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2014/03/27 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 外交防衛委員会 第6号
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2014/03/27 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 外交防衛委員会 第6号

#1
第186回国会 外交防衛委員会 第6号
平成二十六年三月二十七日(木曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     高野光二郎君     小坂 憲次君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     白  眞勲君     藤末 健三君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         末松 信介君
    理 事
                佐藤 正久君
                松山 政司君
                三木  亨君
                福山 哲郎君
                石川 博崇君
    委 員
                宇都 隆史君
                岡田 直樹君
                小坂 憲次君
                島尻安伊子君
                牧野たかお君
                脇  雅史君
                北澤 俊美君
                白  眞勲君
                藤末 健三君
                藤田 幸久君
                牧山ひろえ君
                山口那津男君
                中西 健治君
                井上 哲士君
              アントニオ猪木君
                小野 次郎君
   国務大臣
       外務大臣     岸田 文雄君
       防衛大臣     小野寺五典君
   副大臣
       内閣府副大臣   西村 康稔君
       外務副大臣    岸  信夫君
   大臣政務官
       防衛大臣政務官  木原  稔君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  小松 一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
   政府参考人
       外務大臣官房長  越川 和彦君
       外務大臣官房審
       議官       和田 充広君
       防衛省防衛政策
       局長       徳地 秀士君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、高野光二郎君が委員を辞任され、その補欠として小坂憲次君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(末松信介君) この際、防衛大臣及び外務大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。小野寺防衛大臣。
#4
○国務大臣(小野寺五典君) 北朝鮮は、三月二十六日午前二時三十分頃から同四十分頃にかけて、朝鮮半島西岸の平壌の北方約五十キロメートルから、東方に向け、弾道ミサイル二発を発射した模様です。発射された弾道ミサイルは、いずれも六百キロメートル以上を飛翔し、朝鮮半島の東約五百キロメートルの日本海上に落下したものと推定されます。なお、詳細については現在分析中です。
 本件発生後、防衛省より内閣官房に連絡するとともに、私より、引き続き警戒監視、情報収集に万全を期せとの指示を自衛隊に出しました。また、午前五時過ぎに私の下で緊急幹部会議を開催するなど、しっかりと対応したところであります。
 政府における対応としては、内閣官房において情報を集約するとともに、午前四時三十分頃には関係省庁局長級会議を開催し、航空機や船舶からの被害報告等の情報がないことを確認した後、迅速な国民への情報提供に努める等の対応を行ったところです。
 また、午前七時頃には、官房長官の下に関係省庁の幹部を集め、対応について協議を行い、追加的な情報を整理するとともに、更なる国民への情報提供を実施いたしました。
 総理からは、事態への対応に当たっては、米国及び韓国を始めとする関係諸国との連携を図りつつ、緊張感を持って情報収集、分析に努めること、航空機、船舶等の安全確認を徹底すること、国民に対して迅速、的確な情報提供を行うことの三点について指示がありました。
 政府としては、総理の指示に基づき、緊張感を持って情報の収集、分析に努めるとともに、米国、韓国等と緊密に連携しつつ、我が国の安全保障に遺漏なきよう、必要、適切な対応を取ってまいります。また、防衛省としても、引き続き、情報収集、警戒監視に万全を期してまいります。
#5
○委員長(末松信介君) 御苦労さまでした。
 岸田外務大臣。
#6
○国務大臣(岸田文雄君) 昨日の北朝鮮による弾道ミサイル発射と外交上の対応について御報告申し上げます。
 三月二十六日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、日朝平壌宣言や六者会合共同声明及び累次の関連国連安保理決議に違反するものです。今回のミサイル事案発生後、我が国として、直ちに北京の大使館ルートを通じて、北朝鮮に対して厳重な抗議を行いました。
 また、今般の北朝鮮によるミサイル発射に際しても、米国及び韓国と緊密に連携し、事実関係の確認や情報交換などを行っています。
 政府としては、引き続き、米国、韓国等の関係国と緊密に連携しつつ、北朝鮮に対し、いかなる挑発行為も行わず、一連の安保理決議を誠実かつ完全に実施すべきとの強いメッセージを送り続けるとともに、引き続き、警戒を怠ることなく、必要かつ適切な対応を取っていく考えです。
 我が国としては、日朝政府間協議を今月三十日及び三十一日に北京にて開催することを予定しています。日朝政府間協議は、拉致問題という人道上極めて重要な問題を扱う場であるとともに、ミサイルや核といった安全保障上の懸念も取り上げることができる機会です。このような意味合いも総合的に勘案し、今般の北朝鮮によるミサイル発射を受けて、今の時点で同協議を直ちに中止することは考えておりません。
 政府としては、今般の事態の対応についての総理の指示に基づき、緊張感を持って引き続き情報の収集、分析に努めるとともに、米国、韓国等と緊密に連携しつつ、我が国の安全保障に遺漏なきよう、必要、適切な対応を取ってまいります。
#7
○委員長(末松信介君) 御苦労さまでした。
    ─────────────
#8
○委員長(末松信介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務大臣官房長越川和彦君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#10
○委員長(末松信介君) 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○三木亨君 自由民主党の三木亨でございます。
 在外公館法の質問に行きます前に、今、北朝鮮の弾道ミサイルの発射について御報告をいただきましたので、この件について二つほどお聞きしたいと思います。
 今回の北朝鮮の弾道ミサイルの発射は、実はハーグで開催された日米韓首脳会談のタイミングに合わせたものではないかというような推測もございます。その一方で、北朝鮮は労働新聞の論評の中で米韓の合同軍事演習などに反発しておりますし、また、本日二十七日からは米韓豪の大規模な上陸訓練も予定されているというふうにお聞きしております。
 今回のミサイル発射も含めて、昨今、北朝鮮が度重なるミサイル発射を行っておりますけれども、このことに対して、どのような外交的な意図を持って北朝鮮はやっているというふうに認識しておられるのか、米国を含めた朝鮮半島をめぐる情勢と、また最近の日朝間の関係についても踏まえて、外務大臣に御所見をお伺いしたいと思います。
#12
○国務大臣(岸田文雄君) 今般の二十六日未明の北朝鮮による弾道ミサイル発射ですが、これは、先ほども申し上げましたように、日朝平壌宣言、あるいは六者会合共同声明、また累次の国連安保理決議に違反するものであり、これは直ちに北朝鮮に対しまして厳重に抗議を行った次第であります。
 御指摘のように、今回の弾道ミサイル発射については、日米韓の首脳会合を始め様々な予定と時間的にも時期的にも一致するものではありますが、北朝鮮の確たる意図について私からはっきりしたことを申し上げることは難しいと思っております。
 ただ、政府としましては、引き続き北朝鮮に自制を求めていかなければなりませんし、そのために、情報の収集、分析に全力を挙げ、米国、韓国等と緊密に連携しつつ、我が国の安全保障に遺漏なきよう、必要、適切な対応を取っていく考えであります。
 日朝関係につきましては、政府としまして、対話と圧力の方針の下に、日朝平壌宣言に基づき、関係国と連携しながら、拉致、核、ミサイル、こうした諸懸案を包括的に解決していくべく努力をする、これが基本的な方針であります。この方針に基づきまして、北朝鮮に前向きな対応を引き出すべく、しっかりと対応していきたいと考えております。
#13
○三木亨君 ありがとうございます。
 ただ、大臣からはコメントしにくいとは思うんですが、このタイミングでありますので、私を含めて大多数の方は、やはりこの日本を含めた周辺諸国の動きに応じた行動ではないかというふうに強く感じられるわけであります。ただ、そうであるとするならば、今後、北朝鮮の行動のタイミングというようなものはある程度推し測れるかと思うんですが、そうなりますと、日本としても具体的な対応というものが必要になってくるのではないかと私は考えます。
 仮定の話で恐らく答えにくいとは思うんですが、これについて防衛大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(小野寺五典君) 北朝鮮のミサイルに関する動向については、防衛省として、平素から重大な関心を持って情報収集、分析を行い、状況の把握に努めております。
 個々の具体的な情報収集、警戒監視態勢については、事柄の性質上、コメントは差し控えさせていただきますが、防衛省としては、現在、米韓連合演習、フォールイーグルが行われているところであります。これは来月の十八日まで開催予定と聞いておりますが、北朝鮮はこれに反発しているということも踏まえ、引き続き、米国、韓国等と緊密に連携しつつ、北朝鮮に自制を強く求めるとともに、いかなる事態にも対応できるように、緊張感を持って警戒監視を始めとする必要な対応に万全を期してまいります。
#15
○三木亨君 今の時点ではっきりしたことはなかなか出てこない部分もございますので、今はとにかく情報収集とまた分析、そして警戒監視を怠らないということが私も重要だと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
 防衛大臣への私の質問はこれで終わりましたので、委員長の裁量をお願いいたします。
#16
○委員長(末松信介君) 防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。
#17
○三木亨君 では、本題の方の在外公館法の改定についての質問をさせていただきます。
 今回、改定で在勤基本手当の基準額というものが見直しになるということなんですけれども、この在勤基本手当というものは円建てで今支給されておりまして、近年の為替変動によりまして円安傾向にありますために、その実質的な額というのは大きく減少しています。また、逆に、住居手当の方は外貨建てで行われるということですので、これは逆に円安の影響で大きく増加していると、二十六年度には前年度比で二二・五%増というふうな数字も聞いております。
 外務省としては、平成二十六年度の予算の方でこの為替変動にどういうふうな対応をされたのか、お聞かせ願いたいと思います。
#18
○政府参考人(越川和彦君) お答え申し上げます。
 平成二十六年度在勤基本手当予算額は、各在勤地の物価、為替相場等を勘案しまして、急激な円安あるいは物価上昇が現地での在外職員の勤務、生活環境に過大な影響を及ぼさないよう配慮しつつ、一方、同時に、厳しい財政状況を踏まえまして、予算額の抑制にも努めた次第でございます。
 その結果、平成二十六年度在勤基本手当予算額は、円ベースでございます、昨年度比約十五億円増、一〇%増の約百七十億円となってございます。なお、円安による為替変動につきましては予算額に完全に反映させており、昨年度予算額からの増額要因の中で約二十二億円が為替変動の影響によるものでございます。
#19
○三木亨君 ありがとうございます。
 続きまして、平成二十三年度から、民間の調査機関などを使いまして、生計費調査の結果を在勤基本手当の方に反映しようということでこれを行ってきたと思うんですけれども、これの今までの運用に対する認識、どういった認識があるのかということと、また、今まで行ってきた調査の際の課題というものを、ございましたら教えていただきたいと思います。
#20
○政府参考人(越川和彦君) お答え申し上げます。
 平成二十三年度から、委員御指摘のように、外務省は民間調査機関により各国における生計費の調査を行わせ、その結果を踏まえまして在勤基本手当の額を決定しております。その際、本邦勤務時と同レベルの生活水準を在外勤務時にも維持するための経費を国家公務員としての給与、それから在勤基本手当とで賄う、いわゆる購買力補償方式を採用しております。
 この方式は、諸外国の外交官、国際機関職員、民間企業の海外駐在員の給与決定方式として広く採用されておると承知しており、この方式の導入によりまして、在勤基本手当の水準の一層の適切さの確保、客観性の向上というものを図ることができたと考えております。
 一方、外務省に設置されております有識者から構成されます外務人事審議会からも、在勤基本手当の水準はおおむね適正であり、客観性が高まってきておる、引き続き民間調査会社による調査の結果を活用をすべしとの勧告を得ております。外務省といたしましては、今後も一層の客観性、適正の向上のためにこの方式を活用したいと考えております。
 特に、平成二十四年度の外交防衛委員会での本法案審議に際してなされました附帯決議におきまして、各地の生計費等の調査結果及びその在勤基本手当等への反映状況については、国会に対して十分な報告を行うこととされております。委員会に対しても、また国民に対しても十分な理解が得られますよう説明責任を果たしつつ、その中でさらに適切な算出方法の在り方についても不断に検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
#21
○三木亨君 ありがとうございます。
 今回の法改正の方では、在勤基本手当とともに在外研修員手当の方も見直しになるというふうになっておりますけれども、現在、在外研修を行っている方たちの数というのはどれぐらいいるのかということと、また、主な研修先なんかについてお聞きしたいんですが、安倍総理にしましても岸田外務大臣にしましても、非常に新興国や途上国などを精力的に外遊されて、こちらの方の外交にも今非常に大きな力を注がれておると思います。そういった情勢の変化も踏まえて在外研修もこれらに対応しておられるのかどうか、そういったことも含めてお聞かせ願いたいと思います。
#22
○政府参考人(越川和彦君) 平成二十六年一月現在の数字でございますが、研修員、全世界で百三十六名の職員が世界二十七か国において研修を実施しております。
 御質問にありました新興国、途上国の外交の重要性に鑑みまして、中国語、あるいはアフリカ、南米で話されるフランス語、スペイン語の研修員を増やす努力をしております。一方、近年の新規採用数の減少のため、一部の言語につきましては研修する職員の確保に限界があるという厳しい状況もございます。
 今般の委員の御指摘も踏まえまして、研修語学、研修先につきましては、今後とも不断の見直しを図ってまいりたいというふうに思っております。
#23
○三木亨君 ありがとうございます。
 今回の法改正ということで中身についてちょっとお聞きしたんですが、大切なことは、在外公館をどのように活用していくか、外交にどのように生かしていくかということだと思います。次からは、ちょっとそういった視点で幾つかお聞きしたいと思います。
 まず、在外公館の整備方針についてお伺いしたいと思います。
 今回の法改正の中では在外公館の新たな設置というものは行われていませんけれども、平成二十六年度の予算の中では実館である大使館が三つほど新設されることになっております。また、在外公館の整備目標について岸田大臣は、昨年の三月二十二日の衆議院外務委員会において、財政状況や主要国の設置状況を踏まえて安倍内閣としての目標を至急検討し、しっかりしたものを示したい旨の御答弁をなされました。また、同年六月四日の本委員会においても、攻めの外交を戦略的に展開すべく、質、量とも外交実施体制を手当てする必要がある点を踏まえて検討していきたいというふうに答弁していただいております。
 あれからおよそ一年が経過いたしましたが、第二次安倍内閣の下で在外公館の整備方針や具体的な整備目標というものは新たにまだ示されていないと思いますけれども、大臣といたしましては、新たな整備方針や数値目標、これを定めるお考えがあるのか、あるいは、それとも平成二十四年に定められた在外公館整備方針の示す百五十の大使館実館の実現を目指していく方向に行くのか、これはどちらなのか、外務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#24
○国務大臣(岸田文雄君) 在外公館につきましては、政府全体の財政状況ですとか、あるいは主要国の設置状況等を踏まえまして、是非、主要国並みの実施体制の実現を目指していきたいと考えています。
 我が国の外交が直面する課題が多様化する中でこの外交実施体制を整える必要性、これは一層高まっていると認識をしております。そしてその中で、昨年、与党自民党においても外交力強化に関する決議が採択されました。また、現在も自民党において外交力強化についての議論が行われていると承知をしております。
 こうした国会あるいは党の議論も承りつつ、御指摘のように、新たな中長期的な整備方針の策定も含めて是非検討したいと考えています。そういった方針で引き続き努力をしていきたいと考えております。
#25
○三木亨君 ありがとうございます。
 新たな整備方針でやっていくということでございますので、私もその方が、時代の今非常に変化の多い時期でございますので、そういったことの方が実情に合ってくるかというふうに感じております。
 もう一つ、それに関してお聞きしたいことがありまして、平成二十四年に策定された在外公館の整備方針では、百五十の大使館体制を実現していくというふうな、これもまた先進国並みということなんでしょうけれども、そういった目標を立てられております。ただ、平成二十六年度の予算案では、マーシャル、アルメニア及びナミビアの三大使館の増設を予定しております。数的にはまだまだ届かないとは思うんですけれども、少しずつ着実に進めていくという意味では大きな一歩だというふうに私も評価したいと思います。
 ただ、他国に遅れることなく外交力を強化して、また成長著しい新興国、今精力的に外交活動を活発に行われておられますけれども、こういった新興国の活力を我が国に取り込むためには、在外公館実館の新設のスピードというものを、やはり新たに設置する目標に沿ってスピードを上げていく必要が私はあると思うんですが、この点についての大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
#26
○国務大臣(岸田文雄君) 成長著しい新興国の活力を取り込むこと、これは我が国の経済外交を進めるに当たって主要な要素だと考えております。よって、在外公館新設に当たりましても、そのような経済的な観点も十分考慮をしながら判断をしてきております。
 外交力強化につきましては、先ほど与党自民党での決議ですとか議論について御紹介をさせていただきましたが、これらの議論においても、多岐にわたる外交課題に対応するため、我が国の外交を支える強固な基盤が必要不可欠である旨が指摘をされております。
 在外公館の新設については、先日成立しました平成二十六年度政府予算で、三つの大使館、マーシャル、アルメニア、ナミビアの新設経費を計上しております。なお、この三つの大使館が整備されますと、合わせて百三十九大使館ということになるわけでありますが、是非、今後とも、外交実施体制につきましてはしっかりと整備に努め、総合的外交力の強化に取り組んでいきたいと考えております。
#27
○三木亨君 ありがとうございます。
 外務省が積極的に在外公館の新設を進めておられるというのは、今年度予算においても、非常に厳しい財政状況ではございますけれども、戦略的、効果的にこれをやっていくということで、概算要求では六つの大使館の新設が求められています。ただ、今回は、マーシャルを始め三つの大使館の新設は認められましたが、ほかの三館は後ということになりました。
 今回、他の三館に優先してマーシャルを始め三つの大使館が新設された理由、つまり優先された理由というのはどういったところにあったのか、あるいは新設のかなわなかった三館について今後引き続き優先して新設をしていくような方向でいらっしゃるのかという外務省のお考えをお聞きしたいと思います。
#28
○政府参考人(越川和彦君) 在外公館実館の新設に際しましては、二国間の貿易量ですとか投資量、在留邦人の数、進出企業数といった定量的な指標に加えまして、先方政府からの要望等も勘案しつつ、その時々の国際情勢、これを注視しながら、これらの要素を総合的に判断して決定してございます。
 御指摘のとおり、平成二十六年度の機構要求では、マーシャル、アルメニア、ナミビアの三つの大使館が認められてございます。これは、政府全体の財政状況を勘案しつつ、今述べましたような様々な要素を検討した結果、これらの国に大使館実館を設置することが必要であると判断した結果でございます。
 それから、御質問にありました平成二十七年度以降の機構要求につきましては、新設公館のかなわなかった三公館の必要性についても改めて検討するとともに、それ以外の国も含めまして、今述べましたような様々な要素を総合的に勘案して要求をしたいというふうに思っております。
#29
○三木亨君 ありがとうございます。引き続き精力的にやっていっていただけるということでございますが。
 最初に私申し上げましたとおり、一番大事なのは、どういう戦略でもって最終的に総合的外交力を強化していくのかということだと思います。その目的に沿って在外公館の整備というものも進めていくべきだと思いますし、逆に申しますと、在外公館の組織というものを充実させても、その組織を活用するための戦略がなければ、言わば仏を作って魂を入れずの状態にあると私は思います。法案によって組織が充実することは分かりますけれども、その組織にどのような魂を入れるのか、これが重要だと思っております。
 具体的にどのような戦略の下、日本の立場について情報を発信していくのか、また発信力を強化していくのか、そういったことについての具体的な戦略についてお聞かせ願いたいと思います。
#30
○国務大臣(岸田文雄君) 在外公館を活用して日本の立場についてどのように発信をしていくのか、どのような戦略的な活用を図るのか、こういった御質問をいただきましたが、我が国の立場あるいは考え方につきましては、国際社会の正しい理解を得るべく、まず在外公館を中心に情報収集、分析を行っております。また、逆に発信を行う際には、訴求対象や発信のタイミングなどに考慮しつつ、紙媒体、あるいは電子媒体の使用、あるいは写真、動画の活用といった発信手段、発信言語なども工夫しながら、この在外公館を活用して発信をしているというのが現状でございます。
 具体的には、外国プレスや有識者を通じた情報発信、あるいは各在外公館のホームページ、フェイスブック、ツイッター等を通じた直接発信を行ってきております。例えば、現地のシンクタンク等と連携し、外国で開催するシンポジウムにおいて日本国大使が主要な外交政策について講演をしたり、あるいは外国メディアに対して寄稿や反論投稿を行ったりする、こんなことも行っておりますし、また、二百十九公館がホームページを有しており、現地語でも発信しているほか、七十三公館でフェイスブック、ツイッターによる発信も行っております。
 また、日本紹介映像でありますジャパン・ビデオ・トピック、これを全在外公館に送付し、現地テレビ局への働きかけを行った結果、現在、世界百二の放送局で放映がされている、こういった取組も行っております。
 私自身も、海外に出張する際には在外公館を通じて外国プレスによるインタビューや寄稿を行う、こういった取組も行っております。
 このように、在外公館を活用しながら、日本の立場発信について様々な工夫、取組を行っているのが現状でございます。
#31
○三木亨君 ありがとうございます。
 引き続きまして、建物の話も重要ですけれども、中で働く人、特に海外においては治安というものが非常に変動いたしまして、急激に悪化する場合もございます。この在外公館で働く職員の方の安全確保について次はお聞きしたいと思うんですけれども。
 例えば、中東、北アフリカの地域においては、二〇一一年初頭より本格化した民主化を求めるいわゆるアラブの春というものの影響によって地域の情勢というものは非常に悪化しておりますし、また、二〇一三年には在アルジェリアの邦人に対するテロ事件が発生するなど、今後も、我が国の国民が巻き込まれる、あるいは在外公館の職員が巻き込まれるということも大きく懸念されるわけでございます。
 また、あと、現地の情勢や治安がこれまで悪化しないまでも、途上国の勤務が六割を占める在外公館の職員の方というのは、日々犯罪被害という恐ろしい場面に遭遇している、あるいは遭遇しやすい環境にあるわけでございます。この半年だけでも、二〇一三年にはバーレーンにおいて大使公邸に火炎瓶が投げ付けられたりとか、あるいは十二月にはイエメンで職員が私用車を奪われて負傷するというような事件も起こっております。
 外務省は、在外公館に勤務する職員の方の安全について、より安全に活動できるように体制を整える必要があるというふうに、これは誰もが思うと思うんですが、現状についてどのようにお考えになられているかということ、また、今後の対応についてどのようにお考えになられているかということをお尋ねしたいと思います。
#32
○政府参考人(越川和彦君) 在外公館というものが外交活動の基盤であると同時に邦人保護の重要なとりでであるという観点から、在外公館及び職員の安全対策につきましては、現地の治安情勢等を考慮しまして、人的及び物的両面から必要な警備対策を講じてきているところでございます。
 一方、先ほど委員の方から御指摘ありましたように、昨年十二月、イエメンの方で、日本から派遣されております警備対策官が通勤の途上襲われまして大けがをしたというふうな事案も発生してございます。アフガン、イラク等中東アフリカ地域におきましては、テロの脅威が一層増大しているという状況に鑑みまして、防弾車の配備ですとか身辺警護員の配備等、警備体制の強化、それから構築を一層図り、在外公館及び職員の安全対策に万全を期していきたいというふうに考えております。
#33
○三木亨君 ありがとうございます。
 私は地方議会の実は出身でございまして、今まで議会の中で、あるいは外で外交について論じるということは余りありませんでしたので、今日も、外防の委員というよりは、どちらかというと学校の先生に教えてもらう生徒のような気持ちでお聞きしたわけでございます。一年生に教えていただけるような優しい感じで教えていただいたのでよく理解できたと思いますが。
 続きまして、外交というものと地方自治の関わり、今、地方自治体が海外に発信するということに力を入れているところもございますので、こういったことに対して外務省としてもフォローしていただいているということでございますので、これに関連して質問申し上げたいと思います。
 外交力を強化して外交を再生し、力強い経済外交を進めていく、こういうことが今の日本に求められておりますけれども、外務省における地方自治体の支援の一つに、日本各地で国際的な活動を行う地方自治体などを支援するグローカル通信というものがございます。例えば、私の地元の徳島県の松茂町と、また海外都市港湾局との連携強化が成功事例として紹介されておりまして、同様の取組をされておる自治体にとっては大変参考になっているというふうにお聞きしております。
 個々の自治体の取組や知見を一か所に集めてオールジャパンでの活用を可能にする枠組みというものは、費用もそれほど掛かりませんし、また有効であって、また今後も維持、拡充していっていただきたいなというふうに考えるんですが、事業の現状に係る認識や今後の展望について、大臣の方から御所見ありましたらお願いいたします。
#34
○国務大臣(岸田文雄君) 地方自治体の国際的な取組は大変幅広く活発に行われております。地方は外交においても極めて重要な役割を果たしていると認識をしております。
 この観点から、外務省は、地方を外交を推進していく上での重要なパートナーと位置付けて、オールジャパンでの外交力強化を目指して様々な施策を講じております。その一環として、平成二十一年、外務省ホームページにグローカル外交ネットを開設し、地方連携に関わる多方面の情報や地方との連携事業を掲載しております。また、各地方自治体の姉妹都市交流活動など、有益な情報提供や共有を進める等の観点から、広報メールマガジンのグローカル通信をこのグローカル外交ネットに掲載するとともに、個人登録者約千四百名に配信をしているということでございます。
 今後とも、我が国の地方自治体の国際交流活動をしっかりと支援していくために、一層の情報発信に努めてまいりたいと考えております。
#35
○三木亨君 ありがとうございます。
 地方において海外というのは非常に遠い、本当に遠い位置にあるものだと思いますので、こういった支援というのは本当に心強いと思いますので、引き続き力を入れていっていただきますよう、よろしくお願いします。
 最後になりますけれども、先日、石川委員の方から文化の発信の重要性についての議論がございました。私も、それに関連して一問だけ、お話といいますか質問をさせていただきたいと思います。
 私の方はちょっと別の視点からお話しさせていただきたいんですが、昨年、和食の方がユネスコの世界遺産に登録されました。ただ、和食といっても食べ物のことだけじゃなくて、日本食の良さというのは、その季節感を楽しんだり、あるいは器を楽しんだり雰囲気を楽しんだりという、そういう総合的な場面場面を楽しむというようなこともございます。
 例えば、私の県の「いろどり」という事業がございますけれども、これは山の葉っぱを取ってきて、これを料理に添えて食材に彩りを添えるというような、そういった試みでございまして、非常にこれが好調でございます。そういった面では、和食というのは、全てを味わう、雰囲気を味わう、空気を味わうというような良い側面もございます。
 また、かつて日本製品といえば工業製品が主で、今でももちろん日本の工業製品というのは非常に貴ばれるわけですけれども、今ではそれだけじゃなくて、例えば日本の鉄道の運行のダイヤの正確さであるとか、あるいはコンビニの運営の仕方の非常に効率的なもの、あるいはおもてなしの接客サービスといったまさに形にならないもの、目に見えない日本の文化や日本の文化に根差した運営方法やノウハウというものがスポットを当てていただいておるというような時期に来ていると思います。
 そして、日本には謙譲の美徳というものがございまして、私はこれが大変大切なことだと思いますし、非常に美しいものだと思います。
 道を譲るとか席を譲る、順番を譲る、あるいはお歳暮を持っていっても、非常に立派なものでもつまらないものですがというような言い方であるとか、例えば、余りないと思いますが、岸田大臣のおうちに私が招かれて、大臣の方でお食事を作っていただいて出していただいたときに、恐らく大臣の方では、これは最高のものですと言っては出さないと思う、恐らくお口に合わないものですがと言って出していただけると思うんですけれども。そういった謙譲の心というような、出しゃばらない、主張しない、自分を低くして相手を立てる、これは本当に日本のすばらしい文化だと思います。
 しかし、外交に当たってこういった謙譲の美徳というものは、逆に足を引っ張る場合がございますし、下手をすると後々に禍根を残さないとも限りませんので、余り発揮するようなことがあっては困ることも多いと思います。とはいっても、この謙譲という日本人の美徳、そして謙譲にかかわらず日本文化の本質、日本人の価値観、あるいは大切にしているもの、そういったものを世界にもう少し理解していただくことによって国際理解というものも進むんじゃないか、今まであった誤解というものも多少は解けていくんじゃないかというふうな思いがございます。
 そういった場面で、文化の発信というのは非常に大きな力を発すると思います。この時期、二〇二〇年東京オリンピックを控えておりますので、そういった日本の精神性、価値観を知ってもらう文化の発信というものの時期には非常に適している時期だと私は思いますが、そういった面も踏まえて、もう一度、日本の文化の発信の強化についてどのようにお取組をしていただけるか、外務大臣から御所見をお願いいたします。
#36
○国務大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、日本人の精神性ですとか価値観を国際社会に理解してもらうこと、これは大変重要なことだと思います。そのために日本文化をしっかり紹介していく、発信していく、こういったことが重要だと認識をしております。
 外務省としましては、在外公館ですとかあるいは国際交流基金を通じまして、また関係省庁等とも密接に連携しながら、伝統文化やポップカルチャーを含む多様な日本文化の紹介、海外における日本語普及などを進めながら、日本の強みあるいは日本人の精神性、価値観等を積極的に諸外国に発信してきております。
 今後とも、政府のみならず、民間を含む様々な機関、団体、こういったものと連携しながら、日本文化の持つ多様な魅力の発信に一層戦略的に取り組んでいきたいと考えております。
#37
○三木亨君 ありがとうございました。
 時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#38
○牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。
 まず、本日の審議、採決の対象となっております在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、これに関して質問をいたしたいと思います。
 今回、国際情勢の変化などに鑑み、在外公館に関し、在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額の改定、それから外務公務員の研修員手当の支給額の改定を行うとされています。
 まず、研修員手当につきまして、今までは八割までが官費で手当てされていたものが、今回の改正によって全額官費支給となるわけです。日本のために働いてくださる方々の教育費用ですから、もちろん支給は、支援は必要だと思います。ただ、今までは二割の自己負担だったものが制約の、費用抑制の効果を果たしていたかと思うんですけれども、そういった側面があったかと思うんですけれども、一〇〇%官費ということになると、そのリミットがなくなるということで、無駄遣いが指摘されないか心配しております。
 子供の教育についても上限額が付いていますので、子供の教育と同じように上限額が付いた方が国民の理解を得やすいのではないかと思います。また、その国の語学レッスンの必要の度合いですとか学費の適正価格を算出すればいい話だと思いますが、いかがでしょうか、大臣。
#39
○国務大臣(岸田文雄君) この研修費につきましては、大学や個人レッスンなど、研修の方法が多様であります。また、先進国と途上国では大幅に額が異なり、必要額を算出し定額で設定することが困難であることから、全ての国に共通に最低限必要となる額を基準研修費として設定し、その上で、各研修員が支払った学費がこの研修費を上回った場合には八割を官費負担すると、従来このように対応してきました。
 しかしながら、この在外研修、これは職務の一環として行われるものであります。そして、必要とされる学費については、命じられた国における研修の実態に応じて上限を設けずに手当てすべきであります。また、これまでの制度では、一部の研修員に多額の自己負担を強いる結果となってきており、これを是正すべきと考えられ、さらに、外交力強化の一環として研修を一層充実していきたいと考えていることから、来年度より授業費等の学費について全額官費支給とすることといたした次第であります。
 歯止めが利かなくなるのではないか、やはり上限を設けるべきではないか、こういった御指摘をいただきました。まず、今回自己負担をなくしたのは、授業料、語学レッスン代、教科書代の部分でありまして、入学金、そして登録料、あるいは一般参考書代などにつきましては引き続き自己負担ということになっております。
 また、歯止めということで申し上げますならば、各研修員には研修指導官が付いて監督をしております。適切な研修を確保する体制をそういった形で整備しているわけです。ですから、こういった体制の下であれば、上限を設けずとも歯止めなく研修費が増えるといったことにはならないものと考えております。
#40
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
 各国の事情もあると思いますし、相場も各国によって違うと思いますけれども、是非とも、子供の教育についてもやはりリミットはありますので、そういった状況を鑑みて、是非理解が得られるようにお願いいたします。
 研修費に限らず、在勤基本手当も含めて、日本円での換算ですと、今回金額が大きく増加しております。国民に対する説明責任、国家の財政状況も考えて、緊張感を持って在外公館における支出を監視していっていただきたいと思います。
 事前の質問で、外務公務員の研修というのは語学が大きな要素を占めるとお伺いいたしました。また、研修後、外務公務員の方々は、フランス語専攻ならばフランス語圏に赴任し、そしてスペイン語を習う方なのであればスペイン語圏に赴任するということもあるとのことでした。ただ、初めは習得された言語圏に赴任しても、後には専攻した言語の言語圏ではない国に移って、また研修を受けて、また習い直して、そしてその言語圏に合わせた仕事をするということも伺っております。
 ゼネラリストとしてのキャリアということをお考えなのでしょうけれども、もう少しスペシャリストとしての側面を重視したキャリアも考慮すべきと考えております。つまり、研修した言語圏への赴任率を高めるべきだと思います。せっかく研修に対し予算を増やすのであれば、その研修成果をフル活用していただきまして、身に付けたものを基に、その言語又は言語に伴う文化のスペシャリストとして働いていただく方が、国にとっても、そしてその人自身にとっても一番いいのではないかと感じますが、いかがでしょうか。
#41
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、職員の配置に当たりましては、研修で習得した語学を生かすことができるように配置するということ、これは大変重要なことであります。このため、若手のみならず中堅、幹部についても研修語学を踏まえつつ人事配置を行うとともに、専門性にも配慮した人事配置を行うこととしております。
 こうした専門性を生かすことの重要性は御指摘のとおりでありますが、他方、よき外交官となるためには、専門性を高めると同時に、専門とは関連の低い部署あるいは国においても様々な外交課題に取り組み、視野を広げる、こういったことも重要だと指摘をされています。こうした専門性の強化と、そして様々な外交課題に取り組む経験ですとか視野、こういったもののやはりバランスが重要なのではないかと存じます。ですから、その適度なバランスがどういったものなのか。これは、時代ですとか環境によっても変わるでしょうし、その個人によっても、どういうバランスが適切なのか、これは変わってくるのではないかと存じます。
 基本的には、今申し上げましたようなバランスを大事にしながら、具体的に適材適所ということで適切な人事配置を行っていくべきではないかと考えております。
#42
○牧山ひろえ君 大臣のおっしゃる、視野を広げるとかそういったお考えもよく分かります。ゼネラリストとしてのキャリアアップというのも重要だと思うんですけれども、例えばフランス語を掘り下げて勉強した場合に、何もフランスばかりじゃなくて、ベルギーとかアフリカとかいろんな国で視野を広げることは十分できますので、是非これを機会に、スペシャリストの部分も、スペシャリストとして人材を育てるというプランも、この見直しも一緒に検討していただきたいと思います。
 次に、前回に引き続きまして、環太平洋戦略的経済連携協定、いわゆるTPPに関してお伺いしたいと思います。
 現在交渉中のTPPは、国民生活と日本の国益に重大な影響を与えることが想定されまして、国民的関心も非常に高いものと存じております。ですが、交渉経過や交渉内容については、政府は、秘密保持契約を盾に不十分な情報公開しか行っておりません。
 前回登壇した際に、TPP交渉における秘密保持契約は合意、妥結後に公開されるかという私の質問に対し、交渉参加国で対外的に公表するということについて合意すれば出せるという御答弁をいただきました。ということは、公開の可否に関する話合いが想定されているわけで、そうだとしましたら、交渉妥結後の秘密保持契約の内容、本文の公開を交渉参加国に働きかけていただけませんでしょうか。
 安倍内閣は、これまでの答弁で、TPP交渉に関しできる限りの情報提供に努めるということを繰り返し言っているんですね。繰り返し国民に約束されているわけです。ですから、国民への約束が、これが本心なのであれば、私の質問に対して当然イエスというお答えになるかと思いますが、いかがでしょうか。
#43
○副大臣(西村康稔君) まず、政府としては、一定のルールの中で、公表しないという十二か国の中で合意がある中ではありますけれども、その範囲内で、公表されている文書を中心に、経緯なり、できる限りの説明はしてきているところでございます。
 ただ、御指摘のように、一定のルールを十二か国で決めておりますので、まずは妥結に向けて今精力的に、最終局面だと思いますけれども、合意目指して交渉を続けているところでありまして、その終盤になって、今後どういう形で公表していくのか、もちろん合意文書は当然公表するわけですけれども、それ以外のことについてどれだけ公表するのか、これは当然議論になってくると思いますので、その十二か国での合意の中でまた一定のものは公表していくということになります。
 ただ、いずれにしても、国会で最終的には条約の文書を御審議いただきますので、その際には、条約の文書を始めとして経緯あるいはその解釈、こういったことについてはできる限り御丁寧に説明して御審議いただく、そういうつもりでございます。
#44
○牧山ひろえ君 副大臣も繰り返し、できる限りの情報をというふうにおっしゃっているんですけれども、私が具体的にお願いしていることは、交渉妥結後の秘密保持契約の内容、本文等、公開を交渉参加国に働きかけていただけませんでしょうかと言っているんです。それに対するお答えをいただきたいと思います。
#45
○副大臣(西村康稔君) 全体としての交渉の中でいろんなやり取りをしておりますので、そのことも含めて、今後どういうふうな立場で臨むかは差し控えさせていただきたいと思います。
#46
○牧山ひろえ君 繰り返しになりますけれども、公開の働きかけに対しほかの参加国がどう反応したかということではなくて、日本として働きかけてくださいと言っているので、それだけなんですね。なので、できる限りの情報をというお約束が単なるリップサービスならば、取り消されたらいかがでしょうか。
#47
○副大臣(西村康稔君) 余り予断を持って御答弁するのはどうかと思いますけれども、何度もお答えしていますとおり、交渉の最終局面で、これからまとめていく努力をみんなでやっているわけでありますけれども、その中で、最後もしまとまれば、まとまった段階でどういうことを公表するかということは当然決めていくことになりますので、その中で、我々としては、当然公表すべきものは公表すべきということで、それは主張するのは当然だと思っておりますし、その段階でのまた交渉になるというふうに思います。
#48
○牧山ひろえ君 こちらの要望としては、秘密保持契約の内容もそうですけれども、それぞれの議会での承認審議に十分な情報、それから、TPPに関する交渉が適切なものであったか事後的に評価して検証するのに必要な情報、こういったことは是非交渉参加国に対し公開の働きかけをしていただき、そして、働きかけをしていただいたかどうかということも含めて国会に御報告をお願いしたいと思います。
 内容の検討や事後検証に資すると思われる情報については、前回の質問のときに、破棄しない、しっかり残すと確約をいただいております。その保存の対象として、秘密保持契約、議事録、交渉メモのほかに、交渉の段階ごとの時点で明確になっていった情報なども、その段階での交渉方針や判断が適切であったかどうか、この事後検証には絶対に必要だと思いますので、この点も併せて今から強く要望しておきます。
 それにしても、現在の政府の情報公開姿勢を見てみますと、後から政府の判断や交渉の検証ができない方が都合がいいとお考えなのではないかと思ってしまいます。今までの御対応を見ておりますと、円滑な交渉や相手国との信頼関係の維持のために秘密保持が必要というよりも、どちらかといいますと、世論や野党に反対のネタを与えないように、議論を成立させないために守秘義務を振りかざしているのではないかと想像してしまいます。その根拠は、今の政府のいろいろな課題に対するやり方です。正面からの議論を避け、ブラックボックスが非常に多いと思います。だから心配しているんです。
 私は、TPPの内容全てに反対しているわけではありません。ですが、現在のような状況の中で都合のいい情報だけが国民に示され、そのまま押し通されてしまうのではないか、私は非常に心配しております。そういうことに対しては断固反対します。いずれ国会で審議される際にはできるだけ詳細な情報提供を強く望みますので、十分な議事録、交渉メモ、その他必要なものは十分に取っていただくよう今からお願いしておきます。
 このように、TPP交渉開始以降、議論の素材となる情報不足でTPPに関するまともな議論が成立されていませんし、また国民的な合意の形成もされていないんですね。これでは交渉に力が入らないと思いますし、結果的には国益を害すると思うんです。この際、TPP交渉に関する特別委員会を早急に設置して、現在焦点となっている農産物ですとか自動車についても十分な議論を行うべきだと思います。それはTPP交渉の現場でも必ずプラスになることと思います。
 この点に関しまして、政府を構成する与党の一員として西村副大臣の御見解をお願いしたいと思います。
#49
○副大臣(西村康稔君) まず、最終的には、これはもう繰り返し申し上げていることですけれども、国会で御審議いただいて御承認いただかないと条約としては成立いたしませんので、その段階でしっかり先生方に御審議いただけるように、情報はしっかりと取って、できる限りの情報提供をして御判断いただけるようにしたいというふうに思います。
 特別委員会につきましては、これは国会でお決めになるお話ですので、私、今政府の立場におりますので、これはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。
#50
○牧山ひろえ君 TPP交渉が結局妥結されても、国会での審議があると思ってそんなに心配されていない人も多いかもしれないです。
 ですが、今までの国会審議の事例を見てみますと、例えばEPAですと衆参それぞれで三日間、WTOでも衆議院で十日間、参議院ですと僅か六日間しか審議せず本会議の採決に至っているんですね。ましてTPPは、EPAやWTOよりももっと大きな影響を国民の生活に与える可能性があるわけです。その一方で、今の与党は特定秘密保護法ですとか集団的自衛権などの重要案件であっても、国会で審議そのものを避けようとしたり、審議にかけた場合でも結局熟議を尽くさず短時間で片付けようとしていますし、本当に何についてもあっという間なんですね。
 また、日本では、条約について国会が修正や一部否認などが行えない仕組みになっております。批准に際しては、基準が低い上にイエスかノーかの選択肢しか与えられないわけです。すなわち、TPPの妥結内容は、一種のパッケージみたいになって一体となって国会に来る上に、タイミング的にも、ほかの国ともう歩調を合わせなくてはならないようなせっぱ詰まった状況の中で、いきなり単にイエスかノーかとの判断を迫られるということが起きるんじゃないかという強い予感がしてならないんです。しかも、国会で多数を占める与党の数の力で、たとえどんなに国民にとって問題の多い内容であっても、こういった形で押し切られてしまうのではないかと非常に心配しております。このままだと、本当に思い出したくもないですけど、特定秘密のときと同じようになる気がしてならないんです。
 西村副大臣、TPPの国会審議に際しては、その性質上、WTO並みの審議期間で十分と思われますか、それともそれでは不十分な可能性があると思われますでしょうか。個人的な見解でも結構ですので、是非お答えいただきたいと思います。
#51
○副大臣(西村康稔君) 審議時間をどうするかは、これまた国会の方でお決めになる話でありますので、私の立場でどうこうと申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、もちろん今回、国民的な議論、あるいは国会でもいろんな議論の後に我々交渉に参加をして、御案内のとおり、十二か国と、これまで以上の二十一世紀にふさわしいレベルの高い包括的なパッケージの協定、野心のある協定でありますので、これまでとは違った新しい部分も入ってきております、環境とかですね。これまでの通商協定には入っていない環境とか労働とかというところが入っているのも事実であります。
 他方、それ以外の、政府調達とか投資とか物品のアクセスとかサービスとか、こういったものについてはこれまでも二国間のEPAなりWTOなりで議論してきておりますので、その辺りのバランスをお考えいただいて国会の方で審議時間はお決めになると思いますけれども、我々としては、そういったことについて丁寧に御説明を申し上げて、しっかりと御理解いただいて御審議いただけるように努力をしたいというふうに思っております。
#52
○牧山ひろえ君 あらゆる面で国民生活に大きく影響してくるものになるかと思いますので、このぐらいの質問には個人的な見解だけでもお聞きしたかったと思います。
 WTOに関しましてはもし同じぐらいの長さ、同じぐらいの期間ということであれば、私は短過ぎると思います。批准の国会審議において国民の納得が得られるような十分な熟議が尽くされるか、本当にますます心配になってきました。このような審議不十分を避けるためにも、交渉妥結前のなるべく早い段階で、先ほども申し上げたTPPの特別委員会をきちんと設置し、そして論点の整理をする、それから情報の共有を図る、これを是非行っていただきたいと思います。
 それでは、交渉の内容ではなく、秘密保持契約に抵触しないことを質問したいと思いますので、よろしくお願いします。
 二月二十二日から二十五日にかけて、シンガポールでTPPの閣僚会合が行われました。報道の中には、大筋合意を目指していたにもかかわらず、合意がまとまらず、膠着状態を打開できなかったと否定的な見方をしているものもあります。実際に、去年の段階で年内妥結が目標とおっしゃっていたわけですし、まず、今回の閣僚会合で焦点となっていたこと、そしてそれがなぜ大筋合意に至らなかったかを御説明願いたいと思います。
#53
○副大臣(西村康稔君) 御案内のとおり、先ほどから御議論、御審議いただいているとおり、様々な分野を含めた包括的な協定を目指しておりますので、これまでにない環境とか労働とかそうした分野、それから、できるだけ高いレベルのものを目指そうということで、投資の自由化とか保護とか知的財産の保護とか、いわゆる野心的な協定でありますので、これはもう各国それぞれ意識を持って参加をしておりますけれども、そんな中で新しい試みでもあるがゆえに、時間が掛かっているのはしようがない面はあるんだと思います。
 ただ、十二月のシンガポール、そして二月のシンガポールの閣僚会合を経て、今申し上げたそれぞれの分野で、難航していると言われている分野においても大きな進展が見られておりますので、そういう意味では、最終局面を迎えている中で、全体として方向感が出てきたというふうに認識をしておりますし、まだ残された課題はありますけれども、全体として妥結に向けて方向感は出てきたという感じだと思います。
#54
○牧山ひろえ君 私が伺ったのは、閣僚会合で焦点となっていたこと、そしてそれがなぜ、大筋合意に至らなかったことを説明していただきたかったんですが、やっぱりお答えしていただけなくて残念です。
 衆議院予算委員会のTPPに関する集中審議で甘利大臣は、TPP交渉は七割、八割進んだと思うと言っておられました。同時に、シンガポールの閣僚会合を妥結に向けた前進を進めた会合であると評価しているとの認識を示されております。
 七割、八割の進捗と言われていますが、何に対する七割、八割なのでしょうか、私はさっぱり分からないんですね。交渉のテーブルである二十一分野全体に対しての七割、八割のことを言っているのか。それとも、二十一分野のうち例えば五項目を始めとする農産物関係、こういった難航が予想される、交渉を実際にしなきゃいけないハードルの部分、このハードルの部分の七割、八割のことを言っているんでしょうか。どちらでしょうか。
#55
○副大臣(西村康稔君) 全体としての進捗が七、八割、これもざっくりしたことだと思いますけれども、甘利大臣の言葉は、全体としてあと二、三割のところまで来ているという感覚でおっしゃられたんだというふうに思います。
 それは、難航していると言われている、今回も争点になった知的財産の保護の扱いとか、それから政府調達。差し支えない範囲で申し上げれば、WTOのルール以上のものを目指していこうということをこの二十一世紀の協定、TPPは目指しておりますので、WTO上で国とか地方とかが政府調達を国際的にオープンにしていくということ、それに達していない国もありますので、それに少なくとも達そうじゃないか、あるいはそれより上を目指そうじゃないかと、こういう交渉をやっておりますので、例えばこうした分野での交渉。それから投資の保護、どの範囲でどういうことを保護していくのか。
 こういったことについて議論をする中で、争点となってなかなかまとまってこなかった部分が、相当距離が縮まって、幾つかの部分は方向性が出てきたということで、残されたところが二、三割じゃないかという趣旨で七、八割、全体としての方向感が出てきた、妥結に向けての方向感が出てきたと、こういう趣旨でおっしゃられたんだというふうに思います。
#56
○牧山ひろえ君 もし副大臣がおっしゃるとおり、二十一分野全体に対しての七割、八割だとすると、ハードルとも言える、みんなが心配している難航の部分はほぼ丸々残っているということではありませんか。
#57
○副大臣(西村康稔君) 一般的に難航と言われている知的財産とか環境とか、これは、まあ環境は特に新しい分野、通商協定に入れていこうというのは新しい試みでありますので、環境とか、それから今申し上げた政府調達とか、こういったところが難航と言われていましたけれども、あるいは投資とか、これも、それが全部残っているわけじゃなくて、それもいい感じで方向感が出てきたという意味では、最終局面を迎える中、全体として妥結に向けた方向性が少し見えてきたのかなという感じをおっしゃられたんだというふうに思います。
#58
○牧山ひろえ君 多少の進捗があったとしても、最終的にまとまらなかったら、幾ら進捗しても意味がないと思うんです。
 最終的に合意できるという見通しの根拠と、どういう形での妥結ができると見込んでいらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
#59
○副大臣(西村康稔君) まず、日本としては、これはアジア太平洋、成長する地域において日本の企業の投資が保護される、あるいは知的財産が保護される、あるいは政府調達が国際的にオープンになってくるということで、非常にチャンスが広がってくるという意味では大きなプラスがありますので、日本政府としては、これは早期に妥結をすべきという方針で交渉に臨んでいるわけであります。
 ただ、十二か国、相手がある話ですし、それぞれセンシティブな分野を抱え、日本は日本で、国会決議を踏まえて関税の部分ではこれもしっかりと交渉していかなきゃいけない部分もありますので、そういう意味で難しい面は残っておりますけれども、いわゆるルールの面、投資の保護とか知的財産とか政府調達とか、こういったルールの面では相当議論が進みましたので、大きな方向性が出てきたということで、できるだけ早期に妥結をしようという意欲を捨てることなく、引き続き粘り強く交渉していこうと、こういう方針でいるところであります。
#60
○牧山ひろえ君 残念ながら、今の御答弁ですとちょっと漠然とし過ぎて、見通しの根拠とは言えないと思うんですね。今春に妥結できなければ、アメリカの中間選挙が近づいて実質的な協議が難しくなると言われております。交渉難航の責任を日本が取らされないような、是非巧みな交渉をお願いしたいと思います。
 次に、TPP交渉のゴールについて、着地点についてお伺いしたいと思います。
 目標でおっしゃっている交渉の妥結とはどの程度のことを意味しているのでしょうか。TPPには二十一の交渉分野があると承知しておりますが、その全ての交渉分野において一括合意が成立するという意味と理解していいのでしょうか。それとも、いずれかの分野で合意できていないことがあって、それを両論併記という形にする可能性があるのでしょうか。それの可能性もあるのでしょうか。
 例えば、二十一の交渉分野のうち一つの分野について一つの国が不同意だった場合、どういう扱いになるんでしょうか。つまり、二十一分野全てで合意が成り立たなければゴールにならないのか、あるいは十二か国全ての間で合意が成り立たなければゴールにならないのか、両方の質問について一つずつお答えください。
#61
○副大臣(西村康稔君) 平成二十三年の十一月十二日、これは日本がまだ参加をする前でありますけれども、当時のTPPに交渉参加しておりました九か国の間で、TPPの輪郭という形で外務省は仮訳をしておりますけれども、ここで、協定は、全ての重要な貿易及び貿易関連分野をカバーする、ちょっと英語で、英語というか片仮名なんですが、シングルアンダーテーキングとして交渉が行われているということになっておりまして、シングルアンダーテーキングというのは、全体として一括して採択する、受諾する方式というふうに言われておりますので、まだ交渉中でありますから、今後どういう形に最後交渉が進んでいくかというところは予断を許さないところがありますけれども、基本的には、全体をトータルで、パッケージで十二か国が合意をするというのが基本だというふうに考えております。
 したがって、サービスとか投資とか政府調達とかいろんな分野、二十一分野ありますけれども、どこかだけ抜けて残りでやるとかというふうなことはなくて、全体の分野を全部ひっくるめて全体を十二か国で合意をしてセットされる、合意がされるということを想定をしております。
 そんな中で、各国が得意な分野もあればセンシティブな分野もある中で、全体で駆け引きをしながら交渉しておりますので、私も、実際に交渉した感じでいいますと、全体としていろいろ駆け引きをして、最後トータルで合意がなされるというふうに理解をいたしております。
#62
○牧山ひろえ君 ということは、日本が聖域を死守した場合、仲間外れにされて合意に取り残される危険はないということですか。すなわち、ほかの国々から日本孤立化戦術は成立しないということでよろしいでしょうか。
#63
○副大臣(西村康稔君) 二月に甘利大臣が行かれていろいろ交渉を、各国とも二国間でもバイの交渉を重ねられ、全体の交渉もされました。その中で日本の立場は何度となく主張され、もちろん、私も十二月の段階では同じように何度も主張しておりますので、全ての国に完璧に理解をされているかというと、まだ交渉ですから、みんなそこはお互いのセンシティブなところも含めて駆け引きをしておりますので、立場を明らかにする、全て明らかにしているわけじゃありませんけれども、日本を名指しで、日本のやり方はおかしい、オファーはおかしいということで、みんなで寄ってたかって攻撃をするような場面はなかったというふうに聞いておりますので、高いレベルのものを目指して、ルールだけではなくて関税もですけれども、全体として高いレベルを目指しているところは我々もできるだけ努力をしてやっておりますけれども、その点、理解を得られるように粘り強く最後まで交渉していきたいと思います。
#64
○牧山ひろえ君 では、交渉の妥結ということに関しまして、全ての国による全体合意、すなわち単一のルール、これと並行協議や事前協議によって取りまとめられた二国間合意、すなわち差異を認めるそれぞれのルール、これらの関係はどのようなものになるんでしょうか。TPPの着地点、目標地点として、関税も含めた統一的なルールが参加国全体に及ぼされることになるのか、あるいは各種の差異を許容するような二国間合意の積み上げがTPPの成果ということになるんでしょうか。
#65
○副大臣(西村康稔君) まず、ルールの方は、これは全体で一つのルールになっていくんだろうと思いますけれども、もちろん、センシティブな、すぐにはそういう改革はできないという国もあり得ますので、そのときには一定の期間を取って、実行までに期間を取るというようなやり方はあるのかもしれません。これはまだ交渉のこれからの過程の中で決まっていく話だと思います。
 それから、物品のアクセスの話は、基本的に二国間で交渉を重ねておりますので、その積み上げた結果を最後どういう形で整理をしていくかという形になりますので、見てみれば、あっちがああいうことをやっているならこっちはこうだということで、また最後、全体の調整になるのかもしれませんし、そこは、まずは二国間で積み上げて交渉するということで今進めておりますので、最後どういう調整になるかは最後の交渉ということになります。
#66
○牧山ひろえ君 済みません、いろいろ分からなかったので今日いろんなことを教えていただこうと思ったんですけど、ますます分からなくなってきました。
 これ、交渉の中身じゃないんですね、私が伺っているのは。話合いをする前のルールについて聞いているんですよ。ですから、ルールが分かっていないでどうやって交渉するんだろうと思うんですが、まさか話合いのルールと位置付けも不明確な状況で交渉されているとでもおっしゃるんでしょうか。とにかく情報の開示が不十分過ぎるんです。ルールというのは交渉の中身じゃないので、これぐらいは聞けるかなと思ったんですけど。
 では、TPPの一括合意が失敗した場合、今までに合意された二国間の事前協議や並行協議で取りまとめた二国間合意、あるいは二十一分野中合意に至ったと言われている項目の扱いはどういう扱いになるんでしょうか。
#67
○副大臣(西村康稔君) ちょっと御質問の趣旨がよく分からないんですが、我々、妥結を目指して交渉を粘り強くやっておりますので、妥結しなかったような場合を今の段階で想定しているわけじゃありませんので、そういう趣旨であればちょっと質問には答えかねます。
#68
○牧山ひろえ君 もし言葉が足りなかったらもう一回説明しますけれども、もしこのTPPの一括合意が失敗した場合、交渉に入る前の段階の事前協議ですとか並行協議で取りまとめた二国間合意、あるいは二十一分野中の合意に至ったと言われている項目の扱いは、交渉の前の段階ですから、この扱いはどうなるんでしょうかと聞いているんです。
#69
○副大臣(西村康稔君) 基本的に同じ答えになると思うんですけれども、今、議論を積み重ねて、交渉を積み重ねておりますので、最終的に合意を目指して努力をしているところでありますから、最終的にそれができなかった場合にどうなるかというのは、今の段階ではお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
#70
○牧山ひろえ君 最終的に一括合意が失敗した場合は当然無効になると思うんですけれども、もし無効になった場合は、今まで事前協議や並行協議での合意、TPPの最終合意に至らなかった場合は、自動車その他の部分で大分事前に譲歩しちゃった部分がありますので、全て無効になるということが確認できましたので、さっきのお答えで、安心しました。
 新聞報道などによりますと、米通商代表部、USTRのフロマン通商代表は全ての輸入関税の撤廃と原則論を繰り返すばかりで、妥協案を持ち出すのは日本側ばかりという印象を持ちます。どうでしょうか。アメリカが日本に譲歩した目ぼしい成果というのは今まであるんでしょうか。
#71
○副大臣(西村康稔君) 交渉中のことでありますから、これは我々もアメリカに対して求めていることはありますし、物品のアクセスの話、関税の話、それから並行協議で自動車始めいろいろ交渉して、それからそれ以外のルール、様々なルールの話含めて全体の中で日米の二国間の交渉も重ねておりますけれども、その中で我々がアメリカに求めていることも、これはもうたくさんありますので、それがどういう形で実現していくか、あるいはアメリカが我々に求めているものが実現するかしないか、全体の中でこれは決まっていく話でありますので、交渉がまとまればその段階でお示しをして、日本として、全体として対アメリカ、あるいは対ほかの国々含めてTPPでどういうメリットがあるのか、そういったことはしっかりと御説明したいというふうに思います。
#72
○牧山ひろえ君 TPAのお話もしたかったんですが、またの機会にさせていただきますけれども。
 TPPは、経済だけにとどまらず、国民皆保険ですとか食の安全など、日本国民の生活、そして日本の国の形を変えてしまうほど重大な協定だと思います。どのような結論になるにしても、国民の納得が得られるような国民的議論を経たものでなければならないと思うんです。
 したがって、私は、早い段階でTPPの特別委員会の設置は必須であり、かつ、国民生活の多方面に重大な影響を与える協定でありますので、批准に際しては党議拘束を掛けない質疑を政府・与党に強く要望し、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#73
○委員長(末松信介君) また西村副大臣、来てください。
#74
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。
 本日は在外公館法に関する質疑ということで、私自身、外務省で十四年間働かせていただいた経験も踏まえ、現場の外務省職員の思っていらっしゃる思いを代弁するような思いで質疑に立たせていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私自身、十四年間外務省でお世話になりまして、本当に率直に、様々なすばらしい上司の方々、同僚の方々に恵まれたなというふうには思っております。大変優秀な方々が日本外交を担うという、大変高い気概と自負心、それから責任感で寸暇を惜しんで業務に邁進して奮闘しておられるところでございます。しかし、残念ながら、こうした職員を支える様々な足腰としての予算、職員数、施設、こういったロジスティックの面が弱いと様々な有識者からも指摘をされるところでございます。軍隊も、どんなに兵が強くとも、また戦略がどんなにすばらしくとも、兵たんであるロジスティックが機能しなければ戦いに勝つことはできません。
 今、安倍内閣として、地球儀を俯瞰する外交あるいは積極的平和主義というふうに精力的に取り組んでおられるところですけれども、こうした兵たん面、ロジスティックをしっかり機能強化していかなければ全て絵に描いた餅になるのではないかという、私自身、懸念をしているところでございます。
 そういう意味で、今日これから指摘させていただく点、外務省としても待ったなしの課題だというふうに私自身認識しておりますので、岸田大臣に是非強いある意味危機感を持っていただきたいという思いで、リーダーシップを発揮して取り進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、在外公館の施設整備についてお伺いをしたいと思います。
 冒頭、三木先生からも御指摘のあったところでございますが、政府は、外務省は平成二十二年と平成二十四年、これは民主党政権のときでございますが、在外公館を主要国並みとする百五十大使館体制を目指すとの整備方針を打ち出されております。
 お手元に資料を配付させていただいておりますが、現在、平成二十五年度で大使館数は百三十六、来年度予算で三公館増設が認められましたので百三十九になりましたが、この状況でいいますと、元々想定しておりました二〇一五年までに百五十公館を実現するということは、正直、物理的に実現困難な状況なのかというふうに思います。民主党政権下で百五十大使館体制を目指すというふうに打ち出していただいたことは大変高く評価するところなんですが、残念ながら、このグラフにございますとおり、その三年間、大使館数が増えなかったということは残念なことだというふうに思っております。
 下に各国との比較の数が表で表れておりますけれども、日本が百三十六公館に対しまして、アメリカは百六十八、イギリスは百五十一、ちょっと下に行きまして中国は百六十四と、百九十以上諸国がある中で、大使館数という意味では日本は主要国より大きく後れを取っている状況にございます。
 特に、明年は安保理の非常任理事国選挙が控えているわけですけれども、大票田でありますアフリカ五十六か国の中で日本が大使館を有している国数は僅か三十三でございます。これに対しまして、中国の大使館数、アフリカにおきまして四十九ある状況でございます。こちらが大使館を置かなければ、当然先方の国も日本に大使館を置いてはなかなかいただけません。相互主義というのが原則の中で、アフリカ諸国の中で日本に大使館を置いている国というのは三十八でございます。一方、アフリカ諸国の中で中国に大使館を置いている国というのは四十九か国ございます。
 大臣、今回、アルメニア、ナミビア、マーシャルと三公館増になったことは大変高く評価したいと思いますが、先ほど三木先生に対する御答弁でもありましたとおり、新しい整備方針というものをしっかり検討していただきたいというふうに思っております。これは、先ほど検討すると三木先生にお答えいただいておりますので答弁は結構でございますが、是非私からも重ねてお願いを申し上げたいというふうに思います。
 その上で、是非委員の皆様にも御理解をいただきたい点がございます。それは次の資料でございます。
 大使館数を増やしたとしても、それに先立つものがなければなりません。大使館を維持する費用、あるいは修繕、整備、改修するための営繕費というものの予算の傾向がここに示されているところでございます。
 大使館は、国有財産として管理されているものと、それから借り上げの施設として大使館を置いているものとございますが、後ろ側のグラフ、ピンクのグラフは、借り上げ費は、これは当然賃貸費ですから大体横ばいに推移しておりますけれども、一方で、国有財産たる在外公館の施設整備費が大幅にこの十五年近くで削減されてきているところでございます。ピーク時に比して六二%減という状況でございます。
 先ほど大臣からも御答弁ございましたが、在外公館というのは、緊急時には在留邦人の生命を守るべきとりでにもなります。また、現地におきましては日本の顔としての存在感も発揮していただく必要があります。
 実際、これまでも過去の歴史の中で、在外公館が在留邦人の生命を守る役割を担ったケースとして、一九八九年には、ルーマニアでチャウシェスク政権が崩壊したときに反政府デモが国内中に吹き荒れて、そのときの在留邦人五十五名の方が大使館に避難され、そして国外に退避をされました。また、一九九〇年、湾岸戦争勃発のときには、イラクの侵攻を受けたクウェートにおきまして在留邦人二百名が大使館に避難をしたところでございます。さらにその翌年、一九九一年には、コンゴ民主共和国におきまして、市内で暴動が発生をして、焼き討ち、略奪、そういった混乱の中で在留邦人二十一名が大使館に避難して、国外に退避をいたしました。
 次のページを御覧いただきたいというふうに思います。
 これは外務省から頂戴した写真付きの資料ですけれども、例えば左上、トンガの大使館におきましては、五階建ての共同ビルの三階部分、五階部分を間借りする形で大使館が置かれております。その右のミクロネシアでは、共同ビルの三階部分が大使館事務所として使われているという状況でございます。また、下には老朽化している大使館の状況というものも写真付きで示されているわけでございます。
 大臣、こうした状況で、いざという緊急事態にあって在留邦人を本当に守ることができるのかと。これは本当に危機意識を持って取り組んでいただく必要があると思いますし、予算の確保にも努めていただく必要があろうかと思いますが、大臣、御所見をいただきたいと思います。
#75
○国務大臣(岸田文雄君) 在外公館の施設費の予算ですが、御指摘のように、過去最も多かった平成八年、約百十七億円でありましたが、平成二十六年度は四十四億円、約七十三億円減少しております。二十六年度、四十四億円ですが、それでも昨年と比べて三億円は増えているという現状でございます。
 在外公館施設、今委員の方から御指摘もありました、日本にとりましてその国における顔であります。また、非常時においては邦人保護のための最後のとりでであります。借り上げ物件に入っている公館も多いわけですが、本来、特に開発途上国におきましては、こうした在外公館施設の機能を確保するためにも、これは施設の国有化が望ましいと考えております。
 そして、これもまた御指摘がありました。国有施設の多くが老朽化しております。国有施設の六割が築三十年以上ということになっており、今後、建て替えや大規模修繕が必要な状況になることが見込まれます。在外公館の施設費の経費、これは逆に増大することが予想される、これが現実であると認識をしております。
 このように、額におきましても内容においても、それから、これからの施設費の動向を見ましても本当に厳しい状況にあると認識をしております。厳しい財政状況の中で、外務省としては、しっかりと予算確保にも努めなければなりませんが、あわせて、これは効率的な執行あるいは優先度を付けた執行、こういったものにも工夫をしていかなければいけない。
 厳しい現実の前ではありますが、最大限、御指摘のような在外公館の役割の大きさに鑑みて努力をしていかなければならないと認識をいたします。
#76
○石川博崇君 もちろん、国民の税金でございますので、効率化、節約というのは当然でございますけれども、必要な予算というのはきちんと確保していただく。これは国民の生命、財産を守るべき、国益を確保するための必要な拠点だということで、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 もう一点取り上げさせていただきたいのは、外務省の人員体制についてでございます。
 これはもう、よくよく指摘されることでございますので皆さんも御承知のことだと思います。次のページを御覧いただければというふうに思います。
 今、国際社会、グローバル化が進展していく中で、外交業務の内容、それから業務量というものは加速度的に広がり、また深まっているというふうに思います。経済連携、サイバーに対する対処、あるいは宇宙政策など新しい分野も広がってきておりますが、それに対しまして外務省の人員体制というのは、各国と比べて極めて人数が少ない中でやっている状況にございます。左の表を見て一目瞭然でございますけれども、日本の現在五千七百八十六人に対しまして、中国は日本の約一・五倍の約九千人。この中国はここ七年ほどで二千人近く外交部の職員を増やしていると伺っております。また、アメリカは日本の四倍以上の職員を抱え二万七千二人と、圧倒的な差が開いている状況でございます。
 こうした状況を鑑み、順次、毎年、右のグラフにあるとおり、外務省の定員、増やしていただいているところでございますけれども、まだまだ追い付いていないという現状を踏まえて抜本的な拡充が私は必要だと思いますけれども、大臣、御決意をお願いしたいと思います。
#77
○国務大臣(岸田文雄君) 先日成立しました平成二十六年度予算におきまして、外務省は四十五名の増員が認められて、平成二十六年度の外務省の定員数五千七百八十六名となっております。
 そして、御指摘のように、外交課題が山積する中、また新たな外交課題も次々と登場する中にありまして、主要国に劣らぬ外交を展開して我が国の国益を確保するということ、これも大変重要な課題であります。
 抜本的に拡充というお話をいただきましたが、こうして応援をしていただくことは大変有り難いことだと存じます。是非、こうした応援をいただきながら、この人員体制の整備についてもできる限り、厳しい財政状況の中ではありますが、努力をしていきたいと考えておりますし、そして、こうしたことを積み上げることによって総合的外交力、外交における総合力をしっかりと高めていくべく努力をしていきたいと考えております。
#78
○石川博崇君 先ほど牧山先生から、TPPの交渉について、アメリカとの間できちんと国益が確保できているのかという御指摘がございました。そうした交渉の現場で働いている外務省員の数が、もちろんこれは、TPPは外務省だけでやっているわけではありませんけれども、それに当たっている人材数、職員数が圧倒的に、これを見てお分かりのとおり、アメリカとの間で四倍の差が開いていると。これで本当に日本が、守るべきは守り、また取るべきは取るということが国益を確保するためにできるのかということが懸念されるわけでございます。職員数の拡充、これは重要な課題だと思います。もちろん全体的な、政府全体の調整ということもあろうかと思いますけれども、是非御努力をいただきたいというふうに思います。
   〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
 そしてまた、人数もさることながら、外交というのはその現場で働く職員の方々の人材の質で成り立ちます。先ほど申しました経済連携、サイバー対処、海洋、宇宙、安全保障等々、非常に極めて専門的な分野があり、またそれぞれで高度な専門知識を必要といたします。また、語学力、国際法に関する知識といった外交上最低限必要な能力というものも必要になってまいりますし、さらには、先ほど申しましたとおり、地球儀を俯瞰する外交という観点からは、それぞれの地域情勢の専門家というものも、優秀な人材を幅広く集めていく必要がございます。
 当然、これは外務省のみならず、様々な民間のシンクタンクですとかあるいは外資系の企業もこうした人材を欲しがっているわけでございまして、引き合いなわけでございます。外務省の優秀な職員が残念ながら引き抜かれるといったようなことも、時々聞いたりもしたりいたします。
 そういう意味で、こうした優秀な人材を集め、そして確保し、育てていくためには、ある程度の待遇をしっかりと確保していかなければ、こうした極めて優秀な高度な知見を持つ人材を確保していくことはできないのではないかというふうに思いますが、そういう観点から、待遇面も含めてどのような努力を行っているのか、外務省からお伺いしたいと思います。
#79
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の外交の幅が拡大する中にあって、語学ですとか地域ですとかあるいは分野ごとの専門家を育成していくということ、これは重要だと認識をしております。そのために、研修の充実ですとか専門性を考慮した人事配置、こういったものも工夫をしていかなければなりません。特に、専門職の職員については、地域、分野ごとの専門家として採用、育成をしてきており、二年から三年の在外研修後、原則として三年から五年の間在外公館に配置し、外交の現場で現地語を用いた勤務を経験させるとしております。
   〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
 加えて、入省後十年以上の経験を有する若手・中堅職員のうち、特定の地域、専門分野についての十分な識見を有する職員に対して専門官として認定する、こういった制度も実施をしております。認定された者はこの専門分野に関連する部署へ配置等の配慮を行う、こういった対応をしております。また、任期付職員の採用、また経験者採用試験を通じて専門知識を有する民間人を採用して外務省で活躍していただくことも有意義だと考えております。
 そして、こうした優秀な人材を集めるためにも、御指摘のように、待遇面でもこれは外務省は工夫をしていかなければ、これはなかなか優秀な人材は集まらないということになるのではないかと認識をしております。
 このように、人材育成あるいは人事配置、さらには優秀な人材を集めるための様々な工夫、こういったものを今後とも積み重ねながら、人材の確保、育成に努めていきたいと考えております。
#80
○石川博崇君 是非お願いをしたいと思います。
 ちなみに、大臣、在外公館に勤務する職員というのは、私もイラクのサマーワで自衛隊の駐屯地で勤務させていただきましたけれども、厳しい勤務地であれば二十四時間三百六十五日、ある意味缶詰で勤務することになります。土日祝日も関係ございません。さらには、中東においては木曜、金曜を週末とする国もございまして、木曜、金曜、現地は週末であったとしても日本は平日で動いておりますので、当然勤務、休日でも対応が必要になることもございますが、こうした在外公館職員の勤務状況、二十四時間体制で緊急事態にいつでも対応できる状況にならなければならないという、また、あるいは大臣が外遊されたときには、たとえ時間外であっても、あるいは祝日であったとしても御到着から御出発まではフルで対応するのが当然の大使館員としての役目でございます。
 しかし、その在外公館職員には超過勤務手当というものがございません。これは、二十四時間体制あるいは三百六十五日体制で働くということがある意味前提とされていることでございます。是非、大臣あるいは委員の先生方、在外に行かれた際、大使館の職員の方とお会いする機会もあろうかと思いますが、激励をしていただければ有り難いなというふうに思っております。
 また、人員体制の強化ということを先ほどから訴えさせていただいておりますけれども、これに本当に本格的に取り組まないと、外務省の職員、このままではもたないのではないかという私は危機感すら持っております。残業時間、もう極めて増大している外務省職員の体調管理ということも懸念されるわけでございます。
 厚労省は、いわゆる過労死のリスクとして、月当たり四十五時間以上の残業は要注意、八十時間以上の残業、百時間を超える残業については過労死と業務との関連性が極めて強いという数値を出しておりますけれども、実際問題は、本省の外務省職員、こうした時間数を大幅に超えて残業あるいは休日出勤をしている職員が極めて多いのが現実ではないかと私は感じております。
 こうした本省の職員の実際の残業時間について外務省から御説明をいただきたいというふうに思いますし、こうした職員に対しまして勤務外手当の支給状況というものがどうなっているのか、教えていただけますでしょうか。
#81
○国務大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、外交におきましては世界中で、そして二十四時間、絶えず様々な課題あるいは事案が発生し続けております。その中にあって、多くの外務省職員が昼夜なく、また治安、衛生状況など極めて厳しい生活環境の中で職務を行っております。そして、御指摘のように、顔の見える外交が重要であるということで、大臣を始め政府要員が海外を訪問するわけですが、その際にも多くの職員の努力によって支えられております。
 そういった中にあって、この勤務状況でありますが、外務省におきましては、海外との時差に対応する必要に加え、限られた人員で山積する外交課題、危機管理に対応しなければならないことから、超過勤務や週休日に出勤しての業務処理を行わなければならない職員も少なくないと認識をしております。
 各職員の超過勤務は、各部署の管理職が業務の必要性を踏まえながら管理するものでありますが、予算の範囲内で超過勤務を命じなければならない、こういった制約があるのも現実でございます。無駄な仕事をせず、必要な仕事を効率的にするといった事務の合理化を進めつつ、必要な人員体制や予算の整備などを行うなど、本省職員の働きやすい環境をつくっていく、こういった努力も必要なのではないか、このように認識をしております。
#82
○石川博崇君 今大臣おっしゃっていただきましたとおり、公務員の方々の残業手当というのは、御案内のとおり予算の範囲内で、そして予算が使える範囲で残業勤務を命じるということになって、その命じた分だけ手当が付くということになっておりますが、実際には、予算の払える分以上の残業を行っているというのが実情でございます。
 人事院の資料によりますと、外務省は、平成二十四年の年間の総超過勤務時間数というのは三百六十・五時間というふうになっておりますが、月当たりにしますと三十時間という状況でございますが、私の個人的な経験からいいましても優に超えていたなという認識がございますし、この辺もやはり、財務省との間での折衝がなかなか厳しいんだとは思いますけれども、実情をしっかり把握していただきたいというふうに思います。
 また、夜勤、深夜の勤務、これはどの省も同じですけれども、深夜の勤務が多くなっている一つの要因といたしまして、国会対応というものが残念ながらございます。一九九九年に与野党申合せで、質問通告というのは原則二日前までとされているところでございますけれども、実際問題としましては、委員会が立つのが前日であったり前々日であったりする場合もありまして、なかなか質問通告の時間が遅くなる。遅くなると、その後、答弁作成作業をされて、翌日の大臣の答弁の準備に当たっているということでございます。
 是非、私からの委員の先生方に対するお願いでございますけれども、外交機能強化のためにも、質問通告はできれば早めに出していただくのがよいのではないかというふうに思っておりますので、御配慮をお願いしたいというふうに思っております。
 あと、劣悪な環境の中で警備体制の強化、あるいは在外公館で勤務しておられる医務官の配備の増強等も必要な措置であろうかというふうに思いますので、是非今後とも、岸田外務大臣、リーダーシップを発揮していただいて、外交機能強化のために努めていただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#83
○中西健治君 みんなの党の中西健治でございます。
 石川先生がおっしゃられたとおり、質問通告、私も早めにすることを心掛けております。今後もそうしていきたいというふうに考えております。
 まず、在外公館法について外務省にお聞きしていきたいと思います。
 全体の在勤手当予算額については、為替の影響分ですとか物価の影響分、これについて資料の方を全員に配られているということだと思いますが、その中で、基本手当の部分、在勤基本手当は対前年度比で十五・三億円の増額となっていますけれども、このうち為替変動と物価変動による影響額の内訳を教えていただきたいと思います。
#84
○政府参考人(越川和彦君) 今次改正におきましては、急激な円安の影響を受けまして、大多数の在外公館で在勤基本手当が円建て、円ベースでは増額となっております。御指摘のように、総額で約百七十億円、昨年度から約十五億円の増となっております。このうち、為替変動による影響額は約二十二億円、物価変動による影響額は約五億円、合わせて二十七億円でございます。為替の変動につきましては、使っておりますレートが、二十五年度が一ドル八十二円、二十六年度一ドル九十七円ということで計算をしております。
 なお、為替と物価変動がなかったとした場合の実質的な支給水準、これは全体として引き下がっております。全体として物価、生活関連の部分以外の部分で引下げを約十二億円しております。したがって、二十二億円為替変動で増額、物価変動で五億、二十七億円から十二億円を差し引きまして約十五億円の増額となっております。
#85
○中西健治君 今回外務省が行った調査、これ民間の調査会社を用いて、在勤手当の支給水準の客観性、透明性を向上させる目的で調査を行っているわけでありますけれども、この調査結果を見ますと、日本を一〇〇とした場合の生計費指数が、アジア平均で一〇一・五、アフリカ平均でも一〇〇・二と、日本より高いということになっているわけであります。
 にわかにはちょっと信じ難い数字ということだと思いますが、日本人の海外駐在員が利用するのに適した店舗等にて代表的品目の標準的な価格の調査とありますが、これは、例えば日常の食事は全て日本食というようなことで調査しているのか、利用するのに適した店舗というのはどういう定義になっているのか、教えてください。
#86
○政府参考人(越川和彦君) お答え申し上げます。
 民間調査会社におけます調査店舗につきましては、現地の人々が利用する店舗をそのまま対象とするのではなく、任地に海外派遣されました日本人の海外駐在員が現地で生活するに際して、品質や品ぞろえの観点から日々利用するのに適当な店舗を選定しているものと承知しております。
 先ほど地域ごとの指数がございましたが、私もアンゴラというアフリカに三年間おりましたが、卵が一個五十円、それからホテル代が五百ドルということで、日本の二倍、三倍の物価になっておりますので、やはり現地に駐在する外交官、国際機関の職員あるいは海外駐在員が使うような店を基準に選定していると思います。
#87
○中西健治君 続きまして、研修員手当の全額官費負担、公費負担について伺いたいと思います。
 衆議院で審議された際には、副大臣の方から、例えばアメリカは年間五百万円程度の授業料であるから、今までの制度だと二割は自己負担となっていたことから、多い人では月数万円が自己負担となってしまうと、こういう政府側の答弁がされていますが、この答弁で言う授業料は語学、つまり英語の授業は入っているのでしょうか。
#88
○政府参考人(越川和彦君) 外務省の在外研修の主要な目的の一つは、やはり語学の習得でございます。同時に、研修地域の事情への理解と外交官としての素養を身に付けること、研修修了後に業務を遂行していく上で有用な人材、人脈の形成、これらを目的としております。このような観点から、米国に留学する研修生につきましては、学士号あるいは修士号等の学位取得が可能な大学、大学院で研修をするのが有益だと考えております。
 現在、アメリカ、米国で研修している研修員は、アメリカの大学、大学院に所属して学位取得のための講義に出席しつつも、英語自体の、英語の語学としての習得、人脈の形成等に努めてございます。また、研修員によっては、これに加えまして家庭教師、語学学校の利用、インターンシップへの参加等を通じて語学力の向上に努めておると、アメリカにおいても。
 今、採用制度が外交官試験ではなくT種に変わっておりますので、語学の、英語の習得も非常に重要な要素になっております。
#89
○中西健治君 T種に変わっているということでありますけれども、英語の授業料も含まれているということのようでありますが、そもそも、外務省に入省する人について英語の語学力は少なくとも必須ということなのではないかと思います。その語学の授業料のために全額官費負担とするのは少し甘いのではないかというふうに私は考えます。一般民間企業においても、英語については自費でやっている、自費で学ぶという社員がたくさんいるということの中で、全額、大学で履修した語学について負担をするというのは甘いのではないかというふうに思います。
 二割負担でいいのではないかと思いますが、大学で履修した主要な言語、英語ですとか中国語ですとかフランス語ですとか、こうしたものについては二割負担のままがいいのではないかということについていかがでしょうか。
#90
○国務大臣(岸田文雄君) 外務省の在外研修の主要な目的の一つが専門語学の習得であります。そして、語学のレベルは、国際環境の変化あるいは専門性の深まり等によりまして絶えず高度化していると認識をしております。
 外務省の研修後、職員は実務において習得した語学を生かして情報収集、外交交渉、あるいは広報活動、あるいは通訳など外交活動を担うことが期待されており、特に政府要人の通訳においては、これはますます高い語学力が今必要とされております。特に英語につきましては、近年、御指摘のように英語に堪能な方々は増えています。そして英語に堪能な要人が増えている。こういったことによりまして、より幅広い知識と高い英語力の習得が求められています。こうした高い英語力も含めて語学習得の重要性は高まっており、外交力強化の一環として研修を一層充実していきたいと考えております。
 こうしたハイレベルな語学の対応、こういったことも鑑みて学費の全額を官費支給ということにした次第であります。また、これまでの制度では一部の研修員に多額の自己負担を強いる結果になっている、こういったことを是正することも必要であると考えております。
#91
○中西健治君 本当にハイレベルの語学力ということになるのであれば当然私もいいというふうに思いますから、そのように運用されるということを私自身は望んでおります。
 小野寺防衛大臣にお伺いします。御足労いただきまして、どうもありがとうございます。中国の問題について大づかみなお話、大局的な御意見をいただきたいということで防衛大臣にお越しいただきました。
 これまでの中国の海洋進出の過去の事例を見てみますと、アメリカのベトナムからの撤退を機に西沙群島に、ソ連のカムラン湾からの撤退を機に南沙群島西側に、アメリカのフィリピンからの撤退を機に南沙群島の東側にと、力の空白区が生じた隙を狙って進出してきているのではないかというふうに思われます。
 そこでお聞きしたいんですが、二〇一五年末に予定されております米軍から韓国軍への戦時統制権、指揮権の転換、及び韓国が自主防衛力量を備えた時点での米軍による、今持っている、今ある補完能力を引き揚げてしまうということ等について、我が国の防衛の観点からの認識をお伺いしたいと思います。
#92
○国務大臣(小野寺五典君) 委員が御指摘のように、例えば中国による南シナ海への進出については、一九七三年に米軍が旧南ベトナムから撤退した後、翌一九七四年に旧南ベトナムとの軍事衝突を経て西沙諸島を事実上支配をしたということ、一九八〇年代に旧ソ連のベトナムに対する軍事支援及びプレゼンスが低下する中、一九八八年にベトナムとの軍事衝突を経て南沙諸島の一部の岩礁を事実上支配したということ、一九九二年に米軍がフィリピンから撤退した後、一九九五年に南沙諸島のミスチーフ礁を事実上支配するなど、力の空白が出たタイミングで徐々に進められたというふうに承知をしております。
 昨年、私は、ベトナムのカムラン湾、それからフィリピンのスービックを視察をしまして、現地から、この力の空白の後の中国の南シナ海への進出の状況について現地で確認をさせていただきました。こういう中国の軍事動向については、私ども、大変強い関心を持って注視をしております。
 今委員が御指摘になりました戦時作戦統制権の米韓連合軍司令部からの韓国軍への移管につきましては、これは現在、米韓政府間で今後とも協議が継続されていくものと承知をしておりますが、いずれにしても、米国は、国防戦略指針や先日発表されましたQDRに見られるように、アジア太平洋地域を重視し、同地域におけるプレゼンスを強化するという方針を継続をしております。
 いずれにしても、今、日米韓で様々、北の問題を含めて協議が行われる環境は整いつつありますが、今後の米韓のこの状況についても注視をしていくことが必要だと思っております。
#93
○中西健治君 ありがとうございます。
 既に就役している遼寧、空母のことについてお聞きしたいんですけれども、中国で既に就役している遼寧を始めとして、二〇一八年には二番艦、そして二〇二〇年までには都合四隻建造されると言われている中国の空母が東シナ海に展開した場合に、これまで自衛隊の哨戒機によって尖閣周辺で哨戒態勢していたわけですけれども、その維持が困難となってくるとも、そういった可能性も予想されると思います。
 そうしたことが絶対ないよというのであれば、ないというふうに言っていただいてもいいかと思いますけれども、どのように対応していくのか、教えていただきたいと思います。
#94
○国務大臣(小野寺五典君) 中国は、ウクライナから購入し改修後、二〇一二年九月に就役させました空母遼寧の試験飛行を継続しております。これに加えて、今委員が御指摘になりましたが、中国国防部報道官が、空母遼寧が中国唯一の空母ではない旨発言をしております。また、中国による国産空母建造について、それぞれ中国共産党、遼寧省トップの委員書記が発言をするなど、様々な発言があることは私どもも承知をしております。今後の中国による空母の保有については、私どもとしても注視をしていくことが重要だと思っております。
 現在、具体的な、二番艦、三番艦、四番艦の建造については、ここで今の開発計画について詳細なことを申すことは困難だと思いますが、いずれにしても、委員の関心があるような内容については、当然、我が国として注視すべき内容の一つだと思っております。
#95
○中西健治君 注視しているということでありますけれども、以前は渤海等での試験航行を実施していたということだと思います。そして、二〇一三年十一月、十二月、昨年の十一月から十二月には南シナ海で訓練がされていたという報道も確認されているところだと思います。
 ということは、東シナ海へこの空母が出てくることも想定していなきゃいけないということだと思いますが、そこら辺についてはどうお考えになっていらっしゃるでしょうか。
#96
○国務大臣(小野寺五典君) いずれにしても、これは特定の国を念頭に置くというわけではなく、周辺国、これはもちろん中国も入りますが、そういう国を様々私ども検討しながら防衛大綱等の充実に努めているということであります。
 いずれにしても、今回の大綱の中で、南西地域の防衛態勢の強化のための様々な、海上優勢、航空優勢の確実な維持のための防衛力整備を優先させていただいているというところであります。
#97
○中西健治君 今後、また大綱についての審議も行われると思いますので、そこでもこのことは聞いていきたいというふうに思います。
 今月の五日に、中国の全人代で防衛予算、中国側の防衛予算、国防費が発表されたわけですけれども、中央政府分だけで十三・四兆円ということになりました。一二・二%の伸びとなっていますが、内訳は一切明らかになっておりません。そして、これには研究開発や装備調達に係る費用は含まれていないだろうということから、アメリカも、そして我が国もそう考えているかと思いますけれども、本当の国防予算というのは最大で二倍ぐらいになっているんじゃないかということだろうというふうに思います。
 よく指摘されることではあると思いますけれども、改めて、この急速な軍備増強、透明性の確保されていない中国の国防予算について、どのように受け止めて、国際社会とどのように連携を図って対応していくのか、教えていただきたいと思います。
#98
○国務大臣(小野寺五典君) 中国の国防予算については今委員が述べたとおりでありまして、毎年かなりの額増えているということであります。現在は、公表数字であっても日本の防衛予算の、円換算ですが、約二・七倍程度の予算が今計上されていると、二〇一四年度ですが、承知をしております。そして、この予算につきましては、これは、我が国というよりも米国国防省を含め様々な国が、この公表数字よりもかなり実際の数字は多いのではないか、一般には二倍程度は当然あるのではないかということが言われていることについても承知をしております。
 私どもとして、どこの国の防衛予算が多い少ないというそういう問題よりも、最も大切なのは、国際社会の懸念を払拭するためにも、この軍事予算がどういう分野で何の目的で使われるかということの積極的な情報開示、これが必要だと思っております。
 ちなみに、私ども防衛省が防衛大綱、中期防、そして予算をそれぞれ作成する場合には、当然、これは公表した形で対外的にもオープンにしておりますし、またその都度、例えば近隣諸国にはできるだけ説明をして我が国の防衛についての理解を深める努力をしていく、これが基本的なそれぞれの国のスタンスだと思いますので、もし国際社会の懸念がこの防衛力、防衛費の内容について中国に対してあるのであれば、この透明性を図るということは私どもとして求めていく大切な課題ではないかと思っています。
#99
○中西健治君 質問時間終わりのようですので、私の方はこれで終了させていただきます。
 どうもありがとうございました。
#100
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 在外公館に係る法案については、海外での生活の実態に合わせた改正と言えますので賛成であります。
 そこで、今日はODAについてお聞きをいたします。
 ODAの分野には、教育や健康、上下水道などの社会インフラ、それから輸送、通信、電力などの経済インフラ、農業分野、工業その他、緊急援助等々ありますが、日本のODAは、二〇一一年の統計を見ますと、経済インフラの比率が四〇・六%。アメリカは六・三%、イギリス九・〇%、フランス一一・四%と比べますと非常に高い、経済インフラに言わば偏った中身になっておりますが、なぜこういうことになっているんでしょうか。
#101
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国としましては、貧困を削減し、そして開発の成果を確実なものにするためにも、持続的な成長、これが不可欠であると考えております。ODA大綱におきましても、この持続的成長を重点課題の一つに挙げ、人づくりへの協力等とともに経済社会基盤の整備を重視する、こうした方針を掲げております。
 これは、経済インフラの整備等により持続的成長を実現してきた我が国自身の経験に基づくものであり、アジア等においてこれ実際成果を上げてきたものと認識をしております。輸送、通信、電力等の経済インフラは、技術協力や社会インフラ整備に比べ一件当たりの事業規模が大きいということもあり、金額ベースで我が国の二国間ODAの約四〇%という大きな割合を占めるということになっているという現実も存在いたします。
 なお、我が国としても、人間の安全保障の観点から、開発途上国の貧困削減ですとか人間開発ですとか社会開発への支援、こういった面につきましても積極的に取り組んでいる次第であります。
#102
○井上哲士君 経済インフラの比率は、かつての三〇%台から更に高まった状況になっておりまして、やはり日本の援助がプロジェクト中心にずっとなってきているということを示していると思うんですね。
 今、国連のミレニアム開発目標では、貧困や飢餓の撲滅、それから普遍的な初等教育の達成やジェンダーと女性の地位向上などが強調されまして、そういう点での支援が求められているわけであります。その中で、今、ODA大綱の見直しも進められておりますが、報道によりますと、安倍政権が柱に掲げる成長戦略とか積極的平和主義を反映させると。具体的な見直し策としては、民間投資とODAをパッケージとしてアフリカ諸国などに供与する方針を打ち出すというふうにされております。
 私は、このミレニアム開発目標にも掲げられた途上国の開発や貧困削減、つまり、相手国の本当に住民のためということから、日本の経済成長を強調するということはやはり本末転倒ではないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
#103
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国のODAの目的ですが、国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資することとされています。我が国は、貧困削減を始めとする人間の安全保障の推進をODA三本柱の一つとして重視をしております。
 ただ、現実、経済のグローバル化が進むにつれて、多くの途上国においてODAを上回る民間資金が流入するようになってきました。そして、この結果、アフリカ等の途上国からも、単なる援助ではなくして、現地に雇用ですとか技術移転をもたらすような投資を呼び込む支援、こういった形の支援を要望する、こういった傾向が強まってまいりました。昨年六月のTICADXにおきましても、アフリカ諸国から、こういった現地に雇用やあるいは技術移転をもたらす投資、こういったものにつながる支援を求める、こういった声が随分と出されたのを記憶しております。
 こうした中ですので、やはり日本企業が有する優れた技術、ノウハウ、これを途上国に提供することによって途上国の持続的成長も支援する、こういったことは貧困削減の観点としましてもこれは有意義なことではないかと考えております。仮にODA大綱を改定するという場合にも、こういった点を考慮して検討していきたいと考えております。
#104
○井上哲士君 日本の経済成長を強調するというのは、やはり今言われたこととは少し違うのではないかと思うんですね。やっぱり日本側企業の投資先、利益確保ということが前面に出てまいりますと、これは現地の住民の利益にもなっていかないと思うんです。
 農業支援でもその傾向が様々あると思うんですが、モザンビークのプロサバンナ事業について具体的にお聞きしますが、まず、この概要を説明してください。
#105
○政府参考人(和田充広君) お答え申し上げます。
 プロサバンナ事業は、モザンビーク政府が我が国とブラジルの支援を得て、同国北部のナカラ回廊において持続可能な農業開発を通じ、小規模農家を中心とした地域住民の生計向上を目指す事業でございます。具体的には、作物、品種及び栽培技術の研究開発、農業開発マスタープランの策定、コミュニティーレベルの開発モデルの普及事業などのプロジェクトを実施しているところでございます。
 他方、農業開発マスタープランの策定事業につきましては、地元の農民などから、大資本による土地の収奪が行われるといった懸念が寄せられておりまして、モザンビーク政府は、農民組織、市民社会団体との対話を強化しているところでございます。
 我が国といたしましても、農民、地域住民の理解を得ながら事業を進めていくということを重視し、こうしたモザンビーク政府の対話の取組を支持しているところでございます。
#106
○井上哲士君 このプロサバンナ事業、日本とモザンビークとブラジルの三か国なわけですが、ブラジルのセラード地域の経験を生かすということが強調されております。
 私、二〇〇九年に参議院のODAの海外派遣でブラジルのセラード地域も見てまいりました。サバンナ地域における土壌の改良とか適切な品種の選定など、農業技術という点では共通する点は多いと思うんですね。しかし、社会的条件というのは全く違うわけです。セラードというのは閉ざされた地という意味でありまして、もう入植者による開拓から始めた地域です。日本とブラジルのODAの事業で七百十七戸が入植して、東京都の面積の一・六倍に当たる三十四・五万ヘクタールを開発をしたわけですね。
 一方、このナカラ回廊の場合は、既にもう四百万人以上の農民とその家族が現に居住し、自給自足に近い農業が行われております。セラード全体は大体一戸当たりの耕地面積が八百から二千ヘクタールと言われておりますが、このナカラ回廊の場合は九九・九%が小規模農家で、一戸当たりの耕地面積が一・二から一・四ヘクタールと、全く違うわけですね。
 ここにセラードのような輸出作物中心の大規模農業が導入をされるということになれば、やはり地域の農民の自立が失われるおそれがあると。事実、様々な問題が既に発生しているわけですが、このセラードとはこういう点で全く違うんだということを前提にした事業が必要だと思いますが、そこの認識はいかがでしょうか。
#107
○政府参考人(和田充広君) 御指摘のとおり、ブラジルのセラード地域は人口密度が低く大規模な農業生産が中心であるのに対しまして、モザンビーク北部では移動式耕作を中心とする伝統的で小規模な農業が行われてきたことなど、農業形態及び社会的な面において大きな違いがあると認識しております。
 したがって、ブラジル・セラードの開発モデルをそのまま適用するということではなく、モザンビークの現地の状況に合った適切な開発モデルを構築することが必要と考えておるところでございます。
#108
○井上哲士君 日本のODA事業の地域では、現在の雇用が、直接雇用で八百人、間接雇用で千六百人ということでありました。三十四・五万ヘクタールのところでそれだけの雇用なわけですね。全然違うわけです。そして、生産物の大半はカーギルなどの穀物メジャーに出荷をしているというふうに言われておりました。
 ですから、そういう超大規模農業による穀物メジャーと一体の輸出中心の農業というものが行われ、その下で環境問題などもお聞きをしているわけです。こういうものがまさにこのプロサバンナで行われるならば、これは全く重大な問題になる。そうしないというお話でありました。しかし、もう既に現地の農民などから様々な声が上がっております。
 先ほどの答弁にもありましたけれども、昨年六月のTICADXの際に、モザンビークの全国農民連合、UNACなど二十三団体から、この事業によって農民は土地と自立した生活を奪われるとして、緊急停止を求める三か国の首脳宛ての公開書簡も手渡されております。
 ODAを受け入れている国から、こういう事業は停止をしてくれと、こういう要望を直接受けたケースというのは、これまでどれぐらいあったんでしょうか。
#109
○政府参考人(和田充広君) 今回のプロサバンナのケースは、モザンビーク政府からは事業を進めてくれというふうに言われているものでございますが、他方で、現地の住民からいろいろな問題提起がされているケースでございます。
 いずれにしましても、今回のプロサバンナのケースのような形で日本のトップに対して、ハイレベルな首脳に対してこういう停止の要請といったようなことが行われたほかの事例というのは、我々はちょっと承知をしてございません。
 他方で、ODAの事業を実施するに当たりまして、一定規模の事業を実施する場合には、現地の住民、関係者から様々な意見や要請が寄せられる場合はございます。例えば、インフラ建設に伴って住民の移転が生じるような場合、それを円滑に行ってほしいとか、それから環境の保全、生態系の保護等にいろいろな影響が出る場合に、それに注意してほしいというような要望、意見が出ることは多々ございます。そういった意見や要望が出る場合には、JICAの方で設定をしております環境社会配慮ガイドライン、これに基づきまして、事業の影響を受ける地域住民を始めとした現地関係者との間で対話を行いながら事業を進めるということでやっておるところでございます。
#110
○井上哲士君 書簡を受け取ってもう十か月になりますし、昨年十月段階の日本の外務省の説明では、モザンビーク政府が返書について検討中としておりますけれども、いまだに返書は出されていないわけですね。ところが、その間に総理が訪問をしてこの事業への支援を進める共同声明を出すなど、回答がないまま事業が進行しているということにまた不信の声も高まっているわけですね。
 一月にモザンビークに総理も訪問された際に、大統領や、そしてまた相手国政府と、この中身について、書簡の、そして回答をどうするのかということについては、もう相当たっているわけですから、具体的に何か協議して詰めたんですかね、いかがでしょうか。
#111
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘の書簡については、これは真摯に受け止めております。
 そして、御指摘のように、返書についてですが、この事業自体がモザンビークが中心となり三か国で進めている事業であり、モザンビーク政府において返書についても検討中という状況が続いております。
 返書につきましてもできるだけ早く発出しなければならないとは認識しておりますが、この事業自体、これは是非、引き続きまして丁寧に進めなければならないということで、現在、現地の農民の方々との対話を積み重ねております。現地の三つの州におきましても、そのうちの二つの州におきまして、現地の農民の方々の了解を得る、こういった結果に至っていると承知をしております。残りの対話につきましても、丁寧に進めながら事業を進めていく、こうした方針を続けていきたいと考えています。
#112
○井上哲士君 現地住民との対話が行われているというお話がありました。総理も本会議で、モザンビーク政府による市民社会や農業組織との対話の努力を評価しているという御発言があったわけですが、四百万の農民と農家がいるわけですね。この間、現地でこの対話は何回行われて、参加者はどの程度だったのでしょうか。
#113
○政府参考人(和田充広君) これまでモザンビーク政府は、対象地域三州の当事者である現地市民、農民団体等との対話を計五十三回実施をしておりまして、延べ二千五百二十三名がこの対話に参加したというふうに承知をしております。
 我が国としては、引き続きこの対話プロセスを丁寧に進めていくことを、その方向でモザンビーク政府と協議をしていきたいと考えております。
#114
○井上哲士君 本当に農民の社会に劇的な変化をもたらすような事業であるにもかかわらず、四百万の地域で今延べ参加者が二千五百人程度ということが言われたわけで、およそ私は、これで住民の皆さんの合意が得られているような状況ではないと思いますし、事業の中身自身がよく知られていないというようなこともかなりいろんなNGOからも指摘があるわけですね。ですから、こういうような状況のままで期限だけ決めてマスタープランが策定されるようなことはあってはならないと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
#115
○国務大臣(岸田文雄君) まず、対話プロセスにつきましても、これまだ現在終了しているわけではありません。引き続きまして、対話プロセス、丁寧に続けていかなければならないと認識をしております。
 そして、このマスタープラン策定につきましては、策定完了時期については、モザンビーク政府と調整の上、現在、期限を決めることなく延期をしております。是非、期限を区切ることなく丁寧に作業を続けていきたいと考えています。
#116
○井上哲士君 この事業に関わって日本の民間企業は現地にどのぐらい進出しているのか、またこれからの予定はどうでしょうか。
#117
○政府参考人(和田充広君) 現在のところ、プロサバンナ事業に関係して現地に進出している日本企業はないというふうに承知をしております。
 他方、幾つかの企業は、将来的に大豆やゴマなどを生産して日本に輸出するということなどを検討しているところがあるようで、いろいろ現地に出張で行ってみたりとか、そういうような研究は行われているというふうに承知をしております。
#118
○井上哲士君 既に各国からこのプロサバンナ事業を見込んだいろんな企業が進出をして、もう土地収奪などが行われているということが指摘をされておりますが、日本政府としては実態をどのように把握をされているでしょうか。
#119
○国務大臣(岸田文雄君) このマスタープラン、調査の過程におきまして、ナカラ回廊地域において用地の取得を伴う農業投資事業があること、こういったことについては把握をしております。また、NGO等の報告により、一部事業において土地をめぐる問題が指摘をされている、こうしたことについても承知をしております。
 その中で、今後ですが、現地市民あるいは農民団体との十分な対話を経てマスタープランが作成されることになるわけですが、その際に、事業化の段階での不当な土地収奪を防ぐ観点から、責任ある農業投資のガイドラインの策定、さらにはそのモニタリング体制の整備についてもこのマスタープランの中で取り上げるべきであると考えており、こういった点につきましてモザンビーク政府と話合いをしているという現状でございます。
#120
○井上哲士君 NGOの調査によりますと、プロサバンナとは別に進出した外国企業によって土地収奪が少なくとも五件確認をされた、資源とか農業開発の目的で既に農地約二百十七万ヘクタールが海外企業に渡っているという指摘もあります。
 モザンビーク政府の事業だからということではなくて、日本がやっぱり資金を出して、そして民間投資と一体ということでやっている中でこういうことが起きているわけでありますから、私は、これはしっかり、放置をするようなことなく、結果として土地収奪が起こらないようなきちっとした対応をする必要があると思います。
 住民がよく理解できず、合意がないまま、土地収奪と大規模化だけが進行するというようなことは絶対あってはならないわけでありまして、私は、現地の書簡も受け止めて、事業を一旦凍結もしながら、本当に農民にとって必要な援助は何なのかということを真剣に検討し直すことが必要だと、こう考えております。
 そのことを強調しまして、質問を終わります。
#121
○アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできるということで、元気があれば海外生活も楽しいということで、今日は在外公館法の質問をさせていただきますが。
 その前に、この委員会でも申し上げましたが、過去、昔、十三歳のときに私はブラジルにコーヒー移民で移住しましたが、その折、力道山がブラジルに来て、プロレスにスカウトされて、十七歳のときに日本に戻ってきました。その後、六三年に師匠力道山が亡くなりまして、単身でアメリカの修行に行きまして、本当に連日、言葉も分からない中で辞書を持ちながら手まねで生活をしたことを懐かしく思っていますが、そんなことから、一番外人選手に教えてもらった言葉は大変汚い言葉で、ここで御披露はできませんけど、そういう中で、私の経験でやはり言葉が大事だなということで。
 今から四十年ぐらい前になりますか。私の娘もインターナショナルの幼稚園に行ったものですから、その上がないということでJISという、ジャパン・インターナショナル・スクールというのを設立しまして、その学校とは今私は何ら関係ありませんが。本当に、これから言葉というのは大事だなという。八歳ぐらいの以前に覚えた英語は脳でそのままネーティブに直訳できるんですが、それ以後、もう年を重ねてしまうと、一回入った英語を日本語に訳して、そして答えるみたいなことをある専門家から聞きました。
 そんなわけで、今、外務省の皆さんもやっぱり語学は大変でしょうけど、もっといろいろ環境を良くして、英語、あるいは英語だけじゃなく語学の専門家を育ててほしいと思います。
 せんだって、私の仲間もみんな七十を超えて、七十の今度は後半に向かおうという、そういう中で、私と旅をすると同級生が大変いい思いをするというか楽しいんですね、特別扱いをしてくれたり。海外旅行も何人かで行っています。本当はこの時期パラオに行っているんですが、政治の場に出てしまったので、もう十何年続いた会も終わってしまいました。
 でも、猪木と行くのなら海外でやっぱり英語がしゃべれなきゃ駄目だなということで、みんな、七十の手習いじゃないんですが、皆さんが英会話を始めました。みんなびっくりするんですね、へえと。それで、先生がAと言いました。みんなは元気よくエー。いいですねと。今度は先生がBと言ったら、しばらくしてからエーと。困って先生がCと言ったら、ええっと。みんな耳が遠くなったという話で。ええ会話でした。
 それはともかく、笑っちゃいけませんね。特に、開発途上国の体制が異なる国において、本当に不便にもかかわらず一生懸命働いている外務省の職員の皆さん、いろんな国で会いました。
 例えば、一九八九年ですかね、訪れた旧ソ連の、作家の、今作家をやっていますが、佐藤優君が当時外務省で働いておりまして、そして、私自身とクレムリンのいろんな人脈があったものですから、彼が通訳をしてくれまして、本当に体を張ってというか現地に飛び込んで、いろいろ向こうの人たちと交渉し、特に、今言っていいのか分かりませんが、KGBの一番偉い方とか、そういうような裏の人たちともいろいろ会話をして対話もしたこともありますが、非常に、表ではなかなか情報がもらえない中に、そういう本当の付き合いをした、おまえだったら信用するよという形でいろんな話をしてくれるという、私なりに経験をしております。特にモスクワでは、労働者が行く食堂なんて、当時はまだルーブルが物すごい安かったものですから、多分何十円で労働者の食事ができる、そういうなかなか外務省の方も行けないような裏のところまでのぞかせてもらいました。
 このように、佐藤氏のような感じの外交官は今ちょっと少ないのではないかな、余りにもいろいろ縛りがあったり、はみ出したらなかなか罰せられるというようなことで。でも、そのような、今一番大事なのは、本当に相手と酒を飲み交わして、それで、本当にロシアの場合は飲んでぶっ倒れるまでと、そういうことで本当の話を聞かせてくれる。私のまあこれは体験ですけれども。
 そんな中で、これから本当に外務省、あるいはそういう情報を取るには大変な苦労があると思いますが、実際、どうでしょう、これは付き合うときに、今日、皆さんの給料もここには出ておりますが、そういう付き合い方だけでは多分本当の外交はできないんじゃないかと。
 なかなかこれは表で言えない話になりますけれども、やっぱりごちそうになったらごちそうしなきゃいけない。多分ほかの皆さんは余りこういうことは言えないと思いますが、私は、そういう意味で、逆に皆さんが、本当の外交とは何であるかみたいな部分を多分メッセージとして送らせてもらったらいいなと思っております。
 もう一つ、当時、この間も委員会で申し上げたように、チリに行ったときに大気汚染が一番汚れている、あるいは今、毎年平壌に行くときに往復寄りますが、PM二・五の北京で、あるいはバングラデシュ、北京だけじゃなくてもう世界各国が大気汚染の、本当に信号二つぐらいが見えなくなってしまうような状況にある中で、一つは、外務省の職員の皆さんの健康管理という部分で、チリの場合は二週間ぐらいですかね、多分休暇をもらって海岸線で過ごして、また職場に戻るというふうなことを当時聞きましたが、その辺の健康管理というんでしょうか、いろいろ職員の皆さんの配慮というものについてどうお考えか、外務大臣に。
#122
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほどもありましたように、まず、我が国の在外公館は、我が国の外交活動の基盤であり、そして邦人保護のとりでであります。こうした在外公館で働く在外職員、この在外職員に存分に職務を果たしてもらうために、いろいろと環境整備をしなければなりません。在外職員に対しましては、安全対策、そして健康管理、そしてその他勤務環境が厳しい任地で働く在外公館に対する措置、大きくこの三つの対策を講じております。
 一つ目の安全対策ですが、現地の治安状況等を考慮しつつ、必要な警備対策を講じております。特に、中東、アフリカ等で増大するテロの脅威を踏まえる必要があり、治安上の脅威が高い公館については警備体制を一層強化、構築していく考えであります。例えば防弾車の配置、あるいは身辺警護員の配置を増強する、こういった取組を進めてまいります。
 二つ目の健康管理ですが、現在、九十六公館に医務官を配置しております。外務省に設置され、外部の有識者から構成される外務人事審議会からは、昨年七月にこの医務官制度の活用、強化を図るべしと勧告がなされております。外務省としては、これも踏まえて、医務官制度の強化、風土病などの現地特有の病気に対する検査の実施、あるいは緊急輸送体制の充実、こういったものに鋭意取り組んでおります。
 そして、三つ目の勤務環境が厳しい任地で働く職員に対する主な措置としては、勤務、生活環境の厳しさの度合いに応じて、本日御審議いただいております在勤基本手当を加算しているほか、館員住宅に対する自家発電機あるいは浄水器の設置等支援策を講じているところでございます。
 今後とも、こうした待遇改善に意を用いてまいりたいと考えております。
#123
○アントニオ猪木君 私の体験しか申し上げられませんが、そういう意味で、外交官のこれからの育成というんでしょうか、さっき言葉の話もさせていただきましたが、やはり向こうの要人と話しているときに、この人の通訳のレベルがどのくらいかなというのも分かって、やはり私の気持ちを分かってくれるような通訳の仕方というのがあると思うんですね。そこで、やっぱり一番大事な会議のときの行き違いみたいなことのないように、外務省の職員の皆さんの育成をこれからしっかりやっていただきたいと思うのと同時に、大臣の見解をお聞かせください。
#124
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、外務省職員の語学力、ますます高度なものが求められていると認識をしております。語学そのものももちろんですが、外交の幅が広がって専門分野も広がっていく、専門的な知識も求められる、また、英語を中心に語学に堪能な要人も増えている、そして何よりも通訳においても高度なレベルが求められる等々、こうした環境の変化を考えますときに、より高い語学力が求められる、これは時代の趨勢だと感じております。是非、こうした認識に立って様々な環境整備に努めていきたいと考えています。
#125
○アントニオ猪木君 我が国の対外広報活動強化について。今、中国、韓国、あるいはメディア発信や各国へのロビー活動を始め対外情報戦に力をいろいろ注いでいると思いますが、ちょうど今日の新聞でしょうか、中国や韓国による第三国での反日宣伝に対抗する情報発信戦略を構築するため、自民党が国際情報検討委員会を二十七日に発足させることが分かった、委員会では、米国での中韓両国の宣伝活動を調査、米国に政府の情報戦略拠点を設置し、対抗のための情報発信を行うことを検討する、こういう記事が出ておりました。
 とりわけ、慰安婦の問題もそうだし、あるいは今回の日本海の問題、この辺の情報戦というかあるいは宣伝が、特にアメリカ政府に対して非常に韓国や中国は大きな予算を掛けて自分の有利な発信という形で動いております。
 残念ながら、本当にその辺は、私の知る限りでは、日本のそういう情報収集、あるいはアメリカ、ロビー活動が人数がまだ足らないというようなことを聞いておりますが、その辺についての見解をお聞かせください。
#126
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の立場や政策について国際社会の正しい理解を得るために、対外的な広報を強化し、効果的な発信に努めていくこと、これは大変重要なことだと認識をしております。外務省としましても、在外公館等を通じてしかるべく情報収集を行い、現地関係者の理解が得られるよう、日本政府の立場、考え方を説明しているところであります。
 外国プレス、有識者などを通じた情報発信、あるいは各在外公館のホームページ、フェイスブック、ツイッターを通じた直接発信も行っておりますし、現地のシンクタンクと連携しまして、シンポジウムを開催する、我が方の大使が外交政策について講演を行う、あるいは外国メディアに対して寄稿や反論投稿を行う、こういった取組を行っておりますし、大臣、副大臣等が出張する際にも、在外公館を通じて外国プレスによるインタビューや寄稿を行うなど、発信を行っております。こうした対外広報活動につきましては、関係府省はもちろんですが、民間組織の連携、さらには御指摘のようなロビイストの活用など、様々な手段を使って不断の検討を進めていかなければならないと考えております。
 是非、こうした取組を全体として底上げすることによりまして、効果的な発信に努めていきたいと考えております。
#127
○アントニオ猪木君 在外公館の整備方法についてお尋ねをしますけど、現在、日本は百九十四か国、承認している国がですね。そのうち、実際に日本の大使館が存在するのは百三十五か国と聞いておりますが。
 本当にいろんなところを回りました。アフリカだとか南米の小さなところ、大使館の大使が本当に何か島送りになったような感じで過ごしているような場所もありますけど、我々ができる限り、議員が訪問すると大変喜んでもらって、在留の人たちもそろったり、私の経験でいうと、そういう意味では皆さんに元気を与えてきたかなと思います。
 一番私が困るのは、ここの時間に制約されないで、もっと私を海外に出していただけると一番有り難いんですが。何かあれば、どうぞ。
#128
○国務大臣(岸田文雄君) 今、最後、在外公館の整備について触れていただきましたが、先ほど来質疑の中に出ておりますように、平成二十六年度の政府予算におきまして、三つの大使館、マーシャル、アルメニア、ナミビア、この新設経費を計上させていただいております。
 在外公館につきましては、政府全体の財政状況ですとか、あるいは主要国の設置状況等も踏まえて、是非主要国並みの在外公館体制の実施を実現していきたいと考えております。
 引き続き、外交実施体制を整備して、総合的外交力強化に取り組んでいく考えであります。
#129
○アントニオ猪木君 ありがとうございます。終わります。
    ─────────────
#130
○委員長(末松信介君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、白眞勲君が委員を辞任され、その補欠として藤末健三君が選任されました。
    ─────────────
#131
○小野次郎君 結いの党の小野次郎です。
 岸田外務大臣、二年前の七月、外務人事審議会で公邸料理人制度についての改善勧告というのが出ているんですね。去年の六月四日だったと思いますが、岸田外務大臣、そしてまた、今日、越川官房長もお越しですが、お二人に私質問していまして、その際に、この公邸料理人制度の改善勧告について、審議会での勧告、それから委員からの御提案、こういうことを踏まえて検討していきたいという趣旨の答弁をいただいて約一年たつんですが、その後、どのような具体的検討あるいは実施が図られたのか、お伺いします。
#132
○国務大臣(岸田文雄君) 平成二十三年秋に外務人事審議会に公邸料理人制度の在り方を諮問し、平成二十四年七月に同審議会から、将来的には公邸料理人制度を外務省と料理人との公的契約に基づくものとし、給与は官費から支出し、私的に使用した分については私費負担とすべき旨の勧告が外務大臣に提出されました。
 この勧告ですが、公的契約化を提言しているわけですが、この前提としまして、まずは公邸料理人が公務に十分活用されること及び優秀な公邸料理人をより体系的、安定的に確保する取組を強化すること、これが必要であるという旨提言されております。
 平成二十五年度においては、広報強化等により、優秀な人材確保に向けた取組をまず強化いたしました。二十六年度においては、公邸料理人給与の官費補助額の限度額の引上げ、十六万から十七万円に引き上げる、こういったことを予定しております。
 一方、同勧告においては、どのタイミングで私的契約から公的契約に移行すべきかは、料理人の活用の度合いや移行に必要な制度、財政的な裏付けとの関係もあり、慎重に検討する必要があると述べられています。
 外務省としましては、こうした外務審議会の勧告を踏まえ、そして、以前委員からも御指摘をいただきました、こうした指摘も参考にさせていただき、公邸料理人制度の在り方について検討を今続けているところであります。少しずつ改善を図りながら、外務人事審議会のこの勧告に沿ってどうあるべきなのか、検討を今続けている段階であります。
#133
○小野次郎君 勧告が出たのが二年前、私が指摘したのが去年で、ずっと検討し続けているというのも何かもどかしい感じがいたします。大臣自身が、去年、雇う館長の側からしても、赴任までの短い期間に優秀な公邸料理人を採用しなければならないというのがなかなか難しいという問題もありますし、現地の公館長からも、なかなかいい公邸料理人を連れてくることは難しいんだということも聞きます。一方で、大臣自らも、今度は雇われる側の方からもまた、身分の保障が、身分が不安定だとか、あるいは任期、任期というか期間ですね、期間が明確でないとか、いろいろ不都合も聞いているとおっしゃっているわけですから、それは早く改善策を講じるべきだと私は思います。
 その意味で、全部の制度を変える、全世界について変えるのがなお検討を要するんだとすれば、比較的環境が、実施が可能だと思われるところから公的契約の型、タイプのものを一部導入なり一部試行的にやってみるということもあり得ると思うんですが、その点について、越川官房長、どうなんでしょう、そういうことも難しいぐらい慎重に検討しちゃっているんですか、それともやってみようかなというぐらい考えているのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
#134
○政府参考人(越川和彦君) 小野委員、一年前に御指摘いただいて、その後、我々も内部でずっと検討をしてまいります。
 ただ、公的契約とする場合、何がやはり踏み切れないかという点でございますが、公的契約とする場合、公邸料理人の職務は原則公的なものということになります。一方、在外公館長が行う会食には、明らかに公的なもののほかに、公的なものか私的なものか微妙なものもございます。また、このために、公的契約の対象となる会食をいかなるものにするかと、この範囲が非常に難しい点がございます。逆に、私的な食事、会食につきましては在外公館長が私的負担にすべきこととなりますが、私的部分の食事、会食の在り方、これも各在外公館長、それから勤務する国によって千差万別であります。どの程度の私的負担が適当かと、その判断が非常に微妙なという問題が一つございます。
 いずれにしましても、先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたように、幾つか前提が、外務人事審議会の勧告につきましても前提というのがございますので、その辺、使用頻度の向上あるいは公邸料理人の質の向上と、そういうものも併せながら、今申し上げた点、実際、私もアンゴラにいますと、これは、公的じゃないものはやはり私的なものだといって会食やるわけですが、その線引きというのが、原則公的なものにした場合には、一般の方からいえば公的なものであると、それを大使が私的に使っているという指摘が受ける可能性も非常にあると、それは非常に活動が制限されるという点も実際現場にいると経験してございますので、そういう点も考慮しながら、引き続き委員の御指摘も踏まえて検討をさせていただきたいと思います。
#135
○小野次郎君 なるべく検討をして、さっきも申し上げたとおり、全て変えるのが難しければ、そういう状況の整っていると思われるところからでも試行してみるというようなことも是非トライしていただきたいと思いますが、次の問いに入ります。
 外務省は、一九九七年度の対インドネシアODA事業で国際贈賄行為を行った日本企業、これは丸紅ですけれども、十七年たった今年の今月から九か月間のODA事業からの参加排除の措置をプレスリリースしています、決めています。
 それで、外務省にお伺いしますが、この参加の排除というのは、同じ企業が受注済み又は継続中の事業からも排除されるという意味ですか。
#136
○政府参考人(和田充広君) 丸紅株式会社が、米国連邦海外腐敗行為防止法違反を認めて、米国司法当局との間で司法取引を行って有罪を認めたことは誠に遺憾でございます。
 上記を受けまして、今般、外務省及びJICAとして、それぞれの関連規定に基づき措置の実施を決定し、昨日から十二月二十五日までの九か月間、丸紅株式会社は、無償資金協力、円借款及び技術協力の各事業への入札参加が認められないこととなります。
 お尋ねの点につきましては、今回の措置については、同企業が受注済み又は事業継続中の案件は対象とはしてございません。
#137
○小野次郎君 同企業は、そうすると、受注済み又は継続中の事業があるということですね。
#138
○政府参考人(和田充広君) 問題となったインドネシア以外の、全世界でODAを展開しておりますけれども、丸紅が関与している事業もあるというふうに承知しております。
#139
○小野次郎君 私は国内官庁出身ですけど、入札に入れないというのは抜け道がよくあるんですよ。
 例えば、その期間が終わった後に発注すればいいんだというようなことがあって、この九か月というのは、一年間に使えるODA予算が、十二か月なら分かりますよ、二〇一四年度からは排除すると分かるけれども、それが三か月残っていれば、その期間を外して発注すればできることになってしまう。こんな見え見えの中途半端な処分では、当事者に対するペナルティーとしても不十分だし、今後こういうことをしちゃいけませんよというのは日本のあらゆる企業にも知ってもらう必要があるんだけど、そういった予防効果も中途半端なんじゃないですか。
#140
○政府参考人(和田充広君) この九か月という措置の期間につきましては、本件事案の不正内容に照らして、JICAが関連規定に基づいてとり得る最長の期間を設定したものでございまして、外務省もそれに合わせて措置期間を設定いたしました。
 なお、本件については、新しい事実等新たな事情が出てくれば、今後措置期間を見直すということも排除されるものではございませんが、現在我々が把握している事実関係に基づけば、今回の措置規定に基づいて最長の期間である九か月ということは妥当な期間であるというふうに考えておるところでございます。
#141
○小野次郎君 私は、日本が不正競争防止法にこの国際贈賄罪を入れたときに警察庁の国際組織犯罪の担当の課長だったんですけれども、全世界というか欧米の国をターゲットにしてこういうものをつくりなさいと言ったというよりも、日本を含む幾つかの国がこういうことをやっているということが国際的な認識になっていたから、穴があっちゃいけませんよといって日本もそれを受け入れて、どの法律に書こうかといって、結局、不正競争防止法に入れることにしたんですよ。だから、日本は結構、国際社会からはしっかりこれを守らせているかどうかということは注目されているんですね。
 ところが、十七年後に、アメリカの当局の措置だからというのは分からないわけじゃないですけど、いずれにしても、十七年たってから、その間に受注したものもどうぞ、その間に継続しているものもどうぞ、今回やるのも丸々一年じゃなくて九か月だというのでは、何かびしっと駄目ですよというふうに国として示しているように見えないんですけれども、もうちょっと改善できないんですか、この点。
#142
○政府参考人(和田充広君) JICA及び外務省が定めております規定につきましては、国内の公共事業に関する他省庁の規定等と、その程度、内容において劣らないものというふうになっております。
 いずれにしましても、我々としては、ODA事業の信頼を傷つけるような、こういうような事態が次々と起きるということは是非とも回避すべきということは考えておりますので、先生の御指摘も踏まえて、今後必要があれば検討していきたいというふうに思います。
#143
○小野次郎君 僕がそんなに何で力を入れて申し上げているか分からない方もいるかもしれませんから申し上げますけど、小さい工事が一年を通じてたくさん発注されるような業界だったら、それは一か月停止になったら十二分の一ダメージがあるんですよ。だけど、一年に一本しかない、二年に一本しかないような工事で九か月停止しても、その後になって発注できるのだったら痛くないということもあるわけですよ。
 だから、やっぱり事業の形態が、三百六十五日通じていつも発注が行われている、特に世界中であればそれは小さいのがいっぱい出ているんですよというのなら、それは十二分の九、少なくとも一年分の十二分の九はストップするとなりますけれども、特にODAなんというのは、複数年度にわたったりするし、そんなに一つの国について言えばたくさん一年間に発注するわけじゃないわけですから、そういうものでこういう措置というのは、国内での国交省さんとかいろんな国内官庁のそういった処分なんかの例を参考にして決めているんだろうけど、ODAについてはもっと駄目だよと言っていることの趣旨が徹底するようなやり方を考えないと、単に国内官庁のを参照して決めているだけでは不十分じゃないかということを指摘させていただいて、次の質問に移ります。
 次も同じなんですね。これは三月二十日に福山委員が予算委員会で聞いています。JTCによるベトナム、インドネシア、ウズベキスタンにおけるやっぱり同種の事案、これについて、外務大臣も事実関係調べてみますということをおっしゃっていますが、その後一週間たちましたが、どのようなことが分かりましたか。
#144
○国務大臣(岸田文雄君) 外務省としましては、本件報道を受けて、直ちにこの当該企業から聞き取りを実施したほか、関係国政府に対し事実関係の確認に協力するよう申入れを行いました。ただ、この当該企業からは、捜査当局に対して情報提供を行っているところであり、現時点では当省への情報提供はできないという回答が届いております。
 そして、仮に報道が事実であれば、ODA事業に対する信頼性を損なうものであり、極めて遺憾だと考えておりますので、関係政府への事実関係の確認等を通じて、まずは事実関係を確認することに注力したいと考えております。その上で適切な対処を考えていくべきだと認識をしております。
#145
○小野次郎君 福山議員が指摘された翌日の今度報道になると、この会社の社長は贈賄を認めている、調書にも署名したという報道まであって、具体的に時期や金額まで挙げたと出ているんですね。ですから、是非外務省としてもきちっと事実関係の調査を更に進めていただきたいし、必要な措置が出てきたら措置をとっていただきたいということを申し上げて、次の質問に移ります。
 今日は防衛省さんに来ていただきましたけれども、ちょっと時間がないので次の質問に、申し訳ありませんが。
 法制局長官にお越しいただきましたので法制局長官にお伺いしますが、憲法第九条を改正する方法と現行第九条のまま解釈変更によって集団的自衛権行使を容認する場合とでは、その集団的自衛権の範囲についてどのような差異が生じるとお考えか、認識をお尋ねしたいと思います。
#146
○政府特別補佐人(小松一郎君) 憲法九条の解釈を変更するということも決めておりませんし、ましてや、その改正を行うということも全く俎上に上っていないわけでございますので、今の御質問にお答えすることは困難でございます。
#147
○小野次郎君 質問には答えていただかないと困りますよね。だって、俎上に上っているかどうかの問題じゃないですよ。
 この場合とこの場合でどう違うんですかと聞いているんで、分からないなら分からないと言ってほしいし、違わないなら違わないと言ってほしいし、ちゃんと質問の趣旨はお分かりいただけているなら、もう一度丁寧に答弁いただきたいと思います。
#148
○政府特別補佐人(小松一郎君) まず、全くの一般論といたしましても、憲法解釈を変更するんだと、こうおっしゃいますけれども、どういう変更をするのかという御指摘がないわけでございまして、それから、憲法改正をする場合というのはどういう変更を行うんだという、御質問の中に内容が示されていないわけでございますので、その場合に両者の効果がどうかというお答えは困難でございます。
#149
○小野次郎君 それは変ですよね。あなた自身が度々引用されている島聡さんの質問主意書、答弁書だって、別にこのときに俎上に上っていたわけじゃないじゃないですか。こういう場合はどうなるんですかと聞いたら、政府は答えているわけですから。同じことを私は今法制局長官に聞いているんですよ。
#150
○政府特別補佐人(小松一郎君) 大変申し訳ございませんけれども、島聡議員からの質問主意書に対するお答えと申しますのは、一言で申しますと、内閣が一旦行った憲法解釈を変更することができるかという御質問に対する答えでございまして、これは非常に厳しい制約があるであろうと、それは論理的整合性であるとか法的安定性であるとかですね。しかし、そういうことを全て勘案した上で変更することが至当であるという判断に達した場合に、およそ変更が一切できないというものではないであろうということを平成十六年にお答えしているということでございます。
#151
○小野次郎君 だから言っているじゃないですか。それを島さんが聞いているのに対して答えているでしょう、ちゃんと。別にそのときに改正しようと言っているわけでもないし、解釈変更しようとしているわけでもないけれども、聞いたら答えているんだから、私の質問にも答えてくださいと言っているんですよ。
#152
○政府特別補佐人(小松一郎君) 私の理解力が十分でないのかもしれませんけれども、御質問を私理解しましたところでは、憲法解釈を変更する場合と憲法を改正する場合で効果はどうなのかという御質問でございますけれども、どういう内容の憲法解釈の変更をするのか、それからどういう改正をするのかという前提がございませんと、お答えのしようがないわけでございます。
#153
○小野次郎君 憲法の最終的解釈権限は裁判所にあり、行政府にできることは、これまでの裁判所の判断に沿って誤りなきよう法令を執行することではないのかと、そういう考えについて、長官、どうお考えになりますか。憲法の解釈、運用における行政府の役割をお伺いしたいと思います。
#154
○政府特別補佐人(小松一郎君) これは、私自身が何度も御答弁しているだけでなく、歴代内閣法制局からも、私の記憶によれば昭和三十年ぐらいから一貫して御答弁申し上げているところでございますけれども、憲法の解釈を最終的に示す権能を有する国家機関は、憲法第八十一条により、いわゆる違憲立法審査権を与えられている最高裁判所である、ただし、裁判所の判断が示されるためには、これは司法権の作用でございますので、具体的な訴訟事案が提起されることが必要であると、そういうことでございます。
 また、仮に訴訟事案が提起されて最高裁判所が判決を出したという場合におきましても、その裁判所の判断は当該個別の訴訟についてのみ効力を有する、仮にある法律が違憲だという判断を示されましても、それはその個別の事案についてのみ効果を有するのであって、直ちにその法律が無効ということになるわけではないということは、これは一貫して御答弁を申し上げているところでございます。
#155
○委員長(末松信介君) 時間を超えていますので、簡潔にお願いいたします。
#156
○小野次郎君 はい。
 政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更することになれば、政府の憲法解釈、ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないというのは、これもう小泉内閣以来の政府答弁でもあるわけですから、それぐらいは、長官、答弁の中できちっと表してほしいなと。それがなくて、いろんな答弁をされてもされなくても、大事な部分を落としては困るということを指摘申し上げて、私の今日の質問を終わらせていただきます。
#157
○委員長(末松信介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#158
○委員長(末松信介君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#159
○委員長(末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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