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2014/04/10 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第9号
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2014/04/10 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第9号

#1
第186回国会 法務委員会 第9号
平成二十六年四月十日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月八日
    辞任         補欠選任
     山下 雄平君     島尻安伊子君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     島尻安伊子君     山下 雄平君
 四月十日
    辞任         補欠選任
     森 まさこ君     吉川ゆうみ君
     吉田 博美君     石井 浩郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                山下 雄平君
                若林 健太君
                有田 芳生君
                小川 敏夫君
    委 員
                石井 準一君
                石井 浩郎君
                溝手 顕正君
                宮沢 洋一君
                柳本 卓治君
                吉川ゆうみ君
                吉田 博美君
                江田 五月君
                前川 清成君
               佐々木さやか君
                行田 邦子君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       法務副大臣    奥野 信亮君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  平口  洋君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   今崎 幸彦君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   岡 健太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        井上 源三君
       内閣府男女共同
       参画局長     佐村 知子君
       警察庁生活安全
       局長       辻  義之君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小川 秀樹君
       法務省民事局長  深山 卓也君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
       法務省矯正局長  西田  博君
       法務省保護局長  齊藤 雄彦君
       外務大臣官房参
       事官       山田 滝雄君
       厚生労働大臣官
       房審議官     鈴木 俊彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○少年法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に山下雄平君を指名いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(荒木清寛君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 少年法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省刑事局長林眞琴君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(荒木清寛君) 少年法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。三週間ぶりに質問に立たせていただきます。よろしくお願いいたします。
 少年法の改正案の具体的な中身に入っていく前に、少年法の成り立ちそのものについて少しお伺いさせていただければと思います。
 今の現行法の規定であっても、またこの改正案であったとしても、少年法では少年が罪を犯して刑事処分される場合の量刑は成人よりも軽くなっている、そういった法体系になっておりますが、そもそも未成年をそういう扱いにしている理由というのをお聞かせください。
#8
○政府参考人(林眞琴君) 少年法におきまして少年の刑を成人に比して緩和している理由でございますけれども、少年は、一般に心身が未成熟でまた人格形成過程にある、そのことから極めて可塑性に富んで、悪に染まりやすい反面で、教育による改善更生の効果がより期待されるという特性を有しております。
 そこで、少年法におきましては、少年について刑事処分が相当であるといたしましても、成人に対する刑に比しては教育を重視した刑を科すことが相当であり、また年少者に対する社会の寛容も期待できることから、少年に対する刑の制度は成人に比して緩和されているものと考えられます。
#9
○山下雄平君 少年は成人に比べて未熟ゆえに更生の余地が大きいということが趣旨だと思います。
 ただ、今回の少年法改正案の報道をめぐっては、量刑の上限が引き上げられるということが度々報じられております。そうした報道を目にされている国民の中には、少年の犯罪がもしかしたら増えているんじゃないか、若しくは少年の犯罪が凶悪化しているんじゃないか、だからこうした法改正が必要になってきたんじゃないかと推察されている方がいらっしゃるかもしれません。
 前回の委員会では、前川委員は、罪を考えるに当たっては統計は無意味だと指摘されておられました。確かにそういった面もあるのかなと思います。しかし、国民の中には、特に少年犯罪にはふだんは余り関わりのない方の中には、少年犯罪のそうした例えば増えているだったり凶悪化しているような統計があるからこうした法改正をするのかなというふうに認識されている方もいらっしゃるかもしれない、そう想像します。
 実際のところ、未成年の刑法犯の推移はどうなっているのでしょうか。また、殺人などの凶悪犯の推移はどのようになっているのでしょうか。
#10
○政府参考人(林眞琴君) 近年の少年の刑法犯の検挙人員について見ますと、昭和五十九年以降平成七年まで、これは減少傾向にありました。その後、若干の増減を経て、平成の十三年以降増加しておりましたけれども、平成十六年からは減少しております。一定の少年人口当たりの検挙人員の比率について見ましても、同様に平成十六年から低下しているものであります。
 一方、重大犯罪における少年の検挙人員について見ますと、まず強盗について見ますと、平成十五年をピークでございましたが、おおむねその後減少傾向にあるということが言えます。また、殺人につきましては近年においても顕著な増減の傾向は見られないものでございます。個別の凶悪重大事犯、少年による凶悪重大事犯というものは相当発生しておりますが、全体としては減少傾向にあると考えております。
#11
○山下雄平君 少年の刑法犯は増えていない、むしろ減っているというような話もあったと思います。つまり、社会情勢や少年犯罪の様相が変化してきたから今回の改正案が出てきたということではないということだろうと思います。
 今回の少年法の改正案の趣旨は、有期刑や不定期刑の上限を引き上げるということも柱だと思います。ただ、二〇〇四年の刑法の改正のときには成人の有期刑の上限が引き上げられました。この際は少年法には手を付けなかったわけです。その理由について、衆議院での委員会でも議論がなされておりました。法務省側からは、そのときに少年法に手を付けなかった理由としては、少年というのは、可塑性に富み教育可能性のより高い少年に対しては成人以上に教育的な処遇が必要、有効だということで、少年法独自の観点からの検討が不可欠だったために、当時は少年法には手を付けなかったというような趣旨の答弁をされております。
 その上で、今回、少年法を改正する、そして刑期の上限を引き上げるということに関しても衆議院で質疑がされておりますけれども、その理由については、成人に対する刑と少年に対する刑との間に不均衡が出てきてしまうというような指摘があった、そうしたことを理由に挙げていらっしゃいます。しかし、たとえ今回の少年法改正案が成立したとしても、成人と少年のいわゆる刑期の量刑の差は、小さくはなりますけれども、その差自体は依然として残ります。
 現行法の規定の差が問題で、改正後の差は妥当だ、そういうふうに認識されている理由をお聞かせください。
#12
○政府参考人(林眞琴君) 今回の法改正におきまして、少年の不定期刑の長期の上限が十年から十五年に引き上げられますけれども、成人の有期刑の上限が原則として二十年、また加重される場合には三十年とされているために、少年と成人との間でこの有期刑について比べても上限になお差があるということは、委員御指摘のとおりでございます。
 こうした少年と成人との間での有期刑の上限に差があることにつきましては、一つには、先ほど申し上げましたが、少年が可塑性に富んで教育可能性がより高い、成人以上に教育的な処遇が必要、有効であるということの理由から、少年に対する有期刑について一定の範囲で刑の緩和が必要であること、また、少年法五十一条二項の無期の緩和刑としての有期刑の上限と同一又はそれを超えるということは相当とは言い難いこと、こういったような理由から、こうした改正後のなお差があることについては合理的な理由があると考えております。
#13
○山下雄平君 法務省側から、いわゆる少年に関しては一定の割合で緩和が必要だという話がありました。じゃ、どのぐらいの割合が正しいのか。つまりは、罪に見合う刑というのはどういうものかというのは非常に難しい問題だと思います。さきの臨時国会でも自動車運転の法律があったときにも、じゃ、いろんなひどい事故があったときにどういった刑が適正なんだろうかというのは、多分人それぞれ価値観も違いまして、皆が納得できるというのは本当に非常に難しい問題だと思います。
 今回の少年法改正案をめぐっても、早期成立を求めていらっしゃる方は、今回の改正については刑の適正化だと評価されております。一方で、この改正案に対して慎重な方若しくは反対される方は、厳罰化というような言い方をされているんだろうと思います。乱暴な言い方をすると、性善説に立つのか性悪説に立つのかということでも受け取り方は違うんじゃないかというふうに感じています。また、被害者の側に立って見るのか若しくは加害者の側に立って見るのかによっても受け止め方というのは非常に異なるんだと思います。
 火曜日の委員会の参考人質疑でも、自分の息子さんを殺害された被害者家族の方が、適正な罰というのは極刑しかないと、極刑でも納得できない、許されないと言われておりました。被害者家族の方が犯罪少年に重い罪を科すべきだと、そうおっしゃる思いというのはよくよく分かります。
 一方で、少年の場合というのは、応報感情だけで量刑を判断していいのかなという思いもなくはありません。今回の改正に慎重な意見を言われる識者の中には、今回の改正により上限が引き上げられることによって、少年によっては社会で暮らした時間と刑務所での時間がほぼ同じになる場合があると、心身の成長が著しい時期に社会から隔離されれば、服役後の社会適応が難しくなり、再び犯罪者になるおそれは大きいと主張される方もいらっしゃいます。少年法を改正していくに当たっては、こうした懸念も丁寧に払拭していく必要があると考えます。
 更生を目的としているはずの服役が長くなってしまうと、逆に再犯の可能性が高くなってしまう、そうしたことが起こり得るのでしょうか。その件について御認識をお聞かせいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(谷垣禎一君) まず前提として、少年に対する刑罰についても罪刑の均衡ということが必要であろうと思います。そこで、犯した罪に比べて著しく軽い刑を科すということは、これは少年の健全育成あるいは社会復帰という点を考慮したとしても相当ではないというふうに私は思います。
 それで、具体的に今回の法改正を適用してどのような判断を下されるのか、それは裁判所の判断でございますから、私は全てがまだ見通せるわけではありません。ただ、長期にわたって受刑することになる可能性、今までは無期との間に相当差がありましたから、その間、今までではない、中間領域と申していいのかどうか分かりませんが、そういう刑に服する方も、少年も出てくると、こういうことですね。
 そこで、そういう長期にわたって受刑することとなる者の社会復帰あるいは再犯防止については、結局のところ、その刑事施設における教育処遇というものが大事になってくる、どれだけきちっとしているかということになってくると思います。そこで、少年受刑者に対しては、教育的働きかけが行われて社会復帰に資するためのプログラムが用意されるなど、少年の更生のための処遇に今努めているところなんですね。それに加えて、受刑者が二十六歳に達した後は少年刑務所から成人の刑務所に移送されることになります。そこで一般の成人の受刑者と同様に、引き続いてその者の問題性に応じた処遇プログラム、職業訓練を実施していくということであります。
 そういったことから、長期受刑によって、いろんな場合があり得ると思いますが、少年の健全育成、社会復帰が害されて再犯が増えるというような御懸念は必ずしも当たらないのではないかと私は考えております。
#15
○山下雄平君 更生のプログラムをたくさん施しているので、服役が長くなったからといって再犯が一概に多くなるとは言えないという趣旨のことだと思います。いろんな立場の方がいらっしゃいますけれども、罪を犯した少年が深く反省して、罪を悔い、更生しなければならないと思っていらっしゃるのは、いろんな立場の方がいらっしゃるかもしれませんが、そのことに関しては共通しているんだと思います。
 再犯を防止する、更生を進めるという趣旨では、今回の少年法改正案では、刑事裁判のことだけではなく、少年審判でも制度の変更が盛り込まれております。改正案では、少年審判で、家庭裁判所の裁量により弁護士の国選付添人が付く対象事件の範囲が拡大することになります。
 付添人の対象拡大がなぜ、罪を犯した少年による再犯を防止するためには少年審判の段階から少年が再犯に及ばないように環境を整えること、そうしたことにつながるんでしょうか。法務省の見解をお聞かせください。
#16
○副大臣(奥野信亮君) 今、山下委員御主張のとおり、この制度は、少年審判は、再犯を抑えて更生させ、そして円滑な社会復帰をさせるということが一番ポイントだろうと思います。しかしながら、今までのやり方を見てみますと、審判員と、それから被疑者というんでしょうかね、少年とが一対一で話をする、時と場合によっては付添人が付くケースもありますが、非常に圧迫感があるといいましょうか、そういう感覚が私から見ると想定されます。また一方、その付添人とそれから検察とがお互いに審判員を含めて話をする中で、その少年の将来のことについても話をできるような環境づくりをしていく必要があるなと、そういうふうな背景からこの法律を作らせていただいたわけであります。
 そして、制度の対象となる事件の範囲は、死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件に拡大するように具体的には決めております。
 そんな中で、今申し上げたようなやり方で審判を進めることで少年や若者の再犯を抑えていきたいわけでありますが、再犯者というのは往々にして、初犯者に比べると、住居不定な者、あるいは無職の者、不良集団関係者の割合が高いというふうに指摘されております。そんな中から、罪を犯した少年による再犯、再非行を防止するためにも、帰住地の確保や暴力団との関係断絶などの環境調整が必要であろうかと思います。
 加えて、付添人については、非行事実の認定手続において少年側の立場から主張や立証を尽くす活動を行うのみならず、少年の帰住先、要するに将来を考えて、帰住先とか就労先確保、あるいは悪の組織との関係断絶というようなことも含めて環境調整をすることが期待されているわけであります。
 こんなことから、今回の法改正によって国選付添人制度の対象事件の範囲が拡大されて、そして環境調整が一層行われることによって少年による再犯、再非行防止につながっていくと、こういうふうに私どもでは期待しているところであります。
#17
○山下雄平君 ありがとうございます。副大臣が言われていること、よく理解できました。
 ただ、今回の付添人制度が導入されることによって再犯の可能性が減っていくという話であるのであれば、ひょっとすると、じゃ、全ての事件に拡大した方がいいんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。今回の改正では、先ほど副大臣が言われたように、死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる刑が対象となるわけです。そういった限定をされた理由というのはどういったところにあるのでしょうか。
#18
○政府参考人(林眞琴君) まず、現行の国選付添人制度の対象となっていない事件、特にこの長期三年を超える懲役、禁錮に当たる罪の事件の中には、例えば詐欺、恐喝など、社会的に見て重大な犯罪でありまして、しかも共犯者が多数存在する複雑な事案や、あるいは業務上過失致死傷のように、結果が重大で一方で過失の認定が難しい事案などが含まれていることから、少年審判における事実認定手続の一層の適正化を図って、それによってより適切な処遇が選択されるようにする、こういったことが必要でございます。
 それには、証拠の収集でありますとか、少年審判の場における証人尋問等を通じて適正な事実認定を行う、あるいは社会復帰後の少年の環境調整等による少年の更生、再犯防止のために積極的な活動をさせるために、国費によって弁護士である付添人を少年審判に関与させることが適当な場合があると考えられるところでございます。
 また、その一方で、これに対しては相応の予算措置を伴うものでございますので、国選付添人制度の範囲については、他方でこれは慎重に吟味する必要があるところ、より適切な事実認定や少年の更生、再犯防止の必要性に鑑みまして、国民の理解と納得を得られるであろうと考えられる対象事件の範囲として、今回、死刑、無期又は長期三年を超える懲役、禁錮に当たる罪の事件まで拡大することとしたものでございます。
#19
○山下雄平君 おっしゃったように、あればあるだけいいという方もいらっしゃるかもしれませんが、国選の場合、財政的にも負担が掛かるわけで、国民の納得がいく範囲というのはどこだろうという検討をされたときに、事実認定が難しい事件であったり、複雑な難しい少年の事件であったりと、そういうところに限定されたということだろうと思います。
 ただ、この範囲であったとしても、かなり範囲は広がるんだと思います。今回の対象が拡大することによって、付添人が選任される事件がどのぐらい増えるというふうに見込んでいらっしゃるんでしょうか。
#20
○政府参考人(林眞琴君) お尋ねにつきましては、もとよりこれは改正後にも個別具体の事件において裁判所の判断いかんによるものでございますので、当然確たる数字を申し上げることは困難でございますけれども、例えば平成二十四年における現行法における国選付きの、付添人制度の対象事件の数を数えますと、これは約六百件でございます。同年、同じその平成二十四年において今回の拡大後の国選付添人制度の対象事件の数を数えますと、これは約八千四百件ということになります。そして、平成二十年から二十四年までの過去五年間、国選付添人の選任率というものを見ますと、すなわちその対象事件に全部国選付添人が付くわけではなくて、これは家庭裁判所の裁量によって付すものでございますので、そういった過去五年間の選任率を見ますと、これは約六〇%ぐらいでございます。
 こういった数字を参考にいたしますと、今回の国選付添人制度の対象事件の範囲を拡大することによって、おおむね四千から五千件ほどの国選付添人の選任件数が増加することが見込まれるところでございます。
#21
○山下雄平君 もっともっと対象を拡大してほしいという声もある一方、今の見込みだと六百件ぐらいだったのが四千から五千件に増えると。七、八倍増えるということで、かなりの数になろうかというふうに思います。
 では、具体的にどういった事件が付添人が選任されるような事件となることが見込まれるんでしょうか。
#22
○政府参考人(林眞琴君) 家庭裁判所の裁量による国選付添人制度の対象事件が今回拡大することによって、例えば傷害でありますとか恐喝、あるいは自動車運転による過失運転致死事件などが新たに対象事件となってまいります。もとより国選付添人は家庭裁判所の裁量ということになりますので、必ずその対象事件について国選付添人が付されるものではございません。これについては裁判所が適正に裁量権を発揮して選任していくことになると思います。
 そこで、想定される、特に想定される国選付添人が付くような事例でございますが、例えば、多数の共犯者による恐喝や傷害事件において、少年が非行事実を否認しておって、少年の供述、また他の共犯者の供述、あるいは被害者の供述などそれぞれ異なっているなど、こういった供述の吟味等に非常に慎重を要するような事件ということが挙げられます。また、あるいは自動車運転による過失運転致死事件などにつきましては、少年が事故態様を争っていて、なおその過失の内容について慎重な事実認定を要する事件、こういったものが国選付添人が選任される一つの例かと思います。
 これは事実認定の適正という観点からの点でございますが、他方で、環境調整が必要な事件、事案というのもございます。
 例えば、傷害事犯においては、少年は事実関係を認めていて、被害者に対する損害賠償の意向も示している、また被害者側も損害賠償を受ける意思はあるものの、被害の内容や被害者の心身の状態等に照らしますと、少年あるいはその保護者が直接面会して話し合うということは困難なもの、これを国選付添人が代わって行うと、こういったような形。あるいは、暴力団組織に所属している少年が組織との関係で窃盗、恐喝などの非行を行った事案について、少年が非行事実を認めていて、その暴力団組織から脱退することを望んでいるものの、少年や保護者が自らその組織と交渉して、また組織から脱退することを進めるということは困難な事案、こういったことについて付添人が行うと、こういった例などが考えられるところだと思います。
#23
○山下雄平君 今回の改正案では、付添人制度の対象拡大だけではなく、少年審判に検察官が関与する対象の事件の拡大も盛り込まれています。付添人と併せて検察官関与制度の対象事件を拡大した理由についてお聞かせください。
#24
○政府参考人(林眞琴君) まず、検察官関与制度でございますが、これは審判が裁判官と少年側の者のみが関与する手続で行われることについて、例えば裁判所と少年側とが対峙する状況があり得ることや、被害者の側から見ると少年側の言い分だけが聞かれているのではないかという不信の念が見られたこと、こういったことを踏まえまして、被害者を始めとする国民の信頼を確保するなどの観点から、事実認定の一層の適正化を図るために、検察官そしてまた弁護士の付添人、こういった双方が審判に参加する制度として平成十二年の改正で導入されたものでございます。
 その上で、仮に検察官関与制度の対象でない事件にまで国費による弁護士付添人の選任を認めることといたしますと、個別の事件において、少年によりその非行事実の存在が争われても検察官の関与が不可能というようなことになりますと、そうなりますと、今申し上げた平成十二年改正の趣旨に沿わないものと言わざるを得ず、また、被害者を始めとする国民の理解や納得を得られるかも疑問でございます。
 そこで、今回の法改正においては、家庭裁判所の裁量による国選付添人制度の対象事件の範囲を拡大するのと併せまして、検察官関与制度の対象事件の範囲も拡大して、これを同じとすることといたしました。
#25
○山下雄平君 以上で終わります。ありがとうございました。
#26
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川です。
 今回の少年法改正案、国選付添人の範囲を広げるというところは賛成なんですが、それと抱き合わせで、検察官関与の拡大、あるいは刑のいわゆる厳罰化というのがありまして、気持ちよく全部賛成とはいかないのが立場でありまして、衆議院におきましては、この厳罰化の部分を除外した修正案を提出したという状況でもあるわけでございます。そうした観点から、まずこの刑の厳罰化、刑の引上げがそもそも必要なのかという観点から、大臣あるいは関係省庁等に質問させていただきますが。
 まず、今回、厳罰化じゃないか、法務省の方は適正化と言って厳罰化という言葉は使わないんですけれども、成人の刑が有期刑が懲役二十年である、少年の場合にはこれまで懲役十年であると。つまり、少年の刑は成人の刑に比べて軽い、数字的に言えば二十年と十年で半分だということになっておるんですが、そもそもどうしてこの少年の刑が軽いのかということを考えますと、少年については可塑性が強いとか、まだ犯罪性向にそれほど染まっていないとか、少年だからということで社会の見方も少し宥恕的なものがある、あるいはまだ人格が形成途上であるから責任が軽いとか、そうした状況の様々な理由で少年は成人より刑が軽いというふうに理由付けられておるわけです。
 それで、じゃ、この成人の刑と少年の刑とが、少年の刑が軽くなっている、これがどういう関係にあるのかということで考えまして、私ちょっといろいろ疑問に思ったんで、大臣ともちょっと議論させていただきたいんですけれども、すなわち、成人の刑が懲役二十年、一方、少年の刑が懲役十年ということは、要するに、少年の刑事責任は成人の刑事責任の半分と評価していることなのかと。
 例えて言えば、電車の運賃、大人の電車運賃が五百円なら子供は二百五十円、大人の電車運賃が百円なら子供は五十円というのが言わば子供は大人の半分という理論ですよね。そういう考えでそもそも成人は懲役が二十年、少年は懲役が十年というふうになっているのか。それとも、そうじゃなくて、いや、元々刑は同じなんだと、成人も少年も本来刑は同じなんだと。だから、十年まではずうっと成人も少年も同じなんだよと。ただ、少年はまだ若いから、十年を超える刑はかわいそうだから十年で少年は打ち止めと。十年までは成人も少年も同じ、十年は超えるのはかわいそうだからそこで打ち止めにすると。成人は打ち止めにならないと。こんな考えでいくのか。
 どうもこの基本的なところ、なぜ少年の刑が成人の刑よりも軽いのかということの基本的なところをちょっとお考えをお示しいただきたいんでございますが。
#27
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の小川委員のお問いかけに私も十分答えられるかどうか分からないんですが、私どもが今までこういう少年法の考え方の背景にあるものというふうにして考えてきたのは、いわゆる保護主義ですね。つまり、先ほど委員がおっしゃったように、まだ人格が形成途上である、いわゆる可塑性があるといいますか、だから、悪いことにも染まりやすいけれども、悪いことに染まった後も、何というんでしょうか、元に戻るということも、良い方に戻っていくということもフレキシビリティーがあるんだと。だから、そのフレキシビリティーに合わせていろいろな処遇をしていこうというのが少年法の背景にある考え方だというふうに私どもは先輩方に教えられ、なるほどそういうものかと思ってきたわけです。
 そこで、今、小川先生は大人の半分というようなお考えを示されました。確かに今まででいえば、二十年、十年といえばそうかもしれませんが、必ずしも、だから、そういう考えで成り立っていたというのではなく、私は、やはり先ほどのような可塑性とか、悪にも染まりやすいけど、その後、元にも戻りやすいということが中心にあるのではないかというふうに考えております。
#28
○小川敏夫君 子供が大人の半分というのは、そういう見方をできるということを披瀝したわけで、私がそう考えているということではありませんが、ただ、そういう要素もあるのかなという程度でございます。
 というのは、法務省のこれまでの説明ですと、懲役が十年と、その上は無期だと。そうすると、懲役十年では適正な刑が科せられない、もっと重いけど無期には至らないというものがあるんだと。だから、それに応えるために十年を超えると思われるものについては適正な科刑ができるように十五年まで上げると。だから、厳罰化じゃないので、適正な科刑の範囲を広げるという説明が法務省の説明だと思うんですね。
 それで、私は、果たしてそれだけの説明でいいのかなと。やっぱり、単純な言い方をしまして、大人が二十年で子供が十年だったと、だから子供は大人の半分だったと。こういう基本で、そもそも子供は大人よりも何割か刑が軽いんだと。こういう発想で考え方の論理を取りますと、十五年に上がりますと、少年は大人の半分じゃなくて大人の七割五分になるわけです。そうすると、これまで大人が十年なら少年は五年というものが、大人が十年に匹敵する刑をやった少年は七年半になるんじゃないかと。
 ですから、上限が上がるということは、法務省が言っているように、これまでの上限の十年を超える部分にだけ対応するために上げるというんじゃなくて、上限上げるということは、結局、科刑そのものの、少年の刑の科刑が大人との、成人の刑との比較で全体が底上げされるんじゃないかという懸念を持っておりまして、だから、結局はそれは厳罰化になるんじゃないかと、こういうふうに思っておるわけです。
 まあ大人は子供の何割と言わなくとも、刑の最高刑が、最高が上がればそれに伴って全体が上がるというのが私はこれまでの刑の実際の科刑状況だと思うんですね。ですから、そういった面で、これはやはり、ただ単にその十年を超える部分の埋めるという部分だけじゃなくて、結局は少年の刑の全体の厳罰化に結び付くんではないかという懸念を私は抱いておるんですが、この点はいかがでございましょうか。
#29
○国務大臣(谷垣禎一君) 委員の、二分の一とかどうかは別としまして、確かに、少年に対しては世間の非難感情も成人の場合に比べると弱いという部分は現実にあるだろうと思いますね。まだ子供なんだからという感じがないわけではないと思います。
 しかし、今回の改正は、もう小川委員がよく御承知のように、私どもは、何というんでしょうか、今までの半分から更に上げようという感覚でこういう今回のような改正を考えたわけではございませんで、やはり無期の後は十年であるというのはいかにも乖離があり過ぎるということで、裁判実務の面でもそういった批判が出てまいりましたので、そこをもう少しフレキシブルにする必要があるのではなかろうか。
 やはりその前提として、少年の場合であっても、行為と刑との間には均衡が取れるものである必要がやはりあるのではないかという考えがあったことは事実でございますが、今回はその間を、今のような間を埋めようということが主たる考えでございまして、全体を重くしようということを考えてやっているわけではございません。
#30
○小川敏夫君 ただ、刑の間を埋めるということだけでなくて、今回、無期懲役で処断するときに、これを有期刑にするときには、これまで最長十五年だったものを二十年に引き上げるわけですね。これはもう明らかに厳罰化じゃないんでしょうか。
#31
○国務大臣(谷垣禎一君) いや、そこは必ずしも私はそのようには考えておりません。
#32
○小川敏夫君 だって、無期ですよ、無期に相当する刑を処断するときに、これまでは最長十五年だったというのを今度は最長二十年に上げるわけですから。ですから、無期に相当するというのは同じですよね。ただ、それに対する処断刑の範囲を引き上げるんだから、私は厳罰化だと思うんですけどね。これが厳罰化と言うか言わないか、余り言葉のやり取りしてもしようがないけれども、今回の改正にはやはりそうした厳罰化の部分があるんじゃないかというふうに、じゃ指摘させていただきます。
 私ども、この厳罰化あるいは厳罰化の面が十分にあるということで反対させていただいたんですが、そもそも刑を引き上げるだけの今必要性があるのかどうかということも疑問に感じております。
 それで、まず刑罰というのは、そもそも刑の本質は何かと。応報であると。あるいは被害者の報復感情を被害者に代わって国が刑罰、刑を科すんだとかいうこともありますけれども、もちろん犯罪者を教育して社会に送り返すということもありますし、あるいは刑を科すことによって一般的に予防するんだというような様々な刑罰の本質に対する考え方がありますが、現在の犯罪の状況が刑を引き上げなければならないような状況なのかどうかということも少し見てみたいと思いますが、先ほど山下委員の質問でも概略的なところがございました。
 それで、警察庁の方にお尋ねするんですが、殺人、強盗、放火、強姦を含めて凶悪犯と言ってありますが、この事件の推移は減少傾向にあると思うんですが、その状況について御説明いただけますでしょうか。
#33
○政府参考人(辻義之君) お答えいたします。
 刑法犯少年、これは刑法犯で検挙されました十四歳以上の少年でございますけれども、その検挙人員は、二十年前の平成六年には十三万一千二百六十八人、その後十年間若干の増減を経て、平成十六年以降は十年連続で減少しており、平成二十五年は五万六千四百六十九人と、二十年前の半数以下にまで減少しております。
 お尋ねの凶悪犯あるいは粗暴犯全体の検挙人員も、二十年前に比べますとおおむね半減しておりますけれども、最近では減少基調に下げ止まりが見られ、特に殺人に関しましては、この十年間を見ましてもほぼ横ばいの状況が続いているというような状況でございます。
#34
○小川敏夫君 例えば殺人が、平成十年、十一年が百十五人、百十人と、一方、平成二十四年、二十五年は四十六人、五十二人ということで、ほぼ半数になっておるわけです。少年法がその間、厳罰化の方向で改正されておりますが、これ、少年法が厳罰化になったから少年の非行、犯行が減ったのかなと思うと、成人の方も減っていますので、決して少年法が厳罰化したからとは思わないんですけれども、このように少年の犯行そのものが非常に減っている。例えば少年犯罪でよくあるパターン、金を脅し取るという恐喝、これなどは、平成十年、十一年、十二年頃は六千件前後なんだけれども、平成二十五年は八百八十一件というふうに激減しておるわけです。
 こういうふうに少年による非行や犯罪が減少しているという状況の中で、こうした少年の刑を引き上げるという必要性があったのかなと、むしろ、ないんではないか、ない、あるいは乏しいんではないかというふうに思うんですが、ここら辺の観点はいかがでしょうか。これは法務大臣か法務省に。
#35
○政府参考人(林眞琴君) 今回の改正自体が、少年犯罪の凶悪化であるとかその犯罪が増えている、そういったことに対処するものではないというものでございます。
 その中で、少年の刑の、今回、例えば不定期刑の上限でありますとかあるいは無期の緩和刑の上限を上げておるわけでございますけれども、それについては、これまでの間の運用状況の中で、実際の裁判で量刑をするのに当たって支障がある部分があると、そういった個別の事件に対して適正な量刑をするときにそれを図ることができない、そういったところを一方で是正するために今回の上限の引上げというものをしておるわけでございます。
 他方で、全体としてそういった科刑を引き上げるということでないのは、例えば、先ほど無期刑の緩和刑の上限の引上げという点がありまして、その点については確かにそれを引き上げておるわけでございますから厳しい刑を科す方向に進んでおるわけですが、その場合でも、その場合の下限については今回引き上げておりませんので、ある意味において、全体としての、同じような事案に対しての、どのような厳しい評価をするのかという観点でいきますと、必ずしも少年犯罪自体、事案に対して一律に厳しい評価の方を目指して改正をするものではないということでございます。
#36
○小川敏夫君 あと、実際に科刑の状況です。法務省の説明ですと、要するに、実際の刑の適用に当たって実情にそぐわないのがあると。要するに、十年を超えた刑を科すのがふさわしい案件であるのに、上限が十年であるから十年しか科せられない、そういうケースがあるからだというのが説明だと思います。
 それで、では実際の少年のこの不定期刑の科刑状況というものを少し数で調べてみました。司法法制部の方の資料によりますと、長期が九年六月を超える、それから短期が四年六月を超える、要するに上限若しくは上限に限りなく近い刑だと思いますけれども、これは平成二十四年には僅か四件なんですね。不定期刑を科した全体の中では、割合としては一〇・三%であると。
 そうすると、長い年月の間には、十年では軽過ぎる、もっと重い刑を科すべきだという件が、それは理論的にはあり得るかもしれないし、しかし一方で、少年については悪質な件については無期懲役刑があるわけですから、無期懲役刑を、これを有期刑に処断して、十五年までは今の法律の範囲でできるわけですから。
 そうすると、法務省が言われるほど、いや、実際に科刑の段階で適正な刑が科せられない、もうこれは社会の正義に反するというような案件が続出して困っているというような状況ではないんではないかと。むしろ、頭の中の体操で考えた中でそういう例があり得るんじゃないかと。あるいは、何年かに一件あったのかもしれないけれども、そうした実際には数少ない例、あるいはこれからも数少なくしか起こり得る可能性がないような件を、件数を特に強調して刑を引き上げているのではないかというふうに思われるんですが、その点はいかがでしょうか。
#37
○政府参考人(林眞琴君) 今回の改正でございますが、量的な問題は別といたしましても、個別の事件で、やはり少年の事件、少年の犯した行為、罪に対して適正な刑を科すという、この刑とその罪との均衡というのは必要でございますので、それを果たすために、ややこれまでの現行法によりますと量刑上支障を来す例があるので、そこに手当てをするということでございます。
 他方で、今回、例えば不定期刑の長期の上限が引き上げられたわけでございますが、あくまでも長期についてはその処断刑の中で定められることは今回の改正によっても変わりがございませんので、いわゆる長期という観点で見ますと、長期の幅というのは、一番その下限については全く今回引き上げていないわけでございます。そういったことからも、やはりこれまでの長期の上限にやや張り付いているような事案で、本来であればそれを超えるべき刑を科す必要があるような事案に対して対処ができるようにするための改正であります。
#38
○小川敏夫君 余り押し問答してもしようがありませんけれども、非常に数少ない例を取り上げて上限を引き上げた結果、少年の刑全体が、上限が上がったことに引きずられて結局は少年に対する刑の全体が上がってしまうのではないか、厳罰化してしまうのではないかというふうに懸念を持っておりますので、そうした懸念からいろいろ質問させていただいたわけでありますので、そうではないんだということでありますので、そうではないんだという趣旨を、これは是非司法関係者に十分周知させていただきたいというふうに思います。
 では、別の観点の質問をいたします。
 やはり、少年を非行に走らせる前に、そうしたことがないようにということが一番だというふうに思います。先ほど警察庁にお尋ねしました、少年の犯罪が減っているということでありますが、更にこの少年の非行を減少させるということについて、取組状況あるいは今後の方針について御説明をお願いいたします。
#39
○政府参考人(辻義之君) お答えいたします。
 私ども、少年非行の要因といたしまして、少年自身の規範意識の低さやコミュニケーション不足などが考えられ、それを助長する要因として、家庭や地域社会の教育機能の低下や、少年がともすれば自分の居場所を見出せず、孤立し、疎外感を抱いている現状があるというふうに考えているところでございます。
 そこで、警察におきましては、少年の規範意識の向上と社会とのきずなの強化を図るため、問題を抱えた少年等に対して指導、助言を行ったり、少年警察ボランティアや関係機関等と協働し、社会奉仕体験活動や農業体験活動等への参加促進、あるいは就学、就労等の支援を行う、少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動を推進しておりますほか、低年齢少年やその保護者を対象とした非行防止教室を開催するなど、非行少年を生まない社会づくりを全国警察挙げて推進をしているところでございます。
 この結果、非行を繰り返し、不登校でありました中学生が、将来の目標を持ち、在籍する中学校に登校するようになり、希望する専門学校への合格を果たしたなどの成果が見られるところであり、今後ともこのような取組を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#40
○小川敏夫君 是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、法務大臣にお尋ねいたしますが、今回、国選付添人の対象に虞犯少年に対する審判事件が含まれておりません。この虞犯というのはまさに少年に特有な案件でして、犯罪は犯していないけれどもそれを起こすおそれがあるという少年に、保護してこれを矯正するということでありますけれども、中には、どうしてもこれは犯罪立件できないから、しようがない、こんなのは虞犯で送ってしまえなんということがあってはいけないわけでして、これはやはりあくまでも少年を犯罪に走らせる前に健全に育成するということの趣旨であると思われますが、そうした意味で、それが間違った使われ方がないように、私はこの面についても付添人を付するということを考えてもいいのではないかと思うんですが、そこら辺のところはいかがでしょうか。
#41
○国務大臣(谷垣禎一君) 虞犯、最初に平仮名でぐと書いて犯と書いてあるとなかなか意味が分かりにくい言葉でございますが、これは、委員がおっしゃるように、国選付添人制度の対象事件の範囲とはされていないわけでございますね。これは、犯罪に結び付くような問題があって非常に要保護性は高いと、しかし犯罪に至らないような少年に係る事件でございまして、それ自体は、罪を犯した少年と比較すると社会的に見て軽微と言ってはなにかもしれませんが、罪を犯した少年に比べると、社会的に見て重要性は罪を犯した少年に比べると高いとは言えないということがあろうかと思います。
 それで、虞犯少年は、家裁係属前の捜査手続におきまして身柄を拘束されることはありません。したがって、被疑者国選弁護段階との継続的な活動を保障できないことから生じる不都合、国選付添人制度にはそういう面がございましたが、虞犯少年の場合にはそういった不都合をカバーするという必要性はないわけであります。
 他方、現下の厳しい財政状況の下で国民の理解と納得を得るためには、相応の予算措置を伴う国選付添人制度の範囲を拡大する必要性をこれは説明していかなきゃならないわけですが、多額の国費を支出して観護措置をとられた少年の全ての事件についてまでその範囲を拡大していく必要性はいまだ十分とは言えないのではないかと、こういうふうに考えております。
#42
○前川清成君 おはようございます。前川清成でございます。どうぞよろしくお願いします。
 まず最初に、大臣にお尋ねをしたいと思いますが、今度の少年法の一部改正案の趣旨説明、そこには、少年審判において適切な事実認定が行われる、そのことが重要でありますと、こういうふうに書かれています。私もそのとおりだろうと思いますし、これは重要という程度の日本語なのかと。少年に限らず、あるいは成人の刑事事件においても、適切な事実認定が行われるということは刑事手続の正義そのものに関わってくると。だから、重要というよりも、むしろ必須の前提条件ではないのかなと、こういうふうに考えております。
 その点で、大変残念なことがまたしても起こったわけですけれども、三月二十七日、静岡地裁が袴田巌さんに対して再審開始決定をいたしました。その際に、有罪判決の決め手となった、犯行時、袴田さんが着ていたとされるシャツについては後日捏造されたと、こんなふうな表現も出ております。
 適切な事実認定に重要な役割を果たすべき捜査機関が、もしかしたら死刑囚をでっち上げていたかもしれないと、こういうことになると、私は刑事手続の正義そのものが失われてしまうという危惧を持っております。
 つきましては、この袴田事件に対してどのように現時点でお考えになっているのか、とりわけ、この着衣の捏造というふうに指摘された点についてどのようにお考えになっておられるのか、大臣にお尋ねをいたします。
#43
○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員御指摘の袴田事件については、今年三月二十七日に静岡地裁が再審開始決定を出しまして、三月三十一日に静岡地検が同決定に対する即時抗告の申立てをしたことは承知しております。
 ただ、今おっしゃったその五つの衣類という最も重要な証拠をどう評価していくかということに関しては、これはすぐれて個別具体的事件でございますから、私からその評価をすることは差し控えたいと存じます。
#44
○前川清成君 大臣、私が今お尋ねしたのは、その着衣を証拠法上どう評価しますかという意味ではありません。もしも捜査機関において決め手となる証拠が捏造されていたとしたら大問題ですよねというお尋ねであります。
#45
○国務大臣(谷垣禎一君) そういう前提で話しておられますが、まさにこれはこれから再審開始決定の問題について静岡地裁で審判されるわけでございますから、私からその問題について触れるのは差し控えようと思います。
#46
○前川清成君 それでは、私もこの程度にいたしますが、ただ、半世紀自由を奪ってきた。袴田さんの残された時間というのは残念ながらそう長くはありません。それにもかかわらず、今ここで政治がリーダーシップを示さないと、これは全て個別具体的なことだから、あとは検察庁、裁判所にお任せしますというのはいかがかなというふうに思いますので、そのことだけ指摘を申し上げたいと思います。
 その上で、今回、適切な事実認定のために検察官の関与対象を広げると、こういうことでありますけれども、検察官が関与した方がより真実が認定できるんでしょうか。
#47
○国務大臣(谷垣禎一君) この問題は平成十二年の少年法改正で取り入れられたわけでございますが、平成十二年の改正のときに議論されましたことは、要するに保護、少年の保護という点は非常に今までの少年法で理念も明確であったわけですが、事実認定で少し甘かったところがあるんじゃないかという反省の下に平成十二年改正が認められたと、このように理解をしております。
 そして、そこで検察官関与制度が設けられた趣旨は、少年審判において、事件の真相を解明して非行事実を的確に認定すると、非行のない少年を過って処分することのないようにするという観点からはもちろんのこと、非行のある少年に対して適切な保護を施し、その健全な育成を図るという観点からも最も基本的な点でありますから、非行事実の認定上問題がある一定の事件については、少年側以外の公益的見地からの視点による証拠の収集、吟味を加えていくと、これも踏まえて家庭裁判所が事実認定を行うということが適当であると。
 それから、少年側が証拠と矛盾する主張をしているような場合、裁判官は真相を発見するために少年に矛盾点を問いたださざるを得ないという局面が出てくると思いますが、他方で、これにより、あたかも裁判官が少年と対峙するかのような状況が生じかねない。そうすると、少年が、自分は裁判官から信用されていないのではないかという不信の念を抱かせて、少年審判のいわゆる教育的機能と乖離してしまうという点が考えられる。そこで、裁判官と少年との対峙状況を回避させる必要性というものも考えておかなければならないというのがもう一点でございます。
 それから、これは平成十二年のときにも大分議論されたことでございますが、審判が裁判官と少年側のみが関与する手続で行われることについて、被害者の方々からのいろんな御意見がございました。少年側の言い分のみ聞かれているのではないかという、まあ不信の念と言ってもよかったと思いますが、少年審判に検察官を関与させることによりまして、証拠の収集あるいは吟味における視点を多角化して、事実認定を適正化することによって、少年審判の国民に対する信頼を確保しようと、こういった観点から検察官を関与させようというふうに考えてきたわけでございます。
#48
○前川清成君 今大臣、幾つもまとめてお答えをいただきましたけれども、その少年法の理念である教育刑のことでありますとか、あるいは付添人だけが関与して云々かんぬんについては、またゆっくりとお尋ねをしたいと思います。
 その前提として、もう一度お尋ねしますけれども、検察官が関与したならばなぜ事実認定が適切になるのかと、この点であります。こういう理由があるから、いや、検察官が関与した方が真実が発見しやすいんだという点を先ほどお尋ねしたんです。もう一度お願いいたします。
#49
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほどの御答弁と重複してしまうかもしれませんが、先ほどの答弁を要約して申し上げますと、まず第一に、少年審判は家庭裁判所による職権で動いていく事件でございますけれども、非行事実の認定上問題がある一定の事件については、少年側以外の公益的観点からの視点による証拠の収集、吟味を加えると。それから、少年と裁判所の、何というんですか、対峙、衝突を避けることによって、本来の少年審判の目的を果たす。それから、裁判官と少年側のみが関与する手続で行われることについての、特に被害者側の方々からの懸念を解消すると。この三つの意味があると思います。
#50
○前川清成君 その真実の発見に検察官が関与した方がいいんだという点については、今は、公益的観点からの証拠の収集と、お答えになったのはこの一点だけだと思いますが、検察官関与事件でなくても、捜査段階で検察あるいは検察庁が捜査を尽くしているわけです。その意味においては、検察官が少年審判に関与しなくても、公益的な観点からの証拠の収集は行われています。さらには、御案内のとおり、少年審判にあっては、少年事件にあっては、家庭裁判所の調査官という公益的な観点から事件に関与する者もいます。
 そうであれば、そうであれば、その適切な事実認定のためには必ず検察官が加わった方がいいんだというのは、理屈として私は成り立っていないというか、理由付けとしては極めて薄弱ではないのかなと、こういうふうに思っているんです。いかがですか。
#51
○国務大臣(谷垣禎一君) これも先ほど申し上げたことの繰り返しになってしまうんで、ちょっともう少し別な言い方をそれではしてみたいと思いますが、少年法は、今更申し上げる必要もございませんが、職権主義的な審問構造というんでしょうか、それで成り立っているわけでございます。
 だから、そこで検察官は、少年審判に関与する、主宰者は裁判官でございます、あくまで審判協力者として家庭裁判所の手続主宰権に服しながら裁判の手続に関与すると。その意味で、ここの検察官の活動は、刑事裁判における被告人の処罰を求める訴追官あるいは原告官としての役割とは非常に違うものであるということがあると思います。
 それから、検察官は非行事実の認定のための審判手続に関与するわけでありますが、少年の要保護性の審理や処分決定手続には関与することはこの手続上予定されておりません。
 家庭裁判所が検察官関与決定をした場合、少年法におきましては、検察官は、非行事実の認定に資するため必要な限度で、事件の記録及び証拠の閲覧及び謄写、あるいは審判の手続への出席、証拠調べ手続への立会い、あるいは被害者や共犯者など証人その他の関係人への尋問、証拠調べの申出、少年本人に対する質問、事実認定上の争点に関する意見の陳述等々を行うことが予定をされていると、こういうことで全体の少年審判の目的を達するために活動すると、こういうことではないかと思います。
#52
○前川清成君 私、谷垣大臣が御就任になられて、とりわけ歴代大臣に比べて御答弁がお上手だなというふうに敬服していたんですが、今日はちょっと。
 今おっしゃっている点は、法制審議会の少年部会において、東京家裁裁判官の嶋原さん、この方が、複数名で恐喝、傷害が行われるような犯罪、そのときに関係者の供述がなかなか一致しないで事案の真相がこうだと決めかねるような場合があるんだと。そのような場合にはやはり検察官の立場に立ち会ってもらうことが必要ではないか、その必要性を強く感じていますと。
 この意見等に基づいてというんでしょうか、おおむねこの意見に沿って、だから検察官が関与した方がいいんだと、こういうふうにおっしゃっているんだろうと思うんですけれども、この嶋原さんにおいても、事案の真相を決めかねる場合にはなぜ検察官が立ち会った方がベターなのかというのは、論理的な説明はないわけです。
 その上で、もう一度違う観点からお聞きをしたいと思います。
 私は少年法について専門的に勉強したことはないんですが、生まれて初めて少年法を勉強したのは、研修所に入りまして、司法研修所で少年審判の手続についてという白表紙をもらったときです。その中に、少年審判の構造に関してこのように書かれています。
 少年審判は刑事訴訟のような対立当事者を持たない審問的手続であり、裁判官が主宰して職権的に進められると。検察官は関与しないと。このような審問的手続が取られる理由としては、@少年審判の目的は少年の非難と処罰ではなく少年の更生を図ることにあるから、関係者が対立し合う手続ではなく、この目的のために家庭裁判所に協力する手続がふさわしいこと、A少年審判では、少年の非行性を明らかにするための調査、判断が手続の重要な部分を占めるが、これは少年の性格、環境全般を対象とするものであり、犯罪事実の存否の認定などと違って、当事者主義的な手続は適当ではないこと、B少年審判の場は、それ自身、教育の場としての意味を持つことが必要であり、検察官が少年を弾劾、非難し、少年との間に攻撃、防御を行う訴訟手続には適しないことが挙げられると。
 恐らく大臣、当時もこのような白表紙をお読みになられたと思いますけれども、そもそものこの思想というんでしょうか、少年法の理念というんでしょうか、これと、検察官関与というのはある意味踏み出しているというか修正しているわけです。
 その修正する理由として今大臣が挙げられたのは、検察官が関与した方が真実が発見しやすいんだという一点、もう一点は、教育刑の理念ということを考えると、裁判官がアンパイアではなくて審問的な取調べを行うことは適当ではないんだということ、三番目は、少年の側の意見ばかり聞かれるという被害者側の不満があると、この三つでありました。それぞれ分からなくもありません、最初の一点は除いて。
 しかしながら、この少年法のそもそもの思想というかそもそもの理想、それを修正する割には、もう少し理論的というか思想的というか、そういう理由付け、あるいは広い意味でのフィロソフィーも必要になってくるのではないのかなと、こういうふうに思っておるんです。普通の大臣の方であればこのような質問をしないんですが、是非、谷垣大臣には、この場を通してその辺のところをお教え願いたいと、こう思ってお聞きをしています。
 今、私が冒頭申し上げたような少年審判における基本構造、基本思想、これを修正すると、こういうことになってくるんでしょうか。
#53
○国務大臣(谷垣禎一君) 前川委員がおっしゃった少年審判の基本構造はその御説明のとおりだと思います。
 それで、現在、そこに検察官が関与するようになりましても、あくまで手続の主宰者は裁判官である、こういうことだろうと思います。そこで、先ほど私が申しましたように、訴追をしていくという役割を検察官が担うわけではありません。
 今、当初の理念を修正したものかどうかというお問いかけがありました。私は、少年審判の大きな理念そのものは、あれは二〇〇〇年改正、平成十二年改正ですね、大きな理念そのものは二〇〇〇年の改正が行ったとは思っておりません。それまでの持っていた少年審判の基本を踏まえながら、当時いろいろ問題になったことを対応するためにこのような検察官の関与というものをあのとき導入したのであると、このように考えております。
#54
○前川清成君 ちょっと消化不良なんですが、もう残された時間もあるので次の質問をさせていただくと、一昨日、御子息を少年犯罪でお亡くしになられました大久保さんにお越しをいただきました。参考人三名お越しいただいたんですけれども、私は、当事者の立場、大変おつらい立場でありながら、それでいて非常に客観的というか公正な立場で御意見をお述べになっておられて、ある意味感銘を受けました。大久保さんの場合も、ある日突然、大事な大事なお子様が少年犯罪によって命を失われたわけであります。
 実は私も子育て中ですけれども、もうその後半に差しかかったといいますか、子育ての第四コーナーを回ったところぐらいにあります。それでも、やっぱり今でも、朝元気に出かけていった子供たちが夕方また元気に帰ってきてくれると、おなかをすかせて、たまには泥んこになって元気に帰ってきてくれると、これが親としての一番の幸せであります。
 そんな親の思いというんでしょうか、あるいは犯罪被害者の思いからすると、大久保さんもおっしゃっていました、これまで刑事手続が被害者目線ではなかったということで、例えば傍聴であるとか意見陳述であるとか、様々な刑事訴訟法あるいは少年法の改正が加わったわけでありますけれども、大久保さんはまだそれでも不十分な点があると。少年審判廷の隅へ追いやられてしまったとか、少年の顔さえ見ることができなかったとか、いろいろな点を御指摘になっておられました。
 私は、その意味において、まだまだこの犯罪被害者の目線での刑事司法、少年司法も含めてですけれども、改革が必要ではないのかなと、こういうふうに考えておりますけれども、大臣はいかがでしょうか。
#55
○国務大臣(谷垣禎一君) 大分、以前に比べますと、私どもが刑事訴訟法や刑法を学んだ頃には被害者の視点というものはほとんどなかったわけでございます。その後、いろいろな方が御努力の結果、このような被害者の視点というものを入れて考えようということになってまいりまして、そういう訴訟やあるいはこの少年審判におきましてもそういう要素が加味されるようになってきたのは私は大きな進歩だろうと思っております。
 これからも、犯罪の被害に遭われた方々あるいはその御家族のお気持ち等を理解しながら、それを受け止めて、それぞれの立場は十分配慮しながら、被害回復であるとかあるいは保護、支援を図るということが極めて大事だろうと思います。今までの過程の中で随分進んできたとは思いますが、まだ足りないところもいろいろあるだろうと思います。そういったところも逐次目を光らせながら法務省としても前へ進めたいと、このように思います。
#56
○前川清成君 今大臣がいみじくもおっしゃった、まだ足りない点の各論に関してはどこか別の機会で議論をさせていただきたいと思いますが、その被害者目線ということで考えますと、この少年法の理念がどうなんだろうかと私も考えざるを得ないわけであります。
 もう一度その研修所の白表紙を御紹介申し上げますと、教育主義という項目の下に、少年法は、非行を犯した少年について、できるだけ処罰ではなく教育的手段によってその非行性を矯正し、更生を図ることを目的としていると。これは、大臣も先ほどおっしゃいましたけれども、これは、少年は、精神的に未熟、不安定で、環境の影響を受けやすく、非行を犯した場合にも必ずしも深い犯罪性を持っていない者が多く、これを成人と同様に非難し、責任を追及することは適当ではないということ。少年は、たとえ罪を犯した場合でも、人格の発展途上にあるものとして、成人に比べればなお豊かな教育的可能性を持っており、指導や教育によって更生させることができるのに、前科の烙印を押すことは、本人の将来のためばかりでなく、社会にとっても決して得策ではないということに基づいていると、こういうふうに書かれています。
 私もそのとおりだろうと、これが理想なんだろうと思ってまいりました。しかし、被害者の御意見、お気持ちなどを承っておりますと、犯罪を犯した者のその可能性、これを追求するのは確かに大事でありますけれども、ある日突然、理不尽なことで命を失われてしまった被害者、その被害者には将来も可能性もないわけであります。この点で、やはり少年法の、まあ言わばドグマというんでしょうか、これについても、大上段に振りかざして何が何でもそこから演繹的に結論を出すのではなくて、このドグマ自体も見直す、あるいは検証する、批判的な観点で見詰めると、こういうことも必要ではないのかなと、こういうふうに思いました。その点で、一昨日の大久保参考人は、少年事件も一律に規律するのではなくて、軽犯罪と重犯罪を区別するべきだと、こういうふうにおっしゃっていました。
 先ほど、少年が更生するように、再犯を犯さないように職業的訓練を実施しているんだなどという御答弁もございましたけれども、例えばですが、恵まれない環境に育って、お金がなくて、おなかをすかせてパンを盗んだとか、そういう軽犯罪に対しては教育を施してしっかりと食べていけるようにして、それによってもう再び犯罪を犯さないようにねと社会全体でサポートすることも可能かと思います。
 ただ、ある日突然、通りがかりの人の命を理由もなく奪ってしまう、残虐的な方法で奪ってしまう、被害者には何の落ち度もない、そういう罪を犯した少年に対しても、やはり豊かな教育的可能性を持っているんだと、前科の烙印を押すことは、本人の将来のためばかりでなく、社会にとっても得策ではないと、こういうふうに言い切っていいのだろうかというふうな思いが私にはありますが、大臣、いかがでしょうか。
#57
○国務大臣(谷垣禎一君) なかなか全体の哲学をどういうふうに整理していくかは難しい問題だと思います。
 今委員がおっしゃったことは、平成十二年の少年法改正でも同じような問題が議論されたと思っております。それで、私は、先ほど申し上げたことを繰り返しになりますが、大きな哲学としては、元々の少年法の理念を踏まえながら、当時問題と考えられたことを平成十二年の改正の中で補充していったと、こういう理解をしております。
 そしてまた、なかなか難しいと思いますのは、犯罪被害者の方々のことを考えますときに、要するに、この再犯防止ということ、つまり再犯防止ということは新しい被害者を防ぐということでもございます。
 それで、その場合に、委員が読み上げられましたように、昔の白表紙を読み上げられましたように、大きな矛盾を感じながらお読みになったということでございますが、非常に難しいところでございますが、要するに、まだ少年だから、何というか、いわゆる可塑性というものがあって、社会にきちっと戻れるものならば戻して、再犯を何度も犯すような状況でないようにしていくというのが新たな犯罪被害者を生まないということにもつながっていくと。それを全体どうバランスを取っていくのは簡単ではないと思います。簡単ではないと思いますが、そういうことで全体の哲学をつくりながら進んでいくということではないかなというふうに私は思います。
#58
○前川清成君 大臣が最後におっしゃった点については、昨年度の犯罪白書においても再犯率が上昇しておりますので、時間があれば今日議論をさせていただきたいと思っておりましたが、残された時間も僅かになってまいりましたので、今回の改正の五十二条の二項であります。
 先ほど厳罰化というお話もありましたけれども、しかし、この五十二条の二項によりますと、例えば殺人罪の法定刑は一番軽くて五年、しかし酌量減軽をすれば二年半、この新しい五十二条の二項によると、短期を更にその二分の一にできますので、人を殺そうと思って人を殺しても一年三月で釈放されるというケースも出てくるわけです。それは、もう先ほどの少年事件の多様性の云々かんぬんがあるわけですが、どんなケースで認められるかといいますと、少年の改善更生の可能性その他事情を考慮し特に必要があるとき、この特に必要があるときの認定というのは、私は極めて難しいと思います。大人の事件であっても、当然に改善更生の可能性等をしんしゃくして刑罰を決めるわけです。
 そこで、今日は最高裁にお越しをいただいています。
 今日お尋ねをしたいのは、私は極端な話を言うと、今申し上げたように、大人であっても、成人であっても改善更生の可能性等々をしんしゃくして量刑を言い渡すことは承知した上で言いますが、仮に大人であれば、罪の多さ、罪の大きさとそれに見合う罰を科せばいい。しかし、少年の場合には、この改善更生の必要性等を特にしんしゃくしなければならないとなると、裁判官により大きな能力、事実認定能力であったり見通す洞察力、これが求められるのではないかと、こういうふうに思います。
 しかし、現実の裁判所でどういう人たちが少年審判を担っておられるのか。井垣康弘さん、これはあの酒鬼薔薇事件の神戸家裁当時の担当裁判官でありますけれども、「少年裁判官ノオト」という本を書いておられて、その中に、少年審判は、裁判所内部には、そのまま読みますと、裁判所内部には、嫌な言葉だが、子供の事件は子供にやらせるという言い方があると。子供というのは経験の浅い若手の判事補、三十歳前後に任せると、こうなっているんです。
 大変難しい少年事件を若い裁判官の研修代わりに使ってはならないというふうに思っておりますが、この点、最高裁に、どのような裁判官が少年審判を担当するのか、その裁判官の能力開発についてはどのような努力をしておられるのかお尋ねをして、私の質問を終わらせていただきます。
#59
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 各家庭裁判所において少年事件を担当する裁判官は、各庁の裁判官会議で定める事務分配によって決められております。実際には、部総括クラスの裁判官から判事補まで様々でございます。ちなみに、全国で少年事件を担当している裁判官の数は約四百人ということでございます。これも御承知のとおり、少年事件を専任で担当している裁判官もおりますが、他方、一人の裁判官で様々な事件を同時に扱っていることも多うございます。
 事件処理に関してでございますが、裁判官は、担当する事件について自己研さんし、また事件処理を通じてこれを処理する能力を身に付けていくほか、これを補足するものとして、司法研修所で少年に関しても研究会等を設けているところでございます。
 なお、本当に重大な少年事件があって若手一人でどうかというような場合には、場合によっては裁定合議という形で合議体で審理するということもございまして、いずれにいたしましても、各庁で適切に対応しているものと考えております。
#60
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
 午前中は私で最後となりますけれども、五十分というお時間をいただいております。ちょっとお昼の時間に掛かりますが、皆様、お付き合いいただきますようによろしくお願いいたします。
 さて、今回の少年法の改正、これまでも委員の先生方から御議論ございましたけれども、今回の法改正について少年に対する厳罰化だと、こういった声がございます。今回の法改正といいますのは、不定期刑の上限の引上げといった改正はありますけれども、同時に、短期の下限の引下げですとか、それから国選付添人の対象事件の範囲の拡大といった点もございますし、私は単純な厳罰化とは言えないと思っております。
 今回の法改正によって少年事件全体に対する厳罰化というのを意図しているのか、それとも、法改正によっても少年の健全育成というこの少年法の趣旨というのは変わらないと、こう考えていいのかどうか、大臣の御見解を伺いたいと思います。
#61
○国務大臣(谷垣禎一君) まず、厳罰化を意図したものであるのかということでありますが、そういうふうに考えてやったわけではありません。今回の少年に関する刑事処分の規定の見直しは、現行の少年法の規定によって少年に対して科すことができる刑の枠の範囲内では適切な科刑ができない事案というものがあると指摘されてまいりました。少年に対して科すことができる刑の枠を広げることによって少年に対する適切な科刑を可能とするということを目的としたものでございまして、少年に対する科刑を一律に引き上げようなどと考えているわけではございません。
 そして、今度の改正は、少年に対する不定期刑の長期と短期の上限の引上げ、あるいは無期刑の緩和刑の上限の引上げ以外にも、これまで不定期刑の短期についても処断刑の範囲内で定めなければならないとされていたのを、少年の改善更生の可能性その他の事情に応じ、短期については一定の場合には処断刑の短期の二分の一まで下げることができるようにするであるとか、あるいは、これまで不定期刑を科すことができなかった処断刑の軽い罪についても不定期刑を科して短期を定めることができるようにするという内容も含まれております。
 これらの点は、少年の改善更生その他の特性に応じたよりきめ細やかで適切な科刑を可能とするものだというふうに考えております。そして、こういう改正全体を踏まえますと、本改正が少年に対する科刑を一律に引き上げ、いわゆる厳罰化を図るものじゃなくて、むしろ少年法の理念をきちっと踏まえてこのような対応をしたと私どもは考えております。
#62
○佐々木さやか君 大臣から、今回の法改正はいわゆる厳罰化を意図したものではないと、こうお話ございました。しかしながら、一律の厳罰化だとか少年事件全体に対する厳罰化なんだというような誤ったイメージ、これが浸透してしまいますと、そういう厳罰化というのはきっと少年事件が凶悪化しているんだなと、法改正もされたことだし少年を厳罰に処するのが適切なんじゃないかと、こういう世論になって、そうした国民の処罰感情というものが最終的に裁判所の判決にも今後影響していってしまうというようなおそれも私はあるというふうに思います。
 ですから、この法改正の趣旨というものを正しく理解をしてもらえるように、こういった委員会の審議の場を通じて国民に説明をしていくことも重要でありますし、そのほかの方法によっても正しい理解というものを広めていくべきだと思っております。こういった点についてどのようにお考えでしょうか。副大臣。
#63
○副大臣(奥野信亮君) 委員御指摘のとおりでありまして、いろいろな法を改正するときには、多くの国民の方々に対する説明責任、そして理解を深めていただく、これが一番大事だと思います。
 そういう意味合いにおいては、やはり、まずもってこの委員会で審議する場合に皆さん方に我々の説明がしっかりと伝わるようにしていくということが一番大事なことだろうと思います。またさらに、法が成立した暁には、国民に対して、今度の法改正というのはこういう目的で、そしてこういう法律なんですよということをしっかりお伝えしなくちゃいけないと思いますが、よくちまたで言われるのは、一番そういう広報活動が下手くそなのが法務省と言われているわけでありまして、そういう意味では、こういったことを含めて、ホームページなど、あるいは刊行物、公の刊行物等を通じて多くの国民の方に理解していただけるような努力をこれからも続けてまいりたいと思っております。
#64
○佐々木さやか君 是非よろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、国選付添人の対象事件の拡大についてお聞きをしたいと思います。
 まず、前提といたしまして、そもそも付添人が少年事件手続において果たす役割というものがどういうものなのかと、そして、今回、国選による付添人を拡大をした、この趣旨はどういったところにあるのか、ここについてお聞きしたいと思います。
#65
○政府参考人(林眞琴君) 少年審判手続におきまして、弁護士の付添人は家庭裁判所の適正な少年審判に協力する役割を担っております。その目的でありますところの適正な事実認定や再非行の防止をより確実なものとするために、法律の専門家として、非行事実の認定手続において少年側の立場から主張や立証を尽くす活動を行うものと考えます。それのみならず、要保護性の審理におきましても、家庭裁判所調査官の調査分析の結果明らかとなった少年の問題点に応じまして、少年の帰住先あるいは就労先確保といった環境調整活動を行うなど、あるいは被害弁償等に向けた活動を行うなどしているところでございます。
 こういった役割が付添人にあるわけでございますが、今回の改正によって国選付添人制度の対象事件を拡大することの理由といたしましては、現行法による国選付添人制度の対象とされていない事件の中にも、より適切な事実認定のために国選付添人が関与することが相当な事件が存在すること、また、付添人が少年審判の段階から環境調整を行うことが少年の更生、再犯防止に資すること、こういった理由が対象事件の拡大の理由でございます。
#66
○佐々木さやか君 ただいま御説明いただきましたように、付添人の少年事件手続における役割というのは重要なものだなというふうに思っております。
 では、国選付添人ですけれども、じゃ、どういった場合に付されるのかという点についてお聞きしたいと思いますけれども、この国選付添人が選任されるための要件というところについて質問したいと思います。要件はどういう要件があるのかという点ですね。
 それから、国選付添人の対象事件の範囲と検察官関与事件の範囲というのは一致しておりますけれども、これは別に検察官関与事件の場合に国選付添人を付けるということではないという理解でいいでしょうか。検察官関与事件でなくても裁判所が裁量によって必要と認めるときは国選付添人が選任されるという理解でいいかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
#67
○政府参考人(林眞琴君) まず、要件でございます。現行の少年法におきましては、この国選付添人制度、三つの類型がございます。
 まず一つが、家庭裁判所が検察官関与の決定を行った場合、この場合には必要的に国選付添人が付く必要的国選付添人制度ということになっております。このほかに、現在、家庭裁判所の裁量で、家庭裁判所で、その裁量において審判の手続に弁護士である付添人を関与させることが裁判所において必要であると認める場合に付す裁量的国選付添人制度がございます。もう一つは、被害者等による少年審判の傍聴を許す場合、これについては必要的に国選付添人を付すということになっております。
 そして、今お尋ねにありました、検察官関与事件でなくても裁判所が必要と認めるときには国選付添人が選任されるということの理解についてでございますが、まさしくそのような理解でございます。
 現在の現行法の少年法の定める家庭裁判所の裁量による国選付添人制度において国選付添人を付する要件は、故意犯の犯罪行為により被害者を死亡させた罪、又は死刑若しくは無期若しくは短期二年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件につきまして、少年鑑別所送致の観護措置がとられており、そして、少年に弁護士である付添人がない場合において、家庭裁判所が事案の内容、保護者の有無その他事情を考慮して、審判の手続に弁護士である付添人が関与することが必要であるとき、これを付すると、これが裁量による国選付添人制度でございますが、この要件の中に検察官関与というものは要件となっておりません。
 したがいまして、今回の改正後におきましても、検察官関与決定がなされていない場合においても、先ほどの要件を満たすときには家庭裁判所の裁量によって国選付添人を選任することができるという制度になっております。
#68
○佐々木さやか君 御説明ありがとうございました。
 最初に、付添人が少年審判、少年事件手続において果たす役割の御説明の中に、早期の環境調整などによって少年の再非行防止、また更生に役立つと、こういう役割があると御説明ありましたが、私は、こういった点から、付添人が付される事件が多くなるということが望ましいのではないかというふうに考えております。
 そこで、まず前提として、現在、じゃ国選付添人はどれぐらい選任をされているのかというところをお聞きをしたいんですけれども、この点について御説明をお願いいたします。
#69
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 平成二十五年の速報値によりますと、一般保護事件の終局総人員は四万七百五十三人であり、そのうち弁護士である付添人が選任された少年の人員は八千三百三人でございます。また、今回、対象事件の拡大が検討されている裁量による国選付添人制度の対象事件につきましては、現在は対象事件の数は約五百件でありまして、このうち国選付添人が選任された件数は約三百件ということでございます。
#70
○佐々木さやか君 対象事件が約五百件で、うち国選付添人が選任されたのが三百件というお話でした。また、ほかの委員の先生の質問に対する説明にもありましたけれども、過去五年の選任率を見ると大体六〇%程度だと、こういう御説明がありました。
 この選任率六〇%というのは、私としては決して多くはないのではないかなと思っております。少年が身体拘束を受けている場合は、もちろん少年自身は自分自身で被害者と示談のための手続をしたりとかもできませんし、環境調整も家族だけでは困難な場合がありますので、そういった意味で付添人の活動というのは重要であります。日弁連も、少年鑑別所に収容された身柄を拘束された少年については全件付されるべきだと、このように主張をしております。
 こういう付添人の活動による早期の環境調整というものが少年の再非行、再犯防止に役立つのであれば、ここの部分に国費を投入をするというのは私は合理的なのではないかなというふうに思っております。
 こういったことから、今回の法改正、国選付添人の対象事件が拡大をすることをきっかけに、この裁判所での運用というものも、よりこの選任率を上がる方向で進んでいけばいいのではないかなと思っているんですが、今後の裁判所の運用については、どのようにこの点、予想されているんでしょうか。
#71
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 裁量による国選付添人制度の対象事件につきましては、先ほど法務省から説明がございましたとおり、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときに付するというふうにされております。
 現在の裁量による国選付添人制度の運用につきましてですが、結局、選任するかどうかは個々の事案ごとの判断ということにはなりますけれども、一般的にはその考慮要素のうち事案の内容としては、少年院送致等の重大な処分が見込まれるかどうか、非行事実に争いがあるかやその内容などを検討すると。保護者の有無その他の事情として、保護者がおらずにほかに援助をしてくれる者がいないか、保護者がいたとしても、虐待等で保護者による十分な援助を受けることができないかどうか、あるいは暴力団との関係断絶など保護者には困難な援助が必要かどうかといった点を検討し、これらを総合的に考慮して審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があるかどうかが判断されているというふうに言われております。
 今後、対象事件が拡大しますので、その選任される件数自体は当然増えるかと思いますけれども、選任するかどうかはやはり個々の事案ごとの判断ということになりますので、その選任される割合がどのようになるかということについてはお答えすることは難しいかなというふうに思っております。
#72
○佐々木さやか君 もちろん選任するかどうかはその個々の事件の裁判所の判断によるわけですから、確かにどうなるか正確に予想はできないとは思うんですけれども、今回の法改正の趣旨が、少年の健全育成、そして再非行の防止、こういったところにもあることから考えますと、適切な運用がこれからされていくことを期待をしたいと思います。
 続いて付添人についての質問ですけれども、付添人は少年の更生の実現を目指して活動をいたします。そういった活動の充実のためには、専門的知見から少年を調査する調査官の意見、またその調査結果というものは非常に有益であると思います。現在の運用ですと、調査官の報告書というのは比較的審判が迫った時期に提出をされますけれども、それよりも早い段階から、できる限り付添人と裁判所、また調査官の間で相互に意見を交換していくと、これが手続の充実に資すると思います。この点について現在はどのようになっているんでしょうか。
#73
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) 家庭裁判所に事件が係属した後、早い段階から弁護士である付添人と家庭裁判所調査官等との間で意見交換をすることが手続の充実に資するということは委員御指摘のとおりでございます。
 それで、委員御指摘のとおり、家裁調査官の報告書というのは比較的その審判に近い段階で提出されるわけですが、実際の運用といたしましては、弁護士である付添人が選任されている事件におきましては、事件係属後、比較的早い段階から必要に応じて随時その付添人と家裁調査官との間で連絡を取り合い、意見交換がされているものと承知しております。
#74
○佐々木さやか君 私の経験の限りですけれども、もちろん付添人の方針にもよるんですが、一つの事件についてそんなに多数回、裁判所、また調査官との意見交換が必ずしもなされていない事件もあるのではないかなと、こう心配をしておりまして、こういったところも適切に運用をしていっていただきたいなと思っております。
 それから、今回の法改正で国選付添人の対象事件、大幅に拡大をされます。それによって、当然、裁判所が国選付添人を付するかどうかということを判断する処理件数というものも大幅に増えるわけでございます。しかし、その国選付添人、付するかどうか、これは素早く判断をしていただかないと付添人の活動に支障が生じてしまいますので、すぐに判断されるようにすべきだと思いますけれども、現在、また今後の運用についてはどのように予想されますでしょうか。
#75
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) 現在の裁量による国選付添人の制度の運用につきましては、観護措置がとられた場合、できるだけ早く、実際には当日又はその翌日中に裁量による国選付添人の選任の要否が判断されているものと承知しております。
 対象事件の拡大後、対象事件が増加することになりますが、迅速に判断することが重要であることは委員御指摘のとおりでございまして、引き続き適切な運用がされていくものと考えております。
#76
○佐々木さやか君 対象事件数については、先ほどほかの先生の質問の中で、大体七、八倍に増えるんじゃないかと、こういう予測もあるわけですので、かなり忙しくなるのではないかなと心配をしております。引き続き適切な運用がされるようにお願いをいたします。
 次に、検察官関与の制度についてお聞きをいたします。
 まず前提として、検察官関与制度の趣旨、そして今回の検察官関与対象事件拡大の理由と、またその背景について教えていただきたいと思います。
#77
○政府参考人(林眞琴君) まず、検察官関与制度でございますけれども、非行事実の認定上問題がある一定の事件については、少年側以外の公益的見地からの視点による証拠の収集、吟味を加え、これを踏まえて家庭裁判所が事実認定を行うことが適当であること、あるいは裁判官と少年との対峙状況を回避させる措置が必要であること、あるいは証拠の収集、吟味における多角的視点を確保して事実認定を一層適正化することによって、この少年審判における事実認定手続に対する被害者を始めとする国民の信頼を確保する必要があること、こういったことから導入されたものでございます。
 そして、今回のこの検察官関与制度対象事件の範囲の拡大の理由でございますけれども、これは現行の検察官関与制度の下において対象となっていない事件の中にも、また詐欺、恐喝のように比較的社会に見て重大な事件であって共犯者が多数存在する複雑な事件でありますとか、業務上過失致死傷事件などのように過失の認定が難しい事案、こういったこともあることから、この事実認定の手続の一層の適正化を図るために検察官を審判に関与させる必要が認められる事例が存在すること。
 また、家庭裁判所の裁量による国選付添人制度の対象事件の範囲を今回拡大するわけでございますが、検察官関与制度の対象事件以外に国費による弁護士、付添人の選任を認めることとすると、当該事件について国費による付添人が選任されて非行事実の存在が争われた場合においても、検察官が事実認定手続に関与することができないことになりますが、こういったような結論は検察官関与制度の先ほどの趣旨に沿わず、被害者を始めとする国民の理解や納得が得られるかどうかについては疑問があり、そこで、この検察官関与が可能な事件の範囲と国選付添人を付することができる事件の範囲は、両者についてその審判手続への関与が可能な枠として一致させることが必要である。
 こういったことから、今回、検察官関与制度対象事件の範囲を、裁量による国選付添人制度の対象事件の範囲と同等、同様の死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件に拡大することとしたものでございます。
#78
○佐々木さやか君 御説明ありがとうございました。
 検察官関与対象事件の拡大、今回の改正によって、現行法の対象は故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪、死刑、無期、短期二年以上の懲役、禁錮に当たる罪であったものが、改正によって死刑、無期、長期三年を超える懲役、禁錮に当たる罪という形になります。これによって、ほとんど多くの罪に私は対象を拡大されるというふうに理解をしておりますけれども、逆に、今回の改正によっても検察官関与の対象にならない犯罪としては、例えばどんなものがあるんでしょうか。
#79
○政府参考人(林眞琴君) 今回の改正によっても検察官関与制度の対象とならない事件というのは、すなわち、死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件以外の事件ということになるわけでございますが、例えば、住居侵入、暴行、あるいは遺失物等横領、器物損壊、こういった罪等がこれに、これらの罪については今回の改正によっても検察官関与の対象とならないものでございます。
#80
○佐々木さやか君 今例を挙げていただきましたように、住居侵入、器物損壊など比較的軽い罪を除いては、多くの犯罪が検察官関与制度の対象の事件になるというふうに理解していいかと思います。
 そうなると、やはり多くの犯罪が対象になるので、対象となる事件の件数というのもかなり大幅に増えるのかなと、こう私は印象を受けるんですが、この点はどうなのか。対象となる事件のうち、どういった場合に、どのような事件に検察官が関与をすることになるんでしょうか。どのように想定されますでしょうか。
#81
○政府参考人(林眞琴君) 今回の検察官関与制度の対象事件の拡大、その後の具体的に想定される運用についてのお尋ねでございますけれども、法改正後にどの程度この検察官関与がなされるかということは、もとよりその個別具体事件の裁判所の判断いかんによるものでございます。
 一概になかなか見通し、想定をすることは困難でございますが、現行法の運用について申し上げますと、現行法の運用として検察官関与がなされた事件というのは、これまで年に九件という年もあれば、最高でも年に二十六件、こういったことでございます。年ごとの件数もまちまちでありますので、こういったことから、件数がどの程度増加するのかということを想定することは困難でございますが、現行法の運用としては、真に検察官関与が必要な事件に限って検察官関与決定がなされていることを踏まえますと、今回の法改正によって検察官関与事件の数が大幅に増加するということはないのではないかと思われます。
 そして、法改正後に例えばどのような事件に検察官が関与することになるか、こういったことについても、もとよりこの個別の判断によるものでございますが、現行法において検察官関与の対象となっていない事件の中にも、共犯者が多数存在する複雑な事案、あるいは自動車運転過失致死傷等のように結果が重大で過失の認定が難しい事案、こういった事案が存在します。そういった事案の中には、事実認定の適正化を図るために検察官関与が必要と認められる事案、事件が存在すると思います。そのために、そのような事件については、裁判所は、現行法の運用において真に検察官関与が必要な事件に限って検察官関与決定がなされていることを踏まえつつ、今後の法改正後においてもその検察官関与の要否を判断されるものと考えております。
#82
○佐々木さやか君 検察官が関与をすることで手続が仮に糾問的になったりいたしますと、少年がかえって真実、また自分の気持ちを素直に話しにくくなってしまうことが心配をされます。そうなりますと、事実の適正な認定といった検察官関与制度拡大の趣旨にも反することになってしまいます。
 ですので、関与する検察官には、少年特有の未熟性、また脆弱性に対する理解を十分にしてもらう必要があると思いますけれども、こういった検察官の十分な理解という点についてはどのように担保をしていくおつもりなんでしょうか。この点、副大臣にお聞きします。
#83
○副大臣(奥野信亮君) 先ほど前川委員と大臣の間での議論にも一部出ておりましたけれども、今度のこの法改正に伴って、少年の審理に参加できる検察官というものの役割が、従来のような刑事裁判において被告人の処罰を求める訴追官、原告官としての活動ではなくて、あくまでも審判協力者としての審判の手続に関与する役割を担っているんだということが大前提でございます。
 したがって、先ほどもちょっと言葉出ておりましたけれども、一般の裁判所における検事とあるいは弁護人との議論の結論としての裁判長がアンパイアを務めるというようなやり方ではなくて、家庭裁判所がイニシアティブを取りながらも、審判員はプレーヤーも兼ねながら、付添人とあるいは検察官といろいろとみんなで議論しながら答えを出していこう、そして、少年の更生及び将来の、何というんですか、更生及び再生に寄与できるような対応をしていこうと、こういうことであります。
 こういったことをどうやって担保するかということでありますけれども、それは、少年の健全育成等を目的とする少年法第一条や、少年審判の方式について懇切を旨として和やかに行うことなどを定めた少年法第二十二条などの規定を使いたいというふうに考えております。そして、検察官は、このような少年審判手続における検察官の役割やその限度、少年法の趣旨を理解した上で少年審判に出席するべきものであるという指導をしっかりとしていきたいと思っております。
 そして、検察においては、少年法の趣旨に沿った事件処理がなされることの重要性を十分に認識することと、それから、少年事件を取り扱う検察官に適切な指導をすること等も大事なことだろうと思います。現実に、これからも少年事件を多く取り扱う検事を対象とする研修では、少年事件に関する講義をしっかりと増やしていきたい、そういうふうに考えている次第であります。
#84
○佐々木さやか君 次に、不定期刑に関する改正の点についてお伺いしますけれども、今回の改正で不定期刑の対象となる事件についても拡大がなされました。この改正の理由についてお伺いをします。
#85
○政府参考人(林眞琴君) 少年法においては、少年が可塑性に富んでいる、教育による改善更生が多く期待できる、こういったようなことから、処遇の弾力性を持たせるためにこの不定期刑の制度が導入されております。
 現行法においてはこの不定期刑が科される範囲としては限界がありまして、処断刑の長期が三年を下回る場合には不定期刑は科さないと、このようになっておるわけでございますが、少年に対する科刑において教育が重視されるのは処断刑が一定程度以上のものに限られるということにはならないと考えられます。
 そこで、不定期刑の対象事件の範囲につきましては、処断刑が一定程度以上のものとするのではなくて、全ての有期の懲役又は禁錮とすることが相当であると考えまして、この度の改正においては、不定期刑の対象事件の範囲をそのように改めることとしたものでございます。
#86
○佐々木さやか君 今御説明の中にもありましたような不定期刑の効果といいますのは、少年の受刑者に対する仮釈放ですとか刑の執行終了という制度の運用が適切になされてこそ効果を発揮すると思います。
 ところが、少年に対する刑の執行状況を見ますと、例えば平成八年ですと、長期の九〇%以上というものが全体の割合でいうと四・七%にすぎなかったんですが、平成二十四年になりますと長期の九〇%以上という場合が四五・二%というふうに大幅に増えております。
 長期的に見るとだんだんこの執行率というのは上昇をしていっているのかなと思うんですが、これはどうしてなのか、仮釈放の運用というのは適切になされていると考えてよろしいんでしょうか、この点をお聞きします。
#87
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 どのような者について仮釈放が許されるかにつきましては、刑事施設における処遇を踏まえまして、通常は刑事施設の長からの申出に基づいて準司法機関である地方更生保護委員会において個別具体的に判断されるべき事項でございまして、お尋ねの点につきまして当局として確たることを申し上げることは困難ではありますが、犯した罪が重大であることなどから仮釈放の申出までに相応の期間の施設内処遇を要する事案や、被害者を含む社会の感情等に慎重な配慮を要する事案が少なくないことも影響しているのではないかというふうに推察しているところでございます。
 地方更生保護委員会におきましては、委員が仮釈放審理の対象となる者との面接を行うなどして、犯罪の内容、被害者等の状況、対象者の心身の状況、家庭環境、矯正施設における処遇の経過、帰住予定地の生活環境等の事項を調査した上で、仮釈放の許可の基準に基づき判断することとされておりまして、適切に運用されているものと承知しております。
 以上でございます。
#88
○佐々木さやか君 ちょっと時間が迫ってまいりましたので、質問を少し飛ばします。
 少年に対して重い刑罰を科すというだけでは再非行を防止するということは難しいと思います。資料を見ますと、少年の再非行率というものは毎年上昇をしているようでありまして、これは非行、犯罪を行う少年自体の全体の数が減ったということが大きい要因であるとは思いますけれども、しかしながら、再非行を行う少年というものを減らすことはできていないわけであります。ここは問題だと思いますけれども、少年の再非行防止ということに法務省としてはどう取り組むのか、お聞きしたいと思います。
#89
○副大臣(奥野信亮君) 今委員御指摘のとおり、再犯、再非行というんですか、再非行率は上がっているんだけれども総数は減っているというのが事実であります。しかしながら、やはりその再非行が発生しないようにしなくてはいけない。日本にとって、六年後のオリンピックを控えて世界一安全な国を標榜しようということを申し上げているわけでありますし、あるいは、今少子化の中で、この世に生まれてくる子供たちを健全に育てていって日本の国の発展に寄与する正当な人間に育てていこうということが一番大事なことでありますから、そういう意味では、一度犯罪に手を染めた人でもできるだけもう二度と犯罪に手を染めないようなことを指導していくということは一番大事なことだろうと思います。
 平成二十四年七月に、非行少年等に対する指導、支援を盛り込んだ再犯防止に向けた総合対策が犯罪対策閣僚会議で決定されました。この対策に基づきまして、非行を重ねた少年の非行歴、家庭環境、あるいは発達上の課題等をそれぞれ明確にしながら、きめ細かな対応をしていくということが一番大事なことだろうというふうに思います。加えて、保護者に対する指導、助言なども充実させていかなくちゃいけないんだろうと思います。
 そういうような取組を今我々としては推進しているところでありまして、これからは、更に加えて、関係省庁やらあるいは民間団体とも緊密な連携を加えながら各施策を更に充実、展開してまいりたいと思いますし、二十四年に決められた目標値等も含めて達成状況をしっかりとレビューしていきたい、そして実効性のある取組を迅速、適切に推進していきたいと思っている所存であります。
#90
○佐々木さやか君 次に、犯罪被害者保護に関して質問をいたします。
 少年審判手続における被害者に対する情報提供、これについては、成人の場合とは同様にはいかないわけでございますけれども、とはいえ、制度上可能な限り被害者に十分配慮した運用がなされる必要があると思います。しかし、先日、参考人としてお越しいただいた大久保参考人からは、御自身の経験を通じて、被害者に対する配慮が足りないと、こういったお話がございました。この点について、現在の状況、また今後の改善についてお聞きをしたいと思います。
#91
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 家庭裁判所では、被害者等への配慮を充実させるため、被害者のいらっしゃる一定の事件について、事件が家裁に送致された後、速やかに被害者等に対し記録の閲覧、謄写を含む被害者配慮制度の案内を記載した文書、それからこれらの制度を分かりやすく説明したリーフレットなどを送付しております。また、被害者等からのお問合せに対しては、これら制度の説明を丁寧に行うほか、家庭裁判所調査官が調査のために被害者等の方と面接する際には、必要に応じて意見聴取制度等についても説明しているものと承知しております。
 このように、家庭裁判所では、被害者の方がこういった制度の利用の機会を逃さないように、事件送致後、早い段階から説明しているように努めているところではございますが、先日、参考人の方からまだ不十分であるという御指摘もございましたので、今後とも一層、被害者の方等に対する丁寧な制度の説明、御案内に努めてまいりたいというふうに考えております。
#92
○佐々木さやか君 大久保参考人からは、突然手続に巻き込まれたというようなことで、何も分からなかったけれども弁護士に付き添ってもらうことで何とか手続に参加をしていくことができたというふうなお話がございました。こういう話からも、被害者に対する支援、援助において弁護士の果たす役割というのは大きいと思います。
 質問を飛ばしますけれども、現在、被害者に対する弁護士の制度として、国選による犯罪被害者弁護制度というものがあります。しかしながら、この対象になるのはごく一部に限られております。法テラスには犯罪被害者法律援助の制度がございますけれども、これは日弁連からの委託援助事業でありまして、国のお金ではなくて日弁連が弁護士から徴収した会費や寄附で運営をされているものであります。法テラスの本来の業務とはなっていないわけでありますけれども、こういった被害者に対する弁護士利用のための援助制度というものを充実をさせていくことは重要でありますし、刑事事件、刑事分野についても積極的に法テラスの業務にしていくべきではないかと思いますが、この点についてはどうでしょうか。
#93
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 御指摘いただきました日弁連委託事業につきまして、これを国費で賄うのかといった点につきましては、どのような弁護士活動を国費支出の対象とする必要があるのか、それが合理的な国民負担、財政負担と言えるのかという観点から、制度全体として検討を要する問題であるというふうに考えておりまして、現在の厳しい財政事情を踏まえますと慎重な検討を必要とするものと考えておりますが、いずれにせよ、引き続き、被害者の方々の声も聞きながら、関係機関とも適切に連携して、必要な被害者支援の取組を行ってまいりたいと考えております。
#94
○佐々木さやか君 ちょっと時間が参りましたので、以上で質問を終わります。また違う機会に質問したいと思います。
#95
○委員長(荒木清寛君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十三分開会
#96
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、吉田博美君が委員を辞任され、その補欠として石井浩郎君が選任されました。
    ─────────────
#97
○委員長(荒木清寛君) 休憩前に引き続き、少年法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#98
○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、国選付添人制度と検察官関与制度について伺いたいと思います。
 今回の少年法改正案では、家庭裁判所の裁量による国選付添人制度と検察官関与制度の対象事件の範囲を死刑、無期、長期三年を超える懲役、禁錮に当たる罪までに拡大するということとされています。
 そこで、まず初めに政府参考人に伺いたいと思います。国選付添人制度と検察官関与制度の対象事件の範囲を一致させた理由についてお聞かせいただけますでしょうか。
#99
○政府参考人(林眞琴君) 検察官関与制度は、審判が裁判官と少年側の者のみが関与する手続で行われることについて、裁判所と少年とが対峙する状況があり得ることや、被害者の側から、少年側の言い分だけが聞かれているのではないかとの不信の念が見られたことなどを踏まえまして、被害者を始めとする国民の信頼を確保するなどの観点から、事実認定手続の一層の適正化を図るために、検察官及び弁護士付添人の双方が審判に参加する制度として平成十二年改正で導入されたものでございます。
 仮に、検察官関与制度の対象でない事件に国費による弁護士付添人の選任を認めることとすると、少年によりその非行事実の存在が争われても検察官関与が不可能ということになり、そのような事態は、ただいま申し上げました平成十二年改正の趣旨に沿わないものと言わざるを得ず、被害者を始めとする国民の理解、納得を得られるかが疑問でございます。
 したがいまして、家庭裁判所の裁量による国選付添人制度の対象事件の範囲と検察官関与制度の対象事件の範囲とは同じとするのが適切であると考えたものでございます。
#100
○行田邦子君 一方で、少年に対する援助は、要保護性が大きいということから必要性が高いという考えの下に、日弁連では、平成二十一年の十二月ですけれども、全面的国選付添人制度に関する当面の立法提言というものを発表しています。そこでは、少年鑑別所に送致されて身柄拘束を受ける少年の事件全件を国選付添人制度の対象事件とすべきであるというふうに意見がされています。
 今後、これからも国選付添人制度の対象事件の範囲を拡大した方がよいといった意見は続くのではないかと思いますが、そこで法務大臣に伺いたいと思います。今後、国選付添人制度の対象事件の範囲を拡大しようとした場合、検察官関与制度の対象事件の範囲も拡大されるという、そのような関係にあるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#101
○国務大臣(谷垣禎一君) 国選付添人制度について、今後更なる改正と申しますか、そういうものが行われるのかどうか、またどういう内容を含むのかというのは、現時点では私お答えする材料はございませんが、今回の流れの中で、今回の前の法制審議会の御議論の中では、この検察官関与制度と国選付添人制度は、両者は無関係だから突き合わせる必要はないんだという御意見もあることはございました。
 それで、ただ、それぞれは別の制度であって、これを関連付ける必要性、論理的な必要性は必ずしもないものの、両制度は独立した制度で確かにあるんですが、被害者等国民の理解と合意を得るためには、政策的にその範囲を一致させた方が相当であるという意見が大多数を占めて、今回のような仕組みで法案をお願いすることになったわけでございます。
 先ほどおっしゃったように、この後、じゃ、確かに国選付添人の範囲は広げていけという御意見が強くあるのは私も承知しておりますので、今後改正されるときには、その辺りはまた十分御議論をいただいていかなければいけない点ではないかとは思っておりますが、現時点ではまだいつ改正するとは申し上げるわけにはまいりません。
#102
○行田邦子君 私は、国選付添人制度と検察官関与制度というのは、これはセットではないというか、別の趣旨での独立した制度であるというふうに考えられるのではないかなというふうに思っております。
 そしてまた、成年と比べて少年というのは未熟な状態にあって、身柄を少年が拘束をされた場合というのはやはり保護性が大きいというふうに考えておりますので、今後、国選付添人制度の範囲の拡大ということも検討に値するのではないかなというふうに思っております。
 そして、むしろ検討しなければいけない、問題となるのは、そのときに国選付添人がどういった方がなるのかと。その国選付添人が少年法の趣旨をしっかりと理解をして、また刑事裁判とは異なる特質のものであるということを理解した上で付添人になるということが重要ではないかというふうに思っております。
 そこで、また更に大臣に伺いたいんですけれども、今回、国選付添人の範囲の拡大、対象事件の範囲も拡大されるわけですけれども、そうしますと、今まで以上に付添人となる弁護士も増えるわけであります。そこで一つ懸念されますのが、国選付添人制度の対象事件の拡大によって付添人の質の確保がしっかりできるのかどうかという点でございます。この点、いかがでしょうか。
#103
○国務大臣(谷垣禎一君) 当然、行田委員のおっしゃるように、弁護士である付添人はこの少年審判の意義といいますか意味合いを十分理解して付添人にならなければいけない、それだけの識見、素養のある方になっていただく必要があるわけで、資質をしっかり確保するということは極めて大事であると思います。そのため、日弁連やあるいは各地方の弁護士会において付添人の活動についてのいろんな研修やあるいは検討会などを実施していただいておりまして、こういう取組を通じて、付添人の適性を有する者の確保及び適切な付添人活動の確保に努めておられると思います。
 端的に申しますと、行田先生のこの質問があったものですから、うちの事務方に、こういう不安あんたたち感じてるのかと聞きましたら、いや、日弁連はしっかり対応できると言っていますと、こういう返事を今のところいただいております。
#104
○行田邦子君 しっかりと対応していただきたいと思いますし、また、国選付添人制度という制度が拡充されることによって、少年法の趣旨である少年が自らが犯した罪を理解をしてまた更生するといった、そして、さらにはまた再犯防止にもつながるというふうに期待をしております。
 次に、検察官関与制度について伺いたいと思うんですけれども、今回の法改正案では、検察官関与制度の対象事件の範囲拡大ということになっていますけれども、このことについて、少年審判の刑事裁判化が進むのではないかという、少年法の理念を変容させるのではないかといった懸念の声も聞こえてきています。
 今回の法改正によって検察官関与制度の対象事件が拡大された場合、検察官関与がどの程度増加すると見込まれるのか、まず最高裁判所に伺いたいと思います。
#105
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 検察官関与事件が実数としてどの程度拡大するかにつきましては、正確な予測は難しいところではございます。ただ、少年が非行事実を争い証人尋問が必要となる事案におきましては検察官関与決定がされることも多いと考えられますところ、平成二十五年に終局した一般保護事件のうち、今回拡大される範囲の対象事件において証人尋問が実施されたものは約百三十件でございまして、検察官関与事件となるような事案の数がこれを大きく超えることはないのではないかというふうに考えております。
#106
○行田邦子君 検察官関与の必要性を判断するのは家庭裁判所でありますので、対象事件が大幅に増加してもそれが検察官関与決定の大幅な増加に直結するものではないというふうに考えていますけれども、少年審判に検察官が関与することに対して懸念する意見があるというのは、これは事実だというふうに思っています。
 そこで質問なんですけれども、政府参考人に伺いたいと思いますが、検察官関与制度の趣旨が少年の非行の事実認定の適正化にあるということ、そしてまた、あくまでも検察官はその事実認定の関与への協力者という立場であるという点で刑事訴訟における検察官の役割と異なるということをしっかりと踏まえた上で、法の趣旨にのっとった適正な運用を行うために、問題が生じていないかどうか絶えずフォローアップをする必要があるというふうに私は考えております。
 そこで質問ですけれども、この検察官関与制度を導入して以降、具体的にどのような取組を行ってきたのか、お答えいただけますでしょうか。
#107
○政府参考人(林眞琴君) まさしく委員御指摘のとおり、この検察官関与制度というのは通常の刑事裁判と全く構造が異なっており、職権主義構造の中で審判への協力者として検察官関与しますし、あるいは検察官が関与する範囲も事実認定の手続のみでございまして、一方で、要保護性の判断あるいはどのような処分をすべきか、そういったことに対しての意見を述べるなどのことは認められていないわけでございます。
 したがいまして、この点につきましては、検察官関与制度が導入された平成十二年以降、新しい制度だったものでございますので、通常の刑事裁判における検察官の役割とは異なるということについては、これまでもその検察官関与制度の趣旨、そしてまた、そもそものこの少年法の趣旨あるいは保護手続であるところの少年審判の在り方、こういったことについては、これまでも適切に、その少年事件を扱う検事を対象とする研修におきましては、少年事件に関する講義の中でるる研修が行われてきたものでございます。また、当然、その具体的な個別の事件の決裁におきましても、この少年事件を取り扱う検察官に対してその上司から適切にその旨の指導がなされてきておるところでございます。
 今後とも、引き続き、こういった各種研修でありますとかあるいは会議、会同を通じまして、検察官が検察官関与制度の趣旨と、また少年審判の特質に沿った形で少年審判において活動できるよう適切な取組を行うものと考えております。
#108
○行田邦子君 引き続き、是非そのようにお願いしたいと思います。
 それでは次に、少年に対する刑事処分の規定の見直しについて伺いたいと思います。
 今回の少年に対する刑事処分に関する規定の見直しについては、不定期刑の長期の上限を十年から十五年に、そして短期の上限を五年から十年に引き上げることが出発点となっています。裁判所が言い渡すことができる刑の上限を引き上げるということに対しては、これは不定期刑の趣旨と矛盾が生じるのではないかといった意見や、また、これまでの統計上なんですけれども、統計上、少年による凶悪犯罪というのはむしろ減少しているわけなので、一般予防的な見地から重罰化する必要性というのは存在しないのではないかといった、このような意見もあります。そしてまた、少年に対する刑の言渡し全体が一律に厳罰化されるのではないかといった懸念の声も聞こえてくるわけでありますし、私自身もそういった懸念を持っていないわけではありません。
 これまでも、今日のこの委員会の審議の中で法務大臣からは、今回の法改正の趣旨というのは、一律の厳罰化ということではなくて、むしろ、少年に対する科刑を一律に引き上げるということではなくて、より適切な科刑を可能とするということが目的であるといった答弁がなされていますけれども、このような法改正の趣旨をどのように周知徹底させていくのか、法務大臣に伺いたいと思います。
#109
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回の少年に対する刑事処分の規定の見直しは、今もいろいろおっしゃった中にございましたけれども、少年に対して科すことができる刑の枠を広げるということでありまして、そのことによって少年に対する適切な科刑を可能とするというのを目的としたわけでございます。一律に引き上げて、いわゆる厳罰化をもくろんでいるというようなものではございません。
 そこで、それならそれをどう周知徹底していくのかということでございますが、まず何よりも大事なのは国会における議論、衆参における議論で、今も行田委員からそのような御意見をぶつけていただきました。それに対して私も曖昧に答えずに明確に答えると、そういうことが、最高裁判所からも来ておられるかもしれませんが、やはり、どういう審議で、どういう議論でこの法律ができ上がってきたのか、恐らく将来にわたっても裁判所がこの法律を適用されるときの一つの、何というんでしょうか、目安ということにこの委員会の議論がなっていくのではないかと私は思っております。ですから、そういうつもりで、私どももできるだけこの委員会の御議論は丁寧に御説明をし、また御答弁をするということを心掛けてまいりたいと思っております。
 そしてまた、これ成立しました場合は、法務省においてホームページに掲載する等々、法律の内容を具体的に周知していく、それから公刊物を通じて法改正の趣旨を説明する等々のことは当然のことながら努力していかなきゃならない、御指摘を踏まえて有効な方策を取っていきたいと思っております。
#110
○行田邦子君 今大臣から御丁寧な答弁いただきましたけれども、やはり法制審の答申がなされてからメディアでは厳罰化といった報道もなされ続けているわけでありますので、決してそのような趣旨での法改正ではないということを是非これからも周知徹底図っていただきたいというふうに思っております。
 次の質問に移ります。
 少年のいわゆる可塑性に着目をして設けられている不定期刑なんですけれども、この不定期刑について伺いたいと思っております。
 今回の改正法案では、現行の「長期三年以上の有期の懲役又は禁錮をもつて処断すべきとき」となっているところを、今回の改正法案では、「有期の懲役又は禁錮をもつて処断すべきとき」に改めるというふうにされています。不定期刑を言い渡すことができる範囲が広がるというふうに理解をしているんですけれども、このように改めようとする理由は何なのでしょうか。
#111
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のとおり、少年法におきましては、少年の可塑性に鑑みまして処遇の弾力性を持たせるという趣旨から不定期刑の制度が導入されております。
 現行法では、これが、処断刑の長期が三年を下回る場合には不定期刑は科さないと、このように限定が付されているわけでございますが、不定期刑の制度の根拠となります、少年に対してはその科刑は教育が重視されるべきと、こういったことの考え方については、処断刑が一定以上のものに限られるということにはならないと考えられます。
 そこで、今回の改正において、不定期刑の対象事件の範囲については、処断刑が一定程度以上のものとするのではなくて、全ての有期の懲役又は禁錮とすることが相当であると考えまして、不定期刑の対象事件の範囲をそのように改めることとしたものでございます。
#112
○行田邦子君 いわゆる可塑性と言われるものだと思いますけれども、少年が教育によってその更生が成人と比べてより期待できるといったことに着目して、処断刑が一定程度以上のものにそれは限られるということではないというような考えからこのような改正法案に至ったというふうに理解をいたしました。
 一方で、被害者団体の方からはちょっと別のような意見がなされています。今回の少年法改正について、法制審議会に諮問され、平成二十五年二月に答申がなされたわけですけれども、その諮問の前に、改正少年法等に関する意見交換会というのが平成二十四年になされています。この意見交換会というのは、刑事法研究者、弁護士等だけではなく、犯罪被害者団体関係者も構成員となっています。この意見交換会におきまして、少年犯罪被害当事者の会代表の武るり子さんはこのように述べられていました。不定期刑は少年の可塑性に配慮した規定であるが、服役中に少年に改善が認められる場合、仮釈放制度により社会復帰させることができるので、不定期刑は不要であると、このような発言をされていました。
 そしてまた、一昨日のこの法務委員会での参考人質疑の中で、被害者遺族の大久保巌さんからも同様の、不定期刑に対して否定的な発言もなされていたところであります。
 そこで、法務大臣に伺いたいんですけれども、このような不定期刑というものについて被害者遺族からは否定的な意見が出されていることについての御所見を伺いたいと思います。
#113
○国務大臣(谷垣禎一君) 不定期刑に対しましては批判的な意見もあることは事実でございます。
 それで、一つは、刑の執行が余り早期に終了しちゃうんじゃないかと、終了する可能性があることに疑義があるという、これはどちらかというと被害者の側からの御意見ですね。参考人としてお出になった方の御議論も引用なさいましたが、やはり、何というのか、この頃は悪い少年も多くて、改善したことを装うのが上手だというような批判もないわけではございません。早く出過ぎるということだろうと思います。
 それからもう一つは、不定期刑の運用がそれにふさわしいものに必ずしもなっていないのじゃないかという実務のお立場からの批判等々、そういうものがあることは事実でございます。しかしながら、これはもう何度も御答弁申し上げ、先生方も御議論いただいているところですけれども、少年法が不定期刑を採用した趣旨は、やはり、まだ少年は、悪いことにも染まりやすいけれども、またそこから抜け出していくことも大人より容易にできるということがございまして、教育による改善更生の効果がより期待できる。そういう処遇の弾力性という点では、やはり不定期刑というものは捨て難いところがあるのではないかということではないかと思います。
 こういう趣旨については、現在においてもいろんな議論はございますけれども、変わるところはなくて、そういう意味で、私も不定期刑というのはまだまだそのレーゾンデートルがあるのではないか、その存在をいろいろ試してみる必要があるのではないかと、このように思っております。
#114
○行田邦子君 今大臣が御答弁されたように、少年というのは未熟な状態で、まだ人格形成の途上にあるわけでありますので、教育によって成人と比べてより更生しやすい、その可能性が高いわけであります。そうでありますので、やはり科刑については柔軟であるべきという、これが少年法のいわゆる保護主義という趣旨にのっとったものだというふうに理解をしております。
 今、被害者の方の御意見ということでお話をさせていただきましたけれども、更に幾つか、被害者の権利保護、被害者の支援といった視点で質問を続けさせていただきたいと思います。
 平成二十年に改正された、先ほど申し上げました改正少年法等に関する意見交換会なんですけれども、これは六回にわたって行われています。ここでは、今回の改正案には盛り込まれなかった事項も含めて、様々幅広い議論がなされていました。
 そもそもこの意見交換会というのは、平成二十年の少年法の一部を改正する法律附則第三項において、法の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするという附則がなされていたことから立ち上げられたわけでありますけれども、例えばここでの意見交換の中での議論として、審判傍聴制度の対象事件の拡大、それからモニターによる少年審判の傍聴といったことに関する要望が被害者側から出されています。
 そこで、法務大臣に伺いたいんですけれども、このような意見が出されていて、議論がなされていたわけでありますけれども、今回の法改正の中では審判傍聴制度に関する事項が盛り込まれていないわけです、見送られたわけですけれども、その理由についてお聞かせいただけますでしょうか。
#115
○国務大臣(谷垣禎一君) 審判傍聴制度は、平成二十年度改正少年法で導入されたわけですが、この制度については、法務省において、平成二十年改正少年法等に関する意見交換会、こういうのを法務省で行いまして、その中で、犯罪被害者の方から、審判傍聴対象事件の範囲を拡大すべきであると、それからモニターにより審判を傍聴できる制度を導入すべきであるというような御意見が寄せられました。他方、これらの見直しを行うことについては消極、慎重な意見もございました。
 そこで、こういう状況を踏まえていろんな検討をしたわけですが、審判傍聴の範囲の拡大につきましては、今、少年審判、非公開が原則でございます。それで、現時点で審判傍聴対象事件の範囲を拡大しなければならないような制度上の問題があるとまでは認められないと。それから、審判傍聴が許可された事件において、実際に少年に影響を与えた事件があったということで、審判傍聴の範囲を拡大することについては慎重な検討が必要であるということ。それから、審判傍聴制度はまだ施行後余り間もございませんので、現在、制度の定着に向けて関係者が鋭意努力している状況であるから、対象事件の範囲の拡大をするか否かについては、もう少し全体の運営が軌道に乗るのを待ってから議論してもいいのではないかというようなことでございました。
 また、モニターによる視聴制度、これについては、モニター視聴制度は少年審判だけではなくて裁判の傍聴の在り方全般に関わる問題であって、少年審判だけで議論するのは必ずしも適当ではないということから今回の法案には盛り込まなかったということでございます。
#116
○行田邦子君 審判傍聴制度について議論がなされ、また検討をされた上で、今回は改正法案の中に見直しの規定を盛り込まなかったというふうに今の大臣の答弁で理解をさせていただきました。
 そこで、最高裁判所に伺いたいんですけれども、この審判傍聴制度ですが、平成二十年の十二月から始まって既に三年間でもう二百十九件実施されている実績があります。施行後、この制度が始まってから五年間経過しているわけですけれども、この間、法改正を要せずとも、いろいろとその制度を運用していく中で改善した点があろうかと思うんですが、その点についてお聞かせいただけますでしょうか。
#117
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 審判傍聴制度は平成二十年十二月から施行されておりますけれども、被害者に対する配慮の制度ということで、家庭裁判所におきましては運用上の工夫や改善を重ねてきているところでございます。例えば、傍聴の申出が遅れるなどして傍聴する機会を失うことのないように、例えばその傍聴対象事件の被害者等の方には被害者配慮制度の案内あるいは傍聴制度に関するリーフレットを早い段階でお送りしたり、あるいは家庭裁判所調査官による被害者等の調査を早期に実施するといった運用上の工夫をしております。
 また、実際に被害者の方が傍聴される審判の運営の際にも、時々御要望で聞かれることとして、その少年の声が聞き取りにくいとか、そういったこともございましたので、そういった場合には裁判官が少年の発言を復唱するなどして、事案に応じた工夫もされているというふうに聞いております。
#118
○行田邦子君 今回は改正法案に見直しということは盛り込まれなかったわけでありますけれども、運用面で改善すべきところは是非、都度改正をするべきであろうと思いますので、よろしくお願いいたします。
 被害者等の意見陳述についても伺いたいと思います。
 少年法の第九条の二には、家庭裁判所は、少年に係る事件の被害者等から、被害に関する心情その他の事件に関する意見の陳述の申出があるときは、自らこれを聴取し、又は家庭裁判所調査官に命じてこれを聴取させるものとするというふうにされています。
 被害者等の意見陳述についてなんですけれども、家庭裁判所ではどのタイミングで制度の説明を行い、また被害者等からの意見聴取を行っているのか、最高裁判所に伺いたいと思います。
#119
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 先ほど傍聴制度について御説明申し上げましたが、意見陳述の制度につきましても、被害者への配慮ということで、例えば被害者のいらっしゃる一定の事件については、事件が家裁に送致された後に速やかに、先ほど申し上げました被害者の配慮制度の案内を記載した文書でありますとか意見聴取制度を含む制度全体を分かりやすく説明したリーフレットを送付する、あるいは家庭裁判所調査官が被害者との調査を行う際に必要に応じてその意見聴取制度について説明を行っているものと承知しております。
 このように、家庭裁判所では、被害者の方が意見聴取制度の利用の機会を逃さないようにするために早い段階から繰り返し説明をするようにしておりますが、今後とも被害者等の方に対する丁寧な御案内に努めてまいりたいというふうに考えております。
#120
○行田邦子君 一昨日の参考人質疑の中でも、大久保参考人から、資料の閲覧ができないままで意見陳述をしないといけなかったというような、これは大久保参考人の御自身のケースの、そのときのケースのことだと思いますけれども、このような意見もなされました。
 また、法制審の少年法部会では、やはりもっと丁寧に被害者に分かりやすく意見陳述についても説明をしてほしいといった意見も出されていますので、やはり少年審判の場合というのは、成人の裁判と違いまして、被害者の手続参加というのが非常に難しいという面もあろうかと思いますので、被害者に対して、御遺族の方々に対してしっかりと配慮をしていただきたいというふうに思っております。
 それでは、再犯防止、更生教育について伺いたいと思います。
 平成二十五年版の犯罪白書を見ますと、少年による刑法犯の検挙人員、これは触法少年の補導人員を含むんですけれども、これは平成十六年から毎年減少を続けています。そして、二十四年には十万一千九十八人と、昭和二十一年以降最も少なくなっています。けれども、一方で、少年の再非行、再非行少年率というのは、これは平成九年を底として毎年上昇していまして、平成二十四年では三三・九%という再非行少年率となっています。
 この少年の再非行をいかに防ぐのかということが大きな課題となっているかと思いますけれども、まず、奥野副大臣に伺いたいと思います。
 政府におきましては、平成二十四年の七月に再犯防止に向けた総合対策というものを取りまとめています。ここには当然、少年や若年者の再犯防止も含まれているんですけれども、この取りまとめをして以降、少年の再犯防止についてどのような取組をなされていますでしょうか。
#121
○副大臣(奥野信亮君) 今、行田委員がおっしゃったように、犯罪の総数は減っている中で再犯率が高くなっているというのは、成人の場合も少年の場合も同じようであります。
 そして、特に少年については、心身が未成熟で人格形成過程にあって、教育による改善更生というのも非常にスピーディーにできるのではないかということが想像できるわけであります。そうした中で、この日本の国の将来を支える若者たちが、犯罪に手を染めない、あるいは一旦染めてももう二度と犯罪を犯さない、そういうような人格形成を行っていきたいなと私どもは考えているところであります。特に、六年後のオリンピックを控えて、世界一安全な国なんだということを標榜しているわけでありますから、安心して外国から来られた方が日本で楽しい時間を過ごしていただきたいなと、こう思います。
 じゃ、そのためにどういうことだということでありますけれども、やはり私が感じるのは、個々人、若い人たち、犯罪を犯した子が、若い人たち個々人の成長過程でどういう環境にあったのか、家庭はどうだったのか、あるいはその非行の実態というのはどうだったのかということをよく吟味して、きめ細かな対応をして指導をするということが一番大事じゃないか、あるいはそれが一番的確な対応じゃないのかというふうに思っておりますので、少年院在院者や、そしてそこの少年の保護者たちにもきめ細かな対応をしつつ、指導、助言していきたいと、こういうふうに考えているところであります。
 私どもとしては、さらには、関係省庁や民間団体とも緊密に連携を加えながら、できるだけ実際に成果が上がる策を、しっかりとその人それぞれに成果が上がるような策を考えた上で対応してまいりたいと、こういうふうに考えております。
#122
○行田邦子君 是非、再犯防止については、法務省だけではなく関係省庁、そしてまた民間団体、様々な関係する団体、方々との連携というのは不可欠だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 その関係する省庁又は団体ということで、警察の少年サポートセンターというのがあろうかと思います。ここで最後の質問になりますけれども、今日、警察庁にお越しいただいていますのでお聞きしたいと思います。
 少年サポートセンターの活動に関して、最近の少年非行の傾向とそれに対するサポートセンターの活動の効果と、そしてまた、例えば保護観察所等との連携がどのようになされているのか、お答えいただけますでしょうか。
#123
○政府参考人(辻義之君) お答えいたします。
 ただいまもございましたとおり、刑法犯少年の検挙人員は十年連続で減少となっておりますけれども、再犯者の占める割合の上昇や非行の低年齢化傾向が続いているなど、少年非行情勢はいまだ厳しい状況にあるというふうに認識をいたしております。
 このため、警察におきましては、少年の規範意識の向上と社会とのきずなの強化を図る観点から、問題を抱えた少年等に対しまして指導、助言を行ったり、少年警察ボランティアや関係機関等と協働し、社会奉仕体験活動への参加促進などを行います少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動を推進しているほか、低年齢少年やその保護者を対象とした非行防止を開催するなど、非行少年を生まない社会づくりを推進しているところでございます。
 少年サポートセンターでございますけれども、この取組の中心的役割を担っておりまして、例えば、非行を繰り返し、不登校でありました中学生が、将来の目標を持ち、在籍する中学校に登校するようになり、希望する専門学校への合格を果たしたなどの成果が見られるなど、着実に成果が現れているところでございます。
 また、少年サポートセンターと保護観察所との連携でございますけれども、常に警察では、サポートセンターを中心に、学校、児童相談所その他の関係機関等と連携を密にするようにいたしているところでございまして、保護観察所とも緊密に連携を取りながら少年非行の防止に努めているところでございます。
#124
○行田邦子君 是非これからも連携を更に深めていって、そして、受け身の対応ではなくて未然に防ぐという再犯防止に取り組んでいただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。
#125
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 まず、国選付添人対象事件の拡大についてお尋ねをしたいと思います。
 現在の裁量による国選付添人制度の趣旨について、法務省はこの導入の際におおむね申し上げる四点の説明をされています。
 一つは、重大事件については、重い処分が予想されるとともに、処分自体に社会的な影響、関心も大きいため、より適切な処遇選択が要請されること。二つ目に、弁護士付添人を付すことで行状や環境などに関する資料を十分に収集でき、適切な処遇に資することになるほか、付添人による環境調整も期待できること。三つ目に、付添人が付された上で審判が行われることで審判結果について少年の納得も得られやすくなり、更生意欲を高めることができること。最後、四つ目に、観護措置で少年の身柄が拘束されている場合には、重い処分に付される可能性も高い上、他の者の援助も受けにくいという、そうした要請も考慮する必要があるという、そうしたことかと思うんですが、刑事局長、おおむねそうした理解でよろしいでしょうか。
#126
○政府参考人(林眞琴君) 今委員御指摘のとおり、一つには、観護措置がとられた少年についてより適切な処遇選択の要請。あるいは、環境調整等を通じて少年に対する援助を行うことが適当なときがあること。さらには、付添人が付くことでの少年の納得、それを踏まえた上での更生意欲を高めること。さらには、付添人の活動により再非行防止、こういったものを図ると。この四点を理由として導入がなされたものでございます。
#127
○仁比聡平君 今のような趣旨は、実際に多くの付添人活動にとっておおむね実感も伴うものだと思うんですけれども、そこで大臣、今回、この国選付添人の対象事件を拡大するということに当たって、国選付添人にどのような役割を期待されるか、その点をお尋ねしたいと思います。
#128
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回、家裁の裁量による国選付添人の制度を、対象事件の範囲を拡大を行いますが、それは、まず第一に、現行法による国選付添人制度の対象とされていない事件の中にも、より適切な事実認定のためには国選付添人が関与することが相当であろうと思われる事件があるということが一つ、それから、付添人が少年審判の段階から環境調整を行っていくことが少年の更生や再犯防止に資するだろうということで今回拡大をすることになりました。
 それで、少年審判手続において、裁量による国選付添人は、今先ほど申し上げましたように、適正な事実認定を行う、あるいは再非行防止をより確実なものとするため法律の専門家として様々な活動を行っていただくわけですが、まず一つ、非行事実の認定手続において少年側の立場から主張や立証を尽くす活動、これが期待できる。それからもう一つは、要保護性の審理において、家庭裁判所調査官の調査分析の結果明らかとなった少年の問題点に応じて、少年の帰住先あるいは就労先確保といった環境を調整する活動を期待できると。それから、被害弁償等に向けた活動も期待されるところであると。事実としてそういうことを今までも行ってきているところでございます。こういう国選付添人に期待される役割は今回の改正前後で変わるところはないと考えております。
 それから、現行法上、被疑者国選弁護制度の対象事件より国選付添人の対象事件が狭いために、少年が改めて自ら付添人を選任しない限り、国選弁護人として選任された者は付添人としての活動ができないという不都合な事態が生じるおそれがあるわけですが、今回の改正によって国選付添人による継続的な活動が期待されるというようなことがございます。
#129
○仁比聡平君 より適切な事実認定のためにという点は、これは少年審判やあるいは付添人活動のこれまでも原点であり、出発点、大前提だと思うわけですが、そこで最高裁にお尋ねをしたいんですけれども、観護措置を受けた少年の全体の中で、これまでの国選付添人の選任率を見ますと、二〇一〇年で三%、二〇一一年で四%、二〇一二年で僅か三%にとどまっているわけです。
 今大臣からもお話のあった付添人の果たす役割からすれば、対象事件を重大事件に限らずに、窃盗や傷害など被疑者国選弁護の対象事件とも一致させる今回の改正の趣旨が今後実務の中で生かされて、国選付添人を付する裁判官の判断が積極的に行われることを私も期待したいと思うんですね。法制審でも、付添人が果たしている役割を考えれば、身柄を拘束された全事件に付けられるのが一番よいのかもしれないという意見も出されています。
 そこで、その裁判所の裁量の判断基準や判断要素についてお尋ねしたいと思うんです。
 条文では、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、必要があると認めるときとされているわけです。無論、個別の判断なんですが、もちろん非行事実に争いがあるなしに関わらないのは当然のこと、捜査段階で逮捕、勾留をされている、被疑者段階で国選、私選の弁護人が選任されて継続した付添人の選任を求めてきていると、こうした事情も重要な要素としてできる限り国選付添人を付するという判断をすることが制度の趣旨に沿うと思うんですが、家庭局長、いかがでしょうか。
#130
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 国選付添人の選任は、委員御指摘のとおり、あくまで個々の事案における裁判官の判断事項でございますが、現在の裁量国選付添人制度の運用の実務におきましては、委員御指摘の、捜査段階で逮捕、勾留されていたこと、被疑者国選弁護人が選任されていて国選付添人への選任を求めていることといった事情が国選付添人の要否を裁判官が検討する際に考慮に入れる一事情とはなり得るとされているものと承知しておりますが、最終的には、あくまで法文上にありますように、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、総合的に判断する、個別の事案において判断されるものと考えております。
#131
○仁比聡平君 実際上、日弁連の努力も積み重ねられて、被疑者としてとりわけ身柄拘束をされて以降、この保護処分や刑事処分も一連の手続として見通しながら弁護士が付添人としての活動をしっかり行っていこうという取組が、今少年審判で多くの付添人が付けられているという、そういう到達をつくり出してきていると思うんですね。これを今後しっかり国選付添人の選任という形で生かしていくことが必要だと思います。
 別の角度でお尋ねしますが、そうした裁量の判断が予算の残高といった財政的理由で左右をされることなど考えられないと思いますが、いかがですか。
#132
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 これも国選付添人の選任の判断に関するお尋ねでございますので、個々の事案における裁判官の判断事項ということにはなりますが、これも、現在の裁量国選付添人の選任の実務におきましては、予算の残高などの財政的な事情は国選付添人の要否を裁判官が検討する際の考慮要素にはなっていないのではないかなというふうに承知しております。
#133
○仁比聡平君 大臣、観護措置決定事件の対象事件の六割程度と、そうした想定で本年度予算が編成されているのだろうと思うんです。ですが、実際の運用で仮に予算が不足をしてくるとなれば、これはもちろん必要な手当てをされるものと思いますが、いかがですか。
#134
○国務大臣(谷垣禎一君) 平成二十六年度予算で国選付添い事業経費については約五億六千九百万を確保しているわけですが、これは平成二十五年度と比べまして、増加するというので、約五億一千三百万を増額したものでございまして、これで十分対応できるのではないかと考えております。
 しかし、だから、委員のおっしゃるような御懸念は今のところ当たらないんじゃないかと思いますが、万が一そういう事態に陥った場合には、これは関係機関と十分に、主としてまず財務ということになると思いますが、十分に協議して、必要な予算上の手当てについて適切に対処していかなきゃならぬと、こういうことだろうと思います。
#135
○仁比聡平君 次に、更なる対象事件の拡大についてお尋ねしたいと思うんですが、まず虞犯なんですね。観護措置率だとか少年院送致率を見ますと、窃盗や傷害など、より虞犯が極めてその割合が高い。それはその少年の要保護性の高さを示していると思うんです。
 大臣、こうした虞犯での先ほど確認いただいた付添人活動の意義ですね。要保護性を除去、軽減をする、あるいは環境調整を行う、この役割というのは極めて大きいと思うんです。今回の法案では対象外となっていますけれども、拡大を目指すべきではありませんか。
#136
○国務大臣(谷垣禎一君) 虞犯事件は、犯罪に結び付くような問題行動があって要保護性は高いけれども、犯罪には至らないような少年に係る事件ということだと思いますね。
 それ自体は、罪を犯した少年と比較すると、社会的に見て重要である、重要な事件であるとまでは言えないと、そして虞犯少年は家裁係属前の捜査手続において身柄を拘束されることもないという状況でございます。
 その一方で、相応の予算措置を伴う国選付添人制度の範囲については、これはかなり慎重に吟味しなければならないのではないかと考えております。家裁送致後に観護措置をとられた少年の虞犯事件についてまでその範囲を拡大すべき必要性はまだいまだ明らかではないと私は考えております。
#137
○仁比聡平君 いまだ明らかではないというのは、法制審での議論などを踏まえてもどうなのかなと思いますね。
 国連子どもの権利委員会から、二〇〇〇年の法改定以降三回の勧告がなされているのは御存じかと思います。総括所見においては、少年司法についてはいまだに条約の原則及び規定と適合していないと厳しく指摘をされているわけですね。例えば、第二回目の総括所見では、法律に抵触した子供に対し、法的手続全体を通じて法的援助を提供すること、第三回目の所見では、全ての子供が手続のあらゆる段階で法的その他の援助を提供されることを確保することと勧告をされているわけです。
 私は、虞犯への対象拡大や、さらには身柄拘束を受けている少年全てに国の責任で付添人を付していく、こうした方向が国連子どもの権利条約にも沿うのではないかと思うんですが、大臣はいかがですか。
#138
○国務大臣(谷垣禎一君) 国連の児童の権利条約でございますが、この条約の解釈については外務省の所管事項でございますので余り踏み込んだことは申しませんが、その児童の権利条約四十条二の(b)の(U)というところにいろいろ規定がございます。ここに書いてあることは、児童が法的その他適当な援助を受けることを締約国が認めること、言い換えれば、これを妨げないことを要請しているものと解されておりまして、全ての少年事件に付添人を付すことを義務付けることまで求めているというふうには理解しておりません。
#139
○仁比聡平君 義務付けるかどうかは別として、そうした法的援助を提供することという勧告の意味をもっともっと政府部内でも国会でも深め、議論をしていく必要があると思うんですね。
 身柄、例えば少年鑑別の措置がとられている事件で、国選が付く事件、そうではない事件というふうに差が広がっていきますと、付いたら重大、複雑、そうでなければというような誤った認識が少年に広がって、どの事件でも深めるべき内省と逆の影響を与えかねないという専門家からの指摘もありまして、私は、権利として全件付添人を目指していく、少なくとも身柄拘束、鑑別措置を受けた子供には必要的に付添人を付する制度が求められていると思います。是非、強くお願いをしたいと思うんですね。
 この子どもの権利委員会の勧告の中に、こうした指摘もあります。法に抵触した子供に認められている手続的保障、弁護士にアクセスする権利を含む、が制度的に実施されていないため、特に自白の強要及び不法な捜査実務が行われているという指摘です。
 捜査段階でこうした事態を根絶することはもちろんですが、その影響の下で作成された捜査記録が全て一件記録として送致されることによって始まる少年審判の手続が、こうした捜査に影響されずに適切な処遇を決していくためには、私、弁護士付添人の活動というのは極めて重要だと思うんです。
 その続きで、非行事実に争いがある場合の事実認定の在り方について議論を進めたいと思うんですが、少年法は、健全育成という目的、理念を果たすために、家裁に全ての事件を送致し、裁判官を主宰者とする少年審判に委ねることとしているわけです。ですから、その職権主義的審問構造における裁判官の権限と責任が少年審判の柱となるわけですね。
 この委員会での岡本参考人もお述べになりましたけれども、裁判官は、少年が非行事実についてやっていないと否認をしているとき、決してその少年の言い分をうのみにしてはおりません。共犯者が多数、あるいは証人がたくさんいる、あるいは客観的、直接的な非行事実を裏付ける証拠がないなど、事件の内容が複雑な場合というのはもちろんありますが、その下でも、真実を見抜いて事実を認定して、少年法の理念に沿った処分を決めるために、そういう意味で言わば少年と対峙して事に接するというのが、臨むというのが裁判官の職責なのではないでしょうか。
 家庭局長、そうした努力をそれぞれの裁判官がこれまで積み重ねてこられたのだと思いますが、いかがでしょう。
#140
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) 少年審判を担当する裁判官において適正な審理を行うということはもちろんでございますが、具体的な否認事件の審理の在り方についてのお尋ねということでございますと、個々具体的な事件における裁判官の審判指揮に関わる問題でございますので、事務当局としての立場としてコメントは控えたいというふうに思います。
#141
○仁比聡平君 家庭局長の法曹としての認識も是非御答弁いただきたいところかと思うんですね。
 そうした少年審判の基本構造を変えないという前提で、検察官を出席させる裁判官の決定、現行法あるいは改正案のその決定の要件というのは、非行事実を認定するための審判の手続に検察官が関与する必要があると認めるときにできるとされております。
 そこで、法務省刑事局長にちょっと通告と順番変わりますけれどもお尋ねしますが、要保護性に関する事実のみが争いになっている場合はこの条件には当たりませんね。
#142
○政府参考人(林眞琴君) 検察官関与決定については、委員御指摘のとおり、非行事実を認定するための審判手続に検察官が関与する必要があると認めるときに行うことができるとなっております。この場合の非行事実というものは、構成要件該当事実はもとよりでございますが、それに犯行の動機、態様及び結果その他当該犯罪に密接に関連する重要な事実を含むものでございますが、いわゆる要保護性のみに関する事実はこれに含まれないと考えられます。
 したがいまして、要保護性のみに関する事実の認定に必要があるということを理由には検察官関与をすることを認めることはできないと考えております。
#143
○仁比聡平君 最高裁、検察官の関与を認めた場合でも、その要保護性の審理には立ち会わせてはならないのではありませんか。
#144
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 ただいま法務省から説明がございましたとおり、検察官関与事件においては、検察官は非行事実を認定するための審判の手続に関与するものであり、いわゆる要保護性を認定するための手続に関与することは予定されておりません。したがいまして、非行事実認定のための手続が終了した後には検察官は退席するというような運用が一般的であるというふうに承知しております。
#145
○仁比聡平君 要保護性の審理には立ち会わせてはならないというこの趣旨をしっかりどの事件でも、一つ一つのどの事件でも徹底して貫いていただきたいと思います。
 非行事実に争いがあるという場合なんですが、この非行事実の争いといっても様々なんですよね。とりわけ犯罪の成立そのものには重大な影響を及ぼさないような場合、言わば構成要件の主要な事実には争いがない場合、この場合は、それはもちろん個々の事件の判断でしょうが、検察官の関与の必要性、あえて検察官に出席してもらうという、その裁判所にとっての必要性というのはこれはないんじゃないんですか、局長。
#146
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) 検察官関与をさせるかどうかは個別の事案における裁判官の判断事項ではございますが、現在の実務の運用におきましては、非行事実を認定するための審判の手続に検察官が関与する必要があると認めるときという法律の要件に照らし、必要と判断した場合に検察官を関与させており、委員御指摘のとおり、全ての否認事件に検察官を関与させているわけではないというふうに承知しております。
#147
○仁比聡平君 例えば、二〇〇〇年改正の五年後見直しに向けてという趣旨で行われた裁判官数名による司法研究というのがありますが、これを見ますと、そもそも関与の必要性があったのか、要らなかったのではないかという事例が多く見られるわけです。
 七十二人の少年事件のうち、証人尋問が現実になされたのは四十件にとどまると。ですから、五五%程度なんですね。現実に証人尋問が行われていない件が多くある。担当した裁判官のアンケートでは、さほど有益であったとは言えないという回答が十二件で、非常に有益だったという回答を上回っているわけです。
 一般保護事件のうち、改正法案の長期三年以上というふうに当てはめたときに、証人尋問実施件数が平成二十五年で約百三十件に上るというような御答弁が衆議院の委員会でありますけれども、このさほど有益であったとは言えないというような、裁判官が後から振り返って感じるような運用、あるいは証人尋問も実際にはなされないというような運用がこれからもあり得るのかと。刑事局長、そうならないという保証が改正案の条文上ありますか。
#148
○政府参考人(林眞琴君) 少年法二十二条に、検察官関与の決定については一定の罪の事件であればこれは必要的になされるのではなくて、それに加えて、家庭裁判所が検察官をその審判手続に非行事実を認定するために関与させる必要があると認める場合にこれを認めることを規定しておるわけでございます。
 したがいまして、今回の改正によって、検察官関与制度が対象事件が拡大されるわけでございますが、この点については、このメカニズム、この規定については変更されるものではありません。したがいまして、この改正後も家庭裁判所においては、同条の趣旨を踏まえて適切に検察官関与の要否を判断するものと考えております。
#149
○仁比聡平君 そうした一般論で行われてきた運用の僅かな、不十分な検証の中でもそういう事案があると。この歯止めがどこにあるのかと。結局、その裁判官の裁量的判断以外にないんですよね。しかも、その裁量的判断、決定に対しては抗告はできないということになっているんでしょう。争えない。その裁判官の裁量が本当に適正に行われるのかということが極めて重要なのですが、特に、非行事実に争いがある場合に、極めてシビアな問題になる自白という問題についてお尋ねしたいと思います。
 関係者の供述、中でも少年の自白に争いがあるという場合に、裁判官、どう臨むのかと。少年は、今日も議論があっているように、未熟で暗示に掛かりやすく、取調べ官に迎合をしやすい。その中で、取調べに対する抵抗力が成人以上に弱くて、結果、人権侵害も起こります。加えて、意に反する調書が作成される可能性が極めて高いわけですね。捜査段階で少年の自白調書がある、これが一件記録として送られてきているという事件で、少年が家裁に送致された後、本当はやっていないと述べ始めたときにどうするのか。裁判官は、その言い分をよく聞いて吟味をするとともに、捜査段階での、つまり捜査官の取調べではなぜ自白したのか、自白したのはなぜなのか、そこに問題はないのか、そこを吟味するものだと思いますが、家庭局長、いかがですか。
#150
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) 個別の審理の在り方に関する御質問でありまして、最高裁の事務当局といたしましてはお答えを差し控えたいと思います。
#151
○仁比聡平君 現場の裁判官は、その事実審理、とりわけ供述、なかんずく少年の自白が問題となったときに、本当に真剣に審理に臨み、審判に臨んでいると、そういうふうに確信をしたいと思うんですね。けれど、この二〇〇〇年の改正で検察官の関与が行われるようになってから、捜査検事が少年審判に関与するという例が幾つもあります。
 審判で自白の任意性や信用性がないのではないかということが問題となっているときに、その自白調書を作成した検事が審判廷に在廷するということ自体が、少年を萎縮させ、審判廷の真摯な対話を壊すとともに、裁判所の適正な事実認定を阻害すると、そういうことになるんじゃないですか。私は、運用としてでも、家庭局長、少なくとも捜査検事の関与は認めてはならないのではないかと思いますが、いかがです。
#152
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) ただいまのお尋ねにつきましても、個別の審理の在り方に関する御質問でございますので、事務当局としてはお答えを差し控えたいと思います。
#153
○仁比聡平君 先ほど国選付添人の裁量的判断の要素や方向性についてはお話しになったじゃないですか。なぜこの検察官関与のありようについては一切口をつぐむんですか。
 具体的に個別の事件で幾つもの問題が起こっている。そういう指摘がされながら、この関与の事件、対象事件を拡大しようとする。これが今後どんなふうに運用されるのかというのは、裁判官の判断に懸かっているわけでしょう。この裁判官の判断に、個々の裁判官の判断に言わば全てが懸かっている。それはその認識でいいんですか、局長。
#154
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) 検察官関与をさせるかどうかにつきましては、これまで説明がありますとおり、個別の事案における裁判官の判断事項ということでございます。
#155
○仁比聡平君 大阪家庭裁判所が、いわゆる大阪地裁所長事件と言われる事件で、非行事実ありとして送致されてきた少年たちを不処分と決定した決定に対して検察官が不服として行った抗告を棄却した、平成二十年、二〇〇八年七月十一日の第三小法廷決定があります。
 局長、この中で、田原睦夫裁判官の意見の最後の段落を御紹介ください。
#156
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) 平成二十年七月十一日最高裁第三小法廷決定における田原裁判官補足意見の最終段落部分は、以下のとおりでございます。
 「本件は、事件関係者が、客観的証拠と明らかに矛盾する事実について、捜査機関の意向に迎合して、比較的安易に自白することがあり、殊に少年事件においては、そのような危険性が高いことを如実に示す一事例であり(本件では、送致事実には全く関与していないことが後に明らかとなった少年も、一旦自白している。)、刑事事件、少年事件に関与する者には、証拠の評価、殊に自白と客観的証拠との関連性につき慎重な判断が求められることを示す一事例として、実務に警鐘を鳴らすものと言えよう。」。
 以上でございます。
#157
○仁比聡平君 そうした指摘がされている事件について、弁護士の皆さんの報告によると、その捜査検事は警察で供述を変転させた少年に、君の供述を信用しても大丈夫か、将来僕が下手を打ったことにならないかと尋ねたら、少年が信用してもらっていいと答えたので安心したんですと証言をしたというわけですね。
 こうした認識の捜査検事が少年の審判に立ち会って、捜査過程での自白調書を自ら作成した、あるいは警察の自白調書にのっとったそのままの捜査を遂げたというその立場で、尋問を始めとして少年審判廷での事実審理に臨むというのは、これ、少年審判のありようを壊してしまうじゃありませんか。
 大臣、こういうことに何の問題もないと考えられますか。
#158
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の個別の例は別としまして、一般論で言えば、家庭裁判所が特定の検察官を指名したり、あるいは排除した形で検察官関与の決定を行うことは現行法上想定されておりませんし、そういう運用があるとも承知しておりません。
 今更こんなことを申し上げてもなんでありますが、家裁の決定によって少年審判に検察官が関与することができるとされている趣旨は、職権主義的な審問構造を採用する少年法の下で、あくまで家裁の手続主宰権に服しつつ、公益の代表者の立場から、的確に事実認定が行われるよう審判協力者として関与するという点にあるわけでございまして、仁比委員は不適切であるとおっしゃっているんだと思いますが、そういった場合に捜査担当検察官が関与することになっても、検察官はそういう家庭裁判所の手続主宰権の下で自らの職務を行っていくということではないかと思います。
#159
○仁比聡平君 いや、裁判所の協力者としてというふうにおっしゃるけれども、例えばこの大阪の事件だって、裁判所の不処分決定が不服だから検察は抗告受理申立てをしているわけですから、何が協力者かと。
 こうした下で、先ほどにちょっと話戻しますと、捜査検事と公判の検事を分離するというのは地方の支部ではなかなか難しいんですよね、現実には。だけれども、前の質問、答弁で、限定的な運用なんだと、数は限られるんだというふうにおっしゃるんだったら、大きなところから、その地方にですよ、派遣するなんていうのは可能じゃありませんか。そういう形ででも、この捜査検事が自ら審判廷に臨む、こういうやり方はやめると、そういう方向で検討すべきなんじゃないですか。ちょっと大臣、もう一回。
#160
○政府参考人(林眞琴君) この検察官関与は、先ほど来もありますように、基本的に事実認定について争い等がある場合に、家庭裁判所の主宰する審判手続、その手続主宰権に服しながら検察官が限定的に関与するものでございます。その場合には、他方で弁護士の付添人もおるわけで、そのまた付添人もこの家庭裁判所の手続主宰権に服しながら審判に関与するわけでございます。
 仮にその捜査担当検察官がその審判に立ち会うと、こういうことになった場合においても、当該検察官については、そういう通常の刑事手続の構図とは違う構造の下で行われる検察官関与制度であるということを十分認識した上で、適切に対応していくべきものと考えております。
#161
○仁比聡平君 そうした手続の主宰権に服していないという行為があったときに、これを法的にただせる、少なくともそういう条件は私は必要だと思います。
 元々、検察官の関与は少年法の理念に反するものだと私は思いますが、裁判所は必要な補充捜査を求めることもできるし、裁定合議を行うこともできるようになっています。重大事案については原則逆送という規定が設けられた下で、逆送事件も増えているわけですね。
 少年審判も元々、捜査を遂げて言わば黒という一件記録が送致されて始まる審判手続なわけですから、そこにも元々は国家刑罰権の行使を任務とする検察官が関与を広くするということになるなら、少年司法の理念は損なわれるということになると思います。少年審判においては裁判所が自ら非行事実の認定に当たることが大原則であって、私は反対ですが、検察官関与は、非行事実の認定にとってほかに代替手段がない、やむを得ない場合に限って認められていく、そうした運用が少なくとも裁判所においてされることを期待をしたいと思うんです。
 最後に、自白でも常に問題になる取調べの可視化ですが、この試行が行われていますけれども、裁判員対象事件などに限られています。警察庁に聞きますと、平成二十四年度の少年被疑者について録音、録画を実施した件数は四百二十八件にとどまっているわけです。一方で、平成二十四年の少年保護事件の新受件数のうち検察官送致の件数は十一万五千六百三人、司法警察員送致は八千八百五十九人で、合わせておよそ十二万五千人に及ぶわけですね。この新受件数のうち可視化が、録音、録画が実施されている件数というのは、おおむねですよ、おおむねですが、〇・三%なんですよ。
 法務省は、少年の録音、録画件数というのは独自には把握さえしていない。大臣、これは把握すべきじゃありませんか。少年の脆弱性に鑑みて、少なくとも少年事件については取調べ全過程の可視化を直ちに実現をすべきではないのか。この検察関与の運用の実態を徹底してつかんで、これを検証するということが求められると思いますが、いかがです。
#162
○国務大臣(谷垣禎一君) 可視化は現在試行中でありますけれども、試行の実施状況を把握するための調査を行っているわけですが、少年事件については、少年事件自体が試行対象事件とされてはおりませんので、今委員がおっしゃったように、その件数については今まで把握してきてはおりません。もっとも、現在の試行対象事件に該当する少年事件については取調べの録音、録画の試行対象となっておりますので、検察当局においては試行の実施状況を把握するための調査を行う中で、録音、録画を実施した少年事件の件数についての把握の要否も含め、適切にこれから検討していくものと考えております。
#163
○仁比聡平君 時間ですので終わります。
#164
○谷亮子君 生活の党、谷亮子です。
 本日の議題となっております少年法の一部を改正する法律案につきまして伺わせていただきたいと思います。
 今回のこの少年法というのは、昭和二十三年に法律百六十八号として制定をされまして、以来、大きな改正はこれまで三回ございましたが、これまでの改正を全て合わせますと二十二回の改正を経ているという現状がございます。
 少年法は、少年の保護事件、少年の犯した刑事事件に関する刑事訴訟法の特則を規定した法律でございますけれども、法律として担うところといたしましては、刑事法という側面、そして、成長の途上であり、心身共に未成熟な子供に関する法という側面、そして、少年保護手続に見られる教育的働きかけをする等の教育法の側面、また、非行事実に限らず、要保護性に関する調査や問題解決の働きかけを含む福祉法的側面、以上のような多様な側面を備えた法律でございますけれども、非行少年への制裁と同時に、将来再び犯罪や非行を犯さないように健全に育成していこうということがこれ理念としてあるわけでございます。また、成人の場合の刑事司法手続とは異なりまして、これは訴訟便宜主義ではないということでございまして、全ての少年による犯罪事件が家庭裁判所に送致される全件送致主義がこれは取られているということでございます。また、裁判官が原則一名で職権主義的に審判前に全記録を閲覧をし、少年との対話によりまして非行事実と要保護性を判断いたしますので、これは成人事件の当事者主義とは異なるということがございます。また、調査前置主義が取られまして、家庭裁判所調査官による調査により、審判が必要かどうか、また審判後の判断もなされるということになるわけでございます。
 現在、少年犯罪の傾向といたしましては、これは新たな課題といたしまして、いじめに関する事件による検挙、そして補導者の増加、そしてさらには少年が関係する振り込め詐欺の急増、また初犯者の低年齢化などに対しましてもこれは対処していかなければならないという現状がございます。
 そこで、谷垣法務大臣に、この度の少年法の一部を改正することへの理念につきまして、また法改正に至る社会状況やその背景につきまして、どのような御認識に基づかれるのか、そして何を目指していかれるのか、立法事実、すなわち今回の法改正、制定の根拠付けというのはどういったところにあるのかを改めてお聞かせいただきたいと思います。
#165
○国務大臣(谷垣禎一君) 今度の少年法改正は、一つは、家庭裁判所の裁量による国選付添人制度、それから検察官関与制度の対象事件の範囲を拡大していこうということが一つですね。それからもう一つは、少年に対する刑事処分の規定の見直しを行おうというのがもう一つです。
 それで、そのうち、家庭裁判所の裁量による国選付添人制度等々の対象事件を拡大していこうということにつきましては、現行法による国選付添人制度、それから検察官関与制度の対象とされていない事件の中にも、より適切に事実認定をしていくためには検察官や国選付添人が関与することが相当であろうという事件が存在するということ、そして、付添人が少年審判の段階から環境調整を行うことが少年の更生、再犯防止に資する面が多いのではないか、そういったことから、制度の対象となる事件の範囲を現行よりも一定程度拡大しようというわけです。
 それからもう一つの、少年に対する刑事処分の規定の見直しについては、現行の不定期刑の長期が十年、短期の上限が五年となっていること、その上はもう、年取ると言葉が出てこなくなってしまいまして申し訳ありません、無期になるわけですね。そうすると、無期と差が余りにも十年では開きがあり過ぎるというようなことがいろいろございまして、実際の裁判において適切な量刑を行うことができない事案が指摘をされておりました。
 こういったことから、少年が犯した行為に応じてより適正な量刑をなし得るようにするため、不定期刑についてその上限と下限をそれぞれ引き上げるなどの所要の整備を行うということでありまして、こういった改正によって、少年審判における事実認定手続のより一層の適正化や少年の更生、再犯防止が促進されるとともに、刑を科すべき少年に対して一層適切な量刑を行うことができるようになるものというふうに考えているところでございます。
#166
○谷亮子君 ありがとうございます。
 適正な量刑がなされるための整備ということでございまして、今、谷垣大臣の方からお話もありましたように、やはり、法律の合理性を支えるという観点からは、人道的、また社会的、また文化的、また経済的な根拠に基づく今回の法改正でなければならないというふうにも私は感じております。ですから、厳罰化という観点ではなくて適正化が図られていくということも考えられるのであるというふうにも考えられると思います。
 そして、次に、検察官の専門性につきましてお伺いしてまいりたいと思います。
 検察官の本来の役割といたしましては、犯罪を捜査し犯人に対して裁判を起こしていくことや、その裁判では犯罪事実を明らかにして被告人が有罪であるということを立証してこれは証明をしなければなりません。しかし、少年審判では、本来の役割とは異なりまして、少年の更生に資するために職務を果たさなければなりませんけれども、ここでは、現行の少年法第二十二条にございますが、審判は、懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならないとございます。そして、二にございますけれども、審判はこれを公開しない、三にございますが、審判の指揮は裁判長が行うとされております。
 そこで、検察官が審判へ関与する範囲が拡大することに関連いたしまして、これは社会学や、教育的にもそして文化的にも少年の心理等に精通する検察官の素養が求められるというふうに思います。このことへの取組やその対処を法務省としてどのように取り組まれるのか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#167
○政府参考人(林眞琴君) 検察官が少年審判に関与する検察官関与制度があるわけでございますが、その際の検察官に求められるものということの前提といたしまして、やはりまず、先ほど来も出ていますが、少年審判手続における検察官というものが通常の刑事裁判における役割とは異なるということでございます。あくまでも裁判所の手続主宰権に服しながらその審判に協力するということ。あるいは、その協力する範囲も、検察官がその非行事実の認定のための審判手続に関与するものであって、要保護性の審理あるいは処分決定手続に関与するものではないということ。また、検察官が関与することとなった審判におきましても、少年の健全育成等を目的とする少年法の一条でありますとか、先ほど御指摘のありました、少年審判の方式について懇切を旨として和やかに行うことなどを定めた少年法二十二条の規定が当然適用されるということ。
 すなわち、関与する検察官は、こういった少年審判手続における検察官の役割、また、今申し上げたような、当然ここには限界がございます、その限界があることに対する認識、こういった少年法の趣旨を十分に理解した上で少年審判に出席するべきものと考えます。
 そういたしますと、まずは、検察官においては、こういった検察官関与手続における検察官の役割、少年法の趣旨というのを十分に理解、認識させる必要がございます。こういったことについては、これまでも少年事件を取り扱う検事を対象とする研修において少年事件に関する講義というような形で行ってきたものでございます。
 また、御指摘のように、少年審判に関与する以上、社会学でありますとか少年の心理等に精通すること、さらに、そういうことを踏まえた幅広い知識というものを積むということは非常に重要なことでございまして、検察におきましては、今回の法改正の趣旨を踏まえまして、今後ともそういった研修などを通じて個々の検察官、そういった面での専門性を向上させるべく努めていくものと考えます。
#168
○谷亮子君 ありがとうございます。やはり少年審判に適応した、また適正なこれは対応というのがこれから必要になってくるということが分かりました。
 そして、次に、国選付添人につきましても伺ってまいりたいと思います。
 少年法の第二十二条の三におきまして、裁判所は、前条第一項の決定をした場合におきまして、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなければならないと定められておりまして、これは同条二項にも規定がございます。そして、第三項、三で、前二項の規定により裁判所が付すべき付添人は、最高裁判所規則の定めるところにより選任するものとされております。
 そこで、今回の改正案で、対象事件の拡大により窃盗、傷害、恐喝等が国選付添人制度の対象事件とされることになりますけれども、この裁判所により選任される国選付添人に関しましても、少年事件にとりわけ精通をし、少年の心理や社会学などに高い素養がこれは求められると思います。国選弁護人は法テラスを通じて選任されるとのことでございますけれども、紹介を求められた弁護士会が付添人である弁護士を指名通知するに当たりまして、少年事件への適性、適格性をどのように保っていくのか、そしてどのような体制整備を取られるのかという点につきまして御説明をお願いしたいと思います。
#169
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 弁護士であります付添人は、少年の正当な利益を擁護し、適正な審判、処遇決定のための適正な活動を行える者でなければならず、国選付添人には少年事件に対する素養が求められることは御指摘のとおりでございます。
 日本司法支援センター、いわゆる法テラスでございますが、法テラスでは、国選付添人選任対象事件の拡大に対応して、適切な付添人が選任されるよう、その候補者名簿の内容などにつきまして、各地方の弁護士会と現在協議を進めているところでございます。また、法テラスでは、法テラスに勤務します常勤弁護士に対して少年事件の研修を行っておりますほか、日本弁護士連合会や各地の弁護士会では、付添人の活動についての各種研修や検討会などを実施しておりまして、こういった取組を通じまして、国選付添人候補者の少年事件に関する素養が醸成されるものと承知しております。
#170
○谷亮子君 研修会、検討会等々が行われているということでございまして、積極的な取組をまた今後も期待してまいりたいというふうに思っております。
 そして、次に、被害者救済の観点からもお伺いしたいというふうに思います。
 今回の少年法改正の趣旨の中には、これは中心的な部分ですけれども、国費で国選付添人制度と検察官関与制度の範囲を拡大することと、少年の刑事事件における科刑を、不定期刑の長期と短期の上限の引上げ等の措置を講じることでございまして、少年審判手続の適正化を図るためのものでございます。これは先ほどからも御説明いただいておりますが、この改正によりまして、少年犯罪の被害者と御家族等の関係者にとりましても、事実の認定が適切になされ、更生につながることは、これは期待をされているところもあるというふうに思います。
 しかし、一方では、過酷な状況に突然身を置かれて、心をしっかりと持ち、被害者の立場でこれは意見を述べて審判の過程を見守るという責任もございますし、またその責任を果たしたいと思われていると思います。しかし、そうした意見陳述等が大変大きなショックでできないという方もいらっしゃいますし、先日の参考人質疑の中でも、御答弁の中にもございましたけれども、非常に精神的にも身体的にもこれは大変な御苦労と大変な憤りを感じていらっしゃるというお話もございました。そしてまた、十分な制度も被害者側にはこれはないんだというようなお話も多々ございましたので、こうしたことを踏まえた上で、法務省として、被害者救済と同時に、これは少年法の今回の改正と同時に、こうした被害者救済というのは第一義的に同時に行われる必要があると私は思います。
 現在、どのように法務省として被害者救済に対して取組をつなげておられるのか、そしてまた、法的相談ができる制度等を今後拡充、拡大していかれるのか、その点につきましてお尋ねしたいというふうに思います。
#171
○政府参考人(小川秀樹君) 私ども所管しております法テラスでは、一定の被害者支援の事業を行っているところでございます。また、それに加えまして、現状、少年審判に関しまして、犯罪被害者が行う意見陳述などの行為につきまして弁護士が支援をするといった場合には、一定の資力要件などを満たす限りにおきまして、日弁連の委託事業により弁護士費用が援助されておるというところでございます。
 この日弁連の委託事業を今後どのような形に考えるか、例えば国費で賄うのかといった点につきましては、どのような弁護士活動を国費支出の対象とする必要があるのか、それが合理的な国民負担、財政負担と言えるのかといった観点から制度全体として検討を要する問題でありまして、現在の厳しい財政事情を踏まえますと、慎重な検討を必要とするものと考えております。
 いずれにいたしましても、引き続き、被害者の方の声も十分聞きながら、関係機関とも適切に連携して必要な被害者支援の取組を行ってまいりたいと考えております。
#172
○谷亮子君 ありがとうございました。
 やはり、国費でのそうした賠償的な制度であったり被害者救済といったものが、今後やはりしっかりと、その被害者の方たちの状況に応じて適正に行われていくということが望ましいというふうに感じておりますし、今後もやはりそうした第一義的に行われなければならない被害者の救済といった部分をしっかりと法務省としての取組を期待申し上げてまいりたいというふうに思っております。
 そして、次に、少年法における証人につきましてもお伺いさせていただきたいと思います。
 少年審判における証人に関しましては、少年法の第十四条二項、第十七条四項、第二十二条の二、また第三十条、第三十一条、そしてまた少年審判規則においても、規定第十九条、第二十九条の三、第三十条の六、七、八、第三十三条がございます。
 少年審判におきましては、適切な事実認定の下に、加害者である少年の更生を図るために、生い立ちから全人格的にこれは評価をしていかなければ、なぜ少年が犯罪を犯すに至ったのかはこれは明らかにできないというふうに思います。例えば、御両親、家族はもとより、担任の教員の方、そして友人等、また例えば生活保護を受けておられる家庭におかれましては、そうした民生委員の方たちの、家庭環境等も伺うといったような、そうした意見陳述の場をしっかりとこれは与えて、確認をし、また成長の環境もこれは明らかにされなければならないというふうに思います。
 この証人の範囲、そして家庭裁判所調査官が調査の対象とできる参考人の範囲はどのようなものなのか、確認の意味も含めましてお伺いしたいと思います。
#173
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 少年審判におきましては、裁判所が職権で証人尋問をすることができるというふうにされておりまして、裁判所が事実認定のためにその者が経験した事実等を供述させることが必要と認められる場合に証人となって証言することになります。
 証人以外の形での意見の聴取、あるいは情報の収集という仕組みについてでございますが、まず、被害者等は意見陳述の申出をした場合に、家庭裁判所が相当でないと認めるときでない限り、意見陳述をすることができます。また、裁判所は、審判期日において少年及び保護者に質問するほか、少年の親族、学校の教師、雇主等の関係者を審判に在席させ、要保護性に関する事情を聞くこともできます。
 また、家庭裁判所調査官の調査におきましては、少年及び保護者に加え、必要に応じて、被害者、学校の教員、雇主等も対象として面接調査などを実施しているところでございます。
#174
○谷亮子君 今、その在り方につきまして御説明いただきまして、ありがとうございます。
 やはり、証人の意見というものをしっかりと適正に適用されていくということは非常に重要なことでございますので、その場をしっかりと確保していただきたいなというふうに願っております。
 そして、次に、犯罪少年の更生と再犯防止について伺ってまいりたいというふうに思います。
 このことは、少年の更生に必要な規範意識の涵養や更生意欲の喚起、そして本人の資質の改善に向けた処遇が必要でございまして、法務省におかれましてもその取組は進められてきているところであります。また、保護観察官や、法務大臣が民間から委嘱した保護司が協働して保護観察を行ってこられていることや、こういった取組があるからこそ少年が更生をしていけるのだと考えられているのだというふうに思います。
 また、日本の少年の更生が海外で評価されたという事例もございました。これは十八年前になりますけれども、日本の援助でタイ中部に少年院が新設をされました。法務省から職員の方が派遣されてその取組は行われ、始まったわけなんですけれども、その近時の結果につきましては、タイ政府によると、二〇一二年中に罪を犯した十八歳未満の少年のうち再犯者は約二〇%だったのが、一年以内に再び罪を犯して少年院に戻ったのは五%にとどまったという報告がなされておりました。これは日本から持ち込まれた矯正プログラムの一つだということでございまして、開所前の一九九四年から日本の少年院の教官ら計三十二名がこれは派遣をされてきたという取組でございました。
 こうした結果を基に、アジア矯正建築実務者会議が昨年からこれは始まっております。日本とタイが、両国が呼びかけをして、今現在、韓国やマレーシアなど計九か国が参加をして取組を行っているということでございまして、法務省におかれましては、このことにつきましては、日本のモデルの刑務所がアジアに広がれば、国境を越えて更に少年の更生が広がりを見せ、また同時に、日本の民間企業が進出できる機会も増えると非常に期待をされているということも報告されておりました。
 また、日本国内におきましても、新たに民間でのこうした少年への更生への取組である職親プロジェクトがこれは設立をいたしておりました。この取組は、法務省や日本財団がバックアップをする、民間企業が集まって支援体制づくりでございまして、この取組は世界初の試みであると報道でも発表されておりましたけれども、この職親プロジェクトは、企業が出院者や出所者に職場を提供いたしまして、日本財団が自立のための資金として一人当たり月八万円と交通費を半年間支給するというものでございまして、プロジェクトの推進、運営管理を行うというものでございました。
 また、二〇一三年二月二十八日、これは日本財団と関西地方の民間企業七社でスタートをしたこの取組は、七社全体で五年間に百名の受入れを目標とされておりまして、その後関西の二社が参加をしまして、六月の東京説明会を経てまた新たに関東を中心とする九社が新たに参加をされておりました。
 また、無職者は有職者に比べまして再犯率が五倍でございまして、働くことへの必要性というのはこれまでもずっと指摘されてきていたことでございました。
 そしてまた、こちらは法務省のホームページにも発信されておりましたが、二〇一三年三月十八日、谷垣法務大臣が矯正施設出所者に対する就労支援策、職親プロジェクトに関する協力依頼を受けておられました。谷垣大臣からは、職親プロジェクトは、矯正施設の出所者に再チャレンジを促す画期的なもので、再犯防止に大きく貢献するものと期待しており、矯正施設内で企業の社長と受刑者等の面接を実施させるなど、可能な限り協力する旨を伝えましたという報告もこれはされておりました。
 このことを受けまして、採用に当たりましては、法務省やハローワークとこれは協力しながら企業が矯正施設の中に出向いて面談をし、入所者と自分たちの仕事場について話合いをし、その上で出所後に六か月間の試用期間を提供をし、双方が合意すれば社員として採用をしていくということとなっているということでございました。支援は主に十代から二十代の若い出所者が中心であるということでございましたが、職種や技能によりましては五十代の採用もあり得るということでございました。
 このプロジェクトに参加されるこうした民間企業の方々には大変、それぞれにいろいろな思いがある企業の方たちばかりでございまして、その積極的な取組も私も今回知ることになりましたけれども、こうした取組の一つ一つがやはり更生へ向けての実を結び、また再犯防止につながるのだというふうに改めて思った次第でございました。
 法務省といたしまして、非行少年が真の更生を図るために、少年再犯防止の取組につきまして、今の現況と今後の取組につきましてお聞かせいただきたいと思います。
#175
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、谷委員からタイのシリントン少年院のお話いただきまして、大変タイで高く評価されております。タイの王様の御長男の皇太子殿下のその御長女というと、日本でいえば愛子様のような方でございますが、検察官でいらっしゃいまして、日本にも時々おいでになりますが、大変この少年院を高く評価していただいている、有り難いことだなと思っております。
 また、職親プロジェクトも、だんだんここに参加しようという企業が少しずつ広がってきておりまして、心強い限りだなと思っているところでございます。
 しかし、なかなかこういう活動は、ただただ頑張ればすうっと進んでいくというものでは必ずしもございませんで、いろいろ苦労して取り組んでいただいたが、なかなかうまくいかないときもあるなと、それでもまたやろうというようなことで頑張っていただいていると思いまして、是非是非、今、谷委員にも取り上げていただきましたけれども、声援を送っていただければ有り難いなと思っているところでございます。
 そこで、法務省として少年非行や犯罪を防止する広報啓発活動としては何をやっているかということでございますが、毎年七月に社会を明るくする運動というのをやって、これ、七月を強調月間としております。これは法務省が主唱している運動でございますが、全国各地において保護司等々が中心になって様々な活動を実施していただいております。
 平成二十五年中には、全国で保護司が学校等を訪問して、薬物乱用対策、薬物乱用防止について実際に担当した事例を基に講義するなどの非行防止教室、千二百九十八回実施をいたしました。それから、シンポジウムとか講演会でございますが、一般市民を対象に保護司会などが企画運営し、講師に専門家等を招くなどして非行防止についての理解を促進するシンポジウム、講演会、これは千六十三回実施されております。私自身も、昨年七月には有楽町のところで谷村新司さんと一緒にこの運動の広報活動をさせていただいたりいたしました。
 法務省においては、効果的な活動事例について情報提供するなどして、今後も各地の保護司会等において地域社会のニーズを踏まえた非行や犯罪を防止する活動が展開されて、地域住民の方々から犯罪や非行の防止について一層の理解と協力が得られるよう、こういった活動の支援に努めてまいりたいと考えております。
#176
○谷亮子君 谷垣大臣、御丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 今、谷垣大臣からお話がありました社会を明るくする運動、七月に行われているということで、私も子供が学校から資料を持って帰ってきまして、PTAの項目に、この社会を明るくする運動というのが項目の一つに書かれておりましたので、こうした取組というのがやはりしっかりと学校等々を通じても小さな子供たちに対しても行われているという、非常につながっている運動だと思いましたので、今、谷垣大臣から御紹介を受けまして、改めてそれを思い出した次第でございました。
 そして、やはり少年が更生をしていくという観点から、期待と、少年に対する更生する権利と、あとはやはり被害者の方が、少年が更生をしたということ、どういったことを感じて、どういった実感をして、被害者の方が少年が更生をしていっていると感じられるのかということ、権利が二つあると思うんですね。
 ですから、そうしたことへの権利利益の確立というのは、非常に今回、少年の更生に対する権利とそして被害者の権利というのが、これは非常に深くまた重要なんだということを同時に私も感じた次第でございました。
 そして、先ほどの職親プロジェクト、これに関しましても、民間企業の方々が非常に大きな取組として、少年犯罪を防止していきたい、また再犯を防止していきたい、また少年を更生させたいといったような思いからこの取組が積極的に行われているわけなんですけれども、一つやはりその中で、先日の参考人質疑の中で大久保参考人がおっしゃっていらっしゃいましたけれども、これは賠償金の問題があると。更生をしているから仕事ができて、そして仕事ができるからこそ賠償金が払えるんだというようなお話をされていらっしゃいました。しかし、そういった制度はないというようなこともおっしゃっていらっしゃいましたので、しっかりとそうした賠償が行われることが決まっていても、なかなか払ってもらえないというような現状もお話しいただいておりましたけれども。
 そうしたことを踏まえまして、こうした民間企業の方々がしっかりと協力をしてくださっていますので、ある意味、少年が更生をするためにしっかりと職場で働いて、そしてその給与から差し引いて被害者の方たちに送っていくというようなこと、最初は一年、二年、三年、そういった期間からでも考えられるのではないかと、これは例えばの話なんですけれども。そうしたことによって被害者の救済とそして少年の更生というのが同時に図られていくのではないかなと。
 これはある意味、本当に民間企業の方々そして法務省の皆様の取組というのが大変幅広くなってくるとは思いますけれども、そうしたことも今回考えられるのではないかなと、私見的に私も感じた次第でございました。
 そして、もう時間も限られておりますので、最後の質問とさせていただきたいと思います。少年犯罪の抑止の取組につきましても最後に伺ってまいりたいというふうに思います。
 本日の議題は少年法の一部改正でございますけれども、そもそも根底にあるのは、少年に犯罪を起こさせない、そして巻き込まないというのがこれは大前提にあると思います。私は、少年が犯罪に至る手前の社会的な取組がとても重要であると感じておりまして、風営法等もございますけれども、これは国家公安委員会が規則で定めていらっしゃいますけれども。
 先ほど行田先生の質疑の御答弁の方でもございましたけれども、こういった取組といたしましては、少年サポートセンターというのが警視庁が全国都道府県警察に設置をしていらっしゃいました。こうした総合的な非行防止対策を行っているという現状もございますけれども、私は、やはり今回の少年犯罪に対しましては、これは加害者も、そして被害者も、そして傍観者も出さない、出してはいけないということがやはり少年犯罪の抑止ということについては非常に重要になってくるというふうに考えておりますけれども。
 そうした中で、法務省として、少年犯罪の抑止の取組につきましての現況と今後の方針を最後にお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
#177
○国務大臣(谷垣禎一君) 警察では、今もお話がありましたように、少年サポートセンターを中心に、学校あるいは児童相談所その他の関係機関と団体、密接に連携しながら、問題を抱えた個々の少年に対し積極的に手を差し伸べる、その立ち直りを支援すると、そういった活動を展開していただいているわけですね。
 こうした中で、保護観察中あるいは児童福祉施設入所中の少年については、少年審判の結果、保護処分に付されたり、あるいは保護観察官等から現に指導を受けていることから、少年の保護者から支援の求めがございます。保護観察所又は児童福祉施設の長との連絡調整の結果、保護観察所長等から協力要請がありました場合には立ち直り支援というのを行っております。
 今後とも、警察はもとより関係団体と連携に強化をして、少年の立ち直り支援に取り組んでまいりたいと考えております。
#178
○谷亮子君 ありがとうございました。
 今回法改正がなされまして、実効性ある法律として今後も機能していただくことを期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
#179
○糸数慶子君 無所属の糸数です。
 少年法改正について最後の質問でございますので重なるところもございますが、改めて確認の意味でお聞かせいただきたいと思います。
 まず、検察官関与制度の対象事件の範囲拡大関係についてお伺いいたします。
 政府は、検察官関与制度の対象事件の範囲を拡大する理由として、より適切な事実認定を挙げています。しかし、衆議院法務委員会における参考人質疑を見ますと、事実認定の重要性は共通認識ではあるものの、検察官が少年審判に関与することによって事実認定がより適切に行うことができるのか疑問視する意見も出されています。
 そこでお伺いいたしますが、職権主義的審問構造にある少年審判に検察官が関与する制度は二〇〇〇年の少年法改正によって導入されたものですが、検察官が少年審判に関与することによって事実認定が適正化されるとする根拠は何でしょうか。また、成人の刑事裁判において検察官の果たすべき役割と少年審判における検察官の役割の違いについて、それぞれ谷垣法務大臣にお伺いいたします。
#180
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、糸数委員がおっしゃいましたように、刑事裁判におきましては、当事者主義的な対審構造と。検察官と被疑者が対立して、そしてそこに裁判官が臨むという形を取って、そういう中での刑事裁判における検察官の役割は、被告人の処罰を求める訴追官あるいは原告官としての役割を担っているわけですね。これに対して少年法の場合は、あくまで家庭裁判所の裁判官が、少年審判を行う裁判所が職権主義的な役割を担って行うものでありまして、職権主義的審問構造と言われておりますが、少年審判に関与する検察官はあくまで審判協力者として家庭裁判所の手続主宰権に服しながら審判の手続に関与するという違いがございます。
 検察官関与制度は、審判協力者としての検察官の立場を踏まえながら、少年側以外の公益的見地からの視点による証拠の収集、それから吟味を加えることによって、非行事実の認定上問題がある一定の事件における事実認定手続の一層の適正化を図っていこうという制度でございます。具体的には、検察官関与の決定があった場合、検察官は、その非行事実の認定に資するため必要な範囲で、事件記録及び証拠物の閲覧、謄写した上で審判手続に立ち会って、少年及び証人等に対する尋問、意見の陳述などを行うことができるとなっております。
 こういう検察官の活動を通じて、検察官関与決定があった事件における事実認定手続の一層の適正化が図られるものと考えております。
#181
○糸数慶子君 関与検察官の審判廷においてのその行動が、二番目の質問ですが、刑事事件の訴追者そして原告官のように感じられたと、感じた裁判官が相当数存在するということを指摘した文献がございますが、谷垣大臣はこの指摘をどのように考えられるでしょうか。
#182
○政府参考人(林眞琴君) まず、今のように刑事事件の、検察官の関与がなされた審判、その主宰した裁判官において、当該検察官について刑事事件の訴追者あるいは原告官のように感じられたと、こういった意見があったという指摘、これについては、アンケート結果の中の一部にそのような記載があったということも私どもも承知しております。
 もとより、この審判手続に出席する検察官というのは、あくまでも家裁、家庭裁判所の手続主宰権に服しながら、審判手続に協力する形で関与するものでありまして、もとより、刑事手続の訴追官、原告官の活動とはおのずから異なるんだと、このことが非常に重要なことでございまして、このようなことを十分に、この役割、これは限界でもあると思いますが、審判手続における検察官の限界も十分認識した上で審判手続に出席する必要があると思っております。
 先ほどの指摘のアンケートについては、アンケート全体を見ますと、そういった指摘はごく少数にとどまっているものと私どもは理解しておりますけれども、いずれにしましても、今申し上げたように、この検察官関与における検察官の役割の十分な認識、そしてまたその限界も十分認識した上で審判手続に出席するべく、そのような検察官に対してのこの少年法の趣旨等の徹底に努めていく必要があると考えております。
#183
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 私が先ほど申し上げましたのは、これ実は平成十六年の改正少年法の運用に関する研究というそのレポートの中に、検察官が関与した七十二人のうち、証人尋問がなされたのは四十件、これ五五・六%と報告されています。
 今回、法制審では、例えばオレオレ詐欺等で証人尋問が必要な場合に、裁判所が尋問すると少年から不信感を抱かれる危惧があることが立法事実として述べられていますが、証人尋問が必要ではないのに検察官が関与している実態があるようですので、この運用の是正について配慮されるように改めて要望したいというふうに思っています。
 先ほど、谷垣大臣におかれましては、私が質問申し上げましたように、成人の刑事事件においての検察官の果たすべき役割と、それから少年審判における検察官の役割の違いについてそれぞれ丁寧に御答弁いただきましたけれども、先ほど申し上げましたように、やはり裁判所が尋問すると、少年から不信感を抱かれる、危惧される面もあるということも指摘されておりますので、この是正の運用について配慮されるように改めて要請をしたいと思います。
 それから、これまで検察官関与制度が限定的に運用されてきたということは、これ裏を返せば、少年審判に関与した経験のある検察官が少なく、ノウハウの継承や、それから反省すべき点の是正が十分に行われているのかという問題をはらんでいるのではないかというふうに考えます。
 この点について、谷垣法務大臣の所見をお伺いいたします。
#184
○政府参考人(林眞琴君) 委員御指摘のとおり、検察官関与決定の事件数、これまでは運用上は比較的少数にとどまっております。そうしますと、実際には多くの検察官、少年審判に関与した経験を有していないというような実態がございます。
 そういったことでございますので、なお一層検察官に対しましては、少年審判手続における、先ほど来申し上げました検察官の役割と、またその限界と、また少年法の趣旨を十分に理解する、そういった上で少年審判に出席すべきであります。そのことから、今後とも、こういった刑事手続が異なる検察官関与制度の趣旨については十分に研修あるいは具体的な事件の決裁において上司からの指導というものを重ねていって、適切にこの検察官関与制度が運用できるように努めていくものと承知しております。
#185
○糸数慶子君 今御答弁ございましたけれども、検察官関与制度が是非生かされるように研修などよろしくお願いしたいと思います。
 次に、少年に対する刑事処分に関する規定の見直し関係についてお伺いをしたいと思います。
 平成十六年の刑法改正において、有期刑の法定刑の上限を十五年から二十年に、加重した場合の有期刑の上限を二十年から三十年にそれぞれ改めた際には、少年法の刑事処分に関する規定の見直しは行われませんでした。
 そこでお伺いいたしますが、現行法の規定では適切な科刑ができない悪質な事案は平成十六年の刑法改正以前には存在せず、それ以降に生じているという認識でしょうか。それとも、事案の性質に変化はないものの、量刑の評価自体がその後変化しているという認識なのでしょうか。谷垣法務大臣の御見解を伺います。
#186
○国務大臣(谷垣禎一君) 過去の同種事例と比べて一般的に量刑が上昇しているかどうかと、これは実はなかなかぽんと言うのはちゅうちょを覚える難しいところでございまして、要するに、量刑が個別の事件における事情を踏まえて決せられるものであるわけでございますので、一概に申し上げることはなかなか難しいところがあります。
 もっとも、先ほどおっしゃった平成十六年の刑法改正によりまして、成人に対する有期刑の上限が引き上げられたわけですね。そういうことから、その後、十五年を超える懲役刑が言い渡される割合は確かに増加しております。少年に対する刑についても、個別の事件における事情を踏まえて判断されているわけですから、直ちに全体的な量刑の上昇傾向があるため現行法の範囲内で適切な刑を言い渡すことができなくなったと言い切ってしまうのは難しいかなと思います。
#187
○糸数慶子君 今回の少年に対する刑事処分に関する規定の見直しは、不定期刑の長期の上限を十年から十五年に、それから短期の上限を五年から十年に引き上げることが出発点となっています。現行の少年法では、処断刑の範囲の中で不定期刑の長期及び短期を定めるとされているところ、改正案では、短期については少年の改善更生の可能性その他の事情を考慮し、特に必要があるときは、処断刑の短期の二分の一及び長期と短期の幅の制限を下回らない範囲内で定めることができるとされています。
 このような規定を設ける理由は何でしょうか。また、具体的にどのような場面に適用されることを想定しているのか。それぞれ法務省にお伺いいたします。
#188
○政府参考人(林眞琴君) 少年に対する不定期刑は、長期についてはもとよりでございますが、短期も刑でございますので、基本的にはその処断刑の範囲内において決定されるべきものであります。
 しかし、少年については、その可塑性から処断刑の下限を下回る期間で更生が可能であり、かつ、またその行為責任の観点からもそのような期間において刑の執行を終了させることが許容される事案もあり得るところでございますところ、少年に対する刑については、成人に対する刑に比して教育が重視されることから、このような事案についてまで一律にその処断刑の範囲内において短期を定めなければならないとすることは相当でないと考えます。
 その場合には、それでは酌量減軽というものを施せばいいのではないかということもあり得ますが、この酌量減軽となりますと、その行為責任、酌量減軽をすることによって行為責任の程度、また責任非難まで軽くなったという誤った評価を行うことになること、また不定期刑の長期を決定するための処断刑についてまで短縮すればかえって適切な量刑をできなくなることから、これは相当でないということになります。
 そこで、今回のように、そのような新たに処断刑を下回ることができるというような規定を設けなければ、長期が処断刑の下限の方に定められる場合には短期を定めることができなくなってしまうという事情がございます。したがいまして、今回、個別的な事情を考慮して処断刑の下限を下回る期間を定めることができるという規定を置く必要があるということから、五十二条第二項を設けることとしたものでございます。
 そこで、どんな場合にこういった処断刑を下回る短期を定めるような事案が想定されるのかということでございますが、例えば、その少年が自己の犯行を真に反省しているか、また更生意欲があるか、改善更生のための環境がどの程度整っているかなどの事情でありますとか、あるいは処断刑の下限を下回る短期を定めることが当該少年に改善更生意欲を持たせることができるか、あるいは円滑な社会復帰に資するかどうか、そういう意味でのこの規定を適用することの効果、あるいは行為責任の観点から処断刑の下限を下回る短期を定めることが許容されるかどうか、こういったことを総合的に考慮した上で必要な場合に処断刑を下回る短期を定めることができると、このように考えております。
#189
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、平成二十年改正少年法等に関する意見交換会に法務省が提出した少年に対する刑の執行状況という資料がございます。それを見ますと、昭和六十一年には不定期刑の短期が経過する前に仮釈放された割合が四一・一%でしたが、平成十三年には五・六%まで低下しております。これについて法務省の御見解を伺います。
#190
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 不定期刑受刑者の刑の執行率の問題だと思います。近時、年により多少変動ございますが、執行率が次第に高くなってきているというのは認められるところでございます。
 どのようなものについて仮釈放が許されるかということにつきましては、刑事施設における処遇を踏まえて、通常、刑事施設の長からの申出に基づいて準司法機関である地方更生保護委員会において個別具体的に判断されるべき事項でございますので、お尋ねの点について当局として確たることを申し上げることは困難ではありますが、犯した罪が重大であることから仮釈放の申出までに相応の期間の施設内処遇を要する事案とか、それから被害者を含む社会の感情等に慎重な配慮を要する事案が少なくないことなども影響しているのではないかというふうに推測しているところでございます。
#191
○糸数慶子君 ありがとうございます。
 次に、衆議院法務委員会の参考人質疑を見ておりますと、刑の執行状況が長期化している原因について、二〇〇〇年の少年法改正による影響の可能性を指摘する意見も出されていますが、政府はどのように分析しておられるのか、お伺いをいたします。以前と比べて少年の質が変化し、改善更生が困難になっているということなのでしょうか。法務省の見解をお伺いします。
#192
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 今御答弁申し上げましたように、必ずしも明確な理由が、明らかな理由が分かるわけではないんですが、例えば、その少年について、非常に複雑、難しい問題を抱えている少年がいて仮釈放にのせるまでの期間が長くなっているとか、それから家庭と少年とのきずながだんだん薄くなってきていると、そういったことなどもありまして、例えば、仮釈放した場合の帰住先の確保などに時間が掛かるとか、それから、近年の被害者の意向なども十分考慮してそういう仮釈放なども判断するとか、そういった種々の要因が影響しているのではないかというふうに推測しているところでございます。
#193
○糸数慶子君 今回のこの少年法改正が厳罰化であるとする新聞報道などに対して谷垣法務大臣は、衆議院法務委員会におきまして、少年に対する科刑を一律に引き上げることを目的とはしていない、また、より適切な科刑を可能とすることを目的としたものであるというふうに答弁をしていらっしゃいます。
 しかし、二〇〇〇年の少年法改正以降、少年に対する刑の執行状況が長期化していることを考えていきますと、今回の刑の引上げが与える影響というのは決して軽視できるものではないというふうに思いますが、今回の改正に対する改めて法務大臣としての思いをお伺いしたいと思います。
#194
○国務大臣(谷垣禎一君) 少年法というのはもう随分長い歴史のある法律ですが、やっぱり成人と違う少年の特質に合わせてこういう法律を作って運用してきたというのは、私は守っていくべき日本の法制度の伝統の一つだと思っております。
 ただ、確かに、大きな改正が例えば平成十二年にございまして、私もあのときの改正についてはよく記憶しておりますが、これは、全体の統計的な犯罪の数が、少年犯罪の傾向がどうというよりも、やはり、世間の耳目を聳動するような事件が起きますと、やはり少年法では足らないところがあるのではないかとかいろんな議論が起きてまいりますね。あのときも、前にいわゆる酒鬼薔薇聖斗事件とかそういったものがございまして、それから、幾つかどうも認定の中で必ずしも事実関係、少年の保護という点ではいろいろ考えたかもしれないけれども、事実関係の認定が不十分であったのではないかと指摘されるようなことも起きてまいりまして平成十二年の法改正になった。それで、今回でございますから、制度も少しずつ変化してきていることは事実でございます。
 ただ、その中でやはり、先ほども申しましたけれども、少年、こういう言い方を私はしておりますけれども、罪にも染まりやすいけれども、罪から抜け出すことも割合、簡単と言うといけませんが、容易に、まだ人格形成途上であるのでそういうことが可能であるということに、やはり、もちろんその中に被害者の観点とかいろんな観点を入れていかなければなりませんが、そういうところに一つ視点を置いた法制度というのは、私は必要なものではないかと思っております。
#195
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 御決意を伺いまして、また次の質問に行きたいと思います。角度を変えまして、沖縄における子供の貧困についてお伺いをしたいと思います。
 子どもの貧困対策の推進に関する法律が昨年の六月、第百八十三回国会で成立をいたしました。本年一月十七日に施行されて、四月四日に子ども貧困対策会議の第一回会議が開催されています。これは七月を目途に大綱策定が図られるようですが、これによって子供の貧困問題が解決に向かって動き出すことと期待をしております。
 ただ、沖縄県は、他の都道府県とはちょっと異なりまして、子供の貧困問題がより深刻で、そのような状況が戦後ずっと続いております。それについてちょっと報告をしながら質問をさせていただきたいと思います。
 山形大学の戸室准教授の研究によりますと、二〇〇七年度の数値ではありますが、全国の貧困率が一四・四%だった頃、沖縄県は二九・三%と、全国に比べて約二倍となっています。また、ワーキングプアの割合が二〇・五と、これ全国平均が六・七%の時代ですから三倍となっておりまして、この沖縄の貧困は構造的につくられた問題であり、これはさきの大戦で地上戦を体験した沖縄が経済的な部分でゼロから出発し、二十七年間の米国の占領、さらには復帰後も広大な土地を奪われて県民が狭隘な土地で第三次産業に従事するしかなかったというその現実の側面から来ているものだというふうに思います。
 一九七二年の日本復帰から四十年を経て、今累計で約十・二兆円が沖縄振興予算として費やされましたけれども、現時点においても、県民所得、それから失業率、大卒の初任給、全てが全国ワーストであります。加えて、沖縄県においては離婚率が高く、一人親家庭の数が大変多く、全国的にも一人親家庭の貧困がかなり問題視されております。沖縄においては更に困窮した状況にあることが容易に推察されることと思いますが、この貧困問題を一刻も早く解決することが県民の悲願でありますが、なかなか厳しい現実がございます。
 そこで、沖縄振興局にお尋ねしたいのですが、これまで四十年以上にわたって国の沖縄振興政策、予算が投入されて、格差の是正とそれから沖縄の自立的発展の基礎条件の整備等を目的にインフラ整備や産業振興が図られましたけれども、一人当たり県民所得については全く縮まっていません。はかばかしい成果が得られていないのが現実であります。
 こうした現状についてどうお考えになるか、そしてまた、その原因がどういうことであり、今後どのような対策を取っていかれるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
#196
○政府参考人(井上源三君) お答えをいたします。
 昭和四十七年の沖縄の本土復帰以来、沖縄の振興開発のための諸施策を積極的に講じてきた結果、全国との社会資本整備水準の差が縮小するとともに、県内総生産や就業者数は全国を上回る伸びとなっているところでございます。他方、一人当たりの所得につきましては、委員御指摘のとおり、全国との格差は縮小しているものの、依然として下位にとどまっているなど、課題はいまだ存在するものと承知をいたしております。
 その原因でございますけれども、本土から遠隔の地にあり、市場規模が小さく、経営基盤の脆弱な中小企業が大半を占めるなど、島嶼経済の不利性があるということがございます。また、そうしたことに伴います失業率が高いこと、そして平均賃金が低いことなどが考えられるところでございます。
 今後の沖縄の自立的経済の発展のためには、産業の振興、雇用の確保に積極的に取り組むことが極めて重要であると認識をいたしております。引き続き、リーディング産業でございます観光・リゾート産業、IT関連産業の発展を図っていくとともに、国際物流産業の集積、沖縄科学技術大学院大学を生かした知的・産業クラスターの形成など、各種施策を積極的、総合的に推進してまいりたいと考えているところでございます。
#197
○糸数慶子君 いろいろ政策を提案されてはおりますけれども、ただ、さきの大戦からやはり米軍統治の期間に沖縄が受けた傷、それから戦死者の多さ、それから土地が基地に奪われたという、そういう直接的なものもあります。さきに申し上げましたように、米軍統治が二十七年間にも及んだために、例えば児童福祉の面に遅れが出て、それが現在にも影響を及ぼしています。
 また、多くの米軍基地が存在するという過重負担によって、本来ならば生産の場であるべき肥沃な土地、そして利便性の高い土地が奪われておりますが、ただ、今、北谷町の例えばハンビータウンなど、あるいは那覇市の新都心のように、経済が今まで阻害されておりました基地から土地が返還されて、新たな土地の利用によって関係者の所得が数十倍にも増えて、そしてそこで働いている方々も、基地があるときには数千人でしたけれども、今返還された跡地で約一万七千人にも増えたというケースがあるわけです。ですから、復帰当時一五%あった基地関連収入の割合が今やたった五%になっているという現実から考えていきますと、やはり沖縄県民のその所得の低さ、失業率の高さの一因は米軍基地の過重負担にあるというふうに私は考えております。
 そこで、このような沖縄の子供たちの貧困問題、それから学力や非行問題の根源は、やはり二十七年間に及ぶ米軍占領による法整備の遅れと、それから現在の基地の過重負担の影響を受けているものが主な要因であるというふうに考えます。
 今後、沖縄振興予算や一括交付金等、是非、沖縄の子供たちの貧困問題や、あるいは学力、非行問題の解決のために充ててほしいというふうに思います。例えば、公立の学童保育所や児童館、一つの地域に一つを設置する等考えていただければというふうに思いますが、これについて沖縄振興局のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#198
○政府参考人(井上源三君) 沖縄の発展を考えます場合に、先ほど申し上げましたとおり、産業の振興、雇用の確保は極めて重要であると考えておりますけれども、他方で、委員御指摘のように、子供の貧困問題などの課題に取り組むことも極めて重要であると認識をいたしております。
 そこで、平成二十四年度に改正をされました沖縄振興特別措置法に基づきまして創設された沖縄振興一括交付金でございますけれども、これを活用いたしまして、沖縄県や市町村においては、子供の福祉向上、学力向上、非行問題の解決などに力を入れているところでございます。例えば、一括交付金を活用いたしまして子育て総合支援モデル事業を実施をいたしまして、親への就業支援や養育相談などを実施をいたしております。また、子供たちの学力向上のため、市町村において学習支援員の配置を進めております。さらに、離島において、塾のない状況の中、希望者に対して公営学習塾を開設しているところもございます。また、非行問題に関しましても、青少年指導員などを設置しているところもございます。
 また、御質問の保育所、そして学童クラブ等でございますけれども、安心こども基金や一括交付金を活用いたしまして、保育所の定員増を図るほか、放課後児童クラブへの、公的施設への移行の支援なども図っているところでございます。
 こうした取組によりまして、子供たちの福祉向上に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#199
○糸数慶子君 是非よろしくお願いしたいというふうに思います。
 次に、質問のまた方向を変えていきたいと思います。
 人権条約個人通報制度と、それから面会交流についてでございます。
 夫婦別姓訴訟で、東京高裁は三月二十八日、原告の訴えを棄却する判決を行いました。判決では、政府の世論調査を理由に法改正の必要性を否定的に述べていますが、法改正されないために苦しんでいる当事者からは、選択制なのに大多数が賛成するまで法律婚を認めないというのは納得できないと失望の声が上がっています。
 政府の世論調査でも、人口補正をすると賛成が多かったことが三月十三日の法務委員会の行田委員への答弁でも明らかになりました。立法府も司法も法改正しない根拠として反対多数を挙げることの正当性は失われたと言えますが、そもそも少数者の人権を世論に委ねていてはいつまでたっても救済されないと考えます。
 谷垣大臣はこの問題を人権問題とは捉えていないという御答弁でしたが、原告の塚本さんは半世紀以上も事実婚や通称使用しながら不都合や煩雑さに耐えてきました。これほどの不利益の蓄積が人権の問題と捉えられていないことは極めて問題でございます。そのことをまず申し上げて、質問に入りたいと思います。
 人権条約の個人通報制度についてでありますが、今年は子どもの権利に関する初の国際的公式文書とされるジュネーブ子ども権利宣言が国際連盟で採択されて九十周年に当たります。また、四月十四日には子どもの権利条約新議定書が国際的に発効する節目の年でもあります。
 新議定書、いわゆる個人通報制度がなかったのは九つの主な人権条約のうち子どもの権利条約だけでしたが、日本を含む五十一か国が共同提案国となっていて、二〇一一年六月に人権理事会に提案されました。同年十二月の国連総会において全会一致で採択されました。四月七日現在、四十五か国が署名をしておりますけれども、日本は、共同提案をしながら、いまだに署名はしておりません。女性差別撤廃条約や人権規約など他の人権条約の個人通報制度と一括で加盟を検討しているために、ハードルが高くなっているのではないかと思います。
 これはNGOサイドから一括で加盟を求められたことはないようですが、なぜ一括での検討がされて加盟が実現しないのか、また個人通報制度の検討はいつから始まって、今後どのような結論を出されるのか、お伺いしたいと思います。
#200
○政府参考人(山田滝雄君) お答え申し上げます。
 まず、御指摘の児童権利条約第三議定書でございますが、これにつきましては、御指摘のとおり、児童の権利の保護、促進に資することを期待して日本政府としては決議の共同提案国となったわけでございます。また、その他、御指摘のとおり、各人権関係の条約にはこれで全て個人通報制度ができております。
 これらの諸条約につきましては、政府といたしましては、個人通報制度関係省庁研究会を開催し、外務省、法務省の協力の下、内閣府、文科省、厚労省、国交省、農水省、総務省、防衛省等関係省庁に集まっていただいて現在検討を重ねております。今年一月にも、東大の岩澤先生においでいただきまして検討会を開催したところでございます。
 御指摘のとおり、これらの諸条約は一括加入の義務があるわけではございませんので、個別に入ってはどうかという御指摘があることは十分承知しております。そういうことも加味しながら検討しておりますが、他方で、我が国の司法制度や立法政策との関係では、いずれの議定書、またいずれの条約も様々な検討課題が残っておりまして、引き続き関係省庁とともに真剣に検討してまいりたいと考えております。
#201
○糸数慶子君 これ、具体的にはいつから検討されているでしょうか。検討されて何年目になっているんでしょうか。
#202
○政府参考人(山田滝雄君) お答え申し上げます。
 以前、研究会は外務、法務二省庁だけで開催しておりました。ただ、やはりこれはより政府全体としての検討が必要ということでございまして、平成十七年十二月からは、この研究会を改組し、幅広く関係省庁に参加を呼びかけてきているところでございます。
#203
○糸数慶子君 私は、いつから実際に検討が始まったかということをお伺いしたわけですけれども。
 私が調べたところによりますと、実は検討が始まってからもう三十年もたっているということなんですが、このようにして時間を掛けて各省庁一緒になって検討するというふうに、一括で検討するというふうにおっしゃっていますけれども、今、国連からも、そして地元日本のNGOからも、一括で加盟をするとなかなかそのハードルが高くて進まないということを言われているというふうに思います。ですから、できるところから是非検討していただきたいというふうに思います。要望したいと思います。国連からも度々勧告されておりますので、早めに結論を出していただきますようにお願いを申し上げまして、最後にもう一点質問したいと思います。
 女子差別撤廃条約の選択議定書については、二〇〇九年の第六回政府報告審査を前に、自民党の女性に関する特別委員会で選択議定書の批准に向けた議論が活発に行われ、提言がまとめられました。残念ながら決定には至っておりませんでしたが、谷垣大臣は当時賛成であったと伺っております。
 大臣、改めて、この個人通報制度の批准に向けた御決意をお伺いいたします。
#204
○国務大臣(谷垣禎一君) 自民党の中で今先生のおっしゃった検討をしたのは私どもが野党の頃であったと思いますが、余り個々のことはよく記憶していないんですが、この今の個人通報制度ですね、条約をきちっと実効ある体制にしていこうという面ではなかなか面白い制度であるんですけれども、現実にじゃ国の制度とどう調和させていくかというと、相当難しいところがあるということは私否定し難いと思っております。
 例えば、一応法的な効力はないとされているんですが、しかし、それを全部無視するというわけにもいかない場合が出てくると思うんですね。そうしますと、国内の確定判決と異なる内容の見解が出てきたとか、あるいは裁判係属中の事件について、今裁判をやっているのにこういうふうにせよというのが出てきたりというようなことでも、これはなかなか日本の制度と合わせていくのは難しいなというふうに、私、トータルに検討しているわけではありませんが、そういうところはそのように感じます。
 したがいまして、先ほど外務省から御答弁がありましたが、相当きちっと詰めて検討しないとなかなか難しいのかなというふうに思っております。
#205
○糸数慶子君 先ほども申し上げましたけれども、やはり国連の方からも度々勧告されている問題でございます。是非具体的に検討して、やはり先進国としての状況を、是非世界に向けた状況で知らせていただきたい、それを実行していただきたいということを強く要望したいと思います。
 質疑に関しては、あと三問ほど用意しておりますけれども、私の時間も来ておりますので、残りに関しましては、せっかくお越しいただきましたけれども、一般質問のときにまた質疑をさせていただきたいと思います。
 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
#206
○委員長(荒木清寛君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#207
○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、森まさこさんが委員を辞任され、その補欠として吉川ゆうみさんが選任されました。
    ─────────────
#208
○委員長(荒木清寛君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#209
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、少年法一部改正案に反対の討論を行います。
 本法案の少年審判における国選付添人制度の拡大は当然の方向です。さらに、虞犯、そして全ての身柄拘束事件への拡大、権利としての付添人保障へ前進させることを強く求めるものです。
 しかしながら、検察官関与導入を始めとした二〇〇〇年改定以降、我が国少年法は、国連子どもの権利委員会からも、子どもの権利条約の原則及び規定と適合しないと、度重なる厳しい指摘を受けるようになりました。
 本法案は、これまで殺人、強盗など重大事件に限定していた少年審判への検察官関与を窃盗、傷害などにも広げ、身柄拘束された少年の八割にまで対象事件を拡大することになります。にもかかわらず、法案には裁判官の裁量的判断以外、限定的運用の保障はなく、これまでの運用を超えて広く検察官関与が行われる危険性は拭えません。少年法の保護主義の理念を壊しかねないものです。
 適正な事実認定のためといいますが、その必要性を基礎付ける立法事実は示されたとは言えません。逆に、検察官の関与は事実の精査につながらないと参考人からも指摘をされました。既に、検察官が訴追官的、糾問的に詰問した事例、要保護性審理にまで立ち会った事例、手続の主宰者たる裁判官の協力者といいながら、抗告受理申立てを濫用し、著しく少年の権利を侵害した事案が現れ、その下で冤罪も報告されていますが、それらは元来、国家刑罰権の実現を職責とする検察官が少年審判に関与すること自体の矛盾の現れというべきです。適正な事実認定には、何より警察、検察における少年捜査の全過程の可視化こそ実施されなければなりません。
 少年の不定期刑や緩和刑の上限引上げは、少年の可塑性、情操の保護の必要性などに鑑みた不定期刑の理念を損ない、厳罰化を強めるものです。それは、少年の改善更生、社会復帰をますます困難にすることが懸念されます。
 厳罰化ではなく、二〇〇〇年改定以降の運用実態を徹底して検証し、国際基準にのっとった少年司法の実現を強く求めて、反対討論を終わります。
#210
○委員長(荒木清寛君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 少年法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#211
○委員長(荒木清寛君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川敏夫君。
#212
○小川敏夫君 私は、ただいま可決されました少年法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、みんなの党及び生活の党の各派並びに各派に属しない議員糸数慶子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    少年法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 少年審判において付添人が果たす役割の重要性及び児童の権利に関する条約の趣旨に鑑み、家庭裁判所の裁量による国選付添人制度の対象事件の範囲の拡大に適切に対応するため、刑事裁判と異なる少年審判の特質を理解した弁護士が国選付添人に選任されるよう同制度の趣旨について司法関係者に周知徹底を図り、適正な運用が行われるよう留意すること。また、同制度の対象事件の範囲については、少年鑑別所送致の観護措置がとられたぐ犯少年への適用を含め、引き続き検討を行うこと。
 二 検察官関与制度の趣旨が事実認定手続の適正化にあることに鑑み、改正後の同制度が少年法の理念にのっとって適正に運用されるよう、十分配意すること。また、少年審判に関与させる検察官について、少年の心理及び審判の特質に関する理解を深めさせること。
 三 少年に対する刑事処分に関する規定の見直しの目的は、言い渡す刑を一律に引き上げることではなく、少年法の理念の下でより適切な科刑を可能とすることであることについて、周知徹底を図ること。
 四 少年院における矯正教育及び少年刑務所における矯正処遇と社会復帰後の更生保護及び児童福祉とが連続性を持って行われ、仮退院又は仮釈放の運用が一層適正に行われるよう、少年に対する支援の充実について検討を行うこと。
 五 平成二十年の少年法改正後の諸制度の施行状況をも踏まえ、犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るための施策について引き続き検討を行うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#213
○委員長(荒木清寛君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#214
○委員長(荒木清寛君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、谷垣法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。谷垣法務大臣。
#215
○国務大臣(谷垣禎一君) ただいま可決されました少年法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
 また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。
#216
○委員長(荒木清寛君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#217
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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