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2014/03/27 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第6号
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2014/03/27 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第6号

#1
第186回国会 法務委員会 第6号
平成二十六年三月二十七日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     溝手 顕正君     滝波 宏文君
     森 まさこ君     渡邉 美樹君
     前川 清成君     蓮   舫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                山下 雄平君
                若林 健太君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
    委 員
                石井 準一君
                滝波 宏文君
                宮沢 洋一君
                柳本 卓治君
                吉田 博美君
                渡邉 美樹君
                江田 五月君
                蓮   舫君
               佐々木さやか君
                行田 邦子君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       法務副大臣    奥野 信亮君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  平口  洋君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中村  愼君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   安浪 亮介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       法務大臣官房司
       法法制部長    小川 秀樹君
       法務省民事局長  深山 卓也君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、溝手顕正君、森まさこさん及び前川清成君が委員を辞任され、その補欠として滝波宏文君、渡邉美樹君及び蓮舫さんが選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(荒木清寛君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務大臣官房司法法制部長小川秀樹君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(荒木清寛君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○若林健太君 自由民主党の若林でございます。
 本日は、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。
 裁判所職員定員法は例年改正が行われているわけですが、今年の一部改正の法律案は、前回の委員会で提案理由の御説明があったとおり、判事の定員を三十二名増員させ、裁判官以外の裁判所職員の定員を三十六名減員をするというものでございます。本日は、このうち、判事の定員の増加というところを注目して御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 これまで、判事の定員の増員については、司法制度改革以降例年行われてきているわけです。平成十三年六月の司法制度改革審議会意見書では、裁判所の人的体制の現状を見ると、例えば、裁判官数が足りないことにより、裁判官の負担が過多であるということ、それから大型事件等の長期化などの深刻な事態が生じているという指摘がありました。様々な制度改正をするに当たっては、裁判官を大幅に増員することが不可欠であるということが指摘されたわけであります。
 平成十三年十一月に司法制度改革推進法が制定されてからもう十年以上経過いたしました。このような司法制度改革における要請に応えるために、裁判所ではこれまでどのように体制整備を行ってきたのか。判事の増員、又は、今回は増員になっておりませんけれども、判事補も併せた裁判官の増員という観点から、司法制度改革以降の体制の整備の状況について最高裁にお聞きしたいと思います。
#7
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 裁判所は、司法制度改革審議会におきまして、訴訟の迅速化、専門化への対応のため、今後十年間で裁判官約四百五十人プラスアルファの増員が必要であるという意見を述べさせていただき、平成十四年度から計画性を持って増員させていただいたところでございます。
 また、十七年以降は裁判員制度の導入に向けた体制整備ということも併せて行いまして、平成十四年度から平成二十三年度の十年間で合わせて裁判官約六百人の増員をさせていただいたところでございます。
 また、その後も、平成二十四年度に三十人、平成二十五年度に三十二人の裁判官の増員をお認めいただき、人的体制の整備を努めてまいったところでございます。
#8
○若林健太君 司法制度改革後に六百人を超える裁判官の増員があったということであります。平成十三年当時、裁判官の定員は判事と判事補を合わせて二千二百二十名だということでありますので、今のお答えの六百人ということからしますと、その後の十年で四分の一以上、昨年まで入れますと更に六十人ほど増えたわけですから、現在、改革の頃よりも大体三割ぐらい裁判官が増えたということになります。
 それでは、増員という体制整備によって、実際の裁判の運用においてどのような成果があったのか。例えば、裁判官が増えることによって審理期間が短くなったとか、そうした具体的な効用というのはどうなっているのか、その点についてお聞きしたいと思います。
#9
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 平成十二年当時の審理期間を見ますと、民事訴訟の第一審における平均審理期間は八・八か月、また、人証調べのある判決で終局した事件の平均審理期間は二十・三か月でございました。
 司法制度改革審議会で、民事訴訟事件の審理の充実、迅速化ということで、審理期間をおおむね半減するということを目指すものとされたことで、裁判所といたしましては、地裁民事訴訟の全事件を平均七月以内に、また人証調べのある地裁民事訴訟の審理期間を平均一年以内に終了させることを目標としてやってきたところでございます。ただ、その後、民事訴訟事件の増加により裁判官の手持ち事件が増加したというような要因もございまして、平成二十五年度の民事訴訟の一審の平均審理期間は八・二か月、また人証調べがある判決終局事件の平均審理期間は十九・四月ということで、若干の減少にとどまっているというところでございます。
 しかし、複雑困難な専門訴訟の審理期間について見ますと、医療関係訴訟につきましては約一年、知財関係訴訟については約半年余り短縮しているということでございます。また、未済事件のうち二年を超える事件の割合は、平成十二年では一二・四%でありましたけれども、平成二十五年では七・一%に減少すると、一定の効果が出ているということでございます。
#10
○若林健太君 今御説明いただいたように、一定の効果が出ているということでありますが、今御説明いただいた中での、人証調べがあり裁判終局事件というものを見ますと、平成十二年二十・三か月だったものが十九・四か月。目標は十二か月と。目標との比較でいくとまだまだ到達、まあこれ、進捗しているとははるかに言い難い状況にあるわけでありまして、三割も裁判官を増員した割にはその成果はいかばかりかなというところでございます。
 もちろん、非常に複雑な事件が増えているということ、あるいは労働審判などの増加といった要因もあるわけで、その中で検討されているということでありますが、この目標に対して今後どういうふうに取り組んでいくおつもりなのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#11
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、まだ目標という数字には至っていないというところでございまして、その要因につきましては、過払い事件を中心とする民事訴訟事件の増加等、また専門事件の増加といった様々な要因が関連しているというふうに思っております。
 適正、迅速な事件処理のためにはその訴訟手続の運用改善を行っていくというのが必要でございますが、それと併せて、更に一定の増員も必要であるというふうに考えているところでございます。ただ、毎年どのような数を増員するかということにつきましては、大きく変動する事件数やその訴訟実務の在り方を踏まえて検討することがございますし、また判事の給源が限られているという事情もございます。
 そのような変動要素があるわけですけれども、裁判所といたしましては、裁判官を計画的に増員し、その手持ち事件の減少を図りながら、訴訟関係人の理解等を得つつ、審理の充実、実践を図っていき、合理的期間内での適正な裁判の実現を目指していきたいというふうに考えているところでございます。
#12
○若林健太君 日本全体からすると人口減少社会なんですね。にもかかわらず、三割も増員されている。多分日本の企業でそんなどんどんと増員しているようなのはないんですね。しかし、社会が複雑化してきていること、訴訟件数が増えていること等で、こうして増員するから何とか今、審理期間等が少しずつ減ることができていると、こういうことだと思います。社会全体の趨勢あるいは国際的な比較等を見ながら、しっかりとその目標を、不断の見直しをしながら取り組む必要があると、このように思います。そのことは御指摘させていただきたいと思います。
 さて、ここまで増員について質問させていただきましたが、このように増員によって裁判の審理期間が短縮していくとしても、それと同時に、裁判の中身がしっかりしたものであることが当然のことながら重要なわけであります。裁判官の増員は重要でありますが、単に数増やせばいいというものではありません。中身も問題になってくるというふうに思います。
 そうすると、裁判官の質の向上が必要だと思いますが、この点について最高裁としてはどのような取組をされているのか、お伺いしたいと思います。
#13
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 裁判所に持ち込まれる事件は近時ますます複雑専門化しているところでございまして、このような状況に適切に対応するためには、裁判官が不断の研さんによりその能力の一層の向上に努める必要があるというのは委員の御指摘のとおりでございます。
 裁判官の研さんは何よりもオン・ザ・ジョブ・トレーニングということで、日頃の執務において具体的な事件処理を通じて行う自己研さんが中心となるわけですが、そのような自己研さんを支援し、裁判官に幅広い視野や専門的知見を身に付けさせるために、司法研修所においても様々な研修プログラムを用意しているところでございます。この研修プログラムは、裁判官のニーズや全体の課題を考慮しながら、民事・刑事事件の審理の在り方といった基礎的な課題から、高度に専門的な事件あるいはその背景にある社会的、経済的事情に至るまで幅広いテーマを設定して研修を行っているところでございます。
 また、少し長い目で見たプログラムといたしまして、裁判所の外部におきまして、若手裁判官に多様で豊かな経験を積ませることを目的として、民間企業等への派遣、弁護士職務経験、海外留学、行政官庁への出向等を行っているところでございまして、これらの様々な外部経験を通じまして、裁判官が幅広い視野と柔軟でバランスの取れた考え方を身に付けることができるよう支援していきたいというふうに考えているところでございます。
 今後とも、日頃の事件処理に地道に取り組むことを中心としながら、研修を効果的に組み合わせるなどいたしまして、裁判官の能力、識見を高める取組に努力してまいりたいと考えているところでございます。
#14
○若林健太君 司法制度改革審議会意見書では、二十一世紀の我が国社会において司法に期待される役割として、法の支配の理念に基づき、全ての当事者を対等の地位に置き、公平な第三者が適正かつ透明な手続により公正な法的ルール、原理に基づいて判断を下す司法部門が、政治部門と並んで公共性の空間を支える柱とならなければならないということがうたわれておりました。このように、司法の役割の重要性は現在においても変わるところはないというふうに思います。裁判所はまさにこの司法の中核を担う機関であります。
 そこで、最高裁として、今後この司法の役割の重要性を踏まえて増員を含めた体制の整備をどのようにしていくか、総括的なお話をいただきたいと思います。
#15
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、裁判の適正、迅速な処理ということで、裁判所に課せられた使命というのは重いというふうに考えております。そのために、人的体制の充実を含めてこれからも不断な努力を続けてまいりたいと、このように考えている次第でございます。
#16
○若林健太君 質、量ともしっかり頑張りますと、こういうことでございました。
 先日の大臣の所信表明において、揺るぎない法の支配の確立ということを掲げておられました。最高裁がこうして体制の整備をしっかりやっていくと。それに対して法務省として、大臣として、その支援について御決意のほどをお伺いしたいと思います。
#17
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、若林委員が質疑をされましたけれども、法の支配の下で裁判所が世の中にある事件あるいは紛争を適切に迅速に処理をしていく、解決していくということは、安心、安全な社会をつくる、自由で公正な社会をつくる、不可欠のことだろうと思います。それには裁判所の人的な体制の充実ということは避けて通れないことだろうと思います。員数それから資質と、両面、今御指摘のとおりだと私は思っております。
 裁判の迅速化というのは随分進んできたなと、ある程度前へ進んできたなと私も思います。しかし、この問題は、司法権の独立の下で、まず裁判所自体がどういう体制を組んでいくのかというのをこれは御判断いただかなければならないことでございまして、私どもは行政府におりまして、この司法部の問題、密接な関係がございますので、私ども、それと協力をしながら進んでいきたいと、このように思っております。
#18
○若林健太君 司法はまさに先進国社会の重要なインフラであります。大臣の今御決意のとおり、しっかりと、また最高裁もその応援をもらいながら取り組んでいただきたいというふうに思います。
 私の質問はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
#19
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫です。
 このところ、例年、裁判官の増員を中心とした定員の増が行われておりますが、司法の分野が国民から信頼されているということは大変望ましいことであり、また、それに応えて司法が充実するということは、またこれも大変いいことだと思っておりますが、引き続いて国民の信頼に応えられるような司法というものに邁進していただきたいと思っております。
 さて、最近の裁判所の事件を統計的に見てみますと、労働関係訴訟、労働審判がここ数年顕著に増加しているように思うんですが、そこのところの状況はいかがでしょうか。
#20
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 労働審判事件、労働関係訴訟の事件数ということでございましたが、労働審判につきましては、平成十八年四月の施行後、年々申立て件数が増加しているところでございまして、二十一年には三千四百六十八件ということで、前年比一・七倍と急増したところでございます。また、二十四年には三千七百十九件、二十五年には、まだこれ暫定的な統計数値でございますが三千六百七十八件と、依然として高い水準になっているということでございます。
 また、労働関係訴訟につきましても、平成十八年当時は二千百五十三件でございましたが、その後増加いたしまして、平成二十一年には三千三百二十一件、また平成二十五年には三千二百九件と、依然として高い水準になっているということでございます。
#21
○小川敏夫君 国民が司法に救済を求めるというのは、全ての面でそれは切実な問題があるんでしょうし、適切に対応しなければならないというふうに思いますが、とりわけ労働関係ですと雇用とか賃金が中心でしょうけれども、これは言わば働く人の生活そのものが懸かっているという面で、とりわけ生活に影響を与えるといいますか、もし問題があればそれを救済するということの、早期に救済する必要があるというその必要性は高いものと思いますが。
 このように労働関係の事件が増えているという中で、言わば一つ一つの案件の処理が滞るとか、あるいは、判断が薄くなるというのはちょっとあれでしょうけれども、審理が粗雑になるとか、そういうことが、ないと思いますが、ないということをきちんと説明していただきたいと思いますが。
#22
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 審理の一件一件の処理が雑になるということはもう決してあってはならないことでございます。それぞれの事件について、裁判所といたしましては一件一件を大切に処理しているところでございます。
 平均審理期間ということでいいましても、労働審判事件、平成十八年には七十二・九日間ということでした。平成二十五年には七十九日ということでほぼ横ばいというような感じでございます。労働関係訴訟についても、二十一年から二十五年の平均でいいますと十二・五か月ということで、減少傾向にあるのではないかというふうに考えております。
 御指摘のとおり、一件一件、その質について雑なことのないように今後とも取り組んでまいりたいと思っております。
#23
○小川敏夫君 なぜ事件が増えたかということは、これは裁判所に責任があるわけでもありませんし、またそれを問うてもしようがないんでありますが。
 言わば、私なりに考えるところは、結局、雇用の形態が変わってきたと、正規雇用から非正規雇用が増えたというような雇用の流動化という面が、私はこの労働関係事件が増えたということの背景としての社会状況じゃないかというふうに思うわけです。まあ、その雇用の問題を最高裁に尋ねてもこれはしようがありませんし、法務大臣も所掌事項じゃないんでありますが。
 やはり、法務大臣、一人の政治家として、やはり働く者の権利や生活というものが不当に損なわれることがあってはならないと、もしそういうことがあれば正しく早期に救済されるという意味での司法というものが重要であるというふうに思いますので、そこら辺のところの大臣の、一人の政治家として、法務大臣としてではなくて、大臣としてのそのお気持ちをお聞かせいただければと思いますが。
#24
○国務大臣(谷垣禎一君) 当然のことだろうと思います。やはり労働というのは国民一人一人にとって極めて重要な問題でございます。そこで紛争が起きた場合にそれが適正に迅速に解決される、これは暮らしの安心ということにとっても極めて大きいし、日本社会の安定ということにとっても望ましいことではないか。この分野の司法がその役割を十分に果たしていただくことを私も期待しております。
#25
○小川敏夫君 では、質問の角度を変えます。
 司法が適切に判断を行うという中で、専門分野のことにつきましてはやはり専門家の知見を、知見を持った人の協力を受けて判断するということが必要だというふうに思いますが、現状、例えば医療とか建築関係が多いというふうに聞きましたが、そうした専門分野において、その民間の専門家の協力を得るということの仕組みとしては今どのような状況になっておるでしょうか。
#26
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 専門的な知見を要する事件におきまして適正、迅速な裁判を実現するためには、専門委員、専門家調停委員、鑑定人といった専門知識を有する者の活用が重要だということは委員御指摘のとおりでございます。裁判所全体で専門委員といたしましては各分野の専門家約千九百名を確保いたしまして、必要に応じてその活用を図っているところでございます。また、鑑定人につきましては、適切な専門家を鑑定人として選任することができますよう、医事関係訴訟及び建築関係訴訟につきまして、各地裁及び最高裁のレベルにおきまして学会等から専門家の推薦を受けるという体制を構築しているところでございます。
 今後とも、専門的知見を要する事件について、適切に専門的な知見を活用して裁判の処理ということに当たっていきたいというふうに考えているところでございます。
#27
○小川敏夫君 また、裁判所の組織的にも、専門性の高い事件については専門部というものを設けて集中的に対応しておるようですが、そのところの状況はどうでしょうか。また、それが特に機能して審理の促進に役に立っているかどうかも含めて説明をいただければと思います。
#28
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 専門事件につきまして、事件数が多い庁につきましては専門部あるいは集中部という体制を取りまして、その知見を集中的に活用するという体制を、ノウハウというのを活用するという体制を取っております。そのような専門部、集中部につきましては一定のやはり事件数があるということが前提になるわけですけれども、そういうような要件を満たすような庁につきましてはそのような体制を今後とも考えていって、それぞれの事件について、裁判官についてもそのノウハウの蓄積、そのノウハウの活用ということをやっていきたいというふうに考えているところでございます。
#29
○小川敏夫君 専門部の仕組みも順調にうまくいっておると思うんですが。
 私、一つだけ、行政部という専門部があるんですけれども、行政部、行政事件の特殊性があるものもあるんでしょうけれども、ただ単に被告が国だというだけで事件の中身は一般案件、不法行為であるとか、そうしたものがあって、特別専門性を必要としないような件も、行政部というものがあって、行政部で担当するというような運用になっていると思うんですが。
 行政事件はほとんどが被告が国ということも考えれば東京が多いわけです。そうすると、東京で行政部として行政事件を全部集めてしまうと、そうすると、そこの裁判長なり裁判官を国に非常に理解のある人を据えれば大体国が勝ってしまうというような、事実上の国側に有利な判断がなされるような仕組みができてしまうんではないかという危惧を私は抱いておるわけでございます。
 そうした面で、私は、この行政部の在り方というものについて、あるいは行政事件の処理というものについて、もう少し掘り下げて検討した方がいいのではないかと思っておるんですが、いかがでしょうか。
#30
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
 各裁判所におきます裁判官の配置につきましては、毎年それぞれの裁判所の裁判官会議の議決によって定められるものでございます。
 東京地裁の行政部についてお尋ねがございましたが、東京地裁におきましても、裁判官会議の議決によりまして行政部の裁判官の配置を決めておるものでございます。その際に、殊更こういう裁判官を行政部にというふうなことで配置していることは考えられないところでありますし、最高裁といたしましても、そのようなことはあり得ないものと考えております。
#31
○小川敏夫君 そういう答弁で受け止めておきますけれども、一方、私が述べたような目で見る見方もあるということも考えて、国民からの信頼が得られる司法というものの構築に引き続いて努力していただきたいというふうに思います。
 さて、裁判所が国民から信頼を得るということは大変大事だと思いますが、しかし、いわゆる私人間の紛争が、全て司法に依頼するということよりも、司法の前段階で自主的に解決する、あるいは民間の紛争解決機関等の場において解決するということが私は紛争の解決の在り方として非常にふさわしいと思っておりますし、またそうした観点から、言わばADRですか、現在それがもう既に機能しておるわけでございます。
 私は、やはり裁判官の増員ということで司法を充実することも大事ですけれども、司法に来る前に更に紛争を解決すれば、その分、司法の方もゆっくり判断、ゆっくりというのは言い方おかしいですけれども、適切に紛争の解決ができるというふうに思うわけです。
 そうした面で、ADRの重要性というものは私非常に大切だというふうに考えておるんですが、現在このADRの認証は法務大臣がするようになっておりますが、現時点で認証したADR機関はどのくらいの数になっているんでしょうか。
#32
○国務大臣(谷垣禎一君) 現時点では、平成十九年四月一日に運用を開始したわけですが、今までに百二十八の認証紛争解決事業者が活動中でございます。
#33
○小川敏夫君 どうでしょう、ざっくばらんに言って、まだそうした運用が始まってそんなに日がたっていないんでしょうけれども、言わばその実績といいますか現状は十分に満足できる状況なのか、あるいはもう少し頑張ってもらいたいというところなのか、ちょっとそこら辺の状況はいかがでしょうか。
#34
○国務大臣(谷垣禎一君) ADRの必要性というのは、もう先ほど小川委員がおっしゃったとおりだと私は思うんですね。
 そこで、今百二十八出てきておりますが、やはりそれぞれの参加していただいた方の特色があると思います。それぞれの専門性と申しますか、やはりそういったところの、どういうところにそれぞれの組織の特色があり、何というんでしょうか、優位性があるのかというような魅力、魅力をやっぱりよくアピールしていかなければいけないというところがあるんだろうと思います。
 私どもも、平成二十五年の二月からADR法に関する検討会というのを開きまして、いろいろ御議論を賜って、先日答申をいただいたところでございますが、そういったADRのそれぞれの機関の特質、重要性、魅力というものをもう少しPRせよというようなことを中心にいろいろ御指摘をいただいております。
#35
○小川敏夫君 個々的にADRで受け付けて、あるいは解決まで導いたというようなところは、これは一つ一つのADRについて法務省は把握しているんでしょうか。
#36
○政府参考人(小川秀樹君) 私ども認証事業者は所管している立場でございますので、それぞれの認証事業者の処理件数などについては把握しているところでございます。
#37
○小川敏夫君 どうでしょう、数の面からいって、十分に、当初の言わばもくろみといいますか目標どおりに機能しているというだけの数の処理ができているでしょうか。
#38
○政府参考人(小川秀樹君) 数字の点若干申し上げます。平成二十三年度の認証ADR、先ほど話がございました、百二十八事業者ございますが、受理件数は千三百五十二件でございます。うち成立した件数が五百一件でございます。
 実情を見ますと、やはりかなりばらつきがございまして、専門性を生かして非常に利用されるところもあれば、必ずしもその件数自体は多くないというところなど、様々ではございます。
#39
○小川敏夫君 利用が少ないところ、それはADR当事者そのものの努力が少しまだ弱いという面もあるんでしょうけれども、また、ある意味では、このADRという紛争解決方法があるんだということを法務省の方でもしっかり国民に啓蒙していただけたらと思うんですが、どうでしょうか。
#40
○政府参考人(小川秀樹君) 御指摘のとおり、認証事業者の活動ぶりなどについての広報活動の重要性は認識してございます。かいけつサポートという形でロゴなどを作ってホームページにアップしてございますが、引き続き周知に努めてまいりたいと考えております。
#41
○小川敏夫君 私、ADRはできて、といっても、つくった人は当然、調停とか和解とかそうしたことについてはまだ未経験といいますか不慣れな人たちで構成しているという面もあるのではないかと思います。
 そうした面で、私思うのは、調停や和解というのはこれまで裁判所がずっと長い間これを行ってきたわけですから、言わば公正に進めるあるいは円満に進めるということの進め方等については大変に貴重な、また重要なノウハウというものをもう蓄積してあると思うんです。ですから、このADRについて、裁判所が直接これを介入するとか指導するというのはこれは筋が違う話だと思いますが、言わばADRにおける調停や和解の進め方を、言わば公平に進めるための方法をどうするかとか、円満に進めるためにはどうしたらいいかという技術的な側面、言わばそうした公益的な側面で、求められた場合にはアドバイスなり講演なりして、より適切な、ADRの解決方法が適正な方向に向くように協力してもよろしいのではないかと思うんですが、仮にそういう求めがあった場合には協力いただけるような体制にはなっておるんでしょうか。
#42
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 社会で生起しております様々な紛争を解決するという観点でいいますと、ADRと裁判所が適切な役割分担と連携を行うことが極めて重要であるというふうに考えております。
 こうした観点から、裁判所がADRからの依頼を受けまして裁判官を講師として派遣し、進行、運営に関する知見やノウハウを提供した例というのは過去にもございます。一つ二つ例を申し上げますと、例えば、全国建設工事紛争審査会連絡協議会でありますとか公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部などに裁判官を講師として派遣しているところでございます。
 ADRの取扱い分野や性格は多岐にわたりますので、今後、講師依頼の派遣があったときには、その具体的な要望を踏まえまして、どのような協力ができるかということを検討していきたいと考えているところでございます。
#43
○小川敏夫君 是非、ADRの適正な普及に協力し、あるいは努力していただきたいというふうに思います。
 最後に、今、民法の債権法の改正の検討が継続しておるわけでございます。現時点で今この債権法改正、検討状況がどうなのか、それをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#44
○国務大臣(谷垣禎一君) 現在、法制審議会で民法、債権法関係の改正に関する審議を行っているところでございますが、これはもう民法ができて百十年以上になります。その間にもちろん社会経済は大きく変化をしておりますし、その対応をしなきゃなりません。それから、相当判例等も積み重なりまして、条文を見ただけではなかなか具体的にどういうふうに民法が今働いているのかというのが分かりにくい面もあるので、判例法理を踏まえた規定の明確化ということも必要だと、それで国民に分かりやすい法典にしたいと、こういうことで、平成二十一年十月に諮問がなされまして、現在、調査審議を重ねていただいております。
 そこで、部会では、まず、平成二十三年四月に民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理、取りまとめました。それから、二十五年二月に民法(債権関係)の改正に関する中間試案、これを取りまとめていただいて、現在、部会では、平成二十七年ですから来年でございますね、来年の一月頃に要綱案を取りまとめることを目標として議論を進めていただいております。
 それで、どういうことが議論されているかというのも多岐にわたりますが、代表的な点を幾つか申し上げますと、一つは、保証人保護の方策を拡充するという観点から保証制度をどう見直していくか。それから、約款というものが、民法制定当時はそんなものは余りなかったわけでございますが、今は非常に約款というのが広く行われておりますので、それに関する規定をどういうふうにしていこうかということ。それから、消滅時効制度、これはいろいろ職業によっては多岐にわたってなかなか分かりにくいというようなこともございますので、消滅時効制度をどうしていくか。それから、法定利率が市場金利と相当開いているんじゃないかと、それをどうしていくのかといったような問題が主たる検討の対象とされているというふうに承知しております。
#45
○小川敏夫君 今検討課題の一つとして御説明いただいた第三者保証ですか、今日はたまたま差し替えでいませんが、前川委員が熱心に取り組んで、昨年でしたか、この参議院の法務委員会ではそれを制限する議員立法が参議院では可決したということもございました。
 大変にやはり社会の関心の強い事項でもありますし、また重要なことでもありますので、適切に、そして早期にそうした対応を実らせていただきたいというふうに思います。答弁要りません。
 私の質問はこれで終わります。
#46
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。
 今回の法律改正では判事の員数が三十二人増加をするということで、判事の体制については年々充実してきているように思いますけれども、それに比べまして判事補の状況についてはやはり余り変化がないのかなと感じております。
 特に欠員の問題ですけれども、平成十八年頃、新司法試験制度が始まりました平成十八年頃から欠員が徐々に多くなってきていて、平成二十年頃からは毎年百人以上ということであります。また、平成二十四年は百三十七人の欠員だったのが平成二十五年には百五十二人ということで、年々拡大しているように思うんですけれども、この辺りの原因について、改めて最高裁としてはどのように把握していらっしゃるんでしょうか。
#47
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
 委員御指摘の判事補の欠員の点でございます。
 平成二十五年の十二月時点では百五十二人の欠員があったと、これは委員御指摘のとおりでございます。ただ、翌年、すなわち今年の一月に新たに新任判事補が九十六人任官しておりますので、現時点で申し上げれば五十六人の欠員ということになります。この五十六人という数字でございますけれども、判事補の任期が十年、一期当たりでいいますと五、六人の欠員ということになろうかと思います。ここ数年の新任判事補の採用実績に照らして考えますと、十人程度、一期当たり十人程度の増減はあるところではないかと思っております。ここ数年で見た場合に欠員がやや増加しているのも委員御指摘のとおりでございますが、これも今申し上げましたとおり、ここ直近の新任判事補の採用が余り伸びなかったことが原因ではないかと考えております。
#48
○佐々木さやか君 先ほど若林委員の議論の中で、判事を増員をしてきているけれども、なかなか事件の処理の日数については、期間ですね、目標を達成するに至らないと。その原因、原因といいますか、判事を増員するといっても判事の給源も限られているというような御答弁がありましたけれども、九十六名の採用があるとしても六十名近くの欠員がやはりあるわけでございます。裁判の体制の充実という観点からは、欠員を生じさせるよりは、より優秀な判事補を確保していく、新任判事補を確保していくということが私は大切ではないかなというふうに思っております。
 その新任判事補の採用という点で申し上げますと、欠員が生じてしまう原因の一つに、希望者の中に、判事補の志望者の中になかなか適切な人材がいないということも原因にあるのではないかというふうに指摘をされていると理解しておりますけれども、それを前提に申し上げますが、やはり新任判事補の採用に当たっては優秀な人材の確保ということを取り組んでいく必要があるのではないかというふうに思っております。
 例えばで申し上げますと、法科大学院生に早めの段階から裁判官の仕事について身近に感じていただくとか、そういった取組なんかも私はいいのではないかと思っているんですが、この判事補の優秀な人材の確保という観点ではどのように対策、また取り組んでいくお考えか、お聞きしたいと思います。
#49
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
 私どもといたしましても、修習生の中で裁判官としてふさわしい者につきましてはできる限り多数任官してもらいたいと考えております。その考えというのはこの間一貫しておるところでございます。ただ、裁判官にふさわしい資質、能力を備えてもらっていることがまず重要でありますし、他方で、修習生の側にも弁護士として活躍したいという希望を持つ者もおりまして、そこの関係で、結果として現在の数字になっておるところでございます。
 法科大学院との関係でお尋ねがございました。法科大学院へは、御承知のとおり、法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律に基づきまして、実務家教員として多数の現職の裁判官が法科大学院に派遣され、主に実務科目の講義を担当しておるところでございます。
 この講義、それから講義終了後のいろんなやり取りの中で、裁判官の裁判に対する考え方や人柄に触れながら裁判官の仕事にやりがいや魅力を感じる学生も多いというふうに聞いておるところでございます。また、そうした講義などを通じまして、裁判官の職務に関心を持った法科大学院生が実際に裁判の傍聴にやってくるということも少なくないと聞いております。
 いずれにいたしましても、裁判官としてふさわしい者につきましては数多く採用してまいりたいと考えておるところでございます。
#50
○佐々木さやか君 御説明ありがとうございました。そうした法科大学院生と裁判官との交流が優秀な判事補また判事という形の体制の充実につながっていっていただきたいなと思います。引き続き取組をお願いしたいと思います。
 それから次に、家庭裁判所の体制の充実についてお尋ねをしたいんですけれども、事件数の推移を見ますと、民事事件、刑事事件は全体的にそう増えてはいない、刑事事件は減っているように感じます。それに比べまして、やはり家庭事件、家事事件、また成年後見関係事件については年々増加しておりますけれども、それに伴って家庭裁判所の裁判官、また書記官の増員といった体制の充実が重要であると思います。
 今回の法改正による裁判官、また書記官の増員と家庭裁判所の体制の充実というのはどのような関係にあるんでしょうか。
#51
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、家庭事件、家事事件、成年後見事件については一貫して増加傾向にありまして、平成二十五年におきましては、人事訴訟事件を含めますと九十一万件を超えるということで、平成七年から過去最高の数値を更新し続けているという状況にございます。
 今回増員をお願いしている理由の一つが家庭事件の処理の充実強化ということでございますが、裁判所といたしましては、これまでも、例えば東京、大阪といった大規模庁におきまして、成年後見関係事件の適正、迅速な処理を行うことを目的といたしまして、専門的に後見事案を取り扱う後見センターを設置するなど、各家庭裁判所に実情に応じた体制面の整備に努めてまいりました。
 また、家事事件への対応の充実強化ということで、事件処理にたけた判事の相当数の増員、増配置ということを行ってきたところでございます。また、書記官につきましても増員を行ってきておりますし、昨今の質、量の増加に伴いまして、緊急的に対応するということで、家事部門への内部応援を行うなどいたしまして、事件処理に支障が生じることのないよう、人的体制の充実を図ってきたところでございます。
 裁判所といたしましては、今年度につきましても、今回お願いいたしております判事、書記官の増員を認めていただくことによりまして、現有の人員の有効活用と相まって家事事件の充実強化を図ることができるというふうに考えているところでございます。
#52
○佐々木さやか君 御説明ありがとうございます。引き続き、家事事件の対応、特に体制の充実を図っていただきたいと思います。
 今回の改正では、裁判官の定員の増員とともに裁判官以外の裁判所職員の定員の、書記官は増員ですけれども、そのほかの職員の減員が行われております。
 推移を見ますと、書記官については年々増員の傾向にあるように思います。また、家裁調査官についても、少ない人数ですけれども少しずつ増えている、若しくは横ばいなのかなと感じておりますけれども、そのほかの事務官、速記官は年々減っているように思います。そして、特に家庭裁判所の事務官なんですけれども、今回の減員数も十名ということで大きな数字ではありませんけれども、推移を見ますと、これからも徐々に徐々に削減をしていく計画であるのかなと。
 今後の削減、計画について一つお聞きをしたいのと、それから、事務官の方が減ってしまうということになりますと、事務官さんから書記官さんになられる方というのは多いわけですけれども、書記官については体制を充実していこうという方向性と矛盾するのかどうなのか。それに、事務官さんが減ってしまいますと書記官になる方も人数として減ってしまうのではないかなと。ちょっとそこが心配なので、まずその点について教えていただきたいんですが。
#53
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 裁判所といたしましては、裁判部門に従事する書記官等の職員につきましては、その充実強化を図るとともに、司法行政部門を中心とする組織機構の効率的な運営、事務の合理化、効率化ということを進めてきて、今回の裁判所事務官の減員につきましても、このような司法行政事務の合理化、効率化によって行ってきているところでございます。このような事務の合理化、効率化ということにつきましては、当然のことながら裁判事務への支障の有無ということを検討していかなければなりません。そういう観点で、現時点でどの程度減員していくのかということをなかなか数字的に示すことは困難であるということは御理解いただきたいと思います。
 また、事務官を減らすと書記官への給源がなくなってくるのではないかという御指摘がございました。
 御指摘のとおり、裁判所事務官から内部の試験に合格した者が総合研修所におきまして研修を受けて書記官に任官するということでございますが、裁判所事務官、総数で九千人を超えるというところでございます。今回十人の減員ということでございまして、この程度の減員ということになりますと、書記官の充員に支障を来すということはないというふうに考えているところでございます。
#54
○佐々木さやか君 それから、事務官さんがだんだんともしこれから減っていくということになりますと、一つ私が心配だなと思っているのが、市民の方が裁判所を利用する際に窓口で対応されているのが事務官さんなんだろうと私は理解をしているわけですけれども、人数が減っていくことで、そうした市民の方に対しては本当に丁寧に分かりやすく対応を是非していただきたいわけですけれども、そういった窓口業務といいますか、そこに支障が出ないようにしていただきたいと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
#55
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 先ほど、司法行政部門の効率化というふうに申し上げましたけれども、もう少し具体的に申し上げますと、統計事務の最適化や会計部門について府省共通システムに参加するということで、司法行政部門の合理化というのを進めているところでございます。
 そういう観点で、先生御指摘の窓口という観点でございますが、窓口で裁判所を利用する国民に丁寧でかつ迅速な対応ということをすることは重要なことでございまして、特に利用者の立場に立ってそういうことを行っていくというのは必要なことだと思っております。そのようなことに支障が来すことのないよう努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#56
○佐々木さやか君 是非よろしくお願いいたします。
 今回の法改正は裁判所の法改正であったものですから、ちょっと大臣に御質問する機会がありませんでしたけれども、また違う法律のときに議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。
#57
○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 私は、まず初めに過去の裁判官の増員について伺いたいと思います。
 平成十四年度から平成二十三年度の十年間の増員計画によって六百人の裁判官の増員が行われました。これは、適正、迅速な処理、また複雑かつ専門性の高い事件への対応ということでの増員計画だったと理解していますけれども、この六百人の増員による成果というものをどのように見ていらっしゃるのか、お答えいただけますでしょうか。
#58
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) この計画的増員による成果というお尋ねでございます。
 複雑困難な専門訴訟事件の審理期間につきまして、平成十二年と平成二十五年を比較いたしますと、医療関係訴訟でいいますと約一年間の短縮、また知財関係訴訟につきましては約半年の短縮という効果が出ているところでございます。また、未済事件のうち二年を超える事件の割合ということで申しますと、平成十二年では一二・四%でございましたけれども、平成二十五年では七・一%ということで、二年を超える未済事件についても減少するという効果が出ているものと考えております。
#59
○行田邦子君 専門性の高い訴訟については審理期間が短縮されたという成果を今おっしゃられましたけれども、それでは、今後について伺いたいんですけれども、司法制度改革の中で弁護士の数が急増をしています。裁判官が十年間で六百人増えている平成十四年度から平成二十三年度、同じ年度を取ってみても、弁護士の数というのは平成十四年度で一万八千八百五十一人だったものが平成二十三年度では三万五百十八人と、これは急増と言ってよいかと思いますけれども、一方で、裁判官の増加というのは同じ十年間で六百人と、非常に緩やかであるということが言えると思います。
 弁護士が増加すると、もちろん全ての弁護士が裁判に関わるということではないとは思いますけれども、これだけ弁護士が増加すると事件数というのも増えるのではないかなというふうに思うんですが、数字を見てみますと全体的にはさほど増えていないと。家庭裁判所における家事事件、それから成年後見関係は増えていますけれども、全体的に余り増えていないというような数字になっています。
 そこで、弁護士の増加とそれから事件数の関係をどのように捉えて、そしてまた今後の裁判官の増員計画、人員計画というのをどのように計画を立てていらっしゃるのか、お答えいただけますでしょうか。
#60
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 弁護士の数につきましては、委員御指摘のとおり、平成十二年から平成二十五年で約二倍ということになっております。他方、民事訴訟事件数ということでいいますと、それほど大きな差がないというのが実態でございます。ただ、弁護士数の増加につきましては、長期的に見ますと事件数の増加要因になるというふうに考えておりますし、また審理の在り方にも影響を及ぼしていくのではないかというふうに考えております。
 裁判官の増員につきましては、実際に提起される事件動向を踏まえる必要がございますし、司法制度改革で目標としていました審理期間の短縮、複雑困難な事件に対応するための合議率の向上といった将来の事件動向を踏まえた種々の要素ということを総合的に考慮して、全体としてどの程度の人数の裁判官が必要かということを考えていかなければならないというふうに考えています。その観点で申し上げますと、弁護士の増加比率に応じて裁判官が増員すべきという関係にはないというふうに考えているところでございます。
 また、裁判官への増員ということになりますと、裁判官の給源が限られているということ、その資質、能力が一定必要だということがありますので、やはり計画性を持った増員をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。
 そういう観点から、なかなか現時点で明確な数字で増員目標ということを申し上げるのは困難なところではございますが、今後ともより一層適切かつ迅速な裁判の実現ということを図っていくために、事件動向を見守りつつ、計画性を持った人的体制の整備に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#61
○行田邦子君 今後、将来的に事件がどのぐらい増えるのかという的確な見通しというのは非常に難しいとは思いますけれども、更なる適切、迅速な処理、また、これから更に複雑かつ専門性が高い事件も増えてくるということが予測されますので、それへの対応としての量の確保がどうあるべきか、そして、それだけでなく、質の確保ということも踏まえながら人員計画を考えていただきたいというふうに思います。
 今回の増員につきましては、判事は三十二人増員ということでありますけれども、判事補は増員をしないということであります。これはどういうことなのかというのを伺いたいんですけれども、まず、なぜ判事補を増員しないのか、お答えいただけますでしょうか。
#62
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 今回判事補の増員を行わなかったということにつきましては、採用数の現状や今後の採用数の見込み等考慮いたしまして、今回の増員につきましては、即戦力となる、すなわち事件を一人で全て処理できる判事を三十二名増員することが適切であるというふうに考えた結果でございます。
#63
○行田邦子君 即戦力ということでの判事の増員と。判事補の増員は行わないということなんですけれども、これまでの判事、判事補の現在員、実際の数ですね、員数について見てみますと、平成十六年では判事補は八百四十人、平成二十五年度では八百四十八人と、ほとんど増えていない、判事補の数はほとんど増えていないという状況です。一方で、判事の方は、同じ平成十六年で千四百六十八人、それが平成二十五年度では千八百四十六人と、これはもう着実、確実に増えているわけでありますね。
 今後も判事は増やすけれども判事補は増やさない、定員を増やさないということを続けていくと、恐らく裁判官の平均年齢というのはどんどん高くなっていって、少し頭でっかちというか、上の部分のボリュームが高くなっていくんではないかなというふうに思うんですけれども、これは一般的には組織としては、これをこのまま続けていくと、アンバランス、バランスを欠くのではないかなということも危惧していますし、また若手の裁判官を育てるという意味でも、やはりこの計画というのはなかなか難しいとは思うんですが、いつかは、判事補の増員ということも近い将来考えていくべきではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#64
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 判事補から判事ということになりますと、十年を経過して判事にふさわしい能力があるという者を判事に任命しているところでございまして、一方で定年退職する裁判官がおるわけですので、全体として頭でっかちとなるというよりは、むしろ平行移動していくという形で、必ずしも年齢が高くなっていくということではないというふうに思っております。
 判事補の採用数につきましては、平成四年までの十年間でおおむね毎年七十名ということだったんですが、平成五年以降は毎年百名程度採用しているところでございます。
 判事補の定員につきましても、平成五年には六百二十八人でありましたが、その後三百七十二人の増員をいただきまして千人ということで、毎年約百人前後の判事補を安定的に採用できるという状況になっているところでございます。
 判事補の採用につきましては、その資格要件等がございますし、また弁護士の志望する人がいるということもありまして、なかなか採用数というのが、これまでの百人前後ということが安定的に続いてきているという状況にあろうかと思います。
 そういう観点で申し上げますと、今後の増員という中で判事補ということも考える余地はあると思いますけれども、当面の観点でいいますと、やはり即戦力である判事ということを増員していきたいというふうに考えているところでございます。
#65
○行田邦子君 今判事補の増員ということで質問させていただきましたが、昨年の十二月、年末に司法修習を終えた修習生のうち九十六人が今年一月の発令ということで判事補に採用されています。そのうちの三十八人が女性ということです。この率というのは、女性の占める割合が三九・五八%、約四〇%が女性だったということなんですけれども、これによって裁判官の女性の割合というのは過去最高になるというふうに聞いておりますけれども。
 そこで伺いたいんですけれども、女性の採用についての考え方と、またその女性の割合が増えた要因というのは何なんでしょうか。
#66
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
 今年一月に六十六期修習生から裁判官に任官した女性の割合に関する数字は、委員が今おっしゃられたとおりでございます。
 私どもといたしまして、新任判事補の採用に当たりまして男女別で何か基準を設けることはしておりませんが、裁判官としてふさわしい人につきましては、男女を問わずできる限り任官してもらいたいと考えているところでございます。
 今年一月に女性の新任判事補が多かったことの原因ということのお尋ねでございますけれども、私どもの方で思いますのは、多くの女性修習生が実務修習等を通ずる中で、あるいは、先ほども御答弁させていただきましたが、法科大学院に派遣しております裁判官教員に触れる中で、裁判官の職務をやりがいのあるものとして希望してくれた結果ではないかと見ておるところでございます。
#67
○行田邦子君 司法修習を終えた司法修習生のうち女性の占める割合よりか、この今回の判事補発令がなされた女性の割合というのは高いというふうに聞いておりますけれども、ただ、特に女性を増やそうという意図はない、意図的に何かやったわけではないということでありました。むしろ自然体で増えていったということは非常に好ましいことではないかなというふうに思っております。ただ、判事補に今年一月に発令がなされた方、約四割ですけれども、その方たちが継続的に裁判官として任務を遂行できるように、そういった環境整備というのも整えていただきたいなということをお願いを申し上げて、次の質問、最後の質問に移らせていただきます。
 大臣に伺いたいと思います。これまで司法制度改革の中で様々なことが行われてきたわけでありますけれども、その中で法曹人口の拡大ということがなされてきたわけであります。司法制度改革の方針に基づいて、司法試験合格者数を年間三千人であるとか、法曹人口を五万人にするといった具体的数値の計画が出されていたわけでありますけれども、昨年の七月の関係閣僚会議の決定で、この三千人というのは現実的ではないということで事実上撤回をするというに至ったわけでありますけれども、そこで大臣に伺いたいんですが、適正な法曹人口というのをどのようにお考えになりますか。
#68
○国務大臣(谷垣禎一君) 行田委員がおっしゃいますように、司法改革の過程の中で三千人の合格者を目標とすべきであるという方向が出まして、これは、これから事件数、いろいろ専門性も高まっていくだろう、いろいろ事件数も増えていくだろう、そういう中で、日本は人口当たりの法曹比率も非常に低い、せめてフランス並みと、あの当時はそういう議論だったと思いますが、そういう目標を立てると毎年三千人ぐらい輩出して五万人というか、その辺りを目標とすべきであるということになったんだと、当時を振り返ってそのように理解しております。
 しかし、その後、今委員が指摘もされましたように、なかなかその三千人、司法試験合格者がやってみると出ない、二千人をちょっと超えるぐらいでとどまっているというような、なかなか法律家として認定するだけの数の方がそこまで、三千人育たなかったという、ここはちょっとなかなか表現が難しいんですけれども、司法試験管理委員会はそのような御判断をされているんだろうと思います。
 それから、加えまして、事件数も必ずしも伸びているわけではない。それから、研修所を出まして弁護士に、事務所に登録しようとしても、なかなかそこも難しくなっているとか、いろんなことが積もりまして、三千人を目指すのは現実的ではないということで、今おっしゃった閣僚会議でもそのようなことになっております。
 したがいまして、どういう辺りが一番適切なのであるかということも整理をしていかなければならないわけですが、これは今、内閣官房法曹養成制度改革推進室で必要な調査を行って、その結果を二年以内に公表しようと。これは先ほどおっしゃった閣僚会議の決定に基づいてそういうふうになっております。今その作業を進めているところでございますので、私は推進会議の一員でもあるわけでございますが、その調査結果が出ることをまずは待とうと、このように考えております。
#69
○行田邦子君 時間ですので、終わります。
#70
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 この法案で判事を三十二人増やして裁判官以外の裁判所職員を三十六人減らすということで、説明のときに、一時期、差引き四人の定員、定数減という表現も聞いたことがあるんですけど、裁判官と裁判所職員を差引きするというのは無理があるのではないかと私はその説明のときに思ったんですね。司法の独立と国民の裁判を受ける権利に応える国民のための司法の実現のために、もちろん裁判官には裁判官の、そして裁判所職員には裁判所職員のそれぞれの職責があるということが大変大事だと思います。
 それで、今度の法案について、判事、書記官を増員することは司法の充実に資するものですから私どもも法案には賛成をいたしますが、しかし、裁判所職員のこの定数、定員ということについての考え方、これ数字だけで先に申し上げると、裁判所職員全体で八十人削減ということになるわけですが、これが本当にいいのかということを少し議論させていただきたいと思うんですね。
 まず、今度の定数減、裁判所職員の定員減ですが、これは、これまで技能労務職員の方々が行っておられた清掃だとか庭木の剪定だとか、こうした業務の外注化でその定数分が言わば必要でなくなるということになっているようなんですけれども、中村局長、私、例えばある裁判所で、その植木というか、裁判所の構内、たくさん木があるじゃないですか。これがなかなかその剪定が進んでいなくて、とあるときに、いや、ちょっとこれはまずいというので、裁判体の書記官や事務官の皆さんが押っ取り刀で剪定して回るとか、清掃も、突然何だかそういう汚れるようなことがあってしまうと、もうそのままにしておくわけにはいかないので、とにかくその裁判部の職員さんも出ていって一生懸命やるというようなことが最近やっぱり頻繁にあるなという話を、頻繁にというかたまに、まあまああるなという話を伺いまして、天気が良くて気分転換にとかいうのはあって私いいと思うんですよ。それが裁判所らしいと思うんですよ。なんですけれども、やっぱり事務の合理化とか効率化といっても物には限度があるんじゃないのかと。
 これまでこうやって合理化、効率化というのを進めてこられたんですけど、もう限界なんじゃないのかと思うんですけど、局長、いかがでしょう。
#71
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、技能労務職員につきましては、その方々が定年等で退職するに際しまして、その業務への支障の有無を考慮しつつ、外注化による合理化が可能かどうかということを判断するとともに、その後、問題が生じていない状態が継続しているかどうかということも確認するなど、慎重な検討を行った上で定員の削減を行っているところでございます。
 先生御指摘のとおり、緊急な対応として、例えば木が非常にぼうぼうでその外注業者がすぐに来れないというときに、裁判所職員が押っ取り刀でやるということはあろうかと思いますが、それが常態化するということは、先生言われるように好ましいことではないというふうに考えております。
 司法行政事務の合理化あるいは庁舎管理業務の合理化ということについては、裁判事務への支障の有無ということを慎重に検討してまいらないといけないということでございますので、際限なしの事務の合理化、効率化ということは行えるわけではないというふうに考えているところでございます。
#72
○仁比聡平君 その技能労務も含めて、これまで裁判所職員のお一人お一人が担ってこられたお仕事というのは、裁判という職権の行使に直接関わる仕事、あるいは事件当事者に直接接する仕事でない仕事でも、やっぱり全体として公正に裁判を受ける権利を実現するという雰囲気も含めて裁判所をしっかり支えてきた仕事であって、もちろん効率化、合理化は大事なんですけれども、これが独り歩きすると裁判の機能が失われていくということになりかねないと思うんですね。
 これまで政府行政部門では国家公務員の定員合理化の計画が進められてきたわけですけれども、その下でも司法制度改革だとかあるいは裁判の実態、そこを見て裁判所職員の定数は増加をさせてきたわけです。それが、今年度といいますか二〇一三年度に一九五五年以来五十八年ぶりに純減となり、二〇一四年度は二年連続の純減ということになるんですね。その数字が八十人削減なんですよ。これが、これから先は裁判所職員も当然削減だと、そういう流れになることは私は絶対に認められないと思っておりまして、裁判所が裁判所として合理化、効率化を努力をしていくということは、それはそうかもしれないが、何かそれ以外のところの圧力で裁判所の機能を損なっていくというようなことは私は絶対にあってはならないと思います。
 局長、決意を伺いたいと思うんですが。
#73
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 政府における定員削減計画ということの御指摘もございました。国の財政事情というのが非常に難しい状況にあるということを踏まえまして、裁判所といたしましても国家機関の一つとしてそれを考慮しないわけにはいかないということではございます。
 ただ、先生御指摘のとおり、裁判部門ということの充実強化ということは裁判所にとって非常に重要なところでございますし、それを中心として人的体制の充実強化ということを図りつつ、また、その状況を踏まえて裁判事務に影響がないような形で、政府の行政の効率化の状況も参考にしつつ、無理のない形の事務の合理化、効率化ということは進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#74
○仁比聡平君 御答弁ができればで構わないんですけれども、概算要求を見ますと、元々は四十人の書記官増員を最高裁としては求めておられたのだろうと思うんです。この法案は、二十九人の増員で、加えて、事務官、速記官からの振替が十五人ということになっているわけですね。この概算要求のプラス四十人、つまり、振替も含めれば六十五人というこの要求が認められなかったというのか、二十九人になったというのか、これはどうしてなんですかね。
#75
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 裁判所は司法権を行使するということで、予算についても一定独立ということは配慮いただいているところでございます。
 概算要求数と今回の増員数が異なるというところにつきましては、当初要求していたところにつきまして、財務省等といろいろ協議した結果、国の財政状況あるいは他の行政府省の要求状況を踏まえまして、現有勢力の有効活用ということがどこまでぎりぎりできるかというようなことも考慮して、ぎりぎりの検討ということで二十九人の最終的増員ということをお願いしたということでございます。
#76
○仁比聡平君 通告とちょっと違うんですけれども、大臣、よろしいですか。
 最高裁のそうした事務の合理化、効率化の努力というのは、私、その全てが現場でそのとおり大賛成ですと思っているわけでは実はなくて、もっともっと現場のニーズを踏まえた方がいいんじゃないかと思うところは僕自身はたくさんあるんですよ。
 ですが、司法の独立ということを考えたときに、様々な検討の上で最高裁がこうした概算要求をされると。これはやっぱり基本的に尊重されるべきものであって、財政上の理由や最高裁がそれに配慮するということはもちろんあるんでしょうけれども、だけれども、この最高裁の求めさえ大きく削られるというのはちょっと違うんではないかと思うんですけれども、大臣、御見解ありますか。
#77
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、最高裁判所の裁判官を含めた人的体制をどういうふうに整備していくかということは、まず裁判所自身が適切に御判断なさるべきだというのは、これは司法の独立の一つのある部分で意味を成し、司法の独立の意味も持っているというふうに私は思っております。
 ですから、今の委員のお尋ねも、私も昔勉強してちょっと記憶はうろ覚えでございますが、予算に関しても、あれは何といいましたか、二重予算、何とかいう制度が裁判所はお持ちなわけですね。つまり、自分でやはり、行政府と折り合いがうまく付かない場合は御自分の判断で案を出せるというような権限も認められているわけでございます。
 ですから、そういう意味で、裁判所の司法の独立というのは、こういう財政あるいは予算の面でも国の制度としてある程度配慮されていることは間違いないと思いますが、現実のいろいろな国の行財政の事情の中で相当裁判所も御苦労されながら体制の整備を図っておられるなと。私も行政府にはおりますけれども、司法の独立あるいは法の支配と非常に近いところで仕事をしておりますので、その裁判所の御苦労は感ずる次第でございます。
#78
○仁比聡平君 この法案も所管もされる法務大臣として、おっしゃった裁判所の御苦労をしっかりと実らせるために是非御努力いただきたいと思います。
 最高裁総務局長、今大臣の御答弁の中に出てきた裁判所の予算に関する権限といったものの正確な紹介を一つと、それから続けて、そうした下で、実際に繁忙な職場というのがもうこれまで出ているようにありますですね。今でいうと、成年後見をめぐる事件と家裁というのは大変長時間の残業だとか、その中でのメンタルヘルスというのも私は秋の国会で指摘もさせていただきました。ここに定員を増やすということが本来の解決の道だと思うんですね。
 どうしても、裁判所は受動的な機関ですので、事件がたくさんあるところというのに持っている人材を何とか動かして対応しなければということになりがちで、ですからかつては、破産、執行部が大変なときにそこに人員が配置される、裁判員裁判の導入の時期にはそこの手当てのために配置をされるなどの形で、例えば民事、刑事、家事、それぞれの分野を超えて職員の異動が行われるということも間々あって、それが長期的な目で見たときに、書記官を始めとした裁判所職員の養成や確保という観点でいうとマイナスの面も私はあるのではないかと思うんですね。やっぱり、裁判所の予算をしっかり確保して、大きな目で見て裁判所全体が国民のための司法を実現していくことができるように、最高裁としても大きなビジョンや計画を持って臨むべきではないかと思うんですが、局長、いかがでしょう。
#79
○委員長(荒木清寛君) 中村総務局長、恐縮ですが、時間が来ておりますので、答弁簡潔にお願いいたします。
#80
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 先ほどの予算の関係はいわゆる二重予算権ということでございまして、そういう権限を持たせていただいているという関係で、概算要求との関係でも改要求という形にさせていただいています。
 最後の御質問の関係でいいますと、裁判所が国民のニーズに応えていって、裁判を受ける権利を保障するためにやはり人的体制の充実ということは重要であるというふうに考えておりますので、今後とも計画性を持って適正、迅速な紛争の解決を図るべき体制の整備ということは努めてまいりたいと考えているところでございます。
#81
○仁比聡平君 ありがとうございました。
#82
○谷亮子君 生活の党、谷亮子でございます。
 本日の議題に沿ってお伺いさせていただきます。
 今回の裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の目的の一つに裁判官の増員による裁判の迅速化というのがあるということは、さきの谷垣法務大臣のこの法案の趣旨説明の中にもございました。速やかに判決を経て法律的係争が早期に決着し、権利や財産関係が安定することは、国民の皆様からの司法への信頼にもつながるものであるというふうに思います。
 これは刑事関係についても同様でございますけれども、これまでを振り返ってみますと、平成八年に民事訴訟法改正案が成立をいたしまして、平成十年一月に施行されました現行民事訴訟法によります審理の充実、迅速化のための方策として、争点整理の手続の整備、集中証拠調べの規定の新設等が行われてまいりました。
 同法の制定前から、裁判所におかれましては、争点の整理や集中証拠調べなど、審理の運営改善のために御努力は進められてこられたというふうに思います。また、これらの方策が改正民事訴訟法の成立によりまして正式に訴訟法上の手続とされたことによりまして、民事第一審訴訟事件全体の平均審理期間というのは相当程度短縮をされたというふうに思います。また、民事訴訟事件全体の平均審理期間は、こちらの方も短縮をされてまいりました。
 そして、平成十五年には裁判の迅速化に関する法律が制定されております。同法の目的は、裁判の迅速化に関し、その趣旨、国の責務その他の基本となる事項を定めることにより、第一審の訴訟手続を始めとする裁判所における手続全体の一層の迅速化を図り、もって国民の期待に応える司法制度の実現に資することとされておりまして、同法の理念といたしまして、公正かつ適正で充実した手続の下で裁判が迅速に行われていくということは、司法を通じて権利利益が適切に実現されること等、司法がその求められる役割を十全に果たす上で不可欠の前提であるとされておりました。
 最高裁判所は、裁判の迅速化を推進するため必要な事項を明らかにするために、裁判所における手続に要した期間の状況、そしてその長期化の原因その他の必要な事項についての調査分析を通じまして、裁判の迅速化に係る総合的、客観的かつ多角的な検証を行うものとし、その結果を二年ごとに公表するものとしております。そして、昨年七月十二日には第五回目の報告書がこれは公表をされておりました。
 そこで、今回のこの法案の所管でもいらっしゃいます谷垣法務大臣にもお伺いをさせていただきたいと思います。
 この二つの法律の施行後、その法律制定の趣旨は実現されているのかどうか、その成果につきましてどのように評価をされているのか、お伺いさせていただきたいと思いますし、さらに、今後その改正が必要になってくるのかどうかも含めましてお伺いさせていただきます。
#83
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、谷委員がおっしゃったように、平成八年に民事訴訟法を新たに作りまして、裁判所は民事訴訟が公正かつ迅速に行われるよう努め、当事者は信義に従い誠実に民事訴訟を追行する責務を負うとされたわけでございます。そしてまた、制度的にも、さっき委員がおっしゃった争点整理手続等々を充実させるというようなことで行われてまいりました。
 それから、平成十五年に裁判の迅速化に関する法律を国会で作っていただきまして、第一審の訴訟手続は二年以内のできるだけ短い期間に終局させる等々の目標を定めまして、充実した手続の実施あるいは制度、体制の整備という基本的な枠組みを示し、それぞれの関係者の責務も定めて、司法の分野における基盤整備法というような意味を持たせた法律ができたわけでございます。
 それで、先ほどの御審議の中でもありましたが、こういった制度の努力の結果だと思いますが、平成二年には第一審の平均審理期間は十二・九か月であった、それが平成二十四年には七・八か月まで短縮したと。先ほど最高裁から御答弁がございましたけれども、二十五年の速報値はちょっと伸びたということでございますが、しかし、約六〇%の事件が六か月以内に、それから大体九五%の事件が二年以内に終局すると。何というんでしょうか、長期的にこの流れで見ますと、裁判の迅速化という目標は大分進んできた、民事裁判の迅速化という目標は大分進んできたなと思っております。
 今後も、裁判所と、裁判所等の機関と十分連携しながら、裁判の迅速化に向けては私どもも努力をしていかなければいけないと思っております。
#84
○谷亮子君 谷垣大臣、御丁寧に御答弁ありがとうございます。
 やはり、両法律とも裁判の迅速化という意味では、その法律に沿って取組が行われてきたというふうに思いますし、平成二十四年度の結果におきましては七・八か月以内に審理等が行われているということでございまして、非常に迅速化というのは進んできているというようなお話も大臣の方から今ございましたけれども。
 私も、この審理期間の迅速化という観点から最高裁の資料等で現況等を見てみましたけれども、民事第一審通常訴訟における審理期間が二年を超えて係属する事件数の統計というのが、昭和四十七年に遡りますけれども、昭和四十七年の三万二千八件をピークに減少傾向が続きまして、平成十五年には八千八百七十三件、そして平成二十四年には六千九百五十五件にまで減少いたしまして、民事裁判の短期化は、法務省そして裁判所、それぞれが御努力をされて、その御努力が実を結んでいる結果であるというふうに思います。
 しかし、国民の意識といたしましては、やはり裁判には大変な時間的労力が必要とされるという認識が大変根強い部分もございますので、今後更なる迅速化というのが図られていくことを望んでまいりたいというふうに思っております。
 そして次に、最高裁判所にお伺いいたしますが、医事関係、建築関係、労働関係、知的財産関係、それぞれにつきまして、民事第一審通常訴訟の近時の平均審理期間の推移をお伺いさせていただきます。
#85
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 医事関係訴訟につきましては、平成十二年は三十五・六か月ということでしたが、平成二十五年は二十三・九か月ということでございます。建築関係訴訟につきましては、統計が取れるのが平成十八年が一番古いんですが、平成十八年が十六・二か月、平成二十五年が十七・五か月ということでございます。労働関係訴訟は、平成十二年が十三・六月、平成二十五年が十三・八月。知財関係訴訟につきましては、平成十二年が二十一・六月、平成二十五年が十六・一月ということで、全体的に見ますと、横ばいないし短縮という傾向にあるというふうに考えております。
#86
○谷亮子君 ありがとうございます。
 今御報告ございましたとおりであるというふうに思いますけれども、いずれも平成からのこれは長期期間では減少しているということであるというふうに思いますけれども、医事関係を除きますとこれは平行線にある現況もうかがえるわけであります。またさらに、医事関係は約二年、またその他も一審の判決まで一年以上の時間を要しているようでございました。このような長期傾向となってしまう場合、訴訟期間中に事実背景が変化をしてしまってはこれはいけないということでございますので、きちんとした、その平行線よりも更に成果を求めてまいりたいというふうに思います。
 そこで、やはり裁判所にとっての重要な課題の一つに、先ほどから先生皆様の御議論にもございましたけれども、専門性のある事件への対応がございます。近年、科学技術の革新であるとか、生活や仕事のIT化、そして社会の変革は想像以上にダイナミックに変化をしてまいりました。そして、企業の経済活動の多様化、複雑化、国際化が進みまして、国民の権利意識というのも高まりを見せております。また、労働や生活に関しての価値観が多様化をいたしまして、企業の内部統制、パブリシティー権といった先例のない事件が増えるという傾向も見えてきております。まさに社会の変化は進行中でございまして、裁判所が扱う民事紛争は、知的財産権関係、そして医事関係、建築関係、金融関係等々、また専門的な知見を用いなければ解決できない事件というのも増加する傾向にございます。
 こうした取組はもう早い段階からうたわれてまいりましたけれども、そこで、最高裁判所は、裁判官のこれまでの員数の増加によりまして、裁判の専門化そして複雑化へどのように対応してこられましたでしょうか。先ほど民主党の小川先生の御質問の答弁にもございましたけれども、千九百人ほど専門的な方がいらっしゃるというお話をされていらっしゃいましたけれども、今後の取組も含めましてお伺いさせていただきます。
#87
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 複雑困難な事件に対して対応するためには、裁判官という観点でいいますと、やはり合議による審理の活用というのが重要であろうかと思っております。
 このような観点で、合議率を一〇%に上げたいということの目標を申し上げて計画的な増員を図ってきたところでございます。事件数の急増もございまして、平成二十五年度、事件数全体での合議率はまだ四・一%ということで、まだ目標には達成していないところでございますが、判決で終局した事件の合議率については徐々に上がってきているというふうに考えておりまして、計画的な増員の効果は出てきているように感じております。
 また、専門的知見を要する訴訟について、先ほど申し上げましたけれども、専門集中的に処理する部の体制整備、あるいは鑑定人、専門委員といった知見を円滑に利用する手段ということも整備してまいったところでございます。
 今後、裁判の適正を維持しつつ審理期間の短縮を図るために、訴訟関係人の理解と協力を得ながら審理の充実と運営改善に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#88
○谷亮子君 ありがとうございました。
 時代の変化に積極的に対応されていくということは、やはりこれは裁判所の使命であるというふうにも思いますので、今後、今回の裁判官の増員も含めまして、その取組に期待を申し上げたいというふうに思っております。
 そして、時間も限られておりますので最後の質問とさせていただきますけれども、今回の改正案の中では、裁判官につき員数を三十二人増加し、民事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理を図るためと、谷垣法務大臣の趣旨説明にもございました。
 家庭裁判所におきましては、成年後見関係事件を始めといたしまして家事事件の新受件数が、これは法務省の資料でございましたけれども、非常に増加の一途をたどっている傾向にございました。平成二十三年度が六十三万六千七百五十七件、そして平成二十四年度が六十七万二千六百九十件ということでございました。
 やはり家庭をめぐる事件も複雑多様化してきておりまして、平成二十五年一月にはこうした家族をめぐる現代的状況に対応するための家事事件手続法が施行されたところであります。
 このような動向を踏まえまして、家庭裁判所における裁判官や家庭裁判所調査官、そして裁判所書記官等の職員の人的体制の整備が進められてきているということは存じておりますけれども、家庭裁判所調査官の数は平成二十五年で千五百九十六人ということで、試験も大変な難関な試験であるということで、なかなか増員されず現在に来ているというところも報告を受けました。また一方では、家事調停事件は、平成二十年十三万千九十三件、平成二十五年十三万九千五百九十三件ございまして、これも増加傾向にございました。
 そこで、以上のような家事事件をめぐる状況に照らしまして、家庭裁判所の調査官の人的体制は十分かどうか、また取り組まれてきました方策につきまして最後伺って、終わらせていただきます。
#89
○委員長(荒木清寛君) 中村総務局長、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。
#90
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) 家庭裁判所調査官につきましては、平成十二年から十六年度まで各五人ずつ、平成十五年から十八年度まで振替を行ってきたということで、平成二十一年度も五人増員ということで、過去において必要な体制整備というのを行ってきているところでございます。
 平成二十六年度におきましては増員要求ということはしていないわけでございますが、いずれにいたしましても、家庭裁判所の特色である科学性、後見性を十分に発揮するために、人間関係諸科学の専門家である家庭裁判所調査官、現有勢力を有効に活用して適切、迅速な事件処理が図られるよう体制整備を努めてまいりたいと考えております。
#91
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。
 新任判事補の男女別の内訳ですが、これ三月十三日の大臣所信に対する質疑の際、法務大臣に法務省の女性の登用状況について伺いました。その中で法務大臣からは、新任検事のうち約四割が女性であるとの答弁がありました。つきましては、新任判事補の男女別の内訳について最高裁判所にお伺いをしたいと思いましたけれども、先ほどの行田委員と同じ質問で回答も答弁も一緒だというふうに思いますので、二番目の家事事件についての質疑の方へと進ませていただきたいと思います。
 家事事件の件数、近年やはり一貫して増加しております。とりわけ成年後見関係事件のうち、成年後見等開始が昨年の新受件数がおよそ四万五千件と過去最高を記録しています。また、成年後見制度の利用拡大に伴いまして、最近は成年後見人等の不祥事事例もしばしば見られます。家庭裁判所による成年後見人等に対する監視体制の見直しも問われているところです。
 三月十三日の大臣所信に対する質疑では東京家裁の調停室不足の問題について質問いたしましたが、人的な面から見ても今回の改正による増員では不十分なのではないかというふうに思います。特に家庭裁判所の書記官については、家事事件の増加に伴い、当事者からの問合せ、それから苦情への対応、提出書類のチェックなど負担が増加しており、調停調書などを執務時間内に作成することはかなり難しく、勤務時間外や休日に集中して作成することが多いというふうに聞いております。
 そこで、今回の改正法案が家事事件の増加に伴う家庭裁判所の人的体制の整備にどのように反映されるのか、最高裁判所に伺います。
#92
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、成年後見事件の増加に伴って、その対応ということにつきましては運用上の工夫というのを種々行ってきたところでございます。成年後見センターというようなものを大規模庁に設置するなどいたしますとともに、事件処理に関する判事の増配置ということも行ってきたところでございます。また、書記官につきましても増員を行ってきたところでございますし、特に質、量の増加ということに対して緊急的に対応すべく、家事部門への内部応援というふうなことも併せて行ってきて、事件処理に支障がないように努めていっているところでございます。
 今回の増員ということにつきましては、家庭事件の充実処理ということが一つの理由ということになっているわけでございますが、今年度の増員についてお認めいただくということによりまして、現有の人員の有効活用ということも併せてやっていって、家事事件の充実強化ということを図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
#93
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、地方裁判所支部において労働審判を実施するその必要性についてお伺いをしたいと思います。
 労働審判制度は、労使間のトラブルの早期解決を図る目的で平成十八年の四月から導入された制度でありますが、不当解雇や賃金未払など争うものが多く、労働者にとって極めて切実な問題が扱われています。また、申立て件数のうちの約七〇%の事件が調停成立で終了しているなど高い解決率から、労働審判は利害関係の激しい労使紛争について簡易、迅速に解決する手続であることが実証されています。
 しかし、労働審判は地方裁判所の管轄とされておりまして、地方裁判所本庁で実施されてまいりました。その後、平成二十二年四月からは福岡地裁小倉支部と東京地裁立川支部において取扱いが開始されていますが、支部で実施されているのはいまだにこの二か所だけであります。
 そこで、この二支部以外に取扱いを増やさない理由についてでありますが、これ、以前の本委員会の質疑でも、今後、どの支部で労働審判事件を取り扱うかについては、今申し上げました考慮要素のほか、労働審判事件全体の動向や、立川支部、小倉支部における労働審判事件の運用状況などを勘案しながら検討していくことになると考えておりますと、これは最高裁判所答弁をされておりました。
 その後、例えば地方議会からも支部による扱いを求める意見書が可決されているようでありますが、支部において労働審判の取扱いを拡大することについてどのような検討を行っているか、最高裁判所に確認をいたします。
#94
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 支部における労働審判事件の取扱いにつきましては、予想される事件数、それから本庁に移動するための所要時間ということを基本にしつつ、労働審判員の安定的な確保といった観点の地域的事情ということも考慮しながら、各地方裁判所において検討をしていくということでございます。そのような検討の結果、二十二年四月から立川支部及び小倉支部で労働審判を開始したということでございます。
 今後、それをどう増やしていくかというところでございますけれども、委員御指摘のとおり、地方議会から支部における労働審判を取り扱ってほしいという意見書が可決されているというのは認識しているところでございます。そういった御意見も踏まえながら、先ほど申し上げました事件動向、労働審判員の安定的確保といった観点を総合的に考えて引き続き検討していくということになろうと思っております。
#95
○糸数慶子君 今回のこの定員法改正と、それから労働審判担当裁判官の増員についてでありますが、これ労働審判は、制度の定着に伴って新受件数が増加して、ここ数年は三千五百件以上で高止まりをしている傾向にあります。このことから考えていきますと、労働審判事件の申立て件数の多い大規模裁判所においては裁判官の人数が足りていないのではないかというふうに思います。
 例えば東京地裁では、労働審判事件が急増した平成二十一年度以降約一千件を超える申立てがあります。担当の裁判官の負担は著しいものがあるというふうに思われますが、今回の定員法の改正では判事について三十二人増加することになっておりますけど、裁判官の負担軽減を考慮し適切に配置するつもりか、このことも併せてお伺いをしたいと思います。
#96
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 今回の判事増員三十二人につきましては、民事訴訟事件の審理充実、家庭事件の処理の充実強化のための増員をお願いしているところでございます。特に近年、家庭事件の増加が著しいということでございますので、このような事件動向を踏まえまして、各庁の事件動向や事件処理状況を踏まえまして、増配置につきましては個別具体的に検討していくことになろうかと思っております。
 労働審判事件、全体として三千件ということで、裁判所の事件の中での割合という意味ではそれほど大きくないわけでございますが、それについてもやはり事件が増えているということでございますので、その処理に支障を来すことのないよう、現有勢力の活用ということも含めて検討してまいりたいというふうに思っております。
#97
○糸数慶子君 よろしくお願いしたいと思います。
 次に、入管関係についてお伺いをしたいと思います。
 これはガーナ人のスラジュさんの事件についてでありますが、四年前に日本での在留期限が切れたガーナ人男性が成田空港から強制送還される際に急死したのは東京入国管理局の職員の過剰な制圧行為が原因だとして、日本人の妻ら遺族が国に約一億三千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が三月十九日に東京地裁でありました。小林久起裁判長は、入管職員の違法な制圧行為による窒息死だったというふうに認定しています。そこで、国に約五百万円の支払を命じました。
 これは新聞にも大きく、朝日新聞にも紹介されましたのでお分かりだと思いますけれども、この判断について法務大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか、そしてまた、この件に関して控訴する予定はおありなんでしょうか、お伺いいたします。
#98
○国務大臣(谷垣禎一君) 御指摘の判決は、おっしゃった男性、ガーナ人の男性の死因、それから制圧行為と死亡との因果関係の有無、それから制圧行為の違法性の有無等につきまして国側の主張と異なる認定が裁判所でなされたものでございます。現在判決内容を精査しておりまして、その上でどう対応するかというのを早急に決めなければいけない段階でございます。
#99
○糸数慶子君 この件に関してですが、スラジュさんのこの死亡という結果もさることながら、経過についても様々な疑問がございます。
 現場で行われていたビデオ撮影が制圧行為の場面で中断された理由は何でしょうか。入国管理局の内規では認められていないはずの足への手錠の使用がなぜ行われたのでしょうか。大臣はこれらの理由についてどのように考えていらっしゃるのでしょうか。あるいは担当者からどのような説明を受けているのでしょうか。このような制圧の現場についても、きちんとしたビデオ撮影とその保存など、可視化を求める意見に対して大臣はどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#100
○国務大臣(谷垣禎一君) ビデオ撮影につきましては、これは入国警備官による制止といったような行為が果たして、職務行為、適切かつ適法に行われているかどうか、それを証明する、それを見るのには非常に有効な手法であると私たちも思っております。しかし、もっとも、航空機内でのビデオ撮影、特にほかの乗客がありますようなときのビデオ撮影というのは、当時は航空会社からそれは認めないという回答を得ることが多かったために実施していなかったというふうに聞いております。
 そこで、この事件が起きまして、こういったときの対応の要領というのを今整備し直しまして、現在は、航空機内においても被送還者が抵抗することが予想されるような場合には、事前に航空会社に確認を行いまして、そして可能な範囲内でビデオ撮影を行うというふうにいたしました。もっとも、ただ、発着陸のとき等は控えてもらいたいとかいろんなことはあるようでございますが、現在はそういう扱いになっております。
 それから、手錠につきましては、戒具の使用要領に、手首に使用して他のところに使用してはならないと定められております。今度のその御指摘の判決の中でも、もっとも、そういった手首に使用するというのではない行為であっても、その目的と必要性に照らして緊急やむを得ない場合等には国賠法上直ちに違法とされるものではないというような判断をされているところでございますけれども、これも、本件の事案後、戒具の使用等について内部規範にのっとった職務の執行を改めて指示したところでございまして、今後とも適正の確保に努めていかなければならないと思っております。
#101
○糸数慶子君 今、政府は外国人観光客の大幅な増大を目指しています。大臣の所信の中でも、日本経済の活性化に資する外国人の受入れに関してその促進に努めてまいりますというふうにおっしゃっていらっしゃるわけですが、そのためには、たとえ不法滞在者、強制送還の対象者であっても、その方々の人権が十分に尊重されることが大前提ではないかというふうに考えます。
 今回のスラジュさんに対する対応については諸外国では極めて厳しく報道されておりますし、このような国際的な批判への反省と、それから今後の送還方法等について抜本的な改善が求められているというふうに思います。そのことに対して一言、最後に大臣の御決意をお伺いいたします。
#102
○国務大臣(谷垣禎一君) 今のこの退去強制をしなければならない場合の扱い方につきましては、この事件を機に見直しを進めまして、より安全かつ確実な送還に万全を期すための改善策として、護送、送還に係る要領改正、それから通達を出しました。それから、継続的な護送、送還担当者の実技訓練というものを実施している等々の改善を行っております。
#103
○委員長(荒木清寛君) 糸数さん、時間が来ておりますので。
#104
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 時間ですので、終わりたいと思います。
#105
○委員長(荒木清寛君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#106
○委員長(荒木清寛君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#107
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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