くにさくロゴ
2014/05/14 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 本会議 第21号
姉妹サイト
 
2014/05/14 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 本会議 第21号

#1
第186回国会 本会議 第21号
平成二十六年五月十四日(水曜日)
   午前十時六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十一号
  平成二十六年五月十四日
   午前十時開議
 第一 独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を
  改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第二 原子力損害賠償支援機構法の一部を改正
  する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 都市再生特別措置法等の一部を改正する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 地域公共交通の活性化及び再生に関する
  法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
  議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、農業の担い手に対する経営安定のための交
  付金の交付に関する法律の一部を改正する法
  律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促
  進に関する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。農林水産大臣林芳正君。
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(林芳正君) 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案の趣旨につきまして、御説明を申し上げます。
 我が国の農業、農村の発展を図っていくためには、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立し、農業を足腰の強い産業としていくための産業政策と、地域の共同活動等を通じて農業の有する多面的機能の維持、発揮を促進する地域政策を車の両輪として推進していくことが重要となっております。
 こうした政策の着実な実施に向け、経営所得安定対策を確立するとともに、日本型直接支払制度を法制化する必要があることから、本二法案を提出した次第であります。
 次に、これらの法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案についてであります。
 第一に、交付金の対象農業者の要件の変更であります。
 本法は、農業の担い手の経営安定を図ることを目的としており、対象農業者として、認定農業者及び集落営農組織に加え、農業経営基盤強化促進法に規定する認定就農者を追加するとともに、面積規模要件を廃止することとしております。
 第二に、生産条件不利補正交付金の交付基準の変更であります。
 対象農産物の生産拡大を図るため、対象農産物の品質及び生産量に応じて交付することを基本としつつ、収穫前に作付面積に応じて内金を支払うこととしております。
 次に、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案についてであります。
 第一に、基本理念についてであります。
 農村における過疎化、高齢化の進行による集落機能の低下など、我が国の農業、農村の現場を取り巻く状況が厳しさを増している中、国民に多くの恵沢をもたらす重要な機能である農業の多面的機能の適切かつ十分な発揮を将来にわたって確保するため、国及び地方公共団体が相互に連携を図りつつ適切な支援を行う必要があり、その際、良好な地域社会の維持及び形成や農用地の効率的な利用の促進に資する地域の共同活動を活用していくという、本法の基本的な考え方を定めております。
 第二に、農業の有する多面的機能の発揮の促進を図るための具体的な仕組みとして、農業者の組織する団体等による農用地の保全等に必要な施設の機能を保持する取組等の内容を、多面的機能発揮促進事業として規定をしております。
 第三に、これらの取組に係る計画制度の創設であります。
 農林水産大臣による基本指針の策定、都道府県による基本方針の策定、市町村による促進計画の作成及び農業者の組織する団体等に対する多面的機能発揮促進事業の事業計画の認定について規定しております。
 第四に、多面的機能発揮促進事業を推進するための措置についてであります。
 市町村の認定を受けた事業計画の実施に必要な費用について、国、都道府県及び市町村が補助を行うことができることを規定するとともに、地域の実情に即して効果的に事業を推進するための農業振興地域の整備に関する法律等の特例措置を講ずることとしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出いたしましたが、衆議院におきまして、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案に対し、政府は、本法律の施行後三年を目途として、農産物に係る収入の著しい変動が農業者の農業経営に及ぼす影響を緩和するための総合的な施策の在り方について、農業災害補償法の規定による共済事業の在り方を含めて検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする規定を追加する修正が行われております。
 以上、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山田俊男君。
   〔山田俊男君登壇、拍手〕
#7
○山田俊男君 自由民主党の山田俊男です。
 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題になりました農業担い手経営安定法改正案及び農業多面的機能発揮促進法案について御質問をいたします。
 この二つの法案を審議できるというのは、野党の悲哀を感じながら暑い会議室で論議してきた思い出とともに感激の極みであります。
 その野党時代に提案した担い手総合支援法案は日の目を見なかったわけですが、その法案の骨格部分として盛り込んでいた新規就農者への支援部分については、民主党が予算措置で実施に移しました。さらに、これも骨格部分として盛り込んでいた農地の集積を図る仕組みは、我々が与党になってから農地中間管理機構法として日の目を見ることができました。誠にうれしい限りです。
 昨年秋以来、新しい農業・農村政策を議論してきました。主食である米の需要が減少する中で、水田に主食用の米を作るだけでなくて、加工用米や飼料用米や備蓄米を作る、麦や大豆、野菜を作るなど、水田をフル活用しようというものであります。
 総理は、施政方針演説で、「四十年以上続いてきた米の生産調整を見直します。」とおっしゃっていましたが、生産調整の見直しの前提として、何としても水田が米以外にも多様に活用できるように、水田の田畑輪換を可能とする基盤整備がまずなされなければならないのであります。改めて総理の考えをお聞きします。
 それにしても、米はどうしても豊凶変動が生じ、これにより需給が不安定になることが避けられません。食糧法においても米の需給の安定を図ることとされており、一定の安定供給の仕組みが必要です。豊作となった場合、主食用以外の需要に対して供給する仕組みが準備されなければならないのであります。今後四年間にその仕組みを講ずることが必要です。その点について農林水産大臣にお聞きします。
 さて、我が国農業の最大の課題は担い手の高齢化です。何としても若い担い手を意識的につくり上げることが必要です。担い手の経営安定法案は、認定農業者、集落営農、そして認定新規就農者に対して経営所得の安定対策を講ずるものであります。これら対象農家の認定に当たっては、地域の実態に応じ、農家の意欲を酌み取り、幅広く認定していくことが必要です。これらにどう対処するのか、農林水産大臣の考えをお聞きします。
 多面的機能発揮促進法案は、予算事業として実施している多面的機能支払等を法制化し、安定的に実施するものであります。この取組は、地域の共同の取組を県や市町村が支援する仕組みであり、県や市町村の意欲が極めて重要です。全国の市町村で実施されるよう、農林水産大臣の決意をお聞きします。
 今回の日米首脳会談は、外交上の課題も抱えながら、共同声明の発表を控えてまでもTPPの交渉を続けるなど、極めて困難なものでありました。総理は、中間選挙を控えるオバマ大統領の強い要請を受けて交渉を前向きに進められたのですが、米国の議会や業界は全く評価していないと報じられています。
 TPA法がない中での交渉合意は、議会から再交渉を求められることになるのではないのでしょうか。まだ合意していない、多くの争点を残したままだというのなら、TPA法案の議決を待って交渉することが必要なのではないのでしょうか。総理の決意をお聞きします。
 アベノミクスの第三の矢である成長戦略の一環として、農林水産業・地域の活力創造プランが策定されています。この二法案は、その柱となる重要な法案であります。また、同プランでは、農業委員会とJAの在り方についても言及されています。
 総理は常々、強欲を原動力とするような資本主義でなく、道義を重んじ、真の豊かさを知る瑞穂の国の資本主義を目指すとおっしゃっておられます。これら農業委員会やJAについては、瑞穂の国の資本主義を目指す仲間として、共に改革を進める姿勢が必要なのではないでしょうか。総理の考えをお聞きします。
 以上、安倍総理、林農林水産大臣の真摯な答弁を求めます。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#8
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山田俊男議員にお答えをいたします。
 米の生産調整の見直しについてお尋ねがありました。
 今回の米の生産調整の見直しについては、これまで行政が配分する米の生産数量目標に従って農業者が作物を作っていたものを、農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米等の生産振興を図ることによって、言わば農地のフル活用を図り、食料自給率、食料自給力の維持向上を図っていくこととしております。
 その際、水田で麦、大豆等を生産するために必要な農地の基盤整備の推進も含め、政策を総動員することによってこれらを実現していくことが、農業の構造改革を進め、農業を成長産業としていく上で重要と考えており、しっかり取り組んでまいります。
 TPP交渉とTPA法案についてお尋ねがありました。
 先般の日米首脳会談では、私とオバマ大統領でTPPに関する日米間の重要な課題について前進する道筋を特定しました。今回の成果をキーマイルストーンとして、今後、日米が連携して他の参加国との協議を加速し、早期に交渉を妥結できるよう努めてまいります。
 TPA法案は米国の国内法案であり、コメントは差し控えさせていただきますが、それぞれの国内で議会の承認を得、国民に説明するのは、各国政府がそれぞれの責任において行うべき問題であります。
 いずれにせよ、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求してまいります。
 農政改革における農業委員会等の役割についてお尋ねがありました。
 安倍内閣においては、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業とともに美しく活力ある農山漁村を実現していく決意の下、農政改革を進めております。今般御審議いただいている二法案を含め、今後、やる気のある担い手が新しい施策を活用し、安心して経営展開を図っていけるよう環境整備を行っていくことが重要と考えております。
 今後、農業委員会、農業協同組合の在り方等についても更に議論を深め、具体的な農業改革の推進について結論を得ることとしております。農林水産業・地域の活力創造本部において、現場での実効性と制度の安定性に配慮しながら、農業を成長産業とするための改革をしっかりと進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(林芳正君) 山田議員の御質問にお答えいたします。
 米の豊作時の安定供給についてのお尋ねがありました。
 今回の米政策の見直しにおいては、農業者や集荷業者・団体が、マーケットを見ながら、自らの経営判断、販売戦略に基づき、需要に応じた生産、販売ができる状況となるよう取り組んでいくこととしております。
 米については、どうしても豊作などにより需給が不安定になることが避けられないことから、こうした場合においても民間による主体的対応が可能となるよう環境整備を図っていくことが重要であると考えております。
 次に、経営安定対策の対象農家の認定の考え方についてのお尋ねがありました。
 今回の担い手経営安定法の改正においては、対象となる担い手について、現行の認定農業者、集落営農に加え、認定新規就農者も対象とすることとしております。また、小規模経営であっても経営の複合化、六次産業化などに取り組む者も存在することから、面積規模要件は課さないこととし、これにより、将来に向けて農業で生計を立てていく意欲と能力のある農業者であれば幅広く対策に加入できることとしております。これらの認定に当たっては、各市町村においても、面積規模や年齢の要件を設けたりすることなく、意欲と能力のある者が幅広く認定されるよう徹底してまいります。
 次に、多面的機能支払についてのお尋ねがありました。
 多面的機能支払は、国と都道府県、市町村が連携して交付金を交付する仕組みとしていることから、本制度が広く活用されるためには地方公共団体に積極的に取り組んでいただくことが重要と考えております。このため、地方公共団体に対しては、地方交付税措置等により負担軽減を図るとともに、説明会の開催等を通じて制度の丁寧な説明を行い、本制度の普及推進に努めているところであります。
 今回の法制化に際しても、全国の市町村で積極的に取り組んでいただけるよう、より一層本制度の普及推進に努めてまいります。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(山崎正昭君) 野田国義君。
   〔野田国義君登壇、拍手〕
#11
○野田国義君 民主党・新緑風会の野田国義であります。
 この度、本会議において政府の農政改革二法案について代表質問の機会を得ることができました。大変うれしく思います。
 毎週週末は地元に帰り、特に今回のゴールデンウイークは地元をしっかりと回ってまいりました。農家に行くと、日米首脳会談の結果、牛肉、豚肉を始め重要五品目を守るという政府の約束はどうなったのか、本当は決着して、また我々農民はだまされているのではないか、自民党の農政改革法案で本当に大丈夫だろうか、また猫の目農政に戻ったのか、農政は民主党時代が良かったとの声も数多く聞いてまいりました。地元の声を参考にし、これから質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、TPP、環太平洋戦略的経済連携協定の交渉状況と通商交渉に関する情報提供の在り方についてお伺いいたします。
 TPP交渉は、これまで事務レベル、閣僚級協議を積み重ねてまいりましたが、今般、オバマ米大統領の訪日に伴い、大きな節目を迎えることとなりました。一部では実質合意に至ったのではないかとの報道もありましたが、公表された共同声明では、高い水準で、野心的で包括的なTPP協定を達成するために必要な大胆な措置をとることにコミットしていると明記されているのみで、どのような交渉状況かが全く見えてきておりません。
 今週十二日からベトナムで首席交渉官会合が行われており、十九日からはシンガポールで閣僚会合が予定されている現在、TPP交渉について、どのような交渉状況にあり、今後の見通しをどのようにお考えなのか、甘利担当大臣より明確にお答えいただきたいと思います。
 民主党を始め各党は、国民生活、国民経済に重大な影響を及ぼす可能性の高いTPPの交渉状況について、幾度となく政府に質問を行ってまいりました。しかし、交渉中であることを理由に、何ら有用な情報が提供されておりません。交渉に参加している他国では提供されているような情報であっても、決して公表を行わない安倍政権の方針に対して、条約の成否を最終的に決定する権限を有する立法府の一員として極めて深く憂慮しております。
 そのため、民主党、みんなの党、結いの党、生活の党、社民党の野党五党は、先月二十五日、TPP等情報提供促進法案を提出をいたしました。この法案は、国民生活に重大な影響を及ぼす通商交渉が政府により行われている場合、国会の議決により国民や国会への情報提供義務を政府に課するものです。是非与党の皆様にも御賛同いただき、国会と政府が一体となったTPP交渉を進めてまいりたいと考えます。
 その上でお尋ねいたしますが、通商交渉に係る国民、国会への情報提供の在り方はどのようにすべきだとお考えか、安倍総理の見解を求めます。
 次に、日豪EPA協定についてお伺いをさせていただきます。
 日豪EPAについて、この度、四月七日のアボット首相訪日に当たり、大筋で合意がなされました。特に、牛肉の関税について、協定発効後十五年から十八年掛けて半分程度への引下げが中心となっております。これは、平成十八年に衆参農林水産委員会で行った決議の趣旨と全く相入れないものであります。立法府としての意思を明確に示したにもかかわらず、その意思を行政府が尊重しないこととなれば、立法府が行う決議の存在意義そのものに疑義が生じることになります。
 改めて、農林水産大臣より、日豪EPA協定の大筋合意と衆参決議の整合性について、明確な答弁を求めます。
 加えて、経済連携協定の交渉成果と今般の政府提出法案との関係についてお伺いいたします。
 TPP、日豪EPA、いずれも牛肉や豚肉の関税率が焦点となっております。仮に関税率が引き下げられることとなれば、当然、アメリカ、オーストラリアから牛肉、豚肉の輸入が増えることが予想され、国内畜産業への大きな打撃は必至であります。
 他方、今回の政府提出法案を見ますと、主食用米から飼料用米への転作を進めるため、飼料用米への交付金を大幅に増やし、需要を大幅に拡大させると聞いております。つまり、畜産業に打撃を与えるのに飼料は増産するという、極めて整合性の取れない農政が行われる可能性が高いということになります。
 通商交渉に伴う関税率の引下げと飼料用米の増産方針との整合性について林農水大臣の答弁を求めます。
 次に、今後の捕鯨の在り方についてお伺いをさせていただきます。
 去る三月三十一日、国際司法裁判所において、我が国が実施している南極海での調査捕鯨が国際捕鯨取締条約の規定範囲に収まらない旨の判決がなされました。この判決は、今日まで長く捕鯨文化を伝承してきた我が国にとって、近年まれに見る外交的敗北にほかなりません。
 多額の国費を投じて弁護士を始め専門家を雇いながら、楽観的な見通ししか持たず、むざむざと敗北を喫したことを見るにつけ、安倍政権の外交手腕そのものに強い疑問を抱かざるを得ません。このような事態に至った原因をどのように分析し、将来的な商業捕鯨の再開に向けてどのような方針で臨んでいくのか、安倍総理並びに林農水大臣の明快な答弁を求めます。
 諫早湾干拓への対応についてお伺いをさせていただきます。
 一九八六年に事業着手した国営諫早湾干拓事業は、現在、福岡高裁による開門を認めた確定判決と、長崎地裁による開門の差止めの仮処分が並立している状態にございます。さらに、佐賀地裁は、先月四月十一日、福岡高裁判決に従わない国に対して、一日四十九万円の制裁金を支払うよう命じる間接強制を決定をしております。平成二十二年十二月の福岡高裁での確定判決を政府が履行しなかった憲政史上初の事態が、今日のこのような司法判断が二分される結果につながったと確信をいたしております。
 安倍総理、政治決断が長引けば長引くほど、国費が日々垂れ流されることになります。今こそ、国の最高責任者である安倍総理のリーダーシップによる政治決断が求められます。今後どのように解決を図るお考えか、臨時国会でも私はこの場で質問をいたしましたが、是非とも安倍総理の決断をお聞かせいただきたいと思います。
 農政改革についてお伺いをいたします。
 民主党政権で農業政策の中心を成してきた農業者戸別所得補償制度は、米の標準的な生産費用と標準的な販売価格との差額のコスト割れ部分を補填することで、再生産可能な農家所得を補償し、農業経営の安定を図り、営農が継続されることを通じて多面的機能の維持を図ることを目的にいたしております。同制度は、農地を集約化したり集落営農を組織する等、営農形態を大規模化することで所得補償を受けるメリットが大きくなるように設計をしております。事実、これまでなかなか進まなかった集落営農数の増加は着実に進んでまいりました。この制度設計は、農業者の方を含めて多くの方々に高く評価を受け、何と加入者の七五%以上から高い評価を受けたとの調査結果もあります。
 しかし、この度の法改正によって大きな制度変更がなされようとしております。安倍政権では、農業政策を地域政策と産業政策に無理やり分断した上で、米への直接補償交付金を何ら根拠もなく半減させた上で廃止を決定、需要も十分見通せないまま飼料用米の増産に向けた交付金増を決定など、また自民党お得意の猫の目農政ですか、農業者は大混乱をしております。
 さらに、経営所得安定対策の見直しによって、対象者が認定農業者、集落営農、認定新規就農者となり、農業経営改善計画の作成も難しい小規模農家や高齢者農家の方々は、交付金措置から外れるのではないかと大変危惧をしているのが実態であります。今回の法改正において小規模農家や高齢者農家の皆さんへの対策はどう講じるのか、林農水大臣にお伺いをいたします。
 農業者の方々の心配は、何より営農を続けていけるかどうかであります。全く直接支払ではないにもかかわらず、日本版直接支払を名のり、共同活動への交付金は増えるものの、米への定額払い部分が削減されれば、米価は下がり、農家所得は減るのではないか。農家所得が減ることとなれば、現在より一層農業から離れる人が増えてしまうのではないか。これまでの審議においても、十分納得を得られるお答えはいただけませんでした。
 改めて、農業者の皆さんの安心を得られるよう、営農が継続できるように、猫の目農政と言われぬよう、農家の皆さんの所得はしっかり維持されるのか否か、安倍総理並びに林農水大臣の明快な答弁を求めます。
 先日五月八日、増田元総務大臣が座長を務めている日本創成会議は、将来、全国自治体の半数近い八百九十六自治体が消滅し、地方は壊死状態となり、日本は大都市だけが残る極点社会となるとした人口推計を公表いたしましたが、衝撃的な内容に非常に大きな危機感を抱かざるを得ません。
 TPPや今回の農業政策が農山村や地域の崩壊につながらぬよう、また、いわゆる弱者切捨て政策とならぬよう、しっかりとした議論を積み重ねていかなければならないことを最後に強く申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#12
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 野田国義議員にお答えをいたします。
 TPP交渉等における情報提供についてのお尋ねがありました。
 TPPに交渉参加する際に、我が国を含めた各国が署名した秘密保持契約においては、交渉の具体的内容に関する情報については秘密にしなければならないこととされています。そのため、お話しできることとできないことがありますが、我が国においては、交渉会合の前後に、国会、与野党、関係団体などに随時御説明を行うなど、できるだけ情報を提供し、御意見をいただく機会を設けてきております。
 TPP協定は、交渉妥結後、国会で御審議いただくこととなります。その際は、協定文の解釈等について丁寧に説明するほか、国民に対しましても協定の内容について情報提供に努めてまいります。
 いずれにせよ、今後もでき得る限り国民への情報提供に努めるとともに、国民の声をしっかり踏まえ、交渉を通じて国益を実現してまいります。
 南極海での調査捕鯨に関する国際司法裁判所の判決についてお尋ねがありました。
 判決においては、第二期南極海鯨類捕獲調査が国際捕鯨取締条約の認める範囲には収まらないとされ、その理由として、同調査の計画及び実施がその目的を達成するために合理的であると証明されていないと指摘されました。
 今後、こうした判決における指摘を踏まえた上で、国際法及び科学的根拠に基づき、鯨類資源管理に不可欠な科学的情報を収集するための鯨類捕獲調査を実施し、商業捕鯨の再開を目指してまいります。
 諫早湾干拓事業についてお尋ねがありました。
 諫早湾干拓事業をめぐっては、国は、開門義務と開門禁止義務の相反する二つの義務を負っており、いずれか一方の立場に立つことはできない状況にあります。政府としては、関係訴訟において国としての主張を申し述べる等適切に対応するとともに、問題の解決に向けて関係者に対して粘り強く話合いを呼びかけ、接点を探る努力を続けてまいります。
 農政改革についてお尋ねがありました。
 これまで、米の生産調整を始め様々な施策を展開してきましたが、農業生産額の減少と高齢化の進展、耕作放棄地の増加等の構造的な問題は顕在化したままであり、我が国の農林水産業の活性化は待ったなしの課題となっています。
 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上、多様な担い手の育成確保、農地集積による生産性の向上、美しいふるさとを守る日本型直接支払の創設などに精力的に取り組んだ上で、さらに、四十年以上続いてきた米の生産調整の見直しを行うこととしています。
 こうした改革を着実に進めることによって、農業を若者に魅力ある産業に成長させ、農業、農村全体の所得倍増の実現につなげていきたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(林芳正君) 野田議員の御質問にお答えいたします。
 日豪EPAの大筋合意と衆参決議との整合性についてのお尋ねがありました。
 日豪EPAについては、衆参両院の農林水産委員会の決議に明記されている米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖について豪州側から一定の柔軟性を得たため、今回大筋合意するに至ったところであります。特に牛肉については、粘り強く交渉した結果、国内畜産業の健全な発展と両立し得る関税削減の約束となったところであります。
 政府としては、衆参両院の農林水産委員会の決議を踏まえて真摯に交渉を行い、国内農林水産業の存立及び健全な発展と両立し得る合意に達することができたと考えておりますが、今回の合意内容と決議との整合性については、最終的には両委員会に御判断をいただくものであると考えております。
 次に、通商交渉と飼料用米の増産についてのお尋ねがありました。
 日豪EPAについては、国内畜産業の存立及び健全な発展を図っていくことができる合意内容と考えております。また、TPPについては、畜産物を始めとする重要品目の聖域を確保するとの衆参両院の農林水産委員会決議を踏まえ、国益を守り抜くよう全力を尽くす考えであります。
 一方、我が国の畜産は、飼料の多くを輸入に依存しており、輸入飼料穀物や粗飼料の価格が高騰する中、畜産経営の安定向上を図るため、TPPのいかんにかかわらず、その脱却を図ることが喫緊の課題となっております。このため、水田のフル活用を含め、飼料用米を始めとする国産飼料の増産により、飼料基盤に立脚した足腰の強い畜産経営の実現に努めてまいります。
 次に、南極海での調査捕鯨に関する国際司法裁判所の判決についてお尋ねがありました。
 裁判においては、政府関係機関が一体となり、日本の立場と考え方を全力を尽くして明確に主張いたしましたが、判決においては、第二期南極海鯨類捕獲調査が国際捕鯨取締条約第八条一の規定の範囲には収まらないとされ、その理由として、同調査の計画及び実施がその目的を達成するために合理的であると証明されていないと指摘されました。
 今後、こうした判決における指摘を踏まえた上で、関係府省連携の下、国際法及び科学的根拠に基づき、鯨類資源管理に不可欠な科学的情報を収集するための鯨類捕獲調査を実施し、商業捕鯨の再開を目指してまいります。
 次に、経営所得安定対策の見直しに関する、小規模農家や高齢者農家への対策についてのお尋ねがありました。
 今般の経営所得安定対策の見直しにおいては、対象農業者について、認定農業者、集落営農に加えて、認定新規就農者を対象とするとともに、面積規模要件は設けないこととし、将来に向けて農業で生計を立てていく意欲と能力のある農業者であれば幅広く対策に加入できることとしております。
 なお、経営所得安定対策に加入できない方については、農地中間管理機構を活用して、担い手への農地の集積、集約化を進めるとともに、日本型直接支払制度を活用して、農業の多面的機能の維持、発揮のための地域活動に参加していただくなど、地域全体の農業、農村の発展に貢献していただきたいと考えております。
 次に、農業者の所得についてのお尋ねがありました。
 今般の農政改革においては、米の直接支払交付金は減額いたしますが、飼料用米等への助成や、地域の裁量で活用可能な産地交付金の充実、農家の負担を軽減し、実質的な手取りの向上にもつながる日本型直接支払の創設、担い手へ農地利用を集積、集約化し、コスト削減を図る農地中間管理機構の創設などを併せて行うこととし、意欲ある担い手の所得向上に向けた取組を支援することとしております。
 さらに、昨年末に取りまとめた農林水産業・地域の活力創造プランにおいては、これらのほか、輸出の拡大、六次産業化の促進などを着実に行うこととしており、こうした政策を総動員することによって、農業を若者に魅力ある産業に成長させ、農業、農村の所得倍増目標の実現につなげていきたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(甘利明君) TPP交渉の今後の見通しについてのお尋ねであります。
 先般の日米首脳会談及び閣僚協議の成果は、TPP交渉における重要な節目を画するものであります。交渉全体に新たなモメンタム、勢いを与えました。今後、日米が連携をして、他の参加国との協議を加速をしてまいります。
 具体的には、現在、ベトナムにおきまして、首席交渉官会合、これは五月の十二日から十五日までの間でありますが、開催をされております。各国との間合いをできる限り詰めるように事務方に指示をし、必要なマンデート、つまり権限を与えてしっかり対応させていきます。
 事務レベルの交渉によって間合いを詰めた上で、来週十九、二十日の閣僚会合では、国会のお許しをいただければ私も参加をいたしまして、閣僚間で政治的な課題について議論をし、妥結に向けた前進を刻むべく努力をしたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(山崎正昭君) 谷合正明君。
   〔谷合正明君登壇、拍手〕
#16
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。
 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました担い手経営安定法改正法案と多面的機能促進法案につきまして質問いたします。
 五月に入り、全国各地で今まさに田植の季節を迎えております。我が国が古来より受け継いできた田園風景です。農業は国の基であるとも言いますが、国の発展を農が支えることは、現代においても変わりません。
 しかし、今や、農業生産額の減少、限界集落の増加、さらには耕作放棄地の増加など、農業、農村を取り巻く現状には厳しいものがあります。先日も民間有識者会議が、二〇四〇年には全国の半数の自治体で若年女性が半減し、消滅の可能性すらあると指摘。特に農村地域は深刻な状況と言われております。
 片や国政に目を転じても、この十年の間で農林水産大臣は実質十四人もの方々が交代。この間、政権交代もありましたが、農業政策の変更が重なり、猫の目農政であるとの批判を受けてきました。農政の安定的な推進は喫緊の課題と言わねばなりません。
 我が国は、国土の制約から規模拡大には限界があること、また地形上からいっても多面的機能の役割を担っていること、全国一律ではない多様性に富んだ営農形態があることなど、ある意味特殊な状況を踏まえた農業政策が重要となっております。
 そこで、まず、今後の農村地域のあるべき姿と農業政策の基本的考え方について総理に御所見を伺います。
 次に、担い手経営安定法改正法案について伺います。
 平成十八年に制定されたこの担い手経営安定法の審査の際、民主党からは、農業者の選別政策であるとの批判が行われました。このため、民主党政権の下では、全ての販売農家や集落営農を対象者とする戸別所得補償制度が実施されました。
 私たち公明党は、農家の経営所得安定対策は、固定部分を維持しながら、変動部分について農家からの拠出を伴う制度へ見直し、法制化すべきであると訴えてまいりました。そして今、自公政権の復活に合わせて、政府はその抜本的な見直しについて検討を行ってまいりました。
 今回の改正で、現行の経営所得安定対策のうち、対象農業者の範囲や交付金の内容について見直しが行われますが、現場の農家のみならず、納税者である国民に改正の真意が正確に伝わっていない点があるとも感じております。
 そこで、なぜ今般、この担い手経営安定法を改正するのか、その必要性について伺うとともに、旧戸別所得補償制度とはどこが根本的に違うのか、総理から国民に分かりやすい説明を求めたいと思います。
 次に、多様な担い手の育成確保について伺います。
 我が国農業の担い手の動向を見ると、基幹的農業従事者の平均年齢は六十六歳に達し、六十五歳以上の層が六割に対して四十代以下が一割という著しくアンバランスな構成になっています。
 緊急を要する担い手の育成確保について、今般の改正法案では、対象農業者として、現行の認定農業者及び集落営農組織に加えて、認定新規就農者が追加され、また面積規模要件が廃止されております。その上で、今後の担い手の育成確保に当たっては、農業分野への若者の新規参入、女性の活用が欠かせないものと考えます。
 例えば、農業高校の卒業生のうち、およそ五%の人だけしか就農をしていないなど、農業分野の人材育成にはまだまだ改善の余地があります。また、女性が経営に参画している農業経営体は売上げや収益力が向上する傾向にもあると言われておりますが、そうした経営体の数は多くありません。
 そこで、農業の成長産業化を実現し、農業、農村全体の所得を倍増させる目標の達成のため、若者や女性を積極的に活用していく方策について総理に伺います。
 また、私は、先日、島根県で農福連携の実証研究を視察してまいりました。そこでは、障害者が働きやすい農作業方法や技術、道具の改良、指導方法を検証しており、障害者を受け入れる農業経営者の増加、また福祉事務所の農業参入促進を目指しております。障害者就労の受皿として農業を活用する余地は大きいと考えられ、こうした取組が裾野を広げ、多様な担い手の確保にもつながっていくと考えます。
 そこで、農業と福祉の連携に対する政府の取組方針について農林水産大臣に伺います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、水田フル活用について伺います。
 政府は、今後、需要減少が見込まれる主食用米について、麦や大豆、飼料用米など需要がある作物の生産を支援することにより、行政による生産数量の配分に頼らないで、農業者自らの経営判断で作物を選択できる状況を実現していくとしております。
 特に飼料用米は、その潜在需要が四百五十万トンにも達するとの試算もありますが、専用のカントリーエレベーターの不足、地元の畜産農家とのマッチング不足、あるいは配合飼料工場が太平洋側に偏在することなど、飼料用米の生産を取り巻く環境整備は十分ではありません。
 そこで、現場の農業者が本格的に飼料用米の生産に取り組むに当たっての支援についてどのように考えているのか、農林水産大臣に伺います。
 次に、日本型直接支払制度について伺います。
 日本型直接支払制度は、耕作放棄地対策にも寄与するなど、地域政策の根幹に位置付けられるべきものと考えております。
 しかし、日本型直接支払のうち、多面的機能支払の前身に当たる農地・水保全管理支払において、その交付金の対象となる全国の農用地面積の割合は平成二十四年度で約三四%にとどまっています。普及率八二%の中山間地域等直接支払とは対照的です。
 そこで、日本型直接支払制度を法制化する意義について伺うとともに、農地・水保全管理支払が低い割合にとどまっている理由及び多面的機能支払の取組拡大に向けた対策について農林水産大臣に伺います。
 最後に、TPP交渉をめぐる動きについて伺います。
 日米首脳会談では大筋合意に至らなかったものの、さきの日米共同声明では、TPPに関する二国間の重要な課題について前進する道筋を特定したとの文言が盛り込まれたため、実際は日米両国間の歩み寄りはかなり進んでいるのではないかと一部で指摘されています。
 ベトナムでTPP交渉の首席交渉官会合が始まっている中、我が国として主張すべきは強く主張して協議に臨んでいくことが重要であり、我が国農業の存続を危うくするような合意は認められません。
 今後のTPP交渉に向けては、改めて、衆参農林水産委員会の決議を踏まえるというこれまでの政府の方針に変更がないのかどうかについて確認するとともに、総理の決意を伺います。
 終わりに、緑の革命を成し遂げたインドの農学者スワミナサン博士は、農民が不幸な国は生命を粗末にする野蛮な社会です、農民の幸せな笑顔がその国の幸福を決めると語っています。この農政改革二法案が、我が国の農業、農村のより良き未来を築く礎となることを期待申し上げます。そして、何より生産現場で日々黙々と汗を流されている農家の皆様へ心よりの感謝を申し上げ、私の質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#17
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 谷合正明議員にお答えをいたします。
 我が国における農政の考え方と担い手経営安定法の改正理由についてお尋ねがありました。
 古来より瑞穂の国と呼ばれた我が国では、狭隘な国土の中で小規模な稲作経営が営まれてまいりましたが、現在、我が国農業は、農業生産額の減少と高齢化の進展、耕作放棄地の増加等の構造的な問題に直面しており、農業の多面的機能を維持しながら農林水産業の活性化を図っていくことは待ったなしの課題となっています。
 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上、多様な担い手の育成確保、農地集積バンクによる担い手への農地集積、美しいふるさとを守る日本型直接支払の創設などにより精力的に取り組んだ上で、さらに、四十年以上続いてきた米の生産調整の見直しを行うこととしております。
 今般の担い手経営安定法の改正法案は、このうち、多様な担い手の育成確保を実現するためのものです。また、旧戸別所得補償制度は、全ての販売農家を対象としていたため、担い手への農地の集積のペースを遅らせる面があったことから、意欲と能力ある担い手に集中した経営所得安定対策を確立することとしています。これらの改革を着実に進めることが、農業を若者に魅力ある成長産業とし、農業、農村全体の所得倍増を実現する道だと信じております。
 農業における若者や女性の積極的な活用方策についてのお尋ねがありました。
 農業、農村全体の所得倍増を実現するためには、経営マインドを持ったやる気のある担い手を確保、育成することが重要です。このため、新規就農者の増大を目指して、若者の新規就農を総合的に支援していくとともに、農業においても女性の活躍の場が広がるよう、新たな発想でチャレンジする女性農業経営者を支援してまいります。
 今後のTPP交渉における方針と決意についてのお尋ねがありました。
 先般の日米首脳会談では、私とオバマ大統領で、日米間の重要な課題について前進する道筋を特定しました。今回の成果をキーマイルストーンとして、今後、日米が連携して他の参加国との協議を加速し、早期に交渉を妥結できるよう努めてまいります。
 現在、交渉は最終局面にありますが、衆参の農林水産委員会の決議をしっかりと受け止め、いずれ国会で御承認をいただけるような内容の協定を早期に妥結できるよう、全力で交渉に当たるという方針に変わりはありません。
 いずれにせよ、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(林芳正君) 谷合議員の御質問にお答えいたします。
 農業と福祉の連携に対する政府の取組方針についてのお尋ねがありました。
 農業と福祉の連携の推進を図ることは重要な課題であると認識しており、農林水産省においては、厚生労働省との連携の下、農と福祉の連携プロジェクトとして、障害者や高齢者のための福祉農園の開設、整備等を推進するとともに、農業関係者と福祉関係者も参加した推進協議会を設け、関係者の相互理解を深めるための活動やマッチングに取り組んでいるところであります。また、現在、研究機関が中心となり、障害者が容易に農作業を行えるようにするための技術の改良、開発等を進めております。
 このような取組により、今後とも農業と福祉の連携を推進してまいります。
 次に、飼料用米についてのお尋ねがありました。
 今後、飼料用米の本格的な生産拡大を進めるためには、飼料用米の円滑な流通体制の整備や需要先の確保等が重要です。このため、需要先の確保に向け、供給希望のある畜産農家と生産要望のある耕種農家とのマッチング活動を行っております。加えて、円滑な流通体制の構築のため、耕種側におけるカントリーエレベーターや、畜産側で必要となる加工・保管施設の整備を支援しているところであります。また、配合飼料工場が遠隔地にあっても、全国生産者団体が地域の飼料用米を集荷して飼料工場へ広域的に供給する仕組みの活用も可能です。
 今後も、農業者が本格的に飼料用米の生産に取り組めるよう、これらの取組を一体的に推進してまいります。
 次に、日本型直接支払制度を法制化する意義についてのお尋ねがありました。
 本法案は、農業の有する多面的機能の発揮の促進を図るため、農地維持支払、資源向上支払、中山間地域等直接支払、環境保全型農業直接支援で構成される日本型直接支払制度を法制化するものです。このことは、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する基本的な考え方や法的な枠組みが明確となる、四つの支払が法制化され、現場で安心して取り組んでいただける恒久的な制度となる、地域の実情に応じ、四つの支払を組み合わせて計画的に取組を推進することが可能となるといった重要な意義を有するものであると考えております。
 次に、多面的機能支払の取組拡大についてのお尋ねがありました。
 従来の農地・水保全管理支払においては、農業者以外の地域住民の参加を要件としていることなどにより、地域によっては取り組みにくいという課題があり、取組実績は近年ほぼ横ばいで推移をしております。このため、多面的機能支払については、水路の泥上げ、農道の草刈りといった基礎的な保全活動等を支援する農地維持支払を創設し、農業者のみの活動組織でも取り組めるようにしたところであります。これにより、従来取組が行われてこなかった地域においても、新たな制度による取組が行われるようになるものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#19
○副議長(輿石東君) 儀間光男君。
   〔儀間光男君登壇、拍手〕
#20
○儀間光男君 日本維新の会・結いの党の儀間光男でございます。
 会派を代表して、本日の議題である農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案について、所見を交えながら質問をさせていただきます。
 米の歴史を振り返りますと、戦後、昭和二十年代から三十年代にかけて米は大幅に不足状態になり、当時は米の増産政策を実施しておりました。戦後の農業政策の代表的な事業の一つとして、秋田県八郎潟の干拓事業がございました。これは昭和三十二年、一九五七年に始まっております。当時は岸信介総理大臣でございました。
 本干拓事業では、昭和四十二年から入植を開始しておりますが、一方で、昭和四十年代前半に大豊作が続いたことや総需要量が減少に転じたことから国は膨大な過剰在庫を抱えることになり、昭和四十六年から減反政策を本格的に開始をしております。当時は佐藤栄作総理でございました。
 私は、このときの反省として、当時海外の市場に目を向けることができていれば、減反をここまで続けることはなかったのではないかと考えております。
 そして、安倍総理は、所信表明演説でいわゆる減反廃止をすると発言をされました。減反政策をやめるとなると、歴史に残る総理になると考えます。不思議なことに、米政策の歴史を振り返りますと、節目となるときには岸総理、佐藤総理、安倍総理と続いております。
 こうした中で、米政策の見直しを進めるわけですが、安倍総理の所感を求めたいと思います。
 減反を廃止し、海外の市場に目を向けるとなると、アジアのマーケットに進出することが重要になると考えます。既に日本からもアジアの各国に二十代、三十代の若い農業者が進出をし、日本品種の米を作り、現地の価格で販売しているとも聞いております。こうした米は日本産米が海外に進出する際に大いに競争相手となり得ますが、アジアに駐在している方々に聞きますと、日本の米が安くなってほしい、なぜなら、日本で作られた米は現地で作る米よりもはるかにおいしいからだと言われます。海外で流通している米並みの価格で日本産米を海外市場に輸出できるのであれば、アジアのマーケットの半分ぐらいを占めることもできるのではないかと考えます。
 また、政府では飼料用米を推進しようとしておりますが、飼料用米となると主食用米のような品質も求められず、農家からは生産意欲が湧かないとの声も聞かれております。飼料用米はもとより、主食用米や米加工品用の米を作付けし、海外に輸出していく視点も必要なのではないでしょうか。
 我が国の米は、これまでの世界の歴史の中でも最も品質が良く、おいしいものであり、アジアに米や日本酒などの米加工品の輸出を促進するなど、米で勝負すべきと考えますが、林農林水産大臣の見解を求めます。
 今般の担い手経営安定法によって、ゲタ対策やナラシ対策による担い手への支援を行うことは支持するものですが、これはあくまでも担い手が自立できるようになるまでの当面の施策であるべきと考えます。短期的には有効な施策ではあるものの、果たして中長期的に農業が成長産業として国際競争に打ち勝つことができるようになるための施策であるかという点については、いささか疑問が残ります。
 これまで申し上げましたように、我が国の米を始めとする農産物は、品質の面で海外の市場で十分な競争力があるはずです。中長期的な農業政策を検討していく上で、国内のみならず海外にも目を向け、海外市場も視野に入れて経営を発展させていくような生産者を育成するなどの取組が必要であり、このことによって、担い手が将来の農業に夢と希望を持つことができ、就農者が増えていくのではないでしょうか。より大局的な視点から、農家が自立していけるような施策を将来的に行っていく必要があると考えます。
 このように、海外の市場にも目を向けられるような自立した経営感覚を持った経営者を育成していく、いわゆる攻めの農政の展開が重要であると考えますが、我が国農業における担い手の育成について、経営の発展や所得の向上に向け、政府は将来的にどのように取り組んでいくのか、農林水産大臣の見解を求めます。
 次に、多面的機能発揮促進法案についてでありますが、我が国では、水田を中心に農業が土地、水のつながりによって地域ぐるみで営まれており、このような地域の共同活動を通じて農地を集落などの地域組織が力を合わせて維持してきたところでございます。私の地元である沖縄においても、ゆいまーるの精神に基づき、農地周りの草刈りや水路の管理、田植、収穫までを共同で取り組んだところです。
 しかしながら、現在の我が国の農業をめぐる状況を顧みると、農業の機械化などを通じて地域の共同活動が脆弱化しており、このような農村環境の変化を私も危惧しているところでございます。
 今般の多面的機能発揮促進法案は、地域の農業、農村を維持する集落等の共同活動に対し、国と地方自治体が連携して、法制化を通じてしっかりと支援することをうたっており、日本のきれいな里山農業を守っていく上でも非常に意義のある内容でございます。
 また、こうした共同活動については、農業面での効果だけではなく、高齢者や若い人など幅広い世代の方々が参画することで世代を超えたきずなが深まることにより、三世代による地域コミュニティーが形成され、地域社会の維持や強化といった面でも効果が期待されます。
 このことにより、若い世代が地域に定着し、特に中山間地域においては過疎化を防ぐことにもつながることなど、新たな農村づくりといった観点でも多面的機能支払で支援を行う共同活動は重要なものと考えますが、農林水産大臣の見解を賜ります。
 最後に、我が維新の会・結いの党は、農業が成長産業として、農村に新たな活力が注入され、田園から、総理が好んでお使いになる瑞穂の国日本、心豊かな日本、そして農業が限りなく成長、発展しますよう期待をして、質問を終わらさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#21
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 儀間光男議員にお答えをいたします。
 米政策の見直しについてお尋ねがありました。
 これまで歴代の内閣においては、その時々の農政の課題に対応するため、米の生産調整を始め様々な施策を展開してきましたが、農業生産額の減少と高齢化の進展、耕作放棄地の増加等の構造的な問題は顕在化したままであり、我が国の農林水産業の活性化は待ったなしの課題となっています。安倍内閣においては、あらゆる努力を傾け、強い農林水産業とともに、美しく活力ある農山漁村を実現していく決意です。
 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、輸出促進や六次産業化、農地の集積などに取り組んだ上で、米の生産調整を見直し、これまで行政が配分する米の生産数量目標に従って農業者が作物を作っていたものを、農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米等の生産振興を図ることによって、言わば農地のフル活用を図り、食料自給率、食料自給力の維持向上を図っていくこととしています。
 こうした改革を着実に進めることによって、農業を若者に魅力ある産業に成長させ、農業、農村全体の所得倍増の実現につなげていきたいと考えています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(林芳正君) 儀間議員の御質問にお答えいたします。
 米の輸出促進についてのお尋ねがありました。
 農林水産省においては、昨年八月に農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略を策定し、輸出の拡大を図ることとしております。このうち、米については、精米だけでなく、包装米飯、日本酒、米菓も含めた米加工品の輸出に力を入れることとし、現状百三十億円の米・米加工品の輸出額を二〇二〇年に六百億円とする目標を立てているところであります。
 また、米の生産に関して、輸出用の目的で生産される米や日本酒の生産増に伴う酒造好適米については生産数量目標の枠外として生産を増やせるようにしているところでありまして、こうした取組により、今後とも輸出拡大の後押しをしてまいります。
 農業における担い手の育成についてのお尋ねがありました。
 農業を成長産業とするためには、六次産業化や輸出促進を始め、付加価値を高める新商品の開発や国内外の市場における需要開拓などを進めるとともに、農地の集約化等による生産コスト、流通コストの低減等を通じた所得の増加を進めることが重要であります。これに取り組むためには、自らの創意と工夫を持って国内の新たな需要や世界の食市場の開拓に挑戦していくような、経営マインドを持った担い手を育成していくことが必要であります。
 このため、自らの創意工夫で経営改善計画を作成し、それを市町村が認定する認定農業者制度の下、認定農業者に対しては、日本政策金融公庫のスーパーL資金による低利融資、農業経営基盤強化準備金制度による税制上の優遇措置、法人であればアグリビジネス投資育成株式会社による出資等の支援を行っているところであります。また、経営マインドを持った農業者を育成するため、大企業経営者、先進的農業経営者等による実践的教育、他の先進農業法人又は他産業への研修派遣等への支援を行っているところであります。
 次に、地域の共同活動が有する意義についてのお尋ねがありました。
 今回法制化しようとする多面的機能支払は、農業の有する多面的機能の発揮を促進するため、高齢化、人口減少等により低迷しつつある水路や農道等の維持管理等の地域の共同活動を支援するものであります。これにより、多様な主体が参画し、集落が共同して取り組む中で、地域全体で担い手を支え、農業生産活動の継続を図るとともに、高齢者を含む地域の皆さんが役割と生きがいを持ちながら活動に参加することにつながるものと考えております。
 さらに、地域の共同活動に若い世代の人々が参画することでその地域への定着が進むなど、地域コミュニティーの維持や強化にも貢献していくものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#23
○副議長(輿石東君) 山田太郎君。
   〔山田太郎君登壇、拍手〕
#24
○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。
 私は、ただいま議題となりました農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案並びに関連事項につきまして、みんなの党を代表し、安倍総理に質問をさせていただきます。
 まず冒頭、本日の両法案による政策推進に大きな影響を及ぼすと思われるTPP交渉の状況と評価について、日米首脳会談の当事者である安倍総理に伺いたいと思っております。
 外交や通商交渉は一定の秘密を守るということも重要ですが、事内政に大きな影響を与えるテーマにつきましては、交渉の局面では正確な情報を政府が提供しないと国民は混乱してしまいます。
 最近のTPPに関する報道は、交渉内容が報道機関によってかなり差が出ています。例えば、TPPについて、日米両政府は基本合意したという報道がありますが、この基本合意はあったのでしょうかなかったのでしょうか。また、基本合意の結果、豚肉の関税は一キロ当たり最大四百八十二円から五十円に引き下げる、牛肉関税は現在三八・五%を九%に下げることになったとする報道もあります。これは正しかったのか間違っていたのか、お答えください。
 この共同声明には、日米両国はTPPを達成するために必要な大胆な措置をとることにコミットしているとあります。この大胆な措置とはどんな措置なのでしょうか、具体的にお答えください。
 さらに、同じく共同声明には、二国間の重要な課題について前進する道筋を特定したとありますが、どんな道筋を特定したのか、具体的にお答えください。
 加えて、安倍総理は、連休中に出席されたOECD閣僚理事会で、TPPの日米協議は最終局面と発言されています。一体どのような状況なのか、いつまでに日米交渉を終わらせるのか、五月十九日からシンガポールで予定されている閣僚会合ではTPP交渉の大筋合意を目指すのかどうか、明確にお答えください。
 では、本日の本題であります担い手法案と多面的機能法案について引き続き質問をさせていただきます。
 担い手法案についてお伺いいたします。
 私たちみんなの党は、農業の担い手の経営が安定することに異を唱えるつもりはありません。そして、担い手の経営安定は経営規模の拡大や経営の質の向上を通じて達成されるべきものと考えております。
 しかし、この法律の対象となる農業の担い手は近年減少を続けております。認定農業者は、平成二十二年三月の二十四万九千三百六十九人をピークに、平成二十五年三月には二十三万三千三百八十六人へと減ってしまっております。これまで経営安定のために交付金を交付しているにもかかわらず、なぜ担い手は減少するのか、その理由をどう分析されているのか、お答えください。
 その上で、担い手の規模要件を外す今回の改正は、担い手を増やすことになるのか、また担い手の規模拡大は進むのか、法改正の効果をお答えください。
 これまでの現行制度が、WTOドーハ・ラウンドの合意により、生産刺激的な補助金は控えるという観点から、過去の生産面積に応じて交付する面積払いを中心とした制度でありましたが、今回の法改正では、WTO交渉が膠着状態であることを踏まえ、当年の品質及び生産量に応じて交付する数量払いを基本にする制度になると伺っております。
 私たちみんなの党は、日本が国際貿易ルール標準づくりを主導することをアジェンダに掲げております。ですから、総理、TPPや日欧EPAなどに意欲を示す一方で、WTOという世界貿易の根幹を成すルールに逆行する法改正を行うのは、外国から見れば羊頭狗肉と批判されるおそれはないのでしょうか。今回の改正が世界に胸を張れる法改正なのでしょうか。明確にお答えください。
 次に、多面的機能法案についてお伺いいたします。
 私たちみんなの党は、この法案の大きな問題点は、そもそも多面的機能という法案の対象が極めて曖昧な概念であることだと考えております。美しい棚田の風景を守るという情緒的な感情論も結構ですが、総理が御自分のお金で棚田を守られるのではなく、国民の税金を使うわけですから、政策の目的や効果をしっかり検証しなければなりません。
 そういう意味で、この法案にある農業の多面的機能について農林水産省にお尋ねをしたところ、こうした機能は年間八兆円の貨幣価値があり、今度の法案はこの金額を上回る農業の多面的機能を維持、発揮促進するものという説明を受けました。
 では、この法案による今年度予算約八百億円は、農業の多面的機能八兆円のうち何兆円を維持ないし発揮促進するのでしょうか。同じように分かりやすくお答えください。
 また、森林の公益的機能は七十兆円あると伺います。どうして、今回、七十兆円の公益的機能よりも八兆円の多面的機能の方を優先して、維持、発揮促進のための措置を法案により講ずる必要があるのか、総理、その理由を明確にお聞かせください。
 次に、米の減反政策についてお伺いいたします。
 二〇一二年の農業総生産額は八・五兆円で、この二十年間で二割も減少しています。酪農、畜産、果樹、野菜は、経営改革、生産性向上が現場で進み、生産額の減少に一定の歯止めが掛かっております。しかし、米の生産の落ち込みは深刻です。
 米生産の落ち込みは、市場に見合わない米の高価格維持を行う生産調整、つまり、いわゆる減反の影響が大きいと考えております。農地の所有や利用制限を行い、優遇税制も行う。これらの過度な米の保護政策を続けた結果、小規模零細な兼業農家が維持され、経営規模の拡大が進まずに来ています。これらの米の高価格維持政策や過度な保護政策を総理はどのように認識されているのか、今まではこの政策に意味があったのか、これからは見直していく方向なのか、明確にお答えください。
 今回の担い手経営安定交付金の制度見直しは、当初、米の生産調整、いわゆる減反政策の見直しとセットで進められることを期待していました。しかし、交付金の条件とする飼料米や加工米への転作奨励と主食米との差額補償の政策は、まさにこれまでの減反政策と何も変わりません。総理は、今回の法案を含めた一連の農政改革を減反の廃止だとおっしゃっておりますが、どこが減反の廃止なのか、お答えをお聞かせください。
 また、これまで主食米を作ってきた農家が安い飼料用米や加工米などを作ることを奨励する政策は、これまでプライドを持って主食米を作ってきた農家の担い手に新しい農政の未来を予感させるものなのかどうか、この点も総理、御見解をお示しください。
 最後に、農協改革に関する総理の御認識を伺います。
 日本の改革は、生産側ばかりの改革では進みません。販売、購買などを担う農業協同組合の改革も併せて、農政改革の両輪として考えていく必要があると思います。
 ちょうど本日、政府の規制改革会議農業ワーキンググループによる農協改革案が公表されると聞いております。この農協改革案では、全中の指導権廃止や全農の株式会社化といった大胆な方向性が示されるということです。
 そこで、総理にお伺いしますが、総理は、現在の全中を中心とした農協組織の農業、農家に対するプラス面、マイナス面をどのように考えられておりますか。良い面、また改善していかなければいけない面をそれぞれ具体的にお示しください。
 また、六月は、政府としての農協改革案がまとまると聞いております。規制改革会議がまとめた農協改革案が、各方面からの反対運動、特に自民党内部で、選挙で農協からお世話になっていらっしゃる議員の方々の圧力で骨抜きにならないよう、全中、政府内・与党との調整を信念を持って進めていただきたいと思っております。総理の御決意をお聞かせください。
 本日は、政府二法案並びに関連する国政の重要課題について、安倍総理に幾つかの質問をさせていただきました。
 安倍総理には、明確に御答弁いただき、国民に対する説明責任をしっかり果たすという、政府関係者の規範を示していただけることをお願いいたしまして、質問を終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#25
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山田太郎議員にお答えをいたします。
 TPP交渉に関する報道の真偽についてお尋ねがありました。
 先般の日米首脳会談及び閣僚協議を通じて、日米間の重要な課題について前進する道筋を特定することができ、合意へ向けて交渉が前進していることは事実であります。個々の報道の真偽や交渉の具体的な中身についてはお答えを差し控えさせていただきますが、個別の品目について日米間で合意をしているわけではありません。
 TPP交渉の日米共同声明についてお尋ねがありました。
 TPPが目指すのは、物品市場アクセスだけではなく、サービス、投資、政府調達などの市場アクセス、知的財産、電子商取引、国有企業、環境など、幅広い分野で新しいルールを作る包括的で野心的な二十一世紀型の協定であります。日米共同声明における大胆な措置とは、これらの幅広い分野全体としてTPPの目指す高いレベルの合意を達成するために、今後も、日米両国が最大限の努力を重ねていくということであります。
 また、どんな道筋を特定したのかとのお尋ねがありました。これは、二国間の市場アクセスを改善するための様々な考慮要素、それぞれの関係などに関して、解決のための方向について共通の認識を得ることができたということであります。
 TPP交渉の状況と今後についてお尋ねがありました。
 先般の日米首脳会談及び閣僚協議を通じて、TPP参加国のGDPの八割を占める日米の重要な問題について解決の道筋が見えました。これは、TPP交渉におけるキーマイルストーンを画するものであり、日米交渉は新たな段階に入ったと言えます。こうした状況の中、来週シンガポールで開催される閣僚会合の機会も活用して、日米が連携して、他の参加国との協議を加速し、早期に交渉を妥結できるよう努めてまいります。
 農業の担い手についてお尋ねがありました。
 認定農業者については、高齢化の影響等によりその数は減少してきているものの、認定農業者等の担い手が利用している農地については、この十年間で農地面積全体の三割から五割に増加しております。
 今回の法案においては、小規模経営であっても、収益性の高い作物との複合経営や六次産業化により、所得を上げていこうとする農業者もおられることから、経営所得安定対策の対象者には規模要件は課さないこととしています。これにより、担い手の経営安定を図るとともに、農地集積バンクを活用してこうした担い手への農地利用の集積、集約化を進めることにより、担い手の大規模化を進め、今後十年間で担い手の農地利用が全農地の八割を占める農業構造を実現したいと考えています。
 経営所得安定対策の見直しに関して、WTOの補助金ルールとの整合性についてのお尋ねがありました。
 今回の制度改正は、食料自給率の向上に寄与する麦、大豆等の生産拡大を図る観点から、強い農業構造を確立するために行うものです。
 なお、WTOルール上、国内補助金について削減対象とされる政策の経費の合計額は近年の我が国においては六千億円程度であり、WTOルールで許容されている水準である四兆円に比べると相当の余裕があります。今回の法改正後の御指摘の交付金のWTO上の位置付けについては今後整理していくこととなりますが、いずれにせよ、WTOルールとの整合性は確保し得るものと考えています。
 多面的機能法案についてお尋ねがありました。
 農業の多面的機能は、農業生産に関わる様々な活動が直接的、間接的に作用して発揮されるものであり、日本型直接支払の予算による作用のみを取り出してその効果を算定することは難しいと考えております。
 我が国の農林水産業の活性化は待ったなしの課題であり、昨年末に取りまとめた農林水産業・地域の活力創造プランに基づき、農地集積の促進を始めとする農政改革に政府を挙げて取り組んでおります。担い手の負担を軽減し、構造改革を後押しする本法案は、一連の農政改革の一環として法案を提出したものであります。また、林業についても、新技術による新たな木材需要の創出などにより成長産業化を図ってまいります。
 米の生産調整の見直しについてお尋ねがありました。
 従来の米政策については、これまで米の生産調整を始め様々な施策を展開してきましたが、農業生産額の減少や高齢化の進展等の構造的な問題は顕在化したままであり、我が国の農林水産業の活性化は待ったなしの課題となっております。
 このため、農地の集積などに取り組んだ上で、米の生産調整を見直し、これまで行政が配分する米の生産数量目標に従って農業者が作物を作ってきたものを、農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米、米粉用米等の生産振興を図ることによって、いわゆる農地のフル活用を図り、食料自給率、食料自給力の維持向上を図っていくこととしています。このように、経営マインドを持ったやる気のある担い手が安心と未来への希望を持って活躍できることを目指し、農政改革を着実に進めてまいります。
 なお、施政方針演説などにおいては、こうした政策の内容を一般の方々が理解しやすいよう、いわゆる減反の廃止と述べてきたものであります。
 農協改革についてお尋ねがありました。
 農協は、農業者の協同組織として、農産物の共同販売や資材の共同購入を行うことにより農業経営を支援してきましたが、担い手農業者と小規模な兼業農家の二極化が進展し、また農産物の需給や流通構造が変化する中で、担い手農業者等の期待に十分応えられるようにしていくことが重要と考えております。
 したがって、農業を成長産業とするためには、政策面の改革と併せて農協改革を実行することが必要であると考えています。農業者、特に担い手農業者から評価され、生産現場を改善し、農業の成長産業化に資する農協改革となるよう、しっかりと取り組んでまいります。(拍手)
    ─────────────
#26
○副議長(輿石東君) 紙智子君。
   〔紙智子君登壇、拍手〕
#27
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の農政改革二法案について質問いたします。
 まず、TPPについて伺います。
 四月二十四日、オバマ大統領と安倍首相の首脳会談が行われ、一日遅れて発表された共同声明では、両国はTPPに関する二国間の重要な課題について前進する道筋を特定したと述べました。米国では、ルー財務長官が下院公聴会で、日本市場開放の道筋が付いたと証言しました。甘利大臣は、方程式は合意したと発言しています。この道筋、方程式とは何なのか、明快にお答えください。
 結局、重要五品目の市場開放の道筋を認めたのではありませんか。
 また、澁谷内閣審議官は記者会見で、TPPの着地点について、関税率だけでなくセーフガード、輸入枠などの組合せが重要な要素になると言っています。
 日豪EPAでは、牛肉については関税率三八・五%から一九・二五%へ半減させ、輸入急増に対するセーフガードを組み合わせました。チーズの関税割当て数量も五倍に増えます。日米交渉では、牛肉の関税を九%台に引き下げ、豚肉関税は十五年掛けて一キロ四百八十二円から五十円に引き下げるなど、日豪EPAをはるかに上回る譲歩案を示したとの報道もあります。つまり、関税率を引き下げてもセーフガードなどを組み合わせればいいということなんですか。
 安い輸入品が増えれば価格の下落は避けられません。これでは、重要農産物を除外又は再協議の対象とすることを求めた衆参の国会決議を守ったことにはなりません。日本農業と国民生活を壊し、国民への裏切り以外の何物でもありません。総理にそういう認識はあるのですか。
 安倍総理は、聖域なき関税撤廃が前提でないことが確認されたからTPP交渉に参加すると言い、交渉力を持っているといって交渉を続けてきました。本気になって農業を立て直すつもりなら、重要五品目など聖域の確保を最優先し、確保できないと判断した場合は脱退も辞さないという国会決議の立場を堅持し、それができないなら脱退しかないではありませんか。答弁を求めます。
 次に、農政改革について質問します。
 総理、あなたは、日本再興戦略で、今後十年間で全農地面積の八割が担い手によって利用され、生産コストを現状の全国平均比で四割削減、法人経営体数を五万法人にすると言いました。これでどういう農業を目指すのでしょうか。
 それを端的に表したのが、安倍総理、あなたのスイス・ダボス会議での発言です。
 四十年以上続いてきた米の減反を廃止します。民間企業が障壁なく農業に参入し、作りたい作物を需給の人為的コントロール抜きに作れる時代がやってきます。日本では不可能だと言われていたことですと言い、いかなる既得権益も私のドリルから無傷でいられないと言いました。ここに日本再興戦略が目指す農政の姿が示されています。
 総理には、農政があっても、農民の姿、食料は国産でという国民の願いが見えないのではありませんか。農業の成長産業化を口実に大企業のビジネスチャンスにするものではありませんか。
 食料自給率は、食料・農業・農村基本計画で、二〇二〇年にカロリーベースで五〇%、生産額ベースで七〇%に、飼料自給率で三八%に引き上げるとしています。日本が食料自給率を向上させることは、国民生活にとって死活的に重要であるだけでなく、飢餓で苦しむ途上国の国民への貢献でもあります。しかし、安倍政権が成長戦略に位置付け閣議決定した日本再興戦略には、食料自給率引上げについては一言も触れていません。なぜ明記しなかったのですか。総理の見解を求めます。
 米については五年後に生産調整が廃止されます。今後、米の需要と供給、価格の安定に誰が責任を持つのですか。今でさえ下落を続けている生産者米価の更なる大暴落を招くのではありませんか。総理並びに農水大臣に見解を求めます。
 経営安定政策についてお聞きします。
 米の直接支払交付金、十アール当たり一万五千円は、今年度から七千五百円に半減され、二〇一八年産で打ち切られます。この交付金の打切りで販売農家の手取りが減少しますが、とりわけ大規模経営ほど深刻です。農水省の調査で、二十ヘクタール以上を経営している農家の総所得に占める所得補償の割合は五六%と、依存度が高いことが明らかです。
   〔副議長退席、議長着席〕
 八十ヘクタールを経営している方は、交付金の半減で五百七十五万円の減収になると言われました。この現実を総理並びに農水大臣はどう思いますか。最悪の所得削減策、農家潰しではありませんか。
 麦、大豆など諸外国との生産条件の格差を是正するために支払われていた生産条件不利補正交付金、いわゆるゲタ対策、米、麦、大豆などを対象に豊作時や凶作時の変動などによる収入減少を緩和する収入減少影響緩和交付金、いわゆるナラシ対策は、これまで全ての販売農家に支払われていました。本法律の改正で、認定農業者、集落営農、認定新規就農者に絞り込むことにしています。これによって、対象農家数は八万三千八百四十八戸から三万八千五十三戸と半減します。多くの販売農家を切り捨てるつもりですか。総理、農水大臣の答弁を求めます。
 次に、農地中間管理機構についてお聞きします。
 自民党の参議院選挙公約、そして政府の攻めの農林水産業では、担い手への農地集積、耕作放棄地の発生防止・解消するために中間的な受皿を設置するとしました。ところが、設置した農地中間管理機構は、その目的から耕作放棄地の解消を消しました。なぜ消したのですか。総理の明確な回答を求めます。
 機構法案を議論した政府の産業競争力会議で、財界の代表は、農地は集落のものという考え方を乗り越え、企業が入れる制度にすべきだと主張し、法律が成立したら、次にステップは何といっても企業の参入をいかに促進するかだと述べました。企業の参入を促進するため、借り手は公募を原則とし、地域外の農外企業も公平に扱うということにしたのではありませんか。
 全国どこを回っても、自分の農地がどうなるのか、集落営農で管理している農地がどうなるのか、不安でいっぱいです。
 農地を荒らさないために懸命に努力している現場の期待に応えるなら、借り手は地域で頑張っている農業者を最優先すべきであり、耕作放棄地や借り手のない農地を機構で受け入れて農地として活用すべきです。
 今求められているのは、家族農業を支援することです。
 安倍総理はしばしば、息をのむほど美しい棚田の風景を守ると言いますが、景観の美しさには触れても、そこに住む人の営みがあることが伝わってきません。日本の農村の景観が美しいのは、何世代にもわたって農業を引き継ぎ守ってきた家族農業があったからこそです。今年は国連家族農業年です。世界の大勢は家族経営で支えられています。全農家に占める家族経営の割合は、アメリカで八割、イギリスもドイツも九割、フランス七割、日本九割です。総理は、家族農業重視は自民党の政策だと答弁されました。そう言われるなら、なぜ予算を付けないのですか。総理、家族経営を支援する予算を具体的に示してください。
 日本共産党は、日本農業を基幹産業として位置付け振興を図ること、食料自給率向上への目標を明確にし、家族農業、地域農業を守り充実すること、価格・所得補償こそが求められていると考えています。
 本来、どこの国でも農業保護の考え方は当たり前のことです。TPPを前提に、農業の自立に名を借りて、一層の市場原理に追い込み、日本農業を崩壊に導く安倍政権の農政改革に断固反対することを表明し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#28
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 紙智子議員にお答えをいたします。
 TPP交渉についてのお尋ねがありました。
 先般の日米首脳会談及び閣僚協議を通じて、日米間の重要な課題について前進する道筋を特定することができました。個々の報道内容の信憑性について政府としてコメントすることは差し控えますが、我が国としては、引き続き、衆参の農林水産委員会の決議をしっかりと受け止め、国益にかなう最善の道を追求していきます。
 我が国は、先般の日米交渉によって生まれたモメンタムを捉え、米国とともにTPP交渉全体の妥結に向け、他の参加国にも働きかけを行っているところです。そのような状況の中で、TPP交渉からの脱退に言及することは適当でないと考えます。
 農政改革についてのお尋ねがありました。
 我が国の農林水産業の活性化は待ったなしの課題であり、強い農林水産業とともに美しく活力ある農山漁村を実現していくため、農政改革を進め、農業を若者に魅力ある産業に成長させていかなければなりません。
 このため、昨年末、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、輸出促進や六次産業化の推進による付加価値の向上、多様な担い手の育成確保、農地集積による生産性の向上、美しいふるさとを守る日本型直接支払の創設などに精力的に取り組んだ上で、さらに、四十年以上続いてきた米の生産調整の見直しを行うこととしております。
 今後、これらの改革を着実に進めることによって、経営マインドを持ったやる気のある担い手が安心と希望を持って活躍できる環境を整え、国民に対する食料の安定供給の確保と、農業、農村全体の所得倍増の実現につなげてまいりたいと考えております。
 食料自給率についてお尋ねがありました。
 食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国民に対する国家の最も基本的な責務であり、国内農業生産の増大を図り、食料自給率を向上させることは重要であると考えております。
 なお、御指摘の日本再興戦略は、経済成長を確実に実現していく観点の目標とその実現のための規制改革、予算、税制などの施策をパッケージとして打ち出したものであります。
 米の生産調整の見直しについてお尋ねがありました。
 今回の米の生産調整の見直しでは、これまで行政が配分する米の生産数量目標に従って農業者が作物を作っていたものを、五年後を目途に、農業者がマーケットを見ながら自らの経営判断で作物を作れるようにするとともに、需要のある麦、大豆、飼料用米等の生産振興を図ることによって、言わば農地のフル活用を図り、食料自給率、食料自給力の維持向上を図っていくこととしています。
 米の価格については、需給動向等に応じて民間取引の中で決定されますが、こうした取組を通じて、消費者への米の安定供給の確保と生産者の所得の増大を図っていくこととしております。
 経営所得安定対策の見直しについてお尋ねがありました。
 旧戸別所得補償制度による米の直接支払交付金については、全ての販売農家に交付されるため、農地の流動化のペースを遅らせる面があるなど政策的な課題があったことから、平成二十六年産米から単価を削減した上で、平成二十九年産までの時限措置とすることとしたところであります。
 こうした見直しと併せて、飼料用米等への助成の充実、日本型直接支払の創設、農地集積バンクによる担い手への農地集積等を併せて行うこととしており、意欲ある担い手の経営改善に向けた取組を支援し、農業、農村全体の所得倍増の実現につなげていきたいと考えております。
 一方、今回の担い手経営安定法の改正においては、現行の認定農業者、集落営農に加えて、認定新規就農者も対象とすることとし、また、いずれも規模要件を課さないこととしております。したがって、将来に向けて農業で生計を立てていく意欲と能力のある農業者を幅広く対象としていくものとなっています。
 農地中間管理機構についてお尋ねがありました。
 農地集積バンクは、担い手への農地集積だけでなく、耕作放棄地の発生防止と早期解消にも活用することとしています。耕作放棄地対策に同バンクを活用することについては、従来から耕作放棄地対策を規定している農地法を改正し、明記したところです。
 また、農地集積バンクが行う農地の貸付けについては、公平かつ適正に行うため、受け手を公募した上で、地域農業の発展に資する観点から公正に貸付先を決定することになりますが、特に担い手が不足している地域においては企業の参入を積極的に促進していく必要があると考えています。
 なお、利用できない農地が農地集積バンクに滞留することは適切ではないことから、既に森林の様相を呈している耕作放棄地など、借り手の見込まれない農地を借り受けることは困難と考えます。
 家族経営に対する支援についてのお尋ねがありました。
 我が国農業の安定的な発展を図るためには、担い手が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立することが重要ですが、この担い手としては、家族経営と法人経営の双方が含まれると考えています。農業者の経営発展のために講じている諸般の施策においても、家族経営と法人経営を同等に取り扱っており、しっかり支援してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(林芳正君) 紙議員の御質問にお答えいたします。
 米の生産調整の見直しについてのお尋ねがありました。
 今回の米政策の見直しでは、水田活用の直接支払交付金を充実し、数量払いの導入など飼料用米等のインセンティブを高めるとともに、産地交付金も充実し、地域の創意工夫を生かした産地づくりを進めるほか、国によるきめ細かい需給・価格情報、販売進捗・在庫情報等の提供等を行うことにより、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、農業者自らの経営判断により需要に応じた生産を行える環境を更に整えていくこととしております。米の価格は基本的には民間取引の中で決定されますが、こうした取組を通じて、引き続き米の需給と価格の安定を図ってまいります。
 次に、米の直接支払交付金の廃止による大規模経営への影響についてのお尋ねがありました。
 米の直接支払交付金については、米は、麦、大豆等と違い十分な国境措置があるため、諸外国との生産条件の格差から生じる不利はないこと、全ての販売農家に交付することは農地の流動化のペースを遅らせる面があること等の政策的な問題があったため廃止することとしたところであります。
 しかしながら、この交付金を前提に機械、施設の投資を行ってきた農業者も少なくないため、経過措置として、本年産から単価を削減し、平成二十九年産までの時限措置として実施することとしております。
 米の直接支払交付金を削減する一方、多面的機能支払を創設し、規模拡大に取り組む担い手の負担を軽減すること、非主食用米等への支援の充実など水田の有効活用対策を拡充し、農業者自らの経営判断で需要がある作物を選択しやすくすること、生産コストの低減に向け、農地の担い手への集積を加速化すること等を行うこととしたところでありまして、大規模農家を始め、意欲ある担い手が経営改善に取り組めるものと考えております。
 次に、経営所得安定対策の対象者についてのお尋ねがありました。
 我が国農業を安定的に発展させ、国民に対する食料の安定供給を確保していくためには、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立することが重要です。このような観点から、経営所得安定対策についても、全ての販売農家を一律に対象とする施策体系ではなく、経営意欲と能力のある担い手を対象としていくことが必要と考えております。
 一方、今回の制度改正においては、生産条件不利補正交付金、収入減少影響緩和交付金の対象者要件について、現行の認定農業者、集落営農に加え、認定新規就農者も対象とすることとし、また、いずれも規模要件を課さないことといたします。これにより、将来に向けて農業で生計を立てていく意欲と能力のある農業者等であれば、経営規模や年齢等にかかわらず、幅広に本対策に加入できるようになると考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(甘利明君) TPP交渉に関連し、先月の日米協議の結果についてのお尋ねがありました。
 先般の日米首脳会談及び閣僚協議を通じまして、日米の重要な課題、すなわち農産品と自動車の取扱いについて、二国間の市場アクセスを改善するための様々なファクター、それぞれの関係、そしてトレードオフ、全体のパッケージのイメージ、解決のための道筋を特定をいたしました。
 これまでは日米双方が原則論を述べ合っておりましたが、このように解決に向けた方式が共有されたことを捉え、アメリカ側はパラメーターと表現をし、日本側は方程式合意という言葉を使ったものであります。(拍手)
#31
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#32
○議長(山崎正昭君) 日程第一 独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長石井みどり君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔石井みどり君登壇、拍手〕
#33
○石井みどり君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、独立行政法人に係る改革を推進するため、独立行政法人国立健康・栄養研究所を解散し、その業務を独立行政法人医薬基盤研究所に承継させるとともに、独立行政法人医薬基盤研究所の名称を独立行政法人医薬基盤・健康・栄養研究所とする等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、両法人がこれまで果たしてきた役割と統合に至る経緯、統合によって得られる研究開発効果、管理部門の効率化の見通し、独立行政法人日本医療研究開発機構に移管される業務と統合後の新法人に残る業務の内容等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、みんなの党を代表して薬師寺みちよ委員より反対、日本共産党を代表して小池晃委員より反対、社会民主党・護憲連合を代表して福島みずほ委員より反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#34
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#35
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#36
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十一  
  賛成             二百二  
  反対             二十九  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#37
○議長(山崎正昭君) 日程第二 原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長大久保勉君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔大久保勉君登壇、拍手〕
#38
○大久保勉君 ただいま議題となりました法律案につきまして、審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、原子力事業者による廃炉等の適正かつ着実な実施の確保を図るため、原子力損害賠償支援機構を原子力損害賠償・廃炉等支援機構に改組し、その業務に廃炉等を実施するために必要な技術に関する研究及び開発等の業務を追加する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、機構が新たに行う業務の具体的内容及び実効性確保策、国が前面に出た廃炉・汚染水対策支援の在り方、廃炉作業に係る人材の確保及び育成に向けた課題、原子力損害賠償の適切な実施と賠償制度の見直し等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、みんなの党を代表して松田委員、日本共産党を代表して倉林理事よりそれぞれ反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#39
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#40
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#41
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十二  
  賛成            百九十七  
  反対             三十五  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#42
○議長(山崎正昭君) 日程第三 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案
 日程第四 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長藤本祐司君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔藤本祐司君登壇、拍手〕
#43
○藤本祐司君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を報告いたします。
 まず、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案は、住宅及び医療施設、福祉施設、商業施設その他の居住に関連する施設の立地の適正化を図るため、市町村による立地適正化計画の作成について定めるものであります。また、当該計画に定められた立地を誘導すべき施設についての容積率及び用途の制限の緩和等の措置を講じようとするものです。
 次に、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案は、持続可能な地域公共交通網の形成のため、市町村等による地域公共交通網形成計画の作成、同計画に即した地域公共交通再編実施計画の作成、地域公共交通再編事業の実施に関する道路運送法の特例等について定めようとするものです。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、参考人から意見を聴取するとともに、コンパクトシティー施策の目標と実効性の確保、立地適正化計画を作成する際の合意形成の在り方、地域公共交通網の形成に向けた支援策、地域公共交通事業者の経営改善のための取組等について質疑が行われました。その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して辰已孝太郎委員、社会民主党・護憲連合を代表して吉田忠智委員より、都市再生特別措置法等改正案にそれぞれ反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、順次採決の結果、都市再生特別措置法等改正案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 また、地域公共交通活性化・再生法改正案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、二法律案に対してそれぞれ附帯決議が付されております。
 以上、報告いたします。(拍手)
    ─────────────
#44
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 まず、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#45
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#46
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十二  
  賛成            二百十六  
  反対              十六  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#47
○議長(山崎正昭君) 次に、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#48
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#49
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十二  
  賛成           二百三十二  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#50
○議長(山崎正昭君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト