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2014/03/07 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 本会議 第7号
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2014/03/07 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 本会議 第7号

#1
第186回国会 本会議 第7号
平成二十六年三月七日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
  平成二十六年三月七日
   午前十時開議
 第一 政治資金適正化委員会委員の指名
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴
  追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員等各種委員
  の選挙
 一、日程第一
 一、所得税法等の一部を改正する法律案及び地
  方法人税法案(趣旨説明)
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 真山勇一君から裁判官弾劾裁判所裁判員予備員を、小野次郎君から裁判官訴追委員を、薬師寺みちよ君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(山崎正昭君) この際、欠員となりました
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、
 裁判官訴追委員、同予備員各一名の選挙
を行います。
 つきましては、これらの各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、これを議長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員予備員に青木一彦君を、
 裁判官訴追委員に薬師寺みちよ君を、
 同予備員に田城郁君を、
それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員の職務を行う順序は、青木一彦君を第二順位といたします。
 また、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、田城郁君を第三順位といたします。
     ─────・─────
#7
○議長(山崎正昭君) 日程第一 政治資金適正化委員会委員の指名
 内閣から、政治資金適正化委員会委員五名の任命について、本院の議決による指名を求めてまいりました。
 よって、これより政治資金適正化委員会委員五名の指名を行いたいと存じます。
 つきましては、政治資金適正化委員会委員の指名は、議長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、政治資金適正化委員会委員に伊藤鉄男君、小見山満君、日出雄平君、大竹邦実君及び田中秀明君を指名いたします。
     ─────・─────
#9
○議長(山崎正昭君) この際、日程に追加して、
 所得税法等の一部を改正する法律案及び地方法人税法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。財務大臣麻生太郎君。
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案及び地方法人税法案の趣旨を御説明いたします。
 まず、所得税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 本法律案は、デフレ不況からの脱却と経済再生、税制抜本改革の着実な実施、震災からの復興支援などの観点から、国税に関し、所要の施策を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げさせていただきます。
 第一に、デフレ不況からの脱却と経済再生に向け、生産性向上設備投資促進税制の創設、研究開発税制、中小企業投資促進税制及び所得拡大促進税制の拡充、復興特別法人税の廃止、交際費等の損金不算入制度の見直し等を行うことといたしております。
 第二に、税制抜本改革を着実に実施するため、給与所得控除の上限の引下げ、環境性能に優れた自動車に対する自動車重量税の軽減措置の拡充等を行うことといたしております。
 第三に、震災からの復興を支援するため、復興産業集積区域に係る即時償却制度の延長等を行うこととしております。
 このほか、国際課税原則の総合主義から帰属主義への見直し、税理士制度の見直し等を行います。また、特定認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に対する登録免許税の特例等既存の特例について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うことといたしております。
 次に、地方法人税法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 本法律案は、地方団体の税源の偏在性を是正しその財源の均衡化を図ることを目的として、法人住民税法人税割の税率の引下げにあわせて地方交付税の財源を確保するための地方法人税を創設するものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、地方法人税の納税義務者は、法人税を納める義務がある法人といたしております。
 第二に、課税標準は、各課税事業年度の基準法人税額といたしております。
 第三に、税率は、百分の四・四としております。
 第四に、申告及び納付は、国に対して、課税事業年度終了の日の翌日から二月以内に行わなければならないとしております。
 その他、還付の手続等及び罰則に関し、法人税法と同様の規定を設けることといたしております。
 以上、所得税法等の一部を改正する法律案及び地方法人税法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。風間直樹君。
   〔風間直樹君登壇、拍手〕
#13
○風間直樹君 民主党・新緑風会の風間直樹です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案及び地方法人税法案の両案に関して質問を行います。
 まず、平成二十六年度税制改正の決定過程について質問します。
