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2014/05/20 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第16号
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2014/05/20 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第16号

#1
第186回国会 法務委員会 第16号
平成二十六年五月二十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     江島  潔君     森 まさこ君
     滝波 宏文君     柳本 卓治君
     森屋  宏君     宮沢 洋一君
     野田 国義君     江田 五月君
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     前川 清成君     石上 俊雄君
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     石上 俊雄君     前川 清成君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                山下 雄平君
                若林 健太君
                小川 敏夫君
    委 員
                石井 準一君
                溝手 顕正君
                宮沢 洋一君
                柳本 卓治君
                吉田 博美君
                有田 芳生君
                石上 俊雄君
                江田 五月君
                前川 清成君
               佐々木さやか君
                行田 邦子君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
                糸数 慶子君
       発議者      前川 清成君
       発議者      谷  亮子君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       法務副大臣    奥野 信亮君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  平口  洋君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  横畠 裕介君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  永野 厚郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局総括審議官   三井 秀範君
       金融庁総務企画
       局審議官     遠藤 俊英君
       金融庁総務企画
       局審議官     氷見野良三君
       金融庁証券取引
       等監視委員会事
       務局国際・情報
       総括官      瀬戸  毅君
       法務省民事局長  深山 卓也君
       法務省刑事局長  林  眞琴君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回
 国会内閣提出、第百八十六回国会衆議院送付)
○会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係
 法律の整備等に関する法律案(第百八十五回国
 会内閣提出、第百八十六回国会衆議院送付)
○会社法の一部を改正する法律案(大久保勉君外
 六名発議)
    ─────────────
#2
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、野田国義君、滝波宏文君、森屋宏君、江島潔君及び前川清成君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君、柳本卓治君、宮沢洋一君、森まさこさん及び石上俊雄君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(荒木清寛君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会閣法第二二号)外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長深山卓也君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(荒木清寛君) 会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会閣法第二二号)、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び会社法の一部を改正する法律案(参第一〇号)を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○小川敏夫君 民主党の小川敏夫でございます。
 前回に引き続いて、支配株主による株式等売渡し請求の件について質問させていただきます。
 まず、前回の大臣の答弁の中にありました、株式交換等によって既に行われていることだというような御説明がございました。そこで、その点から絡めて、そもそも支配株主の売渡し請求についての目的等について議論したいと思うんですが、株式交換といいますと、要するに、企業が合併することがある、吸収合併されてしまえば存続する方に吸収をされてしまうわけですから、株主はその存続する方の株式をもらうと。ただ、この場合には吸収される会社が言わば同一人格になるわけですけれども、そういう形ではなくて、吸収されるという立場にあった会社が言わば子会社になる、親会社の完全子会社になるという形の企業再編もあるんではないかと。それは実質的には合併と変わらないんだけれども、そういう形もあると。ですから、そうすると子会社になる方の株式は全部親会社に行ってしまうから、子会社になる株主の株は親会社の株と交換するというようなことだと思うんですね。
 それが、交換が親会社の株じゃなくて現金でもいいんだ、対価でも払えばいいんだということになると、結局、会社の株主は、言わば自分が売り渡す意思もないけれども現金に換えられてしまう、こういう仕組みがあるじゃないかと、こんな構図だと思うんですが。
 そこで、私は、まず議論は、そもそも株式交換の場合には、そういう言わば吸収合併に似たような実質的に企業再編の中である会社の系列下に入るという大きな目的なりそういう行為があって、そのために株式交換が行われる、その対価として株式ではなくて現金が支払われるということになると思うんで、株式交換という大きな目的行為があったわけではあります。
 そうした点から見ますと、今回の支配株主による売渡し請求というのは、ある目的、こういう行為をするからとかいう、そういう目的の限定がないんですね。ただ単に、九〇%の株を持っている支配株主は買い取ることができるという法律になっているわけです。そうすると、どんな目的であってもいいんですよ。ここに大きな問題点があるんじゃないかと思うんですね。
 ですから、大臣は、なぜこの条項が入っているのかについて長期的な視野に立ったこととか何か理由を挙げられましたけれども、具体的に言いましょうか、大臣の説明は、長期的視野に立った柔軟な経営を行う必要があると、甚だ抽象的ですよね。具体的に、長期的な視野に立った云々が何を言っているか分からない。あるいは、株主総会に関する手続の省略による意思決定の迅速化を図る必要があると、でも、かなり抽象的ですし、余り具体的ではないと。有価証券報告書の提出義務等の法規制を遵守するためのコストや株主総会のコストという大変に小さな企業のコスト削減という行為のためにということなんでしょうけれども。まず、その挙げられた理由そのものが非常に抽象的あるいは大したことではないと思うんですけれども。ただ、法律の規定の仕方はそういう目的を限定していないから、どんな場合でも、どんな目的であっても、この支配株主になれば、もう当然に少数株主の売渡し請求、言わば買い取ることができると、こういう仕組みになっているんです。
 だから、私はそれは行き過ぎではないかと。ですから、単に株式交換が行われているから、今回も、それも同じような考えでこの法整備がされて当然だという考えではおかしいと思うんですが、どうでしょうか。
#7
○国務大臣(谷垣禎一君) 今までのキャッシュアウト、委員がおっしゃいましたように、株式交換でされている例もありますし、それから全部取得条項付種類株式、使ったのもあるわけですね。
 株式交換の場合でも、確かに株式交換という手法は用いるわけですけれども、その目的そのものは制限は私はないんではないかと思います。したがいまして、そういう意味からいえば、今回設けられた制度と株式交換という手法を用いる場合と、その今の目的という意味では差がないのではないかというふうに私は思っております。
#8
○小川敏夫君 いや、大臣、株式交換するというのは、その会社がある会社の子会社になるという大きな企業再編があるわけですよ。ですから、株式交換というのは別に何も好き勝手にどこかの知らない株と勝手に交換しろ云々の話じゃないんで、その会社がある会社の子会社になると、こういう大きな目的がある、その目的の手段として株式交換というものがあるんです。
 ところが、今回の支配株主の売渡し請求は、そんな会社の経営方針がどうのこうのという目的なんか何にも要らない、ただ九〇%の支配株主になれば請求できますよという規定なんですよね。だから、それは余りにも無限定でひどいんじゃないですかと。例えば、どんな株式会社においてもこの規定は適用されるわけです。それから、どんな目的であっても、形式的には一切目的の要件はないわけです。
 じゃ、例えば、私と谷垣大臣が二人で、谷垣さんが九〇%の株を持っている、私が一〇%の株を持っているという会社があったとしましょう。谷垣さん、嫌でしょう、私みたいなこんな口うるさいのと一緒にいるのは。だから、何か企業の大きな目的なんか何にもなくてもいいんですよ。ああ、こんな口うるさいの嫌だから、じゃ、あいつ追い出しちゃおう。ちょうどこの法律の規定で、はい、買い取るよと言えばもうそのまま買い取れちゃうんですよ。私が嫌だ嫌だと言ったって、法律のこの規定によって淡々と。谷垣さんの方が決めた取得日に権利が行っちゃうわけです。
 ですから、この法律のままですと、まさにそうした支配株主の横暴による、あるいはもっと悪意があるような意図によって少数株主の株式が買い取られてしまう、こういう弊害があるんじゃないですかと、こういう観点から聞いておるわけです。
#9
○国務大臣(谷垣禎一君) 私、決して小川委員と御一緒に、そういう機会があるかどうか分かりませんが、企業経営をする局面になったら、嫌というふうなことはございません。
 ただ、今の委員の御議論は、株式を交換するというのは確かに企業再編等々を目的とするものであることは間違いない、その手法が株式を交換するということだと思うんですね。
 このキャッシュアウトというのも、結局、一〇〇%子会社をつくるという意味では、一種の企業の組織を変えていくということだろうと思うんです。その手法が、何というんでしょうか、売渡し請求という形になっているということで、そういう意味では、委員のおっしゃったことと、その目的と手法という関係では、私は大きな変化はないのではないかと思います。
 むしろ委員が問題としておられるところは、九割の株を持っている者がおまえ売り渡せというようなことを言えば、多数の濫用、多数というか、強い者の濫用になるのではないかという御懸念でしょうね。
 それで、恐らくそれは、私も株式交換の場合どうなるか分かりませんが、株式交換の場合でも場合によっては弊害というのはあり得るんであって、むしろ、今回の場合も幾つか少数株主の保護の制度を用意しておりますが、そういう制度で救うべきものなのではないかというふうに私は思っております。
#10
○小川敏夫君 でも、大臣と私の議論かみ合っていないんですけれども、今回の支配株主の株式売渡し請求が、例えばその会社がある会社の子会社になると、ですから親会社の立場になるところが株を全株買い取るという場合に使われる場合もあります、これ、できるわけですから使われる場合もあります。
 だけど、そういう場合に使われるだけじゃなくて、日本全国ありとあらゆる株式会社、小さな会社もあるし大きな会社もある、ありとあらゆる会社に、しかも目的の宣言もないまま使われるんだから、大臣が言われているように、大きな企業再編として、株式交換と同じようにある会社の一〇〇%子会社になるために使われる場合もあります。そのことは認めます。だけど、そうじゃない場合も全て認められる。だから、これは株式交換とは違うんじゃないですかと。株式交換と同じ場面もあるけども、株式交換では到底できないようなことまでこの法律ではできることになっていると。
 ですから、九割の支配株主なら、理由は要らないんですから、目的は要らないんですから、九割の株を持っていれば、少数株主を売渡し請求すればもう買い取ることができちゃうという、こういう法律になっているから、これは余りにも無限定過ぎて、それで実際の少数株主の権利が侵害される場合があり得る、予想されるんじゃないですか、ですからこの法律の規定の仕方はまずいんじゃないですかと私は聞いているわけです。
#11
○国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと私もぐるぐる回りの議論をしているような気がするんですが、この今回のいわゆるキャッシュアウト、これは、今、小川委員はいろんな幅広いもっとほかの目的にも使えるじゃないかとおっしゃいましたけれども、結果として、もしこれが支配株主の請求どおり動いていくとすれば、当該会社が一〇〇%子会社になるという結論になっていくわけですね。
#12
○小川敏夫君 そういう場合もある。そういう場合もあるということでしょう。
#13
○国務大臣(谷垣禎一君) いやいや、これを使えばそういう形になっていくんだと思うんです。ですから、結果として、企業再編という形がそこで結果するわけです。
 だから、今委員のおっしゃった、それ以外の目的にも使えるとおっしゃったことは私ちょっとよく理解していないのかもしれませんが、私は今申し上げたように理解しております。
#14
○小川敏夫君 ですから、一〇〇%の子会社の再編に使われることもある、それは認めます。でも、だからさっき言ったように、谷垣大臣が九〇%持っている、私が一〇%の株を持っている、谷垣さんがただ単に、その一〇%のやつうるさいから俺が一〇%の株を買い取るんだと、別に谷垣さんが親会社になるわけでも何でもないんで、ただ株主の一〇%の株を取り上げるということだってできるんですよ。
 だから、親子会社になるということに限定されているわけじゃないんで、何でもできると私は言っているんで。だってできるでしょう。今言ったように、谷垣さんが九〇%、私が一〇%持っている会社で、谷垣さんがただ単に、親子会社になるわけでもないし何をするわけでもない、とにかくあいつがいるのが嫌なんだからあいつの株買っちまおうということがこの法律ではできる仕組みになっているんですよ。それを私は問題にしているんです。
#15
○国務大臣(谷垣禎一君) ちょっと議論がうまくかみ合っているかどうか分からないんですが、内心の意図はそれはいろいろ、例えば株式を交換する場合でも、それを請求する者の内心の意図はいろいろだと思います。いろんなことがあって、あるいは良くない腹でやる場合もないとは言えないかもしれない。ただし、結果として、株式を交換することによって企業再編が起きてくるという形だと思うんですね。
 それで、今回も確かに、私が小川さんを嫌だと思うかというとそんなこと思いませんが、いろいろな企業の支配関係をめぐっては、いろんなそれは考え方、思惑がないとは言えないと思います。しかし、結果として、先ほど小川委員が挙げられた例でも、もし私が一〇%持っている小川委員に売渡しを請求して、それが進めば、要するに一〇〇%子会社というものがそこに誕生するんだと思います。
#16
○小川敏夫君 子会社になることはない。九〇%……
#17
○国務大臣(谷垣禎一君) いやいや、要するに、子会社という表現をするかどうか、つまり一〇〇%の私が株式を支配するという形になるわけですね。それはそういう会社の、何というんでしょうか、親子会社関係、個人という場合ももちろんあり得るわけですが、そういう再編を招来するんだと思います。
#18
○小川敏夫君 だから、谷垣さんが九〇%の株主だったのが一〇〇%の株主になっても、別に親子会社になるわけではありませんし、企業の再編でも何でもないです。ただ会社の株主が、株主構成が変わっただけです。ただ変わっただけだと言うけれども、一〇%の株主の人は買い取られて追い出されちゃうわけです。ということの問題意識を私は言っているわけです。ちょっと同じ議論で随分時間使っちゃいましたけど。
 それから、株式交換でもう既に行われていることが同じように取り入れるだけだというような趣旨の説明でしたけれども、これまでの商法の株式交換ですと、それに反対する株主は買取り請求ができたと。ですから、そこで法定売買です。その場合に、会社法には、価格が折り合わなければ裁判所で決めなさいという規定があった。もう一つ大事な規定があったんです。株式の移転は、代金が支払われたときに移転しますよという規定がありました、これまでの会社法ではですね。
 つまり、大臣がこれまでの株式交換でされていることをそのまま今回も取り入れたんですよと言うけれども、それまでの株式交換の場合には、代金の折り合いが付かない場合には裁判所で価格を決めるという規定とともに、そして決まった代金が支払われたときに株式が移転しますよという規定があったわけですよ。
 これは局長、そういう規定ありましたですよね。
#19
○政府参考人(深山卓也君) 今御指摘のとおり、株式交換、現行法の下の話をいたしますと、株式交換というのは、二つの会社がございます、親会社になる方と子会社になる方ですが、それぞれの株式買取り請求のときに株式が移転する時期が異なっておりますので、子会社の場合と親会社の場合は違います。今議員がおっしゃったのは、親会社の側については株式買取りの効果が生ずるのは代金支払時です。
 しかし、子会社の方は違いますよ。子会社の方は代金支払時ではなくて、先履行で、株式交換の効力発生日に権利は移転してしまう、代金は後払いになると、こういうことです。
#20
○小川敏夫君 ほかにも株式買取り請求、法定売買がありました。例えば定款変更の場合、あるいは合併する場合、反対株主には買取り請求というのがあった。その場合も同じように、価格が折り合わなければ裁判所で決定してもらうという手続もあった。と同時に、株式の移転はやはり代金が支払われたときに移転するという規定がありました。
 今回、この改正によってどうなるんでしょうか。
#21
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のように、そのような規定が組織再編の場合に、全部ではありませんけど相当数ございました。そちらの方が多かった。そうでないのは、むしろ株式交換の消滅してしまう会社とか一部の場合に限られておりましたが、今回は、株式買取り請求に係る株式の移転時期は代金支払時と現行法になっているものについても、株式交換なり組織再編行為の効力が生じたときにまず移転が生じるという形でそろいました。
#22
○小川敏夫君 だから、そろいましたという微妙な表現を使われるけれども、すなわち今回、支配株主の株式売渡し請求のときには、代金の支配時に株が移転するんじゃなくて、もう支配株主が決めた取得日に権利が移転しちゃうと。ですから、私は、代金がその後無担保状態でリスクがあるんじゃないかという点を指摘させていただいたんですけれども。
 実は、これまであった買取り請求の場合に、代金支払時に株式が移転するという規定が会社法にあったわけです。それを、そちらも改正しちゃって、様々な権利の確定日に、つまり代金が払われていなくても移転してしまうというふうに、そちらの方も併せて改正しちゃっているんですね、今回の改正案は。
#23
○政府参考人(深山卓也君) 併せてということではありません。論理的な関係はございません。
 株式交換の場合についていいますと、株式交換の子会社の方は現行法でも権利が先に移転するんです。今回のキャッシュアウトの売渡し請求の場合にも権利が先に移転するというのは株式交換を使った場合にも子会社では全く同じことでございますので、今問題になっているのは子会社の少数株主の保護の在り方が問題ですから、子会社の少数株主の立場に立ちますと、現行法でも株式交換をされれば先に権利が移ってしまって対価の支払は後になる、今回設けた新しい制度でもそこは同じになると、それはそうなんですが。
 今回変えたというのは、むしろ親会社、完全親会社になる方は、これまでは対価の支払があったときに株が移転するとしていたのを効力が生じたときに移転するというふうに変えたということで、親会社の方の改正内容と、今回、株式売渡し請求と大体同じ立場に立つ子会社の方の株主の株式交換の場合の保護の問題とは違う話だと思います。ですから、それが何か関連するわけではございません。
#24
○小川敏夫君 説明聞きましたけれども、私は、だけれども、今回代金先払いにしちゃうということで、ほかの規定、これまで代金支払時に権利が移転するとあった規定を、これも、ほかの部分も先払いにしちゃうんだから私は関連していると思うんですが。まあ、説明をお伺いしました。
 ちょっとほかのことも聞きたいので、また改めて大臣に質問しますけれども。
 今回、九〇%の支配株主に権利が付与されるわけです、言わば無限定にですね。九〇%の株主というとそう数はないから余り弊害はないんじゃないかというふうに感じられるかもしれないけれども、実はそうではなくて、九〇%の支配株主になるには、例えば八〇%の株を持っていれば案外簡単にできる、簡単かどうかは別にしてできるんですよ。
 つまり、百万円の資本金で八十万円と二十万円の株主がいたと。そうすると、八十万円の株主は当然経営権を握っているわけですから、じゃ倍額増資すればいいんですよ。倍額増資して、百万円の増資して、その百万円を自分が引き受けちゃう、あるいは自分が息の掛かった第三者に割り当ててもらうと。そうすると、その結果、会社の資本金は二百万円になる、それまで八十万円の株主は百八十万円になる、新株の割当てを受けなかった株主は二十万円のままだと。そうすると、百万円の二十万円で二割持っていたのが、増資によって二百万円の二十万円で一割しか持っていないと。ですから、八〇%の株主もそうやってワンステップ踏めば九〇%の株主になっちゃうんですよ。ですから、株式を取り上げるためには九〇%に持っていけばいいんだといって九〇%にすることも可能な道があるわけですよ。
 ですから、九〇%の支配株主はそうたくさんいないからいいんだろうというのは、私は甘いんじゃないかと。むしろ、年数掛けて九〇%に持っていけば結局は少数株主を買い取ることができてしまうというふうになるので、私はそういった面での危険がまた多いんじゃないかと思うんですが、ここら辺はどうでしょうか。
#25
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の点は、これ企業をどうコントロールしていくかという、それぞれいろいろな、悪い言い方をすれば手練手管といいますか、良く言えば知恵を絞っていろいろやるということはあり得るだろうと思います。しかし、今の問題は、株式交換をやっていく場合にも今おっしゃったような手法が利用できるのではないかと私は思うんです。ちょっとよく煮詰めておりませんが、そういう感じがちょっと今伺っていていたしました。
#26
○小川敏夫君 株式交換でも、そういう手法をやろうと思えばやる道がありますよ。ただ、さっきも議論したけど、株式交換というのは、ある会社がどこかの会社の子会社になるというときだけなんですよ。今回のこの支配株主の売渡し請求は、何をやるかという目的なんか必要ないんです。この法律の規定は、九〇%の株式を持っている支配株主はその少数株主に売渡し請求をすることができるといって、何々の場合にという限定がないんです。
 だから、これまで例えば増資するといって株式比率を変えちゃうということはよくできました。だけど、取り上げることはできなかったんです。不公平な増資かなんかは別にして、増資増資していくと、ある株主には株式割り当てなければ株式の比率は変わっていくということは、それがいいかどうかは別にしても、できたけれども、ゼロにすることはできなかった、株主から排除することはできなかった。今回はそれができちゃう道がこれで開けちゃいましたねと。こういう道が開けちゃえば、今度はいろんなことで九割まで何とか株式が集まれば排除できるんですよ、お金さえ払って。
 ですから、私は、これは大臣が言われているように、企業の再編の中で有益に使われる場合もあるかと思いますよ。そのことは否定しませんけれども、そうではなくて、こういう悪い目的のために、法律が本来考えていない目的のために使われてしまうことが十分出てきてしまうんじゃないですかということを聞いているわけです。
#27
○国務大臣(谷垣禎一君) 私、ちょっと先ほどから委員と私の認識がかみ合っていないなと思いますのは、委員はやはり、一〇〇%の親会社といいますか、それはあくまで法人形態である、だから再編なんだと。私は、それが自然人であろうと法人であろうと、一〇〇%を持つということが結果としてキャッシュアウトの場合はできてくるわけですから、確かに法人と自然人って違うといえば違うかもしれませんが、企業のいろいろな支配の在り方を変えていくという意味では私は共通ではないかなというふうに思っております。
 それからもう一つ、今、今まではできなかったとおっしゃいましたけれども、今までもキャッシュアウトは行われていたわけだと思うんです。むしろ、実務的には株式の交換よりも全部取得条項付種類株式等々を使う場合が多かったというふうに、税法上の理由からそうだというふうに聞いてはおりますが、キャッシュアウト、つまり九〇%の人が一〇%を取得してしまうということは今までもできないわけではなかったんではないかという理解をしております。
#28
○小川敏夫君 全部取得条項付株式の場合は、そもそも制度を入れた趣旨が一〇〇%減資をするということをスムーズに行わせるためだったんですよね。これは大臣もそういうふうに答弁されていました。実際そういうことだと思いますよ、その当時の審議経過を見ますとね。しかし、実際に法律ができてみたら、そういうことではなくて、まさに株式を一〇〇%集める手法として、一〇〇%減資という企業再生のやりやすくするための便法として入れただけなのに、実際には企業再生とは関係なしに、一〇〇%の減資とかそういったところは関係なしに、全くただ単に株を一〇〇%集めるというために使われるようになってしまった。本来のその法の趣旨とは違う使われ方が今現にされているわけですよ。だから、じゃ、それはそれで、それでいいのかという議論をしなくちゃいけないのに、そういう議論もなしに、いや、もうこれは行われているからこれでいいんだというのは、私は論理の飛躍があるんじゃないかというふうに思います。これは意見の違いかもしれませんから答弁要りません、もう議論していますから。私もほかのことを聞きたいので。
 それで、局長にお尋ねしますが、今回、代金はもらわなくても、とにかく取得日ということで、その日に統一的に全株権利が移転してしまうということの趣旨でした。私は、それで、前回の質疑の中で、代金が払われなかったら、局長は、民法の一般条項に従って契約を解除すればいいということになりました。しかし、もしその契約の解除が認められると、契約の解除によって株式を買い取られてしまった少数株主、売り渡してしまった少数株主の株は復活するわけですよね。そうすると、ある取得日をもって一〇〇%の株が全部移転しなきゃ困るんだという制度の趣旨に穴が空くんじゃないですか。
#29
○政府参考人(深山卓也君) それはまさに少数株主の経済的な利益を保護する前提の上で一遍に取得するということですから、対価を支払わなければそれは取得に穴が空いてしまう、一〇〇%取得できないのは、対価を払わなければそれはむしろやむを得ない。対価を払わなくても取得したっきりになってしまうというのでは、それはもう少数株主のそれこそ憲法上の問題が生じかねないことになってしまうと思います。
#30
○小川敏夫君 いやいや、そこまでおっしゃるんだったら、対価を払わないのに、対価をもらっていないのに株の権利が先に行っちゃって代金は後払いということの構成をしないで、代金が払われたときに株式を移転するというふうにすればいいじゃないですか。
#31
○政府参考人(深山卓也君) そういう御議論になると、そもそもこれは機動的なキャッシュアウトのために新たにつくった制度です。繰り返しになりますが、キャッシュアウトというのは、ある一時期に少数株式を全て特別支配株主が取得する、それを目的とした制度ですので、一人一人の株主にお金を払ったたびに逐次移転をするというのでは、そもそもこの制度をつくる意味はございません。
#32
○小川敏夫君 しかし、ある日一日に同時に全部移転しなきゃならないという要請は確かにあるかもしれませんよ。だけど、無理やり株を買い取られてしまう人に代金が必ず払われなくてはいけないという、こういう要請もあるわけですよ。じゃ、多少のずれがある、弊害があったって、しっかり金払ったら移転するというふうにやった方が確実じゃないですか。何日かずれたら弊害があるんですか。
#33
○政府参考人(深山卓也君) 何日間のうちに全員に支払われるというようなことであれば、それは弊害はそれほどないではないかという御指摘は分かるんですけれども、多数いる少数株主にそれぞれに、対価を争う人もいるかもしれません、それから支払うのにすぐに取りに来たり、あるいは払いに行けない人もいるかもしれません。そういう人を全部取得するための制度でありながら、全員に支払が終わらなければ一〇〇%支配ができないというのでは、この制度のそもそもの、機動的なキャッシュアウトのために今ある制度でできていることをより合理化しようというその趣旨に合わないことになってしまうと思います。
#34
○小川敏夫君 それは機動的にやりたいと。じゃ、数多い、確かに谷垣さんと私ぐらいだったら株主一人しかいませんから簡単かもしれないけれども、大きい会社なら株主の数が多い、ある日一日に払うのは大変だというのがあるかもしれないと。しかし、だから、しようがないから後払いでいいんだというのはちょっと結論が簡単過ぎるんじゃないですか。じゃ、それに代わる手だてを講じたらいいじゃないですか。じゃ、供託させるとか、弁済供託であれ、保証供託もありますよ。あるいは、私は打合せのときに言いました、じゃ、株の代金が支払われるまで法定質権が発生すると、株の所有権は移転するけれども、その株の代金について質権が法定的に発生すると。こんなことによって、少し研究して、株主が被害を被らないような手だてを研究すれば、私はすることができると思うんですよ。そういうことを一切全く抜きにして、ただ単に株主は後払いだと。買い取る側が全部一律に一斉に買い取らなきゃ困るからという買い取る側の利益のために、株を手放されてしまう方の代金がリスクに掛かるというのは、私は余りにも極端だと思いますよ。また、余りにも無策じゃないかと思いますが、どうでしょう。
#35
○政府参考人(深山卓也君) その株を売り渡す売渡し株主の保護のための制度は前も御説明しました。この制度の中でもちろん組み込まれております。
 先履行で権利が先に移転してしまうというのはそのとおりなんですけれども、そもそもこの請求が認められるためには、対象会社の取締役会が承認をしなくちゃいけません。そのときに何をどう判断して承認するかというのは、まさに少数株主の利益が侵されていないか、適正な条件になっているかどうかというのを審査をして、それで承認した場合に初めてこの手続は進むようになっています。
 そこで、対価がおかしい、あるいは払われないリスクがあるということになれば承認できませんので、してしまったら今度自分が損害賠償請求を受けてしまいますので、そこで大きな歯止めが掛かりますし、対価が少な過ぎると思えばもちろん裁判所に価格決定の申立てをすることもできます。それから、対価が著しく不当だと思えば差止めもできます。事後的に無効の訴えという特別な訴えも用意して、対価の支払が全然ないようなものについては無効の訴えでこれ自体を無効にしてしまうという手続も設けています。これらを全部合わせて、先履行ではあります、同時履行ではないというのは御指摘のとおりですが、全部合わせることによって合理的な制度になっていると、こういうことだと思います。
#36
○小川敏夫君 会社の取締役会の承認が大きな歯止めになっているというのは余りにも空論ですよ。だって、買い取る方は九割の株式を持っている支配株主ですよ。言わばオーナーですよ。ですから、オーナー自身が社長かもしれないし、まして、そこにいる会社の取締役というのはオーナーに選ばれた人、もうほとんど使用人と同じじゃないですか。少なくとも九〇%の支配株主のオーナーがいる、そのオーナーの意思に逆らってオーナーのやろうとしていることを駄目だなんという、そんな勇気ある人は、いるかもしれませんけど、だけど、そこで大きな歯止めが掛かるなんというのはそれは常識的には考えられないですよ。
 それから、聞いてもいないのに答えましたけど、少数株主の保護のために価格を裁判所に決めてもらう手続があるとか、差止め請求ができるとかある。だけど、裁判所に価格の決定の申立てをしても、あるいは差止め請求しても、それはどうぞおやりくださいと、それは、手続は手続だけど、支配株主が決めた日に株は移転しちゃうんでしょう、代金をもらっていないのに。その後、裁判で決着が付いたらそのときに払ってもらいなさいと、こういう構造ですよね。
 じゃ、価格が不満だから、あるいは差止め請求をやって、しかし株は行っちゃったと。何年か裁判やっている間に支配株主が破産しちゃった、脱税で捕まっちゃった、あるいはどこかに逃げちゃった。様々な事情があって結局払ってもらえなかったら、取られ損じゃないですか。そういうリスクがあるから、強制的に買われちゃう人のその立場というものを全く考えない、むしろそういうリスクにさらすこと自体が問題なんじゃないですかと。
 しかも、これは憲法上保障される財産権のはずなのに、買い取る方は、公益でも何でもない、公共の利益と言えるのかどうか。一私人の利益ですよ。そのために、強制的に少数株主の財産である株式を取り上げて、売買という形で取り上げても、しかしその売買代金は払われないというリスクがある、そのリスクを生じないように講ずる手だてが余りにも不十分、これで私は欠陥法案じゃないんですかということをさんざん指摘しているわけです。もうそれに対する答弁も大体想像されますけどね。ですから要らないです。
 ですから、大臣、どうでしょう、例えば、持っている会社も、それからそれを買い取るところも信用がある大企業の会社で、社会的な立場も十分気にする会社で資力もあるという優良会社を前提に描いていると私は問題を見誤ると思いますよ。そういうところでは多分問題は起きないでしょう。しかし、この法律の規定は全ての会社に適用されるんですよ。ですから、しつこいようですけれども、本当に個人会社でも適用されると。どんな場合だって、いろんなケースが考えられると思うんですよね。
 ですから、谷垣大臣が九〇%でといって、谷垣大臣が持ち逃げすると言っちゃ失礼だから、また例を変えますけど、Aさんが支配株主で、Bさんがいると。この少数株主のBさんはAさんから嫌われているはずですよ。だって、Aさんは自分で持ちたいと言うのに、こっちで手放さないんだから。Aさんの言うことを聞かないわけでしょう。だから、Aさんとすれば大体余り面白くないと思っているはずなわけです。これ、今度はこの買取り請求があるんだから、ああ、買取り請求してやろうと。代金の不満がある、ああだこうだやっているときに、これは支配株主といったって、ほかにそれを超える借金を持っていたり、あるいは三年前ぐらいに大きな脱税していて、やった瞬間にすぐ捕まっちゃったとか、あるいは、お金はたくさんあるんだけど、このBだけはさんざん俺の言うこと聞かなかった、今度は懲らしめてやれといって逃げちゃうとか、いろんな場合があると思うんですよ。
 ですから、そういう問題が起きないだろうという理想的なケースだけ描いているんじゃなくて、そうじゃなくて、やはり法律の立法者としては、あらゆるケースに適用される法律なんだから、あらゆるケースの中で、やはり少数株主の利益が不当に侵害されることがないように、不当に損なわれることがないような手だてを十分に講じるのが私は立法者の責任だと思うんですよ。私はそれが足らないんじゃないかということを再三指摘しておるんですけれども、どうでしょうか。そこを聞いて、ちょっと今日の質問は終わります。
#37
○委員長(荒木清寛君) 谷垣大臣、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。
#38
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、確かに委員のおっしゃるように、こういう会社をめぐって、いろんな企業がありますから、いろんな駆け引きの手段として使われる可能性というのはこれは否定できないと思います。ただ、その場合にどういう手だてを講じて救済していくかというのは、今回の場合、もう私、繰り返しませんが、いろんな手だてが講じられていると思います。
 それから、じゃあと訴訟で解決しろというけれどもと。例えば、ここには六分の利息を払わなきゃいけないということになっておりますと、むしろその六分というのは、今なかなかこれだけの金利で回すというのは大変でございますから、悪く考えれば長い間訴訟で長引かせた方がいいというような考え方をする人もいるかもしれませんね。だけど、やはり一般的にキャッシュアウトは早くその結果を出さなければ意味がないわけでございますから、余りそういうこともないのではなかろうか。それで、六分というのはかなり、早く訴訟を終結させようという方にも効くのではないかという感じがしております。
 ですから、私は、一応いろんな手だてはそろっているのではないかというふうに考えております。
#39
○小川敏夫君 終わります。
#40
○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 私は、今日は、この会社法の改正が成立した場合にどのように運用されるのか、また実務にどのように影響が与えられるのかといった視点で質問したいと思います。
 先ほどの小川委員のちょっと続きのような形になってしまうのかもしれませんが、まず、株式等売渡し請求について伺いたいと思います。
 売渡し株主、少数株主が、その言い渡された対価が不公正である、適正ではない、安いよということを主張しようとする場合、どのような制度が利用できるのか、まず確認でお願いいたします。
#41
○政府参考人(深山卓也君) まず、売渡し株式の売買価格に不服があるという場合には、売渡し株主が、取得日の二十日前の日から取得日の前日までの間ですけれども、裁判所に対して、その有する売渡し株式の売買価格の決定の申立てをすることができます。また、売渡し株式の価格が著しく不当である場合には、売渡し株主はその全部の取得の差止め請求をすることもできます。これらに加えて、売渡し株式の売買価格が不当であることは、事後的な救済手段ですけれども、取得の無効の訴えにおける無効事由ということになると解されます。
 さらに、対象会社の取締役が売渡し請求を承認いたしますが、その際に対価が不当であるのに売渡し株主への配慮を怠って承認をしてしまった場合には、善管注意義務違反ということで損害賠償責任を負うということもあると思います。
#42
○行田邦子君 対価が不公正である、安いということを少数株主、売渡し株主が思った場合には、価格決定の申立てだけではなく差止め請求も不適正価格ということが事由になるということ、それから事後の取得無効の訴え、この点においても価格が不適正であるということが原因になり得るということであると思います。
 そこで、続けて、裁判所に質問させていただきたいんですけれども、この制度が導入されると、売渡し株主の保護として株式等売渡し請求において価格決定の申立てということがなされる、こうした事件が起きる可能性があるわけですけれども、そのときに裁判所としては適正な価格というのを判断しなければならなくなります。この際にどのような基準で適正な価格というのを判断するのでしょうか。
#43
○最高裁判所長官代理者(永野厚郎君) お答えいたします。
 現在、株式の価格決定の請求事件というのが会社法の中でございまして、全国で新受件数が平成二十五年に百三十八件ございます。平成二十一年以降は毎年百件を超える申立てがなされているところであります。
 こういった事件におきまして適正な価格を決定していくに当たっては、やはり専門的な知見といったものが必要になってまいります。そこで、裁判所としては、まずは当事者の方に、当事者と申しますのは株主とそれから株式会社でございますけれども、そちらの方に専門的な意見書、専門家の意見書の提出を促すと。さらに、必要に応じて鑑定や専門委員を活用するといったような運用上の工夫を行って、適正な価格の決定に努めているところでございます。
 今回、改正法が成立してキャッシュアウトの制度が導入された場合には、これまでの運用の実績も踏まえまして、法の趣旨にかなった適正、迅速な裁判が実現できるように努めてまいりたいと考えております。
#44
○行田邦子君 今もう既に年間で百三十八件、こうした価格決定の判断というのがなされているわけでありますけれども、事件があるわけでありますけれども、専門的な知見を積み重ねていって、今後、この法改正が成立したとすると、更にこうした価格決定の申立てということも増えることが想定されますので、適正な判断基準というのを設けていただきたいというふうに思います。
 局長に質問をさせていただきます。
 先日の最後の私の質問のところで、ちょっと時間が足らずに御答弁が短かったんですけれども、再度伺いたいと思うんですが、この株式等売渡し請求制度においてなんですけれども、取締役の少数株主、売渡し株主の利益を配慮するという善管注意義務があるのかという質問に対して、ありますということだったんですが、そのときに制度設計上あるというような御答弁をされました。ここの部分がよく理解ができないのですが、改めて御答弁をお願いいたします。
#45
○政府参考人(深山卓也君) この株式等の売渡し請求がされますと、対象会社の取締役、あるいは取締役会がある場合は取締役会ですけれども、承認をするかどうかという判断をするということになります。
 承認をしなければこの手続は進まないということになるわけですが、こういった対象会社の取締役あるいは取締役会の承認を要するという制度自体が置かれている趣旨のことを、私はちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、こういった制度が設けられている趣旨から見て、このときの取締役あるいは取締役会の負っている善管注意義務の内容として少数株主の利益に配慮するということが含まれているんですと、こういうことを申し上げたかったのでございます。
#46
○行田邦子君 今改めて御答弁伺っても、ちょっと理解ができないんです。
 百七十九条の三の三に書かれているんですけれども、これは対象会社の承認というところですが、「取締役会設置会社が第一項の承認をするか否かの決定をするには、取締役会の決議によらなければならない。」と確かに書かれているんですけれども、この条文をもってして、だから取締役には少数株主の利益に配慮するという善管注意義務が制度上あるよというふうには言えないのではないかなというふうに私は思っているんですけれども、再度、いかがでしょうか。
#47
○政府参考人(深山卓也君) そもそも論で申し上げますと、もう議員御案内のとおりですが、取締役は会社との関係が委任関係に立っているということから、会社に対して善管注意義務を負っているということになります。会社というのは、更にその実質を捉えれば全株主ということになります。全株主に対して善管注意義務を負っていると言ってよろしいのですが、この局面では九割を超える特別支配株主が会社に対して承認を求めるという、そういう手続です。
 その承認を求めるという手続を置いた趣旨は、九割の株主は承認してほしい、つまり売渡しをしてほしいと言ってきているわけですから、残りの一割の株主の利益を考えると。そのために、対象会社の取締役、あるいは取締役会があれば取締役会ですけれども、の判断、承認を求めているんだと。こういう仕組みが置かれていることを考えると、一般的な意味での善管注意義務は会社に負っている、全株主に負っていると言えても、大多数の株主が請求をしてきたことを承認するかどうかという判断を取締役が善管注意義務を負ってするというときに何を考えるかというと、少数株主の利益が害されていないか、公正に扱われているかということを善管注意義務の内容として判断をすることになると、そういうことを申し上げたかったんでございます。
#48
○行田邦子君 この条文だけではその理解が私はできないというふうに思っていますけれども、仮にこの会社法が成立したとして、今後、政省令などで、この条文の趣旨というか、この制度の中には、取締役会で承認しなければいけないという、制度上、取締役には少数株主の利益を配慮するという善管注意義務があるんだということが明らかになるような手だてを打つおつもりでしょうか。
#49
○政府参考人(深山卓也君) 売渡し請求を特別支配株主が会社に対してしてその承認を求める際には、一定の事項を会社に通知するということが法定されております。その中で一部法務省令に委任されている事項がございまして、その事項の中で、少数株主の利益に配慮をして、対価の支払資金の調達のめどがどうなっているかというようなことを法務省令で規定をして、それを会社、取締役にちゃんと伝えると。つまり、判断の内容が少数株主の保護の観点から条件が適正かということであるから、それに資する情報を通知事項として通知するということを法務省令で規定することを考えております。
#50
○行田邦子君 この制度上、私は取締役は非常に難しい判断を迫られるんではないかなと思っていまして、一般的にはというか、私の理解では、善管注意義務というのは取締役、役員は会社に対して負っていると。ただ、先ほどの御答弁ですと、特にこの制度上は、それだけではなくて、取締役というのは善管注意義務を株主に対しても負っていると、それは株主全体ということであると思います。
 そうすると、この制度を売渡し株主が使う、売渡し株主が言い渡された対価が不適正だというようなことを主張した場合など、そのときに取締役の責任というのはどうなるのかというのが非常に難しいなと思うんですが、会社の利益とそれから少数株主の利益が相反するということは大いに起こり得ると思います。そしてさらに、十分の九以上持っていて完全に一〇〇%持ちたいと言っている特別支配株主の利益と少数株主の利益というのが相反するということも十分起こり得ると思います。安く買いたい株主と、それからできれば高く買ってほしい株主、これはもう利益が相反するんです。
 ところが、取締役というのは両方に対してその利益に配慮しなければいけないという善管注意義務を負っているというふうになると、一体、では、その取締役の善管注意義務というのはどのように解釈すればいいのかということを大臣にお伺いしたいんですが。
#51
○国務大臣(谷垣禎一君) 行田委員がおっしゃるように、特別支配株主は、恐らく一般的に言えば、少しでも安く買いたい、それから売渡し株主は少しでも高く売りたいと考えるのは当然のことですから、利益相反になると。したがって、行田委員がおっしゃるように、取締役ないし取締役会は難しい判断を迫られるということだろうと。しかし、おっしゃいましたように、善管注意義務は、取締役の善管注意義務というのを、何というんでしょうか、解釈規定みたいなものは多分私の知る限りないと思いますが、一般的には会社に負う、それから、会社ということはひいては全株主に善管注意義務を負っているということでございますが、ここから先はむしろこの制度の立て付けによるんだろうと思います。
 多数の支配株主が承認してくれということ自体は、もう彼は了承している、了承というか、当然それを望んでいるわけですね。そうすると、承認するかどうかと、わざわざここでそういう要請をしているということは、承認するときに考えることは、利益相反に当たる場合のその少数株主の利益をどう考えるかが善管注意義務の内容になる、こういうことだろうと私は思います。
#52
○行田邦子君 そうすると、改めて局長に伺いたいんですけれども、この場合、会社の利益になったとしても、あるいは特定支配株主の利益になったとしても、少数株主の利益を害する価格であるというふうに判断される場合は、取締役会は承認をすべきではないんでしょうか。
#53
○政府参考人(深山卓也君) 売渡し株主、少数株主の利益が公正に扱われていない、侵害されているという場合であれば、それは承認してはいけない、善管注意義務違反になってしまうと、こういうことだと思います。
#54
○行田邦子君 この法律の条文ではそういったことは読み取れないと思いますので、もしそういう趣旨であるならば、今後の法務省令でその法の趣旨というものを明らかにしていただきたいというふうに思います。
 それでは次に、詐害的会社分割における債権者の保護について伺いたいと思います。
 会社分割が行われることによって、優良な事業や採算が見込まれる事業だけが新しい会社、承継会社に引き継がれてしまうと。そうすると、残存債権者というのが不利益を被ってしまうということで、新しい会社、承継会社に対して債務の履行の請求ができるといった保護規定だというふうに理解をしていますけれども、そこで、この保護規定を利用して残存債権者が承継会社に対して履行請求の訴訟を行っている最中に分割会社、元の会社が破産手続を行うと、破産手続を開始した場合、この規定上だと請求権は行使できなくなるということであります。
 その場合の質問なんですけれども、訴訟は無意味になってしまうということだと思いますけれども、そうすると、これまでに訴訟に掛かった費用というのは、これはその残存債権者が全て負担することになるんでしょうか。
#55
○政府参考人(深山卓也君) 確かに、委員御指摘のとおり、直接請求権を行使して訴訟提起中に分割会社に破産手続が開始したということになりますと、これは明文の規定のあるところですけれども、この直接請求権を行使することができなくなってしまいますので、この訴訟は請求棄却ということになって原告の敗訴ということになります。
 そうしますと、その訴訟費用というのは原則として敗訴者負担の原則になっておりますので、残存債権者がその訴訟費用、それまでに掛かった費用は負担することにならざるを得ないということになると思います。
#56
○行田邦子君 それでは、ちょっと時間も限られていますので、多重代表訴訟について、最後の質問を大臣にさせていただきたいと思います。
 多重代表訴訟を提起できる対象というのは非常に今回は限定されることになりました。完全親会社の株式、議決権の一%以上を六か月以上保有している株主が提訴ができますと。対象となる完全子会社というのは、株式の帳簿価額がその完全親会社の総資産額の五分の一を超える重要な子会社というふうな規定になっていて、上場会社の場合、非常にこういうケースに当てはまるのは数少ないのかなというふうに思っています。
 ただ一方で、非上場の中小企業の場合を考えると、このケースが当てはめられる会社というのは結構、まああるのかなというふうに思っていまして、例えば、長男が親会社の社長で、次男が完全子会社の社長で、三男がまた別の完全子会社の社長といった、このような同族経営といったことも結構見られます。そうした場合に、例えばなんですけれども、親族間での相続の争いなどが起きたときに、この多重代表訴訟という制度を利用するというようなことも考えられるかなというふうに思っています。そうすると、そもそもの多重代表訴訟という制度の趣旨とずれたところで利用されてしまうのではないかというおそれがありますが、この点いかがでしょうか。
#57
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、多重代表訴訟は上場会社に限定しているというわけでもありませんし、また、一%以上を有する株主、これ大企業でもないとは私は思いませんが、一般的に言えば、大企業よりも中小企業の方が、中小企業は最終完全親会社である場合の方が一%以上の株を持っているということが多いんだろうと思うんです。
 しかし、これ八百四十七条の第三の第一項ただし書に記載しておりますが、この多重代表訴訟制度の創設の趣旨や目的に反するような濫用的な事例、つまり多重代表訴訟が完全親会社の株主又は第三者の不正な利益を図ることを目的とするような場合、あるいは完全子会社、あるいは最終完全親会社等に損害を加えることを目的とするような場合にはこの多重代表訴訟は提起できないと書いてございます。
 ですから、中小企業の場合でも、この創設した趣旨に反するようなものはあくまで許されるわけではないと、今後もそのような運用が行われるだろうと思います。
#58
○行田邦子君 御答弁ありがとうございます。
 最後なんですけれども、一言申し上げたいと思います。
 今回のこの会社法の一部改正の法律案の概要、法務省が作られたこのペーパーなんですけれども、私は非常にこれは不親切だなというふうに思っていまして、全部で八枚ですけれども、ここに書かれていない、非常に会社に対して、株主に対して影響を与えるような制度変更というのはたくさん今回の法改正で盛り込まれているわけでありますけれども、全くここには書かれていません。第三者の割当て増資とか、それからキャッシュアウトのことも全く書かれていません。説明としては非常に不十分だったということを感じております。次回からきちんと法改正を審議をする国会議員に対して丁寧な説明をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
#59
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 私は、前回、コーポレートガバナンスの強化というけれども、それが単なる見せかけになってはならない、このガバナンス強化の方向の会社制度の改正の実効性が果たして担保されているのか、そうした問題意識から、略奪的ファンドの一つとして、APFグループの昭和ゴムに対する介入と会社を食い物にする実態を問うたわけです。
 昨日、この事件に関する一つの判決が東京地裁で下されました。大学教授が不公正ファイナンスと昭和ゴム事件として経済誌に掲載をした論文について、事もあろうか名誉毀損であるとこのAPFグループが裁判を起こしてきたわけですね。これに対して、昨日、東京地裁は、昭和ゴムとAPFの関係を題材として投資ファンドの企業買収による被害の発生を防止するため規制を充実させるよう訴える内容であり、専ら公益を図る目的で執筆されたものであるとして、その論文の指摘をした事実について重要な部分が真実であるという認定をし、名誉毀損だと因縁を付けられたその大学教授の勝訴の判決を下したわけです。
 この事実は真実であると認定された部分は、これ前回から私が指摘をしている部分ともちろん重なるわけですけれども、その中で、例えば、有価証券でも何でもないプロミサリーノートと称する実際には念書の程度にすぎないものを有価証券であるというふうに有価証券報告書にも記載をしながら、会社の資産を流出をさせたというその一つである第三者割当て増資によって、十二億四千五百万円を会社が増資をしたという形を取りながら、実際にはそのうち十一億円がそのプロミサリーノートの購入に充てられたと認められる。つまり、第三者割当て増資によって得られた資金のほとんどがAPFグループに還流したという事実は真実であるという裁判の判示になっています。つまり、架空増資だということなんですね。
 この件については、前回も指摘を申し上げましたように、二〇一〇年の六月に既に証券取引等監視委員会によって強制調査が行われ、証拠も差押えを受けているはずなんですね。この事実が仮に証拠によって認められるなら、取締役たちによって事業会社の資産がこうした形で不当に食い物にされている、これ絶対に許すわけにいかない事態だと思うんです。
 そこで、ちょっと通告と順番違いますけれども、私、刑事局長に御確認をいただきたいと思うんですが、こうした事態というのは、これ犯罪にはならないんですか。
#60
○政府参考人(林眞琴君) 具体的な事象に対しましてどういう犯罪が成立するかということにつきましては、これは捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄でございまして、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
#61
○仁比聡平君 取締役が術策を弄して会社の資産を食い物にして、これによって会社に重大な被害を与えると、これは特別背任になるんじゃありませんか。また、その手段としてこうした有価証券報告書などの偽装をすると、これ犯罪になるんじゃありませんか。
#62
○政府参考人(林眞琴君) 先ほども申し上げましたが、犯罪が成立するか否かということにつきましては、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 あくまで一般論として申し上げれば、例えば、取締役等が自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えた場合、こういう場合には会社法上の特別背任罪が成立することがございます。あるいは、その重要な事項について虚偽の記載のある有価証券報告書等を提出した事実が認められた場合には、金融商品取引法違反が成立することがあるというものと承知しております。
#63
○仁比聡平君 金融庁に伺いたいと思いますけれども、これ、監視委員会の強制調査によってそうした事実も私つかんでいると思うんですよ。このAPFグループの件、一罰百戒という言葉もありますけれども、厳しくただして初めて市場の投資家保護やあるいは公正というのが図られるんじゃないんですか。これまでその告発も行われたのかということもいささか疑問なんですけれども、どう規制するんですか。
#64
○政府参考人(瀬戸毅君) お答えいたします。
 個別の案件については回答は差し控えさせていただきますが、金融商品取引法等の違反がありました場合には、証券取引等監視委員会において適切に調査、検査を行いまして、その要件に従いまして適切な対応をしているところでございます。
 なお、今お話のありましたアジア・パートナーシップに関しまして告発したという事実はございません。
#65
○仁比聡平君 前回の質疑で、金融庁から、刑事罰に関するこの規制については刑事当局とも連携をしながら進めていきたいという御発言がありましたけれども、それは金融庁、そのとおりですか。
#66
○政府参考人(瀬戸毅君) お答えいたします。
 一般的ではございますが、告発に係るような事実がある場合には、検察庁と十分に意見交換を行い、協力してやっているところでございます。
#67
○仁比聡平君 刑事局長に改めて確認ですけれども、そうした連携というのは、法務省ないし検察庁としてもそのような受け止めでよろしいんでしょうか。
#68
○政府参考人(林眞琴君) 一般に、検察当局におきましては証券取引等監視委員会と連携協力しておりまして、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、その法と証拠に基づきまして適切に対処しているものと承知しております。
#69
○仁比聡平君 そうした連携と摘発が厳格に行われるということが今本当に求められていると思います。
 こうした事態について、東京証券取引所がどういう調査を行っているかということについて、調査を行っているかというよりも、どういう構えかということについて前回も問うたわけですが、自主規制法人に調査を委託をしているということで、その自主規制法人が金融庁の審判が開かれていないなどの下でどんな調査をしているのかということを証券取引所としては今日把握をしていないということなんですね。委託をしているからといって、こうした態度が適切なのか、金融庁、どうお考えでしょう。
#70
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。
 取引所にとりましては、上場会社は手数料の支払を受ける顧客としての位置付けがございます。その一方、不適切な問題が上場会社にあれば、取引市場の信頼性を確保するために、必要に応じた処分その他の措置を行う対象になるものでございます。
 上場会社に処分等の措置を行う際には、その判断の客観性を確保する必要があることから、東証においては、取引所本体から独立した自主規制法人におきまして上場会社に関する調査等の自主規制業務を委託することとしております。自主規制法人におきましては、取引所から独立した立場で、上場会社の適時開示、企業行動などについて調査等を行っております。当該調査の結果、上場会社に処分等の措置を行うことが適当と認められる場合には、自主規制法人から報告を受けて取引所が処分の措置を行うということで、上場制度の適切性の確保に努めているところでございます。
 このように、取引所にとっての上場会社の位置付けでありますとか、自主規制法人に委託することの意義を踏まえれば、自主規制法人が行う調査の状況を東証がその調査を行っている段階で知り得る立場にないといった答弁をしたというふうに聞いておりますけれども、その答弁は必ずしも不適切なものではないというふうに考えております。
#71
○仁比聡平君 取引所と自主規制法人の関係を今お話しのように整理をするんである、それが金商法の立場なんであると、恐らくそういうことなのだろうと思うんですけれども。であれば、業務は相互に独立して、自主規制法人がしっかり役割を果たす、適切に役割を果たし、その存在感が示されるということであって初めてこの目的が果たされる、仕組みが機能するということだと思うんですよね。
 ちょっとこれ、この事件の関係者がどうなっているんだろうと東京証券取引所に電話をしたら、いや、つかんでおりませんというお話があって、いや、だったら自主規制法人はどうなんだと電話をしたら、同じ人物ではないかという人が電話に出たというような、そういう話も聞くんですが、そんなことがあり得るんでしょうかね。
 平成七年でしたか、この自主規制法人という仕組みができて、今後どうしようとしているのか。実際には余り知られていないです、その活動が。今後どうしようと思っているのか、伺いたいと思います。
#72
○政府参考人(遠藤俊英君) 先生御指摘の点は、まさに自主規制法人がきちっとその役割を果たしているかどうかということを世の中に対してきちっと示すべきではないかという問題の御提起ではないかというふうに考えております。
 おっしゃいますように、自主規制法人が現在上場会社について年間どれだけの調査の件数をこなしているかという公表は行っておりません。ただ、自主規制法人は、一般論として申し上げれば、金商法に基づく課徴金勧告事案でありますとか、刑事事件の当事者となったような事案、あるいは上場会社の問題に関する情報提供が自主規制法人に寄せられた場合について、当該上場会社に関する調査等をしっかり行っているところであるというふうに承知しております。
 御指摘のように、自主規制法人の取組に関する情報発信、これを行うことは、市場の透明性の向上、当事者の信頼確保の観点から、当局として望ましいものだというふうに考えております。自主規制法人におきましても情報発信の充実を図ろうとしているというふうに理解しておりまして、例えば上場会社に関する年間調査件数の公表などを検討しているものだというふうに聞いております。
#73
○仁比聡平君 先ほどちょっと質問の中で私、平成七年と間違いを言いました。平成十九年からですか、もうすぐ七年になるという仕組みだと思いますが。
 今のような自主規制法人がそうすると調査をするということで東証の審査が進むということになることを期待をしますけれども、金融庁のその審判、これが進んでいって課徴金命令が出されたというときに、それを想定したときに、このAPFでいいますと、その代表者はタックスヘイブンのバージン諸島に個人資産の管理会社を置いて、その本人ともどうも連絡が付くのか付かないのかというような状況にあるわけですよ。
 この課徴金命令が出た場合ですが、これはこの海外に存在する資産に対する強制執行ということが問題になると思いますが、過去行ったことがあるのか、一体どうするのか、お尋ねしたいと思います。
#74
○政府参考人(三井秀範君) 課徴金納付命令が確定した場合における強制執行についてのお尋ねをいただきました。
 まずは個別の、本件についての強制執行のことについては、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
 一般論でございまして、海外にということの実例のお問合せでございますが、課徴金納付命令が決定がされますと、これは執行力のある債務名義と同一の効力を生ずるというふうに金融商品取引法に規定されていまして、民事執行法の強制執行の手続によって取り立てていくということになります。したがいまして、その後督促をし、そして納付されない場合には強制執行手続ということになります。海外に資産がある可能性があるということが分かってまいりました場合には、その資産の所在地である海外当局と必要に応じて意見交換をしながら対応していくということになろうかと思います。
 過去、執行の有無については、お答えを差し控えさせていただきます。
#75
○仁比聡平君 厳しくそうした取組を現実のものにしないと、絵に描いた餅では駄目なんですよね。逃げ得を許してしまうということになる、絶対にそんなことはあってはならないと、重ねて申し上げておきたいと思うんです。
 それで、民事局にこの法案との関係も含めてお尋ねをしたいと思うんですけれども、私が問題としてきましたこのAPFグループに介入をされた昭和ゴムないしホールディングスというのは、これは委員会設置会社であります。前回から申し上げておりますように、このファンド代表者のKが社外取締役になっている、この代表者が社外取締役の機能を果たしているというのかと。ちなみに、その弟が昭和ホールディングスの代表取締役となり、事業会社のCEOでもあるわけですね。それでも社外と言えるのかと。いかがですか。
#76
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘の具体的なケースについての事情は承知しておりませんので、その特定の人物が社外取締役として機能を果たしているかとお尋ねになられても、ちょっと法務省の立場で、果たしているとも果たしていないとも答弁することはできないと思っております。
#77
○仁比聡平君 制度を改正をしていっているわけであって、もちろん個別、お答えになれないのは、私それは当然だとは思いますけれども、社外取締役だとか委員会設置会社だとかという形だけで実際にガバナンスが図られるかというと、それはそんなことにはならない。逆に、それを隠れみのに、あるいはその制度に乗じた形で、ガバナンス強化どころか、会社資産を食い物にして経営を危うくすると、そうした現実があるわけですよね。
 そこで、大臣にお尋ねをしたいと思うんですけれども、こういう事態が、APFグループで言いますと二〇〇八年から問題となって、二〇一〇年の六月には監視委員会の強制調査が入って、とうとう昨年十一月には例のない四十一億円という課徴金の納付命令に関する勧告が出されて、けれども、この半年間一度も公開の審判は開かれないという形で事態は推移しているわけです。
 関係当局が、これまでの法制度に基づく権限で、今伺ったようなそうした規制を働かせようと私は努力をしているというふうに信じたいと思いますけれども、にしても、前回もお尋ねしたように、会社資産は流出し、経営は傾いて、とりわけ労働者は路頭に迷わされるのかという深刻な事態が進行しているんですね、現に。こんなことでいいのかと。いかがですか。
#78
○国務大臣(谷垣禎一君) この個別の企業の今の問題を私も、今委員からいろいろお話は承っておりましたが、十分に承知しているところではありませんので、その論評はあえて踏み込みません。
 しかし、コーポレートガバナンスでいろんな仕組みを改善してきたと。だけど、仏作って魂入れずということではやはりしようがない。これはどんな制度でもそうだろうと思います。やはり、何というんでしょうか、制度の目指す運用、これをきちっとやっていただきたいと思っておりますし、法務省としてもその広報や何かはきちっとやらなきゃいけないと思います。
#79
○仁比聡平君 広報ももちろん大事だと思うんですけれども、私、こうした無法なファンドに有効な規制がなかなか働かないというこの法制度そのものをしっかり検証して見直すべきなんじゃないのかと思うんですね。
 今後、関係の省庁の皆さんともよく議論をしていきたいと思っているんですけれども、特にそのポイントは、会社法の中に、多様な利害関係者、ステークホルダーの利益を考慮する枠組みを構築するということだと思います。労働者が、介入してくるファンドを始めとした、資本に対する団体交渉を始めとした権利をちゃんと認めると、そうした制度がないから、どんどんどんどんひどいことになっている。そうしたステークホルダーの利益をちゃんと考慮するという会社法の見直しを私進めるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
#80
○委員長(荒木清寛君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
#81
○国務大臣(谷垣禎一君) コーポレートガバナンスの強化自体につきましては、今回の改正法でも見直し規定を入れております。
 今、仁比先生のおっしゃった問題提起は恐らく会社法制の根本に関わるもので相当な議論をしなければいけないと思いますが、今後ともコーポレートガバナンスの強化についてはいろいろな意味で検討を深めていかなければいけないと思っております。
#82
○仁比聡平君 終わります。
    ─────────────
#83
○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、石上俊雄君が委員を辞任され、その補欠として前川清成君が選任されました。
    ─────────────
#84
○糸数慶子君 無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。
 前回、十五日の質問の続きから質問させていただきます。
 まず、金融庁にお伺いをしたいと思います。
 公認会計士試験と登録制度の在り方についてでありますが、経営陣による粉飾決算等の不適切な行動を防ぎ、企業のガバナンス強化につなげるとともに、投資家から信頼される公正な証券市場を確立する観点から、会社の監査を行う公認会計士や監査法人の役割、これは極めて重要であります。しかし、公認会計士試験制度をめぐっては、合格者が監査法人に就職できない問題等により志願者が大きく減少しており、今後の人材確保に与える影響は小さくありません。
 そこで、今後の試験、登録制度の在り方について政府はどのように考えておられるのか、まずお伺いをしたいと思います。
#85
○政府参考人(氷見野良三君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、公認会計士による監査は、我が国資本市場を支える重要な基盤の一つでございます。
 ただ、いろいろ御指摘ございましたとおり、公認会計士試験の合格者数は、平成十八年の新試験制度への移行後に一旦増加いたしましたが、他方で監査業界の採用数はリーマン・ショック以降減少いたしまして、試験に合格しても就職できないいわゆる待機合格者が多数発生し、御指摘のとおり、公認会計士を志望する方にも影響が出てきたということがございましたわけですが、その後、試験合格者数が減少する一方で大手監査法人の採用数が回復したことから、足下ではほぼ需給が見合うような形となっており、いわゆる待機合格者数は相当程度減少してきているところでございます。
 ただ、試験制度につきましては、やはり公認会計士制度の基盤を確固とするという意味からも安定的な運営が重要だと考えておりまして、今後、安定的な試験制度の運営に努めるとともに、公認会計士の資格や業務が魅力あるものとなるよう努力してまいりたいと考えております。
#86
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、法務省と金融庁にお伺いをしたいと思います。
 現行の会社法では、大会社に内部統制システムの構築を義務付けております。一方で、金融商品取引法では、上場会社等に対し、監査法人等の監査証明を受けた内部統制報告書等の提出を義務付けています。しかしながら、最近でもオリンパスや大王製紙など、かなりの負担を掛けて内部統制システムを構築しているはずの上場会社においても不祥事が発生しております。
 そこで、会社法や金融商品取引法において内部統制を重視する枠組みを設けているのはいかなる効果を考えているのでしょうか、お伺いいたします。
#87
○政府参考人(深山卓也君) 確かに、御指摘のようなケースのように、企業不祥事に企業の内部関係者が関与している例もあると思っておりますけれども、企業不祥事が生ずるに至った経緯とか原因は個別の事案ごとに異なりますので、現行法の内部統制システムが、不祥事が起こっているということで全く機能していないと結論付けるわけにはいかないと思っております。
 内部統制システムが十分機能しているということは、もちろん企業の不祥事を未然に防止するために一番重要なことでございますので、多くの企業においてはこれが十分に機能するよう取組がされているんだろうと思っております。
#88
○政府参考人(氷見野良三君) 金融商品取引法の方の内部統制報告書制度の趣旨、効果について申し上げます。
 金商法の内部統制報告書制度は、財務報告に係る内部統制の充実を通じてディスクロージャーの適正性を確保し、ひいては金融資本市場に対する内外の信頼を高めていくことを趣旨としておりまして、またこうした効果を期待するものというふうに考えてございます。
#89
○糸数慶子君 そこで、次の質問をいたしますけれども、最近の調査に見る内部統制枠組みの機能の評価について、改めて法務省と金融庁にお伺いをしたいと思います。
 プライスウォーターハウスクーパースの調査によりますと、日本企業の経済不祥事について内部関係者が関与するものが八割以上と、世界全体の傾向と比較して非常に大きい割合を示しております。また、日本公認会計士協会によりますと、公認会計士向けアンケート調査によりますと、監査業務を通じて過去十年間に一度でも不正等を見付けた経験があるとの回答が四八・八%に及んでおり、経営トップ層が関与した不正等は約四分の一を占めているというふうに言われています。
 これは限られた範囲ではありますが、こうした調査結果を見ますと、現行の内部統制に関する制度の枠組みが十分に機能しているとは言えないというふうに考えますが、認識をお伺いをしたいと思います。
#90
○政府参考人(深山卓也君) 申し上げるまでもありませんが、会社法上の内部統制システムは取締役等の職務の執行が法令、定款に適合することを確保するための体制、その他会社の業務の適正を確保するために必要な体制を意味しておりますので、今委員が指摘されたような事実というのは、本来の内部統制システムの目指すところからするとなかなか十分にその意義が発揮されていないということがあるということを示しているのだろうと思います。
 今回の会社法の改正においても、主としてグループ企業の内部統制ですけれども、内部統制システムの充実についても一定の改正を加えているところでございまして、今後とも、この内部統制システム、これは一に運用に懸かっていることでもございますので、の充実に向けて今回の改正法の内容あるいは本来の制度の趣旨等の周知に努めていきたいと思っております。
#91
○政府参考人(氷見野良三君) 金融商品取引法に基づく内部統制報告制度は、内部統制について経営者による評価と監査人による監査を義務付けております。このプロセスを通じて内部統制上の問題点の是正改善が進んだ事例も数多くあるというふうに考えておりますけれども、他方で、御指摘のとおり、ディスクロージャーをめぐる不適切な事例が今なお発生していることも事実でございますので、金融庁といたしましても、こういった事例の防止に向けて引き続き努力してまいりたいと考えております。
#92
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 今法務省、金融庁両方からお答えをいただきましたけれども、やはり現実の課題としてはまだこういうふうな不祥事があるということを考えましても、徹底した、改めて法の機能が十分になされるように指導の方もお願いしたいというふうに思います。
 次に行きたいと思います。
 これ、先ほど行田委員の方からも質問ございましたけれども、改めてお伺いをしたいと思います。
 株式等売渡し請求制度、この件に関しまして、特別支配株主が少数株主である売渡し株主に対して株式等の売渡しを請求する制度、これ基本的には株主間の取引であるとの整理ができるというふうに思います。しかしながら、この改正案では、株主間の取引であるにもかかわらず、売渡し請求についての対象会社の承認を求めており、承認を求める趣旨については、法制審議会会社法制部会の中間試案における補足説明では、対象会社の取締役がキャッシュアウトを承認する際には、売渡し株主の利益に配慮し、キャッシュアウトの条件が適正なものと言えるかどうかを検討するべきであるためとの説明がされています。
 従来、取締役の善管注意義務には、売渡し株主、つまり少数株主の利益に配慮する義務が含まれるとは必ずしも考えられてきませんでした。そのため、本制度の活用に当たっては、取締役の対価の適正確保に対する義務が大きな検討課題になるというふうに思われます。しかしながら、対価が少数株主にとって利益となるものかどうかまで判断することとなると、相当判断に困る場合が出てくるのではないかということも予想できますが、法務大臣の御見解、改めてお伺いいたします。
#93
○国務大臣(谷垣禎一君) 株式売渡し請求は、確かに株主間の取引ではございますけれども、対象会社の大部分の株式を有する大株主が少数株主の株式について対価を支払って、言わば強制的に取得することを認める制度です。
 そこで、少数株主、つまり売渡し株主の利益をどう守っていくか、確保していくかということが大事になりまして、そして、今回、株式売渡し請求に対象会社の承認を要することとしておりますが、この承認がなければ売渡しの効力は生じない、ここに少数株主の利益を守る制度といいますか、そういうものとしてこういう承認を考えたわけであります。そして、取締役会設置会社がその承認をするか否かでありますけれども、取締役会の決議によらなきゃならないと、こういうふうにしておりまして、少数株主を含む株主の利益に配慮すべき立場にある株式会社の取締役又は取締役会が善管注意義務に基づいて株式売渡し請求を認めるかどうかを判断することとしております。
 それで、今委員おっしゃいましたように、善管注意義務というのは、善管注意義務はどうどうだというような定義規定というのは余り私の知る限り法上ございませんで、通常は会社に対して負うもの、会社に対して負うものというのはひいては全株主に対して負うものということになっておりますが、ここでこういう制度を立てて、わざわざこの場合に、大部分の株式を持っている大株主が請求をするわけですから、判断することは大株主の利益に合致するかどうかではなくて、売渡し株主の利益がきちっと保護できるかどうか見るのがこの場合の取締役の役割であり、善管注意義務の内容であると、こういうふうに解することができるというふうに思っております。
 それで、こういうものだとすれば、対象会社の取締役あるいは取締役会は、対価として交付される金銭の額が相当であるかどうか、あるいは特別支配株主における資金確保、からっけつと言うとちょっと言葉は悪いですが、ちゃんと払えるだけの資力を、資金確保をしているのかどうか、こういうことを確認した上で株式等売渡し請求を承認するかどうか判断しなければならないことになると、この点は法務省令でもきちっと対応しようと考えているところでございます。
#94
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、監査等委員会設置会社における常勤の監査等委員の選任義務付けについてお伺いをしたいと思います。
 監査等委員会設置会社において常勤の監査等委員の選任を義務付けるかどうかについては法制審議会の会社法制部会でも相当議論があったと聞いておりますが、最終的には、監査等委員会設置会社における監査は、監査等委員が自ら実際行うことにより監査する形ではなく、基本的には今の委員会設置会社と同じように、会社の内部統制システムを利用し、そこから報告を受ける形で監査をすることを想定しているとのことで、常勤の監査等委員を必須とすることにはならなかったというふうに承知しております。
 そこで、これまでの監査役会設置会社では常勤の監査役の設置が義務付けられており、大会社のような規模の会社では社内の情報把握などの点で常勤の監査役が重要な役割を果たしており、監査等委員会においても常勤の監査等委員の選任を義務付けるべきではなかったかとも思いますが、法務大臣の御見解をお伺いいたします。
#95
○政府参考人(深山卓也君) 今御指摘のとおり、現行法の監査役会設置会社については常勤の監査役を置くことが義務付けられております。
 今回、新たに設けました監査等委員会設置会社につきましても常勤の監査等委員を置くことを義務付けたらどうかということについては議論があり、検討したところでございます。
 しかし、結論的には、これも委員の御指摘にあったところですけれども、現行法の委員会設置会社の監査委員会のように内部統制システムを利用した監査を行うと、そういうモデルを想定するのがよろしいだろうということで、結局はこれは監査の仕方をどういうふうに想定をして機関構成をするかということですけれども、現行の委員会設置会社に倣って内部統制システムを利用した監査を行うということを想定して、監査等委員会設置会社においては常勤の監査等委員を選定することを義務付けることはしなかったと、こういう結論になったものでございます。
#96
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、その他の重要な使用人の範囲についてでありますが、現行法における社外取締役の要件は、株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものというふうに定義されております。
 これに対して、社外取締役の経営に対する監督機能の実効性を高めるという観点から、現行法における社外取締役の要件は十分とは言えず、経営者と利害関係を有しない独立性、具体的には、親会社の関係でないものであることや、重要な取引先の関係でないものであること、経営者の近親者でないものであること等が必要であるとの指摘がされていました。
 そこで、今回の改正法案では、社外取締役の要件に親会社関係者でないこと、いわゆる兄弟会社関係者でないこと等が追加され、また株式会社の関係者、つまり取締役、執行役、支配人その他の重要な使用人又は親会社等の配偶者又は二親等以内の血族、姻族でないことも追加されています。
 そこで、今回の改正法案第二条十五号のホで追加されるその他の重要な使用人の範囲は条文上明らかではないかというふうに思います。その他の重要な使用人という概念は第三百六十二条第四項第三号でも用いられておりますが、今回の改正法案第二条十五号ホと同義なのか、法務大臣にお伺いしたいと思います。
#97
○政府参考人(深山卓也君) 今御指摘があったとおり、第二条十五号ホで、重要な使用人に限ってその近親者は社外取締役となることができないこととしておりますが、これは、使用人のうち取締役や執行役に準ずるものについては、その実際の権限に鑑みれば株式会社の利益を犠牲にして自己の利益を図る利益相反行為に及ぶ類型的なおそれがあると、他方で、社外取締役というのはこういった利益相反行為が行われないように監督すべき立場にあると、こういうことを考慮したものでございます。
 したがって、重要な使用人というのは、典型的には使用人のうち取締役や執行役に準ずるもの、例えば実務上よく言われる執行役員などがこれに該当するものと考えられます。そして、この重要な使用人という概念は、現行法では三百六十二条の四項第三号、先ほどお触れになりました、取締役会が選解任の決定を行わなければならないものですけれども、ここにも使用されておりますが、両方の意味は基本的に同じものでございます。
#98
○委員長(荒木清寛君) 糸数さん、時間が来ておりますので、おまとめください。
#99
○糸数慶子君 あと、ほかに通告しておりましたけれども、次回に回したいと思います。
 以上で終わります。
#100
○谷亮子君 生活の党、谷亮子です。
 本日の議題であります会社法の一部を改正する法律案につきまして、本日も質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、今日は、対日直接投資に関する有識者懇談会の報告書についてお伺いさせていただきたいというふうに思います。
 対日直接投資に関する有識者懇談会は、本年、二〇一四年四月二十一日に対日直接投資に関する報告書を取りまとめていらっしゃいます。そして、二〇一四年一月の経済財政諮問会議におきまして、安倍総理の指示を踏まえまして、外国企業の意見を聞きつつ、対日直接投資に対する促進に向けて整理をするために、これは二月二十七日から五回にわたり開催をされておりまして、この中でヒアリングそして様々な協議等が重ねられてまとめられた報告書でございます。
 この同報告書では、取締役の少なくとも三分の一を独立社外取締役とし、どの取締役が当該独立社外取締役かを明確にすべきである、そして、独立社外取締役についてはグローバルなベストプラクティスにのっとったものとなるよう会社法で定義付けるべきである、そして、取締役の研修に関する会社の方針を開示すべきである等々ございまして、外国企業は、こうした変化がもたらされれば、日本のコーポレートガバナンスは主要国経済と同等なものになり、日本の市場に対する投資家の信頼が高まる等々提案されたとのことでございました。
 そこで、谷垣法務大臣に、今回法務省として、この報告書が取りまとめられましたけれども、この内容につきましてどのようにお受け止めになられているのか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
#101
○国務大臣(谷垣禎一君) 対日直接投資に関する有識者懇談会報告書、これは四月の二十一日に取りまとめられたわけでありますが、我が国のコーポレートガバナンスの強化に関して外国企業がどう見ているかという指摘がございます。これは私どもも承知をしております。
 それで、今までもこの点に関する議論は、社外取締役の機能を活用する等々、取締役に対する監査、監督の在り方を見直すべきであるという指摘がずっとされてまいりました。この報告書の指摘もそうでございますが、こういった議論の背景には、いろいろ不祥事もございましたけれども、日本企業では十分なコーポレートガバナンスが行われていない、このことが外国企業と比較して日本企業の収益力を低くしているあるいは株価も低迷しているではないかという、内外投資家の不信感と言ってはなんでございますが、そういうものがあったというふうに認識をしておりまして、今回は、この改正法案は、こういった御指摘を踏まえてコーポレートガバナンスを強化していこうと、コンプライアンスの強化それから企業経営の効率性の向上、これを改正の一つの柱として今御審議をお願いしているわけでございまして、この成立によって日本企業への投資が促進されていくことを私どもは期待をしております。
#102
○谷亮子君 谷垣大臣、ありがとうございました。
 やはりこのコーポレートガバナンスそしてコンプライアンス等の強化が今後生かされるように、いろいろな議論が重ねられてきたということであるというふうに思います。
 そして、この調査結果については、今、谷垣大臣のお話の中にも含まれていたと思いますが、もうすぐ六月に策定予定の、これは経済財政運営の基本方針である骨太の方針に反映させるものとのことでもございます。さきの、この委員会でも取り上げさせていただきました、日本再興戦略での成長戦略の一環として、二〇二〇年までに対日直接投資残高を倍増の三十五兆円へ拡大を目指すという目標を掲げていらっしゃいますので、是非ともこの目標が実現されますことを期待しておりますし、躍進していただきたいというふうに思っております。
 そこで、ただいまこの報告書につきまして受け止めの御所見を谷垣大臣にお聞かせいただいたんですけれども、次に、今回のこの報告書が、この度の会社法改正案で実現される項目についてお聞かせいただきたいと思います。
#103
○政府参考人(深山卓也君) 今お話に出ております、本年四月二十一日に取りまとめられた対日直接投資に関する有識者懇談会の報告書には、外国企業からの提案として、取締役の少なくとも三分の一を独立社外取締役とすべきであるといったことを始めとして、先ほど委員がお述べになられたような記載があることは承知しております。
 この改正法案では、社外取締役の導入を促進するために次のような措置を講じております。
 まず、社外取締役を置きやすい新たな会社類型として、監査等委員として社外取締役を最低二人以上置く必要がある監査等委員会設置会社制度を創設することとしております。また、事業年度の末日において社外取締役を置いていない上場会社等の取締役は、その事業年度に関する定時株主総会において社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならないこととしておりますし、これと併せて法務省令を改正して、事業報告と株主総会参考書類においても社外取締役を置くことが相当でない理由を株主に開示するということも検討しております。
 さらに、改正法案そのものに含まれている内容ではございませんが、法制審議会の附帯決議を踏まえて東京証券取引所等が上場規則の改正を本年二月に行っておりまして、上場会社は取締役である独立役員を少なくとも一名以上確保するように努めなければならないという努力義務規定を設けているところです。
 これらの規律が相まって、社外取締役の導入に向けた各社の取組が一段と促進されることになると思っております。
#104
○谷亮子君 ありがとうございました。
 監査等委員会設置会社等の設置をすること等々、こうした様々な規律を設けて、このことが生かされていくということでございます。
 そして次に、現在、金融庁では、日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会が昨年八月六日の第一回から、本年二月二十六日のこれは第六回までが開催済みでございまして、このスチュワードシップ・コードの導入に向けた検討がこれは金融庁の方でも進められております。
 また、このスチュワードシップ・コードは、企業の持続的な成長をサポートするために機関投資家と投資先企業との対話を深めることを促進する機関投資家向けのこれは原則行動と言われているものでございますが、これは、日本再興戦略、平成二十五年六月十四日に定められました、企業の持続的な成長を促す観点から、幅広い範囲の機関投資家が企業との建設的な対話を行いまして、適切に受託者責任を果たすための原則について、我が国の市場経済のシステムに関する経済財政諮問会議の議論も踏まえながら検討を進めてまいりまして、年内にこれは取りまとめるとの方針に対応したものでございます。
 今回の会社法改正では、社外取締役が選任されない理由をこれは株主総会で説明する義務が定められている等々ございますけれども、このような環境の中で日本の各企業は自社のコーポレートガバナンスについてこれは構築を図らなければならないわけですが、海外、特にアメリカの論者から指摘を受けますのは、日本にはコーポレートガバナンスルールが設けられていないということでございます。
 このコーポレートガバナンスルールとは、日本では金融庁が所管となりますけれども、コーポレートガバナンスについて上場企業が目指すべきベストプラクティスの行動基準との意味で使われております。日本でも既に東京証券取引所におきまして上場会社のコーポレートガバナンス原則を公表いたしておりまして、大変重要な原則が示されておりますし、これは評価に値すると思います。また、今後は具体的な指針となることがこれは期待をされているというわけでございます。
 そこで、このようなことにつきまして諸外国では既に策定されている国が多いと言われておりますけれども、諸外国での導入の現状と、日本での導入について、法務省の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
#105
○政府参考人(深山卓也君) まず、諸外国におけるいわゆるコーポレートガバナンスコードの導入の状況ですけれども、例えばイギリスでは、英国財務報告審議会、これは政府と民間企業の共同出資による独立法人のようですけれども、ここが定めているUKコーポレートガバナンスコードにおいて、取締役会は独立性があると考えている非業務執行取締役を年次報告において特定すること、それから、議長を除く取締役のうち少なくとも半数は取締役会によって独立性があると判断された非業務執行取締役で構成されるべきである旨が規定されておりまして、上場規則によって上場会社は、このUKコーポレートガバナンスコードの規定を遵守しているかどうか、遵守していない場合はその理由を開示しなければならないとされております。
 ドイツあるいはフランスにおきましても同様に、それぞれ政府の委員会あるいは民間の企業連合体がコーポレートガバナンスコードを定めておりまして、独立取締役の人数に関する推奨規定が置かれ、さらに、法律において、上場企業はこのコーポレートガバナンスコードにおける推奨規定を遵守していない場合にはその理由を開示しなければならないなどとされております。
 我が国において、現時点で社外取締役の選任を義務付けることにつきましては、それがかえって各社の実情に応じたコーポレートガバナンス体制の構築を阻害する面もあるというような指摘があることから、改正法案では法律上の義務付けはしておりませんけれども、我が国においても、取締役会の業務執行者に対する監督機能を強化するためには社外取締役を積極的に活用することが望ましいと思われます。
 そこで、改正法案では、社外取締役を置いていない上場会社等の取締役に定時株主総会において社外取締役を置くことが相当でない理由の説明義務を課しておりますし、法制審議会の附帯決議を受けて、先ほども申し上げました東京証券取引所で取締役である独立役員を少なくとも一名以上確保する努力義務規定が既に設けられております。
 このように、この改正法案においても、ヨーロッパ諸国で採用されているいわゆるコンプライ・オア・エクスプレーン・ルールを参考とした同趣旨の規律を設けているところでございます。
#106
○谷亮子君 ありがとうございました。
 ただいまお話しいただきました中には、やはり法制審議会等でいろいろな議論がなされまして、今まさに望ましい結論を出されていらっしゃるというふうに思いますし、今後は日本独自のコーポレートガバナンスということへの構築も同時にこれは考えていかなければならない時期に来ているのかなともいうふうに思っております。
 そして次に、今回の法務省の会社法改正案、そして金融庁で検討されております日本版スチュワードシップ・コード、そして経済産業省の、持続的成長への競争力とインセンティブ、企業と投資家の望ましい関係構築プロジェクト等が整合性を持って機能をし始めることで、これはアベノミクスの三本の矢が好循環を生み、日本への投資が進み、持続した経済成長へつながるものというふうに思います。会社法改正では、そういった意味も含めまして、法務省として一つのこれは回答に先んじて示された、良い結果が生まれていくことを私も御期待を申し上げたいというふうに思っているところです。
 そこで、今回の会社法改正案の第三百二十七条の二では、監査役会設置会社が社外取締役を置いていない場合には、取締役は定時株主総会において社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならないと規定をされておりますし、法務省のこれまでの御説明では、これに関しては、法制審議会会社法制部会の御議論の中で、ドイツでは株式法の改正によりコンプライ・オア・エクスプレーンのルールを導入いたしまして、その結果、遵守率が高いルールと低いルールに分かれ、ルールを遵守していない場合の説明は非常に画一化してくるという状況が生じたとのことでありますと説明をされております。また、結局のところ、エクスプレーンのルールは十分に機能していないという研究が比較的多いとの御報告もございました。そして、守らなければならないルールは法定化してしまうとの対処が図られる等々ございました。
 法務省といたしまして、このことに関しての所見と併せまして、社外取締役を選任しない理由の説明が画一化されないで有効に機能するために会社法でどのような方策が取られているのかを最後に御説明をいただきたいというふうに思います。
#107
○政府参考人(深山卓也君) 今御指摘があったとおり、この社外取締役を置くことが相当でない理由、これの説明が画一的なものになってしまった場合には、コンプライ・オア・エクスプレーン・ルールが十分に機能しないこととなるというのは御指摘のとおりだと思いますし、法制審議会においても、委員の中で、そのドイツの例を挙げられて、このルールが説明が画一化すると十分機能しないことになっているという趣旨の発言をされた方がおられました。
 社外取締役を置かない会社がどのような理由で置いていないのかというのは、もとより各会社の個別の事情によって異なっておりますので、この相当でない理由というものも各社の個別の事情に応じた内容でなければならないのは当然だと思っております。したがって、そもそも、この相当でない理由の説明というのは、性質上、画一的な説明にはなじむものではございません。
 ただ、改正法が成立した場合には、その趣旨の周知徹底を法務省としても努力するということ、それから、法務省令で事業報告と株主総会参考書類においても社外取締役を置くことが相当でない理由の記載を求めることを検討しておりますけれども、その際には、相当でない理由の記載が画一的な説明にはなじむものではないというようなことを明らかにするために、個々の会社のその時点の事情に応じて記載しなければならない旨を規則の明文で定めるといった対策を講ずることも検討していきたいと思っております。
#108
○谷亮子君 ありがとうございました。
 ただいまの御説明で、やはり個別の事情によるものであるということが非常にあるのだということと、今後もそうしたことも踏まえて法務省令等でも検討がなされていくという非常に前向きな御答弁をいただきましたので、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。
 最後にまとめさせていただきますけれども、さきにもお話しさせていただきましたけれども、日本再興戦略では、二〇一二年末で十七・八兆円である対内直接投資残高を六年後の二〇二〇年には三十五兆円に倍増を目指すとうたわれておりますが、やはり日本の企業のガバナンスにおける形が投資家からの魅力、信頼をしっかりとしてもらえるように主要先進国やアジア諸国と比肩できるようなものに変わっていく必要がありまして、今回の会社法改正を手始めとする法務省の今後の取組に期待を申し上げまして、私の質問を終えたいと思います。
 ありがとうございました。
#109
○委員長(荒木清寛君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#110
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、会社法の一部を改正する法律案(第百八十五回国会閣法第二二号)外二案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#111
○前川清成君 前川清成でございます。
 今日も法制局長官にお越しをいただきました。新たに法制局長官に御就任になりました。小松長官が志半ばで病気という形で辞職されましたので、あえて、おめでとうございますというふうには申し上げません。どうぞ、大変なお仕事であろうと思いますけれども、全うしていただきたいと思います。
 さて、前回の委員会で、この会社法の条文が難しいというふうに申し上げました。それに対して小松前長官は、私が就任する前、私というのは小松長官ですけれども、もう何代も前から、結果が国民にとって分かりやすくなっていないのではないか。これは恐らく結論という意味でおっしゃったのだろうと思います。御批判は繰り返し承っているところでございまして、歴代長官も今から私が申し上げていることと同じような、言い訳といってはなんでございますけれども、答弁をしているわけでございますけれども、法令の文章表現ができるだけ簡潔で国民に理解されやすいものであることが大切であることは当然でございますと。ともすれば読みにくくなる面があるということは避け難い面もあるということを歴代長官も申し上げているところでございます。いずれにせよ、御批判は謙虚に受け止めまして、今後とも極力分かりやすい法令の規定を表現するよう心掛けてまいりたいと思っていますと、こういうふうにおっしゃっています。
 新長官は法制局のきっすいの方でございますので、前長官とやはり同様に考えておられるのか、いやいや自分たちのこの職人芸を守るぞというふうに考えておられるのか、いかがでしょうか。
#112
○政府特別補佐人(横畠裕介君) お答えいたします。
 法令が国民にとって分かりやすいものであるべきであるというのは当然のことでございまして、前長官が答弁したそのことは、私ども、私自身も同じ考えでございます。
#113
○前川清成君 就業構造が変化をいたしまして、自営業者の方々が減っています。今働く方の八割以上が雇用者、つまりは多くの方々が会社で働いておられるということになります。自分が働いている会社について知りたいなと思って、会社法、日本語で書いてあるんだけれども、読んでみたら中身がちんぷんかんぷんと。法務省の民事局長でさえ、あるいは、恐縮ですが、法務大臣でさえ会社法の表現ぶりについて読み間違えてしまうと。これでいいのかというふうに私は思っていますが、長官はいかがでしょうか。
#114
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 会社法の前身は御承知のとおり商法にございまして、商法の条文というのは随分数も少なく短い条文で賄っていたわけですけれども、会社法という形で法整備をしたその趣旨の大きなものとして、やはり国民にとってその制度、法律の中身が分かりやすいものにすべきであるというのは大きな柱でございました。
 その意味で、大変条文の数が増え、中身も複雑というか、多くの文言を費やすということになってしまったというのは、これは結果としてそうなってしまったわけでございますけれども、あくまでも国民にとって分かりやすく、また使いやすい法律にするという趣旨で、現代語でかつ今風の書きぶりの法律に改めていったと。それがこの会社法の成り立ちであると理解しています。
 その上で、やはり分かりにくいではないかという御指摘というのは、これは真摯に受け止めるべきことであり、今後とも、これに限らず、あらゆる法令の審査におきましては、分かりやすい法令の規定を実現することに心掛けたいと思っております。
#115
○前川清成君 私の質問の趣旨を理解していただいていますかね。条文が多くなってけしからぬなんて言ってないんですよ。
#116
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 失礼いたしました。
 それぞれの条文につきましても、やはり国民の権利義務に直接関わるものであるということからいたしますと、やはり必要な事項を過不足なく正確に表現するということがこれは求められておりまして、その意味で、規定の表現がなかなか硬いものといいますか、若干の括弧遣いなどもございますけれども、そういう形で読みにくくなってしまうという面があることはなかなか避け難いということは御理解いただきたいと思いますが、その上でなお分かりやすいようなものにするために努力をしたいと申し上げているところでございます。
#117
○前川清成君 若干というのは何個ぐらいまでをいうんですか。
#118
○政府特別補佐人(横畠裕介君) なかなか、条文を書き下しで一文で書くというのは大変分かりにくくなってしまいますので、必要に応じてと。ただし、二重括弧ぐらいまでは結構ありますけれども、三重括弧を超えるようなもの、そういうものはもう極力避けるようにしております。
#119
○前川清成君 これからいろいろ議論したい百七十九条については、括弧は何重括弧になっておりますでしょうか。
#120
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 括弧は二重まであると思います。
#121
○前川清成君 二重括弧が何段になっているんですか。
#122
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 済みません、何段というちょっと御指摘が分かりにくいので、ちょっと何をお答えしていいのか分からなかったんですが。
#123
○前川清成君 括弧の中に括弧が三回あるんでしょう、こういうのは分かりにくいでしょうと。若干というのは、せいぜい条文が十個あったらその中の一文で括弧は使っていると、これを普通の日本語で言う若干というんですよ。
 それともう一つ。先ほど、その法律の中に必要な事項が過不足なく書かれている、これが大事だと私も思います。午前中の質疑を聞いておられないから分からないと思うんだけれども、この売渡し請求において、対象会社の取締役会は、特定支配株主の資力あるいは対価の相当性などなどについても善管注意義務の一内実として審査しなければならない、こういうふうな大臣の御答弁がありました。
 その善管注意義務の内容として、善管注意義務というのは委任契約に基づくわけですよね、会社と取締役との。対象会社と取締役との委任契約に基づいて善管注意義務が発生するんだけれども、その委任契約の第三者である売渡し株主のための配慮義務が善管注意義務から発生するというのもこの会社法の中に過不足なく書かれているかと思います。どこに書かれているのか、御説明いただきたいと思います。
#124
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 若干午前中の御議論に付いていけてないところがあると思いますけれども、それは会社という制度の中での株主との、会社さらにはその取締役との一般的な関係をどのように理解するかという、そこの一応用事例なのではないかというふうには思います。
#125
○前川清成君 いやいや、長官にいきなり意地悪な質問をしてるんじゃないんですけど、過不足なく書かれているとおっしゃったので、どこに書いているんですかって場所をお聞きしているんです。もしも書かれてないんだったら書かれてないって答えてください。
#126
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 今、直ちにちょっとお答えすることができない状態にございます。
#127
○委員長(荒木清寛君) 補足はあるんですか。
#128
○前川清成君 いや、長官、書かれていないんだったら書かれていないと答えてくれたら、それだけでいいんですよ。
#129
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 失礼いたしました。
 一般的な規定としまして、会社法の第三百三十条に、株式会社と役員との関係につきまして、委任に関する規定に従うという規定がございまして、これによるものと考えられます。
#130
○前川清成君 いやいや、違うんですよ。僕は、その委任が準用されるのはよく分かっていて、民法に戻って善管注意義務だというのは分かっているんですよ。今お聞きしたのは、対価の相当性とかあるいは特定支配株主の資力に関してまで対象会社の取締役会がチェックしなければならないなんてことは会社法の条文の中にはないでしょうと、こう言っているんですよ。
#131
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 今お答えしたその一般的な規定を超えて特にそのような規定を設けているわけではないと思います。
#132
○前川清成君 だから、これ五分ぐらい無駄にしましたからね。ないと言ってくれたらいいんですよ。
 その上で私が言いたいのは、過不足なく書くと言いながら、今、大変この委員会で問題になっている売渡し株主の保護に関して対象会社の取締役会がどういう役割を果たさなければならないかについて条文がないわけですよ。後になって法務省令で書き加えるというふうに言っておられるわけです。
 私は、日本の会社に関するルールは会社法を読めば大体分かる、重箱の隅までは分からなくても、おおよそのところはその会社法を見れば分かるだろうと。会社法を見て、法務省の通達を見て、あるいは判例を見て、いろいろなものを見ないと分からない、さらには上場規則まで見ないと全体としての会社法のルールが分からないというのでは、日本の制度というのは世界に対して開かれていない閉鎖的なルールというふうに映ってしまって、海外の投資家が日本に投資しようとはしない。
 そういう意味において、例えばこれから債権法という大きな仕事がきっと法制局に入ってくるかと思います。その債権法というのはもっと会社法以上に国民の権利義務に直接関わってくるわけですから、その国の法律を見れば、その分野に関するおおよそのことは全て理解できるという私は哲学を持っているんですが、このフィロソフィーに対して反対か賛成か聞かせてください、最後に。
#133
○政府特別補佐人(横畠裕介君) 会社制度といいますのは我が国固有のものではないということも前提にする必要があると思いますけれども、御指摘のように、国際的な取引等々の過程において支障がないような制度であるべきであるという御指摘はごもっともであると思います。
#134
○前川清成君 ちょっと私と新しい長官とは相性が合わないようですけど、じゃ、そういう対応をされるんだったら、これから徹底的に議論させていただきたいと思います。
 さて、今度、詐害的会社分割に関する規定が追加をされました。従前から、事業再生の一環として採算部門と非採算部門を分離をして、非採算部門と債務を旧会社、分割会社に残して、採算部門は新会社、承継会社が引き継ぐという手法が取られてきました。その場合にも債権者保護のための規定もあったし、私はそれで十分機能していたように思いますが、今回、どうして新たな対処をされたのか、法務大臣にお尋ねをいたします。
#135
○国務大臣(谷垣禎一君) 近時、詐害的な会社分割が行われているという指摘がございまして、つまり、吸収分割においては、吸収分割会社が、吸収分割承継会社に債務の履行を請求することができる債権者とそれから吸収分割承継会社に承継されない債権者を恣意的に分けて、吸収分割承継会社に優良事業や資産を集中していくと、その結果、承継されない債権者が十分に債務の弁済を受けられないというような、承継されない債権者を害する会社分割の例がしばしば見受けられると。
 そこで、現行法では、こういう詐害的な会社分割において承継されない債権者の保護を図るための方策として民法上の詐害行為取消し権が用いられているわけでございますが、しかし、承継されない債権者の保護を図るためには、会社分割による財産の移転を取り消すまでの必要は必ずしもないと、端的に、こういう債権者は吸収分割承継会社に対して債務の履行を直接請求することができるとすることがむしろ簡明直截であろうと、こういう理由から今回の新たな制度を設けたわけでございます。
#136
○前川清成君 今大臣が言われたその承継会社とかいう言い方をするとややこしいので、残された会社、旧会社というふうに言わせてもらいます。
 会社分割をされて旧会社に残される債権者に異存があれば、現行会社法の七百八十九条の一項二号で異議を述べることができて、異議を述べたら、七百八十九条の五項で、弁済をするか、若しくは相当の担保を提供しなければならないと、こういうふうに書いているわけです。
 詐害行為取消し権云々よりも、あるいは新会社に請求できるよりも、異議を述べたら払ってもらえるわけですよ。これ以上に強い保護はないと思いますので、私は、どうしてこの新しい手当てをされたのかがよく分からないんですが。
#137
○国務大臣(谷垣禎一君) 承継されない債権者は異議を述べられないということがございまして、それで今回のような制度にしたということでございます。
#138
○前川清成君 それじゃ、新しい、今度新設される七百五十九条の四項、今引用していただいたのはどのような射程といいますか適用範囲、これを考えておられるんでしょうか。
#139
○国務大臣(谷垣禎一君) 今度の改正法では、吸収分割会社が、承継されない債権者を害する、そのことを知って会社分割した場合、こういう債権者は、吸収分割承継会社に対して、承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求することができると、こういう基本的な仕組みですね。
 それから、改正法案では、吸収分割承継会社の利益も考えなきゃいかぬということで、詐害行為、民法上の詐害行為取消し権の要件を参考にしまして、吸収分割承継会社が吸収分割の効力が生じたときにおいて承継されない債権者を害すべき事実を知らなかったときは、承継されない債権者が吸収分割承継会社に対して債務の履行を請求することができない、こんなふうに規定しているわけでございます。
#140
○前川清成君 ちょっと、何か二人だけの話になってしまっていますので、もうちょっと単純な話に戻したいというふうに思います。
 多重的代表訴訟ですけれども、八百四十七条の三の一項で百分の一以上というふうに定められています。その百分の一と定めた理由について、これまで、少数株主権のうち最も割合の小さいものを選んだと、こういうふうなお答えを何度か繰り返しておられるんですけれども、百分の一にしたのは、その横並び以外に何か実質的な理由というのはあるんでしょうか。
#141
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、そういう意味では、前川委員のおっしゃる横並びといいますか、今まで会社法上のいろいろな少数株主において要求される持ち株割合、最も小さいものが一%、それと横並びで定めたというのが主な理由だろうと存じます。
#142
○前川清成君 それだけの理由だったら、適用される場面に応じて私は具体的な妥当性に欠けるのではないかと思っているんですが。
 通告しておいたんですけれども、上場している持ち株会社において最も時価総額の大きな会社はどこで幾らなのか、上場している持ち株会社において最も時価総額の小さな会社はどこで幾らなのか、お教えいただけますでしょうか。
#143
○国務大臣(谷垣禎一君) 東京証券取引所から資料をいただきまして、それによりますと、東京証券取引所以外に一般的に統計があるわけではございませんので東京証券取引所の資料に基づきますと、最も時価総額が大きな持ち株会社、これは株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループで、これは本年四月末現在の時価総額が約七兆七千億でございます。それから、一番時価総額が小さな会社はジェイ・エスコムホールディングス株式会社で、これは時価総額、これが本年四月末で約四億七千万円ということのようでございます。
#144
○前川清成君 私も三菱UFJフィナンシャル・グループの時価総額を調べさせていただきました。私は、この前の質問の前でしたので、五月十三日の終値、これが五百七十八円でして、発行済株式総数が百四十一億六千四百十七万九千八百二十株、これを掛け算いたしますと八兆一千八百六十八億円でございます。
 大和銀行に対する株主代表訴訟が大変大きな社会的な注目を集めましたが、かつて私は三和銀行の株を持っていましたと、東京銀行の株を持っていましたというふうな人たちは今この三菱UFJの持ち株会社の株主になっています。三和銀行の株を持っていたときに、三和銀行の行員が何か悪いことをすると代表訴訟を提起することができたんですが、今度持ち株会社になりましたので、できなくなりました。それはちょっとおかしいよねということで、今回この多重的代表訴訟の規律が生まれたんですけれども、時価総額がおよそ八兆円、八兆円の百分の一を持っていたら代表訴訟を起こすことができると。八兆円の百分の一ですから八百億円。八百億円の株を持っているような人たちが一体世の中にいるのかということであります。
 百分の一にするのか千分の一にするのか一万分の一にするのか、これは理論的には何とでも成り立つわけです。社会を規律するルールとして、現実的な妥当性がある水準としてどこを設定するのかというふうなことを考えたときに、時価総額が八兆円の会社がある中で百分の一というふうに定めてしまうのは余りにもお役人的発想ではないかなと、私はそう思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#145
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、時価総額八兆円で百分の一といっても相当巨額なものになることは委員おっしゃるとおりでございます。
 ただ、実際の、今の三菱UFJフィナンシャル・グループでいいますと、少なくとも十社は百分の一を超える株主があるということでございますし、そのほか、発行済株式の一%以上を有する株主の数というのは各大企業の中でもその程度はおられるようでございます。
 それからもう一つは、複数の株主が共同して多重代表訴訟を提起することも認められますので、今おっしゃったように、確かに巨額ではありますが、これが行使が不可能だということではないのではないかと思います。
#146
○前川清成君 でも、そもそも代表訴訟というのは少数株主権ではなかったわけですよ。それは三菱UFJの何万人という株主の中で三人か五人かしか提起できない、そういう仕組みにつくろうじゃなくて、単位株以上持っていれば誰だって代表訴訟を提起することができるんだと。
 先日、参考人が、株式会社のガバナンスを守るためには株主も行動しなければならないというふうにおっしゃったんです。その趣旨からしますと、代表訴訟というのは最もガバナンスのために株主が行動できる権利の一つかというふうに思います。現に代表訴訟は少数株主権としては措置されていませんでした。今回、一歩前進とまでは言えませんけれども、制度を触るのであれば、この百分の一という数字をもう少し現実的なもの、きっと後ろの小役人どもがへ理屈を付けたんだと思いますけれども、三菱UFJ銀行に何社かそういう会社がありますなんて、そんな牽強付会なことを申されずに、現実の社会において、八百億円ないと代表訴訟は起こせませんよという規律が正しいのかどうか、賢明な大臣におかれては是非お考えをいただけたらと、こういうふうに思います。
 それで、残された時間があと三十分になってしまいましたので、今日のメーンディッシュというんでしょうか、売渡し請求についていろいろ最終的な議論をさせていただきたいんですが、百七十九条の一項で、原則十分の九以上の株式を持っている者がこの売渡し請求権を行使することができるとなっています。この十分の九というふうに定めたのは、先ほどの百分の一と同様に何か実質的な理由はあるんでしょうか。
#147
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、キャッシュアウトいたしますときに株主総会を不要とするということが必要でございますので、そういう株主総会不要の数字ということで十分の九ということでございます。
#148
○前川清成君 大臣、誠に私不勉強なんだと思いますけれども、キャッシュアウトと言われてもよく分かりませんし、キャッシュアウトするときに株主総会を不要とするんだから十分の九と言われてもよく理解できません。具体的な事例に即してお答えいただけますでしょうか。
#149
○国務大臣(谷垣禎一君) キャッシュアウトは、法制審議会がこういう言葉を使っておりましたので、私も英語が弱いものでございますので一知半解で使っているところがございますが、要するに、今回こういう、例えば十分の九の大株主であれば少数株主に売り渡すように請求が、要求ができるということになりまして、その狙いの一つは、柔軟な企業統治ができるようにというようなことと、またもう一つは、迅速に意思決定ができることということになっておりますが、十分の九以下ですと株主総会の特別決議が必要ということになりまして非常に手間が掛かると。したがって、十分の九を超えればそれが不要になり、迅速な意思決定が可能である。そういう数字として、余り小さなものにそういう迅速な意思決定を認めることができませんので、十分の九ということであります。
#150
○前川清成君 それでは、その十分の九以上を持っている、今の大臣のお言葉を使いますと、大臣、今、特別支配株主と言わずに大株主と言われたのでその同じ意味で使わせていただきますけれども、大株主がその小株主、十分の一のもろもろの株主をその会社から締め出してまで企業再編等をやらなければならないという実務上の実益、どうしてこういう条文が置かれたのかという経済上の要請みたいなものはあるんでしょうか。
#151
○国務大臣(谷垣禎一君) これは一つは、先ほどやや申し上げましたが、長期的視野に立った柔軟な経営が必要だとされる場合があると。それから、株主総会の特別決議というものをしばしば要求していると、なかなか迅速な意思決定ができない。それから、株主管理コスト、いろいろな通知等々の管理コストというのがございますので、要するに一〇〇%子会社をつくりたいという実務上の要請が今までもあった。そういうことを踏まえたものでございます。
#152
○前川清成君 最後におっしゃった株主の管理コストというのは、一定以上の単位の株を持たないと議決権等行使できない、いわゆる単元株があるので、もうしんしゃくする必要はないだろうと思うんです。
 今の大臣のお答えのポイントは、大株主によって一〇〇%子会社を手っ取り早くつくる必要があるんだ、それがひいては長期的な視野に立った経営を行うことができるんだ、こういうことなんだろうと、勝手に意訳するとですよ、そういうことなんだろうと思うんですけど。私が言いたいのは、利益衡量、バランスの問題として、長期的な視野に立った経営をしなければならない状況があるというのもよくよく分かります。よくよく分かるんですけれども、それは十分の一しかいない小株主を追い出してまでその一〇〇%子会社をつくらないと実現できないことなんでしょうか。
 株主総会においても、十分の九あれば圧倒的な多数を握っているわけですよ、握れるわけですよね。取締役にしたって、代表取締役にしたって、その十分の九のグループの人たちが完全に支配できるわけです。完全に支配できるんだから、例えば、今の大臣の御説明のように、目先の利益は求めないんだと、長期的な経営をしていくんだというふうなことが私は可能だと思うんです。
 大臣のおっしゃっている意図というのはよく分かります、長期的な視野でというのは分かる。しかし、その手段として、何で十分の一の小株主を追い出して大株主が一〇〇%子会社をつくらなければならないのかというのがよく分からないんですが。
#153
○国務大臣(谷垣禎一君) これは企業も、私も企業経営の直接の経験がございませんので、十分実情に触れた答えかどうか分かりませんが、ある意味で非常に国際化したり市場の変化も激しいときに、やはり十分の九と十分の一で、迅速な意思決定というのはかなり違うのではないかと思います。
 先ほど申し上げましたいろいろな手続的な要件の取り方などもそういうものが表れて、一〇〇%子会社にして迅速な意思決定をしたいという実務上の要請が、今までこういうキャッシュアウトと申しますか、そういう制度が、元々は必ずしもキャッシュアウトを目的とした条項でないものを使ってまで行われてきたのは、かなりそういう実務上の要請があるのではないかと私は考えております。
#154
○前川清成君 例えば、目の前にいい取引が来たと、すぐこれ契約しなければならない、迅速な意思決定が必要だ。でも、その場合は取締役会で決めれば足りることですよね。別に子会社にする必要も全然ないと思うんですけど、そのスピードのある迅速な意思決定のために一〇〇%子会社をつくらなければならないというのはどういうケースであるんですかね。
#155
○国務大臣(谷垣禎一君) 少数株主というものがおりますと、やはりそれに対する当然善管注意義務というのがあるだろうと思います。一〇〇%子会社にいたしますと、そういう判断も極めて早くなるのではないかと考えます。その辺りのことが、例えば一〇〇%子会社になる当該会社も、上場、非上場いろいろあると思いますが、上場するとか非上場にするとか、そういうような判断もしやすく、スピード感があるのではないかと私は考えます。
#156
○前川清成君 私はちょっと余りよく分からないんです。御案内のとおり、善管注意義務の内容としては、ビジネス・ジャッジメント・ルールというのがあって、そのときにいい話があったら飛び付きなさいよ、結果は問いませんよと、荒っぽく言えばですよ、こういう判例理論も確立しているにもかかわらず、十分の一の少数株主がいたら善管注意義務の内容が関わってくるというのはよく分かりません。
#157
○国務大臣(谷垣禎一君) これは私、企業経営をしたことはないんで、本当に自分自身の、何というんでしょうか、得心として申し上げるわけには必ずしもまいりませんが、話をいろいろ聞きますと、今の、何て委員おっしゃいましたか、何とかジャッジメントルールとおっしゃいました、そういうようなものも確かにあるんでしょうが、やはり現実に反対する少数株主がいると、なかなかそこに思い切ってできないというようなことがあるという話は私は伺ったことがあります。
#158
○前川清成君 企業経営をしたことがないというふうにお答えになると、じゃ企業経営した方にお聞きせざるを得なくなるんですが、今日はそれはやめておこうと思います。ただ、裁判官もほとんどの方は企業経営していないけれども、実際に判断はするわけです。ビジネス・ジャッジメント・ルールについても同様ですよね。企業経営したことないんで答えられないというのは、私、ちょっと法務大臣として、何というんでしょうか、そのお言葉は口になさらない方がいいのではないのかなと。
 せっかく特別支配株主の株式等売渡し請求という制度をつくられるのであれば、具体的にこういうケースがありますという例もお示しをいただいて、こういう場合に対処できないから、実務上こういう必要性があるからこういう制度をつくるべきだという丁寧な説明があってしかるべきで、十分の一の少数株主がおったら善管注意義務の内容が変わってくるんだというふうな、私はそれは全くへ理屈にしか聞こえません。
 その上で、今大臣からこの売渡し請求について具体的な必要性についてお話しいただけなかったわけですが、その上でお尋ねしたいんですけれども、どういう場合には株の所有権の取得時期を大株主が決めた取得日としなければならない必要性があるのか。つまりは、通常の売買のように代金が支払われたときに所有権が移転するというふうに定めてはいけないのか。
 恐らく予想されるお答えとしては、少数株主といっても一人二人で済まぬこともあるだろう、だから全員の支払を待っていたらなかなか迅速な企業再編ができないんだと、こういうお話があるかもしれませんが、そうであれば、あらかじめ、株主は権利を持っているわけですから、お金を用意しておいて、取得日にすぐに提供できる、支払できるような体制を整えてから請求権を行使したらいいのであって、株主の頭数が多いのでやっぱり取得日に所有権を移転させなければならないというのは、具体的な必要性が示されていない状況の中では、余りにも売渡し株主の保護に欠けるのではないかと、こういうふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
#159
○国務大臣(谷垣禎一君) 要するに、支払能力があるかどうかというようなことは、承諾を与える上での一つの重要な判断要素に当然なると思います。しかし、今委員がおっしゃったのは、じゃ、あらかじめ用意しておいて、つまり同時履行的に支払わすべきではなかろうかと、こういうことですね。
 ただ、今まさに、先ほど私の答えを先取りしておっしゃったんですが、たくさんいらっしゃると、それはその履行地も様々。それから、株主名簿を見てやっても、場合によると、なかなかその所在地におられないというようなこともあろうかと思います。そういう大量の一律処理の必要性というものがあるというふうに私は考えます。
#160
○前川清成君 今大臣は、取得日にお金を払わなくても所有権が移転する理由として、履行地が様々だと、こういうふうにおっしゃいました。確かに、金銭債務ですので持参債務になります。しかし、それならば、この売渡し請求の場合には取立て債務、履行地は会社の本店所在地だというふうに定めれば済むことですし、所在不明の株主がいらっしゃったのであれば、それは提供すれば足りることですよね。
 より売渡し株主にとって制限が少ない、つまりは権利侵害が少ない手段があるにもかかわらず、このような、大胆なというか、取得日にお金も払っていないんだけれども、お金ももらっていないんだけれども株は失ってしまうと、ここまで大胆なことを決める必要は私はないのではないかと。繰り返しますが、大臣のおっしゃったようなことは、持参債務を取立て債務にするなり提供するなりで現行法上も十分可能じゃないかと考えますが。
#161
○国務大臣(谷垣禎一君) これ、大量処理の必要性のあるときにはしばしばこのような手法が取られているのではないかと思います。現行法で行われるいわゆるキャッシュアウト、一〇〇%子会社をつくろうという、現行法の上においても同じ結論になっていると思います。
#162
○前川清成君 いや、ほかの場合もそないなっているからこれもこないでええねんと言われたら、少数株主は文字どおり立つ瀬がないわけです。既存の制度がその株主の保護に十分でないというのであれば、併せて直せばいいと思うんです。
 もう一度言いますけれども、売渡し請求が現実に機能しなければならない場合、経済界においてあるいは会社実務において売渡し請求が期待される事例というのがよく私には分からないというか、御説明がない中で、取得日に一方的に権利だけ失わせると。それしか方法がないのであれば別ですけれども、今私が御提案申し上げたとおり、方法はあると思います。私一人で考えるだけでもこんなに幾つもあるんですから、後ろにいらっしゃる五人、十人の方々だったら、立ち所にほかの方法も考えられるはずなんです。それにもかかわらずなぜ具体的な提案がないのかなというふうに不思議に思います。
 それと、もう一つお聞きしますが、その売渡し請求との関係で、対価は時価でなくても構わない、相当な価格でなくても構わない、著しく不当な価格でなければいいというふうになりました。これはどうしてなんでしょう。
#163
○国務大臣(谷垣禎一君) これは通常、客観性といいますか妥当性を確保するために、これが行われる場合には、第三者算定機関から株式価値の評価書を取得した上で、そして対価の相当性を確認するという実務が確立しているということでございまして、第三者算定機関は、もちろん算定するときに基礎は市場価格です。市場価格ですが、市場株価等を基礎としながら株式の客観的価値を算定した上で、それにプレミアムを付加するという方法で株式の価値を評価するのが通常だと言われております。
 したがいまして、その時価でなくてよいという意味は、こういう例えばプレミアム等をどうするかということを含んで判断できると、こういう意味であります。
#164
○前川清成君 いやいや、ちょっと大臣、今のお答えと条文とが乖離するんじゃないかと思うんですが。
 百七十九条の七の一項三号は、著しく不当である場合、これは売渡し請求やめろと請求できるんですよね。法律の基準としては、著しく不当であったらあかんわけですよ。著しく不当で、だから著しくが付いていない不当であったら値段はええわけですよ。今大臣おっしゃったように、時価を基準とした相当な価格を対価として決めろというのはどこかの条文にあるんですか。
#165
○国務大臣(谷垣禎一君) 条文の上では、最初、申出のときに価格を決めるという条文、ちょっと今すぐ見当たりませんが、あると思います。それで、その中身そのものが書いてあるわけではありません。これは、あくまでちょっとでも不安があれば価格決定の申出ができるという仕組みになっております。そして、先ほどの著しく不当である場合とお引きになったのは、これは差止め請求ができる場合でございます。
#166
○前川清成君 いや、その価格に関してはこの差止め請求に関する条文しかないんですよ、私が見たところ。著しく不当だったら差止めできるわけですよ。だから、著しく不当でなかったら差止めできないということは、裏返しをすると、会社法の条文としては対価の価格は著しく不当でなければいいと、こういうふうに読むのが普通ですよね。今大臣おっしゃるように、正当な価格でなければならないというふうにどこかに書いてあるんですか。
#167
○国務大臣(谷垣禎一君) 売買価格、これは最初に要するに売渡しを請求する株主がこういう株価を一応自分で算定するわけですが、そのこと、中身自体はこれには十分書いてございません。ただ、不安な場合は売買価格の決定の申立てが行われる、それは裁判所に対してすると、こういう仕組みになっています。
#168
○前川清成君 だから、大臣、今の私の質問で、どこにも書いていないんですよね。
#169
○国務大臣(谷垣禎一君) おっしゃるように、直接は書いてございません。当然の前提として、先ほど私が申し上げたような実務慣行を前提としてこういう仕組みになっているということです。
#170
○前川清成君 そうしたら、先ほど申し上げたように、アメリカの投資家が日本株を買おうとして、投資しようかな、いや、やっぱり韓国の株の方がいいかなと迷ったときに、いや、日本の株やったらあかんで、会社法を見たら著しく不当でない場合には取り上げられてしまうと、こう書いてあって、やっぱり投資先は韓国やねと、こういうふうに私はなってしまうと思いますけどね。
 それと、それに追加してお尋ねしますけれども、じゃ、仮に時価が千円の株があったとして、著しく不当というのは幾らぐらいまでを指すわけですか。
#171
○国務大臣(谷垣禎一君) これはケース・バイ・ケースと申し上げるしかないと思います。
#172
○前川清成君 私もそう思うんですけれども、ただし、何らかの判断基準がないと、承認しなければならない取締役会の皆さん方も判断基準がないから困る。裁判になったときに、裁判官も著しく不当という価格を基準を丸投げされてしまったらやっぱり困る。もう少し個別具体的に、これこれこれこれこれこれという事情をしんしゃくして対価を決めるべきだというふうに書くのが当たり前じゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
#173
○国務大臣(谷垣禎一君) 差止め請求を認める要件としては著しく不当な対価ということですけれども、実際にその売渡し請求を承認するかどうかの場合には、先ほど申し上げたような実務慣行というものがあるわけですから、やはりそういうものが一つの基準になるだろうと私は考えます。
#174
○前川清成君 いや、ごめんなさい、ちょっとごめんなさい。大臣の聡明な頭に私が付いていけなくて。
 そういうふうな実務慣行と言われても、どういうふうな基準なのかが分からないんですが。
#175
○国務大臣(谷垣禎一君) 要するに、対象会社が第三者算定機関から評価を取得した上で対価の妥当性を、相当性を確認すると。それで、この第三者算定機関は要するに時価が標準となって判断するわけですが、市場時価を基礎としながら株式の客観的基準、価値を算定して、それにプレミアムを付加するという形で決めていると。これが一つの慣行となっているということでございます。
#176
○前川清成君 その第三者機関というのはどういう機関なんですか。例えば東京証券取引所とか、言わば公の機関もあれば全く個人でやっておられるようなところもあるわけですか。
#177
○国務大臣(谷垣禎一君) 証券会社等々がその役を担っているということだろうと思います。
#178
○前川清成君 そうなるとますます分からないんですけど。
 証券会社の業務の中に、キャッシュアウトというんでしょうか、一〇〇%子会社をつくってやると、そういう仕事もありますよね。そういう仕事を担う人が買い占める株の値段も決めてしまうと、これはまさにお手盛りですよね。こんなので公平性が守られるんですか。
#179
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、独立性を担保する人でないとこの第三者算定機関はできないと、こういうことのようでございます。
#180
○前川清成君 独立性がないとできないというのは法律に書いてあるわけではないですよね。
#181
○国務大臣(谷垣禎一君) これは実務慣行でございます。
#182
○前川清成君 実務慣行、実務慣行と言われても、慣習法時代のローマ法じゃなくて、法制局長官がお好きな括弧を何重にも何重にも重ねてそれこそきめ細やかに書いている会社法の中にある部分だけ突如慣習法を持ち出されても、やっぱり法全体としての整合性というのは私はどうかなと、こういうふうに思うんです。
 いずれにしても、この売渡し請求という制度は余り練れていないというふうに思うんですけれども。
 練れていないところのもう一つに、例えばこの前、深山民事局長が、もしも少数株主がお金を払ってもらわなかったらどうしたらいいんですかという質問に対して、解除したらいいんだと、こういうふうにお答えになりました。解除についてはというと、民法の規定をそのまま適用するんだと、こういうことでした。
 そうであれば、例えばですけれども、この特別支配株主が少数株主から株を買い取って取得日以降に第三者に転売してしまった。転売してしまったならば民法の規定で第三者に当たってしまうので、お金は払ってもらえないけれども株は戻ってこない。解除したらいいと言われたけれども、解除したって権利は失ったまま。ちょっと、代金がもしも支払われない場合というのはあり得るわけですから、その場合に対する手当てが民法の解除の規定に丸投げというのは弱過ぎるように思いますが、大臣、いかがですか。
#183
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、支払を確保するというのはいろんな手法があると思うんです。
 まず、ちょっと、えらくそもそもに戻ってしまいますが、要するに、取締役会あるいは取締役が承認するという中に、その支払の確実性というものを考慮しながら判断するということが入ってくると思います。それは、今の、特にこれは上場会社の場合ですが、いわゆるキャッシュアウトでは、対象会社がキャッシュアウトをしようとする買収者の資金確保の手段を、預金残高証明書であるとかあるいは融資証明書により確認するという実務が確立しております。
 そういった様々な手法があると思いますし、それがさらに解除の後にもいわゆる無効の訴え、取締役に対する損害賠償といったようなものが用意されていると、こういうことでございます。
#184
○前川清成君 いや、ちょっと議論が詰まっていないと思うんです。大臣は、今のお答えはこれまでのお答えと同様で、対象会社の取締役会が承認するときに十分チェックするんだ、だから代金の不払は起こらないんだと、こういうふうにおっしゃるわけですけれども、しかし、法律というのは、ルールを破る人があるからそれを前提にしてできているわけで、もしもチェックしたけれども払わない人がいた、その場合の規定を民法に丸投げでは、しかも、民法の場合には第三者の保護の規定があるので、少数株主に株は戻ってこないと。私は不十分だと思います。
 まだまだこの点についても議論をしたいんですが、最後に大臣にお尋ねしたいのは、この前も申し上げたんですが、私たちは、法務部門会議という会議で、会社法に関して二度ほど説明を聞きました、法務省の担当者から。私は、質問の前日か前々日かに担当者の方に来ていただいて、もう一度説明を受けました。そのときに持ってきてくれたのがこの紙で、この紙は、例えば監査等委員会設置会社の創設とか社外取締役の導入の促進とか、いろいろ論点が全部で七つ書いてあるわけです。
 この参議院の委員会の審議で大変様々な疑問が出てきた今の特別支配株主の売渡し請求については、どこを見ても一切触れられていないわけです。もしも、もっと早い段階でこの売渡し請求に関して正直な説明があって、あるいは問題点もそれぞれ議員間の討議で詰めることができたら、この会社法の審議というのはもっとスムーズだったと思うんです。
 そこでお聞きするんですが、我々野党にはこの七枚の紙しかもらっていないんですが、与党の皆さん方には、この売渡し請求の問題点、実務上の必要性などなど、正直な説明はあったんですか。
#185
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、事務方に聞きますと、民主党にお示ししたのと同じ資料で与党に説明したと聞いております。
#186
○前川清成君 それなら、私なお問題が大きいと思うんですが、与党の法案審査においてもこの売渡し請求については一切説明しないと。つまり、様々な質問で明らかになったように、問題点が少なからずあると、どうせ国会議員は法律の条文まで見よらへんやろ、この薄っぺらい紙切れあったら十分だ、そういう国会軽視が法務省の担当者の中に少なからずあったんじゃないのか、それが結果としてこの会社法に対して大変強い疑念を生じさせているのではないのかと。この法務省の説明のありよう、国会に対する説明の責任、この点について大臣にお伺いしたいと思います。──そんなこと後ろから言うな。おまえが答えることかよ、これ。
#187
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、御説明が足りない点があったとすれば、おわびを申し上げなければいけません。
 今後とも、できるだけ法律の内容を幅広にきちっと御説明申し上げて、御理解がいただけるように努力をさせたいと思います。
#188
○前川清成君 時間ですので終わりますけれども、今、官僚の説明責任に対してお尋ねして、それを大臣がお答えになろうとするときに、ちょろちょろと当該責任者張本人が大臣の耳元で答えをささやくなんということは、大臣の人格に対する侮辱ですし、大臣の能力に対する侮辱だと私は思いますよ。
 もう少し官僚の皆さんは節度を持って国会審議に当たるべきだということを私は申し上げて、質問を終えたいと思います。
#189
○国務大臣(谷垣禎一君) 今いただいた御注意はよくこれから体してやりたいと思います。
 ただ、私も法務大臣になりまして、法務省の仕事も幅が広いものでございますから、私一人がカバーできる範囲は知れております。衆知を集めて仕事をして、最後は、責任は私が取らなければならないわけでございますが、でき得れば、国会の御審議でも、私一人が答えられる範囲でやっておりますと材料等も不十分になると思います。ですから、そこを専門的に担当してきた者の意見も時々聞いていただけると有り難いと思っております。
#190
○委員長(荒木清寛君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時散会
ソース: 国立国会図書館
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