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2014/05/15 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 環境委員会 第7号
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2014/05/15 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 環境委員会 第7号

#1
第186回国会 環境委員会 第7号
平成二十六年五月十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 信秋君
    理 事
                中西 祐介君
                吉川ゆうみ君
                柳澤 光美君
                市田 忠義君
    委 員
                岩城 光英君
                尾辻 秀久君
                岸  宏一君
                高橋 克法君
                中川 雅治君
                藤井 基之君
                山本 順三君
                小見山幸治君
                榛葉賀津也君
                長浜 博行君
                浜野 喜史君
                竹谷とし子君
                清水 貴之君
                水野 賢一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻井 敏雄君
   参考人
       兵庫県立大学自
       然・環境科学研
       究所准教授    坂田 宏志君
       特定非営利活動
       法人伝統肉協会
       理事長      石崎 英治君
       長野県林務部長  塩原  豊君
       認定特定非営利
       活動法人トラ・
       ゾウ保護基金事
       務局長      坂元 雅行君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(佐藤信秋君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案の審査のため、参考人として兵庫県立大学自然・環境科学研究所准教授坂田宏志君、特定非営利活動法人伝統肉協会理事長石崎英治君、長野県林務部長塩原豊君及び認定特定非営利活動法人トラ・ゾウ保護基金事務局長坂元雅行君の四名に御出席いただいております。
 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 皆様から忌憚のない御意見を賜り、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、坂田参考人、石崎参考人、塩原参考人、坂元参考人の順でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと思います。
 なお、参考人の皆様及び質疑者の発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず坂田参考人にお願いいたします。坂田参考人。
#3
○参考人(坂田宏志君) 兵庫県立大学の坂田といいます。どうぞよろしくお願いします。
 私の方からは、特に今回の法案、改正の中では捕獲に関する扱いというのが重要なところだと思いますので、その部分を中心にお話をさせていただきたいと思います。
 実際に農業被害や鹿の食害による自然環境の被害というのは、皆さん、もう今いろんな資料に出ています。その中でちょっと幾つか映像を見ていただいて、どんな状況かということです。(資料映写)
 例えば、イノシシの捕獲。これがわなの捕獲ですけれども、例えばこれはくくりわなというわなで捕まったイノシシですけれども、ちょっと映像があれですけれども、こういう状況で、人間より大きいか人間と同じぐらいのものを捕獲して殺処分をしないといけないというような作業を捕獲する人はしないといけないということです。
 短いですけれども、箱わなの場合、箱わなに掛かったとしても、これはやりで殺処分をしようとしているところですけれども、うまくいくときもあれば、経験を積んだ方でもなかなか相手次第ですから大変、あと危険も伴う作業だということですね。
 それと、次に鹿の映像をお見せします。これは夜間でちょっと見にくいですけれども、この辺りに目が光るのがみんな鹿です。こういうふうにたくさん、これは田んぼの跡なんですけれども、たくさん出てきています。これが一時間見るうちに百頭、二百頭見られるところも今は非常に全国的に多くなってきています。夜間の捕獲ということも今回の法案の中にはあると思いますけれども、夜間はこういうふうにたくさん近くに鹿が出てくるというところですね。こんな感じで、余りこれは、今お見せした全ての映像は特に珍しい映像ではありません。今でしたらテレビとかでも割と報道されているような部分もあると思います。
 これが、先ほどと同じところを昼間に行くと、平和に、どこに鹿がいるんだというようなふうに見えるかもしれませんけれども、実際夜間に見て、あそこで非常に捕獲しやすい状況にあるときに捕獲するということは、後ろを見ていただいても、ここで鉄砲を撃っても、後ろはバックストップがきちっとあってということで、ここ非常に集落の近くでありますけれども、非常にこういうふうに出ているというところです。
 あとは、鹿、イノシシのああいうふうにたくさん夜中に出てくるというのもありますけど、例えばツキノワグマなどでしたら一頭、二頭でも非常に、これは、ここに屋根が見えますけれども、ちょっとしばらく見ていますと映像が引きますので、人の住んでいるすぐ、それこそ庭にある木に熊が登っていると。軽トラの小屋があるんですけど、夜中、そこもし人が出てきてばったり熊と会ったら、向こうに悪気があろうがなかろうが熊にたたかれて大きいけがをすると。眼球を摘出しないといけないようなことになったりとか、そういう事故も多くはないんですけど起こります。
 あと、これは猿、昼間なんですけれども、ここに一頭下りてきましたね。ちょっと、もう少し前からお見せします。ここ、一頭横切っていくのが見えましたでしょうか。一頭何か物を持って横切っていって、むしろ、もう行くと家の中から猿が出てくるような雰囲気ですね。それで、こういうふうに人間に対して威嚇をしてくるということです。これは、今のは威嚇です。おばあさんとか体力に自信のない方が背を向けて逃げようとすると、逃げるものですから余計攻撃しやすくなるというようなことで、集落の周辺でも非常にたちの悪い動物が出てくることがあって、それに対する対応が迫られているというようなことがあります。
 そういうふうなことで、被害が出るところ、生息地の中では、人間と同等以上の運動能力とか、それこそ物に対する執着ですね、どうしてもその餌を取ろうとかいう執着性を持つ動物による被害であるということです。ですから、体力に自信のある人とか技術を持っている人なら対応できるものでも、個人的な対応をしていくのは限界があるものだと思います、相手が特に大型の動物の場合は。
 それともう一つ重要な点は、放置していると拡大するということです。鹿は毎年一頭ずつしか子供を産みませんけど、着実に子供を一頭ずつ産んでいます。そうすると、私たちの推定では、大体一五%から二〇%ぐらい毎年状況が良ければ増加すると。実際に状況がいいようで、そのぐらいのペースで増加しているというのが現状です。
 そういうことですから、何らかの対策を打たないといけないんですけれども、実際、現実的に今効果のある対策というのは防護、これは柵を張って守るとか、そういうことになってきます。もう一つは捕獲ですね。
 その他と書きましたけれども、寄せないように誘引物を除去しようですとか、出たら、捕獲しないまでも追い払うということとか、集落の環境を整備して見通しを良くすれば動物が出てこなくなるんじゃないかというような考えで環境整備などということがありますけれども、その他と書いたのは、やっぱり主力となるのが防護と捕獲ということになってくると思います。
 その中で、捕獲というのは、実際には公共事業として、公共的な意味合いが大きいのではないかと私考えます。柵は自分の守りたい範囲を守るだけですけれども、一つは、何というか、その影響が広く薄いと書きましたけど、一頭の捕獲をしたら、その一頭が立ち回る先の被害はその一頭分だけは収まります。ところが、ああいうふうに十頭も二十頭も三十頭もいれば、その一頭の影響というのはすごく薄いんですね。
 そうなってくると地道に捕っていかないといけないわけですけれども、その捕った成果というのは、捕獲者だけ、捕獲した人だけじゃなくて周りのみんなのためになるけれども、捕獲した人にとってもちょっとの利益ということになります。そういう意味で、全体的に捕獲をしろといっても、そのした人だけのメリットになるわけではないし、みんなのためになるという意味で公共性が強いというふうに考えます。
 例えば、ほかの公共サービスと比較した場合、人間と同じようなものが出てきて自分の財産を取るわけですから、そういう場合、もし人間だったら、誰が捕まえてくれるか、誰が戸締まりをしないといけないか大体決まっている。皆さんもう御存じのとおり、明確だと思います。あと、水害や土砂災害の場合どうか。個人ではなかなか防げないけれども、きちっと土木工事で抑えることができるというような場合、あるいは土砂が流れてきたときに誰が撤去してくれるかどうか。
 鳥獣害の場合は、大きな土砂災害や人間に物を盗まれたよりかは散発的で小さい被害かもしれません、規模から言えば。ただ、構造的には、個人の力ではどうにもならないものを、これが継続的に被害をずっと受ける、何とか対策をしてほしいけれども、みんなでお金を出し合って公共で対策をする、そういう課題ではないかなというふうに思います。
 ところが、その中で捕獲ですけれども、実はそんなに簡単なものではないんです。これは、グラフ、どういうふうに見るかといいますと、兵庫県のものなんですけれども、猟期の狩猟者のうち、一年間の猟期で一頭も捕れなかった人が何人いるか。三年間の延べ人数ですけれども、延べ人で二千を超えます。百頭捕れた人は何人いるか。ほとんどいません。というグラフなんですけれども、ほとんどの人が、捕獲は二頭以下の人で半分を占めるということです。十八頭以上捕れている人、三%ぐらいの人で全体の二三%の捕獲をしているというのが現状です。
 これが、報償金を出しましても、平成二十二年度から兵庫県は報償金を出して、それで捕獲数はかなり、倍までは行きませんけど、倍近く上がりました。非常に効果はあったんですけれども、構造としてはこういう形で、ほとんど捕れない人が半分以上超えていて、ごく一部の人がたくさん捕っているということが現状です。
 わなでも同じようなことが言えます。同じグラフなんで説明は省きます。
 そういうようなことで、現在の捕獲、今まではボランタリーな捕獲、どちらかといえば費用弁償程度の捕獲費で猟友会の方中心に活動していただいて、それがかなりの捕獲数を稼いで、これは非常に安上がりに捕獲していただいているわけです。これで、現状の条件でその捕獲が継続していくということは非常に有り難いことであります。しかし、これを無理に増やすべきではないし、元々ボランティア的な活動なんですから、それを無理強いしてもっと捕れ、もっと捕れということは限界があると思います。
 また、本当にきちんと社会に貢献していただいている方には、やはりあれだけみんなが困っていることの貢献ですから、きちんとそれなりの対価を支払うべきだと思いますし、やっぱりきちんとした事業としての枠組みの中でそこに参加してもらうのが一番いいんではないかなというふうに私は考えます。
 公共事業としての捕獲や被害対策の支援、やっぱり公共的なものだと私は思うんですね。ただし、そのためには、今のようにボランティアベースでやっていただくというだけではなくて、適切な管理体制なり必要経費を確保して実施すべきだと思いますし、そのための教育体制ですとか基準とかいうこともきちんとしていかないといけないと思います。そういうことをしていくと、やはり労力も掛かりますし、費用も今まで以上には掛かることになるとは思うんですけれども。ただ、その辺の基準をしっかりして、教育体制をしっかりしていかなければ後継者なり担い手は育たないというふうに思います。そういうことを検討されてでき上がった法案だというふうに私は考えております。
 あと、実際に基準とかどういう人に捕獲事業をしていただいたらいいかということを私なりに考えてみた場合に、こういう条件が必要かなということです。
 社会の要請を適切に把握して応えること。今出ている被害を今捕ってくれなければ、いや、今忙しいから次、本当の仕事があるからまた来週というわけにはいかないと思います。あとは、それが適切な費用対効果なり効率で行われること。一番重要なのが、先ほどお見せしたように、大型動物を扱うのはやっぱり危険な作業です。鉄砲も使うとなると、それもまた危険です。ですから、適切な業務管理をして、安全確保ができること、これも重要なところです。あとは、今はボランティアベースで物事が進んでいるのが今の捕獲の現状ですが、適切な報酬が支払われることということ。あと後継者、これからそういうことをする人が何人もいなければ鳥獣の適切な管理は成り立ちませんから、後継者を育成して事業を継続できることなど、こういう条件が要るかなと私は思うわけですけれども。
 一と二の部分は、効率を求めたりいいサービスを求めるということですから、これは競争原理に従って、いいサービスを求めて、くれる方にお願いするということでいいと思いますけれども、三、四、五というのは、効率だけじゃなくて、安全の確保であったり後継者の育成であったり適切な労働条件の提供であったりということですから、こういう部分は国の制度なりそういうところの役割が大きい部分かというふうに思っております。
 ですから、今回の法改正の、これから細かい規則も作られていくでしょうけど、その部分の規則が本当にリーズナブルに適切に国民の被害対策や野生動物の保全につながるようなものになっていけばというふうに期待しております。
 あと、議論の中で、私お聞きしておりましたところ、いろいろ出てきた問題の中に、効果が上がるか、安全が本当に確保できるのかという疑問があったと思います。現在までの体制だと、これ以上拡大するのは困難でしょうというふうに思いますので、今言った制度の認定の条件や事業の条件がしっかりしていないといけないというところです。
 あと、もう一つの危惧として、乱獲につながらないかというふうな御懸念があると思います。この場合、捕獲したい人が捕獲している場合は、これはやめろと言っても自分が捕獲したいわけですから進むんですけれども、社会的要請に基づいて委託費なり報償が出て、それに応えるために捕獲しているのであれば、それさえなければ費用も掛かるし捕獲もなかなかできないということです。そういう意味では、きちんと制御、委託して、業務委託をしてやったことの方がむしろコントロールしやすいということで、そのためには適切に要請するための現状把握や将来予測ということが重要で、増えます減りますということを確実に捉えてそれを制御するということですね。
 あとは、そういうことができる、今認定制度というのが法案の中、上がっていますけれども、それがきちっと確保した上で国民が安心して仕事をお願いできるというような体制づくりが必要ではないかというのが私の意見です。
 以上で終わらせていただきます。
#4
○委員長(佐藤信秋君) ありがとうございました。
 次に、石崎参考人、お願いいたします。石崎参考人。
#5
○参考人(石崎英治君) 特定非営利活動法人伝統肉協会の石崎と申します。本日はよろしくお願いします。
 まず、この伝統肉という言葉なんですけれども、いわゆる牛とか豚ですね、そういったものが一般的に食べられるようになったのは明治以降というふうに言われています。それよりも前の時代というのは、いわゆる仏教が非常に盛んだった、殺生を禁止されていたというふうに言われているんですけれども、実際のところ、例えばイノシシはボタン鍋と称されて、ないしは薬食いというふうに言われて一般にも食べられていたというような時代がございました。そういったところから、そういった伝統的なお肉というのを現代によみがえらす、復活させることによって野生鳥獣の問題というのを解決しようということで私たちの団体で活動を進めております。
 本日は、そういった捕獲と肉の有効活用、利活用というのはセットで捉えられることが非常に多くありまして、そういった利活用の視点から考えたときの、今回の法案に対する、法改正に関する意見という形で述べさせていただきたいと思っております。
 まず、お手持ちの資料の一ページ目の食肉流通の違いというところから御説明いたします。
 まず、一般のお肉、いわゆる牛、豚のお肉というのは、御存じのとおり、いわゆる屠殺場というところで処理をされてお肉に変わるわけですけれども、その屠殺場に持っていくためには生体で、つまり生きたまま運ばれるわけですね。例えば東京の芝浦の食肉センター、食肉処理センターでは北海道、遠くは北海道から生きたまま船で運ばれてきて、お肉に変わって都民のおなかに入っていくということをしております。生体で搬送できるので非常に効率的です。一日に約五千頭の牛、豚が処理されるというような処理場が日本にもございます。
 また、屠場、いわゆる屠殺場というのは市場の機能を果たしているというのも特徴になります。いわゆる競りですね、競りが行われて全てのお肉というのが流通業者ないしはレストランの方に流れていくというのが特徴です。ですので、屠場とか市場ではもちろん在庫のリスクが全くないわけですね。
 一方で野生鳥獣肉、イノシシや鹿ですね、そういった野生鳥獣肉は、生産者がまずハンターですので、野外で鉄砲ないしはわな等で捕獲をして処理場に持っていくという形になります。ですので、その時点でまず死んでしまっているわけですね。死んでしまってから持ってくるということなので、死んでしまったらもちろん生き物は腐っていきますので、時間の壁というのがどうしてもございます。中山間地において道路がまだ整備されていないような部分ですと、なかなか捕った肉というのを、捕った死体というのを処理場に持っていくことが非常に困難になります。集約がもちろんできないので、やっぱり小規模な処理場がたくさん増えていくというようなことに至っております。
 また、その処理場の経営が一般の民間の方がやられることが多い。市町村、自治体がやる場合もございますが。ところが、そこが市場の機能は有しておらず、在庫肉を抱えることになります。お肉の中にも例えばロース肉とかもも肉とかいうような使いやすいお肉の部位もあるんですけれども、すねとかばらとか、そういった部分というのはなかなか利用されない、低利用部位というふうに言われるんですけれども、そういったところがあるので売れ残ってしまうわけですね。そこがやはり経営を圧迫してしまうというようなことがあります。
 そういったリスク、経営上のリスクがある処理場なんですけれども、この処理場を、今かなり全国的に増えてはいるんですけれども、成立するための条件として以下の三点を挙げさせてください。
 年間の捕獲頭数が、これ金額に換算して二千万円以上ぐらいの売上げは必要なんではないかと思っています。この捕獲頭数というのも、北海道の多いところは二千頭近く年間に処理をしています。ところが、本州の小さな処理場ですと、年間に三十頭ぐらいしか処理をしていない。ないしは、とある処理場とかは年間の処理量がゼロ頭、一回も電源が入っていない、冷蔵庫に電源が入っていない。ちょっと余談になりますけれども、そこは日本一衛生的な処理場と言われていて、肉が入ってこないので雑菌がゼロなんですね。というような皮肉な結果な処理場というのも世の中にはございます。
 エゾシカの場合ですと、捕獲頭数が二百頭の処理場を想定した場合に、これで販売金額二千万を達成するとすると、一頭当たり十万円の値付けをしなければいけない。値付け十万円だと、エゾシカの精肉は平均三十キロですので、大体三千五百円ぐらいで販売しなければいけないと。この三千五百円という卸の価格というのが高いのか安いのかというところなんですけれども、これは牛肉に比べても非常に高い金額になってしまっています。
 この解決のためには、例えば、先ほどちょっと申しましたゼロ頭とか三十頭というような処理場、これ経営的に成立しているのかというと、全く実はしておらず、こういったところに公のお金、町のお金、自治体のお金というのが投下されていることがあります。そもそも、自治体がそもそもの処理場を経営している場合もございます。こういった部分と民間の処理場というのが今競争状態に入っているわけなんですけれども、この競争状態をちょっと緩和してあげないと、なかなか民間の処理場というのは経営を成立させることができないんじゃないかと考えています。
 それから二番目が、季節による売上げの変動をなくすという部分を、雇用の一定化ですね、それを目指したいなと思っています。
 今、日本のハンティングは猟期と猟期外というふうな形の二つパターンがございます。猟期外の方は、先ほど坂田先生の話でもございましたが、報償金が出たりとか出なかったりするし、猟期のときも出たり出なかったりするというので、ハンターのモチベーションというのをお金でコントロールしようとしているわけですね。
 これが、持ち込まれる鹿、イノシシの季節的な変動を呼んでしまいます。行政からお金が出るからたくさん捕ろうというので、捕ったものが処理場に持ってこられる。そこで捕り過ぎるので、冬場余り捕れなくなって余り持ってこなくなる。できれば、処理場としては、一日三頭とか四頭とかそういったのをコンスタントリーにずっと持ってくるというのが経営を成立させるための条件なんですけれども、急に十頭来ました、一週間ゼロ頭です、ないしは冬場全然肉が入ってきません、夏場だけ入ってきますというような形だと、経営を成立させることはやっぱり難しいですね。雇用もなかなか一定化できません。そういった部分がまた肉の価格に跳ね返ってくるので、この辺も制度として、猟期とか猟期外とか報償金というものが出てくると思いますので、そういった部分をなるべく捕獲頭数を一定化させるような取組というのを進めていただきたいなと思っています。
 それから、中期経営計画を立てるためでの生息数、捕獲数の安定さを求めます。
 新聞報道でもございましたが、これから何年か掛けてイノシシ、鹿の生息頭数というのを半分にしようという施策があるかと思います。これ、半分になるとどういうことになるかというと、恐らく処理場、かなりの数が潰れていくと思います。捕獲しやすい場所というのは処理場の近くです。逆に考えると、処理場というのは捕獲しやすい場所に造るわけですね。それは、処理場の肉としてもそうですし、ただ単純に数を減らすという意味も含めて、処理場の近くというのがイノシシ、鹿が捕りやすい場所なんですね。
 半分に減らしますという言葉だけが歩いてしまいますと、恐らくは処理場の近く、処理場としては大切な資源ですね、売上げにつながる資源を乱獲してしまうということになると。一方で、山の奥、例えば国立公園の中の貴重な植物がいるような場所の鹿はほとんど捕られることがなくなると。捕りやすい場所から順次捕っていくという形になってしまうと、半分になったときには処理場の周りには鹿、イノシシが全くいない、つまり売上げがゼロになってしまうというふうなことを危惧をしております。
 次のページに行っていただきまして、経営を効率化させるための施策として四点挙げさせてください。
 一つ目が、ミートハンターの認定制度。ハンターというのは、日本の法律上は、趣味、ホビーという位置付けになっています。そのホビーの方が有害鳥獣駆除ですとか処理場の肉の生産者という位置付けになっているんですけれども、一つ、食品衛生法の中で野外の解体というのを認められていません。鹿肉、イノシシの場合は野外でハンティングをしてその場で放血をする、血抜きをするわけですね。血抜きをした後にそのまま処理場に持ってきて処理場の中で剥皮、皮を剥ぐということと内臓摘出を行って、枝肉、それからブロック肉というふうに流れていくわけなんですけれども、野外で腹抜きをするということは今の食品衛生法では認められていません。屋根が付いているきちんと営業許可を取った場所じゃないとできませんよという制度ですね。
 もちろん、衛生面からそういった部分は大切な部分、大切だと考えていますが、例えば北海道の厳冬期、マイナス三十度の世界ですね、マイナス三十度の世界で、処理場とマイナス三十度、どっちの方が衛生的かというと、まあ北海道のマイナス三十度の方が衛生的ですね、微生物が全く生息できる環境ではありませんし。そういった部分を、例えば野外処理ができるミートハンターの認定制度をつくるとか、そういった部分というのは今後必要になってくるかなと思います。
 野外で腹抜きをすると、それだけで重さが半分になりますね。それから、腐るスピードというのもだんだんだんだん遅くなっていきますので、非常に広範囲から処理場に肉を持ってくることができると、これは効率的な方法だと考えています。
 それから、有害鳥獣、有害だ、有害だと言われているところから資源の考え方を浸透させるというんですけれども、ちょっと乱暴な意見かもしれませんけれども、資源利用のためには一定の鳥獣害による被害も認めるような地域づくりというのも必要なことではないかというふうに考えています。処理場が地域おこしないしはビジネス、地域のビジネスを興すために肉の販売を頑張っているんですけれども、その頑張りをちゃんと地域で応援するような仕組みですね。例えば、柵の張り方を考えるとか、ある程度開放した牧草地を用意するとか、そういったような工夫で町を挙げて資源とするというふうなことを考えていきたいなと思っています。
 それから、衛生問題のリスクですね。これはまあ効率化という意味ではないんですけれども、実際に秋口になるといろんなレストランでジビエ始めましたというような看板、冷やし中華のような形で出るかと思うんですけれども。いわゆるジビエ、野生鳥獣肉はジビエと申しますが、フランス料理、イタリア料理というので人気のメニューの一つなんですけれども、そういったところで出たメニューの中には、どこどこのハンターさんから直送します、誰々さんが捕ったものをうちでは出しますよというようなレストランさんもかなり多くあります。よくよく調べてみると、ハンターさんが野外でブロック肉にしたものをクール宅急便で送るというような事例もかなりあります。食品衛生法違反ですね。
 もちろん、これをきちんと摘発をしていくという部分ですとか、そういった肉がもしも一度食中毒を起こしてしまうとどういったことになるか、適切に処理をしている処理場さんも同じような風評被害をもらってしまうんじゃないかということを危惧していますので、こういった法令遵守の厳密化というのは進めていきたいなと思っています。
 それから四番目が、利用を前提とした効率的な捕獲と回収を進める必要もあるかと思っています。
 効率的な捕獲という言葉で説明されると、シャープシューティングという言葉が新聞等で出てきています。例えば、車の荷台から閉鎖した道路、それから車の荷台からスナイパーが鉄砲を撃っていく、一日二百頭捕れますというような話が新聞をにぎわせています。ただ、処理場としては、一度に二百頭の鹿が来ても対応し切れないわけですね。そこと、食肉の利用のための効率化というのと個体数を減らすための効率化、これはまた別の問題ですので、ここで言うところの効率的な捕獲というのは、適切に、毎日二、三頭ないしは四、五頭、その経営の規模、設備の規模に応じた鹿、イノシシが入ってくるような仕組みづくりというのを今後考えていく必要があるのではないかというふうに考えています。
 最後、野生鳥獣肉の生産システムというところで、下に述べさせていただきましたが、例えばこういった仕組み、こういった研究を進めていきたいなと、進めてほしいなというふうに考えているところです。
 これは、食肉処理場、捕獲から回収の効率化を実現するための肉の生産システムという形で、一番時間が掛かるところがハンターが捕った後に処理場に持ってくるという回収の部分なんですね。その部分を効率化することで処理場の経営というのはかなり安定すると思っています。
 これは具体的に、食肉処理場が真ん中にあって、複数の市町村にまたがるような冷蔵の保管庫、これは移動式の冷蔵車でも構わないと思うんですけれども、そういったものをサテライト型でたくさん置いていく、そこにハンターさんが捕ったものを野外で内臓を出して持ってくる、ある程度たまった段階でトラックでこれを回収していくような、ミルクの回収システムのような形ですね。こういったものをつくることで食肉処理場の規模、生産する規模というのが拡大されるはずですし、ハンターさんも近くのところまで持ってくれば肉が生産できるのではないかなというふうに考えています。
 日本人の倫理観として、捕ったものはやっぱり食べるというのが非常に重要な、腹に落ちやすい議論かと思います。そういった部分を進めるために、今回の法改正と是非利活用の部分というのはセットでディスカッションをしていっていただきたいなというふうに考えています。
 以上で発表を終わります。ありがとうございました。
#6
○委員長(佐藤信秋君) ありがとうございました。
 次に、塩原参考人、お願いいたします。塩原参考人。
#7
○参考人(塩原豊君) 長野県林務部長の塩原豊でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは、長野県の野生鳥獣管理及び被害対策について御説明をさせていただきます。
 お手元の資料を御覧いただきたいと思います。
 長野県では、御承知のとおり、県土の約八割を森林が占める全国でも有数の森林県でございますが、近年、長野県におきましても野生鳥獣による被害は極めて深刻な状況になっております。とりわけニホンジカにおきましての被害が大きくなっておりまして、この農林業被害、全県下に及んでおります。農家、森林所有者はもとより、山間部に生活する住民の皆様にも大きな影響を与えているということで、本日は、御覧の五つの項目につきまして、特に長野県におけるニホンジカ対策につきまして御説明をさせていただきます。
 次の二ページをお願いします。
 まず、ニホンジカ管理の推進についてでございますけれども、この農林業被害、極めて深刻な状況になっておりますが、最近では高山植物の食害も広がりつつございまして、森林県、山岳県である長野県にとりましても、こうした自然環境、貴重な財産であり、貴重な観光資源、早急に対処すべき課題となっております。
 こうした中で、中段にございます表の中で、本県では五年ごとに策定をしております、第三期となりますニホンジカの特定鳥獣保護管理計画を定めておりまして、二十三年度から二十七年度までの五年間の具体的な捕獲目標を定めております。集中的な捕獲対策を進めているところでございますが、この目標の設定に当たりましては、二十二年度時点における生息頭数を十万五千頭と推定いたしまして、各地域の農林業の状況、個体群の保護の必要性などを勘案いたしまして、将来的には適正な生息頭数の目標を県全体で一万頭という設定をしております。
 その上で、この保護管理計画の最終年度となる二十七年度、生息頭数を三万五千頭と目標を設けて捕獲を進めているところでございます。二十五年度には、過去最大となります三万五千頭の捕獲目標に対しまして、捕獲実績では、下の段のグラフに示しましたが、三万七千頭の捕獲が達成できる見込みでございます。内訳を御覧いただきますと、十八年度は、狩猟それから有害鳥獣駆除、これ色分けをしておりますが、いわゆる個体数調整がほぼ同じ割合でございましたけれども、二十五年度になりますと、個体数調整によるものが約八割を占める状況になっております。
 三ページをお願いいたします。
 このような捕獲目標の達成に向けまして、主な捕獲対策についてでございますが、まず一点目には、わな捕獲の推進によりまして捕獲効率をアップすることでございます。
 これまで銃による捕獲では、捕獲者の高齢化とか減少がございます。あるいは、銃猟の時間的な制限もございまして、いかに捕獲効率を上げるかが課題となっておりました。そこで、この写真にもお示ししました、これはくくりわなによる捕獲を推奨いたしまして、わな猟の免許取得者の増加等の取組を進めております。その結果、わな猟の狩猟登録者数がこのところ増えてきております。個体数調整では、わなによる捕獲が全体の七割を占めるまで至っているところでございます。
 それから、二点目でございますが、県といたしまして広域捕獲隊による捕獲事業を発注しております。
 最近では、ニホンジカの生息する範囲が特に標高の高い牧場などにも拡大しております。こうした中で、地元の猟友会の皆さんではなかなか遠距離であるということから対応に苦慮している状況でございますので、広域的に捕獲活動の行うことのできる体制の整備が必要となっているところでございまして、県では長野県猟友会に対しまして捕獲事業を委託しております。県内十の広域単位に分けまして、広域捕獲隊を編成して成果を上げているところでございます。
 こうした取組でございますが、今回の法改正で新たに規定されます指定管理鳥獣捕獲等事業の仕組みとも同様のものと考えておりまして、一層取組が加速することを期待しているところでございます。
 三つ目でございますが、隣接県との連携でございます。
 ニホンジカなど広域で移動する野生鳥獣の場合でございますが、県境をまたいだ取組が必要でございます。山梨県、愛知県あるいは静岡県との共同捕獲といった対策も段階的に進めておりますし、また国立公園、国有林などにおきましても、国機関との生息状況、被害対策の情報共有に取り組んでいるところでございます。
 このように、被害対策でございますが、特に県、市町村、国の機関、猟友会、地域住民の皆様の、関係の皆様の協力連携が何より必要だという状況でございます。
 続いて、四ページをお願いいたします。
 長野県では、捕獲等の対策を集中的に、また効率的に進めたいということで、平成十九年度に県庁内に部局の横断をする組織として、知事を本部長といたします長野県野生鳥獣被害対策本部を設置いたしました。農業や林業、それから自然環境など、野生鳥獣被害に係る施策を総合的に展開していこうという体制を整備してこの間取り組んでおります。加えまして、こういった施策を県内の各地域で円滑に進めていく必要がございます。この対策本部の下に県内十か所の現地機関単位で被害対策チームを配置いたしまして、市町村の皆さんや集落の皆さんへの指導あるいは捕獲対策の実施支援を行っております。
 こうした体制の下で捕獲等対策を進めました結果、下段のグラフでございますけれども、農林業被害の推移を示してございますが、この過去五年間では被害額は徐々に減少してきておりまして、特に色分けをした一番下の色でございますが、ニホンジカによる被害、五年間で約六割に被害額が減少しております。しかし、まだまだ十二億円を超える農林業被害となっておりまして、これからも更に被害対策を講ずる必要があるところでございます。
 ニホンジカ以外の鳥獣の被害につきましても、県や市町村のマンパワーの確保も課題の一つでございます。こうした職員の配置に係る経費の確保にも大変苦慮している状況でございますが、被害対策を中心に今御説明をさせていただいておりますけれども、単に数を減らすだけでなくて、捕獲した鳥獣もやはり地域の重要な資源でございますので、有効に利用していくことも重要になってございます。
 次の五ページをお願いいたします。
 そういった観点から、捕獲鳥獣の利活用でございますけれども、まず第一点目としては、長野県では、古くからこの野生獣肉、山の恵みとして生かしてきている歴史がございます。諏訪湖のございます諏訪地域でも鹿食免と呼ばれる免罪符が発行されて郷土食として愛されているというこういう歴史もございますし、さらに、こうした文化を継承しながら信州ジビエの振興といった観点を進めているところでございます。
 右の上の上段にございますけれども、まず捕獲につきましては、食肉に適した野生獣肉を調達するために信州のジビエハンター、これは的確な捕獲技術を持ったハンターの養成を進めておりますし、また解体処理に当たりましては、県が独自に定めておりますけれども、信州ジビエ衛生管理ガイドライン、衛生マニュアルがございますが、これに基づいて、消費者の皆さんに安全、安心な野生獣肉を提供する必要がございます。こうした中で、流通といたしましては、料理店あるいは顧客の需給のマッチング、また、消費、おいしいジビエ料理を提供できる信州ジビエマイスターの養成をしておりまして、消費の拡大を図っているところでございます。
 こうした取組でございますが、産学官が一体となって進めていくために、左の下でございますけれども、二十四年の三月には信州ジビエ研究会でございます、立ち上げまして、シンポジウムあるいは商談会の開催等の取組を進めているところでございます。
 こうした取組を更に加速させるために、今年の三月からは、信州産の鹿肉の認証制度をこの信州ジビエ研究会と県が協働いたしましてスタートさせたところでございます。この制度でございますが、獣肉の処理加工施設から提供される安全、安心な認証製品でございますが、捕獲場所、それから処理加工場所の情報が分かるQRコードを付して販売して消費者の皆さんの信頼を向上させるといった、こうした消費拡大を図ろうとする制度でございます。こうした利活用を通じまして、被害対策、総合的に進めていく必要があるというふうに考えております。
 続きまして、六ページをお願いいたします。
 野生鳥獣の管理、被害対策の今後の課題として考えられることでございますが、一つ目には、野生鳥獣の適正な生息頭数に導いていくために、生息状況調査が何としても不可欠でございます。現在環境省が実施しておられますニホンジカそれからイノシシに関する全国調査に大きな期待を寄せているところでございますが、こうした調査結果を基に具体的な捕獲目標が示されて、特にニホンジカについては県別の目標値を提示されるというふうに聞いておりますけれども、その達成に向けても、それぞれの県が一層捕獲対策の拡充を図ることが必要だというふうに考えております。
 また、その一方では、国立公園あるいは国有林等における捕獲対策の充実強化もやはり重要であると考えておりまして、国の指導による取組が進められますように期待をしているところでございます。
 それからまた、二点目でございますけれども、新たに規定をされます指定管理鳥獣捕獲等事業でございますが、この実施については、各県が積極的に捕獲対策を実施することで、特に地域間の取組に温度差がございますけれども、こうしたことが解消されて、また全国ベースで生息密度の低減が進むものと期待しているところでございます。
 また一方では、実行財源の確保が非常に重要な課題になっております。現在、国、農林水産省によります被害対策関連予算だけでなくて、今回、法改正の主眼でございます鳥獣の捕獲等による管理という観点から、新たな交付金制度の創設等、支援を強く要望させていただきたいと思います。
 また、事業の実施に当たりましては、担い手の確保育成が大事でございます。若者の参入に向けて国、県、市町村等一体になって普及啓発活動を展開していきたいと考えております。
 また、法改正によりまして新たに規定しております認定鳥獣捕獲等事業者制度でございますが、その運用につきましては、地域の猟友会の役割との間にまたそごが生ずることのないように、また一層の捕獲対策が進められるように、国としても相互の役割分担等についても整理していただくよう要望いたしたいと思います。
 最後、三点目でございますが、ジビエ、それからまた鹿の角、皮、こうした消費拡大に向けまして、それぞれの地域が活発に取組ができますように普及啓発の取組を拡充していただきますように、また野生獣肉の衛生管理のための基準作りに向けて独自の取組を行っているそれぞれの県の声も聞いていただきまして、実効性の高い制度となるようにお願いしたいと思っております。
 課題と要望を最後に申し上げましたけれども、野生鳥獣対策が今回の法改正によりまして一層拡充されますことを御期待をいたしまして、長野県からの説明とさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
#8
○委員長(佐藤信秋君) ありがとうございました。
 次に、坂元参考人、お願いいたします。坂元参考人。
#9
○参考人(坂元雅行君) 認定NPO法人トラ・ゾウ保護基金の坂元でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 私の方からは、鳥獣保護法改正法案の限界と鳥獣行政担当職員への専門家の配置というテーマで意見を述べさせていただきます。お手元にも資料がございますので、こちらも御覧になりながらお願いいたします。(資料映写)
 まず、右側の二枚目のスライドになりますが、今回の法改正の目的は、数の増加と分布の拡大が著しい鹿に対し、その数を減らし、分布を狭めるための仕組みづくりを行うこととなっております。このような措置が必要なことにつきましては、私も異論は全くございません。今回、二つの新制度が改正法案の目玉とされております。その一つが指定管理鳥獣捕獲等事業、以下捕獲事業と申し上げます。もう一つが鳥獣捕獲等事業者の認定、以下では認定事業者と申し上げます。
 左下の三枚目になりますが、この二つの新制度のポイントでございます。都道府県知事は、捕獲事業の全部又は一部について、認定事業者にその実施を委託することができるとされております。そして、委託を受けた認定事業者が捕獲事業を実施する場合には、まず許可のない捕獲の禁止、殺傷個体の放置禁止、夜間発砲禁止、この三つの規定は適用されないと、こういう規制緩和を行うこととしております。
 右下のスライドになりますが、そこで、認定事業者に捕獲事業の全部を委託した場合にどのような問題点があるかということ、これが問題となります。私は二点あると思っております。
 まず一つ目は、個人の生命、身体に対する危険、健康、保健衛生上の危険、生態系攪乱が生じないのかといった安全弁の問題であります。二点目は、そもそも、このような仕組みだけで鹿の数と分布を適正に縮小するという目的が達成されるのかという効果の問題であります。
 二枚目、めくって、左上を見ていただきます。
 改正法案が定めるまず安全弁ですけれども、このように規定されております。まず、捕獲事業に関する事項は第二種特定計画の中に実施計画として定められることになっております。特に、夜間発砲につきましては、実施日時、区域、方法、体制等が実施計画に適合する旨の都道府県知事の確認を受けることになってございます。そして、事業者の認定基準としましては、安全管理体制、捕獲するための技能、知識、そして適正、効率的捕獲のための研修を行わなければいけないということが定められております。
 これらは、問題を起きにくくするため、主に文書ベースで事前の条件整備を行うものであります。こうした安全弁自体は大変重要であります。ただし、それだけでは不足だと考えます。
 右上を見ていただきます。
 では、何が不足かと申しますと、現実の業務遂行状況を十分な技能、知識を持って監視し、タイムリーに指導監督する体制がなければ、たとえ違反行為がありましても、それに対する認定取消しなどが効果的に実施できないのではないかと思っております。
 実際、捕獲の技能や知識にかけてはそれなりのスキルのある方が認定されてくるわけでありますから、鳥獣行政担当職員が素人ではそうした問題点がありましてもごまかされてしまうおそれがあるのではないか、そうなれば、事故や不祥事が生じるまで事態の改善が遅れてしまうのではないか、このようなことが懸念されるわけであります。
 次のスライドを見ていただきます。左下ですね。
 夜間発砲禁止解除について、この安全弁について考えてみます。
 改正法案では、先ほど申しましたように、日時、区域、方法が実施計画に適合するかどうかを都道府県知事が事前に確認するとされているわけであります。しかし、安全管理の観点ですとか、それから、提案されている夜間発砲が効率的な鹿捕獲のために本当に有効なのかという観点から、認定事業者と対等に議論し、捕獲の在り方を専門的に吟味できなければ事前確認の意味が疑われてまいります。
 また、実際に夜間発砲を実施したところ、安全面で将来への不安を残した点がないか、鹿の効果的減少のために必要な捕獲だったのか、それを疑わせる事情が見られなかったか、こういった諸点のタイムリーかつ専門的な検証が必要と考えられます。
 右下のスライドを見ていただきます。
 殺傷個体の放置禁止の解除についてであります。
 改正法案では、確かに、放置が許されるのは、生態系に重大な影響を及ぼすおそれがないときその他環境省令で定める場合に限られるとされております。問題は、おそれがないかどうかの判断が現場で捕獲を実施する認定事業者に委ねられているという点であります。
 しかし、鹿の死体が熊を誘引し、人身被害に結び付くおそれがないのか、鉛弾で撃たれた鹿を食べたワシタカ類が鉛中毒を起こすおそれがないのか、レクリエーションで周囲を訪れている方々への配慮上、そこに死体があって妥当なのかどうかなどの判断を認定事業者に任せ切ることができるのかということであります。
 めくっていただきまして三枚目、左上になります。
 では、事故等の問題を発生させず、かつ効果的に捕獲事業を進めるために不可欠な安全弁は何か。私は、認定事業者による事業遂行を監視し、指導監督する鳥獣行政担当職員に野生動物管理の専門的技能、知識も持つ者を配置することではないかと考えております。
 右上を御覧ください。
 次に、捕獲事業を実施する場合は捕獲許可が不要とされております。その結果、どういうことかといいますと、業者への委託期間中は、いつどこで、どのような個体を何頭捕獲するかは認定事業者に委ねられているということになります。このことから、改正案による鹿の数と分布を縮小する効果について疑問が生じてまいります。
 鹿の個体群を目標とした個体数や分布域に誘導するためには、鹿の性比ですね、雄、雌の比、年齢、捕獲時期などをうまく計画して捕獲していく必要があります。いたずらに数だけ捕っても、目標は効率よくは達成できません。問題は、認定事業者が計画どおり捕ってくれるかどうかということです。あらかじめ実施計画で性別、年齢別の捕獲数などを決めておけば、認定事業者がそのとおり捕獲するだろうというのはやや甘いのかなという気がいたします。捕りやすい場所で、性別や年齢に関係なく、捕りやすい個体から優先的に捕る方向へ流れるおそれが懸念されるわけでございます。
 左下、見ていただきます。
 過去の制度運用の経緯から今回の制度改正の効果の見込みを吟味することも重要であります。
 特定計画制度は平成十一年に導入されました。平成十二年に鹿は十四万頭捕獲。以来、捕獲数は右肩上がりで、平成二十二年には約三十六万頭。その間の十一年間では二百二十万頭以上の鹿が捕獲されております。平成二十三年には四十万頭以上が捕獲されております。しかし、今日、鹿は数を増やし、分布を拡大し続けました。結果的には、いたずらに捕獲数を重ねたという一面があることも否定できないと思います。
 では、今回の改正、すなわち捕獲事業者を導入し、殺傷個体の放置禁止や夜間発砲禁止を緩和するという程度で、失敗から成功へ逆転できるのかということであります。
 しかも、先ほど申し上げましたように、殺傷個体の放置や夜間発砲のリスク、慎重な運用をするしかないという実情が実際にあることを考えましたら、それらを野方図に緩和することは難しいのではないかと思われます。ですので、ただ捕獲数を稼ぐという発想では鹿個体群の動向を変えることは難しいのではないか、少ない数になってしまっても効率的に鹿個体群を安定させることが求められるのではないかと思っております。
 右下を見ていただきます。
 これは鹿特定計画の例でございますが、岩手県五葉山の例です。これは、過去の鹿の捕獲個体の分析から生存率や繁殖率などを仮定しまして、捕獲に伴い個体数がどのように変化するかを予測し、計画が立てられたようです。その結果、毎年八百頭の成獣雌を捕獲すると、七年後に鹿集団は目標頭数に到達し、それ以降は毎年百五十頭の捕獲を継続すれば目標の頭数が維持できると考えられておりました。
 めくって四枚目、左上ですけれども。
 そこで、計画の実施開始から四年後に個体数をカウントしましたところ、ほぼ予定どおりにいっておりました。しかし、その三年後には予測が外れ、むしろ鹿の数が増加していたそうです。その原因として考えられましたのは、捕獲が雄に偏り、雌の捕獲数が達成されなかったこと、暖冬の影響が加速していて生存率が予測より高くなったこと、捕獲が行われなかった分布周辺部で個体数が増加した、そういったことが考えられたということでございます。
 右上、見ていただきます。
 このように予測は完璧ではなく、時には外れます。重要なのは、予測の当否よりも、予測と現実がずれることをあらかじめ想定し、その差がなぜ生まれたのかを明らかにして、計画の修正に活用することであります。兵庫県などでは、今後五年間で鹿を半減できるという予測も立てられているようでありますが、これも鳥獣行政担当職員への専門家配置という課題に関して先進的な取組をなされている成果もあるのではないかなと思っております。
 こうしたことから、鹿を一定の個体数、分布に効果的に誘導するという観点からも、鳥獣行政担当職員に野生動物管理の専門的技能、知識を持っていただくことも重要だと思います。
 左下のスライドです。
 実際、平成十六年十二月の環境省の野生鳥獣保護管理検討会報告書でも、専門的知識を有する職員の確保が課題であるということが挙げられておりました。
 右下のスライドですが、そうした経過で、現行の鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針、これは鳥獣保護法に基づく指針ですけれども、ここでも鳥獣保護事業の適切な実施のためにも専門的な知識や技術等を有する人材が行政機関を始め研究機関等に適所に配置されていることが求められております。
 めくって、五枚目の左上を御覧ください。
 そこで、この指針どおり、現行、都道府県におきましてこうした配置が進んでいるのかどうか、第十一次鳥獣保護事業計画書の記載から読み取れる範囲で検討いたしました。その結果、野生動物管理に関する専門的な人材が鳥獣行政担当職員として配置されている扱いとなっていることを明示する計画はございませんでした。一方、鳥獣行政担当職員を都道府県設置の鳥獣保護管理に関わる研究機関等に配置していると読み取れるものは一道四県認められました。また、もう一県がそれらと同様の対応を検討されているように見られました。
 最後に、結論になります。
 鳥獣保護事業計画書の記載から読み取れる範囲での結果ではございますが、今申し上げましたとおり、専門的な人材の鳥獣行政担当職員としての配置が全体として進んでいないことは明らかではないかと思います。したがいまして、基本的な指針に書き込んで都道府県の自主努力による職員配置を維持することはもはや困難なのではないかと考えられます。
 そうだとすれば、専門的な人材の配置を強力に推進するための新しい装置が必要ではないか。そこで、都道府県が条例でそのような職員を置くことができる旨を法律上明記し、国が財政的に支援を行っていくことがその有力な方法であると考えられます。
 私の意見は以上です。ありがとうございました。
#10
○委員長(佐藤信秋君) ありがとうございました。
 以上で参考人の皆様の意見陳述は終了いたしました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○吉川ゆうみ君 参考人の皆様、貴重なお話ありがとうございました。自由民主党三重県選出の吉川ゆうみでございます。
 私の方からは、全国、本当にこの鳥獣に対する被害、あるいは、一方で保護をしていかなければいけないというところはあるのは共通の課題かと思いますけれども、私の地元三重県でも非常に大きな被害が出ているというところが現状でございますし、ちょうど今週の火曜日、鹿の被害がひどい日光の方に環境委員会で視察に行ってまいりまして、日光市また栃木県や猟友会の皆様のお話を伺ってくるという機会もございました。
 その中で、今回、認定鳥獣捕獲等事業者について、この法律の中で目玉のところでございますけれども、参考人の各皆様にお伺いをしようと思っておったんですけれども、皆様からはいろいろなお話を伺いまして、特に坂元参考人の方からは、非常にこの事業を行っていく、あるいは制度を決めていく上で必要な事項を、こんなところを気を付けなければいけないんだよ、こういう安全弁が必要なんだよということを詳しくお教えいただきましたので、お伺いしようと思ったところもう全てお聞きできてしまいましたので、ここは坂田参考人、また塩原参考人の方に、皆様の御発言の中にも触れてはいただいておりましたけれども、この認定鳥獣捕獲等事業者について、具体的にこれを決めていくのであれば、どういった形な、坂元参考人からお話しいただいたような、気を付けなければいけない部分、あるいはメリットというのはあるのかということを、御発言の中からいただいた部分よりも具体的な形でお教えをいただければなというところがございます。
 やはりこの制度をつくるに至った背景というのは、今の猟友会であるとかあるいは地方公共団体さんが進める中ではやはりこの個体を管理していくには不十分であるというところから、こういった民間あるいは警備会社のようなところ、あるいはNPO法人にお願いをしていこうというような形が検討されているということでございますので、そういった点も踏まえて、この制度についてのメリット、デメリットみたいなところについて具体的にお話をいただければというところと、あわせて、猟をする人たち、若い人たちが特に減っているというところでございまして、猟友会でも平均年齢がもう非常に上がっているということでございますけれども、ハンターの人たちを増やしていくにはどうしたところが有効だと考えられるかというところもお教えいただければと思います。
#12
○参考人(坂田宏志君) まず、どういうことを本当に国として求めるのかということを決めることが必要だと思います。これが、とにかく皆さん方の、国民一人一人の自分たちで解決する問題なので、自主的にやりたい方に報償費を払ったりという形でやるのか、それとも、本当に国として取り組まないといけないことなので、きちっと相応の方にお願いをして、お願いをするというのは、きちっとした条件、報酬を払ってやっていただくのかという、どっちの体制を取るのか、あるいは並行してもいいと思いますけど、それをきちっと決めることが必要なんじゃないかなと思います。
 その上で、やはりこの認定制度、きちっと計画どおり、これだけの捕獲が必要ということを決めて実行するための依頼をするわけですから、その場合は、もう既に書きましたけど、安全管理、これをきちっとやっていただくことと、やはりそれをやっていただくために従事者の報酬、これはきちんと若い人でも参加できる費用が必要だと思います。
 今なぜ若い人が参加できないかということは、大体、私も実は地元の捕獲班に所属して活動参加するんですけれども、土日です。ただ、それができるようになるまではやっぱり何年か掛かります。その中で、普通、仕事をやりながらそれをしないといけないんですけれども、金曜日まで一生懸命働いて、土日も有害活動で働くということをなかなか若い人が、それが可能だからといってどんどんできるかというと、そういう部分でも障害があると思いますので、本当に仕事を頼みたいのであれば、それなりの条件を用意すること。ただし、条件を用意した限りには、安全管理ですとか求められる能力とか、そういうことを厳しく問うことは必要だと思います。
#13
○参考人(塩原豊君) まず、認定鳥獣の捕獲等の事業者制度について御質問いただきましたけれども、先ほど長野県としての御説明をさせていただきました広域捕獲隊でございますが、県内各地域で編成しているこういった広域捕獲隊の役割と今回の法改正で言うこの事業者、同種のものではないかというふうに考えております。
 長野県では、集落に近いところ、こちらの方は地元の猟友会の皆さんが個体数調整等に役割を果たしていただいております。それからまた、本当に、さらになかなかそこに手が入らない標高の高いところ等につきましては、こういった広域捕獲隊ということで編成をさせていただくという役割を持って行っているというのが、これが非常に役割として大きいわけでございます。
 このほか、集落の中では、本当に集落の皆さんが猟友会の皆さんと一緒になって、住民の皆さんが集落ぐるみで行う捕獲対策も行っているという形でありますので、そうした中での広域捕獲隊といったことが、今回の捕獲の専門集団の効率的な捕獲を行うという意味でもこの認定鳥獣の捕獲等事業者制度には非常にマッチしている状況であるというふうに考えておりまして、それぞれの役割分担の中では大事な制度として長野県も生かせるのではないかというふうに期待しているところでございます。
 それから、若い世代のハンターということでございますが、御案内のとおり、長野県も、猟友会に所属している皆さん、六十を超える皆さんが八割とか非常に割合が多くなっておるんですが、半面、やはり一つのハンティングを通じて森林との関わりとか、あるいはそこに移住をして林業で暮らす、を目指そうとする皆さんにとっては、大事なやはり業として考えている若者たちもおります。それを猟友会の皆さん方がどのように指導して育てていくかというのも大事な観点になってくるかと思っておりまして、長野県では、特にハンターデビュー支援事業といった形で、新たに興味を持った皆さん、狩猟免許を取ろうと目指している皆さんに、こういった養成学校というような形でいろいろな研修会、講習会の場を県が設けていくといった形も取っておりまして、若い皆さんがそうした狩猟者になっていただくと同時に、この地域にも暮らしていただいて、いい生活を送っていただけるというような形を目指しているところでございます。
#14
○吉川ゆうみ君 ありがとうございます。養成学校など非常に、ほかの県でもやっているところもあるかと思いますけれども、有効に進んでいるということで参考になりました。
 続いて、また坂田参考人と塩原参考人にお伺いをさせていただきたいんですけれども、わな猟のお話がお二方からございました。
 わな猟、最近その有効性というものが非常にもう一度見直されているということでございますけれども、わな猟の年齢、銃の所有の方もそうなんですけれども、わなの免許の方も本法改正で年齢の引下げをしていこうというところが盛り込まれておりますけれども、それによってわな猟に参加できる人口の増加ということが期待される一方、これからこのわな猟をどういった形で進めて、あるいは広がりを見せていくことができるのかという今後の見通しと課題についてお伺いをさせていただきたいのと同時に、私の地元から、わなも資格要件をもっと緩和してもいいんじゃないか、これは年齢の引下げだけではなくて様々な登録であったりそういったところのもっと緩和化してほしいという話がかなり多いのでございますけれども、やはりいろいろな安全の面とかそういった部分も含めまして、どこまでこの資格要件の緩和ということをもし考えたときにできるのかということも併せてお伺いできればというふうに思います。
#15
○参考人(坂田宏志君) わなはその特徴としまして、設置してそこを頻繁に見回りをすることで捕獲効率が上がるものです。ですから、割と地元の人に協力をしてもらって、先ほどもお話ありましたけど、兵庫県の中でも、猟友会の人とその地元の被害に困っていらっしゃる方が協力して捕獲効率を地域全体で上げていくという取組で非常に成果が上がっております。ですから、一つの形としてそういう形が有効だと思いますけど、確かに、それをでも誰かが指導したり、何というか、調整をしたりコーディネートをしないとなかなかその全体の捕獲効率は上がりませんので、そこのところが一つのポイントかと。それはやっぱり職業的な人の役割になってくるかなというふうに思っています。
 それと、資格の要件のことですけれども、実際、お話ししたとおり、やっぱりわなというのは根気も必要ですし、その後の処理とか、掛かった動物の種類によって対応とか、そういうことは注意が必要です。ですから、それなりの、今の捕獲わな免許ぐらいのことはきちっとやっていただくということが重要であって、グラフお見せしましたけれども、たくさんわな免許所有者、登録者はいる中で、本当に捕られている方は、やっぱり半分以下の方たちが本当にきちっと捕っておられる。ただ、本当にきちっと捕るためには、多少の手続とか、やっぱり行政部署に対する報告とか、そういうことは絶対重要になってくることだと思います。それができなければ効率よく捕れるということはないと思いますので、やっぱり一定の要件、きちっとした免許を取っていただくということはお願いすべきではないかと私は思っています。
#16
○参考人(塩原豊君) わな猟についての御質問でございますけれども、まず、長野県といたしましては、先ほど御説明をさせていただきましたように、わな猟免許をできるだけ大勢の人に取っていただくといったことを、これは狩猟免許試験の回数も増やして行っております。そうしたことで、農業関係の皆さんも非常に資格として取りやすいわな猟免許ということで広がってきております。
 そうした中で、特に今御指摘があった年齢の関係も、長野県といたしまして二十五年度の構造改革特区申請で本県から提案させていただいたこともございまして、今回の法案改正に盛り込まれたということは大変感謝をしているところでございますが、こうしたできるだけ扱いやすいわなと、それからやはりわなの性能ですね、こうしたものも、長野県の中でくくりわなを製造している事業者もございますので、こうした皆さんと一緒にコラボで、同時に両方が業として成り立つような観点からすると、今後ともこのわな猟というのは大事な観点になってくるというふうに思っていますし、取り組みたいと思います。
 それから、今資格要件等もございましたが、今お話がありましたように、このわな猟を扱うための要件としては、やはり免許に必要なしっかりとした技術、研修を積んでいただくといったことは安全面でも大事なことでありますので、そういった点は今後とも必要だというふうに認識しているところでございます。
#17
○吉川ゆうみ君 ありがとうございます。大変参考になりました。
 もう時間が迫ってまいりましたので、いろいろとまだお伺いをしたかったんですけれども、石崎参考人と、そしてまた塩原参考人、ジビエに関してなんですけれども、石崎参考人の御発言の中で、日本人の倫理観として、捕ったものは食べたいというようなところ、お話ございました。鹿に関しましてはジビエ料理であるとかいろいろとあれなんですけれども、猿や、イノシシも食べますけれども、そういったほかの鳥獣についてどういったような捕った後の対策ということが考えられるかというのを石崎参考人と塩原参考人にお伺いできればと思います。
#18
○参考人(石崎英治君) まず、鹿、イノシシ以外のもので四つ足、猿ですね、猿に関してなんですけれども、食べる文化は日本にないわけではございません。食べる地域もありますが、ほとんどの地域では猿は食べないものですので、焼却なり埋設をしていると、近くでそういったことをしているというのが現状です。もちろん鹿の場合も、鹿、イノシシに関しても全て捕らえたものが食べられているわけではなく、ほとんどは自家消費ないしは焼却、埋設をしているのが現状です。
 そういったところで、減容化、例えば微生物、おがくずを使って鹿の死体とか生き物の死体を小さくするような仕組みというのは研究開発が進んでいますので、そういった部分を利用して、猿ですとかほかの生き物、例えばカワウとかもそうですね、焼却しなければいけない、食べられない生き物に関してはそういった形で処理をしていくというのが重要かと思います。
#19
○参考人(塩原豊君) 鹿肉以外の獣肉等の御質問でございますけれども、長野県といたしましては、信州ジビエという位置付けをしてございますが、衛生管理ガイドラインを策定成っておりまして、衛生マニュアルも策定いたしました。こうしたものに基づいて、鹿肉以外、特にイノシシ等が、自家消費、自家流通が主体でございますけれども、こうしたものの基準に基づきながら処理をして流通に回していただくといったことが消費者の皆さんへの安全、安心につながるものというふうに考えているところでございます。
#20
○吉川ゆうみ君 ありがとうございました。
 今日お伺いしようと思っていたことを皆様からの御発言の中でほとんど御回答をいただいてしまいましたので、少し雑駁な御質問で申し訳ありません。大変参考になりました。ありがとうございます。
 これで終わります。
#21
○柳澤光美君 民主党の柳澤光美でございます。
 参考人の皆さんには貴重な御意見いただきまして、質問が十五分間ですから、質問と答弁で、できるだけ皆さんにお伺いしたいとすれば四分弱になりますので、ポイントだけお伺いしたいと。皆さんの出していただいた問題提起はこの後の質疑にきちんとまた生かさせていただければというふうに思っています。
 私は、今回の鳥獣保護法の改正は、今まで保護一辺倒だったところに、特に鹿とイノシシの増加に伴って、適正な狩猟、それによる管理という全く対極の項目が入ってくるという意味では非常に大きな改正だというふうに思っています。
 実は、保護団体の皆さん、坂元参考人からもそうですが、お伺いして、その皆さんも、ここまで増えてしまうとある程度適正な管理をせざるを得ないだろうという理解はされている。ただ、一番大事なことは、鳥獣保護があって管理があるんだと。管理が一方的に動くようにしないようにするということが非常に大事だろうというふうに思っています。ですから、科学的に、計画的に、本当に効率的に、きちんとしたこの法案が通った後の運用に全てが懸かっているだろうと。
 冒頭に坂元参考人にお伺いしたいんですが、今週火曜日にこの委員会で栃木県の日光市を視察をさせていただきました。県のお話、それから日光市のお話、あるいは保護団体、猟友会、いろんな皆さんのお話を聞くと同時に、鹿被害の現状も見させてもらいました。
 今回の法案で一番ポイントは、やはり坂元参考人が問題提起をされている、保護と管理のはざまの部分が本当にきちんといくのかという、専門家がいなければなかなかうまくいかないというのがポイントだろうというふうに思っています。
 ほぼ問題提起はいただいていますが、もう一度、その辺、イメージとしてどんなイメージで、あるいはそれが技術、技能も含めて、行政担当の職員だけでいいのか。実は、栃木では宇都宮大学と連携をしてプロジェクトを組んで、鳥獣管理士、今六十三名養成をされている。それが研究分野に行く、あるいは現場に行くということも含めて、簡単にその辺のお話を少しいただければというふうに思います。
#22
○参考人(坂元雅行君) ありがとうございます。では、お答えいたします。
 専門家の都道府県鳥獣行政担当職への配置ということについてお話し申し上げましたが、その具体的なイメージとしましては、都道府県の行政職、これは地方公務員法上の一般職地方公務員になりますが、そこに野生動物管理の専門家ポストを設けまして、そこに課長級に次ぐ地位以上の位置付けで置いていただくことが望ましいのではないかと思っております。
 この課長級に次ぐということの意味は、やはり今、柳澤先生御指摘のとおり、保護と管理のはざまのところで成果を安全に上げていく司令塔の役割をきちんと果たしていただくためであります。ですので、必然的にそのポストに就く方というのは野生動物管理の専門的知識を持っていると同時に行政職員なんですね。この行政職員であるというところは非常に大事であります。
 なぜかと申し上げますと、このポストにいらっしゃる方は、専門知識、技能を駆使しつつ、国とも調整し、それから自らの都道府県内で他部署、これは農林部局でありますとか財政当局もございます、こことの調整もしないといけない。そして、何より被害に一番近いところの市町村との調整、そして被害現場の農業従事者の方々とのやり取りですね。これは行政職の方でありませんと、非常勤の方とかでは、あなたたち何をしに来られたんですかということになってしまうわけであります。そういうイメージでございます。
#23
○柳澤光美君 ありがとうございます。
 そんな中では、今日お越しいただいた坂田参考人、特に兵庫県が最もその辺のところは具体的に進み始めている。その中心に坂田参考人もいらっしゃるというふうに捉えておりまして、その辺のところ、今の専門家の配置について御意見があれば少しお伺いしたいと思います。
#24
○参考人(坂田宏志君) 今の坂元参考人の話にもありましたように、やはり司令塔としてコーディネートしていただく方の求められる能力、それはむしろ専門家の能力というよりかは行政マンとして本当にきちっとやっていただけるかどうか、それが重要だと思います。
 ただ、その方が、今野生鳥獣問題、捕獲なり被害対策なり、あとは保全に対する知識や上がってくるデータ、専門家が上げるデータをうまく判断していただけるかどうかというところがポイントになってくると思うんですね。その意味では、私はたまたま兵庫県が雇っていただいてお役に立たせていただいていますけれども、実際、まだ人材も少ない分野ですし、本当に技術的なことが確定していない部分もあります。ですから、今の段階で都道府県にそれを求める、市町村にそれを求めるとなると、かなりリスクの高い、ギャンブル性の高い雇用をしないといけないことになるのではないかなというのが一つの不安要素です。
 その意味では、専門家というのは、技術があって、それに役立つことをゼネラリストに提供するというのが役割だと思いますから、まずは今の段階は、いろんな人を選べる、依頼をしてやってもらう、その成果を見て、本当に技術があるのか、その技術が役に立つのか、県民にとったり行政にとって。その辺をやっぱり吟味していく期間が少し必要なのではないかということを私は今考えております。
#25
○柳澤光美君 ありがとうございます。むしろ、本当に進んだ県、進んだ実績からベンチマーキングでほかの県にもどう広げていくかということも非常に大きな、法案ではなくて運用部分の広がりを国、都道府県、市町村含めて、が大きな課題になると思います。
 もう一つは、今回、駆除が余りにもメーンに出てきて、それが銃による捕獲が非常に中心になってくる。これは安全の問題も非常に大きいですし、特にライフルは育てるのに十年近く掛かるという。特に間違って、鹿と間違えて人を撃ってしまうという事故が決してないわけじゃない。そんな中で、私はわなの在り方というのも非常に関心がありまして、ただ、くくりわなというのは、いわゆる捕獲対象ではないものも捕らえてしまうし、非常に動物につらい思いも掛けることになる。
 実は、先生の論文の中に、囲いわなの新しい実験をされている、しかも遠隔操作で、それがバッテリーなりソーラーシステムで映像を確認をして、できるだけ大きな頭数が入ったところで捕獲ができる、これは民間の企業でも既にそのものを作っているというお話が載っていましたが、その辺、私は、特に計画的に囲い込みをやってきちんと捕らえるというこの新しいシステムが非常にこれから大事だというふうに思っているんですが、坂田参考人のお話をいただければと思います。
#26
○参考人(坂田宏志君) 私もその点が重要だと思いまして、こういう研究開発を進めた経緯はあります。
 ただ、やっぱり考えるのは、それも一つの手段です。なるべく誤捕獲ですね、錯誤捕獲は少ない手段ですけれども、それはわなに入ってくれるようにしなければ捕れないものです。その中で特色がやっぱりあります。くくりわなはくくりわなで、誤捕獲の危険は高いですけれども、箱わな、囲いわなで捕れないときに捕れるわなです。あるいは、鉄砲は鉄砲で見て撃てますし、その場その場、臨機応変に対応が必要な場合は巻き狩りであるとか鉄砲の猟が必要です。ですから、一つの捕獲方法にこだわるということではなくて、役に立つものをきちっと組み合わせて、年間通して必要な捕獲なら必要なふうにすると。
 あともう一つは、大型動物を捕獲するものですから、危険を全く伴わずにそれができるというのはやはり難しいことです。それを求めれば求めるほど当然単価も高くなりますし、従事者に対する負担も大きくなりますけれども、この辺が、どのくらいまでのリスクは許容してというか想定内としてやるのか、誤捕獲についてどこまで想定するのかというようなことは、やはり熊が絶滅危惧される地域であればくくりわなはやめると。そういう、地域によってリスクが違うと思うんですね。その辺がやっぱり都道府県ごとの計画であったり地域に適用する捕獲方法を選ぶ、あるいは認定事業者がやるその事業をどういう計画で事業をするか、その辺が問われるところだと思います。
#27
○柳澤光美君 ありがとうございます。ですから本当に、具体的にどう組み合わせて、どう科学的に、どう計画的に、どう効率的にやるかということをこれからやはり研究を進めなければいけないだろうというふうに思っています。
 そんな中で、私はジビエにも大変興味がありまして、石崎参考人のヒアリングも受けさせてもらって、実は私は長野の出身で、今日は塩原参考人、大変御苦労さまでございます。四月の二十一日に上田市の丸子地区に入って、実はジビエの、信州国際音楽村のそばに社会福祉法人まるこ福祉会の鹿料理の、いろんな種類のメニューもあるんですが、十種類ほど作っていただいて食べさせていただきました。臭いもほとんどないし、これが、私自身は、日本の良さというのは本当に、おもてなしもあるんですが、もったいない、それから尊い命をきちんとおいしくいただく。ですから、石崎参考人の活動には私は本当に敬意を表したいと思っています。
 ただ、本当にもうかるのか、あるいはエゾシカで量が多いからできるのか、これがニホンジカにやったときに、個体の小さいニホンジカで商売が成り立つか、その辺、簡潔にちょっとお答えいただければと思います。
#28
○参考人(石崎英治君) エゾシカと、ホンシュウジカないしはキュウシュウジカとか、エゾシカ以外の鹿との大きな違いは、やっぱり体の大きさになります。お肉の量が半分ぐらいになってしまうんですね。ただ、エゾシカを一頭捕ってそれを処理場に運んでお肉にする手間とホンシュウジカを同じようにする手間はほぼ一緒になってしまうので、売価、原価は全然違うわけですね。一キロ当たりの原価がホンシュウジカの方が倍になってしまいます。そういうこともあって、レストランで出すものもかなり高くなってしまうのが現状です。ですので、ほとんどの処理場では赤字、赤字、赤字という形で、かなりきつい状況にはあります。
 ただ一方で、エゾシカにはない味、例えば香りですとか肉の締まった感じとかというのはホンシュウジカ特有のものにはなってきますので、そういった部分はなるべく、私はよく、御相談に来る方には地元でまず消費することを考えてくださいというふうに言います。捕れる量もやっぱり少ないですし、先ほどの囲いわなに関しても、本州ではほとんど使えないです。そういった場所がないですね。ですので、使いづらい猟法ではあるので、そういった部分で地域での消費というのをなるべく活性化して、そこでもう一手間二手間掛けて付加価値を付けて、地域の中の鹿料理、伝統的な鹿料理ですよというところまで昇華できれば、それで、まあ六次化産業ですね、そういった形で地域に人を呼ぶとか地域の名産と育てていくというのは、手としてあるかなとは思います。
#29
○柳澤光美君 ありがとうございました。
 済みません、時間がなくなってしまいました。塩原参考人、ジビエ、是非信州のブランドに、特に長野の場合には、十五か所に処理施設もできる。ただ、東信にないんですよね、処理施設が。その辺も含めて、ブランドとして観光客に使う、ただ、できれば石崎参考人と連携して、東京で販売できるようなコラボも是非この後検討していただければということをお願いをして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#30
○竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子でございます。
 私は東京の選出でございまして、鳥獣被害というのは、鹿などは奥多摩とかまた青梅の奥の方に行きますといたりしますけれども、東京では、余りぴんとこないと言ったらおかしいんですけれども、大きな被害となっているわけではないということで、この鳥獣保護管理の法案ということになりますと、実はもっと動物を大切にするべきであるというような反対の御意見も、法案の深い中身に入りますと管理することが必要であるという理解に至る方も多いですけれども、命を大切にするべきで人間の勝手で乱獲してはいけないというような、そういう御意見も頂戴をするところでございます。
 なるべく人間の生きるところと動物の生きるところを分けて管理していくということはできないのかという、そういう御意見もあるわけなんですけれども、先日、参議院の環境委員会の視察で日光国立公園に行きまして、鹿の防護柵の状況も効果もつぶさに見てまいったところでございますが、坂田参考人と坂元参考人にまず伺いたいんですけれども、ここまで増えたところで、ただ生きる場所を分けるだけでは管理につながらないということは理解しているんですけれども、柵などで余り殺さない方法で管理する、そういう方法についての有効性について御意見を伺いたいというふうに思います。坂田参考人、坂元参考人、順番にお願いいたします。
#31
○参考人(坂田宏志君) 当然、今兵庫県の中でも、全国的にだと思いますが、鹿、イノシシの被害の出る田畑はほとんどが柵で、あるいは集落全体を柵で囲うとか、そういう柵で囲われています、実際に。ただし、柵も結局、費用を掛けて完璧なもの、絶対に出入りできないものを置けば話は別ですけれども、やはり山際ですし、雨が降ったら土砂が流れて、いろんなことで柵はやっぱり破られるものですね。そのときに、どうしても、ちょっとでも破かれたらどっと動物が入ってくるような地域に暮らしているのか、それとも動物が出てくる量が程々なところに暮らしているのかで、全然生活のできること、田畑でできることが全くそれは違ってきます。そうなってくると、やはり個体数管理というか、それをきっちりしていかないといけないと。あともう一つは、山の自然植生の下層植生については、これは囲うにも囲いようがありませんのでというようなところです。
 実際に、私たちの計算でも二〇%弱は、そのぐらいは状況良くて増えていっていると、その分だけは増えていっているというところですね。それをきちっと念頭に置いてやるべきことをやらないと、いずれにしても鹿やイノシシは野生の中ではほっといても死ぬんですけれども、人間がなるべく手を下したくないということはあるんですけれども、ただ、人間が生きていくためにもそれをしないといけないし、それをしなくても野生動物は野生の中で密度が増えれば野生動物同士の戦いは生じますから、どっちにしても増えた野生動物はもう困難な状況に、野生動物自体も困難な状況で暮らすことになっているということだとは思っています。
#32
○参考人(坂元雅行君) お答えいたします。
 こうした人間と野生鳥獣の間をめぐるこういうトラブルに対処していくときに、やはり三つの柱が重要だと言われております。一つは、個体群管理、個体数管理とも申し上げますけれども、数を調整することですね。それから、生息環境管理、野生鳥獣の生きる生息地をその野生鳥獣にとって住みやすくしたり、場合によっては住みにくくしてそこから出てもらうということですけれども。三つ目は、被害防止、被害防除ですね。これは、特定の田畑ですとか人工林の中のある木に関して被害が出ないようにそれを防ぐ措置をするということです。これを様々な鳥獣の種類、性質ごとにこの三つをうまく組み合わせることが重要で、これだけやっていれば物事が解決するということではないと理解しております。
 鹿に関しては、やはり元々縄張を持つ動物でもありませんし、どんどん密度が高くなってしまうような性質も持っておりますので、今日の状況では数の調整をせざるを得ないところはやむを得ないのかなと思っております。ただ、鹿の場合でも数だけを減らすことをやっていればよいのではなくて、やはり鹿のように森と草原が組み合わさったようなモザイク的になっているような場所を好む動物は、そういう環境をつくりますとどんどん増えてしまいますので、ポイントとなっている場所では安易に木を切ってそこに下草がばあっと生えてくるような環境をつくらないようにするということをしましたり、そこにきちんと防護柵を張る、そういったことを組み合わせることが重要だと思っております。
#33
○竹谷とし子君 ありがとうございました。
 東京に住んでおりますと鳥獣被害ということに現実に生活が脅かされるようなことが少ないわけなんですが、実は私は北海道の道東地域に生まれ育ちましたので、鹿が本当に、エゾシカが増えたなということを、昔は山の中に入って遊んでいると、たまに鹿に出会えると非常に幸運というか、それぐらい少なく、保護されていたものでありましたけれども、家に帰るたびに、国道ののり面にエゾシカがびっしりいて草を食べ尽くしているということですとか、また、車が飛び出してきた鹿にぶつかりまして、車も大変被害も受けますし、車の中にいる人間もけが等で大変問題が大きいということも実感として感じているところでございますが。
 鹿も、北海道に住んでいますといただくことが結構ありますが、たしか石崎先生の資料の中にもあったと思うんですけれども、余り有り難くないいただき物と。料理に困るということもございまして、そこも研究は必要な分野でございますが、やはりこれから個体数を管理していくということで、日本人の倫理観としてもやっぱり殺生は余り良くない、せっかくの命は有り難くいただくということがやはり重要であると思います。
 本日は、ジビエの御紹介など、石崎参考人また塩原参考人からもありましたので、その点について伺いたいと思いますが、利活用していく上で食品衛生法改正の御提案というのが石崎参考人からありました、野外解体を認めるようにするべきであると。その場合、規制緩和する段階に気を付けるべきこともあるのではないかというふうに思います。その点を石崎参考人に伺いたいと思います。
 そして、塩原参考人には、信州ジビエということで様々な取組をされていることについて非常に良かったということについて、ちょっと雑駁な聞き方になりますけれども、御紹介をいただければというふうに思います。
#34
○参考人(石崎英治君) まず、どういったその規制緩和をしたときの問題になりそうかというところですけれども、まだ鹿、イノシシ等に関して生態学的な研究が進んでいるとは言えない状況です。例えば牛とか豚に関しては、病気になれば獣医師の方が来てその病気を治すわけですね。ところが、鹿、イノシシは病気になっても野外で勝手に死んでしまう、淘汰されてしまうという生き物ですので、正直、研究者とお話をしていても病気の個体に会わないと。病気になったら勝手に死んでしまうので、なかなか病気の個体に会わないというのが研究を難しくしている要因なのかなというふうには考えています。
 ただ、野外解体等に関しましては海外の方で事例が既にありまして、例えばイギリスの制度の中に、鹿を捕獲して、野外で処理をして、それをタグを付けてちゃんとトレーサビリティーをした上で処理場に回して市場に流すというような取組、そういったものがもう既に進んでいます。そういった諸外国の取組を参考に、日本の中においてでも順次適用していくというのが重要なのではないかなと思います。
 もちろん、食べるもの、人の口に入るものですので、そういった万が一のことがあってはいけないというのはありますし、もしもそういうことがあると、今まで取組を続けてきたジビエの文化というのが日本でなくなってしまう可能性もあるかというふうには考えています。
 ですので、先ほど言いましたような、野外での解体から処理をする中でどういった部分が危険なのか。例えば、北海道でマイナス三十度であれば大丈夫だろうとは思いますけれども、これが九州の夏場ですと、そういった部分ですとすぐにそういったものが繁殖するという環境に、食中毒の危険性が高いと思いますので、そういった地域による違い、季節による違い、それからハンターの腕ですね、どういった解体の手順をするかといったところというのも適切に制度をつくっていく必要があるとは思っています。
#35
○参考人(塩原豊君) 長野県で取り組んでおります信州ジビエへの対応についての感想でございますけれども、長野県も本当に大事な森の恵みとして、先ほど委員からお話のあった、命をいただく、そういうことをもっての文化がございます。これは地域的に、一部の地域にはなっておりますが、長野県でも南の方の地域におきましては、やはりそうした大事なこの野生鳥獣肉を生活の中で生かす、有り難くいただくという歴史、文化がございます。
 こうした中で、信州ジビエというのはまだ長野県としての取組ではございますが、これがまた全国でもいろいろ取り組んでいるところと是非連携をさせていくという時期になっているとは思っておりますけれども、この信州ジビエ研究会等も百五十名からの会員で発足しましたが、非常に良かった点と思われるのは、今までジビエとして野生獣肉を提供するのは狩猟者側でございました。ところが、こういった研究会あるいは信州ジビエという中で、山側の狩猟者あるいは獣肉を処理する皆さんと、さらに今度は調理師の皆さんあるいは飲食店、料理店の皆さん、そしてさらには栄養士の方、また観光業の方あるいはそうした商工業の方、こうした皆さんが一堂に会するような、そうした研究会にもなってございまして、山側からまさに川下といいますか、流通の方と一緒になって、大切な信州ジビエという森の恵みを消費者の皆さんに届けるということが一つスタートできたなというところでは、これからでございますけれども、印象として思っておりまして、一段と御協力をいただきながら取り組んでまいりたいと思っています。
#36
○竹谷とし子君 ありがとうございます。
 最後に、あと二分程度しかないんですけれども、わな猟について私も関心を持っているんですけれども、猟をされる方の高齢化が進んでいるということで、今後女性また若者がこの猟に参加していく、狩りガールなんていう言葉も今北海道の方ではあるようなんですけれども、特に女性が参加をしていくに当たってどのようにすればいいかということを坂田参考人からお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#37
○参考人(坂田宏志君) 今でも、私たちのグループでも結構女性の方が参加していただいてやっていただいています。それは趣味の範囲の中で楽しくやる分には、安全のことだけをきちっとお伝えしてやっていただければいいと思います。
 ただ、本当に事業として捕獲をしていく部分とボランティア的にその手助けなりでプラスアルファの部分とはやっぱり別に考えるべきかなというふうに私は考えております。
#38
○竹谷とし子君 ありがとうございます。
#39
○清水貴之君 日本維新の会・結いの党の清水貴之と申します。
 参考人の皆様、本日はお忙しいところ、本当に貴重なお話をありがとうございます。
 まず初めに、私は坂田参考人と塩原参考人にお聞きしたいんですけれども、坂田参考人のプレゼンでありました、捕獲事業というのは公共事業にも似通ったところがあるという視点が新しい視点で、非常に興味深く聞かせていただいたんですけれども、その前提としまして、適切に要請するための現状把握、あと将来予測、これが重要というふうにおっしゃっています。
 国の今の個体数の調査とか今後の将来予測などを見ましても、かなり幅があるわけですね。ですから、現状把握というのも、また将来予測というのも大変難しいのかなとも思うんですが、実際に今自治体としてやっていらっしゃって、研究施設でやっていらっしゃって、どのような方法を取ってどのようなやり方をしていてどのような予測を立てているのか、この辺り、また問題点などがあれば教えていただきたいと思います。
#40
○参考人(坂田宏志君) 話すと長くなってしまうんですが、県でそろえられる情報を、とにかく使える情報は全部使って統計学的に大体の推定をするということです。御指摘のように、幅も広いですし、やはりなかなか予測どおりとは言えません。今まで幸いにも予測どおりは来ているんですけれども、これは多少外れてくることは想定しないといけないと思います。ただし、台風の予測でも経済の予測でも、全ての予測が恐らくそういうものだと思います。
 間違えるかもしれないけれども、ただ、今一番確率の高いものが何で一番想定するべきものが何かということは、少なくとも今の段階だと、鹿は兵庫県だと三万頭以上捕らなければ減らないというふうなところはほぼ間違いなく、そういう大ざっぱなところは間違いなく、その方法で進めていって、毎年統計はし直します。毎年し直す限り、もし間違いがあったときは、上方修正にしろ下方修正にしても、それを責任を持ってモニタリングをして、責任を持って昨年度の意思決定の結果を踏まえて今年度の意思決定をすると、そういう作業を繰り返していくということしかないというふうに考えております。
#41
○参考人(塩原豊君) 鹿の生息状況の調査、それから今後の予測、こうした点でございますが、長野県でも、ニホンジカにつきましては五年ごとに立てている特定鳥獣保護管理計画、第三期になりますが、その計画で、計画を策定するたびに全県の調査を行っております。この調査方法は区画法あるいはふんを使ったふん粒法というのを組み合わせてやるわけでありますけれども、こうした中で、定点を設けてどのぐらいいるかという推定をして生息数を出しているところです。
 ですから、今約十万頭おるというふうに推定をしているのは、当初ですね、これも幅がございまして、プラスマイナス何頭という状況になっております。これをどのようにまた減らしていくためにはということで、雄、雌の割合ですね、どれだけ特に雌を捕獲したらいいのか、あるいは死亡率、それからまた、その時々の気象条件はこれはもう予想ができませんけれど、そのほかの因子を加えまして、これだけ捕獲すれば、特に雌鹿を捕獲すればこれだけ減っていくという、そういった予測を立てて進めているところでございます。
#42
○清水貴之君 坂元参考人にもお聞きしたいんですけれども、この予測を基にいろいろこれから捕獲事業というのが進んでいくわけなんですが、実際になかなか幅のある予測の中で、結果が、十年後、今、半減ということを目標にしているわけなんですけれども、この目標に対してどのように考えていらっしゃるかといいますか、本当に実現は可能なのかというのをどう考えていらっしゃるかお聞きしたいんですけれども。
#43
○参考人(坂元雅行君) では、お答えいたします。
 先ほど私の意見陳述の中でも申し上げましたけれども、今回の法改正で導入される対策の基本というのは、これまでの一般狩猟者に加えて事業者を導入すること、そして殺傷個体の放置の禁止ですとか夜間発砲の禁止を緩和すると、こういう方法になっておるんですね。
 しかしながら、認定事業者の導入に関しては既に狩猟者団体が非常に慎重な態度を取られておりますし、実際、これまで地域に根を張って報償金を得て捕獲を行われてきた一般狩猟者の方たちと認定事業者の間であつれきが生じるおそれがあるのではないかという指摘もされているわけです。さらに、夜間発砲の規制緩和につきましては、衆議院の質疑でもるる指摘されておりましたけれども、人の生命、身体に対するリスク、これが心配されております。そして、殺傷個体放置については、先ほど申し上げましたように、人身事故が起きる危険ですとか、それから、山野に死体をたくさん放置しますと、水源地や生態系への影響も心配されます。
 そうしますと、こうした規制緩和がどれだけ思い切って運用されるのか、そこが見えてこないんですね。ですので、ただ捕獲数を稼げばよいという発想、ただ半減を、思いっ切り捕って進めていきましょうということでは、なかなか結果が付いてこないのではないか。
 ですから、捕獲ができる数が少なくなったとしても効率的に鹿の分布と個体数を誘導するための仕掛けが必要。その最も重要な仕掛けが、先ほど申し上げたように、都道府県に司令塔として鳥獣行政担当職員が専門的な知見も持って行政職員としての権限を十分に振るうと、そういうことだと考えております。それが条件で結果が付いてくるのかなということです。
#44
○清水貴之君 今おっしゃった死体の放置による悪影響、これも私は感覚的には同じように感じるんですね。もし埋めたとしたら、その下にある水源はどうなるんだろうとか、放置したことによって、夏だともうすぐに腐ってしまうでしょうから、ほかの生態系への影響はどうなんだろうと感覚的には思うんですが、この前の日光の視察で猟友会の方にお話を聞きましたら、死んでしまった放置された動物というのは、一日、二日、まあ二日ぐらいあれば、ほかのカラスか何かが食べに来て、もう骨にすぐなってしまうと。埋めたところで結局土に返るわけですから、そんなに影響というのは大丈夫なんじゃないかという御意見だったんですね。
 ですから、この辺りというのは実際、何となく僕も大丈夫かなとは思うんですが、本当に科学的にこの辺りというのは何か実証されてくると、もっと説得力、その辺りの危険性の説得力が増すんじゃないかと思うんですけれども、その辺りはいかがでしょうか。
#45
○参考人(坂元雅行君) もちろん、指定管理鳥獣の捕獲事業がまだ始まっておりませんので、どういう状況になるのか全て予測の限りではありますけれども、ただ、これまでは放置の禁止という法規制の建前がありましたので、そういう実態が余り明らかになってこない、ある意味当然ですけれども。それを、十年で半減という目標の下に毎年相当な数を捕って、捕るために相当な数がこれまでとがらっと状況が変わって放置されるようになったとき、これ、やはりどういうリスクがあるのかを考えておくことは重要だと思うんですね。
 ですので、これを始めた後に、先ほど坂田参考人からモニタリングの重要性というお話ありましたけれども、やはりそういう弊害が起きてきたとすれば、それをすぐ察知して事態を修正していくことが大事だと思うんです。その辺りでも、やはりその辺を目を光らす十分な司令塔が行政にいらっしゃることは重要かなと思います。
#46
○清水貴之君 先ほど坂元参考人から、危惧される点というところで、もう一つ、認定事業者が今回入ってくることによる地元とのあつれきという話がありました。
 これ、塩原参考人に是非お聞きしたいんですけれども、この前の日光の視察でもそういった話がやはり出てまいりまして、地元の猟友会はある程度縄張を持って自分たちの場所などがあって、そこで猟をしていると。そこに新しい業者が、しかも地元を知らない業者、東京の業者がぽっとやってきて長野県で銃を撃つみたいなことになりますと、いろいろな問題点も出てくるんじゃないかという、こういう話も日光の視察で実際に出てまいりました。この辺り、今後、長野県としてはどう対応していかれるおつもり、若しくは何かそういう心配点などありましたら、お聞かせいただきたいなと思います。
#47
○参考人(塩原豊君) 認定鳥獣捕獲等の事業者制度についての御質問でございますけれども、やはり猟友会の皆さんは地元に一番密着しております。ですので、集落周辺の被害対策のための捕獲を行うといった観点からは、やはりこれは地元に信頼があって、安全、安心で進められる猟友会の皆さん等が携わっていただくのがいいんではないかというふうに考えています。
 ですが、先ほど御説明いたしましたように、非常に標高の高い方で、ある程度専門的にも体力的にもいろいろと技術を要する場所等については、またそういった広域捕獲隊という形で活躍していただくということが大事になってくると思いますので、そういった役割分担をしっかりと地域の皆さんの合意形成取りながら進めていく必要があるんではないかというふうに思っています。
#48
○清水貴之君 同じ質問を坂田参考人にもよろしいでしょうか。
 やはり、これから事業者が地元に入ってくる。坂田参考人の資料を読ませていただいておりますと、いろいろ今まで調査などをしていく中で、行政が何をするべきか、住民自身が何をするべきかということがだんだん見えてきたということも書いていらっしゃいまして、その辺りも踏まえてお話をもしいただけますと有り難いです。
#49
○参考人(坂田宏志君) やはり基本的に自分で、住民の皆さんが自分でできることはなるべく自分でやっていただくということが本筋だと思いますし、やはり技術が必要なこと、注意が必要なこと、これはやはりどなたかにきちっと頼んでやっていかれることが必要だと思います。
 それで、私、今の市町村レベルでの捕獲活動が一番有害捕獲活動では大きい部分、数のほとんどを占めると思いますけれども、実際に今のイメージで、地元の猟友会と認定事業者は全く別のものだというふうな考え方、受け止められる方が多い感じがしますけれども、実際問題として、市町村として捕獲をしていきたいときなどに、実際、認定事業者までいるような状態であれば、まあ、そうです。そうじゃなければ、地元の猟友会の人にそのままやってもらえばいいことですね。
 それで、ただ、もうちょっと強化をしたいというときにどうなるかというと、それは地元の猟友会の人にもうちょっといろんな形でそれを何か強化してもらったり、行政と猟友会と協力して、それを土台にして、それが認定事業者になるのか、それがもうちょっとパワーアップした形で認定事業者ではないけれども捕獲を続けるのかという選択肢もあると思いますし、それが地元の猟友会で無理だということであって外からということであれば、それも結局よそ者が分からぬのに鉄砲というイメージでは、恐らくそんなことは市町村の行政の担当者の方もされないとは思う。
 その辺の、そんなことにならないで済むようにという形のルール作り、これから細かい規則等を作っていくことになると思いますけれども、その辺の認定が、やはりそれをきちっと防げる、防げるというか、うまくいくようなルールにしてあるということが重要ではないかなと思いますし、今の状態で選択肢は幾つも自治体にあるはずだと思いますので、その選択肢をフルに活用していただいて、やっぱり地元のこれまでの捕獲が順調で、皆さん頑張っておられてうまくいっておられるんだったら、是非それを生かすべきだというふうにやっぱり思います。
#50
○清水貴之君 ありがとうございます。
 最後、ジビエについて石崎参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほどのお話で、やはり処理施設があったりとか、捕獲する場所から近くなきゃいけないという、そういうハード面もやっぱり非常に重要だなと思うんですけれども、一方で、今レストランの運営もされているということで、本当に安くておいしくて、信州でも今度、特産品としてされるということなんですが、特産品にとどまらず、地元だけじゃなくて、本当に世の中の皆さんが、ああ、焼き肉食べに行こう、牛食べに行こうか、焼き鳥食べに行こうかというのと同じような感じで鹿というふうに、それぐらいの選択肢が増えてくるともっと世の中のニーズというのが広がっていくんだと思うんですけれども、その辺りの可能性についてなんですが、いろいろ捕れる数が不安定であったりとか、僕のこれも勝手なイメージなんですが、若い鹿と結構もう年老いた痩せ細った鹿とはまた味が違ったりとか、いろんな難しい面もあるんじゃないかなと思うんですけれども、その辺り、鹿肉の可能性についてお話伺えますでしょうか。
#51
○参考人(石崎英治君) 鹿肉の可能性についてお話をする前に、そもそも、例えば北海道のエゾシカがどれぐらいの量が今現状で出ているのかについて御説明いたしますと、北海道、牛肉たくさん出していますね。その牛肉と鹿肉比べると、牛肉を一〇〇とした場合にエゾシカは〇・一です。利用率が一〇%を少し超えたぐらいの形ですので、北海道で毎年十六万頭のエゾシカを捕獲しているんですけれども、その十六万頭が全部商流に回りましたとなったとしても、牛肉の実は一%しかその量がないんですね。ということを考えると、いわゆるテーブルミート、例えば都内のスーパーで普通に売っていて、それが豚肉とか安い牛肉と同じような価格帯で出せるかというと、そういった肉ではないんじゃないかというふうに私は考えています。
 ただ、今の現状ぐらいの鹿の認知度ではやはり足らないと思いますので、例えば少し晴れの舞台、ちょっと体に例えば問題があってカロリーを少し減らさなければいけないとか、ないしは鉄分が足らない女性の方とか、そういったところに対して付加価値の高い食材として鹿肉というのが普及していく、それが私の近い将来の夢ですね。
#52
○清水貴之君 どうもありがとうございました。
 以上で質問を終わります。
#53
○水野賢一君 みんなの党の水野賢一でございます。
 まずおわび申し上げなきゃいけないのは、途中でちょっと出入りせざるを得ないことがありまして、全部聞けていなかった上での質問という大変失礼なことをおわびを申し上げたいというふうに申し上げます。
 塩原参考人にお伺いをしたいのは、長野県の場合、特にニホンジカを中心に御説明いただいたというふうに思うんですけれども、ニホンカモシカなんかについても、これは生息地域であり、なおかつ特定計画なんかも策定しているというような状況ですけれども、そちらの方の被害というのは最近はどうなんでしょうか。
#54
○参考人(塩原豊君) ニホンカモシカにつきましての被害の状況でありますが、かつて山の方も大分植林が多くて、苗木を相当植えたときには大分被害がございましたけれども、今はなかなかこの植林の面積というのが減ってきておりますから、そういう点での被害というのは、地域的に偏在してございますが、一時よりは減ってきておりますが、でも、引き続きカモシカと思われる被害は発生しているところでございます。
#55
○水野賢一君 これ、信州ジビエというのは基本的にはニホンジカを中心としていて、その他の例えばカモシカとかそういうのというのもあり得ることはあり得るわけなんですか。
#56
○参考人(塩原豊君) この信州ジビエ、主には、もう主体とするのはニホンジカ、鹿肉、それから、流通しておりますイノシシ肉等も含めるというところでございます。
#57
○水野賢一君 ありがとうございます。
 坂元参考人にお伺いをしたいんですが、御説明の資料の中で、殺傷個体の放置禁止解除とかに関して、資料をそのまま読み上げますと、鹿の死体が熊を誘引し人身被害に結び付くおそれがないかとか、鉛の弾で撃たれた鹿を食べたワシタカが鉛の中毒を起こすおそれがないかと、そういうような懸念というようなことを書いていらっしゃって、これ、実態としては今どうなんでしょうか。やっぱりそういうようなことというのが、今この放置禁止の状況、つまり解除されていない状況でもこれは結構実態としてはそういう事例は相当多いというふうに認識をしてよろしいんでしょうか。
#58
○参考人(坂元雅行君) 今の禁止の現状でありますけれども、私が聞いております限りでは、北海道などで、特に道東地域などで鹿がかなり集中的に捕獲されて、そこでの個体数の安定化にかなり効果が出てきていると聞いておりますけれども、やはりヒグマが鹿の死体に誘引されて、地元がそこに非常に警戒をされているという話を聞いております。
 それから、鉛弾の影響に関しましても、これも北海道でかなり以前から鉛弾の規制について議論がされまして、ある程度の法整備もされてはきたんですけれども、今回こういうことになった場合に、やはり鉛弾で倒れる鹿の数が圧倒的に野外に増えるわけですので、ここは懸念されるということを地元の団体等から聞いております。
#59
○水野賢一君 ありがとうございます。
 先ほど来の議論の中で、認定事業者というのが今回の法改正で位置付けられていくということについての御意見で、坂元参考人からはいろいろお伺いしたんです、過去の質問でもお伺いがあったと思いますけれども。
 坂田参考人と石崎参考人にお伺いをしたいと思うんですが、坂田参考人からは、先ほどの清水議員からの質問に対して、よそ者が分からぬうちに鉄砲を撃ちに来るということは実務上は余りないんじゃないかという御意見だったかというふうに思いますけれども、ということは、基本的にはこの認定事業者を法律で位置付けることは、法改正としてはこの方向でいいんじゃないかという理解をしてよろしいのかをお伺いしたいのと、石崎参考人にも、この認定事業者ということについて何か御意見があるかどうか、ちょっとその辺だけお伺いをして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
#60
○参考人(坂田宏志君) 私は、法律としてこの認定事業者制度をきちっとすることはいいことだと思います。ただ、その条件として、どういう認定事業者かということと、例えば今の話でしたら、とにかく誰でもいいんですけれども、地域で捕獲を行う場合は、その地域の事前調査をきちんとして、必要な、安全な箇所、危険な箇所をきちんと調べ上げた上で、かつ関係者、地元の人の不安を取り除いた後に、あるいはきちっと協力者との連携が取れた体制をつくって捕獲をするということが確保されれば、それを確保されるような細かいルール作りは法律に基づいて必要であるというふうに考えています。
#61
○参考人(石崎英治君) 認定事業者について食肉の利活用の立場からお答えいたします。
 まず、今現状で処理場がある地域、それから処理場で鹿肉、イノシシ肉が入っている地域に関して言いますと、ほぼ認定事業者は不要であるというふうに考えています。というのは、それだけもう生産体制というのは整っているからですね。そういった地域のちょっと外、例えば先ほど塩原参考人もおっしゃっていましたが、ゾーニングをした上で、山の上の方、道が全然入っていない場所についての鹿、イノシシに対して捕獲どうするんだと言われると、そういった場所では恐らく認定事業者は必要になってくるかと思います。
 要は、逆に言うと、今現状で処理場の近くで捕りやすい地域、鹿、イノシシが生産しやすい地域に対して、同じエリアで認定事業者が活動されると非常に困った事態になるかと利用の立場からは思っています。
 また、認定事業者の位置付けというのを市町村の担当者にもしっかりと説明をしていっていただきたいなというふうに考えています。というのは、鹿、イノシシが少しは捕れるという地域に対して、ハンターもほとんどいませんよという地域に今度処理場を造りたいんだよねというような相談が私の方に来ることがあって、ハンターどうやって確保するんですかというと、この事業者を使うんですと。事業者というのは、やはり生息数を減らすために特化した能力を持っている団体というふうに考えています。
 一方で、利活用の立場からの目指すべきハンターさんの像というのは、毎日コンスタントリーに一頭、二頭捕ってきてくれる方が望まれています。そこの役割分担、それからニーズ、ちゃんと整理をしてあげないと、使い方を誤ると大変なことになるんじゃないかなというふうに考えています。
#62
○水野賢一君 ありがとうございました。
 私の質問は終わります。
#63
○市田忠義君 日本共産党の市田忠義です。
 今日は大変お忙しい中を四人の参考人の皆さん、貴重な御意見をお聞きすることができました。ありがとうございました。
 私たち日本共産党はこの間、鹿やイノシシによる農林被害あるいは生態系に対する影響が大変大きくなっていると、これは憂慮すべき事態で、当然これらの被害を何とか軽減しなくてはならないと、そういう立場ですが、ただ、坂元参考人が陳述されたように、今回の改正案が本当に被害軽減に効果的で安全かという点については大きな疑問を持っています。
 増え過ぎた鳥獣を管理対象として生息数などを人為的に、かつ大規模に減らすという今回の改正案の方向性について、若干そもそも論的になりますが、生物多様性保全、こういう観点からどう捉えればいいのかという問題について、坂元参考人の御所見をお伺いしたいと思います。
#64
○参考人(坂元雅行君) お答えいたします。
 私も意見陳述の冒頭で申し上げましたとおり、現在の状況で鹿の個体数や分布を縮小していくことが必要だという点については異論がございません。
 ただ、そもそも論のところで、その生物多様性保全の理念との関係でどう考えるかというお尋ねであります。
 そもそも、生物多様性保全の本質というのは、自然な生物の進化のプロセスを妨げないというところにあると考えております。この地球の四十億年に及ぶ進化の歴史の中で、本当に多くの種が滅び、そしてまた生まれてきたわけですね。それぞれの種の寿命というのは数十万年から数百万年と言われております。そうした種が新陳代謝をしながら発展してきて、今日の地球上で一千万種以上という種が誕生しておるわけですね。そして、これらの種の間で相互に、また環境との間で複雑な関係を持って生態系が構成されている。これが私たちの人類の地球環境の基盤になっているわけであります。
 こうした生物種の間の関係や生態系に人間活動による影響が及んでゆがみが生じた場合にどういう態度が取られるべきなのか。その基本であります。私は、基本は、人為的に関与するのではなくて、生態系本来の働きに委ねることが原則であろうと考えております。
 それはなぜかと申しますと、幾ら科学技術が発達した今日とは申しましても、先ほどのような進化のプロセスの歴史と複雑さを考えますれば、それが到底完璧にはなし得ないと考えるからです。
 ただ、例外的に我々が人為的に関与をしていかなければいけない場合が当然ございます。私は二つあると思っております。
 一つは、余りに人間活動の影響が甚大で、生態系本来の役割に任せたのでは修復が難しい、見通しが立たないという場合です。その具体例が、絶滅危惧種の回復ですとか外来生物の駆除という問題です。
 二つ目は、生物多様性保全以外の公益、例えば生命、身体、健康の確保ですとか、あるいは優れた景観の保護ですとか、また一次産業の振興ですね。こうした公益のために長期的な生物多様性保全も妥協しなければいけないという社会的要請がある場合には、やはり人為的関与をして事に当たらなければいけない。
 今回の鹿問題はこの二つの、両方の側面を持っております。ですから、ここに我々は対応していかなければいけないと思っております。
 ただ、今回のように、非常に急速で大量な捕獲をやっていかなければなりません。こうしたことはやはり一回で済ませて、必ず成功させて、その後はもっと規模の小さい安定した管理で済むような状況をつくらなければならない。そういう意味で、我々は失敗してはならないと考えております。
 ありがとうございます。
#65
○市田忠義君 塩原参考人と坂田参考人は現場を熟知されて、大変被害を減らすために様々な試行錯誤を重ねながら御苦労なさっているということがよく分かりました。
 私たちは、鳥獣の保護管理を進めるためには、野生動物管理の専門的な技能や知識を持っている行政職員の配置と事業への国の支援、これは不可欠だというふうに考えているんですが、現場で御苦労されているお二人から、その専門的な行政職員の配置の問題と事業への国の支援の必要性、これらについて簡潔に御意見をお聞かせ願えますでしょうか。
#66
○参考人(塩原豊君) 特に専門家の配置等についての御質問でございますけれども、長野県も野生鳥獣被害対策本部を設置して、各、長野県下に被害対策チームを設けて、そして長野県も行政職員、県職員を鳥獣対策専門員という、これは係長級でございますけれども、それぞれ十地域に配置をするようにいたしました、二十二年からでございますが。そうした中では、やはり市町村との関係、あるいは住民の皆さんとの関係は非常にそういう点で大きな役割を果たし得るというふうに思っております。こういった体制は非常に大事だと思っております。
 更に大事なことは、より専門的な知識やそれからこれからの見通し等を伝えるということが、やはり国の方の試験研究機関、あるいは長野県にも試験研究機関ございます。こういったところと行政のこういった専門員がつないでいくということが大事であるというふうに考えております。
#67
○参考人(坂田宏志君) 都道府県や市町村の担当者の知見なり能力のことですけれども、今、最近は国の事業、交付金などもありまして、やはり対策事業をどんどん組まれています。行政の担当の方は、事業をやって、それをやれば、そのたびに能力、知見を身に付けられて、やはり経験が市町村にも都道府県にも徐々に積まれていっていると私考えています。
 その意味では、今長野県の例もお話しされましたし、兵庫県でも同じように専門員設けて、やはりそこに知識を蓄積されてそれを引き継いでと、そういうのは行政機関としては非常に重要な役割ですし、それを積み重ねていくことで徐々にというか、意外に蓄積のある、市町村レベルであってもよく分かっておられるところも多くなってきているというふうに思います。
 そういう意味では、やはりきちっとした、きちっとしたという言い方は変ですけれども、しっかりした行政マンがちゃんとした情報を仕入れておられればどんどんこの部分は、事業を必ずやっていくという限りではだんだん良くなっていくのではないかなということです。
 それと、やはり専門的な技術ということ、より専門的にとなりますと、ちょっと固まっていない部分が、先ほども申しましたけれども、あるのではないかなと。いろんな技術があって、どれを活用していいのか、どれを活用したら一番役に立つのか。そういうところは、今の段階でどうしても都道府県で専門的な技術者を雇いなさいといったときに、慌てずに、もうちょっとよく吟味して、本当に必要な技術が何か、やはり今までと事業の組み方も、社会情勢、いろんな方の野生動物問題に関する理解も恐らく十年前とは全然変わっていると思うんです。昔はもう殺すと言っただけで絶対駄目という方々も多かったわけですけれども、やはり今はそうではないですし、むしろ逆に余り殺し過ぎないようにきちっとモニタリングしないと、そこの注意をしないといけないということが重要だったりとか、そういうところがありますので、その専門技術というのは見極めが必要かなというふうに思っております。
#68
○市田忠義君 坂元参考人にお聞きしたいのですが、今のお二人の御意見も踏まえながら、かなり意見陳述の中で行政職員としての専門家の配置の必要性、重要性強調されましたが、ちょっと今のお二人の発言とかみ合う形で御意見がありましたら、お伺いしたいと思います。
#69
○参考人(坂元雅行君) 都道府県の鳥獣行政担当職員に求められる点ですね。これは今、ほかの参考人の皆さんからの御意見も聞いておりまして、やはりクリアだと改めて思いましたけれども。
 一つは、野生動物管理についての知識、技能ですね。これは坂田参考人からもお話ありましたけれども、研究者が上げてくるデータをきちんと読み解いて、それを計画実施に反映していかなきゃいけない。それからもう一つは、行政職員としての権限、役割ですね。やはり、司令塔としての役割を果たすためには優れた行政マンであって、優れた行政マンというのは当然権限が前提にあるわけですね。そして、合意形成ですとか様々な調整に当たっていく、この二点がやはり重要なんだろうと思います。
 そうしますと、現実的なイメージとしてですけれども、そういう職員の候補者というのは、技術系の行政職員、これは農業関係の普及員ですとか林業普及員、林業普及指導員又は獣医師ポストの行政職で実際に経験を積んだ方が野生動物管理についてのしっかりした研修を受けて、専門性を身に付けてそうしたポストに就いていくことが非常に重要ではないかなと思いました。
 ありがとうございます。
#70
○市田忠義君 石崎参考人にお伺いしたいんですけれども、お話を伺っていて、鹿肉を流通させるというのは、言葉で言うのは簡単だけれども、大変な御苦労があるんだなということがよく分かりました。
 やっぱり安全、安心な鹿肉を安定して供給するというのは我々も必要だと思っているんですが、そのために民間の力だけではなくて専門家の行政職員が配置されて役割を果たしていくことも大切じゃないかなと考えるんですが、この点は石崎参考人はどのようにお考えでしょうか。
#71
○参考人(石崎英治君) もちろん、単純に民間の力だけで鹿、イノシシの肉を普及させるというのには限界があります。というのも、お料理というものは、やはり地域の食材、いろんな食材をいろいろな料理方法をもってお皿を表現するというのが一つ重要なポイントですし、そういった点では、肉屋さんだけではなく、農家さんですとか水産の方、それから地域の料理人の方ですね、そういったところのハブとなるような方が行政には期待するところではあります。そういった方がほかのものをいろいろ組み合わせながら、例えば長野県、長野県の場合は非常に進んではいるんですけれども、長野県の特産品を複数合わせた例えば鹿肉のハンバーガーを提供するとか、そういったことはなかなか民間主導では難しかったりするので、そういったところは期待するところではあります。
#72
○市田忠義君 もう時間がありませんので、最後に坂元参考人に簡潔にお願いしたいんですが、鳥獣行政担当職員に求められる技能とか知識ですね、この点が必要だというのがありましたらお聞かせいただけますか。それで終わります。
#73
○参考人(坂元雅行君) この点については、平成十六年の環境省の検討会でも具体的に提言をされております。基本的に三つの技能、知識と言われております。一つ目は、野生動物の生息状況等の把握や防除、捕獲、生息地管理などの管理の手法についての知識、二番目に、これらの個別の対策を適切に選択し組み合わせていく能力、そして三つ目に、被害を受けにくい地域づくりに必要な知識や管理を実施していくための関係者間での合意形成の手法に関する広い知識と経験ということでございます。
#74
○市田忠義君 ありがとうございました。
 終わります。
#75
○委員長(佐藤信秋君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 本日は貴重な御意見を賜り、誠にありがとうございました。委員会を代表しまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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