くにさくロゴ
2014/05/20 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 外交防衛委員会 第16号
姉妹サイト
 
2014/05/20 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 外交防衛委員会 第16号

#1
第186回国会 外交防衛委員会 第16号
平成二十六年五月二十日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     河野 義博君     山口那津男君
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     真山 勇一君     小野 次郎君
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     白  眞勲君     小林 正夫君
     藤田 幸久君     藤末 健三君
     中西 健治君     松沢 成文君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         末松 信介君
    理 事
                佐藤 正久君
                松山 政司君
                三木  亨君
                福山 哲郎君
                石川 博崇君
    委 員
                宇都 隆史君
                岡田 直樹君
                小坂 憲次君
                島尻安伊子君
                牧野たかお君
                脇  雅史君
                北澤 俊美君
                小林 正夫君
                藤末 健三君
                牧山ひろえ君
                山口那津男君
              アントニオ猪木君
                小野 次郎君
                松沢 成文君
                井上 哲士君
   国務大臣
       外務大臣     岸田 文雄君
   副大臣
       外務副大臣    三ッ矢憲生君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  牧野たかお君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
   政府参考人
       外務大臣官房審
       議官       金杉 憲治君
       外務大臣官房審
       議官       山上 信吾君
       外務省総合外交
       政策局軍縮不拡
       散・科学部長   北野  充君
       外務省経済局長  片上 慶一君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        久保 公人君
       文化庁長官官房
       審議官      作花 文雄君
       特許庁長官    羽藤 秀雄君
       特許庁総務部長  中尾 泰久君
       海上保安庁次長  岸本 邦夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネー
 ブ改正協定の締結について承認を求めるの件(
 内閣提出、衆議院送付)
○千九百七十九年九月二十八日に修正された千九
 百六十八年十月八日にロカルノで署名された意
 匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付
 )
○視聴覚的実演に関する北京条約の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、河野義博君、真山勇一君、藤田幸久君、白眞勲君及び中西健治君が委員を辞任され、その補欠として山口那津男君、小野次郎君、藤末健三君、小林正夫君及び松沢成文君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(末松信介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件外二件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務大臣官房審議官金杉憲治君外八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(末松信介君) 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件、千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件及び視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。
 三件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○宇都隆史君 おはようございます。自由民主党の宇都隆史です。
 早速この意匠関連の三協定について質問を始めさせていただきますが、まず冒頭に、外務省として、現状における我が国のこういうデザイン、意匠の侵害、こういうのは国際社会の中でどのように起こっているのか、そして、この協定に入る意義というのを改めてお願いいたします。
#7
○政府参考人(片上慶一君) お答え申し上げます。
 権利別の被害について申し上げますと、商標権の侵害が最も多く、意匠権侵害、特許・実用新案権侵害、著作権侵害の順になっていると承知しております。
 また、二〇〇四年から二〇一二年の間の政府に対する相談案件、七百四十二件ございましたが、この中で模倣品の製造国が判明しているもののうち中国、これは香港も含みますが、に関する相談案件が全体の六割以上を占めています。
 なお、在外公館に日本企業から寄せられる知的財産権に関する相談、この件数でございますが、二〇一二年度は二百五十四件、二〇一三年度は三百四十八件ということになってございます。
 我が国としては、こうした実態も踏まえつつ、知的財産権に関する本条約も含めまして、国際約束の締結を含め、知的財産権を守る制度を国際的に整え、知的財産権の活用を行うことは極めて重要であるというふうに認識しているところでございます。
#8
○宇都隆史君 ありがとうございました。
 今お示しいただいたように、海外における在外公館に相談件数でも年間数百件以上を超えているということで、非常に、今回の外務省からいただいているこの協定の意義についても、我が国の企業の国際競争力の強化であったりとか、それから我が国のデザイン、こういう知的財産ですね、こういうものの保護の促進のために非常に重要だと。現状を見ると、非常にやっぱり国際的にまだこういうルール作りというか、体制作りというのはやっぱり遅れている分野でもありますよね。
 そこで、改めて経産省に、日本の民間企業が、海外に展開している企業が、今言ったような商標権であるとか、あるいは意匠権、あるいは著作権、こういうものを侵害されて訴訟を起こしているケースがあると思うんですけれども、大体どれぐらいの訴訟が起こされているのか、把握している範囲で教えていただけますか。
#9
○政府参考人(羽藤秀雄君) ただいま我が国の企業が原告となって商標権、意匠権等の侵害について訴訟をどの程度ということでのお尋ねがございました。
 この我が国企業の知財権侵害については、私ども特許庁といたしましては、アンケート調査やあるいは個別のヒアリングなどを通じまして鋭意その把握に努めておるところであります。
 訴訟件数それ自身につきましては、これは民事的なこと、海外でのことということもありまして、その把握に限界もございますけれども、例えば商標権につきましては、中国において我が国のオーディオメーカーが二〇〇九年の十二月でございますけれども、中国企業が販売を行っていたインターホン製品に表記されていたロゴが商標権の侵害に当たるということを理由にして製品の販売中止と損害賠償を求め、そして提訴をしまして、二〇一〇年九月に勝訴をした例。あるいは意匠につきましては、二〇一一年五月でございますけれども、我が国のタイヤメーカーが、トラック、バス用タイヤに係る意匠権の侵害を理由に、やはり中国におきまして企業を相手取り損害賠償を求めて訴訟を起こし、同年十二月に勝訴の判決を得たと、こういった事例を把握をしております。
 これらの事例を通じまして、我が国として、あるいは政府として先方に、ただいま外務省から御答弁ございましたように、関係の在外公館あるいはジェトロなどを通じまして、適切な情報提供を通じながら、日本企業の提訴あるいは訴訟活動などを含めた知財の保護についての支援をこれからも行ってまいりたいと考えております。
#10
○宇都隆史君 今特許庁の方からも回答があったように、我が国の名立たる大きな企業が、例えば文具メーカーのコクヨであったりとか、タイヤメーカーのブリヂストン、あるいは音響メーカーケンウッド、それから農機具メーカーのクボタなんかも、実際に中国で訴訟を起こし、これは勝訴しているわけなんですけれども、そういう名立たる日本企業というのは海外で活躍しながら、いろんなものを模倣されて競争力を実質的に奪われている、こういう現状があるということであります。
 ただ、全体像を把握されていないということですけれども、今回この協定の締結に当たっては経済界からも強い要望があるというふうに伺っていますが、やはりその辺は経済界、あるいはそういうジェトロとかともよく連携をして、全体像のしっかりとした把握というのはやはりこれ努めていくことが必要だと思います。これは引き続き要望として求めていきたいと思います。
 勝訴しているケースばかりではなくて、中にはやっぱりおかしいだろうということで負けてしまうケースもあるんですね。最近で非常に有名になったのは、百円ショップのダイソーってありますね。あれ、韓国で全くそっくりなダサソーというのがありまして、これ訴訟したんですけれども、結局、最終的には向こうの方で裁判負けてしまって、日本企業としては勝てなかった、守り切れなかったということなんですけれども。
 もう一つ、最近中国で有名になっているメイソウというブランドを御存じですかね、大臣。これは、日本のユニクロと百円ショップと無印良品を何かこう合体させたような感じで、ロゴマークは赤地にメイソウと書いているんですけれども、ユニクロそっくりなんですね。ただ、そこぐらいだと何かデザインちょっと模倣したのかな、どうかな、これは、ぐらいで、争ってみなきゃ分からないなと思われるぐらいなのかもしれないですけれども、店内に入ると一〇〇%日本品質とどこにも書いているらしいですよ。
 こういうのはちょっと余りにもやり過ぎじゃないかと思っていまして、こういうのは基本的にはやっぱり民間の企業、企業の間で訴えを起こし、勝ち取っていくというのが一つの国際上のルールなんですけれども、行き過ぎた模倣、我が国の企業の努力を無にするような、そういう競争力をそぐような異常な状況に関しては、やっぱり政府として、外務省としても何らかの対応を取らなきゃいけないんではないかと思うんですが、これまでに取ってきたこの対策ということで教えていただけませんか。
#11
○副大臣(三ッ矢憲生君) お答え申し上げます。
 先ほど経済局長からお答え申し上げましたように、在外公館におきまして、知的財産担当官を置いて相談を受けておるわけでございますが、必要に応じまして、相手国政府に対しまして我が国の知財権の侵害に対する措置を求める申入れを行っております。
 一例を申し上げたいと思います。国名は具体的に申し上げませんが、先生恐らく御想像のとおりのところでございますが、ある国におきまして我が国企業から自社の商標権を侵害した家電製品の模倣品が大量に流通しているとの相談がございました。検討の末、相手国政府に対してこの模倣品差止めの申入れを行いました。そうしましたところ、流通経路となっていた税関におきまして差止め措置が講じられたという事例がございます。
 政府としましても、必要に応じましてそうした余り目に余る状況、それから、当然のことながら、企業側からの申入れによりましてきちんとした対応を取らせていただきたいと、このように考えておるところでございます。
#12
○宇都隆史君 副大臣、ありがとうございました。
 外務省の方に、それぞれに知財担当官、これは在外公館に置いているわけですものね。この知財担当官がいらして現地で活躍している企業からの相談受けの窓口になっているということなんですが、やっぱり、ここから先こういう協定に入っていくということを考えると、より積極性を知財関係に関しては持っていただきたいなと。受け身で向こうから問題点あるいは相談があったときにそれをどうやって対応していくか話を聞いてあげるというのではなくて、そもそも我が国のこの競争力、デザイン、クールジャパン、こういうのを守っていくために、攻めの広報といいますか仕組みを考えていくときに、知財の今現状がどうあるのか、例えば今私がメイソウの話をしたときに、そんなものがあるのかという表情をされましたけど、そういうのはもう当然外務省の中には、ああ、伺っていますよ、聞いていますよというようなやっぱり状況にまでつくり込んでいっていただきたい、そういう努力を是非やっていただきたいことをお願い申し上げておきます。
 さて、この協定に入ると一体どういうメリットがあるのかという話なんですけれども、これまではそれぞれの、一国一国、バイの関係でこういう意匠関係の申請等をしていたのが、今後は国際事務局、WIPOと俗に言われる知財関係の組織ですね、ここのところに申請をすれば、そこがこの協定に入っている国々に対してマルチにやってくださると、業務の簡素化というのがあるわけです。
 しかしながら、実際に意匠を模倣されているようなケース、これの解決というのは一体どうなるのかということでちょっと疑問があるんです。具体的な例にのっとって考えてみれば分かりやすいと思うんですが、例えばお隣韓国の自動車メーカー、我が国の自動車メーカーの形状、意匠を非常に模倣しているのではないかということが我が国の自動車メーカーからも非常に声が上がってきているのが今の現状です。
 こういう中で、韓国がこの協定には先に締結済みで入っているという話なんですね。我々もこれからお認めいただければこの協定に入ることになるわけなんですが、それぞれどちらがそのデザインを先に作ったのかよく分からない中で、韓国が先にこれを申請してしまうと、締結した国々に対しては韓国の意匠であるというような登録がなされるんでしょうか。我が国がそこで意匠登録をしてそれがデザインとしてかぶったときに、じゃ、どちらのこれは意匠なんだ、どちらが優先権を持っているんだという判断というのは一体どこでされるんでしょうか。
 こういう疑問が自然に湧くわけなんですけれども、この辺りのことがどうなっているのかというのをちょっと御説明いただけますか。
#13
○副大臣(三ッ矢憲生君) ちょっと答弁を分担させていただくことになるかもしれませんが、先生御指摘いただきましたように、この協定それ自体は海外における意匠権の侵害事案に対応するというものではございません。一回の出願手続で複数の国への出願が可能になるという意味で、手続に関する協定であるということをまず御理解いただきたいと思います。
 それで、意匠権を侵害された場合には、侵害した企業等に対してその国で訴訟を提起する必要があるわけでございまして、この協定を締結した後でも引き続きそのような対応が必要であることには変わりはございません。
 他方で、違法行為に対抗するに当たりましては、まずその国において意匠権を有していることが前提条件になるわけでございますが、この点に関しまして申し上げますと、ジュネーブ改正協定に定める意匠の国際登録制度を利用することによりまして、我が国の企業による外国での意匠権の取得はこれまでよりも容易になるということは申し上げることができるかと思います。
 あとは、先ほど御指摘もございましたが、具体的にいろんな問題が起こったときに、私ども必要に応じて経済問題に関する二国間の協議等の場で相手国政府当局に対して問題提起を行う等の取組も行っていくこととしております。
 取りあえず、私の方からはそれだけお答えいたします。
#14
○政府参考人(片上慶一君) 私の方から優先権について補足させていただきます。
 御案内のとおり、韓国は既に入っていて日本は入っていない、したがって、今の時点で現実を申し上げると、当然韓国が先に登録してしまえば韓国のそれが優先されることになります。他方、このジュネーブ協定の六条に優先権の規定がございまして、双方が締約国になった場合、例えば同じものを日本で先に登録していたということになる場合には、例えば日本の企業が同じものを韓国に登録するときに六か月間猶予が与えられます。すなわち、六か月以内であれば日本が同じものを韓国で登録すれば、日本で登録していればですけれども、優先権が与えられるということで、そういった活動の一部、違法な、まあ違法というか模倣の活動の一部が是正されることには資するんではないかというふうに考えております。
#15
○宇都隆史君 基本的にどういう商品を登録をして流通させるかという、その相手の国の中の国内法の範疇で、これなかなか取締りは難しいですよね。例えば中国の中でいろんな日本の模倣製品が出回っている、これは難しい話なんだろうと思いますが、非常に高価なものであるとか国際流通をするような、そういう人気があるような商品、家電であったり車であったり、あるいはブランドの服であったり、いろんなものがあるんでしょう。そういうものというのは、やはり日本の意匠、デザイン力、クールジャパン戦略、こういうのに乗っかって守っていかなきゃいけないものだとは思うんですが、なかなかこの知財を守っていく国際的な仕組み、ルールというのは遅れておりますよね。そこをやっぱり日本が主体的になって、ルールメーカーになっていきながらリードしていく、そういう戦略も必要なんではないかと、このように思うんです。
 今回の協定では、そういうように、お互い、模倣されたとかしたとか、そういうものの侵害を争うような、どちらが優先権があるかというのを決定付けるような、そういうような協定にはなっていないわけですよね。今後やっぱりそういうのを考えていかなきゃいけないと思うんですが、今後、このWIPOにおける国際事務局、こういう中の人事構成、我が国からそういう知財関係の担当官のよく分かった人間を送り込んでいく話であったりとか、国際的なそのルールを作っていくための戦略、こういうものに対して、外務大臣、どのようにお考えかの見解をお聞かせください。
#16
○国務大臣(岸田文雄君) まず、WIPO、世界知的所有権機関ですが、知的財産の国際的な条約の作成ですとか、知的財産の国際的な出願の受理、さらにはこの知的財産分野での途上国支援、こういったものを行う専門機関であり、世界で百八十七か国が今加盟をしております。
 このWIPOの職員数、今約千名いると承知をしておりますが、各国の出身者で構成されている中、我が国としましては事務局長に次ぐ高位幹部であります事務局長補を出しております。我が国から高木事務局長補が出ているわけですが、高木事務局長補を含め二十三名、WIPOに今送り込んでいる、こういった状況にあります。
 我が国としましては、今後とも、このWIPOにおける我が国のプレゼンス、更に向上させていきたいと考えております。より多くの人材をこのWIPOに送り込むべく更に働きかけを強化していきたいと考えております。こういったことによりまして、是非、今後とも、この知的財産の分野におきまして、我が国としまして国際社会をリードしていけるようにしっかりと努力をしていきたいと考えております。
#17
○宇都隆史君 ありがとうございます。大臣、是非戦略的に、日本がそのルールメーカーになれるような、日本の意思がよく伝わるような、そういうような戦略的な対応を求めていきたいと思います。
 ちなみに、補足ですけれども、このWIPOの中に七つの部門がありまして、知的財産を考える、その中で一番やっぱりしっかりやってほしいブランドデザイン部門というところが七つの中の一つにあるんですね。事務局次長は中国がやっているということで、逆にこれは戦略的に中国にやらせているのかもしれません。今回の視聴覚実演に関する北京条約も、あえて北京でやることによって、中国にやらせるんだと、そういう意図もあるのかもしれません。やはり、中国というのはこれからも大きなマーケットであり続けるでしょうし、その中国に国際的なルール、そういうのを守らせていくような仕掛けというのがやっぱり必要になってきて、そこは外務省の腕の見せどころだと思いますので引き続き御努力いただきたいと思います。
 意匠関係に関しての質問は以上で終わらせていただきまして、若干、国際情勢に関する質問をさせていただきます。
 まず、ベトナム情勢についてです。
 昨今、南沙関係で中越の非常に感情の高ぶりを伴ってベトナムにおけるデモ等が発生しているというようなニュースも聞こえてきております。
 今回、現地において御活動をされているような日本の邦人あるいは日系企業、それからビジネスマンも含めて、あるいは旅行者も含めて、向こうに渡る渡航者に対して外務省としてどのような対応をなされたか、お聞かせください。
#18
○副大臣(三ッ矢憲生君) お答え申し上げます。
 大変私どももこの事態憂慮しておりまして、当然のことながら、こうした一方的な行動は慎むべきでありますし、国際法を遵守して冷静に対応すべきだと、このように考えておるわけでございますが、残念ながらベトナム国内で様々なデモ等の事案が発生しております。
 この反中デモによりまして、実は日系企業にも工場の門扉、門ですとかあるいは窓ガラスの破損といったような被害が発生しております。十六日時点で約二十五社から被害報告が上がっておるところでございます。幸いなことに、人的被害は報告されておりません。
 これを受けまして、東京、ハノイ、それからホーチミンにおいて、ベトナム政府に対しまして日本人及び日系企業の安全確保を累次申し入れてきておるところでございます。また、外務省によるスポット情報の発出、あるいは大使館及び総領事館からの緊急一斉通報メール、それからホームページによる注意喚起を行ってきておるところでございます。
 いずれにしましても、私どもとしては、引き続き事態の推移を注視しながら、日本人及び日系企業の安全の確保につきまして万全を期してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
#19
○宇都隆史君 報道ベースによると、非常に中国企業に対する感情の悪化からそういうところが狙われているという報道しか日本においては見えないですけれども、やっぱりデモとか暴動とかいうのは、そういう意思を持っている人間以外の、ただ単にそこに一緒になっていろんなフラストレーションを発散させるという人間が入ってきて、ともすると抑え切れないような暴徒化になってしまうという危険性はやっぱりありますから、日本企業であるという、あるいはそういう国旗を揚げるとかそういう表明をしていても危害を受けるようなケースはあるわけなので、しっかりと外務省として対応していっていただきたいと思います。
 逆に、ベトナム政府に対しては日本政府としてどのようなこれは対応をなされたのか、そこのところもお聞かせください。
#20
○国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国としましては、今回の事態につきまして、南シナ海における境界未画定の海域での中国による一方的な掘削活動の着手により地域における緊張が高まっていること、これを深く憂慮しております。そして、この南シナ海における平和と安定、これは単に中越の二か国の間の問題だけではなくして、国際社会全体にとってこれは大きな関心事項であると認識をしております。そして、対話を通じて平和的に問題が解決されるべきだと考えておりますし、関係国は緊張を高める一方的な行動を慎むべきだと考えますし、さらには国際法を遵守し冷静に対応すべきだというのが我が国の基本的な立場です。
 こうした我が国の考え方、立場については、官房長官あるいは外務大臣の会見等を通じましてこれは明らかにしているところでありますが、御質問のベトナムに対する対応ということにおいても、ベトナムに対しましてこうした我が国の考え方については緊密に意思疎通を図るなど、しっかり伝えさせていただいているところでございます。
 そもそも、ベトナムとの関係においては、三月にサン国家主席が我が国を訪問されておられます。その際に、この二国間関係を広範な戦略的パートナーシップという新たな次元に発展させ、海洋安全を含む政治・安全保障分野での協力を強化する、こういったところで一致をしております。こうした両国政府間での合意に基づきまして、引き続き連携を強化していきたいと考えております。
#21
○宇都隆史君 大臣から引き続き連携を強化していくという御答弁いただきましたので、安心をいたしました。どうかこれ、冷静になって第三者的に見守るという対応ではなくて、事が事だけに、これ、南沙における石油の一方的な発掘に端を発した今回のデモですけれども、やっぱり中国の拡大路線というのがあるわけですね。このASEAN、アジアにおける一つの法と秩序、ルールを守らせる、それに主体的な役割を日本がやっていくんだということが求められているわけですから、積極的なアプローチというのを外務省として是非模索してください。
 それから、ベトナムに対しては、日本政府として是非ここは強く求めていってほしいところがあるんですけれども、こういう違法なといいますか、国際社会からも認められないような形での破壊的なデモ活動みたいなこういうのは厳に慎むべきだと。そういうことをする、事が事だけに愛国無罪のような、そういうのを看過するようなそういう政府の態度というのは、結果、中国とやっていることは変わらないぞと。我々は、法と秩序、そういうものを大事にしながら国際社会の中で認められるような対応をしていこうじゃないかというような形でのアプローチ、ベトナムに是非していただきたいと思います。
 一方、中国の方に対して、これ、今回のケースに対してどのような対応をしたのかということで、外務省の対応をお聞かせください。
#22
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほど答弁させていただきました我が国の立場、考え方につきましては、先ほど申し上げたように、官房長官の会見あるいは外務大臣の会見等を通じまして国際社会に対しましてしっかりと発信をしているわけですが、こういった考え方につきましては中国に対しましても外交ルートを通じまして伝達をさせていただいております。
 そして、こうした考え方、さらには、中国が国際法等をしっかり遵守する、そして国際的な規範を共有しながら地域やグローバルな課題に対してより建設的かつ協調的な役割を果たしていく、こういったことについては、米国あるいはASEAN、関係国としっかり連携をしながら中国に対してそういった行動を促していく、こういったメッセージを発していくことが重要だと考えます。我が国の考え方、中国に対して外交ルートを通じて直接伝えていくのと同時に、米国あるいはASEAN、こういった関係国との連携を重視しながら中国に建設的な行動を促していく、こういった対応が重要ではないかと考えております。
 是非、こういった考え方に基づいて、今後とも中国に働きかけを行っていきたいと考えます。
#23
○宇都隆史君 第三国に見えるような形で中国に強いメッセージを是非発していただきたいと思います。
 今回のデモを受けて、中国は、被害に遭った中華企業ですね、中国の企業の賠償請求をベトナムに対して求めるというような報道もあります。
 尖閣諸島の問題のときに、中国でデモが起きまして多くの日系企業が被害に遭ったこと、我々は記憶にまだ新しいわけですけれども、あのときに賠償請求をしていると思うんですが、中国からの賠償請求、実際に履行されているのか。たしか在外公館も被害に遭ったような記憶があるんですけれども、そこの賠償というのはなされたのかどうか。これ、事実関係を教えてもらえますか。
#24
○副大臣(三ッ矢憲生君) お答え申し上げます。
 一昨年九月に中国各地で起きました反日デモの際に発生しました日系企業、それから我が方の在外公館も被害を受けたわけでございますが、今までのところ、中国側から何のレスポンスも返ってきておりません。これが事実でございますが。
 企業の方は、先生御承知かもしれませんが、様々、企業それぞれでポジションといいましょうか立場がいろいろあるようでございまして、必ずしもみんながみんな補償を求めているわけではないという状況も御理解いただきたいと思います。
 それから、在外公館につきましては、私どももその原状復旧に必要な費用を賠償請求しておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、今のところまだ何の返答もないというのが現状でございます。
#25
○宇都隆史君 返答もないままでここを見過ごすんじゃなくて、これ、いい機会だと思います。向こうがベトナムに求めているわけですから、じゃ、あなたたちも履行しなさいと。あなたたちの国で起こったことでよその国に求めるんだったら、今、日本が求めているように、まだ全く回答なされていませんよねと。
 こういうのを水面下でやるのもいいんですけど、やっぱり国際社会に見える形で、いかに中国というのが法を無視し、現行のルール、国際社会から受け入れられないことをやろうとしているのかというのを、まああぶり出すという言い方したら失礼ですけれども、目に見える形で日本が目の前に立って発信していく、その姿勢が必要なんではないかと思います。
 是非、ベトナムを国際社会の中で孤立させないような形で、日本が積極的にそこに、中に入っていきながら、決して中国を懲らしめるとかそういうのではなくて、やっぱり国際社会に受け入れられるような、法とルールを守っていくんだと、そのために日本はいかなる努力も惜しまないという姿勢を見せていただきたい、そのように外務省に重ねてお願いしておきます。
 最後、残された時間でインドの情勢について外務省の見解を伺います。
 今回、十年ぶりのインドにおいて政権交代が起こりまして、下院の方で過半数を取り、モディ党首が首相候補として選ばれる形が明確になってきたわけなんですが、今回のこの十年ぶりのインドの政権交代、外務省としてどのように評価をされているのか。そして、今回、日本政府としてどのようにこれは対応されたのか。事実関係で教えてください。
#26
○大臣政務官(牧野たかお君) お答えをいたします。
 四月から五月にかけて行われましたインド総選挙におきまして、インド人民党、BJPが単独過半数を超える議席を獲得して、インドでは十年ぶりの政権交代が実現をいたしました。インドの政界におきましては一般的に日本、インドの関係を重要視されているというふうに考えておりますが、今後、日本との関係が深いモディ首相候補との間で日本政府としてはインドとの協力関係を更に発展をさせていきたいと考えております。
 選挙結果が判明しました十六日に、在インド大使館大使を通じて安倍総理の祝辞をモディ首相候補に伝達し、また昨日十九日には、安倍総理がモディ首相候補と電話会談を行って祝意を直接伝達いたしました。
#27
○宇都隆史君 ありがとうございます。
 今回の政権交代の背景にあるのは、インドの経済成長率の低下であったりとか、非常に富の格差が出てきたり、やはり非常に今発展しているインドであればこそ出てきているいろんな社会問題を背景にしながら政権交代が起こったやにも聞いております。
 その中で、このモディ首相候補御本人の人物像をいろいろ、いろんなところのソースから見てみると、非常にいい意味での愛国主義者といいますか、安倍総理とも非常に通じるところもあるんではないかなと思います。
 くしくも安倍総理、就任されてから、アメリカにおいての発言で、今後、日本とアメリカとオーストラリアとインド、こういうような安全保障のダイヤモンドの協力関係、こういうものを模索していきたいんだというような発言もなされているわけですが、私も、アジアにおいてのインドの戦略的な位置付け、非常にこれ、今後日本が存続していく上では、シーレーン沿いの大きな国でもありますし、発展していくこれからの国でもありますし、インドの力というのを借りていく重要性というのはますます増していくんだろうと思います。
 今後のインドに対する外交戦略、どのように描かれていくか、これ、最後、大臣に御質問いたします。
#28
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘のように、日本とインドはアジアにおける二つの重要な民主主義国家であり、基本的な価値ですとか戦略的な利益、これを共有する二つの国であります。我が国としましては、従来からインドとの二国間関係を重視してきました。そして、その中で、インドで総選挙が行われ結果が明らかになる中にあって、先ほど牧野政務官の答弁の中にもありましたように、昨日、安倍総理はこのモディ首相候補と電話会談を行わさせていただきまして、日本政府として、モディ新政権との間で日・インド年次首脳会談を継続し、そして日・インド戦略的グローバルパートナーシップを一層発展させていきたい、こういった考えを伝達をいたしました。さらには、モディ首相候補に対し訪日の招待を伝達した次第です。
 今回、この選挙を受けてモディ氏が首相候補として注目を集めることになり、その結果、欧米諸国においてはモディ氏との間の関係を強化しようという取組が始まっているわけですが、我が国は、こうした欧米諸国がモディ首相候補との関係を強化するべく取組を開始する以前から、このモディ氏との間において緊密な関係を維持してきたという歴史があります。モディ氏自身二度の訪日経験があり、二〇一二年七月に我が国の招待で訪日した際には、安倍総理、当時は安倍元総理という肩書でありましたが、モディ氏とも会談を行っております。こういったことも踏まえまして、政府としましては、新しいモディ内閣との間で日印関係、更に強化していきたいと考えております。
 昨年、日・インド外相間の戦略対話なども行われました。また、十一月にASEM外相会議がインドで開催されましたが、私もインドを訪問させていただきましてクルシード外相との会談を行うなど、関係を強化してきたわけですが、是非、新しい内閣においても外相レベルにおいてもしっかりと連携を強化していきたいと私自身考えております。
#29
○宇都隆史君 ありがとうございました。終わります。
#30
○藤末健三君 民主党の藤末健三でございます。
 本日は二つのこと、この知財関係の三つの協定とともに核兵器の廃絶について御質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、この三つの知財に関する協定についての質問でございますが、私は、今民主党の知財議連の事務局長をさせていただいておりまして、ずっと知財政策させていただいておりましたが、今回この国会におきまして特許庁におかれましては四つの法案を通して出してもらい、また、かつ今回この三つの協定を進めてもらったということに対しまして、非常に敬意を表させていただきたいと思います。
 まず、この意匠関係の協定につきまして御質問させていただきたいと思います。
 今回、この協定の改定を締結しまして意匠の国際登録に関するハーグ協定の制度に参加することによりまして、我が国企業の意匠権の取得に際し、負担の軽減、管理コストの軽減が可能となるという話が衆議院の方でございました。実際に今まで国際的な意匠登録をする場合に、いろんな国に個別に登録しなきゃいけないというものが、今回はWIPO、国際事務局に一回登録すればほかの国々に対する登録の手続が要らなくなるというような協定の枠組みでございますけれども、実際にどの程度費用が軽減すると積算しているのかということをお答えいただけますでしょうか。特許庁長官、お願いします。
#31
○政府参考人(羽藤秀雄君) 特許庁におきましては、我が国企業を対象といたしまして、意匠をそれぞれ各国で出願するに際しましての平均的な代理人の費用、いわゆる弁理士でございますけれども、そういった方々の費用についてのアンケート調査を実施いたしまして、これは平成二十三年度に行ったものでございますけれども、大体一か国当たり平均して約十二万円前後というふうに結果を得ております。
 したがいまして、仮に本改正協定へ加入をいたしました後に我が国企業が例えば五か国に出願をするということになりますれば、その四か国分の例えば四十八万円前後相当、あるいは十か国ということになりますとその十二万円掛ける十倍と、こういった水準での節約が可能になるのではないかというふうに試算をしております。
#32
○藤末健三君 是非、この協定の効果は非常に大きいものがあると思いますので、産業界にPRをし、利用を普及していただきたいと思います。
 また、ちょっと難しいとは思うんですけれど、同じように、ある国際機関に登録すれば他の国には手続をしないという枠組みを是非とも特許でつくっていただきたいということをお願いしたいと思います。実際に意匠の登録、資料でいくと数枚で済むものが特許ですと数百枚ぐらいの量になるということもございますので、なかなか難しいところだと思いますけれど、究極的には、ある国際機関に特許を登録すれば国際的に通用するというような枠組みを目指していただきたいということ、これはちょっと回答不要でございますので、是非特許庁におかれては検討していただきたいと思います。
 また、この意匠に関する二協定が締結されることによりまして国際出願が増加すると見込まれますけれども、その増加の見込みにつきましてお答えいただけますでしょうか、お願いします。
#33
○政府参考人(羽藤秀雄君) 現在、我が国におきましては、意匠の登録の出願件数が大体約三万二千件ございます。これがこの協定に加入をすることによりまして実質的に増えていく、具体的には、本協定を利用して我が国に対する国際出願の件数が増えるであろうというふうに見込んでおりまして、その件数は、大体年間六千件から一万二千件程度になるものというふうに見込んでおります。
#34
○藤末健三君 是非とも、そのコスト的な軽減と、そして数の増加につきましてもっと宣伝をしていただきまして、やっぱり日本のいろんな知的財産を国際的に通用するということを進めていただきたいと思います。
 続きまして、視聴覚的実演に関する北京条約について御質問申し上げますが、本件、これはTRIP協定で規定されました著作隣接権の保護に比べまして、ある程度いろいろ保護する分野が拡大しているというわけでございますけれど、本条約におきましてどのような権利が新たに保護の対象となったのか、また本条約を締結するに当たり、インターネットを介した海賊版の氾濫に対して条約国はどのような措置を講ずることが求められるかということを教えていただきたいと思います。
 ついでに、先ほど宇都議員からもお話ございましたけれど、北京条約という名前でございますので、中国が是非とも入らなきゃいけないと思っておりますが、その中国に対する参加の見込みを教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#35
○政府参考人(片上慶一君) まず、お答え申し上げます。TRIPSとの関係でございます。
 視聴覚的実演北京条約においては、TRIPS協定では規定されていなかった俳優、ダンサー等、視聴覚的実演を行う実演家の人格権、それからまたそのような実演家の許諾を得ずに視聴覚的実演をアップロードする行為を差し止める権利、そういったものが新たな保護の対象として規定されています。
 また、北京条約には、実演家の権利が実効的に保護されるよう種々の規定が設けられています。具体的には、例えばコピープロテクション等の技術的手段の回避や、電磁的な権利管理情報の改変などを防止するため、効果的な法的救済について定めることとされています。また、その権利侵害に対し効果的な措置がとられることを可能とするための手続を国内法令に基づいて確保することというふうにされています。
 これらの規定に基づきまして、各締約国は差止め請求や罰則等を含む国内法を整備する義務を負うこととなり、インターネット等を介した海賊版の取締りに対する効果も期待できるというふうに考えております。
 お尋ねのございました中国でございますが、北京条約ということで、この条約の外交会議を自ら招請したわけでございますけれども、私どもが承知している限り真面目に検討しておりまして、現在、本条約の締結に必要な改正を含む著作権法の改正案を国内的に検討している状況というふうに承知しております。
#36
○藤末健三君 是非とも、TRIPに準ずる、そしてこの北京条約でございますけれども、今、インターネットがどんどんどんどん発展する中、このインターネットを介した様々なコンテンツの権利の保護というのは非常に重要でございますので、国際的により広げていただきたいということをお願いしたいと思います。
 続きまして、核廃絶につきまして御質問したいと思います。
 この核兵器の廃絶につきましては、先月、四月の十二日に広島におきましてNPDI、軍縮・不拡散イニシアティブ、これは二〇一〇年に民主党政権時代につくられたものでございますが、それを開催していただき、また、四月の末から五月の上旬にかけまして、国連本部におきましてNPT、核不拡散条約の準備会合というのが開催されてございます。
 そのような中、私自身、今民主党の非核議連の事務局次長をさせていただいていまして、事務局長はちなみに福山筆頭理事でございます、核廃絶の活動をさせていただくとともに、もう一つ、PNNDという国際的な、パーラメンタリアンズ・フォー・ニュークリア・ノンプロリフェレーション・アンド・ディスアーマメントといいます、国際的に世界の国会議員で核廃絶を目指すという議員の集まりにも参画させていただきまして、今、世界で八百名の国会議員、日本ですと四十名の国会議員が参画をしている組織がございます。そういう下で活動しているわけでございます。
 私自身、この核廃絶につきましては非常に思い入れがございまして、なぜかと申しますと、私の母が小学校二年生のときに長崎の原子爆弾の雲を見ております。母が、いつも小さい頃から教えてもらった長崎の原子爆弾といいますのは、元々、長崎に落とされた原子爆弾は、北九州の小倉、あの工業地帯に落とされる予定だったものが、原爆が投下されるその日、小倉の上は非常に厚い雲に覆われていましたので、急遽、晴れている長崎に落とされたということでございます。したがいまして、私の母が見たその原子爆弾の雲というのは、もう晴れた中に丸い雲が浮かんでいた、その雲も紫色だったというんですね。母は、何でこんな雲があるんだろうとずっとずっと見ていたということを私に幼い頃から教えてくれていまして、実際に、母が長崎の原子爆弾の雲を見たあぜ道に連れていってもらったんですけれども、まさしく母があそこに見えたのよと言って教えてくれた方向が長崎だったんですね。私は、その話をずっと聞かせていただきながら、また幼い頃に長崎に住んでいましたので、平和資料祈念館にも何度も伺いました。
 そういう中で、私が政治家としてさせていただきたい仕事の一つにやはり核廃絶がありますし、この長崎の、母が見たその長崎の原子爆弾を人類に使われた最後の原子爆弾にする、そのためにも核廃絶を進めるということを私はいつでも、国際会議でも申し上げております。そういう状況の中で、今回、岸田大臣の下でNPDIの広島会合が開かれ、また、私自身もこのNPTの準備会合、ニューヨークまで行きまして参加させていただきました。
 そういう中で、この核廃絶につきまして我が国が、来年、二〇一五年の五月に国連におきましてNPTの運用見直し会議がございます。これは五年に一回の見直し会議でございまして、この会議で大きな方向が決まるかどうかが今後の核不拡散、そして核廃絶の流れが決まるというものでございますので、この一年が非常に重要じゃないかと考えております。
 また、この二〇一五年のNPTの運用会議というのが重要だということを申し上げましたけれども、この一年間に我が国が政府として関与する国際会議にはどのような場面があるのかということと、そして、そこで我が国がどのような役割を担っていくかということにつきまして、まず御質問申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
#37
○国務大臣(岸田文雄君) まず、ただいま藤末委員の方から核兵器のない世界に向けての強い思いを聞かせていただきました。私も、広島出身の人間としまして強く共感するところでございます。
 そして、NPT運用検討会議、御指摘のように、五年に一度の会議、来年行われるわけですが、来年はちょうど原爆投下から七十年という大きな節目の年を迎えます。その年に行われるNPT運用検討会議、より大きな意味があると感じております。
 そして、そのNPT運用検討会議に向けて、我が国としまして、唯一の戦争被爆国としてしっかりと貢献をしていかなければならないと考えておりますが、その運用検討会議に至るまでに様々な国際会議が予定をされております。今年九月には包括的核実験禁止条約、CTBTのフレンズ外相会合が予定されています。また、十月には国連総会の第一委員会が開催される予定になっています。そして、十二月には第三回核兵器の人道的影響に関する国際会議、これがオーストリアで開催される予定になっております。そして、御指摘がありました軍縮・不拡散イニシアティブ、NPDIも来年のこのNPT運用検討会議前に是非開こうという調整が行われているところでございます。
 こうした国際会議の場、こういった機会を最大限に活用しつつ我が国としましては国際社会の議論をリードしていかなければならないと考えています。その際に、NPDIの一員として議論をリードしていく、こういった切り口も重要だと思いますし、また、我が国自身として、唯一の戦争被爆国としてこうした議論に参画し、議論をリードしていく、こういった取組も考えられると存じます。
 是非、我が国としましては、従来から現実的かつ実践的な取組を行っているところでありますが、今年から来年に向けてしっかりと議論をリードするべく努力をしていきたいと考えております。
#38
○藤末健三君 岸田大臣に対する期待は大きいと思います。実際に、いろんな国際会議に参画させていただいても、この間のNPDIでも、やはり広島出身の外務大臣が唯一の被爆国である日本の外交を担っておられるということに対する期待は非常に大きいものでございますので、是非その期待に応えていただいて、私たちも応援させていただきますので、国会の方から、是非成果を出していただきたいと思います。
 特に、私は、この核廃絶の問題に対する日本の貢献というのをすごく重視しますのは、近年、いろんな外交であり安全保障の議論がなされるときに、やはり、積極的安全保障という議論をしたときに、武力に対する期待、何というか、私は偏重だと思っています、それが非常に大きくて、私は、そういう安全保障をきちんとやる上で必要なことは二つあると思います。一つはきちんとした防衛をつくるということと、もう一つは諸外国の信頼をつくるという意味での真の平和外交だというふうに考えていまして、両方をやはりきちんとバランス取らなければ外交はきちんとできないし、国際的な評価は得られないと思っています。
 ですから、是非、この核廃絶に対する国際社会の我が国に対する期待というのは非常に大きなものだと自分自身感じておりまして、まだまだ我が国はその期待に応え切れていないんではないかなというふうに思っています。
 実際に、国際会議などでいろんな議論をしますと、やはり終わった後に言われますのは、もっと日本は唯一の被爆国として人道の問題なんかでも発言してくれということを非常に言われるわけですよ。核兵器の悲惨さを唯一発言できる国、それは日本だと。ですから日本がもっと貢献してくれということをよく聞きますし、私は、この我が国、唯一の被爆国としての日本が核廃絶の中で国際的なイニシアティブを取ることが国際的な評価につながり、ひいては我が国の安全保障につながると思いますので、是非とも進めていただきたいと思っております。
 特に、私、この二月の末に国連の方に行きまして、ガンバ軍縮部長と一時間ちょっと議論をさせていただきました。その中でガンバ部長から指摘された点が幾つかあるんですけれども、一つございますのは、やはり今、世界的な核軍縮の研究が少しずつ下火になっていると、同時に、国際的な連携も切れているという話がございまして、特に人道的な、核兵器の非人道性ということを訴えるときに、科学的な根拠に基づく訴えが必要であると。
 そういう中で、今、私もいろんな研究者の方にお会いしましたけれど、やっぱり、ヨーロッパはヨーロッパで研究を進め、アメリカはアメリカで研究を進め、日本の研究も私は日本で研究進んでいると。直接お話しすると国際的な連携をされているとお答えいただくんですけれど、まだそういう状況じゃないかなというふうに思っておりました。
 そこで、そのガンバ軍縮部長から、やはり核兵器の問題に関する国際的な研究のネットワークをつくるべきではないか、そこで日本が貢献できるんではないかという提案をいただきまして、実際に、日本に帰っていろいろ考えますと、日本の研究機関としては、やはり日本国際問題研究所、国問研の下に軍縮・不拡散促進センターがございますし、また長崎大学にはRECNAと言われる研究組織、また広島には広島市立大学の平和研究センターがあるということで、そういう日本の研究センターを中心に、アメリカのモントレー研究所とか、あとウッドロー・ウィルソン大学なんかですね、あとオランダにもございますので、そういう研究をネットワーク化していくような取組をして、そして、もっと日本の研究者が世界とつながり、積極的に国際社会に発信できるような支援をするべきだと思うんですが、いかがでございましょうか。よろしくお願いします。
#39
○国務大臣(岸田文雄君) まず、軍縮・不拡散の分野で我が国が国際社会をリードしていく上において、官民を問わず、その知見ですとかあるいは情報を集結し、そして研究体制の整備を図っていくということ、大変重要だと考えておりますし、御指摘のように、国際的なネットワークをつくっていく、こういった考え方、これは是非前向きに取り組むべき課題だというふうに認識をいたします。
 我が国の研究体制ということを考えますと、外務省としましては、これまで、軍縮・不拡散促進センター、日本国際問題研究所の下にあるこのセンターに委託する形で軍縮・不拡散に関する調査研究を実施してきたというのが実情でございます。この研究の結果を報告書という形でセンターのホームページに掲載する、こういったことによって政府の軍縮・不拡散政策の策定に役立ててきている、こういった状況にあります。
 是非、こうした軍縮・不拡散センターの活用、国際問題研究所そのものの活用等も、大変委託費等も厳しい財政状況の中にあり減少傾向の中にあるわけですが、是非いま一度、予算の問題も含めて、そしてこうしたセンターや研究所が何ができるか、こういったことも含めて是非しっかりと検討をしていきたいと存じます。
 我が国の体制を整備するのと併せて、御指摘の国際的なネットワークにも貢献する、こういった道について是非検討させていただきたいと考えます。
#40
○藤末健三君 是非御検討いただきたいと思います。
 私は、政府が今なされているいろんな交渉をトラックワンだとしますと、私は、どちらかというと、国会議員としましてNGOの方々とか、あと研究者の方々とか、そういう方々とずっと会話をさせていただく中で、やはりいろんな研究者の方の発表を聞いていると、今よくおっしゃっているのが、非人道性というものが議論になる中で、やはり実際に核兵器が使われる可能性があるということ、そして、もし使われた場合にどれだけ非人道的な被害があるかということを科学的にきちんと伝えることが国際社会への注意喚起につながるということ、よくあります。
 ただ、いろんなデータを見ていますと、全部はつながっていないんですよ。ですから、もっときちんとまとまった、そして、かつ、研究だけではなく、実際に我々が見たときに、ああ、これだけの非人道的な被害があるんだということが実感できるようなデータをきちんと示すことができれば、私は、これは大きな国際社会への貢献になると思います。そして、かつ、唯一の被爆国としての日本の貢献という位置付けもできると思いますので、私たちも応援させていただきますので、政府の方も、国際的な次のNPTの会合におけるやはり我が国の貢献というのを是非大臣には打ち出していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 特に、先月行われましたNPDIの広島会合、ここで私はすごく大きな前進だったと思いますのは、各国の外務大臣が広島の平和記念資料館を視察していただいたということがございます。私たちは、将来的にはアメリカの大統領に来ていただきたいという願いがございますが。今回、広島出身の外務大臣として強い思いがあったと思われますけれど、各国の外務大臣の反応はどうだったかというのをちょっと教えていただけますでしょうか。よろしくお願いします。
#41
○国務大臣(岸田文雄君) NPDI外相会合ですが、今回で八回目でありました。八回目にして初めて日本で開催され、そして被爆地で開催することとなりました。よって、今回のNPDI広島外相会合におきましては、参加者に原爆死没者慰霊碑への参拝、献花、さらには平和記念資料館への視察、そして被爆者の方に直接話をしていただき、それを聞いていただく、こういったプログラムを用意した次第です。
 その結果、プログラムに参加したほとんどの参加者から、今申し上げたプログラムの後に行われました会議の発言の中において、大変心に重く残った、あるいは忘れられない経験である、こういった感想が述べられた次第であります。こうした被爆の実相に触れていただいた上で議論に参加していただくという形を取ることができたことによって、より積極的な議論を行うことができた、こうした貴重な機会であったというふうに認識をしております。
 こうした被爆の実相に触れていただくということは、参加した方々、各国の外相級の、今後ともこの軍縮・不拡散において大きな発言力を持つ方々でありますので、こういった方々に今申し上げたような経験をしていただいたこと、これは今後の軍縮・不拡散の議論においても意義があったと考えております。
#42
○藤末健三君 私もNPDIのこの宣言文書の中に各国のトップが広島に訪れるようにするということを掲げていただいたことは大きな前進だと思いますし、それをまずきちんと実現していくということを是非お願いしたいと思います。このNPDIは私は着実に成果を出していると考えますが、やはり来年の二〇一五年五月のNPT運用検討会議にこのNPDIがどのように関与するかということを次に示していただきたいと思います。
 前回の二〇一〇年のNPTの運用検討会議におきましては、オーストラリアのエバンズ元外務大臣、そして我が国の川口順子元外務大臣が主導していただいた核不拡散・核軍縮に関する国際委員会、ICNNDの報告書を踏まえて、我が国が作業文書を国連に出したということはございますが、このNPDIがどのように来年のNPT運用検討会議にプロポーザルを出していくか、関与していくかということについてお答えいただけますでしょうか。お願いします。
#43
○大臣政務官(牧野たかお君) ただいま藤末委員が御指摘をしたとおり、我が国は、二〇一〇年に行われましたNPT運用検討会議において核不拡散・核軍縮に関する国際委員会、ICNNDの報告書を踏まえて、実践的核軍縮・不拡散措置を含む合わせて四本の作業文書を提出をいたしました。
 その後、この会議で採択された二〇一〇年NPT行動計画の着実な実施を後押しをすべく、我が国はオーストラリアとともにNPDI、核軍縮・不拡散イニシアティブを立ち上げて、これまでNPDIが先般の広島外相会合で発表いたしました広島宣言も含めて十七本の作業文書を作成をいたしました。そして、これを二〇一五年NPT運用検討会議に向けたこれまで三回の準備委員会に提出をしてまいりました。
 我が国としては、NPDIを主導する国として核軍縮・不拡散の取組を精力的に推進し、NPDIの政治的推進力を一層高めていく考えであります。
 その上で、NPDIとして具体的に次回のNPT運用検討会議にどのように関与、貢献をしていくかについては、これまでに提出をした作業文書等を踏まえて、岸田大臣のリーダーシップの下、ほかのメンバー国とも相談をしつつ検討を進めていきたいと考えております。
#44
○藤末健三君 是非、NPDIの、これやはり日本のイニシアティブでございますので、成果を反映していただきたいと思います。
 続きまして、先月末、そして今月頭にありましたNPTの準備会合について、二つの点を御質問したいと思います。
 一つございますのは、このNPTの準備会合、二〇一〇年のNPT運用検討会議で核兵器の透明性ということが議題になったわけでございますが、今回、準備会合におきましては中国、ロシアから核兵器の保有の報告が明確化されていませんで、二〇一〇年に決められました核兵器保有の透明化、実際にどれだけの兵器を持っているかということが進んでいないのではないかというふうに言われていますけど、その点について一つ。
 そして、もう一つございますのは、私が今回注目しましたのは、中東の中東非核地帯構想という議論がずっとございました。今回、国際会議の開催は見送りになりましたけれども、実際にいろんなNGOの方々と話をしていますと、非常に成果があったという評価なんですね。それは何かと申しますと、政府の公式会合は動いていませんが、一方で政府の非公式会合は動いているということで、ある程度の方向は固まっています。例えば、外務大臣のOBなんかが集まりましょうというような議論がもう実際に進んでいる、また予算の手当ても付いているということになっております。
 そういう中で、セカンドトラックと言われていますNGOの方々であり研究者であり我々国会議員とか、あとは宗教界の方々といった非政府の集まりがあるわけでございますけれども、このようなセカンドトラックと言われている動きについて日本はどのように見ているか、また日本としての貢献、私はしていただいた方がいいと思いますが、いかがでしょうか。
 この二つ、お答えください。よろしくお願いします。
#45
○大臣政務官(牧野たかお君) お答えをしたいと思います。
 まず、この準備会合において中国、ロシアからの核兵器保有の報告が明確にされていないというお話でございますが、核軍縮を進める上では、核兵器をどれだけ所有しているかというようなことを明らかにする核戦力の透明性の向上というのは必要不可欠な要素だと考えております。
 二〇一〇年のNPT行動計画において、核兵器国は、核軍縮措置を報告するためのフォーマットである標準報告フォームというのに合意することが求められました。これを受けて、我が国を含めますNPDIは、これまで五か国の核兵器国に対し標準報告フォーム案を提示して、意味のある情報を報告に盛り込むように求めてまいりました。
 その結果、第三回の準備委員会において、五か国の核兵器国は、統一された構成に基づいて各国の核政策、核兵器の状況や核軍縮努力に関する報告を行いました。
 今回の報告の内容について、藤末委員が御指摘したとおり、各国による報告状況にかなり差異があったことは事実でありますが、統一した構成に基づいて報告書を提出したこと自体は一応の進展として評価すべきものと考えております。
 ただ、今申し上げたみたいに、まだ各国の報告状況には差異があるといいますか、不十分なところがいっぱいあるかということも分かります。この課題が十分に達成されるように、これから我が国としては引き続き改善を求めていく考えであります。
 もう一点の中東の非大量破壊兵器地帯に関する国際会議の話でございますが、中東を大量破壊兵器のない地域にしようという目的で開かれるはずだった国際会議は、開こうとすることが決まったことはあの二〇一〇年のNPTの運用検討会議の大きな成果だと思いますが、残念ながら予定されておりました二〇一二年には開催ができず、延期となりました。しかし現在も、仲介者と言われるファシリテーターを始め関係者、関係国が非公式会合を行っております。
 こうした会議開催に向けた調整を日本政府としても歓迎いたしておりますし、日本を含むNPDIとしても、今回の第三回準備委員会においてこの問題に関する作業文書を提出するなど、議論に貢献してきたわけでございます。我が国としては、この会議が早く開催されることを期待しておりまして、必要な支援をファシリテーター始め関係者や関係国に支援をしていきたいと思います。
 そして、セカンドトラックについてでございますが、当然のことながら、核軍縮分野においては、政府間同士の交渉でありますファーストトラックと、そして民間人の交渉でありますセカンドトラックという、両方とも重要だというふうに考えております。この観点から、政府としては平素から軍縮・不拡散分野の有識者の懇談会や国内のNGOとの対話を積極的に実施しております。先月のNPDIの広島外相会合の前には、岸田大臣は二度有識者の方々と懇談したほか、外相会合当日には市民社会との意見交換会に出席して有意義な意見交換を行ったところでございます。
 また、藤末委員を始め国会議員の方々からも日頃からこの分野において有益な提言をいただいております。先ほどのお話にあったかと思いますけれども、NPDI広島外相会合の開催の前に、藤末委員も参加されている民主党の非核議連からも大変貴重な御提言をいただいたところでございます。
 政府としては、核兵器のない世界の実現に向け、引き続き、市民社会、有識者そして議員の方々との協力、連携を強化推進していきたいと考えております。
#46
○藤末健三君 是非、核兵器の透明化というのは是非進めていただきたいと思います。やはりポイントは、中国が核兵器の保有等についての情報を余り開示していないという状況でございますので、やはり国際社会の枠組みの中で中国の兵器保有、軍拡がどんどん進む中で、彼らがどのような兵器保有をしているかということを明確に国際社会に示すという、ディスクローズするということを国際的な条約の枠組みで進めるべきだと考えますので、よろしくお願いしたいと思います。
 先ほど、中東の非大量破壊兵器地帯構想についてお話をさせていただきましたが、一方で、北東アジア非核地帯構想という考え方がございます。実は私は、これは国連の会議でも話をさせていただきましたし、またアメリカのワシントンDCでありました、日本と韓国とアメリカの議員が集まる会議がありましたので、そこでも話をさせていただきました。
 実際に、北朝鮮、あと韓国、日本、朝鮮半島と日本が核兵器を造らない、持ち込ませない、あと使わないというようなことを決めようというような条約のアイデアでございますが、反応は非常に、なかなか実現できないんではないかということを言われております。まず、北朝鮮が乗ってこないんじゃないか、またアメリカとの関与をどうするんだとか核の傘をどうするんだとか、いろんな御意見をいただいたわけでございますけれども。
 私は、この北東アジアの非核地帯構想というのは三つのポイントで実現可能性があるんじゃないかと、一つのオプションとして残しておくべきじゃないかと考えています。
 まず一つございますのは、世界に既に七つの非核地帯条約というのがございます。これは南極条約とモンゴルの一国での非核地帯宣言を含むわけでございますが、七つの非核地帯条約があり、この条約に参加している国を含めますと全部で百二十か国ということで、世界で全部で今は百九十五か国でございますので、半分以上カバーできていると。そしてまた、地上の面積を見ますと、その地上の面積の五〇%をカバーしているという状況でございまして、既に先例があるということ。
 そして、二つ目にございますのは、一九九二年に大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国、韓国と北朝鮮が朝鮮半島の非核化に関する共同宣言というものを批准しているということがございます。これに、我が国が非核三原則、これは一九六七年に宣言されたものでございますが、我が国を加えれば北東アジア非核地帯ができるというふうに考えられるんではないかと。
 そしてまた、三つ目にございますのが、先ほどお話がございました中東非大量破壊兵器地帯構想が少しずつ進み始めているということでございますので、私は是非とも、例えば日本、韓国、モンゴルなどが先行してこの北東アジア非核地帯構想の議論を進めてはどうかと考えますし、また同時に、私が所属させていただいていますPNND、世界の核兵器がない社会を目指す国会議員の連合でございますけれど、そういうところと連携をしまして、例えばもう一つございますのは、レリジョン・フォー・ピースという、世界宗教者平和会議というのがございますけれど、そういうセカンドトラックと連携して日本政府が何かやっていただくことができないだろうかと考えておりますが、その点、いかがでございましょうか。お願いします。
#47
○国務大臣(岸田文雄君) まず、一般論として言えば、この地域において非核地帯が設置されるということ、これは核不拡散等の目的に資するものであり、これは大変有意義なことであると認識をいたします。そして、非核地帯設置するに当たっては、その地域における核兵器国を含む全ての関係国の同意ですとか、あるいは査察、検証を含む適切な保障措置だとか、幾つかの条件が必要になってきます。
 そういった点で考えますと、北東アジアについては、例えば核戦力を含む大規模な軍事力を持っている国が存在するとか、あるいは御指摘のように北朝鮮、これ、核・ミサイル開発を継続している、こうした不透明、不確実な要素が存在いたしますので、北東アジアにおいて直ちにこうした非核地帯をつくる、こういったことについてはまだこの条件は整っていないのではないかと認識をしております。
 まずは北朝鮮における核廃棄の実現等に向けて努力をしなければならないと考えていますが、こうした地域における非核地帯を設置するという動きと、一方で、NPTを始めとする国際社会全体として核兵器のない世界に向けて努力するという動きと、やはりこれは並行して進めるべきものではないかと認識をいたします。
 実際、先行している地域における非核地帯の存在があるわけですが、こうした動きと、そして国際社会全体として核兵器のない世界を目指すというこの動きと、これを共に動かすことによって、結果として、大きな目的である核兵器のない世界を実現する、こういった目標に向けて前進をしていく、成果を現実的、具体的に進めていくことが肝要ではないかと考えます。
#48
○藤末健三君 どうも前向きな回答をありがとうございます。
 実際に、この北東アジア非核地帯構想の議論をさせていただきますと、やはりこれ、究極のゴールは、北朝鮮、韓国とそして日本が非核地帯宣言をすると同時に、アメリカ、中国、ロシアという核兵器を保有している国も核兵器を使わないということを条約として結んでもらうという、3プラス3というのが究極のゴールとしてセットされているわけでございますが、やはり今六か国協議がなかなか動かない中で、もう現実性が低いんじゃないかという議論はよくお聞きします。
 しかしながら、私は、今この国際社会の情勢が非常に流動的になる中で、この北東アジア非核地帯構想も一つの外交の政策のオプションとして是非残していただきたいと、私はそれを維持させていただきたいと思っています。
 大臣がおっしゃるように、NPTのような大きな枠組みが動いている、そして同時に地域的な動きをやっていくという努力をやっていきたいと思いますし、同時に、その動きを政府だけの動きにしてはいけないのではないかと思っております。先ほど牧野政務官からもお話ございましたけれども、政府が公式の外交で行うのがファーストトラックと言われる、第一トラックと言われているものでございますが、同時に、この核廃絶につきまして、多くの非政府組織の方、NGOの方々であり、あと我々のような国会議員もいますし、そして多くの研究者、そして宗教界の方々というのが参加して、いろんな議論をしております。
 私自身、特に、私は政府の人間ではございませんので、このセカンドトラックの方に非常に今関与を深め活動させていただいているわけでございますが、私は、やはり地域的な考え方、国際社会全体でやるか、それとも地域的にやるかということと、もう一つの次元として、プレーヤー、やはり政府だけではなく、NGOなども含めました、我々国会議員も含めたセカンドトラックというものも複合的に協力して動くということが重要だと考えておりますが、是非とも、政府と非政府、政府というファーストトラックと非政府、セカンドトラックと言いますが、それが連携すること、我々は一・五トラックと言っておりますけれども、そういう一・五トラック的な動きを促進していただくことが重要だと思いますが、その点、いかがでございましょうか。お願いします。
#49
○国務大臣(岸田文雄君) その部分について、先ほど牧野政務官の答弁の中に一部発言させていただきましたが、御指摘のように、こうしたセカンドトラック、有識者あるいはNGOを始めとする関係者の方々との連携、大変重要だと政府としても考えております。従来から有識者の方々との意見交換会等も行っておりますし、NGOとの対話、積極的に実施をしているところであります。
 私も、今年に入って、一月に長崎大学で講演をさせていただく前にも有識者の方々と朝食会という形で意見交換をさせていただきましたし、四月のNPDI外相会議の前にも有識者の方々と意見交換会を事前にやらさせていただきました。そして、先ほども牧野政務官の方からありましたように、NPDI外相会合の中においても、プログラムとして、NGOを始め市民社会の方々あるいはユース非核特使等、若い方々との意見交換会もプログラムの中に組み込ませていただいた、こういったことでありました。
 是非、こうした取組は大変重要であると実感をしておりますし、引き続きましてこうした取組は続けていきたいと考えております。是非、民主党の非核議連の皆様方にも引き続き貴重な御提言をいただきたいというふうに思っておりますし、御理解と御協力をお願い申し上げる次第でございます。
#50
○藤末健三君 是非進めていただきたいと思います。
 先ほど、政府のいろんな動きとして、来年のNPT運用検討会議について、政府がこういうスケジュールでやっているということと同様に、NGOとかいろんな宗教界の方々も、例えば国際会議をつくったり、また韓国、あと日本、そして北朝鮮の方も含めたNGO、セカンドトラックのミーティングを動かしていますので、そういうところの連携を是非やっていただくことが非常に重要だと思いますので、岸田大臣は、やっぱりいろんな方とお会いしているとNGOの方からの期待が高いんですよ、本当に。やはり、広島出身の外務大臣がおられるということの期待というのは大きいものがございますので、是非、来年、二〇一五年の五月が非常に大きなターニングポイントでございますので、頑張っていただきたいと思います。
 最後でございますが、冒頭でも申し上げましたけど、私、今、憲法の解釈改憲という議論がある中で、非常に、積極的平和構築ということで、どちらかというと武力を中心とする平和構築、安全保障に焦点が当たってございますけれども、私自身は、やはりこの日本国憲法の前文に、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と、そして最後に、我々日本国民はこの目標を達成することを誓うというふうに書いてございます。
 まさしく、ここに掲げてありますように、全世界の国民がひとしく恐怖から免れるということ、そしてひとしく欠乏から免れるということは何かと申しますと、やはり恐怖というのは、戦争の恐怖、暴力の恐怖、そして核戦争、人類が滅亡するかもしれないという恐怖に対してどうするか、それはやはり私は軍縮を進めていくことだと思いますし、また同時に、全世界の国民がひとしく欠乏から免れる、いまだ、豊かな世界といえども、子供たち、世界中を見回しますと、もう億人単位で子供たちが飢えや、そして病院に行けない、病気、病や、そして教育を受けられないというような欠乏にさらされている状況でございます。
 是非とも、岸田大臣、また外務省におかれましても、真の平和構築とは何ぞやということが私は今問われる時期に来ているのではないかと思います。ですから、本当にこの武力を中心とする安全保障の議論だけが先行することに対する危機感は非常に大きく、同時に、この核廃絶を中心とする軍縮、そしてまた途上国の支援といった真の平和構築を進めていくということが重要ですし、特に、私は、唯一の被爆国として核兵器を廃絶するということについての我が国の役割を果たすことが、国際的な評価を高め、そしてひいては我が国の安全保障につながると確信しているわけでございますが、最後に、広島出身の岸田大臣の決意をお聞きしたいと思います。よろしくお願いいたします。
#51
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国としましては、国際協調主義に基づく積極的平和主義という考え方を掲げているわけですが、その中にあって、例えば国連PKOへの要員派遣ですとか、ODAを通じて途上国をしっかり支援していく、あるいは人材育成に努めていく、こういった取組と併せて、この軍縮・不拡散の分野においても貢献していく、こうした国際的な平和と安定のためにしっかり貢献していくという取組、これがまず何よりも大事だというふうに認識をしております。そして、その中にあって、軍縮分野、この核兵器のない世界を目指すという部分につきましては、是非、国際社会をしっかりリードしていかなければならないと考えています。
 今の国際社会を見る際に、核兵器を持っている国もあれば持っていない国もあれば、あるいは安全保障において厳しい状況に置かれている国もありますし、様々な立場の国があります。しかし、様々な立場の国においても、核兵器のない世界を目指すという大きな目標は共有していけると考えています。そして、こうした様々な立場にある国々をしっかりと結束させる触媒として、この核兵器の非人道性という考え方があると認識をしています。
 我が国としましては、是非、核兵器のこの非人道性に対する科学的な正確な認識と、そして我が国の置かれている北東アジアにおけるこの厳しい安全保障環境に対する冷静な認識と、この二つの認識をしっかり持った上で、現実的そして具体的な核兵器のない世界に向けての歩みを進めていかなければならないと考えます。こういった考え方に基づいて、是非、国際世論をリードしていきたいと考えます。
#52
○藤末健三君 本当に大臣のお言葉にもう勇気をいただきました。
 是非とも、私自身、この核兵器をなくすというのは、もうあらゆる人に聞いてもなくしたいとおっしゃると思うんですよ、間違いなく。ですから、その普遍的な理想というものに対して是非ともアプローチをしていかなきゃいけないと思いますし、そのときには是非、我が国がいろんな国々との、マルチ、多国の場というのと、あといろんな個別の場もあると思いますけれども、政府が主導してやっていただく部分と、もう一つございますのは、私のような国会議員の議員外交もございますので、そういういろんな人間の国を超えた力の集結を是非図っていただきたいことをお願いしまして、質問を終わらさせていただきます。
 ありがとうございました。
#53
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、当外交防衛委員会におきまして意匠の国際登録に関するハーグ条約、ロカルノ意匠国際分類協定、そして視聴覚的実演に関する北京条約の二条約一協定についての審議でございますが、様々、各国、制度あるいはこういう知財の登録に関する考え方等違う中、長い時間掛かった協定でもございましたけれども、この交渉に当たられた岸田外務大臣始め関係者の皆様の御努力に評価と敬意を表したいというふうに思います。
 では、具体的な質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、意匠の国際登録に関するハーグ条約でございますが、先ほども申しましたとおり、この意匠の国際登録につきましては、国際社会におきましてその登録の仕方について大きく考え方が違う点があります。それは、出願すれば自動的に登録される無審査主義の制度を取っている、欧州諸国を中心とした国々でございますが、こうした国々と、また、我が国あるいは米国、韓国といった、出願の後しっかりと審査を行い、他の登録済みの意匠との比較考量して拒絶ができる制度を取っている、そういった審査主義を取っている国々との間で制度の考え方が全く違うわけでございます。
 元々このハーグ協定、ハーグ条約自体は無審査主義の欧州諸国を中心に創設されたシステムでございますので、しっかりと審査した後、意匠登録を拒絶するという審査主義を取っている我が国あるいは米国、韓国にとってなかなか入りにくいといいますか、その意匠登録を拒絶通報するという機会についてのシステムが十分に整備されていない中にございました。そういった中で、こうした審査主義国も入れるように配慮した改正が随時なされてまいりまして、一九九九年、このジュネーブ改正協定が取りまとめられたわけでございます。
 最大の要因、我が国のような審査主義国にとってこのような協定に入ることが難しい要因は何かといいますと、拒絶できる期間がどれぐらい設定されるかというところにあったというふうに承知をしております。
 審査主義国であっても入れるように、当初六か月の間に国際登録の効果を拒絶できる期間が設けられたわけでございますが、しかし、この六か月では、アメリカも日本も韓国も、審査にはかつて九〇年代後半には二年近く我が国も掛かっていたわけでございますので、六か月以上を要している国にとってはなかなか対応が不可能であったということがございました。
 その後、特許庁におきましても、体制拡充強化、また国際社会における審査にも臨めるように語学の研修なども進めてきた結果、現在では平均審査期間六・四か月まで縮小されるに至ったというふうに聞いておりますし、また、今回、日本として入ろうとしておりますこのハーグ条約につきましては、ジュネーブ協定につきましては、締約国が宣言を行うことで最大十二か月まで、一年まで拒絶通報期間が延長できるという内容になっていることを受けて、我が国も入れる状況が整ったというふうに認識をしております。
 既に韓国も締結済みでございますし、またアメリカも加入を検討中というふうに伺っております。
 産業界からも大変高い要望のあるこの意匠の国際登録に関するハーグ条約への加入に今回至ったということは高く評価をしたいというふうに思いますが、そうはいいましても、今後とも引き続き我が国の知財戦略、それからクールジャパンをしっかり推進していくためにも、こうした審査期間の短縮ということは引き続き御尽力いただく必要があるのではないかというふうに思います。
 特許庁におきましては、任期付審査官を、二〇〇四年からでしたでしょうか、そういう制度を設け、これは特許の分野が主だというふうに聞いておりますが、五百人近い任期付審査官を採用されて、全体の審査に要する期間短縮に努めておられるというふうに聞いておりますが、先ほど、同僚委員の御質問に対する回答でもありましたとおり、今でも日本の意匠登録出願件数は三万件を超えているわけでございます、一年間。平たく言いますと一日百件以上の登録があるという中で、今回複数国への出願が可能になることを考えますと、他国からの日本に対する出願も大幅に増えてくることが想定されております。先ほどの御答弁でも六千件から一万二千件ぐらいの増が見込まれるというふうに伺っております。
 しっかり平均審査期間を今後も短縮していくという努力が不可欠であろうかというふうに思っておりますが、まずこの点につきまして、特許庁の考え方を伺いたいというふうに思います。
#54
○政府参考人(羽藤秀雄君) 先ほど、この協定に加入をしますことによって、例えば我が国のような審査国では、どうしましても審査に要する時間が、これが大きなポイントになってまいります。したがって、そういう意味では、これまでも特許庁におきましては、審査に要する期間につきまして、意匠について、今お話ございましたように、出願から最初の審査結果を通知をするまでの期間の短縮化に取り組んでまいっております。
 なお、このことにつきましては今後とも迅速化に努めてまいるととともに、制度、システムの国際化、国際調和に取り組んでまいる、その取組を円滑に進めてまいるためにも審査体制の強化が必要であると、このように基本的に考えております。
 そして、今後、本改正協定への加入によりまして、意匠の審査の過程で、審査官としては、英語の出願書類を理解をし、出願人に対する登録あるいは拒絶といった判断、そしてその結果や根拠につきまして英語で通知する必要が、こういったことが出てまいります。意匠の具体的な審査は主に願書に添付された図面を参照しながら行われまして、英語につきましてはこの図面に示されたデザイン内容の補足的な説明として用いられるということが基本でございますけれども、いずれにいたしましても、英語による出願内容の理解、審査の判断、手続の遂行、こういったことに負担が生じる、このことを円滑に吸収をしていく、そういうことが非常に重要な点であるというふうに考えております。
 現状では、こうした負担につきましては実質的には大きな支障をもたらすものではないというふうには判断しておりますけれども、今後とも審査の体制の強化にはしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
#55
○石川博崇君 今御説明いただきましたとおり、今後海外からの出願が増えてくること、WIPOを通じて日本が指定された場合には、そのWIPOから英語での出願書類が接到して、それに対して対応していただくという必要がございますが、あわせて、日本国内からの出願に当たりましても、自己指定と申しますが、WIPOを通じて日本を自己指定する場合には、WIPOから出願書類が日本に対して英語で接到することになってまいります。そういう意味で、これまでは、日本の企業あるいは個人の方が特許庁に出願する際には日本語で出願をされていたことが、WIPOを通じて自己指定で出願される際には英語で書類が接到するということで、更に語学への体制強化ということを図っていただきたいというふうに思っておりますが、今御答弁いただいたことでよしとしたいと思います。
 今の自己指定に関して申し上げますと、実はこのジュネーブアクトにつきまして、日本は交渉の過程でかつてこの自己指定をしないということができる、日本を含む非英語圏の国はこれを要求をしまして、自国が出願人の締約国である場合には自己指定の効果を有しない旨を通告することができるという規定を挿入することを主張して、この協定の第十四条三項にこれが規定をされているところでございます。
 当時は、日本も非常に審査期間に時間を要していたこと、あるいは英語の出願申請に対する対応体制が十分でなかったということがあり、この条項が盛り込まれたわけでございますが、日本はその後、今ありましたとおり、審査においてまずペーパーレス化を進めていただいたこと、あるいは審査官も英語能力の向上を図っていただいていること等を受けて、仮に日本の企業あるいは日本人の方々が自己指定をする、すなわちWIPOに対して複数登録をして、それで日本も指定をする、当然日本の企業ですから日本に対する指定をするということは十分にあり得るわけでございますが、そうした自己指定をすることについて、日本の主張を受けて禁止できるという規定が挿入されたわけでございますが、この禁止の宣言は十分体制が整っているという観点から行わない方向だというふうに伺っておりますが、済みません、これ、通告していないんですけれども、その方向性で間違いないか、一応確認させていただきたいと思います。
#56
○政府参考人(片上慶一君) お答えを申し上げます。
 今の点については、私どもとして宣言を行わないというふうに考えております。
#57
○石川博崇君 確認させていただきました。
 さらに、今後このジュネーブアクトに日本が入ることによりまして、複数国への国際登録が可能になるわけでございますが、より多くの国に対して登録を行えるようにしていくということを政府としても引き続き御尽力をいただくべきではないかというふうに思っております。
 現在、この意匠国際登録ジュネーブ改正協定に加盟している、締結している国は四十六か国と聞いておりまして、今、アメリカ、カナダ、ロシア、中国などが加入を検討中というふうに伺っております。さらには、日本の非常に深いつながりがございますASEAN諸国といったアジアの国々がこうしたジュネーブアクトに入っていくということも重要ではないかというふうに思いますが、こうした加入検討中の国々などにどのように締結を働きかけていくのか、外務省の御見解をお伺いしたいと思います。
#58
○国務大臣(岸田文雄君) ジュネーブ改正協定ですが、まず、米国は二〇一二年十二月に協定の義務を履行するための国内法改正案に大統領が署名を行ったところです。したがって、まず米国、これは近い将来、協定を締結するものと見ております。また、カナダ、ロシア、中国、こうした国も協定の締結に高い関心を有していると承知をしております。また、ASEAN諸国ですが、ASEAN知財行動計画二〇一一から二〇一五という計画がありますが、これに基づいて二〇一五年までにジュネーブ改正協定への加入を検討するとされております。ASEAN諸国のうちシンガポールそしてブルネイ、これは既に協定を締結しております。
 こうした国々がこのジュネーブ改正協定、締結したならば、その国における我が国企業の権利確立が促進され、その結果、模倣品被害対策にも資する、こういったことが期待されます。是非、政府としましては、今申し上げました国以外においても、我が国の企業が高い関心を示す、こういった場合には、そういった国に対しまして二国間協議の場を含め、是非早期締結、働きかけていきたいと考えております。
#59
○石川博崇君 是非よろしくお願い申し上げます。
 あわせて、意匠の国際分類に関するロカルノ協定についてお伺いをしたいと思います。
 意匠の国際分類ロカルノ協定があり、日本は日本で分類方法を持っているわけでございますが、比較してみますと圧倒的に日本の分類方法の方が緻密にまた詳細に分類がされているというふうに伺っております。
 現在、ロカルノ協定に基づく国際分類は三十二の類、二百十九の小類で構成され、物品のリストとしては七千百五十七の物品が掲載されていると伺っております。これに対しまして我が国で取っている分類方法によれば、その大項目等の仕分の仕方等も違うんでしょうが、十三のグループ、七十七の大分類、三千百九十六の小分類で構成され、物品のリストとしては四万一千五百もの物品が詳細に掲載されているというふうに伺っております。ロカルノ協定では七千強、それに対して日本は四万を超える物品が掲載されていると。段違いに日本が非常に詳細な分類を行っているわけでございます。
 今後、こうしたグローバルな知財戦略を日本が取っていく上で、このロカルノ協定に入っていく最大のメリットといいますか、目的、意義は、こうしたロカルノ協定が掲げている国際分類に日本の分類方法をどのように反映していくのか、あるいは日本の取っている制度というものを各国にも参考にしてもらうことで我が国の分類方法との調和を図って、できれば将来的には国際分類との一本化を目指していく、そのためにもこのロカルノ協定に入って、専門家委員会というところがございますが、ここで積極的に主張し、交渉に臨んでいただくということであろうかというふうに思います。
 我が国としては、今後ロカルノ協定に入ることによって参加できる専門家委員会の国際分類改定交渉にどのような方針で臨んでいくおつもりなのか、確認をさせていただきたいと思います。
#60
○大臣政務官(牧野たかお君) お答えをいたします。
 今、石川委員が御質問の中でおっしゃった御意見というか御提言といいますか、そのものが政府の方針だと思いますが、現在の国際分類は、例えばテレビとかラジオとか携帯電話等が全て一つの小さな分類に含まれるというように非常に分類が粗くて、我が国の企業が権利の調査を行う際に効率的な調査が行えないという不便さがございます。ですから、委員が御指摘されたように、国際分類の改善を目指す専門家委員会の方に日本の委員を出しまして、我が国が行っているような精緻を極めている国内分類のそうしたやり方や、非常に日本がこれまで努力をしてきたそうした分類の仕方を国際分類の中に取り入れていただけるように努力をしていかなければいけないと考えております。
 我が国のこれまで国内で分類を制度として進めてきた実績を踏まえて、これからほかの先進諸国とも協調しつつ、分類の改善をしていきたいというふうに考えております。
#61
○石川博崇君 これは国際社会全体のメリットだというふうに思っております。是非、積極的に関与をし、また日本の立場を反映していただくようお願いを申し上げたいというふうに思います。
 今回、ロカルノ協定を見させていただいて、ちょっと違和感といいますか、御説明を伺っていて感じましたのは、ロカルノ協定第七条には分担金の拠出について規定がなされております。ところが、この分担金については、現時点では、実際の慣例というんでしょうか、ロカルノ協定の運営経費はWIPOの分担金の中から支出をされているというふうに聞いております。
 そうしますと、我が国は、このロカルノ協定、これまで入っていなかったわけでございますが、入っていない我が国であるにもかかわらず、これまでWIPOを通じてロカルノ協定への拠出を行ってきたということになるのではないかということをちょっと疑問に感じたわけでございますが、この辺は一体どのように、今回ロカルノ協定に入るから分担金を拠出するということではなくて、元々入っていなかったにもかかわらずWIPOの加盟国としてロカルノ協定の運営費も負担をしてきたということにちょっと違和感を感じるわけでございますが、その辺の考え方、それから、今後、ロカルノ協定に規定されている分担金の拠出、現時点では新たに負担が必要ということではないというふうに理解をしておりますけれども、どのような場合に拠出が求められることになるのか、御説明をお願い申し上げます。
#62
○政府参考人(片上慶一君) お答え申し上げます。
 一九七〇年に世界知的所有権機関、WIPOが設立され、その任務の一つとしてロカルノ協定を含む知的財産関連条約の管理を行うということになりました。それに伴いまして、それまで条約や協定ごとに管理していた分担金、この管理もWIPOが行うことになり、さらにその後、分担金管理の効率化、そういう観点からWIPOに対する一括分担金制度というものが導入されました。現在では、加盟国は個別の条約や協定別ではなく、WIPOに対する分担金として支払を行っています。この一括分担金の額は、締結している条約の数等に関係なく算定されるという制度でございます。我が国は、既に複数のWIPOが管理する条約や協定を締結しているために、WIPOへの一括分担金をこれまで支払ってきております。したがって、ロカルノ協定締結後も、これまでと同様に一括分担金を支払うことになります。
 協定に基づく分担金が増えるケースがあり得るのかという御指摘でございますが、例えば何らかの事情によりロカルノ協定の管理コストが大幅に増大し、WIPO全体の管理コストの増大につながるような場合には、所定の分担率に基づくWIPOへの一括分担金支払いも増加し、新たな負担が生ずることにもなり得ます。
 また、これはちょっと仮にということになりますけれども、この一括分担金制度が廃止となるような、そういったことがあれば、これは委員御指摘のロカルノ協定第七条の規定に従い、一括分担金制度導入以前のようにロカルノ協定に対する個別の分担金を支払うことになることが考えられると考えております。
#63
○石川博崇君 詳細な御説明ありがとうございました。
 WIPOは手数料収入がございますので、その手数料収入の中からこうした様々な協定への支出を行っている。特に国際分類のような分野というのは収入を得るわけにはいきませんので、そういった意味で妥当な体制といいますか、やり方なんではないかというふうに認識をしております。
 それから、時間も限られておりますが、視聴覚的実演に関する北京条約について何点か確認をさせていただきたいと思います。
 この北京条約、実演家団体の方々からも大変強い御要望があって今回日本として締約することに至ることを高く評価をしたいと思います。
 特に、視聴覚的実演に関するいわゆる著作隣接権でございますが、この保護をめぐっては、特にハリウッドを擁するアメリカ、あるいは映画製作会社など映画産業の力が大変強いアメリカと、それから俳優団体の権利に配慮するEU諸国との間で極めて大きな立場の相違があったというふうに伺っております。
 二〇〇〇年の時点でも、アメリカとそれからEUの出しているそれぞれの草案の差により、特に権利の移転の部分について合意が見られない状況がずっと続いてきたというふうに伺っておりますが、その二〇〇〇年当時見送られた視聴覚的実演に関する条約、今回、EUと米国が合意に至った経緯、それから理由について伺いたいということと、国際社会で大きな対立がある中で我が国が外交努力をいかに発揮してこの交渉取りまとめに当たったのか、お伺いをしたいと思います。
#64
○国務大臣(岸田文雄君) まず、二〇〇〇年の時点におきましては、DVD等の視聴覚的固定物に関しまして、実演家の権利を製作者に集中させることをこの条約上の義務にするか否か、これについて議論が行われました。
 御指摘のように、ハリウッドを始めとする映画産業を背景とする米国と、そしてそれに反対するEU、こうした対立の中で合意が得られなかった、こういった経緯がありました。そしてその後、インターネット上に海賊版被害が急増するという状況の変化があり、これを受けて条約案の検討を再開するということになりました。そして、二〇一二年にこのWIPOの外交会議において北京条約が採択されたということに至ったわけですが、懸案でありました製作者への権利の集中につきましては、第十二条一の規定によりまして、条約上の義務とはせず、各締約国の国内法の規定に委ねる、こういったことで合意をした次第であります。
 こうした合意に至った背景ですが、これは先ほど申し上げました海賊版の被害が急増することによって、米国の映画製作者の間でもこの海賊版対策のために実演家との協力を強化する必要性がある、こういった認識が高まったということがありました。こういったことから、米国が製作者への権利集中の義務化を求める方針を転換した、こういったことがあり、この条約の採択につながったということでありました。
 そして、その間の我が国の貢献ということですが、我が国が二〇〇〇年当時からこの現在の規定に近い内容をこの条約案として示してきました。そして、二〇〇〇年の条約採択が見送られた後も、交渉参加国に対し早期採択の呼びかけを行ってきました。こうした形で、条約の早期採択に向けて積極的な取組を行ってきたというのが我が国の立場であります。
#65
○石川博崇君 アメリカとEUで大きな立場の対立があり、なかなか採択の見込みがない中で、最終的には日本が当初から提案をしていたような案文で両者が折り合ったということは、日本の外交努力の成果の一つとしても是非大きくアピールをする機会があればPRをしていただいてもいいのではないかというふうに思います。
 時間が参りましたので終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#66
○アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば何でもできる、元気があれば物まねもできるということで、いろんなタレントさんが私のまねをしてくれていますが、最近はそのタレントさんの何人かも元気がなくなっちゃって、私の物まねで元気がない猪木をやってもらったら困るなと思っております。
 私が、北朝鮮だけじゃないんですけど、韓国にも何回か招待されて行きまして、その中で、今日の一番の、模倣というか、梨泰院という町があるんですが、そこに案内されたときに、実は、できるだけ目立たぬように顎も引っ込めていたんですが、ちょうどそのタイミングに日本の観光団が来てしまいまして、それに見付かりそうなのでどっかに隠れなきゃいけないなと思って電信柱の陰にと思ったら、電信柱がこんな細いんですね。それで、しようがないからそこで固くなってじっとしていたら、その団体の一人が私を見付けて、おい、さすが梨泰院だ、ここは、見てみろ、あの猪木はよくできているじゃないかという、そんな話がありますが、本当に。
 今日は視聴覚的実演に関する北京条約ということで質問をさせていただきますが、私は長年、格闘あるいはプロレス、そして俳優、いろんなことで世界を回っておりました。それで、その中でいろんな映像もいまだに残っていることがあるんですが、私に関する肖像権、著作権、商標権、いわゆる知的財産について、おかげさまで、ちゃんと割と管理されているのかなと思います。同僚の中には、その所属団体が倒産したり、また管理が不明のケース、権利が守られていない数もあるようです。
 私の場合、ちょうどモハメド・アリと一九七六年に試合をしたときの放送権なんですが、これは世界中に全部配信されました。それで、再放送をしたいんですが、いまだにこの放送の権利者が誰だか分からないということで、私にも多分あるんですが、モハメド・アリ側にもあったり、そういう中で再放送ができないというのが現状です。でも、実際には、海賊版でもういろんなネットや何かでも放送されています。
 そういう中で、知的財産権の侵害についてお聞きをしたいと思います。
 本日議論されている著作隣接権や意匠権など、多くの知的財産は必ずしも海外において適切に保護されておりません。海外に行くと海賊版や模倣品を目にしますが、どのような国で被害が起きているのか、実態についてお聞かせください。
#67
○政府参考人(中尾泰久君) お答え申し上げます。
 我が国の企業の模倣被害の状況につきまして、私ども特許庁が昨年九月から十一月にかけまして日本企業約八千社に対しまして調査を実施いたしました。これによりますと、二〇一二年度の一社当たりの平均被害額が一・九億円、模倣被害総額は一千一億円に上るということでございまして、回答企業の五社に一社がブランドイメージの低下あるいは取引先のトラブルといったような具体的な被害を受けているという状況でございます。
 我が国の企業が被害を受けた国・地域としましては、中国において被害を受けたという企業が六割と一番多うございまして、次いで台湾、韓国、そして総じてアジア地域が多うございます。
 また、模倣被害を受けた権利の中身でございますけれども、商標の被害を受けたという回答が約六割と最も多うございまして、次いで意匠、デザイン、それから特許や実用新案、そして著作物の順ということになってございます。
#68
○アントニオ猪木君 次に、音楽著作権についてお聞きいたします。
 現在、我が国で音楽著作権の保護期間が五十年となっていますが、私は従来からこれを七十年に延長すべきと主張してきました。権利者側である日本音楽著作権協会や作曲家あるいは作詞家の皆さんも延長を強く望んでいると聞いております。レコード会社や放送局なども受け入れる用意があると聞いています。この問題に対して、TPP交渉においても、米国を始め多くの加盟予定国からも同様の要望があると聞いています。
 日本政府は早急に決断すべきと考えますが、御見解をお願いします。
#69
○政府参考人(作花文雄君) お答え申し上げます。
 著作権の保護期間につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、我が国において多くの権利者団体より、かねてより国際的な制度の調和の観点などからこれを延長すべきとの強い要望がなされてきているところでございます。
 他方、保護期間の延長によって自由利用が可能となる時期が遅くなり、自由に利用できる著作物を活用した事業の障害になる等の理由から、慎重に議論すべきと、そういう意見もございます。
 この著作権の保護期間の延長につきましては、文化審議会著作権分科会におきまして平成十九年から二十一年まで検討が行われましたが、賛否両論の意見が対立し、最終的な結論には至らなかったというところでございます。
 著作権制度の整備におきましては、著作者の権利の適切な保護と著作物の円滑な利用の調和を図ることが基本的に重要でございます。この著作権の保護期間の延長に関する問題につきましては、国内における様々な御意見や国際的な諸状況を踏まえつつ、総合的に判断することが求められる課題と認識しております。
#70
○アントニオ猪木君 今、連日、大変新聞も、あるいはテレビでも報道されておりますが、集団的自衛権について今日はお聞きをしたいと思いますが、先日、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告書が発表されました。この中で、憲法九条を巡る憲法解釈は、国際情勢の変化の中で戦後一貫していたわけではないことが詳しく書かれています。
 確かに、日本国憲法は改正のハードルが高過ぎるため、歴代政権が憲法解釈を変えることで国際社会の現実に向き合ってきたのは一定の理解をすることであります。
 そこで、政府にお伺いします。
 これまで個別的自衛権と集団的自衛権を明確に切り分け、個別的自衛権のみが憲法上許容されるとしてきた根拠は一体どのようなものであったか、お伺いいたします。
#71
○政府特別補佐人(横畠裕介君) お答えいたします。
 これまでの憲法第九条に関する政府の見解は、一つ、憲法第九条は、その文言からすると国際関係における武力の行使を一切禁じているように見えるが、二つ目ですが、憲法前文で確認している国民の平和的生存権や、第十三条が生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、三つ目、結論ですが、憲法第九条が、我が国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることまでをも禁じているものとは解されず、いわゆる自衛権発動の三要件、すなわち、一つ、我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち我が国に対する武力攻撃が発生したこと、二、この場合に、これを排除するために他の適当な手段がないこと、三、必要最小限度の実力行使にとどまるべきことを満たす場合に武力を行使することは例外的に認められていると解しております。
 このような武力の行使は、国際法上、個別的自衛権の行使に当たるものであり、他方、集団的自衛権は、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにかかわらず実力をもって阻止することが正当化される権利であり、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とするものであるため、そのような武力の行使は憲法上許されないと解してきているところでございます。
#72
○アントニオ猪木君 次に、海上警察の在り方についてお聞きをしたいと思います。
 今朝のテレビでも報道されていたとおり、韓国が海上警察の解体というニュースが流れております。そんな中で、先日の中国船がベトナム船に衝突したのをきっかけに、ベトナムでは大きな抗議デモが起こり、両国間の交流が停止する事態に発展しています。過去、我が国においても同様の事態も起こり、決して他人事ではありません。
 このような事態を未然に防ぐためにどのような備えが必要となってくるでしょうか。アジア諸国と海上警察の連携のみならず、統一された海上警察の創設などを検討すべきではないかと考えますが、見解をお聞かせください。
#73
○政府参考人(岸本邦夫君) 海上警察におけるいわゆる国家を超えるような超国家的な取組は、国際刑事警察機構、いわゆるインターポールでございます、による国際的な犯罪情報の収集、交換やアジア海賊対策地域協力協定に基づく情報共有センターによる海賊情報の共有といったレベルで行われておりますが、御指摘のように、主権国家が有する海上警察権を多国間で一元化するためには、法執行の根拠である各国国内法の統一が図られるとともに、各国が海上警察権を委ねるに足る機関の存在が必要であるなど、その課題は少なくないものと認識しております。
 海上保安庁としては、アジア各国の要請に基づき、これまでも、海上保安機関の創設や犯罪取締り、海難救助などの海上保安業務の能力向上といった現場レベルの協力支援を行い、アジア各国の海上保安機関との間で連携を深めております。
 また、マラッカ・シンガポール海峡付近における海賊事案が多発したことに伴いまして、各国の緊密な意思疎通に基づく共同対処の重要性が高まりました二〇〇〇年代以降には、中国、ベトナムを含むアジア十八か国・一地域の海上保安機関のトップが一堂に会するアジア海上保安機関長官級会合の開催でございますとか、あるいは巡視船、航空機を派遣した連携訓練を毎年実施するなどにより、信頼関係に基づく緊密な関係を築いております。
 こうした取組を通じて、アジア各国の海上保安機関との連携、相互信頼関係を一層深めていくことが大切であると考えております。
#74
○アントニオ猪木君 是非、その信頼関係の構築のために頑張ってもらいたいと思いますが。
 次に、スポーツ外交について見解をお聞きします。
 昨日、この夏に開催される北朝鮮でスポーツイベントが発表されました。私が一九九五年に、平和の祭典という名称で北朝鮮でプロレスの武技の演武を行って以来、実に二十年ぶりの開催、これを機会に日朝間の雪解けに結び付けばと願っております。私はこれまで世界各国でスポーツ外交を行ってきました。かつて、イラク平和の祭典、あるいは湾岸戦争の人質の解放の実現につながったり、また、ブラジルではジャングルファイトという名称で総合格闘技の大会、開催しながら、アマゾンの森林を守る、環境問題。そういう意味で、スポーツ外交は相手国の国民に直接日本に対して良い印象を持ってもらうことができるため、非常に大切だと思います。
 二〇二〇年に東京オリンピックが開催されますが、日本政府は外交戦略としてスポーツ外交や武道外交をこれまで以上に活用すべきだと思いますが、見解をお聞かせください。
#75
○国務大臣(岸田文雄君) まず、スポーツや武術の力を外交強化につなげていく、こうした取組は大変重要だと認識をしております。その観点から、現在、我が国としましては、スポーツ・フォー・トゥモローというプログラムを推進しております。指導者の派遣、施設の整備、機材の供与等を通じまして、二〇二〇年までに百か国以上、一千万人以上を対象にスポーツの価値とオリンピックムーブメントを広げていく、こうしたものを目指している次第です。
 外務省としましても、本年二月に、私、外務大臣の下にスポーツ外交強化に関する有識者懇談会、こういった懇談会を立ち上げて議論をお願いしているところであります。今後とも、積極的にスポーツ外交を推進していきたいと考えてはおります。
 ただ、北朝鮮ということに関しましては、今、我が国としましては、対話と圧力の下に、ミサイル開発、核開発あるいは拉致問題、こうした諸懸案を包括的に解決するべく努力をしております。昨日も、五月二十六日から第三回の日朝政府間協議を開催することを明らかにしたところであります。
 こういった取組を行っている中でありますので、対北朝鮮措置として我が国からの北朝鮮への渡航の自粛を要請しているところであります。北朝鮮とのスポーツ等を通じた交流については、これを踏まえた上で対応されるべきであると考えております。
#76
○アントニオ猪木君 昨日、北朝鮮の方から報道が流れました。NHK、朝日、読売、毎日、日経、そして共同、時事と、あるいは外国では、ウォール・ストリート・ジャーナル、新華社、ロシア放送がこの報道をしてくれていますが、その中で、スポーツを通じての外交ということで、この大会に対して猪木氏は対話の重要性を力説、対話の糸口にという一部記事が書かれておりますが、そういう中で、是非、今大臣が言われた、私としては、生涯これは続けていこうと思っております。
 次に、スポーツ省の創設ということについてお聞きをいたします。
 私は、参議院の一期目にスポーツ省の創設を提案しました。このとき、総理のお父さんであります安倍晋太郎先生からも、この話をしたときに、是非それは、猪木さん、言い続けてくださいというお話をいただきました。世界のスポーツ大国と言われる多くの国では、政府が選手に手厚く支援しています。スポーツの活性化のためにスポーツ省を設置している国も多数あります。
 この度、日本においても、東京オリンピックに備え、文科省の外局にスポーツ庁の設立を決めましたが、私は、もう一歩踏み込んで、スポーツ省を設立する、スポーツ予算を大幅に確保すべきだと思いますが、見解をお願いします。
#77
○政府参考人(久保公人君) まず、スポーツ予算の確保につきましては、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの東京大会が決定したことを受けまして、施設整備、国際競技力の向上あるいはオリンピズム推進のために、様々な工夫をしながら予算の充実に向けて我々一生懸命頑張っていきたいと思っておりますけれども、そのための組織の在り方につきまして、現在、超党派のスポーツ議連、それから文科省の中でもスポーツ庁に向けての検討をいたしているところでございます。
 この検討の枠組みにつきましては、スポーツ基本法が平成二十三年に成立いたしまして、この附則の中で、スポーツ庁の在り方については、「政府の行政改革の基本方針との整合性に配慮して検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」ということがうたわれまして、それを受けまして、平成二十四年十二月の安倍内閣組閣時の総理からの指示書の中でも、スポーツ庁の創設も含めた諸施策の推進が示されているところでございまして、現時点は、そういう意味での国会の意思を受けまして我々として検討しているところでございます。
 その枠組みは、そういう意味でスポーツ庁という枠組みではございますけれども、我々としましても、それが予算の増額につながり、それからスポーツの振興に最もふさわしいものになるような観点からの検討を続けていきたいと考えているところでございます。
#78
○アントニオ猪木君 次に、海外における日本武道の保護ということについてお聞きします。
 日本には固有の武道が多く存在しています。しかし、残念ながら、先ほど議論した知的財産権の侵害と同様の出来事が武道を始めとする日本文化に対して広範囲にわたって行われています。剣道あるいは空手道、合気道、日本固有の文化に対する、韓国が模倣していると聞いています。どのような状況かお聞きしたいんですが、また、我が国がこれらの対応についてどのように考えているか、お聞かせいただきたいと思います。
#79
○政府参考人(久保公人君) 御指摘の武道関係の発祥などをめぐりましては、韓国の一部の関係者の方から韓国が発祥である旨主張されていることは報道等で承知しております。ただ、これまで政府や競技団体などから直接韓国政府や関係団体等からの抗議を受けるなどの事案は今のところ発生していない状況でございます。
 武道の発祥等は極めて古うございますので、その起源を遡ると、それぞれ極めて歴史的な経緯がございまして、諸説あるケースもございます。したがいまして、これらにつきましてどの説が正しいかというのを政府が介入し過ぎますとオリンピック憲章に違反するという可能性もございますので、本件につきましては、各競技団体においてまず必要に応じて適切に主張、対応されていくことが適切じゃないかと考えておりまして、競技団体からいろいろその後要請等あれば、政府としても何ができるかというのをその段階で考えていきたいというように考えております。
#80
○アントニオ猪木君 次に、海外における日本武道の普及ということについてお聞きしたいんですが、私もブラジルに移民したときに、兄が空手をやっておりましたので、兄から手ほどきを受けたこともありますが、また、今、テコンドーがオリンピックの競技にもなりました。元々は空手から始まった、そういうものが、逆に言えば、これは非常にワシントンにおける外交のうまさというか、その辺が非常に日本がある意味で見習わなきゃいけない気がします。
 そういう中で、今いろんな、韓国政府が手厚いそういうスポーツに対する、あるいは武道に対するものに支援をして、非常に、オリンピックに競技としてなるような、まあ本当に根回しがうまいなという気がいたします。日本としても、これからオリンピックもありますから、その辺に向けて発想の転換も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#81
○政府参考人(久保公人君) 韓国は、一九八八年に自国のソウル・オリンピックを契機にテコンドーを公開種目とされて、その後、二〇〇〇年のシドニー・オリンピックから正式種目とするなど、その世界的な普及に成功してきておられるところでございます。
 文部科学省といたしましても、様々な交流に向けての事業に対する補助等、武道関係に対する支援を行ってまいってきておるところでございますけれども、今先生御指摘のように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を一つの契機といたしまして、韓国の取組も研究しながら、国際機関等への役員派遣も含め、日本武道の普及に一層努めてまいりたいと考えております。
#82
○アントニオ猪木君 先日、かつての相撲業界におりました旭鷲山、訪ねてくれました。今、彼も政界では相当力を持ったり、大統領の補佐官もやっているということで、いろんな話も聞かせてもらいました。彼が今の横綱三人を全部スカウトしたという話も聞いてびっくりしましたが、そのようなスポーツ交流ということについて、時間も来ましたのでもうお答えは結構ですけれども、これから我々はスポーツを通じての世界平和というテーマで頑張っていきたいと思います。
 今日はありがとうございました。
#83
○松沢成文君 みんなの党の松沢成文でございます。
 岸田大臣とはもう十年以上も前、衆議院の時代にはいろんなところで御一緒したことがございますが、今回参議院に復帰してきまして、参議院の外交防衛委員会で初めて大臣に質問させていただきたいと思います。
 二つの協定と後段は国際情勢について、併せて質問をさせていただきます。
 まず初めに、意匠国際登録ジュネーブ改定協定について質問をいたしますが、本改正協定における拒絶通報期間が最大十二か月まで延長されたということで、我が国のような審査主義国が参加しやすくなったというふうに理解をしております。この国際事務局、WIPOを通じて、一回の国際出願手続で複数国への出願が可能となることによって、出願人の費用負担が削減されるのは大いに結構なことだと思います。
 しかし、そもそもこの意匠制度について、世界的には、日本、アメリカ、韓国のように、出願を受けてから当局が審査を行った後に権利が登録をされ権利行使が可能となるいわゆる審査国と、あと欧州や中国のように、無審査で登録をされて権利侵害などの紛争が発生したときに初めて権利の有効性判断が行われる無審査国、この二つに分かれてしまっているところに国際出願が抱えている本質的な難しさがあるんだろうと考えています。
 我が国が採用しているこの審査制というのは、出願審査に時間と行政コストが掛かるというデメリットはありますけれども、出願人が安定的な権利を有することができるという大きなメリットを持っているわけです。したがって、我が国と同様の審査主義国が増えることは、安定した国際ビジネスを展開する上で国内事業者に利益をもたらすのではないかと思います。
 そこで、今後この審査制を採用する国を増やしていくための日本政府としての取組方針について、まず大臣の所見を伺いたいと思います。
#84
○国務大臣(岸田文雄君) 今御指摘のように、意匠の出願の審査を行うことは出願人にとって法的に安定性のある権利の取得が可能になります。また、疑義のある権利を主張する者との無用な係争を回避することもできます。こういったことによって、意匠出願の審査、これは企業活動の安定に寄与するものだと考えております。こういった観点から、我が国としましては、これまでも審査制度の普及を進める取組を行っておりますし、今後も取組を進めていきたいと考えております。
 具体的な取組としては、例えば我が国の関係企業、団体の集まりであります国際知的財産保護フォーラムというものがありますが、このフォーラムが中国の関係当局と行った会合、こういった会合を例として挙げることができると思いますが、この会合におきまして、中国の審査制度導入について我が国産業界からの要望を官民双方から伝えるなど、働きかけを行ったところです。
 また、中国、さらにはインドネシア、こういった無審査国に対しては我が国の意匠制度についての研修を既に実施しておりますし、また、審査国であります米国、韓国との間で審査実務に関する審査官協議を毎年行っており、この協議内容を無審査国であるEUあるいは中国に対して情報提供を行っている、こういった取組を行っております。
 是非、こういった取組を続けることによりまして、この審査制度の普及、引き続き努力をしていきたいと考えております。
#85
○松沢成文君 模倣品による経済的な被害というのは甚大なわけですね。是非、これから同じく協定の締結に向けて準備を進めているアメリカなどのほかの審査主義国とも連携をして、審査制を採用する国を増やしていく取組を戦略的に進めていただきたいと思います。
 続いて、意匠国際分類ロカルノ協定についてお聞きします。
 複数国への出願の増加による国際的な分類の必要性というのは異議のないところであります。また、我が国がそうした基準作りを行う専門委員会に正式メンバーとして参加することが可能となるということもメリットが大きいと思います。
 現在の国際分類では、三十二の類と二百十九の小類、七千百五十七の物品リストが掲載されているところでありますが、一方、日本の意匠分類では、十三のグループ、七十七の大分類、三千百九十六の小分類で構成され、物品リストについては何と四万一千五百の物品が掲載されておりまして、この差というのは極めて大きいわけであります。本協定を締結した場合に、今後、専門家委員会において我が国の意見を反映した国際分類の改定を目指していくということだと思います。
 そこで、各国の独自文化による製品には多種多様なものがあり、そこではとてつもない調整作業になってくるだろうと思います。そもそも、現在の国際分類を決める際に、何らのルール、基準はなく、各国が各々登録したい物品を提出し、それを一つずつ議論をしているのが現状だと聞いております。
 そこで、各国の物品リストをにらみながら国際的な分類を整理していくに当たっては、まずは分類のためのルールを策定していくことから始めるのが有効ではないではないかと考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。
#86
○政府参考人(片上慶一君) お答え申し上げます。
 意匠の国際分類ロカルノ協定に基づいて設置された、委員御指摘のとおり専門家委員会において随時改定作業が行われております。我が国の意見をこの国際分類の改定作業に反映させていく、これは非常に重要であり、国際的に事業展開する我が国企業にとっても有益なものであると考えております。
 御指摘のとおり、現在の国際分類は非常に粗く、我が国企業が権利調査を行う際、効率的な調査を行えない、そういった不便がございます。
 このような点を改善すべく、近年、ロカルノ協定の専門家委員会の下に作業部会、これが設置されまして、その場において、委員より御指摘のありました分類の細分化の必要性や分類の定義、この策定、こういったものについての議論が行われてきているところでございます。我が国国内分類の精緻化を始め、均質な分類付与を達成するための分類の定義の策定、こういった出願人や審査官による効率的な調査を可能とするための分類改正を行ってきた実績があります。
 我が国としては、他の先進諸国とも協調しつつ、我が国の分類改善の経験を共有し、出願人にとってより使いやすい分類になるように専門家委員会や作業部会で積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#87
○松沢成文君 日本のように項目を細分化するということが出願人や審査庁の検索の手間を省く、つまりは効率化につながるということは、世界的に共通の認識だというふうに思います。
 協定締結によって正式メンバーとなった際には、是非ともこうした分類細分化のためのルール作りからまずリーダーシップを発揮してもらいたいと要望をしておきます。
 さて、後段は国際情勢について幾つか伺っていきたいと思うんですが、先ほども議論に出ました中国の南シナ海への進出がかなり顕著になってきております。
 オバマ大統領が四か国歴訪で、日本、韓国、マレーシア、フィリピンですか、こう歴訪して、私は様々な成果を上げたと思います。アメリカのリバランスですね、アジア太平洋重視の政策の一つの表明になったのではないかというふうに思っています。
 その直後に中国は南シナ海の実効支配を歴史上着々と進めてきたわけですが、例えば西沙、パラセルに石油の開削施設をどんと造る、その準備を始めたり、あるいは南沙の方でも、実効支配はしておりますけれども、そこに砂を集めて、滑走路、空港を造るような工事を始めたり、周辺諸国にとっては非常に危機感をあおるような行動に出てきているわけですね。一方、我が日本国は近隣に東シナ海を抱えて、ここには尖閣列島の問題があるわけですね。
 こうした中国の最近のかなり激しい南シナ海の海洋進出が東シナ海の海洋進出にも与える影響について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
#88
○国務大臣(岸田文雄君) まず、南シナ海における中国の積極的な海洋進出につきましては、これは、南シナ海の関係国、中国やベトナムのみならず、これは我が国を含む地域や国際社会共通の懸念事項であるとまず受け止めています。
 そして、中国の海洋進出につきましては、従来からその背景要因としまして、海洋権益ですとか、あるいは領土や領海の防衛、あるいはシーレーンに関する関心の高まり、こういった様々な要因があると指摘をされています。ですので、我が国としましては、東シナ海の状況も念頭に置きながら南シナ海の状況について注視をしていきたいと考えております。
 今後の動向については予断することはできませんが、しかし、いずれにしましても、こうした状況を注視しながら、我が国としましては、東シナ海の状況あるいは尖閣諸島に関しまして、現状、中国公船が度々領海侵入を繰り返していること、極めて遺憾であると認識をしておりますし、我が国としましては、領海、領空、そして領土、これは断固として守り抜く、こうした方針の下に、関係省庁とも連携しながら、冷静に、なおかつ毅然とした態度でしっかりと対処していきたいと考えております。
#89
○松沢成文君 中国の南シナ海あるいは東シナ海における海洋あるいは空の進出も含めて、最も問題なのは国際法を守っていないということなんですね。南シナ海においては、訳の分からない九段線というのを自分たちで引いてしまって、その中は排他的経済水域というよりも、もう領海のような扱いをして、この中で漁業をやるには中国に申請しろですとかいろんなことを言ってきているわけです。一方、東シナ海でも、空の分野では勝手に防空識別圏をつくられてしまって、この中を通過する場合は通報せよみたいなことを言ってきているわけですね。こうやって国際法を無視して傍若無人に振る舞う中国、こういう国の実態があるわけなんです。
 この中国に、今後日本は、外交面、あるいは安全保障というか軍事面、あるいはまた経済外交という部分もありますよね、こういう面においてどのように大臣として付き合って、そしてこういう傍若無人の中国の進出に対応しようとしているのか、その辺りをお聞かせください。
#90
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘のように、海洋あるいは空、これは国際社会の公共財であります。
 紛争を平和的に解決する、さらには航行の自由等を守る、あるいは国連海洋法条約を始めとする国際的な取決めを守る、こうした関連国際法の諸原則を守っていくということの重要性、これは地域及び国際社会でしっかり共有することが重要だと認識をしています。是非、中国に対しても、国際社会として今申し上げたような考え方の重要性をしっかりとしたメッセージとして伝えていくこと、これがまず重要だと認識をしております。
 我が国としましても、例えば海洋の問題につきましては、昨年十二月の日・ASEAN特別首脳会談が開催されました。また、先月は、委員も御指摘になられました日米首脳会談が開催をされました。その際に、このASEAN諸国あるいは米国との間で、国際法に基づく国際秩序の維持の重要性、そして紛争の平和解決、そして自制的行為の重要性、こういったことをこの会議の場を通じまして共有をしたところであります。
 是非、こうした認識をしっかり共有し、そして中国にしっかりとしたメッセージを発するということを通じまして、中国が国際的な規範を遵守、共有しながら、地域あるいはグローバルな課題に対して、より建設的かつ協調的な役割を果たすよう促していく、こういった国際的な雰囲気や取組を進めていくことが重要であると認識をしています。是非、日本としましても、こうしたメッセージの発出ですとか国際的な雰囲気をつくっていくために積極的に努力をしていきたいと考えます。
#91
○松沢成文君 私は、以前から、アジア太平洋地域においてもいよいよ多国間の安全保障体制を考えていかなければいけない、そういう状況になってきているんじゃないかというふうに思っております。
 多国間安保のある意味で先例というか成功例はヨーロッパにあるわけでありまして、ヨーロッパ、これ、NATOはかなり軍事同盟でありますから常設軍も置いているので、一挙にここまではなかなか難しいと思います。ただ、ヨーロッパで、OSCE、欧州安全保障協力機構ですか、ここは単なる戦略対話をするだけじゃなくて、もう一歩進んで、安全保障を中心に、外交あるいは経済、環境あるいは人権、こういった問題をヨーロッパの諸国だけじゃなくて周辺諸国も含めて一つの協定として機構をつくっているわけですね。私は、今回のウクライナの件についても、このOSCEの出番はかなりあったわけです。
 一方、アジアでは、やはりアメリカとの二国間安保が中心です。日米、日韓、日比、あるいはANZUSですね、こういった形で二国間で安全保障体制をつくっている。でも、アメリカの重心はそこにあるわけですね。
 私は、中国をオミットしなくていいと思うんです。中国も含めて、含めてですね、アジアの特に海洋ですよね、海洋の安全航行とか、こうしたシーレーンも抱えていますので、安全な海、あるいは漁業というのもあるでしょう。それから、法の秩序の維持、あるいは領土の保全、こういったことを目的に、アジア太平洋で、もちろんアメリカにも中国にもみんな誘いかけて、ASEANの国々にも誘いかけて、新たな安全保障の対話をしっかりできる、そういう条約のようなものを目指していくべきじゃないか、そして、日本こそ平和を目指す国家としてその外交的なイニシアチブを取っていくべきじゃないかというふうに思っています。
 この構想に関する見解と、あと、もしそういう多国的安保の体制をつくるとしたら、様々な説得力を持つためにも日本は集団的自衛権をきちっと認めていかないと、シーレーンの防衛にしたって、もしみんなで共同対処をしようと思ったらそこに入れないわけですね。アジアの多国間安全保障体制をつくっていく上での集団的自衛権をきちっと認めるということに対しての大臣の見解、この二つを最後にお伺いしたいと思います。
#92
○国務大臣(岸田文雄君) まず、NATO、それからOSCE、こうした多国間の安全保障に関する取組について例を挙げていただきました。
 御指摘のように、そういった先例が存在するわけですが、アジア太平洋地域の現状を見ますと、例えば欧州との比較を考えましても、域内の各国の発展段階が極めて多様であります。また、そもそも政治経済体制が異なる国が存在いたします。さらには、各国の安全保障観も様々という現実も存在いたします。こういったアジアの状況を考えますと、たちまちNATOのような安全保障体制を少なくとも現時点でつくることはなかなか難しいのではないかと認識をしています。
 ですから、アジアにおいては、御指摘ありました日米同盟も存在いたしますが、それ以外にも、例えばアジア・サミット、EASですとかASEAN地域フォーラム、ARF、様々な対話の取組があります。こうしたものをまずはしっかりと整備をして、これを重層的に活用することによって、このアジア太平洋地域の安全保障ですとかさらには経済の発展ですとか、こういったものを考えていく、これがまずはアジアにおいては現実的な取組ではないかと考えます。そういったものが整備をされ、そのアジア太平洋地域の平和や安定や繁栄が実感できる、こういった成果をしっかりと確認しながら、更にまた議論を進めることによって御指摘のような大きな枠組みもまた考えられるような状況も出てくるんではないか、こういったことでアジア太平洋地域の安全保障を中心とする枠組みを考えるべきではないか、まず基本的にそう思います。
 そして、集団的自衛権について、それとの関係においてどう考えるかという御指摘がありました。
 政府にとって、国民の生命、暮らしを守るためにあらゆる努力を払う、これは大変重要な責務だと考えています。我が国の安全保障環境、大変厳しいものがあり、この中にあって、我が国としては、積極的平和主義に基づいてしっかり国際貢献をまずしなければならないと思いますが、併せてあらゆる事態に備えるべく法整備を行わなければならない。そういったことで集団的自衛権を始めとする法整備について今議論を行っているわけでありますが、その議論をする際に、やはり関係各国との協力強化という観点からも隙のない体制をつくらなければならない、こういった観点もこの議論の中においてしっかり念頭に置きながら議論を進めていくべきではないか、このように思っています。
 議論はまだこれから続けられることになるわけでありますが、是非そういった観点から議論を進める、何よりも、こういったことについて国民の皆さんにしっかり御理解いただけるように丁寧な議論を進めていきたいと考えております。
#93
○松沢成文君 時間ですので、以上で。ありがとうございました。
#94
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 意匠国際登録ジュネーブ改正協定についてお聞きいたします。
 複数国出願によるコストの削減や我が国意匠の国際的周知、保護の促進、国際競争力の強化などが意義に挙げられておりますが、それを踏まえつつ、特に中小企業支援を中心にお聞きしたいと思います。
 まず、特許庁にお聞きしますが、この意匠の出願件数それから出願者数、それぞれについて、大企業と中小企業の割合はどうなっているでしょうか。
#95
○政府参考人(中尾泰久君) お答えを申し上げます。
 二〇一三年の意匠出願件数でございますけれども、大企業は約九百六十社で約一万五千件、中小企業は約三千社で九千四百件、そのほか国、自治体、個人等からの出願がございます。これを全体の中の割合で見ますと、出願の件数ということにつきましては、大企業の割合が約五六%、中小企業の割合が約三六%でございます。また、出願された方の数、出願者の数におきましては、大企業が約一八%、中小企業が約五七%となっております。
#96
○井上哲士君 特に、やはり出願者数でいいますと中小企業の方が非常に多くなってまいります。日本の中小企業は非常にデザインでいいますと世界にも通用する力を持っていますし、地方都市にもそういう有力な企業があるわけですね。一方、人的体制も資金力も弱いし、地方だからこそのいろんな困難もあります。各地の商工会議所からこういう知的財産の海外出願支援策、一層強化してほしいということも要望を出されておりますが、この点での必要性についてまず特許庁の御認識をお聞きしたいと思います。
#97
○政府参考人(中尾泰久君) お答えを申し上げます。
 高い技術力、デザイン力を持っておりまして質の高い物づくりを行っている中小企業にとりまして、このデザインを適切に意匠として保護し、活用していただくということが競争力を高める上で非常に重要であると認識してございます。しかしながら、意匠の出願状況を見ましても、中小企業が意匠制度を更に御活用いただいてその競争力を高めるという余地はあるというふうに認識をしておりまして、したがいまして、委員御指摘のとおり、中小企業に対する支援が何よりも重要でございます。
 こういう認識の下、特許庁では都道府県ごとに中小企業の多様な知的財産に関する課題をワンストップで解決させていただくということで、知財総合支援窓口という相談センターを全国五十七か所に設置してございます。この窓口におきまして、中小企業のデザイン、意匠に関する出願の相談などの支援を行いますとともに、デザイナーですとかあるいは弁理士といった方々から、デザイン、意匠の専門家として中小企業に派遣していただくということをやっていただきまして、中小企業のデザイン戦略の構築そして実行ということを支援してまいります。平成二十五年度には、デザイン、意匠につきましてこの窓口で約二万五千件の相談を受け付けたところでございます。
 中小企業におきますそのデザイン、意匠の適切な保護、活用というのは大変重要な課題でございますので、引き続きこのような支援に取り組んでまいります。
#98
○井上哲士君 是非もっと強化してほしいんですが。
 本協定への加入で複数国への出願が可能になりますけれども、併せて中小企業から要望が強かったのが、複数意匠一出願制度の導入でありました。これまで日本は一意匠一出願制度となっておりますけれども、この改正協定では最大百意匠まで一つの国際出願に含めるということを認めております。特許庁が行った企業アンケートでも、この複数意匠一出願制度、五八%がメリットと答えて、国内でもその導入のニーズがあると答えたのが四一%に上っております。
 そこで、外務大臣にお聞きするわけでありますが、一方、我が国はこの改正協定の第十三条に基づいて一意匠一出願の原則を遵守する旨の宣言をするということになっております。こうしますと、せっかくのこの複数意匠一出願制度のメリットを享受できないんじゃないかと、こう思うわけでありますが、なぜこういう宣言をするんでしょうか。
#99
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国のこの意匠法を見ますと、第七条に意匠ごとに出願をしなければならないとする規定があります。この一意匠一出願の原則ですが、出願の対象を単一にしてその内容を明確に把握することによって、効率的で迅速な審査を可能とし、そして意匠権の効力範囲を明確にする、こういったことを目指すものであります。
 この意義につきましては、このジュネーブ改正協定を締結し、国際出願制度を導入した後も基本的には変わらないため、国内の意匠出願の原則として意匠法第七条、これは引き続き維持することとしております。
 このことを踏まえて、我が国は改定協定第十三条一の規定に従い、我が国の法令が、我が国が締約国となるときにおいて独立かつ別個の意匠のみを単一の出願において請求することができることを要求している旨の宣言を行う予定にしております。
 しかしながら、この改正協定第五条四の規定によりまして、国際出願には二つ以上の意匠を含めることができるため、一意匠一出願を完全に貫く場合、複数の意匠を含む国際出願は逐一拒絶しなくてはならなくなります。これは、国際出願を行う者の利便を著しく損なうおそれがあり、望ましくないと考えております。このため、今次国会で成立した意匠法の改正によって新設した同法第六十条の六第二項において、ジュネーブ改正協定に基づく国際出願に含まれる複数の意匠をそれぞれ一件の意匠登録出願とみなすこととし、国際出願に限り複数の意匠を含むものにも対応できるものといたしました。
 したがって、我が国は国際協定第十三条に基づく宣言を行う予定ではありますが、出願人が国際出願に複数の意匠を含めて日本を出願先に指定したとしても、そのことのみをもって拒絶することはないと考えています。それらの意匠はそれぞれ一件の意匠登録出願とみなされ審査の対象となるので、我が国への国際出願を行う出願人は実質的には一つの出願で複数の意匠の出願を受けることができると考えております。
#100
○井上哲士君 日本を対象にした国際出願をすれば実質的にはできると、こういうことでありますが、そういう点では一歩前進なんでしょうが、ただ、結局、複数意匠を一意匠ずつ別の出願とみなして受理をするということになりますから、登録手数料は一意匠ごとに掛かるわけですね。そうしますと、この複数意匠一出願をすることのメリットというのはほとんどが失われるのではないかなと、こう思います。
 複数意匠を一つの出願に含む場合に、二意匠目以降については、出願、登録、更新に関わる費用を一意匠目よりも割安に設定するという国も少なくないと聞いておるわけでありますが、これを機にこういうことも導入すべきかと思いますが、いかがでしょうか。
#101
○政府参考人(中尾泰久君) ただいま委員御指摘ございましたとおり、例えばドイツとかフランスにおきましては、複数の意匠が一つの書類で出願される、今御説明ございました複数意匠一出願の場合には、二意匠目以降の出願手数料が減額される仕組みというのがございます。これは、これらの国々が意匠権の登録に当たりまして意匠の新規性あるいは創作性といった実体面での審査を行っていないものですから、一回の書類で複数の意匠をその中に出すということでありましても、各々の意匠に係ります追加的なコストが小さいということなどによるものと考えております。
 他方、私ども日本におきましては、権利関係の早期確定を図るという観点から、アメリカなどと同様に出願の新規性ですとかあるいは創作性といった実体要件を審査した後に意匠権の登録を行うといういわゆる審査主義制度を採用してございます。したがいまして、たとえ同一の出願書類に記載されておりましても、二意匠目、三意匠目については、それぞれについて一意匠目と同等の審査コストが生ずることとなりますので、このような個別意匠ごとの審査負担ということを踏まえて手数料額を設定させていただいたものでございます。
 なお、今回、複数国への一括出願が可能になるということでございますので、出願の時点におきます代理人への依頼は一回で済むことになりまして、出願される方の時間的、金銭的な御負担は大幅に軽減されるということが期待されていると考えております。
#102
○井上哲士君 そういう御説明ではありますが、私は、より支援をするということをお考えいただきたいなと思っております。
 こういう外国出願に掛かる費用の半額を補助する中小企業外国出願支援事業というものがありますが、現行制度は、外国特許庁への出願料から代理人費用、翻訳費などが補助対象とされておりますが、今回、この条約でいきますと、外国特許庁ではなくてWIPOに出すことになりますが、こういう改正協定に基づく国際意匠出願もこの制度が適用されるということでよろしいでしょうか。
#103
○政府参考人(中尾泰久君) 御指摘のございました中小企業外国出願支援事業でございますけれども、我が国中小企業の戦略的な外国出願を促進し、グローバルな事業活動の円滑化を図るということで、特許、商標、そして意匠に関しましても外国出願に係る費用の半額を助成するという仕組みでございまして、本年度の予算で四・六億円が計上されてございます。
 デザインは我が国企業の競争力の源泉として非常に重要であるということでございますから、我が国の中小企業がこのジュネーブ改正協定を利用して海外の複数国に国際意匠出願を行うということを是非支援したいという観点から、私ども、本協定を利用した国際意匠出願費用につきましても本助成事業の対象とする方向で検討してまいりたいと考えております。その際には、一括出願の指定国に日本が含まれているかどうかという御議論ございましたけれども、日本が含まれているということのみをもって支援事業の対象から外れるということがないように、併せて留意してまいります。
#104
○井上哲士君 分かりました。是非しっかり援助をしていただきたいと思います。
 次に、模造品被害の関係についてお聞きいたします。
 外国で被害に遭った場合も中小企業は非常に負担が大きいわけですね。先ほどの質疑で、特許庁の調査でいいますと、回答した社のうち二割ぐらいが被害があったというお話がありました。
 外務大臣にお聞きしますが、本協定は、こうした模造被害があった場合に中止させたり、賠償させるという点での大きな根拠になっていくと思うんですが、そもそも被害そのものを減らすという点でどのような効果があるのかということ。それから、日本商工会議所などは、こういう知的財産権に対する在外公館の相手国への働きかけの強化ということを要望されておりますけれども、こういう点での対応はどうなっているのか、お聞きしたいと思います。
#105
○国務大臣(岸田文雄君) まず、本件、このジュネーブ改正協定ですが、これは国際事務局への一回の出願手続により複数の国への出願を可能とする手続に関する協定ですので、協定それ自体が海外における意匠権の侵害事案に対応するものではありません。
 しかしながら、これ、意匠権が侵害された場合、侵害した企業等に対してその国で訴訟を提起するわけですが、こうした権利侵害等の違法行為に対抗するに当たっては、その国において意匠権を有していること、これが前提条件ということになります。この前提条件であります意匠権の取得がこの協定によってより容易になるという観点から、こうした協定への加入というのは御指摘の模造品被害に対する対応という上においても意味があると認識をしております。
 そして、我が国の取組、働きかけについてでありますが、我が国自身、ほぼ全ての在外公館において知的財産担当官を任命し、日本企業を支援する体制を取っているわけですが、侵害の多発する国に対しましては、必要に応じて経済問題に関する二国間協議等の場で相手国政府当局に対して問題提起を行う、こういった取組を行っているところであり、今後ともそういった働きかけ、取組は続けていきたいと考えています。
#106
○井上哲士君 この模造被害の場合も、相手国での行政当局の対応とか訴訟等について、海外に例えば駐在などある大企業と違って、中小企業はやっぱり非常に困難が多いと思うんですね。これについてはどのような支援をされているんでしょうか。
#107
○政府参考人(中尾泰久君) お答え申し上げます。
 私ども特許庁におきましては、本年度から中小企業の海外侵害の対策を支援するという事業を行っておりまして、海外での模倣品対策といたしまして、従来からジェトロを通じまして模倣品の製造とか流通経路の実態調査をするという費用は補助してまいりましたけれども、本年度より、警告文の作成ですとか、あるいは取締りを申請するといったような費用を補助の対象にするということでやってございます。
 また、中小企業が海外展開をされていくその展開先国におきまして、これは、ただいま大臣から御紹介ございました外務省の知的財産担当官とも連携いたしましてということでございますけれども、現地のジェトロが法律事務所をリテインいたしまして、権利行使手続に関する情報の提供や専門家の紹介といった形で幅広いアドバイスを行っております。
 中小企業の戦略的な海外展開を促進するという観点から、現行の事業を更に拡充していくということも含めまして、今後検討を進めてまいりたいと存じます。
#108
○井上哲士君 中小企業海外侵害対策支援事業の御紹介がありました。拡充をされておるわけですが、ただ、今のでも侵害に対する訴訟費用は今のところ対象になっていないと思うんですが、これはやっぱり非常に大きな負担になるわけで、是非これも支援対象に加えるべきだと思うんですが、この辺も是非御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#109
○政府参考人(中尾泰久君) ただいま委員御指摘のとおり、現在の支援事業では訴訟そのものの費用は補助対象になってございません。
 いずれにしましても、ニーズを踏まえながら、私どもが今後の事業を拡充していく中で、委員の御指摘も踏まえて検討してまいります。
#110
○井上哲士君 これは被害を受けた企業だけの問題ではないんですね。日本の意匠に対する模造をやられていたら、日本が国としても企業としても毅然と対応するという積み重ねがあってこそ全体の抑制効果にもつながるわけですので、是非この点で支援の強化をいただきたいと思いますし、この制度、まだ使用実績、年間十数件とお聞きしておりまして、周知徹底も含めて、是非使い勝手のいい制度にしていただきたいと思います。
 それから、この出願者の要望は、負担の軽減とともに、迅速な審査だと思います。これまで、日本の審査は非常に内容、迅速さ共に国際的に評価されていると聞いておるんですが、この改正協定に伴って英語による事業が予想されますが、先ほど来の答弁でいいますと、出願するときには図面も付けて、それの簡単な英語だけなのでさほど事業量は増えないという説明だけが行われるんですが、実際には、例えば拒絶をする場合にこれは英文できちっと拒絶理由を書かなきゃいけませんし、それに対して相手が不服になった場合にもこれは英文できちっと説明をしなくちゃいけない、この部分などは大きいと思うんですね。
 どの段階でどれだけの増加を予測をされているのか。それから、そういう量的、質的な増大に伴って、人的な体制とか語学の研修など、これはどういうふうにお考えでしょうか。
#111
○政府参考人(中尾泰久君) お答え申し上げます。
 ジュネーブ改正協定加入後の我が国を指定する国際出願の件数と申しますと、先ほども御答弁申し上げましたけれども、年間約六千件から一万二千件程度というふうに想定しておりまして、この部分につきまして、ただいま委員御指摘のとおりの英語による対応が発生してまいります。具体的には、意匠の審査官が英語の出願書類を読んで審査させていただいて、出願人に対する登録又は拒絶の判断をしたその根拠を英語で通知するということが必要になるわけでございます。
 意匠の具体的審査は、しかしながら、主として願書に添付された図面を参照しながら行いますので、英語については、図面に示されたデザイン内容の補足的な説明として用いられております。英語による出願内容の理解及び審査判断に係る負担は、したがって実質的には大きな支障をもたらすものではないと考えております。
 しかしながら、もとより特許庁といたしましては、当然のことながら、意匠審査官の英語能力の一層の向上を図るということが必要だと考えておりまして、リーディングの英語の研修などはもちろんでございますけれども、英語による通知書作成の業務のためのライティングの研修を導入するなど、審査官の英語能力の向上ということは進めてまいります。
 また、新たに生じます国際出願の審査業務というのが増えるということも予想されますので、国際出願の下調査を行います審査調査員を拡充していく、あるいは民間活力の活用というのを一層進めてまいるといった取組を進めてまいります。もし足りない部分が生じる場合には、審査官の体制強化ということも検討する必要があると考えてございます。
#112
○井上哲士君 必要な人的体制をしっかり取るように改めて求めます。
 そして、やはり、最初に申し上げましたけれども、世界に通用するデザイン力を持った中小企業が、人的、資金的な問題でなかなかそういう力が発揮できないようなことがないように重ねて支援強化を求めまして、質問を終わります。
#113
○委員長(末松信介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#114
○委員長(末松信介君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#115
○委員長(末松信介君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#116
○委員長(末松信介君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#117
○委員長(末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト