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2014/05/27 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第18号
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2014/05/27 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第18号

#1
第186回国会 法務委員会 第18号
平成二十六年五月二十七日(火曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     宮沢 洋一君     羽生田 俊君
     森 まさこ君     三宅 伸吾君
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     前川 清成君     大野 元裕君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                山下 雄平君
                若林 健太君
                小川 敏夫君
    委 員
                石井 準一君
                羽生田 俊君
                三宅 伸吾君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                吉田 博美君
                有田 芳生君
                江田 五月君
                大野 元裕君
               佐々木さやか君
                行田 邦子君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       法務副大臣    奥野 信亮君
       文部科学副大臣  櫻田 義孝君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  平口  洋君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中村  愼君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   安浪 亮介君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   垣内  正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       内閣官房法曹養
       成制度改革推進
       室長       大塲亮太郎君
       総務大臣官房審
       議官       山崎 重孝君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小川 秀樹君
       法務省民事局長  深山 卓也君
       文部科学大臣官
       房審議官     中岡  司君
       厚生労働大臣官
       房審議官     鈴木 俊彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○司法試験法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、宮沢洋一君及び森まさこさんが委員を辞任され、その補欠として羽生田俊君及び三宅伸吾君が選任されました。
 また、本日、前川清成君が委員を辞任され、その補欠として大野元裕君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(荒木清寛君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 司法試験法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務大臣官房司法法制部長小川秀樹君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(荒木清寛君) 司法試験法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。法務委員会での質問は今日で十回目となります。質問の機会を度々いただき、ありがとうございます。
 今日の審議ですけれども、司法試験法の改正案についてですけれども、この委員会、今いらっしゃらない谷垣大臣も含めて、また差し替えでいらっしゃらない前川委員も含めて、司法試験を受けられた方が七人もいらっしゃって、法曹界の方が七人もいらっしゃって、法務省の方も含めるとこの委員会室には司法試験を経験された方が物すごくたくさんいらっしゃる中で、私も学生時代は法学部だったんですけれども政治学科だったもので、全く司法試験を受験しようとも考えなかった人間がこの司法試験法の改正案について質問に立っていいのかなと。法曹界出身の方がたくさんいらっしゃる前でそういう質問をしていいのかなというふうにも考えたんですけれども、私、自分が大学をちょうど卒業する翌年にこのロースクールができました。私は志望しませんでしたけれども、私の周りには、多くの方がロースクールを受験され、ロースクールに進まれた人もいましたし、いやいや、一発試験を目指すんだといってそのまま挑戦された方もいらっしゃいました。
 ちょうど法曹養成制度が変わる節目の頃だったと思います。ロースクールに入ったら何と八割ぐらいが弁護士になれるんじゃないかと、そういった話を大学のキャンパスで話されている人もいらっしゃいました。そうしたいろいろ、十年以上前の話ですけれども、それから十年以上がたって、弁護士になった人もたくさんいらっしゃいますが、法曹界には入れず別の道を選んだ方もいらっしゃいます。
 法曹養成制度の変革期に青春時代を過ごしてきた者として、その変遷に少なからず影響を受けてきた人たちをそばで見てきた者として、今日質問をさせていただければと思います。
 法曹養成制度をめぐる議論の中で、法曹界を希望する人が少なくなってきた、ロースクールの志願者が減ってきたということを問題視する方が多くいらっしゃいます。ロースクールができた初年度の志願者数は、平成十六年度七万二千八百人でした。それが、直近の平成二十六年度は一万千四百五十人と激減しております。法務省として、この志願者数の激減をどう評価していらっしゃるのでしょうか。
 また、もちろん、初年度というのは、それ以前、それまでは一発試験だけだったわけですから、そこからロースクールに流れてこられた方もいらっしゃいますし、私と同学年の方のように、来年ロースクールできるんだったら挑戦しようかなといって一年待ってロースクールに進まれた方もいらっしゃると思います。一年目の志望者数の数というのはそういった要因で膨れ上がる要因があったとは思いますけれども、しかし、二年目、三年目と比べても、今の志願者数というのはかなり減ってきています。
 法務省として、どのレベルまで志願者数を戻さなければならないというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
#7
○政府参考人(大塲亮太郎君) 法曹は、法の支配を社会の隅々にまで行き渡らせる重要な担い手であると考えております。法曹を志願する者が減少していることについては深刻な問題であると認識しております。
 現在、法曹養成制度改革推進会議の下で、内閣官房法曹養成制度改革推進室及び関係省庁等におきまして法曹志願者減少に対する施策の実施、検討を進めているところであります。これらの施策を通じまして、多くの優秀なあるいは多様な可能性を秘めた若者が法曹を目指すような制度となるように取り組み、法曹の質を確保するとの観点から、まずは法曹志願者の減少を食い止めて、さらにその後は志願者数の回復を目指してまいりたいと、そのように考えておるところであります。
#8
○山下雄平君 まずは志望者数の減少を食い止めなければならないという答弁でございました。
 平成十四年に閣議決定された司法制度改革推進計画では、司法試験の合格者数を平成二十二年頃までに年間三千人程度を目指すというふうに書かれておりました。平成十四年の旧司法試験の合格者数は千百八十三人と聞いております。つまり、三倍増を目指すという計画、目標だったようです。もちろん、ロースクールができて、きちんとした教育をして、そして法曹人口を増やすのだという目標だったとは思います。
 しかし、数が三倍にも増えるというのであれば、普通に考えれば、僕らが学生のときは超難関と言われておった司法試験に、三倍も増えるんだからやっぱり入りやすくなるのか、通りやすくなるのかというふうな印象を持った学生もいらっしゃったと思います。現に、私の友達なんかにも、俺でも弁護士になれるんじゃないかなみたいな話をしているような人もいました。
 ロースクール発足当初に比べて志望者数が激減したというのは、法曹界に進む道へのハードルが下がったんだというふうに学生に過剰に期待を高めてしまって、それが志望者数の激増につながったんじゃないかというふうにも、そういった面があったんじゃないかとも思えるんですけれども、法務省としてはこの点についてどのようにお考えでしょうか。
#9
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 司法制度改革審議会の意見書におきましては、国民生活の様々な場面における法曹需要は量的に増大するとともに、質的にもますます多様化、高度化することが予想され、その対応のためにも法曹人口の大幅な増加を図ることが喫緊の課題であるとされたところでございます。そのため、平成二十二年頃には新司法試験の合格者数の年間三千人達成を目指すとして、大幅な合格者数増を、法曹の質を維持しつつこれを図るために法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度を整備したと、こういう経緯でございます。
 このような司法制度改革によりまして我が国の法曹人口が増加し、質、量共に豊かな法曹が輩出されることにより、例えば裁判所の支部管轄単位では弁護士が一人もいない地域がなくなり、いわゆる司法過疎の解消が一定程度進んだこと、また、法曹有資格者が自治体、企業、海外展開などにおいても広く活動する足掛かりとなったことなど、社会がより多様化、複雑化する中で法曹に対する社会的な要請に応えるための基盤の整備が図られてきた、こういう役割を果たしてきたものと認識しております。
 司法試験の年間合格者数については、御案内のとおり、昨年の七月の法曹養成制度関係閣僚会議決定におきまして三千人程度とする目標は事実上撤回され、現在、内閣官房法曹養成制度改革推進室において、あるべき法曹人口について提言すべく法曹人口についての必要な調査が実施されているものと承知しております。
#10
○山下雄平君 三千人は多過ぎたので、じゃどのぐらいが必要なのかというのを今検討されているということではあろうと思いますけれども、司法試験の合格者数は平成二十五年度では二千四十九人と聞いております。当初の三千人の目標を大きく下回っています。
 三千人というふうに言われていた頃というのは、アメリカとまではいかなくてもフランス並みの法曹人口を目指すというふうなことで三千人という数字が出ておったというふうに聞いております。しかし、現在の二千人程度の合格者でも就職難だというふうに言われております。合格者数を本当に三千人まで引き上げておったら、法曹界の就職難というのは更に悪化していたんだというふうに想像できます。
 法曹人口の引上げとその受皿としての就職先について、何が法務省として予想外だったんでしょうか。
#11
○政府参考人(小川秀樹君) 委員御指摘のとおり、現在、司法修習終了者の終了直後の弁護士未登録者数が増加する傾向などにあって、法律事務所への就職が困難な状況がうかがわれるところでございます。
 このような状況に関しましては、民事訴訟事件数ですとか法律相談件数が減少していることも影響していると考えられるほか、法廷以外の新たな分野への進出につきましては一定の広がりは見せつつあるものの、法曹有資格者の有用性がこれまで十分に認識されてこなかったこと、また、これらの分野における法曹有資格者に対する潜在的なニーズを顕在化し、法曹有資格者がこれに対応するための取組がこれまで必ずしも十分とは言えなかったこと、こういったことなどから、現時点ではその広がりはいまだ限定的と言わざるを得ない状況にある、こういったことなども影響を与えるものと考えております。
#12
○山下雄平君 雇用する側というのは民間なわけで、なかなか政治や行政が考えたようには進まなかったというようなことだろうとは思います。
 これまで法曹養成に関わる前提条件について議論をさせていただきましたけれども、法案の具体的な中身についてこれからちょっと入っていきたいと思うんですけれども、旧司法試験から新司法試験に移行するときに、短答式の科目を憲法、民法、刑法、いわゆる憲民刑に加えて、行政法、商法、民訴、刑訴を加えた七科目に過去しております。そして、そういうふうに新司法試験に移したときに科目数を増やしたという理由は過去どこにあったんでしょうか。
#13
○政府参考人(小川秀樹君) 委員御指摘のとおり、平成十四年の司法試験法の改正によりまして、法科大学院制度を創設するとともに新司法試験制度の導入が行われまして、その際、短答式の試験科目が公法系科目、これは憲法、行政法、民事系科目、民法、商法、民事訴訟法でございますが、そして刑事系科目、刑法、刑事訴訟法、この三つの枠組みとしたわけでございます。
 これらの科目は、いずれも将来の法曹としての実務に必要な能力などとしての学識及びその応用能力を涵養するための理論的かつ実践的な教育を体系的に実施する観点から重要なものであるとされて、法科大学院における教育の中で、先ほど申しました公法系、民事系、刑事系といった必修科目などの形で修得することが求められるものであるといったこと、こういったことを踏まえまして、司法試験におきましても、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを評価するという観点から、短答式の科目として定められたものでございます。
#14
○山下雄平君 今回の改正案では、いわゆる短答式の科目数を減らして旧司法試験と同じような科目数になるというふうに認識しておりますけれども、その理由というのはどこにあるんでしょうか。新試験に移行したときに増やした理由というのは現在は失われたという認識でよろしいんでしょうか。
#15
○政府参考人(小川秀樹君) 今回の法改正におきまして、短答式試験の試験科目を憲法、民法、刑法の三科目といたします趣旨は、とりわけ、これまで法律学を勉強してこなかった法学未修者について基本的な法律科目をより重点的に学習させるという、これは法科大学院教育の在り方としてこういう方向がございますが、この在り方と司法試験を連携させ、基本重視の試験とするということにあるものでございます。
 現行の科目は、いずれも将来の法曹としての実務に必要な能力などとしての学識及びその応用能力を涵養するための理論的かつ実践的な教育を体系的に実施する観点からこれは重要なものであるというふうに認識しております。
 他方、質、量共に豊かな法曹を養成するという観点から見ますと、まずは基本的な法的知識の確実な修得が不可欠の大前提でありまして、これに基づいて応用力を涵養し、多様な法的素養を修得させると、こういったことで、有為な法曹として活動できるよう教育することが効果的であると考えられるわけでございます。
 以上のような観点を踏まえまして、基礎的な法的知識やそれを前提とした法的推論能力を判定する試験であります短答式試験につきましては、法曹にとって最も基本的かつ重要な分野でございます憲法、民法、刑法につき行うものとし、その余の科目については論文式においてその知識や能力を判定するという趣旨でございます。
 したがいまして、今回の法改正の前後を通じましても、現行の司法試験科目であります七科目それ自体の重要性については差異は生じていないというふうに認識しております。
#16
○山下雄平君 学部時代に法学部を出ていない方に基本的な知識を重点的に勉強してほしいという意図があって今回の短答式の科目にするということではあろうと思うんですけれども、でも、現在の七科目の場合でも基礎的な知識を身に付けていないという人は試験に落ちるわけですから、今の試験のままでも問題ないんじゃないかなとも思わなくもないんですけれども。法曹養成制度に関する検討ワーキングチームでは、新司法試験は、旧司法試験に比べ科目数が増えており、過度に細かな知識を問う内容になっていて、特に法学未修者にとっては不利だという意見があったと聞いております。先ほどの法務省の答弁も同じような趣旨だったと思います。
 ただ、弁護士に依頼する側の立場から考えると、法学部卒じゃないから私は手続法は詳しくないんですとか、どれどれは不得意ですとか言われては、なかなかちょっと困るんじゃないかなというふうにも思います。
 法律家になろうとしたことも私はないですし、弁護士に案件を依頼したこともないのでよくは分からないんですけれども、司法試験を受かった時点で、基礎的な知識もまた細かな知識も法律家として備えておく必要があるんじゃないかとも思いますし、司法試験を合格したというのはそういったことも証明するものではないのかなというふうには思うんですけれども、その点についてどうお考えでしょうか。
#17
○政府参考人(小川秀樹君) まず、短答式試験の目的は、法曹三者となろうとする者に必要な法律知識及び法的な推論の能力があるかどうかを判定するということにございます。今回の法改正は、短答式試験につきましては、これは法曹にとって最も基本的かつ重要なものと言える憲法、民法、刑法の三科目とすることによって、受験者に対して、まず法曹として活動するための基礎的な知識ですとか推論力の確実な修得を促すというものでございます。
 他方、委員御指摘のその余の科目でございますが、これに関しましては、憲法、民法、刑法の確実な理解の上に法科大学院において必修科目などの形で修得が求められると、こういう科目でございます。また、司法試験の論文式試験における試験科目という点では、従来とその点異なりません。
 こういった点を併せ考慮いたしますと、今回の法改正によって司法試験に合格し法曹となった者につきまして、基本的な法的知識や理解力の低下の懸念といったことは当たらないものと認識しております。
#18
○山下雄平君 そういう話であったとすると、新司法試験のときに科目数を増やしたのは何かちょっと変だなという気もしないではないんですけれども、この点についてはこの辺ぐらいにとどめておいて、受験回数の制限についてお伺いしたいと思うんですけれども。
 受験回数を五回に増やすことは、今回これが五年間で三回受けられるのが五回受けられるというふうになることを考えると、例えば五年も六年も前に三回受けて合格できずに司法試験を諦めた方も少なからずいらっしゃると思います。そうした方がこの改正案を見たときに、不公平じゃないかというような印象を持たれる方もいらっしゃると思います。
 そもそも、法曹の道を諦めるかどうかは個人の選択でもあるんじゃないかというふうにも考えますが、受験回数を国の方で制限する必要があるんでしょうか、お聞かせください。
#19
○政府参考人(小川秀樹君) 現行の受験資格取得後五年間という、いわゆる受験期間の制限でございますが、これは受験者の大量かつ長期間の滞留によりまして、これは旧司法試験のときによく指摘されたものでございますが、一つには受験技術の偏重という傾向が出てくるということ、また長期間受験しても合格できない方が出てまいりまして人材面での社会的損失が生ずるという、こういう指摘がございました。こういった様々な弊害を防ぐという目的の下で定められたものでございます。
 これは、新たな法曹養成制度の趣旨が損なわれないようにするためにも、適切な範囲内で受験期間の制限を設けることが必要であるというふうに考えられるところでございまして、その趣旨に基づくものであります。また、適切な時期に進路転換を促す機会を与える意味においても尊重すべきものと認識しておりまして、こういった受験期間制限の合理性は言えるのではないかと考えております。
#20
○山下雄平君 受験回数制限が三回から五回になったということで、恐らく受験される側にとってはいいことだなというふうに思われると思いますし、それは取りも直さず、三回制限されていたときよりも多くの方は有利になったというふうに思うんじゃないかと思います。
 また、受験科目が、短答式が科目数が減るというのは、受験する側からすると、負担が減って基礎科目にすごい重点的に勉強ができるというふうになるということを考えると、逆に、一般的に考えると、結果的に、制度が変わることによって新しい試験のハードルが下がったというふうに受け止められる方もいらっしゃるんだと思います。
 これは、法務省としては多分ハードルは下げていないという説明をされるんだと思うんですけれども、一般の方が、受験回数が三回から五回になったりとか科目数が減ることによってハードルが下がったというふうに思われたら、それは、実際はそうじゃないというふうに法務省が答弁したとしても、一般の方がそういうふうな認識を持たれたら、さらに予備試験組がエリートなんだというようないわゆる神話を流布されてしまうんじゃないかなという懸念もあります。
 そうすることによってロースクールルートというものの価値を下げてしまうんじゃないかということも懸念されるんですけれども、その点について法務省ではどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。
#21
○政府参考人(小川秀樹君) 今回の法改正の趣旨は、短答式試験の科目を、基本重視という観点から憲法、民法、刑法の三科目とするというものであるとともに、司法試験の受験回数につきましては、受験回数の制限、三回という現在の制限を廃止して、五年の受験期間内で毎回受験できるようにすることで、合格率が最も高い司法試験の受験資格取得直後から間断なく試験を受験できるようにするための環境整備を図ると、こういう二点の趣旨でございます。
 したがいまして、今回の改正の前後を通じまして、司法試験において判定される裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を変更するものではございません。
 また、予備試験組のお話ございましたが、司法試験の合格者の決定は、その受験資格をどのように取得したかにかかわらず、あくまで法曹となるべき能力の有無を判定するという観点から、実際の試験結果に基づきまして司法試験委員会において適正に決定されるものでございます。
 したがいまして、今回の法改正によって委員御指摘のような御懸念が生ずるものとは、私ども法務省としては考えておらないというところでございます。
#22
○山下雄平君 懸念は生じないというふうな答弁でしたけれども、懸念を生じるかどうかというのは一般の国民の方の取り方なので、仮にそういう考えを持たれる方がいらっしゃるかもしれないということを前提に、周知に法務省としても努めていただければというふうに思います。
 谷垣大臣は、旧試験の一発試験のときと比べて、このロースクールができたということの利点については、点での判定ではなく、法曹を養成するということを強調されておられました。そうであるならば、ロースクールというのは司法試験を合格させるための試験予備校みたいなものではあってはならないと、そういった趣旨のことを大臣としてもおっしゃりたいのかなというふうにも取れます。そういうことであれば、ロースクールの卒業生が法曹の道以外に進むことの重要性ということについてももっと強調してもいいのではないかなというふうにも感じます。
 ロースクールを卒業後、法曹界ではなく一般の企業で働いている人から、私の友人なんですけれども、こういう話を聞きました。紛争解決は外部の顧問弁護士に会社としては依頼することがほとんどだと。会社として必要なのは、一定程度の法律の知識を持って、問題解決に向けて社外の弁護士と調整できるような人材を会社として持っておくことだと、そういうような話を聞きました。
 一定程度の法律の素養のある人材を社会に供給するという観点から考えれば、司法試験の合格率が二六・八%だったとしても問題はないんじゃないかなというふうにも感じます。つまり、ロースクールの卒業生の七割以上が法曹界とは別の分野に行く現状でもいいのではないかなというふうにも思いますけれども、谷垣大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#23
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、山下委員おっしゃったように、ロースクールを出た人が司法試験に受からずに、仮に受かったとしても、いわゆる法曹資格を、法曹資格といいますか、弁護士になったりしないでいろいろ活躍される、それはそれで意味があることですし、恐らく、企業だけではなくて、例えば公務員になったり、いろんな面でロースクールで受けた教育というものが役に立つということは私はあると思うんです。
 ただ、法科大学院は、やはり法曹を養成するための専門職大学院ということでスタートしたわけでございますので、そしてその修了者に司法試験の受験資格が認められている、こういうことでありますから、法科大学院を修了した者の、ある程度の、相当程度の人は司法試験に受かっていくというような教育がやっぱりなければならないんじゃないかと、それがこの制度設計をしたときに七、八割というようなことが言われた背景にあるんだと思うんです。
 それで、今委員おっしゃったように、ロースクールを出た人の合格率は、単年度では二六%強、それから五年間の受験期間を終えた者の累積合格率でもおおむね五割程度ということですから、私はやっぱりこれはもう少し数字を上げていくという努力が必要だろうと思います。
 今、改革推進会議の下で、法科大学院の教育の在り方も、いろいろ質を向上させるために、何というんでしょうか、組織見直し、いろんな意味での統廃合や定員削減も必要だろうと。あるいは実務家教員の派遣の見直しなどを、組織の在り方を見直しをやっているのもそういう意味ですし、それから、今回も御議論いただいている法学未修者が基本的な法律科目に集中できるようにとか、あと、あるいはこれは議論の最中でございますが、共通到達度確認試験の制度設計、これはやはり教育の質を上げていくにはどうしたらいいかということを取り組んでいるわけでございまして、確かに何も狭義の法律家として働かなくてもいいわけですが、私としては、今申し上げたように、制度改革を進めて、より安定した制度となるように努めていきたいと考えております。
#24
○山下雄平君 冒頭に自分のことを話したので、谷垣大臣はいらっしゃらなかったので繰り返しになるんですけれども、私は、自分が大学を卒業した翌年にロースクールができました。私は法学部ですけれども、司法試験は目指しませんでした。しかし、司法養成制度の転換期に社会人になった世代として考えるのは、教育とか職業選択に関するような制度の大きな変更というのは、その後の人生を大きく左右される人が必ず出てくるんだと思います。前回の法曹養成制度の変更によって、我々だったり、我々や少し下の世代というのは少なからず影響を受けたと思います。国の制度変更に翻弄されたと思っていらっしゃる方ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。
 政治というのは、より良き制度をつくるために不断の改革をしていかなくちゃいけないとも思いますけれども、法曹養成制度が次々に変わっていったりして、若い人たちが人生を棒に振るような選択をして、しまったなというふうに思わないような、安定した制度をつくるべきだというふうに私は考えておりますけれども、その点について谷垣大臣に、考えをお聞かせください。
#25
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、山下委員おっしゃったことは私も全く共感いたします。
 試験を受けて法律家になろうと思っておられる方もそうでしょうし、あるいは私なんかは、両親の気持ちを考えますと、何度も試験おっこちて両親に心配を掛けました。現に、今司法試験を受けておられる親御さんなんかからも、一体制度はどうなっていくんでしょうかと、もう真剣な面持ちで御相談を受けることも私しばしばでございます。
 ですから、余りそこが不安定ですと、将来性ある若い人たちがやめてしまおうというようなことも起こりかねない、そういうことも十分考えて、委員がおっしゃるように、いつまでも小田原評定を続けているわけにもいかないと思っております。安定した制度をつくっていくように一層努めなければならない、このように思っております。
#26
○山下雄平君 終わります。
#27
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫です。
 まず、この法案の中身について質問させていただきます。
 既に山下委員より大変詳しい質問がありましたので、重複しないようにと思いますけれども、試験科目、司法試験の短答式の試験科目を憲民刑の三教科にするということでありました。その趣旨としては、受験する人の負担を軽減するんだということが主眼だったように聞きましたけれども、ただ、私、この司法試験を見まして、司法試験、短答式も論文式も一緒にやっちゃうんですよね。五月の四日間を試験日にして、短答式をやってすぐ論文式に入ると。そうすると、短答式だけ三科目にして受験生の軽減になるのかなと。だって、続いて論文式で幅広い教科の試験があるわけですよね。何も短答式に受かることが目的で受けているんじゃないんで、司法試験に受かることを目的にして受けているんですから、論文式の七科目は当然勉強して試験に臨まなくちゃいけないわけですから、同じ機会にやる試験で短答式だけ三科目にして負担は軽減されるのかなとちょっと思いましてね。
 昔の試験みたいに、短答式が一次試験みたいなもので、短答式やって、そこで受かった人が合格発表を受けてからまた取り組んで論文式と、こういうスケジュール感になっていれば、短答式は、最初のふるいを科目を少なくして、それで受験生の負担を少し軽減して、なおかつ、まだ若くて優秀な、しかしまだ幅広い科目は勉強していないけれども、三科目の主要科目に集中して勉強できる、そういう優秀な人材をすくい上げようということだと理解できるんだけど、今の司法試験制度、短答式と論文式一緒にやっちゃうんですよね。だから、三科目にしたところで軽減にはならないんじゃないかなと思うんです。
 誤解しないでいただきたい。私は、だから論文式も三科目にしろと言っているんじゃないですよ。ただ、短答式の教科を三科目にしても受験生の負担は変わらないかなとちょっと感じているんですが、どうなんでしょうかね。
#28
○政府参考人(小川秀樹君) まず、現在の司法試験の状況でございますが、御指摘ございましたように、現在は短答式試験と論文式試験を同じ、これは日程的に申しますと、毎年五月の中旬頃の四日間で短答式試験と論文式試験を行っております。短答式試験と論文式試験を同時期に実施する。これは、かつての旧試験は、先ほど御指摘ございましたように、短答式試験だけをやった後で論文式試験をやり、さらに口述試験という順番になっておりましたので、なぜ今の新試験で同時期に実施しているのかということでございまして、現在の司法試験におきましては、合格者の判定は短答式試験の成績と論文式試験の成績を総合して判定するということとされておりまして、こういった点などを踏まえまして、早期の実施の要請なども総合的に考慮し、毎年五月中旬頃、まとめて同時期に実施するということとされてきたものでございます。
 今申しましたように、短答式試験と論文式試験はやはり同時期に実施する必要がございます。短答式試験を三科目に限定することでいかほどの負担軽減になるのかということでございますが、もちろん試験それ自体が負担が軽減されることもさることながら、やはりロースクールでの、法科大学院での教育といたしまして基本重視という流れでございますので、それに連携する意味でも今回の短答式試験の見直しというのが適切ではないかと考えているところでございます。
#29
○小川敏夫君 短答式を三教科にすることは別に反対じゃありませんので、反対じゃないんだけど、そんなに効果があるのかなという、そんな感想を持ちましたので質問させていただきました。
 むしろ、であれば予備試験の方、今予備試験は、短答式を受けて、短答式を受かった人に論文式と、この順序を経ているわけですよね。ですから、予備試験の短答式をむしろ三教科に絞って、まだ若い学生が、基本科目をしっかりと把握できた学生がチャレンジできるような仕組みにした方がよかったんじゃないでしょうかね。それで短答式が受かったらますますやる気が出て、今度は論文式に臨むというようなことがいいんじゃないかと。
 だから、むしろ私は、三教科にする、受験生の負担を減らすというのであれば、予備試験の方の科目を三教科に。今ですと予備試験の短答式も、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法及び一般教養科目と随分ありますよね。私はむしろ予備試験の方を基本三教科にした方がよかったんではないかと思うんですが。ここら辺は、予備試験の方の科目、一般教養については前回不要だということで多く質問させていただきましたけれども、この法律科目についても、予備試験の法律科目を、こちらこそ憲民刑の三科目にして受験生の負担を減らすべきじゃないかなと私は思うんですが、いかがでしょうか。
#30
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 司法試験の予備試験の趣旨でございますが、この予備試験は、司法試験を受けようとする者が法科大学院修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定するということとされております。したがいまして、法科大学院において必修科目とされております法律基本科目につきましては、これはやはり短答式試験と論文式試験の両方で試すことが必要であると考えられたものだというふうに理解しております。
 そういう意味で、もちろん予備試験についてどういう科目を課すかということは一つの論点ではございますが、現行の制度は今のような理由に基づくものだというふうに理解しております。
#31
○小川敏夫君 学力は論文式試験で幅広い教科で判定すれば実力は判定できるので、短答式は、予備試験の場合には論文式試験に行く前の段階の足切り試験みたいなものですから、むしろこちらの方を負担軽くした方がいいんじゃないかなというふうに思っていますが、そういう指摘をしましたので、また次の質問にします。
 それから、まず法案に関するところで直接お尋ねしますけれども、今回、受験制限を五年間で五回と、つまり五年間毎年受けられるということでしたけど、これを具体的に実際の姿に当てはめてみますと、大学を二十二歳で卒業する、まあ浪人とか何かで多少ずれがあるかもしれない、その後、二年、三年のロースクールに行く、そうするとロースクール修了時点ではまあ二十五歳ぐらいかなと。それから五回受けると三十歳ぐらいが一つのめどになっちゃうのかなと思うんですけれども。
 せっかくロースクール行って時間と学費を使った方々に対して五年で切っちゃう必要があるのか。そういう方は早く引いていただいてほかの分野で頑張っていただいた方が、社会に有効に活用していただけた方がいいと、社会のロスだということも分かるけれども、逆に言えば、しかしそれは本人からすれば大きなお世話で、自分は頑張りたいと思って頑張るんだから、別に五年で足切りなんかしなくたっていいじゃないかという考えもあると思うんですね。
 ですから、そもそも五年ということで切っちゃうことの、今回は五年で三回を五年で五回にしたわけですけれども、そもそも五年ということの合理性があるのか、あるいは、そもそも年齢で切ってしまうということに合理性があるのかという根本のことについて私はまだ完全に吹っ切れない疑問を抱いているんですが、ここのところはどうなんでしょうか。
#32
○政府参考人(小川秀樹君) 受験期間の制限の五年ということについてでございますが、この点につきましては、これまでの司法試験の結果を見ますと、法科大学院修了直後の者の合格率が最も高く、法科大学院修了四年目それから五年目になりますと、合格率が相当程度低下するという傾向にございます。
 こういった点などを考えますと、五年という現在の受験期間、これは合理性があるのではないかというふうに考えているところでございます。
#33
○小川敏夫君 全体から見るとその五年までに受かる人が多いというところは分かるんだけれども、しかし、苦節何年頑張ってそれでという人もこれまで少なからずあったわけでして、ある意味では、それは社会の別の道に転身した方がいいんだというのは、それはそういう見方ももちろんあることは分かるし、それも理解できるんですけれども、しかし本人がそれでもやるんだというものを切ってしまうということにもなるわけでして、例えば民主党政権で一番最初の法務大臣は、たしか三十歳を超えて、司法試験も五回じゃなくてもっと受けていると思うんですけれども。そうした年数を経てから司法試験に受かった方でも、きちんと司法試験に無事合格して、きちんと立派な法曹なりあるいは職責を果たすような人もいるわけですから、本人の意思とは離れた社会的な見方だけで切ってしまうのはかわいそうなんじゃないかなと。
 私は、別に五年の制限なんかなくて、受けたい人は、どうぞ、自分の責任ですし自分の思いで受けてくださいと思うんですが、どうでしょうかね、この五年で切っちゃうということについての合理性について御説明いただきたいんですが。
#34
○政府参考人(小川秀樹君) 受験期間の制限につきましては、先ほど申しましたように、旧司法試験のときの様々な指摘された弊害などを踏まえて期間制限それ自体に合理性があり、五年については、先ほど申し上げましたように、四年、五年になると合格率が非常に下がってくるといったことから根拠付けられようかと思います。
 また、本法案による改正後の司法試験法によりましても、五年間の受験期間経過後、法科大学院を修了し、あるいは予備試験に合格するということによって新たな受験資格を取得し再び司法試験を受験するということは可能でございまして、将来にわたって一切法曹資格の取得の道が閉ざされるというものではございません。
#35
○小川敏夫君 次に、予備試験との関係でまた質問を少し戻させていただきますけれども。
 予備試験、本来は経済的な困窮者などにロースクールに行かなくても法曹への道を残すということだったと思うんですが、ですから、かなり例外的な、全体から見れば数が少ない例外的な救済措置みたいな位置付けだったと思うんですが、しかし、現実には予備試験の受験資格が何の制限もないものですから、そうではない、いわゆる経済的な事情を抱えていない方も誰でも受けられるというような仕組みになっておりまして、それが事実としてだんだん定着してきているような状況にあるわけです。それを憂えているわけですけれども。
 ただ、いずれにしろ、予備試験というのは司法試験の受験資格を付与する試験だということになりますと、どうもちょっとしっくりいかないのが、予備試験と司法試験が大体同時期に行われているんですよね。普通の考えですと、予備試験というのは司法試験に受験するための受験資格を得るための試験だとすると、予備試験が受けて合格したらすぐ司法試験を受けるというような流れがあるのが、そこは据わりがいいスケジュールだと思うんですが、今は両方とも五月にやっちゃって、それで予備試験はたしか九月ぐらいですか、合格発表。司法試験は十一月くらいに合格発表ですか。予備試験五月に受けて、秋、九月ぐらいに受かっても、司法試験は翌年の五月だよと。何かその間が空いちゃって、間が抜けちゃうような気がしているんですけれども。
 予備試験というものが司法試験のまさに予備試験、司法試験を受験する資格を付与する試験であれば、もう少し予備試験と司法試験の位置付けを工夫して、予備試験が受かったらすぐ司法試験受けられるような、この一連のスケジュール感があるような試験日程を組んでもいいのかなと思うんですが、ここら辺のところはどうなんでしょう。
#36
○政府参考人(小川秀樹君) まず、試験の日程でございますが、司法試験は五月に実施されまして、九月に発表でございます。それから、予備試験は五月に短答式試験を実施し、七月に論文式試験を実施した上で十月に口述試験を実施し、十一月に発表と、こういう日程でございます。
 予備試験につきましては、この趣旨は先ほど申し上げましたとおり司法試験の受験資格を得るための試験でございますので、これは翌年の司法試験の受験資格を得た後で出願するという、司法試験の出願期間よりも前に合格発表を行うということが必要ではないかと考えられたものによることでございまして、司法試験の出願期間は毎年大体十一月から十二月、この時期でございますので、それまでに合格の発表を行う必要があるということだと思います。
 それを前提といたしまして、やはり受験者数ですとか、論文式試験の採点に要する期間なども総合的に考慮いたしまして現行の日程とされてきたものと承知しております。
#37
○小川敏夫君 なるほど、司法試験が五月に行われるからといっても、司法試験の受験受付が十一月だから、それにちょうど間に合うようになっているんじゃないかという説明で、ああ、それならそうかと思うんだけど。でも五月の試験で、受験の受付がその半年前というのは、またこれ随分早いんじゃないですか。五月の試験なら三月頃受け付ければそれでいいような気もするんですけど、何で五月の司法試験なのに、その受験の受付が半年も前の十一月なんでしょうか。
#38
○政府参考人(小川秀樹君) もちろん事務的な準備作業いろいろございまして一定の期間が必要でございますが、もう一つ加えますと、やはり次の試験がどういうものかという公告をする趣旨もございますので、その意味では、やはりそれなりの時間を置いた出願が必要ではないかというふうに考えております。
#39
○小川敏夫君 いや、次の試験って司法試験でしょう。だって、司法試験ってもう科目も決まっているんだし、公告するといったって、試験科目も決まっているし受験資格だって決まっているし、何かもう決まっていることだらけで、別に公告しなければ周知できないような事実は余りないように思うんだけど。少なくとも半年前になんていう事情はないように思うんですけど、そこは詳しくはどうなんですか。
#40
○政府参考人(小川秀樹君) もちろん、試験科目も含めまして、今回の法改正のような制度の見直しというのはあり得るところでございますが、それ以外にも、これは四日間要するものでございまして、何月何日に、先ほど申しましたように通常は五月中旬でございますが、五月のいつ行われるか、あるいは会場、場所がどこであるかということについては、受験生に早めにお知らせする必要もあろうかなというふうに思うところでございます。
#41
○小川敏夫君 予備試験の在り方そのものを本来の姿に戻すということで、予備試験の在り方をまた検討して変えるのならともかくも、今の現状のようになってしまった予備試験からすれば、これはやはり若い人が受けやすくした方がいいのではないかと。であれば、大学四年生が五月に受けるよりも、大学三年生でもいいんですけれども、要するに、翌年の司法試験の受験資格を得る予備試験は何も年度初めの五月にやることないんで、秋にやってあげれば、その間、半年間のまた勉学期間があるわけですから、若い優秀な人材を呼び込むためにはいいのではないかと思いますが。これは私の意見ということで答弁は結構ですけれども。
 何か、本来、予備試験を変えなくちゃいけないと言っている私が予備試験に、そういう方向で異常な事態を前提としたことを言うのもちょっとというところはあるものですけど、そういう意見もあるということで、予備試験をもう少しずらして、司法試験受験日に合わせるぐらいで連動したらいいんじゃないかという意見ということで、取りあえず答弁は結構です。
 先般、私は、予備試験の中で一般教養科目について質問いたしました。すなわち、ロースクールで授業をやってもいない一般教養、またロースクールの卒業試験にも入っていない一般教養が同じ資格を得るための予備試験の中には入っていると、これはおかしいのではないかということで質問させていただきました。
 今日は、反対に、ロースクールの中でしっかりとカリキュラムが組まれている、あるいはロースクールで修得しなければならないというものが予備試験に入っていない、そうすると、これはやはり、ロースクール修了生と同じ資格を与えるという予備試験の位置付けとしては、逆に足らない部分があるんではないかと。
 具体的に言いますと、ロースクールでは法律科目の勉強もするけれども、実務のトレーニングもするわけです。ある意味ではロースクールの存在意義というのは、以前の司法試験の一点での試験で採否を決めていた頃は、合格した後、司法修習に行って実務のトレーニングを言わばゼロから始めたと。しかし、今度は実務修習の期間を短くした分、初期のトレーニングはロースクールでそもそも行うんだと。ですから、ロースクールというのは、法律学の勉強だけじゃなくて、実務のトレーニングの場でもあるという位置付けだったと思うんです。であるとすれば、ロースクール卒業生と同じだけのものを予備試験の合格者にも要求するんであれば、やっぱり予備試験の中に、法律科目の試験だけじゃなくて、ロースクールでやっているトレーニングに相当する部分についての判定をする必要もあるんじゃないかと。こんな観点から質問をさせていただいたわけです。
 ですから、予備試験がロースクールと同じ資格を付与する試験であるなら、ロースクールで行っている必修なカリキュラム、あるいはロースクールで求められているものの学力や知識、技術、そうしたものも予備試験に求めるべきではないかと、こういう観点から質問をするんですが、これはいかがでしょうか。
#42
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 法科大学院におきましては、将来の法曹としての実務に必要な学識及びその応用能力とともに、法律に関する実務の基礎的素養を涵養するための理論的かつ実践的な教育が体系的に実施されるものと、これは連携法上もされておりまして、その涵養のために必要な授業科目として実務基礎科目というものを開設するものとされておりますほか、将来の法曹としての実務に必要な弁論の能力、口頭での表現能力でございますが、こういったものを涵養するための教育が行われているものと承知しております。
 予備試験におきましては、このような法律に関する実務の基礎的素養を判定するために、法律実務基礎科目というものを科目として設けまして、論文式試験と口述試験において問うこととしております。また、口述試験におきましては、法科大学院において涵養されるのと同様の弁論能力、先ほど申しましたように、口頭での表現能力などを判定することとしております。
 論文式試験と口述試験の法律実務基礎科目につきましては、法科大学院における法律実務基礎科目の教育目的ですとか内容を踏まえて、民事訴訟実務、刑事訴訟実務、それから法曹倫理に関する基礎的素養が身に付いているかどうかを試す出題になるなどの考慮がされているものというふうに承知しております。
#43
○小川敏夫君 予備試験でもそれに相当する受験科目があるんだということの答弁ですけれども、しかし、ロースクールですと、二年間あるいは三年間掛けて実際の実地のトレーニングも含めて訓練してそれを修得しているわけですから、一日だけの一科目の論文の試験あるいは一回だけの口述で本当に補えるものなのかどうか、私は足らないんじゃないかというふうに思うんですが、どうでしょうか。やっぱりロースクールの理念が、トレーニングということが随分重きがあったと思うんですが、予備試験ではそれが欠けているんじゃないかなと思うわけです。でも、聞いてもまた同じ答弁だと思いますけれども。
 じゃ、裁判所の方にお尋ねしますけれども、司法修習。司法試験に受かった人は今度司法修習ということになるわけですけれども、今の修習はいわゆるすぐ実務修習に入ってしまって、実務修習に入る前の段階の言わば基礎的なトレーニングといいますか、そういう以前あった前期修習、旧司法試験時代は四か月あった前期修習、それに相当するような、訓練期間というんですか、冒頭の集合訓練というか教育というか、そういうものはないんですよね。修習生採用されたらすぐ実務修習に入って、刑事裁判、民事裁判、検察、弁護士、二か月ずつで八か月と、こういうのにいきなり入っちゃうわけですね。
#44
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
 今委員御紹介のとおり、旧司法修習制度のときにありましたような前期修習というのはございません。
 司法修習の今の現状でございますけれども、分野別実務修習からスタートいたします。そこは、裁判所での民裁修習、刑裁修習、それから検察修習、弁護修習ということで、それぞれ二か月ごと実施いたします。その後、選択型実務修習と司法研修所での集合修習、これに分かれて修習をいたします。
 訓練期間的なものはないのかという御指摘がございました。この間の法曹養成に関しますいろんな御議論をいただいています中で、やはり修習の開始の段階で司法修習生に不足している、あるいは不足しがちな実務基礎知識、能力、これを修習生に気付かせまして、より効果的、効率的な分野別実務修習が円滑にスタートできるという、こういうことにする必要があるだろうということに議論が進められてまいりました。
 最高裁に置かれております司法修習委員会でも御議論をいただいた上で、スタート時に移動期間、修習生が実務修習中に移動する期間もございますが、それも含めまして約一か月程度の導入修習を、今年の十一月から修習を始めます第六十八期、この期から始めていこうということで、その中身について今具体的に検討しておるところでございます。
#45
○小川敏夫君 まず、予備試験合格者が年々増えてきたという状況の中で、どうでしょう、修習としてはロースクール卒業生も予備試験合格者も全く区別しないで修習に臨んでもらっていると、修習に対応しているというのかな、ということだと思うんですが、理念的にはロースクールの修了生は過去の前期修習に相当するような訓練をそもそもロースクールでやっているはずだと。予備試験の方は、試験の一日では論文試験と口述試験で一応判定はしたけれども、しかし実際のトレーニングはしていないわけです。
 ここら辺で、この修習の現場において差は出てきているんでしょうか。それとも、全くその差は見られないから、特に予備試験の合格者について、トレーニングがないからとか、トレーニングがないから修習に支障があるとか、何らかの影響があるとか、こういうような状況は出ていないんでしょうか、あるいは分からないんでしょうか。どうなんでしょう。
#46
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
 予備試験合格者で今司法修習を行ったというのは第六十六期四十名、それから現在修習中の第六十七期百十二名ということになります。
 予備試験合格者の司法修習というのは、今申し上げましたとおり、ここ二期のことでございます。制度上は予備試験合格者につきましては法科大学院課程の修了者と同等の知識、能力を備えているということが前提になっておるところでございまして、その上で司法試験に合格し、司法修習生として採用されてきておるところでございます。
 この二期についてでございますけれども、これまでのところで実務修習等の指導の現場におきまして、予備試験合格者だからということで何か支障だとか不都合があるというふうなことは承知していないところでございます。
#47
○小川敏夫君 それは、意地悪な見方すると、予備試験もトレーニングしていないけど、ロースクールの卒業生も余りトレーニング受けていないと、だから同じだというのかもしれませんけど、これは意地悪な見方で、質問じゃありませんから。
 いずれにしろ、予備試験というものが本来の在り方と違う状況が出ていると、これを何とかしなきゃいけないと思うんですが、政府における法曹養成制度、この予備試験というものについて、今、予備試験の在り方、これについて検討はしているんでしょうか。
#48
○政府参考人(大塲亮太郎君) 予備試験制度の実情につきましては本来の制度の趣旨に外れた運用がなされていると、こういう指摘もあるわけでございます。
 そこで、法曹養成制度関係閣僚会議におきまして取りまとめがなされておりますけれども、この予備試験制度につきまして、問題であるという立場と、あるいはそれを積極的に評価するというふうな立場がございます。そこで、現在、私どもの内閣官房の法曹養成制度改革推進室におきましては、予備試験制度のデータの集積を見て、その在り方について検討しているというところでございます。
#49
○小川敏夫君 率直に言いまして、いろんな考え方があるというのは私もそれなりに承知していると思いますけれども、もう考え方は出尽くしていると思うんですよね。仮にゼロから始めるとしても、半年間で十回ぐらい意見交換すれば大体もう意見は出尽くしちゃう。あとはどう決めるかということが私は政治の役割だと、あるいは、政治だけじゃなくて、その制度をつかさどる行政の責任だというふうに思うんですが、何か随分議論ばかりしていて遅いように思うんですよね。
 実際にロースクールというものの意義が問われかねないような状況が出ている、予備試験も在り方が違うという、こういう状況ですから、私は、検討するという段階じゃなくて、決める、決めなきゃいけない時期にもう来ている、もう来過ぎているような気がするんですけれども、と思いますので、とにかく早く対応して、本来の在り方の法曹養成制度に戻していただきたいというふうに思っております。
 別の観点から質問しますけれども、司法試験の合格者を三千人という目標はどうやら取り下げたかのような、というふうに思います。これまで二千人の合格者というものが続いてきましたが、これがまた更に減らすというような流れになってきております。どうも減らすことが既成事実化しているようにも思えるんですが。
 そうしますと、この司法修習の期間なんですけれども、良き法曹を養成するためには司法修習の期間は長い方がいいんだと。昔は二年だったと。しかし、五百人、七百人ぐらいですか、司法試験の合格者が、ぐらいのときは二年だったけれども、しかしどうしても、合格者がそれ以上増えてきて、二年というのは受け入れる側でなかなかそれを受け入れ切れない、実務修習ですね、ということで一年半になったと。一年半の修習というものがロースクール制によって一年になったと。そのときには、修習は短くなったけど、それまでの前期修習に相当するようなトレーニングはもうロースクールでやってくるんだと、こんな制度設計だったというふうに思うんですが。その一年半の修習期間の最後の頃の司法試験合格者はたしか千五百人ぐらいだったというふうに思うんですね。
 ですから、そうすると、三千人だから、修習はとてもじゃないが長いことやれないから、もう一年が限界だよ、それの前段部分はロースクールでやってよという制度設計だったけど、司法試験合格者が三千人じゃなくて二千人でもなくて千五百人ということになってくると、裁判所の受入れ体制だけを考えるなら、一年半に修習期間延ばしちゃったって受け入れられるんじゃないかと。であるなら、良き法曹を輩出するためには修習期間を延ばしてもいいんじゃないかと。
 例えば、今の仕組みですと、何か十二月に入所して、十二月に新しい法曹が誕生するんだけど、あと四か月延ばして、大体我が国の仕組みは四月に新しい人が出発するんですから、修習期間を一年じゃなくて四か月や半年ぐらい延ばしてもいいんじゃないかと私は思えるんですけれども、どうでしょうか、ここのところの修習期間を延ばすということについての考え方は。
#50
○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 前提といたしまして、法曹人口論をどのように考え、毎年の司法修習生の数をどうするか、それから司法修習期間をどうするかというのは立法政策にわたる事項でございまして、最高裁判所の方でこれにお答えする立場にはないんだろうと思います。
 ただ、修習を所管しておるところもありますので、一点申し上げますと、法科大学院を二年ないし三年間経て、その後司法試験に受かって修習に入ると、あるいは予備試験合格者につきましても法科大学院教育を受けたのと同等の資質、能力を有するということで修習に入ってまいります。そういう修習生側の方の時間的あるいは経済的な負担ということを考えた場合に、一年の司法修習を更に延長していくのかどうかということについては、今申し上げた点をも考慮しながら検討すべきことではないかなというふうには考えております。
#51
○小川敏夫君 裁判所の方で、修習期間を決めるのは裁判所じゃないと、法律で決めるんだからということで、確かにそう言われてみればそういうふうに思いますが、じゃ、決める側の行政の大臣はいかがですか。司法試験の合格者が減ってくるなら、受入れ体制が可能なんだから修習期間をもっと長くしてもいいじゃないかと思うんですが。
#52
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の先生のお考えは、法曹養成制度の基本的な設計にも関わってくるんじゃないかと思うんですね。
 私、現在の制度を見ましたときに、これ今までも委員会で御答弁申し上げたことがあると思うんですが、学部があり、そしてロースクールがあり、その上にさらに司法試験終わったら司法修習もあると。国際的に見て、これだけ、美しく言えば手厚くやっているところがどれだけあるのかなと。それから、予備試験に負荷が掛かってきていることの意味も、じゃ若い法律家を目指す人が、いつになったら実務の世界で自分はばりばり仕事ができるんだろう、そんなことよりも早く予備試験でさっとやっちゃってもう実務の場で自分は頑張りたいと、こう思っている方、つまり、ちょっと制度全体が時間掛かり過ぎるぞと思っておられる方もかなりあるような気がするんですね。
 そうすると、今のお話も、それはきちっと教育できればそれにこしたことはないんですが、それをどこの場でやるのか、司法修習の場でやるのか、あるいはロースクールにそれを求めていくのかというような制度全体の設計に関わるような気がいたします。ですから、私は、手厚く教育する、きちっと専門的知識を持った人たちを教育するという面と、先ほど最高裁の人事局長からもお答えがありましたように、経済的、時間的負担というものをある意味では軽くする必要もあり、その両方の兼ね合いの議論だと思うんですね。
 ですから、これは今こうやって全体の議論をしていただいているところですから、私の結論めいたことを言うのは差し控えたいと思いますが、やはりロースクールという制度をスタートさせたからには、そこがどう実際役割を果たしているか、果たし得るかということをもう少し煮詰めていかなきゃいけないのかなと、こんなふうに考えております。
#53
○小川敏夫君 私は、ロースクール制度というものができて、法学の未修者も入れると、法学部だけじゃなくて幅広い分野の人がロースクールに学んで、そして法曹になれるということで法曹の広がりもできるという私はすばらしい理想の制度だと思っていますし、実際に、このロースクール制度ができたことによって、それまでの制度であれば法学部卒業生で受験勉強した人しか来れない、ほとんどなれない司法試験じゃない、新たな多分野の人材がこのロースクール制度によって法曹に入ってきて弁護士なり法曹になってということの成功例も随分あると思うんです。また、そうした人たちは、まだ何年か前はなりたての弁護士だったかもしれないけれども、それなりの数年の経験を経て、私は、着実にその良さの効果が現れつつあるし、これから大きく発揮してくるんだろうというふうに思っています。
 ですから、私は、ロースクール制度、駄目だ駄目だと言うんではなくて、むしろそういう成功例もあるということをしっかりと踏まえて、本来の在り方のロースクールというものに、よりその理想の姿を実現すべく努力するべきじゃないかというふうに思っておるわけです。
 ちょっと冗談を言わせていただきますと、民主党だと何かみんな悪い悪いと言うけれども、ちゃんといいこともやっているんですよ、その成果も出ているんです。だから、ロースクールも、何か悪いと言い出すとみんな悪い悪い悪いと集中するけれども、決してそうじゃなくて、非常にいい面の実績もあるわけですから、そういういい面のところはしっかり伸ばしていかなくちゃいけないなという、ちょっと感想を述べさせていただきました。
 文科副大臣にもわざわざお越しいただきました。ロースクールが制度として多様な人材を法曹として送り出すその仕組みだと。それから、今議論の中で出てきました、司法試験合格者が司法修習生となったときに初めてそれまではトレーニングを受けていたんだけれども、それをロースクールの中にも取り込んで、もうしっかりと実務の初期的な訓練もされているという、まさに法曹になるべき人材を二年間という期間をもってしっかりと育てていく、そしてそれだけの能力を備えさせるという理念の制度だと思うんですが、ちょっと残念なことに、どうもそういう目的には達していないようなロースクールもあったり、全体として少しロースクールの評価が下がっているのが大変残念だと思うんですが。
 ロースクールの担当省庁としての文科省としては、やはりロースクールのこの本来の在り方をしっかりと実現するように対策を取っていただきたいんですが、この点はいかがでございましょうか。
#54
○副大臣(櫻田義孝君) 法科大学における教育におきましてお話しさせていただきますが、将来の法曹として備えるべき資質、能力を育成するために、法理論教育を中心としつつ実務教育の導入部分も併せて実施することとしており、実務との懸け橋を強く意識した教育を行うべきとしているところでございます。
 このため、法科大学院では、研究者教員と実務家教員が連携協力をいたしまして、法律基本科目、法律実務基礎科目、基礎法学・隣接科目、展開・先端科目の授業項目につきまして、いずれかに過度に偏ることのないように配慮しながら体系的に教育課程を編成することとしているところでございます。
 例えば、法律実務基礎科目群におきましては、法曹倫理や注文書作成等とともに、弁護士の監督指導の下に法律相談、解決案の検討等を具体的事例に即して学ばせるクリニック、法律事務所、企業法律部、官公庁法務部門等で研修を行うエクスターンシップ等も実施し、法務実務に即した実践的な教育に取り組んでいるところでございます。
#55
○小川敏夫君 ロースクールですけれども、法曹養成制度の仕組みとしては、ロースクールでしっかり学んでトレーニングをすると、そうしたところで実力を付けた人、ロースクール修了生のうちの大体七、八割は法曹になれるというような制度設計であったわけです。
 そうしますと、今の司法試験合格者、これからまた少し減らすのかもしれませんけど、少なくとも三千人目標もどうも取り下げてしまったという中でいいますと、もう司法試験合格者の人数から見ると、制度設計はロースクールの修了生の七、八割が合格者といっても、合格者が千五百人か二千人しかいないのであれば、制度設計を実現するためにはロースクールの修了生は二千五百人とかそのくらいになっちゃうはずなんですね、論理的には。しかし、実際にはそれよりもかなり多いロースクール全体の定員があるのが現状でありますし、あるいは有力校が大きな定員を占めちゃって、全体のロースクールの学生数が多過ぎるし、それからその中でも有力校が占める割合が多過ぎると思うんですが、ここら辺は文科省としてはどのように整合性を合わせていかれるおつもりでございましょうか。
#56
○政府参考人(中岡司君) 先ほど先生の方から御指摘がございました、本年四月の法科大学院の定員充足率は六〇%というような状況になりまして、入学定員と実入学者数が乖離しているということは事実でございます。
 この点に関しましては、政府の法曹養成制度検討会議の取りまとめにおきましても、入学定員につきましては現在の入学定員と実入学者数の差をできるだけ縮小するというようにするなど削減方策を検討、実施し、法科大学院として行う教育上適正な規模となるようにすべきとされているところでございます。
 また、先ほど冒頭にもございましたけれども、法科大学院につきましては、これまで法廷実務を始め民間企業の法務部門といった様々な分野で修了者を送り出すなど、司法制度改革の理念に沿って一定の成果を上げていった一方で、司法試験の合格状況とか入学者の選抜状況が著しく悪いというような課題が深刻な法科大学院が一部存在しております。
 全体的に見て、必ずしも全ての法科大学院において当初の理念に沿った水準の教育が行われているとは言い難い。しかしながら、一方で、様々なこれまで法曹が入っていかなかった分野にも法曹が入っていったというような実績、いい実績もあるというふうに考えております。
 こういったことを全体的に総合いたしまして、本年四月、中教審の方で法科大学院の特別委員会というのがございますけれども、その中で法科大学院の抜本的な組織の見直しというようなことの促進とか、あるいはこれは教育の問題に関わりますけれども、共通到達度確認試験、これはあくまでも仮称でございますが、その導入とか認証評価の抜本的な見直しなど速やかに着手するということにしておりまして、引き続きまして法科大学院教育の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
#57
○小川敏夫君 別の質問に移ります。文科省は結構です。
#58
○委員長(荒木清寛君) それでは、文科副大臣と中岡審議官は退席願います。
#59
○小川敏夫君 今、弁護士が多過ぎるんじゃないか、新規登録ですね。修習が終わって弁護士になる人数が多過ぎて、登録も控えている人がいるというようなことで、弁護士が過剰、過剰という声が大分大きいんですけれども、私自身はちょっと違った角度から見まして、弁護士は、修習終了、終わったら弁護士登録をするけれども、弁護士の業界の中では登録してすぐ自分で事務所を構えるというのはほとんどないので、どこかの法律事務所に就職して、その法律事務所にずっといちゃう人もいるけれども、独立したい人はそこで二、三年給料をもらいながら弁護士の業務をしてだんだん自分自身が力を付ける、それから自分自身の顧客の範囲も広げるというところで独立してというパターンが一般的だと思うんですね。そうすると、ロースクール制度によって法曹人口が増えるといっても、裁判官と検事の定員は増えないから、大体弁護士がどっと増えちゃうわけです。
 僕の思うところでは、弁護士に対する需要というのは決して減っていないので、少しずつなのか急激なのかは知らないけれども、私はやっぱり弁護士を必要とするそのニーズは広がっていると思います。ですから、弁護士の営業という面では、そのパイはやっぱり大きくなっていると思うんですね。
 だけど、こんなに弁護士に登録しないで、新しい登録者があふれちゃうというのは、私は、社会がその数を不要としているのではなくて、新規登録の弁護士はどこかの法律事務所に就職するという一つのパターンができているときに、就職する先の道がなかっただけで、細くなっていただけなんじゃないか、細いというか、弁護士の数が増えたのに応じる体制を講じていなかったからじゃないかと。
 弁護士事務所もそれぞれ一つ一つの営業体ですから、あるとき突然ばっと弁護士が増えたからといって雇用する弁護士を突然増やすわけにはいかないので、弁護士会としても努力してある程度は雇用を増やしたんでしょうけれども、結局、新規登録弁護士を受け入れる弁護士事務所側が少ないがためにあぶれてしまっただけであって、私は弁護士を必要とする社会のニーズは決して弁護士を過剰としていないと思うんです。むしろ、これだけ弁護士の数が突然増えるぞということが分かっていながら、その受入れ事務所という数は全然増えないわけですから。それから、そうしたことに対する対策も、そんなに真剣に、あるいは十分に取り組んでいなかった。その結果、事務所に就職ができない弁護士が出ちゃったという現象なのかなというふうに私は思っているわけです。
 ちょっと長ったらしい話になりましたけど、要するに、弁護士に対するニーズが決してないわけじゃなくて、弁護士が一人前になっていく過程の中の新規登録者は弁護士事務所に就職するという構造の中で、就職する先の弁護士事務所は全然増えていない、変わっていないからあぶれちゃっただけじゃないかという、そういうふうに私は思うんですけれども、どうでしょうかね。
 これは気持ちだけの問題ですけれども、一言で言えば、弁護士に対する社会のニーズは決して私は減ってはいない、むしろ増えていると思うんですが、大臣の感覚的にはいかがなものでしょうか。
#60
○国務大臣(谷垣禎一君) これはなかなかお答えするのも難しいので、例えば日弁連なんかに聞きますと、日弁連のどの方に聞くかによっても違うかもしれませんが、訴訟事件なんかも決して増えていないと、過払い訴訟を別とすればそんなにないんだとか、いろんなお答えが返ってきますね。
 それで、ある意味では日本と同じような改革をやったのが韓国で、韓国はそれまで司法試験の合格者が三百人いたところをロースクールを取り入れて千五百人ぐらいまで持っていった。それは、ちょうど日本の改革と同じようなことを日本のやり方も見ながらおやりになって、我々の方は三千人目標というのはちょっと難しいなということになっているわけですが、彼らは三百人をつまり五倍に持っていくという実験を一応やって、韓国の方の話を聞くと、いや、もう弁護士こんなに増やしちゃうと弁護士の仕事がなくて、新しく出た者の就職先も大変だと、日本が抱えているのと同じような悩みというか、それを更に先取りしておられるようなところがあります。
 もちろん、日本と韓国、それは国情も違いますからすぐに比較するというのはいかがなものかというところもあろうかと思いますが、しかし、他方、実際にやってみますと、ああいう東北の大震災が起こった。そうすると、いろいろなああいうところから、自分たちの自治体で実際弁護士さんを雇いたいと。弁護士さんに入ってもらったら、顧問弁護士のときよりもはるかにすぐ相談できるし、いろんなプロジェクトも最初から参加してもらえたりして役に立つとか、いろんなことが出てきて、まだその需要の掘り起こしというか、潜在的には私、先生がおっしゃるようにあるんじゃないかと思うんですが、まだ需要の掘り起こしといいますか、その需要を顕在化させる努力というのはもう少しやらなきゃいけないんじゃないかなと。
 ちょっとうまく私の頭も整理できていなくてお答えになっているかどうか分かりませんが、そんなふうに感じております。
#61
○小川敏夫君 何といいましても、幅広い人材を良き法曹としてしっかりと社会に送り出せる、そうした法曹養成制度をしっかりと確立していただきたいという思いで質問をさせていただきました。
 一番最後に一つお尋ねしますけれども、例えば、法曹養成制度、今検討しているわけですけれども、こうしていろいろ質問をしているんですけれども、私ども質問をしているこうした声は検討会議ではちゃんと聞いて、それなりに検討材料として取り上げていただいているんでしょうか。あるいは、どうせ政治家が勝手なことを言っているんだから自分たち専門家だけで議論すればいいやといって、国会の場の議論なんというのは全然無視されているんでしょうか。検討会議でもきちんとこういう声があるということで検討の素材の端くれぐらいには置いていただきたいと思うんですが、どうでしょう。
#62
○政府参考人(大塲亮太郎君) 私ども、法曹養成制度顧問会議というところがございまして、その顧問会議の御意見を聞きながら進めているところではありますが、適宜、国会での御議論だとかあるいは政党での御議論、これについては御紹介するということでやってきておりますし、今後ともそういうふうにしていきたいというふうに思っております。
#63
○小川敏夫君 終わります。
#64
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。
 今日は、司法試験法の改正案ということで質問をさせていただきます。
 法科大学院といいますのは、平成十三年に出されました司法制度改革審議会の意見書、これを受けまして平成十六年に開設をいたしました。そして、新しい司法試験制度が平成十八年から始まったわけでございます。この新司法試験といいますのは、それまでの点による選抜というものではなくて、法学教育と試験、また司法修習を有機的に連携させたプロセスとしての法曹養成制度と、このように位置付けられております。このプロセスとしての法曹養成制度とか理論と実務の懸け橋というような言葉、私、当時何回も何回も読みまして、これから始まる新司法試験というのはどういう試験になるのかなと研究をした思い出がございます。
 なかなか難しい言葉だなと思うんですが、実感といたしましては、少なくとも私は、法科大学院で学んだ二年間は、直接、実務家の裁判官だったり弁護士だったり検察官だったり、そういう先生方から、実務のお話も交えながら、法学部での教育とはまた違った角度からの法律を教えていただきましたし、事実認定だったり要件事実だったり、そういったことを学ぶ中でより基礎的な法学に対する知識、理解も深められたなと思っております。
 小川先生からもありましたけれども、この法科大学院制度というのは一定の効果、成果も残していると思いますし、ただ、しかしながら、現在の課題をしっかりと直視をして、本来のこの法曹養成制度が目指した理念、目的というものをもう一度しっかりと実現をするために私自身も努力をしてまいりたいと思っております。
 この今回の法律案ですけれども、こうした経緯で開始をされた新しい司法試験について更に改正を加えるというものであります。その具体的な大きな改正の一つが、今日も議論になりましたが、卒業後五年間で三回という回数制限があったわけですけれども、これを撤廃をすると。五年間であれば何回受けてもよいということにするわけであります。
 この五年間で三回という回数制限を設けるに当たっては、恐らく当時もかなりの議論になったのではないかなと思います。重要な点ですので再度お聞きしますけれども、そもそもこの回数制限を設けた当初の制度趣旨というのはどういうものだったのか、そして今回の改正で回数制限を撤廃することにした理由について、改めて教えていただきたいと思います。
#65
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 旧司法試験におきましては、受験者の大量かつ長期間の滞留によって、例えば受験技術の偏重ですとか人材面での社会的損失といった弊害が指摘されておりまして、このような弊害により新たな法曹養成制度の趣旨が損なわれることのないよう、合理的な範囲内で受験回数の制限を設ける必要があるとされたところでございます。
 また、司法制度改革審議会の意見書におきましては、三回程度の受験回数制限を課すべきであるとされたことなども踏まえまして、受験者の諸般の事情による隔年受験の余地なども考慮して一定の幅を持たせ、五年間に三回という受験回数制限を設けた、これが当初の回数制限の趣旨でございます。
 これまでの司法試験の結果によりますと、法科大学院修了直後から受験期間が長くなるにつれて合格率が低下する傾向にあるにもかかわらず、受験者が受験資格があるのにあえて受験をしないいわゆる受け控えという現象が生じてきております。五年間に三回という回数制限を廃止することで、いわゆるこの受け控えをすることなく、合格率の最も高く、法科大学院教育の効果が最もよく発揮されております法科大学院修了直後から間断なく受験することができ、有為な法曹として早く活動することを期待すると、こういう趣旨でございます。
#66
○佐々木さやか君 私、法科大学院の後輩の受験の勉強の相談なんかにも乗ったんですけれども、この受け控えというのは確かに多くございまして、やはり五年間で三回しか受けれないとなると、受験生の心理としては、十分に準備をしてある程度自信が付いてから受けたいという思いが働きまして受け控えをするという受験生が多いのかなと私は感じておりました。
 しかしながら、今も説明がありましたように、法科大学院が終わってすぐに、できるだけ早い時期というのが本来はその教育の効果が発揮をされる期間であると思いますし、そうした意味で、この回数制限の撤廃というのは私も賛成をしたいと思います。
 ただ、受験生にとっては、三回受けて諦めた方も多くいらっしゃるわけでして、三回しか受けれないのか、それともあとプラス二回、五回受けることができるのかというのは非常に大きな違いであると思います。この三回目を受ける受験生の心理というのは本当に大変なものでして、一回目、二回目というのはまだ先があるので挑戦しようと思うわけですけれども、最後の一回を受けるというのは、試験勉強以上に精神的なプレッシャーをはねのけられるかというところが、精神的なタフさですとか、そういったところがむしろ大きく作用するのかなと私は後輩の姿を見て感じたこともありました。
 受験生側としては、あと一回、あと二回受けられれば合格できたかもしれないと今回の改正を受けて思う方も当然いらっしゃると思います。ですので、公平性の観点というものも問題になるかと思いますけれども、今回の法改正では、改正法が施行されたときに五年を経過してしまっている人についてはそのまま、受験資格を復活させるようなことはないという内容になっております。この点について、なぜ受験資格を復活させるそういった措置をとらなかったのか、その理由についてお聞きをしたいと思います。
#67
○政府参考人(小川秀樹君) 受験期間制限の制度は、先ほど申しましたように、一定の弊害が生じないように適切な範囲内で受験機会の制限を設けるということでございまして、この趣旨は合理性のあるものというふうに考えております。また、適切な時期に進路転換を促す機会を与える意味においても尊重すべきものではないかと考えております。
 また、五年という期間は、四年目、五年目に入りますと合格率が下がるということからも示されますように、受験期間としても適当なものというふうに考えられるところでございまして、改正法施行時に五年間の受験期間を経過している者については、既に現行法の今申し上げました五年間という司法試験の受験期間を満了した者でありまして、今回の法改正で新たな受験機会が与えられないこととなっても、特段の不利益をそのこと自体から受けるものとは言えないということを併せ考えますと、改正法施行時に既に五年間の受験期間を経過した者については受験資格を認める必要性は低いと考え、受験資格を復活させる措置を設けなかったものでございます。
#68
○佐々木さやか君 通告では、次に、そもそも、じゃ受験資格五年というのを延長するという方法もあったんじゃないかと質問をしようと思ったんですけれども、小川先生の方から詳細な議論がございましたので、ちょっとこの点については飛ばさせていただきます。
 この受験回数の制限の緩和ということも、今、司法試験、法曹養成制度が抱える問題点を何とか克服をしていこうと、こういう趣旨で行われる改正であると思います。今問題になっていることの一つとして、司法試験の合格率が思ったよりも上がらないと、合格率が低いという問題があるわけですけれども、じゃ、これについて、この今回の改正というのはどのように働いていくのかという観点から質問をしたいんですが。
 この受験回数の制限緩和を行いますと、受け控えをする受験生が減るわけですので、要するに受験をする受験者数が増えるわけであります。そういう分母が増えますので、合格者の人数枠を増やさない限りは、数字的には合格率というのは下がってしまう可能性が高いと思います。受験者数が増えて合格者数の枠は変わらないということになると、そういうことが予想されます。そうしますと、合格率が仮に今後下がってしまったと、それによってますます法曹志望者は、やはり難しいんだな、リスクがあるんだなということで志望者が減ってしまうのではないかと、こういうおそれもあるかと思うんですけれども、この点については大臣はどのようにお考えでしょうか。
#69
○国務大臣(谷垣禎一君) 改正によって受験者が増えて合格率が低くなってしまって、ますます司法試験離れというかロースクール離れを加速していくんじゃないかというお問いかけですね。
 今の時点で数字がどうなっていくのか明確に予測するのは難しゅうございますが、今年の試験は、ずっとこのところ減り続けてきたのが、速報値ではございますけれども、ちょっと増えたということですね。これは、受け控えなんていうのは余り意味がないと今度の改正案によって受験生が思ったからではないかというような、私もそういうようなことを記者会見なんかでお答えしているんですが。確かにそういう面はあるんだろうと思うんです、そのことによって受験者が増えるというのは。
 ただ、この改正案で受験資格を取得することになるのは、法改正後の司法試験の実施時に、要するに五年間の受験期間内にある者に限られるわけですね。だから、単年度で今二六・数%ですが、仮に単年度合格率はそこで若干低下するとしても、余り大きな範囲にとどまるわけではないのではないか、そして、いわゆる累積合格率は今五割程度ですが、それにはほとんど影響はないのじゃないかというふうに思っております。
 それで、やはり王道は、今いろいろ法科大学院、私も、さっき小川先生からもあり、今委員からもございましたように、ロースクールで立派な成果を上げているところはたくさんあると思うんですが、やはりばらつきがあったりなにかしてなかなか合格率が上がらない。そのロースクールの問題点を克服して、制度全体の改正によって合格率を回復していくという努力をもっとしていかなきゃいけないんだろうと、こう思っております。
#70
○佐々木さやか君 次に、短答式試験の受験科目数の変更、これももう一つの大きな改正であります。今の司法試験では七科目でありますけれども、これを今回三科目に減らすというものであります。これによって、短答式の受験科目でなくなった訴訟法、商法などの理解が不十分になるんではないかと、こういう心配の声もあり得るところでありますけれども、短答式の試験科目、そもそも七科目であった趣旨と、また今回改正の理由について、改めてお聞きします。
#71
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、平成十四年の司法試験法の改正で七科目、七分野とされました。これは、いずれも将来の法曹としての実務に必要な能力としての学識及びその応用能力を涵養するための理論的かつ実践的な教育を体系的に実施するという観点から重要であるということで、法科大学院における必修科目などに関する議論の状況を踏まえ、法科大学院との連携という観点から定められたものでございます。
 他方、質、量共に豊かな法曹を養成する観点からは、やはりまずは基本的な法的知識を確実に修得することが重要でありまして、現行の短答式試験科目につきましては、特にこれまで法学を勉強してこなかった法学未修者を中心とする受験生にとって負担が重く、基本的な法律科目の理解がかえって不十分となりかねないという指摘もございました。
 このような観点から、法科大学院においても、現在、特に法学未修者に対して基本的な法律科目をより重点的に学習できるような改善を図る取組を検討しているものと承知しておりまして、司法試験につきましても、このような法科大学院教育の在り方と連携させ、基本重視の試験とする必要があると考えられたわけでございます。
 そこで、今回の改正法案では、法曹にとって最も基本的かつ重要な分野と言える憲法、民法、刑法の三科目に限定し、法曹として必要とされる多様な分野に対応できる応用力の前提となります基礎的な法的素養の確実な修得を促すこととしたものでございます。
#72
○佐々木さやか君 この点は先ほどもほかの委員の先生からの質問に対しても答弁をいただいたわけですけれども、この短答式試験を三科目に絞るということと法科大学院生が基本的な法律知識をしっかりと身に付けることができるというところのつながりがちょっといまいち分からないところがありまして、この短答式試験を三科目に絞ることと法科大学院教育の充実、また司法試験の合格率向上、法曹志望者の増加というところにはどういう効果があるというふうに考えていらっしゃるのか。この改正の狙いについて教えていただけますでしょうか。
#73
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 法科大学院教育におきましては、特に法学未修者、これまで法律学を勉強してこなかった法学未修者に対する教育に課題を抱えておるというふうにされておりまして、現在、文部科学省におきまして、昨年七月の法曹養成制度関係閣僚会議決定に基づき、基本的な法律科目を重点的に教育し、基礎、基本の修得を徹底させるべく、共通到達度確認試験の導入ですとか、法学未修者が法律基本科目をより重点的に学ぶことを可能とするための仕組みの導入、こういった点の検討を行っているところと承知しております。
 今回の改正におきましては、言わば司法試験の側の方におきましてもこのような法科大学院教育との連携を図って、短答式試験科目を最も基本的な科目であります憲法、民法、刑法の三つに絞るということによって基礎的な法的素養の確実な修得を促すということを目指すものでございます。こういった改正を通じまして、基礎、基本を確実に修得した上で、幅広い分野で活躍できる多数の法曹の養成につながるといったことを期待しているわけでございます。
#74
○佐々木さやか君 受験回数の制限をなくすことで受け控えをする受験生が減るという効果が期待できるということもありますし、また、今説明がありましたように、短答式試験を三科目に絞ることで基本的な法律知識、力というものを付けることができるというふうに期待したいと思いますし、そうした今回のような司法試験をより適切なものに改正をするということは重要であるとは考えております。
 しかしながら、今回のこの司法試験制度の改革だけで、今法曹養成制度が抱えている問題の根本的な解決というところまでは、まだあともう二歩、三歩というところなのかなと感じております。例えば、短答式試験の科目を絞ったのはいいですけれども、それによって自動的に受験生が本当に必要な法的知識、力を十分に付けることができるのかと。そこは、やはり法科大学院がどのように教育を充実させていくかというそこの工夫が必要でありますし、今回の改正だけではそのままつながるかどうかというところはあると思います。
 そこで、改めまして大臣にお伺いしたいんですが、この法科大学院と司法試験の在り方について、改めてどうしていくことが現在の諸問題の根本的な解決に結び付くとお考えでいらっしゃるのか、御所見を伺いたいと思います。
#75
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回のこの改正法案、御審議いただいているのは、確かに、取りあえず緊急に意見のまとまったところを改善していこうということで御審議をいただいているわけですね。それで、それだけじゃ足らない、それはおっしゃるとおりだと思います。
 これは、要するにプロセスとしての法曹養成制度、その中核としてのロースクールということですが、今までいろんな問題点が指摘されてまいりました。法科大学院には優れた成果を上げているところもあるけれども、ばらつきも著しい、全体としての合格率は必ずしも上がらない、そういう中で、初め七割、八割といった、そこになかなか及ばないと。そうすると、相当リスクがあるぞと。時間的にも金銭的にも負担があって、それだけリスクのある中に飛び込んでいくのかというようなことで応募者が減っているというようなことが指摘されておりまして、相当それぞれが原因となり結果となって絡み合っているようなところがございますね。
 それで、昨年六月の法曹養成制度検討会議取りまとめでは、この法科大学院の教育の質の向上に関して、司法試験合格の見通しを制度的に高めて、資質のある多くの者が法曹を志願するようになる観点からも、修了者のうち相当程度の者が司法試験に合格できる状況を目指すことが重要であると、こうされております。
 そこで、今推進会議の下で様々な取組を行っておりますが、一つは、法科大学院の組織的な見直しと申しますか、文部科学省でやっていただいているわけですが、法科大学院、余りにも全体の定員も少し多い、だから定員を削減をする、あるいは統廃合といった組織的な見直し。それから、法曹養成制度改革推進会議におきましても、実務家教員の派遣の在り方等々を今検討してまいりました。それから、教育の質を向上させるという観点からは、文部科学省で共通到達度確認試験等々の制度設計もやっていただいておりますし、それから、先ほど事務方から御答弁をいたさせましたが、法学未修者が必ずしも十分基本的な科目を修得できていないということから、短答式の科目の見直し等、司法試験と法科大学院教育の連携というようなものももっと考えていかなきゃいけないと。
 それから、時間的、金銭的負担というようなことに関しては、中教審で飛び級というようなことも考えていただいて、何というんでしょうか、負担を省いていくことができないかというようなことを御議論いただいておりまして、そういうことをトータルにまとめて質の向上というところにつなげていきたいと、このように思っております。
#76
○佐々木さやか君 多くの優秀な人材が法曹を志してほしいと。そのために、司法試験制度の改革も重要でありますけれども、法曹の活動領域の拡大、また社会のニーズに合った法曹人材の育成というところも重要であるというふうに思っております。例えば、超高齢社会を迎える日本において高齢者への法的サービスの充実という点も大きな課題でありまして、福祉分野の問題に対処をすることができるような法曹人材の養成ということも大切であると思っております。
 こういう法曹をどう育成をしていくかというところが問題なのでありますけれども、やはり今、法科大学院制度の中で、今までお話がありました法律の基本的な知識と力というところだけでなく、そうした社会のニーズ、変化に対応できるようなそうした力を養うという機会も、法科大学院制度の中に、法科大学院で学ぶ機会、これを確保していくことが重要ではないかと思っておりますが、この点については大臣はどのようにお考えでしょうか。
#77
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申し上げましたように、法科大学院ではやはり法律家として世に出ていく一番基本的なものはしっかり身に付けなければなりませんが、それと同時に、社会に出ていったときに様々な分野で実務をきちっと裁いていけるような、そういった教育もロースクールに私は期待したいと思っております。
 今、福祉のことをおっしゃいましたけれども、これだけ高齢化社会が進んでまいりまして高齢者がたくさんいると。そうなりますと、例えば年を取って認知症等々の福祉に直結するような問題というのは至る所にあるわけでございますが、そういう方が同時に法的問題を抱えておられるけれども、それを十分に解決できないというようなことも山ほどあるわけでございます。
 これは、教育だけじゃなしに恐らくいろいろな法制度の仕組みも考えていかなきゃならないのではないかと思いますが、そういう方が十分所得などがおありであれば、いわゆる弁護士業務として十分、俗な言葉で言えばペイをするわけでございますが、御高齢で例えば認知症も進んでおられる、しかし必ずしも十分に所得あるいはそういう財産がないということになると、どういう仕組みで今の弁護士制度の下でやっていけるかというような問題について、取り組まなければならない課題はたくさんあるわけでございますが、それは、どういう仕組みでやっていけばやっていけるのかというような研究、検討も必要なのではないかと思ったりいたします。
 いずれにせよ、福祉と法律実務との連携というのはいろんな分野で考えていかなければならないことではないか、このように思っておりまして、ロースクールがそういう役割の何ほどかの部分を果たしてくださることも期待したいと思っております。
#78
○佐々木さやか君 また、国際的に活躍する力を持つ人材、法曹、弁護士というものももっともっと増やしていく必要があると思っております。海外でビジネスをする企業の法的支援もまだ十分とは言えませんし、また法制度整備支援などの国際貢献に従事できる力を持つ人材を増やしていくことも必要であると思います。この点についてはどのように取り組んでおられるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
#79
○国務大臣(谷垣禎一君) 国際的な問題で法律家が関与しなければならないことというのは、どんどん増えていくのじゃないかと思います。今委員がおっしゃった法制度支援みたいなこともそうでございますし、それから国際的な紛争の解決、あるいは国際交渉で、弁護士、法律家出身者がその国の交渉を支えるということもあっていいのではないかと私は思います。
 それから、やや大上段に振りかぶりますと、今世界各国でいろんなことが起きております。選挙があっても、その選挙を多くの人たちが認めて全体が安定して進んでいくことに必ずしもならない、そこで軍隊が出てきて力でもって制圧をするとか、そういうような現象が現に起こっているわけですね。
 そうすると、そういうのは皆、法の支配を推し進めていって、やっぱりシステムというものがきちっとあって、システムを国民が信頼していく、それはやはり法律家が制度設計をしてその制度をうまく回転させていくという本来技術者でございますから、そういう意味合いでも国際的な法律家の活躍の場というものをきちっと、何というんでしょうか、きちっと見て人を養成していくということが必要じゃないかと私は思います。
 今、法務省でも、そういう問題意識の下で、有識者懇談会の下にいろいろな方を入っていただいて三つの分科会を設けておりますが、その中の一つにこういう国際展開という分科会をつくりましていろいろ議論をしていただきまして、またロースクール等でもそういうかなり国際的な、何というんでしょうか、素養というものを重視していただいているところもあるわけでございまして、いろんな動きに私は期待したいと思っております。
#80
○佐々木さやか君 時間が参りましたので、質問としては以上でございますけれども、この国際的な人材を養成をしていくという点で、弁護士がもっと私は留学をしていった方がいいんじゃないかと思っているんですが、やはり余り大きくない事務所だと事務所としての留学制度というのはなかなかありませんので、私が思うに、一度海外に留学をしてまた戻ってきたときの、それまでどおり同じ事務所で働けるかというと、なかなか難しいという事情もございます。
 ですので、今いろいろな制度を検討していただいているというふうにおっしゃいましたけれども、そうした弁護士が一度海外で経験をして戻ってきたときの受入れ体制というものも、例えば私は法テラスなんかがそうした役割を担える可能性があるんじゃないかと思っておりますが、そういったところも検討していただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#81
○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 先週木曜日も法曹養成制度等について質問させていただきましたが、市民にとって身近で、また頼れる質の高い法曹を養成していくというような法曹養成制度、今様々な見直し、改革がなされている途中であるというふうに理解をしております。その一環の中での司法試験法の一部改正法案がこの度政府から出されたわけでありますけれども、これはあくまでも、司法試験を変えるというのは改革というか見直しの一部であるにすぎないというふうに考えていまして、まずは法曹養成について幅広く質問させていただきたいというふうに思っております。
 まず最初に、司法修習生への修習資金貸与について伺いたいと思います。
 裁判所法の改正によって、平成二十三年から貸与制というものが始まりました。これまで給費制であったわけでありますけれども、六十五期から始まっているわけでありますが、返還は五年間据置きということですので、実際にその返還が始まるのは平成三十年の七月からということであります。まだ返還が始まるのは先でありますので、そういう意味では制度が実際に運用されきっているという状況ではありませんけれども、この制度の設計を見ていて、これは返還が始まる前から私は見直した方がよいのではないかなという点を幾つか感じましたので、質問させていただきたいと思います。
 まず、伺いたいんですが、納付期限までに納付しなかった場合の延滞利息は何%と設定されているのでしょうか。
#82
○最高裁判所長官代理者(垣内正君) 修習資金は、無利息で五年間の据置きの後、十年間の年賦で裁判所に対して返還をしていただきますが、裁判所に返還をしていただく場合の延滞利息につきましては、司法修習生の修習資金の貸与金等に関する規則によりまして年一四・五%と定められてございます。これは、矯正医官修学資金貸与法に基づく修習資金貸与制度、自衛隊法に基づく修習資金貸与制度といいました、国が修学資金を、あっ、済みません、先ほど修習資金と申しました、修学資金貸与制度の間違いでございます、といった国が修学資金を貸与するほかの制度を参考にいたしまして定められたものと理解してございます。
#83
○行田邦子君 延滞した場合は一四・五%の延滞利息を取るということでありますけれども、貸与である以上は借りたもので返さなければいけないと、返すのは当たり前であります。延滞してしまった場合はペナルティーとして延滞利息が科せられるということも、制度上これは普通のことであると私は思うんですけれども。一四・五%、これかなり高いなというふうに思っていまして、なぜかといいますと、今社会的問題になっていると言ってもいいかと思いますけれども、大学生、大学院生などの奨学金の返還の延滞という、そのことによって自己破産だったり、また連帯保証人になった親御さんたちの自己破産といったことが非常に増えていると、問題にもなっているという中で、公的学生への奨学金制度の約八八%を占めている独立行政法人日本学生支援機構の制度におきましては、平成二十六年度、今年度から延滞利息というものを一〇%であったものを五%に改めるということをやっております。更に申し上げますと、どうしても返せない人に対しての延滞猶予というのも五年であったものを十年に延ばすといったようなことも、今年度から大学生等に対する奨学金制度ではこのような猶予措置といったものも始まっているわけであります。
 今、非常に、法科大学院を卒業し、また司法修習生になって、これから法曹として活躍するという方が経済的な負担がかなりあるということがよく言われていますけれども、私は、司法修習生への修習資金貸与の制度が、実際に返還が始まって様々な問題を起こすのではないかなということを非常に危惧をしております。
 そこで、続けて質問させていただきたいと思うんですけれども、この修習資金の貸与を受けようとする場合なんですけれども、個人の保証人二人を立てなければなりません。それができない場合は機関保証を受けるということになっています。そこで、まず伺いたいんですけれども、確認なんですけれども、主たる債務者というか、借りた司法修習生が延滞した場合は、これは個人の保証人に対しても返還督促が同じように行くのでしょうか。
#84
○最高裁判所長官代理者(垣内正君) 議員御指摘のとおり、自然人二人の保証人を立てるか所定の保証料を支払った上で機関保証とするか、貸与を受けようとする者がそれぞれの事情に応じまして選択できるようになっております。
 その上で、貸与を受けた者が年賦金等の返還を遅滞した場合、まず貸与を受けた者本人に納付を督促いたします。それでも、その督促によっては年賦金等の納付を受けることが困難であると認めました場合には保証人に対して請求を行うことと、こういうふうにしております。
#85
○行田邦子君 制度としては、いわゆるほかのお金を借りたときの保証人と同じだというふうに理解をしております。
 それで、さらに、ちょっとこれ通告していないのですがお答えいただけると思うんですけれども、確認なんですけれども、個人の保証人二人を立てられない場合、あるいは個人の保証人を立てたくないという場合は裁判所が指定した金融機関の機関保証を受けるということになっていますけれども、この保証機関はこれはオリコでよろしいでしょうか。そして、これは三月に、仁比先生の質問だったと思うんですけれども、返済が一回遅れると期限の利益が失われ一括返済が迫られるということでよろしいんでしょうか。
#86
○最高裁判所長官代理者(垣内正君) 今申しましたように、督促をいたしました上で、一括返済を求めるということになります。
#87
○行田邦子君 まず、個人の保証人についてですけれども、これは学生の奨学金制度の場合もやはり個人の保証人二人を立てなければいけない、それか若しくは機関保証なんですが、大体の場合、親であったり、また親戚が保証人になることが大半であるということであります。恐らく司法修習生の場合も、経済的に独立していない方が普通に考えれば多いでしょうから、その場合は学生と同じように、親であったり、また親戚が保証人になるのではないかなというふうに思っているんですけれども、そうすると、やはりこれは、実際この返還が始まると、大学等の奨学金制度と同じように、返済できない人というのが増えてくる可能性が十分に考えられるなと。そして、返還できない場合は保証人に督促が行くというようなことが十分起こり得るだろうというふうに思っているわけであります。
 そして、更にちょっと質問を続けたいと思うんですけれども、これは日本学生支援機構の場合がそうなんですけれども、一定期間返還を延滞した場合なんですけれども、個人信用情報機関に登録されることになるんでしょうか。
#88
○最高裁判所長官代理者(垣内正君) お答えいたします。
 貸与を受けた者が貸与金の返還を遅滞した場合には、最高裁からその信用情報を個人信用情報機関に登録するということはございません。それから、貸与を受けた者が機関保証を選択していた場合、この場合でありましても、現在保証機関であるオリエントコーポレーションとの契約におきまして、その信用情報を個人信用情報機関に登録するということを認める取決めとはなっておりませんので、代位弁済をしたオリエントコーポレーションから登録されるということもございません。
#89
○行田邦子君 という今御答弁いただきましたけれども、日本学生支援機構の貸与制の奨学金制度が始まったときも、最初は柔軟な制度運用がなされていたと思います。けれども、いろんな返還率が悪いといった様々な指摘がなされる中で、とにかく返してもらわなければいけないという、返済優先というように様変わりをしてしまいまして、そこで個人信用情報機関に登録される、これは日本学生支援機構の場合は三か月延滞した場合に、いわゆるブラックリストですけれども、個人信用情報機関に登録されるというようなこともなされているわけであります。
 私は、是非、これからこの貸与制というのは司法修習生においては返還が始まるわけでありますけれども、その前に、今、大学生等への奨学金制度で起きている問題、これをしっかり見ていただいて、制度設計として変更できること、見直すべきことはしっかりと見直していただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、法科大学院修了者の就職等について伺いたいと思います。大臣に伺いたいと思います。
 法曹有資格者なんですけれども、その活動領域というのが単に、単にといいますか、司法の分野で働く、活躍するだけではなくて、司法の分野以外でも様々なニーズがあるのではないのか、また法曹有資格者を求める、そのような領域があるのではないのかといった意見が出されていますけれども、大臣御自身はどのようにお考えでしょうか。
#90
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、いわゆる狭義の法律家にならなくても、ロースクールで学んだ法的な素養というのは役に立つのではないかと思います。先ほど山下委員の御質問のときにも、山下さんの御友人でロースクールを出られて民間企業の法務部に入って、それは社外の弁護士と連絡調整するには非常に能力を発揮できると、こういうようなお話で、私はそういうことはいろいろあるんだろうと思います。
 ただ、ロースクールはやはりプロフェッショナルを養成するということでつくられたわけですので、一定程度の方は司法試験に合格していただきたいなとは思っておりますが、幅広い分野で活躍をしていただくというのは結構なことだと思います。
#91
○行田邦子君 確かに、法科大学院、ロースクールというのは、法曹を育てる、育成するという専門的な役割を担って創設されたものでありますので、できるだけ多くの方に、当初は七割程度と言っていましたけれども、司法試験に合格していただいて、そして司法で活躍していただきたいというのはあろうかと思います。
 ただ、せっかく法科大学院で学んだその知識や経験といったものは、司法以外の社会でももう少し今よりか生かすべきではないかな、潜在的なまた顕在的なニーズもあるのではないかなと思っております。今、組織内弁護士が、二〇〇五年では百二十二人、二〇一一年では五百八十八人というふうに増えてはいますけれども、まだまだ私はその活躍の余地というのがあるのではないかなというふうにも考えております。
 今日は文部科学省さんにお越しいただいていますので、質問を続けたいと思います。
 法科大学院におきまして、法科大学院修了後の進路についてどのように把握をなされていますでしょうか。
#92
○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。
 法科大学院修了者の進路動向を把握することは、修了生に対する就職支援などを行う上でも大変重要でございます。文部科学省といたしまして、各法科大学院における把握状況を調査をしてきたところでございます。
 これまでの全修了者を対象に各法科大学院を通じて調査した結果、おおむね司法試験合格者が全体の約五割弱、司法試験受験勉強中の者が全体の約一割強、前職への復帰を含めた就職した者、現在職業を持って法科大学院、夜間のものに行ったりする方もいらっしゃいますので、また元に戻るということで、そういうような方が全体の約一割弱、不明の者が全体の約三割強といった傾向になっているところでございます。
 このような結果を踏まえまして、文部科学省としては、引き続き、修了者の進路動向の把握とともに、その就職支援等の取組を促したいと考えております。
#93
○行田邦子君 累積の司法試験の合格率が五割弱ということでありますけれども、それ以外の方については、これはやはり文部科学省としても、また法科大学院としても、その後どのような進路をたどっているのかということは追跡調査をしていくべきではないかなというふうに思います。
 質問を続けさせていただきます。
 文部科学省に伺いますけれども、法科大学院において修了後の進路指導や就職支援を充実させる必要があるというふうに私は考えているんですけれども、どのような取組が行われていますでしょうか。また、改善すべき点があればお聞かせいただけますでしょうか。
#94
○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。
 法科大学院では、幅広い領域で活躍できる法曹としての必要な能力の育成を目指して教育が実は行われております。その修了者は高い法的素養を備えた人材として多様な活躍の可能性はあるわけでございます。このため、中教審の法科大学院特別委員会におきましても、各法科大学院におきまして修了者の進路状況の正確な把握と充実した就職支援策を進め、その結果として、法科大学院教育の成果であります法務博士(専門職)でございますけれども、それの存在が広く社会に認知されることを目指すべきであるということが提言されているところでございます。
 文部科学省といたしましては、これを踏まえまして、法科大学院修了者の進路に関する継続的な調査を行い、各法科大学院における着実な把握を強く促し、修了者全体の進路動向の把握に努めるとともに、法科大学院協会が主催する修了生の多様な活躍状況についてのシンポジウム開催を支援するなどの取組を進めているところでございます。
 加えまして、昨年公表いたしました公的支援の見直しの更なる強化策におきまして、企業や自治体などと組織的に連携をした就職支援など優れた取組を行う法科大学院に対しまして公的支援を加算することができる仕組みを示すなどしておりまして、現在、法科大学院において様々取組が検討されているというふうに承知しております。
#95
○行田邦子君 その後、どのような進路をたどったのかといったことを追跡調査をして把握をしていくということだけではなくて、やはり就職支援ということも法科大学院において更に強化をすべきではないかというふうに考えています。
 一般的には、大学や高校などでは学生に対する進路指導や就職支援ということで事足りるというふうに思うんですけれども、ただ、法科大学院におきましては、修了後の方たちに対してむしろ就職支援といったものが必要なのではないかなというふうに思っております。法科大学院で学んだ、修了した貴重な人材というのを社会の中でもっと広く生かしていくことを考えるべきではないかなというふうに思っております。
 例えば、司法だけではなくて、自治体、公共機関などでも法曹有資格者が必要とされる場面というのは随分あるかと思います。条例を作ることも地方自治体においては増えてきているでしょうし、また訴訟といったことに対応することも必要でしょうし、また、企業においては、これは言うまでもありませんけれども、コンプライアンスまた企業法務に携わるといったこともあるでしょうし、また訴訟やADRの対応といったこともあるかと思います。司法において以外でも活躍できる、そのようなマッチングといいますか、道筋をつくるということを是非やっていただきたいというふうに思います。
 そこで、次に司法試験法の改正について伺いたいと思うんですけれども、私は、法曹有資格者でもありませんし、また司法試験も受けたこともなく、また山下先生は法学部の出身ということですけれども、私は法学部の出身ですらないんですけれども、それを踏まえた上で、谷垣大臣に是非御答弁をいただきたいと思うんですけれども、この度のこの司法試験法の一部を改正する法律案、趣旨説明で谷垣大臣は、法科大学院における教育と司法試験との有機的連携を図る等の観点から改正をしようとするものでありますというような説明をしていただきましたけれども、多くの国民は法曹有資格者ではなく、また司法試験を受けたこともない方も、私のような方が圧倒的に多いと思うんですけれども、そのような方たちにとっても、この度の司法試験法の一部改正法案での短答試験科目を憲法、民法、刑法、三科目に絞る、その理由を分かりやすく教えていただけますでしょうか。
#96
○国務大臣(谷垣禎一君) 質、量共に豊かな法律家をつくっていきたいということが理念なんですが、まず一番やはり基本的な法律知識というものがしっかりしていなければ、その土台がしっかりしないところになかなか物が育っていかないと、こういうことがあると思います。応用能力を付ける、ロースクールは応用能力も磨いていただきたいわけですが、一番基本的な知識がしっかりしていないといけない。ところが、法学未修者の方々は必ずしも十分基礎的な法律科目を身に付けていないのではないかというような指摘がたくさんございまして、やはりそれがないと大きく育たない。
 民法、刑法それから憲法のこの三科目、短答式は三科目に限ったというのは、これが一番基本的な法律科目でございますので、短答式はそちらの方に、その三科目に絞り、そしてあとほかの科目は論文式等々でも見ていただく、テストすると、こういうことで、特に未修者の負担を軽くして基礎的な知識がしっかり付くようにと、今回の狙いはそういうところにあると存じます。
#97
○行田邦子君 短答式においては法曹としての必要な基本的な法律の知識を確認するということで三科目に絞ったということであります。特に法学未修者の解答率が非常に低くなってしまっている、短答式においては非常に低くなってしまっているということ、それを解決するための策でもあろうかと思います。
 今、大臣がおっしゃいましたように、論文式においてはもう少し応用的なというか、法的な分析能力であったり、また論述能力というものを確認すればいいというようなすみ分けがなされているのかなというふうに思っております。
 特に法学未修者と既修者を比べると、実は短答式試験では正解率に差があるんですけれども、一方で論文式ではそれほど差がない、遜色がないといった結果も出ているようでありますので、多様な人材を法曹として育てていくという観点からも、この今回の三科目に絞る理由というのは先ほどの大臣の答弁で理解ができました。
 それでは、最後の質問に移りたいと思います。政府参考人に伺いたいと思います。
 今回、司法試験の受験回数制限を五年で三回を五回にしました。このような受験回数制限を設けている試験というのはほかにどのようなものがあるのか、また、受験回数制限を設ける理由を教えていただけますでしょうか。
#98
○政府参考人(小川秀樹君) 司法試験以外での資格試験などで受験回数制限を設けている例があるということは、私どもは承知しておりません。
 司法試験についての受験回数制限についてでございますが、旧司法試験では受験者の大量かつ長期間の滞留によって様々な弊害が指摘されていたところから、こういった弊害により新たな法曹養成制度の趣旨が損なわれないようにするために、合理的な範囲内で受験回数の制限を設けるとされたところでございます。特に司法制度改革審議会の意見書におきましては三回程度の受験回数制限を課すべきであるとされたことなども踏まえ、受験者の諸般の事情による隔年受験の余地なども考慮し、司法試験法改正において、五年間に三回という現行の受験回数制限が設けられたものと承知しております。
#99
○行田邦子君 時間ですので、終わります。
#100
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 まず、今回の司法試験の短答式科目を憲法、民法、刑法の三科目に限定するという、そこの改正の趣旨について、通告を必ずしもしていないんですけれども、局長がいいでしょうかね。
 平たく言うと、旧司法試験に比して現行試験の科目が多いので特に法学未修者にとって負担が重い、それで基本的な法律科目の理解が不十分となっているというふうに改正の趣旨をおっしゃっているわけですけど。というのは、つまり短答式試験が七科目だと、分野はとても広いし、しかもそのあらゆる分野についてあらゆることが短答試験で問われると。そうなると、勢い知識偏重になるとか、特に法学未修者の方だと学部での教育は受けていないということですから、そうすると三年間のうちに学ぶ方向が、とにかくその七科目についてあらゆる知識を覚え込まないと仕方がないというみたいな、そういう知識偏重型になりかねないとか、あるいはなっているとか、そこを短答式試験の科目を限定することによって、ロースクールの教育の本来の在り方に沿っていこう、ちょっと平たく言うとこんなような狙いがあるんでしょうか。
#101
○政府参考人(小川秀樹君) まず、やはり法学未修者、これまで法学を勉強してこなかった方についての負担ということで、もちろん科目数が多いことによって負担があることに加えまして、これまで基本を余り修得してこなかったということから、かえって科目数が広がることによって基本の修得がおろそかになる、こういう指摘もされているところでございます。
 そういったことも踏まえて、法科大学院の方でも未修者に対する基礎的な科目の修得などを可能にする方策を検討されているというふうに承知しておりまして、それと軌を一にするものでございます。
#102
○仁比聡平君 これは、もう大臣、改めて聞くまでもないことですけれども、憲法、民法、刑法、この三科目に限定するとはいえ、この憲法、民法、刑法、それぞれが大変重要な、そして膨大な論点なりを含んでおりまして、ここについての法曹としての知識を修得するということ自体が大変ボリュームのあることなんだと思うんです。
 論文式試験では、七科目といいますか、今の科目について論理的なあるいは法的な思考力が試されると。そうした試験にすることによって基本的な法律科目の理解を確かめていくような試験にする、そういう趣旨で理解したらいいんでしょうかね。
#103
○国務大臣(谷垣禎一君) 論文式試験で試せるものと短答式試験で試せるものというのは多分違うんだと思うんですね。短答式試験ですと、かなりいろんな条文等々の理解度といいますか知識も試せる。しかし、論文式試験には必ずしも向いていない条文というのはありますよね。やっぱり論文式試験の場合には、どちらかというと論理的な展開や制度の基本的な論述や、そういうものは試しやすいと。
 それで、やはり余り多く条文の隅々まで、まあ読むことも必要なんですが、条文の隅々まで読まなければならないような科目を多くすると、なかなか基本的な理論体系の修得やら、そういうものができにくくなるということではないかと私は考えております。
#104
○仁比聡平君 いろんな表現があっていいと思うんですけれども、今大臣がおっしゃらんとするところは私も了解するところなんですね。
 つまり、そうしたロースクールの教育であってほしいというか、プロセスとしての法曹養成の中核であるロースクールがそうした実情というか期待に応えられていない部分があるのではないかということと今回の司法試験の科目の問題というのは、提案者からしても連携をしているわけですね。
 そこで、文科省に先にお尋ねしたいと思うんですけれども、基本的な法律科目の理解が不十分となっている、特に法学未修者にとってそうなっているというふうに今日指摘をされている。これ、そう指摘はされているんですけれども、ロースクール制度を導入した理念や、あるいはそれぞれのロースクールが現実に設立をされてカリキュラムを組んでいくという際には、そうした基本的な法律科目の理解を十分にしようというものだったはずなんですよね。だから、司法制度改革の一番当初に、ロースクールが中核だというときに、基本的な法律科目の修得ができないような制度設計をするつもりは誰もなかったはずですね。
 今、基礎、基本の重視ということを特に言わなければならない状況になっている原因というのをどこに、どう考えるのか。例えば、ロースクールの導入の際のロースクール教育の充実という観点で、的確な評価、多様性の確保に配慮した公平な入学者の選抜だとか、あるいは少人数による高密度の授業といったことが言われました。
 こうしたことからして、今のロースクールが抱える問題や、あるいはこの制度の本来の期待に応えた取組というのは一体どういう現状にあるということなんでしょう。
#105
○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。
 法科大学院教育でございますけれども、先生御指摘のように、法曹養成の中核を担う者として理論的教育と実務的教育を架橋するものとして教育を行うということで、専門的な法的知識を確実に修得させるということもあるんですが、一方で、法的分析能力とか法的議論の能力を付けるとか、あるいは法曹としての責任感と倫理観、あるいは実際に社会への貢献を行うための機会を提供し得るものというような観点がそもそも論で示されまして、それを受けまして、文科省の方で法科大学院の教育としては、御案内のとおり、大きく四つの分類、一つは法律基本科目、今話題になっているものでございますが、それ以外にも、クリニックとかエクスターンシップというようなものを含んだ法律の実務基礎科目、また法哲学とか法社会学などそもそもの基礎的な基礎法学というようなところ、あるいは展開・先端科目といって労働法とか経済法とか知財法とか、そのような極めて先端的なもの、そういったものをいずれかに偏ることのないように幅広く体系的に教育課程を編成するというような方針が示されたわけでございます。
 一方で、司法制度の改革審議会の平成十三年の意見書でございますけれども、その中では、まさにこれからの二十一世紀の法曹には、経済系とかあるいは理数系など他の分野で学んだ者を幅広く受け入れるというようなこと、あるいは社会人の経験者を含めて多様なバックグラウンドを持った者を受け入れるというようなことで、先ほどおっしゃったように幅広く受け入れるということになったわけでございますけれども、実際、そういうような各法科大学院で例えば法律基本科目といいますものを設定いたしましたようなときに、やはり法学未修者には法学部以外の学部出身者だとか、法学部の方もいらっしゃるんですけれども、まさに社会人経験者の多様なものが実際入ってきたということなんでございます。
 そのときに、特に法律基本科目につきましては学習する時間がやはり十分ではないのではないかという議論がございまして、実はこの平成二十一年の中教審の報告の中で、まず三年間の中の、未修者の場合は一年次から入ってくるわけですけれども、その一年次で六単位を多くして学ばせることが必要ではないかというような報告が出まして、そのようにいたしたわけでございますけれども、それでもなかなか負担が大きいのではないかというようなこともございまして、現在、中教審の方では、例えば一年次だけに限るんじゃなくて、もうちょっと高い年次のところにもそういった法律的な基本科目をやる、ある意味、分散させて履修させるというようなことで無理なく履修することができるとか、様々なやり方があるというようなこともございまして、そのような工夫を現在検討しているというようなことでございます。
 繰り返しになりますけれども、様々な人が入ってくる、なおかつ、例えばそういった多様な者が混在してクラスの中にいるというような状況でもございますので、まさにきめ細やかな教育をしていかなきゃならないわけでございますけれども、やはりまだまだ個々の事情に応じてきめ細やかに教育をしていかなきゃいけないという議論は今も続いておるということでございます。
#106
○仁比聡平君 この間、法学未修者に対する法律基本科目の単位数の増加や配当年次の在り方の見直しといった形で端的に御答弁があっていたのが今のようなお話なんだなと。
 今のお話を伺っても、司法試験によって試される、あるいはロースクール教育で修得が期待される法曹としての実務に必要な学識及びその応用能力並びに法律実務の基礎的素養と。これ、この司法制度改革が議論になっていたときに、弁護士会の中で我々のプロフェッションとは何かという議論をよくしていたのをちょっと今日思い起こしていたんですけれども、そうしたプロフェッションなり素養を身に付けるのには、今の御答弁聞いてもそれなりの時間が掛かるということかと思うんですよ。
 憲法、民法、刑法だけに絞って言いましても、一年間で司法試験に合格できるだけの素養を、全く学んでいない未修者が身に付けよという方が初めから無理な話であると思いますが、文科省、いかがですか。
#107
○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。
 先ほど、特に法律基本科目につきまして、一年次配当のときに法律のある意味未修者につきましてはなかなかその時間数も足りないんじゃないかというようなことで、いろいろ今検討しているということを申し上げましたけれども、先ほど先生おっしゃいましたように、まさに法理論教育を中心としながら実務教育の導入部分をこの法科大学院が担うということでございますので、例えば要件事実とか事実認定に関する基礎的部分も併せて実施する。これは従来の法学部教育になかったようなところになるわけでございますけれども、そういったところはある意味、そういった基礎、基本の部分を踏まえて履修をしていくというようなところになるわけだと思うんですけれども、そういったところは各未修者につきましても様々努力されていると思いますけれども、やはりそれぞれ一年次の教育をきちっとクリアをして、次の二年次でそういった法律の実務基礎、そういったところの教育に臨むというようなことをやはりある意味達成度試験というような形で見ていく必要があるんじゃないかというようなことが議論で出てまいりまして、現在、そういった達成度試験についての在り方を検討しているということでございます。
#108
○仁比聡平君 今も御答弁の中に触れられました共通到達度確認試験というふうに言われているものの制度設計についても、法曹としての学識などを修得するには、やっぱり時間も掛かれば、我々の世代のときには法学徒という言葉もありました。やっぱり一人一人の独立した、自立した法曹を志していくわけですから、その信念も含めて、あるいは今日リーガルマインドとよく呼ばれる人間性も含めて、鍛えられていく時代というのは、それぞれの志望者の個性というか、いろんな在り方があるんだと思うんですよ。
 その下で、この共通到達度確認試験の基本設計についてちょっと心配しているのが、まだこれ議論なんだと思うんですけれども、全国規模の比較の中でロースクール生が自らの学修到達度を把握することを通じて、その後の学修や進路指導や進級判定などに活用するということが言われていて、これちょっと本当に平たく言うと、全国一斉模試みたいなのがあって、数千人のロースクール生の中であなたは何番みたいな、何かそんなことになってしまうと、元々プロセスとしての法曹養成と言っていたんだけれども、ロースクールの二年次に進級するにはその中で何位以内に入らなきゃいけないみたいな話になって、点をわざわざ増やして、選抜をする、ふるい落とすというようなことになってはならないんじゃないか。あるいは、その設計を短答試験を免除するということとも結び付けようということが、これは取りまとめだけでなくて、昨年七月のあの関係閣僚会議決定の中にも出ているようですけれども、そうした方向にすると、司法試験のありようそのものが根本的に変わってきはしないのか、そうした疑問も持つんですけれども、これ、大臣、いかがですか。
#109
○国務大臣(谷垣禎一君) 非常に難しいことを今、仁比先生お問いかけですので、私もちょっとうまく頭の中整理できないんですが、司法試験の在り方そのものが変わってくるとはまだ必ずしも、まだ議論の最中ですが、必ずしもまだそう結論付けているわけではございません。
#110
○仁比聡平君 文科省に、ちょっと後先になるようですけれども、この到達度確認試験の目途について、今どんな状況で、どうするのか、これから、お尋ねします。
#111
○政府参考人(中岡司君) 共通到達度確認試験、これはあくまでもまだ仮称でございますけれども、これの現在の状況でございますが、昨年七月の政府の法曹養成制度関係閣僚会議におきまして、教育の質の保証の観点から、法科大学院が共通して客観的、厳格に進級判定を行う仕組みとして、中央教育審議会の審議を踏まえて、二年以内に基本設計、実施を検討し、その結果を踏まえて五年以内に試行を開始するものと決定されたところでございます。
 この法曹養成制度関係閣僚会議決定を踏まえまして、中央教育審議会におきまして共通到達度確認試験の基本設計について審議が行われ、今年三月にまとめられた基本的な方向性において、その基本的な考え方、目的、試験の内容や実施方法などについて仕組みが示されたところでございます。
 文部科学省におきましては、中央教育審議会から示された基本設計に基づきまして、平成二十六年度中の試行実施を目指し、検討体制の立ち上げや試験問題の作成準備などに速やかに取り組んでまいりたいと考えております。
#112
○仁比聡平君 試行体制を今立ち上げようと、その次には試験問題がどんなものがふさわしいかを検討しようというような状況で、それぞれのロースクールの自律性とか自治とかいうことを考えますと、実際にどうなっていくのかというのはなかなか、まだまだこれから議論が必要なところかなというふうに思います。しっかりと国民的な期待を持って出発しているこのロースクールと法曹養成制度の改革ですから、本当に理解が得られるように、そうした理解を得ながら議論を進めていくべきだということを求めておきたいと思うんです。
 そこで、もう一つ、この法曹養成制度や司法制度の根本に関わる法曹人口に関わって、関係閣僚会議決定で、閣僚会議の下で法曹人口についての必要な調査を行って、その結果を二年以内、つまり来年の七月までに公表するというふうになっているわけですが、この調査について内閣官房法曹養成制度改革推進室に伺いたいと思うんですが、どんな調査をどんな項目でどういう人たちに対して行うのかというのは、これなかなか難しい話だと思うんですよ。調査をしたら、日本の社会に法曹人口は何千人必要であるとか必要でないとかという結論が論理的に出るものかと、数学的に、それは大変疑問もあるんですよね。
 ですから、この調査のやり方そのものも議論を本当に深めなきゃいけないと思うけれども、その調査の結果が出たからといって、これが独り歩きするのもまた困ると思うんですが、いかがでしょうか。
#113
○政府参考人(大塲亮太郎君) 法曹人口調査の関係でありますけれども、確かに委員御指摘のとおり、こういった調査については実はこれまでなされたことはありませんで、初めて私たちがやっていくということになります。
 これまで、各種の法的ニーズ、需要の調査というのは、それぞれの団体だとか機関がやってきたというのはありますけれども、それに応じて、あるいは供給側の事情にも応じまして、法曹人口がどれぐらいが適当かというのは、今回、私ども初めて行うものであります。
 具体的に現在考えておりますのは、法的需要がどういったところにあるのかということについて、一般の方や、あるいは法律相談に来た方、あるいは地方自治体だとか企業などにアンケート調査を広範に行いたいというふうに考えております。
 さらに、これまでの既存の調査結果、あるいは各種団体がやっております調査結果なんかも踏まえて、それを分析して、そこであるべき法曹人口というのをはじき出したいと考えておりますけれども、まずは調査をやってみて、どういった結果が得られるか、そこでどういった人口というのが出せるかというのをまずはやってみたいというふうに考えているところであります。
#114
○仁比聡平君 最後、大臣に、その調査、今推進室が準備をしておられる調査そのものは独り歩きさせちゃならぬのじゃないかと私は思うんですが、そのことへの感想と、それから、そこの調査に合わせてということじゃないんですけれども、先ほど行田委員も取り上げてくださいましたけれども、三月に給費制、三月十三日だったでしょうか、給費制の復活をということで、貸与制を維持するということの今根拠になっている法曹の養成に関するフォーラムの当時のアンケート調査、これは、現在の若手法曹、中でも若手弁護士の経済実態を反映しているものではないのではないかと、私たちの想定をはるかに超えて厳しい現実が進行しているのではないかということを御指摘申し上げました。大臣は実態をよく見ていかなければならないと御答弁されたと思うんですけれども、その実態をちゃんと見ていく上でも、あるいは法曹志望者が減ってきているということの一つの要素として、弁護士というのもどうやら大変みたいだという声もあるわけで、個々の経済的な実態、ここも法務省としてもしっかりつかむべきではないかと思うんですが、大臣、その二点いかがでしょうか。
#115
○国務大臣(谷垣禎一君) まず最初の点ですが、法曹需要、どれだけあるのかという調査ですが、大塲室長が答弁いたしましたように、なかなか、初めてのことでありますから、どういうものがどういうふうになってくるのか、実は我々もまだよく分からないところがございます。
 一つは、前回決めたとき、フランス並みというようなことで、実態調査なんかなかったなと、それは少し良くなかったんじゃないかという反省を踏まえましてやっておりますが、果たして、じゃ、具体的な数字としてこの程度必要だというようなコンクリートなものになるのかどうかもまだよく分からない。ですから、今、仁比委員おっしゃいましたように、それがどういう意味合いを持つものなのか、十分分析もしないで独り歩きするということがあると、御心配のようなことが起きてくることもないとは言えないと思います。まだ、その辺のところはもっと煮詰めていかないと、私もはっきりしたことはお答えできないということでございます。
 それから、もう一つ、修習生の貸与制、給費制という問題ですが、これは平成二十三年の五、六月頃のアンケートで、一応それを前提として幾つかの制度改正をして、今、仁比先生から御批判を浴びると思いますが、貸与制を前提とした幾つかの改善策をまとめたということでございます。
 それで、貸与金の返還というのもまだ始まっているわけではありませんので、いま少しやはり状況をよく見ていきたいというのが今の状況でございます。
#116
○仁比聡平君 時間が参りましたので、これで終わります。
#117
○谷亮子君 生活の党、谷亮子です。
 本日の議題であります司法試験法の一部を改正する法律案、閣法第四六号につきましては、質、量共に豊かで、重厚な司法試験のための内容を確保し、そして適正化を図る整備をされるということで、賛成の立場から質問させていただきたいと思います。
 近年、法曹志願者や法科大学院への進学を志望する方が年々減少しつつあるということが統計等でも公表されております。このまま減少し続くようでございましたら、日本における法曹の知識のある方が減少することへつながり、日本の現在そして将来にわたりまして大変な損失を生み出しかねないと考えられますが、法務省として、このような法曹人口不足が続いている現状を見て、法曹人口不足が日本の現在とそして将来にどのような影響を及ぼすとお考えか、まずお聞かせいただきたいと思います。
#118
○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
 昨年の六月の法曹養成制度検討会議取りまとめにおきまして、これ若干引用させていただきますが、法曹に対する需要は今後も増加していくことが予想され、質、量共に豊かな法曹を養成するとの理念の下、全体としての法曹人口を引き続き増加させる必要があることに変わりはないが、今後の法曹人口の在り方については、法曹としての質を維持することに留意しつつ、法曹有資格者の活動領域の拡大状況、法曹に対する需要、司法アクセスの進展状況、法曹養成制度の整備状況などを勘案しながら、あるべき法曹人口について提言をするべくその都度検討を行う必要があるとされたところでございます。
 昨年七月の法曹養成制度関係閣僚会議においても今の点が是認されておりまして、法務省といたしましても、現在においても同様にその必要性を認識しているところでございます。
#119
○谷亮子君 ありがとうございました。
 やはり、法曹人口不足の要因というのはいろいろと考えられるところがあると思いますけれども、私も法務委員会に所属をさせていただいておりますので、是非ともこの問題が法曹界全体にとりましても良い方向へ進んでいただくことを望んでおりますし、法曹人口の増大は法曹界にとりましての喫緊の課題とも言われておりますので、正しい施策が必要となってくると思っております。
 そこで、一つ私が今回大変関心を持ちましたのが、日本の法曹人口不足と日本の医師不足ということでございました。
 現在、日本は医師不足とも言われておりまして、日本の医師界におけるこれまでの実情と現状を振り返ってみますと、これは一九七二年十一月、田中内閣の下で自民党文教部会が、最近の医療需要の増大に対処するため医師等医療関係者の長期養成計画を発表し、国立大学を中心として医科大学の増設を推進することを決定いたしました。昭和四十八年は三校、昭和四十九年は四校、昭和五十年度は四校、そして昭和五十一年度も四校の計十五校を新設されるなどして長期養成計画が進められてまいりました。そして、十年後の一九八二年七月に臨時行政調査会がまとめられました行政改革に関する第三次答申(基本答申)の中で、特に医師については過剰を招かないよう合理的な医師養成計画を樹立すると提言いたしました。これを受けまして、当時の鈴木善幸政権が一九八二年九月の閣議で医師抑制策を決定いたしました。これを機に、一九七九年の琉球大学の医学部設置以降、これは三十年以上にわたりまして一か所も医学部を新設されない状況が続きました。
 医師になるには、医学部を卒業し、医師国家試験に合格することによりまして医籍に登録され、医師としてこれは活躍することができるわけですが、このように医師過剰を懸念し医師抑制策を図ったことが、かえって一九八〇年代の医療現場の実情に基づくものではなかったとも言われておりまして、現在の状況である医師不足につながったものとされているわけでございます。
 そして、この医師不足の影響は国民の皆様の生活にも大変な影響を及ぼすものとなってしまいました。これは二〇〇八年七月六日の日本経済新聞の朝刊にございましたけれども、全国各地の中核的な病院を対象に実施した調査を伝えているものがございました。この記事によりますと、回答した約五百五十病院の約六割が二〇〇三年から二〇〇七年の四年間に医師が確保できないという理由で診療体制を縮小していたということが分かったということ等々ございまして、最悪、医療難民を生み出すケースも考えられるということでございました。
 これから日本は少子高齢化を迎えると考えられている中で、また人口減少も考えられている中で、当時は厚生労働省というわけではなく臨時行政調査会として取りまとめられていた医師抑制策を、今度は厚生労働省と文部科学省が平成二十五年度概算要求に合わせ、既存の取組も含め、地域の医師確保のための取組二〇一二を連携して取りまとめられております。このように、医師抑制策は今となっては医師確保対策として変更されまして、このことは日本の医師界における喫緊の課題となってしまっている現状がございます。
 こうしたことがやはり法曹の世界で連鎖されることがないように、この数値の設定や抑制策ということは、これ一旦、減少ですとか削減をしてしまいますと、今度増大するときにはその何倍、また何十倍もの努力が必要になるということをやはり医師界の流れを見て学び、そして学ぶだけではなく生かされなければならないと私は思っております。そして、日本は法治国家であります。また、法律によって日本の国民の生活や社会の秩序が守られているわけでございます。
 そして、このようなことを踏まえた上で法務省にお伺いいたしますけれども、平成十三年の政府の司法制度改革では、国民生活の様々な場面における法曹需要は量的に増大するとともに、質的にますます多様化し高度化することが予想される。これらの諸要因への対応のためにも、法曹人口の大幅な増加を図ることが喫緊の課題であるとしていて、司法試験合格者数を三千人程度とこれは当初されておりました。
 この取組で、一九九〇年以前は五百人程度の司法試験合格者だったのが、更に伸びまして、平成二十年からは二千人程度が安定した推移で司法試験に合格されているという現状にございます。これは二つの私は捉え方があると思います。たった二千人という捉え方か、これだけの方が合格されていると、二つの捉え方がここでは私はあると思います。
 そして、法曹人口の質の向上を図ろうというお考えから、また新たな御意見も提言されているようでございます。司法試験合格者数を平成二十八年度までに千八百人から千五百人程度にこれは減少させようというお声もございまして、緊急提言としてまとめられまして、谷垣法務大臣そして下村文部科学大臣に申入れされたと報道でも出ておりました。
 こうした司法試験合格者数を減少させることによって法曹人口の質の向上を図ろうというお考えも十分理解できると思いますが、医師抑制策によって医師不足の問題が発生をしたように、司法試験の合格者を減少させることによって、現在よりも志願者そして受験者が減少をし、将来、法曹人口不足につながるのではないかと懸念されますが、法務省としての御所見を伺いたいと思います。
#120
○政府参考人(大塲亮太郎君) ただいま医師数の抑制策、医師不足の問題について指摘いただきましたけれども、私どもの法曹の数ということにつきましては、司法試験の年間合格者数を三千人とする目標を事実上撤回した、その後の法曹人口の在り方につきましては、昨年の七月十六日の法曹養成制度関係閣僚会議決定に基づいて、法曹養成制度改革推進室におきまして、あるべき法曹人口についての提言をするべく来年七月までに必要な調査を行うということになっております。
 具体的には、一般の方々、例えば法律相談に来た方だとか、全く一般の方々、それだとか企業だとか地方自治体などに対する需要調査を始めようと今しているところでありまして、法曹人口の提言の在り方につきましては、そうした調査結果を待って検討することになると考えているところであります。
#121
○谷亮子君 ありがとうございました。
 実際、三千人程度というのを撤回されたということで、私は、ある意味、三千人程度を想定されていて、現況二千人程度が推移をしているという状況で、更にこの目標数値を下げてしまいますと、例えば千五百、千というふうに下げてしまいますと、現況から見ても分かるように、三千を予定していて二千に、更に千にしてしまうと更にそれ以下に現況からするとこれ下がってしまうのではないかなと、現況のそうした状況を見て感じてしまうところもあると思います。
 また、こうして人を減少させることに重きを置くのではなくて、施策を充実させることや就職先の拡大、その取組をしっかりと環境整備をしていくということがやはり先に行われるべきであるというふうに思っています。このことにつきましては後ほど質問させていただきたいと思っていますが。
 先ほどの医師抑制策ということで大変な医師不足につながってしまったという現状でございますけれども、現在この医師不足の問題に対しまして、安倍総理は、四月二十五日、安倍政権の経済政策、アベノミクスの三本の矢である国家戦略特区に千葉県成田市を選定をし、大学の誘致を行った上で、一九七九年の琉球大学以来となる医学部を新設をし、国際医療学園都市をつくる構想もお持ちでいらっしゃいます。また、政府は、東日本大震災からの復興支援の象徴として、高齢化と医師不足が課題となっている東北地方への大学医学部の新設を指示されていらっしゃいます。
 日本の国民の皆様にとりましても、やはりこの医師不足、そして法曹人口不足というのは、生活そのものに直結することでございますし、これはある意味日本の国益にもつながる大変重要な問題でございます。やはりこの両方ともが重要だと私は考えますので、こうした医師不足については今国が施策を打つということで動き出していますので、是非とも、医師不足への対応が図られていると同じように、やはりこの法曹人口不足への施策も、対策も国として取り組む姿勢があってよいのではないかなと、ここで申し上げておきたいというふうに思っております。
 そこで、法務省におかれましては、この法曹養成の観点から、法曹人口は増大すべきとお考えか、それとも減少させるべきとお考えか、どちらでもないとお考えなのか、お伺いしたいと思います。
#122
○国務大臣(谷垣禎一君) 私が公的に御答弁申し上げるとなると、今推進室で法曹需要を調査するということになっておりますので、その結論が出ない先に結論めいたことを申し上げるわけにはいかないんですが、この調査は少なくとも迅速にやらなきゃいけないと思っております。
 それで、そういう公的な立場からするとやや踏み込んだことになるかもしれませんが、かつては五百人だったわけですね。それで千五百人ぐらいに増やしていって、いや、それじゃ足らない、三千人ということになって、現在、三千人はちょっと過大な目標過ぎたかなと、その看板はちょっと下ろそうかということになっているわけですね。いろんな御意見があるわけです。
 しかし、仮に、今、例えば自民党では当面差し当たって千五百というようなことを言っておられる。公明党は千八百というような御提言がありました。これは、三千人目標からすれば大幅に減らすということになりますが、しかし、それでもかつての五百人時代から比べれば増えているわけですね。中には五百人に戻せとおっしゃる方もないわけではない。
 ですから、今行われております議論は、私はどちらかというと、減らせという議論は、今の法律家の数よりも減らしてしまえという議論は余りないんじゃないかと思います。増やし方のスピードがどのぐらいであるべきかというその議論が中心なのではないかと思っておりまして、ただ、これもやや、その需要を調査する前に大臣としてお答えするのはちょっと踏み込み過ぎかもしれないと思ってはおります。
#123
○谷亮子君 大臣、ありがとうございました。
 やはり様々にいろんな御意見がありますし、その中で今にふさわしい決断が出されていくと思いますし、最終的には谷垣法務大臣がまとめられると思いますので、しっかりとあらゆる希望の期待に応えていただきたいなというふうに申し上げたいと思います。
 次に、法曹有資格者の活動領域について質問したいというふうに思います。こちらは最高裁判所の方にお伺いさせていただきます。
 私は、司法に関係する、また司法の知識が必要とされる就職先の確保がこれは必要であると感じておりますし、これまでの多くの委員の先生からもいろいろとお話があっているところでございますが、社会経済の変化が急速に進む中におきまして、司法が国民や社会のニーズに的確に対応されて、そして期待に応えていくための方策の一つとして、裁判官の任用や養成の在り方を十分に考え、これは御検討していただく必要があると考えております。
 さきの法務委員会でも質疑させていただきましたが、裁判所定員法の一部を改正する法律も成立いたしましたけれども、平成二十六年度で判事の員数を三十二名増員する等の法律でございました。そこで、最高裁判所は、判事の員数の増員と、判事補の員数及び現在員の拡充をどのように取り組まれているのか、お伺いしたいと思います。
#124
○最高裁判所長官代理者(中村愼君) お答えいたします。
 裁判所にとりまして、裁判官に能力、適性を有する人材を得、適正、迅速な事件処理に必要な体制を確保するということは最も重要な課題の一つというふうに認識しておりまして、計画性を持って人的体制の充実を図っているところでございます。
 毎年定員法の御審議をいただきまして、平成十四年度から平成二十三年度の十年間には六百七人の判事、判事補の増員、一年平均いたしますと約六十人の増員を認めていただきました。平成二十四年度には三十人、二十五年度、今年度には各三十二人の即戦力の判事の増員を認めていただいたところでございます。
 また、判事補につきましても、司法修習を終え、裁判官を希望した者の中から、修習中に示された裁判官としての適性、能力を基に採用しておりまして、平成十五年十月採用以降は下級裁判所指名諮問委員会の答申を得て採用しているところでございます。
 平成五年以降、おおむね毎年約百人、百人前後を採用しておりますが、判事補の採用数を考えるに当たっては、多くの者が将来判事になるということから、中長期的な視点から司法に対する需要を考えていく必要がございますし、また裁判所にふさわしいと考えましても他の道に進むという方もおられるということで、現在の採用状況になっているのが実情でございます。
 いずれにいたしましても、裁判所といたしましては、今後とも能力、適性を有する人材を裁判官に確保するとともに、数の面でも事件動向や事件処理状況を勘案しつつ、複雑困難化する事件を適正に解決するため、人的体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
#125
○谷亮子君 ありがとうございます。
 この裁判官とそして検察官の方への進む道というのは非常に限られていらっしゃるということで、是非そこを何とか、いろいろな問題があると思いますけれども、開拓されるようになればいいなとも思っています。
 今、御答弁いただきましたように、一年で約六十人、そして十年でこれまで六百七人、合計ですね、これは員数を増大、増員されたという現状でございますけれども、やはりそこから先の取組ですよね。ある意味、法曹の知識を最大限に生かせる場の提供というのが、今ここに来てその員数の増大というのは図られているということで、その先の取組をこれからは是非とも御検討いただきたいなと併せてお願いをしたいと思っています。
 そして、この裁判所法を見てみますと、判事について、判事補、弁護士、学者等の多様な給源を予定しているが、現実には判事に任用される者の大部分を判事補が占めており、弁護士、学者等、他の分野からの任官者は極めてこれは少数に止まっている等々ございまして、様々な分野の多様な人材が判事として任官することが望ましいということは言うまでもない等々ございました。
 また、大都市の裁判所では、裁判官は常時、一人当たり単独事件を二百件、そして合議事件を約八十件抱えていると言われております。さらに、毎月約四十五件の新件が配点されるとも言われておりますので、新件数以上の手持ち事件を処理していかないと未済事件が増えていくということで、これは日本弁護士会の資料等にもこのように出ておりました。
 ただいま御答弁いただきました、お話の中にございましたけれども、やはり裁判の迅速化ということを考えた中で、あらゆるいろいろなことも問題となってくると思いますが、やはりそうした、裁判官がある意味負担を軽減されて、適正に、そして公正かつ中立に的確な判断がなされるという環境も、これは同時につくっていただきたいというふうに思っております。
 そこでですが、裁判の迅速化に関する検討会が重ねて行われております。こうしたこと、イコール法曹有資格者の活動領域について、今後更にここでも検討されることをお願い申し上げたいというふうに思っております。
 このような現状を踏まえました上でも、法務省に、この法曹有資格者の活動領域の更なる拡大の方針については今後どのように取り組まれていくのか、その方針をお聞かせいただきたいと思います。
#126
○政府参考人(小川秀樹君) 法務省は、法曹有資格者の活動領域の拡大に関する有識者懇談会と、その下に日弁連との共催で、国・自治体・福祉等、企業、海外展開といった各分野の活動領域の拡大に関する分科会を設けておりまして、その中で試行的かつ実践的な取組を行っております。これまでは各分野におきます法的支援のニーズなどの調査を進めておりまして、その調査の結果も今後、今申し上げました検討体制の下で検証される予定とされております。
 また、日弁連におきましても、法曹有資格者の活動領域の拡大を推進するべく法律サービス展開本部を設立いたしますとともに、その下に自治体等の連携センターあるいはひまわりキャリアサポートセンターなどを設けられまして、それぞれ取組をされておられるというふうに承知しております。
 法務省といたしましても、今後とも法曹有資格者がこれらの分野において活動領域を拡大していくための方策について十分検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
#127
○谷亮子君 ありがとうございました。
 ただいまお話がございましたけれども、法曹有資格者の活動領域の検討につきましては、司法制度改革の原点ともいうべき平成十三年の司法制度改革審議会意見書にこれは法曹の役割としてうたわれております。
 これまでの十三年間も、そして現在も、そして今後将来にわたりましても、日本の企業等がグローバル化を進めていく中で今後の日本の在り方を問うときに、やはり外国とのせめぎ合いの場面におきましても法曹の知識が必ずこれは必要とされるわけであります。また、TPP等も推進される方向でございましたら、やはりこれは農地法であったり、さらには土地収用法ですとか、さらにはここでは輸出、輸入等のこうした幅広に法律の問題というのが関与してくると思っております。
 また、日本の人口がこれから減少すると考えられる中で、内需の拡大が難しくなり、今後経済等を更に成長させていくには、海外に進出することや、また海外から日本に雇用するということが必然という環境の中で、やはり私は日本の法曹の活動領域のグローバル化も同時に進めていかなければならないと思っています。
 そこで、今日はまず、弁護士の方の海外展開業務を推進し充実させるためにどのように取り組まれるのか、方針を伺いたいと思います。
#128
○政府参考人(小川秀樹君) 法務省におきましては、我が国の国際競争力強化の観点からも、企業法務あるいは国際展開といった形で弁護士が、法曹有資格者が活動領域を広げていくことは重要だというふうに認識しておりまして、このような問題意識の下で、先ほども申し上げましたが、有識者懇談会を設け、企業、海外展開に関する分科会を設置しております。その中で試行的かつ実践的な取組を行っているところでございます。
 その分科会の中では、例えば海外に進出した日本企業などが現地で必要としている法的支援のニーズ、あるいはそのニーズに対応した支援の在り方ですとか、海外進出に際しまして専門家の支援を必要としております中小企業への法的支援の在り方、さらには国際的な分野で活躍できる法曹人材の養成の在り方などについて実践的な検討が進められておるところでございまして、今後ともこれらの検討を通じて法曹有資格者に対する潜在的なニーズの顕在化に努めてまいりたいというふうに考えております。
#129
○委員長(荒木清寛君) 谷さん、時間が来ておりますので、おまとめください。
#130
○谷亮子君 しっかりとした取組を今後も期待したいと思っております。
 また、司法試験の予備試験につきまして、年齢など資格制限を検討するということも、先週、検討されている有識者会議がございました。やはりこの予備試験においては、門戸を開くという意味ではあらゆる方がチャレンジできるような体制でなければならないと考えております。また議題となった場合には質問させていただきたいとも思っております。
 さらには、いろいろな問題を法曹界の法曹リンクのシステム化としてこれは構築して取り組んでいただきたいというふうにお願いを申し上げて、質問を終わります。
#131
○糸数慶子君 無所属の糸数です。よろしくお願いいたします。
 司法試験法の一部を改正する法律案、通告をしておりますが、一応、三点の中で全く同じような質問が先ほど出ておりました。二点割愛させていただきまして、最後の方だけ、一点だけお伺いしたいと思います。
 まず、改正後の司法試験の具体的な実施方法とその目的についてでありますが、本法律案の附則によりますと、この施行期日が平成二十六年十月一日となっていることから、本法律案が今国会で可決、成立した場合ですが、来年、平成二十七年に実施される司法試験から本法律案が適用されるということでしょうか。その場合、来年の司法試験に向けて勉強している受験生に対し、できるだけ不安定な状況で試験勉強をさせないためにも、早期に短答式試験の実施方法等を示す必要があると思われますけれども、改正後の短答式試験の問題数やそれから出題形式など具体的な実施方法が決まる時期及び、現在、司法試験考査委員会議の申合せ事項として示されている平成二十五年十二月二日付けの司法試験における短答式試験の出題方針が変更される予定があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#132
○国務大臣(谷垣禎一君) 法改正があったとき、できるだけ受験生に無用な負担を掛けないようにという御趣旨、私どももそのとおりだと思います。
 それで、今おっしゃったように、この法案の附則で施行期日は平成二十六年十月一日としているわけですが、これは平成二十七年の司法試験から今回の改正法に基づく試験が実施されるということですね。そこで、こういう施行期日としましたのは、平成二十六年の司法試験に影響を及ぼさない、そして平成二十七年の司法試験の願書受付等に遺漏なく対応できるようにという狙いでございます。
 それで、改正法が成立しました後は、司法試験委員会において速やかに、短答式試験の科目が憲法、民法、刑法の三科目に限定されることなどを踏まえた試験の実施日程、それから試験時間、配点、こういったものを検討して受験生に対して明らかにしていくものと考えております。
 それで、司法試験の出願は例年十一月から十二月頃でありますので、司法試験委員会においては、遅くとも平成二十六年夏頃、今年の夏頃までには具体的な実施方法を確定されるというふうに考えておりまして、委員が御懸念のような、受験生に無用な負担が掛かることがないように注意してやってまいりたいと思います。
#133
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次は、ちょっと民法についてお伺いしたいと思います。七百七十二条による無戸籍問題についてお伺いをいたします。
 民法七百七十二条は、父親を決定する法的ルールとして、婚姻している間に妻が懐胎した子は夫の子と推定し、婚姻から二百日後、それから離婚などから三百日以内に生まれた子は婚姻により懐胎したものと推定する、この二段階の推定を置いております。
 この規定は、円満な夫婦生活と医学的な統計を信頼して、婚姻によって妻の産んだ子は夫の子であろうという一応の原則を、推定を立てたものであります。これは明治民法の起草当時からこれ推定であって、これに反する医師の鑑定があれば覆すことができるというふうに考えられてきました。この原則自体は、子供のために父親を明確にしておこうという趣旨で、あくまでも子供の福祉への配慮から生まれたものだというふうに理解しております。
 ただ、四月二十四日のこの法務委員会で谷垣大臣に、私が推定制度を批判しているというふうにちょっと誤解して答弁されたと思うんですが、私はこの規定が、これ明治三十一年、つまり一八九八年ですから、今から百十六年も前に作られて、現在のように、離婚やそれから再婚が増え、医療技術それからDNA鑑定など親子鑑定の技術も格段に進歩する状況が想定されずに制定されたわけで、その時代のものを規定を見直さないという状態を問題にしているわけです。また、父子関係ではなく、嫡出を推定していることが問題だというふうに繰り返して質問しているわけですね。ですから、この規定の見直しは早くから家族法学者あるいはNGOからも指摘されてまいりましたが、二〇〇七年にこの規定のために無戸籍になっている子供の問題が大きくクローズアップされてきました。そこでその運用の見直しが行われましたけれども、問題解決には今至っておりません。
 今月の五月二十一日でしたけれども、NHKでこのことが放送されておりました。三十二年間も無戸籍であった方の過酷な人生が紹介されておりましたが、夫の暴力から逃げ出し、離婚もできずに歳月がたち、新しいパートナーとの間に子供が生まれましたけれども、その居場所を知られるのを恐れて、母親が出生届を出せなかったために無戸籍になった方の紹介でありました。これ、裁判所での手続を経れば実の父親の子として戸籍を作ることができるわけですが、DVの前の夫との関与を恐れて断念されたということでありました。
 こういうケースは今少なくないと言われておりますけれども、規定によって無戸籍になっている問題で、総務省は二〇〇八年の七月に、人道的な見地から対応が必要ということで、出生証明書などによって母親がはっきり日本国籍を有すること等が明らかなこと、さらに民法七百七十二条の関係で出生届を出せないこと、あるいは裁判や調停を進めていずれ戸籍を作成される可能性が高いことなどを条件にいたしまして、出生届の提出に至らない子の住民票記載を可能といたしました。
 そこで、総務省にお伺いいたします。
 この通知発出後のことですが、出生届が未提出の無戸籍の方が現在どのくらいいらっしゃるのか、そしてどの程度把握されているのか、お伺いしたいと思います。
#134
○政府参考人(山崎重孝君) 出生があった場合の住民票の記載につきましては、戸籍法に基づく出生届が必要であるということが原則でございます。
 しかしながら、今御指摘がありましたように、民法七百七十二条の嫡出推定の規定の関係上、出生届の提出には至らず、結果として住民票が作成されないという事例が生じておりました。そこで、住民サービスの円滑な提供の観点、それから居住関係の公証の観点から、民法第七百七十二条の規定に基づく嫡出推定が働くことに関連して出生届の提出に至らない者について、認知調停手続など外形的に子の身分関係を確定するための手続が進められている場合には、市町村長の判断により、職権で住民票の記載を行うことができるという旨を二十年の七月に通知いたしました。
 この通知で示された要件に該当する者に住民票を作成した件数を調べておりますが、全国で平成二十年七月から二十一年三月までで三百二十四件、二十一年度に三百八十九件、二十二年度に五百二十三件、二十三年度に五百八十件、二十四年度は外国人に対しても適用いたしましたので、これも含めまして六百五十五件、二十五年度に七百二十六件というふうになってございます。
#135
○糸数慶子君 今の報告によりますと、出生時に戸籍がない人は増加傾向にあり、昨年は七百人を超えるということであります。これは、多くが父子関係の確定後に戸籍が作られるために、この数値が現在も無戸籍というわけではありませんが、このケースに当たらない無戸籍の方も相当いらっしゃるのではないかというふうに思います。
 そこで、法務省にお伺いいたしますが、そもそも無戸籍の方がどれだけいらっしゃるのか、実態を把握されているのか、お伺いいたします。
#136
○政府参考人(深山卓也君) 今総務省から答弁がございましたけれども、総務省の調べによって住民票の作成された無戸籍のお子さんの数は把握しておりますが、それ以外の無戸籍のお子さんの数は法務省としては把握しておりません。
#137
○糸数慶子君 実態を把握されていないということでしたが、無戸籍の方の実態を把握することは、当事者はもちろん、国にとって大変重要だというふうに思います。無戸籍となったその原因や経過を知り、無戸籍にならないような施策を講じる上で大変意義があります。
 正確な数字を把握することは困難だと思いますが、少なくともおおよその実態を把握できるのではないかというふうに思いますが、是非実態の把握に努めていただきたいと思いますが、法務省の御見解を改めてお伺いいたします。
#138
○政府参考人(深山卓也君) 子供が戸籍に記載されないことによりまして、社会生活を営む上での様々な不都合が生ずるものと思っております。例えば児童扶養手当の受給申請であるとか、あるいは相続のときの親族関係の立証とか、そういうことで社会生活上の不都合があるということは重々承知しておりまして、このようなことが子の福祉の観点から望ましくないというのは御指摘のとおりだと思っております。
 戸籍制度を所管する法務省としては、無戸籍のお子さんの数を正確に把握する方法があればこの実態を調査したいと考えているところでございますが、無戸籍児というのは、まさにその戸籍の届出がされないということですので、戸籍のデータから手繰ることはできないわけです。したがって、住民票の作成もされていない場合には、その存在を認識する端緒がないというのが現状でございまして、その数等を正確に把握することが極めて困難でございます。
 そこで、御指摘の実態調査については、これを行う適切な方法があるかどうかを含めて、今後検討していきたいと思っております。
#139
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 大変困難な手続を要するとは思いますけれども、是非とも実態の把握をしていただいて、苦しむ当事者の救済に是非資するような行いをしていただきたい。これ是非ともやっていただきますように、強く要望したいというふうに思います。
 次に、谷垣大臣にお伺いをしたいと思います。
 この戸籍制度は、人の基本的な身分関係を登録、公証する制度であって、やはり法律関係を大きく左右いたします。いいかげんな記載や届出がされてはならないということは言うまでもありませんが、戸籍の担当者は実質的審査権を持っていないため、窓口で夫婦の関係や子の出生にまつわる細かい事情まで確認するわけにはいかないわけです。
 しかしながら、戸籍は日本国民としての国籍簿であるわけでして、様々な権利や利益を受ける上で重要となります。国民として、住民としてのサービスを受けるための基本中の基本と言えるというふうに思いますが、そういう中で、この法制度の上での不備、あるいは戸籍の取扱いの問題のためだけに何の罪もない子供たちに戸籍がないことの不利益があってはならないと思いますが、その点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#140
○国務大臣(谷垣禎一君) 嫡出推定を受ける子供が生まれた、しかし前夫の子となってしまうのは困るというようなことで無戸籍になっている方がいらっしゃると。それがまた後々大変、社会生活の上で、基本的な身分関係が明確にならないわけですから、学校へ行くのも困るとか、あるいは大きく成人されて結婚されるときに届出のしようもないとか、いろんな不都合が生じてくるわけですね。
 それで、ただ、この嫡出推定制度そのものは、先ほど、私が前回誤解して答弁したのならおわび申し上げますが、糸数委員がおっしゃるように、やはり生まれたとき、子供の父が誰かというのが定まらない状況にいるというのは子供にとっても不利益であると。
 だから、いろんな場合がありますが、ほとんどの場合は、ほとんどの場合と言っていいかどうか分かりません、通常は、やはり結婚している間に生まれた子はその夫の子であるという推定をするというのは子供の利益にかなって、早期に子供の身分関係を安定させるという意味合いがあると思いますから、私、この基本はやっぱり今も依然として必要だろうと思うんです。
 ただ、推定ですから、みなすと言っているわけじゃありません。推定はひっくり返すことができるわけですね。その制度は、現在、親子関係不存在確認の調停を申し立てるとかあるいは訴えを申し立てる、それから、認知の調停あるいは認知の訴え、こういうものによって家庭裁判所の判断を得ていただくというのがこれの対応の基本ですね。ただ、こういったことをどれだけ、それ大切な身分関係だから、よし、それをきちっとやろうということを理解して必ずしもいただいていない場合があります。
 そこで、法務省では、今ホームページでこういう裁判手続を相当詳しく説明しております。それから、その手続を説明するだけじゃなしに、裁判手続において、家庭内暴力とかいろんなことがあったかもしれません、前夫、前の夫との接触を避けるために裁判所でどういう工夫をしているか、どういう手法が取られているかとか、出生届を提出しない場合であっても子の福祉サービスを受ける方法というのはないわけじゃありません。
 こういうことについて紹介もしておりますが、要するに、こういったものが、見たけれども何だか法律用語がたくさんあって分かりにくいというのではいけませんので、より分かりやすく理解していただくにはどうしたらいいか現在検討しておりまして、できるだけこういう検討の結果を早く反映させていきたいと思っております。
#141
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 次に、ちょっと違う角度で質問したいと思います。
 生殖補助医療で出生した子供の数とその問題認識についてでありますが、四月二十四日の法務委員会でも言及いたしました生殖補助医療について、厚労省にお尋ねをしたいと思います。
 この生殖補助医療の行為規制についてでありますが、厚生労働省が容認しているのは、AIDと呼ばれる非配偶者間人工授精、つまり、夫以外の第三者からの精子提供による人工授精です。厚生労働省は、代理懐胎などとは違い、規制の必要はないと答弁されましたが、その認識はお変わりはございませんでしょうか。
#142
○政府参考人(鈴木俊彦君) お答え申し上げます。
 生殖補助医療に関する問題でございますけれども、これは個人の生命倫理、家族観に関係する難しい問題でございまして、様々な関係者の間で議論が行われております。こういった議論の動向を踏まえて対処していく必要があると思っております。
 御指摘の非配偶者間の人工授精、いわゆるAIDでございますけれども、これは平成二十四年六月の衆議院の法務委員会で、当時の政府参考人からは、平成十五年の厚生科学審議会生殖補助医療部会、その報告書で、安全性などに照らして特段問題があるとは言えないとされていたことなど、そういった当時の状況を踏まえまして、AIDのうち、法律上の夫婦の間で精子の提供を受けなければ妊娠できない場合に行われるもの、これについてその答弁の時点では、実施を規制する必要性はないと考えている、こういった旨の答弁が行われたところでございます。
 一方で、先ほど申し上げたとおり、この生殖補助医療全般につきまして、現在、その後も有識者など様々な関係者の間で様々な議論が展開されてございます。こうした中で、御案内のように、現在、自民党を中心に、このAIDも含めました生殖補助医療に関する法制化に向けた検討が進められていると承知をいたしております。
 したがいまして、厚生労働省といたしましては、このAIDの取扱いも含めまして、引き続き、こうした党や国会の御議論を注視し、その動向に従って対処していくと、こういうスタンスでございます。
#143
○糸数慶子君 では、AIDで出生したお子さんの数は把握されていますでしょうか。
 不妊治療を受けた病院で出産しない場合は、生殖補助医療で懐胎した事実が明らかにされないで出産されるケースが多いと聞いております。また、出産に至らなかったケースもあると思いますが、実態をどのように把握されているのでしょうか。改めて厚生省にお伺いします。
#144
○政府参考人(鈴木俊彦君) AIDの実施状況でございますが、日本産科婦人科学会が会員に対しまして同学会への報告を求めております。これによりますと、平成二十三年には八百九十二名の患者に対しまして年間三千八十二件実施されている、こういう状況であるというふうに承知をいたしております。
#145
○糸数慶子君 生殖補助医療で生まれたかどうかの実数を把握する方法として、出生届書の出生証明書でその事実を記載することも有効だというふうに思います。
 二〇一二年六月十五日、先ほどもお話がありましたが、衆議院法務委員会で、嫡出推定について、出生届の受理段階で公的証明書で明らかに父子関係がない場合は、現行民法の解釈上は難しいという民事局長の答弁がございました。一般論としての仮定の質問に答弁されたことは承知しておりますが、そうはいっても、そうした認識がありながら出生証明書に生殖補助医療を受けたかどうかの記載の検討が行われていない、その理由をお聞かせいただきたいと思います。これ、法務省です。
#146
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、平成二十四年の六月十五日の衆議院法務委員会におきまして、当時の原民事局長が、第三者精子提供による生殖補助医療、いわゆるAIDによって出生した子の出生届を夫婦が提出する場合に、AIDを受けた旨の証明書を併せて提出した場合、この場合はどうかという仮定の問題について、出生証明書などの公的な証明書により明らかに父子関係がないということが確認される場合は、現行民法の解釈上は子を嫡出子として取り扱うことは難しいことになろうかという趣旨の答弁をされたのは、そのとおりでございます。この答弁は、今委員御自身もおっしゃったとおり、そもそも子がAIDによって出生したものである旨の公的な証明制度は存在しておりませんが、そういう中で仮定の場面について現行民法の解釈の可能性を述べたものだと理解しております。
 そこで、議員の御指摘は、出生証明書等にAIDによって出生したか否かのチェックをする欄を設けたらどうかということだと理解しておりますが、現行法上、出生届書に出産に立ち会った医師、助産師等が作成した出生証明書を添付することとしておりますけれども、AIDの施術を行った医師が出産に立ち会うとは限りませんので、出生証明書に御指摘のようなAIDによる出生か否かのチェック欄を設けて適切な記載をしていただくというのは困難ではないかと思っております。
 したがって、御指摘のようなチェック欄を設けるという形でAIDにより出生した子を嫡出でない子と扱う制度を導入することはなかなか難しいのではないかと考えているところでございます。
#147
○糸数慶子君 法務省は、行為規制を前提にして適切な法整備をすることが法的安定性につながるということで、行為規制と親子法制の在り方についてやっております。行為規制を待って法的親子関係の法整備を行うと繰り返し主張されておりますが、親子法制が整ってから生殖補助医療による出生がなされるべきではないでしょうか。技術があるから、また、民法は嫡出を推定する制度で生物学上の親子関係を規定しているわけではないから届出の必要がないというその御認識は違うのではないかというふうに思います。生殖補助医療によって出生した子の法律上の親子関係の立法措置の必要性を早くから認識しながら、生殖補助医療で出生している事実を長年放置してきた問題が今問われているということを強く指摘しておきたいと思います。
 不妊治療に悩む夫婦の声はよく聞きますが、六十年も前から行われているAIDのお子さんたちの声が表に出るということはほとんどありませんでした。先日、「AIDで生まれるということ」、実は私の手元の方にもこの本がございますけれども、これ、第三者からの精子提供で生まれたお子さんの声をまとめた本が出版されました。執筆者の石塚幸子さんは、父親の深刻な遺伝病を恐れていた二十三歳のときに、母親からAID出生児であることを知らされたということです。遺伝病の恐怖と引換えに、深刻な問題を改めて抱えることになったわけです。
 石塚さんはおっしゃっていますが、不妊というその状態が問題であれば、出産でその問題は解決されますが、そうした技術の結果生まれた私たちにとって、生まれたその時点からがスタートであると。つまり、自分がAIDで生まれたということをどう受け止めて、どう生きていけばいいのか、提供者情報が分からないという不安は何をもって埋めることができるのかというふうにおっしゃっております。何より、秘密を抱えての不健全な親子関係、それから突然の告知による衝撃が私たちに与えた影響は、その後の人生、親子の関係に大きな傷を生じさせているというふうに、深い悲しみがこの本の中につづられております。
 生殖医療の行為規制によっては、今自民党が議論されているようですが、立法に関わる私たちはこういう当事者の声を聞いて議論する必要があるというふうなことを申し上げ、最後に一言だけ、谷垣大臣はこういう当事者の苦しみをどう受け止められているのかお伺いをして、終わりたいと思います。
#148
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、糸数委員がおっしゃったように、生殖補助医療によって生まれたお子さんの中には、大人になってその事実の告知を受け、俺は一体何者なんだろうというようなアイデンティティーの危機と申しますか、そういう感覚を持ったり、あるいは親や医療に怒りの感情を抱くというようなことがあると聞いております。それからまた、特別な遺伝的体質等があっても分からないということもあるんだと思います。
 それで、糸数先生は行為規制が先にありというのはいかぬというお考え方のようでございますが、やはり生殖補助医療のルールができませんと、親子法制を先に作ってしまいますと、その生殖補助医療で許されないようなものを例えば認めてしまうというか慫慂してしまうというようなことにもなりかねませんので、私どもは、まず生殖補助医療を、行為規制をやるべきだというふうに考えてまいりました。
 幸いなことに、今、先ほどからお話がありますように、議員立法でその動きが出てまいりましたので、私どもはその動向を注目しまして、それに見合った、やはり私ども、親子関係法制というものを検討しなければいけないと思います。
#149
○委員長(荒木清寛君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 司法試験法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#150
○委員長(荒木清寛君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川敏夫君。
#151
○小川敏夫君 私は、ただいま可決されました司法試験法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、みんなの党、日本共産党及び生活の党の各派並びに各派に属しない議員糸数慶子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    司法試験法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 我が国における法曹養成制度については、法曹志望者の減少という危機的な状況にあるにもかかわらず抜本的な改革が進んでいないことを踏まえ、有為な人材が数多く法曹を志望するよう、直ちに必要な調査を実施して在るべき適切な法曹人口を把握した上、司法試験合格者数の削減等所要の方策を早急に検討し、速やかに実行すること。
 二 司法試験の在り方について検討するに当たっては、法科大学院における教育及び司法修習との連携によるプロセスとしての法曹養成制度の理念を踏まえること。
 三 予備試験制度創設の趣旨と現在の利用状況とがかい離している点に鑑み、本来の趣旨を踏まえて予備試験制度の在り方を早急に検討し、その結果に基づき所要の方策を講ずること。
 四 法科大学院の入学者数の減少、法科大学院修了者の司法試験合格率の低迷等、法科大学院の置かれている現状を直視し、法科大学院が所期の目的を十分に達成するため、その教育水準の改善に取り組んでいくこととなるよう、必要な対策を講ずること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#152
○委員長(荒木清寛君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#153
○委員長(荒木清寛君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、谷垣法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。谷垣法務大臣。
#154
○国務大臣(谷垣禎一君) ただいま可決されました司法試験法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#155
○委員長(荒木清寛君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#156
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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