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2014/05/27 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 内閣委員会 第17号
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2014/05/27 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 内閣委員会 第17号

#1
第186回国会 内閣委員会 第17号
平成二十六年五月二十七日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     堀内 恒夫君     岡田  広君
     三宅 伸吾君     山谷えり子君
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     世耕 弘成君     高橋 克法君
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     浜田 和幸君     荒井 広幸君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         水岡 俊一君
    理 事
                上月 良祐君
                松下 新平君
                芝  博一君
                山下 芳生君
    委 員
                岡田  広君
                鴻池 祥肇君
                佐藤ゆかり君
                山東 昭子君
                高橋 克法君
                福岡 資麿君
                山崎  力君
                山谷えり子君
                大野 元裕君
                神本美恵子君
                蓮   舫君
                秋野 公造君
                江口 克彦君
                荒井 広幸君
                浜田 和幸君
                山本 太郎君
   国務大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    古屋 圭司君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  石原 宏高君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       審議官      塩川実喜夫君
       警察庁刑事局長  栗生 俊一君
       法務大臣官房審
       議官       上冨 敏伸君
       外務大臣官房審
       議官       廣瀬 行成君
       外務大臣官房審
       議官       秋葉 剛男君
       外務大臣官房参
       事官       河野  章君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協
 力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国
 政府との間の協定の実施に関する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(水岡俊一君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、堀内恒夫君、三宅伸吾君及び世耕弘成君が委員を辞任され、その補欠として岡田広君、山谷えり子君及び高橋克法君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(水岡俊一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の実施に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として警察庁長官官房審議官塩川実喜夫君外五名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(水岡俊一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(水岡俊一君) 重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の実施に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○大野元裕君 おはようございます。民主党・新緑風会の大野元裕でございます。
 今日は、PCSCの協定及び実施法に関しまして質問をさせていただきたいと思いますが、その前に一点だけ、公安委員長にもお越しをいただいておりますので、御質問をさせていただきたいと思っております。
 大臣、最近、私、新聞を見ていて感じるんですけれども、警察、たるみが見えているように思われます。この一週間、新聞を見ているだけでも非常にひどい不祥事が連続して起こっております。全てを申し上げるわけにはいかないので、一部、委員の皆様には新聞記事をお配りさせていただきましたが、例えば二十二日の一日だけでも、滋賀県警では科捜研の所長が飲酒運転で事故を起こし、同じ日に神奈川県警では男性の警察官が電車の中で男性に対して痴漢を働くという行為を認め、さらには、兵庫では捜査車両を、捜査車両をですよ、警察官が妨害のためにパンクさせる、こういった事件が相次いでおります。それ以外にも、証拠の隠滅の関連だとか、警棒をなくしたから同僚の警棒を奪ってしまったとか、そんな非常にくだらない事件が連発しています。
 そして、私の埼玉県でも、埼玉県警では、公安委員会の決定がないままに独自の解釈の、あるいは規制に対して誤って約二千四百人を道交法違反で逮捕をしていたという報道がなされました。これ、誤りを認めて反則金を返還するとか罰則点を抹消する等が新聞に出ていましたけれども、これだけでは実は、かかる措置でもちろん迷惑を掛けられた方もおられますし、修正措置の原資というのはこれ税金ですよね。そういったことを考えると、よく言いますけど、謝れば警察は要らない、まさにその地でいっているような私は話ではないかというふうに懸念をしています。
 また、先般のパソコン遠隔操作事件、並べればいっぱいあるんですけど、五人が一応拘束されて、そのうち片山被告以外に二人が自白していたと。これ、警察による自白強要じゃないかと見られても仕方がないような報道だと私は思っています。
 そこで、私は、こういったPCSCの協定もそうなんですが、日本では犯罪とならないものまで情報提供の対象にしようとか、あるいは先般の秘密保護法もそうでしたけれども、政府の情報を守るために、教唆でさえ処罰の対象にするようなことを政府側はしているわけですから、やはり国民に対して、いやいや警察はしっかりと信頼を置けるところだぞということは措置していただかねばならないと思っています。
 そこで、公安委員長、これらの不正事件、起きた以上、民主党政権時代も実は連続して起きたときには抜本的な誤りを直すということをやっていただきました。国家公安委員長の御決意を、是非警察に対する信頼確保という観点からもいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#7
○国務大臣(古屋圭司君) 今、警察官の不祥事あるいは誤認逮捕等、今警察が抱えている問題について、ファクトベースでの御指摘がございました。私も、こういう事件が残念ながら起きてしまった、極めて遺憾でございます。したがって、まずこの誤認逮捕の問題でございますけれども、これについてはやはり新手の犯罪ということは言えると思います。こういった教訓をしっかり生かして今後の捜査の向上、技術の向上に生かしていくということが極めて大切であります。
 特に、サイバー犯罪について、いろいろなところで今スキルアップあるいは人材の育成、部門間の連携強化とか官民の連携推進とか、こういった取組をしておりますけれども、更にこれを加速をして、やはりもう非常に速いペースで犯罪の高度化も進んでいますので、しっかりそれのキャッチアップをしていくということが極めて大切だと思っています。再発防止のためのやっぱり教訓事項というのをしっかり踏まえてやっていく、これがまず一点。
 それからもう一つ、懲戒処分を受けた者の数、一番多かったのがたしか平成十四年に五百六十八人という数字でございまして、そのときにも警察官の不祥事を撲滅しようということでいろんな取組をいたしました。その結果、平成二十一年には二百四十二人に減少しましたけれども、残念ながら二十二年から増加傾向で、二十四年では四百五十八人ということになりました。私も国家公安委員長としてこの問題は極めて問題視をさせていただきまして、やはり国民の信頼と期待に応える強い警察、これをしっかり確立していく必要があると。
 そもそも日本の警察は、例えば刑法犯の検挙率でも世界一ということもあって、そういう資質はあるはずであります。しかし一方では、こういった懲戒処分等の不祥事がこれだけ増えたということで、今その徹底的な取組をさせていただいておりまして、その結果として、二十五年には三百八十九人に減少いたしましたけれども、改善の兆しは若干見えているというところだと思います。
 しかし一方では、今後とも、やはり警察において、幹部の警察官はもちろんでございますけれども、現場の一人一人の警察官に至るまで規律と士気を高めて、やはりそういった気持ちをしっかり持ちながら職務に精励をしてもらうということが、これは基本でございますので、私どもとしても、そういった視点に立って国民の期待と信頼に応える警察になれるように、公安委員長としても警察を徹底的に督励をしていきたいというふうに思っております。
#8
○大野元裕君 是非お願いをしたいんですが、ただ、公安委員長、三百八十九名に減ったという胸を張っていただくところでは私はないと思いますし、一週間のうちにたくさん出たわけですから、ここは是非、国民の信頼というのがやっぱり一番大事ですし、非常にくだらない事件も、低レベルの事件もありますので、是非お願いしたいし、私自身、与党時代に民主党の中の警察PTの事務局長として、とにかく警察のいいところをPRさせていただこうと、悪いところはしっかりと究明しようというスタンスで臨ませていただいたので、これは警察に対する信頼というのは極めて重要で、絶対に失われてはならないものだと思いますので、本当はもう少し突っ込みたいんですが、これでこの話は終わらせていただいて、法案の審議に移らせていただきたいと思います。
 さて、日米間の捜査に関する情報の相互提供につきましては、委員の皆様には、ちょっと小さくて大変恐縮でございますが、表にして、これまで行われてきたいわゆるMLAT、日米刑事共助条約の関係と、それからPCSC協定についての比較を一覧にさせてお配りをさせていただきました。
 つまり、これまでは、指紋情報や人定情報を含めて、少なくとも捜査の情報としては相互にこれを協力し合う、あるいは国際機関を通じてそういったことができるということがこれまでもありました。本協定及び実施法が施行されれば、両国間の情報の提供のうち、指紋の情報やあるいは主として人定情報に関しましてはオンライン等を通じた措置により迅速化をする、さらには、本法案の提案理由にあるとおり、両国の国民の安全が強化され、重大な犯罪を防止し、及び捜査することができるようになる点、これは私も理解をしています。しかしながら、その一方で、これらの情報がより迅速で容易に提供されるということは、国民の個人情報がより簡便な形で提供されるということを意味することも事実です。
 そこで、個人情報が不用意に流出したり、本来の目的以外で国民に不利益がもたらされたり、人権が侵害される、こういったことがもしあるとすれば、それは万全の措置で予防をなされなければならないというふうに思っています。つまり、円滑な法執行、国際協力、さらには国民の人権、これらはバランスが取れた形で政府として責任を持たなければいけないことだと私は思っております。
 ところが、既に安倍政権は、特定秘密保護法案の審議を通じて明らかになりましたけれども、専ら国家の安全保障や行政上の手続を理由に、監査の制度をないがしろにし、国民の人権を軽んじるという政治姿勢を示し、国民の批判を集めたという、これはもう経緯としてそういった経緯がありました。本協定においても、私は、人権に万全な措置をとらなければ、そういった御批判が評価として定着しかねないというふうにすら懸念をしています。
 そこで、まずは国家公安委員長に対して、この警察における捜査協力、法執行、国際協力、さらには国民の人権、これらのバランスが取れるよう、どのようにして警察を管理されるのかをお伺いしたいと思います。
#9
○国務大臣(古屋圭司君) 国民の権利とのバランス、法執行とのバランスをどう取るかという趣旨の質問だと思いますけれども。
 まず、警察法の二条一項に規定がございまして、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、公共の安全と秩序の維持に当たることをその責務とされています。また、二項では、憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することはあってはならないと。こういうことで、もう委員御承知のように、警察法の第二条にそういう規定がされておりまして、警察は常日頃からこの規定をしっかり心に刻んで、人権の保護とそして警察の捜査とのバランスというものをしっかり取りながら警察の職務の執行に努めてきておりますが、私、国家公安委員長として、やはり常々警察活動とそれから人権保護のバランスを取る、極めて重要ですから、やっぱりそういったことをしっかり私自身も強く認識をして、今までも警察庁を督励してまいりましたし、今後とも国家公安委員長としてそういう考え方にのっとって取り組んでいきたいというふうに思っております。
 この協定の運用に当たりましても、やはり両者のバランスをしっかり取って、適正にその運営が確保できるように、国家公安委員会の委員長として警察庁を指導、そして督励をしてまいりたいというふうに考えています。
#10
○大野元裕君 ありがとうございます。
 それでは、そういったその姿勢に従って、当然人権は保護されるべきですけれども、これらが本法、本協定で担保をしっかりとされているかについて審議の中で私も検証させていただきたいと思います。
 その前に、ファクトをちょっと確認したいんですけれども、警察庁にお伺いしますが、いわゆるICPOを通じて、過去に我が国からアメリカに対して提供した情報の件数及びMLAT、先ほど申し上げた日米の刑事共助条約を通じてアメリカ側に捜査情報を提供した件数はどの程度でございましょうか。
#11
○政府参考人(栗生俊一君) お答えいたします。
 平成二十三年から二十五年までの三年間の数字で申し上げます。インターポールルートで米国から指紋情報の照会を求められたのは二件でございます。
 また、法務省によりますと、平成二十二年から二十四年までの三年間において、MLATに基づく米国からの捜査共助受託件数は十一件であると聞いております。
#12
○大野元裕君 そうなんです。今のところ、その程度なんです。
 さらにもう一つお伺いしますが、本協定が定めている目的外使用、あるいは第三国への提供について本協定は定めていますけれども、これは外務省なんでしょうか、具体的にどのようなケースを想定されているのか、教えてください。
#13
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 このPCSC協定におけます目的外使用あるいは第三者、第三国への提供ということについての御質問でございますけれども、この協定の中で第八条というところに規定がございます。第八条、情報の処理に関する制限というところでございますけれども、もう大野委員よく御承知のとおり、この協定は犯罪の捜査のための人定情報等のやり取りをするということになっておりますけれども、相手方、相手国から提供された情報の利用目的を限定しております。第二次照会といって、人定事項などを照会してくるときには……
#14
○大野元裕君 そこは知っています。目的外使用はどういったケースを想定しているのか。
#15
○政府参考人(河野章君) はい。その協定に定める目的以外のところについての使用ということが必要が生じた場合には、そのような利用について相手国に対して、情報提供した国に対して書面により事前の同意を求める必要がございます。また同様に、第三者に開示する必要があるときにも書面による同意というのがなければいけないとなっております。
 このような、どのような場合にこれらの必要性が生じるかということにつきましては実際の運用において個別に判断することになりますけれども、この協定の元々の作りというのは、先生今もおっしゃったとおり、捜査の必要ということとそれから情報の保護ということで、提供される人定情報等の利用については非常にその目的というものを限定しておりまして、その目的外利用についての規定はございますけれども、これは、この規定があることによって目的外使用というものを当然に前提とするというよりも、この協定に定める目的においてのみ情報は使用できて、目的外に使うときには書面による同意が必要であるという、そういう手続を定めたものでありまして、この目的外使用というものがどんどんどんどん起こるということを想定したものではないということを申し上げたいと思います。
#16
○大野元裕君 分かったような分からないような話ですけれども、手続については既に私がここにお配りした中で細かく書かせていただきました。こういった形で書面で要請するとか云々とかという話を書かせていただきました。
 今のお話ですと、済みません、想定はない、どういった形で目的外で利用するのか、第三国に提供するかについてケースを想定していないということでよろしいんでしょうか、改めて教えてください。(発言する者あり)
#17
○委員長(水岡俊一君) 委員長が指名してから御発言ください。河野参事官。
#18
○政府参考人(河野章君) 失礼いたしました。
 ここの目的外の利用のための手続は確かに書いてございますけれども、この協定におきまして提供される情報というのは非常に個人情報という機微なものでありますので、捜査の目的とか本来それを必要とする目的に限定するというのが基本でございます。その中で、もし仮にそういった目的外の利用が必要になってきた場合に書いておるということでありまして、この協定の中で当然にそのような目的外利用があるということを想定して作られておる規定ではございません。
#19
○大野元裕君 ちょっと済みません。そうすると違和感があるんですけれども、この一覧を見ていただくとお分かりになると思うんですけれども、提供の条件で二次照会やあるいは条件付の提供、さらには目的外の利用というときに、これそれぞれその手続が示されています。また、これまでなされている日米の間のMLAT、先ほどから申し上げている国際刑事共助条約に関して言うと、これも簡便ではありますけれども手続が示されています。
 これを実施する法律の方を読むと分かるんですけれども、こちらのMLATは、実は提供する者、責任者は一義的に法務大臣若しくは国家公安委員長がまずその責任を負い、そして指定する者がこれを提供しますけれども、判断は政府が行うことになっています。このPCSC協定も政府が行いますが、実施の法律を見ると全て主語は基本的にこういった判断については警察庁長官でございます。第五条、警察庁長官は、途中を割愛しますけれども、それらの内容について同意するかどうかを決定し、通知すると。全て警察庁長官なんです。
 本来、法のバランスを取るためには、片方側、MLAT側では大臣ですから、こちらでは私も大臣にするべきだと思いますが、しかし、もちろん、具体的なケースが想定できるのであれば、迅速化を図るために警察庁長官でもいいと思いますよ。しかし、公安委員長よく御存じのとおり、警察庁の中には政務はおりませんよね。要するに、公安委員会が管理をするという形で監督をされておられるわけであって、例えば副大臣も、当然政務官もおられないわけです。その全く政務が、つまり政府が本来判断をするべき、しかも、先ほど河野さんはおっしゃいました、とても機微な情報ですとおっしゃいました、それを想定もしていないのに、なぜか手続だけは役所がやる。これちょっと私はよく分からない立て付けになっているというのが正直なところでございます。
 手続定めるのはいいんですよ。手続定めるのはいいんですが、機微であることは分かっている、想定もできていない、しかしながらやるのは警察庁長官、これ私、立て付けとしては少し不思議に思えてならないんですけれども、これは、御印象でもよろしいのですが、公安委員長、ございますでしょうか。
#20
○国務大臣(古屋圭司君) 先ほども答弁させていただいたことにも関連するんですけど、警察法第二条の規定がございますので、人権保護とのバランスを図りながら警察の職務を執行していると、こういう現実ですし、私も警察活動と人権保護のバランスを取ることの重要性を常に認識しながら警察庁を管理しているところでございまして、この法案については、米国からの照会について回答する国内連絡部局を指紋情報等の保有機関である警察庁ということにしていますけれども、米国に提供する情報は証拠として用いるということは前提にしておりませんし、また、警察庁が既に保有している氏名とか生年月日等の事項とか刑事処分の経歴といった情報に限定をされるということなので、先ほど御指摘あったMLATと同列に扱う必要はないのではないかなという印象を持っております。
 国家公安委員会としては、やはり協定の実施状況について必要な報告を常に求めるということを通じて運用の適正が図られるように、警察法に基づき警察庁を適切に管理をしていくと、こういう考え方でおりますので、その管理下で警察庁による同意の運用の適正化を図っていくべきだと、こういうふうに考えています。
#21
○大野元裕君 僕、大臣のことは信じています。ただ、立派な大臣であればいいんですけれども、もちろんいろんな方おられて、制度的担保が私は必要だという話でお伺いをしているんですけれども、実は、事前のレクで以前お伺いしたんですけれども、目的外使用をあえて言えば、裁判における使用を目的とするようなケースが考えられますねと言ったんですが、大臣、今、証拠としては採用されない、証拠としては前提としていない、しかし、目的外使用では裁判を前提としているというお話を伺っていますので、裁判で取り上げられるものは私は証拠というんだろうというふうに私は考えておりますので、ちょっとそこのところは理解の相違がありますが。
 しかし、いずれにせよ、これ裁判で日米でもしも使用される証拠につきましては、手続として、先ほどから取り上げているMLATの方で規定をされています。ところがこのMLATは、先ほど申し上げたとおり、法務大臣が責任を負っております。本協定、こちら側によって知り得た情報が裁判で利用されるという場合は、これ私、改めて法務大臣が判断をするべきではないかというふうに思うんです。つまり、証拠として採用されて、それが裁判で利用される場合には。
 これ法務省にお伺いしますけれども、PCSCを基に提供されたとしても、目的外使用で裁判で取り扱われるときには改めてMLATの方で手続に法務大臣の関与を得てやるということでよろしいんでしょうか。
#22
○政府参考人(上冨敏伸君) 御指摘のとおり、日米刑事共助条約に基づいて米国から共助要請があった場合、法務大臣におきまして同条約三条の政治犯罪性等の拒否事由の有無を判断して共助要請に応じるか否かを決定しております。
 一方、当局といたしましては、実施法案第四条に基づいて提供される追加情報の、その目的外使用に関しまして、必ずしも法務大臣が同意をするか否かを判断しなければならないものとは認識しておりません。同意の判断主体、判断手続等につきましては、本協定及び実施法案の趣旨、目的等に照らして定められるものであると考えておりますので、その具体的な在り方につきましては、本協定及び実施法案を所管していない当局においてはお答えする立場にはございません。
#23
○大野元裕君 そのとおりなんです。法務大臣、大臣が政務としてしっかり責任を持っているところで、入口としてMLATで来たものについては法務省が責任を持たれる。裁判でも使われる。これはよろしいですよね。そして、PCSCの方で目的外利用で裁判で行われるときには、何の政務のいわゆる責任も経ないで、法務大臣と本当は同じものであっても、法務省の方から行くべきルートであっても、これ実は法務大臣に必ずしも同意を求めるわけではない。つまり、入口によって実は変わってしまうんですね。その制度的な担保がこちらではなされていないんですよ。
 法務省の方からおっしゃったとおり、本法案の趣旨に基づき云々という話がありましたけれども、だからこそ、この本法案の担保のところが私はちょっと危ないんじゃないかというのが正直なところで、大臣が一番最初に冒頭におっしゃったとおり、人権に対して配慮をする、そこはしっかり国家公安委員長として見ていく、であれば、私、これは制度的に問題があると、これが私の個人的な問題意識、一番大きな問題意識であります。
 例えば、そうであれば、本協定から来る場合にも、いわゆる二次情報、指紋情報が自動でやり取りされます、二次情報が照会されます。目的外使用を求められたときには、私は、少なくとも、これは協定に直接関係あるわけではないので、法務大臣の意見を求める、あるいは政務がしっかりと監督していくというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
#24
○国務大臣(古屋圭司君) 私も先ほど答弁申し上げましたとおり、警察法の二条がございますので、やっぱり個人の生命とか身体、財産の保護、一方では警察の捜査、このバランスをしっかり取ると。もちろん、第二項では憲法の遵守義務も入っておりますので、しっかりそれを認識して取り組んでいくということが大前提でございますので、そういう考え方からすると、この協定の趣旨と、それから、法律の実際の運用に当たっても、必ずしも法務大臣の今御指摘のような助力を得なくても、国家公安委員会と警察庁においてその適正な運用を確保できるというふうに私は考えておりまして、そのように国家公安委員長としてもしていきたいというふうに考えています。
#25
○大野元裕君 いや、大臣は私、大変人がいいんだと思います。性善説でお考えなんだと思います。
 制度的担保というのは、これが機微な情報だからこそ、最悪の場合になってもやはりそこを担保する、あるいは、警察庁の信頼を国民から得るためには、こういう制度ができていますよということを持っていかないと、これ別に、先ほど申し上げた、一番最初に取り上げた形で、警察庁がひどいと言っているわけじゃないんです。ほとんどの人たちは一生懸命やっていらっしゃいますから、それは私もよく存じ上げているので。ただ、制度的な担保として国民にお示しをしないと分からぬということで、先ほど二条のお話をいただきましたけれども、先ほど申し上げたとおり、MLATは法務大臣が責任を持つんです。法案に書かれているんです。国家公安委員長は、法案においては少なくともこれ、法の中での制度的担保はなされていないというふうに私は理解をしているんです。だからこそ、運用においてとおっしゃいますけれども、性善説ではそのとおりだと思います。
 しかし、性悪の大臣がいるとは言いませんけれども、あるいは性悪の警察官がいるとは言いませんけれども、やはり本協定の実施に際しても、本来、警察庁の長官は法執行だとか日米の警察当局の協力を円滑に進めようとか、どうしてもそういったことが先に、優秀な官僚であればあるほど、そういうふうにお思いになるんだと私は思いますよ。
 そうだとすると、バランスの取れた形、つまり、先ほども一番最初に申し上げました、法執行、国際協力、人権への配慮、こういったものをバランスを取っていくためには、一般論ではよく分かりますけれども、この法律において制度的な担保をするべき、若しくはMLATでそういうことになっていますから、法務大臣若しくは国家公安委員長が絡むことになっていますから、そこはバランスを欠くような状況であってはならないし、同じ結論として、ルートが違うだけで証拠になるとすれば、やはりそこは同じように制度的な担保を政務として負うというのが法律の責務ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#26
○国務大臣(古屋圭司君) 今、私ども警察の国家公安委員会制度とほかの省庁のシステムの差のようなものを御指摘いただいていると思うんですが、警察法というのは、あえて、ほかの省庁のように言わば通常の大臣制じゃないんですよね。いわゆる公安委員会制度を採用して、どういう方が公安委員長になってもその中立性を担保するという立て付けになって警察を管理運営することになっておりますので、法務省とはやはり警察というのは異なりまして、この公安委員会がしっかりとした管理をするということによってこの協定の運用を図っていくということに尽きると思います。
 この考え方はもうずっと公安委員会制度ができてからの長年の伝統と確立されたものでございますので、私もそういう考え方にのっとって、国家公安委員長として対応していきたいというふうに考えております。
#27
○大野元裕君 不十分な御答弁だと私は思います。
 国家公安委員会の制度の改革について、パンドラの箱を開けるようなまねを私はするつもりはありません。ただ、そういう議論をされるのであればそういうことを言ってもいいんですけれども、私が言っているのは法的な担保。
 実は、具体的に申し上げましょう。例えば、本協定では、私の理解によれば、第一ではオンラインで迅速に捜査協力を進めましょう、二番目に、それに基づく二次照会として必要な場合には人定事項等を提供するということを定めています、第三に、目的外の利用あるいは第三国への提供の規定というものを三段階ぐらいで定めているんだと私は理解をしています。もちろん、全てにおいて国家公安委員会が全部一々見ろということをやったら、迅速化という目的から離れてしまいますから、そんなことを私は申し上げるつもりはありません。しかしながら、最後の、なかなか想定ができない、しかしながら機微な問題だよというふうに河野さんもおっしゃられたような、いわゆる目的外使用や第三国の提供に対する同意という第三番目の点については、少なくともそこだけは政治が関与するべき。
 しかし、国家公安委員会が独立して、しかも委員長としてではなくて国家公安委員会として、いわゆる様々な皆様の御意見もいただいた上で様々な管理をされるということであれば、委員会ですから、そこのマンデートとして担保するためには、こちらの実施法なり、あるいは様々な形で、ほかの法律かも、警察法かもしれませんけれども、そういったところで、国民の人権を守るという、あと警察のいわゆる信頼を確保するという両方の観点からも、第三国への提供や目的外利用の判断のところでは、一番最後のところだけは国家公安委員長が関与するような制度的担保をすることが、公安委員長がおっしゃっている、一生懸命管理します、誠実に適正にやりますということを国民に対してもきちんと裏打ちをすることになるのではないかと思いますけれども、それができないという、それは適切でないとされる理由は、改めて教えていただければと思っています。
#28
○国務大臣(古屋圭司君) 警察法上、警察庁長官は国家公安委員会の一般的管理に服しているということを鑑みますと、委員が御指摘をされている言わば目的外利用とか、第三者への提供のみに係る同意のみを取り上げて国家公安委員会の関与を法律上の要件等とするということについては、私はある意味で慎重な検討が必要であるというふうには考えていますけれども。
 一方、国家公安委員会としては、協定の実施状況について必要な報告を求めることができますので、現実にそういう必要な報告を求めて運用の適正を図っていく、こういう対応をすべきだと思いますし、私としてもそういう考え方にのっとって警察庁をしっかり指導監督をしていく、これが国家公安委員長としての責務であるというふうに考えております。
#29
○大野元裕君 委員長、実は私が一番最初にこの件疑問に抱いたのは、事前の警察庁のレクで、どういう形で公安委員会に承認を求める、あるいは報告するんだと、こういう話を聞いたときに、その件数、第三国への提供や目的外利用の同意についてはその件数については報告をするつもりがありますという話が一番最初なんですよ。
 今、報告を受けるというお話がございました。しかし、先ほどから言っているように、人定事項のような非常に機微な事項です。そして、MLATで定められているのとバランスが取れていません。なおかつ、第三国の提供については、アメリカはファイブアイズのように英語をしゃべる国々との間で情報の交換提供を持っている。そういった様々な環境に鑑みれば、私は、単に件数の報告だけでいいのかどうかというのは疑問だと思っています。
 だからこそ、実は当初は、上月理事にも大変御苦労をいただきましたけれども、修正法案を出させていただこうと思ったんです。そこについては担保する、あるいは、この全部警察庁長官と書いてある主語、ここのところを何とかしなきゃいけないと思ったんです。ただ、与党側から芳しい反応はいただけなかったと、これが正直なところでございます。そこで、我が党としては、先ほど理事会でも諮っていただきましたけれども、とにかくこれ何もなしで通すというのはちょっと厳しいなと思って、そこについては、附帯決議を百歩譲ってお願いをさせていただくという形にしたんです。
 公安委員長、例えばですけれども、これ、今の段階でこれを修正するというのはなかなか難しい、若しくはお約束されるというのはなかなか難しいとしても、例えばですけれども、本法案の実施後、先ほどのMLAT何件でもありました、件数程度かもしれません、あるいは、詳細を御承知になりたくて公安委員会からより具体的な説明を求められるかもしれませんが、そういった履行の状況を、実施の状況を見た上で、少なくとも、この第三国提供やあるいは目的外使用、想定されていないという話もありました。想定されていないことがあるかどうかも含めて、そういった状況を見て、その後、公安委員会の事前の承認を得るような法的な措置を含めて判断されるというのは私は考えてもいい、べきだと思っていますけれども、いかがでございましょうか。
#30
○国務大臣(古屋圭司君) まず、国家公安委員会としては、やはり警察法に基づく管理の下で適切な運用を図るということはもう当然のことでございますけれども、今御指摘いただいたように、運用開始後一定の期間を見ながら、当該同意の件数であるとか、あるいは内容の状況を踏まえて、必要があるというふうに認められる場合は更なる運用の適正化への措置を講じていくということも、これは検討するということもあり得るんでしょうね。そういう認識でおります。
#31
○大野元裕君 前向きな御答弁ありがとうございます。私も前向きに話をさせていただいているつもりでございます。
 と申し上げますのは、これ、国家公安委員長はよく警察のことを御存じなのでそこはもう当然お分かりだろうと思いますけれども、国民の側から見ると、どうしても警察は、法執行機関であるがために様々な情報が出てこない、あるいは一旦その法律を定めてしまうと見えないというのは、これはもう一般論として、状況としてあります。
 だとすれば、やはり、先ほど来何度も申し上げているとおり、警察が信頼をしっかりと持つ、あるいはこの法律を読んでいても幾つか疑問を抱かざるを得ないところがあるんですが、そういったものだからこそ、今おっしゃったような是非とも前向きな改善措置というものを公安委員長主導でお願いをさせていただきたいし、我々野党もそこは協力をさせていただきたいと思っています。
 ちょっと、じゃ、質問を変えさせていただきたいというふうに思います。
 MLATと先ほどの比較を一覧でお示しをさせていただきました。この中に除外の事項が幾つか定められています。MLATにおいては、もちろんこれ情報と捜査の関連するものということで対象が違いますけれども、一つは、大きく分けると、政治犯罪に関連すると認める場合、これは除外をされる。そしてもう一つは、自国の安全その他の重要な利益が害されるおそれがあると認める場合にはこれは除外をされています。他方でPCSCの方では、今議題になっているPCSCでは、政治犯罪であると認める行為の防止、探知又は捜査に関する場合ということで、自国の安全その他の重要な利益を害されるおそれというのは抜けています。
 これはどうして、こちらでは、片っ方では入っていて片っ方では入っていないのかを教えていただきたいと思います。これ外務省でしょうか。
#32
○政府参考人(秋葉剛男君) お答えいたします。
 今先生御指摘のとおり、MLATにおきましては、まずは共助を実施することを原則としております、第一条でして。で、自国の安全その他云々という、そういった場合など共助を拒否することができる場合を列挙していると、そういう構造になってございます。
 PCSC協定では、照会国が政治犯罪について照会できない旨はまず規定した上で、一方、先生御指摘の、自国の安全その他の重要な利益が害されるおそれがあるか等につきましては被照会国が判断すべきものであることから、この協定においては追加的な情報の要請に対しまして被照会国が自国の法令に従って情報を提供すると書いてございます。
 この点を受けまして、実施法案におきましても、要請の目的に照らして必要かつ適当であると認められるものを提供することができると規定してございます、これが法案の第四条第一項でございますが。そういたしますと、自国の安全その他の重要な利益を害するおそれがあると認められるような情報を提供する必要はないと断言できるわけでございます。すなわち、提供を拒否できるということになります。
 なお、PCSC協定及び実施法案の下で、我が国が第二次照会において米国に提供する情報というのは、氏名などの人定事項、犯罪経歴、指紋の採取に関する事項に限られております。こうした限定的な情報を提供することにより、自国の安全その他の重要な利害が害されることは想定し難いという大前提があります。その上で、先ほど説明しました構造になっておるという次第でございます。
#33
○大野元裕君 確かに、情報が限定されている、それは私も、おっしゃるとおりで、人定事項等だと思っています。そのとおりだと思っています。
 しかし、実はMLATと違うのは、この協定の中で、二次情報について、附属書の中に三年以上の刑罰や一年から三年の刑罰に該当するものについては三十四項あって、これについては自動的に目的外に利用できることになっているんです。先ほどから、その目的外利用や第三国への提供は同意が必要だというのから除外されている、つまり、範囲が狭いけれどもいわゆる自動で目的外利用できるところは広い、これがこの法律の特徴だと私は思っています。
 三十四のこれ除外事項とか見てくると、日本では犯罪じゃないものも含まれています。それだけではなくて、今、想定できないという話もありましたけれども、例えばですけれども、相手国の同意がなくても目的外の利用できるような情報を提供するときに、仮にですけれども、傷害でも殺人でもいいですが、そういった容疑がある、そしてアメリカから情報の提供を求められた。そのときに、既に国内で報道などがされていて、これ例えば特許法の侵害なんかも自動で提供できる目的外の使用の中に入っちゃっているんです。すると、この人が何らかの利益に絡んだ事件でそういったことを起こした、あるいは特許なんかの形みたいに我が国の企業が損益を被るようなことがある。ところが、それを分かっていながら、報道等がなされていながら、これを提供する。そうすると、これはその殺人事件なり傷害事件以外の特許のいわゆる侵害についても、外国でこれを使われて人定事項が特定されるとか、そういったケースは必ずしも私、想定できないと今おっしゃいましたが、想定できないとまで断言するのは少し尚早だと思っています。
 だとすると、これらの我が国企業や個人の利害が侵害されるようなおそれがあるような場合、二次情報の提供に当たっても、こんな懸念が生じるときには、例えば担当官庁である警察庁が外務省に対してというのはありますけれども、それ以外の例えば経産省とかそういったところに対して意見を求めることが私は適当ではないかというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
#34
○国務大臣(古屋圭司君) 第二次照会で回答するのは、本法案において警察庁が既に保有をしている氏名とか生年月日の人定事項とか刑事処分の経歴といった情報に限定をしておりますので、これらを目的外利用として裁判において証拠に用いることは余り通常は考えにくいとは思いますけれども、一方、二次照会の回答は、この協定第五条二項の規定により国内法で定められる範囲内で行われることとされておりますので、これを受けて、この法案では、必要かつ適当と認められると判断した情報に限りこれを提供することができるというふうな法律の立て付けになっています。
 したがって、米国に提供した情報が、協定八条の規定による目的外利用によって我が国の安全その他重要な利益が害される、こういうことが認められる場合には、必要に応じ関係省庁に相談をするなどして、その提供しようとしている情報が必要かつ適当と認められるのかどうかについて慎重に判断をするように警察庁をしっかり指導をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
#35
○大野元裕君 そのとおりなんです。
 ただ、先ほど申し上げたように、MLATには我が国の安全その他の重要な利益というところが入っているけれども、こっちは入っていないんですよ。だから聞いたんです。入っていれば当然そうだと思います。今大臣がおっしゃったのは、とても大事なポイントだと思います。
 だからこそ、これさっきから制度的担保と言っていますが、法律ですから、片っ方はわざわざ入っているのに、わざわざ抜いているんです、これ。確かに人定条項のような、狭いというのは分かります。しかしながら、自動で行く部分も広がっている。こちらは、片っ方にはあるけれどもこっちにはない、だから質問したんです。
 大臣が一生懸命やっていただくのはいいんですけれども、やはり制度的担保は、僕もう一度これ見直す法律じゃないかなと個人的には思っておりますが、時間もちょっと限られているので、もしその点について簡単にコメントがあればお願いいたします、大臣。
#36
○国務大臣(古屋圭司君) 先ほど来答弁をさせていただいたとおり対応させていただきたいと思っております。
#37
○大野元裕君 是非、制度的にもう一度私は見直していただくようなきっかけがどこかであればなというふうに思っております。
 時間が、済みません、限られているので、最後の質問をさせていただきます。
 大臣、先ほど大変重要なことをもう一度おっしゃいました。既に保有している指紋情報や人定情報、こういったものが対象であるとおっしゃっておられました。これが、指紋情報はオンラインで行くわけですよね。これはまあ自動的に回答をされるということになっています。そして、二次情報、これが次に判断をして提供される、まあ先ほど申し上げたとおりですが。この対象については、実は少年法によって保護処分等を受けた者、あるいは捜査中の人、さらには公判中の者、こういった方々も含まれています。提供されるんですね、情報が。これは、情報の提供、この協定の取決めに従ってそういったことになっているんだろうと思います。
 ただ、これらの方々を、犯罪者と同じように、確かに情報は入っています、警察庁持っていらっしゃるんでしょう、一概に対象にするということは、一般論で言うと違和感もあるのではないかと私は感じています。特に懸念されているのは、確かに情報が求められたときは公判中だった、拘束されていた、あるいは指紋取られた、人定事項を持たれた、それ提供された、しかしながらその後、確定判決で無罪が出た、こういった場合には、しかしながら被疑者として指紋を取られている、それはそれでよろしいですよね。
 そうだとすると、これ、協定第十条、これそのまま反映をしていいかどうか私分かりませんけれども、これらのその提供した情報が不正確又は信頼できないものであることを知った場合には、当該情報の訂正、削除、不開示等の適切な措置をとるということが一応第十条には入っています。
 しかしながら、今聞いた範囲、これまでのお伺いしている範囲では、提供された情報が被疑者として提供されて、無罪になってもそれはそのまま残ってしまう、しかも目的外利用等も含めて懸念も残る。こういったところで考えると、被疑者が確定判決で無罪となった場合、その場合には、相手国に対して通知をし、必要であれば削除を求める、あるいは我が方としてはその方について目的外使用や第三国への提供のもし照会があった場合には拒否をする、こういった方針というものは大臣のところでしっかり定めていただくべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#38
○国務大臣(古屋圭司君) まず、法律上は、無罪判決が確定した場合であっても、その逮捕とか捜査方法に瑕疵がなければ指紋の採取が直ちに違法というものではないということになっていますね。
 一方では、例えば誤認逮捕のようなものがあって、捜査手続に瑕疵があった場合など、言わば必要かつ相当と認められる場合においては、この協定十条、今御指摘いただいた十条の規定に基づいてアメリカに対してその旨を通知をする、こういった慎重な運用を努めていくべきだというふうに考えています。
#39
○大野元裕君 もう一度申し上げますけど、私は削除を求めるべきだと思います。一番最初にも申し上げたとおり、こういった事例が、五人が拘束されて二人が今拘束されている片山被告以外に認めて、いろいろ中身が正しいかどうかは私には分かりませんけれども、しかし、こういう状況がやはりある以上、まあ時には間違いはあるでしょう、しかしながら、それが誤認逮捕だと分かった、無実だと分かったときには、不利益を被るようなことについてはしっかりとやはり回復をしなければならないのは、私は警察の、あるいは公安委員長の務めではないかというふうに思っております。
 それについて、最後、コメントを求めるとともに、我が党といたしましては、これらの懸念はありますが、この法律をそのまま通すのではなくて、しっかりと附帯を付けることによって善処を将来において求めることをお願いをして私の質問を終わりますが、最後、いま一度、是非……。
 済みません、私、大臣に聞いておりますので。今の話について、先ほど申し上げたとおり、こういった状況がある以上、やはり権利を回復する、あるいは不利益にならないといったことについての、最後、大臣からのお話をお伺いをして、私の質問を終わらせていただきます。
#40
○国務大臣(古屋圭司君) 今、十条の話ししましたけど、十条二項に不開示等の適切な措置をとると書いてありますので、しっかりこの法案の中身を反映した形の対応をしていくということも心得て取り組んでいきたいというふうに思っています。
#41
○大野元裕君 終わります。
#42
○浜田和幸君 新党改革・無所属の会の浜田です。
 重大な犯罪を防止し、これと戦う上での日米の協力というのは大変重要な課題だと思いますが、アメリカと日本だけで重大な犯罪に立ち向かうことができるのかどうか。やはり、これだけ世界がグローバルに結び付いている、サイバーテロにしても金融犯罪にしても、アメリカや日本が舞台になっていることは多いでしょうけれども、しかし、そのテロリスト、犯罪を起こそうとしているそういう個人なり集団というのは元々世界中に散らばっているわけですから、今回のようなPCSC協定、同じような目的の協定というのはほかの国々ともグローバルに結び合って対策を講じるということも必要ではないかと思うんですけれども、今後の見通しとして、公安委員長、今、外務省、どういうお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#43
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 この協定、委員御指摘のとおり、テロなどの重大な犯罪の防止あるいは探知及び捜査のための情報を交換する新たな枠組みを設定するものでございます。我が国にとりまして、日米間の査証免除制度を維持するという観点から重要であるんですけれども、それのみならず、委員御指摘のとおり、テロといった重大な犯罪から国民を守るという観点からも有意義であると考えております。
 アメリカ以外とも必要ではないかという御指摘でございますが、これは先ほどの質疑でもありましたけれども、自動照会のシステムをつくるという非常に新しいこれまで我々の結んだことのない内容を持っておる協定でございますので、今般初めてとなりますアメリカとの間の協定というものを運用して、その実績を見ながら、今後のほかの国との必要性というものについて検討をしていきたいと考えております。
#44
○浜田和幸君 是非、アメリカとの間でそういう照合のシステム、オンラインで統合していくというわけですから、それに基づいてほかの国々との間もそういう情報が共有できるような、そういうことがテロリストに対するあるいは犯罪組織に対する抑止力にもなると思いますので、是非将来的にはそういう方向も考えていただきたいと思います。
 その意味で、照合用の電子計算機のシステムですね、これ、アメリカのFBIと警察の方で新しい統合システムをこれから開発することになると思うんですけれども、この新しい照合用の電子計算機のシステム、この構築、これどうやってやるのか、どのようなタイムスケジュールで。
 また、最近、サイバーテロ、様々な形でネット上の安全性というものが懸念材料になっているんですけれども、サイバー攻撃に対する対応といったことは、どういうようなことをアメリカFBIとの間で情報共有ができているのか、今のFBIと対応するような形の統合システムが警察の内部だけの知見というのか、人材あるいは財政、資金の中でできるものかどうか、その辺りについての考えをお聞かせいただきたいと思います。
#45
○政府参考人(栗生俊一君) お答えいたします。
 二点ほど御質問いただいたかと思います。
 まず、御下問の協定を実施するためのシステム、この構築のために米側と協議することになる、おっしゃるとおりでございます。この期間、どれぐらい要するのかということでございます。これにつきましては、まずは協定の国会承認、そして法律の成立になった暁に、日米間で自動指紋識別システムや通信回線の仕様などに関する協議を行います。現時点でこの協議にどの程度の時間が、期間が掛かるのかというのはちょっと申し上げることは困難でございますけれども、いずれにいたしましても、二〇二〇年のオリンピックまでには間に合うようにスケジュール感を持って進めてまいりたいと思っております。
 次に、二点目の御下問と理解いたしますけれども、このシステムの安全性の確保をどのように対応していくのかという点でございます。
 情報セキュリティーにつきましては、まず、政府の統一基準や運用指針がございます。この指針や基準に沿いまして警察におきましては警察情報セキュリティポリシーというものを定めまして、一つ目に、システムの整備、運用等の責任者をそれぞれ設置するなど組織体制を整備する、二つ目に、情報の機密性の程度に応じた利用の制限を掛ける、三つ目に、情報セキュリティーの要件を満たした情報システムの設計を行うなどの取組を行うとともに、情勢の変化に応じて随時情報セキュリティポリシーの見直しを図っております。
 このほか、個別のセキュリティー上の問題を認知した場合には、内閣官房情報セキュリティセンターと情報共有を図るなどいたしまして、情報セキュリティー対策に十分配意することとしております。
 このような基本的な立場に沿って米側と調整をしてまいりたいと考えております。
#46
○浜田和幸君 今、二〇二〇年の東京オリンピックまでにはということでしたけれども、まだ六年以上、じゃ時間が掛かるということですよね。
 しかし、目の前では、様々なサイバー犯罪やテロがもたらす脅威、もう目の前に迫っている脅威に対して、これはちょっと、まあ考え方としては、安全なシステムを構築するのに時間が掛かる、FBIと警察庁がシステムを統合するには様々な課題もあるかと思いますけれども、もう少しスピードアップしていくことが必要ではないか。やはり、オリンピックまでにということではなくて、一日も早く日米間でそういう協力体制をつくっていくということが極めて重要だと思うんですけれども、そのスピード感についてはもう少しスピードアップするという、確かに国会での審議とかそれはありますけれども、目の前に様々な課題が起こっていることは間違いないんですから、その辺り、古屋委員長のお考え、あるいは外務省のお考え、各国との連携という形でどういうような対応が必要か、お考えをお聞かせください。
#47
○国務大臣(古屋圭司君) 今委員御指摘のように、やはりオリンピック・パラリンピック、二〇二〇年でございますので、今局長からそれに間に合うようにと、こういう答弁をさせていただきましたが、やはりまず米国と日本と協定をして詰めていかなきゃいけないんですね。その後は、じゃ、協定がある程度まとまったら、次は、じゃ、どういうシステムをつくっていく、もちろんセキュリティーのことも徹底的に対策をしていかなきゃいけない。だから、それにどれぐらいの時間が掛かるかということを今からぴしっとロードマップを、はっきりしたものを作り切るというのはなかなか難しいかなと思うんですが、基本的には、私はできるだけスピード感を持って対応すべしということで今警察庁にも指示をさせていただいております。
 ただし、協定については、米国の事情もありますので、どれぐらいのスピード感になるかは、これは私らが言うのはちょっと控えさせていただきたいというふうに思います。
 いずれにしても、できるだけ早い時期に完成をさせるということが必要だというふうに思います。
#48
○浜田和幸君 ありがとうございます。
 やはりその重大な犯罪というのは、先ほど大野委員からも指摘がありましたように、この附属書Tに見ても三十四の類型、その三十四の類型を見ると、これなかなか、テロリズムあるいはテロに関連する犯罪、こういうのはよく分かるんですけれども、拷問ですとか児童ポルノですとかコンピューター犯罪とか環境に係る犯罪、大変幅が広いという感じがするんですね。
 こういう分類に従って、日米間でその情報を共有するということについて具体的に、じゃコンピューター犯罪というけれども、一体どういうことを想定して日米間で協議をこれからしていくのか、その辺りの具体的な事前の打合せというのか、脅威に対する定義のすり合わせというようなものは日米間で既に行われているのか、その辺りの現状、またアメリカが日本以外の国々と似たような協定をもう既に発効させているんですけれども、そういう日本以外の国の場合と、日本とアメリカとの場合、何か違いがあるのかどうか、その点についてお聞かせください。
#49
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 この協定が対象としているその犯罪というものが何であるか、それが、アメリカがほかの国と結んでいる協定との間での違いは何であるかという御質問かと理解いたしました。
 このPCSC協定におきまして、重大な犯罪というものがその情報交換の対象となるわけでございますけれども、この協定におきましても、先生も御覧いただいたとおり、二つのカテゴリーに分けてございます。附属書におきまして、死刑、無期又は長期三年以上の拘禁刑に当たる犯罪、それは、まあまあすべからくということになります。それから、長期三年未満一年超の拘禁刑に当たる犯罪については、先ほど御指摘のありました三十四の類型というところに限定しておるところでございます。これは、附属書Tに掲げる犯罪の類型、今ちょっと幾つか御指摘いただきましたけれども、それは日米両国とも重大な犯罪として認め得るものを確認して列挙したものでございます。
 この協定、既に委員も御承知のとおり、犯罪の捜査における協力という要請と、それから個人情報の保護という要請と、その両方を満たす、そのバランスを取るというところがこの協定の眼目となるというふうに思っておりますけれども、そのような観点から、その対象となる犯罪というものが無限定に広がると、それは余りよろしくないだろうと。そういう観点から長期三年未満一年超の拘禁刑に当たるものにつきましては、三十四の類型に限定いたしまして、例えば、それに該当するような犯罪で、今後米国が何か新しい立法を行ったというような場合であっても、この類型に該当しなければこの協定の対象としては入ってこない、そういう意味で、この協定の対象というものを限定するというふうな効果がございます。
 ほかの国の協定との差ということになるんですけれども、アメリカがほかの結んでおります同様の協定におきましては、通常一年を超える拘禁刑に当たるものについてはすべからく対象にするというふうになっておるものがほとんどだというふうに理解しておりまして、日本の場合には、ここにつきまして限定を加えたということでございます。
#50
○浜田和幸君 ありがとうございます。
 それで、具体的には治安維持という観点から申しますと、やっぱり今御答弁いただいた外務省あるいは警察、法務省、それ以外にも海上保安庁ですとか、あるいは麻薬取締りということでは厚労省とか、そういうところのやっぱり一体的な情報の共有、対策の連携ということが必要になってくると思うんですけれども、今回の協定を進めるに当たって、そういう警察、外務以外の省庁との連携の在り方、これについては何か検討が進んでいるんでしょうか。
#51
○政府参考人(栗生俊一君) 大変重要な御指摘をいただきました。
 現在、インターポールというものがございまして、警察庁がその日本の窓口になっておるわけでございますが、海上保安庁や厚生労働省の麻薬取締り部門もインターポールを通じて米国に照会をする場合には、米国でなくてもそうなんですが、警察庁が窓口となるなど積極的に協力をしているところでございます。
 この協定におきましても、これらの捜査機関が重大な犯罪の捜査等のため対象者の人定等を把握したいといった場合には、警察庁が国内連絡部局として必要な協力をしていくこととしております。
#52
○浜田和幸君 是非、やっぱり東京オリンピック・パラリンピック、これは世界が注目する大イベントですから、テロあるいは様々な犯罪から自由なそういう競技、そのためには今回の仕組みはとても重要だと思うんですね。
 そういった観点で、最後の質問になりますけれども、やはりこれまで犯罪を犯した個人の指紋ですとかそういう情報以外に、やはり予防という観点から鑑みますと、怪しい動き、そういうことに対してもお互いに各国の間で情報を共有する、そういうことも必要になると思うんですね。要するに、監視、モニターしていく。そういう意味での犯罪を予防する観点からの情報の収集とかそういった共有、そういう意味では指紋情報だけでなくて、前回もこの委員会で古屋委員長と意見交換しましたけれども、DNA、要するに犯罪を起こす傾向が極めて高いような、そういう場合だってあるわけですね。そういうことに関する将来的なこの情報の意味付けというか諸外国との共有、そして、最終的な安全な社会をつくっていくという意味で、今回の協定をどういう形で意義付けようとしているのか、委員長のお考えをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#53
○国務大臣(古屋圭司君) 委員御指摘のように、やはりオリンピック・パラリンピックは、これ選ばれた理由は世界一安全な国という評価で選ばれていますので、やはりそれをしっかり名実共に実現をしていく、そのために、この協定の運用をできるだけ早くしていくという必要があろうと。
 今、指紋でございますが、DNAのことについてお問合せがありましたけれども、現時点でそのDNAも共有するという考え方は今持っておりません。あくまでも指紋というところで対応の徹底をしていきたいというふうに思っています。
#54
○浜田和幸君 以上で終わります。
#55
○秋野公造君 公明党の秋野公造でございます。お役に立てますよう質疑をいたします。
 本実施法案ですけれども、日米査証免除制度の維持と迅速な情報交換を通じた重大な犯罪の防止、捜査が本協定の目的ということでありますが、現在、どのくらいの人がこの日米査証免除制度を利用しているのか、この制度によって我が国にもたらされている恩恵がどうであるかということをまず確認をしたいと思います。
#56
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 我が国と米国との間の査証免除の制度というのは、これは相手国の発給する旅券を所持する相手国民が観光、商用等を目的として、九十日以内の短期滞在のために自国を訪問する場合に相互に査証を免除すると、こういう仕組みでございます。
 私どもが持っております統計で、二〇一二年に米国に渡航した日本人、これが総数で約四百十万人いらっしゃいます。このうち約三百万人が日米間の査証免除制度を利用されました。同じ二〇一二年に日本に渡航してこられた米国人、これが全体で約七十五万人でございましたが、このうち約六十五万人が日米間の査証免除制度というものを利用しておられます。
 この査証免除制度というのは、日米双方の観光客の増加でありますとか、あるいはビジネス面での利便性の向上といった効果をもたらすものでございまして、日米間の人的交流あるいは経済関係、さらには相互理解と、そういったものを促進する上で極めて重要な役割を果たしておると、このように考えております。
#57
○秋野公造君 非常に多くの方がこの制度を利用している、メリットも多いということでありますが、この協定がなければ、この日米査証免除制度というのは維持をされないということになってしまうのでしょうか。維持をされなかった場合の悪影響について伺いたいと思います。
#58
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 このPCSC協定の締結というものは、アメリカの国内法上の要請に基づくものとなっております。これは、いわゆる九・一一が発生しまして以降、米国の中で様々な見直しが行われ、査証免除プログラムを持っている国との間においては、この協定で規定するような情報共有の枠組みを設けなさいと、こういったことが米国の国内法の要請として出てきたわけでございます。
 そのような経緯に基づくものでありますので、国内法上の要請があるということ、それから、同じように我が国を含めて査証免除プログラムに参加している国、これは三十七か国と一地域というふうに承知しておりますけれども、これらの国・地域は全てPCSC協定を署名又は締結しております。
 こういったことを踏まえますと、この協定なしにはアメリカとの間で査証免除のプログラムを維持するということは不可能というふうに考えております。
 これがなくなった場合の影響ということでございますけれども、例えば、卑近な例でございますけれども、米国の査証というものを取得するためには、商用、観光目的の場合、手数料として百六十ドル掛かります。これが、皆さんにお願いすることになる場合には、それぞれの方が支払わなければいけないということになります。また、基本的に、事前に予約をした上でアメリカの大使館又は領事館に行って面接を受けなければいけない、こういった手間も掛かります。
 在京の米国大使館から私どもが聞いているところによりますと、大体、査証の発給手続というのは、申請を受けてから通常一週間から二週間掛かるというふうに聞いております。場合によってはそれ以上掛かると。
 仮に、査証免除プログラムが停止されて年間何百万人というような方が面接を受けるというようなことになった場合には、現状以上に更に時間を要するということにもなるでしょうし、それから、非常に手間が掛かるしお金も掛かるということになりますので、アメリカ人が来日する際に査証が必要となれば、渡航者の減少ということも想定されます。その観点からは、観光立国という政権の目指す目的にも悪影響が生じかねませんし、経済的あるいは文化的な損失というものも予想されるところでございます。
#59
○秋野公造君 締結をしないとこの査証免除制度が維持されないということ、それから悪影響も非常に大きいということを理解いたしましたが、今、ほかの国が全て締結を終えているというお話がありました。どうして一番最後の署名国となってしまったのかということをお伺いしたいと思います。
#60
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 この協定、既に本日の審議の中でも御指摘いただいておりますけれども、この協定というのは、オンラインによって指紋情報のやり取りをするというふうな内容を含むものでございまして、我が国がこれまでに締結いたしました国際約束に例を見ないものでございました。特に、個人情報の保護の観点からは慎重な検討を要するというところであったということがございます。このため、米国との交渉においては、個人情報の保護といった観点から、我が国として重視する点について粘り強い交渉を行ってきたという経緯がございます。
 先ほどほかの国がやっていると申し上げましたが、我が国、交渉している過程におきまして、米国が既に第三国との間で署名あるいは締結しつつあったPCSC協定というものを参考にしながら、個人情報の保護等により配慮した内容とするために、米国と第三国との協定の間には一般には含まれていないような要素も盛り込むということも含めて粘り強い交渉というものを行ってきたところでございます。
 それによりまして、御指摘のとおり、交渉妥結までには時間を要したという点はございますが、詳細な議論を積み重ねることによって、個人情報の保護についてはほかのに比べてもより配慮した適切な内容の協定ができたというふうに考えております。
#61
○秋野公造君 慎重な議論の結果又は粘り強い交渉の結果どういうことが規定をされたのか、日本独自の規定について改めて確認をしておきたいと思います。
#62
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 三点申し上げたいと思います。
 一点目は、まず、この協定に基づきまして自動照会の対象となります重大な犯罪の範囲を米国と第三国との間の協定よりも限定しております。具体的に申し上げますと、この協定におきましての重大な犯罪というのは、死刑、無期及び長期三年以上の拘禁刑に当たる犯罪、それと、長期三年未満一年超の拘禁刑に当たる犯罪について附属書Tに掲げる類型に掲げるもの、こういうふうに限定しております。
 ここにつきましては、米国がほかの国と結んでいるものにつきましては、通常、一年を超える拘禁刑に相当するものは全てという格好になっておりますので、日本につきましては、ここのところを限定していたずらに範囲が広がるということを防止するということにしたところでございます。
 二点目でございますけれども、我が国が米国との間で利用可能とする指紋情報の範囲につきましても、ほかの国の協定よりも限定しておるところでございます。具体的には、我が国が利用可能とする指紋の範囲の中からいわゆる遺留指紋というものを除外しています。遺留指紋というのは犯罪現場に残された指紋でございますが、そうではなく、日本の場合には被疑者から採取した指紋に限定しておるということがございます。
 それから、もう一つ、米国がこの指紋の照会について、これがもうその個人と結び付いた格好で照会してくる場合には、利用可能とする指紋情報を有罪判決確定者等に更に限定する格好となっております。ここも、ほかの国において、犯罪捜査のために蓄積されているその指紋のデータベース全体を照合対象とするというふうなものが多いのに比べまして限定しておるところでございます。
 三点目でございます。御案内のとおり、この協定というのは、まず一次照会で指紋というものが相手国のデータベースにあるかどうかというその照合をやって、二次照会においてその人の人定等を聞くという仕組みになってございますけれども、自動照会の結果、適合する指紋情報があったと、こういう場合には、通常は、じゃその指紋は誰のものでしょうという二次照会が来るのが通常ということになると思いますけれども、追加的な情報の要請がない場合、こういう場合には、そもそもあの一次照会で聞いてきた目的は何だったんだということが聞けるようになっております。これによって、まあ何でもいいから取りあえず聞いて、二次照会を聞かないで取りあえず当てるだけと、照会だけするというような、そのような濫用を防ぐことができる、こういった照会できるという規定も日米間の協定に独自に設けた規定でございます。
#63
○秋野公造君 時間を掛けた分いいものができたということだと思いますが、ちょっと警察庁に確認をしたいと思います。
 本制度による指紋照会がアメリカからあった場合、警察庁のサーバーの中に記録されている指紋情報と照合するということで、特定の者を識別して行われる照会は約三百万人、特定の者を識別しないで行われる照会は約千四十万人の指紋が対象となると私は聞いているんですが、この特定の者を識別して行われる照会は、無罪判決確定者、嫌疑なし、嫌疑不十分などの理由で不起訴処分を受けた人たちの指紋が除かれると聞いているということになりますが、これ、千四十から三百を引いた、こういった方々の指紋が七百四十万人もあるということなのか、ちょっと数を正確に把握をしておきたいと思います。
#64
○政府参考人(栗生俊一君) お答えいたします。
 警察庁の保有している指紋は、指掌紋自動識別システム等の導入以降のものは指紋の画像と犯罪経歴を一体的に記録しておりますが、その導入以前のものはそれらを別個に記録しております。米国から特定の者が識別されている場合の第一次照会を受けましたときは、その者の犯罪経歴いかんによって機械的に回答の可否を判断しなければならないことから、指紋の画像と犯罪経歴を一体的に記録していない者はその照会の対象とならないものでございます。
 お尋ねの約七百四十万人分につきましては、一定の推計を加えたものではございますけれども、ただいまお答えした指紋の画像と犯罪経歴を一体的に記録していないものが約三百二十五万人分、以下、指紋の画像と犯罪経歴を一体的に記録しているもののうち、身柄不拘束の被疑者のうち起訴猶予処分を受けた者などが約二百七十九万人、少年法による保護処分等を受けた成人が約百三万人分などが挙げられ、それらが約七百四十万人分の大部分を占めております。
 一方、お尋ねの起訴猶予以外の理由による不起訴処分を受けた者、無罪判決確定者はそれぞれ約十一万人分と約千人分でございます。
#65
○秋野公造君 こういったデータが、しっかり周知することも重要だと思います。
 大臣に最後に伺いたいと思います。
 この協定は、重大な犯罪、特にテロリズムの未然防止は極めて重要なテーマであります。二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されるということで、それまでに関連システムを整備して協定を的確に運用することができるようにするために、関連システムの設計、整備や運用に関して、セキュリティー面も加えて十分な予算措置や組織の設置、増員が必要と考えます。
 そして、この東京オリンピックへ向けた警察の対応について、捜査員の育成について一言申し上げたいと思いますが、この警察官の年齢構成を見ますと、非常に二峰性になってきておりまして、経験豊富で優秀な捜査員がこれまでも大量に退職をして若い捜査員が増えてきているという状況でありまして、中堅の捜査員の負担も非常に大きくなっているといったようなことも聞いております。
 このテロ対策を含めた諸対策に万全を期すためには、次世代を担う、やる気あふれる若手警察官にベテラン捜査員の技能を伝承する、そういったことも非常に重要であると思いますが、この現場における警察力を維持向上させると、その二点について、大臣の決意を最後に伺いたいと思います。
#66
○国務大臣(古屋圭司君) 二〇二〇年のオリパラに向けて運用を開始する、極めて重要だというふうに思っておりまして、そのためのシステムの仕様、運用体制等々の協議が二国間で始まります一方、国内でもやはり必要な予算とか運用体制の確保、極めて重要でございますので、国家公安委員長としてスピード感を持って対応するように督励をしてまいりたいというふうに思います。これが一つ。
 二つ目の方は、やっぱり人材の育成、特に若手の警察官の育成ですね。今、大量にベテランの捜査員とか刑事が退職をいたしておりますので、やはり若手の警察職員をしっかり育成して、そういうノウハウを伝授していくと、極めて重要でございまして、今そういった取組をしておりますけれども、特に警察では、全国の警察の中でも卓越した知識とか技能を有するプロの職人的な警察官ですね、よくデカとか言われますけど、こういった方を広域の技能指導官に指定をして、都道府県の枠組みを超えて、鑑識とか職務質問、ひき逃げの事件捜査等々の知識とか技能の伝承を行っています。
 もう一方、私の方からこれは指示をさせていただいて、今管区の警察局が全国にございますので、そこにOBの方に一定の資格を付与をして体系的な伝承教育をしていくと。各都道府県ですとどうしても期間的に短くなるということがございますので、かなり体系的な教育をしていこうということで今その取組を始めたところでございますので、こういった取組を通じて若手の警察官の資質の向上、技術の向上に努めてまいりたいと思います。
#67
○秋野公造君 終わります。ありがとうございました。
    ─────────────
#68
○委員長(水岡俊一君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、浜田和幸君が委員を辞任され、その補欠として荒井広幸君が選任されました。
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#69
○江口克彦君 みんなの党の江口克彦です。
 グローバル化の進展に伴いまして、海外との行き来が頻繁になる一方で、経済大国である我が国には好ましからざることを働こうとする者も残念ながら入国していますし、入国しようと、そういうことだと思います。そういう人たちが多いということも事実だと思います。
 今回の協定が締結される背景には査証免除制度の維持の側面と、それから重大な犯罪の防止の側面があると思います。査証免除制度の維持は私は当然であるというふうに思いますけれども、同時に重大な犯罪の防止も重要でありまして、この仕組みも使いつつより一層安全な社会を目指していくべきであるという認識を踏まえて、これから何点か質問をさせていただきます。
 まず、石原政務官に御質問させていただきたいと思いますけれども、日米重大犯罪防止協定ということに関しまして、今回の協定はアメリカとのみ協定をしているわけでありますけれども、グローバル化が進んでいる今日ではどの国から犯罪者が入国を試みるか分からないという状況だと思います。
 テロ対策という観点からすると、アメリカだけでなくほかの国とも締結した方がより効果的な仕組みとなることは当然であるというふうに思うんですね。これについては先ほど浜田委員の方からも外務大臣官房参事官に質問をしていましたけれども、そのときに、アメリカとの協定を実施しながら考えていきたい、あるいはまた、個人情報も含めて慎重になっているんだというようなことを言われていましたけれども、私は遅過ぎないかというふうに思うんですね。要するに、アメリカとの協定を見ながらというような、その程度の速さでいいのだろうか、もっと迅速に取り組んでいくというか、協定を次々にしていく必要があるんじゃないか。
 アメリカが三十七か国・一地域と本協定を締結しているということでありますけれども、今後、我が国として他国との締結についてもっと私はスピードアップして、状況を見ながら状況を見ながらとかいうようなことをやっていたらとんでもない状況にもなるのではないだろうかというふうに思うんですが、先ほどは外務大臣官房参事官の方から浜田先生に対してお答えされていましたけれども、政府として、石原政務官としてどのように考えておられるのか、そのスピード感も含めてお伺いしたいと思います。
#70
○大臣政務官(石原宏高君) お答え申し上げます。
 繰り返しになってしまうところありますけれども、今委員が言われたように、査証免除制度の維持だけではなくて、テロといった重大な犯罪から国民を守るということでこのPCSCの国内法と協定の御承認と採決お願いしているわけでありますけれども、繰り返しになってしまいますけれども、米国以外の第三国との間の協定については、まさに現状の外国人の犯罪の状況とか、アメリカと締結をしても、これからシステムづくりもありますし、またアメリカも、今委員が言われたように三十七か国・一地域と、発効済みもあれば署名だけのものもありますけれども、まだ実際にシステム上で運用が始まっているのはドイツのみというふうにお伺いしているところがあります。
 そういうアメリカの状況もやはり見ながら、今後、第三国との間でのPCSC協定を締結することを考えていきたいと思いますが、今のところ他の国と締結をする見込みはない状況であります。
#71
○江口克彦君 協定を結んでいるアメリカ、三十七か国・一地域、アメリカでさえそれを進めていく、実施していくには難しいということで、そういう状況であるとするならば、なおさらのこと様子見ながら行ったら何年先になるのか分からないということになると思いますので、それはそれとしておいて、やっぱり日本として独自にこういう協定とかそういうことを結んでいく、あるいはまた、それを実施していくにはどういうふうに対応したらいいのか。是非、アメリカの様子を見ながらということではなくて、日本独自でも取り組んでいくという、そんなことも是非考えていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
 それでは、大臣の方に御質問をさせていただきたいと思いますけれども、今回の仕組みができることによりまして、指紋情報のやり取りの速度が格段に上がるというふうに聞いております。そうなれば、我が国に入国しようと考えている重大な犯罪を実行するおそれがある者に対して、抑止力が働くということが期待されるわけであります。しかし、この仕組みだけでそのような犯罪者の入国を全て抑えられるわけではないというふうに思います。国内における対策もあって治安は維持されるものであります。
 警察庁の調査によると、近年、来日外国人の刑法犯、特別法犯の総検挙数が減少してきているわけですけれども、ところが、平成二十五年は総検挙数、検挙人員が微増したということであります。地下銀行などの犯罪インフラ事犯は組織性が高く手口が巧妙化しているというふうに言われていますけれども、その実態は国民にもよく分からないというのが実情だと思います。
 一層の国際化を目指していくには、いたずらに日本に来る外国人への不安をあおらないためにも、来日外国人による犯罪の実態を国民に明らかにする必要があるのではないかというふうに私は思うんですけれども、また来日外国人の犯罪にどう対応していかれるのか、古屋大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#72
○国務大臣(古屋圭司君) 外国人の犯罪の総検挙件数、これはやや減少傾向にありますけれども、しかし一方では、特徴としては国別の刑法犯の検挙人員では中国が最多、約四割です。次いで、ベトナム、韓国、こういった順になっておりまして、やはり刑法犯の共犯事件の比率が約五割に及んでおりまして、日本人と比べて非常にこの比率が高いですね、これが特徴だというふうに思います。
 こういった状況でございますので、警察白書等々で定期的に発表しておりますが、やはり今後ともこういった実態を国民に分かりやすく説明をしていくということは大切だと思いますので、しっかり警察をその視点に立って督励をしてまいりたいと思います。
 一方では、やはり外国人犯罪対策というのは、東京オリンピック・パラリンピックを見据えても極めて重要な治安対策の課題でございますので、まず国民に著しい不安を与える悪質重大な犯罪の検挙、そして、より今委員も御指摘のように手口が巧妙化をしておりますので、犯罪インフラ事犯への対応、そして、こういった点に重点をしっかり置きながら国内関係機関、そして外国の捜査機関とも積極的な連携、緊密な連携を取って対策を推進していくように警察庁をしっかり督励していきたいというふうに思います。
#73
○江口克彦君 国民に分かりやすく話をするというか、説明するというか、そういう今御説明がありましたけれども、それは私が分かりやすく国民に明らかにされた方がいいんじゃないですかというふうに、言ってみれば同じ、私が使った言葉、同じに説明されて、説明として使われていて、お答えになっているのかどうか私にはよく分からないんですけれども、具体的にどういうふうに分かりやすく国民に説明しよう、明らかにしようと、そういうお考えなんですか。具体的なものは何かお考えになっておられるんですか。
#74
○国務大臣(古屋圭司君) まず、広報、啓蒙活動をしっかり充実していくと、これ極めて大切で、定期的にしっかり会見をして、そういった犯罪の特徴がありますので、やはり日本人の国内犯罪と比べて特徴がありますので、そういったことをやる、それから、その対策をしっかりPRをしていく。
 特に、最近、いわゆる犯罪インフラ事犯、これ今御指摘がありましたけど、いわゆる国内で不法就労で得た収益を海外に不正送金をする地下銀行だとか、あるいは偽装離婚とか偽装認知とか、旅券とか在留カードを偽造する、こういったケース、あるいは不法就労の助長、こういったものがございますので、こういった対策にしっかり警察として対応していくということが極めて重要だというふうに思っておりまして、ちなみに、こういった犯罪インフラの事犯の検挙は、検挙件数で、二十五年度で六百九十七件、検挙人員九百九十二人ということであります。
#75
○江口克彦君 それ、今お答えいただいたのは、別の質問でお答えいただきたかったというか、ちょっと違うと思うんですけど、まあ、それはいいです、時間がありませんので。
 ただ、どういうふうに明らかにするかというその方法を、ちょっと質問で事前に提出はしていなかったんですけど、明らかにするというふうに言われましたので、私が明らかにしてくださいと言ったら、明らかにしますというお答えだったので、どう明らかにされるんですかということを御質問したんですけど、まあ結構です。改めて時間があるときにお尋ねしたいと思いますので、いや、もう結構です。また後で、次回、質問させてもらいます。
 薬物対策について御質問をさせていただきたいと思います。
 薬物情勢について、平成二十五年の薬物・銃器情勢という資料によりますと、全薬物事犯の検挙数が一万二千九百五十一人、前年比では減少しているということであります。しかし、先日、有名なミュージシャンが覚せい剤取締法違反で逮捕されたところであります。また、いわゆる脱法ドラッグの薬物問題も後を絶たないと。一番最後の質問を今させていただきます。お間違えのないようにひとつよろしくお願いします。
 本年四月から、脱法ドラッグの製造や販売側だけではなくて使う側も摘発できるようになりましたね。ところが、検出方法が確立されていないために検挙が難しいというふうに言われているんです。十四日の毎日新聞の夕刊でも載っているんですけど、捜査現場からも、疑われる粉末を所持した人物を見付けても現行犯逮捕は無理だと嘆く声が上がっているということで、要するに結果が出るまでに、この薬物そのものというのはあれですけど、脱法ドラッグになるとなかなかその結果を出すという技術、それがまだできていない、そのために結果が出るまでに一か月ぐらい掛かるというのが状況らしいんですね。そういうようなことになってくると、非常に現場の警察官なりそれを担当している人たちも随分厳しい状況にあるというふうに思うんです。
 脱法ドラッグの検出方法がいわゆる確立されていないという状況なんです。この脱法ドラッグの検出について、その技術力の向上についてどのようにお考えなのか。また、これは非常に、これから芸能界もスポーツ界も含めて、いろんなところで困る状況ができてくるんじゃないだろうかというふうに思いますので、是非この検出方法の技術力の向上、どのように取り組んでいくのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#76
○国務大臣(古屋圭司君) 今、二点御質問があったと思いますけど、まず脱法ドラッグの取締り等々についてですけど、これはもう二度改正をいたしまして、まず、包括指定とかそれから単純所持をしましたので、これによって脱法ドラッグの効果が出てきて、例えば検挙をした被疑者の証言でも、こういった規制強化により営業が困難になってきたというようなことでどんどん店じまいするという、これはそういう意味での規制強化のメリットというか効果が出ているというふうに思います。
 一方では、時間が掛かるんじゃないかと。これについては、確かに今、覚醒剤、有名ミュージシャンが逮捕されたケースのこの覚醒剤、三分から五分とかでできますし、大麻もそれぐらいの時間でできるんですが、言わば脱法ドラッグ、これはもう千種類以上ございますので、すぐに分析をしてからやらなきゃいけないので、五分とか十分という単位ではなかなか難しいというところがございますけど、一方、やっぱりこれは鑑定方法を効率化をしていくとか高度化、極めて重要でございますので、警察としても、そういった鑑定の迅速化、高度化については徹底的に強化をしていきたいというふうに思っております。科警研等々にそういった課題を示しながら、この取締りのための時間を短くしていく、判定の時間を短くしていく、こんなことも督励をしていきたいと思っています。
#77
○江口克彦君 是非、脱法ドラッグの検出方法の技術向上に、積極的に、前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 質問を終わります。ありがとうございました。
#78
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 本法案は、日米間の条約に基づいて、指紋情報のオンラインによる自動照会を行う仕組みを導入するものであります。指紋情報という極めて重要な個人情報の取扱いに係る本法案については、日弁連などから、国民の人権、プライバシーの保護の観点から様々な懸念が表明されております。
 通告した質問に入る前に、一つだけ確認しておきたいんですが、この指紋情報のオンラインによる自動照会を行う仕組みとはどういうものか、簡単に、イメージが湧くように御説明いただけますでしょうか。
#79
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 この協定におきましては、重大な犯罪、この協定上定義された重大な犯罪について具体的なその疑いというのがある人につきまして、その捜査の過程におきまして指紋というのがあった場合に、例えばアメリカで指紋があった、これについて、まず第一段階として、日本側にオンラインでその指紋を送って、それに適合する指紋というものが日本の持っているデータベースの中にあるかないかということを自動で答えると、これがオンラインによる照会でございます。その後に人定などの二次照会がございますけど、オンラインという意味ではそこのところでございます。
#80
○山下芳生君 要するに、第一次照会として、日米間において指紋情報が登録されているデータベースに、相手国の同意なく自動で指紋情報を照会できる制度を新たに創設するということでありまして、私は、これは指紋情報のデータベースが日米間で共有化されるに等しいというふうに思います。
 そこで、まず今回の措置の必要性について質問をします。
 我が国には、多国間、二国間で犯罪捜査の共助、犯罪捜査を共に助けることを進める必要から、既に国際捜査共助条約、さらに日米刑事共助条約などが締結されており、それに基づく国際捜査共助法が定められております。これらの条約、法律によって、既に日米間で指紋情報を含む情報の提供要請と情報提供が行われていますが、平成二十四年度の実績は日米それぞれ何件になっているか、お答えください。
#81
○政府参考人(栗生俊一君) お答えいたします。
 平成二十四年中の数字でございますが、日米刑事共助条約に基づき我が国警察から米国に捜査共助を要請した件数は五件でございます。また、平成二十四年中にインターポールルートで我が国警察から米国に捜査協力を要請した件数は五十七件、一方で、米国から我が国警察に捜査協力が要請された件数は八百五十八件でございます。
#82
○政府参考人(上冨敏伸君) 平成二十四年に米国から日米刑事共助条約に基づく共助要請を受けた件数は六件でございます。また、法務大臣を中央当局といたしまして米国に共助要請を行った件数は四件でございます。
#83
○山下芳生君 今、それぞれ件数をお答えいただきましたが、これは指紋情報を含む全体の情報ですが、今回の新たな法律の対象となる指紋情報の要請、提供の実績は何件になるでしょうか。
#84
○政府参考人(栗生俊一君) お答えします。
 平成二十四年中に日米刑事共助条約に基づき我が国警察から中央当局ルートで指紋情報を米国に提供し、米国に照合を要請したものはございません。一方で、平成二十四年中にインターポールルートで指紋情報を我が国警察から米国に提供し、米国に照合を要請した件数は六件、一方で、米国から同じルートで指紋情報が我が国警察に提供され、我が国警察に照合を要請された件数は一件でございます。
#85
○政府参考人(上冨敏伸君) 当局におきましては、要請内容ごとの統計を作成しておりませんので、その点は明らかに、申し訳ありませんが、できません。
#86
○山下芳生君 いずれにしても、年に数件以下、非常に少ない件数なんですね。
 大臣に伺いますが、このような状況、ほとんど年に数件あるいはなしということですが、そういう状況の下で、新たに日米オンラインの指紋情報システムを立ち上げる必要があるのかどうか、これ、ないんじゃありませんか。
#87
○国務大臣(古屋圭司君) このPCSC協定の目指すところは、日米間の査証免除制度の下で安全で国際的な渡航を一層容易にすると、一方では、両国民の安全強化を図る、テロ等の重大な犯罪に関わる情報を交換する枠組みを設定するものでございます。したがって、この協定の締結は、日米間の査証免除制度を維持するという観点からも極めて重要でございます。
 重大な犯罪の防止及び捜査については、指紋情報を介して日米間で迅速に情報交換をするものという点で有意義なものであるというふうに思っております。特に、二〇二〇年のオリパラがございますので、国際的に非常に注目を集める行事でもございますので、やっぱりテロ組織等の標的となる可能性は否定できません。その意味からも、円滑かつ安全な開会を確保するために、こういった協定の実施が必要であるというふうに考えております。
#88
○山下芳生君 安全のためだ、そして迅速化のためだということですが、私もそれを否定するわけではありません。
 ただ、これ指紋情報という重要な個人情報が今度のシステムで国境を越えて共有化される、国外に出ていくことになる。それによって何が起きるのかということでありますが、衆議院の審議でも明らかになりました、また今日も何人かの方がお触れになりましたが、第一次の指紋の自動照会の対象となるのは警察庁に保管されている全ての被疑者指紋、一千四十万人分あるというふうに聞いておりますけれども、しかもこの中には、無罪判決が確定した者、嫌疑なし、嫌疑不十分で不起訴になった者のデータも含まれていると承知しておりますが、間違いありませんね。
#89
○政府参考人(栗生俊一君) 米国から特定の者が識別されている場合の第一次照会を受けたときでございますけれども、これは三百万人でございます。
 それで、お尋ねの点でございますけれども、これは一次照会を受けましたときに一千四十万人分の指紋に照合されるということでありますけれども、この中には、お尋ねの起訴猶予以外の理由による不起訴処分を受けた者や無罪判決確定者なども含んでおるところでございます。
#90
○山下芳生君 一千四十万人の中には無罪判決が確定した人、不起訴となった人が含まれるということですが、これ非常に重大な人権侵害だと私は思うんですよね。
 一旦被疑者として、あるいはまた、任意であっても本人の同意があるとして採取された指紋、個人情報は、これ本人が死亡するまで延々と警察庁に蓄積、保管され、本人の知らないところで利用されていく。その利用が、しかも本人にも確認ができないという状況に長く置かれるわけであります。
 そうなりますと、日本国内だけでもそういう状態がずっと続いているというのは問題であるにもかかわらず、この法案によって、今度は無罪判決が確定した人あるいは嫌疑不十分で不起訴になった人の指紋情報が国境を越えて共有されることになる。人権侵害の深刻度が格段に増すと言わなければなりません。
 古屋大臣、これはゆゆしき事態だと思いませんか。
#91
○国務大臣(古屋圭司君) 我が国においてはそういう形を取っておりますが、一方で、今委員御指摘があったような、米国が特定の者を識別をして照会してきた場合には、そもそも無罪判決確定者等の指紋情報はその対象ではないということでありまして、また、米国が特定の者を識別しないで照会してきた場合には、無罪判決者等の指紋も第一次照会の照合対象には含まれていますけれども、その後の第二次照会において、対象者の人定事項等の個人情報を提供するについては慎重な判断を要するものというふうに考えています。
 この協定とは別の問題でございますけれども、我が国では、都道府県において、刑事訴訟法の規定に基づき被疑者の人定を確認するため指紋を採取し、保管しています。その結果、無罪判決が確定した者の指紋も捜査の記録として保存するということになりますが、無罪判決が確定したということだけで直ちに指紋の採取自体が違法になるということでもございませんので、このような指紋を引き続き保管することに法律的な問題はないというふうに認識しております。
#92
○山下芳生君 問題ないということなんですけれども、私はそれは世界の流れには逆行していると言わざるを得ません。
 諸外国の事例、少し調べてみました。ちょっと紹介します。
 イギリスでは、指紋の取扱いは、二〇〇一年、刑事司法及び警察法で原則無期限で保管されることになっていたんですが、二〇〇八年に欧州人権裁判所によって欧州人権条約第八条、プライバシーの保護違反の判決が出されたことを受けて、二〇一二年、自由保護法が成立しております。そこでは、軽犯罪については、被逮捕者の不起訴処分又は被告人の無罪判決があったときは採取した指紋の記録を廃棄する、それから、重大犯罪の被告で有罪判決を受けなかった者の記録の保管期間は三年以内とするということになっております。
 それから、ニュージーランドでは、二〇〇八年、警察法で無罪が確定した者の指紋等を削除することを定めておりますし、シンガポール、アイルランドなども無罪となった者の指紋は廃棄、破棄することが法律で定められております。
 それから、アメリカも、メリーランド州では刑事訴訟法で、起訴されないで解放された場合は自動的に記録が消えることや、裁判で無罪になった場合には記録削除を申し出る必要があるなどが定められております。
 ドイツでも、刑事訴訟法によって削除について規定が定められておりまして、刑事手続のために保存した個人データは手続の終了時には削除しなければならず、今後の手続のために保存した場合は必要か否かを検証して、不要とされれば削除しなければならないとされております。
 フランスも、大統領、大臣の定める命令で書面による申立てができることになっており、無罪判決の人の指紋情報が削除された事例が存在をしております。
 このように、各国とも法律や法令で、個人情報である指紋情報の管理とともに削除、抹消などについて定めております。これが世界の流れなんですね。ところが、我が国では、さっき言ったように、一旦被疑者として、あるいは任意であっても本人が同意したことだとして採取された指紋、個人情報は、本人が死亡するまで延々と保管、蓄積される。本人が知らないところでそれが利用されていく。
 ですから、古屋大臣、これは日本の人権保護が世界の流れに比べて大変遅れているということだと思いますが、そういう世界の流れに対する日本の現状の私は遅れだと思いますが、大臣の認識、いかがでしょうか。
#93
○国務大臣(古屋圭司君) 今委員御指摘ございましたけれども、世界を見渡しますと、欧州の一部に無罪又は不起訴になった者の指紋情報の保管について法律で保管期間を定めるという国もありますね。一方では、そういう規定がない国もありますね。イタリアもそうです。アメリカも一部の州はありますけれども、そうでないところもありますので。
 ですから、いずれの国の指紋情報の保管とか管理の在り方が、どれがいいのかということを評価する、一律的に評価するということは非常に私は困難だというふうに考えておりますし、一方、我が国のこの指紋制度というのはもう百年、明治時代に導入されて以来の歴史の積み重ねがありまして、今、先ほども答弁をさせていただいたように、法律にもそういうふうに、法令の対応はもちろんのこと、実務の積み重ねの上に成り立っているものであるんだと、こういうふうに私としては認識をいたしております。
#94
○山下芳生君 そういうふうな、無罪あるいは不起訴になった人の指紋情報を削除する規定がある国もあればない国もあると、どちらが正しいか分からないということなんですけれども、そういう御答弁自身が、私は、大臣の人権保護の感覚の遅れを残念ながら物語っていると言わざるを得ません。
 そこで、これがそのまま今度の協定と法律が施行されたらどうなるかということなんですが、別の角度から聞いてみたいと思いますが、日米の今回の協定第八条五項の(1)は、提供された追加情報、指紋情報の照会の後の追加情報は、当初の要請目的以外の目的のためにも利用することができるというふうにしてあります。
 利用可能な目的は三つ明記されておりまして、一つは重大な犯罪の捜査、二つ目に自国の公共の安全に対する重大な脅威の防止、三つ目に出入国管理に関連する目的であります。それぞれそう判断するのは当該国の当局でありますので、これはかなり広い範囲で当初の目的以外でこの追加情報が利用される可能性があるということです。さらに、同条同項(2)では、この三つ以外の目的のために情報を利用するための規定も定められております。事前の同意を得るための書面による要請があれば、そういうことが可能だということが規定されております。
 したがって、さっき紹介した三つについては、事前の同意を得なくても、これは同意なしでそういう点での利用ができるということで、これは当初の重大犯罪の捜査あるいは予防という目的をかなり大きく外れた目的のためにも個人の情報が安易に利用できることになっているんじゃないか、そう懸念いたしますが、これは大臣か外務省か、御答弁いただけますか。
#95
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 ただいま委員から御指摘ありました協定第八条5の規定でございますけれども、今御指摘のありましたとおり、この協定に基づいて、当初、犯罪捜査の目的のために必要とした情報について、この協定5の(1)(a)、(b)、(c)に掲げる、先ほどおっしゃいました重大な犯罪の捜査、自国の公共の安全に対する重大な脅威の防止、出入国管理に関連する目的と、その三つのためには使えるというふうになってございます。
 これは、ちょっと分かりやすくするために、少しどういったことが考えられるかということを申し上げたいんですけれども、まず重大な犯罪の捜査というふうに書いてありますところですけれども、例えばという言い方をさせていただきますと、米国の捜査当局がある重大な犯罪、例えば文書偽造でもいいんですけれども、そういったことで逮捕した被疑者を取り調べている際に、他の重大な犯罪、麻薬取引でも何でもいいんですけれども、そういったものへの関与が発覚したと。そういった場合、この当該被疑者については、当初の捜査の目的のために日本についての人定の照会等が来ていて、それに対する答えも出ていて、アメリカ側がもうそれについて既に入手しているというようなことが考えられます。そういった場合に、これは別件だから改めて自動照会やその同意の要請をするということは、これは必ずしも合理的ではないだろうと。
 したがいまして、重大な犯罪の捜査に該当する限りにおいて、当初の要請とは異なる目的であってもその情報を利用できるというふうに規定している次第でございます。
 二つ目の、自国の公共の安全に対する重大な脅威の防止につきましても、例えば、米国の捜査当局が爆発物の不正取引についての捜査をしていました。ただ、それを調べている過程において、その被疑者というのがその爆発物を使ってテロを実行しようとしているというのが分かったと。そうした場合、公共の安全に対する重大な脅威ということになると思いますけれども、こういった場合に、当初の事案について被疑者の人定などがもう分かっているというときに改めて自動照会あるいはその同意の要請というのを新たな案件としてやるということは、特にそれが公共への重大な脅威というふうな一刻を争うような脅威であるような場合には対応への遅れを招くというようなことがあり得るので、そういったことはその手間を含めて適当ではないだろうと、そのような意味でその当初の要請とは異なる目的であっても情報を利用できると、そのようなこととしている次第でございます。
#96
○山下芳生君 今の話聞きますと、いかにもそれは合理的なように聞こえますが、しかし、その目的の一つはそうであって、かなりこれ恣意的に解釈することだって可能だし、それを歯止めを掛ける仕組みがしっかりあるのかという点では非常に心配される面があります。
 それから、協定第八条第七項は、提供された指紋情報等は同意なしに第三国、国際機関、民間団体、個人に開示してはならないとしているんですが、同じ八条七項の後段で、それぞれの国の国内法で開示義務がある場合は開示できることとしております。
 国内の法律があるときには同意がなくても第三者に開示、提供できるということですか。
#97
○政府参考人(河野章君) 今御指摘は第八条7でございますが、御指摘のとおり、我が国から米国に提供した情報、指紋情報や追加的な情報等は、我が国の書面による事前の同意がない限り第三者に開示することはできません。ただし、提供された情報を開示する義務を自国の法令に基づいて負う場合には例外とされている、おっしゃるとおりでございます。
#98
○山下芳生君 できるということなんですね。
 ですから、国外で目的外で利用されたり第三者に開示される場合があるということです。そうなると、個人情報が海外で広く流通する、個人情報が拡散していく、これ、本人はもとより、日本政府としてもそういう事態をコントロールできないという事態が起こり得るわけですね。二重三重に人権が侵害されるんじゃないかと思います。
 いずれにせよ、アメリカ国内、第三国まで個人情報、指紋情報が提供される可能性があるというのは大変大きな人権問題だと思いますが、そこで、大臣、もう一回戻りますけれども、そういう扱われ方をする指紋情報等に今のままでは無罪確定の人、あるいは嫌疑なし、嫌疑不十分で不起訴になった人の情報まで入ってしまうと、そういう扱いがされちゃうということです。これはあってはならないことだと思うんですが、大臣に聞く前に、警察庁が管理している指紋情報の中で、無罪判決が確定した人、嫌疑なし、嫌疑不十分で不起訴になった人の数、それぞれ何人でしょうか。
#99
○政府参考人(栗生俊一君) お答えいたします。
 無罪判決確定者は約千人でございます。また、起訴猶予以外の不起訴処分を受けた方は約十一万人でございます。
#100
○山下芳生君 それ以外にも、先ほど公明党さんの答弁にいろいろありましたね。
 だから、それだけの方々の情報が国外に流出、流出というか流れて、かなり第三者にも行く可能性を政府としてコントロールできないということであれば、古屋大臣、少なくともこの方たちの、不起訴処分になった方あるいは無罪判決が確定した方などの指紋情報は警察庁のデータベースから削除すべきではありませんか。
#101
○国務大臣(古屋圭司君) 先ほども私答弁させていただきましたように、この無罪判決が確定したというだけで指紋の採取自体が違法になるものではありません。したがって、指紋を引き続き保管することに法的な問題はない、こういうふうに認識をいたしております。
#102
○山下芳生君 その結果、海外でそういう方々の情報が扱われるということについて、大臣、何らかの対応を検討しなくてもいいというお考えですか。
#103
○国務大臣(古屋圭司君) 現状は今私が申し上げたとおりでございまして、法律上問題はないというふうに認識をいたしております。
#104
○山下芳生君 日弁連からは、今指摘した何点かも含めて、幾つかの人権上の懸念が表明されております。このままこれを執行しますと大変な人権侵害が起こりかねない、そのことを強く指摘して、危惧して、質問を終わります。
#105
○上月良祐君 自由民主党、茨城県選出の上月良祐でございます。
 大臣ほか、政府参考人の皆さんに何点か御質問をさせていただきたいと存じます。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックが決まりました。それに向けて、国際的な犯罪対策というんでしょうか、捜査の促進というんでしょうか、テロ対策というんでしょうか、そういったものが大変に重要になってくるんだと思います。そういったものがどういうふうに今後なっていくのか、そういう流れの中でこの制度というものはどういう意味を持つのかをお聞きしたいと思います。
 私は、女性局というところでも働いておりまして、リベンジポルノの関係とかも今取組を進めております。海外のサーバーに情報が行ってしまうと、なかなか捜査すら難しいといったような情報もお聞きをいたしました。そういうことを聞くと、そういう犯罪をしたいと思っている人はそういうふうな手を取るかもしれないとも思います。また、海外から入国された方が、外国人の方が犯罪を起こすようなケースも増えてきているんだろうというふうにも思います。
 そういったものを国内で皆様方一生懸命取締りを行っておられるんだと思いますけれども、やはり予算、定員とも限られている中で、地方におりました場合には、警察官の定員なども毎年お願いをしてもなかなか今予算の状況もありますので増えない、当然本省もそうなんだと思います。そういう中で一生懸命犯罪対策をやっていらっしゃるんだと思います。一方で、犯罪が起こってしまうと警察何やっているんだというような声が起こりがちでもあると、そういうことも考えると大変おつらい立場でもあろうかなとは思います。
 そういう意味でも、私は、こういうシステムというんでしょうか、自動で照会したりというものについて、人権にももちろん配慮しながらではありますけれども、できるものは大いにやっていただきたいと思います。そういうことを考えておりますけれども、警察庁の政府参考人の方で結構でございます、どんな考え方か、御答弁いただきたいと思います。
#106
○政府参考人(栗生俊一君) お答えいたします。
 委員がお触れになりました東京オリンピック・パラリンピック大会に向けましては、テロ組織の標的となる可能性は否定できません。私ども警察といたしましては、その大会に向けて外国当局とも積極的な情報交換を行うなどいたしまして、テロの未然防止を始めとする諸対策を積極的に推進することとしております。
 この協定のメリットについて申し上げますと、この協定によりまして、重大な犯罪に関与している具体的な疑いがある者について、日米の捜査機関相互における指紋情報をこれまで以上に迅速に交換することが可能となりますことから、先ほど申し上げましたオリンピック等の対策に限らず、御指摘のサイバー犯罪、また国際組織犯罪等を始めとする重大な犯罪の防止、捜査に有益なものと考えておりまして、我が国の安全の強化に資することになると考えております。
#107
○上月良祐君 犯罪起こった場合にできるだけ迅速に対応する、初期消火をすると、それは大変大切なことだと思いますが、それ以上に、起こらないように抑止をするということも大切なんだと思います。そういう効果もあるのかなというふうに思っておりまして、是非適切な運用に努めていただきたいと思っております。
 それから、ちょっと何点か通告申し上げておりましたけれども、先ほどの大野先生の御質疑を踏まえまして、私もちょっとお聞きしたいことがございます。これは大臣にお聞きしたいんでございますが、大野先生の御懸念は大変理解できる面があると私も存じております。一方で、個人情報保護法の取扱いでありますとか、この法律の中での規定ぶりでありますとか、協定八条の7の読み方というんでしょうか、そういったもので少し捉え方の違いはなくはないんでございますけれども、やはり懸念があることは事実だと思います。そういう懸念がないように是非運用をしていただきたいと私は思っております。
 公務員組織全般、警察組織に関しましても、基本的に私は信頼を申し上げております。信頼を申し上げているだけに、是非信頼を損ねるようなことがないようにしていただきたいとも思っております。
 信頼を損ねるかどうかというのは、今、制度がこういうふうに運用されるだろうという見通しがあります。過去の例からいって、目的外の利用というのはそんなに件数がないだろうと、ここ何年間かで数件だというふうにもお聞きしました。しかし、運用してみると、自動照会の関係などがあったりして、もっと公判に使いたい、証拠として採用したいというようなケースも出てくるかもしれません。
 見通しと違った場合に違ったままにせずに、それにきちんと対応ができるかどうか、していただけるかどうかというのが信頼が保たれるかどうかということだと思うんです。見通しが違ったり、このままほっておいてはまずいと思っても対応しない、それがまずいんだと思います。それはどんな運用でもそうですし、組織全般、時代に合わせて直していかなければいけないことは多々あるんだと思いますけれども、そのあることが悪いんじゃなくて、それを直そうとしないことが私は悪いんじゃないかというふうに思っております。
 そういう意味で、先ほど大臣が御答弁をされました、運用の状況、それは件数とか内容を見て、特に目的外の利用とか第三国への提供という関係につきましては、その後の運用状況を見極めた上で、必要であれば運用上の是正措置というんでしょうか、対応策を取っていくということを御答弁されましたけれども、その点をもう一度御確認させていただきたいと存じます。
#108
○国務大臣(古屋圭司君) 今御指摘の目的外利用だとか第三者に提供される、こういったことが何か不具合が生じるんじゃないかという指摘だと思いますけど、基本的に、現実問題としてそういったことはほとんど想定はされないとは思いますが、あらかじめ想定をされていなかった状況が生じることも一〇〇%否定はできないと思いますので、そういった事例があった場合にはできるだけ事前に報告を求めたり、私も、委員長である私としても、例えばその協定の内容とか法律の運用、そして運営の適正化、こういったものについてはしっかり警察を督励していく、これは国家公安委員長として当然の責務だというふうに考えております。
#109
○上月良祐君 ありがとうございます。
 それの前提というんでしょうか、ちょっと政府参考人の方にも確認のためお聞きしたいことがあります。
 国家公安委員会として開いたとしても、これはたくさんの事案、審議すべき事項がたくさんあるんだと思います。その中で、大臣からこのPCSCに関してどうなっていたっけというふうに一々聞くというのは、これは難しいんだと思います。したがって、役人組織がきちんと支えるというんでしょうか、きちんと対応していただくことが前提として、大臣が今おっしゃったようなことをきちんとやっていただく前提としては大変重要なんだと思うんですね。
 そういう意味では、今回新しい制度がもしできたらば、それを国家公安委員会の中でもきちんと説明していただきたい。大臣はこうやって審議に出ておられますから、そこはよく分かっていらっしゃるんだと思いますけれども、ほかの委員の先生もいるし、これから替わる先生もいるし、関係の部署との関係もあると思います。そういう意味では、こういう制度でこういう運用が想定されると、そしてこれぐらいの見通しであろうと、そして、例えば目的外使用というのは裁判、公判上の証拠だろうというのがまあほとんどであろうというようなことなどをきちんと説明していただいて、そして、その運用と違うようなケースがあったらば、それは隠さずきちんと報告もしていただきたい。一々事前にとまでは私は言うつもりはないですけれども、少なくとも概括的にこういうものであるということを事前にお話をして、その後の運用に応じて適切に報告をいただいて、あるいは、何というんでしょうか、御指示をいただけるような、御審議いただけるような前提としてのやり取りをきちんとやっていただきたいと思うんですが、この辺りにつきまして、政府参考人の方で結構でございます、どういう対応かをお尋ねいたします。
#110
○政府参考人(栗生俊一君) お答え申し上げます。
 仮にこの法案が審議をいただいて成立するということになりますと、審議に参加いたしました古屋大臣とともに、国家公安委員会においてこの審議の状況を報告させていただきたいと思っておりますし、また、先生御指摘いただいておりますようなこの運用の在り方について、警察庁長官権限となっているようなところもございますけれども、これをどういうふうな形で警察法に基づく国家公安委員会の一般的な管理に服せしめるのかということにつきまして、公安委員の先生方の御議論をいただきながら、相談して、その管理に服させていただきたいと思っております。
#111
○上月良祐君 ありがとうございます。
 そういうふうに、警察庁の皆様方がきちんと対応していただくということなしにはこの制度は運用していけないんだと思いますので、是非とも、くれぐれもお願いをしたいと思います。
 そして、もし、見通しと違うことはないことを祈っておりますけれども、違うこともあるかもしれません。それがあることが悪いのではなくて、先ほど申し上げましたように、あった場合に直すかどうか、これが問題なんだと思いますので、是非ともその辺は真摯にそこを見ていただきたいと思っております。
 そして、ちょっと順番入れ替わって申し訳ありませんけれども、個人情報への配慮、先ほど来御質問が続いております。
 私は、大学時代その後も憲法を一生懸命勉強もしたつもりではございます。人権、基本的人権のところは大変重要だということはもう嫌というほど教えられ、勉強もしました。しかし一方で、基本的人権というのはやはり公共の福祉との兼ね合いもあるんだと思っております。一人一人が好きなように人権、人権といって公共の福祉との兼ね合いが取れなくなるというのもまた困るとも思います。
 しかし、そういうふうなベースがある中で、やはりこれ個人情報として大変重要な情報だと思いますので、例えばアメリカに渡りますと、連邦政府と州政府とかというような関係で主体が違うところにも行ったりするようなこともあろうかと思います。そういう意味で、この重要な情報を取り扱う上で、これからアメリカ側といろいろ制度の詳細を協議していって詰めていくんだと思います。なので、きちんとくぎを刺しておくところはくぎを刺しておいていただきたいし、運用上の制度として考えられるところはきちんと詰めていただきたいというふうに思います。
 そういったことに関しましては局長さんのお考えをお聞きできればと思います。政府参考人の方で結構でございます。
#112
○政府参考人(栗生俊一君) お答えいたします。
 個人情報保護のため、やはり基盤となるのは情報セキュリティーについてであるというふうに認識しております。現在、統一基準や運用指針を策定し、政府を挙げて取組を強化しておりまして、国家公安委員会委員長の古屋大臣からも常々、警察庁においては特に最新、最先端の取組を行うよう督励いただいているところでございます。
 今後、警察庁におきましては、協定の運用をする場合に当たっては、関連システムの整備や米国当局とのやり取りを担当する職員の配置もまた必要となってくるわけでございますけれども、大臣から、システム設計の段階から情報管理の専門職員を投入し、実際の運用段階においてもこれらの職員にチェック機能を果たさせ、情報セキュリティーの確保に万全を期すよう指導いただいているところでございます。そのように努めてまいりたいと思っております。
#113
○上月良祐君 情報セキュリティーの関係ありましたけれども、アメリカ側との協議においても、向こう側でのきちんとした適正な運用を、運用段階というんでしょうか、運用段階の協議ですね、これから詳細やっていかれる中で大変重要だと思うんです。そこは、役所同士というんでしょうか、カウンターパート同士できちんと、こういう声がまさに国会の審議の中でも与野党を超えてお話があったということで、是非とも適切な運用ができるように協議をいただきたいと思います。
 そして、一点、これは御要望にさせていただきたいと思いますが、特に無罪判決になられた方の取扱いにつきましてはいろいろ議論がありました。とりわけ、やはり目的外使用とか第三国への提供許可に関しましては慎重に取り扱っていただきたいと思います。特にその中でも、例えば、あっちゃいけないけれども、誤認逮捕のようなケース、先ほど来ちょっとお話が出ておりましたけれども、そういうようなケースの場合には協定の第十条の1もあるわけですから、そういった、何というんでしょうか、協定をきちんと適切に動かしていただいて、やはりそういった方々の人権が最大限守られるような運用にも努めていただきたいと思いますので、このことは要望にさせていただきます。是非ともよろしくお願いいたしたいと思います。
 時間もありませんので、最後に大臣に一点お聞きしたいと思います。
 二〇二〇年です、オリンピック・パラリンピック。二〇二〇年ですけれども、やはり犯罪を起こそうと思っている人はその前に準備するんだと思います。その準備する段階でディスカレッジしないと犯罪は抑止できないんだと思います。そうすると、同じ時期、例えば一年前だとしたら二〇一九年である、二〇一九年にそういう仕組みができているためには二〇一八年の予算でつくっておかなければいけないわけです。そうすると、二〇一七年の夏には概算要望をしないといけないということになります。時間があるようで本当にないんだと私は思っております。
 役所の組織は大きな組織ですから、すぐに動かそうと思ってもオートバイのように機転が利きません。大きな船を動かすようなものですから、やはり今いらっしゃる大臣が、ここから長い目で、何というんでしょうか、ロードマップというのか方向性を指し示していただいて御指導をいただく、それがなくてはやはりうまく二〇二〇年が迎えられないんだと思いますので、そのことに関してどういうふうに指導されていくのか、その御決意を最後に聞かせていただきたいと存じます。
#114
○国務大臣(古屋圭司君) 委員御指摘のように、もう二〇二〇年のときにはしっかり運用されているということが必要ですね。そうすると、逆算していきますと、概算要求の御指摘もございましたけれども、やはりスピード感持って取り組んでいくというのは絶対大切だというふうに、しっかりその辺は督励をしていきたいと思っています。
 ただ、これ、もしこの協定が成立しますと、まずアメリカとの協議に入りますね。その後は、じゃ、日本の国内のシステムをどうしていくかとか、どういうシステムを構築、セキュリティーも万全にする、そういったようなことである程度の時間が掛かると思いますけれども、できるだけ早くそういった作業を終えて、システムをスピード感を持って取り組んでいくように警察をしっかり督励していきたいと思います。
#115
○上月良祐君 終わります。
#116
○山本太郎君 新党と名のりながら独りぼっちの山本太郎です。新党ひとりひとり、山本太郎です。よろしくお願いします。
 重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う、コンバットする上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定と、PCSC協定の実施に関する法律案について御質問いたします。
 私は、このPCSC協定、日米指紋照合、情報提供システム協定は、何かこれ、同じ臭いがするものがあったなと思うんですよね。それ思い出したんですけれども、去年大変な問題となりました、多くの国民の反対の意思を押し切って成立してしまった、現在も多くの議論がある、そして私自身これは廃止するべきだと思っております特定秘密保護法と何か似ているところがあるんじゃないかなと思いました。行政機関が市民、国民のコントロールの利かないところで、市民、国民の自由と人権を侵害する協定、法律になるんじゃないかなと心配しております。
 日本弁護士連合会、日弁連ですね、この協定と法案の問題点を大きく分けて六つ挙げられておられます。第一に、日米捜査共助条約の運用状況から見て制度新設の必要性に疑問があること、第二に、自動照会システムであるため自動照会の要件を確認する仕組みとなっておらず、照会の濫用をチェックすることができないこと、第三に、対象犯罪が広範に過ぎると考えられること、第四に、対象となる指紋情報等の範囲が広過ぎること、第五に、提供された指紋情報等が本来の利用目的以外の目的で利用される可能性があること、第六に、提供される情報が将来拡大されるおそれがあること、以上の問題点が克服、解決されない限り本協定の締結は承認されるべきではないと、本実施法案は成立させるべきではないと日本弁護士連合会の意見書には書いてあります。僕もこれを読んだときに、ああ、同じ意見だなと思いました。
 そこで、まず外務省に質問したいと思います。
 この協定、法案は、重大な犯罪(特にテロリズム)を防止し、及びこれと戦うためのものということなんですけれども、この重大な犯罪(特にテロリズム)の中に特定秘密保護法違反、含まれていますか。
#117
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 この協定におきまして重大な犯罪というのを定義付けておるわけでございますけれども、それは二つのカテゴリーございますが、一つには、死刑、無期又は長期三年以上の拘禁刑に当たる犯罪、それと、もう一つのカテゴリーが長期三年未満一年超の拘禁刑に当たる犯罪であって附属書Tに掲げる犯罪の類型に該当するものと、こういうふうに書いてあります。
 特定秘密保護法におきましては、特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処するなど、それ以外にも罰則規定はございますけれども、そういった罰則規定を置いておるものというふうに承知しております。
 このように、協定に定めます重大な犯罪の定義、長期三年以上の拘禁刑に当たる違反行為につきましては、この協定におきまして重大な犯罪に該当することになります。
 いずれにしましても、具体的な事案によりまして特定秘密保護法の違反に当たるのかどうか、またいかなる罰則が適用されることになるのかというのは、個別の事案に応じてしかるべく判断されていくことになるというふうに考えております。
#118
○山本太郎君 協定第一条、定義では、重大な犯罪とは、死刑又は無期若しくは長期一年を超える拘禁刑に処することとされている犯罪を構成する行為であってこの協定の不可分の一部を成す附属書Tに規定されるもの、この附属書Tには、犯罪又はこれらの犯罪の未遂、共謀、幇助、教唆若しくは予備と書いてあり、さらに、及び死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に処することとされている犯罪を構成するその他の行為と書いてあります。随分幅が広いなあって感じてしまうのは、これ、僕だけなんですかね。
 現在の日本の法律でこれらに該当する犯罪、幾つあるんでしょうか。法律の条文の数で答えていただけますか。
#119
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 この協定に規定します重大な犯罪というのは、今委員から御指摘ありました長期三年以上というのと、それから長期一年から三年ということに分かれておりますけれども、附属書Tにおきまして、その長期一年から三年につきましては三十四の類型というものを掲げてございます。
 この三十四の類型という書き方になっておりますのは、それはアメリカにおける規定の仕方と日本における規定の仕方、法律の規定の仕方というのが必ずしも一致していないことから、あるいはアメリカにおきましては州と連邦においても違うと。そのような事情もあって逐一、一対一でその法律と対応させるということは極めて煩雑といいますか、非常に膨大な作業になるということもありまして、この犯罪の類型という格好で掲げたものでございます。
 この三十四の犯罪類型というのは我が国の法令における罪名と一対一に対応しているものではございません。この犯罪類型に該当する具体的な事案というのが我が国の法令においていかなる罪名に該当することになるのかというのは、それぞれの個々別々の具体的な事実関係を踏まえて個々の事案ごとに判断されることになるということになります。
 具体的な事案を離れまして、一般論として附属書Tの犯罪類型が我が国においてどのような犯罪に該当するのかとか、あるいは該当する犯罪の数について包括的にお答えをすることは、申し訳ございませんが、困難でございます。
#120
○山本太郎君 条文の数は答えられないという一言で終わるような話だったと思うんですけれども、随分と丁寧に御説明ありがとうございました。
 とにかく、一年以上、三十四の犯罪の類型。一年以上というところ、三十四の類型と、そしてそれ以外にも三年以上という部分をくくりにしてざっくり切っているだけだと、その一つ一つの犯罪、どういうものに当たるのかということはまだ一度も数えたことがないんだという話ですよね。
 それでは、条文の数とその法律の条文の一覧表というのを資料請求したいんですけれども、提出していただけますか。
#121
○委員長(水岡俊一君) 河野参事官、質問に答えてください。
#122
○政府参考人(河野章君) 申し訳ございません。
 ただいま申し上げましたとおり、この類型として書いております犯罪につきまして、逐一該当する国内の犯罪というのは何であるかという条文を特定するというのはちょっと困難でございますので、今御指摘いただきましたその一覧表というものを作ることはちょっと困難かと思います。
#123
○山本太郎君 まあ面倒くさいということだけなんだと思うんですけれども、そうですか、残念ですね、本当にね。
 協定の附属書なんですけれども、Tには三十四の犯罪類型、先ほどから言っております、というのが示されているんですけれども、日本の法律でどういう犯罪になるのかというのがよく分からないものありますよね。例えば、二番目にある拷問であったり、十九番にあるコンピューター犯罪であったり、三十四番目にある妨害行為、サボタージュ、これ日本ではそれぞれどんな犯罪に当たるのかという部分を説明していただきたいんです。手短にお願いします。
#124
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 全般的な前提は先ほど申し上げておりますので繰り返しませんけれども、今御指摘ありました拷問ということにつきましては、あえて一般論として申し上げれば、傷害罪、刑法で申し上げれば第二百四条、あるいは暴行罪、刑法第二百八条などが該当するのではないかというふうに思われます。それから、コンピューター犯罪につきましては、不正指令電磁的記録作成罪、これは刑法第百六十八条の二でございます。あるいは、不正指令電磁的記録取得罪、刑法第百六十八条の三などがこれに該当し得るだろうというふうに考えております。それから、妨害行為、サボタージュでございますが、これにつきましては建造物損壊罪、刑法第二百六十条、あるいは器物損壊罪、刑法第二百六十一条等に該当する可能性があるというふうに考えております。
 ただ、いずれにしましても、個別具体的な事実関係を踏まえて、個々の事案ごとに該当、何であるかというのを判断することになると考えております。
#125
○山本太郎君 協定第六条、要請がない場合の情報の提供なんですけれども、事前の要請がない場合でも、重大な犯罪の防止、探知及び捜査のために、自国の法令に従い、他国の政府に情報を提供することができると書いてあります。その提供する情報の中身、何なのか、簡潔に御説明ください。
#126
○政府参考人(河野章君) 御指摘ありました協定第六条は、事前の要請がない場合に、個別の事案において、重大な犯罪が実行される又は実行されたと信ずるに足る理由があるときには、重大な犯罪の防止、探知及び捜査のため、自国の法令に従い、相手国に情報を提供することができるというふうに書いてございます。
 これは、この協定、既に議論されておりますけれども、基本的には聞かれたら答えるというふうな作りになってございますけれども、そうではなくて、向こうから聞かれることがなくても一定のものについて提供することがあるということで書いてあるわけでございますけれども、この規定に基づいて自発的に提供される情報としましては、重大な犯罪の防止、探知及び捜査に資するものであるということが想定されております。
 具体的にどのような情報を提供するかということにつきましては、その重大な犯罪が実行される又は実行された具体的な疑いがある個別の事案に応じて個々判断されることになると考えております。
#127
○山本太郎君 もうちょっと何か、具体的に何か例を出して答えていただけたらすごく有り難かったんですけれども、まあとにかく何でもありなんじゃないかというようにこちらは思っております。
 とにかく実行されたと信じるに足りると、それは思いっ切り主観的なのに、そのほかのものというか、物すごく決め付けに近いものに関しても情報というものを提供できる可能性もあるということですよね。こちら側からもそれを向こう側に自主的に提供する可能性もあるということですよね。
 ヨーロッパとかで既にアメリカとかに対してDNAというものの情報を渡しているということを聞いたことがあるんですけれども、将来的には日本もDNA情報を提供するという予定はあるんですか。
#128
○委員長(水岡俊一君) どなたに。
#129
○山本太郎君 申し訳ないです。答えられる方に。
#130
○国務大臣(古屋圭司君) お答えさせていただきます。
 この協定は、あくまでも指紋でございますので、今御指摘のDNAの情報という、及ぶということは考えていません、ありません。
#131
○山本太郎君 この先、それは広げていくというような可能性もないということですか。
#132
○国務大臣(古屋圭司君) 今はあくまでも指紋情報でございます。
#133
○山本太郎君 このシステム、完成してから公文を交換するという話を聞いたんですけれども、要は、手続をした後に、公文を交換した日の後三十日目の日に効力を生ずると、担当者の説明ではシステムが完成してから公文を交換するよということだったんですけれども、それでよろしいですか。
#134
○政府参考人(河野章君) お答え申し上げます。
 この協定に基づく自動照会、今ないシステムでございますけれども、これを開始するためには、国会の御承認いただいた上で、日米間におきます技術的な協議を行って関連システムを整備する必要がございます。したがって、この協定の発効というのは協定の運用に実際に必要となるシステムが整備された後となりますが、既に大臣からも答弁あったとおり、こうした準備をできるだけ早く進めてこの協定を早期に発効させたいと考えております。
#135
○山本太郎君 ありがとうございます。
 この日本の指紋の照合システムとアメリカの指紋照合のシステムをつなぐシステムをつくらなきゃいけないんだよということですよね。これ、どのぐらい時間掛かるのか、費用どれぐらい掛かるのかということを簡単にあっさりと答えていただけると助かります。
#136
○政府参考人(栗生俊一君) お答えいたします。
 この協定を実施するためのシステムの設計、整備につきましては、まず協定の国会承認や法律の成立の後、日米間で自動指紋識別システムや通信回線の仕様等に関する協議を行う必要があります。現時点でこの協議にどの程度の期間が掛かるかということは非常に難しいわけでございますけれども、先ほど来大臣からスピード感を持って臨むようにというお話をいただいておりますように、何とか東京オリンピックまでには間に合うように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
#137
○山本太郎君 東京オリンピックまでにということであれば、随分時間があると思うんですよね。その前にやるべきことがあるんじゃないかなと思います。
 先ほど山下理事の方からもお話にありましたとおり、とにかく無罪が確定した人、任意の捜査で逮捕されなかった人、送検されなかった人、不起訴になった人たちの指紋情報を削除する必要があるんじゃないかと思うんですよね。当然そのようなシステムを構築することになっているとは思っていたんですけれども、どうやらそうではないということがはっきりしました。このままでは、犯罪を犯していない方の情報まで国家間の監視対象になってしまうという話になってしまうと思うんです。
 今日はもう時間がないので、この後、日米原子力協定についてお聞きしたかったんですけれども、またの機会にしたいと思います。ありがとうございました。
#138
○委員長(水岡俊一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#139
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、日米重大犯罪防止対処協定実施法案に対する反対の討論を行います。
 本法案は、アメリカからオンラインで指紋の自動照会を受ける仕組みを導入するものです。対象となるのは日本の捜査当局が保有している約一千四十万に上る被疑者指紋のデータです。その七割強、およそ七百万人は無罪確定者、嫌疑不十分等での不起訴になった者などの指紋です。日本では、指紋取扱いを定める国家公安委員会の指紋取扱規定に無罪確定者や不起訴になった者の指紋をデータベースから削除する規定がありません。これは世界の流れに反するものです。
 また、個人情報である指紋の具体的な管理が、欧州諸国では常識となっている法律によってではなく、国家公安委員会の内部規則となっていることも大きな問題です。このように、極めて問題の多い指紋情報データベースにアメリカがオンラインでアクセス可能となることは国民の人権保護の観点から見ても重大な問題があります。
 政府は、国際的な犯罪に対応するためにといいますが、既に二国間及び多国間での国際捜査共助を行う制度はあります。日米間においても、日米刑事共助条約によって重大犯罪の捜査のための指紋情報の交換が行われています。これでも実際の指紋の照会は年に数件程度であり、コンピューターでのオンライン自動照会を導入する必要性はありません。
 以上、本法案が網羅的かつ容易に多数の無罪確定者等への自動照会を可能とする仕組みを導入することは、人権保護の観点から見過ごすことはできません。このことを強く指摘し、反対討論とするものです。
#140
○委員長(水岡俊一君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の実施に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#141
○委員長(水岡俊一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、大野君から発言を求められておりますので、これを許します。大野元裕君。
#142
○大野元裕君 私は、ただいま可決されました重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の実施に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、みんなの党及び新党改革・無所属の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の実施に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の実施に当たり、両国の国民の安全を強化するために重大な犯罪を防止し、及び捜査することを目的とするとともに、国民の人権に十分な配慮を行えるよう、次の諸点について適切な措置を講じるべきである。
 一 被疑者として指紋を採取された者で米国に情報を提供された者のうち、無罪判決が確定した者については、必要かつ相当と認める場合には、被提供国たる米国に対し、重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(以下「協定」という。)第十条1の規定に基づきその旨を通知するとともに、目的外使用又は第三国等への開示に同意しないよう、慎重な運用に努めること。
 二 協定及び本法の実施に当たっては、国家公安委員会はその状況を適切に管理し、指紋提供件数、追加の情報の提供に至らなかった件数、追加の情報の提供を求められた件数について定期的な情報の提供を受け、必要な場合には、随時その実施状況の報告を求め、運用の適正を確保すること。
 三 協定及び本法に基づく追加の情報等の目的外使用及び第三国等への開示の同意に当たっては、国家公安委員会はこれを適切に管理し、政府は、警察庁長官より国家公安委員会にできる限り事前に必要な報告をさせ、運用の適正を確保すること。また、当該同意については、その件数、内容等の運用状況を踏まえ、必要があると認められる場合、法的措置を含め、更なる運用適正化のための措置を講じること。
 四 我が国が提供した追加の情報が、協定第八条5(1)の目的に基づき、我が国の安全その他の重要な利益が害されるおそれがある場合には、警察庁長官は追加の情報の提供に当たっては、関係する省庁に意見を求めるなど、慎重に検討すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#143
○委員長(水岡俊一君) ただいま大野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#144
○委員長(水岡俊一君) 多数と認めます。よって、大野君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、古屋国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。古屋国家公安委員会委員長。
#145
○国務大臣(古屋圭司君) ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処をしてまいります。
#146
○委員長(水岡俊一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#147
○委員長(水岡俊一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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