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2014/06/12 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 農林水産委員会 第16号
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2014/06/12 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 農林水産委員会 第16号

#1
第186回国会 農林水産委員会 第16号
平成二十六年六月十二日(木曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月四日
    辞任         補欠選任
     堀井  巌君     宮沢 洋一君
 六月五日
    辞任         補欠選任
     山田 修路君     堀井  巌君
 六月六日
    辞任         補欠選任
     宮沢 洋一君     山田 修路君
 六月十一日
    辞任         補欠選任
     馬場 成志君     柳本 卓治君
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     中泉 松司君     井原  巧君
     柳本 卓治君     馬場 成志君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         野村 哲郎君
    理 事
                猪口 邦子君
                山田 俊男君
                小川 勝也君
                紙  智子君
    委 員
                井原  巧君
                金子原二郎君
                古賀友一郎君
                馬場 成志君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                山田 修路君
                郡司  彰君
                徳永 エリ君
                羽田雄一郎君
                柳田  稔君
                平木 大作君
                横山 信一君
                儀間 光男君
                山田 太郎君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       農林水産大臣   林  芳正君
   副大臣
       農林水産副大臣  吉川 貴盛君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        小泉進次郎君
       農林水産大臣政
       務官       横山 信一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        稲熊 利和君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       山崎 和之君
       内閣官房内閣参
       事官       村井 正親君
       農林水産省生産
       局長       佐藤 一雄君
       農林水産省経営
       局長       奥原 正明君
       農林水産省農村
       振興局長     三浦  進君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農業の担い手に対する経営安定のための交付金
 の交付に関する法律の一部を改正する法律案(
 内閣提出、衆議院送付)
○農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(野村哲郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、中泉松司君が委員を辞任され、その補欠として井原巧君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(野村哲郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官山崎和之君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(野村哲郎君) 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案の両案を一括して議題とし、内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○舞立昇治君 自由民主党鳥取県選挙区の舞立昇治でございます。本日は二法案に対する総理への質問の機会を与えていただき、皆様、ありがとうございました。
 私は、総務省時代、平成十七年から二年ほど下関市に勤務しておりましたが、当時から、地元の方とともに、私にとりましても、安倍総理、そして林大臣は地元の期待の星、尊敬の的でございました。昨年七月に国会議員にならせていただき、林大臣への質問はいち早く実現しましたが、今日は総理への初めての質問ということで、非常に光栄に思っております。
 持ち時間は五分と短く、このまま話すと思い出話で終わってしまいますので、早速質問に入らせていただきます。
 農業の現状に関しましては、農業従事者の高齢化、担い手の不足、耕作放棄地の拡大、主食用米の需要の減少などによる食料自給率の低下、農業所得の減少など多くの課題が山積し、食料安全保障や持続可能性の面から非常に危険な状態に陥っておりますが、一昨年の政権交代後、現状と課題を再整理し、今年度から新たな農業改革、新農政がスタートしました。
 新農政の主な柱は、農地の有する多面的機能に着目した日本型直接支払の創設、農地バンクの創設による担い手への農地利用の集積、需要に応じた生産体制構築のための飼料用米等の生産振興、規模要件を撤廃し、意欲ある農家全員を対象にした経営所得安定対策の実施、以上四つでございます。
 これらの改革を着実に成功させていくためには、国として手厚い財政支援や地域の実情に応じたきめ細かい運用支援が必要なのはもちろんでございますが、やはり私といたしましては、重要なのは、現場の関係者の方のやる気にいかに火を付けるかと、そういうことではないでしょうか。どんなに理想的な制度設計をしても、現場が付いてこれない、付いてこない、そっぽを向いたのでは、改革は絵に描いた餅に終わってしまいます。
 今回の改革でも、一部の競争力ある企業だけでなく、実際に改革に当たる県や市町村、農業委員会、農協のほか、主役となる担い手農家や集落営農など、現場の農業関係者全体にやる気とプライドを持っていただき、農業、農村の発展と農家所得の向上という同じ目標に向かって、それぞれが自立的、主体的に、そして一体的に取り組んでいけるような環境へと国として適切に誘導していけるかどうかが重要ではないかと思っております。
 総理は、今回の新農政の推進に当たり、成功の鍵となる最も重要なポイントは何とお考えか。全国二百万の農家の皆さんや、その他多数の農業関係者に思いをはせていただきながら、御見解をお願いします。
#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も、下関の若き財政部長で活躍をしていただいた舞立議員のことを記憶をしております。
 まさに議員が指摘をされたように、農業に関わる人皆さんにとって私たちが今進めているこの農業の改革がプラスになって、皆さんにとってやる気が出てくる、そういう農業にしていきたい。特に、若い皆さんにとって、自分たちの努力や情熱が将来に結び付いていく、自分たちが新しい地平線を切り開いていくことができるんだという改革を進めていきたいと、このように思っています。
 今般御審議をいただいている二法案を含め、経営マインドを持つ意欲ある農業の担い手が力強い農業活動を展開し、活躍できる環境を整備していくことが重要であると考えています。また、担い手だけではなくて、関係者らが地域の活性化に貢献することが重要であると考えており、今回の法案で多面的機能支払を創設することにより、地域の共同活動に支えられ、担い手が規模拡大に取り組みやすくなると同時に、家族農業や小規模農業に取り組む者も含めて地域住民が共同で六次産業化に取り組みやすくなるなど、集落内で役割を分担しながら農業、農村の活性化が図られるようにしています。
 さらに、農業の成長産業化をより確かなものとするため、昨年末取りまとめた農林水産業・地域の活力創造プランに加えて、農業協同組合について、地域の農協が自立をし、創意工夫を発揮をして農業の成長産業化に全力投球できるようにするとともに、農業委員会等について、担い手への農地の集積、集約化という役割を効果的に果たせるようにするために、関係する制度の抜本的な見直しを行ってまいりたいと考えております。先般、与党においても、真摯な御議論を経て改革案を取りまとめていただいたところであります。
 安倍内閣におきましては、こうした取組を通じて、関係者が一体となった農林水産業の活性化を進め、強い農林水産業とするとともに、農業、農村の所得倍増を目指していきたいと考えております。
#8
○舞立昇治君 ありがとうございました。
 総理、一点問題がございます。
 先ほどお話ししていただきましたように、今回、規制改革会議で様々な規制改革の、農協に関する問題が出てきて、現場の農業関係者の皆様から不安の声が多数上がっております。こうした中、現場の実態を踏まえ、先ほどもありましたように、我が党の先輩各位の大変な御尽力、御調整により、農業、農村の発展を第一に考えたぎりぎりの改革案が取りまとめられました。
 総理、規制改革会議のメンバーは責任を取ってくれません。霞が関の役人も一年やそこらで異動し、責任を取ってはくれません。農政に責任を持つのは私たち政治家であり、政府・与党でございます。是非……
#9
○委員長(野村哲郎君) 舞立君、時間が過ぎておりますので、おまとめください。
#10
○舞立昇治君 済みません。
 是非、総理、この農政に責任を持つ与党の意見、そして改革の影響を実際に受ける現場の実態を踏まえ、真に農業、農村の発展に資する観点から大局的な政策判断を行っていただくように、今後も引き続きよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#11
○徳永エリ君 民主党・新緑風会の徳永エリでございます。
 農林水産委員会に総理がお入りになりまして質疑が行われるというのは初めてのことでございますから、歴史的な日と言えると思います。御質問の機会をいただきましたことを感謝をまず申し上げたいと思います。
 今、総理は、教育、そして医療や介護、また雇用、そして農業までも大きな改革を進めようとしておられます。果たして本当に産業競争力会議は大丈夫なのか、規制改革会議の考え方は大丈夫なのか。物事にはこれが絶対に正しいということはないと思います。だからこそ、改革には不安が付き物であります。不安に感じている人たちの声に真摯に耳を傾ける、その姿勢が大事なのではないかと、そう思います。
 今日は、担い手経営安定法と多面的機能法の二法案に関連する質問をさせていただきますが、その前に、せっかくの機会でございますので、集団的自衛権について伺います。
 私も、昨日の党首討論、委員会室で拝聴いたしました。我が党の海江田代表の質問に対し、総理は、集団的自衛権を可能にする憲法の解釈について、政府として立場を決定し、閣議決定すると、今国会の会期末までの閣議決定を明言されました。
 与党内からも議論が十分ではないという慎重な意見が出ている中でなぜ閣議決定を急がれるのか、その点だけお聞かせください。
#12
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は急いでいるわけでは決してありません。
 現在、与党において熱心な御議論をいただいております。この機会に更に集中的に議論をしていただき、しかし、決めるべきときには決めていくのが責任与党の在り方であろうと、このように考えております。
#13
○徳永エリ君 続いて、林大臣に伺います。
 平成二十一年十二月十六日、自民党政務調査会、「政治主導」の在り方、ここに提言の取りまとめがあります、この検証・検討PTの緊急提言の中で、内閣法制局長官を政府特別補佐人から削除するという当時の民主党の国会改革案に対して、憲法は主権者である国民が政府、国会の権限を制限するための法であるという性格を持ち、その解釈が政治的恣意によって安易に変更されることは国民主権の基本原則の観点から許されないとしています。
 林大臣はこのPTの座長として取りまとめをなさった責任者であられます。政治的恣意による憲法の解釈変更は許されないというこの提言について、林大臣の今のお考えをお伺いいたします。
#14
○国務大臣(林芳正君) 御指摘のありました緊急提言でございますが、当時、民主党が内閣法制局長官を政府特別補佐人から削除されましたこと等に関して、平成二十一年十二月に取りまとめたものでございます。
 今お話がありましたように、そこでは憲法の解釈について、政治的恣意によって安易に変更されることは国民主権の基本原則の観点から許されないということを述べたものでございます。
#15
○徳永エリ君 今のお考えは。
#16
○国務大臣(林芳正君) 集団的自衛権の行使ということで今御質問いただきましたけれども、総理は、国民の生命と安全を守る、こういう観点から、熟慮の末、御判断をされたものと、こういうふうに理解しておりまして、自分は総理のお考えを支持しております。
 総理の示された検討の基本的方向性、これを踏まえて行われております与党協議の結果、その後の対応を決定していくことになると、こういうふうに理解をしております。
#17
○徳永エリ君 歴代政権が踏襲してきた憲法解釈を一政権の判断で変更できるとしたら、権力から国民の権利を守るという立憲主義の否定であります。このような前例を決してつくってはならない。内閣の判断で他の条文解釈も自由に変えられるようになり、憲法の空洞化を招きかねないと思います。林大臣には慎重な御対応をよろしくお願い申し上げます。
 安倍総理に伺います。
 他国からの攻撃や侵略から国民の命と暮らしを守る安全保障の問題は、我が国にとって大変に重要な問題だということはよく分かります。昨日の党首討論でもありましたけれども、ホルムズ海峡が閉鎖された際の経済パニックのお話をされておりました。
 食料も心配です。食料安全保障もしっかりと守っていかなければなりません。日本の食料安全保障、特に食料自給率に関する総理のお考えをお伺いいたします。
#18
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは国民に対する国家の最も基本的な責務であり、国内農業生産の増大を図り、食料自給率と食料自給力を共に向上させていくことは極めて重要であると考えております。このため、担い手の減少、耕作放棄地の増大など、厳しい状況にある我が国農業が食料を安定的に供給していくことができるように、多様な担い手の育成確保、そして農地集積バンクの取組による生産性の向上など、農政改革に精力的に取り組んでいくこととしております。
 その上で、米の生産調整の見直しについて、これまで行政が配分する米の生産数量目標に従って農業者が作物を作っていたものを、農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米等については生産振興を図っていくこととしています。これにより、言わば農地のフル活用を図り、食料自給率、そして食料自給力の維持向上を図っていくこととしております。
 これらの改革を着実に進めることによって、企業経営であれ家庭経営であれ、経営マインドを持ったやる気のある担い手が安心と希望を持って活躍できる環境を整え、国民に対する食料の安定供給の確保と、農業、農村全体の先ほど申し上げましたように所得倍増につなげていきたいと、このように考えております。
#19
○徳永エリ君 食料・農業・農村基本計画で、日本は二〇一〇年に、十年後、食料自給率五〇%を目指すと決めて、今その方向に向かっている途中であります。日本の食料自給率は現在は三九%です。例えばTPP交渉参加国だと、カナダは二二三%、オーストラリアは一八七%、アメリカが一三〇%であります。日本の食料自給率は先進国では最低となっています。
 二〇五〇年には人口が九十五億人を超えます。食料不足が心配されます。戦争や紛争、輸出規制、買い負け、異常気象、グローバル化の流れの中で、BSEやPED、鳥インフルエンザなど、家畜や家禽の病気も大変に心配であります。食料の輸入に大きな影響が出ることは否めないと思います。国内でしっかりと安全、安心な食料供給体制をつくっていく、食料自給率を上げる積極的な取組や支援が必要です。
 特に、カロリーベースの自給率を支えている米、麦、大豆などの穀物自給率は二八%と更に低いです。政府は、麦、大豆、飼料用穀物、米粉用米などを重要な戦略的作物としていますが、自給率向上に向けた具体的な取組が示されておりません。今後の具体的な取組について伺います。
#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これまで米の生産調整を始め様々な施策を展開をしてきましたが、農業生産額の減少と高齢化の進展、耕作放棄地の増加等、構造的な問題は顕在化したままであります。つまり、今までのままでは決して先ほど申し上げましたように食料自給力も食料自給率も上がっていかないわけでありまして、このままではならない、改革をしなければいけないというのは、恐らくこれは共通の認識ではないかと思います。
 このような中で、農業を成長産業にしていくためには、農業の担い手への集積、集約化やコストダウン、そして六次産業化の取組を着実に進めていくことが重要であります。担い手が不足している地域においては、リース方式による企業参入の促進も農業の活性化を図る上で重要であります。
 また、今回の担い手経営安定化法の改正法案は、現行の認定農業者、集落営農に加えて認定新規就農者も対象としております。また、いずれも規模要件を課さないこととしておりまして、将来に向けて農業で生計を立てていく意欲と能力のある農業者であれば、企業経営であれ家族経営であれ、幅広く支援をしていくことになります。さらに、農地集積バンクを活用して、担い手への農地の集積そして集約化を進めてまいります。
 多面的機能支払により農業の多面的機能の維持、発揮のための地域活動を進めていくなど、関係者が様々な形で役割を果たすことで地域全体の農業、農村の発展に貢献していただくことができると考えておりまして、このように様々な形態そして様々な方たちの力を十分に生かしていくことによって、食料自給力、自給率を引き上げていくことにつなげていきたいと考えております。
#21
○徳永エリ君 総理がおっしゃる強い農業づくりはできるかもしれませんが、果たしてそれが食料自給率につながるのか。
 政府は、農業への企業参入を加速化しようとしているわけです。企業が農業に参入すれば、利益が最優先であるということは火を見るよりも明らかであります。価格競争力の弱い、採算の取れない作物生産を行わずに、高収益作物ばかり作ることになるでしょう。麦や大豆を果たして企業が作るのか。トマトやパプリカ、レタスなどの園芸作物ばかり生産していては、自給率は上がりません。その点から考えても、今ある農家、総理もおっしゃいましたが、小規模、家族経営農家を守っていかなければなりません。
 そのためには、経営所得安定対策の米の直接支払交付金は廃止せずに、稲作農家の所得安定を確保し、北海道のような飼料用米専用品種がなく、飼料用米を作れない地域もあります、畜産農家とのマッチングが困難な地域もあります、こういうところは主食用米生産を安定的に継続できるようにすること。そして、水田転作で意欲を持って麦や大豆を生産することができるように。また、海外への輸出量の多いしょうゆやみそなどを製造している食品加工業者に、遺伝子組換え食品の心配などもありますから、安い輸入大豆などを原材料にするのではなく、高くても国産の原材料を使うように生産と加工の一体的な施策を進めるべきだと考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。
#22
○国務大臣(林芳正君) 具体的なお話でございますが、先ほど総理からも御答弁がありましたように、いろんな施策をパッケージでやっております。そのときに、今委員がおっしゃいましたように、自給率、これは大事でございますが、御案内のように、食料自給率にはカロリーベースそれから生産額ベース、さらには今自給力の概念も併せて御議論いただいておるところでございまして、パプリカ等収益性の高いというものは、したがって生産額ベースということであれば非常に貢献をしていただくということでございますし、また、米の今の制度、一万五千円維持したらと、こういうお問合せでありましたけれども、御案内のように、米は自給率はもう上限までいっておりますので、さらに需要のある作物ということで麦、大豆、これは一割内外でございます。したがって、きちっとした転作支援を水田活用ということでやることによって、しっかりとした自給率向上に結び付けていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
#23
○徳永エリ君 是非とも、この食料安全保障というのはもう命の源でありますので、しっかりと自給率を、あるいは自給力を上げるために取り組んでいただきたいということを重ねてお願い申し上げたいと思います。
 さて、本日まで審議してまいりました二法案の審議の過程で、様々な問題点、様々な不安が各委員から指摘をされました。日豪EPAが合意し、TPPもどうなるか分からない。農地の中間管理機構の設置により、企業が参入して利益優先の農業に姿を変えていく。また、米の直接支払交付金の半減、平成三十年には廃止、米の生産調整の見直し。企業が参入障壁としている小規模、家族経営農家を守ってきた地域の農業者の代表である農業委員会や農協を改革という名の下に弱体化させる規制改革会議の農業改革まで、政府の農政改革の全体像をパッケージとして考えると、農業、農村の姿がどう考えても大きく変わってしまうような気がしてなりません。
 小規模、家族経営農業を切り捨てようとしているわけではないとは思いますが、経営をしていけなくなる、その可能性が非常に高いということを私たちは大変に心配をいたしております。この農政改革の議論の過程で、既に私の地元、北海道では、将来への不安で、先が見えない不安で離農がどんどん進んでおります。重大な問題であります。総理がおっしゃる、息をのむような美しい田園風景、誰かが病に倒れれば村の人たちがみんなで助け合える農村文化は、小規模、家族農業を切り捨て、地域コミュニティーが崩壊してしまっては、守るどころかすっかりと壊れてしまいます。
 担い手経営安定法と多面的機能支払法は、強い農業をつくる産業政策と地域コミュニティーを守る地域政策、社会政策である、車の両輪だと、これまで林大臣にも何度も御説明をいただきました。離農した人が地代や共同作業の手間賃だけで地域に住み続けることはできません。高齢化すれば共同作業もだんだんできなくなります。それから、農作業をやらなければ農地に対する愛着は薄れていきます。世代が代わればなおのことであります。農村コミュニティー、地方の町の暮らしを守る取組をしっかりとしていただきたいと思います。
 もっともっと現場に目を向け、現場の声に耳を傾け、慎重に農政改革を進めていただきたい。米の直接支払交付金も、五年後の農村の状況がどうなっているか分かりません。以前も林大臣にお願いをいたしましたが、五年後、廃止をする前にもう一度しっかり現場の状況を検証していただき、考えていただきたいと思います。
 最後に、この農政改革に対する私たちの不安も含めた総理のお考えをお伺いして、私の質問を結びたいと思います。
#24
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国は、古来より瑞穂の国と言われたわけでありまして、稲刈りやあるいは田植、農村で共同で行ってきたわけであります。まさにそうした助け合いの麗しい文化の中に農村はあるわけであります。
 他方、現在、農山漁村は高齢化が都市部に先駆けて進んでいるわけでありまして、集落機能が著しく既にもう低下をしてきているという現状があります。今までの状況をそのまま固定化していたのではどんどんどんどんそれは進んでいってしまうわけでありまして、まさに、お父さんが農業をやっていた、それを息子さんが継いでいこう、また、あるいはお孫さんが都市部に仕事に出ていたけれども自分はこれから農業をやっていこうと思えるような改革を行っていかなければならないわけであります。この活性化は待ったなしでありまして、あらゆる努力を傾けて、強い農林水産業とともに美しく活力ある農山漁村を実現する決意の下に農業、農政改革を進めているところであります。
 こうした中で、今般御審議をいただいている多面的機能支払を創設する法案は、地域の共同活動に支えられ、担い手が規模拡大に取り組みやすくなるわけでありまして、そして、家族農業や小規模農業に取り組む人たちも含めまして地域住民が共同で六次産業化に取り組みやすくなるわけでありまして、つまり、そうした機会が増えていく、また付加価値を付けていく機会も増えていくわけであります。集落内で役割を分担しながら、地域における農業の活性化が図られるものとなっております。
 このような取組を通じて、農村コミュニティーや景観にも配慮した、美しく活力ある農山漁村の実現に向けて努力を重ねていきたいと考えております。
#25
○徳永エリ君 総理、それは机の上で考えた理想だと思います。北海道から沖縄まで、事情は全部違う、課題もみんな違う。一つ一つに耳を傾けて、慎重にきめ細やかに農政改革を進めていただきたいということを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#26
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。
 本日、私もいただいている時間が五分ということでありまして、せっかくですので、総理に、農業、農政改革に関するビジョンについて端的にお伺いをしたいというふうに思っております。
 先ほどの徳永委員からの最後の質問にも関連するところでございますけれども、よく総理の発言の中で、多々いろんなところで引用されているものに、瑞穂の国にふさわしい資本主義、こういった言葉がございます。
 御著作の「新しい国へ」の中でも、ちょっと引用させていただきますと、自由な競争と開かれた経済を重視しつつ、しかし、ウォール街から世間を席巻した、強欲を原動力とするような資本主義ではなく、道義を重んじ、真の豊かさを知る、瑞穂の国には瑞穂の国にふさわしい資本主義の形があります、このように触れられているわけでありますけれども、これ、具体的にどのような農業あるいは農村の在り方を想定されているのか、改めて御答弁いただけますでしょうか。
#27
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども答弁の中で述べさせていただきましたが、まさに日本は瑞穂の国でありまして、お互いに助け合って田を耕し、そして稲刈りをしてきた国であります。朝早く起きて、汗を流して共に田を耕し、そして秋になれば共に五穀豊穣を祈ってきた瑞穂の国でありまして、こうした地域の中で育ててきた伝統や文化を重んじながら、小規模な稲作経営が互いに協力し合って営まれてきたわけであります。
 しかしながら、現在、我が国の農業は、農業生産額の減少と高齢化の進展、耕作放棄地の増加等の構造的な問題に直面をしているわけでありまして、こうした中、農業の多面的機能を維持しながら農林水産業の活性化を図っていくことは待ったなし、この麗しい伝統や文化を守っていくために私たちは改革を進めていかなければならないと、このように思います。
 このため、強い農林水産業とともに美しく活力ある農山漁村を実現する決意の下、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめました。輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上、多様な担い手の育成確保、農地集積バンクによる担い手への農地集積、美しいふるさとを守る日本型直接支払の創設など精力的に取り組んだ上で、さらに、四十年以上続いてきた米の生産調整の見直しを行っていくこととしております。
 今般御審議をいただいている二法案は、このうち、多様な担い手の育成確保、日本型直接支払の創設を実現するためのものでありまして、今後、これらの改革を着実に進めまして、農業を若い皆さんにとって魅力ある産業に変えていきたいと考えております。
#28
○平木大作君 今御答弁いただいた最後に、昨年末、まさに総理主導で農政改革のグランドデザインとして描かれた、農林水産業・地域の活力創造プランを作られたわけでありますけれども、これ実は半年ほどでこの六月にまた改定するということでございます。これ、どうして改定、この半年間でしてしまうのか、また新たな改革の方向性として具体的に何か打ち出すものがあるのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。
#29
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど申し上げました、昨年末の農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上、多様な担い手の育成確保、農地集積バンクによる担い手への農地集積、美しいふるさとを守る日本型直接支払の創設などに取り組んできたわけでございますが、さらに農業を競争力のある魅力にあふれた産業につくり変えていくためには、経営マインドを持った意欲のある担い手が力強く農業に取り組み、活躍できる環境を整備をしていくことが重要であると考えています。
 このため、御党においても真摯な御議論をいただいたと思いますが、農業協同組合について、地域の農協が自立をし、創意工夫を発揮をして農業の成長産業化に全力投球できるようにするとともに、農業委員会等について、担い手への農地の集積、集約化という役割を効果的に果たせるようにしていく必要があります。
 こうした観点から、関係する制度を抜本的に見直していきたいと考えておりまして、プランを改定し、農政改革をしっかりと推進していきたいと考えております。
#30
○平木大作君 ただいま二つの質問を通じて、総理の、瑞穂の国にふさわしい資本主義ということ、そして今後の農政改革の方向性、語っていただいたわけでありますけれども、最後に一点だけ付言させていただきたいわけですけれども、昨今、農政改革の大きな方向性について、農業、農村の所得をしっかり倍増させていこう、あるいは輸出を倍増させてしっかり成長産業に育てていこう、この方向に関しては本当に全面的に賛成するわけでありますけれども、一方で、昨今聞こえてきます、特に規制緩和、規制改革に関する議論に関しては、やはり現場の方でまだまだ理解が足らない、将来が不安だといった声、たくさんいただいております。
 是非とも、総理には再度、いま一度この現場の声に耳を傾ける、それをもってしっかり改革を進めていく、この点について御留意いただきたいということをお願いして、私からの質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#31
○儀間光男君 日本維新の会・結いの党の儀間でございます。
 総理には、お忙しい中を、聞きますというと本委員会に初めておいでになったと。私も初めて来まして、早速おいでをいただいて、地元に手柄話で持って帰りたいと思います。
 せっかくですから、総理にお尋ねしたいのでありますが、ミニマムアクセス米についてであります。
 御承知のように、ミニマムアクセス米とは、端的に言えば、一九九三年、ガット・ウルグアイ・ラウンドで、多角的に自由貿易を促進する国際会議で合意されたものと認識をしております。それから、特例措置といたしまして米に高い関税を課して日本への輸入を抑制し、もって国産米の流通と価格の安定を図ろうとしたものであったとも理解をいたしております。
 さらに、一九九九年には関税化に移行し、輸入米に輸入不能な高い関税を課し、私の言葉で言わせていただくならば米の鎖国化を図ったというふうに思います。その代償として、一定量の輸入枠を設定して、民間ではない、つまり商業ベースではなく政府買上げ米として、以降毎年輸入する義務を負ったと思っております。日本の消費量の八%、七十七万トンの米が低い関税率で輸入することになったのであります。
 ここに、政府からいただきました資料を、その後の資料をちょっと追ってみたいと思います。
 ミニマムアクセス米のこれまでの輸入数量でありますが、一九九五年から二〇一二年の間に一千二百七十六万トン。ミニマムアクセス米の直近の在庫量は二〇一三年十月末現在で八十万トン。在庫量に要する経費は一万トン当たり年間一億だそうでありますから、一トン一万円、八十億円が倉庫料として支払われるはずであります。それを継続してくるというと、大きな、莫大な額になることが容易に予想できます。さらには、ミニマムアクセス米の現在までの財政負担額は、一九九五年度から二〇一二年度までで二千五百七十三億円。近年は年間三百億円要するそうであります。
 そもそも国内で流通する米ではないことから、しかも、ほとんどが精米で入ってきますので古米化しやすい。虫が発生し、穴が空き、カビが発生する。これまでその多くは、一部は、私の記憶もありますが、援助米として出したことを記憶しておりますが、そのほとんどが廃棄処分されていると思います。これでは納税者の税金を無駄遣いしたとまでは言わないまでも、いささか疑問を呈するのでございます。
 もうとにもかくにも役目は終わったのではないか、貢献してもう役目は終わっているのではないかと、こういうふうに思えてなりません。幸いにして、直接的ではないにしても、この背景となった減反政策も総理の決意で二〇一九年を目途に廃止が決定されました。また、折からの農業、農政改革も議論されている昨今ですから、一考を要する時期にあるというふうに認識をいたします。
 これまでのミニマムアクセス米の流れを見てみますというと、減反、国産米の高価格維持、高関税、米の閉鎖化、ミニマムアクセス米と連鎖してきたことが指摘できるのではないかと思います。
 総理、ここで聞きますが、いかがでしょうか、ミニマムアクセス米のここで輸入を止めて、TPPとも相まって、日本の農業、米を自信を持って国際市場に流通をさせ、上質でおいしい国産米を国際市場に展開させる。総理がトップとして関係大臣を引き連れて国際展開をしていく、このことでもって日本の農業、農村、農家の飛躍的発展を促進させてはいかがかと思いますが、見解を賜りたいと思います。
#32
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま御質問のございましたミニマムアクセス米でありますが、ちょうど一九九三年、私が初当選をした年でありまして、この決定のときには自民党は野党でございまして、細川政権のときでありました。
 このミニマムアクセス米輸入は、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意に基づいて行われているものでございまして、したがって、その輸入を廃止することは国際合意に照らして困難でございます。
 いずれにいたしましても、今般の米の生産調整の見直しでは、五年後を目途に、農業者が国が策定する需給見通しやマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米等の生産振興を図ることによって、言わば農地のフル活用を図り、食料自給率、食料自給力の維持向上を図っていくこととしております。昨年末に取りまとめた農林水産業・地域の活力創造プランに基づく施策について、必要な予算を確保しながらしっかりと進めていきたいと、こう考えております。
 そしてまた、併せて今、儀間議員の方から輸出についても御指摘があったわけでございますが、安倍政権としても、農水産品の輸出に力を入れておりまして、私も海外出張の機会に必ず日本の農水産品の紹介をしてきているところでございます。
 米の輸出につきましては、農地の集積による生産性の向上を通じてコストダウンを進めるとともに、海外における日本食文化の普及などを通じた日本産米の需要拡大を図っていくことが重要と考えております。また、国別、品目別の輸出戦略に基づきまして、日本酒など付加価値を付けた米加工品も含めてその輸出拡大に努めているところでございます。
#33
○儀間光男君 ありがとうございました。
 私がここで言ったからといって、はい、そうですか、やりましょうなんておっしゃるとは全然思っていませんし、またそういう状況にもないとは思いますが、経済のグローバル化が叫ばれてもう久しいんですね。他の産業は全部国際市場を見てどんどんどんどん行くのでありますが、どういうわけか、農業も経済産業の一つだと思うんですが、海外へ目を向けるのが遅い、進出が非常に遅いような気がしてなりませんね。
 なぜ農業だけがグローバル化されていないのか、されてこなかったのか、これが不思議でたまりませんが、いま一度お尋ねしますけど、国際展開するためのあらゆる手段、これを外すための手段等も編み出して交渉いただけないものかというふうに思いますが、いかがですか。
#34
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ミニマムアクセス米につきましては、これはガット・ウルグアイ・ラウンドの合意でございますので、これを廃止をするのは困難ではございますが、他方、農産品の輸出につきましては、今までこれは余り政府においてはそれを積極的に進めていなかったのは事実であります。進めることによって、輸出をしろという圧力が強まることもあったわけであります。
 しかし、日本の農産物は大変魅力にあふれているわけであります。安全でおいしく高品質でありますから、それをもっとしっかりと、国、官民ぐるみで海外に営業活動を展開をしていくことによって私は必ず輸出が増えていくというふうに確信をしておりますし、今まで事実、海外で必ず、日本の果物等も持っていきまして海外の人々に試食をしていただければ、間違いなくこれはとてもおいしいと言っていただけるわけであります。確かに価格は高いわけでありますが、その高い価格であっても買いたいという人たちはたくさんいるわけでありまして、しかし、今まで日本の農産品が割とこれは輸入禁止になっているところが多いんですね。これをしっかりとこじ開けていくことも大切であろうし、今そういう努力も行っているところであります。
 今までやっていなかったことをやっていくことによって更に農業の魅力は向上していくのではないかと、このように思っております。
#35
○委員長(野村哲郎君) 儀間光男君、時間が来ておりますので、おまとめください。
#36
○儀間光男君 はい。
 強いリーダーシップを持った安倍総理でありますから、総理があと五年か何年かやるか分かりませんが、総理の力のある間に、権力がある間にこういうことをしっかりと進めていただきたいことを期待して、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#37
○山田太郎君 みんなの党、山田太郎でございます。
 総理とは、月曜日の決算委員会の質疑、昨日の本会議、今日の質疑、それから実はあしたの本会議の討議も立つつもりでありまして、連日お顔を拝見させていただいております。私など、この委員会の質疑を含めてもうくたくたなんでありますけれども、総理は、連日の国会質疑、外遊、党務、もちろんトップとしての様々なあらゆる領域に果敢に取り組んでおられまして、その点、大変感心を本当にしております。
 私、実はみんなの党で政調副会長として経済財政の責任者をやっておりますし、党のアジェンダの実は取りまとめの責任者をやっておりまして、特に経済財政の関係に関しては、総理の進めています改革、大変近いものがありまして、是非一つ一つ実現していただきたいということで、我が党として後押しをしたいわけであります。
 特に、今回の農協改革を含む規制改革会議の農業分野のワーキングチームの内容に関しては、いろいろこの委員会でも議論があるところではありますが、我々としては是非一つ一つ進めていただきたい。まさにドリルの刃となると言って規制とそれから既得権益打破に関してスタートされた総理でありますから、それを我々は後押ししていきたいというふうに思っております。
 ただ、政府今回の提出の二法案に関してはちょっと不可解な印象も受けるわけでありまして、元々、農業の大規模化と担い手への集中、それから生産性の向上を目指しているというふうに思っておったんですが、何となく政策的な整合性を感じないということです。多分、農水省さんの中でも心ある官僚の方はもうちょっとすっきりした法案を作りたかったんではないかなと、こんなふうに思っておりますが、あれやこれやと注文が付いて、小規模農家、小規模農地を温存していくというような法案になってしまったんではないかと、こんなふうにも思うわけであります。
 私は、まさに既得権益にしがみつこうとする農協であったり、もしかしたら族議員の皆さんの力で少しずつゆがんでしまったんではないかと、こんなうがった見方もするわけでありまして、いつも委員会ではこんなことを言っているわけですから、何となくこの委員会でも最近嫌われてきているわけでありますが、決して私は農協憎しということでやっているわけではなくて、あくまでも農業協同組合にしっかり戻って、農業者一人一人の生産と販売、そういったものに寄与していただきたい、こう思って発言しているわけであります。
 そんな問題意識を持って、是非、今回の農協改革に関して少し質疑させていただきたいんですが、政府の規制改革会議が五月二十二日にまとめました改革案、全中の廃止、それから全農の株式会社化という非常に意欲的な改革案だったと思います。ただ、本件、私も決算委員会で取り上げたんでありますが、余り踏み込んでお話がなかったのかなと。議事録の方を、今日配付した資料に、お配りさせていただいていますが、改めて、そういった意味で、ここは農水委員会でありますのでお伺いしたいと思っております。
 日本の農業の再生のためには全中の廃止や全農の株式会社化が必要だとお考えかどうか、安倍総理から是非お聞かせください。
#38
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに農協は農民のための組織であり、今までその機能を発揮をしてきたと、このように思います。しかし、大きな時代の変わり目の中において、原点に戻りつつ、新しい時代にふさわしい農協に改革をしていく努力をしなければならないと、こう考えているところでございますが。
 十日、与党においては、「農協・農業委員会等に関する改革の推進について」が取りまとめられたというふうに承知をしております。取りまとめに当たっては、農業、農村の発展のために農協はどうあるべきかという視点で大変熱心に御議論をいただいたと、このように思います。
 こうした議論を踏まえまして、農業協同組合の在り方について、地域の農協が主役となってそれぞれの独自性を発揮して農業の成長産業化に全力投球できるように抜本的に見直しをしていきたいと、こう考えております。
#39
○山田太郎君 その六月十日の対案ということなんですけれども、今回の案、全中の廃止それから全農の株式会社化も見送りということで、かなり後退した内容だということがマスコミでも書かれているわけであります。
 この自民党案に対する受け止め方、本当にこれでいいのか。総理の元々期待していた農政、農業改革に資するものなのかどうか。また、五年間掛けてやっていくということでありますが、もう待ったなしだと思っております。総理が先ほど五年やるかどうかという議論もあったんですけれども、スピード感を持ってやるんであれば、こんな悠長にやっていてはいけないんではないか、こういうふうにも思うんですけれども、その辺り、いかがでしょうか。
#40
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々は、この改革自体が目的ではなくて、あくまでも改革は手段であります。言わば、農家、農村が将来に向けて発展をしていくためには、そこで暮らす人々の営みも大切でありますから、そうした人々のことにも目配りをしながら、農業、農村全体で発展をしていくような仕組みにしなければならないという観点から議論がなされていたわけでございまして、その中におきまして、与党において取りまとめが行われたと。
 繰り返しになりますが、やはり主役は地域でありますので、地域の独自性を発揮できるような、そしてそのことによって農業が成長産業になっていくという形になるように、農業協同組合の在り方についてこれからもしっかりと改革を行っていきたいと、このように思います。
#41
○山田太郎君 是非、本当は今日この場で一歩も後退させないという強い決意を示していただければ、規制改革会議も勇気を持って明日の答申に盛り込むこともできるでしょうし、農水省もそうやって動くと思っております。ここが正念場だというふうに思っていますので、改革の方、是非力強いリーダーシップを図っていただきたいというふうに思っております。
 あと、最後一問なんですが、TPPとの関係でお伺いしたいと思います。
 農業に関しては、非常にTPP、マイナスのイメージが強い。ただ、これプラス面はないのかどうか。TPPに我が国が入ることによって日本の農業に及ぼすプラスの影響というのは、どのように総理は考えているのか、その辺り、お答えいただけますでしょうか。
#42
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このTPPに関わりなく、農業そして農政の改革を行っていかなければならないわけでありまして、より地域の活力を引き出していく上において、なすべきことをなさなければならないと、その観点から今回、二法案、御審議をいただいているところでございますが。
 このTPPにつきましては、アジア太平洋地域に大きな新しい経済圏ができるわけでございまして、その経済圏ができるということをチャンスとして捉えるかどうかということが大切でありまして、農業においてもチャンスとして捉え、日本の農産品の魅力を更に磨きを掛けて輸出を増やしていく方向にこれは活用することも当然できるのではないかと、このように思っております。
#43
○山田太郎君 もう一度、しつこいようですが、このTPPに参加することによって日本の農業がどう強くなっていくのか、それから輸出産業としてどういうふうに強くなっていくのか、もうちょっと深掘りをして、是非教えていただけないでしょうか。
#44
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これからまさにこのTPPについては最終合意に向かっていくわけでございますが、TPPというのは、先ほど申し上げましたように、これは物品のアクセスだけではなくて様々なルールもつくっていくという大きな特徴があるわけでありまして、二十一世紀型の新しい自由経済圏をつくっていくわけでありますが、その中において、農業というのはしかし当然これはそれぞれの国が事情を抱えているわけでありますし、食料というものはいざというときにはお金で買えないということもあるわけでありますから、そういう観点ももちろん必要でありますが、同時に、今まで農業というのは守ることだけしか考えてこなかったと言ってもいいんだろうと思いますが、例えばお米を、これはTPPの国ではありませんが、第一次安倍政権において中国に日本の米を輸出した際には一俵が七万九千円で売れたんですね。これはもう大変なことだったと思うわけでありますが、そうした可能性が出てきているということであります。
 そうした可能性が出てきている中で、よりそうした所得が生産者に行くようにしていくことも大切だろうと、こう思っておりますが、一番の大きなポイントは、まさに今までは日本地図しか見ていなかった、しかし、これからはTPPによってTPP加盟国のアジア太平洋地域に目が向くと、そういう中でこれから産業戦略を考えていくことも農業にとっても可能になってくるということではないかと思います。
#45
○山田太郎君 まさに総理おっしゃったとおり、農業の弱い側面を守っていくという観点だけではなくて、是非攻めの農業ですね、農業の日本のまさに強い面も研ぎ澄まして是非新しい農政をつくっていっていただきたいと思っております。
 本日はありがとうございました。
#46
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 今日は、せっかくの総理への質問ですので、是非総理御自身の言葉でお答えいただきたいと思います。
 TPP交渉についてお聞きします。
 政府は、日米協議の現状を一進一退としていますけれども、重大なのは農産物輸入の関税の大幅引下げを前提に具体的条件を詰める交渉になっているということです。四月の日米共同声明は、前進する道筋を特定したとして、甘利担当大臣は方程式は合意されたと述べました。しかし、今その方程式すら崩れかねない状況です。
 そこで、安倍総理御自身にお聞きしますけれども、四月二十三日の、オバマ米大統領と銀座、次郎ですし会談を行った際に、豚肉の関税、差額関税制度についてオバマ大統領が示した撤廃策を安倍総理が受け入れたと、それによって一律の従量税の税額を引き下げる検討がされることになった。つまり、最も安い豚肉の場合、一キロ最大四百八十二円の税率、これを十五年程度掛けて数十円に下げるというふうになっているという報道があるんですけれども、これは事実かどうか、お答えください。
#47
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が御指摘になったのは五月二十日付けの東京新聞の記事ではないかと、このように思うわけでございますが、この記事自体は、これは間違いでございます。そのような事実はないということは申し上げておきたいと、このように思います。
 いずれにいたしましても、国益を守るために、守るべきものは守り、そして攻めるべきものは攻める、国益の最大化を図るべく努力をしていきたいと思っております。
#48
○紙智子君 事実ではないと。ただ、オバマ大統領といろいろやったことは事実だったんじゃないのかというのもありますけれども。
 もう一つ、併せて聞きます。
 四月の共同記者会見で、オバマ大統領が、日本経済は農産品と自動車分野で市場の開放度が制限されている、今こそこの問題を解決すべきだと日本に迫りました。米国ではその後も、米国の畜産業界などを始めとする団体は、日本が関税維持に固執するんだったら日本抜きに妥結すべきだという声明を出しています。牛肉や豚肉の関税率の更に引下げに応じるように要求をしてきているわけです。
 安倍総理は米側の譲歩に期待を掛けているかもしれませんけれども、米国の業界の圧力とともに、TPPに米議会の支持を取り付けなければならないオバマ政権は、協議の都度、したたかに日本に圧力を掛けてきていると思うんです。この先、米国、中間選挙もある中では日本に譲歩するなどはあり得ないんじゃないかと。にもかかわらず、安倍総理は、TPPは断固たる日本の進路だというふうにおっしゃって、TPPの早期妥結に向けて協力すると言われている。非常に急いでおられる。
 急いでいるのは総理だけではないかと思うわけですけれども、豚肉の関税引下げが事実であれば、これ、そういうやり取りがされたということであれば、公約にも国会決議にも反すると。重要五品目などの聖域の確保を最優先にして、確保できないと判断した場合は脱退も辞さないというこの国会決議の立場を堅持して、脱退すべきではありませんか。いかがですか。
#49
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 再三答弁をさせていただいておりますように、農水委員会の決議を重く受け止め、国益をこれ最大化するために今一生懸命交渉を続けているわけでございます。
 繰り返しになりますが、TPPというのはアジア太平洋地域に大きな経済圏をつくるわけでありますが、これは市場アクセスのみならず、ルールの問題についてもしっかりと決めていくという、新しいこれは経済圏をつくっていくということになるわけでございますので、今その中におきまして、日本はまさに主導的な役割を担いながらこの取りまとめを進めているところでございます。
 我々といたしましても、そうした機運を失わないうちにしっかりと妥結を目指していきたいと、このように考えております。
#50
○紙智子君 アジア全域にというお話をすぐされるんですけれども、しかし、事は、これ関税がなくなって安い豚肉が入ってきた場合に、日本の養豚農家は潰れてしまうんですよ。潰れるんですよね。
 総理、そのことを自覚しているかどうか分かりませんけれども、大体あなたは、聖域を守れるからといってTPPに参加したわけじゃないですか。これはもう今関係ないんでしょうか。聖域を守れるから入るんだというふうにおっしゃったわけですけれども、いかがですか。
#51
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が党の公約は、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上交渉には参加しないということでありますが、農業におけるセンシティビティーについては米側も認めたわけでありまして、それは昨年の日米の首脳会談においてそうでございました。そこで、それも文章化した中において我々は交渉に参加をしたわけでございます。
 交渉を進めていく上におきましては、当委員会の決議もあることでありますから、それをしっかりと受け止めながら現在交渉を進め、今最終段階に至っているところでございます。
#52
○紙智子君 今の御発言は、誰が聞いても納得できないですよ。そんな状況じゃないんですから。
 その上で、次に、あなたが目指す日本の農業について伺います。
 総理のスイス・ダボスでの発言ですけれども、四十年以上続いてきた米の減反を廃止します、民間企業は障害なく農業に参入し、作りたい作物を需給の人為的コントロール抜きに作れる時代がやってきます、日本では不可能と言われていたことです、いかなる既得権も私のドリルから無傷ではいられないと演説されました。これに対する不信感は大変大きいものがあります。
 そこで伺いますけれども、法人経営ではなくてですね、あなたが世界に向けて発信した、民間企業が障害なく農業に参入し、作りたい作物をコントロール抜きに作れる、これ、どういう意味でしょうか。
#53
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ダボス会議におきまして、安倍内閣が昨年終盤に決定した改革について紹介をしたところでございますが、その一例として、民間企業が障壁なく農業に参入をし、作りたい作物を需給の人為的コントロール抜きに作れる時代がやってきますと、このように申し上げました。
 農業への企業参入については、平成二十一年の農地法改正によるリースの解禁で、株式会社のままでも自由に参入できることとなっております。昨年の臨時国会で関連法が成立をした農地集積バンクによる農地の集約によって、こうして参入した企業も含めて、さらに効率的な農業経営を展開をし、農業の生産性向上が図られるものとなっています。
 また、米の生産調整においては、これまで行政が配分する米の生産数量目標に従って農業者が作物を作っていたものを、農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるようにするとともに、需要のある米、大豆、飼料用米等の生産振興を図ることによって、言わば農地フル活用を図り、食料自給率と食料自給力の維持向上を図っていくこととしております。
 ダボス会議においてはこうした趣旨を分かりやすく述べたものであり、これらの施策を着実に進めることによって農業を成長産業としていきたいと考えています。
#54
○紙智子君 全然分かりやすくないんですけれども、その今おっしゃったことが、果たして今、日本に求められていることなんだろうかと私は思います。
 これまで何度も取り上げてきたんですけれども、今年は国際家族農業年だと。家族農業の役割や意義を再評価して、これを重視していこうということが呼びかけられているわけですけれども、私は政府が真面目に取り組んでいるとは思えないわけですね。幾ら予算を付けたのかということに対しても、先日も本会議で質問をしましたけれども、総理からは答えがありませんでした。それは、安倍総理が家族農業を応援するのではなくて、企業参入を中心とした農政改革を進めていくからではありませんか。いかがですか。
#55
○国務大臣(林芳正君) 家族農業年のお話はここでも何度か議論させていただいておりますが、この広報に努める。また、先般来、フランスの農業大臣との間でも、フランスの決議に署名する等、発信に努めておるところでございます。
 車の両輪ということで、家族農業も含めた地域政策、多面的機能はまさにそのためにあるわけでございますし、それと成長産業にしていく産業政策と車の両輪でしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
#56
○委員長(野村哲郎君) 紙智子さん、時間が来ておりますので、おまとめください。
#57
○紙智子君 はい。
 最後も総理にお答えをしていただきたかったんですけれども、残念ながらお答えなかったと。
 多様な担い手を支援をしてやっぱり農業者の生産意欲を高めていくことや、食料自給率を本当に高めることを軸にして日本の農業を発展させるということが今最も必要だということを強く申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#58
○委員長(野村哲郎君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。
 他に発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べください。
#59
○徳永エリ君 民主党・新緑風会の徳永エリでございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表し、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案に反対の立場から討論いたします。
 反対の第一の理由は、戸別所得補償制度で創設された米の直接支払交付金の廃止であります。
 戸別所得補償制度は、農業経営の安定と緩やかな構造改革の推進に寄与するものであり、現場の農業者から高い評価をいただいております。
 政府は、新たな農政改革を進めるに当たり、米の直接支払交付金十アール当たり一万五千円を平成二十六年産米から半減し、平成三十年産からは廃止すると決めました。一方で、拡充された多面的機能支払は個人に対して支払われるものではありません。見直しは、主業農家の大幅な所得減少をもたらし、設備投資に係る債務の返済に影響を生じさせるなど、経営の安定に重大な支障を及ぼすものであります。
 第二の理由は、飼料用米をめぐる混乱であります。
 政府は、農家所得の維持確保のため飼料用米作付けに手厚い補助を行い、主食用米から飼料用米への転作を誘導しようとしています。しかし、飼料用米については、耕種農家と畜産農家とのマッチング、飼料用米専用品種の不足、配合飼料工場の偏在、流通体制の未整備など、取組を進めるには不十分な状況であります。また、日豪EPA、TPPなどにより我が国の畜産業の将来がどうなるのか見通せない中で、飼料用米の需要先を確保できる保証は全くありません。
 第三の理由は、両案では農村集落の崩壊に歯止めを掛けることができないことです。
 規模拡大を図れば図るほど離農が進みます。農村地域の人口減少を招くおそれがあります。特に、中山間地域では、人口減少や高齢化により集落消滅の懸念が高まっています。
 政府は、産業政策と地域政策を車の両輪として政策を進めるとしていますが、米の直接支払交付金の廃止、中山間地域等直接支払の現状維持など、両案に基づく施策によって中山間地域での農村集落の崩壊を食い止めることは不可能であると言わざるを得ません。TPPや規制改革会議の提言により、農業、農村の将来展望を描くことが困難になっています。戸別所得補償制度で全ての課題が解決するとは考えませんが、農業者から高い評価を受けている同制度を廃止する必要はないと考えます。
 一方で、政府提出の両案に関してはさきに述べた問題点や懸念があり、さらに二法案だけではなく、食の安全、安心を脅かし、小規模、家族経営農家を切り捨て、これまでの農家の苦労と努力を踏みにじるような安倍農政改革は断固反対せざるを得ません。
 以上、私の反対討論を終わります。
#60
○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。
 私は、みんなの党を代表して、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案に対して、反対の立場から討論をさせていただきます。
 私たちみんなの党がアジェンダで掲げます農業政策の基本は、米の減反政策を廃止し、特定の農産物に補助金を出す政策誘導型の補助金制度は見直す、さらには、農業政策の目的を自給率向上から国民一人当たりの国内農産物生産の量と質の向上に転換し、耕作地の拡大と反収の向上による生産量増加と高付加価値化を図っていくというものであります。さらには、国際標準の合理的な経済政策を進め、日本が通商ルールの標準づくりを主導することによって、中国その他外国に対して優位に通商交渉を進め、投資・貿易立国としての地位を確立するということもしっかりとアジェンダに掲げて、有権者の皆様にお示しをしているところであります。
 このみんなの党のアジェンダに沿って今回の政府提出二法案を審査いたしましたが、数多くの問題点が明らかであると思っております。
 例えば、政府提出の両案は自給率向上という政策目標を持った法案でありますが、政府は今年度中に自給率目標の水準や内容を再検討する予定であり、法案提出の前提が揺らいでおります。
 また、担い手法案につきましては、現行の予算措置として行われている特定の農産物に補助金を出す政策誘導型の交付金を、小規模耕作地を温存し、かつWTOルールに逆行する方向に見直そうというものであり、こうした政策転換は到底受け入れられません。
 他方、多面的機能法案については、そもそも農業の多面的機能の発揮という政策目的が全く不明瞭であり、政府側に度重なる質問をいたしましたが、誠意ある回答は得られませんでした。この法案は、担い手の規模拡大や生産性の向上に貢献するものか大変疑わしいものであり、予算が余ったからばらまくんだという政治的な思惑が見え隠れする、農業政策本来の道から外れた法案ではないかと考えております。
 このように、今回の政府提出の二法案は、私たちみんなの党のアジェンダに照らして問題が山積な法案であります。どうしてこのような我が国農業の近代化に逆行するような法案を政府は提出するのか。答えは、農協とそれに群がる族議員という時代錯誤的な構造にあるのではないかと考えています。
 政府側には、この両法案を撤回した上で、直ちに農協改革に着手し、真に農家の立場に立った法案を提出できる基盤をつくることに取りかかることを求めて、反対の討論とさせていただきたいと思います。
 以上です。
#61
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案に対して反対の立場で討論いたします。
 反対の第一の理由は、この法案がTPP対応の安倍農政改革実施法案であるということ。
 安倍内閣は、二〇一三年六月に日本再興戦略を閣議決定し、その中で、国際展開戦略としてTPP協定交渉に積極的に取り組むことにより、アジア太平洋地域の新たなルールをつくり上げていくとTPP推進を明記しました。そして、総論で、農業については、農業、農村全体の所得の倍増を達成するためには農業生産性を飛躍的に拡大する必要がある、そのためには、企業参入の加速化等による企業経営ノウハウの徹底した活用、大胆な構造改革に踏み込んでいく必要があると企業参入の加速化と構造改革に踏み込むことを打ち出すとともに、今後十年間で全農地面積の八割が担い手によって利用され、産業界の努力も反映して担い手の米の生産コストを現状全国平均比四割削減し、法人経営体数を五万法人とすることを決めました。この方針の下で策定されたのが本法案です。
 安倍農政改革により企業参入が促進され、家族経営と地域農業が一層困難になっていくことは明らかであり、日本の農業は一層弱体化していくことになるでしょう。本法案はその方向を推し進めるものであり、認めることはできません。
 反対の第二の理由は、交付金の交付対象を全ての販売農家から認定農業者、集落営農、認定就農者だけに絞り込む点です。
 本法案では、自民党型経営所得安定対策として、経営所得安定対策に大胆な構造改革を持ち込みました。それは、畑作物の直接支払交付金の交付対象者を、これまで販売農家に全て交付していたものを、二〇一五年産から認定農業者、集落営農、認定就農者だけに交付対象を絞り込むとともに、米、畑作物の収入減少影響緩和策についても同様の措置を導入することにしたものです。これにより、交付対象農家数は八万三千八百四十八戸から三万八千五十三戸へと半減以下となります。このような選別を進める法改正は食料自給率にも逆行するもので、認めることはできません。
 それに加え、交付基準の変更で、生産条件不利補正交付金について、数量払いを基本として面積払いをその内金とする方式に変更しました。これによって、これまで生産を継続してきた産地で中山間地のような必ずしも適切でない地域では、十分な生産数量を確保できないため、数量払いではこれまでより交付額が削減されることになり、所得の補填機能が弱まり、中山間地域農業に打撃を与え、賛成することはできません。
 さらに、多面的機能促進法案についてです。
 これに反対する第一の理由は、本法案が担い手への農地の集積、規模拡大を図り、担い手経営安定対策法案と一体に農業の構造改革を促進するものだからです。
 多面的機能支払は、担い手が経営規模を拡大すれば、生産コスト、流通コストの削減に手が取られ、水路や農道等の管理が大きな負担になることから、担い手の負担を軽減する地域住民の共同活動を支援するものですが、質疑を通じて、政府は、担い手以外の農業者に役割分担を求め、農業の構造改革を推進するものであることを認めました。
 今、農業者が求めているのは、農業を支えてきた集落の社会的つながり、コミュニティーを維持することです。本法案は、農地、集落を維持するために苦労している農業者の期待に応えるものではありません。
 第二に反対する理由は、生産活動と切り離した支援では多面的機能が発揮できないからです。
 農業の生産活動が縮小すれば、耕作放棄地や鳥獣被害、廃棄物が増え、災害が発生し、影響が下流域に及ぶこともある。過疎化が進み、集落が限界集落化すると、農業の多面的機能を発揮することも困難になります。
 参考人質疑では、国土保全対策など農業政策以外の部分は上乗せすべきであって、産業政策と地域政策を分離する議論はやめるべきだ、この法律では中山間地域の農業は支え切れないという指摘がありました。
 本法案による多面的機能支払は、農地を担い手に売却あるいは貸し出した元農業者が水路や農道等を管理する共同活動を支援するものですが、事実上、離農後の失業対策事業になりかねず、元農業者の活動意欲が低下すれば逆に担い手の負担が増え、生産活動に支障が出ることが予想され、世代交代が進めば地域の共同活動が成り立たなくなる可能性があります。
 最後に、日本が飢餓、貧困問題に直面する国際社会に貢献するために食料自給率を上げることは喫緊の課題であり、そのためには多様な家族農業を担い手と位置付け、それを支える生産者組織、農協が重要な役割を果たしていることを指摘し、反対討論といたします。
#62
○委員長(野村哲郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次両案の採決に入ります。
 まず、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#63
○委員長(野村哲郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#64
○委員長(野村哲郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、猪口君から発言を求められておりますので、これを許します。猪口邦子君。
#65
○猪口邦子君 私は、ただいま可決されました農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び日本維新の会・結いの党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)
  我が国の農業・農村の発展を図っていくためには、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立し、農業を足腰の強い産業としていくとともに、地域の共同活動等を通じて農業の有する多面的機能の維持・発揮を促進することが重要である。
  よって政府は、両法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一 今後の農業・農村政策については、農業の有する多面的機能の確保を図りつつ、農産物の再生産可能な農業所得の確保による農業生産の継続及び農業経営の安定を図ることを旨として、総合的かつ強力に推進するとともに、現在、進められている食料・農業・農村基本計画の見直しの検討に当たっては、その旨を十分斟酌すること。
 二 農業・農村の維持・発展における重要性に鑑み、認定農業者及び認定就農者の認定に当たっては、意欲と能力のある多様な農業者が幅広く認定されるよう、弾力的に運用すること。
 三 地域農業の維持・発展に集落営農が果たす重要な役割に鑑み、その組織化に向けた合意形成を促進するとともに、法人化等集落営農の経営発展に向けた取組を支援すること。
 四 飼料用米の取組に当たっては、我が国の貴重な農業資源である水田がフルに活用され、食料自給率の向上及び水田経営と畜産経営の安定的な発展が図られるよう、耕種部門と畜産部門の円滑な連携体制の構築、流通体制の整備、関連施設の整備・導入、多収性専用品種の開発・栽培技術の確立・普及及び種子の確保、飼料用米の給与技術の確立・普及、飼料用米を給与した畜産物のブランド化を総合的・一体的に推進するとともに、その具体的な道筋を明らかにするよう努めること。
 五 一連の農政改革による環境変化の下、営農類型別・地域別のモデルを示すとともに、米について、需給・価格に関する情報提供を行い、周知すること等により、農業者の主体的かつ積極的な経営判断を促すこと。
 六 収入保険の検討に当たっては、対象品目に関し、幅広い観点から分析し、検討を行うこと。
 七 農業の担い手の経営安定及び農業の有する多面的機能の発揮の促進を図るための施策の推進に当たっては、手続の簡素化等を一層進めるとともに、客観的かつ中立的な第三者機関の設置により、施策の取組と効果発現の状況の評価を行い、適時適切な見直しを行うこと。その際、中長期的な展望に立って評価・見直しを行い、現場の混乱を招くことのないよう制度的安定性に十分留意すること。
 八 農村人口の減少・高齢化が進展する中、農村地域の維持・振興が着実に図られるよう、農林水産省はもとより関係府省との有機的連携により、地域資源を活用した産業の創造、都市と農村の交流、生活環境の保全・整備等農村振興施策を一体的かつ総合的に推進すること。
   特に中山間地域においては、農業分野における人材確保を早急に進めるとともに、関係府省の連携により、農業にとどまらず、医療・介護、教育、交通等の諸分野にわたる地域政策を強力に推進すること。
 九 農業を成長産業とするためには、世界の経済成長を好機と捉え、日本食文化を広め、農林水産物・食品の輸出拡大に取り組んでいくことが喫緊の課題であることから、今後とも、農林水産物・食品を輸出戦略物資と位置付け、日本の食文化の普及に取り組みつつ、日本の食産業の海外展開と日本の農林水産物・食品の輸出促進が一体的に図られるよう、十全な支援措置を講ずること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#66
○委員長(野村哲郎君) ただいま猪口君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#67
○委員長(野村哲郎君) 多数と認めます。よって、猪口君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、林農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林農林水産大臣。
#68
○国務大臣(林芳正君) ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。
 附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#69
○委員長(野村哲郎君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#71
○委員長(野村哲郎君) 次に、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。林農林水産大臣。
#72
○国務大臣(林芳正君) 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 我が国の農林水産業、農山漁村を取り巻く環境は厳しさを増しており、これを克服し、本来の活力を取り戻すために、攻めの農林水産業を展開することが喫緊の課題となっております。
 農山漁村地域には、長年培われた特別の生産方法などにより、高い品質と評価を獲得するに至った産品が多く存在しますが、これまでその価値を有する産品の品質を評価し、地域共有の知的財産として保護する制度が存在していなかったところであります。
 一方、国際的には、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定、いわゆるWTO協定の一部を成す、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定に基づき、品質、社会的評価その他の確立した特性と産地が結び付いている産品について、その名称を知的財産として保護することを内容とする地理的表示保護制度が確立しており、多くの諸外国において導入されているところです。
 このため、地域で育まれた伝統と特性を有する農林水産物・食品のうち、品質等の特性が産地と結び付いており、その結び付きを特定できるような名称が付されているものについて、その名称を地理的表示として国に登録し、知的財産として保護する制度を創設することにより、生産業者の利益の保護を図り、もって農林水産業及びその関連産業の発展に寄与し、併せて需要者の利益を保護することを目的として、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、地理的表示等の登録であります。
 農林水産物・食品のうち、特定の地域で生産され、品質その他の特性が生産地に主として帰せられるものを特定農林水産物等と位置付け、その生産者の団体であって、生産行程や品質の管理を行う十分な能力を有するものが、特定農林水産物等の生産の方法等を定めた明細書を作成した上で、特定農林水産物等の名称である地理的表示等の登録を農林水産大臣に申請することができることとしております。農林水産大臣は、この申請の概要を公示し、第三者からの意見の提出を受け付けるとともに、学識経験者の意見を聴取した上で登録の可否を判断することとしております。
 第二に、特定農林水産物等の名称の保護であります。
 登録を受けた生産者団体の構成員は、明細書に沿って生産した特定農林水産物等又はその包装等について、地理的表示を付することができることとしております。また、生産者団体の構成員が地理的表示を付するときは、登録された地理的表示であることを示す標章を併せて付するものとしております。これらの場合を除いては、何人も、農林水産物・食品又はその包装等に地理的表示又は標章を付することはできないこととしております。農林水産大臣は、これらの規制に違反した者に対し、地理的表示若しくは標章又はこれらと類似する表示若しくは標章の除去を命じることができることとし、その命令に違反した者に対しては刑事罰を科することとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及びその主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#73
○委員長(野村哲郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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