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2014/01/30 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 本会議 第3号
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2014/01/30 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 本会議 第3号

#1
第186回国会 本会議 第3号
平成二十六年一月三十日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成二十六年一月三十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 橋本聖子君から海外渡航のため明三十一日から二十六日間の請暇の申出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(山崎正昭君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕
#6
○山口那津男君 公明党を代表して、ただいま議題となりました安倍総理の施政方針演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 やればできるとの総理の決意あふれる施政方針をお伺いしました。東日本大震災の発生から今年三月で三年になろうとしていますが、大震災からの復興、福島の再生は政治の責任であり、被災された方々の御心労を考えると、公明党はこれまで以上に力を入れて取り組む決意です。
 震災復興とともに最優先で取り組んだのが経済の再生です。政権発足から一年、景気回復の足取りは確実に高まってきたと思われます。しかしながら、中小企業や一般家庭には景気回復の効果がまだ十分に及んでいないというのが実感ではないでしょうか。
 また、今年四月には消費税が八%に引き上げられます。言うまでもなく、消費税の増収分は全て社会保障の拡充強化のために充てられます。安倍政権は、国民が望んでいる震災復興と経済再生を最優先に、社会保障の安定強化を含め、全力を傾注すべきと考えます。
 その上で、外交については、大切な隣国である中国、韓国との関係改善も重要な課題です。胸襟を開いた対話と交流を進め、一日も早く首脳会談を実現できるよう、総理を先頭に政府も与党も努力しなくてはなりません。
 初めに、景気・経済対策についてお伺いします。
 連立政権発足から一年を経て、日本経済は長引くデフレからの脱却に向かい、行き過ぎた円高も是正され、日経平均株価はこの一年で二倍近い上昇になりました。雇用も所得も伸びる兆しを見せております。これらは、自公連立政権が優先順位を明確にしてひたむきに経済対策に取り組んだ結果と考えます。
 しかし、日本経済の本格的な成長への軌道は緒に就いたばかりです。景気回復の勢いと実感を家計、地域経済、全国の中小・小規模企業へと浸透させていくことが今年の最重要課題であります。
 景気回復の成果を家計に浸透させるためには、日本経済の好転によってもたらされた企業収益の拡大を賃金上昇につなげることが必要不可欠です。国民一人一人に可処分所得が増えたと実感を持っていただくことが何よりも重要です。そのためには、民間企業の方々に努力していただくことも大切であり、我々も後押しをするために、経済対策や税制措置を決定いたしました。
 政府においては、今後、賃上げの状況と政策の効果をフォローアップすることで成果を確実にすることが求められると考えます。
 平成二十六年度税制改正に際しては、昨年、秋と年末の二回にわたって与党税制改正大綱を策定し、デフレ脱却・日本経済再生、税制抜本改革の着実な実施、復興支援という三つのテーマを柱に掲げ、税制措置を決定いたしました。特に、デフレ脱却という観点からは、設備投資を促進する税制や、民間企業によるベンチャー投資促進、給与を拡大した企業に減税する所得拡大促進税制の拡充を決定し、経済の好循環を後押しする環境を税制面で整えました。
 今後、経済の好循環を起動させていくためには、名目賃金上昇がなるべく速やかに物価上昇に追い付き、実質所得を減少させないことが重要であり、政府にはその環境づくりが期待されています。
 四月から消費税率が引き上げられますが、消費税が適切に転嫁されるよう、政府としてしっかりと監視を強化することが必要と考えます。
 以上、経済の好循環を実現するための政府の役割を確認するとともに、総理の決意を伺います。
 平成二十五年度補正予算は、平成二十六年度当初予算と直結する十五か月予算と位置付けられ、今年四月の消費税率の引上げによって、景気、経済に生じる影響を抑制するだけでなく、全国的な回復基調にある景気、経済の再生を本格軌道に乗せるための予算であります。
 補正予算には、競争力強化のための投資整備、イノベーション創出のためのメニューなど、経済を安定的に成長させていくための施策が多岐にわたり盛り込まれています。中でも、人口減少社会に向かった我が国において、活力を維持向上させるという意味において女性や若者の活躍は欠かせず、女性、若者、高齢者、障害者向けの施策も複数計上されました。
 そこで、女性、若者、高齢者支援について伺います。
 少子高齢化が進み労働力人口が減少する日本では、女性、若者、元気な高齢者や障害者など、働きたいと希望する人たちが十分に能力を発揮して働ける全員参加型社会への移行が不可欠です。そのためには、個人のライフスタイルやライフステージに応じて多様な働き方を選択できることが重要であり、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた施策の充実が求められます。
 女性の社会進出が増えていく中で、依然として会社役員や管理職は男性が大半を占める傾向にあり、女性も男性も働きやすい環境の整備が必要です。ポジティブアクションや仕事と子育ての両立支援に取り組む企業に対し助成措置を拡充するなど、企業における女性の活躍を推進すべきです。
 また、男性の育児休業取得率は依然として低く、雇用保険法改正による育児休業給付の拡充や、育児休業を取得しやすい職場づくりを更に進めなければなりません。
 一方、若者の雇用については、正社員になれず不本意に非正規雇用で働く人々への支援や、若者の使い捨てが疑われる企業への対策を強化するとともに、良質な雇用の創出が重要です。特に非正規労働者に対しては、助成金等を活用し、正規雇用化や処遇改善を促進するとともに、雇用保険法改正による教育訓練給付の拡充により、資格取得など自発的な学び直しを支援することでキャリアアップ、キャリアチェンジを力強く応援していくことが大切です。
 高齢者支援に関しては、今後更なる高齢化率の上昇が予想される中、働く意欲を持つ高齢者が、それまで培った能力や経験を生かし、生涯現役で活躍できる環境の整備が不可欠です。
 また、障害者や難病患者に対しては、社会参加や就労への支援を充実させ、活躍の機会を拡大する必要があると考えます。
 現在、政府において雇用制度の在り方が検討されていますが、産業競争力を強化するだけでなく、労働者の目線からワーク・ライフ・バランスの実現に資する内容とすることが重要です。
 労働時間法制の見直しについては、労働者の健康を確保し、過重労働を防止することを前提とすることはもちろん、有期雇用を無期雇用に転換する制度の特例に関し、対象となる労働者の範囲などについても慎重な検討を要します。
 また、労働者派遣制度については、臨時的、一時的な働き方であるとの位置付けを原則に、常用雇用の代替を防止する観点を維持しつつ、派遣労働者の処遇改善やキャリアアップを推進すべきです。
 以上、女性、若者、高齢者支援や雇用制度の在り方について、安倍総理の答弁を求めます。
 次に、被災地の復興加速について伺います。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故災害から間もなく三年目を迎えます。安倍政権発足以来、政府・与党が一丸となって、被災地の復興を最優先課題として掲げ、様々な施策を講じてきました。災害廃棄物処理が九一%終了し、また、直轄国道の九九%が復旧、鉄道の運行が八九%再開されるなど、多くの基幹公共インフラの本格復旧が進んできています。
 一方で、災害公営住宅等の復興住宅や防災集団移転等の復興まちづくりについては、ようやく進み始めた状況です。五年間の集中復興期間の折り返し点は既に過ぎており、今年は復興加速においても正念場です。被災者の方々が心から復興を実感するためには、住宅、まちづくりについても、地方の要望や被災者の多様なニーズを十分踏まえて、目に見える形でスピードと質の両立を伴った本格的な復興の加速が極めて重要です。
 今年の復興加速に懸ける総理の決意をお聞かせください。
 福島の地元では、ここでの苦しい実態が忘れ去られてしまうのではないかとの懸念の声が上がる中で、昨年十一月に、福島の復興加速を図るため、公明党、自民党の両党で第三次提言を取りまとめました。昨年十二月に策定された政府の新指針と平成二十五年度補正予算案及び平成二十六年度予算案はこの提言に沿った内容となっており、評価したいと思います。
 今回の指針では、放射線の健康不安に対する対策、賠償の追加、そして千六百億円を計上した新たな福島再生加速化交付金などの措置で、福島の被災者の方々をしっかり支えていける基盤がある程度整ってきていると思います。この点からも、平成二十五年度補正予算案及び平成二十六年度予算案の一刻も早い成立とその後の円滑な執行が求められます。
 また、福島県では、同じ市町村内で異なる避難指示区域が存在しているために、賠償格差が生じていることが課題となっています。
 さらに、福島再生のためには、廃炉・汚染水問題、風評被害への対策の充実と加速が不可欠です。昨年十二月に政府が発表した廃炉・汚染水問題に関する予防的・重層的な追加対策を具体的にどのように進めていくのか、総理の御見解を伺います。
 一昨年に発生した中央自動車道笹子トンネルで発生した事故を契機として、インフラ老朽化対策の具体化が急務となっております。
 太田国土交通大臣は、昨年をメンテナンス元年と位置付け、インフラ老朽化対策の着実な推進を国交省の優先課題に据えてこられましたが、インフラ長寿命化計画の策定に当たっては、小規模な自治体から、費用だけでなく技術的なバックアップを求める声が上がっております。地方自治体が管轄するインフラも少なくないことから、国だけでなく地方自治体の取組も重要です。
 そこで、小さな自治体に対するインフラ老朽化対策に関する支援を求めるとともに、具体的な取組について、太田大臣の見解を求めます。
 公明党は、老朽化したインフラへの対策と同時に、インフラの防災・減災対策を推し進める防災・減災ニューディールを主張してまいりました。昨年の臨時国会で、この考え方を反映した防災・減災等に資する国土強靱化基本法が成立し、いよいよ災害に強い国土づくりが本格化します。
 特に、強靱化推進の根拠となる脆弱性評価がスタートします。脆弱性評価は事業の必要性などを客観的に示すために欠かせないものですが、インフラの老朽化対策と同様に、地方自治体では、技術力や人材不足などによって、脆弱性評価の実施に不安を覚えるとの声が高まっております。
 防災・減災に資するインフラの長寿命化、老朽化対策等を迅速かつ着実に実施するためには、国だけでなく、地方自治体の取組もまた車の両輪として非常に重要であります。基本法を踏まえた強靱な国土形成の観点に立って、予算措置や制度設計、推進体制をどう図るか、自治体に対しどのような支援を行うのか、総理に見解を求めます。
 首都直下や南海トラフ等の巨大地震が発生するおそれがある中で、耐震性が不足しているマンションの建て替え等が喫緊の課題となっています。マンションは全国で五百九十万戸あると言われていますが、このうち昭和五十六年以前に建てられた古い耐震基準のマンションは百六万戸を超えると見込まれ、その多くは耐震性などに問題があると見られています。
 東日本大震災において、発生時のマンション特有の問題も明らかになってきたと思われます。今後発生が予測される災害に備えるためにも、マンションに特化した防災・減災対策や災害発生時の備えについて取りまとめ、広く周知すべきと訴えます。
 耐震改修については、昨年、建築物の耐震改修の促進に関する法律の改正が行われ、決議要件が四分の三以上から過半数に緩和されました。改修の進展が期待されるところですが、建て替えについては、やはりマンション特有の区分所有という性質から、合意形成は困難で、なかなか進まないのが実態です。
 公明党は、老朽化したマンションの建て替えを行う場合の容積率緩和などを盛り込んだ再生促進方策に関する提言を出しているところですが、マンションの建て替え促進へ向けた方策について、太田国土交通大臣の見解を求めます。
 私は、インド政府の招聘で、一月五日から十二日にかけてインドのニューデリー、バンガロール、ムンバイの三都市を訪問しました。
 発展著しいインドの潜在力を間近に感じながら、政府要人を始め、政党、経済、学術関係者らと政治・経済、安全保障、環境、文化・教育、政党間交流など、幅広い分野で意見交換ができたことは、日印関係をより一層深める契機になったと確信しています。特に、シン首相との会談では、日印両国が戦略的グローバルパートナーシップを深化させてきたことを踏まえ、二国間協力関係の更なる強化とともに、経済成長を支える日本企業の貢献や円借款への評価について確認することができました。
 安倍総理御自身も先日インドを訪問され、シン首相との会談では、経済や安全保障分野での関係強化を盛り込んで、共同声明に署名されました。大きな人口を抱えるインドの持続的な成長を維持するためには、鍵を握る製造業の発展が不可欠であり、そのための我が国の支援が重要となります。
 日本の協力がインドの発展を支え、ひいてはアジアの安定と繁栄に貢献していることを改めて認識しつつ、今後も、引き続き対話を通じてアジア諸国との協力関係の強化に積極的な役割を果たしていくべきと思います。総理の御所見を伺います。
 次に、武器輸出三原則の見直しについて伺います。
 昨年末に策定された国家安全保障戦略において新たな原則の方向性が示され、これに基づき、現在政府における検討作業が進められています。
 これまで我が国は、さきの大戦への反省と不戦を誓い、武器を輸出しないことによって国際紛争等の助長を回避するという武器輸出三原則の基本理念を堅持し、平和国家としての歩みを着実に進めてきました。それゆえに、我が国の主張は説得力を持ち、軍縮・不拡散、対人地雷やクラスター弾の禁止などの分野で主導的な役割を果たし、国際社会の信頼を勝ち得てきました。
 新たな原則を策定するに当たっては、これまでどおり平和国家としての理念を堅持しつつ、輸出を認める場合の厳格審査や、目的外使用及び第三国移転に係る適正管理などについて明確な歯止めが必要です。
 武器輸出三原則がこれまで果たしてきた役割をどのように評価し、今後の原則の策定作業を進めようとしておられるのか、総理に伺います。
 次に、核廃絶、人間の安全保障の取組について伺います。
 今春、核兵器を持たない十二か国でつくる軍縮・不拡散イニシアチブ、すなわちNPDIの外相会合が広島で開催される運びとなりました。広島、長崎への原爆投下、そして終戦から七十年の節目を迎える二〇一五年に向け、同会合が被爆地で開催される意義は極めて大きいものがあります。ここでの提言は、来年のNPT運用検討会議に向けて、今年四月に行われる第三回準備委員会の報告に反映されることも期待されています。今もなお被爆の後遺症に苦しんでいる方々とその家族の思いに耳を傾けながら、多くの参加者が、二度と繰り返してはならないあの惨状に共感し、核廃絶の必要性と国際的機運を高めていく場にしていかなくてはなりません。
 唯一の被爆国である我が国には、同会合で世界をリードする提案を行い、核兵器のない世界の構築に向けた取組を加速化させる権利と責任があると考えます。総理の御見解を伺います。
 また、核廃絶の取組とともに、平和外交の柱として我が国が推進してきたのが人間の安全保障分野における貢献です。
 これまで公明党としても、政府開発援助の積極的活用と国連ミレニアム開発目標の達成に向けた取組を推進するとともに、地雷除去及び探知技術の提供やクラスター弾禁止条約の批准などにも尽力してきました。
 今国会では、通常兵器の国際取引を規制する武器貿易条約、すなわちATTの提出が予定されています。公明党は、紛争地で多大な犠牲者を出している小型武器等を規制する必要性についていち早く取り上げ、人間の安全保障を支えるために必要な法規範として武器貿易条約の早期実現を訴えてきました。今後は、課題となっている武器輸出国の条約参加を含め、我が国が国際社会と協調して条約の実効性を高める取組を主導していくべきと考えます。総理の御所見を伺います。
 教育委員会制度については、いじめや体罰などの学校の事件をきっかけに形骸化が指摘されており、公明党としても見直しを検討する必要があると考えております。しかし、先月、中央教育審議会が答申で示した改革案では、教育行政の権限を合議制の教育委員会から政治家である首長に移行することとしており、この案で教育の政治的中立性が保てるのか、疑問を禁じ得ません。
 その意味で、教育委員会制度の改革については更に検討を重ね、教育の政治的中立性や継続性、安定性を制度的に担保した上で、教育委員会が、緊急に児童生徒等の生命や身体の保護を要するときにも迅速に意思決定し、十分な責任を果たせる体制に改めるべきだと考えます。総理の答弁を求めます。
 総理は、施政方針演説の中で、道徳を特別の教科として位置付けるとの方針を表明されました。先月取りまとめられた道徳教育の充実に関する懇談会の報告書の中では、検定教科書の発行や教員養成課程における道徳教育の充実など、一定の方向性が示されたところです。
 道徳教育の主眼は、学校教育全体の責任の下、教師が子供の視点に立ちながら、他者とともに生きる大切さや社会規範意識など、生きる上での基盤となる価値観を自ら培えるよう教え育むことにあると考えます。
 しかし、この懇談会の報告書に沿い検定教科書や教員養成課程の認定などを導入することには、国が特定の価値観を押し付けることにもつながるのではないかと懸念する声が根強くあります。そのため、道徳教育を特別の教科と位置付けるに当たっては、こうした意見にも十分耳を傾け、教育現場の実情も踏まえて慎重に検討する必要があると考えます。総理の見解を伺います。
 エネルギー政策について伺います。
 現在、中長期的なエネルギー政策の方針となるエネルギー基本計画策定に向けた議論がなされております。エネルギー基本計画の策定に当たっては、我が国を取り巻くエネルギーをめぐる数々の課題を直視し、東日本大震災以降混乱したエネルギー政策を立て直す必要があると考えます。
 一方で、自公連立政権で合意しているとおり、原発の依存度を下げるべく、省エネ、再エネの導入を最大限加速し具体的な成果を上げるとともに、火力発電所の高効率化など、技術革新について政府として全力を挙げるという方向性を明確に示すべきと考えます。
 また、原発の再稼働、輸出については、福島事故の知見や教訓を生かすなど、安全確保に万全を期した政策の遂行が重要であると考えます。
 核燃料サイクル政策についても、直接処分を含めた検討を行うとともに、高速増殖炉「もんじゅ」については、研究成果を取りまとめた後、研究を終了させるべきと考えます。
 これら我が党の主張を踏まえたエネルギー基本計画の策定を求めますが、総理の御所見を伺います。
 COP19を目前にした昨年十一月、政府は、二〇二〇年に向けた新目標として温室効果ガスの二〇〇五年度比三・八%削減を決定しました。数字を掲げたことは評価しますが、今後、原発の活用の在り方を含めたエネルギー政策等の検討の進展を踏まえて見直し、確定的な目標設定が必要です。
 折しも今年三月には、IPCC、すなわち国連の気候変動に関する政府間パネルの総会が日本で初めて開催されます。より積極的な取組を示さなければ姿勢が問われます。国益の観点からも、温暖化対策における日本の発言力を低下することのないよう、政府として今後どのような具体策を打ち出そうとしているのか、総理の答弁を求めます。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、今年は本格的な助走開始となります。国民の支持と理解の下に招致できたオリンピック・パラリンピックは、東京だけの五輪ではなく、オールジャパンで取り組み、また、その効果もオールジャパンで享受できるようにすべきと考えます。
 しかしながら、東京五輪によって東京一極集中が更に加速するのではないかとの懸念の声もあります。それを受けて、下村五輪担当大臣は、道府県ごとに国や競技を割り振り、各地で合宿の受入れや予選を実施するとの考えを示されました。地方に確実に効果を波及させるために、観光資源の活用も含めて、具体的にどのように取り組まれるのか、総理の明確な答弁を求めます。
 参議院選挙の一票の格差をめぐっては、違憲状態、違憲など十五件の高裁判決が下されました。さらに、最高裁の判決が出ると予想される中、立法府として、司法の判断を踏まえ、投票価値の平等の実現に向けて結論を出していく責務を負っていることを忘れてはなりません。
 公職選挙法の附則には、平成二十八年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、結論を得るものとすると明記されています。国民への周知期間なども考慮すれば、もはや猶予はありません。参議院は、より民意を反映できる選挙制度の実現に全力で取り組んでまいります。
 最後に一言申し上げます。
 公明党は、今年、結党五十周年という節目を迎えます。大衆とともにとの立党精神に立脚し、国民の幸福を願い、国の安泰、世界の平和を実現していくという公明党の基本的な目標は今後も変わりません。この間、御理解と御支援をいただいた国民の皆様、切磋琢磨と協力の機会をいただいた各政党、各会派並びに先輩、同僚の議員諸兄の皆様に深く感謝申し上げます。
 節目に当たり、五十年の歴史を振り返りながら、結党の意義とその後の日本の政治史に果たした役割を再確認し、国民の期待に応えていく決意を新たにしております。
 その上で、安倍総理におかれましては、この連立政権の風雪に耐えた経験と与党それぞれの持ち味を生かして、政治課題の優先順位を整え、幅広い合意形成に努め、国民の期待に応えていかれることを切に願いまして、私の質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えいたします。
 経済の好循環実現への政府の役割と決意についてのお尋ねがありました。
 日本経済の再生にとって今年は正念場の年となります。ただいまの山口議員からの御指摘を十分に踏まえ、今後とも、政府・与党一丸となって取り組んでまいります。
 御指摘のように、我が国経済が持続的な成長を確保するためには、企業収益の拡大を速やかに賃金上昇につなげ、これを個人消費の増加につなげる経済の好循環を実現していくことが重要であります。このため、来年度税制改正において、所得拡大促進税制の拡充等の思い切った税制措置を講ずるとともに、政労使会議において、政労使の三者が行うべき取組を共通認識として取りまとめました。
 今後、好循環の実現に向けた環境整備に引き続き全力で取り組み、その成果をしっかりと確認してまいります。特に、賃上げ状況のフォローアップについては、大企業から中小企業まで幅広く調査を行い、その結果を適切な形で公表することにしています。
 また、消費税率引上げの中小企業への影響を抑えるため、消費税の円滑かつ適正な転嫁等を確保することが重要です。今後も、転嫁拒否等に対する監視、取締りや、事業者等に対する指導、周知徹底等に努め、政府一丸となって万全の転嫁対策を講じてまいります。
 政府としては、こうした取組により経済の好循環を実現し、景気回復の実感を全国津々浦々まで届けてまいります。
 女性、若者、高齢者支援や雇用制度の在り方に関するお尋ねがありました。
 安倍内閣としては、若者も女性も高齢者も難病や障害のある方も、働きたいと希望するあらゆる人が社会で活躍し、その可能性を発揮できるチャンスをつくっていくことが少子高齢化社会の下での力強い成長にもつながるものと考えています。
 全員参加の社会に向けて、仕事と育児の両立支援、非正規から正規へのキャリアアップ支援、高齢者への就業機会の提供を始め、取り組むべき課題は多岐にわたりますが、山口議員からいただいた御提言をしっかり踏まえ、今後とも、政府・与党一体となって一つ一つ政策を前に進めてまいります。
 また、現在検討中の労働者派遣制度や労働時間制度などの見直しは、ワーク・ライフ・バランスの確保や多様な働き方の実現に資するよう適切に進めてまいります。
 復興の加速に対する決意についてお尋ねがありました。
 東日本大震災からの復興は、安倍内閣の最重要課題の一つです。これまで御党から三次にわたり貴重な御意見をいただくなど、政府・与党一丸となって復興の加速化に取り組んでまいりました。
 一年半前、見通しすらなかった高台移転や災害公営住宅の建設は、六割を超える事業が開始しました。瓦れき処理も三月末までに宮城、岩手で完了する見込みです。復興は着実に進展しております。
 今年は、地震、津波からの復興では住宅再建等の工事が本格化し、また、福島の復興再生では早期帰還や長期避難者の生活拠点の整備に向けた各種事業が本格化するなど、御指摘のように大変重要な一年となります。
 今後とも、復興のステージが上がるたびに見えてくる課題についても、現場の声を伺いながらきめ細やかに対応していくなど、被災者の方々が一日も早く普通の生活に戻れるよう全力を尽くしてまいります。
 福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水問題、風評被害への対策についてのお尋ねがありました。
 廃炉・汚染水対策については、中長期ロードマップや昨年九月に決定した基本方針に加え、これらの対策が十分に機能しなかった場合に備えた予防的かつ重層的な対策として昨年十二月に追加対策を決定しました。これらを基に、全体の進捗管理、技術的難易度が高い取組への財政措置、世界の英知の結集、国内外への情報発信等を政府が一丸となって進めていきます。
 風評被害対策については、放射性物質検査の確実な実施や正確で分かりやすい情報提供が特に重要と認識しています。引き続き、政府一体となって風評被害の克服に取り組んでまいります。
 国土強靱化基本法を踏まえた強靱な国土形成の進め方や自治体への支援についてお尋ねがありました。
 東日本大震災が発生し、また、首都直下地震や南海トラフ地震の発生が懸念される中、国土強靱化は我が国にとって焦眉の急であります。その推進に当たっては、御指摘のように、自治体が脆弱性評価をしっかりと行うことが重要であるため、今夏を目途に自治体向けの脆弱性評価のガイドラインを策定し、技術的なサポートを行ってまいります。その上で、ハードとソフトを組み合わせながら優先順位を付けて災害に強い国づくりを計画的に進めてまいります。
 インド及びアジア諸国との協力関係の強化についてお尋ねがありました。
 先般、山口代表がインドを訪問され、その直後、日本の首相として初めてインドの共和国記念日の主賓として招かれ、インドを訪問しました。シン首相との間で、政治・安全保障及び経済・経済協力関係を含む幅広い分野において、戦略的グローバルパートナーシップを更に強化していくことに合意しました。
 また、昨年は、総理に就任して一年以内にASEAN十か国を全て歴訪し、年末には日・ASEAN特別首脳会談を東京で開催し、日・ASEAN関係を新たな次元に高めました。
 自由、民主主義、人権、法の支配などの基本的価値を共有するインド及びASEAN諸国との協力関係を一層強化してまいります。同時に、東アジア首脳会議やASEAN地域フォーラムといった多国間の枠組みも活用し、対話を通じて地域の平和と安定に積極的に貢献してまいります。
 武器輸出三原則等についてのお尋ねがありました。
 武器輸出三原則等については、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を維持しつつ、国際社会の平和と安定に貢献していく中で一定の役割を果たしてきたと考えています。
 国家安全保障戦略においては、与党間の議論も踏まえ、国際協調主義に基づく積極的平和主義の観点から、武器等の海外移転に関し、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定めることとしています。
 政府としては、国家安全保障戦略に従い、武器等の海外移転に関する新たな原則の策定を検討しているところですが、同原則等がこれまで果たしてきた役割にも十分配意した上で、移転を禁止する場合の明確化、そして、移転を認め得る場合の限定及び厳格審査、目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保等に留意しつつ、十分な検討、調査を行い、具体的に定めていく方針です。いずれにせよ、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念は維持してまいります。
 核兵器のない世界の構築についてのお尋ねがありました。
 核兵器使用の悲惨さを最もよく知る唯一の被爆国として、核兵器のない世界に向けて国際社会をリードしていくことは我が国の道義的義務であります。この観点から、政府は、今年四月に広島で軍縮・不拡散イニシアティブ外相会合を開催します。この会合において、政府としては、核兵器のない世界の構築に向けた取組を加速化させるための有益な提案を積極的に行ってまいります。
 武器貿易条約についてのお尋ねがありました。
 武器貿易条約は、通常兵器の国際貿易を規制するための初めての普遍的な条約です。武器貿易条約の実効性を高めるためには、主要な武器輸出国を始め、可能な限り多くの国が締結することが重要であります。我が国は、この条約の作成を一貫して推進してきており、早期の締結を目指すとともに、関係国とも連携しつつ、全ての未締結国に対して早期の署名及び締結を働きかけていく考えであります。
 教育委員会制度の見直しについてのお尋ねがありました。
 昨年四月の教育再生実行会議の提言においては、教育長を地方教育行政の責任者と明確に位置付けるとともに、教育の政治的中立性や継続性、安定性を確保するための制度上の措置を講ずるとされています。この提言等を踏まえ、責任の所在を明確化し、子供の生命、身体を保護する緊急の必要がある場合にも迅速に対応できるようにするなど、与党の御意見もいただきながら、教育委員会制度を抜本的に改革してまいります。
 道徳教育を特別の教科と位置付けることについてのお尋ねがありました。
 道徳教育については、公共の精神や豊かな人間性を培うため、特別の教科として位置付け、今後の時代に求められる道徳教育の実現を目指すものであります。今後、道徳教育の現状を踏まえ、道徳教育に関わる方々の御意見も伺いながら、その具体的な在り方について適切に検討してまいります。
 エネルギー基本計画の策定についてお尋ねがありました。
 エネルギー基本計画の策定に当たっては、御指摘のとおり、エネルギーをめぐる数々の課題を直視し、国民生活と経済活動を支える責任あるエネルギー政策の構築を目指すということが重要であります。この際、徹底した省エネルギー社会の実現と、再生可能エネルギーの最大限の導入や、火力発電の高効率化等の推進によって原発依存度は可能な限り低減するというのが基本方針です。これは、自民党・公明党連立政権合意を踏まえた一貫した方針であります。こうした方針の下、御指摘の様々な課題について、公明党の御意見も踏まえ、与党としっかり調整した上でエネルギー基本計画を決定してまいります。
 地球温暖化対策についてお尋ねがありました。
 我が国の二〇二〇年削減目標については、エネルギー政策及びエネルギーミックスの検討の進展を踏まえて見直し、確定的な目標を設定いたします。
 美しい地球を次世代の子供たちに残すことは、今を生きる私たちの責任であります。このため、国内においては、既に世界最高レベルにあるエネルギー効率を更に二〇%改善する徹底した省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの最大限の導入等を始めとして、地球温暖化対策をしっかりと推進してまいります。
 また、技術革新、技術の海外展開、途上国支援を三つの柱とする攻めの地球温暖化外交戦略を着実に実施することを通じて、我が国の優れた低炭素技術を生かして、世界の温暖化防止に積極的な役割を果たしてまいります。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会についてのお尋ねがありました。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、東京のみならず、日本全体の祭典であり、日本全体が活力を取り戻す弾みとなるようなものとしたいと考えております。
 今後、日本各地の豊かな地域資源を積極的に活用しつつ、諸外国チームによる事前合宿やスポーツ・文化イベントの実施などを通じ、日本全体に効果が波及するよう、大会組織委員会と連携し、しっかりと取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(太田昭宏君) 地方自治体に対するインフラ老朽化対策の支援についてお尋ねがありました。
 地方自治体は、多くのインフラを管理する一方で、財政力や技術力、人員等の体制が厳しい状況にあるため、国が老朽化対策を支援することが重要と認識し、この一年間、諸施策を講じてまいりました。
 まず、点検につきましては、トンネルなどの緊急点検を昨年七月までにおおむね終え、そのほかの施設の集中点検についても、本年度末までを目標として進めているところであります。
 財政面の支援では、昨年度に防災・安全交付金を創設したところであり、地方自治体で活用が進んでいるところであります。
 また、技術面では、維持管理に係る基準やマニュアルを整備して提供するとともに、相談窓口を地方整備局に設置し、助言を実施しているところであります。人材育成についても、地方自治体職員向け研修の充実を図っております。
 今後は、これらの支援を充実するとともに、計画的な長寿命化を進めるため、本年春頃までに国土交通省のインフラ長寿命化計画を取りまとめてお示しする予定であり、各地方自治体で老朽化対策が進むよう支援していきたいと考えております。
 次に、マンションの建て替え促進についてお尋ねがございました。
 南海トラフの巨大地震や首都直下地震等の発生が切迫している中で、防災・減災対策として、耐震性が不足している老朽化マンションの建て替えを促進していく必要があります。
 このため、老朽化マンションの建て替えについて、容積率の緩和や、区分所有者の五分の四以上の賛成でマンションと敷地を売却できる制度の創設などを内容といたしますマンション建替え法改正案を今国会に提出する予定としております。また、建て替えの工事費に対する助成や、マンション売却の譲渡益に対する課税の軽減など、予算、税制の支援措置も拡大することとしています。これらにより、区分所有者を始めとする権利者間の合意形成を円滑化し、老朽化マンションの建て替えを促進してまいります。
 以上です。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(山崎正昭君) 松田公太君。
   〔松田公太君登壇、拍手〕
#10
○松田公太君 みんなの党の松田公太です。
 初めて施政方針演説に対して質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 どんな仕事をするに当たっても、重要なのは基本理念であり、それを実現するための目的、目標の設定だと思っています。経営者でも、従業員でも、スポーツ選手でも、アーティストでも、医療従事者でも、弁護士でも、それを見失っては、どんなに収入が高くても、どんなに地位や名声を得られようとも、新しい価値を創造したり、ソーシャルイノベーティブな成果を上げたりすることはできないと思います。特に政治家にとっては何よりも大切にするべきものです。
 私事で恐縮ですが、出馬を決意したときに手帳に書き記した基本理念は、子供が夢を持ち、大人が挑戦し、お年寄りが活躍し、企業が成長し、世界中から人々が集まる安全、安心な国を築くというものでした。これはもちろん、今でも変わっていません。総理も演説の中で、国会議員になったときの熱い初心を大切にとおっしゃっていましたが、私も、本日は初心と理念に沿った形で御質問をさせていただきたいと思います。
 本日、最初に確認させていただきたいのが、安倍総理の基本理念です。
 私が初めて「美しい国、日本」を聞いたのは二〇〇六年頃だったと記憶していますが、総理は、それ以降も変えずに理念として掲げられています。是非、その意味をもう一度、現状と照らし合わせてお聞かせ願えないでしょうか。
 総理のウエブサイトを拝見しますと、「美しい国、日本」の簡潔な説明文がトップページ、全てのスライド画像に記載されております。「日本は美しい自然に恵まれた、長い歴史と伝統、独自の文化をもつ国です。日本人であることを卑下するより、誇りに思い、未来を切り拓くために語り合おうではありませんか。」。
 私が気になってしまったのは、「日本人であることを卑下するより」という部分です。果たして日本人は自分たちのことを卑下しているのでしょうか。私はそうは思いません。むしろ、日本人の心の中には、日本人はすばらしく、日本は最高の国だという気持ちが従来からしっかりと根付いていると思います。
 今の時代、ウエブサイトは大変重要です。安倍総理のサイトは、各国政府を始め、世界中からアクセスがあると思います。日本人であることを卑下するのはやめようというメッセージは、英訳されると、We should stop disparaging ourselvesとなります。これを国の最高責任者の総理大臣が言うと、まるで日本国民全員が自分たちに誇りを持てない、自信を失った人種であり、それを払拭するために、これからは雄々しさを前面に出して他国と対峙していくぞと言っているようなイメージを与えてしまいます。
 安倍総理は、今世界で最も注目をされている首相の一人だと言っても過言ではありません。総理就任から一年で多くの国を訪問され、直近でもダボス会議とインドに行かれています。私もダボス会議に参加させていただいたことがありますが、今年は日本に対する期待感が今までと全く違ったと聞いております。しかし、欧米のメディアが多い記者会見で、わざわざ第一次世界大戦の英独の話を出し、要らぬ誤解を招いてしまったのも事実です。通訳の間違いであったとしても、そのようなセンシティブな話をするのであれば、ミスがないように用意周到に挑まなければなりません。安倍総理の注目度が高まれば高まるほど、細かい言動に注意が必要となるのです。是非今後お気を付けいただきたいと思います。
 そういう観点からのお願いですが、安倍総理のウエブサイトの文面を何か違う、もっと日本のすばらしさをアピールできるようなものに変えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
 人としての理念に、国として該当するのは憲法です。安倍総理は、第一次内閣のときから変わらず、憲法改正に積極的です。戦後七十年、私も、現在に沿わない部分は改正したり、解釈を変えたりする必要はあると思っています。
 御自身の理念、「美しい国、日本」を実現するために、安倍総理は、憲法各条項のうち、どの部分を最も変える、あるいは新設する必要があるとお考えですか。改正手続を定めた九十六条以外で具体的な条文を一つ挙げてお答えください。
 さて、冒頭に申し上げました私個人の理念と目的は、みんなの党が結党来大切にしてきた基本理念と合致するものです。それを実現するためには、地域主権型道州制の導入により国家モデルの転換を図る必要があります。
 安倍総理は、第一次政権において道州制担当大臣を初めて導入された方でもあり、現在もそれを復活されています。さきの衆院選の公約には、道州制基本法の制定後五年以内に道州制の導入を目指すとありますが、その基本法を今国会で成立してほしいという声も多くの首長から上がっております。安倍総理は、いつまでに基本法を成立させたいとお考えか、そのためにどのようなアクションを取る御予定か、お聞かせください。
 国民が真に政治の主体となる前提として、それぞれの投票価値が平等である必要があります。二〇一一年の最高裁違憲判決を踏まえ、昨年の六月に衆議院小選挙区の区割り改正法が成立しましたが、いまだ一票の格差は二倍を超えています。このような状況が国民の権利を毀損しているのは明白ですが、立法者である国会議員自身の利権に直結するため、改革はなかなか進みません。これは国民の代表として恥ずべき状況だと思います。
 みんなの党は、道州制のブロックにも連動できる一人一票・全国集計の比例代表制を提言し続けていますが、安倍総理にも是非御検討いただき、一日でも早く格差是正を実現していただきたいと考えますが、御所見をお聞かせください。
 国会議員の利権ということで忘れてはならないのが定数削減問題です。政権交代が起こった二〇一二年十二月の衆院選、解散の前提として自公民で大幅な削減の約束をしたはずです。議論は全く進んでいません。これは、国民に負担を課す消費税増税に対して、自分たちも身を切る意味合いがあったわけですが、本当に実現したいと考えているのか、どの程度の削減をいつまでにとお考えか、お答えください。
 さて、道州制が実現された暁には、国の役割は外交、防衛、金融政策、社会保障などに限定されます。国会の役割は必然的に変容し、今以上に迅速な意思決定が望まれ、スリム化も求められるでしょう。その結果、現在の二院制を維持する必要性は薄れるため、一院制に移行するべきだと思います。また、国民の意見をより反映するため、首相公選制を取り入れるべきだと考えます。このような道州制導入後の国家像について、安倍総理はどのようなビジョンをお持ちか、お聞かせください。
 国民の意見を反映するという意味において、今国会で実現するべきは国民投票法の改正です。これからの日本を担う若者の意見をより国政に反映させるため、選挙権も十八歳以上とするべきです。また、みんなの党では、原発の存続に国民の意思を取り入れるため、原発国民投票法案を提出していますが、国民投票の対象を憲法改正以外にも広げるべきだと思っています。安倍総理の御所見をお聞かせください。
 安倍総理が最も意欲的だと思われるのが、集団的自衛権に関する解釈改憲です。これはまさに国家の根本に関わる問題で、徹底的な議論が必要です。この点で思い出されるのが、さきの臨時国会で通過した特定秘密保護法。みんなの党は、国民の不安を少しでも払拭できるよう、与党と修正協議を行い、衆議院では賛成いたしました。しかし、参議院では、余りにも拙速な国会運営が行われ、審議時間も衆院の半分以下だったことから、採決を棄権しました。
 現在、四月に見込まれている安保法制懇の報告を受けて解釈変更の閣議決定がなされるのではないかと報じられていますが、内閣として確定した結論を出す前に国民的議論を含めた丁寧な審議が不可欠です。特定秘密保護法のときと同じ轍を踏むようなことがあってはならず、しっかりとした手続が必要です。この点に関する安倍総理の御所見をお聞かせください。
 さて、言うまでもなく、国の未来は子供たちや若者に懸かっています。安倍総理の、使える英語を身に付けることや留学生の増加など、基本的な方針には賛同いたします。そして、国際的な学力調査の結果が上昇しているのも喜ばしいことです。しかし、心配もあります。
 例えば、PISA二〇一二の数学的リテラシー。結果はOECD平均より高く、全体七位という好成績です。しかし、数学に対する興味、関心や楽しみなどのアンケート結果はOECD平均を下回っています。成績はいいけれども、受験のために仕方がなく勉強しているだけだということが表れています。
 また、電通の調査によると、高校生がなりたい職業の一位は公務員、二位は大企業の正社員となっています。もちろん、公務員も日本のためにという誇り高い仕事ですし、大企業の正社員はやりがいのある仕事です。しかし、高校生たちは本当に明確な夢や目標を持ってこのような回答をしたのでしょうか。
 これからの教育行政は、高い基礎学力をベースに、子供たちが未来に夢を持ち、自分たちで道を切り開いていくための教育にするべきではないでしょうか。つまり、起業家などによるグループワークや、金融やプログラマーなどの高度専門職による授業など、自立し、イノベーションを起こす楽しみを伝える授業を徹底して増やしていくべきです。
 我が国の教育の更なる課題と今後の教育行政の方針についての御所見をお聞かせください。
 自国の歴史を知ることは、アイデンティティー確立のため、そして世界に出るためにも必要です。私は、海外で過ごした青年期、同年代の日本人が歴史認識を語れず、一方的に他国の同年代に論破されるのを見てきました。それが、今世界各国に草の根的に広げられている日本への誤解にもつながっているのだと思います。
 私は、何も一方的な歴史観を教育するべきだと言っているわけではありません。歴史認識は各人それぞれの自由な発想で養われるべきものだと思いますが、少なくともそのベースとなる知識がないと、その考えのスタートラインに立つこともできないのです。これでは世界で一方的に歪曲した話が広げられても止めようがありません。私も日本史の高校での必修化は前向きに検討すべきだと考えます。
 そして、それに当たっては、近現代史から履修するのがよいのではないかと思います。現代の日本を取り巻く国際関係で、その直接的な基礎となっている出来事は、多くがこの二百年で起きたことです。先史時代から始めてしまうと、その重要な部分について必ずしも十分な時間が取れないおそれがあります。この点につき、安倍総理の御所見を伺います。
 就業率を上げることが日本の未来を明るいものにします。政府の雇用制度改革、人材力の強化には基本的に賛同いたします。しかし、政府案には、就職相談、職業訓練、職業紹介を一貫してバックアップするといった観点がなく、就業率のアップは余り期待できません。
 解雇規制緩和のためにも、ハローワークを地方に移管し、地元のニーズに応じたきめ細やかな就職相談と職業紹介を可能にするべきです。また、これらと職業訓練を地方自治体が一体として行い、雇用、再就職に関する一貫したサービスを提供するべきだと思いますが、安倍総理はどのようにお考えでしょうか。
 安倍総理は、女性の活躍を強調しておいでです。演説でも、二〇二〇年には、あらゆる分野で指導的地位の三割以上が女性となる社会を目指しますとおっしゃいました。現在、安倍内閣の閣僚は十九名ですが、そのうち女性は二名しかおらず、約一割です。女性閣僚は指導的地位の女性の最たるものであり、国内外全体のイメージを変えていくことに寄与します。まず隗より始めよとおっしゃるのであれば、次の内閣改造では女性閣僚の割合を三割以上にするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 施政方針演説を聞いて、安倍総理は少子高齢化をあらがえないものとして受け入れてしまっているように感じました。しかし、それでは美しい国はつくれません。子供が減れば国は弱体化してしまい、経済も、社会保障も、文化の発信力も下がってしまうのは明確です。私は、少子高齢化の対策で守りに入るのではなく、徹底的な多子化の政策で攻めに転じるべきだと思います。日本の出生率は一・三九で、百九十四か国中百七十九位と最も低い水準です。これを少なくとも人口維持に必要とされる二・〇八にしなくてはなりません。
 具体的には、フランスでの思い切った傾斜配分による児童手当や、スウェーデンで実施されている手当支給額低下を防ぐスピードプレミアムなどの成功例を日本でも参考にするべきです。また、保育園への株式会社参入や男性育休制度の充実による両立支援も徹底的に行うべきです。
 安倍総理には、少子高齢化対策ではなく多子化政策を打ち出していただきたいと思いますが、具体的な政策をお聞かせください。
 二〇二〇年には三人に一人が六十五歳以上になると言われている我が国において、シニア世代のライフスタイルをどう描くかが重要となります。私の父は、今年で八十一歳になりますが、大手の漁業会社を退職後、現在は築地にある小さな会社に勤め、若手を育成しながら年間何度も海外出張をこなしています。
 仕事をし、社会で働くことがお年寄りにとって健康の秘訣にもなります。シニア世代には、それまでの人生で培った経験を企業活動やベンチャーの育成に存分に発揮していただきたいと思います。創業に関して言えば、既に政策金融公庫がシルバー人材向けの創業融資を行っておりますが、資金供給という点では、直接金融を促進するべきです。みんなの党では、シルバー人材向けの投資に優遇措置を設けるシニア・セカンドチャンス税制を創設すべきだと提案しています。
 世界で最も高齢化率が高くなってしまった我が国の動向を世界も注目していますが、総理の言う元気で経験豊富な高齢者が社会で活躍するチャンスをつくるために、具体的にどのような新しい施策をお考えでしょうか。
 安倍総理が目指す経済の好循環は、まさしくみんなの党が提言してきたことです。そのスタートラインとなるのが言うまでもなく企業活動の活性化と収益拡大であり、それを促すのが規制改革です。
 安倍総理は、岩盤規制の打破という言葉をよく使われますが、政権発足後の一年間を見ると、何度か機会がありながらも十分に実行できていないとの印象を持たざるを得ません。例えば、国家戦略特区の目玉と言われた雇用規制改革や薬事法の改正によるネット販売の全面解禁、これらは利害関係者の激しい抵抗により貫徹できませんでした。
 結党以来、規制改革を訴えてきた我が党からすれば、是非安倍総理には、もう一歩も二歩も踏み込んでいただきたいと思っております。その踏み込みを邪魔するのは誰なのか、岩盤規制の岩盤はどこにあるのか、利権団体や官僚組織の中にあるのは言わずもがな、最も固い岩盤は自民党の中にあるのではないでしょうか。
 過去、多くの自民党政権が規制改革を訴えてきましたが、十分な成果は得られませんでした。なぜ安倍総理ならばそれができると思われているのでしょうか。過去の政権との違いを教えてください。また、施政方針演説では岩盤規制という表現を避けられたようですが、それを打ち破る覚悟のほどを御自身のお言葉でお答えください。
 経済を真に好循環に乗せたいと思うのであれば、企業の新陳代謝、つまりベンチャー企業の発展が必要不可欠です。さきの国会は、成長戦略実行国会と位置付け、その柱として産業競争力強化法を出されましたが、認定ベンチャーファンドへ出資する企業への税制措置や企業実証特例制度など、大企業偏重の政策であると感じざるを得ませんでした。今国会の法案においても、ベンチャー企業を促進する施策が余りにも少ないと思います。
 安倍総理は、開業率を現在の五%弱から倍以上の一〇%以上にするという発表をされています。国家再興戦略の工程表を見ますと、具体的に期限を定めているものもありますが、開業率に関しては期限が明示されておりません。総理は、一〇%の目標の達成時期をいつまでとお考えなのか、また、どうやって達成しようとしているのか、本件についてはPDCAのCとAを使って御説明ください。
 安倍総理は、参議院選挙の選挙公約で法人税の大胆な引下げの実行を掲げ、ダボス会議においては異次元の税制措置を断行しますと述べられ、法人税減税についてかなり踏み込んだ発言をされました。それにもかかわらず、先日の施政方針演説では復興法人税の廃止に言及したのみです。安倍総理は本気で法人税を下げたいと思っているのでしょうか。
 日本を魅力的な立地にし、世界から法人を呼び込むためにも、また、流出を防ぐためにも、法人税実効税率はほかのアジア主要国と戦えるレベルに下げなければなりません。私には起業家、経営者の知人が多いですが、海外への移転を考えている人も、二〇%になれば間違いなく思いとどまります。安倍総理は、国際相場に照らした競争的な税率は何%だと思われますか。また、設備投資へ振り向かせるための異次元の税制措置と言うならば、選択制の複雑な減税措置より、みんなの党がかねてから提言してきた自由償却制度を導入するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 安全、安心といったとき、地震大国である我が国でまず課題として検討しなければならないのが首都直下型地震です。それこそ、オリンピック一週間前に起きるという事態も想定しなくてはなりません。
 私自身、東日本大震災後には何度も被災地に入りましたが、そこで痛感したのが緊急時を想定した法整備の不備です。例えば、道路に放置車両があって緊急車両の通行が困難であっても、所有権の関係から簡単に撤去はできませんでした。
 安倍政権下の防災対策は、国土強靱化計画に沿った、どちらかというと物理的なインフラ整備がメーンです。また、一つ一つの法律を作るのもよいかもしれませんが、全ての事態を想定するのは無理でしょう。みんなの党は、この問題を根底から考え、憲法に非常事態法制の明記をすることを提言していますが、安倍総理の御所見をお聞かせください。
 補正予算五・五兆円の内訳を見ると、一兆円以上が公共事業に充てられています。このアベノミクスの二本目の矢、何度も放たれておりますが、二本目の矢は一体何本あるのでしょうか。しかも、本来当てなくてはいけない的を通り抜けて遠くへ飛んでいってしまっています。つまり、年度内に執行不能な予算が多く紛れ込んでいるのです。矢を後でこっそり拾い、保存しようとお考えだと思いますが、来期への繰越しは幾らぐらいになりそうなのか、お答えください。また、このような会計年度独立の原則に反する行為は慎むべきだと思いますが、御所見を伺います。
 今年の四月から消費税が八%になります。また、安倍総理は、来年十月に予定されている一〇%への引上げの可否について、年末に公表される七月から九月のGDPを判断材料としつつ、今年中に決断するとおっしゃっています。
 みんなの党は、増税の前にやるべきことがあるという信念の下、デフレの脱却や消費の回復が実現するまでは増税をするべきではないと主張してきました。一〇%への引上げの判断は、GDPの数値だけでなく、消費税転嫁の状況などもしっかりと踏まえなければなりません。転嫁状況の調査、時期においては法令でも定められておらず、半年やそこらで正しく把握できるとは思えません。
 総理は転嫁状況の判断をいつ行うおつもりでしょうか。また、この場で、コアコアCPIが弱い状態であれば消費税増税はしないと表明された方が景気全体へのプラス効果があると思いますが、いかがでしょうか。
 膨張を続ける社会保障費。ついに二十六年度予算案で初めて三十兆円を超えてしまいました。いかにしてこの膨らみ続けるコストを抑制するのかが喫緊の課題です。しかし、財政健全化に責任を持つ財務省の改革意識にはまだ危機感というものが感じられません。昨年、マイナンバー法が成立しました。これで税と社会保障を一元管理する前提が整ったわけですから、歳入庁の設置に前向きになり、十兆円とも試算される各種社会保険料の徴収漏れを解消するために前進するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 公務員制度改革について、施政方針演説には一行しかありませんでした。
 安倍総理、この七年で改革についての情熱を失ってしまったのでしょうか。いま一度、国家公務員制度改革について安倍総理のお考えと決意をお伺いしたいと思います。
 安全、安心の前提となる外交・防衛を考える上で、最も国民が心配していることは中国と韓国との関係でしょう。その発端の一つが尖閣や竹島の問題です。特に竹島は、我が国の領土でありながら韓国に実効支配されております。先送りを続ければますます既成事実化してしまいます。早急に実効性のある手段を講ずべきです。政府は、国際司法裁判所への単独提訴を検討されていたはずですが、全く進展がありません。今後、提訴されるのか否か、教えてください。
 みんなの党の日米同盟基軸という立場は安倍政権と同じです。しかし、地域住民の民意を無視するべきではありません。国家の専権事項であっても、住民の意見とは十分に向き合う必要があります。
 普天間基地の移設は、米国との関係も考慮した上で、解決を早く目指したいという考えもあるのでしょうが、米国フロリダでも、一旦閉鎖した空軍施設に約二百五十機のF18戦闘機を新たに受け入れるという計画が、住民投票の結果、白紙に戻ったという事例もあります。是非政府には、名護市の住民と丁寧なお話をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 私も招致議連の一員でしたが、パラリンピック・オリンピックが日本に決まったことは大変喜ばしいことです。しかし、それを獲得するための最後のプレゼンで、安倍総理は、私から保証します、状況はアンダーコントロールですと発言されました。もう既に発してしまった言葉なので、今更その意味やアンダーコントロールの定義で議論をしても仕方がないと思いますが、少なくとも世界に伝わったメッセージどおりの状態に福島原発とその周辺地域をして、パラリンピック・オリンピックを迎えることが我々の責務だと思います。その具体策については後ほど質問をさせていただきますが、まずはどのようなビジョンをお持ちか、お聞きしたいと思います。
 総理は今回の演説で、その舞台は日本全体の祭典でありますとおっしゃいました。私もそのとおりだと思います。特に、福島や東北の復興につなげるために、現在計画されている札幌、宮城、埼玉、横浜スタジアムに加え、サッカーの予選は二〇一八年に返還される予定のJヴィレッジでも行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、現在の計画よりもほかの地域の割合も増やすべきだと思いますが、併せてお答えください。
 パラリンピックという言葉が命名されたのは一九六四年の東京オリンピックです。私は、二〇二〇年の東京からもう一度新しい形を模索するべきだと思います。これも安倍総理が演説で話されたとおり、二〇二〇年のパラリンピックを通じて、日本を障害者の皆さんにとって世界で最も生き生きと生活できる国にしなければなりません。
 それを具現化するために、私は、二〇二〇年の東京から、パラリンピックを先に開催する大会にするべきだと思っています。それによって意識が変わり、まずは障害を持つ方々の目線で設備やオペレーション、そしてボランティアの流れを考えるようになり、町づくりも公共投資の在り方も全てが変わってくると思います。既にIOCに提示してあるスケジュールはありますが、安倍総理にリーダーシップを発揮して交渉していただければ実現の可能性は十分にあると思います。是非ともお考えいただきたいのですが、いかがでしょうか。
 都知事選でも大きな争点となっている原発。現在、都の方針だけではなく、国がどう考えるのかも焦点となっています。すなわち、昨年十二月に経産省が提出したエネルギー基本計画案をどうするかの問題です。計画案は一月中に閣議決定するはずが、議論は止まっており、その後の動きがありません。あたかも都知事選で原発が争点化することを避けるために先送りしているかのような印象を受けます。
 自民党は、直近二回の選挙を見ても、TPP、再除染の問題、年金制度の議論など、争点化すると自分たちには不利になってしまうものについては選挙後に先送りするという後出しじゃんけんのようなことを行ってきました。都知事選も同じ方針で乗り切ろうというお考えではないですよね。これだけの議席を誇る政権与党には、もっと正々堂々と国民的議論になっている諸課題と向き合ってほしいと思います。
 安倍総理、都知事選の前に政府としてのエネルギー基本計画をまとめると約束していただけないでしょうか。
 安倍総理は、パラリンピック・オリンピックの決定後、直後に福島に入られ、東電に対し第一原発五号機、六号機の廃炉要請を行いました。マスコミではサプライズのようにも報道されていましたが、訪問の直前には省令により会計基準を変更し、本来ならば廃炉決定時に電力会社が関連費用や損失を一括処理しなくてはならなかったものを、廃炉処分後も減価償却を可能にし、総括原価方式の名の下に国民の電気料金に上乗せをするということを水面下で決めた後の廃炉要請でした。これでは東電を守るために国民と国会を軽視していると言わざるを得ません。
 みんなの党は、三・一一の後、東電の法的整理と発送電の所有権分離、そして新しい電力システムの導入を訴えてきました。残念ながら、さきの国会では政府案である改正電事法が通り、我々の提案であった電力自由化推進法は審議すらしていただけませんでした。しかし、次々と起こる人的ミスや組織の劣化を見るにつけ、もう一度この問題を根底から考え直すべきだと思っています。
 今国会で、みんなの党は、東電の破綻及び原発の国有化に関する法案を提出し、汚染水の漏えいなどで不安が広がっている原発の処理を国が完全に責任を持つ形に変えたいと思っておりまして、安倍総理に真摯に御検討いただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
 目標が明確になれば物すごい力を発揮するのが日本人です。
 ドイツでは二〇二二年までに原発ゼロ、スウェーデンとデンマークでは二〇二〇年までの再生可能エネルギー比率をそれぞれ四九%と三五%、そしてEU全体では二〇%という目標があります。是非日本でも、二〇二〇年を照準にして再生可能エネルギーの比率を二〇%にするなど、明確な、全国民で共有できるような目標を設定していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。是非御所見をお願いします。
 安倍総理は、演説の終わりにアフリカの話をされました。私は四十年前、約五年間、西アフリカで生活をしていたことがあります。今とは比べ物にならないほどの未開の地だったのですが、人々は明るく、物質的な豊かさはなくても、未来を信じて笑顔で生活をしていました。それが現在の力強い成長の原動力になっているのでしょう。
 日本がバブル崩壊後、デフレに突入し、経済が長期低迷をしてからは、国民、特に若者からは笑顔が少なくなったと感じていました。安倍政権になり、みんなの党が結党来提言し続けてきた金融緩和や規制改革が少しずつ現実化するようになり、学生や若者たちと会っても久しぶりに笑顔が増えてきたように感じております。第一歩を踏み出した改革をなお一層推し進めなければなりません。ここで後退するようなことがあれば、また日本は生まれ変わるチャンスを失ってしまうことになります。
 みんなの党は、民間主導の成長国家を実現するために、今まで以上に闘う改革に取り組んでいくことをお誓いして、私の質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#11
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 松田公太議員にお答えいたします。
 「美しい国、日本」とは何かについてお尋ねがありました。
 私が目指す美しい国とは、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自立の精神を大事にする国です。さらに、世界に開かれた国であり、世界から尊敬される国であります。先ほど松田議員の出馬の際の基本理念を伺いながら、重なる点も多いと感じた次第であります。まずは経済の好循環をつくり上げ、頑張る人が報われる社会を実現してまいりたいと考えております。
 私のウエブサイトの表現についてお尋ねがありました。
 私のウエブサイトを御注目いただきましてありがとうございます。御指摘の表現は、日本人が時には自虐的とも思えるほどに自国を卑下して語り過ぎてはいないかとの問題意識に基づくものであります。十年前の高校生に対する意識調査でも、自分の国に誇りを持っていると答えた割合は、米国や中国では七割を超えているにもかかわらず、日本では半数にとどまっております。残念ながら、全ての日本人が、松田議員のように、日本人はすばらしく、日本は最高の国だと考え切れていない現実があります。
 しかし、日本は、美しい自然に恵まれた、長い歴史と伝統、独自の文化を持つ国であり、大きな可能性を秘めています。だから私は、日本人であることを誇りに思い、未来を切り開く方向へと発想を転換すべきだとの思いから御指摘のような表現をした次第であります。
 現実を取り繕うよりも、まずは教育の再生を始め、国内のそうした状況を改めていくことが先決であると考えております。是非松田議員にも御協力いただき、誰もが日本に生まれたことに静かな誇りと自信を持つことができる国を取り戻してまいりたいと考えております。
 憲法改正に向けた具体的な進め方についてのお尋ねがありました。
 自由民主党は、立党以来、憲法改正を主張しており、昨年、二十一世紀にふさわしい、あるべき憲法の姿を、御指摘の九十六条を含め、包括的にかつ具体的に示した憲法改正草案を発表し、広く国民に訴えてまいりました。
 今後、どの条項を重視し、どの条項から改正していくのかは、国民的な議論の深まりや憲法審査会における検討を踏まえ判断されるべきものと考えますが、私としては、しっかりと着実に憲法改正に取り組んでまいる所存であります。
 道州制基本法についてお尋ねがありました。
 道州制の導入については、現在、与党において、基本法案の早期制定を目指し、地方団体との意見交換を行うなど、精力的に議論を行っております。この議論が集約されていくプロセスの中で法案が国会に提出されることになると考えており、今後、政府としても連携を深め、取り組んでまいります。
 一票の格差是正についてのお尋ねがありました。
 一票の格差是正については、昨年十一月の最高裁判決において、平成二十四年の衆議院総選挙の時点では違憲状態との判断がされたものの、その後の〇増五減の区割り改定が一定の評価をされており、現在では違憲状態とされた一票の格差は解消されたものと考えています。
 いずれにせよ、この問題は民主主義制度の根幹に関する事柄であり、今後とも、各党各会派による御議論を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
 議員定数削減についてお尋ねがありました。
 議員の定数に関する問題は、議会政治の根幹に関わる重要な課題であり、与党がリーダーシップを発揮をし、各党各会派と真摯に議論を行い、早期に結論を得ることが大切であると考えております。衆議院の選挙制度改革については、自由民主党から、国会の下に民間有識者による第三者機関を設けることなど、膠着状況を打破するための提案をしております。各党各会派にも御協力をいただき、建設的な議論を進め、国民の負託にしっかりと応えてまいる所存であります。
 道州制導入後の国家像についてのお尋ねがありました。
 道州制の目指す方向は、国の役割を国家の存立の根幹に関わるものなどに集約し強化するとともに、道州は国際競争力を持つ地域経営の主体となり、基礎自治体は住民に直接関わる事務を行う主体となるものであります。道州制の導入は、国の在り方を根底から見直す大きな改革であり、道州制の下における国会の在り方等も含め、国民的な議論を深めていくことが重要と考えております。
 選挙権年齢と国民投票の対象についてのお尋ねがありました。
 選挙権年齢を含む国民投票権年齢などの年齢条項や国民投票の対象範囲の在り方については、これまでも御党を含めて各党各会派で御議論をいただいてきたところ、私としては、与党のリーダーシップにより、議論を加速させ、結論を得てまいりたいと考えております。
 集団的自衛権についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、安全保障の法的基盤を再構築する必要があるとの認識の下、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われており、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えています。
 政府としては、懇談会から報告書が提出された後に対応を検討することとなりますが、懇談会では今後詰めの議論が行われていくこととなっており、まずはしっかりと議論を深めていただきたいと考えています。懇談会においてどういう議論が行われていて、何が課題であり、何を目指しているのかを、国会の場も含め、個別具体的な事例に即して分かりやすく説明し、国民的理解が一層進むよう努力してまいります。
 我が国の教育の更なる課題と今後の教育行政の方針についてお尋ねがありました。
 若者たちに眠っている無限の可能性を引き出す鍵は教育の再生にあると考えます。全ての子供たちに必要な学力を保障するとともに、公共の精神や豊かな人間性を備え、夢を実現する意志を持って自分の道を歩み、グローバルに活躍できる人材を育んでいくことができるよう、子供たちの意欲や好奇心を引き出し、その能力を存分に伸ばす教育の実現を図ってまいります。
 高等学校における日本史の必修化についてお尋ねがありました。
 高等学校における日本史の必修化については、日本人としてのアイデンティティー、日本の歴史と文化に対する教養などを備え、グローバルに活躍できる人材を育成する観点から、近現代史の扱いも含め、より望ましい在り方について今後検討を進めてまいります。
 ハローワークの地方移管についてお尋ねがありました。
 地方の実情に応じた雇用対策を効果的に進めるためには、国と地方自治体が連携を強化して就職支援を行うことが必要です。こうした観点から、現在、国がハローワークにおいて行う職業紹介と地方自治体が実施する各種相談業務等を一体的に実施するなどの取組を進めているところです。こうした取組を更に進めるとともに、その成果と課題を検証しながら、御指摘の権限移譲などについても引き続き検討してまいります。
 女性閣僚登用についてお尋ねがありました。
 全ての女性が活躍できる社会をつくる、これが安倍内閣の成長戦略の中核であります。まずは隗より始めよの考えの下、安倍内閣では二名の女性閣僚を登用していますし、自民党の党三役のうち二名、六七%は女性であります。今後とも積極的に女性を登用してまいりたいと思います。
 多子化のための具体的な政策についてのお尋ねがありました。
 我が国における少子化の進展は、国民生活に多大な影響をもたらすものと認識しており、国の未来を担う子供を産み育てやすい国づくりに引き続き全力で取り組んでまいります。
 具体的には、待機児童解消加速化プランの推進や、育児休業給付を半年間五〇%から六七%に引き上げるなど、男女共に仕事と子育てを両立しやすい就業環境の整備を図るとともに、児童手当の第三子以降の加算などの多子世帯への支援を含め、子育て支援を推進し、希望する子供の数を持てる社会の実現に向けて取り組んでまいります。
 元気な高齢者が社会で活躍するチャンスをつくるための施策についてのお尋ねがありました。
 我が国は本格的な高齢社会を迎えております。そのため、国民一人一人の意欲と能力が最大限に発揮できるよう、高齢者が培ってきた知識、経験を生かし、活躍することのできる社会を構築することが必要と考えています。こうした社会の実現に向け、高齢者の雇用環境の整備を行う事業主に対する助成など、高齢者の安定した雇用の確保の推進などの取組を進めてまいります。
 安倍内閣の規制改革への取組についてお尋ねがありました。
 自民党は、政権から降りた三年三か月を経て、国民政党として原点に立ち戻り、確実に生まれ変わったと思います。今回、政権に就いて以来、日本経済の再生に向けて抜本的な構造改革に取り組み、電力市場の自由化や、四十年以上続いた米の生産調整の見直しなど、これまで不可能と思われていた様々な改革を実現してまいりました。
 安倍内閣の規制改革に終わりはありません。総理である私がリーダーシップを発揮をし、引き続き、医療や雇用、農業を始めとする幅広い分野における思い切った規制改革を進めるとともに、国家戦略特区、企業実証特例制度等により、戦略地域単位、企業単位、全国単位の三層構造で更なる規制改革を断行してまいります。
 開業率の達成時期やPDCAについてのお尋ねがありました。
 成長戦略の実現に向けては新事業の創出が重要です。開業率一〇%台という目標の達成時期については、政府の施策だけではなく、社会の意識改革も大きく影響するため、あらかじめ期限を決めているものではありません。
 日本再興戦略では、今後五年間を緊急構造改革期間と位置付けており、まずは、今後三年間の産業競争力の強化に関する実行計画に基づき、着実に施策を実行してまいります。
 具体的には、政府一丸となって、起業に対する意識の変革、起業家に資金や経営ノウハウを提供する仕組みづくりなど様々な改革に取り組み、できる限り早く目標を達成してまいりたいと考えております。さらに、今後、産業競争力強化法に基づき、少なくとも毎年度一回はこの実行計画の進捗状況を確認し、必要に応じて追加的な対策も取ってまいります。
 法人税率の水準及び自由償却制度についてのお尋ねがありました。
 二十六年度税制改正においては、賃上げにつなげるきっかけとするため、復興特別法人税を一年前倒して廃止することとしており、これにより、国、地方を合わせた法人税率は二・四%下がることとなりました。
 本年は、更なる法人課税改革に着手いたします。その検討に当たっては、与党での御議論も踏まえつつ、グローバルな経済の中での競争力等も考えながら、法人実効税率の在り方も含め、将来に向けた法人課税の改革について幅広く議論してまいります。
 また、減価償却制度の在り方として、自由償却制度の導入の御提言をいただきましたが、設備投資の促進に関して、二十六年度税制改正においては、生産性の向上につながる設備を導入した際に、取得価額を一どきに損金算入できる即時償却制度を創設するなどの大胆な対応を行ったところであります。
 憲法に緊急事態に関する規定を置くことについてのお尋ねがありました。
 大規模な災害が発生したような緊急時において、国民の安全を守るため、国家そして国民自らがどのような役割を果たすべきかについては、極めて重く、大切な課題であります。他方、憲法の改正については、国民の中での議論が更に深まっていくことが何より大切と考えており、その議論の深まりや憲法審査会での検討を踏まえて改正の方向性が決まっていくものと考えております。
 財政政策と予算の繰越しについてお尋ねがありました。
 アベノミクスの二本目の矢は機動的な財政政策であり、今後も、経済や財政の状況を踏まえつつ、必要に応じ適時適切な対応を行ってまいります。
 我が国の予算において、その性質上、年度内にその支出を終わらない見込みのあるもの等については、財政法上、会計年度独立の原則の例外として国会の議決を経た上で翌年度に繰り越すことが認められています。
 平成二十五年度補正予算においても、例えば公共事業のように工事自体に一定の期間を要するものが含まれており、一般会計において繰越明許費として約二兆四千八百億円を計上しておりますが、平成二十五年度中に事業に着手し、本年四月以降早期に需要拡大効果を発揮させる観点から補正予算に計上しているものです。本補正予算を早期に成立させ、迅速に執行していくことで、消費税率引上げに伴う景気の下振れリスクに適切に対応してまいりたいと考えております。
 消費税率の一〇%への引上げの判断と転嫁状況についてのお尋ねがありました。
 消費税率の一〇%への引上げについては、八%への引上げに伴う反動減後の回復について各種の経済指標を確認しつつ、税制抜本改革法に沿って、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断したいと考えております。なお、八%への引上げに当たっては、円滑かつ適正な転嫁を確保できるよう、引き続き万全の転嫁対策を講じるとともに、その転嫁状況については速やかかつ適切に把握してまいります。
 歳入庁についてのお尋ねがありました。
 歳入庁については、内閣官房副長官及び関係省庁政務官による検討チームが取りまとめた論点整理において様々な問題点が指摘されるとともに、年金保険料の納付率向上等のためには、保険料徴収の基本的な考え方を整理し、必要な対策を講ずることが重要であり、組織を統合して歳入庁を創設すれば問題が解決するものではないと指摘されたと承知をしております。論点整理の具体化に向けて、先般、厚生労働省の専門委員会で報告書が取りまとめられ、現在この実現に向けた取組が進められています。その中で社会保障・税番号の活用についても検討していくこととしています。
 公務員制度改革についてお尋ねがありました。
 現在、我が国が直面している様々な課題を迅速に解決するため、内閣の重要政策の実現などのための戦略的人材配置を実現することや、公務員が責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行できる体制を実現することが重要であり、公務員制度を改革していくことは不可欠と考えております。このため、さきの臨時国会にこれらを具体化するための法案を提出したところであり、本法案の早期成立をお願いしたいと考えています。
 竹島問題についてのお尋ねがありました。
 竹島問題については、法にのっとり、冷静かつ平和的に紛争を解決するという考え方に基づき、国際司法裁判所への単独提訴を含め、検討、準備を進めているところであり、種々の情勢を総合的に判断して適切に対応してまいります。
 竹島問題は一朝一夕に解決できる問題ではありませんが、政府としては、今後とも、韓国側に対し、受け入れられないものについては受け入れられないとしっかりと伝え、大局的観点に立って冷静に粘り強く対応してまいります。
 普天間飛行場の移設についてお尋ねがありました。
 住宅、学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければなりません。これは安倍内閣の基本的な考え方であり、政府と地元の皆様の共通の認識であると思います。政府としては、普天間飛行場の危険性を除去し、沖縄の基地負担を軽減するための取組について丁寧に説明し、地元の皆様の御理解を求めながら、返還に向けて全力で取り組んでまいります。
 東京オリンピック・パラリンピックの競技会場及び開催順についてのお尋ねがありました。
 二〇二〇年東京大会のサッカーを含む全ての競技会場は、競技ごとの国際団体と十分な調整を行った上で開催計画を作成し、それを前提に東京大会の開催が決定された経緯があります。
 また、大会の開催順については、国際オリンピック委員会と国際パラリンピック委員会の間で、オリンピックの終了後にパラリンピックを開催する旨の合意がなされております。
 したがって、競技会場及び開催順を変更することは困難であると承知しておりますが、二〇二〇年の大会を契機に、東京のみならず、被災地を含めた日本全体が活力を取り戻し、また、障害の有無にかかわらず誰もが生き生きと生活できる国となるよう、大会組織委員会や東京都とも連携して取り組んでまいります。
 エネルギー基本計画の策定についてのお尋ねがありました。
 エネルギー基本計画については、国民生活と経済活動を支える責任あるエネルギー政策の構築を目指して、様々な御意見を踏まえて徹底的に検討を行い、与党ともしっかり調整した上で決定することとしております。このため、いつまでという期限を設けているわけではありません。
 東京電力の法的整理と原発の国有化についてお尋ねがありました。
 廃炉・汚染水対策や賠償等を着実に実施し、国民負担を最大限抑制しつつ、福島の再生を加速することが最優先です。このため、東京電力任せとすることなく、国も前面に立って対策を進めてまいります。その上で、発電所の設置者であり、現場に精通し、これまで様々な作業に取り組んできた東電には、廃炉の実施主体としての責任を引き続きしっかり果たしてもらいたいと考えています。
 なお、会社更生法に沿って東電の法的整理を行うこととした場合には、被害者の方々の賠償や、現場で困難な事故収束作業に必死で当たっている関係企業の取引債権が十分支払いできないおそれ、直ちに東電と同等の電力供給を行える体制を確保できなくなるおそれ、海外からの燃料調達や権益確保に支障が生じるおそれがあり、福島の再生やエネルギーの安定供給の観点から適当ではないと考えます。
 原発の国有化については、行政の肥大化、事業の非効率化等多くの課題があり、現時点で検討しておりません。
 二〇二〇年に向けたエネルギー目標の設定についてお尋ねがありました。
 再生可能エネルギーの比率を含む日本の将来のエネルギーミックスに関しては、再生可能エネルギーの導入状況、原発再稼働の実況などを見極め、できるだけ早くエネルギーのベストミックスの目標を設定していきたいと考えております。
 以上であります。(拍手)
#12
○議長(山崎正昭君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#13
○副議長(輿石東君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。山下芳生君。
   〔山下芳生君登壇、拍手〕
#14
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、総理に質問します。
 今国会は、これまでにない状況の下で幕を開けました。秘密保護法廃止を求める人波と声で国会が包囲されたのです。昨年暮れの秘密保護法強行に反対した国民の声は、収まるどころか、日がたつにつれ広がっています。
 なぜか。秘密保護法では、政府が保有する膨大な情報の中から政府の恣意的判断によって特定秘密が指定されます。懲役十年以下の重罰と、それによる威嚇や適性評価の名によるプライバシー侵害と権力の監視にさらされるのは、限られた公務員の特殊な漏えい行為だけではありません。国民の普通の日常とその自由が広く対象とされます。国民は、何が秘密かも秘密とされる社会の中で、自分が近づいた情報の中身も分からないままに処罰され得るのです。国民の知る権利に応えて巨大な行政機関の秘密に迫ろうとする取材と報道の自由もその例外ではありません。
 しかも、特定秘密と指定されれば、情報の国会への提供さえ政府の裁量に委ねられ、秘密会に提供された秘密を同僚議員に話すだけで重罰を掛けるなど、政府が事実上国会を縛ることにもなってしまいます。国会の国政調査権、議員の質問権をも乱暴に侵す、まさに国民主権と三権分立、議会制民主主義の根幹を壊すものにほかなりません。だからこそ、この法律には、成立してからもなお、多くの国民が廃止にすべきだという声を上げ続け、その輪は広まりこそすれ狭まることはないのです。
 日本共産党は、この希代の悪法を廃止する一点で、多くの政党会派、国民、諸団体と力を合わせて奮闘するとともに、今国会に秘密保護法廃止法案を提出いたします。総理、国民の声に真摯に耳を傾けるなら、悪法を施行する前に自らの手で廃止するべきではありませんか。答弁を求めます。
 総理は、景気の現状と将来について、アベノミクスの成果だとして大変楽観的な見通しを示し続けてこられました。
 確かに大企業は巨額の利益を上げていますが、国民の生活は良くなったでしょうか。働く人の賃金は十八か月連続で減り続け、ピーク時に比べて年間七十万円も減少しています。パートや派遣、請負などいわゆる非正規雇用は、昨年七―九月期に、全雇用者の三六%、一千九百八万人に達しました。
 異常な金融緩和によって生じた株高で、いわゆる持てる人の資産は更に膨れ上がりました。昨年十一月発表された日銀の調査によれば、金融資産を保有している世帯では、一年前と比べて有価証券が約四割増加するなど資産が大きく増える一方で、金融資産を保有していない世帯、すなわち預貯金ゼロの世帯が一九六三年の調査開始以来最高の三一%に達しています。
 他方、中小企業は円安による輸入物価の上昇を価格に転嫁できずに苦しんでいます。個人消費が低迷する下で値上げすれば売れなくなるからです。大企業のコスト削減による納入単価の引下げも経営を圧迫しています。
 総理、いわゆるアベノミクスを通じて、正規と非正規、持てる者と持たざる者、大企業と中小企業の間で格差が一層拡大し、経済の土台がむしばまれていることをどう認識されていますか。これを放置して日本経済全体の好循環が実現できるとお考えですか。
 このようなときに消費税増税で八兆円もの負担増を強行したらどうなるか。何より、国民の暮らしに大打撃を与え、経済も財政も共倒れになるのではありませんか。加えて、所得の低い人ほど負担が重くのしかかる消費税の増税が格差を更に拡大し、経済の土台をますます掘り崩すことになるのではありませんか。まさに最悪の選択であり、四月からの消費税増税の中止を強く求めるものであります。
 総理は、消費税率引上げによる税収は、全額、社会保障の充実、安定化に充てると言われました。事実はどうでしょうか。医療では、七十歳から七十四歳の窓口負担の二倍化をこの四月から段階的に実行に移す。後期高齢者の保険料の値上げを積み上げてある基金を使って避けようと努力する都道府県に圧力を掛ける。介護では、要支援の訪問介護、通所介護を介護保険から切り離す。さらに、年金は、二・五%の支給削減に加えて、マクロ経済スライドによる毎年一%、五千億円もの連続削減が計画されています。試算できるだけでその負担増と給付減は三兆円を超えるのであります。社会保障の充実に充てるどころか、増税の上に社会保障まで削るというのが事の真相ではありませんか。
 総理は、事あるたびに、雇用の拡大、所得の上昇、賃金の上昇と口にされています。それならば、歴代自民党政権による労働法制の規制緩和、すなわち一九九九年の派遣労働の原則自由化、二〇〇三年の製造業への派遣の解禁などによって非正規雇用が急増し、幾ら企業が収益を上げてもまともな雇用の拡大や賃金の上昇につながらない構造にしてしまったことこそ、まず改めるべきではありませんか。
 ところが、安倍政権は、世界で一番企業が活動しやすい国と称して、派遣労働の無制限の拡大、限定正社員など解雇しやすい雇用ルールの導入、サービス残業の合法化を進めようとしています。これでどうしてまともな雇用の拡大や賃金の上昇につながるのですか。更なる不安定雇用の増大と賃金の低下をもたらすことは明らかではありませんか。
 今やるべきことは、デフレが継続していた間でも、ため込まれ、増え続け、二百七十兆円にも膨れ上がった大企業の内部留保を賃金に回させることです。昨年の臨時国会では、総理も、我が党議員の質問に、政労使会議で内部留保の活用をお願いすると約束しました。この約束は実行されたのですか。まだなら、春闘が闘われる今こそ実行すべきではありませんか。
 あわせて、中小企業に対する支援を強めながら、最低賃金を抜本的に引き上げること、労働法制の大改悪を中止し、誰もが人間らしく働ける雇用のルールを確立することを求めます。
 日本共産党は、臨時国会に続き、今国会にもブラック企業規制法案を提出いたしました。若者を中心とした世論と運動とも合わさって、行政による初のブラック企業実態調査の実施や、ハローワークにおける新卒者向け求人票に新入社員の離職者数を公表するなど、既に幾つかの成果も生まれていますが、ここに甘んじるわけにはいきません。ブラック企業の手口となっている長時間労働やパワーハラスメントを是正する有効な手だてを直ちに講じるべきであります。
 我が党は、全ての会派の皆さんに、将来ある若者を使い潰すブラック企業をなくすための法改正に当たること、そのために、ブラック企業に苦しめられている若者たちを国会に招き、その声を直接聞くことを呼びかけるものであります。
 未曽有の大災害となった東日本大震災からもうすぐ三年がたちます。今年四月に三陸鉄道が全線で運転再開となるといううれしいニュースが発表されました。大きな困難の中で運転再開を実現した被災地の皆さんの努力と全国からの支援に心から敬意を表したいと思います。
 一方で、いまだに被災者の九割の方々が仮設住宅などの避難生活から抜け出せず、長期化とともに先の見通しが持てずにいるという深刻な状況の解決が急がれます。
 なぜ住宅再建がこんなに遅れているのでしょうか。それは、個人財産の形成になるとして、住宅の復旧に十分な支援をしないというやり方に政府がかたくなに固執しているからであります。この姿勢を改め、住宅となりわいの再建に必要な公的支援を行うことを復興の基本に据えることを強く求めます。これは、現に苦しんでいる被災者にとって一刻の猶予もない切実な要求であり、さらに、災害が多発する日本列島において国民の命と安全を守る上で将来にわたって重要な意義を持つと考えますが、いかがですか。
 同じ被災地の中でも、福島の原発被害は深刻さを増しています。福島では、十四万人近い人々が避難生活を強いられ、震災関連で亡くなった方が地震、津波の直接被害で亡くなった方を上回るなど、先の見えないつらい生活の中で命と健康が脅かされています。
 政府は、昨年十二月、福島の復興指針を決定しましたが、上からの線引きに対し、被災地の自治体首長からも、地域の分断を招く、支援策を差別するべきではないとの懸念と批判が相次いでいます。
 総理、原発事故前にどこに住んでいたかにかかわらず、また、避難している人もしていない人も、ふるさとに戻りたい人も戻れない人も、全ての被害者がその生活となりわいを元のように再建できるまで、国と東京電力が責任を持ってひとしく支援することを大原則に据えるべきではありませんか。
 安倍政権は、原発を基盤となる重要なベース電源として、将来にわたって維持、推進し、再稼働を進めるとしたエネルギー基本計画案を発表しました。これは、今なお原発被害に苦しむ福島の人々への重大な背信であり、原発ゼロの日本を願う国民多数の民意への挑戦だと言わなければなりません。現在、原発は全て停止しています。原発を再稼働させる必要性も条件もありません。日本共産党は、政府が即時原発ゼロの政治決断を行うことを強く求めます。
 TPP交渉についてお尋ねします。
 総理は、TPPについて、米国とともに交渉をリードし、攻めるべきは攻め、守るべきは守ると述べ、国益にかなう最善の判断をすると述べられました。そのアメリカでは、一月九日、上下両院の与野党幹部によって、政府に貿易交渉権限を与える大統領貿易促進権限、TPA法案が提出されました。そこでは、農業分野について、相当に高い関税、あるいは補助金体制の下に置かれている農産物の市場開放に優先順位を置くとして、相手国の関税をアメリカの関税と同等かそれ以下の水準にまで削減すると書かれています。
 総理、日本は今、精米輸入については一キログラム当たり四百二円の関税を掛けていますが、アメリカのそれは一・四セント、日本円にして一円そこそこです。アメリカの関税と同等かそれ以下の水準となれば、事実上ゼロということになります。こうした条件がオバマ政権に課せられている下で、どうして聖域が守られるのか。守るべきは守るというなら、その根拠を示していただきたい。根拠を示せないのであれば、TPP交渉から潔く撤退する決断こそするべきではありませんか。
 安倍内閣は、昨年の臨時国会で、外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議、日本版NSC創設法と秘密保護法を強行し、それに続いて国家安全保障戦略、新防衛計画の大綱、新中期防衛力整備計画を矢継ぎ早に閣議決定しました。
 新防衛計画の大綱では、新たに統合機動防衛力の構築を掲げて、陸海空自衛隊が海外に迅速かつ持続的に展開できる能力を構築することを強調しています。そして、前線との間で兵士や物資を迅速に輸送するためのオスプレイ、水陸両用戦闘車両、無人偵察機、新型空中給油機などを新たに導入するとともに、米海兵隊のような殴り込み作戦を行う水陸機動団を編成するとしています。そのために、今後五年間に二十四兆六千七百億円もの軍事費を投入する大軍拡計画を定めました。
 総理、これは歴代自民党政権が建前としてきた専守防衛さえ踏み外すものではありませんか。軍隊は持たないと決めた憲法を持つ国で、それは絶対に許されないことではありませんか。
 さらに、日本を海外で戦争する国、とりわけ、アメリカと肩を並べて戦争できる国にするために、安倍政権が踏み越えようとしているのが集団的自衛権についての憲法解釈です。
 総理は、集団的自衛権について、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会、いわゆる安保法制懇の報告を踏まえ、対応を検討してまいりますと述べられました。
 そもそも集団的自衛権とは、自衛という言葉が入っていますが、いかなる意味でも日本の自衛とは関係ない、アメリカ本土の自衛とも関係ないものです。戦後の歴史の中で、国連憲章五十一条に基づく集団的自衛権が発動されたのは、アメリカによるベトナム戦争、旧ソ連によるチェコスロバキアとアフガニスタンに対する侵略など、大国による侵略と介入の戦争しかありません。そのための口実とされたのが集団的自衛権であります。
 日本の現実の政治で集団的自衛権が問題にされたのは、インド洋やアラビア海、イラクやアフガニスタンでのアメリカの戦争へのあけすけな自衛隊の参戦要求でした。しかし、集団的自衛権は行使できないという憲法解釈があったからこそ、非戦闘地域に限るとか、武力の行使はできないなど、自衛隊の海外での戦闘行為、戦争行動を禁止する歯止めが働いてきたのです。そのために、日本は戦後六十八年間、戦争によって一人の戦死者も出すことはなかったし、戦争によって他国の人の命を一人も奪うことがなかったという世界に誇るべき歴史を重ねてきたのであります。
 総理は、この歴史を誇りあるものと思いますか、それとも自衛隊員の血であがなう世界への関与を誇らしいとお考えなのですか。
 集団的自衛権の行使は憲法九条に照らして許されないというのは、内閣法制局だけの見解ではなく、歴代政権がずっと踏襲し、世界に向けて説明してきた日本の立場です。それを覆す権利は、あなたにも、あなたの内閣にもありません。
 総理は、戦後六十八年間守り続けてきた我が国の平和国家としての歩みは今後とも変わることはありませんと述べられました。それが本当なら、なぜ、これまでできないとされてきたことをやろうとするのですか。専守防衛さえ踏み越える企ても、そして集団的自衛権の行使を容認し日本を海外で戦争する国に変える企ても、やらないと言明すべきではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。
 最後に、世界では今、互いの独立を尊重し、文明や価値観の違いを認めながら、対話と信頼醸成に努めることで紛争を平和的に解決する流れが東南アジアなどから大きく広がっています。侵略戦争を断罪した戦後の国際秩序に挑戦し、専ら軍事力だけに頼るやり方は世界から孤立する道であることを述べ、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山下芳生議員にお答えをいたします。
 特定秘密保護法についてのお尋ねがありました。
 特定秘密保護法については、様々な御議論を経て成立したものであり、その過程で伺った御意見を真摯に受け止め、今後とも、同法について国民の皆様に丁寧に説明を重ねるとともに、その適正かつ効果的な運用が図られるよう施行準備を進めてまいります。
 格差拡大の認識と消費税率引上げについてお尋ねがありました。
 格差については、格差が固定しないと同時に、誰もが何度でもチャンスがあるということが重要であり、頑張る人が報われる社会をつくっていかなければなりません。
 我が国は、長年にわたりデフレが継続し、賃金も伸びていませんでした。こうした中では、特に低所得の方々の生活に大きな影響があることから、デフレ脱却、経済の再生は大変重要な課題であると考えております。このため、政府としては経済の好循環の実現を目指しております。今後、政労使での共通認識も踏まえ、労使間で賃上げの実現や非正規雇用の方々の雇用改善に向けた十分な議論が行われ、賃金上昇が幅広く実現することを期待しております。
 また、消費税率の引上げに当たっては、これに伴う影響を緩和し、その後の経済の成長力を底上げするため、好循環実現のための経済対策を着実に実行してまいります。この消費税率の引上げにより、社会保障制度の安定財源を確保し、国の信認を維持してまいりたいと考えております。
 消費税と社会保障改革についてお尋ねがありました。
 消費税率の引上げによる税収は、全て社会保障の充実と安定化に充てます。少子高齢化の下、受益と負担の均衡が取れた制度とするため、昨年成立したプログラム法に沿って不断の改革を進めつつ、世界に冠たる制度をしっかりと次世代に引き渡していきます。
 御指摘の医療費の窓口負担を新たに七十歳になる方々から見直すことなどは、これまで暫定的に取られていた負担の軽減等を制度本来の姿に戻すもので、持続可能な社会保障制度としていくために必要なものであります。したがって、増税の上に社会保障まで削るとの指摘は当たらないと考えます。
 安倍政権における雇用制度の見直しや賃上げについてお尋ねがありました。
 自公政権においては、経済産業構造の変化に応じて必要な労働分野の改革を行ってきたところであり、こうした改革は、働く方々の多様なニーズに応じた雇用の場を確保する上で成果があったものと考えています。
 また、現在検討中の労働者派遣制度を始めとする雇用制度の見直しは、多様な働き方の実現を目指すものであります。派遣労働の無制限な拡大や、解雇しやすい雇用ルールの導入といったことは考えておらず、御指摘は全く当たりません。
 政府としては、労働界や経済界と一致協力して、非正規から正規へのキャリアアップの支援を進めることなどにより、若者、女性を含め、頑張る人たちの雇用を拡大してまいります。
 内部留保と賃金の上昇についてお尋ねがありました。
 これまで政府が強力に推進してきた三本の矢の効果等によって、今まさに企業収益は好転しつつあります。昨年十二月の政労使会議では、経済の好循環を速やかに実現するため、関係者それぞれがこれまでの行動にとらわれない新たな取組を大胆に実行していただきたい旨を申し上げたところです。これは、内部留保の活用に限らず、長引くデフレで染み付いた従来の行動から大胆に踏み出すよう要請したものであります。
 いわゆる内部留保については、個別企業ごとに事情が異なるものと承知しており、一律の対応を求めるのは適切でないと考えますが、今年の春闘においては、内部留保の活用の在り方も含め、各企業がそれぞれの経営状態等を踏まえて、昨年末の政労使会議において取りまとめた共通認識を踏まえ、好循環の実現につながる積極的な対応を行うものと期待しております。
 最低賃金の引上げや若者の使い捨てが疑われる企業等についてのお尋ねがありました。
 最低賃金は、平成二十五年度における全国平均で、対前年度十五円の引上げが行われたところであります。経済の好循環を目指すとともに、中小企業・小規模事業者の支援を工夫しつつ、労使と丁寧に調整するなど、最低賃金の引上げに努めてまいります。
 また、若者の使い捨てが疑われる企業等については、昨年九月、過重労働や賃金不払残業が疑われる企業等に重点的な監督指導を行ったところです。将来を担う若者などが生きがいを持って働くことができる環境をつくっていくために、非正規から正規へのキャリアアップ支援を進めるなど、今後ともしっかりと取り組んでまいります。
 被災地における住宅となりわいの再建と、福島の原発事故に対する支援についてお尋ねがありました。
 被災地における住宅となりわいの再建に向け、政府としては、被災者生活再建支援金による支援や中小企業等グループ補助金等による設備等の復旧を支援してまいりました。また、復興大臣の下にタスクフォースを設置し、住宅再建や商店街等の再生に向けた加速化措置を打ち出してきたところであります。
 福島の復興については、昨年末に、帰還に向けた取組の拡充と新たな生活の開始に向けた支援の拡充の両面から福島を支援する、予防的、重層的な汚染水対策の実施など東京電力福島第一原発の事故収束に向けた取組を強化する、国が前面に立って原子力災害から福島の再生を加速するという三つの方針を打ち出したところであります。今後、この方針を踏まえて、地元とも十分に協議しながら、福島復興の道筋を具体化してまいります。
 避難指示の解除、早期帰還を実現し、あわせて、帰還困難区域を始めとした地域については、新しい生活を始めるために必要な追加賠償を行うとともに、復興拠点を整備してまいります。
 今後の原子力政策についてのお尋ねがありました。
 国民生活と経済活動を支える、責任あるエネルギー政策を構築しなければなりません。この中で、原発については、徹底した省エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、原発依存度は可能な限り低減するというのが基本方針です。
 しかしながら、電力供給における海外からの化石燃料への依存度が第一次石油ショック当時よりも高くなっているという現実を考えると、そう簡単に原発はもうやめたというわけにはいきません。福島の事故も経験し、国民の皆様が原発の安全性に不安を持つのは当然のことです。福島の事故の教訓を踏まえ、安全を確保することが大前提であります。その前提の下、独立した原子力規制委員会が、世界で最も厳しい水準の安全基準に基づいて徹底的な安全審査を行い、これに合格した原発について再稼働を判断してまいります。
 TPP交渉についてのお尋ねがありました。
 貿易促進権限法案、いわゆるTPA法案は米国の国内法案であり、米国議会における審議もこれからと承知しており、御指摘の農業分野への影響についてはコメントすることは差し控えますが、引き続き米国の動向を注視していきます。
 いずれにせよ、我々が選挙でお示しした公約はたがえてはならないと考えています。政府としては、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻め、国益にかなう最善の道を追求するという基本方針の下で、全力を挙げて交渉に臨んでいるところであります。交渉が最終段階を迎えている中、交渉からの脱退について言及することは、国益の観点からも不適切と考えます。
 防衛大綱は専守防衛を踏み外すものではないかとのお尋ねがありました。
 防衛大綱に基づく防衛態勢の強化は、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していること等を踏まえ、あくまでも我が国の存立と国民の生命、財産を十全に守り抜くことを目的としたものです。
 また、防衛大綱にも明記されているように、日本国憲法の下、専守防衛に徹することが我が国防衛の基本方針であることにはいささかの変更もありません。防衛大綱が専守防衛を踏み外すとの御指摘は全く当たらないものと考えます。
 平和国家としての歩みと集団的自衛権についてのお尋ねがありました。
 戦後、我が国は、自由で民主的で、基本的人権や法の支配を尊ぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり平和国家としての歩みを進めてきました。これは世界に誇るべきものであり、その歩みは今後も変わりません。
 集団的自衛権については、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われており、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えています。
 政府としては、懇談会から報告書が提出された後に対応を検討することとなりますが、懇談会では今後詰めの議論が行われていくこととなっており、まずはしっかりと議論を深めていただきたいと考えています。(拍手)
    ─────────────
#16
○副議長(輿石東君) 江崎孝君。
   〔江崎孝君登壇、拍手〕
#17
○江崎孝君 民主党・新緑風会の江崎孝でございます。
 会派を代表して、施政方針演説に対し、質問をいたします。
 さて、公共放送たるNHKのトップから、極めて見識を疑うような発言があったことは既に周知のとおりです。籾井会長は、後日、個人的見解と弁明されました。問題の発言は就任会見の場でなされたものであり、とても個人的発言で済ませることはできません。事実、二十八日開催の経営委員会で委員から、公人であるとの認識を持つべきと厳しく指摘されておられます。
 菅官房長官は、二十七日の記者会見で、個人的見解だからと籾井会長を擁護する姿勢を示されました。なぜ擁護されるのか。問題であるとただすべきものではありませんか。こんなことだから、会長人事に関し疑念を抱かざるを得ないことになるのです。今でも個人的見解と擁護されるおつもりですか。菅官房長官にお聞きします。
 私は、籾井会長の、国際放送で明確に日本の立場を主張するのは当然、政府が右と言うことを左と言うわけにはいかないという発言に対し、問題を指摘します。
 かつてBBCもサッチャー政権と対決したように、放送は公平性が命です。NHKの国際番組基準は、公的見解と世論の動向を偏ることなく正確に、事実を客観的に真実を伝えることを定めています。NHKは日本政府の立場を主張するための報道機関ではありません。公正中立、不偏不党とはそういうことです。これから見ても、会長発言はまるでNHKを政府のプロパガンダ機関の一つだと言っているのに等しく、大変な問題なのです。
 そこで、総務大臣にお聞きします。
 大臣は、籾井会長のこの発言に対し、公正中立性の面で問題にはならないという見解を示されました。放送を所管する大臣としてその考えでよいのでしょうか。改めて見解を伺います。
 そもそも、NHK会長は経営委員会により選ばれます。昨年の経営委員会同意人事後の記者会見で、官房長官は、安倍首相が信頼し評価する方に委員をお願いするのは当然だと、まるで政治介入を暗に認めるような発言をされています。
 我々民主党は、経営委員候補者に安倍総理と非常に近しい方が多く、公共放送という高い公共性と不偏不党が求められている中で、今回の人事はこれらを大きく侵害する可能性があると判断し、反対をいたしました。結果的に、総理を公然と支援されている方々が経営委員に任命され、籾井氏を会長に選び、今回の事態を招いたのであります。我々の懸念は的中してしまいました。
 不偏不党、公正中立を使命とするNHKの経営委員に総理に近い人を送ってよいはずがないではありませんか。改めて官房長官の見解をお伺いします。
 海江田代表の質問に対して、総理は、政治の介入を許さない強い姿勢をNHKの側に期待するとおっしゃった。それは受信料を払う国民が言う言葉です。権力者である総理が言えば、更なる圧力となるとはなぜお考えにならないでしょう。官房長官が認められるように、自らのお仲間を経営委員に送られ、その結果招いた不祥事であり、総理の責任が問われているのです。
 改めてお伺いします。それでも総理、自らには何ら責任はないと言われますか。加えて、放送法が定めるNHKの公共性、不偏不党性はいかに維持されていくべきとお考えでしょうか、お尋ねします。また、このようなことが二度と起きないように、経営委員の決定の在り方を含め放送法の改正も検討すべきと考えますが、併せて総理の御所見を伺います。
 このような安倍政権の姿勢は、国民の知る権利、報道の自由などに対し問題ありと言わざるを得ません。
 そこで、さきの国会で制定された特定秘密保護法についても申し上げておきます。
 総理は、秘密保護の法律を強化しなければアメリカ政府から安全保障上の重要な情報は提供してもらえない、だから法律を成立させるべきなのだと力説されました。しかし、同法が成立したとき、アメリカの国務省は、歓迎だけでなく、この法律を根拠に表現や言論の自由を制限しないように日本政府にくぎを刺しています。それほど表現や言論の自由を手厚く保障するアメリカ政府が、総理が言うように、秘密保護の法律を暗に条件として求めてくるのでしょうか。本当はアメリカ政府からそのような間接的な圧力はなかったのではありませんか。これは今後の議論で大変重要となるところです。総理、明確にお答えください。
 特定秘密保護法の参議院での採決時の国民世論は、反対が多数であり、国民の不信を招いたことは間違いありません。特定秘密保護法を廃止して、もう一度審議を尽くすことを強く求めます。安倍総理が、国民の知る権利、報道の自由などについて失った国民の信頼を回復するにはそれしか方法はないと考えますが、いかがお考えでしょうか。
 また、そんな中で、昨年の審議の際の約束であった特定秘密に関わる第三者機関の設置を政令で行おうとする考えも漏れ聞きます。世論の反対の中で、まさかとは思いますが、そんなことはありませんね。総理のお考えをお聞きします。
 次に、外交・安全保障について伺います。
 安倍総理が外交を取り戻すと宣言して一年余りがたちました。世界各地を回られ、二十一世紀の日本の看板は積極的平和主義であると高らかに訴えられておられます。しかし、地球儀を回すまでもなく、我が国の隣にある中国や韓国との対話のドアを靖国神社参拝にこだわる余り閉ざしてしまったのは、総理御自身ではありませんか。
 日本の成長は、中国や韓国などの世界の成長の中心である東アジアの国々との良好な関係があってこそ実現が可能です。首脳会談を実現をし、関係を早期に改善するよう求める声は、榊原次期経団連会長など、経済界からも既に上がっています。
 両国との関係改善は国の政治の大きな責任です。対話のドアのオープンは当たり前のことです。しかし、その入口で、安倍総理、あなたがこわもてに仁王立ちしていては誰も入ってこれないんです。両国とのチャンネルを開くよう具体的な努力をして、国際社会からも支持を得られるよう道筋を付けるべきではありませんか。総理のお考えを伺います。
 ところで、総理の言葉や受け答え、問題提起の仕方は、なぜこれほどまでに物議を醸すのでしょうか。
 ダボス会議では、日中の武力衝突を真っ先に否定せず、日中関係を第一次世界大戦前のイギリスとドイツとの関係になぞらえたことが主要なメディアに衝撃をもって受け止められました。
 中央公論の昨年八月号で、総理の先輩である伊吹衆議院議長は、「難しい政策、理屈は抜きにして、まず胸襟を開いて理解し合おうと相手に伝えなくてはならないのですが、ここが欠落しています。こうした人なら信頼できると思わせることに長けていない。」と総理に苦言を呈しておられます。
 自らの主張を相手に正しく伝え、自らへの信頼を築けずして近隣外交もグローバル外交も成果は上がらないと考えますが、総理の御認識を伺います。
 総理は、著書で、瑞穂の国の資本主義を提起され、ウォール街から世間を席巻した強欲を原動力とする資本主義を否定しておられます。行き過ぎた規制緩和は、まさに強欲資本主義の手段とも言えるものです。その結果、大きな問題となっているのが非正規雇用の問題です。総務省の労働力調査によると、非正規雇用者は昨年十一月時点で一千九百六十四万人と過去最高を更新し、雇用者全体に占める割合も約四割にまで高まっています。
 政府は、経済見通しの中で、平成二十六年度の雇用者報酬について対前年度比二・〇%増を見込んでいます。これは二十一年ぶりという大変大きな目標値です。この数字は、非正規雇用者の増加に歯止めを掛け、さらに非正規雇用者の処遇の改善も図らなければ実現可能性は低いと言わざるを得ません。
 そこで、安倍総理に伺います。
 非正規雇用の現状や問題点についてどのような認識をお持ちなのか。雇用者報酬対前年度比二・〇%増を実現するためにどう非正規雇用対策を進めるおつもりなのでしょうか。
 人口減少社会に入った日本は、成長戦略から成熟戦略に方向転換すべきときに来ていると考えます。日本が成熟した国になるためには、アメリカのような、市場に依拠し過ぎた小さな政府に倣うのではなく、日本と同様に歴史と伝統のあるヨーロッパの国々のように、政府が出産、育児、教育等に積極的に関与して福祉を充実させ、豊かさが国民一人一人に実感できるように所得の再分配政策を強化することです。
 地方の持続的な安定と発展、さらに地方経済の好循環の実現のためにも、小さな政府シンドロームから脱却し、医療、介護、子育てといった暮らしを支える公共サービスを充実させ、それによって地方に安定した雇用を生み出すこと、これこそが瑞穂の国の資本主義ではないでしょうか。
 総理は、社会保障の強化と地方の活性化、それぞれについて言及されました。重要なのは、この両者を組み合わせた積極的な施策だと考えます。この件について、総理の御認識を伺います。
 地域の活性化のためには地方財政の健全化が絶対条件です。地域住民に対する公共サービスの多くは地域で提供されており、今後も、少子高齢、人口減少が進む中で、医療、福祉、介護等に係る財政需要は増大しています。しかしながら、税収が大幅に回復したと言われる現時点においてさえ、地方の財源不足は十兆五千九百三十八億円に達しており、自治体が行政サービスを安定的に提供するために必要な財源が圧倒的に不足しているのが現状です。
 このような中、臨時的な対応とされる歳出特別枠及び別枠加算は、実態として自治体の財政運営に不可欠なものとなっています。廃止も今後の検討課題とされていますが、廃止となれば自治体財政は一気に悪化します。一般行政費に溶け込ませ、経常的な経費として算定すべきものとの声が大きいことは総務大臣も御存じのことではないでしょうか。大臣の御見解を伺います。
 また、地方交付税法では、本来、地方財源不足が恒常的に生じた場合には交付税の法定率引上げで対応すべきとされています。今後も増大する財政需要を的確に捉えて、法定率の在り方も含め、地方財政全体を抜本的に見直す時期に来ています。総理の御見解を伺います。
 安倍総理は、震災の復興に関し、福島の皆さんにも一日も早くふるさとに戻っていただきたいと切望されました。
 先日、福島市へ行き、自治体職員の皆さんと話す機会を得ました。異口同音に、先の見えない不安、苦しさ、その中で、自らも被災者でありながら、悩み、もがく姿は今も続いていました。大熊町の調査では、帰りたいと願う人がこの一年で一一%から八・六%に減り、帰らないという人が四五・六%から六七・一%に増えています。また、昨年十二月までに震災関連死で亡くなられた方が一千五百九十三人を数えるまでになり、震災により直接亡くなられた方の一千六百七人に迫っています。これが福島の現実です。
 長引く避難生活の中で、将来展望が描けないこと、帰るはずの家が日々老朽化していくこと、戻っても雇用がないこと、子供の健康不安など、原子力災害ならではのつらい現実が被災者の皆さんを覆っています。総理はこの現実をどう考えられているのでしょうか、御認識を伺います。
 原子力災害は自治体そのものの展望を奪います。それでも復旧・復興に向けて頑張らなければなりません。自治体で対応できる次元を超えた災害であり、従来型の対策では十分に対応できるものではないのです。
 安倍総理は、国が前面に立って原子力災害からの福島の再生を加速することを力強く宣言されました。期待が寄せられていました。
 総理にお願いしたいのは、避難している方々が、帰還して生活再建する場合と、故郷を離れ移住して生活の再スタートを始める場合のそれぞれについて、将来が見通せる生活再建支援が必要だということです。その上で、生活再建を図るための支援、基盤整備については、国の直轄事業を増やすなどして国が前面に立って事業を進めてほしいというのが現地の思いです。総理の御決意をお聞かせください。
 総理の著書、「新しい国へ」を読ませていただきました。その中で総理は、私はまず復興庁の意識を変えていく必要があるだろうと思うと述べられておられます。私も同感です。
 現状では、復興庁所管予算といっても、大半の復興関係事業は各府省が主体的に実施し、結局のところ、復興庁では施策の詳細を十分に把握できず、その混乱は最終的には現場を持つ自治体がかぶることになります。これはまさに縦割り行政の弊害であり、国が前面に立って事業を進めるメリットが損なわれかねません。
 総理の英断で、復興庁を事業官庁として機能させ、福島の復興に関する事業を自らの予算により執行し、責任を持って福島の復興を推進する体制にしていくことが可能です。是非御決断をお願いします。総理の決意を伺います。
 最後に、総理に申し上げます。
 安倍総理が施政方針演説で、互いに寛容の心を持ってと言われたとおり、今こそ、自らの思いとは異なる意見や進言に対して、冷静に、謙虚に耳を傾けるべきだと考えます。これは内政、外交双方に言えることです。もしそれが総理御自身にできなければ、内政においては与野党の対決は深まり、更なる政治不信を招くでしょうし、日本の外交的孤立は、安倍総理が総理であり続ける間、解消はしないでしょう。
 加えて、こじれた日中・日韓関係のまま、更に関係が深刻になるのは明確な集団的自衛権の行使容認を一気呵成に目指されるとすれば、日本の国益は更に大きく損なわれることになるでしょう。
 寛容な心を持つことは何より総理御自身の問題であることを指摘して、私の質問を終わります。
 ありがとうございます。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#18
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 江崎孝議員にお答えをいたします。
 NHK経営委員の選任の在り方やNHKの公共性等についてお尋ねがありました。
 現行の放送法では、NHK経営委員の選任について、内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命することとされており、民意を反映させる仕組みとなっております。現在の経営委員の方々はそのような手続に従って選任されており、御指摘のような問題はないと考えております。
 NHKにおいては、社会的使命を担う公共放送として、放送法に基づき、自主自律の下、中立公平な放送を続けてほしいと願う次第であります。
 特定秘密保護法の制定理由についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しく、また、アルジェリアでのテロ事件を始め、国際テロ情勢も緊迫している状況に鑑みると、本法により、秘密保護に関する共通ルールを整備し、的確な情報の収集と共有を促進することが不可欠であります。このため、我が国として、国家国民の安全を守るため特定秘密保護法を制定したものであり、米国政府の働きかけによるものではありません。そもそも、外国政府の圧力で法律を作ることはありません。
 特定秘密保護法に関し、国民世論、第三者機関についてのお尋ねがありました。
 特定秘密保護法については、様々な御議論を経て成立したものであり、その過程で伺った御意見を真摯に受け止め、今後とも、同法について国民の皆様に丁寧に説明を重ねるとともに、その適正かつ効果的な運用が図られるよう施行準備を進めてまいります。
 また、政府としては、本法施行までに内閣府に独立性の高い第三者機関である情報保全監察室を設置し、行政機関による個別の特定秘密の指定等をチェックすることとしております。さらに、その上で、法令の改正により、できる限り早期に情報保全監察室を局へ格上げすることとしております。
 日中・日韓関係についてお尋ねがありました。
 中国、韓国との間で意思疎通を図っていくことはアジア太平洋地域の平和と安定にとって有意義であり、大局的な見地から、政治、経済、文化などあらゆる分野において未来志向の協力関係を発展させていくことが重要と考えます。
 韓国については、ダボス会議で朴槿恵大統領の講演を聞きに行き、会場で尹炳世外相を始めとする韓国政府幹部の方々と、こちらから握手を求め、握手をし挨拶をしたところであります。
 中国との関係においては、第一次安倍政権の際に、日中首脳会談において、私から、海洋における不測の事態の発生を回避するため、防衛当局間の連絡体制を整備することを提案し、意見の一致を見ています。その後、防衛当局間のホットラインを含む海上連絡メカニズムについて大筋合意をしましたが、いまだ中国はその運用開始に応じていないわけであります。それは民主党政権の間もそうでありました。中国側が速やかに運用開始に応じるよう働きかけを続けてまいりますので、民主党におかれましても働きかけをしていただきたいと思います。
 このように、私の方からは中国、韓国には積極的に働きかけを行っているところであります。困難な課題があるからこそ、前提条件を付すことなく率直に話し合うべきであります。中国、韓国にはこのような考え方を伝え、粘り強く働きかけを行っていきます。私の対話のドアは常にオープンであり、中国、韓国にも同様の態度を期待しているところであります。
 ダボス会議での発言と首脳外交の在り方についてお尋ねがありました。
 ダボス会議では、二度と戦争をしてはならないということを述べたものであります。会場におられた日本のマスコミ関係者の方々にお聞きになれば、私の発言に何の問題もなかったこともお分かりいただけると思います。
 近隣外交もグローバル外交も、首脳同士が直接会って信頼関係を築くことによって前に進むものであります。いかなる課題があっても、首脳同士が胸襟を開いて話をすべきであります。私は、総理就任から一年ほどで延べ百五十回以上の首脳会談を行い、私の対話のドアは常にオープンであります。今年も、地球儀を俯瞰する視点で戦略的なトップ外交を力強く展開をしてまいります。
 雇用者報酬の見通しと非正規雇用対策についてのお尋ねがありました。
 非正規雇用の方々については、賃金が低い、能力開発の機会が乏しい、セーフティーネットが不十分であるといった課題があると認識しています。
 安倍内閣としては、全ての人々が生きがいを持って働くことができ、何度でもチャンスを与えられる環境をつくっていくことが重要と考えており、キャリアアップ助成金の拡充などにより非正規雇用の方々の処遇改善を進めてまいります。また、政府としては、経済の好循環を目指しており、政労使会議においては、意欲と能力のある非正規雇用労働者についても、業績と能力を評価し、処遇に適切に反映させることも含め、共通の認識に至りました。
 具体的な賃金の水準等は個別労使間の交渉を通じて決定されるものですが、今後は、こうした共通認識も踏まえ、労使間で賃上げの実現や非正規雇用の方々の処遇改善等に向けた十分な議論が行われ、賃金上昇が幅広く実現するとともに、雇用も拡大する中で雇用者報酬も伸びていくものと見込んでおります。
 地方の活性化と社会保障の強化についてお尋ねがありました。
 地方経済の好循環を実現するためには、地域の資源と資金を生かして新たなビジネスにつなげようとする中小事業者を支援することなどにより、地域産業の成長を通じた雇用を生み出していく必要があります。
 また、医療や介護、子育て支援などについても、公的サービスにとどまらず、様々な地域資源を活用しながら質の高いサービスを効率的に提供していくことにより、医療や介護が必要になっても住み慣れた地域で暮らしを継続できる社会を目指してまいります。
 このように、安倍内閣としては、地方の活性化も社会保障の強化も、豊かで活力ある地域づくりに向けた重要な課題と認識しており、しっかりと取り組んでまいります。
 地方財政の抜本的見直しについてお尋ねがありました。
 平成二十六年度予算では、国の財政も極めて厳しい状況の中にあって地方交付税の法定率の引上げは行っていませんが、地方交付税も含めた地方の一般財源総額を〇・六兆円増額することとしております。今後とも、法定率の在り方など地方交付税の議論も行いつつ、地方財政計画において地方の財政需要を適切に反映し、必要な一般財源の総額を確保してまいります。
 原子力災害がもたらしている現実についてお尋ねがありました。
 事故後三年近くが過ぎ、帰還を実現するために、帰還後の雇用機会の確保やきめ細やかな健康不安対策を求める声がある一方で、線量が高く帰還が容易ではない地域の住民の方々を中心に、故郷を離れ新たな生活を開始するための支援を求める声が顕在化しつつあると認識しております。このため、長期避難者への支援から早期帰還への対応といった、それぞれの地域の状況に応じた対策を進めていくことが必要であると考えております。
 福島の避難者の生活再建についてお尋ねがありました。
 帰還支援と新生活支援の両面の支援策を行うことが重要であることは、昨年末に閣議決定した原子力災害からの福島復興の加速に向けてにおいて打ち出したとおりであります。
 具体的には、帰還できる地域については、線量水準に応じた防護措置を具体化するとともに、除染やインフラ復旧などを加速することにより、避難指示の解除と早期帰還を実現してまいります。また、帰還困難区域を始めとした地域については、移転先、移住先での新しい生活を始めるために必要な追加賠償の円滑な実施とともに、町内外の復興拠点を整備し、コミュニティーの維持が図られるように努めてまいります。このような総合的な取組を通じて、国が前面に立って福島の復興を加速させてまいります。
 福島復興の体制強化についてお尋ねがありました。
 福島の復興を強力に進めるため、昨年二月に、現地にある組織を一体運用する福島復興再生総局を設置し、縦割りを排し、現地で即断即決できる体制を整えました。加えて、昨年、復興庁自らが福島の多様なニーズに対応する予算として、福島ふるさと復活プロジェクトを創設し、現地で自治体の要望をよく伺いながら執行しています。さらに、今般、これを拡充する形で、長期避難者への支援から早期帰還のための生活拠点形成等の施策までを一括で支援する福島再生加速化交付金を復興庁に新設することとしました。
 こうした体制、予算事業を最大限に活用することで、一日も早い福島の復興を進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(菅義偉君) 籾井NHK会長の御発言についてお尋ねがありました。
 籾井会長は、当初コメントを差し控えていたのですが、重ねての質問をされ、個人の発言と断った上で発言したところ、会長としての会見の場と指摘をされ、その場で発言を取り消したものと認識をいたしております。
 いずれにしても、放送機関のトップが行った個別の発言について、政府としてはコメントすべきではないと考えます。籾井会長におかれては、社会的使命を担う公共放送のトップとして、放送法に基づいてその職務を遂行していただくことを期待をいたしております。
 NHKの経営委員についてのお尋ねがありました。
 放送法上、経営委員の選任に当たっては、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、教育、文化、科学、産業といった分野等を考慮して、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命することとなっております。現在の経営委員の方々には、放送法で定める手続に従い、適切に選任をされていると認識をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣新藤義孝君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(新藤義孝君) 二点のお尋ねをいただいております。
 まず、国際放送の公正性、中立性の確保についてのお尋ねでございます。
 NHKの国際放送番組の編集については、放送法において、我が国に対する正しい認識を培い、普及すること等が定められております。また、NHKが自ら定める国際番組基準においては、我が国の重要な政策及び国際問題に対する公的見解並びに我が国の世論の動向を正しく伝えること等が定められております。NHKにおいては、これらの定めを遵守し、放送を行っていただくことを期待しているわけであります。
 次に、地方財政における歳出特別枠及び地方交付税の別枠加算についてのお尋ねをいただきました。
 歳出特別枠や別枠加算につきましては、リーマン・ショック後の景気低迷により税収が大きく減少したこと等から、財源不足が拡大し、その状態が続いていることを踏まえ講じられてきたものでございます。
 平成二十六年度においても、地方税収はいまだリーマン・ショック以前の水準まで回復しておりません。大幅な財源不足が生じることから、歳出特別枠については前年度水準の一・五兆円を実質的に確保、別枠加算につきましては地方税収の状況を踏まえ〇・六兆円を確保いたしました。こうした対策を講じることにより、平成二十六年度においては、地方の歳出総額を対前年度一・五兆円の増、そして地方一般財源総額を対前年度〇・六兆円の増としたところでございます。
 今後とも、地方財政計画において必要な地方の財政需要を歳出特別枠あるいは経常的な経費により適切に反映するとともに、地方が安定的に財政運営を行うことができるよう、地方交付税を含めた必要な一般財源の総額を適切に確保してまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#21
○副議長(輿石東君) 吉田博美君。
   〔吉田博美君登壇、拍手〕
#22
○吉田博美君 自由民主党の吉田博美です。
 私は、自由民主党を代表して、安倍総理の施政方針演説について質問をいたします。
 最近、随分と自民党が右傾化しているという批判を耳にいたします。地元でも、本当に大丈夫かという声を多くの方から聞きます。しかし、私は御心配には及ばないと申し上げます。自民党には、右寄りの人もいますが、私のように中道もおります。いろいろな考え方の人がいる、この多様性が自民党の特徴であり、長所であります。
 仮に時の総理と違う意見だとしても、また、仮に党内の多数派と違う意見だとしても、堂々と発言ができ、党内で自由闊達な議論ができる、こうした懐の深さが自民党が長年政権を担当できた理由だと思っておりますし、それは今でも全く変わっていないと確信しています。
 自民党が右傾化しているという批判について、安倍総理の御見解はいかがでしょうか。
 私は、ある尊敬する先輩の御紹介が縁で安倍総理に何回かお会いしてきましたが、総理は、いつお会いしても、おごることなく、決して上から目線ではなく、誰とでもフラットに柔軟にお話をされる、本当に幅の広い方です。だからこそ、本当にこの国を託すのにふさわしい方だと思っております。その安倍総理がなぜ、右傾化している、極右などと批判されるのか私には理解できません。右傾化などという批判は当たらない、私はそう信じておりますが、総理のお気持ちはいかがでしょうか。
 昨日、我が党の溝手議員会長が経済や教育政策を中心に質問されましたので、本日は私から、外交、震災復興、国土強靱化などを中心に質問したいと思います。
 総理は、昨年十二月に国家安全保障戦略を策定されました。外交と防衛を貫く初めての国家戦略です。その中心理念となっているのは積極的平和主義ですが、これにも軍事力で平和を維持することではないかといった誤解があります。
 先週、スイスで開かれたダボス会議で安倍総理が基調演説をされました。その演説で総理は、助け合いの精神で世界の平和に対してこれまで以上に積極的貢献をなす国になるとおっしゃいました。これがまさに積極的平和主義の理念でありましょう。
 積極的平和主義は、決して戦争をしようとか武力に頼って平和を維持しようというものではないはずです。総理自らがリーダーシップを取って積極的に国際協調、平和外交をやっていこうというのが積極的平和主義だと考えますが、そういう認識でよろしいのでしょうか、伺います。
 ダボスの演説では、総理は、日本は不戦の誓いを立てた国であり、世界の恒久平和を願い続ける国だともおっしゃいました。我々日本人にとっては当然のことですが、世界の注目が集まる場で総理の口から発信したことは大きな意味があったと思います。
 私は戦争だけは絶対にいけないと思います。鹿児島の知覧に行って、特攻隊員の方々の手紙を読み、遺品を見たときにその思いを強くしました。やはり皆、悩んで、苦しんで、そして死を覚悟して死んでいったのです。これからの若者にそんな思いを決してさせてはいけません。
 総理の施政方針演説は不戦の誓いという表現はありませんでしたが、国会の場でも、総理から改めて不戦の誓いを述べていただきたいと思います。
 総理は就任以来休みなく海外に行かれています。ほぼ毎月ではないでしょうか。そして、この一月は、中東、アフリカ、ダボス、インドと、本当に休む暇もないスケジュールです。どうか健康に留意してください。私の記憶にある限り、ここまで熱心に海外を訪問された総理はいないと思います。
 その成果として、インドやトルコなど日本にとって大事な国々との関係が大変に良くなっています。アジアはもちろんですが、中東やアフリカの国々との外交でも、日本は世界の中で独自の役割を果たすことができます。中東和平問題で日本が仲介役を果たしてきたこともその一例です。こうした独自外交の強化は、まさに積極的平和主義を具体化するものとなるはずです。
 さきの中東、アフリカ、インド歴訪の成果と、今後の中東、アフリカ、インド外交の意義について、総理のお考えをお伺いします。
 外交に関してもう一つ伺わなければならないのは、中国、韓国との関係です。
 中国と韓国は、大切な隣国でありながら、現在は日本に対して残念ながら不信感を持っている状況があります。この状態がいつまでも続くことはお互いにとって不利益です。日本はここから引っ越せないのですから、永遠に隣国であることは変わりません。
 幾ら関係を改善したくても、相手の態度が変わらなければどうしようもないという意見もあります。しかし、もし日本が外交に強い国を目指すのであれば、どうやって相手の態度を変えるのかという発想で臨まなければならないと思います。
 昔から、戦わずして勝つのが上策だといいます。これは現代にも通用するでしょう。戦って国益を守るのではなく、戦わないで国益を守る方がはるかに上策です。そのためには、相手の考えを変えて日本とのトラブルが生まれないようにする、そういう方向で知恵を絞るべきであります。そうした観点から、中国、韓国との関係を再構築する必要があると考えます。
 積極的平和主義には、周辺国との平和的な関係を我が国が積極的に主導するという意味も含まれると思いますが、総理はどうお考えでしょうか、伺います。
 また、その一例として、昨年十一月に中国が防空識別圏を設定した問題について伺います。
 そこを飛ぶだけで飛行計画を提出させるというのは、公海上の飛行の自由を侵害する国際法違反であります。この点で、我が国と米国を始めとする世界各国は同じ立場であるはずです。防空識別圏の撤回を求めるのが我が国の原則的な立場ですが、まずは各国と共同して中国に運用を改めさせるべきだと考えます。また、偶発的な衝突を避けるため、日中のホットラインの設置も急ぐべきだと考えます。これらについて、総理のお考えをお聞かせください。
 次に、総理の靖国神社参拝に対する各国の反応について伺います。
 今回の参拝には、中国、韓国はもちろんですが、米国の認識にも誤解があると考えます。総理も誤解を解きたいとおっしゃっていますが、今後どのように誤解を解いていくお考えでしょうか、お教えください。
 また、今回の件で日米関係がぎくしゃくしていると思われてしまっては、それこそ大きな誤解です。国内外に誤ったメッセージを送らないよう、日米同盟は全く揺るがないこと、日米が緊密に協力して世界の平和と安定により積極的に貢献していくことを日米両国がハイレベルで表明すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 日米関係と関連して、TPP交渉についても伺います。
 元々は昨年中に大筋合意という目標で交渉が行われていましたが、それは達成できませんでした。交渉が難航しているとか、もう大詰めだとか様々な報道がありますが、関税など肝腎な部分がどのように決着するのか、大いに関心を持っています。
 我々自民党は政権公約で、農林水産分野の重要五品目等の聖域を確保するなど、TPPに関して六項目を国民の皆様にお約束をしています。私は総理がこの六項目を守っていただけると信じて疑いませんが、総理としてはどのような方針で今後の交渉に臨むお考えでしょうか、お聞かせください。
 次に、震災復興について質問させていただきます。
 今月初めの福島県の地元紙に、福島県内の市町村長さんへのアンケート結果というものが載っていました。「復興「加速せず」四四%」という見出しです。中身を読むと、安倍内閣になってから復興が加速した、一部加速したが合わせて五一%、加速していないが四四%という結果でした。なぜわざわざ少ない方を見出しにするのかなという気がいたしましたが、それはおいておいて、県内市町村の過半数が安倍内閣になってから復興が加速したと感じていることは、政権交代の成果が着実に出ているのだと思います。
 一方で、まだ復興が加速していないと感じている市町村長さんも半数近くいらっしゃるというのも事実です。一部では復興が進んでいても、それが全ての場所には行き渡っていないということだと思います。総理として、復興の更なる加速のためにどのような具体策をお考えか、お聞かせください。
 被災地の自治体からは、復興事業の用地確保が難航しているという声が強く上がっています。用地取得に関して、昨年十月に復興庁が用地取得加速化プログラムを策定しているのですが、現行制度の運用改善にとどまっていて、十分ではないというのです。
 被災自治体からは、人を増やす方向での支援も必要だが、手続を減らし、必要なマンパワーを減らす方向での支援の方が効果が大きいという話も聞いています。用地取得を簡素化するためには、私権制限も含めた抜本的な特例措置が必要です。総理が覚悟を持って取り組むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、国土強靱化、インフラ整備について伺います。
 私は長野県が地元ですので、よく中央道を使います。一昨年十二月に大事故があった笹子トンネルもよく通ります。事故の数日前にも通りました。同じように老朽化している施設は全国に多くありますし、これからもっと増えるでしょう。高度成長期に大量に造られたインフラがどんどん寿命を迎えるからです。
 政府は、昨年十一月にインフラ老朽化対策の基本計画を作っています。それに従って全国の自治体でも計画を作るそうです。対象となる施設を全て把握して、点検して改修するのは膨大な作業ですが、政府自らの対策、そして各自治体への支援をどのように行っていくお考えか、お聞かせください。
 老朽化対策以外にも、更なる国土強靱化のために新たなインフラ整備が必要になると考えます。
 我が国は、山、川、海と、変化の激しい地形が山紫水明の美を生んでいます。しかし、それぞれに合わせた災害対策を考えると、大変な苦労があります。大陸の平らな国と比べてインフラ整備にお金が掛かるのは、我が国の宿命とも言っていいでしょう。その一例として、南海トラフ地震や首都直下地震など、いつ来るか分からない、しかし、もし来れば大きな被害が予想される地震対策について、政府の取組をお聞かせください。
 一時期、公共事業は悪者のように言われました。しかし、今後も我が国から災害がなくなることはありません。国土強靱化のために必要な事業は継続的に行っていくことが必要です。備えあれば憂いなし、これを言葉だけではなく実行に移すのが政府の責任です。国民が安心して暮らせるような国土強靱化の推進について、政府の基本姿勢をお伺いします。
 最近、インフラ整備の需要が増えたことに伴って、問題も発生しています。建設業界で深刻になっている人手不足、価格高騰、入札不調といった問題です。これからオリンピックに向けた準備が本格化すると、問題が更に悪化する可能性もあり、心配です。政府としては対応が必要だと考えますが、具体策をお聞かせください。
 東京オリンピック・パラリンピックは、先日、森元総理を会長とする組織委員会が発足し、いよいよ具体的な準備が動き出します。政府も、二十七年度にスポーツ庁を設置する方向で検討していると伺っています。
 オリンピックの準備には、スポーツだけではなく、インフラ整備や観光など、政府全体としての取組が求められます。過去の東京、札幌、長野のオリンピックの際には特別法を制定していますが、今回も、スポーツ庁の設置だけではなく、特別法や予算の特別枠をつくるなど、政府が一丸となって取り組むべきではないかと考えます。政府としてそうしたお考えがあるか、伺います。
 オリンピックの効果が東京だけにとどまってしまうのではないかという心配も地方にはあります。間違っても、インフラ整備が東京に集中して、かえって地方経済にはマイナスになってしまったなどということがあってはなりません。オリンピックの開催を日本全体の活性化につなげるためのインフラ整備について、政府の方針を伺います。
 オリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場に対しては、コストが掛かり過ぎる、設計に難がある、景観にそぐわないなど様々な批判もありますが、政府としての整備方針をお教えください。
 最後に、観光振興について伺います。
 昨年、日本を訪問した外国人が初めて一千万人を突破しました。政府は、オリンピックが開催される二〇二〇年に二千万人、二〇三〇年には三千万人の外国人観光客を呼び込むという目標を掲げています。これを実現するためには、空港や鉄道などのインフラ整備から、インターネット環境、観光客のサポート体制まで、ハード、ソフト両面にわたって海外観光客の視点に立った環境整備が必要です。我が国の技術や文化やおもてなしの心を総動員すれば、世界の人々にとって更に魅力ある国がつくれるはずです。
 世界中からより多くの人々をお迎えし、日本での滞在を満喫していただき、日本のファンを増やすことができれば、我が国が目指す積極的平和主義にも大いに貢献するはずです。そのための方策を総理にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#23
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 吉田博美議員にお答えをいたします。
 自民党と私に対する右傾化批判についてお尋ねがありました。
 政治は国民のもの、自民党の立党宣言はこの言葉から始まります。私たち自民党には、右に偏った政治も、左に偏った政治もありません。あるのは、ただ現実の国民に寄り添う政治、それだけであります。
 自民党では、何事もかんかんがくがく議論を行います。しかし、それは延々と続くイデオロギー論争ではありません。国民政党として何をなすべきかをめぐる建設的な議論です。ですから、必ず結論を出す、そして、結論が出れば、全ては国家国民のため、一致団結して政策の実現に邁進する、それが国民政党、自由民主党です。
 南西の海では主権への挑発が繰り返されています。日本の安全保障環境は厳しさを増している、これが現実であります。そうした現実の下で、私たち自由民主党は、国民の生命と財産は断固として守り抜いていく決意であります。これは右傾化などでは決してありません。国民を取り巻く現実を直視した責任ある政治にほかなりません。
 レッテル貼りは世の常でありますから、私たちの考え方をしっかりと説明すれば、国民の皆さんには必ずや御理解いただけるものと確信しております。今後とも、国民の皆さんの声に謙虚に耳を傾け、更に政策を磨くとともに、その理解を得ながら、国民のための政治を前に進めてまいりたいと考えています。
 積極的平和主義及び不戦の誓いについてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさを増しており、脅威は容易に国境を越えてきます。もはや我が国のみでは我が国の平和を守ることはできません。国際社会と協力して地域や世界の平和を確保していくことが不可欠であります。このような認識の下に、我が国は積極的平和主義の立場から、これまで以上に積極的に国際社会の平和と安全に寄与してまいります。
 二度と戦争をしてはいけない、当たり前のことであります。戦後、我が国は、自由で民主的で、基本的人権や法の支配を尊ぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり平和国家として歩んできました。その歩みは今後も変わりません。日本は不戦の誓いを立てた国であります。世界の恒久平和を願い続ける国であります。
 中東、アフリカ、インド歴訪の成果と今後の各地域との外交の意義についてのお尋ねがありました。
 中東は、エネルギー安全保障を始めとして、我が国にとって死活的に重要な地域です。私は、一年間で全てのGCC諸国、そしてトルコは二度訪問し、各国首脳と親交を結びました。今後とも、エネルギーや経済にとどまらず、幅広い分野で重層的な協力関係の発展に努めてまいります。
 アフリカは目覚ましい経済成長を遂げつつあります。日本外交のフロンティアでもあります。今回のアフリカ訪問では、各国の首脳と活発な議論を行い、日本企業の投資がもたらす人材育成、品質や労働倫理の向上に対する高い評価と期待を感じました。今後とも、官民で連携し、アフリカの質の高い成長に貢献してまいります。
 日印関係は、世界で最も可能性を秘めた二国間関係です。今回、日本の総理として初めてインドの共和国記念日に主賓として招かれました。シン首相との間では、戦略的グローバルパートナーシップを更に力強く推進していくことで一致いたしました。民主主義や法の支配などの基本的価値を共有する地域の大国であるインドと手を携え、地域の平和と安定に貢献してまいります。
 中東、アフリカ、インドは、我が国が戦略的な外交を推進していく上でそれぞれ重要な地位を占めています。それぞれの地域の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献してまいります。
 積極的平和主義と中国、韓国との関係構築についてお尋ねがありました。
 我が国は、国際協調主義に基づく積極的平和主義の考えの下、地域と世界の平和と安定により一層貢献してまいります。中国と韓国とは、平和的な協力関係の発展を積極的に主導していきます。
 中国の防空識別区については、引き続き、関係国とも協力しつつ、公海上空における飛行の自由を妨げるような措置の撤回を中国側に求めてまいります。また、不測の事態の発生を回避するため、第一次安倍政権の際に、日中首脳会談において、私から防衛当局間の連絡体制を整備することを提案し、意見の一致を見ています。その後、防衛当局間のホットラインを含む海上連絡メカニズムについて大筋合意しましたが、いまだ中国はその運用開始に応じていません。中国側が速やかに運用開始に応じるよう働きかけを続けてまいります。
 靖国神社参拝及び日米同盟についてのお尋ねがありました。
 靖国神社への参拝では、二度と人々が戦争の惨禍に苦しむことがない時代をつくるとの決意を込めて不戦の誓いをいたしました。中国、韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは全くありません。各国に対しては、これからも謙虚に、礼儀正しく、誠意を持って真意を説明してまいります。
 米国との関係では、これまで両国は、首脳レベルを含む様々な機会に、日米が緊密に協力して世界の平和と安定に貢献していく旨表明してきています。日米同盟は揺るぎないものであり、本件参拝に影響されることはありません。日米両国は互いに協力して世界の平和と安定により積極的に貢献してまいります。
 TPP交渉についてお尋ねがありました。
 我々が選挙でお示しした公約はたがえてはならないと考えております。農産品のいわゆる重要五品目については、衆参の農林水産委員会の決議をしっかりと受け止め、全力で交渉に当たります。国民皆保険、食の安全、安心などの項目についても、交渉を通じて守っていかなければならないと考えます。守るべきものは守り、攻めるべきは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求してまいります。
 福島の復興加速化と被災地の用地取得の簡素化についてお尋ねがありました。
 福島の復興については、昨年末に決定した早期帰還支援と新生活支援との両面で福島を支えること、福島第一原発の事故収束に向けた取組を強化すること、国が前面に立って原子力災害からの福島の再生を加速させることとの方針に沿って、使い勝手の良い新たな交付金も活用しつつ、しっかり取り組んでまいります。
 また、被災地の用地取得については、昨年十月に、財産管理制度などの手続の簡素化等により、用地取得手続を飛躍的に短縮することとし、迅速化に効果を上げてまいりました。
 復興は着実に進んでおりますが、いまだ二十七万人を超える方々が避難先でこの冬を迎えております。福島の復興再生もまだまだ課題が山積しております。今後とも、復興のステージが上がるたびに見えてくる課題については、現地の声に耳を傾けながら、また与党の御意見を伺いながらきめ細やかに解決していくなど、復興に全力を尽くしてまいります。
 インフラの老朽化対策や国土強靱化などについてお尋ねがありました。
 インフラの老朽化対策については、昨年十一月に決定したインフラ長寿命化基本計画に基づき、各省ごとに行動計画を策定するとともに、地方自治体に対して防災・安全交付金による財政支援等を行うなど、万全を期してまいります。
 国土強靱化については、昨年末に決定した国土強靱化政策大綱に沿って、南海トラフ地震、首都直下地震等の大規模地震対策も含め、ハード、ソフトを組み合わせながら、優先順位を付けて災害に強い国づくりを計画的に進めてまいります。
 建設業界における人手不足等の問題については、これまで公共事業における発注規模の大型化や労務単価の引上げなどを行ってまいりました。今後とも、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、そうした問題が深刻化することのないよう、考えられる対策を総動員し、きめ細かく対応してまいります。
 東京オリンピック・パラリンピックに向けた政府の取組についてお尋ねがありました。
 東京オリンピック・パラリンピックは、二〇二〇年とその先の未来を見据えながら、日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけとしなければなりません。スポーツ庁の設置について検討を進めるとともに、大会組織委員会や東京都、スポーツ界と連携しながら、必要な法令の整備や財源の調達等について検討を行い、六年後の大会成功に向けて政府一丸となって全力で取り組んでまいります。
 オリンピック・パラリンピックの開催を日本全体の活性化につなげるためのインフラ整備についてお尋ねがありました。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、東京のみならず、日本全体の祭典であり、大会を契機に海外の方が日本全国を訪れるようにすることが重要と考えます。
 現在、地方において新幹線や空港などの交通基盤インフラの整備を行っており、そうしたインフラにより、多くの外国の方々に地方を訪れてもらえるようにしてまいりたいと考えております。あわせて、諸外国チームによる事前合宿やスポーツ・文化イベントの実施などを通じて、オリンピック・パラリンピックの開催の効果が日本全体に波及するよう努めてまいります。
 新国立競技場の整備についてお尋ねがありました。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の開会式等の会場となる国立競技場については、国際競技大会の競技会場としてふさわしい規模や機能を有すると同時に、その整備に係る経費が適正であることが必要であると考えています。
 このような方針の下、コストや景観に関する様々な御意見なども踏まえ、建設規模を縮小するとともに、整備内容等を見直し、経費の抑制を図っているところであります。今後、二〇二〇年の大会開催に向けて競技場の整備を着実に進めてまいります。
 観光振興についてお尋ねがありました。
 観光立国は、活力に満ちあふれる地方をつくっていくためにも、また、各国との相互理解を深めていくためにも極めて重要な成長戦略です。政府一丸となって観光立国を推進するため、外国人旅行者に不便な規制や障害を徹底的に洗い出し、できることは速やかに実施に移すとともに、現行の観光立国実現に向けたアクションプログラムを改定することを各閣僚に指示したところであります。
 御指摘のように、おもてなしの心や世界遺産に登録された和食など、日本の多彩な魅力を強力に発信していくほか、ビザ発給要件の更なる緩和や、インターネット環境の整備などを通じ、より多くの方に日本を楽しんでいただけるようにしてまいりたいと思います。今後、自治体などとも協力しながら、二千万人の高みを目指し、施策を強力に推進してまいります。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#24
○議長(山崎正昭君) 徳永エリ君。
   〔徳永エリ君登壇、拍手〕
#25
○徳永エリ君 民主党・新緑風会の徳永エリです。
 会派を代表して、安倍総理に質問をさせていただきます。
 安倍晋三首相。あなたは特定秘密保護法を数の力で強引に成立させた翌日、嵐が去った感じがしたと語ったそうですね。様々な反対や抵抗を押し切った末に、何とか秘密保護法を成立させた達成感が、そう言わせたのでしょう。私たちは連日、永田町で、声を限りに反対を叫びました。でも安倍さん、私たちの訴えに対する権力の答えは、おびただしい数の警察官に私たちを取り囲ませることでした。あなたが私たちの声を聞く気など毛頭ないことを知り、私たちは怒り、絶望し、むなしい気持ちでいっぱいになりました。私たちは要求します。政治に市民の声が反映されることを。当たり前の民主主義を。権力に酔いしれ、国民を軽んじた安倍さん。あなたは無名の民が、一つの思いでつながった大きな力を思い知るでしょう。
 これは、十二月十三日の朝日新聞のボイスに寄せられた国民の声です。
 十二月六日、参議院の本会議において特定秘密の保護に関する法案の採決が行われたあの日、国会周辺には約二万人が全国各地から詰めかけ、早朝から深夜まで声をからして不安と怒りを訴え続けていました。決して特別な人たちではありません。普通の市民です。小さな子供の手を引いた若いお母さんや、御高齢の方々もたくさんおられました。総理、寒空の中で何日も何十時間も立ち続け、不安な思いを訴え続けてきた国民の姿を、声を、あなたはどう受け止めておられたのでしょうか。
 また、総理は、特定秘密保護法が成立した翌日の記者会見で記者の質問に対して、厳しい世論については国民の叱正であると謙虚に、真摯に受け止めなければならない、もっともっと丁寧に時間を取って説明すべきだったと反省もしているとおっしゃっています。だとしたら、なぜそうなさらなかったのでしょうか。
 直近の共同通信社の全国電話世論調査によると、特定秘密保護法をどうすればよいかについての回答は、通常国会以降に修正する、廃止するが七四・八%に上りました。
 我々民主党が提出した対案五法案、特に国民の知る権利を確立するための情報公開法改正案、公文書の意図的廃棄や秘密の永久化を許さない公文書管理法改正案に関して審議をしようともせず、法の不備を是正しないまま、多くの民意を無視した、強行採決を容認し、法案成立をなぜ急ぐ必要があったのか、総理には納得いく御説明をお願い申し上げます。また、世論調査の結果にもあるような、多くの民意というものを総理は今後どのように受け止めていかれるのでしょうか、総理のお気持ちをお聞かせください。
 世界規模のスポーツイベントで愛国心を感じる若い人が多いというが、あの熱狂ぶりを見てヒトラー・ユーゲントの再来かと怖くなった。ああいう人は極右に走りやすくて、権力者にとっては本当に利用しやすい。最近は、自民党の若い議員を見ても、怖い。過去の戦争を全て正しかったと考えていて、頭は大丈夫かと疑いたくなる。日中戦争は明らかに侵略戦争だし、韓国併合は植民地化で、自衛戦争の面がある太平洋戦争でも、インドネシアの人を日本人化しようとしたのは間違っていた。なぜ戦争を始め、途中でやめられず、負けたのか。そこから目をそらし、責任の所在を不明瞭にするのは愛国心ではない。戦争に負けたと教わった昭和四十年代前半までとそれ以降の世代の分水嶺が消え、社会が左から右に大きく振れている。この二、三年、大っぴらにナショナリズムが叫ばれ、不快だ。国は戦中、言論統制により新聞など批判勢力を排除し、従わなければ非国民と切り捨てた。なぜ同じことを繰り返すのか。そんなやり方では、国を誤っても幸せにすることはあり得ない。愛国心をあおって戦争し、負けたのが日本だ。
 これは、二〇〇六年九月二十三日、毎日新聞の鳥取地方版に掲載されたインタビュー記事です。インタビューを受けこのように話したのは、現自民党幹事長石破茂衆議院議員です。このような石破幹事長のお考えを総理はどのように思われますか、総理の御意見を伺います。
 また、日本の若い世代が、ヘイトスピーチ、排外主義に見られるような、隣国を嫌い敵視することが愛国心であるかのように間違った認識をすることがないよう、安倍総理自らが先頭に立って、中国や韓国と良好な関係を築くために、個人のイデオロギーだけで行動するのではなく、慎重に平和的に、偶発的な衝突が起こらないようにでき得る限りの努力をすることが必要だと考えます。また、安倍政権の人事、人脈に関わる方ももっと発言に慎重になるべきだと考えますが、総理の御意見を伺います。
 福島原子力発電所事故は終わっていない、今回の事故は自然災害ではなく明らかに人災である、福島第一原発に関する事故調査委員会の報告書の冒頭で強く印象に残った黒川委員長の言葉です。謙虚に、真摯に受け止めなければならないと思いますが、総理はこの言葉をどのように受け止めておられるのでしょうか、伺います。また、国民の宝とも言えるこの報告書を事故の再発防止に役立てるためにも、もっと国民に周知させることが必要だと考えますが、総理の御見解を伺います。
 福島第一原発に関する事故調査委員会は、政府、東京電力、民間、そして国会と四つつくられました。国会事故調査委員会は、その中で唯一、政府からも事業者からも独立して国会に設置された委員会で、立法府という国民の代表の最高機関が行政を監視するという民主主義の基本を実践したものです。十名の委員には福島県の被災者も入っています。その活動と報告は、原発問題を抱える世界中の国々からも非常に高く評価されています。
 そこで、衆参の原子力問題特別委員会で、今後、国会事故調査委員会からの七つの提言の実現に向けて、その進捗状況も含め、独立した第三者機関である国会事故調査委員会の委員に対する参考人としての出席を慣例化し、事故調査や福島第一原発のサイト内で起きている汚染水の問題等の解決に向けて力を合わせて取り組むべきだと考えますが、総理の御所見を伺います。
 また、現与党も賛成してつくられた原子力規制委員会は、政府内の推進組織からも事業者からも政治からも独立した規制機関であるのにもかかわらず、自民党の原子力規制PTは、原子力規制委員会は独立ではなく孤立だとして提言をまとめ、田中規制委員長に異例の申入れを行いました。これは、政治側から独立を妨げようとしていることになりかねません。また、新たな政治的圧力とも受け止められます。国会事故調査委員会の提言の実現のためにも、規制委員会の独立性は担保されるべきだと考えますが、総理の御見解を伺います。
 福島第一原発の事故により、いまだ四万九千人を超える人たちが福島県外で避難生活を送っています。自主避難を選択した理由は、放射線被曝への恐怖だけではありません。事故直後の国と福島県の事故対応への不信感、また、医師や科学者の放射線被曝や健康への影響についての知見や発言に大きな不信感と怒りを抱いたことが最大の理由なんです。国と福島県は、今も県外に避難している人たちと信頼関係を回復することが喫緊の課題です。そのために一番必要なのは対話です。
 原発事故子ども・被災者支援法第二条の基本理念では、自分の意思で支援対象地域における居住も、他の地域への移動も、帰還もでき、いずれを選択しても適切に支援されなければならないとなっています。しかし、基本方針に盛り込まれた施策のほとんどが第十条の支援対象地域以外の地域から帰還する被災者への支援に偏り、帰還を促すような施策ばかりであります。第九条の支援対象地域以外の地域で生活する被災者への支援や、避難先で新しい生活を始めようとする人たちへの支援はほとんどありません。
 避難生活はまだまだ続きます。今後、新たな問題が起きるかもしれません。そこで、自主避難者の実態把握を目的とするチームを復興庁内に設置して、それぞれの地域で定期的に自主避難者との対話や要望の聞き取りを行い、今後の施策に反映させていくことが必要になります。さらに、全国で自主避難者支援を行っているNPO等民間団体や学識経験者、自主避難者の当事者団体などから構成される有識者会議を設置し、自主避難者への支援施策検討に際し、国や復興庁等と定期的に協議をできる場をつくるべきだとも考えますが、総理の御見解を伺います。
 昨年末の臨時国会において、婚姻届を出していない男女間に生まれた子供、婚外子の相続分を婚姻届を出している夫婦の子供の相続分と同等とする内容の民法の一部を改正する法律案が可決、成立しました。しかし一方で、我が民主党を始めとする、出生届の婚外子又は婚外子でない子の別の記載の削除を求める超党派の議員立法、戸籍法の一部を改正する法律案は、参議院法務委員会においては可決されましたが、本会議においては自民党及び日本維新の会の反対で否決されました。戸籍においては、二〇〇四年の改正で、一見して婚外子と分かる記載が、結婚して生まれた子供と等しく長男、長女などと記載されることに改正されましたが、出生届はいまだ差別的な取扱いとなっています。早急に改めるべきです。
 そもそも戸籍法は、実体法である民法によって決定された身分関係を記録する手続法たる位置付けにあります。昨年九月四日の最高裁大法廷決定を受けた民法改正により、婚外子と婚外子でない子の区別のうち、最も重要である相続分の区別をなくしたのであれば、手続法たる戸籍法についても早急に改正するべきであると考えますが、総理の御所見を伺います。
 昨年末、突然、経営所得安定対策の見直しや、平成三十年度からの米の生産調整の見直しが決まり、日本の農政は大きな転換期に入りました。政府は、農業の競争力強化のために農地の規模拡大を進めようとしています。そのために、経営力の弱い農家に農業をやめさせ、担い手への農地集積を促す施策を行おうとしています。しかし、都会と比べて地方の市町村は人口減少の割合が高く、また、多くの市町村で主要産業は農林水産業、一次産業であり、一次産業と関連産業による所得と雇用の確保が重要です。農家一戸の規模が拡大し過ぎると、加速度的に人口は減り、学校がなくなり、病院や商店もなくなり、地域社会が崩壊してしまいます。
 地域の農業資源を維持していく上で、効率化や規模拡大も必要ですが、多様な担い手を実現するために、タイプの違った経営によって地域の農業を構成していくことも大切です。また、産業競争力会議の提案により、農地の中間管理機構、農地バンクを設置し、農業に企業が参入しやすい仕組みをつくりました。企業は、農業委員会、農協、市町村が連携できないことで、農地を取得しようとしてもできなかったと主張していますが、二〇〇三年の農地法の改正で農地をリースできるようになっており、企業も農業に既に参入をしています。私の地元北海道では、これまでに六十七法人が参入しましたが、そのうち十五法人は既に撤退しているんです。むしろ、企業の側が農地の不適切な利用や採算が取れずに撤退するなど様々な問題を抱えているんです。
 総理は、ダボス会議で、民間企業が障壁なく農業に参入し、作りたい作物を需給の人為的コントロール抜きに作れる時代が来るとおっしゃいましたが、市場の原理だけで農地の利用調整を行い、需給のコントロールなしで皆が高収益作物を作ったら、産地間対立や価格破壊が起きるのではないでしょうか。総理の御所見を伺います。
 また、米の生産調整の見直しにより、米価の下落が心配されます。米価の下落の影響は、小規模兼業農家よりも、規模拡大で農地の購入や農業機械への投資などで多額の借金を抱えている大規模で専業的な北海道のような農家ほど大きくなります。米価の下落を防ぐ需給調整の仕組みや経営安定に向けたセーフティーネットの構築が必要です。企業主導の農政改革にならないように、大企業の経営者が民間の議員になっている産業競争力会議、規制改革会議には、地方の市町村の代表者や農業者を参加させるか、又は協議の場を設けるべきだと考えますが、総理の御見解を伺います。
 政府・与党は、日本を企業が一番活動しやすい国にすると総理がおっしゃったように、復興特別法人税の前倒しの廃止や、国民生活には不安だらけのTPP、国家戦略特区などで企業にとって都合の良い規制緩和を行うなど、大企業だけが利益をどんどん拡大することに集中した施策を進めています。
 国民の雇用は増えるのでしょうか。働く人たちの賃金は本当に上がるのでしょうか。そうでなければ、物価の上昇や消費税増税、社会保障費の負担増により国民生活は苦しくなるばかり、格差はまたまた広がってしまいます。若者や女性、子供の貧困、生活苦による自殺や事件など、多くの社会問題を日本の国は抱えています。総理は、あらゆる人にチャンスをつくるとおっしゃっていますが、深刻な社会問題の解決に取り組まなければ、チャンスがあってもごく一部の人しかそのチャンスをつかむことはできません。
 民主党は、政権時代、格差の是正、社会問題の解決、少子高齢化対策に取り組み、一定の成果を上げてまいりました。これからも国民生活にしっかりと目を向け、命、雇用、暮らしを守る、そして日本を決して戦争ができる国にしないように、政府・与党としっかりと対峙していくことを国民の皆さんとお約束し、私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#26
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 徳永エリ議員にお答えをいたします。
 特定秘密保護法についてお尋ねがありました。
 自民党、公明党、与党は選挙の結果多数を得ましたが、これからも謙虚に国会運営を行ってまいります。
 本法は、国会審議を通して与野党で幅広い御議論をいただき、この結果、十二の論点について法案修正がなされ成立したものでありますが、これまでの様々な御意見については真摯に受け止め、今後とも、同法について国民の皆様に丁寧に説明を重ねるとともに、その適正かつ効果的な運用が図られるよう施行準備を進めてまいります。
 石破幹事長のインタビュー及び日中・日韓関係についてお尋ねがありました。
 お尋ねのありました石破幹事長のインタビューにつきましては、石破幹事長が御自身の認識を示されたものであります。
 いずれにせよ、戦後、我が国は、自由で民主的で、基本的人権や法の支配を尊ぶ国をつくり、戦後六十八年にわたり平和国家として歩んでまいりました。その歩みは今後も変わりません。
 中国との関係は、我が国にとり最も重要な二国間関係の一つであります。また、韓国は、我が国にとって基本的な価値と利益を共有する重要な隣国であります。中国、韓国とは、大局的な見地から、再々お答えをしているように、平和的な協力関係を発展させていくことが重要であります。中国には、偶発的な衝突を防ぐため、防衛当局間のホットラインを含む海上連絡メカニズムの運用開始を引き続き働きかけてまいります。私の対話のドアは常にオープンであり、中国、韓国にも同様の態度を期待します。
 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の報告書についてのお尋ねがありました。
 福島第一原発事故は、廃炉に向けた課題が山積しており、また、いまだ十四万人の被災者が避難生活を余儀なくされています。私は、前政権のように、事故は収束したという気には到底なれません。
 国会事故調から指摘されているとおり、複合災害という視点が欠如していたことや、規制組織の独立性が十分ではなく、安全神話に陥ってしまった点は政府としても深く反省しなければならないと考えています。国会事故調の報告書については、事故の再発防止に役立てるためにも、その内容が広く周知されることが重要だと考えます。
 両院の委員会の運営に関しましては、各党各会派の協議によって行われるものだと理解しています。政府としては、これを尊重した上で、東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策に全力で取り組んでまいります。
 原子力規制委員会の独立性についてお尋ねがありました。
 原子力規制委員会の独立性は設置法において明確に規定されております。田中原子力規制委員会委員長は、自民党原子力規制に関するプロジェクトチームの提言の申入れに際しては、報道陣に公開して面会することで透明性を確保し、審査や委員会の判断など個別の案件についての御意見はいただかないという方針で臨んだと承知しております。このため、申入れを受けたことで原子力規制委員会の政治からの独立性が揺らぐことはありません。原子力規制委員会において、引き続き、科学的、技術的知見に基づき、中立公正な立場で原子力の安全性を厳格に確認していくものと考えております。
 福島県からの自主避難者に対する支援についてお尋ねがありました。
 自主避難者の実態を把握し、必要な支援施策を適切に講じていくことが重要です。このため、自主避難者を始めとする被災者の実態を適切に把握するべく、復興庁が関係省庁と連携しつつ、被災者を支援する民間団体等の会合に参加するなど、各地で意見交換等を行っているところです。今後とも、こうした民間団体等とも連携しながら、引き続き被災者等の意見をしっかりと伺ってまいりたいと考えています。
 戸籍法の改正についてお尋ねがありました。
 御指摘の出生届の記載に関する戸籍法の改正については、様々な御意見があるものと承知しており、慎重な検討が必要と考えます。
 農政改革についてのお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村を実現していく決意の下、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上、農地集積による生産性の向上などに積極的に取り組んでいくこととしております。
 その上で、四十年以上続いてきた米の生産調整を見直します。農業者が自らの経営判断で作物を作れるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米の生産振興を図ることによって農地のフル活用を図り、産地間対立や価格破壊が起こるようなことはないようにしてまいります。これらにより、食料自給率と食料自給力の向上を併せて図っていくこととしております。今後、やる気のある担い手が安心して経営展開を図れるよう、現場の声も踏まえ、経営安定のための対策の実施など必要な環境整備を図ってまいります。
 規制改革会議には専門委員として農業者も含まれており、また、同会議や産業競争力会議ではこれまでも農業者からヒアリングを行っております。今後、私が主宰する農林水産業・地域の活力創造本部において、両会議の検討も踏まえ、現場での実効性と制度の安定性に配慮しながら、更に必要な見直しを行い、農政改革を前進させてまいります。
 以上であります。(拍手)
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#27
○議長(山崎正昭君) 片山虎之助君。
   〔片山虎之助君登壇、拍手〕
#28
○片山虎之助君 日本維新の会の片山虎之助です。
 我が党は小会派で創立も新しく、会派としてほとんど初めての代表質問ですので、改めてここで我が党の立場を明らかにします。
 我が党は、立党以来、責任野党を自負して、そう称し、これまでも政権に対し是々非々の立場で対応してきましたし、今後もそうする考えです。国や国民にとって是となることには賛成、非となることには反対、必要ならば建設的な対案を示していくという方針です。
 また、立法府として議員立法を各党が競うことは望ましいことです。私どもは、単独ないし共同でそれを行い、その意味で、政策協議と連携は全ての政党と行う用意があります。参議院は、かつては与野党の垣根も低く、与野党を超えた活動が良識の府と言われました。私どもは良識の府の良識の党でありたいと願っています。総理に御感想があればお伺いします。
 その上で、政府・与党に苦言を申し上げたい。
 一昨年末の衆議院選挙、そして昨夏の参議院選挙において与党は大勝、両院に巨大与党が誕生しました。そして、かつてねじれ国会、決められない政治とやゆされた国会は様変わりしました。
 今や、国会運営や政権運営は、決められないどころではなく、決め過ぎる政治になっています。政府・与党が結論を出したら一気呵成に突進、いや暴走するようになった感があり、昨年の特定秘密保護法案をめぐる国会審議などはその典型です。修正協議で与党は我が党の提案を受け入れたものの、それがどう実現するか、まだ曖昧に残っています。しかも、参議院では審議を尽くすことなく、衆議院と同じく強行採決に踏み切りました。政府・与党に猛省を促したいと思います。私は、巨大与党ほど国会運営には謙虚さと丁寧さが要ると思いますが、総理、いかにお考えですか。
 総理の最も親しいと言われる学者の方が、アベノミクスの三本の矢について、金融政策はA、財政政策はB、成長戦略はE、ABE、合わせてアベと言ったと伝えられていますが、言い得て妙で、私も同感です。新成長戦略はいまだに全容もイメージも定かでなく、これまで発表された政策もインパクトがありません。これが成功しなければ、実体経済は動かず、好循環などは期待できず、設備投資や雇用拡大、給与アップもありません。成長戦略に必要なのは、農業、医療、雇用など各分野の徹底した規制改革や、法人税引下げを中心とする税制改革など、思い切った提案と実行が必要です。総理、できますか。
 私は、昨年の予算委員会で、地方の法人関係税を廃止し、外形標準課税と地方消費税に振り替え、法人税の実効税率を一〇%引き下げるとともに、地方財源を安定させることを提案しました。総理は党税調に検討させると答弁されましたが、その後どうなっていますか。
 政府は、民間企業に対し賃上げを求め、経団連も年収ベースでの方向性を容認しています。一方、日銀は、消費者物価は今年と来年の二か年で、消費増税もありますので、約六%上がると見込んでいます。とすれば、現実に賃上げを二年続けて三%ずつ上げ続けることができる企業がどれほどあるでしょうか。
 そもそも、全国に約二千万いると言われるパートや派遣職員などの非正規労働者の賃金は伸びていません。これでは好景気を実感できるわけがない。このまま何も手を打たなければ国民の暮らしは確実に悪化します。消費者物価上昇を見据えた賃上げへの対応について、総理の御見解をお伺いします。
 景気回復の中、どこに行っても地方は良くないという大合唱です。メディアの調査は、国民の七、八割が景気回復を実感していないという結果が出ています。政府はこれを事実として検証しているのでしょうか。もしそうなら、どのような対策を講じる御所存か、総理の答弁をお伺いします。
 我が国は、これから一年半の間に消費税が二度、五%引き上げられることになります。これを我が国の経済や国民生活がのみ込むことができるのでしょうか。また、再引上げはいつ、どんな基準で判断されるのか。さらに、景気が腰折れする懸念が出た場合には追加経済対策と、こういうことになりますけれども、それでいいのでしょうか。
 その際、財政出動としては、公共事業の拡大、実施ですが、その場合、公共事業を地方主導型に変えることを私は提案したい。事業の選択基準や箇所付け、最低制限価格や人件費、資材費などの設定を地方に任せ、国はチェックだけにとどめる。地方に任せると危ないというのは地方に任せないからで、やらせればできるんです。総理の御所見をお伺いしたい。
 憲法改正についてお伺いします。
 憲法改正論議は国会の内でも外でも低調です。憲法審査会は前国会では開催されませんでした。憲法改正の進展には、国会での論議を深め、それによって国民的議論を起こすことが不可欠です。
 憲法改正に必須の国民投票の不備を直す改正案を我が党は昨年提出しました。憲法改正論議を惹起するためにも、この改正案をまず今国会で成立させるべきだと思いますが、それを含め、総理の憲法改正に対する基本的な考え方と今後のスケジュールについて御所見をお伺いします。
 集団的自衛権の解釈には、私はかねがね疑問を持ってまいりました。私は、個別的自衛権も集団的自衛権も当然保持し、かつ、日本の防衛のためにはどちらも必要最小限度の行使は可能だという考えです。持っていながら使えないなどというのは詭弁に聞こえます。しかし一方、これまで六十年もの間、国会でこれが有権解釈として通用し、特別の権威を持つに至りました。したがって、それを単なる閣議決定や法律制定で変更できるかどうか議論があります。
 いずれにせよ、変更するには国民の納得と国際社会の理解が不可欠です。そのための十分な手続と説明について、我が党でもしっかりと議論をこれから始めようと思っておりますが、総理の率直な御見解をお伺いします。
 大議論のあった特定秘密保護法の大きな積み残し課題として、第三者機関設置の法制化と国会が関与するための特別法が今論議されています。修正案に合意した我が党にとっては、これは必須の要件です。参議院での政府答弁のとおり、法制化などにつき早急な実現を是非お願いしたい。総理の御所見を承りたいと思います。
 安倍政権は地方分権への熱意が薄れつつあるのではないかという見方がありますが、かつて熱心だった道州制推進や長い懸案の国の地方出先機関改革はどうなったのでしょうか。道州制法案の今国会提出も決まっていないと聞きます。また、前の政権で国の出先機関の一部を関西広域連合などに丸ごと移管できる法案が閣議決定されたにもかかわらず、以降放置されています。無責任ではないですか。総理の御所見をお聞きしたいと思います。
 東京の一極集中を打破するためには、我が国をまず東京圏とそれに並ぶ京阪神経済圏との二眼レフ構造とし、それからなだらかな多極分散型に変えていくことが現実的だと私は考えております。そのためにも二眼レフの中心となる大阪府の機能強化を図る大阪都構想を推進すべきと考えますが、衆議院での総理の答弁はもう一つ歯切れが良くありませんでした。総理の明快な答弁をお願いします。
 第二次安倍内閣が成立して一年一か月です。内閣支持率が高いのは、総理への景気回復を中心とした国民の期待が続いているからです。総理がこの国民の期待を裏切らないことを私どもは願っております。
 私ども日本維新の会は、立党の理念の下、改革維新の旗を高々と掲げ、賢くて強い日本と元気な地方をつくるため、難関にあえて次々とチャレンジしていくことをお約束しまして、日本維新の会の代表質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#29
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 片山虎之助議員にお答えをいたします。
 日本維新の会が掲げる責任野党としての姿勢に対する感想についてお尋ねがありました。
 大歓迎であります。かつて政権与党の先輩として責任ある政治の実現を常にリードしてこられた片山議員らしい大変誠実な御発言に心より敬意を表する次第であります。私たち連立与党としても、全ては国家国民のため、日本維新の会の皆さんと建設的な議論を行っていきたいと考えております。
 あるべき国会運営についてお尋ねがありました。
 自民党と公明党の連立与党は、衆参両院で選挙の結果として多数を持っております。しかし、与野党が互いに寛容の心を持って建設的な議論を行うべきであるとの私の信念は、今なお変わることはありません。だからこそ、さきの臨時国会では、特定秘密保護法のみならず、NSC法、国家戦略特区法といった重要法案についても、日本維新の会を始め野党の皆さんとの政策協議を経て、修正を行った上で成立させました。
 今後とも、私たち連立与党は、政策の実現を目指す責任野党とは柔軟かつ真摯に、そして謙虚かつ丁寧に政策協議を行っていく考えであります。
 成長戦略と法人税改革についてお尋ねがありました。
 日本経済に現れた回復の動きを持続的な経済成長につなげていくため、引き続き成長戦略を強力に推進してまいります。
 第一に、昨年策定した日本再興戦略の各施策の確実な実行に全力を挙げてまいります。このため、先般、重要施策ごとに実施時期と担当大臣を明確化した産業競争力の強化に関する実行計画を閣議決定いたしました。
 また、年央の成長戦略改訂を目指し、成長戦略進化のための今後の検討方針を産業競争力会議において取りまとめました。本方針を踏まえ、雇用・人材、農業、医療・介護といった分野の規制の在り方を含めて、更なる構造改革に取り組むこととしております。
 法人課税については、二十六年度税制改正において、復興特別法人税を一年前倒して廃止することとしており、国、地方を合わせた法人税率は二・四%下がることとなります。本年は、更なる国、地方を通じた法人課税改革に着手いたします。その改革に当たっては、与党での御議論も踏まえつつ、グローバルな経済の中での競争力等も考えながら、将来に向けた法人課税の在り方について幅広く議論してまいります。
 賃金の上昇についてお尋ねがありました。
 まず、来年度の消費者物価については、政府経済見通しにおいて三・二%程度の上昇、そのうち、消費税率引上げによる影響を除くと一・二%程度の上昇を見込んでおります。政府としては、景気回復の裾野が着実に広がる中、経済の好循環を実現し、正規、非正規を問わず、全国津々浦々で頑張って働く方々の所得の増大につなげてまいりたいと考えております。
 このため、所得拡大促進税制の拡充や復興特別法人税の一年前倒しでの廃止を決定するとともに、政労使会議において、労使は、物価の動向等も勘案しながら十分な議論を行い、企業収益の拡大を賃金上昇につなげていく、意欲と能力のある非正規雇用労働者についても、業績と能力を評価し、処遇に適切に反映させる等の共通の認識に至り、好循環実現に向けた確固たる土台を築くことができました。既に、こうした経済の好循環を目指す取組に呼応して、経済界から賃上げに向けた動きが出てきております。
 具体的な賃金の水準等は個別労使間の交渉を通じて決定されるものですが、今後は、こうした共通認識も踏まえ、労使間で賃上げの実現や非正規雇用の方々の処遇改善等に向けた十分な議論が行われ、賃金上昇が幅広く実現するものと期待しています。
 地方における景気回復に向けた取組についてお尋ねがありました。
 三本の矢の効果もあり、一年前と比べ、全地域で消費が拡大し、企業の景況感も中小企業を含め幅広く改善するなど、景気回復の裾野は着実に広がっています。しかし、景気回復の実感としては、いまだ全国津々浦々まで届いてはいません。御指摘のような調査があることも承知しております。経済再生に向けてここからが正念場であり、より一層取組を強化する必要があります。
 このため、政府としては、五・五兆円の経済対策と一兆円規模の税制措置を講じ、成長力の底上げを図るとともに、経済の好循環の実現を目指してまいります。また、今週、地域活性化の推進に関する関係閣僚会合を立ち上げ、成長戦略の改訂に向け、地域産業の成長と雇用の維持、創出などについて政府一体となって取り組むことといたします。さらに、地域ごとに地方産業競争力協議会を開催し、全国各地の生の声を日本再興戦略の実行に反映させてまいります。こうした取組を強力に進めることにより、地方や中小企業等、幅広い国民の方に成長の成果を行き渡らせてまいります。
 消費税率の引上げに伴う経済や国民生活への影響等についてお尋ねがありました。
 今般の消費税率引上げは、国民の皆様の暮らしを支える社会保障制度の安定財源を確保し、しっかりと次世代に引き渡すとともに、子ども・子育て支援を充実していくためのものであります。
 消費税率の八%への引上げに当たっては、これに伴う影響を緩和し、その後の経済の成長力を底上げするため、好循環実現のための経済対策を策定しており、まずはその着実な実行により景気の下振れリスクへの対応に万全を期してまいります。
 一〇%への引上げについては、税制抜本改革法にのっとって、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断したいと考えております。
 なお、公共事業については、その実施に当たり、例えば、国土交通省においては、地方向け補助金の九割以上を交付金として一括化し、事業の箇所付けについて地方公共団体の自由度を高めるなど、地方の裁量を大幅に高める工夫をしているところであります。
 国民投票法及び憲法の改正に向けた進め方等についてお尋ねがありました。
 自由民主党は、二十一世紀にふさわしい、あるべき憲法の姿を憲法改正草案として発表し、広く国民に憲法改正を訴えてきました。これを一つの契機として、御党を始め、各党各会派で憲法改正について真摯に御議論が行われていると承知をしております。
 今後、まずは、言わば憲法改正の土俵とも言える国民投票制度について、その残された宿題を解決し、その上で、国民的な議論の深まりや憲法審査会における検討を踏まえ、しっかりと着実に憲法改正に取り組んでまいりたいと考えております。
 集団的自衛権についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、安全保障の法的基盤を再構築する必要があるとの認識の下、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われており、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えております。
 政府としては、懇談会から報告書が提出された後に対応を検討することとなりますが、懇談会では、今後詰めの議論が行われていくこととなっており、期限ありきではなく、まずはしっかりと議論を深めていただきたいと考えています。懇談会においてどういう議論が行われていて、何が課題であり、何を目指しているのかを個別具体的な事例に即して分かりやすく説明し、国民的理解が一層進むよう努力してまいります。また、国際社会に対しても、透明性を持って丁寧に説明してまいります。
 特定秘密保護法に関し、第三者機関の設置と国会の関与についてお尋ねがありました。
 政府としては、本法施行までに内閣府に独立性の高い第三者機関である情報保全監察室を設置し、行政機関による個別の特定秘密の指定等をチェックすることとしております。さらに、その上で、法令の改正により、できる限り早期に情報保全監察室を局へ格上げすることといたします。
 また、国会の関与の在り方については、国会で講じられる具体的な保護措置などを含め、あるべき国会運営の全体像の議論の中で、国会において様々な観点から検討されるものと考えます。
 地方分権についてお尋ねがありました。
 道州制の導入については、現在、与党において、道州制に関する基本法案の早期制定を目指し、精力的に議論を行っております。この議論が集約されていくプロセスの中で法案が国会に提出されることとなると考えており、今後、政府としても、連携を深め、取り組んでまいります。
 出先機関を広域連合に移譲する法案については、市町村から大規模災害発生時の危機管理体制などに関し慎重な意見が出されており、慎重な検討が必要と考えます。出先機関改革については、国の出先機関から地方への事務権限の移譲等についての一括法案を今国会に提出し、着実に進めてまいります。
 大阪都構想については、大阪府と大阪市において、大都市地域特別区設置法に基づく特別区設置協議会が設置され、構想実現に向け協議が行われているものと承知しております。政府としては、その取組を見守るとともに、同法に基づく手続について適切に対応してまいります。
 私としましては、地方分権改革は、個性を生かし自立した地方をつくるため不可欠であるとの認識の下、地方の声も伺いながら、しっかりと進めてまいる所存であります。
 以上であります。(拍手)
#30
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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