自民党において、候補者の一定数を女性に割り当てる政党型クオータ制を始めてはいかがですか。最大政党の自民党で導入すれば、この議場の風景も大きく変わるはずです。安倍総理、党総裁としても範を示していただけませんか。
 ごく一握りの特別な存在の女性だけが重要な地位に就くのでは、女性が輝く社会とは言えません。育児や家事と両立させて仕事を続けたいと望む多くの女性のために子育て支援や両立支援を充実させることは大切ですが、最優先課題は働き方の改革と考えます。
 私自身の経験を申し上げますと、平成元年、総合職として民間企業に入社し、願いかなって営業部に配属されました。配属先では、女性の先輩から、女性は男性の三倍働いてやっと一人前、部長からは、女性は早く結婚して辞めた方が幸せだ、馬車馬のように働かなくて済むからと助言を受けました。女性である私が会社で認められるには、長時間残業後の飲み会にもよく付き合い、男性と同化することが秘訣だと悟りました。
 時代の移り変わりとともに職場環境も変化しましたが、日本の企業には、長時間働くことを偉いと勘違いしたり、誰かが帰るまで会社に残っているような無駄な残業などがまだまだ消えないようです。これには、仕事と家庭を両立させたいと思う女性は付き合い切れません。
 厚生労働大臣に伺います。
 労働生産性の低い長時間労働を是正するために、労働時間削減に取り組む企業への優遇策や、時間外労働への賃金割増し率の見直し等の政策を実施すべきと考えますが、いかがですか。女性だけでなく男性も輝く社会が実現するはずです。
 安倍総理は、昨年四月の成長戦略スピーチにおいて、三年間だっこし放題での職場復帰支援、三年育休の支援を打ち出しました。総理、一年半がたとうとしていますが、成果をお聞かせください。
 三年育休を選択肢として否定はしませんが、子育てしながら働き続けたいと望む女性のために私が提案したい働き方改革は、短時間労働、つまりパートタイムの正社員制度の普及です。
 五年前、参議院のオランダ視察でお会いしたある日系企業の人事部長はパートタイム管理職でした。週四日、三十二時間勤務という契約で働きながら子育て中のお母さんだそうです。労働政策について説明してくれた官僚もまた、週三十時間勤務の二児の母親でした。
 オランダは、短時間労働正社員という柔軟な勤務形態の推進によって飛躍的に女性の就労率を高めました。制度の根幹となるのは、職務や職階ごとに時間給を設定する人事給与制度です。一か月の労働時間に職務時間給を掛けたものが月給。これなら、パートタイムでも、有期雇用の契約社員でも、派遣労働でも、フルタイム無期雇用の正社員でも、正規、非正規という枠を取り払って労働に対する平等な評価、処遇がなされます。日本でもチャレンジする価値はあると思います。大胆な働き方改革を実行するときです。総理、いかがですか。
 日本の最大の埋もれた資源と言われている女性の活躍の次に伺いたいのは、枯渇性資源についてです。
 現在、日本は一次エネルギー供給の多くを石油、石炭、天然ガスといった化石燃料に依存しています。二〇一二年度の統計では九二・一%です。枯渇性資源である化石燃料は、取れば取るほど減るため希少価値が高まる、つまり、取れば取るほど価格は高騰していきます。また、その大部分を中東などからの輸入に頼っています。化石燃料からのエネルギーシフトは、持続可能な社会の発展と経済成長の視点から重要と考えます。
 ここで私が主張したいのは、エネルギーシフトは、原発依存への回帰ではなく、再生可能エネルギーへのシフトを目指すべきであることです。
 ところが、どうでしょう。可能な限り原発依存度を低減させるとのエネルギー基本計画に反するような検討が始まっています。八月二十一日、経済産業省が有識者委員会に提案した原発電力の固定価格買取り制度は、原発電力の売電価格の固定によって使用済核燃料の処理や廃炉費用などを電力料金に上乗せするという代物です。原発は、初期投資やランニングコスト、廃炉費用など全て含めても他の電力源よりも安いと喧伝しておきながら、計画外廃炉は想定外だったので廃炉費用を電力料金に上乗せしますと言われても納得がいきません。
 原発の事業計画の甘さのツケを国民に押し付け、国民負担は増える一方、電力会社の負担は軽減される制度をなぜ検討するのですか。経済産業大臣に伺います。
 化石燃料からのシフトは再生可能エネルギーへと向かうべきです。そのための投資は持続可能な社会のための必要経費です。
 日本において、再生可能エネルギーの比率を上げるために取るべき対応はまだまだあります。固定価格買取り制度の見直し、再生可能エネルギーを受け入れる地域の送電網の強化、電力会社から送電部門を分離しての広域運営、発電量が天候に左右されるという弱点をカバーするための蓄電の技術開発などです。特に、電力系統用の大規模蓄電システムの研究開発は国を挙げて取り組むべきテーマと考えますが、いかがですか。経済産業大臣に伺います。
 化石燃料からのエネルギーシフトは地球温暖化対策に直結します。
 九月二十三日の国連気候変動首脳会合で、これまで温暖化対策に消極的だった米国と中国から、CO2削減の枠組みづくりに積極的に関与する姿勢が見られました。しかし、総理は、日本の二〇二〇年以降の排出削減目標については、できるだけ早期に提出を目指すと述べるにとどまりました。
 二〇一五年、パリで開催されるCOP21は、二〇二〇年以降の気候変動・温暖化対策の大枠が合意される大変重要な会議です。
 総理、京都でのCOP3開催国であった日本が責任を持って世界のエネルギー政策や地球温暖化対策をリードしていくべきだと考えますが、御見解をお聞かせください。
 総理は、地球儀を俯瞰する外交を標榜し、四十九か国を訪問、延べ二百回以上の首脳会談を行ったと述べられました。しかし、第二次安倍政権になって、隣国である中国、韓国との首脳会談は一度も実現していません。総理は、さきの国連総会の一般討論演説において、来年国連創設七十周年を機に、日本の国連安保理常任理事国入りへの決意を示されましたが、「最も重要な」「切っても切れない関係」の隣国、中国の支持、協力を得られなければ常任理事国入りは実現しません。安倍総理はどのような常任理事国入りのロードマップを描かれているのか、お聞かせください。
 九月十八日、スコットランドで独立の是非を問う住民投票が行われました。結果は賛成四五%、反対五五%で否決となりましたが、当初は相当上回っていた反対派を賛成派が追い上げていく様子は、民族主義が国の独立を目指す原動力ともなることを世界中に示したと言えます。スコットランドの住民投票の翌日、スペインのカタルーニャ州では、独立の是非を問う住民投票の関連法案が議会で可決しました。
 二十八か国に拡大するEU、経済のブロック化やボーダーレス化の一方、民族による独立運動の種はヨーロッパだけではなく世界各地に存在しています。総理は、日本の内政、外交に与える影響をどのようにお考えですか。
 安倍総理は、イスラム過激派イスラム国への対策について、軍事的貢献ではない形で可能な範囲の支援を行う旨を表明し、イラク、シリアへの緊急無償資金協力を打ち出しました。
 一方、オバマ大統領は、イスラム国への攻撃は個別・集団的自衛権の行使と位置付けて、米国を中心とする有志連合による空爆が行われています。
 米太平洋軍のロックリア司令官は、イスラム国に参加するため、アジア太平洋地域から千人がイラクやシリアに向かったとの見方を示しました。外務省によると日本人は含まれていないとのことですが、アジア諸国においてもイスラム国の問題は対岸のことではないでしょう。
 イスラム国への武力行使は長期化すると見られていますが、仮に、集団的自衛権の行使を可能とする七月一日の閣議決定に基づいた法整備が行われた後、米国から軍事的支援要請があった場合、総理は拒絶されますか。どのような判断をされますか。
 国民の生命と財産を守る、国のかじ取りが託されている総理は、議院内閣制の下、国会により指名されています。その国会の一院である参議院は、一票の格差の問題で最高裁から違憲状態と判断され、二年がたちました。選挙制度協議会では、座長と各党から案が出されていますが、最大政党の自民党からは一向に案が出されません。このままでは議論が頓挫してしまいます。
 みんなの党は、一票の格差をゼロにする一人一票比例代表制を主張していますが、次善の策として、座長が提示した、一票の格差を二倍以内に抑える合区案をベースとした協議に応じることもやぶさかではありません。抜本的改革を何も進めない怠慢は許されないからです。国民の代表をどのように選ぶのか、誰を選ぶのか。選挙制度は民主主義の根幹です。国の行く末を大きく左右します。総理、選挙制度改革の議論を進めるよう、自民党総裁として指導力を発揮していただけませんか。
 二十歳になった学生たちと話をしていて、はっとしました。僕らの世代は、景気がいいときを知らないんです、経済が伸びることを経験していないんです。確かに、彼らが生まれてからの二十年、日本の経済は伸びていない、停滞し続けました。大人になりたての若者たちがこれから経済成長を実感し、将来に夢を持ち、日本の未来は明るいんだと希望が持てる日本にしていきたい。そのために、私たちみんなの党は、停滞している改革を前へ前へ進めていく原動力となることをお誓いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#10
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 行田邦子議員にお答えをいたします。
 景気の現状認識についてお尋ねがありました。
 三本の矢の政策により、今年の春闘での賃上げ率が過去十五年で最高となるなど、経済の好循環も生まれ始めています。
 消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減もあり、四―六月期の成長率は前期比年率マイナス七・一%となりましたが、二〇一四年一―六月期、前年同期比一・三%のプラス成長となっており、全体的には経済成長が続いていると考えています。
 他方、消費税率引上げや燃料価格の高騰、この夏の天候不順などもあり、これらによる景気への影響にも引き続き慎重に目配りしてまいります。
 燃料価格の上昇に対する対策及びトリガー条項についてお尋ねがありました。
 政府としては、価格や需給動向の監視とともに、中小企業・小規模事業者の方々に対する資金繰り支援や省エネ設備導入に対する補助などの措置を講じています。石油製品の価格の上昇による家庭や企業への影響について引き続き注視し、燃料価格の高騰による景気への影響に慎重に目配りしてまいります。
 なお、現在凍結中の揮発油税等のトリガー条項が発動された場合には、ガソリンの買い控えやその反動による流通の混乱が懸念される等の問題があることから、その凍結解除は適当でないと考えております。
 消費税率の一〇%への引上げの凍結についてお尋ねがありました。
 消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減もあり、四―六月期の実質GDP成長率は前期比年率マイナス七・一%となりましたが、二〇一四年一―六月は前年同期比一・三%のプラス成長となっており、全体的には経済成長が続いていると考えています。
 消費税率の一〇%への引上げについては、冷静な経済分析を行った上で経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断してまいります。
 非正規から正規への転換等についてお尋ねがありました。
 安倍内閣としては、景気の好循環が生まれ始めている中、これを雇用の拡大や処遇の改善につなげていくことが重要と考えています。
 非正規雇用については、賃金が低い、能力開発機会が乏しいなどの課題があることから、キャリアアップ助成金などの支援により処遇改善を進めるとともに、正社員を希望する方々に対して正社員への転換を推進し、雇用の質の改善に取り組んでまいります。
 このような取組を通じ、賃金の引上げが消費の拡大につながる持続的な経済成長の実現を目指します。
 自主的クオータ制導入についてお尋ねがありました。
 政治における女性の参画拡大は、男女共同参画社会の実現にとって重要な課題であります。
 みんなの党ではクオータ制の導入を検討していると承知をしております。私の政権下では、昨年、各党に対して議員候補者や党役員における女性の割合が高まるよう要請を行ったところであります。また、今般の内閣改造、党役員人事においても率先して女性の積極的な登用を行っており、今後とも政治における女性の活躍促進に取り組んでまいります。
 いわゆる三年育休に係る要請についてのお尋ねがありました。
 昨年四月、最大三年の育児休業の選択肢を認めていただくよう、私から経済界へ要請をいたしました。これは、一年を超えて育児休業を取得したいとの希望もある中で、希望する方々が男性でも女性でも育児休業や短時間勤務を取りやすい職場環境を整備してほしいということであります。こうした要請もあり、子育てを積極的にサポートするという認定を得た企業は、平成二十五年四月の千四百九十社から平成二十六年八月の千九百五十一社に伸びています。さらに、育児休業を取得した労働者の円滑な復帰支援に取り組む企業に対し新たな助成制度を創設するなど、支援策の拡充に取り組んできたところであります。
 今後とも、女性が子供を産み育てながら仕事を続けていくことが可能となる社会づくりを進めてまいります。
 短時間正社員制度等についてお尋ねがありました。
 短時間正社員制度は、事業所ごとに導入が決められるものですが、フルタイムの正社員との処遇の均衡を図りつつ、育児や介護など一人一人の生活に応じた働き方を可能にするといった意義を有するものと考えています。
 一方、職務ごとに時間給を設定するという考え方については、我が国において、能力や責任の大きさなど様々な要素を考慮して労働者の処遇が決定されるという実態が広く見られることに留意する必要があると考えています。
 気候変動対策についてお尋ねがありました。
 COP21は二〇二〇年以降の国際枠組みを採択する非常に重要な会議であります。七年前に私は、美しい星、クールアースの概念を提唱し、二〇五〇年の温室効果ガス半減を世界の目標とするよう提案しました。先週ニューヨークで開催された国連気候サミットでは、途上国支援、技術の革新と普及、国際枠組みへの貢献の三つを鍵とする貢献策を発表しました。
 COP21に向け、日本は、全ての国が参加する公平で実効的な枠組みの実現を目指して積極的にリーダーシップを発揮してまいります。
 安保理改革についてお尋ねがありました。
 来年の国連創設七十周年を機に、国連が現在の国際社会の現実を反映し、その課題により良く対応できるよう、二十一世紀にふさわしい姿に変わっていかなければならないとの機運を高めていく必要があります。
 我が国は、G4を始めアフリカ諸国やCARICOM諸国など、安保理改革の必要性について意見を同じくする多くの国々と協力して、改革の実現に向けリーダーシップを発揮していきたいと考えています。
 欧州などの民族独立運動が日本に与える影響についてお尋ねがありました。
 欧州や世界各地での民族独立運動は、それぞれ固有の歴史や背景を有しており、国ごとに政治制度や経済状況も異なりますので、それらの運動が我が国に与える影響は個別のケースごとに分析していく必要があると考えます。
 政府としては、欧州や世界各地の民族独立運動の動向について、引き続き注視してまいります。
 イスラム国を名のるテロ集団への対応についてお尋ねがありました。
 我が国は、国際社会のテロとの闘いを支持しており、イスラム国を名のるテロ集団への対応については、軍事的貢献でない形で可能な限りの協力を行っていく考えですが、米国等による今般の空爆に参加する考えは全くありません。
 いずれにせよ、先般の閣議決定の下でも、かつての湾岸戦争やイラク戦争における、敵を撃破するために大規模な空爆や砲撃を加えたり、敵の領土に攻め入るような行為に、自衛隊が武力の行使を目的として参加することはありません。
 参議院の選挙制度改革についてお尋ねがありました。
 一票の格差に関する問題は、議会政治の根幹に関わる重要な課題であり、与党がリーダーシップを発揮し、各党各会派と真摯に議論を行い、早期に結論を得ることが大切と考えています。私からも、党に対し、早期に進めるよう指示しております。
 参議院の選挙制度については、現在、議員による協議機関で様々な議論が行われていると承知しています。各党各会派により建設的な議論が進められ、政治の責任において国民の負託にしっかりと応えていくべきものと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣小渕優子君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(小渕優子君) 行田議員に三問の質問をいただきました。
 まず、女性閣僚に対しましてエールをいただきましたことを心から感謝を申し上げます。しっかり取り組んでまいります。
 廃業支援の必要性についてお尋ねがありました。
 中小企業・小規模事業者の経営者の高齢化等が進む中、廃業しやすい環境を整備していくことは極めて重要と認識をしています。そのため、廃業を検討する事業者へのサポートとして、経営者本人の個人保証の取扱い、廃業後の生活資金の確保など、様々な課題に対応してまいります。
 具体的には、経営者保証に関するガイドラインの運用により、早期に廃業等を決断した場合に、経営者に一定の資金を残すことを可能といたします。また、廃業時のセーフティーネットとして小規模企業の経営者に退職金を支給する小規模企業共済制度の機能を強化し、廃業資金を貸し付ける制度の創設等を検討してまいります。
 原子力に関する制度の検討についてお尋ねがありました。
 まず、原発の発電コストは、その他の主要電源のコストと比較しても遜色なく低廉な電源と考えています。しかし、事故対応費用も含め、全体を平均したコストは安かったとしても、個々の事業者から見れば、例えば想定外の廃炉を迫られた場合など、財務的に多大な影響が生じ、事業の実施が困難となるケースもあり得ます。
 こうしたことから、競争が進展した中での原子力事業の課題やその対応策について、現在検討を行っているところであります。経済産業省として御指摘のような制度の導入を提案したわけではなく、現時点で何らかの措置を決めたわけではありません。
 再生可能エネルギーの比率の向上に向けた取組についてお尋ねがありました。
 再生可能エネルギーの導入については、本年四月に閣議決定した新たなエネルギー基本計画に基づき、二〇一三年から三年程度、最大限の導入拡大を図り、その後も積極的に推進をしていく方針であります。そのため、再生可能エネルギーの導入拡大の鍵となる固定価格買取り制度を安定的かつ適切に運用することとともに、送配電網の整備、電力システム改革の着実な遂行、大型蓄電池の開発、実証を進めることとしています。
 特に、太陽光や風力発電の出力の変動を吸収することができる大型蓄電池の導入促進に向け、コスト低減に向けた技術開発を実施しています。また、電力会社の変電所に国内最大の大型蓄電池を設置し、再生可能エネルギーの接続量を拡大する実証試験に取り組んでいるところであります。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(石破茂君) 行田議員から、二問御質問いただきました。
 まず、地域主権型道州制をまち・ひと・しごと創生本部での議論の俎上にのせるということについてのお尋ねであります。
 道州制の導入は、国と地方との役割分担を根底から見直し、地域経済の活性化や行政の効率化などを実現するための手段であり、その検討に当たりましては、国民的な議論を十分に行うことが必要であります。そのため、与党におきまして、道州制に関する基本法案の早期制定を目指し、精力的な検討が行われているところであります。
 一方、地方創生は、まち・ひと・しごと創生本部で決定されました基本方針にありますように、人口減少、超高齢化という危機的な現実を直視しつつ、景気回復を全国津々浦々まで実感できるようにすることを目指すものであります。
 道州制と地方創生につきましては、それぞれのアプローチからの取組を同時並行的に行うことが重要である、かように考えております。
 次に、地方からの税の特例要望への対応についてのお尋ねであります。
 地方における企業の立地を促していくことが地方創生において重要であることは論をまちません。
 お尋ねのうち、まず福井県のふるさと企業減税につきましては、東京とそれ以外の地方とで国税であります法人税負担に差を付けることは、一国二制度であり、公平性の観点から説明できるか、既に東京以外の地方に立地しております企業にまで減税メリットが及ぶスキームが、地方への新しい人の流れをつくる、地方に仕事をつくるといった政策目的の達成にいかに資するかという論点がございます。できません、なぜならばということを申し上げるつもりはございませんで、地方創生に当たってはどういった手段が適切であるか、まち・ひと・しごと創生本部等におきまして十分に議論をしてまいります。
 福岡市からの提案につきましては、区域会議での検討を踏まえ、内閣府より平成二十七年度税制改正要望を提出したところであります。今後、税制改正プロセスにおいて検討し、結論を得ることといたします。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(高市早苗君) 行田邦子議員からは、女性閣僚に対しまして大変力強いエールを送っていただきました。私からも感謝を申し上げます。
 そして、私に対しましては、第三セクター等についてお尋ねがございました。
 総務省は、平成二十一年度から平成二十五年度までの間に第三セクター等の抜本的改革を集中的に推進し、地方公共団体による財政支援額の大幅な減少など、全国的に見ますと相当程度の成果を上げたところでございます。
 一方で、御指摘にもございましたが、一部には取組が遅れている地方公共団体も存在することから、本年八月に第三セクター等の経営健全化等に関する指針を発出いたしまして、経営が悪化した第三セクター等につきましては、同指針に基づき、抜本的改革を含む経営の健全化に取り組むこと等を要請しております。
 総務省といたしましては、同指針を踏まえた助言、情報提供によりまして地方公共団体の取組を支援してまいります。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(塩崎恭久君) 行田邦子議員から、二問頂戴をいたしました。
 まず、女性の活躍推進に向けた新法についてのお尋ねがございました。
 女性の活躍推進に向けた新法につきましては、労働政策審議会雇用均等分科会において、九月三十日に報告書をまとめていただいたところでございます。この報告書においては、数値目標の設定が望ましいとされており、前向きな方向性を出していただいたと理解をしております。また、女性の活躍の現状に関する情報公表について、三百一人以上の大企業については義務とすることが適当とされました。
 現在、これらを踏まえ、数値目標の設定を含め関係者との調整を行っておりまして、実効性のある法律となるよう、法制化の作業を進めてまいります。
 二問目は、長時間労働の是正についてお尋ねがございました。
 時間外労働の削減や年次有給休暇の取得を進めるためには、労働基準法の遵守を徹底した上で労使の自主的な改善の取組を支援していくことが重要でございます。このため、九月三十日付けで、私を本部長とする長時間労働削減推進本部を設置したところであり、賃金不払残業等の撲滅に向けた監督指導の強化、休暇の取得促進等の働きかけや支援策の周知などに省を挙げて取り組んでまいるつもりでございます。
 さらに、中小企業における月六十時間を超える時間外労働に対する割増し賃金率の在り方も含め、長時間労働の抑制策や年次有給休暇の取得促進策について現在労働政策審議会で検討しており、その結論が取りまとまれば、次期通常国会をめどに所要の法的措置を講じてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#15
○議長(山崎正昭君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#16
○副議長(輿石東君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。寺田典城君。
   〔寺田典城君登壇、拍手〕
#17
○寺田典城君 維新の党の寺田典城でございます。
 会派を代表して質問いたします。
 その前に、御嶽山の噴火により、戦後最悪の火山災害で四十七人の方が尊い命を失いました。心から御冥福をお祈りいたします。
 総理は、経済成長を成し遂げ、強い日本を取り戻すために、日々並々ならぬ緊張感を持って努力されていると思います。
 総理のまるで青年の主張のような若々しい演説を拝聴し、それにしては、これが一国の総理のお言葉なのかと思いました。一読いたしますと景気の良い言葉がそれこそ桃源郷に咲き乱れる花々のように躍っております。しかし、この国の将来のために何をするか、具体的なことは余り述べられておりません。
 地方の実情は、桃源郷どころか、生きていくのが精いっぱいの状態であります。総理は経済優先で政権運営に当たっていくと述べられましたが、今優先すべき課題は、経済だけではなく、一千兆円近い借金を重ねてしまった財政の健全化も必要です。
 維新の党は、景気の先行きに暗雲が立ち込める中、国会議員自らが身を切る改革もせず、歳出削減の努力が見られない現状では、消費税の増税には反対であります。
 二〇〇二年に小泉内閣が提示した三位一体の改革では、国庫補助金改革、税源移譲による地方分権の推進と、地方交付税の削減による財政の健全化で地方自治体も含めたプライマリーバランスの黒字化を目指すということで、地方も同時並行的に平成の合併を進めるなど、必死になって取り組んだ結果、二〇〇七年度にはプライマリーバランスがマイナス五・五兆円、対名目のGDP比マイナス一・一%まで縮小しました。しかし、その後、二〇〇八年のリーマン・ショックを迎え、財政規律が崩れたまま今日まで来てしまいました。
 安倍政権では、国土強靱化を筆頭にばらまきばかりが目に付きます。来年度概算要求では、社会保障費の増加分を超えて歳出が拡大する見込みになっています。消費税の増税は、本来、増える社会保障費を賄うためだったはずであります。与党の多数の力をもって、世論を無視して消費税を八%から一〇%に引き上げたとして、増収分はどのように使われるのでしょうか。消費税の増税分の使途について総理のお考えをお聞きいたします。
 私は時々登山に行きます。山は上りよりも下りの方が危険で事故も多いのです。登るときは自分の体力に合わせて進めばよいのですが、下りは足下をよく見て、背負った荷物と落ちていこうとする体をコントロールしながら下りなければ命に関わります。
 総務委員会で何度も提言して取り上げてもらったことに、地方公共団体の公共施設などの除却があります。平成の合併を経て、市町村は重複した施設を抱えることになりました。財政が苦しく、老朽化して使用目的を果たした施設を除却したくてもできないところには、起債を認めて、持ち過ぎた資産を減らす後押しをしてはどうかと提言し、前回の通常国会で地方交付税法等の一部を改正する法律の中に組み込まれました。
 日本を取り戻すと叫んでみても、高度成長期のような、ひたすらに頂上を目指して成長する時代ではなくなってしまいました。坂を上り切り、下り坂もある時代に入ったのです。今必要なのは、上を見る成長戦略ばかりでなく、慎重に足下の財政を見ることです。国も地方も背負い過ぎてしまった無駄な荷物を見直し、辛抱すること、知恵を絞って工夫することで、財政破綻を回避して、身の丈に合った安心して暮らせる社会の実現を目指す一方で、新しい切り口で発展を模索していくことではないでしょうか。
 総理、二〇二〇年度にプライマリーバランスの黒字化目標が達成できますか。日本の財政の足下は大丈夫ですか。財政健全化について総理のお考えをお伺いいたします。
 総理は、今国会を地方の創生に向けたスタートと述べられました。地方分権が叫ばれてから二十年たっても一向に進む気配がありません。この度の地方創生の動きが一時的なブームで終わらず、地方がその個性を生かして生き残っていける確たるものになることを願っております。今度こそ、国と地方が役割分担し、自立して、互いに発展していける道筋がつくられると信じております。地方創生についての総理の具体的なビジョンをお聞かせください。
 地方創生の中で、鳥取県大山の地ビールや島根県海士町のさざえカレーが挙がりました。ふるさと名物で町おこし、地域がそれぞれの地の利を生かし、工夫してチャレンジすることは大いに結構であります。
 しかし、過去にも、一村一品運動、B級グルメから派生したB―1グランプリ、農林水産省主催の農山漁村の郷土料理百選など様々な取組があり、一つの成功例をモデルケースにして安易に飛び付く事例が繰り返され、多くの失敗が積み重ねられてきました。都市部での販路拡大のための催事に出店してみたり、アンテナショップをつくってみたり、第三セクターの会社をつくって商品化をしてみたものの、売れずに借金だけが残って清算したところも少なくありません。全国各地で同じような試みをしては共倒れを繰り返してきたことも事実であります。
 石破担当大臣には、今まで失敗が繰り返されてきたようなやり方とは違う新しい形をつくり出してくださることに大いに期待しております。具体的な地方創生の手法をお聞かせください。
 もう少し追加してお話しさせていただきますけれども、私は、日本の国を全国一律の制度の下で運営せいというのは、例えば北海道だとか豪雪地帯だとか四国だとか離島だとか、条件不利な地域は同じようにはやっていけないと思うんです。だから、国の制度を、一律というものを考え直して一国二制度をつくることから始める必要が地方創生にとって必要じゃないのかなと思うんです。
 例えば、北海道だとか東北だとか、一キロ高速道路を造るのに四十億ぐらいでできるんですけれども、第二東名は三百億掛かります。それが同じ料金で取られるということ自体も、やっぱり広いところにいればたくさん走らなきゃならないし、思い切ったことを、大臣、考えてみてください。それから、夕張地区なんかもあれを、法人税を下げてやれば、法人税を下げて、例えば地方にそういう法人税を認めるような形になれば私は企業だって立地できると思いますので、ひとつその辺もよろしくお願いします。
 それでは、また元に戻して。
 今年も広島など各地で豪雨による災害が相次ぎました。つい先日は御嶽山が噴火し、新たな土砂災害が起こる心配もあります。亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。
 日本は災害の多い国であり、国民が安全、安心に生活を送るための防災対策は必要であります。だからといって、国土強靱化による過大なインフラ整備を正当化することを認めるわけにはまいりません。
 巨大なインフラといえば、今建設中の東日本大震災の巨大防潮堤が引き合いに出されますが、二十年前に北海道南西沖地震で大津波の被害に遭って防潮堤を整備した奥尻島は、命を守ることを優先に、人の住んでいるところに防潮堤を整備し、ほかには海浜を残しました。海を糧にして暮らす島民にとって、なりわいの維持もまた大事だからであります。それでも、昨年の暮れ、訪れてみますと、せっかく整備した防潮堤のところに建つ民家には廃屋が目立ちました。
 岩手と宮城での災害公営住宅の建設事業が八割以上進捗していることは、待ち望んだ被災者にとって喜ばしいことであります。陸前高田市を始めとした三陸各地で大掛かりな土地のかさ上げや高台移転が進んでいます。しかし、これらの復興事業は果たして身の丈に合ったものでしょうか。
 震災から既に三年半が経過しました。この間に被災者、被災地の状況は変化しています。仕事を求めて都市部に移動する被災者も少なくありません。人口減少は着実に進んでいます。将来的に持て余す結果になることは奥尻島の例からも明らかであります。当初計画を見直し、将来にわたって維持できる規模に見直すことはないのでしょうか。巨費を投じて造った宅地や災害公営住宅が空き地や空き家だらけにならないと言い切れますか。
 竹下復興大臣にお伺いします。復興計画の見直しをするつもりはございませんか。
 総理は、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックで聖火ランナーが復興成った被災地を駆け抜ける姿を世界に発信したいと述べられました。このまま見直すことなく建設が続けば、民家も沿道で手を振る人もまばらで、海の見えないコンクリートの壁が延々と続く景色を世界に発信することになりかねません。海の外では、その光景をどのように受け止めるでしょうか。
 総理の復興に対する総括的なお考えをお聞かせください。
 今まで、国と地方の関わりは、霞が関官僚が書いた全国一律、金太郎あめ方式の上意下達で、地方の自由度はほとんどありませんでした。市長、知事時代を通じて制度の壁と何度も闘ってまいりました。
 知事時代の二〇〇四年には、今までの日本にはなかった大学をつくろうと、国際教養大学を設立しました。一年間の留学を義務付け、TOEFLで六百点をクリアが卒業の条件であります。四年で卒業できる学生は約半数で、残りの学生は五年くらい掛けて卒業していきます。
 この大学を設立しようとしたときには、多くの人が失敗すると考え、反対の声も多く、知事選の争点にまでなった大学であります。しかし、その大学は、設立して十年で、先月の末に文部科学省が発表したスーパーグローバル大学の三十七校の一つに選ばれました。国際教養大学は、日本的、ガラパゴス的な既存の大学に対するイノベーションであると同時に、地方からのチャレンジでもありました。
 また、全国に先駆けて幼保一元化や三十人学級を実現し、全国学力テストで長年最下位のレベルだった秋田県は、今やトップクラスの常連になりました。過去に誰もやってこなかったことを実行し、成果を上げ、新たなスタンダードを生み出すのもイノベーションではないでしょうか。
 総理は、能力あふれる外国人の皆さんに、日本で活躍してもらえる環境を整備します、多様な価値に対応した公教育を可能にしてまいりますと述べられました。私は、以前から、高校生にはできるだけ一年間の留学を勧め、国際感覚を持たせたらこの国はもっと変わると言ってきました。残念ながら知事の時代にはそこまで実現することはできませんでした。
 政府は、五月に、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に、東京圏を世界で一番ビジネスのしやすい都市にするとして、国家戦略特区に指定しました。しかし、日本的な閉鎖性を持つ商慣習を変えなければ、海外の企業はなかなか日本に来たがらないでしょう。若い彼らの多くが日本とは異なる文化を身に付け、受け入れるようになれば、新しい成長モデルが生まれ、十年、二十年先の日本は、それこそ総理が描いているような世界で一番ビジネスのしやすい都市が実現するかもしれません。
 総理の考えるイノベーション、高校生留学も含めた公教育の姿はどのようなものか、お考えをお聞かせください。
 女性が輝く社会の中に、真に改革すべきは社会の意識そのものとあります。例えば、少子化の時代の今、なかなか社会的には認められない学生結婚を社会が認めるような意識改革も必要ではないでしょうか。もし子供が授かった学生がいたら、大学が単位取得や休学、復学の配慮や就職の支援をする。若いうちに子供を産んで育てれば、二十代後半には子供もある程度手が掛からなくなります。大学のキャンパスに実習や職員向けの幼稚園、保育所を持つ大学はあります。これからは、学生向けにも認定こども園などが開設されて、授業の合間や帰り道には学生の両親に手を引かれてキャンパスを歩く子供の姿が見える、そんな大学があってもよいのではないかと思います。