 平成二十六年度税制改正は、昨年十二月二十四日にその大綱が決定されました。この決定は、与党税制改正大綱を政府が追認する形で行われました。税制改正の決定過程において、政府税調に実質的な議論を行わせず、つまり、国民にそのプロセスを明らかにせず決定されたのが今回の改正です。
 かつて自民党は、法的な権限、責任を有しない党税調で税制改正の意思決定を行いました。平成二十六年度税制改正においても同様です。これは古い自民党への先祖返りです。公開した議論に基づく決定でなければ納税者の理解は得られません。
 そこで、麻生財務大臣に伺います。
 政府税調は中長期的な視点から税制の在り方を検討することとなっています。その一環として、毎年度の税制改正も政府税調の議題に入れ、議論の公開を担保すべきと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。
 さて、復興特別法人税の廃止についてお尋ねします。
 昨年十月一日、安倍総理は、復興特別法人税の一年前倒しでの廃止を検討すると表明されました。多くの国民、震災で甚大な被害を受けた方々には理解し難い発言だったと推察します。復興特別法人税は復興を全国民で担うため三党合意で導入したものです。政府の廃止決定はこれをほごにするもので、看過できません。
 そこで、総理が示した廃止の条件について質問します。
 まず、復興特別法人税の廃止が賃上げにつながるのかです。その根拠が乏しいのです。政府は政労使会合において企業の賃上げに向けた一定の合意形成ができたとしています。ですが、各企業の労使交渉に賃上げの判断を委ねるべき状況では、法人減税だけが先行することになりかねません。政府は賃上げの実効性をどのように担保されるつもりでしょうか。経済再生担当大臣に伺います。
 また、政府は、賃上げの状況についてフォローアップを行い公表するとしていますが、どのような方法で公表するのでしょうか。公表の方法によっては政府による賃上げの強制につながる危険性もあると考えます。経済産業大臣の答弁を求めます。
 さて、廃止の効果は法人全体の三割の黒字企業に及ぶにすぎません。むしろ、復興特別所得税の減税を行えば、生活者の可処分所得を直接増やすことにつながるため、幅広い層に効果があるのではないでしょうか。
 さらに、二十五兆円の復興財源のうち、日本郵政株式等の売却について具体的な道筋は付いているのでしょうか。財務大臣に答弁を求めます。
 次に、法人実効税率について質問します。
 安倍総理は、一月のダボス会議で、本年、更なる法人税改革に着手する、異次元の税制措置を断行すると訴えました。こうした総理の発言は海外から法人実効税率の引下げを事実上示したものと見られています。財務大臣は事前に総理から発言内容の相談を受けていたのでしょうか。また、今後、国際会議の場で法人実効税率の引下げについて政府の姿勢を発信するお考えはあるでしょうか。答弁を求めます。
 諸外国の法人実効税率を見ると、中国や韓国などアジア諸国、さらには英国の税率は我が国よりも一〇%程度低いものの、国際競争にさらされている米国は我が国よりも高い状況にあります。国際競争力強化等のために法人実効税率の引下げが求められる一方で、米国の状況をどう捉えているのでしょうか。麻生財務大臣の答弁を求めます。
 経団連などからは、法人実効税率を一〇%引き下げる要望も出されていますが、厳しい財政状況下、見合い財源五兆円の確保は容易ではありません。安倍総理は、政策効果があれば税収中立の考え方は取らないと発言されていますが、法人実効税率を引き下げればという単純なものではないという財務大臣のお考えがむしろ的を射たものだと私は思います。
 租税特別措置を見直す努力で課税ベースを拡大し、現実的範囲で法人実効税率を引き下げることで国際公約である財政健全化目標を実現すべきと考えますが、財務大臣の答弁を求めます。
 次に、いわゆる租特透明化法に基づく適用実態調査について質問します。
 租税特別措置については、民主党政権時に租特透明化法を制定し、法が規定する国会報告に基づき、効果不明なもの、役割を終えたものは廃止、また必要なものは恒久措置に切り替えるよう制度化しました。しかし、安倍政権になり、平成二十六年度税制改正を含め、法人関係租税特別措置で八千四百億円を超える巨額な減税が講じられる一方で、増収につながる見直しはこの二年で十億円程度にとどまっています。
 政府は、適用実態調査報告書の活用を含めた政策効果の検証をどのように行ったのでしょうか。財務大臣及び総務大臣に答弁を求めます。
 適用実態報告書は、昨年の通常国会に初めて提出され、今回で二回目となります。財務大臣の御指示で、適用実態報告書に基づいた法人税減税額の実績推計が公表されるなど一定の改善は図られていますが、その内容はお粗末極まりない。
 例えば、減税額上位十法人を示す高額適用額の項目は、個社名が推定されないよう法人コードが付されています。しかし、これが当て字で、企業ごとの比較を故意に妨げるのです。また、データがエクセルではなくPDFでは集計もできません。財務省はどうしてこのような意地悪をするのでしょうか。合理精神に富む麻生大臣の御指導のたまものではないと存じます。これらの改善について見解を伺います。
 次に、消費税の引上げ判断について質問します。
 来年十月の消費税率一〇%の引上げに向けた判断について、財務大臣は、予算の技術的な問題があるため、本年十二月に判断する必要があると答弁されています。この技術的な問題とは具体的に何でしょうか。答弁を求めます。
 さて、引上げの判断が十二月に行われる場合、十か月後の景気を適切に判断できるのかが重要となります。財務大臣は、平成二十六年四月―六月期や七月―九月期のGDP等の経済指標が判断上要になると発言されています。しかし、税率アップに遡ること一年以上前の経済指標で、引上げ後の経済状況が増税に耐え得るかを思慮できるのでしょうか。経済再生担当大臣に伺います。
 内閣府の中期試算に基づけば、二〇一二年度から税率を一〇%に上げる二〇一五年度まで三年間の物価上昇率は六・六%と推測されています。しかし、これに伴って賃金が上昇し、景気回復の実感が全国に波及しなければ、再びデフレに逆戻りしかねません。安倍政権が賃金上昇を最重要課題に掲げる以上、物価上昇率を超える賃金上昇率の達成を税率引上げ判断の条件とすべきではないでしょうか。経済再生担当大臣に伺います。
 次に、消費税率の引上げに伴う逆進性対策について質問します。
 与党税制改正大綱では、消費税の軽減税率制度について、税率一〇%時に導入することが示されています。一方、財務省は、軽減税率導入法案の成立から公布、施行までに一年半の準備期間を要するとし、今年四月までの法案成立が必要との立場を取っています。高額所得者ほど負担軽減額が大きく、利権の源になりかねない軽減税率導入に我が党は反対の立場です。ただし、低所得者対策が講じられずに増税が先行すれば、国民生活に影響が及びかねません。
 そこで、財務大臣に伺います。
 来年十月に軽減税率を導入するには、法案成立後どの程度の準備期間が必要となるのでしょうか。また、大臣は、この十二月の税率引上げ判断の際に軽減税率やインボイスの仕組みを決めることは時間的に無理があると見解を示されています。御発言の真意について、併せて答弁を求めます。
 簡素な給付措置は、三党合意のとおり、暫定的、臨時的な導入措置です。軽減税率の導入が厳しいならば、給付付き税額控除の制度設計の検討を要請したいと考えます。財務大臣の答弁を求めます。
 さて、最後に、日銀の国債購入について懸念を指摘します。
 黒田日銀が異次元金融緩和を始めて一年になります。昨年五月の代表質問で私は緩和がはらむ火種をただしましたが、今日は一年を経て現れたアベノミクスの綻びを問います。
 まず、日銀の新発債買入れタイミングが財務省入札から余りにも、余りにも短い。日銀資料によると、異次元緩和の開始以降、二年債から四十年債までの日銀買入れオファー日は、財務省入札から数え、最短で一日、長くても三十日以内。つまり、金融機関が財務省から国債を買い入れると直ちに日銀が買い上げ、市場に驚きをもたらしています。これは事実上の国債引受けではないでしょうか。答弁を求めます。
 黒田総裁は、日銀の国債買入れが財政ファイナンスと受け取られないためにも財政構造改革が重要だと発言しています。しかし、四十兆円台の新規国債発行額を上回る五十兆円以上を日銀が買う現状は、しばし財政赤字を気にせず済むという慢心を政府・与党にもたらしてはいませんか。現に政府は、消費税八%引上げ決定に際し、経済対策、補正と称し、公共事業などに五兆円を配分しました。二〇一四年度の消費増税による税収増加は同じく五兆円です。増えた分だけばらまいては財政改善になりません。日銀が大量に国債を購入するからこそ、このばらまきが可能ではないでしょうか。つまり、日銀は既に事実上財政ファイナンスを行っている、違うでしょうか。お尋ねします。
 日銀が長期国債を大量に買い入れ、更にその平均残余期間を延長したのは、金融機関などが資金を株式、外債等のリスク資産に移動させ、あるいは貸出しを増やす、いわゆるポートフォリオリバランスを期待したためです。しかし、期待の動きが起きていません。銀行貸出し、特に設備資金貸出残高が増えていない。マネーストック増加額がマネタリーベース増加額に全く伴わない。日銀当座預金が増えるだけで、金融緩和が機能していないのです。この現状に鑑み、政策変更を検討すべき時期ではないでしょうか。
 以上、財務大臣にお尋ねをいたします。
 アベノミクスの第三の矢は成長戦略です。しかし、経済成長につながらない戦略ばかり表明されるのはなぜでしょうか。例えば、子供が三歳まで育児休業は、社会政策ではありますが成長戦略ではなく、また、インターネットによる医薬品販売解禁は、医薬品が三倍売れるようになるのではなく、薬局かネット、どこで買うかの問題で、成長戦略とは言えません。GDP増加をもたらす真の成長戦略はいつ発表されるのでしょうか。経済再生担当大臣にお尋ねし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(麻生太郎君) 風間直樹先生の方から十四問いただいております。
 毎年度の税制改正の議論を政府税調で行うべきとのお尋ねがあっております。
 政府税制調査会は、総理の諮問の下、中長期的観点から、あるべき税制の在り方について審議を行う機関であり、毎年度の税制改正の審議を直接行うということが求められているものではありません。毎年度の税制改正につきましては、政府、与党が緊密に連携し、与党における議論を踏まえた上で具体的な税制改正案を閣議決定し、法案を国会という公開の場で審議をする、そういうところであります。
 次に、復興特別所得税の減税についてのお尋ねがありました。
 御指摘のように、復興特別所得税の減税を行えば、個人の可処分所得の増加につながるということになろうと存じます。しかしながら、所得、消費の持続的な拡大による好循環を実現するためには、企業の積極的な賃上げを促し、企業収益の拡大を個人の所得や消費の拡大につなげるという総合的な枠組みの方がより効果的と考え、その一環として、復興特別所得税の減税ではなく、復興特別法人税の前倒し廃止を決めたところであります。
 日本郵政株式会社の売却についてのお尋ねがありました。
 まず、日本郵政株式につきましては、日本郵政として二〇一五年中の上場を目指す旨発表していると承知をいたしております。同社が上場のため体制整備を終えた後、同社の決算や市場情勢を総合勘案して上場、売却のタイミングを決定することといたしております。
 また、東京メトロの株式につきましても、東京地下鉄株式会社法の附則において、できる限り速やかに株式を売却することが定められており、国土交通省を中心に東京都と調整が行われることと承知をいたしております。
 ダボス会議での総理の発言についてのお尋ねもあっております。
 総理とは、経済財政運営全般について緊密に連携を取りながら対応いたしており、税制の在り方につきましても日頃からよく話をしているところでもあります。個別具体的な発言について逐一相談があるわけではありません。しかし、法人課税の改革につきましては、総理とも相談をして、政府税制調査会において、専門的な観点から、法人実効税率の在り方、課税ベースの在り方、政策効果の検証、他の税目との関係などについて検討を行っていくということといたしたところでもあります。
 今後の議論の方向性についてお答えするのは困難でありますが、いずれにしても、国際会議の場でどのような発言をしていくかについて、会議の趣旨やその時々の状況に応じて対応してまいりたいと考えております。
 米国の法人実効税率についてのお尋ねがあっております。
 米国における国、地方を合わせた法人税率は、カリフォルニア州、御存じのように州によって違いますので、カリフォルニア州の場合は四〇・七五%であり、国際的に高い水準にあると承知をいたしております。
 他方、米国では、機械及び建物に係る加速度償却制度や試験研究費税額控除など様々な特例が設けられておりまして、これらが法人所得課税の実質的な負担を一定程度引き下げているものと考えております。
 租特適用実態報告書の改善についてのお尋ねもありました。
 適用実態調査の目的は、全体として租特の適用状況を明らかにし、政策立案に役立てていくということにあります。こうした目的を超えて、御指摘の個別企業の税務情報を公表することにつきましては、納税者からの信頼に基づく申告納税制度の根幹に関わることでもあります。また、対象企業の経営環境に影響を与えるおそれがあること等々を考えれば適当ではないと考えております。
 また、データを集計しやすくすべきとの御指摘につきましては、平成二十七年度の通常国会に提出する報告書から、集計のしやすい電子データ形式で提供できるようにいたしたいと考えております。
 消費税率一〇%の引上げに関する判断時期と予算編成の関係についてのお尋ねがありました。
 日本の予算制度では、財政法第十二条に基づき、税収等の見積りである歳入予算の範囲内において歳出予算の編成を行うこととされております。また、消費税率の引上げを行う場合には、社会保障の充実など、歳出予算においてもその影響を的確に織り込むことが必要であります。これらの予算編成作業を、財政法第二十七条の規定により、毎年、次年度の予算編成案を決定することが通例となっている十二月末までに終える必要があることを念頭に、技術的な問題があると申し上げたものであります。
 軽減税率についてのお尋ねもありました。
 軽減税率制度導入のための法案成立後の準備期間につきましては、対象品目の選定を始め、具体的な軽減税率制度の内容によって異なるため、明確にお答えすることは困難であります。今後の与党における検討を見守ってまいりたいと考えております。
 なお、御指摘の時間的な無理があるという私の発言は、軽減税率制度を実際に導入するには、国民の理解を得るプロセスを経て対象品目を決め、納税義務者である事業者が対応できるような準備期間を設ける必要があることから、相当な時間が掛かるということをよく認識しておかねばならないとの趣旨で申し上げたものであります。
 給付付き税額控除についてのお尋ねもありました。
 昨年二月の自民、公明、民主の三党合意において、低所得者対策については引き続き協議を行うとされており、三党における議論や与党における軽減税率に関する検討の状況などを踏まえながら必要な検討を行ってまいります。
 日本銀行による国債買入れのタイミングについてお尋ねがありました。
 日本銀行は、量的・質的金融緩和の導入に当たり、原則として全ての国債を買入れ対象といたした結果、従来対象としていなかった発行直後の国債も対象となったものと承知をいたしております。
 日本銀行の国債買入れは、金融政策目的で日本銀行自らの判断で行っているものであり、全てマーケットで流通しているものを対象に金融機関を相手方として実施しているものであることから、国債の直接引受けには当たらないと考えております。
 日本銀行が財政ファイナンスを行っているのではないかというお尋ねもありました。
 日本銀行による国債買入れは、二%の物価安定目標達成のため、日本銀行が自らの判断で行っているものであり、財政ファイナンスではありません。そのことは、日銀が昨年四月に量的金融緩和を導入した際にもはっきり宣言をいたしております。
 また、平成二十五年度補正予算については、追加の国債発行を行うことなく、緊急に必要な消費税率引上げに伴う反動減の緩和などの施策に限定して計上したものであり、ばらまきとの御批判も当たらないと存じます。
 政府としては、市場に財政ファイナンスとの疑念を抱かれることがないよう、財政健全化の取組を着実に推進してまいりたいと考えております。
 最後になりましたが、日本銀行の金融政策の変更についてのお尋ねがありました。
 金融政策の具体的な手法につきましては日本銀行に委ねておりますが、銀行貸出しの伸び率は次第に高まっております。足下の貸出残高は、前年同月比で二%台のプラスとなっているものと承知をいたしております。
 政府としては、日本銀行が大胆な金融政策を引き続き着実に推進し、できるだけ早期に二%の物価安定目標を達成できることを期待をいたしております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(甘利明君) 風間議員から三点の御質問がありました。
 まず、賃金の上昇についてのお尋ねであります。
 復興特別法人税の一年前倒し廃止につきましては、様々な御議論がありましたものの、三本の矢の効果等によって拡大した企業収益を賃金上昇につなげるために、政府として決断をしたものであります。
 昨年の政労使会議におきましては、政府による環境整備の下、労使は、企業収益の拡大を賃金上昇につなげていくとの共通認識を取りまとめ、企業の賃上げを促す確固たる土台を築いたわけであります。
 この共通認識を踏まえまして、経団連が一月に公表をしました経労委報告には、拡大した収益を設備投資だけではなく賃金の引上げに振り向けていくことを検討するといった、例年にない非常に前向きな内容が盛り込まれました。
 賃金上昇についての成果を確認するため、後ほど経産大臣から詳しい説明があると思いますが、経済産業省を中心として、地方や中小企業等には特段の注意を払いつつ、賃上げの状況についてフォローアップを行い、公表するなどの取組を行うことといたしております。
 次に、消費税率一〇%への引上げ判断に際しての経済状況の判断の在り方等についてのお尋ねであります。
 平成二十七年十月に予定されております消費税率の一〇%への引上げにつきましては、税制抜本改革法にのっとって、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に判断していくことになるものと考えております。その際には、消費税率の八%への引上げに伴う反動減後の経済回復について、本年七―九月期のGDPを始め各種の経済指標を確認するなど、経済再生に向けた基調の強さなどを勘案しながら、しっかりと判断していくことになります。
 賃金上昇についてでありますが、昨年末、政労使会議におきまして、好循環実現に向けて経済界、労働界、政府が行うべき取組を共通認識として取りまとめておりまして、その成果をしっかりと確認をしてまいります。
 本年十―十二月期のGDPなども踏まえて判断するのが望ましいという考え方もあり得ると承知をいたしておりますが、いろいろな意見を踏まえつつ、各種の経済指標を慎重に見極めながら適切に判断していくことになるものと考えております。
 最後に、安倍政権の成長戦略についてのお尋ねであります。
 安倍政権の成長戦略は、策定がゴールではなくスタートであります。昨年六月の成長戦略の策定以降、四十年以上続いた米の生産調整の見直しであるとか、再生医療を産業化するための改革など、できるはずがないとされてきた多くの改革を実現をしてまいりました。今国会でも、数多くの成長戦略関連法案を順次提出しているところであります。
 御指摘の育児支援についてでありますが、我が国最大の潜在力であります女性の力を生かすという点で、成長戦略の面からも重要な課題であると考えております。また、一般用医薬品のインターネット販売の原則解禁も、消費者の利便性を向上させるほか、ITを社会インフラとして根付かせていくという重要な改革であると思います。
 安倍政権の成長戦略は進化する成長戦略であり、これからがまさに正念場であります。一月には、年央の成長戦略の改訂に向けて、成長戦略進化のための今後の検討方針を取りまとめたところであり、今後、本方針を踏まえまして更なる施策の具体化について検討を進め、改訂に反映させていきたいと考えております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(茂木敏充君) 風間議員にお答えをいたします。
 企業の賃上げ状況のフォローアップについてでありますが、今月、三月の半ばより春闘の結果が明らかになってくることを踏まえまして、企業の収益状況や賃金の動向を調査し、その結果を取りまとめ、適切な形で公表していくことを予定をいたしております。
 具体的に申し上げますと、大手企業約千八百社について、個別に春闘結果について調査票を発出、回収することを想定しておりまして、その回収結果も踏まえ、企業名も含め、賃上げ状況を公表したいと考えております。
 また、中小企業や小規模事業者につきましては、企業数も多いことなどから、時期的には大企業より遅れることになりますが、幅広い賃金動向に関するアンケート調査を行いまして、その結果を公表したいと考えております。
 このフォローアップは、あくまで企業から回答のあった賃上げの状況等についての結果を公表するものでありまして、もちろん賃上げを強制するものではございません。(拍手)
   〔国務大臣新藤義孝君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(新藤義孝君) 政策評価における適用実態調査結果の活用を含む政策効果の検証についてのお尋ねをいただきました。
 平成二十六年度税制改正要望の際に各府省が行った政策評価について、二百二十四件について総務省において点検を行ったところ、適用実態調査結果をできる限り活用し、政策効果の検証に努めている状況が認められました。
 なお、各府省が行う政策評価における政策効果の検証については、まだ改善すべきところもあることから、今後とも点検活動を通じた評価の質の向上に取り組んでまいりたいと存じます。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(山崎正昭君) 杉久武君。
   〔杉久武君登壇、拍手〕
#19
○杉久武君 公明党の杉久武です。
 私は、公明党及び自由民主党を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案及び地方法人税法案について質問いたします。
 まず、経済再生についてお尋ねします。
 経済再生は、自公連立政権の最優先課題です。平成二十五年度補正予算の早期執行と、平成二十六年度予算による景気の下支えはもとより、公明党の主張によって設置された政労使会議で合意された賃金の上昇という実感できる景気回復に向け、具体的な取組が不可欠です。
 今月半ばには春闘交渉による大手企業の回答が出そろいますが、政府は、これらの結果を公表し、中小企業の賃上げに結び付けるとともに、税制、予算措置の活用を促すフォローアップによって、確実な賃金上昇を伴う経済の好循環を一刻も早く実現させなければなりません。これらの取組について、財務大臣にお尋ねします。
 次に、経済再生に関連し、所得拡大促進税制の拡充についてお尋ねします。
 所得拡大促進税制は、計画的な賃上げを支援する観点から、平成二十五年度税制改正で導入された制度ですが、適用要件の緩和などを求める声を受け、今般、要件の見直しと期間の延長が行われる予定です。
 この税制によって、賃金の上昇と継続雇用者の増加が期待されますが、我が国では歴史の浅い制度であるため、企業に活用していただくには周知徹底が必要と考えますが、これらの取組について、経済産業大臣にお尋ねします。
 次に、生産性の向上につながる設備投資を促進するための税制措置についてお尋ねします。
 この税制措置の減税規模は四千億円以上が見込まれていますが、企業は該当する設備投資を行った結果、即時償却か一定割合での税額控除が可能となります。これらは今までにない大規模なものであると認識しておりますが、この税制措置の狙いと効果について、財務大臣にお尋ねします。
 また、この投資促進税制は、最新設備又は利益改善のための設備が導入された場合に適用されますが、それらを証明するため、企業は、最新設備の場合は設備メーカーからの証明書を、また利益改善のための設備の場合は公認会計士又は税理士の事前確認を受けた投資計画を整えることが必要です。
 より多くの企業がこれらの恩恵を受けるためには、書類の準備が遅滞なく機動的に行われることはもとより、行政による企業への丁寧な説明と、対象設備の迅速な認定が必要ですが、政府としてどのような対策を講じられるのでしょうか。
 また、今回の税制によって影響を受ける設備メーカーや公認会計士協会、税理士会とどのような調整をされているか、経済産業大臣にお尋ねします。
 次に、損金経理要件についてお尋ねします。
 我が国では、税法で損金とするためには経理上は費用としなければならないという、いわゆる損金経理要件というものがあります。
 この要件があるために、例えばある企業が先ほど取り上げた投資促進税制に盛り込まれている即時償却の制度を利用して実際に多額の償却を行おうとすると、経理上も多額の費用となるため、通常であれば黒字であるはずの企業が赤字になってしまい、その結果、適正な企業評価が受けられないおそれがあります。また、上場企業では即時償却が原則認められないため、税制上のメリットを十分に受けることができません。
 これらの問題を調整するために特別償却準備金がありますが、記帳や申告方法がとても複雑です。
 私はアメリカの会計事務所で三年間勤務しておりましたが、アメリカでは税法と企業経理が分離されています。このため、それぞれが矛盾することなく独立して運用されることで、企業は税制の恩恵を受けられるようになっております。また、近年、ドイツでは損金経理要件を廃止するなど、この要件を持つ国が少なくなっています。
 我が国でも、例えば今回の税制改正にある即時償却の取扱いについては、準備金制度のような複雑な制度を使うことなく、経理上費用となっていない場合でも、税法上損金として認めるなど、企業が税制のメリットを十分に受けられるよう、損金経理要件の緩和について検討すべきときが来ていると考えますが、財務大臣の御見解をお伺いします。
 次に、新たな地方公会計制度の改革についてお尋ねします。
 四月から消費税が引き上げられます。政府は、国民に対し、これまで以上に税金を無駄なく有効的かつ効率的に使っているということを説明する責任がありますが、それは地方自治体においても同様です。
 総務省に設置されている今後の新地方公会計の推進に関する研究会では、財務書類の詳細設計や固定資産台帳の整備、複式簿記の導入などの具体的な内容について、本年四月の最終報告に向けて現在検討作業が進められておりますが、この最終報告は、事実上、新たな地方公会計制度の根幹となるだけでなく、今後の制度改正にも関わる極めて重要なものになると認識しております。
 新しい地方公会計の基準決定に当たっては、複式簿記、発生主義が原則であることを明確にし、実際に財務書類の作成や活用を行う地方自治体からの意見を求めることはもとより、現場となる自治体の意見を十分に踏まえて決定すべきであると考えます。
 さらに、新基準の決定が既に独自の取組を進めている先進自治体の妨げとならないよう十分に配慮すべきであると考えますが、これらについて総務大臣にお尋ねします。
 最後に、今国会は好循環実現国会と位置付けられておりますが、両法案に盛り込まれた様々な税制改正は、企業が真に力を発揮するために必要なものばかりです。政府におかれましては、これら施策が最大限効果を発揮できるよう、たゆまぬ努力と不断の検証をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(麻生太郎君) 杉先生から三問頂戴しております。
 まず、経済の好循環を実現するための取組についてのお尋ねがありました。
 政府としては、経済の好循環実現に向け、平成二十六年度の税制改正において所得拡大促進税制の拡充や復興特別法人税の一年前倒しでの廃止を行いますとともに、平成二十五年度補正予算における中小企業等への補助金において賃金や人材育成などの処遇改善に取り組む産業が優先的に採択されるよう工夫を行う、また、昨年十二月二十日に政労使会議において賃上げに向けた共通認識を取りまとめるなど、企業による賃上げのための環境整備に取り組んできたところであります。今後、春闘の交渉結果については、経済財政諮問会議において経済界、労働界の代表を招いて報告をしていただく機会が設けられていると承知をいたしております。
 具体的には、賃金の水準は個別労使間の交渉を通じて決定されていくものであります。政府としては、これらの施策やフォローアップを通じ、大企業のみならず、中小企業・小規模事業者にも賃上げが波及するよう、引き続き、経済の好循環の実現に向け全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、生産性向上設備投資促進税制の狙いと効果についてのお尋ねがありました。
 日本は、長期にわたるデフレーション不況の下、企業の設備投資が抑制をされ、設備の老朽化の進展によって生産性が低下しているということも考え、生産性の向上につながる先端設備への投資や、生産ラインやオペレーションの改善につながる設備への投資を促進していくことが重要であろうと存じます。
 今般の改正におきましては、これらを対象に、これまでになく大胆に即時償却制度などの投資促進税制を導入しております。この制度改革が民間の保有資金を動かすきっかけとなり、収益力の向上に向けた成長投資が積極的になされることを期待しているところであります。
 最後に、損金経理要件の緩和についてのお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、減価償却の損金算入につきましては、確定した決算において費用を計上していることを条件といたしております。これは、客観的に事実に基づく対外的取引と異なり、企業内での計算のみで決まる減価償却費のような経費につきましては、恣意的な計上によって課税所得の操作が行われないよう、企業会計原則に基づき、適正な費用として企業が機関決定した金額によることを求めるものであります。
 他方、税法上の特別償却といった例外的な制度を直ちに一般化して、適正な課税のために設けられている損金経理要件をなくすことは適当ではなく、また、企業会計と課税所得計算の違いを調整するために設けられている準備金制度は実際にも相当の企業が活用しておられ、利便性の問題はないと、そのように考えております。(拍手)
   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(茂木敏充君) 杉議員にお答えをいたします。私には二問いただきました。
 最初に、所得拡大促進税制の周知徹底についてでありますが、政府として、経済の好循環実現のための環境整備の一環として所得拡大促進税制の創設、拡充を行ったところでありますが、議員御指摘のとおり、できるだけ多くの企業に本税制を御活用いただけるよう、周知徹底、極めて重要であると考えております。
 このため、経済産業省としても積極的に広報に取り組んでおり、既に平成二十六年度税制改正の内容について全国で二百回近くの説明会を行いました。その中で、所得拡大促進税制についても説明、紹介を行っているところであります。また、制度の概要を分かりやすく説明するパンフレットを七万部以上作成をいたしておりまして、今後、経済産業省のみならず、関係省庁の出先機関等も含め、全国で幅広く配布をする予定であります。引き続き、積極的広報に取り組んでまいります。
 次に、設備投資促進税制に関して、対象となる設備を迅速に確認するための対策と関係者との調整どうなっているかというお話でありますが、制度の普及のため、税制を利用される事業者向けにこれまで約百回の説明会を開催をしてまいりました。また、税制の対象設備の確認にも御協力いただきます公認会計士協会、税理士会においても説明会を行いました。会計士協会では、その模様がビデオ教材として配信され、会計士の資質維持のために義務付けられている継続的専門研修制度の科目の一つとしても取り上げていただいております。設備の確認を担当する全百九の工業会等に対しても、経済産業省から直接三回にわたって説明会を実施し、制度趣旨の周知徹底を図っております。引き続き、本税制の円滑な運用に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣新藤義孝君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(新藤義孝君) 杉議員から新地方公会計制度改革についてのお尋ねをいただきました。
 総務省においては、平成十八年度から、複式簿記、発生主義といった企業会計の考え方に即した財務書類の整備を地方公共団体に対し要請をしております。その結果、財務書類の作成が着実に進んでいるものの、既存の決算データを活用した簡便な財務書類の作成にとどまっている団体が多く、いまだ課題はあるというふうに承知をしております。
 こうした点を踏まえまして、複式簿記の導入や固定資産台帳の整備を前提とした新たな財務書類の作成基準の設定に向け、現在、今後の新地方公会計の推進に関する研究会において具体的な検討を進めているところであります。地方公共団体の意見も踏まえながら、最終報告の取りまとめを行ってまいりたいと存じます。(拍手)
    ─────────────
#23
○議長(山崎正昭君) 大門実紀史君。
   〔大門実紀史君登壇、拍手〕
#24
○大門実紀史君 安倍内閣の経済政策と税制の基本的な考え方について質問いたします。
 いわゆるアベノミクスが始まって一年少しがたちました。本当に国民の暮らしや実体経済は良くなったでしょうか。
 日本銀行の異次元緩和という異常政策によって海外の投機マネーを呼び込み、急激な円安と株高をつくり出しました。おかげで一部の輸出大企業は巨額の利益を上げ、大株主であるお金持ちは更にお金持ちになりました。一方、庶民の暮らしや中小企業の経営は、収入が増えないのに円安による輸入物価の値上がりで苦しくなるばかりです。
 大企業の利益はリーマン・ショック前の水準を一気に回復しましたが、中小企業の利益は横ばいのままです。大金持ちが株高で資産を増やす一方、貯蓄ゼロの世帯は過去最多になっています。
 アベノミクスは、金融バブルをつくり出し、事実として、大企業と中小企業、大金持ちと庶民の経済格差を広げる役割を果たしてまいりました。麻生大臣は、アベノミクスが経済格差を広げてきたという認識をお持ちでしょうか。
 この上、逆進性のある消費税増税を強行すれば、経済格差は更に拡大をいたします。また、安倍内閣の成長戦略の目玉である雇用改革も、結局、低賃金の非正規労働者を固定化、拡大し、賃金を抑制する政策です。ある労働シンクタンクによれば、今議論されている雇用改革を全て実行すれば、労働者の賃金は年間約四十二兆円も減少すると試算をしております。
 異次元緩和で格差を広げた挙げ句、更に消費税増税と成長戦略で格差を広げる。これでは、アベノミクスは格差拡大の二極化政策と言われても仕方がないのではありませんか。
 経済の土台を冷え込ませて日本経済が良くなるわけがありません。昨年十―十二月期のGDPは、民間予測を大きく下回り、実質で前期比僅か〇・三%増にとどまりました。冷静に各経済指標を見れば、円安による輸出額の増大と消費税増税前の駆け込み需要が数字を押し上げてきただけで、実体経済の自律的な好転とは程遠い状態であります。
 何より、経済の約六割を占める個人消費が低迷をしています。住宅を除く消費支出は、昨年十月から十二月の三か月連続で前年同月を下回りました。個人消費が伸びないのは、国民の実質所得が増えていないからです。昨年十二月の勤労者世帯の実収入は四か月連続の減少、実質可処分所得も五か月連続で減少しています。賃金はもう十年以上伸びておりません。麻生大臣は、この原因がどこにあるとお考えでしょうか。
 安倍内閣は、企業の利益がいずれ国民の賃金に回るだろうと言い続けてきました。いわゆるトリクルダウン論です。しかし、この理屈は構造的にも実態的にも既に破綻をしております。九〇年代半ばから始まった非正規雇用の急速な拡大は、正社員の賃金も押し下げ、賃金抑制装置の役割を果たしてきました。賃金が上がらなくなったのは、単にデフレで企業のマインドが冷え込んでいたからではなく、非正規雇用の拡大という構造的要因にあったのです。
 二〇〇一年、経済政策の担当大臣に就任した竹中平蔵氏は、私の質問に対し、企業がもうかれば賃金に回ると、今と同じことを言っておりました。私は、回るわけがない、非正規雇用の拡大でその回路が断たれていると指摘をしましたが、彼には理解ができませんでした。事実、二〇〇四年から二〇〇七年にかけて大企業中心の景気回復期がありましたが、賃金に回るどころか、賃金は減少を続け、企業利益は内部留保として積み上がっただけでした。
 麻生大臣は、竹中さんと違い、企業に減税しても内部留保として積み上がるだけではないかと賢明な疑問を投げかけられました。麻生大臣は、トリクルダウン論など実際には機能していないと認識されているのではないでしょうか。答弁を求めます。
 本気で好循環を実現するというなら、まず政府主導で企業利益が賃金へ回る回路を回復することです。麻生大臣も参加された昨年のG20の首脳声明でも、非正規雇用の減少が目標に掲げられました。日本も本気になって非正規雇用から正規雇用への転換を図るときが来ているのではありませんか。
 さらに、資本主義国アメリカでも取り組んでいるように、政府主導で大規模な賃金引上げ政策に踏み出すことです。中小企業支援とセットで、均等待遇の実現、最低賃金の大幅引上げを内需拡大策として大胆に打ち出すべきです。
 今こそこういう本格的な賃金引上げ政策に踏み出すべきときだと思いますが、麻生大臣の見解を伺います。
 経済格差が広がり、国民の可処分所得が減少している今こそ、税制本来の役割である所得再分配機能を発揮することが大切ではないでしょうか。この点で、消費税増税は全く逆さまの政策です。四月一日を目前に、この間続いた駆け込み需要は早くも反動減に切り替わる兆しを見せております。このまま景気の底割れに向かう危険性も指摘をされています。
 麻生大臣、まだ間に合います。消費税増税を中止する緊急宣言を出すことこそ賢明な政策判断というものではありませんか。
 今なすべきことは、庶民増税ではなく、大もうけをしている大金持ちへの課税強化です。もうかっている大企業の負担を軽くすることより、苦しい中小企業や庶民の暮らしを直接支援することです。安倍総理は、先日の予算委員会でも、大企業に減税した分、個人の所得に回ることを期待していると答弁されました。だったら、最初から個人に減税すればいいのではありませんか。そもそも、これ以上の法人税減税が必要なのでしょうか。数々の優遇措置によって、既に大企業の実質負担率は二〇%台に下がっています。
 また、世界の流れを見れば、そろそろ法人税の引下げ競争をやめようではないかという動きが始まっています。際限のない法人税の引下げ競争は、各国共通に、税収の減少、国民生活の予算削減という事態をもたらしています。
 お互いの首を絞め合うような競争はもうやめよう、EUの首脳会議ではフランスとドイツが税の引下げ競争に歯止めを掛けるルール作りを提案、OECDの租税委員会でもそういう認識が出てきております。こういうときに復興法人特別税を廃止し法人税実効税率の更なる引下げを目指すなど、世界の流れに逆行するものではありませんか。
 今大事なことは、これ以上法人税引下げ競争に突っ走るのではなく、各国が協調して引下げ競争の愚を改めようと、むしろ日本から世界に発信することではありませんか。
 改めて麻生大臣の見解をお聞きして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(麻生太郎君) 大門先生から八問頂戴をいたしております。
 アベノミクスが経済格差を広げてきたのではないか、格差拡大の二極化政策なのではないかとのお尋ねがあっております。
 安倍政権におきましては、長引くデフレ不況からの脱却と経済再生を果たすための三本の矢を一体的かつ強力に実行し、着実に成果を上げてまいりました。今後さらに、企業収益が雇用拡大や所得上昇につながる経済の好循環を実現し、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていくことが重要と考えております。
 このため、非正規雇用から正規雇用の転換を支援する取組や企業による賃上げのための環境整備などに大胆に取り組んできたところでもあります。その結果、有効求人倍率や失業率が改善、パートタイム労働者の時間当たりの賃金が上昇など、幅広く雇用・所得環境に経済の好循環の兆しが見え始めておると、そう考えております。
 政府としては、このような兆しを持続的なものとするため、引き続き全力で取り組んでまいります。したがって、アベノミクスが格差拡大の二極化政策といった御批判は当たらないものだと考えております。
 賃金が上昇してこなかった原因についてのお尋ねがありました。
 過去十年以上にわたって景気拡張期があったにもかかわらず賃金が上昇してこなかった背景には、これは、バブルが崩壊後、過剰雇用、過剰債務を抱えていた日本企業が、人件費を抑制して収益を確保、その収益で資本や内部留保を厚くする、同時に、債務を圧縮して財務体質を強化することを優先してきたことなどがあると考えております。また、これまでも、先の見えないデフレ状況の下では企業が設備投資や賃上げといった未来への投資を控える傾向が強かった面もあろうかと考えておるところでもあります。
 いわゆるトリクルダウン論、滴が落ちてくるトリクルダウン論についてのお尋ねがありました。
 現内閣は、企業収益の拡大が賃金の上昇や雇用の拡大につながり、消費の拡大や投資の増加を通じて更なる企業収益の拡大に結び付くという経済の好循環の実現を目指しております。
 このため、これまで、企業の収益が賃上げのきっかけになるよう、所得拡大促進税制の拡充などの施策と併せて復興特別法人税の一年前倒し廃止を行うとともに、こうした施策による増益が賃金上昇につながるよう、政労使の三者で賃上げに向けた共通認識を取りまとめるなどの取組を行ったのは昨年の十二月の二十日、その答えが出てきておると思っております。
 現在、アベノミクスの効果もあり、有効求人倍率や失業率も改善、パートタイム労働者の時間当たり賃金も上昇するなど、幅広く雇用・所得環境の改善の兆しが見え始めていると考えております。
 非正規雇用から正規雇用への転換推進についてのお尋ねがありました。
 家計の所得向上にとって、非正規から正規への雇用形態の転換が重要な一要素であることは御指摘のとおりと考えます。このため、政府としては、これまでキャリアアップ助成金の活用、政労使会議において非正規雇用者のステップアップのための共通認識を取りまとめるなど、非正規雇用から正規雇用への転換を促すための取組を進めてきたところでもあります。
 これらの施策による非正規雇用者の処遇改善を通じて、経済の好循環が実現できるよう、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 政府主導の被雇用者の処遇改善や賃金引上げ政策についてのお尋ねもありました。
 具体的な賃金の水準は、個別労使間の交渉を通じて決定されていくものであります。政府としては、経済の好循環実現に向け、平成二十六年度税制改正において所得拡大促進税制の拡充や復興特別法人税の一年前倒しの廃止を行うとともに、昨年十二月二十日の政労使会議において賃上げに向けた共通認識を取りまとめるなど、企業による賃上げのための環境整備に大胆に取り組んできたところです。
 この政労使会議における共通認識には、非正規雇用労働者の適切な処遇についても盛り込まれておりますのは御存じのとおりです。また、中小企業や零細事業者に対する補助金、税制上の手当てなど、中小企業支援のための施策も拡充しております。最低賃金につきましても、本年度、全国平均で十五円の引上げが行われたところであります。
 このように、被雇用者の処遇改善や賃上げを含む経済の好循環実現に向けて、税制、予算、雇用政策など様々な手段を動員して対応しているところであります。
 消費税引上げの中止についてのお尋ねがありました。
 急速な少子高齢化が進む中、安定財源を確保し、世界に冠たる日本の社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくとともに、子ども・子育て支援を充実していくことは待ったなしの課題の一つであろうと存じます。
 このため、本年四月から消費税率を八%に引き上げることを確認したところであり、中止することは考えておりません。消費税率八%への引き上げに当たっては、これに伴う影響を緩和し、その後の経済の成長力を底上げするため、好循環実現のための経済政策を作成いたしております。今後、その着実な実施を進めるなど、景気の下振れリスクへの対応に万全を期してまいりたいと考えております。
 復興特別法人税の廃止及び法人実効税率の更なる引下げについてのお尋ねがありました。
 復興特別法人税の廃止は、足下の経済成長を賃金の上昇につなげるきっかけとするために決定したものであり、法人税の引下げ競争にくみするものではありません。
 また、昨年六月行われたG8サミットの場で、総理から、日本政府の考え方として、税源獲得を目指した各国による税負担の軽減競争によって国際的租税回避が助長される事態は避けるべきであること、各国は協調して税制の調和を図ることが不可欠であること等を説明したところでもあります。
 法人課税の改革に際しては、こうしたことも留意をしながら、今後、政府税制調査会において専門的な観点から検討を行ってまいります。
 最後に、法人税の引下げ競争についてのお尋ねもありました。
 国際的租税回避を助長しないよう、税源獲得を目指した各国による税負担の軽減競争を避け、各国が協調してそれぞれの税制の調和を図ることが必要であろうと存じます。
 日本としては、引き続き、OECDにおけるBEPS行動計画に関する議論を主導し、適正な課税の確保に努めてまいらねばならぬと考えております。
 以上であります。(拍手)
#26
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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