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2014/11/05 第187回国会 参議院 参議院会議録情報 第187回国会 本会議 第5号
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2014/11/05 第187回国会 参議院

参議院会議録情報 第187回国会 本会議 第5号

#1
第187回国会 本会議 第5号
平成二十六年十一月五日(水曜日)
   午前十時六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
  平成二十六年十一月五日
   午前十時開議
 第一 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止
  対策の推進に関する法律の一部を改正する法
  律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。国土交通大臣太田昭宏君。
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(太田昭宏君) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 平成二十六年八月豪雨により広島市北部で発生した土砂災害においては、住民の避難が迅速かつ的確に行われることが重要であり、そのためには、円滑に避難勧告等を発令し、土砂災害に対する警戒避難体制を強化する必要があることが明らかになったところです。今後もいつ発生するか分からない土砂災害に備え、国民の命を守るためには、このような課題に適切に対処し、防災・減災対策を強化していくことが必要であります。
 このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第です。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、都道府県に対し、基礎調査の結果を公表することを義務付けるとともに、国土交通大臣は、当該基礎調査が法令の規定に違反し、又は科学的知見に基づかない場合には、講ずべき措置の内容を示して是正の要求を行うこととしております。
 第二に、都道府県知事は、土砂災害の急迫した危険が予想されるときは、避難勧告等の判断に資するため、土砂災害警戒情報を関係市町村長に通知するとともに、一般に周知させるために必要な措置を講じなければならないこととしております。
 第三に、土砂災害警戒区域の指定があったときは、当該区域ごとに、市町村地域防災計画において、避難場所及び避難経路に関する事項等を定めることとしております。
 第四に、国土交通大臣は、この法律に基づく事務が適正かつ円滑に行われるよう、都道府県及び市町村に対し、必要な助言、情報の提供その他の援助を行うよう努めなければならないこととしております。
 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。古賀友一郎君。
   〔古賀友一郎君登壇、拍手〕
#7
○古賀友一郎君 自由民主党の古賀友一郎でございます。
 今回、こうして本会議で質問の機会をいただき、先輩、同僚議員各位に心から感謝を申し上げます。
 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、自由民主党を代表して質問いたします。
 平成二十六年八月豪雨に伴う広島市の土砂災害では、七十四名もの尊い命が失われました。亡くなられた方々と御遺族に対し、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
 今回の土砂災害で最大の被害が発生した八木地区は、土砂災害危険箇所であり、県の基礎調査が終了していたものの、土砂災害警戒区域等には指定されておらず、住民の方々が危険性を余り認識していなかったと指摘されています。
 しかし、こうしたことは広島に限ったことではありません。全国の土砂災害危険箇所では、土砂災害警戒区域等の指定はおろか、法施行後十三年以上もたつのに基礎調査すら行われていない箇所が十四万か所以上も残されています。この背景には、予算の制約や住民説明の問題といった事情があるようですが、他方できちんと完了している県もあることを考えれば、もはや言い訳を言っている場合ではなく、まずは速やかに基礎調査を実施することが必要です。
 この点、今回の法案では、基礎調査を怠っている都道府県に対し、国土交通大臣が措置内容を示した是正要求できるようにもなっていますが、今後どのようにこれを促進していくのか、国土交通大臣に伺います。
 また、基礎調査を終了しても、広島市のように土砂災害警戒区域等の指定が行われないケースも多く、全国で、土砂災害警戒区域で約三万三千か所、土砂災害特別警戒区域で約四万五千か所にも上っています。この背景には、指定によって不動産価値が下落することを危惧する住民の反対などがあるようですが、基礎調査によって危険性を認識しておきながら指定をしないのは大いに問題です。
 そこで、土砂災害警戒区域等の指定を促進する方策について国土交通大臣に伺います。
 次に、実際に土砂災害の危険が迫っている場合の対応について伺います。
 土砂災害は昼夜を問わず発生します。今回の広島市の災害でも、土砂災害警戒情報の発表が午前一時十五分、避難勧告の発令は午前四時台でした。実際に土砂災害の危険が迫っているとしても、特に深夜、未明に住民に周知するのは困難であり、大雨の中、深夜に避難させるのはかえって危険でもあります。
 したがって、住民を安全に避難させるには、早期に危険を予測して土砂災害警戒情報を発表し、可能な限り深夜、未明の時間帯を避けて避難勧告等を発令する必要があります。また、以前から、大雨の際には防災行政無線の声が雨の音で聞こえないといった問題も指摘されている中、住民への周知の方法についても改善を図っていく必要があると考えます。
 そこで、土砂災害の危険の早期予測の取組について国土交通大臣にお伺いをするとともに、土砂災害警戒情報や避難勧告等の住民への周知方法の改善について国土交通大臣及び山谷防災担当大臣に伺います。
 土砂災害防止法は、平成十一年六月、広島県で三十二名の犠牲者を記録した土砂災害を契機として制定され、新たな土砂災害が起こるたびに改正されてまいりました。この法律の歴史は、我が国の土砂災害の歴史そのものであると同時に、後手後手に回ってきた対策の歴史でもあります。
 私たちは、今回の法改正が最後の改正となるよう全力で取り組んでいかねばなりません。それがこれまでの犠牲者の方々に報いる道でもあると信じます。もうこれ以上こうしたことを繰り返さないよう万全の対策の必要性を訴えまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(太田昭宏君) 古賀友一郎議員の質問にお答えいたします。
 まず、都道府県に対する基礎調査の促進方策についてお尋ねがございました。
 国では、これまで都道府県ごとの基礎調査の実施数を把握していましたが、今後は更に実施目標や進捗状況を把握、公表し、これによって基礎調査を促進してまいります。基礎調査の進捗が遅れている都道府県に対しては基礎調査を進めるよう要請し、それでも進捗が遅れるような場合には国が是正の要求を行うこととしています。これらの的確な運用により、基礎調査の早期完了を図ってまいります。
 次に、土砂災害警戒区域等の指定の促進方策についてお尋ねがございました。
 住民に土砂災害の危険性を理解していただくことが警戒区域等の早期の指定につながると考えており、そのための説明を丁寧に行っていくことが重要であると考えています。また、本法案により、基礎調査の結果の公表を義務付けることで、住民に地域の土砂災害の危険性を理解していただくことにつながると考えています。このような考え方については都道府県にも周知し、指定の促進を図ってまいります。
 次に、土砂災害の危険の早期予測についてお尋ねがございました。
 避難勧告等の発令の判断に資するよう、市町村に対し、できるだけ早期に正確で分かりやすい情報を提供することが重要であります。このため、より早い段階から、地盤の水の含み方や雨量の予測についての時系列の情報、土砂災害警戒情報が発令される見込みなど、きめ細かな情報の提供を促進してまいります。
 次に、土砂災害警戒情報等の周知方法の改善についてお尋ねがございました。
 住民の的確な避難を確保するためには、土砂災害警戒情報や避難勧告等を住民に確実に伝達することが重要であります。しかしながら、御指摘のとおり、防災行政無線で周知するのみでは、雨の音で聞こえないという事態も想定されます。このため、緊急速報メール等も含め、多重的な情報伝達手段を確保することが重要であると考えております。
 さらに、どのような事態が生ずれば避難勧告等が発令されるか、また、どのような方法で伝えられるかということをあらかじめ日頃から住民に周知しておくことも有効だと考えており、そのための具体的方策について検討してまいります。(拍手)
   〔国務大臣山谷えり子君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(山谷えり子君) 大雨の際の土砂災害に関する情報の住民への周知方法についてお尋ねがありました。
 市町村による避難勧告等の伝達については、防災行政無線、緊急速報メール、広報車による呼びかけ、自治会等への電話、ファクス、ホームページでの掲載等の様々な手法を駆使して、繰り返し確実に住民に伝わるようにすることが必要であり、これらについて消防庁等の関係省庁と連携して推進してまいります。また、報道関係者と連携してテレビやラジオにおいて繰り返し放送してもらうことも重要です。さらに、確実な避難行動のためには、自主防災組織や近隣住民等による直接的な声掛けが極めて有効です。
 これらの伝達手段について、訓練等でその手順を確認しておくことにより、いざというときに確実に伝わるようにすることが重要であり、周知徹底を図ってまいります。
 また、本法案によって都道府県から住民に周知することとされている土砂災害警戒情報についても、これらの伝達手段を参考にして確実に住民に伝わるようにすることが必要だと考えており、国土交通省等の関係省庁や地方公共団体と連携して適切な伝達に努めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(山崎正昭君) 森本真治君。
   〔森本真治君登壇、拍手〕
#11
○森本真治君 民主党・新緑風会の森本真治です。
 ただいま議題となりました土砂災害防止法改正案につきまして、会派を代表して質問いたします。
 まずもって、本年八月二十日、私の住む広島市安佐北区、そして安佐南区において発生した土砂災害においてお亡くなりになられた方々、また、その後も続く台風被害や御嶽山の噴火によりお亡くなりになられた方々に対し、哀悼の誠をささげるとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 あれから二か月余りがたち、広島市においては一歩ずつ復旧、そして復興の歩みが進んでいます。被災された方々の生活再建を進めるとともに、これからも住み続けたいと思える安心、安全な町づくりに向け、国としても最大限の支援をお願いするものであります。
 そこで、今後の復旧・復興に向けた決意と、特にインフラ施設の早期復旧のため、関係予算の拡充や柔軟な制度運用を求めますが、防災担当大臣、国交大臣にまずはお伺いします。
 次に、広島災害でも課題として明らかになった問題について、二点厚労大臣にお伺いします。
 まずは、被災者の健康、雇用対策についてお伺いします。
 特に今回、学校等での避難暮らしが長期にわたった方が大勢いらっしゃいました。避難所での生活については、衛生面、健康面において十分なフォローが必要です。また、仮設住宅が確保された場合も、環境の変化に対する健康不調に対してきめ細やかなフォローが求められます。さらに、移住をされる方が新たな場所において仕事を探していかれる場合もあります。これらの問題については、東日本大震災においても課題として上がり、対策を取られていると思います。
 そこで、東日本大震災での経験や教訓がその後の被災者支援の中でどのように生かされているのか、厚労大臣にお伺いをいたします。
 もう一点、災害ボランティアの体制整備の中で、特に社会福祉協議会の在り方についてお伺いします。
 広島災害においても多くのボランティアの方に被災地に入っていただきましたが、その取りまとめをするボランティアセンターの体制には多くの課題が残りました。受入れ側が十分に対応することができず、県外からのボランティアについては受け入れなかったり、わざわざセンターに来ていただいた方に対応できずに帰っていただくということが頻発しました。センターの運営を行ったのは社会福祉協議会でしたが、これも各地からの応援に頼らざるを得ず、日替わりで責任者が替わるという状況でした。
 そこで、今後、共助の重要性が一層高まる中で、災害対策における社会福祉協議会の体制強化は喫緊の課題です。どのように対策を取っていくのか、厚労大臣にお伺いします。
 次に、これまでの土砂災害防止における国の取組姿勢についてお伺いします。
 本法は、今から十五年前、同じ広島で死者・行方不明者三十二名という被害をもたらした土砂災害を教訓に制定されました。法が施行され十三年がたちますが、制定当初に考えていたほど基礎調査も土砂災害警戒区域等の指定も進んでいないという現状があります。法制度としては地方公共団体の裁量に任せてきたところがありますが、国としてもっとリーダーシップを発揮し基礎調査を推進し、土砂災害警戒区域等の指定が行われるようにすべきだったのではないでしょうか。
 これまでの国の土砂災害防止対策の推進に対しては反省点も多々あるのではないかと思いますが、国交大臣の認識をお伺いします。また、今後は、国としてより主導的に土砂災害防止対策を推進していくべきであると考えますが、併せて国交大臣の御所見をお伺いします。
 次に、基礎調査の結果公表の義務化についてお伺いします。
 本法に基づく基礎調査については、都道府県が法律で五年ごとに行うこととなっています。しかし、いまだに一回目の基礎調査が終了したのは十三県にすぎず、県によっては完了見通しの立たないところもあります。改正案では基礎調査の結果公表を義務化することになりますが、義務付けする以上は、今後五年以内で基礎調査が終了するように国として積極的な促進策を打ち出す必要があります。具体的にどのような対策を進めていこうとしているのか、国交大臣にお伺いします。
 その策の一つとして、国交大臣は、衆議院の本会議において、我が党の泉健太議員の質問に対する答弁で、基礎調査を推進する都道府県に対して、交付金による積極的な支援を行っていくと答弁されています。しかしながら、本来は基礎調査の遅れている自治体にこそ支援を重点化していかないと、今以上に地域差が拡大することになるのではないかと危惧しますが、国交大臣の真意をお伺いします。
 次に、本改正案では基礎調査の完了を促進することに主眼が置かれていますが、区域の指定がなされないと、自治体に情報伝達、警戒避難体制等の整備が課せられることはありません。区域指定の促進を目指すのではなく、基礎調査の完了にとどめたのはなぜか、国交大臣にお伺いします。
 さらに、本法第七条、同第九条において、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域について定められておりますが、いずれも、自治体は区域を指定することができるとなっており、義務とはなっておりません。基礎調査で判明した指定すべき箇所について必要な対策を取るためには、区域を指定しなければならないのが本来ではないかと思います。人命に関わることであり、即刻指定の義務化をすべきと考えますが、国交大臣の御認識をお伺いします。
 次に、特別警戒区域の指定基準の妥当性についてお伺いします。
 特別警戒区域の指定については、国が示した計算式に基づき、斜面の勾配や地質条件などを基に土石流の規模や速度を求め、建物が壊れる範囲を指定することになっています。しかしながら、今回の被災地では、土石流が特別警戒区域の想定範囲を大きく超えて、区域の範囲外で多くの犠牲者が出てしまいました。土石流の推定の仕方などを再検討すべきとの有識者の意見もありますが、指定基準は妥当であるとお考えか、見直しは行わないのか、国交大臣にお伺いします。
 次に、移転の勧告についてお伺いします。
 本法第二十五条では、特別警戒区域内に存する居室を有する建築物について、都道府県知事は、移転の勧告、又は土砂災害の防止、軽減するために必要な措置をとるように勧告することができると定められています。これまでこの勧告が行われた件数はどれくらいあるのか、国交大臣にお伺いします。
 さらに、移転を支援する制度もありますが、実績はほとんどないと伺っています。私は、危険なところには住まない、近づかないというのが最大の防災だと思います。この移転制度について積極的に周知し、更なる制度の充実を進め、移転を促していくことも重要だと考えますが、国交大臣のお考えをお伺いします。
 次に、土砂災害警戒情報の市町村への通知、住民等への周知の義務化と円滑な避難勧告等の発令についてお伺いします。
 広島の土砂災害では、避難勧告等の発令が土砂災害の発生後となるなど、避難勧告発令の判断の遅れが課題として指摘されました。今回の改正案では、都道府県から市町村に土砂災害警戒情報の通知と一般への周知を義務化しようとするものです。
 内閣府の策定した避難勧告等の判断・伝達マニュアルガイドラインでは、避難勧告の発令は土砂災害警戒情報の発表を基本とするとされています。円滑な避難勧告等の発令のためには、土砂災害警戒情報の通知や周知の義務化はもとより、自治体や住民が行動を起こしやすくする内容でなければなりません。より具体的、さらには危機を実感してもらえる情報発信が求められますが、国交大臣のお考えをお伺いいたします。
 次に、真夜中の警戒避難体制の在り方についてお伺いします。
 広島の土砂災害は、僅か二、三時間という短時間の集中豪雨により発生しました。土砂災害警戒情報の発表は、土砂災害の危険性が増大する雨量に達する二、三時間前に発表されることになっていますが、広島の土砂災害では、警戒情報は午前一時に発表され、午前三時半頃に土砂災害が発生しており、真夜中にそうした情報が伝達されても、避難につなげることは相当困難であると思います。
 タイムラインの作成などとともに、避難準備情報の活用も含めて、真夜中の警戒避難体制は別途定めていく必要があるのではないかと考えますが、防災担当大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、局地的豪雨の観測・予測体制の整備についてお伺いします。
 広島県の土砂災害では、積乱雲が同じ場所に次から次へと発生して大雨を降らせる、いわゆるバックビルディング現象が発生しました。この現象の予測は難しいとされていますが、全国的にもこの現象が発生するおそれがあると言われています。昨今の気候変動の影響で、こうした特殊な気象現象も素早く予測して警戒避難をしやすくする必要があると考えますが、観測・予測体制の強化、整備についての国交大臣のお考えをお伺いいたします。
 次に、避難体制の充実強化について、避難場所、避難経路の在り方についてお伺いします。
 広島の土砂災害では、安佐北区において、洪水用とされていた避難場所に逃げて、避難場所の集会所ごと土石流に流されて犠牲となられた方がいらっしゃいました。改正案では、市町村地域防災計画において、土砂災害警戒区域について、避難場所及び避難経路に関する事項が新たに定められることになりますが、災害の種類ごとに様々なハザードマップが存在しても住民は混乱するおそれがあります。国としても、住民が避難を間違うことのないように、避難方法の在り方について市町村に助言していく必要があると思いますが、今後の取組方針を防災担当大臣にお伺いいたします。
 最後に、災害時要援護者施設への対応についてお伺いします。
 今回の改正案においては、市町村地域防災計画に記載される防災上の配慮を要する者が利用する施設、いわゆる災害時要援護者関連施設として学校を新たに加えることとなりました。広島災害においては、安佐南区において障害者施設が土砂災害に巻き込まれました。施設の対策は早急に進める必要があります。
 しかしながら、特に福祉施設については財政的にも運営の厳しい事業者が多く、整備の遅れが懸念されます。福祉施設の土砂災害対策実施率はどのようになっているのか、あわせて防災対策の推進を今後どのように図っていくのか、厚労大臣にお伺いいたします。
 以上、多岐にわたり質問させていただきました。今回の広島の災害においては、私の近しい方にも犠牲になられた方、また自宅が被害に遭われた方がいらっしゃいました。このような悪夢を二度と繰り返さぬよう、政治に課せられた責任は極めて重たいと痛感いたしました。
 我々民主党は、これからも国民の命と暮らしを守るための政治を最優先で進めていく、このことを改めてお誓いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(太田昭宏君) 森本真治議員の質問にお答えいたします。
 まず、広島市の今後の復旧・復興に向けた決意と柔軟な制度運用等についてお尋ねがございました。
 インフラ施設の早期復旧については、事業採択前の災害復旧事業の着工など、柔軟な運用に努めているところであります。また、緑井・八木地区を中心に、特に被害の著しかった二十四渓流で国による砂防堰堤の緊急事業に着手したところであります。年内には工事用道路に着手し、できるだけ早期の完成を目指します。
 今後とも、地元自治体の御要望をお聞きしながら、必要な予算の確保に努め、被災地の一日も早い復旧・復興に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、土砂災害防止対策に関する反省点と、それを踏まえた対策についてお尋ねがございました。
 広島市の土砂災害において明らかとなった課題としては、基礎調査や警戒区域等の指定が進んでおらず、その結果、住民に土砂災害の危険性が十分伝わっていなかったことや、土砂災害からの避難体制が不十分な点があったことが挙げられます。
