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2014/05/21 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会 第6号
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2014/05/21 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会 第6号

#1
第186回国会 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会 第6号
平成二十六年五月二十一日(水曜日)
   午後三時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
    渡辺美知太郎君     山田 太郎君
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     藤末 健三君     大野 元裕君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         鴻池 祥肇君
    理 事
                西田 昌司君
                松村 祥史君
                山田 俊男君
                江崎  孝君
                石川 博崇君
                藤巻 健史君
                山田 太郎君
                辰已孝太郎君
    委 員
                高野光二郎君
                舞立 昇治君
                松山 政司君
                宮本 周司君
                山本 順三君
                吉川ゆうみ君
                渡邉 美樹君
                石上 俊雄君
                大塚 耕平君
                大野 元裕君
                田城  郁君
                河野 義博君
                真山 勇一君
                吉田 忠智君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        山内 一宏君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事選任及び補欠選任の件
○国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関
 する調査
 (デフレからの脱却と財政再建の在り方など経
 済状況について)
    ─────────────
#2
○会長(鴻池祥肇君) ただいまから国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、渡辺美知太郎君及び藤末健三君が委員を辞任され、その補欠として山田太郎君及び大野元裕君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(鴻池祥肇君) 理事の選任及び補欠選任を行います。
 新会派の結成により、理事の数が一名増えておりますので、その選任を行うとともに、委員異動に伴い現在一名欠員となっております理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に藤巻健史君及び山田太郎君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○会長(鴻池祥肇君) 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査を議題といたします。
 本日は、デフレからの脱却と財政再建の在り方など経済状況について委員間の意見交換を行います。
 本調査会では、デフレからの脱却と財政再建の在り方など経済状況についてこれまで六回にわたり十三名の参考人から御意見を伺い、調査を進めてまいりました。
 本日は、中間報告書を取りまとめるに当たり、これまでの調査を踏まえ、委員各位からの御意見をお述べいただきたいと存じます。
 まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は会派にかかわらず御発言いただけるよう整理したいと存じております。
 発言を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようお願いを申し上げます。
 また、発言の時間が限られておりますので、委員の発言は五分以内となるように御協力をお願いいたします。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、発言を希望される方は挙手をお願いいたします。
 西田昌司君。
#6
○西田昌司君 自民党の西田でございます。
 私は、デフレ脱却それから財政再建、いろんな参考人の方々の意見を聞いてまいりまして、やっぱり基本的にはこの二十年近く総需要不足、その結果としてデフレになってきたと。そして、デフレになったがゆえにGDPも下がって、税収も落ちてくる。その結果、財政的にも悪くなる。そして、財政が悪くなると、ますます財政出動を小さくして小さな政府にすると、ますますこの需要が小さくなって、またまたGDPが下がる、デフレになってくるということの繰り返しだったと思うんです。
 今、安倍内閣の下で、総需要を増やすように、いわゆる第一の矢で金融緩和をして、それから財政出動をして実際の需要を増やしていっていますが、ここに来てちょっと懸念材料がありますのは、いわゆる法人税減税をするというような話が政府委員の話の中からも出ているんですけれども、考えてみますと、これから日本は高齢化ということも含め、医療、介護、年金、保険、それから安全保障を含め、政府がしなければならない支出が、政府部門のこの需要がかなり増えてくる。これは当然の話なんですね。それに対して、予算を我々は充てていかなきゃならない。そのためには、結局は、いわゆる減税とか増税とかいう以前に、そもそも国民負担率を主要先進国並みの五〇%程度に上げていくと。そのことによって、いただいたお金を予算措置をして、地方に渡したり、それから福祉に使ったり、安全保障政策、そのことによって需要をもう一度喚起させてお金が回っていくというのが原則だと思っています。
 ところが、今、残念ながらそのことが忘れ去られて、この国民負担率をいかにすべきかという根本的な議論が横に置かれて、今、またもう一度、いわゆる小さな政府論が出てきたり、それじゃ支出を減らしていこうとか、また減税を先行させようなんという話が出ているんですけれども、私は、これはもうまさに二十年間やってきた結果を見ていない本末転倒の議論だと思っています。
 自民党の私が言うのもなんでございますけれども、やはり、ここは政府に対して、もう一度、我々与党といたしましても、この二十年間の反省を踏まえた経済政策をやっていかなきゃならない。
 そして、今のような法人税減税先行しますと、おかしな事態になってくるのは、要するに、これから医療、介護、保険が増えてくるからというので消費税をどんどんいただくことにしているんですけれども、当然それも必要なことですけれども、片一方で、今、企業業績は史上最高益の更新しているんですよね。そうしますと、本来は税収が伸びてきているはずなんですけれども、今法人税は、かつて平成四年か三年ぐらいが十八兆円、二十兆円弱の税収あったと思いますが、今はその半分以下なんですよね。
 史上最高益で半分以下の税金であるのに、そこからまだ法人税を下げるということは、これは全く理にかなわないどころか、財政再建も当然できなくなりますし、必要な行政需要に対する財政の在り方という面から考えましてもかなりおかしいですし、まさに、ある意味でいうと、皆さん方にそれぞれ負担をしていただくものは消費税等、当然ですけれども、当然のことながら、企業にもその所得、その能力に相応した負担を求めていくと。
 じゃ、それを、いただいたものをまた次々、政府の必要な、例えば地方に対する予算もそうですし、それから、先ほど言いました福祉とか公共事業とか、それから、そういう安全保障を含めそういったところに配分していくというのが私は大事だと思いますので、是非デフレ調査会の中でも、そういったことを念頭に中間報告を取りまとめていただきたいと思います。
 以上です。
#7
○会長(鴻池祥肇君) 次に、江崎孝君。
#8
○江崎孝君 民主党の江崎でございます。
 十三人の参考人から意見聴取をしてきたところで、様々な意見を聞かせていただいて、大変有意義な調査会だったと思います。
 まず、先ほど西田委員が言われた我が国がデフレに陥った要因ですけれども、まずバブル崩壊後の企業倒産、失業等の厳しい経済社会環境が、さっきおっしゃったとおり税収を減少させていく。その一方で、その環境を改善するために多額の公共事業が推し進められた。御記憶にあると思いますけれども、リゾート法という悪名高き法律がありました。国の肩代わり的役割で地方が公共事業を膨らませていって、結果的には国、地方の借金がバブル崩壊後に膨れ上がっていったわけです。
 同時期に、同じように冷戦構造が終わって、本格的なグローバリゼーション、そして金融資本主義が日本に押し寄せ、企業は、国際競争力を維持しなければならないということを理由にして、日本的雇用環境の見直しを進めます。政府もこれに呼応して派遣法を改正をしたりしながら、結果的に正規職員から派遣や非正規への雇用の切替えが進んでいったということが挙げられます。バブル崩壊後の雇用環境の悪化は、そのまま派遣や非正規雇用を増やすという、こういう新しい雇用環境の悪化で引き継がれ、恒常化をすることということになりました。
 国内消費の中心軸であった個人消費が衰退していくのは、これ当たり前のことであって、これに加えて、藻谷さんが指摘されたように、一九九六年から生産年齢人口が減少して、二〇一〇年からはいよいよ人口減少が始まった。これが我が国の今の消費減に拍車を掛けてきたわけであります。税収減は、特に国と地方の財政を更に悪化させました。特に地方の疲弊は御承知のとおり。
 我が国は、このような現状を、一九九〇年以降、複雑な要因が絡み合って今の結果ができ上がっていると思います。
 そこで、幾つかの意見を申し上げます。
 本調査会での参考人質疑では、デフレ脱却と財政再建の両立のためには、積極的かつ柔軟な財政政策と、これと連携した形による金融政策の推進が必要であるとの考えが複数の参考人から示されました。特に国土強靱化に係る大規模な公共事業です。
 これはちょっと私は意見が違うところなんですけれども、私は公共事業が持つ経済効果を否定する立場ではありません。特に地方においては一定の必要性を認めなければならない。しかし、先ほど述べたとおり、バブル崩壊後の公共事業の増大は、景気浮揚に結果として結び付かず、国、地方の巨額の債務残高を積み上げたことを考えれば、公共事業を景気回復の切り札とするのは危険過ぎると指摘しておきます。まずこれが第一点。
 二つ目に、増税に対しての指摘もありました。確かに、法人税の増税については、私は西田委員と同じ、慎重にやるべきだというふうに思います。
 また、消費税についての問題点も指摘されました。消費税の増税はやむを得ないという立場で賛成してきましたけれども、次回の一〇%アップまでには現在の消費税制度が持つ不公平性など様々な課題を解決しなければならないと改めて痛感をした次第であります。
 財政再建のためには、増税ではなく経済成長を高めることを優先し、完全雇用と所得倍増による自然増収を図るべきとの考えが、これも一緒に示されたわけなんですけれども、経済成長のために更なる規制緩和という考えも意見が出されました。委員の中にはそういう考え方もいらっしゃると思いますけれども、私は、市場原理主義的規制緩和が、雇用も含め様々なものの価値を引き下げる働きをしたということも見逃してはならないと思います。これも現在のデフレの一要因です。
 このことから考えても、緩和すべき規制とすべきでない規制を明確に切り分けなければなりません。特に、雇用や医療、教育、環境など、国民の生活に直結する規制緩和は慎重であるべきだと考えています。
 第三に、金融緩和政策です。
 金融緩和政策は、雇用、教育等との相関関係が薄いという分析がありました。したがって、景気回復のためには消費の増加を図る必要があります。非正規雇用の増加に歯止めを掛け、賃金を上げていくとともに、生産年齢人口の七〇%しか就業していない構造を変えるために、女性が働きやすい環境を整備することが重要です。国民の圧倒的多数が勤労者という事実を踏まえ、勤労者が消費を増やす政策が求められています。
 第四に、その勤労者の約九割が中小企業に雇用されている実態を踏まえ、疲弊している中小企業や地域経済に対して戦略的な財政政策を行うことも指摘されました。
 地方の良さを生かす地域ブランド化や高付加価値化で地域外から稼ぎ、稼いだ金を活用するという地産地消モデル、藻谷さんは里山資本主義と名付けられていましたけれども、戦略的にそんな事業を各地で実践する、そんな地域のイノベーションに対して積極的に投資する政策が重要だと思います。
 最後に、地方が元気にならなければ国全体が元気になりません。東京一極集中から抜け出し、日本を多極化していく大胆な転換も指摘されました。全くそのとおりだと思います。そのためにも、国と地方との関係を見直し、地方が国をリードするという財政政策の見直しも喫緊の課題ですし、地方の自主性、独自性ある発展を国がサポートする体制の強化を進めるべきだと考えています。
 加えて、医療、介護、教育、公共交通などユニバーサルサービスが重要である分野の雇用や投資を増やし、地方での就業増を図る必要があります。日本は支出の面でも公務員数の面でも一度も大きな政府になったことがないにもかかわらず、市場原理主義の大波の中で小さな政府論が台頭し、いつの間にか小さな政府シンドロームに陥り、いまだに抜け出せないでいます。そろそろ小さな政府シンドロームから脱却し、日本的な少し大きな政府を目指してもよいのではないでしょうか。
 デフレ脱却と財政再建の両立に特効薬はありません。それぞれの政策をバランス良く組み立て、成長から成熟した社会へ日本をソフトランディングさせることこそが目指すべき道だと考えます。
 以上です。
#9
○会長(鴻池祥肇君) 次に、石川博崇君。
#10
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。
 このデフレ脱却及び財政再建に関する調査会、十三名の参考人の方々をお呼びし、大変有意義な運営がなされてきたことを感謝申し上げたいと思います。
 多くの参考人の方々から、現在、我が国、自公政権が目指しておりますデフレからの脱却と経済の好循環の実現に向けて、着実な歩みが進められていると認識が表明されたのではないかと考えております。
 私からは、大きく三点について申し上げたいと思います。
 第一に、このデフレ脱却と経済の好循環の中で賃金上昇、特に消費需要を押し上げることになる家計の可処分所得の上昇が目に見えて現れてきたことでございます。
 経団連が四月の十六日に発表いたしました大手企業の二〇一四年春闘妥結状況第一回集計では、定期昇給を含めた組合員平均の月例賃金を引き上げる額が七千六百九十七円となり、前年を大きく上回ったばかりのみならず、賃上げ額が七千円を超えるのは実に十六年ぶりのことでございました。この賃上げにつきましては、昨年設置されました政労使の会議が果たした役割が大変大きかったものと認識をしております。大企業の賃上げの流れを今後は中小企業、そして地方にも波及させるべく、経済の好循環の動きを本格的なものにしていくことが重要でございます。
 第二点目に申し上げたいことは、特に日本の企業の九九%以上を占め、従業員数の割合が全体の約七割に及ぶ日本経済の屋台骨とも言える中小企業の従業員の方々の賃上げなくして経済の好循環実現はあり得ないという点でございます。
 大企業の業績好転によりまして、仕事の受注件数が増える中小企業は少なくないと考えますが、特に先月の消費税増税の影響もあって、中小企業の経営は楽観視できない状況にございます。政府は中小企業の先行き不安を払拭するとともに、経営環境の改善を後押しすべきと考えます。今年度の税制改正では、一定の賃上げを実施した企業の法人税を減額する所得拡大促進税制を拡充しておりますけれども、政府はこうした制度を周知徹底するとともに、積極的な活用を促してほしいと思います。
 三点目に申し上げたいのは、非正規労働者の点でございます。
 非正規労働者の賃上げの問題も無縁ではございませんが、今や労働者の約四割が非正規雇用である現状を鑑み、賃金も含めた待遇改善がこうした非正規労働者の方々になければ消費を手控えざるを得なくなり、景気のプラスにはならないと考えます。
 最近は、景気回復に伴う人手不足から非正規労働者を正社員や無期雇用にするなど待遇改善に取り組む企業も出始めていることは大いに歓迎したいと思いますが、こうした動きが更に広がるよう政府は政策として支えていただきたいと要望いたします。
 いずれにいたしましても、今回の賃上げなど、今のデフレ脱却そして経済の好循環の流れを一過性のものに終わらせてはならないと考えております。中小企業も含め、今後の賃上げの状況をフォローアップし来年以降に生かしていくことが大切でございます。こうした取組の中で好循環の動きは力強さを増し、それを一つ一つ実現していくことでデフレ脱却に向けた着実な道筋を歩んでいくことができると考えております。
 そう申し上げて、私の意見表明とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#11
○会長(鴻池祥肇君) 続いて、藤巻健史君。
#12
○藤巻健史君 日本維新の会・結いの党、藤巻です。
 私は、イギリスの新聞であるファイナンシャル・タイムズにドクター悲観論と紹介されたほどの財政悲観論者なんですが、参考人の方々から、誰かから建設的な財政再建論がお聞きできるかなと思ったんですが、予想どおりというか、残念ながら一つも聞くことができませんでした。したがいまして、私は、この解決策としては、残念ながら財政破綻か若しくはハイパーインフレにならざるを得ないというふうに考えています。
 インフレになってハイパーインフレになれば、確かに財政再建はできます。千十八兆円の借金が、例えばタクシー初乗り一兆円になれば、これはごみのような数字になりますから、財政再建にはなります。究極の財政再建策ではありますが、国民生活は最悪ということで、非常に望ましくない未来があるのかなと私は非常に危惧しております。
 今、アベノミクスに対して、皆さん、お金を日銀が国債を買ってじゃぶじゃぶにする、じゃぶじゃぶにすることによって景気が良くなるという話が蔓延しておりますけれども、私は、アベノミクスの第一の矢であるあれは、日銀が国債を買っているということに尽きると思っております。
 今、毎年四十兆円の赤字があって、四十兆円の赤字であるということは、毎年誰かが国債を買い増さないと国債市場は暴落、要するに政府は資金繰り倒産をするということでありまして、今年一年間、銀行は三十五兆円の売り越し、アベノミクスで、一年半で黒田総裁が百兆円を買うというふうに宣言しているからこそ国債は買われて政府は資金繰り倒産をしていないという状況にあるかと思います。
 ただ、残念なことに、アベノミクスが二百七十兆円マネタリーベースが達成した後、誰が国債を買うか。要するに、達成した後、買う人がいなくなるという現実がもう近々、近づいてきているわけです。さらに、日銀が買うということになれば、明らかにマネタイゼーションということでインフレが加速するということで、事態は極めて深刻なのかなというふうに思っております。
 参考人の方からいろいろお話を聞きました。二人の発言の方が非常に印象に残っております。
 一人の方は、東芝取締役副会長の佐々木さんの発言で、為替が非常に営業利益を上げたという発言でございました。これは、デフレ脱却そして景気対策には為替がいかに重要かということを明示している発言だったというふうに思っております。
 残念ながら、やはり財政出動とそれから金融政策、これは最大限発揮したにもかかわらず二十年間景気が低迷したというのは、これはひとえに円高のせいだったと思っておりまして、これはアベノミクスのブレーンである浜田先生と私、何度も議論したことがございますが、この点は一致しております。二十年来、日本が経済が低迷した最大の理由は円高である、それを止められなかったことだと思っております。
 したがいまして、もしハイパーインフレ等が避けられなければ、今後、長い将来にわたってやっぱり為替は重要であるということを日本は認識するべきだというふうに思っております。ただ、残念ながら、今、円安政策を取ると、皆さんが、国民が円を引き下ろして外貨建債券を買う。すなわち、あした日本の銀行が国債を買うお金がなくなるということで、あした財政破綻を起こすという意味で、今では、この時期になっては為替政策、円安政策も取れないかなというふうに思っております。
 もう一つ重要に思った発言は、コマツ相談役の坂根相談役が結いの党の真山議員の質問に対して、「この国の財政はとてももう議論の余地がないほど危機的な状況になってきている」というふうにおっしゃったことでございます。
 これは、やはりいろんな質問なんかすると、皆さん、政府に対しても、質問に対しても、答えは、もうプライマリーバランスを聞くんですが、プライマリーバランスなんというのは、あれはまやかしの目標でございまして、プライマリーバランスを財政再建目標にしている国なんかない。なぜならば、プライマリーバランスが達成しても累積赤字はどんどんどんどん増えてくるわけでございまして、例えば四月二十八日、つい最近、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会がコメントを出しました。
 これは極めて楽観的な前提で話をしているんですが、日本の財政はこのままでは危機的な状況になりかねないということで、累積赤字は五十年後に八千百五十七兆円になる。今年、千百九十六兆円ですから、五十年後には六倍にもなってしまうと。これはプライマリーバランスが黒字化してもこうなってしまうということで、こんなになったら金利支払で国は一発で潰れてしまうと思います。
 その財務相の諮問機関の最終結論は、借金を減らす、累積赤字を減らさなくちゃいけないんですけれども、減らすためには消費税増税だけで二〇二一年度までに税率を三〇%まで引き上げなくちゃいけない。甘い前提で、物すごく楽観的な前提で、二〇二〇年、七年後までに消費税を三〇%までにしないと借金は減らないよと言っているわけです。この事実をやっぱり認識するべきだというふうに思います。
 あえてここで言うならば、政府はプライマリーバランスの黒字化というまやかしの目標を直ちに引き下げて、明確に累積赤字を減らすという方向を出すべきだと思います。要は、大本営発表的な、楽観的なことを国民に知らしめるのではなく、やはり財政は極めて厳しいので消費税を上げなくちゃいけないとか、ばらまきは駄目だということを今国民に示すことが最大の財政破綻を遅らせる道ではないかと私は思っております。
 以上です。
#13
○会長(鴻池祥肇君) 続いて、山田太郎君。
#14
○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。
 この調査会に参加しまして、皆さん、ゴールとしているところのデフレ脱却とか財政再建については同じであるものの、やはりその途中の手法というんですか、それから原因についてなかなか、いろんな意見があって、一致を見るのがまだ難しいのかなという感想、意見を持っております。
 私ども、また私の意見に関しては、小さな政府を目指して脱中央集権、地方に権限を移譲しながら、減税を中心とやって規制緩和をして既得権益を打破していくと、こういうことが結論であります。
 まず、その背景にあるところ、なぜ今回デフレ又はこういった状況になったのかというところを少し意見としてまとめさせていただきますと、一九八五年、プラザ合意以降、日本は非常に内需中心という形で経済が転換されてきたと思います。ただ、一九八九年から九二年ぐらいに起こる東西冷戦の終結ということで、新たな国際市場の変化というものがあった。いわゆる平和の配当と言われますが、それに対してなかなか日本は乗り切れない、内需を中心にやっていく中で、複雑で国内向けのサービスや製品を開発してきた。そういう意味では、確かに日本は戦後早く開国をして国際的に競争力を持ってやってきたものの、実は海外に対する競争力がこの間じわりじわりと減退していくと。一方で、九七年、アジア通貨危機が起こり、また中国もWTO参加以降台頭してきて、完全にアジア中心の経済の状況が変わったにもかかわらず、残念ながら日本は内需中心の経済体制から転換することができなかったと。
 こういったところが非常に大きい原因ではないかな。それによって世界的な成長、つまりインフレを取り込むことができないという形で日本が変わらないといった構造。気付いてみれば、国際通商も遅れてしまって空洞化が進んでいくと。こういう形で、日本国の大手企業もどんどん海外に出ていると。現在、各企業が非常に戦後最大の黒字と言っていますが、実はこれは連結ベースで海外で黒字なのであって、国内になかなかお金が循環していかない。
 一方で、政府がやってきたことは、それに対して財政出動を中心にやってきた。三百兆円以上のお金をこの間たくさん付けてきたものの、残念ながらこれがフライングマネーとして海外に流出してしまうと。なぜならば、国内を、国を閉ざしているために、再投資の機会というのを失って海外の成長に我が国の大切なお金が使われてしまうと、こういう悪循環が続いてきたのではないかなと、こういうふうに思っております。
 そういう意味で、まず国を開いて、もう一度再成長に乗せるということのためには、まず徹底的な規制緩和をして、国を開いて、通商交渉、TPPを始めとしたものをしっかり捉えていく必要があるだろうと。政府はできるだけ小さくして、民間にやれるべきことは任せて、もう一度民間を信じてその再成長を民間に任せていくと、これが重要だと。
 それから、中央一極集中では残念ながら国全体は成長することがないというふうに考えます。地域が自立していくためにも、人間、権限、財源を各地に移譲していく地域主権型道州制というものが必要だというふうに考えております。
 それから、税金に関しては、先ほど法人税等の議論もありましたけれども、我々自身は、できるだけ税金は減税することによって民間の可処分の所得を増やして、民間が創意工夫をしてお金を使っていくと。国が税金を召し上げてそれを再分配するという形ではない。高度成長のときはそれでも構わないかもしれませんけれども、成熟産業になった以上、何が産業として成功するか分からない。であれば、国がターゲティングポリシーのような形でもってこういう産業は伸びるだろうということよりも、民間が創意工夫をしながらやっていくという、通常のノーマルな経済のパターンに戻していく必要があるんであろうと、こういうふうに考えております。
 最後に、この好循環になるはずの民間主導のいわゆる回転に対してやはり足かせになっているのは、規制とそれから既得権益の存在だというふうに考えております。できるだけ規制は緩和して、特に今まで既得権益、結果として既得権益になった電力、農業、医療分野において、それぞれそういった既得権益を打破していくことによってもうちょっと民間が創意工夫で新たな産業を興せるような経済環境を整えていくこと、そのことが最終的にデフレの脱却にもつながり、それによる自然増収によって財政が再建されるんだ、増税によって税金で民間からお金を召し上げて再分配する形では決して財政再建は難しいだろうと、こういうふうに考えております。
 以上です。
#15
○会長(鴻池祥肇君) 辰已孝太郎君。
#16
○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎です。
 いわゆるアベノミクスによる金融緩和等によって、為替は円高から円安に推移しました。この円安の影響や消費税増税に伴う駆け込み需要などで、消費者物価というのは上昇の傾向にあると。しかし、国民の所得はどうかと。所定内給与は、今年の三月まで二十四か月連続で減少いたしました。つまり、物価は上がるけれども賃金は上がらないと。これでは、本当の経済の好循環というのはつくれないと思います。
 また、消費税の増税というのは景気を更に冷え込ませます。内閣府の景気ウオッチャー調査では、ある乗用車販売店の方から、消費税増税前の駆け込み需要は大きな動きがあったと、しかし反動減は過去にあったエコカー補助金以上の規模だと、予想どおり全ての指標が大きく悪化していると答えております。
 アベノミクスの誤算というのはまだあります。円安になっても輸出が伸びなかったことであります。これは、既に大企業の海外の現地生産が進んでいるということを示しているのではないでしょうか。国際協力銀行の調査によりますと、仮にこの水準の円安が定着した場合でも、海外にある生産の拠点や機能を国内に移すと答えた企業は全体の七・八%にすぎませんでした。日本の産業空洞化が深刻化しているわけであります。
 また、経済産業省の調査によりますと、二〇一一年、企業の海外投資決定の理由のトップは、現地の製品需要が旺盛又はこの後の需要が見込まれるからというもので、これが七三%を占めております。同じ調査では、税制融資等の優遇措置があると答えた企業というのは一割もありませんでした。つまり、今、日本の法人税が高いから企業は海外に流出していくということではなくて、むしろ日本の内需の冷え込み、これが企業を海外投資に向かわせているということではないでしょうか。
 よって、この企業の海外流出をストップ、食い止めるためには、法人税を引き下げるということではなくて、ましてや消費税や社会保障の負担増などで国民に負担を求めて法人税の引下げの穴埋めにするというような身勝手は私は間違っていると思います。やはり、働く人の賃金、所得を増やしてデフレの脱却というのを図っていくべきだと私は思います。
 大企業はこの間、内部留保を増大させてきました。資本金十億円以上の企業では、内部留保が前年度比で五兆円増の二百七十二兆円、これは二〇一二年度、になっております。大企業が内部留保を着実に積み増す一方で、民間企業労働者の年間平均賃金はピーク時に比べて六十万円も減っております。内部留保の一部でも労働者の賃金に回っていれば、ここまでの深刻なデフレになっていたでしょうか。
 最後に、新自由主義の名の下に、労働法制の規制緩和が非正規雇用の増大、ワーキングプアを増やして、格差と賃金を広げました。社会保障が改悪され、年金が下がり、医療費や社会保険料は負担増になりました。そして、労働者にはこれから更に残業代ゼロ法などが導入されようとしております。賃金を更に引き下げる政策というのは、私はデフレ脱却に逆行すると思っております。非正規雇用、非正規労働を減らす政策、最低賃金を抜本的に引き上げる政策が必要で、内需を温めること、また、貧困層を増大させるんじゃなくて、税金を納めることができる労働者を増やす政策を取ることでデフレの脱却と財政再建にも道筋が見えてくるということを主張して、終わります。
#17
○会長(鴻池祥肇君) 吉田忠智君。
#18
○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。
 十三人の参考人の皆さんから大変貴重な御意見をいただきまして、思うことを私は三点申し上げたいと思います。
 まず一点目は、これまでの税制改革をしっかり検証、総括をしてこれからの税制改革を行うべきであるということでございます。
 国税でピークのときには六十兆ございました。それが一番低いときには四十兆、最近少し改善をしてまいりましたけれども、GDPとしては五百兆前後を推移する中でそれだけの税収の落ち込みがあったわけでありますけれども。そして、この間、国民が払った消費税は約二百三十兆、それに見合う法人税、所得税の減税が行われました。法人税の減税、そして所得税のフラット化が進んできたわけでございます。そして、本年四月から消費税が八%に上がりました。結局のところ、これまで消費税で国民が納めた分は法人税あるいは所得税の減税に回ってきたということでございまして、決して社会保障に回ったわけではありません。
 そのことを押さえた上で、確かに消費税というのは非常に取りやすい、景気に左右をされない税制でありますけれども、やはり応能負担の原則に立って、応分の負担を企業やあるいは高額所得者に求める税制にまた転換をしていかなければならないと思っております。
 それから二点目が、雇用の立て直しでございます。
 非正規の比率は三八%を超えました。二千万人を超えました。非正規の労働者の皆さんは年収二百万以下ということでございまして、本来の景気の循環の中に加わることができません。消費活動、正常な形で加わることができません。また、税やあるいは保険料の負担という点においても十分な能力を有しない、そうした方々ばかりでございます。したがって、やはり雇用そのものを立て直しをしなければ日本経済の立て直しもできないと思っております。
 そうした中で、今、政府は労働者の保護ルールの見直しを検討しております。今、通常国会に提出をされております、今国会はもう継続になりそうでありますけれども、労働者派遣法の改悪案、また解雇ルールの法制化、またサービス残業の合法化などについてはこれと逆行するものでありますから極めて問題であると、そのように考えております。
 三点目が、今後の経済活性化のキーワードはやはり日本の潜在労働力、高齢者や女性をいかに有効に活用していくかということでございます。政府の方針の中にも盛り込まれておりますけれども、やはり体系的にこれをいかに生かしていくかという取組が十分ではないと思っております。
 私も地方を回りますけれども、定年退職をして六十歳で辞めて元気な高齢者が時間を持て余している、そういう方々が大変多くおられるわけであります。そうした方々は多額の収入を欲しているわけではありません。むしろ生きがいを求めているわけでありまして、やっぱり体系的なそういう高齢者の皆さんを活用する法律、そして女性の皆さんも、家庭におられる主婦の皆さんがやっぱり働けるような、そういう条件をしっかりつくっていく、そういうことが今こそ経済の活性化に大きな役割を果たしていくのではないかと思っております。
 そして、今後のデフレ脱却、財政再建のキーワードは、私は地方、それから労働者、中小企業である、そのように思っております。そうした層の方々をしっかり政策的に後押しすることが極めて重要であると、そのように考えております。
 以上です。
#19
○会長(鴻池祥肇君) 以上で会派からの御希望のいわゆる一巡目の御発言を終了いたします。
 時間もありますので、二巡目の御発言をいただきますが、会長の手元に御発言希望者の名簿が来ております。この順番で行きたいと思います。自民、山田君、民主、田城君、自民、舞立君、公明、河野君、自民、渡邉君、維新・結い、真山君、自民、宮本君、自民、山本君、自民、松村君と、このような順番で指名をさせていただきたいと思います。
 まず、山田俊男君。
#20
○山田俊男君 ありがとうございます。会長、どうもありがとうございます。
 当デフレ調査会は、いい参考人にも恵まれまして、内容のある調査ができたというふうに……(発言する者あり)ああ、そうですね。大変失礼しました。それを取り返そうと思って言っておりまして、済みませんでした。
 私の今日の発言は、若干異質ですが、感じたことを率直に申し上げたいというふうに思います。
 今、成長戦略の一環として、一つは既得権益の岩盤を打ち砕くと。その対象に、農業、そして農業と農村地域に根を張っているJAと農業委員会が、独り立ち志向の農業者と、それと農業に参入したい企業の自由な活動を邪魔しているということで攻撃されています。
 成長戦略の一環として、もう一つはTPPの推進を進めるとされているわけです。TPPは自由な貿易の促進や企業活動の新しいルールを作る、そのことで雇用を維持し所得を拡大する、需要を高める、企業活動を増大させて国内総生産を高めていくという内容でありまして、それに抵抗するJAグループは潰すぞということらしいと新聞報道にあります。
 しかし、そこには、既得権益の岩盤と言われるものの、しかし、御案内のアジア・モンスーンの下で、高温多雨の日本の気候や風土や小さな島国の国土という制約の下で、地域の安定を維持してきたことへの配慮は全く考慮されていないのではないかと、こう思うわけです。
 ところが、既得権益の岩盤と言われるものが実は地域の共同と安定を維持してきていた。家族も二世代にとどまらず三世代家族で支え合っていた、今もいます。無駄がいっぱいあるのだろうし、給与も低いのだろうが、家族のみんなが働いて家族の役割を果たし、全体として所得も確保しているわけです。行っている農業も零細な米作り等で、これら小規模家族農業を束ねる形でJA等が無駄の多い共同販売や直売所などを運営し、それから中山間地、条件不利地域での金融サービスも兼営しながら何とか経営を維持しているということがあると思います。
 新大陸型の大規模農業や野菜工場や企業によるプランテーション等の合理的企業経営に比べて、今の状態は革新や世界への挑戦などということも十分にはできていないと、こう言わざるを得ないと思います。
 しかし、それら地域の営みは、成長に貢献していないかもしれないけれども、暮らしやすさでは日本一なわけであります。近年問題になりました、親を死なせながら葬式もしなくて放置していたということはないわけです。それも極めて数は少ないわけですね。地域の皆でその死をみんな送っているわけです。
 ところが、産業競争力会議や規制改革会議で議論されているのは、既得権益にしがみついているJAや農業委員会は小規模零細な農業の現状に甘んじ改革の能力はないとして、これを廃止し、意欲ある農業者や企業に取って代わらせるという議論になっています。
 また、農地の権利移転をこれまでのような許可制でなく届出制にするということでありました。何が起こるのか。我が国の長い歴史の中で積み上げられてきた、我が国の私有財産制の基礎となってきた農地の所有や利用関係は一気に乱れる。日本を壊し、混乱を重ねるだけではないかというふうに思います。
 ちなみに、単純に比較できないんだけれども、米国やヨーロッパでは、長い歴史の中で家族農業を基本にして、いたずらな企業の農業参入は制約されています。国や州によっては完全に禁止しているところもあります。日本はどこに向かおうとするのかということなんです。
 農村地域が、住みよさ、それから暮らしよさ、そして多世代家族の下で、出生率は二・八です。しかし、大都市は〇・八なんです。農村は介護も家族で行う比率も高くて、必ずしも高所得でないし豊かでもないけれども、幸せな生活を送る安定した地域になっています。
 まとめですが、デフレ克服の政策は、遅れているとか競争力がないとかの理由で競争を促す、岩盤を打ち破るというのでなくて、農村地域から学んだ着実な取組と政策の推進が必要じゃないのかと、こんなふうに思っております。
 以上です。ありがとうございました。
#21
○会長(鴻池祥肇君) 続いて、田城郁君。
#22
○田城郁君 民主党・新緑風会の田城郁です。
 この間の当調査会での議論と私の支援者や町の声などを総合すると、結論的に言えば、私は、デフレ脱却のためには世帯当たりの可処分所得を上昇させ、一定レベル以上の収入確保と雇用の安定化が必要であり、労働力を新たな産業に流動させる政策を取る場合には十分な教育とセーフティーネットを充実させる政策を同時に取ることで、とにかく市民、働く者の心の安定、生活の安定を確保することが必要であると考えます。いつも追い詰められた心理状態の人間の集団が持てる力を発揮することはできないし、結局は社会の力が落ちてしまうことであり、国力の低下につながると考えるからです。
 GDPの六〇%を占める個人消費を伸ばすことが、ひいては税収を伸ばし、財政再建につながると考えます。仮に一〇%に消費税を上げたとしても、借金は減りません。先ほど藤巻先生もおっしゃったように、三〇%まで上げないと一千兆円の借金は減り始めないということであります。
 アベノミクスは一定の評価を得ているとは思います。しかし、働く者、市民の側からすれば、その恩恵を受けているのはごく一部の株をたくさん持っている人や都市部に不動産を持っている人たちで、一般庶民、特に地方にはその実感は全く感じられないと訴えております。これは幾つかの世論調査の中でも明らかです。私の周りの知人、友人も、アベノミクスは、変化は起きたが、私たちは全く関係ないと口をそろえて訴えます。この事態は、要するに、世の中の大部分を占める庶民の購買意欲は低位安定で、実需がつくり出せていない実態が実感として生々しく語られているということだと思います。
 さらに、消費増税されたこれからの状況では更に悪化していくことが予想されます。そのそばから法人税減税をするなど言語道断だと、私も西田先生と同じ考えであります。ここはやはり世帯当たりの可処分所得を、特に若い人の可処分所得を上げていくことがいよいよ重要であると思います。
 藻谷浩介先生は、一九六五年から七〇年が就業者数の増加のピークであり、生産年齢人口の波が上げ潮期特有の人口ボーナスを最大限受け入れてきた時代だと分析しております。好景気をつくり出すのは、生産年齢人口をいかに多くつくり出すかということだということです。
 何としても、可処分所得を上げて、不安定な雇用をなくし、あるいはセーフティーネットを充実させて、特に若者が人生設計を立てられる、結婚し、子供を産み育て、車を買い、家を求めることのできる、要するに人としての営みをでき得る状況をつくり出し、生産年齢人口の増加につなげていかなければならないと考えます。
 安倍首相は、民主党時代に株価は上がりましたか、民主党時代に賃金が下がったじゃないですか、安倍政権になって失業率は低下したじゃないですかというふうに常々お話をされております。そして、今春闘は、安倍政権の働きかけの結果もあって、何年かぶりにベアを実施した企業がございました。官製賃上げだというやゆする論調もありますが、政府の働きかけが功を奏した面は大きいとも思います。
 官製賃下げなどが行われないように、今春闘はあくまでも例外としなければならないとは思いますが、中小企業はまだまだ交渉中のところもありますから、現時点で今春闘の評価についての言及は避けますが、いずれにしても、イザナギ景気を超える景気と言われた二〇〇二年から二〇〇七年の景気上昇局面においても、ベアゼロ更新が続くとともに、定期昇給さえも見送られてきたなど、長年にわたる賃金低下の影響もあり、一回ぐらいの賃上げが実施されても生活に余裕など生まれないのが現状であります。
 家計は疲弊しているのです。春闘交渉のこぼれ話などを聞くと、企業も嫌々ベアを実施しているところも多いようです。しかし、来年も再来年も賃上げは実施されなければなりません。疲弊した家計に活力を付け、安定雇用、低賃金を克服し、実需をつくり出していくことがデフレ脱却の必要要件であると考えます。
 私は、今後、企業が思うような賃上げをしないのであれば、政府によって可処分所得を上げる政策を充実させるべきだと考えております。民主党政権時代の子ども手当や高校の無償化、農家への戸別所得補償制度等、可処分所得を上げる政策を取ることで家計に余裕が生まれ、心にも余裕が生まれ、子供を計画的にもうけることにもつながると考えます。
 事実、民主党政権の後半二年で、減少し続けていた出生率が、僅か〇・一ポイントではありますが、上昇に転じた事実があります。子供が生まれれば、成長に伴い必然的に洋服や靴も毎年買い換えなくてはいけない、子育て用品、スポーツ用品から塾等の教育費など実需が生まれます。人間がゼロ歳から二十歳に成長する過程での経済効果は、五十代、六十代の二十年間の比ではありません。
 また、若者の非正規雇用の拡大、低賃金も少子化の原因になっていることは明らかです。私の周りでも、結婚しても家族を養う力がない、彼女の両親に結婚の挨拶に行ったら非正規を理由に断られたなどという話を本当によく聞きます。また、非正規から晴れて正規社員になったグループ会社の若者は、年収が五十万から六十万逆に下がって二百四十から二百五十万になってしまったと、人生設計について何も考えられない思考停止状態ですという言葉も聞きました。
 このような若者のひどい現状からすれば、アベノミクス三本の矢である民間投資を喚起する成長戦略の中の、労働法制を岩盤規制と規定し、安倍首相自身がドリルとなって岩盤を壊す規制緩和を推し進め、世界一企業が活動しやすい日本をつくるという方針は、この状況を更に悪化させるだけであると思います。
 したがって、私は、冒頭でも述べたように、デフレ脱却のためには、世帯当たりの可処分所得を上昇させ一定レベル以上の賃金上昇と雇用の安定化が必要であり、労働力を新たな産業に流動化させる政策を取る場合には十分な教育とセーフティーネットを充実させる政策を同時に取ること、とにかく働く者の心と生活の安定を確保するということが必要であると考えます。
 以上です。
#23
○会長(鴻池祥肇君) 舞立昇治君。
#24
○舞立昇治君 ありがとうございます。
 私からも何点か話させていただきたいと思います。
 これまでのやはり十年、十五年というのは、やれ構造改革だと、やれ効率化だと、無駄が多過ぎるといったようなことで、非常にそういう呪縛に国民全体が掛かって、とにかく歳出を落としまくって、気付いてみたら、今もう年金、医療、介護以外の歳出はOECD三十四か国で最低の水準まで来てしまったと。それがやっぱりデフレの元凶なんだと私は思っております。
 そのような中で、やはり今本当に国土強靱化、ミッシングリンクの解消、農林水産、そして中小企業、科学技術、エネルギー、医療、介護、福祉における低所得者対策、重点化等々、本当に必要な歳出というものはたくさんあるわけでございまして、やはりそういった部分ではしっかりと必要なものには予算を付けるといったような姿勢が必要なんだと思います。
 もちろん、歳出改革、当然必要だと思っていまして、例えばこの四月から新たに七十歳になる方は医療負担が三割から二割ということになりましたが、これを七十五歳以上になっても二割継続するとか、はたまた年金一千万円以上の高所得者はもう掛け捨て保険にしてもらうとか、様々な改革は、不断の見直しというのはしていかないといけないというふうに考えておりまして、当面、デフレ対策といたしまして積極的な財政政策、それは金融政策と併せて続けていくべきだと思っております。
 次に、財政健全化の議論でございますが、ざっくり言えば、今国債が四十兆、そして毎年返す国債費というのが大体約二十兆とすると、もうその差額が大体二十兆という中で、今回、消費税の一〇%が実現すれば十二・五兆増えると。残りの部分を税収増なりいろんな部分で工夫していく必要があると思いますが、当面、二〇二〇年東京オリンピックに向けて今いい風が吹いていっておりますので、その辺は余り中期財政計画、財政健全化目標に縛られ過ぎてなかなか日本再生、地方再生がいかないことがあってはならないと、財政残って国民生活焼け野原になってはいけないというような認識でおります。
 一つ、二つ、ちょっとその方向性といたしまして、一つに、歳出改革だけじゃなくて、また歳入増の視点もやっぱり重要でありまして、今二十四年度の国の連結財務書類見ますと、有価証券で二百七十兆以上、そして貸付金百八十兆以上、計四百五十兆以上ございます。これについて一つ一つ詳細にチェックした部分は国会で今まであったのかという部分は、私はこの参議院の特色といたしましてしっかりチェックして、私も新潟県庁で資産流動化しましたが、優良な貸付金だとか有価証券につきましてはキャッシュ化、現金化してもいいんじゃないのかというような部分も考えておりまして、そういうことからすると、一割でも二割でもそういう、例えば貸付金の償還金の受取債権を一括して譲渡して単年度でどばっと取りあえずもらうと、割引率は極力低くしてと、そういったようなチェックも参議院で腰を落ち着けてやっていくのもいいのかなと思っております。
 先ほど地方分権の話がございましたが、非常に人口減少が深刻な中、二〇四〇年地方消滅とも言われている中で、今地方分権で必要なのは、いかに東京一極集中を止める中で分権を図っていくかという中で、今、地方財政計画上、東京都は数千億の水準超経費があると。その水準超経費をしっかりと地域活性化、地方の再生に持っていくような、逆に本当、国直轄なり東京へは国の関与を強くしていかないといけないというふうに思っております。
 そうした中で、いろいろと税の偏在の問題、そして先ほど西田先生も言われましたが、法人税の問題につきましては、これまでも私言いましたとおり、景気回復の状況、そして一〇%の消費税の状況を勘案した上で、やはり二十八年度の税制改正において結論を出していくべきだと、今は引き下げるべきではないと。租特の見直しと引下げとセットでと言われておりますが、今はとにかく租特を成長分野にはむしろ広げると、そこの部分で法人税の引下げには対応していくといったようなこととか、いろいろと本当に必要なことがたくさんございますけれども、デフレ脱却と財政再建、両方進めていく上では、なおやはりデフレ脱却の方をもう一段重要視して対策に臨んでいくべきだというふうに考えております。
 以上です。
#25
○会長(鴻池祥肇君) 河野義博君。
#26
○河野義博君 公明党の河野義博でございます。
 自公政権に戻りまして一年半がたちました。アベノミクスという言葉ももう耳慣れた言葉でございますけれども、今一旦立ち止まってその効果を検証して、そして三本目の成長戦略をどういうふうに結び付けていくのかということを改めて考える時期だと思っておりますので、私なりの考えを述べさせていただきたいと思っております。
 まず、一本目の矢でございますが、金融緩和政策、これは金融機関のポートフォリオ・リバランスを行う、また貸出しを増やしていこう、そういった意図もございましたけれども、残念ながらその効果は乏しかった。銀行から国債を買い上げてリスク性商品に転換をさせようとしましたが、それはまだうまくいっていない。また、貸出しも御存じのとおり残高というのは余り期待したほど増えていない。
 一方で、じゃ何の効果が大きかったかというと、やっぱり私はマインドを変えたということが最大の効果だったと思います。二十年間続いてきたこのデフレのマインドを、このアベノミクスという強力なメッセージと異次元の金融緩和によって国民のマインドを変えた、そのことによって景気回復の筋道を示したということに関しては非常に大きな意義があったんだろうと思っております。
 二本目の矢ですが、言うまでもなく、財政出動が指標を変えたという面で大きく寄与をしておりまして、アベノミクスの現象を見てみますと、実態はこの財政出動に尽きるといったのが現時点での効果だと思います。
 ここまでは言うまでもございませんので、私が今後力を入れて皆さんとともに取り組んでいく成長戦略をどう描いていくかということだと思っております。
 私は、三点大切なポイントがあろうかと思います。財政再建のためにも、人口減少社会に立ち向かっていきながら経済成長させるという非常に困難な命題を私ども国会議員は与えられております。他国に類の見ないこの険しい山ですけれども、それを克服していくために三点私申し上げたいんですけれども、まずは実態把握をできるような当たり前の公会計を導入していくことだと思っております。
 国と地方の借金が一千兆円になったとみんな騒いでおります。私も危機感は非常に覚えておりますけれども、一方で、国の資産が幾らあるのか、国と地方を合わせたら幾ら資産があるのかというのは誰も把握ができておりません。言うまでもなく、現金主義の会計を導入して単年度会計を行っております。複式簿記を導入せずに管理会計もやっていない。企業では当たり前のことをやっているはずなのに、大切な税金を使って事業をやっておりますけれども、その効果というのが見える状況にはなっていない、財政の見える化というのが全くできていない。私、銀行員をやっておりまして貸出先のリストラも協力してまいりましたけれども、リストラが必要な会社というのは、往々にして財務状況の把握が正しくできていないという会社がたくさん多うございました。その状況に非常に酷似している。
 まずはしっかりと、日本の財政がどういうものなのかというのを国民全員が分かるように財政を見える化していくということは急務なことだと思っております。
 二つ目に、この成長戦略にどこに光を当てていくかという点だと思います。確かに、大企業、日本に本社を置くグローバル企業を後押ししていく、そういった観点が重要であるというのは私は否定をしませんし、指標を上げるには大企業の業績を上げるというのが一番でございますので、これに取り組んでいくことは否定はいたしませんし、やっていくべきことだと思います。
 しかしながら、大切なことは何かと申しますと、私、比例の議員でございまして、九州と沖縄、八県担当させていただいております。毎週いろんなところに行かせていただいておりますが、この景気回復の波というのは残念ながら九州、沖縄でごく一部の大都会にしかやってきておりません。どこに行っても、地方に行けば、アベノミクスなんて来ていない、給料上がらない、消費税上がって大変だ、そういう声しか聞かれないし、私ども国会議員一人一人が本当に地方の国民生活に耳を傾けて、耳をそばだてていくということが大事かと思っております。
 他の委員の御発言にもございましたが、そういった観点から申しますと、中小企業に光を当てていく、中小企業と申しましても、会社法の定義は資本金一億円以下という私からすれば大企業でございますので、資本金一千万に満たないような小さな会社、私たちがイメージするような中小企業、むしろ小規模事業者に光を当てていくということが大事だと思っております。
 もう一つは、地方に光を当てていくこと、また女性に光を当てる、若者に光を当てる、そして高齢者に光を当てていく、他の委員の御発言にもありましたのでこの重要性に関しては割愛をさせていただきたいと思っております。
 最後に、大切なことは私は何といっても教育だと考えております。公明党は若い議員が多うございますが、その中でも私、三番目に若い議員でございまして、学生局の次長を仰せ付かっております。公明党は五年前に学生局を立ち上げまして、昨年、体制を変更しまして更に強化をしております。地方の学生の生の声に耳を傾け、毎月、学生懇談会を実施をしております。古くは教科書の無償配付から、最近では無利子の奨学制度の創設や給付型奨学金の創設に取り組んでまいりましたけれども、やはり、教育改革こそ時間が掛かることでございますので、しっかりと子供たちの貧困の連鎖を断ち切って、子供たちがグローバル社会で活躍できるような教育に取り組んでいきたい、そんな思いを持っております。
 以上の三点のポイント、これを私、胸に刻んで今後とも取り組んでまいりたいという決意表明でございますが、簡単ですが終わらせていただきたいと思います。
#27
○会長(鴻池祥肇君) 渡邉美樹君。
#28
○渡邉美樹君 自民党の渡邉美樹でございます。
 デフレ脱却及び財政再建について意見を言わせていただきたいと思います。済みません、お手元に簡単な資料が行きます。
 私は、二十九年間経営者でありまして、政治家としては本当、一年弱でございます。失われた二十年、まさにアジア十数か国を含め、日本を海外から見て経営をしてまいりました。その中で、本当に経営者の立場として、今実際にこのデフレを脱却するためにはどうしたらいいのかということを意見を言わせていただきたいというふうに思います。
 十五年以上アジア、香港を中心に事業をしてまいりましたが、正直申し上げて日本は商売がしにくい、事業がしにくい国だというふうに見ておりました。私、デフレの原因は客観的に見て何かといったら、これは円高だと思っております。この円高が全てであって、その次に企業が戦いにくい状況があったんだというふうに思っています。
 企業が戦いにくい状況はどんな状況かということで、ひとつ資料をどうぞ御覧ください。
 これは世銀の資料でございますが、規制の質ということで、日本がアジアで本当に戦わなきゃいけないシンガポールそれから香港が一位、二位にもかかわらず、日本が三十五位と。端的に申し上げて、日本は本当に商売しにくいということです。
 なぜ商売しにくいのか。このア、イ、ウ、エ、オ、カからいくならば、不公平な競争慣行があるということでありまして、物価統制がされているということで、差別的な関税があるということで、過度の保護がある、新しい事業を始めるのは容易ではないということで、また外資系企業が新たに拠点を構えるのは容易ではないというこの内容でございます。カでいうならば、法人税等が非常に高い、だから入ってこないというようなことは、これはもう明らかだというふうに思います。
 私は、このデフレ脱却のためには、やはり農業がどうだとか医療がどうだとかいう問題ではなく、本当にグローバルな視点から、海外の企業がこの日本で戦えることができるのか、日本が戦いやすいのかということをもう一度見直すべきだと思います。これが一点です。
 二つ目としましては、財政再建であります。
 財政再建は、私は海外の投資家の方々とよく情報交換をしているわけでありますが、つい先日も、スイスの銀行家の方が日本はもう破産するだろうという意見を言っておりました。それはなぜかというと、やはり、確かに力はあると、そして立て直すこともできるだろうと。しかし、残念ながら、様々な彼らの情報網を使った中においては、政府も、それから国会議員含めた、若しくは官僚を含めた危機感が一切ないと。つまり、あれだけの借金をしてこれから返していかなきゃいけない、そして社会保障が増大している、そして少子高齢化が進んでいるという、あれだけの状況にもかかわらず本当に危機感を持っていないんだというところが彼らの意見でした。私も実際国会議員にならせていただいて全く同様の感想を持っております。
 簡単に申し上げれば、収入引く支出が残るわけでありますが、ここの部分が収入ぐらいの赤字ならばそれはもうどんな理由を付けようが組織というのは壊れるわけでありまして、例えば、考え方としまして、私は企業を立て直すときにゼロベースで全部物事を見させます。そうしますと、大体無駄なことを三割ぐらいやっているわけであります。
 それが、じゃ国に当てはまるのかということで、これはたまたまある試算を見付けたわけでありますが、ある元首長が官僚を使って、官僚のボランティアです、それから市町村の役人の方を使って出した試算であります。私は、これが本当にいいのか悪いのかとか、これがそのとおりいくのかいかないのかというのは別にして、こういう試算があるということと、そして、現状否定の中で新しい組立てをしていかない限り、この莫大な借金の中で、そして借金も、返せないような毎年莫大な借金が増えていく中でこの国は立ち直ることはないということを私は皆さんが意識した上でこれから国政をやっていくべきではないかということをあえて強く意見を申し上げたいと思います。
 そして、最後に、今日私が一番言いたかったことですが、提案なんですが、数字をできれば、オリンピックまで何日というんではなく、電光掲示板で、国会なり議員会館なり全ての省庁の入口に、現在の借金幾らと、そして今日の金利は幾らと。何といっても、毎日二百七十五億の金利が増えているわけであります。エネルギー百億で大騒ぎしているにもかかわらず、金利だけで毎日二百七十五億増えていれば、それは国民もこれは大変だということに気が付くんではなかろうか。経営でも同じでありますが、数字を意識するところから全ての行動は始まるというふうに思っております。
 もしよろしかったら、電光掲示板でオリンピックではなく借金を掲示していただきたい、それが意見であります。
 以上でございます。
#29
○会長(鴻池祥肇君) 真山勇一君。
#30
○真山勇一君 維新の会・結いの党、真山勇一です。
 この調査会で経済界で活躍している方たちのお話を伺って、日本経済、大変状況が厳しいということがよく分かりました。右肩上がりとは言えない成長率、少子高齢化それから経済のグローバル化、経済を分析したり見通したりしたとしても、なかなかそのとおりにいかなくなっているのが現状だと思います。世の中は変化しているので、これまでの経済指標を頼りにしてやっていたのでは駄目で、新しい指標を使わなければいけないというお話も伺いました。GDP、失業率、企業の倒産件数といった従来の数字だけでは経済の実態はつかめないし、デフレから脱却することも難しいということでした。
 確かに、GDPの多い少ないが私たちの生活の豊かさの実感になかなか直結しませんし、また、株価が幾ら上下してもほとんどの国民には関係のない話というふうに言えます。私はやはり、国民全体の賃金、所得がどれだけ上がり、いかにみんなの暮らし向きが良くなったかを実感できるかどうかが経済政策の大切な目標ではないかというふうに考えております。
 最近の内閣府の世論調査で、若い世代のほぼ半数が、結婚しない原因としてお金がないという理由を挙げているそうなんです。将来の税制、社会保障の在り方についても論議が必要ですけれども、少子高齢化の大きな原因の一つがこの低賃金、低所得ということであるならば、それは国家的な課題であると思います。デフレであれインフレであれ、国民が生活に圧迫感を感じることが問題だというふうに思います。大企業や一部の富裕層だけがもうかるのではなくて、国民全体の賃金、所得を上げる政策があらゆる意味からも急がれるのではないでしょうか。
 その意味では、所得を増やすためには政府が政策的調整を行う必要もあるというふうに考えています。この調査会で参考人の方からも伺いましたけれども、例えば、政策的に最低賃金を引き上げたり、わけても、介護のように重労働なのに賃金の低い仕事には特別な働きかけをもって賃金を増やすことも必要ではないかという指摘もありました。
 また、せっかく公共事業をやっても、もうかるのはゼネコンばかりというのは困った問題だと思います。今や建設業界には、下請、孫請どころか、四次請、五次請まであるそうなんですけれども、下に下りるに従って労働者の賃金が削られている実態を何とかしなければいけないと思います。確かに、復興とアベノミクスの特需によって一時的に今人手不足になって賃金も高騰しているという現状があるようですけれども、建設業界の根本的な構造に変化がない以上、また元の賃金に戻ってしまうことも危惧されます。
 私は、全ての公共事業が悪いとは思っていません。ばらまきにも良いものと悪いものがあるという意見がありました。一部の企業や人だけに利益が集中するばらまきは、どう考えても悪いばらまきです。政策的な手段をもって、汗水垂らして働く労働者の賃金割合を増やす努力というのが望まれると思います。
 非正規雇用の人々、派遣労働者についても政策的な見直しが必要です。雇用が不安定な上に、仲介業者にマージンを抜かれて賃金も少ないのであれば、未来に希望など持てるはずがありません。介護の現場、福祉の現場、建設の現場で激務に従事する人々や、固定費の削減で経営を安定させる大企業を間接的に支える形になっている非正規、派遣労働者などへの目配り、対策が望まれるところだというふうに思います。
 また、多くの人々が生活に不安を抱える中、一部のセクターに富が集中しているという問題もあります。
 例えば、東京への一極集中は、東京の人々にとっても地方の人々にとっても問題だという話が出ました。道州制など、根本的な見直しをすべき時期に来て久しいのに、対策は遅々として進んでいませんし、また、最近ではIターン、Jターン、Uターンなどで地方を目指して農業を志す若者も増えてはいますけれども、こうした若者の就農支援と定着を促す政策的な手段も是非私は必要だと思います。
 また、経済に大きな打撃を与えると言われているヘッジファンドですけれども、異次元緩和で供給をされた多額のお金がこの一部のヘッジファンドに大きな富をもたらして、その利益は海外に持ち出されているというふうにも言われているんです。その影響をよく分析して、弊害があれば対策が必要ではないでしょうか。
 この半年ほど、アベノミクスの神通力がうせたんでしょうか、株価の低迷が続いていますし、賃金下落とコストプッシュインフレでスタグフレーションに陥る危険すら指摘されるようになってきております。
 調査会での審議を通じまして、こうした問題に政策的に対処することがデフレ克服を確かなものにするための急ぐべき課題であるという思いを強くした次第でございます。
 以上です。
#31
○会長(鴻池祥肇君) 宮本周司君。
#32
○宮本周司君 自由民主党、宮本周司でございます。
 私は、デフレ脱却に対する大きな議論の中で、是非、地方、そして特に中小企業、小規模企業に対する配慮、要素というものも確実に盛り込んでいただきたいと思い、その観点にのみ意見をさせていただきたいと思っております。
 この約二十年、バブル崩壊後、地方で起こったことは、やはり、まず公共事業が激減をすることによって地方で循環するお金のパイが極めて小さくなってきた。それに伴い、経済の低迷も含めてでございますが、徐々に徐々に地域における貨幣量が少なくなってきた。市町村合併も起こってより広域化する中で、少なくなった公共事業一つ取っても一般競争入札。要は、地域の中でいわゆる原料、資材という部分においても落とされるお金というものが極めて小さくなってきたことが地方の弊害になってきたと思っております。
 ただ、参考人の中で、藻谷先生もおっしゃっておりましたが、経済動向調査における国内の小売金額ですね、通販も含む小売金額、これはこの二十年大きな変動がなかった。ということは、地方で明らかに経済的な悪化を感じているこの現象からいきますと、地域から、地方からいろいろな部分で大都市にその消費が、若しくは資材の購入というものが流れている。これも一つの大きな現実だと思っております。
 この意味におきまして、私は恐らく今週から衆議院の方でも議論が始まると思っておりますが、今国会におきまして、経済産業省の方で小規模企業振興基本法というものの協議が予定をされております。今、現状、我が国には三百八十六万社という企業があり、その中の三百八十五万社が、大枠でいきますと資本金三億円以下若しくは従業員数三百人以下のいわゆる中小企業でございます。この中小企業の中で従業員数二十名以下の小規模企業、これが実に三百三十四万社、八七%を占めているわけでございます。これが地域の、地方の経済を支えている根幹であり、原動力である。このことに対してはやはり一定の配慮を、このいろいろなデフレ脱却に向けた取組の中でしっかりと組み込んでいただきたいと思っております。
 具体的な政策としましては、その小規模企業の中には、やはり過去から蓄積をされてきた大いなる知恵であったり物づくりの技術というものは確実に存在をしております。ただし、これをしっかりと収益性のあるビジネスとして具現化することがなかなかできない。これが、小規模ゆえの経営資源の乏しさに由来するところだと私は思っております。このことにおきましては、各地方公共団体、要は市、町若しくは都道府県における面による支援体制というものを拡充をしていくことを提案をしたいと思っておりますし、何よりも、これまで我が国におきましては、前民主党政権下でも小さな企業を元気にするんだという取組もございました。今の自民党政権下でもこの小規模企業基本法、これを具現化することによっていろんな支援のスキームを具体化しようという動きもございます。
 これまであるいろいろな、例えば助成金事業一つ取っても、十分な内容のものはございます。これをしっかりと中規模向け、そして小規模向けというふうにパッケージを組み立て直すこと、その上で、やはり企業規模別にしっかりと作用するパッケージ政策の在り方というものを再構築していただくことを強く希望したいと思っております。
 各地方におきまして、やはり人口減少若しくは少子高齢化という問題も、これも現実としてあると思います。しかし、この部分を地方でしっかりと受け止めていくには、地方における経済の活発化、活性化というものも、これは急務であると思っておりますので、是非、面における支援スキームを体系化するとともに、地方において、面の支援によって、小さな企業、小規模企業がそれぞれ持っている強みを掛け合わせて新しい産業をその地域に創出していただくこと、若しくはその強みを掛け合わせて新しい価値を創出することによってその地方における経済の底上げ、これを実現していく。
 この意味におきましては、要は収益性のある、しっかりと利益が取れる、ここは、いわゆるデフレではなくてインフレになった際に、小規模企業は、原料、資材も併せて高騰すると、それを既存の商品であったりサービスに転嫁しにくい、この弱みも持ち合わせているわけでございます。ですから、今改めて、地方からも小規模の側からもその価値を、しっかりと収益性を乗せたビジネスのモデルというものを構築していく。これが川上から川下から同時進行で行われることによって抜本的な変化につながっていくものと信じておりますので、このことを意見させていただきまして、私の意見、まとめさせていただきます。
#33
○会長(鴻池祥肇君) 山本順三君。
#34
○山本順三君 自由民主党、山本順三でございます。
 まず冒頭、鴻池会長を始め各理事の皆さん方の御手配によって非常にいい講師の先生方に恵まれたということは大変有り難いことだったと思っています。非常に有意義な調査会、参加をできたということをうれしく思っています。
 その中で、今現在、デフレ脱却ということを一つの大きな目標に我々取り組んできたわけでありますけれども、その流れは確実なものに徐々になりつつあると思うんですね。それは、やはり何といってもアベノミクスの中での財政出動、その前に金融緩和、これはかなりの効果が出たということをお互いが理解し合えるんではないだろうかと。
 その三本目の矢の成長戦略、これが、我が党におきましても第二弾の成長戦略が素案がまとまってまいりまして、これからいよいよ本格的な対応がなされるもの、このように思っておりますけれども、この成長戦略は民主導ですよね。したがって、民間がこれからどういうふうな流れをつくっていくかという、その対応がしやすい状況を少しずつつくってあげる。少なくとも金融緩和、それから、それによって円高是正、これは大企業が戦える余地がもうできたわけでありますから、今度は、その成長戦略は、民間の皆さん頑張ってよというようなことになっていくんだろうと思う。
 じゃ、取り残されるのは何かというと、今ほど来お話があるとおり、じゃ地方は一体どうなるんだというところに焦点を当てていく、そういうことがこれからの、我々がデフレ脱却に目指して動く大きな要因になってくるんだろうと思うんです。
 そこで、最近ちょっと忘れられた発想でありますけれども、国土の均衡ある発展ということ、要は、東京一極集中だけではなくて、国土全体が均衡に発展していくという言葉がよく使われておりましたが、最近それの具体的な施策というのが余り十分ではないというふうに私は思っているんです。
 その中で、今回講師として来ていただいた、例えば宍戸先生であったり菊池先生であったり、あるいはまた藤井先生であったり、非常に論旨が明快でした。要は、財政出動を今やらないでいつやるんだと。もちろん一方では、財政状況厳しき折柄、財政再建ということも当然我々考えていかなければなりませんけれども、今デフレ脱却のために何やるかということを明快に我々に伝えてくれたように思っています。
 じゃ、そのために何をすべきか。極めて簡単でありまして、一つは、先ほどの国土の均衡ある発展を目指すためのいわゆるインフラ整備をどうやっていくか。例えば、新幹線を造るだけでその地域の発展が大きく変わってくるというような話もありましたけれども、まさに地方のインフラをいかに整備していくこと、それが地方の発展に様々な面でつながっていくかということを我々目の前で見てきたわけでありますから、そういったことに対しての対応策を怠ってはならない、このように思っています。
 それと同時に、国土強靱化という発想がございました。
 私も四国に住んでおりますけれども、南海トラフの地震が起こった場合にどういうふうなことが起こるのかということがある程度予測をされる、首都直下型が起こったらどうなるかということも予測される。要は、この国土強靱化に向けて、今我々が何をやらなければならないのか。それは大きな堤防を造るだけではなくて、まさに避難誘導路をどういうふうに対応していくのかということもありましょうし、あるいはソフト面でどういうふうな対応をしていくかと、いろんな強靱化はあるんでありますけれども、最低限やらなければならないことはやらなければならない。そういうふうな観点から、地方というものがまさに財政出動、公共事業というものを基盤として発展してきたというか、衰退を止めてきたというような現実があることを我々は目をそらしてはならない、このように思っております。
 二百兆を十年でというような話もありました。その大きさに驚く人もいるかも分かりませんが、何の何の、積み上げていったらやるべきことはたくさんあるわけ。ただし、一方では財政再建という話があるから、だから徐々に優先順位を付けてやっていこうということでありまして、安易な公共事業批判、財政出動批判というものは厳に慎んでいかなければならない、私はそういうふうに思っています。
 それと、もう一点。
 コマツの坂根さんがおっしゃっておりました企業が地方に回帰する。これは非常に重要な発想だと思うんですね。企業が地方に帰るため、回帰するためのインセンティブをどう働かしていくかというのは、これは政策で可能でありまして、それは税制であったり、様々な方策があろうかと思いますけれども、そういったことを具体的に我々が提案していくことも、地方を発展し、その結果としてデフレ脱却が進んでいくという流れにつながっていくんだろうと思うんです。
 特に、東京でもあるいは被災地の方でも人材不足というのが非常に大きな問題になっている。でも、人材不足というのは、地方でもそれは当然のごとくありますけれども、でも、私どもがしっかりと人材供給源としての地方を抱えているんだという非常に優位性も持っているわけでありますから、それを地方で生かしていく。ということは、企業の皆さん、地方じゃなかったらこれからなかなか仕事できませんぜというぐらいの流れをつくっていく作業というものをしていって、地方の優位性というものを明確化していくこと、私は非常に大事だというふうに思っております。
 そろそろおまとめ願いますでありますからこれ以上は申し上げませんけれども、そういった観点で、どうしてデフレ脱却をしていくかという一点に我々は集中した議論と、それに対しての取りまとめをよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
#35
○会長(鴻池祥肇君) 松村祥史君。
#36
○松村祥史君 自由民主党の松村祥史でございます。
 最後の発言ということでございますけれども、それぞれに御発言がございましたので、まずは会長に、このデフレ調査会、参議院で新しく設置をいただき、講師の先生方やそれぞれの議員の先生方のお話を聞いて、まさしく与野党を問わずに、デフレ脱却のためにいろんな御意見が活発に行われたことに敬意を表したいと思います。
 と申しますのが、私どもは平成二十四年の夏に、野党時代ではございますが、ねじれという現状の中にあって、まず政治が、そして参議院として真っ当なものにはきちっと賛成の声を上げ、しっかりとこの国のことを考えるべきだと、単なる野党としての政権を奪回する、これだけでは駄目なんだと、こんなことを自民党内で西田議員始め山田議員、山本議員、一緒になってまとめておりまして、実はそのときに「まっとうな日本を考える」という政策集をまとめたところでございました。その流れの中で、今回このデフレ調査会が開催され、そして取りまとめをし、しっかりと議論していくことというのは本当にすばらしいと思っております。
 是非、会長、この調査会、取りまとめもさることながら、そのチェック、そしてその報告を受けながらその政策の実効性を議論していく必要があると思っておりますので、そういう運営をまたお願いをしたいと思っております。
 私からは、もういろいろ意見が出ましたので、この調査会の在り方論と、それから政策については、やはり今の現政府においては成長戦略、これが一番大変であろうと思っております。これを中長期の中でどう仕上げていくか、このことに今精力を注いでおるわけですけれども。
 例えば、宮本議員から御発言があった中小企業問題、これは、都市と地方での中小企業の格差も広がっておりますが、中小企業基本法という、一九六三年に中小企業の憲法ができて以来、九九年に改正をし、それまでは恐らく、中小企業というのは弱い存在だからやっぱり見守り育てる必要があるよねという、言い方は悪いんですが、社会保障政策であったと思います。それが九九年に改正をし、伸ばすところにはもっと応援をしようという政策転換をしてきた。
 しかし、現実は、四百八十万社あった中小企業は四百二十万に減り、なおかつ三百八十五万にまで減少する。これは、人口が減る我が国において決してこの企業数だけを論じる必要はありませんが、果たしてそこに産業育成の視点があったかどうか。産業を育成し、この国を伸ばしていく基幹産業をつくり、それが雇用になり、所得になっていく。こういったのを少し大ざっぱにやり過ぎたのではないかなというふうに思っております。
 そういう意味では、今国会で小規模と中堅企業に分けた形での政策が打ち出されております。この法律の中には、五年計画を作り、それをPDCAでチェックをし、しっかりとその対策を練っていく。ましてや政府においては、今三つの目標を立てられております。一つは、七十万しかない黒字企業の会社を百四十万社に増やしていくこと、一万社の海外展開を目指す企業の創出、そして開業率よりも廃業率の高い我が国において一〇%の開業率を目指していく。
 実は、今までこういった数字の議論というのはなかったような気がいたします。いろんなその場その場での政策は出ますが、中長期の中での目標数値というのは出ていなかったような気がいたします。それは、やはり政治の中でリスクを取ることを恐れたのかもしれません。しかし、今後、こういった議論を続ける中で、しっかりと目標設定をし、何がいけなかったからできなかったのか、そういったチェックをし、対策を練っていくことこそが重要なことであろうと思っております。
 それがひいてはデフレ脱却、我が国の成長につながっていくと、こう思っておりますので、是非今回のお取りまとめを基にまた議論が進展していきますようにお願いを申し上げまして、私の発言とさせていただきます。
#37
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 本日の調査はこの程度といたします。
 委員各位には、貴重な御意見、熱心にお述べをいただきましたことに感謝をいたしております。誠にありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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