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2014/05/22 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第17号
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2014/05/22 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第17号

#1
第186回国会 法務委員会 第17号
平成二十六年五月二十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                山下 雄平君
                若林 健太君
                小川 敏夫君
    委 員
                石井 準一君
                溝手 顕正君
                宮沢 洋一君
                柳本 卓治君
                吉田 博美君
                有田 芳生君
                江田 五月君
                前川 清成君
               佐々木さやか君
                行田 邦子君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       法務副大臣    奥野 信亮君
       文部科学副大臣  西川 京子君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  平口  洋君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   安浪 亮介君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   垣内  正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       内閣官房法曹養
       成制度改革推進
       室長       大塲亮太郎君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小川 秀樹君
       法務省民事局長  深山 卓也君
       法務省矯正局長  西田  博君
       法務省保護局長  齊藤 雄彦君
       文部科学大臣官
       房審議官     中岡  司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (法曹養成制度等現下の諸課題に関する件)
○司法試験法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房法曹養成制度改革推進室長大塲亮太郎君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(荒木清寛君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法曹養成制度等現下の諸課題に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○若林健太君 おはようございます。自由民主党の若林でございます。
 本日は、法曹養成制度等現下の課題についてということでの一般質疑でございます。
 まず初めに、報道によりますと、今年の司法試験の受験者数は八千十五名と、三年ぶりに増加をしたということでございます。その背景には、今回の法改正により受験回数制限が廃止されることがあるという指摘もあるわけですが、この点について、法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#6
○国務大臣(谷垣禎一君) 今年の受験者数は八千十五人、昨年より三百六十二人増加しております。これはあくまで速報値ですので、今後、若干正式には変わるかもしれません。
 それで、なぜそうなったのかということでございますが、確たる原因は不明と言わざるを得ないんですが、今おっしゃいましたように、これまで司法試験の受験の回数が五年で三回とされていたのを、その制限をなくして五年で五回受けられることにしようという今改正案を御審議いただいている最中ですので、受け控えというようなことは余り意味がないんじゃないかと受験生が思っている節は確かにあるんだと思います。
#7
○若林健太君 司法試験法の改正法案については、今後この審議、委員会で行うことになっておりますので、本日は、法曹養成制度全般について、大きな観点からこれから質疑をさせていただきたいと思います。
 受験者数が増えたというのは非常に朗報であり、一歩改善をする兆しなのかもしれませんが、しかし、全体とすると、法曹志願者の減少問題というのは大変深刻でございます。法科大学院の志願者数や入学者数というのは年々減少しておりまして、文部科学省の公表資料によりますと、今年度の法科大学院の志願者数は一万一千四百五十人。これは、ピーク時、平成十九年が四万五千人を超えておりましたので、ざっと四分の一、減少しているということでございます。
 さらに、法科大学院の入学者数を見ますと、当初五千六百人おりましたが、年々五百人ずつ減って今年は二千二百七十二名ということでございます。これは入学定員数の六割に該当するわけで、こうした法曹に向かう有為な人材、減少してきているという事態について、法務大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
#8
○国務大臣(谷垣禎一君) 大変その点は私どもも頭痛の種でございまして、去年六月の法曹養成制度検討会議の取りまとめでこのように法曹志願者が減少した理由については分析をしておりまして、一つは法科大学院間のばらつきが大きいと、そして、全体としての司法試験合格率が高くなっておらず、それから、司法修習終了後の就職状況が厳しい一方で、法科大学院において一定の時間的、経済的負担を要することから、法曹を志願して法科大学院に入学することにリスクがあると捉えられていることが原因であると、こういう分析をしております。
 こういう分析を前提といたしまして、今、法曹養成制度改革推進会議の下で、内閣官房法曹養成制度改革推進室、それから関係省庁等において、これに対応する施策の実施、検討を進めているところでございます。
 それで、具体的には、法務省では、法曹有資格者の活動領域をもっと広げられないかと、この取組をやっております。それから、文部科学省におかれては、法科大学院の教育の質を確保するための組織見直しを進めておられますし、それから共通到達度確認試験の制度設計等々を行ってロースクールの質を底上げしていこうと取り組んでおられる。それから、中教審におかれては、ロースクールに行くことは時間的、経済的負担があるということに対応することからも、飛び入学の活用等々で学部段階を含む法曹養成期間の短縮について今検討を進めていただいておりまして、期間が短縮すれば経済的負担もそれに応じて短縮していくというようなことを今取り組んでいただいている。
 こういうことでございまして、こういう施策を通じて、先ほどの御指摘を、問題点を何とか乗り越えていきたいということでございます。
#9
○若林健太君 今、課題全般について整理をしてお話をいただきました。
 具体的に、例えば法科大学院についてですが、プロセスとしての法曹養成の中核として位置付けられているわけですけれども、法科大学院を出た人たちの司法試験合格率が二五%前後になっていると、こういう低迷した状況と。必ずしも中核的なと、こう位置付けられるその期待に応えられていないのではないかと、こういう指摘もあります。また一方、入学定員総数の六割しか入学者がいないということも考えますと、これからの法科大学院がどのように改革され、どうした役割を果たしていくのか、今後の法科大学院の在り方について大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
#10
○国務大臣(谷垣禎一君) かつては点、司法試験という点で養成しようという、それだけではいろいろ弊害が大きかったので、プロセスとして養成していこうという仕組みにしたということでございます。それで、そのプロセスというのは、法学教育、それから司法試験、その後の司法修習、三つが有機的に連携しなければならないということでございますが、法科大学院はまさにその中核ということで制度設計をされてスタートしたと。
 しかし、先ほどからお話がありますように、司法試験合格率のばらつきも非常にある。また、定員充足率も低下しているというような問題が指摘されております。それで、現在、定員とそれから実入学者数が大きく乖離している。この定数を見直すなど法科大学院の組織見直しを促進していかなきゃいけない。それから、教育の質を先ほども申しましたけど向上させて、修了者の多くが司法試験に合格するような教育となるような改善をやる必要があるということだと思います。
 それから、法曹を目指す者が、国際的な法的紛争等々がこの頃多くなってきておりますので、それに対応する能力等々、国内の法廷実務にとどまらない幅広い分野の専門性を身に付ける必要があると。
 それから、やはりそういう法律問題の多様化あるいは複雑化ということに対応していくためには、一度資格を得た者が、生涯教育といいますか、最先端の専門分野やあるいは極めて高度な専門領域についても継続的な教育が必要なわけですが、そういう継続教育の基盤としてロースクールが機能を発揮するようにできないかといったような工夫も必要なのではないかと。
 そういった点を具体的に進めていっていただければ、あるいは我々はもちろんその進めていくエンジンにならなきゃならないわけですが、そんなことを考えております。
#11
○若林健太君 次に、少し別の観点から御質問したいと思いますが、最近、学部生ですとかあるいは法科大学院在学生が多数、予備試験を受験をしているという現状がございます。
 こうした現状に対して、予備試験は本来、経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由によって法科大学院を経由しない者にも法曹となる道を確保すると、そのための制度だということであって、現状、学部生や大学院生がどんどんと受けてしまっているというのはその趣旨にそぐわないんではないかといった問題点を指摘され、予備試験の受験資格を制限すべきだという意見があるようでございます。しかし一方、現状のように法科大学院修了者の司法試験合格率が低迷している中で予備試験の受験資格を制限するということは、かえってますます法曹志願者の減少を招くおそれがあるんではないかと、このように思います。
 この点について、法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#12
○国務大臣(谷垣禎一君) 予備試験は、おっしゃったように、経済的な事情、あるいはいろんな事情があると思いますが、既に実社会でいろんな経験を積んでいると、必ずしもロースクールに行く必要がないとか、いろんな方がいらっしゃるわけで、そういう方々の、バイパスという言葉が適切かどうか分かりませんが、そういうルートとして本来、用意されたわけでございますけれども、今委員が指摘されたように、本来、プロセスによる教育の中心的存在であるはずのロースクールの在学生が予備試験を受けるとか、必ずしもバイパスとは言えない、むしろそっちの方がエリートコースじゃないかとかいうような議論もある。だから、本来の制度とはちょっと違った使われ方をしているという指摘が一方であると。
 他方、予備試験というものを積極的に評価して、そのためには受験者の負担、今いろんなことで多過ぎるんじゃないかと、あの教養試験とかいうようなもの、余りにも重荷を課しているんじゃないか、もう少し予備試験の科目数も簡素にすべきではないかというような御意見もあります。
 それで、これ、いろんな問題点があるんだと思うんですが、先ほど申し上げたような、結局、学部があって、ロースクールがあって、その後に司法修習があると。相当、美しく言えば手厚い、ちょっと悪い言い方をすれば、もうこんなにたくさんやる必要があるのかというようなこともあって、経済的、時間的負担を重荷に感ずる方もあると、そういう方がまた予備試験を利用しているというようなこともあるわけでございます。
 ですから、現在、法曹養成制度改革推進会議の下で、実際いろんなデータを分析して、まだ予備試験、回数が少のうございますから、予備試験制度を見直す必要があるかどうか、データに基づいた分析を行わなければならないというので、それをやっているところでございます。
 要するに、優秀な、あるいは将来いろんな可能性を含んでいる若い人たちが、何か制度がどうもしっかりしていないからとか、あるいはがたがたしているからあそこは行くのはリスクがあるぞと思うようなことがあってはいけませんので、きちっとそういう方々が、あそこを選ぼうと言っていただけるような改革を進めていかなければならないと思っております。
#13
○若林健太君 今大臣から予備試験制度についてのお考えを伺う中で、実は既にその問題点、問題意識として浮かび上がってきていることがあると思うんです。それは、今大臣からお話がありましたように、優秀な学生がやっぱり選択肢をより多く持たせてあげる。今の制度の中に、やっぱりどうしても時間的、経済的な負担が重いと。そういう中で、優秀な学生については、あるいは飛び級制度だとかそういったことも検討しながら選択肢を増やしていってあげる、そのことがまた法曹志願者の裾野を広げることになるんではないか、このように思います。
 今、予備試験は予備試験の問題としてきちっと整理する必要がありますが、一方、現状そういうニーズがあるという中で、そうした新たな、この法曹養成制度の中で、法科大学院を含めたその制度の中でそうした検討をする必要があるんじゃないのかと、このように思いますが、その点について大臣のお考えをお願いします。
#14
○国務大臣(谷垣禎一君) 今から考えますと、げすの後知恵と言ってはなんでございますが、やっぱりこの制度をつくりますときに、日本の法学教育というのはいわゆる法学部を中心に行われてきたと、アメリカなんかはポストグラデュエートのロースクールというものでやってきたと。そういうかなり出自の違うものを組み合わせたときの問題点というものの分析が不足していたなと、対応を考えることが不足していたなと今はつくづく感じているところでございます。そういうところに、そこでまたそういう時間的、経済的な負担の重さと感ずる方々が出てきている。
 そういう中で、養成期間の短縮、先ほどちょっと申し上げましたが、中教審で飛び級というようなことも検討していただいているのは、これは一つのそういう問題点を解決する手段であろうと私は思っております。そういう中で、若い方々に、なるほどそういうことなら行ってみようかと思うような道を何とか切り開いていかなければいけないなと思います。
#15
○若林健太君 先般、自由民主党の司法制度調査会において法曹人口・司法試験合格者数に関する緊急提言というのをまとめさせていただきました。この提言は、これまで述べてきたような法曹志願者の減少という状況に対する危機意識から、法曹の魅力を取り戻すために、一旦、体質を強化するため合格者の人数を絞り込もうという、そういう考え方に基づいております。
 この提言を受けて、今後、法曹人口及び司法試験合格者数の在り方についてどのようにお考えになっておられるか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#16
○国務大臣(谷垣禎一君) 自民党司法制度調査会でこの間、大変熱心に御議論をいただきまして、法曹人口に関して緊急提言を取りまとめていただいたのは大変有り難いことだと思っております。
 それで、法曹人口に関しては毎年合格者を三千人にするという目標でこの制度をスタートさせたわけですけれども、必ずしも、なぜ三千人なのかという根拠を十分にあの当時整理できていなかったんだなと今つくづく思っております。おおむねフランス程度の法律家の割合、国民の人口比に対する割合ということでスタートしたと。
 今、法曹人口についてそのような様々な混乱がございましたので、法曹養成制度関係閣僚会議の決定に基づきまして、内閣官房の法曹養成制度改革推進室で少し具体的な調査をきちっとやりながら、過去必ずしも、何というか、きちっとした分析ができていなかったという反省を基に、必要な調査を基に必要な法曹人口、その結果を二年以内に公表したいということで今作業を進めております。
 いろいろ御意見の対立があったものですから、粗ごなしもなかなか簡単ではなかったところ、ああいう具体的な御提言はその粗ごなし、粗ごなしと言うと言葉は悪うございますが、かなり意見の対立がある中での粗ごなしの役目などを随分果たしていただいているんではないか。こういう御提言も踏まえまして、できるだけ調査を迅速に進めたいと、こう考えております。
#17
○若林健太君 その自民党の提言の中にあるんですけど、直近の第六十六期におきまして、司法修習終了直後の弁護士会一括登録日の未登録者が五百七十名に上るなど、司法修習終了時に就職先を確保できない者が激増しているという実態があります。また、そうした飽和状態から、登録一年未満の新人弁護士のみで開業する事例が出ておりまして、弁護士会等による組織的なOJTの体制が整えられなくなってきているというようなことから、実務経験、OJT不足という法曹の質の問題が生じているという指摘もこの提言書の中に書かさせていただいております。
 この点について、大臣の認識をお伺いしたいと思います。
#18
○国務大臣(谷垣禎一君) どの職業もそうだと思いますが、こういう法律家、専門職で一人前に育っていくためには、先輩弁護士から指導、助言を受けながらオン・ザ・ジョブ・トレーニングをやっていくということは、もうこれは欠かせない極めて大事なことだと思っております。
 それで、登録一年未満の新人で、まあこれは就職先がないということもあるのかもしれませんが、開業する例が増加、そういう傾向が見られると。したがって、弁護士会による組織的なオン・ザ・ジョブ・トレーニングの体制をもっと整えていく必要があるんじゃないかという御指摘は私は十分理由のあることだと思っておりまして、法務省としても、日弁連と協力をしながら、より質の高い法的サービスを提供できるような体制を整えていくことに努力をしたいと思っております。
#19
○若林健太君 それでは、少し観点を変えまして、先ほど大臣の御答弁の中でもお話しいただきましたが、法曹の魅力を増していくためには、法曹が、従来の法廷実務の分野だけではなくて、社会の様々な分野でその能力を発揮して活躍していくことのできる魅力的な職業になっていくことも必要だというふうに思います。
 平成十三年六月の司法制度改革審議会意見書においても、法曹は、法の支配の実現のための言わば国民の社会生活上の医師として、個人や企業などの諸活動に関連する法的問題の解決のみならず、広く国際社会において、内外のルール形成や運用の様々な場面において活躍することが期待されているということであります。しかし、昨年六月にまとめられた法曹養成制度検討会議取りまとめにおいても、法曹有資格者の活動領域は広がりつつあるものの、その広がりはいまだ限定的であり、更に拡大を図る必要があると指摘をされているところです。
 そこで、このような観点から幾つかお尋ねをしたいと思いますが、法曹有資格者がその活動領域を拡大していくためには、まず新たな活動領域に挑戦していくための土台づくりを早い段階から行っていくことが肝要だと思います。その意味で、現在のプロセスによる法曹養成制度の中核たる存在である法科大学院において、企業法務や国際法務など、そういった分野についても学習する機会が重要ではないかと、こんなふうに思いますが、法曹養成制度改革推進会議の副議長を務めている大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#20
○国務大臣(谷垣禎一君) ロースクールでは、一つはやはり法律家として基本になる基礎的な知識と申しますか、そういうものをしっかり身に付けさせなければならない、これは当然のことだと思いますが、今おっしゃったように、実務法曹としていろんな分野で活動していくためには、その基盤となる多様な、何というんでしょうか、ものを学んでいく必要があるんだろうと思います。
 それから、ちょっと今のお問いかけとすぐ結び付くかどうか分かりませんが、さらにロースクールとしては法曹の生涯教育の基盤ともなり得るような役割を果たしてもらいたいというふうに私は思っておりまして、そういうような観点から、多様な活躍の足場を提供するような改革を進めていただきたいと、こういうふうに考えております。
#21
○若林健太君 教育レベルでもそういった取組をしながら、しかし、この司法制度改革の結果、企業内で働く弁護士というのも、平成十三年の六十四名から昨年は九百六十五名、拡大はしてきております。また、任期付公務員の形で国家公務員となる弁護士の数も増加してきているわけであります。こうした多様な働く場所をと、これは大変重要だと思っておりますが、法務省では、法曹有資格者の活動領域の拡大に関する有識者懇談会を設置するなど、この点に関する取組を進めているというふうに聞いております。
 ただいま申し上げたような企業や国の機関で勤務することなどを始めとして、法曹有資格者が活動領域をより一層拡大していくためどのような視点に基づいて努力をする必要があるのか、大臣のお考えを最後にお伺いしたいと思います。
#22
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、若林委員おっしゃいましたように、法曹有資格者の活動領域の拡大に関する有識者懇談会というのをつくりまして、日弁連や何かと御一緒に、国、自治体、あるいは福祉、それから企業、それから海外展開、こういった各分野の活動領域をいかにして拡大していくかということで議論を、取組を行っております。
 それで、幾つか大事な点がございまして、一つは、例えば自治体なんかに弁護士を雇用していただくと。そうすると、今まで顧問弁護士としていろいろ相談に乗ってもらってはいたけれども、常に弁護士が役所の中にいて、何かあるときにすぐ弁護士の力を借りながら進めていくことは、相当行政が的確に進む上で意味があるというような認識を持っていただいている自治体も出てきていると。ですから、法律家がいるということが役立つといいますか、大いにそこは活用できるんだということをまず周知していただくと、そういう啓発活動が極めて大事だと思います。
 それからもう一つは、潜在的にはニーズがあるんだけど、なかなかそれを表に出せていないということもあるんだろうと思います。例えば福祉の分野なんかでは、医療や福祉の問題を抱え、例えば高齢の少し認知症なんかがおありの方は、医療や何かの問題もあると同時に法的な問題を抱えておられる方も多いわけでございます。しかし、そこにどう、何というんですか、そういう需要をきちっと開発といいますか顕在化していけるかという点の努力も必要だろうと思います。
 ですから、これを考えますときには、そういう具体的に考えてまいりたいと、このように思っているところでございます。
#23
○若林健太君 以上で終わります。
#24
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。
 大臣に予備試験の在り方についてお尋ねすると通告させていただきましたが、もう予備試験のことについて質問するのは何回目だろうかという感じがします。
 私どもとすれば、司法試験の受験資格が法科大学院修了生にあると、しかし、そのほかに予備試験の合格者にもあるということになれば、結局、予備試験がバイパスになってしまって、どんどんどんどんそっちに行ってしまうんではないかという危惧を抱いていたものですので、そうならないようにという思いで繰り返しこれまでも質問させていただいた次第でございますが、残念ながら、具体的には何らの対応もないまま、私の危惧が、すなわち、ロースクール制度が形骸化して、予備試験がバイパスになって、だんだんだんだん、バイパスの方が時間も早いしなどという様々な事情でそっちが主流になってしまうのではないかということで、危惧がだんだん現実化しているという状況を感じておりまして、早く何とかしていただきたいという思いと、なぜもっと早く手を打たないんだと、こういう思いが強いわけでございます。
 やはり予備試験がどんどんバイパス化してしまう、むしろそちらの方がエリートコースであるかのようなそんな風潮も現れてくるとなると、このロースクール制度そのものがもう崩壊してしまうというふうに私は危機感を抱いておるんですが、そこら辺についての大臣の御認識はいかがでございましょうか。
#25
○国務大臣(谷垣禎一君) 小川委員が御心配のように、確かに一部では、そちらの方がむしろ、予備試験でスムーズに合格をしていって司法試験も合格していく、短期間で進む方がエリートコースであるというような受け止め方も一部にはあるように聞いております。
 そして、受ける方がロースクールに在学中の方もかなりおられまして、中には、受かってしまえばロースクールを途中でやめてしまうような方もないわけではないと。そうすると、委員の御指摘のようなロースクールが形骸化してしまうという、そこは相当危機感を持たなければいけないところだろうと思います。
 それで、今、やはりロースクールをどう魅力的なものにして機能を高めていくかということが一つはやらなければならないし、今文科省でもいろいろお取組をいただいておりますし、先ほどのような、負担が大きいということについて飛び級のようなことも考え得るのではないかというようなことが強力に推し進めていかなければいけないと思います。
 他方、予備試験というのに何らの制限を設けて本来の趣旨に合わせていくべきではないかという御意見もあるわけでございますが、これもまたなかなか御議論がいろいろあるわけでございまして、つまり、全体として少し司法試験受験者や、ここの法曹に向かおうという方が少なくなっている中で、選択肢を狭めていくようなことが果たしてどういう影響を生んでいくんだろうかというような御議論もございます。
 そこで、私ども、予備試験はまだ回数が少ないんで、もう少し具体的に実証的な分析を行って、ぐずぐずしているわけにはまいりませんけれども、予備試験に対する対応というのをもう少し煮詰めてまいりたいと、こう思っております。
#26
○小川敏夫君 大臣の答弁の中でも、予備試験がエリートコース化してしまうと、そういう声が一部にあるということでしたが、まだ一部かもしれませんが、このままの状態でいけば、一部がだんだんだんだん大きくなって、また、予備試験合格者の方が実際に、例えば判検事に任官するにしても早く、若く任官できるわけですから、あるいは弁護士事務所の方でも予備試験を合格した人の方が優秀と考えて採用するようになれば、一部にそういう声があるということではなくて、言わばそれが全般の考え方、それから考え方でなくて、それが実際にそういう状況であるということが定着してしまうと思うんですね。
 ですから、大臣の答弁を聞いていても、これから実証検証するとか、何かこれからということでは遅いんではないか、むしろ本当に緊急に抜本的な対応策を講じていただきたいという思いであります。
 じゃ、抜本的対応策、どうするのか、これがまた確かに悩ましいところであります。
 様々な意見がありまして、私のように、ロースクール制度、これをしっかり充実させるんだと、そのために予備試験の在り方を考えるんだという考えもありますけれども、中には、もうロースクール制度は失敗したんだから、予備試験を主流にして選抜すればいいんだと、昔の司法試験に代わる位置付けが予備試験だという方向にという考え方もあるわけでして、これは考え方はなかなか難しいかもしれませんけれども、しかし、今の予備試験の位置付けでは、間違いなく、ロースクール制度を維持しながらロースクール制度が崩壊していくということが現実のものとなっていくと思いますので、緊急に対応していただきたいと思います。
 もうどうするかということについての様々な意見は出尽くしていると思うんですね。ですから、もう様々な意見が出尽くした中で、ここはもうやはり政府の責任で決めていくということが一番大事なんではないかなというふうに思っております。
 あと、予備試験の在り方について私の一つの私見を述べさせていただきます。
 私の考えは、予備試験というものは、そもそも一番の目的は、ロースクールの経済的負担が大きいと、ですから、ロースクールの経済的負担に乗っていけない、そうした経済的な困窮の方にも法曹の道を開けるためにあるんだと、これが大きな目的であるというふうに思います。
 ですから、私は、そうであれば、ロースクールの奨学金制度、これを相当に拡充した奨学金制度というものも用意して、そして、予備試験は、司法試験の受験資格ではなくて、非常に手厚い優遇をされた奨学金の受給資格を与える試験だと、このくらいの位置付けにすれば、私は、ロースクール制度がしっかり維持され、そして経済的に困窮な方も、この試験を受けた奨学金によってロースクールの教育を受けることができる、訓練を受けることができるということで、ロースクール制度が充実するのではないかと思いますが、是非これからの検討の中において参考にしていただければと思うんですが。
 この予備試験というものは、やはり主たる目的は、経済的に困難な状況でロースクールに通えないという方を救済するというのが最も主要な目的だったという位置付けは、これはそういう位置付けでよろしいんですよね。
#27
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに一つは、経済的に十分ではなくてロースクールの学費に負担できないという方を救済するといいますか、その方は、じゃ予備試験で頑張ってくださいというのは一つの目的ですね。ですから、やっぱりそういう方々にきちっと法律家の道を歩んでいただけるような奨学金なり、そういうものの充実ということも私は大事なことだと思います。
 ただ、必ずしもそれが全てだとは私どもは考えておりませんで、例えば十分な社会経験を積んでいる法律家の、何というんでしょうか、身に付けるべきことをほかの経験で随分補っておられるので、必ずしもロースクールに行く必要はないと御判断の方もいらっしゃると思うんですね。だから、そういう方々のお考えもまたどこか生かしていく道も必要なのかもしれないと思います。
 だけれども、今、小川委員がおっしゃいましたように、経済的な困難の方をどうしていくかということがやっぱり一番中核的な課題ではあろうと思います。
#28
○小川敏夫君 予備試験の在り方として、ほかの分野で、既にロースクールに行かなくてもいい程度の能力といいますか経験を備えた方にも道を開くんだということも目的だということでしたが、そういう方に道を開くのであれば、それはそういう制度を設ければいいので、何も予備試験という制度にこだわることはないわけであります。また、そういう方に対して道を開くのであれば、現役学生やロースクール生がそういう道の試験を受ける道はないわけですから、それはそれでまた別の仕組みを考えたらいいのではないかというふうに意見を言わせていただきます。
 あと予備試験について、この試験科目なんですけれども、これも前回質問させていただいたんですが、教養科目というのがあります。これが私は不要なのではないか、あるいは、高校から大学受験して進路を決めてきた人によって、具体的に言えば数学や理科系が入っているということで、大分、高校から大学受験の進路を選ぶときの勉強の仕方によって差が出てしまうのではないかと。こういう意味で不公平がある、不公平感が出てしまうのではないかというふうに思っておるんです。
 ですから、端的に言えば、この教養科目は廃止する、あるいは教養科目を履修したと思われる大学の一般教養修了課程とか大学卒業者には免除するとか、そうしたことを具体的に早期に実現するべきではないかと思っておるんですが、いかがでしょうか。
#29
○国務大臣(谷垣禎一君) 公式には、これは改革推進会議の下で検討を行っているということでございます。それからまた、教養科目がかなり大学間の差別といいますか、こういうものにもつながりかねないのではないかという御指摘、委員の御指摘があるわけですね。それに対しては、できるだけ出題の仕方も現在工夫はしているわけです。ただ、今それで議論を、検討を進めておりますが、委員の御指摘のようなことも念頭に置きながら議論を進めてまいりたいと思っております。
#30
○小川敏夫君 今の予備試験の位置付けは、ロースクール卒業生と同レベルの実力を求めておるわけです。
 そうしますと、じゃ、予備試験に教養科目というものがあるのであれば、ロースクールにおいてもそのような教養科目を勉強させて、そしてロースクール卒業生にも本来そういう教養科目を問うべきであると思うんですね、ロースクール卒業生と同レベルと言うんですが。ただ、現実にはロースクールにおいてこういう教養科目の授業、講義はしていません。それから、ロースクールの卒業生について、こういう教養科目についてその実力を問う試験がないわけです。
 ですから、ロースクールの卒業生と同程度の実力を測るといいながら、ロースクールにおいては勉強もしていない、試験もない科目について、予備試験にこの教養科目があるということは私は論理的におかしいんではないかと思っておるんですが、いかがでしょうか。
#31
○国務大臣(谷垣禎一君) 論理的におかしいということは私はないと思うんです。いろいろな幅広い教養を法律家が実務の上でも必要だろうと私は思いますので、教養科目を要求する意味もそれはないわけではないと思うんです。
 ただ、それが余りにも重荷になっていないかとか、あるいは大学間の差別みたいなことになっていやしないかというような御指摘には十分耳を傾けながら検討を進める必要があると思っております。
#32
○小川敏夫君 法曹人が教養が必要ないとは言っておらないわけでして、当然法曹には持つべき教養は持ってもらわなくてはいけないと思うんですが。
 私が論理的におかしいと言うのは、ロースクールにおいてそういう勉強もしていないし、ロースクール卒業生についてそういう教養についての実力を判定する試験も課していないのに、同じ資格を付与する予備試験においてのみ教養試験があるということはやっぱりバランスが取れないんじゃないですかと、こういうふうに聞いて、それで論理的に釣合いが取れないんじゃないか、おかしいんではないかと、こう聞いておるわけです。
#33
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、法科大学院の場合にも前の学部というようなものがある程度想定されているということはあると思うんです。したがいまして、予備試験においでの方もいろんな方がいらっしゃると思うんですね。
 ですから、学部、学部といいますか、四年の学部の課程でどれだけ教養単位を取っているかというようなことをどう考えていくかとか、その辺はいろいろ考える必要があるだろうと思います。
#34
○小川敏夫君 ざっくばらんに言いますと、五科目から問題を出しておるわけです。そうしますと、これもこの前言ったんですけれども、今の大学受験の実情は、国公立を受ける方は、国公立が五科目受験ですので、高校で勉強する際にもう国公立コースといって五科目を中心に勉強するわけです。
 ですけど、ほとんどの私立大学は数学、理科がない国語、社会、英語系という三科目受験ですので、もう高校での授業の際に、私立大学受験コース、私立大学文系コースというともう三科目中心になっちゃって、数学、理科は余り力を入れていないような授業が行われているというのが実態だと思うんです。
 そうしたことを踏まえて、大学に入ってきて、大学で教養の勉強をしていないわけじゃないけれども、しかし、現実にこの予備試験を受けるという場面になった場合に、ざっくばらんに、私立の法学部の学生に言わせて、もう法律の勉強で手いっぱいなのに今更遡って数学の勉強なんかできないよというのが実情だと思うんですね。
 ですから、みんな高校を出たんだから当然高校で備え付けるべき教養は分かっているのが当然だから、三科目しか勉強しないやつが悪いんだといえばそれまでかもしれないけれども、現実には、やはり五科目受験の国公立を目指して勉強した人が結果的には有利になっているんじゃないかというふうに思うんですね。ですから、そんな不公平感も感じる人も随分多いものですから、この教養科目は廃止するか、あるいは、先ほども言ったように、大学卒業者あるいは一般教養の修了者については免除してもいいのではないかということを思っておりますので。
 何かこの点についても今検討していると、今回、司法試験の改正案の中には盛り込まれなかったにしても、今これをどうするかということを検討しておるようです。これはもう意見は出尽くしているでしょうから、これ、早くもう結論を出して、その結論は、廃止するという方向で結論を出していただきたいんですが、早急に対応していただきたいというふうに思っております。これは大臣というよりも内閣府の方なんでしょうかね、今検討会議をやっておるのは。そういう声があるということを是非強く伝えていただきたいというふうに思います。答弁は結構です。
 次に、法科大学院の定員について質問させていただきます。
 これも、文科副大臣にも度々お越しいただいて、私は、常に有力校の定員が多過ぎるのではないかということ、有力校の定員が多過ぎれば、有力校には当然人がどんどん集まるという吸引力もあるものですから、その結果として、有力校ではない学校あるいは地方の学校は、法科大学院に優秀な人材、あるいは普通の人材でもいいですけれども、進むのが減ってしまって、結果的には、様々な多様な人材が広く地域に満遍なく法曹を輩出するというその制度の趣旨が没却してしまうのではないかという観点から度々お尋ねしてきたわけであります。
 今日はまた別の観点から質問させていただくんですが、そもそもこのロースクール制度の制度設計では、法曹人口を三千人にするということが当初の設計でした。その三千人という位置があって、それぞれのロースクールの定員というものも決められたと思うんですね。ですから、今回その三千人という枠が取り払われて、現在年間二千人ぐらいの司法試験合格者ですけれども、これも減らすというような声が起きて、流れができております。例えば司法試験合格者が仮に千五百人ぐらいで落ち着くのであれば、三千人という目標が千五百人の半分になるわけですから、そうすると、法科大学院の定員もやはりそれにふさわしい数、減らしていただかないと有力校に集中してしまうと思うんですね。
 ですから、法曹人口が減るのであれば、この法科大学院の定員についても、特に有力校に余りに多くの定員が、有力校の定員が減らされないまま有力校にばかり人材が集中してしまうということにならないような策を講じていただきたいと思っておるんですが、この法科大学院を所掌する文科省ではいかがお考えでございましょうか。
#35
○副大臣(西川京子君) 小川先生、本当にいつも文科省のいろいろな制度にしっかり御理解いただいて、ありがとうございます。
 そもそも、本来の三千人の設定というのが、当時を仄聞いたしますと、フランス辺りを想定して大体そのくらい必要だろうということでなったとお聞きしておりますけれど、そのこと自体が日本の今の法曹の、いわゆる必要な法曹界の人材の数と、実態とやや乖離していたのかなという気も、正直ちょっとそんな思いもあります。
 その中で、現実には、十七年から十九年度、ピーク時には五千八百二十五人の定員がありましたが、今、二十六年度三千八百九人と、三四・六%減っております。そういう実態に即して、定員というのがある程度減っているわけですけど、その中で実はもう一番問題になっていますのは、定員と実際の入学する学生との乖離、これがどんどん広がっているということで、それはやはり実際に入学する定員に合わせていく必要上、入学定員を減らしていくことだと思うんですね。
 そのときに、やはり、昨年六月の政府の法曹養成制度検討会議の取りまとめの中で、これはあくまでも定員を少なくしていくというのは各大学院の自主的な判断でございますので、文科省の方で強制的にということはできませんから、その中で、公的支援の強化策ということで、強化策の中にその内容が、司法試験の合格率、入学定員の充足率、それともう一つ、法科系以外の課程出身者や社会人の入学受入れの状況、そして先生が御心配していらっしゃいます地域の配置、夜間開講の状況、この四条件に照らして公的支援を傾斜配分するということの手法によって定員をある程度少なくしていっていただきたいと。この乖離、実入学との乖離を縮小させていくというのが今の文科省の行っている政策でございますけど、先生、確かに中央の有名大学に集中してしまうんではないかという御懸念もありますが、そこだけある程度減らすということはやっぱりなかなかできませんので、そういう中で地方に対する配慮とか、そういうところをしっかり配慮しながら、多様な人材育成のための法科大学院に持っていくように一生懸命頑張ってまいりたいと思います。
#36
○小川敏夫君 今、法科大学院全体の数を示していただいて、それで減っているよというお話でしたけど、私の趣旨はそうではなくて、有力校にばかり集中しちゃって、それで言わば中下位校が、行かなくなってしまう、あるいは立ち行かなくなってしまうんではないかという観点から聞いているわけです。
 もっと具体的に言いますと、東大というもう圧倒的に実力がある学校があるわけです。ここが定員割れをすることなんて考えられないですよ。どんなに司法試験の合格者を減らしたところで東大に行きたい人は何人もいるでしょうし、東大が定員を増やせば増やしただけみんな充足されると思いますよ。だけど、その分、そういう有力校が定員を増やせば増やすほど人材が集中して、ほかの方に回らなくなっちゃうわけでして。立派な大学は別に東大だけじゃなくて、例えば東京でも大手校、早稲田も慶応も中央も大変大きな人数を、二百数十人という大きな定員のロースクールを持っておるわけです。じゃ、四つだけでもう千人になっちゃうわけですよね。法曹が年に千五百人だとすると、東京の主要大学四校だけでロースクール生が千人だと。関西にも有力校があるし、そうした有力校に続く学校もある。ほとんど東京、大阪の大都市に集中しています。
 だから、どんどんどんどん減らすといっても、消えていくのは言わば下位校から消えていくわけで、その下位校というのは、ある意味では地方にも法曹を養成する必要があるということでつくった大学が多いわけです。そこの努力不足もあるかもしれないけれども、しかし、今のような偏差値序列社会のようなところですと、どうしたって偏差値が高いあるいは評価の高い大学にみんなが希望するのはこれ自然なことですから、そこが大きい定員をどおんとたくさん取っている。全体の数が減ったのにそこの定員が減らなければ結局、割合的にどんどん一部の有力校に集中してしまうという現象が起きてしまうんですね。
 そうすると、幅広い人材を地域に満遍なくという法曹養成の制度の理念が結局は没却されてしまうんじゃないか、もう一部の有力校だけ、そこの有力校の教育が悪いとは決して言いませんけれども、幅広い多様な人材という理念からすると外れてしまうんではないかなと思っておるわけです。
 ですから、実力がある有力校も、実力があるから何人集めてもいいんだということではなくて、もっと法曹全体の幅広い視野を持って、やはり適正な数に減らしていただきたいというふうに思っておるわけです。
 一度、文科省認めてしまった定員を、それを強制的に減らす権限はないのかと聞いたところ、ないそうでありますけれども、しかし、今現に行っているのは、ある基準を設けて、基準に達しないところには補助金を出さないというような仕組みで退場を促している部分もあるわけです。ですから、じゃ適正な学生数は百五十人なら百五十人というので、百五十人までは補助するけれども、それを超えたところは補助金を出さないとか、そうした強い姿勢を示していただければ、いい形で有力校の定員も適正規模に減っていくのではないかというふうに思うんですが、そのくらいの強い決意を持っていただかないと、やはりそれぞれの学校は、総論賛成でも自分のところの定員は減らすのは嫌だよというところに走ってしまうんじゃないかと思いますので、しっかりと幅広い多様な人材を地域に満遍なく地域から輩出するというこの理念を実現するべく、この定員、特に有力校の定員の縮小、削減について真剣に努力して実現するようにしていただきたいと思うんですが、是非、そこら辺の観点でもう一度副大臣から決意をお示しいただければと思いますが。
#37
○副大臣(西川京子君) 小川先生の思いと大変意識で共通して思える部分、多々ございます。確かに、単にこの法曹の問題だけでなく、全国で一極集中というんですか、大都市だけに全てのものが集中していくというのはやっぱり望ましいことではありませんから、そういう中で、この法科大学院というものが各地方都市の、有力な地方都市に幾つかきちんとあって、その中で地域で、そこできちんと学んでその地域の法曹のために頑張る人材が出ていくということはやはり望ましいことだと思います。
 そういう中で、ただ、強制的に文科省が有力校に、それ以上は駄目だよということはなかなか言えないことでございますので、そこは今回のこの公的支援の内容の精査をして、やはりそういう一定の配慮というのはしかるべきだと思いますので、そういうことをきちんと御意見も頂戴しながら検討してまいりたいと思います。
#38
○小川敏夫君 補助金を減らして定員を削減を促すというのも私の一つの考えとして示させていただきましたが、あるいは、どうしても定員が欲しいんだったら、例えば二百何十人も必要だったら、そのうち百何人は地方に分校をつくってそこでやれと。つまり、東大は今、本郷にあるんですか、東京には百五十人にして、あと百二十人は被災地の岩手辺りにつくって、東京大学岩手ロースクールとかつくると。早稲田、慶応、中央も、じゃ沖縄に分校つくってやるとか、そういうぐらいのことをして、かなりやっぱりそれは文科省に強権がないと、お取り潰しの権限がないのはそれは当然で民主的だと思うんですけれども、強い意思を示していただかないと、やはり良き法曹をつくるというこの法曹制度がいい形で動いていかないと思いますので、そこをしっかり前向きに是非検討していただきたいというふうに思います。
 では、そのほかの法曹養成に関する質問はまたの機会に譲ることといたしまして、文科副大臣については御退席いただいても結構でございます。
#39
○委員長(荒木清寛君) 西川文科副大臣は御退席ください。
#40
○小川敏夫君 それでは、残りの時間は会社法に関する質問をさせていただきたいというふうに思っておりますが、まず、今回の会社法の法案説明の際に、この白表紙というんですか、会社法の一部を改正する法律案関係資料、厚さを測ってきましたら二十四ミリありました。そのほか関係法律の整備まで含めますと全部で九センチの厚さがございました。これは事前にいただいておりますが、なかなかそういうものを全部目を通すのは大変ですから、法案の説明等につきましては、やはり法務省なり役所の方でそれをまとめた説明資料というものをいただいて、それを言わば我々は信頼しまして、それを基に法案の検討、法案審査等をしておるわけでございます。
 今回の会社法の審査におきましても、法務省からいただきましたそうした要約資料、七枚の資料でございますか、これを基に、今回の会社法の改正内容はこれだということで、党としても法案の審査をさせていただいて、それで、そこに表れている改正部分については、社外取締役の義務付け等がないことで不十分であってでも、しかし前向きであるということで、賛成ということで党としての対応を決めて、それで衆議院でも賛成の態度を取らせていただきました。
 しかし、この詳しい説明資料を見ますと、改正条文を検討しますと、言わばその説明資料には全く入っていない改正条項がございました。これは、私が今特に取り上げて質問しております支配株主の少数株主への株式売渡し請求等については全く説明がありませんでした。
 私は、こうした改正の内容、決して取るに足らない形式的な内容ではなくて、実質的な内容を伴う改正のことについて、やはりその説明の内容からこぼれていると。そういうものが全く出ていない説明資料を各政党に、私ども野党だけでなくて与党の方にも同じ資料ということでございましたから、提出して、それで法案検討をというのは、これは余りにも好ましくない在り方だと思うんですが、この点については、もう民主党の前川委員からも質問がありましたけれども、改めて、やはりこういうことがあっては決してならないと思うんです。
 余りにも国会の審議を形骸化させるものだというふうに思って、私は非常に重大なことだと、今考えれば考えるほどそういう思いが高まってくるんですが、どうでしょうか、この点について大臣の御見解は。
#41
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回のこの法案につきまして、事前の御説明やあるいは説明資料につきまして不十分な点があったとすれば、これは大変申し訳ないことで、おわびを申し上げたいと思っております。
 それで、私も若干、どうしてこういう説明資料になったのかというのを事務方に聞いたわけでございます。確かに、株式売渡し請求については記載がございません。ここは事実でございます。これは、今回の改正法案の内容が多岐にわたっておりますので、法制審議会における議論で意見が対立したところを中心として説明することが妥当ではないかと考えて、項目を絞った説明資料にしたと聞きました。
 それで、株式売渡し請求制度は、現行法上も、株式交換やあるいは全部取得条項付種類株式の取得の利用によっていわゆるキャッシュアウトが行われているけれども、それをより、何というんでしょうか、整備された制度でということで、今回、それから少数株主の株主権の保護という点でも他のキャッシュアウトの手法の手当てをするものであって、法制審議会でも余り御異論はなかったということのようでございますが、こういう理由から省いてしまったわけでございますが、今回、この委員会の御審議でこれだけ御議論がたくさん出ているわけでありますから、結果としてもう少しこの点に配意をすべきであったということではないかと思います。
 今後とも、説明に際しましては、法案の内容を十分に御理解いただけるような資料の作成、あるいは説明の在り方、心して指導してまいりたいと存じます。
#42
○小川敏夫君 今回私どもがいただいたこの七枚の説明資料ですか、与党さんの方にも同じ資料で説明したということですけれども、考えてみると、大臣に対しても同じ資料で説明がされたんじゃないですか。だから、大臣御自身も気が付かないまま審議に臨んできたんじゃないでしょうか。民事局からの、事務方の大臣に対する説明も、やはりその同じ七枚の資料で法案の説明があったんじゃないでしょうか。
#43
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は何回かレクチャーを受けておりまして、一番最初に、今回どういう法案を出す、会社法、登録をするときの説明は、かなり簡略な資料で大体こういうものであるということだったと思います。
 しかし、具体的に法案の審議入りが迫ってまいりました段階ではかなり丁寧なレクチャーを受けまして、その中にはこのいわゆるキャッシュアウトについての説明もあったと記憶しております。
#44
○小川敏夫君 とにかく、改正案ですから、どういう改正案を説明するか、どういう議論をするかはこれは議会が決めることでして、提案する法務省の方で、これは必要ないからなどといって省かれちゃこれは困るわけですので、今回、軽微だから、あるいは問題がなかろうと判断したといっても、改正する項目ぐらいは載っていないと、これは何の手掛かりもなくなってしまうわけです。
 我々も法務省という役所を信頼していますから、改正はこういった内容ですといって七つしか書いていなければ、七つだったかな、六つだったかな、まあとにかく、書いてあることしか、書いてあることが改正点だなと思って、そのほかに改正点があるということは説明受けなければ、なかなかすぐには分からないわけですから、やはりこれは、私は、言わば法務省という役所から国会そのものが愚弄されたのではないかと、このように思っております。
 もうゆゆしき事態だというふうに思っておりますが、大臣が知らないところでなされたことでしょうから大臣の監督責任は別としまして、大臣に責任が直接あるとは思いませんけれども、こうしたことは絶対に繰り返されないように、私は心していただきたいというふうに思っております。
 じゃ今度、会社法の中身に入りますけれども、私、法案の中身の話じゃないんだけれども、キャッシュアウトという言葉自体がどうも好きじゃないんですよね。だって、キャッシュって現金でしょう、アウトって出ていくことですよね。これ現金が出ていく、英語を直訳すれば現金支払か現金出ていくというのが何で支配株主の売渡し請求を意味するのか、全然結び付かない。何か横文字で言われるとすばらしい制度じゃないかと勘違いしてしまうようなところがあるんですけれども、私は、キャッシュアウトで、キャッシュアウトが行われているからといっても、英語が言わばこの法改正の中身を直接意味するものじゃないし、しかも、使っているキャッシュアウトという言葉の中には、この会社法の中で様々なやり方がある、言わば手法がある幾つものことを含んでおるんでして、何か支配株主の株式売渡し請求でキャッシュアウトで、キャッシュアウトだから、もうやられていることで、だから、もうやられていることをそのまま明文化、簡略化したものだというと、どうも何か言葉でごまかされているような気がするんですね。だから、私は、そのキャッシュアウトという言葉は何か実態にそぐわないし、どうも問題点を紛らかすかのような言葉だとちょっと感じております。まあ、これは別に法律の論争じゃありませんから。
 それで、大臣は今説明の中で、今までもう行われていることだと。それを言わば定型化して要件を課してというような趣旨でございました。今まで行われていることだということでありますけれども、これまでの話ですと、一つは株式交換、もう一つは全株取得条項付株式ですか、この種類株式を使う方法だと思うんですね。
 株式交換というのは、ただ、会社が吸収合併と同じようなこととして、法人間から吸収されたんじゃなくて、ある会社の完全子会社になるという限定された場合だけであります。しかし、全株取得条項付株式の場合には、確かにおっしゃられるように幅広く使われている部分があります。
 ただ、私はそれについて、まず言いたいことが二つあるんです。まず一つは、全株取得条項付株式という種類株式の制度を作ったのは、一〇〇%減資による企業再生の手続をスムーズに進めるためだということがこの全株取得条項付種類株式の創設だったというふうに思うわけです。
 一〇〇%の減資ということは、これは株式は無価値ということですよ、一〇〇%減資されちゃうということは株式がゼロになるということですよ。無価値の株式だったら、その株式を売った人、取られた人の代金を保護するという必要性は実質上ないですよね。だから、一〇〇%減資というものを想定して、それをやりやすくするためにつくった制度だから、株式を取られちゃう人の代金を保護するという制度は本来必要ないものだから、そういう保護制度がなかったんだなというのはそれはそれで納得できると。
 ところが、実際には、そういう目的で創設した全株取得条項付種類株式の制度なんだけど、そういう制度ができたら、つまり、そういう制度をつくったときに、これは一〇〇%減資を行うときだけできる制度だよという法律の限定もしていないし、民事再生手続に入った場合にだけできるんだよという限定もしていないんで、言わば無限定にそういうことができる法律の規定になっておったわけです。
 ですから、そういう、立法趣旨としては一〇〇%減資のそうした手続を集団的にスムーズに行わせるという目的で作った法律なんだけど、しかし、実際の法律の体裁はあらゆる場合にできるという無限定の体裁になっているから、事実上の運用として、減資に限らず、株式を会社がまとめたいという場合に、つまり、価値ある株式についても強制的に買い取れるという仕組みに運用されるようになってしまったわけです。私はこれが今の実態だと思うんです。
 であれば、本来違う使い方に使われているんである、本来の使い方なら無価値の株式を集めるという趣旨だったものが、今度は価値ある株式が会社に買い取られてしまうという制度に変わったんであれば、やはり株式を取られてしまう人の保護の在り方をどういうふうに考えるかというのが私は本筋だと思うんですよ。
 ところが、そういう本筋の議論を忘れて、本来の無価値の株式を集めるという制度が価値ある株式も集めるということに使われてしまっている。使われてしまっているという事実があるから、そういう事実があるんだから、今回もそのままこういう規定でいいでしょうということになっているわけでして、私は非常に、今行われているんですから、行われていることをそのまま法律にしただけですと、同じような形をより明確に法律にしただけですと言われても、とても納得がいかないんで、やはり初めにこの全株取得条項付種類株式の制度を導入したのは、一〇〇%の減資をスムーズに進めるためだと、無価値の株式を集団的に集めるための手続だと、だから株式を取られる人の代金の保護の規定はなかったんだと。しかし、そうじゃないんであれば、やはり、株式を取られる人、強制的に買われてしまう人の保護の規定は必要だということで検討するのが私は筋だと思うんですよ。
 ですから、私は、大臣が、今でも行われていることを同じようにスライドして規定したのがこの支配株主による少数株主への株式売渡し請求だと言われると納得がいかないんです。どうでしょうか、そうしたことについての大臣のお考えは。
#45
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに委員のおっしゃるように、当初は一〇〇%減資ということを主として想定してつくられた制度だと私も思います。当時の審議を私、必ずしもよく承知しているわけではございませんが、ただ、確かにその限定がなかったものですから、恐らく実務上そういうものが使われていって広がったという経緯はそのとおりだろうと思います。そこで、今回、実際上拡充してきたということでしょうか、それをもう少し整備しようということが、私は今回のこういう改正の背景にはあるんだと思います。
 そういう意味で、委員はこの少数株主の保護が十分でないという点を非常に強調しておられますが、少数株主の保護をどうしていくかということも考えながら、私どもは、ここは委員のお考え、それは十分でないというお考えだろうと思いますが、少数株主の保護も考えながら今回の改正をしたということではないかというふうに考えております。
#46
○小川敏夫君 それから、私は、大臣が今行われていることをスライドしただけだという趣旨のことについて、二つ申し上げたいということを言った。一つは今言いました。
 もう一つは、決定的な違いがあるんです。つまり、全株取得条項付種類株式にして行う場合には、株式を買い取るのは会社です。今回の支配株主による売渡し請求、株を買い取る人間は会社ではありません、株主です。すなわち、一個人の場合もあるし、株主がどういうものかは別にして、買取り主体が違うんです。私は、これは非常に大きな違い、決定的な違いがあると思います。というのは、会社に買い取られるとしますよね。すると、いや、会社だって、じゃ買い取った株の代金払わなければ同じじゃないか、会社が破産しちゃったら払えないことは同じじゃないかと言うかもしれないけれども、よく考えると、株式というのは会社の価値を反映しているんです。だから、買い取った会社がつぶれちゃったら払えないじゃないかと言うけれども、会社が破産したら、別に株で持っていたって無価値になっちゃうんです。会社の価値を反映しているのが株式ですよね。会社が多額の資産を持っている優良会社になれば株の価値は高いわけです。会社が破産して、倒産してしまえば株式は無価値になっちゃうんです。
 だから、私は、株式というのはその会社の価値に応じて価値が決まるものですから、会社に買い取られた、買い取られた後、会社が破産しちゃったら、別に買い取られなくたって株式はパアになっちゃうんですから。だから、会社が買い取るといっても、会社と株式は本来、価値的には運命共同体なんだから、全く保護が必要ないとは言わないけれども、保護の必要性は案外薄いのかなと思うんです。
 ところが、今度は買い取る主体が会社じゃないんです。会社とは全く別人格の、株主という別人格なんです。そうすると、会社の信用状態とは全く無関係にその株主が破綻してしまうかもしれない。株主が幾ら破綻したって、会社が優良会社なら株式は物すごい価値があるわけですよね。ですから、私は、その全株取得条項付種類株式で株式はそもそも集められちゃうという仕組みがあったよといっても、それは集める主体はこれまでは会社だった、しかし、今回のこの支配株主による売渡し請求は、集める主体が会社とは全く別人格の株主という人間なんです。
 ですから、じゃ、これは前も言ったように、買った人間が資力がない、あるいは資力がなくなってしまったり逃げちゃったらどうなるのかというリスクが生じてくるわけです。会社だったら、会社というものは人間と違ってお金持って海外へ逃げることできませんから、株式を買い取られちゃった人の保護は、株式を買い取られちゃった人が代金を取りっぱぐれる、不当に取りっぱぐれるということはあり得るけれども、しかし、会社とは別人格の株主に買い取られちゃう場合とは違ってリスクが少ないのかなと。
 あるいは、元々会社とは利益の運命共同体だったんだから、会社がつぶれりゃ株式は無価値になる存在だったんだから、会社がつぶれて代金もらえないなんて言ったら、代金がもらえないのも株式が無価値になっちゃうのも同じじゃないかという議論もあるので、私は救済するような必要性は薄いかと思うんですけれども、会社とは全く別人格の人間が株式を買い取るというのであれば、これはまた違った考えがあるんじゃないかと。しかも、株主が個人であれば、逃げちゃうのもいるだろうし、いろんなことがあるでしょうから。
 いろんなことがある場合に、その損失を株式を強制的に取られた人間に負わせるのは不合理じゃないかと。少なくとも、支配株主による株式の売渡し請求は、これは全て支配株主側の事情で行うわけですから、そして代金が払われなくたって一律に株式が移転しちゃうよというのも、これは株式を買い取る支配株主側の都合でそういうふうになっているわけですから、株を取られちゃう少数株主の都合では何でもないです。にもかかわらず、代金が支払われないというリスクはその株を取られちゃう少数株主にだけあるというのは、やはりこの法律の在り方として公平を欠いているのじゃないかというのが私の指摘です。
 随分長くなりましたけれども、要するに、今行われているよと、全株取得条項付種類株式でも行われているよと言うけれども、今行われているのは、会社が全株取得するんです。この新しい規定は、会社とは別人格の一株主が、支配株主であっても一株主が取得するんです。私はこれは法的に全然違うものだと思っていますので、ただ今行われていることをそのまま定型化して要件を定めて規定したものだよという説明では私は違うと思いますが。
 随分長くなりましたけれども、いかがでしょうか。
#47
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の委員の御説明、私が十分理解できていないのかもしれませんが、確かに会社が取得するという場合、それから、こちらの方は、十分の九は持っているけれども、これは企業である場合もあるし個人である場合もあり得るだろうと思うんですね。
 ただ、今おっしゃったのは、要するに株式というものは企業価値をそのまま体現しているものであるからと。それから、十分の九を持っているということは、やはりその企業価値を体現しているわけですね。私、そこのところが、今の、ちょっとまだ私の頭が十分整理できていないのかもしれませんが、今度の場合も、十分の九を持って、個人の資産というよりもその十分の九の企業価値というものはあるので、今の委員の御説明は、ちょっと私が十分理解できていないのなら民事局長に御答弁させますが、ちょっとそこのところは私、委員の御説明がすとんとまだ理解できないでおります。
#48
○小川敏夫君 まあ私も長々と話しましたのであれですけれども、十分の九を持っているというのは、それは経営権はあるということですけれども、財産的な価値としては会社の価値の十分の九を持っておるわけでして、少数株主は十分の一まで、その株式に応じた会社の価値を持っておるわけです。ですから、余り割合には関係なくて、少数株主だって価値を持っておるわけですよね。
 その持っておる価値が強制的に移転してしまうという場合に、代金が払われないリスクが生じてしまうじゃないかということを私は問題にしておるわけなんです。ですから、大臣とちょっと議論がかみ合わないから、もう私の時間があと四分しかないから、今日は私の意見を言わせていただいたということにして、また私の指摘をちょっと議事録を読んでいただいて、改めてまた議論したいかというふうに思いますけれども。
 残された時間は三分ですか、民事局長に契約解除のことについて聞くと言いました。一律に株式が移転する必要があるからということでした。だけれども、一律に株式を移転させる必要があるから、代金が払われていなくても、少数株主の意見を無視しても権利が移転してしまうと言うけれども、事後的に、この代金が払われなければ、契約解除が認められればその株は戻っちゃうとなれば、一律に取得するというその制度の趣旨は言わば穴が空いちゃうわけですよね。
 ですから、そんな、場合によっては一律に取得するということが崩れちゃうということがあり得る制度なら、結局は、一律に取得するということを絶対的要件にして、そのために売主が同時履行の抗弁権も失って代金取りっぱぐれのリスクが生じてしまうということぐらい徹底させなくても、少しは同時取得の部分が多少緩んでも、株を取られちゃう少数株主の方の保護を何らかの手だてを講ずるべきだったんじゃないかと思うんですが、民事局長、いかがでしょうか。
#49
○政府参考人(深山卓也君) この制度は、何度もお話に出ているように、十分の九以上の特別支配株主が、少数株主、売渡し株主の意思に反して、そういう意味では強制的に株を一律に集団的に取得してしまうという制度です。こういう制度を仕組む以上は、経済的価値として少数株主が持っていた経済的価値は保障すると、だから株自体は一律に取得させていただくと、こういうふうな制度にしないともちろんバランスが取れなくて、対価の支払がない場合があってもそれでいいですというわけにはまいりません。
 したがって、対価の支払がされる、そういう権利も与えるし、その点の審査も事前に会社の方でもしてもらうということで、こういうことも認めるけれども、支払が受けられなければ取得できないのはそれは仕方がないことで、言わばキャッシュアウトをしようと思っていたけどお金の都合が付かなくてできなかった場合がそれは論理的にはあり得ますし、現に撤回の制度などを設けているのは、そういうことで何らかの事情で特別支配株主の資金調達ができなくなっちゃうことがあり得るので、これも会社の承諾要りますけど、撤回の制度なども用意しております。
 したがって、払われる、ちゃんと経済的価値の保障はされるからこそ少数株主の地位というのを一律強制的に奪うことができると、こういう仕組みになって、そういうバランスが取れているものだと思っております。
#50
○小川敏夫君 経済的価値の保障がなされているからといっても、代金支払請求権が発生するんだから、それは法律的には保障されていますよ。だけど、債権があったって債権が現実化しない可能性があり得るでしょうということで、私はさんざんこの点を指摘させていただいておるわけです。
 時間が来ましたので、また議論を改めてさせていただきたいと思います。
 終わります。
#51
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。
 今日は法曹養成制度に関して質問をさせていただきます。
 法科大学院制度、この制度は二〇〇四年、今から十年前にスタートをいたしました。それまでのいわゆる旧司法試験とは違いまして、法科大学院では、理論と実務を架橋する教育、法学教育と司法試験、また司法修習が有機的に連携するプロセスとしての新しい法曹養成教育を行うと、そして質、量共に充実した法曹が輩出されると、こういう理想を持って始まったわけでございます。
 私も、この制度スタートと同時に期待に胸を膨らませて入学をした一期生であります。当時は、社会の第一線で活躍をして、そういう会社を辞めて入学をした人ですとか、それからお医者さんだったり、ほかの分野の専門家の方だったり、法学部以外の学部から入学した人も多くおりまして、いろいろなバックグラウンドを持った人たちと一緒に机を並べて法学の議論をする、すごい制度が始まったものだなと私は思ったことを覚えております。
 私は、この法科大学院制度というのは一定の評価されるべき成果もこの十年間残していると思っております。しかしながら、残念ながら抱えている問題も大きいわけでございます。十年がたちまして、私が学んでいた頃とはかなり様子が変わってしまったなと、こう思っております。司法試験の合格率も低迷をしておりますし、また、法曹、弁護士の就職難という問題もあります。
 一番残念だなと思うことは、この法曹界には未来がないんではないかと、このように考えて法曹を目指す学生が減ってしまったということであります。大学の学部の法学部の不人気というところまで発展をしてしまっていると、非常に残念なことであると思っております。法科大学院自体の募集、定員割れも進んでいる状況にあります。
 私は、こういう定員が少なくなってしまった法科大学院を単純に減らせば解決する問題だとは思っておりません。魅力ある授業、充実したカリキュラムを設けることができないと、その結果として淘汰されてしまうということはある意味仕方のないことではありますけれども、やはり適正配置、地方においても法曹を育てていくことができる、そういう制度にしていくべきであると思っております。
 こういう定員割れをしていたりとか統廃合がなされたり、厳しい状況にある法科大学院というのはどうしても地方に偏ってしまっているのではないかと思っているんですけれども、こういう法科大学院の現在の統廃合、また広域連携をしていたりとか、学生の新規募集を停止してしまっているような法科大学院の状況について、まず教えていただきたいと思います。
#52
○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。
 先生御指摘のように、法科大学院の中には入学者が集まらないというような状況、厳しい状況に陥っているというふうなところもございまして、これまでに学生の募集停止を表明した、公表した法科大学院でございますけれども、これまでに設置された全七十四校中十七校に上っておるところでございます。
 そのほかにも、いろいろ連携をするとか様々な模索を現在各法科大学院で検討されているというふうに承知しております。
#53
○佐々木さやか君 やはり七十四校中十七校というのは大きな数字だなと感じます。
 先日、私、神奈川の選出なんですけれども、地元の神奈川大学の法科大学院に授業に行ってまいりました。その神奈川大学の法科大学院でも、一学年何人いらっしゃるんですかと聞いたら四名程度ということで、あっ、そうですかと、ちょっと驚いたんですけれども。少人数で充実した教育が行われるという意味ではいい環境なのかもしれませんけれども、いろいろな議論をしたりとか学生同士で切磋琢磨をしていくというためには、ある程度の規模もやはり必要なのかなと感じます。
 神奈川というのは東京の次に人口が多い都道府県でございますが、こういった大きな神奈川県であっても法科大学院というのはこういう状況に置かれております。ましてや、更に人口の少ない地方の都市の法科大学院は厳しい状況であろうと思います。
 いろいろなバックグラウンドの方々が法曹を目指すことができる制度という意味では、地方の法科大学院もそうですけれども、夜間に開講している法科大学院も重要であると思います。この状況も少し心配なんですが、その状況について教えていただけますでしょうか。
#54
○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。
 平成二十六年四月現在でございますけれども、夜間のみ、あるいは昼夜開講しております法科大学院は九校ございます。それら九校につきまして、所在地でございますけれども、北海道、埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県にわたっておりますが、平成二十六年度入学者選抜における志願者数の合計は三百四十八人でございまして、平成二十六年度の実入学者の合計は九十九人となってございます。
 また、夜間開講しております法科大学院のうち三校が法科大学院の学生の募集停止を表明しているというふうに承知しております。
#55
○佐々木さやか君 夜間の開講の法科大学院も三校が募集停止をしているということで、やはり状況としては厳しいのかなと感じます。
 首都圏などの大規模校への一極集中化というものが極端に進んでしまいますと、やはり地方に住んでいる方としては地元の周辺では法曹になれないのかなと。こうなりますと、誰でも法曹を目指していただくというわけにはいかなくなってまいります。また、一部の限られた大学院だけが法曹を養成するということではなくて、やはりそれぞれの特色、教育目標を持った法科大学院が法曹養成をしていくということが私は望ましいのではないかと思います。
 ですので、こういった観点から、地方の法科大学院、また夜間開講の法科大学院に対する支援というものは重要なのではないかと思っておりますけれども、この点についての大臣の御所見を伺います。
#56
○国務大臣(谷垣禎一君) 法科大学院を全国に適正配置していく、そしてそこで質の高い教育を行ってもらうというのは大変必要なことだろうと思います。現在、例えば四国においては法科大学院の募集をしておる学校は、ロースクールは一つもなくなるということですと、やはりなかなか地元と離れ難い状況を抱えておられるという方もあると思いますので、さあ、どうなっていくのかということになってしまいます。
 それから、社会経験を積んだ方など幅広いバックグラウンドを持った方が法曹として社会に出ていくという観点からは、先ほど御指摘のような夜間開講の法科大学院という存在も私は大事だろうと思います。
 しかし、現状では、地方に存在する法科大学院やあるいは夜間開講している法科大学院の中には、なかなか成果が出ない、深刻な状況にあえいでいるところもございますから、その質の向上を図っていくためには連携、連合というようなことも私は必要なんだろうと思います。
 文科省では、こういうことから、去年の十一月に法科大学院の組織見直しを促進するための公的支援の見直しの更なる強化というのを発表されて、組織見直しを進めていく、今御努力中であるというふうに承知しております。この施策においては、公的支援見直しの類型を定める指標の中で、地域適正配置や夜間開講の観点も考慮しながら取り組んでいただいているというふうに承知しております。
 多くの有為な人材が志を立てたときに法律家の世界に入ってくることができるように、文科省でも御努力をいただいておりますが、私どもも連携して取り組んでまいりたいと思っております。
#57
○佐々木さやか君 次に、予備試験制度について質問をさせていただきます。
 今日の議論でも既に出ておりますこの予備試験制度、問題が深刻であると思います。私が法科大学院生だった頃を思い返しますと、予備試験制度というのは、そういう制度があるということ自体は知っておりましたけれども、ごく限られた人が例外的に受ける制度なんだろうなという程度でありましたので、かなりこの十年で変わってしまったなと感じております。
 この予備試験制度、そもそも創設のときの趣旨、目的というものをもう一度確認をさせていただきたいんですが。
#58
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 司法制度改革により導入されました新たな法曹養成制度は、法科大学院を中核的な教育機関として、法科大学院における教育と司法試験などとの有機的な連携を図るものでございます。
 他方、経済的事情や、既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの諸般の事情により法科大学院を経由しない者の中からも、優れた人材を選抜して法曹資格を付与する道を開く必要があるため、予備試験の制度を設け、法科大学院の修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定し、その合格者には法科大学院修了者と同等に司法試験の受験資格を認めることとした、これが趣旨でございます。
#59
○佐々木さやか君 今御説明いただきましたとおり、予備試験制度の趣旨というのは、経済的に法科大学院に通うことが困難な方ですとか、それから一定程度社会経験などを積んでいるような方、こうした方々を対象とすることが当初予定をされていたということであります。
 しかしながら、今、平成二十五年の予備試験の出願者数が一万一千二百五十五人で、受験者数は九千二百二十四人に上っていると。先ほど法科大学院の定員割れのお話を申し上げましたが、法科大学院の平成二十六年度の入学者数というのが、三月二十八日時点ですけれども二千二百九十八人ということでありますので、法科大学院に入学をして司法試験を目指そうと思う人たちより、予備試験を受けようと、そして司法試験を受けようという方の方がかなり大幅に上回っているという状況にあります。
 さらに、この予備試験の合格者、どういう方たちが合格をしているかというと、平成二十五年の合格者が三百五十一人だそうですが、そのうち三百十七人が学部生、法科大学院生、法科大学院修了生ということで、ほとんどが学部生、法科大学院生などですので、社会人の方が受けているというわけではどうやらなさそうであります。また、この数字を見ましても、法科大学院生も相当程度含まれておりますので、法科大学院に行くのが経済的に厳しいと、こういう事情で受けているわけではどうやらなさそうだなということが分かるわけであります。
 話を聞きますと、まず学部生としては、予備試験を受けて、それで駄目だったら法科大学院に行くと。法科大学院生も、予備試験を受けて、それが駄目だったら卒業してから司法試験を受けると、こういうことになっているということであります。この予備試験の受験のために受験予備校に通うという旧司法試験時代のダブルスクールのような状況にもなってきてしまっているということであります。法科大学院の予習、また授業自体も、この予備試験の方のお勉強に熱中をしてしまっておろそかになってしまっているのではないかと、こういう声も伺いました。
 このように、やはり予備試験が現在、本来の制度趣旨からは大きく離れてしまっている状況にあるというのは、なかなか否定し難い事実であると思います。予備試験制度についての御所見は今日の議論でも大臣に述べていただきましたけれども、改めまして、こういう状況をどのように認識、問題と思っていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
#60
○国務大臣(谷垣禎一君) 予備試験についての現状は、本来の、何というんでしょうか、在り方と随分懸け離れてきているんじゃないかという御指摘はかなり強くあるわけですね。特に先ほど小川委員とも御議論をしたことでありますが、そっちの方がエリートコースであるというような受け止め方なども出てきている。
 私、自分のことだけ申し上げてはいけませんが、やっぱり自分の過去を振り返ってみますと、どういう過程で試験を、法律家になるためには司法試験は最終的には受からなければしようがないわけですが、やっぱりどういう人たちと一緒に議論をしたりして自分が学んできたかということも大事ですから、そっちの試験で進むのが本当の意味で成長を促すことになるのか、やはりしっかりしたロースクールで学ぶ方が大きな成長をしていくのかというのは、まだ十分検証されていないことだと私は思うんですね。だから、エリートコースだというような受け止め方、ちょっといかがかなという個人的な感じは私は持っております。
 しかし、制度から離れた運用になっているんじゃないかという御指摘は幅広くある。一方、やはり予備試験という、今のロースクールにはかなり批判的な見方を取って、予備試験はこれは積極的に評価すべきであると、そういう観点から、受験者の負担をもう少し考えるべきではないかというような御意見も強くあるのではないかと思っております。
 そこで、私、法務大臣としては、今まだ予備試験の回数もそんなにあるわけではありませんので、十分そのデータの分析をきちっと行って、予備試験を見直す必要があるのかどうかということの結論を出していかなきゃいかぬというのが今の私の法務大臣の立場でございますが、この頃やはり、焦ると言ってはいけないんですが、いろんな意見が対立している中で、この落着点を見出していくのも簡単ではございませんが、やはり、いろんなこの問題点というのはいつまでも議論していればいいわけではなくて、粗ごなしも進めていかなきゃならない、そういう段階に来ているのかなというふうに思っております。
#61
○佐々木さやか君 法科大学院生の負担というお話がありましたけれども、その一つがやはり経済的な面だと思います。小川先生からもお話ございましたけれども、この予備試験制度の本来の趣旨というのが経済的に困難な学生のためにあるということであれば、法科大学院生に対する経済的支援を充実をさせていくべきではないかという点については、私もそのように感じております。
 そこで、前提としてちょっと確認をしたいんですけれども、今、法科大学院を修了するのに必要な費用というのは、授業料その他、大体学生さんはどれぐらい掛かるものなんでしょうか。
#62
○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。
 法科大学院を修了するために必要となる学費等に関する試算といたしまして、入学金と授業料の合計額を置いた場合に、法学未修者として三年間学んだ場合には、平均といたしまして、国立大学で二百六十九万円、公立大学で二百五十三万円、私立大学で約三百五十三万円という状況でございます。法学既修者として二年間学んだ場合には、平均といたしまして、国立大学で百八十九万円、公立大学で約百七十九万円、私立大学で約二百四十三万円となってございます。
 なお、これらに加えまして、法科大学院によりましては施設整備費などその他の経費が掛かる場合もあると承知しております。
#63
○佐々木さやか君 こういった授業料その他の費用に対してどういう支援があるのかという点についてお聞きしたいんですけれども、奨学金ですとかそういった支援のことについてお聞きしたいと思います。
#64
○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。
 法科大学院に対する奨学金でございますけれども、文部科学省では日本学生支援機構の大学等奨学金事業の中で対応してございます。現在、日本学生支援機構の奨学金におきましては、貸与基準を満たす希望者全員に奨学金を貸与してございます。
 なお、経済的理由によりまして奨学金の返還が困難な場合に、その期間中返還を猶予する制度や、在学中に特に優れた業績を上げた者に対しまして、貸与終了時に無利子奨学金の全部又は一部を免除する返還免除制度が存在しております。
 また、国立大学、私立大学それぞれの授業料減免の充実も図っているところでございまして、加えまして、多くの法科大学院では独自に奨学金制度を設けまして学生の経済的支援に努めているものと承知してございます。
#65
○佐々木さやか君 法科大学院生は学部を出るのに奨学金を借りて、また法科大学院を出るのにも奨学金を借りなきゃいけないということで、大変その経済的負担というのは大きいというふうに私も聞いております。
 これは法科大学院生だけに限らないんですけれども、やはり公的な給付奨学金制度というのが私は不足をしておると感じております。予備試験制度の存在もそうでありますけれども、やはり経済的に困窮している学生への支援という点については、法科大学院で二年ないし三年、集中して勉強ができるように、心配をしなくて勉強ができるように、給付奨学金の充実をさせていくことが私は重要であると思っております。
 こういった点も含めて、その他もですけれども、法曹養成制度において法科大学院生への経済的支援ということについてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#66
○国務大臣(谷垣禎一君) 経済的な事情によって法律家への道を諦めるというようなことがあっては私はいけないと思います。やはり、志を立てた多様な方、優秀な方、法律家になっていただきたい。したがって、法科大学院に入られた方に経済的支援をしていく、奨学金その他の方法で経済的支援をしていくということは極めて大事だろうと思います。
 他方、法科大学院に行かないで法律家を目指しておられる方もあると。そういう方が予備試験を受けたりなんかしておられるわけで、現に私の知り合いでも、企業に勤めながら予備試験を受け、やっておられる方はあるわけですね。それは必ずしも経済的事情で行っていないわけではないと。
 したがいまして、先ほど来これはずっとお答えしていることでございますが、経済的支援も大事だけれども、多様な選択肢というのも私は必要なんではないかと、こういうふうに思っているところでございます。
#67
○佐々木さやか君 経済的支援といいますと、法科大学院生もそうですが、司法修習生への支援も重要であると感じております。学部で奨学金を借りて、法科大学院でも借りて、更に司法修習でも生活費を貸与を受けなければならないという状況になっております。
 ちょっと残された時間が少ないですので、少し通告した質問を飛ばさせていただきますけれども、この貸与制度は六十五期修習生から開始をされました。かなりの修習生が貸与を受けていると聞いております。
 しかしながら、御存じのとおり、弁護士の就職難という問題がございまして、ちょっと御紹介したいんですけれども、修習を終わった新規登録をしない未登録の修習生というか、修習を終わって未登録のままであるという人が増えているということが指摘されていますけれども、登録の取消しというものも現在増えておりまして、登録取消しですから、一旦登録したんだけれども何らかの事情で登録を取り消したという方が、修習六十期台、今六十六期生までいらっしゃいますかね、非常に増えてきております。現在でいいますと、二〇一三年で全体の登録取消し者というのが五百五十一人いらっしゃるそうですが、六十期台だけで百六十四人と。そのほかの、五十期台、四十期台、三十期台というのはそんなにもちろんいないわけで、登録取消し者はいらっしゃいませんで、十期台以前の大先輩方で百六十人ということですから、十期台以前の弁護士よりも六十期台の弁護士の方が登録取消し者が多いという現状にあります。
 これはどうして取り消しているのかという理由までは分からないわけですけれども、やはり就職難、登録したけれどもなかなか立ち行かないという事情によって取り消したという人も相当程度いるのではないかと思っております。ということで、貸与金、この返済についてはこれからではありますけれども、なかなか返還が困難になってくるという場合もあるのではないかと思います。
 こうした点について、現在も返還の猶予、一定の場合の免除制度もありますけれども、やはり限られた条件でございます。公明党の緊急提案でも申し上げましたけれども、この貸与金の猶予の運用は柔軟にしていただきたいと思いますし、また、免除の要件についても拡大をしていくべきではないかと思います。
 最高裁の問題ではあるかと思いますけれども、大臣にもこの点についてちょっとお考えを伺いたいと思います。
#68
○国務大臣(谷垣禎一君) 国会で裁判所法の改正案を作っていただきまして、経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由があるとき、これは返還猶予事由とすると、これ平成二十四年七月に成立して、十一月に施行されたところでございます。
 それで、実際の返還は平成三十年から始まるという仕組みになっていると存じますが、まだこの返還猶予事由を拡大する法改正が施行後間もございませんし、まだ返還も始まっているわけではないと。まずは現状を見守っていきたいと。どういうことかよく見ながらまた考えなければいけませんが、今は、この間つくっていただいた体制、何が動いていくかということを見守ってまいりたいと、このように思っております。
#69
○佐々木さやか君 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。
#70
○委員長(荒木清寛君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#71
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法曹養成制度等現下の諸課題に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#72
○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 今日は、法曹養成制度等の一般質疑ということでお時間をいただいております。私は、まず法曹人口について伺いたいと思います。
 平成十四年の三月の関係閣僚の閣議決定で、司法制度改革推進計画というのが示されました。それに基づいての法曹人口の拡大といったことがなされてきたわけでありますけれども、十年間で一・六倍に増えるという、法曹人口が拡大したわけであります。
 これについて様々な意見、批判的な意見といったことも含めて様々な意見がなされていますけれども、まず大臣に伺いたいと思います。法曹人口が拡大して良かった点、そしてまた問題点について御所見を伺いたいと思います。
#73
○国務大臣(谷垣禎一君) 毎年三千人の合格者を出すという目標でやりまして、まず良かった点を申し上げますと、例えば弁護士が一人もいない地域というのはなくなりました。それで、そういう意味で、かなり過疎地であっても司法サービスに国民がアクセスしやすくなったということはございます。それから、国、自治体、企業、それから海外展開等々において広く活動していく足掛かりになったということだろうと思います。もちろん法務省にも短期任用で弁護士の方が来ていただいて民事局などで仕事をされているということも、各官庁そういう方が出てきましたし、それから自治体でも、やはり顧問弁護士というよりもそこの公務員として内部に入ってもらった弁護士がいると、いろんなことでなかなか法律家は使えるという評価もいただく等々、そういうことが起きてまいりまして、いろんな法的ニーズが多様化している中で、法曹に対する社会的な要請に応えるための基盤の整備という点では大きく前進した面があろうかと思います。
 他方、近年、民事訴訟の事件数あるいは法律相談件数、全体としては、過払い訴訟というのは確かにございますが、それを除きますと減少傾向にあると。そこで、法曹の法廷以外の新たな分野の進出ということも、現時点では限定的といいますか、なかなかそう思うようにいっていないということがございます。それから、ここ数年、司法修習終了者の終了直後の弁護士未登録者数、これが増加する傾向にあると。法律事務所への就職が困難な状況が生じているということだろうと思います。
 いずれにせよ、三千人は現在においてはやや、何というんでしょうか、無理な目的であったということになっておりますが、今のようなことも踏まえまして、どういうニーズが、量的に見てどの程度のニーズがあるのかと、これはきちっと分析して考えていかなければいけないと思います。
#74
○行田邦子君 法曹人口が増えて確かに弁護士ゼロの地域はなくなったというところは評価されているかと思いますし、また、組織内、自治体とか行政機関、それから企業の中での法曹有資格者という人材の供給にもなったといったことは言えるのかなとは思いますが、ただ、やはり法曹人口が拡大したことによっての現在抱えているその問題点というのが明らかに大きいのではないかというふうに私自身は認識をしております。
 そこで、そもそも、平成十三年の審議会の意見から始まって平成十四年の三月のその閣議決定、司法制度改革推進計画において、先ほど大臣もおっしゃられました、平成二十二年頃には司法試験の合格者数を年間三千人程度とすることを目指すといったこの数値目標なんですが、ここにそもそも設定に無理があって、また将来予測の見通しが残念ながら非常に甘かったんだろうというふうに思っております。
 そこで、政府参考人に伺いたいと思いますが、この推進計画が立てられた時点で、年間三千人という目標を設定した根拠が何なのか、そして三千人という数字を打ち出すに至るどのような調査を行ったのか、教えていただけますでしょうか。
#75
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 委員御指摘の点につきましては、経済、金融の国際化の進展ですとか、人権、環境問題などの地球的課題や国際犯罪などへの対処、知的財産権、医療過誤、労働関係などの専門的知見を要する法的紛争の増加、またいわゆる法の支配をあまねく実現する前提となる弁護士人口の地域的偏在の是正の必要性など、こういった点を勘案した上で、諸外国の法曹人口の推移ですとか、法曹一人当たりの人口の国際比較などの調査を経まして、国民人口当たりの弁護士人口としてフランス並みのものとするのが適当であるとして提案されたものと承知しております。
#76
○行田邦子君 今の御答弁を伺っても、しっかりとした何か将来予測、見通しを行って、調査を行ったということでもなかったのではないかなと、非常に希望的、楽観的というか、主観的のような予測の下に三千人という数値目標がなされたのではないかなというふうに私は感じております。
 そして、実際に平成二十二年になって、年間の司法試験の合格者数三千人というところには届いていないということもありまして、またこの数値目標ということ自体が具体性に欠けるという理由から、昨年の七月の法曹養成制度関係閣僚会議決定としてこの三千人という目標を撤回するということに至りました。
 そこで、三千人は撤回したんですけれども、ただ、その上で、あるべき法曹人口について示すということにもなっているわけでありますが、そのスケジュールが昨年の七月の決定から二年をめどにということになっていまして、私は非常に、これが何で二年も掛かるのかなと。今抱えている問題、この現状の認識からするととても悠長な感じがするわけでありますが、そこで大臣に伺いたいと思うんですが、あるべき法曹人口についてどのような手法で、またいつ頃その調査を公表するんでしょうか。
#77
○国務大臣(谷垣禎一君) 三千人目標を事実上撤回した後、あるべき法曹人口は何人かと、これは様々な分析をしながら、事情を勘案しながら適切に検討を行わなきゃならないわけですが、今、内閣官房法曹養成制度改革推進室で多角的な視点から、確かに、さっきおっしゃったように、以前のときはフランス程度、フランス並みという以上の深い分析が必ずしもなかったという反省に基づきまして、法曹人口に関する必要な調査を行って、その結果を二年以内に公表しようと。これは遅いと今もお叱りを受けましたが、今作業を進めておりまして、今まで、三月までで調査デザインをいろいろ検討を終えまして、四月からデータ収集、既存データの分析というところに入っております。具体的には、一般の方々やあるいは企業等に対する需要調査を始めているところでございます。
 それで、それを九月ぐらいまでやりまして、十月から総合データの分析ということに入るというカレンダーを作っておりますが、そこで具体的な数値を示せるかどうかというのはその作業結果を見て検討しなければならないと、現在はそういう段階でございます。
#78
○行田邦子君 今スケジュール感をお示しいただきましたけれども、やはり、確かにあるべき法曹人口というものを政府として示すにはしっかりとした調査が、過去の反省も踏まえてですけれども、しっかりとした調査が必要かとは思いますけれども、それにしても少し時間が掛かり過ぎではないかなというふうな印象を拭えないです。
 続けて質問を大臣にさせていただきたいんですけれども、そのような中でなんですが、与党から、午前中も少し質疑ありましたけれども、緊急提言のようなものなどがなされています、法曹人口についての提言がなされています。そこで、自民党さんは、平成二十八年までに千五百人程度を目指すべきというようなこと、それから公明党さんは、まずは千八百人程度を目指し、その後、千五百人程度を想定する必要もあるのではないかといった、具体的な年間の司法試験合格者数の数値目標的なものが示されています。
 この数値目標について、大臣はどのような御所見でしょうか。
#79
○国務大臣(谷垣禎一君) 政府の立場としては、先ほど申し上げましたように、今調査をして、それを踏まえて数値をどうするかということになりますので、直接、与党ではございますが、自民党ないし公明党の見解、お答えをできる段階にはございません。
 ただ、これはやや担当閣僚としての私的な感じでございますが、法務大臣になりまして議論をもう一回お聞きしていると、相当それぞれの立場に差がありまして、数値だけではなくていろんな考え方にですね、なかなかまとめるのは困難だなと実は当初思ったわけでございます。しかし、困難だ困難だで済むわけではございませんので、いろんな問題もそろそろ粗ごなしに入っていかなきゃいけない。
 そういう意味では、例えば自民党でいえば、まずはという言葉を使っておられるのにいろいろ意味があると思うんですが、まずは千五百人と。あるいは、千八百人程度としつつ、千五百人だ、これは公明党の御見解でございますが、粗ごなしとしての役割を果たしていただいているのかなというような感じを持っております。
#80
○行田邦子君 ありがとうございます。
 確かに慎重な検討が必要ではあろうかと思いますし、必ずしもその数値目標が独り歩きしてもいけないというふうには思っておりますけれども、やはり三千人は明らかにこれは無理があったと、今は大体二千人ぐらいと。それでは、今後どのぐらいであるべきかといったことは、やはりできるだけ早く政府としても示すべきではないかなというふうに思っております。
 次に、法曹養成制度について何点か伺いたいと思います。
 まず、大臣に伺いたいと思います。
 今、法科大学院の志願者数が非常に低迷をしている状況であります。ピーク時の四万五千人ぐらいから、今は一万一千四百五十人ぐらいと、四分の一にまで志願者数が減ってしまっています。この法科大学院の志願者数が低迷している理由について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
#81
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、昨年六月の法曹養成制度検討会議の取りまとめで分析をしていただいておりまして、私もその分析が当を得たものではないかと思っているんですが、そこでは、司法試験の合格状況で、法科大学院間のばらつきが大きくと、こう書いてあるわけです。それから、全体としての司法試験合格率も高くなっていない。それから、司法修習終了後の就職状況にも厳しさがあると。それから、法科大学院に通うということは一定の時間的、経済的負担があると。そういうことから、法律家を志願して法科大学院に入るということにはかなりのリスクがあると、こういうふうに見られているという分析で、私もそのとおりだと思います。
 したがいまして、こういった懸念といいますか、をどう払拭していくかということを今議論し、差し当たって手掛けられるものから手掛けていこうと、こういうことでございます。
#82
○行田邦子君 法科大学院で学ぶための経済的負担というのは、これもいろんな議論がなされていますけれども、かなり負担があると。
 一方で、じゃその終了した後の就職ですけれども、これも、弁護士資格を持って法曹有資格者になったとしてもなかなか就職口が決まらない、そのことによって弁護士の未登録者数というのも非常に増えているというような状況で、法科大学院に通っても将来見通しというのが非常に不安定だといったような、今残念ながらそういう状況にもなってしまっているのかなというふうに思います。
 そこで、質問を続けたいというふうに思うんですが、法科大学院修了者の司法試験合格率なんですけれども、これが平成十四年時の司法制度改革推進計画で想定されていた例えば約七割から八割といった数値よりもかなり現状低い状況となっています。例えば平成二十五年度は、法科大学院の修了者は受験者が七千四百八十六人に対して合格者が千九百二十九人と、二五・八%でした。このような状況、どんどんどんどん合格率が低くなってしまっているという状況で、累積合格率で見ても、平成二十年度の修了者は四七・二%と、せっかく法科大学院修了しても半分の人しか司法試験が受からないという状況です。
 そこで、大臣に伺いたいと思うんですけれども、司法試験の合格率、法科大学院修了者の司法試験の合格率が低い状況となっている原因について、所見を伺いたいと思います。
#83
○国務大臣(谷垣禎一君) 司法制度改革審議会の意見書では、ロースクールを出た場合、おおむねその七、八割ぐらいの合格率ということを想定していたわけでございますが、現状はとてもそうなっていないと。
 そこで、なぜかというと幾つか理由が考えられるわけですが、法科大学院をつくるときに、当時は、今までの司法試験が余りにも人為的に狭い枠にとどめて参入障壁をつくっていたじゃないかという規制緩和論者からの御意見が強くありまして、ロースクールの定員を人為的に制限すべきではないというような御意見が当時は強かったように記憶しております。
 そういうこともありまして、基準を一応満たしたものを認可することとして広く参入を認める仕組みとされまして、その結果、七十四校の法科大学院がつくられたと。それで、ピーク時には入学定員が六千人近くと。これが、ややというか過大な規模であったということが一つの要因だろうと思います。それから、特に法学未修者の司法試験合格率が低迷しておりますので、法学未修者の教育の在り方についても十分でなかったところがあるのであろうと、課題があったと思います。
 それで、このようなことから、現在、文部科学省におかれては、法科大学院の定員削減や統廃合といった組織見直しを促進する施策をいろいろ努力していただいております。それから、法曹養成制度改革推進会議でも、法科大学院の組織見直しを促す観点から、教員派遣、実務家を教員として派遣する見直し方策についても決定をしたところでございまして、こういう努力を通じて教育資源の集中を図って質の向上につなげていきたいということでございます。それから、文部科学省におかれては、法学未修者がより基本的な法律科目、基本法と申しますか、そういうものを重点的に学ぶことのできる仕組みの検討などを進めていただいているというところでございます。
#84
○行田邦子君 御丁寧な答弁をいただきましたが、今大臣の答弁でもありましたけれども、司法試験の合格率を全体を引き下げてしまっている一つの原因というのが法学未修者の司法試験の合格率が非常に低いということで、これは数字として出ているわけであります。例えば、平成二十五年度は、法学未修者に限って言うと受験者が四千三百三十四人、合格者がそのうち七百二十二人と、一六・六%という低い合格率になっております。
 そこで、関連して大臣に質問させていただきたいんですけれども、平成十三年の審議会の議論や、また十四年の閣議決定のときにも明記されていたと思いますけれども、法曹界においての多様な人材の確保が必要であると、それは法学部以外の学部の出身者であったりとか、また社会人経験がある方であったり、こういった多様な人材を確保する必要が求められているといったことが言われていたかと思います。
 そこで、その流れで、法学未修者についても、しっかりと法科大学院に受け入れて、そして法曹として育てていこうといった流れがあったかと思うんですけれども、そこで大臣に伺いたいと思うんですけれども、法曹においてなぜ多様な人材というのが求められるんでしょうか。大臣御自身の御意見を伺いたいと思います。
#85
○国務大臣(谷垣禎一君) やはり、法律家に求められる、何というんでしょうか、識見が非常に多様化、複雑化しているというよりか、法律問題、法律が裁かなければならない問題自身が極めて多様化、複雑化しているのではないかと思います。
 例えば、訴訟におきましても、極めて基本的な、何というんでしょうか、基本法で裁けるというよりか、かなり行政的あるいは政治的な判断、司法部でございますから政治的な判断と言ってはいけませんが、本来なら政治過程で解決すべき問題が司法に持ち込まれるというようなことも多々あるように思います。それから、経済とか金融等々は国内の秩序、国内の在り方だけでは判断ができませんで、やっぱり国際的な経済動向、金融動向というものにある程度通じていないと法律家としても処理ができないということがあろうかと思います。
 さらに、人権とか環境問題、それから、そういうのは地球的規模の問題でございますが、同時に、犯罪等も国内の対応だけではうまく裁けない場合が、国際犯罪とかテロとかいうようなものをどう裁いていくかということになりますと、なかなか国内的な知見だけでは不十分である。もう挙げれば切りがございませんが、知的財産権であっても、医療過誤であっても、労働関係等々、これは国際化だけじゃなしに、非常に物事が複雑化してきて多様化してきている、こういうふうに思うわけですね。
 ですから、それを法律問題として処理をしていくには、やはり多様な人材がなければいけない。そういう、何というか、理想がロースクールをつくったときに強くあったと思いますし、現在、もういろいろな問題はこの司法試験改革で出てきているわけでありますが、そういう需要があること自体は少しも変わらないので、我が国の法曹養成制度がどういうふうにしてそういうのに対応できる人材をリクルートし、養成するかというのは、引き続き喫緊の課題ではないかと思っております。
#86
○行田邦子君 司法に持ち込まれる案件が非常に複雑化、多様化、また専門化していると、国際化しているということも言えるかと思います。そうした中で、引き続きやはり法曹界に多様な人材を育てて、また送り込むといったことが求められているというふうに、今の大臣の御答弁を聞いて私も同感いたしました。
 そこで、最後の質問、文科省に伺いたいと思うんですけれども、多様な人材を育てるために必要と思われる法学未修者なんですけれども、司法試験の合格率が非常に低くなっています。このことに対する方針と対策をお聞かせいただけますでしょうか。
#87
○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。
 多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に受け入れていく観点から、多くの法学未修者が安心して法科大学院で学べる環境を整えるために法学未修者教育を充実することは極めて重要であると認識しております。
 これまでも文部科学省といたしましては、法学未修者の一年次における法律基本科目の単位数の増加のための省令改正、あるいは厳格な成績評価、修了認定の徹底の促進など、法科大学院教育の質の向上に取り組んできたところでございます。
 加えまして、昨年公表いたしました公的支援の見直しの更なる強化策におきましても、法学系以外の課程出身者又は社会人の直近の入学者数や割合が評価される指標を設けるなど工夫しているところでございます。
 さらに、本年三月には、中教審の法科大学院特別委員会において取りまとめられました基本的方向性に基づきまして、法学未修者に対する法律基本科目の単位数の増加やその配当年次の在り方の見直しなどに速やかに取り組むこととしておりまして、文科省といたしましては、引き続きまして法学未修者教育の更なる充実に努めてまいりたいと考えております。
#88
○行田邦子君 質問が残っておりますけれども、時間ですので終わります。
#89
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 まず、法曹養成について、お伺いしたいと思っておりました基本的な問題は大体これまでの議論で出たところです。そこで、絞って二つだけお尋ねしておきたいと思うんですが、まず、文科省においでいただきました。
 中教審で、ロースクール支援の見直しだとか、あるいは定員削減の方策だとか、この検討のお話はこれまでも出ましたので伺いませんが、法学未修者が基本をより重点的に学べるための仕組み、この検討あるいは実施の準備というのが、昨年七月の会議においては一年以内を目途に結論を得るという課題になっていると思うんです。
 司法試験の法の改定も来年からということにもなる関係もあって、理念とか、あるいは長期的な議論はこれまでもありましたから、それは割愛いただいて、当面どのような具体化が図られるのかについて伺いたいと思います。
#90
○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。
 昨年七月の法曹養成制度関係閣僚会議決定におきましては、法学未修者が基本的な法律科目をより重点的に学ぶことを可能とするための仕組みについて検討することとされておりまして、中央教育審議会法科大学院特別委員会におきまして具体的な議論を行ってきたところでございます。
 本年の三月には、中央教育審議会の法科大学院特別委員会におきまして議論の基本的方向性が取りまとめられました。その中で、法学未修者に対する法律基本科目の単位数増加やその配当年次の在り方の見直し、また、進級時に学生の学習の到達度などを確認する共通到達度確認試験、これはまだ仮称でございますけれども、それの導入などが提言されたところでございます。
 これに基づきまして、文部科学省といたしましては、その実現に必要な具体的な措置の検討に着手しておりまして、基礎、基本の修得の徹底など、法科大学院教育の質の向上に努めてまいりたいと考えております。
#91
○仁比聡平君 時期的なめどや、今年度あるいは来年度、どんなことが具体的にロースクールの現場で変化が起こるのかということがちょっとよく分からないんですね、私まだ。ちょっと引き続きこの点は質問をしていきたいと思います。
 二つ目の点は、大臣に、プロセスとしての法曹養成課程そのものといいますか、全体、ここについての認識をお尋ねしたいんですけれども、ロースクールで法理論と実務の基礎的素養を修得しているということを前提に、司法試験においてそれが確認をされて、一年になった司法修習では、法律実務の汎用的な知識、技能と、高い職業意識や倫理観を備えた法曹として養成をしていこうというのが全体としてのプロセスなんだと思うんです。ですが、これがもう、今日もるる指摘をされているような、言わば危機的状況になりかねないというようなことが指摘をされている。
 私、ちょっと乱暴かもしれませんが、二つだけポイントを絞ると、以前に御質問をしました貸与制の弊害、私は給費制の復活が必要だと思いますが、つまり、経済的な格差ということと、もう一つは、予備試験に象徴的なバイパスや飛び級という問題が、戦後の我が国の法曹養成の理念である法曹一体、統一修習という理念を壊してきているんじゃないのかと。その下で、従来は司法修習における修習専念義務と。希望する進路とは違っても、事実、証拠に向き合って、仲間たちや先輩法曹と徹底して議論しながらその素養を身に付けていくという、ここに専念をしてもらうし、しようということが修習の一番中心の理念だったと思うんですが、ここがどうも大きく壊れている。
 かつての司法修習と違って、ロースクールが基礎的な部分をしっかり身に付けるということになるわけですから、ロースクールから司法試験を経て司法修習まで、この戦後の日本の法曹養成の理念である法曹一体、統一修習、こういう理念に照らしてどう立て直すべきなのか。ここが課題なのではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
#92
○国務大臣(谷垣禎一君) 現在も法曹を一体として養成していく、修習していく、そういう理念は私は崩れていないと思っております。やはりそういうことは、何というんでしょうか、努力をしていかなければならない目標ではないかと、このように思っております。
 ただ、やはりそのプロセスとしての養成というのが、今までの議論で、幾つかのやはり養成があったと思います。一つは、やはり一点で選ぶ、司法試験だけで選ぶというと、その司法試験に相当な負荷が掛かって、技術的な勉強にどうもウエートが行ってしまったのではないかと、それをやっぱりプロセスで是正しようとした。もう一つは、先ほどの御議論ですが、やはり法律家に求められる素養といいますか、いろいろな学ばなければならないものが多様化している、司法修習だけではなかなかうまくいかない、だからそれは法科大学院というものに多様な、何というんですか、法律家としての素養を期待したということがあったと思います。
 問題は、結局、四年制大学というものを基礎に築いてきた日本の法学教育というものとの接合が、そこに要するに接ぎ木をしたわけですけれども、あのアメリカのロースクール、そこが私うまく接げない弊害が起きてきているのではないかと、私の認識はそういう認識でございまして、仁比委員がおっしゃる統一修習等々のあれを裏切っているのではないかというのは、必ずしも私はそう思っておりません。
#93
○仁比聡平君 私も壊してしまっているということを言っているつもりはありませんで、そうした懸念が、このまま危機的状況が進行すると、一人一人の法曹、法曹というのは、とにかく一人一人の自覚や資質というのが本当に極めて高く問われるものだと思いますから、そうした議論をきちんと深めながら、国民に開かれた司法、国民のための司法というその司法改革の理念を今改めて国民の皆さんに分かりやすい形で、改革を改めて進めていくということが必要ではないかと思っております。
 法曹養成についてはこの限りですので、司法法制部長と文科省は退席していただいて構いません。
#94
○委員長(荒木清寛君) それでは、中岡審議官、大塲室長、小川司法法制部長は退席してください。
#95
○仁比聡平君 引き続き、四月十七日の当委員会で質問をさせていただきました戸籍窓口業務の民間委託について伺いたいと思います。
 振り返ると、戸籍法は平成十九年に改正をされました。私もこの委員会でその質疑を行いましたけれども、明治以来、また戦後の憲法下、家制度をめぐる大きな変化だとか、戸籍や除籍謄本の不正取得や人権侵害という事態も起こる中で運用が改められてきた戸籍の公開制度を見直して、また戸籍の記載の真実性を担保するための極めて重要な改正が行われたと思います。そこでは、証明の手続でも、そして届出においても、本人確認が法律上の仕組みとされて、言わば要に位置付けられたわけですね。
 民事局長に、この改正目的に照らして本人確認はどのような役割を果たすのか、まず伺いたいと思います。
#96
○政府参考人(深山卓也君) 今お話に出ました平成十九年に戸籍法が改正されまして、認知、婚姻といった戸籍のいわゆる創設的届出、これが窓口に出頭した者によってされる場合には、その者がその事件の本人であるかどうかを確認することについての規定が設けられました。また、窓口に出頭した者について届出事件の本人であることの確認ができなかった場合、こういう場合には、届出を受理した上で、届出事件の本人に対してその旨を通知するという制度も設けられました。
 これらの改正は、それまで通達に基づいて行われていた本人確認について、扱いが不統一で、虚偽の届出がされて戸籍に真実でない記載がされる措置としては不十分だという指摘がされたことを踏まえて、扱いを全国的に統一するべく法制化したものでございまして、戸籍の記載の正確性を担保するという意義があったものと思っております。
#97
○仁比聡平君 法務省が、戸籍の窓口での本人確認が法律上のルールになりましたという、こうしたリーフレットをわざわざ作って周知を図られたように、それまでの扱いとは違って、窓口でえらく面倒なことを言われるというような、一時期はそうした混乱といいますか、こともあったぐらい厳格化されたわけですね。
 この改正の際に民間委託は想定されていましたか。
#98
○政府参考人(深山卓也君) 平成十九年の改正の内容として、民間委託を特に前提とした改正内容というのは特にはないものと承知しております。
#99
○仁比聡平君 法制審の審議過程でも外部委託を前提にした議論は一切行われていないと思いますが、そうですか。
#100
○政府参考人(深山卓也君) 確かに、戸籍事務の外部委託がされることを前提として、それに備えた改正内容の検討というのはされていなかったものと思います。
#101
○仁比聡平君 つまり、外部委託は、もちろんと言うべきだと思いますけれども、想定されていなかったわけです。
 そこで、今局長から御紹介いただきました創設的届出、これ、認知や婚姻、離婚、縁組、そして離縁という、こうした身分行為に関わる重大な届出なんですね、に関する本人確認について伺いたいと思います。私、勉強してみて、改めて重いものだというふうに思いました。
 例えば、離婚届を男女二人で届けに来るという場合がありますね。その届出の窓口がその二人の本籍地でない場合も、その男性、女性、それぞれが本人であるということが確認をされたら、本籍地への不受理申出の確認は行われないわけです。例えば、妻が離婚届が出されることを恐れて不受理届の申出をしていても、目の前に窓口に来た女性が本人であるという、窓口によって確認をされれば、届出という、不受理届が行われているかどうかの確認そのものが行われない、そういう扱いになるわけですね。
 仮に、巧妙な成り済ましというのがたくらまれた場合、顔写真付きの典型は運転免許証ですが、この写真との照合というのも実はそう簡単じゃない場面がいろいろあると思います。その写真が撮られたときから時間がたっている間に容姿が大きく変わる、変貌するということもありますし、眼鏡だとかいろんな付けている物だとか髪型だとかで、実際には単純ではない。
 加えて、法の仕組みではそうした写真付き証明に本人確認を限りませんから、健康保険証などの写真のない書類を妻に黙ってこっそりと持ち出して、そうした場合は窓口職員から本籍などに関する聞き取りを行われるわけですが、そこで聞かれそうな本籍地だとか生年月日だとかは、事前に言わば偽装妻に教示するということは当然あり得るわけです。
 本人確認には、こうした多くの健全な届出や証明の窓口対応の中に含まれ得るそうした不正や手口を未然に防止するということが期待されているのではないでしょうか。そのためには、窓口で問いを発したときの答えぶりだとか挙措動作の不自然さ、そうしたものも判断の重要な要素になるということは、偽装縁組についてそうした窓口での経験を踏まえて法務省が通知を出されたこと、そのことを考えたって分かることだと思うんですが、局長、いかがでしょう。
#102
○政府参考人(深山卓也君) 窓口に来た者が本人かどうかの確認というのは、これは委員も御指摘のとおりですけど、まずもって法律の建前では、運転免許証等の公の身分証明書と対比をして本人であるかどうかを確認する。しかし、そういうものが提出されない場合もあり得る。その場合には、これも御指摘のとおりですけれども、その方に対して、生年月日であるとか、あるいは親族の氏名であるとか、そういうことを質問をする、それに対する答えを聞いて本人かどうかを確認するという方法を取るということがございます。
 いずれにせよ、そこの窓口に来ている人が創設的届出をしているその人であるかどうかということを確認する手段として、一般的にはもう身分証明書、運転免許証とかパスポートとかそういうもので確認をしますが、そういうものが一切出せないという場合に、手段としては、今言ったような形で、質問を発して確認をするという方法が予定されている、こういう順序でございます。
#103
○仁比聡平君 その仕組みはそのとおりなんですが、私がお尋ねしたのは、その本人確認が健全な場合といいますか、例えば婚姻届で、二人で、もう結婚しました、僕ら本当に幸せになりますといって届け出てこられているとき、もちろん本人確認はするけれども、いや、それは幸せなことで、そういうケースばっかりだったら本当にうれしいことなんですが、ではなくて、巧妙な成り済ましをあえて行ってくるという場合がその中に紛れ込んでくるというのが窓口の実態なわけで、その日常業務の中でそうした不正をできるだけ見抜いてほしいというのがこの制度の改正の期待だと思うんですよね。
 その本人確認というのは、例えば挙措動作、問いを発したときにちょっと間が空くとか、ちょっとおかしいんじゃないかとか、そうしたことも判断の重要な要素になるのではないかと。いかがでしょう。
#104
○政府参考人(深山卓也君) 今のように、問いを発して、質問をして本人確認をする場合には、その答え方も、あるいはそのときの動作等も、本人であるかどうかの確認の要素になるというのはそのとおりだと思っております。
#105
○仁比聡平君 本人と確認をされれば、ほかの問題なければ受理決定がされて離婚の法的効果が発生するわけですね。後日、実は成り済ましであったということが分かって、妻が不受理届を本当は出していたのにということで紛争になれば、その受理決定を法的に争うほかなくなるわけです。本人確認というのはそれだけ重要で、受理、不受理と私は密接不可分だと思います。
 時間外の戸籍届についても伺っておきたいと思います。
 時間外でも、例えば一方の届出人が危篤の状態に陥っている、その生きている間に婚姻届を出したいという、そうしたこともあって、そうした届出の後先というのは身分関係、例えば相続関係を左右するわけですよね。それで、届出は休日でも時間外でも受領する扱いになっています。それに対応する職員について、市区町村長が何らかの任命行為を行い、地方公務員と同等の職責を課した上で受領権限を与えた職員などによって行われるべきであって、委託警備員などの民間業者について、守秘義務、懲戒処分など、地方公務員として当然の職責が与えられていない人による対応はできないという運用になっていると思うんですね。そうした趣旨や本人確認の重要性、これは現在も将来も変わらないと思いますが、局長、いかがでしょう。
#106
○政府参考人(深山卓也君) 今委員から御紹介がありましたように、運用として、これは民事局長名の通達、それから課長名の依命通知等々で運用上の指針が示されているところですけれども、時間外に創設的届出を受領する者につきまして、任命行為を行って、地方公務員と同等の守秘義務等を課した上でそのような事務を取り扱わせるというのは、これはそういう運用になっているというのは御指摘のとおりでございます。
#107
○仁比聡平君 もう一点、十九年の改正で、戸籍謄本を請求するといった証明の要件や手続も厳格にされました。窓口でも郵送による請求でも、交付請求に対しては職員による一件ごとの交付決定を行うべきものであって、まさか交付後に、翌日何百通とまとめて決裁するといった扱いはあってはならないと思いますが、局長、いかがでしょうか。
#108
○政府参考人(深山卓也君) 戸籍の謄抄本の交付請求がされた場合に、その交付の要件に該当するかどうかという判断は、当然のことながら一件一件について一件ごとに市区町村の職員が行うべきものと思っております。
#109
○仁比聡平君 そうした戸籍事務を、市区町村長の事務ということになっているわけですが、法定受託事務なんですが、もちろん首長さんが自分ではできませんから、代わって行う戸籍事務の補助者という概念があります。この補助者は、取扱いでは市町村長が選任し、異動させたときには法務局にその旨を報告しなければならないとなっていて、その氏名や生年月日、経歴などが法務局に報告される、そういう扱いですね、局長。
#110
○政府参考人(深山卓也君) そのとおりの扱いとなっております。
#111
○仁比聡平君 民営化が仮に請負で行われた場合に、市区町村長は委託先で誰が働いているのかを把握できないんですね。これ、すれば偽装請負ということになります。これはもうこの準則に沿うものとは全く言えないことになります。こうしたことを始め、戸籍法とその運用実務に関する通達などはおよそ民間委託を想定していないのであって、これ、もし丸ごと委託を進めるとなれば、法とこれまでの運用との矛盾は私は激しくなるばかりだと思うんです。
 これは私の感想ですが、昨年三月に三百十七号通知というのがありまして、これ局長、読みますと、一般的に本人確認は事実上の行為、補助的行為であるかのようにも読めるんですよね。ですけれど、今日お話を改めて伺ってみても、本人確認には様々な重みや場面があって、一律に全てが事実上の行為だと決め付けられるものではないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#112
○政府参考人(深山卓也君) 本人確認の方法は先ほど述べたとおりで、一番の原則的なやり方は、運転免許証等々の身分証明の公的書類等を出していただいて御本人であることを確認する。これは事実的な行為、裁量性のない事実的な行為だと思いますが、本人確認でもそのような手段が取れない場合に、戸籍のデータを見ながら質問を発して、その答えぶりによって本人であることを確認するというやり方も、先ほど来申し上げているとおり、許容されております。このやり方は機械的、事実的な行為とは言いにくいんではないかという御指摘であれば、それはそういう面があると思っております。
#113
○仁比聡平君 大臣、感想だけでも伺いたいんですが、いずれにしても、平成十九年改正法のこの重みに照らしたときに、本人確認だとか不受理申出の制度趣旨がいささかも揺らいではならないと思うんですが、いかがでしょう。
#114
○国務大臣(谷垣禎一君) 平成十九年の戸籍法改正というのはなかなか大きな改正だったと私も思います。一つは、今まで戸籍は公開制度だったけれども、個人情報の保護も図ろうということですし、それから、記載の真実性を担保するためにもいろいろな制度をつくっていこうということであったわけですね。
 そこで、今おっしゃった平成二十五年三月の民事一課長の通知がございますが、これは当時、戸籍事務の一部を民間の事業者に委託できる場合を整理し、そういうことが始まってまいりましたので整理しておこうということでございますが、要は、ここで言っていることは、市町村がそのような委託を行う場合であっても、平成十九年の戸籍法改正の趣旨に基づいて、戸籍の謄抄本の交付請求の要件該当性の判断あるいは創設的届出における本人確認、これは厳正かつ適切に処理される必要があると、こういうことだろうと私は思います。
#115
○仁比聡平君 ありがとうございました。
#116
○谷亮子君 生活の党、谷亮子です。
 本日の議題であります法曹養成制度等現下の諸課題に関する件につきまして質問させていただきたいと思います。
 昨年八月に谷垣法務大臣を始めとする法務省矯正局、保護局の方々が視察されましたフランスのソーシャルファームにつきましてお伺いさせていただきたいと思います。
 谷垣大臣におかれましては、フランスに行かれる前にはルーマニアにも視察に行かれていらっしゃいますが、フランスではトビラ司法大臣と日本の最高裁に相当いたします破毀院のラマンダ院長と会談をされまして、日本における裁判員制度、そして法曹養成制度、さらには再犯防止等の制度はフランスを相当程度これはモデルといいますか参考にされていると言われておりまして、その運用状況等につきましても様々に意見交換が行われたというふうに思います。
 また、刑務所やソーシャルファームにおけるこれは代表的な施設でありますジャルダン・ド・コカーニュの施設の方にも視察に行かれまして、フランスにおける罪を犯した人の社会復帰に向けた取組の実情等を調査されたと伺っております。
 そして、特に再犯防止という観点からどのような工夫をフランスでされているのかということを谷垣大臣が実際によく見てきたいという強い思いもおありでいらっしゃいまして、大変積極的であり、今後に生かされると期待される視察であったと私は思っております。
 このフランスのソーシャルファームであるジャルダン・ド・コカーニュでございますが、こちらは一九九一年に設立されましてNPOによって運営される施設でございまして、現在、刑期を終えられた方々や身体に障害のある方々などの自立や更生を目指す就労者の方々に農作業に取り組んでいただきながら就労支援をするというものでございます。
 元々フランスのソーシャルファームは、一九七〇年代に、イタリア、ドイツ、またイギリスで始まったとも言われているんですが、フランスでは元々農民は絶対に失業しないとも言われていた農業王国でもあるんですが、一九七〇年代に石油ショックによって耕作放棄地が広がってしまったという時代がございました。こうした休耕田を再利用して失業者のために何かできないかということで誕生したのがフランスのソーシャルファーム、ジャルダン・ド・コカーニュであったと伺っております。
 そのソーシャルファームはヨーロッパで大きな広がりを見せておりまして、ドイツやイギリスでも広がりを見せております。ヨーロッパでは現在一万か所を超えまして、十万人近い雇用を生み出しているという取組であるわけなんですけれども、そこで、谷垣法務大臣に、改めましてフランスでソーシャルファームを視察されました御感想をお聞かせいただきたいと思います。
#117
○国務大臣(谷垣禎一君) フランスは、司法制度等々いろいろ日本が参考にしてきた国の一つでもございますし、特に検察官や裁判官は相互交流もかなり盛んに行ってきた国でございますけれども、今回、改めてこのソーシャルファームを見まして、矯正とか保護の領域、罪を犯した人の社会復帰をどう支援していくかというような各国の取組の状況を参考にしてお互いに意見交換をするというのは極めて意味が深いのではないかと、こんな思いを持って帰ってまいりました。
 それで、おっしゃるように、ジャルダン・ド・コカーニュという施設に行ったんですが、これはフランスで百二十か所ぐらいの、その支部と申しますかそういうものがございますが、要するに、農業を通じて就労支援をやっていこうと、それで地域の理解や協力を得ながら、刑務所を出た人たちあるいは薬物依存者、こういう様々な背景を持つ人たちの自立を図ろうという民間の施設でございます。
 私が見たところは、事業開始から数年程度、比較的新しいところではありましたけれども、農産物の生産、加工、それから販売、こういった事業経営もお話を伺った限りではなかなか安定しておりまして、これは農業国フランスならではの先駆的な取組だなと、刑務所出所者等の再犯防止の観点からも大きな意義があるなと感じたところでございます。
 日本でもこういう農業を通じた、何というんでしょうか、支援と申しますか、社会復帰支援というのは始まっておりますけれども、そしてこのジャルダン・ド・コカーニュの方が日本のそういう施設をまた御覧に日本においでになったということもございますが、こういう各国の取組を参考にするということを私はもっともっと日本もやっていってよいのではないかと、このように思っているところでございます。
#118
○谷亮子君 谷垣大臣、ありがとうございました。
 フランスでのソーシャルファームというのは、今、谷垣大臣から御紹介ございましたように、百二十か所、フランスでは広がりを見せて実際に経営されているということで、四千人の雇用を生み出しているという現状があります。日本でのソーシャルファームというのはまだまだその広がりというのは見せていない状況にありますが、取組というのは、二〇〇七年、八年ぐらいから積極的な取組が目指されているということで、その目標数値というのも、全国に二千か所ぐらい設置をしたいという、これはあくまでも目標でありますが、そうした話をされているということも私も伺っているところでございます。
 そこで、次に、日本のソーシャルファームについて少し伺いたいというふうに思います。次の質問通告は分けていたんですけれども、一と三は方針まで伺いたいと思いますので併せてお答えいただければというふうに思っております。
 日本のソーシャルファームについてでございますけれども、日本のソーシャルファームは、身体に障害のある方や刑期を終えた方や御高齢の方等々が適切な仕事を得られないでいるのに対しまして、一般の方と一緒になって働くという就労を支援するものでございまして、その特徴として挙げられることは、税金を使って福祉サービスではなく、あくまでもビジネスとして事業を行うという点にあると思います。
 ソーシャルファームは、税金や助成金を当てにせず、自分の得手を生かし、やりがいを持って地域社会で働き、また人から感謝をされたり、自分自身が感謝をしたり喜びを得ることができる、そうした社会的な企業でもございます。もちろん、一般市場で通用する商品力であったり仕事力であったり対応力、そのようなことも必要とされますし、民間企業との競争ということもこれ同時に考えられるところでございます。
 そして、その点に関しましては、やはり経営と社会貢献を両立できる人材の存在は欠かせないということも言われておりまして、社会での競争ができる力を必要とこれは同時にされるということでもございます。
 また、熊本県では地域に根差したソーシャルファームの多様な試みが行われているということでございまして、こちらには谷垣大臣も、熊本県の菊池市で、再チャレンジを支える街づくりということで、再犯防止と社会復帰支援について地域の方々と車座ふるさとトークというのを開催されていらっしゃいました。
 そこで、法務省といたしまして、日本のソーシャルファームに刑期を終えた方の参加を促進する取組というのは検討されておりますでしょうか。そして、取り組まれる場合の方針がおありでございましたらお聞かせいただきたいと思います。
#119
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 平成二十四年七月に犯罪対策閣僚会議が策定されました再犯防止に向けた総合対策におきましても、ソーシャルファームの普及に向けた支援等について検討することというふうにされているところでございます。これを受けまして、全国の保護観察所、ソーシャルファームの開拓を進めておりまして、二十六年三月末現在で、私ども把握している限り、保護観察所との連携のあるソーシャルファームは全国に六十九団体ございまして、そのうち二十一団体が刑務所出所者等の雇用の事例があるというふうに承知しているところでございます。
 法務省におきましては、平成二十五年度から、刑務所出所者等の雇用に理解をいただいておりますソーシャルファームと全国の保護観察所との間でソーシャルファーム雇用推進連絡協議会というものを開催して、相互理解を深めて連携の構築に努めているところでございます。
 引き続き、協議会等で収集した情報を踏まえ、刑務所出所者等の雇用に理解をいただけるソーシャルファームとの一層の連携を進めて連携の構築に努めてまいりたいというふうに思っております。
#120
○谷亮子君 御丁寧にありがとうございました。
 やはりこの日本でのソーシャルファームということで、非常にその取組というのは多種多様でございますので、その辺の取組ということも、今後、社会復帰の場ということで、しっかりと、いろいろな問題があるとは思いますけれども、是非とも克服して、そして積極的な取組となるように頑張っていただきたいなというふうにも思っております。
 先ほども話をさせていただきましたけれども、熊本では地域に根差したソーシャルファームの多様な試みがずっと行われておりまして、協力雇用主の方がこうも言っていらっしゃるんですね。農業による更生支援の可能性はいろいろあると思うとした、こうした御理解の下で農業を活用した再犯防止プロジェクトという取組がございまして、過疎化によって増え続けています耕作放棄地を活用して農村の再生へつなげていきたいということでございます。
 このことに関しましては、関東と九州の四つの団体が参加をしております。その四つの団体のうちの一つ、熊本県のこれは有限会社ファームきくちさんにおかれましては、谷垣大臣も視察に行かれていらっしゃいまして、地域社会のリーダー的な保護司の方が八年前から耕作放棄地を借り受け、古代米などの生産に取り組み、少年院を出院した方らの指導に当たってきたということでございます。長期的には、農業プロジェクトの生産物を職親プロジェクト参加企業が安定的に買い取るようなネットワークの構築や、全国の支援団体の活動拠点の建設なども必要とされています。
 私も本委員会でこの職親プロジェクトについては取り上げさせていただきまして、日本財団が中心となって民間の企業の方たちがそうした取組に積極的に、大きな御理解の下、協力してくださっているということもございます。そして、現在、過疎と後継者不足から、今や耕作放棄地は全国で埼玉県とほぼ同じ四百万ヘクタールにも上っていると言われておりまして、このプロジェクトは農村の再生にもつながるものと言われているわけでございます。
 そこで、法務省として、農業を、刑期を終えた方の雇用、これは再犯防止のための取組に取り入れられる方針があるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
#121
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 先ほどのジャルダンを運営されておられるヘンケルさんなどもおっしゃっておられたんですけど、やはり多くの方がおっしゃっているんですが、農業を学ぶということ、刑務所を出てきた人が農業を学ぶということは、その技術を習得するということもありますし、また働くということに対する習慣、さらに喜びを知ると、さらに、農業というのは自然を相手ですので、そういうことから心も育まれるということ、それからさらに、先生おっしゃったように、休耕地とか地域にも寄与する部分もあろうかと思います。
 そういうことで、法務省といたしましても、可能な範囲で関係省庁と連携して、農業と更生保護ということで進めていきたいというふうに思っております。今、国の施設といたしましては、北海道の沼田とそれから茨城県のひたちなか市に国の施設の就労支援センターというのを設置しております。
 沼田では、少年院を仮退院してきた少年たちで農業をしたいという者を預かりまして、地元の沼田町がやっております農業実習センター、そこへ行ってもらって、地元の人もいろいろ支援してくださって、農業を通じて、農業の技術を学ぶとともに、また心を育むということをやっております。
 また、茨城では、農水省さんの御協力も得まして、茨城のセンターでいろいろ農業の研修をした上、地元の農家さんの御協力も得て実際農業をやるというふうなこともやっておりまして、実際に就労される方も数が出てきているということでございます。
 今後とも、更生保護と農業ということで進めていきたいですし、実際そういうところで研修された方の就職先などの開拓にも努めていきたいというふうに思っているところでございます。
#122
○谷亮子君 ありがとうございます。
 現在、各省庁と連携を図ってその取組というのは進められているということで、非常に大きな取組になってくるのかなというふうに思います。そして、その中で、やはり法務省がリーダー的存在となって、刑を受けている、刑を受けた後でもそうした取組というのを是非とも進めていっていただきたいなと思っております。
 そして、刑期を終えた方の自立を進める施策という意味では、その施設の設置面でもこれは取組が進められてきている現況がございます。刑期を終えた方の自立を進める施設としては、更生保護法人によって運営されます更生保護施設が全国にこれは百一施設、そして社会福祉法人、特定非営利活動法人及び社団法人により、それぞれこれは一つの施設の、合計百四の施設が全国に設置をされておりました。また、自立準備ホームやボランティア団体のBBS会が活動をいたしておりました。やはり、刑期を終えた方を社会全体で自立を助けるためには、一般の、また民間の企業の方の力も大きな存在であると言われているわけでございます。
 そして、もう一点、やはり協力雇用主の方もいらっしゃいまして、やはり犯罪、また非行の前歴等のために定職に就くことが容易でない保護観察又は更生緊急保護の対象者を、その事情を理解した上で雇用をし、改善更生に協力する民間のこれは事業主でいらっしゃいます。
 また、その協力雇用主による雇用の拡大をする方策の一つとして、平成二十五年五月から、更生保護施設又は自立準備ホームに委託される、これは、仮釈放の方又は更生緊急保護対象者を雇用し、職場の定着のための働きかけを行った協力雇用主に対しまして職場定着協力者謝金を支給するということになりましたけれども、その取組について、どのような取組であるかということを御説明いただきたいと思います。
#123
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 委員も御指摘のとおり、やはり立ち直りに就労というのが極めて大事だということでございます。そして、その就労ということでいいますと、多くの方に協力していただいていますが、前科前歴があることを知りながら、雇いましょうというふうに手を挙げてくださっている協力雇用主さんの下での雇用の拡大というのがやっぱり非常に重要だと。協力雇用主さん、昨年四月一日現在でたしか一万一千だったんですが、今年の四月一日現在ではたしか一万二千六百まで増えているというふうに、速報ですが、聞いております。
 ただ、いかんせん、小さな規模の方々が多くて、なかなかプラスアルファで雇う余裕もないという方も多うございますので、できるだけの支援を強めていかなければいけないということで、今御指摘のあった職場定着協力者謝金は平成二十五年に導入したもので、雇用していただくと。雇用していただいた人にオン・ザ・ジョブ・トレーニングで仕事もいろいろ教えていただくし、生活指導もいろいろしていただくと。そして、その様子をまた観察所の方にも報告してもらうと。観察所はその報告を基に更に処遇に活用をすると。そういうふうな処遇に活用していただくというふうな位置付けをいたしまして、協力雇用主の方々をですね、謝金をお支払いするという制度を導入したものでございまして、当初の制度では約三か月間で約六万円余りをお支払いするという制度になっていたものでございます。
#124
○谷亮子君 ありがとうございました。
 その協力雇用主の方におかれましては、今御説明があったとおり、そうした謝金が支給されているという現況が分かりました。
 そして、昨年の段階では、こうした協力雇用主におかれましては、個人、法人合わせて一万一千四十四あると伺っていたんですけれども、今の新しい最新のデータを御説明いただきまして、今年は一万二千六百に増加をしているということでございます。
 実際にこうして雇用していただいた人数というのは、これは平成二十五年四月一日の私が持っているデータなんですけれども、一万一千四十四の個人、法人合わせていらっしゃったのにもかかわらず、実際に雇用された数というのは八百七十九人、これは平成二十五年、昨年の段階ですが、設置場所はあるんだけれども、雇用主の方はいらっしゃるんだけれども、実際に雇用される数というのが非常に伸び悩んでいるという、これは報道ベースでございましたけれども、私は是非、こうした職場定着協力者謝金の取組と併せて、何かそうした優遇的な措置、必要な措置が講じられることによってより良い取組になっていくのではないかなと考えるわけなんですが、その辺、必要な措置を講ずるお考えがあるかどうか、必要があるかどうか、御所見を伺いたいと思います。
#125
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答えいたします。
 先ほどからお話の出ております職場定着協力者謝金、平成二十五年は大まかに言いまして大体雇用していただくと三か月で六万円余り、七万円ぐらいという制度だったんですが、本年度はこれを更に期間を延ばしていただきまして、大体六か月間ぐらいまでに延ばしていただきまして、大体十二万円ぐらいをお支払いできるという制度に拡大させていただいたところでございます。
 それから、協力雇用主さんに対しては可能な限りの支援が必要と思っています。今、地方自治体の中で協力雇用主さんに対して、地方自治体が発注する公共工事について、社会貢献とかいろんな形で加点して公共工事の入札に優遇措置を講じてくださるところが随分出てきております。こういう動きを全国的に広げていきたいと思っておりますし、法務省におきましても、そのような取組を進めていきたいというふうに思っているところでございます。
#126
○谷亮子君 ありがとうございました。
 支給額というのも七万円ぐらいだったのが今十二万円になったということで、非常に積極的な取組であるというふうに思いますし、さらに、そうした社会復帰の場というのが今後求められてくると思いますし、いろいろな取組を是非とも法務省としてもお願いをさせていただきたいというふうに思っております。
 そして、次に、日本ユニシスが構成企業を務める法務省の民間資金活用型社会資本整備事業、PFI事業で、山口県の美祢社会復帰促進センターでこれは再犯防止プログラムの提供を開始しているということでございました。このプログラムは、一定の技術水準を持つ刑期中の方等に対して、これは職業訓練としてIT教育を行い、職業訓練終了後は習得したプログラミング能力を活用して、刑務所内で実際のプログラム開発作業を行うというものでございます。また、刑期中に十分な技能を習得し、一定の基準を満たした人材を日本ユニシスの関連会社で採用し、出所後の働く場が提供されるという、職業訓練から刑務作業の提供、そして出所後の採用まで、一貫した再犯防止プログラムであるというふうに伺っておりますけれども、そこで、法務省は、刑期を終えた雇用について、高いIT技術水準の民間企業との協力を今後どのように進めるのか、方針を、もしございましたら聞かせていただきたいと思います。
#127
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 今おっしゃいましたように、山口県美祢市にあります美祢社会復帰促進センターでは、コンピュータープログラミング教育を職業訓練として行いまして、それが終了しましたら、今度は刑務作業として彼らにプログラミングをやらせまして、一定の精度というか技能を持った者については、釈放後、就労先の確保について協力をするという再犯防止協力事業ということでやっていただいているところでございます。
 実は、こういったIT関連業種だけではなくて、先ほど申しましたPFI事業をやっております社会復帰促進センター、四つの施設では、それ以外のものについても民間のノウハウを活用しまして労働需要を踏まえた多様な職業訓練をやっております。
 それで、さらにそれを受けて、その後の後継の事業としまして、公共サービス改革法に基づいて刑務所業務の一部を民間委託しております三つの施設があるんですけれども、ここではまた独特のやり方をやっておりまして、刑務所内で、受刑者の就労支援に理解のある民間企業から個別説明とか面接を行う職業フォーラムというものを実施しまして、出所者の就労に結び付くような取組をやってもらっております。
 出所者の雇用を促進する上では、そういいました民間の持っておりますノウハウとかネットワークというのは非常に貴重でございますので、これからもできる限りそういったことを活用して、就労支援というか出所支援というか、そういったことに取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
#128
○委員長(荒木清寛君) 谷さん、時間が来ておりますので、おまとめください。
#129
○谷亮子君 はい。ありがとうございました。
 やはり第一義的に行われなければならないのは被害者救済でございまして、それを前提として、やはり再犯防止を行うということで事件が減る、事件がなくなっていくという問題意識を持ちまして、今日は取り上げさせていただいた次第でございました。
 やはり無職者は有職者に比べて再犯率が五割あるという統計もありますので、その仕事の必要性というのが求められている現況であるということも申し上げさせていただきまして、質問を終わります。
#130
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。
 本日は、法曹養成制度等の現下の諸課題に関する件の中で、女子刑務所の問題についてお伺いをしたいと思います。
 女子刑務所につきましては過剰収容を始め様々な問題があることについて、私、先日も御質問させていただきました。今、マスコミ報道でも女子刑務所問題が大きく取り上げられております。私、先日、ユーチューブにアップされておりました民放の番組で、佐賀県の鳥栖市にあります麓女子刑務所、それから和歌山県女子刑務所のレポート番組を改めて見てまいりました。そこで共通していることは、過剰収容そして収容者の高齢化、多様化、さらに女子刑務官の厳しい仕事の中身が報道されておりました。
 女子刑務所数、収容者の数ですが、これは一九八二年の千六百二十人から二〇一一年の四千六百十人と、三十年で約三倍に増えているというふうに言われております。そこで、まず、この過剰収容状態について、各女子刑務所の現状と過剰収容の状態を解消する予定などについて法務省にお伺いをしたいと思います。
#131
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 女子刑務所は、御指摘がございましたとおり、収容人員は非常に増えて、増えたままでございます。具体的に申し上げますと、平成十八年末現在におきまして、収容人員は四千四百五十二人、収容率約一三二・六%という著しい過剰収容状態でございました。
 そんなこともございまして、当局におきまして、平成十七年以降、例えば、五百人の定員を持つ福島刑務支所、それから女子八百人の定員を持つ美祢社会復帰促進センターの新設、それから二百人の収容定員を持ちます加古川刑務所に女子収容区画を新設するなど、そういったことで収容定員の拡充を図ってきたところでございます。
 その結果、平成二十五年末現在の速報値において申し上げますと、全女子受刑者収容人員は四千四百二十一人と余り変わっておりませんけれども、収容率につきましては九七・七%ということになっております。ただ、先ほどちょっとお話ございました栃木刑務所とか和歌山刑務所、岩国刑務所、麓刑務所といった女子刑務所は、いずれも収容率がいまだに一〇〇%を超える過剰収容状態が続いております。
 当局におきましては、こういった女子刑務所の過剰収容状態の対策としまして、男子の刑務所の全部又は一部を女子被収容者の収容区域に転用することを計画しております。具体的に申し上げますと、本年度、男子施設でございました松山刑務所所管の西条刑務支所に女子受刑者を収容することとし、これに必要な人的、物的体制を整備したところでございまして、本年度中に収容を開始したいと考えております。
 今後とも、収容動向を見ながら収容能力の拡充に努めてまいりたいというところでございます。
#132
○糸数慶子君 多少は緩和されているとは申しましても、まだまだだというような感想を抱きました。
 昨年の三月には、谷垣法務大臣も、元参議院で前千葉県知事の堂本先生や、それから南野元法務大臣、こういう方々をメンバーとする女子刑務所の在り方研究会より五項目にわたる要望書を受け取られたというふうに聞いております。その際、大臣も、これらの要望に関して、女子刑務所の抱える問題点については法務省も同様の認識であるということ、それから、同研究会の協力も得ながら改善を目指したいというふうなことを回答されております。また、昨年の六月にも同研究会の委員が具体的な要望を含んだ中間報告を手渡されたということですが、これらの要望に対してどのような対策を講じられたのか、また今後講じていく予定があるのか、谷垣法務大臣にお伺いいたします。
#133
○国務大臣(谷垣禎一君) 女子の刑事施設は、今、糸数委員がおっしゃいましたように、過剰収容とか高率収容、それから随分高齢者もたくさんおります。また、男子の刑務所で余り経験しないんですが、摂食障害というようなこともいろいろ、やはり女性特有の問題もたくさん抱えている。
 それから、女性職員、勤務が過酷なこともありまして、なかなか女性職員の定着率が低いと、こういうような悩みを抱えております。今御指摘の堂本前知事、それから南野元法務大臣、非常に関心を持たれて心配をされまして、熱心に研究をしていただいて御提言をいただいたわけでありますが、これは女子刑事施設の適切な運営に関する極めて適切な御提言をいただいたなと思っております。
 それで、そういう要望内容を踏まえながら、一つは過剰収容、高率収容問題、それから女子受刑者特有の問題、摂食障害等々、それから薬物犯罪というのが非常に多いものですから、そういうところに着目した指導とか支援の充実。それから、これは女性刑務官がなかなか定着率が低いということの関連もあるわけですが、地域の医療とか福祉等の専門家の支援がやはり必要である、つまり地域とのネットワークをつくっていく必要があると。それから、女子職員の職場環境と申しますか勤務環境を改善して、育成、定着を図ると。こういうふうに御提言に基づいて今総合的に検討して取組を始めているところでございまして、ここは力を入れてやっていきたいと考えております。
#134
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 今大臣からも御答弁がございましたが、この女子刑務所の処遇改善に関しては、法務省も、先ほど紹介いたしました佐賀県にある麓、それから栃木、さらに和歌山のこの三つの刑務所において二〇一四年度からモデル事業を開始する予定というふうに聞いております。
 そこで、これらのモデル事業の内容、特に女子受刑者に対する医療体制の整備に関して説明をお願いしたいと思います。また、これらの事業を今後他の六か所の女子刑務所の施設に対しても行っていく予定があるかどうか、併せて法務省にお伺いをしたいと思います。
#135
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 地域支援モデル事業と申しますのは、女子刑務所が所在しております地域の医療、福祉等の専門家の協力、支援を得られる枠組みをつくるというものでございまして、この枠組みを利用しまして、あらゆる専門家の助言、指導を得ることで女子受刑者特有の問題に着目した処遇の充実等を図りたいとするものでございます。
 女子受刑者特有の問題としましては、被虐待体験や性被害による心的外傷がありましたり、また摂食障害を有する者、それから妊産婦等、そういった者への対応がございますけれども、例えば地域の看護師協会ですとか社会福祉協議会ですとかそれから助産師会ですとか、そういったところの協力を得まして専門家を派遣していただいて、当該受刑者に対する面接指導とか、それとか講義を実施してもらうことで多少なりとも受刑者のそういった問題の改善を図りたいというふうに考えているものでございます。
 それで、今後の話でございますけれども、今三庁で、先ほど申し上げました栃木刑務所、和歌山刑務所、麓刑務所でやり始めたモデル事業、この三庁の取組状況について、その効果をつぶさに検証しながら、できれば今後、他の女子刑務所への拡充についてもちょっと検討してまいりたいというふうに思っております。
 以上です。
#136
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 女子受刑者の処遇に関しましては、先ほど大臣からもお話ございましたが、女性刑務官の果たしている役割がとりわけ重要であるということは改めて申し上げるまでもありませんが、しかしながら、その女性の刑務官は採用後数年で辞めていくというケースが目立ち、受刑者に応じて柔軟な対応ができるベテランが育ちにくいという問題点も指摘されております。
 そこで、谷垣法務大臣は先日の本委員会でもこの女性の採用、登用に積極的である旨答弁されておりますし、また、一月の栃木刑務所視察の際にも、地域を巻き込んだ人材確保が必要だと強く感じたというふうにおっしゃっていらっしゃいます。貴重な人材である女性刑務官が長く勤められるため、法務省としてどのような対策を取っておられるのか、また今後取っていく予定であるのか、お伺いをいたします。
#137
○国務大臣(谷垣禎一君) 私も栃木等の女子の刑務所へ参りまして、女性刑務官の話もいろいろ聞いたりいたしました。
 女性刑務官につきましては、これはほかの職場でもそうでしょうけど、結婚とかあるいは出産、育児、こういったことがきっかけで離職をしてしまうという方々が少なくないんですね。それから、同時に、先ほど申しました過剰収容の問題に加えまして、女子刑務所はさっき申し上げたように三庁あるわけでございますが、高齢者から若い人までいろんな方々、それで、そこの中で高齢者も非常に増えている。加えて、精神障害や摂食障害を有する人たちも多いと。こういう多様な受刑者の対応によりまして、職員の負担は極めて重いものになっていると言わざるを得ないと思うんです。
 そのために離職率も高く、これ、男子の場合と比べますと、平成二十一年度に採用された刑務官のうち採用後三年以内に離職する者の数字を挙げますと、男性が一五・五%ですが、女性は三四・四%と極めて高い離職率になっております。そんなことでなかなかベテランが育ちませんで、女性刑務官の半分が二十代、こういう若年職員の割合が極めて高くなっておりまして、なかなかそういう若い刑務官だけですと収容者の対応も戸惑うことも多いというようなことがございます。
 こういう中で、女性職員、本当に栃木で拝見しても懸命に頑張って勤務しているんですが、どうしたらこういう女性職員にもっと安心して働いてもらって育成、定着を図ることができるのかというのは、法務省にとって極めて重い課題でございます。
 今、矯正局で、女性職員の勤務環境を改善するため、定着、育成を図ることも含めて総合的な対策を詰めているところですが、今後まず、女性職員いろいろ悩みを抱えている、相談体制を充実していくということは極めて大事だろうと思っております。
 それから、もう若年職員が多いものですから、社会人枠といいますか、ほかの経験のある方で刑務官をやってみたいという方は是非その経験を生かしてやっていただきたいと思っておりますし、それから、一度子育て等で退職された方も、再雇用を希望される方には是非その再雇用に応じていただくということも必要だろうと思います。
 それから、先ほども申し上げたことですが、地域の医療、福祉等に係る専門家の支援を得るようなネットワークづくりと。やはり高齢の受刑者の割合がこれだけ増えてまいりますと、福祉との連携とかいろんなことが起きてまいります。そういったことが適切にできるネットワークづくりが大変大事だろうと思います。
 それから、過剰収容問題がございますが、男子刑事施設で少し空いているところが、空いているというか、かなりゆとりが出てきたところがございますので、そういったところを女子刑事施設に、収容区域に転用することによって過剰収容対策も更に進めていかなきゃいけないと。
 こういった、多方面というか総合的に刑務官の執務環境の改善を努めて、定着、育成というものを図っていきたいと考えております。
#138
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 やはり女性の特殊な状況であるとか、あるいは高齢化をしている状況であるとか、先ほどお答えもいただきましたけれども、また精神や知的や身体障害のある女性、さらには、今、性同一障害に対する問題などもございます。そういうことも考えていきますと、やはり地域との連携、医療関係団体との連携なども踏まえて、是非、地域の人的協力支援などを得られるような枠組みも検討していただきたいと思います。
 次に、司法修習に対する給費制の復活についてお伺いをしたいと思います。
 先ほどから出ておりますように、法科大学院の入学者が定員数の六割になったとの報道がありました。志願者減の背景には、司法試験合格率の低迷、弁護士の就職難など様々な問題があると思いますが、経済的な面からは、法科大学院の学費等の負担、あるいは給費制の廃止による司法修習時の無収入といったことも大きいと考えられますが、そこでまず、法科大学院の修了時、学生は平均してどのくらい借金をしているか、法務省ないし最高裁はこの点について把握しておられるのか、お伺いをしたいと思います。
#139
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 法科大学院生全体につきまして、法科大学院修了時点におきます債務の額につきまして、法務省としては把握しておりません。
 もっとも、新司法試験に合格した者について、平成二十三年の五月、これは政府に設けられました法曹の養成に関するフォーラムにおきまして、大学や法科大学院に在学中の奨学金などに関するアンケート調査を実施したことがございます。その結果によりますと、大学及び法科大学院に在学中の奨学金等を利用した者は、有効回答数、これは二千二百三十六ございましたが、そのうち約半数でございまして、金額が判明する者について、返還開始時点における総債務額の平均値は約三百四十七万円、総債務額の中央値は約二百九十八万円であるものと承知しております。
#140
○糸数慶子君 次に、法科大学院の学費は、これは国立で年間八万から九十万、それから私立の高いところでは百五十万を超すというふうに聞いております。その三年分の学費に加えて必要経費、さらに下宿の場合は生活費もかなり掛かりますので、修了時約一千万円の借金を負うことになっても不思議ではないというふうに言われております。結果として、法科大学院ルートより予備試験ルートを選択する学生が増えることは当然のことではないかというふうに思います。
 法務大臣は、最近のこの法科大学院の受験者数の減少、予備試験受験者数の増加についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
#141
○国務大臣(谷垣禎一君) 予備試験の受験者が増えてきているということと、それから法科大学院受験者が減っていると、これは、ただその関係というと実はなかなか難しゅうございまして、予備試験の受験者の中には法科大学院生もおりますので、今のような形で直ちに評価することは私はかなり難しいなと思います。いずれにせよ、法曹養成制度に対する様々な問題点が指摘をされておりまして、それに対する各施策を今検討、実施中でございます。
 それで、一つは、先ほど来、法曹人口がどのぐらいが適切かという議論が行われておりますが、これはきちっとした調査を基に適切なやはり規模を考えていかなければいけないということだと思いますし、それから、法科大学院が必ずしも所期のとおり動いていっていないということの背景には、数が多過ぎたということもございますし、質をどう確保していくかという問題がございます。これは文科省だけではなく法務省もそれについていろいろ検討しているところでございます。
 それから、就職難ということがあって、やはりなかなか法科大学院へ行ってもというような感じが出てきてしまう、これは法曹の活動分野というものがいかに拡大できるかと。
 それから、一つは、法科大学院のやっぱり時間的、経済的負担という問題もございます。これは中教審で飛び級等も含めて議論をしていただいていると。
 いろいろございますが、そういったことを総合的にやはりやっていくということが必要なのではないかと思っております。
#142
○糸数慶子君 そこで、最高裁判所にお伺いいたしますが、司法修習中のアルバイトを一部認めているとのことであります。これまで司法修習生からアルバイトの申請があり、最高裁がこれを認めなかったケースはどのぐらいあるのか、あるとすれば、その場合、認めなかった理由について、職種や時間などについて具体的に示していただきたいと思います。
#143
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
 司法修習生につきましては、最高裁判所の許可がなければ兼職、兼業を行うことができないものでございます。昨年七月の政府の法曹養成制度関係閣僚会議決定におきまして、法科大学院における学生指導を始めとする教育活動につきまして兼業を認めるべきとの提言がなされましたことなどを踏まえまして、最高裁としましても、修習専念義務が定められた趣旨に反しないと考えられる一定の範囲で兼業許可の運用を緩和することとした次第でございます。
 現在、司法修習中の第六十七期からこの許可の運用の緩和をいたしました。今年の四月末日までの数字でございますけれども、許可をいたしましたものが二百十五件でございます。法科大学院あるいは司法試験予備校での指導アシスタントあるいは答案添削が圧倒的多数でございます。
 不許可にいたしましたものは二件でございます。
 かいつまんで概要を申し上げますと、一件はファストフード店におきますアルバイトでございました。ただ、申請内容から見まして、業務内容あるいは業務に従事する時間、これは、平日の夜及び休日等の合計時間を見ますとやはり本人にとって過重になりかねないということから、修習に支障が生ずるおそれが高いということで不許可にいたしたものでございます。
 もう一件は、この申請人の配偶者が弁護士をしておられまして、夫である弁護士の方が法科大学院での教材作成をされておられたと。この夫の方からアルバイトをするということで、そのアルバイトに従事する場所などを勘案いたしまして、司法修習生の中立性、公正性を損なわないものと言うことはできないと考えまして、修習に支障を生ずるおそれがあるということで不許可にいたしたものでございます。
#144
○糸数慶子君 司法修習中のアルバイトが一部認められたといっても、その件数も極めて限られております。司法修習生の経済的な問題を抜本的に解決することにはなかなか至らないと思うんですが、そのことを申し上げますと、やはり事務当局はすぐ予算のことを持ち出しますが、司法試験合格者は当初その予定の三千人を下回り、ここ数年、ほぼ二千人前後を推移しているのが現状であります。また、裁判員関係に関しても、法廷改修など、制度発足時に要する費用はほぼ完了したはずです。
 そういたしますと、司法関係の予算に関して見ても、やはり給費制を復活させる余地はあるのではないかと思います。司法試験合格者数の見直しに伴って、給費制の復活や一部給費制といった方法も考えられるのではないかと思います。谷垣法務大臣も三十数年前に給費制の恩恵を受けたお一人として、給費制復活のために是非リーダーシップを発揮すべきだと考えますが、御所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#145
○国務大臣(谷垣禎一君) どうも糸数委員から、あんたも三十数年前に給費制を受け取ったろうと言われますと答弁が難しゅうございますが、確かに当時、司法修習生になりまして給与をいただき、特に、六月でしたか、ボーナスをいただいたときは大変うれしかった記憶がございます。
 ただ、今、昨年六月の法曹養成制度の検討会議において、貸与制を前提として幾つかの改善策ができたわけですね。それが七月の法曹養成制度関係閣僚会議でも決定されて、先ほど最高裁の人事局長からお話がありましたように、これは兼業許可の話でしたが、六十七期の司法修習生からそれが適用されると。
 やや具体的に申しますと、貸与制を前提としながら、各地において行われるいわゆる分野別実務修習が行われるときの開始に当たって、そこへ引っ越さなきゃならない、それの移転料の支給であるとか、あるいは研修所で全員が集まって行う修習のときに、やはり住まいの問題がございますので、司法研修所の寮に入ることを希望する修習生に対する配慮と、それから先ほどの兼業許可基準の緩和等々がございますが、これ、決定が実施に移されたばかりでございますので、最高裁判所と連携しながら、運用状況も見ながら、これらの取組を着実に進めていくことが今の段階かなと考えております。
#146
○糸数慶子君 ありがとうございました。終わります。
#147
○委員長(荒木清寛君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#148
○委員長(荒木清寛君) 司法試験法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。谷垣法務大臣。
#149
○国務大臣(谷垣禎一君) 司法試験法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、法科大学院における教育と司法試験との有機的連携を図る等の観点から、司法試験の短答式による筆記試験の試験科目の適正化を図るとともに、司法試験の受験期間内に受けることができる司法試験の回数についての制限を廃止するため、司法試験法の一部を改正しようとするものでありまして、以下その要点を申し上げます。
 第一に、司法試験の短答式による筆記試験の試験科目につき、公法系、民事系及び刑事系に属する七分野の科目としていたものを、憲法、民法及び刑法の三科目とすることとしております。
 第二に、司法試験の受験回数につき、法科大学院修了又は司法試験予備試験合格後五年間の受験期間内に受けることができる司法試験の回数についての制限を廃止することとしております。
 このほか、施行期日について規定するとともに、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#150
○委員長(荒木清寛君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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