 これらの諸課題を踏まえ、この法案におきましては、基礎調査結果の公表の義務付けや避難体制の充実強化など、自治体、住民が的確な避難を判断できる仕組みについて措置を講じております。また、基礎調査や警戒区域等の指定を促進するため、各都道府県における実施目標や進捗状況を国が把握、公表し、必要な場合は是正の要求を行うことや、財政的、技術的支援を行うこととしております。これにより、国として土砂災害防止対策を一層推進してまいります。
 次に、基礎調査の促進のための具体的な対策についてお尋ねがございました。
 基礎調査は、基本的にはおおむね五年程度で完了させることを目標にしたいと考えており、各都道府県に要請してまいります。また、国では、これまで都道府県ごとの基礎調査の実施数を把握していましたが、今後は更に実施目標や進捗状況を把握、公表し、これによって基礎調査の促進を図ってまいります。
 さらに、基礎調査の促進のためには、財政面、技術面の支援が必要であります。まず、財政面におきましては、基礎調査を行う都道府県に対して防災・安全交付金による積極的な支援を行ってまいります。技術面では、国が都道府県に対し助言や情報提供を行うよう努めることを本法案で位置付けるとともに、国が所有する地形データの提供などの支援を行ってまいります。
 次に、基礎調査の遅れている自治体に対して交付金による支援を重点化すべきとのお尋ねがございました。
 基礎調査については、今後、国において都道府県ごとの実施目標やその進捗状況を把握し、遅れている都道府県に対しては基礎調査の早期実施を促していきたいと考えています。その上で、社会資本総合整備計画において、基礎調査の推進に必要な予算の要望を提出した都道府県に対しては防災・安全交付金による積極的な支援を行ってまいります。
 次に、警戒区域等の指定の義務化についてお尋ねがございました。
 まず、警戒区域等の指定の遅れは主に基礎調査の遅れに起因していることから、本法案においては基礎調査の促進に係る施策を講じているものです。また、個別具体の警戒区域等の指定については、都道府県が市町村の意見を聞いて主体的に判断するべきものであるため、一律に区域指定を義務付けてはおりません。一律に義務付けるよりも、実際にその業務を担う都道府県の実情も踏まえつつ区域指定を促す環境整備を行っていくことが重要と考えます。
 次に、特別警戒区域の指定基準についてお尋ねがございました。
 特別警戒区域の範囲の算出に当たって用いる計算式は、これまでに得られた過去の多くの災害実績の分析などに基づいて作成されたもので、学術的にも認められたものです。広島県からは計算式の見直しについての御要望もありましたが、計算の際に用いる土砂量などの設定条件が重要であり、これらをより的確に設定できるよう助言するなど、区域指定が適切に行われるよう支援してまいります。
 次に、移転勧告及び移転制度についてお尋ねがございました。
 都道府県による移転勧告については実績がありませんが、制度の的確な運用のため、移転勧告を判断する際の基本的な考え方を国が取りまとめ、都道府県に提供したいと考えております。
 また、特別警戒区域からの移転を支援する制度としては、がけ地近接等危険住宅移転事業があります。件数は多くありませんが、真に危険な場所からの移転対策として活用されており、十分な周知を図ってまいります。国土交通省としましては、事業主体となる地方公共団体の要望等を踏まえ、適切に対応してまいります。
 次に、土砂災害警戒情報の内容についてお尋ねがございました。
 土砂災害警戒情報については、土砂災害から住民がより的確に避難できるよう、より分かりやすい情報を提供することが重要であると考えます。このため、雨量の予測について時系列の情報を伝えるとともに、数日前からの地盤の水の含み具合を始めとするきめ細かな情報提供等に努めてまいります。さらに、的確な避難のため、現在、市町村単位を基本として発表している土砂災害警戒情報の発表単位について、その細分化を検討してまいります。
 次に、局地的豪雨の観測・予測体制の整備についてお尋ねがございました。
 現在の技術では、バックビルディング現象のような局地的な現象の精度の高い予測は困難であります。したがって、このような現象の発生状況を的確に把握し、きめ細かく情報提供することが重要となります。このため、気象庁では、このような局地的な現象の観測体制を強化しているところであります。例えば、スーパーコンピューター等を活用した観測データの処理の高度化、世界最先端の気象観測機能を有するひまわり八号の打ち上げ等を実施しております。
 今後とも、最先端の科学技術を活用し、観測・予測体制の整備を進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣山谷えり子君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(山谷えり子君) 今回の広島市の土砂災害について、今後の復旧・復興に向けた決意や関係予算の拡充、柔軟な制度の運用についてお尋ねがありました。
 広島市の土砂災害の復旧・復興に向けて、住宅の確保等を始めとする被災者への生活再建支援、被害を受けたインフラ施設の早期復旧に努めるとともに、二次災害防止のための措置として砂防堰堤等の緊急事業を実施していくことが重要であると認識しております。
 このため、被災者への支援については、災害救助法による仮設住宅の供与、被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給を行うなど、被災者の生活再建支援に努めるとともに、公共土木施設や農地等の災害復旧事業については既に激甚災害に指定したところであり、復旧・復興に向けた支援をしてまいります。
 なお、広島市においては、十月七日に市長を本部長とする復興まちづくり本部を立ち上げ、年内には復興ビジョン案を策定する予定と聞いております。広島市の復旧・復興に向けた考え方を十分に聞きながら、一日も早い復旧・復興に向け、関係省庁とともにしっかりと対応してまいります。
 次に、土砂災害に対する真夜中の警戒避難体制の在り方についてお尋ねがありました。
 本年四月に改定した避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインでは、土砂災害に対する避難勧告、避難指示は夜間であってもちゅうちょせずに発令することとしています。これは、既に大雨となっていて屋外へ避難が困難な場合においても、例えば二階以上で山に面していない部屋への垂直避難が有効な場合など、的確な避難行動を促すことを期待しているものです。ただし、明るいうちの早めの避難がより望ましいことは議員御指摘のとおりであり、夜間から早朝に大雨が想定されている場合等には、避難場所を開設した上で、避難準備情報を発令し、早めに避難を促すことが重要です。
 このような、土砂災害に対する夜間での警戒避難体制の在り方について、避難準備情報の活用を含め、十月二十日の防災対策実行会議で設置することとした総合的な土砂災害対策検討ワーキンググループにおいて議論をし、必要な対策を講じていきたいと考えております。
 また、災害ごとの避難方法の周知の在り方についてお尋ねがありました。
 災害からの被害を軽減するには、自らの身は自らで守るという考え方に立って適切な避難行動を取っていただくことが大切であり、ハザードマップはそのための重要な参考資料となるものです。一方、議員御指摘のとおり、災害ごとに様々なハザードマップが作成されていることから、住民から見れば混乱するという面もあると認識しています。このような状況を改善するために、市町村の中には、ハザードマップを一枚に重ね合わせるといった工夫をしている事例もあると承知しています。
 さらに、内閣府では、四月に改定した避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインにおいて、自宅等の場所ごとに、どのような災害が想定され、具体的にどのような避難行動を取るべきか等を記載した災害・避難カードの作成を提案しているところです。こうした取組を紹介し、普及させることによって住民が的確な避難行動を取ることができるよう、関係省庁や地方公共団体と連携して取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(塩崎恭久君) 森本真治議員にお答えを申し上げます。
 まず、被災者に対する健康支援や就職支援に関するお尋ねがございました。
 東日本大震災では、被災者の健康管理を担う保健師の、発生からの段階に応じた対応など、災害時を想定した準備を平時から行う必要性が改めて確認をされました。また、就職支援については、避難所暮らしや移住を余儀なくされるなど、個々のニーズを踏まえた対応が極めて重要でございました。
 これを踏まえて、厚生労働省では、平成二十五年に大規模災害における保健師の活動マニュアルを作成し、地方自治体への周知、研修の充実を図るとともに、広島の災害でも必要な助言を行いました。また、就職支援については、広島の災害でも、ハローワークにおいてきめ細やかな職業相談や全国ネットワークを通じた職業紹介など、個々の求職者のニーズに応じた対応を実施しております。
 今後とも、これまでの災害時における経験やそこで得られた教訓を十分に踏まえた上で、今後の災害対応に生かしていきたいと考えております。
 次に、災害時の社会福祉協議会の体制強化についてのお尋ねがございました。
 先般の広島の土砂災害においては、多くの方々にボランティア活動へ参加していただき、復旧・復興に向けた大きな力となったことは心より感謝を申し上げております。
 広島のケースでは、当初、二次被害防止のため活動地域を限定せざるを得なかった一方で、多くの方々が被災地へ駆け付けていただいたことなどから、受入れが混乱した場面もあったと伺っております。
 厚生労働省としては、今回の広島のケースについて関係者間で課題を検証、共有していただきつつ、防災対策を担当する内閣府とも連携しながら、災害時の社会福祉協議会の活動がより円滑になるよう、引き続き必要な支援を行ってまいります。
 次に、福祉施設における土砂災害対策についてのお尋ねがございました。
 国土交通省の調査によりますと、土砂災害対策実施率、すなわち、土砂災害危険箇所や土砂災害警戒区域に立地している二十四時間滞在型の災害時要援護者関連施設に対する砂防堰堤等の整備に着手している割合は、平成二十五年度末時点で約三三%となっております。
 厚生労働省においては、土砂災害のおそれがある場所に立地する社会福祉施設の施設移転改築について、国庫補助における優先的な整備対象とするとともに、国土交通省と連名で都道府県の福祉部局と砂防部局が連携して土砂災害対策に取り組むよう要請するなど、防災対策に取り組んでおります。
 今後とも、国土交通省と連携して福祉施設等に係る土砂災害対策を推進してまいります。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(山崎正昭君) 山本博司君。
   〔山本博司君登壇、拍手〕
#16
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 私は、公明党を代表し、土砂災害防止法改正案について、関係大臣に質問をいたします。
 初めに、本年の夏の土砂災害や台風、御嶽山の噴火被害などでお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 私は、発災の翌日、広島市に向かい、公明党の県議、市議とともに被災された地域を回りました。余りにもすさまじい土石流の爪痕に言葉もありませんでした。
 公明党は、直ちに土砂災害防止法改正検討プロジェクトチームを設置し、何度も被災地を訪れ、議論を重ね、九月二十六日に土砂災害に関する未然防止策についての提言を政府に提出しました。今回の改正案は、我が党の提言を十分踏まえており、大いに評価できるものと考えております。この改正案が実効性のあるものとなるよう取組を進めていくべきであります。
 近年の自然災害は、異常気象によるゲリラ豪雨や台風災害が頻発しており、思いも寄らない大きな規模になることも珍しくありません。自然の脅威に私たちは何よりも謙虚に向き合っていき、災害の検証と不断の見直しが必要であります。
 そうした意味から、災害を未然に防止するためにハード、ソフト両面による総合的な対策が必要と考えます。現在、政府が取り組んでいる防災・減災対策の重要性が更に増していると考えますが、防災・減災対策に対する国土交通大臣の基本的な認識をお伺いいたします。
 この土砂災害防止法は、平成十一年に広島市などで五十一名もの犠牲者が出た土砂災害を受けて翌平成十二年に制定されました。しかしながら、今般の豪雨では、前回の土砂災害の被害を大きく上回る甚大な被害が発生し、七十四名という多くの尊い命が失われました。
 この広島市の土砂災害では、土石流などが発生した百六十六か所のうち、七割余りが土砂災害警戒区域に指定されていませんでした。全国でも五十二万か所の危険地点がありますが、指定が済んでいるのは三十五万か所にとどまっております。法が施行されて十五年近く経過しているにもかかわらず、土砂災害警戒区域の指定がどうして進まないのか、まず、その理由について国土交通大臣にお伺いをいたします。
 今回の改正案では、都道府県が土砂災害警戒区域に指定するための前提となる基礎調査が終わり次第、危険性が高い地域を公表し、調査が進んでいない場合は、国土交通大臣が都道府県に対して是正を要求できる規定を盛り込んでおります。この基礎調査には防災・安全交付金が活用されることになりますが、危険地点を多く抱える都道府県は効率的、計画的に調査を進める必要があります。各都道府県が基礎調査を迅速かつ加速的に実施できるように、今回の改正を実効性のあるものにすべきと考えますが、国土交通大臣の見解をお聞きいたします。
 また、広島市の場合では、短時間のうちの豪雨であり、深夜から未明という時間帯だったこともあり、市が避難勧告を出した時点で既に土石流が発生しておりました。もっと早く勧告を出すべきではなかったのか、土砂災害警戒情報を活用していれば被害を少しでも減らすことができたのではないかとの指摘がされております。
 改正案では、市町村が避難勧告などを発表する際の判断に利用してもらうため、土砂災害警戒情報を発表した時点で都道府県は関係市町村に通知するよう義務付けることになっております。市町村が空振りを恐れずに避難勧告に踏み切ることができるよう国が支援をすべきと考えます。この土砂災害警戒情報について、どのように活用していくのか、国土交通大臣に御説明いただきたいと思います。
 さらに、地域の特性や実情を踏まえつつ、それぞれの災害の規模に見合った安全な避難場所の確保が大変に重要であります。広島市の場合は、避難所に指定されていた場所が土石流に流されてしまったケースがありました。安全な避難場所の確保に向けた対策を今回の改正ではどのように講じているのか、国土交通大臣に伺いたいと思います。
 次に、福祉避難所について伺います。
 東日本大震災のときにも、高齢者や障害者、妊婦や乳幼児など、いわゆる災害弱者と呼ばれる方たちの被害が甚大であるとの指摘がありました。今後の災害時に同じ轍を踏んではなりません。公明党はこれまで、災害時の要援護者避難支援ガイドラインの見直しなど、災害弱者と呼ばれる方たちに配慮した避難対策や地域づくりを進めるべきと考え、推進をしてまいりました。
 災害救助法で定められている福祉避難所は、一般の避難所での生活に支障を来す要援護者を受け入れるため、バリアフリーの設備や生活相談員の配置など特別の配慮がなされた避難所であります。しかし、指定が進まず、指定していても設備が十分ではないと指摘されており、市町村間のばらつきが顕著になっております。こうした福祉避難所の指定促進を国としても支援すべきと考えますが、防災担当大臣の認識を伺いたいと思います。
 災害リスクコミュニケーションについて伺います。
 地域の防災力を高め、災害を最小限度の被害に収めるためには、公助、共助だけでなく、コミュニティーや住民自身の自助が不可欠であります。情報を発信をする行政や専門家と、情報を受け取る住民が、その情報を自身で生かすことができるようにすることが重要です。それぞれの役割を明らかにし、共通の意識を持ち、協力関係をつくること。その方策として、互いに危機について意見や情報を交換し、共有し合う災害リスクコミュニケーションが求められていると思います。
 東日本大震災のときには、釜石の奇跡と呼ばれる防災教育が大きな効果を発揮しました。私たちにできることは、日頃から防災について学び、話し合い、防災への関心を高め、啓蒙していくということではないかと思います。
 災害リスクコミュニケーションの推進に向けた防災担当大臣の決意を伺います。
 発災から二か月が経過した先月二十五日にも広島市の被災地を訪問しましたけれども、依然として土砂災害の爪痕は厳然と残っておりました。住民の皆様が口々に言われていたのが、これからどのように生活していけばよいのか、もうここには住めないのではないかという生活再建への不安の声でした。
 こうした声に応え、国民に寄り添い、希望の持てる社会となれるよう、更なる努力をお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(太田昭宏君) 山本博司議員の御質問にお答えいたします。
 まず、防災・減災対策の重要性についてお尋ねがございました。
 時間雨量五十ミリを上回る雨が全国的に増加しているなど、近年、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化しています。今年の広島ではバックビルディング現象による線状降水帯の豪雨が発生し、また昨年、フィリピンはスーパー台風に襲われました。こうした現実を直視し、事前の予防対策を進めていくことが大事だと考えており、ハード、ソフトの両面から計画的、総合的な対策を講じてまいります。
 具体的には、ハード対策として、河川改修や砂防堰堤等の優先順位を付けた計画的な整備、ソフト対策として、分かりやすい気象情報の提供や、関係機関が事前に取るべき行動を時系列で示すタイムラインの策定、避難体制の充実強化などを総合的に推進してまいります。
 次に、土砂災害警戒区域の指定が進まない理由についてお尋ねがございました。
 警戒区域の指定の遅れは、まずはその前提となる基礎調査が遅れていることに起因しているものと認識をしています。また、警戒区域の指定に当たっては、住民説明会を開催するなど地域住民の方々の理解を得ながら進めていますが、そのために時間と労力を要している都道府県もあると承知をしています。このような課題を解決し、区域指定の促進を図ることが必要だと考えております。
 次に、基礎調査の実施を促進するための対策についてお尋ねがございました。
 基礎調査は、基本的にはおおむね五年程度で完了させることを目標にしたいと考えており、各都道府県に要請してまいります。また、国では、これまで都道府県ごとの基礎調査の実施数を把握していましたが、今後は更に実施目標や進捗状況を把握、公表し、これによって基礎調査の促進を図ってまいります。
 さらに、基礎調査の促進のためには、財政面、技術面の支援も重要であります。まず、財政面では、基礎調査を行う都道府県に対しまして防災・安全交付金による積極的な支援を行ってまいります。技術面では、国が都道府県に対し助言や情報提供を行うよう努めることを本法案で位置付けるとともに、国が所有する地形データの提供などの支援を行ってまいります。
 次に、土砂災害警戒情報を避難勧告の判断に活用するための取組についてお尋ねがございました。
 これまでは、土砂災害警戒情報を避難勧告等を出すための基準とする市町村は少数にとどまっていました。このため、今後は、土砂災害警戒情報が出れば原則として避難勧告等を発令するよう、法に基づく基本指針等に明記し、周知してまいります。
 また、市町村長が避難勧告等の発令を判断するためには、きめ細かな情報を提供することが重要であると考えています。このため、地盤の水の含み具合やきめ細かな雨量の予測について時系列の情報を伝えるなど、市町村に対してきめ細かな情報を提供し、支援をしてまいります。
 次に、安全な避難場所の確保に向けた対策についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、安全な避難場所の確保対策は重要であり、本法案では、市町村地域防災計画に土砂災害に対する避難場所や避難経路等について定めることとしております。また、避難体制の整備に関するガイドラインを早急に策定し、安全な避難場所を確保する方策等について市町村等に周知する予定であります。(拍手)
   〔国務大臣山谷えり子君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(山谷えり子君) 福祉避難所の指定促進についてのお尋ねがありました。
 山本議員御指摘のとおり、東日本大震災では高齢者や障害者などの方々にも多くの被害が生じており、いわゆる災害弱者の方々も安心して生活できるよう、福祉避難所が適切に整備されていくことが重要と考えております。
 こうした東日本大震災における教訓を踏まえ、昨年六月に災害対策基本法が改正され、一定の基準を満たす一般の避難所と福祉避難所の指定制度が新たに設けられるとともに、内閣府において昨年八月に避難所に関する取組指針を策定し、各市町村に対し福祉避難所の指定や生活環境整備を促してきたところです。
 この避難所の指定制度は本年四月から施行され、現在、各市町村において指定手続が進められているところですが、福祉避難所については、その指定が進んでいないところがあるなど、様々な課題があります。このため、内閣府において各市町村における指定状況や施設の設備状況等を把握するための調査を行っており、今後、この調査結果も踏まえ、福祉避難所の指定促進や良好な生活環境の確保に向けた必要な対策について検討してまいります。
 次に、災害リスクコミュニケーションについてお尋ねがありました。
 災害からの被害を軽減するためには、国や地方公共団体から気象情報や避難勧告等の災害情報を的確に伝えるのはもちろんのこと、情報を受けた住民が状況に応じた適切な避難行動を取れるようにすること、すなわち災害情報リテラシーの向上が重要であると考えています。
 災害時に適切な避難行動を取るためには、地域や災害の種類に応じて、住んでいる場所のどこに危険があるか、避難経路はどうなっているかなど、平時から認識しておくとともに、それを単なる知識に終わらせることなく、防災訓練を通じて具体的な行動を取れるようになることが重要です。このため、内閣府では、昨年度の災害対策基本法の改正により創設された地域コミュニティーレベルでの自発的な防災活動を定める地区防災計画制度の普及に取り組んでまいります。
 また、本年四月に改定した避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインにおいては、災害・避難カードを提案しております。これは、災害種別ごとに、どのような情報を参考にすべきか、また、自宅等から立ち退いて他の安全な場所に避難すべきなのか、それとも家屋内にとどまることで十分なのかなどについて分かりやすく記載するものです。
 今後は、関係省庁及び自治体等と連携して、これらの内容を着実に実施、推進することを通じて国、地方公共団体と住民の間の災害リスクコミュニケーションの充実を図ってまいります。(拍手)
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#19
○議長(山崎正昭君) 和田政宗君。
   〔和田政宗君登壇、拍手〕
#20
○和田政宗君 みんなの党の和田政宗です。
 会派を代表して質問いたします。
 まず、過去の土砂災害でお亡くなりになった全ての方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、各種の災害で被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 さて、本法案の質問に入る前に、一点だけ質問をさせていただきます。それは、小笠原諸島沖での中国漁船によるサンゴの密漁の問題です。
 日本の排他的経済水域におけるサンゴの密漁はゆゆしき事態で、二百隻を超える船が密漁をしているというのはまさに侵略行為と言ってもおかしくない状況です。この密漁に対する取締りについてお聞きいたします。
 まず、密漁船が日本の排他的経済水域でサンゴの密漁をする理由として、密漁で逮捕された際に釈放条件として支払う担保金が安い、これは排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律に基づくものですが、その担保金の額が安いという点が挙げられると思います。私は、この担保金の額の引上げを速やかに行うべきと考えますが、政府は担保金引上げについてどう考えるでしょうか、農水大臣にお聞きします。
 そして、密漁に対しては海上保安庁の巡視船などが監視に当たっていますが、監視体制を強化し、密漁をどんどん摘発すべきであると考えます。この海域における巡視船の更なる投入など、監視体制の強化について国交大臣にお聞きします。
 一方、この海域に巡視船を充てると尖閣諸島における中国公船の領海侵犯などに対応する巡視船が手薄になる懸念があります。更なる巡視船の建造、投入により、我が国の領海や排他的経済水域を守るべきだと考えます。海上保安庁の予算増額について国交大臣にお聞きします。
 それでは、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について質問いたします。
 私は、参議院議員になる前の、前職のNHK時代から防災を専門としており、現在も防災の研究者としても活動をしております。災害において一人の命も失わせてはならない、これは私の強い思いであり政治家の活動としての原点です。しかしながら、災害が起こるたびに命が失われてしまう。そのたびに考えるのが、なぜもっと事前にしっかりとした情報を提供できなかったのかということです。これは、昨年の伊豆大島の土砂災害の後にも国会質疑で取り上げ、各省庁へ要望もしていますが、今年の広島における土砂災害でまた同じことが起きてしまったと私は悔やんでいます。
 本法案では、土砂災害警戒情報を新たに法律に明記するとともに、都道府県知事に対し、土砂災害警戒情報について一般に周知することを義務付けるとなっていますが、では具体的にどのように行っていくのでしょうか。
 これまでの行政機関の周知方法を見ていると、報道機関に情報を流すよう提供しました、防災無線で知らせましたなどマクロ的で、災害の危険が迫っている一人一人に丁寧に情報を届けるという体制になっていません。一人一人に届けるためには、土砂災害警戒区域において各家庭に防災無線の戸別受信機を設置するなど、確実に情報が伝わるようにすべきだと考えます。土砂災害警戒区域における防災無線の戸別受信機の設置への支援を含め、一人一人に情報を届ける体制をどのように構築していくのか、総務大臣にお聞きします。
 そして、災害から人の命を守るためには事前の避難が極めて重要です。土砂災害警戒情報は、実際にそれなりの雨量が観測されてから発表されます。これでは、既に土砂災害警戒情報が発表されたときには、雨が非常に強く、住民は避難ができない状況である場合が多いと考えられます。実際に、今年の広島の土砂災害や過去の土砂災害でもそのような状況が起きています。
 さらに、広島の土砂災害においては、地形の特性や気圧配置、雨雲の入り方から、局地的豪雨となる危険性について、事前に予測できた、若しくは端緒を捉えられたのではないかと考えられます。それは、各地の過去の豪雨災害や土砂災害において、背後に山があり雨雲が断続的に流れ込んで災害が発生するという同じような状況を経験しているからです。
 土砂災害警戒情報が発表されてからの避難では間に合わない可能性があります。端緒を捉え、事前に大雨や土砂災害についての警戒情報を出せるよう気象庁の体制を強化すべきと考えますが、太田国交大臣に見解を聞きます。
 また、土砂災害警戒情報が発表される可能性について、事前に関係各機関に情報提供を行うことや、事前に情報提供ができる体制をしっかりと構築すべきと考えます。国交大臣にお聞きします。
 次に、避難体制の強化について聞きます。
 本法案では、土砂災害警戒区域の指定がある市町村の長は、避難施設や避難場所、避難経路に関する事項を住民に周知させるため、当該事項を記載した印刷物の配布その他必要な措置を講じなければならないとなっています。しかしながら、東日本大震災や各種災害においてもハザードマップに対する住民の認知度は低いものがありましたし、現在も認知度は高くなっていません。
 ハザードマップや避難経路を示した地図を作り配布することはとても重要なことですが、どのように住民の実効性のある理解につなげていくのでしょうか。具体的にどのような手法で理解の促進を図るのか、国交大臣、お示しください。
 さらに、避難訓練について聞きます。
 避難訓練は、繰り返し行うこと、そして様々なパターンで行うことがいざというときの避難につながっていくと考えますが、一方で、避難訓練の参加率は一向に向上しません。都市部などでは特に顕著です。避難訓練の参加率を上げなければ、いざというときの避難につながっていかないと考えますが、避難訓練の参加率を上げていくために具体的にどのようなことを行っていくのか、防災担当大臣にお聞きします。
 さらに、避難指示、避難勧告の在り方について聞きます。
 いざ大雨が降ってからの避難指示や避難勧告では、大雨の中、とても住民が避難できる状況にないことが考えられます。また、その中で避難することはかえって危険です。避難指示や避難勧告を、大雨や土砂災害が予想される場合に、実際に大雨などが観測される以前に出すことについて、私は積極的に行うべきだと考えますが、防災担当大臣はどのように考えるか、お聞きします。
 また、避難指示や避難勧告については、その違いについて、いまだに国民の方々からよく分からないという声を聞き、理解が進んでいないのも事実です。避難指示はより緊急性が高い、危険が迫っているときに発表されるものと私は理解していますが、実際に避難指示が出ても避難する人は少ないというのが現実です。各地で大雨に関連する被害が続く中で、改めて、避難指示とはどういうものか、避難勧告とはどういうものかを国民に周知すべきと考えます。国民の理解が進まなければ命も守れません。防災担当大臣の見解を聞きます。
 さらに、逃げなければ人命に危険が及ぶおそれがある場合について考えると、現在でも、災害対策基本法六十三条などに基づき強制性を持った退去、すなわち避難をさせることができますが、この条項はなかなか使われることがありません。また、周知の際の説明も難しくなります。
 そこで、しっかりと避難をしてもらい命を守るために、緊急性が極めて高いものについては、避難指示を上回り強制性を持つ避難命令のようなものを新たに発令できるようにすべきだと考えますが、防災担当大臣はどのように考えますか。
 最後に、こうした災害を未然に防ごうとする各種の法律は更にしっかりと制定をしていくべきだと考えますが、未曽有の大災害については、現行憲法では対処できない部分が多々あると考えています。
 緊急時に多くの人命を救い、被害の拡大を防ぐためにも、平常時における私権、私の権利を一時的に一定程度制限せざるを得ない事態が起きることは十分にあり得ます。しかし、現行憲法には緊急事態に対応する条項が全くなく、こうしたことを行えません。
 私は、憲法に緊急時のルールを定め、緊急時の対処は内閣の責任であることを明確にし、一時的に法律同様の政令を出せる権限を内閣に付与することなどが必要であると考えます。現行憲法を速やかに改正し、憲法に緊急事態対処条項を新設することを提起し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(太田昭宏君) 和田政宗議員の御質問にお答えします。
 小笠原諸島沖の中国漁船によるサンゴ密漁に対する海上保安庁の監視体制強化についてお尋ねがございました。
 現在、海上保安庁では、小笠原諸島、須美寿島などの周辺海域において大型巡視船や航空機を集中的に投入した特別な体制を取っております。水産庁の漁業取締り船等とも連携し、違法操業等を行う外国漁船の取締りを強化しております。その結果、十月五日以降、これまでに五人の中国人船長を逮捕しています。また、違法操業等を行おうとしている外国漁船を領海外へ退去させており、引き続き法令にのっとり厳正に対処してまいります。
 漁船の動向や取締り状況などの情報提供を通じて地元の皆様の不安解消にも努めており、今後とも、関係省庁などとも連携を深め、万全の体制を取ってまいります。
 次に、海上保安庁の予算の増額についてお尋ねがありました。
 海上保安庁は、尖閣諸島や小笠原諸島周辺海域を始めとした我が国の領海警備などにしっかりと対応する必要があります。このため、巡視船、航空機の整備や要員の確保など、体制の強化が喫緊の課題となっており、そのための所要の予算の確保に努め、対応に万全を期してまいります。
 気象庁の監視体制の強化についてお尋ねがございました。
 気象庁では、気象状況の予測や降雨の状況に応じて気象情報、注意報、警報等を発表いたします。また、これらの雨の情報に加え、土壌に含まれる水分量の状況から土砂災害のおそれが予見される場合には、都道府県と共同して土砂災害警戒情報を発表いたします。このような情報を早期にかつ的確に発表することは早めの避難に資するものであり、そのために気象庁の監視体制の強化に努めてまいります。
 次に、土砂災害警戒情報に関する情報提供やその体制についてお尋ねがございました。
 市町村長が事前の的確なタイミングで避難勧告等の発令を判断するためには、できるだけ早い段階から災害の危険性についての正確で分かりやすい情報を提供することが重要であると考えます。このため、地盤の水の含み具合やきめ細かな雨量の予測について、時系列の情報、土砂災害警戒情報が発令される見込みを伝えるなど、事前の情報提供を進めてまいります。さらに、担当者を明確にした連絡体制や市町村へのホットラインを整備することなどにより、事前に情報を提供する体制を強化してまいります。
 次に、ハザードマップ等を住民の理解につなげていく方策についてお尋ねがございました。
 まず、ハザードマップ等の周知方法についてはホームページが基本と考えています。これに加え、掲示板の活用や各戸への配布、回覧板など、分かりやすい形で住民の方にお伝えすることが必要となると考えます。また、ハザードマップ等を住民参加により作成することや、防災訓練や防災教育で活用することなどにより住民の理解の促進を図ってまいります。(拍手)
   〔国務大臣西川公也君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(西川公也君) 和田政宗議員の御質問にお答えいたします。
 担保金についてのお尋ねがありました。
 小笠原諸島沖での中国漁船によるサンゴの密漁に対しては、農林水産省として、海上保安庁と連携し、航空機や漁業取締り船を現場海域に派遣して取締りの強化を図っているところであります。
 御指摘の、密漁の抑止の観点から担保金の引上げが可能かどうかについては、関係省と早急に協議したいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(高市早苗君) 和田政宗議員から私には、土砂災害警戒区域において一人一人に確実に情報を届ける体制の構築についてお尋ねがございました。
 まさに和田議員の御指摘と同じことを私も省内で指摘をし、検討を指示したところでございました。
 住民に即時、確実に情報を伝達するためには、複数の情報伝達手段を組み合わせる必要がございます。このため、整備率九三・二%の緊急速報メールについて、早急に一〇〇%を目指し整備を促進すること、全戸・一部配備率八四・八%の防災行政無線の戸別受信機の配備を促進すること、整備率四四・七%のLアラートの平成二十六年度中の全都道府県への導入決定を目指し、順次活用を進めることなどに取り組んでまいります。
 特に、戸別受信機につきましては、御高齢の方、障害をお持ちの方など、屋外スピーカーの音が聞こえにくい方や土砂災害警戒区域などの世帯に対して整備を急ぐことは重要なものと考えておりまして、今後その設置に対する財政支援などについても予算編成の過程において検討をしてまいります。(拍手)
   〔国務大臣山谷えり子君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(山谷えり子君) 和田政宗議員から、避難訓練についてのお尋ねがありました。
 災害時に住民の方々に適切な避難行動を取っていただくためには、単なる知識向上のための教育だけでなく、実際に行動に移してみるなどの体験的訓練を重ねて実施することが極めて重要であります。このため、昨年の法改正において、災害対策基本法第七条に住民の責務として防災訓練への自発的参加を努力義務として規定するとともに、本法案において市町村地域防災計画に避難訓練に関する事項を定めるよう義務付けしたところであります。
 さらに、住んでいる場所のどこに危険があるか、避難経路はどうなっているかなど、より地域の実情に即した観点から訓練が実施されるよう、内閣府では、昨年度の災害対策基本法の改正により創設された地域コミュニティーレベルでの自発的な防災活動を定める地区防災計画制度の普及に取り組んでいるところです。
 また、平成二十六年度総合防災訓練大綱では、地方公共団体が実施する防災訓練について、地域住民等の連帯による自主的な防災訓練の普及推進、ボランティア等との連携など、地域における幅広い層が訓練に参加するよう、内容を工夫、充実することとしています。
 今後とも、地域における避難訓練などの効果的な実施や地域住民の参加率の向上の取組について、地方公共団体に周知徹底を図ってまいります。
 次に、避難勧告や避難指示の積極的な発令についてお尋ねがありました。
 土砂災害は命の危険を脅かすことが多い災害であることから、基本的には立ち退き避難をできるだけ早く行うことが必要ですが、発生場所や発生時刻を確度よく予測することが難しい災害でもあります。
 このため、本年四月に改定した避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインでは、大雨警報が発表された場合や夜間から早朝に大雨が想定されるような場合等には、避難場所を開設した上で避難準備情報を発令し、早めに避難を促すこととしています。また、避難勧告は、大雨警報の後、更に降雨が続き、土砂災害警戒情報が発表された場合などのように、土砂災害の危険性が高まった場合に発令するものとしております。
 まずは、このようなガイドラインの考え方をしっかりと周知し、市町村が空振りを恐れず避難準備情報や避難勧告等を的確に発令することが重要だと考えております。
 次に、避難指示と避難勧告の趣旨についてお尋ねがありました。
 避難勧告は、災害対策基本法において、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において発令することとされており、避難指示は、更に急を要すると認めるときに発令することとされています。
 このため、四月に改定した避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインでは、災害の危険性が高まっているときに避難勧告を発令し、その段階で避難が必要な住民は全て的確な避難行動を取っていただくということを期待しているものです。
 一方、避難指示については、避難勧告の後、更に災害の危険性が高まってきたときに、まだ避難していない住民に対し、近隣の強固な建物への避難や屋内での安全の確保を含め、より強く避難を求めるものです。すなわち、避難指示は、既に災害が発生しているおそれもある中で、できる限りの避難行動を取っていただくためのものであり、避難指示を待つことなく避難勧告の段階で避難することが原則です。
 このように、避難勧告や避難指示により住民に求める避難行動について、住民だけでなく、発令する立場の市町村にもしっかりと浸透するよう引き続き周知徹底を図ってまいります。
 避難指示を上回る強制性を持つ避難命令制度の創設についてお尋ねがありました。
 避難については、各人が自らの判断で避難行動を取ることが第一義的に重要であり、行政はこうした住民の避難行動に資するよう避難勧告等により早めの避難を促すこととしております。
 議員御指摘の、より強制性を持つ避難命令の導入については、確実な避難が期待できるというメリットがあるものの、避難に係る制度が避難勧告、避難指示、避難命令の三段階となることにより、制度が複雑化し、住民にとって分かりにくい制度とならないか、かえって住民が避難命令が出るまで避難行動を開始しないことにならないかなどの点が危惧されるところです。
 なお、災害対策基本法第六十三条の警戒区域については、平成二十三年の台風十二号による紀伊半島大水害において四市村により設定されたほか、平成二十四年においても大雨による土砂災害の危険のおそれが生じた地域で設定されるなど、一定の活用事例があったところです。
 今後とも、避難準備情報や避難勧告等の段階で早めに避難が行われるよう、住民に制度をよく理解していただくための取組を進めるとともに、関係省庁と連携し、各市町村において適切な運用がなされるよう周知徹底してまいります。(拍手)
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#25
○議長(山崎正昭君) 室井邦彦君。
   〔室井邦彦君登壇、拍手〕
#26
○室井邦彦君 維新の党の室井です。
 私は、会派を代表し、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、六問の質問をいたします。
 昨年十月の台風二十六号による伊豆大島の土砂災害に続き、本年は、台風八号、九号による被害、八月の豪雨では広島市における土砂災害、そして、先般、多大な被害をもたらしました御嶽山の火山噴火など、改めて、災害に遭われお亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表するものであります。また、大きな爪痕を残している被災地の皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、ここ数年、地球温暖化の影響によると思われる集中豪雨、巨大台風、竜巻等の気象現象が頻発化し、急峻な地形や脆弱な地質は自然災害をより激甚化させております。また、世界有数の火山国、地震国であり、戦後、地震・津波災害及び気象災害による死者・行方不明者数はおよそ六万人に及び、まさに我が国は自然災害大国と言えます。
 広島市では、平成十一年六月に死者・行方不明者三十二名を出す土砂災害が発生しております。今回の被災地となった八木地区は、かつて、蛇が落ちるように山肌を水が流れたあしき谷として蛇落地悪谷と呼ばれ、水害による大被害が頻繁に起こり、その土地に居住することに警戒を促す伝説がありました。しかし、近年、人口増加や都市化の進展に伴い、成果主義という経済優先の社会構造に転換していく過程で、先人の警鐘は忘れ去られ、山裾にまで宅地開発が進むようになりました。
 そのツケが、同時多発的に甚大な被害をもたらす災害を引き起こす結果になってしまったと考えております。そして、政策の遂行に当たり、先人の言い伝えに耳を傾け、貴い教訓として生かしていかなければなりません。
 今回の広島市における土砂災害が発生した地区の中には、土砂災害警戒区域に指定されておらず、ハザードマップは配布されていなかった。その結果、地域住民は土砂災害の危険性を認識できず、土砂災害避難に対する危機意識は低かったと指摘されており、災害により甚大な被害を生じた地域においては、二度と同じような災害を繰り返さないよう対策を強化すべきであり、危機管理に対する甘さがあったのではないかと考えます。
 そこで、土砂災害警戒区域等において緊急点検を実施し、どのような現状にあるのかしっかりと調査した上で必要な対策を早急に講じるべきと思いますが、国土交通大臣の御所見をお聞きいたします。
 次に、基礎調査の実施の促進について国土交通大臣にお尋ねいたします。
 福岡県では、平成二十一年七月の九州北部豪雨による土砂災害を契機に、平成二十二年度、二十三年度の二年間に、人員を一名から四名増員し、予算も倍増させ、基礎調査を完了させました。このように、自治体がやる気になれば基礎調査を短期間で完了させることも可能だという見事な事例ではないでしょうか。今後、国はどのように指導し、基礎調査を進めていこうとするのか、御所見をお聞きいたします。
 次に、台風、集中豪雨などに対する防災行動に対応した防災気象情報の利活用について国土交通大臣にお尋ねいたします。
 世界初のカラー画像の撮影を可能とする新型気象衛星ひまわり八号、ひまわり九号の運用は、観測精度と予報精度の向上につながり、空振りを恐れることなく早め早めの避難勧告等を発令させ、住民の迅速かつ的確な避難判断や避難行動の支援につながると考えられます。新型気象衛星の運用による観測精度と予報精度の向上が災害対策にどのような効果をもたらし、警戒避難体制の整備促進につなげようとするのか、今後の取組についてお聞きいたします。
 次に、災害情報の相互通報システムの整備について総務大臣にお尋ねいたします。
 住民へ必要な情報をより分かりやすく提供し、あわせて、住民からの情報提供を市町村の防災体制に反映させる相互通報システムは、正しい避難指示や確実な人命救助へ実効性を高め、国、地方自治体、住民が各々の情報を共有していくことにより、土砂災害から人命を守る避難体制の強化につながると考えます。土砂災害情報等を相互に通報できるシステムの構築をどのように評価し、今後どのような取組を推進していくのか、お聞きいたします。
 次に、地域防災計画に基づいた警戒避難体制の整備について国土交通大臣並びに防災担当大臣にお尋ねいたします。
 近年激甚化するこれまでの災害の教訓を踏まえ、内閣府は、本年四月、避難勧告等の判断基準を分かりやすくするため、新しいガイドラインを見直しました。しかし、土砂災害警戒情報が今年の四月から七月に発表された延べ三百三市町村のうち、避難勧告等を出していたのは延べ三十八市町村の一三%にとどまっていたと指摘されております。
 本法案において、土砂災害警戒情報を各関係市町村長に通知すること、一般に周知させるため必要な措置を講ずることを義務付けました。今後、迅速な避難勧告等の発令に結び付け、どのように実効性を高めようとするのか、その具体策についてお聞きいたします。
 最後に、砂防設備等の老朽化対策について国土交通大臣にお尋ねをいたします。
 厳しい財政事情や人口減少を見据え、今後は、むしろ既存の社会資本ストックの有効活用やソフト施策との連携強化に重点を移すべきと考えます。しかし、依然として施設整備に膨大な予算が掛かり、一部に老朽化や機能低下が見られる状況にあります。さらに、近年の気象条件の激化や活発な火山活動等に加え、大規模地震の発生の可能性が高まっております。
 そこで、厳しい財政状況の中、どのように必要な砂防施設等を整備していこうと考えているのか、お聞きをいたします。
 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(太田昭宏君) 室井邦彦議員の御質問にお答えいたします。
 まず、土砂災害警戒区域等における緊急点検の実施や対策の必要性についてお尋ねがございました。
 広島での土砂災害を踏まえ、危険箇所等の緊急周知及び警戒避難体制の緊急点検を行うよう、九月二日に都道府県に対し要請を行ったところです。緊急周知については、ほとんど全ての市町村でホームページや広報誌への掲載、公共施設での掲示などを開始し、積極的に取り組んでいただいているところです。また、緊急点検については、避難勧告の発令基準、避難場所、避難路の周知状況や防災訓練の実施等について各市町村の状況を点検をしています。この結果を踏まえ、改善方策を本年中を目途に取りまとめることとしております。
 次に、基礎調査の促進策についてお尋ねがございました。
 基礎調査の促進に当たっては、人員面及び技術面の課題があると考えます。人員の面では、御指摘のとおり、福岡県では県庁内に砂防担当を四名増員し、五名の技術系専任職員を確保して計画的に基礎調査を進めました。このように、若干名の専任職員の配置やOBの活用などの工夫により対応は可能であり、そうした先進事例を周知していきたいと考えています。また、技術面では、国が所有する地形データの提供などによって都道府県の負担軽減を図ってまいります。
 次期静止気象衛星の運用と警戒避難についてお尋ねがございました。
 次期静止気象衛星ひまわり八号及び今後打ち上げを予定している九号は、解像度が従来の二倍になるとともに、日本付近を二・五分ごとに観測するなど、世界最先端の気象観測機能を有しております。これら次期静止気象衛星の観測データは、台風や集中豪雨等の監視、予測に大きく貢献するものと期待をしています。これにより、これまでより更に精度の高い気象情報の提供ができるものと考えており、市町村長の防災に関する判断や住民の防災行動に役立つものと考えております。
 次に、迅速な避難勧告等の発令に結び付けるための具体策についてお尋ねがございました。
 これまでは、土砂災害警戒情報を避難勧告等を出すための基準とする市町村は少数にとどまっていました。このため、今後は、土砂災害警戒情報が出れば原則として避難勧告等を発令するよう、法に基づく基本指針等に明記し、周知してまいります。
 また、市町村が避難勧告等の発令を判断するためには、きめ細かな情報を提供することが重要であると考えています。このため、地盤の水の含み具合やきめ細かな雨量の予測について時系列の情報を伝えるなど、市町村に対してきめ細かな情報の提供により、一層支援してまいります。
 次に、老朽化対策を含めた砂防施設等の整備についてお尋ねがございました。
 砂防堰堤等の整備については、財政制約はありますが、人命を守る効果が高い箇所等の優先順位を付けて計画的に進めてまいります。また、砂防施設等の長寿命化計画の策定を進め、的確な補修や改築など、老朽化対策、メンテナンスの取組を進めてまいります。その上で、人命を守ることを最優先に、ハード、ソフト両面による総合的な土砂災害対策をしっかり進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(高市早苗君) 室井邦彦議員から、土砂災害情報等を相互に通報できるシステムの構築についてお尋ねがございました。
 適時的確に避難勧告等を発令するためには、災害情報等を行政から住民だけでなく、相互に通報し合うことは重要なものと認識いたしております。
 まず、避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインでは、住民が土砂災害の前兆現象を発見した場合は市町村にすぐ連絡するとしており、それにより避難勧告の発令につなげております。
 総務省といたしましては、引き続き、緊急速報メールや防災行政無線等の複数の情報伝達手段を組み合わせることにより、住民に即時、確実に避難勧告等の防災情報を伝達できるよう推進してまいります。あわせて、二十四時間通報を受け入れられる体制の整備に加え、SNSの活用や防災行政無線の双方向化等によりまして、住民から通報の積極的な活用も推進し、住民と行政相互の情報伝達による避難体制の強化に努めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣山谷えり子君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(山谷えり子君) 室井邦彦議員より、土砂災害警戒情報の周知に伴う迅速な避難勧告の発令についてお尋ねがありました。
 土砂災害警戒情報は、土砂災害の発生前に発表される重要な情報であり、四月に改定した避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインでは、土砂災害の避難勧告を土砂災害警戒情報が発表された場合などに発令するものとしています。また、土砂災害は命の危険を脅かすことが多い災害であることから、基本的には立ち退き避難をできるだけ早く行うことが必要です。
 さらに、夜間に土砂災害警戒情報が発表されるような場合であって、屋外への避難が困難な場合においても、例えば二階以上で山に面していない部屋への垂直避難が有効な場合も多いことから、ちゅうちょなく避難勧告、避難指示を発令することが重要です。
 このため、本法案によって、土砂災害警戒情報を市町村へ通知することや一般へ周知することは大変重要なことだと考えており、これにより、市町村が空振りを恐れず避難勧告等を的確に発令することができるよう、研修等を通じて一層の周知徹底を図ってまいります。
 また、情報の受け手である住民一人一人が状況に応じた的確な避難行動を取れるようにするための取組についても積極的に進めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#30
○議長(山崎正昭君) 辰已孝太郎君。
   〔辰已孝太郎君登壇、拍手〕
#31
○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。
 まず、広島を始め、相次ぐ土砂災害、また御嶽山で犠牲になられた方々へ心から哀悼の意を表しますとともに、全ての被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。あわせて、過酷な状況の下で救助・捜索活動に当たった消防、警察、自衛隊など、関係者の皆さんに敬意を表します。
 私は、日本共産党を代表して、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、関係大臣に質問をいたします。
 今年八月、広島市で起こった土砂災害により七十四名もの方がお亡くなりになりました。これほどの大惨事を引き起こした根本原因は、土石流災害の危険度が高い土地に家を建てることが規制されないまま放置されてきたことにあります。なぜ、災害の危険区域に公営住宅を含む住宅の建設が認められてきたのでしょうか。国民の安全を守るために、災害の危険がある地域では開発行為そのものを規制するという政策転換こそ求められているのではありませんか。国土交通大臣の答弁を求めます。
 今、広島の被災地では、元の家に戻って安全なのか、このまま住み続けることができるのか、生活再建への不安が訴えられています。安全性の判定は国、行政の責任です。被災者の切実な思いにどう応えるのか、お答えください。
 法案の具体的内容について伺います。
 第一に、警戒区域指定の前提となる基礎調査についてです。
 土砂災害防止法が二〇〇〇年に制定されてから既に十四年が経過しています。しかし、二〇〇二年に公表された全国の土砂災害危険箇所約五十二万五千か所のうち、基礎調査の完了は七三%、区域指定の完了は六八%にとどまっています。基礎調査が終了している都道府県は十三県で、そのうち警戒区域の指定が完了しているのは六県、特別警戒区域の指定も完了しているのは三県のみです。
 法案は、都道府県に対し、基礎調査の実施の促進と結果の公表を義務付けるとしています。法改正を受け、国は都道府県に計画策定を求め、その進捗状況を把握することで調査や指定を進めるということですけれども、それだけで国の責任を果たしたことになるでしょうか。
 これまで基礎調査が遅れてきた最大の原因は、人材と財源が足りないからであり、抜本的な支援の強化こそ求められているのです。土木事務所など土砂災害対策の職員を確保し、基礎調査と区域指定を進めるために、現在、政令で三分の一とされている基礎調査の補助率を大幅に引き上げることが緊急に必要です。広島県議会、北海道議会を始め地方議会から、交付金の拡充、国庫負担の引上げを求める意見書が提出をされています。これらを政府は真剣に受け止めるべきではありませんか。明確な答弁を求めます。
 次に、災害時要援護者関連施設への対応について伺います。
 法案は、土砂災害警戒区域の指定があった場合、高齢者、障害者、乳幼児など防災上の配慮を要する者が利用する施設について、市町村防災計画に、より具体的に位置付けることを規定しています。
 これらの施設は、これまでも繰り返し土砂災害の被害を受けてきました。一九九八年八月には、福島県西郷村の救護施設で土砂災害により五名が犠牲となりました。当時の建設省や厚生省などが全国の施設の緊急点検を行い、砂防事業の実施等の対策を求めました。
 その十一年後の二〇〇九年七月には、山口県防府市の特養ホームを土石流が直撃し、七名が犠牲になりました。この災害を受け行われた調査の結果、土砂災害のおそれのある要援護者関連施設が一万三千七百三十施設あることが公表されました。ところが、このうちの半分以上、七千百二十施設が砂防関係施設が未整備で、かつ土砂災害警戒区域の指定もされていません。
 さらに、これらの施設の対策がどれだけ進んだのか国として把握していないことが衆議院での我が党議員の質問で明らかになりました。危険な施設の対策状況を把握せずに土砂災害から命を守る国の責任が果たせるでしょうか。
 広島で土砂災害が発生して以降、今もなおこうした施設が警戒区域や特別警戒区域内に立地している実態が次々と明らかになっています。東京都では特養ホームなど三十九施設のほか、小中高校二十二校、大学など二校。広島県では市営住宅や保育所など、京都府では災害時に司令塔となるべき市町村の本庁舎があります。
 現時点での要援護者関連施設の立地状況を早急に把握し、必要な対策を講じるべきではありませんか。お答えください。
 あわせて、全ての住民の安全を守るために、必要な砂防堰堤や擁壁などの整備を計画的に進めるべきです。財源措置の拡充を求めます。お答えください。
 移転する住民への支援強化も重要です。
 現在、特別警戒区域の既存不適格住宅を対象に、移転費や新たな住宅ローンの利子を補給する補助制度がありますが、その実績は十三年間で六十一戸にとどまっています。広島では、特別警戒区域として指定される予定であった地域を超えて被害が広がりました。警戒区域も含めて、安全な場所へ移転したいという住民の思いを支援する施策を抜本的に拡充すべきです。答弁を求めます。
 次に、宅地販売における説明義務についてお聞きします。
 そもそも、危険な場所に住宅を立地させないことがこの度の災害の重要な教訓です。そのために、住宅などを販売する宅建業者に対し、土砂災害など災害の危険を説明するよう法律で義務付けるべきです。警戒区域、特別警戒区域に指定された場合だけでなく、危険箇所として認識されている地域についても説明すること、警戒区域については避難計画の有無や概要なども重要事項として説明することを明確に規定すべきではありませんか。お答えください。
 最後に、山林の管理保全について伺います。
 戦後、杉やヒノキの植林が国策で進められ、根が浅い山林が全国各地に広がりました。その後の木材輸入自由化によって国内の木材需要が減少し、山林が間伐されないまま放置されており、土砂災害や崩落の原因となっています。
 問題は、砂防堰堤や治山ダムなどをどれだけ造っても、山林そのものの再生にはならないということです。土砂災害防止のためにも山林の再生が不可欠であり、そのための施策を抜本的に強化することが必要ではありませんか。農林水産大臣、お答えください。
 そもそも、二〇〇〇年に土砂災害防止法が制定された目的は、土砂災害の危険がある区域を指定し、指定された区域での土地利用の規制と安全な避難体制を確立することにより、国民の生命及び身体を保護するということであります。土砂災害により尊い命が失われる事態を繰り返さないために、これまで述べてきた人材と財源の確保の責任を国が果たし切ることを求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(太田昭宏君) 辰已孝太郎議員の御質問にお答えいたします。
 まず、災害の危険がある地域での開発行為の規制についてお尋ねがございました。
 都市計画法の開発許可制度では、土砂災害特別警戒区域が指定されている場合には、原則として開発行為を許可してはならないこととされています。一方、今回の広島の被災地は、土砂災害防止法が制定される前の昭和四十年、五十年代に開発されたところが多く、また、警戒区域等の指定もされていなかったことから、規制の対象外となっていたと考えます。
 今回の被災を踏まえ、まずは土砂災害警戒区域、特別警戒区域の指定促進が重要と認識しており、本法案において、基礎調査結果の公表の義務化などの措置により、その促進を図ることとしています。さらに、中長期的には、人口減少に対応したコンパクトシティー化を進めていく中で、災害の危険のあるエリアにはできるだけ人が住まないような町づくりを目指してまいります。
 次に、広島市の被災地の安全性の判定についてお尋ねがございました。
 被災地の安全性を判断する上で、特別警戒区域を早期に設定することが重要と考えています。特別警戒区域が指定されれば建築規制や特定開発行為の規制が行われることとなりますが、広島県に対し、その指定のための助言を行っているところです。今後とも、被災地で早期の生活再建が図られるよう支援してまいります。
 次に、基礎調査等を進めるための財政支援についてお尋ねがございました。
 基礎調査の経費については、都道府県に対して防災・安全交付金により支援を行ってまいります。その国費率の引上げについては、現行制度の下で既に基礎調査を完了した自治体とのバランスも踏まえ、慎重に検討する必要があると考えています。
 次に、災害時要援護者関連施設の対策についてお尋ねがございました。
 危険な区域内にあるこのような施設の実態を把握し、対策を講じていくことは重要であると認識しています。このため、災害時要援護者関連施設の立地状況やハード対策の実施状況について、国が都道府県と連携し把握することとしています。また、このような施設への情報伝達方法を定め、警戒避難体制の充実強化を図ってまいります。
 次に、砂防堰堤等の整備に必要な財源措置についてお尋ねがございました。
 砂防堰堤等の整備については、財政制約はありますが、災害時要援護者関連施設を含め、人命を守る効果が高い箇所等の優先順位を付けて、砂防堰堤の整備等を計画的に進められるよう、防災・安全交付金等により支援してまいります。
 次に、移転を促進する施策についてお尋ねがございました。
 がけ地近接等危険住宅移転事業は、これまで累計して約一万八千件という実績がありますが、土砂災害特別警戒区域のものは六十一件にとどまっています。今回の広島県の災害に鑑み、こうした事業が更に進むことが重要と考えており、十分な周知を図ってまいります。
 次に、宅建業者に土砂災害等の危険性の説明を義務付けることについてお尋ねがございました。
 宅地建物取引業法の重要事項説明の対象は、法令上の制限が掛かる区域や法令に基づき指定されている区域などに限定をされています。したがって、御指摘のような、危険箇所として認識されている地域や避難計画の有無、概要などについては重要事項説明の対象とすることになじまないと考えます。しかしながら、不動産の購入者に対し土砂災害の危険性に関する情報を提供することは重要と考えております。
 このため、基礎調査結果が公表された場合には、取引判断に重要な影響を及ぼす事項として、不動産購入者に情報提供をすることが望ましい旨を宅建業者に指導してまいります。(拍手)
   〔国務大臣西川公也君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(西川公也君) 辰已孝太郎議員の御質問にお答えいたします。
 土砂災害を防止するためには山林の再生が不可欠ではないかとのお尋ねがありました。
 最近の山地災害が多発している状況に鑑み、森林の持つ土砂流出の防止などの機能を発揮させるため、適切な森林整備を行っていくことが重要であると認識しております。
 このため、治山施設の整備による崩壊地の復旧に加え、間伐の実施等の健全な森林づくりを通じ、緑の国土強靱化に積極的に努めてまいります。(拍手)
#34
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#35
○議長(山崎正昭君) 日程第一 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長大島九州男君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔大島九州男君登壇、拍手〕
#36
○大島九州男君 ただいま議題となりました法律案について、内閣委員会における審査の経過と結果の御報告を申し上げます。
 本法律案は、国際的な規模で開催される運動競技会の空気銃射撃競技に参加する選手等の競技技術の向上に資する等のため、年少射撃資格者の年齢の要件を緩和するほか、空気銃に係る練習射撃場において射撃練習を行う場合の手続等を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、年少射撃資格者の下限年齢を十歳に引き下げる理由、東日本大震災により猟銃を亡失した者に対するライフル銃の所持許可基準に係る特例の適用、本改正の内容に関する広報啓発の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了した後、各派に属しない議員の山本委員より、十歳に改めることとされる年少射撃資格者の下限年齢について十二歳とする旨の修正案が提出されました。
 次いで、討論に入りましたところ、日本共産党の田村理事より原案に反対、各派に属しない議員の山本委員より原案に反対、修正案に賛成の旨の意見が述べられました。
 次いで、順次採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#37
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#38
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#39
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成            二百十一  
  反対              十六  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#40
○議長(山崎正昭君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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