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2014/03/17 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第4号
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2014/03/17 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第4号

#1
第186回国会 法務委員会 第4号
平成二十六年三月十七日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十七日
    辞任         補欠選任
    佐々木さやか君     河野 義博君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                山下 雄平君
                若林 健太君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
    委 員
                石井 準一君
                溝手 顕正君
                宮沢 洋一君
                柳本 卓治君
                吉田 博美君
                江田 五月君
                前川 清成君
                河野 義博君
               佐々木さやか君
                行田 邦子君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       法務副大臣    奥野 信亮君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  平口  洋君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中村  愼君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   安浪 亮介君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   垣内  正君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   岡 健太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       法務大臣官房司
       法法制部長    小川 秀樹君
       法務省民事局長  深山 卓也君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省矯正局長  西田  博君
       法務省保護局長  齊藤 雄彦君
       法務省入国管理
       局長       榊原 一夫君
       厚生労働大臣官
       房審議官     大西 康之君
       厚生労働大臣官
       房審議官     有岡  宏君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成二十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)、平成二十六年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)、平成二十六年度政府関係
 機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (裁判所所管及び法務省所管)
    ─────────────
#2
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務大臣官房司法法制部長小川秀樹君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(荒木清寛君) 去る十二日、予算委員会から、三月十七日の一日間、平成二十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 裁判所及び法務省関係予算につきましては既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。今回もまた質問させていただきます。
 法務省所管の予算案について、奥野副大臣の説明では、初めに犯罪対策、とりわけ再犯防止の充実強化を取り上げられました。これは谷垣大臣の所信とも軌を一にしていると思います。更生保護関係では十七億円余りの増額、矯正関係では百十八億円余りの増額となっておりますけれども、再犯防止に対して具体的にどういったところを強化充実するのでしょうか、御説明いただければと思います。
#6
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 まず、私の方から、再犯防止に向けました施設内処遇の充実強化のための経費について御説明いたします。
 これにつきましては、平成二十四年七月に閣議決定されました再犯防止に向けた総合対策等の実現を図るために、平成二十六年度予算案に、少年、若年者、薬物依存者、性犯罪者、高齢者等の対象者の特性に応じた指導及び支援の強化、それから、社会における居場所と出番をつくるための職業能力開発支援体制の充実等に要する経費として、総額で二十億六千七百万円を計上したところでございます。
 なお、新規措置や拡大等を図った事項としましては、幾つか申し上げますと、女子受刑者に対する福祉、医療関係者による相談、助言等の新規実施経費として四千五百万円、精神障害を抱える少年等に対する社会福祉士による支援の拡大及び鑑別機器の導入経費として八千八百万円、就労支援強化のための雇用ニーズに応じた職業訓練科目等の拡大経費として一億三千九百万円等を計上したところでございます。
 以上でございます。
#7
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 私の方から、社会内処遇の状況について御説明申し上げます。
 社会内処遇の充実強化のため、平成二十六年度政府予算案におきまして、薬物事犯者等の対象者の特性に応じた指導、支援の推進、住居の確保、就労支援の強化、保護司制度の基盤整備等に要する経費として、総額七十一億七千五百万円を計上しております。
 具体的なものを幾つか挙げますと、行き場のない薬物事犯者の受入先となって薬物依存からの回復のための支援等を実施する薬物処遇重点実施更生保護施設を現在の五つから十か所に拡大するための経費として一億三千百万円、老朽化した更生保護施設の施設整備を促進するため、国の補助率を従来の二分の一から三分の二に引き上げた上で、全国三つの施設の改築、補修事業を補助するための経費として二億二千三百万円、協力雇用主に刑務所出所者等に対する職場定着のための生活指導等を実施していただいた場合に支給する職場定着協力者謝金の支給期間を拡大するなど、保護観察所と協力雇用主の連携強化を図るための経費として三千万円、保護観察対象者との面接場所等を備え、保護司活動の拠点として機能を発揮する更生保護サポートセンターを現在の二百四十五か所から更に百か所増設して三百四十五か所に拡大するための経費として七億二千七百万円などが主たるものでございます。
#8
○副大臣(奥野信亮君) ただいま矯正局長あるいは保護局長から事細かに御説明を申し上げました。収容者の生活環境といいましょうか、生活力という観点からいいますと、住み場のない者の再犯率が高い、あるいは仕事のない者の再犯率が高い、こういったところに焦点を当てた対策を打っているところであります。
 一方、収容された人たちの特性から見ると、幾つか例を挙げさせていただきますが、家庭環境に問題があるとか、あるいは精神障害をお持ちになっている若い人たち、あるいは薬物依存の方々、あるいは福祉に恵まれない高齢者の方々、さらには摂食障害を患っておられる女性の方々、こういう方々が非常に多いように思います。
 我々としては、そういった対象者の環境に合わせて、あるいは特性に合わせた対応をしながら、指導、支援プログラムを施設内、社会内双方において実施するよう努力をしているところであります。そして、二十六年度の予算案に盛り込まれているのはいずれも再犯の要因に焦点を当てたものでありまして、こういったことによって社会の受皿づくりや受刑者が抱える問題の解消が進むものと期待しているところであります。
#9
○山下雄平君 副大臣がおっしゃったように、住むところがない、働くところがない人が再犯をする可能性が高いというような話もありました。私は、刑務所を出所した後、身寄りがない方が頼りにする保護会の定員増加だったりとかスタッフの充実、そうした取組も必要だと思いますので、是非とも御努力いただければと思っております。
 次に、矯正医官の不足の問題について取り上げたいと思います。
 刑務所や拘置所、少年院といったところで勤務されるお医者様、つまり矯正医官のなり手がなかなか見付からないという問題があります。矯正施設で働く国家公務員としての医師の不足は大変深刻で、定員の二割以上足りないと聞いております。この医師不足により、受刑者、収容者が施設内で診療が受けられないというような事態が増えていると聞いております。施設内の医者が足りないのであれば市中の民間の病院に行けばいいじゃないかというようなことを言われる方もいらっしゃると思いますが、移送や警備の問題もあろうかと思いますし、民間の病院の方の中には受刑者の方が来られたら嫌だなと言われる方がいらっしゃるんではないかということも想像できます。
 矯正医官の仕事の特殊性を考えれば、なりたいという人が多くはない状況は理解はできますが、何とかこの分野での医師不足も解消していかなければならないと思います。矯正医官は国家公務員という身分のためにほかの病院で働くような兼務なんかも制限されるでしょうし、給与を劇的に上げるというのもそう簡単ではないと思います。
 こういった難しい仕事を頑張っていらっしゃる医師の方には本当に頭が下がりますし、医官の処遇を良くするだけで問題が全て解決するとは思いませんけれども、いろんな制約がある中でも、この医官の方の待遇を改善して、お医者さんの中に矯正医官で頑張ってみようと思っていただけるような環境をつくっていくことも非常に大事だと思います。
 矯正医官の現状は今どうなっているんでしょうか。そしてまた、矯正医官を確保していくためにどのような取組をなさろうと考えていらっしゃるんでしょうか。
#10
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 矯正施設の常勤医師でございますけれども、定員が三百三十二名でございまして、昨年、平成二十五年四月一日現在で申し上げますと、二百六十人が勤務しておりまして、七十二名の欠員、おっしゃいましたように、二割以上が欠員という状況になっております。
 矯正施設と申しますのは、まず刑事施設が、本所が七十七、支所が百十一の合計百八十八庁。少年院は、本院が五十庁、分院が二庁、これの合計五十二庁ございまして、少年鑑別所につきましては、本所が五十一庁、分所が一庁、五十二庁、それに婦人補導院一庁という内容になっておりますけれども、外部医療機関に委託しまして矯正施設の職員ではない医師が矯正施設の医療業務に常時従事している施設を除きますと、常勤医師の定員のある施設のうち、常勤医師が一人もいない、医師不在庁と申しておりますけれども、医師不在庁は三十一庁に上っております。内訳は、刑事施設本所が十庁、支所が六庁、少年院十二庁、少年鑑別所三庁となっております。
 また、常勤医師はいるものの定員に満たない医師欠員庁は二十五庁ございまして、その内訳は、刑事施設十九庁、少年院三庁、少年鑑別所三庁という内訳になっているところでございます。
 終わります。
#11
○国務大臣(谷垣禎一君) ただいま矯正局長から、矯正医療の特に定員の充足等々について御答弁申し上げました。
 それで、今のような状況が続く、それを座視していますと、矯正医療は本当に崩壊をしてしまうという危機感を持っております。そういう中で、昨年七月に矯正医療の在り方に関する有識者検討会というのをつくりまして、お医者様それから弁護士等々、外部の有識者に参加していただきまして、多角的な見地から御検討いただきました。その結論を今年の一月に矯正施設の医療の在り方に関する報告書としていただいたわけでございます。
 早速それを私どももよく検討いたしまして、その報告書には、先ほどお触れになったように、給与水準の改善ということも言及されております。それから、医療技術を、何というんでしょうか、維持していくあるいは向上させていくためには研修、研究というものが必要でございますが、そういったものを矯正医官、どうしてそういう研修等々がきちっとできるか。それから、兼業につきましても、公務員で大変制限されておりますが、少し弾力的にする必要があるのではないか。それから、それは同時に、地域医療と連携して、矯正医官が地域医療に貢献できる、また逆に地域医療からもバックアップをいただくというようなことをもう少し考えられないか。それから、定年年齢も、六十五が定年でございますが、もう少し定年を延長して頑張っていただくことはできないか等々、多岐に論点はわたっております。
 これは法務省の一存でできることばかりではございません。例えば人事院であるとか、いろいろなところの御相談が必要でありますので、現在、関係省庁と協議を今詰める作業をやっているところでございます。
 それから同時に、矯正行政とか矯正医官に関する広報、やはり、何というんでしょうか、そういうものがあるということを余り御存じない方も多いものですから、やはり世間に知っていただくということが大事である。そしてまた、そのことがまた矯正医療に従事する方々の使命感にもつながっていくことがあるのではないかというようなことで、こういった活動を重視するなど、様々な施策を講じていかなければいけないということでございます。
#12
○山下雄平君 是非とも省庁横断の取組を強めていただければと思いますし、また、民間の大学病院だったり地域の医師会だったり、民間の方との連携を強めていく必要もあると思いますので、そういった取組を是非よろしくお願い申し上げます。
 次に、大きくテーマを変えたいと思いますけれども、谷垣大臣は、所信表明の冒頭で語られた揺るぎない法の支配の確立、そうおっしゃいましたけれども、このことを諫早湾の潮受け堤防の開門調査をめぐる訴訟から考えていただきたいと思います。
 この訴訟については、さきの臨時国会でも私は質問させていただきました。改めて御説明しますと、一九八九年から工事が始まった国営諫早湾干拓事業で七キロメートルにも及ぶ堤防が建設され、九七年に堤防の水門が閉じられました。この後、二枚貝のタイラギの死滅や養殖ノリの色落ち、不作が発生し、干拓事業と漁業被害との関連を問う訴訟が佐賀地裁に起きました。佐賀地裁は二〇〇八年、干拓事業と漁業被害の関連性を一部認め、五年間の開門調査を命じる判決を出しました。これに対し、国と原告双方が福岡高裁に控訴しましたが、福岡高裁は二〇一〇年に、一審を支持し五年間の開門調査を命じ、当時の菅政権は上告を断念し、福岡高裁の判決が確定し、国は二〇一三年十二月二十日までの開門の義務を負うこととなりました。
 しかし、これに対し、長崎県側の農業の関係者の方々が国を相手に開門の差止めを求める訴訟を長崎地裁に起こされ、去年の十一月十二日に長崎地裁は、確定判決が命じた開門を行えば、農業、漁業への重大な影響が出るとして、開門の差止めを認める仮処分を出されました。開けろ、開けるなと相反する司法判断が出され、国は板挟みで身動きが取れなくなっています。さらには、開門を主張する原告団は佐賀地裁に間接強制を求め、開門を反対する原告団は福岡高裁の判決の無効を求め長崎地裁に提訴するなど、裁判合戦の様相を呈しています。問題の解決が長期化して、関係者皆に物心両面で重い負担が積み上がっていっています。
 この諫早湾の訴訟に限らず、一旦判決が確定した後に、別の事情がある、いや、条件が変わったなどといって確定判決の趣旨とは正反対のことを求めた訴訟が起きる事態が今後も出てくることは十分に考えられます。
 谷垣大臣は所信の冒頭で、国民生活の安全、安心を確保し、社会経済を持続的に発展させていくためには、揺るぎない法の支配が必要ですとおっしゃっています。法治国家において確定判決が法的な安定性を欠くのであれば、揺るぎない法の支配という状況には程遠いのではないでしょうか。所見をお伺いしたいと思います。
#13
○国務大臣(谷垣禎一君) 山下委員は佐賀の御出身でいらっしゃいますので、この問題については地元として強い関心を持っておられることはよく承知しております。
 この諫早湾干拓排水門をめぐっては、国は、今お話がありましたように、開門義務とそれから開門禁止義務という相反する二つの法的義務を負っている、非常に言わば、言葉が適切かどうか分かりませんが、せっちん詰めのような状況になっているわけでございます。
 そこで、今、開門義務については請求異議の訴えと執行停止の申立てをしております。それから、開門禁止義務については異議の申立てを行っているところでございます。
 その背景にある考え方を若干申し上げますと、福岡高裁の確定判決につきましては、開門による被害を防止するために必要な対策工事を完了した上での開門を想定しておりますところ、現状では対策工事が完了しておらず、開門すれば被害が生ずるおそれがあると。それから、福岡高裁の確定判決は、開門について防災上やむを得ない場合を除くとの条件を付しております。そこで、対策工事が完了しておらず、開門すれば被害が生ずるおそれがある状況はここの条件に当たると解することができるのではないかと。そしてさらに、長崎地裁の仮処分決定によって同じ排水門の開門の差止めが認められ、国は開門してはならないという旨の法的義務も現在負っていると。こういう現状に鑑みれば、開門しないことが違法と評価されるものではないのでないかと考えまして、強制執行を許されない旨の請求異議の訴えを提起するとともに、強制執行の停止の申立てをしたということでございます。
 しかし、訴訟は提起いたしますが、それと並行して関係者に対して引き続き話合いを呼びかけて、粘り強く接点を探る努力をすることも当然やっていかなければなりません。
 それで、今、法の支配ということに関連して委員の御見解を述べられたわけでありますが、元々こういう裁判所が違う判断をするということはそれはあり得るわけですが、法的な仕組みとしては、最高裁まで行って、もちろん判決はそれは個別的効力しか持たないということになっておりますが、最高裁の判決の権威によって全体の判断が統一されていくということがこの訴訟制度の上である意味で期待されているところでございます。
 したがいまして、裁判というのは紛争を解決しなければならないわけですから、しばしばいろんな問題で上告をするかしないかということを私どもとしても悩む場合があるわけですけれども、問題が本当に解決、紛争が解決されるかどうか、そのようなときには十分考慮をして決定しなければならないということを今回の事例は指し示しているのではないかと思います。
 私ども、この当事者にいろいろな話合いを求める努力は粘り強くやらなければいけませんが、今申したようなことも今後の対応の指針として念頭に置いておかなければいけないのではないかと、このように考えております。
#14
○山下雄平君 大臣がおっしゃったように、この問題に関しては裁判が問題の解決になかなかつながっていない、むしろ泥沼化しているという状況があると思いますので、引き続き御尽力いただければと思います。
 質問も残っておりますけれども、時間ですのでまた別の機会に譲りたいと思います。
 ありがとうございます。
#15
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川でございます。
 まず、本予算の審議ですが、その前の補正予算、先般成立しました補正予算との関係についてお尋ねをさせていただきます。
 補正予算、出入国の事務をスムーズにする分野と刑務所等の老朽施設を建て直すというところだったと思いますが、私の質問する意図を先に申し上げますと、補正予算を組まなくても、本来これ本予算の中で手当てされるべき分野でなかったのかなと。本予算で本来組んで執行されるべきものが、ただ少し補正予算ということで法務省の割当てとして来たから補正予算に入れたんじゃないかと、こんなふうに思っているんですが、私がそういうふうに思っている質問のこの意図を踏まえて、大臣、御説明いただけませんでしょうか。
#16
○国務大臣(谷垣禎一君) 平成二十五年度の補正予算につきましては、二つの目的があって編成されたところであります。
 一つは、消費税率の引上げが四月一日からあるという。そうなりますと、その反動減が起こってくるおそれがございますので、十分予想されますので、それをどう緩和していくかという手だてを講じなきゃならない、これが一つでございます。それからもう一つは、成長軌道への復帰を目的として補正予算を使おうということがございまして、法務省もその一環として所要の経費を計上したところでございます。
 一方、平成二十六年度当初予算につきましては、今申し上げた平成二十五年度補正予算の目的とは異なりまして、これは年間を通して必要な経費として、例えば再犯防止対策であるとか、そういった充実強化の主要施策に重点化した予算を作ろうということでやらせていただいたということであります。
 それで、確かに委員がおっしゃいますように、平成二十五年の補正予算の方に、二十六年度当初予算として要求したものをそちらに、補正に移し替えたものもございます。それで、これは防災・安全対策の加速とか競争力強化のための施策でありまして、関連産業への需要創出効果が見込まれる資機材や老朽施設、防災設備の整備等の経費については、今回の補正予算の趣旨に合致すると。先ほど委員がおっしゃった矯正施設等の防災・減災対策、あるいは観光立国のための出入国審査自動ゲート化等々は補正の目的にも合致するということで、そちらで入れさせていただいたという経緯でございます。
#17
○小川敏夫君 アベノミクスということで経済政策では言っておるわけですけれども、私は当初から、アベノミクスといってもこれはただお金をばらまいているだけで、アベノマジックだ、中身がない経済政策だと、ですから、いずれお金が尽きて破綻するというのが、私は常々訴えておるわけですが。このアベノミクスが本当に経済政策として成功するかどうか、あるいは経済政策たり得るかどうかは、これは金融緩和が本質ではなくて、いわゆる第三の矢、まさに新しい産業の創出だとか、様々なそうした分野をいかにしっかりと構築するかがアベノミクスの本質だと思います。
 それで、言わばこの補正予算もそうした経済政策の一環として編成したと、補正予算を立てたということだと思うんですが、じゃ、これが、今回のこの法務省の分野、これは法務省だけでなくてほかの省庁の予算を見ても同じだと思うんですが、実際に予算を使う項目を見ると、どうも新しい産業を興すとか新しい成長を興すという分野に予算が使われているんじゃない。
 例えば、老朽化した刑務所を建て替えると。そのこと自体私は反対しませんです。それは建て替えた方がいいに決まっているんだけれども。でも、これって法務省だってもう、年次計画といいますか、計画的に順番に建て替えることにはなっておるわけですよね。ただ補正予算が付いたからそれをちょっとその分繰り上げただけの話であって、本質的なアベノミクスでいう第三の矢で新しい成長産業を興すのだとか経済の変革を来すのだという分野とは全く無関係に、ただ予算を付けたから建物の建て替えをその分、予算分だけは入れましょうというだけのものじゃないかと、こんなふうに思えるわけなんです。
 ですから、ここは私の方でこれ以上大臣から答弁いただきませんけれども、結局、補正予算というのは、要するにお金をただ支出したというだけが本質であって、アベノミクスの第三の矢という中身を持った、まさに日本の経済をしっかりと変革させるような中身が何もないものだったということを指摘したいということでお尋ねしたわけでありますが、大臣が私の見解にはいと言ってくれるわけないでしょうから、答弁は要りません。いや、もしどうしてもというんだったらお伺いしますけれども。
#18
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、法務省に新しい産業を興せとかいう施策を求められましてもなかなか難しいことは事実でございます。
 ただ、今、昔からいうビジット・ジャパンとか、ようこそ日本とかいってやっておりますが、海外からたくさんの方に来ていただく、その措置を後押ししていくということは、今の日本にとっては必要な成長政策としても十分評価できるのではないかと思います。
 それから、刑務所等々の老朽したものもたくさんございまして、これは計画的にやっていかなければならないのはもちろんでございますが、率直に申しますと、なかなかこの通常予算だけで確保するというのは、小川大臣の時代も苦労されたのではないかと思いますが、四苦八苦しているのも事実でございます。
 確かに、景気の落ち込みが四月以降予想されるときに、それをてこ入れしようということで予算をいただけるということは誠に有り難いことでございまして、そのことは私どもも多としているところでございます。
#19
○小川敏夫君 私も刑務所の建て替えとか出入国のシステムをスムーズにするということ自体は賛成です。ですから、そこに予算を使うということ自体全く反対するものじゃないんです。
 ただ、それでも、どう考えても、これまで本予算でやってきたし、本来本予算で手当てするべきものだなと、それが予算が付いたから繰り上がってきたんだと。何となく大臣の今の答弁のニュアンスの中にも有り難いというような言葉でちょっと感じ取ることができたと思うんですが、私の質問の意図はそういうことでございました。
 次の質問にさせていただきます。
 先般も予備試験のことについてお尋ねしてちょっと触れたんですが、人間社会でいろいろ先輩とか同期とかあります。一番基本なのは生まれた年が同い年だからというのが同期なんでしょうけれども、一般的には、もう一つは大学を出たときが、同じ卒業をしたときが同期だというのもあります。それから、裁判官とか検事ですと、年齢とか大学の卒業年次じゃなくて、言わば任官したときが、同じ任官時が同期だと、こんなふうに一般的には思うわけです。これまでの過去の司法試験時代ですと、年齢や大学時代が違っても、みんな同じ一つの司法試験というものを受けてきたから、多少受かるのが早いか遅いかはあっても、みんな同じ共通の試験を受けて受かったときが同期、それで任官をした人が同期ということでよかったと思うんですね。
 今回予備試験ができて、私がふと思ったのは、ロースクールという本来あるべき法曹教育の課程を受けたというのが正規のルートだとすると、例外的に予備試験という制度が設けられていると。すると、大学四年、卒業が同じで、本来のロースクールを選択した人、本来あるべき道を歩んだ人は二年間のロースクールの教育を経て、それから司法試験を受けると。しかし、同じ大学の卒業でも、ロースクール行かないでその年に予備試験受かっちまえば、ロースクール歩んだ人よりも二年早く言わば司法試験を受けることができると。
 そうすると、大学が同じで、本来あるべき法曹養成の課程、ロースクールの課程を歩んだ人は二年掛かってしまって、それを取らなかった予備試験の人の方は言わば二年早く任官しちゃうと。そうすると、同期なのに別の試験を受けた方が二年先輩になっちゃうというような仕組みでいくと、これ、裁判官のいわゆる人事、検事もそうですけれども、人事でこの同期入社とかそういう過程でどうなっちゃうのかなと。
 つまり、ロースクール卒業生というのが一般的な中で、予備試験を経てきた人が、任官してきた人の扱いが、ロースクールを歩んだ人とどういうような位置付けというのかな、これまでの感覚ですと、とにかく同じ司法試験受けてきたから、みんな同期入社と、同期任官ということでよかったんだけれども、今度ロースクール任官と予備試験任官で違うというところで人事ではどういうふうに扱うのか、ちょっとそこら辺が私疑問に感じたものですから、今日お尋ねするわけです。
 最高裁と、それから検事を掌握している法務省の方から、法務大臣の方から、ちょっと説明していただければと思います。
#20
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
 予備試験合格者からの新任判事補の採用というのは、今年一月に任官いたしました六十七期が一番最初になります。最高裁の方では、この新任判事補の採用に当たりまして、法科大学院卒業者と予備試験合格者とを人事上異なる取扱いをするということは考えておらないところでございます。採用後の任用、給与等についてもその取扱いを異にするということはないものと考えております。
#21
○国務大臣(谷垣禎一君) 検察の方も、今最高裁の人事局長から御答弁がございましたけれども、全くどのルートを通ってきたということで取扱いに差別を設けるというようなことはいたしておりません。何期卒業で一緒に任官をしたという扱いでございます。
#22
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 委員長、ちょっと一点訂正が。
 今六十七期と申し上げましたが、六十六期の誤りでございます。失礼いたしました。
#23
○小川敏夫君 任官してきた人を差別しないというのは言わば当然だと思うんですが、どうもそうすると、一緒に入ってくればそこで同じに扱うとなると、私が心配するのは、じゃ、ロースクールで二年間勉強していくよりも早いところ予備試験で受かっちゃった方がいいやと思って、ますます予備試験に合格して若くして早く任官しちゃった方が有利になるんじゃないかということが進んでしまうんじゃないかと、そうすると本来の法曹養成制度が壊れてしまうんじゃないかというふうに心配しております。どうか、そういったところを体系的に、是非早い段階で、いい形であるべき法曹の養成制度を実現していただきたいというふうにお願いいたします。答弁は要りません。
 では、次の質問をさせていただきます。
 土地家屋調査士制度のことについてお尋ねします。
 私の質問の趣旨は、また一番最初に申し上げますけれども、土地家屋調査士さんは、法務行政においても随分土地家屋調査士さんにお世話になっている部分があると思います。また、実際に土地、不動産というのは生活の基盤、あるいはビジネスの基盤でもありますし、また大変に大きな資産でもあります。こうした面について、これを明確にさせるということで非常に社会的な役割も大きい制度だというふうに思いますが、どうも私が感じるのは、土地家屋調査士さんということについて、国民一般はその役割とか重要性を余り認識されていないんじゃないかと。何やる人かよく分からないし、あるいは測量士さんと土地家屋調査士さんとはどういうふうに違うんだろうかとか、よく分かっていない分野があるんじゃないかと。
 ですから、ここは法務省も、土地家屋調査士さん、この制度についてきちんと国民に対してよく知らしめて、土地家屋調査士さんの持っている役割がいかに大切かということ、それから紛争等についても役割を担っているという、この仕組みを是非国民にしっかりと知らせてほしいという観点から質問させていただきます。
 まず、土地家屋調査士制度が果たす役割について、概略、大臣から御説明いただきたいと思いますが。
#24
○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員が、十分土地家屋調査士の仕事について理解が得られてないんではないかということをおっしゃいました。私も、委員がおっしゃっていることはよく、そういう感じがするときもございます。ただ、三月十一日のあの東北の大震災でいろいろ土地家屋調査士の方々に大変な御活躍をいただき、その復興等々に寄与していただいたと、そういう意味では認知度が上がってきているのではないかと思ったりもしております。
 そこで、土地家屋調査士、もう先生に申し上げるまでもございませんが、不動産の表示に関する登記申請を代理すると、それから登記所備付け地図の作成に関与する等々、重要なインフラである登記制度を支える法律専門職でございまして、その役割は非常に大きいと思っております。
 それから、登記制度以外の領域に関しましても、不動産登記法上の筆界特定手続の申請代理人であるとか、あるいは筆界調査委員、土地の境界問題に関するADR手続の代理人等々、土地の筆界、筆の境ですね、等々、境界をめぐる紛争の専門家として活躍の場を広げていただいていると考えております。
 それで、こういう土地家屋調査士を不動産登記そのほかの申請に当たって利用することは、今も申しましたように、既に国民の間にある程度定着しているとは思いますが、その存在、役割を引き続きよくPRしていくということは大事なことではないかと思います。法務省もホームページにおきまして土地家屋調査士の業務内容を掲載する等々努めておりますし、また、日本土地家屋調査士会連合会が一般国民を対象としていろいろシンポジウムなどもおやりになっておりますが、そういったところに法務省職員が参加して講演を行ったり、パネリストとして参加する等々には協力をさせていただいているところでございます。
 それから、法務省予算としても、土地家屋調査士の業務に関連するわけですが、登記所備付け地図作成事業、これ計画的に行っているわけでございますが、平成二十六年度予算政府案としては十九億八千四百万円を計上しているところでございまして、これは計画的にやっていきたいと考えております。
#25
○小川敏夫君 法務省に関連するいわゆる士業といいますと弁護士あるいは司法書士があるわけですが、弁護士とか司法書士ですと国民の方は案外その職務内容はよく分かっている。どうも土地家屋調査士さんについては、特に、単なる測量じゃなくて、そうした法的な分野の評価部門も入るという非常に重要な職責だということがなかなか分かっていないと感じておるわけです。大臣、いろいろ努力されているということで、私も法務省が何もやっていないとは申し上げてはおりませんけれども、もっともっとやっていただきたいというふうに思っておるわけです。
 特に土地の筆界の紛争とか、そうしたことについては、私は、土地家屋調査士さんにもっともっと活躍していただいて、あるいは国民が利用して、そうした分野の紛争をなるべく妥当に、正当に解決するということが大事だというふうにも思います。それがまた裁判を減らすとかそうしたことにもなるんでしょうと思いますので、是非この土地家屋調査士さん制度の国民への周知というものを今以上に力を入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#26
○国務大臣(谷垣禎一君) 委員の御関心、私も共有しているつもりでございます。これからも努力をさせていただきたいと思います。
#27
○小川敏夫君 それから、地図整備で今、本年度の予算の額をお伺いしました、説明いただきましたが、ただ、この予算あるいはこの予算でできる整備の範囲でいくと、完了するには相当な年月が掛かるんじゃないでしょうか。要するに、地図を整備する必要性は大きいと思うんです。その整備しなければならない範囲から比べると予算が少な過ぎるとは思うんですが、どうでしょうか。
#28
○国務大臣(谷垣禎一君) 地図を作るのは国交省と協力をしてやっておりまして、国交省の方で地籍調査をお願いし、私どもの方では特に大都市部の筆界等々が余りうまくいっていないところを中心に担当しております。しかし、今委員がおっしゃいますように、かなりそういうところがたくさんございますので、なかなか今の予算で計画的にやらなきゃならないんですが、多々ますます弁ずと言ってしまえばそれまででございますが、この予算を獲得するのも相当頑張らなきゃいかぬと、こう思っております。
#29
○小川敏夫君 例えば、どうも抽象的に言っても始まらないんですけれども、じゃ数字的に言うと、地図の整備をしなくてはいけない範囲というのは面積でいうとどのくらいの面積の分野があって、今年度の予算で整備する、整備できる範囲はどのくらいの面積なのか、数字的には説明いただけますでしょうか。
#30
○政府参考人(深山卓也君) 必ずしも手元に正確な資料はないんですけれども、現在、八か年計画で百三十平方キロ、ですから、単年度に直すと十七平方キロ程度の計画的な地図整備を進めております。
 かつて全国に整備が必要なところがどれくらいあるかということを調べたことがございますが、この百三十が八年掛かって、あと二年ほどですが、終わったとしても、まだまだ五百平方キロぐらい残る、たしかそれぐらいの残が残ってしまう。ですから、今回、今やっている八か年計画が終わった後もより一層計画的に地図整備を進めていかなくちゃいけない状況にあるというのは御指摘のとおりだと思っております。
#31
○小川敏夫君 私は百年掛かるんじゃないかと何となく思っていたんですが、今の計算ですと何十年ということのようですけれども、しかし、やはり土地に関する整備というものは先ほども言いましたように非常に重要性がありますので、それがもう少し早く解消できるように、予算の規模も少しでも増やしてそのペースを速めていただきたいというふうに思いますが、大臣はその点はいかがでございましょうか。
#32
○国務大臣(谷垣禎一君) これからも努力してまいります。
#33
○小川敏夫君 では、ほかの、次の質問に移らさせていただきます。
 刑事司法分野の中で、特に取調べの可視化の問題であります。やはり刑事司法分野で一番今大きな問題の一つは、捜査に関しての取調べの可視化の在り方だと思います。ここに来ても、近年、明らかに無罪、客観的に無罪であることが明らかになったと、しかしそうした方が取調べで自白をして過去有罪になっていたというふうな件がありました。有名なのは足利事件ですか、そのほかにも氷見事件とか様々なことがありましたし、最近ではパソコンの遠隔操作事件ですか、これも明らかに無罪であることが分かっている人が捜査段階ではしかし自白したということがありました。
 そうした真犯人でない人がしかしなぜ取調べの中で自白するのかということが一つの大きな問題だと思いますし、また刑事司法の中では自白の任意性とか信用性が争われて裁判が長期化するというようなこともございました。あらゆる観点から見て、やっぱり捜査の在り方について取調べの可視化を導入することが求められているという声が大きいというふうに思っておるわけですが、まずこの取調べの可視化の導入について、まず基本的な考え方、大臣がこの取調べの可視化についてどう臨む考えでおりますのか、その基本的な考えをお聞かせください。
#34
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、可視化に関しましては、法制審議会の新時代の刑事司法制度特別部会で御議論をいただいている最中です。そこで御議論されているのは、取調べとかあるいは供述調書に過度に依存した捜査、公判が今まであったのではないか、その在り方をどう見直していくかと。
 それから、取調べの録音・録画制度は、今おっしゃった可視化でございますが、その導入についての調査、審議が進められているところでございます。そして、その部会の下での二つの作業分科会において基本構想を取りまとめた後、御議論をいただいて、制度のたたき台がその二つの分科会で作成されました。それで、今年の二月、三月、その制度のたたき台を前提として各制度についての議論、検討が行われたわけでございますが、是非充実した御審議をいただいて、私どももそれを基に作業を進めてまいりたいと考えております。
#35
○小川敏夫君 今、審議会の審議の過程を含めて御説明いただきましたが、ちょっと残念だったのは、大臣がそもそもどういう考えで臨むのかということについてのお考えというか意思がちょっと感じられなかったもので残念に思うんですが、大臣としては、どうでしょう、この取調べの可視化問題についてどのような考えをお持ちで進めたいと思っているのか、お聞かせいただければと思いますが。
#36
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、私は諮問を申し上げている、議論をしていただいている立場ですから、余り細かなことについては申し上げるつもりはございません。
 でも、先ほど申し上げましたように、今まで供述調書とか取調べに非常に重点を置いた捜査の在り方というものを見直していく必要があるというのは私もそのとおりだと思っておりますし、そのときにその可視化というのは非常に有力な手段であるというふうに考えております。
 そこで、今検察当局におきましても、かなり積極的に試行を、試しに行うということをやっておりまして、そういった成果も十分また何というか踏まえてまいりたいと考えております。
#37
○小川敏夫君 可視化の導入についていろいろ検討しなければならない問題があるということで、そんな簡単なことではないということは私も承知しているつもりでありますが、しかし、審議会の議論も随分長いなという感じは今持っておるところであります。
 実際に可視化というものの導入について様々な問題がありますでしょうけれども、それの一つを、その問題点を明らかにすることも含めて、今大臣が説明されたように検察庁では試行をしてきておりますが、この試行状況はどうでありましょう。試行を始めたときは細々と始まって、少しずつ試行を広げてきたように思うんですけれども、具体的にその試行の今の状況と、それからそれは過去広げてきたのか、過去のままなのか、ちょっとそこら辺の試行の状況について御説明いただけませんでしょうか。
#38
○国務大臣(谷垣禎一君) 今検察当局でやっておりますのは、被疑者の身柄を拘束している事件の中で裁判員裁判の対象事件。それから、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等がおりますので、それに係る事件。あるいは、精神の障害等によって責任能力の減退あるいは喪失が疑われる被疑者に関する事件。それから、いわゆる独自捜査事件、特捜等々の事件でございますが、独自捜査事件であって検察官が被疑者を逮捕する事件。こういうものについては、これは公判請求は見込まれないなというような一部の場合を除きまして、全過程を含めできる限り広範な録音・録画を行うということで積極的に取り組んでいるところでございます。
#39
○小川敏夫君 この試行の今行っている範囲といいますか、試行の進め方ですけれども、少しずつ試行を拡大していった、少なくとも民主党政権時代は試行を少しずつ拡大していこうという考えで拡大してきたつもりでおるんですけれども、政権が替わってから何か余り拡大していないかのようなちょっと私印象を抱いているんですが、どうでしょう。その試行というものを徐々に広げて、いずれ導入される場合にはスムーズにというような考えで試行を拡大しているような状況はないんでしょうか。
#40
○国務大臣(谷垣禎一君) 決して消極的になっているというわけではありません。先ほど申し上げたようなことにつきましては引き続き積極的にやっていかなければならないと考えておりまして、その数もかなり増えてきております。これは民主党政権時代の数字でございますが、平成二十三年度は例えば総数は二千百八十件、二十四年度には四千件を超えているというような形で徐々に拡大をしてきているというところでございます。
#41
○小川敏夫君 法制審議会のその議論の中で、新たな捜査手法ということも議論をされているというような話も、話を聞くんじゃなくて、議論をされているというふうに思いますが。法制審議会に諮問したのは民主党政権時代でありましたけれども、そのときのこの諮問の趣旨としては、新たな捜査手法を導入するための議論をするために諮問したのではなくて、取調べの可視化を議論するために諮問したと。その過程の中で、これは特に捜査を担当する警察庁の方の御意見が強かったんだと思いますが、取調べに依存しない捜査であればそれに代わる新たな捜査手法を検討すべきではないかというような意見もございましたので、そうしたことも含めた諮問になったと思うんですが。諮問としては、主としてというか、その諮問の目的は取調べの可視化の導入ということがこれは本題であって、その導入に当たって、言わば一緒に議論することもあるなということで新たな捜査手法ということも含まれている諮問であったというふうに思うんですが。
 たまに新聞報道などで見ると、何か新たな捜査手法だけがぽつんと検討されているかのような誤解を招くような報道もあるんですが、この新たな捜査手法の導入ということにつきまして、この取調べの可視化との関連性を含めて議論をしているのか、そうではなくて、取調べの可視化ということは離れて、新たな捜査手法の導入ということを想定して、あるいはそういうこともあるということを考えて検討されていらっしゃるのか、そこら辺のところはどうなんでしょうか。
#42
○国務大臣(谷垣禎一君) 諮問は民主党政権の時代でございましたので、私はその諮問をもう一回就任して読み直しまして、先ほど申し上げましたように、一つは、取調べや供述調書に過度に依存した捜査の在り方あるいは公判の在り方というものをどう見直していくか、それから、可視化と申しますか、取調べの録音・録画制度、これがやはり二つの柱になっているというふうに私はその当時の諮問を読んでおります。
 それで、確かに今の委員の御意見のように、可視化ということは極めてその検討は重要でございますが、取調べや調書に過度に依存した在り方を改めていくためには、証拠収集手続の、何というんでしょうか、適正化、多様化に資するような捜査手法、あるいは公判充実化を図るためにはどうしていったらいいかといったような検討も重要ではないかと思っております。
 いずれにせよ、この辺はその部会の中でどういうふうに御議論を積み重ねていただくか、もう相当時間もたってきてはおりますが、まずはその結論を私どもは見守ろうという立場でございます。
#43
○小川敏夫君 政務官に質問するということは質問通告をしていないんですけれども、政務官はこの質問のやり取りに大分関心があるようなお顔をされておったんですけれども、少なくともほかの質問をしているときに比べて大分関心があるような顔をされておられたようですけれども、もし答弁できたらでも結構ですけれども、取調べの可視化について政務官はどうお考えですか。通告していないから、別に答えなくてもいいですけれども。
#44
○大臣政務官(平口洋君) 私は、大臣にお仕えする身でございますので、大要、大臣がお答え申したような方向でやっていければというふうに考えております。
#45
○国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと待ってください。
 先ほど間違ったことを言いまして、訂正させていただいてよろしいでしょうか。
 先ほど、取調べの録音・録画化で、平成二十三年度二千百八十件が二十四年四千五十一件になっていると申し上げましたが、ちょっと足すのを忘れておりまして、二十三年度も三千九百四十三件でございましたから、急に伸びたというよりか、微増というところでございます。
 申し訳ありませんでした。
#46
○小川敏夫君 まだ二十五年は統計は出ていないんですか。
#47
○国務大臣(谷垣禎一君) まだ十二月のまでは出ておりません。
#48
○小川敏夫君 分かりました。
 二十二、二十三、二十四は民主党時代ですので増えていると思うんですけど、一番聞きたい、知りたいのは政権が替わった二十五年でございますので、数字をまた出たら教えていただきたいと思います。
 それでは、また別の質問にさせていただきます。
 秘密保護法、これは大分議論になったわけで、NHKの会長はできちゃったものはしようがないというようなことも言っておるようですけれども、できちゃったものはしようがないということはないんでありまして、非常に関心というか懸念を持っておるわけですけれども、ここは法務委員会ですので司法の分野でのことについてお尋ねしますが。
 秘密保護法ですから秘密。本来漏れてはいけない秘密が公開されちゃって、その秘密を全部国民が知っているという状況の中での裁判であれば、私は非常に簡単だと思うんです。ところが、本来漏れてはいけない秘密に関して、それを漏らそうとした者があって、言わば裁判になると。しかし、その秘密は国民には漏れていないというようなケースもあると思うんです。そうすると、それは裁判の過程で国民に明らかにすることができない。本来漏れてはいけない秘密ですから漏らしてはいけないという中で、しかし一方、裁判というものは公開の裁判で行わなければならないと。
 そうすると、漏れてはいけない秘密だから明らかにはできない秘密、しかし、その秘密について裁判をやるときに、当然弁護側としては、それが本当に秘密として正当な秘密なのかどうか、本来秘密の指定というものが間違っていればそれは本質的には無罪であることになるでしょうから、当然そこが争点になるというときに、一体どうやって裁判やるのかなと、あるいはそもそも裁判ができるのかという疑問を持っております。
 こうした件について、この秘密を守らなくてはいけない、秘密を明らかにできないという秘密について裁判をやる場合に、どのような裁判手続が進むのかについて御説明いただきたいと思います。
#49
○国務大臣(谷垣禎一君) 個々の場合、いろんなことがあると存じますが、今までのいろいろなこの種の案件の議論等が積み重ねられてまいりました。それで、特定秘密に係る罪の刑事裁判においては、いわゆる外形立証によりまして特定秘密に該当する情報であるということを立証することが想定されているというふうに承知しております。
 それで、外形立証というのは、秘密の内容そのものではなくて、秘密の種類あるいは性質等のほか、秘密にする実質的理由として当該秘密文書等の立案、作成過程、あるいは秘の指定を相当とする具体的理由などを明らかにする、そういうことによって実質的秘密性を立証する方法を指すものというふうに言われております。
 これは、これまでにも例えばいわゆる外務省スパイ事件で東京高裁判決がございますが、そういう中で、外形立証によって実質的秘密性が立証されるということが裁判例としても肯定されているということでございます。
 検察当局におきましては、成立した制度の枠内で今のような外形立証の方法を適切に行使していくことになると考えております。
#50
○小川敏夫君 抽象的な説明としてはそういうことになるんでしょうけども、しかし、それで本当に現実の裁判ができるのかなというふうに疑問に思うわけです。外形立証、外形立証といっても、もうその外形立証に関して裁判例が多くて一つの在り方が確立したわけでもないと思います。
 その例に挙げられた裁判例ですと、外務省の公電ですか、公の電報、その公電の一部がその秘密に当たるということで、電報の中身までは明らかにされないけども、その公電が秘密であるということで、言わばそれで外形的な立証は足りるんだというような裁判例だったかというふうに思いますけれども。
 しかし、特定秘密という場合に、どういう理由で何が秘密にされたか分からないという世界の、分野の話でして、しかもそれも様々な行政の中にあるというと、外形を言うだけで、それがもう明らかに秘密性が高い、秘密だと思われるものじゃなくても、当然特定秘密になるものは幾つもあると、出てくると思います。そういう場合に、外形立証という一般的な説明では何か、論理的にはすっといっちゃえばいっちゃうような気もするんだけれども、しかし個々のケースの中で果たしてできるのかなと疑問を感じるわけであります。
 つまり、外務省がやる公電のやり取りなら、ああそうかという気もするけれども、じゃ、何かそういう定期的に行うものの性質じゃない、あるもの一回だけのことで、何か防衛に関することでどこかの何かのことがあった、何かの作戦があったなんというものについて、定期的な外形性がない場合にそういう裁判ができるのかなと。
 何かちょっと独り言のような話になっちゃったけれども、なかなか秘密の定義の捉え方もまた何かあの特定秘密保護法案ではよく分からないので、どうも外形立証はできないケースが相当あるんじゃないかという場合で、しかし刑事訴訟法的には、あの特定秘密法に伴った訴訟法的な措置は何もされていないわけですから、どうもそこは難しいんじゃないかというふうに思うわけですが。
 こういう場合は、今日の議論は余り抽象的なこと言ってもしようがないから、じゃ、私の方で次の質問に備えて、こういう場合はどうだということをちょっと想定で作ってきますので、こういう場合に外形立証できるのかということをもっと具体的なやり取りをさせていただきたいと思いますが、私は、実際に裁判で、秘密を守るためには裁判できないケースというのは実際には出てくるかと思うんですね。それが不明なまましかし裁判できないのもおかしいし、しかし不明なまま、何が秘密だか全く分からないまま有罪になるのもおかしいし、やっぱりちょっとこの法案はもっと十分な研究が必要だったのかなというふうに思います。
 この点については、また改めてもう少し具体的に議論できるような事例を考えてきたいと思います。
 最後の質問ですけれども、森大臣がこの特定秘密法案の担当大臣ということでしたけれども、報道機関に対する強制捜査、これはやらないかのような説明をしておりました。そこの点について、法的な説明としてはいかがでございましょうか、法務大臣のお考えとしては。
#51
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、報道機関もいろんなものがあると存じます。それで、一概に、何というか、抽象的にお答えするのは難しゅうございまして、捜査機関において個別具体的な事例に即して判断すべきものでございますので、法務大臣としてはちょっと言いにくいところがあるわけですね。
 しかし、一般論として申し上げますと、捜査機関が被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合には、裁判官の発する逮捕状を取得して被疑者を逮捕することはあり得るわけですし、また被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があれば、そして証拠隠滅等の、罪証隠滅等のおそれがある場合には裁判官の発する勾留状を取得して被疑者を勾留することもあると、それから、犯罪捜査をするについて必要性があれば、同様に裁判官の発する令状によって捜索、差押えをする場合はあり得るんだろうと思います。
 ただ、今度の特定秘密保護法の二十二条で、拡張して解釈してはならないと、それから国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由は十分に配慮しなければならない等々の規定がございます。
 それから、過去の裁判例等も、事実の報道の自由は表現の自由を規定した憲法二十一条の保障の下にあることは言うまでもない、報道のための取材の自由も憲法二十一条の精神に照らして十分尊重に値するものであると判示しているわけでございますので、そういった点は実際の捜査については十分に配慮されなければならないと思います。
#52
○小川敏夫君 報道の自由の尊重というのは、法律に明文があろうとなかろうと、憲法にも明記されておりますことで、当然のことだと思うんです。
 大臣が、個々具体的に事例に即してというふうに答弁されました。これは要するに、法的な解釈としては強制捜査はできるという当然前提の答弁だと思います。何か森大臣は、法律の解釈として報道機関に対する強制捜査ができないかのような説明をされていましたので、私は確認したわけであります。法律の解釈としては、これはできるというのが法律の解釈だと思うんですが、この点はいかがでしょう。
#53
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申し上げたように、一般論として、罪を疑うに足る十分な理由があれば、それは令状の下でできることはできます。ただ、それと同時に、先ほど申し上げたような特定秘密法案の二十二条であるとか過去の裁判例、報道の自由あるいは知る権利に対する尊重ということの裁判例の精神は当然尊重されなければならないと思います。
#54
○小川敏夫君 だから、尊重するかどうかということは一つのこの運用の方針ですから、法律としては強制捜査ができるということになるわけです。大臣の答弁もそういう意味だと思いますので、時間ですので私の質問を終わります。
#55
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。
 前回の所信に対する質疑では、私の方からは、これから迎える超高齢化社会において重要な取組であります司法ソーシャルワークについて取り上げさせていただきました。
 超高齢化社会ということを考えますと、もう一つ重要になってくるのが私は成年後見制度であるというふうに思っております。認知症高齢者の方は二〇一二年で四百六十二万人、予備軍を含めますと八百六十万人以上とも言われております。それに対して成年後見、また保佐、補助、それに任意後見を含めても、平成二十五年の時点ですが、十七万六千五百六十四人の方が利用しているということでございます。認知症高齢者の方が四百六十二万人という数字を見ますと、この十七万六千というような数字が、本当に必要な方に成年後見制度を利用していただいているのか疑問があるなというふうに思っております。
 前回も紹介をいたしました法テラス佐渡の司法ソーシャルワークの中で、成年後見制度の申立てにもつながって、またそうした成年後見の需要に対して第三者後見人の不足が問題にもなったんですけれども、成年後見センターの設立ですとか市民後見人の育成ということもスムーズに進んでいる、そういった成功例というふうにも伺っております。こうした超高齢化社会が進むに加えて司法ソーシャルワークという取組も充実をしていくと、そうした中で成年後見制度の利用というものも増えてくるのではないかなというふうに思っております。
 そういった点で一つ問題になりますのが、第三者後見人の担い手でございます。
 財産を多くお持ちの高齢者の方だけではありませんので、家族の方に適切な後見人がいらっしゃらなくて第三者後見人を選任するという場合に、余り財産をお持ちでない高齢者の方の場合には専門職後見人では費用負担が大変と、こういった問題もございます。
 ですので、これからは市民後見人の育成ということも重要になってくるのではないかと思っておりますが、現状、市民後見人による成年後見の状況について、その件数や割合、推移などについて教えていただきたいと思います。
#56
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 最高裁で市民後見人の選任件数を把握しておりますのは平成二十三年以降でございますが、平成二十三年の選任件数は九十二件、第三者後見人の選任件数に占める割合は〇・七%、平成二十四年の選任件数は百十八件、第三者後見人の選任件数に占める割合は〇・七%でございます。
 なお、地域別に見ますと、東京家裁管内と大阪家裁管内が多くなっておりますが、東京家裁管内では、平成二十三年は四十六件、平成二十四年は六十五件、また大阪家裁管内では、平成二十三年は十二件、平成二十四年は十二件でございます。それ以外の各家裁管内におきましては、ゼロ件又は一桁台という現状でございます。
#57
○佐々木さやか君 お聞きになったように、まだまだ新しい取組なのかなと。平成二十三年以降の件数について教えていただきました。ですので、これから市民後見人の育成ということが重要になってくるのではないかと思いますが、今後の取組について厚労省にお伺いをいたします。
#58
○政府参考人(有岡宏君) お答えいたします。
 市民後見人の育成についてでございますけれども、平成二十四年度から施行されました改正老人福祉法におきまして、市民後見人研修の実施、あるいは後見等の業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦、その他の必要な措置を講ずることが市町村の努力義務として定められたわけでございます。同時に、市町村として市民後見人に対する支援措置をとることができるものとされております。
 また、平成二十三年度からではございますが、モデル的取組として実施しております市民後見推進事業におきまして、まずは市民後見人養成のための研修を行っております。また、弁護士等の専門職によります市民後見人への支援体制の構築などを補助対象といたしまして市町村の取組を支援しているところでございます。平成二十五年度の実績で申し上げますと、百二十八の市区町村でこの推進事業を実施しているところでございます。
 市民後見人の育成につきましては、認知症施策推進五か年計画でも、将来的には全ての市町村で市民後見人の育成や支援組織の体制を整備するとの目標を掲げておりまして、今後ともこの目標に向けて取組を進めていきたいと考えております。
#59
○佐々木さやか君 ありがとうございます。いろいろと取り組んでいただいているようですけれども、是非今後とも厚労省、自治体また法テラスとか連携を十分取っていただいて、取り組んでいただければと思います。
 さて、第三者後見人に関連して、家族以外の方、第三者市民後見人ですとか、それから専門職の方ですとか、そういった方が後見人になりますと、その被後見人、後見制度を利用している方の受ける例えば介護サービスであったりとかの、そういったことも御本人に代わって契約をするわけでございます。
 しかしながら、例えば弁護士が第三者後見人になった場合に介護や福祉といったところについて十分な知識を持っているかといいますと、必ずしもそうではないわけでございます。ですので、その方にとってどういった介護サービスを受けるのがいいのかというところについては弁護士だけではなかなか判断が難しいという問題がございます。こうした場合に、地域において高齢者の方の福祉ですとか介護の相談窓口というのは地域包括支援センターであるというふうに伺っておりますが、この地域包括支援センター、まだ認知が不十分だということの指摘もございます。
 成年後見制度を利用する方が適切な介護サービス、そうしたことを受けることができますように、必要な場合には第三者後見人が地域包括支援センター等と十分に連携をして相談をできるようにしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#60
○政府参考人(有岡宏君) お答えいたします。
 先生がおっしゃるように、第三者後見人の方に高齢者に関わる相談窓口あるいはサービス利用方法を熟知していただくということは大変重要なことだというふうに考えております。
 このため、厚生労働省といたしましては、例えば全国で行っております市民後見人養成研修におきまして、そのカリキュラムあるいはテキストの中で地域包括支援センターなどの介護保険制度に関する事項を含めますなど、市民後見人に介護保険制度全般を御理解いただけるようにしているところでございます。また、地域住民が介護サービス等を利用する際の相談機関でもございます地域包括センターは高齢者を適切な支援につなげるための重要な役割を担っているものと認識しておりまして、その取組に関する情報が第三者後見人にも十分周知されるよう配慮しているところでございます。
 一方、現実的な取組を見ますと、地域包括センターにおいて、言わば総合相談業務等を行う場合がございますが、この際に、必要な場合は実際に成年後見制度を勧めるという例もございまして、こういった取組によりまして要介護者と後見人との橋渡しができるんじゃないかというふうに考えているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後、現場レベルでは、法テラス等、司法ソーシャルワークと連携を強化することが重要だと思っておりますので、厚生労働省といたしましても法務省や法テラスとの連携を強めていきたいと考えております。
#61
○佐々木さやか君 ありがとうございます。是非十分な連携をお願いをいたします。
 これから超高齢化社会を迎えるに当たって、今まで申し上げてまいりましたように、成年後見制度のニーズ、これは増大をしていくということが予想されるわけでございますけれども、そうした中で、これからの成年後見制度の利用の促進についてどのように取り組んでいくのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#62
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに委員が指摘されましたように、高齢者の中で認知症等々もこれから患者が増加するということが予想されますので、成年後見制度に対するニーズというのはこれからも拡大を続けるのではないかなと予想しているところでございます。
 それで、この制度は、実際に成年後見をやるかどうかは家庭裁判所でその選任をされる、それから、具体的な援助策は先ほどから御答弁のあるように厚労省がおやりになっていると。私のところは制度を所管するということでございますが、私のところの仕事としては、そういう各方面の連携と、それからもう一つは、こういう制度があるということを十分に周知徹底するというか啓発するというかPRするというか、そういうことに力を入れてまいりまして、現実に必要な方のところにそういう情報が届くようなことをいろいろ工夫していかなければいけないと考えております。
#63
○佐々木さやか君 成年後見、これから件数として増えていくことが予想されますし、今申し上げましたように、市民後見人など多様化をしていくということが考えられます。しかしながら、今制度の所管という話がございましたが、この成年後見制度自体にもまだ不十分な点があるというふうに私は考えております。
 例えば、被成年後見人の方がお亡くなりになった場合には、直ちに葬儀の手続だったりとか、それから施設ですとか住居からの退去、こういった様々な事務を処理する必要があるわけですけれども、その方に御家族がいなかったりとか、それから事実上協力を得ることが難しいという場合には後見人の方が行わなければならないという場合もあるわけでございます。
 こうした場合に、後見人としてはこうした死亡後の事務処理というものはできるのかどうか、その法的根拠について、前提としてお聞きしたいと思います。
#64
○政府参考人(深山卓也君) 成年被後見人が死亡した場合に、この死亡によって成年後見自体は当然に終了すると。したがって、成年後見人は法定代理権等の権限を喪失するというのが法律上の原則でございます。
 もっとも成年後見人は、成年被後見人死亡後も、緊急を要する場合には相続人が事務を処理することができるようになるまで必要な処分をしなければならないと民法上されておりますので、そういう場合があり得る。もう一つは、成年後見人は、被後見人の死亡後も事務管理として一定の事務処理を行うこともできます。
 このように、現行法においても一定の限度や要件はもちろんございますけれども、成年後見人が成年被後見人の死亡後に事務処理を行うことができる場合があると、こういうことでございます。
#65
○佐々木さやか君 今説明していただいたものは、具体的に言うと、民法で言うと応急処分義務というものですとかそれから事務管理、こうしたことを法律上の根拠としてできることはできるということだと思いますけれども、この場合に現場でよく問題になりますのが、じゃ、葬儀の費用をその方の財産、被後見人の方の財産、後見人が管理をしていた財産から支出ができるのか。
 例えば退去の費用、引っ越しをしなければならないとなりましたら数十万ぐらい掛かるのではないかと思います。そういった費用をその方のお金から払うことができるのかどうか。これについては質問として一応通告させていただいたかと思います。この点について説明をお願いいたします。
#66
○政府参考人(深山卓也君) 成年後見人は本人の利益のために後見の事務を行うものですから、その事務処理に必要な費用は当然受益者である本人の財産から支弁されるのが大原則ですが、委員お尋ねの御本人が亡くなってしまった場合、この場合でも、先ほど申し上げたような緊急を要する場合には、相続人が事務を処理することができるようになるまで必要な処分をしなければならないという義務を負っておりますので、この義務の履行として行った事務処理に必要な費用につきましては、生前と同様に成年被後見人の財産の中から支払うことができると考えられます。
 また、もう一つの類型である成年後見人が事務管理として被後見人死亡後に一定の事務処理を行った場合ですけれども、この場合には、成年後見人が有益な費用を支出したときは、成年被後見人の相続人に対してその償還を請求することができますので、実際の話としては、自分が管理している財産を相続人に返還する義務と、それから相続人に対してその償還を請求できる権利があるということで、そこで相殺勘定のような形で支払を受けるということは可能だろうと思っております。
#67
○佐々木さやか君 ちょっと法律的な難しい御説明だったかと思いますけれども、特に事務管理の方ですね。要するにかみ砕いて言いますと、後から求償ができるので後々相殺はできるんだけれども、ただその費用を実際に、葬儀費用、例えば引っ越し費用を払うその瞬間には後見人が自分のお金を出さなければいけないと。後から管理をしていた被後見人の方の財産と相殺をするという理解でよろしいかと思いますので、要するに、そのときには例えば市民後見人の方は御自身の貯金から一旦は出さなければならないと、こういう問題があるわけでございます。
 例えば専門職の後見人の方であればそういう立替えを一旦するということはできるかもしれませんけれども、なかなか、ボランティアのような形でされている市民後見人の方もいらっしゃると思いますので、数十万のお金を一旦自分で立て替えなければならないというのはやはり現場では不便が大きいのではないかと思います。
 現状の成年後見制度には、この死後事務の処理のほか医療同意についての問題点などもございます。医療同意については今日は議論はするつもりはないんですけれども、こうした死亡後の事務処理ですとか医療同意といった問題点については、現行の法制度で解決をするにはなかなか難しい限界がございます。
 これから独り暮らしのお年寄りの方も増えてまいりますし、市民後見人の拡大なども考えますと、成年後見制度自体をまたより使いやすく制度の整備などを行っていく必要があるのではないかというふうに考えるんですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#68
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の委員の御指摘は多岐にわたっておりましたけど、一つは、成年被後見人の死亡後の成年後見人の事務の範囲が不明確な部分があるのではないかという御指摘だろうと思います。
 それで、この問題について、現行法における対応で十分なのかという問題意識を委員がお持ちでいらっしゃることはよく理解できたわけでございますが、ただ一方、被後見人が亡くなってしまうと、今の制度の基本はその財産は全部相続人に亡くなった時点から帰属するということになるわけでございますから、そことその成年後見人の権限とをどう調和するかというのは、相当慎重に検討しておかないと問題が生ずるのではないかなと思います。
 それから、医療行為等の同意は今日は触れないとおっしゃいましたが、代理権というのは財産行為等々でございますから、身分行為にどういうことができるかという問題は、いわゆる成年被後見人の場合だけに当てはまるわけではなくて、例えば幼児であるとか、いろんな場合に同じような問題が生じ得るのだろうと思いますね。そういった辺りを全体としてどう整理していくかということも併せて考えておかなければならない問題だなと、今解決策を十分持っているわけではございませんが、そんな感じがしております。
#69
○佐々木さやか君 ありがとうございます。利用者の方が利用しやすい成年後見制度をつくっていくという観点から、様々な検討を今後もしていただければなというふうに思っております。
 続きまして、国民の司法アクセスという観点から何点か質問をしたいと思っております。
 まず一点目に、現在新宿で行われております出張調停制度についてお聞きしたいと思います。
 司法の効率化ということから、東京では簡易裁判所の統廃合が行われまして、東京簡易裁判所の民事調停は墨田庁舎で行われるようになりました。このために東京の西側地域に住んでいる方々の司法アクセスが悪くなったという問題がございまして、平成二十二年から新宿にある法テラスでの裁判所による出張調停の制度が行われております。
 調停というのは月一回、長ければ何年も通うということもありますので、新宿でも調停ができるということは望ましいことなのではないかと思うんですけれども、しかしながら、この調停件数、利用件数が期待していたより低調であるという理由で打切りも検討されたことがあるようであります。
 この調停件数が低調であるのはいろいろな制約があるからだというふうに利用者の方からお聞きをしました。この制度では、現状、週一回木曜日にしか調停の期日が開けないと。ですから、その日が駄目であれば期日は更に一週間、二週間、三週間、一か月と先になってしまうわけでございます。また、申立て後の一回目は必ず墨田庁舎の方で開かなければならないと。この新宿を利用ができるのは二回目以降だそうでございます。現在の係属件数は毎月数件から十数件ということでありますけれども、潜在的なニーズはまだまだあるのではないかというふうに思います。私も何年か前に知ったときは便利だなと思ったんですけれども、まだ弁護士の間でももしかしたら認知は不十分かもしれません。
 国民の司法アクセスという観点から申しますと、やはりこの新宿での出張調停はより充実させていくのが望ましいのではないかと思うんですけれども、今後はどのようにしていく方針であるのか、お聞きしたいと思います。
#70
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 新宿での出張調停でございますが、二十一年の一月から東京簡易裁判所において、新宿において調停を実施することの需要を調査することを目的として、試みとして、いわゆる試行として行わせていただいているところでございます。この根拠は民事調停法十二条の四に定める現地調停ということでございまして、利用実績は先ほど委員が御指摘なされたとおりでございます。
 いろいろな実施率が低い原因という御指摘がありました。我々の方でも利用者に対してアンケートを取っているわけでございますが、新宿での調停が実施されなかった事件のうち、約三六%が相手方が新宿調停に同意していないということがございますし、約二四%の事件が第一回期日で調停の成立又は不調で終わっているというような事情もございます。
 いずれにいたしましても、東京地方裁判所におきまして、弁護士会等の関係機関との間で新宿における調停出張の運用に関する協議を定期的に行うなど検討を行っているところでございまして、その在り方について更に検討しているものと承知しているところでございます。
#71
○佐々木さやか君 この出張調停制度を例えば裁判所の数が少ない地域、その裁判所まで出かけるのが不便な司法過疎地域で行うことができれば、より国民の司法アクセスという観点からは便利になるのではないかと思うんですけれども、そういった地域で、同じように法テラスだったりとか、また公民館ですとか郵便局ですとか市役所ですとか、こういった施設を使って出張調停を行うということは可能なんでしょうか、教えていただけますでしょうか。
#72
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 先ほど御答弁申し上げましたように、この調停というのは民事調停法十二条の四に基づく現地調停ということでございまして、あくまで各事件を担当する調停委員会の判断で行われるということでございまして、施設の提供があるからといって当然にその場所で実施することができるということでないということは御理解いただければと思います。
 御指摘のあったように、利用者のニーズ、大変重要なことでございますので、裁判所としても利用者のニーズ等を踏まえつつ、適切な調停手続の運営に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#73
○佐々木さやか君 ありがとうございます。そうした利用者の方のニーズに合った、より便利な調停制度が充実をしていくように願いたいと思います。
 この司法過疎ということに関連してお聞きしたいと思いますけれども、日弁連の資料によりますと、地方裁判所、家庭裁判所の四十六か所の支部には裁判官が常駐をしていないというふうに聞きました。こうした裁判官が常駐していない支部においては、市民の、国民の司法アクセスというのは大丈夫なんでしょうか。司法サービスが十分に提供できているのかどうか、この点について教えてください。
#74
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 裁判官が常駐していない支部におきましては、近隣の庁に配置されている裁判官が、当該庁の実情に応じまして、一週間のうちに何日かその場所に出向いて事件を担当するという体制を取っているところでございます。また、そのような支部におきましても書記官等は常駐しておりまして、事件の受付や手続案内等には支障のない体制を取っているところでございます。
 また、ドメスティックバイオレンスの事件あるいは保全事件のような緊急性を要する事件につきましては、定まった填補日によることなく裁判官が臨時に対応できる体制を取っておりまして、非常駐支部であったといたしましても事件処理に遺漏がなきよう努めているところでございます。
 現実に非常駐支部の審理状況を見てみますと、二十五年の時点で民事訴訟の平均審理期間は、本庁で八・三か月、常駐支部では七・九か月であるのに対しまして、非常駐支部では七・四か月ということで、特段解決が遅れているという事態は生じていないものと認識しております。
 いずれにいたしましても、裁判所といたしましては、今後とも事件数の動向や現場の負担というのを常に注視するとともに、全国津々浦々において利用者が適切な司法サービスの提供を受けることができるような体制整備に努めてまいりたいと考えております。
#75
○佐々木さやか君 例えば民事保全事件ですとか保釈請求事件ですとか、そういった緊急を要するような事件について時間が掛かったりするようなことがもしありますと、申立ての趣旨が達せられないことになりますので、そういったことがないようにしていただきたいなというふうに思います。
 同じように、日弁連の資料によりますと、法曹資格を持つ検察官が常駐していない検察庁支部というところも百二十八か所あるというふうに読みました。こういった検察庁支部、また先ほど申しました裁判所支部、国民に対する司法サービスという観点から、こういう非常駐ということが解消するように、裁判官や検察官の定員を増やしていくということも必要なのではないかというふうに思うのですが、この点、最後に大臣にお聞きしたいと思います。
#76
○国務大臣(谷垣禎一君) 裁判官の員数につきましては、裁判所において裁判実務の現状及びその必要性を踏まえて増員を行ってきたところでございますし、司法改革以来の数字を見ると、かなり定数は付けてきているということではないかと思います。
 それから、法務省では、現在の犯罪情勢、それから裁判員制度の実施等の司法制度改革に伴う新たな業務に対応していかなきゃなりませんので、これまでにも検察官の増員を含めてかなりの増員を認めてきていただいているという現状だろうと思います。
 もちろん、私どもは、いつも裁判所の方の御検討に基づいて定員法を御審議をお願いしているところでございますし、検察官の定員についても、毎年の事件数、犯罪動向をよく見ながら適切に対応していきたいと思っております。
#77
○佐々木さやか君 適切な事件処理ができますように、しっかりとそういったニーズをこれからも調査をしていただきたいなと思います。
 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#78
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど、小川先生からの録音・録画の数、質問についてお答えした際に、少し誤った数を申してしまいました。
 正確には、裁判員裁判の録音・録画件数は、平成二十三年度二千五百五件、平成二十四年度三千六百八十件、それから平成二十五年の四月から十二月まで、まだ年度末出ておりませんので、これは十二月までで二千九百十五件ということでございます。
 それで、先ほどお答えした中には、実施したものと不実施の数含めてお答えをしておりましたので、訂正させていただきたいと存じます。誠に申し訳ありません。
#79
○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 私は、まず、今日は登記所備付け地図について質問させていただきます。先ほど小川委員からも関連の質問が、登記所備付け地図についての質問がありましたけれども、私からも質問させていただきたいと思います。
 この正しい地図を備え付けるということにつきまして、昨年の予算委員会でも質問させていただきまして、谷垣大臣にはとても前向きな御答弁をいただきましたので、今日もそのように期待をしております。
 まず初めに、大臣に伺いたいと思います。いわゆる十四条地図、不動産登記法の十四条に規定されている地図でありますけれども、この十四条地図を登記所に備え付けることがなぜ必要なのか、大臣に伺いたいと思います。
#80
○国務大臣(谷垣禎一君) 御指摘の十四条地図、登記所備付け地図、それは登記されている土地の位置それから区画、これを特定して明確にするものでございます。これによって現地における各土地の筆界ですね、筆界を特定することができるようになる、そのための道具でございます、道具立てでございます。
 現状におきましては、全国的に見ると、こういう地図の整備が必ずしも十分ではございません。以前の予算委員会の質疑でも先生に、何というんでしょうか、十分でない地図の例も示していただきましたが、そういう、十分ではございませんので、道路であるとかあるいは下水道整備等のインフラ整備が阻害されるなど、種々の弊害が生じている地域がございます。そのためにこの地図を備え付けていくということが極めて大事になっていると、このように考えております。
#81
○行田邦子君 今大臣が御答弁された公共事業などにも支障を来すといったこともありますけれども、それに加えて、例えば都市再開発事業など都市再生を行うに当たっても、正しい精度の高い地図が整備されていないと支障を来すといったような例も出ていますし、また災害が起きたときの復旧復興のときにも支障を来すといったことも指摘をされているわけであります。
 そこで、民事局長に伺いたいと思います。このように正しい地図、十四条地図を登記所に備え付けることが必要ということはもう認識されているんですけれども、その備付けの状況を教えていただけますでしょうか。
#82
○政府参考人(深山卓也君) 全国の登記所における地図の備付け率、これは十四条地図以外の図面も含めた全体の中で現地再現性のある十四条地図の占める割合ですが、これは平成二十五年四月一日現在で約五四%でございます。逆に言うと、それ以外は地図ではない図面になっているということでございます。
#83
○行田邦子君 五四%は整備された地図、地籍調査等整備された地図で、残りの四六%は未整備のものが地図に準ずる図面ということで登記所には備え付けられているということであります。
 そこで、ちょっと去年の予算委員会でも使わせていただいたんですが、委員の皆様方に改めて認識もしていただきたいなと思ってお手元に資料を配付させていただいております。
 それでは、整備されていない地図がどういったものがあるのかなんですけれども、資料一なんですが、これはある山の地図に準ずる図面、登記所に備え付けられている図面ということであります。これでは山の土地と土地の間が全くすかすかになっていて正しい地図とは言えませんし、これでは筆界も分からないということです。
 本当にこういう図面がいまだに登記所に備え付けられているのかということを資料を提供してくださっている国土交通省に毎回聞くんですけれども、いまだにこういう、特に山ではこういった図面が登記所に置かれているということであります。
 それから、次の二枚目なんですけれども、資料二の右側なんですけれども、例えば京都駅の住所で登記所の備付け地図を引きますとこういった地図が出てきます。これは、もう京都駅の駅前というのは、皆さんお分かりのように、このような区画にはなっていないわけでありますけれども、京都駅の駅前の地番で引きますとこの地図が出てくるという状況であります。この二つはいずれも未整備の地図ということでありますけれども、登記所に備え付けられているということであります。
 そこで、改めてまた大臣に伺いたいんですけれども、精度の高い地図を登記所に備え付けることの必要性というのはもう認識されているわけでありますけれども、五四%とまだなかなか進んでいないと。そこで、法務省としてはどのような取組をなされているんでしょうか。
#84
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、平成十五年度の都市再生本部の方針がございまして、法務省と国土交通省が連携して登記所備付け地図の整備事業を強力に推進せよということになっております。この方針の下で法務省が担当しておりますのは都市部における地図混乱地域、ということは公図と現況のずれが著しく大きい地域でございますが、その都市部における地図混乱地域については法務省が担当して備付け地図を作成する、それから、それ以外の地域は国土交通省のいわゆる地籍調査の事業で地図を作ると、こういう仕分になっております。
 それで、都市部における、先ほどお示しいただいた京都駅等々はまさに都市部でございますが、その都市部の中でも地図混乱地域、これなかなか進めていくのは難しいところがあるんですが、土地の所有者の筆界に関する了解を得ることがなかなか困難な場合がございます。筆界の認定や表示に関する登記についての専門的な知見を有する登記官、国の機関である登記官が主体となって実施していくわけでございますが、なかなかそういう点で、特に土一升金一升と言われるようなところではなかなか困難も生ずるということでございます。
 それで、平成二十一年から平成二十八年までの八か年で、先ほど小川委員の御質問にもお答えしたところでございますが、合計約百三十平方キロメートルの地域について整備を進めていくという方針を作りまして、今この計画に基づいてやってきたというところでございます。
 平成二十六年度におきましては、計画に沿って約十七平方キロメートルの地図を整備することを予定しているところでございます。
#85
○行田邦子君 今大臣から、今進められている八か年計画についても御説明をいただきました。
 そこで、改めて民事局長に伺いたいんですけれども、平成二十六年度、来年度の登記所備付け地図作成作業の予算はどのようになっていますでしょうか。
#86
○政府参考人(深山卓也君) 今お話に出たとおり、平成二十六年度においては計画に沿って約十七平方キロメートルの地図を整備することを予定しておりますが、これに要する経費として、二十六年度予算政府案においては十九億八千四百万円が計上されているところでございます。
#87
○行田邦子君 八か年計画の十七平方キロメートルを実施するための十九億八千四百万ということでありましたけれども、この都市部、DIDの面積というのが一万二千七百平方キロメートルなわけです。日本の面積の約三・四%ということなんですけれども、その中の地図混乱地域において、速やかに法務省において地図整備事業を進めているというところでありますけれども、一年間で十七平方キロメートルというのはこれは余りにも少ないんではないかなというふうに思っていまして、先ほどの小川委員からの質疑でもありましたけれども、このようなペースでやっていると、もう百年あるいは二百年たっても終わらないんじゃないかと、途方に暮れてしまうような状況だと思います。
 今年度、補正予算も組まれましたけれども、私は、こういうものこそ補正予算でしっかりと予算を組んで、いわゆる経済資源である土地というものについて、また正しい地図を持つということが、それが投資であるというような観点でしっかりと予算を付けていただきたかったなというふうに思っておりますし、これから更に一層、大臣にも予算取りについて頑張っていただきたいなということを申し上げておきます。
 次の質問なんですけれども、配付資料の資料二の左側を御覧いただきたいんですけれども、これは山口県のある駅前の土地の地図です。十四条地図です。整備済みと、地籍調査済みという地図なんですけれども。地籍調査済み、整備済みですよと言いながら、実はこのように筆界、境界が未定なままで整備されましたということで地図が置かれたままになっている例があります。
 私は、聞くところによりますと、地籍調査済みあるいは整備済みと言いながらも、このように筆界が未確定のままの地図というのは結構たくさんあるよということを聞いていまして、これは本当なのかということをこの場で改めて民事局長に確認させていただきたいのと、このようなものに対してどのように法務省として対応しているのか、お答えいただけたらと思います。
#88
○政府参考人(深山卓也君) 現在行われております地籍調査や登記所備付け地図作成作業におきまして、土地の筆界を認定するに当たって隣接する土地の所有者に筆界の確認を求めることとしております。この確認が得られない土地については、いわゆる筆界未定地とせざるを得ない場合がございます。そのため、登記所備付け地図の中には、その一部分に筆界未定地が含まれているものがあるというのは御指摘のとおりでございます。
 もっとも、このような筆界未定地については、土地の所有権の登記名義人に筆界特定制度を御利用いただくことによって筆界を特定することが可能ですので、境界確定訴訟という裁判を起こす手段もございますけれども、より簡便なこの筆界特定制度を御利用いただいて、その成果に基づいて地図に反映をする、筆界を、というこの周知や利用の促進に努めていきたいと思っております。
#89
○行田邦子君 地籍調査済みあるいは整備済みと言っていながらも筆界が未確定のままの地図があるということですが、これを改めて整備し直すということはお考えにならないんでしょうか。
#90
○政府参考人(深山卓也君) 地籍調査あるいは登記所備付け地図の作成作業を行わなければならない面積が、先ほど来の御指摘のとおり、まだ膨大な量ございます。したがって、一〇〇%の境界、筆界が特定できなくても、最近ではほんの一、二%というのが普通ですけれども、どうしても少し筆界未定地が出てしまうんですが、まずは地籍調査や備付け地図の作成作業を進めるという方に努力を傾注せざるを得ない状況にあると思っております。
#91
○行田邦子君 地籍調査は国土交通省がやっているわけでありますけれども、所管をしているわけでありますけれども、事業としては市町村であります。これからも国土交通省と連携を取りながら、精度の高い地図をしっかりと登記所に備え付けるということを是非法務省としても積極的に推進をしていただきたいと思います。
 それから、続きまして、相続時の登記手続について伺いたいと思います。
 平成二十三年に国土交通省が興味深い調査を行っています。農地、森林の不在村所有者に対するアンケート調査です。農地、森林を相続をして、ところがその農地、森林がある場所に住んでいない不在村所有者に対してアンケートを行ったんですけれども、ここでその結果として、農地、森林の不在村所有者のうち相続時に何も手続をしていない所有者が一六・四%いるという結果が出ています。これを割り戻すと、所在の把握が難しい森林所有者が十六万人、所在の把握が難しい農地所有者が約十二万人という結果になるという調査でありました。
 この手続という中にはもちろん登記も含まれるわけなんでありますけれども、そこで、こうしたアンケート調査を受けまして、お手元にお配りしている配付資料の三枚目ですけれども、国交省と農水省では、土地届けをしてくださいというような啓蒙パンフレットを作って配っているようであります。
 登記のことでありますので、これは国交省、農水省でも積極的にこういった届けをしてくださいと、手続をしてくださいという啓蒙活動をやっていただくのはいいですけれども、法務省としても何か相続時の登記というものについての啓蒙活動をするおつもりはないんでしょうか。
#92
○政府参考人(深山卓也君) 今委員御指摘のパンフレットは、農地や森林を相続した者に対して、市町村への住所、氏名の届出や土地活用の意思表示をするよう求め、これと併せて相続登記をすることのメリットを示して、これを促す内容のものと承知しております。
 委員も御存じのとおり、相続登記などの不動産登記は、不動産取引の安全と円滑を図るための対抗要件でございまして、権利を取得した者に申請することが義務付けられているわけではございません。行政がその申請を促すことについても、申請するかどうかを権利者の自由な意思に委ねているこの登記制度の本質にそぐわない面がないわけではないというようなことや、あるいは登記手続というのも手間と費用がどうしても掛かりますので、という関係で難しい問題がないわけではないんですが、ただ、登記を含む不動産登記制度について国民の皆さんに広く周知を図って、そのメリットや意味を十分理解していただくということは国民の権利保全の観点から有意義だと思っておりますので、これまでも法務省のホームページや各法務局のホームページ、あるいは法務局における各種の登記相談等々の制度を通じて、相続登記のメリットや意味についての周知を図っているところでございます。
 今後も、引き続きこのような取組を継続していきたいと思っております。
#93
○行田邦子君 農地や森林の土地だけではなくて、例えば領海を根拠付ける離島なども登記をしていないものが随分あるのではないかというふうに言われていまして、今政府におきましてはその離島の所有者の調査をやっていますけれども、登記簿を調べる、結局は登記簿を調べることになるそうです。この調査に二年掛かるとも言われています。是非、登記というのは第三者への対抗要件ということで義務ではありませんけれども、登記の必要性とまた重要性ということを周知をしていただくようにお願いをしたいと思います。
 それでは、個人保証について伺いたいと思ったんですが、時間も限られていますので、一問だけにさせていただきます。
 民法が制定されてから民法の債権法関係の見直し、全般的な見直しというのは今までやってこなかったというふうに承知していまして、今、法制審議会の民法部会におきまして、債権法関係の改正に関する検討を行っている最中ということであります。
 特に個人保証の部分について私は関心があるんですけれども、これまでも個人保証の在り方について様々な問題点が指摘されていましたけれども、大臣御自身は個人保証についての問題意識また在り方についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
#94
○国務大臣(谷垣禎一君) これは今法制審議会で御議論をいただいているところでございますが、保証制度、特に個人保証とおっしゃいましたけれども、中小零細な経営者が資金を借りたいという場合に、どうも中小零細なところだけではどうしても信用が足りないから貸せない。したがって、保証を立てることによって足らない信用を補うという意味はあるわけですね。それからまた、何でもいいからとにかく金借りちゃって規律も何もないという状況を防ぐにも、保証を付けるというのは役割を果たしていると思うんです。
 ところが、他面、今特に個人保証とおっしゃったことに関連いたしますが、頼まれたから、じゃ保証をしてやろうというので判こを押したところ、想定外の請求をされて全く生活の破綻に追い込まれるというような例もしばしばあるわけでございます。
 したがいまして、今、法制審議会の民法部会で、中小企業金融に悪影響を与えないように留意しながら、保証人の保護を図る方向で議論が進められているところでございます。十分な議論を尽くしていただきたいと思っているところでございます。
#95
○行田邦子君 私の身近なところでも、保証人になってしまったがために莫大な債務を引き受けることになってしまって、破産してしまったという例もございます。是非、法制審においての審議を私も見守りながら、保証の在り方ということ、特にその個人保証の在り方ということについてこれからもこの場で審議をさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
 質問を終わります。
    ─────────────
#96
○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、佐々木さやかさんが委員を辞任され、その補欠として河野義博君が選任されました。
    ─────────────
#97
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 冒頭、前回の所信質疑で、選択的別姓につきまして、大臣の人権問題とは捉えていないという趣旨の御発言にちょっと委員会室もどよめいたんですが、それちょっと伺いたいんですね。
 法務当局からも、前回、婚姻に際し同姓を強制している国は我が国だけだという趣旨の答弁がございましたが、その民法の下で、自分の氏のまま別姓を選んで法律婚をしたくてもできない、あるいは通称使用でも日々つらい思いをしていると、こうした苦しんでいる方々がたくさんいらっしゃるわけです。今日、ここの議論に踏み込んでというつもりはないんですが、こうした現状は現行制度の下で起こっている人権問題であって、だからこそ国際人権条約の関係機関から我が国に対して繰り返し勧告が重ねられていると。私はまさに人権問題だと思うんです。
 大臣、いかがでしょうか。
#98
○国務大臣(谷垣禎一君) 御指摘のように、前回のこの法務委員会の質疑におきまして、私は、選択的夫婦別氏制度の導入は必ずしも人権問題とは考えていないと答弁をいたしました。その趣旨は、私としては、人権問題、これは憲法が保障する基本的人権を侵害するおそれのある問題と捉えた上で、この選択的夫婦別氏制度を導入するか否かの問題は、そのような意味での人権問題には当たらないのではないかという理解を述べたわけであります。糸数先生の御質問に対する御答弁だったと思います。
 それで、いずれにしても、選択的夫婦別氏制度の導入の是非は、家族制度の在り方として大事な問題でありますので、引き続き慎重に検討してまいりたいと思いますが、人権委員会、国連での議論についてもお触れになりました。あの議論の立て方については日本政府は、累次そのことは、何というんでしょうか、人権問題ではないという趣旨の答弁を日本政府としてはしてきているということを申し添えておきます。
#99
○仁比聡平君 問題をどう解決するかということについて、今のところ残念ながら立場が違うかもしれないですし、その国連への報告といいますか、というところでそういう表現を使っておられるというのはそうなのかもしれないんですが、問題となっているのは基本的人権が侵害されているのか否かという問題であって、侵害されていると強く主張する国民の中で問題が起こっていると。そういう問題であることを曖昧にしては絶対にならないと私は思うんですね。
 これから、大きなテーマとして、大臣ともあるいは政府当局の皆さんとも議論の上解決をしていかなければならない問題だと思いますので、そのことを指摘をして、今日のところはこの問題はちょっと終えて、外国人技能実習生問題について伺いたいと思っています。
 外国人研修生・技能実習生制度は、技能移転を通じた国際貢献を建前としながら、実際には低賃金単純労働力を受け入れる手段として使われてまいりました。特に団体監理型において、劣悪な環境、長時間労働、時給三百円などという最賃違反、あるいは月数万円の強制貯金やパスポートの取上げなどの権利侵害が後を絶たず、実習生の自殺や過労死、あるいは失踪が大問題となってきたわけですね。
 その無権利状態に置かれながら、権利を主張すれば本人の意に反して強制帰国させられる。そうなると、母国の送り出し機関に担保に取られている巨額の保証金や家、土地を没収されてしまうために、実習生たちは権利主張もできずに奴隷的労働に縛られてきたという実態があります。
 こうした中で、二〇〇九年に入管法改定が行われましたが、この改定によって深刻な権利侵害が根絶されたのかといえば、私はそうではないと思うんですね。
 入管局長にまずお尋ねしたいと思うんですが、昨年の十月に愛知県の、今日はT食品とイニシャルで申し上げておきたいと思いますが、T食品という実施企業が、実習生に対する賃金不払を中心とした理由で不正行為認定を受けて、五年間の受入れ停止の処分を受けました。これはどんな事件ですか。
#100
○政府参考人(榊原一夫君) 個別の事案につきましては、その内容の詳細について回答を差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、法務省令に規定しております不正行為類型に該当する行為を行ったと認められた場合には、不正行為の通知をし、類型に応じて最長で五年間の受入れが停止されることとなります。
 不正行為を通知された機関におきましては、技能実習生に対し賃金の不払があった場合は不払分の賃金を清算するよう指導しており、また、技能実習が継続できなくなった場合は、当該技能実習生が技能実習を継続できるよう法務省令において監理団体は新たな実習実施機関を確保するよう努めることとされており、当該不正行為について技能実習生に責めがなく、引き続き我が国での技能実習を希望するような場合には、技能実習が継続されることが可能となるような仕組みが設けられております。
#101
○仁比聡平君 事実として不正行為認定がされたこと自体は、前提とされた御答弁だったわけですけれども。
 私から申し上げますと、ベトナムから元々実習の目的は食品加工という形で若い女性たちが日本に来て、けれども実際には弁当のセットという単純作業なんですよ。だから、本来は午前八時から午後五時までという実習時間のはずだったんですけれども、何しろ弁当屋さんですから、早朝の五時からお昼過ぎまでと、それが彼女たちの三年間の現実になってしまった。こうした不正行為の結果、不払という問題も起こったわけですが、彼女たちは実習の実りなく帰国することになりましたが、帰国後、母国の送り出し機関から保証金の返還を拒まれるという事態にまで立ち至ったわけですね。
 二〇〇九年の改定の柱の一つが、こうした不正が起こらないようにという監理団体による監理なんですね。入管の技能実習生の入国・在留管理に関する指針というものを見ますと、技能実習は監理団体の責任及び監理の下に行われる、監理というのは、技能実習計画に基づいて適正に技能実習が実施されているか否かについて、その実施状況を確認し、適正な実施について企業などを指導することであると、そういうふうに言われているわけですが、私が今取り上げているT食品という技能実習の監理団体は、入管当局への申請上はC協同組合でした。ここが適正な監理をしていたなら、こんなことにはなっていないはずなんですね。この件では愛知県労働組合総連合から、C協同組合は名目のみ監理団体であり、株式会社Iというあっせん機関、ブローカーに監理が丸投げされているという申告がなされています。このC協同組合やI株式会社に対する不正行為認定は、入管局長、されたんですか。
#102
○政府参考人(榊原一夫君) 個別案件の事案につきまして詳細な回答は差し控えさせていただきます。
 一般論として申し上げれば、法務省令におきまして監理団体の責任を規定しておりまして、先ほど委員からも御指摘がありましたように、技能実習が適正に行われるよう技能実習生に対する講習を実施することや、技能実習の実施状況を確認するため、監理団体が技能実習実施機関への訪問指導を行うことや、それから技能実習実施機関に対する監査を行うことなどを規定しております。
 さらに、平成二十四年十一月には法務省令を改正いたしまして、監理団体や実習実施機関が不正行為を行った場合、直ちに地方入国管理局等に報告することとされていることを技能実習生の受入れの要件とし、あわせて、当該不正行為事実の報告を怠る行為を不正行為として追加するなどの措置を講じ、監理団体の責任について一層明確化を図ったところでございます。
#103
○仁比聡平君 二〇〇九年の今局長が紹介されたような改定にもかかわらず、現実に私が今日指摘をしようとしているような問題が起こっている以上、私、国会の審議ももっと、個別事案を具体的には話せなくても、踏み込んで発言をしないと関係者に対する問題提起にならないのではないかと思います。
 私、二〇一〇年に至るまで何度かこの問題取り上げてきたんですが、二〇一〇年の三月の十六日のこの委員会で、実習生を食い物にする悪辣なブローカーや研修生ビジネスを排除すべきだという趣旨の質問をいたしました。そのとき、当時の入管局長や当時の千葉景子法務大臣は、ブローカーが実習実施機関に対して不正行為を指南するなど、関与の度合いによっては不正行為になり得る、悪辣なブローカーが監理団体に例えば非常勤職員として入り込んで技能実習計画を作り監理するというようなことは排除されなければならないと、そうした趣旨の答弁をなさっているんですね。
 その後作られたこの指針には、申請上監理団体とされている団体が名目のみ監理団体となり、実際の監理は他の機関が行うような場合は、当該技能実習は監理団体の責任及び監理の下に行われているとは認められず、不適正な受入れとなりますとはっきり書いてあるんですね。
 私が今日取り上げているこのC協同組合だとかI株式会社というのは、この不正行為にまさに当たっているんじゃないんですか、局長。
#104
○政府参考人(榊原一夫君) 委員御指摘のとおり、監理団体が外部の機関に講習や監査などの業務を言わば丸投げしているような場合は、監理する体制を有していないとして不正行為に該当することとなりますが、外部の機関を指揮命令しながら業務の一部を分担させていた場合は必ずしも不正行為に該当するものではありません。
 また、不正行為が行われた場合、できる限り速やかに調査を開始し、不適正な事実が確認された場合には不正行為を通知しておりますが、複数の違反の疑いがあるような場合、複雑な事案については調査の過程で賃金の不払などが証拠書類等により確実に認定できれば、その段階で賃金の不払等により不正行為を通知して、まずは技能実習実施機関の技能実習生の更なる受入れを停止させるとともに、技能実習生の利益の回復を促した上、引き続き送り出し機関の保証金の問題等複雑なものにつきましては調査を継続し、事案を解明する措置をとっているところでございます。
#105
○仁比聡平君 局長からそうした一般論としての御答弁ですので、今おっしゃられている立場が本当に現場で徹底されて、具体的に悪質なやからに対して厳しく処分を下すと、やっぱりここを大臣に求めたいという思いなんですが。
 資料が手元に私たくさんありますが、いろいろな問題があってここで資料配付するわけにはいかないのですけれども、私が申し上げているこのI株式会社を中心にした実習生の受入れというのがどんな実態かと。
 これ、ベトナムでの募集、面接から始まって、一貫してこのI株式会社が実習生の監理を行っているんですね。私の手元にはベトナムにおいて実習生に対して渡された申請受理票についてという書面がありますが、ここには、日本に来て関係機関からいろいろ問われるときがあるんだけれども、それの問答集、問答例というのもI株式会社の名前で渡されているわけですね。ここには、受入れ機関を聞かれたらC協同組合と言いなさいと、こういう紙は絶対にほかの人には見せちゃいけませんよというようなことまで書いてある。
 担当者としてFという人物が明記されていますけれども、日本に来日した後に月一回T食品に来て訪問監理をするのも全てこの人物なんですね。一貫してはばかることなくI株式会社であることを名のって行動しています。ですから、実習生たちはC協同組合の職員や役員には実習中は一度も会ったことがないんですよ。
 新しい改訂後の制度では講習が少なくとも一か月行われなければならないということになっていますが、実際に行われたのは僅か一週間で、しかもI株式会社の建物に一週間彼女たちを寝泊まりさせて行った、そのまますぐ弁当のセットに向かわせているわけです。
 こうした不正が明らかになった後、未払賃金の清算や帰国の手配も行っていますけれども、ここもI株式会社の名前で行われています。これが丸投げでないというんだったら一体何が丸投げかと。局長に本当は聞きたいところですけど、答えにくいでしょうから、もうちょっと述べて大臣の所信を伺いたいんですが、大体、株式会社というのはこれは営利目的なんですよね。ですから、当局の指針の中でも、株式会社が技能実習に関する職業紹介を行っていた場合というのは典型的な、不正行為の典型例として明記されているわけです。
 一方で、申請上監理団体とされているC協同組合の住所を調べてみますと、既に二〇〇九年から介護施設が運営をされていて、技能実習を監理する体制など全く存在しないんですね、まさに名目だけと。
 私は、これからこういうブローカー的なやり方、食い物にするやり方を根絶していくためには、この現実に申告で明らかになった事実を徹底して調査を続けて、このC協同組合だとかI株式会社だとか、ここに対して厳しい処分を下す、一罰百戒と、その立場で臨むべきだと思いますが、大臣、いかがでしょう。
#106
○国務大臣(谷垣禎一君) 法務省では、従来から、不適正な受入れを行っている疑いのある実施機関あるいは監理団体に対しては実地調査を実施して、不正行為と認められたものは、その類型によりますけれども、最長五年受入れ停止をするというような対処をしてまいりました。
 それから、関係機関との連携を強めるとか監理団体に対する啓発活動等様々な取組を行っているわけですが、不適正な受入れを行っている疑いのある実習実施機関や監理団体に対しては、入国審査官だけではなく、入国警備官と協働して調査体制の強化を図ってきたところでございます。
 全体のいろいろな問題は、私の諮問機関でございます出入国管理政策懇談会の下で分科会を設けて今議論を、今年の年央までに問題点、改善点等々あればまとめていただこうということで、今一定の方向性を出していただく議論をしておりますが、委員の御指摘になりましたような技能実習の適正化をしていかなきゃいけない。今後ともきちっと取り組んでまいりたいと思っております。
 ベトナムの事例とおっしゃいました。今日はちょうどベトナムの国家主席も国賓としておいでになっておりますので、不適切なことがないように頑張りたいと思います。
#107
○仁比聡平君 もう一問、その下で、今、建設労働者不足の緊急対策として技能実習生の活用が挙げられているわけです。
 大臣、事、技能実習制度を人手不足解消の方策として例えば今の三年を五年に延長するなどという類いのやり方は、技能移転による国際貢献という本来の目的から全く筋違いであって、私は許されないと思うんですが、いかがですか。
#108
○国務大臣(谷垣禎一君) 今年の一月二十四日、関係閣僚会議をいたしまして、建設分野においてやはり人手不足が相当深刻であると、そこで外国人材の活用について、この年度内、この三月までということでございますが、年度内をめどに時限的な緊急措置を決定しようと、それを目指していこうということが確認されております。
 それで、これを受けて今各省庁の事務レベルで詰めを行っているところですが、確かに復興に対して人手が足りないということで阻害になっているというようなことでは困りますし、オリンピックも成功させなきゃならないとは思っておりますが、建設分野における外国人材の活用に関して技能実習制度の拡充で対応していけばいいという考え方があることも私は承知はしております。しかし、この技能実習制度の趣旨との関係において詰めを要することがまだたくさんあるのじゃないかと私は思っております。
 そこで、法務省としてはどういう対応が適切なのか、具体的なニーズも踏まえながら、産業や治安や労働市場への影響など、様々なことを考えて検討をきちっと進めたいと考えております。
#109
○仁比聡平君 詰めを要することがたくさんあるというのは、また、私、そうやって詰めていけば絶対にこれは許されないということになると思うんですけれども、そのことを期待もし、あり得ないと思うんですね、人手不足のために技能実習生を活用するというのは。
 国際機関からも引き続き厳しい指摘がされているこの技能実習制度については抜本的に見直しが必要であるということを指摘をいたしまして、時間が参りましたので、終わります。
#110
○谷亮子君 生活の党、谷亮子でございます。
 本日は、法務行政に関わる庁舎の耐震化等につきましてお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。
 裁判所施設は全国に六百二十二棟ございますけれども、裁判所は、裁判所法第六十九条におきまして、「法廷は、裁判所又は支部でこれを開く。」と規定されております。また、開廷の場所と定められているほかに、裁判所の事務局が置かれ、裁判所の庁舎は、司法という日本の大変重要な機能が営まれる場所であるということはこれは言うまでもありません。必ずしも国民の皆様が日常訪れる場所とは言えませんけれども、各級の裁判所に日常多くの来訪者があり、また、裁判所庁舎における裁判所の機能はこれは一日も停止することができないというふうに思います。
 また、平成十八年に建築物の耐震改修の促進に関する法律が改正されまして、国、地方公共団体は、計画的かつ重点的な耐震化の促進にこれは積極的に取り組むべきものとされております。すなわち、各施設の耐震診断を速やかに行い、耐震性に係るリストを作成及び公開をし、耐震化を計画的に促進することが求められております。さきの東日本大震災の発災もありまして、今後、裁判所庁舎の中で耐震安全性の基準を満たしていない老朽化した裁判所庁舎は、災害時に利用者である国民の生命そして身体等に被害が生じる大きな損壊をするおそれがあることから、耐震化の工事を今後また取り急ぎ進めていただく必要があるというふうに思っております。
 また、平成二十六年度の予算を見てみますと、老朽化した裁判所庁舎の建て替え、改修等といたしまして、建て替え、改修による耐震化と老朽化施設等の修繕のために百四十億四千万円が充てられています。また、平成二十五年度の補正予算におきましては、裁判所施設費といたしまして三十億六千万円が計上されました。
 そして、最高裁判所から出されております裁判所施設の耐震診断結果等の公表につきまして、これは平成二十四年八月の資料、これを見てみますと、裁判所の施設は全国に六百二十二棟ございまして、平成二十四年五月末時点におきまして、そのうち耐震性を満たす施設、これは、耐震化が完了した施設というのは四百三十三棟、約七〇%ございまして、また耐震性を満たさない施設、これは、まだ途中であったりこれから取り組むところもあると思いますけれども、百八十九棟、約三〇%あるとのことでございました。また、予算措置済みの施設の耐震化率、これは棟数の割合で約八一%達成されているということであります。しかしながら、中でも経年四十年以上が百六十八庁舎、そして経年三十年から三十九年が百二十七庁舎と、経年による老朽化が著しく、早急なまた改修そして建て替えが必要であるともこれは伺っております。
 なお、厚生労働省によれば、平成二十四年四月一日現在の社会福祉施設等の保育所、そして障害者支援施設、特別養護老人ホーム、また保護施設等の耐震化状況は八四・三%完了でありまして、こうした厚生労働省の耐震化における取組というのは非常に積極的にも進められてきております。そして、文部科学省によりますと、これも平成二十四年四月一日現在の資料でございますけれども、公立学校の耐震化改修状況というのは小中学校が八八・九%、九〇%近く、平成二十七年度には九〇%完了を目指しているということでございましたけれども、高等学校におかれましても八六・八%達成しているということでございました。
 そこで、最高裁判所の裁判所庁舎の耐震化への取組につきまして、どのような現況であるのかということをまず初めにお伺いさせていただきます。
#111
○最高裁判所長官代理者(垣内正君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、裁判所庁舎の耐震化というのは大変大事なことだと私どもも思っております。
 裁判所におきましては、全国に六百二十二棟ある裁判所庁舎につきまして、平成二十七年度末を目途に耐震化率を少なくとも九〇%とすると、こういう目標を掲げまして、鋭意耐震化を進めているところでございます。
 現在、六百二十二棟の庁舎のうち、既に耐震化を完了しておりますのが四百六十三棟でございます。それから、予算措置がされまして耐震化を進めております庁舎が百十四棟でございます。それから、平成二十六年度予算案に新規に四棟の耐震化予算を計上してございます。これらを合わせますと、耐震化の工事が完了しますのに時間が掛かるものはございますが、裁判所庁舎全体の九〇%を超えることになっております。
 いずれにいたしましても、裁判所といたしましては、できる限り早期に全ての裁判所庁舎について耐震化を図ることができるよう努力を続けてまいりたいと考えております。
#112
○谷亮子君 ありがとうございました。
 耐震化の完了済みというのが四百六十三棟あるということで、まだ耐震化未着手の建物もございますので、目標が実現できるように計画を急いでいただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 そして、全国の裁判所では、やはり毎日多くの来庁者があると思います。そして、その方々の安全、安心というものは、やはり安全というものは政府が耐震化等をしてお示しをしていくものだと思います。しかし、この安心に関しましては、やはり実際に来庁される方たち、国民の皆様たちが感じられる気持ちの部分であると思いますので、そうした来庁される方たち、そしてこの職員の方々のまた安心、安全ということを図っていくということは、公的な建物の責務であることはもとより、裁判所の機能面からは実際に災害が起こった直後であっても令状手続などを行う必要がありまして、やはり裁判所としての機能をこれは停止させるわけにはいかないと思うんですね。
 ですから、裁判所庁舎の耐震化は、国民の安全、安心、そして治安維持に直結する、これは喫緊の課題であると思います。早急に、そして確実に耐震化の取組というものを進めていただきたいというふうに思います。
 そして、次に伺いたいのは、裁判所庁舎の非構造部材の耐震化についても伺っておきたいと思います。
 私は、やはりこの耐震化というのには二つ取り組まなければならないことがあると思っております。一つは構造体、ある意味骨組みにおける耐震化というのは今積極的に進められていると思うんですね。しかし、構造体の耐震化が進んだ後に取り付けられる非構造部材、この非構造部材というのは、こういった電気の照明ですとか、あとは窓ガラスですとか、時計なんかもそうですね。ある意味天井なんかもそうなんですけれども、そういったことがなかなか取り組まれていないというような現状がございまして、文教科学委員会の際にも学校施設の耐震化のところで私は取り上げさせていただいたんですけれども、やはりこういった学校施設におきましても非構造部材の耐震化というのが実は余り図られておらず、三〇%前後しか進められていないというような現況もございました。ですから、やはり私は、今回、こうした各裁判所における耐震化を進めるに当たりましては、是非とも構造体の耐震化と、そして非構造部材の耐震化というものを併せて取り組んでいただきたいと思っております。
 そこでなんですけれども、こうした非構造部材への耐震化につきましては、裁判所庁舎の方におかれましてはこれまでどの程度意図を持って取り組んでこられているのか。今回新たに耐震化また進められておりますけれども、取り組まれる以前から、どの程度非構造部材については耐震化に取り組まれていたのかをお聞かせいただきたいと思います。
#113
○最高裁判所長官代理者(垣内正君) お答えいたします。
 裁判所庁舎の耐震化につきましては、まずは構造体の耐震化に取り組むということとしてまいりましたので、これに取り組む、構造体の耐震化に取り組む以前におきましては、非構造部材の耐震化につきましては余り本格的な方策というのは講じてきてはおらないという状況でございます。
#114
○谷亮子君 今、現況は分かりました。今後は取り組まれる予定はおありでしょうか。また、検討中ということがあれば、そこも教えていただきたいと思います。
#115
○最高裁判所長官代理者(垣内正君) 近年、例えば庁舎に設置された記録棚などに転倒防止の措置を施すといった一部の対策は講じ始めてきているところでございますが、構造体の耐震化の進捗を踏まえまして、委員御指摘のとおり、非構造部材の耐震化につきましても関係法令に従いまして、例えば金具でつる方式の天井の固定といった緊急性の高いものから順次耐震化のための対策を講じてまいりたいと、こういうふうに思っております。
#116
○谷亮子君 やはり東日本大震災の際にも天井が落下してきて大変な事故、災害等にもつながったように、これは併せて非構造部材の耐震化も積極的に進めていただきたいとお願いをいたしたいと思います。
 そして、そこで重要なのは、やはり裁判所が担っておられる重要な機能がこれはしっかりと確保されなければならないというふうに思っておりますし、そうした観点から、日常点検も含めて耐震化の取組が進みますように、たゆまず取組を進めていただきたいと思います。
 そして次に、法務局の耐震化についてもお伺いさせていただきたいと思います。
 二〇一四年現在、法務局、地方法務局、支局、出張所合わせまして四百二十六か所ございます。そして公証役場は二百八十七か所ございまして、公証人は四百九十六人いらっしゃいますけれども、法務省の地方組織の一つとして、法務局は法務省設置法第十八条に基づき設置をされております。これは、不動産そして債権譲渡、商業・法人、そして成年後見のそれぞれの登記、そして戸籍、供託、訴訟、人権擁護の各事務を取り扱いまして、国民の皆様の大変重要で貴重な財産等の権利関係や身分に関係する法律を取り扱う機関でございます。また、各局には法律に精通した職員の方々が配置をされておりまして、多くの国民の皆様が日常訪れて利用する大変頻度の高い場所であるというふうに思われます。また、登記記録、そして登記簿や登記の申請書の保管、そして戸籍データの保管も担っており、これが万が一失われるようなことがあれば、権利関係等に大変な混乱が生じることとなるわけでございます。
 参考的な数値でございますが、平成二十四年度における法務局の登記総件数は千四百五十三万七千百六十件となっておりました。そして、現在、東日本大震災の被災地の法務局におきましては、倒壊した建物の職権による滅失登記を実施されたり、また地震による地殻変動によって移動していしまった土地、そして境界の復元や地図の修正などの事業にも各省と連携をして取り組まれているとのことでございました。そしてまた、震災、津波被災地の復興事業で、法務局としてこれは大変な重要な責務に当たっていらっしゃるわけでございます。
 そしてまた、取組といたしましては、谷垣法務大臣も所信の中で登記そして地図、整備等の促進に取り組むとされていらっしゃいましたけれども、防災対策からの再確認されております登記所備付け地図整備作業、そして筆界特定制度、さらにはオンライン登記申請の利用促進等々、あらゆる面で進められておりまして、法務局の重要性というものは日々高まっているというふうに思います。
 そこで、東日本大震災の発災から三年が経過をいたしました。東日本大震災によりまして各法務局の庁舎や保管資料が震災、津波によりどのような被害を受けられたのか、改めて御説明をいただきたいと思います。
#117
○政府参考人(深山卓也君) 東日本大震災の地震によりまして、水戸地方法務局本局庁舎それから盛岡地方法務局一関支局庁舎が大きな被害を受けました。また、津波による浸水のために仙台法務局気仙沼支局庁舎それから盛岡地方法務局の大船渡出張所の庁舎が重大な被害を受けました。
 このため、これらの庁舎におきましては、発災直後、業務の継続が困難な状態となりました。さらに、仙台法務局気仙沼支局では、津波による浸水のために閉鎖登記簿、地図等の書類が油混じりの泥水をかぶって汚損をすると、また庁舎外に流出をするというようなこともございました。盛岡地方法務局の大船渡出張所におきましても、同様に閉鎖登記簿や地図等の書類が泥水で汚損するという被害が生じております。
 庁舎の被害により業務の継続が困難となった法務局のうち、仙台法務局気仙沼支局、盛岡地方法務局一関支局及び大船渡出張所については、平成二十三年の三月十四日、震災の翌週、十四日の月曜から十八日の金曜までは不動産登記法、商業登記法の規定に基づく法務大臣の命令によりまして全ての登記事務を一時停止する措置をとりました。その上で、その後、法務局、地方法務局の支局や出張所の設置規則というのがございますが、これを改正をいたしまして、三月二十二日からはそれぞれ最寄りの法務局庁舎に設置場所を移転する措置を講じて登記事務を実施するということにいたしました。
 具体的に言いますと、気仙沼支局は仙台の本局において実施し、盛岡の一関、大船渡についてはいずれも盛岡の水沢支局というところで実際の事務を行うという措置を講じたわけでございます。
 その後、仙台法務局の気仙沼支局につきましては、従前の庁舎の使用は困難だというふうに判断をいたしまして、平成二十三年の十二月十九日から気仙沼市内の民間ビルに仮庁舎を確保して事務の取扱いを再開いたしました。
 他方、盛岡地方法務局の一関それから大船渡につきましては、従前の庁舎に修繕を行いまして、大船渡につきましては二十四年の三月十九日から事務取扱を再開しましたし、一関についても二十四年の五月十四日から事務の取扱いを元の庁舎で再開をしております。
 また、地震による被害を受けた水戸地方法務局の本局につきましては、修繕を行っても従前の庁舎の使用が困難であると判断されたために、平成二十三年の十月十一日から水戸市内の仮庁舎に移って現在まで業務を実施しているところでございます。
#118
○谷亮子君 ありがとうございました。詳しく御説明いただきまして、ありがとうございます。
 こうした大変な被害があったということでございまして、やはり耐震化の取組も含めてそうした現況を踏まえた上で進めていかなければならないと思いますけれども、各法務局庁舎の耐震改修はこれまでどのようにして進められてきているのか、また今後はどのように進められるのかを御説明いただきたいと思います。
#119
○政府参考人(深山卓也君) 先ほど委員も御指摘のとおり、法務局庁舎というのは四百二十六ございますが、このうち国土交通省の計画によって耐震改修等の整備が実施される地方合同庁舎というものが百三十八ございます。これを除いた法務関係の官署が入っている法務総合庁舎それから法務局だけの単独庁舎の数は二百八十五庁ありますが、このうち昭和五十六年以前の旧耐震基準によって建設された庁舎は本年度末時点で九十八庁ございます。
 これら九十八庁のうち耐震診断が既に行われて、その結果震度六強から震度七程度の大地震に際して倒壊、崩壊の危険があると診断された庁舎が四十一判明しております。これら四十一庁のうち本年度までに耐震改修や建て替え、又はその設計に着手したものは合計三十六庁ございます。また、平成二十六年度政府予算案においては、法務局の庁舎関係の予算として本年度に引き続き三十六庁のうち五庁の建て替え、又はその設計の経費が計上されております。さらに、いまだ耐震改修が未了であったところが二庁ありますが、ここについての耐震診断経費も計上されております。
 なお、現時点で危険性があると診断された四十一庁から既に耐震改修等に着手している三十六庁を除いた五庁につきましても、今後建て替え、又は耐震改修の実施を検討しているところでございます。
#120
○谷亮子君 やはり今御説明ありましたように、旧耐震の診断で進められているところもありますので、今後また新たな取組というのを期待してまいりたいというふうに思っています。
 そして、やはり耐震化というのは非常に重要でございまして、日本は四つのプレートが重なり合う境界地にございまして、環太平洋地震帯と呼ばれる活動性の高いエリアの上にあるために地震が多く発生する地域でもあるわけでございます。
 小さな余震等も含めますと、二〇一〇年は、東日本大震災が起こる前年、ここで合計千三百十三回の小さな余震も含めてあっていました。そして、二〇一一年、東日本大震災の年は一万五百二十二回、そして二〇一二年は三千百三十九回、そして昨年、二〇一三年は二千三百八十七回ありまして、今年度に入りましてからは、二〇一四年一月、二月の統計ですが、二百九十八回既に小さな余震も含めますと地震が起こっている、余震が起こっているという現況があります。
 こうしたことも含めまして、裁判所施設におかれましては全国に六百二十二棟ございます。そして、法務局におかれましては、地方法務局も合わせまして四百二十六か所あるわけでございます。また、多くの国民の皆様が訪れる大変頻度の高い場所でもあり、また、法務局全体の職員の方たちは平成二十四年度は九千三百九十三名いらっしゃいますので、そうした……
#121
○委員長(荒木清寛君) 谷委員、そろそろおまとめいただけますか。
#122
○谷亮子君 はい。そうした方たちの安心、安全を守るためにも積極的な取組をお願いして、私からの質問とさせていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
#123
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。
 今日は女子刑事施設の過剰収容状況についてお伺いをします。
 男女合わせた全受刑者数、それ自体は二〇〇六年をピークに減少傾向にあると承知しておりますが、このうち女子受刑者数は高止まり傾向にあり、女子刑務所は過剰、そして高率収容の状況にあると言われています。刑務所全体の収容率が二〇〇五年以降減り続けているのに女子刑務所のみ収容率が改善しない理由についてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
#124
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 この十年間、おっしゃるとおり、男女総数で申し上げますと漸減傾向にございまして、男子で申しますと、現在、収容率約七五%まで落ちております。その一方で、女子刑務所につきましては、一番ピークでありました平成十八年末において、収容人員四千四百五十二名で収容率が一三二・六%という状況にございましたところ、それ以降、福島刑務支所あるいは美祢社会復帰促進センター、あるいは加古川刑務所の女子収容区域の新設などを行いまして女子受刑者の収容定員の拡充を図ってきたところでございまして、現在、収容人員、確かに高止まりではございますけれども、収容率につきましては九七・七%まで減ってきている状況にございます。
 この収容率が改善しない理由につきましてお尋ねでございますけれども、なかなか一概にお答えすることは難しゅうございますけれども、女子受刑者の特徴といたしまして、窃盗とか覚醒剤取締法違反による入所が依然と多いということ、それから高齢受刑者の割合も増加していることなどから収容人員が高止まりをしているんではないかというふうに考えておるところでございます。
 以上でございます。
#125
○糸数慶子君 女子受刑者の場合なんですが、薬物犯対策は特に問題と言われています。また、受刑者全体に言えることですが、女子受刑者についても、先ほどもありましたが、高齢化が特に問題になっているという指摘もございます。
 平成二十六年度予算案において、これらの女子受刑者の過剰収容対策、あるいは女子受刑者の更生のためにどのような人的そして物的対策が取られているのか、改めて伺います。
#126
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 まず、過剰・高率収容対策といたしましては、男子施設を女子収容施設として転用することを考えておりまして、具体的に申し上げますと、現在、男子施設がございます愛媛県の松山刑務所西条刑務支所に女子受刑者を収容するための必要になる人的、物的体制について、平成二十六年度予算案に計上させてもらっているところでございます。
 また、おっしゃいましたように、女子刑事施設の処遇の問題、薬物事犯者、高齢者、摂食障害などを有する者等に対して地域の医療、福祉等に係る専門家から相談、助言等の支援を得られるようにするための経費を、栃木刑務所、和歌山刑務所、麓刑務所、この三庁についてその経費を予算案に計上させてもらっているところでございます。これ、具体的に申し上げますと、若年女子刑務官、若い女子の刑務官が中心の女子刑事施設におきまして地域の専門家によります支援ネットワークを構築しまして、女子受刑者処遇の充実を図っていきたいと、こう考えている次第でございます。
 以上でございます。
#127
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、また、復帰前に米軍基地において働いていた労働者のアスベストの健康被害の問題についてお伺いをしたいと思います。
 沖縄におきまして復帰前に米軍基地において働いていた労働者の石綿健康被害に関して質問させていただきますが、このアスベストによる疾病は中皮腫や肺がんなどがありますが、非常に長い期間を経てから発症すること、どのような状況で吸い込んだのか経路を明らかにするのが難しいことなどが指摘されています。このため、石綿関連作業に従事し、長い期間を経て発症した者の石綿関連作業に従事していたことが特定できないことから、労災補償の給付を受けられない労働者がいます。
 こうした労働者を救済するため、平成十八年に石綿健康被害救済法が成立をし、労災補償の対象とならない周辺住民などへの救済給付と併せて、労災補償を受けずに亡くなった労働者の遺族に対し特別遺族給付金が給付されております。
 こうした問題は、国内の産業に従事した労働者に限った問題ではありません。先ほども申し上げましたが、米軍の基地で働いていた労働者にもこういう問題が発生しております。
 今年の二月ですが、沖縄の地元の新聞、沖縄タイムスによりますと、沖縄が昭和四十七年に日本に復帰する前に米軍基地において働いていた労働者の労務記録カード、すなわち軍雇用員カードですが、およそ二十万人分が沖縄県公文書館に保管されているものの、この石綿関連疾病を発症した者への救済に活用されていないという状況が分かりました。そこで、これに関して質問したいと思います。
 まず、私、せんだって質問主意書を提出いたしましたが、その中で、復帰前の沖縄駐留軍労働者の石綿健康被害に関する質問主意書に対して、政府の答弁は、こうした復帰前の米軍関係労働者が石綿関連疾病を発症した場合、米国に直接雇用されていた者については米国政府に請求でき、これ以外の者については一九六一年高等弁務官布令第四十二号の労働者災害補償が適用されるというふうになっておりますが、そういうふうに理解してよろしいでしょうか。
#128
○政府参考人(大西康之君) 委員御指摘のいわゆる沖縄が昭和四十七年に日本に復帰する前のことでございますが、一九六一年の高等弁務官布令第四十二号というのの適用を受けていた米軍関係労働者のうち、この昭和四十七年外務省告示第五十三号に規定するアメリカ合衆国政府又はその機関の被用者であった方が復帰前に被災した労働災害に関する補償に関しましては、琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定に基づきまして、アメリカ合衆国政府に請求できることとされております。また、米軍関係労働者のうち、アメリカ合衆国政府又はその機関の被用者以外の方につきましては、沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づきまして、先ほどの布令第四十二号に規定する補償水準によって補償が行われることとされております。
#129
○糸数慶子君 今お答えいただきましたけれども、厚生労働省は、平成二十四年十一月七日の衆議院厚生労働委員会におきまして、復帰前の米軍関係労働者が存命であって加療中の場合には、この石綿健康被害救済法の救済給付によって医療費等が支給される旨答弁しておられますが、この趣旨は、米国に直接雇用されているかいないかにかかわらず、存命であって加療中の米軍関係労働者は、この石綿健康被害救済法の救済給付を受けることが可能であるというふうに理解してよろしいでしょうか。
#130
○政府参考人(大西康之君) 御指摘のこの石綿による健康被害の救済に関する法律でございますが、石綿による健康被害について幅広く救済するという観点から制定されたものでありまして、復帰前の米軍関係労働者であって石綿による健康被害を受けられた方について、現在存命であって加療中の方につきましては、米軍に直接雇用されていたか否かにかかわらず、同法に基づく救済給付による医療費等が支給され得るものと承知しているところでございます。
#131
○糸数慶子君 それに関連して、平成二十三年に厚生労働省が都道府県労働局に発出いたしました沖縄の復帰前に労働者災害補償の適用を受けていた米軍関係労働者に係る石綿による健康被害の救済に関する法律の適用についてによりますと、死亡した復帰前の米軍関係労働者の遺族が時効のため布令第四十二号による補償を受けるその権利を失った場合には、石綿健康被害救済法に基づく特別遺族給付金の支給対象とされています。この特別遺族給付金の支給対象となる米軍関係労働者は、米国に直接雇用されていた方、間接雇用されていた方も対象になるのでしょうか。
#132
○政府参考人(大西康之君) 復帰前の米軍関係労働者の御遺族の方についてでございます。
 先生御指摘の通達でございますが、平成二十三年八月の二十六日でございますが、この布令第四十二号による遺族補償の請求権を時効で失った場合には、石綿健康被害救済法に基づく特別遺族給付金の支給対象となるものとしたところでございます。
 この通達につきましては、御指摘のとおり、復帰前の沖縄の米軍関係労働者の御遺族につきましては、米国に直接雇用されていたかあるいは間接雇用されていたかにかかわらず、この布令第四十二号による遺族補償の請求権を時効により失った者につきましては特別遺族給付金を請求することができると、そういった趣旨でございます。
#133
○糸数慶子君 答弁書によりますと、特別遺族給付金のその申請手続において、石綿関連作業に従事したことを証明するために、労働基準監督署において、就労状況を明らかにする記録、あるいはまた同僚労働者の証言その他の暴露に係る情報等による、石綿への暴露に係る事実関係を確認することになるというふうにされています。
 新聞報道によりますと、同僚であった労働者については、昔の電話帳や写真を頼りに捜さざるを得ないけれども、高齢化が進む中で見付からないことも多いと、こう指摘されております。
 そうなりますと、沖縄県公文書館で管理されている軍雇用員カードの活用が期待できるというふうに考えるわけですが、厚生労働省は、軍雇用員カードを活用することについて、本年二月十九日の衆議院予算委員会において、カードが約二十万人分という膨大な数であり、また古い記録であることに、またさらに、個人情報保護などの観点により沖縄県から情報提供の了解を直ちに得ることが難しいといった問題があるという旨答弁をされていますけれども。
 いろいろ難しい点があることは理解いたしますが、やはり少しでも軍雇用員カードの活用を始めていただきたいと思いますけれども、そのことについての御見解をお伺いいたします。
#134
○政府参考人(大西康之君) 御指摘の軍雇用員カードの活用方法につきましては、一つには、先生御指摘のとおり、個別の特別遺族給付金の決定に当たり石綿関連作業歴を確認するという活用の仕方、あるいは、復帰前の沖縄の米軍関係労働者であって、石綿健康被害救済制度の周知を行うに当たっての情報源として活用する、そういった方法が考えられると思います。
 前半の個別の特別遺族給付金の支給決定に当たり石綿関連作業歴を確認する際に軍雇用員カードの情報を活用することにつきましては、十分可能であると考えているところでございます。
 また、復帰前の沖縄米軍関係労働者の方々につきまして石綿健康被害救済制度の周知を行うに当たっての情報源としての活用につきましては、軍雇用員カードについて先生述べられたとおり、量が膨大であることとか、あるいは住所が移転するとかいろんな問題があるというのは事実でございますけれども、就労当時のそういった情報として大変重要なものであるということから、現在、沖縄県に対しまして、軍雇用員カードの記載状況とかあるいは保存の状況、その他の沖縄県の把握している状況を確認するとともに、どのような活用が可能かについて検討を進めていると、そのような状況でございます。
#135
○糸数慶子君 石綿関連の疾病を発症し、さらに死亡した米軍関係労働者を軍雇用員カードにより特定していくその作業というのは本当に莫大な労力と時間を要するかもしれませんが、しかし米軍関係労働者のその問題を解決したいという意向が政府にありましたならば、また今アベノミクスによる景気浮揚がまだまだ見られない沖縄において雇用を創出するという点からも、この観点は是非とも取り組むべき課題だというふうに提案をしたいと思います。
 最後になりますが、相続法制ワーキングチームについてお伺いをしたいと思います。
 昨年、最高裁が婚外子相続分差別について違憲決定を出した結果、民法の規定が改正されたことは一歩前進だと考えています。
 ところで、その後、法務省内には相続法制ワーキングチームが設置されて、現在検討が行われていると伺っております。同ワーキングチームにおける検討内容、今後のスケジュール及び民法等関連法律の改正予定の有無について御説明をお願いしたいと思います。
#136
○政府参考人(深山卓也君) 今委員から御指摘があったとおり、嫡出でない子の相続分に関する昨年の最高裁の違憲決定を受けまして、さきの臨時国会において民法の一部改正法が成立いたしましたけれども、その過程において各方面から、民法改正が及ぼす社会的影響に対する懸念が示されたほか、配偶者保護の観点から相続法制を見直す必要があるといった問題提起がされました。これを踏まえて法務省においては、家族法の研究者や一般有識者等の協力を得て、相続法制等の在り方について検討を進めるためのワーキングチーム、これ相続法制検討ワーキングチームと呼んでいますが、これを設置いたしました。
 このワーキングチームは本年の一月二十八日に第一回を行って、そのときは今後検討すべき課題についてフリートーキングを行いましたけれども、二月の二十四日に第二回を行い、このときは生存配偶者の居住権についての検討を行いました。次回は四月四日に第三回を行うことが予定されておりまして、その後もおおむね一か月に一回程度開催をいたしまして、来年、二十七年の一月頃には取りまとめをする予定でございます。
 その後のどういう法改正に結び付くかというのは、この取りまとめを見ての先の話で、現段階で決まっていることがあるわけではございません。
#137
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 今いろいろ検討していらっしゃることを伺いましたが、同ワーキングチームはその議事録を非公表として、そして議事要旨のみを公表するようになっているようですが、これ、議事録を非公表とする理由は一体何でしょうか。そして、相続法制という国民に密接に関連する問題について議論するわけですから、発言者は匿名でも結構ですから、法制審の部会などと同じように議事録は公表すべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
#138
○政府参考人(深山卓也君) これは、相続法制検討ワーキングチームの第一回の際にメンバーで協議をしていただいた結果、各メンバーの自由闊達な意見交換を行っていただくために、発言者の名前を入れた速記録のようなものは公開しない、その代わり、発言者の特定まではしないものの、その発言の要旨は事務当局の作成した資料とともに法務省のホームページで公開すると、こういうふうに決まって、そういう運用をしております。
 法制審議会のようにというお話がありましたが、このワーキングチームは、法改正の内容を詰めるということでは、そのもう少し手前の、どういう点にどんな問題があるかということを様々な角度からいろんな形で議論をしていただこうと、こういう趣旨のものでございますので、メンバーの方の合意に基づいて、そういう形で議事録の運用をしているということでございます。
#139
○糸数慶子君 やはり議事録は公表していただきたいということを強く要望いたしまして、時間になりましたので終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#140
○委員長(荒木清寛君) 以上をもちまして、平成二十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#141
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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