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2014/05/15 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 農林水産委員会 第11号
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2014/05/15 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 農林水産委員会 第11号

#1
第186回国会 農林水産委員会 第11号
平成二十六年五月十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     舞立 昇治君     武見 敬三君
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     武見 敬三君     舞立 昇治君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         野村 哲郎君
    理 事
                猪口 邦子君
                山田 俊男君
                小川 勝也君
                紙  智子君
    委 員
                金子原二郎君
                古賀友一郎君
                中泉 松司君
                馬場 成志君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                山田 修路君
                郡司  彰君
                徳永 エリ君
                羽田雄一郎君
                柳田  稔君
                平木 大作君
                横山 信一君
                儀間 光男君
                山田 太郎君
   衆議院議員
       修正案提出者   齋藤  健君
   国務大臣
       農林水産大臣   林  芳正君
   副大臣
       内閣府副大臣   後藤田正純君
       農林水産副大臣  吉川 貴盛君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       横山 信一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        稲熊 利和君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       澁谷 和久君
       内閣府規制改革
       推進室次長    大川  浩君
       農林水産省生産
       局長       佐藤 一雄君
       農林水産省経営
       局長       奥原 正明君
       農林水産省農村
       振興局長     三浦  進君
       林野庁長官    沼田 正俊君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農業の担い手に対する経営安定のための交付金
 の交付に関する法律の一部を改正する法律案(
 内閣提出、衆議院送付)
○農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官澁谷和久君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(野村哲郎君) 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。林農林水産大臣。
#5
○国務大臣(林芳正君) おはようございます。
 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 我が国の農業、農村の発展を図っていくためには、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立し、農業を足腰の強い産業としていくための産業政策と、地域の共同活動等を通じて農業の有する多面的機能の維持、発揮を促進する地域政策を車の両輪として推進していくことが重要となっております。こうした政策の着実な実施に向け、経営所得安定対策を確立するとともに、日本型直接支払制度を法制化する必要があることから、本二法案を提出した次第であります。
 次に、これらの法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
 まず、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案についてであります。
 第一に、交付金の対象農業者の要件の変更であります。
 本法は、農業の担い手の経営安定を図ることを目的としており、対象農業者として、認定農業者及び集落営農組織に加え、農業経営基盤強化促進法に規定する認定就農者を追加するとともに、面積規模要件を廃止することとしております。
 第二に、生産条件不利補正交付金の交付基準の変更であります。
 対象農産物の生産拡大を図るため、対象農産物の品質及び生産量に応じて交付することを基本としつつ、収穫前に作付面積に応じて内金を支払うこととしております。
 次に、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案についてであります。
 第一に、基本理念についてであります。
 農村における過疎化、高齢化の進行による集落機能の低下など、我が国の農業、農村の現場を取り巻く状況が厳しさを増している中、国民に多くの恵沢をもたらす重要な機能である農業の多面的機能の適切かつ十分な発揮を将来にわたって確保するため、国及び地方公共団体が相互に連携を図りつつ適切な支援を行う必要があり、その際、良好な地域社会の維持及び形成や農用地の効率的な利用の促進に資する地域の共同活動を活用していくという、本法の基本的な考え方を定めております。
 第二に、農業の有する多面的機能の発揮の促進を図るための具体的な仕組みとして、農業者の組織する団体等による農用地の保全等に必要な施設の機能を保持する取組等の内容を、多面的機能発揮促進事業として規定しております。
 第三に、これらの取組に係る計画制度の創設であります。
 農林水産大臣による基本指針の策定、都道府県による基本方針の策定、市町村による促進計画の作成及び農業者の組織する団体等に対する多面的機能発揮促進事業の事業計画の認定について規定しております。
 第四に、多面的機能発揮促進事業を推進するための措置についてであります。
 市町村の認定を受けた事業計画の実施に必要な費用について、国、都道府県及び市町村が補助を行うことができることを規定するとともに、地域の実情に即して効果的に事業を推進するための農業振興地域の整備に関する法律等の特例措置を講ずることとしております。
 以上がこれらの法律案の提案の理由及びその主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#6
○委員長(野村哲郎君) この際、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員齋藤健君から説明を聴取いたします。齋藤健君。
#7
○衆議院議員(齋藤健君) 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正について、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の内容は、法律案の附則に、政府は、この法律の施行後三年を目途として、農産物に係る収入の著しい変動が農業者の農業経営に及ぼす影響を緩和するための総合的な施策の在り方について、農業災害補償法の規定による共済事業の在り方を含めて検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする規定を追加することであります。
 何とぞ御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#8
○委員長(野村哲郎君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分についての説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○舞立昇治君 自由民主党、鳥取県選挙区の舞立昇治でございます。本日、五十分間質問させていただきますので、よろしくお願いします。
 まず、質問に入ります前にTPPについて再度強くお願いだけしておきたいと思います。大臣始め農林水産省の幹部の皆様、一昨日と昨日、JA青壮年部の議員会館前での座込み、そしてシュプレヒコール、そして昨日の農業者団体によります緊急の国民集会、デモ行進等、御覧になられたでしょうか。日米首脳会談を経て、来週からシンガポールで始まるTPP閣僚会合が開催されるなど、交渉が大きな山場を迎える中、関係者一同、日本の農業の国益が守られるかどうか、命が守られるかどうか、本当に心配なんだということを是非強く深く受け止めていただきたいと思っております。
 そして、自民党の方でも一昨日、TPP交渉から国益を守り抜く会において再度三点決議しております。一点、交渉内容については国民への十分な説明責任を果たすとともに、地方自治体や農業界など各界の意見を十分に反映させること。二点、今後いかなることがあろうとも衆参の国会決議及び自民党の累次の決議を守り、国益を守り抜くため全力かつ粘り強く交渉すること。三点、米国議会によるTPA決議なしの合意は、再交渉を求められかねない問題であり、混乱が予想されるため、TPA決議を求めるとともに、より慎重な対応で進めることでございます。
 林大臣が大変御尽力されておりますことは本当に頭が下がるところでございまして、農林水産省のトップといたしまして、是非とも最後の最後まで国益を守るためには一歩も引かない姿勢を貫いていただきますよう重ねてお願い申し上げて、二法案の質問に入らせていただきます。質問全部消化できないかもしれませんが、その際は御容赦願います。
 最初に、担い手経営安定法について伺います。
 食料・農業・農村基本法第二十一条においては、効率的かつ安定的な農業経営の育成、そしてこれらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立して、諸般の施策を講じるとされております。また、今回の担い手経営安定法の第一条の目的では、農業経営の安定を図ることをしっかりと規定されているところでございます。
 そこで、今回の経営所得安定対策の見直しでございますが、効率的かつ安定的な農業経営の育成とともに、農業の構造改革も促進するものと思われますが、改めて見直しの背景と理由について説明をお願いいたします。
#10
○国務大臣(林芳正君) 我が国の農業を安定的に発展させて、国民に対して食料を安定的に供給していく、このためにはやはり効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造、これを構築していくことが重要であると考えております。現在の足下を見ますと、従事者の高齢化、耕作放棄地の拡大、こういった課題がございまして、構造改革をやはり加速化させていく必要があると、こういうふうに考えております。
 旧戸別所得補償制度は、全ての販売農家を対象としていたために担い手への農地の集積のペースを遅らせる面があったということでございます。したがって、今回経営所得安定対策を見直して、全ての販売農家を一律に対象とするというのではなくて、効率的かつ安定的な農業経営を目指して経営改善を図ろうとする認定農業者、また就農したばかりで直ちには認定農業者とはなれないわけですが、将来的に効率的かつ安定的な農業経営を目指す認定新規就農者、こういった意欲と能力のある担い手に対象を限定することとしております。
 こういうふうに、将来にわたって食料を安定的に供給をしていく担い手、この担い手の皆さんに対して支援を行うことで納税者の理解を得ながら安定した制度を構築したいと、こういうふうに考えております。
#11
○舞立昇治君 ありがとうございます。
 続いて、生産条件不利補正交付金、いわゆるゲタ対策交付金について伺います。
 ゲタ対策につきましては、諸外国との生産条件の格差により不利がある農産物について生産コストと販売額の差に相当する額を直接交付するものでございますが、本年度当初予算では二千九十三億円予算措置されているところでございます。改正案の方では、交付対象者、そして支援の内容、そして対象品目の三点見直されておりますが、交付対象者について質問させていただきたいと思っております。
 これにつきましては、二十三年産から、予算措置によりまして、法律上では認定農業者、集落営農のうち一定規模以上の者と規模要件が課されており、市町村特認もあるといったところでございましたが、今回の見直しによりまして、民主党政権時と同様に規模要件を課さないこととされておりますが、規模要件を課さないことによりまして農地の集積、拡大に遅れが出ることも考えられるところでございます。
 一方で、これ以上減らせない農地、小規模農家の方もしっかりとやる気と意欲を持って、六次産業化等、中間管理機構による集約等も進めていくといったようなこともなされておりますので、そこまで心配する必要はないかもしれませんが、この今回の規模要件を設けないことと構造改革を進めることとの整合性について農林水産省としてはどのように考えておられるのか、伺います。
#12
○政府参考人(奥原正明君) 今回の経営所得安定対策の見直しにおきましては、これまでの販売農家を一律に対象とする政策ではございませんで、意欲と能力のある担い手に対象を明確化するということにしております。
 この際、小規模な方でありましても、収益性の高い作物を取り入れた複合経営ですとか、あるいは販売、加工などの六次産業化に取り組むことで所得を上げていこうとする、そういう意欲と能力のある農業者の方もいらっしゃいます。こういう方々は、小規模とはいえ、将来の地域農業の担い手として経営を発展させていくというふうに考えられるわけでございますので、今回の改正案では従来の規模要件は課さないということにしたわけでございます。こういった方々、小規模であっても前向きに取り組んでいただいている方々ももう担い手でございますので、この方への農地の集積、集約化は当然進めてまいります。
 したがって、この規模要件を外したことによって構造政策と矛盾するということはございませんし、整合性はきちんと取れるというふうに考えております。
#13
○舞立昇治君 ありがとうございます。
 そこで、今回の見直しによりまして、今までありました市町村特認制度というものは廃止されることになると思いますけれども、一応念のため、この市町村特認制度の廃止によりまして、このゲタ対策以外、ほかの分野で何か今まで特認対象者であった方に不利益が生じることはないかどうか、ちょっと念のため伺わせてください。
#14
○政府参考人(奥原正明君) 従来の担い手経営安定法に基づくゲタ対策、ナラシ対策の対象者につきましては市町村の特認制度というものがございました。これは、従来の法律では対象者はまず認定農業者とそれから集落営農という前提が掛かっておりまして、この中で面積規模を満たす人だけがこの対象になるという制度でございました。その時点で、この面積規模要件を満たさない認定農業者とか集落営農の方であっても市町村長が必要と認めればこの政策の対象に加入できるというものが平成二十年産から適用された市町村の特認制度でございます。このように、この特認制度はあくまで認定農業者等の中で面積の規模要件を満たさない方に対する救済措置でございます。
 今回の法改正におきましては、基本的にこの認定農業者等であれば面積の規模要件は掛けないということにしておりますので、この市町村の特認が撤廃をされても何ら不利益が生ずることはないというふうに考えております。
#15
○舞立昇治君 ありがとうございます。
 じゃ、ちょっとここで再整理いたしまして、認定新規就農者とはどういう人で、新規就農者とは何が違って、また市町村特認者との違いは何かというようなことをもう一度整理してお答えいただきますようにお願いします。
#16
○政府参考人(奥原正明君) 認定新規就農者でございます。
 一般的な新規就農者と言われる方の中で一定の要件を満たしている方がこの認定新規就農者ということになりますけれども、昨年の秋の臨時国会で、農地中間管理機構の関連法案で農業経営基盤強化促進法を改正していただきました。この中で、市町村から青年等就農計画を認定された方、これが認定新規就農者ということになります。
 具体的に申し上げますと、原則として十八歳以上四十五歳未満の青年、この方々が中心になっておりますが、この方々の中で農業経営を開始してから一定期間、これは五年以内の方が、経営開始五年後までの自分の農業経営の取組を記載した青年等就農計画、これを作っていただいて、その計画について市町村から認定を受けた場合がこの認定新規就農者ということになります。
 この認定新規就農者の方は将来の地域営農の中核となる担い手として育成すべき対象でございまして、今回の法改正によりまして経営所得安定対策の対象者に追加をするということにしてございます。
 なお、この市町村の特認制度、先ほども御指摘ございましたけれども、これは、現在の担い手経営安定対策法に基づくゲタ、ナラシ対策の対象として、認定農業者等のうち面積規模要件を満たさない者についての特認制度でございますので、基本的にこの認定新規就農者とは関係がございません。
#17
○舞立昇治君 分かりました。ありがとうございます。
 ということは、認定新規就農者といいますのは、新規で若い人、比較的若い人が中心だと。認定農業者というのは、基本的に誰でもしっかり計画を立てればできると。これまでの特認制度は、特に面積要件に掛からないで、小規模、高齢者の方が中心だったということかと思います。
 そういうことで、基本的にはこれからは認定農業者という部分が誰でも何とかやっていけるということに、認定されていくというようなことだと思いますが、この認定農業者となる要件、農業経営改善計画等の作成が要件になっておりますけれども、これも、特にやっぱり小規模、高齢農家の方にとってはハードルが高いものだと考えられるところでありまして、少なからず心配の声が結構聞かれるところでございます。
 この計画作成等に当たりましての人的・物的支援など、サポート体制を充実していく必要があると思いますが、その辺の状況を教えていただければと思います。
#18
○政府参考人(奥原正明君) 認定農業者制度でございますが、農業経営基盤強化促進法に基づきまして、効率的かつ安定的な農業経営を目指して、市町村が設定した他産業並みの年間の労働時間あるいは年間所得、こういった目標を含む五年間の経営改善計画を作っていただいて、これに取り組む農業者を市町村が認定をすると、こういう仕組みでございます。
 したがいまして、経営改善に取り組む意欲のある農業者であれば、年齢ですとか現在の経営規模の大小を問わず認定を受けることができるものでございますけれども、この農業経営改善計画の書き方ですとか経営内容の分析等につきましては、この認定の主体であります市町村のほか、普及指導センター、こういったところが相談や助言を行っているところでございます。
 一方で、農業者個人としてはこの認定農業者になかなかなりにくいというケースもあるかもしれませんけれども、その場合は、複数の農業者の方が集落営農を組織をしていただいて、規約の整備ですとか共同販売経理を行うことによってこの施策の対象となることも可能でございます。
 今回の担い手経営安定法の改正は二十七年の四月一日から施行の予定でございますので、施行までの一年の間に必要な方が認定農業者の認定を受けられるように、また、あるいは集落営農の組織化が図られるように、市町村、都道府県等と連絡を密にしてやっていきたいと考えております。
#19
○舞立昇治君 ありがとうございました。
 確かに意欲はあるんだけれども、なかなか実務が難しいと、そこは市町村や普及センターが支援すると。個人として難しい場合には集落営農という道もあるということでございますが、そこで、集落営農に移らさせていただきますが、集落営農は、認定農業者や法人などの核となる担い手が存在しない地域において地域農業の維持発展のためには欠かせないものだ、重要なものだと私も思っているところでございます。
 しかしながら、この集落営農の交付金交付の対象要件でございますが、その地域の農地の三分の二以上の集積を目標にしなければならないとか様々な条件があるところでございまして、先ほど局長が言われた、個人として難しい場合に複数でと、でも、その複数でもなかなかその要件に掛からないといったようなこともあるわけでございます。
 そこで、平成二十七年産以降のこの集落営農の要件について、農林水産省では現場の実態を踏まえて要件を見直す予定があるということでございますが、どのように見直す方向なのか、そして、農林水産省として、これまで集落営農が果たしてきた役割をどう評価し、どう強化しようとされているのか、教えていただきたいと思います。
#20
○副大臣(吉川貴盛君) これまで、この担い手の経営安定法におきましては、任意組織の集落営農につきましては、一つは組織の規約を定めていること、そして二つ目には対象作物の共同販売経理を行っていること、三つ目に法人化計画を作成していること、さらに四つ目には地域の農用地の利用集積の目標を定めていること、そして五つ目に主たる従事者の所得目標を定めていることという要件を満たす者を対象としてきたところであります。
 しかしながら、経営を発展をさせるためには法人化していく必要がありますけれども、地域の事情もまちまちでありまして、計画を作れば法人化できるというものでもありませんので、今回、この要件は見直すことといたしました。具体的には、組織の規約の作成及び対象作物の共同販売経理の実施の二要件のみを確認することといたしまして、集落営農の法人化につきましては、市町村の指導力等を信頼をいたしまして、市町村が集落営農が法人化することが確実と判断をすればよいこととする考えでございます。
 さらに、この集落営農につきましては、認定農業者や法人化などの自立した経営体が少ない地域におきまして地域農業の維持発展のため重要な役割を果たすものと考えておりまして、地域の実情を踏まえながら組織化、法人化の取組が進められることが最も必要であろうかと考えております。そのためには、集落営農の組織化に必要となる規約の作成等の経費に対する定額助成、さらには集落営農の法人化に必要となる定款作成や登記費用の経費に対する定額助成を考えております。
 そして、三つ目でありますけれども、集落営農の組織化、法人化等の合意形成に向けて、普及員OBなどを活用する地域連携推進員への支援等も行っているところでもございます。
#21
○舞立昇治君 ありがとうございます。是非、今後とも地域の声を、実情を踏まえながら、よく聞きながら、踏まえながら対策を取り組んでいただきますように重ねてお願い申し上げます。
 続きまして、収入減少影響緩和交付金、いわゆるナラシ対策の交付金について伺います。
 このナラシ対策でございますが、収入減少によります農業経営への影響を緩和し、安定的な農業経営ができるようにするための国と農業者の方の拠出に基づくセーフティーネットでございますが、この対象品目には、畑作のほかに米も加わるということで、本年度は約七百五十億円程度予算措置されておりますが、二十七年産からは法改正後の新しい対象者要件で実施されるというふうに伺っております。
 そこで、一点、平成二十四年産のナラシ対策の水稲共済の加入率、作付面積ベースでございますが、これだと、全体で約三割、三〇%、作付け規模別では三から五ヘクタールで約三九%、五ヘクタール以上で約七五%、結構大きな面積を持たれているところでは加入率は高いんですけれども、それ以外はかなり低いという状況でございます。
 この加入率が低い原因といたしまして、農家が予想する収入減少の幅よりも拠出に係る負担金の方が割高なんじゃないかとか様々な要因が考えられるところでございますが、農水省としては何がこの加入率の低さの原因と考えているのか、そして、今回の見直しによりまして加入率は上がるんでしょうか、また、今後どのように加入促進を図っていかれるつもりなのか、お聞かせください。
#22
○政府参考人(奥原正明君) いわゆるナラシ対策、収入減少影響緩和対策でございます。
 御指摘ございましたように、農家の拠出を伴うセーフティーネットの対策でございます。これは平成十九年産から実施をされておりまして、元々は規模要件が付いておりましたので規模の大きい方中心に当然加入すると、特認はございましたけれどもそういう制度でございました。
 この加入率、平成二十一年の段階では、特に五ヘクタール以上層でありますと、水稲共済の面積をベースにしますと九九%の方が加入をしていらっしゃいましたが、今御指摘ございましたように、二十四年産ですと五ヘクタール以上階層で加入率が七五%ぐらいまで低下をしているという状況でございます。
 これ、一つやっぱり大きく影響しておりますのは、二十二年産から始まりました全額国費で補填をする米価変動補填交付金、これの影響が非常に大きかったんではないかというふうに考えております。この米価変動補填交付金は、自分の拠出をしなくても米価が下がったときに一律の単価でもって補填をされるということになりますので、これで十分というふうに考えられた農業者の方は、この拠出を伴うナラシ対策から脱退をしたということがあるんではないかなというふうに考えております。今回の経営所得安定対策の見直しによりまして、二十六年産からはこの米価変動補填交付金、廃止をされております。
 それから、今後、ナラシ対策の対象者につきましては面積規模の要件は掛けないと、認定農業者であれば全て加入できるということになりますので、農業で生計を立ててやっていく意欲と能力のある農業者の方であれば幅広く対象になることができるということで、今後この加入率は上がってくるのではないかなというふうに考えておりますし、今後一年間の間に必要な方が認定農業者にきちんとなれるように、市町村、都道府県とも連携を密にしてまいりたいと考えております。
#23
○舞立昇治君 分かりました。いろいろと過去経緯があったということで、これからはまた上がるんじゃないかというようなちょっと私も感覚を持てそうな感じになりましたので、またちょっと注視してまいりたいと思います。是非加入促進をよろしくお願いします。
 そして次に、収入保険についてでございますが、これにつきましては、先ほど、衆議院の方で修正がなされて、はっきりと道筋が明記されたんだというふうに考えておりますが、これにつきまして、本年度の当初予算に検討調査費といたしまして三億二千百万計上されていると思います。そして、林大臣、衆議院の予算委員会の方で、早ければ平成二十九年にも関係法案を提出する意向ということを示されているかと思います。
 この制度設計に当たりましては、収入保険の具体的な役割や性格、そして収入の捕捉方法、保険料、保険金の水準の設定等、様々な課題があると理解しますが、現時点の検討状況はどうなのかと。この調査費につきましては、全面的に外部委託、丸投げされるのか、あるいは本省内の検討チームがしっかりと主体的に関与して、機械的な作業等、必要最小限のものは外部委託して調査を進めるということになるのか、その辺のことにつきまして、現在の省内での検討体制や役割分担、そして取組状況、そして今後の予定等につきましてお聞かせください。
#24
○政府参考人(奥原正明君) 収入保険の関係でございます。
 現在の農業共済制度、これは自然災害による収穫量の減少を対象としておりまして、価格の低下は対象になっておりません。それから対象品目も、今のこととの関係におきまして、収穫量の把握がきちんとできるもの、これに限定をされておりまして、加入単位も品目ごとになっているなど、農業経営全体をカバーしたものになっていないと、こういう問題がございます。このために、全ての農作物を対象として、農業経営全体の収入に着目をした収入保険の導入について調査検討を進めていく必要があるというふうに考えております。
 御指摘ございましたように、二十六年度の当初予算におきまして調査費を計上しております。特に、この保険料ですとか保険金の水準設定等についてきちんと検討していく必要がございますので、基本的な制度設計は、これは農林水産省が中心となってきちんと行いますけれども、その際必要となる過去の農業者の収入データの収集、こういったことについてはやはり外部に委託をする必要がございますので、現在その調査を実施をしているところでございます。
 この調査結果を踏まえて制度設計をきちんと行いまして、特に二十七年産、これにつきまして、作付け前の加入から納税申告までのワンサイクルのフィージビリティースタディーをきちんと行いたいというふうに考えております。すなわち、平成二十六年中に加入申請をしていただいて、二十七年産についてやってみて、二十八年に納税申告をするんだと、これがワンサイクルということになりますが、これがきちんと機能するんだということをこのフィージビリティースタディーできちんと確認をする、その上で制度をきちんと固めていきたいというふうに考えてございます。
 この中で、このナラシ対策との関係をどうするかとか、こういった課題についても総合的な検討を進めていきたいというふうに思っておりまして、今後の調査等の結果によりますので現段階で確たることは申し上げられませんけれども、調査検討が順調に進めば平成二十九年の通常国会に関連法案を提出することになるものというふうに考えております。
#25
○舞立昇治君 ありがとうございました。この収入保険につきましては、今後の将来の安定した農業経営やっていく上で非常に重要な制度になるかと思いますので、是非、農林水産省といたしまして、しっかりと主体的に関与いたしまして制度設計進めていっていただきたいというふうに考えております。
 続きまして、飼料用米に入らせていただきます。
 この飼料用米の関係でございますが、水田フル活用と米政策の見直しによりまして、二十六年産から数量払いが導入されたところでございます。当初予算では二千七百七十億、水田活用の直接支払交付金に用意されておるところでございます。飼料用米の生産を本格的に推進する方針というところでございますが、まず、平成二十六年産の飼料用米の生産見込みはどの程度なのか、これは昨年農林水産省の方で予算編成時に見込んでいた数量と比べてどうなっているのか、ちょっとまずその辺をお聞かせください。
#26
○政府参考人(佐藤一雄君) お答えいたします。
 平成二十六年度予算におきましても、これはあくまでも積算上の数値でございますが、飼料米につきまして、標準単収を基に約五万五千ヘクタールの作付けを見込みまして四百四十二億円を計上しているところでございます。しかしながら、今先生の方からお話ございました作付けの見通しでございますが、まさに今田植が開始されておりまして、六月末が農業者から農林水産省の方への提出期限となっております営農計画書の集計を待つ必要がございまして、そういう状況でございますので、現段階におきまして確たることを申し上げることができないことを御理解いただきたいというふうに思っております。
 なお、二十六年産の飼料米の利用要望でございますが、現在、畜産農家から二十五年産の利用量十一万五千トンに加えまして新たに七万三千トンの要望が寄せられておりますほか配合飼料メーカーからも要望が寄せられておりまして、農林水産省といたしましてはこれらのマッチング活動を現在推進していると、こういうような状況でございます。
#27
○舞立昇治君 ありがとうございました。
 今回、飼料用米への支援を充実するということで、十アール当たり五万五千から十万五千、単収に基づいてということで、またさらに耕畜連携助成や産地交付金の追加配分とかで最大十アール当たり十三万支援できるというようなことで飼料用米の生産が進むんじゃないかというようなことも期待されるところでございますが、一方で地元の方では、飼料用米作ってもちゃんと買手が見付かるのか、所得がちゃんと増えるのか、流通経費等出荷の負担も大きいしと。飼料用米の支援金が増えただけで、いざ、よし頑張ろうという方も当然いるわけでございますけれども、なかなかそこまで積極的に踏み込めないという農家の方も少なからずいるところでございます。
 この飼料用米の支援金を増やすインセンティブを与えるだけでは十分なのかなと、ちょっと疑問に思えるところでございますが、その辺りの見解をいただければと思います。
#28
○副大臣(吉川貴盛君) 販売先をどのように確保していくのかという御趣旨と受け止めましてお答えをさせていただきたいと思いますけれども、飼料用米の販売先を確保しまして耕種農家と畜産農家の連携を強化していくことが最も重要なことであると考えております。
 今、国内で生産される飼料用米は、主に配合飼料メーカーを通じた全国の畜産農家への供給と、さらには地域の耕種農家と畜産農家の連携による直接供給が行われているところでもございます。
 このうち、配合飼料メーカーを通じた供給につきましては、全国生産者団体が地域の飼料用米を集荷をいたしまして、配合飼料原料として飼料工場へ広域的に供給する仕組みが確立をしております。また、耕種農家と畜産農家の連携による直接供給につきましては、国、さらには都道府県、市町村段階の関係機関が連携をいたしまして、現在、畜産農家から上げられた約七万三千トンの新たな利用希望についてマッチングを進めているところでもございます。さらに、配合飼料メーカーからも利用希望が寄せられておりますので、これらのマッチング活動も併せて推進をしているところでもありますし、更に推進をしていきたいと考えております。
 引き続き、これらの取組を通じまして、飼料用米の販売先の確保と耕種農家と畜産農家の連携を、ここが大事でありますから、しっかりと進めてまいりたいと考えております。
#29
○舞立昇治君 ありがとうございます。
 先ほども配合飼料メーカーなり相対の話なりしていただきました。この配合飼料、輸入原料に多くを依存しているため、配合飼料工場の大半は太平洋側の輸入港隣接地域に立地しているところでございまして、日本海側には新潟にしかないというところでございます。私の地元鳥取のこの山陰地方にもないところでございます。
 つまり、現在の配合飼料工場の立地というものは、原料はほとんど海外から輸入されるといった前提の下でつくられていると思います。ところが、今後、農水省として本気で飼料用米の生産振興を図り、四百五十万トンといったところもできるというふうに言われておりますが、こういうことが実現していけば、国内に新しい原料供給源が誕生するということも考えられるところでございまして、現在の配合飼料工場の立地の最適化というところが変わってくるんじゃないかなと考えます。
 もちろん、配合飼料工場の立地が変わらない、増えないということで、飼料用米の生産も実際には増えないということも考えられるところでございます。昨日の本会議の方で、林大臣の方も、全国の生産者団体が集荷して流通させる仕組みもあるといったような答弁もなされておりますが、そうしたからといいまして流通経費等がそこまで効率化するとも思えないところでございます。やはり近場に工場があるところとないところでは流通経費の格差が大きいんじゃないかと考えられますし、それによって農家の手数料負担等も大分変わってくるんじゃないかというふうに考えられます。
 そこで、主食用米から飼料用米へと需要に応じた生産を実現して、食料自給率、自給力を本気で上げていくためにも、この飼料用米の生産や販売に当たりまして、全国的に格差がないよう本気で取り組んでいく必要があると思います。そこで、流通経費の平準化への支援や配合飼料工場又はその地域での専用のカントリーエレベーターへの建設に対します上乗せ補助など、これまでにない異次元の大胆な支援策を取るべきだと考えますが、大臣の御見解をいただければと思います。
#30
○国務大臣(林芳正君) 今委員からお話がありましたように、飼料工場ですが、現在は北米からの輸入がほとんどの原料の大部分であるということ、それから、畜産農家に低価格に提供するために、畜産農家に近いところということで、太平洋側の港湾地域に集約をされてきたところでございます。
 餌米ですが、今お話があったように、新たに地域で直接供給してほしいという要望が畜産農家から七万三千トンほど出ておりまして、直接生産をしたいという耕種農家とマッチングをしております。
 それともう一つが、この配合飼料工場を通じて供給する場合ということですが、全国生産者団体が地域の飼料用米を集荷して、配合飼料の原料として飼料工場へ広域的に供給する仕組み、これは確立されておりますので、各地の配合飼料メーカー、これと調整をしながら受け入れると、こういう体制が整っておりますので、日本海側も含めて、各地域で生産された飼料用米を安定的に流通、販売していくことが可能と、こういうふうに考えております。
 今お話があったように、流通経費等の低減、これを図るために、まず耕種側における乾燥調製貯蔵施設の整備、それから今度は畜産側ですが、加工・保管施設の整備、それから粉砕機、混合機等の機械導入と、耕畜の双方にわたって支援を行っているところでございまして、こういったいろんなメニューを用いて飼料用米の生産、利用の拡大に向けた産地の流通体制の整備、これをより一層推進してまいりたいと、こういうふうに思っております。
#31
○舞立昇治君 ありがとうございました。
 先ほど乾燥調製貯蔵施設、加工・保管施設への支援もあるということが言われましたが、まさに、私も地元を回っていると、そういうのも、支援もあるんだけれども、やはり単体で整備していくとなるとやっぱり採算が全然合わないというようなことも言われているところでございまして、是非そうした状況を打破していくためにも、そして飼料用米、餌米の生産振興をより大胆に進めていく上でもより今よりも踏み込んだ支援が必要だと私は考えておりますので、是非御検討いただければと思っております。
 続きまして、多面的機能法案に移らさせていただきます。
 農業、農村でございますが、もう御存じのとおり、国土保全、水源涵養、景観形成等の多面的機能を有しておりまして、その利益は広く国民全体が享受するところでございます。この利益、私も前からずっと言っておりますけれども、貨幣換算できるものでも少なくとも年間約八・二兆、フローベースで効果があるというふうに推計されているところでございます。
 農業従事者の高齢化、耕作放棄地の拡大など農業の持続可能性が厳しい状況になっている今、この農業の多面的機能が今後とも適切に維持、発揮されるようにすることは大変重要でありまして、本法律には私も大変賛同するところでございます。
 農水省の皆さんにおかれましては、出先の農政局、そして県、市町村と連携し、地域ごとの実情に即したきめ細かな説明、支援を行い、是非とも全国津々浦々ほとんどの地域でこの取組が進むよう努めていただきたいというふうに考えておりますし、農家の皆さんの不安を払拭して将来への希望が持てるように努力していただきたいというふうに考えております。
 そこで、何点か質問させていただきます。
 今回の多面的機能法案における取組対象の農地についてでございますが、これにつきましては法律上の定めが特に置いていないかと思われます。しかし、農水省の方針といたしましては、対象農地は農業振興地域の整備に関する法律に規定される農用地区域内の農地のほか、地方自治体が多面的機能の発揮の観点から必要と認める農地というふうにされているところでございます。
 この地方団体が多面的機能の発揮の観点から必要と認める農地というのはどういう農地なんでしょうか。地域の実情に応じた柔軟な対応が必要と考えておりますけれども、農水省といたしましては地方団体に対しどのように説明、周知し、活動主体の組織の増加等に向けましてどのように取り組んでいるのか、お聞かせください。
#32
○政府参考人(三浦進君) お答え申し上げます。
 多面的機能支払のうち農地維持支払につきましては、農振農用地区域以外の農用地を対象とする場合、都道府県知事が、農業生産の継続性、多面的機能を維持することの効果や必要性等を踏まえまして、基本方針において対象となる農用地の考え方を定めるということとしております。
 具体的には、農地の有する緑地機能等に着目して、適正な保全が図られる生産緑地法に基づく生産緑地ですとか、あるいは地方公共団体との契約等によりまして多面的機能の維持を図る観点から適正な保全が図られている農用地、また多面的機能の発揮を図るための取組を農振農用地と一体的に取り組む必要があると認められる農用地といった農用地を交付対象とすることができるということでございます。
 このことも含めまして、日本型直接支払につきましては、これまで、地方自治体に対する説明会の開催に加えまして、現場からの質問等に対するQアンドA集を作成、配付をして、農水省のホームページに掲載するなどによりまして周知を図っております。また、問合せの窓口を設置いたしまして質問への随時の対応を行うといったこともしております。こういったことを通じて農村の現場への制度の丁寧な説明に努めてきたところでございます。
 法制化に際しましても、地方自治体の担当者ですとか農業者の方々が現場で法制度の運用あるいは取組の参考となるような資料等を作成いたしまして、制度の仕組みや考え方等についてきめ細かな丁寧な説明を行うように努めてまいりたいと考えております。
#33
○舞立昇治君 ありがとうございました。是非地域の実情に応じて取り組んでいただきたいと思います。
 これまであった農地・水保全支払は、農家以外の方の地域住民の方も対象となるなど、非常にちょっとなかなかそういう要件等ございまして取組がそこまで大きく広がっていなかった状況があるかと思いますが、今回、日本型直接支払の導入に関しまして、事務負担の軽減等も図っていただいておりまして、これは確実に丁寧に説明していけば私は必ず広がっていくものと考えますので、是非頑張っていただきたいというふうに考えております。
 次に、交付単価についてでございますが、都府県の田の場合は十アール当たり農地維持支払で三千円、資源向上支払、共同活動部分で二千四百円、そして長寿命化部分で四千四百円ということで、最初と次に言った農地維持支払と共同活動では五千四百円、全て取り組めば十アール当たり九千二百円といった単価かと思いますけれども、まずはこの交付単価の積算根拠を教えてください。
#34
○政府参考人(三浦進君) お答えいたします。
 多面的機能支払のうち農地維持支払の単価についてでございますが、これは平成二十五年度に、農地・水保全管理支払に取り組む活動組織について、全国から五百十八の地区を抽出いたしまして、その共同活動の活動内容の整理、分析を行いまして、農地を維持するための基礎的な保全活動の活動量の調査結果を基礎に算定をしたものでございます。
 また、資源向上支払の支援単価のうち地域資源の質的向上を図る共同活動についてでございますけれども、これは従前の農地・水保全管理支払の支援水準から先ほど申しました農地維持支払で支援する部分を除いた費用を基に活動内容を勘案して設定をしたものでございます。また、施設の長寿命化のための活動の単価についてでございますが、これは施設の長寿命化を図った場合と図らなかった場合との差といいますか、その場合に生ずる更新に要する費用の差、この金額を基に算定をしたということでございます。
#35
○舞立昇治君 ありがとうございました。
 実績等いろいろと根拠があるというところでございますが、私といたしましてはちょっとまだ不十分じゃないかなと思っているところでございます。農業の多面的機能、八兆円以上ある中で、またこれ以上農地を減らしちゃいけないという状況にある中で、これにつきましてはもうちょっと上げていく必要があるんじゃないかと。昨日も、大臣、御答弁の中でこの直接支払の導入で実質的な手取りの増加があるというふうにおっしゃっておられましたが、私といたしましてはもっと目に見える形で報いていくべきだというふうに考えております。
 そこで、この活動組織に対しまして、今例えば非常勤の公務員で消防団とか農業委員の方がいらっしゃいますけれども、これにつきましては定額の報酬があると。消防団につきましては、定額の報酬がある中で、火災等が起こったときには出動手当が支給されると。そういったようなことがあるわけでございますが、是非、こういった直接支払に取り組む組織に対しまして、年間を通し国の食料安全保障上貴重な財産であります農地を適切に維持管理していただくということの観点から、その対価といたしましてこの労賃、この労賃は消防団で言うところの出動手当に当たると思いますが、この労賃以外にもしっかりと定額の報酬を支払えるような仕組みを準備すべき、用意すべきだと考えておりますが、御見解をお聞かせいただければと思います。
#36
○大臣政務官(横山信一君) 多面的機能支払につきまして、改めて確認をさせていただきますと、農用地や水路等を保全する地域の共同活動に対して支援を行うということになっておりまして、活動組織を対象として交付金を交付するという仕組みでございます。
 この交付金の使途としましては、活動組織が行う共同活動に対し労働の提供を行った者に対し、その対価として日当を支払うということが可能となっております。また、共同活動を実施していく上で必要な組織の運営事務や会計経理事務などを担う者に対して、その役割に応じた活動の対価として、活動組織内の合意に基づいて一定期間当たりの金額を払うことも可能でございます。
 今のところ、こういう制度だということを御理解いただきたいということでございます。
#37
○舞立昇治君 今のところはそういう制度だと理解して、今後またしっかりと検討していただきますように是非よろしくお願いします。
 そして、最後でございます、中山間直払いの関係でございますが。
 この中山間地域等直接支払は、中山間地域等の条件不利地域と平場との間における農業生産条件の不利を補正するということによりまして、農業生産を中山間地域でも過疎地域でも山奥でも継続するための活動を支援するものでございまして、これもなくてはならない非常に重要な制度でございます。今回、現行制度のまま日本型直接支払の制度に組み入れられておりますけれども、現場では、法律で明記されたからといいまして、中長期的には減らされて、その資金は産業政策の経営所得安定対策などへ回されるんじゃないかといったような不安の声もあるところでございます。
 この中山間地域直接支払がこれまで果たしてきた役割をどのように農林水産省として評価し、今後どのように充実していくつもりなのか、お聞かせいただければと思います。
#38
○大臣政務官(横山信一君) この中山間地域等直接支払におきましては、第三者委員会の助言をいただきながら、アンケート方式による調査、分析を行ってまいりました。平成二十一年度に行った第二期対策、これは平成十七年から二十一年度の期間でございますが、このときの評価では、三・三万ヘクタールの耕作放棄地の発生が未然に防止されたと、そして、七万三千キロメートルの水路、六万六千キロメートルの農道の機能が維持されたと、こうした効果があったというふうに評価をされております。また、約九割の市町村や集落が制度の継続を希望するということで、肯定的な評価をいただいたというふうに理解をいたしました。
 本年度は第三期対策の最終年度、これは二十二年から今年度までということになりますが、そういう時期に当たっておりまして、現在、その評価を取りまとめる作業を行っているところでございます。この評価に基づきまして、次期対策につきましてもより効果的な施策となるように検討してまいりたいと考えております。
#39
○舞立昇治君 分かりました。ありがとうございました。本年度が一定の節目だということで、来年度から新たにまた充実して実施していただくように検討を進めていっていただければと思います。
 本当に人口減少等が深刻化していく中で、もう二十年後、三十年後、四十年後には日本の地域の多くは消滅してしまうといったようなことも指摘されている中で、今後十年間、今の段階において、日本と地方の再生を図っていく残された時間というものは本当に少ないと私は思っております。是非そうした認識を持った上で、農林水産予算、これまでも本当に、三兆円以上あったものが今二兆円台、一兆円以上減っているという状況の中で、本当に地方再生に重要な農林水産予算でございます。是非、本年度の補正や来年度当初予算においてもしっかり農政を充実できるように準備に余念なきようお願いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#40
○堀井巌君 自由民主党の堀井巌でございます。
 本日は、この経営安定対策そして多面的機能の促進の法案について、極めて重要な法案についての質疑をさせていただけることを光栄に思いますとともに、また責任を感じているところでございます。
 先ほど、舞立委員の方から最後に指摘もありましたけれども、今、日本の将来を考えたときに、特に地域の将来を考えたときに、人口減少、大変厳しい予測が出ているわけであります。そういった中で、地域を支える、そして地域のコミュニティーを支える最も重要なものが農業ではないかというふうに私は考えるところでございます。
 そういった中で、総理の方も四十年ぶりの生産調整の見直しだというふうな表現もされましたが、まさに今回のこの農政の大きな改革というのは、これからの地域の将来を、まさに日本のその地域の将来を決定付ける本当に重要な政策の転換というか、政策の取組であろう、このように思うわけであります。
 本会議での代表質問のときに、我が党の山田委員の指摘にもありました。今我が国農業の最大の課題は農業従事者の高齢化なんだ。これ私も、地域に行っても、奈良県のそれぞれの地域で様々な方とお話をしても本当にそのことを痛感するわけであります。恐らく今までのこの農政の様々な課題があった時期との、時期という点で考えれば、局面の違いというのは、この点は物すごく大きな局面の違いだろうと思います。今しっかり手を打って、将来本当に、人口減少実はならなかった、もっと地域に元気が出てきたというふうにできるかどうか、その最後の一つの機会ではないかとさえ私は思うわけであります。
 そんな中で、今農林水産省におかれては、今回、四つの改革ということで、これからの農政の将来を定める改革を行おうというふうにされている、その中の極めて重要な法案がこの二法案である、私はこのように理解をいたしております。
 そうであるならば、今回、この政策全体として是非とも必ず成功させるという、これは総力を挙げて、農林水産省のみならず、これは政府のみならず我々国会も立法府も含めて、そして地域の方々も含めて、みんなが、関係者一同が、国民全体がその理念や哲学を共有をして、どういう方法でやっていくんだ、その方法論も共有をして、そしてしっかりと取り組んでいく、このことが不可欠ではないかというふうに考えておるところでございます。
 農地中間管理機構の創設、これはもう法案通りましたですけれども、そして経営所得安定対策の見直し、水田フル活用と米政策の見直し、日本型直接支払制度の創設と、このような四つの柱を掲げて今回改革に取り組まれているということで、いま一度、林大臣の方からこの改革の理念そして考え方、方向性等についてお聞かせいただければと存じます。
#41
○国務大臣(林芳正君) 今、堀井委員がおっしゃったように、農業従事者の高齢化、平均六十六歳と、こういうふうに言われております。来年、再来年ということであればまだいいのかもしれませんが、十年、二十年先を考えますと、やはりこのままでいいというわけにはいかないと、こういうことでありますし、耕作放棄地も拡大をしておると。こういった直面する課題を克服するために、産業政策、すなわち農業の構造改革と成長産業化を促進する側面、それから構造改革を後押ししながら、総理もおっしゃっておられますように、美しく伝統ある農山漁村を守る地域政策、これを車の両輪として政策を再構築をさせていただいたところであります。
 今それぞれお触れになっていただきましたけれども、まず農地中間管理機構制度、これは地域に分散、錯綜した農地を整理しまして、農地利用の集積、集約化を推進することで、土地利用型農業の構造改革、そして生産コストの削減、これを図るものであります。
 それから、経営所得安定対策の見直しですが、これまで小規模な農家も含めて主食用米を生産する農家に対して一律に補助金を交付してきた米の直接支払交付金を見直すなど構造政策と矛盾しない施策に再構築をするものであります。
 それから、米政策の見直しは、意欲ある農業者が自らの経営判断で需要のある作物を選択するとともに、需要に応じた主食用米生産ができるように環境整備を進めていこうと、こういうものであります。
 加えて、日本型直接支払については、地域政策として地域の共同活動を支援するものであると同時に、規模拡大に取り組む担い手の負担を同時に軽減をするということによって構造政策も後押しをするということを狙ったものであります。
 こういうふうにして、農業を足腰の強い産業としていくための産業政策、それから農業、農村の有する多面的機能の維持、発揮を図るための地域政策、これを一体的に取り組むことによって強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村、これを実現をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
#42
○堀井巌君 ありがとうございました。
 私、今大臣述べられました足腰の強い農業をつくっていくという、産業政策そして地域政策という車の両輪として相まってやっていく、この基本的な考え方に私も強く共鳴をするところでありますし、このことは、特にそれぞれの地域においてこれから自分たちが、農業従事者の方も、そしてその地域で耕作放棄地をどうしていこうか様々な悩みを抱えている地域の方々も、あるいは地方の行政機関の方々も含めて、そういった基本的な考え方が共有されるというのがまずは私は大変重要なことだというふうに思います。個別の施策についての様々な私自身も要望等々はありますけれども、まずはこの理念、考え方がしっかりと共有をされるというのが、特に地域におりますと、その地域政策という言葉には大変な希望を皆さん感じるのではないかというふうに思うわけであります。
 その点に関しまして、その理念、考え方でいいますと、今、これまで農水省の方で様々に言われてきた中で、やっぱり農業を成長産業にするんだ、六次産業化だという、この考え方は私の地元の奈良県、地域でも相当浸透してきている。多くの関係者の方が、これは農業の関係の方、行政の方、そして様々な商業を行っている方も含めて六次産業化するんです、林業の方もそうです、六次産業化するために何かやるんです、付加価値を付けていくんですと。そういうことがそれぞれ取組として見られるようになってきているということは大変私はすばらしいことだというふうに思っております。
 例えば、私の地元でいいますと、元々の特産品でありますけれども、イチゴ、これをブランド化していこうという取組を考えられたり、あるいは薬草を栽培してその薬草を地元の製薬会社の方々に使っていただこうと、これ耕作放棄地で薬草を作ってみよう。もちろん、それがすぐに商業規模に乗るかどうかというのは別にしまして、そういう息吹が芽生えているということであります。
 また、日本酒、これ日本食文化が海外輸出されますと、日本酒の海外への進出ということも視野に入ってまいります。奈良県は日本酒の発祥の地だと言われておりまして、もちろん大臣の御地元の日本酒、大変今ブームで人気がございますけれども、奈良県も日本酒の発祥の地ということで今一生懸命頑張っておりますが、そういったものが海外の大きなマーケットにしっかりと行けば、日本の方でも酒米を作ろうと思われる方もこれから増えてくるかもしれない。それぞれのそういう取組がこれから相まっていくことが大変重要だというふうに思います。
 その点で、この六次産業化ということを今後更にどのように進めていこうとされるのか、お聞かせいただければというふうに思います。
#43
○副大臣(吉川貴盛君) ただいま先生からいろいろとお話をいただきましたこの六次産業化、極めて大切な私どもの政策の一つでございまして、この農林漁業を成長産業とさせるためには、六次産業化の取組を推進をして、地域の農林水産物、ただいま奈良県の日本酒の発祥の地というのを初めてお伺いをさせていただきました、大臣も感心をしておりましたけれども。食品が有する優れた価値を向上させながら、消費者まで確実に届ける中で、農林漁業者の所得の向上、雇用の確保を図り、地域全体の活性化につなげていくことが最も重要なことであろうかと考えております。
 薬用作物ということもお話に出ましたけれども、私の地元北海道におきましても、高齢化をして、リタイアをしてせがれに農業を譲った、その後病院通いをしないために、薬用作物というのはそんなに重労働じゃないんだということで、薬用作物の作付けを進めている地域が今ございます。
 そういったことで、更なる新たな六次化が私は進んでいくような気もいたしております。このために、この六次産業化に取り組む農林漁業者へのサポート体制を中央と都道府県段階に構築をしまして、それぞれの経営の発展段階に応じて補助事業、農林漁業成長産業化ファンドによる出資等の支援も総合的に実施しているところでもございます。
 さらに、もうお聞き及びのことであろうかと思いますけれども、昨年の十二月に官邸において取りまとめられました農林水産業・地域の活力創造プラン、これは林大臣ももちろん参加をいたしておるわけでありますけれども、この地域の活力創造に向けた施策の展開方向の一つとして六次産業化が位置付けられておりまして、今後は、この同プランに位置付けられた、グローバルな食市場の獲得に向けた国別・品目別輸出戦略に基づく輸出拡大の推進、そして二つ目には、機能性や加工適性の高い品種開発等を通じた新規需要の掘り起こし、そして三つ目には、医福食農連携等、多様な事業者との連携の推進、そして四つ目には、農山漁村の地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入や、バイオマス産業都市の構築等の推進などの農林水産省の関連施策を総動員をいたしまして、経済産業省、国交省などとの関係府省とも連携をしながら、更なる六次産業化の取組を推進をしていきたいと思っておりますので、どうぞ堀井先生におかれましても、更なる御支援とお知恵を拝借をいたしたく存じますので、よろしくどうぞお願いをいたします。
#44
○堀井巌君 ありがとうございました。今、それぞれ大臣、副大臣から、この産業政策、そして地域政策、車の両輪としてしっかりやっていく、また六次産業化を様々な形で進めていくという御答弁をいただきました。是非、そのお取組が関係者の方にもより一層理解され、共有されながら進めていただきたいと、このように思っているところでございます。
 そういう点でいいますと、今回のこの改革の中で、例えばまだまだ関係者の方に理解が行き渡っていない部分もあろうかというふうに思います。例を挙げましたら、経営所得安定対策の見直しに関していえば、十アール当たり米の関係で一万五千円が七千五百円になる、ゼロになるという一つの側面を捉えて、それが一つの印象なりイメージになっている。この個別の側面で物事を捉えるだけでは、やはり全体像に対する誤解が生まれるんではないかというふうに思うわけであります。
 そこで、やはり農業の担い手となる方々に、今回のこの経営所得安定対策の見直しというのは、しっかり頑張っていこうという農業者の方にとって非常にプラスのメリットがある、プラスになる話なんだ、そういう政策なんだ、その中の一環として今の見直しも含まれているんだということをきちんと説明をしていくことが極めて重要ではないかというふうに思うわけでありますが、その点もう一度お聞かせいただきたいと思います。
#45
○政府参考人(奥原正明君) 今般の農政改革におきまして、米の直接支払交付金、これにつきましては、米は麦、大豆等と違っておりまして十分な国境措置がございますので諸外国との生産条件の格差から生ずる不利がないということ、それから、全ての販売農家に交付することは農地の流動化のペースを遅らせる側面があるんではないかと、こういった問題点がございまして、やはり納税者の理解を得てこれを長く続けるということはなかなか難しいということを考慮して廃止をするということにしたところでございます。
 ただ、いきなりこれを廃止すると、この交付金を前提に機械、施設の投資を行ってこられた農業者の方もいらっしゃいますので、平成二十六年産から単価を半分に削減をいたしまして、平成二十九年産までの時限措置と、こういう形でセットしたところでございます。今回の法律に盛り込まれておりますゲタ対策、ナラシ対策は、中身の見直しを行った上で、今後も安定的に担い手の方々が利用できる、そういう制度としてきちんと整備をすると、こういう発想でつくられているわけでございます。
 それから、先ほど先生から御指摘ございましたように、まさにこの四つの改革をトータルでやっぱり捉えて見ていかなければいけないということでございまして、確かにこの直接支払交付金の部分は単価減ったりしておりますけれども、多面的機能支払は、これは地域政策としての側面もございますけれども、規模拡大と経営発展に取り組んでいただいております担い手の方の負担を軽減をすると、そういう側面もございます。
 それから、水田活用対策におきましては、非食用米、餌米ですとか米粉米のところにつきまして、数量払いを導入することによって単収向上の取組をやっていただければ収量も増えていく、手取りも増えていくと、こういう仕掛けも入っております。
 それから、農地中間管理機構を含めて構造政策の強化は相当図られておりますので、トータルで見まして、意欲と能力のある、経営マインドのある農業者の方であれば、これから経営展開がより自由に、創意工夫を持ってやりやすい環境ができてくると、こういうことでございますので、トータルでのプラスは非常に大きいものというふうに考えております。
#46
○堀井巌君 ありがとうございました。
 今の御説明、私も御説明を聞いて、あっ、それはそうだろうというふうにも思ったわけでありますが、いずれにしても、やはりその成否というのは、担い手の方が実際に取り組んで、あっ、これで強い農業になってきたな、自分たちもこういう政策の転換によって更に水田のフル活用もできるようになってきたな、様々な形でこの政策の効果を実感できるかどうか、もうそこに成否は私はやっぱりよると思うんです。
 幾らいい政策であっても、幾らいい政策だといっても、みんなが理解がなかなかできなくてそこに真剣になかなか取り組もうということにならなければ、例えばこの農地バンクの話もそうでしょうし、様々なものが動かない、せっかくいいものをつくったけれども、結果的に理解を得られなくて動きませんでしたということでは、もう今この時期じゃなきゃできないわけでありますので、そのためにも、是非とも様々な形で十分な理解を得るべく御尽力をいただければというふうに思っているところでございます。
 次に、多面的機能支払制度についての質問に移らせていただきたいと思います。
 まず、私の方は、改めてこの多面的機能支払制度の基本的な考え方について伺いたいというふうに思います。
 私も地元の方で、今度こういう制度が今できようとしておりますという説明もしたりすることもございます。現存する中山間地域等直接支払制度もある中で、なかなか考え方の違い、そして統一してどういうふうに説明をしていくのかというところについて、もう少し地域の方々も理解を深めたいという声もございました。こういった制度との違い、そして、両方の制度がそれぞれどのような目的を持って、そしてそれがどのように連携をして、相まって、どのような効果をもたらすのかということが分かる形で、是非とも御説明いただければ有り難く存じます。
#47
○政府参考人(三浦進君) お答え申し上げます。
 まず、多面的機能支払制度の基本的な考え方でございますけれども、近年、農業者の高齢化等によりまして地域の共同活動で支えられてきた水路や農道等の維持管理に困難を来すようになりつつあります。また、担い手にとってこうした施設等を単独で維持管理するということが負担となりまして、規模拡大を進める上での阻害となるといったことも懸念されるところでございます。
 多面的機能支払は、その地域全体で水路、農道等の地域資源の管理を支える共同活動に対して支援を行うものでございまして、こうした多面的機能の適切な発揮を促進するものでございます。また、担い手がこうした施設の管理に要する負担というのがこれを通じて軽減されまして、規模拡大を推進しやすくなるということから、構造改革を後押しする効果も有するというものであるということでございます。
 一方、中山間地域等直接支払制度でございますが、これは中山間地域等の条件不利地域と平場との生産条件の不利を補正するということによりまして、そういった条件不利地域における農業生産活動の継続的な実施を可能とするよう支援するものでございまして、多面的機能支払とは制度の趣旨が異なっているものでございます。
 こうしたことから、御指摘のございましたように、多面的機能支払と中山間地域等直接支払制度の両方に取り組むということも可能でございます。例えば、多面的機能支払で農地の適切な保全を図りながら中山間地域等直接支払を活用してそこで生産された農産物の加工や直売を行うといった取組に充てるといったことも可能でございます。こうしたことを通じて、地域の農業の振興あるいは地域の活性化に向けた取組の積極的な展開が行われることが期待できるというものであると考えております。
#48
○堀井巌君 ありがとうございます。
 いずれにしても、制度というのはなかなか浸透していくのは、もちろん非常にすばらしい制度でありますので是非とも両方がうまく活用されればと思うんですけれども、補助金なんかを受け取る側からしますと、なかなかその違いが理解しづらかったり、私も、いろんな要望を受けるとき、いやこれではなかなか対象にならないんですけれどもどうしたらいいでしょうかとか、ほとんどそういう話が主であります。
 制度の趣旨が異なるとかいろんな話がありますけれども、そこにある耕作放棄地は一つであります。そこにある棚田であります。みんながそれで何とかしようと思っている、その気持ちをうまくこういった制度が酌み取るように、是非とも、今後ともそういった地域の方々の声を両方の制度でうまく吸い上げて、本当の目的である、補助金を交付することが目的ではなくて、そういった地域の多面的な機能が維持されることが目的でありましょうから、そういった方向に向けて一層の御尽力をお願いしたいというふうに思うわけであります。
 この多面的機能については、私はこれもまた地域政策として大変期待をしているところでございます。
 地元の話をして恐縮ですけれども、奈良県の場合は米も消費県であります。そういう意味では、力強い担い手をつくるという部分も、これも一つそういうエリアとしてありますけれども、一方で中山間地域も多い地域でありまして、なかなか耕作放棄地も全国の平均を上回っているというような状況にございます。先ほど最初に申し上げました、担い手もそこにはいない、高齢化が進んでいる、なかなか手も掛けられない、そういう状況にあるところであります。昔なら、もう少し若い世代の担い手の方、兼業農家であってもそういった方々がその地域にいられて、そこの全体として草刈りをやったり、棚田の維持のために頑張るという方々もいらっしゃった。今でもそういう地域もありますけれども、逆にもうそういう人さえいないという地域もあるわけでございます。
 そんなときに、これ一つの例ですけれども、一つの取組として、地域外の方々でサラリーマンをやっていて定年退職された方々がNPO法人をつくって、そして、まだ六十歳だというとまだまだ元気で若いですから、耕作放棄地や何かのところで地元の地権者の方と契約して同意をして、そして草刈りだとか、そして耕作放棄地を何とか、何か作物を植えていこうというような取組をNPO法人として非営利でやっておられる方がおられます。
 産業政策としての担い手ということを考えたときに、これは強い農業経営者、就農者という位置付けはあろうかと思います。今度、地域政策としての農業ということを考えたときに、これは今言った耕作放棄地あるいは中山間地域の棚田のようなところ、こういったところを誰が担っていくのかというふうに考えたときには、これは本当にこれからありとあらゆる工夫を考えながら、農業を今までやってこなかったけれどもそうやって非営利でやっていこうという方々も含めて、様々な新しい取組に対してできる限りの支援というか、それをしっかりと受け止めていくような方向性が私は重要だというふうに感じているところでございます。
   〔委員長退席、理事山田俊男君着席〕
 今、質問させていただきたいのは、こういった経営所得安定対策の交付金対象者以外の方々で農業に関わっていこうという方々に対して政策上どのように位置付けていくのか、御所見をお伺いできればと思います。
#49
○政府参考人(三浦進君) 多面的機能支払においてどのような対応が可能かという観点からお答え申し上げます。
 今先生のお話にありました経営所得安定対策の対象となり得るような担い手以外の方々、その担い手以外の農業者ですとか農業者以外の方々も含めて共同活動の担い手として位置付けるということが集落機能が低下しつつある農村においては重要であると考えております。こうしたことによりまして、地域全体で担い手を支えて、担い手による農地集積を後押しすると。あるいは、地域住民が役割分担しながら共同活動や六次産業化に取り組む環境が整うといった、その農村地域の活性化につながっていくということが期待できるものと考えております。
 先生のお話にございましたような、農地の保全の取組を行うNPO法人のような主体が地域の合意を得てこうした多面的機能支払による取組に参加するといったことも考えられるところでございまして、地域の実情に応じましてこうした新たな取組にも柔軟に対応しながら地域の共同活動の展開が可能となるように制度の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
#50
○堀井巌君 ありがとうございました。是非ともお取組をお願いしたいというふうに思うところでございます。
 それに関連しまして、例えば今申し上げましたような定年退職の方とか、あるいは地元ですと、今までは農業をやったことがないけれども、たまたま例えば移住をしてきた、あるいは結婚でその地域に入ってきた、あるいは農業以外の仕事をするためにその地域に入ってきた方々、いろんな方がおられます。こういう方々は恐らく、いわゆる農業の担い手、この経営所得安定対策で考えるような産業政策としての担い手ということでなくて、私は、地域政策の側での地域の多面的機能の維持のためにやはり貢献いただける、その地域に住んで貢献いただける方々ではないかというふうに思うんですけれども、お会いすると、農業に関する知識がなかなかまだないので、どうやって例えば草刈りを安全にやったらいいのか、あるいはどうやったら作物もうまく育つのか、そんな少しのノウハウがあればいいんだけれども、なかなかそれを学ぶ機会が少ないというふうなことも耳にするところでございます。
 是非ともそういった、例えば今の話でいいますと、定年退職後からでも、技術や経営、特に経営も含めてでしょうけれども、ノウハウを有したいと思っている方々に研修とか、そういった仕組みがあればなおさら有り難いというふうに思いますけれども、こういった定年退職者の方でありますとか、新たに農業に、少しやってみたいと思うような地域の方々を支援するような仕組みについて、もし御所見があればお伺いしたいと思います。
#51
○大臣政務官(横山信一君) 持続可能な力強い農業を実現するためには、将来農業経営の担い手となり得る青年層の新規就農者の確保、定着は大事なことでございます。一方、今御指摘をいただきましたように、定年退職者を含めた青年層よりも上の方でも、商工業に長年従事する中で培った経営ノウハウを活用して農業経営にチャレンジするケースも考えられます。こうしたことは世代間のバランスの回復にはつながらないというふうに思いますけれども、しかし地域農業の活性化には資するというふうに考えております。このような方々は貯蓄等の資産を持っておられることもあるというふうに考えますが、施設、機械の投資が必要になることもあり得ますので、青年等就農資金により六十五歳未満の方については融資で支援をすることにしております。
 このほか、全国レベル、都道府県レベルでの新規就農相談センターにおける情報提供や相談、農業委員会等における農地のあっせん等については年齢に関係なく利用が可能になっているところでございます。
 今後とも、世代間のバランスの回復にも配慮しながら、青年層よりも上の方々の経営ノウハウを活用することも視野に入れて新規就農対策を進めてまいります。
#52
○堀井巌君 ありがとうございます。六十五歳未満までというふうな力強い御答弁もいただきました。
 いずれにしても、農業に携わる方、もうこれからやっぱり地域を支えるということでもありますので、地域政策というふうにしっかりとお言葉も位置付けていただきましたので、本当にありとあらゆる方々、農業に関わっていこう、地域を守るために関わっていこうという方々みんな総動員して、みんなをうまく、もちろん財政上の制約があると思いますけれども、支えながらやっていくことがやはり私も重要だと思っておりますので、引き続きよろしくお願いしたいというふうに思います。
 それに関連して、大変恐縮ではありますが、林業の関係についても質問をさせていただきたいというふうに思うわけであります。
 といいますのも、奈良県も森林地域が、先日も申し上げましたように大変広いですけれども、国土の七割近くも森林であります。地域で、例えば先ほど棚田、中山間地域における耕作放棄地を何とかしようというふうに考えたときに、やっぱりそこの地域に人が、特にある程度農作業に従事できる人が住んでいることがやはり非常に重要であります。
   〔理事山田俊男君退席、委員長着席〕
 この中山間地域の中でそういった担い手をどうやって確保するか。もちろん、棚田を、耕作放棄地を開墾するだけでは、なかなか収入として十分なものを得られてそこに住み続けるというわけにはいかない。ほかの何らかの仕事をしながら、同時にそういった多面的機能を維持していくということが、これまでもそうであったと思いますし、これからもやっぱりそのことが重要だろうというふうに思うわけであります。
 そういった意味からも、森林地域においてはやはり林業というものを再生していく、そこでしっかりと雇用、地域コミュニティーを確保していくということが、雇用を確保していくということが非常に重要ではないかと私は思うわけであります。
 また、今回の産業政策、地域政策という両輪で農業をしっかりと進めていくというのは、私は林業の政策にもまさに当てはまるのではないかというふうに思います。産業政策としての林業、そして地域の、まさに森林地域というのは国土の保全であり、まさに防災対策そのものであり、環境対策そのものである、まさに地域政策としての側面も十分に、私が改めて申すまでもなく有しておるわけでございます。そういった意味からも、是非とも、農業の考え方とともに、同じように、勝るとも劣らず重要な林業政策についても同様の考え方で是非とも力強く進めていっていただきたいと、このように強く期待をしているところでございます。
 そんな中で、私もこの連休中にずっと奈良県の森林地域に入りまして、様々な方々、そしてまた林業の現場に足を運ばせていただきまして、いろいろ地域の事情なりあるいは要望なりをお伺いをする機会がございました。そして、その中でやはり私も新たに学んだのは、奈良県という一つの県でありますけれども、それでも、それぞれの地域によって、最近の政策上の言葉でいうと森林経営計画のエリアということにもなりましょうか、それによってやはり山の形状も違います。そこに育った木の樹齢も違います。これまでの林業のやり方も違います。
 そこで、ちょっと一つの例で申し上げたいのは、今これだけ利用資源がどんどんまだ増えていきつつある、まさに林業の再生の、産業政策としての再生にも今ちょうど非常にいい機会に来ているという中で、地元の方々が今の材価、もちろん上がってほしいけれども、今のままでもそれでも頑張りたいと、こういう声もやっぱり出てきているわけであります。これを何とか後押ししたいと私も思っているわけでありますが、そのときに、やっぱり山、今、間伐ということでどんどん進めてきましたですけれども、間伐も大事ですが、中には、主伐、皆伐をしてまた再造林をしたいという、こういう地域もあるわけであります。これは、それぞれの地域ごとに林業をどうしていきたいかと、やっぱりその地域ごとの様々な取組があろうと思いますので、この多様な取組を全体として支援していくことがやはり私は重要ではないかというふうに思うところでございます。
 そこでお伺いしたいのは、こういった、これまでの林業と同じように、主伐、皆伐をして、そしてしっかりと再造林したい、再造林すると最近は鹿にすぐに食べられたりしてネットを張らないとなかなか難しいところもあって、それでネットの補助も様々な形で今までもやっていただいているようでありますけれども、主伐後の再造林対策、これについてどのように進めていかれるか、お伺いしたいと思います。
#53
○政府参考人(沼田正俊君) お答え申し上げます。
 本格的な利用段階を迎えております我が国の森林資源につきまして、先生御指摘のように、循環利用のサイクルを確立する、そして、森林の各種多面的な機能の維持、発揮を図っていくということが大切でございまして、そのためにも、伐採後の再造林、これを適切に行うことが重要だと考えております。
 私ども林野庁といたしましては、森林整備事業によりまして、再造林に対しましては国と都道府県を合わせて七割という補助を行っております。
 また、造林の低コスト化を進めるということも経営上大切なことだと考えておりまして、コンテナ苗の導入でありますとか成長に優れた苗木、こういったものも活用するように努力させていただいているところでございます。
 さらに、平成二十三年の森林法改正でございますが、伐採後の確実な再造林が行われるよう、無届け伐採に対して市町村長が伐採の中止や造林命令を発せられる仕組みを措置したところでもございます。
 こういったことで、今後ともこれらの取組によりまして伐採後の再造林というものが確実に進められるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
#54
○堀井巌君 ありがとうございます。もう是非ともよろしくお願いしたいというふうに思います。
 あわせて、やはり造林に引き続きまして間伐についてもお尋ねをしたいというふうに思います。
 もちろん間伐の重要性はもう私がここで改めて申すまでもありませんが、施業の集約化とか、それから路網整備を進めて間伐コストを低減しながら、しっかりと搬出間伐、つなげていくということは、木材利用につなげていく上でも非常に重要だというふうにも思っております。また、これは森林保全にもつながっていく、このように思うわけでありますが、現場に入りますと、やっぱりそれぞれの山ごとに全然また間伐の方法も異なっているわけでございます。急峻な山が多い奈良県の吉野の山地の方ですと、どうしても、路網整備やっているところもありますけれども、それも限られている、架線集材に頼っているというところもございます。また、それもなかなか難しいので、高級材のみをヘリ集材でやっているというところもあるわけでございます。
 今まで間伐について林野庁さんから様々な御説明いただいていますと、まず、ある程度路網整備をして、そしてトラックで搬出するということを前提に様々な補助金制度が付けられていて、これをやれば間伐をやっても何とか赤字にならずに手元にお金残りますから、やりましょうという、こういう説明をいただいているわけであります。
 私もこれは地元で説明するんですけれども、いやいや、それだけではうまくいかないんだよと、自分たちの地域に限って言えば、なかなかそこがそんなふうにはならないんだというふうな声も聞かれるところでございます。
 この傾斜の形状など、それぞれの地域、現場に応じた間伐の支援がやはり私は重要ではないかというふうに考えますが、どのような取組を行っておられるのか、お伺いしたいと思います。
#55
○政府参考人(沼田正俊君) 間伐の件でございますけれども、間伐は森林の持つ機能を十全に発揮させる観点から極めて重要でございます。ただ、作業に当たりましては、いわゆる傾斜の緩いところでは車両系の林業機械によります集材、こういったものを行っております。急傾斜地では架線による集材、こういうことを行っておりまして、いわゆる現地の状況に応じて適切かつ効率的な作業方法を選択していくということが重要だと考えております。
 こういったことで、私どもとしては、間伐事業の実施に当たりましては、集材方法について車両系と架線系に区分するということを基本として、都道府県が地域の実情に応じて間伐の標準単価を設定できるということにしているところでございます。例えば奈良県における間伐の場合は、やはり架線系の方が車両系よりも、一・二倍程度でございますけれども、高い標準単価ということが設定されているところでございます。
 また、いわゆる先進的な林業機械の現場導入ということも考えておりまして、そういった中でも、架線集材関係というものをきちんと取り組まさせていただいているところでございます。
 今後とも、間伐等の森林整備事業が生産コストの低減を図りながら現地の状況に応じて適切に実行されるよう努力してまいりたいと考えているところでございます。
#56
○堀井巌君 ありがとうございました。
 次に、森林経営計画の関係についてお伺いをしたいと思います。
 先日の委員会でも森林経営計画についてお尋ねをいたしました。少し運用の柔軟化も図っていただいて、それぞれの地域が森林経営計画を作ってしっかりと取り組めるようにという改正もしていただいたところであります。
 一方で、まだまだそれでも計画作るのが難しいな、この難しいなという声もありますが、いろんな側面があると思うんです。計画策定そのものがなかなか難しいという場合もあれば、あるいは計画を作っても雇用をしようと思っても中長期的な雇用が見通せない。
 例えば、先ほどの主伐、皆伐の例がそうです。今間伐をやっています、そして次にその雇用を継続しようと思うと、あちらの山を今度皆伐すればまたそこで雇用も継続できる、そんなような森林計画を作りたいけれども本当にそれでうまくいくのか。そして、それだけの供給体制をつくっても今度は川下の方でしっかりと需要が確保されていくのか、そこまでどうやって見通せるんだろう、こういうことも悩みとして皆さん持っておられたり、あるいは、だんだん間伐できる場所が少なくなると、その地域に少しの投資をしないといけない。本当にその投資が補助金やなんかも含めて見通せるのかどうかとか、様々な課題が皆さん持っておられると思うんです。
 これは、今林野庁さんの方ではフォレスターの人材育成などを進めておられて、これは私、大変重要なことだというふうに思っておりますけれども、とにかく林野行政を進めておられる林野庁の方々、そして都道府県の方々、フォレスターの方々が一体となってこの経営計画の作成、そしてまたそれの運用でアドバイスをしていくというふうな、きめの細かい対応を是非ともお願いしたいと思いますが、その点、いかがでございましょうか。
#57
○政府参考人(沼田正俊君) 先生御指摘のとおり、森林の適切な整備、林業の成長産業化ということを図るためには、森林経営計画の作成等を通じて持続的な森林経営を確立していくということが何よりも必要だと考えておりまして、森林所有者や市町村を支援する人材の育成、こういった課題の解決が急務だと考えているところでございます。
 このため、森林経営計画の作成等を支援する森林施業プランナーの育成、そして、森林所有者や市町村を技術面から支援するとともに、森林施業プランナーに対して指導、助言を行う森林総合監理士と呼んでおりますけれども、いわゆるフォレスターでございますが、この育成、こういったことに取り組んでいるところでございます。
 森林総合監理士につきましては、従来の准フォレスター研修を見直しまして、技術面は当然やるんでございますけれども、それだけでなくて、丁寧で分かりやすい説明能力や関係者をまとめる合意形成能力の習得、こういったことも含めた育成研修を始めることとしたところでございます。現在、森林総合監理士である林野庁職員でありますとか都道府県職員、約二百五十名でございますけれども、これを登録しております。今後とも、市町村の要請等に応じて随時技術支援を行っていく考えでございます。
 御指摘いただきましたように、現場への丁寧な説明、そしてきめ細かな支援、こういったものに心掛けて、いわゆる現場に密着した取組、こういったものがきちんと進むように努力してまいりたいと考えているところでございます。
#58
○堀井巌君 是非ともよろしくお願いしたいと思います。
 大臣と林野庁長官におかれましては、林野庁の職員の方は皆さん大変お忙しいと思うんですけれども、是非とも地域にも旅費をしっかりと付けていただきまして出張をしていただきまして、それぞれ本当にこの地域で、少しでもいいから地域の方と直接触れていただいてアドバイスをいただければ、大変地域の方にとってもメリットがあると思いますし、またそれが施策にも生かされるということで、好循環が起きるのではないかというふうに期待していますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 最後の質問になりますけれども、木材需要の拡大に向けて、これは林大臣にお伺いしたいと思います。
 まず、林大臣におかれましては、先日も、これ私、報道で拝見しましたが、「WOOD JOB!」という映画も御覧になられたり、あるいはその中でまた示されているような、若者が林業に就業していくというこの取組、こういったことを力強く後押ししていくんだというふうにおっしゃっておられるというふうに伺いました。
 それからまた、今度、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックのときにおいても、この国産材の利用をどんどん図っていくんだというようなお取組もされていると、このように伺っているところでありまして、心から敬意を表するとともに、本当に期待をしているところであります。
 この川下対策なんですけれども、例えば、今、川上の方で森林経営計画を作って森林組合やいろんな方々が雇用を確保してやっていこうとしたときに、やっぱり森林利用を増やしていくということになると、ある程度一定の供給を維持していくことが非常に重要であります。
 例えば、奈良県でも今度木質バイオの発電施設ができますけれども、そうすると、木を製材する場所で今までのチップよりはもっと燃えやすいチップになるような機械に更新をしたりということで、皆さん、よし、こういうのがあるんだったら、次、少し投資をしてもこういう取組をしてみようということでやっぱり動き始めるわけであります。
 やっぱり特に木材需要の中で重要なのは、私は、先日も申し上げましたように、やはり住宅等への利用だというふうに思っております。このことがきちんと循環していけば木材需要の拡大にかなりつながっていくんだろうと思います。復興モデル住宅を自分たちの村の木で造っている例もありますけれども、皆さん苦労しているのは、今度、自分たちの村の中に復興モデル住宅を村の材で造ったんだけれども、村の中ではいいんだけれども、それが本当は都会でも理解され、支持をされて売れていくようになれば木材需要というのは大幅に拡大していくわけであります。そういった部分になかなかつながりがまだまだ見えない、何とかしたい、知恵を欲しい、皆さん今そこで止まっているところもございます。
 是非とも、大臣におかれましては、改めて川上の方々の活性化、雇用の拡大、林業の再生にもつながる木材需要の拡大についての御決意をお聞かせいただきたいと思います。
#59
○国務大臣(林芳正君) 今委員がおっしゃったように、需要サイドを強化するということは川上にとっても非常に大事なことだと、こういうふうに思っておりまして、森林資源をやはり循環させる、すなわち、切って、使って、植えていくと、このことが林業、山村の活性化、国土の保全、さらには地球温暖化防止の上でも極めて重要だと、こういうふうに認識をしております。
 農林水産業・地域の活力創造プランにも書かせていただいたんですが、中高層建築での活用が期待できるクロス・ラミネーティッド・ティンバー、直交集成板という新しい製品がございまして、これは現段階では国交大臣の特認ということになっておりますけれども、農林水産省のJAS規格も取って、第一号がこの間、高知県でございますけれども、社員寮として三階建て全部構造を木でやると、こういうものができたということも出てきておりますので、こういうものの早期実用化に向けた支援をしっかりとやっていくと。それから、木造公共建築物、今お話のあった木質バイオマス利用施設等の整備に対する支援、こういうものもしっかりやっていきたいと思っております。
 それから、まさに住宅ですが、木造住宅の建築等に対してポイントを付与する木材利用ポイント事業の実施ということをこれまでも取り組んでまいったところでございます。この木材利用ポイント事業の宣伝大使ということで、乃木坂46という皆さんを起用して告知にも努めているところでございますが、今回、さらに今お話しいただきましたように、「WOOD JOB!」という、まあグッドジョブに掛けて「WOOD JOB!」ということですが、こういう映画が十日から封切りをされました。初日に私も行って見てまいりましたけれども、大変、都会育ちの若者が林業に入っていくという、余りここで言ってしまうと、今上映中でございますので中身は余り申し上げられませんが、こういう映画とタイアップして、各種メディアを通じて、やはりこの需要サイド、きちっと働きかけていって、我々は木づかいと呼んでおりますが、木を使うということで積極的に展開をしたいと思っております。
 また、オリンピック・パラリンピックもあと六年後ということでございまして、大体三十七の施設ができると、こういうふうに言われておりますので、ここに木を使っていただいて、国の内外の方々に木の良さを発信していく、これ大変大事だと、こういうふうに思っておりまして、この大会関連施設の整備を行う東京都、それから文部科学省等の関係者、関係団体との連携を密にして、なるべく木材を使っていただくようにしっかりと取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っておりまして、こういったことと併せて、木材需要の拡大をしていくことによって林業・木材産業の成長産業化の実現、これに寄与していきたいと思っております。
#60
○堀井巌君 大変ありがとうございました。
 木材利用促進法も既に施行されております。大臣におかれましては、また今のようなお取組、そして公共・公用施設にもどんどん木を利用してくれということもまた働きかけもしていただけることを御期待、お願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#61
○委員長(野村哲郎君) 午後零時四十分に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時四十六分休憩
     ─────・─────
   午後零時四十分開会
#62
○委員長(野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#63
○徳永エリ君 皆さん、お疲れさまでございます。民主党・新緑風会の徳永エリでございます。
 こう見えても、そのまま見えるかもしれませんけれども、私、割と古いタイプの人間なんですね。ですから、グローバル化という言葉が余り好きではありません。ただ、これだけグローバル化の流れの中で、やはりいろんな分野で国際競争に勝たなければならないということは大変によく分かるんです。ですから、決して変化を嫌っているわけではないんですけれども、突然変わるというのは、果たして付いていけるんだろうかと、付いていけない人たちもたくさんそこには出てくるんじゃないかということを大変に心配しているんですね。
 今の政府のやり方を見ていますと、十分な議論もしないままに暴走しているというか、猛スピードで走って、急カーブを切って、もしかすると多くの人を巻き込んで大事故を起こしかねないと大変に心配しているわけであります。この農政に関しても私は同じように思っております。
 昨年の六月、民主党の農業者戸別所得補償法案を生活、社民、民主と三党共同で提出させていただきました。なかなか政府案が出てこないので、経営所得安定対策の見直しはまだまだ時間が掛かるだろうと、じっくりと議論した上で恐らく見直しということになるんだろうなと、十月ぐらいまでは昨年思っていたんですね。ところが、十月下旬の産業競争力会議の農業分科会で減反廃止が唐突に打ち出されて、僅か一か月程度で政策のフレームが決まってしまったわけです。
 産業競争力会議の過度な農政改革議論が生産現場に大変に大きな不安と混乱を招いている中で、なぜこんなに農業の構造改革を急ぐ必要があるのかということを改めて大臣にお伺いしたいと思います。
#64
○国務大臣(林芳正君) 我が国の農業については、従事者の高齢化、耕作放棄地の拡大、こういう課題が生じておりまして、構造改革を更に加速化させていくということは待ったなしの課題であると認識しております。
 このために、農地集積を加速化して生産コストの削減を図る農地中間管理機構制度、これは昨年の臨時国会で法律を成立させていただきましたが、それによりまして、この機構制度を創設すること、これまで小規模な農家を含めて主食用米を生産する農家に対して一律に補助金を交付してきた米の直接交付金を見直すなど経営所得安定対策の見直しをすること、それから、意欲ある農業者、これが自らの経営判断で需要のある作物を選択していただくとともに需要に応じた主食用米生産ができるよう環境整備を推進する米政策の見直しをすること、そして、地域の共同活動を支援すると同時に構造改革も後押しする日本型直接支払の創設、この四つの改革を進めることにいたしました。
 今経緯についてお話がございましたが、平成二十四年の総選挙の公約に自民党は、経営所得安定対策の見直し、それから日本型直接支払の創設を行うと、こういうふうに明記をさせて選挙を戦ったわけでございます。選挙後の平成二十五年度予算においては、これは私も何度かここで御答弁も申し上げたと思いますが、既にもう農業者が営農準備を進めておられまして、現場の混乱を回避する観点から、戸別所得補償について、当時の体系を維持しながら名称を経営所得安定対策とするとともに、日本型支払の創設、それから経営所得安定対策の見直しの検討に向けて調査費を既に計上しておりました。
 こういったことを踏まえて、農林水産省としては具体的な検討をずっと進めてきたところでございまして、自民党の方でも、昨年の二月から農業基本政策検討PTにおいて断続的に議論がなされてきたところでございます。その最終的にまとまった成果を昨年の十二月に農林水産業・地域の活力創造プランとして取りまとめて年末の概算決定に反映させていただいたところでございまして、この四つの農政改革というのは、急にということではなくて、選挙でお訴えをして、その結果、調査費を計上し、ずっと検討を重ねてきた結果やってきたということでございます。
 やはり、現場の方に安心して取り組んでいただくことが大変重要だというふうに思っておりまして、地域の実態に応じて丁寧な説明をさせていただいておりまして、都道府県、それから北海道は広いのでブロック別にやらせていただいておりますし、市町村別の説明会は五千六百回に及んでおります。延べ二十二万人の方に説明会に足を運んでいただいておるということでございまして、今後ともこの現場の声を踏まえていろんな運用改善もしていきながら、いわゆる現場とキャッチボールをしながらきめ細かな運営を行ってまいりたいと、こういうふうに思っております。
#65
○徳永エリ君 政府や与党では準備をしてきたのかもしれませんけれども、今お話を聞いていてやはり落ちているのは、現場の農業者の方々との徹底した議論というかやっぱり協議が落ちていたんじゃないかなというふうに思うんですね。全部決まった後に説明されてもどうすることもできないわけですから、やはりこれだけ大きな農政の大転換ということでありますので、もっともっと現場の方々の声を聞いていただきたかったなということを申し上げたいと思います。
 今回のこの法案の審議に当たって、改めて昨年の産業競争力会議の農業分科会の議事録を見てみました。民間委員の方々の意見がそのまま政府の農業政策になっていて、目標数字までそのままというところもありまして、農林水産省の外で農政の大転換である政策が決められたのではないかということに大変に驚きを感じます。
 この産業競争力会議に関しては、国会の中で総理も何度も御答弁しておりましたけれども、あくまでも民間の議員が闊達に自由に意見を述べるところであると、そのとおりになることはないというのを私はいろんなほかの分野でも何度か聞いたことがあるような気がするんですが、しかし、実際にはそのまま進んでいるということであります。
 昨年閣議決定した日本再興戦略では、担い手による八割の農地の利用、米生産コストの四割削減、法人経営体数五万法人を目指す、四十代以下の農業従事者を約二十万人から約四十万人という数値目標が示されました。
 この担い手というふうに聞きますと、一般の人は自分たちがよく目にする農業者の姿を思い浮かべるんです、私たちとは違って。最近も担い手担い手という言葉がやたら出てきますけれども、今言っているこの担い手というのは、法人経営であったり大規模な家族経営であったりリースで入った企業であったりと、こういうことを言っているんだと思います。こういうところが農地面積全体で四百五十九万ヘクタールのうちの二百二十六万ヘクタール、全体の約五割弱の農地を現在利用しているんですが、これを今後十年で八割まで増やしていこうというわけです。
 産業競争力会議農業分科会の新浪主査は、農地バンクを活用して優良農地からどんどん企業が入っていけるようにしていくべきだと言っています。また、別の委員は、小規模農地所有者の対応については、農地を農地バンクに貸し出してもらい地代で守ることを明確にすると。さらに、具体的な施策として、農地中間管理機構の整備、活用、経営所得安定対策の見直し、法人経営、大規模家族経営、集落営農、企業等の多様な担い手による農地のフル活用、農業生産法人の要件緩和などのリースではなくて農地を所有する方式にする企業参入の更なる自由化の検討等となっています。
 今日のいつもの読売新聞ですが、御覧になったかと思いますが、「企業の農地所有解禁」という記事が載りました。こんなことをするんであれば、これ農地法も改正しなければいけないわけです。
 今私がお話ししたことの中に、小規模零細の家族経営農家の姿が消えていると私は感じています。これ、小規模な家族経営農家はどうしようとしているんですか、要らないというんでしょうか、切り捨てようとしているんでしょうか、そこを大臣にお伺いをしたいと思います。
#66
○国務大臣(林芳正君) この農業を成長産業にしていくためには、やはり農地の担い手への集積、集約化、それからコストダウン、六次産業化を進めていく必要がありまして、数値目標を定めて具体的な取組を着実に進めることが大変重要であると考えております。この担い手の不足している地域においては、リース方式によって企業に参入していただくことも農業の活性化を図る上では有効であると考えております。
 今度の経営所得安定対策の見直しにおいては、対象農業者について、認定農業者、集落営農に加えて、認定新規就農者を対象としました。それから、面積規模要件を設けない、こういうふうになっておりますので、将来に向けて、今はそうでなくても、農業で生計を立てていく意欲と能力のある農業者であれば、幅広く対策に加入できると、こういうことになっておりますので、いわゆる小規模農家切捨てという表現は当たらないというふうに考えております。
#67
○徳永エリ君 意欲と能力のある農業者というふうにおっしゃいましたけれども、今だって意欲的にやっているんです。能力だってあるんです。意欲と能力のある農業者をと言われると、みんな非常にむなしい気持ちになると思います。よく攻めの農業という言い方もなさいますけれども、もう北海道の農業者はずっと攻めてきているんです。攻めてきているからこそ規模も拡大し、そして経営がうまくいっているところだってたくさんあるんですよね。
 ですから、そういう言い方をしていいのかなと思いますし、それから、先ほど具体的な施策という話もありましたけれども、TPPに関しては、読売新聞その他の報道に関しては誤報だ誤報だというふうにおっしゃいますけれども、企業の農地所有解禁ということに関しては、先ほどもお話しさせていただきましたけれども、具体的な案の中にも入っているわけで、これは誤報ではないんですよね、大臣。
#68
○国務大臣(林芳正君) 多分、私その記事をちょっと今朝時間がなくて見ておりませんが、規制改革会議の……(発言する者あり)報道についてだというふうに理解をしておりますが、これはそういう規制改革会議の考え方というのが昨日まとめられたというふうに承知をしておりまして、今後はこの規制改革会議の意見も踏まえて政府・与党の中で結論を出していくと、こういうことになろうかと思っております。
#69
○徳永エリ君 まあ、日本再興戦略の具体的な施策の中に書かれているわけですから、恐らくこういう方向に行くんでしょう。今後、農地法改正ということも起きてくるんだと思います。
 日本は少子高齢化、人口減少という深刻な社会問題を抱えていて、農業も高齢化が進んでいる。先ほどからお話もありましたけれども、平均年齢は六十五・八歳、稲作農家は更に平均年齢が高く七十歳。後継者不足により、担い手不足により、農業従事者はこの二十年間で半減、耕作放棄地も十五万ヘクタールから四十万ヘクタールへ。農業生産額は八兆円に下落、食料自給率は三九%に低下。このままにしておくと、いずれ日本の農業は崩壊する。税制や補助金で優遇されているのにもかかわらず、生産性が上がらず、国際競争力も弱い。生産性を上げ競争力を付けるというのが、農業の構造改革を進めなければならないという人たちの考え方であります。
 私の地元北海道でも人口問題は大変に深刻です。特に北海道の農村は府県に先駆けて農地の集約化、規模拡大を進めてきました。都府県の販売農家では一戸当たりの経営耕作面積が一・五二ヘクタールです。しかし、北海道では二三・一八ヘクタール、都府県の約十五倍ですよ。しかし、農家戸数は二十年間で半減、二〇一〇年のデータで四万四千戸であります。
 規模が拡大するに従って、隣の家の明かりが一つ、また一つ農村から消えていく。農地を手放した人たちは、高齢者でありますから、利便性のいい都会へと引っ越していき、農村の人口はどんどん減っていくことになるわけです。それに伴って、商店街もなくなり、病院も学校もなくなる。地域のコミュニティーは成り立たなくなります。コミュニティーを維持するためには、小規模、家族経営の農家も守っていかなければなりません。高齢者だって元気であれば死ぬまで一生働けるのが農業のいいところであります。
 農地の集約化、規模拡大を進めるにもコミュニティーを維持するための適正な規模があると考えますが、政府が行おうとしている農政の改革によって果たして農村コミュニティーは維持していけるのか、また、政府はこのコミュニティー維持のための施策にもしっかりと取り組んでいただけるのか、大臣にお伺いいたします。
#70
○大臣政務官(横山信一君) 私の方からお答えをさせていただきます。
 農業にとりまして共同作業は、これは必要なものでございまして、その意味では、農村コミュニティーの維持というのは大事な観点でございます。
 集落共同で行う水路、農道等の地域資源の保全管理の基礎の上にこうした農業は成り立っているということでございます。しかしながら、農村地域では、高齢化や人口減少が都市に先駆けて進行しており、地域の共同活動が低迷するなど、集落機能の低下という問題に直面をしております。
 担い手への農地利用の集積、集約化により農業の構造改革を進めるに当たっては、こうした地域の共同活動により、地域全体で担い手を支えることが重要であります。そこで、多面的機能支払により、担い手以外の農業者や農業者以外の住民を含む活動組織等が取り組む地域の共同活動を支援することといたしました。
 さらに、昨年十二月に取りまとめた農林水産業・地域の活力創造プランに掲げたように、地域資源を活用した地場産業の振興、日常生活機能や定住環境の確保等の取組への支援、日常生活に不可欠な施設等の基幹集落への集約、周辺集落とのアクセス手段の確保等の様々な施策を関係省庁が連携して総合的に講じ、農村コミュニティーの活性化を図ることとしております。
 これらの施策によりまして、農村コミュニティーにも配慮した農業の振興にこれからも努めてまいります。
#71
○徳永エリ君 それで本当に農村コミュニティーが守れるのだろうかと大変に疑問に思いますし、それから、やはり数字にならないものというのもたくさんあって、農業者がそこに住み着いて農業を続けるからこそあるものというのがどんどん消えていくのではないかということを大変に懸念いたします。後ほど、またその件についてお話しさせていただきますが。
 経営所得安定対策、政権が替わって名前は変わったものの、民主党の戸別所得補償制度を見直すということになるわけですが、この制度に対する評価を改めて大臣にお伺いしたいと思います。
#72
○政府参考人(奥原正明君) 政府・与党では、経営所得安定対策につきまして、昨年の二月ぐらいからその実績データ等を基に検証を進めてきたところでございます。
 こういった検証の中で、この戸別所得補償制度、これにつきましては、十分な国境措置があり諸外国との生産条件格差から生ずる不利がない米についてこういった交付金を交付することは、他産業の従事者あるいは他作物を生産する農業者に納得していただくことがなかなか難しいのではないかということ、それから、全ての販売農家を対象に交付金を支払うものでありますので、農地流動化のペースを遅らせる側面があるのではないかと、こういった問題点が指摘をされたところでございます。
 実際にも、これは数字の見方でございますけれども、交付金の四割、約六百億円は加入者の九割に当たる二ヘクタール未満層に交付をされているということ、それから農地の権利移動の面積の推移でございますけれども、担い手経営安定法に基づく経営所得安定対策を導入した平成十九年にはこの権利移動の面積が十三万ヘクタールございましたけれども、所得補償制度を導入した平成二十二年は約九万ヘクタールとなっておりまして、農地の流動化のペースも鈍化をしていると、こういった評価をしているところでございます。
#73
○徳永エリ君 まず、高い国境措置とおっしゃいますけれども、今、グローバル化、経済連携がどんどん結ばれていく中で、今は守られているかもしれませんけれども、いずれこの関税だってなくなるときが来るわけですよね。ですから、やっぱり先も見据えて、先も見据えて今農政改革をやっているわけですから、ここもしっかり先を見据えていただきたいと思います。
 農業者戸別所得補償制度は、民主党が政権を担っていたときには、自民党の皆さんたちにもばらまきだ、ばらまきだというふうにさんざん言われたんですね。しかし、全ての販売農家を対象にしていましたけれども、全体の九・八%しかない二ヘクタール以上の農家に総予算の約六割が配分されていますので、決して私はばらまきだとは言えないと思っています。さらに、農業の現場からは大変に評価が高くて、加入者全体の七三・九%が好意的な評価をしているというデータもあります。それから衆議院の審議でも、議事録を読ませていただくと、与党議員の皆さんも、いや、あれはいい制度だったというふうにおっしゃっているという、大変にたくさん声が上がっています。
 でも、局長、今御説明いただきましたけれども、局長御自身も産業競争力会議の中でこの評価について御説明しているんですよね。昨年五月の農業者戸別所得補償制度の実績等に関する農水省文書では、米の直接払い交付金十アール一万五千円が経営に与える影響について、何の対策もない場合は、五ヘクタール以上を含めて、全ての水稲作付け規模階層で経営費は賄えるが家族労働費は賄えないこと。それから、ナラシ対策のみの場合、五ヘクタール以上に限って経営費も家族労働費も賄える上に、十アール当たりで九百五十円の利潤が発生すること。戸別所得補償の場合、五ヘクタール以上で十アール当たりの利潤が二千百六十円にも達し、大規模経営の有利性が遺憾なく発揮される。戸別所得補償制度の下での緩やかな構造改革は、直接支払による大規模経営の有利性の発現条件の整備につながり、農地の集約が進み規模拡大につながった。このことは農水省も理解していたのではないでしょうか。
#74
○政府参考人(奥原正明君) ちょっと、私、昨年の産業競争力会議でそういう御説明をした記憶は余りないんですけれども。
#75
○徳永エリ君 そして、規模拡大だけではなくて、集落営農数、それから法人の割合も増えています。さらには、生産調整への参加が戸別所得補償制度加入の要件でしたから、そのことによって過剰作付面積も大きく減っていますね。認めてください。
#76
○政府参考人(奥原正明君) 私、この局長ポストを大分長くやっておりますので、民主党政権下でもこの局長ポストをやらせていただいておりました。その当時も、この所得補償制度をやって実際に数字がどういうふうに動いたかという整理はいろいろやっておりまして、その数字が、政権が替わったから我々お出ししているものが変わっているわけではございません。ただ、それについての評価の仕方は、やっぱりお立場もございますので、与党が替わればそこは変わってくるところがあるということだと思います。
 例えば、そのお金がどのくらい大規模な方に行っているかという、これも、確かに六割のお金は大規模な方のところに行っていらっしゃるのは事実ですが、逆に言いますと四割は小さい方に行っていらっしゃる、これをどちらから見るかという、そういう問題でございます。
 そういう意味で、データにつきましては、我々事務方としては常に客観的にお出しをしているつもりでございます。
#77
○徳永エリ君 局長、大変に苦しい御答弁をありがとうございました。
 データで見てみると、間違いなく穏やかな緩やかな、静かな構造改革が戸別所得補償制度によって進んでいたことが分かります。これ、急ハンドルではありませんから、ゆっくりと、じっくりと構造改革をしていっているわけです。
 私の地元北海道でも、この制度によって、明らかに稲作農家の皆さんはこの四年間、意欲を持っておいしいお米を一生懸命に作っていましたし、米価も多少動きはありましたけど比較的安定していましたし、それから豊作も続いていて、もう現場に行くと本当に現場が明るくて、何か一緒にうれしくなるような、そんな思いをいつもしておりました。所得も増えました、納税もできるようになった。この制度は大きな経営体に有利な設計となっているので、農地の集積が進み、規模拡大や農業機械への投資も積極的に行われていたんです。
 しかし、昨年の末、政府が突然、農業者戸別所得補償制度の見直し、十アール一万五千円の交付金の半減を決め、平成三十年産からは米の直接支払交付金は廃止、さらに生産調整も見直し。
 そこで、改めてもう一度伺います。そんなにいい制度だったのに、なぜ戸別所得補償制度を見直さなければならなかったのか。先ほどのその内外格差というところ以外の部分で説得力のある御答弁をいただきたいと思います。
#78
○国務大臣(林芳正君) この議論は衆議院でも随分やらせていただきまして、民主党の、衆議院の農林水産委員会では、法案の提出者でもあられたんですが、玉木委員や大串委員からも同様の御指摘があったところでございまして、いわゆる静かな構造改革という名前を使って御説明をされておられました。
 確かに、同じ金額を均一で配れば規模の大きい方に有利になるという考え方も理解できないわけではないんでございますが、どれぐらいの年月を掛けてどういう形に持っていくのかということが必ずしも我々が野党で御質問する立場にあったときは明確ではなかったかなと。たしか衆議院の質疑の中で、この法案の答弁者として十年ぐらいと、こういうふうに玉木委員が御答弁をされておられたわけでございますので、そうしますと、この制度が始まってからあと六年ぐらいでその目指すべき方向ということをおっしゃっておられまして、それは我々野党時代にはちょっとお聞きしたことがなかったような話でございます。
 したがって、我々としては、やはり数値の、何年で大体どれぐらいと、ここまで、五割まで来ておりますので、これをやはり八割に持っていくという数値目標をきちっと持って、税金を使って政策をやっていくわけでございますので、そういうことをやる必要があるというところが違うところかなということが一つと。
 それから、先ほど申し上げましたように、やはり主食用の米のみにこれが支払われていると。ほかの作物を作っていらっしゃる方とのバランス、若しくは、もっと広く言えばほかの産業の方とのバランスという意味でやはりこのことをしっかりと考えていかなければなりませんし、そういう意味では、米政策の見直しと関連してまいりますが、残念ながら、いろんな振興をやって食い止めなければなりませんけれども、冷静に見ますと、主食用の米、これは毎年八万トンというレベルでトレンドは下がっていくと、こういうことでございますので、やはり中長期的に、今年、来年は良かったねということでいいかもしれませんけれども、十年、二十年先を見たときに、やはりその先に責任を持てる政策という意味で今回の政策を提案をさせていただいているということでございます。
#79
○徳永エリ君 その八万トンの件も、果たして農政を変えれば解決されるのかということでもないと思うんですね。そういう問題が出てきたら、じゃどうやったらその問題を解決できるのかということをいろんな多角的に見てもっと十分な議論が必要なんじゃないかと思いますし、やっぱり戸別所得補償制度にもいいところがあったわけですから、やっぱりいいところは残していくという形でもっともっと国会の中で議論がしたかったなということを返す返す思います。
 農家の方々に伺っても、猫の目農政と言われる中でこの経営所得安定対策、政権が替わっても続いていたということで、やっぱり三年以上続くとこれしばらく政策変わらないかもしれないなというふうに思うんだそうですよ。だからこそ、先ほども申し上げましたけれども、もうどんどん規模拡大をして、農地のリース料を払ったり、農地を購入して借金を返したり、トラクターやコンバイン、これ一千五百万とか二千万するものもありますから、そういったものを新たに購入して、息子に継がせるぞという思いで頑張っていたわけですよ。そういう方々はこの先どうなるのか、果たしてたくさん抱えてしまったその借金を返していけるんだろうかということを大変心配しているんです、先行投資していたわけですから。激変緩和ということで四年後の廃止を決めたのだとは思いますけれども、所得が大きく減ってその抱えた借金が返済ができないということになると、経営維持を阻害する要因になっていくと思うんですね。
 この突然の政策転換で、規模拡大や効率化へ積極的な取組をしてきた、そして経営も比較的うまくいっている、こういう農家が営農を継続できるように守っていくということも必要だと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
#80
○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、この交付金を前提に機械、施設の投資を行ってきた農業者もいらっしゃると思いますので、経過措置としてこの二十六年産から単価を削減をした上で、これは二十九年産まで続くわけでございます。時限措置として実施をして、この五年間で、米政策の見直しもそうでございますけれども、目指すべき年限と方向性をきちっと具体的に共有した上で、そこに向かって団体、生産者、我々、一緒になって環境整備に努力していこうと、こういうことにしたところでございます。
 なお、多面的機能支払というものが今度新たに出てまいりますので、これが所得に入ってくるということも申し上げておかなければならないと思います。
#81
○徳永エリ君 いずれにしても、この措置期間が終わったときには一度現場の状況をしっかりと調査していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#82
○国務大臣(林芳正君) 大変大事なことだと思いますので、今年は元年でございますから、まだいろんな説明会をやっても、やっぱり実際にやっていただかないと分からないところというのが最終的に、この説明だけでは最終的なところにいかないかもしれませんが、今年、元年ということでやってみて、そして、その結果どういうことだったかということは情報で出てまいりますので、常にそれを、先ほど現場とのキャッチボールと申し上げましたけれども、これを不断にやることによって制度の運用改善に常に努めていきたいと考えております。
#83
○徳永エリ君 大臣、ありがとうございます。しっかりとお願いしたいと思います。
 それでは、経営所得安定対策の改正案について伺います。
 畑作物の直接支払交付金、ゲタ対策について伺います。これまでは、予算措置によって全ての販売農家、集落営農を対象に実施してきましたが、二十七年度からは交付対象者はどのように変わるのか、御説明ください。
#84
○政府参考人(奥原正明君) 畑作物のゲタ対策でございますが、平成十九年産から導入をされたこの時点では、一定規模以上の認定農業者、集落営農ということに限定をされておりました。これが、今御指摘ございましたように、平成二十三年からの畑作物の直接所得補償ということになりましたときには、全ての販売農家、集落営農を対象として実施をするということで、この規模の要件は全くなくなったわけでございます。この結果、二十五年産では加入件数が八万四千件、それから加入面積は四十八万ヘクタールというふうになっております。
 この一定規模以上の認定農業者等が対象であった二十一年産と比較をいたしますと、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用バレイショ、これは元々あった品目でございますけれども、この四品目につきましては二十一年産時点で既に担い手への農地集積が相当進んでおりましたので、増加分のほとんどは二十三年産から新たに予算措置で支援対象となりましたソバに起因するものでございます。
 今回の改正によりまして、二十七年産からはこの規模要件は課さないということにした上で、認定農業者それから認定新規就農者それから集落営農と、ここに支援が限定されるということになりますけれども、こうした中で既に担い手への農地の集積が相当進んでおります麦、大豆等の四品目、これにつきましてはほとんど面積が減少しないというふうに見込まれます。
 一方で、ソバ、菜種につきましては、今後二十六年度中に認定農業者になっていただく、あるいは集落営農組織をつくるといった取組をしていただいて、できるだけ従来の面積が維持できるようにしていきたいというふうに考えております。
#85
○徳永エリ君 認定農業者、集落営農という形に移行してもらうための何か方法というか、そういったことは考えておられるんでしょうか。
#86
○政府参考人(奥原正明君) 認定農業者につきましては、基本的には農業経営基盤強化促進法に基づきまして市町村が認定するというものでございます。ここは、都道府県、市町村とよく連携をいたしまして、この一年の間に意欲と能力のある方が幅広く認定をされるようにきちんとそこは指導していきたいというふうに考えております。
#87
○徳永エリ君 続いて、営農継続払いです。
 麦、大豆、てん菜、でん粉用バレイショ、ソバ、菜種が対象作物になりますが、ソバ以外は単価が十アール二万円です。ソバについては十アール一万三千円ということですけれども、なぜこれソバだけ十アール一万三千円なんでしょうか。
#88
○政府参考人(奥原正明君) このゲタ対策でございますけれども、生産条件不利補正交付金でございますが、これにつきましては、数量払いとそれから面積払いの内金、これの組合せの制度でございます。
 まず、当年の品質及び生産量に応じて交付する数量払い、これを基本といたしまして、当年産の作付面積に応じて交付する営農継続支払、これは面積払いでございますが、これを収穫前に数量払いの内金として支払うと、こういうことにしております。この営農継続支払、数量払いの内金ということでございますので、内金ですから、最終的な数量払いの金額を超えるというのは内金の性格を超えるということになってしまいます。このことを考えますと、十アール当たりの数量払いの平均的な交付額、これがソバの場合には一万八千五百円でございまして、これの内金としての支払を麦、大豆等と同じように二万円ということになりますと、これは内金の数字を超えてしまうと、こういうことになります。
 このために、ソバ以外の農産物の営農継続支払、これが数量払いに比べてどのくらいの水準になっているか見てみますと、大体四割から七割ぐらいでございます。このことも考慮いたしまして、ソバの営農継続支払、これの交付単価につきましては十アール当たりの数量払いの平均交付額の大体七割に相当する約一万三千円ということで設定をしていると、こういうことでございます。
#89
○徳永エリ君 ありがとうございます。
 その数量払いの交付単価は品質に応じて単価の増減を行うということでありますけれども、ソバについては平成二十六年産から未検査品を、平成二十七年産からは規格外品を対象外とするということですが、その理由と、それから、地域によっては検査登録機関が少ないことから、検査機関を増やしていく必要があるのではないかと思いますが、その辺りはどうなさるんでしょうか。
#90
○政府参考人(奥原正明君) このソバにつきましてもこのゲタ対策の対象に現在なっているわけでございます。二十三年からこの対象になっておりますが、その当時は全国的にソバの農産物検査の受検体制が整っていない地域が多かったということがございまして、未検査品や規格外品もこの支援の対象にしていたところでございます。
 ただ、その後、この制度によりまして、ソバの作付面積がかなり増えてまいりました。特に、豊作でありました平成二十四年産につきましては、需要を大きく上回る生産量になったということに加えまして、捨て作りなどによりまして、未検査品や規格外品のような品質の悪いソバがかなり流通をしたと、こういうことがございまして、販売価格が低下をしたと、こういう指摘がなされたところでございます。
 これまでの間に、ソバにつきましても各都道府県におきまして農産物検査の体制がかなり整ってきているということもございますので、二十六年産からは農産物検査を受検することを交付要件にしたと、こういうことでございます。
 それから、規格外品の方の問題もございますが、これは現場での混乱を避けるために段階的に見直してほしいという現場での御要望もございました。したがって、この未検査品を外すのと同時に規格外品も外すということではなかなか困るという御指摘もございましたので、そのことと、それから、二十六年度中にこのソバの流通実態に即した農産物検査の規格の見直しを行うということにしておりますので、そのことも考慮いたしまして、この規格外品については、二十六年ではなくて二十七年産から対象外にするということにしたところでございます。
#91
○徳永エリ君 ありがとうございます。
 また、耕作放棄地解消対策とも言える再生利用交付金、耕作放棄地に麦、ソバ、菜種を作付けする場合に、作付面積に応じた交付金を最長五年分交付する再生利用交付金、これを廃止したのはなぜでしょうか。
#92
○政府参考人(奥原正明君) この所得補償制度におきましては、畑の耕作放棄地を解消して、そこに麦、大豆等を作付けをする場合に、地力の回復に要する掛かり増し経費といたしまして、平地の場合には十アール当たり二万円、それから条件不利地の場合には十アール当たり三万円、これを最長五年間交付をする再生利用交付金という措置をしておりました。この交付金につきましては、平成二十五年度には予算上は加入面積で八千ヘクタールまで予算を用意しておりましたけれども、加入の実績は非常に低調でして、一千ヘクタールにとどまっているところでございます。
 それから、昨年の臨時国会で通していただきました農地中間管理機構、これの創設によりまして、耕作放棄地につきましても必要に応じてこの機構が基盤整備等の条件整備を行った上で受け手の方に農地を貸し付けていくということが可能になったところでございます。
 そういったことを考慮いたしまして、再生利用交付金については廃止をするということにしたものでございます。
#93
○徳永エリ君 先ほど薬草という話がありましたけれども、この間、地方議員の方に言われたんですが、うちの村では耕作放棄地で薬草を栽培していますという話がありまして、この耕作放棄地解消対策も、今薬草の八割が輸入されているということですから、高収益を得られる薬草栽培などに交付金を付けて、むしろ、この制度を使って拡充して継続するべきなんではないかというふうに考えますけれども、その辺りはいかがでしょうか。
#94
○政府参考人(奥原正明君) 耕作放棄地の解消というのは、これは非常に重要なポイントだというふうに我々も思っておりまして、ですから、昨年の農地中間管理機構におきましても、担い手のところに農地を利用集積するというだけではなくて、耕作放棄地の解消にもこの中間管理機構を使っていくという制度をかなり詳しく書き込んでおります。
 これは、特に農地法の方を同時に改正をして、その中で、各農業委員会が各地域の耕作放棄地を調べていただいて、その所有者に対して指導するときに、従来は単にちゃんと耕作をしてくださいという指導ですが、今回はそうではなくて、中間管理機構に貸す意思がおありですかという意向調査までするということが入っております。最終的には都道府県知事の裁定によりまして利用権が設定できるということまで法制度として整備をされておりますので、そういったものを全てうまく使いまして、耕作放棄地の解消には全力を挙げていきたいというふうに思っております。
#95
○徳永エリ君 この点も、制度はしっかりしていても、先ほどの話じゃないですけれども、産業競争力会議としては優良農地からどんどん入っていくと言っていますから、ちゃんと耕作放棄地が解消されているのかということもこれから注目していただきたいと思います。
 次に、米、畑作物の収入影響緩和対策、ナラシ対策、これは引き続き実施するということですけれども、交付対象品目は米、麦、大豆、てん菜、でん粉用バレイショとなっていますが、これ以外の品目も対象として拡大することはできないのかという声もありますが、この点はいかがでしょうか。
#96
○政府参考人(奥原正明君) まず、今回の経営所得安定対策の対象の品目の規定でございますけれども、法律の規定の仕方は、このゲタとナラシ含めまして、まず対象農産物の要件を決めております。共通の要素として、一つ、国民に対する熱量の供給を図る上で特に重要であること、それと、これに加えまして、ほかの農作物と組み合わせた生産が広く行われていること、この二つの要件を満たすものがゲタ、ナラシ共通のまず母体としてのこの対策の対象農産物になってまいります。
 この対象農産物のうちで、さらにゲタ対策とそれからナラシ対策についてそれぞれ要件が追加をされておりまして、ナラシ対策につきましては、この中でさらに収入の減少の影響を適切に把握するための地域別の価格や単収のデータが整っている品目、それから収入の減少が農業経営に及ぼす影響を緩和する必要があるもの、この二つの要素を満たしたものをナラシ対策の対象として選定をして政令で指定をするということになります。
 現時点では、米とそれから麦、大豆、てん菜、でん粉原料用バレイショ、この五品目ということになりますけれども、ソバ、菜種をどうするかというのは一つ議論にはなりますが、ソバ、菜種につきましては、今申し上げました地域別の価格データ等が現時点ではそろっておりません。ということで、今回、ソバ、菜種はゲタ対策の対象ではありますけれどもナラシ対策の対象にはなっておりません。これにつきまして、その地域別の価格データ等がきちんと把握して、これについても相当収入の減少の影響があるということになれば、そういう品目について政令で追加指定をする可能性はあるということでございます。
#97
○徳永エリ君 ありがとうございます。
 続いて、水田フル活用と米政策の見直しについて伺います。
 水田で麦、大豆、飼料用米、米粉用米等の作物を生産する農業者に対して交付金を直接交付することにより、水田のフル活用を推進し、食料自給率、自給力の向上を図るとしています。今後、来年の農業・農村基本計画の見直しに向けてこの自給力という言葉がよく出てくるようになるんだと思いますが、政府のおっしゃる食料自給力の定義について御説明いただきたいと思います。
 また、二〇一〇年に閣議決定された食料・農業・農村基本計画では、食料自給率を十年で五〇%に引き上げることを目標としていますが、自給率と自給力の関係についてお伺いいたします。
#98
○大臣政務官(横山信一君) 食料自給力に関しましては、過去の審議会の答申や食料・農業・農村白書において、農地、担い手、農業技術などから成る国内農業生産による食料の潜在的な供給能力を示すものと整理をされております。このような考え方の下で、我が国の農業従事者の減少や高齢化、農地面積の減少などが進展し、需要の増大から世界の食料需給が中長期的に逼迫する可能性がある中で、食料安全保障の観点から、食料自給力の維持向上を図っていくことが重要になっているというふうに認識をしております。
 一月の二十八日に食料・農業・農村政策審議会に食料・農業・農村基本計画の見直しについて諮問をしたところであります。この中で、食料自給率目標及び食料自給力の取扱いについても議論の中で検討をしてまいる予定でございます。
#99
○徳永エリ君 ありがとうございます。またじっくりお伺いしたいと思いますが、ちょっと頭が悪いんで理解できないんですね。
 また、政府は、経営所得安定対策を見直しても多面的機能払いと合わせると農家所得は一三%増えるんだと御説明されましたが、食用米から飼料用米、米粉用米に転作しても、数量払いですから、六百八十キロ収穫して十アール十・五万円の助成金が得られるということで、農林水産省はこの十・五万円で計算していましたけれども、実際に六百八十キロなんてなかなかこれ取れないんですね。(発言する者あり)はい、無理です。
 多面的機能払いは農家に直接交付金が払われるのではなく共同活動に対してですから、我が党の衆議院の玉木議員が農家所得は一三%増にはならないと指摘をさせていただいて、林大臣も六%減になると御答弁なさいました。
 私の地元北海道では、飼料用米を作れと言われても、十アール六百八十キロも取れるような北海道の気候に合った多収性専用種はありません。さらに、作ったところで、酪農、畜産地帯と稲作地帯は距離があって流通コストが掛かって、とても合わないと。さらに、先ほどもお話がありましたけれども、配合飼料工場、飼料用米の加工をする施設もありません。取組をどんどん進めている府県もあるようですけれども、この地域間の格差についてどのようにお考えでしょうか。
#100
○副大臣(吉川貴盛君) 御指摘をいただきました点につきましては私も農業関係者の皆さんから、多収性の品種が北海道は余りにも少ない、ないというような話を聞いております。
 今回のこの米政策の見直しにおきましては、この貴重な生産装置である水田の有効活用を図る観点から、まずは加工用米や飼料用米といった多様な米の生産振興を図るとともに、小麦、大豆など、固定的な需要がありながら、その多くを海外から輸入依存している品目についての作付けを拡大をするなどの施策を講じることといたしております。もう御承知のとおりであろうかと思います。
 このような中にありまして、徳永委員御指摘のとおり、この飼料用米の一層の生産利用拡大を図るためには、地域に適した多収性専用品種の導入、近隣に需要先がない場合の需要先の確保や飼料用米の円滑な流通体制の整備など、地域ごとに課題があると私どもも深く認識をいたしておるところでもございます。このような課題に応えるために、北海道向けの多収性専用品種につきましては、既に開発、導入をされているものに加えまして、病害虫抵抗性を強化した、この病害虫というのは特にいもち病と聞いておりますけれども、こういった新品種の開発を進めているところでもございます。
 また、配合飼料工場が遠隔地にある場合には、全国生産者団体が地域の飼料用米を集荷をして、配合飼料原料として飼料工場へ広域的に供給する仕組みが確立をされておりまして、この仕組みの活用が可能となっております。(発言する者あり)聞いてください、最後が肝腎でございます。
 さらに、耕種側における乾燥調製貯蔵施設の整備や畜産側で必要となる加工・保管施設の整備への支援を実施をしているところでもございます。
#101
○徳永エリ君 ありがとうございます。
 東京大学の本間教授やそれから産業競争力会議の新浪主査は、いろんなところでこの飼料用米、米粉用米のこの交付金も競争力が付いたらなくすというような発言をしているんですね。今は単価で転作のインセンティブが働いているかもしれませんけれども、本当に、施設等もどんどん造っていって交付金が付かなくなったときに、じゃあみんな作るのかというとどうなんだろうと、大変に将来が心配になります。
 もう時間がありませんのでまとめに入らせていただきますけれども、TPPなど農業をめぐる状況が変わる中、全ての農家を、全員を支える政策では競争力も付かず、財政的にも支え切れなくなるというお考えなのでしょう。だからといって、企業参入で農業を産業ビジネスと捉えて、企業の資本力や経営力を投入すればうまくいくのかということをもう一回じっくり考えなければいけないと思います。
 今日も幾つかお話はしましたけれども、心配なことが山積です。農業政策には、競争力の強い農家を育てる競争政策としての面と、補助金で農村の暮らしを守っていくという社会政策の二つの面があると思うんです。先ほどから地域政策という言葉が出ていますが、土地を守ってもしようがないんです。やっぱりその営みを守っていかなければいけない。社会政策というのが非常に大事だと思います。重要なのは、この双方に目配りすることだと思います。それがなかったから第一次安倍政権の農業政策は失敗したんです。
 農村の維持という社会政策に配慮しながら競争力のある大規模農家を育てていく、是非ともその思いで農政改革に取り組んでいただきたいと思いますが、最後に大臣のお考えをお伺いして結びたいと思います。
#102
○委員長(野村哲郎君) 林農林水産大臣、時間が来ておりますので、短めにお願いします。
#103
○国務大臣(林芳正君) はい。
 今委員が社会政策と言っておられたのは我々は地域政策と呼んでおりますが、別に土地に注目したわけではなくて、地域のコミュニティーの維持、共同作業というところに着目をして多面的機能というのをつくらせていただきましたので、この地域政策とそれから産業政策というのは車の両輪でなくてはならないと、こういうふうに思っておりますので、その考えで進めていきたいと思います。
#104
○徳永エリ君 ありがとうございました。
#105
○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。
 昨日の本会議からスタートをいたしました両法案の審議、今日からいよいよ委員会、長丁場でございます。いろいろ調べてみますと、衆議院では、地方公聴会を含めて三十時間を超える審議で、対政府質疑だけ数えましても二十四時間になんなんとする時間を確保して審議をしたようであります。
 衆議院の方では、今の質疑の中でもございましたように、もう既に提出しておりました民主党等が出しました農業者戸別所得補償に関する法律案と、いわゆる、徳永議員、玉木議員が中心となって作りましたふるさと維持支払三法案と併せて六法案の審議ということでありますので、衆議院と参議院の審議の質は少し異なるかと思っています。
 審議に入ります前に、少しタイムリーな話題、三点ほど確認をさせていただいた後、法案等に対する質疑にさせていただきたいと思います。
 まずは、先日もこの当委員会で質疑をさせていただきましたけれども、TPPの事務レベル会合が今日もベトナムでやられているようであります。また、閣僚折衝、閣僚交渉に向けての御準備もされているかと思います。その後の進捗について何か御報告いただけることがあるかないか、澁谷審議官、よろしくお願いいたします。
#106
○政府参考人(澁谷和久君) ベトナムのホーチミンシティーにおきまして、今週の月曜日、十二日から今日までの予定でございますけれども、首席交渉官会合が行われておりますが、並行して、知的財産でありますとか国有企業でありますとかそうした分科会も、ワーキンググループも開催されると、ワーキンググループはまだ明日、あさっても一部のものは継続するというふうに聞いております。
 首席交渉官会合におきましては、月曜日、火曜日と、労働でありますとかSPSでありますとか法的事項、閣僚に上げるほどではない事務的な案件についてかなり論点を整理したというふうに聞いております。恐らく、昨日、今日、まだ今日の報告受けておりませんが、来週の閣僚会議に報告しなきゃならない案件についての論点整理等が行われるのではないかというふうに聞いております。
 来週十九、二十日と今度はシンガポールで閣僚会議が開催されますが、まだ正式にアジェンダが決まっておりませんが、昨日時点の話ですと、初日、全体十二名の閣僚が集まりまして、ホーチミンシティーでの首席交渉官会合の結果の報告を受けた後、その後のバイの会談を行うというふうに聞いておりまして、それをまた二日目に持ち寄って全体会合を行うと、こんな段取りだと伺っております。
#107
○小川勝也君 今次事務レベル会合においてですけれども、重要な案件を話し合ってきたとされております我が国の大江次席とカトラー氏との会談は、今事務レベル会合では行われたんでしょうか。
#108
○政府参考人(澁谷和久君) 行われておりません。
#109
○小川勝也君 情報が少ない中、いろいろ誤報などでも御苦労されているという話を先日の委員会でも承りました。
 もし、この大江さんとカトラーさんとの話がない中、もし閣僚で、もし大きな進展あるいは大筋合意などということがあれば、東京で何か決まっていたということになるわけであります。
 このことは、先日も非常に誠実な御答弁をいただいた澁谷審議官でありますので、まさか当委員会や国民を愚弄しているということは全く考えておりませんけれども、もし今の話が本当であるとするならば、衆議院の同志とも話をしています、この流れが本当だとすると、まさかシンガポールで大筋合意はないだろうねと。もしそうだったとすれば、東京での演出は全ての国民と我々をだましたことになると、こういう話になっておりますけれども、そのとおりでよろしいでしょうか。
#110
○政府参考人(澁谷和久君) まだ首席交渉官会合が継続中でございますし、閣僚会議、交渉事ですからどうなるか予断を許さないわけですけれども、USTRのホームページを見ますと、来週の閣僚会議、ミニステリアルミーティングはチェックインミーティングであるという表現をしておりまして、チェックインってどう訳すのかあれですけれども、要は現状の確認をするところから始めるということでございまして、これはアメリカの新聞報道なんですけれども、フロマン代表はそのチェックインから始めるので合意に至るのはなかなか難しいんじゃないかというふうに、これはアメリカの新聞報道でありますけれども、語ったと伝えられておりまして、我が方としてはアメリカ以外の国とのバイの交渉も精力的に行わなきゃいけないということで、そうしたことも含めて我が方としての交渉をきちんとやっていきたいというふうに考えております。
#111
○小川勝也君 御答弁いただける範囲で確認をさせていただきたいんですが、あの誤報の中にも様々な数字が出ておりました。我々は体が震えるような数字でありましたけれども、逆にアメリカ合衆国では、こんな数字ではのめないぞというような国内のいろんな団体の方々の発言もあるやに聞いています。その辺はどのように把握されておられるでしょうか。
#112
○政府参考人(澁谷和久君) アメリカのメディアに載っている情報によりますと、特に農業関係の団体の方を中心にして、農産物の関税については撤廃を要求しているはずであるということを強く主張されているというふうに聞いております。
#113
○小川勝也君 ありがとうございます。全て信頼をしているというふうにまで情報をいただいておりませんので言い切れませんけれども、私どもにとっても大変厳しい数字であると同時に、合衆国側からも遠い数字であるということだけは確認できたかと思っています。
 次の質問に変えさせていただきます。
 これもまた、規制改革に関する意見ということで規制改革会議がペーパーを出しまして、先ほど議論になりました読売新聞あるいは日本農業新聞もセンセーショナルに報道しているわけであります。農業新聞は当然農協の皆さんによって支えられておりますので大変シビアに受け止めているはずであります。「「農協解体」の危機」という見出しでありました。また、農業委員会の存続や在り方についても大変厳しい意見があります。
 これは多分規制改革会議の意見でありますので、農林水産大臣の意見とは異なるというふうに私は把握をしているところであります。これはちょっと通告をさせていただいてありますので、まあ見出しぐらいは読んでいただいているはずでありますので、農林水産大臣から見解をお伺いしたいと思います。
#114
○国務大臣(林芳正君) まず、先ほど報道は見ていないと言ったのは、記事そのものは読んでおりませんが、昨日発表が既にされておりまして、その文書自体はもう既にさらっと拝見をさせていただいております。
 その前提でお答えをさせていただきたいと思いますが、農協は農業者の協同組織でありまして、やはり担い手農業者のニーズに的確に応えて、農産物の販売等を適切に行い、農業者の所得を向上させて地域農業を発展させていくこと、これが何よりも重要だと、こういうふうに考えております。したがって、この農協が農産物販売等に最重点を置いて積極的に取り組むにはどうしたらいいかと。それから、それぞれの農協が自らの創意工夫で経済事業を展開するにはどうしたらよいかと。その際、この農協をサポートする連合会、中央会、これはどうしたらよいかということをやはり真剣に検討していく必要があると、こういうふうに考えております。
 五月十四日に、先ほど申し上げましたように規制改革会議の農業ワーキンググループが農協と農業委員会等に関する改革案を取りまとめて発表されました。規制改革会議の改革案も私が先ほど申し上げたような問題意識は共通をしていると考えておりますが、具体的な内容については、今後、与党とも協議しながら、農業者、特に担い手の農業者から評価をされて農業の成長産業化に資するものとなるように早急に検討したいと、こういうふうに思っております。
#115
○小川勝也君 御答弁ありがとうございました。
 私どもも関心がないわけではありません。会合等に野党を呼ばないなど、改革の余地があるというふうに思ってはおりますけれども、少なくとも農家の方々が不利益を被らないような改革にしなければならないということだけ申し上げておきたいというふうに思っているところでありますし、農業委員会については、法律事項でありますので、当然主体的に議論に参加をしてまいります。農協の在り方あるいは中央会等の在り方についても我々も真摯に勉強をさせていただきながら、農業や食料や地域のためになる改革の方向性についていろいろと議論に参加をさせていただきたいというふうに考えているところであります。
 報道というのは、正しいこととそうじゃないことを報道してくれるようであります。澁谷審議官も甘利大臣も大変御苦労をなさったと思っています。
 しかし、私たちの国の国民は、新聞や活字になったことを信じやすい国民の代表格であります。ですから、読売新聞も農業新聞も、当然いわゆる農家の方々の目に触れるわけであります。新聞に書いてあることが本当だと思っている農家の方は非常に多いんです。ですから、どういうメッセージが今農家に来ているのか。
 これは、今、徳永議員から議論、質問がありましたけれども、まずは一万五千円が七千五百円になってなくなるんですよね、農協が解体されるかもしれない、農業委員会もなくなるってよ、経済あるいは財界の人たちが自分たちが参入したいように自由に農業政策を牛耳っている、オーストラリアから安い牛肉が入ってくる、アメリカは九%も駄目だと言っている、もっと入れろと言っている、これじゃ農家やっていてもしようがないよなというのが今の流れだと思います。
 特に北海道の水田耕作者は、餌は全く想定できていません。ですから、本当に苦労に苦労を重ねて、いわゆる春、山から水が流れてくる、その水は冷たいんです。高いところは大雪山から流れてくる水が、もっと温まれもっと温まれ、早く苗を作りたい、田植をしたいと思いつつも、ずっと田植できない春、遅い春を待っている。そして、土壌が泥炭であったり客土をしたり、いろんな苦労を重ねて水田をつくってきて、今はまさに新潟県のコシヒカリにも勝つぞという米を作れるようになったんです。今、ゆめぴりかは、もう言うまでもなく自信満々のお米です。この人たちは今でも、いや、俺たちのゆめぴりかは勝負が可能だと、こう思っているはずであります。
 しかし、徳永議員も私も交互に訴えてきていますけれども、一番きついのは酪農関係者だと思います。やはり昨今のTPPの議論、日豪の経済連携の議論の中で安い牛肉が入ってくるということであれば、本当に経営が成り立つのか。そんな北海道の一部の状況も何度もいわゆる大臣にもお知らせをしてきたところでございます。
 そんな北海道にも養豚場があります。担当者には、今流行していますPED、鹿児島県も御苦労された、本州各地に飛んでいる、しかし津軽海峡は絶対渡すなよと、こう申し上げておりましたところ、残念ながら、症例がどんどん増えまして、ついに十勝まで蔓延をいたしました。
 感染経路については大変難しいかと思いますけれども、やはり疫学的な調査、感染経路、発生原因、要因をまずはしっかり解明をしていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。
#116
○副大臣(吉川貴盛君) この感染経路の究明でありますけれども、侵入経路に関しましてはアジア諸国や米国等からの人や物を介した侵入であるとも考えられますけれども、現時点においては、その解明には至って残念ながらおりません。
 国内における感染拡大要因に関しましても、発生農家間で同一の屠畜場に豚を出荷している事例を確認はされておりますけれども、感染拡大のこれが要因であるという解明にも残念ながら至っておりません。引き続き、動物衛生研究所の専門家による協力も得ながら、最大限努力をしてまいる所存であります。
#117
○小川勝也君 これは、お母さん豚がウイルスを持っていると子豚にずっと感染し続けるということなんだそうでありますので、どこかでウイルスをゼロにしたいというふうに皆さんも私たちも思っているはずでありますので、この際、やはり消毒防疫体制がしっかりなされるべきだと存じます。
 そんなときに、やはり都道府県の力も必要でありますけれども、財政的に芳しいところばかりではありませんので、しっかり体制を取るのに都道府県がちゅうちょしないようにしっかりと国の対策を要求したいと存じますが、いかがでしょうか。
#118
○副大臣(吉川貴盛君) 都道府県に対しましての予算上の不安をなくすべきではないかということでありますが、全くそのとおりでございます。
 先月から、畜産農家と屠畜場等の出入口での消毒機器の設置や消毒の実施に必要な経費等に対しましては消費・安全対策交付金が活用できるように措置をいたしておりまして、現在各県において同交付金を活用した消毒が実施をされております。北海道もしかりであります。
#119
○小川勝也君 この際ですので、全国の養豚場で、私は、やっぱりお母さん豚を含めてウイルスをなくしていくことが大事なのではないかなというふうに思っています。当然、私は素人でありますので、獣医さんを始めとする専門家にしっかり話をしていただいて、やれるべきことをやはり重要な点からしっかりやっていただく、そのことをお願いをしたいというふうに存じます。
 さて、法案についての我々の態度であります。
 衆議院では対案を出し、堂々と議論をさせていただきました。このことにつきましては、我々の農林水産委員会衆議院においての議席配分からしても、与党の筆頭理事を始め、与党の皆様にも大変温かい御配慮をいただいたものと思っておりますので、感謝を申し上げたいというふうに思っています。残念ながら、若干の哲学が違うという衆議院の議論に参加した同僚からも話を伺っておりますので、結果は、採決は反対をさせていただいたんだと思っています。
 しかしながら、先ほどの議論も含めまして、林大臣といわゆる答弁者席と与党議員席と我々と、そんなに理論、哲学が隔たっているとは私は思っていません。しかし、残念ながら、産業競争力会議とか規制改革会議農業分科会とはちょっと相入れない部分があるのかな、山田筆頭理事や野村委員長もそのように多分お考えいただいているんだと思います。
 ですので、私たちは、今大臣が、なぜこの法律を今作らなきゃいけなかったのかという徳永委員に対する御答弁を多といたします。我々も全てこのままでいいとは思っていません。農業者戸別所得補償制度の方がまだ良かったとは思っていますけれども、それだけで崩壊する農村やコミュニティーを阻止できるというふうには思っていません。まだ、更に様々な対策を打って守るべきものは守らなければならないという思いは共通だと思っています。
 まずは、私は申し上げたいのは、この委員会でも様々申し上げています。人口問題研究所から人口減少について大変厳しい情報、メッセージが我々に投げかけられました。次に、国土交通省から国土のグランドデザインということで大変厳しい報告が寄せられました。そして次に、また私は唖然としたわけでありますけれども、増田寛也氏を中心とした日本創成会議が、いわゆる子供を産む女性に焦点を当てて、二〇四〇年、八百九十六市町村が消滅するかもしれない?というセンセーショナルなデータを発表したわけであります。
 私は、この国はどこに行ってしまうのか大変不安であります。それはよく演説でも申し上げているんですけれども、江戸時代までは八割が農家、農民だったんですね。我々の国はそのことを前提にこの国の成り立ちを全てつくってきたわけであります。例えば戸籍、本籍、何々郡、それはどこに自分の本拠があるかということを示しているものであります。しかし、残念ながら、私の両親は農家でありますけれども、私は農家でありませんので、受け継ぐ田畑を持ち得ません。ですので、北海道から出てきてもう根なし草です。こういう人だけが世の中にどんどん増えてきて、不安定社会、頼るべきすべのない社会をどんどん増やしているのがこの国ではないかと思っているわけであります。
 農家の長男が、勉強ができても、東京に行きたくても、そのふるさとに残って、小さな圃場ではあっても農家をやりつつ、地域の会社や工場に勤めながらふるさとにいるということによって、もし都会で挫折した弟が、妹が、子供が、頼るべきあんちゃんということで存在をしていた。このことが私たちの国の本当の強みだったんじゃないかと私は思っているところであります。そういった思いを全て無視して、とにかく経済効率、資本主義社会丸出しにして、金を投資したら金を増やすという論理だけで農業と農村を語るべきではない、これが私の思いであります。
 そして、後にお話をいたしますけれども、アメリカ合衆国と私たちの国は若干成り立ちが違うと思っています。合衆国は、御案内のように、どちらかというと北海道に近いかもしれません。先住民族がいるところにアメリカンドリームを追いかけた人たちが大きな圃場をもって経営をするというところで入植をした場所であります。しかし、私たちがお手本とすべきは、アメリカ、カナダ、オーストラリア型ではなく、ヨーロッパ型、これが今私が思っている農業や農村に対する思いであります。
 そのことに、前提条件として披瀝をさせていただきながら、人口、農村コミュニティー、それから食料の安全保障、国土の利用、こういったところで大臣との認識を狭めていきたいなというふうに思っているところであります。
 集落維持の工夫は必要でしょうか。
 私は、この増田寛也さんの提言というのは、こうならないように政治家頑張れよというメッセージだと思っています。ですから、私はこうなってはいけないという思いで、種々、人口移動や人口減少や集落消滅の話をしているわけではありません。なぜ私がそれを言うかというと、御案内のとおり、北海道だけが規模拡大を先んじてやっていますので、ですから、隣の家が五キロ先、集落が一軒になった、小学校まで十二キロ通っている、こういう世界が当たり前になってしまったからであります。ですから、今、府県の集落はまだ間に合います。病院がなくなった、学校がなくなった集落は復活いたしません。ですから、今、国土をどう守っていくのかということと、農業、農村、あるいは先ほど堀井さんからもお話がありました、林業や漁業とも連携をしながらしっかりとその機能を維持していく、今まさに重要なときだと思っています。
 ですから、もっと付け加えさせていただきますと、この法案には若干の思いの違いがありますので反対をさせていただくことになりますけれども、この法案で未来永劫大丈夫ということではありませんので、フレキシブルに次の手当てを、次の手段をどんどん打ち出していかなきゃならないという準備にもう私は頭が切り替わっています。
 そして、そのことは、農林水産省の役割は非常に大きいのはもちろんでありますけれども、農林水産省の農業政策だけで成就するものではありません。国土交通省や厚生労働省や総務省や、様々な、やはり政府一体となって国土のグランドデザインをつくっていくのか、こういう世の中が今求められているんだと思います。そんなときに、先頭となって、効率が全てだ、資本を増やすことにおまえたちも協力せよという人たちに対しては、時には前面に立って立ちはだかっていただく林農林水産大臣にもなっていただきたいなと、そういう思いは委員共通だと思います。
 さて、集落の維持は必要なのか、そして東京一極集中の脆弱性について林大臣はどうお考えなのか。また、リニアモーターカーが東京から大阪までできる予定でありますので、昔、太平洋ベルト地帯という言葉がありました。リニアは山の中通るようでありますけれども、大阪、名古屋、そして東京と、ここにだけ人口が、資本が集中するということにやはりこの国の閣僚として憂えておられるはずだと思います。大臣の存念をお伺いしたいと存じます。
#120
○国務大臣(林芳正君) 小川委員のお話は大変に共感するところ大でございまして、基本的に私もそのように思っておりますし、私も選挙区は山口県でございますから、今はちょっと帰れませんが、毎週帰っておりますと、そういう今お話のあったようなことが非常にぴんとくる場所がたくさんあるわけでございます。
 そういう意味で、農村地域で高齢化それから人口減少というのは都市に先駆けて進行しておると。最近では都市においても、ニュータウンがオールドタウンになったというような話を聞くわけでございますが、農村においてはかなり早くからそういうことが言われておりまして、そういう意味で、集落機能の著しい低下という面で厳しい問題に、今直面し始めたというよりは、今までもじわりじわりと直面してきているということではないかと思っております。
 もう言うまでもないことですが、農業生産活動が行われるというのが農村集落であると同時に、これ暮らしていらっしゃるわけですね、日常生活がそこに営まれているということでございますので、やはり集落の維持、活性化ということは農業の振興のためのみならず、地域の活性化のためにも非常に重要であると、こういうふうに考えております。
 昨年十二月に、農林水産業・地域の活力創造プラン、これタイトルも、「農林水産業・地域」とあえて書かせていただいたのも、そういう思いもあったわけでございまして、やっぱり地域が活力を持たなきゃいかぬよねということで、農村の人口減少等の社会的変化、これに対応した地域コミュニティーの活性化を推進しようということで、まさに今お出しさせていただいている農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案、これを出すということと、それから地域資源を活用した地場産業の振興、日常生活機能や定住環境の確保等の取組への支援、それから日常生活に不可欠な施設等の、先ほど病院等のお話ありました、こういう施設等の基幹集落への集約と周辺集落とのアクセス手段の確保、こういうものを関係省庁が連携して総合的にやっぱり講じていかなきゃいけないということを書かせていただいております。
 私の地元でも、実は最も高齢化が進んでいるところというのは、広島の近くに大島というところがございまして、実はここは橋がつながりましたので一応陸続きに、橋ということになったんですが、早くから高齢者がもう二割、三割というところで、ミカンをよく作っているところでございましたが、実は最近、人口の自然増減、社会増減ということでいいますと、社会増になっているということがここ数年で起きてきておりまして、これは若いカップルが、奥さんの方の実家に帰ってきて、旦那さんからいうとこれIターンなんですね。この人が何をしたかというと、電力会社を辞めてジャムをやりたいということで帰ってきて、いろんな人のお世話になって、地元の果物を使ってジャム屋さんを始めて、それを食堂みたいに、おしゃれなところで、私も行ってみましたが、売って、やることによって、インターネットなんかでも評判になって、割といい値段がするんですが、これがきちっと成り立つようになったと、六次産業化のいい例でありますけれども。
 そういうことを通じて、そこで働く人が増えてきて、それを見て自分たちもそういうことをやりたいという若者、仲間がどんどん来るようになって、そういうところで流出よりも流入の方が増えてきて社会増につながっていると、こういう例も出てきておりますので、いかにこういういい例をたくさんつくっていくかということではないかと、こういうふうに思っておりまして、担い手や小規模の方や高齢者、いろんな方が役割分担をしていただいて、共同活動、今申し上げたような六次産業、こういうものに取り組むための環境、こういうものも整えていく必要があると、こういうふうに思っております。
 藻谷さんという方が書いた「里山資本主義」というのがございますが、それにも今の例は取り上げていただいているんですけれども、非常に、今委員がおっしゃったように、とにかく株主の利益を最大限にするというだけの、強欲な資本主義とよく言いますが、そういうことの対立概念というか、もう一つのオルタナティブとして里山資本主義というのをおっしゃっておられますけれども、やはりこういうものが両方きちっと並び立つということは我が国にとって非常に大事なことではないかと、そういうふうに考えております。
#121
○小川勝也君 大臣からいい御答弁をいただきましたので、一つだけ余計な話を追加したいと思います。
 なぜこんな苦しんでいるのかというと、人口減少は少子化の連続から派生をいたしました。戦後のすぐの事象というのはまあ普通の現象ではありませんでしたけれども、いわゆるベビーブームから含めて、たくさんの子供が生まれたのは特に農村社会であります。今、こんなに苦しくても子供が生まれる社会はどういうところかというと、離島が一番出生率が高いという報告もいただいておりますけれども、やはり三世代同居が非常に有利だということであります。今のジャム作りをされている方の奥様の方は、自分の実家で子育てをできるという最高の子育て環境、ここは子育てのいわゆる苦労を最小化してくれる場所であります。
 ですから、そういった意味でも、農家、農村、あるいはお母さんのいる場所というのは最高の育児環境であったはずでありますので、これからもそれを元に戻せるように大臣として内閣部内で発信をしていただきたいと存じます。
 徳永委員から食料自給力という発想がありました。私は、食料安全保障の議論もさせていただきたいと思います。
 私たちの国のこの食料安全保障や食料自給率の考え方は、まさにカロリーベースが主流でありました。まさに戦後の復興のときに、なかなかおいしいものを腹いっぱい食べられない状況の中で、何とか飢えをしのいでいくということがベースでありました。しかし、今、飽食の時代を経験し、やはり食の多様化であります。
 カロリーを守るという意味でいうと、水田の能力は最大であります。ですから、主食用米がまさに国民に消費されないという御時世の中で、そこに餌米を植えて、いわゆる食料安全保障に資することにも政策的に価値を見出しながらという方向性は、私も一部賛成をいたします。
 しかし、今、世の中はカロリーだけではないはずであります。同僚議員の受け売りでありますが、シンガポールは、やはり昨今の新しい食料自給率、あるいは食料自給力、あるいは安全保障という概念からたんぱく質を重視しているんだそうであります。私たちも、やはりたんぱく質、特に肉類や乳製品にもしっかりとした基準を作るべきだと私は考えているところであります。新しい食料安全保障の考え方について御答弁をいただきたいと思います。
#122
○副大臣(吉川貴盛君) 総合食料自給率におきましては、このたんぱく質などの栄養素をカロリーという共通の栄養価で換算することが国際的にも一般的であることから、特定の栄養素のみに着目したたんぱく質ベースの食料自給率は計算をしてきませんでした。
 一方、現行の食料・農業・農村基本計画におきましては、カロリーベースの食料自給率、生産額ベースの食料自給率、品目別自給率の目標等を提示をしてきたところでございまして、今御指摘のいただきました新たな価値基準だということでありますけれども、今後の食料自給率目標の策定につきましては、食料・農業・農村政策審議会における検証結果を踏まえまして、この夏以降の議論を通して様々な観点から検討をしていく所存でもございます。
#123
○小川勝也君 言うまでもなく、様々な国際連携の中で、セーフガードという措置は多分あるんでしょうけれども、しっかりと国内においての牛肉の生産、豚肉の生産、鳥肉の生産、鶏卵の生産、そして乳製品の生産、これにはしっかりと価値を見出して、役割を果たしていただくということを確認をしたかったからこの質問をさせていただきました。
 次に、国土利用であります。
 生産能力でいいますと、私が申し上げましたとおり、やはり水田の能力は大変高いものであります。ですから、高い投資をしてつくり上げたこの水田というシステムは、やはり大豆を作っても麦を作ってもできる限り守っていく、これは大事なことだと思います。水田を守り、畑地を守り、そしてその次に来るのが草地であります。
 まず、その農地を三つに分けるわけでありますけれども、これから人口減少社会を迎えていく中、海外からも様々な食料品を輸入する。農地という概念でいうと、戦後ずっと続けてきた概念でいいのかどうか、この議論が必要になってくるわけであります。
 農地の中間管理機構法案の附帯決議の中にも、いわゆるところの無理をして農地として維持していくものが困難な農地は、速やかに森林等に変えていく、この考え方も必要なのではないか、こういう議論もしているところであります。
 このことは、言い換えれば、きっちり守るべき農地をやはり再確認をして、もし農地として守らないという概念が出てきたときには別な土地利用に回していくとすれども、残された農地はしっかり守っていくということと表裏一体の概念だと存じます。
 新たな土地利用というよりも、農地の考え方を確認をしていく、あるいは絶えず確認していくということについて考え方をお伺いをしたいと存じます。
#124
○政府参考人(奥原正明君) 昨年の農地中間管理機構の法案審議の際にもこういった点が議論になったところでございますけれども、できるだけやはり優良な農地は農地として確保していきたいと思っておりますし、耕作放棄地になったところは早期に解消すると、これも非常に重要なことというふうに思っております。
 中間管理機構の関連で農地法も改正していただきましたが、この中で、中間管理機構はこの遊休農地の解消にも活用するということにされております。遊休農地の所有者に対しまして、農業委員会が農地の利用の意向調査をやって、機構に貸し付ける方向に誘導していくということと、それから所有者が判明しない場合等、そういう場合には最終的に県知事の裁定によりまして機構が権利を取得できるといった制度も入っているところでございます。
 一方で、この機構は、どうしても使えない農地、例えば既に森林の様相を呈しているなど再生利用が困難な耕作放棄地、こういったところについては借り受けないということを法律の中に明記してございます、法律の八条でございますけれども、こういった機構が借り受けない、こういった農地については農業委員会等の手続によりましていわゆる非農地化を進めていく、これをきちんとやっていくということも重要な要素というふうに考えております。
#125
○小川勝也君 是非しっかりと進めていただきたいと存じます。
 かつて、年貢を逃れるために人々に見付からないところに開墾したなどという農地も府県には結構あるようでございます。未来志向で守るべき農地、そしてこれからは、農業においても言うまでもなく人材不足であります。ですから、人が開墾した畑であっても、いわゆる人力で耕作をということは、市民農園とかリタイアの方の趣味ということは別格でありますけれども、業として農業をされるということで考えると、これは無理でありますので、機械が入らない農地はもう我慢する、これぐらいの大きな発想の転換をしていただいて、その代わり守るべきところには、しっかりと国民の理解を得て税金を投入すべきところは投入する。やはり、経済界からも納税者からも後ろ指を指されにくいような農政を先取りしていただくことを望みたいと存じます。
 そんな中で、草地であります。草地は、やはり山の上まで草地にしたい、そんなことによって、鹿が大量発生するなどいろんな問題も起きていますけれども、これも大事な農地であります。
 草地はなぜ草地なのかというと、先ほどの土地利用でいうと、水田になりにくい、畑地にも不向きだというので草地になっているわけでありますので、ここは言うまでもなく、酪農か畜産しかできないわけであります。特に北海道の酪農は、いわゆる戦後、先ほど確認をいただきましたけれども、日本の国民の体力の維持増進のためにも乳製品の自給が大事だということでつくられた農地でもありますし、私はこの酪農、徳永さんもよく酪農地帯に行っています、大事ですよね。酪農はどうしても守らなきゃいけない。これをやはりこの法案の審議の中でも申し上げなければならないわけであります。いわゆるところの牛肉価格がどうなるか、絶大なる関心を示しています。
 その後のTPP交渉の中においての乳製品のいわゆる触れられ方も大変どきどきして見守っていますけれども、私はここで、先ほど申し上げました日本の農業の規模について、衆議院の質疑の中で同僚の篠原議員が提示した、日本の畜産業の平均飼養規模拡大の推移という資料を例示をさせていただきたいと思います。これ、申し上げたいのはどういうことかといいますと、日本の農業は非効率的だ、非効率的だと言われておりますけれども、そんなに非効率的じゃないということであります。
 肥育牛、アメリカが平均三百二十二頭、日本は百十四頭、韓国が十五頭、イギリス二十二頭、フランス三十五頭、こういう数字なんです。先ほど、ヨーロッパを目指すべきだ、アメリカと豪州と日本は違うんだということを申し上げました。私たちの国の農業は全然非効率的でもないし小さくもないんです。これは北海道だけの数字じゃありませんよ。乳用牛は、フランス、ドイツはきっちり四十頭、イギリス七十頭、日本六十八頭、アメリカは百四十二頭です。
 これは、フランスとかドイツとかはどうしてこういう低い数字で抑えられているのか。それは、冒頭申し上げましたとおり、地域を支えるためには、そこに酪農家が、あるいは養豚農家が、あるいは肥育牛農家が必要だからなんです。ですから、適宜適切に平均頭数やモデル頭数を決めて、安心して営農を続けられるような仕組みをつくりつつ、そしてWTOに加盟をしながらがくがくの議論をしている、これがヨーロッパなんです。
 アメリカや豪州は完全なる輸出国ですので、とにかく門戸を開けろ、門戸を開けろというふうにやっている。我々の国が目指すのは、クレバーに、フランスやイギリスのように、自国の農業も守りつつ貿易交渉でも闘うということであります。ですから、私たちが目指した農業者戸別所得補償制度は、最終的にはこの畜産にまで波及する予定でありました。このことによって、例えばスイスなどでは傾斜地加算、これがあります。これもう大臣御案内のとおり、ヨーロッパは国境を接していますので、国境に我が国の農民がいることがいわゆる国境監視隊を兼ねているわけでありますので、これは大事なことなんです。
 我々の国は残念ながら海以外に国境がないので、その概念が発達しなかったからかもしれませんけれども、例えば景観の維持、これ、我々の仲間であった山田正彦さんがスイスを見てきて帰ってきて言ったのは、おい、小川さん、びっくりしたでと。たった六頭で四百五十万円の補助金が出る。これは景観維持と傾斜地と合わさって、独自の乳を搾って独自のチーズで付加価値を高くして売っている、これはブランドでありますけれども。
 これは極端な例でありますけれども、私たちが目指す草地利用あるいは農地利用はそういう概念もなければいけない。特に、これから府県のいわゆる耕地農業は、今日は時間がありませんので、後刻また集落営農とか生産法人とかあるいは企業の参入とかの議論もさせていただきますけれども、すなわち草地を守るのは、こういった三十頭から四十頭でも、肥育牛でも乳用牛でも業として成り立つように、そして集落を守れるようにしないと、そこに、先ほど私が申し上げたように、学校がなくなり、買物する場所がなくなり、ATMにアクセスできなくなり、万が一のときに病院に行けなくなる。そうなる前にしっかりと最小限のコミュニティーとそのセンター地域の基幹病院というのをグランドデザインの中でやっていかなきゃならないということを申し上げたいわけであります。
 ですから、しっかりとこの草地を守るという意味で、私が今例示したようなモデル的な飼養頭数とか草地面積、こういうところにはこういういわゆる施策がありますよと。自由主義社会でありますので、いや、俺は二百頭飼うんだ、こういう人たちは自由に飼っていいんです。五百頭も千頭も自由に飼うことができる。しかし、施策の中心に、あるいは光が当たる施策にそういったコミュニティーを守る施策が講じられるように御検討いただきたいと存じますが、いかがでしょうか。
#126
○政府参考人(佐藤一雄君) 小川先生の御質問にお答えいたします。
 今、先生がまさにおっしゃっていただきましたように、この草地といったものは、やはり国土保全の観点から極めて重要でございまして、これを維持することが重要だというふうに考えておりまして、その際、家族経営を含めまして、自給飼料の生産基盤に立脚する経営を育成していくといったことが重要だと考えておるところでございます。
 このため、農水省といたしましては、持続的な経営を行う酪農家、具体的には、飼料作付面積を確保して環境負荷の軽減に取り組んでいる酪農家を対象にいたしまして、その経営安定を図る観点から飼料作付面積に応じた交付金を交付しておるところでございまして、具体的には一ヘクタール当たり一・五万円を交付するといった持続的酪農経営支援事業といったものを行っているところでございまして、引き続き、このような政策に加えまして、自給飼料の生産と利用を促進するための対策を講じることによりまして、多様な経営体が草地を維持し国土保全を図れるよう支援していきたいと、このように考えておるところでございます。
#127
○小川勝也君 是非お願いいたします。本法案の審議は数次にわたりますので、この話はまたさせていただきたいと存じます。
 そして、農地中間管理の法案から今次法案までいろいろと議論はあるんですけれども、一番やっぱり不安なのは、中山間地と条件不利地であります。いろんなところに視察に行っても、平地は大丈夫だと、どこへ行っても、平地は大丈夫だとおっしゃるんです。今回のこの政策でも、やはり中山間に対する考え方が、今はもし間に合っても、いわゆる地域の高齢化と相まって、もうちょっと厳しい段階にすぐ来そうだなという予感であります。
 提言もさせていただきますけれども、中山間や条件不利地は、私はやっぱりコントラクターのような組織で、先ほどあった菜種なのか野草なのかソルガムなのか、あるいは地域でみんなで相談して決める作物なのか、それこそ、次回提言させていただきますけれども、サラリーマン的な農業者、給料をもらえて安定的な職場に勤める農業者がそういった分野を担当するような世の中にしないと、私はこの人口動態からすると、先ほど局長が答弁された、大事な農地は守りたいというふうに言ったけれども、全く守れない状況が来るんじゃないかと思います。ですから、早めにその中山間をしっかり守っていく、あるいは耕作不利地を耕作する営農体系を模索すべきだと考えております。
 何か答弁があれば一言いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#128
○政府参考人(佐藤一雄君) 小川先生御指摘いただきました、今のお話に出ておりましたやはりコントラクター組織といったものは、今後の我が国の畜産業を考えていく上で非常に大事かと思っておりまして、労働力不足、あるいは高齢化の中で人手不足を補うものとして非常に重要かと思っております。
 これにつきましてはいろいろと補助事業をやってきたところでございまして、平成十五年、全国で三百十七だったものが、今平成二十五年では五百八十一というふうになっておりまして、こうしたものがやはり国土保全の機能を果たしていく担い手になっていくのではないかと、このように考えているところでございます。
#129
○政府参考人(三浦進君) 補足させていただきます。
 条件不利地域の農業、農地を守っていくための基本的な制度といたしましては、先生もう御案内のとおり、中山間地域等直接支払制度による支援というのがございます。これは、今回この多面的機能法案の中で法制化をするということをさせていただきたいと考えておりまして、これを安定的な制度として、これは活用の仕方としては作物や体制、そういったことに柔軟に活用できる仕組みとなっておりますので、制度としてはこういったことを地域の実情に応じて活用していただきたいと考えているところでございます。
#130
○小川勝也君 終わります。
#131
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。
 本日よりいよいよ、この委員会審議におきましても、農政改革のまさに中心的な法案である二つの法案審議をさせていただくことになりました。私も改めて、今まで以上に意気込んで審議に臨ませていただきたいというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事山田俊男君着席〕
 この産業政策の代表格としての担い手経営安定法、そして地域政策の代表格としての多面的機能促進法、この二つをやはり同時に同じ場で議論していくということは大変有意義なことであるなというふうに今思っております。個々の政策を、個々の法案をしっかり審議するのはもとより、この二つの間の関係性ですとか、あるいはもっと上の、上位の概念であるこの農政改革そのものの方向性、こういったものとしっかり関係性も確かめながら議論を進めさせていただきたいなというふうに思っております。
 そこで、私の方から、まず今日は大きな農政改革の方針、方向性といったところを改めて確認させていただきたいということと、個々の法案についてはその大枠の概要、こういったところの確認も併せてやりながら、今後の少し時間掛けてやっていく議論のまず礎として幾つか確認をさせていただきたいというふうに思っております。
 この農政改革において、林大臣、もう何度も何度も、この農林水産業を強くしていく産業政策、そして国土保全といった多面的機能を発揮するための地域政策というのは車の両輪なんだと何度も、今日もおっしゃっていただいたわけでありますけれども、この車の両輪なんだと、この二つの政策が車の両輪と位置付けている意義、これについてまず御説明いただけますでしょうか。
#132
○国務大臣(林芳正君) 農業、農村は、我が国の成長の糧となる大きな潜在力を有しておると考えておりまして、農政の改革をやりまして国内農業の活性化を図っていくということは待ったなしの課題であると思っております。
 この潜在力を引き出していくときに、やはり施策ごとに目的、対象、それから施策の内容、これを明確にして効果的に推進していく必要があると、こういうふうに思っておりまして、そのために、今お触れになっていただいたように、生産現場の強化、そして意欲ある農業者が自らが需要の動向を敏感に把握して国内外の需要をつかみ、高付加価値化等を進めて農業の成長産業化を図るという意味での産業政策、このものと、それから構造改革を後押ししながら農業の持つ多面的機能の発揮を図る地域政策と、これを区分してそれぞれの目的に応じた政策体系を整えた上で、区分するという意味は、ここには産業政策を用いたらそこには地域政策はないとか、地域政策の方には産業政策を用いないと、こういう意味ではありませんで、政策は区分した上で、政策体系として整えた上で、これらを車の両輪として進めるということが大変大事だと、こういうふうに思っております。
 地域の実情に即して有機的にあらゆる政策をきちっと組み合わせるということで農林水産業、美しく活力ある農山漁村、これの実現を図ってまいりたいと、こういうふうに思っております。
#133
○平木大作君 農業の持っている潜在力、それを引き出すための施策といったものは、この目的、対象、そしてこの施策の内容をしっかりと明確にしていかなければいけない、またその上で産業政策と地域政策、どちらか一方だけでは車の両輪として、当然車は真っすぐ前に進むことができないわけでありますので、どちらも重要というふうな御答弁をいただきました。
 この産業政策また地域政策について、うたっていただいているものとして、やはり今、昨日ももう一度この地域の活力創造プラン、これ読み直してみました。この中には、この目次立て見ていただきますと大体九つぐらいの政策軸が示されております。それぞれについて目標ですとか具体的な展開施策といったものが書いてあるんですけれども、これは書いてある内容だけを、分量だけまず見ていくと、何となく産業政策寄りなのかなという印象を持ってしまいました。ここについて、いわゆる内容としてそもそもこれちょっと産業政策に偏っていないのかという懸念について、もしコメントがあればいただきたいということ。
 もう一点、地域政策の中でいきますと、多分、五番目に挙げていただいている農山漁村の活性化、項目立てのところがまさにそれに当たるのかなというように思うわけですけれども、この中では例えば福祉と農業の連携ですとか、歴史的景観、伝統、こういったものと農山漁村の活性化をつなげていこうという話、あるいは鳥獣被害対策の推進、一つ一つが実に、もう一個一個、一つ委員会開いてもいいんじゃないかというぐらい重要で大事なテーマをうたっていただいているというように思っています。
 これについて、ただ、惜しむらくは、その具体的な内容が逆に言うとちょっと産業政策に比べると薄いのかなというように思っておりまして、ここについても、書いてあるもの書いていないもの含めて、地域政策であるこの農山漁村の活性化、具体的な目標を決めて今取り組んでいる、特に力を入れて取り組んでいるものがあれば御紹介いただけますでしょうか。
#134
○副大臣(吉川貴盛君) 御指摘をいただきましたように、産業政策と地域政策を車の両輪として推進をしているところでもございますけれども、具体的に地域政策に関連する施策といたしましては、関係省庁と連携をいたしまして、福祉、教育、観光等と連携した都市と農山漁村の交流の推進、そしてさらには、棚田、疎水等の美しい農村景観等の保全、活用、そして三つ目でありますけれども、人口減少等の社会的変化に対応した地域コミュニティー活性化の推進などによりまして農山漁村の活性化を図ることとしておるところでもございます。政策目標につきましては、平成三十二年までに全国で交流人口を一千三百万人まで増加させることを農林水産業・地域の活力創造プランに掲げているところでもあります。
 またさらに、農林水産省の政策評価におきまして、農地、農業用水等の保全、管理に係る地域共同活動への延べ参加者数を平成二十八年度までに一千万人以上とすること、そして二つ目でありますけれども、農村部における人口の社会減を平成三十二年時点で予測値に比べ五%抑制をすることといった政策目標の設定をいたしておりまして、毎年度その達成度合いを評価することとしているところでもございまして、地域の実情を踏まえながら、これらの施策を推進しながら農山漁村の活性化を図ってまいりたいと思います。地域政策に対してしっかりと対応してまいります。
#135
○平木大作君 御答弁の中でも、この地域政策というのはやはりしっかり力を入れて取り組んでいるんだという御答弁だったというように思います。私も、ともすると大好きな産業政策ばかりを質問してしまう傾向がありまして、しっかり今後の委員会等の中でもこの地域政策についても議論を深めさせていただきたいなというように思っております。
 この地域の活力創造プランというものが今御答弁の中にもあったわけでありますけれども、これは今年の六月に、間もなく改定されると。ちょっと一つ、いわゆる今日から審議をする二つの法案と、そして、恐らくその上位にあるであろうこの地域の活力創造プランとの関係、さらには、明年になりますと新しい食料・農業・農村基本計画といったものも出てくるというように思っておりまして、このいわゆる基本計画、プラン、そして個別の施策の法律、このちょっと関係性といったものを一旦整理したいんですけれども、御答弁いただきたい。
 また、あわせて、今、個別法から先に逆に言うと手を付けているようなちょっと感覚を持っていまして、実際に六月にプランを改定する、また来年になって基本計画が出てくると、結局今この作っている二つの法案についてももう一回更に基本計画等に基づいて見直すことになるのかどうか、併せて御答弁をお願いいたします。
#136
○副大臣(吉川貴盛君) 昨年の十二月に策定をいたしましたこの農林水産業・地域の活力創造プランは、安倍内閣として急ぎ着手すべき政策改革の内容を示したものでございます。一方で、食料・農業・農村基本計画は農政の中長期的なビジョンでありまして、活力創造プランにおいて示された基本方向も踏まえながら、現在、見直し作業を進めているところでもございます。
   〔理事山田俊男君退席、委員長着席〕
 今般の農政改革、今回御審議をされておりますこの二法案に関しましては、プランに盛り込まれた経営所得安定対策の見直しと日本型直接支払制度の創設を具現化するための法案でございまして、基本計画の見直しに当たっても、当然にこの二法案を踏まえた議論が行われることになろうと存じております。
 なお、本プランにつきましては、規制改革会議や産業競争力会議における検討を踏まえながら本年六月を目途に改定するとされておりますけれども、両会議においては、二法案に直接関わるものではない事項について検討が進められているものと承知をいたしております。
#137
○平木大作君 ありがとうございます。
 今関係性等を示していただいたわけですけれども、地域の活力創造プラン、この中には前書きのところだったでしょうか、規制や補助金などの現行の施策を総点検し、農業の自立を促進するものへと政策を抜本的に再構築する、このように農政改革に向けて大分力強い宣言というのをうたっていただいております。
 現行の施策を総点検、総点検という言葉は我々公明党大好きな言葉でありまして、いろんなところで使わせていただいている。これは、現状、特に農業に関しても一つ大きな岐路にある。そういったときに、改めて現行の施策といったものをゼロベースで見直してみて、いいものは当然残していくし、また変えなければいけないものについてはしっかりそこを検討していくというふうに捉えているわけであります。
 実際に、この総点検をして、そして抜本的に再構築する、もう大きな方針を示していただいているわけですけれども、じゃ、具体的に、現時点で結構です、この現行施策の一体何が中心的な課題というふうに今認識をされていて、そして、特に今回の二つの法案において何をどう変えようとしているのか、端的にお答えいただけますでしょうか。
#138
○国務大臣(林芳正君) これ繰り返しになりますが、農業者の高齢化ですとか耕作放棄地の増加、こういう構造的な問題に農業、農村が直面しておりまして、多面的機能を維持しながら構造改革を加速させていくことが非常に大事だと思っております。
 この二法案ですが、農業、農村改革において、まず、意欲と能力のある農業者が需要の動向を敏感に把握して高付加価値化等を進めるなど創意工夫により経営を安定させることによって農業の成長産業化を図る産業政策、それから多面的機能の発揮を図る地域政策と、明確に区分して、車の両輪として先ほど申し上げたように進めるというふうにしております。
 特に、戸別所得補償制度は、産業政策と地域政策と区分せずに全ての販売農家に対して一律に交付金を交付しておりまして、構造改革にそぐわなかったという政策的な課題があったということで、産業政策としてまず意欲と能力のある担い手を対象とした経営所得安定対策を確立する、そして担い手の負担を軽減し、多面的機能の発揮を促進する日本型直接支払制度を地域政策として法制化をすることにしたものであります。
 今回の農政改革二法案、これは政策理念、体系に係る改革でありまして、今後、これらの政策を着実に進めることによって我が国農業、農村の活性化を実現いたしまして、農業を若者にとっても魅力のある産業に成長させていきたいと、こういうふうに考えております。
#139
○平木大作君 抜本的に現行の農政自体も再構成、再構築するんだという宣言は、これ農水省がやはり自ら言うと、ある意味自己否定につながってしまう、これまでの政策自体をもう一回全部見直しますということですので、ある意味、これ大変勇気の要る逆に言うとステートメントなのかなというふうに思っております。当然、先ほども少し述べましたけれども、これ、今変えなければいけないものをとにかく迅速にまず手を打っていかなければいけないというふうに私は思っております。
 ただ、一方で、現場で実際に農業に携わられている方からすれば、やはり、これ先ほど来御指摘ありますけれども、猫の目農政なのかと、やっぱりまた変わってしまうのかというふうな受け取られ方が当然あるわけでありまして、そういった現場の皆様に対してとにかく説明を尽くしていく、やはりこの方向で今変革をしていかなければいけないんだということをしっかり改めて御説明していただきたいということ。そして、なるべく、大転換をしていくわけでありますので、今後については一貫性を持って、また個々の一つ一つの法律だけではなくて、十年先、二十年先も見通せるような、そんなビジョンを是非御提示いただきたいということをお願いしたいというふうに思います。
 この先は、まず最初に、産業政策という意味で、担い手経営安定法についても少し入ってお伺いをしていきたいというふうに思っております。
 このゲタの対象農産物についてまずお伺いしたいというふうに思っているんですが、これ対象商品、対象とする農産物として麦、大豆、てん菜、でん粉原料用バレイショ、ソバ、菜種と、この六品目が指定されております。これはちゃんと法文の中にも書いてありまして、結局、我が国における生産条件と外国における生産条件の格差から生ずる不利を補正する必要があるものとして政令で定めるものと、要は政策判断して、この六つがしっかり支えていかなきゃいけない、補正していかなきゃいけないということをうたっているわけでありますけれども、まずこの六品目が指定されているその理由についてお答えいただいて、加えて、ちょっと一緒に聞いてしまいますが、海外との結局生産条件の格差といったものを踏まえての制度なわけですけれども、現時点でどのくらいの規模で格差というものがあって、近年それは縮小しているのか、むしろ拡大してしまっているのか、この点について併せてお答えいただけますでしょうか。
#140
○政府参考人(奥原正明君) この対象農産物でございますが、まずこの担い手経営安定法に基づく経営所得安定対策の対象農産物の要件というものが法律の中に明記をされております。この要件は、一つは、国民に対する熱量の供給を図る上で特に重要であること、これとともに、他の農産物と組み合わせた生産が広く行われていること、この二つの要件を満たすものがまずベースとしてのこの法律の対象農産物になります。
 この中で更に絞り込みますので、ゲタ対策につきましては、我が国における標準的な生産費が標準的な販売価格を超えると認められるもの、かつ、これが十分な水準の国境措置が講じられていないために、政府として我が国と外国における生産条件の格差から生じる不利を補正する必要があるもの、こういう観点で品目を選びまして、御指摘ございましたように、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用バレイショ、それからソバ、菜種、この六品目を政令で指定することにしているところでございます。
 それからもう一つ、海外との生産条件の格差、これが縮小しているのか拡大しているのかというお話でございます。
 麦、大豆等の畑作物につきましては、これまで作付け規模の拡大あるいは生産コストの低減は、これはかなり進んでおります。例えば、規模の拡大で見ますと、麦、大豆等につきまして、平成十七年から二十二年にかけての五年間で小麦、大豆の一戸当たりの作付面積は約二倍に拡大をしております。一方で、コストの低減の方でございますけれども、平成十二年から二十二年の十年間、小麦でいいますと六%、大豆でいいますと一二%のコストの低減、こういった海外との生産条件の格差の縮小に向けた取組は国内で進んでいるところでございます。
 ですが、一方で、海外の方でも規模拡大等の状況の変化はございますし、元々かなり規模が違っているというところもございまして、この生産条件の格差が縮小傾向にあるか拡大傾向にあるかというのは、これはちょっと簡単には判断できないというふうに思っております。
#141
○平木大作君 今御答弁いただいた中で前半部分、ここはもう少しできれば具体的にお伺いしたかったんですけれども、補正する必要がなぜあるんですかという問いに対して、補正する必要があるものを選んだんだというようなちょっとお答えだったかなと、先ほど来のちょっと答弁そのまま繰り返していただいちゃったのかなという気がしているんですけれども、ちょっとこの点については今後改めてお伺いをしていきたいというふうに思っております。
 一方で、この生産条件の格差のところ、御努力のいわゆる成果も少しずつ出てきていると。小麦について六%、大豆についても一二%、生産コストは落ちてきているということでありましたので、引き続きしっかり取り組んでいただきたいなということをお願いするわけですけれども、この傾向、トレンドですとか絶対的なレベル感、ここはもっともっと意識を逆に持って見ていただきたいなという気が正直今答弁を伺っていていたしました。
 やはり、これ、生産条件が半分ぐらいのコストでできているとか、多分そういうレベルではないと思っております。もう数倍というところでいわゆる違うという中で、この六%、一二%、確かにこう一つ一つ積み重ねていくのは大事なわけですけれども、やはり少しでも縮めていく、できる努力をしていく、あるいは近年やっていなかったことって何なのかということをもう一度見直してこういったところも取り組んでいただきたいというふうに思っております。当然、政策として支えていかなければいけない品目ですから、これはしっかり十全支えていただくんですけれども、格差が大きければ、その分、ある意味、生産条件改善の余地も大きいんだというふうに思っておりますので、この点も引き続きお願いしたいというふうに思います。
 あわせまして、今度、ナラシについてであります。
 こちらについてもやはり法文の中で同じように触れていらっしゃっていまして、収入の減少が農業経営に及ぼす影響を緩和する必要があるものとして政令で定めるんだというふうにしています。ここも必要があるという政策判断があって選ばれているわけでありますけれども、実際に、先ほどもちょっとこれ答弁の中で触れられていました、ソバ、菜種はこっちには入っていなかったりするわけですけれども、ここについても、ナラシの対象農産物五つ、米が入るから五つですか、なぜ選ばれているのかというところを、ここをできれば少し踏み込んでお答えいただきたいというふうに思います。
#142
○政府参考人(奥原正明君) 担い手経営安定法の構造は、先ほどから申し上げておりますように、まずベースの対象農産物が法律上規定されておりますので、国民に対する熱量の供給を図る上で特に重要であること、それとほかの農作物と組み合わせた生産が広く行われている、これでベースの農産物が決まります。この中で、ゲタ対策の要件に該当するものはゲタ対策、ナラシ対策に該当するものはナラシ対策の対象作物になると、こういう構造でございます。
 ナラシ対策の方のものにつきましては、収入の減少の影響を適切に把握するための地域別の価格や単収のデータが整っていないと、これはちょっと対策が必要かどうかがまず分かりませんし、やるときにどれだけの補填をするかということも決まりませんので、まずこのデータがきちんと分かるということが前提条件になってまいります。その上で、かなりの変動があって、収入の減少が農業経営に及ぼす影響を緩和する必要がある、要するに、かなり年によって収入が変動している、ほっておくとやっぱり経営が維持できないということがあるようなものを選び出すと、こういう発想でございます。
 これによりまして、現在は米穀、それから麦、大豆、てん菜、でん粉原料用バレイショと、この五品目がナラシ対策の対象になっていると、こういうことでございます。
 米につきましてはゲタ対策の対象にはなっていなくて、ナラシ対策の対象にはなっているわけでございますが、米につきましては十分な国境措置がありますので諸外国との生産条件の格差から生ずる不利は生じていない、コスト割れが仮に発生するとしてもそれは輸入によるものではないと、こういうことでございますので、ゲタ対策の対象にはなっておりませんが、一方で、地域別の価格ですとか単収のデータや何かは明確にありまして、収入の減少がある年もかなりございますので、そのときには農業経営に及ぼす影響がかなりございますから、米はナラシ対策の対象の方には入れているということでございます。
 一方で、ソバ、菜種でございますが、こちらはゲタ対策の対象にはなっておりますけれども、ナラシ対策の対象にはなっておりません。このソバ、菜種につきましては、地域別の価格データ等が現在ございませんので、収入の減少が農業経営にどのくらいの影響を及ぼしているかということも簡単に判断ができません。その意味で、現時点ではこのナラシ対策の対象にはしていないということでございますが、先ほどから申し上げておりますように、データの蓄積等によりましてこの数字がきちんと把握できる、しかもこの収入がかなり変動していてほっておくと経営が維持できないということが数字上明らかになれば、これは対策の対象にする可能性はあるということでございます。
#143
○平木大作君 ありがとうございます。
 ちょっと改めての確認なんですけれども、そうしますと、ソバ、菜種については、基本的には支援をしていかなければいけない、必要性についてはおおむね基本的にはこれは認められるんだけれども、データの関係で今のところ施策が打てる状況にない、こういうことでよろしいでしょうか。
#144
○政府参考人(奥原正明君) この担い手経営安定法のベースの対象農産物には当然ソバ、菜種は入るというふうに思っております。先ほど申し上げましたように、国民に対する熱量の供給を図る上で特に重要だということと、ほかの農産物と組み合わせた生産が広く行われている、そういうものとしてソバ、菜種も認識をしているということはまずございます。
 この中で、ゲタ対策、ナラシ対策、それぞれの要件に該当するものをそれぞれの対象農産物にするということでございまして、現時点ではソバ、菜種につきましてデータがまだ取れておりませんので、このナラシ対策の対象にする必要があるかどうか、要するに、収入がかなり変動していて、それを放置しておくと経営が維持できないという状況にあるかどうかもまだ判断できておりません。
#145
○平木大作君 分かりました。次の質問に移らさせていただきます。
 この強い農業をつくろうということでありますと、様々な施策、必要であるわけですけれども、やはり中心的なもの、それは生産コストの低減といったことはしっかり取り組まなければいずれにしてもいけないというふうに思います。先ほどの地域の活力創造プランの中でも、今後十年間の間に、担い手の米の生産コストを資材、流通面での産業界での努力も反映して、現状、全国比四割削減するとされています。これ民間の、この産業界での努力も当然使ってということでありますけれども、十年間で四割削減というのは、これは本当に意欲的、積極的な目標であるなというふうに思っております。
 この十年間で四割という明確な目標に対して、昨年来、例えば農地中間管理機構による集約、これも法制度は作ったわけであります。また、今回もこの担い手経営安定法を改正する。こういった、次々に今産業政策取り組んでいるわけでありますけれども、これ現時点で例えば何合目まで来たんですかというのは大変難しくなってしまう。これは施策を打ってから、やっぱり集約をしたり効果が出るまで時間が掛かってくるわけですので難しいと思いますけれども、じゃ実際にこの四割やろうといったときに、まずある程度施策のメニューといったものを考えるわけでありまして、このフルメニューの中で、現時点、今まさに検討しようとしている担い手のこの経営安定法、これも含めると大体何割ぐらいカバーしてきているのかなと。ここについてまず、感覚でも結構ですので、御答弁いただけますでしょうか。
#146
○政府参考人(佐藤一雄君) 今の活力創造プランで掲げました生産コストの低減目標につきましては、先生御指摘のとおり、現状の全国平均、これは平成二十三年産でいきますと約六十キログラム当たり一万六千円の生産コストが掛かっておりますが、これに対しまして、担い手の米の生産コストを四割低い水準ということで六十キログラム当たりにしますと九千六百円ということで、一万六千円から九千六百円ということで四割削減しようとするものでございます。
 これにつきまして現状をまず見てみますと、十五ヘクタール以上の大規模層の米の生産コストにつきましては、これは全国平均に比べまして三割低い水準ということで、一俵当たり一万一千円ということになっておりまして、三割まで低くなっているところでございまして、やはりこの担い手への農地集積を進めまして、低コストで米を生産できる階層を厚くしていくといったことが基本になるというふうに考えておるところでございます。
 これ以外に、先生御指摘いただきましたように、この生産コストには農機具代でありますとか資材費でありますとかいろんな経費がございます。これにつきまして一つ一つやはりチェックしていく必要があろうかということで、実は昨年の夏辺りから実際に大規模経営をされている皆さん方にも集まっていただきまして、いろんな意見、あるいは現場でいろいろと悩んでいるいろんな実態をお聞きしたところでございますが、その中でやはりこの生産コストの低減目標の作成に向けましては、先生御指摘のとおり、農地中間管理機構の活用による担い手への集積、あるいは分散錯圃の解消や農地の大区画化を進めるといったことを基本といたしまして、次、二つありまして、一つは、やはり攻めの農林水産業の実現に向けまして、いろんな革新的な技術が出てきておりますものですから、これを活用するということで、ICTを活用した作業管理の導入、あるいは直播栽培の導入というようなことで、こうしたものにつきまして現在開発あるいは実証といったものを進めておるのが一つでございます。
 さらに、先ほど申し上げました資材でございます。この部分につきましては産業界の協力も得る必要があるということで、農機具メーカーの皆さんにもいろいろと意見を聞いているところでございますが、その中でだんだん判明してきましたのは、現状米の生産コストの三割を占めております肥料あるいは農薬あるいは農機具費につきましては、例えば肥料につきましては鶏ふんの焼却灰、これを使いますと肥料価格が七%低下する、あるいは農機具につきましては海外向けに低価格で既に日本から農機具メーカー輸出しているわけでございますが、これを国内で展開しますと、農機具の価格が二割から三割安くなるといったようなことがだんだん分かってまいりまして、こうした得られました知見につきましては、カタログを作りまして、これは農林省のホームページで公表しておるというようなことで、今後ともいろいろと掛かっておる費用のチェックをしていくというようなことを進めていきたいというふうに考えているところでございます。
#147
○平木大作君 この産業施策ですとかそういったものについては、まず大きなもの、インパクトのあるものから着手していくということが基本であるというふうに思っておりまして、今の政策の例えば進め方、順番についてもそのとおりだなというふうに思います。今、一方で、御説明いただきましたけれども、産業政策イコール農地の集約だみたいな認識が何となく今世間に広まっている、あるいは生産の現場に広まっているのはちょっと逆に言うと問題かなというふうにも思っております。
 ちょっと後で触れようかと思ったんですけれども、今御答弁をお伺いしていますと、やはり産業政策、本当にいろいろなところから施策といったものは打てるわけでありまして、ICTの活用ですとか新しい農機具、そういった新しいテクノロジー等も活用して、必ずしもその規模だけで何か勝負が全て決まる、あるいは競争力が決まる、そういったものではないということを改めて今確認させていただきました。
 この新しい今の農業改革について私もいろいろなところでお話をさせていただくと、やはり一番心配の声をいただくのは、先ほど小川先生も言及されておりましたけれども、中山間地域、そして条件不利地の皆様なんですね。結局のところ、産業政策がどんどんどんどん前に進んで、平地で農業されている方たちというのは競争力付けていくんだろうけれども我々は取り残されるのかという声をすごくいただきます。やはり、農地の集約、あるいはこういう中心的な施策以外のところも引き続き全力で取り組んでいただいて、また、今、カタログを作ってホームページで公表というふうにありましたけれども、どんどんこれもまた地域回りながら開示していっていただきたい、説明していっていただきたいなというふうに思っております。
 時間が押してきましたので、次の質問に行かせていただきます。
 これは、先ほど来質問ございました。ちょっと重なってしまうんですけれども、答弁の中に一部ちょっと納得いかないところがありましたので、改めてお伺いします。対象農業者の要件についてであります。
 今回の改正によって、対象農業者に課されていた規模要件が外されているわけであります。御答弁の中では、これは意欲を持って能力のある方たちをもう一回その中に対象として取り込むんだという御答弁再三いただいているんですけれども、やっぱり今取り組んでいる施策とは逆の方向行っちゃっているのかなと、矛盾しないのかなということがやっぱり少し残ってしまいます。
 この点について、要は、規模要件外しても、今進めているような集約ですとかそういったところには支障を来さないのかどうか。この対象者数、実際に規模要件外すことでどのくらい増えてくるのか、またこの対象面積みたいなものも含めてどのくらい拡大が見込めるのか、併せて御答弁いただけますでしょうか。
#148
○政府参考人(奥原正明君) 農業の構造の話でいきますと、農地の中間管理機構も活用して担い手のところに農地利用を集積する、集約化を進める、こういうことになるわけですけれども、このときの担い手という人をどういうふうに捉えるかという問題だと思います。
 基本的には、農業経営基盤強化促進法の認定農業者、これ法人経営の方もそれから家族経営の方も中に入っていらっしゃいますけれども、こういう方々がやっぱり意欲と能力を持って計画を作っていただいて市町村から認定を受ける、この方々が担い手の中心的な方々だろうというふうに思っているわけです。
 これまでの担い手経営安定法に基づく経営所得安定対策は、認定農業者の中で更に施策の対象者を規模でもって縛っていたということでございます。一定の面積がなければ認定農業者であってもこのゲタやナラシの対象にはしないということをやってまいりましたが、それがいいことなのかということでございまして、特に認定者になっている方で、規模は小さいとしても、その方が例えば収益性の高い作物を組み合わせて複合経営で収益を相当上げていらっしゃるですとか、あるいは販売、加工に取り組んで全体の所得はかなり高くなっている、更に高くしていこうという認定農業者の方であれば、やはりこれは経営は相当発展していくというふうに考えられますし、この方々に農地もだんだん集積をしていかなければいけないということだと思います。
 そういう意味で、この方々ももう担い手として我々きちんと位置付けて考えなければいけないという意味で、ゲタ、ナラシの対象からも規模要件は外すことにしたということでございます。
#149
○平木大作君 ちょっと時間が押してまいりましたので、次の質問に移らさせていただきます。
 多面的機能法の方についても若干質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 今回のこの法案によって、直接支払を法制化して日本においても本格的に導入するということであるというふうに思っておりますけれども、ここまでの議論というのは私自身は参加させていただいていないわけですが、認識としては、一点目として、まず、WTOの規制ですとかそういったものもあって、この直接支払という形が今後基本的には世界的には農業を支援していく在り方のスタンダードになってきているということ。そして、二点目として、じゃ、もう直接支払自体は大分海外でも実際に先行的に取り組まれているわけでありますけれども、そのときに日本が参照できるものというのはどこら辺にあるのか。これもやはり先ほど御指摘ありましたけれども、アメリカですとかオーストラリアでやっているものではなくて、やっぱりヨーロッパ型なのかなということ。この二点は、何となく、ある程度、会派にかかわらず共通の認識として今あるんじゃないかなというふうに思っております。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、EUにおいてはもう既に一九九〇年代の前半から、直接支払自体が制度としてあるわけですけれども、これについて、概要で結構ですので御説明いただきたいということと、今回、日本版というふうに、日本版直接支払というふうによく言われているわけであります。日本版と最近法案の前に付くこと多いなという何となく感想を持っているんですけれども、日本版とあえて冠しているのは、何か特徴として打ち出すものがあるのかどうか、御説明いただけますでしょうか。
#150
○政府参考人(三浦進君) お答え申し上げます。
 EUにおける直接支払制度でございますけれども、お話にございましたように、一九九〇年代前半、それまでの支持価格を引き下げる代償として直接支払が導入されたという経緯でございます。そのほか、これが一つの柱でございますけれども、もう一つの柱として、農村地域の振興や環境保全等を目的とする条件不利地域支払、それから農業環境支払といった直接支払が実施されているということでございます。
 一方、我が国でございますけれども、平成十二年度から中山間地域等直接支払、それから、平成十九年度から農地・水・環境保全向上対策が導入されまして、平成二十三年度には、農地・水保全管理支払として環境保全型農業直接支援を独立させて講じているということで実施をしてきているところでございます。そして、今般、お話にございましたように、これらを法制化すべく、多面的機能支払、中山間地域等直接支払、それから環境保全型農業直接支援から成る日本型直接支払制度を創設することとしたということでございます。
 その場合の日本型直接支払と称しているということでございますけれども、我が国では、水田を中心に農業が土地、水のつながりによって地域ぐるみで営まれているということ等から、欧米の直接支払制度とは異なって、地域のまとまりを単位として、活動組織や集落といった地域の組織を対象とした支払を行うということとしておりまして、こういう特徴を捉えまして日本型直接支払というふうに称しているものでございます。
#151
○平木大作君 先ほども少し述べましたけれども、最近審議する法案にすごく日本版とか日本型とか付いていて、それはどうも、外にあるいいものを持ってきてそのまま日本でも法制化しようということなのかなというふうに何となく思っていたわけですけれども、この直接支払に関しては、日本型というところがやはり今御説明いただいたとおり非常に大事なんじゃないかなと改めて認識をいたしました。地域ぐるみでこれまで農地を支えてきてくださった、そういったところにしっかり光を当てた制度設計になっているというふうに今認識をさせていただきました。
 ちょっと時間ありませんので、一問飛ばしまして、今回の直接支払の交付単価についてお伺いしたいというように思います。
 今回の制度設計としては、多面的機能といったものを発揮して、また維持していくためのいわゆる作業の部分、ここに多分着目をして単価の設定等されているんじゃないかなというふうに思っております。しかし、この多面的機能自体はいろんな見方があるわけでありまして、かつて、もう十年以上前になるんじゃないかと思いますけれども、貨幣評価と、こういったことも、実際に金額に評価し直してみるといったこともされているわけです。十年前ですけれども、された試算結果と今回のこの多面的機能支払交付単価の間に整合性といったものというのはあるんでしょうか。
#152
○政府参考人(三浦進君) お話にございましたように、農業の多面的機能につきましては平成十三年に日本学術会議の答申が出ておりまして、そこで多面的機能を分類、整理しますとともに、それらのうち、物理的なと言っていいんでしょうか、物理的な機能を中心に、貨幣評価が可能な一部の機能について貨幣評価の算定が行われております。
 一方、今回の多面的機能支払の支援単価でございますけれども、これは平成二十五年度に、従来の農地・水保全管理支払で取り組んでいる活動組織について全国から五百十八区を抽出いたしまして、その共同活動の活動実績の整理、分析を行いまして、基礎的な保全活動の活動量を取りまとめて、それを基に設定をしたというものでございます。
 したがいまして、多面的機能支払につきましては、共同で取り組む地域活動、共同活動に要するコストに着目して支援措置を講ずるという観点で講ずるものでございまして、多面的機能の貨幣評価額と直接関連付けて単価を設定しているというものではないということでございます。
#153
○平木大作君 時間が参りました。
 今、維持するためのいわゆる作業の部分に着目を今していますということでありました。発足当初でありますので、まずはこれでいいんではないかというように思うんですけれども、これ、地域のコミュニティーがしっかり生きているところについてはこれで問題ないと思うんですね。ただ、一方で、だんだんだんだんいわゆる過疎化が進んでしまったりという、コミュニティーの維持自体が難しい、作業をされる方、担い手を見付けること自体が難しいというところについては、やはりこのままではいけないんじゃないかなというふうに思っております。
 改めてこの多面的機能、ここの価値自体に着目して、もし足りない、この制度のままでいくと担い手がなかなか現れないということでありましたら、改めてそういった別の角度からも再度検証していただきたいなということをお願いして、私の質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#154
○儀間光男君 日本維新の会・結いの党会派の儀間光男でございます。
 昨日の本会議で、十分ではありましたが代表して質問をさせていただきましたということで、昨日の本会議といい、おとといの本委員会といい、月曜日、決算委員会といい、四日連続出ておりまして、質問ばかりやっていてどっちがどっちだったかよく分からないと、頭が混乱しておって整理もなかなか利かないんでありますが、あくせくしながら質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 まず、質問に入る前に、農業の有する多面的機能の発揮の促進の法律、これはいわゆる担い手が中心になるわけですが、いや、失礼しました、もう一つ先のやつです、これは次に来ることですが、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案、これは、つまりこの担い手問題は戦後しばらくしてから必要が生じてまいりまして、実に古くてなお新しい、決着を見ない大きな課題でありまして、つまり、農業の企業化を進めようという、戦後農業がなかなか担い手不足に陥ってやっていけなかったということに立脚をして、こういう改正する法律が出たというふうに理解しますし、また、多面的機能については、失われた地域コミュニティー、農村地域コミュニティー、これを復元させるというような趣旨から提案された法律だと私なりに解釈をしておりますが、通告はしておりませんが、確認をさせてください。私の解釈でいいんでしょうか。
#155
○国務大臣(林芳正君) 基本的には今委員がおっしゃっていただいたように産業政策、したがって、コストを下げて付加価値を高めてもうかる農業にしていくというのが産業政策でございますし、それから車の両輪とよく申し上げておりますけれども、農業、農村にはただ農業をやるということ以上に大事な機能がございまして、生活の拠点であるということ、多面的機能というのがございますのでこちらに着目しながら、土地の集積といった構造改革にも資するようにしていこうと、これが多面的機能法案の方の主な方向性であると、こういうふうに思っております。
#156
○儀間光男君 そういう意味では、大変重要な二法案だと思います。
 担い手を育て確保して農産業の企業化、これは組織の面でも資金の面でも企業化をしていこうというような努力が現れていると思っておりまして、それを確保する重要な法案だと思っておりますし、いわゆるおっしゃるような農業の成長産業への発展を確保する良い機会であったというふうに思います。
 政府案を見ていますというと、産業政策と多面的な面の今申し上げた地域政策に分けて政策を進め、これを車の両輪として一体化させようと、法律立ては別ですが内容は両輪として使っていこうと。私は二輪で前輪、後輪にしたらどうかと思ったりいたしましたが、やはりこれは両輪がいいのかなというふうに思っておりまして、なかなかの出来栄えのいい政策であるというふうに、法律であるというふうにして高く評価をする次第でございます。
 さて、日本の米を始めとする農産物は、これ繰り返し繰り返し言いますけれど、昔から言っているのでまだやめられないんですが、海外において品質の面といい食の安全の面といい非常に信頼が厚いんですね。こっちにおられる皆さんも、大臣また副大臣の皆さんもよく海外を回られると思うんですが、どこへ行っても日本の食品というとおいしくて品質がいい、しかも安全であるということで大変評価を受けております。したがって、それは裏を返せば、我が国の農産物、農林水産物が海外市場へ進出をしていく大きなバックボーンが日本の食の安全から保障されると思うんですね。
 そういう意味で、再三申し上げてまいりましたが、農業の海外進出を積極的に進めてほしいということを言ってまいりました。もちろん、コスト面でいろいろ問題があったりいたしますが、それをコスト面でも太刀打ちできるような、後で少し触れますけれど、それを編み出してやっていっていただきたいと、こう思うんですね。
 私の地元沖縄は今、食品の航空貨物便のハブ空港になっておりまして、成田、関空に次ぐ日本で三番目の取扱量になっているんですよ。どこへ行くかというと、香港、シンガポールへ行くんですが、沖縄を午前零時半、一時頃飛び立って、翌朝の香港市場とシンガポール市場に日本の農水産物が並ぶんですよ、特に生鮮三品。並ぶんですが、飛行機で行きますからもちろんコストも高い。ところが、伝わってくることを聞いていますというと、それでもよいからスーパーが開くのを行列を成して待っていて、日本のものは高くてもいいから安全であり品質が良い、おいしいので買うんだといって、品不足になる、品切れになるんだそうですね。そういう状況が海外、アジアの状況であるということで、地元メディアやあるいはいろんな方々から聞き及んでいるところであります。
 したがって、私ども、私は今農業をやっておりませんが、農業を離れて五十数年になってさっぱり分からなくなっておるんですが、農村、農家の人たち皆さん、もっともっと自信と誇りを持つ。自分たちの持つ技術は国際的に負けておらぬと、勝てるんだという自信と誇りとを持って海外へ進出するような、あるいは今の生産を安定させ国内供給をしながら、国内の自給率を高めることもしながら、自信と誇りで海外進出で自ら乗り込んでいくというようなことの積極果敢な農村、農業者であってほしいなと、こういうふうに思っておるところであります。
 そんな中、昨日も少し触れましたが、日本の海外向けの農林水産物の進出がないとは言いませんが、なかなか制度的にあるいは歴史的に内向きになっていて、行ってぼんぼんやっていいものが、相当遅れてきていると。常に国内マーケットの中で論議が重ねられて、国内マーケットの処理であって、これは積極的ではないという意味ですね、消極的になっていると。そういう意味で、国外を見ていないとは言いませんが、加工物はとっくに行っておりますけれど、もっともっとやっていい日本の農林水産物だと思っておりまして、そのことが農業者の安定あるいは生活の快適な暮らし、あるいは担い手がそれに魅力を感じて担っていくというようなことになるのではないかと思っておりますが。
 その辺も含めて少し伺ってみたいと思いますが、今申し上げたことについての御感想をいただければと思います。
#157
○国務大臣(林芳正君) まさに先生おっしゃるとおりでありまして、これはある調査機関の調査ですが、世界の食市場、おととしぐらいの数字だったと思いますが、三百四十兆円が二〇二〇年には倍増の六百八十兆円になると。まさに我々が位置しておりますこのアジアでは、世界が二倍になる間に三倍にこの食市場がなるということでございますので、ここをどうやって日本の、今おっしゃっていただいたように、もう安全でおいしくて行列しても食べてみたいと、こういう方がいらっしゃるところにいかにきちっと売り込んでいくか、またきちっと供給していくかということは大変大事だと思っておりまして。
 実は第一次安倍内閣のときにもこの一兆円の目標というのをつくったわけでございますが、今回も二〇一二年四千五百億円を倍増する、二〇二〇年に一兆円という目標を立てまして、ただ倍にするという掛け声だけではいけませんので、水産物、例えば水産物であれば千七百を三千五百、米、米加工品であれば百三十億を六百というふうに、それぞれの品目別に数字を決めまして、それぞれの品目はどこに一体この可能性が大きいのかと。可能性の大きいところを中心に、検疫なり、肉の場合は中東に出す場合にハラール処理が必要になるですとか、水産物の場合はヨーロッパに出すときにHACCPが必要になるとか、いろんなものがございますので、こういうものを具体的に絞り込んでいってこの数字を実現していくという戦略をつくらせていただいたところでございます。
 そういった意味で、農産物を生産するに当たっても、こういう輸出も含めて、国内の需要はもちろんですが、需要に応じて生産をしていくということが非常に大事に、これから更にそういうふうになってくると。こういうふうに思っておりますので、国内もまだまだいろんな付加価値の付け方、先ほど来ありますように薬用の作物を作るですとか介護食品のところに工夫をするとかいろんなことがあると思いますけれども、その国内の話と併せて、国外の需要をしっかりと取り込んでいく、そしてそういう需要に応じて農産物の生産を行っていく、これをやってまいりたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
#158
○儀間光男君 ありがとうございます。是非、これももう何回か聞いておりまして大臣の姿勢は分かっておるんでありますが、繰り返し繰り返し、耳にたこができて寝ても覚めてもそればっかりというところまで追っかけていかないと気が済まないものですから、こういう繰り返し繰り返しさせていただいておりますが。
 この二法案から想像し得る農政の展開、あるいは今この法案で対象品目になっている六品目などについては次の機会でお話をすることにさせていただいて、今日はその法案の持つ効果、背景、こういうものをいま一度議論できたらいいなと、こういうふうに思っているところであります。
 さて、今ベトナムでTPPの首席交渉官が、今日までですか、交渉され、十九日、二十日はシンガポールで閣僚会議が予定されていて、いよいよTPP大詰めなのかなというようなことを皆さん思ったり考えたりしておると思いますが、皆さんが指摘のあるように、このTPP交渉の内容が、我々国政におる者、あるいは主要品目、重要品目とされた農家を始め、その他の産業関係の国民が不透明のまま進行していることからもういらいら感が多くあるように思うんですね。
 私も地元でTPP関連の大会に出させてもらって、昨日も地元から陳情団が来ましたが、相当物を言われました。言い返しました、呼びもしないくせに何を言うんだと、これぐらいおっしゃるんだったら大会に呼んでくれたらいいと、日比谷のね、そういうことを言いましたけれども、何でそういうことになるんだろうと、こう思って、一生懸命頑張りますとは言ったものの、本当にそういう状況なんですよ。
 したがって、米を始めとする日本の農産物、これは私に言わせるというと関税の問題なんですが、TPPの成功、妥結しないするいかんは別に、独自の関税を準備して世界へ出ていくような施策を今から取るべきだと思うんですね。
 例えば、TPPで関税が改善されて、幾つ数字をお持ちか分かりませんが、改善されて、低くなって、税収は少なくなってという状況にあろうともあるいはそうでなかろうとも、日本の農業を引っ張っていく。今日の二法案を本物にする意味では、別に関税をどうするかをいよいよ考えながら農政を進めていくべきだと私は思っておるんでありますが、これについてのお考えを少し聞かせていただきますが。つまり国内需要に見合った生産だけじゃなしに、国内もどんな品目でも一〇〇%供給ということは行けないと思いますから、国内の需要に最大限に供給をして、なおかつ余って海外へ、政府を挙げて、JAを挙げて、農家を挙げて、商工会議所などを挙げて、海外へ出てトップセールスもしなければならないぐらい大量にどんどん作らせたらいいと思うんですね。
 そういうことを思ったり考えたりするんでありますが、大臣、御見解を賜りたいと思います。
#159
○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、世界の食市場は三百四十兆から六百八十兆に倍増する、アジアは三倍になると、こういうことで輸出戦略目標を作らせていただきました。
 この中で、米も、米、米加工品、百三十億円から六百億円まで持っていこうと、こういうふうに書かせていただいておりますが、米については、先ほどちょっとスーパーに並ぶというお話がありましたけれども、そこまで行くかどうかは別として、価格は少し高いけれども大変おいしいと、こういう評価があると、こういうふうに思いますが、一方で、量がたくさん出るという意味において価格差がなかなかほかのところとありまして、そういうところが少し限界があるのかなと、こういうふうに思っております。
 そういう意味で、この輸出のプランでは、精米だけではなくて包装米飯、もう米飯になったやつですね、それから日本酒、それから米菓、米のお菓子ですね、こういう米の加工品の輸出にも力を入れるということで、全体として百三十億円を六百億円と、こういうふうにする目標を立てているところでございます。
 米の生産の方でございますが、実は今回、米の政策の見直しをやりまして、生産数量目標の配分、政府がやらずともできる環境に五年でしていくというふうにも決めましたけれども、それ以前から、輸出用の目的で生産される米、これはもうその外枠ということで、幾らでも作って輸出するということはできるというふうに元々なっておりますので、生産者としては非常に取り組みやすくなっておるということでございます。
 また、日本酒の生産が、先ほどどなたか言ってくださったように、私のところの山口県の獺祭なんというのは非常に売れておりまして、今度パリにもお店を出すとおっしゃっておられましたけれども、日本酒の生産増に伴う酒米、酒造好適米でございますが、これも生産数量目標の外にいたしまして、この生産を増やせるようにいたしましたので、こういう仕組みを使っていただいて、需要に応じてどんどんと輸出拡大、それに向けた生産をしていただきたいと、こういうふうに思っております。
 香港であったと思いますが、炊飯ロボット、米を入れて御飯ができると、こういうものと併せてセットで持っていくというようなこと、また、おすしが大変人気があるということなどなど、単なるお米ということではなくて、先ほどお話があったように、日本食というものを組み合わせることによってやはり輸出にドライブを掛けていかなければいけないと思っておりまして、そういう意味では、メード・イン・ジャパンのものを輸出するために、日本食というメード・バイ・ジャパンの日本食を発信する。さらに、実はユズや、食材によってはフランス料理に使われたり、ナマコやフカひれのように中華料理に使われたりという食材もございます。こういうものをメード・フロム・ジャパンと称しまして、語呂合わせではありませんが、このメード・フロム・ジャパンとメード・バイ・ジャパンとメード・イン・ジャパンの頭文字を取ってFBI戦略だということで進めておるところでございまして、しっかりと取り組んでまいりたいと、こういうふうに思っております。
#160
○儀間光男君 ありがとうございました。是非是非、大いなる期待をいたしておりますから、どうぞ頑張っていただきたいと思います。
 それでは、二法案関係について質問をさせてもらいますが、我が国の農業の現状を見ていますというと、先ほどもお話がありましたが、人の面では、基幹的農業従事者の中で六十五歳以上が六割を超えているという数字を、皆さんもう何度も聞いた数字です、五十歳未満が僅か一割にすぎないという、言うなれば著しいアンバランスな状況にある。
 そこで、担い手の確保が急務であるということから出たのがこの法律でありますが、農地の面積では、耕作放棄地面積は高齢者のリタイアなどに伴い急激に拡大をしている。逆ですね、拡大をしている。これももうみんな知ってのことです。今や耕作放棄地の面積は滋賀県並み、三十九万ヘクタールあるといって驚いておるんですが、現在の農業者の年齢構造から見れば高齢者のリタイアは更に進むと予想され、しかも人口が減る、国民人口が減っていくということで、この耕作放棄地がますます拡大していく可能性は非常に高いと思っておりますね、高くなるはずです。
 そういうことを思料しておりまして、こうした状況を見ていれば、担い手の確保を始めとする農業改革を行う必要があることは誰が見ても当然なことであり、今回の二法案は、大変重要な見直し法案が出たというふうに思っております。
 さて、質問ですが、政府案において、担い手を育て農業を成長産業にするため産業政策、先ほど確認しましたが、つまり農業の企業化と、農業、農村が有する多面的機能を発揮するための地域政策、つまり安定した地域のコミュニティーづくり、これは昔をほうふつさせるものでありますが、と分けて政策を進め、そして両輪としていこうということでございましたが、先ほど確認いたしましたので大体分かっておりますが、再度、これの行き先を少し、地域の風景を想像してみてどういう風景になるか、後でも少し、私も提案して風景づくりしようと思っているんですが、その風景を少し想像して説明をしていただければ有り難いなと、こう思うんですね。
#161
○国務大臣(林芳正君) ありがとうございます。
 先ほど来、車の両輪と、こう言っているときに、例えば多面的機能法案は構造改革も後押しするというふうに申し上げてまいりました。我々よくポンチ絵を使って御説明をしておりますが、現在、若い担い手の方がおられて、その周りに割とお年を召された方がやっておられて、同じような広さで五、六人でやっておられると。こういうところ、今は大変よろしいわけでございますが、今先生がおっしゃったように、あと十年、二十年たつと、この周りのお年の方々がリタイアされると。このままほっておきますと、ずっとおやめになるまでそれぞれがおやりになって、そして気が付いたら耕作放棄地になっているというようなことにもなりかねないわけですし、今までもそういうことがあったわけでございますので、まず農地中間管理機構をつくって、こういう方のところに、民主党政権で始めていただいた人と農地プランというので集落でお話も進んでおりますので、そろそろどうされますかと、後継ぎはおられますかと。もしおやめになるのであればこの真ん中のところにいる若い担い手に貸し出しませんかと。こういうようなことを働きかけをして、この働きかけをした結果、その若い方が周りの方のものもやるようになると。こういうことでありますが、今度はその真ん中の担い手の方は、引き受けてだんだんだんだん大きくなるのはいいけれども、水路の泥上げですとか草刈りとかそういうことを全部、この引き受けたものについて全部自分でやるとこれはなかなか大変だし、そっちばっかり手間が掛かって肝腎の耕作の方にはなかなか思い切って時間を割けないと。こういう悩みもあるわけでございまして、多面的機能支払というのは、耕作をされなくなってリースをされて貸し出されている方も一緒に集落のメンバーとして共同作業をやっていただければその集落の皆さんに対して払われると、こういう設計にしてございますので、引き続き多面的機能支払を受けていただいて、そういう作業自体は集落の皆さんでやっていただくということになると真ん中の受け手の担い手の方の負担はそういう意味では増えないと、こういうことになるわけでございまして、そういう状況の中でまとまった、集積した耕作の方に担い手の方が専念をしていけると。
 こういうことが組合せによって、産業政策とそして多面的機能、地域政策をまさに車の両輪としてやっていくと、こういう一つの姿を我々イメージをしておりまして、産業政策である経営所得安定対策や農地中間管理機構に集積と、それから地域政策である多面的機能をそういうふうに組み合わせて、そして貸し出されている方は一緒に作業もやりますし、例えば六次産業におけるレストランや直売所で働いていただくなり、小学校の皆さんが都市農村交流で来られたときにいろんな講義をしていただくなり、いろんな役割があるのではないかと、こういうふうに思っておりますので、いろいろな政策を組み合わせてそういう姿を目指していければ有り難いなと、こういうふうに思っておるところでございます。
#162
○儀間光男君 何回も何回も同じ答弁をさせて恐縮をしております。
 なぜそれを聞いたかというと、我が国の農業政策、戦後もそうですし平成の時代見てもそうですが、僕に言わせるとかなり丁寧にいろんな施策を法制化して手当てしてきているんですね。だのに、担い手がなぜ育たなかったか、どこに原因があったんだろうと、そういうふうに思うんですね。もちろん他の産業の成長があって、そこへ行った方が暮らしがいい、楽だ、便利だ、近代的だということもあるんでしょうけれども、根本的にはそういうことのみじゃないと思うんですね。何がそうさせたのか。
 正直言って、かなりの政策を農政やってきていますよ。この二つも、これは中間もやりました、またかなりの丁寧な制度をつくってきておって今なお担い手が付かないということは、どこかに別の原因があるのではないかと思ったり考えたりするんですが、浅学非才な私では思い付かないんですが、周辺に専門の方もいらっしゃることから、こういうことがあって実は生かされなかったんだ、あるいは直接現地を訪れて、説明が今はもう数万回やっているそうですが遅れておって、これまでそうだったんだとかいうような何かしらのコミュニケーションがうまく取られていない、何かしらの原因があってのことではないかと思うんです。そうじゃないというと、またそれを点検、チェックしてこの法律に生かしていくようにしないというと、また二の舞踏んではどうするんだろうというような老婆心があるんですが、いかがでしょうか。
#163
○国務大臣(林芳正君) 大変難しい御質問でありまして、人生の大先輩である儀間先生が浅学非才と言われると、私ももうそれ以下の、浅学非才でありますのでなかなかなるほどというような答弁ができないとは思いますけれども。
 一つは、今おっしゃっていただきましたようにほかの産業との比較で、戦後の発展の中で工業や第三次産業に給料等の比較、収入等の比較等々、また都会に対する欲求と、こういうものがあって、そういう引き合いの中でなかなかいい人材が来なかったということは歴史的にあったのかなと、こういうふうにも思います。それから、先ほど、私の地元の例で恐縮でございましたけれども、ジャム屋さんのお話をしていただきましたけれども、食料が足りない中で増産すれば必ず需要があるといった時代から、やはりみんなおなかは取りあえずいっぱいになるところまでは来ておりますので、もう少しマーケット・インの発想で需要に応じて物を作っていく。さらには、二次産業、三次産業に出ていって六次産業をやるというようなことは、必ずしもこれまでそれが中心であったかというとそういうことでない部分もあったと、こういうことがもう一つあると思います。
 そういう中で、若い方から見て、親御さんがやっていらっしゃるのを継ぐ場合でも、Iターンで帰っていらっしゃる場合でも、そういう経営をしているところであれば、やはり自分が入っていってもっと何かを付け加えることによって更に大きくしていこうと、こういうことがありますが、それがないところにはなかなか魅力が見出し得なかったと、こういうことがあるのではないかなと、こういうふうに思っておりまして、今回、需要に応じて作るということを一つのキーワードにして農政改革をやらせていただいたのも、やっぱりそういう姿を見て、なるほど自分の創意工夫、努力によって伸ばしていける職場だなと、職場という言葉が適当かどうか分かりませんが、そういうところであるという認識をやはり若い人に見てもらって持ってもらうと。そういうことが持って回って新しくやってみようという方が増えてくる、こういうことにつながるのではないかなと、こういうふうに思っておるところでございまして、当然、新規就農者の支援みたいなものは引き続きやっていくわけでございますが、もう少し大きく見ると、やはり将来の成長の可能性みたいなものがしっかりと描けているかということも大変大事なことではないかというふうに考えておるところでございます。
#164
○儀間光男君 農は国の本なりというようなことがずっと言われてきたわけですが、まさにそのとおりであって、そういう意味からも法律は評価するんですが。
 先ほど、猫の目農政という指摘がありました。また、平木委員からは長期ビジョンを示せというのがありました。いずれもいい指摘だと思うのですが、私はやはり、一貫して通してきて不必要だったなあるいは必要だなということが、現時点において、過去を検証して現時点においてそれが分かるようになっているんだったら、どんどん変えていいと思うんですよ。つまり、固定概念にとらわれることなく常にしなやかな思考、しなやかな腰、こういうもの、農業は絶対そういうのが竹の性質みたいなのが必要ですよ。ためが必要、しなやかさが必要。
 ですから、これこういって検証して効果良くないから、あとしばらくして、何年か経過措置をして変えようかということが出たとするなら、これはそれをやってもいいと思うんですね。それを積極果敢に行ってもっともっと担い手が喜んで農業に参画できるような農政をどんどんどんどん展開して提供していただきたいと、こう思っております。
 さて、もう時間もそんなにありませんから言いますけれども、先ほど、地域政策が醸し出す風景少し考えられませんかと言って、いい答弁していただいたんですが、私が想像したのは、まさに緑豊かな野や山、川、田畑を、田園を背景に、少しかがんだおじいちゃん、おばあちゃんがおって、真っすぐでりりしい父ちゃん、母ちゃんがおって、はじけるばかりの子供がおって、その三世代がおててつないでスポーツに興じ、あるいは農作業に興じ、道普請に興じ、そういう絵の風景が描けるような政策になっていただきたい、そういうふうに進めていただきたいと、そんなような思いをしているのでありますが、いかがでしょうか。
#165
○国務大臣(林芳正君) まさに先生おっしゃるように、三世代で皆さんが生き生きと活力あるコミュニティーを維持していただけるということが大変地域政策として大事であると思っておりまして、多面的機能支払のみにとどまらず、先ほど小川委員からもお話がありましたけれども、基幹の病院ですとか学校ですとか、そういうものがきちっとあって、ある程度どこかに集まってもらってそこで利用してもらうということがこれから必要になってくるかもしれませんが、国交省等とも連携してそういうことを地域政策としてしっかりやっていかなければならないと思っておりますし、我々、我々というか私の世代の反省として、やはりどうしても都会に出てきて物質文明を享受するという、そういう世代であったかなと思いますが。
 この間ちょっと「WOOD JOB!」という映画を始まったときに見に行きまして、それに多少影響されているのかもしれませんが、今の二十代、三十代というのはもう生まれたときから非常に満ち足りた世代でありますので、むしろああいう、あれは三重県がモデルになったということですが、山深いところに入っていったところの自然と触れ合いながら、余り映画の中身をここで言うと申し訳ない話ですけれども、木の上に上ってはるか向こうの山がしゃんと見えると、そこで物すごくすばらしい風景になるわけですが、そういうものに対する感受性というのは非常に今の二十代、三十代は強いのではないのかなと。
 先ほどのジャム屋さんなんかもそういうところがやっぱりあったのではないのかなと。私の世代ですと、せっかく電力会社へ就職したのが田舎の実家に帰ってジャム屋始めるというのはなかなか余り考えられなかったことだなと、こう思っておるわけでございまして、そういった意味で、そういう世代が、なるほど、そうだねといって集落や農山漁村に帰っていただく、来ていただくまでの間にしっかりとそれを守って、そしてバトンタッチをするというのが我々の世代の責任ではないかと、こういうふうに考えておるところでございます。
#166
○儀間光男君 ありがとうございます。いいお話でした。ありがとうございます。
 最後の質問になりますが、この法律の改正により担い手の経営安定法に基づく交付金の対象になる認定農業者あるいは認定新規就農者、集落営農といったのが対象になりますが、これから漏れていく農業者もおるわけで、先ほども答弁あって重複するんですが、この人たちへの手当てもしっかりと対策をしていかなければいけないということはもう当然のことですが、少ししっかりと対策を取っていただきたいというふうに思いますが、いま一回お答えいただけませんか。
#167
○政府参考人(奥原正明君) 今回の経営所得安定対策の対象者でございますが、今御指摘ございましたように、認定農業者、それから集落営農に加えまして、今回、認定新規就農者も入っております。いずれも面積の規模要件は設けないということにしておりますので、規模の小さい方含めまして、意欲と能力のある農業者であれば幅広く対策に入れると、こういう制度にしているところでございます。
 そうはいいましても、なかなか認定農業者になれないという方々もいらっしゃるかもしれませんが、そういう方々、地域の中でやはり直売所に野菜を作って出荷するですとか、いろんなやり方はあるかと思います。そういったものを支援をすることも一つでございますし、それから、中間管理機構を活用して担い手への農地の集積、集約化を進めていく、あるいは日本型の直接支払制度を活用して農業の多面的機能の維持、発揮のための地域活動に参加をしていただく、そういった形で地域全体の農業の裾野の発展に貢献していただくという方法もあるというふうに考えております。
#168
○儀間光男君 もう時間がほとんどありませんから、最後に希望を申し上げて終わりたいと思いますが、いずれにいたしましても、我が国の豊かな国情、豊かな人間性、これは最近は機械化されていて、特に都会においては、もう農村もそういう状態になっておりますが、機械と語らいをする時代になりまして、無機質になっているんですよ。それを、豊かな情操教育を持ってきて本来の日本のたくましい優しい大きな人を育成する、子供を育成する、国民を育成する、そういう意味では農家の果たす役割は大きいですよ。しかも、世界の中で七割の国土を緑で覆われている日本が果たしていく役割も大きいと思うんですね。
 そういう意味では、この法律にリードされて農村、農家がいよいよ飛躍、発展して、豊かな暮らしが、安定した暮らしが確保できるように期待をして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#169
○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。よろしくお願いします。
 私の場合は余り諸先輩方ほどいい話ができないかもしれませんが、ただ、今回、農政、農業がどういうふうになっていくのか、非常に重要な岐路にあるという認識はございます。
 TPPの問題、それから、昨日政府の方がワーキングチームという形で規制改革会議が出してきた改革案、それから、本日もずっと議論されている産業政策それから地域政策としての二法案、これ非常に全て合致してやっていかなきゃいけないことだということで、有機的に今日は質疑させていただきたいというふうに思っております。
 まず冒頭なんですが、何回か私も質疑で、農業の改革、産業政策と地域政策、地域政策を私の場合は社会政策とこれまで呼んできたんですが、この二つをしっかり分けて議論していくということは大変分かりやすい、いい議論になると思っております。
 と申しますのは、産業政策としての農業は、やっぱり産業ですから厳しさも競争力も必要だということでありまして、先ほどから儀間議員なんかは輸出ということでシリーズでこだわられていますけれども、まさに輸出をしようということであれば、当然国内でも強い産業でなければ海外へ行って勝てるわけがないわけでありますから、そういった意味の厳しさも伴う改革というのが産業政策の方には多分なければならない。そういう意味で、多分このワーキングチームの方からは相当厳しい内容が出てきた、これは一つ私は評価に値するのかなと思っています。
 もちろんそれだけでは、ここには人がいて、地域も支えている基幹産業ですから、もたなくなるということで、要は、ここには地域政策、私で言うところの社会政策というのがあるわけでありまして、これはまたきちっと議論していかなければいけない。ただ、これをしっかり厳しい面とそれからきちっと人をサポートしていく面と、二つ分けていきたいというふうに思っていますので、まずはそういう意味で、ちょっと産業政策としては厳しい側面も質疑していかなきゃいけないかもしれませんが、その辺り、最初にやらせていただきたいと思っております。
 この産業政策、担い手法案になるわけでありますが、この目的は、一つ、自給率の向上というのがこれまで挙げられてきたんだと思います。昨日も私の方が安倍総理に対して代表質問させていただきまして、総理の御回答の中にも、食料自給率向上に寄与する作物の生産拡大を図るためという明確な答弁を実はいただいておりまして、それはそうで、なるほどということでありました。
 ただ、自給率という考え方もやっぱり曲がり角に来ているんではないかと。実は政府の方でも、日経それから朝日にも記事になっておりますが、二十二日の農林水産大臣の諮問機関である食料・農業・農村政策審議会の方でも、この自給率、現在の五〇%というのは保てないんではないかと、ちょっと内容として過度であるということで、来年以降これを引き下げるふうにしたらどうかというような見通しを発表しているということでありまして、これもまた報道でありますので、最近当委員会は余り報道を信じないということで、そういう意味で政府には個別に聞いていかないといけないので質疑をさせていただきたいと思いますが。
 結構この問題は非常に私は大きいというふうに思っておりまして、と申しますのは、先ほど申し上げた産業政策って、やっぱり目標がないと何に対しても改革ができないということでありますので、まさに、じゃ、自給率そのものの割合を下げて考えていくのか又は自給率に代わるものを考えていくのか、そこはひとつ産業政策のゴールを考える意味においても、あるいはそれ自身が成功したか失敗したかを考える意味においても大変重要な状況だというふうに思っております。
 そういった意味で、これまで政府の方は、たしか平成十二年の方にはカロリーベースで四五%、平成二十二年の方ではカロリーベースで五〇%の目標を立てられてきたんですが、実際は平成十二年以降四〇%で推移していると。平成二十四年まででは三九ということで低空飛行を続けているんですね。昭和六十三年には五〇%あったカロリーベースの食料自給率がどうして一貫して下がってきたのか、ちょっと復習のために質問させていただきたいと思います。
#170
○国務大臣(林芳正君) 食料自給率が低下してきた理由ということでお尋ねいただいたと思っておりますが、昭和四十年度がカロリーベースで七三%、生産額ベースで八六%であったものが、足下二十四年度でカロリーベースで三九%、生産額ベースで六八%まで低下してきております。
 一つの背景としては、食生活のいわゆる洋風化ということで、もう御案内のように、自給率の高い米の消費、これが減少する一方で、自給率の低い畜産物等の消費が増加したということ、こうした食料消費の変化に国内の生産体制が対応し切れなかったことと、大きく言うとそういうことではないかと考えております。
#171
○山田太郎君 ありがとうございます。
 この食料自給率は実は農水省の農政政策の中でも個別の品目ごとにいろいろ取られておりまして、個々にそれを向上していくということでこれまで個別の政策が取られている、非常に重要なまさに産業政策としての目標値であります。
 今日、お手元の方に資料をお配りさせていただきましたが、主要品目として、バレイショ、小麦、大豆なんというのを今日はちょっと取り上げてみたいと思いますが、まさに主要作物ごとに生産数量目標を作って補助金などの政策誘導をしてきたということでありますが、例えば、これ平成二十七年のところが黒丸であります。これが目標だということであります。平成十七年に決定された自給率四五%に沿った目標がここだったんでありますが、実は、平成二十二年の決定の平成三十二年、つまり十年後のものはかなり大胆な五〇%生産目標ですが、かなり意欲的な目標を立てられたということで、実は目標そのものは近年少しずつ上げたりとかしているんですが、現実はどうだったかというのをちょっと見ていただくと、このグラフの平成二十年から二十四年に向けての表なんですが、全部下がってしまっているということなわけですね。
 これやっぱりどうしてなのかと。主要作物の一つも事実上、上がっていないという状況下の中で、完全な政策の失敗なのか。先ほど儀間さんの方は担い手がどうして増えなかったのかということを強く質疑されておりましたが、私は、この産業政策として重要な個々の産物に関しても一つぐらいは何か政策としてこれはうまくいったなというのがあるからこそ波及もしていけると思うんですが、一体どうしてこういうふうになってしまっているのか、この辺りも教えていただけないでしょうか。
#172
○国務大臣(林芳正君) 今まさに次の食料・農業・農村基本計画の見直し作業をやっているところでございまして、今お話があったように、四月二十二日に、食料・農業・農村政策審議会の企画部会におきまして、現行の食料自給率目標等の検証が行われたところであります。
 その検証におきまして、二十四年度における生産数量目標の進捗状況、これを評価した結果として、耕種の作物については、ソバを除いて進捗が目標から乖離して推移と、いわゆるC評価というやつですが、こういう評価でありまして、特に小麦、大豆等の目標達成度は五〇%下回っていると、こういう状況になっているところでございます。
 要因分析を品目別に行った結果、バレイショですが、これは天候不順による不作などと。それから小麦については、関東以西の水田における二毛作の大幅な拡大を前提として目標が設定してあったわけですが、この目標設定が過大であったとともに、天候不順による不作に加えて水田での排水性向上、これは排水をして二毛作ということになりますので、この向上等の取組が不十分であったということ。それから大豆については、生産条件が不利な耕作放棄地での大幅な作付け拡大、これを前提として目標が設定してありましたので、これが過大であったということと、先ほどと同じように水田での排水性向上等の取組が不十分であったと、こういう評価が行われたところでございます。
#173
○山田太郎君 もうそうなってくると、この自給率目標を掲げる意義というのはそもそもどんなところにあるのかなと。
 現行では、諮問委員会でいろんな議論が出ているようですけど、一応五〇%というのはまだ国の政策として置かれているようですが、例えば国際情勢、状況だとか、国内の食生活の変化等を加味した場合に、例えば自給率が四〇%じゃ駄目で五〇%ならいいんだというのは例えばどうしてなのかとか、ちょっとその辺りの議論もお伺いしたいんですが、その辺り、いかがなんでしょうか。
#174
○国務大臣(林芳正君) 食料・農業・農村基本法には、国民の食料の安定供給、これを将来にわたって確保していくことは最も基本的な責務だと書いてございます。それは生産と備蓄と輸入と、こういうふうに書いておりますので、必ずしも食料自給率というものが何%でなくてはならないということがそこから数字が決まってくるということではないかもしれませんけれども、基本的には国内農業の生産増大を図ってできる限りのことをやって、やっぱり食料自給率を向上させるということは基本的に大事なことであると、こういうふうに考えておりまして、そういう意味で基本法で食料自給率の目標設定をすると、こういうふうに法律上明記をされておるところでございます。基本計画において、食料自給率の目標とともに、農業生産指針としての生産数量目標が示されているところでございます。
#175
○山田太郎君 それでは、この自給率を向上させるために、これまでどれぐらいのお金を使ってきたのかということに関しても是非理解しておきたいと思っています。
 非常に重要な産業政策、やっぱりそれの自給率向上のために毎年毎年多くの農水予算を使ってきた、その結果がこうだということなんですが、次に話をつなげていくために、是非その辺りの政策投資予算、どんなものなのか、具体的に教えていただけますでしょうか。
#176
○国務大臣(林芳正君) 基本的に我が省の予算の中で、これは食料自給率の達成のための予算とか、これはそうでないと、こういう整理は基本的にございませんが、食料・農業・農村基本法に基づく基本計画は食料自給率の目標の設定、これを中心として策定されておりますので、あえて言えば、農林水産省の予算というのはもうほとんどこの食料自給率の向上に関係すると、こういうふうに言えるものと考えておりまして、そういう意味では、現行の基本計画で食料自給率の目標が設定された平成十二年度から平成二十六年度までの農林水産関係予算額の合計は、当初予算額で約四十一兆円、補正予算額で約七兆円ということでございます。
#177
○山田太郎君 まあ、合計で四十八兆円というお金を使って、ポジティブに言えば、このお金を使ったから自給率がこれでもったんだという言い方もできるかもしれませんが、やっぱり何か変だと。産業政策としてはやっぱりこれは何か変だというふうに、全然上がらない数値を十数年間も、毎回毎回言い訳をして、多分、毎回の農林水産大臣が国会にいろいろごちゃごちゃ言われながら謝っているという状況は何かおかしいような気もしています。
 そうなってくると、私は、この食料自給率というものの考え方も変えなきゃいけないのかなと。先ほどのお話の中でもたんぱく質なんかを取る考え方もあるというお話もありましたし、食べ残しについていわゆる除外されていないなんという議論もこの委員会でたしかありました。
 それから、もちろんカロリーベースが今旬なのかと。私なんかはちょっとこういう体型なので余りカロリーは取らずにということになると、確かに食生活は変えていかなきゃいけないということになると、やっぱり金額ベースの方が云々ということもあります。
 ただ、私は、この産業政策、やっぱりゴールを持ってきちっと、PDCAじゃないですけれども、やった政策がどれぐらい寄与したのか。やっぱり国民の税金を使っているわけでありますから、しっかりしたものを次の政策に対して立てていかないと、どっちに我が国の農政は向かっていくのか分からなくなると、こういうふうに思っておりますので、是非そういう形で今後議論がこの委員会でもできればと思っております。
 もう一つ、もしかしたら、自給率に偏重してしまうことによって農業政策もゆがんだ側面もあったのかもしれないと。無理くり例えば維持しなければならないということに予算や政策をしてしまったりとか、むしろ産業政策であったら、その産業の自立とかそれから生産性向上だとかもっとたくさんの、他産業であれば持っている指標であったり考え方ってあると思います。そういったことを自給率だけにとらわれずに複合的に考えていくということが多分この問題は必要で、私はその問題も一緒に加味していかないと、幾ら産業政策で担い手云々と言ったところで、最終的にこの農政がきちっとうまくいったかどうかというのは評価のしようがない、こう思っておりますので、これはちょっと引き続き議論させていただきたいと思います。
 次に、農協改革の話についても取り上げていきたいと思っております。
 昨日、先ほども少し話題になりましたが、規制改革会議農業ワーキングチームが農業改革に関する意見という形で出されました。実は、私の部屋で昨日レクをやっているときに、これが内閣府さんの方から届きまして、農水の現場の担当官の方も私の部屋でこれを初めて見たという状況下の中でレクをやるという不思議な状況になりました。
 一つ不思議だというふうに思いますのは、農業政策に関して、現場の農業の担当官や、もしかしたら農林大臣も分からない形で規制改革の話が進んでいる、これは本当にインプリというふうに、オペレーションというか、本当に農業政策の方にちゃんといわゆる転換していけるのかどうかということが非常に不安でもあります。そういう意味で、今日はちょっとそこの内容について、タイムリーでありますし、非常に農業政策重要でありますので、この問題ちょっと取り上げてやっていきたいと思います。
 まず、本日の二法案があるんですが、この法案による政策推進に当たって、農協の役割ということもあるかと思いますが、その関連性みたいなもの、是非その辺り、まずスタートのところ、大臣、どのようにお考えか、お答えいただけますでしょうか。
#178
○国務大臣(林芳正君) まず、担い手経営安定法でございますが、これに基づいてゲタ、ナラシ対策というのをやるわけですが、国が対象となる農業者に直接交付金を交付する仕組みでございますが、加入をしていただく、この加入推進等が円滑に行われるように市町村等の地域段階で地域農業再生協議会と連携協力した推進体制を構築して実施しているところであります。農協については、市町村、それから農業共済組合、農業委員会などとともに、地域農業再生協議会の構成員として対策の普及推進、対象作物の作付け確認等の役割を担っていただいているところでございます。
 また、多面的機能発揮促進法案の方ですが、この日本型直接支払制度は、農用地や水路等を保全する地域の共同活動や営農活動に対して支援するものでございまして、地域における様々な主体の参画や協力の下で取組を進めることが望ましいわけでございます。したがって、この農協について、地域の農業振興を担う団体としてこのような地域の共同活動に積極的に参加することが期待をされているところでございます。
#179
○山田太郎君 そういう意味では、農協さんも非常に農政あるいは改革という意味においては重要な役割があるというふうに認識しています。昨日の本会議の質疑、安倍総理の方からも、政策面の改革と併せて農協改革を実行することが必要だと、しっかり取り組むという答弁をしていただいております。
 そういう意味で、昨日、内閣府の規制改革会議農業ワーキンググループでこの意見が取りまとめられたんですが、概要と特に今後のスケジュールですね。これ出したら多分出しっ放しではなくて、政府の中でまず議論がまとめられて、もしかしたら与党の方でも議論されるのか、何らかの法案という形で農協法に関わることが改正されていくのか。いずれにしてもこれがどういう今後取扱いになっていくのか、内閣府の方から後藤田内閣府副大臣来ていただいていますので、御説明いただけますでしょうか。
#180
○副大臣(後藤田正純君) ありがとうございます。昨日の規制改革の議論、そしてまたその結論につきまして御説明いたします。
 一つには、中央会制度の廃止、これは、よく中央会の廃止というふうに捉える方がいるんですけれども、制度の見直しという意味でございます。これは、農協法に基づく中央会制度を一旦廃止して、そして中央会は新たな役割、体制を再定義した上で、例えば農業振興のためのシンクタンクや他の団体等の組織としての再出発を図ると、こういう内容と、あと全農の株式会社化、そして単協の専門化、健全化の推進、そして農協の理事会の制度の見直し、そして組織形態の弾力化、組合員の在り方、他団体とのイコールフッティング等々でございますが、一番、中央会の廃止という、制度の廃止ということでございますけれども、これは、御承知のとおり農協法に規定された中央会の役割というのは、七十三条十五に、組合の健全な発達を図ることを目的とすると、そしてまた二十二には、組合の組織、事業及び経営の指導、そして組合のガバナンス、また組合に関する教育及び情報の提供等々書かれておりますが、これが今実態、現実としてやはり課題、問題があるんではないかと。
 先ほど委員もおっしゃったように、総理始め、また今までも農協内部でも、平成十五年でございましたか、改革案が出されました。そして昨今も出されたように聞いております、それも拝見しております。また、農林省におきましても様々な議論があったということも考えたときに、我々としましては、特に今、全中の話をさせていただきますと、やはりこれからは各農協が多様な実情に即してそれぞれの独自性を発揮して、自主的に地域農業の発展に取り組むことができるようにと、こういう考え方です。
 例えば、今日の新聞でも、福井の方でたけふ農協さんが、いわゆる政府として、また農協さんも含めて、例えば米の飼料米、こういうものを一律的に指導、これはいいところもたくさんあろうかと思いますけれども、ここは、やはり今までのコシヒカリから日本晴というものを作って、これから輸出目標千トン、こういうものを独自にどんどん頑張っていると。そして同時に、いわゆる調達につきましても運営の見直しをして黒字化を図っているとか、こういうことをしっかり各農協が頑張っていただく、中央会主導から各農協中心に系統を再構築すると、こういうことを狙いにさせていただいております。
#181
○山田太郎君 今も少し触れたところでもあるんですが、ちょっとこの内容で確認しておきたいこともありますけれども、全農の株式会社化というところでもあるんですが、これもちょっと確認させていただきたいんですが、株式会社化された全農と個別の農協との関係はどうなるのかなと。
 農協は、御案内のとおり、独占禁止法等によって除外をされている農業協同組合という特別な立場に立っております。そうなってくると、株式会社化というのと現場の農協、系統の関係というのが多分合わなくなってくると思うんですね。その場合に、現場の個別農協に関してもいわゆる農業協同組合としての独禁法の除外規定というのを受け続けるのかどうか、その辺りの設計はどのように検討されているんでしょうか。
#182
○副大臣(後藤田正純君) 全農の株式会社化についてでございますが、これは株式会社化された場合は、独禁法の第二十二条によりまして同法の適用を除外される組合及びその連合会に該当しなくなるということでございます。株式会社化された法人につきましては独禁法が適用されるというふうに考えておりまして、これはやはり今後、一応我々の議論の中での絵姿は、組合員が例えば共同出資する株式会社にすることによってしっかりとガバナンスを利かせると、こういうメリットもあろうかと思いますし、また、意思決定の迅速化でございます。
 いわゆる今までの理事会決定もいろいろ機能していたのかとは思いますけれども、迅速な決定をして、社会の変化また国際情勢の変化にしっかり対応していく組織になっていただければいいんじゃないかということです。
 あと、また資金調達につきましても、何をやるかというその目標に応じて、いわゆるデットではなくて、またエクイティーも含めて、そういう資金調達をすることによって、しっかりと農業の先ほど来先生おっしゃっている産業化の側面、産業政策の側面にも対応できるようにしていくと、こういうことになっております。
#183
○山田太郎君 もう一つ、農協の信用事業の話です。
 今、黒字か赤字という問題も絡んでくると思うんですが、農協の信用事業を農林中金の方に移管するという提言も実はこのワーキンググループではされています。ただ、農協は、経済事業部分、赤字の事業も多いということで、信用事業の黒字分がその埋め合わせをしていると。実は、委員会の方でもそんなような話が一旦あって、そんなこと言ったら、いや、黒字のちゃんと農協もあるよなんという話はいろいろ大臣、副大臣にも前回していただいたというふうに思っておりますが、その辺り、本当に農協はこの信用事業を切り離すことによって生き残っていけるんだろうかと、その辺りの検討はどういうふうになったのか、内閣府さんの方から教えていただけますでしょうか。
#184
○副大臣(後藤田正純君) ありがとうございます。
 私も委員の先般の御質疑も拝見させていただきまして、いわゆる経済事業がなかなか厳しい状況にあるけれども、まさに信用事業のプラスによって、それに依存するという体質があるということは、これは現実としてあろうかと思います。
 ただ、そういう中でも、やはり今後の農協の在り方としては、いわゆる信用事業、共済事業については代理店業という形で地域にしっかりまた残して、もちろん組合員のためにもしっかり機能を果たしていただくと。加えて、やはり我々は各農協がもう農業に特化していっていただく、経済事業に特化していただくと、こういう考え方を用いております。リスク管理につきましては信連だとか農林中金がしっかりやるということ。その運用益、いわゆる今までやってきた運用益で補填するんではなくて、代理店業務という形での手数料収入もしっかり各農協が得ながら、やはりメーンは農業にしっかり従事していただくと。
 各農協さんからもいろいろヒアリングさせていただきましたが、やはりこんなに持ってどうしようと、持ち過ぎでこれどうにもならないみたいな議論もたくさん出ている部分も私どもの規制改革委員会の中では出ているというのが現状でございますので、今申し上げた不要なリスクや事務負担の軽減を図って、農業にしっかり従事していただくという狙いでございます。
#185
○山田太郎君 続いて、大臣の今回のワーキングチームの発表に対する受け止め方というのを少し確認させていただきたいというふうに思っておりますが、まずトータルですね、こういった改革案が出たんですが、これを見ていただいて、大臣の方はどんな受け止め方をされているのか、まず全般的な感想みたいなところからでも含めて教えていただけますでしょうか。
#186
○国務大臣(林芳正君) これは、いつも申し上げていることでございますが、農協というのは農業者の協同組織でございますので、担い手の農業者のニーズに的確に応えて、農産物の販売等を適切に行って農業者の所得を向上させると、よってもって地域農業を発展させていくということが何よりも重要であろう、こういうふうに思っております。
 したがって、農協が農産物販売等に最重点を置いて積極的に取り組むにはどうしたらよいか、それぞれの農協が自らの創意工夫で経済事業を展開するにはどうしたらよいか、こういうことを検討しなければなりませんし、これと併せて、そういう農協をサポートする連合会、中央会、これはどうしたらよいかということを真剣に検討していく必要があると、こういうふうに考えております。
 したがって、昨日、今、後藤田副大臣から御説明がありましたけれども、規制改革会議の農業ワーキンググループで取りまとめられました農業改革に関する意見についても、その問題意識、これは共通であると、こういうふうに考えておりますが、具体的な内容については、今後、このワーキンググループの意見が出ましたので、与党とも協議しながら検討してまいりたいと、こういうふうに思っております。
#187
○山田太郎君 先ほどスケジュール感ということもお伺いしたんですが、六月に政府案をまとめるということで、今国会のもしかしたら終わりぐらいには政府案が出てくるんではないかというふうに期待もしておるんですけれども、これは林大臣の方にも多分、実際は主管としては農水省の方にも大きく絡んでくると思っておりますので、是非このいわゆる政府の中、又は農水省としてのスケジュール感としては、そんな感じで政府の案が出てくるということで、これは間違いないでしょうか。
#188
○国務大臣(林芳正君) よく申し上げます農林水産業・地域の活力創造プラン、十二月十日に決定させていただきましたが、これは総理が本部長になっておられまして、農林水産業・地域の活力創造本部というものがございますが、そこで決定したものでございまして、私も副本部長でございます。
 農協については、農業者の所得の増加に向けて農産物の販売力を抜本的に強化するとともに、六次産業化、農産物の輸出の促進等に主体的に取り組むための自己改革を促す一方で、少数の担い手組合員と多数の兼業組合員、正組合員を上回る准組合員といった、制度発足時とは異なる状況となっていることを踏まえて、今後の農協の在り方、役割等について、その見直しに向けて検討するというふうにされておるわけでございます。
 したがいまして、私といたしましても、この六月を目途とする農林水産業・地域の活力創造プランの改定、十二月に作ったものを六月に改定するということになっておりますので、今お話のあった規制改革会議の案や御意見や与党の議論を踏まえながら、農業者、特に担い手の農業者から評価をされ、生産現場を改善して、農業の成長産業化に資するような農協改革をしっかり検討してまいりたいと思っております。
#189
○山田太郎君 ありがとうございます。
 実は、私も党内の農業主査で、この辺の政策責任者を党内でやっているんですが、実は出てきたとき、正直びっくりしまして、私どもが思っていた以上の踏み込んだ改革案を出されましたので、大変期待しております。もちろん、これがきちっと形になって導入されなければ農協さんも変わっていかないと思っておりますし、こういった形が非常にこれからの新しい農協の、農業の在り方にもつながると思っておりますので、是非私としては政府の動向を見守っていきたいと思っております。
 大臣の方は、くれぐれも骨抜きにならないように、信念を持って各方面と、多分各方面との調整が相当これから大変だと、どうしてもそれに関しては我々も野党で、外野でございますから、調整をしっかりやっていただきたいと思いますが、この問題については最後、大臣の御決意をいただけますでしょうか。
#190
○国務大臣(林芳正君) まさに先ほど申し上げましたように、六月にこのプランが改定されますので、それまでしっかりと党の内外の調整をやりまして、しっかりとしたプランをまとめ上げていきたいと、こういうふうに思っております。
#191
○山田太郎君 次に、地域政策、まさに多面的機能法案について少し話を移していきたいと思います。
 後藤田副大臣の方、これで担当のところは結構でございますので、御退席いただいても構いません。ありがとうございました。
 さて、続きまして、その多面的機能に関して少し話を進めていきたいと思いますが、これも昨日の本会議で私の方が、安倍総理に代表質問で、この多面的機能、予算とすると約八百億円弱なんですけれども、このいわゆる効果の算定ということをお伺いしました。もちろん多面的機能八兆円というような内容が評価として出ております。
 この政府の方からお配りいただいた紙の一ページの方にもそういう形で、いわゆる平成十三年の試算ということで出ておるんですけれども、それに当たって、ただ、もうちょっと中身をしっかり見なきゃいけないので、取りあえず、この法案による予算措置はどれぐらいの面積の多面的機能を維持、発揮しようとするのか、それぞれ農地面積全体と併せてお答えいただければなと思っております。ちなみに、参考までに、事前にその件でレクしたものについては二枚目の資料の方に付けておりますので、それも見ながら御説明いただけますでしょうか。
#192
○国務大臣(林芳正君) この日本型直接支払のうち多面的機能支払交付金の平成二十六年度予算額、これは四百八十三億円でございますが、新たに創設する農地維持支払については二百五十万ヘクタールから最大約三百万ヘクタールの農用地で取り組むことができる予算額を確保しております。この面積は、対象となり得る農用地面積の四百九十万ヘクタールに対して大体五〇から六〇%と、こういうことでございます。
 中山間地域等直接支払交付金は二百八十五億円、それから環境保全型農業直接支援は二十六億円ですが、それぞれで約七十万ヘクタール、それから約八万ヘクタールにおいて取り組むことができる予算を確保しております。
 今後、農地維持支払を中心に、できるだけ多くの農用地において取り組まれることによって、農業の有する多面的機能の発揮の促進が図られるように努めてまいる考えでございます。
 直接支払は、累々申し上げておりますように、地域の共同活動等を支援することによってこの多面的機能の発揮を促進するとともに構造改革を後押しするという効果を有しておりますので、単に農地を持っているだけで支払が行えるというものではないということは申し上げておきたいと思います。
#193
○山田太郎君 これ、ちょっといろいろ計算させていただいたんですが、対象になる面積を全部足し上げますと、例えば三百を取ると三百七十八で、昨日のレクでは十万ヘクタールぐらいはダブっているところもあるということなので、大体三百六十八万ヘクタールからその五十万ヘクタール引いた分ぐらいかなと。それを分子として、対象となり得る農地の面積というものをお伺いしましたら、この表にありますが、四百九十万ヘクタールというのが今の耕地プラスこれから開拓できる耕地ということになるようです。
 これ割り算をしますとどれぐらいのカバー率なのかということをちょっと計算してみましたところ、七〇%ぐらいになるわけであります。これすごい、かなりなというかほとんどのというか、七〇%もの農地が対象になるんだなということでありますが、逆に言うと、この七〇%の農地を対象としないと、例えば水路の泥上げとか草刈りとかもう維持できないのかと、日本の農地は維持できないのか、そういう危険な状況にあるのかなということで、ちょっと逆にびっくりしたところもあります。
 一方で、あと三〇%は農地の多面的機能がなくても維持できる状況なのか、ちょっとその辺を整理して教えていただけないでしょうか。
#194
○国務大臣(林芳正君) 基本的にこれは共同作業をこういう集落でやりますと、それを申請していただいてそれでお支払をするということでございますので、委員がおっしゃるように、これやらなくても済む農地と済まない農地があって、済まない農地に交付されるということではなくて、基本的には、例えば水路の泥上げとか草刈りというのは都会へ行きますとどうなっているかというと、公共事業でやっているわけです。
 それを、農地ですから集落の皆さんが自分たちでやっていると、こういう活動でございますので、基本的には営農活動が行われているという前提に立てば全てのところでそういう作業は農地を維持していくためには必要になってくるということでございまして、そういうもので多面的機能が発揮されているということですが、今回の支払はその共同作業のコストに着目して支払うと、こういうふうにいたしましたので、今みたいな手続でやっていくとこういう予算上の積算になっていると、こういうことでございます。
#195
○山田太郎君 これも税金を使っているのでちょっと厳しい言い方させていただきますと、多面的機能、これまでこの予算を使わなくてもあったわけですよね。新たに八百億円を投入して多面的機能を発揮するんだと。昨日の総理のいわゆる代表質問の話を聞いていますと、高齢化が進んでいるので今やらなければ大変なことになるということは何となく分かるんですが、じゃ、農業の高齢化に関して、今日も随分議論になったんですが、数値を取ってみたところ、平成二十二年の農業の平均従事者の年齢は六十六・一歳、二十三年は六十五・九歳、二十四年は六十六・二歳、二十五年は六十六・五歳ということで、この八年間で二歳しか上がっていないんですね。毎年、大体六十何歳というのが出ているわけでありまして、必ずしも毎年毎年一歳ずつ上がるわけではない。
 逆に言うと、実は、ちょっと数字のマジックというのはきちっとやらなきゃいけないと思っているんですが、やっぱり高齢の方はやめていって新たな世代の方々も入っているからこそ維持されているところもあるわけで、悪い言い方するというと、これだとカバー率から見てもばらまきと取られかねないという危惧があると。民主党さんが所得補償政策をやめたので新たな面積等の支払に変えて、カバー率が七〇%に対して実際八百億円のお金が、まあ言い方は悪いですけど、ばらまかれちゃっているんではないかというふうに危惧されてしまうんですね。ちょっとその辺は、そうでないのであればきちっともう一度そうじゃないという御答弁をいただきたいんですが。
 例えば棚田に関してもちょっと気になっているのが、いろんな写真を使うと大体、山口県の長門市の棚田、これはもちろん大臣の御出身ですし安倍総理も山口県ということで、でも一歩間違えると、そういうお地元の部分を維持したいから付けたのかと言われるのは大変、多分大臣や総理にとっても不本意だと思います。
 非常に大きなお金が今回動きます。それから政策的にも大きな転換が行われます。民主党政権の所得補償政策をやめたからこそこれをやったんだというふうに言われないように、私からすると、何で今までもちゃんと多面的機能は発揮されているにもかかわらず新たにここでお金を付けるのか、よくちょっと理解ができなくなったものですから、教えていただけますでしょうか。
#196
○国務大臣(林芳正君) まさにこの法案の根本に関わるところでございますが、やはり、今、数字はそんなに毎年一年ずつ上がっていないということでございましたが、構成を見ていただくと、じわりじわり上がっていくし、五十代以下が一割と、こういうことでありまして、それから、やはりリタイアが進んでいるということで、近年、やはり地域の共同活動で、先ほど申し上げたような水路や農道等の維持管理、これは実際に困難を来すようになっております。
 他方、担い手にとっては、こうした施設、水路や農道等も含めて単独で維持する負担の増大がネックとなって、先ほど儀間先生に申し上げたように、もう少し広げたいんだけれども、規模を拡大したいんだけれども、この水路や農道等の維持管理が大変に負担になるということで規模拡大がなかなか進まないと。こういうボトルネックを除かなければいけないと、こういうふうに考えておるわけでございまして、先ほどちょっと申し上げましたように、土地持ち非農家や地域の住民の方も含めて農業者と一緒になって、要するに都会で公共事業でやっていることをそういう皆さんでやっていただくということ、これに対して支援を行って多面的機能の適切な発揮を促進するというのが基本的な考え方でございまして、そういった意味で、先ほど御説明したように、担い手が規模を拡大するというもののボトルネックも同時に外すという意味で構造改革も後押しする効果があると、こういうことでございます。
#197
○委員長(野村哲郎君) 時間ですから、まとめてください。
#198
○山田太郎君 時間になりましたので、まとめたいと思います。
 実は、高齢化に関しては六十五歳以上の割合は大きな変化がなかったりとか、人数とか割合もしっかり要素として論じる必要があると思っております。
 それから、農地は広がったり生産性は高まっていますので、民主党さんの議論を聞いていると、ちょっと数字的には軍配は民主党さんにあったかなと思って、もうちょっと政策見たかったなというふうには正直思っているんですが、引き続き、時間がなくなりましたので、大事な問題です、何回かシリーズでやりますので、引き続きよろしくお願いします。
 本日はありがとうございました。
#199
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。お疲れだと思いますけれども、最後になりますので、頑張っていきたいと思います。
 農政改革二法案と安倍農政改革について質問いたします。
 安倍農政改革は、昨年六月の日本再興戦略に基づいて、昨年の農地中間管理機構法に引き続いて、今回の農政改革二法案が提出されているわけです。日本再興戦略は、これは言うまでもなくTPP対応の農政改革を打ち出したもので、日本の農業、農村に対して様々な深刻な影響を与えるということが必至ですし、もう既に全国各地で不安や混乱が渦巻いているということです。
 それらについて一つ一つ質問していきたいと思うんですが、やはり食料自給率の問題は非常に大事な問題だと思っていまして、ちょっと今の山田先生とは逆方向からの議論になると思いますけれども、質問をしていきます。
 日本再興戦略でこの食料自給率については一言も触れていないと。それで、これについて昨日の本会議において私、指摘したわけですけど、それに対して安倍総理の答弁は、経済成長を確実に実現するための規制改革、予算、税制などをパッケージで打ち出したものなんだということで、自給率を書き込まなかったということについてはおっしゃらなかったんですね。
 一方、食料・農業・農村基本法が成立して以降、日本農政として、食料・農業・農村基本計画に基づいて食料自給率目標を定めて、その目標達成のために様々な政策を動員してきたわけです。現在の基本計画でも、二〇二〇年までに食料自給率五〇%にするということを定めていると。
 そこでお聞きするんですけれども、この農政改革二法案は食料自給率五〇%目標を達成するために策定されたのかどうか、これについていかがでしょうか。
#200
○国務大臣(林芳正君) 平成二十二年に策定をされました現行の食料・農業・農村基本計画、これは、今お話がありましたように、自給率目標として平成三十二年度でカロリーベース五〇、生産額ベース七〇、この目標を定めたところでございます。
 先ほども御議論があったように、この目標は関係者の最大限の努力を前提とした目標でございまして、生産面では、需要のある飼料用米、麦、大豆等の自給率の低い農産物の生産振興を図る、それから消費面では、国産農産物の消費拡大、地産地消の取組等、生産と消費の両面にわたって取組を推進すると、こういうふうにされております。
 今回の農政改革二法案のうち、担い手経営安定法改正案、これにつきましては、諸外国との生産条件の格差からコスト割れが生じている麦、大豆等の生産を担う担い手の経営安定を図ることによって、まさにその生産維持拡大を通じて食料自給率の向上に資するものと、こういうふうに考えております。
 また、多面的機能発揮促進法案についても、地域における共同活動を通じて農地、水路等の機能の維持保全、これを図るものでありまして、国産農産物の生産拡大の前提になる生産基盤の維持向上に資するものと、こういうふうに考えております。
 したがいまして、食料自給率の向上、これは生産、消費に係る多くの施策を通じて図られるものでありますけれども、今回の農政改革二法案もこれに寄与するものと、こういうふうに考えております。
#201
○紙智子君 今いろいろお答えの中で、食料自給率の問題でいうと、それに資するものだというふうには言われたんですけれども、実際にはそうなっていないんじゃないかというふうに思うわけですね。基本計画では目標を五〇%と決めていたけれども、この二法案の中身についていうと、そうなっていないんじゃないかと。
   〔委員長退席、理事山田俊男君着席〕
 例えば、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律案では、自給率向上のために不可欠な大豆、小麦、畑作物の直接支払交付金について、これまで予算措置で販売農家全てに交付してきたものを、この法の改正によって予算措置による上乗せ措置をやめて、交付対象農家を販売農家から絞り込むわけですよね。今度は認定農業者、集落営農、認定就農者ということに絞り込むということになりますから、結局それら以外の販売農家は切り捨てられることになるわけです。
 これによって対象農家数は、これは二〇一三年産で、今まで支給されてきた販売農家というのは八万三千八百四十八戸だったわけですけれども、これが絞り込まれて三万八千五十三戸にということですから、半分以下になると、認定就農者はこれからなんですけれども、以下になると。こうなっちゃいますと、食料自給率の拡大のために必要な大豆や小麦や、生産拡大に逆行することになるんじゃないかと。
 ちょっと資料をお配りしているんですけれども、資料の一番最初のページを見てほしいんですけれども、これ農水省が出されているものですけれども、そこにあるように、国産農産物の利用拡大の矢印が付いている図がありますけれども、このように小麦八十八万トンを百八十万トンにしようと、大豆は二十六万トンを六十万トンにしようという、現在の基本計画に基づいてこの生産拡大をしようということになっているんだけれども、これできなくなるんじゃないかと、減っていくわけですから。いかがですか。
#202
○国務大臣(林芳正君) これは、この法律によって担い手に対してやっていこうと、そして、この担い手について先ほど来議論がありますように集落営農そして新規の就農者こういうものも含めてやっていくということでありますので、そういう方がしっかりと需要のあるものを農業を主業としてやっていただく中で自給率の向上に資するものと、こういうふうに考えておるところでございます。
#203
○紙智子君 考え方はそれでもってしっかりやってもらおうというんですけれども、実際上はもう大きく減るわけですよね、担う人たちが、絞り込むわけですから。そうしたら、実際上はできないんじゃないかと。
 先ほどの議論を聞いていて、私、おかしい議論だなと思っていたんですが、目標を決めて、この食料自給率が今、日本というのは四割にも満たないぐらいになっていると。異常に低いと思うんですよ。こんなに低くていいのかと。国際社会で今それこそ飢餓で苦しむ人たちがたくさんいる中で、自分の国で生産できる国は自給率を上げていくように努力しようと、せめて国産というか、自分の国の国民が食べる食料ぐらいは自給できるようにしようと、そういう方向で努力するのは当たり前なわけで、それが、目標が高くてなかなか達成できないからもっと下げた方がいいんじゃないかという議論はおかしな議論だなと思うわけですよね。
 そこのところで、私は、林大臣に、大臣の認識としては、食料自給率はやっぱり上げていくし、これまで決めてきた五〇%というのはあるんだけれども、せめてまず当面そこは超えなきゃいけないというふうにお考えなのかどうなのかということをちょっと確認したいと思います。
#204
○国務大臣(林芳正君) 先ほど申し上げましたように、今の決められている五〇%の目標というのは最大限の努力を生産面でも消費面でもやっていくということで、確かに高い目標を作って頑張るということは大変大事なことだと思っております。
 一方で、先ほど山田委員からの御指摘もあったように、足下、じゃ、どうなっているかというと、目指す方向になかなかなっていないと。その検証を今まさにやっていただいているわけですが、検証においても、目標の設定に過大なところがあったと、こういうところが指摘を既にされておるところでございますので、その辺りをしっかりと、志は高く持たなければなりませんが、やはり現実的に達成可能な目標ということにしないと、逆に、あれはもう目標だけれども達成しなくてもいいんだと、こういうことになってもいけませんので、そこをしっかりと詰めて今回の目標をきちっと作っていきたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
#205
○紙智子君 私聞いたことは、要するに、現実的じゃないから、じゃ、下げていいのかと、林大臣自身はやっぱり食料自給率は向上させていくべきだというふうに考えているのかどうかと。達成していないことの解明ってやっぱりされていないから、なかなか変えられていないんだと思うんですけれども、その基本的なスタンスですよ。現実的には厳しいから下げるという方にくみするのか、そうじゃなくて、いや、やっぱりちゃんとまず当面の目標は達成するし、更に上に向かっていくように努力しなきゃならないと、そのために総力を挙げて頑張らなきゃいけないという立場なのか、その基本的スタンスとしてどうなのかということをお伺いしたんですよ、大臣自身に。
#206
○国務大臣(林芳正君) ほかの国と比べまして、決して四〇%がもうこれで十分だというふうに思っているわけではございません。したがって、一般論で申し上げれば、カロリーベースにおいても、また生産額ベースにおいても自給ができるというのは食料安全保障という意味で望ましいということは、もう当然のことであります。
 したがって、そういう観点と、それから国内の現実の今検証をやっていただいておりますけれども、この実現可能性というものをしっかりと踏まえて専門家に今御議論していただいておりますので、その検討の結果を見てしっかりと目標を定めてまいりたいというふうに思っております。
#207
○紙智子君 私は、その基本的なスタンスをはっきりさせなきゃいけないと思うんですよ。農水委員会において、食料自給率がこんなに低い、異常な低さなのに、それでも目標達成できないからもっと下げていいんだなんて、こんな議論をされるなんて本当におかしいなというふうに思うわけですよ。
 それで、どれだけお金をつぎ込んで食料自給率を上げようとしたのにもかかわらず上がっていないから問題なんだというんだけど、はっきりしていますよね。この間、予算委員会で私質問しましたけれども、もうこの十年来、二十年来振り返ってみても、農林水産省の予算というのはずっと下がり続けてきていますよ。三兆数千億円だったやつが、どんどんどんどん下がってきて二兆円台ですよ、今。だから、一貫して農林水産の予算というのは下がってきている中で、やっぱりお金使い過ぎているなんというのもちょっと当たらないんじゃないかというふうに思うんですけれどもね。もちろん無駄遣いは変えなきゃいけないけれども、そういうことも含めて、やっぱり自給率を拡大していくというために全力を挙げるということが大事だというふうに思っているんです。
 それで、食料自給率拡大のために基本計画に基づいて農水省の食料自給率向上のための生産面からのアプローチと、これ資料で二枚目をちょっと開けて見てほしいんですけれども、これが今の現時点での農水省が出しているものですけれども、このアプローチの中では、まず大豆については、単収の向上ということを書いてあります。それに加えて、不作付け地、作付けできていないところですね、不作付け地での作付け拡大が明記されています。それから、調整水田等についても、不作付けの解消として、そこの横に乾田地帯と書いてあります、乾いているところですね、乾田地帯の大豆等というふうに書いてあります。要するに、耕作放棄地での作付け拡大で大豆の生産拡大をしようということですよね。これが食料自給率向上にとって不可欠なんだという考え方ですよ。耕作放棄地での作付け拡大、これをやらないといけないということに書いてあるわけですよね。これが食料自給率にとって不可欠だと。要するに、耕作放棄地対策が食料自給率向上のネックになっていたと。
   〔理事山田俊男君退席、委員長着席〕
 ところが、農地中間管理機構では、耕作放棄地の解消をその目的から今回外したわけですよね。そうなっちゃうと、この大豆生産の作付けできていない不作付け地の作付け拡大ができなくなるんじゃないかと。これ、できるんでしょうか。いかがですか。
#208
○国務大臣(林芳正君) これは本会議でも総理から御答弁をさせていただいたと思いますけれども、農地中間管理機構は担い手への農地集積だけではなくて耕作放棄地の発生防止と早期解消にも活用することにしております。
 昨年の臨時国会でこの関連法を出すときに、耕作放棄地対策については従来より農地法に規定をされておりましたので、農地法の改正の方で手当てをいたしまして、その中で耕作放棄地対策に農地中間管理機構を活用すると、こういうふうに明記をさせていただいているところでございます。
#209
○紙智子君 そういう答弁あったんですけど、この間、産業競争力会議の中では、やっぱりこの耕作放棄地は、そこに滞留するといけないから、それは受け取らないということで議論されているんじゃないかというふうに認識しているんですよね。この耕作放棄地対策を農地中間管理機構の目的から外すということ自体が、食料自給率向上対策に対して背を向けることになると思うんです。
 麦についても同じことが言えるんですけれども、先ほどの農林水産省のこの二枚目のちょっと資料をもう一回見てほしいんですけれども、この黄色で四角に囲んである中の書いてある文字の黒ポツの三つ目のところですね。水田をターゲットに、麦、大豆、米粉用・飼料用米と、この作付けを拡大を図ることが自給率向上の鍵としているわけです。麦については、その左の方の表の緑のところを見てほしいんですけれども、単収の向上だけではなく、二毛作、水田裏作の飛躍的拡大として裏作小麦を約十一万ヘクタールと書いてありますよね。
 ところが、先ほども指摘したように、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の改正法案で、麦のゲタ対策対象者、これは絞り込むことにしていると。それから、水田裏作、二毛作で麦を作付けしている認定農業者でなくて集落営農にも入っていない人たち、こういう農業者は交付金の対象からは外されるということになると、当然、この農業者は裏作小麦の生産からは撤退することにならざるを得ないと。そうすると減ってしまうわけで、これ、明らかに食料自給率向上に逆行するんじゃないかと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
#210
○国務大臣(林芳正君) これも先ほどの答弁と重複をいたしますが、対象ということで、この担い手を、規模要件を外しまして、意欲と能力のある方であればしていただけるということにいたして、そして、まだ就農されたばっかりの認定新規就農者の方も対象に加えるということにしておりまして、そういうことにすることによって主業としてやっていらっしゃる方が中心としてこの担い手の対象になっていただいて、そこでしっかりとやっていただくことによってこの自給率の向上に資すると、こういうふうに考えておるところでございます。
#211
○紙智子君 私、この認定農業者や集落営農に農地を集約するからそこの人たちが頑張ってやるんだよという話があるんだけれども、やっぱり現実、どれだけ皆さんが歩かれて把握されているのかなというふうに疑問に思うわけですよね。
 今、認定農業者と言われる担い手の方は、もうぎりぎりまで農地を引き受けている状態になっているわけです。それも分散錯圃ということで、農地が別々というか分かれて分散している、そういう農地を抱えて、経営的にも非常に厳しい状況に追い込まれているわけですね。
 それに加えて、今年度からは米の直接支払交付金が一万五千円から七千五百円に半減されるということになるわけで、この米の直接支払交付金は、米のコスト割れ部分について全国一律の交付金で、固定収入として農家経営の見通しも立って、米の専業農家に対して規模拡大の投資を促すものだったわけですよね。ですから、規模が大きく生産コストの低い大規模経営、つまりそういう認定農家ほどこれは交付金のメリットを受け取っているということなわけです。ですから、逆に言いますと、認定農業者や集落営農ほど打撃が大きいということですね。規模が大きいところというか、昨日も本会議でやりましたけれども、二十ヘクタール以上の大規模なところがこの補助というか、受けている割合というのは五六%ですから、六割近くをそういう意味では依存しているという状況ですから、そこにすごく大きな影響が行くわけです。
 私が直接話を聞いた認定農業者も、もうぎりぎりの今経営になっていて、今回のこの米の交付金の半減で経営をもうやめたいぐらいなんだということを言っているわけですね。それから、集落営農があるから問題ないということについても、やっぱり現実はもうそうじゃないと。
 日本には、集落営農を県が誘導しようとしても、地域の話合いもままならないというところがたくさんあるわけですよね。滋賀県とか富山だとか岩手の花巻とか、ずっと長い間時間掛けてやってきて定着しているところも確かにあるけれども、そうじゃないところもあるわけですよ。話し合ったらけんかになっちゃうというか、できないというふうに言っているところもあるわけですよね。担い手への農地集約も困難で、逆に米の直接支払交付金が半減されるということで担い手の離農を招きかねないと。
 こういうことをやっていて本当に食料自給率を上げることできるのかと、逆に下がるんじゃないのかということなんですが、いかがでしょうか。
#212
○国務大臣(林芳正君) いろんなお話がありましたけれども、まず米のお話がありました。四割、六割のお話があってさっきから議論になっておりますが、自給率との関係でいえば、米はもう九五%の自給率でございますので、先ほどの食料自給率向上のための生産面からのアプローチという意味では、米のところは需給調整の推進と書いてあるわけでございまして、そういった意味では、先ほど予算が減ってきたというお話もありましたけれども、財源をどこに有効的に使うかという意味で、一万五千円のものを、振替拡充という言い方を自民党でもしておられましたけれども、より構造改革に資するものに、また多面的機能にというような形で今回やっていただいたと、こういうことではないかと思っておりまして。
 そういう意味では、まず米の場合は、需要に合ったものを作っていただく、すなわち麦、大豆、それから餌米、加工用米、これにやはり転換していただくということが需要に合っておりますし、まさに麦、大豆というのは、今委員がまさに御指摘いただいたように、食料自給率の向上に資すると。そのための転作奨励金、餌米の場合は数量払いも導入してやっていこうと、こういうことになっているわけでございます。
 また、人と農地プラン、民主党政権で始めていただきまして、かなり進んでいるところもあるわけでございまして、実は、今まさに紙委員がおっしゃっていただいたように、話し合ったらできなくなったというよりも、話し合ってもできなかったと、こういうことであろうと思いまして、よく言われるのは、隣に蔵が建つと自分は腹が立つと、こういうようなことが言われているように、なかなか、長い間ずっとお隣にいると、最近のアジア外交のような話かもしれませんけれども、いろんなことが代々あると、そういうこともあってなかなかうまくいかないんだと。
 そういう中から、実は、第三者が間に入ってもらうともう少し話が進むんではないかと、こういうのが人と農地プランの中からもあったということも踏まえて、実は農地中間管理機構というものを、県の指定するものということで公的な機関ということでつくることによって、そこの今までできなかったところにもやっていただくようにしていこうと、こういうことにしたところでございます。
#213
○紙智子君 私は、食料自給率を上げようと思ったときに今やろうとしていることが逆に行くんじゃないかという話を一生懸命しているわけで、それでその話の中で、今、米を、米がと言ったんですけれども、米自身も、言ってみればこれからは米余り過ぎにならないように、じゃ麦とか大豆も本作だと位置付けてやるんだよというふうに切り替えようというんだけれども、結局、元々のあるアプローチから見ると、水田でやっていた麦や大豆については結局絞り込むわけですよ、対象を。そうすると、そこから漏れた人というのは作れなくなるし、離れていくということになるから、だからやっぱり量としてもやる人が少なくなるということが問題になるんじゃないのかと。全体として減る中で自給率を上げようなんといったって、そうならないでしょうということを私は指摘しているわけですよ。
 それだけじゃなくて、加えて、この間もう何度も質問してきていますけれども、日豪EPAで、結局これ協定発足後二年間で冷凍牛肉の関税率は一〇%下げられると。そして冷蔵牛肉、こっちの関税も七%最初の二年間で引き下げられると。乳製品も、プロセスチーズもナチュラルチーズの関税割当ても、これ二十年間で四千トンから二万トンですか、下ろし・粉チーズも二百トンから十年掛けて千トンですか、アイスクリームも百八十トンから二千トンということで関税割当てを導入することになると。
 これらは直接日本の酪農経営にマイナスの影響を与えるということは明らかで、やっぱり二十年掛けて、結局は日本で今まで生産しているチーズだとか乳製品が全てオーストラリア産に置き換えられていくことになると。そうすると、やっぱり食料自給率そのものに影響を与えることになるんじゃないかということも言えるわけです。
 ちょっと時間がだんだん迫ってきたので続けて言うんですけれども、その農林水産省の文書で、もう一つこの資料に付けてある三枚目のところを開いてみてほしいんですけれども、現状の検証、将来の農業生産の見通しということが書いてあります。この上の文章のところですね、丸印のところですけれども、平成三十二年度の農業生産力について、これまでの傾向と同じ推移を前提として試算した結果、生産力は離農農家の増加等により現状より二五%低下すると見込まれるとしているわけですね。だから、これ何もしなくても、離農する農家の増加などによって、現状よりも二五%農業生産力が低下するとしているわけです。
 結局、何もしないどころか、今回日豪EPAで酪農や畜産は深刻な打撃を受けると。酪農家や畜産農家は長期的な展望を失って離農を加速させることになるんじゃないかと。そういう状況の中で自給率引き上げるということができるのかということなんですね。これについて、一言、いかがでしょうか。
#214
○国務大臣(林芳正君) まず、日豪EPAでございますが、この交渉に当たっては、決議を踏まえて、農林水産業、農山漁村の多面的機能、それから食料安全保障の確保、それから今まさに御議論いただいております構造改革、この努力に悪影響を与えないように十分留意をして、粘り強く交渉をしてきたところでございます。
 牛肉についても、かねがね申し上げてきているところでございますが、長い年月を掛けて、それからセーフガード、冷凍と冷蔵と分けて、それぞれについて設けております。
 また、乳製品についても、関税割当ての中で国産品といわゆる抱き合わせということで、例えばシュレッド用チーズでございますと、国産品と輸入品の割合を一対三・五、無糖ココア調製品ですと、国産品、輸入品、一対三と、こういうことでやってきておるわけでございますし、それからチーズの国内消費はかなり伸びておりますので、伸びる消費の中で酪農に影響を与えない範囲での内容だと、こういうふうに考えておりますが、どういう影響かということについては、かねがね申し上げてございますように、食料消費の状況、それから景気、特に為替、こういうものの要因によって貿易の状況は動きますので、EPAの締結によって食料自給率に具体的にどういう影響が出るかという推計をすることは大変難しいということでございます。
 それからもう一つは、先ほど御指摘のあった将来の農業生産の見通しということで、現行の食料・農業・農村基本計画、これの検討のために、平成二十二年の一月に、食料・農業・農村政策審議会の企画部会に我が省から提出した資料でございます。平成十二年から十七年にかけて、農家数及び作付面積の減少傾向が今後とも続くことを前提として試算をしますと、三十二年度、あと六年後ですが、農業生産力が十七年度と比較して二五%低下すると見込んだところでございます。
 一方、二十二年三月に設定しました今の食料自給率目標は、平成二十年以降の穀物価格の大幅な上昇等を背景に、我が国の持てる資源を全て投入したときに初めて可能となる高い目標ということで、カロリーベースをその前の四五から五〇に、それから生産額ベースは七六から七〇に設定をしたものでございます。
 したがって、先ほど来御議論させていただいておりますように、今まさに、同じ企画部会で現行の食料自給率目標等の検証作業を行っているところでありまして、その一部のお話は先ほど山田委員にさせていただいたところでございますが、次の食料自給率目標、この検証結果を踏まえて、先ほど来申し上げておりますように、農業者や消費者の取組による実現可能性、生産面、消費面の課題、これに対応する政策等も含めてしっかりと検討してまいりたいと思います。
#215
○紙智子君 食料自給率という、本当に日本の農政をめぐって非常に柱になるべき重要な問題で、これは目標を引き下げるかなんという話は本当にもう重大なことだなというふうに思っています。やっぱり下げるような政策をやっちゃいけないと。今、るる述べてきたように、上げようと言いながら下げる政策をやっているんじゃないかということを一つは指摘しておきたいと思うんですね。
 それから、もう一つの角度なんですけれども、それは日本再興戦略の農業、農村所得倍増計画について聞きたいんです。
 日本再興戦略では、今後十年間で農業、農村全体の所得を倍増させるとしているんですけれども、これ農業所得はどうなるのかと。農業所得はどうなるのかということについてお話しいただきたいと思います。
#216
○国務大臣(林芳正君) 今般の農政改革では、米の直接支払交付金、一万五千円から七千五百円に減額をするわけですが、先ほど申し上げたように、餌米それから米粉用米等の新規需要米に転換して単収を上げる努力をする、不作付け地を解消して水田をフル活用する等、こういうことをやっていただいた場合は現行より所得が上がる、こういう仕組みにもしてあるところでございます。
 昨年末に取りまとめました農林水産業・地域の活力創造プランにおいては、これらのほか、担い手への農地利用の集積、集約化、輸出の拡大、それから六次産業化の促進、こういうものを着実に行うこととしておりまして、こうした政策を総動員することによって農業を成長産業にし、若者に魅力ある産業に成長させ、農業、農村の所得倍増目標の実現につなげていきたいと、こういうふうに思っております。
 まさに今御議論いただいている食料・農業・農村基本計画、これが農政の中長期的ビジョンを示すわけでございまして、この中で、今後、農業、農村の所得倍増目標に向けた道筋、それから具体的な経営発展の姿などについて、より具体的なイメージを描くことができるように検討を深めていきたいと考えております。
#217
○紙智子君 私は、この問題も非常に何か幻想を与えるような、ちょっとひどい話だなというふうに思っていて、この間何度か聞いているんですけど、農業が現在の三兆円が十年後には四兆円になるんだよと、六次産業化をやって現在の〇・二兆円から二兆円に増えるんだよというようなことを言われているんだけれども、そうやってみても、農業所得は倍増するどころか、資料の四枚目見てほしいんですけれども、これ各国のやつ出ていますけれども、日本のところを見ますと、それでやったとしても、一九九五年の農業所得の四兆六千二百五十五億円にも及ばないわけですよ。何かあたかも農業者の所得が倍増するかのような幻想を与えて安倍農政改革を推進するというのは、これ問題だというふうに思うんですね。実際に農業所得が本当に三兆円から四兆円になるのかという問題もあるわけです。
 もう先ほど指摘しましたけれども、米の直接支払交付金を一万五千円から七千五百円に半減させて、二〇一八年度からはこれ全廃するわけですよね。それで、農業所得が減る一方なんじゃないのかと、こういうことからいったら、とても倍増するなんということはこれはもう全然甚だしい話じゃないかと思いますけれども、いかがですか。
#218
○国務大臣(林芳正君) 午前中に堀井委員からも御質問があって、そのときにも御指摘いただいたんですが、この一万五千円が七千五百円になるということだけが見出しに躍ると、まさに今委員がおっしゃっているような御不安というのが出るのかなと、こういうことでございますが、実際には、先ほど申し上げましたように、転作ですとか、多面的機能支払、また先ほど申し上げた輸出の拡大、六次化と、こういうものを併せて、しっかりと農業、農村の所得を十年間で倍増させていこうと、こういうことでございます。
 農業、農村の所得倍増目標は、その名のとおり、農業、農村でございますので、農家個人の所得に注目してその倍増を目指すというものではなくて、農地集積等によって生産性の向上、それから流通の合理化等による農業所得の増大、これは主に産業政策の部分で、先ほど山田委員からも少し厳しさというのも必要ではないかと御指摘ありましたが、やはり産業政策としてもうかる農業をやっていくという中でここをきちっとやっていくということと、六次産業化ということで加工、直売などを通じた所得の増大、それから観光、医療等他産業との連携によってまだまだ六次産業化の市場規模は増大するものというふうに思っておりまして、そういうところを通じて、雇用賃金等の農村の関連所得、こういうものも増大をさせていかなければいけないと、こういうふうに思っておりまして、そういう中でやはり経営マインドを持ったやる気のある担い手が創意工夫を凝らしてやはり所得倍増を達成する事例が出てくると、これは当然想定されるところでございます。
#219
○紙智子君 結局、今のお話聞いていても、多面的機能、所得にはならないことを、農家の所得にはならないわけですし、それからやっぱり農家の増えるという話じゃないというのが今語られたと思うんですね。
 日本再興戦略で、農業、農村全体の所得の倍増を達成するためには農業生産性を飛躍的に拡大する必要があると、そのためには、企業参入の加速化等による企業経営ノウハウの徹底した活用、農商工連携等による六次産業化、輸出拡大を通じた付加価値の向上、若者も参入しやすいように土日、給料のある農業の実現というふうにしていると。
 要するに、企業の参入を大幅に増やして、参入した企業の所得を増やして、六次化による流通や加工を手掛ける企業の所得を増やすということであって、現在農業に取り組んでいる多くの農業者の所得が増えるわけではないということですよね。
#220
○国務大臣(林芳正君) 農業、農村というものと農家というものの見方の違いかなと、こういうふうに思っているんですが、私は、いろんな方が入ってきていただいて法人化するなり、企業と農業を分けるという考え方も余り好きではないんですが、今経済界と農業界の連携という言い方しておりますけれども、いろんな方がきちっと可能性をそこに求めて来ていただくということと、誰も見向きもしないと、耕作放棄地になるということと、一体どちらが本当に望ましい姿かということを考えれば、やはり答えは明らかではないかと。こういうふうに思うわけでございまして、今いる人だけで、もうほかの方は全く受け付けずにやっていくということでうまく回っていっているというところであればそれはどんどんそれでやっていけばいいし、それでなかなかうまくいっていないところがあって今の数字申し上げたようなところになっていて、改革は待ったなしと、こういうことになっているわけでございますので、しっかりとこの改革を進めていきたいと、こういうふうに思っております。
#221
○紙智子君 私も企業が入っちゃいけないなんて思っていないです。やっぱり地域と本当に連携して一緒になって守り立てていくような、真面目な、やっぱりちゃんと農業を発展させていこう、地域を維持していこうという考えに立っている人もいますから、そういうのは別に構わないと思うんだけれども、結局、国が政策で今やろうとしている中身というのは農家がちゃんと所得が増えるような仕組みになっていないじゃないかということを指摘しているわけです。
 更に言えば、昨年八月ですけれども、第四回農林水産業・地域の活力創造本部の中で安倍総理が発言しているんですけれども、いろいろ重大な発言しているわけですよね。農業、農村全体の所得を今後十年間で倍増させることを目指しと。農林水産業者が経営マインドを持って生産コストを削減し収益の向上に取り組む環境をつくり上げると。チャレンジする人を後押しするよう規制や補助金などの現行の施策を総点検し、農業の自立を促進するものへと政策を抜本的に再構築するんだと。
 これ、さっきもちょっと議論になっていましたけれども、農業自立ということをもう殊更、この間、ずっと言ってきているんですよ。これ何の政策的な保護もなくて自立発展できるのかと。こればらまきで保護は駄目だという議論ももう一方ではあるんですけれども、日本の農業、そういう支援も何もなくて自立できるのかということなんですよね。いかがですか。
#222
○国務大臣(林芳正君) 私もいろんな方とお会いをしておりますけれども、しっかりと自立してそういう補助金等に頼らずにやっていらっしゃる方というのはたくさんいらっしゃると、こういうふうに思います。そういう方とゲタなりナラシなりの中でしっかりとやっていく方と共存をやっぱりしていくということが大事でありまして、やはり産業政策と地域政策というのが車の両輪になってやっていくというのは、一つの類型を見てこれだけじゃなくちゃいけないということではなくて、やはり足し算でいろんな方が入ってきていただいて、トータルとして農業、農村が活性化すると、やっぱりこれが非常に望ましい姿ではないかというふうに思っておりまして、その点、紙委員も今企業の中でもしっかりと溶け込んでやっていくところもあるんだというふうに御指摘をいただいたので、その言葉をいただいてしっかりと頑張っていきたいと、こういうふうに思っております。
#223
○紙智子君 私は、やっぱり本当に農家の人たちがちゃんと自立できるようにするということで、政策的な何も支えが要らないというんだったら、農水省自身要らなくなっちゃうというか、役割がなくなるじゃないかというふうに思うんですね。実際にはコスト削減という話もあるんだけれども、農業資材のコストも非常に高いわけですし、トラクターをそろえたり、農薬を使ったり、肥料を使ったり、重油使ったり、これすごい高いわけですよ。それで、そういうトラクターなんかも物すごく高いからもっと販売価格下げろだとかという話も要求あるわけで、こういうことも含めて、コスト削減と言うんだったら、そういうことに対してもきちっと支援しなければ到底やっていけないし、やっていけると言うんだったら、ちょっと自分でやってもらったらいいんじゃないかというふうに思うぐらい余りにも軽く考えているんじゃないかなというふうに思います。
 ちょっとまだまだ本当はあるんですけれども、時間になりましたので、続きはまたこの次ということでやらせていただいて、終わりたいと思います。
#224
○委員長(野村哲郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#225
○委員長(野村哲郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案の審査のため、来る二十二日午前九時三十分に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#226
○委員長(野村哲郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#227
○委員長(野村哲郎君) 異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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