くにさくロゴ
2014/05/14 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 国の統治機構に関する調査会 第4号
姉妹サイト
 
2014/05/14 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 国の統治機構に関する調査会 第4号

#1
第186回国会 国の統治機構に関する調査会 第4号
平成二十六年五月十四日(水曜日)
   午後一時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     高階恵美子君     中泉 松司君
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     東   徹君     儀間 光男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         武見 敬三君
    理 事
                岡田 直樹君
                片山さつき君
                宮沢 洋一君
                風間 直樹君
                谷合 正明君
                儀間 光男君
                井上 義行君
                倉林 明子君
    委 員
                井原  巧君
                衛藤 晟一君
                古賀友一郎君
                酒井 庸行君
                柘植 芳文君
                中泉 松司君
                堀井  巌君
                江田 五月君
                尾立 源幸君
                徳永 エリ君
                森本 真治君
                吉川 沙織君
                杉  久武君
                江口 克彦君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        宮崎 清隆君
   参考人
       東京大学先端科
       学技術研究セン
       ター教授     牧原  出君
       元人事院総裁   中島 忠能君
       一橋大学大学院
       法学研究科教授  只野 雅人君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事選任の件
○国の統治機構等に関する調査
 (「時代の変化に対応した国の統治機構の在り
 方」のうち、議院内閣制における内閣の在り方
 (中央省庁等改革及び独立行政法人制度))
    ─────────────
#2
○会長(武見敬三君) ただいまから国の統治機構に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、高階恵美子君が委員を辞任され、その補欠として中泉松司君が選任されました。
 また、本日、東徹君が委員を辞任され、その補欠として儀間光男君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(武見敬三君) 理事の選任についてお諮りいたします。
 新会派の結成により、理事の数が一名増えておりますので、その選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(武見敬三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に儀間光男君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○会長(武見敬三君) 国の統治機構等に関する調査を議題といたします。
 「時代の変化に対応した国の統治機構の在り方」のうち、「議院内閣制における内閣の在り方」について調査を行うに当たって、本日は「中央省庁等改革及び独立行政法人制度」について参考人から意見を聴取いたします。
 御出席いただいております参考人は、東京大学先端科学技術研究センター教授牧原出君、元人事院総裁中島忠能君及び一橋大学大学院法学研究科教授只野雅人君でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 議事の進め方でございますが、まず牧原参考人、中島参考人、只野参考人の順にお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、牧原参考人からお願いをいたします。牧原参考人、どうぞ。
#6
○参考人(牧原出君) 東京大学先端科学技術研究センターの牧原です。専攻は行政学で、官僚制の政治史研究を行う傍ら、日本の行政機構、さらには統治機構が進めてきた改革の問題について研究してまいりました。
 そうした政治史と行政の現状分析の観点から、ここでは、現在の日本の統治機構が置かれている課題、さらには省庁再編以降の行政改革について意見を申し上げさせていただきたいと考えます。
 そもそも行政改革とは、常時必要な政府の営みと言えます。行政機関が市場競争の下に置かれていない以上、常に非効率を生み出す可能性があり、そこから生ずる無駄を排除するためには、行政を監視し、改革を進めるということが必要だからです。しかしながら、行政機構のみならず、立法・司法機関を含めた統治機構の総体的な改革が政治課題と認識されたのは、冷戦終結後、とりわけ一九九〇年代であったと考えられます。日本では、いわゆる政治改革以後、地方分権改革、省庁再編、司法制度改革などが進められてきました。
 ただ、この冷戦終結後のグローバル化が進展した時期は、世界的に、第二次世界大戦後、とりわけ冷戦期に確立した制度の見直しが進んだ時期であり、政党再編、立法、行政、司法の諸機関を対象とした統治機構改革は世界的な潮流であったと言えます。そして、こうした潮流における統治機構改革の基本的な方向性は、国家ないしは中央政府のある種の縮小、分解と言えます。一方では、グローバルガバナンスが強まり、国際機関を中心に国際レベルでの課題解決が図られ、主権国家の役割が相対的に縮小しました。他方、国内では、地方分権化によるローカルガバナンスが唱えられ、国の地方自治体への関与の縮小が図られました。経済面では、この時期に進んだ規制緩和もまた政府権限を縮小させていきます。
 さらには、統治機構改革の特徴の一つが、独立機関の独立性の強化でした。地方自治体、司法権が改革を通じてそれぞれ独立性を強化しますし、日本でいえば、日本銀行改革、公正取引委員会の強化などもこうした潮流に属すると言えるでしょう。
 こうして国家の守備範囲が縮小し、独立機関が内閣の統制に対して自立していくことで、組織的に分解していく方向で改革が進んだのが一九九〇年代の特徴であったと言えると思われます。
 これに対して、二〇〇八年のリーマン金融危機によってこうした潮流が根本的に変化していったと考えられます。それは言わば国家の復権、再強化であります。
 経済危機に対してヨーロッパでは首脳会談によって国家破綻を救済するスキームがつくられ、景気後退に対しては各国が膨大な財政支出を行うことで恐慌への突入を防ぎました。この間、国際機関がかつてほどは機能したとは言えないと思われます。経済危機がグローバル化の先端領域であった金融部門のゆがみから生じたように、グローバル化は、単に人々の交流が活発になり企業活動が世界規模で展開されるようになったというプラスの面のみならず、所得格差の拡大、会計の不正処理、組織犯罪などがグローバルに拡散したという負の側面があるということが強く認識されたわけであります。そして、これへの対処は主権国家をおいてほかにないということが了解されてきたわけであります。
 ちょうど日本では、二〇〇九年の民主党政権の成立によって政治改革が目標としていた政権交代が果たされました。初期の民主党政権は、まさに冷戦終結後の統治機構改革の論理に沿ってグローバルガバナンスとローカルガバナンスを強化したと、今振り返ると考えることができるように思われます。東アジア共同体の創設構想や地域主権改革がそれらに当たると言えます。また、政治主導による官僚の影響力を縮小しようとしたのは、主権国家の縮小という、この時期の改革の基本線上にあるものとも考えられます。
 しかしながら、東日本大震災によってこの方向性は行き詰まり、以後は世界的な潮流に沿って国家主導の震災からの復興政策を取っていったとも言えるでしょう。表面的には震災をきっかけに変化したように見える民主党政権も、やや遅れて世界的な改革潮流の転換に倣ったと私は考えております。
 ただし、ここで言う国家の復権、再強化は冷戦期の中央集権、官僚主導の国家の再現ではありません。現在必要とされているのは、一旦分解した公共部門のもろもろの組織を再び結合することであります。国家に求められるのは、強力な統制、コントロールの権限ではなく、粘り強くステークホルダーに了解を取り付ける強靱な調整能力です。ギリシャ危機に備えてヨーロッパの首脳は何時間も続けて会談を行ったように、集中的な協議と問題解決のスキームを状況に合わせて絶えず更新していくということが国家ないしは内閣には求められています。
 以上のような構図を基に、これからの統治機構は何を目指せばよいのでしょうか。
 その際に前提としなければならないのは、第一に、政権交代はどのような形であれ今後繰り返し起こるであろうことです。イギリスなどウエストミンスターモデルと呼ばれる国々では、政権交代は八から十年ぐらいのサイクルで生じます。総選挙で勝利した党が次の選挙でも勝つが、初回ほどは勝利できず、その次の選挙で与野党逆転が起こるというのが一つの基本形と言えます。そのように考えますと、現在の政権がかつての一九五五年体制のように永続的に政権を占め続けるというのもまた考えにくく、やはりいつかは政策の失敗によって行き詰まり、ある種の政権交代が起こるであろうということが現実的であります。
 第二に、一九九〇年代の改革の成果であった独立機関の独立性は、むしろ今後より強化されなければいけないということであります。こうした機関の独立性は、おおむね日本国憲法が本来想定した制度原理であり、一九九〇年代の改革はむしろこの憲法の原理をより直接に表現したと言うことができます。しかも、司法権や地方自治を強化するということは、多様化が一層進むであろう今後の日本社会にとり不可欠と言えます。
 第三に、その反面として、省庁再編が課題とした内閣機能の強化は、内閣の守備範囲が限定されていることを前提としなければならないわけです。かつての自民党政権下では、自民党が半ば永続的に与党であることを前提に制度の運営がなされたため、独立機関に対しては何十年も繰り返す人事を通じて内閣のコントロールが及びました。しかし、今後は政権交代があり得るとすると、独立機関には与野党双方の人事の影響が及ぶことになります。一時的に政権に寄り添うかと思うと、何らかの事件を契機に政権から離れるという揺れ動きを経つつ、独立機関は内閣から一定の中立性を保つものと考えられます。その時々の内閣に必要なのは、そうした諸機関をむやみに統制することではなく、言わば並立するステークホルダーと捉えて粘り強く交渉することだと思われます。国と地方の協議などはその典型例であろうと考えられます。
 そして、こうした強力な調整力の実動部隊はやはり官僚機構です。二〇〇一年の新しい省庁編成の下で、内閣への出向が格段に増えた結果、各省の官僚たちは省の枠を超えてかなりの程度、ごく自然にオールジャパンの発想を取るようになってきたと私は捉えております。こうした意識を持った官僚の調整力を更に強化していく必要があると考えられるわけです。
 第四に、インターネットやスマートフォンの普及など、IT化の進展によって政府には決定の加速化と透明化がいや応なしに求められます。これは多様な要求が一挙に政府に押し寄せるといった状態が日々続くという意味で、政府に対する社会からの圧力が高止まりするということを意味します。そこでは、堅い制度を新しく築くのではなく、既存の制度をうまく利用しながら日々の要求に対して説明責任を果たしていくということが政府に求められるのではないかと思われます。
 したがって、今後の統治機構の在り方については次の諸点が課題になると思われます。
 第一に、政権交代が続き、政府への強い要求が日々継続する中では、一九九〇年代のように、じっくりと政府機構を検討して抜本的に改革するという余裕がないということです。
 一九九〇年代の地方分権改革を進めた地方分権推進委員会の中間報告は、この地方分権改革を差し当たり念頭に置きつつ、この時期の制度改革に共通する特徴をこう述べています。相互に複雑に絡まり合っている諸制度の縫い目を一つ一つ慎重に解きほぐし、システムの変革に伴いがちな摩擦と苦痛の発生を最小限度に抑えながら、諸制度を新たなデザインに基づいて順序よく縫い直して、その装いを新たにしていくべき事業であるというわけです。
 しかしながら、そのような事業を行うには何年も掛けて改革を議論することが必要です。ITが普及していなかった一九九〇年代にはそれが可能であったとしても、現在では時代の変化が検討作業のはるか先に進むことが予想されます。
 また、与野党の方針が根本的に異なることが想定されるとするならば、幾代もの政権を超えた抜本的な制度改革というのは非現実的ではないかと思われます。憲法の全面改正などというのは、これもまたほとんど現実的ではないと言うべきであり、私は、一九九〇年代のような統治機構改革を現在構想するのはやはり余り意味がないのではないかと思っております。むしろ、一度分解しかけた公共部門の諸機関を課題に合わせて緩やかに結び付けていったり、解きほぐしたりするということが改革には求められるのではないでしょうか。
 第二に、そうだとすると、各機関を良好な競争状態に置くことが必要であると思われます。一九九〇年代の改革では、官僚ないしは政府へのバッシングと、どこかに仮想敵を見立てて一時的な人気を狙う政治のポピュリズムが広まっていました。そこでは、むしろ改革によって機関同士が互いの活力を減退し合うという風潮があったように思われます。
 これに対して今後必要なのは、政党、内閣ないしは官邸、各省、もろもろの独立機関がそれぞれ活性化し、日本の国力を総体として伸ばしていくということになるのではないでしょうか。与党が強力化すれば、それを目標に野党も組織力を付け、政治家が統治能力を高めれば、政治的中立を保つべき官僚も政策能力を磨いていく。そうした競争のための環境整備が統治機構改革の目標になると思われます。
 第三に、このように競争力を高めた諸機関が過度な緊張関係に立ったときに、対立を調停するための裁定機関の確立が望まれます。これが戦後日本においては非常に弱かったのではないかと思われます。
 今必要なのは、やはり最終的には司法権の強化ですけれども、それ以外にも国と地方の協議、衆議院と参議院の間の両院協議会、与野党協議の場といったもろもろの場で、ある種の裁定機能の強化が求められるものと思われます。これをどのように行うかが今後の課題でしょう。
 第四に、そうした裁定機能の前提となるのは、公共部門のそれぞれの場における行動規範の再定義です。
 例えばイギリスでは、公共部門の諸機関について職員の行動規範を検討する委員会が一九九〇年代から継続してあり、年次報告書や特別の報告書が次々と出されています。そうした地道な検討の場の設置を考える必要があるのではないかと思われます。
 第五に、統治機構の法制度ではないとしても、統治を担う機関として重要なのは政党です。他の機関を活性化する改革をするのであれば、並行して政党ガバナンスの強化が検討されなければならないと思われます。衆議院議員の任期に合わせた党首の選任、議員の政策能力と統治能力の強化、また、公務員制度改革で年功序列の緩和が図られるのであれば、政党においても当選回数を基礎にした年功人事というのは廃止されるべきではないかと思われます。
 そして、このように見た場合、やはり内閣においては機動的な決定が求められますので、内閣官房、内閣府のスリム化は不可避であります。これに伴い、各省による水平的調整がやはりより強化されなければならないのではないでしょうか。
 他方で、先ほど申し上げましたように、内閣に出向することでオールジャパンの感覚を官僚が得るようにするということが行われたとするならば、内閣、内閣官房をスリム化し過ぎることも問題であると思われます。だとするならば、私は、内閣府をスリム化する一方で、内閣のスタッフとしての内閣官房はむしろ強化されなければならないのではないかと思われます。
 実質的な裁定者は政治家ですけれども、それを的確に補佐する官僚集団が内閣官房で機動的に活動するということが求められると思われます。現在は二つの政権交代後の移行期と言えます。そこでは、行政が強化される一方で、政治の側では政党ガバナンスが強化されることが求められるわけで、その結果、各党間で国家の基本政策について共通了解が生まれたときに、今度は政権を超えた長期的な改革課題に取り組むことが可能となるのではないでしょうか。
 それでもなお、統治機構は、急速に変化しつつある国内外の状況に合わせて柔軟に組み替えられるよう、可能な限り既存の組織を活用しつつ、鋭意合意獲得を目指していくということが必要ではないかと考えられます。
 以上です。
#7
○会長(武見敬三君) ありがとうございました。
 それでは次に、中島参考人、お願いいたします。中島参考人、どうぞ。
#8
○参考人(中島忠能君) 中島でございます。よろしくお願いします。
 今日は意見陳述の機会をお与えいただきましてありがとうございます。精いっぱいお話をさせていただきたいと思います。
 まず、私がお話を申し上げたいのは、何といっても、近々創設される予定の内閣人事局が有効に機能いたしまして、日本の公務員制度というか、政治を補佐する官僚組織というものが立派に機能するようにしていかなきゃならないという観点から申し上げます。
 内閣人事局というものを創設する狙いというのは、国家公務員法の改正の提案理由の中で述べておられるように、能力主義、実績主義というものを基本に適材適所の視点に立った戦略的人事配置というものを実現して、強力に政策を推進していくようにしたいということでございます。
 この期待というものを実現していくために、私が申し上げたいのは二つございます。一つは、この法律の中にも書いてありますように、幹部公務員候補者名簿というものを官房長官がお作りになると。その際に、私は、各府省大臣から幹部候補者の案というものを提出させて、それを基にして官房長官がお作りになるというように、やはり各府省大臣というものを法律上きちっと位置付けておいた方がいいんじゃないかということでございます。
 というのは、何といいましても、幹部公務員の資質とか能力というものを一番よく知っておるのは、日頃から職務執行を通じて幹部公務員といろいろ議論をし、そしてまた方向性について話し合う、そういうことをなさっておる各府省大臣でございます。だから、この各府省大臣というものが一番幹部公務員の資質、能力を知っておるから、それから案を出させるということを前提に官房長官がお作りになるということがいいんじゃないかというふうに思います。
 この内閣人事局のことにつきまして二番目に申し上げたいのは、外部人材の登用というものを予定されていると思います。それならば、外部人材を登用するという条文をお作りになって、そして同時に次の二つのことを規定すべきだというふうに思います。
 一つは、外部人材というのは、公務の世界とは異なった倫理観とか価値観が支配している分野から登用されるわけですから、何といいましても、その方たち、そのおいでいただく方の適性とか資質というものをきちんと審査すべきだというふうに思います。そして、その審査機関というものを法律上定めておくことが重要じゃないかと思います。これは、先進諸国の例を見てもそういうことが行われておりますので、日本においてもそれは行うべきだというふうに思います。
 そして二番目に申し上げたいのは、外部人材を登用する場合に、任命を避けるべきポストというものが官庁の中にはあるだろうと。例えて言いますと、契約関係とか捜査関係というようなものでございますけれども、そういう任用を避けるべきポストというものをできるだけ早く法律に定めておくということが必要だというふうに思います。
 それから、何といいましても、その狙いどおりにこの内閣人事局というものが機能いたしまして、幹部公務員というものが良き政治の補佐をするパートナーとして機能するようにしていただきたいということでございます。
 それから、私が第二番目に申し上げたいのは、私の方で意見陳述内容ということでお手元にお配りさせていただいておりますけれども、黒い丸が五つございますけれども、十五分間ということでございますので少しはしょってお話をさせていただきますけれども、二番目に、下から二つ目の、与党が陳情処理を通じて箇所付けを行うなど行政の担うべき権限が内閣に一元化されてないということが書いてありますけれども、政党あるいは政党人が行政に関与して行政の中立公正性が失われておるんじゃないかという議論は、実は公務員制度改革基本法が成立する前からありました。
 そこで、当時行われましたのは、いわゆる族議員というふうに通称言いますけれども、その族議員の方と官僚というものが密接な関係というものを結びまして、行政の中立性というか公正性というものを失うような、損なうような動きをしておるということが公務員制度改革基本法を作る直前、よく言われました。そして、これを避けるためにどうするかという議論を重ねた結果、もう皆さん方お読みになったと思いますけれども、公務員制度改革基本法の五条三項に、公務員と国会議員が接触した場合に、その接触の記録というものを作ってそれを保存して、そしてその公開をしていくということで対応していこうということでその法律の条文ができています。
 特に、その条文の後半に、個別の事務とか事業の執行に関して接触した場合にはその記録というものを積極的に公開することというふうになっておりまして、これによって行政の中立性、公正性というものを確保していこうということでございます。やはり、行政の中立性、公正性というのは、政治信条とかそういうことに関係なく、全て国民は平等に行政サービスを受けなきゃならないという、そういう考え方からきているわけですから、そういうことを実現していこうということで、公務員制度改革基本法の五条の三項にそういう条文を設けたという経緯がございます。
 しかし、この当時は、いわゆる一人一人の国会議員さんが官僚と接触いたしまして陳情とかあるいは要請というものを実現するように努力されたわけですけれども、政権が替わりましてから、実は政党が組織的に行政に関与するという現象が生じました。これはもう皆さん方も記憶に新しいと思いますけれども、平成二十二年度の予算編成というものを控えまして、党の幹事長室で陳情とか要請というものを一括管理して、そしてランク付けするという方針を打ち出したわけです。しかし、その狙いは何かということで、当時幹事長をなさっておった方の話では、新聞にその談話が出ていましたけれども、政官業の癒着というものをなくして一連の過程の透明性、公平性を確保することを狙って幹事長室で一括管理するんだということでございました。この声明を見たときには、これで行政の中立性、公正性というものが確保されて、全体の奉仕者として公務員も仕事ができるようになるんだなというふうに思った人もたくさんいたと思います。
 ところが、その後の推移というものを見てみますと、党の方では陳情、要請というものを仕分ける基準として、陳情等の内容というのはもちろん重要ですけれども、それ以外に選挙への貢献具合等というものを陳情、要請の区分けの基準としてランク付けすると。そのランクというものは、特A、A、そしてBというふうにランク付けしてそれを各省の方に渡すというようなことが明らかになりまして、いや、これはまあ大変だなというふうに思いました。
 ちょうどそのときに幹事長が新聞記者に語ったのは、議員が地方で陳情を処理することで足腰を鍛えて、党の弱みである地方組織の強化というものを図りたいと、そういうふうに考えているんだということを幹事長が新聞記者にそういう発言をしたということが当時出ていましたけれども、表向きの理由とまた政治的な狙いというものは少しずれているなという感じがしましたけれども、これが実は表に出まして、平成二十二年度の予算案というものを審議している予算委員会が度々中断したということでございました。なかなか思いどおりにはいかないなというふうに私たちも情けなく思っておったんですけれども。
 いずれにいたしましても、やはり、行政というものは内閣に属するということを憲法に書いてあるわけですから、実質的な行政の決定権というものを内閣が少し失うというようなことはあってはならないというふうに思います。また、そういうことがないように幹部公務員も努力していかなきゃならないし、国会議員の皆さん方にもその点は御支援願って、憲法に書いてあるように公務員が全体の奉仕者として仕事ができるようにしていただきたいなというふうに思います。それが私が申し上げたい第二点でございます。
 それから、第三点として私がお話をさせていただきたいのは、私が配付しました陳述内容の一番最後でございますけれども、公共事業について少し行政の裁量は大き過ぎるんじゃないかという感じがしております。そして、この大きな裁量で行った公共事業について、政権が替わると途中で中止だというふうなことが起こりまして、現場では大変混乱いたしましたけれども、私もその現場で五年間ほど苦労いたしましたので、その公共事業に協力をしてくれた住民の嘆きというか涙というのを現に見てきたわけですけれども。
 行政が大きな裁量をいただいて、それで何百億、何千億という総事業費の公共事業をやるということ、そして、途中で政権が交代したときに中止だと、やめるということがいかにとにかく大きな影響を地域に与えるかということで、この予算の組み方というのを少し変えたらどうかというふうに思います。
 というのは、現在、公共事業というものを含む予算というのを見てみますと、例えて言いますと、平成二十六年度の予算案の中に、款項目節とあるわけですが、その項のところに多目的ダム建設事業費四百六十二億三千八百六十七万円というのがあります。そして、四百六十二億三千八百六十七万円というものを十の多目的ダムの建設事業費に使うんだというんで、説明のところで十の多目的ダムが挙がっております。
 そして、予算が決定しましたときに何が議決対象になったかということは、項、多目的ダム建設事業費四百六十二億三千八百六十七万円だけが議決対象になっておって、説明のところは、今申し上げたそれを国会議員さんに、審議される国会議員さんに参考にしていただきたいということで説明資料が挙がっておるということです。
 したがって、この項のところに挙がっておる多目的ダム建設事業費の中で、大きな多目的ダムを造る、それに幾ら掛けて造るかというのはもう行政の裁量というか、それで決められておるということですから、やっぱり総事業費が例えて言いますともう一千億を超えるものは最初の段階で審議の対象にして国会の議決対象にしたらどうだと。
 そして、国会の議決でそれを実施するということで議決していただければ、後で国会議員になった方、後で大臣になった方も、それは俺は知らないとはやっぱり言わないだろう。それは法律と同じように、あの法律を審議するときには俺は国会議員でなかったから知らないと言えないのと同じように、予算というものは一遍議決して成立いたしますと法規的な性格を持てるというふうに言われておりますから、それは国会議員さんもそういうことを言いづらいだろうということで、この大規模公共事業については、行政の裁量の範囲というものと併せて、議決の仕方、議決の対象というものをもう一度議論をし直していかなきゃならないんじゃないかということを申し上げまして、私の陳述を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#9
○会長(武見敬三君) ありがとうございました。
 それでは次に、只野参考人にお願いをいたします。只野参考人、どうぞ。
#10
○参考人(只野雅人君) 只野でございます。
 本日はお招きいただきまして、また発言の機会をいただきましたこと、感謝申し上げます。
 この間、中央省庁改革を始め様々な改革が行われてまいりました。それは統治機構全体、あるいは場合によりますと憲法の機能にも随分大きな影響を及ぼしてきたように思います。私、憲法学を専門にしておりまして、特に統治機構を専門にしておりますので、いろいろな関心を持ってきたところでございますけれども、中央省庁改革というのが統治機構全体に影響を及ぼしてきたということからしますと、恐らく内閣や行政機関ということだけではなくて国会の役割を含めて議論する必要があるのではないかということもかねがね感じてきたところでございます。今日の大きなテーマからはやや外れるところはございますけれども、その中で国会が担うべき役割といった視点からの今日は主にお話をさせていただければというふうに思います。
 この中央省庁改革の基本線を提示いたしましたのが、御承知のように九〇年代末にできました行革会議の最終報告でございます。報告書を改めて読んでみますと、レジュメにも挙げましたように、様々な視点が提示されておりまして、それに基づきまして官邸や内閣機能を強化する、あるいは中央省庁の大くくりの再編成を行う等々、様々な改革が提案されておりまして、これに基づいて制度が変わってきたと、こういうところがあろうかと思います。
 中でも特に憲法学の視点から重要かなというふうに思いますのが、内閣それから首相の役割、そしてその補佐機構の強化と、こういった点であろうかというふうに思います。
 特に注目したいというふうに思いますのがレジュメにも挙げました一節でございまして、これはよく知られたものでございますが、「内閣が、日本国憲法上「国務を総理する」という高度の統治・政治作用、すなわち、行政各部からの情報を考慮した上での国家の総合的・戦略的方向付けを行うべき地位にあることを重く受け止め、内閣機能の強化を図る必要がある。」と、こういう一節でございます。
 一言でくくりますと、強い中心をどうつくっていくのかと。必要があればスリム化なども組み合わせながら、それをどういうふうに組織していくのかということが強く意識されている。更に言いますと、憲法との関係も意識されているということであったかと思いますが、実は報告書を読みますと、もう一つ別の視点も提示されております。抑制と均衡といいましょうか、強い中心をつくる一方で、それに対するバランスをどう取っていくのか、こういう話であったように思います。
 具体的にその報告書の中に出ておりますのが地方分権、それから国会のチェック機能の一層の充実、それから司法制度改革と、こういうことでございますが、本日は特にその二番目ですね、国会のチェック機能について、通常、憲法学なんかで用いられる用語ですと統制ということになろうかと思いますが、その辺りについて少しお話をさせていただければなというふうに思っております。
 内閣機能なり首相の指導性を強めるということになりますと、当然、その基盤をどうつくり込んでいくのか、とりわけ正統性をどう調達するのかということが大きな課題になってまいります。この点では、御承知かと思いますが、何といいましょうか、議院内閣制の直接民主政的運用あるいは政権選択の論理といったものが重視されてきたように思います。つまり、国民が内閣や首相あるいは政策を選択するという機能が非常に強調される。それを踏まえた上で、言わば政治の中心に内閣を位置付けて、内閣が官僚を統制していくのだ、使いこなしていくのだと、こういう図式がこの間非常に強調されてまいりました。これは一つ踏まえておくべき点であろうというふうに思います。
 これは、どちらかといいますと、統治の正統性、ガバメントの問題でございますけれども、しかし当然、それだけで十分かという問題はあるわけでございます。特に最近、日本でも、あるいは諸外国を見ましても、ガバメントの正統性ということだけではなくてガバメントの質といいましょうか、ガバメントから生み出されてくるアウトプットの質というものが非常に強く問われているような気がいたします。実は、この点でも国会が果たすべき役割というのがあるのではないかというのを少し後ほどまたお話をしてみたいというふうに思います。
 以上のような改革を憲法学がどう受け止めてきたかということでございますが、様々な受け止め方がございますけれども、ある有力な学説が主張いたしましたのが、従来憲法学が描いてきた統治イメージを転換する必要があるのではないかと、こういうことでありました。従来の説明ですと、国会が立法を担って内閣や行政がそれを執行すると、こういう形で説明がされてきましたけれども、むしろ内閣自体が政治を担っている、内閣自体が言わばアクションを起こすと、こういった位置付けであって、むしろ国会の役割というのは、それをコントロールするということに重点を置くべきではないかと、こういう図式が一部では提示されてまいりました。
 政治の中心に国民の支持を受けた内閣を位置付ける、あるいは首相を位置付ける。そして、その政治、内閣を中心とした、あるいは首相を中心とした政治が強いリーダーシップを発揮して官を統制する、あるいは官を使いこなしていく、一方では国会がそれを統制すると、こういうイメージが有力な学説によって提示されてきたところでございます。
 また、いま一つ、従来、漠然と行政というような言葉が使われてまいりましたけれども、さきの報告書にもありますように、その中には専門合理性に支えられたような行政のほかに、ある種の政治的、統治的な機能があるのではないかということも指摘されてまいりました。これが先ほどの報告書と重なるような話になってくるかと思います。ただ、実際に政治と行政を仕分する、特に機能的な面から分けるというのは非常に難しいところがございます。そこで、政治は選挙の基盤を持った勢力が担う、それ以外の部分を官僚機構が担うと、こういう発想で実際の運用がなされてきたのかなというふうな受け止め方をしているところでございます。
 ところが、憲法との関係で申しますと、やはりこうした説明には少し問題もあったのではないかというのも感じております。
 これは、特にこの間のねじれを通じて御承知のとおり明らかになったところでございまして、従来は内閣は国会の信任を受けるということが強調されておりましたが、先ほどの構図では、国民が特に衆議院議員の多数の選出を通じて内閣を選ぶと、こういう視点が強調されてまいりました。
 モデルになったのは御承知のようにイギリスでございますが、イギリスの場合には第二院は貴族院でございますので、それでも支障はないのですが、日本の場合、選挙された非常に強い権限を持った第二院が憲法上配置されているということが当初十分認識されていなかったような印象を受けます。そこで、その後、ねじれといったふうな現象が出てまいりますと、なかなか当初想定されたような形で内閣なり首相主導の体制が機能しないと、こういう問題が出てまいりました。
 私自身は、衆議院だけではなくて参議院も視野に入れた上での政権形成というものを考えるのがよいであろうというふうに考えておりますが、これはちょっと今回のテーマを外れますので、ここでは深入りしないことにいたします。
 いま一つ、ここまでのお話で少し気になったところを付け加えますと、政治主導、政治の優位ということがこの間非常に強調されてまいりました。その中心は内閣であり、首相であったわけですが、それを支えるのが先ほどお話をした政権交代、こういう論理であったわけです。
 ただ、やはりそこですごく気になりますのが、政治というものが非常に過度に単純化されて捉えられてきたのではないかと、こういうことでございます。これは、国民に選択をしてもらうという契機を強調しますとどうしても仕方がない部分もあるのですけれども、政治という営みが持っている複雑な部分というものが十分に認識されずに、単純化されたところだけが強調され過ぎた嫌いがあるのではないかと、こんな感じがいたします。
 さっきもちょっと申しましたように、政治と行政を区分するというのは実際非常に難しいところがございます。それから、政治と行政にはそれぞれ違った役割が期待されているところもございます。その政治と専門性や中立性をどう突き合わせるのかと、あるいは、国会が例えば統制というような役割を担うとすると、そこにどう向き合うのかということがやはり改めて課題として問われているような感じがいたします。
 考えるべき課題はいろいろあるのですけれども、先ほどちょっと御紹介しました行革会議の報告書にもありますとおり、内閣機能を強化する、あるいは首相の指導性を強化するということと本来セットで論じられるべき点であった国会の統制機能をどう考えるのかという問題について、最後に一言だけお話をさせていただきたいというふうに思います。
 この国会の統制機能というものは、実は憲法上はっきりと書かれているわけではございません。ただ、これはいろいろな条文の中に分けて規定されていると、言わば無名の権限と言うのが適切かどうか分かりませんが、そういったものであろうというふうに思います。
 さきに行政の中に政治的な部分とそうでない部分があるというふうなお話をいたしましたけれども、恐らく国会による統制というのを考えます場合、内閣が担っている政治的な部分だけではなくて、行政機構に対する統制というのもやはり併せて考えていく必要があるであろうと、こういう感じがするわけです。
 ただ、その統制を考えます場合、一つ非常に難しい問題として出てまいりますのが、議院内閣制の下では多数党が内閣を組織するということでございまして、そうなりますと、どうしても多数派対少数派といいましょうか、日本風に言いますと与党対野党という構図が前面に出てまいります。諸外国では少数派の権限を強化するというような議論もされてはいますけれども、やはり主としては、恐らく野党を担い手とするであろう統制機能が十分に機能しないと、こういう構造的な問題があるわけです。その辺りも含めました上で、国会の役割というのを改めて考えてみたいというふうに思います。
 一つちょっと手掛かりにしてみたいなと思いますのが、フランス憲法に置かれています条文でございまして、実はこれは二〇〇八年に改正があって新しく付けられたもので、言わば国会のミッションを定義すると、こういう規定でございます。
 一つは法律の議決、二番目が政府の行為の統制、それから三番目に公共政策についての評価というちょっと新しい機能が付け加わっております。この三番目というのは、広い意味では統制の中に含まれるものですけれども、やはりちょっと伝統的な統制には収まり切れない部分を持っているということでこのような規定になっているのではないかなというふうに思います。
 この三つに即して最後にちょっとまとめとしてお話をさせていただきますと、統制という話をずっとしてまいりましたけれど、併せてやはりもう一つ確認すべきは、国会が立法機能を持っている、法律を議決する権限を持っているということであろうと思います。
 重要な政策を実施しようとしますと、やはり法律という経路を取らざるを得ないということでございます。もちろん、議決の部分ではどうしても多数が有利になると、多数派優位になるということになりますけれども、特に注目したいというふうに思いますのが、その議決に至るまでのプロセス、とりわけその審議のプロセスでございます。
 先ほど参議院のプレゼンスというようなお話をいたしましたけれども、本来、二院制の立法過程を考えます上で非常に重要になりますのが、両院の間で法案が往復していく過程でその修正が図られたり、立法の質が高められたりするということでございまして、よくシャトルシステムとかナベットと、こういうふうに呼ばれるものでございます。従来の国会審議拝見していますと、やはりその部分が十分意識されていなかったのではないかという感じがいたします。
 それからもう一つは、審議の中で様々な質問等が行われることになります。例えば、答弁の中で、法律の運用や解釈について重要な答弁が行われたり、あるいは法文の意味を限定するような答弁が行われたりというようなこともございます。これは統制というふうに見ることもできますが、やはり立法の中にも行政の在り方を縛るような重要な視点を盛り込むことができる、そういう契機になるのではないかと、こんな感じがしております。
 それから最後に、先ほどちょっとフランスの話をさせていただいたのですが、なぜわざわざ評価ということが付け加わっているのかという、その背景について少し考えてみたいと思いますが、大きくは二つの理由があるのだろうというふうに私自身は思っております。
 一つは、どうしても議院内閣制の場合、多数派対少数派と、で、多数派の優位という構図が前面に出てしまいますが、そうなりますとなかなか統制がうまく機能しないと。しかし、評価というようなことについて言えば、やはり与野党が協力して行える部分が随分あるのではないか、従来の統制とは違った形で国会が果たすべき役割というのがそこから生まれてくるのではないかと。多分こういう意識があるのではないかというふうに考えております。
 いま一つが、さきにも少し申しましたが、ガバメントというよりはそのガバメントの質の問題、やっぱりガバナンスの問題ですね。これをどう担保していくのかということが今日いろんな意味で問われております。こういう話をしますと、どうしても専門合理性を持った機関が重要だという話になるのですけれども、しかし、その専門合理性というのも、実はよく考えてみますと、いろいろな特殊利益と結び付いているところがございます。ですから、それを評価するということになりますと、やはり政治の役割というものが求められてくるところがあるのではないか、とりわけ議会、国会の役割というのが必要になってくるところがあるのではないかと、そういう中から評価というふうなものが出てきたのかなというふうに考えているところでございます。
