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2014/06/17 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 文教科学委員会 第19号
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2014/06/17 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 文教科学委員会 第19号

#1
第186回国会 文教科学委員会 第19号
平成二十六年六月十七日(火曜日)
   午後一時三分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         丸山 和也君
    理 事
                石井 浩郎君
                二之湯武史君
                大島九州男君
                松沢 成文君
    委 員
                上野 通子君
                衛藤 晟一君
                中曽根弘文君
                橋本 聖子君
                堀内 恒夫君
                水落 敏栄君
                石橋 通宏君
                斎藤 嘉隆君
                櫻井  充君
                那谷屋正義君
                新妻 秀規君
                矢倉 克夫君
                柴田  巧君
                藤巻 健史君
                田村 智子君
   衆議院議員
       修正案提出者   笠  浩史君
   国務大臣
       文部科学大臣   下村 博文君
   副大臣
       文部科学副大臣  西川 京子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        美濃部寿彦君
   政府参考人
       文部科学省高等
       教育局長     吉田 大輔君
       文部科学省科学
       技術・学術政策
       局長       川上 伸昭君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(丸山和也君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学省高等教育局長吉田大輔君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(丸山和也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(丸山和也君) 学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○二之湯武史君 自由民主党の二之湯武史です。よろしくお願いいたします。
 まず、冒頭ですが、先日、会館の方に下村大臣の自叙伝というのを賜りまして、まだ全部熟読はできておりませんけれども、本当に敬意を改めて申し上げたいというふうに思っております。塾の経営者の大先輩でもあられますし、いろんなところで何か自分にちょっと似通ったところがありまして、勝手に感情移入をさせていただいておりますけれども。
 今日は学校教育法のいわゆる大学ガバナンスの法案審議ということで、細かい点ではなくて、まずこの大きな考え方から是非お伺いをしたいと思います。
 この教育再生、これは常々おっしゃっておられますように、現安倍内閣の二大柱の一つだと思いますし、私ももうその重要性は十分に認識をしているつもりでございます。
 先日、いわゆる地教行法が改正されまして、教育委員会の制度改正が行われました。教育委員会ということですから初等中等教育というところだと思いますけれども、もう一つやはり私は高等教育、これは常々この一般質疑でも質問を申し上げておりますけれども、この初等中等と高等、両教育がそろって初めての教育再生であるというふうに考えておりますけれども、しかもその中の、つまり教育再生における高等教育の再生と、こういうことに対して大臣はどのように認識を持っていらっしゃるのかということをまずお聞かせをいただきたいと思います。
#6
○国務大臣(下村博文君) 私の著書のことを触れていただきまして、ありがとうございます。教育を変え日本を変えるというのが私のその著書の元々のテーマだったんですけれども、出版社がそれでは売れないということで、出版社が勝手に三倍は売れるだろうというふうにテーマを変えられましたが、中身は全く同じですので、是非最後まで読んでいただければ有り難いと思います。
 高等教育でありますが、社会経済のグローバル化が急速に進展する中、少子高齢化が進む我が国が今後も世界に伍して発展していくためには、教育再生によりまして一人一人の力を最大限に高めていくことが不可欠であるというふうに考えます。特に、知識基盤社会と言われる二十一世紀において、社会の様々な分野で活躍できる高度人材の育成を担う高等教育の役割が極めて重要であります。諸外国でも近年経済成長を遂げている国々は、いずれも高等教育を重視し、その充実に力を注いでいると。大学進学率がそのままその国の経済成長にもつながって、正比例しているという状況がございます。
 しかし、我が国の大学におきましては、大学生の学習時間が短い、また社会からの期待に十分大学そのものが応えていない、また国際的な評価も高いとは言えないなどの課題を抱えております。大学力は国力そのものであり、このままでは日本が世界の中で地盤沈下しかねないというふうに考えております。
 大学を中心とする高等教育の再生なくして日本の再生は果たせない、その観点で今回の大学のガバナンス改革でありますが、各大学が社会の期待や要請に迅速かつ適切に対応して改革を進められるようにするためのものとして改正案を出させていただきました。日本の大学が大きく変わる重要な手だてとなってくるというふうに思います。
 現在、教育再生実行会議や中央教育審議会の議論や提言を踏まえ、大学教育の充実のための大学教育の質的転換に取り組む大学への重点支援、また大学入学者選抜の在り方を含む高大接続の抜本的見直し、さらに留学生交流や大学の国際化の推進、大学と地域、産業界との連携強化などの施策も同時に今進めております。今回のガバナンス改革を機に、今後更に大学改革を推進、加速し、我が国の高等教育の抜本的な強化を図ってまいりたいと考えております。
#7
○二之湯武史君 ありがとうございます。非常に強い問題意識と、そしてそれを進めていこうという強力な政治的な意思というものを今の答弁で十分感じることができました。
 自叙伝の話、ちょっとまた言い忘れたので戻りますけれども、塾をされているときの、二十何歳ですかね、あのときの写真とか、三十一歳で初めて選挙に出られたときの写真が俳優みたいな男前で非常にびっくりしたのと、初当選で、初登庁でマラソンで何か行かれたときの姿のギャップが、やはり都議会では非常に苦労されたんだなと思いました。
 では、二つ目の質問に移りますけれども、今のお話で大学に対する思い、それは非常に理解できたんですが、私は大学を含めた高等教育の再生というものが大事であるというふうに思っているんですね。
 高等教育には、当然、大学はその大きな役目を果たしているんですが、例えばいわゆる短期大学とか高等専門学校、そして各種・専修・専門学校、こういったものが総体的に日本の高等教育を担っているというふうに私は理解をしています。その中の中核が大学であることはこれは間違いない事実ですけれども、今回の学校教育法はその中の大学というものを改革をしていくということだと思うんですね。
 それ以外の、今申し上げたような短大や高専や若しくは専修・専門学校といったような主に職業教育を今現在の中で中心的に担っている、こういった他の学校種も含めて、大学に伴ってそういったところ、高等教育全体として改革をしていくというようなビジョンはあるんでしょうか。それとも今回のこの大学というものにとどまることなんでしょうか。これ、その後のビジョンについてもちょっとお聞きをしたいと思います。
#8
○政府参考人(吉田大輔君) 先生御紹介のように、我が国の高等教育機関としては、四年制大学のほかに短期大学、高等専門学校、それからいわゆる専門学校と言われますけれども専修学校専門課程がございまして、それぞれ特色を生かした教育を展開をしております。社会の様々な分野で活躍する高度人材の育成を質、量共に充実するには、これらの高等教育機関がそれぞれの強みを生かし社会や学生の多様なニーズに応えていくことのできる環境を整備することが重要でございます。
 このうち、短期大学を含む大学については、今回のガバナンス改革を始め、高大接続の見直しや国際化や地域産業界との連携強化などの施策を進めております。また、短期大学につきましては、近年、学校数、進学者数が減少する中で、中央教育審議会に短期大学ワーキンググループを設けまして今後の在り方を議論をしているところでございます。また、高等専門学校につきましては、産業界から高い評価を得ておりますが、産業構造の変化や技術の高度化に更に対応していくため、産業界や地域のニーズも踏まえた学科の改組や高等専門学校教育のグローバル化などを促進しているところでございます。また、専門学校については、昨年度から職業実践的な教育を行う専門課程に関する認定制度を創設し、柔軟な制度を生かしつつ、質の保証、向上を図る取組を進めているところでございます。
 また、現在、教育再生実行会議におきましては学制改革の議論が行われてございますが、その中でも高等教育の多様化を踏まえた高等教育、職業教育の在り方などの論点について検討が行われているところでございます。
 今後、高等教育を質量共に充実していくためには、高等教育段階における職業教育の充実方策を始めとして社会や学生の多様なニーズに即して高等教育全体の在り方を広い視野に立って検討していくことが重要であるというふうに考えております。
#9
○二之湯武史君 ありがとうございます。
 是非、スピード感を持って、一刻も早くということが望まれると思いますし、それぞれ個別的にやるんではなくて、やっぱり高等教育全体としてのビジョンというか、そういったものを示しながら、個別のものを是非スピード感を持って進めていただきたいというふうに思っております。
 では、次の質問に移りますが、今回の大学ガバナンスの改革においてやっぱり問題意識になったのが、いわゆる国際ランキングにおける日本の大学の不振というものがあるんだろうというふうに思います。
 いろんな調査がありますけれども、例えばベスト百に四校か五校しか入っていないとか、それをトップハンドレッドに日本の大学を十校入れるんだと、そういう分かりやすい数値目標も掲げておられますけれども、私、先日の自民党の部会でも申し上げましたが、これをその額面どおり受け取っていていいのかということは、非常に問題意識を持っているんですね。
 つまり、まず大学といっても非常に幅広いものがありまして、文系から理系まで、文系の中でもいろんな学部によってはそれぞれ評価が違う。御存じのとおり、アメリカの大学は、それぞれもう本当に何大学の何学部というところまで専門性が非常に細かく細分化されていて、同じ大学であっても、この学部とこの学部では社会の評価が全く違うと、こういったものが恐らく世界の大学の実情だと思います。
 そういった中で、非常に漠然と日本の大学は駄目だとか、東大は随分落ちたなとか、こういう一般論ではなくて、いわゆるああいう大学ランキングというのは、それぞれ各要素に分解して、それぞれの分野で数値があって、それが相対的に、総合評価で何番だというような話になっていると思うんですが、その中で、特に、例えば文系の学部が弱いのか理系の学部が弱いのかとか、それぞれ、先ほどランキングを算定する要素のうち、例えば国際性の部分が弱いとか、そういったしっかり問題の所在というものをもっと明確にしないと、とにかく大学に力を入れるといったような大ざっぱな議論では、僕はなかなかその問題の所在、問題意識をしっかり正しくつかめないのではないかと、そういうようなお話をふだんしているんですけれども、そこについて、今の日本の大学は具体的にどういった分野で問題を抱えているのかと、そしてそれをどう解決するためにこのガバナンス改革はあるのかと、こういうことなんだと思うんですが、そこについてのお答え、何が問題なんでしょうか。
#10
○政府参考人(吉田大輔君) いわゆる世界大学ランキングは様々な機関が独自の指標により行っているものでございますけれども、我が国の大学に対する国際的な評価や強み弱みを知る上で参考になるものと考えております。
 代表的なものとしては、例えばイギリスのタイムズ・ハイアー・エデュケーション社の世界大学ランキング、これは二〇一三―一四年版でございますけれども、その中では上位百校に入っております我が国の大学は二校にとどまるなど、残念ながら全体として日本の大学の国際的な評価は高いとは言えない状況にございます。これを評価の指標ごとに見てみますと、世界の上位校に比べまして、我が国の大学は外国人教員や留学生の比率などの国際という側面、あるいは論文引用という側面で評価が低い傾向にございまして、国際化への対応が大きな課題の一つであるというふうに認識をしております。
 一方、学問分野別の指標を見てみますと、例えばトムソン・ロイター社、これはアメリカの会社でございますけれども、この会社の論文引用動向によります研究機関ランキング、これは二〇一三年版でございますけれども、それによりますと、化学では世界十位以内に日本の大学が二校入っております。また、物理学では十位以内に一校、三十位以内に四校がランキングとして入っておると。また、材料科学では十位以内に一校、三十位以内に四校、また、生物学・生化学では十位以内に一校、四十位以内に三校が入るなど、こういった分野での研究力では世界にも強い影響力を持っているという存在でございます。
 また、タイムズ・ハイアー・エデュケーション社の分野別ランキングを見てみますと、生命科学では世界の上位五十位以内に日本の大学が三校、工学・技術では百位以内に四校が入っているという状況がございますが、委員御指摘のように、人文・社会科学系につきましては、芸術・人文科学というところでは一校も入っていないというそういった状況がございまして、人文・社会科学系が弱いというところは見て取れるかと思います。
 今回の法改正というのは、我が国の大学の国際競争力を高めるために基盤を変えていこうというものでございまして、大学全体の国際化を更に推進するとともに、人文・社会科学系の分野でも教育研究力の強化を図っていく必要があるというふうに考えております。
#11
○二之湯武史君 これからいろんな議論をする場に文科省が出されるデータというのは、今みたいな分析がされたものがほとんどないんですよね。とにかく日本の大学は駄目ですよとぼんとこう出てくる。駄目だから予算下さい、お金下さいというふうに見えてしまうところがある。ですので、今おっしゃったように、分野ごとに問題をしっかり所在を確認して、そして特に今おっしゃったように人文学部の高等教育、大学院なんというのはもっと多分顕著にそういう傾向が見えてくると思いますけれども、そういうようなやっぱり問題の所在が分かるようなデータを是非これから出していただきたいというふうに思いますし、その方向に向けて資源を集中していただきたいというふうに思います。
 国際性への評価が低いというのは、もうこれは明らかであります。大学が国力そのものというのはまさにそのとおりでございまして、今ちょうど法人税減税の議論がかまびすしく行われておりますが、よく税率を下げれば日本への投資が増えるんだと、こういった議論もよく聞きますが、実際日本に進出している外資系企業のアンケートなんかを見ますと、税率が下がって投資をするというのはほとんど実は余りないんですよね。結局、マーケットとしての魅力があるという回答が一番多い。その次に、やはり高度人材が集積していると、これがやはり二番目に来るんですね。まさにそれはアメリカがそうで、シリコンバレーなんというのは、本当に日本より法人税高いわけですが、あれだけ高度人材が集積しているわけですから、企業にとっては非常にメリットがある、そういった法人税や税率を超えたメリットがあると。
 そういう意味では、私は、この高等教育、特に大学のガバナンス改革というのは、まさに成長戦略そのものであると思います。法人税引下げ以上のインパクトを持っている、そういう分野であると思います。ただ、一朝一夕に結果が出ない分野ではあると思いますけれども、是非強力にこれを進めていただきたいと思いますし、まさに世界、少なくとも東アジア、東南アジア、この優秀な人材が日本に集積をして、それによって様々な国の企業が日本に投資をすることを歓迎をすると、興味を持つと、こういったような知のプラットホームといいますか、そういうような状況を是非この改革によってつくり上げていっていただきたいと思いますし、その上でいろんな議論もしていきたいというふうに思っております。
 最後の質問ですけれども、このガバナンスの改革以前の前提として、やっぱり日本には独特の大学文化があると思うんです。つまり、いい意味で若しくは悪い意味で、両面かもしれませんが、日本の大学というのは社会からある種独立した存在であると、そして特に大学の自治であるとか学問の自由、自主性でありますとか、そういった名の下に、欧米諸国と比べるとやっぱり社会、経済との結び付きが文化的にやや弱いのではないかと。特に、例えば大学の教員の人事でありますとか、そういった研究所の研究員の人事でありますとか、要は官民交流とか、官民学交流とか、こういった人材の流動性が余り担保されていない、確保されていないがゆえに、学問的な割合が非常に高い組織になっているのではないかと。若しくは、今回このガバナンスの改革を進めたとしても、その学長なり副学長なりといったいわゆる経営のリーダーシップを取れるような人材が果たして今の大学界にいるのかと、こういったような問題もあるというふうに思っております。
 そういった意味で、この日本のいわゆる大学文化、いい意味もありますが、今私が申し上げているのは、そういうネガティブな方の大学文化というものが今回のこのガバナンスの改正によって実際的に変わっていくんだろうかと。変わっていくんだとしたら、どのようなプロセスを経てこの日本の大学というものが変わっていくのかといったものを是非具体的にイメージできるようにちょっと御説明をいただければと思います。
#12
○政府参考人(吉田大輔君) 社会の多様な要請を的確に受け止めて教育を通じた人材育成や研究、社会貢献を行うことで大学の教育研究の成果を社会に還元していくということは、大事な大学の使命であるというふうに考えます。これまでの大学運営については、学内の都合が優先し、十分に地域や社会のニーズに応えるような運営が行われていないとの課題も指摘をされております。最初の御質問で大臣がお答えいたしましたように、大学がその社会からの期待に十分応えられていないという御指摘、これはそのような表れだろうと、こういうふうに思います。
 今回の法案というのは、各大学が学長のリーダーシップの下で、産学連携ですとか、そういった社会のニーズに即した大学改革を機動的に進めることを後押しをしようとするものでございまして、これを通じて、先生御指摘のような、これまでの大学の文化といったものについても大きく変わっていくということを期待をしているということでございます。
#13
○二之湯武史君 是非、現実的に結果が出るように進めていただきたいと思います。
 以上で終わります。
#14
○石橋通宏君 民主党・新緑風会の石橋通宏です。
 今日も六十一分の時間をいただいております。本当は二時間ぐらい大臣と議論したいところですが、六十一分間ですので、限られた時間、効率的に質疑、やらせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
 早速ですが、議題となっております法案の質疑に入っていきたいと思います。
 まず、大臣にちょっと基本的なことを質疑させていただきますが、まず大学の自治について大臣の御理解をお聞かせいただけますでしょうか。
#15
○国務大臣(下村博文君) 大学の自治とは、憲法第二十三条で規定する学問の自由を広く国民に対して保障するとともに、大学が学術の中心として深く真理を探求することを本旨とすることに鑑み、大学の教育研究に関する自主性を尊重する制度であると理解をしております。
#16
○石橋通宏君 では、その自主性を尊重する制度はいかにして担保されるか、どのような状態にあれば、それが尊重されていると言えるのでしょうか。
#17
○国務大臣(下村博文君) これは、まさに憲法二十三条そのものですね、保障されているわけでございます。
 ただ、今回の改正というのは、大学の自治を、これを侵食するということではないわけでありまして、教授会の役割をより明確化するというものでございます。我が国の大学の教育力や研究力は、教員一人一人、そしてその総体としての教授会が高い次元で教育研究に取り組むことができるかどうかに懸かっているというふうに考えます。教授会には、その専門的知見から、今後とも、教育研究の向上に寄与していただくとともに、学長や学部長等が決定を行う際に各学問分野における専門的な知見を述べる役割を果たしていただきたいと考えております。
#18
○石橋通宏君 ちょっとかなり先の方まで御答弁いただきましたが、今、若干大臣の自治に関する考え方を述べていただいたと思います。今回の法案は、これまで積み上げられてきた大学の自治を変えるものではないんだということも若干触れていただきました。後ほどもう少し具体的に議論させていただきたいと思いますが。
 例えば、私、元々労働組合の出身ですけれども、企業の現場には労使自治という言葉があります。労使が対等の関係で、そしてしっかりと協議しながら、交渉しながら、そして労使が共に協力をし合っていい形をつくっていただくと。しかし、そのためには、労使というのは残念ながら力関係でいくと対等な関係にはありませんから、だからこそ労働者が労働組合をつくって、そして使用者側には交渉の応諾義務を課して、そしてきちんと対等な立場でという枠組みをつくりながら、しかしそこで何を協議し何を決定し、そこは自治に委ねられているというのが労使自治の原則です。
 恐らく同様のことが、これまでの大学の、まさに大臣言っていただいた憲法に保障された学問の自由を保障する、その上での大学におけるこの大学の自治の原則、私もそういうことだと思っておりまして、これまでの長年の営みの中で、それぞれの大学が、まさにこの大学自治の原則に基づいて、それぞれの中で学長、そして学長等関係者の皆さん、また現場で教学にいそしんでいただいている先生方、教授会の皆さん、これがしっかりと現場で協議しながら、現場の子供たちのためにいい形をつくるという営みをそれぞれにつくってきていただいたんだと思います。それがまさに大学の自治なんだというふうに理解をするわけです。
 大臣、確認ですが、今、今回の改正法案は、まさにこれまで築き上げられてきた、積み上げられてきたこの大学の自治というものを壊すものではないんだと、教授会の役割を制限したり限定したりするものではないんだと、単にこれを明確化するだけなんだというふうにおっしゃっていただいたと思いますが、そこだけもう一度確認をお願いします。
#19
○国務大臣(下村博文君) いや、そういうふうに申し上げたわけではなくて、学問の自由、これは保障すると、これはまさに大学自治そのものであるというふうに思います。しかし、教授会がイコール、当然ですけど労働組合ではないわけであります。この教授会の役割について明確化するというのが今回の改正案の趣旨であります。
 現行の学校教育法第九十三条第一項では教授会は重要な事項を審議するものとされておりますが、その役割は必ずしも明確ではなく、予算の配分など大学の経営に関する事項まで広範に審議されている場合があったり、本来審議機関であるにもかかわらず、実質的に決定機関として運用されている場合があるなど、学長のリーダーシップを阻害しているとの指摘がありました。
 このため、学校教育法第九十三条を改正して、教授会が教育研究に関する事項について審議する機関であることに加えまして、教授会が決定権者である学長に対して意見を述べる関係にあることなど、教授会の役割、権限、位置付けを法律上明確に規定したところであります。
#20
○石橋通宏君 今、立法事実のところにも若干お触れいただいたんだというふうに思いますけれども、大臣、今、教授会がいわゆる学長等のところを侵害しているようなケースがある、そういう指摘があった、これ具体的にどういう事例があるんでしょうか。
 これまで、今回の通常国会でも、例えば私学法の改正案の場合は、堀越学園の具体的な事例がありました。先般の教育委員会制度の関係でいけば、例えば大津のいじめ事件が発端となった。具体的な立法事実があって、それに対する様々な協議があって対応があった。今回の場合、今、御指摘があったという漠としたお話ですが、どのように現在の状況というのがまさに大学の自治を侵害をしている、若しくは大学が本来の機能を果たせない状況が具体的に生まれているという事実があるんでしょうか、ちょっと教えていただけますか。
#21
○国務大臣(下村博文君) 本来、先ほど申し上げましたように、現行の学校教育法の九十三条の第一項、教授会は重要な事項を審議すると。審議するということですから決定権があるということではない。それから、この重要事項というのは大学の経営に関する事項までが入っていない、教育研究ということであるわけでありますが、結果的に、現行法が重要な事項を審議するという文言のことによって、例えば、先ほど申し上げた予算の配分など大学の経営に関する事項まで広範に審議されている場合があるということについては、これは、文部科学省が全国の国公私立大学約千九百六十学部について調べた教授会の審議状況調査というのが手元にありますが、この中で、例えば、学内規則の制定、改廃に関することについて三七%が決定権限がある、それから、例えば、学部長、研究科長等の選任に関することについても三七%決定権限があるとか、そういう事例に基づいているものであります。
#22
○石橋通宏君 お手元に皆さん資料Bでお配りをしておりますこれに言及をいただいたのではないかなというふうに思いますけれども、大臣、これ、先ほどの大学自治との関係でいけば、こういう事実も、ここのある文言、理事会や学長から教授会に権限が移譲されていると、これも長年の大学自治の営みの中で、やっぱり誰がそういう権限を持つべきか、誰が決定をすべきか、誰の進言をもって、議をもって最終的に学長さんが、いずれにしても九十二条で最終的な決定権者は学長さんであるというのは、これは元々決まっている話ですから、どういう形で決定プロセスを経るのか、これはまさに大学の自治に基づく話でありまして、その大学の自治の中でこういう営みがあってこういう決定がされているということであれば、むしろその大学の自治を尊重するのが我々の立場ではないかというふうに思うわけです。
 その意味で、ちょっとお伺いしますが、教学事項と経営事項って明確に切り離せるものなんでしょうか。今大臣、これ、一部の事項について教授が物申すのはけしからぬというような形の発言かと思いますが。しかし、私思うには、こういうことって必ずしも学長が全て決められるものでもない、つまり学校の運営、学部の運営、様々なことがやはり関連して、最終的に学長さんが決定をされたり判断をされたりという営みなんだと思うんです。
 この資料Bでお配りをしたものについて、これまさに僕はグラデーションを描いているという表現をするんですけれども、やっぱり純粋に教学、よりより教学に関わる事項、まさに教授会の皆さんが一番近いところにあられて、学長さん、そんなに現場の御理解がないから教授会に任せるよと言っているものが左の方に図としてはある。そして、右の方は、より学長さんがやはり決定されるべきだということで、そういう営みの中でまさにこういうグラデーションを描いておりまして、現場の御判断で、学長の皆さん、そして教授会の皆さんが決定してきた、その結果でこういう判断がそれぞれの大学がそれぞれの特色に応じてされているのではないかというふうに思うわけです。
 大臣、どこかでこれ線引くというのか、ここからここまでは先生物申していいけれども、ここからは絶対に物申しちゃいけないよという、線引くのは可能なんでしょうか。
#23
○国務大臣(下村博文君) 今回の改正案でも物申してはいけないというような記述なんか全くないわけでありまして、教授会が学長等に対して意見を述べることはどんなことでもできるわけであります。ただ、最終的には学長が決定するということでのすみ分けでございます。
#24
○石橋通宏君 まさに最終的に学長が決定権があるというのは、先ほど触れました九十二条で既に決まっていたことです。それを今回、あえて九十三条でそれをいろいろと細かく書き、法律事項として書いていると。このことの影響が具体的にどういう法的な効果を目指して今回改正があるのかということになると思いますので、ちょっとそのことについて具体的にお話をしていきたいと思いますが。
 今大臣、結局は、教授会、何についても意見述べていいと。つまり、私の質問に対する答えとしては、やはり明確にそれ区別することは難しいということを表現をいただいたんだと思います。やっぱりそれはいかなる事項もいろいろ関連する事項であって、決して現場の教学事項から切り離して経営事項だと決められるものではないというふうに理解をしているからこそ、教授会は意見をいろいろ何でも述べていいというふうに大臣も言っていただいたんだというふうに思いますが。
 とりわけ、今回、やっぱり九十三条が目玉になりますと私も理解をしておりますので、改めて、先ほど大臣、現行法の下では、教授会、審議機関という位置付けを与えられていると、このことを御確認をいただいたと思いますが、これ改正法の下でも引き続き教授会というのは審議機関であると、この位置付けは変わらないということでよろしいでしょうか。
#25
○副大臣(西川京子君) 今回の法律改正におきましては、現行法では曖昧であった教授会が審議すべき事項の内容を教育研究に関する事項として明確化しております。本年二月の中央教育審議会大学分科会の審議におきましても、教授会の審議事項は当然に教育研究に関することに限られるとされておりますが、一方、同まとめの段階では、大学の目的は教育研究そのものであるわけでございますから、教育研究に関する事項と経営に関する事項を明確に分離することは確かに困難な面もあると認識してはおります。教育研究に関する専門的な知見を有する教授会においては、教育研究に関する面から審議することが適切であると考えております。
#26
○石橋通宏君 直截的にお答え、つまり審議機関という役割を変えるものではないという理解ですね。
#27
○副大臣(西川京子君) 別に変えるわけではありません。
#28
○石橋通宏君 確認をいただきました。審議機関という位置付けを変えるものではないということでした。
 それで、九十三条で、これは「意見を聴く」という表現を今回用いていただいておりますが、この「意見を述べる」という法律用語、これは法律上でどういう意味になるのかというのをちょっと確認していただきたいんですが、これ、意見を述べるためには当然審議が必要です。今、審議機関ということを確認をいただきましたので、当然にこの意見を述べるということの中には、しっかり審議をしていただいて意見を述べるんだというふうに、これ、だから含意されているということだと思いますが、それでよろしいですね。
#29
○政府参考人(吉田大輔君) 御指摘のように、現行の学校教育法九十三条第一項では、教授会は重要な事項について審議するという言葉を使って規定をしております。また、改正法におきましても、九十三条第二項及び第三項において、学長が教育研究に関する重要な事項について決定を行う際や学長及び学部長等がつかさどる教育研究に関する事項については教授会は意見を述べると、こういうふうに規定をしております。
 この審議と意見を述べるということの関係でございますけれども、審議をするということは、字義的にはこれは論議、検討するということでございまして、その結果について学長に意見を述べるかどうかということについては、法的にはこれは厳格には含まれていないということでございます。一方、意見を述べるとは、文字どおり、教授会が学長に対して意見を述べるということを意味しておりまして、その意見を述べる際の前提として、その事項につきまして審議をするということは当然含まれているというふうに解しております。
#30
○石橋通宏君 ちょっと細かいところはもう少しまた後で項目のところでやりますが、今、審議するということも含まれているんだと、論議し検討すると。
 恐らく、論議し、検討し、結論を出すというところも含まれているんだと思いますが、それ、今結論を出すということは言いませんでしたけれども、当然に審議するということは、論議し、議論していただいて、検討していただいて、教授会としての結論を出して、その先の話は後ほどですけれども、結論を出すところまでは、つまり、いいということですよね。
#31
○政府参考人(吉田大輔君) 今回、九十三条の三項では、「教授会は、前項に規定するもののほか、学長及び学部長その他の教授会が置かれる組織の長がつかさどる教育研究に関する事項について審議し、」と、こうしておりますので、当然、これは審議をしていただいて構わないわけでございます。その審議結果をまとめて、それを学長等に意見を述べるという形で伝えると、こういうことになります。
#32
○石橋通宏君 つまり、まとめるところまではやるということですから、当然に教授会として、いろんなことについてきちんと結論を出すところまでは現行法と一切変わらないということだというふうに思いますので、そこは是非確認をさせていただきたいと思います。
 その上で、ちょっと細かい議論ですけれども、お手元に、資料Aに、これもう中教審で分科会で出されていた資料をそのまま引用させていただいておりますので、現行法の下で法令上、そして運用上認められている様々な事項ということで、教授会の現状ということで書いていただいております。
 さらに、私も中教審で出てきたいろんな大学の学則等々、また今回、学校現場の皆さんからもいろいろ聞き取り、ヒアリング、資料の提供をいただきまして、それを踏まえてまとめてみたのが資料Cで、学長等の役割と教授会の役割ということで、現在いろんな大学、これは網羅的にしておりますので、全ての大学がこうだということではなくて、おおむねこういう整理があちこちの大学でされていると、幅は認めていただいた上で、そういうふうに御理解をいただければと思いますが。一番上に、もう純粋に経営事項だということ、それから真ん中の方に、学長さんと教授会が調整して学長さんが最終決定をされていると。そして、Cのところでは、主に教授会が審議して決定、基本的にはそれが最終決定になっている部分ということで整理をさせていただいております。これが、先ほど来私が指摘をしております、これまで大学自治の下で積み上げられてきている現状のまさに役割分担ということです。
 では、この九十三条、今回の改正によって、結局これらの事項が具体的にどのような影響を受けるのか受けないのかと。つまり、これまで大学自治の下で積み上げられて決定してきた、これで今現在運用されている、多くの大学は順調に運用をされているというふうに理解をしておりますが、これが一部、もう教授会は何もできない、意見すら申せないというような制約を受けてしまうということになるのか。いや、ここにこうしてあるのは、今後も引き続き新しい改正法の下でも大学でそう決定をいただければそのまま運用していただいて構わないということになるのか。そこが大変重要なところだというふうに思っております。
 そこで、九十三条の、具体的には二項そして三項について掘り下げていきたいというふうに思います。
 まず、九十三条の二項についてでありますけれども、この二項に規定されている、二項の一号、二号、これは明示的に一号、二号では決められていて、そして三号ではオープンで規定があるわけですが、この二項に規定されている事項というのは、これは義務的規定といいますか、要は、学長さんはこの二項の規定された事項については必ず教授会の意見を聴かなければいけないという、そういう義務規定であるという理解でよろしいでしょうか。
#33
○政府参考人(吉田大輔君) 今回の改正案第九十三条二項では、学長が決定を行うに当たり、教授会に意見を述べる義務という形で規定をしております。
 この規定は、学長に対しても、教授会に意見を述べさせる義務を課しているというふうにも解することができるわけでございます。ただし、その意見に必ずしも拘束されるわけではないということでございます。
#34
○石橋通宏君 ここで、私も本来はこれ、学長は意見を聴かなければならないという義務規定にすりゃいいんじゃないかなと思ったんですが、この第二項そのものが、だから九十三条が教授会が主語の条項なのでそういう書きっぷりにされているということで説明だったと思いますので、ここは当然に学長さんは教授会の意見を聴かなければならないと、そういう義務規定であるということを今確認をいただいたと思います。
 しかし、今ちょっと、でも意見を聴く義務はあるけれども、聴かなくてもいいというような発言かもしれませんが、それだと意味がないので、そこをちょっともう一回確認をさせていただきたいですが、意見を聴く義務があると、聴きゃいいという話なのか、いや、当然にそれは、大学自治において意見を聴く義務があれば、それを何らかの真摯な対応をしていただく当然義務も生じる、責任も生じると思いますが、そこのところをもう少し、この意見を聴く義務の、義務の結果生じる尊重する責任とかそういうものは一切ないのか確認を、これちょっと大臣、お聞かせください。
#35
○国務大臣(下村博文君) まず、この委員の資料Cでありますが、この中で、Aの主に学長等、経営組織が審議・決定すべき事項、これは問題ないことだと思います。それから、Bの学長等と教授会とが調整して、学長等又は相当の教学組織が決定すべき事項、これは変わるということであります。同じように、Cの主に教授会が審議・決定すべき事項、これも変わるということであります。
 つまり、今回の改正法案の九十三条のところでありますが、大学に教授会は置くと。二項それから三項等において、例えば二項は、「教授会は、学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする。」ということで、学生の入学、卒業及び課程の修了、また学位の授与、そして三で、前二号に掲げるもののほか、教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるものでありますから、当然、教育研究に関する重要事項について教授会が審議し、そしてその意見を学長に言うことは当然できるわけでありますし、このBにおいては、それ以外のことについてもこれは審議することができると、学長等の求めに応じ意見を述べることができるということでありますから、どんなことでも教授会で審議することはできるわけでありますが、最終的な決定権者は学長であるということを今回の改正案で明確にしたというところであります。
#36
○石橋通宏君 最終的な決定権者は学長であるというのは、繰り返しますが、既にこれまでも九十二条で確定をされていたものだというふうに理解をしております。その上で、これも繰り返しになって恐縮ですが、その前提の下にこれまで各大学の大学自治の営みの中で様々な決定がなされていたと。
 今、大臣ちょっと、これ、変わりますという、逆に明確的に変わらなければいけないような表現をされましたけれども、それはちょっと趣旨違うんじゃないかと思いますが、これは、もう当然、変わる可能性はあるかもしれないけれどもというぐらいならまだ分かりますけれども、これ当然に変わるということには、義務的にこの法律によって強制的に変えろという、そういう効果を今回の法律は持つんでしょうか。
 逆に、今回の法律、まさにさっき、繰り返し大臣、今回はあくまで役割を明確化しただけですと、役割を明確化した中で、今後も引き続きこれまでどおり、各大学の自治において、学長さんがそう決めれば、学長さんが教授会との協議においてそう判断をされれば、それはこれまでどおりのものを尊重していただいても構わないという結論になるんじゃないかなと僕は思うんですが、そうではないというような、つまり変えなければいけないというような表現だとすると、これは先ほどの大臣の答弁とちょっと違うんじゃないか。つまり、大学の自治をまさに今回の法律が侵食してしまうのではないかというふうに思います。
 ちょっとその辺も含めて細かいところを聞いていきたいと思いますが、あの第二項に規定されたこと、意見を述べる、聴かなければいけない義務。ただし、じゃ、それを最終的にどうするかは学長の判断には委ねられているということでした。つまり、逆説的に言えば、学長さんがそう決定をすればそれは当然にそれを尊重した決定をしていただけるということなので、その決定までこの法律が制限するものではないということだというふうに思っていますが。
 先に、あの第二項で一号及び二号について、ここのちょっと若干記述の確認ですけれども、ここの一号、二号では、これ、学生の入学、卒業、課程の修了、学位の授与、言ってみれば学生の入口と出口だけをこれ明示的に規定をされております、入学のことと、それから終わりのところと。当然、学生の生活というのは間があるわけでありまして、むしろこの間こそが大変重要なことだと。先ほど来大臣が言っている人材の育成等々からいけば、まさにこの間に学生さんがどう学ばれ、学生生活を送られるかということが大変重要なところで、そこの一番近くにいるのは教授の皆さんであるのではないかなと。とすると、この法律の規定で、入口と出口はあるんだけれども間がすぽっと抜けているのはなぜかということを確認したいんです。
 これ、中教審の審議まとめでも、学位授与、学生の身分に関する審査等々、これ、しっかりとトータルで含まれていると理解をしています。現行の施行規則百四十四条でも、退学、転学、留学、休学、これは教授会の議を経て学長が定めると。このほか、転部、編入学、復学、学生の厚生、賞罰、様々に、この間のまさに学生の学問を支える、学びを支える様々な重要事項があるわけですが、ここは重要事項に入っていないということが理解できないんですけれども、この理由を教えてください。
#37
○国務大臣(下村博文君) まず、石橋委員分かっていて御質問されているんだと思いますが、現行の九十二条で、九十三条もそうですが、特に現行法の九十三条ですね、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」、この教授会というのが事実上重要な事項というのを全てにおいてということが解釈される大学が多くて、そして委員の作られた資料CのようなBとかCのようになっているわけでありまして、これについて、教授会とそれから学長との関係をより明確に今回はしたというのが改正案のまず趣旨だということについて申し上げたいと思います。
   〔委員長退席、理事二之湯武史君着席〕
 それから、学生の身分に関して、現在、学校教育法施行規則第百四十四条におきまして、学生の入学、退学、転学、留学、休学及び卒業は、教授会の議を経て学長が定めることとしているわけでございますが、今回の改正案の第九十三条第二項第一号では、御指摘のように、このうちの学生の入学と卒業について、大学院の課程の修了と合わせて、学長が決定を行うに当たり教授会が意見を述べる事項として明記したところでございます。
 一方、退学、転学、留学、休学については、本人の希望を尊重すべき場合など様々な事情があり得ることから、法律上、教授会が意見を述べることを義務付けないこととしておりまして、改正法案が成立した際には学校教育法施行規則第百四十四条の見直しを行う必要があると考えております。ただし、懲戒としての退学処分などの学生に対する不利益処分については、教授会や専門の懲戒委員会等において多角的な視点から慎重に調査、審議することが重要であると考えておりまして、学長が学生の懲戒に関する適切な手続を定めるよう学校教育法施行規則で規定することを、これは検討してまいりたいと思います。
#38
○石橋通宏君 不思議に思いますのは、そうやって今からもう施行規則に書くんだと言っていただいているぐらいの重要な事項であれば、これは法律に書くべきではないか。逆に法律に書かないことによっていわゆる法律事項ではなくなると。まさに、今大臣言っていただいた様々な、中途の学生の身分に関する様々なこと、学長さんは、これ一々一人一人の学生のこんなことを把握できるわけがないし責任を負える話でもない。逆にこれ、学長に責任を負わせること自体がおかしな話ではないかな。むしろ、これはしっかりと現場の先生方、教授の皆さん、教授会で御判断、御審議をいただいた上でこれは最終的な判断は学長がされるということは理解をできますけれども、そもそも、そういった身分に関する重要事項について、この入口、出口は書いておきながら、その間のことを書かなかったということがどうにも理解できないんです。
 繰り返しますが、もう施行規則に書くと言っていただいているなら、これはもう明らかに法律事項でしっかりと学生の身分ということで書いていただいた方がよっぽどすっきりする話だと思いますが、ちょっと繰り返しになりますが、大臣、もし説明があれば。
#39
○国務大臣(下村博文君) 退学は、主語が、学生自ら退学するということもあるでしょうし、先ほど申し上げましたように懲戒として退学処分にすると、つまり大学側の意思によって退学させるということもあるということでありますから、先ほど申し上げたとおりであります。
 ただ、実際、転学とか留学とか休学、これは一元的にはやはりその学生本人の意思によることでありまして、これを教授会に諮ってどうのこうのという項目としては適切ではないだろうと。もちろんこれについては、学長が判断をするということじゃなくて、実際、届出的な責任者としての学長としての位置付けでありますが、これは大学側の意思というよりは、もう学生側の判断でこの転学や留学や休学については実際はされているということでありますので、法律の中で教授会の役割とか云々を入れる必要はないと、そういうふうに判断したわけであります。
#40
○石橋通宏君 繰り返しますが、であれば、ここは先ほど言いましたように、既に今、現行の施行規則であるような身分に関する事項等々で書いていただければ、その中で大学自治の現場の御判断で運用をしっかりいただければよかったのではないかというふうに思います。その辺は指摘をしておきたいというふうに思います。
 先ほど、教学事項と経営事項、これを明確に区分することは難しいというのは、副大臣、もう答弁で御確認をいただいております。どこかで線引いてここからここまではという話ではない、やっぱりこれは相互に関連する話だというふうに思います。にもかかわらず、こうして一部は法律で規定をしているけれどもその他は書いていないということで、これ相当に、やっぱり現場で混乱が起きないようにするためには、逆にこれはやっぱりしっかりと現場の御判断、大学自治に委ねると、そこは尊重されるべきだということを言っていただいた方がよりすっきりするのではないかなというふうに思っております。
 それでは、ちょっとその関連で、三号についてお聞きをしたいと思います。
 今日、修正案提出者で笠先生、おいでをいただきましてありがとうございます。
 まず、衆議院でこの第三号について修正が加えられておりますので、この修正部分について、これは政府案と何が違うのか、法律効果として何が違うのかということについて焦点を当てて是非御説明をいただきたいと思います。
#41
○衆議院議員(笠浩史君) 政府案は、今も御指摘ありましたけれども、教授会が学長に対し意見を述べる事項について、学生の入学、卒業及び課程の修了と学位の授与のこの二項目のみを明記しており、その他の事項については学長が意見を聴くことが必要であると認めるものに限定をしておりました。教授会が専門的知見を持った教員によって構成される審議機関であること、また、これまで大学の教育研究に果たしてきた役割等を考慮し、学長が大学運営を行うに際しては、やはりこれは教授会の意見をしっかりと聴きながら行うことが望ましいと考えております。
 しかしながら、この政府案の文言では、学長が必要と認めないものについては教授会の声を聴かないのではないかとの指摘が衆議院の文部科学委員会における質疑でも出されたところでございます。そこで、学生の入学、卒業及び課程の修了と学位の授与のほかに、学長が教授会に意見を聴くことが必要な事項を学長があらかじめ定めることとする修正案を衆議院において提出をし、可決をしたところでございます。
#42
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 今、修正案の御趣旨を説明いただきました。その御趣旨は、まさに私が先ほど来述べておりますことに相当程度合致する方向性かなというふうに思っておりますが、もう一点だけ修正案提出者にお伺いしたいと思いますが、それでは、まさに、元々の政府案ですと、必要であると認めないものが含まれないじゃないか、いや、しっかりとやっぱり教授会の御意見を聴いて決定されるべきだという御趣旨で定めるものとされたということですが、これ、やっぱり定めないものというものが出てきてしまうのではないかと。そういう場合に、定めないもの、定められなかった事項というのはどう扱われるべきだという御趣旨なんでしょうか。
#43
○衆議院議員(笠浩史君) この本修正案では、学生の入学、卒業及び課程の修了と学位の授与のほかに、先ほど申し上げたように、学長が教授会で意見を聴くことが必要な事項をあらかじめ定めることとしております。そして、このあらかじめ学長が定めることには、例えば、中央教育審議会大学分科会の審議まとめにあるように、教育課程の編成や教員の教育研究業績の審査等が含まれることを想定をしております。そして、学長が教授会の意見を聴くことが必要である事項を定める際には、教授会の意見を聴いて定めることとなるものと考えております。
 そして、この点については、六月六日の衆議院の文部科学委員会において、下村大臣から、同趣旨の施行通知を、法案が成立をいたしましたら施行通知を出す予定であるとの答弁があり、私どもとしては政府とも認識を共有していると理解をしております。ただ、教授会の意見を聴くことが必要なものであるかどうかを最終的に決定をするのは各大学の学長であることは衆議院における修正後も変わりのないところでありますが、今般の修正のこの趣旨を踏まえて、学長と教授会の意思疎通が図られた円滑な大学運営が行われることを期待をしております。
#44
○石橋通宏君 ありがとうございました。
 今、修正の御趣旨、そしてまた定め方等々についても御説明をいただきました。これやっぱりしっかりと教授会の意見を聴いて判断がなされるべきだと、だからあらかじめ定めるということに修正をしたと。そして、最終的なそれでも判断は学長だ、これは九十二条そのものでございますけれども、それでも意見を聴いてしっかり学内で円滑に意思決定がなされるようにやっていただきたいと、そういう趣旨であるということでした。そういう理解で、今後、大臣、先ほど施行規則の話も若干出ておりますけれども、今のような修正の御趣旨で、御理解で大臣もよろしいでしょうか。
#45
○国務大臣(下村博文君) もちろん、衆議院でそのように修正されたわけでございまして、その前提で参議院でも審議をしていただければと思います。
#46
○石橋通宏君 恐らくは、ここで一番大事なのは、先ほど修正案提案者からもいただきました、この決め方、定める方法だと思います。これも教授会としっかりと、これまた大学自治に基づいて協議をいただいて、そして定めていただくというのが、これが必須だと思いますので、そこのところは是非確保をしていただく手段を講じていただければというふうに思っております。
 その上で、教育研究に関する重要な事項、これの範囲がどうなのかということ、先ほど若干提案者からも触れていただきましたけれども、先ほど来私が資料を使って提示をさせていただいています様々なこれまでの営みの中で、何が重要であって何が重要でないのかということも含めて判断をされていただいております。まさにその重要な事項の決定というのは、教育研究に関する事項である限りは、これは現場の決定で、しっかりと教授会の意見を聴いていただいた上で学長がそう判断をすれば、それがこの重要な事項として第二項三号の対象になるということは、これは当然に妨げられるものではないという判断でよろしいでしょうか。
#47
○国務大臣(下村博文君) この九十三条第二項第三号の教育研究に関する重要な事項には、先ほど笠委員からお話ありましたが、教育課程の編成、それから教員の教育研究業績の審査等が含まれるものと考えます。また、これ以外にも、例えばキャンパス移転や組織再編等の事項も教育研究に関する重要な事項に含まれ得ると考えますが、具体的にどのような事項を含めるかについては、これは学長が各大学の実情等を踏まえて判断すべきものと考えます。
#48
○石橋通宏君 大臣、気を付けた言いっぷりだと思いますが、しかし、意見を聴いて定めるということですから、教授会の意見を聴いた上で学長さんが最終的にそう尊重して判断をされれば、今、まさに先ほど具体的な言及があったもの以外でも重要な事項に含まれることは妨げられないということだというふうに思っております。
 それで、若干ちょっと細かい話ですけれども、例えば教育課程の編成と今言っていただきましたけれども、これ教育課程の編成と一口に言っても結構幅広い要素が含まれる、影響を受ける、密接不可分なものとして関連を受けるものであります。例えば、教育課程の編成を検討する上では、当然、教員の数、誰がどうなるか、教員の採用とか配置とか、そういったことも含めて考えなければ教育課程の編成は当然できないわけでありまして、そういった密接な関係にあるものについてはこれは当然にその中に議論としては含まれる、逆に言えば排除されるものではないという理解でこれはよろしいですか。それも具体的には現場でそうやって議論していただいて判断をいただければいいということでよろしいですか。
#49
○国務大臣(下村博文君) 教員の人事に関しては中教審の審議まとめにおいても示されておりますが、配置と選考に分けて考えるべきであり、教員をどのポストに配置するかは学長が全学的な視点から判断すべきであると考えます。一方、当該ポストに誰を選考するかは、各学問分野に関する専門的な知見を有する教授会を含む教員組織において候補者の教育研究業績等を十分審査することが重要でありまして、その上で学長が最終的に決定すべきであると考えます。教員の人事に関する事項のうち、教員の選考に関連する教員の教育研究業績の審査に関する事項は、教育研究に関する重要な事項に含まれるというふうに考えます。
#50
○石橋通宏君 ありがとうございました。
 続ける前に、もし修正提案者、笠先生、委員長、お許しをいただければ、以上、もう質問はありませんので、御退席いただいても結構です。
#51
○理事(二之湯武史君) じゃ、笠浩史君は御退出いただいても結構でございます。
#52
○石橋通宏君 続けさせていただきますが、今大臣から御説明をいただきました。これは先ほど私が指摘をいたしました教学と経営事項というのは、これは完全に切って切り離せるものではないということ、そして今、含まれるであろう事項、教育課程の編成等々、それから教員の教育研究業績の審査等でもそうですが、まさにいろんな密接不可分の要素というものが関連してくると思います。そういうことも含めて、これは現場ではしっかり御判断をいただけるというふうに理解をしておりますので、運用の中では是非その辺もしっかり確認をいただければというふうに思っております。
 その上で、九十三条の第三項、今二項についていろいろと伺ってまいりました。三項についてなんですけれども、これ、九十二条の第二項と三項との関係というものがもう少しちょっと明らかにしたいなと思うわけですけれども。
 これ審議の対象というふうに、審議という言葉がここでは使われておりますが、ここの第三項で言う審議の対象というのは、これはもう一度改めて確認をいたしますが、教学に関する事項であれば全てこれは教授会の審議の対象にはなるということで、これは先ほどのもう一回確認ですが、そういうことでよろしいですね。
#53
○政府参考人(吉田大輔君) 九十三条三項において教授会は審議をするということを定めておりますけれども、これにつきましては、教育研究に関する幅広い事項が含まれると思います。
#54
○石橋通宏君 ですから、この三項で言う事項、審議の対象事項というのは、これは教育研究に関わる全ての事項について教授会が審議する対象になるということですので、そのことはまずこの三項で保障されているということは確認をしておきたいというふうに思います。
 その上で、そうすると、この第二項との、つまり第三項において教授会は今後も引き続き教学に関する重要事項について審議することができるわけです。その中で、第二項の第三号においてあらかじめ、重要な事項であると、必ず学長は聴かなければならないというふうに明示的に定めたものについては、これは第二項の第三号の対象になるので、それは審議の結果を学長は必ず聴かなければいけないという、そういう整理であるという、そういう第三項と第二項の第三号との関連があるということでよろしいですね。
#55
○政府参考人(吉田大輔君) 九十三条第二項第三号は、学長が決定を行うに当たりまして、これは教授会の意見を聴くことが必要であるというものを決めているわけでございます。
 九十三条三項の方はそういう関連性はございませんで、ただ後段の方で、学長等の求めがあった場合には、それに応じて教授会が意見を述べることができるということを決めております。
 二項の方は、そういう意味では必ず教授会の意見を聴くことが必要なものというものを定めているわけでございます。
   〔理事二之湯武史君退席、委員長着席〕
#56
○石橋通宏君 ちょっと言い方を変えましょう。
 九十三条の第二項の第三号において、必ず教授会の意見を聴かなければならないという重要事項があらかじめ定められるということですので、この事項については、当然教授会はきちんと審議を行っていただいて、そして意見を述べていただくということだと。しかし、重要事項になっている以外のものについても九十三条第三項において、教授会が教学に関わる事項を審議するということは、これは九十三条第三項の前段で保障されていると、そういう理解で、整理でよろしいですねということです。
#57
○政府参考人(吉田大輔君) はい、そのとおりで結構でございます。
#58
○石橋通宏君 その上で、九十三条第三項の前段で、その他のあらゆる教学に関わる事項について今後も引き続き教授会がきちんと審議をいただくということはそこで保障をされているということですが、その上で、九十三条第二項第三号によって重要事項と決定をされている以外のものについては、これも学長さんの方で教授会が審議した結果、意見を聴くかどうか、これは九十三条三項の後段においてそれは学長の御判断であると、こういう整理がなされるということでよろしいですね。
#59
○政府参考人(吉田大輔君) はい、そのとおりでございます。
#60
○石橋通宏君 加えて、これも重ねて質問させていただいておりますので、これまで、繰り返しになりますが、各大学において、今日資料で示しております大学自治、様々に学長さんの役割そしてまた教授会の役割、いろいろされてきているわけであります。これを踏まえて、まさに学長さんが、やっぱりこれまでのことをきちんと尊重しようと、大学の自治で円滑にこれからもやっていくために、やはりこういう部分はしっかりと教授会の議を経てやっていこうと、そういうことを決断をされれば、当然それを重要事項として、九十三条二項の三号で規定をするか、それ以外のものとして九十三条三項で規定をするか、それは判断だと思いますが、それを今後も尊重していただいて、いずれかに属するものとして各大学でしっかりお決めいただくと、それはこれからも尊重されると、そういう理解でよろしいですね。
#61
○国務大臣(下村博文君) 前半のおっしゃり方と後半のおっしゃり方がちょっと違うように聞こえたので、厳密に申し上げれば、まず九十三条の二項の三号ですね、これは、教育研究に関する重要な事項で、学長が教授会の意見を聴くことが必要であると認めるものですから、事前に教授会等と話し合って、何が教育研究に関する重要事項で、何が該当するかということについて、衆議院で、先ほどお話がありました、定めるということですから、明確に定めるということであります。
 それから、御指摘のように、この三項について、これは定めた以外の部分においても教授会は教育研究に関する事項について審議し、及び学長等の求めに応じて意見を述べることができるということでありますので、これは定めてなくても教授会では当然審議することはできるわけでございます。
 いずれにしても、最終決定は学長が決めるということでありますが、当然、決めるに当たって教授会の意見と同じになるということは当然あり得る話だと思います。
#62
○石橋通宏君 考え、思いは同じだと思いますので、今大臣から確認をいただいた整理でよろしいかと思います。
 最終的な決定権が学長にあると。繰り返しますが、九十二条でこれまでも確認されていたことを今回明確にされたということですが、逆に言えば、まさにこれまでの現行法の下で大学自治で決定をされてきた、尊重されてきた、それを今回の改正法の下でも、学長さんがそう教授会の協議の下で決定、判断をされれば、それはそのまま運用されても構わないという御趣旨だと思いますので、そのことは是非しっかりと確認をいただければというふうに思っております。
 その意味で、一点ここでその関連で確認をさせていただきますが、まさに、これまでの積み上げで、各大学は学則、学内規程を決定をいただいて、そこに先ほどの資料にあるようなことが様々各大学に応じて決定をされているわけですが、今回の改正法がもしこのまま成立したとして、これ直ちに学則を全面的に見直せということには、先ほど来の話でいけばならないんだと。これはあくまで、当然見直しとかというのは必要なのかもしれませんが、その見直しをいただいた上で、現場でそう御判断をいただければ現在どおりの運用をいただくこともこれは可能であると、そういう理解でよろしいでしょうか。
#63
○国務大臣(下村博文君) 先ほど、委員の資料Cのところでちょっと説明をさせていただきましたが、例えばCの主に教授会が審議・決定すべき事項って、これは違うということですね。審議することはできる、しかし最終決定は学長であるということですから、現行法とは改正法案は明確に異なって、最終決定権者は学長であると。もちろん、教授会の意見も聴きながら、一〇〇%教授会の意見を無視するということではないわけですけれども、しかし最終決定権者は学長であるということであります。
 ところが、現大学における内規やあるいは学則等において、このような改正法の趣旨にのっとったものになっていない部分は相当あるというふうに思います。その点で、もしこの法律案を成立させていただければ、この法律案にのっとった趣旨の有識者会議を開いてガイドラインを作って、このガイドラインというのは各大学の学則それから内規、新しい改正案はこういうふうな趣旨での学則や内規になるというガイドラインですけれども、それを是非作ってお示しをしていきたいと思っておりますので、各大学においては新しい改正案にのっとった、必要に応じて学則変更や内規変更はあるということでございます。
#64
○石橋通宏君 一つ確認ですが、今権限が学長にあるということを繰り返し言われています、そのことを明確化するんだと。しかし、いろんな分野で権限を持っている人が話合い、協議の結果で権限を移譲するということは可能です。例えば、これまでの運用でもまさに学長なり理事会なりが教授会に権限を移譲をしていると、これは合意に基づいて移譲をしている。そういう合意に基づいて移譲されている場合は、これは権限の移譲というのはあり得ると。学長に権限があるんだけれども、学長さんの御判断でその権限を教授会に委ねるということは、これも大学自治の観点からいけばあってしかるべきだと思いますが、それすら禁じるということですか。
#65
○国務大臣(下村博文君) 結論からいうと望ましくないです。最終決定は学長であるということを担保していれば、それは教授会とどんな議論をしていただいてもそれは各大学の自由でありますが、最終決定権者は学長であるということについて譲るような内規や学則であってはならないというふうに考えます。
#66
○石橋通宏君 今の御趣旨は、九十二条に基づいて最終の責任は学長にあるということだと思いますが、しかし一定の権限を移譲するということは妨げられないというような御趣旨だったんだろうなというふうに思います。(発言する者あり)いやいや、最終的な決定、判こを押すのは学長かもしれませんが、基本的に一定の権限を移譲することまで妨げる、さっき望ましくないとはおっしゃられましたけれども、法律違反であるとはおっしゃられていないので。もう一回行きますか。
#67
○国務大臣(下村博文君) 学長が最終決定権者であるという今回の改正法が成立をしていただいたら、内規、学則もそのとおりにしていただきたいと思います。
#68
○石橋通宏君 これはなぜ移譲ができないんでしょうか。学長さんが現場でそう判断されたときにそれすら法律が禁じるということは、これはちょっと行き過ぎた国からの法律による、まさに学校の自治にもとる話ではないかと思いますが、それを本当にするんですか。明文上もそれすらいけないとは書いてありませんが、これ何かその権限を移譲することを禁止する法律事項があるんでしょうか。
#69
○国務大臣(下村博文君) これは、法治国家ですから法にのっとった内規や学則を作るというのは当然でありまして、その相反する内規や学則であれば、それは改正していただく必要があるということであります。
#70
○石橋通宏君 いや、お答えいただいていないですが、権限を移譲することすら禁じる法律はどこにあるんでしょうか。
#71
○国務大臣(下村博文君) 権限を移譲するということは、学長の判断を妨げるというような内容であれば、これは新しい法律改正案に反することということになるわけであります。
#72
○石橋通宏君 引き続きお答えいただいていないですが。学長に権限があることを否定されているわけではない、しかしその学長、まさに権限を持つ学長さんが大学自治の観点で、現場の御判断で、まさにそれが大学にとってベストであるという御判断をいただいて権限を移譲すると、それすら法律上、それが法律違反だ、それは決してやってはいけないんだというのが、どこの辺で法律事項としてあるのかということをお伺いしています。
#73
○国務大臣(下村博文君) 先ほどから申し上げていますように、最終的に学長が判断したというのが担保されていれば問題ありません。しかし、それが担保されないようなことであったら、それは問題であるというふうに思います。
#74
○石橋通宏君 担保される形であれば一定の、ですからそれが先ほど私が言った意味なんですけれども、担保される形であれば一定の形の権限移譲はしてもよろしいということになるんだと思いますので、この辺またもう少し突っ込んで、まだ木曜日審議がありますので、議論続けさせていただければと思います。
 もう時間が来ております。最後、一点だけ。
 先ほど有識者会議について触れていただきましたけれども、これちょっと若干僕は順序が逆なんじゃないかなと。こうやって法案の審議させていただいている、でも細かいところはこれから有識者会議つくって有識者会議で細かいことを御議論いただくというのは、本来の趣旨からいえば逆、しっかりとガイドライン等々、具体的なものをもうちょっと示していただいた上で法案の審議をさせていただくべきではなかったのかなと思うわけですが、一つ、有識者会議、これは構成がどうなるのか、大臣、もしお考えがあればお聞かせをいただきたい。
 これ、構成で、どのような方々がこの有識者会議、メンバーになるのか、大事なところだと思いますので、そこだけ確認して、質問を終わりにします。
#75
○国務大臣(下村博文君) これは、当然、大学ガバナンス改革法案でございますので、もしこの法案を成立をさせていただいたら、最も国立大学等この大学ガバナンスに精通されている方々に有識者になっていただきたいというふうに考えております。
#76
○石橋通宏君 終わります。
#77
○新妻秀規君 まず最初に、下村大臣に質問をさせていただきます。
 衆議院の六月六日での文部科学委員会の宮本委員との質疑において、大臣は、世界の大学の学長にお会いをして、日本の大学は衰退化してしまうと危機感を覚えた、このようにおっしゃっております。
 本当、私は、下村大臣は常に自分の言葉で感じたことを語られる、本当に尊敬しているんですが、こうして世界の大学の学長とお会いをして、やはり海外の大学は本当にすごいな、進んでいるなと、一方、日本の大学というのはなかなか厳しいところがあるなという、やっぱり具体的な様々な感じるところがあってこういう御発言になったと思うんですが、どうしてそのように感じられたのか、また、その感じられたことがガバナンス改革を促す今回の法改正に関係があることなのかどうなのか、お伺いします。
#78
○国務大臣(下村博文君) 例えば、今年一月、ダボス会議がございまして、世界学長会議がそのときに開催されておりました。世界トップレベルの大学の学長が集まるということで、私は学長ではないんですけれども、例外的にそこでスピーチもということも含めてそこに参加をさせていただいた中で、非常に、日本だけではないんですが、世界のトップレベルの大学であっても、学長の方々が、大変なグローバル化の中、国内で学生を集めればいいという時代じゃありませんし、また、大学機関以外でいろんな形で学ぶ機会が増えている中、非常な、学費の値上げもあって危機感を持っていると。
 また、他国に行ったときにはそれぞれの国の有力大学の学長等と意見交換をできるだけするようにしておりまして、そういう中で、それぞれの大学が、明確なビジョンを持ち、そして学内外からも信頼も厚いそういう方々を、つまり下から教授がそのまま上がってきて学長になったというよりは、まさに大学経営というのを熟知した人が学長になっている例がほかの国では非常に多いということも感じました。
 世界トップレベルの大学は、いずれもこうした学長の強いリーダーシップの下で大学改革が進められておりまして、また、たゆまぬ魅力ある大学づくりということについても大変に努力をしているという感じを持ちました。
 一方、我が国の大学は、権限と責任の在り方が明確ではない、また意思決定に時間を要し迅速な決定ができていないなどといったガバナンス面の課題が指摘されており、急速な社会構造の変化に対応した大学改革を実施していく必要があるというふうに思いますが、できていないという問題点があるわけであります。
 グローバル化が進む中、我が国の大学も国際的な大学間競争にさらされていますが、残念ながら国際的な評価が高いと言えない状況がある中で、我が国の大学が迅速な大学改革を行い世界に伍していくためには学長のリーダーシップの確立が重要であると考え、本法案を提出したところであります。
#79
○新妻秀規君 今の大臣のお話を伺っていまして、大臣がこの法案の成立に本当に情熱を傾けていらっしゃる、本当に根本的なところは理解できたと思いました。
 次に、学長のリーダーシップについてお伺いをします。
 まず、学長のリーダーシップ強化と大学経営の安定性、継続性についてお尋ねをいたします。今回の学校教育法改正の趣旨の一つは、今回の学校教育法の法案の九十三条の法文において、教授会、この役割が教学面の審議に限定されることを明確化することによって、学長のリーダーシップを確立をし、ガバナンス改革を促すことであると理解をしております。
 この学長のリーダーシップ強化によって、大学経営の継続性、安定性が損なわれるのではないか、こういう懸念も指摘されておりますけれども、ここで、教授会また国立大学法人における経営協議会及び教育研究評議会のような合議体の権限と役割をどのように考えるか、御答弁をお願いします。
#80
○政府参考人(吉田大輔君) 教授会は、学長及び学部長その他の教授会が置かれる組織の長がつかさどる教育研究に関する事項について審議を行うことなどを役割とする機関でございます。
 また、国立大学法人には、経営協議会及び教育研究評議会が置かれており、国立大学の経営又は教育研究に関する重要事項について、全学的な観点から審議を行うことを役割とする機関でございます。
 大学運営におきましては、これらの合議制の機関を通じて、教育研究に関する専門的見地からの意見や社会や地域からの意見など、多様な意見を適切に聴取し大学運営に反映させていくことが、大学運営の継続性、安定性を確保する上で重要であるというふうに考えております。
#81
○新妻秀規君 次に、監事の重要性とこの監事配置の促進への支援、これについてお伺いをいたします。
 大学のガバナンスを確保する上で、監事の重要性が高まっているという認識をしております。先ほど来質疑にも出ておりますこの中教審の審議まとめ、正式名称は、「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)」、今年の二月十二日の報告でございますが、この審議まとめにおいても、できる限り常勤の監事を配置するように努めていくべきとされております。
 本法案では監事に関する規定はございませんが、この中教審の審議まとめにおきましても、大学側から監事へのサポート体制の整備とともに、できる限り常勤の監事を配置するように努めるべきであるとの指摘がございます。
 政府におきましては、常勤の監事の配置を促すような予算措置を検討すべきではないでしょうか。御答弁をお願いをいたします。
#82
○政府参考人(吉田大輔君) 大学の監事には、単に財務や会計の状況だけではなく、教育研究や社会貢献の状況、学長の選考方法や大学内部の意思決定システムなど、ガバナンス体制についても監査することが求められると考えております。
 今回の法改正の趣旨を踏まえた大学全体のガバナンス体制の見直しや学長の適切なリーダーシップの発揮などを担保していくためにも、監事の役割はますます重要となってこようかと思います。
 なお、国立大学法人の監事につきましては、先日六月六日に可決、成立をいたしました独立行政法人通則法の改正に伴う国立大学法人法の改正によりまして、監事機能の強化を図るための措置が講じられたところでございます。
 このようなことから、現在、その多くが非常勤で雇用されている監事につきまして、大学の規模等に応じて、できる限り常勤監事としていくことが期待されるところでございまして、それは先生御指摘のように中教審のまとめの中にも触れられたところでございます。大学改革を推進するための様々な事業においても、その着実な実施が担保されるよう、監事が積極的に業務監査等に関与する体制を構築するよう促してまいりたいと考えております。
#83
○新妻秀規君 局長、予算措置についてはどうでしょうか。
#84
○政府参考人(吉田大輔君) これは、監事につきましては、国立大学法人の場合には運営費交付金という中で措置をされております。
 監事を常勤化するかどうかというのは、最終的にはこれは大学法人の判断でございますけれども、私どもとしては、中教審のまとめを通じて、その辺りを促してまいりたいと思っています。
#85
○新妻秀規君 この運営費交付金については、またすぐ次の質問に関連してきますので、それでまたまとめて御答弁いただければと思います。
 次に、行き過ぎた予算の重点化への懸念についてお尋ねをいたします。
 今、大学の運営費交付金のような基盤的な経費が削減されていく一方で、学長のリーダーシップの強化によって、競争的資金やまた学外からの寄附金の収入を得るために、短期的な視点から大学としての収入が期待できる学問また研究分野に予算、人員などの資源配分を重点化するということが予想をされます。こうした在り方は、学問また研究分野の多様性などの観点から、中長期的には日本の学界にとって損失が生じる場合もあるのではないか、こうした懸念もございます。
 この審議まとめにおきましては、国による財政支援は、大学のガバナンス改革を進めるための有効な手法、めり張りを利かせた予算措置を行うことで、大学のガバナンス改革を後押しすることが求められると指摘しておりまして、こうしたことを前に進める方向でございますが、一方で、衆議院の文部科学委員会の参考人質疑におきましては、大阪大学の総長の平野参考人から、競争的資金というのは非常に重要ではありますが、やはり持続的な資金である運営費交付金はある水準を保っていただきたいとの意見表明があり、また、名古屋大学の名誉教授の池内参考人からも、時限的競争的資金のプロジェクトに人を投入して五年で打ち切り、資金の獲得のために教員の研究時間が削られて、研究力が非常に落ちている、こうした懸念の声も表明をされております。
 こうした懸念の声を政府はどのように受け止められるのでしょうか。中長期的な視点に立って、一定水準の運営費交付金を維持すべきじゃないかと考えるのですが、御答弁をお願いをいたします。
#86
○政府参考人(吉田大輔君) 競争的資金は、競争的な研究環境を形成し、多様で独創的な研究活動の推進を図る上で重要な役割を果たすものでございます。一方、国立大学法人運営交付金や私学助成等の基盤的経費、これは長期的な視野に基づく多様な教育研究を推進する上で極めて重要なものでございまして、これを安定的に確保していくことが不可欠であるというふうに認識をしております。このため、文部科学省としても、厳しい財政状況の中ではございますけれども、大学の基盤的経費の確保に努めておりまして、平成二十六年度予算におきましても、国立大学法人運営交付金や私学助成の増額を図ったところでございます。
 文部科学省としては、大学における財政基盤の確立を図りつつ、そのめり張りある配分を通じて、各大学がそれぞれの特性や強みを生かした改革を推進できる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
#87
○新妻秀規君 今、局長が御答弁された前半部分の運営費交付金の拡充、これを是非とも実現していただけるように取組をお願いをしたいと思います。
 次に、学校教育法改正について、質問を二問させていただきます。
 まず、副学長の職務の強化が大学の運営にもたらす効果についてお尋ねをいたします。
 副学長の役割を、法文上、学長を助け、命を受けて校務をつかさどることとすると変更したことによって、副学長の職務が評価されたと理解をしております。これは、副学長の設置を促す効果があるのでしょうか、また、もしそうだとすれば、それは大学の運営にどのような効果をもたらすのでしょうか、答弁をお願いいたします。
#88
○政府参考人(吉田大輔君) 御指摘の副学長につきましては、現行の学校教育法第九十二条第四項では、学長の職務を助けるとのみ規定をされておりまして、その権限は学長を補佐をするということにとどまっておりました。
 今回の改正によりまして、学長の命を受けて校務をつかさどるということに変更いたしますけれども、学長の指示を受けた範囲の校務について副学長が自らの権限で処理することができるようになることから、各大学においては、その実情に応じて、これまで以上に多様な形での副学長の配置、活用が期待されるところでございます。
 これによりまして、日常的な業務執行を副学長に委ねることで、学長が中長期的なビジョンや運営方針の策定等に注力することができるようになること、あるいは特定のプロジェクトについては副学長が責任者として実施するなど、学長と副学長が適切な役割分担を行いながら、大学としてより機動的でかつ的確な大学運営を推進することができるようになるものと考えております。
#89
○新妻秀規君 次に、学長の補佐体制の確立の強化に向けた人材育成についてお尋ねをいたします。
 中教審の審議まとめにおきまして、学長の補佐体制の強化については、副学長、学長の補佐、そして学長室スタッフなど各部局の事情に通じた教職員を大学執行部に加えるなどの必要性が指摘されています。またさらに、弁護士や弁理士などの資格保有者、広報人材、また翻訳者などの高度専門職の安定的な採用、育成などの提言もございます。
 ここで一つ新聞の記事を紹介をしたいんですが、これは日経新聞の五月一日号、山中伸弥教授の、タイトルは「イノベーションの条件 研究に専念できる体制を」、こうした記事なんですが、抜粋をいたします。ちょっと長文なんですが、
  イノベーションを生む研究環境づくりで重要なのが、特許の確実な取得と、それを可能にする様々な専門家を雇用できる体制だ。
飛ばしまして、
  知財担当者は研究支援者の一例にすぎない。例えばiPS細胞のような新技術の医療応用には企業との連携が不可欠で、契約業務の専門職員が必要だ。規制当局と折衝する専門家や、患者さんを含む市民に正しい情報を分かりやすく伝える広報チームも必要になる。資金獲得やプロジェクト管理の担当者の充実も有用だろう。周辺業務を処理する支援者の力を借り、研究者が実験や論文執筆に集中できればイノベーションが生まれる確率を高められるはずだ。
  欧米の研究所ではこうした環境は当たり前に提供されている。日本の大学は環境整備の遅れに加え、給与などの待遇面でも世界のトップ大学より劣っており、このままでは優秀な研究者や研究支援者の採用に支障をきたし、科学技術分野の国際競争に勝ち、人類に貢献する成果を生むことも期待しにくくなるだろう。
このように山中教授も指摘をされております。
 こうした専門人材、こうした中教審の指摘、また山中教授の御指摘を踏まえて、政府としてどのようにこうした学長補佐体制に向けた人材を育成し、確保していくのか、御答弁をお願いをいたします。
#90
○政府参考人(吉田大輔君) 御指摘のように、学長がリーダーシップを発揮していくためには学長を補佐する体制を充実させることが重要でございます。
 御紹介いただきました中教審の審議のまとめでも、リサーチアドミニストレーターですとかあるいはアドミッションオフィサーの配置、あるいは御指摘の弁護士や弁理士など知財の専門家など、こういった高度専門職を活用し、全学的な支援体制を構築していくことが重要であるというふうに指摘をされておるところでございます。
 現在、文科省では、この審議まとめを踏まえまして、高度専門職の大学における位置付けを明確にするために関係法令の見直し等につきまして検討を進めているところでございます。こうした取組を通じまして、大学におけるガバナンス体制の整備を支援してまいりたいと考えているところでございます。
#91
○新妻秀規君 長期的な取組の方向性についてはお示しいただいたと思うんですけれども、今現在、こうした方向で動いている、こうしたことはあるのでしょうか。
#92
○政府参考人(吉田大輔君) リサーチアドミニストレーター、これは研究者を支援する非常に重要なスタッフでございますけれども、これにつきましては昨年度から研究大学強化促進事業という形でその配置を支援する事業なども行っておりますし、また全体として運営交付金の中でもそういった支援が可能でございます。
#93
○新妻秀規君 次に、国立大学法人法の改正についてお尋ねをいたします。
 最初に、学長の選考の基準とか結果の公表についてお尋ねをいたします。
 学問の自由の保障、これ憲法第二十三条ですけれども、これは大学における学問の自由を保障することも趣旨に含んでおりまして、それを担保するための大学の自治の保障も含んでいます。大学の自治の主な内容として、人事、そして施設管理、また学生管理、こうした自治が挙げられております。
 本法案におきましては、国立大学法人の学長選考の基準、また結果の公表を規定することにより、実質的に大学の自治を損なってしまうのではないか、こうした指摘の声もございます。本法案と大学の自治との関係をどのように考えるか、御答弁をお願いをいたします。
#94
○政府参考人(吉田大輔君) 国立大学法人の学長選考は、学内のほか社会の意見を学長選考に反映する仕組みとして、学内者、学外者が同数となることを原則として各国立大学に設置される学長選考会議の権限と責任の下で選考を行っているものでございます。
 今回、学長選考の基準の公表を義務付けることによりまして、学長の選考手続が大学のミッションに照らして適切に行われたかどうかを広く社会に知らしめることが可能となり、社会からの信頼と支援の好循環を確立することや、学長選考会議自らがより適切に説明責任を果たすということを期待しているものでございます。
 今回の法改正は、このように手続の透明性の確保を図るものでございまして、大学に対する国の関与を強化するものではないことから、大学の自治を損なうということにはならないというふうに考えております。
#95
○新妻秀規君 次に、教育研究評議会についてお尋ねをいたします。
 教育研究評議会の審議事項と教授会の審議事項、これを、両者を明確に区別することは難しいとの指摘がございます。この二つの会議体の審議事項に該当するもので、もしも結論が異なった場合にはどのように対応するのでしょうか、御答弁をお願いをいたします。
#96
○政府参考人(吉田大輔君) 教授会は、この度御審議いただいておりますように、学校教育法第九十三条に基づいて置かれているものでございますが、主として学部、研究科等、各部局ごとに置かれるものでございます。今回の法律改正では、学長及び学部長その他教授会が置かれる組織の長がつかさどる教育研究に関する事項について審議を行うことを役割とすると、こういう機関とされております。
 一方、教育研究評議会は、これは国立大学法人に置かれているものでございまして、国立大学法人法第二十一条に基づいて、国立大学の教育研究に関する重要事項について全学的な観点から審議を行うということを役割とする機関でございます。
 このように、国立大学におきましては、そこに置かれる教授会と教育研究評議会は、置かれる趣旨や目的、それから審議すべき事項の範囲が異なるということになります。国立大学法人の運営については、教学、経営、双方につきまして学長がその責任と権限によって判断していくものでございます。この教授会と教育研究評議会の結論が仮に異なったといたしましても、最終的には学長が両者の審議の結果を踏まえつつ、意思決定をしていくということになろうかと存じます。
#97
○新妻秀規君 明確な答弁ありがとうございます。
 次に、経営と教学の分離についてお尋ねをいたします。
 先ほど石橋委員も質疑、かなり突っ込んだ質疑、大臣としていただきましたが、教学と経営の分離は完全になし得ないとの指摘がございます。衆議院の質疑でも、この例としましてキャンパスの移転について議論が闘わされました。この衆議院の参考人質疑におきましては、名古屋大学の名誉教授である池内参考人は、全学協議会、こうした協議会の設定などを提案をしております。
 こうした経営と教学の重なり領域について、こうした双方の重なり領域の課題はどのように取り扱うのが今回の法案の趣旨に照らして望ましいか、御答弁をお願いをいたします。
#98
○政府参考人(吉田大輔君) 中教審の審議のまとめの中でも触れられておりますけれども、大学の目的は教育研究そのものでございますから、教育研究に関する事項と経営に関する事項を明確に分けるということが困難な場合もございます。先ほど例示していただきましたキャンパスの移転などもそういった例かと存じます。
 御指摘のように、双方が重なる、教育研究と経営の事項が重なる領域の課題につきましては、教授会は教育研究に関する面から審議を行ってまいりますが、教育研究に関する事項については教学面に最終的な責任を負う学長が、また、経営に関する事項については経営面に最終的な責任を負う学長、私学の場合には理事会ということになろうかと思いますが、これらの機関が決定をしていくということがこの法案の目的とする権限と責任の一致という観点からは望ましいものと考えております。
#99
○新妻秀規君 最後に、人材の国際流動性についてお尋ねをします。
 この件については先ほど二之湯先生も質疑を深められましたが、また、衆議院でも青木委員が質疑を深めていただいております。日本の大学は人材の流動性が諸外国に比べて低い、こうした指摘があります。国内においても流動性を高める様々な取組が当然重要ではございますが、今、文科省としては、大学のグローバル化を目指して全世界の頭脳循環、これへの食い込みを目指していると承知をしております。
 外国人の研究者、また教員は日本の大学ではまだまだ少ない、こうした指摘がある現状の中で、世界の頭脳循環に日本の大学が本格的に食い込んでいくためにはどのような取組が必要なのか、またそれを政府としてどのように後押しをしていくのか、御答弁をお願いいたします。
#100
○政府参考人(吉田大輔君) 世界の大学が優秀な研究者や学生の獲得にしのぎを削る中で我が国の大学が世界に伍していくためには、日本の大学も海外から優秀な人材を引き付けるだけの実力や魅力を備えることが必要でございます。
 しかしながら、先ほども御答弁いたしましたように、我が国の大学は、例えば世界大学ランキングによる評価でも、外国人研究者や学生の比率など国際面での評価が低い傾向にあり、国際化の推進に向けた取組の充実が大きな課題であるというふうに認識をしております。
 各大学におきましても、例えば過去十年間で外国人教員の数を約三割増加したり、大学間の協定数が過去七年間で倍増するなど、着実な国際化への努力が進められていることは事実でございますが、まだまだ不十分であろうかと思います。
 文部科学省としても、その大学の国際化の動きを更に加速するために、これまでの施策の成果も踏まえながら、今年度から新たに、外国人教員比率の増加や年俸制の導入等の人事改革を含め、徹底した国際化を推進し、国際競争力の向上を図ろうとする大学をスーパーグローバル大学として三十校程度選定し、重点支援を行ってまいりたいと考えております。
#101
○新妻秀規君 今、年俸制の導入、またスーパーグローバル大学、具体的な取組が紹介されましたが、こうした取組を通じて実際にもう頭脳循環に日本はどんどん食い込んでいる、こうした姿が見えるような評価、またPDCAサイクルを回していただきながら世界の大学ランキングの中でどんどん日本が上がっていく、そしてどんどん外国人の教員また研究者が日本に来る、こうした時代をつくっていただけるように様々な施策、またお願いをしたいと思います。
 質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。
#102
○柴田巧君 日本維新の会・結いの党の柴田巧です。
 先ほどからもいろいろお話がありますように、グローバル化あるいは情報化がどんどん進む中でいわゆる知識基盤社会の到来がいろいろ取り沙汰される、言われる中で、高度な知識や知見を持った人材の育成や、人類が直面する、あるいはそれぞれの地域が抱える問題の解決に向けた研究開発のために、大学への期待というのはますます高まっているところだと思っております。
 世界の他の先進国においても、したがって、高等教育の規模の拡大であるとか、あるいは競争原理を導入をしていく、あるいはまた自律性の拡大などの改革が進められていまして、大学が適切にかつ迅速な意思決定ができるような、急速な環境変化に対応してそういうことがしっかりやれるようなガバナンス改革が強く認識をされているわけですが。
 一方で、我が国においては、残念ながらいろいろ少子化が進んだり厳しい環境、状況にあるにもかかわらず、なかなかこのガバナンスについては柔軟で機動的な改革が進められてこなかったということから今回のこの改正案になったものと理解をしているところでありまして、人材育成や研究活動の充実を図るためにも、学長が人事や予算の権限を適切に行使をして優秀な研究者を積極的に採用すれば大学の国際競争力は高まるものというふうに思います。
 そういうことから一定の理解をもちろんするところでありますが、であるならば、どういう環境を、体制をより整備していくべきか、学長がリーダーシップを発揮、確立するにはどういうサポート体制をしていけばいいのか、また逆に、そのことによって懸念はないのか、そしてまた、ガバナンスが改革されてリーダーシップが学長が発揮することによって地域の課題にどう対応していくか、今もお話ありましたように、国際化、グローバル化にどう対応していくかということなどなどをお聞きをしていきたいと思います。
 ただ、先ほど新妻先生、お隣同士だからでしょうか、かなり問題意識が似通っておりまして、重なる部分はちょっと御容赦をいただきながらお聞きをしていきたいと思っております。
 先ほど申し上げましたように、学長のリーダーシップを確立、発揮をさせていくためにもこの改正案は必要だとは思いますが、学長が十分に力を発揮できないのは、その法的な問題ももちろんですけれども、やっぱり財政的な面に非常に限りがあるというのもそうであろうと思っております。やっぱり学長が独自の判断で戦略的に配分できる裁量経費が余りにもやっぱり少ないんじゃないかというふうに感じざるを得ません。
 先ほどからもありますように、外部資金の獲得やこの基金の運用等の工夫ももちろんやらなきゃなりませんが、先ほどからしばしば出てくる中教審大学分科会のいわゆる審議まとめにおいても、あるいは第四期科学技術基本計画にも、競争的資金の間接経費の充実や大学本部にプロジェクト型の予算等を配分するということも必要ではないかと言われているわけですが、このいわゆる間接経費については、アメリカの例えばハーバードなんかは六〇%台のものになっていますが、かなり高いものでありますが、世界的には。我が国のいわゆる東大、京大を入れた研究大学十一、RU11と言ったりもするようですが、そこの平均でいうと一四・二%しかないというのが現実で、これではなかなか、法的に工夫が加えられても十二分に学長がリーダーシップを発揮できないということがあり得ると思います。
 したがって、学長が改革を進められるように今ほど申し上げたような財政的基盤を拡充をしていくという必要性があるんではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞きをしたいと思います。
#103
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のとおり、国による大学ガバナンス改革の支援方法として、法律改正等の制度改正を通じた支援と並んで国による財政的な支援、すなわち予算を通じた支援も重要であるというふうに認識をしております。
 競争的資金の間接経費については、研究機関全体として管理すべき経費であり、学長の責任と権限において、例えば競争性の高い分野に重点的に予算配分する等、効果的な配分が可能であります。また、大学本部へのプロジェクト型予算では、学長のリーダーシップに基づいた予算を獲得することによりまして、学長のガバナンスの下で改革プランの推進が可能にもなってまいります。
 大学の財政的基盤の充実が大学改革に果たす役割を踏まえながら、平成二十七年度の概算要求に向けて十分検討してまいりたいと考えます。
#104
○柴田巧君 是非そういう方向で検討していただきたいと思います。
 それから、こうやって学長のリーダーシップが発揮できるようになる、あるいは今まで以上に力量のある学長が出てこなければならない、求められるということになってくると思いますが、一般的に学長にとって必要な素養というのは、教育と研究の例えば目利きであったり、より良い社会を実現するためにどの研究分野の充実が大切かを見極めたり、また大学全体としての方向性を明確に定められる、そういう高い見識が必要なんだと思いますが、あわせて、その組織をマネジメントしていく、またリーダーシップを文字どおり発揮をしていくということが大事だと思うんですけれども、そういう意味では、そういう学長になれる人を育てていく、育成をしていくというプログラムというものがやっぱりこれからは非常に重要になるんだろうと思います。
 そういうことからすると、例えばでありますが、企業であるとかシンクタンクであるとか、こういったところに例えば将来の学長になり得るような人を、教職員を受け入れてもらって、いろんな大学とは次元の異なるスピード感や責任体制や政策決定の現場を経験させていくということも大変これからは重要になると思いますし、そのことを通じて、社会が一体大学にどういう期待をしているのか、どういうニーズがあるのかということが分かり、大学の改革の、あるいはガバナンス改革の青写真も描いていけるんじゃないかと思いますが、そこで、企業などの協力を得て、学長を育成するプログラム作り、こういったものがこれから必要じゃないかと考えますが、大臣のお考えをお聞きをしたいと思います。
#105
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、名選手必ずしも名監督ならずというのは野球の世界だけでなく、大学においても教授として優れているから学長として優れているかどうかというと、別の能力が求められますから必ずしもそういうわけにはならないわけでありまして、アメリカ等はもう最初から学長は学長というふうに、教授から学長になるというのではなくて、全然職域として分けて育成する、あるいはそういうルートをたどると、そういうパターンが多いというふうに聞いております。
 ですから、大学も、必ずしも教授から企業が受け入れてというのは難しい部分もありますが、しかし、大学自らが、そのときの学長が先見の明で、これはという若手に対して御指摘のようにグローバル人材の育成、研究を通じたイノベーションの創出、経済再生、地域再生、活性化への貢献、こういう視点から包括的な学長というのは最終責任者としての権限を有していると、そういう期待に応えていくためにどうしていったらいいかという視点で若手を育成するために企業協力を得たプログラムを作るということは、あるいはそういうところに送るということは大変重要なことだと思います。
 企業側がそれに対して協力してくれるかどうか、優秀な人材でなかったら要らないという話にもなってまいりますけれども、是非その学長が積極的に企業等の経営的なセンス、ノウハウを学ぶような環境づくりのために産業界から協力が得られるような、そういう学長等の研修プログラムが充実されるよう、国としても協力をしていければと思います。
#106
○柴田巧君 今答弁がありましたように、是非この学長の、あるいは将来の候補の育成のための研修の在り方、しっかりいろいろ多方面から検討をしていただきたいものだと思います。
 次に、先ほどもありましたが、この学長を補佐する、サポートする体制をやっぱり構築する、それがなければ学長もリーダーシップを本当の意味で発揮できないと思っております。先ほども副学長のお話が出ましたが、副学長の職務は強化されるということになるんだと思っておりますが、そういう意味では、私も一度視察に行ったことがあるんですが、沖縄の、これはもう文科省の所管ではない大学院大学ということになりますが、沖縄科学技術大学院大学がございますけれども、そこにも総括副学長と言っていいんだろうと思いますが、大学全体の予算であったり人事、組織再編の調整権を持って学長を統括的に補佐する、アメリカでよく言われるところのプロボストのような副学長が置かれているわけですが、先ほど新妻先生もおっしゃったように、やっぱりこういう総括的な副学長の設置をしていくということがこれから求められるんではないかと思っておりますが、この点についてどうか、改めてお聞きをしたいと思います。
#107
○政府参考人(吉田大輔君) 我が国の大学が国内外の急激な変化に対応するため、これまでにないスピード感を持って改革を進めることが求められております。ただ、この改革を進めるに当たりまして、学長が一人でその推進に当たるということは現実的ではございません。学長を補佐するため各大学の実情に応じた体制を整備することが重要でございまして、現行法では各大学の判断により副学長等を置くことができるとされております。
 今回の法改正はこの副学長の役割を強化するものでございます。御紹介いただきましたアメリカのプロボストのように、大学全体の予算、人事、組織改編の調整権を持ち、学長を総括的に補佐する副学長、総括副学長という職を設置していただくことが可能ということになったと思いますので、各大学の判断にはよりますけれども、この制度を活用していただきたいと考えております。
#108
○柴田巧君 本当に、これから副学長の役割というのは今まで以上に大きなものになると思っていますので、学長のいろんな力量の向上もさることながら、これからまさに副学長の在り方が極めて問われるんじゃないかと。そういう意味で、いろんなサポート体制の確立の一つとして、この副学長の在り方、真剣に考えて、またいい方向になるように取組をお願いをしたいと思います。
 あわせて、これはお聞きをしようと思いましたが、先ほど新妻先生からもありましたので、私からも、これは質問というか要望に代えさせていただきたいと思いますが、やはりこの副学長に加えて、大学経営を担うマネジメント人材の育成という観点からも、大学経営に知見のある教職員の確保、これからやっぱりグローバル化の中で、例えば弁護士や弁理士の資格を持った人はもちろんですし、より良い広報であったり、あるいは英語を中心に外国にいろいろ情報発信するためにも翻訳のそういう専門人材というのは、これから高度な専門職員というのを安定的に採用、育成をするということが大事だと思いますので、先ほど御指摘あったように、余り具体的な答弁はまだ聞こえてきませんでしたが、是非これをもっと具体的なものにしていただきたいと思います。これは要望ということに代えさせていただきたいと思います。
 あわせて、補佐体制をしっかり、あるいは学長のリーダーシップの下、いろんなガバナンス改革、またいろんな事業、活動を大学が進めていく上でも、やはり事務職員の意識の改革あるいは能力の開発ということも併せて大事なことなんだと思っております。
 衆議院の参考人質疑で、大阪大学の平野総長がこうおっしゃっておられるわけですが、組織の持っている志であるとか理念をいかに構成員全体に共有をしてもらうか、そのことが学長のリーダーシップというものを最も発揮させていくものだというふうにおっしゃっているわけで、そういう意味でも、この職員の皆さんの意識の改革や能力の開発、高度化と言ってもいいかもしれませんが、これが不可欠だと思いますが、それに対してはどのように取り組んでいくお考えか、お聞きをしたいと思います。
#109
○政府参考人(吉田大輔君) 大学の事務職員につきましても、中教審の審議のまとめでは言及をされてございます。学長の補佐体制を強化するため、恒常的な大学事務職員のスキル向上のためのSD、いわゆるスタッフディベロップメントでございますけれども、このSDの義務化など、今後、必要な制度の整備につきまして法令改正も含めて検討すべきと、こういう提言でございました。
 現在、文部科学省では、この審議まとめを踏まえまして、関係法令の見直しなどにつきまして検討を進めているところでございます。既に各大学や団体等におきましては様々な形で事務職員の能力向上の取組が行われているところでございますけれども、文部科学省としては、先ほど申し上げた制度改正などを通じてこうした取組が更に加速するように努めてまいりたいと考えております。
#110
○柴田巧君 先ほども申し上げたように、大学を取り囲む環境というのは急速に変化をして、ますますこれからそのテンポは激しくなるという中にありますので、実際に大学のいろんな事業をサポートするというか執行をしていく、そういう人たちのやっぱり意識の改革や能力の開発、こういったものにも是非力を入れていただきたいと思います。
 さて一方で、学長が強いリーダーシップを持つことによって、発揮することによっていろんな懸念もないわけではないと指摘をする向きもあるわけでありまして、先ほども一部あったとは思いますが、この基盤経費の増額がなかなか期待が、見込みがない中で、学長がこれからリーダーシップを持って、これからはこれに力を入れていくんだと言って、競争的資金や学外からの寄附金などの収入を得るために、特定の言わば学問、研究分野に予算や人員を資源配置をする、重点化をすると、逆に言えば、学問や研究分野の多様性の面から支障を来すんじゃないかと、こういう指摘もあるわけですけれども、この点はどのように認識をされているのか。そのあおりを受けて、稼ぐところにばかり力が入って、今申し上げたところに、大学のある意味本来の仕事といいますか、期待されている部分ができなくなるというような指摘もありますが、この点はどのように認識をされているか、お聞きをしたいと思います。
#111
○政府参考人(吉田大輔君) 大学におきましては、学長のリーダーシップの下、各大学のミッションに基づきまして重要性の高い分野に戦略的に予算や人員等の資源を配分することが重要でございます。その際に、単に、いわゆる稼げる学部とか、あるいは稼ぐことに直結しない学部という、そういった観点のみで判断されるものではなくて、各大学の強みや特色というものを生かしながら、長期的な視点から、学問上の重要性や将来性、こういったものも含めて判断されるのが望ましいというふうに考えております。
#112
○柴田巧君 是非、そういうことにならないようないろんな手だてなども考えていかなきゃならぬのだと思います。
 それから、先ほども新妻先生からもありましたが、そうやって学長の巨大化するというか、強いリーダーシップを発揮し得る学長をある意味チェックするためにも監事の役割というのは非常に大きなものになると思っております。
 先ほどもありましたように、審議まとめの中でも、常勤の監事を配置するように努めていくべきと言われておりますが、学長の業績評価体制の確立を図るためにも、常勤の監事の配置を促進をすると。そして、そのために努力をしている、配置をするところは、やはり国立大学法人の運営費交付金であるとか私立大学等経常費補助金の増額をやっぱり検討すべきじゃないかと私も考えますが、先ほど局長のお考えはお聞きをしましたが、大臣にこの点はどうか、お聞きをしたいと思います。
#113
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、大学の監事は、単に財務や会計の状況だけでなく、教育研究や社会貢献の状況、学長の選考方法や大学内部の意思決定システム等のガバナンス体制についても監査することが求められます。今回の法改正の趣旨を踏まえた大学全体のガバナンス体制の見直しや学長の適切なリーダーシップの発揮等を担保していくためにも、監事の役割はますます重要になってくるというふうに考えます。
 先日は、国立大学法人の監事については、独立行政法人通則法の改正、これを成立、可決をしていただいたわけでありますが、これに伴って、国立大学法人法の改正によって監事機能の強化を図るための措置も講じられたところでもございます。
 このようなことから、現在、その多くが非常勤で雇用されている監事について、大学の規模等に応じてできる限り常勤監事としていくことが期待されているところであり、大学改革を推進するための様々な事業においても、その着実な実施が担保されるよう、監事が積極的に業務監査等に関与する体制を構築するよう促してまいりたいと考えます。
#114
○柴田巧君 やはりなかなか予算的な措置がとられるというところには踏み込んでいただけなかったようですが、今大臣もおっしゃったように、非常にこれから監事の役割というのは重いものだと思いますし、その監事がしっかりと学長の業績を評価できるようなことにやっぱりしていかなきゃならぬと思いますので、今大臣もおっしゃったように、そういうことになるように努力をお願いをしたいと思います。
 それから、改正案によれば、国立大学法人等の経営協議会の委員がこの改正によって、今まで二分の一というところが過半数ということになるわけで、そういう意味では、学外委員の意見がより国立大学法人等の経営に反映されることを促そうとするものだというふうに理解をするわけでありますが、この経営協議会も、そういう意味ではこれまで以上にやっぱりその学長のリーダーシップというか、この経営面でのチェックをこれまで以上にやっぱりできるようにしていく必要があるだろうと。そういう意味で、その審議力の向上というのが必要になるのではないかと思っておりますが、この点はどういうふうに取り組んでいくのか、お聞きをしたいと思います。
#115
○政府参考人(吉田大輔君) 経営協議会は、国立大学の運営に社会のニーズを反映しつつ、その経営基盤を強化する観点から、専門性を有する学外の知見を積極的に活用するために設けられたものでございます。学長がリーダーシップを発揮しつつ、適切な意思決定を行う上で、その審議を通じ重要な役割を果たすことが求められております。
 今回の法改正におきましては、国立大学について社会や地域のニーズを的確に反映した運営がより強く求められている状況を踏まえまして、学外委員の割合を過半数とすることでより多くの学外委員の参画を促進することとしております。
 この学外委員の運用につきましては、中教審のまとめの中でもございましたけれども、学外委員の意見が国立大学法人の運営により適切に反映されるようにするため、大学の実情を踏まえた適切な学外委員の選任、また学外委員に対する積極的な情報提供、また多くの学外委員の出席が可能となる会議日程の設定、また欠席した学外委員に対するフォローアップなど、経営協議会の運用の改善を促していく必要があるものと思います。
 文部科学省としては、学長の経営判断の適正化を図る観点から、経営協議会が求められる役割をより適切に果たせるよう、これらの措置を進めてまいりたいと考えております。
#116
○柴田巧君 先ほども申し上げましたように、この改正で学外委員の比率が高まることを機に、この経営面でのチェック等、また大学のこれからの在り方などをしっかり述べていただく、意見を言っていただくためにも、今答弁されたようなことがしっかり措置されることを期待をしたいと思います。
 ところで、学長のリーダーシップが発揮されて確立をされて、うまくいけばもちろん言うことないんですが、必ずしも一〇〇%うまくいくということもないわけで、権限が集中をしている学長が適正を欠く大学運営を行った場合はどうするかということも考えなきゃならぬのだと思います。正直なところ、なかなか一旦決まった学長を任期途中で辞めさせるというのは非常に難しいところはあるわけですが、適正さを極めて欠く大学運営を行ったり業績が悪化した場合等に、やはり何らかの形で任期の途中であっても学長を交代をすることを想定した仕組み、制度であるとか、あるいは解任の基準や手続についてもやっぱり明確に規定する必要があるのではないのと思いますが、ここら辺はどういうことになっているのでしょうか、お聞きをしたいと思います。
#117
○政府参考人(吉田大輔君) 学長が十分成果を上げられていない場合には、まずは監事や理事会などが可能な限り学長に対する支援や助言を行っていくというのが望ましいかと思いますが、なお改善されない場合には、国公私立大学とも法律上、既に任期途中での解任も可能な制度となっております。例えば、国立大学の場合には、文部科学大臣が、業務の実績が悪化した場合であって学長に引き続き職務を行わせることが適当でないと認めるときには、学長選考会議の申出により解任できるという規定が設けられております。
 各大学におきましては、それぞれの関係する法律の規定にのっとりまして、必要な手続等を内部規則等において整備していただきたいと考えております。
#118
○柴田巧君 十二分に成果を収められない、あるいはある意味暴走する、そういう学長がもしあった場合に、ストップを掛ける、あるいはスイッチをする、そういう仕組みもやっぱりしっかり取っていかなきゃいかぬのだと思います。
 では、話題を変えて、いずれにしても、先ほど申し上げたように、今度の改正によって学長がリーダーシップを発揮しやすくする、ガバナンスを改革をして、いわゆる、先ほどもありましたようにグローバル化に対応できるようにしていくということが第一であります。
 そういうことからも、私もこれまで何回も取り上げてきましたが、新妻さんもさっきおっしゃいましたが、いわゆる頭脳循環をどうしていくかというのが、大変これから研究活動の国際化を推進する上で大事なことだと思いますが、そういう中で、この春からいわゆるユニット誘致というものが我が国でも行われるということになりました。
 つまり、世界の、海外の名門大学の研究室そのものを誘致をしてくるというものでありまして、これは優秀な先生を一人呼んでくるのと違って、教授がいて、准教授がいて、助教がいて、大学院生が数人いてというものですから、正直コストは間違いなく掛かるんですけれども、しかし、それによって海外の研究所を導入しやすくなって、日本人の研究者や学生に与える影響は非常に大きいものだと思いますし、キャンパスのそれこそ国際化が進んで、研究者の海外人脈も一気に広がると。日本の学生にとっても、海外に留学しなくても世界トップクラスの研究者あるいは人たちと研究活動を共にできるというメリットもあるんだと思いますが、今回は京都の工芸繊維大学と北海道大学の二大学でスタートをしたということで、これが広まっていくことを期待をするわけですが、なぜこの二つの大学になったのか。逆に言うと、この二つの大学ではどういう今まで取組があって、今回ユニット誘致ができることになったのか、この点をまずお聞きをしたいと思います。
#119
○政府参考人(吉田大輔君) まず、京都工芸繊維大学でございますけれども、この大学は世界のデザインプログラムランキング十五位、これは二〇〇六年のアメリカのビジネスウイーク誌というところでこのように選出をされておりまして、建築デザイン分野に優れた実績を有しております。これまでもこの分野で卓越した実績を有する海外の大学との共同ワークショップなど国際的な教育研究活動を実施してきたところでございます。
 こうした実績を踏まえまして、国際的なネットワークを活用し、この度、卓越した実績を有する海外の大学との組織的な双方向の学生交流、共同研究を推進する体制を強化するため、ユニット誘致を推進することとし、英国の王立美術大学、ハーバード大学等とのユニット誘致に至ってきたところでございます。
 また、北海道大学は世界初の動体追跡放射線治療技術を開発し、がん治療における、より精度が高く安全な分子追跡陽子線治療装置の開発及び研究を推進するとともに、人獣共通感染症リサーチセンターを平成十七年度に設置をし、感染症の発生予測と予防・制圧方法の総括的な研究開発を行い、WHOの研究協力センターに指定されるなど、量子医理工学分野や人獣共通感染症分野に強み、特色を持っております。
 これらの分野におけます長年にわたる海外研究機関との先端的国際共同研究の実績も踏まえまして、この分野における世界水準の教育研究拠点を形成するためユニット誘致を推進することといたしまして、スタンフォード大学などとのユニット誘致に至っているという経緯がございます。
#120
○柴田巧君 そのようなそれぞれの大学の取組を受けてスタートをするということですが、両大学ではこれからどういう研究活動が展開されて、成果を上げることを期待されているか、目指しているのか、この点についてもお聞きをしたいと思います。
#121
○政府参考人(吉田大輔君) まず、京都工芸繊維大学でございますけれども、今回のユニット誘致によりまして、卓越した実績を有する海外の大学と長期にわたって組織的な双方向の学生交流、共同研究を推進できる連携体制の構築を進めていく予定でございます。このような取組を通じまして、グローバルスタンダードに基づく質の高い教育の実施、あるいは誘致ユニットの有する国際的ネットワークも含めた研究活動やグローバルネットワークを通じた研究力の飛躍的向上、さらに企業や地方自治体との連携の更なる強化による社会貢献などを成果として目指しているところでございます。
 また、北海道大学におきましては、今回のユニット誘致によりまして卓越した実績を有する海外の大学との国際連携研究教育を推進し、量子医理工学分野及び人獣共通感染症分野について、世界最高の教育研究の展開拠点を形成することを目指しております。このような世界トップレベルの教育研究ユニットとの共同を通じまして、グローバルな質の高い教育研究の基盤が形成されるのみならず、具体的には、量子医理工学分野では、分子追跡陽子線治療装置を活用したがん治療技術のイノベーションの創出、また人獣共通感染症分野では、ワクチン・創薬研究、病原性疫学研究及びゲノム・バイオ研究等における人獣共通感染症の克服などを目指しております。
#122
○柴田巧君 すばらしい成果があることを期待をしたいと思いますが、いずれにしても、こういうふうに日本国内で世界水準の教育を受けられる意義は大変大きいと思います。
 ただ、この世界的に著名な研究者を誘致をするというのはなかなか正直容易なものではなくて、今ほど答弁があったように、北大やその京都の大学のいろんな、これまでの個人的な関係も含めて、いろんな取組が今回こういうふうに結び付いたということです。誘致される方も、日本に行って、その大学に行ってやっぱりメリットがあるということが大切で、どうやってそのメリット感を出していくのか、その研究テーマの設定とかいろんな工夫も求められると思いますが、先ほど申し上げたように、なかなかこれは一大学で取り組めない、いろんな財政的なものも必要なものになります。
 したがって、文科省としても、これを積極的にやっぱり後押しをしていくということが大変重要だと思いますし、そのことによって頭脳循環を進めていくということになるし、そういう取組をしている日本で勉強、研究をしたいという学者、研究者を日本に集められるということも可能だろうと思いますが、このユニット誘致の推進に、大学の国際的競争力の強化のために積極的に進めるべきだと思いますが、大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
#123
○国務大臣(下村博文君) これは御指摘のとおりだと思います。このユニット誘致は両大学の研究室レベルだけでなく、学部そのものをユニットとして誘致するということについて、私も日本の大学の学長や、特にアメリカの大学の学長に積極的に話をしているところでありますが、アメリカの大学の学長の方が非常に関心があると。残念ながら日本の大学の学長は、まだ自ら出ていってというところまで積極的な大学は少ないといいますか、余り関心がないという状況がありますので、文部科学省の中に参与がおりまして、こういうことについて、特に日米関係におけるユニットについてマッチングできるような、そういうことを文部科学省としても進めてまいりたいというふうに思います。
 特に、海外の、御指摘がありましたが、トップクラスの大学から教員や教育プログラム等の教育ユニットそのものを丸々誘致することによりまして、日本国内での世界最高水準の教育を受けることができたり、あるいは日本人研究者が海外の優秀な研究者との国際共同研究を質量共に充実をしたりすることが可能になると。これは、我が国の大学の国際化を促して世界に伍して競う大学の教育環境をつくっていく上で、非常に有効な取組であるというふうに考えております。
 また、今年度から、新たにスーパーグローバル大学創成事業を開始し、ここにもユニット誘致などの意欲的、先進的な取組を積極的に支援するということもメニューとして入れておりますので、そのようなことを考えながら、海外大学からのユニット誘致など、世界最高水準の教育研究活動を飛躍的に充実する大学について、国としても支援をしっかりしてまいりたいと思います。
#124
○柴田巧君 時間が来ましたので、終わります。
 ありがとうございました。
#125
○松沢成文君 みんなの党の松沢成文でございます。
 私は、今日のこの議題となっております学校教育法、国立大学法人法の一部を改正する法律案、この具体論に入る前に、そもそも日本の最高学府、大学のどこに問題があるのか、この根本的なところが私自身もまだつかみ切れていないんです。やはり、ここをしっかりつかまないと、具体的な改革案というのはやっぱり成案を得られないと思うんですね。ですから、今日はちょっとそもそも論というか基本的なことからお聞きしますので、大臣、局長、副大臣、ちょっと通告にないことを聞いたら、その感想でもいいですから、是非とも答えていただければ有り難いというふうに思います。
 まず、安倍総理も、成長戦略の一環として、世界に勝つ大学をつくっていくんだと大きな目標を掲げているわけですね。これを聞けば誰も反対する人はいないと思うんです。
 私も、いつもよく新聞に世界の大学ランキングとか載りますね。一番有名なのがタイムズ・ハイアー・エデュケーションというところが出している、これイギリスの高等教育専門誌だそうですが、ここの大学ランキングというのが有名で、毎年秋に出るわけなんです。それで、毎年見るたびに、もう日本人として本当に、ええっ、何でかなと思うぐらいに日本の大学の評価が低いんですよね。ベストテンに当然入っていない。ベスト二十にも全然入っていない。ベスト五十にも一つも入っていない。東京大学が、あっ、二十三位に入っているんですか、京都大学が五十二位ぐらいですかね、昨年十月のやつでは。それで、ベスト百五十に日本の大学が五つしかないというのが実態なんですね。
 多くの国民の皆さんも、私もそうですが、日本人はすごく勤勉だと思っています。それで、日本の技術や産業もやっぱりこれはもう世界に冠たるものだという自負もあると思います。なぜ、ここまで先進国として世界を、世界の経済をリードしてきた日本、その日本の大学が世界的な視野から見るとほとんど評価されていない、あるいは優秀な大学を日本からつくり切れていないということに非常に大きなショックを覚えるんですね。
 そもそも論として、大臣、日本の大学の評価がここまで低い、この日本の大学の低迷の原因というのは一言で言うとどこにあるとお考えでしょうか。
#126
○国務大臣(下村博文君) 一言で言うのは難しいんですけれども、今、アベノミクスによって、特に三本目の矢というのは長期的な戦略が必要だと思いますが、科学技術イノベーション等によって、新たな我が国におけるほかの国に負けないような新産業を育成していくと。そのための科学技術イノベーションというのはこれは政府としても急務だと思いますが、問題はそれを支えるための、つまり高度な教育を受けた人材力がなければ、実際はそういう受皿として新産業を育てていくというわけにはいかないわけであります。しかし、大学がそこまでのものになり得ているのかということについては、そうでないという御指摘であります。
 現状、我が国の大学は、大学生の学習時間がアメリカの学生の二分の一以下である、社会の期待に十分応えていないと、また御指摘ありましたが、世界大学ランキングなどからも国際的な評価が低いと、こういう状況ですが、その原因としては、一つは、入学前に本来大学で学ぶために必要な学力が身に付いていない。今の日本の大学の四割ぐらいが高校以下の補習授業をしているという実態があるわけであります。また、大学に入学すること自体、そのことが目標となってしまっていて、入学後の学習に対するモチベーションが弱いと。
 それから、大学において主体的な学習を促す工夫などの大学教育の質的転換が十分進んでいないと。つまり、学生の問題がありますが、それ以上に大学側としてそれの受皿がきちっと教育的になされているのかということについて、ところてんのように大学はレジャーランド化されているのではないかというのは随分前からの話でありますが、そういう学問としての、学園として組織体系、対応できているのかという問題。
 それから、そもそも就職の際に大学での学習成果が社会として評価余りされていないと、こういうこととか、あるいは国際的に見て留学生や国際共著論文が少ないなど、日本の大学の国際化が遅れている。あるいは、社会人の受入れや地域の産業界との連携が十分でない。これは、日本の大学は二十五歳以上の学生の割合は二%で、ヨーロッパはもう二〇%を超えているという中で、社会人の学び直しの受皿にもなっていないし、地域の産業のニーズの受皿にもなっていない。それから、各大学の特色や強みを最大限に生かすための学内組織の改革等がスピード感を持って行われていない。数え上げれば切りがないと思いますが、こういう問題があるというふうに考えております。
 社会、経済、グローバル化が進む中で、大学が今のままでは日本が世界の中で発展をしていくことはできないというふうに考えます。我が国の大学が真に社会の期待や要請に応えるものとなることにより、またそのような強い危機感を持って大学の再生に取り組むということが、大学にも、また日本社会にも求められていることであるというふうに考えます。
#127
○松沢成文君 今大臣にもう六つ、七つの日本の大学の低迷の原因を挙げていただきましたが、聞いていて、それぞれに、なるほどそれはそのとおりだなという感想を持ちました。
 それで、吉田局長、先ほどもお答えになっていたので、ちょっと通告にはないんですが、局長の分かる範囲で教えていただきたいんです。
 この大学ランキングは五つぐらいの指標があって、一つは教育、二つ目は研究、三つ目が論文被引用ですね、論文がどれだけ使われているか、それから産業界からの収入、そして国際性と、この五つの分野で評価しているらしいんですが、具体的に、実はこの大学のランキングの評価を見ますと、何とベスト百の中の四十六の大学がアメリカの大学なんですね。だから、アメリカというのは確かに大国で人口も多いわけですが、アメリカの大学というのは世界の中で圧倒的に強いわけです。もっと言えば、このベストテンは全部アメリカとイギリスの大学です。それ以外入れないんですよね。
 具体的に日本の大学とアメリカとイギリスの大学を比べて、先ほど申し上げた教育、研究、論文の被引用、それから産業界からの収入、国際性、アメリカの大学はこういうところが強い、日本の大学はこういうところが弱い、だからこれだけ差が出ちゃっていると、こういう見方ができるのかなと思うんですが、どうでしょうか、その辺りの見解を伺いたいなと思います。
#128
○政府参考人(吉田大輔君) タイムズ・ハイアー・エデュケーションのランキングは、委員御指摘のように、教育、論文引用、研究、国際、産学連携という五つの指標に基づいて評価をしております。
 これを特にアメリカの大学と日本の大学とを比較した場合に明らかに差があると考えられますのは、一つは国際面でございます。それからもう一つは、論文引用というところでございます。国際共著論文の割合なども日本はまだまだ不十分でございまして、そういうところがこの論文引用の低さというところに表れてきているんだろうと思います。
#129
○松沢成文君 大臣、あともう一つ私が気になるのは、この日本の大学でトップ百五十に入る大学は、東大、京大、阪大、東北大とか全て国立大学なんですよね。日本にはもう明治の頃から優秀な私学がたくさん育ってきていると思うんです。実は大臣も私も私学の出身ですよね。それで、なぜ日本の私学の評価はこんな低いのか、ここも私、分からないんです。国立に比べて私学の力がなぜこんなに弱いのか。この辺りは、大臣、どんなふうに見ておられますか。
#130
○国務大臣(下村博文君) まず、先ほどの日米の比較で、そもそも別にアメリカナイズするような大学に日本がする必要ないじゃないか、物差しをアメリカに合わせる必要はないじゃないか、日本は日本で独自の物差しを作ればいいんだ、ベスト百に違う枠で日本の大学が入るような物差しを作ればいいじゃないかという話が衆議院でもあったんですが、私は、アメリカの大学と日本の大学の、日本の国立大学、私学を含めてですが、どこが問題なのかということについて、昨年の秋に利根川進さん、ノーベル賞受賞されて、アメリカの大学で拠点を置いて研究されているんですが、私が大学改革をするということで関心があるということで、訪ねてこられたんですね。そのときに利根川さんが言われていたことが端的だと思っているんですが。
 例えば、日本で一番難しいのは東大の医学部だろうと。しかし、この百年間でノーベル賞受賞者が何人出ていますか、ゼロですねと。自分の関係のあるシカゴ大学は東大の医学部ほど、あるいは東大ほど、入るのは実際難しくないと。しかし、シカゴ大学の学部生だけで六十九人がノーベル賞を受賞していると。それはそもそもアドミッションポリシーが違うんだと。東大だけじゃありませんが、日本の大学というのは十八歳の、入るときの学力のピークを評価をするという試験の仕方をしているけれども、シカゴ大学は、アメリカの大学は入ってからどれぐらいその学生は伸びるのかという伸び代、それは要するに学生が何のために大学に入りたいのかという志、それからその学生が社会へ出てどんな役に立ちたいのかという貢献度、そういう学問に対する渇望感というか、意欲といいますか、志、それをトータル的に見るから、学力だけの判定テスト、日本の入学試験のような形を取っても、それはノーベル賞受賞者が出るという物差しは全然違うと。
 そもそも、大学入学試験の物差しが違うし、大学で何をするかというアドミッションポリシーが違うから、結果的に四年間でそれだけの差が付くんだと。まさに今、日本の大学でも求められているところはそういうことだろう。私学においても国立大学においても、日本の大学が、じゃ、それだけの世界的なグローバル社会におけるアドミッションポリシーを考えてやっているのかというと、やっぱりこれまでの井の中のカワズ的な部分から脱却できない部分がある、それがあの世界ランキングでもどんどん停滞している理由でもあるというのが言えるんじゃないかと思います。
#131
○松沢成文君 次に、大学には学生がたくさんいるわけですね。学生をいかに教育をし、また、学生も教授も力を合わせて研究活動も成果を上げていかなきゃいけないんだと思いますが、この学生を大学は集めて教育をするわけですけれども、最高学府の大学に、じゃ、日本の子供たちが成長していって、どれぐらいの子供たちが大学に行くべきなのか、つまり大学進学率ですよね。
 私なんかが学生の頃はまだ三〇%をちょっと超えたぐらいだったと思います、三割ぐらいでした。ところが、今や五割ですよね、五〇%。ピーク、三、四年前にあって、五二%まで行ったんですが、今五〇%ぐらいまで落ちていますが、先進国日本として、OECDの中で日本よりも大学進学率が高いところはあるらしいんですね、結構。ただ、五〇%です、今。この大学進学率というのは、五〇%、大臣はこれぐらいでいいとお考えか、それとももう少し絞って、本気で大学で学んで、やる気のある学生に絞るべきだから二、三割でいいとお考えなのか、あるいは、もっともっと大学に子供たち行ってくれなきゃ、これから少子化社会で学生減っちゃうし困るから、大学進学率は上げるべきなのか。どんなふうに考えていらっしゃいますか。
#132
○国務大臣(下村博文君) 二〇一一年の調査で、日本の大学進学率は五二%です。OECD平均が六〇%。ですから、日本はかなり高学歴の国であるというイメージは、かつてのもうイメージであって、実際、OECD諸国よりは大学進学率は低いと。ちなみに、韓国やアメリカはもう七〇%を超えていて、世界最高の大学進学率はオーストラリアの九六%なわけですね。私は、先ほど、科学技術イノベーションとこれから新産業の育成とを図っていくという意味では高度な教育力を、やっぱり人材育成として育てていかなければ、それを支えるということにはならないと思います。ですから、大学の質と量を両方高めていくということがこれから必要であるというふうに考えます。そのためには、少なくとも韓国やアメリカ並みの大学進学率は、これは当然考えるべきだというふうに思います。
 しかし、そうすると付いていけない学生がどんどん増えるだけではないかということにもなってくるわけですから、先ほどのアドミッションポリシー含めた高校以下の教育についても、これは学力だけじゃありませんが、学ぶ意欲を含めた、我が国がしっかりとした高等教育についての改革をしていかなければならないというふうに思いますし、また、実はほかの国の、OECDでも進学率が高いというのは、日本でいう専門学校とか専修学校が三年以上のところはそこに入っているというところもあるんですね。日本は二年ですから入っていないと。ですから、その専修・専門学校を入れれば、実際我が国でも七〇%を超えるという数字もあるわけでありまして、こういう学校に対して大学と同じような高等教育機関として位置付けをしていくというようなこと、あるいは大学そのものの質と量を増やすというようなことをすることによって高度な人材力を育成していくということが経済発展をしていくという意味においてもこれは必要なことであるというふうに考えます。
#133
○松沢成文君 アメリカなんかでは、経営学修士ですか、MBAみたいな一般の学士から大学院も含めた充実を図っているというふうに聞いていますけれども、学士、勉強してとにかく大学卒という資格を取るだけじゃなくて、実学としてその上の大学院教育というのを、単に学者をつくるための大学院じゃなくて、実学の世界で活躍する人たちをつくる大学院というのが非常に充実しているように私は見受けられるんですけれども、そこに世界中から優秀な人たちが集まって切磋琢磨しながら、またそこで学んで母国に帰って活躍をしているみたいなのができていますね、人の流れとして。
 日本は、今後、大学院を、今までの修士というアカデミックな単位を取るだけじゃなくて、実学を教えてリーダーをつくっていく、こういうような大学院教育というのも日本にももっともっと必要じゃないかと思うんですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
#134
○国務大臣(下村博文君) おっしゃるとおりだと思うんですね。
 日本で、企業が大卒と大学院卒で、今御指摘がありましたようなMBAとか、そういうことでの評価をしているかというと、日本の企業はもうほとんどしていないに等しいのではないかというふうに思うんですね。それは、企業側の問題というよりは、やっぱり大学側がそれだけ即戦力なり、大学生よりは大学院生の方が企業や社会に対して間違いなく貢献するだけの人材、これはいろんな分野が想定はされますけれども、それを育成して送っているというふうになっていない部分があって、それが日本においては大学院卒というのが正しく正当性を持って評価されていない、あるいは、そもそもそれだけの即戦力として大学院側が、あるいは大学側が学生を企業側から見たら育てていないと、こういうような問題があると思いますから、その辺、我が国の高等教育においては課題があるというふうに思います。
#135
○松沢成文君 先ほどの大学進学率の問題に戻りますが、大臣としては、OECD諸国を見ても六〇%、七〇%、アメリカ、韓国あるわけで、日本もそれぐらいを目指していいんじゃないかというニュアンスがあったわけなんですが、これから少子化がどんどんどんどん進みますよね。そうすると、日本の経済がどっと大きくなるに従って大学もどんどん増えてきたわけですが、この少子化で学生数ががたんと減ってきて、恐らく学生を集め切れずに経営難に陥っていく大学がこれからどんどん増えてくると思うんですね。
 現に、これはちょっと例が悪いかもしれませんが、法科大学院も、もちろん法曹関係者を増やしたいという、そういう国の意思があって、あれは国家資格でありますから法科大学院をつくったけれども、結局勝ち組、負け組できてしまって、もう負け組の方は人も集まらない、いよいよ淘汰の時代に入っているわけですよね。これが大学そのものにもやってくるんじゃないかと思っています。もう既に始まっているのかもしれません。そのときに、文科省として、あるいは大臣として、この大学の統廃合について何か対応をしていくべきだと考えているのか、それとも、これは自由競争なんだから駄目な大学は潰れていくのも仕方ないでしょうというふうに見ていくのか、その辺の戦略、考え方はどんなふうにお持ちでしょうか。
#136
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、少子高齢化の中で十八歳人口は減って残念ながらいかざるを得ない、現状ですとですね。そういう中で、既に大学の四割近くがもう定員割れしていますから非常に厳しくなるということでありますので、現状どおりの経営をしていったら国立大学であっても統廃合の憂き目に遭わざるを得ないというところがこれから出てくるというふうに思います。
 ただ私は、悲観論ではなくて、先ほど申し上げましたように、大学の質と量を両方充実をしていく必要があると考えているのは、必ずしもその学生対象は十八歳人口に限る必要はないのではないかと。つまり、社会人の学び直し等ですね。
 これは大学側の問題もあるし、日本社会全体の問題もありますが、例えば女性の活用で、優秀な女性であっても、結婚して出産して子育てして、そして社会に戻って働こうと思っても、パートとかアルバイトしかなかなかないという状況があるわけですね。そのときに、もう一度その能力を生かしてスキルアップのために例えば大学や大学院に入り直すとか、専門学校、専修学校でもいいですけれども、入り直すと。そういうことを学ぶ機会があれば、これはもう男性よりもはるかに即戦力で、三十、四十代あるいは場合によっては五十代になっても社会で働ける、そういう女性もたくさんおられるというふうに思いますし。
 それは女性だけでなく、今再就職しようと思ったら、結果的にはそれがステップアップではなくてドロップダウンになってしまうと、前よりも給料が減ってしまうということも多いわけですね。それが一旦、社会人の学び直しで、そういう教育機関でスキルを、あるいは学力、勉強して能力を高めて社会にまた入るというような、高齢者の方々もそうですが、そういう高等教育機関が、受皿としてこれから考えていく。それから外国人留学生もそうですけれども。
 ですから、必ずしも人口が減っていくから大学はもう厳しくなって統廃合になるということじゃなくて、その大学の教育研究方針、経営方針によって、逆に十分なチャンスの時代にもなるのではないかというふうに考えます。
#137
○松沢成文君 すばらしいポリシーだと思います。
 もう一方で、大学の先生方、教授陣なんですが、私が言うのは僣越ですけれども、でもちょっと日本の今の大学の教授陣は、果たして大学教授というレベルにある方なのかなと思う方も多々見受けられるんですね。
 ある方に言われたんですが、大学の教授になるのが日本で一番簡単なんだと。小学校も中学校も高校も資格試験があるから、教員試験に通らなければ教員になれないけれども、大学は大学が欲しいと言えばその人は教授なんですね、もう請われれば。果たしてこれでいいのかという問題意識の方がいらっしゃいましたが、大学も人が集まらなければ有名なタレントさんでも教授にして学生を集めたいなという誘惑に駆られるのかもしれません。ただ、私は、客員教授であれば、そういう有名な方を集めて生徒を集めていこうという戦略があってもいいと思うんですが、やはりいざ教授となったら、やっぱりアカデミックの世界に貢献できる資質がない人は、これ教授となっても困ると思うんです。
 そこで、例えば国が、これは私学にまでできるかは大きな問題ですけれども、その大学教授たるべき資質について何か方針を示すなりしないと、ほとんどアカデミックな勉強をしていない方が、単にほかの理由で教授に抜てきされて、とにかく人集めに使われるみたいなことも最近多々見受けられて、これが日本の大学の質の低下につながっているんじゃないかという危惧を私は持っているんですが、大臣はその辺り、いかがお考えでしょうか。
#138
○国務大臣(下村博文君) これは、日本の学生がアメリカの学生に比べて半分ぐらいしか学習時間が少ないと。しかし、日本の学生がそれだけ愚かではなくて、システムの問題がある。同じように、日本の教授も優秀な方もおられますが、やっぱりシステムの問題ってあるんじゃないかなと思うんですね。
 多分、同じぐらいの時期ですから、大学へ行って、その大学の教授が十年前から同じ講義録を持って板書していると。それ、当時は当たり前のようにしか見ていませんでしたから、先輩からノートをもらって、授業へ出ていなくてもそれだけ勉強すれば単位が取れたという時代がありましたが。さすがに今は少し変わってきたかもしれませんが、しかしそれが象徴で、一旦教授になったらずっと保障されているということが結果的に自ら努力をするような形になっていない部分があって、しかし、それを国がなかなか測っていく基準というのは難しいことだと思いますので、大学側がやっぱりより優秀な教授をいかに国内外から集めてくるかと。
 これまで自分の大学の卒業生からしか教授になれないような閉鎖性の大学はさすがにちょっと減ってきたと思いますが、いかに優秀な学者を国内外から集めてこられるかという、まさにこれは大学のガバナンスの問題でもありますし、それは今回の大学のガバナンス法案にも物すごい影響していると思いますが、是非、アドミッションポリシーと同様に、大学がいかに優秀な教授が集められるかどうか。ある意味で、大学における最大の、企業では商品はもう教授でしかないわけですから、優秀な人をいかに集められるかどうかということについて各大学が競争し合う、それを世界中から集めると、そういう発想になったときに日本の大学は大きく発展をしていく、そういうことにもつながってくるのではないかと思います。
#139
○松沢成文君 済みません。時間ですので終わります。ありがとうございました。
#140
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 国立大学の学長選考について、「学長選考会議が定める基準により、」と条文に加える理由について、大学のミッションを実現する適任者を獲得するために必要となる学長に求められる資質、能力の明示が事前に十分にされていないとの答弁が繰り返されてきました。では、どのような選考基準を定めることを文部科学省は期待あるいは想定をしているのでしょうか。
#141
○政府参考人(吉田大輔君) 学長選考の基準といたしましては、まず、学長に求められる資質、能力、更に学長選考の具体的手続、方法、これがこの学長選考の基準として盛り込まれることを想定をしております。
 文部科学省としては、具体的には学長に求められる資質、能力としては、例えば国外に対する発信力や地域との協力関係を構築するための交渉力など、また、学長選考の具体的手続、方法としては、例えば候補者の推薦方法、候補者による所信表明やヒアリングの実施など、学長選考会議が行う候補者選考の方法、また教職員に対する意向調査の在り方などを想定しているところでございます。
 この基準につきましては、学長選考会議が将来の大学のミッションを見通した上で主体的に判断しつつ設定すべきものと考えております。
#142
○田村智子君 いずれにしても、答弁は、現行法にある、人格が高潔で、学識に優れ、かつ大学における教育活動を適切かつ効果的に運営する能力を有するだけでは駄目だと、これを前提にして大学のミッションを実現する適任者を選考すると、こういう答弁なんですね。では、この大学のミッションというのは一体何なのか。
 昨年十一月に文部科学省が発表した国立大学改革プランでは、大学の強み、特色、社会的役割(ミッション)について、各大学と文部科学省が意見交換を行い、研究水準、教育成果、産学連携等のデータに基づき整理をしたとあります。これは、ミッションの再定義と銘を打たれて、各国立大学の専門分野ごとにまとめられ、文部科学省のホームページにも掲載されています。このミッションの再定義が大学のミッションとなって、これを実現する適任者かどうかということを学長選考の基準にするということなんでしょうか。
#143
○政府参考人(吉田大輔君) ミッションの再定義とは、各国立大学が機能強化に取り組むための出発点として、各大学の強みや特色、社会的役割を明らかにしつつ社会の要請に応えていくために行われたものでございまして、大学の自主的、自律的な取組を尊重しつつ、各国立大学と文部科学省が意思疎通の連携を行いつつ共同して行ったものでございます。このため、文部科学省としては、ミッションの再定義を踏まえつつ、各国立大学が機能強化に取り組んでいることを期待しているところでございます。
 学長選考の具体的な基準については、学長選考会議がその責任と権限の下、各大学の特徴、特性やミッションを自ら検討、勘案しつつ主体的に定めるべきものと考えております。
#144
○田村智子君 この国立大学のミッションの再定義は、文部科学省が各大学に期限付でデータの提出を求め、文部科学省が説明会を行い、文部科学省が各大学との協議の調整をしてつくられたものです。私も幾つかのミッションの再定義に目を通しましたが、明らかに文科省がひな形を示したなと分かるものが多々見受けられます。しかも、学部、学科の再編、カリキュラムの再編整備につながるような内容も随所に見られます。
 こうした文部科学省主導で定めたミッションの再定義を実行する意欲や力量があるのかどうか、これを学長選考の基準にしていこうと、こういうことを期待しているんじゃないですか。大臣、お願いします。
#145
○国務大臣(下村博文君) 中央教育審議会の取りまとめにおきまして、今後、少子高齢化の進展に伴い大学の経営状況が厳しさを増す中で、大胆な組織再編や限られた資源のより一層の効率的な配分など、学長はこれまで以上に高い識見を持ちながら強力なリーダーシップを発揮して大学改革を進めていくことが求められるということがうたわれております。このため、学長選考会議は、将来の大学のミッションを見通した上で、そのミッションの実現に向けて大学を委ねられる人材を学長として獲得するため、学長像を明確に示すとともに、候補者の資質や能力を確認した上で選考を行うことが求められます。こうした背景を踏まえ、今回、国立大学法人法を改正し、学長選考会議が定める基準により学長選考を行うことを定めることによりまして、学長選考会議による主体的な選考を促進するものであります。
 学長選考の具体的な基準については、このような学長選考に関する趣旨や考え方を踏まえ、学長選考会議がその責任と権限の下、各大学の特性やミッションを自ら検討、勘案しつつ主体的に定めるものであります。
#146
○田村智子君 これ、大学の組織再編へのリーダーシップも期待されるということも含む答弁だったんですね。
 一方で、大学の主体的な判断というふうに強調されるんですけれども、これがどこまで尊重されるのか、これ大変疑問です。
 大学改革プランでは、ミッションの再定義を踏まえ、学部、研究科等を超えた学内資源配分、予算、人材や施設、スペース等の最適化、これを行う大学に対して国立大学法人運営費交付金等により重点支援するということも明記をされています。しかも、これは改革期間中に行う。これ、改革期間中というのは来年度までの二か年のことなんですね。
 この強みとされた教育研究分野に大学内の予算を重点化する、そのための学部、学科の再編、キャンパスや施設の整理統合などをこの一、二年の間に急速に進める、この大学に運営費交付金を重点支援するんだというプランではないんでしょうか。
 併せてお聞きしますが、この重点支援というのは、これまでの運営費交付金の額を増やして加算という形で行うのか、それとも運営費交付金の全体規模はほとんど変わらない中での重点化なのか、これも大臣にお聞きします。
#147
○国務大臣(下村博文君) 国立大学改革プランにおきまして、平成二十八年度からスタートする第三期中期目標期間に向けて、ミッションの再定義を踏まえ、各大学の有する強み、特色をより一層伸長させるため、平成二十七年度までの改革加速期間中に積極的に機能強化を進める大学に対して重点支援をすることとしております。
 そのための予算としては、国立大学法人運営費交付金と国立大学改革強化推進補助金について、既存事業の終了に伴う財源の活用など、必要な見直しを行いつつ、重点支援を行うこととしております。
 国立大学が我が国の人材養成、学術研究の中核として安定的、継続的に教育研究活動を実施するためにも引き続き必要な関連予算の確保に努めてまいります。
#148
○田村智子君 これは既存予算の枠内だと言うんですね。運営費交付金の総枠が大きく増えない限り、重点支援を行おうとすれば、どこかを薄くしなければなりません。国立大学の独法化以来、運営費交付金は総枠で一割以上も削減をされて、もはやぎりぎりの人件費にしかならないという悲鳴にも似た声が国立大学からは上がっています。重点支援の対象になるために大学がミッションの再定義を踏まえた改革へと押しやられていく、これはもう火を見るよりも明らかだと私は言わなければならないと思うんです。
 さらに、あの改革プランでは、二〇一六年度からの第三期中期目標期間に向けて、国立大学法人評価委員会において改革の進捗状況を毎年度評価、その際、産業界等大学関係者以外からの委員を増やすなど国立大学法人評価委員会の体制を強化するとしています。産業界などの外部評価も一層強めて、この評価に基づいて第三期中期目標の期間も運営費交付金の重点配分などを恒常的に進めていくと、こういう方向なんですね。
 こうやって見てみると、これ自主的な改革ということを何度も答弁されるんですが、文科省主導かつ産業界の評価にかなう改革が今後強力に進められていくんだということがこれ浮き彫りになってくるんです。
 そうすると、大臣は、衆議院の答弁の中では痛みを伴う改革もあるんだということをおっしゃっていましたが、やはり学部、学科の縮小などを含む再編、こういうことも断行できる学長を、学内の反対を押し切ってでもやり抜く、そういう腕力を持つ学長を選考するための法改定ということではないんですか。
#149
○国務大臣(下村博文君) 必ずしも縮小を前提で大学改革をするという学長は、これはいらっしゃらないというふうに思います。
 これは、やはり大学の時代的なニーズに適応した学部編成の在り方とか学科の編成というのはあり得る話でありますが、それはまさに時代に適応する、そういう先見性を持った学長ということは必要であって、その前提として、この大学は将来縮小すべきだというような発想でそもそも学長はなるべきではないと思います。
#150
○田村智子君 学科の再編などを強力に進めていく、学内の反対を押し込んでも。やっぱりそういう学長が必要だという立場に立った法改定だと私は受け止めるんですけれども、その点、いかがですか。
#151
○国務大臣(下村博文君) 大学のミッションの定義の中、あるべき大学像ということが明らかになった中、それは全員が賛成しなければ大学改革は進めないということでは実際の改革は着手できないということでありますから、反対があっても、やることはやるべきこととして出てくるかもしれませんが、それはそれぞれの大学のガバナンスの問題でありますから、当然、教育研究、重要事項については、これは教授会の審議の意見も参考にしつつ、最終的には学長が判断するについても、それは無視するということではありませんから、当然、教授会等の意見というのは十分学長に対して反映できるような、そういう教授会の審議そのものを否定しているわけでは全くないわけでありますので、その中で最終的に学長が判断されるものだというふうに思います。
#152
○田村智子君 教授会の意見もこれは尊重する、聴くということでしたので、その点は確認したいと思うんですが。
 いずれにしても、大学のミッションということがしきりに言われる。そのミッションってどこから出てきたか。文科省主導で行ったミッションの再定義なんですよ。その進捗状況に応じて運営費交付金も重点配分する、さらに毎年度の外部評価によって恒常的な重点配分の体制をつくると、こういうやり方は、私は、大学の自主性、主体性とは相入れないと、このことは強く指摘しなければなりません。
 その上で確認をいたします。
 文科省が関与して策定されたこのミッションの再定義は学長選考の基準とは直接関係ない、選考基準はあくまで各大学の選考会議において決めるものだ、これは確認できますか。
#153
○政府参考人(吉田大輔君) ミッションの再定義につきましては、先ほども述べましたけれども、各国立大学が機能強化に取り組むための出発点として、各大学の強みや特色、社会的役割を明らかにしつつ、社会の要請に応えるために行われたものでございまして、その際、大学の自主的、自律的な取組を尊重しながら、各国立大学と文部科学省が意思の疎通の連携を行いながら共同して作成したものでございます。
 ここで形成されましたミッションの再定義と学長選考の基準との関係でございますが、この学長選考の具体的な基準につきましては、学長選考会議がその責任と権限の下、各大学の特性やミッションを踏まえて自主的に検討、勘案しつつ主体的に定めるものでございますけれども、その際、求められる学長像という関係で学長選考の基準の中にミッションの再定義を反映したものが含まれることはあり得るものと考えております。
#154
○田村智子君 あり得るけれども、そうしないことも、それは大学の判断だということでよろしいですか。
#155
○政府参考人(吉田大輔君) 各大学の特性やミッションを踏まえて主体的に決めていただきたいということでございますので、それは大学としての活動、それはミッションの再定義も含まれると思いますが、そういったものを含まれることを期待しているところでございます。
#156
○田村智子君 ミッションの再定義を含むかどうかは大学の判断ですよ、別のものだと言っているわけですから。
 ある大学が公表した学長選考基準が、ミッションの再定義で示されたものと全く異なる、あるいはミッションの再定義の内容に異を唱える立場の人が選考対象となる、そういう基準であると、こう分かった場合でも文部科学省は基準の見直しを求めることはないと、これも確認できますか。
#157
○政府参考人(吉田大輔君) 学長選考の基準につきましては、学長選考会議がその責任と権限の下、各大学の特性、ミッションを踏まえて自主的に検討、勘案しつつ主体的に定めていただくものでございます。また、今回の改正では、それを公表していただくことによって社会からの信頼と支援の好循環を確立することや、あるいは学長選考会議自らがより適切に説明責任を果たすことを期待しておるところでありまして、このような趣旨を照らして適切な学長選考の基準を定めてほしいと考えております。
#158
○田村智子君 考えるけれども、主体性であって、大学の決めたものに対して口出しはしないというふうに確認をしたと思います。
 次に、教授会の役割について聞きます。
 大学の経営、運営の決定権は学長にあり、教授会は審議機関であって決定権限を持つものではないと、このことを法律上明確にしたというのが学校教育法九十三条改定の文科省の説明です。しかし、これは私は教授会が大学運営の中で現に果たしてきた役割を否定するに等しいものだと思います。
 そもそも教授会の役割の明確化、これは安倍総理の下に置かれた教育再生実行会議で議論され、五月二十八日に第三次提言に盛り込まれたものです。その後、中教審の大学分科会組織運営部会での議論へとつながりました。
 この教育再生実行会議第七回会議では、大学の改革については教授会の抵抗が予想される、ついては産業界やメディアの全面的なバックアップが必要だと八木委員が発言をしています。また、第八回会議では、副座長の佃氏から、教授会の在り方について例えば諮問機関に徹するなど踏み込んだ表現にできないか検討願いたいと提起され、山内委員からも、改革を否定しがちな教授会の多くの現状を追認してしまうことにもなりかねない、こういう議論があったんです。
 いずれも、教授会は大学改革を進める上での抵抗勢力、こういう議論なんですが、この法案はこういう立場に立つものなんでしょうか、大臣。
#159
○国務大臣(下村博文君) 教授会は専門的な知見から審議を行うという教育研究上、重要な役割を担っておりまして、学長との関係において必ずしも抵抗勢力ではないというふうに認識をしております。
 一方で、教授会については、権限と責任の在り方が明確でなく、キャンパス移転や予算の配分等の経営に関する事項まで教授会が関与する、あるいは、教育課程や組織の見直しを行う際に意思決定に時間を要し迅速な決定ができないなど、学長のリーダーシップの発揮を阻害しているとするような指摘もあるというふうに認識をしております。
 このため、今回の法律改正によりまして、大学において決定権を有する学長と教授会との関係を明確化し、学長のリーダーシップの下で大学改革を進める環境の整備を目指すものであります。
#160
○田村智子君 大学の教育研究と大学の運営や経営というのは大変密接な関係にあると思います。大学改革に対して教授会が意見を述べ、大学運営についても影響力を持つと、これは私は、大学自治の要であって、大学の発展という点からも重要な意味を持つものだと思うんです。
 文科省がこれから進めようとしている大学改革との関係でもその重要性は一層増しています。例えば、国立大学改革プランでは、この一、二年間で取り組む改革の柱として人事・給与システムの弾力化、掲げています。これは文科省の説明によれば、恐らく教授会が口出しをするような分野じゃないということになるんでしょうけれども、年俸制の導入とか教員の流動性とか、あるいは文科省の目標として、シニア教員から若手、外国人へのポストの切替え等を進める意欲的な大学を資金面で積極支援し、改革加速期間中に千五百人分の常勤ポストを政策的に確保すると、こういうことが掲げられているんですね。これは文科省に説明聞きましたら、千五百人分の常勤ポストというのは恐らく任期付きになるだろう、週五日働いてもらうポストをまずは確保するんだと。これ進めていくと、明らかに私は任期付きのポスト、教員、研究者、これどんどん増えていく方向だろうなというふうに思わざるを得ないわけですよ。
 国立大学の運営費交付金もあるいは私立大学への助成金も、この間、改革の名の下に経常的経費の部分がどんどん圧縮されて、一方で競争的資金、重点配分が増やされてきたんです。この下で、競争的資金などを獲得するためにその対象となるような事業を創設し、ポスドクや特任助教などのポストも新たにつくる、若手研究者を雇う大学が急激に増えているんです。そのポストのほとんどは一年契約とか、更新も三年、長くても五年、こういう有期契約です。
 この下で、若手研究者は、定職に就くための準備期間として本当は学会の発表とか出版とか授業経験で業績を積むことが求められているんですけれども、実際には、講義の時間、その準備の負担が重くて自分の研究がほとんどできない。中には、自分の研究は就業時間中にやっちゃ駄目だと、こういうポストまである。この中で、もう休業日とか就業時間前に自分の研究やって過労状態になっているという若手研究員が今どんどん増えているんですね。
 大臣、こういう実態をどのように受け止められますか。
#161
○国務大臣(下村博文君) 能力のある方、実績のある方が適切に処遇されるようなことは是非すべきだというふうに思いますが、今の御指摘の点について、国立大学の改革プランにおいても人事・給与システム改革の中で、御指摘の年俸制の導入、それからいわゆるシニア層の教員から若手、外国人ポストへの振替促進をしているわけでありまして、こういうことを通じて大学の活性化、それから、やはり大学は学生のためのものでもありますから、学生にとってより魅力的な大学の在り方という視点から創意工夫をする必要があるというふうに考えます。
#162
○田村智子君 私、重大だと思うのは、こういうポストの中には教授会の審議もなく学長や理事の判断で設けられたというものが少なくないわけです。教授会が認識しないポストが増えて、そのポストを非正規の研究者が埋めて教育研究活動を一定期間行うけれども、やがていなくなってしまうと。これでは、大学内の連携や人的、研究的積み重ねということは築いていくことが非常に困難になっていく。若手研究者だけでなくて、これでは大学全体が疲弊していくということが言えると思うんです。
 事実、日本の論文生産、先ほどお話ありました。これ、調査や資料を見ますと、二〇〇〇年代以降、主要国の中で日本だけが論文数の増加が鈍化をし、調査によっては日本だけが論文数が減少していると。前国立大学財務・経営センター理事長で、元三重大学学長の豊田長康氏は、OECDデータの分析を行って、論文数の増減傾向の九割方は研究費の増減と、それに伴うフルタイム換算研究者数で説明できる、研究費の増加を伴わない重点化はむしろ事態を悪化させかねないと、こういう指摘までしているわけです。
 この間、ずっと学長のリーダーシップだと言われてきました。また、競争的環境を強調する二十年来の改革が行われてきた。その二十年来の改革が日本の大学の停滞を今招いているんじゃないのか。私は、むしろそのことにこそ視点を置いて、教授会の権限を上から統制したり、それを弱めるような議論をするんじゃなくて、そのことが一番現場で分かっている教授会の意見にこそ真摯に耳を傾けるときだというふうに思うわけです。
 現に、苦しんでいらっしゃる若手研究者の皆さんも、今、教授会と距離はある、しかし自分たちの現状を変えるためには教授会に力になってもらうしかないんだと、そういう思いだから今回の学校教育法の改正には反対だと、こういう運動が広がっているんです。自分の実績をどう積んでいったらいいのか、担当する授業と研究の関係、どうしたらいいのか、安定した教育研究活動を行うための条件をどうするか。これ、若手研究者が学長と直談判なんかできないわけですよ。やっぱり、結び付いている教授と話して、教授会の中でも議論してもらって、そこで解決していってほしいと期待する声なんです。
 確認をしたいのと大臣に感想を伺いたいんですけど、これ、若手研究者の評価、ポスト、どうつくるか、若手研究者をどう配置するか、これはやはり教授会が審議すべき事項ですし、やっぱりそういう意味でも教授会の役割は重いと思いますが、いかがですか。
#163
○国務大臣(下村博文君) 単に教授会が身分保障のための機関であってはやっぱりならないというふうに思うんですね。もちろん学長がただ独断的に進めればいいということではありませんから、これまでの議論で述べてきたように、教授会を、これは審議はすると。ですから、重要事項についても意見を聴くということも新しい改正法の中で定めているわけでありますから、そういう若手の方々の思いも教授会が聴いて、それを大学の学長に伝えるということは当然あっていいことであると思います。
 最終的にはその大学のガバナンスという観点から学長が判断するということが担保されていれば、当然それは民主的にいろんな方々の立場の意見をしっかり聴きながら、より良い方向に大学を持っていくということについては、それは当然否定すべきことではありませんから、それはそのとおりだというふうに思いますが、しかし、教授会の役割が何か身分の確保のための会ということであってはならないのではないかと思います。
#164
○田村智子君 時間なので終わります。次回にまた。
#165
○委員長(丸山和也君) よろしいですか。
 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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