 企業でも同じような取組はできるはずであります。まず出産、子育てをして、その経験を生かしてキャリアを形成して、仕事に打ち込んでもらう、それくらいの長い目で人材を育てるような改革をしなければ、晩婚化と少子化の傾向はなかなか収まらず、女性が活躍しやすい社会は訪れないと思います。
 有村大臣にお伺いします。産学官を縦断して女性が活躍できる社会を実現できるかどうか、お答えください。
 いわゆる国民保護法が成立した二〇〇四年に、知事として自衛権の問題について考えたことがあります。県の危機管理として、アメリカと我が国の周辺諸国との間で戦争になり、警察権や海上保安権を超えた武力を持った人間が船に乗って秋田県沿岸に上陸するかもしれないとまで想定したこともあります。国民保護法では、こういった場合、都道府県知事は、第十五条一項の規定に基づき、防衛大臣に対して自衛隊出動要請をすることになります。
 七月一日の閣議決定に従えば、自衛隊がこの船を攻撃する必要があると判断した場合、領海に入る前に沈没させれば集団的自衛権、領海内なら個別的自衛権の行使と整理できると思います。しかし、当時の県の現場では、机上の整理でなく、県民の生命、身体、財産を保護する責任を負う県知事として取るべき行動は何かを必死になって考えました。
 集団的自衛権を行使できるようになった、普通の国になったと吹聴して周辺諸国を刺激するよりも、実際に問題が起きたときどのように対処するかシミュレーションしておく方がよほど実践的と考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 また、昨年の特定秘密保護法案の審議では、テロリズムの防止に関する情報について、県警本部長と都道府県知事の間での事前の情報共有ができず、住民への避難指示や誘導に支障を来すおそれがあることを指摘しました。
 先ほどの事例でお伺いいたします。
 政府は武装した人間が乗った船が日本に向かっているという情報を入手していたが、直前まで都道府県知事に伝達できず、対処が間に合わなかったために住民に死傷者が出た場合は誰が責任を負うことになるでしょうか。また、政府が情報を入手していたことは特定秘密として扱われ、闇の中に葬り去られてしまうのではないでしょうか。
 自衛権と特定秘密保護法と国民保護法の関係について、総理の御見解をお聞かせください。
 原子力政策についてお伺いします。
 福島第一原発事故はまだ収束が見えておりません。急性期が過ぎ、小康状態を保っているだけであります。あれほどの取り返しの付かない人災事故を起こし、その解決もできないのに、政府は半ば強引に原発を再稼働させようとしています。
 日本の原子力政策はトイレなきマンションと言われ続けながら進んできました。しかし、最終処分をどうするのかも決めずに原子力の利用を続けることは、国民の目を欺いているとしか言いようがありません。
 昨年、小泉元総理が訪れて話題になったフィンランドのオンカロ最終処分場予定地に、私は二〇一二年一月、直接地層処分の実態を学びに個人的に視察してきました。日本の国会議員では初めての訪問だと言われました。同じ足でフランスのラアーグ再処理工場にも回りました。
 フィンランドは、国と国民が地球温暖化の、その危険を承知の上で原子力というエネルギーを選択しました。オンカロの位置する地層は、過去十八億年に遡って動いた形跡のない安定した地盤であります。世界有数の地震・火山国である日本には、残念ながらそれほど長い間安定している地盤はありません。
 フランスのラアーグ再処理工場は、御存じのとおり、青森の六ケ所再処理工場のモデルになっている施設であります。そこで原子力発電の危険性について伺ったところ、原子力発電には必ずリスクが伴う、国民にもそのリスクをきちんと理解してもらうことも重要だと明確な答えが返ってきました。地元の同意も避難計画も不十分なのに、何が何でも安全と強弁し、強引に再稼働を進めようとする日本の原子力政策とは大きく異なります。
 地層処分について北海道の幌延深地層研究センターに、核燃料サイクルと再処理については福井県敦賀市にある「もんじゅ」と青森県六ケ所再処理工場を視察してまいりました。どちらも稼働には程遠く、いまだ道半ばでしかありません。原発の再稼働を進めるというのなら、まず最終処分をどうするのかと、その場所を決めるべきではないでしょうか。
 小渕経済産業大臣に伺います。「もんじゅ」や六ケ所再処理工場の核燃料サイクル事業の道筋をどうするおつもりですか。あわせて、核燃料の最終処分についてのお考えをお聞かせください。それから、オンカロとラアーグに是非足を運んでみてください。小泉元総理のように考え方が変わってくる可能性もあると思います。
 冒頭、若々しい青年の主張のような総理の所信演説と申し上げました。日本各地の前向きな話がちりばめられております。しかし、その中に登場した福島県広野町に輝く稲穂、宮城県東松島で農業に取り組む安部さん、海士町のさざえカレーを作り出した若者、根室のサンマ、どれを取っても、それぞれの方々が地域に根差して、知恵を絞り、汗を流して独力で勝ち取ったものであり、総理の政策、実績とは何の関係もない内容ばかりであります。
 総理の所信というものは、国民に対し、この会期中に何をしたいのか、何をするのか、それを具体的に述べ、国の道筋、将来を示すものだと思います。
 今臨時国会が、昨年の臨時国会のように、数に頼んで押し切るようなことなく、国民のために議論が尽くされ、実のある会期になることを願いまして、私の質問を終わります。
 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#18
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 寺田典城議員にお答えいたします。
 消費税増収分の使途についてお尋ねがありました。
 消費税増収分は全額社会保障財源化することとしており、社会保障以外の使途に充てることはありません。
 なお、安倍内閣では、歳出について、社会保障支出を含め、聖域を設けずに見直しを行い、大胆な重点化、効率化を進めているところです。このため、安倍内閣ではばらまきばかりが目に付くとの御指摘は当たりません。
 財政健全化についてお尋ねがありました。
 我が国の財政については、GDPの二倍程度という巨額の公的債務が累積するなど厳しい状況にあります。そのような中、安倍内閣においては、経済再生と財政健全化の両立を図り、国、地方の基礎的財政収支に関する財政健全化目標の達成を目指します。来年度は半減目標の達成時期に当たります。この達成に向け、デフレからの脱却、経済再生を確実なものとしつつ、歳出歳入両面の取組を進めてまいります。
 地方創生の具体的なビジョンについてお尋ねがありました。
 若者が将来に夢や希望を持てる魅力あふれる地方の創生は、安倍内閣の最重要課題です。景気回復の波を全国隅々にまで届けるとともに、若い方々が安心して働き、子育てができる地域をつくることにより、人口減少を克服する道筋を描いていくことが必要であります。
 このため、私の下に、まち・ひと・しごと創生本部を創設しました。この本部の下で、各省縦割りを排し、従来の取組の延長線上にはない政策を実行してまいります。
 政策の検討、実施に当たっては、それぞれの地域ならではの資源や良さを生かすことにより、地方に仕事をつくることを重視します。また、地方に住みたい、子供を持ちたいといった国民の意欲を実現するアプローチを取ってまいります。さらに、地域の声に徹底して耳を傾け、国の示す枠にはめるような手法を排し、地域の個性を尊重して支援してまいります。
 復興に対する総括的な考え方についてお尋ねがありました。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックは、被災地にも夢と希望を与えるものです。その際には、世界の人々に力強く復興した被災地の姿を見ていただくため、インフラの復旧だけではなく、町のにぎわいが戻るよう、自治体や関係者の方々と復興を進めてまいります。その際、具体的な施設の計画については、県等の事業主体が地元の町づくりや景観との調和なども踏まえつつ、地域の合意を得ていくものと考えています。
 教育におけるイノベーションと公教育の姿についてのお尋ねがありました。
 全ての子供たちが夢を実現するため、世界トップレベルの学力と規範意識を身に付ける機会を保障することが教育の大きな目的であり、また国の責任であります。このため、地域がそれぞれの実情に応じて創意工夫を凝らし、革新的な取組にチャレンジしていくことが重要であります。
 先般新たな体制で再スタートした教育再生実行会議において議論を深めながら、引き続き教育再生に全力で取り組んでまいります。
 七月一日の閣議決定と、問題発生に備えた対処シミュレーションについてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており、もはや、どの国も一国のみで平和を守ることはできません。そのため、日米同盟を強化するとともに、各国との信頼関係、協力関係を深めていくことが重要であります。
 その上で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、あらゆる事態を想定し、切れ目のない安全保障法制を整備する必要があると考えています。もちろん、政府としては平素から様々な事態を想定し、関係機関が連携して各種シミュレーションや訓練を行ってきているところであり、このような取組は必要不可欠であります。
 同時に、自衛隊を始めとする関係機関が様々な事態に対して有効な対処を行うためには、その根拠となる国内法が必要です。法治国家として、超法規的対応があってはなりません。このような法整備と平素からの不断のシミュレーションは言わば車の両輪であり、両者相まって我が国の抑止力は飛躍的に向上し、紛争が生起するおそれは一層なくなっていくものと考えています。
 緊急事態における都道府県知事への情報の伝達についてお尋ねがありました。
 御指摘のような場合には、都道府県知事が行う住民の避難措置等のための情報は特定秘密に該当せず、国から知事に当然提供されます。
 なお、政府にとって不都合な事実を隠蔽することを目的として特定秘密を指定することなどは決して許されません。チェック機関の設置など、指定等の適正を確保するための仕組みが整備されることから、特定秘密保護法の下ではそのような指定はできません。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(石破茂君) 寺田議員からは、これまでのやり方とは異なる具体的な地方創生の手法についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
 地方のことは地方が一番御存じなのでありまして、地方創生に当たりましては、これまでの国主導のやり方ではなく、地域住民の皆様方の御参加を得て、地方の個性を尊重し、地方の自主的な取組を国が後押しするということを基本としてまいります。
 また、地方におきましても、中長期を含めました政策目標を設定の上、効果検証を厳格に実施し、ばらまき型の投資ではなく、限られた財源の中で効果の高い政策が集中的に実施されますよう努めてまいります。
 さらに、総理を本部長、全閣僚をメンバーといたします、まち・ひと・しごと創生本部を立ち上げ、各省の企画立案の司令塔となりますことで縦割りを排除し、政府一丸となって課題解決に取り組んでまいります。
 一国において多くの制度を導入する、あるいは高速道路の料金体系等につきましても御指摘を賜りました。問題意識は承りました。今後、議論を深めてまいります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣竹下亘君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(竹下亘君) 寺田議員から、復興計画の見直しに関する御質問をいただきました。
 これまでの取組によりまして、岩手と宮城での高台移転や災害公営住宅は八割を超える事業が始まるなど、復興は着実に進んでおります。
 一方、高台移転などの事業には一定の時間を要することから、その間に住民意向の変化が生じることが考えられます。地方公共団体においては、こうした住民ニーズを踏まえまして、的確に計画の見直しを行っていただいていると承知をいたしております。
 引き続き、関係省庁と連携を図りながら、このような計画の見直しに対しましてきめ細やかに対応、支援をしてまいります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣有村治子君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(有村治子君) 寺田議員から、産学官を横断して、女性が活躍できる社会を実現することについてお尋ねがありました。
 女性が活躍できる社会を実現するためには、希望する全ての女性が、その置かれた立場にかかわらず安心して出産、子育て等ができる環境を整備していくことが重要です。例えば、大学内において教職員や研究者、学生などのために保育施設を設置する取組も出てきており、こうした取組が進むことを期待いたします。大学教育の推進に向けて大きな御貢献のありました寺田議員ならではの問題提起に敬意を申し上げます。
 政府といたしましては、企業や大学等における保育施設の支援など保育の受皿を整備し、長時間労働の抑制や働き方の改革など、ワーク・ライフ・バランスの推進を始めとした仕事などと子育てを両立できる環境の整備について着実な取組を進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣小渕優子君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(小渕優子君) 核燃料サイクル事業及び最終処分についてお尋ねがありました。
 核燃料サイクルについては、六ケ所再処理工場の竣工遅延や「もんじゅ」のトラブルなどが続いてまいりました。このような現状を真摯に受け止め、直面する問題を一つ一つ解決することが重要であります。
 その上で、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の量の減少や放射能レベルの低下などに資する核燃料サイクルについては、関係自治体や国際社会の理解を得つつ推進をしてまいります。
 最終処分の問題は、現世代の責任として解決すべき課題です。しかし、いまだ処分地選定調査に着手できておりません。このため、国が前面に立ち、より適性が高いと考えられる地域を提示し、重点的な理解活動を行っていく方針としたところです。国民や地域の御理解をいただきながら、将来世代に先送りしないよう着実に進めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#23
○副議長(輿石東君) 山下芳生君。
   〔山下芳生君登壇、拍手〕
#24
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、総理に質問します。
 初めに、御嶽山噴火による犠牲者、負傷者の皆様に心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。引き続き、捜索、救出に全力を挙げることを求めます。
 また、広島市での甚大な土砂災害を始め、この夏、全国で相次いだ集中豪雨や台風による犠牲者、被災者の皆様にも心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。
 土砂や瓦れきの撤去、当面の住宅の確保など緊急の要求に応えるとともに、被災者生活再建支援法に基づく支給限度額を少なくとも五百万円に引き上げること、その対象を、浸水被害を受けた被災者、商店や小規模事業所など、なりわいに被害を受けた被災者まで拡充することを求めます。
 七月一日、安倍政権は、集団的自衛権行使を容認する閣議決定を強行しました。集団的自衛権の行使とは、日本に対する武力攻撃がなくても、他国のために武力の行使をするということ、すなわち、日本が海外で戦争する国になるということです。
 勝手な決め付けではありません。アメリカが、二〇〇一年にアフガニスタン戦争、二〇〇三年にイラク戦争を起こした際、日本は自衛隊を派兵しましたが、派兵のための特別措置法には、武力の行使をしてはならない、戦闘地域に行ってはならないという歯止めが明記されていました。しかし、今回の閣議決定では、その歯止めが外されました。自衛隊が活動する地域を非戦闘地域に限るという枠組みを廃止し、これまで戦闘地域とされた場所であっても支援活動ができるとされたのです。
 それが何を意味するでしょうか。アフガニスタン戦争で、物資の補給や輸送など後方支援を当初の任務として派兵した国は数十か国ありました。その結果どうなったか。
 ドイツは、アフガニスタンから撤退するまでに五十五人の犠牲者を出しました。後方支援として開始した派兵でしたが、戦闘に巻き込まれてたくさんの犠牲者が出たのです。総理、戦闘地域で軍事活動を行えば、相手から攻撃され犠牲者が出る、この事実をお認めになりますか。
 もう一つ。カナダも、アフガニスタンから撤退するまでに百五十八人の犠牲者を出しています。このうち、二十代が九十八人、三十代が四十五人、合わせて全体の九割を占めたと報告されています。戦争で真っ先に犠牲となるのは未来ある若者たちだということを総理は認めますか。
 はっきりしました。集団的自衛権の行使とは、アメリカの戦争のために、日本の若者の血を流す、殺し殺される国になるということにほかなりません。
 私は心から訴えたい。若い皆さん、あなたは海外の戦場で血を流しますか。女性の皆さん、あなたは恋人や夫や息子や娘たちを海外の戦場に送り出し、殺し殺されることを望みますかと。
 国民は誰もそんなことを望んではいません。
 八月六日、広島で、被爆者団体代表は、総理に閣議決定の撤回を求める要望書を手渡し、次のように訴えました。平和記念公園の記念碑に「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれている。閣議決定は碑文の誓いを破り、過ちを繰り返すものだ。
 重い言葉です。しかし、総理は、平和国家の歩みは変わらないと強弁するだけで、この訴えに真剣に向き合おうとはしませんでした。いいのでしょうか。
 六十九年前、広島に投下された原子爆弾は、一瞬のうちに広島の町を焼き尽くし、多くの尊い命を奪い、放射能によって人々を後々まで苦しめています。こうした原爆のむごさ、戦争の悲惨さを体験した中から、私たちは戦争放棄を明記した憲法九条を手にしたのです。
 総理、戦後の日本の歩みの原点ともいうべき被爆者の訴えに真っすぐ耳を傾けることこそ、被爆国の総理の務めではありませんか。被爆者が、過ちを繰り返すと厳しく指摘している集団的自衛権行使容認の閣議決定は撤回すべきではありませんか。
 被爆者だけではありません。どの世論調査を見ても、集団的自衛権行使容認に反対する声は五割から六割に上ります。二十代、三十代では、反対が七割に達しています。若者を海外の戦場に送る政治を若者たちが強く拒否しているのです。総理はこれをどう受け止めますか。
 では、国民が望む安全保障とはどういうものでしょう。
 NHKが七月に実施した平和観についての世論調査では、日本の平和を守っていくために今最も重視すべきことは何かとの問いに、武力に頼らない外交が五三・四%、民間レベルでの経済的・文化的交流が二六・〇%であったのに対し、武力を背景にした抑止力は僅か九・四%でした。
 また、日本の平和を守るために世界に対して日本の立場をどのようにアピールしていくことが大切かとの問いには、戦争放棄を掲げていることを世界に訴えるが二七・〇%、経済などの交流によって世界の国々との関係を強化するが二六・八%だったのに対し、自衛のための防衛力を強化するは一二・五%にすぎません。
 国民が外交と交流を重視した安全保障を強く求めていることは明らかではありませんか。
 外交、交流重視の安全保障は、決して理想論ではありません。
 東南アジア諸国連合、ASEANは、一九七六年に東南アジア友好協力条約、TACを締結し、武力行使の放棄と紛争の平和解決などを掲げ、ASEAN域内諸国の関係を律する平和のルールとして機能させています。ここでは、国々の間で年間千回を超える会合を開くなど、徹底的な対話によって信頼を醸成させています。
 TACは、一九八七年以降、国際条約として東南アジア地域以外にも開かれ、ユーラシア大陸のほぼ全域とアメリカ大陸にまで及ぶ五十七か国に広がり、世界人口の七二%が参加する巨大な平和の流れとなっています。
 日本もTACに調印しています。総理、東南アジアから世界に広がる地域の平和協力の枠組みから日本が学ぶことは少なくないと思いますが、いかがですか。
 日本共産党は、TACのような、あらゆる紛争を平和的に解決する枠組みを私たちの住む北東アジアでも構築するために、次の四つの目標と原則に立った北東アジア平和協力構想を提唱しています。
 具体的には、一つ、紛争の平和解決のルールを定めた北東アジア規模の友好協力条約を締結すること。二つ、北朝鮮問題を六か国協議で解決し、この枠組みを地域の平和と安定の枠組みに発展させること。三つ、領土問題の外交的解決を目指し、紛争をエスカレートさせない行動規範を結ぶこと。四つ、日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は不可欠の土台になるということであります。この方向こそ、北東アジア地域に平和と安定をもたらす方策であり、国民が望む安全保障の方策であると考えますが、総理の見解を求めます。
 世界に広がる平和の流れに真っ向からの逆流となるのが、沖縄県名護市辺野古での米軍新基地建設の強行です。
 希少なジュゴンやサンゴが生息するちゅら海を埋め立てて造る新基地は、普天間基地の単なる移設ではありません。千八百メートル級のV字形滑走路を二本建設してオスプレイを配備し、F35戦闘機を運用する。普天間基地にはない二百メートル級の埠頭を持つ軍港を建設して強襲揚陸艦を配備する。そして、普天間には置くことができなかった広大な弾薬搭載エリアを建設する。このように、辺野古の新基地は、普天間の単なる移設ではなく、その機能を一変させる海兵隊の最新鋭出撃基地の建設にほかなりません。
 これのどこが総理の言う負担軽減なんですか。むしろ、沖縄の基地負担を著しく増大させ、紛争の平和解決という世界の流れにも逆行するものではありませんか。だからこそ、沖縄県民の八割が反対しているのです。
 昨年一月、沖縄県内全ての市町村の首長と議会議長、県議会議長などがサインした建白書を総理は直接受け取られました。建白書は、米軍基地の県内移設を断念すること、米軍普天間基地を閉鎖、撤去すること、そしてオスプレイの配備を直ちにやめることを求めています。これこそオール沖縄の声であります。
 新基地が押し付けられようとしている名護市民の意思も明白です。この四年半の間に名護市では市長選挙と市議会議員選挙が二回ずつ行われましたが、その全てにおいて新基地建設反対を貫く稲嶺市長が勝利し、市長与党の市議が過半数を占める結果を出しました。
 総理は、こうした沖縄の声をどう受け止めているのですか。沖縄の方々の気持ちに寄り添うと言うのなら、新基地建設は断念すべきではありませんか。答弁を求めます。
 次に、国民の暮らしと日本経済について質問します。
 アベノミクスの円安政策による物価の上昇、原材料費の高騰が国民生活と中小企業の経営を苦しめています。その上、消費税増税が強行されました。その結果どうなったか。四―六月期のGDPは年率マイナス七・一%も落ち込みました。これは東日本大震災による落ち込みを上回っています。とりわけ、家計消費はマイナス一九・五%と、一九七三年のオイルショック直後に匹敵する落ち込みとなりました。
 総理は、多くの企業で賃金がアップしたと繰り返しますが、それではなぜ消費がこんなに落ち込んだのですか。アベノミクスによる物価上昇とそれに続く消費税増税が賃上げ分を奪い取り、給料を目減りさせたからではありませんか。実際、働く人の実質賃金は十四か月連続で前年比マイナスとなっています。
 総理は、こうした実質賃金の低下が家計消費の落ち込みの根本にあることを認めないのですか。この上、消費税を一〇%に引き上げたらどうなるか。更なる実質所得の減少、消費の底割れで、日本経済の土台を崩壊させることになるのは明らかではありませんか。
 そもそも、消費税増税には一かけらの道理もありません。社会保障のためといって増税しながら、医療では病床数を大幅に削減して患者を病院から追い出す、介護でも要支援者を介護保険から締め出すなど、社会保障が次々切り捨てられています。財政健全化のためと言いながら、大企業減税と公共事業に巨額のお金をばらまこうとしています。
 総理、暮らしと経済に大打撃を与え、増税の根拠も総崩れとなっている消費税一〇%への増税はきっぱり中止すべきではありませんか。
 日本共産党は、既に消費税の増税なしに社会保障を立て直す道を提案しています。
 第一は、税金は負担能力に応じてという応能負担の原則に立った税制改革を行い、社会保障の財源を確保することです。富裕層と大企業への優遇税制を改めて、応分の負担を求めます。
 第二は、大企業に眠っている内部留保二百八十五兆円の一部を活用して大幅賃上げと安定した雇用を実現し、景気を回復させて税収を増やすことです。
 日本共産党は、消費税増税に頼らない別の道を示しながら、国民とともに消費税増税にストップを掛けるために奮闘するものであります。
 国民の暮らしと地域経済を支える重要な役割を担っている雇用、中小企業、農業について質問します。
 まず、雇用の問題です。
 総理は有効求人倍率がバブル崩壊後最高になったと言いますが、増えているのは非正規雇用の求人だけです。第二次安倍内閣成立後の一年半で雇用者数は九十四万人増えましたが、内訳を見ると、非正規雇用が百二十五万人増え、正社員は逆に三十一万人も減っています。
 にもかかわらず、総理は労働者派遣法の大改悪案を今国会に再提出しました。これは、派遣期間は最大三年という枠をなくし、生涯派遣を強いるものです。正社員から非正規雇用への置き換えもますます加速するでしょう。
 今でも若者の多くは非正規雇用で、低賃金と不安定な暮らしに苦しんでいます。結婚することができない、子供を産み育てることができない、親の老後を支えられないという事態が広がっています。総理は所信表明で、若者が将来に夢や希望を持てる地方の創生と述べながら、なぜ若者から夢と希望を奪う非正規雇用を増やそうとするのですか。派遣法の大改悪は中止すべきであります。
 一方で、正社員には、残業代ゼロで働かせるホワイトカラーエグゼンプションの導入や裁量労働制の拡大が検討されています。過労死を生み出している異常な長時間労働を更にはびこらせるつもりですか。
 今必要なのは、労働者の命と健康を脅かし、まともな家庭生活の障害にもなっている長時間労働を是正することです。日本共産党は、さきの通常国会で継続審議となったブラック企業規制法案を成立させるために力を尽くします。
 次に、中小企業の問題です。
 日本の中小企業は、企業数の九九%を占め、勤労者の七割を雇用しています。地域経済や物づくり技術の重要な担い手となっています。しかし、多くの中小企業は赤字です。また、円安による原材料費の値上がり、消費税増税に多くの中小企業が苦しんでいます。一方、大企業は史上空前の利益を上げています。トヨタ自動車の四―六月期の営業利益は、リーマン・ショック前を上回り、過去最高を更新しています。
 にもかかわらず、大企業に法人税の減税を行うために、その財源として、赤字の中小企業にも負担を強いる外形標準課税の拡大が検討されています。黒字の大企業の減税のために赤字の中小企業に新たな課税を行う。総理、全くの逆立ちではありませんか。
 今求められているのは、中小企業の経営の安定と、そこで働く労働者の賃上げのための支援です。
 アメリカでは、最低賃金を引き上げるために、二〇〇七年から五年間で八千八百億円規模の中小企業支援を行いました。その結果、消費の底上げに成功し、その後も最低賃金引上げに力を入れています。一方、日本では、最低賃金を引き上げるための中小企業支援は年間僅か三十億円程度です。抜本的に増額すべきではありませんか。
 次に、農業の問題です。
 収穫の秋に米価の大暴落が全国の農家を襲っています。生産者が受け取る米価の目安となる概算金は前年より六十キロ当たり三千円前後下落し、史上最低の八千円ないし七千円台の銘柄が続出しています。全国平均の米の生産費一万六千円の半分以下という異常事態です。米作って飯食えねえと悲痛な叫びが上がっています。
 価格は市場に任せるという姿勢を転換し、暴落の要因となっている過剰な二〇一三年産米を政府が買い上げるなど、緊急の価格安定策を取るよう強く求めます。
 昨年まで米農家に十アール当たり一万五千円出ていた米直接支払交付金を安倍政権が半減させ、四年後に廃止すると決めたことで、大規模稲作農家の方が先の見通しが立たないと悩み、自殺するという痛ましい事態が起きています。半減措置を撤回し、農家の経営安定策を取るべきではありませんか。
 四月七日に基本合意した日豪経済連携協定、EPAは、オーストラリア産牛肉の関税を、締結後二年間で、冷凍は一〇%、冷蔵は七%引き下げるものとなっています。乳製品でも、例えばナチュラルチーズの輸入を二十年間で四千トンから二万トンに増やすものとなっています。これは日本の国内の生産量に匹敵する量です。EPAは日本の畜産や酪農に大打撃になると、総理、考えないのですか。
 日豪EPAの合意は、重要農産物を関税撤廃、削減の対象から除外するとした二〇〇六年の国会決議に違反しています。皆さん、日本の農業を守るために国会の責任を果たそうではありませんか。また、日豪EPA以上に農業と地域を破壊する環太平洋連携協定、TPPからの撤退を強く求めます。
 最後に、原発問題について質問します。
 東京電力福島第一原発事故による避難中に自死に追い込まれた女性への賠償命令を下した八月の福島地裁判決が確定しました。判決は、被告東京電力は、原子力発電所が仮に事故を起こせば、核燃料物質等が広範囲に飛散し、当該地域の居住者が避難を余儀なくされる可能性を予見することが可能であった、そして、避難者が様々なストレスを受け、その中には、うつ病を始めとする精神障害を発病する者、さらには自死に至る者が出現するであろうことについても予見することが可能であったと述べています。東京電力はこの判決を受け入れました。総理は東京電力と同じ立場に立つのですか、お答えください。
 加えて、今年の夏は、商業用原発が電力供給を開始した一九六六年以来、初めて稼働原発ゼロの夏となりました。それでも電力が足りなくなることはありませんでした。総理、原発再稼働・推進路線を中止し、今こそ原発ゼロへの政治決断をすべきではありませんか。
 集団的自衛権、米軍基地、暮らしと経済、原発、安倍政権の政治は、どの分野でも国民多数の願いに逆行しています。しかも、異なる意見を切り捨てる強権政治です。
 安倍政権打倒の国民的大運動を起こし、国民が主人公の新しい政治を開くために奮闘する決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#25
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山下芳生議員にお答えをいたします。
 御嶽山の噴火への対応についてお尋ねがありました。
 御嶽山の現場では、噴火活動が続く中、警察、消防、自衛隊による懸命の捜索・救出活動が行われています。
 政府としては、二次災害に留意しつつ、引き続き、関係機関が一体となって捜索・救出活動に全力を尽くしてまいります。今後の噴火活動に最大限の警戒を行い、国民生活の影響にも万全の対策を講じてまいります。
 豪雨や土砂災害の対応や被災者生活再建支援制度の拡充についてのお尋ねがありました。
 今夏、各地で相次いだ豪雨や土砂災害については、引き続き、土砂や瓦れきの撤去、当面の住宅の確保など、一日も早い被災者の生活再建に向け、関係機関が一体となって取り組んでまいります。
 被災者生活再建支援制度の拡充については、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して、慎重に検討すべきものと考えます。
 七月一日の閣議決定と戦闘地域における活動についてお尋ねがありました。
 先般の閣議決定においては、今後、我が国が行う支援活動については、現に戦闘行為を行っている現場では実施しないこととしております。したがって、戦闘地域とされた場所であっても支援活動ができるとされたとの御指摘は全く当たりません。また、いかなる場所で活動する場合であっても、これまでと同様、自衛隊の安全を確保しつつ行うことは言うまでもないと考えています。
 なお、アフガニスタンにおけるISAFに参加している各国の活動は、閣議決定で述べている支援活動、すなわち、物資の輸送、給油、医療活動といった、いわゆる後方支援と言われる支援活動とは全く異なるものであると考えています。
 集団的自衛権に関する閣議決定についてのお尋ねがありました。
 先般の閣議決定については、衆参両院の予算委員会における閉会中の集中審議を始め、国会審議や記者会見などで累次にわたって丁寧に説明し、国民の皆様の御理解を得るよう努めてまいりました。閣議決定を実施に移すためには、今後、国会に法案を提出し御審議いただくことが必要となりますが、野党の皆様との真摯な議論を通じ、分かりやすく説明し、国民の一層の御理解を得られるよう努めてまいります。
 集団的自衛権に関する世論調査についてのお尋ねがありました。
 平和国家としての日本の歩みはこれからも決して変わらず、紛争を平和的に解決するため最大限の外交努力を尽くすことは当然であります。専ら軍事のみで構えているとの批判は的外れであります。
 先般の閣議決定において、憲法第九条の下で許容されるのは、あくまで我が国の存立を全うし、国民の平和な暮らしを守るため、すなわち我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置としての武力行使のみです。海外派兵は一般に許されないという従来からの原則も全く変わりません。また、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使を認めるものでもありません。徴兵制は憲法違反であり、徴兵制につながるのではないかといった批判は全く的外れであります。
 引き続き、国民の皆様に、より一層の御理解を得られるよう、丁寧に説明しながら法整備を進めてまいります。
 東南アジア友好協力条約及び北東アジアの平和と安定に関する共産党の構想についてお尋ねがありました。
 東南アジア友好協力条約は、ASEANが軸となって地域の平和と安定の促進に向けた協力の原則を定めたものであり、有意義なものと考えています。北東アジアの平和と安定については、日本は必要な防衛力、抑止力を維持すべきと考えますが、専ら軍事で構えているという批判は当たっていません。
 この地域の平和と安定のためには、まず法の支配を遵守し、問題があれば話合いを通じて平和的に解決していくことが必要です。近隣諸国同士がお互いに意思疎通を図り、関係改善に向けて努力を重ねていくことも地域の平和と安定にとって有益です。そして、大局的な観点から未来志向の関係を築いていくことが重要と考えます。
 普天間飛行場の代替施設についてお尋ねがありました。
 普天間飛行場の移設は、現在の施設を単純に辺野古に移設するものではなく、沖縄の負担軽減に十分資するものと考えています。この際、具体的に分かりやすく説明をさせていただきたいと思います。
 現在の普天間飛行場は、まず第一にオスプレイなどの運用機能、そして次に空中給油機の運用機能、三番目に緊急時に外部から多数の航空機を受け入れる基地機能という三つの機能を有しています。これに対し、辺野古に移る機能はオスプレイなどの運用機能のみであり、他の二つの機能は本土に移転されます。また、辺野古において埋め立てる面積は、全面返還される普天間飛行場の面積と比べて三分の一以下であり、大幅に縮小されます。
 さらに、訓練等で日常的に使用する飛行経路については、現在は市街地の上空です。これが、移設後は周辺の集落から数百メートル離れた海上へと変更されます。このため、騒音も大幅に軽減されます。現在は、住宅防音が必要となる地域に一万数千世帯の方々が居住しているのに対し、移設後はこのような世帯はゼロとなり、騒音の値は居住専用地域に適用される環境基準を満たすこととなります。これに加え、万が一航空機に不測の事態が生じた場合は、海上へと回避することで地上の安全性が確保されます。
 最も大切なことは、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないということです。これが大前提であり、かつ政府と地元の皆様の共通の認識であると思います。
 一日も早い普天間の返還を実現するため、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、目に見える形で負担軽減を図ることができるよう、政府を挙げて全力で取り組んでまいります。
 家計消費と賃金についてのお尋ねがありました。
 一人当たり名目賃金に雇用者数を乗じた国民全体の所得、賃金である雇用者所得は、昨年四月以降、上昇基調にあります。しかしながら、今般の物価上昇により、まだ賃金の上昇を実感しづらい状況であることも事実です。
 また、消費税率の引上げに伴う駆け込み需要の反動の継続や天候不順といったことを要因として、家計消費は確かに足踏みが見られます。このため、物価上昇や天候不順などによる景気への影響にも慎重に目配りしつつ、成長戦略の確実な実行等により、景気回復の実感を全国津々浦々にまで届けてまいりたいと考えています。
 消費税率の一〇%への引上げの中止についてお尋ねがありました。
 足下の経済状況については先ほど申し上げたとおりですが、今般の消費税率の引上げは、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子育て支援を充実していくためのものであり、その増収分は全額社会保障の充実、安定化に充てられ、国民に還元されます。
 他方、引上げにより景気が悪化して税収も増加しないという事態に陥ることは絶対に避けなければなりません。経済再生と財政健全化の両立、この道しかありません。消費税率の一〇%への引上げについては、経済状況等を総合的に勘案しながら本年中に適切に判断してまいります。
 なお、法人税改革については、経済の好循環を通じて国民生活の向上につながっていくものであり、また、公共事業については、防災・減災対策などに重点化していることから、ばらまきを行っているとの御指摘は当たらないと考えます。
 労働者派遣法改正案及び労働時間制度の見直しについてお尋ねがありました。
 労働者派遣法改正案は、キャリアコンサルティングや計画的な教育訓練等の実施を派遣会社に義務付けるなど、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップを支援するものであります。非正規雇用を増やそうとするものではなく、労働者派遣法の大改悪というレッテル貼りは不適当と考えます。
 新たな労働時間制度の創設や裁量労働制の見直しに当たっては、当然、長時間労働を強いられることがあってはならないと考えており、企業等に対する監督指導など、働き過ぎ防止のための取組の強化を図ることとしています。この新たな労働時間制度は、ホワイトカラーの方々を広く対象とする、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションとは異なるものであり、その導入は考えておりません。
 以上のように、安倍内閣としては、全ての人々が生きがいを持って働くことができ、何度でもチャンスを与えられる環境をつくっていくことが重要と考えており、頑張る人たちの雇用の安定や処遇の改善に力を尽くしてまいります。
 法人税改革と法人事業税の外形標準課税の対象拡大についてのお尋ねがありました。
 法人税改革については、日本の競争力を高める観点から、法人税を成長志向型に変革していくことで、経済の好循環を通じ、国民生活の向上につながっていくものと考えています。
 また、外形標準課税の在り方については、地方経済を支える中小企業・小規模事業者への配慮の観点も含め検討していくこととしており、大企業に減税し、中小企業に増税するとの指摘は当たりません。
 中小企業支援についてのお尋ねがありました。
 ふるさと名物の販路開拓支援など、あらゆる施策を総動員して中小・小規模事業者の支援に万全を期してまいります。
 また、事業場内の最低賃金を引き上げた中小企業等への助成など、最低賃金を引き上げる環境整備に必要な対策を講じていきます。
 さらに、中小・小規模事業者がいたずらに不利な環境に陥ることのないよう、独占禁止法や下請法の厳正な執行、金融機関による円滑な資金供給の促進など、実効ある取組を進めてまいります。
 米価の下落と農業経営対策についてお尋ねがありました。
 昨年取りまとめた農政改革の中では、米の直接支払交付金について、全ての販売農家を対象にし、担い手への農地集積のペースを遅らす面があったことなどから、意欲と能力ある担い手に集中した経営所得安定対策に見直したところであります。
 その上で、安倍内閣においては、農業の成長産業化を図るため、農地集積バンクによる農地集積、輸出促進、六次産業化の推進などを精力的に図り、さらに、米の生産調整を見直し、農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるようにするなどの改革を進めています。
 なお、米の価格は、需給動向などを反映して民間取引の中で決定されますが、急激に価格が変動した場合には、生産者の収入減少の影響を緩和する対策など、セーフティーネット措置を講じているところであります。
 いずれにせよ、こうした改革を進め、農業を若者に魅力ある成長産業としていくことが重要だと考えております。
 日豪EPA及びTPPについてお尋ねがありました。
 日豪EPAについては、国内産業の存立及び健全な発展を図っていける内容で合意したと考えており、国益にかない、全体として我が国にとって利益になる協定を実現する成果を得たいと考えています。
 TPP交渉については、交渉が最終段階を迎えている中、交渉からの脱退について言及することは不適切と考えます。
 いずれにせよ、守るべきは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求していく考えです。
 原子力発電についてのお尋ねがありました。
 この夏の電力の需給については、電力不足は何とか回避できたものの、これは国民各層や企業の皆様の節電への御協力や老朽火力をフル稼働させている結果であり、予断を許さない状態にあったと認識しています。
 他方、原発が全て止まった結果、海外の化石燃料への依存度が石油ショックの頃よりも高くなるとともに、エネルギー価格の高騰は、中小・小規模事業者の皆様を始め、国民生活に深刻な影響を与えています。また、我が国の電力分野の温室効果ガスの排出量は大幅に増加しています。
 このため、いかなる事情よりも安全性を最優先させる前提の下、独立した原子力規制委員会により、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合すると認められた原発については、その科学的、技術的な判断を尊重し、再稼働を進めていく方針です。
 国が当事者でない個別の裁判事案についてコメントすることは差し控えますが、東京電力には、引き続き、被害者の方に寄り添った公平かつ適切な賠償を行うよう指導してまいります。(拍手)
    ─────────────
#26
○副議長(輿石東君) 加藤敏幸君。
   〔加藤敏幸君登壇、拍手〕
#27
○加藤敏幸君 民主党・新緑風会の加藤敏幸です。
 会派を代表して、特に雇用・労働問題を中心に総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、冒頭、国会閉会中の水害や、また火山噴火などの自然災害により尊い命を落とされました方々に哀悼の意を表しますとともに、残されました遺族の皆様や被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。
 さて、アベノミクスと銘打った政府の経済・金融政策が実施されてから一年十か月が経過しました。この間、円安、株価の上昇、大企業の業績改善などが見られました。しかし、本年四月からの消費税率の引上げも影響し、四―六月期の国民所得統計ではマイナス成長になり、アベノミクスに対する厳しい評価も出始めております。そして、第三の矢である成長戦略の成否に注目が移っています。
 政府が主張する経済の好循環を実現するには、何が最も重要であるのか。私は、雇用の質の向上による雇用労働者の所得の向上こそが今最も必要な施策であると考えます。
 マスコミでは大きく取り上げられませんでしたが、九月十日、十一日の二日間、G20の雇用労働大臣会合がメルボルンで開催されました。残念ながら塩崎厚生労働大臣は出席されませんでしたが、実は、この大臣会合に対し、国際労働機関、経済協力開発機構、そして世界銀行という三つの大きな国際機関が珍しく共同で、「G20労働市場の展望、主な課題、政策対応」というタイトルの報告文書を提出しました。
 この文書は、G20諸国では依然として雇用の縮小と仕事の質の低下が続いている、労働市場の動きの弱さは消費と投資を制約し、景気回復を脅かし、ほとんどのG20諸国で賃金の伸びは労働生産性の伸びを大きく下回り、賃金と所得の不平等が拡大し、先進国の多くで実質賃金の低迷又は下落が見られる、景気回復の基盤は仕事であり、社会の安寧と持続的な成長の基盤として、もっと多くのより良い仕事が必要であると指摘しています。
 昨年九月のサンクトペテルブルク・サミットの首脳宣言も、生産的でより質の高い雇用を創出することは、強固で持続可能かつ均衡ある成長、貧困削減及び社会的一体性の向上を目指す各国の政策の核であると指摘しています。
 そこで、総理は、これら国際会議における雇用に関する提言や宣言をどのように受け止められているのでしょうか。特に、三つの国際機関の提言について、御自身の評価とその主な理由をお伺いしたいと思います。あわせて、今後、政府としてどのように政策化していくのかについてもお伺いしたいと思います。
 関連して、次の質問をいたします。
 三つの国際機関の提言は、安定的な成長を達成するために、経済変動に対し危機的な影響を受けやすい集団や脆弱な人々に対し、雇用機会を増やし、労働生産性や賃金を改善するような政策を講じる必要があると強調しています。
 我が国においては、パートタイマー、登録型の派遣労働者、契約社員、嘱託などの非正規の職員、従業員や、現在雇用されている、あるいは職業訓練を受けている障害者などがこの政策の対象者になると考えますが、全体として安定的で良質な雇用が確保されている状況にはありません。特に障害者の雇用に関しては、全国各地で就労支援事業などが進められていますが、依然として障害者の自立を保障する一般企業への就労と定着には多くの課題が残っています。
 非正規の労働者は、パートタイム労働者を中心に昨年まで増加の一途をたどってきました。現在、企業や官庁や法人、諸団体に雇用されている人は、役員を除くと五千二百二十六万人ですが、そのうちの約三七%の一千九百二十二万人が非正規です。まさに三人に一人が非正規ということです。非正規労働者の雇用の質を高めるためには、正社員に登用する道を広げ、賃金を均等水準に引き上げるとともに、そのための能力開発を十分行う必要があります。また、労働時間や休暇取得を始めとする労働条件の改善が必要です。
 そこで、まず、政府として非正規雇用の質の改善をどのように図っていかれようとしているのか、総理にお伺いいたします。
 また、厚生労働大臣には、これまで取られてきた非正規雇用の対策の要点を説明され、あわせて、今後の政策の改善点について、特に女性、若者の視点に立った対応策を説明していただきたいと考えます。また、障害者雇用の更なる改善に向けての政策についてもお伺いいたします。
 今回の総理の所信表明演説には、雇用という言葉は僅か一か所しかありません。しかも、規制緩和の対象となる岩盤規制の一つとして取り上げられているのです。まさに今の政府の姿勢が正直に表れています。
 先ほど紹介いたしました三つの国際機関の提言とは大きなギャップがあります。アベノミクスの第三の矢、すなわち、成長戦略の要は雇用者所得の改善、実質賃金の上昇にあると私は確信いたします。この点は、労働市場の規制緩和と併せ、今後大いに議論を展開すべきだと考えます。
 次に、格差の問題に関し、質問します。
 格差問題は、フランスの経済学者のトマ・ピケティーの著書「二十一世紀の資本論」が欧米で一大センセーションを巻き起こしていることもあり、国際的にも大きな政策テーマとなっています。ピケティーは、過去三百年にわたる租税データを基に格差の分析を行ったわけですが、資産の世襲化を伴って今世紀末まで資産格差は拡大し続けると予測し、社会の安定と均衡ある成長のために、今こそ累進課税と資産課税を強化して格差拡大を食い止めるべきだと主張しています。
 今日、我が国においてもあらゆる場面で格差拡大の弊害が出ており、ピケティー教授の言う資産格差もじわじわと拡大しつつあります。また、労働の場においては、正規と非正規、男性と女性、都市と地方との間に顕著な所得格差が存在しています。これまでは比較的平等な賃金体系や、税制、社会保障による所得再配分機能によって格差は一定程度抑えられていましたが、今や労働市場の変化や金融市場の変化により格差が拡大し、その結果、相対的貧困層も増大しています。
 二〇一三年、国税庁の民間給与実態調査によれば、非正規雇用者の賃金は対前年比で〇・一%減少し、正規雇用者との年収格差は五万円増えて三百五万円となりました。
 所信表明では、多くの企業で賃金がアップしたと御自身の成果のごとく喜んでおられましたが、実質賃金が向上したかどうか、あるいは賃金の格差が縮小しているかどうか、これが重要なのであります。
 安倍総理は、格差是正策を含めた政策的対応についてどのように考えられておられるのか、お伺いしたいと思います。
 これに関連し、首都圏を始めとする大都市と地方との間の格差拡大ということにも触れたいと思います。
 今回、内閣改造で地方創生担当大臣というポストを設けられ、石破大臣が就任されました。今日、地方の人口減少を食い止め、地域経済、地域産業を活性化させ、地域を我が国全体としての成長の原動力にするということは重大な施策であります。
 石破担当大臣は、今の日本国の姿は、敗戦後長い時間を掛けて形作られたものであり、地方と第一次産業の潜在力を生かせないまま今日を迎えたとブログに書かれていますが、やはり地域、地方の潜在力を生かすには、ひとえに人の力に掛かっていると考えます。
   〔副議長退席、議長着席〕
 特にこれからは、地域の女性、高齢者、障害者の活動の場をいかにつくるか、そこに質の高い雇用、労働の場をいかに準備するかが重要だと考えます。さらには、治療を続けておられるがん患者の方々にも雇用の場を含む社会参加を支援していく施策が必要ではないでしょうか。
 問題は地方、地域で起こっているわけです。地域の活性化に関し、雇用の確保と格差是正との関連について石破担当大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
 また、格差問題、貧困問題に関連し、文部科学大臣にお伺いします。
 最近、三食を満足に食べられない、あるいは必要とされる栄養を十分に摂取できていない子供たちが増えているとの調査結果が出ています。大臣はこの実態をどのように認識され、また教育行政としてどのような対応策を考えておられるのでしょうか、お伺いします。
 次に、雇用問題に関連し、労働法制の改正について質問いたします。
 政府・与党は、この臨時国会と来年以降の国会において、労働法制の三つの改正を目指していると聞いております。第一は、現在、職種や派遣期間が限定されている労働者派遣について、その制限を取り払い、あらゆる職種で永続的に労働者を派遣することができるという改正。第二は、特定の職務で一定の所得があれば残業代を支払わなくともよいとするホワイトカラーエグゼンプションの導入。そして第三は、不当労働行為による解雇であっても金銭でこれを解決することができるとするものです。
 これらの労働法制の改悪とも言える動きは、小泉政権以来続いてきた新自由主義的な政策の延長線上にあるものです。我が国の労働法は、労働市場を硬直化させ、労働移動を阻害し、企業の自由な活動を制約し、利益を低下させるものだという考え方です。もちろん、このような考え方は断じて認めるわけにはいきません。
 今回の三つの労働法制の改悪は、国際競争が厳しくなる中で、少しでも賃金コストを下げ、長時間の勤務ができることを可能にし、容易に人員整理ができる環境をつくりたいとする経営者側の要求を満たすものであります。このような新自由主義政策の行き着くところは、格差の拡大であり、雇用の質の劣化であり、中間所得層の縮小であり、国民生活の窮乏化であります。個別企業の利益追求としては合理的であっても、国全体としては個人消費という根太が抜け落ち、成長どころか景気失速になりかねません。
 これは、いわゆる合成の誤謬であります。政府の役割は、マクロ経済の健全な発展のために、公正公平な競争条件の整備に心掛け、各種の社会保障制度や雇用労働政策の充実によって国民生活の底上げを図り、もって全体として経済の上昇を実現することにあります。安定、安心を脇に置き、労働者をフライパンで煎り上げるがごとき施策は、我が国が長年築き上げてきた物づくり日本の基盤を侵すものであり、自民党の皆さんの伝統的保守政治の目指すものではありません。
 昨今、飲食業においてひどい労働基準法違反が常態化していることが明らかになり、従業員の反発によって店舗が休業に追い込まれたという事件が世間の耳目を集めました。一部の企業で労働基準法があってなきがごとき無法状態にある中で、労働者保護ルールの規制緩和は法違反を一層助長することになります。ルールを無視する経営者が若い従業員を使い潰すようなことは決して許されません。
 そこで、厚労大臣にお伺いしますが、厚生労働省は労働者保護を優先されるのか、それとも使用側の利益追求を優先されるのか、その基本姿勢をお答えください。また、労働基準法を踏みにじる悪質な経営者に対して、今後どのような監督行政を展開されるのか、お伺いします。厚生労働大臣の任務は、液状化に近い状況に陥った労働現場の見直しにあると考えます。
 また、建設現場等での人手不足の影響もあって、建設業の労働災害は三年連続で増えていることが報告されています。厚労大臣には、労働災害の現状と、これを防止するための決意をお伺いしたいと思います。
 関連して、安倍総理大臣にお伺いします。
 総理は、一方で経済成長のために労使に賃上げを要請しておきながら、他方で正規雇用を派遣に切り替えてコストダウンする、あるいはホワイトカラーエグゼンプションという残業代を浮かせてコストダウンを促す政策を推進されようとしています。このことは、まさに矛盾した政策ではありませんか、御説明ください。
 そして、労働の質を低下させ、過重な労働を課し、働きがいのある人間らしい労働、いわゆるディーセントワークとは逆の方向を目指す法改正を本気でやろうとされておられるのか、改めてその真意をお伺いしたいと思います。
 安倍内閣は、女性の活躍を成長戦略の中核と位置付け、育児休業三年、待機児童を五年でゼロ、まずは上場企業に女性役員を一人などの目標を掲げられています。女性の社会進出を促し、女性が活躍できる環境づくりをするという政策は評価したいと思います。しかし、現在、働いている多くの女性がどのような状況に置かれ、どのような問題点や苦しみを抱えているのかを把握し、その解決策を実行することの方が重要ではないでしょうか。
 現在、雇用されている女性労働者は二千四百六万人ですが、そのうち五三・九%の一千二百九十六万人がパート、派遣、契約社員、役所の臨時職員などの非正規雇用労働者です。当然、賃金を始めとする処遇は正社員、正職員に比べてかなり低く、多くの方が職場では差別的な扱いを受けたり、パワハラを始め様々な嫌がらせを受け、それらに耐えながら、紛争処理機関に訴えることもなく、生活のために一生懸命働いておられます。
 もちろん、正社員、正職員の女性も同じような問題を抱えておられると思いますが、特に非正規のシングルマザーの多くは、職業能力を高めるチャンスもなく、貧困層に陥っている状況にあります。所信表明演説では触れられていない、女性の労働現場における不都合な真実が多くあるのです。
 確かに、キャリアを積んだ女性社員を役員に登用したり、職業能力を持った主婦を再就職させることも重要ですが、現在働いている女性労働者の生活と労働環境、労働条件を改善する政策も優先的に対応されるべきだと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 繰り返しになりますが、経済の好循環を生み出す最も重要な要素は雇用者所得の改善であります。すなわち、五千二百二十六万人の雇用労働者の実質賃金の改善こそが重要であり、個人消費を支える原動力であります。
 そこで、厚生労働大臣に伺います。
 ここ十年間の雇用労働者の実質賃金の動向について簡潔にお答えください。また、春の労使交渉が賃金上昇として成果につながる雇用労働者の範囲、すなわち波及効果についてお答えください。また、自主自律であるべき労使交渉に厚生労働大臣としてどのような考え方で臨まれるのか、踏み込んだ対応をされるのか、あるいは旗振り役に徹するのか、今後の労働行政への影響を踏まえ、お答えください。
 結論を言えば、好循環を生み出すだけの雇用者所得の改善向上、あるいは実質賃金の確保は簡単ではありません。労使の賃金決定メカニズムにおいて、近年、波及力の低下が指摘されています。ずばり、来年の賃上げは今年以上に厳しく難しいと言えます。特に非正規雇用労働者、あるいは中小企業、零細企業、地方の企業では一層厳しいものとなることでしょう。
 このことを踏まえ、好循環を支える雇用者所得の改善に向けての総理の方策と決意をお伺いします。
 最後に、一言申し上げます。
 経済とは経世済民あるいは経国済民の略だと教えられましたが、大切なことは、済民の民とは誰なのかということです。二十九日の所信表明演説では、バラ色に満ちた甘い香りのする情緒たっぷりの安倍カラーそのものでした。
 問題は、総理の視野にある民の姿であります。自民の民と民主の民は同じものではない、そして、この違いを今後とも真剣にしつこく明らかにしていくこと、すなわち、民主党は、生活者、納税者、消費者、働く者の立場、民の立場に立ち、共に支え合う共生社会を目指し、全力を挙げて現政権と対峙していくことを申し上げ、質問を終えます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#28
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 加藤敏幸議員にお答えをいたします。
 雇用に関する国際機関の提言等についてお尋ねがありました。
 御指摘の国際機関によるレポート及び首脳宣言は、生産的でより質の高い雇用の創出の重要性を訴えており、これは、女性や若者を含め、頑張る人たちの雇用の拡大を目指す安倍内閣の方針と合致するものと考えます。政府としては、働く方の希望に応じた柔軟で多様な働き方を可能としつつ、労働環境や処遇の改善等を図ることによって質の高い雇用を確保してまいります。
 非正規雇用の質の改善についてお尋ねがありました。
 安倍内閣としては、景気の好循環が生まれ始めている中、これを雇用の拡大や処遇の改善につなげていくことが重要と考えています。その上で、非正規雇用については、賃金が低い、能力開発機会が乏しいなどの課題があるため、キャリアアップ助成金などの支援により処遇改善を進めるとともに、正社員を希望する方々に対して正社員への転換を推進します。こうした取組により、非正規雇用の方々の雇用の質の改善に取り組んでまいります。
 賃金格差是正のための政策対応についてお尋ねがありました。
 三本の矢の取組により、今年の春闘での賃上げ率が過去十五年間で最高となるなど、経済の好循環が生まれ始めています。一人当たり名目賃金に雇用者数を乗じた国民全体の所得、賃金である雇用者所得は、昨年四月以降、上昇基調にあります。一方、今般の物価上昇により、まだ賃金の上昇を実感しづらい状況であることも事実であります。
 御指摘の正規、非正規の年収の差が拡大したとの点は、その大宗が正規雇用者の給与上昇に起因するものでありますが、非正規雇用者と正規雇用者との処遇の差の改善も重要な課題と考えております。このため、キャリアアップ助成金などにより、非正規雇用者に対し処遇改善や正社員への転換の支援を進めているところであります。
 こうした取組を更に進めながら、政労使会議において、賃金上昇に向けた取組や、非正規労働の正規化、処遇改善などを議論するとともに、成長戦略を確実に実行し、景気回復の実感を全国津々浦々に届けてまいります。
 労働者派遣や労働時間に関する制度改正についてお尋ねがありました。
 労働者派遣法の改正については、派遣労働者のキャリアアップを促進することなどを目指すものであり、正規雇用を派遣に切り替えるとの御指摘は当たりません。
 また、新たな労働時間制度については、希望しない人には適用しない、職務が明確で高い職業能力を持つ人材に絞る、さらには、賃金が下がることのないようにするという三原則の下、検討を進めています。ホワイトカラーの方々を広く対象とする、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションとは異なるものであり、その導入は考えていません。
 このように、安倍内閣としては、全ての人々が生きがいを持って働くことができる環境をつくっていくという一貫した方針の下、これらの取組を進めているところであり、労働の質を低下させ、過重な労働を課すとの御指摘は全く当たりません。
 女性の労働環境等についてお尋ねがありました。
 安倍内閣が推進している女性の活躍推進に当たっては、全ての人々が生きがいを持って働くことができる社会の実現が必要と考えています。このため、男女を通じた長時間労働の是正を進めるとともに、子育て環境の整備や、非正規雇用で働く方の処遇改善等を着実に進めることにより、働くことを希望する全ての女性が安心して働くことができるよう取り組んでまいります。
 雇用者所得についてお尋ねがありました。
 先ほどお話をさせていただきましたように、三本の矢の取組により、経済の好循環が生まれ始めています。有効求人倍率も二十二年ぶりの高水準となっております。今年の春闘で賃上げ率は過去十五年で最高となっております。また、一人当たりの名目賃金に雇用者数を乗じた国民全体の所得、賃金である雇用者所得は、昨年四月以降、上昇基調にあります。一方、今般の物価上昇により、まだ賃金の上昇を実感しづらい状況にあることも事実であります。
 このため、設備や研究開発、そして人材への投資促進や規制改革などによって労働生産性を向上させるとともに、政労使会議での議論を通じ、経済の好循環実現に向けた環境整備を図り、賃金が毎年しっかり増えていく状況を実現してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(塩崎恭久君) 愛媛県の先輩でもあります加藤敏幸議員から、五問頂戴をいたしました。
 まず、非正規雇用対策や障害者の雇用促進についてお尋ねがございました。
 若者や女性を含む非正規雇用労働者の雇用対策については、これまでも、わかものハローワーク等を通じたフリーターの就職支援、パートタイム労働法に基づく均等・均衡待遇の確保等の推進、キャリアアップ助成金による正社員転換や処遇改善を行う企業の支援などの取組を行ってきたところでございます。
 また、今後は、労働力人口の減少が進む中で、若者や女性、障害者を含む全ての方々が生きがいを持って働くことができる環境をつくっていくことが一層重要になっていると認識しております。
 このため、若者については、次期通常国会への法案提出を目指し検討に取り組むほか、正社員を希望する非正規雇用の方に対して正社員実現加速プロジェクトによる正社員転換を強力に推進するとともに、女性については、女性の活躍推進のための新法において、各企業が行動計画策定の際に参照する指針において、非正規雇用から正規雇用への転換等に関する効果的取組等を盛り込む方向で検討しております。
 また、障害者については、平成二十五年に改正いたしました障害者雇用促進法の施行に向け、雇用労働分野における障害のある方への合理的な配慮を定めた指針の策定などに取り組んでまいります。
 労働法制の見直しについてお尋ねがございました。
 労働法制の見直しに当たっての政府の基本姿勢は、働く人たちの立場に立った上で、一人一人の意欲や能力が一層発揮されるようにして、生産性の向上を図っていこうというものでございます。
 日本再興戦略改訂二〇一四においても、働き方改革の進め方として、まず働き過ぎ防止のための取組強化が大前提であるとされており、これまでも、労働基準法などの違反が疑われる事業場には監督指導を積極的に行い、重大な法令違反については厳正に対処しているところでございます。
 さらに、喫緊の課題となっております長時間労働対策を一層強力に展開するために、厚生労働省に私自身を本部長とする長時間労働削減推進本部を設置をいたしまして、昨日その第一回会合を開催をいたしました。その中で、著しい過重労働や悪質な賃金不払残業等の撲滅に向けた監督指導の強化、休暇の取得促進を始めとした働き方の見直しに向けた企業への働きかけの強化に省を挙げて取り組んでまいります。
 建設業における労働災害についてお尋ねがございました。
 建設業における休業四日以上の労働災害は、新設住宅着工戸数の増加等を背景として三年連続で増加し、本年も八月までの速報値で昨年同期比で一・七%増加をしております。
 こうした状況を踏まえ、厚生労働省では、本年八月、産業界全体に対して労働災害防止に向けた緊急要請を行っており、建設業においては、国土交通省、業界団体と連携をし、安全パトロール等を行うことにより労働災害防止措置の徹底を図っております。
 今後とも、建設業の労働災害防止対策をしっかりと進めてまいります。
 実質賃金の動向と春の労使交渉の波及効果についてのお尋ねがございました。
 過去十年間の実質賃金の動きを見ますと、平成十七年、十八年、二十二年、二十三年はプラスないしは横ばいですが、それ以外はマイナスとなっております。
 一方で、三本の矢の取組により、経済の好循環が生まれ始めております。今年の春闘では、連合の調査によれば、賃上げ率が過去十五年で最高となり、経済産業省の調査によれば、中小企業・小規模事業者でも六五%で賃上げが実施されるなど、大企業のみならず、中小企業・小規模事業所で働く方々にも賃金上昇の動きが広がっていると認識をしております。
 こうした春闘の結果等を反映をし、名目賃金について、昨年後半から所定外給与や賞与が堅調に推移する中で、ここのところ所定内給与の回復が統計上も表れてきており、春闘の結果は確実に波及しているものと認識をしております。
 労使交渉への対応についてのお尋ねがございました。
 具体的な賃金の水準は個別企業における労使間の交渉を通じて決定されるものでございますけれども、経済の好循環を確固たるものとするために、労使を取り巻く課題について政労使が大所高所から議論を行う政労使会議が再開をされております。政労使会議での議論を通じ、経済の好循環の実現に向けた環境整備が図られることを期待をしております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣石破茂君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(石破茂君) 加藤議員より、地方における雇用と大都市と地方の人口格差についてのお尋ねをいただきました。
 地方創生に取り組むに当たりましては、国民が安心して働き、希望どおり結婚し子育てができ、将来に夢や希望を持つことができるような魅力あふれる地方を創生するとともに、地方への人の流れをつくることを基本目標としております。
 問題は地方、地域に起こっているとの議員の御指摘はまさしくそのとおりでございまして、このことを踏まえまして、地域の活性化を図りますためには、各地域の創意工夫を生かした良質な雇用機会の創出や、地域経済を支える人材を育成する取組、東京一極集中を是正し、地域経済を支える人材を地域に積極的に呼び戻す取組が重要であると考えております。これらの実現に向け、大胆な施策を強力に実行してまいります。その際、女性、高齢者、障害をお持ちの方々、疾病をお持ちの方々、加えて若い方々、そういう方々に対するきめ細かい配慮をしてまいりたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣下村博文君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(下村博文君) 加藤議員から、必要とされる栄養を十分に摂取できていない子供たちへの対応についてのお尋ねがありました。
 最近、特にそのような調査結果が出ていることを承知をしております。家庭環境や経済状況にかかわらず、子供の食事、栄養状態を確保すること、重要な課題であります。
 このため、学校給食費につきましては、就学援助制度等による補助を行い、低所得世帯への支援を実施しているところであります。
 また、文部科学省といたしまして、学校給食の普及充実及び学校教育や家庭教育の中で適切な栄養摂取による健康の保持増進に努めております。
 今後とも、これらの取組を通じて、子供の食事、栄養状態の確保に更に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#32
○議長(山崎正昭君) 野村哲郎君。
   〔野村哲郎君登壇、拍手〕
#33
○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎です。
 参議院自由民主党を代表して、安倍総理の所信表明演説に対し、質問をいたします。
 九月二十七日、長野県と岐阜県の県境にある御嶽山の噴火により、戦後最悪の数に上る尊い人命が失われました。また、この夏の豪雨では、広島の大規模な土砂災害を始め、全国各地で甚大な被害が発生しました。
 まず冒頭、改めて、亡くなられた方々の御冥福を謹んでお祈りし、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 初めに、災害対策についてお伺いいたします。
 私の郷里鹿児島には十一の火山があります。中でも、桜島は毎日噴煙を上げ、昨年は千九十七回にも及ぶ噴火が観測されており、いつ大爆発を起こしてもおかしくない状況であります。また、八月三日には、屋久島の近くにあります口永良部島の新岳が突然噴火し、島民百六名のうち六十四名が島を離れ、避難いたしました。
 全国には百十の活火山がありますが、そのうち、常時観測対象になっておるのは四十七の火山しかありません。今回の御嶽山の爆発を教訓に、監視体制を強化するとともに、農作物の被害対策についても万全を期していただきますようお願いをいたします。
 さて、平成二十六年八月豪雨では、八月二十日未明に広島県で局地的に猛烈な雨が降り、広島市北部において多数の土砂災害が発生し、死者七十四名に及ぶ甚大な被害が発生しました。
 また、これ以前でも、高知県で総雨量が二千ミリを超えるなど、西日本から北日本の広い範囲で豪雨となり、栃木県等では竜巻などの激しい突風が吹き荒れ、これらの自然災害により、多くの人的、財産的被害や公共インフラにも被害が生じました。豪雨は九月も続き、北海道では数十年に一度の災害に警戒を呼びかける特別警報が出されました。また、西日本の太平洋側は、降水量が平年比の三〇一%となり、一方、日照時間は平年比の五四%となるなど、一九四六年の統計開始以来、八月としては最悪を記録いたしたところであります。
 昨年十二月に成立した国土強靱化基本法の前文では、東日本大震災の教訓及び南海トラフ地震、首都直下地震、火山噴火など、大規模自然災害等の発生のおそれを指摘した上で、「今すぐにでも発生し得る大規模自然災害等に備えて早急に事前防災及び減災に係る施策を進めるためには、大規模自然災害等に対する脆弱性を評価し、優先順位を定め、事前に的確な施策を実施して大規模自然災害等に強い国土及び地域を作るとともに、自らの生命及び生活を守ることができるよう地域住民の力を向上させることが必要である。」としています。
 これらを踏まえて質問をさせていただきます。
 平成十一年の広島市での土砂災害を教訓に、平成十二年に土砂災害防止法が制定されたにもかかわらず、再びその近隣地域において前回を大きく上回る甚大な被害が発生してしまいました。今回の災害を教訓に、更なる防災対策の強化についての総理の決意をお願いいたします。
 次に、震災復興についてお伺いします。
 第二次安倍内閣は、閣僚全員が復興相との意識を共有し、被災者の心に寄り添いながら、東日本大震災からの復興、福島再生を加速することを基本方針としています。東日本大震災の被災地では、まだ二十五万人の方が避難生活という厳しい生活環境の中で暮らしておられます。そのことを肝に銘じ、しっかりとした対応をしていかなければならないと思います。
 このような中で、自由民主党、公明党は、先般、東日本大震災復興加速化のための第四次提言を取りまとめました。
 その内容は、岩手、宮城両県を始めとする地域は明らかに復興途上にある、しかし福島県はいまだ復旧の段階である、福島県の復興は原子力事故災害の克服であり、それは日本の再生への唯一の道であるという強い思いを込めた三つの決断であります。
 すなわち、一つは、福島にあっては、国、県、市町村及び住民が協働作業で復興計画を作り、実現に向けて国が牽引していくことが重要であること。二つは、帰還困難区域にある町にあっても、復興計画を策定し、計画を踏まえた集中的な除染と町づくりなど復興の取組を進め、家族そろって東京オリンピック・パラリンピックを応援できる、五年後には住める町づくりを目指すこと。最後に、同時複合災害に対する備えとして、国、地方、さらには民間を含め、現場の救助・復旧面や行政面での人員を機動的に動員し、指揮命令できる権限を持ち、平時にあっても救助・復旧に関する研究、機材の開発、訓練等、総合的に対応できる緊急事態管理庁等の設置を至急検討すること。この三つを取りまとめました。
 震災からの復興、これは日本経済再生、国の危機管理と併せて安倍内閣の最重要課題だと思います。東日本大震災の集中復興期間が来年度で終了しますが、この与党の三つの提言に対する総理のお考えをお聞かせください。
 次に、感染症対策についてお伺いします。
 人や物が国境を越えて動くグローバル化の影響もあると思われますが、様々な感染症が海外から持ち込まれる危険性が増えています。今年八月にはデング熱の国内感染が約七十年ぶりに確認され、大きな騒ぎとなっております。
 デング熱は、ウイルスを保有した蚊に刺されてかかる感染症で、元々は熱帯地方の病気ですが、現在では世界的に感染が拡大しつつあります。今年、デング熱に国内感染したと見られるのは百人を超えましたが、幸いにも重症者はいないということです。デング熱を媒介する蚊は冬を越せないため、流行は一旦終息に向かうと考えられております。しかし、海外で感染した人は引き続き国内に流入するため、来年も同じような事態が起こることは十分に考えられます。
 デング熱など感染症の病原体の検査体制を強化するため、感染症法の改正等を検討すべきと考えますが、厚生労働大臣の見解をお伺いいたします。
 海外に目を転じますと、西アフリカでエボラ出血熱が猛威を振るっており、死者が三千人を超える事態となっています。この病気は、患者の体液などへの接触やウイルスに感染した動物への接触で感染し、致死率は最大で九〇%に及ぶとされる恐ろしい感染症です。こうした感染症は、備えの薄い途上国で猛威を振るい、隙あらば国境を越えて世界に広がろうとしています。これはグローバルな脅威であり、国際社会が専門家や資金、技術を結集して世界規模で対応する必要があります。
 国連の安全保障理事会は、加盟国に医療支援と専門知識を持つ要員の提供を要請しました。我が国も人や技術の面で積極的に協力すべきであり、特に医療施設の整備や医療従事者の育成などの支援が必要であると考えます。エボラ出血熱を始めとする途上国の感染症に対する我が国の貢献について総理のお考えを伺います。
 次に、農政、特に農林水産業・地域の活力創造プランについてお伺いをいたします。
 我が郷里の誇りであります西郷隆盛公がいろいろな機会に語られたことが記録され、西郷隆盛の死後に書物として世に出された、西郷南洲翁遺訓として今日に伝えられております。
 その一節に、政の大体は、文を興し、武を振るい、農を励ますの三つにあり、この三つのものを後にして他を先にすることは更になしという教えであります。政において基本的な骨格は、文すなわち教育、武すなわち外交防衛、農すなわち食料、農業の三つを挙げております。
 安倍内閣においては、今年六月に、農家の所得向上を実現するため、農業構造の改革や農林水産物の輸出拡大等を柱に据えた農林水産業・地域の活力創造プランの改訂案が閣議決定されました。安倍内閣がまさに農を政の基本骨格に据えて取り組まれる姿勢を高く評価したいと存じます。
 そこで、農林水産業・地域の活力創造プランの実現に向けた取組について、改めて総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、農林水産業・地域の活力創造プランを実践するための、農業の成長産業化に向けた農協等に関する改革の推進についてお伺いをいたします。
 私事で大変恐縮ですが、私はJA中央会に三十五年間勤務し、十年前に参議院議員となりました。そのJA中央会に対し、規制改革会議のワーキングチームは、中央会廃止、全農の株式会社化の意見書を出しました。この意見書は余りに唐突で衝撃的なものであり、現場の実態から懸け離れた意見だと断ぜざるを得ません。
 確かに、JA中央会は昭和二十九年に制定された法律に基づく制度で、その当時の時代背景と今日の置かれている状況は隔世の感があります。だからといって、中央会は廃止というのは余りに乱暴で無責任であります。
 しかしながら、閣議決定した農林水産業・地域の活力創造プランでは、農協法上の中央会制度は、制度発足時との状況変化を踏まえて、適切な移行期間を設けた上で現行の制度から自律的な新たな制度へ移行するとなっております。さらに、与党でまとめました農協・農業委員会に関する改革の推進についてでは、新たな制度は、新農政の実現に向け、単位農協の自立を前提としたものとし、具体的な事業や組織のあり方については、農協系統組織内での検討も踏まえて、関連法案の提出に間に合うよう早期に結論を得るとなっております。
 総理がいつもおっしゃる美しい日本、その原点には日本の和の文化があると私は思います。
 聖徳太子は、和をもって貴しとなすと十七条憲法で定めています。農協組織はまさに人の和をもってなす協同による自主組織です。農協、そして中央会、各連合会はそれぞれの役割を持ち、有機的に結び付いた協同組織なのであります。
 つまり、農業の成長産業化に向けた農協等に関する改革は、協同組合として、中央会を始め各連合会の今日的役割を認識し、農協組織内の検討を踏まえ、自己改革を促しているのであって、政府が押し付ける改革でないと認識しておりますが、総理並びに農林水産大臣の御所見を求めます。
 次に、日本の食文化についてお伺いします。
 昨年十二月、和食についてユネスコ無形文化遺産の登録が決定されました。和食は、私たち日本人の自然を尊重する心が育んできた大切な食文化でございます。大切な食文化でありますが、ユネスコの登録が、郷土の食文化を大切に思う全ての人々に食文化を守るに当たっての勇気と誇りをもたらすことを願っています。
 このような中で、二つ気になることが起こっております。
 一つは、捕鯨問題です。我々自民党は、鯨を我が国の大切な食文化として守り続けるべきだと考えております。自民党本部の食堂では、イワシクジラを使ったカレーを常時提供するほか、鯨の一品料理も用意することとしています。先日は、党の捕鯨議員連盟のメンバーが中心となって試食会も開きました。
 しかし、先月十八日、国際捕鯨委員会総会は、日本が計画している南極海での調査捕鯨を事実上先延ばしすることを求めたニュージーランドの決議案を反捕鯨国による賛成多数で可決いたしました。また、今年の三月三十一日には、国際司法裁判所が現行の南極海調査捕鯨の中止を求める判決を出したのは記憶に新しいところであります。
 日本政府の代表は、科学的なデータの収集は鯨の資源管理を行っていく上で必要だと強調していますが、このような主張が国際的に伝わる努力が必要なのではないでしょうか。
 国は将来的に商業捕鯨の再開を目指していますが、調査捕鯨について我が国に不利な判決や決議が続いております。今後の捕鯨政策の展開方向について総理の御見解を伺います。
 もう一つ心配なのが、やはり日本の食文化でありますウナギであります。
 先月十七日、絶滅が危惧されているニホンウナギについて、養殖池に入れるウナギの稚魚の量を二割削減することに日本、中国、韓国、台湾が合意いたしました。資源の枯渇を防ぐため、最大の消費国である日本国政府が中心となって協議を重ね、今般、ウナギの稚魚の量を規制することになったということであります。私は、法的拘束力のない紳士協定とはいえ、四か国・地域が危機感を共有し、資源保護で足並みをそろえたことは十分評価できると思います。
 天然資源の保護、回復に向けた取組とともに、将来的には完全養殖を実用化し、天然資源に頼らず安定供給を可能にしていくことが不可欠だと考えます。ウナギの資源減少に対する政府の取組について農林水産大臣にお伺いいたします。
 次に、TPPについてお伺いします。
 TPPは、日本が参加し、交渉が始まってから一年七か月が過ぎました。この間、甘利担当大臣を始め政府の交渉団は、衆参の国会決議に基づいて、粘り強くかつ毅然とした姿勢で交渉を進めていることについて、まずもって敬意を表します。
 しかしながら、TPP交渉は、保秘義務が課せられ、いまだに具体的な状況が伝わってきません。それゆえに、全国の農業者は、交渉の進展が見えない中で、自らの将来がどうなるのか、そして日本農業の将来がどうなるのかと不安な日々を過ごしております。
 先日、地元の養豚農家の皆さんと意見交換会を開きました。六十名余りの若い農家です。皆さん担い手なんです。中には若い女性も数名おられました。よく農家の高齢化が言われておりますが、養豚農家の平均年齢は五十七・三歳です。若い担い手が養豚業を営み、そして、中には生産から加工、流通までの六次産業化にも取り組んでいる養豚農家もあります。この人たちが地域の農業を担い、地域を守り、過疎化の進行を抑えようとしているのです。この人たちが今最も心配しているのがTPPの行方です。特に、マスコミが伝えている日米協議の焦点になっている牛肉、豚肉の報道に一喜一憂しております。
 そこで、質問させていただきますが、甘利担当大臣は、先週、日米協議のため急遽訪米され、フローマン代表との協議が行われたと伺っておりますが、この交渉状況と今後の見通しについて御見解をいただきたいと存じます。
 以上で、私の代表質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#34
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 野村哲郎議員にお答えをいたします。
 防災対策の強化についてお尋ねがありました。
 今回の御嶽山の噴火を教訓に、火山活動の監視体制の強化、情報提供の改善など、防災対策にスピード感を持って取り組んでまいります。農作物被害に対する対策など、国民生活への影響にも万全の対策を講じてまいります。
 広島の土砂災害の教訓を踏まえ、国民の生命と財産を守るため、今国会に土砂災害警戒区域の指定を行いやすくするための土砂災害防止法の改正案を提出するほか、ハードとソフトの対策を適切に組み合わせた総合的な防災対策に政府一丸となって取り組んでまいります。
 福島の復興についてお尋ねがありました。
 先般、与党からいただいた提言については、我々の復興への取組を後押しするものであり、政府としてしっかり受け止めてまいります。中間貯蔵施設の建設も、福島の皆さんの御理解を得て大きな一歩を踏み出すことができました。今回の提言を受け、今後、避難指示等の出た十二市町村の地域の将来像を地元の皆様とともに検討してまいります。
 政府の危機管理組織体制の在り方については、現行の政府体制の検証を行った上で、今年度中を目途に結論を得るべく検討を行っているところであります。政府・与党一体となり、また、国が前面に立って福島の一日も早い再生に全力を挙げてまいります。
 途上国の感染症対策への我が国の貢献についてお尋ねがありました。
 感染症は、国境を越えて影響を与えることから、我が国を含む国際社会が一丸となって対応する必要があり、我が国は人材や技術などの面で大きな貢献をなし得る立場にあります。我が国は、先般、新たなエボラ出血熱に関する支援策を発表したところですが、今後とも、関係国や国際機関等と密接に連携し、医療施設の整備や医療従事者の育成等、途上国の感染症対策に積極的に取り組んでいく考えです。
 農林水産業・地域の活力創造プランについてお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村を実現する決意で、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、農政改革を進めております。農業を競争力のある産業につくり変え、地域経済を牽引する新たな成長産業にしていかなければなりません。このため、付加価値を高め、市場を国内外に広げるとともに、意欲ある農業の担い手が活躍しやすい環境を整備していくことが重要です。今後も、農政改革がスピード感を持って実行されるよう、引き続き内閣を挙げて取り組んでまいります。
 農協改革についてお尋ねがありました。
 農業を成長産業にしていくためには、経営マインドを持つ意欲ある農業の担い手が活躍しやすい環境を整備することが重要であり、六十年ぶりとなる農協の抜本改革に取り組んでまいります。地域の農協が主役となり、創意工夫を発揮して農業の成長産業化に全力投入できるようにする観点から、政府が中心となって検討を行い、農協の自己改革に向けた検討状況も聞いた上で、次期通常国会に関連法案を提出すべく検討を進めてまいります。
 捕鯨問題についてお尋ねがありました。
 我が国としては、引き続き、三月の国際司法裁判所の判決の指摘を踏まえた上で、国際法及び科学的根拠に基づき、鯨類資源管理に不可欠な科学的情報を収集するための鯨類捕獲調査を実施し、商業捕鯨の再開を目指してまいります。また、そのため、国際社会の理解を深めるための努力を一層強めてまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(塩崎恭久君) 野村哲郎議員から、感染症対策の強化についてのお尋ねがございました。
 今般の国内におけるデング熱の発生などを踏まえ、感染症に関して効果的な対策を行う上で正確な情報を迅速に収集することは非常に重要であると考えております。
 そのため、検体の入手、検査の質の向上に関する規定の整備、重要な感染症の患者から検体を採取する制度の創設などを内容とする感染症法の改正案を今国会に提出したいと考えております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣西川公也君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(西川公也君) 野村哲郎議員の御質問にお答えいたします。
 農協改革についてのお尋ねがありました。
 農協改革は、改革ありきではなく、あくまでも農家の所得を増やし、農村のにぎわいを取り戻していくために行うものと考えております。このためには、地域の農協が主役となって農業の成長産業化に全力投球できるようにし、農業の将来に希望や安心感を持てるようにしていくことが重要であります。
 こうした観点から、本年六月には与党の取りまとめが行われ、これに基づき、政府においても、農林水産業・地域の活力創造プランの改訂、規制改革実施計画の閣議決定が行われたところであります。
 農協系統においては、政府・与党の改革の方向性を真摯に受け止めていただき、農業者、特に担い手農業者から評価される組織となるために具体的にどうしていくのか、検討していただきたいと考えております。
 農林水産省としては、六月に決定した枠組みを前提に、農協系統の自己改革に向けた検討状況も伺いながら、次期通常国会における関連法案の提出に向けて検討を進めてまいります。
 次に、ウナギの資源減少に対する取組についてのお尋ねがありました。
 ニホンウナギについては、国際自然保護連合、IUCNが六月に絶滅危惧種に指定するなど資源の減少が懸念されており、資源管理体制の確立が急務であります。そのための国際的な取組の第一歩として、この度、中国、韓国、台湾とともに養殖生産量の制限に取り組むこととしたところであります。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(甘利明君) TPP交渉における日米協議についてのお尋ねがありました。
 TPP交渉では、守るべきは守り、攻めるべきは攻め、国益にかなう最善の結果を追求するという政府の方針に何ら変更はありません。また、御指摘のありました衆参両院の農林水産委員会における決議も厳しく受け止めて交渉をしているところであります。
 日米協議につきましては、先般、私が訪米をいたし、九月の二十三日及び二十四日と、フローマン米国通商代表との間で、双方のセンシティビティーたる農産物と自動車について率直に意見交換を行いました。我が国は日米間をまとめるべく責任を持って交渉に臨みましたが、米側の準備が十分でなかったために議論がかみ合わず、今回の協議では進展を得ることができませんでした。
 その後、日米閣僚級協議の結果も踏まえて、安倍総理とバイデン副大統領との間で、両国のトップリーダーが指導力を発揮をし、交渉担当者に対し、双方が柔軟性を持ってTPPの早期妥結に向けて努力するよう指示をすることが確認をされました。
 TPP交渉は最終局面にあります。我が国としては、早期妥結に向け、引き続き関係国とともに最大限努力をしてまいる所存であります。
 以上です。(拍手)
    ─────────────
#38
○議長(山崎正昭君) 田城郁君。
   〔田城郁君登壇、拍手〕
#39
○田城郁君 民主党・新緑風会の田城郁です。
 まずは、質問に先立ち、八月の広島市北部の土砂災害でお亡くなりになられました方々並びに御嶽山の噴火でお亡くなりになられた方々に心より御冥福をお祈り申し上げます。そして、御遺族と被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 私は、会派を代表して、安倍晋三内閣総理大臣の所信表明演説に対しまして質問をいたします。
 集団的自衛権行使容認の問題についてお伺いをいたします。
 去る七月一日、政府は集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をいたしました。集団的自衛権の行使は、我が国への攻撃がないにもかかわらず、我が国と密接な関係がある国が攻撃を受けたときに、他国に対して戦争を仕掛けることが容認されるということになります。
 集団的自衛権の行使は認められないというのが政府の従来からの一貫した基本的な考え方でした。歴代の内閣法制局長官も、集団的自衛権の行使を容認するためには正式の手続に基づいた上での憲法改正が必要であり、内閣による解釈変更では認められないとの考えを明らかにしております。私たちも国会において、再三再四、集団的自衛権に対する政府の考えをただしてまいりました。
 しかし、安倍総理は、そうした国民の声には一切耳を傾けることなく、安保法制懇を隠れみのに国会での追及を逃れてきました。公の場での議論を素通りし、不透明なままに決めた閣議決定の撤回を強く求めるものであります。
 総理、説明を求める国民、国会の声を振り切って、国民の生命、安全に関わる極めて重要なことを閣議決定してしまってよいのですか。安倍総理は、閣議決定までの一連の過程についてどのようにお考えなのか、総理の認識をお伺いをいたします。
 当初、集団的自衛権に関わる法案はこの臨時国会で議論をすると言われておりました。しかし、法案は来年の通常国会に提出するスケジュールで動いているようです。なぜ法案の提出が先送りされたのですか。十一月の沖縄県知事選や来年四月の統一地方選をにらんだ政治的思惑があるからではありませんか。
 集団的自衛権の行使容認のためには、自衛隊法や武力攻撃事態対処法など十本以上の法改正が必要と言われております。これらを、来年度予算が成立した後の残り僅かな会期で、議論も不十分なままに一気に強引に成立させてしまおうというお気持ちではないのですか。
 安倍総理は、昨年一月二十八日の参議院本会議の所信表明において、御自分が病のために職を辞し、政治的挫折を経験したと述べられました。その上で、それを教訓として心に刻み、丁寧な対話を心掛けて、真摯に国政に当たっていくと誓っておられました。その言葉が真実であれば、集団的自衛権に係る拙速な閣議決定は撤回すべきであり、また、来年の常会において関係法案を強引に成立させることがあってはならないと考えます。総理の御所見をお伺いいたします。
 安倍内閣が推し進める川内原発の再稼働問題について質問をいたします。
 私には、原子力規制委員会の審査書の決定も、原子力防災会議の住民避難計画の了承も、余りにも拙速の感が拭えません。福島第一原発の事故による東日本壊滅を覚悟した状況は、僅か三年半前のことでした。今でも福島県及び周辺県の方々は放射能被害で苦しんでいるんです。
 この度の御嶽山の噴火は、日本列島が世界有数の火山地帯の上に立地し、火山噴火や巨大地震発生の巣窟であることを改めて認識させられました。予知不能であったこの噴火は、自然からの警鐘として受け止めるべきです。そして、川内原発から僅か五十キロメートルの距離に桜島という活発な火山があります。太平洋プレートの活動が活発化しているこの時期に、地震や火山噴火による原発への影響を考慮することは当然であると考えます。
 福島第一原発の重大事故の収束も実現しないまま、川内原発の再稼働を強引に推し進める安倍政権の姿勢を認めるわけにはいきません。安全が担保されない拙速な再稼働を国民は望んでいません。想定外は許されないのです。総理の御答弁を求めます。
 安倍内閣の外交方針についてお伺いいたします。
 総理は、地球儀を俯瞰する外交を掲げて、世界各国へ頻繁に出かけられております。しかし、隣国である中国や韓国との外交は全くと言っていいほど進展を見せておりません。総理就任後の靖国参拝断行など、私には総理の対中外交は中国包囲網をつくっても構わないと基本的に考えているように思われてなりません。それではむしろ日本の孤立化を招くことになりませんか。
 この度の所信表明演説で日中、日韓両国の友好関係の重要性に言及されましたが、いささかの唐突感を禁じ得ません。中国、韓国との外交に対する安倍総理の基本的なお考えをお伺いいたします。
 ここで、河野談話の継承についてお伺いいたします。
 九月二十五日、ニューヨークの国連本部において、岸田外相と韓国の尹炳世外交部長官との間で日韓外相会談が開催され、岸田外相から、河野談話は継承し、見直さないとの立場を改めて伝達したことが発表されております。河野談話の継承は安倍内閣の基本方針と考えますが、改めて安倍総理の御見解を明らかにしていただきたい。
 二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、政府はその時期に向けて外国人観光旅行者数二千万人を目指しております。ここで私の懸念は、差別の扇動であるヘイトスピーチの問題です。そして、ヘイトスピーチを野放しにする政府の姿勢への疑問です。
 安倍総理は、昨年五月七日の参議院予算委員会で、ヘイトスピーチについて、一部の国、民族を排除する言動があるのは極めて残念なことだと答弁されております。当時の谷垣法務大臣も、参議院法務委員会で、憂慮に堪えない、品格ある国家という方向に真っ向から反すると答弁されております。また、菅官房長官は、昨年十月七日の記者会見で、差別犯罪であるヘイトスピーチあるいはヘイトクライムに関する京都地裁の京都朝鮮学校襲撃事件についての判決を受け、最近、ヘイトスピーチによって商店の営業や学校の授業などが妨害されていることは極めて憂慮すべきだ、こうしたことがないよう、法令に基づいて関係機関で適切に対応していくことが大事だと発言をされています。
 さらに、今年八月二十九日、国連人種差別撤廃委員会から日本政府に対して、ヘイトスピーチ問題に毅然と対処し、法律で規制するよう勧告する最終見解が公表をされております。安倍内閣の対応が、日本国内からだけではなく、国際社会からも注視をされております。
 オリンピック憲章では、人間の尊厳を保つことに重きを置く平和社会の確立を奨励すること、あるいは、いかなる差別をも伴うことなくなどなどと高らかに宣言をされております。
 オリンピック開催国として、ヘイトスピーチを行っている在特会などへの具体的な対応を明確にお答えください。
 特に、今回の内閣改造の目玉と言われている女性閣僚の中で、ヘイトスピーチや河野談話に関して、改造前の安倍内閣時の主要閣僚の公式見解とは異なるお考えの方が任命をされております。
 二〇〇九年に、山谷えり子国家公安委員長は、在特会の当時の幹部男性と一緒に写真に収まっていたことが問題視をされております。国家公安委員長就任後に招かれた外国特派員協会における記者会見でも、この問題について国内外のメディアから厳しい質問が集中しておりました。憎悪スピーチで差別を扇動することで問題視されている団体との不明瞭な関係に厳しい目が注がれております。このことは山谷えり子国家公安委員長お一人にとどまらず、同様の疑惑が向けられているその他の閣僚の言動も明らかになっています。
 安倍総理、改めて総理御自身のヘイトスピーチに対するお考えをお伺いするとともに、閣僚の言動についての御所感をお伺いをいたします。
 政府は、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合を三〇%程度とする目標を立てております。女性の力を生かすというのであれば、大切なことは、指導的地位の女性も含め、女性が置かれた現場の実態を見ながら、その活躍を促す施策であると考えます。所信で言及された、女性が輝く社会に向けた国際シンポジウムでは、国際通貨基金専務理事クリスティーヌ・ラガルド氏が基調講演で、男女の賃金格差、非正規雇用や低賃金の職場に女性が多いこと、妊娠、出産による離職の多さなど日本の問題点を指摘されていました。例えば、非正規雇用者千九百万人のうち約七割が女性です。女性の非正規雇用者の約半分が年収百万円未満というのが実態です。非正規でなければ就ける職がない。総理は、女性のこのような現状について考えたことがおありですか。
 大多数の女性の活躍を促す施策が不十分ではありませんか。総理の認識と政府の取組をお伺いをいたします。
 次に、女性の復職支援についてお伺いをいたします。
 女性の二十代後半から三十代は結婚、出産、育児の時期に当たることが多く、この方々は一旦仕事を辞めて育児が落ち着いた時期に再び働き始めることが多く、いわゆるM字型カーブの問題があります。政府は、平成二十二年六月に閣議決定された新成長戦略において、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率を二〇二〇年までに七三%とする目標を掲げました。改善しているものの、まだ七〇%には達しておりません。
 現行制度では育児休業が一年と定められている中で、子供が小さく、預ける保育所もなく、復職できず退職を余儀なくされている女性が多く見受けられます。育児休業の延長を図るなど、法改正が是非とも必要です。女性の復職支援についての具体的な取組をお伺いいたします。
 今年五月、民間の日本創成会議が、若年女性の都市部への流出が少子化、人口減少を生み、二〇四〇年に八百九十六の自治体が消滅の危機に直面するとのレポートを公表いたしました。
 地方の少子化、人口減少を改善するには、若年女性の働く場を創出することが急務です。所信では、あらゆる女性に活躍の舞台を用意すると表明されておりますが、どのような施策をもって具体的にどのように取り組むのか、総理にお伺いをいたします。
 沖縄の米軍基地再編についてお伺いいたします。
 世界一危険な基地と呼ばれている米軍普天間基地の危険除去、負担軽減のための移設であると所信で発言されておりましたが、現在の沖縄の実態は米軍の高機能な新基地の建設であり、新たなる強大な基地の押し付けと固定化です。
 一月、名護市長選での反対派市長当選に続き、九月に実施された名護市議選でも辺野古への移設反対派が過半数を獲得しました。直近の選挙で辺野古移設反対の明確な民意が示されたことに対して、菅官房長官は、移設は淡々と進めていきたいと、民意を無視した工事を予定どおりに進めようとしております。
 十一月には沖縄県知事選が行われ、普天間基地の辺野古移設が争点となると考えられます。選挙で示された沖縄県民の民意には十分に耳を傾ける必要があると考えます。
 総理は所信で、沖縄の方々の気持ちに寄り添いと発言をされました。くれぐれも沖縄県民の民意に寄り添って最大限尊重すると確約をしてください。所信表明で述べられていた、裏付けのない言葉だけの政治という言葉が安倍総理自身に向かうことがないように願います。
 最後に総理に御所見をお伺いし、私の代表質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#40
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 田城郁議員にお答えをいたします。
 集団的自衛権に関する閣議決定等についてお尋ねがありました。
 これまでの自衛権をめぐる解釈は、閣議決定を経ずに、多くは国会答弁によって形成されてきました。今回、あらゆる事態に対して切れ目のない対応を可能とする法整備を行うに当たって、これまでの憲法解釈のままでは国民の命と平和な暮らしを守り抜く上で必ずしも十分な対応ができないおそれがあったことから、政府が意思決定する方法の中でも最も重い決め方である閣議決定を行い、法整備の作業に入っていくこととしたものであります。
 この閣議決定については、衆参両院の予算委員会における閉会中の集中審議を始め、国会審議や記者会見など、累次にわたって丁寧に説明し、国民の皆様の御理解を得るよう努めてまいりました。
 政府としては、閣議決定で示された基本方針の下、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、切れ目のない安全保障法制の整備に向けた準備を精力的に進めています。内容が非常に多岐にわたるため、少し時間が掛かると考えていますが、与党とも相談の上、法案提出時期を決めていきたいと考えます。
 法整備を進める過程で、これまでも国民の皆様の御理解を得るよう努めてまいりましたが、引き続き、一層の御理解を得られるよう努めてまいります。
 川内原発の再稼働についてのお尋ねがありました。
 原発については、いかなる事情よりも安全性を最優先させる前提の下、原子力規制委員会により、世界で最も厳しいレベルの規制基準に適合すると認められた原発については、その科学的、技術的な判断を尊重し、再稼働を進めていく方針です。
 川内原発の審査に当たっては、桜島を含む周辺の火山で、今般御嶽山で発生したよりもはるかに大きい規模の噴火が起こることを前提に、原子炉の安全性が損なわれないことを確認するなど、原子力規制委員会が地震や火山による影響についても厳格な審査を行っており、再稼働に求められる安全性は確保されていると考えております。
 中国、韓国との外交関係についてお尋ねがありました。
 中国とは、十一月の北京APECの際に首脳会談ができればよいと考えています。そのためには、ニューヨークでの外相同士の協議のように、両国が互いに静かな努力を重ねていくことが必要です。韓国ともニューヨークで外相会談を行いました。今後も、お互いに努力を重ね、国際会議の機会に首脳会談ができればよいと考えています。
 河野談話についてお尋ねがありました。
 河野官房長官談話については、既に官房長官も述べているとおり、これを見直す考えはありません。
 ヘイトスピーチに対する所感及び対応についてお尋ねがありました。
 個別の団体に関する御質問についてはお答えは差し控えますが、一部の国、民族を排除しようという言動があることは極めて残念であり、あってはならないと考えています。
 いわゆるヘイトスピーチと言われる言動の規制については、個々の事案の具体的状況を検討する必要があり、一概に申し上げることは困難でありますが、自民党における検討や国民的な議論の深まりを踏まえ、考えてまいります。
 安倍内閣は、今後とも、一人一人の人権が尊重される豊かで安心できる成熟した社会を実現するため、教育や啓発の充実に努めてまいる所存であり、それは全閣僚の総意であります。
 非正規で働く女性への支援や復職への支援についてお尋ねがありました。
 我が国では、出産などを機会に仕事を離れる女性が多く、また、男性と比較して非正規での就業が多い状況にあります。このため、安心して子育てと仕事を両立し、復職できるよう、待機児童解消加速化プランによる待機児童の解消等に取り組んでまいります。また、非正規雇用の方々について、キャリアアップ助成金などの支援により処遇改善を進めるとともに、希望に応じて正社員への転換を推進します。
 こうした施策を始め、様々な状況にある女性を応援する政策を推進してまいります。
 沖縄の米軍基地再編についてお尋ねがありました。
 最も大切なことは、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないということです。これが大前提であり、かつ、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。
 普天間飛行場の移設に必要な辺野古の埋立申請は昨年末に承認されました。法治国家として、関係法令にのっとり、既に判断が示されたものと考えています。
 先ほどの田城議員の御質問は辺野古移設反対とも思われたわけでございますが、民主党は、一昨年の衆議院選挙のマニフェスト二〇一二にも、そして昨年の参議院選挙のマニフェスト二〇一三にも、在日米軍再編に関する日米合意を着実に実施すると明記しています。辺野古への移設を着実に進めることをはっきりと約束をしているわけであります。さらには、負担軽減に全力を挙げますとも明記しています。
 言葉だけの政治、無責任な政治を二度と繰り返してはなりません。言葉ではなく、実際の行動で負担軽減に取り組むことが政治に携わる者の責任では、皆さん、ないでしょうか。
 普天間飛行場の一日も早い返還こそが、地元の皆様の願いだと思います。沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、目に見える形で沖縄の負担軽減を図る、政府を挙げて、そのために全力で取り組んでまいります。
 以上であります。(拍手)
#41
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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