くにさくロゴ
2014/06/10 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第22号
姉妹サイト
 
2014/06/10 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 法務委員会 第22号

#1
第186回国会 法務委員会 第22号
平成二十六年六月十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月六日
    辞任         補欠選任
     山田 修路君     宮沢 洋一君
     糸数 慶子君     真山 勇一君
 六月九日
    辞任         補欠選任
     森 まさこ君     三宅 伸吾君
 六月十日
    辞任         補欠選任
     三宅 伸吾君     堂故  茂君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                山下 雄平君
                若林 健太君
                小川 敏夫君
                真山 勇一君
    委 員
                石井 準一君
                堂故  茂君
                三宅 伸吾君
                溝手 顕正君
                宮沢 洋一君
                柳本 卓治君
                吉田 博美君
                有田 芳生君
                江田 五月君
                前川 清成君
               佐々木さやか君
                行田 邦子君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       内閣府副大臣   西村 康稔君
       法務副大臣    奥野 信亮君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  平口  洋君
       文部科学大臣政
       務官       上野 通子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       内閣官房内閣参
       事官       中村 芳生君
       警察庁長官官房
       審議官      荻野  徹君
       総務大臣官房審
       議官       山崎 重孝君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小川 秀樹君
       法務省入国管理
       局長       榊原 一夫君
       文部科学大臣官
       房審議官     藤原  誠君
       水産庁次長    香川 謙二君
       国土交通大臣官
       房建設流通政策
       審議官      吉田 光市君
       観光庁審議官   篠原 康弘君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、山田修路君、糸数慶子さん及び森まさこさんが委員を辞任され、その補欠として宮沢洋一君、真山勇一君及び三宅伸吾君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(荒木清寛君) 理事の補欠選任を行います。
 去る五月十三日の本委員会におきまして、一名の理事につきましては、後日、委員長が指名することとなっておりましたので、本日、理事に真山勇一君を指名いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(荒木清寛君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省入国管理局長榊原一夫君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(荒木清寛君) 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○前川清成君 おはようございます。よろしくお願いいたします。
 さて、出入国管理法の質疑に入る前に、昨年の十二月三日のこの委員会におきまして、選択的夫婦別姓も含めて家族制度について、それぞれが参考人を招いた上で議論をしようということになりました。その際、私は、参考人として京都にお住まいの吉井さんという女性、この方は選択的夫婦別姓を求めてこられましたので、是非お越しいただきたいというふうに考えました。これに対して与党の理事から我が党の小川理事に対して、吉井さんは駄目ですと、なぜならば法務大臣を被告にして裁判を起こしているからですと、こういうふうな御回答があって、合議が調わずに結局出席していただくことはできませんでした。何かを決める立場で吉井さんをお招きするのではなくて、選択的夫婦別姓も含めて議論をする場ですので、それを求めておられる当事者がどのような御意見をお持ちなのか、私は是非この場でお聞きをしたいと考えておりました。
 しかし、法務省というのは、この件に限らず、審議会の人選でも人選の偏りが際立つ役所の一つであります。例えば、刑事の審議会であれば、毎回毎回、井上正仁教授が出てこられるという具合であります。
 ですから、私は、十二月三日のこの委員会におきまして、なぜ当事者から意見を伺うことが困るのか、なぜ反対したのかということをお尋ねをさせていただきましたところ、谷垣大臣からは、御自身も法務省としても参考人に吉井さんを呼ぶことは駄目だとは言っていませんと、こういうお答えでした。しかし、国賠訴訟の原告の一人であることを告げているのかどうか、告げていないのかに関しては、大臣は、そこまで私は聞いておりません、分かりませんというお答えでしたので、私の方から、確認をしてほしいというふうにお願いをいたしました。これに対して大臣は、分かりましたというふうにお答えをいただきました。
 ここまでは昨年十二月の事実の確認なんですが、その後が不思議なのは、大臣がそこまで委員会でおっしゃっていただいた場合、ほかの役所であればすぐに担当者か連絡室が説明にやってきます。しかし、その後、私に対して何の連絡もありません。一切の説明をいただいておりません。
 そこで、大臣、念のため御確認させていただきますけれども、大臣から、この件に関しては説明するなというふうな指示はしておられませんよね。
#8
○国務大臣(谷垣禎一君) しておりません。
#9
○前川清成君 私ももう大人ですので、わざわざこの委員会で取り上げなくてもいいと、早く説明に来たらどうかなと、こう思いながら、四月十日、この件、あえて質問通告だけさせていただいて、わざとお尋ねをいたしませんでした。しかし、その後も一切連絡がありませんし、説明をいただいておりません。したがいまして、この場でお尋ねをさせていただきたいと思います。
 十二月三日の委員会で大臣は、御自身も法務省も、参考人として吉井さんを呼ぶことは駄目だというふうにはおっしゃっていない、言っていないというふうに御答弁されました。大臣に関してはそのお言葉どおりだと思いますが、しかし、そのほか、法務省の誰かが吉井さんは駄目だというふうには伝えていないんでしょうか。
#10
○国務大臣(谷垣禎一君) 昨年十二月三日、委員とそのような議論をしたことは私も記憶しておりますし、そのときに事実関係を確認するという御答弁を申し上げたこともおっしゃるとおりです。それで、その後、その事実関係の確認を十分先生に御説明していなかったということであれば、これは私どもも十分意を尽くしたことをしていなかったということになると思いますので、その点はまずおわびを申し上げたいと思います。
 そこで、私がその後、事実関係を確認したところを申し上げます。
 これは、法務省の事務担当者が、審議の参考として国会の事務担当者に対して参考人候補者の氏名を尋ねて、その提供を受けた上でインターネットで情報を収集し、その結果を国会の事務担当者及び与党理事に提供した事実があるということは確認をいたしました。委員御指摘の参考人の候補者ですね、この方についてもインターネットで検索したところ、夫婦別氏訴訟の原告であるとの情報が得られましたので、そこで、国会の事務担当者と与党理事に対しその旨の情報を職業あるいは所属学会とともに提供したということが私が確認した事実関係でございます。
#11
○前川清成君 それでしたら、今の私の質問ですけれども、私の問いですけれども、駄目だとは伝えていないと、しかし、訴訟の当事者であることは伝えたと、そこから先は大臣も法務省も知らないと、あとは与党の理事の判断だったと、こういうことですね。
#12
○国務大臣(谷垣禎一君) インターネットによって得られました客観的な情報を提供したことは事実でございますが、参考人の適格性については一切述べていないということでございます。
#13
○前川清成君 それでは、この件についてはこの程度にいたしますけれども、改めて申し上げたいのは、自分たちに反対の意見だったら、あるいは国に対して裁判を起こしているから呼ばないというのはあり得ないことであって、例えば、分かりやすい例で言いますと、東京電力があちらこちら原発に関して訴訟を起こされていると、だったら原発に関して一切東京電力に発言させないのかというのはあり得ないわけですから、民主主義のありようとして是非御検討をいただきたいと思います。
 次に、大臣、法制審議会という会議体がありますよね。これは簡単に言うとどのような会議体でしょうか。
#14
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、私が、法務大臣が法制審議会にいろいろ、特に基本法を制定いたしますときに法制審議会に諮問をいたしまして、そこで専門家の知恵を集めていただいて審議をしていただいてその答申を受ける、こういう諮問機関でございます。
#15
○前川清成君 基本法の方向性あるいは内容に関して諮問を受ける、そういう会議体ですよね。
#16
○国務大臣(谷垣禎一君) おっしゃるとおりでございます。
#17
○前川清成君 私、先日、質問主意書を出させていただきました。今法制審で審議が進んでおります債権法、これは量として非常に大きなボリュームになろうかと思いますので、一括して国会に提出されたならば、それこそ国会の方も大変だろうと。そのほかの法案の審議が滞ってしまうだろうし、大事な債権法に関しても充実した審議ができないだろうと。ついては、アイデアの一つですけれども、それが絶対だとは言いませんけれども、一括して提出するのではなくて、例えば分野ごとにその債権法を提出したらどうかというふうな質問主意書を出させていただきましたところ、政府からの答弁書は、現在法制審議会において調査審議が行われているから、例えば分野ごとに、数回に分けて提出するべきでないかについては、いずれも現段階においてはお答えすることはできないという答弁だったんです。
 法制審議会というのは、今大臣おっしゃったように、国会対策を丸投げするところではありません、法案の中身の話です。国会対策については政府・与党において責任を持っていただくというのが建前だろうと思います。どうして法制審議会で議論中であれば国会対策についてもお答えすることができないんでしょうか。
#18
○国務大臣(谷垣禎一君) 今までも国会対策的な判断をしますのは、法制審議会に限らず、ある程度案がまとまりましてから、今度はこういうものを出したいと、与党の国会対策委員会とも御相談して、その出し方等を御相談するということでやってきたと思います。
 したがいまして、今も委員おっしゃいましたように、現在、法制審議会で御議論をいただいておりますので、ある程度のその答申といいますか、そういうものが出まして、国会対策等々とそういう御相談をするという段取りになると思います。
#19
○前川清成君 今の段階から申し上げておきたいと思いますけれども、もしも債権法、現行でいえば三百九十九条から七百二十四条まで、これが一括して提出されたらもう国会は止まってしまうというふうに思いますので、是非御配慮をお願い申し上げたいと思います。
 さて、今日は西村副大臣にお越しをいただきました。内閣府に通告する気はなかったんですが、法務省から是非内閣府に聞いてくれと、こういうことでしたので今日お越しいただくことになりました。
 何を通告させていただいたかといいますと、六月三日付けの朝日新聞朝刊に、今検討中の成長戦略の中に複数の社外取締役選任義務付け、これを書き込むと、明記するというふうな記事がございました。今、政府の中で成長戦略、そのような方向で議論されているのでしょうか。
#20
○副大臣(西村康稔君) お答え申し上げます。
 御指摘の成長戦略でありますけれども、昨年六月に策定をいたしまして、それを改訂して新しいバージョンにすべく、これは施策の見直しであったり進捗状況を確認した上で、更に追加の施策も入れるということで、現在、関係省庁とも相談をしながら取りまとめに向けて検討を進めているところでございまして、御指摘の社外取締役の件については、産業競争力会議でも様々な議論が出ておりますし、そうしたことも踏まえながら、現在、法務省始め関係省庁と相談をしながら最終取りまとめに向けて検討しているところでございます。
#21
○前川清成君 事前に内閣官房から説明を受けた内容と今のお答えと違うんですけれども、それであれば、今の副大臣の御答弁は、法務省において検討するのではなくて内閣府において検討していると、こういうことですね。
#22
○副大臣(西村康稔君) 成長戦略全体の取りまとめは、私ども内閣府、内閣官房協力しながら、基本的には甘利大臣、私のラインで調整を行っておりまして、その中身については、産業競争力会議で様々な提案もなされたり、その間、各省とも議論をしてきておりますので、そうしたものを踏まえて我々が原案を作り、それを各省と相談をする、あるいは、各省から新たな施策としてこういうものを盛り込みたいということで提案があればそれも含めて検討すると、そういう取りまとめを私どもで行っているということでございます。
#23
○前川清成君 取りまとめをされるのはもちろんなんですが、事前に内閣官房から説明を受けましたのは、原案はまずそちらでお作りになった、その上で各省庁に意見を求めていますと。したがいまして、会社法に関しては私どもではなくて法務省なんですと。こういうふうに聞いていたんですが、それは違うんですか。
#24
○副大臣(西村康稔君) もう委員御案内のとおり、各省の所管事項は決まっておりますので、会社法については法務省が基本的に責任を持って考えていただく。
 私どもとしては、成長戦略の観点から各省に、こうしたこともやれないか、そうしたことを提案をしながら相談をしているわけでありまして、最終的には各省と意見調整をして閣議決定をするということになります。
#25
○前川清成君 その上で、そうしたら、これは西村副大臣じゃなくて谷垣大臣にお尋ねせざるを得ないと思いますが、今検討中の成長戦略の中に法務省としては複数の社外取締役選任義務付け、これを盛り込む方向なんですか。
#26
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、西村副大臣が申されたとおり、今お取りまとめの最中で、我々としては、その中に、当然のことながら適切な成長政策が盛り込まれることを期待しているわけですが、現在協議中の改訂の考え方の中には、コーポレートガバナンスの強化、それからリスクマネーの供給促進ということが施策の一つとして掲げられております。
 しかし、その具体的内容としては、コーポレートガバナンスコードを策定するというようなことが盛り込まれているんですが、社外取締役の選任義務付けというのは盛り込まれているわけではございません。その辺りは今協議中でございます。
#27
○前川清成君 それでは、この朝日新聞の記事は誤報ではないけれども正確ではないと、こういうことなんですね。
 その上で、奥野副大臣、お尋ねをいたしたいんですが、六月二日付けの日経新聞の朝刊に奥野副大臣のインタビューが掲載されておりまして、その中で、日産自動車グループの企業の経営でトップをお務めになった経験も踏まえて、日本企業に対して望むべきことはという質問に対して、社外取締役による経営の監督も重要だというふうにお答えになっておられます。将来は義務化が必要だと思う、いずれは七、八人で構成する取締役会の半分程度を社外取締役にするのが望ましいと、こういうふうに新聞記事にはなっているんですけれども、副大臣のお考えとしても、企業のトップとして御活躍になった経験も踏まえてこのようにお考えになっているのでしょうか。
#28
○副大臣(奥野信亮君) 突然飛んでまいりましたけれども。
 私が企業のトップをやっていたときから社外取締役を半分ぐらい入れておりました。その経験値からいうと、企業をグローバル化し、世界の中で遜色のない企業に育てるためには、内部から育成された取締役だけではとてもグローバル企業にはなり得ないということからそういう手を打ったわけでありますけれども、結果的には、外国の人もおったわけでありますけれども、いろんな国の考え方あるいはいろんな企業の考え方を反映しながら、適切なガバナンスの利いた企業化をすることができたということに自負を持っておりまして、そういう意味合いから、今議論している成長戦略とは全く切り離して言わせていただけるならば、数年たった先には、やはりグローバルな投資家、世界からの投資家を呼び込んだり、あるいは企業のトップを日本に招いたり、そういうことをしていく上では、社外取締役も入れた上で、そして企業のガバナンスがしっかりとした企業体に育てていく上ではどうしても必要なことだろうなというふうに考えているということであります。
#29
○前川清成君 御案内のとおり、今、会社法案が採決されないまま審議が続いているわけでありますけれども、その会社法案の中には、社外取締役の選任義務化に関しては見送られました。それに対して、私どもは、当初は一人ですけれども、一名以上の社外取締役の選任を義務付けるべきだという議員立法も提出させていただいています。
 今、西村副大臣あるいは谷垣法務大臣の方から、まだ決定したわけではないけれども、成長戦略の中に複数の社外取締役の選任義務化については検討したいと、こういうお話もありました。あるいは、奥野副大臣の方から、数年先にはという留保付きではありましたけれども、望ましい方向として社外取締役についてお話を伺いました。
 その上で、これは谷垣大臣でも奥野副大臣でもどちらでも結構なんですが、どうして今、現在の会社法では社外取締役の選任の義務付けを見送るという結論になるのでしょうか。
#30
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど私は、複数の取締役を入れる方向で議論するというようなことは申し上げておりません。成長戦略の中で、コーポレートガバナンスコードを策定するということは入っておりますが、それ以上は先ほど申し上げたように入っていないわけで、私の今の立場と申しますのは、今御審議をいただいております会社法がございます。その中に、今委員がおっしゃるように義務付けはしていないわけですね。
 これは幾つか理由がございます。一つは、非常にその議論をしました法制審議会でも意見対立が激しかったということがございます。しかし、現在の今度お願いしております、英語で何と言いましたか、コンプライ・オア・エクスプレーンという外国でもやっておりますものを取り入れたわけでございますが、まずはその成果というものをやはりある程度見極めたいという気持ちが私にはございます。
#31
○前川清成君 分かりました。
 それでは、ちょっと確認させていただきたいんですが、今現在は成長戦略の中に複数の社外取締役の選任義務付けは考えていないということでよろしいんですね。
#32
○国務大臣(谷垣禎一君) これはいろんな意見の方がいらっしゃるのは事実でございますが、私としては、今御審議をお願いしていることが成立して、その成果がどうなるのかというのをやはりある程度見極めたいという気持ちがございます。
#33
○前川清成君 西村副大臣にお尋ねしますが、今御検討中の成長戦略というのは、いつ頃取りまとめられて、いつ頃公表されるんですか。
#34
○副大臣(西村康稔君) 年央にまとめるということを常々申し上げておりまして、できることならば月内にということで調整を進めておりますが、まだ確たることは申し上げられない状況です。
#35
○前川清成君 月内にということで、というとあと二十日ほどで、あと二十日のうちにこの会社法が成立するかしないかもまだ分からないし、かつ、二十日間のうちに谷垣大臣が心変わりされるということもないと思いますので、それでしたら、この朝日新聞の記事というのは全くの誤報で、成長戦略に関しては、成長戦略の中に複数社外取締役の選任義務化は盛り込まれないというふうに考えてよろしいでしょうか。西村副大臣。
#36
○副大臣(西村康稔君) 現時点では、複数の社外取締役についての何らかの義務付けなり、そういったことを書くということは考えておりません。
#37
○前川清成君 現時点で考えていないので、二十日のうちに何か特別の出来事はきっと起こらないだろうと思います。
 どうしても会社法に関してもう一点だけ聞いておきたいことがありますので、これを取り上げさせていただきたいんですが、特別支配株主による株式等売渡し請求、これに関しては、一方で、まず一つ目は、その売渡し株主の権利制限が過酷だと。つまりは、十分の九以上の株を有する特別支配株主の請求があれば嫌でも売り渡すことが強制されてしまうと。さらには、売渡し株主の同時履行の抗弁権が失われていて、売渡し株主はいまだ対価の支払を受けていなかったとしても、特別支配株主が一方的に設定した取得日に株式が移転してしまう。こういうことをこれまでこの委員会でも議論されてまいりました。ただ、その前提として、そもそも何ゆえにこの特殊な仕組みを創設しなければならないのかということがいまだに明確ではありません。
 そこで、私は質問主意書を提出させていただきましたところ、答弁書ではどういうお答えをいただいたかというと、一つ目には、大幅な事業の改革等を行う必要がある株式会社において、短期的な損益の悪化による少数株主からの経営責任の追及を恐れることなく、長期的視野に立った柔軟かつ積極的な経営を行うことができるようにすることと。
 抽象的にはそのとおりなんですが、ただ、大臣、この特別支配株主になろうと思うと、十分の九の株を持っているわけです。十分の九の株主に対してその責任を追及する場面というのは存在するんでしょうか。
#38
○国務大臣(谷垣禎一君) 株主代表訴訟の制度がございますので、それによる追及ということはあるんだろうと思います。
#39
○前川清成君 前回の質疑でも御指摘させていただきましたけれども、代表訴訟においてもビジネス・ジャッジメント・ルールというのが確立しておりまして、要するに、結果として損が出たら必ず責任を負いなさいではありませんよと。経営というのは変動するものだと、社会情勢というのは変わるんだと。だから、その会社の将来的な善かれを思って何かの決断をしたけれども、結果として損をしたとしても、その判断の前提さえ間違っていなければ責任を問いませんというビジネス・ジャッジメント・ルールが判例法上は確立しています。
 したがいまして、私は、ここの答弁書で言うところの、大幅な事業の改革を行う必要があるけれども、短期的な損益の悪化によって少数株主から経営責任を追及を恐れることなく、長期的視野に立った云々かんぬんは、そもそも十分の九を持っていますので、株主総会において追及されることもない、代表訴訟が提起されたとしても必ず勝訴できると。したがいまして、私は、この答弁書にあるところの売渡し請求の根拠というのは極めて薄弱ではないかというふうに改めて申し上げたいと思います。
 それと、答弁書の二番目は、この特別な、特殊な制度を創設する理由として、株主総会に関する手続を省略する、それによって意思決定を迅速化すると、こういうふうに書かれているんですが、現在の株式会社法の機関設計において、株主総会を省略できる機関設定はありません。株主総会と取締役、これは必置であります。したがいまして、株主総会を省略するなんてことはできない。
 あるいは、三番目には、少数株主が存在することによる株主管理コストの削減を意図すると、こういうふうに書いているんですが、これに関しては、たしか昭和五十六年の改正で単位株制度というのが創設されたわけで、管理コストに見合う出資をしていない、投資をしていない株主というのは株主総会等々の手続から排除することができるわけですので、改めて申し上げますけれども、私は、売渡し株主の権利制限が過酷であるにもかかわらずこの制度を創設する実益というのが乏しいのではないかと、立法事実というのが乏しいのではないか。
 仮に売渡し株主の権利を制限しなければならないとしても、そのことによって得られる公益があるというのであれば、その利益考量によって、比較考量によって新しい制度を設けることも合理的だろうとは思いますけれども、今回の場合、私は質問主意書まで出させていただきましたけれども、いまだ納得のできる具体的なケースに即した説明をいただいておりませんし、仮に具体的な必要性があった場合だとしても、売渡し株主に対する権利制限というのは当該立法目的を達成するために必要最小限度であればいいわけで、一方的に奪う、金払ってもらえるかどうかも分からない、ここまでの制度というのは立法目的と権利制限との間の均衡も失しているように私は感じます。
 この特別支配株主による株式等売渡し請求の創設する必要性、あるいは売渡し株主の権利制限との均衡に関して、改めて大臣の御意見を伺いたいと思います。
#40
○国務大臣(谷垣禎一君) この問題は、小川委員、前川委員、この委員会でも非常に力を込めて議論をされてきたところでございます。
 それで、私もある程度は御答弁しましたので、あるいは前申し上げたことと重複するかもしれませんが、前川委員からいただいた質問主意書に対する答弁書の中でまず第一に申し上げた、長期的視野に立って柔軟かつ積極的な経営を行うということですね。これについてはもう少し敷衍して申し上げますと、株式会社が積極的な事業の改革等を行いたいという場合に、しかし、当面、当該事業株式会社の短期的な収益が悪化するというような場合も十分想定されるわけでございます。その場合、少数株主から、先ほど申し上げました、株主代表訴訟等による経営責任の追及を受けるというおそれがやはり私はあるんだろうと思います。ですから、そのリスクを恐れて、取締役がそういう策を講じていくことをちゅうちょする可能性というのがあるのではないかと私は考えております。ですから、ある株式会社の株主が全ての株式を有するという支配関係をつくることによって、こういうリスクを払拭して、柔軟かつ積極的な経営を行うことができると、こういう要請があるだろうと思います。
 それから、二番目の、株主総会に関する手続を省略することによって意思決定を迅速化するということをまた答弁書でも申し上げていると思いますが、少数株主がいれば株主総会をやらなきゃいかぬということになります。それで、株式会社が株主総会を開催するためには、当然のことながら、その株主の数に応じて相応の費用及び時間というものが必要となります。しかし、会社法上は、株主の全員が書面などによって株主総会の目的である事項についての提案に同意した場合には、その提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなすことができるとされているわけでありまして、要するに、こういう制度を導入いたしますと、実際には株主総会を開催しないで、そのための費用、あるいは特に時間ですね、これを要することなく迅速に意思決定ができるということがあると存じます。
 それから、もう一つはコストの問題。株主管理コストということも答弁書の中で申し上げていると思いますが、少数株主が存在することによって会社が負担する株主管理コスト、それは上場会社であれば典型的には有価証券報告書の提出に伴う費用というものが挙げられると思いますが、それ以外にも株主名簿管理人に対する事務委託費用等が考えられると思います。
 以上三つ申し上げたメリットというのがやはり私はあると思いまして、実務界からの要請も強いものがあると、このように考えております。
#41
○前川清成君 一つ目におっしゃった代表訴訟のリスクというのは、先ほども申し上げましたけれども、判例法上のビジネス・ジャッジメント・ルールがありますので、言い過ぎかもしれませんけれども、言わば杞憂のテリトリーだろうと思います。
 株主全員が出席した株主総会に関しては、これは二〇〇五年の改正前からも判例法上ありましたので私も承知しておりますけれども、ただ、株主総会が面倒だとか株主の管理コストが掛かるということを大上段に掲げてしまうと、不特定多数の人から少額の資本を集めて大きな資本にする、それによって大規模な会社をつくっていって、しかも有限責任と相まって積極的なビジネス展開を行うという株式会社制度の理念そのものが私は損なわれてしまうと。そういう意味において、改めて、私はこの権利制限との均衡は失しているのではないかというふうに思います。
 ちょっと出入国管理法に関しても質問させていただきたいんですが、最後に一点だけ聞かせてください。
 この特別支配株主の売渡し請求、これはアメリカにもあるのでしょうか。あれば同様の制度でしょうか。あるいは、ドイツ、イギリス、これら先進国においてはいかがでしょうか。
#42
○国務大臣(谷垣禎一君) アメリカ、それから英国、ドイツでも株式等売渡し請求制度と同様の制度が採用されているようでございますが、その制度の詳細については、民事局にも例えばアメリカで会社法を専攻してきた弁護士がいたりするわけでございますが、なかなか詳細にわたってはよく分からないところも正直言ってございます。
 ちなみに、米国の例を挙げますと、ショート・フォーム・マージャーというのがございまして、米国の多くの会社が準拠法としているデラウェア州の会社法では、対象会社の九〇%以上の株式を有する会社が、これは会社でございますが、対象会社の株主総会決議を経ずに対象会社の少数株主に対価として金銭を交付して対象会社を吸収合併すること、ショート・フォーム・マージャーというものが認められている。これは、今我々がお願いしている案と違いますのは、合併という法形式を取るという点はこれは違っているわけでございます。
 それから、英国でもバイアウトという制度がございまして、これは対象会社の株式について公開買い付けを行って、それで九〇%以上の株式を取得した買い付け者は、この公開買い付けに応じなかった株主から公開買い付けと同一の条件で強制的に株式を取得することが認められていると。これは、我々の今お願いしている案との相違は、制度上、公開買い付けが前置されているというのは違っておりますが、機能としては同じようなところを狙っているものだと思います。
#43
○前川清成君 谷垣大臣のお人柄か、御答弁も丁寧で親切でございましたけれども、質問主意書に対する答弁書は、私は、先進国において同様の制度を採用している国はあるか、あるとしたらどこの国だ、違いはあるかというふうに聞きましたら、何と政府の答弁書は、先進国の意味するところが必ずしも明らかではありませんと。議運かどこかでもよく似た議論を聞いたところです。その上で、例えば、アメリカ、イギリス、ドイツにおいては同様の制度は採用されているけれども、しかし、制度の詳細については承知していないという答弁書でしたので、私はいささか驚きました。
 驚きましたというのは、参議院国際部とつじつまを合わせているという意味の驚きではなくて、株式会社というのは日本だけの制度ではありません。経済がグローバル化しています。トヨタの関連会社はアメリカもありますし、アメリカのIBMの関連会社には日本もあります。だから、日本だけの株式会社、日本固有の伝統に基づく会社法というのはむしろ使い勝手が悪い。会社法を改正する、特殊な仕組みをつくろうというのであれば、あるいは新たな仕組みをつくろうというのであれば、海外に企業も展開しているわけですから、その海外の例をしんしゃくするのは私は当然だというふうに思っています。
 大臣の御答弁の中である程度は明らかにされましたけれども、もしもこの会社法が唯我独尊で作られているというのであれば、私はそれは準備が怠慢なんだろうと。新しい制度をつくる以上は海外の仕組みというのも、会社法に関しては特に調査することが要求されるのだろうということを申し添えさせていただきたいと思います。
 その上で、まず高度人材のことに関してお聞きしたいわけですけれども、日本は、言うまでもありませんが、鎖国しているわけでもありません。国際化、グローバル化の時代であります。日本は世界に対してオープンな社会だと思います。だからといって、外国人が何ら審査、制限を受けずに日本へ入国し、日本で暮らすことは許されるのか。
 出入国管理法の議論に先立って、この出入国管理のそもそもの存在理由というんでしょうか、趣旨というんでしょうか、この辺、御説明をいただけたらと思います。
#44
○国務大臣(谷垣禎一君) そもそもというのをお答えするのが一番難しいんですが、やはりどこの国でも入国管理というのをいたしておりまして、外国の方々が自由に出入りするという、完全にそれを認めている国はないと存じます。それはやはり経験的に見ましても、例えば一国が急に経済成長を遂げたようなときに諸外国からそこで働くことを求めていろんな方が入ってくる。そこがいろんな摩擦が生じたり、あるいは場合によっては犯罪の温床になったりすることもあった。治安等々の面から見ても、そこは全てを通過を認める、入国を認めるわけにはいかない、こういうことではないかと思います。
 もちろん、この制度の背景には一国の労働政策やいろんな問題が入っておりまして、簡単に一言で申し上げるのは難しいわけでございますが、どこの国でもやっている普遍的な制度であろうと思います。
#45
○前川清成君 私もそのとおりだと思いますし、入国管理局からいただいたこの出入国管理というパンフレットによりますと、外国人がどのような目的で日本を訪れ、どのくらい滞在するのか、それが日本人の生活を脅かすことがないのかどうかなどを日本の法令に基づいて判断し、日本に滞在することがどうかが決められますと、こういうふうに書かれていて、これは言わば私も国家主権の一内実だというふうに考えております。
 ただ、そうはいっても、鎖国している国ではないわけですから、出入国管理というのが恣意的に行われてはいけないだろうと。ある国の方はどうだとか、それは国際情勢によってはあるかもしれませんが、谷垣はいいけれども前川は駄目だとか、そういうことになってはいけない。そういう意味においては、一義的、一つの意味の一義的、明確な基準というのが必要で、入国管理官がお代官様になって、そのさじ加減であってはならないと、こういうふうに思うんです。
 その点で、じゃ、基本的に、そのさじ加減があってはならないと、明確で一義的な基準に基づいて入国管理が行われなければならない、この基本的なスタンスについては御同意いただけますよね。
#46
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、基本的にはそのとおりだと思います。
 ただ、現実となりますと、例えば治安を害するかどうかというような判断、これは一義的に全部それで明確に決まるわけではございませんので、実際にはある程度裁量でやらなければならないところもあるというふうに考えております。
#47
○前川清成君 大臣、私もそれほどきちょうめんな性格ではありませんので、あらかじめそういうことをおっしゃっていただかなくても結構でございます。
 その上で、この今回の高度人材に関してなんですけれども、改正される別表で、例えば高度学術研究活動に関して言えば、高度の専門的な能力を有する人材として法務省令に定める基準に適合する者というのがそもそもの条件であって、その上で次のイ、ロ、ハ、いずれかに該当して、我が国の学術又は経済の発展に寄与すると見込まれるもの。高度学術研究活動については、法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究をしたり指導したり教育をすると。
 ざっとこう書かれているんですが、まず前提で、高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定めると、こういうふうに書かれています。つまりは、法務省のさじ加減次第になってしまいます。あるいは、例えば文部科学省が認可している日本の国立、公立、私立の大学において研究、教育とは書かれておらずに、今申し上げたとおり、公私の機関との契約に基づいて、その公私の機関というのは法務大臣が指定してさえいればいいと。だから、文部科学省が認可していない大学等々であっても法務大臣が指定さえすればいいと。こういうふうになっておりまして、二重の意味で法律には要件が明確にされていないと。
 したがいまして、運用次第では、この高度外国人材というのがいかようにも広がってしまうのではないかというふうな危惧の声も一部からあるんですけれども、まず前提として、この高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準というのはどのようなものになるのでしょうか。
#48
○国務大臣(谷垣禎一君) これは要するに、入国管理、やる部署としては、技術的に私どもが実際に最初のところ、我々が接触するわけでございます。
 しかし、今委員のおっしゃった法務省令でどう定めていくかということは、現実には我が国の研究教育体制がどうあるべきかということとよく相談をしながらでないと決められないと存じます。
 この辺の、今どういう協議をしているかは、私、十分今はお答えする材料がないんですが、現実には文科省等々と協議をして決めさせていただくということになると思います。
#49
○前川清成君 法務大臣が指定する公私の機関、これは恐らく文部科学省とも協議をなさるんだろうと思うんですけど、高度の専門的な能力を有する者の基準、これは法務省単独でお作りになられると思うんです。どのようなことをお考えなんでしょうか。
#50
○国務大臣(谷垣禎一君) 具体的にどう詰めていくかというところまで私、今、その省令の作成には関与しておりませんが、やはり、学問の場合は、あるいは研究の場合には、私は基本に、日本に来て研究することが魅力的だと思っていただかなきゃならないわけでございますが、そういう方に日本に来ていただければ、また日本の研究者、日本の学者、あるいは日本の学生にも大いに刺激を与えるんではないかと思います。
 そういうことを考えて、この高度の研究等々の人材をどうしていくかを省令に定めなければいけないというふうに考えております。
#51
○前川清成君 現在、この法律に先立つ形で高度人材ポイント制度というのが行われておりまして、今大臣がおっしゃったように、研究者であれば、現在の基準ですと、博士号を取っていると三十点という点がもらえると、修士号だったら二十点というふうな形で運用されているみたいなんです。
 研究者に関してはそういうふうなことがあるのかもしれませんが、今度の別表のハですけれども、事業を行い若しくは管理をすると。いわゆる高度経営・管理活動というのも在留資格に追加されます。今のポイント制度もあるわけですよ。
 ただ、この経営能力ということを例えば学歴で推し測ることができるのかといえば、松下幸之助さんは小学校しか出ておられないし、本田宗一郎さんも別に有名大学を出ておられたわけでもありません。例えば京セラの稲盛さんは鹿児島大学の理工学部か工学部だったと思います。しかし、言わばそれとは畑違いの経営においてすばらしい手腕を発揮しておられる。
 高度経営・管理分野というのをつくったばっかりに、まさに客観的な基準で在留資格を判断することが大変難しくなってしまって、さじ加減になってしまうのではないかという危惧の念があるのですが、この点はいかがでしょうか。
#52
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、ここはなかなか経営能力、高度の経営能力、管理能力をどう判断するのかというのは、あんまり簡単ではないと思います。
 それで、できるだけ客観的にということで、このポイント制では学歴、職歴、あるいは年収とか、こういうものをある程度の基準にしているわけでございますが、これで今度は第一号、第二号というふうに分けております。
 それで、第一号の方はこのポイントがやはり基本になっているわけでございます。その意味では、第一号の場合には、比較的といいますか、何というか、今おっしゃったさじ加減というわけではなくポイントでやっていくと。しかし、このポイントが本当の意味で高度経営・管理分野の能力を判定するのかどうかというのは、実はなかなか難しいところがあるのは率直に言って事実だと思います。
 それで、むしろ二号の方に参りますと、これは言わば永住資格を与えるわけでございます。それで、その中には、これは必ずしも高度経営・管理分野だけではないんですが、例えば、何というんでしょうかね、日本国内での今までの活動の在り方というものをある程度見る余地が二号の方では出てくる。一号の方では、そういう意味では、ある意味で客観的な基準でやっていこうという仕組みになっているわけでございます。
#53
○前川清成君 その一号のハですけれども、法務大臣が指定する本邦の公私の機関において経営を行い、管理を行うと、こういうふうになっているわけですが、これも、例えばその会社というのが東証の一部上場会社に限られるとかないわけなんですね。ですから、法務大臣の指定次第では際限なく広がってもしまうし、そうではなくても窮屈な運用にもなってしまうし、極めて私はこの辺の指定が難しいのではないかということを御指摘を申し上げたいと思います。
 その上で、そもそもに返りますと、趣旨説明の中で、高度人材の受入れを促進することが求められておりますというふうにお述べになっておられます。今、何ゆえにこの高度人材の受入れの促進というのが求められているのでしょうか。
#54
○国務大臣(谷垣禎一君) これはいろんな御意見があると思いますが、私は、これは主として、むしろ私のやや個人的な思い込みというのもあるかもしれません。やはり日本という国が閉ざされた国ではない、そのためにはやっぱり人と人が交流して新しいものを生み出していくことに関して日本は刺激のある国だという、そういう地位を保っていくべきではないかと私は思っております。
 実は、こういうことを思いますのは、やや脱線になるかもしれませんが、昔ボストンに参りまして、ノーベル賞をお受けになった利根川博士がその頃ボストンで仕事をしておられました。ボストンで若い研究者何人か、そして利根川先生も交えていろいろお話を伺ったときに、日本で研究のポストが得たときどうしようかという相談を若い人から受けるけれども、大概の場合、自分は、日本に帰ると研究活動が少し落ちるから、ボストンの方が研究環境がいいじゃないかということを言っているんだということを利根川先生おっしゃいまして、私それ非常に残念に思いました。
 もちろん、日本の研究者だけではなく海外の研究者も日本に行って研究をする、あるいは経済人でも日本に行って仕事をすることが非常に魅力があると思っていただかなきゃならない。それから、それに加えまして、やはりそういう方が見えるということは、日本の経営者あるいは日本の学者、研究者、そういうものにも刺激を与えるんだと思います。そういうものがやはり日本全体の活力を高めていくことにつながるのではなかろうかと、私はこんなふうに考えまして、この制度を何とかうまく運ばせたいと考えているわけでございます。
#55
○前川清成君 私も大臣とほぼ同様に考えておるんですけれども、今おっしゃろうとしたことは私も申し上げようとしていたんですが、高度人材の受入れを促進することが必要であったとしても、今回の法案、例えば特別な在留資格を創設したりとか、在留期間を五年にしたりとか、配偶者に就労を認めたりとか、家事使用人の帯同を認める、これで優遇しているんだとなっているんですけれども、しかし、少し内容が適当か、もっと言えば少々プアではないかというふうに思っております。
 今申し上げたとおり、一方で、その高度人材の受入れというのがお代官様のさじ加減になってはいけないわけですけれども、他方で、今、利根川さんのお話もありました。外国人の側でいえば、明治の初め日本が先進的な技術、文化、これを導入するために、例えば法律の世界であったらボアソナードであったり、あるいは札幌農学校のクラーク博士であったり、ラフカディオ・ハーン、小泉八雲であったり、あの「坂の上の雲」ではメッケルというのもありました。枚挙にいとまがないわけですが、大勢の外国人が日本にやってきて先進的な文化、文明、科学技術を伝えてくれましたが、彼らは配偶者が働けるから日本に来たのか、家事使用人の帯同を認めてもらえるから日本に来たのか、ではないと思うんです。もっと何かすばらしいことがあったから来たんだろうと。
 この意味において、私は、高度人材の受入れを促進するといいながら、少し内容が乏しいのではないかというのを一方で思っています。
 他方で、今、利根川さんのお話ありましたけれども、ノーベル賞を受賞された方で、利根川進さん、根岸英一さん、江崎玲於奈さん、その活躍の場というのはアメリカでした。あるいは、数学のノーベル賞と言われているフィールズ賞、これを受賞された廣中さんもアメリカで御活躍をされていました。青色発光ダイオードを発明された中村修二教授も、その後、アメリカに渡られました。
 外国の高度人材を受け入れなければならないと一方で言いながら、言わば日本の高度人材が日本では活躍しない、活躍できない、あるいは活躍の場を与えられないで海外へ渡っていると。その原因は何なのかということを、二つ私はセットで考えなければその高度人材の受入れという政策目的は達成することはできないと、こういうふうに考えております。
 その点で、まず、この内容が、申し訳ないですけれども、優遇策がいささかプアではないかという点と、なぜ日本の高度人材が外国へ流出していくのか、この二点について大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
#56
○国務大臣(谷垣禎一君) 私、今、前川委員がおっしゃったことは、私もそのとおりだと思います。
 実は私も、随分前になりますが、江田先生もおやりになったけれども、科学技術庁長官というのをさせていただきまして、そのときに、つくばに学研都市がございます。それで、つくばの学研都市の外国人研究者がつくばで定着していくのにいろんな、何というんでしょうか、障害があって、いろいろな御陳情もいただきました。それを改めようとしますと、科学技術行政だけでは実はなかなかできなくて、医療体制もあったり、いろんなことがあります。
 したがいまして、今回も全く同じでございまして、高度の人材を受け入れるには、学術でいえば、日本で学問の研究をするのが魅力があると思うような施策が同時になければいけないと思います。経済であれば、日本に行って経済活動をすることが非常に魅力がある、投資として非常に魅力があるというようなことが何かなければ、それは来てくださいと言ってもお見えにならないだろうと思います。
 それで、実は私、法務省でやっておりますところは、何というんでしょうか、例えば、その場合の、言わば技術的な入ってくるところの、入口の制度整備を実はこれはやらせていただいているわけでございまして、この入口の制度整備だけで全体がうまくいく、非常にこれが、何というんですか、所期の目的を大きく果たすというわけにはなかなかならないだろうと思います。全体のそういう政策と併せてやっていくと。それは、ですから、内閣府でやっておられる経済政策とか成長戦略、そういうようなものとの連携というものが、あるいは文科省のやっておられる政策との連携というものが私は根本的には必要なんだろうと、このように考えております。
#57
○前川清成君 残り時間が少なくなっているのですが、今日は観光庁の篠原審議官にお越しをいただいていまして、ビジット・ジャパン、二〇〇三年でしたでしょうか、当時の日本を訪れる外国人旅行者がおよそ五百万人、それを早い段階で一千万人に達せようという計画で予算も組まれてきたわけですが、東日本大震災もございましていっとき落ち込みましたが、昨年一千三十六万人になりました。
 このビジット・ジャパン、外国人の旅行者を増やそうという政策の一環として、今度の出入国管理法の中でもクルーズ船の入国審査手続を簡易化するというのがあるわけでございますが、そもそも何ゆえにこの外国人旅行者を増やすべきなのか。内需が縮小していく、人口が減少していく中で、その部分を補う、日本の経済を活性化する一つの政策として、外国人による購買需要を取り込みたいというのもあろうかと思いますけれども、他方で、日本人もいろんなことで心配しておられるということもあるんだろうと思います。特に私のような田舎者は、外国の人を見るだけで、ああ大きいなとか、そう思ってびっくりしてしまうこともあります。
 いろんな要素をしんしゃくしてこのビジット・ジャパンというのをしていただいていると思うんですが、なぜ推進するのか、そして、その点に考慮すべき、危惧すべき点はないのか、お尋ねをしたいと思います。
#58
○政府参考人(篠原康弘君) お答え申し上げます。
 今、前川先生おっしゃったとおりでございますけれども、ビジット・ジャパン事業の目的といたしましては、少子高齢化が進む中での我が国経済の持続的な成長あるいは地域経済の活性化、さらには国際的な相互理解の増進といったような側面もあろうかと思っておりまして、こういったことを進めることによって、日本人の海外に開かれた相互理解が進んでいくのではないかと思っております。それを進めてきた結果、二〇〇三年から昨年、ようやく史上初めて一千万を達したと、こういう状況でございます。経済効果も一定程度出ているというふうに理解しております。
#59
○委員長(荒木清寛君) 前川君、おまとめ願います。
#60
○前川清成君 はい。
 時間がなくなりましたのでこれで終わりますけれども、外国人の旅行者が増えると、それによって様々なトラブル、これを心配する人もいらっしゃるわけですので、その点の御配慮も、今答弁の中ではございませんでしたが、お願い申し上げたいと思いますし、司法試験法の質問ができませんでしたので、今日政務官にお越しいただきましたが、委員長の方からもうそろそろやめろという御指示でございますので、質問させていただくことができません。御容赦いただきたいと思います。
 これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#61
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。よろしくお願いいたします。
 出入国管理法の改正について質問させていただきます。
 今回の法改正は、日本再興戦略、また観光立国実現に向けたアクション・プログラムに盛り込まれました日本経済の活性化のための施策、高度外国人材の受入れ促進、クルーズ船乗客に係る入国審査の迅速化、円滑化、また、信頼できる渡航者について出入国手続を円滑化すると、この三つを実現をする内容となっております。
 このうち、まず高度外国人材の受入れ促進についてお聞きしたいと思います。これに関しては、新たな在留資格であります高度専門職第一号、これを創設するとともに、さらに、在留期間が無期限の在留資格であります高度専門職第二号、これが設けられることとなります。
 この高度専門職という言葉を聞きましても、国民の多くの皆さんは恐らく身近には感じないことと思いますので、まず、こうした在留資格について新たに設けることとした趣旨と、そして、これがどのように日本経済の活性化につながっていくのか、高度外国人材の受入れ促進が我が国にもたらす利益につきまして、改めて大臣の方から御説明をお願いしたいと思います。
#62
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど前川委員との御議論の中でも、日本にいろんな人が海外から来ていただいて、日本で研究したり仕事をすることが魅力があると思っていただけるような国にしたいということを申し上げましたが、別な言い方をしますと、いわゆる高度人材と申しますか、研究者、経営者等々、そういう人材を各国が、何というんでしょうか、取り合いと申しますか、獲得競争が起きているという現実も私はあるのだと思います。先ほど前川さんがおっしゃった、いろんな日本の優秀な研究者がアメリカで研究生活を送っているというようなことは、要するにアメリカにその競争力があるということだろうと思います。ですから、我が国も、そういう競争の中で人材を引き込むことができて、そうして受け入れてきちっと定着をしていただくというような手だてを講じていく必要があるんだろうと思います。
 それで、現行法の下では、外国人高度人材については、いわゆる人材ポイント制というのをつくりまして、その下で特定活動という形で在留資格を認めまして、我が国に少なくとも五年間在留していただいてからでなければ永住者の在留資格は取得できない、かつ、永住者になると同時に高度人材ポイント制の下で受けられていた優遇措置は受けられなくなるというのが現行の仕組みでございます。
 そこで、こういう高度人材を対象として、在留資格、高度専門職第一号というのを法律で規定しまして、この資格でもって一定期間在留した方を対象に、活動制限を更に大幅に緩和して、より短い滞在期間で優遇措置を伴ったままで無期限の在留資格、高度専門職第二号、これを得ることができるようにしようというものでございます。
 それで、こういう資格を設けることによりまして、それで実際に、先ほど前川委員がおっしゃいましたように、これができたからといって、もう少し日本の内部の魅力が高まらなければ、なかなかこれだけで全てが解決するとは私も思いませんが、高度人材の発想やそれから能力、経験というものが我が国の中で生かされて、そしてそこに学術研究あるいは経済、イノベーションをもたらすことが期待できるのではないか、それから高度人材と日本のその分野の方々の切磋琢磨というものも期待できるのではないかと、そういう相乗効果を高めるための手段として今度のような改正をお願いしていると、こういうことでございます。
#63
○佐々木さやか君 大臣から御説明ございました高度外国人材ポイント制といいますのは平成二十四年の五月から実施をされておりまして、これまで約二年間受入れを進めてきたわけでございます。今日の議論にも度々ありましたけれども、いかに定着をしていただくかということが重要であると思います。
 そこで、まず、この平成二十四年から始まりました現在の制度で、受入れの状況、また高度外国人材の定着状況についてお聞きをしたいと思います。当初の想定ほどこの受入れが進んでいないという指摘がありますけれども、この原因については法務省としてはどのように分析をしているのか、教えていただきたいと思います。
#64
○政府参考人(榊原一夫君) お答えいたします。
 高度人材ポイント制により高度人材と認定された外国人の数は、制度発足から本年四月末までで千二百七十六人となっております。なお、昨年十二月二十四日から高度人材ポイント制を見直して新しい制度での運用を開始しておりますが、十二月末までの実績では一か月当たりの認定者数は約四十二人でございましたが、本年一月では五十三人、二月は九十七人、三月は百三十五人、四月は百四十六人と認定数は伸びてきております。
 高度人材の受入れがこれまで必ずしも進んできていない理由につきましては、そもそも制度の存在自体が十分に知られていないとの指摘があるほか、大臣からも御答弁いただいておりますように、高度人材が我が国で生活するに当たりまして生活環境の整備が必要であるとの指摘などがなされているところでございます。
 以上です。
#65
○佐々木さやか君 運用の改善によって徐々に増えてきているという御説明でありました。今回の改正によってより促進されることを期待したいと思います。
 今もお話にありましたけれども、この高度外国人材の受入れそして定着促進のためには、高度人材ポイント制そのものも改善も必要でございますけれども、やはり本人またその家族の生活環境だったり就労環境だったり、総合的な施策を進めていくことが重要であると思います。今、広報が不足をしているというお話もありましたけれども、これから高度外国人材の受入れ、定着促進のために法務省としてより総合的にどのような取組をしていこうと考えていらっしゃるんでしょうか。
#66
○政府参考人(榊原一夫君) 総合的な施策の必要につきましては、本年一月に政府の産業競争力会議が取りまとめました成長戦略進化のための今後の検討方針でも指摘されておりますとおり、高度な外国人材が海外と同じような環境、条件で働くことができるようにするため、生活環境の整備について政府全体として取り組む必要があると認識しております。
 法務省におきましても、これまでも、先ほど申し上げましたように、高度人材ポイント制の見直しを図り、また今回の入管法改正を御審議いただいているところですが、更に高度人材の受入れを促進するため、政府全体で総合的な推進方策を検討しますとともに必要な広報にも努めてまいりたいと考えております。
#67
○佐々木さやか君 次に、クルーズ船乗客に係る入国審査の迅速化、円滑化に関する改正について質問させていただきます。
 訪日外国人旅行者数、昨年、史上初めて一千万人を達成をしたということでありまして、本年に入りましても、四月の訪日外国人旅行者数ですが、桜のシーズンに向けたツアーも好評であるということでありまして、前年同月比でも三三・四%増ということであります。しかしながら、二〇二〇年までに二千万人という政府目標を達成を目指していくためには、様々な取組を更に強化をしていくということが必要であると思っております。
 そして、その一つが、今回のクルーズ船で日本を訪れる観光客の皆さんの上陸審査を円滑化するという改正であります。
 大型クルーズ船の寄港が訪日客数を押し上げているというふうにも聞いておりますけれども、まず、このクルーズ船による外国人の訪日状況、どの程度の方がお越しいただいているのか、また、今後の見通しですとか、政府としての目標というものがあるのであれば、教えてください。
#68
○政府参考人(榊原一夫君) お答えいたします。
 平成二十五年に我が国の出入国港に入港したクルーズ船は百七十七隻でございます。また、これらクルーズ船の外国人乗客は約十七万四千人でございました。
 クルーズ船に関する今後の見通しや目標をお示しすることは入管局としては困難でございますけれども、クルーズ船乗客の出入国審査の迅速化、円滑化を図るよう努力してまいりたいというふうに考えております。
#69
○佐々木さやか君 クルーズ船も大型化いたしまして、また外国での日本にクルーズでいらっしゃるということも人気があると聞いております。是非促進をしていきたいと思いますが。
 今回新しく創設されます船舶観光上陸許可というものは、法務大臣による指定旅客船についてのみ対象となります。そこで、この指定が適切になされて、よりクルーズ船による訪日外国人の増加につながれば望ましいと思いますけれども、この指定基準というのはどのようなものなのか。また、指定旅客船が増えていくことが今後望ましいのではないかと思いますけれども、どの程度指定されていく見通しなのか。そういったところがございましたら、ちょっと大臣の方から御説明をお願いしたいと思います。
#70
○国務大臣(谷垣禎一君) 船舶観光上陸許可の対象となる指定客船の指定基準でありますけれども、一つは、クルーズ船を運航する運航業者が乗客の乗船、下船、そこで本人確認をする。その本人確認が、的確に本人確認の措置が行われているということが一つですね。
 それからもう一つは、日本に入ってきて、出入国港があるわけですが、外国人乗客が観光のために船から降りる、私の選挙区でいえば舞鶴なんかでそういうことがございますが、そういうときに、その船が出港するまでの間に、つまり日本を離れていくまでの間にちゃんと帰ってきて船に乗っている、乗客を帰船させることにしているということ、大体これが主な条件にしようというふうに考えているところであります。
 それで、これは従来の寄港地上陸許可制度を活用して円滑化措置を行っておりましたが、その円滑化措置をするときの内容とほぼ同じものでございます。それで、今までの円滑化措置では、入港するクルーズ船の約四割しか対象とできなかったわけですが、今度の新しい船舶観光上陸許可が新設されますと、従来対象とならなかった航路のクルーズ船を含めまして、大体九割以上のクルーズ船の上陸手続の円滑化が図られると見込んでおります。
#71
○佐々木さやか君 これまで円滑化をできるのが四割だったのが九割になるということで、大きな効果が期待できるのではないかと感じております。
 この審査手続を円滑化をすることによりまして、乗客の方々には少しでも早く寄港地に上陸をしてもらうことができますし、その土地での観光を長く楽しんでもらうことができるということになりますけれども、他方で、審査手続を簡易なものにして大丈夫なのかという問題もございます。
 この点に関しまして、今回新設されます船舶観光上陸許可の手続とこれまでの手続との違い、審査の適正確実ですとか、それから逃亡、不正の防止というところはどのように担保する制度になっているのか、お聞きしたいと思います。
#72
○政府参考人(榊原一夫君) まず、手続の点から申し上げます。
 船舶観光上陸許可は、迅速な審査を実現するため、通常の上陸審査手続の一部を簡略化することとしております。
 具体的には、通常、上陸許可の申請は上陸しようとする外国人自身によって行われますのに対し、船舶観光上陸許可では、当該外国人の乗っているクルーズ船の船長又は運航会社を申請者としており、これらの者が乗客全員の分をまとめて申請することを予定しております。
 また、一般的な上陸審査におきましては、個人識別情報として顔写真及び指紋の提供を受けていますが、船舶観光上陸許可におきましては、個人識別情報を提供させることができるという規定にしており、具体的な運用としては指紋のみの提供を受け、顔写真の撮影は行わないこととしております。更に付け加えますと、船舶観光上陸許可では、外国人出入国記録、いわゆるEDカードについても一部記載の簡略化を予定しております。
 委員御指摘のとおり、上陸審査の迅速化、簡略化を図るに当たりましては、水際対策として審査の適正にも配慮することも重要であります。
 そこで、まず当該手続を行うことのできるクルーズ船を法務大臣の指定するものに限ることとし、その指定に当たりましては、船会社において乗客の乗下船に伴う本人確認等の乗客管理を適切に行っていることなどの事情を勘案することとしております。このほか、過去の失踪者の発生がないことなど、出入国管理上問題を生ずるおそれが少ないクルーズ船であることなど、クルーズ船指定の基準とする予定でございます。
 また、クルーズ船乗客の逃亡や不正の防止についてでありますが、以下のような対策を取ることとしております。
 まず、船舶観光上陸許可制度におきましては、出港前帰船条件、つまり、クルーズ船から下船する都度、下船した出入国港から当該クルーズ船が出港するまでの間に帰船しなければならないことを上陸の条件としており、帰船せずに逃亡した乗客につきましては、上陸許可の期間が切れて不法残留になるのを待たずに罰則及び退去強制の対象とすることとしております。
 そして、個々の条件の遵守状況につきましては当局において適時的確に把握する必要があることから、我が国の出入国港を出港する指定旅客船の船長に対して、入国審査官の要求に応じて、船舶観光上陸許可を受けた乗客の帰船の有無について報告する義務を課すこととしております。
 以上でございます。
#73
○佐々木さやか君 御説明ありがとうございました。
 審査手続の円滑化と、それから、我が国の国民生活の安全、安心というものをしっかりとバランスを取って運用をお願いをしたいと思います。
 クルーズ船で訪れる観光客の皆さんからの要望としてやはり一番多いのが、入国手続がスムーズになされてほしいということであります。今後、さらに審査体制の整備ですとか、それから例えば地方自治体と民間との協力体制の構築、そして海外臨船審査の実施などといった点で、入国審査手続、更なる円滑化に取り組んでいくことが私は望ましいのではないかと思っておりますけれども、こういった点については、法務省としてはいかがでしょうか。
#74
○政府参考人(榊原一夫君) クルーズ船の外国人乗客の入国審査手続につきましては、先ほど申し上げましたような船舶観光上陸許可に係る外国人の入国手続の簡素化のほか、海外のクルーズ船が出発します港に入国審査官を派遣いたしまして、船上で入国審査手続を行う海外臨船審査の実施などについて検討しているところでございます。
 入国管理局におきましては、今後も引き続きクルーズ船乗客の出入国審査の迅速化、円滑化に努めてまいるつもりでございます。
#75
○佐々木さやか君 よろしくお願いいたします。
 次に、信頼できる渡航者に関する出入国手続の円滑化についてお聞きしたいと思います。
 この改正は、空港の自動化ゲート、これを利用できる対象者を信頼できる渡航者と認められる外国人にも拡大をするものでありますけれども、この自動化ゲートを利用できることになる対象の外国人短期滞在者というのは、どの程度の数があって、また今後登録の見込みですとか、そして、そもそもこの外国人にも自動化ゲートの利用を可能とする今回の改正というのは我が国にどのようなメリットがあるのかというところについて、改めて説明をお願いしたいと思います。
#76
○政府参考人(榊原一夫君) お答えいたします。
 今回新たに自動化ゲートの対象とする者につきましては、在留資格、短期滞在の活動を行う者、過去に一定回数以上の入国歴があることなどを法律上の要件としておりますが、その他の要件として省令で定めることを考えておりますのは、商用目的、いわゆるビジネスマンであることなどを予定しております。
 そのため、全ての要件を基に具体的な利用対象者数を推定することは現時点で難しいところではございますけれども、平成二十五年において短期滞在の在留資格を認められ、その入国目的が商用である方は約百三十六万人、このうち、過去一年以内に二回以上来日している方は約七十一万人となっております。これらの方のうち、その他省令で定める要件を満たす方が希望者登録の対象となるものと考えております。
 本法案による自動化ゲートの利用対象者の拡大によって新たに自動化ゲートの対象となる方はもとより、全体として出入国審査の迅速化及び円滑化が実現されることとなるものと考えております。すなわち、利用対象者の拡大後は、対象となる外国人にとっては、審査ブースにおいて入国審査官の対面審査を受け上陸許可の証印を受けるなどの手間がなくなり、迅速に上陸手続を終えることができます。
 さらに、自動化ゲート利用者が増えることにより、その分、有人の審査ブースで審査を受ける外国人の入国者数を抑えることができるため、全体として待ち時間の短縮等が図られ、審査の迅速化及び円滑化が図られることとなるものと考えております。
 以上でございます。
#77
○佐々木さやか君 この今回の改正については、主にビジネス目的でいらっしゃる方々を考えているということですけれども、それだけでなくて、旅行目的でいらっしゃる短期滞在者の外国人の方などについての円滑化についても、今後更に検討していただきたいと思います。
 時間が限られておりますので、少し質問を飛ばさせていただきまして、最後に、法令外国語訳についてお聞きをしたいと思います。
 この高度人材ポイント制度といいますのも、我が国の国際競争力ということに関連をすると思います。ちょっと今回の法律の改正とは離れますけれども、法令外国語訳を日本の法令について進めていくということは、我が国の国際競争力という観点から重要であると思っておりまして、この点について、専用ホームページで公開をしている外国語訳法令については毎日かなり多くのアクセスがあると、このように聞いております。
 しかし、今公開されている法令というのは三百三十四法令ということで、まだまだ充実をさせていくことが必要ではないかと思うんですが、この法令外国語訳の現在の取組の状況と、また課題について、法務省にお聞きしたいと思います。
#78
○政府参考人(小川秀樹君) ただいま御指摘いただきました法令外国語訳につきましては、平成十六年から、我が国の各種法令、民事、刑事の基本法などのニーズが高く重要な法令ということでございますが、こういったものを外国語訳し、これをホームページで公開する取組を推進しております。
 法務省では、現在、各法令を所管する省庁から提出されました法令の翻訳原案につきまして、公開に堪え得る品質の確保という観点から、形式面の検査ですとか、ネーティブアドバイザーによる翻訳の検査に加えて、日本法令外国語訳推進会議の委員による検査をいたしますほか、さらには、法令翻訳の際の指針となります法令用語日英標準対訳辞書の改訂ですとか、法令外国語訳データベースシステム、先ほど御指摘ありました専用ホームページでの翻訳法令等に関する情報の公開に努めております。
 平成二十六年五月三十一日現在で申しますと、三百四十本の法令が専用ホームページにおいて公開されておりまして、経済関係法令を中心に一日平均五万件を超えるアクセスがございます。
 法令外国語訳の推進の取組につきましては、現在、各省庁からの翻訳原案が法務省に提出された後、専用ホームページで公開されるまで長期間を要しておりまして、内外のニーズの高い法令の早期の公開が求められている状況にございます。このため、現在、法務省では翻訳法令の暫定的な公開の取組を行っております。
 今後とも、法令外国語訳整備に向けた取組を推進し、日本の法令に関する情報を広く国際社会に発信するための体制の充実を図ってまいりたいと考えております。
#79
○佐々木さやか君 今御説明にありましたように、一日平均五万件を超えるアクセスがあるということで、かなりニーズがあると思いますけれども、問題点としては、翻訳をして公開をするまでに少し時間が掛かっていると。こういった点について、スピードを持って対応していくためには、例えば民間のノウハウを活用をするなどして進めていくことも重要であると思いますが、この法令外国語訳の推進の問題について、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
#80
○国務大臣(谷垣禎一君) 私、法務大臣になりまして、以前と認識を改めたことが一つございます。それは、それぞれの国の法制度の質とかあるいは法システムの透明性というのが、それぞれの国の評価といいますか、あるいは国際競争力といいますか、そういうものに極めて大きな影響があるということをつくづく感じているわけでございます。
 それで、透明性ということになりますといろんな意味がありますが、一つは、じゃ、日本の法制はどうなっているのかというのは海外の方にも分かっていただくということが大事でございまして、翻訳というのはそういう意味を担っているんだろうと思うんです。
 ただ、今も政府委員から御答弁させましたが、なかなか迅速にできない、それから質もきちっと確保しなきゃいけない。こうなりますと、掛かっている手続の見直しということも必要だろうと思います。しかし、もう一つは、やはりこの翻訳に当たる人は、単に英語がよくできるというだけでは足りませんで、法律にも通じていなければならない。なかなかそういう人材を確保するのは容易ではございません。
 ですから、民間のノウハウを借りるということもこれから工夫が必要でしょうし、さらには人材を養成していくという考え方にも立たなければならないのではないかと思っておりまして、更に力を入れてこの迅速化と質の向上というのを取り組んでまいりたいと思っております。
#81
○佐々木さやか君 以上で終わります。ありがとうございました。
#82
○真山勇一君 日本維新の会・結いの党、真山勇一です。
 大した理由ではないんですけれども、訳あって法務委員会を一旦出ましたけれども、今回戻ってまいりました。またどうぞよろしくお願いいたします。そして、最初に質問をさせていただく法律がいわゆる出入りを扱う出入国管理法ということなんですけれども、これについてお話を伺っていきたいというふうに思っております。
 やっぱりグローバル化の中で、本当に人、金、物、この移動が激しく今なってきているというわけです。ちょっと最近は内向きで、日本人は海外へ出る人少なくなるというような話もありますけれども、外国からの入国、そして当然入れば出ていく、出国も多くなっているというそういう中で、この入管法、言わば言ってみると、ドメスティックとインターナショナルのその境の法律、私は水際の法律というような感じを受けているんですけれども、まさにそういうことで時代のいろいろな影響を受けるところにある。
 ですからこそ、国内のニーズそれから海外からのニーズという、ニーズに合わせてどんどんどんどんやはり改正していかなくてはならない、そういう法律であるというふうに私は解釈しております。それだけにやはり柔軟性が一つ必要だと。ところが、その一方で、海外との関係で見れば、やはり厳格にいろんな意味で難しい点もある。これをどういうふうに調和を取っていくかというところが今回の法律の一番改正のやっぱり難しいところなのかなというような思いを持っております。
 そこで、今、質疑のいろいろ議論を聞いていますと、優秀な人材が日本に欲しい、ビジネスもどんどんどんどん活発にしたいということがある反面、やはり問題もあるし、それから、先ほども出ていましたけれども、ポイント制などなかなかそのPRもうまくいっていなくて知られていないというところもあるし、それから、前回の改正でいえば、外国人登録法がなくなって、やはり地方自治体というのは非常にその当時窓口が大変だったというようなこともあると思うんですね。
 そうした反省を踏まえて今回の改正ということになると思うんですが、谷垣大臣に、もう何度もお答えになっているとは思うんですが、是非もう一回確認させていただきたいのは、平成二十四年のときにも大きな改正があったわけですが、このときのいろいろな問題点を踏まえての今回改正になると思うんですが、この辺りの、今回の改正を行う大臣としての意欲というか考え方、これを伺いたいというふうに思います。
#83
○国務大臣(谷垣禎一君) 久しぶりに真山委員と議論ができまして、大変私もうれしく思っております。
 それで、今お尋ねの点でございますが、今委員がおっしゃいましたように、この入国管理というのは、ある意味で国内のいろいろな事情、例えば雇用情勢とかあるいは観光を振興したいとか、国内のいろいろな政策的な事情、あるいは海外からの日本のいろんな求め、その境にあるわけでございまして、言ってみれば、ある意味でその境、水際の技術的な法律という性格を多分に持っていると思います。したがいまして、例えば国内の労働政策をどう取っていくかとか、そういう問題、何というんでしょうか、との調整といいますか、そういうのが日々に必要な分野だろうと私も思っております。
 それで、委員がおっしゃいますように、そういった日本の国内情勢を踏まえながら、そして過去にやった法改正、そういったもののやはり問題点、どこが足りなかったかということも十分に整理しながらこの改正に臨まなければいけないと考えているところでございます。
#84
○真山勇一君 済みません、突然の質問になって大変申し訳なかったんですが、まさに私もそういう思いがしております。
 大臣は今技術的な法律というふうにおっしゃいましたけれども、これ本当に、この法案を見てみますと、要するに多面的、多角的なところがある、そして、いわゆる現実的ないろいろな解決策を示さなくちゃいけないというその辺りが非常に難しいところかな、その辺りをどう運用していくかというところがこれからのこの法律が試されるところではないかなというふうに思っているんです。
 で、幾つかやはり問題点あると思うんですが、先ほどからも出ている高度人材ということなんですが、やはり優秀な世界の人材、これは本当におっしゃるように競争で奪い合いになっているわけですね。これを何とかやっぱり日本にも取り込みたいということがあってこうしたものをつくるということになると思うんですけれども、やはり本当にこれがうまくいくか、機能するかどうかということなんですが、その一方で非常に不安や心配もある。
 その高度人材というのは、一体どういう者を高度人材というふうにしているのかという辺りなんですけれども、この辺りのことをまずちょっと伺いたいというふうに思います。
#85
○国務大臣(谷垣禎一君) 高度人材といいますのは、先ほど来のこの委員会の御議論の中で申し上げておりますが、要するに、我が国の産業だけではなく、いろいろ学術等々にもイノベーションをもたらす、そして日本人との切磋琢磨を通じまして、専門的、技術的な、ある場合には労働市場の発展を促すということもございましょうし、ある場合には科学技術とか学術あるいは経済活動のイノベーションをもたらすということもあると存じますが、そういう意味で、我が国の全体の経済あるいは学術、こういったものの力を切磋琢磨によって増してくださる方々というふうに申し上げるのがいいのかなと思います。
 それで、一応今度の入管法令におきましては三つ分類しておりまして、一つは高度学術研究活動と、それから高度専門・技術活動と、それから高度経営・管理活動という三つの類型を設けてやっているということでございます。
#86
○真山勇一君 私も、優秀な人材、これは何としてもやはり日本に取り込みたいという、そういう期待があるというのは分かるんですが、その一方で、やはりこれが日本の様々な私たちの社会を脅かすのではないかという、そういうような不安、心配というものがある、その辺が難しさではないかというふうに思うんですが。
 そんなところから、こうした海外からの人材を受け入れるということが実質的な移民政策になるんではないかという、今批判もかなりその一方で出ているわけですね。この辺り、心配する声も私は分かりますし、やはりこの辺りを説明することが大事ではないかというふうに思うんですけれども、こうした心配、不安、指摘があることについて、大臣の見解というのはいかがでしょうか。
#87
○国務大臣(谷垣禎一君) 移民という言葉は、お使いになる方で様々な定義といいますかニュアンスを持ってお使いになっておりますので、何か一義的なあるいは学術的な定義というものがどうもあるわけでは、私も調べてみましたけれども、ないようでございます。
 ただ、我が国の入国管理制度は、我が国で永住を希望される外国人がおられるけれども、最初から入国と同時に永住を許可するというような制度にはなっておりません。要するに、先ほど来申し上げておりますが、今度の法改正の目的は、世界的な人材獲得競争がある中で、我が国の全体の発展に資するような高度な専門的能力を有する方々を受け入れてその定着を促進するということでございまして、高度人材に対して入国と同時に在留期間を無期限で与えるというようなものではございませんので、もし最初からそういうことだというと、まさに移民政策、隠れた移民政策ではないかというような御批判があるいは出てくるおそれもございますが、そういう辺りは是非御理解をいただきたいと思っております。
#88
○真山勇一君 この辺りは、やはり今後実際に運用が始まってみて、またいろいろな問題点なども明らかになってくると思います。そうしたときにこの法律をまた今後どういうふうにしていくかという問題が出てくるんではないか、その辺り、やはり柔軟にそれこそ対応していくという姿勢は必要じゃないかなというふうに思っております。
 そして、その高度人材について、いろいろ歓迎する面もありますけれども、心配な面、不安な面というのもある。先ほど大臣、高度人材、三分類あるというふうにおっしゃいましたけれども、その中でも、やはり、先ほども質疑に出てきましたが、どうも定義の曖昧さみたいなもので、経営・管理という三つ目の分類ですね、この辺りが非常にちょっと、今後、どういうものがここに当たるのかというのはまだややはっきりしないというような感じを私受けておるんですけれども。
 その中に、例えば負の部分として、日本へ受け入れるのはいいんですけれども、日本へ多額の投資などをしまして、そしてペーパーカンパニーみたいなものをつくりまして、そこの役員に収まって、これまあ当然そういう形になれば企業の経営・管理ということになるんですけれども、それを人任せにして在留資格を得るということが可能になってくると、実質的に投資移民的な抜け道、そういう方法も出てくる懸念がなきにしもあらずということを受けるんですけれども、この経営・管理の実態、一旦資格を受けて、その時点で入ったときはいいんですけれども、やはりそのうち時間がたつとその資格に変化が出てきてしまう。その辺りをどうやって追跡調査をしていくのか、追跡していくのかというのは難しいと思うんですね。
 この辺りの実態というのは、どういうふうに把握していけばいいというふうにお考えでしょうか。
#89
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、投資移民という言葉をお使いになりましたが、現状、今は投資・経営という形で在留資格を出しておりますが、その審査に当たりまして、新規に会社を設立して、そういうことで在留を申請する者については、そういう会社がペーパーカンパニーであるのかどうかというようなことは、そういうことも含めて慎重に現状でも審査をしております。
 もう少し具体的に申し上げますと、申請人から提出されたその会社の登記簿謄本、それから事業計画書など見まして、当該会社の設立状況あるいは今後の事業運営方針などを把握するとともに、必要に応じてその会社の事業所に対して実態調査をするというようなこともやっております。その上で、申請人が継続的、安定的に投資・経営の在留資格に該当する活動を行うことができるかを判断しておりますので、今度は新しく経営・管理という形でやらせていただこうと思っておりますが、今の投資・経営という在留資格と同じように、事業の実態を把握して慎重な審査に努めていくことが必要だと考えております。
#90
○真山勇一君 やはり、日本の経済の今後にも懸かっておりますし、今回のこの辺の改正というのはやはり大きな改正だと思いますし、それから今後の日本の外国との関係、在り方、この辺りが大変大事な問題だと思いますので、また是非機会があれば、この辺りも実際に詳しくまた議論できればというふうに思いますが、次へ行きたいと思います。
 こうしたビジネスと同時に、日本というのは観光立国でも何とかやっていきたいという、目玉としてクルーズ船の外国人旅行客についての今回改正もあるわけですけれども、先ほどで分かりましたが、最近そのクルーズ船大変増えている。私なんかがいただいている数字と先ほどお答えがあった数字とは、これ、船の数とか延べ寄港回数とか、そういうことでちょっと数字が違っているのかなという気もするんですが、基本的には増えているということが分かりますし、当然、旅行客も増えているわけでございます。これ、日本のやはり観光という面ではいいことではないかなというふうに思っています。先ほどの前川委員ありましたけれども、奈良なんかもやっぱり外国人観光客はどんどん行ってもらいたいところの一つじゃないかというふうに思うんですが。
 ただ、このいただいた説明資料を見ますと、これ、寄港地上陸許可というふうに言うんでしょうか、そういうことの例が挙がっているんですが、私が何人かの外国人の旅行者の方、それから旅行会社などからお話伺ったら、クルーズ船が港に入って、その港で観光する、あるいは時間を使うということは、それは今のことでできるんですが、観光客の多くは日本をやっぱりより多く見たいということで、例えば神戸で入港して、そして大阪城を見て、京都見て、それからついでに奈良も見て、そして東京へ来て、日光へ行って、そして例えば横浜港から船に乗れたらというような、こうした観光コースが取れたらいいなというような希望を聞いたことがあるんですね。
 こういうことについての、今後、クルーズ船の旅行の形、バリエーションというものについてはどうなんでしょうか。
#91
○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員のおっしゃったこと、ちょっと私あるいは勘違いしていればあとは事務方から補足してもらいたいと思いますが、今、通過上陸許可というのがございまして、船舶に乗っている外国人の乗客が日本に入って日本の国内で今おっしゃったような移動する間、観光のために陸路を使うということは制度としてもうございまして、新たな査証は不要でございます。入国審査手続の簡素化が図られているので、こういうものを利用していただけばうまくいくのではないかと思いますが、ちょっと補足があったら。
#92
○政府参考人(榊原一夫君) 委員御指摘の上陸許可制度といたしましては、大臣から御答弁がありましたように、通過上陸許可という制度がございます。
 ただ、御指摘のように、そういうニーズにつきまして当局としてまだ把握しておりませんので、通過上陸許可制度の改善については特段の要望を承知していないところでありますが、通過上陸許可制度につきまして具体的にどのような要望があるのかにつきまして確認した上で、必要に応じて当該上陸許可の運用についても検討することとしてまいりたいと考えております。
#93
○真山勇一君 要望はかなりあるんじゃないかなという私印象を受けているんです。実は旅行代理店の方などと話をすると、やっぱりそういう外国人の旅行者の方は多いと言うんですよ。やっぱり日本の、例えば神戸だと神戸しか見れない、横浜だったら東京ぐらいしか見ることできない。だけども、本当に見たいのはやっぱり例えば京都だとか、それから北海道に行ってみたいというのもあるかもしれない。そういう一旦船を降りてのコースを、それで新幹線にも乗りたいというのがありますから、そういうコースをできたらいいですねと。
 そうしたら、さらに、つまり、今隠れたニーズはないかもしれないけれども、これつくったらかなりニーズは、逆に言えば、そういうコースがあるなら是非というのはあるような気がしますし、その方がポイントよりも、点でなくて線にした方が、外国人の方、お金持っていらっしゃれば本当にお金落としていってくれると思うんですね。観光地で、きっと海外から来た方ですから、日本の和風の少しぐらい高くてもそういうところに泊まりたいと思うでしょうし、高級和牛を食べたいということもあるでしょうし、やはり国内での線のところができればより一層観光としての価値が出てくるというんで、是非この通過上陸ですか、これはもう少し積極的に、せっかくクルーズ船のこういうことをやるんでしたらそこまで考える必要があるというふうに思うんですが、いかがでしょう。
#94
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど御答弁したように、私の理解は、それはできることになっていると。
 ただ、今の船舶観光上陸許可というのによりますと、例えば、私の選挙区ばかり挙げてはいけませんが、舞鶴に船が、降りる、そうすると、また舞鶴で出るときは帰船したということを確認しなきゃならぬと、こういうことになっておりますので、今委員のおっしゃったようなのには当たらないわけですね。
 しかし、その通過上陸許可というのはもう既にございまして、舞鶴で上陸して、じゃ、次は鹿児島で乗りたいというようなことができる仕組みになっていると思いますが、もしそういう、今、真山委員がお受けになったような御意見があるとするならば、もう少し我々のPR体制等々も取らなければいけないのかなと思いました。
#95
○真山勇一君 多分そのPR体制だと思うんですね。やはり国土交通省辺りと連絡取っていただいて、それで、観光業というのはもう国土交通省、伺うと非常に力を入れているということなので、やはりこれは、もし非常にこの改正でスムーズにいくということでしたら、是非この辺りを研究していただきたいというふうに思います。
 次に、もう一つ、今回新しく、これまで留学ということですと高校生以上ということだったんですが、これが今回、小中学生の留学についてもと。これは私、すばらしいことだと思うんです。若い人が、もう本当に小さいうちから異文化、海外の違う生活、習慣、そういうものに接するということは、やはりこれからのいわゆるグローバル化の中で、是非これ大事なことだし、必要なことだというふうに思って歓迎すべきことだと思うんですが。
 ただ、心配な面もありますね。やはり小中学生、まだ子供。そうすると、海外から小中学生の留学を受け入れるというこの辺り、いろいろなやはり心配な点もある。つまり、本人が一人で来るのか、保護者と一緒に来るのか、どこへ来て留学するのかとかいう心配があるんですが、この辺りのシステム、仕組みはどういうふうに考えておられるんでしょうか。
#96
○政府参考人(榊原一夫君) 外国人の小中学生に留学の在留資格を付与する基準につきましては、今後、文部科学省等関係行政機関と協議した上で、法務省令で定めることを予定しております。
 委員御指摘の御心配の点でございますけれども、親が同伴しない小中学生の生活支援及び安全等の確保は当局といたしましても重要と考えており、留学の在留資格を付与された小中学生がそれぞれの教育機関において教育を受ける活動を確実に行うことができるよう、寄宿舎や生活指導員等の教育機関の受入れ体制に係る基準を設けることや、我が国での保護者又は監督者の要否も含め、文部科学省とも十分協議した上で適正な基準を設けることとしたいと考えております。
#97
○真山勇一君 まだこれからということが分かりましたけれども、これは是非、こういうこともひとつ積極的に取り組むべき問題ではないかなというふうに思います。
 ただ、今おっしゃったようないろいろ問題点、心配な点がありますけれども、逆にこれ、振り返って、これは文部科学省にお伺いしなくちゃいけないんでしょうか、日本から例えば海外へ留学したいというときの、小学生とか中学生の親御さんの留学させたいという、そういうケースというのは、どうなんでしょう、あるんでしょうかね。
#98
○政府参考人(藤原誠君) お答え申し上げます。
 委員お尋ねの、小中学生が海外に留学するというケースは確かに最近増えているという状況でございます。しかしながら、学校教育法で定めております留学の定義、これは委員御指摘のとおり高校生以上というふうになっておりまして、小中学生はここに含まれておりません。そういった観点から、従来、文部科学省としては、小中学生の海外への留学の数字については把握してきていないという状況でございます。
#99
○真山勇一君 そうすると、出ていく方は余りはっきりしたものがないけれども、取りあえずグローバル化で海外からの子供たちを、留学ということを受け入れようという体制を今回つくったということになると思うんですが、そうすると、こういうことを決めた目標とか意図というのはどういうものですか。もう一回確認させてください。
#100
○政府参考人(榊原一夫君) 留学に係る改正におきまして留学の在留資格に小学校及び中学校において教育を受ける活動を加えましたのは、初等中等教育の段階から文化や伝統、生活習慣の異なる同世代の児童又は生徒が交流を深められるようになることにより、相互理解の増進や友好関係の深化、将来において我が国と諸外国との間で親密な人的ネットワークの形成が図られることが見込まれ、国際交流促進に資すると考えられたことによるものであります。
#101
○真山勇一君 済みません、時間がなくなってしまったので、ちょっとその受入れの方も、まあこれからの問題ということなので、またこれは機会があれば議論をさせていただきたいというふうに思います。
 最後に、大臣に。今回の法律、こうやって見ていますと、大変多岐にわたるということで関係する省庁も多いですね。ということは、やはりこれまでの縦割りじゃなかなかうまくいかないところがある。例えば、犯罪とかテロになれば警察とどういうふうに連携していくかとか、入ってきた人が突然どこかで行方不明になって仕事もなくなっちゃったといったらどうするかとか、厚生労働省の管轄になるんでしょうか、そういういろんなことがあると思います。その関係する省庁がこれだけ多いだけに、文部科学省もありますね、そうすると、やはり縦割りじゃないこれからの各省庁の協議とか、そういうものが必要になってくると思うんですが、縦割りでない行政ができるかどうかということについての大臣のお答えをいただきたいと思います。
#102
○国務大臣(谷垣禎一君) 私、これは真山委員のおっしゃるとおりだと思います。先ほど申し上げましたように、この出入国管理はいろんな言わば手段として使われることが多いのではないかと思うんですね。労働政策や雇用政策をどうしていくか、あるいは観光政策をどうしていくか、今の御指摘の点は教育政策や何かをどうしていくかと。それは、それぞれそういうことを法務省が全部判断できるわけじゃありません。むしろ法務省はその中身はなかなか判断しにくい役所でございますが、そういう政策を進めるときに出入国管理体制がネックになっているというのではやはり困ると思います。
 それから、出入国管理体制を所管する役所として考えておかなきゃならないことは、それによって治安が悪くなっては困るというのは、やはり、それは例えば文部省がお考えになるということよりも我々が考えなきゃならないことだろうと思いますので、全てそういう連携の下に行われなければならない行政分野だと思っておりますので、御指摘のように、今後ともその点は力を注いでまいらなきゃいけないと思っております。
#103
○真山勇一君 ありがとうございました。
#104
○委員長(荒木清寛君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#105
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、三宅伸吾君が委員を辞任され、その補欠として堂故茂君が選任されました。
    ─────────────
#106
○委員長(荒木清寛君) 休憩前に引き続き、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#107
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
 今週も質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。今週は初めてトップバッターではない質問で、ちょっと感じが違うなと思っておりますけれども。
 この入管法についてですけれども、入管行政というのは、平たく言えば、好ましい人には日本に来ていただきたいけれども、できれば来ていただきたくない人をどうやって水際で止めるかと、そういったことが要諦だと思うんですけれども、今回の改正案では、日本の国にとって有益な高度な能力を有する外国の方に来ていただけるようにするとともに、外国人の観光客を増やしていくということが柱だろうと思っております。
 それではまず、この改正案によって、高度人材の受入れ、外国人観光客に、改正することによってどのような影響があるというふうに見込んでいらっしゃるんでしょうか、お聞かせください。
#108
○政府参考人(榊原一夫君) お答えいたします。
 この法案の主なもののうち、まず、高度人材に関しましては、現行の高度人材ポイント制を引き継ぐ高度専門職第一号という在留資格に加えまして、高度専門職第二号という高度人材に特化した期間無期限の新しい在留資格を設けることとしております。
 これによりまして、外国人高度人材の方々にとっては、現行法下では、我が国に少なくとも五年間在留してからでなければ永住者の在留資格を取得できず、かつ、高度人材ポイント制の下で受けられていた優遇措置が永住者になると同時に失われておりましたところが、より短い滞在期間で、かつ優遇措置を伴ったまま、永住者とは別の新たな無期限の在留資格を得ることができるようになります。このような観点で、我が国での在留に魅力を増すことにより、我が国への定着も促進されるものと考えております。
 また、クルーズ船につきましては、この法案で創設する簡易な上陸手続を活用することによりまして、外国人観光客により迅速に我が国に上陸していただけるようにすることを通じまして、入国審査の待ち時間を短縮させ、買物や観光により長い時間を当てていただくことが可能になります。
 自動化ゲートにつきましては、利用者自身に入国審査官の対面審査なく迅速に入国していただけることに加えまして、利用者数が増えればその分有人の審査ブースで対応する入国者数を抑えることができますので、全体としても入国審査の待ち時間短縮につながるものと考えております。
 なお、実際にどれぐらいの人数の高度人材や訪日外国人旅行者数の増加が見込まれるかということになりますと、他の要素が大きく影響するところですので、効果を数値的にお示しするのは難しいところです。
 例えば、高度人材につきましては、我が国の企業や研究機関などの外国人高度人材に対するニーズや、企業などから外国人に対して提示される給与などの受入れ条件、そして我が国の就労環境や生活環境が外国人高度人材にとってどの程度魅力的なものとなっているかといった諸事情が大きく影響すると考えられます。
 また、クルーズ船の観光客について申し上げれば、どれくらいの外国人が我が国の観光に魅力を感じ、どのような規模、航路のクルーズ船が就航するかといった事情が大きく影響するものと考えられます。
 したがいまして、高度人材や訪日外国人旅行者数を増加させるためには、政府全体としての取組により、受入れ環境の整備等に努め、我が国の魅力を増していくことも重要であると考えております。
 以上です。
#109
○山下雄平君 外国人観光客だったり高度な能力を有する方、我が国としてもろ手を挙げて是非来てくださいという方に入国をもちろん認めると、そういうことに加えて、やはり人道的な見地から、やむにやまれず祖国を出なければいけないというような方、そういった方に入国や在留を認めるという場合もあると思います。祖国にとどまれば生命の危険があったり、そういった方が、外国には難民認定を求められる方が数多くいらっしゃると思います。
 さきの委員会で、糸数委員、今日の委員会では委員ではありませんけれども、糸数委員からも御指摘がありましたけれども、日本に難民認定を求められる外国人の方というのは年間三千人にも達するというふうにお聞きしております。一方で、二〇一三年に難民認定されたのは六人だったということでした。他の主要国に比べると、その認定数というのは余りにも少ないんじゃないかというような指摘もあります。ただ、一概に認定基準を緩めればいいという話でもないと思います。
 では、今、谷垣大臣の私的懇談会を設けて認定の在り方を議論されているんだと思いますけれども、その議論されているというのは、現在の認定数が少ないという認識だから議論をされているんでしょうか。今、国連難民高等弁務官への拠出額は世界で日本は二位ということですけれども、なかなか認定を認めることが難しいから代わりにお金は出すんだと、そういうことなんでしょうか。お聞かせください。
#110
○政府参考人(榊原一夫君) お答えいたします。
 平成二十五年の難民認定者数が六人となりましたのは、難民認定申請者の難民該当性について個別に審査した結果によるものであります。
 また、国連機関への拠出金が多いことをもって難民受入れ数が少なくていいとの姿勢を当局が取っているものでは決してありません。
 他方、我が国における昨今の難民認定数に関連いたしまして、難民認定制度の公平性、透明性の確保に関する種々の御指摘があることも事実であります。また、現行の難民認定制度は前回の改正から相当の期間を経過しており、その間、申請件数の大幅な増加、申請内容の多様化が原因となって、適正、迅速な対応に関する様々な課題が生じております。
 こうした状況を踏まえまして、難民認定制度に関して専門的な検討を行うため、昨年十一月に、法務大臣の私的懇談会であります第六次出入国管理政策懇談会の下に難民認定制度に関する専門部会を設けまして、国際法及び行政法分野の学識経験者のほか、難民支援団体及び日本弁護士連合会から推薦のあった弁護士を委員とし、加えて、国連難民高等弁務官駐日事務所からもオブザーバーとして参加いただき、専門的な観点から御議論いただいているところでございます。
 この専門部会における議論の状況を踏まえまして、本年末をめどに専門部会から政策懇談会に対して提言を行っていただけるよう議論を進めていただいており、法務省といたしましては、それを踏まえまして難民認定手続に関する制度運用の見直しを進めていきたいと考えております。
#111
○山下雄平君 数が少ないから懇談会を設けて議論しているわけじゃなく、制度自体がなかなか古くなってしまって手続面で大丈夫なのかということがあって専門家の方に議論をしていただいているということだと思いますけれども、報道の中には、この難民認定の期間を短くする、認定可否の審査の時間を短くすると、そういうような報道もあります。
 私的懇談会の議論を通じて、認定審査の時間、手続はどういう方向で変えていこうという議論をされているんでしょうか、また、人員面を含めた体制面はどのようにしようと考えていらっしゃるんでしょうか、お聞かせください。
#112
○政府参考人(榊原一夫君) 平成二十五年におきます難民認定申請数は三千二百六十件で、同二十二年から一貫して増加傾向にあり、同年と比べて約二・七倍に急増しております。また、平成二十五年の難民認定に係る一次審査の平均処理期間は六か月であり、またその後の異議申立てに係る処理期間は約二十八か月と、相当の期間を要しております。
 法務省では、一次審査における標準処理期間を六か月と設定し、難民及び人道配慮を要する者の速やかな保護に努めているところですが、今後見込まれる案件の急増と多様化に対応していくためには、難民該当性の判断をより適正かつ迅速に行うための方策について検討する必要があると考えております。
 そこで、まずは、さきにお答え申し上げた難民認定制度に関する専門部会におきまして、難民認定や人道配慮を行うべき者の対象範囲及び手続についての明確化、さらには、案件処理体制、難民調査官等の人材育成の在り方などについて議論を行っていただくこととしており、これらの提言を踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。
#113
○山下雄平君 毎年、難民認定を求められる方がどんどんどんどん増えているということで、手続や処理面についてどうあるべきかという議論をされているということですけれども、一方で、アフリカでは百万人以上の難民が生まれて、周辺国では受け入れられることができないような状況になっているというふうに聞いております。国連難民高等弁務官も、アフリカ以外の地域でも受け入れてもらえるように求めていらっしゃいます。
 これまで、日本への難民といえばアジアの各国からというようなイメージでしたけれども、アフリカがそういう状況であれば、今後は日本へもアフリカから難民認定を求めてこられる方が増えてくる可能性があるというふうにも思いますけれども、こうした世界の状況をどのように分析して、日本の国としてどのように対応していく考えなのか、内閣官房に考えをお聞かせいただきたいと思います。
#114
○政府参考人(中村芳生君) 関係省庁間で難民をめぐる問題を議論し対応を検討するため、難民対策連絡調整会議を設けております。また、難民問題の解決策の一つとして、平成二十二年度から、第三国定住によりましてタイの難民キャンプのミャンマー難民を受け入れております。この連絡調整会議の下に難民問題に精通した有識者等で構成する有識者会議を設けて検討いただき、今年一月に提言が取りまとめられました。
 この提言では、第三国定住事業について、とりわけアジア地域の難民問題解決への寄与が望まれるとして、当面は従前の受入れ経験を生かすことができる形で、来年度以降マレーシアのミャンマー難民を受入れ対象とすることなどが示されましたので、その旨、難民対策連絡調整会議で決定をし、閣議了解に至っております。
 その難民対策連絡調整会議決定などでは、第三国定住事業を推進しつつ、随時見直しを図るとされておりますので、御質問をいただいた点などにつきましても、国際情勢、受入れ状況、関係省庁や関係機関の御意見等を踏まえながら、必要に応じて適切な見直しが随時図られていくものと考えております。
#115
○山下雄平君 まずは近いアジアの国を、そして国際情勢を見ながら政府として対応を考えていくということだろうと思います。世界の情勢、いろいろ変わっていっていると思いますので、政府としても果断ないろんな対応をお願いしたいと思っております。
 今回の改正案の審議に当たって、本委員会で成田空港の入管施設を視察させていただきました。我々が見た機材、ちょっと古いかなと思ったんですけれども、どうやらあの機材は今後全部一新されるということで、首都圏の成田空港の対応をするために入管施設、対応を進めていらっしゃるようです。
 成田、そして羽田、首都圏のハブ空港の機能は更に更に強めていかなければならないと思いますし、私の地元、佐賀空港でも国際便が多数飛ぶようになりました。地方空港の国際化というのもどんどんどんどん進んでいくんだろうと思っておりますし、今回の法案に盛り込まれておりますクルーズ船などの海から来られる外国人の観光客というのも今後ますます増えていくんだろうと思っております。
 我が国として、外国人観光客を年間で二千万人まで増やしていこうという目標を掲げておりますけれども、こうした情勢に対応できるように入管の人員体制というのは拡充する必要がないんでしょうか、考えをお聞かせください。
#116
○政府参考人(榊原一夫君) お答えいたします。
 平成二十五年の外国人入国者数は、政府による様々な取組が推進されました結果、前年から約二百八万人増加いたしまして約一千百二十六万人となり、初めて一千万人を超えたところでございます。また、本年一月には、総理大臣の施政方針演説におきまして、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催される平成三十二年までに訪日外国人旅行者数を二千万人にするという目標の表明があり、今後も訪日外国人旅行者の大幅な増加が見込まれます。
 このような状況におきまして、入国管理局といたしましては、テロ対策に向けた厳格な出入国審査を実施するとともに、観光立国の推進に向けて、出入国審査手続の一層の迅速化、円滑化を図っていくことが重要であると認識しております。
 入国管理局では、これまでも、増員やシステム機器の整備等により出入国審査手続の迅速化、円滑化に取り組んできたところでありますが、今後も、観光立国の推進に向けまして、迅速かつ円滑な出入国審査に向けた体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
#117
○山下雄平君 そういうふうに外国人にたくさん来ていただきたいという一方で、ただただ入国者数を増やしていけばいいという問題でもないと思います。水際対策というのもやはり最も入管行政にとって重要なことだろうと思いますけれども、そうした視点では今改正案ではどういったことが盛り込まれているんでしょうか、お聞かせください。
#118
○政府参考人(榊原一夫君) お答えいたします。
 今回の法案につきましては、水際対策を強化するものといたしまして、いわゆるPNRの取得を可能とするための改正を盛り込んでおります。PNRと申しますのは、航空会社が作成する個々の乗客の航空券の予約に係る記録でございます。今回の法案では、我が国に入る航空機の乗客のPNRにつきまして、当該航空機が我が国の出入国港に到着するよりも前に、入国審査官が航空会社に対してこのPNRについての報告を求めることができることとしております。
 これまでも、乗員及び乗客の氏名、生年月日、国籍、旅券番号といった人定情報につきましては、平成十八年の入管法改正で新設されました入管法五十七条一項により上陸審査前に提供を受け、要注意外国人リストと照合して審査に活用してきたところでありますが、今般のPNRを取得できるようになることによりまして、それ以外の情報、具体的には航空券の予約者名、運賃支払方法、座席番号、旅行日程、同行者名、旅行会社名、我が国での連絡先などの情報も得られることになります。
 これによりまして、例えば日本にやってくる航空機の乗客の中に要注意人物がいることが判明した場合、当該人物のPNRの提供を受けることでその同行者である外国人を割り出し、当該外国人らの上陸審査を厳格に行うなど、同行者や予約方法等に着目した審査を行うことが可能となり、またこれらの情報を蓄積、分析することで、今後、不法入国や不法滞在をもくろむ者らの入国をより阻止しやすくするなどの活用も考えられ、水際対策において大きな効果があるものと期待しております。
#119
○山下雄平君 日本として入国を止めなければならない、水際対策を強めていかなければならないという事例の一つとして、私はシーシェパードを挙げたいと思っております。シーシェパードは、日本の鯨を食べる文化や捕鯨の文化を理解せずに、沿岸捕鯨だったり調査捕鯨というのを妨害しております。そして、その被害というのはどんどんどんどん深刻化しております。日本として厳しい対応をしていかなければならないんだと思っております。
 今回の質問に当たって、シーシェパードがどういった妨害行為を調査捕鯨だったり沿岸捕鯨についてしているのかなというふうに、それを網羅的に調べなければならないと思って政府の方にお話を聞きたいと言って資料を要求したんですけれども、調査捕鯨の妨害については水産庁さんが把握されておりましたけれども、じゃ、沿岸捕鯨についての国内での妨害行為については、海上保安庁だったり警察だったり、所管がいろいろ分かれております。しかし、たとえ所管が分かれておったとしても、日本として外国にそういった事例を訴えて国際世論を喚起するためには、シーシェパードがどういった卑劣な行為をしているかということを、情報を一元的に収集、管理することが私は重要じゃないかというふうに考えております。
 水産庁として、調査捕鯨や沿岸捕鯨にかかわらず全ての妨害行為を一元的に情報収集する必要はないんでしょうか。考えをお聞かせください。
#120
○政府参考人(香川謙二君) 現在、シーシェパードによる我が国捕鯨への妨害活動は、南極海鯨類捕獲調査及び我が国沿岸で行われておりますイルカ漁業で行われております。
 南極海の捕鯨調査につきましては水産庁が中心になり妨害情報を収集しており、妨害活動が行われるたびに関係省庁と情報を共有するとともに、マスコミにもその内容を公表しているところでございます。
 イルカ漁業につきましては、都道府県知事許可漁業であることから、現在、各県、市町村及び県警により情報収集が行われておりますが、もちろんこれらの情報につきましては、水産庁及び関係省庁と共有されているところでございます。
#121
○山下雄平君 お聞きしたときには、この話は向こうです、この話はあっちですということもお聞きしたので、やはり、所管は違ったとしても、じゃ、水産庁に聞いたらこの捕鯨の問題については全て情報が分かるというような体制を取って、そして、我々の捕鯨、正しい捕鯨がこんな卑劣な行為をされているということを、水産庁を中心にいろんな情報を周知徹底をお願いできればというふうに思っております。
 私は、シーシェパードのメンバーが国内で問題を起こしたり事件を起こしたりという報道が後を絶たないことを見て、そもそもシーシェパードのメンバーを日本に入国させるべきではないんじゃないかと思っております。これまでシーシェパードのメンバーを入国を拒否した事例というのはあるんでしょうか、お聞かせください。
#122
○政府参考人(榊原一夫君) シーシェパードに所属する外国人という事実のみをもって上陸拒否をすることはできないと考えておりますが、これまでに上陸のための条件に適合していなかったために上陸を拒否した事例はございます。
#123
○山下雄平君 メンバーだから、それだけをもって入国を排除するのはできないけれども、排除した例はあるということでしたけれども、どういった理由で入国を拒否しているんでしょうか、お聞かせください。
#124
○政府参考人(榊原一夫君) 個別の事例の詳細については回答を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論を申し上げますと、本邦に上陸しようとする外国人から申請があったときは、入国目的、活動内容、滞在先などの詳細について事情聴取をし、入管法に規定する上陸のための条件に適合するかどうかを慎重に審査しております。そして、入国審査の過程で申請に係る入国目的以外の目的、例えば違法行為を目的としていることが明らかとなった場合には、在留資格該当性がないものとして上陸を拒否することになります。また、過去に一年以上の懲役等に処せられたことがある場合や退去強制されてから一定の期間を経過していない場合等は上陸拒否事由に該当することになりますので、そういったものとして上陸を拒否することが考えられます。
#125
○山下雄平君 個別にいろんな話を聞いて、入国拒否事由に該当する場合は拒否するということだろうとは思うんですけれども、今回の例えば入国する目的なんかを虚偽で言った場合に、それを、じゃ、立証したり、うそを見抜くというのはなかなか大変じゃないかなと思っております。だからこそ、多くのメンバーが日本に入国していろんな妨害活動ができているわけだろうと思います。
 先日、和歌山県の太地町の町長に話を聞く機会がありました。太地町はシーシェパードの妨害活動によって一躍有名になってしまいました。町長の話によると、シーシェパードのメンバーの妨害活動を防ぐために、警察の方だったり海上保安庁の方がもう本当に朝早くから深夜まですごく一生懸命働いていらっしゃって、余りにも過酷で激務で倒れてしまう人もいらっしゃるようです。町長の話の中では、そもそもそうした人を日本の国に入れないようにすることはできないんでしょうかというような声が現地では聞かれるそうでございます。
 では、現行の入管法ではシーシェパードのメンバーの入国を拒否できないのかというと、私はそうではないというふうに思っております。入管法五条の規定では、法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足る相当の理由がある者は入国させないことができるというふうに書いてあります。過去、全く別の事例で、閣議了解などの手続を取って、この規定を使って入国を拒否したこともあるやに聞いております。
 シーシェパードはまさしく日本の利益と公安を害する行為を行うおそれのある人たちだと思っております。この規定を使ってシーシェパードのメンバーの入国を拒否することが法的にできないんでしょうか。仮に法的に可能であるんだとすれば、日本の断固たる姿勢を示すために政府として行動すべきではないかと思いますけれども、谷垣大臣のお考えをお聞かせください。
#126
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、山下委員が読み上げられましたように、入管法第五条第一項第十四号、これは、日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足る理由がある場合、入国を拒否することができるとなっております。
 ただ、この判断は個別の事案ごとになされるべきものと解されますし、当然のことながら、そうなると、対象となる外国人の属性であるとか、あるいは過去の入国履歴、それから活動状況、それから今度の入国に至るいろんな経緯、こういった諸事情を総合考慮して個別に判断するということになると思います。どこそこの団体に属しているからということで一律に公安を害する行為を行うおそれがあると判断することは、必ずしも当を得ない場合が多いのではないかと思っております。
 しかし、いずれにしても、法務省としては、今後とも、本邦に上陸しようとする外国人から上陸申請があったときは、先ほどの入管法の規定にちゃんと適合しているかどうか、これを審査するためにはやはり情報が必要でございます。警察等と、各種情報を、連携しまして、活用した厳格な入国審査を確実に実施していかなきゃなりませんし、情報の収集、活用能力の更なる向上を図ることも必要だと思っております。
 その中で、特にシーシェパードのメンバーにつきましても、関係機関と連携して、その活動状況あるいは検挙の状況、検挙事例等々について詳細に把握して、事例の累積を見極めながらきちっと判断をしていきたいと、こう考えております。
#127
○山下雄平君 今すぐに対応するのは難しいということかもしれませんけれども、大臣がおっしゃったように、事例がどんどんどんどん増えていって、このメンバー自体が本当に悪質なメンバーなんだ、団体なんだということがこちらとして積み上がってきた場合には、政府としても厳しい対応を取るというような覚悟を示していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#128
○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
 この度の入国管理法の改正法案の質問をさせていただく前に、先週木曜日のちょっと続きになるような形ですけれども、不法残留者について伺いたいと思います。
 平成二十四年七月、今から約二年前に新しい在留管理制度が始まりました。この経緯というのは、それ以前の外登法とそれから入管法の二元管理では、外国人の在留状況を法務大臣、法務省が正確に把握できないといった問題が指摘されていて、それを解決するための新しい制度というふうに理解をしております。この制度によりまして、今までは外国人の情報については地方自治体の外国人登録原票で管理をされていた、把握をされていたわけですけれども、それがなくなって、外国人住民の住民基本台帳といった制度が創設されたということです。
 そこで、そのときの、平成二十一年の六月に国会でもこの法案の改正の審議がなされて、幾つかの懸念が示された、問題点が指摘されたわけですけれども、その問題点として指摘されたうちの一つが、それでは新しい制度になると不法残留者、適法でなく日本にいる外国人の方の情報というのが把握をできなくなってしまうと。そのことによって、市町村がその自治体に住んでいる外国人住民に対して、不法でありますけれども現に住んでいる住民に対して行政サービスを提供できなくなってしまうのではないかといった問題点が指摘されました。
 そこで、当時の法改正のときに、これは衆議院でですけれども、修正がなされて、住民基本台帳法に附則の二十三条の検討条項が設けられました。そこではどのような条項になっているかというと、不法残留者が行政上の便益を受けられることとなるようにするとの観点から、必要に応じて、その者に係る記録の適正な管理の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると、このような附則が盛り込まれたわけであります。
 そこで、まず総務省にお聞きしたいと思います。この住民基本台帳法の附則二十三条に盛り込まれた項目について、どのような検討をし、そしてまたどのような措置を講じたんでしょうか。
#129
○政府参考人(山崎重孝君) お答えを申し上げます。
 附則二十三条におきまして、入管法等改正附則第六十条一項の趣旨を踏まえてというのが入っております。その六十条第一項では、被仮放免者が行政上の便益を受けられることとなるよう、その居住地、身分関係等を市町村に通知すること等を検討し、必要な措置を講ずることとされているところでございます。現に、法務省におきましては、毎月、市町村に対しまして情報提供が実施されております。
 総務省といたしましては、住基法改正後、附則二十三条の趣旨につきまして平成二十三年十一月十一日付けの通知を出しております。各省庁の担当課長に宛てて対応を要請いたしました。さらに、平成二十四年七月四日には、在留資格を有しない外国人の方々への行政サービスの提供に関する各省庁の取組状況について取りまとめまして、これを地方自治体に対して情報提供を行っております。その際には、従来、外国人登録制度を活用していた感染症予防事務、公立小中学校の受入れ事務等について、被仮放免者など住基法の対象となっていない者もサービスの対象となり得ることを改めて示しました。また、児童の一時保護とか婦人保護など、従来、外国人登録制度の対象に限られていなかったものについても引き続き当然にサービスの対象となるということを改めて示したところでございます。
 住基法の改正の施行から二年が経過する中で、地方自治体から記録の適切な管理の在り方について特段の要望等を受けていない状況でございますが、引き続き各省庁と連携いたしまして、必要に応じ適切に対応してまいりたいと考えております。
#130
○行田邦子君 総務省の対応としては、平成二十四年七月に各省庁に問合せをし、これまでどおり、引き続き不法残留者に対しても様々な行政サービスを提供できるということを各市区町村に伝えているということでありましたけれども、ただ、例えば、今おっしゃったような感染症の予防接種であるとか、それから就学の案内とか、それからあと経済的な理由で自分の力では入院や助産が受けられない方に対するサービスとか、あとは母子健康手帳の発行とか、こういった様々な行政サービスを実際に地方自治体が行うに当たっては、やはりその住民の情報というのが必要だと思います。
 今の制度では、不法残留者は自治体においてその住民情報というのが持たれないことになっています。じゃ、どうやってその行政サービスを行うのかというと、これはやはり、かつての外国人登録原票、これ一旦法務省に返していますけれども、その写しなどを市区町村で保管をし、それを基に結局は行政サービスを外国人住民に提供するんではないかというふうに思うんですが、そこで再び総務省に伺いたいんですけれども、外国人住民基本台帳に編入されなかった不法残留外国人住民についてなんですが、外国人登録原票の写しを市区町村でどのぐらい保管しているんでしょうか。
#131
○政府参考人(山崎重孝君) 先生御指摘のとおり、外国人登録制度は法務省の所管でございましたことから、平成二十四年の七月九日の廃止に伴いまして、それまで市区町村で保管されておりました外国人登録原票は全て法務省に送付され、保管されたと承知しております。
 その際に、外国人登録原票の写しを保管するか否かというのは各地方自治体に任されていると認識しておりまして、法務省への返送の際に実際に写しを保管した市区町村の数について総務省としては承知しておりません。
#132
○行田邦子君 そうすると、確認ですけれども、外国人登録原票そのものは、原本というかは法務省に返さなければいけないということですが、その写しを市区町村が保管してよいかどうかというのは、これは保管することは可能なんですね。
#133
○政府参考人(山崎重孝君) 法務省において全て写しを保管するなというふうな通知が出たというふうには承知しておりませんので、私ども総務省としては、地方公共団体の判断で保管するかどうかということをしているのではないかというふうに認識しております。
#134
○行田邦子君 保管をするなという通知はないから保管をしてもよいということでよろしいわけですね。
 実際は、ですから、不法に残留してしまっている、ただ、現にその市区町村に住んでいる外国人住民については、かつての外国人登録原票の写しの保管によって行政サービスを提供しているというような実態であろうかと思います。
 ちょっと古いんですけれども、平成二十年末での数字なんですが、不法残留者はそのとき十一万三千人でした。そのうち、外国人登録を行っている方が一万八千人もいたわけです。ですから、不法残留者と言われている方の一割が実際はかつての外国人登録制度で市区町村に登録がなされていたということであります。
 そこで、更にちょっと総務省に質問を続けたいんですけれども、この外国人登録制度はもう二年前に廃止されています。ということは、そのかつての外国人登録原票というのは二年前の情報のまま止まってしまっていますから、これを基に行政サービスを提供するというにはちょっと情報として古いのではないでしょうか。
#135
○政府参考人(山崎重孝君) 私どもといたしまして考えておりますのは、御指摘のとおり、既に廃止された外国人登録制度でございまして、情報が更新されておりませんから、行政サービスの基礎とすることには必ずしも適切ではないのではないかというふうに思っております。
 そのような点も踏まえまして、住基法改正附則二十三条でも引用されております入管法改正附則六十条第一項を踏まえまして、法務省入国管理局から市町村に対し、毎月、被仮放免者に係る居住地や身分関係の情報が提供されているというふうに承知しております。これを基に、先ほど申し上げましたような各省庁の取扱い、それから地方公共団体の取扱いというものが行われているというふうに思っておりまして、現時点においては、法務省からのそういう通知に基づいた情報でサービスを提供しているというふうに考えております。
#136
○行田邦子君 不法残留者はいない方がもちろんいいわけであります。なくすべきであります。けれども、現に住んでしまっているその方たちというのはその地域からすると住民であるわけでありまして、そういった方たちをやはり市町村としても適切に把握をしていくというのは、それは人道的な見地からも必要でしょうし、また、治安の維持ということからも必要だというふうに考えておりますので、今後も適切な対応をしていただきたいと思います。
 大臣に伺いたいと思います。この不法残留者についてなんですけれども、入国管理局が、出頭申告の御案内、不法滞在で悩んでいる外国人の方へというものを発しています。ちょっとこれは何なのかなと思って見てみたんですけれども、不法滞在で悩んでいる方で外国に帰国を希望している方、それから引き続き日本国内で生活を希望される方、まずは出頭してくださいといった御案内なんですけれども、この御案内、出頭申告の案内のその趣旨は何なのかを大臣にお聞きしたいと思います。
 在留が認められる事情や理由があって、これまでに素行に問題がなければ、そういった方は、一旦はオーバーステイで不法残留になってしまっていても極力特別に在留を認めましょうという法務省の方針なんでしょうか。
#137
○国務大臣(谷垣禎一君) この出頭申告の御案内、副題は不法滞在で悩んでいる方へと、こういうことになっておりますが、これは、今委員が御議論なさった、制度改正の中で住民基本台帳にも載らなくなってしまった方があると。そうすると、不法滞在になって載っていなければ行政サービスは受けられないし、また、むしろそういうものがそれぞれの地域で把握されないことによって、言わば地下に潜ると言うと言葉が悪いですが、委員が指摘されたような治安その他の問題も生じかねないと。そこで、不法滞在で悩んでいる外国人が自分から申告しやすい環境をつくらなければいけないというのがまず大きな狙いでございます。
 そこで、在留特別許可に係るガイドラインをこの中で紹介しておりますが、それは、不法滞在者であることを申告するために自ら地方入国管理官署に出頭したこと、これは在留特別許可を出す場合のプラスの要素といいますか積極的な要素としてカウントされ得ると。それから、在留特別許可の許否の判断に当たっては、一律にやるわけではなくて、個々の事案ごとに、在留を希望する理由であるとか、家族状況であるとか、生活状況、それから素行、あるいは人道的な配慮の必要性等々、諸般の事情を総合的に勘案して行うんだと、その結果として在留特別許可が受けられる可能性があるということを知っていただく、そういうことによって不法滞在を継続することなく自発的に出頭するように促していこうということでございます。もちろん、これで出頭されたからといって、全部の方に必ずしもその在留特別許可が出せるわけではありませんが、先ほど申し上げたように、プラスの要素としてカウントし得るということがございます。
 今後とも、こういう個別的な事案に即して人道的な配慮も必要な場合には加えていかなければならないと、こういうことだろうと考えております。
#138
○行田邦子君 今不法残留となってしまっている方というのは、なかなか様々な情報が行き届かないというふうに思っておりますので、このような御案内というものを発していますけれども、不法残留者、今は五万九千人に減ってきているということですけれども、この方たちにこういった情報がしっかりと行き届くように引き続きお願いしたいと思います。
 それでは、高度外国人材の受入れ促進について伺いたいと思います。この度の法改正案ですけれども。
 高度外国人材ポイント制が始まったのは平成二十四年五月ですけれども、平成二十六年三月末までで高度人材の認定者は千百三十人というふうに聞いております。ところが、過去の資料を見てみますと、この制度の開始前、平成二十三年の当時の法務大臣の記者会見での発言なんですけれども、この制度により高度人材と認められる外国人の入国者数は年間約二千人程度と見込まれるというような発言をしていました。
 当初の想定よりも千百三十人というのは認定者が少ないというふうに思うんですが、その理由を、大臣、お聞かせいただけますでしょうか。
#139
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、平成二十三年十二月当時、当時の大臣が二千人程度という数字を口にされたというか公にされたということがございました。ただ、私、これはどういう数字だったのか聞いてみますと、要するに、高度人材ポイント制の申請を行えば高度人材として認められ得る人数が大体このぐらいの数ではないかと。ということは、全ての方が、日本での永住を望まないような方であるならば申請は必ずしもないけれども、出てくれば認められるというのが二千人ぐらいということの趣旨であったようでございます。
 ただ、この二千人という数字がやや独り歩きした感じがあることも否めないわけでございまして、それで、少しそれより低いじゃないかという御指摘ですが、これは認定の基準や広報の問題、さらには高度人材外国人を受け入れるための生活環境の整備の問題等々、様々な要因があるんだろうと思っております。ただ、そういうちょっと予想より少ないんじゃないかという御指摘がありましたことも踏まえまして、認定要件の緩和であるとか、もう少し魅力のある優遇措置はできないかということで見直しを行いまして、昨年十二月から実施しております。
 それで、その後、認定数は着実に増えていることは増えておりまして、それまでは月平均約四十二人でございましたが、これを入れた後の一月五十三人、二月は九十七人、三月は百三十五人、四月は百四十六人ということで、徐々に増えておりますので、それだけの効果はあったのかなと思っております。
 それから、今御審議いただいている入管法の改正法で、高度人材を対象とする高度専門職の在留資格を創設して、高度人材を我が国は積極的に受け入れているということを在留資格上も明らかにした、このことは受入れの促進に寄与するのではないかと思っております。
 それで、この制度を更に利用していただくためには、PRといいますか啓発、一層の周知徹底が必要でございます。それから、高度人材が日本に来てそれなりにちゃんと活動していただくためには、生活条件、生活環境の整備について政府全体として取り組んでいく必要があるだろうと思っております。
 こういうことを通じて、今後とも新しい施策の周知徹底を図っていきたいと思っております。
#140
○行田邦子君 まずは昨年十二月に制度の見直しで、使いやすい、敷居を低くするというよりかは使いやすい制度に見直したということで、着実に増えてきているということであります。そして、先ほど大臣がおっしゃられていましたけれども、広報ももっと必要であるというようなお話でした。
 そこで、政府参考人に伺いたいんですけれども、これまでの千百三十人の認定者のうち新規入国者は五十九人と特に少ないというふうに思っています。内外に向けての広報が必要だと思いますけれども、特に外に向けての広報というのが十分ではないと思いますが、その点いかがでしょうか。
#141
○政府参考人(榊原一夫君) 委員御指摘のとおり、新規入国に係る数が少ないことについてはそのとおりでございますけれども、そういった点につきましては広報不足が指摘されているところでもあります。これまでも法務省におきましては、ポイント計算が一目で分かるようなリーフレットを作成いたしまして、在日の各国公館や在外の日本公館など関係機関へ配付するなど、海外に向けた広報に取り組んできているところでございますが、さらに、高度人材の受入れを促進するため、関係省庁とも連携いたしまして、海外に向けた広報の強化に一層積極的に取り組んでいきたいと考えております。
#142
○行田邦子君 積極的にお願いしたいと思うんですけれども、例えば海外メディアを招致して実際に高度人材として働いている方を取材をさせるとか、そういった工夫を関係省庁と連携を取りながら是非やっていくべきだというふうに思っております。
 次の質問なんですけれども、今度、高度専門職という制度が創設されることになりますが、この高度専門職の資格をもって在留する外国人の資格取消しについて伺いたいと思います。
 資格取消しについてなんですけれども、一定期間、在留資格に対応する活動を行わずにいる場合は資格が取り消されるということですが、例外として、当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除くとなっております。この正当な理由というのは具体的にどのようなことが想定されるんでしょうか。
#143
○政府参考人(榊原一夫君) 委員御指摘の正当な理由につきましては、例えば、病気のため長期間の入院が必要でやむを得ず休職している者が退院後に復職する意思を有している場合や、雇用企業側の都合などで失職した者が再就職先を探しているような場合は、近い将来、高度専門職の在留資格に係る活動を再び行うことが可能となる見込みがあるわけですから、この正当理由に該当し得るものと考えております。
 他方、高度専門職の在留資格をもって在留する外国人が失職後、再就職先を探そうとしていない場合や、探してはいるものの一定期間経過しても就職先が決まらず、高度専門職としての活動を再開する具体的な見込みが立たない場合には、正当な理由があるとは認められず、在留資格取消しの対象となるものと考えております。
#144
○行田邦子君 その決められた一定期間、在留資格に対応する活動を行っていないからといって、例えばもう病気の場合で働けなかったりとか、特別な事情がある場合は例外として認めるということであります。
 最後の質問になりますけれども、在留資格の技術と人文知識・国際業務の一本化について伺いたいんですけれども、この一本化を行う理由についてお聞かせいただけますでしょうか。
#145
○政府参考人(榊原一夫君) 今回の改正で技術と人文知識・国際業務の一本化を行う理由といたしましては、いわゆる理系の専門職に係る在留資格である技術と、文系の専門職に係る在留資格である人文知識・国際業務を一本化いたしますのは、近年、企業における人材活用の在り方が多様化しており、技術の在留資格に該当するのか、人文知識・国際業務の在留資格に該当するのか不明確な場合があることを踏まえたものでございます。
#146
○行田邦子君 ということなんですけれども、日本の大学等で学んだ外国人留学生のうち、これは日本学生支援機構の調査なんですけれども、二〇一一年度卒業者に対しての調査ですが、卒業後、日本で就職を希望するという方が五二%いました。ところが、実際に日本国内に就職した方は二二%だったそうです。こういった希望があるにもかかわらず、実際は日本国内の就職者が少ないというような結果になっています。
 私は、外国人で日本の大学等で学んだ方、こういった方は、日本語それから日本の文化にもなじんでいるわけですから、こうした方たちをもっと日本の企業で採用する、採用しやすくするべきだというふうに思っていまして、そのために、今回、一本化ということ、技術と人文知識・国際業務の一本化、つまり文系と理系の在留資格の一本化ということ、これは一つ進歩でありますけれども、もっとさらに、日本企業が外国人留学生を採用しやすいようなことも考えていただきたいというふうに思っております。
 実際、日本型の企業の場合の人事は、大学が文系であっても理系であっても、総合職としていろんな部署を配属が変わったりするようなことも往々にしてありますので、そういった日本型の人事になじむような在留資格の見直しというのも更に行っていくべきであるということを申し上げまして、私の質問を終わります。
#147
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 まず、前回、六月五日の質疑に続きまして、建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置について、国土交通省の認識をお尋ねした上で大臣に伺いたいと思うんですが、前回、四月四日の関係閣僚会議の取りまとめについて、特に国土交通省の今の準備の状況について伺って、やっぱり、報道では来年四月からの受入れが決まったかのように報道されているんですけれども、せいぜい検討の課題なりあるいは基本的な考え方なりを示した程度にとどまっているんじゃないのか、この取りまとめでこのまま到底制度化するということは私できないんじゃないのか、そんな感想を持っているんですね。
 前回幾つか伺った中で、新たな特別の監理体制をつくると、優良な監理団体や優良な受入れ企業に任せるのであるといった点について国土交通省の設計に委ねられているという趣旨の議論をしたわけですが、であれば、現在の技能実習生について国土交通省がどれほど把握をしているのか。建設産業に、技能実習生というのは今実習を行っているわけです。だったらば、その建設関係で受け入れている企業、あるいはその企業の適正を監理しているそういう監理団体というのはどれだけあるのか。あるいは、オリンピックだとか震災復興だというニーズが目標として言われているわけですから、であれば、地域別にそうした建設の技能実習生を受け入れている企業や監理団体がどれほどあるのかと資料を求めましたら、建設関係の団体数、都道府県別の団体数については国土交通省では把握しておりませんので御了承くださいというペーパーが私のところに届けられました。
 結局、技能実習生が建設分野でどのような活動をしているかということについて、あるいは、その技能実習を終えた人が即戦力と皆さんが言われるそういう人材なのかどうかについて、国土交通省は実情をつかんでおられないんじゃないんですか。
#148
○政府参考人(吉田光市君) お答え申し上げます。
 建設分野における現行の技能実習に関しての監理団体数を含む実態についてでございますけれども、これまで関係省庁等での情報共有に努めてきているところでございますが、国土交通省としての調査、把握は現時点では行っていないということでございます。
#149
○仁比聡平君 いや、そんなことでどうやって優良な監理団体だとか優良な受入れ企業というのをまず国土交通省の方で制度設計するのかと。国土交通省が制度設計しなかったらば、入管当局が、例えば今言われている特定活動のその告示を定めていくとか、適正な在留管理を行うとかって、あるいは入国審査を行うってできないじゃないですか。
 前回の質疑で、具体的なニーズについても初めて、十五万人の人手不足があって、国内人材で八万人にとどまる、だから差引き七万人の技能実習生が必要なんだという趣旨の御答弁がありました。けれども、その八万人程度にしか国内人材の確保がならないということはおかしいじゃないか、本気で若手やあるいは女性という国内の人材の担い手の待遇改善に取り組むなら、もっと超えて、これから将来の建設産業を担っていく、そういう人材をつくることは可能じゃないかと私が尋ねましたら、国土交通省は、しっかりと取り組んでまいりたいと思いますとお答えになっただけで、なぜそれをやっても八万人にとどまるのかという答えはなかったわけですね。
 入管当局に国土交通省の言う即戦力というのが入国審査で明らかにできるかと尋ねましたら、いや、それは受入れ企業が判断するものだと考えますという趣旨の答弁がありました。
 優良な監理団体だというけれども、その中身というのは、到達点というのは今ほどの御答弁のとおりなんですね。
 今度の設計では自発的な転職を認めると。これは、受け入れた企業で大変な労働条件、低い労働条件だというようなことがあって、そこに縛られ続けるということになれば深刻な外国人労働の温床になりますから、私は自発的な転職を認めるという方向はあり得るかとは思いますけれども、ただ、そうとなれば、転職する先の労働条件がどんな条件だと明示されているのか、実際に転職したらその労働条件が守られるのか、そこの言わば新たにできる労働市場の適正さについての監理をどうするのかということも明らかになっていません。
 ちなみに、この新たな特別の監理体制において、取りまとめによると、制度推進事業実施機関というものが巡回指導などを行うということになっているんですが、これがどんな機構になるのかということについて伺います。国土交通省、具体的な制度設計が示せますか。
#150
○政府参考人(吉田光市君) お答え申し上げます。
 今回の措置につきましては、現在、関係省庁と制度の詳細について協議、調整をしているところでございます。ただ、これまでの技能実習制度自体に適正化が求められているといったようなことを踏まえまして、これを上回る監理体制をしっかりと構築してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#151
○仁比聡平君 つまり、今示せないわけですよ。
 大臣、今、国土交通省はこれまでの技能実習制度を上回る監理体制を構築すると言うんですけれども、今の現在の技能実習制度そのものが、研修制度が導入されて以来の、もう繰り返しませんけれども、深刻な人権侵害やあるいは行方不明、失踪などといった、研修生を食い物にする、そうしたビジネスの下での深刻な実態が次々と告発されて、それを政府も踏まえた上で厳しい監理体制などということを構築してきたわけでしょう。それが今、別表の技能実習という、そういう在留資格に定められているわけです。これはさらに重要な部分で変更が起こっていく建設分野での緊急措置ということを言いながら、だけれども、制度の設計については国土交通省は今のような御答弁にとどまっていると。これを来年の四月に間に合うように特定活動の告示を定めるなんて私はできないと思うんですよね。
 今度の入管法の改正でも、従来の特定活動で挙げられていた高度人材関係の在留活動が、これ削除されて、特定活動というのは法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動のみに別表上はなるわけですけれども、これ、大臣がまさか自由勝手に、どんなことでもいいよといって定めるなんていうことはあり得ないわけで、入国審査や在留管理の適正ということを考えれば、あるいは外国人労働者に対する人権の保障ということを考えれば、特定活動の一つとして今言われているような建設業における緊急措置というのを入れていくというのは私はできないと思いますけれども、いかがでしょうか。
#152
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回は、今委員が御議論されたように、技能実習制度自体様々な問題を抱えているということを指摘されておりますから、確かに緊急措置で復興であるとかオリンピックに対する対応で人が足らないならそれを何とか工夫しなきゃいけない。しかし、問題とされている技能実習制度をそのまま転用していくのはやはり問題があるだろうということで、今おっしゃったような在留資格を利用したわけでございますが、いずれにせよ、今、国土交通省から御答弁がありましたように、今の技能実習制度を上回る監理体制をつくっていかなきゃならない。それは、法務省も協力しながら、国土交通省を中心として、いろいろな優良な監理団体あるいは優良な受入れ企業の要件も含めまして、緊急措置を実施するための新しい監理体制の内容に関する告示、通知等、今議論を進めているところでございます。それを受けて、法務省においても法務省告示の改正等、必要な措置を整えていかなければならないと思います。
 それで、委員の論点は、今まで監理団体の実態も十分把握できていないのではないかというようなことが下地になっておられるんだろうと思います。
 これまでも、不正がある、不正行為を行った疑いのある監理団体については調査を行って、その結果、不正行為が行われたことが判明した場合には受入れ停止措置、その旨を通知して受入れ停止措置もとってきたと。こういう問題のある監理団体については、今回の緊急措置においては確実に排除することにしなければならないと考えております。
#153
○仁比聡平君 私は、人権侵害に対して後追いで何か是正するようにするというようなやり方は、もうやめるべきだと思うんですよね。
 現在の技能実習制度が廃止まで求められていると。例えば日弁連などはそういうふうに要求をしていますが、その下で新たなそうした特定活動という在留資格をとにかくつくって、緊急だからと、で、受け入れてみたら様々な大問題が起こって、後追いで対策を入管が強いられていくという、そんなやり方には絶対してはならないと思うんですね。
 私、そうならないようにするためには、少なくとも、この特定活動の一つとしてと言うんだが、現在の技能実習制度は別表に定められているわけですから、特定活動で国会の審議さえなく告示のみで定めるというのではなくて、技能実習の在留資格とせめて同様に法律改正によって議論をするべきなのではないんですか。大臣、いかがでしょう。
#154
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、特定活動というのは、ある意味でそのときの経済情勢あるいは国際情勢に対応しながら弾力的に運用するように作った条項でありますので、今回のような緊急事態への対応、もちろん今議論がありましたように、今までの監理システムよりもきちっとしたものを組み立ててやっていくことが前提でありますが、特定活動がこういう場合に使われるというのは、私は本来の、今までの法が狙っていたところではないかと考えております。
#155
○仁比聡平君 私は、そうしたやり方はこれまで政府が言ってきた国民的なコンセンサスを得られるものでは絶対にないと思います。この問題については引き続き次の機会に議論していきたいと思うんですが。
 今回の入管法そのものについてお尋ねをしますけれども、高度人材に関して高度専門職一、二の新たな在留資格をつくるわけですね。これは、これまで行われてきた高度人材ポイント制とリンクをするものになりますが、年収要件なんですよね。専門・技術の分野、それから経営・管理の分野、この二つの分野についてはそれまで三百四十万円という年収の基準があったんだけれども、これを年収三百万円ということに引き下げた。そして、学術研究の分野については、これ年収要件を撤廃をしたわけですね。だから、三百万円にも届かない高度学術研究分野の人材というのがあるということになっているわけですけれども、これ、そうした年収要件を撤廃ないし引き下げたというのはなぜなんでしょうか。
#156
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の引下げの点でございますが、法務大臣の私的懇談会である出入国管理政策懇談会からの報告書であるとかあるいは日本再興戦略の内容を踏まえて、関係省庁と協議の上、見直したわけでございますが、今の年収要件を下げた点ですが、高度学術研究分野で活動する高度人材の最低年収基準については、大学などでは研究等の活動に従事する特に若手の研究者、その報酬額は一般的に余り高くありません。
 そこで、優秀な人材であっても年収基準によって高度人材として認定されないという問題があると指摘を受けまして、学術研究活動に従事する外国人の資質、能力は、むしろ年収よりも、一応こういう今の下げたラインはございますが、その年収よりも研究実績などによって、あっ、年収は撤廃されておりますが、研究実績などによって評価すべきだという意見が示されましたので、こういう最低年収基準を撤廃するなどの見直しを行ったわけです。
 それから、高度専門・技術あるいは高度経営・管理分野で活動する高度人材につきましても、中小企業などで比較的報酬額が少ないことがあるのを踏まえまして、高度な人材であるけれどもより広範囲な企業で活躍できるようにするために最低年収基準を引き下げることとしたものでございます。
 ただ、例えば三百万にしたと、だから三百万にしたから今まで三百四十万では入れなかった人がすぐに入れるというわけではございません。そのほかのやはり高度人材としてのポイントがなければ入れませんので、そういう意味ではこれだけで判断するわけではないということは申し上げておきたいと思います。
#157
○仁比聡平君 法務省が高度人材ポイント制の導入後十一か月間の実施状況に係る統計分析を行っておられますけれども、これ見ると、確かに専門・技術などで最高の報酬を受ける方というのは六千七百万円を超えるとか平均値は一千万円を超えるというので、これなかなか高いんですよね、報酬。けれども、最低値は三百九十万円と。学術研究の分野で、私が今申し上げている分野でいうと、平均値は六百十三万円で最低値は三百五十四万円だと。
 私、この年収だけで高度かどうかをポイント制やこれからの在留資格で判断しているじゃないかと言っているつもりはないんですよ。なんですが、高度人材という概念が極めて多義的になっていて、幅が広くて、例えば日産のカルロス・ゴーンさんのような、そういう方をぽっとイメージしたりする向きがあるかもしれませんけれど、実際には年収三百万円そこそこという方々をも包摂する在留資格ということになるということなんですよね。
 もう一点、そうした高度専門職一、二を、五年間その資格で在留をすると、在留資格、永住者の申請が可能になります。永住者としての在留資格を得れば、その後の活動についてはこれは制限がないと思うんです。
 例えば、企業の側の様々な事情で、高度人材としては受け入れたけれども、だけれども五年間でうちの企業にはもう勤めていただかなくて結構ですというような話になって、日本に在留しておられる間に例えば家族ができる、いろんな社会関係ができるという中で永住をするということを希望される方あると思うんですよね、高度人材ポイントの間は永住資格は取れますから。そうすると、その後、単純労働などの就労もあり得るということになるんですが、こうした問題意識というか、これは何か議論がされましたか。
#158
○政府参考人(榊原一夫君) 高度人材につきましては、平成二十四年五月から運用を開始している高度人材ポイント制により優遇措置を実施しているところでありまして、その一環として、委員御指摘のとおり、一般に十年以上の本邦における在留が求められる永住許可要件について、その期間を五年に緩和しているところでございます。
 高度人材は、高度の専門的な能力を有する研究者や技術者、経営者等の人材でありまして、そのような能力を企業や研究機関等から請われて我が国に来る方々でありますから、そうした方々が高度人材としての役割を果たさず、例えば専ら単純労働に従事したり、生活保護の対象となりながら我が国に居続けるということは一般的にはそう多く想定されるものではなく、これまでにもそのような事態は把握しておりません。こうした事情も踏まえました上で、高度人材の受入れと定着を促進するため、永住者の許可要件を緩和しているものでございます。
 他方、在留資格、高度専門職で在留する方からの永住許可申請につきましては、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有することという永住許可の要件に照らしまして、継続的な独立生計維持能力等の点についても慎重に審査をしまして、永住を許可した後に直ちに生活保護を受給するようなことなどがないように適切に対応してまいりたいと考えております。
#159
○仁比聡平君 ポイント制の導入に関わる検討会の座長を務められた慶応大学の後藤純一教授は、ポイント制は並の人材の受入れが目的であってはならない、不可逆的な優遇策である永住権付与などは特に慎重にというふうにも述べられているんですが、こうした点について議論が尽くされていると私ちょっと思えないんですね。
 最後に、もう一点伺っておきます。
 警察庁においでいただきました。今回、利用拡大が提案されている自動化ゲートも含めて、入国審査の際に提供される指紋と併せて、入管には指紋や出入国の履歴を始めとした情報というのが蓄積されるわけですが、これについて警察としてはどんな手続で取得をされるんでしょうか。
#160
○政府参考人(荻野徹君) お答え申し上げます。
 お尋ねにつきましては、刑事訴訟法の規定に基づきまして、警察から法務省入国管理局に対しまして個別の事案ごとに捜査関係事項照会書を発しまして、例えば指紋の保有の有無等を照会し、回答をいただくというものでございます。
#161
○仁比聡平君 つまり、照会を掛けるということであって、裁判所の令状を取るといった第三者のチェックは働かないわけですね。
 これ、入管当局はそうした警察からの照会があったときに、例えば、捜査上の必要だとか、この情報を提供することが当該外国人のプライバシーを侵害しないかとか、どんな判断をするんですか。
#162
○政府参考人(榊原一夫君) 自動化ゲートの利用登録に際して提供される指紋につきましても行政機関個人情報保護法の規律を受けることでありますけれども、上陸審査時に取得します指紋とは異なりまして、自動化ゲートの利用登録希望者が全く任意に提供するものでありますので、捜査関係事項照会に基づく提供に当たりましては慎重な検討が必要であるというふうに考えております。
#163
○仁比聡平君 時間が参りましたので終えなければなりませんけれども、入管の出入国審査に係る個人識別情報の取扱い及び個人識別情報取扱機器の運用管理の要領というのがありますけれども、他の行政機関から、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で利用すること、及びその利用について相当な理由があることを示して照会があった場合には、これ受理し、基本的には答えていくという運用になっていると思うんですよね。
 お尋ねしている警察あるいは捜査機関からの照会というのは、つまり捜査上の必要があるということなんだと思いますが、だけれども、その捜査上の必要というのが、どういう事案で、実際にその犯罪が起こっているのかとか、あるいはそのおそれがあるという話なのか、相手をテロリストだというふうに言うのかどうなのかなども含めて様々な場合があって、これ一々入管当局で判断をしておられるのかというと、私はそうではないのではないか。だって、問い合わせてきた、照会掛けてきた捜査機関に対して、あんたのところの言う捜査上の必要というのはどんなものですかといって、一々証拠まで問い合わせるなんというのはちょっと考えられない。
 そういう下で、こうやって個人識別情報が蓄積され続けていくということについては、この制度が始まったときから大問題として議論があるということを指摘して、この質問を終わります。
#164
○谷亮子君 生活の党、谷亮子です。
 本日の議題であります出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案、閣法第五五号につきましてお伺いいたします。
 まず初めに、高度人材外国人を含めまして、全ての外国人が日本へ入国する際には在留資格認定証明書交付申請書の申請が必要になりますけれども、この申請書には、国籍、氏名、生年月日、性別、入国予定日、上陸予定空港、過去の入国歴などのほかに、ここで十八番目の項目といたしまして、犯罪を理由とする処分を受けたことの有無、日本国外におけるものも含むというものがございまして、犯罪歴の有無を記入する項目がございますけれども、高度人材外国人と言われる方が自国において申請書を提出する際に、これは無犯罪の場合、例えば自国の警察庁であったりそのほかには入国管理局というようなところが、こうしたところが証明書のようなもの、この方は無犯罪ですよというような形で証明書等を発行されるというようなことはあるのでしょうか、教えていただきたいと思います。
#165
○政府参考人(榊原一夫君) ちょっとどういった国でそういうものが発行されるかについては現在直ちにお答えすることはできませんけれども、犯罪を行っていないことの証明書として無犯罪証明書などの提出を求めることをしておりますので、国によってはそういうものが発行されるものと承知しております。
#166
○谷亮子君 やはりそれぞれの国によって違うということで、無犯罪、そしてまた犯罪があったというのは自己申告によるものがほとんどになるというふうに思います。
 やはり各国とも、公衆衛生そして公の秩序、国内の治安等が害されるおそれがあると認める外国人の入国、上陸を拒否するということとこれはされていますし、このことは上陸拒否事由に類型として示されております。
 また、こうしたことを踏まえて、高度人材外国人の自国での申請の在り方ということで、十八番目の項目にこうして犯罪歴等についてこれは記入するという項目がありましたので私はここに着目してみたんですけれども、やはりこうした高度人材と言われる方たちは、まずいらっしゃらないとも言われておりますけれども、ただいま御紹介いただきましたように、それぞれの国によって違うということで、日本においては入国管理局の入国審査官の方がしっかりと審査をされて、そして、水際でそうした犯罪歴のある方たち等については改めて自国の方に確認等をされるということで、日本に入ってからはしっかりとそうしたことも適正に行われていくということで理解してよろしいかというふうに思っています。
 ですから、私といたしましては、そうした実際に犯罪歴等を項目に記入するというところがありますので、ある意味、谷垣大臣がいつもおっしゃられているように、治安の観点からいたしますと、私は、国と国との責任の確認上、何かこうした犯罪等のところに対しては、国が発行する証明書というようなことが今後これからあってもいいのではないかなというふうに思っている次第でございます。
 そして、次に、高度人材外国人の報酬額に対する税制の在り方についてお伺いしたいというふうに思います。
 平成二十五年五月に法務省入国管理局公表の高度人材ポイント制の導入後十一か月間の実施状況に係る統計分析を見てみましたけれども、高度人材外国人として認定された四百三十四人が所属機関から受ける年間報酬額というのは、これは一千万円以上が百四十二人、全体の三二・七%で最も高い割合を占めていたという状況でありました。また、報酬額の平均値というのは一千百十六万円で、先ほども他の委員の先生からもお話ありましたけれども、最も高い年間報酬額というのは六千七百八十万円、また最も低い年間の報酬額というのは、私が持っている資料によりますと三百五十四万円となっている状況でございました。
 また、高度人材外国人の年収基準は、平成二十五年十二月に高度人材ポイント制の見直しが行われまして、高度学術研究活動は最低年収基準が撤廃されてなくなりまして、高度専門・技術活動、高度経営・管理活動は年収三百万円以上ということになっております。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、外国の方が日本の居住権を得て居住者とみなされた場合、日本と同様の税率が掛かりますでしょうか。そしてまた、高度人材外国人の方に対する税制上の優遇措置というものは今回盛り込まれているのか。教えていただきたいと思います。
#167
○政府参考人(榊原一夫君) 法務省といたしましては、高度人材に対しまして、所得税の減免等、税制上の優遇措置はとられていないと承知しております。
#168
○谷亮子君 ただいまの御答弁によりますと優遇措置は行われていないということで、これまでも外国の方が日本にいらっしゃっている、そうした高度外国人材の方たちも同じように、これは税法上同じであるということでよろしいかというふうに思います。
 そして、やはり、そうであるならば、日本の居住権を得て居住者とみなされた場合には、一般の日本の方と同様にこれは税率が掛かっていくということでございますし、一方、非居住者とみなされた場合には、支払われる給与等に対しまして一律二〇%がこれは所得税として課税されるということでございます。またさらには、住民税におきましても、国籍にかかわらず、前年中の所得金額を基準にこれは課税されるということになるという現状だろうというふうに思っております。
 そこで、続けて伺いたいんですけれども、高度人材の高度専門職一号の在留期間、これを五年とされた理由を教えていただきたいです。
#169
○政府参考人(榊原一夫君) 在留期間につきましては、高度専門職第一号に限らず、一般的な上限として五年とされております。これは、外国人の在留状況の変化等の可能性を考慮した場合、在留管理を適切に行うためには、永住者などを除く一般的な在留資格においては少なくとも五年に一度は在留期間の更新を求め、現在の在留状況の確認と在留継続の可否を判断することが必要と考えられるためです。
 以上の点は、いまだ高度専門職第二号として無期限の在留期間の在留資格を認めるに至っていない高度専門職第一号についても同様と考えられますので、現行のポイント制と同様に在留期間を五年とすることを考えているものでございます。
#170
○谷亮子君 今御説明いただきましたような流れでそうした手続等も更に更新されていくということでございますが、続けて伺いたいんですけれども、日本における企業がそうした現状にある高度人材を雇用する際には、入国管理局にこれは申請をして、入国管理局側が、こうした高度人材の方がこうした企業には適応しているだろうということを実際に判断されて、そうした流れの中で実際に雇用する手続を経て雇用することになっていくというわけでございますが、実際にその雇用をしていく状況の中で、これはいろいろな状況が想定できるというふうに思います。
 一つは、やはり、実際に雇用したんだけれども、その在留資格等に適応した仕事がこれはできていないというような状況が生まれてきたり、あとは、時間等に遅れて来るですとか、それだけではなく、さらにはその企業、会社に対して大変な悪影響を及ぼす等々、いろいろなことが考えられます。
 そして、一方では、やはり、その企業、会社としては必要とされる人材であるので、五年と言わずに八年、十年、さらには十五年いてほしいというような状況も、進めていく中で生まれてくるというふうに思うわけなんですけれども、こうした様々な事例に対しましては、厚生労働省が高度人材活用のためのマニュアルを用いて、事業主への職場環境の整備等や、またさらには関係省庁が連携をして、先ほど谷垣大臣からも御答弁、他の委員の中でございましたけれども、他省庁が連携をされて、高度人材を含む外国の方の就労環境、また生活環境等の改善にも取り組まれているし、今後も取り組まれていくということでございますが、そうしたことを経て様々な事情により高度人材を企業が解雇された場合、その在留資格についてはどのような扱いになるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#171
○政府参考人(榊原一夫君) 高度専門職が解雇された場合について御答弁いたします。
 高度専門職第一号につきましては三か月以上、高度専門職第二号につきましては六か月以上、正当な理由なく高度人材としての活動を行っていないときには在留資格取消し手続の対象となります。解雇された場合でありましても、三か月又は六か月以上次の職探しをしていないような場合にこの手続の対象となるものと考えております。
 他方、高い能力を有する人材であれば、他の企業や研究機関に採用されることも十分考えられますところ、その場合には在留資格変更手続や所属機関等に関する届出を行っていただくなどして、そういった手続を取って在留を継続していただくことになると考えております。
#172
○谷亮子君 ただいま御説明いただきましたような流れになってくるかと思いますが、解雇された場合は、企業、会社側が、実際にそうした現況を踏まえた上で、これは入国管理局の方に申請をされて、それが認められた場合には、在留資格に適応しない場合にはその在留資格というのがなくなるということでありますし、さらには、その高度人材外国人の方に対しましても、いろいろな理由がある中で就職等を更に希望される場合にはそうした就労支援等々も、これは各関係省庁間、そしてさらには厚生労働省がこれを行っていくというようなことで理解をいたしております。
 そして、次に続けて伺いたいんですけれども、五番目の質問でございますけれども、今回の改正では、高度専門職第二号がこれは創設をされます。ここでは、高度人材と認定された外国の方に最初に付与する在留資格の高度専門職第一号よりもこれは優遇措置を拡充されることとされております。その中には、在留歴に係る永住許可要件の緩和や在留期間の無期限の付与等々がございます。
 そこで、高度専門職第二号の方が在留期間無期限を選択されまして長く日本にとどまることを選択された場合に、高度人材としてその在留資格が終了したけれども、その間、日本に五年間住み続けてきたわけですから、ある意味、生活権というものをやはり持っていらっしゃるし、生活の基盤というものを築いていらっしゃる状況にある。また、できてしまっている場合に、高度人材として仕事があった場合には収入があったのでよかったんですけれども、さらにその無期限を選択されまして、確かに生活権がありますから生活をしていかなければならない中で、やはりどうしても就労の支援というのがここで求められてくるというようなことも考えておかなければならないというふうに思います。
 このことを、やはりこれは二通りあると思います。そうした外国の高度人材の方、そして日本における高度人材の方。この日本における高度人材の方は、やはりそうした外国からの高度人材の方たちの受入れが進むということで、非常に日本にいらっしゃる日本の高度人材の方たちも、やはり就労に対してそうした、何というんですか、支援を求めてくるというようなことが考えられるわけでございます。
 こうした状況を今後の取組として考えておかなければならないということで、そうした背景には、私は、ドイツやイギリスでの高度人材を中心とした外国人労働者の受入れの施策のこれまでの在り方からも考えなければならないし、学ばなければならないというふうに思っております。現在、この高度人材外国人の獲得というのは、世界中であらゆるところからの獲得というのが繰り広げられている状況であると思いますので、ドイツのこれまでの取組というものを少し紹介させていただきたいと思っております。
 ドイツにおける高度人材を中心とした外国人労働者の受入れ施策は大変早くから取り組まれてまいりました。第二次世界大戦後の経済復興期、一九五五年に低・中技能の外国人労働者を受け入れたことからこれは始まっております。しかし、一九七三年十一月に、石油危機を契機とする急速な景気悪化と失業者の増大を受けまして、この影響から外国人労働者の受入れを原則停止をいたしました。その十年後、一九八三年には、外国人労働者の帰国を促進するため外国人帰国支援法が施行されまして、年金の労働者負担分の速やかな返還や職業年金受給権の補償などが制定をされておりました。そして、二〇〇五年、移民法の制定と、それまでの外国人法に代わりまして滞在法が制定されておりました。この新移民法によって高度人材の受入れと滞在許可と就労許可の手続の統一化がなされまして、社会統合政策の推進なども規定された上で、現行の制度、この基盤がやっとここ十年ぐらいで築かれたという現況でございました。
 ですから、こうした高度人材を中心とした外国人労働者の受入れが期間が終了した後のこと、今回は日本では在留期間の中で無期限を付与するということでございますので、こうしたことを踏まえた上で、日本でさらに労働争議となった場合の対応策というのは何かお考えなのか、お伺いしたいと思います。
#173
○政府参考人(榊原一夫君) 高度専門職第二号の在留資格をもって在留する方は、在留期間の制限はなくなりますものの、高度人材としての活動を継続して行うことが必要であり、正当な理由なく六か月以上継続して当該活動を行っていないときは、例えば失職後六か月以上にわたり再就職先を探すこともなく全く稼働していないような場合は在留資格の取消し手続の対象となります。したがいまして、高度人材としての活動を行うことなく、長期にわたり高度専門職第二号の在留資格で我が国に滞在し続けることは想定されておりません。
 なお、在留資格を取り消す場合には、三十日を超えない範囲内で当該外国人が出国するために必要な期間を指定することとなりますが、この期間を経過して本邦に残留する場合には退去強制事由に該当しますので、退去強制手続を取ることとなります。
 入国管理局におきましては、今後とも、制度の適切な運用を図れるよう、関係機関とも連携を密にするなど、外国人の在留状況を的確に把握するための方策を講じてまいりたいと考えております。
#174
○谷亮子君 在留資格の的確な対応というのがなされるということでございますが、更にその先の取組というのも、こうした高度人材の方たちを受け入れる国の施策としてあるわけですから、そうした長期的スパンに、ドイツが取り組んできたような、またイギリスが取り組んできたようなことに照らし合わせて、さらに労働争議等が本当に起こらないようなことも、高度人材と言われる方たちですからそういったことはないということも前提として、そういったことも長期的スパンの中で、今回、優遇措置等が様々にございますので、考えておく必要があるというふうに申し上げておきたいというふうに思います。
 次の質問通告で六問目に当たりますけれども、改正法の第二十二条四第一項第六号関係で、高度人材外国人が当該在留資格に応じた活動を行わない場合の在留資格の取扱いについてでございましたけれども、ここで優遇される場合についてどのようなことがあるのかという通告だったんですけれども、先ほど、他の委員の先生の中の御質問でも御答弁いただいておりまして、その理由としては、病気等により長期入院などは該当することとなりまして、高度人材も帯同者も在留資格は失われないという御答弁をいただいておりましたので、そのように理解しておりますので、質問六は省かせていただきたいというふうに思います。
 そして、次にお伺いしたいんですが、生まれた子の在留資格等について伺いたいんですけれども、高度人材外国人の方が自国で結婚されて、日本に受け入れられていらっしゃいまして、そこでお子さんが日本で生まれた場合の在留資格というのはどのようなものなのか。
 そしてもう一点、この高度人材と言われている今回受け入れようとされている方たちの平均年齢というのは今三十四・五歳とも言われているんですけれども、そうした高度人材外国人の方が日本にいらっしゃって、日本の男性、女性と結婚をされた場合の、日本でお子さんが生まれた場合の在留資格はどのようになるのか、伺いたいと思います。
#175
○政府参考人(榊原一夫君) 高度専門職の方は外国人という前提でお話しさせていただきますけれども、高度専門職の在留資格をもって在留する外国人が日本人の方と婚姻いたしまして、我が国で子供が生まれた場合には、国籍法二条に基づきその子は日本国籍を取得しますので、日本人として我が国で生活することができるものと考えられます。
 また、高度専門職の在留資格をもって在留する外国人の配偶者が外国人である場合、外国人と外国人ですね、その場合、その間に生まれました子供に対しましては、原則として家族滞在の在留資格が付与され、この在留資格で我が国で生活することが可能でございます。
#176
○谷亮子君 分かりました。ありがとうございました。
 日本に高度外国人の方がいらっしゃって、日本の方と結婚した場合には国籍法二条に基づくということで、その在留資格等は特に要らないということで理解いたしましたけれども。
 今後、やはりそうしたことが想定される中で、ある意味、この高度人材に対しましては、外国から受け入れる場合と、これは日本での高度人材の、私は育成、養成というのが更に今後必要になってくるのではないかなと考えているんですけれども、今回のこうした法改正とともに、最後に谷垣大臣にお伺いしたいんですけれども、こうした高度人材の受入れ施策等々、またさらには、日本における潜在力の更なる活用といったものも同時に行われなければならないですし、さらには、今申し上げましたように、日本の高度人材の育成、養成というものについて、今後どのような方針、そして展望をお持ちでいらっしゃるのか、最後お聞かせいただきまして、終わりたいと思います。
#177
○国務大臣(谷垣禎一君) まず、法務省としては、こういう高度人材についてのいろいろ優遇策、入国管理上の優遇策をいろいろ考えているわけですが、その狙いなどを正しく伝えていく必要がありますね。ですから、ポイント制などを分かりやすく説明したリーフレットを日本にある在外公館とかあるいは外国にある日本の公館等々に置いてもらうとか、それから関係省庁と連携しながら高度人材の受皿となるような企業とか大学等の各種会合に我々の職員が行っていろいろ議論をしたり周知徹底を図る、こういう入国管理上の優遇策を、何というのか、きちっと伝えていくということがまずやるべきことだろうと思います。
 その次に、これは法務省だけでできることではありませんが、今年の一月の政府の産業競争力会議の取りまとめにもあるんですが、要するに、日本に来たときの高度人材の生活環境を整えていくという問題があると思います。それは、医療の問題であったり、子供を連れてきたときの就学の問題であったり、あるいは今回我々のやっておりますことで家事使用人を連れてくるというようなこともそれに当たると思いますし、例えばムスリムの方なんかですと、イスラム教の教えに背かないような食事が手に入るかどうかというようなこともあるんだろうと思いますね。そういう生活環境を整える、これは法務省だけでできませんので、政府を挙げてやっていく必要があると思います。
 そして最終的には、今おっしゃったことと関連しますが、日本に行って仕事をしたい、そうすると非常に刺激があって楽しい、あるいは日本の自分たちと同じようなことをやっている人と、つまり日本の高度人材と一緒に仕事をするのが刺激があると言っていただけるようにしなきゃならないと。
 一つの例でございますが、数か月前、北欧からお見えになった方で、ハンドメードの自転車のフレームを作っておられる方にお会いしました。なぜ北欧から日本でやっておられるんですか、北欧で作ればいいじゃないですかと私聞きましたら、まず日本のハンドメードのフレームビルダーがすごくその能力が高い、だから一緒に仕事すると刺激を受けて私自身の能力も高まってくると、それからやはり顧客が目が肥えていて、自分が一生懸命作ったものに対する評価をきちっとしてくれると。
 これはたまたま私の趣味に引き付けて申し上げたんですが、これは科学技術を研究される方も、あるいはビジネスをやられる方も同じようなことが、自分の能力が評価され、そして能力のある人と仕事をしていくことが刺激があると、こういうような環境をつくっていかなきゃならない、これはもう小手先の技術だけではありません、日本の総力を挙げて取り組んでいくということではないかと、このように考えております。
#178
○谷亮子君 ありがとうございます。
 谷垣大臣はサイクリストでもいらっしゃいますので、大変明るい展望も今お話しいただきまして、さらに、日本にも高度なそうした技術というのが、今お話しいただいた中からでも伝わるように、すばらしいところたくさんありますので、そうしたことも世界に発信することもいいですし、逆に受け入れて、さらに諸外国のすばらしいところを日本の経済成長につなげていくということも同時にお願いを申し上げたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
#179
○委員長(荒木清寛君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#180
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。
 改正案は、高度外国人材の受入れ促進のためとして、新たな在留資格、高度専門職一、二を創設するものですが、その基準となる高度人材ポイント制においては、既に専門・技術、経営・管理の両分野で年収要件が三百万円に引き下げられ、学術研究分野では年収要件は撤廃されています。これまでのポイント制認定者についての調査を見るなら、日本人労働者と比べ年収や役職、業務内容などが特段に高いといった水準ではなく、企業の多くが外国人労働者に日本人と同じ業務内容と同程度の報酬を想定しているのが現実です。これでは高度人材といいながら、外国人そして日本人共に労働者の賃金引下げや労働条件の悪化につながる懸念は払拭できないからです。
 また、自動化ゲートの利用拡大により、個人識別情報としての指紋情報の蓄積は上陸審査時に取得される指紋とともに更に進むことになりますが、ここにはプライバシー権の著しい侵害のおそれに対する有効な歯止めがないからです。
 なお、旅行者の利便に資するクルーズ船の入国審査の簡素化、入国審査の円滑化など、審査官への調査権限付与は賛成である旨を申し添えて、討論を終わります。
#181
○委員長(荒木清寛君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#182
○委員長(荒木清寛君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#183
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト