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2014/06/16 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 厚生労働委員会公聴会 第1号
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2014/06/16 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 厚生労働委員会公聴会 第1号

#1
第186回国会 厚生労働委員会公聴会 第1号
平成二十六年六月十六日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     石田 昌宏君     滝沢  求君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         石井みどり君
    理 事
                高階恵美子君
                西田 昌司君
               三原じゅん子君
                津田弥太郎君
                長沢 広明君
    委 員
                赤石 清美君
                大家 敏志君
                大沼みずほ君
                木村 義雄君
                島村  大君
                滝沢  求君
                武見 敬三君
                羽生田 俊君
                足立 信也君
                相原久美子君
                小西 洋之君
                西村まさみ君
                森本 真治君
                浜田 昌良君
                東   徹君
               薬師寺みちよ君
                山口 和之君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小林  仁君
   公述人
       全国知事会会長
       京都府知事    山田 啓二君
       日本労働組合総
       連合会会長    古賀 伸明君
       昭和大学病院病
       院長       有賀  徹君
       日本ホームヘル
       パー協会会長   因  利恵君
       前防衛医科大学
       校外科学教授   前原 正明君
       全日本民主医療
       機関連合会副会
       長        山田  智君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○地域における医療及び介護の総合的な確保を推
 進するための関係法律の整備等に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(石井みどり君) ただいまから厚生労働委員会公聴会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十三日、石田昌宏君が委員を辞任され、その補欠として滝沢求君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(石井みどり君) 本日は、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、公述人から御意見を伺います。
 まず、二名の公述人から御意見を伺います。
 御出席いただいております公述人は、全国知事会会長・京都府知事山田啓二君及び日本労働組合総連合会会長古賀伸明君でございます。
 この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当公聴会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 公述人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、公述人の皆様からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、公述人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず山田公述人にお願いいたします。山田公述人。
#4
○公述人(山田啓二君) 本日は、こうして参議院厚生労働委員会の皆様に公聴会にお招きいただきまして、改めてお礼を申し上げたいと思います。そして、石井委員長を始め委員の皆様には、本当に我が国の厚生労働施策の推進に多大なる御尽力をいただいておりまして、地方行政を預かっている者の一人として心からお礼を申し上げたいと思います。
 それでは、着席をして公述を開始させていただきたいと思います。
 今日は、お手元に、京都府の方から京都式の地域包括ケアシステムというのをお配りしておりますので、これをまた見ながら話をお聞きいただければ有り難いと思います。
 実は、今回の法案につきましては、全国知事会の方では既に特に異存はないという意見を出させていただいているところであります。その中で、特に医療、介護につきまして都道府県の役割が拡大されている点は、これは積極的に評価をしているところであります。と申しますのは、やはり地域包括ケアについて都道府県というものがもう少し役割を果たさなければいけないのではないかということを私自身も強く感じているからであります。
 お手元に京都式地域包括ケアシステムについてのペーパー、二ページを御覧いただけますでしょうか。高齢化が進んでいるとか地域包括ケアとはというのは、これはもう釈迦に説法でありますから省かさせていただきますけれども、やはり現状はまだまだ医療、介護、福祉、各サービス間の連携が不足をしている。また、サービス情報の収集も困難ですし、リハビリも途切れがちでありまして、地域包括ケアという名前はいいんですけれども、包括されている中身はまだまだばらばらというのが私は現状だと思っております。
 その原因といたしましては、三ページを見ていただくと分かりますけれども、地域包括支援センター自身が人手がない、時間がない。実際問題としまして、全体業務の七割を予防プランの作成に充てている現状でありまして、包括的、継続的なマネジメント業務を、そこまで手が回らないというのが実情であります。
 私どもは、このような課題を克服するために、四ページにありますけれども、京都地域包括ケア推進機構を設置いたしました。この大きな目的といたしましては、こうした地域包括ケアを円滑に行っていくためには、例えば二次医療圏と一次医療圏の連携をどうやっていくのか、それから人材の育成をどうやっていくのか、さらに、情報発信をどうやっていくのか、これを市町村が全てできるだろうか。地域包括ケアの予防プランの作成だけで手いっぱいになっている市町村ではなかなか難しい。この点について、広域的な団体である京都府がもっと積極的に役割を果たすべきではないかということで、全国でも珍しいんですけれども、平成二十三年六月にオール京都体制でこの機構を発足させました。
 中身は、五ページに書いてありますけれども、代表幹事、理事会、構成団体から成っておりまして、代表幹事は、私のほかに京都市長、それから社協の会長と医師会の会長が就く。そして理事には、これは井端さんといって、京都府立医大の元学長さんが就いております。その下に構成団体三十九団体、都道府県において医療、介護、福祉に関係する団体はほとんど網羅されて入っていると思います。産学公が全て入って、弁護士会や行政書士会まで入って、この地域包括ケアを京都全体で推進していこうじゃないかという取組であります。
 具体的な中身は、六ページでありますけれども、先ほど申しましたように、二次医療圏と一次医療圏の連携がうまくいかない中で、在宅療養のあんしん病院登録システムをつくっていく。それから、介護予防につきましても、京都といっても百四十万を超える京都市から千五百人程度の笠置町まで、市町村といっても大変千差万別でありますので、介護予防のプログラム一つを取りましてもなかなかそう簡単なものではありませんので、これについても私どもで提案をしていく。さらには、地域、企業、事業所で高齢者を見守り、情報を発信する企業を認証していく等の活動をしているところであります。
 七ページが、在宅療養のあんしん病院登録システムでありまして、利用者とかかりつけ医とそして拠点病院とを結ぶシステムをつくっているところでありまして、まだ二十四年の一月に開始したばかりでありますので、もう一つこれから増やしていかなきゃならないんですけれども、登録病院、府内病院の九九%であります百三十六の病院が登録されておりまして、現在三万人を目標に、利用者とかかりつけ医とこの病院を結ぶシステムをつくり、その間で連携をしっかりと行うことによって、いつでもかかりつけ医から拠点病院への連携、そして拠点病院から今度は地域に戻るときのまた内容についての報告等が行われていくというシステムを取っているところであります。
 介護予防プログラムの構築プロジェクトの方は、これは府内の高齢者約千名を対象にいたしまして実証研究を行っておりまして、運動ですとか、歯科医師会も入っておりますので口腔ケアを行ったり、栄養・食生活の改善、市民サポーターの養成を組み合わせた総合型の介護予防プログラムを開発しております。これは京都府のちょうど真ん中にあります亀岡市というところで行いまして、ここで五百人の未実施の方とそれから実際これをやった五百人の方とを比べると介護サービスの利用が大幅に減少するという、そういった成果も出ているところでありまして、これを府内に普及していくという役割を今担っているところであります。
 それから、高齢者あんしんサポート企業、高齢者に優しい企業につきましては、現在千五百五十二事業所、六千人近いサポーターの養成を行っているところであります。
 さらに、市町村を支援するということで、介護保険の中の調整交付金を使いまして地域包括ケアの総合交付金を、京都府ではこれを各市町村に交付をしているところでありまして、市町村の方の頑張る取組も応援を行っているところであります。
 今、この地域包括ケアで一番目指しておりますのは、三大プロジェクトと言っておるんですけれども、認知症対策、それからリハビリ対策、そしてみとり対策、この三つを中心に進めております。
 認知症につきましては、二次医療圏ごとに医療センターを設置する京都式オレンジプランによって、初期の対応カフェの設置ですとか集中支援チームをつくる、また啓発ですとか総合センター、相談センターをつくるという形を取っているところでありまして、さらに、リハビリにつきましては、リハビリの教育センターを設置いたしまして、府立医大と連携をいたしまして今リハビリ医の養成に取り組んでいるところであります。
 十四ページは、みとり対策は今進めているところでありますけれども、これから多死社会を迎える、十年間で京都府でも五千人から六千人ぐらいこれから死ぬ方が増えるわけでありまして、その方がどこで亡くなるのかとかいうことがこれから地域にとりましては大変な問題になります。この問題も市町村だけでとても解決できる問題では私はないと思っておりまして、今この地域包括ケアを中心としてこの調整を図っているところであります。
 さらに、市町村の地域包括ケアとこうした地域包括ケアに関わる人たちをネットで結ぶような取組を十五ページで行っているところであります。
 これが大体京都式の地域包括ケア、つまり、都道府県と市町村がしっかりと手を結んで、それによってこの制度をより効果的なものにしていくということをやっております。
 これは、もう一つ流れから申しますと、この間、福祉八法とか福祉六法といったものを中心に市町村にどんどんどんどん権限が渡されまして、役割が渡ってまいりました。それが地方分権であり地方自治ということなんですけれども、ただ、その地方自治、地方分権を言うときに、役割分担論が非常に声高に言われている。私は地方自治、地方分権にずっと携わってきた者として、極度な役割分担論というのは個人主義の世の中をつくるようなもので、個人主義のそれぞれ国と都道府県と市町村をつくってしまっているものだと。
 本来は、機関委任事務に代表されるように、今までの中央集権というのは、国が都道府県に命令をし、都道府県が市町村に命令をしていく。これでは地域の柔軟な住民に密着した行政はできないだろうと。それで、地方分権を進めるときには市町村を中心に、もちろん住民に一番近い基礎的地方公共団体の市町村は頑張るんだけど、そこでできない部分を都道府県が支える、それをできない部分を国が支えるという、主役を変えるような形の制度が必要だというふうに思っています。
 ですから、私は、国保につきましても、これは多分、全国で最初に国民健康保険の都道府県単位で財政的基盤をつくるべきじゃないかと言ったのは私だと思うんですけれども、そういう都道府県が市町村をしっかりと補助していく、支えていくシステムをつくっていかなきゃならない。今回の法案の改正につきましても、そういった点から医療ビジョンとか、また財源措置が講じられるのであれば、私どもはそれをうまく使うことによって市町村をサポートできるのではないかなというふうに感じている次第でありまして、その点からは、私どもとしまして、先ほど異存がないという意見になっているわけであります。
 このほか、医療、介護につきましては、介護予防給付の地域支援事業への移行もございます。それと重点化もありまして、この点についてもちょっと少々触れたいと思いますけれども。
 地域支援事業への移行につきましては、NPO、ボランティアを使う、これはそんな簡単なことではありません。私ども京都府におきましては、ここ五年ほど地域力再生事業というのを行っておりまして、地域におけるNPOですとかボランティア、こうした活動につきまして年間三億円ぐらいの交付金を行っております。
 これは、都道府県が何でそんなことをやるんだと言われたときもあるんですけれども、地域において非常に今頑張っていらっしゃる方がいる、その人たちの力というものが結ばれることによって本当に多くの地域の根本的な行政力を高めていくということがございました。その点から我々やっておりまして、平成二十三年、二十四も高齢者見守りとかそうした活動だけでも五十事業から四十事業に交付金を出して育成をしております。まだそれでもなかなか足りないのが現状でありまして、その点についてはこの法案が施行後にも地域の人材育成についてしっかりとした体制が要ると思います。
 それから、特養入所者の中重度者への重点化でありますけれども、特養の現状から見たらやむを得ない部分があると思いますけれども、認知症等につきまして、本当に要介護度一、二でもどうなのかという問題についてはしっかりとした検討が必要だと思います。
 それから、最後に一つだけ申し上げたいと思います。
 私は、こうしてここに立っておりますけれども、正直言って国、厚生労働省に対しては余り信頼はしておりません。と申しますのは、この間、福祉の制度を、また医療の制度を改正するときに、かなり理念的には正しいことをおっしゃっているんですけれども、現実にやったときには、財政再建の観点から非常に厳しい効率化を課すことによって、最初の基本的理念が飛んで、単なる市町村、都道府県に安物の福祉を押し付けるような状況が生まれてきたということであります。
 それは、障害者自立支援法のときも後期高齢者のときも同じであります。共同作業所に行かれる障害者の方がそこで本当に僅かな手間賃をいただけるよりもたくさんの負担金を作業所が取るだろうというばかげた制度をつくってしまった。このときに、京都府はすぐに補助金、単独で行いまして、国に抗議いたしました。後期高齢者のときも同じであります。財政再建を、これが主張されて福祉が行われるというのは本末転倒であります。
 本来的に言えば、今回も、地域支援事業できちっとしたものがなされれば、そこから要介護度に進む進展も遅れ、介護予防もできるわけでありますから、それによって、本来、医療費が減っていく、介護の保険の全体が減っていくというのが筋でありまして、それまでは時間が掛かる、それまでは経過措置が要る、このことを無視して早急に財政再建的な手法を取れば、私どもは、障害者自立支援法、後期高齢者に続いて同じこと、三度目の抗議をしなきゃいけない。この二度のときも補正予算がたくさん組まれて、結局、財政的な効率化の観点からすればどうだったかなと。
 後期高齢者等について、私は正直言っていい制度になったと思います。これは民主党さんも自民党さんもその後の改正案を知事会に持ってまいりましたけれども、どう見ても今の制度の方がいいというのが地方六団体の意見でありました。それは適正な補正予算がなされたからであります。
 したがいまして、今度が三度目の正直になるのか、同じことを繰り返されるのか、これはやっぱりこの国の福祉にとって大きな分かれ道だと思っておりまして、これをやりますと、もう地方団体は国を全く信頼しなくなります。
 その点から申しまして、是非とも委員の皆様には、制度は基本的なところとしてはある程度でき上がっておりますけれども、運用、財政の面での裏付けがなければ、完全に絵に描いた餅になるどころか、非常に悪いことになると、その点にだけはしっかりと注意をしていただきますことをお願いを申し上げまして、私からの公述とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#5
○委員長(石井みどり君) ありがとうございました。
 次に、古賀公述人にお願いいたします。古賀公述人。
#6
○公述人(古賀伸明君) ありがとうございます。連合の古賀でございます。この度は貴重な発言の機会をいただきまして、感謝申し上げます。
 私たち連合は、働くことで人と人とがつながり、誰もが安心して社会に参加できる、働くことを軸とする安心社会を目指して日々活動を推進しております。この安心社会を実現するためには、これまで高齢期に偏重しがちであった社会保障制度を全世代支援型に転換し、若者や子育て世代、働く世代への社会保障を充実させる必要があることをこれまでも主張してまいりました。
 しかし、その面から、現政権下において検討されている労働者保護ルール改悪は社会保障と税の一体改革の基盤を揺るがすものだと思います。持続可能な社会保障制度は雇用の安定が確保されなければ実現できません。
 例えば、連合が実施した二十歳から四十九歳の男女を対象とした結婚に対するインターネット調査によると、結婚できると思う、それともできないと思うかという設問に対して雇用形態別に比較すると、結婚できると回答する割合は、正規労働者は四〇・五%、非正規労働者では二七%と大きな差が見られました。不安定雇用の増大がこのような将来の希望や人生設計を暗くさせている現実をしっかりと直視しなければなりません。
 持続可能性のある社会の実現に求められていることは、社会保障と税の一体改革の継続、若者を中心とした雇用環境の改善、そして非正規労働者の均等待遇、また短時間労働者の社会保険の適用拡大、ワーク・ライフ・バランス社会への支援、そして子ども・子育て支援の充実などによって現役世代の安心を確保する政策の実行だと思います。その上で、今国会において審議されている医療・介護一括法案について御意見を申し上げます。
 世界に類を見ないスピードで進行する超少子高齢社会にあって安心と信頼の医療と介護を確保するためには、二〇二五年に向けた地域包括ケアシステムの構築が急務です。その実現に向けて、医療提供体制において限られた医療資源を有効かつ効率的に活用していかなければなりません。そのため、診療所も含めた医療機関の役割分担と連携強化につながる改革を進めていく必要があります。その観点から、医療法関係について四点に絞り意見を述べたいと思います。
 第一点は病床機能報告制度についてです。この制度の早期実施と着実な運用を要望いたします。
 この報告制度は、都道府県が各医療機関で行われている医療の内容を把握することを目的としていますが、都道府県による地域医療構想策定の前提条件となるものです。これは、高度急性期医療から在宅医療まで切れ目のない医療サービスを提供する体制を構築するために重要な制度だと考えています。医療機関におかれましても、報告制度の趣旨を十分に理解し、積極的に協力するよう強く要望しておきたいと思います。また、都道府県は患者の適切な医療機関の選択に資するよう、報告で得た情報は分かりやすく住民、国民に公表することが必要だと思います。
 第二に、改革の趣旨に沿った地域医療構想の策定についてです。
 都道府県が病床機能報告制度で得た情報をしっかり分析できるよう、都道府県の体制を強化することが不可欠です。また、構想の策定に当たっては、医療関係者に加え、保険者や被保険者、住民の参加を促進することが必要です。その上で、地域医療構想に沿って機能分化と連携強化、人材確保が着実に推進されるよう、新たな基金の適切な活用をチェックする仕組みの確立を求めたいと思います。そのことが実効性の確保につながっていくと考えます。
 第三に、看護師などの人材確保についてです。
 潜在看護師の発掘とともに、勤務環境改善の取組によって労働時間管理を徹底し、勤務医や看護職員の負担軽減、人材確保、定着へ好循環の仕組みを確立することが必要です。そのため、まず、今回提案されている勤務環境改善支援センターを全ての都道府県に設置するよう要望いたします。同時に、へき地など医療過疎地での人材確保に向けて、施策の具体的なメニューを提示する必要があると考えます。
 第四に、医療事故の調査に関わる仕組みについてです。原因究明と再発防止の取組を全ての医療機関で徹底するよう要望いたします。
 この仕組みは、医療の安全の確保と医療の質の向上に向けて一歩前進と考えております。ただし、今回の届出対象が死亡、死産に限定されたことや遺族が第三者機関に調査を申請する手だてがないことなど、宿題も残されています。このことは、医療事故の裁判を助長するのではなく、患者と医師の信頼関係をより強固にしていくため必要だと考えます。是非、今後の課題として検討していただくことを要望しておきます。
 以上、医療制度改革の実効性を確保する観点から幾つかの要望を申し上げましたが、施策の進捗をしっかりチェックし、目標どおりに進んでいない場合には、例えば二〇一八年度からの第七次医療計画を前に必要な見直しを行うなど、改革の流れを止めない決意で臨んでいただきたいと思います。
 次に、介護保険法改正案についてです。
 要支援者に対する予防給付の一部を地域支援事業へ移行することに関して、二点問題点を指摘したいと思います。
 一点目は、社会保険の根幹に関わる課題についてです。
 介護保険制度は社会保険制度であり、被保険者が保険料を納付し、権利として給付が担保される仕組みです。しかし、今回の改正案は、要支援者の訪問介護と通所介護を第二号被保険者の保険料の一部を使い、新しい地域支援事業に移行し、事業内容を市町村の裁量に委ねるものです。市町村の裁量事業となることは、サービスを受ける権利が保障される社会保険制度の原理を逸脱するものです。
 二点目は、市町村事業の運営とサービス提供の質の問題です。
 市町村事業となることによって、市町村が運営基準や人員基準、単価などについて柔軟に設定し、ボランティアやNPOなど多様な主体による多様なサービスが提供されるとしています。
 これは、全国共通に提供されてきたサービスが自治体の裁量となれば、財政基盤が脆弱な地域では要支援者のサービス水準の切下げやサービスそのものの廃止などによって地域間格差が拡大し、結果として要支援者の切捨てにつながりかねません。
 しかも、事業費の単価は、現行の訪問介護、通所介護の報酬相当以下の単価を設定する仕組みが検討されています。訪問介護は介護福祉士など専門職が担っています。これをボランティアでも可能とすることは、介護の質を低下させるとともに、これまで進めてきた介護職員の処遇改善の流れを後退させかねません。
 高齢者が安心して住み慣れた地域で医療や介護などの必要なサービスが提供される地域包括ケアシステムを構築するためにも、訪問介護、通所介護に際しては現行の介護予防給付を維持すべきで、以上の観点から今回の介護保険法の改正には反対をいたします。
 なお、地域包括ケアシステムの構築に向けて地域包括支援センターの機能強化がうたわれていますが、そのための人的、財政的な支援策を講じる必要があることも付け加えておきます。
 次に、介護労働者の人材確保と処遇改善についてです。
 最近の物価上昇と景気回復の局面にあって雇用及び賃金水準は改善しつつありますが、介護労働は低賃金と厳しい労働環境が続いています。介護事業所では介護人材の不足が深刻化し、新たな施設が開所できない例も出てきています。介護保険制度は人材が確保されなければ成り立ちません。そのためにも、専門職としての社会的地位の向上や処遇改善を進めなければならないと考えます。まずは、これまでの介護職員処遇改善加算の継続などや専門職としての資格職の在り方の検討が必要です。
 二〇一三年の認知症の行方不明者は計一万三百二十二人で、そのうち確認された死亡者は三百八十八人となっていることがこの国会審議で明らかにされました。また、老親の介護のために退職する労働者は年間十万人に上るなど、国民の間に介護の不安が高まっています。このような現状を踏まえれば、専門性を発揮して介護労働者が長く働き続けられる仕組みづくりが我が国の喫緊の課題の一つです。
 政府の産業競争力会議などにおいて、人材不足を理由に外国人技能実習生の対象職種に介護分野を追加することが検討されていますが、足下の問題解決を先送りにして安易に技能実習制度を見直すことについては、連合としては反対であることを表明しておきたいと思います。
 最後に、二〇二五年には団塊の世代が後期高齢者となる中、介護職員は現在よりも百万人程度、看護職員は現在より五十万人程度必要と予測されています。医療や介護制度改革をめぐる課題が山積しているにもかかわらず、十九本の法案を束ねた当法案の審議は拙速です。このような不十分な審議のまま見切り発車となれば、将来に禍根を残すことになります。是非慎重かつ十分な審議が行われることを要望いたしまして、私の意見といたします。
 御清聴、大変ありがとうございました。
#7
○委員長(石井みどり君) ありがとうございました。
 以上で公述人各位の意見の陳述は終わりました。
 これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○大沼みずほ君 自由民主党の大沼みずほです。
 本日は、お忙しい中お越しいただき、ありがとうございます。時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。
 まず、山田知事にお伺いいたしたいと思います。
 京都式地域ケアシステムにおきましては、既に現場の声を反映させた福祉人材の育成、また医師会、弁護士会などとの連携強化がなされており、全国的にも大変参考になることと思います。今後、特に、私も、知事がおっしゃったようにこの財源の問題、カットカットではなくて、どういうふうにしていくんだということを国としてしっかり考えるべきだというお言葉もございましたけれども、国として、都道府県が行っていることの、現場の手助けをできる改革として、例えば今内部留保が二兆円とも言われる社会福祉法人の社会貢献化などが議論されておりますけれども、知事のお考えをお聞きできればと思います。
#9
○公述人(山田啓二君) 財源の問題というのは非常に難しい問題でありまして、社会福祉法人が内部留保がたくさんあるというのは事実かもしれませんけれども、じゃ、それをどうやってもっと積極的に投資できるものに持っていくのかというのが本来のやっぱり在り方だというふうに思っております。まだ、特別養護老人ホーム等、施設は足りておりません。これからの高齢化の進展状況を考えますときに、そうしたものについてやっぱり積極的に歩みを進めていける体制を取っていくということが一番重要じゃないかなというふうに私は考えております。
 ただ、その反面、やっぱり人材不足がありますので、この問題はやっぱり地域におきましてはかなり深刻であります。京都府でも特に中北部は深刻でありまして、こちらの方で人材のマッチングをやりますと、求人は四千人ぐらいあるんですけれども、求職は千三百人ぐらいしか来ません。三分の一ぐらいしかもはや応募がない現状です。こちらの方も待遇改善から幅広い掘り起こしが必要でありますので、こうした問題というものをきちっとやっていくというのはやっぱり本来は国の役目であります。これはやっぱりナショナルミニマムの話でありますから、そこのところで我々は工夫をしますし、知恵も出していきますけれども、その財源的な構成については、本来はやはり税と保険料のところでしっかりと補填をしていくというのが筋道じゃないかなと感じます。
#10
○大沼みずほ君 ありがとうございます。
 次に、古賀会長にお伺いしたいと思います。
 先ほど、働きながら介護をしていくという、この体制の強化も必要であろうというお話でございました。育児休業につきましては国の方も徐々にこれを拡大してきたわけでございますが、介護休業については私自身まだまだ今後の取組が必要だと思います。会長の中で、介護休業の今この取得者も非常に少ない、また給付の額等も育休に比べて少ないという現状があると思いますが、この介護休業の制度について、今後どのような制度にしていったらいいか等、御意見ございましたらお聞かせいただければと思います。
#11
○公述人(古賀伸明君) 先ほど申し述べましたように、現実、介護の離職者がもう年間に十万人を超えるというような実態、これはやはりきちっと私たちはまず認識をしておかなければならないと思います。したがいまして、介護に対する制度をできる限りやはり国の制度として拡充をしていくということが非常に重要でしょうし、介護休業や介護休暇の問題、これを拡充をしていく、これがまず第一であると思います。
 しかし、制度の拡充だけではなくて、やはり介護しながら働く人の悩みとか、あるいは介護しながら働く人の様々な課題とか、そういうものを例えば職場内で、地域でコミュニケーションできるような、そういうソフト面からの充実も非常に望まれているのではないかという気がしてなりません。
 したがいまして、制度面をより充実していくことと、ソフト面も様々な角度から、それは政治だけではなくて、我々労働組合やNPOやボランティアもあるでしょうし、もちろん山田知事のような府や、都道府県もあるでしょうし、そういう取組も私は一方で強化をしなければならないんじゃないかというふうに思います。
 以上でございます。
#12
○大沼みずほ君 ありがとうございます。
 次に、古賀会長からも出されましたが、介護人材百万人これから二〇二五年までに必要と言われております。この処遇改善であるとか有資格者の掘り起こし、また特定介護福祉士制度の創設等、いろいろ議論されているところではありますが、介護分野での外国人研修生の受入れ、これは技能研修制度については反対であるということを古賀会長からもございましたけれども、この技能研修制度に限らず、こういった人材不足に対する取組として外国人研修生なのか、またEPAなどの拡充なのか、そういったことに対して山田知事また古賀会長それぞれからお聞かせいただきたいと思います。
 また、同時に、介護ロボットなどの研究、そういったものへの投資拡大、またそういったことを行っている企業への支援等も必要と考えておりますが、このことについてどうお考えでしょうか。
 この二点、簡潔にお聞かせいただければと思います。
#13
○公述人(山田啓二君) まず、人材不足の問題でありますけれども、基本的に、掘り起こすといっても、掘り起こされる側の事情はかなりやっぱり千差万別だと思います。家事もしなければならない、自分自身も子育てもしなければならない。そうした中で掘り起こして、全てそれがうまくいくわけではないと思いまして、その点からすると多様な働き方、多様な介護の現場に関わるやり方、こうしたものをやっぱり認めていかないと難しい点があるのではないかなというふうに思っておりまして、その点から、今回の法案のそうした多様な主体が関わっていく在り方というのについては、これは市町村も実は期待が大きいというふうに考えております。
 外国人につきましては、問題なのはやっぱり研修生の中身の実態でしょう。本当に、これからそうした日本に来られた方が制度を学び、日本の介護の水準を学び、それを母国に持ち帰っていけるようなものなのか、それとも安上がりの代替を求めてしまうのか。この問題をきちっと根本的に待遇の問題からしっかりとやっていかないと、これは新たな問題を起こしてしまうのではないかなというふうに思っておりますので、私はやっぱり慎重に検討すべき問題であるというふうに考えております。
 ただ、人材不足というのは、本当に今地域においては非常に厳しい現実があるということは申し添えておきます。
#14
○公述人(古賀伸明君) ありがとうございます。
 まず、国は介護労働者を安定的に確保するためのロードマップを示して処遇改善を確実に実行する、そして介護職を専門職とすることによって、その働きがいとか働く地位の向上、介護労働者の賃金、労働条件の向上を図ることがまず必要だというふうに思います。そして、実践的なキャリアアップのための様々な研修等々もやりながら、長期で働くための処遇改善につなげて、介護人材の確保、定着に向けた継続的な取組が必要だと思います。
 外国人の問題は、人手不足を理由にしてすぐに外国人だということであれば、例えば、介護というのは特に、要介護者によって異なる身体的、精神的な状況について、コミュニケーションなどを通じて把握しながら状況に沿った対応を図る等々の非常に複雑な課題もあるわけでございます。
 したがいまして、私どもは、安易に外国人を入れるのではなくて、冒頭申し上げたような介護労働者を安定的にきちっと働いてもらう、そういうシステムをつくることの方がまず先決だと、そのことによって介護労働というものに関する働き手が多くなる、そういうふうに思っています。
 以上です。
#15
○大沼みずほ君 ありがとうございました。
 これで質問を終わります。
#16
○津田弥太郎君 本日は、参議院厚生労働委員会発足以来初めてとなります中央公聴会でございます。このような意義深い場の前半戦に、御多忙の中お二人の公述人に御出席をいただき、貴重な意見を頂戴をしました。心より感謝申し上げたいと思います。
 早速、古賀公述人にお尋ねをいたします。
 民主党政権下で行いました社会保障と税の一体改革におきましては、当時私も政務官を務めていたわけですが、社会保障制度改革と並んで、現役世代を強くするために、ディーセントワークの実現を主要な論点として考えていたわけでございます。
 しかしながら、現在の安倍政権におきましては、これは厚生労働省というよりも、例の産業競争力会議、規制改革会議等の官邸主導の場で労働者保護ルールの改悪が矢継ぎ早に検討されておるわけでございます。これは、長期的に見て、社会保障制度の持続可能性という観点からは大いに問題があるのではないかと考えておるわけでございますが、ナショナルセンター連合の会長としてどのような見解をお持ちでしょうか。
#17
○公述人(古賀伸明君) ありがとうございます。
 おっしゃるように、社会保障と税の一体改革というのは、持続可能な社会保障改革とともに、それを支える分厚い中間層の復活を目標に進められていったと私は認識をしております。しかし、残念ながら、現政権で、先ほどありましたような中間層やあるいはそれを支える人たちに対する労働者保護ルールの改悪や規制緩和が行われている。これについては、その目的に逆行するものだと認識をしています。
 今重要なのは、劣化した雇用の立て直しを我が国の経済社会の再興の中心に据えて、そして中期的にも短期的にもそのことを継続していくことが重要だと思います。そういう意味では、改悪を進めることは日本の社会にとってマイナスであることは明白だと思います。
 社会保障給付の財源の言うまでもなく六割は保険料であり、その多くは労使の保険料が支えています。少子高齢社会を乗り切っていくためには、社会保障を支える現役世代を元気にしていくことが強く求められている、そのように感じます。
 以上です。
#18
○津田弥太郎君 ありがとうございました。
 今回の法案における最も大きな問題として、予防給付のうち訪問介護と通所介護の市町村への移行というものがございます。新たな事業につきましては、公費と一号、二号の保険料が充てられることにより、現行の財源構成の仕組みと変わりませんよと、安心していいですよという厚労省の説明があるわけです。しかし、本当にそうなのか、私は強い危惧を抱いているわけですが、この点、古賀公述人の御見解をお伺いします。
#19
○公述人(古賀伸明君) ありがとうございます。
 新しい総合支援事業は、保険料を納付し、そしてその権利として個人への給付が担保されるという保険給付の仕組みとは異なって、市町村の裁量で決められるものです。先ほど言いましたように、社会保険の給付と違って、市町村事業は被保険者の権利性が全く低くなるのではないかと懸念をいたしております。また、言うまでもなく、四十歳以上の現役労働者は医療保険者を通じて二号保険料を保険者に払っていますが、事業となった場合、その事業の内容に対して意見反映が全く不可能ということになってしまうのではないか。
 いろいろ振り返ってみますと、厚労大臣の答弁としては財源構成は変わらないとしていますが、社会保険制度としての介護保険制度の信頼性を揺るがすものではないか、今後も必要とされる介護保険制度改革や財源の確保にこれから大きな支障が出るのではないかと懸念をしております。
#20
○津田弥太郎君 ありがとうございました。
 次に、医療についてお聞きをしたいと思います。
 都道府県におきましてはこれまでも地域医療計画が策定をされ、医療資源の偏在是正の取組が行われてきたわけですが、効果はまだまだ不十分であると思います。だからこそ、今回、地域医療構想の策定によって医療機関の機能分化と連携の推進を進めようとする提案が行われているわけでございます。
 この点に関する古賀公述人の評価についてお聞かせください。
#21
○公述人(古賀伸明君) ありがとうございます。
 地域医療の確保は、地域で暮らす住民はもちろんのこと、全国津々浦々の全ての働く者にとって切実な問題でございます。医療保険に加入している以上、どこにいても良質な医療を受ける権利があります。
 一方で、私たち連合は、被保険者の立場から、年々増え続ける医療費をどう抑制していくのかという、そのことに対しても強い問題意識を持っています。大都市部を中心に病床が過剰な地域も多くあり、非効率ではないかとの考えもあります。また、県ごとに見ても、病床数は西高東低となっており、病床数と比例して医療費も西高東低となっています。貴重な医療資源をどう適切に配分していくのか、このことが大変重要な課題だと考えています。
 その観点から、したがって、地域医療構想による医療機関の機能分化と連携の推進は評価をしております。是非実効性ある取組の推進を要望しておきます。
 また、九百数億円もの新たな基金がつくられるとのことですが、人材確保や医療機能の分化、医療計画の目標の達成のために使われるべきだということも付け加えておきたいと思います。
 以上でございます。
#22
○津田弥太郎君 次に、山田公述人にお伺いをしたいと思います。
 山田公述人が冒頭申されましたように、本法案の医療分野におきましては、都道府県に対し大変大きな役割が課されることになるわけであります。その評価については、先ほども山田公述人、お述べになりました。
 そこで、二点お伺いをしたいと思います。
 地域医療構想、今回のテーマでございますが、この地域医療構想策定後の医療機関の機能分化と連携の推進に関し、具体的にどのように実効性を確保されていくおつもりか、これが一点でございます。二点目は、特に、公立病院と異なって都道府県の強制権限が及ばない民間病院、ここに対してどのような対応をされていくおつもりであるか。この二点について御意見をお伺いしたいと思います。
#23
○公述人(山田啓二君) まず、機能強化ですけれども、具体的に権限をいただくだけではやはり不足する部分があります。これは全体として、認可権ですとか、さらにデータについてのアクセス権、そして財源、こうしたものが総合的に用意されていかなければならないというふうに思っております。
 今回の法案では新たに基金が設けられますし、一定の権限が与えられると思いますけれども、運用面におきまして、やはり都道府県が全体としてバランスの取れた機能分化ができるような、そうした仕組みについては更に検討が必要であるというふうに考えておりまして、私ども、私立病院の話もございましたけれども、まさにやっぱり地域最適を目指さなければならない者として、私立病院に対してもこれは説得とお話を続けていかなきゃならない立場でしかないと思っておりまして、そうした点からは、やはり裏付けとなる財源、インセンティブ、こうしたものが総体的に与えられることによってより効果的な医療体制にできるのではないかなと思いますので、その点は法案成立後にしっかりとした体制を取っていただくようお願いを申し上げたいと思います。
#24
○津田弥太郎君 ありがとうございました。
 この審議、かなり大詰めになっているとはいえ、まだまだ今公述人がおっしゃったような課題がたくさんあるということでございまして、今後とも、私ども、真摯に議論を続けてまいりたいと思います。
 終わります。
#25
○長沢広明君 公明党の長沢広明です。
 公述人のお二方には、大変お忙しい中、貴重なお時間を割いていただき参議院までお越しをいただきまして、またこうした貴重な御意見を伺いましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。
 少し、前の二人の委員と質問がちょっと重なる部分がありますが、若干違う観点がございますので、あえてまた質問させていただきます。
 一つは山田公述人に、医療提供体制の見直しにおいての都道府県の役割が拡大するということについて、冒頭公述人は、積極的に受け止めると、このように申されておりました。病床機能報告制度、そしてそれを受けてのいわゆる地域の医療構想を策定し、それを実現していく上で、課題が起きた場合どうするかと、先ほど津田委員からも御質問がございました。
 それだけの対応が求められる場面も都道府県に想定をされるわけでありますし、また一方、ちょっと角度を変えると、昨年の国民会議報告書における指摘などを踏まえて、国民健康保険の財政運営の責任主体としてこれを都道府県とするいわゆる国保の都道府県移行の議論というのも行われていると。こういう都道府県の医療における役割というのは大きな変化をして、また注目をされてきていますし、それを支えるには都道府県における人材、人員の確保を含めて、また新たな課題もそこには浮上してくるのではないかと思います。
 そこで、地域において都道府県が本当に主役となっていく、都道府県の役割が拡大していく上において想定される課題、そしてそれに対する国からの支援、求められる支援みたいなものがございますれば、御指摘いただきたいと思います。
#26
○公述人(山田啓二君) 私どもは、現実問題として、今の制度はかなり不幸な状態にあるのではないかということを心配しております。つまり、医療、介護、福祉のどの分野におきましても、市町村はやはり財政的なことを考えていかなければならない。したがって、まさに施設を造るとそこに高齢の方が入ってきて財政的な負担が増える、そうなってまいりますと、造りたがらないという傾向があります。今までこの国を支えてこられた高齢者の皆さんがこれから最期のときを迎えるときに、そこをいろいろ考えていかなければならない市町村がそういう方々を、来ると困るなと思うようなシステムというのは非常に不幸ではないか。国民健康保険も同じだと思います。そうした点から、都道府県というものがもっと一定の役割を果たすことによって本当に幸福な制度をつくっていかなきゃいけないのではないかというのが、私はこれからの在り方としては重要だというふうに思っております。
 そのときに、国からの支援ではなくて、本来国の役割は何かということをやっぱり考えていただきたいと思います。この部分はナショナルミニマムでありますから、国民健康保険のときもそうでありますけれども、財源的な負担の問題について、しっかりとしたやはり国としての役割を果たしていただければ、それで問題はなく我々はやっていけると思います。
 問題なのは、そこの部分が効率化とか合理化の名の下で削られていくことによってしわ寄せが今市町村に来ていて、非常に脆弱な財政構造の市町村では受け切れない部分があるから、ある程度都道府県がその肩代わりをしていかなければならない。しかし、都道府県が肩代わりするにも限界はありますので、しっかりとした役割の中の財政的な位置付けというものを明確にしていただくのがまず第一点であります。
 この問題は、今回の医療や介護の法律についても一緒でありまして、市町村の裁量が増えたから悪くなるとか権利性が守れないということはないと思います。それは、市町村は民主的な制度の中で議会を持ち、そして住民の皆さんからの審判を受けるべく構成がなされておりますので、より柔軟な現実的な対応が本来できるはずであります。それができないとなると、それは元々のその奥にある問題だというふうに考えておりまして、地方分権の観点からも、地方に任せたら悪くなるという発想というのは、私はちょっと正直言って不本意な発想であるなというふうに思っております。
 そうした中で、細かい点を申しますと、例えば地域医療ビジョンにつきまして、医療機関からの報告内容が実態と乖離している場合には、その是正措置はどうなるのかとか、各都道府県が、例えば次期地域医療計画、平成三十年度ですけれども、平成二十七年度以降に都道府県の準備整ったらもっと前倒しはできないかとか、あとは、定性と定量の問題は出てまいりますけど、そのときもやっぱり都道府県の裁量的な実態に応じた形での一定のバッファーですね、こうしたものを設けてもらいたいとか、そういう、より都道府県に対して医療ビジョンについてがんじがらめではなくて、そうした実態に応じて柔軟に対応できるような仕組みをつくっていただければ、ある程度こなせるのではないかなと思っております。
 また、人材育成につきましては大変大きな問題でありまして、我々京都府というのは年間百億出して府立医大というのを運営してまいりました。この点についてもう既に百年以上の歴史を持ってやってまいりましたので、京都府は人口当たりお医者さんが日本で一番という形になっております。
 そこで、二つ申し上げたいのは、それでもまだやっぱり地域間格差が起こる、そのときに、一定のやはり地域における人材対策というものについて都道府県が講じられるような、今回支援センターの話はありますけれども、それを講じていただきたいということと、そうした都道府県の努力というものが反映されるシステムというのをお願いをしたいと。これは、私ども、そういう形で都道府県独自でお医者さんを養成してまいりましたら、京都府は医者の研修生が多いから減らすと言われまして、これでは何のために国から税金ももらわずに京都府の単独費用で医大をつくり上げてきたか分からないという現状もあります。そうした点も配慮いただきたいと思います。
#27
○長沢広明君 大変大事なお話をいただきました。
 財政面のこともそうですけれども、やはり私たちも、制度ができるだけ現場寄りになっていった分、それを利用する人たちの様々なニーズにちゃんと応えられるような柔軟な運用というのは非常に大事だと思っていますので、そこはきちんとチェックをしていきたいというふうに思っております。
 古賀公述人に一点だけお伺いをさせていただきたいと思います。ちょっと時間がなくなって済みません。
 ちょっと先ほどの御質問とも重なるんですが、やはり高齢化が進行していく中で、公述人も指摘をされました、高齢者自身への対応はもちろん、現役世代への支援、これが非常に求められている時代になってきていると、それはもうまさにそのとおりだと思います。公述人も指摘をされた、介護を原因とした離職者の数、これもう十万人という、もう本当に、ある意味では労働力をきちんと確保していくという側面からも看過できない数字でございますし、その背景に何があるかということもきちんと分析をすることが必要だというふうに思います。
 介護休業制度を一層整備をするということも大事だけれども、働く現場からすれば、休業された人の代替要員の確保ということも現実問題として起きてくると。いろんなことが起きてきますが、こういう中で、介護離職を防ぐための方策としてどういうことを考えていくべきだとお思いになるか、また家族介護、家族で介護をする家族介護者の支援について御意見があれば伺いたいと思います。
#28
○公述人(古賀伸明君) 先ほども申し上げましたけれども、まず第一は、介護休暇とか介護休業制度の拡充、あるいは事業者に対する理解の促進、このようなことをやっていかなければならないと思います。
 加えて、どのような介護の状況にあって、あるいはどんな事情を抱えているか、そんなことを情報交換できる場づくりや、おっしゃったように、働き方も変化をしていかなければならないと思います。
 また、家族の負担を減らすためにも、介護サービスを更に拡充する、あるいは担い手である介護労働者を増やしていく。そのためには、先ほど来申し上げておりますように、処遇を改善をする、あるいは介護労働者の専門職としての位置付けを明確にする、そんな幾つかのことを組み合わせてその件については対応をしていく必要があるというふうに思います。
 以上でございます。
#29
○長沢広明君 ありがとうございました。
 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
#30
○東徹君 日本維新の会・結いの党の東徹でございます。
 本日は、大変お忙しいところをお越しいただきましてありがとうございます。
 まず、山田公述人の方からお聞かせいただきたいと思います。
 財政面のことについてのお話がありました。私も京都府の財政状況はよく把握はしておらないんですけれども、都道府県の財政状況も大変厳しい状況だとよく言われておりまして、特に臨時財政対策債、これが非常に増えてきているというふうな現状もあるかと思います。交付税だって、そのまま社会保障費が丸々来ているかどうかというところがあるかと思うんですけれども、その辺のことについての今回の財政面のことについて、もう少し御心配な点をできるだけ分かりやすくお話しいただければというふうに思うんですけれども。
#31
○公述人(山田啓二君) 特に今回の場合には、一番我々気にしておりますのは、地域支援事業に移っていく、そのときに、移ったことについての財源措置、三%か四%なのか、それとも事業全体に見合った形でいくのかというところについてしっかりとしたやはり透明な内容説明があるべきであろうと。特に我々がやっぱり気にしますのは、そのときに、効率化や合理化の名目で今あるものよりも財政が削られるような状況になれば、先ほど言いましたように、これは市町村が悪いというよりは、市町村がそうした水準を落とさざるを得ない状況が生まれてきてしまう、それでは何のことか分からない改正になるでしょうと。
 本来、この改正というのは、やはり地域支援事業を多目的に行って、それぞれの地域の実情に応じたことをやることによって、介護予防や要支援の方が更に効果的になるような形にしていかなければその意味がないわけでありますから、安くするための話ではなくて、それは、安くするのは、そういうことによって健康な人が増えて医療費が減るところで勝負をすべきだと。
 ですから、介護支援や要支援とかの一、二が移ったときに、今まで実は二つあるんですよ。十分に三%使えていないという問題があります。それは人手不足であり、なかなか十分にそういう人たちも育っていないという面。こうした人材育成についてしっかりとしたシステムをつくっていくこと。そしてその上で、そちらの方に対しては必要量についてきちっと補填をしていくこと、この二つがないとこのシステム自身がうまく働かないということを危惧いたします。
#32
○東徹君 ありがとうございます。
 あと、これも山田公述人の方にお聞きしたいんですけれども、国、厚生労働省に対しては余り信頼していないというふうな御意見がありました。となれば、やっぱり自治体で頑張っていくしかないということになるのかなというふうに思っておるんですが、これからのこの超高齢社会を乗り切る都道府県として、京都府の知事としても、是非とも、国、厚生労働省を当てにせずにやっていけることというのを是非お聞かせいただければ有り難いなと思うんですが。
#33
○公述人(山田啓二君) いや、当てにはしているんですよ。当てにはしているんだけれども、その当てはきちっとやってくれない面があるので、そのときに我々はまさに全国知事会として、地方六団体として行動をして、そして国会の皆様にも働きかけて、補正予算をつくっていただき、やっとの思いで自立支援法も、後期高齢者の医療制度も何とか軌道に乗るように努力してきたわけです。その間の手間暇とエネルギーと、そして国の行政に対する不信を考えたら、結局、補正予算組んだわけですから、そんな妙な小細工は厚生労働省はされない方がいいですよと、それの方が地方団体も信頼をして現場もうまくいき、そして国民全体も、医療費もいい方向に行きますよということを申し上げているので、当てにはしていて、三度目の正直でちゃんとやってほしいということを申し上げているわけでありまして、今日はたしか厚生政務官も来られておりますので、少々耳の痛いことを申し上げているかもしれませんけれども。
 ここは、福祉とかこうしたナショナルミニマムの話というのは、都道府県だけでできる、市町村だけでできるものではない、まさに、臨時財政対策債のお話がありましたけれども、あれも本来はきちっと国において財源を確保しなきゃいけないのをみんな先延ばししているだけですから、こうした現状をどうするかということについては、我々も知恵を出す、一定の負担もしなきゃいけない、そして市町村も頑張る、その代わり国も頑張ってもらいたいという中で、みんながハッピーになるような制度にしていただけるように国会議員の皆さん、是非とも、国に対してのまさに意思決定の中核でありますから、その部分を監視していただきたいと。厚生労働省に対して信頼がないといっても国会に対しては信頼がございますから、ここで予算も全ていろいろなものが通っていくわけでありますから、そこのところはお願いをしたいと思います。
#34
○東徹君 ありがとうございます。
 あと山田公述人の方にもう一点お聞きしたいと思うんですが、とはいえ、国の方も非常に財政的に厳しい状況はよくお分かりだろうというふうに思っておるんですけれども、今回でも一割負担が二割負担になったりとか、そしてまた後期高齢者医療も二割負担が一部ですけれども導入されたとか、そういった状況になってきておりますけれども。
 国の方でも非常に財政状況が厳しい中で、そうなってくるとやはり税を上げたりとか社会保険料を上げたりとか、そしてまた本人負担を上げたりとか、そういったことが出てくることになるのかなと思うんですが、それ以外に、やはり全国知事会の会長としても、こういう知恵があるよということがあれば是非教えていただければと思うんですが。
#35
○公述人(山田啓二君) やはり一番私ども言いたいのは、全国一律の制度でやっていくのは非常に無理がありますよと。それぞれ地域においては全く状況が異なっております。これは都会とそして地方では異なっております。
 かつて私は、もうこれは我々言いましたから直りましたけれども、例えば共同作業所の補助要件とか、放課後児童クラブの補助要件なんかが都市部も過疎地も全部、あれたしか三十人か何かで一緒だったわけですよ。田舎の子供三十人と都市部の三十人というのは全く違うわけですね。だから、そうした状況に応じた形で、一律のものを押し付けるのではなくて、やはり地域の裁量の余地を増していく、そしてそれを支援していく形を取らないと、本当の意味での効果的な福祉や行政はできないというふうに思っております。
 ですから、先ほどからちょっと気になりましたのは、我々都道府県や市町村に任せると権利性が確保されないんじゃないかという話については、ちょっと私は、古賀公述人とは少し意見を異にしておりまして、我々の方が本来的にはその状況に合った形でしっかりと守ることができる。ただ、そのためには、財源も含めてきちっとした、そうした地域の実情に応じた地方公共団体の活動をやはり支えていただきたい。
 保育の関係でも、全国一律、例えば面積とか保育士の派遣とかが決められていた。私たちは特区でそれを緩和してくれというお願いをしていたら、全く聞いていただけなかった。ところが、政府においては、保育については横浜市方式がいいという。横浜市というのは認可保育所と認可外保育所の組合せじゃないですか。それだったら、認可保育所を柔軟にするという方がよっぽど私はよかったと思います。
 そうした点について、やはり一番、地方分権、地方自治というものを行っていくことがこれからの高齢者社会において効果的な行政を行う上で私は必要だというふうに考えています。
#36
○東徹君 最後に、古賀公述人に一点お聞きしたいと思います。本当に今日はありがとうございました、貴重なお話をいただきまして。
 介護士の社会的地位の向上ということでお話をいただきました。処遇改善、多分給料を上げなさいということだと思うんですけれども、それ以外に社会的地位の向上で何かあれば是非お話しいただければと思うんですけれども。
#37
○公述人(古賀伸明君) ありがとうございます。
 やはり処遇、物理的な処遇も必要ですけれども、先ほどから繰り返しますように、やっぱり専門職として、例えば資格をきちっと、資格職の形態をもっと明らかにして、やはりその一定の専門的な仕事をしているという、そういうことがやはり、語弊があるかも分かりませんけれども、尊敬の対象になると。そういう介護労働者を増やしていく、そういうシステムをつくり増やしていく、そのことが必要だというふうに思います。
#38
○東徹君 ありがとうございます。
 終わらせていただきます。
#39
○山口和之君 みんなの党の山口和之でございます。
 先ほど来、すばらしい意見をいただきまして、本当にありがとうございます。
 京都式地域包括ケアシステム、以前より京都さんの方ではいろんなチャレンジをされ、あるいは特区申請もたくさんの特区申請されて、それが全国知事会の中で認められて、申請するもなかなか認められずに、敵は国なのかと思うぐらいのいい内容も出ていたんですけれども、全部却下されてきた歴史があります。
 それはさておき、先ほど介護予防、しっかりと予防することで介護費用を削減していくんだよと。もちろん、医療費も全くそこに視点があるんだと思うんですけれども、これは極めて大事なことで、サービスの価格を下げて介護費用を下げていくのではなくて、しっかりとした支援をして、将来的には、最終的には元気でできる限り地域で暮らしていく、そういう体制をつくることで費用を削減していくんだという山田公述人の話は非常に私は感銘を受けます。
 そこで、今まで予防給付の中で成功してこなかった最大の理由は、町づくり、地域づくり、つまり閉じこもりを予防して地域の中で生きがいを持って生活していく、役割を持っていく、出番をつくっていく、そういった形を、どうしてもやっぱり今までおろそかだったんだろうと。介護保険の中で介護保険サービスはたくさん出てきたんだけれども、一番の視点の中で町づくり、地域づくりが欠けてきたんではないかと思います。
 そういった意味で、京都式においては総合力で地域をつくってきました。ところが、今お話聞くと、四十から五十近い事業交付金を出しながらも、なかなか地域がつくるのが難しいというお話がありました。これ全国で普及させるなんというのは至難の業だと思いますけれども、何か御意見はありますか。
#40
○公述人(山田啓二君) 今までのやり方はやっぱり市町村の方にかなり丸投げになっていたんではないか。人材の育成なんかになりますと、正直言って、政令指定都市のような大きなところではできると思うんですけれども、過疎、高齢化の進んだ市町村で、じゃ、人材の育成、予防からそのシステムまで講じるというのはなかなか難しい現状があります。
 したがいまして、私どもとしまして、この地域包括ケア京都式におきましては、まさに市町村も入ってくる、そして医科系の大学も京都大学の医学部も入ってくる、それから各団体も入ってくる、そういうところで総合的な力をつくっていくことによって今までできなかった部分に対応しようという試みをしているところでありまして、多分、私はやっぱり都道府県の役割というのは、そうした広域的な地方公共団体の都道府県の役割はそういうところにあるんじゃないか。今まではどちらかというと道路とか産業基盤の方に都道府県はあったんですけれども、やはり福祉基盤という点についてもう少し都道府県というものがかみ込んでいく必要があるのではないか。これは国民健康保険でも全く同じだというふうに思って、私どもはそういう主張をさせていただいたところでありまして、そういう広域的な、やっぱり高齢化というもの、それからまた医療自身が高度化していく中で、二次医療圏、三次医療圏という中で初めて動いていくということを考えた場合に、そうした中でのやはり医療、介護、福祉の制度の見直しということがないと絵に描いた餅になるのではないかということを危惧しているところでありますし、その点におきまして、地域医療ビジョンを中心として新たに都道府県に財源措置が講じられると。
 本当に、基本的な方向としては、私は是認できる方向だと思っておりますので、あとは厚生労働省が本当に財務省に負けずに頑張っていただければ有り難いと思います。
#41
○山口和之君 ありがとうございます。
 たくさんの試みをされてきた中で、要支援のサービスを、つまり訪問介護、通所介護を予防給付から外して地域支援事業にやることの意義はあると思われますでしょうか。
#42
○公述人(山田啓二君) 多分、市町村によってこれは全然違うわけですね。あるところへ行きますと、もう社協の方が徹底的に委託を受けて、地域の健康を守り、そうした制度を構築している市町村もあります。そういったところでは医療費も非常にうまくいっている現実の例があります。片方では、人材が不足をしていてなかなかうまくいかないという市町村もあります。
 しかし、今回、私ども、市長会や町村会にもそういった話を尋ねてみますと、今のままではやっぱり出口が見えない、今回の制度というのは、ある点で総合化することによってこちらの方でいろいろと工夫もできるし、出口の方についての明かりが少し見えたというところが意見としてあります。ですから、どちらかというと、積極的な賛成というよりは、消極的な方向としてはこうした形で頑張っていかざるを得ないというのが多分地方公共団体の大きな意見ではないかなというふうに思います。
#43
○山口和之君 要となるところなんですけれども、今まで十分機能してこなかった、ここは自分としてはとっても大事なところだと思うのは、地域包括支援センター、この役割が本来町づくりの要になるところだと思っているんですけれども、今まで全国そんなにうまくいっていなかった。それは予防給付で忙しかったという話だったんですが、それを分かっていながら全国でなかなかいかなかった理由は何だったんでしょう。
#44
○公述人(山田啓二君) ですから、それは私がなぜ地域包括ケアシステムをつくったかということですね、京都地域包括推進機構をつくったか。とてもそのまま市町村で全部の、一次医療圏、二次医療圏の連携から、また人材育成から、そして町づくりから、とてもできない。その部分の広域的な部分を都道府県がある程度担うことによって、地域包括支援センターが本来の業務にできるだけ専念できるようにしていきたいという思いがあったわけであります。
 まだまだつくったばっかりで十分できていないと思いますけれども、そうした方向というのはこれから一つの大切な方向として私は進めていくべきじゃないかなというふうに思っています。
#45
○山口和之君 古賀公述人にお聞きしたいんですけれども、先ほど来出ています介護職のブランドなんですけれども、例えば今までは予防給付の中で、訪問あるいは通所の中で、正直言って専門職じゃなくてもできるところがあるだろうということは確かにあると思うんです。先ほど古賀公述人の方が言われましたけれども、階層をしっかりして、プロフェッションとしてやれる場所、あるいはここは正直言って地域で支え合っても、いわゆる互助でやってもいいんじゃないかと。
 何でもかんでもやってしまうと、逆に給料を上げられないし、ブランドをつくるとか質をつくるというのは非常に難しくなるんじゃないかなと思うんですけれども、御意見をいただきたいんですが。
#46
○公述人(古賀伸明君) 確かに、今おっしゃるように、仕事の階層とか仕事の種類というのがあると思うんですよね。ただ、最初の公述で申し上げましたように、それそのものを例えば地域の支援事業にしてしまってということになれば、非常にやっぱりばらつきが出てくる可能性があるということを非常に危惧をしております。
 そういう意味では、介護職の先ほど言いましたように育成のロードマップみたいなものをきちっとやっぱり国がつくって、そして、この仕事に対してはこういう価値がある、この仕事に対してはこういう価値があるということをまずつくって整理をし、それに対する育成を、育成と処遇との関係も含めてやっていけば、今おっしゃるような課題は解決するのではないかというふうに思います。
#47
○山口和之君 大賛成です。しっかりと階層をつくって、試験をして、担保をして、その分野は負けない仕事であるということをプライドを持って仕事を続ける。そうしないと、介護職になり手になろうとする人がどれだけいるかということです。どうでもいいけれども、ここしか仕事が空いていませんということで働く場所ではないと思います。自立を支援していくこと、将来に安心して暮らせるようにすること、そのためには質の高い介護はもう当たり前のことなんだという社会につくっていかなきゃいけないと思いますので、大賛成です。
 一つ古賀公述人さんにお聞きしたいんですけれども、前期高齢者の介護の原因の第一位、脳卒中、あるいはロコモティブシンドローム等々、あるいは廃用というふうに考えてきたときに、これはもう六十五歳からやるんではなくて、働いている段階からしっかり健康管理をしていかなきゃいけないと思うんですけれども、健康日本21、鳴り物入りでデビューしたんですけれども、そんなでもないと。そこについて御意見をいただきたいんですが。
#48
○公述人(古賀伸明君) ありがとうございます。
 おっしゃるとおり予防というものが非常に重要であって、予防ということにきちっと力を入れた地域については医療費もそんなに掛からないとか、介護費用もそんなに掛からないという、そういう実態は全国でも幾つかあるわけですよね。
 そういう意味では、私たちそれぞれの団体が、我々は、働く者の仲間としての団体がそのことに対して運動を起こしていく、政治ももう少し強いリーダーシップを発揮する、あるいは地域でもそんな運動を起こしていくということによって、健康に対する予防ということ、これを非常に主眼とした、これからとりわけ高齢社会になれば重要だと思いますし、我々の運動としてもそれを大きな柱にしていきたいというふうに思っております。
 以上です。
#49
○山口和之君 大変なときこそ大きく変わるとき、皆さんと一緒に頑張っていきたいなと思います。どうぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#50
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 両公述人、ありがとうございました。
 古賀公述人にお伺いしたいと思うんですが、先ほどの介護保険制度改定についての御意見、大変共感しながら聞いておりました。やはり、保険料と給付という関係でいうと、保険料を納付する、それに対して個人の給付が担保される、このことによって権利性がやっぱり保障されていると私は思うし、もちろん自治体の事業であってもそれは住民の権利は保障されなければいけないと思いますが、より制度としてきちっと権利性を保障されている。ところが、今度、保険から外してしまうわけですね。
 特に二号の保険料、連合との関係でいえば大事な問題だと思うんですが、これが結局、ある意味では保険給付以外に流用されてしまうということに、流用が拡大するということになっていくわけで、このことに現役労働者、被保険者の皆さんの理解、納得が得られるというふうにお考えでしょうか。
#51
○公述人(古賀伸明君) 先ほど公述でも申し上げましたように、我々は、今おっしゃったようなそういう状況があるので、この介護保険法の改正については反対であるという立場を冒頭申し上げたということでございます。やはり、保険という性格上、そこには原則があってしかるべきだと思います。
 繰り返しますけれども、保険料を納付すればそれがきちっと担保される、個人への給付が担保されるというそういう仕組みがちゃんと整って初めて保険制度と言えるものであって、今回の、したがって、新しい総合支援事業の財源にその保険料が行くということは、その性格、社会保険制度としての性格を逸脱するものではないかというふうに私は思っております。
 以上です。
#52
○小池晃君 ありがとうございます。私も全く同感であります。
 それから、財源保障の問題なんですが、制度移行当初はその水準は確保するというふうに厚労省は今言っているんですが、その後は今までの伸びを後期高齢者の数の伸びに抑制をするというふうに言っておるわけですね。そうすると、結局、給付水準がこれから先低下していく、サービスの質と量が低下していくことが懸念されるんですが、この点はいかがでしょうか。
#53
○公述人(古賀伸明君) 私どもも同様の考えを持っております。現在の移行段階では財源の比率は変えないということでございますけれども、高齢者がこれから増えるに従って、結局、その財源が少なくなってしまうんではないかという危惧をしているところでございます。
 先ほどの議論でもございましたように、要支援の人こそきちっと支援をして要介護にならないような予防をすることこそが全体の社会にとっても非常に重要である、その観点からすれば、要支援の方に対するそのような対応というのは、マクロで見ても中長期的に見ても私はおかしいんではないかというふうに思っております。
#54
○小池晃君 山田公述人にお伺いしたいと思うんですが、先ほど公述人はこの今回の政府提案全体を是認されるという立場でした。同時に、財政再建的な手法には危惧を持っていると。その例として、自立支援法やあるいは後期高齢者医療制度を挙げられました。そういう点でいいますと、今私が古賀公述人とお話ししたように、今回の地域支援事業というのは、この運用いかんによっては非常にサービスの低下、財政削減的手法に使われる危険性、私は十分あるんではないかなと。
 例えば、現状の水準から伸び率と言うけれども、現状の水準も自治体によってかなり違うわけですね。かなり高い到達点でやっている自治体もあれば、そうでないところもあると。それをどうするんですかというふうに厚労省に聞くと、それはバッファーを置きますとかいろいろ言うんですよ。結局、かなりさじ加減で抑制的な方向に働いていくような制度になるんではないかということを危惧するわけですけれども、そういった点についてはどうお考えでしょうか。
#55
○公述人(山田啓二君) ですから、障害者自立支援法も後期高齢者医療制度も、そうした財政再建的なところが出てきた瞬間に私たち地方六団体は一致して結束して立ち上がって、そして多くの方々も立ち上がっていただきまして、補正予算を組んでいただきまして、その数は数千億円に上って、今は制度としては安定化してきております。
 ですから、制度自身が悪いというよりは、その後、厚生労働省、私、信頼していないといっても信頼している部分もありますので、要するにいろいろな圧力の中でなかなか厳しい点がある。本来は、私たち地方団体と厚生労働省、タッグを組んでやっていかなきゃならない部分がありますので、それをもう二度いろいろ勉強されたんだから今回三度目はそれはないでしょうと、そこをやっていただかなきゃ困りますよ、そうでなければ本当の意味でいい福祉の行政はできないということでありますし、やはりある程度、市町村が置かれている実情が非常に異なります、人材面でも様々な面でも異なっている、社会環境も異なっている、そのときに一律の形で物事を進めていくのは限界にかなり来ているんじゃないかというのが、これは地方公共団体側の共通した思いであるということは御理解いただきたいなというふうに思います。
#56
○小池晃君 私は、二度あることは三度あるということを思いますが、そうならないように本当に願いますが。
 最後に、古賀公述人にもう一問お伺いしたいのは、最近のちょっと厚生労働省の様々な、あるいは安倍政権と言ってもいいのかもしれませんが、政治手法といいますか、特に労働者派遣法あるいは今議論されている残業代ゼロ法案、政府の規制改革会議なり産業競争力会議という公労使三者構成ではないところで、首相も関与する形で大きな政策決定が行われてしまう。そして、労働者派遣法についていえば、労政審に派遣業界の代表をオブザーバー参加させる。やはり、ILOの大原則である公労使三者原則、これを実際に実行しないような形で労働者の命綱であるいろんな法令もつくっていくと、こういう非常に乱暴な今の安倍政権のやり方、この点についてどうお考えか、最後にお聞きをしたいというふうに思います。
#57
○公述人(古賀伸明君) 日本の社会や経済を持続可能性あるものにするためには、五千万人とも六千万人とも言われる雇用労働者が雇用不安を解消をして、そして将来共に安心して働き続けられる、そんな環境をつくることが第一義であるというふうに思っております。そういう意味では、現在行われているまさに雇用分野や労働分野の規制緩和、我々の言葉で言いますと労働者保護ルールの改悪については、とんでもないことだというふうに思っております。
 しかも、今御質問にございましたように、国際労働機関、ILOは、労働政策については三者構成主義という原則があるにもかかわらず、労働者の代表が一人もいないところで労働政策が議論をされ、そして方向付けされている、このことについては私たちも非常な憤りを感じているということでございます。
 以上です。
#58
○小池晃君 ありがとうございました。
 古賀会長が、働く者の犠牲の上に立つ成長戦略は許されないと、人は商品ではないというふうに主張されております。まさにそのとおりだというふうに思いますし、この厚生労働委員会ではそういう立場でやはり社会保障制度も労働政策もしっかり議論していきたいというふうに思っておりますし、十九本の法律をというお話が冒頭ございました。やっぱり拙速な審議は許されないと思っていますので、徹底的な審議を求めていきたいというふうに思っております。
 ありがとうございました。
#59
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は、両公述人、本当にありがとうございます。
 厚労省は、「中長期的には費用の伸びが、効率的なサービス提供を通じて、後期高齢者の伸び(三〜四%)程度となることを目安として努力」と。やはり、今回の医療と介護の改正法案が費用抑制の観点から言われているのは極めて問題ではないかというふうに思っております。それに対して今日、山田公述人が警鐘乱打を鳴らしていらっしゃる図というふうに思って、私たちも費用抑制の観点からのやり方には大反対をしていきたいというふうに思っております。
 ところで、この委員会を通じて私が非常にショックを受けたのは、厚労省から資料が出まして、要支援一、二の通所サービスと訪問サービスを、二〇二五年の段階で専門的サービスと多様なサービスと半分程度になるという予測が出ました。ということは、要支援一、二の訪問サービスと通所サービスは余り今から増やさずに、むしろ専門的サービスではなく、多様なサービス、NGO、NPOにもう任してしまうというのがはっきり出たわけです。
 古賀公述人にお聞きをいたします。今日も権利として選べるサービスというか権利性ということをとても強調していらっしゃいますが、私はNPO、NGOはとても重要な役割を果たしていると思いますが、専門的サービスが二〇二五年にはこの分野では半分しかやりませんよとなれば十分なサービスが受けられなくなると思いますが、いかがでしょうか。
#60
○公述人(古賀伸明君) NPO、NGOもそれぞれの立場で非常に活躍をしておられますし、公共部門を担う一つの組織として私は非常に重要だというふうに思います。
 しかし、事この種のことに至っては、例えばボランティアは、あるいはNPO等々のボランティアは最低賃金の適用もない、そして労働災害の対象にもならない、仮に従業中に事故が起こった場合の責任の主体はどこなのかとか、あるいは感染症対策を含めた健康管理や労働安全衛生など、こんなことにも懸念があるわけでございます。
 そういう意味では、私は何度も繰り返しますけれども、介護保険という保険制度の中できちっとやっていくシステムであれば、この種のこととごちゃ混ぜに混同して議論すべきではないというふうに思います。
 以上です。
#61
○福島みずほ君 NPOやNGOの活用ということが強調されると、私は、現状でも労働条件が悪い介護労働者の労働条件が更に引き下げられる、あるいは今、技能実習生などを導入しようという話などが出ておりますが、より介護労働者の労働条件が低下すると、この点は大問題ではないかと思いますが、古賀公述人、いかがでしょうか。
#62
○公述人(古賀伸明君) ありがとうございます。
 私もそのとおりだと思います。先ほど言ったような状況の中で、まさに最低賃金以下とか、あるいはそういうことになりますと、大変なことになる。ということは、せっかく介護労働者の処遇改善ということに取り組んできた、そのことがもうストップしてしまうのではないかという懸念も非常に大きく持っていることをお伝えしておきたいと思います。
#63
○福島みずほ君 今日は山田公述人に京都の中での本当に先進的な、あるいは極めて意欲的なお話を聞くことができて、大変参考になりました。
 ただ、山田知事のような知事ばかりではなく、また財政も極めて弱い自治体、市町村もあるわけで、自治体間格差が拡大していくのではないか、連合の方からもこの自治体間格差が拡大する問題という指摘がされております。
 さっきもちょっと出ましたが、二号被保険者は全国一律にお金を保険料として取られていると。しかし、今回、今度地域移管されると、そこで格差などが生じて不公平ではないか、あるいは自治体の中における体力や財政力あるいは社会保障にどれだけ入れるかは全く千差万別なので、地域間格差、自治体間格差が拡大するのではないかという点について、古賀公述人、いかがでしょうか。
#64
○公述人(古賀伸明君) 私も全くそう思います。
 地方自治体それぞれの自治体があるわけで、まさに市町村ということになれば人口から財源から全く違うような、様々な全国あるわけで。
 私は、地方分権そのものを否定はいたしません。しかし、事この種の保険あるいは介護という観点に立っては、絶対にその自治体ごとに、あるいは市町村ごとにばらつきがあってはならないというふうに思っております。そういう意味では、ばらつきが出るということに対して非常に大きな懸念を持っているということでございます。
 以上です。
#65
○福島みずほ君 山田公述人にお聞きをいたします。
 今回の改正法案は、都道府県知事の役割が極めて大きく、ある意味、厚労省がビジョンをつくって、それを、まあ悪い言い方すると地域に丸投げして、都道府県知事が予測のビジョンをつくって、そして基金をどう分配するかを考え、そしてという、こういうプログラムになっております。
 都道府県知事が、例えば病院の廃院などについての助言に従わない場合は廃院することができるという極めて強い権限を持っている。そして、市町村もかなりばらばらだと思うんですが、こういうやり方というのは、うまくいったらうまくいくが、一歩間違えると問題が生ずるというふうにも思うのですが、いかがでしょうか。
#66
○公述人(山田啓二君) まあ、国がやったらうまくいくということでもないと思いますね。
 それは、その手続、デュープロセスをどれだけ明らかにしてしっかりとした工程を作るかという問題であって、国がやったらうまくいく、都道府県がやったらどうなる、市町村がやったらばらつきが出るというものではなくて、そこは制度設計の問題と、そしてその工程をどれだけ明らかにしていくかという中で本来やっていかなければならないもの。つまり、例えば地域支援事業についても、これは、どれだけ地域に多様な人材がいるかということは、国は分からないわけです。分かっているのは市町村であり都道府県です。ですから、そうした状況に応じた形で、その地域に合った介護であり予防でありができるという方向が正しいことは私は間違いないと思います。
 ただ、そのとき、私は、先ほどから委員御指摘のように警鐘乱打を鳴らしておりますのは、それが財政再建的な目的で安物の福祉をつくるためのものであるならば、それはそうした地域の資源を生かす方向とは全く違いますよということで、それでは本当の意味での正しい方向ではないということを申し上げているわけであります。
#67
○福島みずほ君 私も、この間の安倍内閣あるいは厚生労働省における混合診療導入についての意欲的な発言や労働法制における規制緩和、とりわけ今国会には労働者派遣法の改正法案が出ております。
 そのことについての、古賀公述人、労働者派遣法の今回の改正法案についてどう思われるか、それからホワイトカラーエグゼンプションや限定正社員の容認などについてどう思われるか、混合診療の導入などについてどう思われるか、よろしくお願いいたします。
#68
○公述人(古賀伸明君) 今国会にかかっております労働者派遣法、私どもは改悪だというふうに思っております。派遣労働というのは、あくまでも臨時的、一時的なものでございまして、そのことをも今回の法案は全てなくして、生涯派遣社員のままで働くことができる制度をつくろうとしております。また、私ども、審議会の中で強く要望いたしました均等待遇についても全く法案の中で触れられておりません。我々は、是非皆さん方、深掘りした議論をしていただいて、今の派遣労働者の実態が本当にどうなのかということ、そのことをより検討、論議をいただきたいというふうに思います。
 加えまして、ホワイトカラーエグゼンプションは、残業代ゼロよりも今過労死ゼロを目指す、そんな政治を行うべきだと思っています。非正規労働者は四割弱になり、そして年収二百万以下の層が一千百万人に迫る勢いでございます。まさに日本の労働の現場、非常に荒れております。フルタイムの労働者も労働時間は二千時間を超え、そのことがずっと定常化をしております。過労死は百人を超え、最悪を記録し続ける。まさにこういう実態の中で、労働時間規制を適用除外にするということそのものが私は全く理解できません。むしろ、労働時間の上限をきちっと規制をする、あるいはインターバル規制という方を取る、そして休日を、有給休暇等々も含めて休日もきちっと取る、そんな方向こそ、政治、国が目指すべきだというふうに思います。
 加えて、限定正社員であるとか、そのことについても、何か働かせる側からの理論だけで、働く現場とか、働く側からの意思が全く通用しないような、そんなことは極めて乱暴だと思います。
 混合診療についても、我々は、全面解禁については反対という立場でございます。
 やはり医療、あるいはこの介護もそうですけれども、みんなが平等にきちっと受けられる、その制度こそが必要であるということで、そういう見解を持っております。
 以上でございます。
#69
○福島みずほ君 時間ですので。
 本当にどうもありがとうございました。
#70
○委員長(石井みどり君) 以上で二名の公述人に対する質疑は終了いたしました。
 公述人の方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#71
○委員長(石井みどり君) 速記を起こしてください。
    ─────────────
#72
○委員長(石井みどり君) 次に、四名の公述人から御意見を伺います。
 御出席いただいております公述人は、昭和大学病院病院長有賀徹君、日本ホームヘルパー協会会長因利恵君、前防衛医科大学校外科学教授前原正明君及び全日本民主医療機関連合会副会長山田智君でございます。
 この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当公聴会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 公述人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、公述人の皆様からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、公述人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず有賀公述人にお願いいたします。有賀公述人。
#73
○公述人(有賀徹君) 昭和大学病院の病院長をやっております有賀と申します。本日は、このような席にお招きいただきまして、どうもありがとうございます。
 私の発表については、今回の法案の中にございます医療事故の調査に関する件がございますので、全国医学部長病院長会議の中にあります大学病院の医療事故対策委員会の委員長としての立場から少しく意見を述べたいと思います。
 私の用意しました資料は、お手元にあります一つ目のものと、それから二つ目、チーム医療についてという、この二つが用意したものであります。
 最初の「死因究明に向けての動向に鑑みて」という、全国医学部長病院長会議の五月の半ばに行われました理事会並びに総会でメッセージとして公的に認められましたものについて説明したいと思います。
 この「動向に鑑みて」については、大きな一番と二番、それから次のページに三番それから四番、それから最後に五番、三ページの図とその図の理解を深めるためにというのがあります。
   〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕
 一番のものは基本的な見解ということでありまして、現在ここで議論されておりますように、法としての、つまり要するに、院内における事故調査を基本にして、最初のパラグラフでありますが、民間の第三者機関と当該の医療機関ないし関連諸団体とが連携する社会的な仕組みを法的に構築するというふうなことが進められております。ここには新年度からと書いてありますが、同時進行で、厚生労働省の研究課題ということで研究班が組織されております。それは、診療行為に関連した死亡の調査の手法に関する研究と称するものでありまして、いずれガイドラインというふうな形でもって法の実際問題的なところを議論するんだろうというふうに考えてございます。
 そういうふうな現状に鑑みて、私たち医学部長病院長会議は、その一番の一番最後のところにございますが、医療現場において診療の質を一層改善できることに資するものとすべきであるというふうなことでこのメッセージを物しております。
 その理由は、その下に本質的な問題と書いてございます。このような死因究明に係る一連の動向について大変な実は懸念があります。それは、死因の究明に基づく病院の中のシステムの是正、すなわち診療プロセスの改善などを通して医療の質を向上させようとする私たちの基本的な考え方と、医療過誤を犯したとして医療者を罰しようとする意図とが相対峙しているという問題であります。
 そもそも私たち医療者というのは、いかな事例が起こったとしましても、医療の質の向上を真摯に思っておりますので、自らの関与した事実関係やいろんな意見について素直に述べているわけであります。ですから、罰する仕組みがもしあるとすれば、そのような中で自分のことについて意見、経験を素直に述べるというふうなことは多分ないだろうと。
 したがって、そういうふうな仕組みができた暁には、医療そのものはいわゆる萎縮医療、要するに、よく医療崩壊のときに立ち去り型サボタージュというふうなことが言われましたけれども、同じように、積極的に関わることをやめてしまえというふうな、そういうふうな医療が展開することについても十分に想像され、懸念されている次第であります。ですから、そういうふうなことがないようにどう考えるのかということであります。
 その次のページにございますが、三番目として問題の克服とあります。
 これは、新しい仕組みができた暁に医療者を罰するというふうなことがあってはならないだろうという考え方から、根本的な問題についての克服をどう考えるのかというところで、議論の大きいところではないかなと想像します。
 上記の問題、つまり、そのような困ったことが起こり得るというふうなことについては、医療機関が作成するであろう診療関連死の死因究明に関する報告書の取扱いの問題でもあります。したがって、法案には報告するとありますが、ここでは報告の意義を考察してみたいと思います。
 まず、私たちが死亡事例に遭遇した場合に、御遺族らに主治医は経過などについて説明をしなくてはいけません。このことは、主治医が診療の開始からずっと続けてきた多くの説明に、更に死因の究明後においても説明を加えて、ある意味、診療のけじめを付けるというふうなことでもあります。したがって、主治医は、それまでと同じように、診療録に記載したり、図などに示して手渡したりいたします。御遺族らへの報告についての基本はこのとおりであります。したがって、診療録は求めがあれば開示できるので、報告の記載内容については文書として得ることができます。したがって、今後、民間の第三者機関に対して提出する可能性のある報告書については、私たち医学部長病院長会議としては、多くの議論があるでしょうけれども、まずは診療録への記載というものが第一歩でしょうというふうに考えてございます。
   〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕
 遺族への説明について、次のパラグラフですが、診療録への記載を行うことと、この部分を院内事故調査委員会で利用したり第三者機関に提出する書類で活用したりというふうなことについてはまず問題がないと考えます。しかし、院内のシステムの改善、患者さんないし御家族に直接的には関係ないかもしれない院内のシステムの改善など多岐にわたることを考慮したときには、全てが診療録への記載になじむものでは必ずしもないというふうなことも確かです。したがって、報告書の作成については、本質的な問題としての議論と不可分でありますし、今後、ガイドラインの作成などにおいても是非とも丁寧な議論が求められるということであります。
 これは、最後にまた図の説明を申し上げますので、そこで説明をしたいとは思いますが、ちょっとその三ページの図を見ていただきたいと思います。
 その上に、ちょっとパワーポイントから写した図なのでちょっと字がふにゃふにゃしておりますが、有害事象が発生して主治医らが説明を申し上げる、そして御家族の承諾があれば病理解剖する、などがここに書いてございます。死亡診断書を作成するなどの基本的な手続いろいろありますが、その次に、院内の事故調査委員会を行った場合に、報告(方法未定)と書いてあります。平成二十五年の同じ頃に理事会、総会をやった頃には、この部分は報告書の作成になってございました。報告書の作成になっていましたが、今回は報告、方法未定としてございます。その次に、後日、院内事故調査の報告に基づいて主治医らから御家族へ説明すると。その場合に、その升のまた右側に、院外事故調査委員会の報告(方法未定)と書いてございます。
 ですから、この報告書の問題は、医療者を罰するというふうな別のディメンジョンが入り込む余地を十分に考えますので、今のところ、報告するとして方法未定としてございます。
 また二ページの下の大きい四番に戻ってください。いずれの診療関連死についても、剖検所見を得ることができる体制が求められる。これはモデル事業でも行われてきましたので先生方もお分かりだと思いますが、剖検所見を得る体制が求められると思います。
 ここで都道府県医師会と地域の大学医学部及び附属病院とは相互に密な連携、協力が不可欠であります。もちろん、院内でのインシデントやアクシデントレポートが日常的に提出されて、それらを基に不断に質向上への院内における取組がなされるように、そのような面での地域の大学医学部及び附属病院からの支援の在り方もいずれ練っていかなければならないと思っております。医療の質を向上させることを目的に社会的な様々な機能が相互に調和、連携することが望まれます。
 ということで、全国医学部長病院長会議は、各地の大学医学部及び附属病院と各都道府県医師会とが、上記の支援の在り方や剖検所見を得ることなどについて、より具体的で有機的な連携を構築するよう切に望む次第であるとしております。
 その次の三ページのところで、付加的な説明を申し上げたいと思います。
 この上の図の理解を深めるために、まず一として、これは先ほど来申し上げているように、医療者として主軸をなすべきは院内事故調査委員会であると考えます。本文にあるように、報告書の在り方については丁寧な議論が必要だと考えます。
 次に、二番目でありますが、これもある意味ナイーブではございますが、重要でございます。つまり、仕組みの目的は医療者をとがめることではなくて、あくまでも死因の究明によって医療の質を向上させることであります。ですから、したがって、今回のガイドライン、つまり法律となったときにそれを運用するに当たっては、医療者が病院として院外の事故調査委員会に申請できて、患者又は患者の御家族のみが申請する、この赤丸のところですが、そこはしてはいけないというふうに医学部長病院長会議では考えております。それでもどうしても患者や御家族が不服があるんだというふうなことであれば、それはもう医療の範囲の外でございますので、民事訴訟などが本筋となると考えております。
 三番目、患者、医療者などの匿名化については、安全を構築する仕組みにおいてまさに要とも言うべき重要なポイントであります。図においては、上の図ですが、日本医療機能評価機構への情報伝達においてのみ匿名化の記載がなされていますが、そのほかにおいても、医療安全に資することを目的とする以上は情報の取扱いについて匿名化を保障する仕組みが求められると思います。
 匿名化の保持によって関係者を特定しないこと、つまり、一つは関係者に懲罰を加えないとか、その下にありますが、事故調査においてはシステムの不全に焦点を当てるべきであるからでありまして、これらは有害事象を取り扱う仕組みを是非成功させたいということであれば、まさに必要条件であるというふうなことがWHOのドラフトガイドライン、次のページの上にありますが、邦訳は私ども日本救急医学会がやっておりますけれども、そこにも記載されております。ちなみに、このガイドラインでは、そういうふうな仕組みの骨格について述べておりまして、その骨格を、それらの国や地方に特有な文化や歴史がございますので、自由にそれを改変しながら使いたまえというふうな記載がございます。そういう意味での世界標準にのっとるというふうなことが必要だと思います。
 四ページの最後の参考のところがありますが、これは先生方が私たちの考えをイメージする上で比較的分かりやすいと思いますので、読み上げたいと思います。
 地域によっては、次のようなフロー、流れを実践している事例もあります。すなわち、医療機関は、事象の発生後に速やかにまず第三者機関に連絡し、剖検取得の支援や調査分析の支援チームの派遣を受けます。院内事故調査委員会の開催や報告、この地域によっての例は報告書を作ってございますが、の作成を第三者機関の支援を受けながら行っております。ここで、第三者機関は、ある県医師会にありまして、複数の県がやっていますが、第三者機関は地域の医師会に置かれて、実質的に地域医師会によって束ねられた大学病院などが協力しております。一般診療と同様に、医療安全の面でも中小病院を地域の基幹病院が支援する構図となっています。これは非常に重要なことです。このことによって、事故の当事者である患者、御家族と医療者の間における信頼関係をより強化、補完していくというふうなものに資するものであると理解することができます。
 医学部長病院長会議の大学病院の医療事故対策委員会の議論をメッセージとしてまとめて、このような形で五月の中旬に発信したところであります。
 次の資料は、その後のディスカッションにおいて使うことができればと思って持ってきましたが、そのパワーポイントの上の図、東京消防庁のキュータが並んでございますが、その真ん中の下、病院医療は組織的な医療であります。一人一人がそれぞれ自身の技量に従って忠実にやるわけではありますけれども、医療そのものは全体として組織的な医療であります。これはまさにチーム医療の集積でございます。今の病院医療のチーム医療は、お互いにタイトな相互関係にありますし、かなり複雑な系を成してございます。
 したがって、医療安全を構築するということは、これらのチーム医療をシステムとして構築することであるというふうなことがこの図に最初に書いてあって、このことが何はともあれ一番大事なポイントであるということであります。
 その下の図は、病院医療というのは安全・安心と上に書いてありますが、安全というのはサイエンスでありまして、安心は心の問題であります。それらサイエンスと心の問題をシンクロさせるための組織体制が病院医療そのものであるというふうなことになりますので、変な話ですが、元々私たちが分からなかったところで病態が進行していて事故が起こったりすることがありますし、まれな合併症があって……
#74
○委員長(石井みどり君) 時間を過ぎておりますので、御意見をおまとめください。
#75
○公述人(有賀徹君) 済みません。
 こともありますので、医療安全を構築することが病院の大事な機能だと考えております。
 以上です。ありがとうございました。
#76
○委員長(石井みどり君) ありがとうございました。
 次に、因公述人にお願いいたします。因公述人。
#77
○公述人(因利恵君) まず、公聴会にお招きいただきまして、本当にありがとうございます。日本ホームヘルパー協会を代表しまして意見を述べさせていただきます。
 日本ホームヘルパー協会の概要については、お配りしております資料の一ページの括弧の中に書いておりますので、後で御覧いただけたらと思います。日本で一番古い職能団体、ヘルパーの職能団体として活動をしております。
 少し資料を外れますが、自己紹介を簡単にしたいというふうに思っております。
 私は、昭和五十四年に市役所の広報を見て、当時は家庭奉仕員と言っておりましたけれども、家庭奉仕員に応募いたしました。当時は若干名募集というところに五百名以上の者が応募しまして、大学の講堂を借りて受験をしたという記憶があります。大変な人気職種でした。それが今なぜこうやって人材難になっているのかということを大変悩んでいるところです。
 資料にありますように、ちょうど真ん中辺りですけれども、訪問介護員の人材確保と質の向上を図る観点から意見を述べさせていただきたいと思っております。
 一つ目ですが、地域包括ケアを推進するためには訪問介護員がなくてはならない人材であり、地域包括ケアの質を確保することにつながるというふうに思っているところです。
 資料にはいろいろ付けておりますが、時間の都合上、割愛させていただいて、Cのところ、下から二つ目ですが、軽度の要介護者、今度、地域支援事業で助け合いやボランティア組織が担うというふうになっておりますが、軽度の要介護者の重度化予防の観点からすると、人生の最終段階まで、軽度から最終段階まで今の訪問介護で担うべきだと考えております。
 次のページです。
 そのためには、人材確保ができない大きなネックとなっている処遇改善や、働きながら能力開発をするとか労働条件の改善などをして、訪問介護員の人材確保に特段の配慮をしていただきたいというふうに思っています。
 二番目です。
 是非、訪問介護サービスの特徴を御理解いただき、訪問介護員の定着が図られるような体制づくりを推進していただきたいと思っております。
 一つ目ですが、利用者の生活の本拠に原則御家庭に一人でホームヘルパーは訪問いたします。訪問介護員と言ったりホームヘルパーと言ったりちょっと混ざるかもしれませんが、同じことですので、御理解いただきたいと思います。
 大変業務が難しい仕事で、一応、訪問介護計画というのに基づいてヘルパーは仕事をするんですけれども、日々状況が変わり、してはいけない仕事の要望があったりするものですから、大変ヘルパーは悩みながら仕事をし、板挟みになって辞めていっているという現状があります。例えば、庭の草取りだとか窓磨きだとかは基本的に禁止されておりますので、でも利用者から要望されて、板挟みになっているという現状はあります。
 このヘルパーさんたちですが、登録やパートのヘルパーさんが七割を占めています。こういう職種は余りないのではないかと思っておりますが、下から五行目ぐらいですけれども、なぜ七割のパート、登録さんなのかというと、パートや登録でしか雇用できない介護報酬に問題があるのではないかと考えているところです。
 Bですが、訪問介護事業所にはサービス提供責任者という職種がいるんですけれども、その方々が悩んでいるヘルパーさんの指導だとか助言をする立場なんですが、サービス提供責任者そのものが激務に置かれておりまして、疲れ果てて辞めていくという現状があります。ですから、訪問介護は今大変な状況にあるなというふうに思っているところです。
 次のページですが、Cのところで、もっと常勤の訪問介護員が雇用できるように是非お願いをしたいというふうに思っています。パートと登録さんも重要な働き手ではありますけれども、それだけではとても在宅の豊かな生活は守り切れないというふうに考えているところです。
 それから、ヘルパーさんもそうですが、サービス提供責任者も十分勉強する場がなく職務に就いておりますので、悩みながら仕事をしております。Dに書きましたが、大変入れ替わりの激しい職種ですので、サービス提供責任者になられる方の就任前の研修を国の責任でやっていただきたいというふうに思っています。
 次は、外国人の労働者の問題ですけれども、いろんなところから外国人の技能実習生の話などが伝わってきておりますが、決して外国人の雇用で人材難が解決するとは考えておりません。Aで書いておりますが、訪問介護計画に基づいて一人で利用者宅を訪問するという、まずそういう介護環境であるということを御理解いただきたいと思います。
 B番目ですが、軽度の認知症の方については、コミュニケーション能力や文化や生活習慣の違い、その人の暮らしてきた時代背景の理解が十分でなければ認知症の介護はできないというふうに思っています。これは軽度でも同じです、重度でもそうですけれども。ただ単に、外国人労働者、言葉が通じなくとも仕事はできるだろうというのは、そういうことは絶対ないというふうに思っております。
 次がCですが、私もつい最近ベトナムにも行ってまいりました。それから、台湾も見てきました。だけど、台湾というのはすごく外国の方から人気のあるところで、インドネシア、フィリピンからたくさんの方が働きに来ておられるんですけれども、二年ほど前からもう台湾を選ぶ人が少なくなってきているという実情がありました。
 それはなぜかというと、もっといいところがあるからです。例えばカナダやそれからドイツが今人気のある国として、介護職はそちらの方に流れていっているという現状があります。じゃ、日本を選んでくれるかということを聞きましたが、多分技能実習生として日本には行かないだろうと、日本はいろいろ条件があるので、むしろ条件のいいカナダやドイツに行くということを聞きました。
 Dのところですが、厚生労働省もいろいろ頑張って動いていただいています。今度新しく「訪問介護員のための魅力ある就労環境づくり」というものを示されました。このようなものをどうぞ支援、そして現場が実施できるようにしていただけると人材の確保にもつながるのではないかというふうに思っているところです。
 四番目ですが、介護ロボットの議論がされていまして、社会保障審議会などでも介護ロボットの利用が言われているところです。
 私は、正直言って排せつ介助と入浴介助はロボットにしてほしいというふうに思っています。そういう選択制でやっていただけたらというふうに思っていますが、私はそういうところはロボットにお願いをしたいと思っているところです。是非、施設だけではなく在宅でも選択できるようであれば、介護ロボットの利用という時代が来てもいいのではないか、人材難を補完する意味で介護ロボットもあっていいのではないかというふうに思っています。
 次のページが法案の内容についての意見です。
 なぜか予防給付のうち訪問介護と通所介護が地域支援事業ということになりました。なりましたというか、今から参議院で議論されるので確定ではありませんが。
 Bのところで書いていますが、地域支援事業はボランティアさんやNPOの方を中心にやっていくということですが、必ず地域包括支援センターで介護のマネジメントをしていただきたいと思っています。
 私は、二十年ホームヘルパーをしましたけれども、この訪問介護の現場でボランティアさんが育ったという事例を見たことがありません。訪問介護というのは本当に難しいです。利用者の満足度を得るのは大変難しいので、それほどボランティアやNPOの組織が育つとは思っていません。ゼロとは思いませんが、育ってくれればいいと思いますが、かなり厳しいだろうと思っております。
 このサービスの担い手の不足や専門性の欠如した関わりに起因して、閉じこもる高齢者の増加や家族の負担増にならないような対策を望みたいと思っております。
 Cのちょっと上ですが、日本ホームヘルパー協会で調査をしたところ、高齢者の能力が低下するのは、まず整理整頓能力であり、社会的な関わりです。この段階でしっかりと悪化防止をすること、いわゆる専門性のある訪問介護員が関わることが重度化を予防するというふうに考えているところです。
 次、二番目の利用者負担二割についてお話をします。
 私は、二割負担はあってもいいと思っています。お金持ちは二割でもいいんじゃないかと思っておりますが、@のところで年金収入が年間二百八十万円、これは余りにも低過ぎるのではないかと思っています。これでは暮らしていけないというふうに思っておりますので、もうちょっとこの金額については考えていただきたいと思っています。
 二のBのところですが、利用者負担が二割になる人と一割の人とのどうしてもはざまで逆転現象が起きて不利益が出てくるのではないかというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 三番目ですが、介護福祉士の資格取得方法の見直しの施行延期についてですが、私どもは大変これショックを受けておりまして、私自身が、ホームヘルパーの採用試験を受けてなりましたけれども、全く研修も何も受けずに利用者宅に派遣されました。
 九十を超えた女性で余命幾ばくもないという、もう本当に骨と皮という状態の利用者さんのところに一人で派遣されまして、胸をはだけて体を拭くということをしようとしたんですけど、本当にこの女性のどこにそんな力があるのかと思うような強い力で私の手を持ち、はじき返されました。そのとき私は、九十を超した女性でもう余命幾ばくもない人に恥じらいの心があるということが分かりませんでした。
 その後、昭和五十八年、九年頃にヘルパーの養成研修というのが始まりまして、一級のホームヘルパーの資格を取らないといけないということになりまして勉強しました。本当に目からうろこのように、高齢者の心理や医学の基礎知識やいろんなことを学んで、やっと、ああ、これで少しホームヘルパーの仕事ができると安心したのを覚えています。その後、平成元年ですが、介護福祉士の一回目の試験がありまして、私も受験しました。大変難しい試験で、一回目は合格率が二十数%でしたが、私も、生まれて初めてというほどの勉強をしまして通ることが可能になりました。
 そういうことを考えると、やはりしっかりした勉強をして国家資格を持って現場の仕事に当たらないと利用者の尊厳ある介護は行えないというふうに思っています。どうぞ、介護職の全てがいずれ介護福祉士を取るということに御協力をお願いしたいというふうに思っています。
 最後のページです。
 再度お願いをしますが、一行目から、業務の質及び勤務実態に見合う経済的評価を確立をするということを議会挙げて決意をしていただきたいというふうに思っております。幸い、大変うれしいことに処遇改善法案が与野党合意で可決されるということですので、大変期待をしているところです。
 以上です。よろしくお願いいたします。
#78
○委員長(石井みどり君) ありがとうございました。
 次に、前原公述人にお願いいたします。前原公述人。
#79
○公述人(前原正明君) このような機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。私は、今日、特定行為に係る看護師の研修制度の法制化と今後、チーム医療の推進ということでお話をしたいと思います。
 一ページ、一枚目のスライドから御覧ください。
 診療看護師、ナースプラクティショナー、それから医師助手、フィジシャンアシスタント、PAというふうに言います。この職種は医師と看護師との中間職種でございまして、ノンフィジシャン・ヘルスケア・プロバイダーというふうに言われております。この制度を日本に導入し、チーム医療を推進していきたいというふうな活動をしております。
 今日私が述べたいことは、次に書いてありますように、グローバルスタンダードの医療職種、NP、PAを導入すると。そしてチーム医療を推進する。そして三番として、医療の質、効率、安全性が向上します、そして労働環境が改善するということと専門性の向上。各医療職種のキャリアパスの向上と早期離職低下ということに関しては、看護師の早期離職ということは、一つの要因としてキャリアパスというところが非常にプアで達成感がないというようなことから早期離職がありますので、そのようなことに関してNP、PAが有効であろうと。そして、本研修制度の欠陥と未熟さということについても少し言及したいと。
 次のページをおめくりください。
 三ページのスライドですけれども、医療崩壊の原因としては、二〇〇〇年頃からこのようなことが種々原因として言われておりますけれども、それを救う一つの方法として、中間職種の導入というチーム医療が必要であろうと。
 四枚目のスライドですけれども、私の経歴としましては、田林晄一先生のグループで新しいチーム医療体制確立のための活動をやってきておりまして、二〇〇七年から、七年前からやってきておりまして、二〇一〇年の五月には厚労省のチーム医療推進のための看護業務検討ワーキングで働かさせていただいております。
 五枚目のスライドで、そのチーム医療の中心的な存在というのはNP、PAで、ここであえて特定看護師と呼ばせていただきますけれども、特定看護師が中心となりまして、医療従事者間、患者と医療従事者との間の伝達者、潤滑油、それから接着剤、私は、あえて言いますと、触媒体となって医療を促進していくということだと。
 そして、次の日本版NP、PA制度の導入の必要性というのは、もうこれは明白なんですけれども、現在の高度、専門化、それから高齢化、複雑化する日本の医療を医師だけで担うことは非常に不可能でございまして、また弊害が生じるということで、中間職種のNP、PAを導入し、チーム医療を行い、そして医療成果を最大限に得て、そして専門性、それから施設の集約化等々を同時に行いまして、チーム医療の充実を図りたい。これは、取りも直さず医療の質、安全性、透明性、効率性を上昇させるということでございます。そして、結果的には、国民、患者に安心、安全、希望の医療を与えるということになると思います。
 次のページをおめくりいただきまして、七枚目ですけれども、そのNP、PAというのは、米国では八万人、PA、NPは十五万人ほどおります。日本ではほとんどいませんので。医師数はそのぐらいがいる。そして、人口千人当たりにしますと、医師数はアメリカと日本でほぼ変わらないですけれども、その医療従事者、NP、PAを加えますと、三対二として、少ないということになります。
 八枚目のスライドですけれども、これは昭和二十三年にできました医療法の看護師の業務範囲に関する法的整理ということですけれども、皆さん御存じだと思いますけれども、赤い枠が医師の業務、そして青い枠が看護師の業務でございます。その間に交わるところの診療の補助というところのグレーゾーンのところが、なかなかやってもらえるというところがはっきりとしていないというので、このところを研修制度を設けて、看護師さんに自信を持って診療の補助ということをやっていただきたいということだと思います。
 そして、次のスライド、九枚目ですけれども、チーム医療の推進検討ということで、そのチーム医療をするに当たっては、特定看護師の創設というところで、赤いところで書いてありますけれども、一定の医学的教育、実務経験を前提に専門的な臨床実践能力を有する看護師、特定看護師が、従来、一般的には診療の補助に含まれないものと理解されてきた特定の医行為、これを医師の指示を受けてできる新たな枠組みですね、構築する必要があるというのを二〇一〇年に提言されております。そこにも書かれておりますけれども、そこでも、ナースプラクティショナーとフィジシャンアシスタントについては引き続き検討を要するであろうと。
 そして、その次のスライドですけれども、特定看護師と、それから現在ある専門看護師、認定看護師との違いは、そこに役割、教育内容等々書いてありますが、要は、特定看護師というのは看護と医療の両方が中心であると、そのほかのものは看護が中心であるということです。厚労大臣が認めるか、そしてそのほかは日本看護協会です。
 次のページをめくっていただきますと、特定看護師と専門・認定看護師の違いというのは、どこが違うのかといいますと、特定看護師というのは臨床実践能力の優れた看護師を養成する制度でありまして、専門看護師というのは教育、研究、実践、それから相談、調整等々のもので、特定看護師とは違うものでございます。そして、医療参加型の看護師であるということ。特定看護師はバイリンガルで、医療も看護もできて、母国語は看護であるということ。救急、周術期、クリティカル、在宅、慢性外来等で喫緊に要求されておりまして、志望者、志願者も多いということです。
 次の十二枚目の、これは日本外科学会雑誌に、認定看護師であった看護師さんが特定看護師を受けて卒業し、どこが違ったかというと、一番下に赤で書いてありますけれども、特定看護師というものは医師と看護師の思考の溝を埋める役目を担えると。医療安全等から考えまして、医療事故の防止、それからエラーの防止等々になると。
 次の十三枚目のスライドですけれども、これも先ほどの論文と同じで、これは何が違うかといいますと、教育課程が違います。時間も違うし内容も違う。医学の勉強を特定看護師はしますので、臨床推論だとか病態生理とか、それから薬理とかということを行うということです。
 チーム医療推進の検討というのは、厚労省とともにこのように行われてきておりますけれども、二〇一〇年の五月から、右側のチーム医療推進のための看護業務検討ワーキングで同時並行し、特定看護師の養成調査試行事業それから業務試行事業を同時に行っています。
 次のページをおめくりいただきまして、特定看護師の養成調査試行事業というのは、そこに書いてありますが、七大学の十一病院で行われております。その下のものは、卒業して、二年間の修士課程を卒業した人が業務をするところで、現在で六十施設、それ以上で行われております。
 その中のうちに、代表的な東京医療保健大学、東京医療センターの養成業務課程を行われている国立病院機構では、そのような看護師さんを診療看護師と、ジャパニーズNPと称しております。これは米国のNPとは違うということでございます。東京医療センターのその研修課程では、二年間勉強したその後に、四か月間のローテーションで外科系、救急、そして内科を行うということでございます。
 次のページをめくりまして、この仕組みは、主治医、レジデント、そして研修医のところにありまして、研修医とほぼ同様のことを行うということであります。
 そして、この特定看護師がもう卒業して二年たちますけれども、その人たちが、医療現場でどんなことが変わったかというと、そのスライドに書いてあるようなことが起こっております。看護の心と医師の思考を持った特定看護師さんが現場で働いているということ。そして、患者そして家族、そして他の医療従事者の満足度が非常に上昇しているというデータがあります。
 次の二十一ページにつきまして、日野原先生も、聖路加の理事長でございますけれども、医師不足のときに、二〇〇九年のときに、提言として、医師を増やしても余り益はなく、中間職種、保助看法を変えて、中間職種のNPの創設が非常に有効であろうということで提言されております。
 次のページをおめくりください。
 そして、福岡の医師会のアンケートでも、質が担保でき、医師との従属関係がはっきりすれば、医師と看護師の中間職種導入には賛成であるというふうなことが書かれています。
 次の「医療ルネサンス」のあれですけれども、これは、大分県立看護科学大学のNPコース、二年間の修士課程を卒業した方が大分県の老人保健施設で働きまして、聴診器を持って、そして、患者さんが熱が出て、そして胸がちょっとゼコゼコしているということで、いち早く察知し、医師に連絡をして早く抗生物質の投与等々を行うということで重症化を防いだということが書かれております。
 それから、次の二十五ですけれども、看護協会の機関誌ですけれども、ここでも、その卒業生が在宅の場で働いておりまして、閉塞状況の在宅医療の現場に大きな風穴が空いたというふうに述べております。
 それから、次の二十六番ですけれども、これも日本外科学会雑誌で、東日本の災害で、被災地で、日本人のNP、PAというのがアメリカで活躍していますけど、その方が三月十五日に来ていただいて、共に働いた医師からのレポートで、是非ともそういう中間職種のNP、PAというものを日本に導入すべきであろうということでございます。
 次のページでございます。
 厚労省でチーム医療の推進の検討会議が行われておりますけれども、三年半にわたり、いろんな問題があり、紆余曲折ありましたけど、二十九のスライドを見ていただきますと、骨抜き・変容の歴史というふうにあえて書かせていただきましたけれども、最初、特定看護師という新しい職種、名称独占はしないということで、それは新しい職種ではなくなり、それから認証制度となり、現在の特定行為に係る看護師の研修制度ということで、だんだんと国家資格ではなくなり、研修制度になったということに関して私は不満を持っております。
 次の三十それから三十一、三十二は、現在の研修制度のことの概要が書かれております。
 三十三のスライドを御覧いただきたいと思います。
 これはアメリカのNP、PAの推移の予測ですけれども、二〇〇八年のときの予測ですけれども、二〇〇三年に研修医の勤務時間制限ということでこれが課されまして、週八十時間以内ということで、そこからNP、PAの数が上昇しております。
 これは何が起きたかというと、長時間の過重労働でレジデントが処方ミスをして、亡くなってはならない患者さんが亡くなってしまったという事件からそのようなことが起きております。日本でも外科学会として調査を三回ほどしておりますけれども、一週間当たりの平均労働時間は八十時間を超える、それから過労死に認定されるようなものを超えております。
 次のページをおめくりいただきまして、三十五ですけれども、外科医の当直明けの手術参加についてもこれは大きな問題でありまして、七五%は当直明けに手術に参加していると。その八八%は当直が手術に影響を与えている、余りいい手術ができなかったというふうに申しております。
 そこで、外科学会としましても、関連協議会と合同で記者会見しまして、このような声明文を出させていただきました。NP、PA、特定看護師といった医師と看護師の中間職種を創設、養成する必要があると。これは、医療安全上問題となっている外科医の当直明けの業務、さらには外科医の環境問題、そして外科医の労働短縮ということで、是非とも必要であろうということでございます。
 そして、チーム医療の、看護師の業務拡大ということを行いますと、その後も、その三十七に書いてありますように、各種の業務もだんだんと拡大していくということです。
 三十八のスライドは、これはアメリカのジョージア州のアトランタのグローバルスタンダードとして、PA、NPというものに関してはこれは国家資格でありまして、また再認定のことも行われるという制度でございます。
 次の最後のページですけれども、チーム医療にとってはそういうNP、PAというものを日本にも是非導入していただきまして、チーム医療の推進を是非図っていただきたい。
 まとめの三番ですけれども、これは何がいいのかというと、そのNP、PAが加わりますと、二〇一七年から開始される専門医制度にとっても、専門医の手術の数は増えますし、施設の数が減ってハイボリュームセンターということになりますと、その後を埋めるところにはどうしてもNP、PAが必要でございます。そのためにも、医療の質が上がるためにもNP、PAというのは必要だと。
 それから、本制度の未熟さのことについてですけれども、このことに関しては、教育内容、研修内容がまだ不明であるということ、そして国家資格ではないということ、それから新しい職種ではないということ、そしてあえて申しますと、不適切な附則の存在というのは、一般看護師さんも努力義務も目標もなく、医師の命令の下に特定行為が実施できるということに関しては再考を願いたいというふうに思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
#80
○委員長(石井みどり君) ありがとうございました。
 次に、山田公述人にお願いいたします。山田公述人。
#81
○公述人(山田智君) 全日本民主医療機関連合会、民医連の副会長の山田でございます。
 ふだんは東京中野にあります中野共立病院で院長と、回復期リハビリテーション病棟に勤務しております。
 委員長、委員の諸先生方に発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いします。
 本日の私の発言は三点でございます。
 まず初めに、医療及び介護の総合法の予防給付のうち、通所介護と訪問介護を地域支援事業に移行するに関しまして、私ども民医連が昨年九月に行いました予防給付見直しによる影響調査、それが明らかにしました改正の問題点、次に、そのことに関連しますが、介護認定制度、特に要支援の認定の問題点について、最後に、少し多くて申し訳ないんですが、地域医療提供体制の将来あるべき姿である地域医療構想の作成について現場の混乱を紹介させていただき、総合法に反対の立場で意見を述べさせていただきます。
 先生方のお手元にパワーポイントのスライドのコピーをお届けさせていただきましたが、これは、今年の六月六日、日本リハビリテーション医学会の教育セッションの部で採用をいただき、紹介させていただきました内容でございます。発表内容に少しタイムラグがあることを御了承ください。
 タイトルの付いたスライドをめくってください。
 初めに、本法案の焦点の一つが、予防給付のうちの利用者が多い訪問介護と通所介護を現行の予防給付から切り離し、市町村が実施する地域支援事業に移行するというものです。我々は、移行された場合の影響調査を行ったので報告します。三十五県連の二百十九事業所のケアマネジャーからの報告です。
 次のスライドをお願いします。
 対象者のまず年齢構成でございますが、平均年齢八十一・五歳、八割が後期高齢者であり、さらに約七割が八十歳以上でした。これらのうち、訪問介護のみ利用、通所介護のみ利用の利用者も同様であり、通所介護のみ利用でやや高い傾向にありました。介護の必要な高齢者の方が多いと考えられました。
 次のスライドをめくってください。
 所得に関わる対象者五百三十二名でございます。低所得者対策の対象となります第一段階から第三段階の所得者層は全集計で半数を超え、五四・一%でした。お示ししませんが、特に独居では男性四八・六%に対して、女性では六六・八%と高率になっていました。独り暮らしの女性が経済的により厳しい状況に置かれていることが伺える結果でした。六月三日のこの委員会でも、二百八十万以上の方の二割負担について、高齢者は決して裕福ではないとの指摘があったようですが、これらの高齢者の貧困の数字を見ますとき、全く同感ですとの声を上げたいと思います。
 次のスライドをおめくりください。
 要支援者の利用していますサービスの状況です。複数回答ですが、要支援者の利用しているサービスで最も多いものは訪問介護七三・九%であり、次いで通所介護五二%となっていました。これらのうち、右の表ですが、訪問介護のみ利用者、百九十四名、二五%であり、女性に多く、通所介護のみ利用、百四十五名、一九%であり、同じく女性が多くなっていました。いずれも高齢者が多い傾向となりました。要支援者のサービス利用は制約が多いわけですが、改めて、要支援者は訪問介護とデイサービスしか使えないと言っても過言ではないという結果になっていました。
 次のスライドをお願いします。
 次期介護保険法改正による影響調査ですが、世帯類型ごとに見てみますと、訪問介護のみ利用者は高齢独居の女性が六九・一%、七割を占め、訪問介護が独り暮らしの要支援の生活支援を十分に果たしていると考えられました。通所介護のみの利用者は五一%で、半数が同居し、利用により家族の介護負担の軽減にもなっていると考えられました。また、高齢者の外出の機会になっているとも考えられました。要支援者にとっても、訪問介護と通所介護はなくてはならないものと考えられました。さらに、訪問介護のみの利用者は借家住まいが多く、年齢の高齢化により今後住み替えが必要となってくるとも考えられました。
 次のスライドをお願いします。
 予想される困難として、身体・生活機能、認知機能等、社会生活への適応に関わるもののうち、身体・生活機能では、外出などの機会が減り閉じこもりぎみになる、六六・四%、日常生活ができなくなり、介護度が上がる、六〇・八%。認知機能については、感情が不安定になり、落ち着かなくなる、四〇・八%、物忘れが進行し、認知症が悪化し介護度が上がる、三九・九%などの声が寄せられました。下段のタイトル違っています、身体・生活機能じゃなくて、社会生活への適応では、買物ができなくなる、五〇・三%、外出ができず、集団への不適応が起こってくる、四二・九%などの声が高くなっていました。
 次のスライドをお願いします。
 同じく、予想される困難では、本人・世帯の生活全般に関わることでは、日常の家事に様々の障害が出てくる、六三・四%、状態、病態の悪化が見られる、悪化するおそれがある、六二・三%、会話、コミュニケーションの機会が減る、生活全般に対する意欲の低下が生じるなどが六割を超え、お示ししませんが、特に訪問介護のみの利用の事例では、日常家事に支障が出る、七五・八%が最も多くなっていました。通所介護のみ利用では、会話、コミュニケーションの機会が減る、六九%がトップとなっていました。なお、お気付きになられた方もいらっしゃると思いますが、ここに挙げられております選択肢は介護の認定調査の調査項目を使用しております。
 再度、改めてまとめますと、訪問介護のみの利用者は高齢独居の女性が多く、訪問介護が独り暮らしの要支援の生活を支援していると考えられました。通所介護のみの利用者は、家族同居が多く、利用により家族の介護負担の軽減にもなっていると考えられました。また、高齢者の外出の機会にもなっていると考えられました。要支援者にとっても訪問介護の生活支援とデイサービスはなくてはならないものと考えられました。
 これらの要支援者を、地域支援事業への移行に関しましては、私は断じて行うべきではないというふうに考えます。
 次のスライドをお願いします。
 認定制度に関わる問題でございます。私、介護認定審査会の委員をしておりますが、更にちょっとスライドをめくってください。
 御存じのように、二〇〇六年に介護予防ができましたため、介護認定者のうち要介護一が激減しました。さらに、二〇〇九年には認定制度が変わりましたが、変わっても認定結果には影響ないとのことでしたが、一番新しい平成二十五年の認定数でございます、一番右側ですね、私が研修会でいただきました数字ですが、総数は示されていませんでした。左は一次のコンピューター判定後、右は二次の審査会の判定後の数字であります。二回の認定制度変更後、他の介護度に比較して要支援の割合が増加しているのではないでしょうか。二〇一〇年の二五・八%から三一%になっていました。
 次のスライドです。
 先生方よく御存じの図と思いますが、要支援を介護度一と一緒にしますと、二・八倍しか増えていません。他の介護度と大きく変わりませんが、別々にしますと、要支援は四・八二倍に大きく増えています。
 次のスライドです。
 軽度者の認定率ほど都道府県格差が大きくなると厚生労働省が示されました図表であります。ちなみに、高齢化率の高い県ほど要支援の認定率が高くなる傾向も示されています。
 スライドをめくってください。
 要支援者の中にも何らかの認知症を有する方がいることを先ほどの私どもの調査結果で示しております。これらが十分に認定制度に反映されていない。認知症が正しく評価されれば介護給付となるわけでございますが、審査委員をしておりましても、認知症の重症度の判定は十分でないことを反省しております。しかし、認知症の認定調査項目を減らしたことに原因があるのだとも考えております。
 次のスライドをめくってください。
 三三・八%の方が認定結果と乖離しているとの声があります。私たちは、厚生労働省と一緒になってこれまで十年掛かって要介護者の介護度像をつくり上げてきましたが、実態に合わなくなっている人が多いとのケアマネたちの声であります。認知症を正しく評価し、実態に合った介護度になるよう改善をお願いします。
 一番最後のスライドを、間を少し飛ばさせていただいて、御覧ください。
 地域の医療提供体制の将来あるべき姿であるとの地域医療構想に関連しまして、日本全体の救急車の出動件数を紹介させていただきます。
 私、中野区救急業務連絡協議会の会員をしておりますが、六月四日の定期総会の折、消防署の参与の方の報告に、平成二十一年度から救急車の出動件数が年々増加しているとの報告がありました。それを調べたのがこの図であります。出動件数が増加した原因として、高齢者の傷病者の増加、急病傷病者の増加が多くなっていました。当然、入院患者数も増加していました。
 二〇二五年問題を考えるとき、救急病床を減らすのではなく、逆に、必要なときに必要な医療が受けられる体制を整えるべきではないでしょうか。病院機能の分化と連携で乗り切るとしていますが、総合法を先取りした形で行われた二〇一四年度診療報酬改定の影響は既に出始めています。
 当院にも、在宅復帰率に算定できる病棟でじかに取ってくれますようにとの問合せの電話がありました。これまで十年掛かって築き上げてきた急性期病院と当院回復期リハビリテーション病棟の連携にひびが入りつつあります。九州の病院では、在宅復帰率に係る病棟を取れないため、これまで紹介していただいた病院からの紹介が全くなくなってしまったとの報告が記されています。
 地域の医療提供体制の将来あるべき姿である地域医療構想に関連し、上から縛るのではなく、特に医療機関同士の連携に関しては、これまでどおり病院同士の信頼関係に任せるべきだと考えます。地域ビジョンを作成し、それに医療機関が縛られることのないよう、患者の受療権が縮小されないことを希望します。
 さらに、現場の実態をよく見て、現場の声をよく聴く、くれぐれも拙速に採決されることのなきように重ねてお願いし、いろいろと申し上げて恐縮ですが、私の報告を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
#82
○委員長(石井みどり君) ありがとうございました。
 以上で公述人各位の意見の陳述は終わりました。
 これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#83
○大沼みずほ君 自由民主党の大沼みずほでございます。
 本日は、公述人の皆様、お忙しい中、参議院までお越しいただき、ありがとうございます。
 時間も限られておりますので全ての公述人の方に質問できないかもしれませんが、あらかじめ御了承いただければと思います。
 まず、因公述人にお伺いいたします。
 先ほども、多くの方が、まあ七割、八割の方がパートや登録型ヘルパーとして働かれているということで、インタビューの中でも、夫の扶養の範囲内で働くことを望んでいる方も多いというふうに答えられていらっしゃいます。
 今、政府税調でこの配偶者控除の見直しなど公平中立な税制を目指しての議論が行われ、この冬にも、引き続き党税調でもそのような議論になってくると思いますが、今後、訪問介護の在り方を考えるに当たり、配偶者控除や女性の働き方、また管理者の女性登用を促していくに際し、何か御意見ございますでしょうか。
#84
○公述人(因利恵君) 大変悩んでいるところを質問していただけたと思っておりますけれども、夫の扶養範囲で働くために、もう十一月、十二月になると働く時間を制限し始めるんですね。そのしわ寄せが、常勤のヘルパーやサービス提供責任者の方にどうしても仕事が回ってきて、すごく大変な思いをしております。そういうことからもちょっと見直しを是非していただきたいというふうに思っているところです。
 管理者については、サービス提供責任者、多くの場合女性なんですけれども、兼務して管理者もやっておりますので、比較的女性が多いかなというふうには思っております。
 もうちょっとお話ししたいんですが、ここまででよろしいでしょうか。
#85
○大沼みずほ君 ありがとうございます。
 続いて、因公述人、もう一つお聞かせいただきたいんですが、先ほど外国人の研修生受入れに関しては慎重であるという御意見だったんですが、今後、二十四時間での介護体制というものは非常に重要になってくるんではないかなというふうに思っております。
 私は香港に住んでおりましたので、やはり在宅でそういった方々が家族の目の届く範囲でケアをしているということで、二十四時間在宅で可能になったというような実態も見てまいりました。
 今、施設でも、また在宅でも、この二十四時間の見守り、介護というものが非常に課題になっていると思いますが、この二十四時間対応について今後国としてやるべき方向性、また、私は、日本人と研修生が二人ペアになってやっていく体制というのも一つ視野に入れていくべきではないかと思っているんですが、御意見をお聞かせいただければと思います。
#86
○公述人(因利恵君) 基本的に外国の方は来なくなるんじゃないかということを先ほど述べたんですけれども、東南アジアの各地がもう高齢化してきておりますので、自分の国の介護が必要になっていく、それが今からますます増えていくだろうというふうに思っています。
 先ほどもお話をしましたが、ベトナムや、それからフィリピン、インドネシアから来られるだろうということを予測しているんですけれども、フィリピンにも行ってきました。インドネシアの状況も見てきました。ベトナムも見てきましたけれども、日本を選ぶという外国人はほとんどいません。最も今行きたいところはドイツだと言っております。
 日本人が定着しないようなところに外国人が来るわけがないというのが正直なところです。しかも、二十四時間介護という厳しい条件のところに外国の方が従事され、まあここ数年は従事されるかもしれませんが、そんなに長く当てになる人材ではないというふうに思っています。むしろ、日本人が日本人を介護しているという、この貴重な日本の風土を私はもっともっと伸ばしていくべきだろうというふうに思っているところです。
 付け加えるならば、二十四年の報酬改定で看護と介護の二十四時間体制というものができましたけれども、ほとんど機能していないです。事業参入も余りあってない。なぜかというところを見ていただきたいと思っています。一つは、ニーズが本当にあるんですかと、ゼロとは言いませんが、ニーズがあるんだろうかということを思っています。あと、働く人材の安全の問題だとか処遇だとか、そういうことは考えていただかないと進んでいかない問題だというふうに思っています。
#87
○大沼みずほ君 ありがとうございました。
 次に、前原公述人にお尋ねいたします。
 チーム医療の中での特定看護師の役割について、その意義について先生の御説明で大変よく分かったんですけれども、今後、地域包括ケアシステムの中で、特に老人ホーム、また在宅において、こういった特定看護師の役割、またその意義について、今後どうなるかということを少しお聞かせいただければと思います。
#88
○公述人(前原正明君) どうも御質問ありがとうございます。
 在宅とか地域包括医療にとってはこの特定看護師というのは大きな役割はあるだろうと思いますけど、僕、実際には心臓外科医でございまして、その辺のところは不明なところはあるかと思いますけれども、現に特定看護師の修士課程を卒業し、そして在宅に行かれている人の活躍を見ていますと、そこの医療従事者の間の評判も非常にいいし、そして患者、家族の方からの、その特定看護師さんが来てくれて非常に助かったというようなことを言われておりますので、非常に有効であろうと。よく言われているように、脱水の状況を診断しそれをいち早く治療するだとか、それから、いろいろなお薬のことに関しての医師の包括指示の下に投与する等々のことに関しては非常に有意義なものであろうというふうに思っております。
#89
○大沼みずほ君 ありがとうございます。
 次に、有賀公述人にお尋ねいたします。
 先ほどの中で報告書に対する様々な懸念ということをお伺いいたしましたけれども、この間、参考人の方がいらしたときに、遺族の方だったんですが、その報告書を基に裁判を起こすというふうにもし考えて慎重であるならば、我々としてはそうではないと、真実が知りたいのであると、特にカルテなどではなかなか分からないようなこともあるというような御意見も伺いました。
 そうした中で、これから様々なガイドライン等も作られると思いますけれども、先生の中でこの報告書に対して、例えばカルテとあとは看護記録というものをどういうふうに使うことで、報告になるのか報告書になるのか、そこのところもあると思いますけれども、より分かりやすくやはり提示するための工夫というところについてはどのようにお考えでしょうか。
#90
○公述人(有賀徹君) 基本的に、医療者とそれから患者さんとの関係というのは信頼関係があっての話になりますので、もしそのカルテの中身が分からないのであればとことん聞いて質疑応答するという話になるんだと私は思います。
 現に、私どもの昭和大学病院においても、いわゆる医療事故についての調査委員会を複数回やって、そしてその結果を患者さんのいわゆる、何というか、御家族というか、御遺族にお話を申し上げるというようなことは今までもやってきております。
 その中で、基本的に信頼関係があるというふうなことを前提にしますと、報告書があるかないかという問題ではなくて、どれだけその医療者が、主治医を中心とする医療者がきちっと説明できているかというようなことになるんだと思います。現に、いわゆる報告書なるものを作らなくても、御家族がゆっくりと話を聞く機会を持ってお話をすれば、それはそれで当初の目的は達成されるというふうなことがありますので、ですから、無理やりに報告書を作ることによってサイドエフェクトというか副作用が生じるというようなことについては勘弁してもらいたいというのが本音でございます。
#91
○大沼みずほ君 ありがとうございます。
 これで質問を終わります。
#92
○足立信也君 民主党の足立信也です。
 四名の公述人の皆さん、本当にありがとうございます。
 個人的に親しい方が中に複数いらっしゃるので、公述されたこととは違う質問をしたいと思います。でも、それぞれ御専門のところに質問をしていきたいと思います。
 前原先生から医療崩壊の話が出ましたけれども、私も、議員になって十年、医療崩壊という原因はどこに一体あるのだとずっと考えて、その対処策をということでやってまいりました。一つは医療費削減策、二番目が人材抑制策、人材削減策ですね、三番目が情報の格差といいますか、医療を提供する側と受ける側の情報の格差、リテラシーギャップ、これがあらぬ誤解等を生んでいる、この三つだと私、思っていました。
 二〇〇六年に、もう決定的になったのが福島県立大野病院事件ですね。一人医長でやっていながら、その責任を全部負わなきゃいけないというような形。きっかけは県が作成した報告書です。損害賠償保険が下りるように過失認定する必要があった、一人医長に過失があったというふうに報告書で書いた。それが目的だったわけですね。それ以来、医療崩壊というのが決定的になった。二〇〇八年、人材が足りない、医師不足だということで、医学部の入学定員を増やし始めて、もう千四百人増やしてきた。そして、その大野病院事件は無罪になったと。ここから変わっていったんですね。そして、二〇一〇年、十年ぶりの診療報酬改定、プラス改定で、この政府原案といいますか、政務官原案を有賀先生一緒に作っていただいて感謝しております。
 そこで、有賀先生から順番に質問いたします。
 私は、今後やるべき医療、介護の政策は三つだと思っています。順番に行きたいと思います。一つが先ほど言いましたリテラシーギャップですね、きちっとした情報を共有すること。それから、二番目がチーム医療。三番目が予防医療。この三つだろうと思っています。
 そこで、有賀先生の資料、これ四ページで第三者機関の話がありました。これは、今回法案においては支援団体だということです。ですから、ここのところは共有されていると思います。それから、全国医学部長病院長会議では、もう十年近く、とにかく逃げない、隠さない、ごまかさないという姿勢でやってきて、私は特定機能病院等についてはしっかりやられていると思います。
 そこで、有賀先生も委員長を務められたWHOの有害事象の報告・学習システムのためのWHOドラフトガイドライン、ここへ持ってきましたけれども、これはどういう趣旨で、現場にどういう取組をしてもらいたいというような趣旨で作られたものであるのかというのを有賀先生はどのように理解されているか、これを質問したいと思います。
#93
○公述人(有賀徹君) 今、足立議員が、作られたとおっしゃいましたが、作られたのではなくて翻訳をさせていただきました。
 その議論そのものは、医学部長病院長会議が引き続きそれを歴史的にはしょっておりますが、当時は日本救急医学会の医療事故に関する委員会での議論の結果、それが翻訳された次第であります。
 その中では、やはり医療者がきちっと病院の中、もちろん社会の中で医療を推進していくというふうなことは職業倫理、それに基づいてしているというふうなことなので、それとは違う価値規範が現場に入ってくるというふうなことについては医療の質を向上させることと違うというふうなことがあるので、その違うというふうなことをきちっと医療者の中においても、それから医療を受ける患者についても、そしてその患者さんにいずれなり得る市民の方たちに分かっていただきたいというようなことがあったので、その翻訳をさせていただいた次第であります。
#94
○足立信也君 ありがとうございます。
 因会長にお聞きします。
 今一番目のテーマとして、情報の共有、リテラシーギャップを埋めるという話をしています。財政制度等審議会では、来年の介護報酬、これは減額する方針を出しております。処遇の問題が大変取り上げられておりましたが、発足以来三倍ほど介護給付が増えてきている中でそのままではいられないと私は思うんですね。因会長は、今の介護保険の給付の体制の中でどこに無駄があると思っていますか。
#95
○公述人(因利恵君) 実は、ホームヘルパー協会でそのことをしたわけではなく、私の周りで一度検討したことがあります、財源問題をですね。一つは、非常に、でも問題が起きそうなんですけれども、例えば認定のところで、実際に介護保険が利用できるという認定を受けた人で使っていない方が当時は二割程度おられました。一人認定するのに、調査員が行って認定審査会にかけていろんなことを行うときに、大体申請が上がってくると判定まで二万円掛かると言われていました、一人二万円掛かると。実際に使っていない人が相当おられますので、そこを窓口できれいに整理をしていただいて、いつでも申請すれば使えるということを言っていただけると、そこで財源がかなり浮くという試算をしておりました。
 あと、いろいろ介護保険の中であるんですけれども、ここで言うと問題が起こりそうなことがありますので、ちょっと控えます。
#96
○足立信也君 山田先生もおっしゃっていましたが、実際の介護施設がついの住みかとなっていなくて、救急搬送される、あるいはそこで受けた方々は情報がないわけですから一生懸命やるしかない、七割近い方が介護施設から病院に運ばれて治療を受ける、あるいは亡くなっている。私は、それが本人のあるいは家族の方の意思を本当に反映しているのかと。情報の共有、リテラシーギャップというところに大きな問題があると思っています。
 次は、チーム医療で前原先生にお伺いするんですが。
 これ、特定看護師、NPについても、看護の専門職の方々の中でも大きな議論がありました。私が申し上げたのは、専門看護師、専門性を深く追求する方向性と今回のように裁量性といいますか、これは別のベクトルで動いているから、どっちが上だ、どっちが偉いんだなんて議論をしたら駄目だということを私は言いました。
 実際これから十年後に四十万人も亡くなる人が増えてくるときに、私は、慢性医療あるいは終末期あるいはみとりの分野こそこの中間的な資格を持ったナースの役割というのは極めて大きいと思っているんですが、その点、いかがでしょうか。
#97
○公述人(前原正明君) どうも足立先生、ありがとうございます。
 ここで話すとまた問題になるのかもしれませんけれども、看護師の出身の方もいらっしゃいますけれども、専門看護師、認定看護師と今回の特定看護師と、あえて言わせていただきますと、やっぱり大きく違うのは、やはり看護を中心とした看護と、そしてこの特定看護師というのは医療プラス看護ということで、医療により参加したい、もう現に若い看護師さんの中にはそういう方がいらっしゃるわけですから、その人たちはどうするかというと、地域、みとり、そういうことに関しても、看護もそれは当然大事ですし、看護プラス医学的な、現場での患者さんを身体、フィジカルアセスメントをし、そして、今どういう病態であるのか、そしてみとりのことに関してもどうするのかということに関しては、医学と看護を両方勉強したこの特定看護師さんというのがやはり、先ほどの大沼議員からもありましたように、地域医療では非常に有効だろうというふうに思っております。
 そして、あえて言わせていただきますと、専門看護師、認定看護師さんの場所というか居場所というものがなくなるわけではありませんし、それはそれなりに看護の専門性を追求するということは大きな大事な職種であろうというふうに思っております。
#98
○足立信也君 最後に、山田先生にお伺いします。
 我々の政権では、社保税一体改革を始めとして改革推進法で予防に大きくかじを取ろうとしました。当然これは、予防ということは、予防医療、予防接種、生活習慣病、健診やがん検診、介護予防が入るわけです。しかし、介護予防もその給付を今回やめていく、ほかの分野は消費税が使えるようにすらなっていない。予防にかじを切ったにもかかわらずそこが使えるようになっていないということについて、医療、介護、どちらも専門の先生に予防についてどう思われるかを御意見を伺いたいと思います。
#99
○委員長(石井みどり君) 山田公述人、時間が過ぎておりますので、お答えは簡潔にお願いします。
#100
○公述人(山田智君) はい。
 私は、介護の予防は世界に類のない優れたものだと思っています。ここをきちっと、しかしまだそこが評価されたわけではありませんし、評価というのは、そこでそれが効果があったという評価は余り十分にはなされていないと思います。ですから、そこをもう少し検証する、そして、今後、予防のところを消さないで残していってほしい、その思いで今日の発言をさせていただきました。
 医療に関しても、疾病を生まない構造といいましょうか、そのためにも予防が必要だというふうに強く思っております。
#101
○足立信也君 ありがとうございます。
#102
○長沢広明君 公明党の長沢広明です。
 公述人の皆様方には、大変貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。参議院までお越しをいただいて、大変重要な御意見を賜っておりますことに感謝を申し上げたいと思います。
 それぞれお聞きしたいんですが、時間が短いので、まず有賀公述人にお聞きしたいと思います、チーム医療に関連をして。
 先ほど、公述の中でも、今後、チーム医療についての御意見を述べられたところです。この今回の法律案については、今お話のあった特定行為の実施に係る看護師の研修制度、この創設、これを始めとして、診療放射線技師あるいは臨床検査技師、歯科衛生士などの業務範囲の見直し、こういうことも入っておりまして、いわゆるチーム医療を推進するという観点からの取組がこの法案の中にも組み込まれております。
 ただ、チーム医療、もちろん安心、安全の医療を提供していくという観点からもチーム医療は大変重要な観点だと思いますが、チーム医療という言葉はありますけれども、どういうチームで何を目指してという議論はいまだこの取組とその議論が並行して進んでいる感じがいたします。そういう中で、今回チーム医療を推進していくという観点から、看護師の研修制度を始めとした今回の法案の各改正内容に対するどういう評価をお持ちかということ。
 そして、先生の側から見て、今後のチーム医療を推進していくべき、こういうチームであるべきだという何か方向性というか、そういうものがあれば御意見いただきたいと思います。
#103
○公述人(有賀徹君) 前半の、今回の法律の制定に関する意見については、基本的に、何といいましょうか、必要な部分の一部を議論しているんだろうなというふうに思っていますので、どの部分についても、まずそれは必要なので是非進めていっていただきたいと思う次第でございます。
 後半の御質問ですけれども、それは前半の今の答えと関係ありますが、実はチーム医療というのは、言葉としては最近のものかもしれませんけれども、現実問題としては全ての局面がチーム医療として存在すると。つまり、医療そのものは、既に一人一人の医療者、僕は医師ですが、医師やナースやその他の人から見ても、一人一人に課せられた技量は大変大きくなっております。医学そのものが進歩しているというふうなこともありますし、それから多くの患者さんがお年を召していますので問題点は一つ以上持っておられます。ですから、そういう意味では、多くの職種や多くのジャンルの専門家が一緒に仕事をするというふうなことは、これは歴史的な必然性があるというふうに考えていいと思います。
 その中で、医療そのものがどういうふうな形で進歩するかといえば、その患者さんについてどういうふうな医療の目的を持つのか、それからお年を召した人がたくさんいますので、その方たちが生活に戻るというふうな観点からすると、どういうふうな、看護のことでいえば療養上の世話を展開するのかというふうなことがありますので、そういう意味での目的意識を共有して、そしてお互いにできること、できないことについての議論をすると。
 その議論の中で、お互いに職種そのものがパワフルになっていくと。つまり、もしお薬のことを議論すれば、これは薬剤師さんがより強くならなきゃいけないということがありますし、それから、今、療養上のことでいろいろなことがあれば、それは看護師さんたちがたくさんの質問に堪えることになりますので、チームとしてカンファレンスをしたり回診をしたりしますから、ですから、そういう意味でのチーム全体としてのパワーが強くなるという意味で、お互いに目的を共有しながら議論すると、これがポイントだろうというふうに思っている次第です。
 ですから、先ほどお話ししたように、多くの職種がかなりお互いに乗り入れるかのように仕事ぶりを展開すると。ですから、多少の、診療放射線の技師さんがこんなこと、あんなこと、どんなことってありますけれども、それはほんの必要な一部分でしかないというふうな言い方をしたのはそういう意味であります。
#104
○長沢広明君 ありがとうございます。
 有賀公述人と前原公述人、お二方に重ねてお伺いしたいと思います。
 今のチーム医療の観点以外に、今回の法案の中には、いわゆる医療の勤務環境の改善ということも柱の中に入っております。地域の医師不足に対応するということで地域医療支援センター、これも医療法上に明確に位置付けるということを今回することになりました。それによって、地域における予算の充実も含めて、地域医療支援センターで様々な業務が展開されることになります。
 その中に、医療従事者の勤務環境を改善していくということのためにも医療勤務環境改善支援センターが設置をされることになります。この勤務環境改善を総合的にサポートするための体制というのが入っているわけなんですけれども、現実に、現場においてそれぞれ御経験を踏まえて、この医療従事者を確保するための勤務環境の改善という観点で、有賀先生は病院長でいらっしゃいますし、前原先生は外科の最前線でいらっしゃった、防衛医大にいらっしゃったわけですが、そういう現場の御経験を踏まえて、医療の勤務環境の改善という観点から国あるいは行政に対して要望したい、こういう取組を期待したいということがあれば御意見を伺いたいと思います。
 じゃ、まず前原先生からお願いできますか。
#105
○公述人(前原正明君) 私も外科医でございますので、心臓外科医ですけれども、勤務、労働環境ということに関しては、やはり、先ほどもお話ししましたとおり、週八十時間、月百時間の時間外ということで、過労死だということもありますし、若い外科医が労働環境が劣悪だということに関してはもう明らかだと思いますけれども、そのことに関しての補助的なことで、今日のテーマでありますけれども、中間職種のNP、PA、特定看護師さんという人が来ていただけますと、そういう職種ができますと、その部分の診療の補助というところが、ちゃんとした法制化をすると、看護師さんとしても、その間、病棟に医師がいない、そして手術後の患者をICUで管理をしているとかというような状況のときには、進んでそういう知識を持ち、勉強した看護師さんはタイムリーに、シームレスに医療を補助したいというふうなことがありますので、まずはそういう法制化をし、自信を持ってそういうことができるような、コワーカーというんですか、それができるということは外科医の環境にとっては非常にプラスになるだろうと思います。
 それともう一つは、国立大学病院での勤務医の給料とか、そういうことに関しては一律等々ありますけれども、外科医は特に緊急の手術等、そして休日の呼出し等々がありますので、そういうところでは、ハードワークでハイリスクのところに関してローインカムということであれば、やはりなかなか環境は改善されないということに関しては、皆様の委員会等々で、今度の診療報酬改定でも休日そして緊急等々でその診療報酬をプラスにしていただいたということに関しては、非常に労働環境等それから採用等、志願者等ということに関してはプラスになったのではないかというふうに思っております。
#106
○公述人(有賀徹君) まず、病院の中でのことから申しますと、確かに医師がかなり大変な仕事になっていることは間違いありませんが、医師しかできないというふうなことで医師に、何というか、周辺の医療者が頼っているというふうな局面は多々ございます。これは看護師にしろ、放射線技師にしろ、その他検査の方たちにしろ、上手に現場でのその働きぶりを調整すればある程度医師の負担を減らすことができることはもう間違いありません。その中に、前原先生がおっしゃったような医行為に関するタスクシフティングというんですか、仕事をそれらの方たちに分け与えて、そして医師は医師でしかできないことについて専念をするというふうな形で全体を調整していくというふうなことが取りあえずまずは必要なんだと思います。
 基本的に、医師が足りないというふうな現場においては、もう足りないものを何とかしろといったって、これはもう足りないものは足りないんですから、充足させるための方法を取るしかない。つまり、医師が足りないのであれば医師をたくさん持ってくるというふうなことを、どうにかして持ってこないといけない。ただ、それでもやはり十分かというと必ずしもそうじゃないので、今言ったようにいろんな人たちが助け合いをしながらやっていく、相互乗り入れ的にやっていくというようなことなんだと思います、病院において。
 今、冒頭におっしゃったところの、社会における包括的な全体の仕組みづくりの中でどう考えるのかといったときにも、論理的には同じなんだと私は思います。ですから、ある御家庭でバリアフリーにしたいというふうな話がもしあったときに、その部分について得意な人というのは、多分その地域社会にはいるわけですよね。お金の流れについて詳しい人もいるでしょうし、それから、そのバリアフリーがなぜ必要なのかというようなことについて……
#107
○委員長(石井みどり君) 時間を過ぎておりますので、御意見をおまとめください。
#108
○公述人(有賀徹君) よく知っている人がいたとすれば、それらの人が一緒に仕事をするというような仕組みをつくるということが、そのチーム医療が地域医療で役に立つというふうなことだと思います。
#109
○長沢広明君 終わります。ありがとうございました。
#110
○東徹君 本日は、参議院の方まで公述人としてお越しいただき、誠にありがとうございます。
   〔委員長退席、理事西田昌司君着席〕
 まず、因公述人の方からお伺いをさせていただきたいと思います。
 在宅での訪問介護の非常に難しさというのを改めてお話しいただきまして、大変貴重な御意見をいただけたというふうに思っております。やはり、非常に、先ほどもお話の中にありましたように、利用者と事業所、あるいは制度の板挟みに悩む場面も多いということと、そしてまた、介護報酬が非常に割が合わないというところがあるのかなというふうに聞いておって思ったわけですけれども、じゃ、それならば、どれぐらいの訪問介護については報酬が上がれば、人材も定着していくのかなというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
#111
○公述人(因利恵君) 一応、一生懸命勉強して介護の専門職と認められているわけですので、一般産業の平均以上は当然専門職として支給されていいんじゃないかなというふうに思っています。
#112
○東徹君 ありがとうございます。
 今、現状ですけれども、介護福祉士の資格のある人、ホームヘルパー一級を今受講というのはなかなかないかと思うんですけれども、一級、二級とあると思いますし、そういった資格がなくても、実際にはそういった現場でお仕事をされている方もおられるだろうというふうに思うんですけれども、やはり介護の質を高めていくためには、やっぱりそういう専門的な知識というのは確かに非常に大事だというふうに思っておるんですけれども。
 この介護福祉士とホームヘルパー、そして何もない人、こういった中で、やはり資格を持った方がいいというふうに思うんですが、今回の介護福祉士の一年延長になったというところの部分でちょっとお伺いしたいと思うんですが、私は両方、国家資格の、先生が多分実務経験で取られたと同じように、国家試験を通過した方がいいかというふうに思うんですけれども、片や一方、現場でやられてきた方というのは、やっぱりすごくそういう現場の利用者さんからいろんなことを学んできたという経験があると思いますし、片や養成校を出た方には、知識はあるけれども、現場でのやっぱりそういう学んできたことというのは非常に乏しいというところがあるかと思うんですが、私が思うには、これはもうやっぱり現場からの経験の方が非常に大事なんじゃないかなというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
#113
○公述人(因利恵君) まず、ホームヘルパーは資格を持っていない人は仕事ができないということになっているんですね。それで、介護福祉士の場合は千八百五十時間、それから、一番少ない時間でもヘルパー養成研修の二級で百三十時間の研修を受けていなければホームヘルパーとして働くことができないということになっています。
 ですから、利用者宅に一人で行く仕事ですので、いろんな判断しなければいけないことが出てきますので、当然資格を持っている人で対応すべきだろうと思っています。先生がおっしゃっているのは、施設では無資格者も働くことができますが、訪問介護は有資格者じゃないと働けないという現状があります。
 今度は介護福祉士ですけれども、介護福祉士の場合、現場でいろんなことを学んだ人の方が優位じゃないかということですけれども、私もそう思っていましたが、私は、実はヘルパーを辞めた後に学校で教員をして働いているんですけれども、だから両方の学習というか学習効果を見てきたつもりですが、今、介護過程といって、根拠のある介護をしようということで、なぜその介護を提供するのかのきちっとしたエビデンスを出していこうというので介護過程ということをやっているんですけれども、これに関しては、現場の人間は現場の感覚はありますが、それを明らかにしていくということはやっぱり必要だろうというふうに思っています。そういう意味でも、やっぱり現場に欠けているものは学んだ上で介護福祉士の国家資格を受験すべきだろうというふうに思っているところです。
#114
○東徹君 ありがとうございます。
 もう一点、このいただいた資料の中の四番目に、介護人材の不足を少しでも緩和する観点から、介護ロボットの研究開発を介護現場と密接な連携を図りながら推進する必要がありますと。排せつ介護と入浴介護がロボットでできたらということなんですけれども、一番難しい部分じゃないのかと思う。これは何かそういう可能性ってあるんでしたらちょっと教えていただければと思ったんですけれども。
#115
○公述人(因利恵君) ロボットの研究をしている方々が、どんな優秀な介護職でも、女性の恥じらいとか、最近は男性も排せつ行為見られたくないという方もおられますので、ロボット研究家の間では、この排せつ、何とか機械でできないかという研究が行われているというのは聞いております。
#116
○東徹君 ありがとうございます。
 ロボットの研究で確かにその部分が本当に進めば一番いいなとは思うんですが、現実的にはなかなかそこは本当に私は難しいだろうなというふうには感じておるところではあるんですけれども。
   〔理事西田昌司君退席、委員長着席〕
 次に、前原公述人の方にお伺いしたいと思うんですが、今日のレジュメの中にもあったんですけれども、特定行為に係る看護師の研修制度の法制化と今後というところで、本当に非常に今貴重なお話をいただいたと思うんですが、今回のまとめの中で、本研修制度の欠陥、未熟さというところで、不適切な附則の存在というふうに書かれてあるんですが、この不適切な附則の存在というのはどういったことなのか、ちょっと御説明していただければ有り難いと思うんですが。
#117
○公述人(前原正明君) 経過措置として、第二十九条だったかと思いますけれども、手順書によらないで研修を受けていない看護師さんも医師の指示の下に特定行為を行うに当たって、妨げるものでないということを周知徹底すること、ちょっと法律の用語でありますけれども、まあそのようなことです。
 ということはどういうことかというと、この研修制度というのは私は二年だと思っていますけど、二年間、そして修士を出た後に卒後教育も受けた、そういう特定看護師の方と同じ特定行為が、医師の具体的な指示の下に、研修を受けない一般の看護師さんもできるように周知徹底しなさいよという附則が付いているんですけど、でも、僕の認識からすると、法律家からすると今の現状が混乱しないために、特定行為ということに関して、今も〇・何%かもしれませんけど、その四十一の特定行為の中に現在行われているところを法律で縛って、それはいかぬということではなくてエクスキューズとしての二十九条だろうと思いますけれども、でも僕の考えとしては、あえてそれを明記する必要があるのかなというところが不適切な附則ということで指摘させていただきました。
#118
○東徹君 ありがとうございます。
 あともう一点だけ、済みません。
 今二年間の研修というふうなお話がありましたけれども、先生のイメージする研修内容、教育内容ですね、そういう期間も含め、時間数とかも含めて何かありましたら、ちょっと御参考に教えていただければと思いますけれども。
#119
○公述人(前原正明君) 現在も、もう百二十人から百三十人ぐらい卒業生が、修士課程それから卒後の教育を受けた人がいますので、それでいいますと、教育課程としまして五十五単位とか、二年間で実習、そして座学、講義等も加えてそのぐらいは必要であろうというふうに思っております。
#120
○東徹君 ありがとうございます。
 時間になりましたので、終わらせていただきます。
#121
○薬師寺みちよ君 みんなの党の薬師寺みちよでございます。
 本当に今日は何か授業を受けているようで、四人の先生方、ありがとうございます。本当にこのような機会を私どもにもいただきまして、これからの医療を考える上で大きな、まさにこれがチームだという形で今日は質問をさせていただきます。時間の関係上、済みません、皆様方に質問することができませんかもしれません。本当にその点ではお許しいただきたいと思います。
 まずは、有賀公述人、済みません、教えていただきたいと思います。
 前回、私ども、委員会の中で様々な議論をしてまいりました。その中で一番、この医療事故調の関係で問題になりましたのはやはり費用負担ですね。先日、参考人として医療機能評価機構の方もいらしていただきました。一件につき百万、少なくとも調査費用が掛かってしまうんだというようなお話もいただきました。院内調査の既に経験もあられるということで、まさにこれから、こういった大学病院というのは支援団体ともなり得るということから考えましても、公的補助をある程度このような事故調査入れるべきではないのかなという意見が私ども委員の中でも多く聞かれております。その点につきましてどのようにお考えなのか、お教えいただけますでしょうか。
#122
○公述人(有賀徹君) 基本的な考え方としては、公的な何らかのサポートが入るということは、ある意味筋だと思います。というのは、私ども病院の中で日々、医療安全に関する活動をしております。インシデントレポートを集めるのもみんなそうですが。そういうふうなことプラス、少し大掛かりに院内の事故調査を展開するというようなことになりますと、やはり外から人を、僕らの病院にも麻酔科のドクターはいますが、このような麻酔についてはあの先生に聞きたいなとか、このような手術についてはあの先生に聞きたいなとかが出ますので、どうしても費用負担が生じることはもう間違いないんですね。そのことが社会の仕組みとして成り立っていくのであれば、やはり一定の水準で何らかの投資をしないと、社会の仕組みそのものが成り立たないだろうという意味においては、私は公的な補助については筋だろうというふうに思っております。
 ただ、べらぼうに掛かるのかどうかということは、やはり先行する都道府県の医師会での例がございますので、そういうふうなことを聞きますと、そんなべらぼうじゃどうもないんじゃないかなというのが院内の事故調査を中心にして展開している今のものだと思います。第三者機関という建前でいろんな重装備なことをやり始めますと、それはもうお金が幾らあっても足りないという話で、そういう意味では絵空事になってしまうということを思っております。
#123
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
 これから私どもがいろいろ考えていく上で、有賀公述人のこの資料の中でも解剖の所見というものが大切になってくるということも書いてございました。実際に、これからもう千三百件、二千件近くのそういった調査が行われるだろうということが予測される中で、やっぱり解剖ができる施設というものも、もうこれ限られております。私なんかは特定機能病院などにそういう機能を担わせてはどうなのかなという考えもございますが、何かその点、お考えございますでしょうか。
#124
○公述人(有賀徹君) 具体的には、私は東京都に存在する昭和大学病院の立場で東京都医師会のその議論に参加しております。今おっしゃられましたように、まずは大学の附属病院がスクラムを組んで、そして順番にでもいいから剖検に当たると、解剖に当たるというふうなことは多分必要だろう。ただ、大学病院だけじゃなくて、都立病院だとか、それから日赤の病院だとか、比較的規模の大きな剖検体制を整えている病院もございますので、いずれはそういうふうなところにも話を広げていって、地域全体で支えていくというふうなことが必要じゃないかなというふうなことを東京都医師会のワーキンググループの中では議論しております。
#125
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
 では、次に前原公述人にお伺いしたいと思います。
 先ほど東委員もございましたけれども、やっぱり本研修制度の欠陥、未熟さという中で、教育、研修内容が不明であって国家資格ではないというような御説明もございました。説明の中にも、認定も行われず業務も名称も独占ではないんだよと。こういう研修制度の中で、現場、どのようなことが危惧されるのか、教えていただけますでしょうか。
#126
○公述人(前原正明君) やはりこの特定看護師というのが、新しい職種ではないということの研修制度ということですし、国家資格でもないといいますと、やっぱりどう、見える化というか、この人は研修を受けた人で、ある程度の資格を持っているのだろうということに関しては、試験なり国家資格というものがない場合には、やはり国民の目線、患者の目線からすれば大丈夫なのかいなという、医療の安全性というかそういうところが非常に大きく関わってくるんだろうと思います。
 ですから、医療というものを安全、安心のものとして提供できるような体制とするためには、特定看護師のこのNP、PAのことに関しては、やはり担保するような教育と研修内容と、そしてある意味では国家資格というものを国民は望んでいるのではないかと。ポイントを端的に言いますと医療安全という点が一番危惧されるということです。
#127
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。
 前原公述人にはもう一点お伺いしたいんですけれども、各医療職種のキャリアパスの向上ということをここに挙げていらっしゃいます。多分、これは看護師の資格をお持ちの皆様方の早期離職というものが問題だというふうにお考えなんだと思うんですけれども、この中間職種、特に今御説明がありましたような特定看護師という制度をつくることによってこの早期離職を予防できるのではないかというような、何かそういう感覚をお持ちなんでしょうか。その辺り、御説明いただきたいと思います。
#128
○公述人(前原正明君) そのとおりです。全くそのとおりでございます。
 看護師さんの仕事というのは非常に過酷で、まあ医者も同じですけれども、一生懸命働き、そして医療を共にしているというんですか、早期離職の原因のアンケートを取ってみますと、やりがいがないとか達成感がない、もう少し医療に参加をしたいというのが日本の看護師さんの多くの方はそう思っていらっしゃる。特に若い人は、ちょっと弊害があるかもしれませんけれども、そういうふうに思っていらっしゃいます。
 そうすると、先ほど、東日本大震災の被災地で日本人のNP、PAの方がいましたけれども、アメリカで活躍している人、その人たちに、多くの人が、聞いてみますと、やはり日本で看護師をやっているとやはり達成感なり医療に参加が余りできないという、そういう職種がないためにどうしてもそれは外国に行って、アメリカでそういう資格を取ってもう少し医療に参加し達成感も得たいということがありますので、この制度が日本に導入されれば非常に有益ではないかというふうに考えております。
#129
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。
 最後に、山田公述人の方にお伺いしたいと思います。
 山田公述人がおっしゃいましたように、いわゆる認知症の重症度というものと現在の要介護度というものがなかなかパラレルではない、認知症の重症度が高いにもかかわらず要介護度が低く、もしかすると要支援の中にもこのような方々が含まれている、これは本当に問題だと思うんですね。それを改善するためにはどのようなアイデアがあるのか、済みません、教えていただけますでしょうか。
#130
○公述人(山田智君) ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、私たち、外来で患者さんを診察しましても、なかなか短時間でしか接する機会がないものですから、やはりそのときにこの方の認知症があるかどうかすら分からないということもあると思いますね。
 やはり僕が今考えていますのは、日本全体が今認知症のことに関してはもっと勉強するという、そういう時期に来ていると思うし、そしてそれを、何といいましょうか、認知症の診断をきちっと付けられる医師を増やしていくといいましょうか、その辺りの工夫をしないとなかなか反映がうまくいかないというのと、それともう一つは、認知症の、先ほど私言いましたけど、認定項目の中から認知症の項目を削ったと言いましたですよね。むしろ誰にも分かりやすいような項目というのを増やして、そして拾ってくるというふうな、その取組ですね。
 ですから、専門の医師というのを増やしていかなくちゃいけないというのと、あともう一つは、今言ったみたいな誰にも分かりやすい項目で拾ってくるという、そういうシステムを、二つつくることじゃないかなというふうに、今、認定審査委員をやっているときには思っています。
#131
○薬師寺みちよ君 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。
#132
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 公述人の皆さん、本当にありがとうございました。
 山田公述人にまず伺いますが、最初のお話の中で、特養ホームの要介護三以上に限定するという問題についてお話がされなかったので、この資料の後ろから六枚目以降でおっしゃりたかったことを端的にお話しいただけますか。
#133
○公述人(山田智君) そうですね、ここに要介護度別特養待機者の割合ということで、ページ数が振っていなくて申し訳なかったんですが、後ろから六枚目のところに要介護度別待機者数の割合ということで書いた数字があると思いますけれども、要介護度三、四、五の方が、厚労省が発表しました一一年の三月に四十三万人だったと思います、今年が、今回が五十二万になっていると思いましたけれども。その中で、要介護三、四、五の方は二・八三倍に増えております。そちらの方が注目が行きやすいんですけれども、要介護一、二の方も二倍以上に増えているということの中では、やはり入りたいという方たちがいるので、この十七万に近い方たちの声をちょっと無視することはできないんじゃないかということで、この方たちが入所できるような基盤整備をなすべきじゃないかというのがまず一つです。
 次のページを見ていただきますと、これも厚労省が出しました数字ですけれども、これ二〇〇九年の数字ですけれども、特養の待機者が四十二万に対して施設は四十二万人しかないというような、そういう半分の方が入れないような施設というのがちょっとびっくりします数字であります。
 それから、二枚めくっていただいて、私どもが二〇〇九年九月一日から二〇一〇年二月二十八日に行いました四千人を超す私たちの特養待機者の数字では、その特養待機者の六か月間中に百六十名の方が自宅待機者の中で亡くなっているというような、そういう数字も出ております。この方たちは、特養に入れていたら、専門の介護を受けていたら長く生きられた方じゃないかというようなことも含めまして報告したいと思います。
 基盤整備の方を中心に行うべきじゃないかなと思っています。
#134
○小池晃君 ありがとうございました。
 やはり、要介護三に限定するということで待機者そのものの数を減らすというこそくなやり方ではなくて、特養そのものを増やすということが何よりも大事ではないかなと思います。
 因公述人にお伺いしたいと思うんですが、先ほど利用料の二割負担について、年金収入二百八十万円というのはちょっと厳し過ぎるというか低過ぎるというか、私ももうおっしゃるとおりだと思うんですね。
 二百八十万円だと、なかなか二割負担は厳しいということについて、具体的にちょっと御紹介、どんな形で厳しいというふうにお考えか御紹介いただけますでしょうか。
#135
○公述人(因利恵君) うちの日本ホームヘルパー協会の事務局で試算したものがあるんですけれども、例えば夫の年金が二百八十万、妻の年金が六十万、合計三百四十万だとすると、夫は二割負担、妻は一割負担になるということなんですね。今度は、夫の年金が二百五十万、妻の年金が二百五十万であれば、それぞれ一割負担なので逆転現象が起きると言っているんですね。不公平感が出るんじゃないかというふうに試算して、もっと細かいことを試算しておりますが、そのように言っております。
 私は、その計算とは別に、例えば年を取ると医療費もかなり掛かってきますし、例えば耐久消費財など、例えば家の一部を修理しなければいけないだとか冷蔵庫が壊れただとか、年を取るといろんなことで思い掛けないお金が掛かってきますので、この金額では私自身もやっていけないというふうに思っています。個人的に言うと、少なくとも三百六十万ぐらいは認めてもらえないと、たまには孫にお小遣いもあげたいな、それくらいのゆとりは認めてほしいなというふうに思っています。
#136
○小池晃君 もう私もおっしゃるとおりだと思います。
 厚生労働省は、これまでそういう世帯は六十万円毎年年金が余ると説明していたんですけれども、そんなはずないわけで、そう追及したら、それは間違いだと認めていますから、やっぱりこの点でも大変問題があるというふうに思います。
 有賀公述人にお伺いしたいんですけど、今回提案してきている第三者機関の在り方、公述人が監訳されたWHOドラフトガイドラインに照らすと、どこが一番このガイドラインにのっとっていないというふうにお考えでしょうか。
#137
○公述人(有賀徹君) どこがといいますと、先ほども少し御説明申し上げましたけれども、病院医療の質を良くするということのためには、経験したことや自分が見聞き、要するに医療の現場で接したことについて皆きれいに洗いざらい出していただくと、それをたくさん集積して分析しながら次のステップへ向かっていくと、これが基本的な方法論で、WHOのそのガイドラインには、そういうふうなことのために個人を罰しちゃいけないとか、それから秘密を保持しなくちゃいけないとか、そういうふうな原則論は並んでいるのであります。
 そういうふうな原則に照らすと、今回の法律の全体像は、そういうふうな部分に向かってきちっと運用をしていくというふうなことについて十分な余地があるとは思うんですけれども、厚生労働省におけるそのための検討会において、やはり今お話しのその基本的な原則について多少弱いのではないかと思う、つまり医療者がそのまま罰せられるというふうなことが起こり得るというふうな余地が残っているというふうなことであると。
 一番分かりやすい言い方をすると、警察に届け出る代わりにこちらの第三者機関に届け出れば警察に届けられることは免除するという、そういうふうな文脈が色濃く残っているんですね。そのことと病院医療を良くすることとは全く関係ないことなので、したがって、違う価値規範が入り込んでくるというふうなことを先ほどから申し上げているわけであります。
 ですから、今回の法律の施行をすることによって、真っ正面から病院の医療が、良くするというふうな形での運用というふうなことにしていきたいとは思いますけれども、そうじゃない形での思惑がそのまま残るようなことがあれば、医療そのものは多分萎縮していくだろうというふうなことを懸念しているということであります。
#138
○小池晃君 ありがとうございました。
 前原公述人に、特定行為の問題なんですが、公述人おっしゃったような、ちょっと、かなり現場が混乱する可能性のある今回の提案ではないかなと私自身も思っていまして、その一般の、研修を受けていなくても、個別の行為であれば、指示があればというようなことも含めて。そのことも含めて、このことだけでもかなり重大な、私、問題だし、だからしっかり議論しなきゃいけないと思うんですけど、法案全体がいろんなことがもう盛り込まれていて、今日も本当に一つ一つ議論したらそれだけで大変な、介護福祉士の一元化を先送りする問題だってそうなんですけど、こういう審議のやり方というのはどういうふうに思われますか。
#139
○公述人(前原正明君) 難しい御質問でございますので、僕もワーキングで有賀先生座長でやらさせていただいていましたけれども、要はこの特定行為というのを二百三から四十一に絞り込むことも、二百三をピックアップすることも、医療というのは非常に膨大でありますので、難しいことだというふうに僕は思っております。
 でも、僕の考え方からすると、医者も六年の医学教育を受けた後、卒業後いきなり手術しろといって、じゃこう切ってどうするとかということを見よう見まねで勉強するわけですよね。そのときに、僕は何が言いたいかというと、その基礎なり医学的な知識なり、そういう医療行為をするに当たって、診療の補助の中の難しい行為をするに当たって、これはなぜ必要なんだ、どういう危険があるんだ、どういう合併症があるんだということを勉強した人であれば、ある程度の医行為は僕は全てできるんだろうというふうに思っています。
 なので、そういう職種を僕はつくりたいと思いますので、まずは非常にスモールステップでベビーステップかもしれませんけれども、そこで出て、それから後、特定行為というのはこんなものがあって、こういうプロトコル、手順書によって安全に行いましょうという、そのまずはベビーステップをしないとこの話は百年たっても進まないだろうと。NP、PAという職種を導入するに当たっては、これはもうグローバルスタンダードだと僕は思っていますので、そのためにこういう審議で皆さんにいろいろ、危険なことじゃないか、いろんな不安なり疑義が発生しているんでしょうけれども、僕としては是非とも前に進めていただきたいというのが感想でございます。
#140
○小池晃君 お答えにくい質問をして申し訳ありませんでした。
 終わります。
#141
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は、貴重な提言、ありがとうございます。私は、父も母も義理の母もヘルパーさんに大変お世話になり、お医者さんにも大変お世話になっておりますので、その点でも現場で、あるいは政策で頑張っていらっしゃることに心から敬意を表します。
 まず初めに、因公述人にお聞きをいたします。
 厚生労働省が二〇二五年、この法律がもし仮に通れば、要支援一、二の訪問サービス、通所サービスが、専門的サービスと多様なサービスの割合が半々になると。つまり、専門的サービスは現状維持で、あと残りは多様なサービス、NGOやNPOということの予想値を出したことに私は驚愕をしてしまって、今日のお話でも、まさにヘルパーさんの仕事、通所サービスなど、本当に女の独り暮らしをまさに、男の独り暮らしもそうですが、支えているのに、これが半々で、この介護保険制度が崩壊するんじゃないかと。私は介護保険制度を愛するゆえに、こういう改正は許せないと思っているんですが、いかがでしょうか。
#142
○公述人(因利恵君) おっしゃっているとおりだと思います。
 まず地域包括ケアのところから崩れてくるだろうと私は大変心配しておりまして、先ほども言いましたように、そんなに多様な人材等はいないと思っているんですね。せっかくここまで育ててきた訪問介護の人材をもっと育てて活用する、専門職を育てるということがなければ、そんなに、NGOかNPOか助け合い組織か分かりませんが、それほどいないだろうというふうに思っております。同感でございます。
#143
○福島みずほ君 実は私もそう思っておりまして、共働きも増え、本当にNPO、NGOで働く人たちも地域で残念ながら減っていかざるを得ないだろうというふうに思っておりまして、それを当てに制度設計すると大変なことになると。地域から実際壊れていくというふうに思っております。
 次に、山田公述人にお聞きをいたします。
 医療のことなんですが、今回の改正案は、都道府県知事は、構想区域における療養病床及び一般病床の数が療養病床及び一般病床に係る基準病床数を超えている場合において、正当な理由がなく許可を受けた病床に係る業務を行っていないときは、その医療機関の開設者又は管理者に対して病床数の削減の措置をとるべきことを要請するということが入っています。
 つまり、これから何が起きるか四択の中で選ばさせて、一対七の部分を実は少なくして、そして病床が余っている、基準値を満たさないとなれば病床を減らせといって、病床数が二〇二五年度までにかなり減ってしまう、あるいはそれを理由に病院の統廃合がいろんなところで起きてしまうんじゃないか。かつて公立病院がばたばたと倒れたように、地域医療が再編という名の下に、何か本当に合併が非常に住民にとって不便になった面があるように、地域の医療の崩壊を招いてしまうんじゃないかという危惧を実は持っておるんですが、いかがでしょうか。
#144
○公述人(山田智君) おっしゃるとおりだと思います。
 私たち、一番心配しているのはそのことでして、上からの統制がもうどんどん強くなってくる、それによって医療ができなくなってきてしまう。例えば、福岡県のように医療費を多く使っているところは減らせとか、北海道もそうですけれども、そこも減らせというような形になってくると、どんどんどんどん減らすための方法としてそのことだけを考えて、あそこを減らしてここを減らすというんで、どんどんどんどん上から押さえ付けてしまうというような、そういうことが起こってくるんじゃないのかなということを非常に心配しております。
 それと同時に、県単位になりますので、県が決めることになりますと、力のない県と人の多い県では医療の県の格差が起こってくるというような、そういうことも今後十分にあるんじゃないかということで、先生が心配しているように、私たちも自由な医療行為というのができなくなってしまうということが今一番の心配だと思っております。よろしいでしょうか。
#145
○福島みずほ君 二割負担もそうなんですが、特養に入る人が、待機者が三以上になってしまうということなんですが、今日、山田公述人からも、申請辞退の状況で最も多いのが死亡であるという、何年も何年も待たなければならないというのがありまして、もう一方で、軽度の人で特養に入りたいという人の大きな理由は、介護者不在、介護困難、住居問題等があります。ですから、十把一からげに三以上として、一、二はもうリストにすら載せられないというのは現実的ではないんではないかと思いますが、山田公述人、いかがでしょうか。
#146
○公述人(山田智君) おっしゃるとおりです。これ、そこが一番私たちが問題にしているところでありまして、往診に行きます、往診に行った先で、介護度の軽い方たちで、そして経済的な困難を抱えている方たち、そして介護力が弱いためにもう自分のところで見たくても見られないという方で、そういうところを希望しているんですけれども、お父さんは永遠に入れないじゃないというふうにその奥さんがおっしゃいます。
 ですから、その辺りのところで、三からというところで一律に、そして今言ったぐらいの基準のところだけで、一、二の人でもこういう基準だけで入れるという、やっぱりそれはおかしいというふうに思っておりますので、その枠を、どうしてもこの方向でいくというのであれば、その一、二の方の枠を大きく広げていただいて、こういう場合でも入れるというような、そういう基準を新たに設けていただけないかなという、そういう思いでいっぱいでございます。
#147
○福島みずほ君 先ほど、医療体制を上からやっていくことの問題点というのを山田公述人おっしゃったんですが、私もそれを懸念しておりまして、都道府県知事に、助言に従わなければ廃院、お取り潰しもできるというのは余りやり過ぎじゃないかと。
 それから、都道府県別にやることが正しいかどうか。山梨県の甲府市立病院など行ったときには、県を越えて、当たり前ですが、県を越えていろんな場所で、例えば県の南の方だとその隣の県の方からやってくるとか、みんな必要な医療を求めて通院してきているわけですよね。県単位で県知事の裁量でやることも現実に合っているのかとも思いますが、山田公述人、いかがでしょうか。
#148
○公述人(山田智君) 今、おっしゃられたのは、県単位でやっている……
#149
○福島みずほ君 ごめんなさい。言葉足らずで済みません。
 都道府県知事がビジョンを作ることになっているんですが、実際の地域の医療は県を越えて人々が通院したりしていて、都道府県知事がその県の中だけで完結してビジョンを作るというのでは済まないというふうに思っているんですね。何が言いたいかというと、実情とそれが、上からの改革が実は合わなくなるんじゃないかと思っているんですが、いかがでしょうか。
#150
○公述人(山田智君) 卑近な例を挙げますと、救急隊の中で救急車が県を越えて行くとか、その中で、県を越えて医療が行われている中で、そういう中で今県だけで完結させるというようなことは、今おっしゃったように実態に合わない。ビジョンは他県にまたがって作るというようなことも大いに出てくると思いますので、県だけでのビジョンでは済まなくなってくるということで、今先生がおっしゃったみたいなことで、県単位でということには決してならないよというような、そういうケースが多くあるということを、生じてくるだろうということです。よろしいですか、先生、それで。
#151
○福島みずほ君 はい。
 因公述人にお聞きをいたします。
 介護労働者の賃金は、なぜこんなに頑張っているのになかなか上がらないのか。人件費の割合についてペーパーを出してもらいましたが、どこかで搾取されているのか。それは、どこが、何が一体問題だと現場で思われますか。
 また、今日の要支援一、二の人たちがNGOやNPOでやるんだってなれば、私は介護労働者の労働条件は更に低くなるというふうに思っております。この点について教えてください。
#152
○公述人(因利恵君) 搾取されているかどうかということをここで言うのは非常に厳しいんですが、介護報酬が上がっても介護職員の給与がそれほど上がらない。厚生労働省の実態調査、事業主調査では、一万二千円上がっていると言うんですけれども、私どもの調査ではそんなに上がってないんですね。現場の人間の調査では上がっておりません。
 どうすればいいかということですが、人件費比率の公開をしていただきたいと思っています。そうしないと、報酬が上がっても労働者側に回っているかどうか分かりませんので、人件費比率の公開をしていただきたいなと。そうすると、原因が分かるというふうに思っているところです。
 もう一つ、要支援のところですよね。要支援の、済みません、何とおっしゃったんですか、ごめんなさい。
#153
○福島みずほ君 NPO、NGOの活用をするということになれば、半分ですね、今でも労働条件が悪いのがより引き下げられてしまうんじゃないか。
#154
○公述人(因利恵君) 分かりました。はい。そうだと……
#155
○委員長(石井みどり君) 因公述人、時間を過ぎておりますので、御意見をおまとめください。
#156
○公述人(因利恵君) はい。
 おっしゃっているとおりで、NPOとか助け合い組織をなぜ入れるかというと、それは安く使えるからということですので、同じような仕事をしていて、従来の訪問介護を使う人は、やっぱり安い人に引っ張られていくだろうと大変心配しております。
#157
○福島みずほ君 どうもありがとうございました。
#158
○委員長(石井みどり君) 以上で四名の公述人に対する質疑は終了いたしました。
 公述人の方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)
 これをもって公聴会を散会いたします。
   午後四時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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