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2014/06/10 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 外交防衛委員会 第22号
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2014/06/10 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 外交防衛委員会 第22号

#1
第186回国会 外交防衛委員会 第22号
平成二十六年六月十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月六日
    辞任         補欠選任
     礒崎 哲史君     白  眞勲君
     小野 次郎君     糸数 慶子君
 六月九日
    辞任         補欠選任
     白  眞勲君     長浜 博行君
 六月十日
    辞任         補欠選任
     長浜 博行君     大塚 耕平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         末松 信介君
    理 事
                佐藤 正久君
                松山 政司君
                三木  亨君
                福山 哲郎君
                石川 博崇君
    委 員
                宇都 隆史君
                岡田 直樹君
                小坂 憲次君
                島尻安伊子君
                牧野たかお君
                脇  雅史君
                大塚 耕平君
                北澤 俊美君
                長浜 博行君
                藤田 幸久君
                牧山ひろえ君
                山口那津男君
              アントニオ猪木君
                中西 健治君
                井上 哲士君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       外務大臣     岸田 文雄君
       防衛大臣     小野寺五典君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  世耕 弘成君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  牧野たかお君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       武藤 義哉君
       内閣官房内閣審
       議官       岡庭  健君
       宮内庁長官官房
       審議官      和田 裕生君
       外務大臣官房審
       議官       新美  潤君
       外務大臣官房審
       議官       金杉 憲治君
       外務大臣官房審
       議官       五嶋 賢二君
       外務大臣官房審
       議官       福島  章君
       外務省北米局長  冨田 浩司君
       外務省中東アフ
       リカ局長     上村  司君
       外務省国際法局
       長        石井 正文君
       厚生労働大臣官
       房審議官     古都 賢一君
       海上保安庁警備
       救難部長     中島  敏君
       環境省地球環境
       局長       関 荘一郎君
       防衛省防衛政策
       局長       徳地 秀士君
       防衛省運用企画
       局長       中島 明彦君
       防衛省経理装備
       局長       伊藤 盛夫君
       防衛省地方協力
       局長       山内 正和君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交、防衛等に関する調査
 (安全保障に係る各種事例の法的解釈に関する
 件)
 (安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会
 の報告書及び安倍内閣総理大臣の記者会見に関
 する件)
 (国連安全保障理事会の非常任理事国選挙に関
 する件)
 (戦没者の遺骨収集事業に関する件)
 (自衛隊の指揮統制権に関する件)
 (京丹後市への米軍の弾道ミサイル探知レーダ
 ー配備に関する件)
 (普天間飛行場移設問題に関する件)
○投資の促進及び保護に関する日本国とサウジア
 ラビア王国との間の協定の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○投資の相互の自由化、促進及び保護に関する日
 本国政府とモザンビーク共和国政府との間の協
 定の締結について承認を求めるの件(内閣提出
 、衆議院送付)
○投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政
 府とミャンマー連邦共和国政府との間の協定の
 締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆
 議院送付)
○航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府
 との間の協定を改正する議定書の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(末松信介君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、礒崎哲史君及び小野次郎君が委員を辞任され、その補欠として長浜博行君及び糸数慶子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(末松信介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君外十六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(末松信介君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(末松信介君) 外交、防衛等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。
 現在、安保法制懇からの報告書を受けまして、政府の方は、それを踏まえて閣議決定をしてこれからの法整備の方向性を示すというふうに言われております。その前に、今、与党の方でまだ協議をしている最中ですけれども、外務大臣、今回の安倍総理の思いというのは、まさに日本国の存立を全うし、国民の生命、財産を守るためにはやはり隙間のない対応をやらないといけないという思いから、いろいろ今方針を出され、また協議をしていると思いますけれども、そういう中で、いろんなジャンルがあります。例えば、私が隊長として派遣されたPKOにおいても、やっぱりいろいろ様々な教訓というものがあると思っています。
 例えば、いわゆる駆け付け警護。これは、民間のNGOの方ということをよく言われますけれども、実は、自分の部下隊員が離れているところで何らか襲われたというときに、その部下隊員を救うために武器を持って駆け付けることができないと。これは、非常に現場の方では大きなストレスと、あるいは本当に悩みの種ということが言えますけれども、実際、国連のPKO等に参加している部隊等あるいは派遣している国々等で、自分の部下隊員を、襲われた場合、それを武器を持って救えないというふうな制約を掛けている国、これが日本以外にどこかそういう国があるかどうか、承知している範囲でお答え願いたいと思います。
#7
○国務大臣(岸田文雄君) 国連PKOに参加する各国の部隊、これは自国の国内法の範囲内で国連のROEに従って任務を遂行しているものと承知しておりますが、いわゆる駆け付け警護に必要となる権限について、我が国と同様の制限を課している国があるということは承知はしておりません。
#8
○佐藤正久君 まさにそのとおりで、普通の国と全然違う状況で部隊を派遣していると。これは本当に、現場の方としてはやっぱりストレスや悩み、いろんな対応をしないといけないという部分だと思っています。
 また同じように、国連の施設というものを守るための武器使用も、現時点においては自衛隊の派遣部隊は認められていない。こういう国連スタンダードとの違い等について、外務大臣、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
#9
○国務大臣(岸田文雄君) 国連PKOにおきましては、安保理決議に定められたマンデートを遂行するために武器の使用が認められ、個別のPKOミッションごとにROEという形で武器使用基準が定められております。こうした、一般的に、国連PKOの武器使用基準においては、いわゆる駆け付け警護に必要となる権限が認められていると考えられますが、その中で、御指摘のように、我が国においてはこれが認められていない、こういった状況にあります。
 こういった点につきまして、我が国のPKO活動において支障がないか、何よりも、PKO要員に加えて我が国のNGOを始めとする関係者の安全という面において我が国として考える必要があるのではないか、こういった問題意識に立って今議論が進んでいると承知をしております。
#10
○佐藤正久君 まさに非常に大事なポイントとして議論している最中なんですが、それも一つの問題意識として、この武器使用の制約というのは、場合によっては、武器使用した相手が国又は国に準ずる組織であった場合、憲法九条で禁止されている武力の行使に当たるおそれがあるということでずっと禁止してきました。
 防衛大臣に伺います。国に準ずる組織というものと派遣部隊が敵対したこと、これまで二十年のPKOの中でございますでしょうか。
#11
○国務大臣(小野寺五典君) 今委員の方から、国に準ずる組織ということでお話がありました。
 国際法上その他、具体的な意味について確立された定義があるとは承知しておりませんが、例えば、お尋ねの国に準ずる組織について、国家そのものでないがこれに準ずるものとして国際紛争の主体たり得るものとして用いてきていると説明をしていますが、このことを前提にお話をさせていただくと、これまで、国連PKOに派遣された自衛隊の部隊等がその活動現場において武器の使用が必要となる場面に遭遇したことはないため、国に準ずる組織と敵対する形で遭遇したということはありません。
#12
○佐藤正久君 外務大臣、今も言われたように、ないんですよ、やっぱりそういう実績も。そういうことにおいてまさに今議論をしておりますけれども、内閣官房の方にお伺いします。
 そういうことにおきまして、今、与党での議論を踏まえて、取りあえずの政府のPKOについての武器使用の考え方、これ本日の午後公表するというふうに聞いておりますが、内閣官房、いかがでしょうか。
#13
○政府参考人(武藤義哉君) 今、このPKOのいわゆる駆け付け警護の問題については、委員もおっしゃいましたが、特に相手が国家又は国家に準ずる組織であるような場合には憲法の禁ずる武力行使に当たるおそれがあると、そういうことで駆け付け警護はできないということになっておりますが、その点も含め、今、与党で議論してございますので、またその議論を踏まえていきたいと思っております。
#14
○佐藤正久君 私の質問は、その取りあえずの政府の考え方を今日の午後発表するということでよろしいですかと。
#15
○政府参考人(武藤義哉君) 今日の与党の協議でも議論がありましたし、最終的にちょっと与党との調整の上ということになろうかと思いますが、また発表するものは発表していくことになろうかと思っております。
#16
○佐藤正久君 やっぱりここは、取りあえずの議論をどんどん深めていくためにも、ある程度の部分はどんどん協議と並行しながら政府としての考え方を示していく、これは非常に大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 そういう意味におきまして、PKOもそうですし、どうしても関心が高い集団的自衛権関連の部分の議論というものも、やはり与党協議と同時に、国会や、あるいはそれぞれの党の中での議論も必要だと思っております。
 政府の方から、与党協議の場で事例八から十五というものが示されております。この中で、個別的自衛権の行使として我が国が武力行使してもよいと法的に認められるものはあるのでしょうか。内閣法制局長官の方にお伺いします。
#17
○政府特別補佐人(横畠裕介君) お尋ねの八事例は、我が国に対する武力攻撃が発生していない場合における武力の行使による対応を想定したものと理解されるものであり、我が国に対する武力攻撃が発生していない以上、個別的自衛権を行使することはできない、そういう事例であろうかと思われます。
#18
○佐藤正久君 今、改めて明確に、事例八から事例十五については個別的自衛権では我が国の武力行使が正当化できない、憲法九条との関係でも問題があるという答弁を賜りました。
 更に確認します。事例八から十五ありますけれども、この事例八から十五で、公共の秩序の維持の観点とか警察権の行使として我が国の自衛隊が対処可能なものはあるでしょうか。長官にお伺いします。
#19
○政府特別補佐人(横畠裕介君) お尋ねの八事例は、先ほどもお答えいたしましたが、武力の行使による対応措置を想定したものと理解され、その意味で、警察権の行使で対応できる場合の事例ではないと思われます。
#20
○佐藤正久君 内閣官房にもお伺いします。
 ということは、事例八から十五、これは、政府としては個別的自衛権でもない、警察権でもないもので対応しないといけない事例ということでよろしいですか。
#21
○政府参考人(武藤義哉君) 基本的には、今おっしゃったようなものを含め、現行法制下の下で対応することがなかなかできないものという事例ということで検討いただいているということでございます。
#22
○佐藤正久君 検討いただいているのもそうなんですけれども、政府が示した事例ですから、これは。
 ということは、まさに、まだ集団的自衛権というふうに言えるかどうかは分かりませんけれども、じゃ、これは、いわゆる限定的かどうかは別にして、集団的自衛権という法的整理でなければ対応が難しいというふうに、法制局長官、お考えでしょうか。
#23
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 我が国に対する武力攻撃が発生していない場合において我が国が武力の行使をして対応するということであるならば、集団的自衛権の行使あるいは国連安保理決議に基づく活動ということになろうかと思います。
#24
○佐藤正久君 ありがとうございます。
 そういうふうに整理をしながら議論をしていかないと、国民の方にはなかなか分かりにくい。今、集団的自衛権の話と、あるいはPKOの話、グレーゾーンの話、あるいは集団安全保障の話、いろんなものが混在しているので、これはまさに、我々もそうですけれども、政府の方も分かりやすく区分してやらないと、これはごっちゃになってしまう。
 今の八から十五事例は、今長官が言われたように、個別的自衛権でもできないし警察権でも無理だというのを事例の中で、これは、法的整理としては集団的自衛権、あるいは場合によっては国連決議の集団安全保障というのもあるかもしれませんけれども、違う分野の中で議論しないといけない。そこは非常に明確にしないといけないと思っています。
 もう一つ、武力の行使に至らない前の段階の議論も、グレーゾーンの事態の話もいろいろしておりますが、その中で、今回、事例三関連、これはまさに平時の、ミサイルの破壊措置命令等々いろんな場合があるかもしれませんけれども、そういう事例三の関係の場合。
 例えばこれを、外務大臣がこの前の外交防衛委員会で私の質問に答弁していただきましたユニットセルフディフェンスとか、あるいは米軍の武器等防護という概念でいろいろ整理をしていると思いますけれども、このユニットセルフディフェンスでやるにしても米軍の武器等防護という概念でやるにしても、この事例三のような弾道ミサイル発射警戒時の米艦防護、これと憲法九条との関係、これを自衛隊がそういう根拠規定に基づいて行う場合、九条との関係ではどういう整理になるでしょうか。長官にお伺いします。
#25
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御指摘は、自衛隊法第九十五条のような武力の行使に当たらない武器の使用に関するものと理解いたしますが、現在、与党協議が進められていると承知しておりますので予断的なことは申し上げられませんが、一般論として申し上げれば、どのような要件等を具体的に定めるかというのはこれからの問題であろうかと思いますが、武力の行使ではないという整理が付くならば、そのような立法が憲法上およそ許されないということではないと考えられます。
#26
○佐藤正久君 外務大臣、これは非常に大事なポイントで、まさにこのユニットセルフディフェンスと言っているものは、米軍ではROEの考え方なんですね。
 一応、自衛隊法九十五条というのは、まさに自衛隊に対する武器等防護なんです。米軍等に対する武器等防護ではないので、そこはしっかり、対外的に説明するときはうまくここを区分けをしつつ、同じ発想的なものがあればそこは共有しながらやらないといけないと思うんですが、今長官からありましたように、これは整理できないわけではないような感じの答弁がありましたけれども、これは非常に、実際に日米の相互運用性を高め、実際的に日本の安全、あるいは国民の暮らしを守るためにも、平時における米艦等の防護というのは非常に重要なポイントだと思っています。
 ただ、このユニットセルフディフェンス的な、平時のROEみたいな考え方、これで事例九、事例十二、事例十三のような米艦防護、これをそういう発想で整理するということは国際法的な考え方の観点からはどういう評価があるでしょうか。
#27
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のユニットセルフディフェンスですが、これは、各国の交戦規定、ROEで採用されている概念であります。
 部隊に対する外部からの侵害に対し、部隊の防衛のために必要な措置をとることを指すと承知をしておりますが、こうしたユニットセルフディフェンスは、侵害が行われた現場で必要な措置をとるというものであります。武力攻撃を排除する際に正当化事由として援用される自衛権の概念とは、これは性質がまず異なっていると認識をしております。
 したがって、これは一般論として申し上げるならば、他国に対する武力攻撃を排除するために実力を行使するための正当事由としての国際法上の集団的自衛権を援用する場合に関しましては、部隊防衛、このユニットセルフディフェンスの概念、これによって代替をするということは難しいと認識をしております。
#28
○佐藤正久君 まさに、平時ではなくて自分の実力を行使をする場合においては、これはROE的な、ユニットセルフディフェンスの発想ではなくて、やっぱり違う何らかの説明がないと難しいという答弁を今いただきました。
 法制局長官にお伺いします。
 であれば、こういう事例の九、十二、十三、これは我が国がまだ武力攻撃を受けていないときに米軍に対する武力行使というものですけれども、これも、やはり自衛隊が武力行使をする以上は、このユニットセルフディフェンス的な発想、ROEの発想で行うということは、憲法九条との関係でもこれは問題あり、若干疑念があるという整理でよろしいでしょうか。
#29
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御指摘のユニットセルフディフェンスの考え方そのものであるかどうかはちょっと別にさせていただきたいと思いますけれども、自衛隊法第九十五条のような、武器等防護のようなものにつきましては、純粋に防御的なものであるという整理の下で、相手方が国又は国に準ずる組織であったとしても憲法第九条の禁ずる武力の行使には当たらないという整理をしてきたものでありまして、そのようなものであるならばという前提でのお答えをしたつもりでございます。
#30
○佐藤正久君 そうじゃなくて、先ほどの答弁は事例三に対する質問で、今言った事例九、十二、十三の場合は、やはり今外務大臣が言われたように、これはROEの世界で、まさに平時で現場がやる対応だと。ただ、この九、十二、十三は、自衛隊が武力の行使を行うということについては、なかなかユニットセルフディフェンス的な発想では難しいということを言われました。また、憲法九条との関係でも、これは、ユニットセルフディフェンス的な考えの応用で武力の行使を行うというのは私は問題があるのではないかと考えますが、長官の御見解をお伺いします。
#31
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 失礼いたしました。
 お答えの趣旨は、自衛隊法第九十五条のような武器の使用はあくまでも武力の行使に当たらない、そのような整理が付くものであるという趣旨は、武力の行使に及ぶようなことをそのような規定でできるということにはならないという趣旨でございます。
#32
○佐藤正久君 今の外務大臣と長官の両方の答弁から非常に明確になったことは、やっぱりユニットセルフディフェンス、ROE、現場の指揮官の権限でできるわけです。防衛大臣じゃないんですよ。現場の方に、まさに現場の指揮官の方にそこを任せておいて、その判断でできると。まさに平時における概念であって、それを事例九とかいうような、まさにアメリカ等がもう実際に武力事態に陥っているときに、自衛隊がこれを武力行使するときに使えるような概念では、国際法的にも九条との関係でもなかなかこれは整理が付きにくいと思うんですけれども、内閣官房に伺います。
 であれば、この九、十二、十三という事例があります。これは現場の指揮官がROEの範疇で武器を使うという発想の概念ですから、これは、やはり国際法的にも対外的にも九条との関係でも、その拡大解釈で整理するのはかなり私は厳しいし、これは正当化することも私は後々禍根を残すし、元々発想が違う。アメリカが実際そういう攻撃を受けている武力事態の対象者ですから、対象者に対して自衛隊が武力を行使をするということは、やっぱりROEのレベルではない、もっと高い政治の意思判断、政府の意思決定があって初めてなされる、そういうレベルのものだと思いますが、改めて内閣官房に御見解をお伺いします。
#33
○政府参考人(武藤義哉君) 事例、それぞれ今与党で御議論をいただいているところでございますので、なかなかその結果を予断することは控えさせていただきたいと思いますけれども、御指摘のような、例えば先ほど法制局長官からもありましたような、九十五条のようなものということであれば武力の行使ということとは違うということですが、今御指摘のような事例というのは、仮に例えば米艦の防護等が武力の行使に当たり得ると、そういうような事例でございますので、そういう意味では、武力の行使に当たり得るものでないと対応できないというような問題意識で検討をお願いしているところでございます。
#34
○佐藤正久君 ありがとうございます。
 それ以上はなかなか言いにくいと思いますけれども、まさにその辺の、国内法との関係、憲法との関係だけではなくて、この辺りになると、外務大臣が言われたように対外的な関係も必要になりますから、うまくこの辺りは整理をする必要があると思います。
 他方、武力の行使に対しての国連への報告、これはいろんなパターンがあって、今までの外務大臣答弁でもありましたように、この武力の行使、仮に日本の自衛隊が行った場合、これは国連に報告しないといけません。その武力の行使が個別的自衛権によるものなのか、あるいは集団的自衛権の行使によるものなのか。そういう場合、これは一般論で言うと、日本なら日本、武力行使した相手であればそれぞれの国、加盟国の判断に委ねられているというふうに認識しておりますが、外務大臣、いかがでしょうか。
#35
○国務大臣(岸田文雄君) 国連憲章五十一条ですが、御指摘のように、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当つて加盟国がとつた措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。」、こういった規定が存在いたします。
 そして、この報告におきまして、自衛権の行使に当たってとった措置をいかに報告するか、これは各加盟国の判断に委ねられていると考えます。
#36
○佐藤正久君 まさに今言われたように、加盟国の判断によってこれが、俺は個別的使ったんだ、集団的使ったんだと言えるんですけれども。ただ、定義というものは決まっているわけであって、ある程度その定義から逸脱するというのは非常にやっぱりおかしなわけだというふうに私は思いますし、実際に、アメリカのニカラグア・コントラ事件というのがありましたけれども、あのときに、やはり国際司法裁判所の方からは、アメリカの取った行動は、これは集団的自衛権とは認められないということがあったと思いますが、外務大臣、やっぱりこれは本当に、自衛隊が実力行使を行った場合、これはやはり日本国政府として、国際的にも胸を張って言えるような、国際法の基準に従った、定義に従った形で私はそれを報告すべきだと思います。
 加盟国によって恣意的にこれをねじ曲げるということがあってはならないと思いますが、外務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#37
○国務大臣(岸田文雄君) 国連憲章五十一条に定められた国連の安全保障理事会への報告でありますが、当然のことながら、各国は国際法の基準に基づいて、考えに基づいて報告をするものであると認識をしております。
#38
○佐藤正久君 非常に大事なポイントで、我々は、いかにこの隙間を埋めるという議論をする上においても、そこは謙虚に、加盟国の恣意的な判断によって定義、これを拡大解釈して行うということは私は良くないと思いますし、そこは非常に、まさに外務大臣の一番大事なポイントはそこで、いろんな議論の中においても、これは本当にしっかりと対外的に説明し切れるのかと。国内的には、横畠長官おられますけれども、それは対外的な部分と併せて両方からしっかり見て、しっかりと胸を張って説明でき、現場の自衛隊の方々が迷うことなく胸を張って行使ができるという法整備をしていただきたいということを申し述べたいと思います。
 次に、そういう観点におきまして、事例十、これは強制的な停船検査ということなんですけれども、今、このような強制的な停船検査、これは、防衛大臣、今の現行法制下で自衛隊がこのような、事例十のような、我が国がまだ武力攻撃がなされていないという段階において強制的な停船検査をやることは自衛隊は可能でしょうか。
#39
○政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。
 国際法上、公海におきまして船舶は、一般に、その旗国以外の国の管轄権に服することはないという旗国主義の原則がございます。このため、国際法上の正当な根拠なく外国船舶に対して実力の行使を伴う強制的措置をとった場合、そのような行為が国際法上禁じられた武力の行使と評価される可能性が否定できないわけでございます。
 我が国による実力の行使についての法的根拠につきまして、一般論として申し上げますと、我が国に対する武力攻撃が発生していない場合につきましては、自衛権の行使として外国船舶に対して実力の行使を伴う強制的な措置をとることはできません。
 それから、周辺事態におきましても、自衛隊の部隊等は、船舶検査活動法によりまして、国連安保理決議に基づきまして、あるいは旗国の同意を得て、船舶の停船要請あるいは船長等の承諾を得た上での乗船検査、確認などを行うことが認められておりますが、これらはあくまでも強制的な措置に至らない範囲で行うということとなっておるところでございます。
#40
○佐藤正久君 防衛大臣、今の局長答弁にあったように、現在の自衛隊法では強制的な停船などできない。これが有事であれば海上輸送規制法によっていろんな権限はありますが、平時においては、日本が有事でない場合にはかなり制約があり、しかも、周辺事態法の船舶検査活動においては極めて抑制的で、船長等の同意がなければ非常にやれることが限定されており、監視とか呼びかけ、針路変更、これに応じない場合の説得だけであって強制力がない。
 これ、実際現場からすると、非常にこれは実効性が伴わない。要は、向こうの船長が嫌だと言ったらもう全然手出しができない、もうどんどんどんどん攻撃国の方に武器の輸送ということをやっていても、それをそばでいて対応できないというのが現状であって、そういう問題意識の下にこの事例十というものを内閣官房の方は出したと思いますが、内閣官房、この事例十の問題意識、これを簡単に述べてください。
#41
○政府参考人(武藤義哉君) 従来から、憲法九条の解釈によれば、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみ個別的自衛権の発動としての武力の行使が許容されるが、それ以外の場合には武力の行使を行うことは一切許容されないということでございます。
 御指摘の事例十、強制的な停船検査においては、我が国への武力攻撃がなされたとは認定されていないことを前提としておりまして、当該事例において示されているような外国船舶に対する強制的な停船検査は、憲法の禁ずる武力の行使に当たり得るということでございます。したがいまして、事例十においては、個別的自衛権や警察権では十分な対応を取ることができない可能性があると考えております。
 そういう問題意識の下で、いずれにいたしましても、政府としては、現在、具体的事例に即して進められている与党協議の結果に基づきまして政府としての対応を検討していくと、そういう考えでございます。
#42
○佐藤正久君 外務大臣に伺います。
 国連海洋法条約におきましては、軍艦がある程度こういう船舶検査、強制的な船舶検査もできる場合が認められております。それはどういう場合か、簡潔に御答弁願いたいと思います。
#43
○国務大臣(岸田文雄君) 国際海洋法条約上、公海において船舶は旗国以外の国の執行管轄権に服することはないとの旗国主義の原則があります。しかしながら、この例外としまして、船舶が海賊行為を行っている場合あるいは無国籍船の場合などには、同条約の関連規定に従って、旗国以外の国の軍艦、政府公船等が当該船舶を臨検することができるとされています。
#44
○佐藤正久君 防衛大臣、今、外務大臣から答弁あったように、国連海洋法条約に日本は加盟しております。条約上は、軍艦はそういう例においては臨検ができるんですよ、強制的な臨検が。でも、今、自衛隊の方ではそれはできていないと。
 外務大臣、この海上自衛隊の護衛艦、これは国連海洋法条約で言う軍艦に当たるというふうに理解してよろしいでしょうか。
#45
○政府参考人(石井正文君) お答え申し上げます。
 国連海洋法条約第二十九条は、軍艦とは、一の国の軍隊に属する船舶であって、当該国の国籍を有するそのような船舶であることを示す外部標識を掲げ、当該国の政府によって正式に任命されてその氏名が軍務に従事する者の適当な名簿等に記載されている士官の指揮の下にあり、かつ、正規の軍隊の規律に服する乗組員が配置されているものをいうと規定しております。
 海上自衛隊の護衛艦が国連海洋法条約上の軍艦に該当するか否かは、この条約第二十九条の規定に照らして個別具体的に判断するものと考えられますけれども、一般的に申し上げれば、海上自衛隊の護衛艦はこの国連海洋法条約上の軍艦に該当するものというふうに解されます。
#46
○佐藤正久君 防衛大臣、今、外務省から答弁ありましたように、一応、一〇〇%といったほどの答弁はありませんでしたけれども、一般論からいって軍艦に当たり得るという解釈。でも、ところが、実際上、国連海洋法条約で認められている権限はあっても、国内法がありませんので、それは実際上、海上自衛隊の護衛艦がそういう条約で認められている臨検もできないという状況になっています。
 そういう部分の隙間を含めて、今回、何が何でもというわけではありませんけれども、一番最初に言った、国の存立を全うし、そして国民の暮らしや命を守るための隙間、これをやっぱり自衛隊というアセットを使いながらしっかり埋めていく、これは非常に大事なことだと思いますし、まして、この事例十というものは、まさに私個人の問題意識としては、今の船舶検査活動法、これは公船に対してはできない、あるいは非常に強制的なものがないということから、非常にいざというときに使いづらい法律になっています。
 しかも、これは二〇〇〇年ですか、作られた非常に古い法律であって、その後にイラク特措法とかテロ特措法とかいろんなものができて、実際に、やはりかなり状況と合っていない分野があるというふうに思っています。これは、個人的な思いとしては、この船舶検査活動については、ガイドライン、これについても、これが仮に認められたら、私はこれはしっかり入れ込むべきアイテムだと、内容だと思っております。
 包括的な御感想で結構ですけれども、防衛大臣、今までの議論を聞いて、やはり、今、与党協議をやっておりますけれども、しっかりここについては、総理が言われるように法的な基盤、これを整備したいと私も思っていますし、多くの人も思っていると思います。一番自衛隊を運用する防衛大臣としての思いをお聞かせください。
#47
○国務大臣(小野寺五典君) この検査の対象の船舶が、我が国に対して将来あるいは近い将来、武力攻撃が行われるかもしれないというような武器を例えば積んでいるかどうか、これは疑いがある場合がございます。このときに、現在の考え方では強制的な検査ができないということになっています。そういう問題意識で恐らくこの事例十を政府は出していると思いますし、今委員が御指摘をされた内容だと思っております。
 やはり現実に即してしっかりとした対応を検討していただくこと、これが重要なことだと思っています。
#48
○佐藤正久君 最後に一点だけ。
 国連海洋法条約上、軍艦に認められている権利も自衛隊に認められていないと。これが、自衛隊が軍艦としてやっぱり認められるというだけでも動ける範囲がかなり変わってきますから、この辺も今回の法的基盤と併せて検討をお願いしたいということをお願い申し上げ、今日の質問を終わります。
 以上です。
#49
○牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。
 まず、前回に引き続きまして、集団的自衛権について、安保法制懇での議論ですとか報告書について質問させていただきたいと思います。
 このところの集団的自衛権の容認に向けての検討についてですが、総理や外相、また防衛大臣による各国への説明が積極的に行われています。各国からはおおむね好意的な反応があったとの報告が政府から盛んに流されているんですね。海外の論調が国内の世論にも大きな影響を持つ日本の特質と言えると思うんです。政府は、その特質を踏まえて、国民への説得材料として諸外国も日本の集団的自衛権容認を歓迎しているという言葉を一生懸命かき集めているように、そういった印象を受けるんですね。
 これに関して質問なんですが、集団的自衛権について諸外国にはどのように説明しているんでしょうか。憲法九条を背景とした戦後日本の平和国家としてのイメージは日本外交が武器とすべきブランド力だと考えるんですが、そのような日本の憲法の特質なども含めたバランスの取れた説明はきちんと、ちゃんと行われているんでしょうか。
 外務大臣に御質問したいんですが、日本の特性と言える九条については十分な言及が、防衛大臣、また総理、また外務大臣が諸外国に説明されているのかどうか、十分な九条の説明をされているのかどうか、端的にお答えいただきたいと思います。
#50
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の安全保障の法的基盤の再構築につきましては、総理を始め、私、外務大臣、また各閣僚が外国を訪問した際あるいは外国の要人と会談した際、各国に丁寧に説明をしてきております。
 我が国の安全保障の法的基盤について今我が国は議論をしているわけですが、憲法と我が国の安全保障についての関係がこの議論の中心であるというようなこと、そして我が国が平和国家としての歩みは全く従来と変わらないということ、そして、我が国の安全保障の議論は、ほかの国々が行っている安全保障における対応のうちどの程度まで我が国として我が国の国民の命や暮らしを守るために行うべきであるという議論である等々、こうした憲法との関係について、我が国で行われている安全保障の議論について説明をさせていただいております。
 もちろん、会談の時間は限られておりますので、こうした直接のやり取りに加えまして、憲法九条の趣旨ですとか従来の政府見解については事務的に相手国関係者にしっかり伝えさせていただく、こういった補足も行いながら、我が国の議論のありようについて理解を得るべく努力をしてきたということであります。
 こうした我々の説明に対しまして、多くの国々から歓迎あるいは支持、こういった前向きな反応をいただいているというのが現状であります。
#51
○牧山ひろえ君 会議の時間が短い、限られているということですけれども、その中で、九条がある国だということを踏まえての説明じゃないとやっぱりおかしいですよ。この間、部会で配られた総理のスピーチを拝見しました。私は九条という言葉を見なかったんですけれども、ちょっと今の説明とは、実態とは違うと思います。
 御説明の内容は、この日本の平和外交というブランド力を捨てて、戦争のできる国にするという安倍内閣の方針を一方的に私は述べているだけだと思うんですね。憲法九条がある国だということをしっかり、というか全然説明しない上で歓迎しているという言葉をもらっている。それをかき集めているんですね、今。
 集団的自衛権については、長らく、安保法制懇の報告書待ちということで国会審議での質問に正面からお答えにならず、ようやく安保法制懇の報告書が出てきました。報告書が出てきても、今度は、有識者の参考意見にすぎず採否は政府が判断するという理屈で報告書の内容に対する批判を避けているんですね。その後は、今度は与党協議中ですとか、研究を指示しただけだということで、またもや正面からの国会審議に応じない。結局、そのまま集団的自衛権についてはいまだ国会に正式にはお諮りいただいていないんですよね。
 このような国論を二分する問題で、かつ、この問題に対する国会審議をまともに行われていないのに周辺諸国への説明を先に行うということは、私は大きなフライングだと思うんです。適切だと思わないです。周辺諸国への説明よりも、まず先に国会で審議を経てから国民的議論を行うべきではないでしょうか。
#52
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の総理や閣僚が各国に説明している内容は、集団的自衛権を始めとする安全保障の法的基盤の議論、この結論について何も説明しているわけではありません。我が国においてどんな議論が行われているのか、憲法との関係でどうしてこういった議論が問題になるのか、こういった問題意識も含めて説明をさせていただいているところであります。
 そして、こうした問題意識を持って議論をする、こうした我が国の取組、姿勢について多くの国々から理解や支持をいただいている、このように認識をしております。
#53
○牧山ひろえ君 私は、実態と全然違っていると思います。
 今おっしゃっていることは、部会のこの間配られた長い総理のスピーチの中にも、日本でどういう議論が行われているかという説明はなされていないです。外交上の配慮から周辺諸国へ理解を求めるのではなく、国民への説得材料として外堀から埋めようとしているだけじゃないですか。周辺諸国への説明は、適切なタイミングに、かつ国内世論を背景にしたバランスの取れた説明でないと、不正確ということで弊害が大きいと思われます。ですから、各国の発言は実態を踏まえていない発言にすぎないと思っております。
 さて、安保法制懇の報告書の提出を受けまして、政府・与党で安全保障法制の見直しの議論が始まっております。私は、集団的自衛権の問題を含め、憲法解釈や安全保障法制の見直しというのは国の根本的な在り方に関わる重要な問題だと思います。その検討に当たっては、そのことによるプラス面とマイナス面をしっかりと検証した上で判断すべきだと考えます。
 しかし、安保法制懇の報告書では、北岡座長代理が認めておられるとおり、同じような意見の人たちが集まってきて、そしてそのため、これまでの政府の憲法九条解釈は問題があり、見直すべきだとの指摘だけなされているんですね。それに対して、憲法九条解釈を変更することのマイナス面、つまり、発生し得るリスクについての指摘が全くないわけです。
 この問題については、国民の間にも様々な意見がございます。ですが、にもかかわらず、こうした多様な意見を反映せず、特定の見解のみを示した報告書が参考とされ、そして、政府・与党の協議が行われることに大きな危惧を感じております。
 例えば、国連や政府の要請を受けて中東やアフリカで紛争処理や武装解除に携わってきた東京外国語大学の伊勢崎賢治教授は、彼の経験を踏まえてこう述べております。憲法九条の下、日本が先進国で唯一戦争をしていない国と認識されているからアフガニスタンなどの現地の人々に信頼され、仕事ができたんだと、こういうふうにおっしゃっているんですね。
 すなわち、日本はこれまで非軍事的な手段によって世界の貧困削減や平和構築に貢献して信頼を得てきたわけです。こうした戦後日本の平和国家としてのイメージこそがまさに日本外交の武器だったんです。これを壊すことになれば、これこそ国益に反するという指摘もあります。こうした指摘について、日本外交を所管する外務大臣はどのような見解をお持ちでしょうか。
#54
○国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国の外交姿勢としまして、平和国家の歩み、今日までの歩みは大変重要な歩みであったと思いますし、これからも平和国家としての歩みは全く変わるものではないと考えています。そして、積極的平和主義に基づいて、是非これからも国際社会の平和、安定、そして繁栄のためにしっかり貢献をしていく、こうした努力はしっかり続けていきたいと存じます。
 しかし、その一方で、この変化する安全保障環境の中で我が国の国民の命、暮らしを守るために必要最小限どう対応するべきなのか、こういった議論を行う、こうした議論もこれは大変重要な議論であると認識をしております。平和国家として国際社会に貢献するこの基本は全く変わりませんが、我が国の国民の命と暮らしを守るために政治としてしっかりと議論をする、そういった役割を果たすということ、これも大変重要な役割であると認識をいたします。
#55
○牧山ひろえ君 繰り返し申し上げますが、戦後日本の平和国家としてのイメージこそがまさに日本外交の武器だったんです。安保法制懇の報告書に記載されていないこうした見解は、今後の政府の検討過程においてきちんと考慮されるんでしょうか。
 集団的自衛権の問題を含め、憲法解釈や安全保障法制の見直しを行うことのプラス面とマイナス面を十分に検証する過程が私は必要だと思います。そうした点は担保されるのかどうかということを官房副長官にお答えいただきたいと思います。
#56
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、現在の憲法解釈のままでいかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守り抜くということが本当にできるかという点を政府として検討する必要があると思っています。こうした問題意識の下、総理は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるときという限定的な場合に集団的自衛権を行使することは許されるという考え方について更に研究するように指示を出されたところです。
 政府といたしましては、集団的自衛権の行使についての検討を進めるに当たって、受け身の発想ではなく、我が国の安全への影響を勘案しつつ、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために何をするべきか、また、そのためにどのような備えをするべきかという能動的な発想を持って検討を進めていく必要があるというふうに考えています。
 しかし、その一方で、委員御指摘のように、集団的自衛権の行使については、例えば戦争に巻き込まれるのではないか、あるいは歯止めがなく集団的自衛権が行使されるのではないかといった指摘があることも承知をしておりまして、政府としては、与党も含めて、こうした点を含めて検討を行っていただいているところであります。
#57
○牧山ひろえ君 もし本当にそういうふうにお考えなんだったら、一刻も早く国会で正面から審議するべきだと思います。
 安倍総理は、五月十五日の記者会見で、パネルを使って憲法解釈ですとか安全保障法制の見直しによる自衛隊の任務拡大の必要性を訴えておりました。いわゆる、先ほどもお話ありました駆け付け警護の事案です。ですが、そのパネルの中の助ける対象とされた当事者のNGOからは、集団的自衛権の問題も含め、海外で自衛隊の任務が拡大することについて、懸念というか、逆に慎重な意見が相次いで示されているんですね。
 例えば、日本国際ボランティアセンターの長谷部事務局長はこう述べています。紛争地で活動するNGOとして、自衛隊が軍事行動に加わることがあれば日本人全体が反感を買いかねないと懸念する、平和主義は日本の国際貢献の強みにすることができると、こうおっしゃっているんですね。
 また、アフガニスタンで医療や農業の支援活動をしているペシャワール会というのがあるんですが、ペシャワール会の中村哲現地代表という方がいらっしゃいます。この方が活動していた東部地域では、アフガンに軍隊を派遣していた欧米諸国は現地の市民から敵意を向けられるようになり、そしてその結果、それらの欧米諸国のNGOも次々に撤退したそうです。活動を続ける外国人は、結局中村さんお一人になってしまったそうです。ですが、日本が集団的自衛権の行使容認に踏み切れば、現地での危険は増すので撤退を検討せざるを得ないとの考えを示しております。また、安倍総理がNGOなどのためだといって自衛隊の任務拡大の必要性を訴えたことについては、自らの主張を通すためにNGOを道具としていると、こういうことまで言っているんですね。
 テレビ朝日が行ったNGOへの緊急アンケートによりますと、二十四団体のうち、自衛隊による救出に賛成と答えたのはたった二団体だったと報じられております。記者会見でパネルを使って日本のNGOなどを助ける必要があると訴えた安倍総理の説明との間に、このアンケートの結果というのは大きなギャップがあるわけですね。
 外務省は海外で活動する日本のNGOと定期的に会合を行っていますが、そうした場でNGOから、我々を助けるために海外での自衛隊の任務を拡大してくださいと、こういった強い要請が多数派の意見として表明されたことが実際にあるんでしょうか。
#58
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の議論につきましては、一九九四年ですが、ザイールのゴマ市内のキブンバ難民キャンプで活動していた日本のNGOが使用していた車両が難民により強奪されるという事案が発生した際に、当該NGOから、国際平和協力活動のために現地に派遣され防疫活動中であった自衛隊、ルワンダ難民救援隊に対し、安全確保の要請がありました。
 実際、この一九九四年の例におきましては輸送によって対応するということで対応したわけでありますが、この事案を契機としまして、NGOの安全確保に関する相談、要請が行われた、この議論が高まった、こういった経緯はございました。そしてその後、現行法における緊急時においての武器使用権限等このままでいいのか、こういった指摘については度々行われてきたところであります。
 こうした長年にわたっての様々な議論を経た上で総理としまして問題提起をされたということ、こういった例を挙げたということ、これは適切な指摘であったと認識をしております。
#59
○牧山ひろえ君 一九九四年の一件のことを聞いているわけじゃなくて、現在のことを聞いているわけで、実際に、二十四件のうち二団体しか必要だというふうにお答えになっていないんですね。私の質問は、多数派ではどうですかという質問だったので、多数派ではないことは事実として分かっているわけです。
 NGOは、正式にはノンガバメンタル・オーガナイゼーション、すなわち政府の後ろ盾がなく自由に活動するのが特徴なんです。紛争や戦争の現実を知らない方々が机上の空論で考えるリアリティーのない個別事例をこねくり回すのではなくて、現地で国際貢献を実際に行っている当事者でありますNGOの方々の思いにやっぱり耳を傾けるべきだと私は思います。
 私は、先ほども申し上げましたとおり、集団的自衛権の問題を含め、憲法解釈や安全保障法制の見直しを行うに当たっては、そのプラス面とマイナス面をしっかりと検証する必要があると考えております。紛争地で危険と隣り合わせで活動して、そして安倍総理が自衛隊が助ける対象とパネルで掲げたNGOの方々、御本人の方々が実は自衛隊の任務拡大に慎重な意見を示している、そういったこともきちんと押さえておく必要があると思うんですね。そうした事実も踏まえた上で、安全保障法制の見直しについて慎重に検討していく必要があるのではないでしょうか。例えば、安全保障の議論の当事者であるNGOの意見を聞く機会をしっかりと早い段階でつくったらいかがでしょうか。内閣官房副長官の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#60
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 今回、集団的自衛権に関する総理の問題提起というのは、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守り抜く、この意識でやっております。そのいかなる事態という中でいろんな事態を想定をしたその中に一つ、NGOを助けに行くという例を総理は挙げて問題提起をされたのだろうというふうに思っています。
 現在、与党協議が進められているところですけれども、その結果に基づいて憲法解釈の変更が必要と判断されれば、閣議決定を行い、準備ができ次第必要な法案を国会にお諮りすることになります。その際に、当然、国会においていろんな形で議論を行われることになるのだろうというふうに思っております。今後とも、国会の要請に応えてしっかりと議論を行って、国民の皆様の理解を得る努力を継続していきたいと思います。
 また、今御指摘のような点については、政府としても、各種報道とか世論調査、あるいは今挙げていただいたようなアンケートといった動向等を通じて国民や各種団体の様々な意見に注視をしてきておりまして、それらを踏まえつつ、国会において政府として丁寧な説明に努めてきたつもりですし、今後も努めてまいりたいというふうに思います。
 政府としては、現時点で国民の意見を直接聞くための場を設けることは検討しておりませんが、今後も、国民の意見を踏まえつつ議論を深め、国民の皆様の理解を得る努力を継続していきたいというふうに思っております。
#61
○牧山ひろえ君 でしたら、NGOが本当に必要としているというふうに首相がおっしゃっているわけですから、本当にそうなのかどうか、NGOの方々を集めて公的な場で皆さんの意見を聞いたらどうでしょうか、公的な場で。そのときは、是非、お知り合いの方ではなくて、ちゃんと中立的な立場のNGOの方々、そういった意見、誰から見てもそういう方々を連れてきて御主張なさったらいかがでしょうか。
 では、自衛隊の要員の問題についてお伺いしたいと思います。
 集団的自衛権の容認は、企業でいえば業務拡大どころか世界展開を図るに等しく、端的に言えば、自衛隊の任務拡大を意味します。任務拡大には、当然ですが、人員も増加が必要になるのが組織の常識だと思います。
 その一方で、おととい、私の地元神奈川県でお会いした岸正明茅ケ崎市議会議員が、お子さんが自衛官でいらっしゃるお母さんからこういう話をお伺いしたそうです。もし集団的自衛権がこのまま中途半端な議論で容認されるようなら息子を辞めさせたいと、そういうふうにおっしゃっていたそうです。
 今の自衛官の皆さんは、長年引き継がれてきたこれまでの九条の憲法解釈、すなわち集団的自衛権は認めず個別自衛権のみ保持するという理解の下、自衛隊に入隊されているわけです。また、自衛官の親御さんたちも、これまでの憲法九条の解釈の下でお子さんが入隊していると理解しておられると思います。しかし、個別自衛権、すなわち日本という自分の国を自分たちで守るということではなくて、集団的自衛権、すなわち海外でほかの国の戦争に参加する、こういうことになりますと、入隊する時点での認識とは大きく違ってくるわけですね。
 私は、衆参の外交防衛委員会の野党委員の中で数少ない女性であり、母親でもあります。母親として、自衛官の親御さんたちの子供を海外の戦争に巻き込ませたくないというお気持ちは痛いほど分かります。お母さんに限らずお父さんもそうだと思いますが。もしこのまま国民的議論も合意もないまま解釈改憲で集団的自衛権を容認した結果、自衛官が退職してしまった場合はどうするんでしょうか。その場合の穴埋めはどうされるんでしょうか、防衛大臣。
#62
○国務大臣(小野寺五典君) 一言で言うと、考え過ぎというふうに私は思っております。
 現在、集団的自衛権等に関しては、まずは与党と十分に協議をするとともに、内閣法制局の意見も踏まえつつ政府としての対応を検討していくこととされております。
 防衛省としては、防衛大綱、中期防に基づき、統合機動防衛力の構築に向け、着実に防衛力を整備してまいります。なお、防衛省としては、専守防衛の下、我が国を防衛するために必要な防衛力を保持していくという方針を変更するとは考えておらず、基本的に、集団的自衛権の行使については、当該防衛力をどのように活用していくかという問題であると考えております。
 自衛隊の体制については、自衛隊に求められる任務や役割等の詳細を検討する必要がありますが、集団的自衛権を認めたからといって自衛隊の定数を直ちに増やすことになるというふうには考えておりません。
#63
○牧山ひろえ君 現在でも自衛隊は人員不足なんですね。集団的自衛権の容認という、人員不足の現状をより悪化させる施策を研究しているというのに、その点については検討しないというのは私はおかしいと思います。
 集団的自衛権の容認は自衛隊の任務拡大を意味し、また、任務拡大は人員の増加を当然必要とするかと思います。ですが、集団的自衛権の容認は逆に人員の確保を困難にする可能性があるかと思うんですね。当たり前の想定と当たり前の心配をしているわけです。
 それとも、そのようなこと、すなわち集団的自衛権を理由としての退職は絶対にあり得ないとお考えなんでしょうか。
#64
○国務大臣(小野寺五典君) それぞれの隊員はそれぞれの事情で自衛隊を希望し、また、それぞれの事情で自衛隊から他の仕事に就くということは、それはあると思います。
 ただ、私自身、やはり現場の自衛官の日頃の士気の高さを見ている限り、我が国の平和、そして独立を守る、国民の生命、財産を守るという気持ちはしっかり持っていると思っております。
#65
○牧山ひろえ君 それぞれの事情でというふうに済まされる問題じゃないと思いますよ。入隊したときの今までの国の姿勢と全く違うわけですから、お考えになっていることは。ですから、やっぱり退職される方も出てくると思います。このような穴埋めについてはどうですかと聞いているわけです。
 このような問題に対処するためにも、やはり集団的自衛権の問題に関しては、国民的議論を経た上での国民的合意が何としても必要だと強く感じます。
 続きまして、配付資料を御覧ください。
 憲法解釈変更に関しての政府の基本方針は、平成十六年の島議員の質問主意書に対する答弁書に示されております。その答弁書では、憲法を始めとする法令の解釈はとありますが、政府は、憲法解釈の変更と法律解釈の変更については全く同列というか同じ基準のものであると認識されているように読み取れるんですね。
 改正手続について比較しますと、憲法は衆参両院の三分の二以上の賛成で改正を発議する必要があり、かつ、国民の過半数の賛成を要する。非常に厳格な手続が必要になってきます。それに対して、法律は衆参両院の過半数の賛成のみで改正ができます。
 これだけ本来の改正手続が違うのに、解釈の変更基準に差を設けない、つまり同列に扱っているというのは、私は論理的におかしいんではないかと思うんですが、内閣法制局長官、御意見をお願いします。
#66
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 憲法は、国の最高法規であり、法律との間では上下の別がございます。その意味で、国家規範としての重みに当然違いがあるわけでございます。
 憲法の解釈、特にその変更につきましては、慎重な検討が行われなければならないのは当然でございます。しかし、法律についても、仮に解釈の変更を行おうとするならば、同様に慎重でなければならないものと考えます。
 その意味で、憲法を始めとする法令の解釈の在り方そのものについては、御指摘の島聡衆議院議員に対する政府答弁書でお答えしているとおりであり、基本的に異なるものではないと理解しております。
#67
○牧山ひろえ君 先ほど申し上げましたように、日本の憲法は、その改正に当たり通常の法律の立法手続よりも厳格な手続を要するいわゆる硬性憲法なんです。その趣旨に鑑みますと、憲法の解釈変更基準とほかの法令一般の解釈変更基準とに相違はないとするのはやはり私はおかしいと思うんですね。違和感を感じます。今後、更に研究していただければと思います。
 また、この答弁書にはこう書いてあります。諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮することは当然であるとしてもと、こう書いてありまして、さらに諸情勢の変化というものが解釈変更の一つの要件となっているものと考えられます。
 集団的自衛権に係る時代認識については、安倍総理は、どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることができないと答弁されていますが、この一国のみでという表現は、既に昭和五十九年九月二十六日に、国連総会において総理の父親であります安倍晋太郎外務大臣が、世界に起きている変化は、その規模、重大性においてもはや一国のみにおいて対応し得るものではなくなり、また緊急性において対応に遅滞が許されなくなったと、こう述べているわけですね。従来から様々なところで、この一国のみにおいては対応し得るものではなくなったという言葉は引用されているわけです。
 このように、既に三十年前から一国のみで対応できない厳しい国際情勢というものがあるとの認識が政府から示されていましたけれども、当時はそれでも集団的自衛権の解釈は変えていないんです。ですが、現在は集団的自衛権の解釈容認の検討に踏み込むほどの国際情勢の変化があったというわけでしょうか。なぜ今だけが憲法解釈変更を考慮し得る諸情勢の変化と言えるんでしょうか。外務大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
#68
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国を取り巻く安全保障環境、大変厳しいものがあり、そして刻々と変化をしています。
 例えば北朝鮮の動向につきましても、引き続きミサイル開発あるいは核開発を続けているわけですが、例えばミサイルにつきましても、近年は移動式の発射台が使用されるということで事前の兆候の把握がますます難しくなっている、こうした不透明な状況も加わってきています。また、東シナ海におきましては日本の領海への侵入が相次いで、海上保安庁あるいは自衛隊、高い緊張感を持って二十四時間体制で警備を今も続けているわけです。そして、南シナ海におきましては、力を背景とした一方的な行為によって、現実、国家間の対立、衝突が発生している、こういった現状もあります。さらには、テロですとかサイバーといった新しい脅威も、これは近年、より現実的な、具体的なものになりつつあります。
 このように、我が国を取り巻く安全保障環境、近年、特に大きな変化もあり、また様々な厳しさ、ますます増しているというふうに認識をしております。こうした環境を念頭に、我が国として安全保障の法的基盤どうあるべきなのか、今、真剣に議論をしなければならない、政治の責任としてこうした役割をしっかり果たしていかなければならない、このように認識をいたします。
#69
○牧山ひろえ君 ですが、三十年前はいつ核戦争が勃発するかと真剣に恐れられていた、そういった冷戦時代だったんですよね。国際情勢における危険度はむしろ今より私は高かったとも言えるかと思います。一国のみでは対応できないという同じ言葉で国際情勢を語っても、憲法解釈変更の必要性についての認識は人それぞれで異なってくるわけです。長年続いてきた憲法解釈を変更するのは、法的安定性の観点からも極めて慎重な対応が必要だと思われます。
 政府は、かつて、答弁書において憲法解釈についての考え方を明確に示しております。先ほども申し上げましたとおり、まず、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つということ、また、論理的な追求の結果として示されていることなどとされています。さらに、答弁書ではこう言っています。仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられるということなんです。
 この点に関し、憲法解釈を専門に研究しているのが憲法学会なんですね。憲法解釈について憲法学会の学説は尊重するべきものであるのは、前回の委員会で法制局長官が御答弁いただいたとおりなんです。この憲法学会の学説において有力説にもなっていないような解釈を政府が採用することは、私は便宜的な解釈変更であると思いますが、法制局長官、いかがでしょうか。
#70
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御指摘の学説が何を想定されているのか分かりませんので端的にはお答えできかねますが、様々な議論、学説がある分野につきましては、それぞれ研究して、その上で慎重な検討をするということだろうと思います。
#71
○牧山ひろえ君 学説というものはということですが、学説というのは、先ほど申し上げた論理的な追求の結果生み出されるものだと思うんです。その中で多数説以外の学説をあえて採用するというのは、私は、欲しい結論が先にあって、それに合わせた学説だからとしか思えないんですね。そのことを人は意図的あるいは便宜的と言うのかと思います。
 安保法制懇の報告書では、その論拠の一つとして砂川事件判決を挙げています。この砂川事件について、集団的自衛権を認めた判決だという有力な憲法学説はあるんでしょうか。あるならば具体的にお答えいただきたいと思います。
#72
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 御指摘の集団的自衛権を認めた判決だという解釈をしていた有力説ということでございますけれども、そのようなものについては承知しておりません。
#73
○牧山ひろえ君 では、やはりまず集団的自衛権容認という政府・与党、与党側の必要性が先にあり、それに対応するために生み出された無理な口実ということになります。意図的、便宜的としか私は言いようがないと思います。
 安保法制懇の報告書の問題点を指摘したいと思います。
 憲法九条一項には次のように規定されています。国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久に放棄する。安保法制懇の報告書に示されている見解によりますと、この憲法九条に言う国際紛争とは、我が国が当事者となる国際紛争であって、我が国が当事者でない国際紛争はこれに当たらないとしているんです。その解釈に基づいて集団的自衛権、集団安全保障に制約なしという結論を導いているんです。
 安倍総理は、安保法制懇の報告書の提出を受けて、五月十五日の記者会見で次のとおり述べています。報告書に記載された、個別的か集団的かを問わず、自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上合法な活動には憲法上の制約はないとする見解は政府として採用できませんとしているんですね。
 ここで質問なんですが、総理が政府として採用しないと明言されたのは、集団的自衛権、集団安全保障に憲法上の制約なしという結論その部分だけのことを指しているのか、あるいはこの結論を導き出すための解釈理論である紛争の当事者性も含めて採用しないということなのか、確認をお願いします。
#74
○内閣官房副長官(世耕弘成君) 安保法制懇の報告書をちょっと引かせていただきますが、「憲法第九条第一項の規定は、我が国が当事国である国際紛争の解決のために武力による威嚇又は武力の行使を行うことを禁止したものと解すべきであり、自衛のための武力の行使は禁じられておらず、また国連PKO等や集団安全保障措置への参加といった国際法上合法的な活動への憲法上の制約はないと解すべき」としているわけでありますが、総理が採用しないと言っているのはこの部分全体だというふうに理解をしております。
#75
○牧山ひろえ君 政府としてはこの当事者性の理論を採用しないと明言されましたが、そもそも、集団的自衛権の容認のような重要事項を憲法解釈の変更でやろうとすること自体が大きな問題だと思います。ましてや、このようなとんでもない結論を導き得る理論を更なる解釈改憲の理論的選択として将来的にも絶対に残されないよう御確認をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#76
○委員長(末松信介君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、長浜博行君が委員を辞任され、その補欠として大塚耕平君が選任されました。
    ─────────────
   〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
#77
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 五月十五日に安保法制懇から報告書が提出され、総理から与党に対して協議を進めるよう検討の指示があり、精力的に、今、与党間で協議が行われております。先週からその協議のペースも促進させ、今日も五回目の協議が行われたところでございますが、ようやく一つ目のカテゴリー、武力行使に至る前のいわゆるグレーゾーンについては、事例一、事例二については随分と自民党、公明党の間で認識が近づいてきたのではないかというふうに認識をしております。
 我が国の国民の生命、財産を断固守り抜かなければならない、そのために、法制度上の不備があるのであればしっかりと対応していく、これは政府・与党として当然の責務でございます。平和を断じて維持し、そして二度と戦争の惨禍に我が国を巻き込むようなことはしないと、そういった決意で議論を進めていかなければならないというふうに思っておりますし、だからこそ、丁寧な、そして緻密な議論を行っていくべきだというふうに思っております。極めて重要な我が国の安全保障に関わる意思決定を行う上での重要な議論でございます。中途半端な議論は決して許されない、そういった決意で今後とも議論してまいりたいというふうに思っております。
 私からは、本日、お時間を頂戴いたしまして、世界、国際社会における平和と安全、安全保障において最も重要な役割を果たしていると言っていい国連の安全保障理事会について取り上げさせていただきたいというふうに思っております。
 国連には様々な機関がございますが、安全保障理事会、先生方御案内のとおり、国連全加盟国に対して拘束力を有する決議を決めることのできる、法的拘束力のある決定を行うことのできる唯一の国際機関でございます。平和に対する脅威あるいは平和の破壊、侵略行為の存在の決定、そして場合によっては、そうした状況に合わせた制裁措置の決定、さらには、国連憲章上は国連軍による行動、また加盟国による武力行使の承認等の決定を行うことができる重要な機関でございまして、我が国としても、この国連安保理の改革など、様々な国際の平和と安全に果たしていく日本国としての立ち位置を明確にしながら取り組んできたところでございます。
 この国連安全保障理事会、十五か国から構成されているわけでございますが、この十五か国中五か国は常任理事国、そして残り十か国は非常任理事国で、この非常任理事国は十か国、任期二年でございまして、一年ごとに半分ずつ選挙によって選ばれて交代すると。毎年五か国ずつ交代をしている状況でございます。この非常任理事国の選挙が明年、今年ももちろんあるわけでございますが、明年の二〇一五年の非常任理事国選挙に我が国は立候補する予定ということを表明し、今、国際の平和と安全に日本として積極的に貢献をしていきたいという、安倍内閣としてこの選挙戦にも取り組んでおられるというふうに承知をしております。
 まず、大臣から、この安保理の非常任理事国の議席を我が国として獲得する、その重要性及び意義について御所見をいただきたいというふうに思います。
#78
○国務大臣(岸田文雄君) 国連の安保理ですが、御指摘のように、国際の平和と安全の維持のために大変重要な国際機関であります。
 こうした安保理に主体的に参加して、そして意思決定の過程に我が国の主張を適切に反映していくこと、このことは、北朝鮮問題等の対応を含めて、我が国の国益ですとか安全保障にとって、これは死活的に重要であるとまず認識をしております。
 一方、我が国としましては、これも御指摘にありましたが、安保理改革についても、今、精力的に取り組んでいるところです。しかしながら、この安保理改革が実現するまでの間は、並行的に、非常任理事国としての立場をできる限り、可能な限り頻繁に占めるということを追求していかなければならないと考えております。その他、様々な要素を総合的に勘案した上で二〇一五年の選挙に立候補したという次第であります。
#79
○石川博崇君 私も、外務省職員時代、この国連安全保障理事会を直接担当させていただいたことがございます。
 この安保理の理事国になるかどうかということは、実は、意外と一般の方々の意識されていない部分もありますが、安保理の理事国メンバーであるかどうかという、この情報量の格差というものは物すごく大きなものがございます。安保理メンバーでなければ、その十五か国だけで議論されている非公式の協議の内容などは全く把握することができず、会場の外でプレスの人たちと一緒に、国連代表部の常駐代表の職員の方々が出てくる、その常駐代表を待ち構えて取材をして、何が話し合われたんですかというインタビューをしなければ中で話し合われたことが分からない。また、国連の事務局におきましても、安保理理事国に対する対応、それからそうでない国に対する対応、その情報共有の在り方も全く異なります。
 そういう意味で、この安保理の理事国になるということは極めて重要でございまして、これまでも、日本は度々、世界の中でもブラジルと並んで最多の十回の非常任理事国を務めたわけでございますが、是非とも、来年の二〇一五年の選挙を勝ち抜いていただいて、世界の平和と安全に積極的な役割を果たしていただきたいと思っております。
 現在のこの選挙情勢についての現状分析を外務省から伺いたいと思います。
#80
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。
 現在、これは、日本が立候補いたしましたのは二〇一一年でございます。そして今回、今委員からも御指摘ございましたように、来年の選挙に向けて、アジア枠で立候補しているわけでございますが、これはバングラデシュが日本より九年前に立候補を表明しております。実は日本は、これも委員から御指摘ございましたように、過去十一回立候補いたしまして十回当選しているわけですが、唯一選挙で敗れた相手が、これが一九七八年のバングラデシュ相手でございます。そういう意味で、今回またバングラデシュが対抗馬として今選挙を戦っているという、そういう状況にございます。
 ただ、何分、選挙のことでございますので、今、全力を尽くして各国からの支持を集めるべく努力をしているときでございますが、今どういう状況にあって、何票、どれぐらいかということは差し控えさせていただきたいと思いますので、御了解いただければと思います。
#81
○石川博崇君 先ほど、私、五か国が毎年入れ替わると申し上げましたが、今御説明がありましたとおり、その五か国の中でアジア枠は一議席でございます。その一議席を争う勝負という中で今立候補を表明しているのがバングラデシュと我が国でありまして、そのバングラデシュは、日本は過去負けた唯一の相手でございまして、バングラデシュは、NAM諸国あるいはイスラム諸国等の協力を得やすい立ち位置にあること、あるいはイギリスのかつて信託統治等を受けてきた、そういった歴史的な背景もあるような関係の深い国が多くあること等、選挙に非常に強い国と言われておりまして、ここを勝ち抜くのは極めて厳しい戦いが予想されているわけでございます。
 かつ、アジア枠は一議席でございますから、長年、順番に列をつくって、自分の国は何年後に立候補するということをあらかじめ、ある程度アジアの中で調整をして順番を決めているわけですね。バングラデシュは、その順番をずっと前から各国と調整した上で二〇一五年に立候補しますよということを、アジア諸国の中である程度、コンセンサスとまでは言いませんけれども、理解を得ながらその順番を取っていたわけです。そこに、ある意味、日本が横入りをするというような形でこの二〇一五年に立候補するということを決めたという意味でも、また、日本はこれまで十回既に理事国を経験しているという点から見ても、なかなか理解を得ていくというのが難しい状況があるのではないかというふうに思っておりまして、ここは是非、政府を挙げて、この来年の非常任理事国選挙、既に様々な取組進めていただいておりますけれども、あらゆる手を総合的に、また網羅的に使ってこの選挙戦に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 私ども政治家、選挙を勝ち抜かせていただいてこうして議席で発言をさせていただいているわけでございます。政務の方々は、選挙の厳しさ、また選挙に対する思いというのはそれぞれお持ちであろうかと思いますので、是非、政治主導で、この選挙戦にどう取り組むのかということを知恵を働かせていただいて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 例えば、外務省だけでやる必要はないと思います。各国それぞれ地域に、例えばJICAの専門家でありましたり、あるいはJOCVの隊員、あるいはジェトロの方々、国際交流基金など在外で様々な機関が政府の機関として活動されておられまして、JICAの専門家の方なんかは、ある意味、外務省の大使館員よりも政府の高官のすぐそばでアドバイザー的な、助言的な役割を担っていて、その人間関係というものは物すごく密接に築かれたりしているケースも多くあるかというふうに思います。また、今、経済が非常にグローバル化している今日にあって、経済界あるいは各国における在留邦人の協力も、まあ可能な範囲でということになろうかと思いますが、仰いでいくといったことも工夫していくことができるのではないかというふうに思います。
   〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
 私も、中東のオマーンという国で勤務をしていたことがありますが、湾岸諸国は当然石油産業が非常に盛んでございまして、その石油に関する取引においては、ある意味で大使館員よりも商社の方々の方がアクセス、大臣とも直接常日頃から話ができるという状況が整っている国もございます。また、個人的な各国有力者との関係を築いている民間人の方も多くおられます。そういった方々の協力を仰いでいくということも是非御検討いただきたいというふうに思いますし、もう一つ併せて申し上げますと、地方自治体も、今、国際交流に大変積極的に取り組んでおられる地方自治体たくさんございます。例えば、姉妹友好都市などを設けてそれぞれの国との交流をもう毎年のように長年にわたって行っている、そして、その国の有力者、首脳クラスあるいは閣僚クラスとも非常に懇意にしている首長の方々も多くいらっしゃいます。
 こうした地方自治体の御協力を仰いでいくようなことも是非意識して取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、このような政府を挙げて、あるいは日本を挙げて二〇一五年、非常任理事国選挙に取り組んでいくということについて外務省はどのようにお考えか、御意見をお聞かせいただけますでしょうか。
#82
○大臣政務官(牧野たかお君) 石川委員御指摘のとおり、我が国は、立候補を表明して以来、あらゆる機会を活用して各国に対して支持要請を行ってまいりました。
 今、幾つかの具体例を御提言いただきましたけれども、それに応える形で幾つか、どんなことをやっているかということを申し上げます。
 当然、首相会談とか外相会談はもちろんのことでありますけれども、各省の大臣からカウンターパートへの働きかけをしていただいたり、我が国の国連代表部を中心とした各国の国連常駐代表への働きかけを実施しております。これに加えて、昨年末に新たに選挙担当大使二名を任命をいたしまして、重点国への派遣等を行っております。
 このように、オールジャパンで政府で取り組んでおりますが、御指摘のJICA等についても、各国からの要望が出されている場合は、当事国の関係者が訪日した場合には意見交換をアレンジしたりしております。また、企業とか日本人会、在留邦人の方々ですけれども、こういう方たちに対しても、要望に応じて、各国の要望がある場合は、その国の方々が訪日した際には企業との意見交換をアレンジしてきております。また、先ほど申し上げた選挙担当大使を主要国に派遣する場合は、随時、在留邦人の方たちとの意見交換も行っております。このほか、自治体等についてでありますけれども、委員御指摘のように、自治体の皆様方にも国際交流活動等を通じて協力を仰いでいるところでございます。
 ありとあらゆる機会を活用いたしまして、何としても日本は来年の安保理の非常任理事国の選挙に当選をさせていただくよう頑張っておりますので、石川委員を始め議員の皆様方にも、できる限りの協力をお願いをしたいと思っております。
#83
○石川博崇君 国連、ニューヨークの各国の常駐代表を日本に訪日招請をしたり、あるいは担当大使を任命して各国を回ったりされていることは承知しております。
 ただ、非常に受け身だなということを感じるんですね。今政務官からもおっしゃっていただいたとおり、要望があればJICAと結び付けます、あるいは要望があれば経済界、企業とも会わせます、そういうことではなくて、やはりもっと戦略的に、どういうツールを使えばよりこの国の一票一票を、それぞれの国が持っている一票一票をきちっと獲得していけるのか、それをきちっと戦略を立てて網羅的に取り組んでいくということが私は重要だというふうに思います。
 またあわせて、今、世界、国際社会におきましても非常に民意というものに対する意識が強まっております。中国でもSNSに対する対応が様々報じられたり、あるいは中東、アラブの春というムーブメントがこの二、三年続いておりますが、国民の民意の盛り上がりというものを、どうしても各国それぞれ、政権も意識をしてそれぞれの施策に取り組まなければならないという中で、日本という国が安保理の理事国としてどういう役割を果たせる国なのかということを各国、世界、国際社会のそれぞれの国民の皆様にもきちんと理解をしていただくということが極めて重要なのではないかと思っておりまして、そういったそれぞれの国での世論形成、これを行っていくために、例えば新聞広告やあるいはメディアでの対策、そういったことも、今はそんなにやられていないと思いますけれども、考えていただく必要があるのではないか、あるいはツイッターやフェイスブック、そういったところで各在外公館が発信をしていく、そういったことも考えていただいてはどうかと思いますが、いかがでございましょうか。
#84
○大臣政務官(牧野たかお君) 現在も、非常任理事国選挙の活動の一環として、国際平和と安全に対する貢献や、今後進めていく政策を広報するための資料を作成して配ったり、外務省のホームページに各国の国連常駐代表の招聘を始めとする我が国の活動について随時情報を掲載するなどの取組を行っておりますけれども、委員の御指摘は私はごもっともだと思います。
 今後とも、各種様々な広報手段の活用を検討しながら、我が国の政策発信に努めてまいりたいと考えております。
#85
○石川博崇君 是非取り組んでいただきたいと思いますし、また先ほど、政務官、資料を配っておりますというふうにおっしゃっていただきましたけれども、配っている相手先というのは、ニューヨークの常駐代表さんであったりとかあるいは政府の高官であったりとか、そういった方々が中心だと思いますので、どうその国における世論形成をしていくのか、そういったことにも是非意識をしていただきたいなと思っております。
 また、各国、ニューヨークから今精力的に常駐代表を招聘いただいておりますけれども、単なる訪日観光で終わらせてはならないと思うんですよね。先ほど私の方から様々申し上げましたとおり、その国に対して戦略的に何を撃ち込んでいくのか、何を重視しているのか、その辺をこちらからしっかり意識して、訪日プログラムも個別具体的に、集団で何人かまとめてお呼びになるんでしょうから、そうすると、どうしてもぼんやりしたプログラムになってしまいがちだと思うんですけれども、それぞれ国ごとに本当に個別具体的な戦略を立てていただきたいというふうに思います。
 ちょっと済みません、時間もありませんので飛ばさせていただきます。是非この点も取り組んでいただきたいというふうに思います。
 その上で、仮に来年の非常任理事国選挙、無事当選することができたとすれば、非常任理事国として二年間、二〇一六年、そして二〇一七年と国連安保理において活動することになります。この安保理における活動というのは、安保理理事国でないときの活動と全く活動内容が異なってまいります。
 私自身も実体験をさせていただいて、本当に、十五か国のメンバーとして世界のそれぞれの地、アフリカ、中東、あるいは東南アジア等々の平和と安全に対して責任を持って貢献をしていくという発言にしても、それぞれの国における我が国のODAなどを活用した具体的な貢献策においても、その重みが、十五か国の一か国として行っていくということは非常に大きなものがあります。
 そういう意味で、非常任理事国になろうとしている今このときにおいて、例えば安保理の議論の対象になっている国、多くございますが、それぞれの国において常日頃から常任理事国、P5との情勢分析などの協議を行うなど、安保理の議論にどう日本として貢献をしていくのかということを日頃から姿勢を示し、また存在感を示していくという努力が必要なのではないかと思いますが、この点、大臣、いかがでございましょうか。
#86
○国務大臣(岸田文雄君) 安保理の活動において、非常任理事国になりましたならば責任ですとか活動が増大するという御指摘、御指摘のとおりだと認識をしております。
 そのために、安保理の議論の対象になる国にある在外公館において鋭意情報収集を行うとか、そうした情報収集を踏まえて安保理の主要国としっかりと意見交換を行うとか、こういったこと、従来から行ってきてはおりますが、よりこうした活動の重要性が高まると認識をいたします。
 是非、こうした在外公館を通じての、安保理の議論の対象になる国における情報収集ですとか安保理主要国との意見交換、こういったものにしっかりと力を入れていかなければならないと考えます。
#87
○石川博崇君 是非、そのことを各在外公館の館員の方々にも意識をしておいていただくことが大事だというふうに思います。
 在外公館で勤務をしておりますと、その国との関係、その国と日本の二国間関係をどう強化していくのか、そこに意識がどうしても傾注しがちになりまして、その国が国連安保理というニューヨークで議論されている状況は当然知ってはいるんですが、そこにどう日本として貢献していくのかという意識をなかなか持ちにくいということもありますので、非常任理事国としてしっかりと貢献できる国なんだということを、それぞれの議論されている国においても存在感を示していただきたいというふうに思います。
 また、非常任理事国になりますと、国連代表部、それから本省の担当部局の業務は圧倒的に増大をいたします。この人員配置については、是非あらかじめしっかり検討しておいていただく必要があろうかと思いますし、また、専門性ある人材をしっかり確保していただくことも重要でございます。中東の専門家、アフリカの専門家、それぞれの紛争地の専門家もニューヨークにおいてもその議論において貢献していく必要がありますし、本省においても意思決定をしていく上で極めて重要でございます。
 是非この点、今から御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
#88
○国務大臣(岸田文雄君) 国連安保理の非常任理事国の責任、あるいは活動にふさわしい人事配置ですとか専門性のある人材確保、これは、当然重要なことであります。是非、十分にこの活動ができる体制を組むべく、今のうちからしっかりと心構え、準備をしておかなければならないと認識をしております。
#89
○石川博崇君 なかなか、人事というのはチェーンを組まなければなりませんので、いきなり安保理非常任理事国になったからといって急に人を増やすというのは難しいものでございますから、あらかじめしっかりと検討しておいていただきたいと思います。
 また、ニューヨークにおいて日本が存在感を発揮していくためにも、国際機関、ここに日本がどの程度貢献しているのかという存在感を示していくことも重要だというふうに思います。UNDP、ユニセフ、あるいはUNウイメン。今、安全保障といいましても概念が非常に広がっておりまして、女性であったり防災であったり、あるいは紛争下の子供たちであったり、そういった分野に取り組んでいる様々な国際機関に貢献していくということも今から意識しておいていただく必要があると思います。
 こうした国際機関への任意拠出金、この重要性についてどのようにお考えか、大臣、御答弁をお願いいたします。
#90
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のような国連機関に対する任意拠出金ですが、各機関の政策あるいは活動に我が国の政策を十分に反映させるということからも、また、各機関を我が国の国益追求の手段として活用していくためにも、こうした任意拠出金、これは大変重要な外交資産であると認識をしております。
 是非、引き続き、国際機関に対する任意拠出金、必要な拠出をしっかりと行っていきたいと考えておりますし、そして、そのことがひいては非常任理事国選挙においても各国の支持につながっていくものと考えます。是非、こうした認識の下にしっかりと取り組んでいきたいと考えます。
#91
○石川博崇君 以上で終わります。
 ありがとうございました。
#92
○アントニオ猪木君 元気ですか。元気があれば梅雨も楽しいということで、全国梅雨入りをしまして、あちこちでちょっと災害が起きているようですが。
 ちょうどこの時期に出番も少なくなった太陽とお月様が、この時期だから旅行をしようということになりました。ところが、ちょっと二人だけじゃ寂しいな、誰か誘おうと。あいつもいい、こいつもいい、でも元気のいいやつがいいということで、雷様を誘うことにしました。旅をして一日、大分歩いたものですから疲れも出てきて、ちょっと見ると一軒の宿屋がありまして、あそこで今夜は泊まってあしたの元気をということで、宿を取ることにしまして、それぞれが床に就きました。翌朝、女中さんが来てどんどんと戸をたたくから、雷様が今何時だと。もうお昼を回っています。そうか、ところであの二人はどうしたと。あのお二方は早々に朝立ちしました。それで雷様は、ばかだな、俺が動かなきゃ梅雨は明けないのになということで。お客様は何時に立たれます。そうだな、もうちょっとごろごろして、夕立ちだということで。
 ところで、今日は、この間の新聞に、両陛下がパラオを御訪問という記事が出ておりまして、戦後七十周年、来年、戦没者慰霊のためということで。
 私がちょうど十年前に、やはり同じ時期にパラオへ行っておりましたときに、ちょうどイノキ島があるんですが、多分そこに立ち寄られるだろうということで、大変島もきれいにしなきゃいけない、いろいろなことを考えたことがありますが、そのときは、セキュリティーの問題ということもありまして見送りになりました。
 その後、サイパンに決まりまして、十年前にサイパンを訪問されて。この間ふっと思い出しましたが、バンザイ岬というのが、この記事にも出ていましたが、バンザイクリフですが、ちょうどブラジルに行くときに乗船していた仲間に、その方からいろいろ子供の頃の話を聞かされて、そのバンザイクリフの生き残りの人だったんですね。そのときは子供でしたから、ああそうですかぐらいに聞いていたんですが、今になって考えると、本当に、悲惨な戦争の傷痕というのか、そんな中に語り継がなきゃいけないという。
 今回の天皇陛下の御訪問も、今書かれていますが、その辺の状況をちょっとお聞かせいただければ有り難いと思います。そして、その警備と、そのときに移動手段、本当に島があちこちにあって、なかなか囲うことも、警備の問題もあると思いますが、十年たった今ですから、警備が今どのような形で検討されているか、お聞かせいただきたいと思います。
#93
○政府参考人(和田裕生君) ただいま委員から、報道のあったこともお引きになられまして、パラオなど太平洋諸島の国々への御訪問に関し、現地の警備の問題についても含めて御質問がございましたが、宮内庁といたしまして、天皇皇后両陛下のパラオ等の御訪問につきましては検討を行っている事実は今ございませんというところでございます。
 以上でございます。
#94
○アントニオ猪木君 なかなかこういう話は出せないんだと思いますので、理解いたします。
 もし訪問していただければ、是非是非、本当に向こうの人たちも大歓迎で迎えてくれるかなと思います。大統領とも長年の付き合いもありますし、本当に向こうの島の人たちも、プロレスのイベントもやったことがあります。
 そして次に、じゃ、太平洋島嶼国との交流についてお聞きをいたします。
 パラオは、日本の約三千キロ南にある太平洋の島国です。御存じのとおり、第一次大戦、第二次大戦、三十年にわたって日本の統治の中で大変な激戦でしたが、今は本当に、世界遺産になったものですから世界から観光客も殺到しているような状況で、ホテルも取れない。そういうような中で、私も親善大使という役もいただいておりますので、また、今までは本当に忘れられた島ということで、戦後、パラオのことを何とか思い起こしてくれということで、私が訪問して、島をいただいたのはテレビでも随分番組にもなっていると思います。
 大変重要な島だと思うんですが、これまで日本政府は、今まで経済支援、人的交流など、どのようなことをされてきたか、お聞かせください。
#95
○政府参考人(金杉憲治君) 先生御指摘のとおり、パラオを含む太平洋の島嶼国、日本にとっては大変重要な地域でございます。日系人の方々の伝統もございます。
 そうした中で、政府といたしましては、一九九七年以来、太平洋・島サミットというのを三年に一度開催をいたしまして、太平洋島嶼国との関係全般の強化ということに取り組んできております。
 経済協力という面で申し上げますと、直近の太平洋・島サミットで、これは二〇一二年に開催されましたけれども、その際、三年間で最大五億ドルの支援を行うということで、これまでの間に約九割の支援を達成してきております。
 また、島嶼国からは三百人を超える青少年の招聘、あるいは八百人を超える技術協力の関係者の招聘と、こういったことを通じて太平洋島嶼国との関係強化というのに取り組んできているところでございます。
 以上でございます。
#96
○アントニオ猪木君 次に、戦没者遺骨収集についてお聞きしたいと思いますが。
 かつて、水戸連隊それから高崎一五連隊、玉砕された、四万六千人余りが犠牲になったと書いてありますが。ある老人が日本人の兵隊さんと仲よくなって、そして日本がいよいよ戦況が不利になったときに、私どもも一緒に戦わせてくださいという老人の言葉が、兵隊の隊長さんに申し出たところ、その隊長さんからどなりつけられまして、そんな、おまえらと一緒に戦うほど日本の軍は落ちぶれていないというような感じのあれで怒られまして、大変その老人は失意に陥って、あれだけ俺たちは仲間だと言われたのに、それなのに、結局は友情は見せかけだけだったのかということで。ところが、老人たちがみんな島を離れるときに、軍隊の皆さんが全員で手を振って送ってくれた。そのときにはっと気が付いた、そうか、俺たちの命を守ってくれるためにああいうことで俺たちを叱ったんだという、そんな記事がありましたが。
 その中で、いろいろ、パラオのほかにマーシャル諸島やミクロネシア、戦争の激戦地で、日本軍だけで、海外における戦没者、二百四十万とも言われていますが、このうち約半数が、遺骨がいまだに日本には戻っていません。
 国のために命を亡くされた、遺骨収集は国の責任で行うべきだと考えますが、政府は遺骨収集についてどのような考えでいるのか、これまでどのような取組をしてきたか、お聞かせください。
#97
○政府参考人(古都賢一君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、戦没者の遺骨収容につきましては、国の責務として、昭和二十七年度以降、一貫して国が直接取組を続けております。戦友の方々がお持ち帰りになった御遺骨を除き、国として収集した御遺骨は、直近まで、三十三万八千三十三柱ということでございます。近年では、遺族等の民間団体の御協力もいただき、海外未送還遺骨情報収集事業を実施するなど努力しておるところでございます。
 これまで、予算額といたしましては、遺骨収集帰還事業を本格的に開始いたしました昭和四十二年度以降、予算額の単純累計でございますが、約百五十五億円、平成二十五年度予算は十三億円、平成二十六年度予算は十五億円と増額で推移しているところでございます。
 平成二十七年度には戦後七十周年を迎え、御遺族が高齢化する中、一柱でも多く御遺骨を早期に可能な限り収容できるよう、引き続き、遺骨収集帰還事業の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
#98
○アントニオ猪木君 アメリカの遺骨収集についてお聞きをします。
 アメリカでは、軍の組織の中に遺骨収集専門チームを置き、政府が十分な予算を確保するなど積極的に取り組んでいると聞いています。このような遺骨収集と、また日米合同で遺骨収集を行うようなことが考えられないのか、お聞かせください。
#99
○政府参考人(冨田浩司君) お尋ねの点のうち、米軍における遺骨収集等への取組について、まず私の方から御答弁させていただきます。
 米軍全体の取組でございますけれども、米国国防省には捕虜・行方不明者調査部というものが置かれておりまして、第二次世界大戦から直近の紛争に至るまでの間に不明となりました八万三千人を超える人員の消息を把握すること等を任務としているところでございます。当該調査部には現在百二十名以上の文民及び軍人が所属し、遺骨の収集のほかにも、行方不明事案関連情報の収集、分析、行方不明者家族の支援といった関連業務を監督していると承知をしております。それで、遺骨の収集関連業務を含めた調査部全体の予算でございますけれども、二〇一二会計年度で約千九百八十二万ドルだというふうに承知をしております。
 また、アジア太平洋地域におきましては、ハワイ州のヒッカム空軍基地に米太平洋軍統合戦時捕虜・行方不明者調査司令部、これは通称JPACと呼んでいるようでございますけれども、この司令部が置かれております。この司令部におきましては、過去の紛争における行方不明米国者の遺骨、遺品等の調査、回収及び鑑定活動を行っているところでございまして、予算等の詳細はちょっと把握しておりませんけれども、軍民共同で約五百名を超える職員が所属しているというふうに承知しているところでございます。
#100
○政府参考人(古都賢一君) お答え申し上げます。
 委員御指摘にございました日米合同での遺骨収容ということにつきましてお答え申し上げます。
 日本と米国との戦闘地域におきます遺骨収容を日米共同で行うということにつきましては、御遺族の感情を考慮するなど、慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
 一方、厚生労働省と、今、外務省の方からお話ございました米国の遺骨収容専門チームでありますJPACとの間では、外務省の協力を得て、主に遺骨収容に係る情報交換や相互訪問を行っておるところでございます。具体的には、厚生労働省の方で遺骨収容をした現場で米国兵と思われる御遺骨が発見された場合には、JPACに通報し、またJPACが収容し、その後の遺骨鑑定の結果、日本兵と判明した場合は、当該御遺骨を私どもが受領いたしております。
 今後、これらの協力関係をより推進させていきたいと考えております。
#101
○アントニオ猪木君 ほかにも、北朝鮮と、あるいは遺骨収集のフィリピンなど、まだまだあるんですが、時間の関係がありますのでちょっと飛ばさせてもらって、次に、太平洋島嶼国会議、PIFについてお聞きをします。
 安倍総理が南太平洋の島国を訪問する方針を固め、今年九月にパラオにて開催される太平洋島嶼国会議、PIF首脳会議に出席することを検討するとの報道がありました。今まで現職の総理が行かれたのは、中曽根総理以来でしょうか。この日本、パラオなどの島嶼国とより深い連携が必要と考えます。またいろいろ、国の名前は挙げられませんが、近い国から、何というんでしょうか、火器を持った船が漁業を、あるいはいろんなものを網ですくっていってしまう。私の島にも、大きなこんなシャコガイが幾つもあったんですが、それも最近は盗まれたという話も聞いております。
 そんな中で、是非より深い関係を築いていただきたいと思いますので、政府の見解をお聞かせください。
#102
○国務大臣(岸田文雄君) まず、本年のPIFの総会ですが、七月末から八月にかけてパラオで開催されると承知をしております。そして、安倍総理がPIF総会へ出席を検討しているという事実は、現時点では存在しません。
 ただ、その上で申し上げるならば、日本はこれまで、パラオを含む太平洋島嶼国との間で、三年に一度、太平洋・島サミットの六回の開催等を通じて、持続可能な開発や防災、海洋やエネルギー、気候変動といった分野で地域全体の繁栄あるいは首脳レベルでの関係強化に取り組んでおり、参加国から高い評価を得ております。
 そして、二〇一五年、来年五月にいわき市で開催予定の第七回島サミットを通じまして、首脳レベルでの率直な意見交換の機会を確保しながら、今後も、ODAを活用しつつ、持続可能な開発や防災、海洋問題を始めとする協力を進め、島嶼国に対する貢献を高める外交を展開していきたいと考えております。
#103
○アントニオ猪木君 幾つか質問をさせてもらいましたが、新聞報道や何かをして質問文も作りましたけど、新聞を信じていいのか信じて悪いのか、ばかやろうと本当に今度は新聞社をどなりつけないと。
 まあなかなか答えにくい問題もあるのかもしれませんが、何はともあれ、今申し上げたような形で、南太平洋、それからパラオの展開、いろんな問題を含めて、ひとつ、日本とも一番近い国なのでよろしくお願いいたします。
 ありがとうございます。
#104
○中西健治君 みんなの党の中西健治です。
 本日は、集団的自衛権及び集団安全保障に関連して、自衛隊の指揮統制権及び自衛隊の主たる任務、従たる任務につき質問をしていきたいと考えております。
 まず、指揮統制権についてでありますけれども、先週の衆議院の安全保障委員会において小野寺防衛大臣は、集団的自衛権行使の際における戦時作戦統制権について、みんなの党の三谷議員の質問に対して、我が国に対する武力攻撃で日米両国が共同対処する場合、我が国はそれぞれの指揮系統で行動する、米軍の指揮下に入る想定はしていない、集団的自衛権の場合も同様と、このように御答弁をされております。
 まず、防衛省の方に事実確認からしていきたいのですが、日米安保条約あるいはガイドラインにおいて、戦時の自衛隊の指揮権はどのように規定されているでしょうか。
#105
○政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。
 我が国に対する武力攻撃に際しまして、日米安保条約第五条の下、日米が共同対処する場合につきましては、我が国は従来から、適時適切な形で各種の調整を行いながら、日米がそれぞれの指揮系統に従って行動することとしております。
 それから、今の日米防衛協力のための指針におきましても、「日本に対する武力攻撃がなされた場合」という項目の中で、「自衛隊及び米軍は、緊密な協力の下、各々の指揮系統に従って行動する。」ということが明記されてございます。
#106
○中西健治君 それぞれの指揮系統ということでありますけれども、安保条約締結の際のことをお伺いしたいんですが、これは外務大臣あるいは防衛大臣にお答えいただければというふうに思うわけでありますが、この指揮権について、安保条約締結の際の日米交渉においては、日米共同作戦の場合には米国の指名する最高司令官の下で共同行動を取ると、こうしたことをアメリカ側は明文上書きたいということを主張していましたけれども、日本側がそれをはねつけたということだったという話があります。そして、明文化はされなかったけれども、共同対処する場合には最高司令官は米国の指名する者がなるんだというような了解が日米両国の間ではなされていると、こんなような話もありますけれども、そんな話はないんだということを確認したいと思います。
 どちらでも結構です。──じゃ、もう一度聞きましょう。あるのならある、ないのならないということは外務大臣あるいは防衛大臣は当然御存じのはずのことだと思いますので、お伺いしているところでございます。
#107
○国務大臣(岸田文雄君) 済みません、通告いただいていなかったものですから。ちょっと大事な点であります。もう一度確認をした上でしっかりと答弁させていただきたいと存じます。
#108
○国務大臣(小野寺五典君) 安保条約の締結経緯については私どもも承知はしておりませんが、現実に、今、第五条の中では、その条文の規定の中で、日本国の施政下にある領域におけるいずれか一方に対する武力攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言するということでありますので、この五条の規定の中では、自国の憲法上の規定というふうに明確に記載はされております。
#109
○中西健治君 後日、ちょっともう一度これは質問させていただきたいと思います。大変重要なことなので、もう当然御存じだということで私の方は聞かせていただきましたけれども、再度、次回質問させていただきたいと思います。
 湾岸戦争及びアフガン戦争における多国籍軍での指揮権あるいは統制権はどのように規定されていたのか、お伺いしたいと思います。これ、安保理の決議では規定が明確でない場合にはどのような実態で行われていたのかということをお伺いしたいと思います。
#110
○政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。
 御指摘の事案におけます指揮統制権につきましては、いわゆる湾岸戦争及びアフガニスタンでの軍事及び治安維持支援活動に関連する安保理決議には、参加国間の指揮統制に係る規定は置かれておらないと承知しております。
 したがいまして、作戦に参加した国は、自国の部隊に対する指揮統制権を維持しつつ、米国を始めとする他の参加国軍との間で各種の調整、実態上の調整を行っていたものと承知をしております。
#111
○中西健治君 安保理決議にこの指揮権あるいは統制権について規定がなかったということは不備なんじゃないかということも指摘されているところだと思いますが、その上で、実態としては自国の統制権を維持したままそれぞれが行動していた、そして連絡調整を行っていたという趣旨のお答えだと思います。
 では、自衛隊が実際に派遣されたイラク戦争において、指揮統制権は具体的にどのようになっていたのでしょうか。
#112
○政府参考人(中島明彦君) お答え申し上げます。
 自衛隊がイラクにおいて行いました人道復興支援活動等につきましては、統合された司令部との間で連絡や調整は行っておりましたけれども、その指揮下に入ることなく、我が国の主体的な判断の下に、我が国の指揮に従いましてイラク人道復興支援特措法に基づき行われたところでございます。
#113
○中西健治君 ということは、これまで統合された司令部はあったけれども、このイラクについても統合司令部の指揮下に入ったわけではないと、こういうことだと思います。
 では、今後ということについてお伺いしたいと思います。
 現在、政府・与党間で集団安全保障の議論を行っているわけでありますけれども、その前提となる自衛隊の指揮統制権について、政府としては、自衛隊の指揮統制権は日本政府が有しているという前提で事例を提示しているということでよいかどうか、お伺いいたします。
#114
○国務大臣(小野寺五典君) 今後のこの集団安全保障措置の参加等については、現在、与党協議が進められているということでありますので、その結果に基づいて政府としての対応を検討していくということになると思います。
 その上で、一般論として、指揮に対する考え方でありますが、一般に、指揮又は指揮監督は、我が国国内法の用例では、職務上の上司がその下僚たる所属職員に対して職務上の命令をすること又は上級官庁が下級官庁に対してその所掌の事務について指示又は命令をすることを意味しているということがあると承知をしております。
 いずれにしても、先ほど来お話をしておりましたが、これまでの自衛隊が活動してきたPKO活動、イラク特措法に基づく活動については、統合された司令部との間で必要な調整を行いつつも、その指揮下に入ることはなく、我が国の主体的な判断に基づき、我が国の指揮に従い、我が国の法令に基づいて活動してきたということであります。この点については、防衛省としても、今後の活動については同様であると考えております。
#115
○中西健治君 特定の共同オペレーション実施に際して、自衛隊の指揮統制権の一部を一時的に他国の司令官に委ねることは、現時点では一切想定していないということでよろしいでしょうか。
#116
○国務大臣(小野寺五典君) おっしゃるとおりでございます。
#117
○中西健治君 ということであれば、集団安全保障においては指揮統制権が他国の司令官に一時的にせよ譲り渡すこともないということをおっしゃられたかと思いますけれども、では、これはもう当然の確認だと思うんですが、集団的自衛権を行使するに当たっても当然そういうことだということでよろしいでしょうか。
#118
○国務大臣(小野寺五典君) 今、集団的自衛権については与党協議が行われているということでありますので、あくまでも一般論として申し上げれば、自衛隊は、米軍、国連等との間で必要に応じて緊密に連絡調整を行うことは想定をされておりますが、その指揮下に入ることは想定をしておりません。あくまでも我が国の主体的な判断の下に、我が国の指揮に従い、我が国の法令に基づいて活動することになるということであります。
#119
○中西健治君 集団安全保障では多国籍軍というのが組織されるというようなことになることが多いわけですから、当然、指揮命令というのは様々な状況というのが想定できるのかなというふうに思います。その中では、作戦をどうするのか、戦術をどうするのか。そうしたものも、作戦統制権、戦術統制権というのは指揮統制権の一部に含まれるので、いろんな幅があるのかなというふうに思いますが、今、小野寺防衛大臣がお答えになられましたとおり、集団的自衛権の場合にはそれよりもう少し幅は狭いものでしょうから、当然、日本政府がこの指揮統制権というのはしっかり保持し続けるんだろうなということを今確認させていただいたということであります。
 続きまして、自衛隊の主たる任務及び従たる任務についてお伺いしたいと思います。
 国際平和協力活動というのは、以前は付随的任務とされておりました。それが、二〇〇七年一月の法改正で付随的任務から本来任務に言わば格上げをされました。その本来任務の中にも、御存じのとおり、主たる任務と従たる任務があって、従たる任務にこの国際平和協力活動というのが入っているということであります。
 今、政府の方は積極的平和主義というものを掲げていますけれども、自衛隊の任務として集団安全保障による国際貢献、これをより積極的に行うということであれば、自衛隊の従たる任務ではなくて主たる任務に加えていくということを想定しているのか、それともこれまでどおり、あくまで従たる任務の範疇で考えていくと想定しているのか、現時点でのお考えをお伺いしたいと思います。
#120
○国務大臣(小野寺五典君) 現在、自衛隊の任務につきましては、委員が御指摘になりましたように、自衛隊法第三条において、我が国の防衛を主たる任務とした上で、公共の秩序の維持、周辺事態における活動、国際平和協力活動を従たる任務として位置付けております。
 政府としては、国際社会が一致団結して侵略を排除するための活動を行っている中、我が国も責任ある国際社会の一員として後方支援の分野で積極的な役割を果たすべきではないかという問題意識を持っているところです。しかしながら、御指摘の点を含め、具体的な法整備の内容については与党協議の結果を踏まえて政府として検討を進めていくこととしておりまして、現時点でお答えすることは困難であります。
 その上で、これまで自衛隊が実施してきた国際平和協力に関する取組について申し上げれば、自衛隊は、PKO活動、国際緊急援助活動、テロ対策特措法等に基づく補給活動やイラク特措法に基づく人道復興支援活動などを行ってきましたが、これらはいずれも自衛隊法上、現在、従たる任務として位置付けられており、主たる任務である我が国防衛に支障を生じない限度で実施してきたところであります。この姿勢は今後とも変わらないものと思っております。
#121
○中西健治君 そうしますと、集団安全保障について、まだ主たる任務か従たる任務か確定的なことは言えないけれども、これまでの方針が維持される可能性がまあ高いというかあるというか、そんなような御答弁だったかと思います。
 そうしますと、今のは集団安全保障の話、国際協力の話ですけれども、集団的自衛権、これを自衛権の一つとして行使していくという場合には、個別的自衛権に加えて、集団的自衛権により我が国を防衛することということも自衛隊の主たる任務に新たに加える可能性が高いということになるでしょうか。
#122
○国務大臣(小野寺五典君) 政府としましては、安保法制懇の報告書のうち、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるときという限定的な場合に集団的自衛権を行使することは従来の政府の憲法解釈に言う必要最小限度の武力行使の中に含まれるという考え方について、更に研究を進めていくということにしております。現在、この議論につきましては、まずは与党と十分に協議するとともに、内閣法制局の意見も踏まえつつ、政府としての対応を検討していくこととされております。このため、集団的自衛権の行使を前提とした自衛隊法の任務規定の在り方に関する御質問に対して、現時点においてお答えすることはなかなか困難だと思います。
#123
○中西健治君 そうしましたら、先ほど、従たる任務については、国際協力活動についてですけれども、主たる任務の遂行に支障を生じない限度においてということを言及していただきました、これは法律に書かれているわけでありますけれども。
 今後、積極的平和主義でかなり積極的に海外への自衛隊の出動をしていくというようなことになった場合には、この主たる任務の遂行に支障を生じない限度かどうかということが大変重要になってくるんじゃないかなというふうに思いますが、この主たる任務の遂行に支障を生じない限度ということについてはどのような基準で今お考えになっていらっしゃるでしょうか。
#124
○国務大臣(小野寺五典君) 繰り返しますが、今後の国際貢献の在り方に関しては、現在、与党協議が進められており、その結果を予断するようなことを申し上げることは差し控えますが、その上で、現行の自衛隊法上の整理を申し上げると、自衛隊の主たる任務は我が国の防衛であり、いわゆる国際平和協力活動を含め、自衛隊が与えられた種々の任務を遂行するに際し我が国の防衛に必要な体制を確保しつつ任務に当たることとされております。
 このため、自衛隊が海外での任務を行うに当たっては、その時々の国際情勢や国際社会による取組の状況、当該任務の内容など様々な点を考慮しつつ、いかなる場合に自衛隊を派遣することが適切か、派遣する場合にどの程度の要員を派遣することが適切かなどについて不断に検討すべきものと考えております。
 防衛省としては、この点を十分に踏まえつつ、我が国の防衛に必要な体制の確保について慎重に見極めながら自衛隊の部隊等の派遣を行ってきたところであります。私どもとしては、一番重要であります我が国の防衛に必要な体制の確保、これを重視していきたいと思っております。
#125
○中西健治君 お答えしにくい部分が今の時点ではたくさんあるんじゃないかということのようでありますけれども、集団的自衛権の行使容認を認めるにしても、それから集団安全保障を積極的に行うというようなことになったとしても、やはり我が国の防衛というのが一番大切なところということでありますから、やはりそこのところからおのずから制約が来るのであるということを私自身は申し上げたくて質問をさせていただいたということでございます。
 続きまして、最後に一つ二つ別のことを質問させていただきたいと思いますけれども、政府は、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をする前に、というかする前後にかもしれません、自衛隊の活動に一定の歯止めを掛ける指針を作る方針だと報じられていますけれども、指針とは何なのか、単に政策的な方向性を示すものなのか、そうしたところの政府のお考えをお聞きしたいと思います。
#126
○政府参考人(武藤義哉君) お尋ねのような、指針というような報道があることは承知してございますけれども、いずれにいたしましても、与党間のやり取りに関しましては、政府としてお答えする立場にございません。
 その上であえて申し上げますと、政府としては、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるときという限定的な場合に集団的自衛権を行使することは許されるという考え方について更に研究を進めるということとしてございます。したがって、憲法解釈として集団的自衛権の行使を限定なく容認するという結論にはなり得ないと考えております。
 また、これまでも国会でお答え申し上げていますように、集団的自衛権の行使は権利であって義務ではないので、これが仮に憲法上許容されることになっても自動的に行使することにはならないこと、それから、必要な法整備に当たっては国会で十分慎重に審議いただくつもりであること、また、法整備を行った上で集団的自衛権の行使を行う場合でも、民主主義国である我が国においてはその政策判断は慎重の上にも慎重を期して行われることとなること、そうしたことを改めて述べておきたいと思います。
#127
○中西健治君 この指針ですとか、あと要件と言われるようなもの、これは、自衛隊法に定める防衛出動発動の際の要件や指針ということになっていくんじゃないかなというふうに思うわけですが、最後に防衛大臣にお伺いしたいと思います。
 解釈改憲が許されるのかどうかについて世論が二分化されている中、政府として、関連する個別の法律の中でしっかりと明記していく、つまり、政権の閣議決定だけではなくて、国権の最高機関である国会審議を通じた法律改正でもこうした要件というのを明示していく、そうして国民にはっきり示すべきではないかと思いますが、防衛大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#128
○国務大臣(小野寺五典君) 集団的自衛権については、現在、与党協議が進められているところであり、この集団的自衛権の行使を前提とした法整備の具体的な在り方についてはお答え申し上げる段階にはありませんが、その上で申し上げれば、今後、与党協議の結果に基づき政府としての対応を検討していくこととなりますが、仮に憲法解釈の変更が必要と判断された場合には、必要な法案を国会にお諮りし、御指摘の、例えば歯止めのようなものを含めた制度の在り方も含め御審議いただくことになるのではないかと考えております。
#129
○中西健治君 是非そうしていただきたいと思います。
 質問を終わらせていただきます。
#130
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 京都府京丹後市の米軍のXバンドレーダー基地についてお聞きいたします。
 先々週の火曜日、二十七日の早朝に着工いたしました。朝六時半でありました。土曜日に地元紙に、金曜日までに米軍が工事業者に着工を許可したことが分かった、週明けにも着工する見通しだという報道がありました。地元住民や地方自治体が週明け月曜日の午前中に現場の地元連絡所等に確認をしても、知らないと、こういうことだったわけでありますが、月曜日の午後一時半になって京都府や京丹後市に、翌朝着工されると、こういう連絡がありました。
 京都府は五月の二十日に、地域住民の安全確保対策、具体的な工事のスケジュール及び内容について事前に地元へ周知することと、こうしていたわけですね。ところが、前日の午後に連絡があって、翌日の早朝から工事があったと。
 防衛大臣は、この問題で過去現地入りした際に、住民の安全、安心の確保に万全を期すと、こういう約束をされたわけでありますが、こういう事態で安全、安心の確保ができていると、こうお考えなんでしょうか。
#131
○国務大臣(小野寺五典君) TPY2レーダーの配備に当たりましては、先ほど御指摘になりましたように、私も十一月、昨年ですが、現地を視察いたしました。レーダー配置の近傍に集落があり、地元から安心、安全を要請される切実さを認識したところであります。そうしたことも踏まえ、これまでも地元の方々に誠意を持って対応するよう指示をしてきてまいりました。
 TPY2レーダー配備に係る米側による工事については、今年四月十三日以降四回にわたり開催した住民説明会において、レーダー運用に係る施設の整備、これ第一期工事でありますが、今年五月に着工し、今年十二月末に完成予定であるということで説明をいたしました。五月に着工するということは、四月以降、累次説明をしてきております。その中、五月二十六日、京丹後市及び京都府に対し、五月二十七日午前中から米軍の工事を実施する予定となった旨をお伝えさせていただきました。
 工事は五月に行うということでお知らせをしましたが、具体的な工事を着工することにつきましては、天候や工事の準備状況、資材の搬入状況等がありますので、これは関係機関との調整などにより変更される可能性があることなどに加え、工事着工時において作業員や重機等が往来することが想定されることなどから、住民の安全確保や警備等の要素も含めて総合的に勘案して工事着工日の前日にお知らせすることとなったものであります。
 いずれにしても、防衛省としては、今後も引き続き、地元の方々の御理解を得られるよう丁寧に説明していきたいと思っております。
#132
○井上哲士君 大臣も今言われましたように、あの現場というのは、本当にもう住宅のすぐそばなんですね。車力なんかと比べますと、大きな敷地の中でではなくて、もう目の前で工事が行われますし、生活道路を工事現場のいろんな車両も通るということになります。
 地元住民の皆さんは、マンションの建設だって、今日はこういう作業がありますとか何時からやりますとか、当然知らされるわけでありますし、特に通勤、通学、特に通学時などの危険性ということがあるわけですから、五月中に着工するというのは分かっていると、言ったといっても、あしたの朝どうなるかということを前日に言われたということでは、これはとても安全、安心の確保ということにはならないと思うんです。
 今、四回ですか、住民説明会が行われたと言われましたけれども、出されたのは項目的なことが四行書いてあるだけでありまして、具体的な説明はなし、口頭で説明をされて、そして一方的に設定した終了時間を口実に騒然とする中で打ち切られると、こういうことでありました。
 連絡を受けて、二十六日に京丹後市が地元にお知らせという文書を配っておりますが、この中に、工事施行に当たり次の事項を確認していますと。通勤時間帯を避けるような作業時間帯を設定するとか、基本的に日曜日、祝日は工事を行わないとか五項目あるわけでありますが、こういうものも文書で示されたのはこのときが初めてだったわけでありまして、いつこういう具体的な中身を、誰に対して防衛省としてはこの五項目については周知をしたということなんでしょうか。
#133
○政府参考人(山内正和君) お答え申し上げます。
 御質問いただきました京丹後市が五月二十六日付けで公表したお知らせには、米軍のTPY2レーダーの配備に関する工事着手日や工事内容とともに、工事施行に当たり京丹後市が確認している五項目について記載されているものというふうに承知しております。
 この五項目につきましては、防衛省が本年四月十三日以降地元で開催いたしました住民説明会におきまして、工事施行に当たり地元の影響をできるだけ少なくするための措置として御説明したものでございます。
 なお、京丹後市もこの住民説明会に出席されており、防衛省から地元住民の方々に五項目について説明したことを確認されていることから、この五月二十六日付けのお知らせにも記載されたというふうに認識しておるところでございます。
#134
○井上哲士君 先ほど言いましたように、住民説明会自身が、まともな資料も文書も出ないという中で、言わば騒然たる中でいろんな説明をされたということでありますが、およそ住民の皆さんの認識にはなっていないわけですね。そして、この二十六日に京丹後市が配布したお知らせでも、工事着手日が翌二十七日の午前中と、こうなっておりますけれども、実際には朝六時半から始まったわけですね。こういうことが続きますと、本当に住民の皆さんは、住民の安心、安全を考えているのかとずっと不安だったことがこれからももっともっと広がっていくわけですね。
 この二十日に京都府が提出をした申入れ書にも特段回答されているようではありません。例えば、オスプレイの配備に当たって、キャンプ富士のある御殿場市の地権者の皆さんの質問書にはきちんと文書でも回答されているわけですね。地元の住民の皆さんからの要請についてもきちっと文書で責任ある回答をすることや、そしてきちんと住民の皆さんの質問に答えられるような、そういう本当の意味の説明会をきちっと開くと、このことは約束をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#135
○政府参考人(山内正和君) 防衛省におきましては、TPY2レーダーの配備に関し、我が国防衛上の有用性及び日米協力の強化などの観点から最適な配備先を日米間で検討した結果、航空自衛隊経ケ岬分屯基地が最適な配備候補地であるとの結論に至ったため、自後、京都府及び京丹後市に対し、同基地にレーダーを配備することについて協力を要請させていただいたところでございます。
 本件につきましては、地元の御理解、御協力を得るべく、これまでに、京都市あるいは京丹後市とも調整の上、いただいた御質問に対してはその都度文書による回答を行うとともに、また口頭による説明等も併せ行う、またさらに、地元住民の方々に対しても合計二十回にわたり住民説明会を実施してきたところでございます。
 いずれにしても、私どもとしては、京都府あるいは京丹後市とも調整の上、地元に対して御理解、御協力を得るべく努力を重ねてきたというふうに認識しているところでございます。
#136
○井上哲士君 繰り返しますけど、説明会と言われても、まともな資料も出ず、きちっと住民の皆さんの質問にも答えないまま一方的に時間が打ち切られると、こういうことが起こって、現に着工日の前日まで連絡がなくて、配られたお知らせには午前中しか書いていなかった、これが実態なんですよ。
 ですから、やはり私は、防衛大臣が現地で言った住民の安全、安心の確保などおよそできていないというのが実態でありますから、私は、まず工事を中止をして、きちっと住民に説明をすることが必要でありますし、そもそも、この建設の撤回を改めて求めたいと思いますが、防衛大臣、いかがでしょうか。
#137
○国務大臣(小野寺五典君) 今回のTPY2レーダーの配置につきましては、京都府、京丹後市の御了解、御理解をいただきながら今進めておりますし、また、この土地の取得に関しても、地権者の皆様に大変なお力をいただいて今進めております。
 私どもとしては、日本の安全保障にも大変重要な施設だと考えておりますので、これからも、地元住民の皆様の声を様々聞きながらしっかりとした対応をしていきたいとは思いますが、この設置につきましては、今後とも進めさせていただきたいと思っております。
#138
○井上哲士君 地元紙は、「情報開示 地元置き去り」と、こういう大きな記事を書きました。これが実態なんですから、きちっと住民の皆さんに向き合っていくことを強く求めると同時に、改めて、建設そのものの撤回を求めたいと思います。
 次に、いわゆる平和への権利についてお聞きいたします。
 今年の国連総会での採択に向けて、今、国連人権理事会で議論をされております平和に対する権利国連宣言草案の問題です。この平和への権利というのは、一人一人が平和のうちに生きることができるように国家や国際社会に要求できる権利とされております。単に戦争がないという意味での平和ではなくて、恐怖と欠乏からの自由という本来の意味での積極的平和の実現も目標としておる、これを国際人権法にしようと今取り組まれているわけですが、まず前提として、日本国憲法とこのことの関わりについてお聞きしたいと思います。
 憲法前文は、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」としております。九条、十三条と併せてこの平和的生存権が日本国憲法に盛り込まれていることの意義について、まず、外務大臣の御認識を聞きたいと思います。
#139
○国務大臣(岸田文雄君) 日本国憲法前文の第二段には御指摘のように規定をされております。
 国民の命と平和な暮らしを守ることは政治の最大の責務であります。いかなる事態においても国民に対する責任、全うしなければならないと認識をしております。そして、外交面においても、国際社会の安定と繁栄に資する外交を推進することが必要であると認識をしております。
#140
○井上哲士君 世界の憲法の中でも、日本国憲法ほど明確にこの平和的生存権を規定したものはないわけですね。
 一方、この平和への権利の主要な内容というのは、人間の安全保障という問題です。この間、国際社会で議論が積み重ねられて確立をしてきたものでありますけれども、この人間の安全保障については、政府としてはどういう見解と取組があるんでしょうか。
#141
○国務大臣(岸田文雄君) 人間の安全保障ですが、人間一人一人に焦点を当て、その保護と能力の強化を通じて人々が持つ豊かな可能性を実現させることを目指す理念であります。
 政府としましては、この人間の安全保障を外交の重要な柱として積極的に推進していく考えでありますし、また、昨年の国連総会一般討論演説におきましても、安倍総理の方から、人間の安全保障の更なる概念の普及と実践の積み重ねを進めていく決意である、こういった旨表明をさせていただいております。
 国連総会決議において確認されているとおり、人間の安全保障においては、恐怖からの自由と欠乏からの自由を享受する権利を有することが重要な要素であるとされております。
#142
○井上哲士君 単に戦争がないというだけではなくて、恐怖と欠乏からの自由、日本国憲法前文にも重なる中身でありまして、日本はこのことを外交の柱に据えるということも森総理が国連で演説をしている、そういう中身であります。
 ですから、憲法は前文で全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有するということを確認をし、人間一人一人に着目した人間の安全保障の考えを支持をしてきたわけですね。その日本が平和への権利についてどういう対応をしているのかが問われるわけでありますが、この間、国連でどのような議論がされ、今後どういう予定なのか、そして、昨年の六月十三日の国連人権理事会で平和への権利促進決議が出ておりますけれども、このときの表決の内容と日本の対応についてお答えください。
#143
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。
 国連におきまして、経緯でございますけれども、一九七八年の国連総会において平和のうちに生きる社会の準備宣言という決議が採択され、一九八四年の第三十九回国連総会においては人民の平和への権利という決議が採択されました。
 そして、二〇〇八年の第八回の国連人権理事会からは、この国際平和の安全の重要性等を掲げまして、市民や集団が国家に対して平和を求めることができるという権利を盛り込んだ、平和への権利に関する議論の促進を目的とした決議が毎年人権理事会に、これはキューバが主たる提案国でございますけれども、提出されてきております。
 そして、二〇一二年の第二十回人権理事会におきまして、この平和への権利宣言を検討する政府間作業部会というものが設置されることが決定されまして、昨年二月に第一回作業部会が開催され、今年も、六月三十日から七月四日まで第二回の作業部会が開催される予定でございます。
 ちなみに、更に御質問がございました昨年六月の第二十三回人権理事会、この決議が採択された際でございますけれども、票は、賛成が三十、反対が九、日本も反対でございます。棄権八でございます。
#144
○井上哲士君 今経緯で紹介ありました一九七八年の決議については、日本は賛成をしておるわけですね。ところが、昨年の六月の平和への権利促進決議については、日本は反対をしたということであります。
 そこで、外務大臣にお聞きするわけですが、先ほど認められましたように、憲法で平和的生存権を掲げ、そして、単に戦争がないだけじゃない、恐怖と欠乏からの自由、保護と能力強化を通じて持続可能な個人の自立と社会づくり、こういう中身を持った人間の安全保障を掲げている日本が、なぜこの平和への権利については反対をするんでしょうか。
#145
○国務大臣(岸田文雄君) 平和的生存権に関しての憲法の記載、あるいはこの人間の安全保障に対する我が国の考え方、これにつきましては先ほど答弁させていただいたとおりであります。
 その中にあって、国際社会の議論におきまして、平和への権利と人権との関係、これにつきましては各国間でまだ共通理解が形成されていないと認識をしています。現在、国際社会においては、この平和への権利の内容及びその享有主体等、基本的な事項について議論がされている段階であると承知をしております。
 こうした状況ですので、我が国としましては、まずは、この平和への権利の概念を整理するべく立ち上げられました国連の人権理事会の平和への権利に関する作業部会、これにしっかりと参加しているところであり、是非この議論にしっかり貢献をしていきたいと存じます。こうした議論をしっかり行った上で我が国の対応を考えていくべきであると認識をしております。
#146
○井上哲士君 共通認識がないという認識であるならば、むしろそれをするために、日本が平和的生存権を憲法に掲げた国として積極的役割を私は果たすべきだと思うんですね。
 アメリカなどは、安保理で常任理事国が事実上決定権を持つという中で、この平和の課題は国連安保理のテーマだからという理由でこれに反対をしております。結局、こうした大国がこの平和問題での議論で手を縛られたくないと、こういうような思いから平和への権利を人権とすることに反対をしていると、こういう流れがあろうと思いますが、日本はこういう立場にくみするんですか。
#147
○政府参考人(新美潤君) 今大臣から御答弁申し上げましたとおり、この平和への権利という概念が国際的に確立された人権概念ではないということが日本の基本的な立場でございます。
 現に、例えば、この平和への権利に関する作業部会の非公式会合といった場でも、例えば議長、これはコスタリカが議長をしておりますけれども、平和への権利の存在はソフトローとして既に認識されていると主張している国がいる一方で、そもそも平和への権利は国際法において存在せず、平和とは全ての人権の完全なる実施に帰結するものであり人権ではないと主張する国がいると述べられていることも一例でございます。
 そういう観点からも、日本としては、繰り返しで恐縮でございますけれども、まず関係国間、日本も含めてきちっとこの中身について議論をして整理をするということが重要だと考えているわけでございます。
#148
○井上哲士君 私、質問に当たってずっと過去の検索してみますと、平和的生存権について政府が語ったことはほとんどないんですね。最近増えたのは、これを理由に集団的自衛権行使の議論をするという安倍総理の様々な言葉でありました。私、これは全く逆だと思うんですね。国際的にまだ確立をしていないとおっしゃいますが、あの自衛隊のイラク派遣の違憲訴訟では、名古屋高裁判決は、明確にこれは権利として、権利性があるものとして判示をいたしました。
 私は、日本はむしろ国際的な共通認識が広がるようにもっと積極的な立場を取るべきであって、反対というようなことではなくて、その対応を変えて積極的な役割を果たすべきだと、そのことを強く申し上げまして、時間ですので終わります。
#149
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。
 この度、外交防衛委員の一人として質問をさせていただくことになりました。委員長を始めとして、理事の皆さん、そして委員の皆さん、両大臣におきましては、どうぞ真摯な御答弁も含めましてよろしくお願いしたいと思います。
 では、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず、普天間飛行場の代替施設、その建設をめぐって質問いたします。
 これは、一九九六年のSACO合意から間もなく十八年になります。しかし、地元の強い反対がありまして、いまだに実現しておりません。政府は今強行しようとしておりますが、実現は困難だというふうに思います。なぜなら、今年の一月に名護市長選挙が行われまして、県内移設反対、そのことを明確に主張いたしました現職の稲嶺名護市長が再選をされました。さらに、琉球新報社が今年の四月の下旬に実施いたしました県民電話世論調査におきましては七四%が県内移設に反対ということで、依然として県内移設に反対いたします県民の意見が強いからであります。
 まず一点目、質問でございますが、沖縄防衛局は、辺野古に普天間新基地建設をするために、四月の十一日付けで名護市に対して、五月十二日までの回答期限を付して六項目の申請や協議などの文書を提出しています。これに対して名護市は、埋蔵文化財を除く五項目の文書について不備があるということで再提出を求めていました。
 去る六月六日に、防衛局はそれに応える形で新たな文書を提出しています。この六月六日付けの文書の性格、つまり位置付けですけど、これはどういうものなんでしょうか。添付書類とされているそれぞれの文書については、公印や文書番号がございません。あくまで四月十一日付け文書の追加資料としての位置付けなんでしょうか。防衛大臣にお伺いいたします。
#150
○国務大臣(小野寺五典君) 普天間飛行場代替施設建設事業に関し、四月十一日、沖縄防衛局は名護市に対して、工事等に関係する六件の文書を提出したところです。
 このうち、辺野古漁港のヤード整備に伴う漁港施設の占用等に必要な申請などの四件については、名護市から五月九日付け文書で同局が提出した文書の補正等を求める旨の通知を受けていたところです。これを受け、六月六日、沖縄防衛局は名護市に対し同市からの求めを踏まえた文書を提出したところであり、当該文書の提出に当たっては、前日の六月五日、名護市役所において、沖縄防衛局の職員が同市の担当者と提出する文書について事前の調整を行っております。
 さらに、沖縄県漁業調整規則に基づく岩礁破砕等の申請に必要となる名護市の意見書については、同市から五月三十日付けで名護漁業協同組合等の漁業権者の同意書等の提出を求められていたところであり、六月六日、沖縄防衛局は、当該同意書等が整ったことを受け、これを同市に提出したものであります。
#151
○糸数慶子君 四月十一日付け文書の中には全て回答期限が付してありますが、このように回答に期限を付すことは法令で認められていることなのでしょうか。回答期限までに回答がなかった場合にはどのような法的効果を生むものなのか、お答えいただきたいと思います。
#152
○政府参考人(伊藤盛夫君) お答え申し上げます。
 普天間飛行場代替施設建設事業に関しまして、四月十一日、沖縄防衛局は、名護市等に対しまして工事等に関係する六件の文書を提出したところでございます。これらの文書におきましては、先生御指摘のとおり、同市等からの回答期限を五月十二日までといたしました。当該期限につきましては、法的に定められたものではありません。同事業の期間を少しでも短縮させるために、事業を実施するために必要となる手続についてもできる限り速やかに行いたい旨をお願いいたしたというものでございます。
 いずれにしましても、同事業につきましては、今後の調査、設計を経まして速やかに工事に着手する、工事を進めるということで、事業期間が少しでも短縮できるように努め、一日も早い普天間飛行場の返還とキャンプ・シュワブへの移設に向けて引き続き全力で取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
#153
○糸数慶子君 ありがとうございます。
 では、法的効果を生むものではないということでありますが、次に、資材置場などの作業ヤード設置のために辺野古漁港の占用許可を申請していますけれども、防衛局が名護市に提出いたしました四月十一日付けの文書に関しては、五月十二日の当該日までにその許可書がいただけない場合には許可が得られなかったものとして処理させていただきますというふうにありますが、これは、名護市からの許可が下りない限り先に進めることはできないというふうに考えます。
 報道では、市の許可が必要ないキャンプ・シュワブ内へ作業ヤードを移設することを考えているのではないかと言われておりますが、この件に関しては事実でしょうか。防衛大臣にお伺いいたします。
#154
○政府参考人(伊藤盛夫君) 事実関係の御質問でございますので私の方から御説明させていただきたいと思いますが、普天間飛行場代替施設建設事業に関しまして、名護市漁港管理条例に基づく辺野古漁港のヤード整備に伴いまして漁港施設の占用等に必要な申請につきまして、四月十一日、沖縄防衛局が他の五件とともに名護市等に対しまして文書を提出したところでございます。当該文書につきまして、同市からの回答期限を五月十二日までとしております。他方、当該申請につきまして沖縄防衛局は、名護市から五月九日付けの文書で同局が提出した文書の補正を求める旨の通知を受けましたので、同市との事前の調整を経た上で、六月六日、同市からの求めを踏まえた文書を提出したことは御説明させていただきました。
 このように、本件申請につきまして、現在、名護市との間で文書等によるやり取りを行っております。許可されないというふうな場合につきましての想定をいたしまして御質問にお答えすることは、今現在で文書等のやり取りを行っておりますので差し控えさせていただきたいと思っております。
 いずれにしましても、同市との手続、これが一日でも早く進むように引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#155
○糸数慶子君 改めて伺いますが、五月十二日までの許可がいただけない場合には許可が得られなかったものとして処理させていただきますというふうにあるわけですけど、市の許可がない場合にはキャンプ・シュワブ内へ作業ヤードを移設するということを考えているというふうに受け止めてよろしいでしょうか。
#156
○政府参考人(伊藤盛夫君) 再度の答弁になって恐縮でございますが、現在、名護市に対しまして文書で申請、協議を行っているところでございます。
 したがいまして、丁寧にそうしたやり取りを進めてまいりたいというふうに現在考えているところでございますので、許可されなかった場合にどうこうということについてはお答えを控えさせていただきたいと思っております。
#157
○糸数慶子君 では次に、協議となっている点についてでありますが、一点目は辺野古漁港区域内において海域生物調査、二点目は美謝川の水路切替え及び土砂運搬施設設置のための占用、三つ目に辺野古ダム貯水池の現況調査のための占用のこの三つについてでありますが、これは、四月十一日付けの文書には、五月十二日の当該日までにその回答がいただけない場合は協議が調わなかったものとして処理させていただきますというふうにあるわけですが、協議が調わなくても次のステップに進めるということなんでしょうか。
#158
○政府参考人(伊藤盛夫君) お答えさせていただきます。
 先生御指摘のとおり、普天間飛行場代替施設建設事業に関しまして、漁港漁場整備法に基づく漁港の区域内での環境調査に必要な協議、それから名護市法定外公共物管理条例に基づく辺野古ダムでの現況調査、環境調査に必要な協議、同条例に基づく水路の切替え及び土砂運搬施設の設置に必要な協議、この三件の協議につきまして、先ほど御説明しましたように、四月十一日に沖縄防衛局が名護市に対して協議書等を提出いたしまして、当該文書につきまして同市からの回答期限を五月十二日までとさせていただきました。
 他方、当該協議につきまして沖縄防衛局は、名護市から五月九日付けの文書で、同局が提出した文書の補正を求める旨の通知を受けました。このことを受けまして、同市との事前の調整を経た上で、六月六日、同市からの求めを踏まえた文書を提出させていただいたところでございます。
   〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
 本件協議につきましては、現在、名護市との間で文書等によるやり取りを行っておりますので、協議が調わない場合等につきましては現段階でお答えをすることは差し控えたいと考えておりますが、いずれにしましても、同市との手続が一日でも早く進み、辺野古建設事業を一日でも速やかに進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#159
○糸数慶子君 キャンプ・シュワブ内の埋蔵文化財についてお伺いいたします。
 これは、名護市教育委員会は、キャンプ・シュワブ内に既に七か所の遺跡が確認されており、まだ調査が行われていない地域があるとして、確認調査が必要となるので教育委員会との調整が必要と回答したようですが、防衛省はこれをどのように取り扱おうとして考えているのでしょうか。教育委員会との調整あるいは調査は文化財保護法上の行政指導であり、強制力はないようですが、仮に埋蔵文化財が発見されれば調査が必要となるものであります。今後も発見される可能性があり、慎重に対処すべきではないかと考えますが、防衛省はどのように考えていらっしゃいますか。
#160
○政府参考人(山内正和君) 普天間飛行場代替施設建設事業に係ります工事等に関係する埋蔵文化財の有無につきましては、委員御指摘のとおり、本年四月十一日、沖縄防衛局が名護市教育委員会に照会したところ、五月十二日に同教育委員会から、キャンプ・シュワブ内において七か所の周知の遺跡が確認されており、適切に保存していただきたい、また、文化財分布調査が行われていない地域に関しては確認調査が必要であり、同教育委員会との調整が必要であるといった内容の回答文書を受領したところでございます。
   〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
 現在、名護市教育委員会からの回答を受けまして今後の対応について検討しているところでございますけれども、いずれにせよ、埋蔵文化財の取扱いにつきましては、文化財保護法等関係法令に従い適切に対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#161
○糸数慶子君 このように、政府は今、六項目の許可等については一か月以内に回答を求めていることや、それから、名護市から書類の不備を指摘されているにもかかわらず新たな公文書を出していないことなど、それを考えていきますと誠意ある対応をしているとは思えません。高圧的な態度と言わざるを得ませんが、最初にも申し上げましたように、七四%の沖縄県民が県内移設に反対をしている現実を真摯に受け止め、県内移設を断念し、普天間を速やかに返還すべきだと思います。
 防衛大臣、外務大臣は、県民の意思を無視して辺野古への移設を強行する考えなのかどうか、お伺いしたいと思います。
#162
○国務大臣(小野寺五典君) 今の電話調査等については私ども承知をしておりませんが、普天間飛行場は宜野湾市の中心部に位置し、周囲には住宅や学校等が密接していることから、その固定化は絶対に避けなければなりません。これは政府と沖縄との共通認識であると考えております。また、普天間飛行場のキャンプ・シュワブへの移設については地元でも様々な御意見がありますが、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の案であることをこれまで日米間で累次確認をしております。
 いずれにしても、先般の仲井眞知事による普天間飛行場代替施設の埋立承認を受け、一日も早い普天間飛行場の移設、返還に取り組むとともに、引き続き、沖縄の負担軽減のため全力で努力してまいりたいと思います。
#163
○国務大臣(岸田文雄君) 基本的には防衛大臣と同じ認識でありますが、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない、これは安倍内閣の基本的な考え方であり、そして、政府と地元の皆様方にとりましても共通認識であり、また、さきの日米首脳会談におきましても、この普天間飛行場の移設を含む在日米軍の再編、これを着実に進めなければいけない、こういった考え方を確認をしたところであります。
 様々な御意見があること、これは謙虚に受け止めなければならないと思いますが、普天間飛行場の危険除去を果たし、そして沖縄の負担を軽減するために、政府としましても、できることを全て行う、こういった姿勢で取り組んでいるところであります。
 是非、一日も早い移設、返還を実現し、この負担を早期に軽減していくため結果を出していきたいと考えております。
#164
○糸数慶子君 それで、去る四月十五日、沖縄関係の四閣僚と沖縄県知事、それから宜野湾市長を構成員とする普天間飛行場負担軽減推進会議の下に置かれた事務レベルの作業部会において、沖縄県の求める普天間飛行場の五年以内運用停止について、この推進会議の第一回目の会合が開催されています本年二月を起点として、二〇一九年二月までに実現することが確認されておりますが、四月二十四日に行われました日米首脳会談では、安倍首相より、普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む沖縄県知事からの要望に対しては、我が国としてできることは全て行うとの姿勢で対応する考えであるので、米国と十分に意思疎通しつつ検討を進めていきたいとの発言がなされた一方で、オバマ大統領からの具体的な言及はなく、また、日米共同声明でも五年以内の運用停止などの具体的な負担軽減策については何ら触れられておりません。
 普天間飛行場の周辺の問題やあるいは辺野古への新基地移設に対しては、地元から強い反対が示されております。県外、国外移設、無条件の閉鎖、撤去という地元の要望を踏まえ、政府は二〇一九年二月までの運用停止が実現できるように努力すべきというふうに考えますが、米国へどのように働きかけていくのかも含め、政府の方針を明らかにしていただきたい。運用停止とはどのような状況なのか、外務大臣にお伺いをしたいと思います。
#165
○国務大臣(岸田文雄君) まず、普天間飛行場五年以内の運用停止を始めとする仲井眞知事からの御要望につきましては、既に、米国に対しまして様々なレベルから伝えさせていただいております。そしてその上で、四月に日米首脳会談が開催されたわけですが、改めて安倍総理から直接オバマ大統領に説明し、沖縄の負担軽減について米国の更なる協力を要請したという次第であります。大統領の方からは、沖縄の負担軽減に引き続き取り組みたいという発言があった、こういったやり取りが行われた次第であります。
 この仲井眞知事の御要望、これはもう沖縄県民全体の思いであると、しっかり受け止めさせていただいております。日本政府としてできることは全て行うというのが安倍政権の基本姿勢であり、米国を始め相手のあることではありますが、知事からの要望については、引き続き、政府を挙げてその実現に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。
 運用停止とはいかなる状況なのかという御質問につきましては、本年二月に開催した普天間飛行場負担軽減推進会議において、普天間飛行場が移設されるまでの間、同飛行場の危険性の除去を中心とした負担軽減は極めて重要な課題であるとの認識を沖縄県との間で共有するなどしたところであります。
 政府としましては、引き続き、当該会議等を通じて沖縄県の具体的な意向をしっかり確認し、そして具体的な形を追求していきたいと考えております。
#166
○糸数慶子君 時間が参りましたので終わりますけれども、ただ、今の大臣の御答弁、先ほどの防衛大臣の御答弁もございますけれども、やはり県民の負担を軽減する、そして片方には普天間の危険性の除去というふうなことをおっしゃるのであれば、一日も早い普天間基地の閉鎖であり、新しい基地を辺野古に移すということでは県民の思いではないということを申し上げて、そして、沖縄県民も日本の国民であります、米国の軍事基地の方を最優先させるのか県民の命や暮らしを優先させるのか、これからもお伺いをしていきたいと思います。
 終わります。
#167
○委員長(末松信介君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 防衛大臣は御退席いただいて結構でございます。お疲れさまでした。
    ─────────────
#168
○委員長(末松信介君) 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の相互の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とモザンビーク共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とミャンマー連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。岸田外務大臣。
#169
○国務大臣(岸田文雄君) ただいま議題となりました投資の促進及び保護に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、平成十八年十月以来、サウジアラビア政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十五年四月にジッダにおいて、我が方在サウジアラビア大使と先方総合投資院総裁との間でこの協定の署名を行った次第であります。
 この協定は、主に、投資の許可後の投資家及び投資財産の保護を定めております。
 この協定の締結は、我が国とサウジアラビアとの間の投資の増大及び経済関係の更なる緊密化に大いに資するものと期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、投資の相互の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とモザンビーク共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、平成二十四年八月以来、モザンビーク政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十五年六月に横浜において、私と先方企画開発大臣との間でこの協定の署名を行った次第であります。
 この協定は、投資の許可後の投資家及び投資財産の保護に加え、投資の許可段階の内国民待遇等についても定めております。
 この協定の締結は、我が国とモザンビークとの間の投資の増大及び経済関係の更なる緊密化に大いに資するものと期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とミャンマー連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、平成二十四年十二月以来、ミャンマー政府との間でこの協定の交渉を行いました。その結果、平成二十五年十二月に東京において、私と先方国家計画・経済開発大臣との間でこの協定の署名を行った次第であります。
 この協定は、先ほど御説明したモザンビークとの間の協定と同様、投資の許可後の投資家及び投資財産の保護に加え、投資の許可段階の内国民待遇等についても定めております。
 この協定の締結は、我が国とミャンマーとの間の投資の増大及び経済関係の更なる緊密化に大いに資するものと期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、昭和四十七年二月に署名された航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定を改正する議定書を締結するため、ミャンマー政府との間で交渉を行いました。その結果、本年一月にヤンゴンにおいて、我が方在ミャンマー大使と先方運輸省民間航空局長との間でこの議定書の署名を行った次第であります。
 この議定書は、定期航空業務の運営のため、両締約国が指定できる自国の航空企業の数を現行の一から二以上に改めること等につき定めるものです。
 この議定書の締結により、両国間の人的交流及び経済的交流が一層促進されることが期待されます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 以上四件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
#170
○委員長(末松信介君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 四件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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