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2014/05/22 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 外交防衛委員会 第17号
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2014/05/22 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 外交防衛委員会 第17号

#1
第186回国会 外交防衛委員会 第17号
平成二十六年五月二十二日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     小林 正夫君     白  眞勲君
     藤末 健三君     藤田 幸久君
     松沢 成文君     中西 健治君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     中西 健治君     井上 義行君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         末松 信介君
    理 事
                佐藤 正久君
                松山 政司君
                三木  亨君
                福山 哲郎君
                石川 博崇君
    委 員
                宇都 隆史君
                岡田 直樹君
                小坂 憲次君
                島尻安伊子君
                牧野たかお君
                脇  雅史君
                北澤 俊美君
                白  眞勲君
                藤田 幸久君
                牧山ひろえ君
                山口那津男君
              アントニオ猪木君
                小野 次郎君
                井上 義行君
                井上 哲士君
   国務大臣
       外務大臣     岸田 文雄君
       防衛大臣     小野寺五典君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  世耕 弘成君
   副大臣
       外務副大臣    岸  信夫君
       厚生労働副大臣  土屋 品子君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        小泉進次郎君
       外務大臣政務官  牧野たかお君
       文部科学大臣政
       務官       冨岡  勉君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       武藤 義哉君
       内閣官房内閣参
       事官       渡辺 哲也君
       内閣官房内閣参
       事官       成田 耕二君
       内閣府国際平和
       協力本部事務局
       長        高橋礼一郎君
       警察庁警備局長  高橋 清孝君
       外務大臣官房審
       議官       新美  潤君
       外務大臣官房審
       議官       金杉 憲治君
       外務大臣官房審
       議官       秋葉 剛男君
       外務大臣官房審
       議官       岡   浩君
       外務大臣官房審
       議官       五嶋 賢二君
       外務大臣官房審
       議官       和田 充広君
       外務省中東アフ
       リカ局アフリカ
       部長       岡村 善文君
       外務省国際法局
       長        石井 正文君
       文部科学省科学
       技術・学術政策
       局次長      伊藤宗太郎君
       文化庁長官官房
       審議官      作花 文雄君
       海上保安庁長官  佐藤 雄二君
       防衛省防衛政策
       局長       徳地 秀士君
       防衛省運用企画
       局長       中島 明彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交、防衛等に関する調査
 (安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会
 の報告書及び安倍内閣総理大臣の記者会見に関
 する件)
 (安全保障に係る各種事例の法的解釈に関する
 件)
 (太平洋島嶼国との関係に関する件)
 (政府開発援助大綱の見直しに関する件)
 (著作権の保護期間の戦時加算に関する件)
 (日朝関係に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 議事に先立ち、委員長より一言申し上げます。
 去る二十日の本委員会におきまして採決されました条約三件について、昨日の参議院本会議が休憩後再び会議を開くに至らなかったことによりまして、参議院本会議において採決が行われない事態となりました。
 このため、本日、衆議院より、当該条約三件については、憲法第六十一条の規定により、衆議院の議決が国会の議決となった旨の通知を受領いたしました。
 本委員会では、当該条約三件について委員各位に真摯な御議論をいただいたにもかかわらず、参議院としての意思を明確に示す機会が失われたことにつきまして、外交防衛委員会を預かる委員長として、強い遺憾の意を表明させていただきます。
 今回のこのような事態となった原因は、厚生労働省が議員各位に配付した資料に誤りがあったことによるものと承知しております。
 厚生労働省に対しましては、今回、同省が招いた事態の影響が大変大きいものであることを強く認識して、猛省するとともに、今後、同様の事態を生じさせないよう、省内におけるチェック機能を強化し、今まで以上に高い意識を持って業務に取り組むことを強く要請します。
 この際、厚生労働副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。土屋厚生労働副大臣。
#3
○副大臣(土屋品子君) 厚生労働副大臣の土屋でございます。
 昨日の参議院本会議におきまして、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案の趣旨説明を行うに際しまして、事前の配付資料に誤りがありましたこと、これによりまして参議院議員の議事運営に重大な混乱を招き、その結果、当日に予定されて……(発言する者あり)あっ、参議院議員の議事運営に重大な混乱を招き、その結果、当日に予定されていた条約、法案の議了処理が行われないという事態が生じてしまいました。
 参議院議員、とりわけ……(発言する者あり)参議院議員……(発言する者あり)あっ、参議院、失礼しました、参議院、とりわけ末松委員長を始め参議院外交防衛委員会の皆様に多大なる御迷惑をお掛けしましたことを深くおわび申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。
#4
○委員長(末松信介君) 土屋厚生労働副大臣には御退席いただいて結構でございます。
 大きな教訓としていただきたいと思います。
    ─────────────
#5
○委員長(末松信介君) 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、松沢成文君、藤末健三君及び小林正夫君が委員を辞任され、その補欠として井上義行君、藤田幸久君及び白眞勲君が選任されました。
    ─────────────
#6
○委員長(末松信介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君外十七名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(末松信介君) 外交、防衛等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。気を取り直しまして、気を引き締めまして質問をしたいと思います。
 まずは、横畠法制局長官、御就任おめでとうございます。小松前長官におかれましては、私自身の思いとしましては、五月十五日の総理記者会見のときには同席していただきたかったなという思いはありますが、体調ということもあり、それはやむを得ないことだと思っています。その思いも込めまして、横畠長官には今後頑張っていただきたいと思います。
 安保法制懇から報告書が提出されました。多分長官もそれを御覧になったと思いますが、この報告書を御覧になったその長官の御感想、これをまずお伺いしたいと思います。
#10
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 先般、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告が提出され、私も精読させていただきました。その今後の検討の進め方につきましては、安倍総理がその基本的方向性をお示しになられているところであり、今後、与党とも協議し、また政府部内での検討も行われるということになりますので、その過程におきまして、当局といたしましてもしっかりとその職責を果たしてまいりたいと考えております。
#11
○佐藤正久君 ありがとうございます。
 まさにこれから一つの山が目前に迫っておりますので、しっかり職責を果たしていただきたいというふうに思います。
 今回の報告書、私も読みました。その中の一つの大きな柱は、憲法前文にあります日本国民の平和的生存権、憲法十三条にうたわれております生存、自由、幸福追求権、これを国民は持っており、日本政府はしっかりとそれを守っていく責任があるんだということが一つの柱になっているというふうに私は思いました。
 ただ、総理が言われるように、この憲法というものは、日本政府が、今言われた生存あるいは自由、幸福を日本国民が持てると、それを政府が守っていくということを否定はしていないと。政府が、国民の生存あるいは自由、幸福というものを追求するというものをしっかり政府が守っていく、守る責任があるんだということは憲法は否定していないと私は考えますが、長官の御見解をお伺いしたいと思います。
#12
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御指摘のとおりだと存じます。
 憲法の現行第九条の下で、我が国としてどのような場合に武力の行使ができるのかという議論でございますけれども、これまでの政府の考え方の基礎にある考え方はそのとおりであると理解しております。
#13
○佐藤正久君 やっぱり国民の命を守る責任は政府にはあり、また日本国民は政府にそれを守ってもらうということを期待していると。当然だと思います。
 ところが、現在の憲法九条というその解釈の下では、特に在外における例えば邦人を保護するという部分においてはかなり制約がある。在外における邦人を自衛隊が守るときの武器使用、これもいわゆる自己保存型の武器使用を超えることはまだ認められていない。あえて、今回地上輸送まで自衛隊ができるようになったとしても、その救出とかあるいは妨害排除のための武器使用はまだ認められていない、現在は自己保存型ののりは越えることができないという状況になっています。
 外務省にお伺いします。
 国際法上、自国の国民を救出するということは、領域国の同意があればほかの国はそれを救出をすることができる、あるいは、同意がなくてもその当事者の能力やあるいは意思の問題からそれは救出することができると国際法ではなっていると私は認識しておりますが、外務省の御見解をお伺いしたいと思います。
#14
○国務大臣(岸田文雄君) 領域国の同意に基づく外国における邦人救出という活動ですが、この活動の本質は、領域国の同意に基づき、本来ならその国の警察当局等の機関がその任務の一環として行う治安の維持回復活動を言わば代行する性格のものであります。派遣国は領域国の同意の範囲内で武器の使用をすることができる、このように解しております。こういった形で邦人救出を行うことができると解しております。
#15
○佐藤正久君 国際法上、領域国の同意がない場合でもできる場合があると思いますが、それについてはいかがでしょうか。
#16
○政府参考人(石井正文君) お答え申し上げます。
 今大臣から御答弁いたしましたように、外国における邦人の保護については、一般には同意を得てやるというのが普通だと思いますが、委員重ねての御質問でございますので、過去答弁も申し上げておりますけれども、在外自国民の保護、救出は、一般には同意を得て行うものでございますけれども、国際法上の議論、純粋な国際法上の議論といたしましては、領域国の同意又は要請がない場合であっても、領域国が外国人に対する侵害を排除する意思又は能力を持たず、かつ当該外国人の身体、生命に対する重大かつ急迫な侵害があり、ほかの救済の手段がないような極めて例外的な場合には、保護、救出するために必要最小限度の実力を行使することが自衛権の行使として国際法上は認められることがあり得るということでございます。
#17
○佐藤正久君 まさにそのとおりなんです。国際法上は、領域国の了解があれば、当然それは日本であっても邦人を救出することができるというふうに解されています。さらに、領域国の同意がなくても、今言った条件の下では対応ができるというのが国際法です。
 ただ、我が国の場合は憲法九条の解釈の下で、あくまでも自己保存型。この理由は、自衛隊が武器を使った場合、これが、相手が国又は国準であれば、それが国際紛争を解決するための武力行使と取られかねないということで、極めて抑制的抑制的に今まで武器使用を制限している。まさにストライクの、ど真ん中のストライクというものだけではなくて、ボールかストライクか分からないというようなところまで、ボールになるかもしれないということで抑制的にやっている。
 これについてやはり今回見直すべきではないかなという提言が恐らくこの法制懇はなされたと思いますが、法制懇のこの邦人救出に対する報告書の中身、考え方、これについて説明を内閣官房の方からお願いします。
#18
○政府参考人(武藤義哉君) お答えいたします。
 五月十五日に提出された安保法制懇の報告書におきましては、国際法上、在外自国民の保護、救出は、領域国の同意がある場合には、領域国の同意に基づく活動を主として許容されるということ、また、なお、領域国の同意がない場合にも、在外自国民の保護、救出は、国際法上、所在地国が外国人に対する侵害を排除する意思又は能力を持たず、かつ当該外国人の身体、生命に対する重大かつ急迫な侵害があり、ほかに救済の手段がない場合には、自衛権の行使として許容される場合があるというようなことを述べた上で、多くの日本人が海外で活躍し、二〇一三年一月のアルジェリアでのテロ事件のような事態が生じる可能性がある中で、憲法が在外自国民の生命、身体、財産等の保護を制限していると解することは適切でなく、国際法上許容される範囲の在外自国民の保護、救出を可能とすべきである、国民の生命、身体を保護することは国家の責務でもある等と記述されているところでございます。
#19
○佐藤正久君 まさに今言われたように、国際法と日本の今までの憲法解釈のギャップの部分を何とか埋めて、一番大事な、憲法で保障されている日本国民の生存権、それを政府が守る責任というものを果たすことが本当にできないのか、これから政府・与党を含めて議論をしていただきたいと思いますが、まさにこの報告書の中の一番最後に私はポイントがあると思っております。日本国民の命を守ることは国の責務であると書いてある。これはまさに小野寺防衛大臣が提出者となったあの邦人救出の法案、まさに同じようなラインで書かれているんです。今までのこの現状を考えて、防衛大臣、課題として認識されていると思いますが、いかがでしょうか。
#20
○国務大臣(小野寺五典君) 委員の御質問というのは、在外邦人の輸送等に関して、例えば安保法制懇の報告書を受けてどのような問題点、認識を持っているかということだと思っております。
 安保法制懇についての今回の報告書は、国際法上許容される範囲の在外国民の保護、救出を可能とすべきという旨が提言されていることは承知をしております。この点については、安倍総理からも、邦人を救出する寸前に邦人がテロリストに襲われた段階では彼らを助けることができないとの問題意識が示されたということであります。
 今後、政府としましては、安保法制懇の報告書の提出を受けて、総理が示した今後の検討のための基本的方向性に基づき、まずは与党と十分に協議をしていくとともに、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての対応を検討していくこととしております。
 いずれにせよ、在外邦人の安全確保は政府の重要な責務であり、具体的な立法措置の検討に当たっては、現場の部隊がしっかりと対応でき、隊員が判断に困ることがないように、運用の実態に即したものとしていくことが重要であると考えております。
#21
○佐藤正久君 ありがとうございます。
 まさに現場が判断に困らないと同時に、現場がその救出のための能力がなければ結局できないわけで、今回の法整備というものがもしも仮になされたとしても、すぐ自衛隊が動けるかと、これはかなりやっぱりいろんな準備をしないと多分できないと思います。ある地域に入っていく、エントリーするだけでも生半可じゃない、今の本当に装備で中に入っていけるのかと、アメリカの特殊部隊のようなものであればまた違った装備を持っておりますので、含めて、いろんな面でこれからしっかり体制も併せて整備をしないといけないというふうに思っておりますので、この点については、法整備と併せ、その判断基準あるいは体制、いろんなことを考えていただきたいと私は思います。
 同じような観点で、PKOにおける駆け付け警護、これにおける武器使用、あるいは任務遂行における武器使用についても同じことがやっぱり言われています。これも同じように救助の関係で自己保存型というふうに限定されておりますが、やっぱりこれまでいろんな論点があります。
 PKOの事務局長の方にお伺いします。
 駆け付け警護と言われていますが、これ邦人が何らかの人間に、集団に襲われている、PKO部隊の近くで襲われているというときに、武器を持って、それを武器を使って助けることはできないけれども、今の法制上は武器を使わずに救出することまでは否定していないというふうに理解していますが、いかがでしょうか。
#22
○政府参考人(高橋礼一郎君) 委員御指摘のとおり、PKOに派遣された自衛官自身の生命又は身体の危険が存在しない場合に、当該自衛官の所在地から離れた場所に駆け付けて国連PKOの文民、要員等を防護するためですとか、あるいはPKOの任務に対する妨害を排除するために武器を使用するということは、言わば自己保存のための自然的権利というべきものの範囲を超えるものであって、このような武器使用を国又は国に準ずる組織に対して行った場合には、憲法第九条の禁ずる武力の行使に当たるおそれがあるという指摘がございます。
 委員御指摘の武器を持たずにという点でございますが、通常、こうした脅威に対して警護をする場合には、それなりの装備あるいは状況の下で行うということが、私は現場の判断としては当然であろうと思いますので、通常の場合、脅威にさらされている者を救出に向かうのに適切な装備あるいは準備なしに行うということは想定し難いのではないかというふうに取りあえず考えます。
#23
○佐藤正久君 私が聞いているのは、それは法的には、近づくとかあるいは武器を持たずに救出することは法的には排除されていませんよねという質問です。
#24
○政府参考人(高橋礼一郎君) 先ほど答弁いたしましたように、そういう状況を具体的に想定して検討したことはございませんけれども、法的に、武器使用をせずにということであれば、委員御指摘のとおりかと思います。
#25
○佐藤正久君 今までも、過去に国会答弁でも、近づくことまでは否定はしていないと答弁があるんです。だから現場は無理しちゃうんです。だから、東ティモールの事案のように、ああいう緊急避難という措置の関係で車で邦人を運ぶと、実質、救出みたいなこと。だから武器は使わない。無理しちゃうんです。目の前にやっぱり日本人がいたら、そういういろんな、法の許される範囲でぎりぎりやってしまう。これは本当にいいのかということについては、まさに今回の報告書でも、駆け付け警護についてはしっかりと、現場の隊員が迷わない、無理しないようにという観点でも私は大事だと思っています。
 もう一つ確認します。
 今回のPKOの駆け付け警護等で、これは駄目だと言っている理由がまさに自己保存型の今の説明なんです。武力行使、国際紛争の解決する手段のための武力行使と一体になる可能性があると。まさにボールかストライクか分からない、ボールになる可能性があるから極めて抑制しているんです。ストライクゾーン、真ん中のストライクでもこれは抑制しているというような状態なんです。
 では、確認します。
 国連PKOの国際基準で認められた武器使用が国連憲章で禁止された国際関係で武力行使に当たると、今回の国連PKOで認められている武器使用基準というものが国連憲章でうたっている武力の行使に当たるというおそれがあるというふうに解釈をしている国ってありますか。
#26
○政府参考人(石井正文君) 具体的にそういう国があるかどうか、ちょっと今手元に包括的な資料は持っておりませんが、委員御指摘のように、国連PKOといった活動の本質は、まさに領域国の同意に基づきまして、本来ならその国の当局が行う治安の維持回復活動を言わば代行する性格のものでございます。そのための武器の使用が必要になる場合があっても、いわゆる警察比例の原則に基づきまして、事態に応じて合理的に必要とされる限度に限られるという内在制約が掛かっております。
 したがって、このように観念される活動は、一般に国連憲章第二条四で禁止される武力の行使に当たらないというのが大体確立した考え方であろうと思います。
#27
○佐藤正久君 そのとおりなんですよ。国連憲章で禁止している武力の行使に国連PKOの武器使用は当たらないというのが普通の国なんです。ところが、日本の場合は更にそれを抑制的抑制的抑制的に、武力行使に当たるおそれがあると、おそれがあるということで、ど真ん中まで、邦人の駆け付け警護まで認めてこなかったのがこれまでなんです。そこに大きなギャップがある。これを法制懇の方では指摘をしていると認識しています。
 もうこれ以上この問題は今日はやりませんけれども、今言った、まさに日本国民は生存するやっぱり権利がある、憲法で認められている幸福追求権がある、それを日本政府は守る責任があるんです。憲法はそれを、日本政府が国民の命を守る責任を認めていないわけではない。であれば、やはりここはしっかり知恵を絞りながら対応を取るというのが、まさに今、安倍総理が言われる一番の思いだと思っています。しっかり対応していただきたいと思います。
 次に、武力行使との一体化、この法的整理。これは、今までの、私も現場にいました、極めて曖昧で分かりにくい。
 例えば、今までの国会答弁でもありましたけれども、自衛隊が他国の軍に食料の提供でも憲法の禁ずる武力行使の一体化というふうに認められて許されないという場合もあれば、武器弾薬の提供でも武力の行使とは一体とならない場合があるという答弁をしています。これは極めて分かりにくいです、食料は駄目で武器弾薬はオーケーと。それはいろいろな地域性とか密接性、いろいろあります。
 法制局長官にお伺いします。
 これまで、これについて、武力行使の一体化について四つの要件、国会で答弁されております四つの要件について、総合的に判断してきていると言われておりますが、四つの要件について、簡潔にお答え願いたいと思います。
#28
○政府特別補佐人(横畠裕介君) いわゆるその一体化の考え方は、我が国が行う他国の軍隊に対する補給、輸送等の業務につきまして、仮に自らは直接武力の行使をしていないとしても、他の者の行う武力の行使への関与の密接性等から、我が国も武力の行使をしたとの法的評価を受ける場合があり得るというものであり、そのような武力の行使と評価される活動を我が国が行うことは憲法第九条により許されないというものでございます。言わば憲法上の判断に関する当然の事理を述べたものであると説明してきております。
 政府としては、従来から、我が国の活動が他国の武力の行使と一体化するかどうかについては具体的状況に即して個別に判断すべきものでありますが、例えば、現に戦闘行為が行われている前線への武器弾薬等を輸送することなどは他国による武力の行使と一体化し、我が国も武力の行使をしたとの法的評価を受けるおそれがあり、憲法上の問題が生ずると考えているところでございます。他方、例えば戦闘が行われている場所と一線を画されたところまで物資を輸送することなどは問題がないと答弁してきております。
 その上で、これまで、いわゆる周辺事態法、旧テロ対策特措法等におきましては、自衛隊の補給、輸送等の活動の地域を後方地域あるいはいわゆる非戦闘地域に限定するなどの法律上の枠組みを設定し、他国による武力行使との一体化の問題が生じないようにしてきたところであり、これにより、現場の隊員がその都度憲法判断を迫られるといった事態を回避しつつ、円滑な活動が確保されるよう制度を構築してきたところでございます。
#29
○佐藤正久君 昨日、法制局からいただいた資料にはもっと明確に四つの要件が書いてあったんですけれども、その地域性とか行動の密接性とか、この四つの要件、これについて現場は判断しているんです。実際、任務が与えられたとしても、その四要件、これが非常に大事で、それに基づきながら現場では、私もそうでしたけれども、判断しているんですよ。
 その四要件、簡潔にお答えください。
#30
○政府特別補佐人(横畠裕介君) その四つぐらいの要件があるというふうに述べてきております。
 一つは、戦闘活動が行われている、あるいは行われようとしている地点と当該補給等の活動が行われる場所との地理的関係、次に、当該行動等の具体的内容、三つ目として、他国の武力行使の任に当たる者との関係の密接性、四つ目として、協力しようとする相手の活動の現況等、これが主なもので、その他諸般の事情を考慮すべしとしております。
#31
○佐藤正久君 要は個別ごとに判断するわけです。だから、よって、今回の法制懇の報告書でも、これは政策的判断に委ねるのがやっぱり適当だと。私もそう思います。
 実際、私が派遣されたイラクにおいても、イラク特措法において航空自衛隊がクウェートからイラクに輸送しました。そのときも、じゃ、武器弾薬、隊員が携行している銃とかあるいは弾薬は運ぶのはオーケーだけれども、それ以外の単体では駄目だとか、極めて向こうの米軍では分かりにくいというのがやっぱりあります。しかも、じゃその密接性であれば、武器弾薬もクウェートまでは運んでもいいけれども、クウェートから、じゃイラクのどこまで運んでいいのか。我々が活動している非戦闘地域までなら運んでいいのか、バグダッドまで運んでいいのか、非常にやっぱり曖昧になる。これはやはりそれぞれ法で縛るよりも、政策的判断の部分だと思います。
 まさに、今基準が曖昧だというふうな指摘があると思いますが、防衛大臣、この武力行使の一体化、やっぱり基準についてもう少し、余りにも厳格化し過ぎる部分もあります。医療行為についても厳しく制限がある。この辺りの基準については、やはり今回更に検討をするということは私は必要だと思いますが、いかがでしょうか。
#32
○国務大臣(小野寺五典君) 委員から様々な事態に関しての御指摘があったと思います。
 いずれにしても、安全保障環境が変化していく中、自衛隊による後方支援に関しては、総理が示した今後の検討のための基本的方向性に基づき、まずは与党とも十分に協議していくとともに、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての検討を進めてまいりたいと思います。
 その上で、武力の行使との一体化の考え方については、言わば憲法上の判断に関する当然の事理であるとしてきた従来の政府の立場に照らし、武力の行使と一体化することを回避するための法的な枠組みが従来のままでよいのか、また、そもそも何が武力の行使と一体化する行為なのかといった点を含め、今後検討していく考えであります。
#33
○佐藤正久君 まさに検討していく考えという明言ありましたけれども、考えなくちゃいけないんですよ。本当にこれは曖昧で、ほかの国の軍隊は多分理解できないです。説明するのも本当大変なんです。多分、大臣もこれ説明すると相当苦労されると思います。何がよくて何が悪いのか、食料は駄目な場合もあれば武器弾薬がオーケーな場合もある、これは分かりにくいです。しっかりその辺り、また検討をお願いしたいと思います。
 次に、弾道ミサイル対処、この法的整理、一点だけ今日はしたいと思います。
 平時における話は今まで何回もやっていると思います。有事、日本の有事の場合の弾道ミサイル対処、特にアメリカの方に向かう弾道ミサイル対処について一点だけお伺いします。
 今まで政府答弁で、防衛出動以降、日本防衛のために来援するアメリカの艦船、この防護は個別的自衛権の範疇で対応可能と答弁があります。であれば、防衛出動以降、アメリカに向かう弾道ミサイル、ハワイとかグアム、あるいは米本土でもいいです、アメリカに向かう弾道ミサイルを日本の自衛隊が撃ち落とすことは、これは個別的自衛権の範疇で対応可能というふうに理解してよろしいでしょうか。
#34
○国務大臣(小野寺五典君) 今、具体的な事案でのお話がありました。我が国による個別的自衛権の具体的限度については、具体的な状況に応じて判断する必要がありまして、一概に申し上げることは困難でありますが、その上で、これまでの憲法解釈に基づき、一般論として申し上げれば、政府は従来から、憲法九条の下で認められている自衛権の発動については、急迫不正の侵害があること、そしてこれを排除するために他の適当な手段がないこと、必要最小限度の実力行使にとどめるべきことというような三要件に該当する場合に限られると解しております。
 また、自衛権発動の三要件に該当しない場合に我が国が米国に向かう弾道ミサイルを撃墜することは、それが米国に対する武力攻撃の一環として発射されたものであれば集団的自衛権の問題が生じると解してきております。
 いずれにしましても、政府としては、総理が示した今後の検討のための基本的方向性に基づき、まずは与党と十分に協議をし、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての検討を進めていきたいと思っております。
#35
○佐藤正久君 大臣、事務方の説明がちょっと不十分だと私は今の答弁聞いて思いました。
 昨日、内閣法制局からいただいた資料、これによりますと、平成十九年に久間防衛庁長官、当時大臣か長官か忘れましたけれども、日本有事であれば、アメリカに向かう弾道ミサイルを攻撃するのは、これはできると答弁しているんですよ。法制局長官、補足をお願いします。
#36
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 平成十九年五月十八日の衆議院安保委員会における久間防衛大臣の答弁がございます。引用いたします。
 我が国の自衛権の発動として、我が国が武力攻撃されておって、それで我が国と同盟関係にあるアメリカに対する攻撃が始まったら、それはもう我が国も、援護してくれるアメリカがつぶれたら我が国が危ないんですから、それは我が国の自衛権発動の一道程として当然考えていいと思います。
#37
○佐藤正久君 そのとおり、まさに防衛出動以降は、日本が攻撃されている状態においては、アメリカに向かう弾道ミサイルを自衛隊が落とすことがそれはできると前原委員の質問に答えているんですよ。要は、平時と有事で違うんです。有事になれば、それはもうアメリカ本土に向かうやつはできるんです。
 今回の法制懇の一番のポイントは、有事ではなくて平時なんです。平時にどうやるかと。まさに有事のときはもうできるんですよ、今の答弁で。そこをしっかり事務方も大臣の方に説明しておかないと、今後この議論、細かくいきますから、しっかりやっていただきたい。まさに過去の答弁、それは、有事であればアメリカに向かう弾道ミサイルを自衛隊が撃ち落とすことができるというふうに言っているんですよ。そこはしっかり対応して、整理をしていただきたいと思います。
 最後に、シーレーンにおける我が国の商船防護、これについてちょっと議論をしていきたいと思います。
 配付しました資料を御覧ください。資料一、これはまさにペルシャ湾から日本へのオイルシーレーンです。赤いものが主要なルートで、この黄色いものが、マラッカ海峡、非常に浅くて狭いということから、一部大きなタンカーはこのロンボク、マカッサルを通ってきますけれども、日本のエネルギー安全保障の場合は、これは一本なんです。非常に、八割五分の日本の原油がペルシャ湾からこの赤いルートを中心に日本に来ている。それぞれ狭いホルムズ海峡、マラッカ、バシーと、三つのチョークポイントを通ってきているということは、外務大臣もこの前答弁でもされました、非常に重要なルートだと。
 二枚目の資料を御覧ください。これがまさにホルムズ海峡。北側がイラン、南側がオマーンあるいはアラブ首長国連邦。この真ん中に線がありますけれども、今、日本の関連船舶だけでも年間三千六百隻を超える日本の関連商船がこの南側、シッピングレーンとホルムズ海峡書いていますけれども、南側、オマーン側の方を通っているんですよ。しかも、イランの方には極めて、ミサイル能力が結構イランってありますから、そういう本当に狭いところ、一番狭いところは三十三キロ、自衛隊が持っている火砲でも対岸まで届くというぐらいの狭い距離。しかも、その狭いオマーン側を、密集して狭いところを通っているというところで、非常にこれについては大事なところです。
 まさにアデン湾、アデン湾の方も日本にとって重要な航路。海賊対策で今自衛隊が行っておりますが、本来はこれは海賊対策等犯罪ですから海上保安庁の仕事だと思います。このホルムズ海峡も海賊発生しておりますし、また不審船もある。本来は、この商船防護はそういう治安維持という観点であれば、私は海上保安庁の仕事だと思いますが、海上保安庁の方にお伺いします。
 海上保安庁、現在の体制、能力でこのホルムズ海峡の商船防護、護衛というものは実施できるのでしょうか。お答え願いたいと思います。
#38
○政府参考人(佐藤雄二君) 現在、ソマリア沖で海上自衛隊と共同して海賊対処に向かっておりますが、ソマリア沖・アデン湾では、海賊対処として巡視船を今派遣することは、我が国からソマリア沖までの距離が六千五百マイル離れていること、ソマリア沖の海賊がロケットランチャー等の重火器で武装していること、あるいは海上保安庁が諸外国の海軍軍艦との連携行動の実績がないことなどを総合的に勘案し困難であると、現状は変更はございませんが、今お尋ねのホルムズ海峡、これもほぼ同等の環境にございますので、私どもとしては困難である状況には変更はないというふうに考えております。
#39
○佐藤正久君 今、海上保安庁は「しきしま」クラス、六千五百トンクラスが二隻あるというふうに聞いています。でも、本来であれば、今回の、これからの法制の議論もそうですけれども、本来海上保安庁がやるべきことは海上保安庁がやるような体制を取るのが私は筋だと思っています。
 アメリカのコーストガード、これは実際にペルシャ湾の方にも護衛で行っています。本来であれば、自衛隊は自衛隊の任務をやるわけであって、海上保安庁、今そういう能力がないとありますけれども、それは体制を強化するというのが私は本来の筋だと思っております。ただ、今そういう形で、最初、アデン湾も海上自衛隊が海上警備行動という形で行きました。それは、今言ったように、海上保安庁は能力がまだ限定されている。でも、本来はアメリカのコーストガードのように私はやるべきだと思っています。
 一点確認します、法的整理として。
 今まで防衛省は国会答弁で、海上警備行動を発令されたときに、その一環で機雷の除去もできるという答弁をされておりますが、その法的整理を説明願いたいと思います。
#40
○政府参考人(中島明彦君) お答え申し上げます。
 自衛隊法は、その第八十二条におきまして、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合に、自衛隊が海上において必要な行動を取るということを規定しております。この規定は、海上における治安の維持に第一義的には責任を有する海上保安庁のみでは対処が不可能又は著しく困難な場合に、特別の必要がある場合として自衛隊が対処することができるという旨を述べたところでございます。
 他方、機雷の除去でございますけれども、これは、広い意味での海上における治安の維持のために必要な行動の中に含まれ得るものと解されますけれども、通常は自衛隊法第八十四条の二に規定される機雷などの除去として行われるべきものであろうかと思います。
 ただ、今議員御指摘のような状況、すなわち自衛隊が八十二条に基づいて海上警備行動を行っている際に、その行動の一環として機雷の除去、処理を行うということまで否定するものではございませんで、海上警備行動の趣旨に鑑みますれば、このような活動を海上警備行動を定めた八十二条に基づき行うことは必ずしも排除されないというふうに考えているところでございます。
#41
○佐藤正久君 まさに海上警備行動は領海だけではなく公海でもそれは適用でき、また、そのときに海上警備行動の一環で機雷除去もこれも一応できないことはないと、本来は。
 ただ、その場合も、今説明ありませんでしたけれども、武力攻撃を目的とした敷設機雷、これに対する排除は恐らくできないと思います。今言われたのは遺棄機雷というような、そういう武力攻撃の目的ではない機雷に対しての排除というふうに理解しておりますが、そこは間違いないでしょうか。
#42
○政府参考人(中島明彦君) 失礼いたしました。
 お答え申し上げます。
 一般的に、外国による武力攻撃の一環として敷設されている機雷を除去することは敷設国に対する戦闘行動であり、武力の行使に当たるため、自衛隊は自衛権の行使の一環として行う場合を除きましてはこれを行うことができないということを申し上げてきているところでございます。
 他方、遺棄された機雷など外国による武力攻撃の一環として敷設されたのではない機雷を除去することにつきましては、自衛隊法八十四条の二に基づき実施することができるということでございます。
#43
○佐藤正久君 この問題については非常に重要なポイントなので、次回また掘り下げますが、防衛大臣、今回は産経新聞の五月二十日の世論調査、新聞で、実は、駆け付け警護よりもこの海峡の機雷除去の方の支持率が高いんです。駆け付け警護は約五〇%弱に対して、この機雷除去、これは七八%が賛成しているんです。含めて、こういう、皆さん自分の生活あるいは経済に大きな影響を与えるものについてはしっかり対応してほしいという声もありますので、しっかり御検討を願いたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。
#44
○島尻安伊子君 自由民主党、島尻安伊子でございます。
 先月四月十四日、イスラム過激派組織のボコ・ハラムがナイジェリアで多数の女子生徒を拉致するという事件が起こりました。まず、この事件の詳細について教えてください。
#45
○政府参考人(岡村善文君) 事実関係についてのお尋ねでございます。
 四月十四日、イスラム過激派組織ボコ・ハラムがナイジェリア北東部のボルノ州チボク地区というところに所在します女学校を襲撃いたしまして、多数の女子生徒を拉致したという事件が発生いたしました。このボコ・ハラムというのは現地語でございまして、西洋の教育は罪という意味でございます。
 ボルノ州の現地の警察の発表によりますと、二百七十六人の生徒が拉致されまして、そのうち五十三人はうまく脱出したものの、今のところ二百二十三名が行方不明となっております。現時点において、こうした女子生徒たちの行方は判明していないというふうに承知してございます。
 なお、ボコ・ハラムは、今月十二日、拉致した女子生徒の映像を公開いたしまして、女子生徒の解放と引き換えにボコ・ハラムのメンバーの釈放を求めているというふうに承知しております。
#46
○島尻安伊子君 私もその声明ビデオを見て、もうかなり衝撃的だったわけでありますけれども、そのときには、この被害者を奴隷として拘束し、花嫁として売るというような犯行声明があったわけで、到底許されないテロであるというふうに思っております。
 この事案に対する我が国政府の受け止め方について、大臣にお聞きをしたいと思います。
#47
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国としましては、本件事案につきまして強い衝撃、そして憤りを感じ、そしてナイジェリアの将来を担う女子生徒たちの一刻も早い解放を要求する、こういった思いを、五月九日の日ですか、外務大臣談話ということで公表させていただきました。
 この事件につきましては、テロ行為撲滅という観点からも、さらには、この地域における平和と安定という観点からも、さらには、昨年九月、我が国は、安倍総理が国連総会におきまして、女性の輝く社会を構築するために我が国としましてしっかり国際貢献を行っていく、こういった思いを表明され、そして高い評価を得たところでありますが、こうした女性の輝く社会を目指すというこの我が国の考え方からしましても、こうした事件、到底容認することはできない、強く感じているところであります。
 そういった思いをしっかりと表明していきながら、この事件につきましても、国際社会、関係各国ともしっかり連携をしながら対応していきたいと考えております。
#48
○島尻安伊子君 この犯行声明ビデオの公開後、もう世界中で反響があったということでありまして、SNSなどを通じて、例えばオバマ大統領夫人とか、あるいは女子教育の機会を訴えて襲撃をされたマララさんとか、早々と抗議行動を起こして捜索を訴えているわけでございます。
 今大臣もおっしゃいましたけれども、G7の各国も非難声明を出しておりますけれども、どの国がどのような支援をしているのかということを教えていただきたいと思います。
#49
○政府参考人(岡村善文君) 御指摘のとおり、G7を含む各国が、強くこの件については非難声明を出すとともに、支援を発表しております。
 我々で承知しておりますところでは、アメリカ及びイギリスが専門家チームをナイジェリアに派遣し、ナイジェリア政府の捜索活動を支援するということで承知しております。また、ちょうど昨日、二十一日でございますが、米国政府は本件事案の解決を支援するため隣国でありますチャドに米軍兵士八十名を派遣すると発表いたしました。また、フランスも、十七日、ナイジェリア及びナイジェリアの周辺国首脳等を招待しまして関係国会合を主催しました。カナダも機材供与等の支援を行っているというふうに承知しています。
#50
○島尻安伊子君 我が国の対応として、大臣談話、かなり強いトーンでの談話だったというふうに思いますけれども、それは大変いいことだというふうに思いますけれども、何かもっと日本としても、きちんとこれをウオッチしているんだ、先ほど大臣もおっしゃいました、総理も今後女性の活躍というか、これをフォーカスしてやっていくんだということをメッセージとして対外的に出しているわけですから、日本としてもやはりこの事案に対して何かもっとできるのではないか。先ほど御説明いただきましたような各国がいろいろな支援をしているわけですけれども、なかなか我が国として人を出すというのは難しいことかもしれませんけれども、何かもっとやれるのではないかというふうに思います。
 日本として、それこそアフリカに対してはTICADなどを通して様々な支援をしているわけでありますから、例えばナイジェリアの近隣国に対して我が国から何か働きかけをするとか考えられるのではないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
#51
○国務大臣(岸田文雄君) 本件事案のみならず、このボコ・ハラムの一連のテロ行為ですが、これはナイジェリア国民、また周辺の国々の国民にとりましても大変大きな被害や悩みを与えているところであります。実際、犯行声明は出ておりませんが、二十日の日にもナイジェリア中部で新たに百名を超える犠牲者を出した爆発事案も発生しております。
 これまで我が国は、このナイジェリアを含むサヘル地域におけるテロ対処能力向上支援、こういった支援を続けてきました。ただいま、平成二十五年七月ですが、我が国は国連薬物犯罪事務所のサヘル地域刑事司法・法執行能力向上計画に対しまして六億四千二百万円の無償資金協力を行っているところでありますが、こういった支援は、ナイジェリアにとどまらず、この地域全体の脅威となりつつあるボコ・ハラムのテロ行為防止に貢献するものであると認識をしております。
 こうした地域に対する支援、これからもしっかり行っていきたいと思っていますが、あわせて、本件事案につきましては、先ほど答弁の中にもありましたように、各国とも捜査への協力等の協力をしているところでありますので、我が国としましても、現地のニーズ、まずしっかり確認した上で何ができるのか、こういった点も是非検討したいと考えます。
#52
○島尻安伊子君 是非、我が国もきちんとこの事案に対して、あるいはテロ行為に対してウオッチしているんだぞということをどんどんアピールをしていただきたいというふうに思います。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。南太平洋島嶼国に関しての質問をさせていただきたいと思います。
 南沙、西沙諸島においての昨今の事案、中国、ベトナム、フィリピンの動きに関しては大変危惧をされているわけでありまして、この委員会でも多くの委員から質問が出ております。この地域の紛争は今後の東アジア全体の安全保障に大きく影響するものでありまして、我が国として緊張感を持ってこれを見ていかなければならないというのはもう言うまでもないことでございます。
 本日は、そのもう少し東側の太平洋地域の国々の動きが今後重要なポイントになるのではないかという問題意識から質問をさせていただきたいと思っております。参考資料として出させていただきました。まず、この太平洋島嶼国と中国・台湾ということの、これを見ながら質問させていただきたいというふうに思います。
 まず、外務大臣、防衛大臣にお聞きをさせていただきますが、我が国にとって、この太平洋島嶼国との外交あるいは日本の防衛の観点から、この地域の重要性というものをどのように認識しておられますでしょうか。お聞きをさせていただきたいと思います。
#53
○国務大臣(岸田文雄君) 資料にありますミクロネシア連邦始めとするこの地域の国々ですが、まず、国際社会において様々な局面で日本と協力をするなど、我が国の外交にとって大変重要な地域だと認識をしております。ミクロネシア連邦などは、我が国の外交の安定的な支持基盤であると考えているところであります。
 このミクロネシア連邦、経済水域で日本の漁船が操業するなど、重要な水産物供給地でもあります。また、日本が資源を輸入する際の重要なシーレーンにも位置をしております。そして、ミクロネシア連邦、日本がかつて旧委任統治領等として統治したこともあります。日系人の人口も多く、親日的な基盤でもあります。
 こうした様々な面から重要性を我が国としては認識をしております。是非、友好協力関係、一層強化していくべき地域であると認識をしているところです。
#54
○国務大臣(小野寺五典君) アジア太平洋地域におきまして、中国など多数の国が国防費の増加を背景に軍事力の近代化を継続させるとともに、海洋などにおいて軍事的な活動等を活発化させております。特に中国は、軍の艦艇や航空機による太平洋への進出を常態化させるなど、より前方の海空域における活動を拡大、活発化させております。
 こうしたことを踏まえ、防衛省としましては、太平洋島嶼国を含む地域での様々な動向に注意しております。
#55
○島尻安伊子君 この島嶼国をめぐる政治、外交を考えるときに、中国と台湾の外交上の争いというものを考慮しないわけにはいかないんだというふうに思っています。
 資料を御覧いただいたらお分かりになると思いますけれども、この資料は、これは、今、現状ということなんですけれども、この中には、例えばマーシャル諸島だとかナウルだとか、最初は台湾と断交していたけれどもまた台湾との国交を樹立したとか、もう本当に過去いろいろな形で変わってきているということもございます。本当に中台の援助合戦といいますか、綱引きが繰り広げられておりまして、ここ十年の対米、あるいは対豪、あるいは対中の貿易額を見ても、明らかに経済的な中国の影響が大きくなっているということであります。
 実は、先日、パラオの政府関係者と情報交換する機会がありまして、興味深い話を聞きました。二枚目の資料を見ていただきたいんですけれども、ちょっとこの資料見にくいかもしれませんけれども、ミクロネシアのヤップ島というところがございます。グアムとヤップ島、七百二十六キロ離れていると。七百二十六キロしか離れていないという表現もできると思いますけれども、ここにヤップ島というところがありまして、中国がヤップ島にカジノとかリゾート開発をするために多額の投資を持ちかけているということでございました。新空港も建設しようということであります。
 ここを押さえられてしまうとパラオは軍事的にも困ったことになるなというお話でございまして、ちょっとお聞きしたいんですけれども、ヤップ島の開発を中国が推進しようとしているということを我が国としてどれだけそれをキャッチしているのか、どの程度進んでいるのかというのがお分かりでしたらお聞かせいただきたいと思います。
#56
○政府参考人(金杉憲治君) お答えさせていただきます。
 他国の第三国における経済活動ですのでなかなか確定的に申し上げることは難しゅうございますけれども、私どもの承知している範囲では、御指摘のヤップ州では、二〇一二年の八月、ETG社と称します中国企業が州政府と契約を交わしまして、ホテルや商業施設を含むリゾート開発事業、そして、先生からも御指摘がありましたとおり、これに附帯する空港の改良その他の公共事業を行うことで一旦合意をしたというふうに承知しております。しかしながら、その後、州議会や一部の地元住民から慎重論が出たため、現時点では、ETG社がリゾート施設の建設工事に着手したと、具体的に工事が始まっているといった情報には接しておりません。
 以上でございます。
#57
○島尻安伊子君 今これが進んでいないということでありますけれども、また、手を替え品を替えじゃないですけれども、中国がどのような手を打ってくるのかということは、やっぱり我が国としてもきちんと見ておく必要があるのではないかというふうに思います。
 外務省にお聞きしたいんですけれども、パラオへの支援、我が国としての支援、いろいろなされているというふうに思いますが、どんな支援をしてきて、この支援、過去の支援をどう評価して、今後どんなまたことをテーマに展開していくおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#58
○国務大臣(岸田文雄君) 御質問は、太平洋島嶼国に対する支援についてでよかったでしょうか。済みません、ちょっとそれを確認させてください。
#59
○島尻安伊子君 まずパラオに関してお聞かせいただき、その後、全体に対するものでいただければと思います。
#60
○政府参考人(金杉憲治君) パラオを含みますいわゆるミクロネシアは、先ほど大臣からも御答弁がありましたとおり、日系人の方も多いといったこともありまして、日本に大変親近感を持っておられます。
 ただ、資源がない、あるいは例えば地球温暖化の影響を受けるといったこともございますので、私どもとしましては、パラオを含みまして、彼らの持続的な開発をいかに支援をしていくのか、それから海面上昇等に伴う環境的な問題に対してどういった対処をしていくのかと、こういった点を重点に支援を行ってきている次第でございます。
 もちろん、そうした観点につきましては、先生も御承知のとおり、日本と太平洋の島嶼国で行っております太平洋・島サミットの重要なテーマになっているという状況でございます。
 以上でございます。
#61
○島尻安伊子君 是非、今御答弁にもありました持続的なというところが大変大事なんだと思います。我が国の対外的な支援というのはここがほかとは違うというふうに思っていまして、きちんとメンテナンスだとか、例えば医療施設であればそこの機材をきちんと動かしていけるような人材を派遣したりとか、あるいは人材教育をしたりとか、やはり持続的に支援をしていくというのができるのが我が国の支援だというふうに思っておりまして、そこをしっかりと踏まえて今後やっていただきたいというふうに思っております。
 それでは、南太平洋諸国全体の支援についてお聞かせをいただきたいと思います。
#62
○国務大臣(岸田文雄君) まず、この地域に対する支援ですが、日本は太平洋・島サミットを三年に一度開催をしてきました。持続的な開発ですとか海洋、さらには気候変動、こうした取組等を通じまして地域全体の繁栄に貢献し、またこの地域の首脳レベルとの関係も強化してきました。こうした我が国の取組は参加国から高い評価を得ていると認識をしております。
 そして、それに関連しまして、昨年十月には島サミット第二回中間閣僚会合を東京で開催いたしました。二〇一二年の第六回サミットで宣言した協力の進捗を確認し、そして海洋や貿易、投資に関する新たな協力、国際社会の重要課題も議論いたしましたし、一層参加国の関係を深めることができたと考えています。
 来年一月には在マーシャル兼勤駐在官事務所の大使館への格上げによって外交実施体制も更に強化したいと思っていますし、来年五月にはいわき市で第七回目の島サミットも開催いたします。
 こういった枠組みですとか取組を通じまして、是非、引き続き持続的に日本の貢献高めていきたいと考えていますし、地域の発展に貢献をしていきたいと考えています。
#63
○島尻安伊子君 是非よろしくお願いします。
 防衛大臣にお聞きをさせていただきたいと思います。
 先ほどもちょっとお話ししたパラオの政府関係者との話の中で、例えばパラオ沖などでの共同軍事演習、日米の、そんなことができたらいいんじゃないかというようなお話がありまして、大臣、その可能性というか、この区域の重要性も鑑みて御答弁をいただきたいというふうに思います。
#64
○国務大臣(小野寺五典君) アジア太平洋地域での安全保障環境の安定化への取組は重要な課題の一つであり、新防衛大綱においては、このような取組の一環として、アジア太平洋地域における二国間、多国間による共同訓練・演習を推進することとしております。また、新防衛大綱においては、日米同盟の強化に関し、一層厳しさを増す安全保障環境に対応するため西太平洋における日米のプレゼンスを高めること、また、そのための取組の一つとして日米の共同訓練・演習について引き続き推進することとしております。
 共同訓練の実施については、訓練効果や運用上の都合等を勘案する必要があり、現時点でパラオ近海での日米共同訓練を行う予定はありませんが、新防衛大綱で示しているように、アジア太平洋地域の安全保障環境の安定の確保や西太平洋における日米のプレゼンスの向上、これに努力をしていきたいと思っております。
#65
○島尻安伊子君 ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオの三国は米国とコンパクトという約定を交わしておりまして、アメリカがこの三か国の軍事権全てを押さえているということでございますが、先ほども申し上げましたような中国の攻勢が強化されていまして、脱コンパクトということを言う国民もいるという話も聞いています。
 この辺、大変もう、むしろ親日の国が多い南太平洋島嶼国でありますので、今以上の日本の積極的なアプローチというのがむしろ期待されているということでございますので、是非その点、お願いをするのは、やっぱり日本のプレゼンスをもっともっとこの辺の地域で高めていっていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#66
○国務大臣(小野寺五典君) 安全保障面でも重要な地域だと思っております。
 今日、自衛隊の練習艦隊が出航いたしました。この練習艦隊は今回様々な地域を回ってまいりますが、その中にはソロモン諸島も入っているということであります。私どもとしては、親日的な地域でありますので、友好関係を築く様々な努力を防衛当局としてもしていきたいと思っております。
#67
○島尻安伊子君 先日のフィリピンでの洪水もありまして、軍事的というか、いわゆる災害派遣に対してのやはり米軍のプレゼンスというのはもう大変有り難い話だと、パラオの関係者からはそういう話もございまして、その話の中で、実は在沖の米軍のプレゼンスも大変有り難いというようなお話もありました。
 やはりこういった、今後、例えば日米、それにフィリピンとか、そういった国々の連携を強化してやっていく必要というのがあると思います。その点に関してもう一度防衛大臣の御答弁をいただき、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#68
○国務大臣(小野寺五典君) 昨年十一月十二日からでありますが、フィリピンの災害において要請がありまして、自衛隊は過去最大規模の千百八十人の国際緊急援助活動を行いました。セブ島北部及びレイテ島、タクロバン市において医療活動、そして被災地への空輸等を行ったわけですが、この際は米軍とともに行いましたし、また、同地域に展開をしていた英国、オーストラリアという多くの国との協力の中で実施をすることができました。
 今後とも、災害救援に対しても、自衛隊として国際緊急援助活動を通じて積極的に協力をしていきたいと思っております。
#69
○島尻安伊子君 終わります。ありがとうございました。
#70
○福山哲郎君 おはようございます。民主党・新緑風会の福山哲郎でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。
 先週、安保法制懇からようやく報告書が提出されました。私としては、二月四日に開催されてから五月の十五日に開催されるまで三か月以上の空白があって、その間にどういう形で議論されたのかが全く不透明な状況で報告書が出てきたということに対しては非常に遺憾に思っておりますし、誰がこの報告書を一体書いたのか、詳細どういう議論が行われたのか、全く見えません。国民の生命や憲法の規範性に関わる問題だからこそ、こういったやり方に関しては非常に禍根を残すように考えております。まずはそのことを指摘させていただきたいと思います。
 一方で、横畠長官におかれましては御苦労さまでございます。先ほど佐藤委員からおめでとうございますと話がありましたが、私は何がおめでたいのかよく分かりませんが、これも小松法制局長官が、我々が何度も病床の身なら引くべきだと申し上げたにもかかわらず、結果として国会を混乱させて、そして横畠長官ということになりました。ただ、横畠長官の職責は大変重いので、今後もよろしくお願いしたいと思います。御苦労さまでございます。
 いきなり、これ事前通告ではないんですけど、これ、防衛大臣、お答えいただければと思います。外務大臣もお答えいただいても結構です。
 先ほど佐藤委員のお話がありました。非常に重要な指摘が幾つかあったと思うんですけど、私、今回の安保法制懇から政府の検討に至る議論というのは、非常に精緻な議論をしなければいけないと思っております。総理の会見を拝見をして私が正直に感じたのは、非常に情緒的な議論だったなと思っております。
 佐藤委員の御指摘は非常に重要なんですけれども、例えば、自衛隊がPKOで出ている宿営地の近くに、邦人で例えばNGOで民生支援をしている方に何かあったようなときに、本当に駆け付けて警護ができるのかという議論と、先ほど話がありましたアルジェリアのように、自衛隊がそこには周辺いないと、本当に本国から相手国に対して、何かあったときに、誘拐をされているような状況に対して、日本人を救出に本当に行って何ができるのかという話と、総理の会見にありました例えば有事、総理の具体的な事例は恐らく朝鮮半島有事を想定されているんでしょうけれども、戦時、有事の状況のときに、そこにいる邦人を輸送も含めて救出に行くのかと、それがどうやるのかという話は、これは全部それぞれ違うんです。
 さっき、若干佐藤委員のお話は、そこが私は両方混在をしていたと思います。これは批判をするわけではないんですが、それ、それぞれに対して救出をしなきゃいけないのはもちろん、国民の生命、安全を守らなければいけないのはもちろんですが、何でも無防備にというわけではありません。そして、それをどういうふうに法律に担保するのか。
 私は、グレーゾーンや駆け付け警護の議論がなされることについては前向きには考えたいと思いますが、さらにそこに集団的自衛権の行使までも何か全てが混在して必要なんじゃないかという議論は、非常に僕は危険だというふうに思っておりますが、私の今の指摘、それぞれの事例については、法的にも違うし状況も違うという認識を佐藤委員とのやり取りで私は感じたんですけど、その認識に間違いがないかどうかだけ、ちょっと防衛大臣、外務大臣、もし、御指摘いただければと思います。
#71
○国務大臣(小野寺五典君) 先日、総理が基本的な方向性という形でのお示しをされた内容というのは、一つは、例えば現在の憲法の中でも対応、検討ができるグレーゾーンの問題、あるいはPKO等の活動等についての問題、そして、それでもさらに日本の国民の生命、財産が守れないような状況の場合があるとすれば憲法の解釈の問題、そういうような流れでの議論を整理されて、方向性として出されたと私は承知をしております。
#72
○国務大臣(岸田文雄君) 今回の安保法制懇のこの報告書、そしてそれを受けて五月十五日、総理が記者会見を行ったわけですが、御指摘のように、その内容においては、国連PKO、あるいはグレーゾーンへの対応、それから集団的安全保障等、そうした様々な課題が盛り込まれているとまず認識をしております。
 それらを、全体を通じまして、現状の法体制の下で何ができるかをまず議論し、そしてそれでも足りないとしたならば何が必要なのか、こういった考え方で議論を進めていく、こういったことを総理としても表明されたと考えております。
#73
○福山哲郎君 済みません、総理の意向を今お答えいただいたのは非常に重要なんですけれども、私が先ほど、佐藤委員との指摘の中で御議論があったことに対する私の認識は間違っているか間違っていないか、お答えいただけますか。
#74
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のような様々な課題について取り扱っている、議論を行おうとしている、そういった指摘についてはそのとおりだと思います。
#75
○福山哲郎君 そこはこれから本当に重要な点なので、よろしくお願いします。
 事前通告もありませんでしたので、ただ、こうやって委員同士のやり取りの中で非常に重要な論点がこれから多分委員会中もたくさん出てくると思います。多分そういう生の議論がこれから必要になってくると思いますので、今後も対応をよろしくお願いしたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、総理の会見の米艦防護の事例というのは、いきなり、能力を有する米国が救助、輸送しているときに、日本人をですね、日本近海で攻撃があるかもしれない、このような場合でも日本自身が攻撃を受けていなければ、日本人が乗っているこの米国の船を日本の自衛隊は守ることができないと述べておられます。
 私、これは国民に対しては一定の理解をもたらされるかもしれないなと思いながら、実は、非常に私は唐突な印象を受けました。
 まず、何で急に米国が日本人をたくさん乗せて救助している状況が起こっているのかということです。それは、事前に何らかの形があるはずです。朝鮮半島有事なんだとすれば、朝鮮半島有事が起こるに当たるいろんな兆候があるわけで、兆候が出るときには、これは外務大臣、邦人の安全のために、外務省は領事局も含めて、海外邦人安全課も含めて情報を取り、何らかの状況が起こったり何らかの兆候があった時点では、いち早くまずは早期帰国を促すことがまず第一です。まずは民間機がそのことに対して懸命に対応していただかなければいけません。
 しかし、大使館員やそれなりに公的な仕事をしている例えば朝鮮半島、韓国にいらっしゃる日本人、邦人の方は残るかもしれない。最後の最後に残ったときにどういうふうに救出するかという段階で、例えばそれは日本人だけが残っているわけではありません。アメリカ人も残っていれば、中国もアジアの方もヨーロッパの方もみんなそこに、韓国にはたくさん例えばいらっしゃる。そのときに、国際的な協力歩調を取りながら、どうやってそれぞれの国の在韓外国人をそれぞれの国が救出をするかということが始まるわけです。
 そのときに、例えば韓国が自衛隊来るなというような話が本当にあるのかどうかということも、私は余り現実的ではないと思っています。いきなり唐突に、何か突然アメリカの船に日本人が乗っていますって、ノアの箱船じゃないんですからそんなことはあり得なくて、相手国の同意がある場合には、先ほど佐藤委員が言われたように、国際法上、日本の自衛隊が救出活動に行くことは問題ありませんよね。外務大臣に。
#76
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御質問の在外の自国民の救出ができるかということにつきましては、領域国の同意を得て行うということは可能だと認識をしています。
 こうした活動の本質、先ほども申し上げさせていただきましたが、この領域国の同意に基づいて、本来ならその国の警察当局等の機関がその任務の一環として行う治安の維持回復活動を言わば代行する性格のものであるというものであります。領域国の同意の範囲内で武器を使用することも可能であると認識をしております。こういった形で我が国として対応ができると認識をしています。
#77
○福山哲郎君 防衛大臣、防衛大臣もその認識でよろしいですね。
#78
○国務大臣(小野寺五典君) 総理が会見でお話しされた邦人を輸送中の米輸送艦の防護の事例等の引き合いをされて今質問をされていると思いますが、現在、百五十万人の日本人が海外に居住をしており、さらに年間一千八百万人が海外に出ていく時代であります。このような中、邦人の退避が必要な事態においては、政府として可能な限りの手段を講じて邦人の安全を確保する必要があると考えております。
 防衛省としては、厳しさを増す安全保障環境の中で、邦人輸送中の米輸送艦の防護についても実際に生起する可能性があるとの認識の下、自衛隊に求められる任務、役割を果たし得るようしっかり検討してまいります。
#79
○福山哲郎君 今重要なことを最後に言われました。総理の事例が想起される可能性があると。じゃ、想起される可能性って、どういう蓋然性、どういう状況で起こり得るか述べてください。
#80
○国務大臣(小野寺五典君) 具体的にどういう事態がどのような形で発生するかということは差し控えさせていただきますが、私どもとしては、様々な事案が例えば急速にエスカレートしていく中で、状況が急変する中で、その中でもしっかりとした対応ができるという検討はすることは重要なことだと思っております。
#81
○福山哲郎君 それは今までもやっているんですよ。その中で対応してきているんですよ。突然降って湧いたように、じゃ、アメリカの艦船に日本人がたくさん乗り込むなんという事例がどうやってあり得るんですか。
 先ほど私が申し上げたのは、防衛大臣、建前の話じゃないんです。まず、自衛隊は邦人救出のために相手国の同意があれば行けるんですねと確認したんです。外務大臣は、日本としては行けると言っていただきました。防衛大臣としてはいかがか、お答えください。行けますね。
#82
○国務大臣(小野寺五典君) 自衛隊法第八十四条の三に基づく在外邦人等の輸送は、外務大臣から防衛大臣に対し、外国における緊急事態に際し、生命又は身体の保護を要する邦人の輸送の依頼があった場合に、外務省でありますが、派遣国の同意を得て、当該輸送において予想される危険及びこれを避けるための方策について防衛大臣と外務大臣が協議をし、当該輸送を安全に実施することができると認めるとき、政府専用機等の輸送の用に主として供するための航空機、輸送に適する船舶と輸送に適する車両により実施することができます。
 なお、同条に基づく対応は、このような前提の下で実施する輸送ということに限定をされますので、私ども自衛官に関しては、自己保存型及び武器等防護のための武器使用権限は付与されていることを付け加えさせていただきたいと思います。
#83
○福山哲郎君 私は、別にそのときには武力攻撃事態が起こっているだとかなんとか言っておりません。
 つまり、全部状況はフェーズが変わります。そのことを言い出すと、もう今日時間がないので、本当はもっといろんなことを言いたいです。例えば、総理の言っている想定はどういう状況かと。幾つかのパターンがあるはずです。本当に周辺事態状況で、我が国に対する例えば攻撃のおそれ、着手もないような状況なのか、そうではない状況なのか。いろんなパターンが考えられるので、それを一個一個詰めていくと今日は時間がないのでまた申し上げたいと思いますが、総理の事例が非常に唐突感があるということと、こういったことは僕は逆に国民をミスリードすると思います。なぜならば、そうか、日本はこれまで外国にいる日本人に対して何ら救出の手だても持ってくれていなかったのかという誤解を与えるからです。外務省も防衛省もそれなりの準備をして、それなりの対応をしているはずです。(発言する者あり)
 ですから、そのことに対して、今やじで救出という話が出ました。救出なのか輸送なのか。今の話でいうと、有事のときにとにかく逃げてきてください、その状況で今から運びますというのが救出という概念なのか輸送という概念なのか、ここも重要な議論です。こういったことを詰めないで、ああいう情緒的な話は非常に国民をミスリードすると思いますので、そのことに対しては、私としてはまずは指摘をしておきたいと思います。
 例えば、グレーゾーンとそれから駆け付け警護も、私は議論することはやぶさかではありません。議論は前向きに考えたいと思います。しかし、尖閣や離島防衛で、なぜ今までそのグレーゾーンの議論がなされなかったかというのは、別にほっておいたわけではありません。例えばでいえば、例えば尖閣の周辺に対するいろんなグレーゾーンの対応については、対応を明確にすることによって、相手国との関係や能力、手のうちを明かすことになること、それから対応次第では逆に緊張関係を高めること、そして自衛隊員のまさにリスクとの兼ね合わせの上でこの議論は難しい議論だったはずです。
 ですから、私は議論することについてはやぶさかではありませんが、そういった状況だと。つまり、自衛隊員のそれぞれの皆さんの命が懸かる中でどういうふうにこのグレーゾーンを対応するか。更に言えば、相手国との関係でいえば、それがかえって相手の挑発行為を誘発をしたり、それから、かえってそこで緊張関係を高めたりすることも考え得るからこそこの問題は、今まで自民党政権も我々の政権のときにもこのことは議論しました。なかなか結論が出なかった問題ということは、これは指摘をしていきたいと思います。
 何か、これまで何か考えていなかったからとか、よく話の議論で出る国民の命を守るのは政府の責任があって、今までの政府はそのことの責任をさも放棄していたような議論は、私は非常に乱暴な議論だと思いますし、私は非常に遺憾に思います。
 また、駆け付け警護もそんなに単純ではありません。例えば、PKOの現場にいる方が、まさに佐藤先生いらっしゃいますけど、まさに何かあったときに、まず自分らの周辺の自衛隊員の命を守ることが司令官の任務です。その次に、その状況を把握した後で、どう駆け付けられるのか、相手が誰なのか、そういう議論をしないと、何でもかんでも何か勇ましく駆け付け警護するのが善だなんて思ったら大間違いです。それぞれの自衛隊員の命が懸かり、その状況によって、その地域のまさに状況が千差万別です、先ほど大臣が言われたように。まさに大臣は自衛隊員の命を守りながら日本の安全保障も守らなければいけない立場です。
 そういう状況の中でこの議論は進めなければいけないので、私は変に時間を掛けろみたいなことを言っているわけではありませんが、余り情緒的な議論で、さも今までの政府が無責任に対応していたと、今までの政府は申し訳ありませんが圧倒的に自民党政権ですから、そういう余り乱暴な議論はしないでいただきたいということを、今日最初の質問なのでお願いをしておきたいというふうに思います。
 それでは、時間なくなってきましたが、法制局長官にお伺いをします。
 まず、砂川事件判決について。
 安保法制懇では、砂川事件判決についての紹介がありました。ちょっとくだらない質問ですが、内閣官房もせっかく来ていただいたので聞きます。これ、安保法制懇の報告書概要とか一枚紙が我々に配られていますが、この概要とか一枚紙、ポイントって誰が作ったんですか。
#84
○政府参考人(武藤義哉君) 今御指摘の資料については、懇談会の委員、特に北岡座長代理の御指導を受けながら、懇談会の事務局である内閣官房国家安全保障局がまとめたものでございます。
#85
○福山哲郎君 つまり、結局、政府がフォローしているわけです。
 これ、下線も引いてあるんですけど、誰がどういう指示で下線を引いたのかというのも非常に、下線を引いてあるということはそこに価値が付与されているわけでして、そこについてもまあ何かなと思いながら私は拝見をしておりますが、ちょっと重要なポイントに、聞きます。
 砂川事件判決について、安保法制懇からも指摘が参考として入っています。私の認識と法制局長官の認識について、どのぐらい違うのか、また一致をするのか、お聞かせください。
 砂川事件判決というのは、当時、一九五九年当時です、駐留米軍が戦力に該当するのか、憲法上駐留が認められるのか、更に言えば、日本の安全保障を米国に委ねることがよいのかということが当時の議論であったと私は理解をしております。砂川判決が日本の軍事力を他国のために行使することを念頭に置いていたとは当時の議論からして私は思えません。逆に言えば、砂川判決の後にその判決の位置付けを踏まえた上で、政府、もっと言えば法制局は集団的自衛権の行使は認められないという解釈を示してこられました。
 今回の安保法制懇でも砂川事件判決を根拠とするような議論がありますが、今になって砂川事件判決を根拠として、安保法制懇の報告書の中にもあるように、限定的集団的自衛権の行使を容認することが従来の法制局の憲法解釈と一貫性を確保するものとなるのかどうか。いいですか、従来の政府の憲法解釈と一貫性を確保したものとなるのかどうか、法制局長官、お答えください。
#86
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 砂川事件の判決につきましては、御指摘のような事案について、御指摘のような論点について最高裁が判断を示したものと理解しております。
 政府におきましては、現行憲法第九条の下におきましても、我が国に対する武力攻撃が発生した場合におきましては、言わば例外的に武力の行使を許容していると解してきております。
 その根拠につきましては、砂川判決を直接の根拠としているものではなく、昭和四十七年以降、昭和四十七年に参議院決算委員会に提出させていただきました資料がございますが、それ以降、政府が説明しているような理由、根拠に基づくものでございます。
 なお、砂川判決の判示につきましては、そのような政府の考え方と基本的な考え方として軌を一にするという御説明をさせていただいております。
#87
○福山哲郎君 少し意味が分からなかった。
 基本的な考え方として軌を一にするというのは、何の基本的な考え方にして軌を一にするんですか。
#88
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 政府において、憲法第九条の下で我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限りまして武力の行使が許されていると、そのように解する基本にある考え方が、この判決の中で示されております、我が国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことであるというその考え方、それと、従来から政府が述べております見解の基盤になる基本的な考え方と軌を一にするということでございます。
#89
○福山哲郎君 後で議事録確認してもう一回、何度もやりますが、今、現状で駐留米軍は集団的自衛権の行使ではありませんね。
#90
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 若干、自衛権というものをどのように理解するか、以前は相当広く解しておりまして……
#91
○福山哲郎君 ごめんなさい、以前はいつですか。
#92
○政府特別補佐人(横畠裕介君) この砂川事件当時と御理解いただいて結構でございますけれども、この判決にありますように、旧安保条約を締結する、あるいは外国の軍隊を我が国に駐留を許すという、それの根拠として自衛権というものが説明されていた時代もございます。
 その後、現時点におきましては、その自衛権と申しますのは言わば実力の行使に関する概念であるというふうに説明させていただいておりまして、個別的自衛権であれ集団的自衛権であれ、武力の行使を正当化するその根拠という、そういう意味合いで使わせてもらっておりますので、現時点において駐留米軍の駐留根拠を自衛権をもって説明はしておりません。
#93
○福山哲郎君 いや、自衛権をもってです。自衛じゃなくても、あれでしょう、だって、自衛権は個別的自衛権も集団的自衛権も言っていないというのは砂川判決ですよね。
 だけど、逆に言うと、駐留米軍は集団的自衛権の行使ではないですよね。それは間違いないですよ。だって、今まで四十年間、集団的自衛権を行使できないと言ってきたんだから。行使できないと四十年間言ってきたのに、駐留米軍はその行使の一環ですというのは理屈通らないから、駐留米軍は集団的自衛権の行使ではありませんよね。
#94
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 日米安保条約に基づきまして米軍の駐留を認めるその根拠は、個別的あるいは集団的、いずれの自衛権の問題ではないというふうに整理しております。
#95
○福山哲郎君 だから、今は集団的自衛権の行使ではないというふうに説明をしていただいたということですね。それでいいわけですね。今は違うということでいいですね。
 実は、この安保法制懇の懇談会の概要のところを見ても、実は戦後一貫していたわけではないと、憲法九条をめぐる憲法解釈は戦後一貫していたわけではないというのがはっきり書いてあるんですけど、法制局長官にお伺いします。
 自衛権の行使に係る憲法解釈には、基本的には昭和四十七年見解がずっと続いています。私もいろんな議論があったことは理解をしているつもりです。当時は朝鮮動乱もあり、冷戦構造もあり、いろんな変化があったことも分かっておりますが、法制局長官として、今までの政府はずっと憲法解釈の変更は、文民条項の問題以外には憲法解釈の変更はしていないと、それ以外はというふうに答えられていましたが、そのことについては間違いありませんね。
#96
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 政府といたしましては、平成十六年六月十八日の島聡衆議院議員に対する政府答弁書において、憲法の解釈、運用の変更に当たり得るものとして、憲法第六十六条第二項に規定する文民と自衛官の関係に関する見解のみを挙げているところであり、それ以外にはございません。
#97
○福山哲郎君 ありがとうございます。
 それともう一点、お手元にお配りした資料でございますが、先ほどから法制局長官の話にある昭和四十七年見解、これがいわゆる我が国の自衛権行使の三要件プラス集団的自衛権は憲法上許されないと言われた四十七年見解、それから五十六年見解、これもそうです、そして十六年見解が今長官の言われた島聡さんに対する問題ですが、この四十七年見解、五十六年見解、十六年見解は、少しずつ表現は違っていますが、基本的には昭和四十七年見解と同じ論理構成で展開していると理解をしてよろしいでしょうか。
#98
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 昭和四十七年の資料がベースでございます。その内容を詳しく書いてありますけれども、概要を申し上げますと……(発言する者あり)同じ趣旨であると理解しております。
#99
○福山哲郎君 じゃ、次に文言について聞きます。
 実は、四十七年見解は、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に対してと言われています。五十六年見解は、我が国を防衛するため必要最小限度と、これはこういった短い表現になっておりますが、十六年見解は、外部からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされるような場合と書いてありますが、この自衛権行使の要件の内容、表現は違いますが、これも同じ論理的な基準であると考えてよろしいですか。
#100
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 自衛権発動の第一要件といたしましては、我が国に対する武力攻撃の発生ということでございます。それが要件でございます。
 それぞれ見解において記述がございますけれども、我が国に対する武力攻撃が発生した場合の言わば状況といいますか、補足的にどのような状況なのかということをそれぞれ説明したものと理解しておりますが、その意味で要件的には全く同じことを述べていると思います。
#101
○福山哲郎君 これ非常に重要なんですけど、我が国が攻撃をされていない状況で、いいですか、長官、攻撃をされていない状況で、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態に陥ることというのは想定でき得るんでしょうか。
#102
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 現在の状況の下におきましてどのような事態が起こり得るのかという点につきましては、それ自体は法律問題ではございませんのでお答えできないところでございますけれども、当局としてお答えすることは難しいと思います。
#103
○福山哲郎君 じゃ、外務大臣にお伺いします。
 外務大臣、我が国が攻撃されていない状況で、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される急迫不正の事態に陥ることというのは想定できますでしょうか。
#104
○国務大臣(岸田文雄君) 国民の生命、暮らしを守る、これは政府にとりまして最も大切な役割であります。そして、そのためにあらゆる事態を想定し、しっかり法的基盤を確立していかなければならない。こういったことで努力をすること、これも重要なことであります。
 そういった考えに基づいて、今、安保法制懇の報告書を受けて、そして政府・与党として議論を始めたところでありますが、今おっしゃったような事態、要は、我が国が直接攻撃を受けていないにもかかわらず我が国にとって大変重大な事態が起こるかどうか、その辺も含めまして何か政府として対応する必要があるかないか、これを議論しているところであります。御指摘の点も含めて政府・与党として議論を行い、これから政府としての方針を決定する、こういった議論が行われるものだと承知をしております。
#105
○福山哲郎君 肝なんです、実はこの文言は。二枚目を見ていただくと、総理の会見でも言われた、集団的自衛権の行使が部分的に必要最小限に認められると書いてある左側のところに、その事態が我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、安全に重大な影響を及ぼす可能性と、非常に抽象的かつどこでも言えるような話です。
 つまり、我々の自衛権の行使、特に個別的自衛権の行使は、憲法九条の関係で、先ほど申し上げたような文言で非常に厳格に必要最小限の幅を守ってきました。そして、今回必要最小限という言葉が非常に変質して使われようとしています。必要最小限の議論はまた今度、私ゆっくりしたいと思っておりますが、何か、我が国に攻撃がされていないのに安全に重大な影響を及ぼす可能性があると。何か、こんな言葉で本当に集団的自衛権の行使を容認するような解釈変更を戦後二回目として本当に始めていいのかと。私は、国民の安全を守ることは当然だと思います。それは政府の責任であるし、逆に言えば、国会に出させていただいている我々の責任でもあると思います。そのことを否定するわけではありません。
 しかし、余り先ほどから申し上げているような情緒的な議論とか、これまで四十年にも及ぶ国会も政府も含めて考えてきた議論の安定性とか一貫性を放棄をするような大ざっぱな議論は是非やめていただきたい。そして、是非こういった時間をより多く取っていただくようにお願いをし、今日まだ聞きたいことは山ほどありますが、他の委員が、うちの委員がお待ちですので、これで終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#106
○藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。
 ちょっと順番を変えさせていただいて、小泉政務官は最後の方に質問をさせていただきます。
 まず、世耕副長官がいらっしゃっておりますので、質問通告の以前に、昨日の参議院本会議場において起きたことについての事実関係について、まず説明をいただきたいと思います。
#107
○内閣官房副長官(世耕弘成君) ちょっと通告いただいていませんでしたが、事実関係ということでありましたら、参議院議員全員にお配りをしていた厚生労働大臣の法案に関する趣旨説明の紙、これが、中に本来この法案に関係のない文言が入っていたということでございます。
#108
○藤田幸久君 それを気が付いて、副長官が指摘をされたということでああいうふうになっていったわけですが、それで、結果的に、実はこの委員会は条約を審議をしておりましたが、昨日、本会議が開催できなかったということで、この三条約が自然承認になってしまったということで、実は冒頭、委員長の方からその事態に対して遺憾の意を表明され、厚労副大臣がこの委員会で謝罪をされたという経緯があったわけですが、その事実を指摘されたこと自体は当然の職務だろうと思いますが、結果的に副長官も属されている参議院が実はそういう立場を失ってしまってということ、そういうことになり得るということは、その段階で想定をされて指摘をされたんでしょうか。
#109
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 当然、資料に間違いがあることに気が付いたら、その時点で是正すべきだという私はその思いで動いたわけでございます。
 厚生労働省の作っていた資料に結果として重大な間違いがあって、そのことで参議院の審議に大きな影響を与えたということはもう大変申し訳ないことだというふうに思っております。
#110
○藤田幸久君 そういう大変な事態でございましたので、政府としてあるいは官邸として、その重みを受け止めてこれからも対応していただきたいというふうに思っております。
 次に、横畠法制局長官にお伺いをしたいと思います。
 以前、長官は、長官に就任前でございますが、憲法解釈変更はおよそ不可能という前提には立たないというふうに答弁されておりますけれども、それでは、集団的自衛権行使容認のための政府解釈変更は可能な場合があるとお考えでしょうか。
#111
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 憲法の解釈及びその変更についての考え方につきましては、既に御答弁申し上げているとおり、平成十六年六月十八日の島聡衆議院議員に対する政府答弁書でもお答えしているとおりであり、あえて引用は避けますけれども、その趣旨でございます。ただ、それは一般論としてお答えしているところでございます。
 今般のいわゆる限定的な集団的自衛権の行使等の問題につきましては、今後、政府・与党において具体的な事例に即して更に検討を深めることとされており、お尋ねについて予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。
#112
○藤田幸久君 では、いわゆる政府の基本的方向性というものが出ましたが、で、総理自身が会見をされたわけですが、いわゆる政府解釈変更のその準備といいますか、指示がその後、政府側から法制局に対してあったのかどうか。
#113
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 内閣法制局としては、今後行われる政府内での検討、あるいは与党との協議等の過程におきまして、適切に意見を述べるということがその職責であろうと考えております。
 お尋ねの点につきましては、内閣法制局として憲法解釈の変更を前提とした準備の指示を受けたということはございません。
#114
○藤田幸久君 では、前提としないこの変更の準備に関する指示は政府側からあったんでしょうか。
#115
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 総理がお示しになられた基本的方向性などにおきましても、内閣法制局の意見を聞いてという言及がございますので、当然それに備える準備というのはしているところでございます。
#116
○藤田幸久君 いや、答えてください。しているかどうかを聞いているんじゃなくて、指示があったかどうかを聞いているんです。イエス、ノーで答えてください。
#117
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 何をもって指示と受け止めるかですけれども、特にせよということがなくても当然すべき、行うべきことは行うということと理解しております。
#118
○藤田幸久君 つまり、指示はないんですね、今までのところ。
#119
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 指示がないとなかなか言い切るのも難しいところで、当然、あうんと言っては語弊がありますけれども、当然、内閣法制局はその役割を果たせという総理の御意思でございましょうし、我々といたしましてもそれを受けて所要の準備もするということでございます。
#120
○藤田幸久君 じゃ、意思を長官及び法制局が自動的にそう受け止めて、御自分方でスタートしているということですか。
#121
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 先ほどもお答えしたとおり、内閣法制局の意見も聞いてというふうに言及されておりますので、当然そのようなことだと理解しております。
#122
○藤田幸久君 時間の関係で先に行きます。
 内閣がこの憲法解釈を変更するということですが、憲法九十九条に憲法尊重擁護義務というのがあるそうですけれども、そうすると、これに違反するのではないかと。つまり、政府が必要性に応じて憲法の内容を解釈を変更するということは、立憲主義からいっても問題があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。この九十九条との関係。
#123
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御指摘のように、憲法第九十九条は公務員の憲法尊重擁護義務を定めております。行政府におきましてもそのような規定があること、また、遡ればいわゆる立憲主義の原則もございますので、行政府がその権限を行使するに当たっては、憲法を適正に解釈していくということが当然の必要でございます。
 このような行政府としての憲法の解釈につきましては、当局も必要に応じて意見を申し上げますが、第一次的には法律の執行の任に当たる行政機関が行い、最終的には、憲法第六十五条において「行政権は、内閣に属する。」と規定されているとおり、行政権の帰属主体である内閣に帰せられるものであると理解しております。
#124
○藤田幸久君 ちょっとおかしい気がいたしますが、先に行きます。
 今度は世耕副長官にお伺いしたいと思いますが、総理は会見で、その報告書の中にあります、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるという考え方で、必要最小限度の武力の行使は許容される、こうした従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方ですと述べていらっしゃいます。
 しかし、今まで、今日も説明ございましたように、政府解釈では集団的自衛権は保持するけれども行使できないと今までしてきたわけですが、では、政府は従来から憲法九条は限定的な集団的自衛権行使を許容していると考えていたのか、それとも、今回の報告書にあるように、いわゆる安全保障環境が変化したことの必要性があるので、これまでは許容されていなかったけれども憲法九条の内容を変えることができると考えているのか、どちらでしょうか。
#125
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 今、藤田委員御指摘のとおり、集団的自衛権に関する従来の政府の憲法解釈は、我が国は、国際法上いわゆる集団的自衛権を有しているとしても、これを行使することは憲法上許されないというものであります。
 一方で、五月十五日に政府の方へ提出をいただいた安保法制懇の報告書においては、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方が示されました。
 この考え方は、憲法第九条はその文言からいうと国際関係において武力を行使することを一切禁じているように見えるが、憲法前文あるいは憲法第十三条の趣旨を踏まえれば、自国の安全と平和を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置は禁じておらず、そのための必要最小限の武力の行使は許容されるとの従来の政府の基本的な立場を踏まえたものでありまして、政府としては、この考え方について更に今後研究を進めていくことになると思います。
 その研究を進めていくに当たっては、今委員が御指摘のように、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しく、今後も変化し続けることを踏まえて、国民の命と暮らしを守るために今どのような備えをし、抑止力を向上するかを真剣に検討する必要があるというふうに考えております。
 ただ、いずれにしろ、現時点では憲法解釈を変更する必要があるか否かを含めて、政府としての対応、見解は何ら決まっておりません。安倍総理が示された今後の検討の進め方についての基本的方向性に基づいて、与党とも十分に協議をしていくとともに、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての対応を検討してまいりたいというふうに思っております。
#126
○藤田幸久君 そうしますと、今まではいわゆる限定的な集団的自衛権を許容していないと考えていいわけですね。
#127
○内閣官房副長官(世耕弘成君) ですから、従来の政府解釈は、集団的自衛権については国際法上有しているけれども、行使をすることは憲法上許されないというものであります。
#128
○藤田幸久君 そうすると、この報告書等で砂川事件判決が例示をされておりますが、先ほど来の質疑にありますように、状況が違った段階での前提が違った事例であります。それから、四十七年の報告書、これも集団的自衛権が行使ができないということなわけですが、こういう資料を使っているということは、今これから検討していくということの逆の資料じゃないんでしょうか。
#129
○内閣官房副長官(世耕弘成君) いずれにしても、報告書をいただいて、それに基づいてこれから与党で議論をしていただくということでありますから、今のところ、私の方からちょっと予断を持ったお答えはできないということであります。政府としての対応はこれから決めていきたいというふうに思っております。
#130
○藤田幸久君 状況が変わったということの一つの事例として、一九六〇年の参議院予算委員会で岸信介元総理が、一切の集団的自衛権を持たない、憲法上持たないということは私は言い過ぎだというふうに考えておりますと、そうおっしゃった一方で、他国に基地を貸して、そして自国のそれと協同して自国を守るというようなことは、当然従来集団的自衛権と解釈され、そういうものはもちろん日本として持っているとおっしゃっておられます。
 現在、今政府として、日米安保は集団的自衛権の範囲に含まれるとお考えでしょうか。これは外務大臣ですね。
#131
○国務大臣(岸田文雄君) まず、集団的自衛権、国際法上ですが、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力行使を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止することが正当化される権利と解されております。
 政府としましては、日米安全保障条約第六条に基づく施設・区域の提供及び米軍の我が国への駐留、これは実力の行使には当たらないと認識をしております。よって、これは集団的自衛権の行使に当たらないと解しているところであります。
#132
○藤田幸久君 そうしますと、安倍総理が、岸元総理は集団的自衛権を否定しなかったということでお話をされたりしておりますけれども、当時の岸元総理のときの集団的自衛権の概念は、今外務大臣がおっしゃっていただいたこととそもそも前提が違っているんじゃないでしょうか。
#133
○国務大臣(岸田文雄君) 当時のこの岸総理の答弁を見てみますと、当時、これにつきまして様々な議論が行われていた、こういったことについても紹介をされておられます。当時の岸総理のこの答弁につきましては、様々な議論があったこの当時の状況に基づいての発言だというふうに認識をしております。
 政府としましては、自衛権に対する考え方、先ほどの答弁にもありましたように、昭和四十七年の政府見解以降この政府見解を確立し、そして今日に至っていると認識をしているところであります。
#134
○藤田幸久君 したがって、当時の岸元総理がいわゆる集団的自衛権というのは持っているとおっしゃったという内容はまさに施設・区域等の話ですから、今の段階で岸総理がこうおっしゃったので否定していないということには、そもそも話の内容が違うわけですから、例示としては不適当ではないかということを申し上げているわけです。いかがでしょうか。あるいは法制局長官、お答えください。
 例示の内容が違いますよね。当時の岸さんがおっしゃっていた、つまり施設・区域をもって集団的自衛権を持っているとおっしゃったということと、今は日米安保は集団的自衛権のこの範囲に含まれない、先ほどのお話では、端的に言うと。そうすると、内容が違うわけですよね、当時の岸さんがおっしゃっていたことと、今、安倍総理が引用していることは。いかがですか。
#135
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 引用が適当かどうかについて私の方から意見を申し上げることは差し控えさせていただきますが、先ほどもお答えいたしましたけれども、現在は、自衛権といいますのは実力の行使に係る概念であるというふうに整理されていると理解しております。
#136
○藤田幸久君 つまり、実力の行使と施設・区域の違いということで内容が違っているということを確認をしておきたいと思います。
 その内容の違い、前提が違うということとは違って、一種のすり替えみたいな話が、先ほど来、福山委員も質問されておられました総理の会見でございます。赤ん坊を抱えた女性の乗った米国の船の防御ということで、安倍総理は会見で、日本自身が攻撃を受けていなければ、日本人が乗っているこの米国の船を日本の自衛隊は守ることができない、これが憲法の現在の解釈ですとおっしゃったわけですが、政府として、日本人が乗っていない米国の船は集団的自衛権行使の対象にならないということでよろしいんでしょうか、世耕副長官。
#137
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 今後、政府・与党で具体的な事例に即して検討を深めていただくことになるわけでございまして、安倍総理が記者会見で言及をされた日本人輸送中の米輸送艦の防護の事例も含めてどのような事例を検討していくかについては、今後、与党と調整することになります。
 現時点では、大変申し訳ないんですが、政府として個々の具体的事例に関する検討について与党の協議の結果を待ちたいというふうに考えておりまして、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
#138
○藤田幸久君 総理が、しかもテレビの前でパネルまで使って情緒的に国民に訴えようとした事例であります。その前提として、日本人が乗っているか乗っていないかによって違うと思うわけですが、少なくとも二〇〇八年の四類型あるいは今回の六つの事例ともこの対象とすれば、日本人が乗っていない場合も対象になるという前提があるんじゃないですか。だから、事例を総理が説明するに当たって、日本の赤ん坊を抱えた女性がなくても議論の政策的な内容としては変わっていないはずなんですが、いかがですか。非常に大きな質問であります。
#139
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 総理は会見で、あくまでも一つの例として……(発言する者あり)
#140
○委員長(末松信介君) 静粛に。
#141
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 日本自身が攻撃を受けていなければ、日本人が乗っている米国の船を日本の自衛隊は守ることができない、これが憲法の現在の解釈ですという例示を述べました。
 今後は、このことも含めてどのような事例を検討していただくか、当然、総理が申し上げた事例についてはしっかり御検討をいただくことになるというふうに思いますが、個々の具体的事例に関して検討の結果がどうなるかというのは、私は現時点で予断を持ってお答えすることはできないということでございます。
#142
○藤田幸久君 総理がテレビの前で例示をしたということは、これから検討しますからと例示を示しているんではなくて、まさに赤ん坊を抱えた日本の女性がいて、これを憲法上守れないんですと言っているわけですが、あそこに日本の人が乗っていなくても、これ憲法上守れないというのは同じなわけですよね。その確認をしてください。これは今後の検討ではなくて、現在の法律において、日本人が乗っていなくても守れないと、憲法上ですね、これが憲法の現在の解釈ですという事実について。
 解釈の事実については、じゃ、長官、答えてください。
#143
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 現在の法律におきましては、その事例で示されております邦人輸送中に限らず、そのような米艦を防護するという根拠の規定はございません。
#144
○藤田幸久君 つまり、邦人輸送に限らずというふうに法制局長官言っていただいたとおりでありまして、そもそも日本人を守るためであるならば、個別的自衛権あるいは警察権等で対応ができるはずでありまして、したがって、総理が使われたあの事例は日本人が乗っていなくても憲法上守れないということであるということを確認を、今法制局長官からあったわけですから、確認をさせていただきたいというふうに思っております。
 それでは次に、この事例の話が出てきましたけれども、私の資料の三枚目、これも先ほど御説明があったような、政府の方で作った事例であります。ここで総理は、日本自身が攻撃を受けていなければ日本の自衛隊は守ることができない、これが現在の解釈ですと。
 それで、憲法解釈上の問題点として、今我が国として取ることができない事例としているわけですけれども、この六つの事例について、今は可能でないという根拠を示していただきたいと思います、全部事例ごとに言っていただくと時間が掛かると思いますので、共通の根拠があれば共通の、それから一、二の事例を挙げて副長官の方から答えていただきたいと思います。
#145
○内閣官房副長官(世耕弘成君) これ、安保法制懇の方から憲法解釈の現状と問題点ということでこの六つの事例を挙げた上で、これが今具体的な行動を取ることを可能とすべきという指摘が行われているわけでございます。
 現時点でこの報告書に挙げられた事例について、政府としてまだ詳細な検討を行っているわけではありませんが、一般論として申し上げれば、この@からCまでの事例、この四つの事例が、外国に対する武力攻撃は発生しているけれども我が国に対する武力攻撃はまだ発生していないと理解される事例というふうに取れば、従来のこれまでの政府の憲法解釈に従えば、基本的には我が国としての武力の行使を行うことは憲法上許容されないということになろうかと思います。
 また、D、Eの事例については、報告書においては武力攻撃に至らない侵害に係る事例として挙げられておりまして、これらに対応するに当たっては、現行法の規定では権限上あるいは時間軸での隙間が生じる可能性があるというふうに指摘をされているというふうに考えております。
 一般論として申し上げれば、政府としても武力攻撃に至らない事態に対して切れ目のない対応を可能とする観点から、国内法制について不断に検討し、より一層の改善を行っていく必要があるというふうに考えております。
 いずれにしても、政府としては、安倍総理が示された今後の検討の進め方についての基本的方向性に基づいて与党と十分に協議をしていくとともに、法制局の意見も踏まえながら対応を決めてまいりたいというふうに思っております。
#146
○藤田幸久君 この六つの事例は、個別的自衛権では対応できないでしょうか。
#147
○政府参考人(武藤義哉君) ただいま副長官の方からお答えありましたように、@からCまでの事例、これは、一般的に申し上げれば、我が国に対する武力攻撃が発生していないと解される事例なのであれば、従来の憲法解釈に従えば、基本的には我が国として武力の行使を行うことは憲法上許されないというふうに考えているところでございます。
 DとEについては武力攻撃に至らない侵害ということでございますので少々違うと思いますけれども、そこは切れ目のない対応を可能にするという観点から検討していくと、そういう課題であるというふうに理解しております。
#148
○藤田幸久君 今までのロジックと、ではこの六つを今後集団的自衛権で対応できるというふうにすれば、じゃ六つがそっくりそのままできるというふうになるという因果関係というか、ロジックが分からないんですが、どなたか説明してください。
#149
○政府参考人(武藤義哉君) 報告書の中でこういう事例、今までの武力行使に関する憲法解釈上できないのではないか、あるいは、武力行使の問題では必ずしもないけれども武力攻撃に至らない侵害の例でこれは切れ目のない対応が必要だと、そういうものとして挙げられているところでございますけれども、政府としては、いずれにいたしましても、この報告書を受けましてまた今後検討してまいるということでございますので、この検討の結果の結論については予断を控えたいと思います。
#150
○藤田幸久君 ちょっとまあ非常におかしいですが、先に行きます。
 国連の集団安全保障措置でございますけれども、総理は会見で、国際法上合法な活動には憲法上の制約はないというその法制懇の報告書に対して、これはこれまでの解釈とは論理的に整合しない、私は憲法がこれらの活動の全てを許すとは考えていませんと発言しておられます。ところが、その直後に石破自民党幹事長は、将来の多国籍軍への参加などに可能性があるような発言をされているんです。
 そこでお聞きをいたしますが、政府としては、憲法九条上、武力行使との一体化の例外として国連安保理決議に基づく多国籍軍への参加などは許容されると考えているのか。
 つまり、安倍総理の会見は、憲法九条上許容されるけれども政権の判断として採用しないというふうに言っているのか、それとも、そもそも憲法九条上許容されないとしているのか、どちらでしょうか。副長官、お願いします。
#151
○内閣官房副長官(世耕弘成君) この多国籍軍への参加に関してでありますが、まず、これまでの政府の立場は、自衛隊の活動が武力の行使に及んだり他国の武力の行使と一体化することがないという前提を確保することが可能であれば、自衛隊がいわゆる多国籍軍の中で活動することは許されないわけではないというものであります。
 これに関して、五月十五日の安倍総理の記者会見で、安保法制懇の報告書にある提言のうち、国連の集団安全保障措置といった国際法上合法な活動には憲法上の制約はない、これが法制懇の報告書の提言の中身ですが、この部分に関しては政府として採用できないという旨を安倍総理の方から述べさせていただいております。
 その上で、安倍総理は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方について、今後更に研究を進めるとの立場を明らかにしたわけであります。
 いずれにしろ、現時点で、この問題も含めて、憲法解釈を変更する必要があるのか否かを含めて、政府としての対応は何ら決まっておりません。総理が示された基本的方向性に基づいて、まずは与党と十分協議をして、法制局の意見も踏まえて対応を検討してまいりたいというふうに思っております。
#152
○藤田幸久君 つまり、突き詰めると、解釈を変更して多国籍軍へ参加することも可能にすることができるということをおっしゃったわけですよね。
#153
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 総理は会見では、そこの判断は、そこの憲法上の解釈とか、そういったことは示されていない。私はもう会見を説明するしかできませんが、総理は会見では、あくまでも、この国連の集団安全保障措置といった国際法上合法な活動には憲法上の制約はないという法制懇の報告書にある提言の部分は政府としては採用できないという旨を述べたということでございます。
#154
○藤田幸久君 非常に、何というんですかね、ミスリーディングだろうと思うんですが、例示とすれば、パネルを使ったりして今までこれだけできなかったんだと、これを変えていけばこういうふうにできるんだとおっしゃっていて、中身の話に行きますとこれからだと言って、それから、官邸なり政府の方から法制局の方に指示もどうも出ていない、明示的には。
 それで、しかも、今までの解釈に基づけばできないこと、できないと言っていながら、これから変えていく可能性がある。では、解釈を変える可能性があるんですなと聞くとそれは答えないといいますと、国民も混乱しますし、この議会が何であるのかということ。
 今日の午前中だけ聞いておりましても、これは大変命、国民を守るという観点から、極めていろいろな不備が余りにも多過ぎるということを指摘をしておきたいと思っております。それをしっかり整理をしていただきませんと、せっかくこの国会で審議をしていても、基本的なことについて議論ができないんではないかということを申し上げておきたいというふうに思っております。
 それで、時間がありませんので、一つは、これも何回も私も委員会で特に防衛大臣に質問してまいりましたけれども、いわゆる事例を挙げながら合憲可能とすべきだというふうな、先ほどの六つも言っているわけですけれども、ということは、いわゆるネガティブリストを念頭に置いているのかなと、今後はですね。そういう印象も持っているんですが、政府におかれましても、ネガティブリストの考え方によってこれから議論を進めていかれようと思っているのかどうか、これは防衛大臣の方でちょっとお答えいただけませんでしょうか。
#155
○国務大臣(小野寺五典君) 私が答弁の適当かどうかは別として、今御質問がありましたので答弁させていただきますと、現時点では、憲法解釈を変更する必要があるか否かを含め、政府としての対応は何ら決まっておりません。安倍総理が示した今後の検討の進め方についての基本的方向性に基づき、与党と十分に協議していくとともに、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての対応を検討していくということであります。
 いずれにしても、国民の命と暮らしを守ることは政治の最大の責務であり、今後、政府・与党において具体的な事例に即して更なる検討を深め、国民の命と暮らしを断固として守り抜くために切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備するということであります。
 そして、御指摘のようなリストを作成するかどうかについても、現在、政府としての対応は何ら決まっていないと承知をしております。
#156
○藤田幸久君 済みません、最後に小泉政務官、シンガポールにおけるTPP閣僚会議における交渉の内容と成果についてお答えいただきたいと思います。
#157
○大臣政務官(小泉進次郎君) 今回、シンガポールでの閣僚会合の結果ですけれども、十九日と二十日に行われました結果、各国間の二国間の交渉を加速して、閣僚間で交渉全体の進捗を評価することを目指して、市場アクセス、ルールの双方で残された論点について交渉が前進するよう全体会合で議論を行いました。
 その結果、今後の作業については、分野ごとに、事務レベルで決着すべき論点、閣僚レベルで決断すべき政治的課題に仕分をして、交渉官にしっかりとマンデートを与えて交渉させることにしました。さらに、七月に首席交渉官会合を開催するよう指示を出して、それまでの間にしっかりと事務レベルで協議をし、詰めるところを詰めて、閣僚間で調整をすることは可能な限り少なくしていこうということで進めました。
 また、全体会合に加えて、閣僚が出席していた各国とのバイ会談も行いまして、アメリカを含む八か国とのバイ会談も行いました。
 市場アクセスについては、各国が二国間交渉を通じて、物品だけでなくてサービス、投資、政府調達、一時的入国など市場アクセス全般にわたって精力的に交渉を進めました。八か国と二国間交渉を行って、実質的な協議を今回も進めました。
 ルール分野については、知的財産、国有企業、環境について作業の進捗状況の報告を受けて、更なる議論を行っていくこととしました。
 日米間においては、甘利大臣とフロマン代表が全体会合が始まる前に会談を行って、全体の閣僚会合の進め方、そのための日米協力の方法について意見交換を行いました。また、残されている日米の課題については事務レベル協議を進めるため、事務レベルの折衝を精力的に行いました。日米間の懸案の解決に向けて、これからも事務レベルで引き続き折衝を続けてまいります。
 交渉は大きな山場で、最終局面を迎えてきていますので、七月の首席交渉官会合に向けて事務レベルで詰めるところを詰めて、これからも精力的に交渉に当たってまいりたいと思っております。
#158
○藤田幸久君 終わります。ありがとうございました。
#159
○委員長(末松信介君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十三分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#160
○委員長(末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、外交、防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#161
○牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。
 まず、私の地元でございます厚木基地訴訟についてお伺いしたいと思います。
 アメリカ軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地の騒音被害をめぐって、周辺の住民約七千人が国に夜間ですとか早朝の飛行差止めを求めております。その第四次厚木基地騒音訴訟の判決が昨日、横浜地裁でございました。佐村裁判長は、騒音被害の違法性を認め、過去最高額となります総額約七十億円の損害賠償に加えて、午後十時から朝の六時までの間、防衛大臣がやむを得ないと認める場合を除いて自衛隊機の飛行の差止めを命じる判決を言い渡したということです。米軍機の飛行差止め請求は退けています。
 基地の航空機の飛行の差止めが命じられたのは全国で初めてでございます。今回の判決は、厚木基地の騒音被害の現状をこのまま放置せず、抜本的な対策を取ることを司法が求めていると思われます。
 防衛大臣はこの判決をどれだけ重く受け止めておられますか。それから、判決を受けての御所見と今後の方針を、個人的な見解も含めて結構ですので、なるべく詳細に御説明いただければと思います。
#162
○国務大臣(小野寺五典君) 個人的な見解という言葉でございますが、防衛大臣でございますので、防衛大臣としての見解を述べさせていただきたいと思います。
 本判決では、自衛隊機の飛行差止めが一部認容され、また厚木基地周辺における自衛隊機等の騒音被害は受忍限度を超え違法であるとして、原告ら約七千名に計七十億円及び遅延損害金の支払いを命ぜられたところであります。
 私は、大臣着任直後でありますが、平成二十五年一月に厚木基地周辺の住宅地を訪れ、地元の大和市長及び綾瀬市長との面談も行い、住宅防音工事の現場も視察し、住民との意見交換もさせていただきました。大臣となって初めて現地での仕事が実はこの厚木での基地周辺の生活環境の整備。このことに問題意識を持って、少しでもその軽減を図ろうという努力をしていきたいという、そういう思いでございます。ただ、今回の判決は、私どもとしても大変厳しい判決だと思っております。
 今般の判決は、飛行差止め及び損害賠償に係る国側の主張について裁判所の理解が得られず、大変厳しい判断が示されたものと受け止めております。
 防衛省としましては、厚木基地においてP3Cによる周辺海域の警戒監視やUS2による海難救助、急患輸送を実施しており、国民の生命を守り、国の安全を保つために必要な任務飛行、訓練飛行を行っております。
 今回の判決で、これら自衛隊機の運航を一部差し止める等、防衛省にとって受け入れ難い内容を含む判決であるところ、いずれにしても、今後の対応については、判決内容を慎重に検討し、関係機関と十分調整の上、適切に対応してまいりたいと思っておりますが、引き続き、厚木基地周辺の生活環境の整備には一層努力をしていきたいと思っております。
#163
○牧山ひろえ君 大臣の御答弁によりますと、平成二十五年一月に実際に厚木基地を訪れておられるということで、実際にどのぐらいの音がするかというのは私も実際に現場に行って何度も聞いていますけれども、では、大臣に、長年騒音の被害に遭われているこちらの地元住民の方々に今回の判決を受けての是非お声掛けを一言お願いできますでしょうか。
#164
○国務大臣(小野寺五典君) 先ほどもちょっとお話をしました実は平成二十五年一月には厚木基地周辺の住宅地を訪問しておりまして、基地自体にはそのときは行っているわけではありませんが、基地の近傍の住宅地から私も、P3Cだったと思いますが、それを聞く、姿、音を直接聞かせていただきました。
 いずれにしても、例えば米軍艦載機等がこの厚木基地に着陸するような状況も多数あるということでありますので、私どもとしましては、大変重要な基地でもありますが、特にこの厚木基地周辺の生活環境の整備、これは住民の皆様の声を聞きながら一層努力をしていきたいと思っております。
#165
○牧山ひろえ君 今回の原告は、騒音が激しいとして国が住宅防音工事を助成する基準であるうるささの指数が七十五以上の地域に住んでいる方々なんです。国が控訴されるかは今後の判断になろうかとは思いますけれども、今回の判決をきっかけに、今現在、騒音で苦しんでおられる住民の皆さんへの影響を踏まえて今後の対策を議論し、適切な御判断をしていただければと思います。
 次に、いわゆる環太平洋連携協定、いわゆるTPPに関し御質問したいと思います。
 安倍内閣は、参加国に課せられた秘密主義を盾に、TPPに関する交渉内容を国民に全く明らかにしていません。私たちも交渉状況の情報開示を求めるTPP等情報開示促進法を四月二十五日に衆議院に共同で提出していますが、その後も情報は一向に開示されておりません。
 東京新聞の五月二十一日朝刊の報道によりますと、TPPの守秘義務契約の中では政府にアドバイスする立場の民間人は守秘義務の例外と規定されているというふうに書いてあります。それを受けてかと思いますけれども、アメリカでは米大企業幹部など規模拡大を狙う一部の大企業などがUSTRの諮問委員を務めることによって随時TPPに関する情報が得られるとこの新聞では報じられています。
 これが事実だとすると、まずアメリカの、しかも一部の企業だけが、恐らくその一部の企業というのはグローバル企業がほとんどだと思うんですけれども、TPPに関する情報の恩恵を受け、そしてビジネスにおいて先手を打てるということになります。そして、有利な立場に立つということにはならないでしょうか。情報格差にさらされる日本企業は情報戦において圧倒的に不利な立場に立たされますし、国益にも反するのではないかと懸念しております。
 アメリカで経済団体や大企業幹部がTPPに関する情報を共有しているか実際に調べて、これが事実であればしかるべき対策を打った方がいいのではないでしょうか。いかがでしょうか。
#166
○大臣政務官(小泉進次郎君) まず、TPP交渉に参加をしている各国は、共通の秘密を守る秘密保持契約にサインをした上で参加をしているわけです。その中で、この秘密の保護の範囲の中で、どこまで秘密を守るというこの契約を交わしたその約束と、情報公開をできる限りやるという、そういった両面を各国が悩みながら、だけれども国民に対する説明責任を誠実に果たしていこうということで努めていると思います。
 そういった観点で考えますと、今、牧山先生の御指摘のような、一部の方がこの秘密の保護の範囲の外で仮にそういった情報を扱うということはやはり信義にもとるようなことになると思いますので、そういったことはないと、これは信頼の関係ですからそう思っております。
 今回、そういった件が報道されたり、また日々このTPPに関しては事実ではないことに基づいての様々な報道もありますが、各国それぞれ信頼関係に基づいて可能な限りの説明責任を果たしながら、七月の首席交渉官会合に向けてこれからも交渉を加速させていきたいと思っております。
#167
○牧山ひろえ君 もしもこの報道が事実であった場合、日本政府が日本企業に不利な情報格差を是認しているとしたら大問題だと思います。守秘義務契約の内容はいずれ公開されます。その際に日本政府の対応を改めて検証させていただきたいと思います。
 TPP参加には国会承認が必要で、そのときまでには関税などの合意内容が開示されます。しかし、一定の合意ができたときに大量の情報を開示されても、そのときになって責任ある判断をするのは非常に困難だと思うんですね。
 マレーシアのムスタパ国際貿易産業相は以下のように公言していると報道されています。詳細な吟味と国民的議論が可能になるよう、最終合意前にTPP協定の草案を公表するというふうに報道されております。
 守秘義務契約を結んでいてもこういう方針が取れるということになります。日本の交渉当局も是非同様のコメントをしていただけませんでしょうか。いかがでしょうか。
#168
○大臣政務官(小泉進次郎君) 御指摘の報道については承知をしていますが、秘密保持契約のお互いの共通の認識の中で情報の発信はやっておりますので、仮に各国が合意に達する前のものを扱うとして、それがテキストだった場合は、それは秘密保持から、観点からするとやはり違反ということになりますので、なかなかそういうことは考えにくいと思います。
 そして、交渉妥結後、これを各国、署名をした参加国同士で共通の認識を持って主要な点を対外公表していくというふうになると考えておりますので、まずはこの交渉妥結に向けてしっかりと交渉をしていくと、そういった考えであります。
#169
○牧山ひろえ君 この発言が違反になるかどうかというのは、守秘義務契約の中身すら教えてもらっていないので、違反になるかどうかは私も分かりませんけれども、いずれにしても、以前から主張していますけれども、一刻も早く国会にTPP特別委員会を設置し、そしてTPPに関する国民的議論を行うとともに、最終合意前であっても国民に交渉内容を積極的に開示すべきということを改めて強調させていただきたいと思います。
 TPPに関する質問は以上ですので、小泉政務官にはここで退席いただいて結構でございます。
#170
○委員長(末松信介君) じゃ、小泉内閣府大臣政務官、御退席ください。
#171
○牧山ひろえ君 次に、前回に引き続きまして、政府開発援助、いわゆるODAに関してお伺いしたいと思います。
 現在、ODA大綱の見直し作業が進んでおります。このODA大綱にはODAの軍事目的での使用を禁じた規定というものがございます。安倍政権はこれを見直す方向で検討に入ったとの報道がございました。この点について、前回の委員会で私は外務大臣にお伺いしましたところ、大臣は、ODAを軍事目的そのものに利用することは全く考えていないとおっしゃっておりました。
 この発言を聞いて、大変心強い、明快な御答弁であったと思いましたけれども、その一方で、三月三十一日に開かれたODA大綱の見直しに関する有識者懇談会の初会合で木原外務政務官は、自由や民主主義、人権といった普遍的な価値を推進するため、安全保障分野でもODAが役割を果たしていくと政権の方針を説明されたと報じられています。
 安全保障の分野でODAが役割を果たす、これは安全保障、すなわち軍事ないし軍事関連分野へのODAの活用が検討の対象であるとしか思えないんですよね。大臣の御答弁と政務官の御説明のそごについて御説明いただければと思います。
#172
○国務大臣(岸田文雄君) まず、ODAにつきましては、現在、有識者懇談会におきまして、過去六十年間にわたる国際社会の平和と安定にODAがどんな役割を果たしてきたのか、こういった点も踏まえ、そして、なおかつ、ODAのこれから将来を見据えた上で大綱についてどのように見直していくべきなのか、こういった御議論をお願いしているところです。
 有識者会議に今御議論をお願いしているさなかでありますので、私から余りこの内容について踏み込んだことを申し上げるのは控えなければならないのかもしれませんが、御指摘の点につきましては、私自身、ODAを軍事目的そのものに利用するということ、このことは考えていない、このことだけは申し上げさせていただきたいと存じます。
 その上で、私の発言と大臣政務官の発言と矛盾しているんではないか、こういった御指摘がありました。
 その点につきましては、人々が経済活動をしていく上において、平和で安定した社会というのはやっぱり土台であり、基盤であると考えています。よって、ODAを平和で安定した社会を実現するために使うということ、これは当然考えていかなければならないと思っています。ですから、そういった意味でその点をあえて言うならば、広い意味で安全保障と言えないことはないとは考えます。その中身は、あくまでも例えば社会の安定確保のためにその途上国の治安等の能力向上のために貢献するとか、あるいは自由とか民主主義、人権、こうした普遍的な価値を推進するために支援を行うとか、こういった内容が具体的なものであると私自身は認識をしております。
 いずれにしましても、今、有識者懇談会に議論をお願いして、今のスケジュールからいいますと六月ぐらいまでには報告をいただき、そして年内、年末までに大綱の見直しを進めていきたいというスケジュールを頭の中に持っております。
 ODAの軍事目的そのものに利用しないという点については今御説明させていただいたとおりでありますが、有識者懇談会には是非しっかりと御議論を進めていただきたいと期待をしております。
#173
○牧山ひろえ君 私、非常に心配になりますのは、前回の御答弁の中でも繰り返し、軍事目的そのものへのODA利用は考えていないと三回ぐらいおっしゃっているんですね。今の御答弁の中でも二回、そのものにはというふうにおっしゃっていたんです。逆に言うと、軍事そのものではなくても軍事に関係するプロジェクトへのODA供与は検討されるということではないかと心配になるわけです。例えば、現在はODAで造った道路ですとか空港を軍隊が使用することは禁じられているんですね。ですが、その辺りについて解釈が緩くなるようなことがあるんではないか、ODAの軍事化につながるんではないかと心配するわけです。
 さて、この大綱の見直しについてですが、先ほど述べられたように、外相の下に設置された有識者懇談会の議論を踏まえて新大綱を作成するとされています。この問題だけではなくて、安倍内閣は重要な政策課題を私的諮問機関に委ねるケースが目立っております。集団的自衛権の問題に関しては安保法制懇、教育改革に関しては教育再生実行会議、そして今回のODA大綱や武器輸出三原則に関する見直しについてもやはり有識者懇談会に基づくとされるわけです。
 これらはあくまでも首相や大臣の私的諮問機関であり、設置は法令に基づかず、人選や運用に関しても国会とは無関係に決められます。メンバーは当局の主張に近い有識者が選ばれ、そして結論はおのずとその意に沿ったものとなります。それを根拠に当局がやりたい政策を正当化する手法と言っていいかと思います。すなわち、まず議論や検討の前に結論がある、そしてその予定された結論に同調してくれるメンバーを多く選び、そして自らに都合のいい報告や提言を出させ、それを大義名分に御自分のお考えを押し通すというのが現政権の常套手段となっています。
 予算委員会の反対討論でも私は申し上げましたけれども、法的な根拠のない私的懇談会が事実上政策決定を担うやり方は大変に問題に思いますし、多くの方もそう感じております。現に集団的自衛権の議論の際にも、安保法制懇の報告が出るまでは、安保法制懇で審議中ということで、総理も大臣も具体的な答弁を避けていました。先週ようやく報告が出たわけですが、今後、この安保法制懇について質問しようとした場合、あくまで有識者の意見であり、もちろん参考にはしますけれども、政府としましてはそれを踏まえるか否かも含め検討中と、やはりまともにお答えにはならないのではないかと、既にもう答弁も予測できるわけですね。
 元々、日本のODAは戦後賠償、すなわち戦争の償いというものから始まりました。それ以来、日本の海外援助における非軍事主義というのは、憲法の平和主義を背景とし、これを六十年間貫かれてきたODAの大原則と言っていいものだと思います。
 積極的平和主義を背景にしたODAの更なる戦略的活用とソフトに表現されておりますけれども、要は安全保障分野へのODA活用という大きな方針の検討を、まともな国会議論もせずに私的諮問機関の答弁をベースに行ってしまっても本当にいいのかどうか、いま一度考えていただきたいと思います。
 そこで、御提案したいんですけれども、ODA大綱の見直しの必要性をそこまで強調され、かつODAの在り方に関わるような方針変更をお考えなのならば、大綱の見直しではなくて、長年の懸案となっているODA基本法、この法案の作成によって行うべきだと私は考えております。ODAに関する方針や原則の変更は、しっかりと国会審議事項にするべきだと思います。
 外務大臣、ODA基本法制定の必要性についてどのような御所見をお持ちなのか、是非教えていただきたいと思います。
#174
○国務大臣(岸田文雄君) まず、軍事目的そのものに利用することは考えていない、あるいは広い意味での安全保障の分野への関わり、こういったことについては先ほど御説明させていただいたとおりであります。あくまでも安全確保のための途上国の治安能力向上とか、そういったことを想定しているということであります。
 そして、有識者会議のありようについていろいろ御指摘がありました。まず、有識者会議につきましては、例えばメンバーにつきましても、様々な実務経験者あるいは様々な学術等の学会経験者、さらには経済界等における有識者等、この有識者会議のメンバーについて、これは是非幅広くバランスの取れた人選をしなければいけない、これは当然のことだと思っています。今回、ODAの議論につきましても、そういった観点から有識者会議の皆様方にもしっかりとメンバー等の配慮もした上で御議論をいただいているということであります。
 そして、こうした有識者会議の議論によって政策が決まることは問題ではないかという御指摘がありましたが、安保法制懇の際も同じでありますが、政府としましては、有識者懇談会の結論をそのまま受け入れるということは全く考えておりません。こうした幅広い有識者の方々に御議論をいただく、これをしっかり受け止めさせていただくわけですが、それを土台として政府としてしっかり議論を進めていきたいと考えております。
 そして、国会の議論においてもしっかりと御議論いただかなければならないと思っていますが、そのためにももちろん今の段階からこうした御議論をいただくこと、これは大変重要であるとは思いますが、政府の方針をはっきり決めることによってこの議論というものもより深まるというふうに認識をしております。有識者会議の議論をそのまま受け入れるのではなくして、政府としてしっかりと与党とも協議した上で、方針を確定し、国会の議論を充実させていく、こういった努力をこれからも行っていきたいと考えております。
 ODAに関しましては、先ほど申し上げましたように、年末を目標に政府としての方針を決めたいと存じますが、その際に是非国会におきましてもしっかり御議論いただけるように、しっかりと説明責任を果たしていきたいと存じます。
#175
○牧山ひろえ君 幅広いいろんな方々が有識者になっておられるということですけれども、結果見ると、やはり総理が思っているとおりのことを言ったり、あるいは大臣が思っていることを言ったり、そういったことがもうほとんどの方なので、それはバランスの取れた有識者とは言えないと思います。
 自民党さんは、以前には、ODA基本法推進プロジェクトチームではODA基本法骨子案まで出されているんですね。また、野党時代には、参議院の自民党政策審議会にODA基本法検討プロジェクトチームというものまで設置されて、盛んに会合を開かれていたのを記憶しております。
 ところが、与党に戻られてからは、ODA基本法という動きは全くなくなってしまいまして、聞こえなくなってしまいました。野党との議論や国民的議論が成立しない方がいいとお考えのようにしか思えません。岸田大臣が、答弁でもODAは我が国にとって最も重要な外交手段であるとおっしゃられています。本当にそのようにお考えならば、国会との議論や国民的議論を正面から正々堂々と行うべきだと思います。
 現在のODAは、現場の方々の努力には大変感謝するにしても、国民の納得や合意に基づいているとは全く言えない現状にあります。ODA基本法の制定は、真に国民のためのODA、平和や命を守る日本を位置付けるためのODA、これを確立していくきっかけとしてODA大綱の見直しという必要性が説かれたことをきっかけとして、是非ODA基本法の制定を進めていただきたいと思います。
 ここのところ、ODAの事業をめぐる不祥事が相次いで明らかになっております。インドネシアの火力発電事業における丸紅株式会社の米国連邦海外腐敗行為防止法違反ですとか、ベトナムの鉄道プロジェクトを含む三か国でのODA事業における鉄道コンサルタント会社JTCによるリベート疑惑などです。
 まず、それぞれの事業について、事実関係と外務省の対応を御説明いただければと思います。
#176
○大臣政務官(牧野たかお君) お答えいたします。
 まず、順番、JTCから申し上げますが、鉄道コンサルタント会社日本交通技術、JTCの事案は、ベトナム、インドネシア、ウズベキスタンにおける鉄道関連のODA事業に関する不正疑惑でありまして、三か国における円借款においてJTCによる贈賄行為がなされていたことが、このJTC自らが設置しました第三者委員会において認定されたものであります。
 こちらの事案に対して、外務省としては、三月二十日の報道直後からJTCに対し聞き取りを実施をしてきているほか、関係相手国政府に対して早期の事実解明に向けた協力を要請するとともに、緊密に情報共有を行っているところであります。本件につきましては、四月三十日に、外務省として十八か月間、JICAとしては三十六か月間、それぞれ新規ODA事業から排除する措置を実施いたしました。
 また、丸紅による不正事案というのは、丸紅やアメリカ企業などの共同企業体が、インドネシアにおける一九九七年度の円借款事業タラハン石炭火力発電計画に関するものでありまして、三月二十日に丸紅は、米国連邦海外腐敗行為防止法違反を認めて、アメリカの司法当局との間で司法取引を行いました。その後、五月十五日にアメリカ・コネチカット連邦地方裁判所において有罪判決が出されたということを承知しております。外務省とJICAは、三月二十六日、司法取引によって罪を認めた丸紅に対し、新規ODA事業から九か月間排除する措置をとりました。
 今般のこうした不正事案は、ODA事業に対する信頼性を失うものであり、極めて遺憾であると考えております。改めて全てのODA対象国の日本大使館に対して外務省として注意喚起を行ったほか、我が国の経済界に対しても不正腐敗防止に向けた注意喚起を行いました。
 引き続き、関係相手国政府との協議などを通じ、そしてまた捜査当局の動きも注視しながら、新たな動きや事実が判明した際には、排除措置期間の更なる延長を含めて厳正に対処していく方針であります。
#177
○牧山ひろえ君 ODAは我が国にとって最も重要な外交手段だと思います。この重要なODAを舞台にした不透明なリベート提供が繰り返されないように、当局は実効性のある防止策の構築を急ぐ必要があると思います。これについての重点的なお取組を是非お願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#178
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 先週十五日、安保法制懇から報告書が提出され、安倍総理から、今後の議論の進め方についての基本的な方向性が示されたところでございます。既に今週から与党における協議も始まっておりまして、私ども公明党といたしましても、現実的、また具体的、実際的な課題を踏まえて、今の日本の法制上一体どこに不備があるのか、そして日本の国民の生命、財産を守るためにいかなる措置をとっていく必要があるのか、真摯に、誠実に、また積極的に議論を進めていかなければならないと自覚をしているところでございます。
 安倍総理の方向性について示された記者会見を拝見をいたしておりまして、個人的な感想となりますが申し上げさせていただきたいのは、まず、安倍総理として、憲法に掲げる平和主義を今後ともしっかりと守り抜いていくということを明言されたということは、非常に大きなメッセージだったのではないかというふうに思っております。
 また、政府がこれまで取ってきた憲法解釈との整合性、これを重視される立場を明確にされ、いわゆる芦田修正論は政府としては取らないということを明言されたことも非常に大きなメッセージではなかったかというふうに思っております。
 さらには、こうした安全保障に関わる課題、本日も様々な委員の先生方から質問、議論等出ておりますが、しっかり腰を落ち着けて議論をしていく、そのためにも、スケジュールありきではないということを明言された、この点も私個人としては大変大きく評価をさせていただきたいというふうに思っております。
 今後、来週には具体的な事例も示されるというふうにもお聞きをしております。そうした中で、日本の平和を守り、国民の生命、財産をしっかり守っていくために責任ある結論を出していけるように尽力をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 本日はお時間を賜りまして、今、戦後レジームからの脱却ということがよく言われるわけでございますが、その中の一つの課題ではないかというふうに私自身認識しております点を、是非、今日、参外防の先生方とも共有をさせていただきたい。
 そして、これ、具体的に申し上げますと、連合国、当時、戦勝国であります連合国民の著作権の保護の期間の戦時加算という問題なんですが、この問題、もう戦後六十九年、そしてサンフランシスコ平和条約が締結されて、署名されて六十三年という長きにわたっているわけでございますが、この問題、何とかしなければならないのではないかという思いがみんなありつつも、なかなか具体的にどうすればいいのかという方向性が政府としても悩んでおられるのだというふうに思いますが、具体的な方向性が出ていないという状況がずっと続いている。まさに、戦後体制の中で日本が乗り越えていかなければならない一つの大きな課題ではないかというふうに私自身認識しておりますので、是非、先生方にも御関心を持っていただきたいという思いも含めまして、今日取り上げさせていただきたいと思います。
 お手元に、外務省に作成いただいております著作権の保護期間に関する戦時加算についての一枚紙をお配りをさせていただいております。
 これはどういう問題かと申し上げますと、日本が戦後、連合国との間で締結をいたしましたサンフランシスコ平和条約、この第十五条(c)の規定にある項目でございますが、これは、連合国及び連合国民が戦前又は戦中に取得した著作権の保護期間について、一九四一年十二月八日、開戦時から当該国とのサンフランシスコ平和条約発効時までの期間の日数を通常の著作権の保護期間に加算して保護することが我が国に義務付けられている条項でございます。
 これによりまして、我が国はこのサンフランシスコ平和条約発効の段階で、その国の著作権を保護する義務を負っていた十五か国との間で、この十五か国の国民が既に戦前あるいは戦中に取得した著作権を、その戦中の期間分加算をして保護しなければならないという義務を負っていることになります。
 一番下のところに簡単な概念図が書いてありますが、例えば、戦前の一九三二年に著作権を取得したあるアメリカ人の方の音楽、この音楽について、日本は著作権を保護する義務を負っていたわけでございますが、開戦時から平和条約発効までの期間、三千七百九十四日、十年と百四十四日に当たりますが、この期間分、日本はある意味で著作権を保護する十分な責任を果たしていなかったというふうに捉えられて、今、日本は、著作権法上、保護期間が五十年でございますが、この五十年の保護期間に更に加算をして、十年と百四十四日、日本はアメリカを始め十五か国の国民の著作権を保護する義務を今なお負っている状況にございます。
 まず、外務省にお伺いをしたいと思いますが、どうしてこういった我が国に対する戦時加算義務が課されるようになったのか、その経緯について御説明をいただけますでしょうか。
#179
○政府参考人(石井正文君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘の戦時加算の問題でございますが、仰せのとおり、一九五二年当時、サンフランシスコ平和条約の締結交渉に当たりました当時の条約局長、私の大先輩でございますけれども、彼が国会でその後説明したところがございます。それによりますと、交渉におきまして、我が国は、実際問題、戦時中も著作権に関する条約の効力を維持し、外国人の著作権を我が国の国民と同様に取り扱うべく努力をした、それから、これは文化的な財産であるから、イタリアの平和条約、後でお話しになると思いますが、と同様に、連合国との間で公正な内容としてほしいという主張を行っております。
 しかしながら、実際問題といたしましては、連合国は対日賠償請求を放棄する方針であったこと、それに加えまして、戦前の我が国の著作権保護状況への不満がやはり連合国側にあったという事実がございまして、それなどによりまして、戦時中の著作権保護については我が国のみが戦時加算の義務を負うというある意味片務的な内容の規定になったというふうに承知しております。
#180
○石川博崇君 今御説明ありましたとおり、連合国からすると、戦時中、日本における連合国国民の著作権の保護が十分でなかったという不満があったということ、あるいは、日本に対する戦時賠償請求を放棄するということのバーターと言っていいのかどうか分かりませんが、そういったこと等が戦勝国側から強く主張され、押し切られるような形でこのような規定が設けられることになったと。
 ただ、今の外務省側の主張にもありましたが、やはり本来言いますと、こういう文化的な権利というもの、戦時中であれば、日本において、戦時中の混乱の中で著作権の保護が十分でなかった点がもしかしたらあったかもしれない、しかし、それは別に日本における連合国国民の著作権のみならず、相手国、同じく戦争状態にあった国においても日本国民の著作権が十分に保護されていたのかというと、それはやはり平等でなければならないのではないかと。どうしてこれが一方的に日本だけ義務化される片務的な加算となったのか。
 また、日本以外にも敗戦国ございます。イタリア、ドイツなどは連合国との間でこの戦時加算の義務についてどのようになっているのか、この点についても御説明をいただけますでしょうか。
#181
○政府参考人(石井正文君) お答え申し上げます。
 まず、日本以外の国との関係についてどう処理されているかということをお答え申し上げます。
 まず、イタリアでございますけれども、これはイタリアの平和条約、一九四七年に結ばれておりますが、これによって、イタリアで有効であった連合国及びその国民の著作権などについて、戦争勃発時から同平和条約発効までの期間を通常の期間に加算して保護すると、これは日本と同じ規定でございます。そういう義務が課されております。ただ、この規定は、連合国におけるイタリア及びイタリア国民の著作権などについても適用されるということになっておりますので、片務的な形にはなっておりません。私がさっきイタリアと申し上げたのはそういう趣旨でございます。
 第二に、ドイツでございます。ドイツは平和条約を締結するという形ではございませんでしたが、したがって、平和条約に基づく戦時加算の規定はございませんが、連合国による占領時代に制定された連合国高等委員会指令、これは一九四九年でございます、これにおきまして、ドイツ特許庁への申請を条件に、ドイツにおける外国及び外国人の著作権の存続期間を延長する制度が定められました。しかしながら、実際には申請期限であった一九五〇年までに申請する者がなかったので、著作権の保護期間について戦時加算は行われなかったと、結果的にはそういうことでございます。制度としては、片務的に連合国の著作権のみ保護される可能性を開いておりましたが、それを申請する人がいなかったので、結果的にはどちらも保護されることにはならなかったということでございます。
 その上で、我が国に対して片務的になった理由でございますけれども、先ほど申し上げましたものに加えまして、やはりイタリアは、実は大戦終了時には、御案内でございますが、既に連合国側でございました。そういう事情があるような気がいたします。
 それからもう一つは、サンフランシスコ平和条約は、締結までに終戦から六年を要して、発効は五二年でございます。その間に、実は連合国側はそれぞれ国内法で自国民の著作権であるとか、あとは国によっては日本の著作権も保護するような規定をそれぞればらばらに定めておりました。したがって、サンフランシスコ平和条約の時点で、日本に対する著作権の保護というのをまとめて規定するというのがなかなか現実的でなかったというような事情もあるようでございます。
#182
○石川博崇君 今御説明いただきましたとおり、結果として我が国のみ片務的なこの戦時加算の義務が課せられている状況となっております。
 ドイツにつきましても、そういうような連合国高等委員会の指令が設けられたものの、結局、この保護期間の延長を求めた連合国というのがなかったということで実質的な戦時加算が行われなかった。また、イタリアも、独自に六年間の戦時加算を行ってまいりましたが、パリ条約、パリの平和条約で義務付けられた五年数か月の戦時加算というのはその中に包含されるという立場を取って、結果として戦時加算は双方からの請求もなかったために行われていないという状況になっております。
 そういうことを踏まえると、我が国としても、何らかの形でこのサンフランシスコ平和条約に掲げられている我が国に対する片務的な戦時加算というものを解消していくことができないのかということをやっぱり真剣に考えていく必要があるのではないかというふうに思うんです。
 まず、そもそもなんですが、このサンフランシスコ平和条約の規定に基づきまして、我が国は国内法を整備しております。連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律によってこのサンフランシスコ平和条約に規定された戦時加算を連合国の国民に対して保護する規定を国内法で担保しているわけですけれども、そのときに、本来であれば、日本国の国内においてもしかしたらその著作権を保護する体制が十分でなかったという連合国側の主張が、仮に主張に正当性がもしあるとすれば、それは日本国内で日本国民の方々が持っている著作権に対しても当然それを保護する体制が十分でなかったということと同義でございますから、この国内法を整備するときに、本来であれば連合国民か否かにかかわらず、日本国民の著作権の保護期間に対しても一律に戦時加算をすべきだったんではないかという論点もあろうかと思いますが、この点について文化庁の御見解をお伺いしたいと思います。
#183
○政府参考人(作花文雄君) お答え申し上げます。
 戦争期間中に著作権が必ずしも適切に保護されていなかった状況に鑑み、著作権者の利益を保護するその戦時加算という制度の在り方については、先ほど先生御指摘のとおり、例えばイタリアにおきましては、一九四七年の平和条約の締結により、連合国民に対し五年九か月の戦時加算義務を負うことになりましたけれども、同時に、国内的な独自の措置により、条約締結前の一九四五年にイタリア国民の著作物をも含め、一律六年間の戦時加算を行った例があるということは承知しているところでございます。
 戦時加算の措置としてこのような一律の加算を行うことも一つの考え方であるとは思われますけれども、我が国がサンフランシスコ平和条約第十五条(c)の規定を受けて戦時加算義務を果たすための法整備を策定するに際し、当時の旧文部省においてイタリアのような措置の是非についてどのような検討が行われたのか否かについては、残念ながら資料がございませんので明らかではございません。
 結果として、我が国においては、平和条約の締結を受け、条約において課された義務と同一内容の義務を履行するため、連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律を制定し、連合国及び連合国民に限り戦時加算を行うこととされ、現在に至っております。
#184
○石川博崇君 また、当時、戦後直後は我が国においての著作権保護期間というのは三十年でございました。その後、一九七〇年に著作権法を改正をいたしまして、我が国における著作権保護期間を五十年に延長したわけでございますが、その際に、これまではその三十年プラス戦時加算ということで十年余りを連合国の国民に対して認めていたわけでございます。その三十年プラス十年という約四十年、連合国の国民の著作権を保護してきた我が国が、我が国国内において著作権法改正をして五十年に延長するタイミングで、この十年分の戦時加算については、これをのみ込んだ形で五十年保護しますよというふうに連合国側十五か国に対して主張することによって戦時加算を解消できたのではないかということも考えられます。
 また、さらには、著作権法の二〇〇四年の改正におきましては、映画著作物の保護期間が、映画のみですけれども、公表後五十年であったものが公表後七十年に延長されております。これのときにも、少なくとも連合国の映画の著作物については、戦時加算、これまでは五十年に加えて十年、六十年余りを保護していたものを七十年にしたわけでございますから、十分サンフランシスコ平和条約上義務付けられている義務を果たしているという主張もできたのではないかというふうに思いますけれども、こうしたタイミングにおいて戦時加算の解消が図ることができなかったのか、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
#185
○政府参考人(作花文雄君) お答え申し上げます。
 サンフランシスコ平和条約を締結した当時の我が国著作権法、旧著作権法での保護期間は、原則的に死後三十年間でございました。その後、暫定的な延長が繰り返され、現行著作権法を制定した昭和四十五年当時には死後三十八年間というふうになっていたわけでございますが、それが現行法制定により死後五十年間まで延長されたわけでございます。
 現行著作権法は、この昭和四十五年、これは大改正をしたわけでございますが、この著作権法の改正に際しましては、当時、著作権制度審議会において長年にわたり議論が行われておりました。その当時も既に、死後五十年まで延長するのであれば、この戦時加算部分をその延長分に吸収できる、包含できるのではないかという議論もあったわけでございまして、そういうことを背景として、昭和四十一年の著作権制度審議会の答申におきましては、戦時加算は保護期間の延長を機に解消されるべきである、こういう答申を出したところでございます。
 しかしながら、現行著作権法、四十五年に制定されていますけれども、国会に提出された最初は昭和四十四年でございました。昭和四十四年に現行著作権法を政府案として提出し国会で御審議をいただくに当たり、外務省と協議した結果、改正後の著作権法に規定する保護期間を平和条約上の通常の期間とする解釈が示され、その通常期間に戦時の期間を加えることとされたため、戦時加算を保護期間の延長を機に解消するという方法は取り得なかったところでございます。
 また、近年、平成十五年の著作権法一部改正によりまして、映画の著作物についてその著作権の保護期間を公表後五十年から公表後七十年まで二十年間延長したわけでございます。これは、当時、世界的に高い評価を得ていた我が国の名作映画、例えば小津安二郎監督とかあるいは溝口健二監督などの名作の映画について保護期間が切れそうになっていたということもあり、やはりその保護期間を延長しなければせっかくの名作の権利が切れるということは国としての損失であるというような国内の状況を踏まえ、映画の著作物に限定して保護期間の延長を行ったものでございます。
 このように、平成十五年の著作権法改正は、とりわけ昭和二十年代後半に公開された我が国の名作映画について早急な対応が求められていたということもあり、この一部改正に際し、当時の文化審議会著作権分科会においては戦時加算義務の解消については特段議論されていなかったものと承知しております。
#186
○石川博崇君 今御説明のありました保護期間を三十年から五十年にする際には、著作権制度審議会の答申の中で、この著作権を三十年から五十年にする際に保護期間が大幅に延長されることを考慮して、この機会に戦時加算の解消を図ることが適当であるという答申が出されていたのですが、サンフランシスコ平和条約の解釈の仕方において外務省と当時文化庁の間で立場の相違があり、政府としては、この平和条約の解釈上、五十年に増やしたその二十年の中に戦時加算をのみ込むことはできないという解釈を取ったというふうに伺っております。
 サンフランシスコ平和条約上は、期間の日数を通常の著作権の保護期間に加算して保護することとなっております。この通常の保護期間というのをどう読むかということについての解釈でございますが、元々、戦後直後は保護期間が三十年であった。その三十年が当時の一般的な認識としての保護期間で、通常の保護期間であるとすると、この三十年に加算して保護するという形で、戦時加算であります十年を三十年に加算するという読み方もできるんではないかと思うんですけれども、外務省、このサンフランシスコ平和条約の通常の保護期間に関する解釈を教えていただけますでしょうか。
#187
○政府参考人(石井正文君) お答え申し上げます。
 今文科省からも話があったとおりでございますが、先生御指摘のサンフランシスコ平和条約第十五条(c)、これは要するに、我が国は、戦時中に我が国に存在した著作権については、通常期間に戦争中の期間を加えて保護を与える義務を負ったということでございます。この通常期間と申しますのは、平和条約を批准したときに著作権法で規定していた保護期間ではなく、やはり著作物の保護が要求されるときの国内法が定める通常の保護期間のことをいうというふうに解されるわけでございます。
 したがいまして、先ほどから話題になっております一九七〇年の著作権法の全面改正につきましても、著作物の保護が要求されるそのときの国内法の定める通常の保護期間に戦時加算を行うことを求めているというふうにサンフランシスコ条約を解釈いたしまして、新法における保護期間、死後五十年に加えて戦時加算を行うこととしたという経緯がございます。
#188
○石川博崇君 私は、若干、この通常の保護期間についての政府の解釈については、それで本当によかったのかなという気がいたします。
 当時、様々議論されたんだと思いますが、このサンフランシスコ平和条約の解釈権を持つ例えば連合国側との交渉等をどの程度行ったのか、その辺についても、是非今後、昔の話でございますからなかなか資料等もないんだというふうに思いますけれども、しっかりと調べていただく必要があるのではないかと思います。
 今のお話ですと、通常の期間というのは、そのときそのときの国内法で定められている著作権法上の保護期間という読み方だというお話でございますが、条約締結当時に当然連合国側が意識していた期間というのはそうではなかったわけでございます。そのときは三十年が日本の国内法制であったわけですから、そのことを連合国側として解釈するという余地もあるんではないかなというふうに思っております。
 最近の動きといたしまして、最近でもございませんが、二〇〇七年に日本の音楽著作権協会、JASRACも始め参加しております著作権協会国際連合という、CISAC、シーサックという組織がございますが、その総会におきまして、日本における戦時加算に関する決議が採択をされております。
 この決議の中では、日本国が戦後から今日に至るまでの六十年以上にわたり一貫して戦時加算義務を果たしてきたこと及び日本の加盟団体が戦時加算義務の解消を強く希望していることに鑑み以下のことを決議すると示しまして、CISACは、加盟団体が会員に対し、上述の権利、この戦時加算の権利を行使しないよう働きかけることを要請するということを明記しております。また、行使しないこととする時期については、日本の著作権保護期間が著作者の生存中及び死後七十年までに延長される時期等を基準に、当該加盟団体の判断に委ねるとされておりまして、著作権保護期間を五十年から七十年に延ばすかどうかという議論は日本の国内でも様々あるわけでございますが、これが前提とされた上で、CISACとしては上述の権利を行使しないよう働きかけることを要請するというふうに総会決議で明記されたことというのは一つの大きなエポックメーキングだったんではないかと思います。
 外務大臣、この総会決議に対する御評価、どのようにお感じ止めいただいているか、御認識をお聞かせいただけますでしょうか。
#189
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘いただいている著作権の戦時加算の問題ですが、もう七年ほど前ですが、私は、内閣府の特命担当大臣という仕事をやらせていただきまして、その際に我が国の知的財産権の保護を担当したことがありました。その際に、この問題につきまして、国内の様々な著作権関係団体あるいは関係者の皆様方からお話を聞かせていただきまして、関係者の皆様方からは、この問題は我が国の最後の不平等条約であるという表現でこの対応を強く迫られた、こういった記憶がございます。御指摘の点、まず大変重要なポイントであると認識をしております。
 その中にありまして、我が国はサンフランシスコ平和条約において義務を負っているわけですが、一方で、民間レベルにおいてはこの戦時加算の処理について様々な取組が行われてきました。そして、そのうちの一つが御指摘のCISACの二〇〇七年総会における決議であると認識をしております。決議の内容については今委員の方から御紹介がありました。こういった決議によって個々の権利者が戦時加算の義務の対象となる著作物等に関し戦時加算を享受する権利の不行使を選択すること、このことはサンフランシスコ平和条約との関係においては何ら問題はないと考えますし、こういった取組が行われていることにつきましては、これは評価したいと考えております。
#190
○石川博崇君 明確に評価したいというふうにおっしゃっていただいたことを感謝申し上げたいというふうに思います。
 こうした決議を受けて、我が国政府としても、なかなかこれ難しい問題だというふうにも正直思っております。サンフランシスコ平和条約そのものに関わる問題、日本の戦後、平和の基礎となってきました条約でございますから、そこに当然触れることはままならないわけでございますが、いかないわけですけれども、こうした国際社会や民間団体の動きを受けて、是非、思考停止に陥らず、どのような解決方法があるのか、具体的な取組を、外務大臣、今御自身の経験も御披瀝いただいたわけでございますが、関係当局との間でどのような解決があるか、あるいは関係国、この十五か国との間でも水面下での交渉をするなど、どのようなやり方があるか、是非これを機に前向きに取り組んでいただきたいというふうに思いますが、外務大臣、いかがでございましょう。
#191
○国務大臣(岸田文雄君) この著作権の戦時加算の問題につきましては、まず、基本的にサンフランシスコ平和条約において我が国はこの義務を負っているわけです。サンフランシスコ平和条約そのものについては、領土の確定ですとか、あるいは賠償問題の解決など、我が国の戦後処理の基礎であると認識をしております。よって、サンフランシスコ平和条約そのものについて、条約上の義務の免除について関係国と交渉する、サンフランシスコ平和条約そのものについて交渉するというのは現実的ではないと考えています。
 そういった問題もありますので、先ほど御紹介があった様々な民間の取組もあるわけでありますが、我が国としましては、こうした問題点、しっかりと意識しながら、そして先ほど来御紹介がありました過去の我が国の取組の経緯等もしっかり踏まえた上で、次考えられるとすれば我が国の著作権の保護期間が更に延長されるようなタイミング等において今までの経緯等も踏まえた上で検討していく、こういったことは考えられるのではないかと私は認識をしております。
#192
○石川博崇君 是非、もう戦後六十九年になっていまだに解決されていないこの著作権の保護期間に関する戦時加算。先ほどの図で一番下に書いてあるのでいいましても、著作権者の方が亡くなられてから五十年プラス十年ということでございます。この例でいいますと、一九七四年に著作権者が亡くなられたとしても、この戦時加算を加えて著作権が終了するのは二〇三五年ということになります。今後更に何十年と日本が向き合っていかなければならない戦後の課題でございますので、是非前向きな取組をお願いをしたいと思います。
 なお、ちなみに、ちょっと外務省に確認をさせていただきたいんですが、このサンフランシスコ平和条約には、第十四条(a)の2の(X)におきまして、この著作権については、各連合国の国内事情が許す限り日本国に有利に取り扱うと規定をされております。この規定を根拠に、この十五か国との間で本件の解決を図るための何らかの余地というものはあるのか、ちょっと確認させていただきたいと思います。
#193
○政府参考人(五嶋賢二君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のサンフランシスコ平和条約第十四条でございますが、これは連合国における日本の著作権等の扱いに関するものでございます。これに対しまして、我が国に対する戦時加算の義務を定めた第十五条でございますが、これは我が国における連合国国民の著作権等の保護について定めたものであります。
 ということで、したがいまして、第十四条を法的な根拠として第十五条に基づく義務の免除を求めて交渉することは、これはできないと考えられます。
#194
○石川博崇君 先ほど外務大臣、今後我が国が仮に著作権を五十年から更に延長するようなタイミングがあれば、その中で解決を図ることも一案というようなお考えを示されました。
 この著作権を今の現状五十年からどうするかというのは、様々な国内でも御意見があるところでございます。今、韓国も保護期間を著作者の死後七十年に延長している中で、今、我が国の著作権が五十年である状況というのは政府としてどのように認識されておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
#195
○政府参考人(作花文雄君) お答え申し上げます。
 諸外国の著作権の保護期間につきましては、韓国につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、二〇一三年にEUとのFTAの締結に伴い、著作権の保護期間を著作者の死後七十年に延長しております。また、EUは一九九三年に域内市場を円滑に機能させる等を理由に、EU指令により著作者の死後七十年との保護期間を加盟国に義務付けたほか、米国は一九九八年にEU諸国との調和を図ること等を理由に著作者の死後七十年へと延長しております。
 著作権に関する基本的な国際条約でございますベルヌ条約においては、著作権の保護期間を著作者の死後五十年まで保護することが最低限求められておりますけれども、それ以上の年限を定めるか否かについては各国の判断に委ねられているところでございます。
 二〇一三年現在で見ますと、著作者の保護期間を著作者の死後七十年以上とする国は、ベルヌ条約締約国百六十六か国中七十二か国、四割以上に上っている状況にございます。
#196
○石川博崇君 今御説明ありましたとおり、五十年以上定めなければならないという中で、七十年を保護しているEU、南北アメリカあるいは韓国といった主要国があるわけでございます。
 知財立国を掲げる我が国としてこの著作権法をどのように考えていくのか。先ほど来話がありましたとおり、著作物を自由にしっかりと活用することが日本の文化的基盤を大きく支えるという考え方もある中で、こういった七十年保護している国からは、その国では七十年間保護されるにもかかわらず、日本においては五十年を過ぎると著作権が消滅して保護されない、コピーライトヘイブンだというような批判も一部であるようでございます。
 文化芸術振興においてこの著作権保護の期間の在り方というのはどのように考えるべきか、文化庁の御認識をお伺いしたいと思います。
#197
○政府参考人(作花文雄君) お答え申し上げます。
 著作権法の立法目的、そもそも、「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与する」と、このように定められております。したがいまして、著作権の保護期間の在り方についても、文化の発展に資するものとするようになければならないと考えています。
 どのような保護期間の在り方がこの文化の発展に最も資するかということについては、一概に申し上げることは困難でございますけれども、現在、先ほど申し上げましたとおり、欧米等の主要国の保護期間が著作者の死後七十年以上となっているという、こういう国際潮流がある中、我が国において国際的な調和を図ることは重要な課題と認識しております。ただ、我が国におきましては、この保護期間の延長によって自由利用が可能となる時期が遅くなり、自由に利用できる著作物を活用した事業の発展を阻害するのではないか等の理由から慎重に議論すべきという意見があることもまた事実でございます。
 政府といたしましては、保護期間の延長について、著作者の権利の適切な保護と著作物の円滑な利用の調和を図ることが重要と考えており、国内における様々な御意見や国際的な諸状況を十分踏まえつつ、総合的な判断が求められるものと認識しております。
#198
○石川博崇君 時間も短くなってまいりました。
 外務大臣、最後にこの点お伺いしたいと思いますが、昨年でしょうか、大臣、JASRACの都倉会長とお会いになっておられますが、そのときにもこの問題につきまして、このまま何十年も放っておくわけにはいかない課題である、現実的に一番早く結論を出すにはどうしたらよいか考えさせてもらいたいというふうに御発言されているというふうに伺っております。
 是非このまま、様々な難しい課題であることは事実なんですけれども、思考停止に陥ることなく、何らかの一日も早い解決に向けて、例えば検討チームを発足していただくなり、あるいは関係各国とどのようなやり方があるか水面下での打診、あるいは交渉を始めるなり感触を探るなり、そうしたことを具体的に行動としてアクションを起こしていただきたいと思いますが、是非担当部局にそういった御指示をしていただけませんでしょうか。
#199
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げましたように、この問題、私自身としましても大変重要な課題であると認識をしております。そして、今日までにおける我が国の取組については、先ほど来、この質疑の中で明らかにさせていただいたとおりであります。
 これを踏まえまして、将来に向けてどうしていくのか。先ほど、将来、我が国の著作権の保護期間の延長等のタイミング等を検討してはどうか、こんなことも申し上げたわけでありますが、タイミングあるいはやり方等をいま一度検討をしなければならないと存じます。具体的にそれをどう進めるかも含めて、一度担当部署に引き続きましての検討を考えさせてみたいと存じます。
#200
○石川博崇君 大変ありがとうございました。
 ちょっともう一問、海外在住の日本人研究者に対する支援体制について御質問させていただこうと思っていたんですが、時間が参りましたので、ちょっとこれは次回に譲らせていただきたいというふうに思います。申し訳ありません。
 大変ありがとうございました。
#201
○小野次郎君 日本維新の会・結いの党の小野でございます。
 今日は、防衛省が中心になると思いますが、質問させていただきます。
 まず、同僚議員も話題にしておりましたけれども、五月十五日にいわゆる安保法制懇の報告書が出て、それを受けて安倍総理が、大変熱のこもった自らプレゼンテーションを国民に対してもされた。その中で検討の基本的な方向性というものも示されたわけでありますが、防衛省においては、どういった検討のための体制を組んでこれから検討しようとしているのか、そしてまた検討のテーマとしてはどのような点を中心に検討していこうとお考えなのか、お伺いしたいと思います。
#202
○国務大臣(小野寺五典君) まだ五月十五日に総理からの基本的な方向性が示されたという段階でございます。現在は与党の中でこの問題について議論をされ、また内閣法制局等の様々な意見の場もあると思います。
 私どもとしましては、いずれにしても、政府の方針が決まる中で、防衛省としてどのような役割を担うかということを踏まえつつ、体制については検討していきたいと思っております。
#203
○小野次郎君 何かマラソンでいうと、大半走ってきてグラウンド入ったら最後のスパートを掛けるのかと思ったら、この間まで安保法制懇の報告が出たら検討しますと言って、今度出たら、また何か与党間の協議があるからとおっしゃっていたんじゃ、いつまでたっても政府の検討はしないみたいになってしまうんですけれども。
 政治的にはそれは与党間の協議は大事だと思いますよ。でも、これ元々内容からして議員立法でやるような内容じゃないわけですから、だから与党間の協議が先行するんじゃなくて、政府は政府で検討していって、その原案を与党なり野党なり国民に意見を聞くというのが筋なんだと思うんです。それを政府が待っているというのはおかしいと思いますけれども、同じ質問を外務大臣にしたいと思います。
 外務省はどういうこの法制懇の報告書そして総理の示された基本的方向というものを受けて検討の体制を組むのか、そしてまた、検討のテーマとしてはどのような点を中心に検討していこうとお考えなのか、お伺いしたいと思います。
#204
○国務大臣(岸田文雄君) 今委員の方からゴールがどんどんずれているのではないかという御指摘がありましたが、元々、議論の進め方に関しましては、安保法制懇での最終報告書を受けた上で政府・与党でしっかり議論をし、そして政府の方針を決定し、そして国会での議論をお願いする、こういったことを元々申し上げてきたところであります。従来申し上げていた方針に従って今議論が進んでいると認識をしております。
 要は、最終報告書が出されました。総理から基本的な方向性を示させていただいた上で、今、与党との、政府・与党における議論が行われているところであります。是非こうした議論を踏まえて、政府としての方針を確定するべく努力をしていきたいと存じます。
 与党との議論が進んでいる中でありますので、今現在、政府として決めたことは何もないわけでありますが、この政府方針を決定する段階において、外務省としても、また外務大臣としましても、しっかりこの議論に貢献はしていきたいと考えています。
#205
○小野次郎君 ますます納得いかないですね。だって、誰もが理解しているのは、日本の防衛を今まで以上にしっかりと万全なものにしていこうという問題ですから、だとすれば、一番外交であり防衛の現場を今日も預かっている、その所管にある大臣なり役所が、こういう問題があるんだ、こういう改善が必要なんだという原案を出さなければ、どうしてその防衛や外交にタッチしていない政治家同士が手打ちをしたら、それに従ったやつを、何か仕様書ができたから詳細を作りますみたいな対策では本末転倒と言うんじゃないですか、これは。
 内閣官房、今日見えていますね。内閣官房は、同じ質問、総理がもう基本的方向性まで示されているわけですから、内閣官房としてはどういう体制でこの問題、検討していこうとしているのか、そしてまた、その検討はどういうテーマを中心に検討されようとしているのか、お考えをお伺いしたいと思います。
#206
○政府参考人(武藤義哉君) 報告書が出されまして、また、総理の方から基本的方向性ということが示されましたので、これは各省、関係省庁協力し、また法制局の御意見も伺いながら政府としての検討を行ってまいるということで、そういう体制でまいろうと思っております。
#207
○小野次郎君 もう会期末まで一か月しかない。それで、後ろを切らずに検討するんだという声も聞こえてくるけれども、時々、やはり会期内に閣議決定までいきたいなんということを言っている人もいるみたいだ。そういうスケジュール感の中で、もう一週間たってしまっている。だけど、内閣官房も外務省も防衛省も与党協議の動き見ながらみたいなことを言っていたんじゃ、誰がいつ本気になって検討するんですか。
 防衛大臣、もう一度、一番メーンなんですから、見解をお伺いしたいと思います。
#208
○国務大臣(小野寺五典君) 委員も御存じのとおり、防衛大臣の役割というのは、我が国の国民の生命、財産、領土、領海、領空をしっかり守っていくということだと思います。そして、その基盤となりますのは憲法であり現行の法制であり、その中で私どもは任務を果たすということでありますので、私どもとしては、現在この問題については与党間での議論がなされているということでありますので、様々な議論の中で最終的な政府の方針が出て、そして防衛省としてこのような役割を担ってもらいたいという中で私どもとして必要な協力をしっかりしていくということだと思いますし、最終的には、様々な法整備が行われ、そしてその新しい役割がもし付与されるのであれば、その付与された任務にしっかりと隊員が応えられるように装備や訓練をしていく、こういう中での私どもの役割と認識をしております。
#209
○小野次郎君 甚だ心もとないところがありますが、違う角度から質問続けますけれども、防衛出動下令の要件、防衛大臣にお伺いしますけれども、我が国に対する外部から武力攻撃が発生した事態、これは当然そうだろうなと思うんですけれども、又はと付いていまして、武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態というのも並べて書いてございます。この特に武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していることを認定する具体的な例というのをお伺いしたいと思います。
#210
○国務大臣(小野寺五典君) 委員の御質問でありますが、これは、内閣総理大臣は、自衛隊法七十六条一項に基づき、我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態に際して、我が国を防衛するため必要があると認められる場合、自衛隊に防衛出動を命ずることができるという規定だと思っています。
 そして、御指摘の武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態とは、いわゆる武力攻撃のおそれがある場合であり、どのような事態がこれに該当するかについては、事態の現実の状況に即して個別具体的に判断するものであるとは考えておりますが、その上であえて申し上げさせていただければ、例えば、ある国が我が国に対して武力攻撃を行うとの意図を明示し、攻撃のための多数の艦船あるいは航空機を集結させているということなどから見て、我が国に対する武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると客観的に認められる場合などが考えられると思っております。
#211
○小野次郎君 そういう判断を内閣総理大臣として行って、自衛隊に対して防衛出動を下令したと。そうすると、自衛隊は我が国を防衛するために必要な武力を行使できるとなるわけですけれども、そういう防衛出動された場合というのと、憲法の議論しているときに出てくる自衛権発動の三要件、特にその第一の要件ですけれども、我が国に対する急迫不正の侵害があることと書いてあるんですが、この今例えばといって例示で言われたような事態を確認して、切迫しているからということで防衛出動が下令されたと、自衛隊はこの法に基づいて日本を防衛するために必要な武力を行使できるという状態になったと。
 ということは、この切迫している状態というのは急迫不正の侵害があったということなんですか。
#212
○政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。
 自衛権の発動としての武力の行使につきましては、これは従来から申し上げているとおり、我が国に対する武力攻撃の発生ということが必要になっておるわけでございます。
 他方で、この自衛隊法の第七十六条に基づく防衛出動の規定でございますけれども、まさにこれは武力攻撃事態対処法の第二条の武力攻撃事態の定義というところにも関わってくるわけでございますけれども、まさにその武力攻撃が発生する明白な危険が切迫しているというところも含めております。
 ということは、実際にこれは武力攻撃が発生した事態そのものではありませんので、したがいまして、いわゆる通常、切迫事態と言っていますが、この切迫事態において防衛出動を下令したとしても、切迫事態のままでは武力の行使というものはできないと。つまり、相手側の武力攻撃、これが発生していない事態においては、我が方としては自衛権の行使としての武力の行使はできないと、こういう解釈になっております。
#213
○小野次郎君 政府参考人の答弁も結構ですと昨日申し上げましたけれども、一国の総理がああやってパネルまで使って、何か赤ちゃんを抱いた女性のパネルまで見せながら御説明される時代ですから、是非お答えいただけるところはなるべく大臣にお答えいただきたいと。そういう技術的なことだから官僚に答えてもらうということであれば、総理大臣があそこまで細かいことをおっしゃるわけですから、是非大臣も、そういう細かいか大きい問題かと言わずにお答えいただきたいと思います。
 次の質問に移りますが、防衛出動下令時に我が国が行う反撃の対象というのは、急迫不正の攻撃を仕掛けた相手方の艦船とか部隊とか航空機に限られるのか、それとも相手方のいわゆる上級司令部というんですかね、その発射した場所、者以外の上級司令部なども反撃の対象にすることができるんでしょうか。
   〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
#214
○国務大臣(小野寺五典君) 一般論として申し上げれば、防衛出動を命ぜられた自衛隊は、自衛隊法第八十八条に基づき、我が国を防衛するため必要な武力を行使することが認められておりますが、その行使の対象については、相手側の艦船、航空機又は部隊など、実際に武器を使用して攻撃を仕掛けてきた直接の対象に限られているわけではありません。
 いずれにしても、自衛隊の武力の行使は、自衛隊法第八十八条に基づき、相手方の武力攻撃の具体的態様等を踏まえて判断すべきものと考えております。
#215
○小野次郎君 ということは、元々そういう武力の行使を相手方もしてくる、こちらもそれに反撃しなきゃいけないという事態になれば不測の事態になっているわけですけれども、そういう組織的な武力の行使が相手方からあるということは、つまりそれを指示している、指令しているところを止めなければ、牽制するにしても物理的に止めるにしても止まらないわけですから。
 今の大臣の答弁は、直接のそのものだけじゃありませんよとおっしゃっている意味は、やっぱりその攻撃を仕掛ける命令を出しているところまでは少なくとも反撃の対象になり得るという理解でよろしいでしょうか。
#216
○国務大臣(小野寺五典君) 今委員から質問があったとおり、私どもとしては直接の対象に限られているわけではない。例えば、有効に反撃するために必要なところであれば、そこは艦船、航空機、部隊と限られるわけではなくて、例えば有効な場所に関しても攻撃対象になるということであります。
#217
○小野次郎君 別の聞き方をしますけど、そうした反撃行為は、当然ですけれども、我が国領域内だけではなくて公海上において、また必要があれば相手国の領域内でも行うことが許されるという理解でよろしいですね。
#218
○国務大臣(小野寺五典君) 我が国の自衛権の行使として、我が国を防衛するために必要最小限度の実力を行使することができる地理的範囲というのは、必ずしも我が国の領土、領海、領空に限られるものではなく、公海及び公空にも、公の空にも及びます。
 しかしながら、武力行使の目的を持って自衛隊を他国の領土、領海、領空に派遣することは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと考えております。仮に、他国の領域における武力行動で自衛権発動の三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないと解してきております。この趣旨は、いわゆる敵基地攻撃能力、反撃と憲法との関係について、政府は従来から、法理上の問題としては、他に手段がないと認められるものに限り、敵の誘導弾等の基地をたたくことは憲法が認める自衛の範囲内に含まれるとの考え方を示しているということであります。
   〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
#219
○小野次郎君 これは、今日はある意味で指摘か要望にとどめておきますけど、事が集団的自衛権の行使という、従来憲法上許されないという議論についても国防上必要があるかどうかという議論をしようと言っているときですから、この敵地攻撃論についてももう五十年ぐらい理論的にはあり得るというところで止まってしまっていますけれども、現実に今の兵器というのは大変足が長いですから、そんなこちら側の領域内にとどまるものではなくて、当然にその相手側の領域内から発射されるということはもうある意味でかなりの確率で想定されるわけですから、その部分について、今みたいな理論的な話だけでとどまるのではなくて、是非具体的にどういう手だてが考えられるのかというのを考えるべき時期ではないかと思いますが、済みません、徳地局長、その辺は検討されているんでしょうか。
#220
○政府参考人(徳地秀士君) この問題につきましては、先ほど大臣からも御答弁ありましたとおり、従来、法理上の問題として憲法が認める自衛の範囲にどこまで入るのかという観点から議論はされていたわけでございます。
 他方で、昨年の末に決定をされました新しい防衛計画の大綱におきましては、北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上というものも踏まえまして、我が国の弾道ミサイルに対する対応能力の総合的な向上ということを図るということにしておるわけでございます。いわゆる、これは従来、敵基地攻撃能力と言っていたものとは同じではありませんけれども、また、それから、弾道ミサイルの脅威に対しましては、まず降ってくるミサイルを迎撃するというところが基本ではございますけれども、この防衛計画の大綱におきましても、日米間の適切な役割分担に基づいて、日米同盟全体の抑止力の強化のために、我が国自身の抑止、対処の強化を図るよう、弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずるということとされておるわけでございます。
 これにつきましては、専守防衛あるいは日米同盟の強化といったような前提の下で、様々な角度から、現在慎重に検討を行っているところでございます。
#221
○小野次郎君 次の質問ですけれども、安保法制懇の報告の中に事例が六つぐらい挙げてありまして、米国が武力攻撃を受けた場合の対米支援というのがございます。
 外務大臣にお伺いしますが、米国が武力攻撃を受けた場合に、米国から我が国に対してどのような支援の要請が想定されるのか、例示で結構ですけれども、全て網羅するというのは難しいと思いますが、考えられる要請の例というのを御説明いただきたいと思います。
#222
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の平和と安定を考える際に、まずこの日米同盟、これは死活的に重要であります。よって、我が国としましては、自らの防衛力を適切に整備するのと併せて、この日米同盟の抑止力向上に努めなければなりません。信頼関係を醸成するために不断の努力を続けていかなければならないわけです。加えて、我が国をめぐる安全保障環境、刻々と変化をしています。こういった状況ですので、具体的に米国からどんな要請があるか、これは状況によってあらゆる要請が想定をされます。ですから、その中の幾つかを挙げるということはなかなか難しいと思います。
 そして、加えて、今、先ほど申し上げましたように、政府・与党で議論が行われています。具体的な例を挙げて分かりやすい議論を進めるということになっています。その際にどんな例を挙げるのか、これについてはこれからの政府・与党の議論に委ねなければなりませんので、ここで具体的な例を幾つか挙げるというのは控えなければならないのではないかと考えています。
#223
○小野次郎君 六つの例が挙げられている中で、例えば、ほかのものは、我が国の近隣で有事があって船舶の検査云々とか、具体的にイメージが湧くんですね。あるいは三番目に出ているのも、恐らくシーレーンなんかだと思いますが、機雷の除去とか書いてあります。でも、この二番目の米国が武力攻撃受けた場合の対米支援というのは、これだけではアメリカが中近東や中南米で何か戦闘状態に入ったときに日本に対して支援を求めてくるというようなことを言っているのか、それとも何かもうちょっと実際には絞り込んだことを考えているのか。恐らくアメリカに聞いてみなきゃ分からないんじゃないかと思うんですけれども、検討できるんですかね、こんなことを。検討すべき例だと挙げていますけれども、この事例だけ見て検討できないから今外務大臣もそういうふうにおっしゃっているんじゃないですか。
#224
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘いただきましたこの六つの例、これは安保法制懇の最終報告書の中で挙げられた例であります。もちろんこの報告書はしっかりと受け止めなければならないと思いますが、これを土台として、政府・与党としてこれから議論を行います。
 そして、その際に、我が国の平和と安定のために、安全保障のために、どういった、具体例に対応するべく我が国として備えなければならないのか、こういった議論が行われるわけですが、その際にどういった例を挙げるのか、これは今後の政府・与党の議論に委ねられるものだと思っています。
#225
○小野次郎君 二〇〇八年の報告書の方を見ますと、公海における米艦防護というのがあるんですけれども、これは前に徳地局長ともやり取りさせていただいたときに、いわゆる防衛出動下令時と防衛出動下令前とでは考え方が違うという話をされましたが、防衛大臣、もう一度、どのようにこの防衛出動下令時と下令されていないときとでは捉え方が違うんでしょうか。
#226
○国務大臣(小野寺五典君) これは平成二十年の安保法制懇の前回出された報告書だと思います。公海における米艦防護に関して、個別的自衛権や自衛隊法第九十五条に基づく武器使用では限界があり、集団的自衛権の行使を認める必要がある旨の提言がされていることは承知をしております。
 自衛隊の具体的対応については、個別具体的な状況に即して判断する必要があるため、一概に申し上げることは困難でありますが、これまでの憲法解釈や現行法に基づき、法的な観点から一般論としてお答えをすれば、我が国に対する武力攻撃が既に発生し、我が国として個別的自衛権を行使している場合、我が国防衛のために行動している米艦を防護することは個別的自衛権の行使として可能であります。
 他方、我が国に対する武力攻撃が発生する前、防衛出動が下令されていない場合においては、自衛隊は平素から認められている武器使用権限として自衛隊法九十五条に基づく武器使用があるものの、同条の防護対象はあくまで自衛隊の武器等に限られておりますので、米艦艇は防護対象には該当していないということであります。
#227
○小野次郎君 そのお話を伺っていると、どうも腑に落ちないのは、そもそも防衛出動を下令されるかどうかというのは自衛隊法に基づく一つの判断でありますけれども、私たちが今議論しているのはもうちょっとプレーンに、我が国に対する武力攻撃、我が国がそれに対して自衛権を行使するというレベルの言わば憲法上の話をしているわけですけれども、憲法上の問題提起に対して自衛隊法上の防衛出動がされているという一つの法令上のある要件にはまったときには、同じことが、米艦防護ができるようになるというのとできないようになるって違ってくるというのは、どうも憲法の話をしているときにどうして下位法令の解釈というか、適用されているときか適用されていないかによって変わるのか、その理屈がよく分からないんですが、もう一度御説明いただきたいと思います。
#228
○政府参考人(徳地秀士君) 基本的に、先ほど大臣から御答弁したとおりです。
 それから、前に決算委員会の場でも小野先生とこのお話させていただきましたけれども、まず、私たちとしては、あくまで今の憲法解釈を踏まえた上で、それが現行法にどのように反映されているかという観点からお答えをしているものでございまして、したがいまして、そういう意味で、我が国に対する武力攻撃が既にあって、そして我が国が個別的自衛権を行使し得る、あるいはしているという状況であれば、その一環として共に行動をしている米艦に対する攻撃を排除することができるということを申し上げているものでございまして、あくまでこれは憲法解釈の問題として申し上げているものでございます。
#229
○小野次郎君 僕の質問は、繰り返しになりますけれども、どうして自衛隊法による防衛出動の要件を満たしているときには米艦防護が可能になって、そうでないときにはそれはできないんだという解釈になるんでしょうか。
#230
○政府参考人(徳地秀士君) 若干答弁が舌足らずで申し訳ございませんでしたけれども、要するに、ポイントになるのは、我が国に対する武力攻撃が発生しているかどうかということでございます。そして、その我が国に対する武力攻撃が発生していない状況の下で米軍艦艇に対する攻撃があったときに、これが、我が国として自衛隊がこれに対して反撃をするということができるかどうかというようなことでございましたので、それにつきましては、そのような場合に何らかの形で防護するという手段があるかないかということでいえば、現行法上は九十五条というものがあって、それによる反射的効果、これぐらいしか考えられませんと、こういうことを申し上げているわけでございまして、あくまで我が国に対する武力攻撃がなければ我が国としての個別的自衛権の発動はないと、それに基づいて御答弁をさせていただいているものでございます。
#231
○小野次郎君 それは、前提として、そうすると、米艦に対する攻撃というのは我が国に対する攻撃ではないと判断しているからですね。
#232
○政府参考人(徳地秀士君) 従来からこの点について申し上げていることは、我が国に対する武力攻撃が発生していない、そういう状態で、そういう意味で、我が国としてはいわゆる広い意味での平時ということになると思いますが、その場合にどういうような武器の使用ができるかと、そういうことでお答えをしているものでございます。
#233
○小野次郎君 九十五条というのは、たしか武器防護の規定ですね。
 そうすると、じゃ、次の問いに行きますけれども、平時、つまり防衛出動下令前の状態において共同行動中の米艦については、もう既に今お話しになった両方の例のうちの防衛出動下令されていないときのことですから、多分これはネガティブというか、難しいという説明になると思いますから省略しますが、それじゃ、僚艦というんですかね、一緒に行動している日本の護衛艦、船ですね、にそういう着弾があった場合なんかはどういうふうに考えるんですか。
#234
○国務大臣(小野寺五典君) 今御指摘の例でありますが、一般論として申し上げれば、行動を命ぜられていない状況の下において自衛隊法九十五条に規定する武器等の防護のための武器の使用の要件が満たされる場合には、護衛艦を職務上警護する自衛官は、その事態に応じ合理的に必要とされる限度で武器を使用することができるということになりますので、この場合に関しては、僚艦の護衛艦に攻撃を受けたという場合には九十五条の武器等防護の要件によって武器を使用することができるというふうに承知をしております。
#235
○小野次郎君 でも、この前は武器等防護についても、たしか防衛省に質問させていただきましたけど、それはあらかじめ何らかの形で武器の防護を命ぜられた職員、職員というか隊員に限るというお話でしたけれども、周りにいる僚艦の船はどの船か分からないわけですよ、突然それに着弾したときに、それを、今私がこの船に乗っているときに私が命ぜられているというふうに言えるんですか、だって。
#236
○政府参考人(中島明彦君) お答え申し上げます。
 先般、この委員会で申し上げたかと思いますけれども、九十五条に、規定にございますのは警護任務を付与された自衛官が防護のために武器を使用できるということでございまして、警護任務が付与されていないような状況で九十五条の武器使用ができるかというと、それはできないということでございます。
 したがいまして、先ほど大臣が御答弁させていただいたのを補足いたしますと、そういう場合は、当然、警護責任者ないしはその警護任務を付与された自衛官がそういう武器を使用できるということでございます。
#237
○小野次郎君 ですから、ほかの船の場合に、そのほかの船を防護するために何かできるかというと、それは難しいということなんじゃないですか。
#238
○政府参考人(中島明彦君) 通常、護衛艦と申しますと自分で武器を持っているケースがございますけれども、しかしながら、自衛隊の艦船でありましても武器を搭載していない艦艇がございます。そういう場合につきましては、他の護衛艦が警護任務を与えられた自衛官を乗り組む自衛官として乗り込ませているということはございます。
#239
○小野次郎君 大変厳しいというか、厳格な多分要件の下で一定の場合に可能だということだと思いますが、ただ、確認できるのは、そうすると、別に米艦だけではなくて、仲間の護衛艦に対する突然の攻撃の場合にもそれに対して反撃できるかどうかは、集団的自衛権の問題じゃなくてもうちょっと別の次元の問題だということなんじゃないですかね。徳地局長、どうなんですか、それは。
#240
○政府参考人(徳地秀士君) 御質問をちょっと正しく理解したかどうか若干自信はないのですが、先ほどの小野先生の御質問のいわゆる僚艦の護衛艦、つまり自衛隊の他の部隊に対する防護の問題と、それから外国籍の特に軍艦といったようなもの、これを同列に論ずることはできないわけでございますので、したがいまして、そういう意味で、やはり、何といいますか、判断は違ってくるものであろうというふうに考えております。それぞれ、外国の軍艦、特に米艦なら米艦という例で、それが武力攻撃でない場合、我が国に対する武力攻撃でない場合にどうかということは、それはそれでまた別途のものとして考えていかないといけないとは思っております。
#241
○小野次郎君 繰り返しになりますけど、集団的自衛権の行使容認という事態になったとしても、いわゆる平時に突然の着弾が隣を航行していた米艦にあった場合だって、それが本当に相手側からの武力攻撃かどうかの判断をしなければ対応は取れないということになるし、まして同僚の護衛艦に対する突然の着弾があったとしたって、それもやはり、先ほどから言っているように、様々な要件で判断しなければ、いきなり撃ち返せばいいというものじゃないということでは同じじゃないかと僕は言っているんです。
#242
○政府参考人(徳地秀士君) もちろん、自衛権に基づく武力の行使であれ、あるいはいわゆる警察権に基づく武器の使用であれ、あるいは自衛隊法第九十五条に基づく武器の使用であれ、その法律の規定に基づいてしかるべく手続の下で行われる、これは当然のことであるというふうに考えております。
#243
○小野次郎君 米艦、そして同僚の護衛艦。それで、じゃ、民間の船舶が一緒に航行している場合に、その民間の船舶の方に着弾した場合には、その自衛隊の護衛艦はどういう対応を取れるんですか。反撃できるんですか。
#244
○国務大臣(小野寺五典君) 今お話があるような民間の船舶ですが、これは、通常は海上保安庁を含めて海上警察権で対応するということが通常でありますが、今お話がありましたように、具体的な個別事例になかなか言いにくいんですが、一般論として、例えばこのような攻撃があり、海上保安庁が対応することが不可能若しくは困難であるという場合において海上警備行動が発令された場合には、海上警備行動を命ぜられた自衛隊の部隊は、我が国民間船舶等を防護するため、その事態に応じ、合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができるということになります。
#245
○小野次郎君 まあグレーゾーンの話になるのかもしれませんが、要するに、答弁されていても感じると思いますけれども、今まで結局そうやって事柄の整理だけしてきているけれども、実際には現場では何も対応できないということになっちゃうんじゃないですか。
 海上警備行動を発令されればとか言っていますけれども、突然、だって、着弾した場合、そのさっきの公海における米艦防護だって、大臣もおっしゃっているとおり、徳地局長もおっしゃっているとおり、いわゆる防衛出動が下令されるような相手方からの武力攻撃があった後であればそれは分かるわけですよ、誰がどういう意図でやってきているか。だけれども、そうでないときを想定している事例だというから、そうだとすれば、じゃ、同僚艦の場合はどうなんだ、民間船舶の場合はどうなんだと。そうすると、全て、いろんな要件があって、なかなか、もう見るからに、見ているところで撃たれたとしても、それですぐ撃ち返せるものではないということなんじゃないですかと僕は言っているんです。
#246
○政府参考人(徳地秀士君) 外国であれ、あるいは何らかの主体からいわゆる侵害あるいは攻撃があった場合に、やはりそれに対して適切に対応するという観点からすると、一つには、きちんと適正な手続の下に行われるということが大事だろうと思っております。それとともに、効果的に対応するということ、タイムリーに対応していくということも大事だろうと思っております。
 そして、この両方を満足するようなことがなければ、いわゆるグレーゾーンというものに対して隙間なく対応するということはできないわけでございます。これにつきましては、例えば、その意思決定あるいはその手続の時間を短縮するであるとか、あるいはその情報収集能力を強化して、できるだけ早くその侵害を察知するというようなことも大事だろうと思っております。
 それから、そもそも対応するための能力の強化ということも大事だろうと思っておりますが、それとともに、隙間なく対応するために、制度面、特に法律面でどのようなことが必要かということも同時にきちんと検討しておくということは大事なことだろうと思っております。
#247
○小野次郎君 やはりその話の中にどうしても出てくるのは、やっぱり相手方の侵害の意図というのが大事だと思うんですね。この意図が明示される場合と、明示されないでドンパチの方が先に起きてしまう場合とあり得ると思うんですけれども、自衛権発動の三要件とこの侵害の意図、特に明示された意図との関係はどういう関係になるんでしょうか。解説をお願いしたいと思うんですが。
#248
○国務大臣(小野寺五典君) 憲法第九条の下で認められている自衛権の発動としての武力の行使については、従来から、我が国に対する急迫不正の侵害があること、これを排除するために他の適当な手段がないこと、必要最小限の実力行使にとどまるべきことという三要件がありますが、このうち第一要件、我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち、武力攻撃の発生については、攻撃のおそれがあるだけでは足りませんが、攻撃による現実の被害が発生することまで要するものではなく、他国が我が国に対して武力攻撃に着手したときであると解しております。そしてその上で、現実の事態において我が国に対する急迫不正の侵害が発生したか否か、すなわちどの時点で相手が武力攻撃に着手したかについては、そのときの国際情勢、相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様等様々な事情を勘案して総合的に判断する必要があり、仮定の事例において限られた要件のみで論ずるわけにはいきませんが、これは個別具体的に判断するべきものと考えております。
 したがって、御指摘ありました明示的な例えば侵害の意図につきましては、自衛権発動三要件を判断する際に勘案すべき様々な事情の例示の一つとして述べてきたものであり、自衛権発動の要件については、自衛権発動の三要件以外の要件を考えているわけではなく、あくまでも、先ほどお話しされたような明示されていない場合というのは、これは相手の明示された意図その他について総合的に判断するということが必要となると思っています。
#249
○小野次郎君 最後、一問だけさせていただきますが、私の考えは、本来国防の目的というのは主権と独立の維持ということにあると思うんですね。その手段が実は外部からの武力攻撃なんじゃないかと思うんです。ですから、主権と独立に対する侵害の対応というか手段が武力攻撃ではないかと思うんですね。
 そこでちょっとお伺いしたいんですが、大臣でもあるいは政府参考人でも結構ですけど、例えば武力攻撃によらない侵害というのはあり得るんじゃないでしょうか。何も武器を使用しないで無人の我が国の島にどんどん上陸してくるなんというのは既に主権も侵されていると思うんですが、そういった武力攻撃によらない侵害はあり得るのかどうかということ、あるいは逆に、我々の反撃の方法も、武力を行使しないで自衛権を発動させて主権と独立の回復を図るということも自衛権行使の一態様なのではないかと思うんですが、間違った考えなんでしょうか。ちょっとそのお考えを、御認識をいただきたいんですけれども。
#250
○政府参考人(徳地秀士君) 今先生御指摘の点につきましては、安保法制懇の報告書の中でも、いかなる事態においても国民の命と暮らしは断固として守り抜くという観点から、いわゆる武力攻撃に至らない侵害、そういう事態への自衛隊の対応ということも含めて提言が行われたというふうに我々は認識しておりますので、まさに今後、政府・与党内で具体的な事例に即してそういう切れ目のない対応を可能とするような議論を深めていくと、そういうような段階にあるというふうに認識はしております。
#251
○小野次郎君 切れ目のない対応を考えるという上では、今までのように、何か一つの物事を警察権なのか自衛権なのかと切り分けなきゃ駄目だという考えにいつまでもこだわっていると私は切れ目ができてしまうと思うので、我が国の主権と独立を保持するための活動については、警察権と重なり合う形でも自衛権というのはあり得るんだというぐらいの考えをする方が合理的ではないかと私は思っていますので、そのことを申し上げて、今日の質問は終わらせていただきます。
#252
○井上義行君 みんなの党の井上義行でございます。
 今日は、外交を中心に質問をさせていただきたいというふうに思います。
 いよいよ来週から日朝協議が始まります。拉致被害者が一部帰ってきてからもう十年もたって、多くの拉致被害者、そして特定失踪者の方々がまだ帰国に至っていません。是非、来週行われる日朝協議で結果を出していただきたいというふうに思います。
 そこで、今日は、その日朝協議に当たって、詳細についてはなかなかつまびらかにできないというふうに思いますけれども、基本的なことを聞きたいというふうに思います。
 例えば、金正日政権時代に小泉総理との間で平壌宣言が交わされました。その平壌宣言に基づき、拉致、ミサイル、核、これを包括的に解決して、経済協力で正常化によって日朝の改善を図るというような平壌宣言が交わされた。
 金正日総書記が亡くなって金正恩政権になって、この平壌宣言が今生きているのか、それともどうなのか。これ、日朝協議が開催をして、金正恩体制になってそれを確認したかどうかをちょっとまずお伺いしたいと思います。
#253
○政府参考人(金杉憲治君) 事実関係でございますので、私の方からお答えさせていただきます。
 先生今御指摘がありましたとおり、今の北朝鮮との関係での日本政府の基本的な方針は、拉致、核、ミサイルを包括的に解決を目指すということでございまして、当然、こうした考え方、日朝平壌宣言に基づいて拉致、核、ミサイルの包括的な解決を目指すという方針につきましては、北朝鮮との協議の場で伝えてきております。直近では、三月三十、三十一日に北京で行われました第二回の日朝協議で伝えてきているところでございます。
 また、北朝鮮側も、金正恩体制に移行して以降の二〇一二年、二〇一三年、それぞれ日朝平壌宣言の十周年、十一周年に当たる際に、平壌宣言の履行を重視する考え方を公式報道を通じて明らかにしているところでございます。
 以上でございます。
#254
○井上義行君 こうした包括的に解決をして、私個人としては一日も早く拉致被害者を帰国に向けて全力を挙げてほしいと思います。特に、拉致をしたのは北朝鮮ですから、今の法律で拉致の被害者と特定失踪者という形で分かれているだけで、これは北朝鮮が全てを知っているわけですから、我が国としては、生存している全ての特定失踪者も含めた拉致被害者の帰国に全力を挙げてもらいたいというふうに思っております。
 そこで、いろんな話の中で、なかなか言えないとは思うんですけれども、私も交渉してつまびらかにできないこともたくさんあります。その中で、この朝鮮半島、北朝鮮をどのようにしていくか、これは内政干渉ということが言われるかもしれませんけれども、多分各国、米国なりあるいはロシアなり中国なり韓国なり、それぞれの、北朝鮮の将来の姿を考えているというふうに思うんですね。
 そこで、日本というのは朝鮮半島、特に北朝鮮、どのような位置付けというか、国が望ましいかということを、大臣、お答え願えますでしょうか。
#255
○国務大臣(岸田文雄君) まず、朝鮮半島情勢は、朝鮮半島で暮らしている方々のみならず、北東アジア、さらには国際社会全体にとって重大な関心事であると認識をしています。
 私の立場でこの朝鮮半島の将来の在り方について具体的に申し上げることは適切ではないとは思いますが、朝鮮半島が安定しそして繁栄すること、さらには国際的な平和や安定を確保するということ、これは、我が国自身はもとより、北東アジア地域、そして国際社会全体にとってこれは利益であると認識をしています。
 こういった考え方に基づいて朝鮮半島の将来を考えていかなければならないと思いますが、その中にあって北朝鮮問題、これは大変重要な課題であるというふうに認識をしています。国際社会にとって大きな関心事であります朝鮮半島の平和と安定のためにも、この北朝鮮問題、拉致、核、ミサイル、こうした包括的な問題を解決するべく、我が国として全力で取り組まなければならないと考えております。是非そうした考え方に基づいて北朝鮮問題に取り組んでいきたいと考えます。
#256
○井上義行君 それはなかなか表に言えないと思うんですが、しかし、いろんな、アメリカとか各国と話し合うときには、やはり各国皆さん、念頭に置きながら交渉をするというのが常識だというふうに思っています。ですから、例えばNSCで、本当に政治家同士で極秘にそういうようなことも検討し、しかしその結論は後に分かることであって、今それをつまびらかにしなくてもいいんですけれども、やはりこうしたことを御議論をいただければというふうに思っています。
 次に、北朝鮮のすぐ隣にあります中国の問題についてお伺いしたいと思うんですが、安倍総理は靖国神社に参拝をしました。私は、どの総理であれ、靖国神社に行くということは当然だというような考えでございまして、この靖国神社について、中国が、あるいは各国が内政問題について言うべきではないという考えでございます。
 そこで、安倍総理が靖国神社に参拝をして、じゃ、中国の経済で日本の不利になったこととか、具体的に何かあるんでしょうか。いかがでしょうか。
#257
○政府参考人(金杉憲治君) 経済関係の若干統計について御紹介をさせていただきたいと思います。
 先生も御承知のとおり、中国は我が国にとって最大の貿易相手国ですし、中国に進出している企業も日系企業は第一位で、合計二万三千余社ということになっております。
 対中経済ということについて申し上げますと、直近の指標でいえば、本年の第一・四半期につきましては、日本の対中貿易が対前年同期比で若干の微増ということになっております。片や、対中投資につきましては大きく減少しておりまして、対前年同期比で四五・七%という状況になっております。
 他方で、こういう経済指標といいますのは、中国の経済全体が若干弱含みであるとか、あるいは為替レート、企業の活動等々に影響が及びますので、なかなか断定的に申し上げるのは難しい状況でございますけれども、経済に影響が及ばないようにというのは私ども配慮しているところでございます。
#258
○井上義行君 まさに対中経済においては、中国の経済が若干減速している、あるいは為替の問題で減ったという部分はありますが、全般的に見れば、靖国神社に行って経済が悪化したということはないんですね。ですから、よく、靖国神社に行って日本の経済がちょっとおかしくなるぞなんていう人がいますけれども、これは、全くそれは当たらないということだというふうに思います。数字上もそういうことになっております。むしろ中国は、靖国神社の参拝がどうとかこうとかというよりも、もっと先にある野望というものがあるんではないかなというふうに思うんです。
 今回はそこをちょっと議論したいんですが、これは、中国がどのような考え方で尖閣諸島、あるいはベトナム、こうした東シナ海とか尖閣諸島の周辺を支配してきているかということなんですね。
 ですから、例えば胡錦濤時代には、何だかんだといっても日本と経済的には切っても切れない仲ですから、何とか互恵関係で何かやっていこうという考え方はあったと思うんですが、習近平の政権になって、確かに経済的に日中でやっていかなきゃいけないということはあるんでしょうけれども、やはり二〇二五年までにアメリカを抜く経済、軍事、そして政治というものが念頭にあって、やはりこうした尖閣あるいは東シナ海をアメリカに代わって自分たちが支配していこうということがあるんではないかというふうに思うんです。この見方によって、随分、外交そして安全保障というものが私は政策的に結構変わってくるんだろうというふうに思います。
 私は、やはりもちろん日米同盟というのはこれはもう基軸ですから、しっかりとした日米同盟の基軸をつくるということと併せて、日・ASEAN、この連携を深めて、やはり対抗していくいろんな手法を考えていかなければいけないんではないかと。
 そこで、まず、中国が南方に進めてきた拡大は、一つは多分ロシアとの結び付きがあって、ロシア、例えば二方面作戦とよく言われていますけれども、日本も北と南から同時に攻められるというのが一番厳しい。中国もロシアとの関係が悪化していれば、やはりロシア側の方から攻められてしまったら、安全保障上、堂々と南の方に軸足を置くということはなかなか難しいというふうに思うんですね。
 そこで、やはり中国とロシアの関係を強化することによって南の方にどんどんどんどん進出してきているんではないかというふうに私は思うんですが、外務大臣として、こうした中国の路線の認識はどう考えていますでしょうか。見方で結構です。
#259
○国務大臣(岸田文雄君) 中国の積極的な海洋進出に関する中国の意図について正確に申し上げる立場にはありませんが、こうした海洋進出につきましては、シーレーンに対する関心の高まりですとか、あるいは海洋権益に対する関心の高まりですとか、さらには領土、領海に対する考え方、こういったものが背景にあるという指摘があります。
 加えて、これは一般論として当然のことですが、国際社会全体の様々なパワーバランスとかそういった要素も様々な政策に影響がある、こういった点も想像することもできるのではないか、このように考えます。
#260
○井上義行君 せっかくNSCができたので、やはりこうした中国の考え方、しっかりと情報収集して分析して、更なる外交戦略がもし違った方向で行っているのであれば見直すとか、しっかりとNSCで議論をしていただきたいと思います。
 そこで、先ほどお話のあった、私の方から申し上げたASEANとの例えば連携、これは軍事的な連携はどう進めていくのか。外務大臣の考え方を教えていただきたいんですが。
#261
○国務大臣(岸田文雄君) ASEANとの連携、南シナ海における中国の積極的な海洋進出を考えましても、力による一方的な現状変更を認めることができないですとか、緊張を高める一方的な行動は慎まなければならない、さらには国際法を始めとする法の支配、こういったものをしっかり尊重し、国際法に基づいて、法の支配に基づいて行動することの重要性、こういったことにつきましては、ASEAN諸国ともしっかりと意識を共有して連携をしていかなければならないと考えています。
 こうしたASEAN諸国との連携につきましては、昨年十二月、日・ASEAN特別首脳会談等の場におきまして首脳間でも確認をしたところでありますが、今後とも、こうした基本的な考え方をASEAN諸国とも共有しながら、何よりも、中国に対してもこの地域において建設的な行動を取るようしっかり促していく、こういったメッセージを発していくことは重要ではないかと考えます。
#262
○井上義行君 まさにASEANとの連携、そして日米同盟、そして近くにいる韓国との連携というのもやはり必要だというふうに思います。
 そこで、日韓首脳会談が、この間、日米韓ですか、首脳会談、若干行われたみたいですけれども、やはり日韓のバイの会談が開かれていないということがあります。この日韓の首脳会談の見通しは今現在どうなっていますでしょうか。
#263
○国務大臣(岸田文雄君) まず、韓国は基本的な価値観を共有する大切な隣国であると認識をしています。日韓関係が安定するということは、アジア太平洋地域の安定のためにも大変重要であると考えております。是非、未来志向で大局的な観点から日韓関係を未来に向けて構築していかなければならない、強く認識をしております。
 そして、この日韓の間には大変難しい問題が存在しているわけですが、我が国としましては、難しい問題があるからこそ対話が重要であるということで、様々なレベルで対話を今積み重ねております。私自身も尹炳世長官とは二度会談をさせていただきましたし、また、今、日韓におきましては局長級の協議、これも行っているところであります。是非、こうした様々なレベルにおいてしっかりと意思疎通を積み重ねながら、何よりも高い政治のレベルでの対話、首脳会談につなげていきたい、このように強く願っております。
 難しい問題があるからこそ対話を重ねる、そして高いレベルでの、高い政治のレベルでの対話があるということは、やはり両国の国民にとりましてもこれは安心につながるというふうに思いますし、国際社会にとってもこれは安心や安定につながると考えます。
 是非、この対話の重要性、これからもしっかり訴えていき、そして首脳会談等高い政治のレベルでの対話につなげていきたいと考えていますが、韓国側にも是非こうした我が国の考え方に応じていただきたいと強く願っております。
#264
○井上義行君 まさにこうしたアジア、特に周辺国の間で様々ないろんな問題がある、こういうときこそやはり交渉者が次から次へと替わってしまっては、私は日本の国益にならないんだろうというふうに思います。確かにアジア局長、歴代皆さん優秀ですけれども、優秀なのとやはり結果を残すのとはまた別ですから、例えば拉致被害者が帰ってきていない中で、毎回毎回新たな局長が生まれ、そして出世して次官になると。確かに優秀な人ですから次官になるのは別に構いません。しかし、やはり拉致被害者が帰ってきていない、結果を残していない、また中国、韓国も非常に緊張関係が起きている。こういうときはしっかり担当者に残っていただいて、そしてそこで結果を出してもらって堂々と出世をしていただければというふうに思います。
 そこで、やはりこういうような人事は外務大臣のリーダーシップに基づいて、しっかり軸足を置いて、おまえ結果を出さなければ局長から動けないぞというぐらいの人事改革を断行していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#265
○国務大臣(岸田文雄君) 外務省の幹部人事につきましては、従来から適材適所という考え方に基づいて検討してまいりましたし、何よりも、組織を活性化するためにはどうしたらいいか、こういった点も重視しながら取り組んできたところであります。
 そして、結果として、この幹部人事につきましては、二年程度で交代することが多くなっているというのは事実でありますが、御指摘のように、特定の課題に取り組む特定の幹部ポストについては、その課題の状況ですとか、あるいは関係国、相手国との信頼関係の重要性ですとか、こんなことを考えますときに、二年を超えて人事を行う、こういった考え方も当然採用していいと私は考えます。
 そういった点もまた念頭に入れながら、外務省の幹部人事、是非、組織を活性化するためにはどうしたらいいか、そして大きな成果を上げるためにはどうしたらいいか、こういった点を重視しながら引き続き考えていきたいと思います。
#266
○井上義行君 前向きな答弁、ありがとうございます。
 そして最後に、アフガンの大統領選についてお伺いしたいんですが、総理は平和主義ということをうたっていますので、今度、アフガンで大統領選挙があるわけですね。そして、各国は監視団を出しているけれども、日本は出していないと聞いております。
 六月十四日に大統領選挙の決選投票が行われるという見通しになっているみたいですけれども、やはりこうした監視団、アフガン問題についても小泉政権のときにテロとの戦いで我々も関与してきました。こうしたことが民主的に始まる、そういうときに日本もしっかりと監視団を出して貢献するということもやはり私は必要だというふうに思っておりますので、最後に、日本としてこの選挙監視団に派遣するお考えを外務大臣にお聞かせいただきたいと思います。
#267
○国務大臣(岸田文雄君) まず、アフガニスタンの大統領選挙ですが、アフガニスタンの将来を考えますときに、大統領選挙が公正に、そしてしっかりと行われること、大変重要だと認識をしております。
 我が国としましては、こうしたアフガニスタンの取組に対してしっかりと協力、貢献をしていかなければならないとは考えていますが、ただ、その際に一番大きな問題点として、障害として考えなければならないのは、アフガニスタン自身の現在の大変厳しい治安状況であります。この治安状況の中で我が国としてどう貢献できるのか、引き続き検討していかなければなりませんが、御指摘のように、この大統領選挙、四月五日の第一回目の投票については選挙監視団の派遣、見送ることといたしました。そして、治安状況、引き続き予断を許されないということで、六月十四日の決選投票への監視団も現在のところ見送る方針であります。
 しかしながら、アフガニスタン情勢、今後、推移はしっかりと注視していかなければなりません。来年には下院議会選挙等、重要な選挙が予定されています。治安状況等もしっかり確認しながら、我が国としてできる限りのアフガニスタンの国づくりに貢献する道は検討していきたいと存じます。引き続きそういった観点でアフガニスタン情勢、注視していきたいと考えております。
#268
○井上義行君 私は、こうした、先ほどの集団的自衛権の話もありましたけれども、私も北朝鮮に、その拉致被害者を救出する法案を党に今出しておりますけれども、やはりそうした武器使用とかそういうような議論をしているときに、いわゆる選挙の場所にも行けない、それで果たして武力の行使がどうだこうだとかということが私は言えるのかなというふうに思いますので、こうした民主主義をやはり進めるために、是非積極的にこの監視団を出していただく決断をしていただきたいと思います。最後にもう一回、外務大臣、お願いいたします。
#269
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国としましては、国際協調主義に基づく積極的平和主義を掲げ、国際的な平和や安定のためにより一層貢献しようと思っています。
 この選挙に関しましても、アフガニスタンの大統領選挙、御指摘をいただきました。それ以外にも、ウクライナの大統領選挙、五月二十五日に予定をされています。先日、OSCEの選挙監視団に十名派遣するということで委嘱状も交付させていただきました。できる限りこうした国際的な取組にしっかり貢献していきたいと存じます。
 アフガニスタンにつきましては、大変厳しい治安状況等を勘案しなければなりませんが、我が国としてできる限りの貢献は引き続き検討していきたいと考えております。
#270
○井上義行君 ありがとうございました。これで終わります。
#271
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、昨日の米軍厚木基地の騒音損害訴訟の判決についてお聞きいたします。
 横浜地裁は、全国の基地騒音訴訟では初めて自衛隊機の夜間飛行差止めを命ずる画期的な判決を下しました。周辺住民が受けている被害は健康又は生活環境に関わる重要な利益の侵害だと指摘し、当然に受忍しなければならないような軽度の被害とは言えないと、こういうふうに断じたわけであります。
 先ほど判決内容やこれまでの大臣の現場での経験については御答弁ありましたが、私はこれは重く受け止めて控訴はしないようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#272
○国務大臣(小野寺五典君) 判決の内容については委員の方からお話があったと思います。
 先ほど他の委員にもお答えをしましたが、私は、大臣着任後の二十五年一月に厚木基地周辺住宅を訪れ、地元の市長との面談、住宅防音工事の視察、そしてまた地元住民の方との懇談などをさせていただきました。いずれにしても、生活環境の整備等に一層努力をしてまいりたいと思っております。
 ただ、今回の判決におきましては、飛行差止め及び損害賠償に係る国側の主張について裁判所の理解が得られず、大変厳しい判断が示されたものと受け止めております。
 防衛省としましては、厚木基地においてP3Cによる周辺海域の警戒監視やUS2による海難救助、急患輸送を実施しており、国民の生命を守り、国の安全を保つために必要な任務飛行、訓練飛行を行っております。
 今回の判決で、これら自衛隊機の運航を一部差し止めるなど、防衛省にとって受け入れ難い内容を含む判決であり、今後の対応については、判決内容を慎重に検討し、関係機関と十分調整の上、適切に対応してまいりたいと思っております。
#273
○井上哲士君 現場に行かれているわけですから、騒音のひどさというのは十分に御承知だと思うんですね。この騒音の大半を占めるのは米軍機の騒音ですが、原告はこの飛行差止めも求めておりましたけれども、判決は、米軍については国の支配が及ばない第三者として認めませんでした。
 住民にとっては音に国籍はないんですね。同じように受忍し難い騒音なわけでありますが、にもかかわらず、米軍機の騒音については止められないと。私は、これはおかしいと思うんですね。
 防衛省、適切に対応するというのであれば、こういう被害、騒音をなくすために米軍機の飛行中止を求めると同時に、国内で現に目の前に被害がある、そのことを認めながらも司法が及ばない、こういう地位協定も見直すと、そういうことをやることこそが私は求められると思いますが、防衛大臣、いかがでしょうか。
#274
○国務大臣(小野寺五典君) 特に厚木飛行場におきましては、米軍の空母艦載機が先日も着陸している状況を私、現地で見させていただきました。そういう中で、今これは岩国市、その周辺の住民の皆さんの御理解をいただいて空母艦載機の岩国への移駐ということを、これは進める方向で様々な事業を行っております。
 いずれにしても、私どもとしては、厚木飛行場周辺の皆様の負担の軽減のためにも今後とも努力をしていきたいと思ってはおります。
#275
○井上哲士君 騒音のたらい回しでは解決しませんし、現に被害に司法が及ばないと、この現実を正すことこそが私は求められているということを重ねて強調したいと思います。
 その上で、集団的自衛権に関わってお聞きをいたします。
 安保法制懇の報告を受けて、十五日に総理が集団的自衛権行使容認へと与党協議を進める方向での会見をされました。この会見で総理は、命を守るということをある報道では二十一回繰り返したということであります。そして、命を守るために何もしなくていいのかとパネルも掲げて語られました。
 しかし、かつてアジアと日本の多くの人々の命を奪った、その痛苦の反省から作られたのが今の憲法九条なんですね。何もしなくてもいいどころか、命を守るために二度と海外で武力の行使はしない、そして国際紛争は平和的外交で解決するんだと、こういう方向を打ち出して、戦後、日本の国は憲法の下で歩んできたわけでありまして、ところが、安保法制懇の報告も、総理の先日の会見も、言わば軍事的対応ばかりを論じて外交が何一つ出てきませんでした。
 命を守ると言うならば、今の憲法九条の立場での外交力をうんと強めると、平和外交の道こそ進むべきだと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
#276
○国務大臣(岸田文雄君) 戦後六十九年、我が国は、自由、民主主義、法の支配といった基本的な価値観を大事にしながら平和国家として歩んできました。六十九年、国際社会の平和と安定のためにしっかり貢献してきたとも自負をしています。こうした我が国の平和国家としての歩み、これはこれからも全く変わることはありません。
 そして、その中にあって、政府としまして、国民の生命、暮らしを守る、これは大変重要な責務であります。我が国を取り巻く安全保障環境、大変厳しきものがあります。また、サイバー、宇宙を始めとする新しい国境を容易に越える脅威も登場してきています。今や一国のみでは自らの国を守ることができない、これはもう国際的に共通の考え方となっています。
 こういった中にあって、我が国としましては、国民の生命、暮らしを守るためにはどうあるべきなのか、この法的基盤についてどうあるべきなのか、これを今議論しているところであります。平和国家としての歩みは全くこれからも変わりませんが、厳しい安全保障環境の中にあって国民の生命、暮らしを守るために政府として何をやるべきなのか、こういった検討についてはこれからも不断の検討を続けていかなければならない、このように考えています。
#277
○井上哲士君 午前中の議論でもありました。およそ想定し難いような例を挙げて命守らなくてもいいのかと、こう言って国民を脅し付けるかのような物言いがあった。一方で、総理は、ほかの場所では血を流す同盟ということも言われてきたわけですね。
 国民にとってやっぱりリアリティーがあるのは、この集団的自衛権行使によって、海外の戦争によって殺し殺されるということがあり得るということですね。アメリカの集団的自衛権として行われたあのアフガニスタンの戦争では、現に派遣国でそういうことが起きたと。そういうことを語らずに、想定し難い例を挙げてこれでいいのかと。国のありようを変えるようなこういう議論の在り方は、私はおかしいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#278
○国務大臣(岸田文雄君) 総理の会見においておよそ想定できないような例を挙げてという御指摘もありましたが、例えば邦人を米国の艦船によって輸送するという例を総理は挙げさせていただきましたが、こういった例につきましても、かつてリビアにおける情勢悪化におきまして、二〇一一年二月のことでありますが、実際に現地から米国の艦船あるいはスペイン派遣の軍用機で邦人が移動したという実例も存在いたします。
 こういった先例も考えますときに、この総理の取り上げた例、決して非現実的な例ではないわけでありますし、こういった具体的な例を挙げながら、我が国として対応する必要がないのか、政府として検討する必要がないのか、こういったことを国民の皆様方にも訴えさせていただいたと認識をしています。
 いずれにしましても、今政府としましては、与党の協議をしっかり見守り、そして政府・与党としての結論を出すべく議論を進めております。是非、具体的な例を挙げながら、国民の皆様方にもしっかり分かりやすい議論を丁寧に進めていきたいと考えております。
#279
○井上哲士君 最もリアリティーのある殺し殺される事態になるということについては、何も総理は語っていないわけですね。しかし、多くの国民は今大変な不安の声を上げております。
 そういう中で、この間、総理は、いわゆる限定容認ということを言われております。十五日の会見で、この安保法制懇報告の、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方について、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするための必要最小限度の武力の行使は許容されるという従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方だと総理は述べました。
 そこで、この問題について聞くんですが、総理が幹事長時代の二〇〇四年の一月のこれは衆議院の予算委員会で、自衛権行使が必要最小限度の範囲にとどまるというのは数量的概念ではないか、だとすれば、論理的にはこの範囲に含まれる集団的自衛権があるのではないかと、こういう質問をされておりますが、これについて政府は当時どういうふうに答弁をしているでしょうか。
#280
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 平成十六年一月二十六日の衆議院予算委員会における当時の秋山内閣法制局長官が行った答弁は以下のとおりでございます。
 お尋ねの集団的自衛権と申しますのは、先ほど述べましたように、我が国に対する武力攻撃が発生していないにもかかわらず外国のために実力を行使するものでありまして、ただいま申し上げました自衛権行使の第一要件、すなわち、我が国に対する武力攻撃が発生したことを満たしていないものでございます。
 したがいまして、従来、集団的自衛権について、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものという説明をしている局面がございますが、それはこの第一要件を満たしていないという趣旨で申し上げているものでございまして、お尋ねのような意味で、数量的な概念として申し上げているものではございません。
#281
○井上哲士君 安倍総理の問いに対して、数量的な概念ではないんだという明確な答弁がされております。ところが、安倍総理は昨年五月八日の参議院の予算委員会で、昭和五十六年当時の国会答弁に触れながら、集団的自衛権について、この答弁の際にも、絶対概念ではなくて量的概念として必要最小限を超えるという判断をしているわけでございますと、こういうふうに述べているわけですね。
 先ほど御紹介があった二〇〇四年の政府答弁で明確に否定しているにもかかわらず、量的概念が政府の立場かのような答弁をされているわけでありますが、政府の立場は途中でどこか変わっているんでしょうか。
#282
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御指摘の期間におきまして、集団的自衛権の行使、憲法第九条の下で許される武力の行使の範囲に関する政府の解釈が変わったということはないと承知しております。
#283
○井上哲士君 そうしますと、昨年のこの答弁で、安倍総理が、当時、昭和五十六年当時から量的概念として判断しているというこの答弁は事実と違うということでよろしいですか。
#284
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御指摘のそれぞれ答弁における、数量的な概念あるいは量的概念という言葉がそれぞれの答弁においてどのような意味で用いられているのか、それによることから、必ずしも単純に比較することは難しいものと考えております。
#285
○井上哲士君 数量的概念と量的概念がどこが違うのか、同じ言葉で使っているわけです。つまり、そもそも第一要件を満たしていないと、そういう絶対概念ではないということを総理はこの間のことで言って、否定されてももう一回昨年言われているわけですよ。つまり、自衛のための必要最小限度が絶対概念でなくて量的概念だと、これまでの政府の基本的立場を逆さまに理解をされているのか、分かった上で言われているのか、よく分かりません。
 いずれにしても、その上で、十五日の記者会見で、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるという考え方が従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方と述べておられますが、必要最小限度というのは量的概念だと、こういう間違った前提に基づいて限定容認をすると、これは、私はこういう議論は成り立たないと思いますが、外務大臣、いかがお考えでしょうか。
#286
○国務大臣(岸田文雄君) 五月十五日、まず安保法制懇の報告書において、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるときという限定的な場合に集団的自衛権を行使することが許されるという考え方、これ、報告書の中ではまずそれが示されました。これは憲法前文及び十三条の趣旨を踏まえれば、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置は禁じておらず、そのための必要最低限の武力の行使は許容されるとの従来の政府の解釈を踏まえた考えであり、総理が述べたとおり、この考えで研究を進めることとされた次第であります。
 現時点ではまだ何も決まっていないわけですから、是非、この総理の基本的方向性に基づいて、与党と十分協議し、そしてその上でこれから政府としての対応が検討されるものであると認識をしております。
#287
○井上哲士君 必要最小限度は量的概念でないと、我が国に対する急迫不正の侵害がないという、この要件を欠いているから集団的自衛権を行使できないと。つまり、集団的自衛権行使と必要最小限度というのはおよそ両立しない矛盾したことであるにもかかわらず、何か従来の政府の基本的立場を踏まえた考え方として研究にも値するかのようなことを言うこと自身が私はおかしいと思うんですね。そして、限定容認といいますけれども、果たして限定になるのかと。
 北岡座長代理は、集団的自衛権行使の歯止めとして四月十日の時事通信のインタビューで六点を挙げておりまして、その内容が報告書にも盛り込まれております。お手元に資料で配りましたけれども、その中に、我が国と密接な関係にある外国に対し武力攻撃があること、攻撃を受けた国からの明示の要請又は同意があること、第三国の領域を通過する場合、当該国の同意を得ることということがありますけれども、これいずれも国際法上の当たり前の一般ルールだと思うんですけれども、外務大臣、そういうことでよろしいでしょうか。
#288
○政府参考人(石井正文君) 事実関係に関わる問題でございますので、私の方からちょっと答えさせていただきます。
 委員御指摘のとおり、一般国際法上、ある国家が集団的自衛権を行使するための要件は、武力攻撃を受けた国の要請又は同意があること、ほかに適当な手段がないこと、必要最小限度の実力の行使であることというふうに一般的に考えられております。
 その上で、御指摘のうち、先ほどおっしゃった六要件でございますが、我が国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃が行われること及びその国の明示の要請又は同意があることについては、このような一般国際法上の要件のことを指摘したと理解しております。
 また、第三国の領域を通過する場合にはその国の同意を得ることにつきましても、一般国際法上、第三国の領域内で活動を行うためには一般に領域権との関係で当該第三国の同意を得ることが必要であることに加えまして、部隊の任務を円滑に遂行するためには当該第三国の同意を得ることが望ましいという考え方を示したものだというふうに理解しております。
#289
○井上哲士君 つまり、たくさん要件を挙げていかにも厳しい歯止めを掛けたような印象を与えますが、国際法上の当たり前のルールを言っているにすぎないわけですね。他の要件を見ますと、日本の安全に重大な影響を及ぼす可能性がある場合、事前又は事後に国会の承認を受ける、それから政府が総合的に判断をすると、こういうことがあるわけですが、この日本の安全に重大な影響を及ぼす可能性がある場合というのはどういうことを指しているんでしょうか。
#290
○政府参考人(武藤義哉君) 五月十五日に提出されました安保法制懇の報告書において、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるという考え方が示されまして、これは憲法前文、憲法十三条の趣旨を踏まえれば、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置は禁じられておらず、そのための必要最小限度の武力の行使は許容されるとの従来の政府の解釈を踏まえた考え方であり、政府としては、この考え方について更に研究を進めるということにしてございます。
 他方、報告書にある我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとの記述そのものの具体的な意味、あるいはこれに該当する事例について、これまで政府としてまだ検討を行っているわけではございません。
 いずれにしても、今後、政府・与党において具体的な事例に即して更なる検討を深めることになりますけれども、どのような事例を検討していくかも含めて今後与党と調整していくこととしてございます。
#291
○井上哲士君 まだどういうものかさっぱり分からないという話でありますが、具体的にじゃ聞きましょう。
 例えば、アメリカはテロに対する自衛戦争としてアフガン戦争を行って、NATOは集団的自衛権の行使で参加をいたしましたが、ああいうアフガンの事態というのはこの日本の安全に重大な影響を及ぼす可能性がある事態と言えるんでしょうか。外務省、お答えいただけますか。
#292
○政府参考人(新美潤君) 今御議論いただいております安保法制懇の報告書におきまして、我が国の安全に重大な影響を及ぼすという可能性があるときという限定的な場合に集団的自衛権を行使すると、許されるという考え方が示されてございますけれども、繰り返しで恐縮でございますが、この意味、内容については今後与党と協議をしていくということでございます。
 したがって、今御指摘がありましたような事態について、それがこれに該当するかということは現時点ではお答えできないということでございます。
#293
○井上哲士君 もう極めて広くて不確定で、しかも可能性があればよいというわけですから、全く時の政権の恣意的な判断となるわけですね。
 国会承認も挙げられておりますけれども、政府は国会の多数派が握っているわけでありますから、およそ縛りにならないと。つまり、いかに、幾ら国会で多数を占めていても、これをやってはいけないという憲法の縛りがあったと、それを解いてしまうというのがこの行使容認となるわけですね。
 何をもって判断をするのかと。これも報告書にある五つをそこに挙げておきましたが、この総理が総合的に判断する諸点の五つというのは、これ全てを満たす必要があるという趣旨なんでしょうか。
#294
○政府参考人(武藤義哉君) 安保法制懇の報告書では、集団的自衛権を行使することができる場合に該当するかについて、我が国への直接攻撃に結び付く蓋然性が高いか、日米同盟の信頼が著しく傷つきその抑止力が大きく損なわれるか、国際秩序そのものが大きく揺らぎ得るか、国民の生命や権利が著しく害されるか、その他我が国への深刻な影響が及び得るかといった諸点を政府が総合的に勘案しつつ、責任を持って判断すべきであるとしてございます。
 報告書では以上の五点全てを満たした場合にのみ集団的自衛権を行使できるという記述はございませんで、これらを政府が総合的に勘案しつつ、責任を持って判断すべきであるというふうに記述をしているところでございます。
#295
○井上哲士君 全てを満たす必要がないということですが、それじゃ、この今述べられました五つのうちの一つが日米同盟の信頼が著しく傷つきその抑止力が大きく損なわれ得るかということでありますが、外務大臣にお聞きしますけれども、日本はこれまでアメリカがやった海外での武力行使に反対をした例があるでしょうか、あれば具体的に示していただきたいと思います。
#296
○国務大臣(岸田文雄君) 一般的に、我が国として、他国の第三国に対する武力行使に対する評価、これは個々の事案に応じて総合的に判断してきております。
 過去に米国が武力行使を行った事態に際して、我が国として遺憾の意を表明した例というのは存在いたします。例えば、一九八三年、米国によるグラナダ派兵が行われた際、あるいはパナマの軍事介入の際、これは一九八九年ですが、こういった際に我が国としましては遺憾の意を表明している、こういった前例がございます。
#297
○井上哲士君 グラナダ、パナマというのは本当に典型的な軍事侵略な行動でありました。しかしながら、イラクにしてもアフガニスタンにしても、いろんな形で自衛隊の派遣ということが行われました。イラクに至っては、国民世論も、そして世界中も、更に査察しろという世論の中でもああいうことになったわけですね。
 結局、この日米同盟の信頼が著しく傷つくということになれば、こうした要請に対して果たして日本がノーと言えるのか。これまでは、九条がある、それによって武力行使をできないということを言ってきたわけでありますが、それがなくなったときに、結局、一緒に海外で武力を行使する、そういう国になってしまうんじゃないですか。
#298
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の安全保障、そして我が国の国民の生命、暮らしをどう守るのか、これは我が国自身の問題だと認識をしております。我が国としてどう考え、そしてどう対応するのか、これを我が国自身がしっかりと考えていかなければならない問題であると思っています。
 今、安保法制懇の報告書が出され、それを受けて政府・与党として安全保障の法的基盤について議論を行い、これから政府の方針を出すわけでありますが、この方針が出た後も引き続き国会において議論が行われ、そしてその議論に基づいて必要であれば具体的な法律が国会に提出をされ様々な議論が行われる。そして、この法律に基づいて政府が行動したとしても、これはしっかりと国会の議論に供されなければならないわけであります。こうした様々な段階、歯止めを通じて、我が国としてどうあるべきなのか、これを我が国自身の責任でしっかりと考えていかなければならない、この今議論されている課題についてはそのように考えます。
#299
○井上哲士君 イラク派兵でも秘密保護法でも、国民多数の声に反して数を頼んで強行してきたと、こういうことを見たときに、やっぱり憲法による権力に対する縛りをなくしてしまえば結局何の歯止めにもならないということを最後もう一回指摘をいたしまして、質問を終わります。
#300
○委員長(末松信介君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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