 時間も参りましたので、話はこのぐらいにさせていただきまして、足りない部分は後の質疑の中で補わせていただければと思います。
 どうもありがとうございました。
#11
○会長(武見敬三君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。
 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いをいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十五分以内となるよう御協力をお願いをいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 堀井巌君。
#12
○堀井巌君 恐れ入ります。自由民主党の堀井巌でございます。
 三人の参考人の方々には、それぞれ貴重な御所見を賜りまして誠にありがとうございました。時間が限られておりますので、早速質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、牧原参考人に質問をさせていただきたいと存じます。
 これからの行政改革の方向性として、全面的な改革ではなく、課題に合わせて公共部門の諸機関が緩やかに連携していくべきという御指摘でございましたが、私も、拙い経験ではありますが、公務員の世界に身を置いていた者として、また、僅かな期間ですが内閣官房で仕事をしていた者として、率直に共感をしながら伺ったところでございます。
 御指摘ありましたように、内閣官房については少し強化をして、そして内閣府については少し見直すべきではないかという御意見がございました。
 私も、直感的には、内閣官房はある程度、副長官補、そして内閣官房副長官、官房長官へと続く意思決定が属していてもある程度イメージができていたかなということで、そこはそんなような感じが直感的にしておりましたが、内閣府の方は、もちろん優秀な方がたくさんおられますけれども、多分、その意思決定の部分がちょっと外から見てもどんなふうになっているのか、若干私自身も見えにくかったところがございます。更に言えば、恥ずかしながら、なかなか内閣官房と内閣府、じゃ、いろんな官僚の方が来られたときに、どちらの組織に属しているのかというのは全員が明確に頭の中ではっきりとされる方もなかなか実はそんなに多くはないのではないかというふうに思うところでございます。
 今、内閣府の在り方の見直しについても様々な部門で議論が始まっておりますけれども、いま一度、内閣官房はこういう点でこれから強化をしていくべきなんだと、そして内閣府はこういう点でもうちょっとスリム化を図るべきなんだという、その具体的なところについてお聞かせいただきたいと思います。
#13
○参考人(牧原出君) なかなか具体的にというのはやや難しいところもありますが、内閣官房であれ内閣府であれ、もろもろの本部が非常に多数置かれて、そこで一定の調整、企画調整を行っているというところの、この本部の在り方をやはりある程度見直して、各省でできるものは各省に落としていくということが一つ必要であろうと思います。それから、内閣府がもろもろの非常に大きないろいろな戦略的な課題じゃないような調整事項を引き受けているものも、どうすれば各省で落としていけるかということをやはり考えていくということが必要であろうと。
 ただし、そうやっていくと、恐らく実際、二〇〇一年以降、内閣官房は非常に定員がずっと増えてきているわけですけれども、それをじゃ二〇〇一年以前のように二百名ぐらいの非常に小規模な内閣官房にスリム化していいかというと、そうではないだろうと。そうした場合に、じゃ何が本来内閣官房でやるべきか。これはやはり官邸が決めることだと思いますけれども、そこをどう戦略的に限定するかというような、そういう仕切りが首相、官房長官を中心とした内閣の基本方針として必要ではないかと、そのように考えております。
#14
○堀井巌君 ありがとうございました。
 今の点に関しまして、もう一つ牧原参考人に関連して伺いたいんですけれども、内閣官房を強化していく、そして官邸の中で一つ強力なリーダーシップの下に統一した意思決定を行われていくということは非常に私も共感をするところではあるんですけれども、他方で、同時に、内閣の中はそれぞれの各省大臣、分担管理原則があって、それぞれの大臣のところでの意思決定というもの、そしてそれを内閣という閣議の場で、内閣の中でそこを調整していくという機能は、どの程度、そのバランスというんでしょうか、そこに影響してくるのかこないのか、内閣官房がもっともっと大きくしていくとそういった点との関わりがどのようになっていくのかということについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#15
○参考人(牧原出君) やはり、ある例えば本部なり、本部を所管する担当大臣がおられるわけですけれども、やはり五年か十年ぐらいで一つ同じような機能を持った本部があればそれはやはり一旦見直していくというような、ある種の時限的に本部を見直していく、それに伴って担当大臣の在り方も見直していくということなのではないかと思います。担当大臣は、実際上は内閣府だけではなくて各省と兼任しているケースが多いわけですから、その場合は実は各省でできることも多い部分もあると思いますので、そういった形で仕切り直しをしていくということであると。
 とするならば、特命担当大臣の権限で調整をするということもできるんですけど、現在の二〇〇一年以降の省庁編成では大臣の権限でも調整できるわけで、各省大臣の権限でも調整できますので、そこを恐らく特定の担当大臣の権限で調整するということの方をむしろ実際上うまい具合に使うというようなある種の慣行があったのではないかと考えておるんですけれども、それを各省大臣の権限で認めていくとすると、当然、各省大臣の権限で調整するとすると、それを補佐するのは各省の官僚ということになりますので、そこがどうかつてのように、二〇〇一年以前のような、割と非常に割拠性が強いというかセクショナリズムが強いところではなくて、そこはある程度お互い理解し合いながら、デッドロックにならない形で機動的に合意を取っていくかという、そういう仕組みをつくるということだと考えております。
#16
○堀井巌君 大変ありがとうございました。
 次に、中島参考人にお伺いしたいと存じます。
 内閣人事局についてでございます。
 今月の末頃にも立ち上がるんではないかというような今お話が出ておりますけれども、今、法律が成立をしましてこれから内閣人事局が設置されていくとなりますと、御指摘のように、やはり私自身も、せっかくできるものですので、その効果がしっかりと発揮されるように、有効に機能するようにしていくことが重要であると。そのためにも、幾つか御指摘もありましたが、運用のルール、また、その運用方法をしっかりと定めておく、あるいはそういったことに留意をしながら進めていくことが肝要ではないかというふうに思います。どんな制度も必ず運用次第では副作用、予期せぬ影響も出たりすることもあろうかというふうに私も思うところでございます。
 その観点で、日本の公務員制度、政治的な中立性の部分でありますとか、それに基づく身分保障でありますとか、非常にこれは大変、特色というよりもむしろ誇るべき様々なすばらしい点は私あろうかと思いますけれども、今回、内閣人事局が発足するに当たりまして、元人事行政の中枢にもおられた参考人とされまして、日本の公務員制度のどういう点に、どういう部分に留意をしながらこの内閣人事局の様々な取組を行っていくべきとお考えか、お伺いをしたいと存じます。
#17
○参考人(中島忠能君) なかなか難しい話ですけれども、やはり日本のこれからの公務員制度というものを運用していくときに一番参考になるのがイギリスじゃないかというふうに思いますね。やっぱりイギリスの場合には政治の方も官僚の中立性というものを尊重していると。そして、官僚も、政治の方で交代があっても、前の内閣に仕えたように、全く同じようにお仕えしていくというこの基本的な心構えがお互いにできておると。
 したがって、イギリスの場合には大臣規範というものも立派にできておるし、公務員規範というのも立派にできておると。それを守りながらそれぞれがそれぞれの務めを果たしていくと、やはり公務員として非常に公正な仕事もできる、政治の方も公務員の世界に対して必要以上な干渉はしないということで、国民が安定的に良質なサービスを受けることができておるということでございますので、アメリカの公務員の制度の歴史というものを読んでみますと、官職というのは選挙に勝った人間が自由にできるものだというような世界が、そういう世界、そういう期間が長く続いてきたわけですけれども、そういう考え方というものをやっぱり政治の世界も推していただいて、官職というものはあくまでも能力に基づいてとにかく就くことができるし、能力に基づいて昇進もできるしという、そういうような制度というものが本当に確立して、政治の世界も行政の世界でもそれが浸透していくということが基本じゃないかと思います。
#18
○堀井巌君 ありがとうございます。
 私も、自公政権から民主党政権に替わったとき、あるいは民主党政権から自公政権にまた替わったとき、両方公務員でございました。私の直感としては、日本の公務員は政治的な中立性があると。それからまた、試験で採用されて、よるべきところは、そういったもので自分自身の身分を保障していただいているということが前提にあって、政権交代に際して政治に仕える身として非常に円滑に機能したんではないかというふうに、公務員の方にいたときには直感的にはそのように感じたところでございます。
 今回、内閣人事局の議論があった際に、官僚の方々からの心配といえば、やっぱりこれは自分たちの力が落ちるとかそういう次元の話ではなくて、やっぱりそういった政治的な中立性を持ってきちんと行政執行していくという役割を担ってきたということが若干そうならなくなるのではないかという、政治の方の思いによって人事が様々な形で動いてしまうのではないかという、そういう漠然とした不安ではなかったのかなと、私はそのようなこともあったのではないかと感じているところでございます。
 そういった点をやはり払拭して、一元管理を行って、さらに日本の公務員の、世界の公務員の方々がより一層いい仕事ができるようにするためにも、今先ほど二点、ルール化すべきというふうにおっしゃられましたですけれども、それ以外に、具体的にこういう点には是非配慮すべきということがございましたら御所見を聞かせていただきたいと存じます。
#19
○参考人(中島忠能君) 先ほど少し触れましたけれども、イギリスの大臣規範というものがありまして、大臣が守るべき規範というのがありまして、そのときに我々がよく注意して読めと言われるのは、大臣の方から、いわゆる政治の方から公務員の中立性に反するようなことを要求されたときにどうするのかと。また、政治の方は、公務員に対してそういうことを要求しないというような規範というものをしっかり守れというようなことが書いてございますから、かなりそれがイギリスの場合に双方に浸透してきていますから余り心配はしなくてもいいのかと思いますけれども、それでも、そのイギリスでも、やっぱりサッチャー政権というものが長く続いて、そしてかなり性格の強い総理でございましたので、サッチャー政権が退陣するときには何人かの幹部の官僚が官界から去ったというような話がございましたから、公務員としても政権が長く続くとそういうようなところにやっぱり傾いていくのかなというような気がしますから、公務員自身もきちんとした覚悟といいますか、使命感といいますか、それを持って政治とお付き合いすべきだなというふうに思いますね。
#20
○堀井巌君 済みません。只野参考人にもお伺いしたかったことがあったんですが、ちょっと私、時間の方がもうなくなってしまいましたので、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。申し訳ございません。
#21
○会長(武見敬三君) では次に、風間君。
#22
○風間直樹君 民主党の風間直樹です。
 私から中島参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 この調査会は、統治機構調査会という名前でありますが、昨年の臨時国会から設置をされた調査会であります。この調査会の設置の経緯というものは、これは私の想像ですが、恐らく与党・自民党の中で、国会がねじれてもねじれなくても、やはり総理のリーダーシップというものをより強固にして、総理が考え、目指す政策というものをしっかり実行していくと、そのためには、行政、つまり内閣と国会においてどのような統治機構の改革を行ったらいいのかと、こういう問題意識があったんだろうと思っています。
 私自身も民主党政権当時、ねじれ国会の中で総理のリーダーシップを強化する必要性を非常に強く感じておりましたので、この調査会の設置には大変その意義を感じまして、一人の委員として参加をさせていただいております。
 今日で参考人をお招きしての質疑は最後であります。次回は議員間討議ということで、その後、武見調査会長が報告書をまとめて参議院本会議で報告をされるという流れになっていますが、実は私は、安倍総理の現在のリーダーシップを強化する上で一つだけ何かやれと言われたら何が望ましいかというふうに考えたときに、それはもう、私はこれしかないと思っていることがあるんです。それは、内閣府設置法の改正であります。
 ちょっとこの時間は中島参考人に、この内閣府設置法それから内閣法の現在の規定についてお尋ねをしたいと思うんですが、御案内のように、この内閣府設置法が定められましたのが平成十一年、ちょうど橋本内閣当時だと思いますが、中央省庁の再編の中で内閣府が設置され、この設置法が定められたわけであります。民主党政権当時、私、この内閣府設置法と内閣法の条文を実は個人的に一つ一つ検討したんですけれども、内閣府設置法も内閣法も、非常に総理のリーダーシップを強化するという意味からは問題がある条文だと思っているんです。
 具体的には、まず、内閣府という組織が平成十一年当時の中央省庁再編の目的とは裏腹に、総理大臣を助ける組織としては全く位置付けられていないということ、同時に、総理大臣もほかの閣僚と同じく、単に事務を分担管理をする対象としかこの設置法上では書かれていないと、これが大きな問題だと思っています。では、内閣府という組織を事実上差配する、仕切るのは誰かといえば、この設置法で想定される、書かれているのは官房長官であります。ですから、我が国の内閣においては、内閣府と内閣官房を仕切るのは法的には官房長官ということになっているんだろうと思います。
 当時の新聞報道も探してみたんですが、この内閣府の設置に関わる経緯について踏み込んで分析している記事は皆無でありました。つまり、中央省庁改革において、総理大臣のリーダーシップの強化を意図しながらも、実は当時の霞が関の巧妙な意図がそこにあって、この内閣府という組織が私は総理のリーダーシップを強化するという意味からは事実上骨抜きにされたんじゃないかと、このように思っているわけであります。これは内閣法においても同様だと思います。
 中島参考人にお尋ねでありますが、このように設置法や内閣法が一貫して官僚による主導権を確保する構成になっているということ、あるいは総理のリーダーシップを弱いままに留め置くという構成になっていること、この点について、長年の実務経験に照らして、もし何か御教示いただける点がありましたらお尋ねをしたいと思います。
 それから二点目ですが、今日いただいたメモを拝見しますと、政省令委任の問題について御指摘がございます。これ、まさに御指摘のとおり、現在国会では、法律は定めますが、その詳細についてはいわゆる政省令に委任をしている現状がございます。ほとんど我々国会議員も、具体的に、法律成立以降、政省令で何がどのように規定をされ、それが実施に移されているか、そこまでフォローしている議員は数少ないんだろうと思います。
 これは大きな問題でありまして、やはり今後は、委任立法の統制を通して国会が行政の統制をしなければならないと私は感じています。現在は、国会は法律の執行の監視を通して行政の統制を行っているわけでありますが、政令が勝手に作られて勝手に執行されていると、こういう現状もありますので、議会拒否権という概念を導入することによってこれを正していく必要があるのではないかと感じているところでありますが、この委任立法の問題について御所見を伺えればと思います。
 以上です。
#23
○参考人(中島忠能君) 二点御質問があったと思います。
 第一点目の総理のリーダーシップということに関連して、官僚は巧妙にとにかく骨抜きにしたんじゃないかという話がありました。私もそれをよくよく考えて勉強いたしました。
 結局、今の憲法というのは明治憲法からずっとつながっているわけですけれども、明治憲法もそうですけれども、今の憲法も総理大臣というのは余り地位が高くないんですよね。どこが違うかというと、各大臣の任免権を持っておるというところだけが違って、それ以外は明治憲法のときの総理と余り変わっていないと。
 特に憲法で、行政権は内閣総理大臣に属するとは書かずに、内閣に属するというふうに書いてあるものですから、その内閣に属する行政権を運営するときに、総理大臣は、やっぱり同輩中の首席という立場しか憲法上位置付けられていないものですから、余り各大臣に対してリーダーシップを発揮できていないんじゃないかと。
 といいますのが、憲法の規定をよくよく読んでいただきますと、総理大臣も国務大臣だという書き方がしてあるんですよね、よく読むと。だから、国務大臣にしてみれば、まあそんなことに意識している国務大臣はいないと思いますけれども、総理大臣も国務大臣だというようなことを意識している人がいないとも限らない。だから、総理大臣自身も反対にそんなに各大臣に対してリーダーシップを発揮しないと。だから、内閣法も、閣議にかけて裁定するとか、閣議にかけてということが必ず書いてありますよね。だから、あのとにかく域を出ないというのは今の憲法のやっぱり仕組みにあるんじゃないかなというふうに思います。
 だから、おっしゃるように、強い総理大臣、リーダーシップのある総理大臣をつくるためには、憲法の規定をどういうふうに改正するかということから議論していかなきゃ駄目じゃないかというふうに私自身は思います。
 それから、第二番目の政省令の委任の話ですけれども、これは私ももう本当にいろいろ悩んで考えたんですけれども、法案によってはもう政省令に委任する条文が非常に多い法律がありますよね、現に。だから、ああいう法案が委員会に下りてきたときには、ちょっと御覧になって、この法案については政省令が多いんだから審議を始める前に政省令の原案をとにかく委員会に出してくれと、その委員会に出してもらった政省令を見てから我々は質疑を考えるからというやり方はあるなという気はしますね。
 政省令を御覧になって、いや、これは法律事項だから法律にしろよというような議論もあるかも分かりませんけれども、その議論をやり出すと大変ですから、その議論は避けて、一番いい方法というのは、もうこんなにとにかく政省令が多いのなら政省令を見なければこの法律で実現しようとしている政策の全貌が見えないじゃないかと、だから政省令そのものを原案として出してくれというような運営の仕方というか、要求の仕方はあるんじゃないかという気がいたします。今のところ私が考えておるのはそういうことでございます。
#24
○風間直樹君 ありがとうございます。
 この政省令の問題については、非常にすばらしい御指摘を今いただいたと思っています。私ども、国会の各常任委員会で法案審査をするときに、この政省令の原案を所管省庁に要求するといったことはこれまでまずなかったのだろうと思います。確かに、参考人御指摘のように、政省令の原案を見なければ法案で実現を意図している内容が分からないと思いますので、その点は早速今後の常任委員会の審議に生かしていきたいと思います。
 それから、あともう一点、時間がありますので、内閣人事局の問題なんですが、これは内閣官房に御案内のように設置をするということであります。内閣官房というのは、委員の皆様御承知のように、内閣府とは違いまして、これは組織でなく、言わばスタッフ機構でありまして、そこに巷間言われる六百人規模の内閣人事局を入れるというと、相当組織的には違和感が出てくるんだろうということ。そしてもう一点は、先ほど参考人も御指摘になりましたが、人事の政党化が今後出てくる懸念というものがあるんだろうと思います。
 この二点について御所見伺いたいと思います。
#25
○参考人(中島忠能君) 内閣官房に人事局を設置して、そこに大変多人数を抱えてこれから業務を執行していこうというわけですが、その業務の内容を執行していこうということを、どういうふうなことを本当に考えているのかと。
 私がちょっと先ほどの陳述の中で申し上げましたように、国家公務員制度改革基本法というのが平成十年ですかね、いや、平成十年ではなしに、今から六年前ですから、平成二十年ですか、にできたと。それで、そのときにもう既に、私がちょっとお話し申し上げたように、もう族議員と官僚が結び付いて、行政というものの中立性を失っているという事実というものを与野党共に心配されたんですよ、あのときには。そして、あの第五条第三項というのができたんですよ。一遍、本当に第五条第三項というのを読んでみてください。
 けれども、あれが六年間たっても事実としてこういうようなことをやろうということは全然出てきていないわけです、どこからも。だから、やっぱりそれは内閣官房に人事局を置いてしっかり仕事をさせるのなら、そういうことを一つ一つピックアップしてやっぱりきちっとやっていただきたいと僕は思いますね。それがとにかく多人数であろうが何であろうがつくっていただいて、そして、あの基本法で狙っているところというものは、与野党共にあれは賛成してつくっていただいたんだから、あの法律を執行できるようにしていただきたいなという気がいたしますね。
#26
○風間直樹君 以上で終わります。ありがとうございました。
#27
○会長(武見敬三君) それでは次に、谷合君。
#28
○谷合正明君 公明党の谷合です。
 今日は、三人の参考人の皆様におかれましては、高い学術的見地から御意見を述べていただきました。大変参考になりました。
 今日は、国の統治機構における調査会の中で、特に小テーマというんですか、サブテーマとして中央省庁等改革、そして独立行政法人制度ということで設定もしておりますので、私の方からその点について参考人の方にお伺いしたいと思っております。
 最初に、やはり内閣官房、内閣府の業務についてなんですが、これは今年の二月の衆議院の予算委員会でありますが、菅官房長官の答弁なんですが、府省横断的な仕事、課題が多くなっている、内閣府、内閣官房に仕事量が集中しているというふうに述べられた上で、処理が終わった部分はそれぞれの省庁に戻していくことが必要だというような、そこら辺まで具体的に、具体的なのかどうか分かりませんが、答弁をされております。
 この点については、昨年の秋に国家公務員制度改革を与党で、自公でワーキングチームで議論をしているときに、総理に申入れをする際にも、一言、この内閣官房、内閣府の仕事についての整理が必要ではないかということも提言の中に盛り込ませていただいたところでございます。
 まず、中島参考人にお伺いしたいと思います。
 今日、レジュメの中に五つの黒ポツがありまして、そのうち触れられていない内閣官房の総合調整機能を担う事務体制が十分でないことといったところもありますので、改めてこの中央省庁等改革の評価というんでしょうか、についてどのように思っていらっしゃるのかということと、今申し上げた、特に内閣官房、内閣府の現状についての参考人が今後こうあるべきじゃないかというものの御意見があれば教えていただきたいと。
 同じこのテーマで只野参考人に、もし今日のテーマに即した中央省庁等の二〇〇一年から行われてきている改革についての只野参考人の今日の評価というものがあれば聞かせていただきたいと思います。
#29
○会長(武見敬三君) では、まず中島参考人、どうぞ。
#30
○参考人(中島忠能君) 中央省庁再編というのは、当時としては大変な大事業だと思います。橋本龍太郎先生が大変な努力をしてああいう案をお作りになって実現したわけですけれども。私は個人的に橋本龍太郎先生と非常に親しかったものですから、よく麹町の事務所にも遊びに行って先生とお話ししたんですけれども、今度の中央省庁大編成というのは政治主導というものを諦めて官僚主導というものを狙ってつくったように見えますよということを言ったことがあるんですよ。
 結局どういうことかというと、あれだけ大きな省庁をつくって、文部科学省もそうですけれども、厚生労働省もそうです、国土交通省もそうなんですけれども、あれだけ大きな省庁をつくっちゃうと、一年そこそこで交代するような大臣が主導権を握れるはずがないと。
 だから、やっぱり大臣になればその省庁の幹部公務員を叱咤激励して自分の政治理念を実現していくような仕事をしたいでしょうから、それができるような規模のものにした方がいいんじゃないですかということを橋本先生に言ったら、橋本先生は違うことを考えておられたようですけれども。やっぱり一番あのとき言われておったのは、政治主導というものをとにかく与野党共に実現していきたいという思いがあったんでしょうから、それからいうとやっぱり逆だということを申し上げたことがあります。今でもそう思っています。だから、私の評価はと言われれば、あれはもうとにかく諦めてもう一度考え直した方がいいというのが私の結論です。
 それから、内閣官房とか内閣府の話ですけれども、これは内閣法というものを読むと、いずれにしても、官庁間の権限について疑義があるときには閣議にかけて総理大臣が裁定する、あるいは、複数の省庁にまたがるような仕事についての総合調整は内閣官房でやるとかということが書いてあるけれども、その規定で総理大臣とか官房長官が直に仕事をするはずがないんですね。その粗ごなしをするところが必要なんです、セクションが必要なんですよ。だから、粗ごなしをするセクションはどこかにあるのかということを見ても、どこにもないわけですよね。しかし、それを内閣官房に電話をして聞いてみると、いや、官房副長官補が担当ですというようなことを言うから、その程度のものなら大した仕事はできないですよ。
 やはり、本格的に内閣官房で総合調整をする、本格的に内閣官房で各省の権限争いについて一定の方向を出すというんなら、しっかりした組織で、そしてそのトップは非常に有能な力のある国会議員を大臣に据えてやらなきゃ駄目ですね。それをやると、私は内閣府とか内閣官房の仕事というものはうんと整理できると思いますね。それをやらずに、とにかく各省に引き取れと言っても、各省は今と同じようなことを言うと思いますよ。やはりこれは、もう引き取っても、どうしても各省間で話がまとまらないときにはあそこへ持っていけばきちんとした裁定をしてくれるんだという安心感がなかったら、各省はやっぱり引き受けないと思いますね。
#31
○会長(武見敬三君) 只野参考人、どうぞ。
#32
○参考人(只野雅人君) なかなかお答えが難しいところがございますけれども、中央省庁等改革の一つの理念が、今お話にありましたように、やはり政治の中心性をどうつくるかといいましょうか、政治主導の体制をどうつくるかというところにあったように思います。
 ただ、やはりなかなか実際に動かしてみると難しいところがあったのかなと多々思うところがありまして、今日はお話しいたしませんでしたけれども、例えば政治家を官庁のトップに送り込むといいましょうか、大臣政務官とか副大臣なんかをつくるんだというふうなことが言われたりして実行もされているんですけれども、なかなかやはり思うようにいかない。
 今お話があったように、組織が大きいというところも確かにあるのかなというふうに思いますけれども、今日のお話との関係でいいますと、やはり国会を含めて全体で政治主導の仕組みを動かしていくということが必要なのかなというのはすごく感じるところでございます。
 政治主導の一つのイメージというのが、内閣が政の部分を引き受けて官を使いこなしていくと、こういうことであったかと思いますけれども、やはりどうしてもそれだけでは限界があるんではないかと。例えば国会が、統制という言葉をさっき使いましたけれども、機能の中でそれを一部引き受けていくというふうな役割分担があってもよいのかなと、こんな感じもしております。
 ですから、内閣だけで全てを担うということになかなかやはり限界はあるんじゃないだろうかと。統治機構全体の問題として政治主導をどうつくっていくかということを考えていく必要があるんではないだろうかと。ちょっと大ざっぱなお話でございますけれども、こんなふうに考えている次第でございます。
#33
○谷合正明君 よく分かりました。
 それで、更に中央省庁等改革の特に内閣官房だとか内閣府の話をしていきたいんですが、中島参考人からは、あれは考え直した方がいいというところまで言われてしまったものですから、なかなか次の質問難しいんですけれども。
 今日的な課題と、私自身も政治家をしている上で、どうしてもこの省庁間、どの省の問題なのかよく分からない部分が結構多い、そういうことがやはり政治的な今日的な課題というのが多いんだなというふうに思っていまして、私自身も例えば議員立法を作る際に、いや、これはもう最初から内閣府の所管にするべきだとかいうふうに思っていたところなんですが、ただ、そもそも二〇〇一年の改革では省庁の大くくり再編成をして、縦割り行政の弊害を排除していくために大くくり編成をしていたと。それでもなおどこの省庁に行くか分からない部分については、省間連携をしっかりすることによって、何というか、例えばどこどこの役所は、私どもはこれは所管でありませんよとすぐに突き放すんじゃなくて、まずは省間調整システムの整備をしていくということが当初の狙いであったんだと思います。
 ところが、なかなかその省間調整システムも整備されていない。その省間調整を担うところがなかなかリーダーシップを発揮していないのかもしれませんが、ですから、もう少し、今後ですけれども、具体的にこの省庁間連携をしっかり機能させていくことが重要ではないかと思うんですが、この点について中島参考人。それから、牧原参考人におかれましても、先ほども内閣官房と内閣府についてそれぞれこうあるべきだというふうな言及もされましたので、同じ質問をさせていただきたいと思います。お二人の参考人にお伺いします。
#34
○会長(武見敬三君) では、まず中島参考人、どうぞ。
#35
○参考人(中島忠能君) おっしゃるように、省庁間連携というものが非常に重要だし、お互いに相手の意見をよく聞いて、譲歩するところは譲歩するという、そういう心構えは必要だと思います。
 ただ、セクショナリズムという言葉は、私はちょっと誤解されているんじゃないかと思う。公務員としての経験から申し上げますと、セクショナリズムとしてあれは悪いというようなことも、確かに良くないことはあると思うんです。ただ、どこの省庁も法律に基づいて仕事をしているわけですから、その仕事というものを一生懸命考えて一生懸命主張すると対立すると。対立してとにかくにっちもさっちもいかなくなると役人はセクショナリズムだから駄目だと、こういう話になるんですけれども、それは僕はできるだけとにかくしっかり主張させればいいと思っておるんですよ。主張させて、それを聞いて判断するセクションがあるかどうかということが重要だと思うんです。
 だから、省庁間で一生懸命にそれぞれの立場を議論して主張させる。主張させて、それをよく聞いて、それを判断するシステムさえつくれば私はいいと。いずれにしても、政策上の対立ですから政策上の判断で片付けた方がいいと思うんですね。人事で片付けるとか、そういうことは最後の手だと思うんですね。やっぱり政策の面で対立しているんなら政策の面で説得して片付けちゃうと。その片付けするセクションがあるかどうかということが重要だというふうに思います。
#36
○会長(武見敬三君) 牧原参考人、どうぞ。
#37
○参考人(牧原出君) 各省の省間調整システム、これも、二〇〇一年の省庁再編の際にはそれもデザインするということでいろいろな準備が当時なされたわけでありまして、例えばBSEの問題などで、外部から見ていても、当時、農水省と厚生労働省との間でもかなり連携で処理していったというようなこともあったように見受けております。
 ただ、実際に問題を処理するときに、やはりどの省に落としていいか分からないということのもとにあるのは、やはり設置法という規定の在り方が元々非常に強い権限を各省に定めてその中で仕事をするということがあったわけですね。これは徐々に緩んでいるんですけれども、やはり各省がイニシアチブを取って、ほかの省に対しても、何といいますか、積極的に調整をして、そこで解決するという仕組みをより活性化させるのであれば、やはり設置法において各省の権限の範囲を厳然と定めるということをもっと緩やかにしていく必要があるのではないかと考えます。
 そしてもう一つは、官僚同士の調整だけではなくて、やはり大臣政務官、副大臣といった政務三役の調整も非常に重要ですので、そうなると今度は、元々イギリスのモデルがそうですけれども、ミニスターとジュニアミニスター、彼らのチームというのは非常に強固ですので、やはり内閣を組織するときに大臣、副大臣、大臣政務官が非常に強いチームをつくると。しかも同じ与党ですから、それがほかの省の大臣、チームとも密接に連携をして問題を処理するような、そういうやはり強い組織力というものを政策において与党の側も構築していくということも併せて必要であろうと考えております。
#38
○谷合正明君 どうもありがとうございます。時間になりましたから終わります。
#39
○会長(武見敬三君) それでは次に、儀間光男君。
#40
○儀間光男君 維新の会・結いの党の儀間でございます。
 今日は、三名の参考人の先生方、貴重な時間を、いい御講義をいただきましてありがとうございました。
 私は、ガバナンスについて少し、しかも初歩的というか素人的というか、そういう初歩的なことをお尋ねさせていただきたいんですが。
 実は、昨年二月まで、私は沖縄県の小さな市の市長をさせていただきました。三期やっておったんですが、その間に政府、各省庁、内閣あるいは各政党、相当陳情や要請で回らさせていただいて、自公政権時代から民主党政権になって、さらに自公へなってと二回の政権交代、地方の首長として経験させていただきましたが。
 自公政権から民主党政権に移った頃から、前後の政権を比較して省庁間を歩いておったんですが、自公の政権の場合は、えてして内閣の顔がよく見えるんです、総理大臣以下よく見えるんですね。政治の方がそんなに見えなかった。また、市長という立場もあってだったのかも分かりませんが。それから、政権交代が望まれて民主党政権に移ったらこれがまた逆転しまして、今度は内閣府の顔が見えなくて、与党の顔が大きく我々に映ってきたんですね。それは各地方の首長さんみんな同じ感じがしたと思うんです。それで、今また自公政権に戻ってみたら官邸の顔がよく見えるというような感じがして、官邸のガバナンスと与党のガバナンス、つまり政治主導とどっちがいいのだろうなと思いながら。
 民主党時代は、各省庁を回るというと、私どもこう言ったものです。廊下の真ん中、片方は政治通り、片方は行政通り。ところが、その行政通りに行けば何も物が進まないんですね。行政を持ち込んで行政でいろんな相談を官僚とやるんですが、これは我々ではどうにもアドバイスも決めもできないから政治通りへ行きなさいと、こういうような感じが続いたんですね。政治通りへ行ってみますというと、いわゆる幹事長室に一本化ですから、非常に狭い思いがしました。これって一体どこの社会だろうというような、民主党さんには少し耳障りですけれど、そういうような思いをしながらやってきたんですね。
 ですから、今日比較してみると、今回また安倍総理、菅官房長官ということで強烈な、内閣のガバナンスが非常に印象強いんでありますけれど、いわゆる官邸が上で政党が下というような言い方もよくやるんですが、その辺のガバナンスの違いを経てきて今日、これ、中島先生と只野先生、あるいは牧原先生もガバナンスをやっておられるし、只野先生も首相の指導性の強化などをやっておられますから、御三名の参考人に同じような質問をさせていただくんですが、政権交代を見て今日、今参考人の先生方の意見はほとんど何か官邸のガバナンスが利いた方が良さそうなような、間違いかも分かりませんが、取り違えかも分かりませんが、そういう印象を受けながら聞いておったんですが、二回の政権交代にわたってのガバナンスの変化、これをどうお取りになっておられたのか、あるいはその結果がどういうふうにもたらされてきたとお感じなのかを、中島先生、只野先生、牧原先生と、順に教えていただければ有り難いと思います。お願いいたします。
#41
○参考人(中島忠能君) なかなか答えにくい御質問でございますけれども、こういう言い方をして答弁になるかどうかは分かりませんけれども、いずれにしましても、政治家それぞれ持ち味が違うから、その持ち味が違うところをお出しになって国民がいろいろな印象を受けるんだというふうに思います。だから、あの内閣のとき、この内閣のときというふうに、それぞれいいところも悪いところもあるんでしょうから、それは個性の違い、持ち味の違いだというふうに御理解いただけないでしょうかということです。
#42
○参考人(只野雅人君) なかなかちょっとお答えしにくいところでございますけれども、基本的には政府と与党の関係をどうつくるかという、こういう御質問だったのかなというふうに受け止めさせていただきました。
 先ほどもちょっと触れましたように、例えば副大臣とか大臣政務官つくるときに考えられていた一つのことというのは、まさに政府の方が与党を吸収するといいましょうか、内閣の規模を大きくすることで政府の方が与党をきちんとコントロールして中心をつくっていくと、こういうことだったかと思います。ですから、今の御質問は、それがある政権ではうまくいき、別の政権ではうまくいかなかったと、こういう面があるのかなというふうな印象を持ちました。
 ただ一方で、政府と与党の一元化ということについて私は若干の疑問を持っているところもございまして、中心をはっきりさせる、責任を明確にするというのは確かに大事な面もございますけれども、例えば国会審議なんか考えますと一定の距離があった方がよいのかなというふうに思うところもございます。例えば、与党の中から法案に対して修正案が出てくるというようなことも外国の議会を見ていますとよくあることでございますので、中心つくって責任明確化するという一方で、やっぱりある種のバランスということを今日申しましたけれども、そういうことも大事なのかなというふうに感じているところでございます。
#43
○参考人(牧原出君) 内閣機能の強化ということが二〇〇一年の省庁再編の前に言われて、そして、やはり政権交代二度あって、政治主導といいますか、野党から選挙で勝利した与党が政権に就いてそこで新しく政策を展開するという意味での、それは広い意味で政治主導といえば、その政治主導が問題、課題になってきたということだと思います。
 そして、ただ、やはり連立政権である自民党が長期政権になったときの内閣機能の強化と政権交代が起こった後の内閣機能の強化というのは、私はこれは質的に違うと思っていまして、先ほど申しましたように、やはりそこがまさにガバナンスの問題になってきているというわけです。
 つまり、長期政権であれば、やはり人事でも何でもいろんな形で、政府もいろいろなところに影響力が及びますから、その上で内閣機能をどう強化するかということを考えればいいわけですけれども、野党から与党になって政権入りした場合には、やはりそのシステムを全部もう一回つくり直していかなきゃいけない。前政権時代と異なったものをつくり直す、どうしてもそこの一年、二年の時間が必要だということになるわけです。
 その意味で、やはり現在の政権はしばらく、政権取ってしばらくは一気にいろんなものを変えるわけではなくて、これまでの仕組みの中でやりくりしながら徐々に、特にここ一、二か月から新しいいろいろな取組のイシューが出てきたということだと思います。
 といたしますと、やはり政権に就く前にどれだけ要するにフィージビリティーのある政策パッケージを広くつくれるかということが大事になってくるわけです。もしそれが確実にあれば、誰が大臣でもそのフィージビリティーのあるパッケージでもって各省ごとに新しい政策を実現していくわけですけれども、そのフィージビリティーがないとすると、そこは例えば外部の専門家に突然呼んで頼るとか、あるいはその省の官僚に何か新しい玉を出すように言ってそこで政策をつくってもらうしかないということで、実質的には官僚主導になってしまうということになるんだと思います。
 その意味で、やはり政治主導となると、これは何度も言っておりますけれども、今度は政党のガバナンスが非常に問われてくるということが言えるということをしかし前提にした上で、なおかつ、そこはややまだ移行期ですので完璧な形ではまだできていない。その上で、じゃ内閣でどこまでいじれるかというときに、やはり大事なのは、今は非常に、特に小泉内閣時代に非常に内閣官房の定員が多くなって、それをそのまま引きずっている部分があるんですけれども、一回それをある程度スリム化していくと。スリム化した上で、つまりそれまでの課題を引き継がないで、一回スクラップした上で、もう一回、どういうふうに何ができるかということを考えていく必要があるんだと思います。
 その意味で、菅官房長官の御発言というのは恐らくそういったことを意識されているのかと思いますので、ですから今は、二〇一二年の年末に新政権ができてまだ実はそんなに年数がたっていないわけで、ガバナンスをどう構築するかということが問われている。その意味での内閣府、内閣官房の改革ということが問題になるということだと思います。
 そうだとすると、今度は、しかしそれはあくまでも一時的な課題ですので、長期的に見てそれがどういうふうにいいかということが問題になる。だとしますと、先ほども申しましたが、割とフレキシブルな組織であるということが良くて、内閣府、内閣官房はこういうものだと余り決め打ちしないで、新政権ができたときにそれに合わせて組織が柔軟に対応できるようなものが望ましいということかと考えております。
#44
○儀間光男君 ありがとうございました。
 行政の継続性からすると、私、日本の今の制度は非常にいいと思うんですね。例えば、アメリカやお隣の韓国などは大統領制で、政権が替わると官邸の職員も全部一回ひっくるめて替わっていく、がらりと政策が変わっていって継続性がなかなか保たれないというような裏面があるようでありますが、そういう意味では今の日本の仕組み、割といい。あと、内部をどうするか、ガバナンスの強弱をどうするかだと思うんですね。
 そういうことをしながら、感想を申し上げさせていただくと、民主党政権の頃は政治主導というのが前面に出て、幹事長室だったわけですけれど、同じ選挙を受けた選良の一人としてお会いする気安さから、何でもありきという感じしたんですね。やりようによってはかなりのものをくれるな、取れるなと、地方からしますとね、そういう感じしますし、現在の政権に来るというと、官僚もバランスよく出てきますから、かなり縛りが強い、地方からいってね。
 そういうような感じも受けながら、結局は国益はどうだったかというと、今、三名の参考人の先生方がおっしゃったように、一概にどれが、どの方がよかったということは言えないのかも分かりませんが、結果としてやはりどの方が国益が増していたんだろうということはどこかで評価されて、あるいは研究されて、そのレポートなどが出てきたら非常に参考になるんだけどなというような感じがいたしておりまして、もし機会がありましたらまた教えを請いたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#45
○会長(武見敬三君) それでは次に、井上義行君。
#46
○井上義行君 みんなの党の井上義行でございます。
 私は、議員になる前に総理大臣の秘書官を始め官邸で七年間、そして内閣官房、内閣府で十三年間公務員をしておりました。その中で、非常に私自身が考え、そして経験をしたところから、今、首相公選制あるいは地方主権型道州制というのを訴えているんですが、これはなぜ私が訴えているかといえば、先ほど内閣府そして内閣官房の話が出ました。
   〔会長退席、理事岡田直樹君着席〕
 私も当時、内閣の第一係長をしておりまして、中央省庁再編の内閣官房、内閣府の切り分けに参画をしていたわけでございますが、当時は内閣官房をもうちょっと身軽にして、そして実効性ある高い見地から総合調整をしてバスケットクローズ的なものについては総務省に移す、こういうような作業を考えていたんですが、実際は運用してみると、どんどんどんどん内閣総理大臣が担った方がいいということで内閣府が肥大化してしまったというふうに思うんです。
 当時も、中央省庁の再編を議論をしているときに、当時の総理府にバスケットクローズがありまして、どんどんどんどん総理府が膨らんでいった。その中からいろんな国土庁とか様々な省庁が生まれましたけれども、それではどんどんどんどん省庁が膨らむ一方ではないかということで中央省庁の再編が起きたというふうに思うんですね。
 そして、内閣官房でも官邸からいろんな仕事が降ってきますし、あるいは官邸自身も毎日毎日新しい案件がどんどんどんどん膨らんでくる。こうしたふうに考えたときに、やはり今、中央で持っている仕事というものを大きく地方に移す。しかし、地方だけで担えるということはなかなか難しいということで、州として大きく権限を移譲してしまうということを考えて、地方分権ではなくて地方主権型道州制というものを訴えております。
 そこで、内閣府そして内閣官房を整理あるいは考えるときに、将来の国の形というものをやはりしっかり考えていく必要があるのではないかというふうに思います。そして、もう一方で、我々が選挙で公約をしたその実現をどう図っていくかということも、やはり民主主義の中では重要だというふうに思っています。
 そこで、牧原先生にお伺いをしたいんですが、内閣あるいは内閣官房を考えるときに、こうした地方の権限移譲やあるいは選挙の公約の実現、その実現に当たっての政権の移譲の機関とか、多くのもっと大きな視点で考えていかなければ内閣官房、内閣府という考え方はかなり難しいんじゃないかなというふうに思っております。
 私自身は、内閣官房というのはやはり官邸の直属の機関という位置付けをして、もうちょっと緊急的な課題あるいは政権の公約の実現、こうしたことに絞り、内閣府というのは政権が抱えた中長期的な問題についてどう実現を図るか、その高い見地から調整をしていく、こういうことが私はいいんだろうというふうに思っております。
 そして、中央はやはり大きく地方に権限を移譲して、もっと横断的な省庁に生まれ変わるべきだというふうに思っているんですね。それは、世界を見ると、非常にグローバルでスピードも速い、非常にエネルギーの獲得や、あるいは食料問題、資源獲得、あるいは少子化、こうしたことをやはり横断的にしっかり責任を持って分担管理をして実行できる省庁に生まれ変われなければ、日本の新しい姿が生まれてこないんではないかというふうに思っているんです。
 今の現状の省庁の考え方は、確かに、先ほども話のあったように、連携とかあるいは連絡とか、そういう会議体で議論をするんでしょうけれども、そうした形式的な議論ではなくて、もっと深い与党も含めた議論をしていく必要があるんだろうというふうに思っておりますので、まず、この内閣府、内閣官房の在り方、私の今申し上げた主張に対して御意見を牧原先生からいただきたいと思います。よろしくお願いします。
#47
○参考人(牧原出君) やはり、日本の行政の仕組みが、各省分担とは言いながら、実質は、諸外国と比較した場合に、内務行政の非常に大きなグループと、それから経済財政関係のこれも一つのグループと、それから国際関係の、やはり私は三つの大きなカテゴリーがあるだろうと考えております。
 その中で非常に組織的に堅固につくられているのは、やはり内政系の旧内務省系を中心とするような行政の仕組みだと思います。そして、これがやはりいろんな意味で内閣官房と非常に強い関係があって、もちろん経済の方は、経済財政諮問会議が内閣府にできたということがありますが、あるいは、場合によっては秘書官などを通じて官房長官、総理大臣に直結するような仕組みがあって、そこで動いていくと。やや国際系はどちらかというと、その意味での連携が良かったところを今いろいろ再構築を今の政権で図っていると、そういう大きな構図が描けると考えております。
 そのうち、確かに内務行政の仕組みを抜本的に変えるというのは非常に大きなチャレンジングな改革になるだろうということは分かるわけですが、これに掛かる膨大なコストを一体まずどうするかという問題があって、いろいろ構想する、そのゴールを描くことはできるんですが、そこに至るプロセスが実は非常にコストが掛かるという問題があるんだと思います。
 ただ、さはさりながら、やはり昨今言われるところの急激に進む少子化というものがもしそのとおりになったとしますと、やはりその段階ではその内務行政の仕組みというのを抜本的に変えることのむしろコストが下がるというか、その方が現状の仕組みを維持するよりもやはり効率的だという時代が来ないとも限りません。そうなりますと、そういった、今おっしゃられたような改革の意義というものが出てくるということでありまして、やはりこれはまあ本当に、与野党あるいは政府だけではなくて日本の社会全体を通じた将来像の中で決まってくることだろうと思うわけでございます。
 したがいまして、当座、やはり道州制というのをいろいろ議論をされるんですけれども、そこに至るプロセスのコストを考えると余り現実的ではないのではないかと私自身は考えておりますが、ではその中で何ができるかといえば、やはりそれは地方分権の権限移譲を今以上に進展していくということになるんだと思うんですね。これがしかし、どうも最近少しややトーンダウンしている嫌いがあって、これを今後どのように進めるかということは、ここはやはり是非政権にお考えいただいた方がいいのではないかと考えております。
#48
○井上義行君 今、先生からお話のあった、内政に限らず、まあTPPもそうなんですが、非常に国際的な関係あるいはエネルギー、外務省だけではなかなか対応できない複合的な調整というのが出てきているわけで、やはりこうした外交も大きく見直していかなければ、組織を見直していかなければならないというふうに思っております。
   〔理事岡田直樹君退席、会長着席〕
 その中で、この組織を見直す際に、やはり人事の配置ということがあります。中島先生には、元人事院総裁でございますので、私もやはり官僚時代、やはり何か一たび起きると人を配置するときに非常に大変なんですね。やはり、もうちょっと人事の運用をもっと柔軟的な形でやればもっとスピードある組織として機能できるというふうに思っているんですが、中島先生から見て、今の公務員の配置の柔軟性について一言ちょっとお伺いしたいと思います。
#49
○参考人(中島忠能君) 公務員というのはたくさんおりますから、その中にはいろいろな才能を持った人間がおりますね。どこにどういう才能を持っている人間がおるかということを今度新しくできる人事局の方でできるだけ把握して、そしてその人を、新しい今議員がおっしゃるそういうような向きにどういうふうに配置していくかということを、今度は内閣人事局がそれをやろうという気持ちがあるようですから、まずそこを支援していくということをみんな考えるべきだというふうに思います。
 今のままでは、どこにどういう人材がいて、それをどのように動かすかということについて、誰も責任を持って考えるところがないわけですから、それをまずとにかく人事局を中心につくっていくということじゃないでしょうか。
#50
○井上義行君 最後に只野先生にお伺いしたいんですが、先ほど申し上げたとおり、私は地方主権型道州制というのを主張しているんですが、併せて私は首相公選制もやはり唱えておりまして、やはり民主主義で選ばれた首相が強力にこの国を引っ張っていくという考え方、ですから、首相公選制と地方主権型道州制、そこで中央省庁の再編というような三つの絵を考えているんですが、これを只野先生から見て、どう見ているのかをちょっと最後にお伺いしたいと思います。
#51
○参考人(只野雅人君) まず、首相公選ということでございますけれども、これは当然憲法改正を必要にするということになります。少し前に随分議論があったところですが、やはり制度設計が非常に難しいという問題があったのかなというふうに私自身受け止めております。
 特に、議院内閣制と異なりまして、議会の多数派と大統領がずれてしまった場合の調整というのが相当難しいんではないかと。やはり、基本的にはこういう問題があるのだろうと思います。アメリカのように長く大統領制やっていますと、それに合わせて政党システムができておりますけれども、日本の場合そうではないという部分がある、ここの難しさというのが一番大きいのかなというふうに思います。
 実際に、議院内閣制の運用自体が、この間やはり政権選択ということを基軸にしてきましたので、むしろ事実上そういう形で政権を選ぶということが重視されてきたのかなというふうにも感じておりますので、あえてその首相公選、これは非常に難しいパズルを解くことになりますので、殊に踏み込む必要性はないのかなというふうに感じているところでございます。
 それから、道州制につきましてですが、これ道州制という言葉で何を意味するかということが非常に難しいところがありまして、いろんな方がいろんなことをおっしゃっているという部分があります。地方分権進めることが重要だというのは、さきにもちょっと申しましたように、私も全く同感でございます。その上で、それぞれの事務をどういう規模の自治体で所管するのが適切なのかと、恐らくこういう議論をすることになるのかなと。今より広いものが必要だということになればそれは一つの選択肢になるかと思いますけれども、現状の枠の中で適切な権限配分を考えるということもあり得るのかなと、そんな感じもしているところでございます。
#52
○井上義行君 この中央省庁を、再編を考えるときには、しっかりと地方に、こういう言い方は変かもしれませんけれども、やはり担ってもらわなければ、世界のスピードになかなか私は付いていけないんだろうなというふうに思いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#53
○会長(武見敬三君) それでは次に、倉林君。
#54
○倉林明子君 日本共産党の倉林でございます。
 今日は、三人の参考人の皆さんに意見陳述をしていただき、ありがとうございます。
 今回テーマになっております中央省庁の改革、また独立行政法人制度ということで、内閣の機能強化とセットで行われてきたという経過があると思うんですね。先ほど紹介もありました一九九七年の行政改革会議の最終報告では、この国の再構築を図るという大きい提起がされて、基本的にこの行革の流れというのは政権が替わっても続いてきたものだと思っているんです。
 一連の改革の背景、国民の目から見て一体どんな背景があったかということを考えた場合に、あの金権腐敗と言われた政治に対する大きな不信があったというふうに思うんですね。この国民の政治不信をどう払拭していくのかという観点から、この行政改革というのが一体成功したと言えるのかどうかということをそれぞれお三方に伺っておきたいと思うんです。
#55
○会長(武見敬三君) それでは、まず最初に只野参考人、どうぞ。
#56
○参考人(只野雅人君) では、私の方からお答えしたいと思いますが、今の御質問ですけれども、なかなか政治不信を解消するような形で機能しているとは正直言い難いのではないかと、率直にこういう印象を持っております。
 どうしたらよいかということですけれども、もちろん更に改革を考えるというのは一つなんですが、今日ちょっと申しましたのは、やっぱり国会の役割というのが非常に重要ではないかというのは私自身非常に感じております。国会がきちんと統制機能を果たすということはもちろんなんですけれども、それだけではなくて、さっき申しましたように、統治の質の問題といいましょうか、こちらについてもきちんと切り込んだ議論をしていただくということが、長い目で見ますと今の御質問のような問題を解消する一つの方向性になるのかなと、大まかにはそんなふうに感じているところでございます。
#57
○会長(武見敬三君) それでは次に、中島参考人、どうぞ。
#58
○参考人(中島忠能君) 政治不信ということをお話しになりましたけれども、政治不信というのは、政策の失敗があっても政治不信というものは出てきますし、倫理違反事件があればあるでまた政府不信というものは出てきますから、何を根拠にして政治不信が出てきたかということはなかなか言いづらい話になるわけですけれども、二十一世紀に入りましてから今日まで、私は、全体としては政治というのは与野党ともよくやってこられたんじゃないかというふうに思います。
 ただ、それは立場によって評価が違うと思いますけれども、議員が何を根拠に政治不信が出てきたとおっしゃるのかというところは、もう少し話を詰めていかなきゃちょっとお答えしにくいなというのが正直な感じですね。
#59
○会長(武見敬三君) では次に、牧原参考人。
#60
○参考人(牧原出君) 行政改革会議の政治不信に対する最も重要な応答というのが、各省のセクショナリズムを打破して迅速に機動的に内閣で意思決定をするということではなかったかと思いますが、それに関してはある程度の成果を私は達成したのではないかと考えております。その調整力、かつてに比べると調整力は向上したのではないかと考えております。ただし、それ以外に二点、やはり課題があったと思います。
 一つは透明化でして、これは、それ以降のいろいろなIT化に伴う議事録の公開といった様々な試みがなされていますけれども、やはり透明化はまだまだ不足しているのではないかというふうに思うわけでございます。
 そしてもう一つは、実はその調整というのは、起こった課題への対応ということはあるわけで、そうではなくて、内閣府をたしか知恵の泉と当時改革で言ったと思いますけれども、そこからある種の戦略を生み出すという、能動的に政府が対応するということの方はまだまだ足りないのではないか、それによって将来をつくって政治不信を払拭するということはやはりまだできていないのではないかと考えております。
#61
○倉林明子君 只野参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、首相と内閣中心の体制強化が重視されてきた改革だったと思うわけですが、困難や限界も内包しているという御指摘をされているかと思うんですね。その困難や限界とあわせて、政と官の関係ということについて少し踏み込んで御説明、御意見をいただければと思います。
#62
○参考人(只野雅人君) ちょっと少し大きなお話になるんですけれども、一つ先ほど申しましたのが、やっぱりこの間進められてきた政治の運用の方ですね、これは中央省庁の改革というよりは、それと並行してどうやって内閣の民主的な基盤なり民主的正統性を強めていくかということでなされてきた運用とやっぱり憲法が予定している統治機構がうまくマッチしていなかったんではないかと、基本的には私こういう認識持っておりまして、これはまさにねじれという問題があったかと思います。
 衆議院だけ視野に入れますと非常にうまくいったのかもしれませんけれども、やはり参議院が置かれた統治機構の中でそういった運用をしていきますと、どうしても、場合によると深刻なねじれというものが生まれてしまうのではないかと。ですから、憲法に見合った、何といいましょうか、内閣の基盤のつくり方、特に両院に基盤を置いたような内閣の運用の仕方、今も基本的にそうなっているように思いますけれども、というのを一つ考えてみる必要があるのかなというふうに思っております。
 政官関係というのは基本的に政治主導をどうつくるかということで考えられてきたところがございまして、政治の主導性なり中心性をつくるということは私自身も賛成なのですけれども、必ずしも内閣を強化するということだけではなくて、国会との関係でどうやってしっかりした基盤をつくっていくのかということがやはり重要になるのかなと、そんなふうに考えているところでございます。
#63
○倉林明子君 今も只野参考人お触れになったんですけれども、そのねじれのところについて少し伺っておきたいと思うんですが、内閣と参議院との関係について、強い参議院と政治主導の確立について積極的な位置付けが可能だというようなところをお触れになった文章を読ませていただいたんですけれど、ねじれたことが悪いという御意見も多いんですけれども、逆にねじれというのが憲法の要請から見て重要な意義があるんじゃないかという御指摘かと受け止めたんですけれども、その点について少し御説明いただければと思います。
#64
○参考人(只野雅人君) ちょっと、どうお答えするか難しいところがあるのですけれども、やっぱりねじれて物事が決まらないというのは、これはこれで大きな問題だと思うんですね。ですから、問題は、何といいましょうか、両院の党派構成が食い違うことはあり得るという前提に立った場合どういう運用をするのがよろしいのかと、多分こういうことになってくるのかなというふうに思っております。基本的には、やっぱり両院に基盤を置いて内閣の在り方を考えるというのが基本になってくるのではないかなというのが私の基本的な見方でございます。
#65
○倉林明子君 最後にお三方にお尋ねしたいと思うんですけれども、内閣の機能を強化する行政改革の取組ということでこの間されてきたと。しかし、今、実態として、安倍首相がいよいよ閣議決定で解釈改憲もして集団的自衛権の行使に踏み込もうというような大変強い機能を発揮している、本当に暴走しているんじゃないかという声も上がっているところだと思うんですが、私、閣議決定でこういう強権的な政治が進められているというようなときに、やっぱり参議院がブレーキ、均衡という、抑制と均衡という観点から果たすべき役割は極めて大きいと思っているんですが、そのことに関して御意見をお三方に伺って終わりたいと思います。
#66
○会長(武見敬三君) それでは初めに、牧原参考人、どうぞ。
#67
○参考人(牧原出君) 内閣強化と行政改革会議等で言ってきたのは、各省に対する内閣の強化であったと思われます。国会との関係は必ずしもそこでは議論にはなっていなかったと思われますので、閣議決定によって解釈変更を政府が行おうとするならば、当然、それについては国会でその中身をただしておくということが国会審議に求められていくわけで、その国会審議の中でまた新しい、これまでは新しい見解、政府見解というのが出されてきたと思いますので、それがどうなるかということを国民として見守っていきたいというふうに考えております。
#68
○会長(武見敬三君) 中島参考人、どうぞ。
#69
○参考人(中島忠能君) 総理大臣のリーダーシップとか、あるいは強力な総理大臣とか、民主的な国会運営とかいろいろ言われますけれども、結局は政権を握っている与党というものの寛容というんですかね、譲歩というんですか、そういうものを前提に野党の方、少数党の方も十分発言の時間が与えられる。そして、少数党の方もいたずらに審議を長引かせないとか、あるいは採決をずらせるような戦術は取らないとか、そういうような態度をお互いに取るとやはりいい国会運営ができるんじゃないかと思いますし、そういう両政党側のお互いの協力というんですか、そういうものの中にあって、総理大臣というものが国政運営の上で威厳を持ってきちんとしたリーダーシップを発揮されるという姿を見せていただきたいなというふうに思います。
#70
○会長(武見敬三君) 只野参考人、どうぞ。
#71
○参考人(只野雅人君) いろいろ申し上げなければいけないことがあるような気がいたしますが、基本的にはやはり国会の中できちんと審議をする。先ほど牧原参考人もおっしゃられましたように、ここがすごく大事なことなのかなというふうに思っております。
 それから、内閣の基盤自体も必ずしも一つの政党だけでつくられにくいということもありますので、本来的に言うとそこがある種のバランスを取るような意味を持ってくる部分もあるんじゃないかなというふうに思っておりますが、やっぱり基本的には国会の中できちんと審議をする、あるいは国会がそれに対して十分な能力を発揮するということが非常に重要なんではないかというふうに思っている次第でございます。
#72
○会長(武見敬三君) それでは、そのほか質疑は。
 尾立君、どうぞ。
#73
○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立でございます。
 今日、三人の参考人の皆様、本当に有意義な示唆に富むお話、ありがとうございました。
 私は、牧原参考人に絞ってちょっと御質問をさせていただきたいと思いますが、レジュメの中でも、日本の統治機構の特徴ということで、政権交代が今後も起こり得るということを述べられております。私自身もやはり権力というのは必ず腐敗するという信念を持っておりまして、やはり国民が望むならば、しっかりこの政権交代ということが起こり得るのが民主主義のあるべき姿だと思っております。
 そういう意味で、円滑な政権移行のための仕組み、ルールというのがそういう場合大事だと思っております。イギリス、アメリカ、オーストラリアでもそういうことに工夫をしていると、先生の論文も拝見しながら知っておるんですけれども、イギリスの例で言うと、インスティチュート・フォー・ガバメントというシンクタンクがこの政権交代を円滑にするための報告書を出されているというふうに論文でもお書きになっております。非常に、このイギリスでもまだこういうことを提言しなきゃいけないほど政権交代というのはなかなか難しいのかなということを感じているんですけれども。
 その中身は六点あって、一つは、野党党首は与党になったときの政策面の準備をより真剣に行うべきというのが一つ、あと二つ目が、野党と官僚の接触については開始時点を明確にすべき、三点目が、接触の監督は首相ではなく官僚の長である内閣秘書官が行うべき、四つ目が、各省事務次官のみならず上級スタッフも接触に加わるべき、五番目が、政権発足時には新任大臣は時間をつくって政策の準備を行うこと、さらに、最後として、首相は事務の停滞を招きがちな省庁再編は慎重にすべきと、こういう提言なんですけれども、そういう意味で、先生もこれらの提言を総括されて、四つの提言を改めてされています。
 一つは、与党になったときに実行可能な政策を考えるべし、二つ目が、官僚との接触ルールを整備すべし、三番、マニフェストの中で実行可能なものを絞るべき、四番、省庁再編は慎重にということなんですけれども、接触の原則というのはちょっと日本とイギリスでは大分違うと思うんですけれども、その中で私がお聞きしたいのは、この接触をした場合の官僚の秘密保持の在り方というのは、イギリスではどのようにルール化されているのかということを一点お聞きしたいことです。
 二点目は、これを見ますと、政策面では事前の準備が相当できるかとは思うんですけれども、ただ、政権を担ったときの人材面という意味では、イギリスの例でも、政権を担った経験がない議員が政府に入るということも多々起こるということですから、この人材面での、新たに内閣に入る議員のサポートや、そのまたスタッフの供給というものにはどんな工夫があるのかということをお聞かせいただければと思います。
#74
○参考人(牧原出君) あくまでもイギリスの制度を前提にした議論のところの御質問だというふうに理解しておりますので、それに関して申しますと、通常は国会議員と官僚は接触しないことになっているわけですけれども、つまり選挙、総選挙の前一定期間の接触に関して、イギリスの場合は、官僚は野党から政策案について尋ねられても、積極的に応ずるのではなくて、それを聞きおくことが一応前提で、聞きおく中で難しいものについての一定のシグナルを送るというような元来限定的なやり方を一方ではしています。
 ただ、非公式には、特に一九九七年の政権交代で、あれは非常に長期の保守党政権の後の政権交代になることが予想されたので、そのときには、各省の一部の幹部と当時の野党労働党の幹部とが非公式に会見をしたこともあるというような形で、公式ルールあるいは非公式ないろいろな接触をかなり限定的に行いながら円滑な政権交代を図っていこうとしたと。その中で、そういうような意味で、接触が非常に限定される中で秘密保持がされているということが言えるかと思います。
 二番目の人材面に関しては、やはり一つは、非常に重要なのは、前政権時代ですね、野党が与党になったとき、その野党が前に政権だった時代の閣僚経験者が何らかのいろんな意味でサポートをするということがあると。
 二つ目は、やはりスペシャルアドバイザーといいますが、外部の専門家が政権の一部、各省の中に入ることができる。ただ、この専門家は、政策スタッフというよりは、メディア対策といいますか、メディアにどのように政策を説明するかという、政策の言わばアカウンタビリティーを補完するという面が強いということでありまして、やはり政策に関してはもうマニフェストにかなり詳細に書き込んであることが前提ですので、それを見て各省も準備をしているということになっているということです。
 もう一つは、先ほど言いましたが、やはり人材という面では、政務三役に当たるような閣僚集団が非常に強いチーム力を発揮していくということが求められると、そのようになっているということです。
#75
○尾立源幸君 ありがとうございました。これで終わらせていただきます。
#76
○会長(武見敬三君) 他に御発言はございませんか。──他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。
 牧原参考人、中島参考人及び只野参考人におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト