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2014/03/13 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 文教科学委員会 第4号
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2014/03/13 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 文教科学委員会 第4号

#1
第186回国会 文教科学委員会 第4号
平成二十六年三月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         丸山 和也君
    理 事
                石井 浩郎君
                二之湯武史君
                大島九州男君
                松沢 成文君
    委 員
                上野 通子君
                衛藤 晟一君
                中曽根弘文君
                橋本 聖子君
                堀内 恒夫君
                水落 敏栄君
                石橋 通宏君
                斎藤 嘉隆君
                櫻井  充君
                那谷屋正義君
                矢倉 克夫君
                田村 智子君
                藤巻 健史君
                柴田  巧君
   国務大臣
       文部科学大臣   下村 博文君
   副大臣
       文部科学副大臣  櫻田 義孝君
       文部科学副大臣  西川 京子君
   大臣政務官
       文部科学大臣政
       務官       冨岡  勉君
       文部科学大臣政
       務官       上野 通子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        美濃部寿彦君
   政府参考人
       外務大臣官房国
       際文化交流審議
       官        齋木 尚子君
       文部科学省初等
       中等教育局長   前川 喜平君
       文部科学省高等
       教育局長     吉田 大輔君
       文部科学省研究
       振興局長     小松親次郎君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        久保 公人君
       文化庁次長    河村 潤子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関
 する調査
 (文教科学行政の基本施策に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(丸山和也君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、外務大臣官房国際文化交流審議官齋木尚子君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(丸山和也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(丸山和也君) 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のうち、文教科学行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○橋本聖子君 おはようございます。自由民主党の橋本聖子でございます。
 本日はこの質問の機会をいただきありがとうございます。
 先般行われました第二十二回冬季大会となりますオリンピック・ソチ大会の団長を務めさせていただきました。委員長始め委員の皆様方には、長期にわたりましてこの団長としての派遣をお許しをいただいたことに改めて感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 また、下村大臣には、お忙しい中ソチまでお越しをいただいて、そして選手の激励をし、あるいは昨年決定しました東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて大変な御尽力をいただいたIOCのバッハ会長始め皆さんにお礼の御挨拶回りをしていただいたということ、本当に感謝を申し上げたいと思います。
 また、現在行われておりますパラリンピックの開会式には、櫻田副大臣、選手を激励のために現地に訪問をしていただいたことにも改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。なかなかソチのオリンピックの後のパラリンピック大会というのは、ウクライナ情勢のあの緊迫した状況の中で、厳しい開催の面が伝えられておりましたけれども、副大臣にお越しをいただいたということで選手たちが大変勇気付けられたという報告も現地からいただいておりますので、本当にありがとうございました。
 今日はこの機会をいただきまして、オリンピックが終わり、そしてパラリンピックが終わらなければこのソチ大会終了ということにはなりませんので、パラリンピックの選手団が帰国をいたしまして、オリンピックとパラリンピックの選手団が同時に帰国報告をし、そして二〇一六年あるいは二〇二〇年、そして冬季のオリンピックというのはこれから平昌、そして東京の後の、どこになるか分かりませんけれども、二〇二〇年、こういった四年、八年計画の中で新しい強化体制を整えていくための提言と要望をこれから四月以降に出させていただきますので、そのときにはまた詳しく現状報告と今後の取組についての要望をさせていただきたいというふうに思います。
 今日はこの機会をいただきまして、現状報告と、そして基本的なスポーツへの認識というものをお聞かせいただければというふうに思っております。
 ソチ大会、二月の七日から二十三日に閉幕をいたしましたけれども、今回、冬季大会では初めて女子の選手が男子の選手を上回りました。特に、アイスホッケー女子、カーリング女子、女子しか今回出場を果たすことができなかったということもありまして女子の数が上回ったことは当然なわけでありますけれども、その中で、金が一つ、銀が四、銅が三、合計八つのメダル、そして入賞が二十八ということで、長野での自国開催を除きますと、海外でのオリンピックでは史上最高のメダル数と入賞数を誇ることができたということで、非常にうれしく思っております。
 長野の十個を目指してはいましたけれども、そこに到達することはできませんでしたが、十五歳のメダリストから四十一歳のメダリストまでということで、また非常に歴史の浅いスノーボードですとか、新しく種目になったスキー・スノーボードの回転ですとか、そういうようなものでメダルを獲得することができたということで、非常にこれからのオリンピック冬季の可能性が秘められたものではなかったかなというふうに思っております。
 それと同時に、平野選手ですとか平岡君のスノーボードの活躍によりまして、オリンピック後、今もスキー場ですとかスノーボード競技場がにぎわって、大変な経済効果を生んでいるということで、ジュニアの育成もこの機会にしっかりとやっていこうというような状況で、スキー連盟としても、非常にそういうスポーツの活躍の効果がいろいろな部分で波及されているということで、これを機会にもっとスポーツの理解やあるいは底辺の拡大というものに一気に進んでいかなければ、どちらかというと日本は熱しやすく冷めやすい状況にスポーツ界は置かれておりますので、四年に一度注目されるのではなくて、このことの活躍が更に毎年恒久的にしっかりとスポーツの振興につながっていくような、そういう施策も、私たちスポーツ界の方から新たな改革案を打ち出していかなければいけない機会ではないかなというふうに感じております。
 特に葛西選手なんかは、四十一歳でメダルを獲得したわけですけど、七回目のオリンピックで初の個人種目メダリストということで、レジェンド葛西と言われましたけれども、そこに至るまで、彼の競技人生といいますか、あらゆるメッセージ力があったんではないかなというふうに思います。
 ただ単に言葉で表すというメッセージ力ではなくて、彼が十九歳から四十一歳までの出場したオリンピックの過程には大変な挫折もありました。そういう中で、続けていくことの意味と、そして続けてきた者にしかチャンスはないんだということも見せてくれた技ではないかなというふうにも思いますし、また、彼の頑張っている姿を見る十代、二十代、三十代、四十代と、それぞれの年代において、彼の生き方、そして競技に向かう姿勢、そしてその後の振る舞い、そういったものが全ての方たちに、取る側の人にとって様々なメッセージ力を発することができるというのは、これはまさにスポーツ力ではないかなと思います。
 そういったスポーツ力を、これからは私たちは国の文化力に変えていく必要があるんではないかなと。特に、青少年の育成というものはもちろんですけれども、スポーツが中心となって、教育や福祉や医療や、あるいは環境や観光、そういったものにどれだけの力を発揮することができるかということを、これを国と連携を取りながら、オリンピック委員会としても、あるいはスポーツ界としても、二〇二〇年というものを、一つの大きな通過点という目標をいただきましたので、六年間掛けて大改革に取り組んでいきたいというふうに思っております。
 また、質問の前に話が長くなりますけれども、今回、女子の選手が非常に活躍をしてくれまして、そこには、マルチサポートですとかJISSで女性アスリート支援をしていただいているのも一つの大きな力になりました。
 旗手を務めていただいたカーリングの小笠原選手やあるいはチームメートの船山選手、こういった二人の選手は、子供を育てながらの競技の復帰でオリンピックを勝ち取ったということであります。二人とも四歳の子供を育てながらの競技生活でありますけれども、そういった女性アスリートが抱える女性ならではの問題点をしっかりとサポートすることもこれから重要なんですけれども、特にこれからは、そういう女性特有の問題ですとか、女性特有の直面する課題というのがたくさんあるものですから、アスリートの支援と同時に、これからは女性コーチの支援、これをしっかりとやっていく必要があるんだろうと思うんですね。
 それによって、また女性のスポーツの活躍と同時に、医療というものの観点からスポーツが抱える問題もありますので、それは、一般のこれから出産を経験していく方たちにとっての、また大きな一つのメッセージも発出することができるんだというふうにも思いますので、世界最先端のスポーツ医療ですとか、そういったものを施しているスポーツ先進国に比べますと日本は選手の支援にだけ今とどまっておりますので、これからもっとそういったものを拡充していくことに踏み切っていかなければ、どんどんどんどん世界との差が付けられてしまうというようなことであります。
 そういう意味では、ロンドンのオリンピックで初めてマルチサポートをしていただきました。そして、今回も、冬では初めてなわけですけれども、氷の方と雪の方の選手村が分かれますので、夏とは違いまして、今回、マルチサポートハウスを二か所に設置をしていただいたということは非常にプラスになりました。
 特に食のサポートが大変大切で、お米を八百キロ日本から持ち込んでいただいて、常にコンディショニングのために日本食で選手たちがしっかりとコンディショニングができるような体制も整えていただきました。特にジャンプの競技のような選手は体脂肪率をもう八%、七%にずっと保っていかなければいけないという極限の状況の中で体調管理をしていますので、マルチサポートの役割というのは非常に大きなものでした。
 医療のサポートあるいはメンタルサポート、そして交代浴ですとかいろいろな水を使った治療法ですとか、そういうようなものを全て施していただいた。あるいは、インフルエンザの問題がありました。即座に対応するためには選手村からそういった選手を外に出さなければいけない、そういうような対応も全てマルチサポートでしっかりと管理していただいたということ。
 あるいは、雪の競技に特化しますと、今回はストラクチャーマシンを入れていただきました。これは、予算前倒しで本当に大臣の決断によって導入していただいたということ。これは、今、スキーはワックスの世界を超えましてスキーの板の裏の模様で勝負をするというような、そんな時代になって、選手の競技力を支えるのは、科学技術的な観点から道具の開発まで力を付けていかなければ最先端で選手を育成することができないというような、非常に高密化、高度化されてきておりますので、そのことも含めて、これからマルチサポートというものがもっと選手のためになるような、あるいはアスリートファーストと言われるように、選手が要望したときに食事がしっかり取れるようなシステムですとか、もっとより選手村に近いところの場所を確保するための事前の準備や予算ですとか、そういうものを挙げると切りがないわけですけれども。
 ただ、どんなにいいオリンピックのこういう舞台が整ったとしても、最終的にそこの舞台に上がる商品といいますか品質が良くなければオリンピックが成功したとは言えないと思うんですね。そういう意味では、これから二〇二〇年に向けまして日本は最大の、過去最高のオリンピックの舞台を整える力が私は日本はあるというふうに思いますし、期待ももちろんしておりますけれども、最終的にオリンピックが成功したんだというふうに日本の皆さんが実感をしていただくことの最大のものは何かというと、やはり選手の活躍ではないかなというふうに思いますので、オリンピック委員会としては、そういう日本の皆さんに最高の舞台で夢と希望と感動、そういうものをしっかりとお届けできるような人間力あふれる、競技力向上を目指すことのできる選手たちをしっかりとまた育てていきたいというふうにも思いますので、また是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 これから強化の方のお話をさせていただくんですが、私はオリンピック委員会の強化本部長という立場で、今強化の責任者ということになっているわけなんですけれども、二〇二〇年、これ、冬も夏も同じことなんですけれども、特に二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けて目標としているものは、もちろん文科と一緒になってこの計画を立てておりますので御存じの部分だと思いますけれども、金メダルを三位以内に目標を立てさせていただきました。これは、二十から三十三種目のメダルを獲得することがなければいけないということで、非常に厳しい状況でありますけれども、ただ、やり方によっては非常に可能性があるんだというふうに思います。また、夏は全部で二十八競技ありますので、この二十八競技における全ての種目への入賞というものを目指していく。これ、入賞する数が少ないと当然上に上がれる選手の割合が少なくなりますので、そういったこともしっかりとやっていかなければいけないんだというふうに思っています。
 この目標を達成するために必要なのは、ジュニアアスリートの発掘と育成と強化、これは当然なんですけれども、国内外の合宿ですとか、そういう大会の派遣の充実、医科学サポート、あるいは四十七都道府県にオリンピックのメダリストがおりますから、そういうような選手たちを更に育成をし雇用をして、メダリストの発掘作業を同時にやっていかなければいけないのと、各県にNF独自のエリートアカデミーというものを実施していく必要も同時にあるんだと思います。
 また、海外でしか競技ができない、あるいは合宿ができないというような種目もありますので、そういったことに関しての長期海外派遣などが挙げられますし、また、チーム競技というのは当然海外で転戦をさせなければいけないものですから、トップレベルとの競い合いの中で海外のクラブに選手を送り込んでいくという、そういうルートの開発、そんなこともしていかなければいけませんし、また強化費の財源の確保、これは一番の問題でありますけれども、NFの事務局の同時に基盤整備というもの、体制、組織の強化、こういったものもしていかなければいけないというふうに思っております。
 そこで、やっと質問になるんですけれども、二〇二〇年の東京大会に向けて、やはり何としてもトレーニングセンターの拡充というものを更に目指していただきたいなというふうに思っております。
 都立産業技術研究センターの跡地、これは今のトレーニングセンターの横にあるわけなんですけれども、ここが土壌汚染の問題もあるようですけれども、こういったものを早急に解明して東京大会までに使用できるようにしたいというお考えだとお聞きしております。これは大変スポーツ界にとっては有り難いことですが、できるだけ早くの整備をしていただいて、どうしても選手を育成するには時間が掛かりますので、早い段階で、リオに間に合うぐらいのスピードで、そういった拡充強化に入っていただきたいというふうに思うんですけれども。
 それと同時に、海外では、ナショナルトレーニングセンターを使用するときには、使用料ですとか食事代ですとか宿泊費、これは当然負担がありません。でも、日本はまだ自己負担が多少あるんですね。韓国の方へ行きますと、ナショナルトレーニングセンターを使用して合宿をする場合は逆に日当まで出るという国もあります。日本は、そういう意味では自己負担が、まだナショナルトレーニングセンターを使用するのに使用料が掛かるというのは、ちょっと強化体制としては非常に遅れていくような状況になりますので、その点についてこれから大臣がどのようにお考えなのかということをまずお聞きしたいと思います。
#6
○国務大臣(下村博文君) まず冒頭、橋本委員にはソチ・オリンピックの団長として大変御尽力をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。
 お話ありましたが、国外では過去最高の八個のメダルを獲得されたということ、それから、残念ながらメダル獲得できなかった選手も、例えば高梨選手や浅田真央選手も本当に国民から勇気と感動を与えたくれたという所思、振る舞い含めて、それぞれのオリンピック選手がそれぞれのドラマをつくって、そして自分の限界に挑戦をされたというその姿は、本当に、連日日本でも中継等を含めてメディアでも報道されておりましたが、大変な勇気と感動、そして自分も頑張ろうと、こういうことを与えてくれたのではないかというふうに思います。
 特に橋本団長はマインド的な部分で選手団の取りまとめをされておられたということを、私は、実際はゼロ泊三日でソチに行ったんですが、ソチにいる滞在時間は十時間ぐらいだったんですが、選手村に行きまして、そのとき日本選手が宿泊している棟に行きましたら、もう橋本団長の選手に対する檄文というかメッセージがいろんなところに貼ってありまして、本当に心身共に先頭に立って選手を引っ張っているんだなということを目の当たりにしました。選手も橋本団長の下に、これはコーチ、監督含めて、まさに日本選手団が一体となって取り組んでいるということは、これは橋本団長の力だと、リーダーシップだというふうに思いますし、マスコミがどこもそれは入っていませんから書いておりませんけれども、代わりに私の方からほかの委員の方々にも報告をさせていただきたいと思います。
 また、マルチサポート拠点も、これはスケートの方ですが、視察に行かせていただきましたが、冬季では初めてソチに設置をしたということですが、本当に選手の皆さんが喜んでおりました。ありとあらゆる部分でやっぱりサポートがあると。そのことによって、競技については今までの練習の成果をあらゆる意味でベストの状況で発揮できると。そのためのマルチサポート拠点があるということは本当に選手にとっても励みになるということでの感謝というのは私も随分聞かされましたし、そういうことで貢献できるということはすばらしいことだなというふうに思います。
 これから二〇二〇年に向けて、日本は、トップアスリートだけではなくスポーツ全般についてもそうですが、国の施策が非常に遅れている部分がやっぱりあると思いますので、是非二〇二〇年、オリンピアン、そして今パラリンピアンも活躍している最中でありますが、それぞれベストの状況でこれから二〇二〇年を迎えるような、そういう環境づくりをしていくことによって、これは選手のためだけでなく、国民全体がそのことによって内心面における活力を提供してもらうという意味で、オリンピック・パラリンピックの位置付けは大変重要だというふうに思います。
 そのために、今御指摘がありましたが、ナショナルトレーニングセンターでありますけれども、このナショナルトレーニングセンターも冬季の選手が活用できているという部分があって、それもロンドン・オリンピックと同じように、今回ソチにおいてもナショナルトレセンも一定の貢献をした結果がメダルにも表れているのではないかと思いますが、今のナショナルトレーニングセンターは競技種目対象が限られているということで、御指摘のように第二ナショナルトレーニングセンターの整備について、これはJOCからも要望されていることでありますし、また、二〇二〇年東京大会の成功のためにも日本チームの格段の競技力向上を図る必要があることから、競技団体の強化計画などを踏まえながら、東京都を始め関係者の意見を十分伺いつつ検討するよう事務方に指示しているところでありますし、私の方からも直接、この都立産業技術研究センターは東京都の土地でありますので、是非協力をしていただきたいということを昨年から申入れをしているところでございます。
 また、既設のナショナルトレーニングセンターは最先端のトレーニング施設設備を有しておりますが、競技団体の負担軽減等の観点から、その利用料金は同規模の公共スポーツ施設の利用料金と同程度の設定としているところでございます。このNTCの利用料、それから宿泊料、食事代等の無料化についてのことでありますが、これは独立行政法人が運営する施設の在り方や、NTC以外の施設で強化活動を行っている競技団体とのバランスなど、考慮すべき課題もございます。他方、NTC利用料金等の競技団体負担については、強化費の競技団体負担分である三分の一を負担し切れない競技団体もあり、選手本人が負担せざるを得ないということも聞いておりまして、これも同様の課題であるため、御指摘の趣旨は十分理解できるところでもございます。
 今後、二〇二〇年東京大会の成功に向け、競技力向上の観点からどのような方策での対応が可能か、JOCや関係団体と緊密に連携し、検討してまいりたいと思います。
#7
○橋本聖子君 ありがとうございます。是非、今大臣おっしゃっていただいた内容を早急に進めていただきたいというふうに思います。
 先ほど高梨沙羅選手あるいは浅田真央選手のお話がありました。先ほどのマルチサポートといいますか、サポート体制の一環として強化をしなければいけない話にちょっと戻るんですけれども、金メダルを取れる選手、取れなかった選手、いろいろあります。今まで私が数多くの選手たちを見たり、あるいは競技を通じて情報を得たり、そういう長い間の中で、どういうメダルの取り方が一番難しいのかということによく話がなるんですね。一番難しいメダルの取り方は、世界ランキング一位の選手が金メダルを取ることなんです。二番、三番が金メダルを取ることは非常に多いですね。四番、五番手のランキングの選手がメダルに手が届くということが多い。それだけオリンピックというのは非常に難しい勝負どころなんだということを表しているんだというふうに思いますけれども。
 そういう意味においては、今回メダルを確実に取れる選手が取ることができなかったということの敗因、これはマスコミ対策ですとか含めまして、周りのサポートする体制強化、こういったものも全て考えて強化対策を日頃からしていかなければ、メダルを取りにいくんではなく、力をどう発揮させるかという観点に変わっていかないと、オリンピックが今まで以上に特別なものという扱いの中で緊張して、そして競技力が落ちてしまうという傾向が今まで見えておりますので、そういったことも全てがマルチサポートなんだということ、これも私たちの一つの大きな課題だなというふうに今回思いました。
 そして、特に世界最高の選手を育てるのには何が必要か。これは実は世界最高のコーチが必要なんです。世界最高のコーチでなければいい選手を育てられないんだと私は常々思っております。
 その中で、今、日本の限界は、実はアマチュアスポーツはボランティアでコーチしているような状況です。これではいつまでたっても世界に通用する選手を育てることはできないんだというふうに考えているんですが、それをにらみながら、今JOCとしてはナショナルコーチアカデミーというものを実施をしておりまして、共通のトップコーチに必要なカリキュラムというものを、合同で、トレーニングですとかあるいは講義ですとかあらゆるものを実習させまして、一週間に三、四泊しながらこれを十週間、あらゆる分野について修了した者が初めてそのカリキュラムを修了したという修了証をもらって、そしてやっとしっかりとしたナショナルコーチに任命されるということなんですけれども。
 やはり、ただ、そこの部分だけに終わるんではなくて、これからしっかりとこの修了というものを義務付けていく中で、将来的には一つの国家資格のようなものがあって、安定した状況の中で選手たちをしっかりと専門分野としてプロフェッショナルの意識の中で育てていくというようなコーチや監督の育成が今急務なわけですけれども、その点について、大臣、どのようなお考えを持っていますでしょうか。
#8
○国務大臣(下村博文君) 確かに、羽生選手は世界トップのコーチを求めてカナダに行ったわけですし、竹内選手もスイスで長くコーチの下で訓練をした。その結果がメダル獲得につながっているわけですし、それが海外ではなくて、国内で日本選手にとってもすばらしい監督、コーチがいる環境であれば、なかなか経済的な理由でチャレンジしようと思ってもできない選手も本当にたくさんいるというふうに思いますし、また、行った選手たちも経済的にはもう大変だったんではないかと思いますし、トータル的な支援をどうするかということは今後本当に我が国の課題だというふうに思います。
 また、今御指摘の点でございますが、そのように国際的な競技水準の向上に対応していくためには、スポーツ指導者等が高度な専門的能力を習得することが重要であり、スポーツ基本計画においても、スポーツ指導者等のトップスポーツの推進に寄与する人材の養成が政策目標として掲げているところでもあります。
 JOCナショナルコーチアカデミーは、我が国のトップアスリートの指導に携わる者の能力向上に重要な役割を果たしているということから、この計画においても、JOCによる更なる充実等の取組が期待をされるとともに、国は必要な支援を行うということになっておりまして、現在、スポーツ振興くじ助成を通じて支援を行っているところでもございます。
 JOCナショナルコーチアカデミーの修了生に対しては修了証が発行され、対外的に修了したことを証明することができるようになっているというふうに承知しておりますが、更なる指導者の評価の確立や適切な活用といった課題に関しては、スポーツ関係機関がスポーツ指導の課題共有、改善充実に取り組むコンソーシアムの設置等を通じて取組を進めていきたいと考えております。
 今後とも、関係団体とも連携しつつ、我が国の国際競技力の向上に資するよう、スポーツ指導者の資質、能力の向上及び社会的地位の確立に向けて取り組んでまいりたいと思います。
#9
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 アスリートが現役引退後もそのような職業といいますか、そういうものを一つのセカンドキャリアとして身に付けるというふうなものが国家的にあれば、またさらに、そういう指導者が地域に戻って、そしてスポーツということだけではなくて青少年の育成ですとか、あるいは、スポーツというのは完全なる予防医療と予防医学ですから、そういうけがをしない、病気にならない子供たちの体をつくり上げていくということに地域と連携をすれば、より、今大きな問題を抱えている医療費の削減、そういったものにもつながっていくことになるので、スポーツということだけではなくて、もっと裾野の広い分野で活躍ができる人材育成を同時にやっていくことがこれからは必要ではないかというふうに思いますので、是非その点についても御協力、御支援をお願いをしたいというふうに思います。
 今パラリンピックが開催中であります。なかなかパラリンピックが盛り上がらないということで、非常にこれをどのように、多くの皆さんにこのすばらしいパラリンピックというもの、そしてそこで活躍する選手の背景、そういうものが私は逆に言えばこれからの教育にまさにつながっていくすばらしいものだというふうに思いますし、ある意味では、先ほどのような医療というものの観点からも、新しい分野に健康産業として向かっていくことができるという、私はパラリンピックほどすばらしいものはないというふうに思っているんですけれども、今、世界に比べますと、やはりこのパラリンピックのナショナルトレーニングセンター、日本はまだまだといいますか全く遅れているような状況であります。特にスポーツの指導者、障害者スポーツの指導員というのはここ十年間ほぼ変化なしということで、二万二千人にとどまっているという現状であります。
 なかなか同時に同じ場所で利用するということはできないということで、今回も新しくナショナルトレーニングセンター、これをパラリンピックの選手、あるいは障害者スポーツのためのナショナルトレーニングセンターというものの調査費が盛り込まれて、非常に私たちにとっては期待をしているところなんですけれども、その状況をどのようにこれから進めていかれようとしているのか、お考えをお聞きしたいと思います。
#10
○国務大臣(下村博文君) 今のナショナルトレーニングセンターでは、一部、障害者スポーツ対応ができるような、パラリンピアンが活用できるようなものもありますが、これ、JPCの方から是非パラリンピアンのためのナショナルトレーニングセンターを造ってほしいという要望を受け、調査費含め今検討しているところでございます。
 ただ、既存の医療関係とも連携することが必要であるというふうに思いますし、また、なかなか交通移動の部分から、一か所というよりは、できたら全国に何か所か、それほど大規模化ではなくても、できるだけ交通の便の身近なところで、なおかつ医療的なものをカバーしながらそういうナショナルトレーニングセンター的なものをできないかということで、日本障害者スポーツ協会等からも、あるいはパラリンピアンからも要望されているところでありますし、できたら二〇二〇年に間に合うような形で是非進めたいというのが今政府で考えている方針でございます。
#11
○橋本聖子君 御存じのように、障害者スポーツは大変なカテゴリーがありまして、視覚障害、聴覚障害、あるいは脊髄損傷による腰椎関係、そういった選手たちは、全く医療が伴わなければいけない、あるいは医療がそれほど伴わなくてもトップレベルでできる選手、あらゆる分野に分かれているんですね。
 是非大臣にお願いをしたいのは、パラリンピアンに直接声を聞いていただきたいと思うんです。選手たちが何を求めて、ただ単にパラリンピアンの選手たちというのは競技力向上だけでは決してないんですね。その障害者としての全体的な社会に向かって何を発信するべきかというところまで奥深く考えている選手たちが非常に多いということ、それを一つのやはり国の政策の基本といいますか、基本的な考え方や、あるいは、これから社会と障害者が本当の意味でのバリアフリーの世界を築いていくために大変な大きな考え、ヒントを持っておられる選手たちばかりなものですから、ナショナルトレーニングセンター・パラリンピック版というのもつくり上げていくときには、是非、事務方ももちろんですけれども、まずは第一にアスリートの声を聞いて施設づくりというものに入っていただければ、私はよりすばらしいものができるんではないかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 二〇一一年に韓国の鎮川、これはナショナルトレーニングセンターが集結しているところで、韓国のナショナルトレーニングセンターを視察をさせていただいたわけなんですけれども、韓国も日本と同様に高齢化に伴う医療費削減、健康増進を進めているということで、非常にすばらしい施設が韓国は整っております。
 そのうち十三競技を重点競技に認定しているんですけれども、国がしっかりと支援をしてあげなければいけない部分のスポーツ、特にライフル射撃ですとか、銃を持つというのは規制が非常に厳しいものですから、そういったことを韓国は非常に緩和をして、小さなジュニアのアスリートのときから特別に銃を持って撃つことができるようなこともしているということですね。そして、人口が少ないレスリングや柔道、バドミントン、そういったものを徹底的に国がサポートして、ジュニアアスリートを育成している。
 そして、トレーニングセンターの周りには十五の体育学校がありまして、午前中は学校に通い勉強をして、午後からはトレーニングをする、そしてスポーツに必要な医科学的な部分ですとか語学ですとかあらゆる面の勉強をして、スポーツということの学校ではあるんですけれども、次の人生にどういうスポーツが生かされていくかということまで考えているシステムを学校を造ってやっているという国であります。
 そういう点からすると、日本はもう少し踏み込んだ強化も、学校との連携を取りながらやっていきたいということもJOCは考えているんですけれども、大臣はそのことについてどのような、何か構想がありましたら、是非お考えをいただきたいなと思います。
#12
○国務大臣(下村博文君) まず、パラリンピアンの方々に対しては、是非直接要望を聞くようにしたいと思います。
 先日、ソチのオリンピアンの方々が帰国をされて大臣室に来ていただいて、それぞれ、橋本団長の下に、選手の皆さんが一言ずつ皆さん要望等を言っていただいたのが非常に我々にとっても参考になりました。同じようなことで、是非パラリンピアンからもお話を聞く機会をつくりたいというふうに思います。
 そして、ジュニア競技者の育成の件でありますが、このジュニア期からトップレベルの競技者に至るまでの継続的、計画的な育成は極めて重要であるというふうに思います。ジュニア育成においては、競技力の向上のみならず、人間教育も視野に入れた指導が併せてまた必要でもあるというふうに思います。
 現在、ジュニアの育成については、各競技団体における一貫指導システムによるジュニア期からの競技者育成、そして、JOCにおける味の素ナショナルトレーニングセンターを活用し、長期的、集中的に指導を行うエリートアカデミー事業などが実施されております。
 文科省としても、平成二十六年度から、二〇二〇年東京オリンピック競技大会に活躍が期待されるジュニア競技者を重点的、計画的に発掘、育成、強化するための二〇二〇年ターゲットエイジ育成・強化プロジェクトを実施する予定であります。
 ジュニアの育成については、全国の体育科コースを有する高等学校、体育学部、体育学科を有する大学と連携した方策も考えられるというふうに思います。
 スポーツ学校の創設については、これまでスポーツ基本計画にはない初の御指摘でございます。
 ただ、私は、東京都知事には、前の都知事には、ナショナルトレーニングセンターの隣にまだ都有地空いているところがあるので、そこに元々東京都は中高一貫のスポーツ学校を造るという計画がありましたから、その場所に是非造ったらどうかということを提案をしておりましたが、都知事が今度舛添知事に替わりましたので、これは東京都の計画ですが、二十三区内においても一つ造ったらどうかということを改めて提案したいと思っていますが、それは東京都の話でございますので。
 国としてどうするかということでありますが、国においては、まず一つは現行の学習指導要領での実施の可否、それから国策としてスポーツ学校を創設することの是非という検討をしていかなければならないという、そういうやはり必要性はあるというふうに思います。
 ジュニアの育成が一方で急務であるということ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックがある、それに対してどう準備できるかということについては同感できる部分もありますので、まずはこのジュニアの育成がより効果的に、体育、スポーツの部分、それから人間教育の部分からどんな形でできるかということについてしっかり取り組むようにしながら、また、私の地元の板橋区の、地元の小中学校がこのジュニアエリートアカデミー事業の受皿の学校になっていますから、そういう学校の話もよく聞きながら、ジュニアのトップアスリートの皆さんがより効果的にメダルに向かっていくような体制を国としてどう取れるかということについてしっかり検討させていただきたいと思います。
#13
○橋本聖子君 ありがとうございます。
 是非、どうしても育成というのは非常に時間の掛かることなものですから、リオや東京オリンピックとなりますと、ジュニアの育成と同時にですけれども、即戦力の育成が必要になってくる。ただ、それ以降を考えると、今まさにジュニア育成一貫指導システムの構築が必要ですので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 今回の強化のテーマは、人間力なくして競技力の向上なしを掲げさせていただきました。選手たちは、頑張ることができることに感謝をする、多くの人たちの支えがあってこそ自分自身があるんだということで、感謝の気持ちを述べる選手が大変多くあり、有り難いことといいますか、感動しておりました。
 その中で、金メダリスト、唯一の金メダリスト羽生結弦選手は被災地の選手であります。自らが被災に遭い、そして家は全壊をして、そして一時的には避難生活を送っていたという選手でありました。被災地の子供たちに、未来の子供たちにメッセージを送りたい、その思いで彼は金メダルを目指して、そして報奨金も全ては被災地の子供たちの競技力の向上のために寄附をするというすばらしい言葉をいただいたなというふうに、彼の行動力とその心に感謝をしているわけでありますけれども、そういった羽生選手が頑張ることができたのは、実は被災地の子供たちの熱いメッセージでありました。これから、スポーツというものがすばらしい人間力をつくり上げることができるんだということを彼は体でといいますか示してくれたんだと思いますけれども、改めて、三年たった被災地の子供たちに夢と希望、感動をお届けできるような大臣からの熱いメッセージをいただければ有り難いと思います。
#14
○国務大臣(下村博文君) まず、東日本大震災から三周年を迎え、被災により犠牲となられた全ての方々に対して改めて哀悼の意を申し上げたいと思います。
 そして、今、羽生選手の話が出ましたが、大臣室に来られたときも、自分のことではなくて周りに対する感謝、それから被災地の子供たちに対して国がしっかり応援してほしいと、こういうことを羽生選手が要望として出されたということについては、本当にアスリートとしても一流ですけれども、まだ十九歳ですけれども、人間としても一流になっているなということを改めて感じました。
 私は、これまで合計六回被災地を訪問し、子供たちや先生と懇談するなど被災地の教育現場を肌で感じました。被災三周年を迎え、一刻も早い復興に向けて決意を新たにしているところでもございます。被災地においては、仮設校舎や間借り校舎などでの学習を余儀なくされている子供たち、まだ百校近くあります。依然として厳しい学習環境の中で一生懸命学び励んでいるということに対して、国がもっとバックアップをしなければならないというふうに思います。
 子供たちには、現在の苦難を乗り越え、力強く成長してほしいと願っております。困難な状況にある今こそ、互いに助け合い、人と人とのきずなの大切さや仲間とともに郷土を発展させていくすばらしさを知り、未来に向かって大きく羽ばたく礎を是非こういう厳しいときだからこそ築いてほしいというふうに思います。
 私としては、学校施設の復旧、子供たちの心のケアや就学機会の確保のための経済的支援、教職員定数の加配措置などを通じまして、子供たちが以前と同様落ち着いた環境の中で安心して学べるよう、全力で応援をしてまいりたいと思います。
#15
○橋本聖子君 ありがとうございました。
#16
○堀内恒夫君 自民党の堀内恒夫でございます。本日が初質問となります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 先日行われたオリンピック、選手の皆さんの御活躍、感銘いたしました。そして、今まさにソチでパラリンピックの熱い闘いが行われているところですが、アルペンスキーの狩野選手が連日金メダルに輝くなど、選手の皆さんがすばらしい活躍を見せてくれています。
 そして、このパラリンピックを含め、スポーツ振興の観点が強い事業について、障害者スポーツ行政の担当が二〇一四年より厚生労働省から文部科学省へ移ります。これによって、障害を持つ人々のスポーツ行政と障害を持たない人々のスポーツ行政が一体的に行われ、現在抱えている様々な課題が解決できるのではないかと期待しているところです。
 平成二十四年に策定されたスポーツ基本計画においても、年齢や性別、障害等を問わず、広く人々が、関心、適性等に応じてスポーツに参画することができる環境を整備することとしています。私自身、スポーツに関わってきた者として、子供もお年寄りも障害がある方も手軽にスポーツができる環境づくりをすることが大切だと常々考えております。
 それを踏まえ、本日は、パラリンピックを含む各種競技会に参加する選手はもちろん、医学的リハビリテーションだけでなく、純粋にスポーツを楽しむ方たちのための障害者スポーツの振興を中心に、また、全ての国民が生涯を通じてスポーツを楽しめることができる生涯スポーツの在り方について質問したいと思います。
 パラリンピックの意義とその効果についてお伺いします。
 日本において、一九六四年に東京パラリンピックが開催され、翌年から国民体育大会が開催された地で身体障害者の全国スポーツ大会が開催されるようになり、障害者スポーツの契機になったと聞いています。その後、一九九八年の長野パラリンピックで、マスメディアを通じ、国民が広く障害者スポーツを意識することになり、これによって、社会的に不利を受けやすい人々が社会の中でほかの人々と同じように普通に生活し活動することができる社会をつくることの大切さや、障害者の自立や社会参加を支援していこうという認識が広まってきたものと思います。
 このように、パラリンピックには、障害者スポーツの振興に大きな役割を果たしていると思いますが、パラリンピックの意義、効果についてどのようなお考えを持っておられるか、お伺いいたしたいと思います。
#17
○国務大臣(下村博文君) 堀内委員は野球選手として野球分野で大変な御活躍をされ、今回、参議院議員として、その成果を更に政治の世界の中で多くの国民にスポーツを通じてこれから我が国の発展に更に貢献をしていただきたいというふうに、私の方からまず、かつてのファンでございましたので、お願いを申し上げたいと思います。
 そして、パラリンピックの意義と効果でありますが、パラリンピック競技大会は、スポーツを通じて障害者の自立と社会参加の促進を図るとともに、広く障害者への理解を促進し、国際交流を深めるものでありまして、自らの障害と向かい合いながら無限の可能性に挑戦する選手の姿は、国民に大きな夢と感動、勇気を与えてくれるものであるというふうに思います。
 これまでパラリンピック競技大会の所管は、御指摘のように、福祉、自立支援の観点から厚生労働省の所管とされてきましたが、来年度からスポーツ振興の観点から文部科学省の所管へと改めることにいたしました。
 二〇二〇年パラリンピック競技大会の開催に向け、障害者や高齢者を始めとする全ての人々にとって安全で快適に移動できるバリアフリーの都市づくりを進めることはもちろん、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し合う共生社会を実現することは大変重要なことであるというふうに認識しております。東京大会の開催を機に、スポーツを通じて障害者の自立と社会参加の促進を図るとともに、パラリンピックの理念や障害のある人々への理解を深めるためにも、パラリンピアンと子供たちの交流機会の一層の拡大など学校における取組が必要と考えており、今後、大会組織委員会や東京都等と連携して具体的な施策を検討し、進めてまいりたいと思います。
#18
○堀内恒夫君 ありがとうございました。
 障害者競技の情報発信についてお伺いします。
 障害者競技は、パラリンピック以外にもデフリンピック競技大会、スペシャルオリンピックス世界大会、アジアユースパラ競技大会などの国際大会が行われていますが、残念ながら御存じない方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。ソチ・パラリンピックでは開会式の地上波の生中継、冬季大会では初めて行われましたが、まだまだオリンピックに比べると取り上げ方が小さいように思います。今後も、障害者競技全体を取り上げることがどんどん増えていってほしいと思います。
 二〇一二年に日本パラリンピアンズ協会が行った第二回パラリンピック選手の競技環境その意識と実態調査によると、パラリンピック選手が考えるオリンピック選手との違いについて尋ねた結果、半数以上が、競技団体の組織力や経済力、一般人の関心、次いで競技環境、マスコミの扱い、スポンサーと続いています。
 国民の関心が高まることがスポンサー獲得につながる、競技環境の充実にもつながっていくのではないかと思いますが、情報発信についてどうお考えでしょうか。お願いします。
#19
○副大臣(櫻田義孝君) パラリンピックを始め、デフリンピック、スペシャルオリンピックスなど、障害者競技につきましては、オリンピック競技と比較いたしますと国民の認知度が十分あるとは言えない状況でございます。このため、障害者競技における多くの選手、競技団体は、選手が十分に練習できるだけの資金を確保することが困難であるものと承知しており、障害者競技をオリンピック同様、広く国民一般に対して普及させることは非常に重要な課題の一つであると考えております。
 来年度からは障害者スポーツが文部科学省に移管されることになりますが、この利点を生かして、例えば体育の日におけるイベントの活用や学校現場における取組など、障害者競技の普及、振興策について関係団体等とも連携しながら検討してまいりたいと思っております。
#20
○堀内恒夫君 御答弁ありがとうございました。
 障害者スポーツに関しては、パラリンピックの所管が文部科学省へ移管されましたが、リハビリスポーツは厚生労働省の所管のままです。例えば、リハビリスポーツを行っていた障害者が競技者となることもあるでしょう。是非両省で連携を取って、しっかりとした支援体制を整えていただきますようお願い申し上げます。
 続きまして、生涯を通じてスポーツを楽しむ生涯スポーツについてお伺いします。生涯スポーツ社会の実現についてです。
 スポーツ基本法の基本理念に、「スポーツは、これを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利であることに鑑み、国民が生涯にわたりあらゆる機会とあらゆる場所において、自主的かつ自律的にその適性及び健康状態に応じて行うことができるようにすることを旨として、推進されなければならない。」とあります。
 国民誰もがいつでもどこでもスポーツに親しむことのできる生涯スポーツ社会を実現するためには、更に環境の整備が必要であると考えていますが、今後の取組についてお伺いしたいと思います。
#21
○副大臣(櫻田義孝君) 全ての国民が生涯にわたりスポーツに親しめる環境の整備を充実させることは、健康で活力に満ちた長寿社会の実現や地域社会の活性化にもつながる重要な課題であると思っております。
 委員御指摘のとおりスポーツ基本法では生涯スポーツ社会実現の基本理念が掲げられており、同法に基づき策定されたスポーツ基本計画においても、年齢や性別、障害等を問わず、広く人々が関心、適性等に応じてスポーツに参画することができる環境を整備することが基本的な政策課題とされているところでございます。これを踏まえ、同計画において、スポーツ推進の基本方針として、一つ目に子供のスポーツ機会の充実、二つ目にライフステージに応じたスポーツ活動の推進、三つ目に住民が主体的に参画する地域のスポーツ環境の整備、四番目にスポーツ界における好循環の創出等が掲げられており、文部科学省といたしましてはこれらに基づき様々な施策を実施しているところでございます。
 生涯スポーツ社会実現のために、スポーツ基本法及びスポーツ基本計画に基づき、今後一層スポーツへの関心を高め、スポーツに親しむ場を確保するなどの環境整備を図っていく必要があると考えており、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催も契機として取組の充実を図っていきたいと考えております。
#22
○堀内恒夫君 ありがとうございます。
 高齢者のスポーツ活動についてお伺いします。
 実際に国民のスポーツ活動はどの程度行われているかを見ますと、まず、子供では、よく運動する子供と全く運動をしない子供が二極化しており、例えば女子中学生の四人に一人は体育の授業を除いて一週間の運動時間がゼロだということです。また、成人では、週一回以上スポーツを行っている方の割合は四七・五%ということですが、世代的に見ると、二十から四十歳代は三六%から三八%と低くなっています。さらに、いわゆる私ども団塊の世代が退職するタイミングになってきている今日、健康で長寿を享受していただくことのためには高齢者のスポーツ活動を一層盛んにすることも重要であると思います。このような課題に対して国としてどのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと存じます。
#23
○政府参考人(久保公人君) 国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味、目的に応じて、いつでもどこでもいつまでも安全にスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現に向けた環境の整備を推進することは大切であると考えております。
 子供に関しましては、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果から、平成二十年度以降の体力、運動能力はほぼ横ばいであること、中学校女子生徒の約四分の一は一週間の総運動時間がゼロ分であることなどが明らかになっておりまして、幼児期からの楽しい運動の促進、体育、保健体育の授業を始めとした学校全体での取組の推進、総合型地域スポーツクラブとも連携した運動、スポーツの場づくりなどの取組に努めていく必要があると考えております。
 また、若者及び高齢者に関しましては、体力・スポーツに関する世論調査の結果から見ました場合に、若年層の週一回以上のスポーツ実施率が低い、あるいは高齢者では年に一回もスポーツをしない人が約四分の一に上っている等の課題が明らかになっておりまして、若者のライフスタイルに沿って行いますスポーツを通じた町づくりやにぎわいの創出などに有益な研修事業などの支援策、あるいは高齢者がそれぞれの嗜好や健康状態に応じて無理なく継続できる運動、スポーツプログラムの普及啓発などに取り組んでいるところでございます。
 これらの取組を通じて、子供から高齢者までライフステージに応じたスポーツ活動を推進してまいりたいと考えております。
#24
○堀内恒夫君 次に、総合型クラブの育成についてお伺いします。
 子供から高齢者まで地域の住民が継続的にスポーツに親しめるようにするためには、地域コミュニティーの核となる総合型地域スポーツクラブが重要であると考えます。
 総合型クラブは、現在、全市区町村の約八割に存在し、総数は三千五百となっていると聞いています。自立的、継続的なクラブの運営には課題も多いと聞いているところですが、今後、スポーツ実施率を高めるためにはどのような総合型クラブを育成していくかが課題だと思います。文部科学省の見解を伺いたいと思います。
#25
○政府参考人(久保公人君) 委員御指摘のとおり住民が主体的に参画する地域のスポーツ環境の整備は重要でございまして、文部科学省では、子供から高齢者までの誰もがいつでもどこでも気軽にスポーツに親しめ、住民が会費や寄附金で自主的、主体的に運営する地域密着のスポーツクラブであります総合型地域スポーツクラブの育成を図ってきているところでございます。
 現在、総合型クラブの設置率は御指摘ございましたように約八割となってございますが、スポーツ基本計画におきましては、各市区町村内に少なくとも一つは総合型クラブが育成されることを目指すとしております。この目標の達成に向けまして、スポーツ振興くじ助成等を通じて、現在その創設支援を行っているところでございます。
 また、創設されました総合型クラブが自立的、継続的に活動を維持発展させていくためには、会員の獲得あるいは財源の多様化などの課題を解決していく必要がございます。このため、文部科学省といたしましては、平成二十六年度から、総合型クラブ同士のネットワーク化によりまして自立化を促す事業を開始いたしますなど、総合型クラブの魅力を高め、自立化につながる取組を支援しているところでございます。
 今後とも、地域のスポーツ環境において重要な役割を担い、コミュニティーの核となる総合型クラブへの支援を充実してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#26
○堀内恒夫君 ありがとうございます。
 大学、企業のスポーツ施設等資源の活用についてお伺いします。
 地域のスポーツ環境を充実するためには、地域の様々な資源を結び付けてスポーツの振興につなげていくことも重要であると考えています。
 例えば、地域の大学や企業には、優秀な指導者、整ったスポーツ施設などの資源が存在します。地域のスポーツ環境を充実させるためには、これらの大学や企業が有している資源を地域住民のために有効に活用し、スポーツを通じた地域活性化や地域住民の健康、体力の向上につなげていくべきだと考えていますが、いかがでしょうか。
#27
○政府参考人(久保公人君) 御指摘のとおり、地域の企業や大学は、人材、施設、研究能力等、スポーツにつきまして豊富な資源を有しております。地域スポーツにおいて、これらを積極的に活用していくことは重要であると思います。
 文部科学省では、地方公共団体が大学や企業、スポーツ団体等と連携を図り、大学や企業のスポーツ施設等において、教員や学生などによる地域住民を対象とした定期的なスポーツ教室、スポーツセミナーなどの指導を実施することによりまして、地域住民の運動、スポーツへの参加意欲を高め、スポーツを通じた地域コミュニティーの活性化を促進する取組を支援しているところでございます。
 このような取組を広めることによりまして、住民のスポーツへの参加意欲の向上、スポーツを支える人材の資質向上など、地域のスポーツ環境を充実させるとともに、医療、福祉関係機関等との連携によります住民の健康の増進と体力の向上、世代間、地域間交流の活性化など、スポーツを通じた地域社会の課題解決、地域活性化を進めてまいりたいと考えております。
#28
○堀内恒夫君 ありがとうございます。
 次に、今度はスポーツ人材の好循環についてお尋ねいたします。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催を契機に、多くの若者がアスリートを目指すことが予想されるところです。オリンピアン、パラリンピアンなどのトップアスリートについては、その競技力を向上させることはもとより、現役中又は引退後に彼らの豊かな経験をスポーツ指導等に生かし、地域のスポーツ活動も併せて充実させる人材の好循環を実現すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#29
○副大臣(櫻田義孝君) スポーツ基本法では、その前文において「地域におけるスポーツを推進する中から優れたスポーツ選手が育まれ、そのスポーツ選手が地域におけるスポーツの推進に寄与することは、スポーツに係る多様な主体の連携と協働による我が国のスポーツの発展を支える好循環をもたらすものである。」としているところでございます。また、同法第二十五条において「国は、優秀なスポーツ選手及び指導者等が、生涯にわたりその有する能力を幅広く社会に生かすことができるよう、社会の各分野で活躍できる知識及び技能の習得に対する支援並びに活躍できる環境の整備の促進その他の必要な施策を講ずるもの」としております。
 これを受けて、文部科学省では、トップスポーツの伸長とスポーツの裾野の拡大を促すスポーツ界における好循環の創出を目指し、トップスポーツと地域におけるスポーツとの連携、協働を推進するために、トップアスリートを地域におけるジュニアアスリート等の指導に活用する地域スポーツとトップスポーツの好循環推進プロジェクトを実施しております。トップアスリートが地域で活躍し、また地域からトップアスリートが育つなど、トップスポーツと地域スポーツの好循環を生み出す効果的な施策に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
#30
○堀内恒夫君 ありがとうございます。
 スポーツでは指導者が非常に大切です。是非、あわせて、競技指導者の育成と彼らが活躍できる場をつくっていただくことで人材の好循環につなげていただきたいと思います。
 最後になりますが、私の得意の分野で、野球とソフトボールの種目復活についてお願いを申し上げます。
 野球とソフトボールのオリンピック種目への復活を切に希望しています。特に私は野球界で育ってまいりましたので、非常に残念な思いをこの二大会しております。でも、日本で開催するオリンピックで野球やソフトボールの選手の活躍が見られないというのは非常に寂しいのではないか。いろいろと難しいことはあると思いますが、是非そういった思いを持つ者も多いということを心に留めていただいて、大臣のお気持ちをお聞かせいただければと思います。
#31
○国務大臣(下村博文君) 確かに、野球は本当に国民的なスポーツと言える、裾野が広い、我が国では大変に人気のあるスポーツでありますし、これはソフトボールも含めて二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックでもし競技種目に追加されれば、これはもう日本人全体のメダルが取れる十分な可能性のある、またそれだけの実績のある競技スポーツでもありますし、我が国にとっては大変望ましいことであるというふうに思います。
 これまでなかなか難しいかなと思われていたことでありますが、昨年の九月のIOC総会ではレスリングが実施競技に追加決定され、合計二十八競技実施することになりましたが、その後、トーマス・バッハ新会長が、実施競技数について柔軟性を持たせてもいいという、そういう新たな発言があり、IOCにおきまして二〇二〇年以降のオリンピック競技大会における実施競技を含め幅広くオリンピックの在り方について検討が始まり、先月、ソチで行われたIOC総会でも議論がなされ、今年末には一定の方向性が示される予定であるということを聞いております。
 実施競技数をどうするかについては、まずはIOCで判断されるということでありますが、我が国としては、御指摘の野球やソフトボールを始め、日本が得意とする競技、ほかにもございます。それが実施されることになれば、これは我が国にとって、また国民にとっても望ましい方向であるというふうに考えますし、是非そういう方向になるようにIOCで判断されるように切望を私の方もしたいというふうに思います。
#32
○堀内恒夫君 ありがとうございます。心強いお言葉をありがとうございました。是非、是非お願い申し上げます。
 私、初質問でございますので、ちょっと時間が早いんですが、よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#33
○委員長(丸山和也君) この際、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会に、文部科学省研究振興局長小松親次郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○委員長(丸山和也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#35
○斎藤嘉隆君 民主党の斎藤嘉隆でございます。今日はどうぞよろしくお願いをいたします。
 今、急遽でありますけれども小松局長にお越しをいただきました。
 理化学研究所の小保方さんの研究論文について今様々な形で報道がなされています。STAP細胞論文そのものに非常に疑義が寄せられているわけでありますけれども、この理化学研究所、当然でありますけれども文科省所管の独立行政法人であります。
 文科省には、この理研に対して、今後どのような展開、この話がなっていくかは分かりませんけれども、必要な指導なりあるいはきちっとした対応をお願いをしたいとは思っておるんですが、私も報道ベースでしか今の現状を把握をしておりません。是非局長に現状、この問題について文部科学省さんとしてどのような対応をしていらっしゃって、またどのような進捗状況であるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#36
○政府参考人(小松親次郎君) お答えを申し上げます。
 今お話のございましたSTAP細胞につきましては、一月三十日にネイチャー誌に論文が掲載をされまして大きく話題になりました。その後、二月十三日に外部の研究者から論文の画像に不自然な点があるといったような指摘が理研に寄せられまして、理研では直ちに調査を開始するという形になりました。その後、時間の経過の中で、論文の一部が他の論文の記述と似ているのではないか、あるいは論文の画像がほかの論文の画像と酷似しているというような指摘が様々になされているところでございます。
 私どもとしても、それを把握、承知しながら、理化学研究所とも連絡を取り、その調査研究を、内容的には科学的にしっかりと、それからできるだけ速やかに進めていただくということで求めてまいったところでございます。現在、理研の所内、内外の研究者等の方々による調査委員会をつくって、ここが調査研究をしているという状況にございます。
 事柄の性質上、調査には一定の時間が掛かりますけれども、社会的関心の大きさ、それから論文の信頼性等に鑑みまして、途中経過の報告を対外的に行うということにしていただきまして、明日でございます、明日の午後、これまでの調査の進捗状況、それから理化学研究所としての現在の考え方等を外へ説明するということにしていただいているところでございます。
 文部科学省としては、所管の省庁といたしまして、引き続き専門的な見地からしっかりとした調査を実施すること、そしてできるだけ速やかに事実を明らかにしていくことを求め、そのあしたの発表も含めまして、調査の進捗と結果に応じて適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#37
○斎藤嘉隆君 是非速やかに、できればこの内容、疑念が晴れることを望んでおりますけれども、必要な対応をしっかりと文科省としても、本当にこれだけ大きく世間的に話題になっている事柄でありますので、是非お願いをしたい、その点を一点お願いをさせていただいて、この件については質問を終えたいと思います。
 次に、今日は櫻田義孝副大臣にお越しをいただいております。櫻田副大臣に少しお聞きをさせていただきたいと思います。
 先般、三月の三日でありますけれども、副大臣は河野官房長官談話の見直しを求める国民大集会という集会に出席をされました。その中で、私もユーチューブで拝見をしましたけれども、このようにおっしゃっておみえです。私は、うそをついたり人をだましたり事実を捏造したりすることが大嫌いな人間であります、常に真実は一つ、余り正直に言うと最近物議を醸し出して困るんです、皆さんと心は同じ、考え方も同じでございます、一生懸命応援します、頑張ってくださいと。
 これ、櫻田副大臣のおっしゃったこと全てでありますけれども、ここで言う、心が同じ、考え方も同じ。何が同じでどう応援するとおっしゃっているのか、発言の真意を是非お聞かせをいただきたいと思います。
#38
○副大臣(櫻田義孝君) 私は、三月三日に開かれました河野官房長官談話の見直しを求める国民大集会に途中出席して、その際、求められて挨拶をし退席したわけでありますが、この際、私の発言の真意は、河野談話に関する事実関係を確認する検証が非常に大切であるとの趣旨でございます。皆さんと同じ、考え方も同じ、一生懸命応援と、個別の発言についてありましたけれども、集会における私の発言の真意は、河野談話の見直しを求めるものではなく、同談話に対する事実関係を確認する検証が非常に大事であるということでございます。
#39
○斎藤嘉隆君 もう一回確認します。これは河野官房長官談話の見直しを求める集会ですね、これ。その集会に出られて、副大臣、心が同じ、考え方も同じとおっしゃっているわけであります。誰がどう考えても、これは参加の皆さんと心も考えも同じでありますから、河野談話を見直すべきだというような趣旨だと誰が考えてもそのように受け止められるんですけれども、そうではないんですか。
#40
○副大臣(櫻田義孝君) かねてから河野談話については関心があり、友人から声を掛けられたため出席したものでありますが、私は河野談話の見直しを求めるものではなくて、同談話に関する事実関係を確認する検証が非常に大事であると考えております。
#41
○斎藤嘉隆君 副大臣、常に真実は一つ、うそをついたり人をだましたりすることは大嫌いだとおっしゃっているわけでありますから、あえて僕はそんな真情をねじ曲げておっしゃらなくてもいいのではないかと思います。
 これ、今副大臣は検証が必要だということを言われたんだと繰り返し言われますけれども、場合によっては政府内での見解の違いではないかというようにも思われます。この件について下村大臣はどのような見解を持っていらっしゃって、あるいはどのような指導を副大臣にされたんでしょうか。
#42
○国務大臣(下村博文君) これは、衆議院の予算委員会で石原前官房副長官をお呼びして、そのときに事実関係の議論の中で、その結果を踏まえて、これ維新の会の山田議員から提案があって、菅官房長官が検証し直すと、政府の中で秘密裏にという話をされたわけでございます。
 櫻田副大臣も政府の一員でありますから基本的な考え方については同じだというふうには思いましたが、私もその後すぐ予算委員会に入ってしまっていましたので、官房長を通じて、そのときの真意について官房長から確認をさせましたが、その確認の内容は今発言したとおりでございますので、そのように理解をしております。
#43
○斎藤嘉隆君 この会は、副大臣、ちょっと教えてください、政務三役で副大臣以外に出席をされた方というのはいらっしゃるんですか。
#44
○副大臣(櫻田義孝君) それは承知しておりません。
#45
○斎藤嘉隆君 私、このことをずっとつらつらとやるつもりはないんです。副大臣、まさに今教育行政の中枢にいらっしゃって、個人的にはどのような思いを持っていられようがそれは構わないんですけれども、こういった場で軽々に個人の思いというのを、まあ事と次第によるとは思いますけれども、公言するのはやっぱり慎重であるべきではないかと思います。
 それこそ、中央教育行政においても政治的な、教育についての中立というのは当然求められるわけでありますから、是非慎重な対応をお願いをしたいということと、十月にも副大臣、福島原発の問題について、指定廃棄物の処理は東京電力の施設に置けばいいというような発言をされて、随分地元の皆さん、知事さんとか住民の皆さんから大きな批判を浴びられたと思います。そのときにも大臣から口頭で注意があったというように聞いておりますけれども、是非今後このようなことがないように御注意をいただきたいと思います。
 恐らくこの件については今日もほかの委員会でも取り上げられるというふうに聞いておりますので、またそこでも是非きちんとした対応、答弁をお願いをしたいと思います。
 副大臣には以上でございます。
 それでは続いて、ちょっと資料を用意をさせていただきました。ちょっと話題は百八十度変わりますけれども、教職員定数の問題について少し議論させていただきたいと思います。
 お手元の資料に、概算要求とそれから来年度の予算案についての、簡単に教職員定数についてピックアップしたものを御用意をさせていただきました。御覧をいただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事石井浩郎君着席〕
 概算要求によりますと、教職員定数の改善は三千八百人ということになっていました。内訳は、少人数教育で二千百人、個別の教育課題への対応千六百人、学校力の向上九百人、ただし八百人は既存の定数を見直すということであります。差引きで三千八百人ということになりますけれども、これは子供の自然減によって本来人員が減っていくべきところを、減らさずに維持をすることで実質的な定数増を図っていくということで出てきた数字だというふうに私は理解をしておりますし、この時点では非常にいい案だと、プランだというように思っておりました。
 これが実際、蓋を開けてみますと、この来年度予算案、今まさに予算委員会で議論をされておりますけれども、この教職員定数の部分だけを見ますと、実は三千八百人の増であった要求から大きく変わって、実際にはマイナス十人ということになっています。差引きすると、要求からは三千八百十人の削減という形になっています。
 これ、要するに、自然減が三千八百人、合理化・統合減七百十三人、それ以外で七百三人は定数増をするんだけど、差引きで三千八百十人ということでありますけれども、これ、文部科学省の要求が三千八百十人もこうやって削減をされる、尊重されない、非常に残念に思うのでありますけれども、このことについて現段階での下村大臣の御見解をお聞かせをいただきたいと思います。
#46
○国務大臣(下村博文君) お手元の資料にありますように、文部科学省としては、平成二十六年度概算要求においてこのような要求をいたしました。理由は、世界トップレベルの学力、規範意識を育むきめ細やかな指導体制を整備する観点から、今後七年間で計画的に三万三千五百人の定数改善を図ることを目指した教師力・学校力向上七か年戦略の初年度分として三千八百人の定数改善の要求を行ったところでございます。
 残念ながら、予算編成過程において、財務省から大幅な教職員定数の削減を求められました。これは、事務方の中で昨年から、暮れ以来、非常に厳しいやり取りがあって、解決できないということで最終的には大臣折衝まで持っていった。文科省としても、教職員を確保するということはこれは学校現場の子供たちにとって行うべきことだという思いを持っておりましたが、残念ながら、御指摘のように、今後の少子化等を踏まえて、七百十三人の定数の減を行う一方で、小学校英語の教科化や特別支援教育の充実など、個別の教育課題への対応に必要な定数改善として七百三人の増を計上したということでございます。
 このため、自然減の三千八百人を除く全体の定数は初めての純減、マイナス十人ということになったわけでございますが、その中でも優先度の高い課題に対応するため定数の配置見直しを行い、実質的な教育環境の改善を図ったところでございます。
 厳しい財政状況の下で、重要な教育課題への対応を図るための必要最小限の予算が確保できたものと受け止めておりますが、文部科学省関係では対前年度比〇・九%の増ということでございますので、トータル的な中での教育課題については対応をしているというふうに思いますが、残念ながら、教職員の定数については要求が得られませんでしたので、今後、この定数に向けたより一層の充実に向けて文部科学省としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。
#47
○斎藤嘉隆君 是非お願いをしたいと思います。
 今、資料の二枚目にもお付けをさせていただきましたけれども、大臣からも若干触れられましたが、世界トップレベルの学力・規範意識を育むための教師力・学校力向上七か年戦略ということで、これ昨年の八月に文部科学省が発表をしている戦略というものがあります。
 七年間で三万三千五百人の改善をしていくということで、少人数教育とか理科教育とか英語教育あるいは道徳教育、いじめ対応、養護教員の複数配置、このようなことで計画的に教員の定数を改善をしていくという計画であります。
 私ども、政権にあったときにはたしか五か年でということも言っておったんですけれども、それが七か年でということで、非常に私、評価をしておるんですけれども、初年度三千八百人の改善というのをこの計画の中にも盛り込まれていたものが、もう既に初年度から頓挫をしている状況であります。
 この計画については見直しが必要だと思いますけれども、どのような形で今後見直し議論を進めていかれるんでしょうか。
#48
○国務大臣(下村博文君) この計画そのものを見直すつもりはございません。
 お手元の資料で出していただいていますが、少人数学級それから少人数指導の推進、こういうことによって今回の学力調査もPISAの調査も事実上国別では日本はトップになったという成果としてあるのではないかと思いますし、さらに個別の教育課題への対応でありますが、小学校の理科教育、これは専科教育でありますが、充実や、それから小学校英語教科化への対応、これは五年先の話ではありますけれども、今から教員養成を含めた確保を考えていかなければ実際に絵に描いた餅になってしまうと思います。また、道徳の新たな枠組みによる教科化への対応、これは中教審で答申が出るのは今年の秋でありますが、これからのことを考えるとこれも今から教員養成をしていく必要があると思いますし、それからいじめ問題については、さきの通常国会で議員立法で成立をしていただいたものでございますから、これに対して文部科学省として誠実に対応しながら、また学校現場の声を反映するという意味での対策を養護教員の複数配置等も含めまして対応するということは、いずれも必要なことであるというふうに思いますし、今後も教師力・学校力向上七か年戦略の考え方を踏まえ中長期的な教職員定数の改善計画を進めていく必要があるというふうに思っておりますし、平成二十七年度の予算要求に向けて検討を行ってまいりたいと思います。
#49
○斎藤嘉隆君 この定数の在り方については、私、常々申し上げておるんですけれども、各自治体は何年かスパンの見通しがないとなかなか対応が難しいんですね、現実。今年も、概算要求をある程度基本に、採用の計画も含めていろいろしていたのが現実だと思います。その中での削減ということです。全体的な数からいえば何とか地方は対応していくんだろうと思いますけれども、厳しいことには変わりないと思います。
 今、教育現場で非正規教員の問題がよく話題になります。もう一三%、四%は非正規の教員の方が教壇に立っておられるということでありますけれども、実はこれ、国による定数改善の計画が確実な見通しを持って行われない、このことに一個の要因があるんじゃないかと思っています。これはもう事務方の皆さんともこれまでも議論をさせていただいてまいりましたけれども、是非、今大臣のお言葉の中にもありましたけれども、こういう七か年戦略、きちっとこういうふうな戦略に基づいて計画的な対応をしていくと、このことを是非お願いをしたいと思います。
   〔理事石井浩郎君退席、委員長着席〕
 先般、十一月であったかと思いますけれども、このことについて以前も下村大臣と議論をさせていただいたときに、私たち大変共感をした御答弁があります。子供の数が減るからその分教員を減らせというのはまさに机上の空論だと、教育現場は高度化、複雑化、様々な教育課題があるんだ、質の高い教育をするためには教職員定数の改善は必要不可欠、少子化による教育予算減を教育環境の充実に充てるべく今後も対応をしていくというように力強く述べられました。私もこのことには本当に共感をして、微力ながら是非そういった大臣の思いの実現に向けて私もできることがあればということで頑張ってやってきたつもりでありますけれども、現状、予算案の中ではなかなかそれが実現を、まあ全体を見れば一定の成果はあるということでありましたけれども、定数の問題についてはないわけでありますから、是非このことについて更なる取組の方をお願いをしたいと思っております。
 それから、若干話題は変わりますけれども、今大臣の御答弁の中にも全国学力・学習状況調査のお話が出ていたかと思います。この七か年計画を見ても、全国学力・学習状況調査等による効果検証を踏まえて計画的な定数増の工程を明示をしていくということが基本的視点の中に記載をされています。
 私は、この全国学テについては、教育現場の学力の状況を事細やかに把握をして、教育環境整備に生かすことが大きな目的だというように認識をしてまいりましたし、それはそうなんだろうと思います。教育現場もそのために大切な授業時間を削って対応してきた状況があります。それが、この計画そのものがこのとおり進まない、また今回も、この予算案の中で、昨年のこの学力テストの結果がどのように国予算、定数も含めて反映されたかというのがいま一つ私には見えないんです。この学テの前提がもう崩れてしまう、そのようなことも言えるんではないかと思います。
 この全国学力テストについて、大臣所信の中では調査の活用ということは一部文言がありますけれども、特に深い言及はされていませんでした。私なりに若干危惧する点を申し上げたいと思います。
 これは昨年のことになりますけれども、これまで学校別の成績公表を認めてこなかった文部科学省でありますが、今年四月のテストからは市区町村の教育委員会の判断で成績の学校ごとの公表を可能としています。これは、これまでの方針から私は大きく百八十度転換をする考え方だと思います。過度な競争やランキング化を招きかねないということで、これまで文部科学省は、各校判断による公表を除き、市町村ごとの教委の判断による公表を禁じてきたと思っておりますけれども、これは政策の整合性を問われると思いますが、このように大きく政策転換をした理由を改めてお聞かせをいただきたいと思います。
#50
○政府参考人(前川喜平君) 全国学力・学習状況調査でございますが、これは保護者や地域住民の関心の高い学校教育の改善のために実施しているということでございますので、適切な説明責任を果たしていくということが重要でございます。一方、序列化や過度な競争による弊害が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮することも重要であると考えております。
 従来、学校の結果の公表につきましては、文部科学省におきまして市町村教育委員会に対し一律に公表できないものとしていたわけでございますけれども、平成二十六年度の実施要領におきましては、調査結果の公表の取扱いについて見直しを行いました。具体的には、第一に、市町村教育委員会が学校の結果の公表を行うことができると。もちろん公表しないということもできます。二といたしまして、都道府県教育委員会は、市町村教育委員会の同意を得た上で、市町村や学校の結果の公表を行うことができると。このように取扱いを見直したところでございます。
 これは、市町村の教育委員会が、学校の設置管理者であり、かつ調査の参加を判断する主体である、また学校の結果に最終的な責任と域内の教育の状況に関する説明責任を有しているということでございますので、市町村の教育委員会に公表の可否についての判断を委ねることが適当であると考えたものでございまして、一律に文部科学省が公表できないとするべきではないと、こういう考え方にのっとったものでございます。
 また、結果の公表が教育の施策や指導の改善につながることが大事でございますので、その際に、公表に当たっては、配慮事項といたしまして、平均正答率などの数値のみの公表をするのではなく、分析結果や改善方策を公表することなどを実施要領に定めたところでございます。
#51
○斎藤嘉隆君 済みません、小松局長、もう質問は、結構ですので、御退席いただいて結構です。
#52
○委員長(丸山和也君) じゃ、小松局長、退席してください。
#53
○斎藤嘉隆君 今、前川さんからるる御説明をいただきましたけれども、これまで市区町村ごとの公表を認めてこなかったのは事実であります。一部の首長さんを始め、この結果の公表についてはもう是非認めるべきだという大きな大きな声がこれまでもずっとあって、こういう圧力に文部科学省が屈したんじゃないかと、そのように捉えられても私は仕方がない、そのように思います。成績だけを公表しないとか、ランク付けをして一覧表にして発表してはいけないとか、そんなようなこともおっしゃってみえるようですけど、そんなことを幾ら言ったって現実的には何の意味もないことだと思います。
 私、学力テストの結果、数字だけを見ると、学校のある地域とか子供たちの教育環境によって大きく変わるんです。当然でありますけれども、地域によって、保護者の関心が大変高い地域もあれば、逆に全くそういったことに関心が向かない地域も、もう仕方がないことですが、あります。地域間の格差というのは、どんな市町村の中にもあるんです。そういうところで同じようにテストをやれば、当然関心の高い地域の点数は高いし、そうでない地域の点数は低いということになるわけです。
 じゃ、指導が困難な地域の点数は良くないけれども、その学校は努力をしていないのか、例えばそこで働く教員は指導をいいかげんにやっているのかというと、決してそんなことないんですね。むしろ、そういう学校の指導の方が非常に厳しいし、本当に命懸けで指導しているような場合が多いんです。
 それが、今回全ての市区町村で発表されるとは思いませんけれども、一部では間違いなく公表がされるだろうと。トップ校から一番最低位な学校まで恐らく順番に並べられて報道されたりすることがあるのではないかなというように思います。子供たちの心情も本当に心配ですし、結果が具体的に地域の教育格差の是正につながってくるのであればまだ分かりますけれども、さっきも申し上げたように、具体的にそれぞれの都道府県、市区町村も含めてそのような施策が本当に目に見える形で打たれているかというと、決してそうではないと思います。
 本当にいいんでしょうか、これ。文科省さんはそれだけの責任と覚悟をしっかり持っているんでしょうか。私は、今からでも遅くないので、この一部公表についての方針については見直すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#54
○国務大臣(下村博文君) 我が国は学習指導要領があり、その学習指導要領に対してどの程度到達したかどうかということを測るという意味で全国学力・学習状況調査をしながら、より子供にとって教育的な動機付けあるいは環境づくりをするという意味で、これは必要なことだというふうに思います。そのために、自民党になってから、自公政権になってから、この全国学力・学習状況調査については悉皆調査、そして毎年調査するということを決定をいたしました。それだけ、子供の学力だけではありませんが、学習環境づくりについてはデータにのっとった施策をするという意味では、非常にこれは活用すべきことだというふうに思います。
 その上で、貴重な税金を投入しているわけでありますから説明責任も問われるわけでありますし、その説明責任を果たすということからも、どの程度の教育上の効果やそれから影響があるかどうかということを、これは数字として示すということも、国民に対しては必要なことだというふうに思います。
 一つの観念論として、地域によって差があるから、そのハンディキャップがある地域においてはなかなか学力をアップさせることは難しいことではないかという趣旨での御質問がありましたが、平均点を一律に横並びでランク付けしてやるということは、これは望ましいことではないというふうに我々も思います。ただ、どんな地域の事情があろうと、どんなハンディキャップがあろうと、それぞれの学校が努力することによって結果的にそれが学力アップになる、そういう実績のある学校もあるわけですし、そのことについて、ほかの学校やほかの地域が、参考になる、励みになる、またそのことによって更に我が国が世界トップレベルの学力と規範意識を持つという、その教育の成果、効果がより加速度的に表れるような、そういうことについての活用はする必要があるというふうに思います。
 今後、この個別の学校や地域の結果をいたずらに平均点等でランク付けで公表しないなどの必要な配慮は必要だというふうに思いますし、文部科学省としても、各教育委員会において、教育上の効果や影響等を踏まえ、それぞれの地域の実情に応じて適切に判断しながらこれについては活用していただきたいというふうに指導しているところであります。
#55
○斎藤嘉隆君 私は、指導困難な地域において学力向上が難しいと言っているわけではありません。そういった学校についても、学力向上に、一定の、当然ですけれども、子供も教師も努力をして一定の学力の向上を図っていくことが当然可能でもありますし、それを目指すべきだと思いますが、ただ、どうしても、メディアも含めて、平均点、もうこういう目に見える形での点数ばかりが独り歩きをしてしまうんじゃないかという危惧を持っているんです。そうすると、もう必然的に、多くの人たちの目には、点数の高い地域、そうでない地域、高い学校、そうでない学校というランクができてしまうんではないか。そのことについて、今まさに大臣がおっしゃったように、必要な配慮をどこまで文部科学省としてやっていけるのかということを懸念をしているわけであります。
 確かに貴重な税金を投入をして行うわけですから一定の説明責任も必要だというように思いますけれども、そこのところで、本当に現場レベルでこのことがどのような影響を及ぼすのかというのを是非省内でもいま一度御議論をいただいて、さっき申し上げたような、まさに、これは大臣も同じように危惧を持っていらっしゃるということだと思います。数字がランク付けされて、そのようなことにつながらないような措置を是非お願いをしたいと思います。
 それでは続いて、済みません、もう時間が余りありませんが、最後に、高等学校無償化の所得制限の問題について、これ随分法案の審議のときも議論させていただきました。いよいよ四月が近づいてまいりましたので、もう一度ちょっと確認だけさせていただきたいと思います。
 これ、今度高校に入る新一年生からもうこれ対象になるわけです、新しい制度が。私の知るところでは、四月と七月に子供たちが申請をする、二回の機会が初年度はあるということであります。これは、法案の議論のときも再三問題になりましたけれども、課税の証明書、そのときの所得を証明をするための書類ですね。これが、四月の段階で提出できる課税証明というのは二年前の所得に応じるもの、当然でありますけれども。課税証明が六月に手に入るとして、七月の申請のときに使える課税証明というのは、前年度の収入に基づいた課税証明ということになろうかと思います。
 所得割額三十万四千二百円というものを厳密な境にして受給ができるできないという状況が生まれてくるわけですけれども、改めて確認をさせていただきますが、急激な所得の変動等に対して、例えば昨年や一昨年の収入では受給が受けられないレベルであったけれども今現在はそうではない、このような子供への対応について、どのように進められるんでしょうか。
#56
○国務大臣(下村博文君) その前に、先ほどの学力調査の、見直すべきではないかという話がありましたが、私はもっと本質的なことが我が国には問われているのではないかと思いますのでちょっと申し上げたいと思うんですが、実はイギリスでも全国学力テストをして、それを学校別の平均点でメディアにも報道されているんですね。ですから、非常にそれは過酷な、ここは通学区域も緩和している国でもありますから、競争原理になっていくのではないかということを質問したとき、一つの物差しにしかすぎないと、つまり子供の評価は学力だけではないと、それも一つの物差しだけれども、トータル的に子供にとって教育環境がどういうことなのかということを判断するので、勉強だけできればいいというふうにはイギリス人は思っていないということで、問題になっていないというのがそのときのイギリス人の方々の受け止めでありました。だからといって公表すべきだということを言っているわけではありません。やはり創意工夫は必要だというふうに思います。
 ただ、大切なのは、学力以外の教育的なものをどうしていくかと、トータル的な、多様なまた価値観の中で人間力を子供たちにどう育むかと、そういう画一・均一的な学力唯一主義的な価値観から脱していくことが必要ではないかというふうに思います。
 それから、御質問のこの就学支援金でありますが、これは月を単位に支給されるため、現行制度の低所得者加算も含め、その月の時点で把握できる最新の課税額により支給額について判断することとなっておりまして、一年生に限っては、四月から六月分は前年度の課税額、それから七月から翌年六月分は当該年度の課税額により判断をするということになっております。
 御指摘のように、一方で、保護者等の失職や倒産など家計急変による収入が激減した場合、就学支援金の支給額に反映するまで長期間支給を受けられない可能性があるということでございまして、このような生徒が安心して修学できるよう緊急の支援が必要であるというふうに我々も思っております。
 このため、家計急変により低所得となった世帯の生徒に対し、就学支援金の支給額に反映されるまでの間、各地方自治体等が授業料減免による緊急の支援を行う場合、文部科学省として、就学支援金と同等の支援を行うために必要な経費を各地方自治体等に補助する予定でございます。
#57
○斎藤嘉隆君 大臣、イギリスのいろんな教育の状況は、様々、いい面もあれば悪い面もあると思いますし、地域社会と学校教育とのつながりというのは、またイギリスと日本、我が国では全く違う、メディアの取り上げ方も違うと思います。
 もちろん、人間力、総合的な人間力を高めるということは当然必要なことだと思いますが、またこのことはまた改めて是非議論をさせていただきたいと思います。
 今の就学支援金の話に戻りますけれども、最後にもう一点、ちょっとこの最終、三枚目の資料にお示しをさせていただいたこの図を御覧をいただきたいと思います。
 今回、所得制限を行って捻出ができた財源を、基本的には私立高校に通う年収五百九十万円以下の家庭の子供たちへの支援に加算をするということになっています。二百五十万未満は従来の二・五倍と、それ以外も、一・五倍を二倍に、あるいはゼロだったものを一・五倍の支援を行うというようなことを具体的に設計がされておるわけですけれども。
 これ、以前も申し上げました、これらの家庭には既に就学支援金以上の授業料減免措置が各都道府県によってなされていると思います。言ってみれば支援が重なるわけですね。単純に都道府県が行っていたこれまでの支援が国による支援に付け替えられるだけではないかという指摘も現実あると思います。
 都道府県はこの浮いた財源を一体どうするのか。これは元々、元々高校無償化の財源、子供たちの元に行くはずだったものが、仮にですよ、こうやって浮いたことによって、それが道路になっちゃうとか橋になっちゃうとか、そんなようなことになったら、これは全く本末転倒だと思います。
 文科省として、この財源の有効的な活用についてどのように考え、どのようなやり取りをこの都道府県として、またどういうふうにチェックをしていくのか、現状をお聞かせをいただきたいと思います。
#58
○国務大臣(下村博文君) 今の件は斎藤委員のおっしゃるとおりだというふうに思います。この就学支援金の加算が拡充されることを踏まえまして、これまで都道府県において授業料減免に充てていた財源は低所得者層への更なる支援や中間所得者層への支援に充て、家庭の教育費負担の軽減を図っていただきたいと考えております。
 そこで、昨年十二月には、都道府県に対し、現在実施されている高等学校等の生徒等への経済的負担の軽減や教育条件の維持向上に係る事業等を拡充するなど、支援の充実に引き続き努めていただけるよう要請をいたしました。現在、各都道府県で来年度以降の授業料減免制度等の検討が行われているところでございまして、今後、文科省として、その状況について把握したいと考えております。
#59
○斎藤嘉隆君 ありがとうございました。
 改めて、これ、この参議院の場でも附帯決議がなされています。本来支給対象である者が漏れないように十分配慮をするということとか、急な家計変動、大きな家計変動ではありませんよ、急な家計変動に対し特段の配慮を行うことと、このような附帯決議を前回で確認をしているわけですから、是非このことについても引き続いてきちっとした対応をしていただくことをお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。
#60
○委員長(丸山和也君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#61
○委員長(丸山和也君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のうち、文教科学行政の基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#62
○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏でございます。
 午前中最後の同僚の斎藤議員に続きまして質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、斎藤委員の最後のところで質問があった、臨時国会で成立をいたしました公立高校授業料不徴収の廃止と就学支援金に所得制限導入をすることによって生じた財源の関係で、斎藤委員からは、公私間格差の是正のところで大臣の御見解をいただきましたが、私、ちょっと一点、もう一つの目玉といいますか柱であった奨学のための給付金のところに関して、大臣、見解をお伺いしたいと思いますが、今回の予算案では、この部分の奨学のための給付金、結局二十八億円という数字だというふうに理解をしております。
 去年の臨時国会のときにいろいろ議論させていただいて、あのときの政府、文科省の説明では五十億を目指すと、総額三年間で四百五十、国費でこれ百五十億、初年度だと五十億という計算になるんだと思いますが、それが結果的に今回予算案の中で二十八億になっていると。
 この点について、大臣、どういう御見解かということがまず一点と、私はここで是非やっぱりこの給付の奨学金、我々も応援していきたいと思っておりますし、これは是非満額確保していただきたかったなという思いでいっぱいなんです。そのことも含めて、大臣、このことについての御説明をお願いしたいのと、それに併せて、じゃこれ今回二十八億円になってしまったと。それが、じゃ当初文科省で言っていただいていた三年間で四百五十、国費百五十と、この三年間の目標に変更があるのか、生じるのかどうか、この点についても併せて、大臣、御見解お願いします。
#63
○国務大臣(下村博文君) さきの臨時国会で高校授業料無償化見直し法案、成立をさせていただいたわけでございます。そのことによって、来年度所得制限によって捻出される財源、これが全部で約二百九十五億円でありますが、この財源を使いまして、全て、低所得者への支援とそれから公私間格差の是正のための施策等に充てることにしております。
 その内容をちょっと申し上げたいと思うんですが、二十六年度予算案において、低所得者等への支援として、御指摘の奨学のための給付金、これは二十八億円でございます。それから、高等学校等奨学金事業交付金、これ四十億円、それから海外の日本人高校生への支援等〇・七億円、家計急変世帯への支援〇・七億円、それから低所得者支援並びに公私間格差の是正の施策として、私立学校の就学支援金の加算の拡充が九十四億円。
 そして、特定扶養控除の縮減により負担増となった特別支援学校、定時制・通信制高校の生徒への支援策として、まず特別支援学校就学奨励費の拡充が七億円、それから自立、社会参加に向けた高等学校段階における特別支援教育充実事業で四・五億円、また補習等のための指導員等派遣事業として一・五億円を計上しているところでございます。
 さらに、この事務費交付金として十六・六億円、それから公立高校の不徴収制度における地方負担分を国費負担とする費用九十九・八億円など、制度改正に伴う必要経費を加えると、合計約二百九十五億円となるわけでございます。
 当初よりも奨学のための給付が少ないのではないかというお話でございます。
 これは、同時に、先ほど御説明いたしましたが、低所得者への高等学校等奨学金事業交付金で無利子奨学金等を拡充するということが現場サイド、都道府県から要望された強い項目でもございまして、この貸与奨学金について高等学校奨学金事業費から四十億円捻出したと。そういうことによって、残念ながら給付型についてはその分削減せざるを得なくなったという部分があります。基本的には、低所得者層に対して幅広く奨学金、貸与、給付含めて、まずは対象を広げようということで貸与型の奨学金に対する対応もしたというところでございます。
#64
○石橋通宏君 二番目の質問のところで、これによって今後の、その当初言っていた四百五十、国費百五十と、この三年目で満額で、この目標に変更はあるんでしょうか。
#65
○国務大臣(下村博文君) 財源は相当額がこれから確保されるわけでありますけれども、奨学金についてですか。奨学金については、給付型奨学金の拡充はもちろん広げていきたいというふうに思いますが、同時に都道府県が行う貸与型奨学金の需要も高いというところでもありますので、両方のバランスを取りながら、限られた財源の中で捻出をしていきたいと考えております。
#66
○石橋通宏君 大臣、先ほどの説明で残念ながらという形容詞を付けていただきました。大臣も残念ながらと思っていただいているんだと思います。我々も大変残念です。ですので、少なくとも去年の臨時国会の説明では四百五十億、奨学のための給付金で四百五十億、国費百五十億ということを目指すということで議論をさせていただいたわけです。是非、我々としては、少なくともこういう方向で今後この給付金についても拡充を、今後是非確保していただきたいという、このことを要望させていただいておきます。
 もちろん貸与型、こちらの方の無利子奨学金の拡充というのも必要なんでしょうけれども、やはり給付型のところを拡充していくというのは大臣かねがねおっしゃっていただいていたところでもありますので、これは我々もしっかり応援をさせていただきますから、是非、今後、満額確保していけるように、今後二年間、更なる次年度、次々年度の中でこれは是非頑張っていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。
 それでは、続きまして、今日は教育におけるICTの利活用についてちょっと掘り下げた質問をさせていただきたいと思います。
 先般の所信の中で、大臣、教育のICT化の推進に触れていただいておりましたし、昨年の十一月に私この委員会で大臣に質問させていただいたときにも、この件については大臣からも、教育におけるICT活用を積極的に推進していきたいという答弁もそのときにもいただいております。
 そこで、まず、大臣、ICT活用を教育現場で積極的に推進していきたいという大臣のこの力強い御答弁が、今回、二十六年度予算案でどのように実現をしていただいたのか、できたのか。ちょっと、細かい説明すると長くなってしまうと思いますので、ざくっと、どうかという大臣のお考えと、私の理解では残念ながら概算要求の段階からは相当に財務省から削られてしまったと理解をしておりますが、その枠の中で今後いかように具体的にこの教育のICT化の推進を前に進めていかれる決意であるか、そのことについて確認をさせていただきます。
#67
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、二十六年度の概算要求では、新規要求として、総務省と連携して先進的な授業体系を構築するため十地区での実証研究の実証に要する費用四億円、それからICTを活用した授業を促進する自治体への支援を行うための経費十七億円を要求をいたしました。これは、委員と同様に、我々もこのICTを教育の中で活用することは非常に重要だというふうに考えて、それだけの概算要求をしたところでございます。
 しかしながら、行政改革推進会議、秋のレビューというところにおきまして、この当該経費に係る事業について議論がなされ、事業の目的、ビジョン、効果検証が十分とは言い難い、事業を絞り込んで行うべきではないかと。そもそも教育のICT化の全国展開の前提として、教育効果の明確化や教員のICT活用、指導力向上等が必要ではないかというような指摘がなされました。
 こうした指摘を受けて、結果的に平成二十六年度予算案において、実証研究として十地域から三地域、四億円から一・二億円と事業規模は縮小せざるを得ない。また、自治体への支援事業十七億円についても、ICTを活用した教育効果の明確化や教員の指導力の向上方法の開発のための事業二・九億円にということで見直しがされたところでございます。
 ただ、これは、この秋のレビューの方々ももうちょっと勉強していただいて、ICTがこれから果たすべき役割を考えれば、これは当然教育現場、どこにおいても加速度的な活用をしていかなければならないというのは、これは急務のことだというふうに思いますので、要はそういう行革推進会議に対しても説得力を持てるような検証をしっかりして、そして広げていくような努力を今後してまいりたいと思います。
#68
○石橋通宏君 私も全く同感でして、レビューに関わった方々も本当に現場をもっと見ていただいて勉強いただければなということは全く共感をします。
 その上で、大臣、今日ちょっと二点、具体的に。
 まず、昨年末に政府のIT総合戦略本部がまとめたアクションプランの中で、教科書のデジタル化の検討というのが含まれております。昨年の六月のIT戦略の中でもこれ入っているわけでありますけれども、具体的に教科書のデジタル化の検討をしていこうということで、政府として方向性を明確に打ち出したと理解をしておりますが、まず、現行、要は紙の、印刷された教科書しか正規の教科書としては認められていないという現状があるわけですが、まずこの点について政府参考人に、これなぜそうなのか、事実関係の確認をさせてください。
#69
○政府参考人(前川喜平君) 教科書というのは冊子の形で調えられたものということで、現在の学校教育法の体系上、教育の用に供するための主たる教材という形で教科書が位置付けられているわけでございますが、これは紙媒体によるものということが解釈上の前提になっているということでこれまでの運用をしてきているということでございます。
#70
○石橋通宏君 法律上の根拠は何でしょう。
#71
○政府参考人(前川喜平君) 学校教育法の第三十四条におきまして、「小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。」という条文がございます。ここで言うところの教科用図書がいわゆる教科書でございまして、これは紙媒体によるものという前提で運用しているということでございます。
#72
○石橋通宏君 まさに、この学校教育法三十四条が一つ規制上の障害になっているのではないかという部分なわけです。
 それで、デジタルの教科書、今文科省も、この間、学びのイノベーションでいろいろとデジタル教科書の開発もしていただいて進めてきた、様々な御努力が現場でもあるわけですけれども、残念ながら正規の教科書になりませんので、今現在はあくまで副教材ということで導入をする自治体が自主的に導入をしていただいていると。無償配付ではないので、購入をされて進めておられるというのが実態だと思います。そこで、大変大きな障害があるわけですね。結局、コストが高い。
 これ事前に具体的には通告していませんが、著作権法との関係で、結局、正規の教科書ではないので、様々な著作権が絡むものについて著作権料が非常に高額に掛かってしまうということがあると思いますが、この点、政府参考人、説明をしていただけますか。
#73
○政府参考人(前川喜平君) デジタル教科書を導入するに当たりまして様々検討すべき課題があるわけでございますけれども、中でも動画や音声、ウエブリンクなど、これをどこまで対象にするのか、あるいは対象となるコンテンツをどこまでとするか、そういったことの検討が必要になってまいります。
 当然その中には著作権の処理の問題も含まれてくるということでございまして、課題の整理が必要であると認識しておりますけれども、そのための経費の見積りまではまだ至っていないという状況でございます。
#74
○石橋通宏君 大臣御存じだと思いますけれども、現行、教科書の使用目的の場合は著作権料が特別な措置で十分の一以下ぐらいに減額をされている、それによって教科書というのは安く作れるということになっているわけですが、残念ながらデジタル教科書の場合、正規ではありませんので、この著作権法上、いわゆる著作権料の特別の適用がないということですので、それを作る際に満額著作権料を払わなきゃいけないので結局コスト的には高くなってしまうということで、導入に一つの大きな障壁になっているということが事実としてあると思います。
 このように、先ほどの学校教育法三十四条、著作権法の三十三条、そしてそれに関連して教科書の発行に関する臨時措置法、また、後ほどちょっと議論しますが、いわゆる教科書無償法、こういった法律上の制度的な壁があるというふうに私は認識をしております。
 そこで、大臣、先ほどの、政府として今後デジタル教科書の検討を進めていくということの方向性、どこまで念頭に置いてこれ政府として進めておられるのか、大臣の御見解でも結構ですが、これデジタル教科書もいずれは正規の教科書として、この学校教育法上の位置付け、著作権法上のクリア、無償教科書の対象、こういったことも念頭に置いて今後進めていかれるという、そういうことでよろしいでしょうか。
#75
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、教育においてICTの活用を推進するということは、子供たちの学習への興味、関心を高め、分かりやすい授業や子供たちの主体的な学びを実現する上で効果的であるというふうに思います。
 子供たちが我々以上に教えなくてもパソコンやアイフォン等を駆使して使いこなしているというのは、これはすばらしいことであって、当然、学習においても紙の媒体よりはICTを活用した方が、子供のあらゆる感性、感覚、五感を呼び起こしながら、相当の教育成果、効果が上がることが期待されるのではないかというふうに思います。
 しかし、このデジタル教科書を活用するということですと、法律改正案もありますが、それ以上に、果たして教えられる先生がどの程度いるのかとか、それから、そもそも、先ほどの二十六年度の予算の中でも御説明申し上げたように、教育の効果、影響がどの程度あるのかということについての検証をするという意味で、まだコンセンサスが得られていませんから、これをきちっとする必要があるというふうに思います。
 その上で、相当やっぱり資金も必要でありますから、それも含めて、今後、学校教育法の改正や教科書検定、発行に係る関係法令、それから規定の整備、それから無償措置との関係の整理ということを併せてやっていかなければならないと、そういうハードルが幾つかあるわけでございます。
 ただ、基本的にはデジタル教材等のこれから標準化に向けた予算措置が必要ですし、またそういうふうにしていきたいというふうに思っておりますが、このデジタル教科書の教科書制度への位置付けについて、一つは知的財産推進計画、それから世界最先端IT国家創造宣言の工程表において、実証研究等の状況を踏まえつつ平成二十六年度までに課題を整理し、平成二十八年度までに導入に向けた検討を行うこととするという、そういうスケジュールがありますので、それに沿って必要な検討を進めながら、しかしこれは世界それぞれの国が同じような取組を今しておりますから、我が国がそれに立ち遅れることがないような積極的な施策を私はしていく必要があると考えております。
#76
○石橋通宏君 最後の部分で大臣も触れていただきましたけれども、まさにお隣の韓国は、これはまあそれがいいかどうかは別にしまして、完全にもう紙の教科書からデジタル教科書に移行してしまうというぐらいの計画を立てて国家戦略でやっておられるわけです。
 そういう意味からいっても、是非、我が国としての大臣言っていただいたように取組、これ、いずれやればいいという話ではもうなくて、やっぱり早急に検討し、そして具体的な取組、前に進めていく段階にもうとっくに来ているんだというふうに思っておりますので、検討していただけるということですので、是非これスピード感持った検討を是非していただいて、我々もこれはしっかりと応援をさせていただきたいと思っておりますので、この点についてよろしくお願いをいたします。
 そして、もう一点、これも大臣先ほど触れていただきまして、これも全く同感なわけですが、幾らハード面での拡充とかソフト面での拡充をやっても、やっぱり現場の先生方がそれをうまく使いこなしていただいて子供たちのためにいい教育を、これまたベストミックスなわけで、従来型の教授法とそして新しいICTを使った教授法と、最適な形で子供たちのための教育をしていただくことこそが我々の目指すところでありまして、そのためには、やっぱり教員の養成の中でこのICTを使った教授法、教育法というのをしっかりと先生方に身に付けていただく必要があると思っているんです。
 その意味で、じゃ、それを具体的にどう実現するのかという点について大臣にちょっとお考えをお聞かせいただきたいんですが。我々、これまで例えば教員の養成課程、教職課程でこれ既に一部はこのICT教育って必修化されていると理解をしておりますが、実は大学によって物すごく濃淡があるんです。やっているところもあれば、さらっとやっているところもあれば、大学によって物すごく濃淡があるので、この辺もう少ししっかりとカリキュラムを規格化していただいて、全ての教職課程を終える、これから巣立っていく新しい教師の卵たちは、みんな少なくともどうこのICTを使うのかということをきちんと身に付けた上で現場に出ていただくということを確保する必要があるのではないかというふうに思っておりますし、もう一点は、既に現場で頑張っていただいている先生方が、いわゆる様々なまた訓練が、機会があると理解しておりますが、そういう中でまさにICTを使った新しい教授法の訓練も受けていただける、そういう場を持っていただくというのも一つの方策ではないかと思いますが、大臣、この点について具体的な方向性あれば教えてください。
#77
○国務大臣(下村博文君) 今、大人よりも子供の方が、また教員よりは生徒や児童の方がはるかに精通しているというのが時代的な趨勢としてあるのではないかと思います。
 御指摘のように、教員養成課程において情報機器の操作、それから情報機器の活用に関する科目が必修とされております。具体的には、例えば電子黒板を活用した教育方法やデジタル教材の利用など、ICTを効果的に活用した教育を行うための知識、技能の習得が行われているわけでございます。教員養成課程については道徳教育や英語教育の充実に向けた改善が課題となっておりますが、このICTを活用した教育力の向上も重要な課題であるというふうに認識しておりまして、今後併せて検討してまいりたいと思います。
 このカリキュラムでありますが、体系的な指導指針や充実したカリキュラムを作成するということは、これは大変意義のあることだと考えます。このため、文科省においては、平成二十六年度、総合的な教師力向上のための調査研究事業を実施し、この中で、教員養成課程における教員のICTを活用した指導力の向上に向けたモデルカリキュラムの作成を支援する予定でございます。この成果を普及することにより、全国の教員養成課程において質の高い教育が行われるように促してまいりたいというふうに思います。
#78
○石橋通宏君 昨年、私もシンガポールに視察に行きまして、シンガポールのまさにICTの、教育のICT化、利活用の現場を見せていただきましたが、シンガポールは、ハードの整備とかソフトの整備も大事なんだけれども、やっぱりまさに教員の養成が大事なんだということに物すごく力を入れておられるというのを見せ付けられました。
 私もまさにそれを、やっぱり日本でもまずそこを中心にやるべきだなというふうにこれは確信を持っておりますので、是非その方向で進めていただいて、これも私どもとしても今後ともしっかりと応援をしていきたいというふうに思います。
 このICTの関係で、最後に大臣、私、十一月に質問させていただいたときに、学びのイノベーションの実証校の現場を訪問されましたかと質問されて、そのときにまだ訪問されていませんという大臣答弁をいただいて、その後、恐らくお忙しかったのでまだ訪問されていないのではないかと思いますが、実証事業が一応公式には三月で終わりになります。その後も各学校では継続的なものはやっていただけるんだと思いますが、是非大臣、一回現場を見ていただきたいと思いますが、いかがですか。
#79
○国務大臣(下村博文君) なかなか日程的に厳しくて、まだ行っておりません。
 先日も、これは四月以降ですけれども、都内の荒川区が全ての小中学生にタブレットを配付するということで、現場を見てほしいと、またソフトの面等で国が協力をしてほしいという具体的な要望を受けました。佐賀県、それから武雄市、独自にタブレットを配付するということをしている自治体もありますし、こういうところを是非見ながら、国が何ができるか、またそれを加速度的に全国に広げていくためにどういうことが課題としてあるかと、それから教育成果が紙媒体の教材を使う以上にどれぐらいの成果、効果が上がっているのと、こういうことを是非自分の目でも見たいというふうに思っております。
#80
○石橋通宏君 是非よろしくお願いをいたしたいと思います。
 それでは、続きまして、今国会でも教科書無償法の改正案、これが出てくるというふうに理解をしております。また法案審査になりましたら具体的に深い議論をさせていただければと思っておりますが、この件に関しまして、今日は教科書の決定、採択に関係してちょっと質疑をさせていただければと思いますが、まず最初に、大臣、本来学校で使う教科書というのは誰に決定権があるんでしょうか。
#81
○国務大臣(下村博文君) 学校教育の主たる教材である教科書の重要性に鑑み、学校の設置者として学校の包括的な管理を行い、当該地域の教育に対して責任を負っている教育委員会が教科書を採択することが重要であることから、地教行法第二十三条第六号に基づき、公立学校の教科書採択は当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が行うこととしております。また、私立学校、国立学校については、教科書発行法第七条第一項に基づき、当該学校の教学の責任者たる校長が採択することとなっております。特に、公立の小中学校における教科書の採択については、地教行法第二十三条第六号に対する特別の定めとして教科書無償措置法第十三条第四項の規定があり、共同採択地区内の教育委員会は協議して種目ごとに同一の教科書を採択しなければならないこととしております。
 教科書の採択は、教科書無償措置法のルールに従い、教科書採択権者の権限と責任において適切に行うことが必要であると考えております。
#82
○石橋通宏君 大臣、まだ聞いていないところまで答えていただいちゃいましたが。
 最初に、一つだけまず確認ですが、地教行法二十三条六号の規定に基づいて、教科書の、公立の義務教育の学校について採択は市町村の教育委員会が決定権を持っていると、この点だけ確認、もう一回確認をさせてください。それでよろしいですか。
#83
○国務大臣(下村博文君) そのとおりです。
#84
○石橋通宏君 今、私立の場合は各学校で決められるんだというのがありましたが、大臣、これ本来どうなんでしょう、各学校で、それぞれの学校がそれぞれの学校の子供たちにふさわしい教科書をそれぞれの地域の皆さんも含めて決定をするということが本来あるべき姿なのかなと私も思ったりするんですが、私立の場合はそれができると、しかし、公立の場合は今のところ市町村の教育委員会レベルで決定することになっていると。大臣、これどちらが本来あるべき姿だと思われますか。
#85
○国務大臣(下村博文君) それは設置主体がやっぱり異なっておりますから、どちらが好ましいということを単純に比較することではないというふうに思います。私立学校はそれぞれの建学の精神にのっとって学校教育運営が行われているわけでありまして、そこの教学の責任者たる校長が判断をするということですし、それから、設置主体、公立の小中学校、これは教育委員会でありますから、当然教育委員会が判断すべきことであると。ただ、先ほど申し上げましたように、教科書は無償措置でございますので、当然、教科書を採択するという意味では、より狭いエリアの自治体における教育委員会では共同採択地区を決めて行うということによって、よりその地域性を持たせるということも必要なことだと思います。
#86
○石橋通宏君 大臣は今御説明で、設置主体が違うからということで御説明をいただきました。確かに現行の枠組みでいけばそうなんでしょうが、私個人的には、理想的にはそれぞれ学校レベルで決められる、そういう制度が理想なんだろうなというふうに個人的には思っています。ただ、現行の法律上は、地教行法二十三条六号によって市町村の教育委員会が決定をするということだというふうに確認をさせていただきました。
 その上で、大臣、先ほど答弁いただいちゃいましたが、無償の教科書の配付ということについては教科書無償法に基づいて一定のルールが決められているということですが、これは参考人でも構いませんけれども、無償法十三条の四項で、これ共同採択地区ということが決められているわけです。ここで共同で協議をして同一の教科書を採択するということですが、これはあくまで教科書無償法の目的に鑑みて無償配付の要件として要請するものであって、これによってその市町村の教育委員会が持っているという決定権が覆されるものではないという理解でよろしいですよね。
#87
○政府参考人(前川喜平君) 教科書採択の権限はそれぞれの教育委員会が持っていると、これはそのとおりでございます。教科書無償措置法の第十三条第四項のこの共同採択の規定でございますけれども、これは、それぞれの教育委員会が持っている権限を行使して教科書を採択するに当たって、どのようにそれを行使しなければならないかということを決めている、言わば特例法的な位置付けのものであるということでございます。
 この規定は、教科書無償給付の条件として設定されているということではなくて、この教科書無償措置法の中でこのような仕組みがそもそもつくられているということでございまして、そのことは教科書無償措置法の第一条の目的規定の中でも読めるわけでございますが、この教科書無償措置法の第一条では、「この法律は、教科用図書の無償給付その他義務教育諸学校の教科用図書を無償とする措置について必要な事項を定めるとともに、当該措置の円滑な実施に資するため、義務教育諸学校の教科用図書の採択及び発行の制度を整備し、もつて義務教育の充実を図ることを目的とする。」と、このような規定になっているわけでございまして、教科書無償措置と併せましてこの共同採択の制度がつくられているということでございます。
#88
○石橋通宏君 ちょっと明確にお答えいただいていませんが、しかし、それによって地教行法二十三条六号の教育委員会の決定権が覆されるものではないということですね。あくまでその範囲内で、教育委員会のその持っている権限を、それを持ちながら、関係自治体、共同採択の場合には、それによって、協議をして同一のものが決められるように、協議をしてくれというのがこの無償法の要請であるということだということですよね。
#89
○国務大臣(下村博文君) まず、当該地域の教育に対して責任を負っている教育委員会が教科書を採択するということが基本であると。
 しかし、地教行法第二十三条第六号に対する特別の定めとして教科書無償措置法第十三条第四項の規定があり、共同採択地区内の教育委員会は協議して種目ごとに同一の教科書を採択しなければならないということでありますから、これが大前提であります。
#90
○石橋通宏君 その大前提は、教科書の無償配付の適用において大前提だということですよね。
#91
○政府参考人(前川喜平君) この教科書無償措置法第十三条第四項の規定は、教科書無償給付の条件として設定されているわけではなくて、教科書無償給付をするのと併せまして、このような共同採択の制度がつくられているということでございます。
 したがって、教科書無償給付があるかないかにかかわらず、この共同採択の規定というものはそれ自体として有効であると考えております。
#92
○石橋通宏君 御説明が不明快、よく分からないわけですが、これ第一条の目的のところの議論はちょっと余りここでは突っ込んでやりませんけれども、あくまで後段のところは、「当該措置の円滑な実施に資するため、」というただし書があります。だから、これ独立しているんじゃないんです。当該措置の円滑な実施に資するためにその後の後段のところがあるわけですから、それを切り離して勝手に解釈をしてはまずいと思いますので、そこのところだけは指摘をし、これは後日の議論に譲りたいと思います。
 その上で、この教科書無償法十三条の四項とこの地教行法の二十三条六号とのまさに今御説明いただいたここのところの整合性というのがかなり問題になって、文科省としては、いやいや、十三条の四項のこっちの方が特例で優先だからというふうに言われるわけですが、一応今日のところはそういう方向で議論させて、続けさせていただくとして、この十三条四項が要請しているのは、あくまで協議によって同一の教科書を採択することですね。まず、そこのところはいいですね。
#93
○政府参考人(前川喜平君) そのとおりでございます。
#94
○石橋通宏君 協議の方法は具体的な法律で定められていますか。
#95
○政府参考人(前川喜平君) 定められておりません。
#96
○石橋通宏君 協議をする義務は誰が負っているでしょうか。
#97
○政府参考人(前川喜平君) 共同採択地区内の各教育委員会でございます。
#98
○石橋通宏君 協議の結果、同一の教科書を採択するに至らなかった場合の責任は誰が負うべきでしょうか。
#99
○政府参考人(前川喜平君) それは経緯によるということでございます。
 それぞれの教育委員会にそれぞれの責任があるわけでございますけれども、その協議の結果が出ている場合には、その協議の結果に即して採択すべきであるということでございますので、協議の結果が出ているにもかかわらずそれに反する採択をするということであれば、その反する採択をした側に違法性があるということでございます。
#100
○石橋通宏君 協議の結果が出ているかどうかを判断するのは誰ですか。
#101
○政府参考人(前川喜平君) これは客観的な状況に照らして判断できるものであるというふうに考えております。
#102
○石橋通宏君 誰が判断するんですか。
#103
○政府参考人(前川喜平君) これは、協議が調わない場合の規定につきましては、教科書無償措置法の中で都道府県教育委員会が指導するという条項もございます。そのような経緯を踏まえまして、最終的に関係者の間で協議の結果であると考えられたものが協議の結果になると考えております。
#104
○石橋通宏君 ちょっと今の答弁は問題かもしれませんが、これ協議の方法は、当事者の皆さんがルールを決めるんじゃないんですか。つまり、協議の結果が出たかどうか、また協議が調わなかったときにどういう扱いをするのか、これは当事者たる教育委員会の皆さんの協議、まさに協議によってルールを決めて、それにのっとって判断されるというものであって、決して文科省が判断するものではないですよね。それでよろしいですね。
#105
○政府参考人(前川喜平君) 教科書無償措置法自体の中には協議のルールが決めてないというのは御指摘のとおりでございますが、その協議に当たりましては、一般的には共同採択地区内の各教育委員会がその合意に基づきまして規約を定め、その規約上、採択地区協議会を設置しまして、その協議会におきまして調査研究結果を踏まえて採択すべき教科書を選定すると、このような手続を一般的に取っているという実態がございます。その手続にのっとって教科書の一本化が図られるということでございますので、このような形式を取っているケースにつきましてはやはりこの規約がよりどころになると考えております。
#106
○石橋通宏君 ちょっと確認しますけれども、協議会の設置は法的な根拠がありますか。
#107
○政府参考人(前川喜平君) 現行の法律の中には、協議会を置かなければならないというような根拠規定はございません。
#108
○石橋通宏君 ないんですね、法律的な根拠はないんです。これはあくまで、この法律の要請は、協議して採択をしてくださいというところまでで、それ以上ではないわけです。それをどうやって協議をするかを決めるのは、これは当該自治体がまさに協議をして、そのルール、規約も含めて、協議会を設置するかどうかも含めてそのルールを決めるということで、これは完全に当該自治体の教育委員会の協議に委ねられているという理解をもう一回確認してください。
#109
○政府参考人(前川喜平君) その点はおっしゃるとおりでございます。
#110
○石橋通宏君 ということは、仮にそれによって協議のルールを決定して、決定したルールに基づいて協議をするんだけれども、その協議をした結果、共同の教科書の採択に至らない場合、これも何らかの規約上の決まりがあればそれに基づいて処理をするということですよね。
#111
○政府参考人(前川喜平君) 当事者である各教育委員会が合意した規約に基づいて手続が踏まれるべきものであると考えております。
#112
○石橋通宏君 その上で、協議しても同一の採択に至らない場合、その責任を負うのはどこ、誰ですか。
#113
○政府参考人(前川喜平君) 多少繰り返しになりますけれども、その協議の結果が出ている場合には、その結果に反する採択は違法であるということでございます。
#114
○石橋通宏君 ですから、ルールにのっとって協議をした結果、同一の教科書の採択にまだ至っていない場合、その責任を負うのは誰ですか。
#115
○政府参考人(前川喜平君) 協議の結果が出ているか出ていないかということが一つのポイントになるわけでございますけれども、協議の結果が出ているにもかかわらずそれに従わないということは、これは従わない方に違法性があるということでございます。
#116
○石橋通宏君 済みません、繰り返しの、そこは聞いていないんですね。
 ルールにのっとって協議を進めていると。しかし結論に至っていないと。それは、ルールにのっとった上で同一の教科書の採択に至っていないという事実がある場合、その規約にのっとってその事実がある場合には、その責任を負うべきは誰ですか。
#117
○委員長(丸山和也君) 協議の結果が出ない場合はどうなのかという対処のことを聞いているんだと思います。前川局長。
#118
○政府参考人(前川喜平君) 協議の結果に至っていない状態の場合であれば、それは関係教育委員会はその協議の結果に至るようにお互いに努力していただくということに尽きると考えております。
#119
○石橋通宏君 そうなんで、ですから、その当事者たる全ての教育委員会がその責を負うべきだと思います。全ての教育委員がひとしく協議をして、そして結論に至る努力をすべきだということであるということで今確認をいただいたんだと思います。
 そうすると、結局何らかの理由で、ルールにのっとって協議はするんだけれども結論に至っていない、同一の教科書の採択に至っていないという事実があれば、それは当該関係の教育委員会全てがひとしくその結果に対して責任を負うべきではないかというふうに思うわけです。
 そのことを確認させていただいて、であれば、今現在皆さんも御存じの八重山の採択地区のこの教科書問題、要は今に至るまで同一の教科書の採択という協議の結果が調っていないということだと思います。とすると、それに対して責任を負うべきはどこなんでしょうか。
#120
○政府参考人(前川喜平君) 八重山地区の教科書採択に関しましては、この採択地区協議会におきまして協議の結果が出ているということでございます。したがって、その結果に即して採択をするか、それに反する採択をするかというところで合法、違法の違いが出てくると考えております。
#121
○石橋通宏君 協議の結果が出ているというのは、何に基づいて判断をされているんでしょう。
#122
○政府参考人(前川喜平君) これは、遡りますこと二年半ぐらいでございますけれども、平成二十三年の八月にこの地区協議会が行われておりまして、そこで正当な手続によりまして、ある一つの中学校公民教科書の採択について答申が出ているということでございます。この規約上は、その答申に基づき各教育委員会は採択しなければならないとなっているところ、この答申に従わない採択をしたというケースがこれが竹富町の教育委員会であるということでございまして、この点につきましては協議会で協議の結果が出ていると考えております。また、それに従わない採択が違法であるというふうに認識しているところでございます。
#123
○石橋通宏君 今日時間がないので、これ、また後日、機会があればどんどん突っ込みたいと思いますが、これ重大な事実誤認があります。前川さん、これ当然、議事録も全部お読みになっていると思うし、八重山採択地区協議会の規約もお読みになっていると思います。なっていてそれを言われると、それは重大な事実誤認と言わざるを得ないんですけれども。
 最初に、答申に基づいて、その答申が決定になるんですね。そんなこと、どこに書いてありますか。
#124
○政府参考人(前川喜平君) 八重山採択地区協議会の規約の第九条第四項でございますが、ここでは、「採択地区教育委員会は、協議会の答申に基づき、採択すべき教科用図書を決定する。」という条文があるわけでございます。
#125
○石橋通宏君 それが何で答申を決定しなければならないということになるわけですか。これはあくまで、採択地区教育委員会は採択すべき教科書図書を決定するということを決めてあるだけでありまして、答申をいただいて、それを踏まえて、最終的な決定権は教育委員会にあるんだよということをこれは規定をしているにすぎないです。そうでなければ、その次の五項があるのがおかしいわけです。そうじゃありませんか。第五項があるのがおかしくなりませんか。
#126
○委員長(丸山和也君) 簡潔にお願いします。前川局長。
#127
○政府参考人(前川喜平君) 次の第五項では、確かに、教育委員会の決定が協議会の答申内容と異なる場合は、県の教育委員会の指導助言を受け、役員会で再協議することができるという規定がございます。ただ、八重山のケースにつきましては、一旦出た答申について協議をし、再協議をしてですね、再協議の結果としてさらに協議会の会長から竹富町の教育委員会に対してこの答申に従うよう求めるという手続は踏まえていると考えておりますので、ここで協議の結果は出ているというふうに考えております。
#128
○委員長(丸山和也君) 質疑時間が満了しております。
#129
○石橋通宏君 時間が参りましたのでもう終わりますが、その辺については重大な事実誤認だと思いますので、今後またしっかりと議論させていただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#130
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。大臣、よろしくお願いいたします。また、皆様よろしくお願いいたします。
 まず、今ソチで、国際情勢いろいろ紛糾する中、パラリンピアンの皆様、一生懸命日本の国旗の下、思いを持って頑張っていらっしゃっております。大臣から一言、パラリンピアンの方々に激励のメッセージをいただければと思います。
#131
○国務大臣(下村博文君) パラリンピックの選手たちが自らの障害と向き合いながら無限の可能性に挑戦する選手の姿は、人々に大きな夢と感動、勇気を与えるものであるというふうに思います。
 ソチ・パラリンピックにおいては、現在アルペンスキーの滑降男子座位とスーパー大回転男子座位の二種目で狩野亮選手が金メダルを獲得されたことを含め、日本選手全体として合計五個のメダルを獲得されております。見事にメダルを獲得された選手及び指導者の方々に対し、心からお祝いを申し上げたいと思います。
 また、惜しくもメダルに手の届かなかった選手も含め、多くの日本選手が活躍されている。今後出場する選手の皆さんにもベストを尽くしていただきたいと思いますし、先日、安倍総理と一緒に壮行会、出席をし、全て二十人全員の選手が出席をされておられましたが、激励をしてまいりました。それぞれ個人個人のドラマの中で最大限の日頃の成果を出し切る大会になるように、まだ残された競技種目のパラリンピアンに対してはお願いと応援を申し上げたいと思います。
#132
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
 大臣おっしゃったとおり、パラリンピアンの方々は本当にお一人お一人その背景といいますか、これまで様々なドラマを乗り越えられて、今一生懸命頑張っていらっしゃる。そのお姿、私も国民の一人として本当に心温かく見守って、頑張っていただきたいと思っております。
 昨年の十一月の私、質問で、このパラリンピックの関係で何度か質問させていただきました。一つは、パラリンピック、ナショナルトレーニングセンターをパラリンピアンの方々が使えるようにというような質問ではございましたが、回答として、まずは、パラリンピック選手のナショナルトレーニングセンターの利用につきましては引き続き関係団体と連携を図っていく、このようにお答えいただきました。この点は引き続き関係団体の方々との協議をお願いしたいと思います。
 先ほど橋本先生から、ナショナルトレーニングセンターについての宿泊代であったり食費の無料という御要望がありました。これはパラリンピックにとっても特にやはり重要な部分であろうかと思います。特にこの関係団体、やはりオリンピックに比べてもパラリンピックの方はやはり財力的な基盤も弱い部分もあり、結果としてアスリートの方々への負担に係る部分もあるということも考えられますので、その関連でも、先ほどの無料化という点もまた引き続き御検討いただきたいと思っております。
 もう一点は、お答えいただいたのが、既存施設をナショナルトレーニングセンター競技別強化施設として指定し活用する、このようなお話でありました。国の中に一個あるナショナルトレーニングセンターとはまた別に、地域ごとの既存のある施設を利用していくという発想は非常に大事であると思います。
 ただ、パラリンピアンの方々も、障害の程度であったり、また競技ごとでいろいろと様々な事情の状況があると思います。やはり何といってもパラリンピックのアスリートの方々に直接ニーズを聞くことが非常に重要であろうかなと思っておりますが、この辺り、先ほども質問一部あったんですが、現状どういうふうに今進められる御予定であるのか、御答弁をいただければと思います。
#133
○大臣政務官(冨岡勉君) 矢倉委員の質問にお答えいたします。
 委員御指摘のように、ナショナルトレーニングセンターをやっぱりパラリンピックのためにも造ろうという動きはございます。所沢にあります障害者リハビリセンター等も候補に挙がっているんですが、委員御指摘のように、やはり分散型にした方も使いやすいんじゃないかという意見も強うございまして、それの調査費用名目で調査研究費を計上しております。
 したがいまして、今後、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会推進室や厚生労働省等も含めまして、関係団体とそういったニーズとマッチするようなセンターを検討していきたいと思っております。
#134
○矢倉克夫君 引き続き、また調査等も含めて、是非よろしくお願いいたします。
 二〇二〇年の東京には、やはりオリンピック大成功とともにパラリンピックを大成功させる使命があると思っております。この六年半の過程の中で、パラリンピック成功することで、やはり何といっても健常者の方、障害者の方が同じように社会の中で活躍できる社会をつくっていくということと、また障害をお持ちの方に対するボランティア精神というのをしっかりと社会の中で植え付けていくということが非常に大事であると思っております。
 その中で、今日は関連で若干障害者に対しての教育を受ける権利という部分での質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、特別支援学級についてでございます。
 現状、様々いろんなところのお声をお伺いすると、まだ特別支援学級に対しての、やはり設備等の面の、ハードの面も含めて、まだまだ拡充の余地はあるかなと思っております。
 現状、例えば不足教室がどれくらいであったのか、平成二十四年の五月一日の段階でのデータ、ちょっと古くて恐縮ではございますが、その時点で四千六百三十三不足教室があったというふうにお伺いもしております。また、私、個人的にお伺いをした事例の中で、やはりまだまだ障害者に対しての、特に御児童さんの方々に対しての教育環境というのはやはり足りないんだなと思ったことがございました。
 あるお母様なんですけど、千葉県の方です。お子さんが脳性腫瘍を患っていらっしゃるということで、なかなか学校、市立、地元の公立も受け入れることはできないというふうに拒否をされてしまって、一番近くにある特別支援学校が、じゃ、どこにあるかといったら、そこから往復で二時間ぐらい掛かってしまうようなところにある。往復で二時間掛かってしまうようなところにある。その場合に、じゃ、バスで迎えに来てくれるかというと、バスでも対応ができないというふうに学校に拒否をされてしまったということで、大変困って私のところに来られました。
 我が党の、公明党の市議会議員さんがいろいろ動いてくださいまして、最終的には、週の二回はその地元の近くの特別支援学校の方に行き、それ以外は地元の公立学校の方に通うというような形で話も付きまして、何とかその場は抑えたんですが、やはりこのような事例があちらこちらで頻繁に起きているんじゃないかなということを改めて懸念をするところでございます。
 そこで、まず現状、この特別支援学校拡充含めて、政策全般についていろいろ御説明をいただきたいと思います。
#135
○政府参考人(前川喜平君) 障害のあるお子さん方の教育に関しましては、去る一月二十日に批准されました障害者の権利に関する条約におきまして、インクルーシブ教育システムの理念が提唱されております。この理念の実現に向けた取組が現在非常に重要であるというふうに考えております。
 このインクルーシブ教育システムにおきましては、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、障害のある子供の自立と社会参加を見据えて、その教育的ニーズに的確に応える指導を提供できるよう、通常の学級あるいは通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場の整備が必要になると考えております。
 このように、インクルーシブ教育システムにおきましては、特別支援学校も大きな役割を担うものでありますが、文部科学省では、これまでに外部専門家の活用等を通じた特別支援学校の機能強化を図るためのモデル事業等を実施しております。
 また、御指摘のように、施設の不足というものが非常に問題でございます。施設整備の観点からは、引き続き特別支援学校の新増築への支援を行うとともに、平成二十六年度からは、新たに廃校でありますとか余裕教室を改修いたしまして特別支援学校として整備する事業に対しまして国庫補助する制度を創設することを予定しているところでございます。
 今後とも、これらの施策を通じまして、インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別支援学校の充実等に取り組んでまいりたいと考えております。
#136
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
 今インクルーシブという観点の理念も御説明いただきました。非常に大事な視点であると思います。やはり障害のある方は、ここだけの地域、という形で限定をされないで、同じような環境の中でお互い切磋琢磨し合うということは非常に重要であるかなと思っております。
 今特別支援学校の件、廃校等も含めて、いろいろとこれは再生していくというような方向性であるというふうにお伺いもいたしました。先ほどちょっと話を挙げた千葉県の方は、県の予算を使って、何とか本来その方がお住まいのところの市で特別支援学校を造っていくことに今調整が付いたということでありますが、今のお話ですと、今後はまた国が更に補助もした上で廃校等も改修していくというような方向になったという点であると思います。非常に重要な点であると思いますので、引き続きその方向で進めていただければと思います。
 続きまして、今のは児童の関係ではございますが、次に大学の関係、障害者の関係の設備について質問をさせていただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事石井浩郎君着席〕
 私、アメリカに一時期留学をしたことがありますが、願書等を提出すると、各大学どこを見ても、あれっと思ったのは、ホームページ上では必ず障害者に対してのサポートというようなページがアメリカでは必ず入っておりました。日本ではなかなか見かけなかったなというふうに思っていろいろ調べてみましたら、アメリカではリハビリテーション法という法律、また、障害を持つアメリカ人法という形で、障害を持っている方と障害を持っていない方の学生さんに対しての教育機会を均等にするということを非常に理念としてうたっていらっしゃる。この根底には、障害を持っている方の自立を促すことが最終的には社会全般にとっての活力になっていくというような哲学みたいなものもあるというふうにお伺いいたしました。
 対して日本は、障害者基本法十六条、教育に関しての条項はあるんですが、対象として明文上書かれているのは児童さん、生徒さん。学生という言葉はまだない状態ではございます。
 そんな中、これから日本も大学の学生さんに対する障害対応、障害者の方々への対応というのは非常に重要であるかなと思っております。
 データとしましても、今上げられている数で、大学に通われている障害者の方は平成十七年で五千四百四十四人いらっしゃった。それが平成二十四年では今一万千七百六十八人、倍増しているという。これは、元々障害を持たれた方が増えたということよりは、どんどんニーズが増えてきているというか、掘り起こされてきているという経緯があると思いますが。また、その中で発達障害の方が平成十八年では百二十七人であったのが、平成二十四年では何と千八百七十八人まで増えているというような状態でございます。
 大臣の所信の中では、この大学生の障害をお持ちの方に対しての政策というのは直接明文では書かれていなかったと思いますが、改めて今、今後この問題について大臣としてどのように進めていかれるか、御所見をいただければと思います。
#137
○国務大臣(下村博文君) この件は矢倉委員と問題意識は全く同じでありまして、私は、昨年の十二月に福島に視察に行ったとき、小中高連携の特別支援学校に行きました。そのときに、その高校生たちの作品を見て驚いたんですね。自閉症の子とか、それから学習障害、発達障害、身障者、いろんな子供たちがいる特別支援学校でしたが、すばらしい芸術性を持った作品が埋もれているんですね。
 しかし、結果的にはその子たちの高校卒業した後の行き先は軽作業所のようなところしかなくて、せっかくその持っている才能をもっと引き出すようなことをしたら、これは社会に迷惑を掛けているような存在というふうに当事者の方々、親御さんたち思っていますが、逆に社会を牽引するような優れた芸術才能、能力を持っていて、それをどう引き出してあげるかということが今後の我が国の課題だし、それは、その一人一人の障害者の方々が自立するということだけでなく、そのことによって社会貢献をするということにもつながっていくという意味で、これから大学教育についても力を入れるべきではないかということを改めて感じました。
 今、大学においては、障害に関する専門的知識や経験を有する教職員やコーディネーターを配置する、あるいは手話通訳等の専門技術を有する支援者を確保するというようなことが重要だということで、それぞれ、日本学生支援機構や、あるいは文科省としても、平成二十五年度から、国立大学法人運営費交付金における専任の教職員の配置、また私立大学等経常費補助金における障害学生一人当たりの単価の倍増など、大学における障害学生支援体制の強化を図っているところでありますが、先進諸国に比べてまだまだ足らないというふうに思います。
 そもそも、ほかの国でも、その障害に合った、例えば入学試験の形を健常者とは別の形で工夫しながら、一定レベルの障害者、これは学習障害児含めてですが、受け入れていると、つまり多様な学生を受け入れていると。それが結果的に大学のためになるし、また社会全体に対して、そういう学生をバックアップするということが、その学生たちが社会に貢献するその道筋をつくるという意味では、我が国は非常に遅れている部分があるという感じを私個人としても持っております。
 是非、文科省としても、各大学の取組を更にバックアップをしながら、障害のある学生が安心して大学に学べるような、そういう環境づくりに努めてまいりたいと思います。
   〔理事石井浩郎君退席、委員長着席〕
#138
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
 今大臣おっしゃったとおり、この障害を持たれている方のその潜在能力、非常にすばらしいものはあると思います。よく言われる話ですけれども、例えばエジソンとかアインシュタインなんかも実は障害を持っていたというふうに、話も、部分はある。そういうような方々が解き放たれた才能というのは、本当に社会にまたいい影響も与える部分はあるかなと、あとは環境整備であるんだなと思っております。
 今大臣が、国立大学に対しては法人運営費の交付等されているというようなお話もありました。やはり大事なのは、良い取組をしている大学のノウハウ等をちゃんと共有していく在り方であるかなと思っております。その点では、例えば立教大学などが非常に良い取組をしている、その取組の在り方を、独立行政法人の日本学生支援機構、障害学生支援ネットワーク事業という形で、政府の方でもいろいろ共有をしていく枠組みもつくられているということではありますが、やはり一つそういうような形で各大学の自主運営によって専門のスタッフを配属をしていき、それを共有させていくというような取組はされているんですが、やはり課題として挙がっているのは、それぞれ各大学で専属のスタッフとして障害者対応の方がいらっしゃったとしても、やはり非常勤であったり、待遇面がまだまだ弱いという方が非常に多いという話をよく聞きます。一時期的にはその方々が対応しても、やはり長続きもしないで、ノウハウとしてもその大学に残らないというようなお声もよく聞いております。
 昨年の一月の大学時報という雑誌に書かれている論文の中でのデータなんですが、日常業務のうち、障害学生支援が七割以上の方の給与というのをいろいろ分析をしたみたいなんですけれども、ほとんどが、百三十万円以下の方が最も多いという割合でありました。人事ローテーションで異動を繰り返す事務局スタッフや支援担当教員が含まれている半面、支援に当たる業務のウエートが高い人ほど非常勤職員として低い待遇を余儀なくされていることが分かると。こうした状況で専門的なノウハウや知識が学内に蓄積しないのは当然であり、障害学生支援に対して、特定の学生だけが恩恵を受ける付加サービス、非常勤職員やボランティアに任せれば十分と見る空気が大学内で根強い表れと思われているというような論文ではございます。
 やはり一つの環境整備の在り方として、もうちょっと国で人材を育成するというような在り方も考えなければいけないのではないか、そういうような専門的な各大学の障害者政策に対してこれを支援する、アドバイスする、その専門の人たちを国でしっかりと支援をしていって派遣をしていくというぐらいの在り方も考えなければいけないのではないかと思いますが、大臣、御所見をいただければと思います。
#139
○国務大臣(下村博文君) おっしゃるとおりだと思いますね。アインシュタインやエジソンは学習障害児であったのではないかと、発達障害児ですね、言われておりますけれども、日本で生まれていたら、多分ドロップアウトしてしまって、学校教育になじめなくて、独自に家庭でフォローアップもなくて、ただの不登校児で苦労する人生になってしまったのではないかというふうに思うところがあります。今の日本の発達障害児も同じようなやっぱり環境のままいるのではないかと。しかし、その子たちのチャンス、可能性を磨くことによって、日本において第二、第三のエジソンやアインシュタインになる可能性がある子が実はそういうところからもたくさんいるかもしれないと。
 そういう部分で、これは高等教育まで含めて、チャンス、可能性を広げていくということは、その人その人の人生にとって大切なことですが、同時に社会全体の豊かさにもつながっていくという視点から、これから多様な価値観の中で障害児等の支援をするということについてもっと力を入れるべきときに我が国は来ていると。大学教育においても、そういう意味で、多様な学生が受け入れられるような学校施設であり、あるいはハードやソフトの部分の対応、それから入学試験そのものの多様化を含めたですね、そういうことをすることによって障害児の方々が学ぶ権利がもっと獲得できるような、そういう支援をしていくことが非常に重要だというふうに思います。
#140
○矢倉克夫君 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
 次の質問に移らせていただきます。
 大学の国際化に向けての話でございます。大臣、所信表明でもおっしゃっていらっしゃいましたが、今、グローバルな中で、やはりグローバル社会に勝ち抜く学生を育てていくということは非常に大事なことであるかと思います。
 その上で、日本人が海外に出ていく、これも一生懸命促進していくことは大事であると思いますが、私、一方で、大臣もおっしゃっている海外の優秀な留学生が日本に来られる環境をつくっていくことは非常に重要であると思います。
 一つは、日本人の全ての学生が、やはり経済的事情もあってみんな海外に行けるわけではないわけですが、それでも海外から来てくだされば、その方々と触れることでやはり異文化ということの、そこの出発点も見えてくるということは非常に大事であると思いますし、海外から来る優秀な方々が日本に来て、また定住をされた上でそこで力になっていっていただくということは、日本の力を更に多様化していく上でも非常に大きな意味があるのではないかと思います。
 その上で、ある有名国立大学の総長とお会いしたときに、じゃ外国の留学生を日本にもっと来てもらうためには何が課題なんでしょうかとお伺いをしましたら、真っ先に住環境だというふうに言われました。やはり、外国の方が来て住居が一番困ると。私もアメリカにいたときは、大学に確かに寮がありまして、留学生用の寮があったんですが、日本の大学が必ずそのような形であるかどうかというようなことははっきりしないところであります。特に日本は、敷金であったり礼金であったり、そういうような契約慣行もありますので、そういうような在り方をしっかりとサポートするような体制というのが必要だと思いますが、この辺りどのような政策を打たれているのか、御意見いただければと思います。
#141
○政府参考人(吉田大輔君) 外国人留学生の方が日本において安心して充実した留学生生活を送る上で、まさに住環境の整備というものが重要な課題であるということは御指摘のとおりでございます。
 文部科学省におきましては、留学生の住環境確保に関する取組といたしまして、奨学金の支給等による経済的支援に加えまして、日本学生支援機構が保有する国際交流会館などを活用した宿舎の提供及び交流事業の実施を行いますとともに、大学等がアパートなどの民間宿舎を借り上げるに当たりまして、契約時の礼金、仲介料、保険料等に掛かります費用を補助する留学生借り上げ宿舎支援事業の実施も行っているところでございます。
 さらに、留学生が民間の宿舎に入居する際に保証という問題が出てまいりますけれども、この関係につきましても、公益財団法人日本国際教育支援協会におきまして、留学生が民間の宿舎に入居する際の入居契約における保証人の負担を軽減するために、火災事故等による損害賠償に加えまして家賃の未払などを補償する留学生住宅総合補償事業を行っているところでございます。
 私どもとしては、更にこういう関係の施策を進めまして、住環境の確保に努めてまいりたいと考えております。
#142
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
 確認なんですが、国際交流会館は今まだ事業としては残っているという理解でよろしいんでしょうか。
#143
○政府参考人(吉田大輔君) はい、前に事業仕分などで厳しく言われましたけれども、残っております。
#144
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
 特に地方に関しては、やはり地価とかそういう部分も安い部分もあって、国として何か整備をするという部分は必要ないのかもしれないんですが、やはり都市部に関しては地価も高い部分もある。他方で、やはりいろんな大学が密集しているところもあって、そこに一つ留学生の拠点みたいなのがあれば、いろんな大学の留学生がそこで交流し合って留学生コミュニティーみたいなものも生まれるんじゃないかなと思います。そういう意味での留学生用の宿泊施設というのも、いろいろな制約もあるかもしれませんが、やはりしっかりと造って、国としても万全だという体制を外に示していくことは大事であるかなと思います。
 あともう一点、海外の留学生をやはり引き入れるといいますか、先日、国際教養大学の方に視察、行かせていただきまして、改めて感じたんですが、あの大学の力の強さといいますか、学生が皆寄ってくるのは、ここに行けば留学に行ったと同じような感じで外国人の留学生の方々と非常に交流が持てるというようなことを言っておりました。外国人の留学生が来るということは、当然いろんな大学と海外の交流提携ができているということであると思います。いろんな大学との提携を、お話も聞きましたが、アメリカだけではなくてアジア、アフリカ、その他様々な、世界各地からの百何十校以上の学校との提携ができていたという、在籍している学生にしてみれば、留学している最中も国際教養大学の授業料だけ払えば、あとは生活費は当然自分で払うわけですが、その分の授業料という点では現地では徴収はされないと、そういうような形での各大学との提携ができていたというようなお話も聞きました。ただ、それらの学生の協定を結ぶ事務というのは、やはり現地の大学の事務員の方々が一生懸命開拓をされたというところであります。
 今後、いろんな大学生を日本に引き入れるといいますか来てもらうためにも、やはり各大学の、そういう今、自主に任せている部分もあるかもしれない、そういうような、外国との大学との提携を結ぶ、協定を結ぶというような、そのようなノウハウ等も含めた共有の在り方や、また国からのしっかりした支援、サポートというのも必要かと思いますが、この辺りを今政策としてどうされているのか、いただければと思います。
#145
○政府参考人(吉田大輔君) 今御指摘の関係につきましては、まず、文部科学省としては、各大学の取組の参考に供するために、交流協定などに基づくダブルディグリー等の外国の大学との教育連携の構築に関して留意すべき点を示したガイドラインを平成二十二年に策定をしております。
 また、交流協定などに基づき外国の大学との質保証を伴った教育連携プログラムを開発、実施する大学を支援するために、平成二十三年度から大学の世界展開力強化事業を実施しているところでございますけれども、この事業では、様々な国、地域の大学との間で単位互換や成績管理の方法など質保証の枠組みを構築し、先導的な国際教育連携プログラムを実施する大学を目指してその取組を支援しているところでございますが、この事業採択校の個々のプログラムの概要や進捗状況につきましては他の大学の取組の参考となるようにウエブサイトで公表するとともに、各大学によってシンポジウムを開催するなど広く情報発信を行うよう求めているところでございます。こういった取組を更に進めてまいりたいと思います。
#146
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
 最後に、大臣から。留学生三十万という目標があります。それに向けて一言いただければと思います。
#147
○国務大臣(下村博文君) 少子化が進行し、社会や経済のグローバル化が進展する我が国において、優秀な外国人留学生を獲得し、我が国の成長に生かすことは極めて重要であり、二〇二〇年までに外国人留学生受入れ三十万人の目標を達成するために、我が国への留学が世界中の学生にとって魅力あるものとする施策としてこれから政府全体で取り組んでまいりたいと思います。
#148
○矢倉克夫君 ありがとうございます。
 以上で終わります。
#149
○松沢成文君 みんなの党の松沢成文でございます。大臣、お疲れさまです。
 私は、大臣が文科大臣になって様々な活動あるいは様々な改革提案をされている、大変高く評価させていただいております。ちょっと褒め殺しになるかもしれませんが、日本国はこういう文科大臣を頂いて本当によかったなというふうに思っているんです。
 大臣が様々教育改革の提案をされている中で、私自身一番うれしかったのは、つい数か月前に大臣が高校日本史を必修化していきたいと、その検討を始めるんだというふうに宣言していただいた。本当にうれしかったです。といいますのは、私自身もずっとこの問題取り組んできておりまして、もう七、八年前から実は文科省にも何度も、当時神奈川県知事だったんですが、通ってきて、当時の大臣や副大臣に次の学習指導要領改訂の際には是非とも高校日本史は必修化すべきだと訴えてきたんですが、なかなか進んでこなかったんですね。
 なぜ高校生に日本史をしっかり教えるべきなのか、それも必修として教えるべきなのか。私は、やはり日本の歴史、伝統、文化をしっかりと習得した日本人こそが本当の意味での国際人になれると思うんです。英語がしゃべれるから国際人じゃなくて、やはり自国の歴史、伝統、文化もしっかりと説明ができる。やっぱり自国の歴史、伝統、文化を学んでいれば、相手国の歴史、伝統、文化も尊重するような、そういう包容力のある人間に育つわけですね。ところが、残念ながら、日本の今の高校生、歴史、特に日本史を真剣に学んでいる子が少ないんですね。
 私、知事のとき驚いたんですけれども、ある神奈川県の高校で日本と中国が戦争をしたことを知らないという高校生が半分以上いたという高校があるんです。ほとんど近現代史勉強していません。それはまあ高校は世界史必修で、日本史は地理と日本史の選択科目になってしまった。中学では日本史はやっていますけれども、全員がしっかりと近現代までやっているわけじゃないんですね。高校に来ると半分の生徒は地理を取っちゃうわけなんです。そういうことで、近現代史をほとんど学ばずに大人になってしまう、そういう若い子が多いと。これは私は日本の国益の問題だというふうに思っているんです。
 文科省に何度当時尋ねてもなかなか難しいという答えだったので、それでは神奈川から先行でやらせていただきますということで、神奈川県の教育委員会に検討をお願いして、様々な議論があったんです。最初に来る反論は、国がやっていないのに県だけでできるのかという、こういう地方分権に逆行するような、勝手をやるなみたいな反論からありましたし、それから、親御さんたちからは、知事、余計なことをするな、うちの娘は受験に忙しいんだ、国語と算数と英語以外時間を割くのは困るんだ、歴史なんか必修化されたら困ると、こんな声まであったんですね。でも、教育委員の皆さんが、先生方あるいは教職員の皆さん、親御さんたちとも様々話合いを進めて、私も何度もタウンミーティングに出ましたけれども、神奈川県でやろうということでようやく実現ができたんです。それは、たしか四年ぐらい前だったと思います。議論に二年以上掛けました。
 神奈川県では副読本も作って、実は今の日本史のA、Bとありますね、学習指導要領に。Aが近現代中心、Bが通史ですか。それと合わせるように神奈川の郷土史と神奈川の近現代史。神奈川県は、ペリーの来港、横浜開港以来、日本の近代化の、あるいは文明開化の中心地でしたので、神奈川の近現代史というのも相当詰まっているんで、そういう副読本を作って、この四つの中から必ず全ての高校生がきちっと選択して必修として学びなさいという方針を出させていただきました。
 まだ四年目でありますから、どこまで神奈川の若い人たちが歴史、伝統、文化を体得したすばらしい青年に育っているかは、まだもう少し時間が掛かると思いますが、これを受けて東京都も、神奈川でやっているなら東京もやろうということで、今神奈川と東京で、日本ではこの二つだけなんですけれども、高校日本史が必修となったと。
 私は、実はこれ全ての都道府県でやってほしいということで、全国知事会でも訴えました。その中から、幾つかの知事さんから、神奈川でよくやったねと、うちもやってみたいということで、だんだん広がりつつあったところ、文科大臣がやはりこれは国全体でしっかりとこの改革をしようということで、高らかに方針を示していただいた。私は本当にうれしかったです。
 そこで、まず最初に伺いますが、文科大臣は、大臣としてあるいは政治家として、歴史教育の重要性というのをどう認識されているか。そしてまた、高校日本史必修化の方針を打ち出したわけでありますけれども、今後これを具体的に、恐らく中央教育審議会等々でも議論していただくんだと思いますが、どんな形で、どんなスケジュールで進めていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
#150
○国務大臣(下村博文君) 松沢当時知事の神奈川県における日本史必修というのは、大変私は時代を先取りした先見の明があったすばらしい取組だというふうに思います。しかし、我々が取り組むとなると、何か安倍政権は右傾化だのような一部報道があったりするんですが、日本史必修がなぜ右傾化なのかと、ああいうことを言われること自体が間違った発想ではないかというふうに思います。
 それは、いろんな留学生に会って彼らの話を聞くと、今おっしゃったように、英語は話すようになったと。しかし、外国人と話して日本のことが語れないと。日本の歴史がどうだったのか、文化、歴史がどうだったのか、そういうことがきちっと話せないと海外では評価してくれないと。英語だけ話せても、それはある意味では共通語としてのツールとして当然のことであって、それが別に学生としてあるいは国際社会で働くグローバル人材として必要ではあるけれども十分ではないと。改めて海外に行って、いかに自分が日本のことを学んでいないかということで痛切に感じ、またそれが、物すごく自分にとっては自信がない、それから、積極的にビジネスにおいてもそれから教育においてもいろんな人と話せない、そういう要因にもなっているので、是非、将来困ることがないように、海外に行ったときですね、日本の伝統、文化、歴史をきちっと教えるという環境をつくってほしいということはほとんど全ての留学生に言われます。
 真のグローバル人材、アイデンティティーを持った国際人材になるためには、やっぱり日本人としての伝統、文化、歴史を育むような根っこの部分をしっかり教えて、そして世界各国どこへ行っても活躍をするという意味では非常に重要なことだというふうに思いますし、それと右傾化というのは全く関係ない話だというふうに思うんですね。ですから、もっと日本の伝統、文化、歴史をしっかりと学んで、そして世界どこへ行っても日本はこうだということが、それは誇らしい部分がたくさんあるわけですから、是非子供たちにそういう基盤をつくっていくようなことをしていきたいというふうに思います。
 そのために高等学校の教育課程で日本史をどのように扱うか。これは次期学習指導要領改訂の大きな検討課題として位置付けました。文科省としては、今年のしかるべき時期に中央教育審議会に諮問をしたいと考えております。教育課程全体の在り方の中で、高校における日本史の扱いなど地理歴史の見直しについても検討を進めてまいりたいと思います。
#151
○松沢成文君 中教審に諮問をしてくださるということで、ぐっと前進すると思います。ただ、私は、ちょっと、神奈川で高校日本史必修化を取り組んできた中で、一つ反省点というか、ああ、こういうやり方があったのかなと思っている部分があるんですが、それは実は、世界史は高校で必修だと、日本史も必修にしてくれということで、私は日本史対世界史という、こういう枠組みで考えちゃったんですが、ただ、やはり歴史を勉強するには日本史と世界史がかなり密接につながっているのはこれ当然ですよね。
 特にペリー来航の日本開国以降は、列強とどう対峙していくのか、その過程で日清戦争、日露戦争もあって、坂の上の雲を目指し頑張ってきた、あるいは大恐慌も来た、関東大震災もあった、そして大正デモクラシーもあった、でもその後には軍国主義になってきてしまってあの大戦に突入して終戦を迎えたと。これは日本史、世界史、分けられないんですね。もう日本史の中に世界史があるし、世界史の中に日本史があった。つまり、近現代史という、大変私は一つの重みを持った部分があるんだと思うんです。
 そこで、日本史を必修、世界史をどうするかと、こういう議論でなくて、私は、今回、中教審に諮問をしていただけるとしたら、近現代史を一つのカテゴリーにして、その中で日本がどういう道を国として、国民として歩んできたのか。その中で、もう国際政治の中でもまれ続けたわけですから、世界史の中で日本がどう動いてきたのか、これを全体として教えるという近現代史、こういう形で高校生に学んでもらえないのかなと。
 高校生にとっても、近現代史というのは、おじいちゃん、ひいおじいちゃん、もう三代、四代前の近い歴史で、やっぱり古代や中世とは違った親近感もあるし、そしてまた中国や韓国との今後の関係を考えても、やっぱり近現代史をしっかりと学んでおくということが、私は、摩擦もあるかもしれませんが、友好につながると思うんですね。
 そういう意味で、中教審に諮問するとき、実は日本学術会議なんかもそういう視点が必要だという提言も出されていますよね。近現代史というカテゴリーで科目をつくっていただくようなことも是非とも検討していただきたいというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#152
○国務大臣(下村博文君) それは大変にすばらしい提案だというふうに思います。先ほど、日本と中国が戦争していたのかということを知らない学生がいるという話がありましたが、日本とアメリカが戦争したということ自体も知らない高校生が今たくさんいるということはもう考えられないことでありまして、それだけ近現代史についての、ある意味では当たり前のことさえ知らないという中での位置付けは大変に重要だというふうに思います。
 現行の学習指導要領改訂について検討した中央教育審議会の答申においては、高等学校の地理歴史科における必修科目の在り方として、今後、地理歴史に関する総合的な科目の設置について検討する必要がある旨述べられております。検討に当たっては、御指摘の日本史と世界史を併せた近現代史を必修化することも一つの知見であると考えられ、現在、文科省の研究開発学校において、新たに近現代史に関する科目を設置する試みなどが行われております。
 また、これは松沢知事のときに進められたことだというふうに思いますし、先ほどもおっしゃっておりましたが、神奈川県の教育委員会では、独自の科目として、近現代と神奈川、それから郷土史かながわを設定するなどの取組も行われているということをお聞きしております。
 今後、高等学校の地理歴史の中にこの日本史、世界史もあるわけですが、この見直しに当たって、これらの取組の成果も含めながら、問題は、重要なことだと思いますが、ただ、その近現代史という教科をどういう学者がどう書き込められるのかどうかと、書けるのかどうかという、学習指導要領の問題と、それから、それに堪え得る学者がどれぐらいいるのかどうかということもあるかというふうに思いますが、しかし、これは必要な分野だというふうに思いますし、前向きに検討していきたいと思います。
#153
○松沢成文君 ありがとうございます。
 次に、ちょっと具体的に、大臣は所信表明の中でも、文化芸術立国の実現を目指すと、高らかにうたい上げておりました。東京オリンピックも招致が決まって、もう準備に入っているわけですけれども、これから国内外の多くの皆さんが東京首都圏に来ていただけると思います。
 大臣も東京出身でありますから東京のことは私なんかよりももっともっとよく知っていると思いますが、私は、東京という日本の首都、もう世界の最先端国際経済都市、すばらしい都市だと思うんですが、森ビルの前の社長でこの前お亡くなりになりましたけれども、森稔社長がすばらしいことを言っているんですね。経済だけで文化のない都市は魅力がないと。彼が言うには、東京は経済的にはすごい都市だと、でもやっぱり文化の薫りが何か足りないから都市としてまだまだ魅力がいまいちだと。したがって、国際観光客の数は、パリが年間八千万人来るのに東京は八百万、まあ去年一千万超えたと喜んでいますが、やっぱりパリやロンドンやニューヨークや北京に比べると、ぐっと落ちるんですね。
 そこで、実は私も東京に何か文化の薫りをつくれないか、文化の創造ができないかと思ってずっと考えていたんですが、実は、江戸城、東京の真ん中に、今は皇居と呼ばれていますけれども、江戸城がある。ここは太田道灌、あるいは徳川家康が転封されて入ってきて、すばらしいお城を築いたわけなんです。
 この江戸城は、近代城郭文化の最高傑作と言われたすばらしい天守閣を持っていたんですね。実は、大阪城や名古屋城の天守閣よりも、もう一・五倍、二倍ぐらい大きかったんです。明暦の大火で全焼してしまって、実はそれ以降建てられていないわけなんですけれども、ただ、大変有り難いことに、三代目の寛永度天守閣の見取図、設計図が残っています。これに忠実に復元ができれば、これは大変な文化財としての価値も持ってくるわけなんですね。
 私は、江戸城の天守閣を復元するというプロジェクトによって様々な日本再生に向けての効果があると思うんです。
 一つは、歴史、伝統、文化の復興ということであります。日本のすばらしい城郭文化。
 二つ目には、こういう神社、仏閣、お城なんかをもう造れる人がいなくなってきているんですね。宮大工さん、石積み職人、瓦職人、あるいはしっくいで土塀を塗っていきますので左官職人。こういう人たちが大きな仕事がないもので、お宮の修繕ぐらいなんで、本格的な城郭建築なんかをもうできるような能力がだんだんと薄れてきちゃった。みんな仕事がないから辞めていっちゃっているんです。やっぱり日本の伝統的な木造建築、伝統技術のたくみの技を継承させていくためにも、こういう大きな江戸城天守閣復元のようなプロジェクトが必要だということなんです。
 それで、三点目は、観光振興です。オリンピックで多くのお客さんも来るでしょう。もちろんオリンピックまでには間に合わないかもしれませんが、東京の観光振興の核となると思います。東京駅の駅舎がれんが造りで復元されました。あれは明治の鉄道ができたときの東京駅の駅舎を復元したんですね。今行くと、みんな写真撮りに来ています。東京のステーションホテル、いつもいっぱいです。ああいう文化的な建造物を復元できると、それだけで観光資源として物すごく求心力を持つんですね。
 私は、東京駅そして江戸城天守閣、さらには日本橋の首都高を取っ払って、日本橋の魚河岸を再現する、そうすれば、東京の中心部に東京駅、江戸城、日本橋と、江戸、明治期の東京の歴史、伝統、文化を象徴するようなすばらしい観光スポットができ上がるわけです。江戸は昔、水路の町でしたから、これを水路でつなぐんですね。今、シンガポールなんかは水陸両用バスというのがすごいはやっていて、あるときは上陸して、あるときは進水する。お台場から隅田川上がってきて、日本橋川上がってきて、江戸城のお堀に入って、進水したり上陸を繰り返して、まるでテーマパークにいるような、もう本当にわくわくどきどき、楽しい東京観光ができるわけですね。ですから、観光振興にも物すごく私は大きな影響があると思うんです。
 こういう江戸城天守閣再建に向けて、実はNPO法人江戸城再建を目指す会というのがもう十年近く活動していまして、私も四年ぐらい前に仲間に、三年前ですか、入れていただいて今活動しているんですね。
 恐らく大臣も御存じかもしれませんが、大臣は、この江戸城天守閣を再建、復元して、日本の再生のために文化の新しい核にして、観光の核にするという、こういう動き、プロジェクト、東京選出の政治家でもあられます大臣はいかがお考えでしょうか。
#154
○国務大臣(下村博文君) 私も東京選出の衆議院議員でありますので、この特別史跡江戸城跡の天守台における天守閣の復元について聞いておりますし、実際に現地で、ここに天守閣ができたらどういうイメージになるかということで見に行ったこともありますし、今の御指摘について私も同感する部分がたくさんございます。
 ただ、この答弁のレクで文化庁が私のところに来まして、その答弁をそのままちょっと読み上げさせていただきますと、天守閣については、一般的に御指摘のような効果があると考える。一方、江戸城の天守閣の復元には課題があり、まずは天守台の所有者である宮内庁の同意が前提と考えるが、宮内庁は慎重と聞いている。次に、江戸城の天守閣は、明暦三年、一六五七年の明暦の大火により焼失した後、天守台の拡張が行われたが、江戸幕府の政策として再建されなかったという歴史があることから、文化財保護法に基づく現状変更の許可を行う場合には、現在の天守台は実在した天守閣のための台より大きく、復元する場合は、いつの天守閣を復元し、歴史的事実との関係をどのように整理するか。天守閣が再建されなかったことをどのように考えるか。復元した場合、基礎の設置など、遺構を損傷せずに建築できるかという課題があると認識しているというのが来まして、この中で、天守閣が再建されなかったことをどのように考えるかというのはどういう意味なのかと聞きましたら、これは江戸幕府のとき、当然ですけど、当時の江戸幕府は、ほかの城に対しては天守閣を造らないようにさせたわけですね。その文化庁の私に対する説明では、それは、平和の象徴として二度と戦争させないと、そのために江戸城も自ら天守閣を造らないというのは平和の象徴の意味なんだというふうに言われまして、いや、私は、本当に江戸時代にそんな思想があったのかと、後々の、後世の学者が後付けしたんじゃないかということで、よく調べろと言って、帰ったまま今のこの時間を迎えているんですが。
 そういうふうに、いろんな要素があるということは事実でございますので、トータル的に考える中でどういう形が望ましいか。しかし、観光としてより魅力的な東京をつくっていくという意味での一つのツールとしてはあり得る話ではないかと私は思っておりますが、コンセプトはしっかりと考えていく必要があると思います。
#155
○松沢成文君 この江戸城天守閣復元に向けて、私は二つの方針を示したいなと思っているんです。
 一つは、もう絶対鉄筋コンクリートのようなものは駄目だと、見取図が残っているわけですから、もう木造で完全復元すると。そこで価値が初めて出てきて、将来的には世界遺産になっていく可能性もあるんですね、本物の復元ですから。
 それともう一つは、税金を使わないということなんです。もう賛同するみんなが民間資金を集めて、企業や個人から寄附を集めて、それでつくり出すということなんです。つまり、過去にすばらしい文化があった、それを今を生きる我々が復元して将来の世代の贈物にしようと。つまり、過去、現在、未来のきずなをつなぐようなプロジェクトにしていくとその価値も大きくなるんじゃないかなと思っているんですね。
 それで、ちょっと手前みそで失礼なんですけど、私、今度「甦れ!江戸城天守閣」という本を書きました。その中に、この重要性だとかどうやったら復元できるのか、いろいろ提案をさせていただいておりまして、今結構アマゾンでも売れております。今日は、大臣、寝る前にもう本当に眠り薬に使っていただければと思って私の提案持ってきたので、是非とも御一読をいただければというふうに思います。
 確かに、霞が関の関係する省庁に聞くと、もう法律準拠主義、前例踏襲主義ですから、そんなことやったことありません、みんな反対のための理由を幾つも並べてくるんですね。ただ、やっぱりこの国にとって本当に必要なものであれば、こういう理由があるからできないというよりも、じゃ、こういう目標を持ってその中でどういうやり方があるんだというのを探して実行に移すのが政治家だと思っていまして、私は、是非とも東京出身の下村大臣にこういう大きな夢を国民の皆さんに訴えていただいてその先頭に立っていただきたいというふうに思っておりますので、今後の是非とも御検討をお願いして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#156
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 昨年十月、全日本教職員組合が教員の勤務実態調査二〇一二のまとめを発表いたしまして、その内容がマスコミにも大きく取り上げられました。この調査は、二〇〇六年の文科省調査と同じ調査票を使って五千八百八十名の教諭を含む六千八百七十九名分が集約をされたもので、同様の調査は東北大学でも行われています。
 文科省の調査では、時間外勤務時間は一か月平均、これ休日勤務も含めて約四十二時間、六年後の全教の調査では、土日を含めて六十九時間三十二分、持ち帰り仕事を含めますと実に九十一時間十三分という結果がまとめられています。しかも、この全体の三割以上が厚生労働省が過労死ラインとしている月八十時間の時間外労働を超えていて、百時間以上という方も二割近く、五人に一人に上ります。これ、持ち帰り仕事は含んでいません。こういう長時間勤務がこれ更に悪化しているんではないかと示唆する内容で、これは東北大学の調査にも共通をしています。
 二〇一二年度、文科省は、うつ病など精神系の病気による休職者は五年ぶりに五千人を下回ったとの報告をなさいましたが、依然として高水準だとこれはお認めになっています。
 まず大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり非常に深刻な長時間残業が学校現場に蔓延している。この実態についてどのような認識をお持ちでしょうか。
#157
○国務大臣(下村博文君) 平成十八年度文部科学省委託調査の結果から教員の年間の平均残業時間を推計すると、御指摘のように月平均四十二時間残業時間となっておりまして、一般の労働者と比べて時間外勤務が多い実態となっているというふうに承知をしております。
 学校教育に求められるものが多様化、高度化する中で質の高い教育を行うためには教員の多忙を解消し、子供と向き合う時間を確保することが重要であるというふうに認識しております。
#158
○田村智子君 私もそのとおりだと思うんです。
 この教員の多忙化、長時間勤務はこの間様々な機関で議論や検討が行われてきました。二〇〇七年中央教育審議会答申、今後の教員給与の在り方についてでは、先ほど紹介した文科省の調査についても取り上げていますが、教員の勤務実態について、どのような認識がこの答申で示されましたでしょうか。
#159
○政府参考人(前川喜平君) 平成十九年の中教審の答申におきましては、教員の超過勤務の実態について次のような記述がございます。
 教員勤務実態調査暫定集計によれば、七月、九月、十月、十一月の通常期における一日当たりの平均残業時間は、小学校の教諭で一時間四十七分七月、一時間三十四分九月、一時間四十二分十月、一時間四十分十一月、中学校の教諭で二時間二十六分七月、二時間十分九月、二時間七分十月、二時間八分十一月となっており、恒常的な時間外勤務の実態が明らかになっている。また、同集計によれば、七月、九月、十月、十一月の通常期における一日当たりの休憩・休息時間は、小学校の教諭で七月九分、九月九分、十月六分、十一月六分、中学校の教諭で七月十分、九月十一分、十月七分、十一月七分となっており、事前に割り振られているはずの休憩・休息時間が、子供たちへの指導等があるため、結果として十分に取れていない現状がある。
 このように、通常期においては、授業の始業時間から終業時間まではもとより、放課後においても子供たちが学校にいる間は、子供たちの教育指導や安全管理の責任などを負うことになるため、事務の軽減措置や勤務時間の適正な管理の取組だけでは対応し切れず、八時間の正規の勤務時間を超えてしまうことがどうしても多くなってしまっていると、このように記述されております。
#160
○田村智子君 今お話のあった休憩時間九分とか十分というのは、これは本当は労基法では四十五分、これを保障しなければならないとなっていますから、本当に異常なんです。
 加えて、やっぱり私重大だと思うのは、恒常的な時間外勤務になっているというふうに言われているんです。これは、そのこと自体が法律に照らして大問題だという認識を持たなければなりません。労働基準法三十二条、一日八時間、週四十時間を超えて労働させてはならないという規定は教員も適用対象です。
 さらに教員については、公立教員給与特別措置法で、特別の場合を除いて超過勤務をさせてはならないと定めて、その特別な場合を更に政令で次のように限定をしています。教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすることと。四つ示されています。校外実習その他生徒の実習に関する業務、修学旅行その他学校の行事に関する業務、職員会議に関する業務、非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務と。
 法令でここまで厳密に規定をしながら、恒常的な時間外勤務という違法実態がなぜ起きるのか、この点についても局長の見解をお伺いします。
#161
○政府参考人(前川喜平君) 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法でございますが、この給特法第六条に基づく政令第二号におきましては、時間外勤務を命ずる場合は臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとされ、各教育委員会においては当該基準に従い時間外勤務を命ずる場合を条例で定めております。
 平成十八年の教員勤務実態調査におきましては、小中学校の教諭の勤務日の残業時間が、一月当たり平均約三十四時間となるなど、昭和四十一年の教職員の勤務状況調査の結果と比べて残業時間が増加しているという実態がございます。
 条例に定める事項以外において行われる時間外勤務、これは職務命令によらない時間外勤務でございますが、これが行われている理由は多様であると考えられます。事務処理や報告書の作成、また生徒指導、部活動の指導等が時間外に勤務が行われている主な要因ではないかと考えております。
#162
○田村智子君 これはいろんな過労死裁判などを見ても、それは言葉で命令されていなくても黙示のこれは指示であるというような過労死裁判も行われているわけですから、教員が勝手にやっていることでは決してない、通常の業務の中でこれだけの長時間勤務が起きているんだ、これはやっぱりちゃんと認識しないといけないと思うんです。
 私、別に文科省何もやってきていないよとは言いません。これ二〇〇六年に勤務実態調査する、中教審も答申を出す、そうすると、これを受けて二〇〇八年には学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会、この審議のまとめも発表しています。その中でちゃんと、今後必要な取組ということで、授業以外の業務負担を減らすために学校運営の在り方について様々な課題があるんだということをきちんと提起をされておられます。それが実施されているかどうかというのは非常に疑問ですけれども。
 さらに、この審議のまとめの中では、法制度についても見直しが必要だという認識が示されました。これは、文科省自らに課せられたものだと思うんです。先ほどから指摘のある給特法、これは時間外勤務の時間数にかかわらず定率四%を教職調整額として支給するというふうに定めているんですけれども、このことについて、これが時間外勤務の抑制につながっていない、無定量の時間外勤務を招いているという批判がある、これを認めて、学校業務の効率化などと併せて、教員の時間外勤務が抑制されるような仕組みをつくっていく必要があるというふうにまとめを文科省自らがやった、でもそういう仕組みが提案されたという記憶がありません。これ、なぜなんでしょうか。
#163
○政府参考人(前川喜平君) 平成二十年の学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議における審議のまとめにおきましては、時間外勤務の問題に関しまして、ICTの活用でありますとか外部人材の活用等により、教員が担う授業以外の業務を縮減すること、適正な教職員数を確保すること、部活動指導については教員以外の専門的な指導者の活用を促進するとともに、部活動による時間外勤務が可能な限り生じることがないように、校長が適切に管理監督するよう指導することなどが必要であると指摘されております。
 文部科学省といたしましては、ICカード等を基礎として確認、記録するなど、管理職による労働時間の適正な把握、主幹教諭等の配置、事務職員の活用、校務の情報化、校務の効率化などを通じた負担軽減などによりまして、教員の勤務時間縮減に努めることを通知等を通じ指導してきたところでございます。
 引き続き、勤務時間の把握及び学校の校務運営体制の改善等を通じた勤務時間縮減を各教育委員会に求めてまいりたいと考えているところでございます。
#164
○田村智子君 それは、私が指摘したところの前段階までなんですね。その後に続けて、教員の時間外勤務が抑制されるような仕組みをつくっていく必要があるということもちゃんと書かれているんですよ。これはもう大臣にお聞きをしたいと思います。
 この給特法の規定というのは、民間事業者でいいますと、基本給の四%分をあらかじめ残業代として支給するという仕組みになるわけです。民間事業所ならば、それが何時間の時間外労働に対する手当なのかということは当然示さなければなりません。それを超えた時間については残業代の支払がさらに上乗せされなければなりません。私立学校も同様です。
 ところが、公立学校では、何時間時間外勤務をしたかは問われない。しかも、あらかじめ超勤手当の支給がされているんだから、時間外働いて当たり前と、こういう状況がつくられてしまった、だから抑制的になっていないんだと、これ検討会も認めざるを得なかったと思うんですね。
 しかも、この四%という規定が作られたのは一九九六年の調査に基づくもので、この当時の時間外勤務の月平均というのは八時間なんですよ。十年後、二〇〇六年文科省調査では、月平均四十二時間。どこから見ても全く時代にそぐわない、そういう法令がそのままになっているんじゃないだろうかと言わなければなりません。
 実は、民間の方はもっと進んでいて、労働基準法は、これは二〇〇八年の改定で、月六十時間を超えるような時間外労働はこれは割増し率も上げなきゃ駄目だと、二〇一〇年四月から施行されています。これは公立学校についても同じように、時間外勤務はその時間数に応じて割増し給を支払うようにする、こういう給特法の改正なども行って実際に抑制的な仕組みをつくるということが必要だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
#165
○国務大臣(下村博文君) 公立学校の教員には、割増し賃金を含む時間外勤務手当を支給しない代わりに、御指摘のように、職務と勤務態様の特殊性に基づき本給の四%分の教職調整額が支給されているわけでございます。文科省では、平成十八年度に実施した教員の勤務実態調査等を踏まえ、これまでも教職調整額の支給を定めた給特法の在り方について検討してきたが、結論を得るということには至っていないという状況がございます。
 私も、事務方から詳しく説明をしてもらったんですが、一般行政職と教員の給与比較の中で、この一般行政職における本給、それから時間外勤務手当、それから職務給手当と、教員とでそもそも構成が違っている部分がございまして、その辺を実態的な状況に合わせるということになると、そもそもの本給の在り方をどうするのか、それから御指摘の義務教育等特別手当やあるいはこの教職調整額、それから職務給付額等をどうするのかということも併せて抜本的なこれは検討をしていかないと、なかなか時間外手当の問題も含めて簡単に解決できることではないと思いましたが、その検討は必要であるというふうに私も思いました。
 しかし、さらに、その検討、その給与の問題だけでなく、学校の組織運営や、それから教員の勤務時間管理、また教員の時間外における勤務の在り方等も含めて大きく影響する問題でありますので、今後の学校の在り方や教員の質の向上を進めていく上でもトータル的な形での検討が必要だということでありますが、大変重要な課題だというふうに認識しております。
#166
○田村智子君 これは、労基法はやっぱりペナルティー的な意味合いを込めての割増し給料なんですね。それで抑制させようと。やっぱり同じような、ある意味、力も働かせることが必要ではないかという問題意識を持っています。
 実は、この何時間働いても手当が変わらないということが、今大臣お話しになったとおり、勤務時間の把握、管理の在り方、これも現場では曖昧になっているんじゃないかというふうに言わざるを得ませんし、さっきの審議のまとめでもこのことが指摘をされています。
 まず確認をしたいんですけれども、やっぱり学校現場の労働時間の適正な把握、これは文科省も通知も出す、それからその後も指導を進めるということをやっているんですけれども、改めて確認したいのは、時間を把握すること、これは教育委員会や校長が出退時間の把握をするだけでなくて、個別教員の総労働時間を管理すること、これが求められていると思います。あわせて、その労働時間が長過ぎる、健康を害するというふうに思われる場合には、具体に労働時間を減らすような手だてを取る義務、これ安全配慮義務と呼ばれますけれども、これを教育委員会や校長は負っているというふうに考えますが、局長、いかがでしょうか。
#167
○政府参考人(前川喜平君) 御指摘のとおり、この平成二十年の御指摘のあった検討会議の審議のまとめにおきましても、国家公務員や民間企業の使用者についての最高裁判決を踏まえれば、教育委員会は、当該教育委員会が服務監督権を有する教職員について当該教職員の生命及び健康などを危険から保護するように配慮すべき義務、これが安全配慮義務でございますが、この義務を負っていると指摘されているところでございます。
 文部科学省といたしましては、教員の心身の健康が保持されるように、勤務時間の把握及び学校の校務運営体制の改善等を通じた勤務時間の縮減を各教育委員会に引き続き求めてまいりたいと考えております。
#168
○田村智子君 やっぱり前提として、勤務時間がどうかという把握が適正に正確に行われることが求められると思うんです。
 私、幾つか学校の現状を聞きましたら、こういう通知も受けてタイムカードで把握しているという学校も確かにあります。しかし、別の学校に行きますと、目視で校長などが確認すると。目視でどうやって時間を確認するのかなと思うんですけれども、勤務時間が過ぎたと、誰々が残っているということを確認する程度で終わっている学校もあるということなんですよ。
 文科省に改めてお聞きしたいんですが、一体勤務時間がどのように把握されているのか、その実態を文科省はつかまれておられるでしょうか。
#169
○政府参考人(前川喜平君) 出勤時刻及び退庁時刻の管理方法でございますが、例えば管理職による報告や点呼、目視。この場合、教頭先生が朝一番早く来て出勤状況を把握する、夜は最後まで残って全ての教員の帰ったのを確認すると、こんなようなことをしているという例もございます。また、出勤簿への押印、さらに、タイムカードなどを導入するところも徐々に増えてきているという状況でございますが、このような形で教員の労働時間の管理を行っているものと承知しております。
 文部科学省といたしましては、管理職が自ら現認する、あるいはICカード等の客観的な記録を基礎として確認し記録するなどの方法によりまして、労働時間の適正な把握に努めるよう、これまでも通知するとともに指導してきているところでございます。
#170
○田村智子君 これ、大臣、先ほどどんなふうに働いているかということも調べなくちゃいけないとおっしゃられたんで、これやっぱり、どうやって勤務時間つかんでいるかというのは、全くのこれ原点なんですよ。それがなければ何も進まないんですよ。是非、その実態調査、行っていただきたいと、これ要望しておきたいというふうに思います。
 併せて大臣にお聞きしたいのは、これ先ほどの文科省の検討会の審議のまとめでは、改善の方向として、学校が抱える課題に対応する適正な教職員数の確保が必要であると、こういう指摘もされているところです。にもかかわらず、この間、まともな教員定数の改善は行われず、二〇〇七年の中教審答申以降、むしろトータルでは、自然減であるとか、改善数の差引きなどで減少しているというのがこの実態なんですね。その辺、先ほど午前中の審議でもありましたけど、来年度予算案では初めて教員定数は純減になってしまうという案が提示されています。
 これ、児童生徒数の減少ということが理由なんですけれども、これでは、超過勤務が恒常化しているという、この違法状態を文部科学省は解決するという意思を持っているんだろうかと思わざるを得ないわけです。
 学習指導要領の改訂で授業で教える内容は増えていると。学力テストは全国だけでなくて地方公共団体や自治体も独自に取り組んでいると。あるいは来年度は土曜授業だと。これは外部の人だって言いますけど、教職員を抜きにして土曜日学校を開けるなんてことはまずあり得ないわけですよ。さらに、家庭や社会状況の変化などで、子供への対応も十年、二十年前と比べて本当に負担が重くなっている、これは十分考えられることです。
 本気で教員の過重負担解消する、長時間勤務解消するというのならば、抜本的な定数増に本当は踏み出さなければいけないんじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
#171
○国務大臣(下村博文君) 今、学校教職員が平均残業月四十二時間というのは、これは大変だということの御質問を受けて、文科省の職員はどうなんだというふうに聞きましたら、いや、もっと残業時間が多いんじゃないかと。これは、文科省だけでなく、霞が関全体もそういう状況だと、率直に言って思うんですね。
 実際のところは、田村先生も、多分それ以上に、別にそういう勤務体系じゃないわけですけど、我々のもし勤務時間に加算したら、とっくに過労死してもおかしくないぐらいの仕事をしていると思うんですが、好きでやっているから過労死じゃないんだろうというふうに世間からは言われそうですけれども、やっぱり日本全体が、そういう意味では、ワーク・ライフ・バランスの中、これは教員問題だけでなく、日本社会全体で取り組むべきことであるということを感じておりますが、決して逃げるわけではありません。
 平成二十六年度の概算要求においては、今後七年間で計画的に三万三千五百人の定数改善を図ることを目的とした教師力・学校力向上七か年戦略の初年度分として三千八百人の定数改善の要求を行いました。文部科学省としてはそういうスタンスでございます。
 しかし、残念ながら、この予算編成過程において財務省から大幅な教職員定数の削減を求められ、その結果、今後の少子化等を踏まえ、七百十三人の定数の減を行う一方で、小学校英語の教科化や特別支援教育の充実など、個別の教育課程への対応に必要な定数改善として七百三人の増を計上をしたところでございます。
 このため、自然減三千八百人を除く全体の定数は初めての純減、マイナス十人となったわけでありますが、その中でも優先度が高い課題に対応するため、定数の配置見直しを行い、実質的な教育環境の改善を図ったところでもございます。
 非常に財源が厳しい状況でございますけれども、重要な教育課題への対応を図るための必要最小限の予算が確保でき、そして今後、教職員定数のより一層の充実に努めるということが文部科学省の役割であるというふうに認識しております。
#172
○田村智子君 これ、やっぱり文部科学省というのは、法令に基づいて学校運営が行われているかどうかということに極めて重い責任を持っていると思うんですね。これ、もう違法状態が恒常化されている、この認識で、是非、その解決のために何が必要か、これ財務省とももちろんそのつもりで、違法状態なんだと、解決するのは当然なんだということで、やっぱり教職員定数の改善も求めていかなきゃいけない、改めて強く要求しておきます。
 最後、一問、高校就学支援金について、私も一問だけどうしても大臣に直接お聞きをいたします。
 来年度入学の高校生から、高校退学者が再入学する場合、最長二年の学び直しの支援ということで就学支援金が支給の対象となります。が、留年した場合はこの対象にしなかった。
 議論の中では、遊んでいる人にその支援金を渡していいのかというようなことがあったんですけれども、これ私、やっぱり、留年してでも卒業しようとする子たちを、これはちゃんと支援することは必要なんじゃないだろうか。まして、留年というのは遊んでいるばっかりじゃないんですよね。様々な困難、家庭の困難でなかなか通えない状況になっちゃったという方とか、働きながらだったら、通学費がなかなか払えなくて休まざるを得なくなっちゃったとか、そういう子たちが現にいるわけです。そういう子供たちに対して学校の先生も、頑張って卒業しようよと、留年しても頑張ろうよと。そういう子たちが中退することなく、留年してでも卒業するということは、これは社会的にも大きな利益になると私は思うんです。と考えるならば、留年のその子供も、個々の事情をよく見て、全部駄目よというのじゃなくて、これ対応するということが求められるんじゃないか。
 その点、是非再考をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#173
○国務大臣(下村博文君) この度の高校無償化制度見直しに伴いまして、新たに学び直し支援事業を創設することにより、一度は高校段階で学んだものの何らかの理由により途中で修学を断念し、再び高校段階で学ぶ者に対して支援するということを決定をいたしました。
 しかしながら、高等学校は本来修業年限をもって卒業すべきものでありますので、やはり遊びとか、それから非行などのため修業年限を超えて在学する留年生についてまでこの支給対象とすることは、これはやはり適切でないというふうに思います。
 しかし、病気とか留学等を理由として休学することにより就学支援金の支給の停止を申し出た者については、休学期間中は就学支援金の受給期間の進行を停止することができるようになっております。この場合において、修業年限を超過し、留年することとなった場合でも、就学支援金を受給できることとしております。
#174
○委員長(丸山和也君) 田村君、時間です。
#175
○田村智子君 はい、一言だけ。
 留年している子供の中に定時制の高校生、結構多いんですよ。本当に苦しい家庭の中で学んでいる子たちのその卒業を応援するという制度にしなくちゃいけないと、このことを改めて求めて終わりたいと思います。
#176
○藤巻健史君 日本維新の会、藤巻です。よろしくお願いいたします。
 私は、五十歳過ぎまで国際社会の中で生きてまいりました。中心的にはアメリカの銀行に勤めていたわけなんですが、臨時国会のときにも申し上げたと思いますが、実績だけからいったら社長、会長になってもおかしくないだけの実績を上げてきたつもりです。ただ、なれなかったんですね。
 それはどうしてかというと、この前も申し上げたかもしれませんけれども、やはり五時以降に文化とそれから歴史を話せなかったということなわけです。まさに、松沢委員の質問と、あと下村大臣の御回答にあったとおり、日本の歴史とか、それから文化をしゃべれない人間は国際人になれないと、真のグローバルな人材にはなれないということを改めて感じていた次第です。
 そして、もう一つ言えば、感性というのも非常に重要なわけです。私の息子は、中学受験のときですからもう二十年近く前なんですけれども、そのときに、スイス人のボスに私が、うちの息子は算数はできるんだけれども美術と芸術が駄目なんだよと言ったわけです。それはやっぱり全部オール五だよなんと言うと何か親ばかみたいに思われちゃうので、カモフラージュの意味も含めてそういうことを言ったんですけれども、そうしたら、スイス人のボスがすぐ、真剣な顔してすぐ医者に連れていけと言ったわけです。
 これは日本人だとやっぱり受験教育のせいで科学的な思考とか論理とかいう左脳さえ発達していればいいという考え方が強いと思うんですけれども、まさに午前中の下村大臣がおっしゃったように、イギリスではいろんな価値観があるというふうにおっしゃったように、欧米社会というのは左脳だけじゃなくて右脳というのも非常に重要だということを認識しているわけなんですね。そういうこともあって、やはり国際社会で日本人が活躍したいのならば、左脳の訓練だけじゃなくて右脳の訓練もしなくちゃいけない。すなわち、いい芸術を今のうちから見せておくということは非常に重要だと思うんですね。
 ちょっとこれは話脱線しますけれども、そのスイス人のボスは、まず、東京に赴任してきたんですけれども、最初にやったことは何かというと、自分の部屋を全部絵で飾りましたよね。彼に聞いたら、どうしてそういうことをするんだって言ったらば、一日のうち一番長く住んでいるのは自分の部屋である、それをきれいにしておかなくて、気持ちいいところにしなくてどうして仕事ができるんだというふうにおっしゃった。それほどやっぱり感性とかそういうものを重視しているわけです。
 ということで、やはり日本人が外国人にまずどうやって見られるか、若しくは日本人が本当にグローバルで活躍するためには、少なくとも歴史、文化を十分学び、そしてかつ感性を学ぶということは非常に重要だと思っているわけです。
 そこで、お聞きしたいんですけれども、あっ、もう一つありますね。それと、もう一つ、私、外国人を接待することも多かったし、ニューヨークから来た人たちをいろんなところに連れていったわけですけれども、彼らが喜んでいたのはまず旅館、そしてお相撲の稽古だったんですね。当然本場所も好きなんですけれども、より喜んでいたのは、稽古場連れていって、最後に一緒にちゃんこ鍋を食べて、それで土俵の上で力士を押してもらう、まあ女性は駄目だったんですけれども、力士を押して、ほら動かないでしょうとやるともう感激していたわけです。そういうことは良かったんですが、もう一つ彼らが要求していたのは、上野に行きたいと言うんです。博物館、美術館がたくさんある。だから、上野に行きたいと言うんですけれども、これは私は、旅館とか相撲の稽古というのは自信を持って連れていけるんですけれども、上野、いや、見せたくないなと、こういう感覚が強かったわけですね。
 それで、まず大臣にお聞きしたいんですが、今上野の山を文化の中心にしようというアイデアがあるとお聞きしていますけれども、どういうことになっているか。残念ながら私の自宅からちょっと遠いので、それは残念なんですけれども、やはり、個人的なことを別にしましても、上野の山がやはり日本が誇れる、日本の顔になるべきだなという気がしているんですが、そういうプランというのはどう進行しているのか、教えていただければと思います。
#177
○政府参考人(河村潤子君) まず、お答え申し上げます。
 上野地区は、国公私立の博物館、美術館ですとか、あるいは芸術大学、文化会館などもございます。そういう日本屈指の文化施設が集結していまして、成田の国際空港へのアクセスも良好でございますが、まだそのポテンシャルが十分に生かされていないのではないかという感じが私どももいたします。
 今後、その上野地区の各機関とか団体が互いに連携を強化することで相乗効果がもっと増大して、それぞれが持つ文化資源の潜在能力が顕在化されて有効に活用されていくことで、もっと人を呼び込める新たな文化の森として国際的なシンボルとなることが期待できるのではないかと存じます。
 このため、今後の整備方策について検討することを目的といたしまして、上野「文化の杜」新構想推進会議というものが昨年十二月に、代表発起人は東京芸術大学長と文化庁長官でございますが、発足をいたしました。この会議は、文化施設、教育機関、企業、それから行政も入りまして構成をされていて、さらに、その会議の下に機動的、実質的な議論を行うワーキンググループを設けまして様々な角度からの検討を行っております。今年の半ばを目途に中間まとめのようなことを出せればという予定でございます。
 このワーキンググループには、実は上野大臣政務官も参画をされておられまして、文化庁、私どもとしても、関係者と連携して実り多い構想の策定に向けて努力していきたいと存じます。
#178
○国務大臣(下村博文君) これは元々、東京芸術大学の宮田学長が、今、上野の全体では一千百万人ぐらいの方がそれぞれのところを訪れているそうなんですが、ばらばらで、せっかくのその潜在的な文化芸術としての場が生かされていないと。それで、共通パスみたいなのを作ってもっと連動させたらいいのではないかという話を聞いたものですから、それだけでなく、今政府が国家戦略特区というのを考えている中で、この上野の森そのものを文化芸術特区として三千万人ぐらいは年間呼び込むような、そこに行ったら全ての文化芸術の集大成があるという取組で、これはその関係機関だけでなく、JR等民間関係、それから東京都や地元の台東区や文京区と話して、文化庁が窓口となって、日本で世界に発信するような文化芸術の拠点を上野の森につくるというコンセプトで進めるということがきっかけで、今説明を申し上げたようなことを進めているところであります。
#179
○藤巻健史君 すばらしい構想だと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 次の質問に入る前に、先ほど下村大臣の方で歴史を学ぶと右傾化とマスコミに言われちゃうという話があったので、それに関して一つだけちょっとコメントをしておきたいんですが。
 私はアメリカで大リーグの試合を見に行ったときがあるんですね。そのときに、アメリカ人の何かとんでもない格好をした若者がアイスクリーム売りで来たんです。子供がそのアイスクリーム売りにアイスクリーム頂戴ねと言ったときに、ちょうど国歌斉唱が始まりまして、そうしたらそのとんでもない格好をしたアイスクリーム売りがぴしっと立って、帽子を取って、子供たちに、今売れないよと、一緒に国旗に向かって敬意を表そうということで、二人でこうやってやって、そしてその後、終わってからアイスクリームを売ってあげたという場面を見まして、やっぱりアメリカ人を含め非常に国歌というもの、国歌それから国旗を重要視しているんだなということをつくづく感じました。ですから、国旗とか国歌を見てすぐ戦争を思い出すのはやっぱり問題かなと、私もつくづく思っております。
 それに関連して言えば、やっぱり若いうちに留学させるというのは、そういうものを見る、実際に目で見るということが重要だと思いますので、若者を海外に留学させるということはやはり一生懸命やっていただきたいなというふうに思っています。
 次の質問なんですけれども、その上野の森はいいんですけれども、文化庁の予算ですけれども、全然増えていないんですよね。今年度予算の政府案で千三十六億円ということで、平成二十三年でも千三十一億円ということで、増えていないわけです。これでは絶対額そのものが余りにも小さ過ぎて、文化芸術を目指しているということは言えないんじゃないかなと思うんですね。
 実は私、財政に対しては物すごく厳しい考えを持っていて、文化庁だけじゃなくて全ての政府機関はもうがさっと歳出を減らさないと、この日本の財政もたないと思っているんです。でも、そうは言いながらもやっぱり増やさなくちゃいけないところがある。まあ千三十、それが二倍になったって一千億増えるだけなんでね。そういうことも考えると、数少ない増やすべき予算というのは文化庁じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#180
○国務大臣(下村博文君) その前に、私も実はアメリカで同じ経験をいたしました。私も、群馬の田舎で高校まで過ごしていた、戦後教育を受けた人間だったんですが、大学一年生のとき、やっぱりホームステイのファミリーが大リーグの試合に連れていってくれまして、そのときに星条旗が掲揚されて国歌を歌い始めて、もう六万人ぐらいの球場だったというふうに思いますが、全員が胸に手を当てて、それまで無駄口をたたいていた、肌の色がいろいろ、もうありとあらゆる人種が一緒に集まっているようなところが一糸乱れず国歌を歌って、本当にカルチャーショックを受けたんですね。それまで、私も実際のところは日の丸とか君が代に対しては否定的だった。しかし、改めて国旗とか国歌は何だろうということを自分で学び直したきっかけが、やっぱり大リーグのその試合を見に行ったのがきっかけで、同じようなことを感じたということについては申し上げたいと思います。
 そして、文化芸術というのは、多分乗数効果でいえば公共事業よりははるかに私は高いのではないかと。これから我が国が目指すべき方向性は、文化芸術にきちっとした予算を計上することによって世界中から呼び込むと。これは、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックというのが設定されましたから、スポーツの祭典だけでなく文化芸術としても日本を大きく発展をさせるチャンスだというふうに思います。そのために、二〇二〇年までに文化芸術中期プランというのを策定して、今の倍の予算、二千億にして、そして積極的に世界中に発信しながら文化芸術を育成していくと、また人も育てていくということをしていきたいと思っているところでありますが、残念ながら平成二十六年度の予算案、過去最高とはいっても、実際は対前年度比三億円増にしかすぎない一千三十六億円でございまして、これでは日本の国柄、良さ、発揮しながら文化芸術を目指す方向には行かないというふうに思いますし、今後、是非参議院の文教科学委員会の先生方の御支援をいただきながら、我が国を文化芸術としてどう育んでいくかということが、これはもう国としても大変重要な位置付けだと認識をして取り組んでまいりたいと思います。
#181
○藤巻健史君 今出てきた文化芸術立国中期プランというのはまだオーソライズされていないわけですよね。ただ大臣の私案段階なわけですね。これは是非オーソライズするよう方向にお願いしたいと思っております。
 もうちょっと小さなことに入りますけれども、やっぱりそれに関連してなんですけれども、博物館の予算なんですけれども、大英博物館の予算が、これは二〇一〇年度ですけれども、百三十七億円。ルーブル美術館が二百六十三億円ということらしいですね。一方、東京国立博物館が二十一億円ということで、これ余りにも小さいですね。大英博物館とかルーブルに負けるというよりも、十分の一ぐらいしかないというのは、これはまあしようがないかなとも思うんですけれども、韓国でさえ七十七億円、中国国家博物館では約六十五億円ということで、それに比べても、中国に比べて三分の一、韓国に比べても三・五分の一と三分の一ぐらいというのは余りにもやっぱり小さ過ぎるんじゃないか。これでは新しいものを買うお金もないんじゃないかなというふうに思ってしまうんですね。新しいものを買うお金だけじゃなくて、そういうものを古美術商とかが買わなければ、やっぱりそういう買う能力というかノウハウもなくなってしまいますしね、若い館員に。もうちょっと増やしていただければなというふうに思っています。
 それも、あと、あるお寺の管長、京都のお寺の管長とお話ししたときに、予算がなくてみんなうちに来ちゃうんだよと。要するに、お寺の方に、もう文化庁の方では予算がないから、博物館の方ではお金がないからということで、お寺に頼みに来ちゃうんだよという話を聞いたんですけど、これでは余りにも成熟国家日本として情けないかなというふうに思いますので、この辺も是非今後お考えいただければと思っております。
 何度も繰り返しますけど、今日は増やしてくださいという話ばかりしていますけど、そもそも私は、もう先ほど申し上げましたけど財政危険論者なので、ばさっと切るべきだけれども、この分野はどうしても増やしていただきたいなと思って申し上げた次第です。
#182
○国務大臣(下村博文君) 本当におっしゃるとおりだと思います。
 東京国立博物館を含む四国立博物館及び二研究所等を運営する独立行政法人国立文化財機構の運営費交付金は、業務の効率化等によりまして年々削減傾向にあります。平成二十六年度予算案では八十二億円を計上し、必要な金額をやっと確保できているかどうかという厳しい状況でございます。
 一方、他国の博物館等と比較した場合、御指摘がありましたが、中国や韓国の国立博物館あるいはヨーロッパ等の国立博物館に比べて、東京国立博物館の規模それから予算、大変小さいということでございまして、特に国立文化財機構は、我が国の文化芸術のナショナルセンターの一つでもあり、国の顔としての重要性があるということからも、今後、法人の運営に必要な予算の確保についてしっかりと取り組んでいく必要があるというふうに認識しております。
#183
○藤巻健史君 先ほど来、財政が厳しいという話をしていますけれども、今日午前中の予算委員会でも原田早稲田大学教授が、二〇六〇年までに消費税四〇%にしないともたないということをおっしゃっていたし、日経新聞で、アントン・ブラウンですかね、アトランタ連銀の上級顧問も、五三%に二〇七七年までにしなくちゃいけないというふうに言っておりました。
 そこまで上げないと財政はもたないということなので、逆な言い方をしますと、今お金を使っているのって、我々は恩義を、いろいろリターンをもらって、子供たちが全部返すわけですね、税金を。だから、やっぱり全ての予算というのは、我々は注文するだけで、要するに、そば食べちゃって、後、領収書は子供たちが払えというようなものですから、子供たちがそのお金を返すときに本当に感謝してくれるかという判断で予算って組まなくちゃいけないんだろうと私は思っているんですけれども、その面ではやっぱり、文化庁、それから文化芸術等に掛けるお金というのは、今子供は分からないかもしれないけど、将来本当に、若いときから、小さいときから本当の芸術に触れておいてよかったなというふうに感謝してもらえる分野の予算だと思いますので、その辺は是非よろしくお願いしたいと思います。
 最後に一つだけ、ほかの分野で質問ですけれども、安倍首相も女性の活用ということを、女性の労働力活用ということを随分おっしゃっています。当然、少子化で勤労世代の人数が減っていくわけですから、女性に働いていただくということは非常に重要だと思うんですけれども。
 ただ、現状を見ますと、働きたくても働いていない子育て中の女性が三百四十二万人いると言われているわけです。その人たち、なかなか再就職は難しいと思います。かつ、長期に労働市場を離れておりますと雇用保険の対象にはなりませんし、教育訓練給付金のような支援も受けられないと思います。そのような人たちに対して文科省の方ではどういう対処方法、支援策を考えているかということを一つお聞きしたいのと、もう一つ、やっぱり再就職をする意味では、大学のリカレント教育というんですか、再教育が非常に重要な役割を果たすようになると思いますけれども、その辺について文科省の方ではどういうふうに考えているか、お聞きしたいと思います。
#184
○大臣政務官(上野通子君) 藤巻先生の御質問にお答えいたします。
 今、御指摘いただいたように、我が国最大の潜在力である女性が活躍できる社会をつくること、これは成長戦略の大きな柱でもあり、我が国の経済社会の再生、活性化に大きく貢献するものであると思います。このため文科省では、本年二月に女性の活躍推進タスクフォースを設置し、全省的に施策の検討を進めているところでございます。
 具体的に申しますと、女性のライフステージに応じた多様なニーズに応えるため、厚生労働省と連携した、子育て中のお母さんたちの支援にもなりますが、放課後子どもプランの更なる充実による子育て支援や、復職に向けた学び直しの支援も行っているところであり、また学校でも、学生が学校にいる間の進路指導やキャリア教育も女子の生徒に対しても行っているところでございます。また、教員や研究者、技術者の活躍推進のための環境整備など、子供から社会人までの全ての世代を対象とした文科省としての総合的な政策パッケージの検討を行っております。
 本検討結果を踏まえながら、今後とも、女性が輝く日本の実現に向けて、女性の活躍推進に努めてまいりたいと思います。
 もう一つの御質問でございますが、女性の再就職支援に大学の果たす役割というものでございますが、今現在でも大学では、女性の再就職等のために、例えば看護師等の復職のためのスキルアップの講座の開設をしている大学、また出産、育児等からの復帰を支援するためのビジネススキル等に関する講座を開設している大学等がございまして、取組を実施しているところでございます。
 文科省といたしましては、平成二十六年度予算案において、社会人や女性の再就職につながるような学び直しプログラムの開発、そして社会人の大学等での学び直しの支援充実のための無利子の奨学金の運用の改善などを盛り込んでおり、産業界と連携して大学等における女性の学び直しをサポートすることとしております。
 こうした取組を通じて、女性の学び直しについて大学が社会の中で期待される役割を十分に果たすよう、積極的な取組をお願いしてまいりたいと思います。
#185
○藤巻健史君 どうもありがとうございました。
 これで終わります。
#186
○柴田巧君 結いの党の柴田巧です。最終バッターです。お疲れだと思いますが、よろしくお願いを申し上げます。
 私からも、文化や芸術の政策についてお聞きをまずしていきたいと思います。
 先ほどからもいろいろお話がありましたように、平和で豊かな社会を根底的に支えているのは文化の力だと思いますし、日本には幸いなことに長い歴史の中で育まれてきたすばらしい世界に誇れる文化がたくさんあるわけで、その日本の文化の底力をもって国力を高めていく、そういう文化立国、文化芸術立国を目指していかなきゃならぬと思います。
 大臣も、さきの所信の中でこういうふうに述べておられます。これはスポーツと併せてですが、「文化とスポーツが持つ人々を引き付け感動させる力は、人々の心を豊かにし、困難な問題に連帯して取り組む活力ある社会の構築に不可欠なものです。私は、国家戦略としてこれらを振興してまいります。」と述べておられるわけです。
 しかしながら、先ほど藤巻先生もおっしゃったように、文化庁の予算というのは、まあ確かに二億五千万ほど今回は伸びようとしておりますが、国全体の予算では〇・一%程度です。フランスはよく引き合いにといいますか比較に出ますが四千数百億、一%を超えておりますし、韓国も一%近くあって一千四、五百億ほどあると言われておりますが、それらと比べると大変見劣りをするということになります。
 大臣も、当初は二〇二〇年までは何とか倍増を目指したいという意気込みでございまして、要望額も当初大変大きなものでしたが、一七、八%増のことを期待をもくろんでおられましたが、残念ながら〇・二%増ということになってしまって、下村大臣をしてもなかなか難しいんだなということでありますが、いずれにしても、この文化、我々の暮らしを、生活を豊かにし、またソフトパワーとして国益にもかない、さらには経済、文化関連のいろんな経済の活性化にもつながるわけで、しっかりこの文化予算の増額を目指していかなきゃならぬと思います。
 そのため、先ほども大臣からは決意が述べられましたが、やはりこれを、文化庁、文科省だけではなくて政府全体の中でどう共有していくかというのが大事なことだと思いますが、どういうふうに取り組んで倍増を目指していくのか、改めてお聞きをしたいと思います。
#187
○国務大臣(下村博文君) 先ほども藤巻委員から御質問があり、柴田委員からも同じような問題認識を持って質問していただいているというふうに思いますが、残念ながら、文化芸術立国中期プランを作成したわけですが、これはやっぱり文化庁、文科省の枠の中では、財務省的にいえば例年よりは若干増やしたんだといっても、とても二〇二〇年までに倍増になるようなことは、これはとても不可能なことだというふうに思います。ですから、これを閣議決定できるような政府全体の案にどうしていくかということが我々文化庁、文部科学省に今後問われている戦略だというふうに思います。
 その中の一つとして、例えば、私は二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを、これを有効的にこの文化芸術と併せて、連動して考えていく必要があるのではないかというふうに考えまして、先日これは安倍総理にも直接お願いをして、二〇一七年にスポーツ・ダボス会議を東京で、日本で開きたいというのをシュワブ会長から提案がありましたので、我が国政府としてはスポーツ・文化ダボス会議として支援をしたいということを申し上げました。
 そういうことで、あらゆる形で、それから今月中にオリンピック組織委員会理事会が正式に立ち上がりますけれども、定数二十五人を三十五人に理事のメンバーを増やして、そのうち二人は、オリンピックに関係ないようですけど、しかし文化芸術の部門から理事を送り込むというような形で、ありとあらゆるもうルートを通じて、政府全体として二〇二〇年に向けて、オリンピック、スポーツの祭典だけでなく、文化芸術という枠組みの中から、なおかつ東京だけのイベントでなく日本全体が活性化するという意味ではこれはまさに文化芸術ですから、スポーツ競技そのものはやっぱり開催都市東京に限定されますけれども、文化芸術という意味では別に東京の枠、関係ありませんから、そういうトータル的な形で、まさに国家戦略として位置付けて政府全体で対応できるようなことをしっかり取り組んでいくということが今後我々に課せられたテーマであるというふうに考えております。
#188
○柴田巧君 ありがとうございました。
 今おっしゃったように、国家戦略として政府全体の課題、問題としてしっかり進んでいくように、大臣、また先頭に立って頑張っていただきたいと思いますが。
 いずれにしても、そうやって政府全体で予算の獲得も頑張ると。と同時に、多様な文化振興財源の確保にやっぱり努力をするということも文科省としては、文化庁としては求められると思います。大臣も、文化芸術立国実現のための懇話会、これは大臣の私的諮問機関ですが、ここでも、財源問題というのはやはりきちっと、我々も自ら、財務省に任せるのではなくて、考えていくことが必要だというふうにも発言をされているところであって、やはり文化振興の財源、しっかり確保していく策をやっぱり巡らせていくというのが大事だと思いますが、どのように取り組んでいくおつもりなのか、お考えを大臣にお聞きをしたいと思います。
#189
○国務大臣(下村博文君) 今後、世界に誇る日本各地の文化力、これは我が国の最大の強みになってくるというふうに思いますし、またそういうふうに位置付ける必要があるというふうに思います。この強みを維持、継承、発展させ、世界へ発信していく、強化していくという意味で、今後、多様な文化振興のための財源確保、これは不可欠であるというふうに思います。ただ対前年度比何%増やしてくれといっても、これはもう限界がありますので、あらゆる考えを動員していく必要があると。
 そのために、昨年十月から、西川文部科学副大臣を主査とする文化振興の財源確保のための方策検討チームを立ち上げ、省内でも現在検討を進めております。この検討チームでは、二〇二〇年に向けての文化振興のための財源確保方策として具体的に、例えば企業等の寄附を促進するための仕組み、寄附を行った企業名を冠にした企業の顔が見える文化ファンドの造成を民間に促していくとか、それから多様な手法により民間等との連携を進める方策、これは小中学生に劇場まで、あるいは観覧料まで含めた交通費の補助とか、それから観覧料の寄附とか、そういうような民間企業の事例を全国に発信、普及していくと。また、地方公共団体等のファンドレージングを支援する方策とか、あるいは一方で、公共事業の一%は文化に使おうとか、それから、議連にお願いしているんですが、IR、国際観光産業としての、議連の中で、売上げの何割かはこれはもう文化予算に使うという目的税的な形で支出をお願いするというようなことを今検討しているところでございます。この検討チームにおいて、今年度中をめどに多様な文化財源の確保のための方策を取りまとめていきたいと考えております。
#190
○柴田巧君 多様なそういう財源の確保に御努力いただきたいと思います。
 今、最後にカジノのお話も出ましたが、カジノと芸術文化というのは何か結び付きがないように思われがちですが、アメリカやヨーロッパでは、実はカジノと芸術文化というのは非常に密接に関係をしていて、クラシック音楽と一体であったり、ショーエンターテインメントとカジノが一体として発展してきたという背景があるので、さっき大臣もおっしゃったカジノの収益の一部を芸術文化の振興に使うというのも非常にいい考えだろうと思いますが、そういったことを含めて、これから多種多様な財源の確保に努力をしていただきたいと思います。
 さて、そういう中で、今日はオリンピックの話も出ましたが、二〇二〇年はオリンピック、スポーツの祭典の年であると同時に、このオリンピックはやっぱり日本の文化の見せ場にもしていくべきだろうと思っております。
 そして、二〇二〇年を新しい日本の創造をするきっかけの年にしていきたいということですが、先ほども申し上げたように、多様な芸術文化活動が日本にはありますし、有形無形の文化財があります。この世界に誇る日本各地の文化力が先ほど大臣もおっしゃったように日本の強みであって、是非、東京オリンピックでの文化プログラム、日本ならではの、そして、東京だけではない、やっぱり日本全体が盛り上がって世界が注目するような、そういう文化プログラムを是非考えていただきたいものだと。
 よくイギリス・ロンドンのオリンピックの文化プログラムのすばらしさは今もずっと我々も伝え聞くところであって、それこそ長期間にわたって国を挙げて、四千数百万人も皆さんが参加するという国挙げての文化プログラムになりましたが、是非それを超えるような、東京オリンピックの文化プログラムがオリンピックを変えたと、新しい日本の、あるいは日本の文化の新たな姿を示したと言われるような、そういう意欲的な文化プログラムをやっていただきたいと思いますが、どういうところに力点を置いて今のところそういう文化プログラムをやっていこうとお考えなのか、大臣にお聞きをしたいと思います。
#191
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、ロンドン・オリンピックのときの文化芸術の取組は大変我が国にとっても参考になると思います。文化庁にブリティッシュカウンシルの担当者をお呼びして、もう三年前から取り組んで、これはロンドンだけでなくイギリス中で既存の文化芸術イベントを活用しながら積み重ねてきた。その結果、ロンドン・オリンピック・パラリンピックが終わった後も観光客がどんどん増え続けているという成功事例について、これは我が国も参考にすべきだというふうに思います。
 二〇二〇年までに、二〇二〇年が中心ではありますが、全国の自治体や多くの芸術家等関係者とともに、東京だけでなく日本全国において文化プログラムを実施する、そして日本各地の文化力の基盤を計画的に評価するということを、できたらもっと前から、もう四、五年前から準備をしていくということが必要だというふうに思います。方向性としては、二〇二〇年をターゲットイヤーとして、世界に誇る日本各地の文化力を生かした文化プログラムを日本全国津々浦々で展開していきたいと思います。
 具体的に、日本各地の地域資源を積極的に活用しつつ、全国の自治体や多くの芸術家等関係者とともに、まずは各地域が主体となって、そして実績を積み重ねつつある文化芸術活動を支援をすると。柴田委員の地元の富山県でもいろんな取組が既にされているわけでありまして、まずは地元の方々がそれをオリンピックと連動する形で生かしていこうということを考えていただく必要があるというふうに思いますし、各地域で長年受け継がれてきた有形無形の文化遺産を活用したそういう取組に対する支援、また日本の文化力の海外発信や世界との交流を目指した国際イベントなど充実をさせること、そしてそれらの発信に力点を置くということを取り組んでいく、また二〇二〇年に集中的に文化イベントを行って、それで終わりではなく、それ以降も真の文化芸術立国になるための道筋を描いていく必要があるというふうに思います。
 このため、文化力の基盤の計画的強化が重要であり、現在、先ほど申し上げました文化芸術立国中期プラン、検討中でありますが、今年度中をめどに取りまとめ、政府全体で広げていくように対応してまいりたいと考えております。
#192
○柴田巧君 ありがとうございます。
 オリンピックは二〇二〇年ですが、実質的にこの文化プログラムが始まるのは、恐らく二〇一六年のリオのオリンピックが終わって、ハンドオーバーセレモニーというんでしょうか、旗が日本側に渡されたときに恐らくまず文化プログラムの最初の何かが、セレモニーが始まっていくんではないかなと思いますが、そういう意味では時間があってないような今状況になりつつあると思いますが、是非すばらしいそういう文化プログラムができますように、今回、五輪の組織委員会の中に秋元さんも入られて、あの方がプロデューサーになるのかどうか分かりませんが、是非後々まで語り継がれるような文化プログラムが展開されますように我々も期待をしたいと思います。
 そういう中で、これからオリンピックもあり、我が国も本当にこの文化政策をしっかり取り組んでいかなきゃならぬわけですが、そういうことからいっても、どうも文化庁の存在感が薄いというか、余りないんじゃないかということを感じてしまいます。これ、予算がちっちゃいから縮こまっているのか、縮こまっているから予算がちっちゃいままなのかよく分かりませんが、例えば、クールジャパンにしても、そして、今度和食が、後で時間があれば、ちょっと今日は厳しいかもしれませんが、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されましたが、これらも他省庁が主導して、どうも文化庁が脇役にいるような感じがしてならないわけであって、やはり政策立案、この文化政策の面におけるですね、それを高めていく必要がある、むしろ文化庁がいろいろとこれからリーダーシップを取って日本の文化政策を推し進めていくということが大事だと思いますが、どのようにこれから取り組んでいくのか、大臣にお尋ねをしたいと思います。
#193
○国務大臣(下村博文君) 私も文科大臣になって思うのは、文化庁というのは、やっぱり今までの文化遺産を継続、存続させるということだけに集中していたのではないかと思うほどクリエーティビティーがないというのを感じるんですね。しかし、これから積極的に我が国は、オリンピック・パラリンピックが決まったということもあるし、また、これだけ長い歴史と伝統、文化を持っている国ですから、やっぱり文化というのを日本の大きな武器として積極的に国内外に発信していく、そういう今時代を迎えておりますから、文化庁の発想も、これは一人一人の職員含めて、もう守りの姿勢から、維持管理をするという、保存するという姿勢から、これ自体が一つの大きな財産、資産、あるいはツールだと、商品だと、世界にいかに売り出すかと、そういう発想転換をしていかなければならないときに来ているのではないかというふうに思いますし、是非その先頭に立って、文化庁が今までのようなおっしゃったようなイメージではなくて、大きく戦略を持った、闘うといいますか、意欲的な文化庁になることが結果的には日本の文化芸術立国を樹立させることになってくるというふうに思いますし、その中心的な省庁になるようにしっかり頑張っていきたいと思います。
#194
○柴田巧君 ありがとうございました。是非、草食系ではない肉食系の文化庁を目指して、大臣に先頭に立って頑張っていただきたいと思います。
 次に、個々の問題についてお聞きをしたいと思いますが、先ほどもありましたが、文化芸術立国中期プラン、今策定に向けて大詰めを迎えておるんだろうと思いますけれども、この中に、工芸、建築、デザイン、メディア芸術など、日本の強みを生かす国際拠点づくりを推進するというふうにあります。
 実は、日本は世界からはデザインの国だと思われているんですけれども、また、すばらしいデザイン、工芸がたくさんあるんですが、実は、世界で活躍する日本人デザイナーや建築家等の優れた業績を一堂に見られる場所というのは実はこの国にはありません。したがって、こういう国際的な拠点づくりを進めていこうという考えが出てきているわけですけれども、その実現に当たっては、何か東京のど真ん中にどんと大きなそういう美術館を造るということだけではなくて、やはり日本にはすばらしいそういう工芸あるいはデザイン、コレクションがあるわけですから、これとやっぱりネットワークで結んでいく、そしてシステムとして所在情報を明らかにしながら、きっちりとしながら、そういうシステムこそつくるということにやっぱり力を注いでいくべきではないのかなと思います。
 私の地元の富山県に富山県立近代美術館というのがありますが、ここは世界に誇るポスターと椅子のコレクションが一万二千点あります。こういうデザインの魅力を発信している地方の美術館とかコレクションというのはたくさんあるわけで、こういったところとしっかり連携促進を図って、刺激し合える新たなミュージアム構想というのがこれからは求められるんじゃないかと思いますが、それに対する見解と、今のところの検討状況はどうか、お尋ねをしたいと思います。
#195
○政府参考人(河村潤子君) お答え申し上げます。
 文化庁では、歴史的、文化的な価値のある貴重な我が国文化関係の資料が散逸、消失することがないように、これらの資料に関するアーカイブの機能を構築することが大変重要な課題だと考えております。
 これまでのところ、モデル分野として、音楽関係の資料、楽譜などや、写真フィルム、脚本、台本などの分野におけるデータベースの作成などの実践的な調査研究を進めてまいりました。さらに、来年度からは、新たに有識者や関係機関の方々にお集まりいただいて、文化関係資料のアーカイブに関する総合的な検討を開始したいと考えております。
 この中で、工芸、建築、デザイン、メディア芸術、いずれも日本が大変強みを発揮できる分野ですけれども、これらについての国際的な拠点の在り方も、少し先になるかも分かりませんが、視野に入れて検討いたしたいと存じます。その際には、おっしゃいましたように、各地で優れたコレクションが実はいろいろと、現物もありますし、データベースもお持ちのところがありますので、こうしたところとどのように現物の交換、それからデータベースの統括ということでつながっていけるかということは重要な検討の視点と考えております。しっかりと肉食系のマインドで頑張ってまいりたいと存じます。
#196
○柴田巧君 何か次長から肉食系という言葉が出ると、ちょっと違和感がありましたが、是非そういう方向でよろしくお願いをしたいと思います。
 いずれにしても、これからその日本の文化の魅力を強力に世界に発信していくということが大事なことだと思っておりますが、その一環として、我が国でも平成二十三年度からアーティスト・イン・レジデンスという事業をやっております。これは、海外では一九七〇年代ぐらいからやっているんだろうと思いますが、外国から若手の芸術家、アーティストに来てもらって、宿泊場所とアトリエを提供して長期間住んでもらって、そこで自由に創作をしてもらうということでありますが、これが、海外から来た芸術家の皆さんが日本のファンになって、びいきになって、そしてそこでの体験が、日本での体験がすばらしい作品になって生み出されていく、そして世界に発信していく、あるいは母国に帰って日本の魅力を、日本の文化の魅力をいろいろ発信してもらえるということであって、口下手な日本人が下手な、余り上手でない英語で海外で話すよりもよっぽど効果があるんじゃないかという考え方もありますが、このアーティスト・イン・レジデンス、今まで二十三年度からやってきて、具体的にどのような成果が上がっているのか。
 また、より強力に日本の文化の魅力を発信をしていくために、このアーティスト・イン・レジデンスの取組をもっといいものにしていかなきゃならぬと思いますが、これからどのようにやっていこうとお考えか、お尋ねをしたいと思います。
#197
○政府参考人(河村潤子君) お尋ねのアーティスト・イン・レジデンス、事業内容は今まさに委員がおっしゃったとおりでございます。
 一般論としましては、我が国の文化芸術創造の場として、国際的な貢献の場となるということもございますし、都市や農村の魅力を異文化交流で再発見、その町とか都市自体の魅力の再発見にもつながるという効果がございます。
 文化庁で補助をさせていただきました事業による具体的な成果を実例として申し上げれば、外国人芸術家の招聘者の数が従来の独自でやっておられたものよりも増えていたり、期間ももう少し長く充実した事業をしていただける。また、日本で例えば舞踏、舞踊の中でも日本が大変先進的にリードしている分野ですけれども、この舞踏を調査したアメリカ人振り付け家が、帰国後、この調査結果をテーマとした新作を上演するといった効果も生まれてきております。
 このように、帰国されてからの芸術家の発表を行う際の支援について他省庁とももっと連携が進められないかということが一つの視点としてございますのと、また、地方公共団体と国との共同作業という部分についても事業の中に更に埋め込んでまいりたいと考えております。
#198
○柴田巧君 時間が来ましたのでこれで終わらせていただきたいと思いますが、残りは次回に譲りたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#199
○委員長(丸山和也君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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