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2014/05/16 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 本会議 第22号
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2014/05/16 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 本会議 第22号

#1
第186回国会 本会議 第22号
平成二十六年五月十六日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十二号
  平成二十六年五月十六日
   午前十時開議
 第一 南インド洋漁業協定の締結について承認
  を求めるの件(衆議院送付)
 第二 二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物
  の規制及び管理のための国際条約の締結につ
  いて承認を求めるの件(衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、道路法等の一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
 一、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を
  改正する等の法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 道路法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。国土交通大臣太田昭宏君。
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(太田昭宏君) 道路法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 高速道路の建設開始から半世紀が経過し、今後、その老朽化対策として計画的な更新を推進する必要があります。また、都市再生や地域活性化の観点から高速道路の活用を図るため、所要の措置を講ずる必要があります。
 このような趣旨から、この度この法律案を提案することとした次第です。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構が高速道路株式会社と締結する協定や、機構が作成する業務実施計画に、更新事業に関する事項を定めなければならないこととしております。また、高速道路の更新財源を確保するため、建設債務の償還満了後の一定期間において、継続して料金を徴収することができることとしております。
 第二に、道路の上部空間を活用し、都市再生事業と高速道路の維持更新事業との連携を図るため、立体道路制度を既存の高速道路にも適用できることとしております。
 第三に、高架の道路の下部空間の活用を図るため、占用の許可基準の緩和や、占用者を公平に選定するための入札制度を創設することとしております。
 第四に、地域活性化の観点から高速道路の活用を図るため、スマートインターチェンジの整備に対する新たな財政支援を行うこととしております。
 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。赤池誠章君。
   〔赤池誠章君登壇、拍手〕
#7
○赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章です。
 自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました道路法等の一部を改正する法律案につきまして、四点質問をいたします。
 まず、高速道路の更新財源について質問いたします。
 平成二十四年十二月二日午前八時三分、中央道笹子トンネルで天井板落下事故が起こり、九名の方々がお亡くなりになりました。
 道路の老朽化問題につきましては、専門家によって平成十四年から指摘をなされておりました。痛切な反省を込め、笹子の教訓として更に私たちは行動を起こさなければなりません。
 我が国に最初の高速道路が誕生して五十年以上がたちます。高度成長期に次々と建設された高速道路は、今後、相次いで大規模な修繕、大規模な更新の時期を迎えます。
 今回の法案によって、平成六十二年、二〇五〇年までに現行どおり高速道路の建設費償還のために料金が徴収され、その後、平成七十七年、二〇六五年までの十五年間は更新費の償還のために料金が徴収されることになります。
 平成七十七年といえば、今から五十一年後であります。私も含め、この場にいらっしゃる多くの方は、残念ながらもうこの世におられないでしょう。その頃、我が国の高速道路の多くは、開通から八十年あるいは九十年になっています。そのときまでに、現行あるほぼ全ての高速道路は全面的な更新が必要となるはずです。
 高速道路更新のために十五年という料金徴収期間を延長するわけでありますが、平成六十二年、二〇五〇年までに全国から強い要望があるミッシングリンクを解消し、その一方で、笹子の教訓を生かして維持管理・更新作業を行う今回の法案について太田大臣の御見解と御決意をお聞かせください。
 次に、高速道路周辺の老朽化対策についてお伺いいたします。
 昨年、会計検査院が高速道路に架かる跨道橋の管理について検査を行いました。その結果、特に地方自治体が管理しているものについて適切に点検や管理が行われていないものが多いという指摘がなされました。
 この問題について、国交省は、昨年十月、跨道橋を管理する自治体と高速道路会社との連携を強化するよう指示をしたと伺っております。状況はどのように改善されたのでしょうか。対策について太田大臣に伺います。
 次に、高速道路の高架下の活用とスマートインターチェンジの整備についてお伺いいたします。
 今回の法案によって高速道路の高架下も活用できるようになり、入札制度の導入で、新たなる交流拠点、地域活性化拠点の整備もなされます。さらに、道路予算による補助制度創設によってスマートインターチェンジの整備も促進されます。それによってどのような町づくりが可能になるのか、御説明ください。
 最後に、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備について伺います。
 前回の東京オリンピックの際には、新幹線、高速道路など、約一兆円に及ぶ関連事業が行われたため、一兆円オリンピックと称されました。一兆円は当時のGDPの三・六%に当たる額でした。GDPが約五百兆円である現在、単純に当てはめれば十八兆円に相当する巨額の投資です。その経済波及効果は大変大きなものがありました。時代を画する心理的な効果もありました。前回と時代背景が違うとはいえ、老朽化したインフラの更新を含め、相当程度の投資が必要であることは間違いありません。こうした投資を各分野でばらばらに進めるのではなく、政府全体としての総合的なインフラ整備計画を策定し、一体的な整備を進める必要があると考えます。
 二〇二〇年に向けて、活力ある町が着々とでき上がっていく。そうした、東京のみならず全国民が夢を持てる、そのようなインフラ整備を政府全体としての計画を立てて進めていただきたい。そのための社会資本整備重点計画等の見直しについて太田大臣の見解をお伺いをして、私の質問とさせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(太田昭宏君) 赤池誠章議員の質問にお答えします。
 まず、道路の維持管理・更新とミッシングリンクの解消についてのお尋ねがありました。
 東日本大震災や笹子トンネル天井板落下事故を受け、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化を始めとして、これは極めて大事な取組であり、重点的に実施することが必要であると考えております。他方、ミッシングリンクの解消は、地域の活性化や物流の効率化等に役立つとともに、リダンダンシーの確保など、災害面での弱点の克服にも必要なものと認識しております。
 今後、計画的に高速道路の更新を進めるとともに、ミッシングリンクの解消に向けて必要な事業を推進してまいります。
 次に、高速道路の跨道橋の点検や管理に関する対策についてお尋ねがありました。
 国や高速道路会社が管理する約千三百の跨道橋では全て点検を実施していたのに対し、地方公共団体が管理する約三千三百の跨道橋は点検が遅れている状況であります。しかし、笹子トンネル天井板落下事故の後、平成二十五年をメンテナンス元年と位置付け、これらもおおむね点検を終えており、今後は、五年に一度定期的な点検を進めてまいります。また、高速道路会社では各管理者との情報共有体制を構築したところであり、必要に応じ、地方公共団体から受託するなどにより、跨道橋の点検を進めております。
 今後も引き続き、地方公共団体への支援を行いつつ、高速道路の安全確保に取り組んでまいります。
 次に、道路の高架下の活用及びスマートインターチェンジの整備についてお尋ねがございました。
 高架下の活用につきましては、都市機能の集約化が求められる中、身近な道路空間を活用し、町づくりや地域活力の維持強化を図るものであります。また、スマートインターチェンジの整備につきましては、これまでも、周辺への工場や商業施設の誘致、これに伴う雇用創出などの効果が見られており、更なる促進に努めてまいります。
 このような取組を含め、新たな国土のグランドデザインを踏まえ、コンパクトシティー・プラス・ネットワークという考え方に基づく町づくりを進めてまいります。
 東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備についてお尋ねがございました。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックは、東京のみならず日本全体の祭典であり、大会を契機に地域社会を活性化し、国内外の観光客を地域へ呼び込むことが重要であります。そのため、大会がスムーズに進められるよう、災害への対応やバリアフリー化を進めるとともに、交通網の整備や移動案内の多言語対応などに努めてまいります。
 そのような整備に当たっては、将来の日本の国土形成やインフラ整備を踏まえたマイルストーンとすることが重要であります。そのため、現在策定中の新たな国土のグランドデザインの考え方に基づく全国的なインフラ整備との整合性を図りながら進めていく必要があります。
 こうした状況を踏まえ、社会資本整備については、重点計画の見直しの必要性も含め、検討を進めてまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(山崎正昭君) 金子洋一君。
   〔金子洋一君登壇、拍手〕
#10
○金子洋一君 おはようございます。民主党の金子洋一でございます。
 ただいま議題となりました道路法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問いたします。
 この法案に対します私の問題意識は、民営化に取り組んだ当時の道路関係四公団民営化推進委員会の考えと一致をしております。
 民営化推進委員会は、その取りまとめの中で、道路公団が大きな負債を抱えた原因を、償還主義、全国プール制、合理性に欠ける需要予測、高コスト体質などにあるとし、二〇〇二年十二月に改革案を提示いたしました。
 しかし、翌二〇〇三年にこの改革案から大きく後退した政府・与党の合意がなされたことにより、このてん末に失望した推進委員会側では、霞が関出身の田中一昭委員長代理とJR東日本会長の松田昌士委員が、政府・与党が決めた公団民営化案が債務返済を最優先する推進委員会の意見書の基本部分を反映していないとして、委員を辞任するに至りました。このときに推進委員会の提言どおりに徹底した改革が行われていればと悔やまれてなりません。
 さて、この法案では、計画的な更新実施のため、高速道路での料金の徴収期間を、これまでの旧日本道路公団民営化後四十五年間から、十五年延長して六十年にすることなどがその内容となっております。
 政府は、これまで、民営化から四十五年以内に料金の徴収を終え、高速道路は無料開放されると答弁してまいりました。国民はこれを約束だと受け取り、特にいち早く供用が開始された名神・東名高速道路などの沿線の住民はその日を期待して待っておりました。太田国土交通大臣にお尋ね申し上げますが、今回の法案ではこの約束は守られないということなのでしょうか。
 言うまでもなく、建設開始から半世紀を経過し、老朽化が進む高速道路の更新は待ったなしであります。しかし、これまでの高速道路運営においては、更新が全く軽視をされてまいりました。
 今回の法改正が今必要になったのは、いかに美辞麗句で飾っても、二〇〇五年の道路公団民営化当時に、ある程度の修繕費用を除いた大規模な更新費用が料金の徴収の計算に入れられていなかったことが大きな要因であります。
 この案件に対して、国交省からの御答弁ではよくリダンダンシーという言葉が使われております。聞き慣れないものでありますけれども、予見できない事態に備えて別の手段を持っておくとか、あるいは予備を持っておく、そういった意味に捉えております。このリダンダンシー、道路の延長だけではなく、費用の返済計画にこそ必要ではなかったでしょうか。
 と申しますのも、社会資本整備審議会道路分科会は、この十年以上の長きにわたり、重ね重ね高速道路の早急な更新が必要であると警告を続けてまいりました。また、民営化の議論のときに、特に首都高速については今後巨額のメンテナンス費用が掛かるという議論も出ておりました。こうした意見をどのように受け止めておられたのでしょうか。
 具体的には、債務の償還について、金利の計算では四%という高い金利水準を前提としております。これについては、本年四月二十三日の衆議院国交委員会では、金利を低く想定すると、金利の情勢が変わったときにどんどん金利負担が膨らみ、恐ろしいという大意の御答弁を国交省の政府参考人がなさっております。
 民営化当時の計算には修繕費などを見積もっていたはずですが、なぜ当初の想定と大きく異なるようになったのか。答弁で度々おっしゃるように、当時、原理的に正確に予測することができなかったというのなら、なお一層、当時経費を大きめに見積もるべきではなかったのでしょうか。つまり、二〇〇五年の民営化当時にも高速道路の老朽化はある程度予測できていたはずであり、なぜ当時から更新事業を盛り込んでいなかったのでしょうか。御所見をお聞かせください。
 また、今後、老朽化の進展に伴い、次々と更新が必要となり、料金徴収期間を再延長することになるのではありませんか。
   〔議長退席、副議長着席〕
 また、公団民営化当時、約四十兆円の負債を持ちながら、それ以降も不採算道路が建設され続けました。これは、新たに建設される路線単独では収支が合わないことが明確であるにもかかわらず、全国の高速道路の収入と支出を丼勘定にする料金プール制があったことにより建設が可能となったものです。料金プール制を一気に廃止するということは難しいかもしれません。しかし、例えば地域別のプール制に移行するなど、料金プール制の在り方を再検討すべきではないでしょうか。
 また、幾ら不採算であるからといって、一旦造ってしまったものを廃止するわけにはまいりません。本来なら、不採算道路を造らず、今まさに渋滞が生じている道路をどうするのかということに取り組むべきだったと思います。つまり、新規の高規格道路の建設は、第一の目的として渋滞解消を目指すべきだったと思うのであります。人口稠密部であれば、建設された高速道路の利用者は多く、当然料金収入も高くなります。こうした不採算道路をどのように活用するかが大きな問題です。同時に、交通量のふくそうをどうするのかも問題です。
 そこで伺います。
 東日本大震災の状況を見れば、災害時にリダンダンシーが必要なのは三大都市圏も同じであります。特に東京圏で必要ではないでしょうか。東京圏が麻痺すれば、我が国の政治、行政、あるいは民間の経済活動もまた大きな打撃を受け、麻痺をしてしまいます。有料国道である首都高速については、供用当初から渋滞続きで、片側二車線では足りなかったと聞いておりますが、発展途上国並みの交通渋滞を避けるためにも、当初から都市圏の整備を優先すべきではなかったのでしょうか。
 また、最近、地方の人口減少が改めて話題になっております。地方に高速道路あるいは新直轄方式による道路を造ることが本当に地域振興につながるのでしょうか。逆にストロー現象などが起きてしまうことはないのでしょうか。
 次に、料金政策についてお尋ねいたします。
 需要に応じた料金体系による交通需要管理を行うべきではないでしょうか。
 道路整備は受益が広く地域に及ぶことから、高速道路の直接の利用者や自動車ユーザーの負担を基本とし、加えて自動車ユーザー以外の主体や便益を共有する地域からも負担していただくという発想は理解できます。しかし、高速道路が有効に活用されるように、無料区間、料金を引き下げる区間、そのままにして維持をする区間、あるいは曜日、時間などの時期によって料金を変動させる区間、そういったもののミックスによって柔軟な料金体系を構築すべきではないでしょうか。所見を伺いたいと思います。
 二〇〇八年から休日上限料金千円政策が取られました。これは国内の景気対策の一環だと理解をしております。観光の振興などのメリットもありましたが、極めて渋滞が激しくなり、特にトラックや高速バスなどの利用者、運輸に大きな負担を掛けたのではないかと認識をしております。また、並走する航空機、鉄道、フェリーなどほかの公共機関への影響はどうだったのでしょうか。
 料金の遠距離逓減、営自格差については、今後どのようにしていこうとお考えなのでしょうか。
 法律の規定によりますと、首都高速、阪神高速も償還期間の後、無料開放することになるのだろうと思いますが、都市部の有料道路を無料開放した場合、今以上に激しい渋滞を招くことが予想されます。どう対処するおつもりでしょうか。
 高速道路の維持管理・更新費用を税負担によるのでは国民一般への理解が得にくい、一方、恒久的に有料とするのでは利用者の理解が得にくいということはよく分かります。しかし、料金徴収期間終了後に一律で無料開放することが果たして適切なのでしょうか。国民に十分説明した上で、無料開放という発想を撤回することも今後の料金政策の選択肢の一つになるのではないでしょうか。
 次に、高速道路の運営の枠組みについてお尋ねをいたします。
 旧日本道路公団の組織についても、民営化とはいいながら、なるほど株式会社にはなりましたが、固定資産税が賦課されるおそれなどの障壁があることもあり、全株を政府が持っている形では、これは真の民営化とは言えないのではないでしょうか。
 現在、道路整備特措法により民間事業者が道路管理者になれませんけれども、民営化を進める観点からこれは問題だと思います。改めるべきではないでしょうか。また、効率的な経営を可能とすることを目的にコンセッション方式を積極的に導入すべきではないでしょうか。
 従来は暫定税率により所要の事業費が確保されていた道路特定財源が一般財源化されました。財政的に、今後ますます顕在化する道路の老朽化に対応できなくなるおそれもございます。道路の老朽化対策に必要な予算をどのように確保していかれるのか。また、財政面、体制面に問題のある市町村の管理する道路の老朽化対策への支援はどうするのかについてもお尋ねをいたします。
 いずれにいたしましても、今回の法改正は、高速道路行政全体からすればあくまで当面のびほう策であり、民営化時に置き去りになってしまった数々の問題について、今後抜本的な検討を行う必要があることを強調して、質問を終えたいと存じます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(太田昭宏君) 金子洋一議員の御質問にお答えします。
 まず、四十五年以内の債務償還においてお尋ねがありました。
 現在の償還計画に基づく建設債務については、将来世代に先送りせず、四十五年以内に償還する方針を今後も堅持をしてまいります。その上で、本法案では、建設債務の償還満了後、更新に必要な財源を確保するため、十五年間を上限とした料金を継続して徴収し、その後無料開放する考え方を取っております。
 次に、民営化当時の更新事業の見積りについてお尋ねがありました。
 道路構造物の老朽化予測には限界があり、民営化時においても更新需要の発生は想定していましたが、具体の箇所や対処方法が十分には明らかになっていませんでした。その後、東日本大震災や笹子トンネル天井板落下事故が起こり、老朽化対策が一層必要であるという認識が共有されたところであります。
 このような認識の下、建設後五十年が経過し、老朽化の進展により更新の必要な箇所が明らかになったことなどから、今般、更新事業に取り組むこととしたものでございます。
 次に、更なる更新需要の発生についてお尋ねがありました。
 老朽化の進展は、立地環境や建設時の状況、開通後の使用環境に大きく依存しており、単に建設から年数が経過したからといって直ちに老朽化するわけではないと認識しています。
 今回の更新計画については、建設時に施工を急ぐなど無理をした箇所や、古い基準で設計された箇所などに対応するものであり、今回の対応以降、また次々と更新需要が生じるということにはならないと考えております。
 次に、料金のプール制についてお尋ねがございました。
 高速道路については、路線ごとに整備時期が異なることによる料金差を生じさせないため、負担の公平性の観点からプール制を採用しているところであります。今後とも、プール制については適切に活用してまいりたいと考えております。
 災害時のリダンダンシーの観点からの都市圏の道路整備についてお尋ねがございました。
 大都市部、地方部いずれにおいても、災害面の弱点を克服するために道路ネットワークは重要な役割を果たすものと認識しています。今後も、リダンダンシーの確保の観点から、道路ネットワーク全体の強化に取り組んでまいります。
 次に、地方部の高速道路整備についてお尋ねがございました。
 高速道路は、我が国の国民生活や経済活動を支える重要なインフラであり、厳格な事業評価を行った上で整備を進めることが必要と考えます。地方部においても、開通した高速道路の周辺では、企業立地が進んで雇用が創出されるなど、地域活性化に大きな効果が現れていると認識をしています。
 次に、料金体系による交通需要管理についてお尋ねがございました。
 道路ネットワークを効率的に賢く使うことは重要であり、交通需要に応じ、ネットワークを機能強化するとともに、料金施策を適宜活用することが必要であると考えております。
 本年四月からは、実施目的を明確にして、休日割引や深夜割引などの新しい料金割引に再編したところでありますが、今後とも、時代に即した高速道路料金となるよう努めてまいります。
 次に、休日上限千円の影響についてお尋ねがありました。
 平成二十一年三月より約二年間実施しました休日上限千円の料金施策については、地域活性化の面から一定の有効性が確認された一方、激しい渋滞が発生するという課題もございました。また、高速道路の長距離利用の促進により、高速バスやフェリーに対して影響を与えたと認識をしています。
 次に、料金の遠距離逓減、営自格差についてお尋ねがございました。
 高速道路の料金については、長距離利用を促進し、高速道路ネットワークの効率的利用を図る観点から、利用距離に応じて料金を逓減する制度としております。また、営業車と自家用車に料金の差は設けてはおりませんが、四月からの新たな料金割引については、観光振興、物流対策などの利用目的に応じた割引と、利用頻度に応じた割引としております。
 次に、無料開放後の渋滞対策についてお尋ねがございました。
 諸外国では、都市部の渋滞対策として、ロードプライシングや流入規制などにより、都市部への車の流入を調整する取組が実施をされております。無料開放後の渋滞対策については、諸外国の取組も参考にしながら、無料開放時点での交通の状況を踏まえ、適切に措置することになると考えております。
 次に、無料開放の撤回についてお尋ねがございました。
 我が国の道路は無料開放が原則であり、厳しい財政状況の下、道路整備特別措置法を制定し、有料道路制度を導入しているところであります。御指摘のありました恒久有料制については、利用者を始め広く理解が得られるかという課題もあり、今後も慎重な検討が必要であると考えます。
 次に、道路公団の民営化についてお尋ねがございました。
 道路関係四公団の民営化は、高速道路会社が、民間ノウハウの発揮により、多様で弾力的な料金設定、サービスエリアやパーキングエリアの運営など、できる限り自由な事業展開を可能にしたものであります。株式の扱いやその配当を含めた高速道路会社の在り方については、高速道路の債務返済を始めとする経営状況を見極めた上で、今後とも検討する必要があると考えます。
 次に、民間事業者による道路管理とコンセッション方式の導入についてお尋ねがございました。
 高速道路については、道路関係四公団民営化により、民間のノウハウを発揮しつつ、債務を確実に返済し、適正に事業を行う特殊会社が管理する制度としています。公社道路については、現在、愛知県からコンセッション方式の導入の提案があり、構造改革特区の枠組みを用いて実現すべく取り組んでまいります。
 次に、老朽化対策に必要な予算の確保、市町村における老朽化対策への支援についてお尋ねがございました。
 今後、道路の点検、修繕等に必要な予算については、この法律案による措置を含め、所要の額を確保してまいりたいと考えております。また、約五十万橋を管理する市町村は、予算、人員、技術等の面で厳しい状況にあるため、予算による支援に加え、国の技術者による支援などを進めてまいりたいと考えているところであります。(拍手)
    ─────────────
#12
○副議長(輿石東君) 室井邦彦君。
   〔室井邦彦君登壇、拍手〕
#13
○室井邦彦君 日本維新の会・結いの党の室井です。
 両党を代表いたしまして、道路法等の一部を改正する法律案につきまして、太田国土交通大臣に対しまして八問の質問をさせていただきます。
 我が国は、急速な人口減少時代に入り、現在の約一億二千八百万人から、およそ百年後には四千三百万人まで減少すると見込まれて、さらに、八百九十六自治体が消滅可能性自治体と推計されており、長期的視点に立ち今後の道路政策の目指すべき方向性を示すことが、国民の生活基盤を守り、持続可能な国土の構築に必要不可欠なことと考えております。
 さて、高速道路は必要不可欠な人流、物流の交通網として国家の成長、発展に大きな役割を果たしてきました。昭和三十七年十二月に首都高速道路一号線が開通し、自来、高速道路の総延長は、平成二十六年四月現在、一万六百八十五キロメートルが整備され、日本経済を支える物流の軸として、災害における命の道として、短時間に移動できる国民生活に密着したインフラとして定着をしております。
 しかし、開通から三十年を超える区間が高速自動車国道においては半分近くを占め、老朽化も進行し、構造物の劣化は厳しい状況にあり、更新事業を計画的に進める必要があると判断されます。
 平成二十四年十二月に起きた中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故以降、ようやくこの問題が強く意識されましたが、東京オリンピック・パラリンピックを六年後に控える東京の首都高速道路では、経過年数が五十年を超える箇所が十三・四キロメートルもあり、早急な取組が必要であります。
 二月に就任された舛添東京都知事は、首都高速道路の更新を東京オリンピック・パラリンピックが開催する平成三十二年を目標に進めたいと言及しましたが、政府としても、大規模更新を前倒しし、スタートできるよう責任を持って取り組むと理解させていただいてよいのか、御答弁をお願いいたします。
 さて、この法改正の中で最大のポイントは、高速道路の計画的な更新の実施のため、新たな料金徴収年限を平成七十七年までの十五年延長することと承知しております。この償還主義を抜本的に見直し、償還後の維持管理費について、受益者負担の考えに基づいた料金制度とすべきではないかと考えます。
 毎年四千九百億円規模の維持費が掛かり、国の借金が一千兆円という最悪の財政状況下であり、利用者から料金を取らず、維持管理費を国民の税金で負担するということが果たして妥当かどうか、国民への説明責任が求められます。
 償還主義を見直し、継続的に利用料金を取るようにすれば、相当程度料金を下げることができると言われ、その方が利用者にとってもメリットが大きいと考えられますが、御所見をお聞きいたします。
 次に、高速道路の料金政策について質問いたします。
 道路公団民営化以降の高速道路行政、特に料金に関する政策を見ると、休日上限千円の料金割引や高速道路無料化実験など、根本的な問題に手を付けず、国民の人気取り政策であったように思います。
 定価料金が分かりにくくなっているため、今後の料金割引はシンプルなものとすべきと考えます。料金割引の効果の観点から、今後の料金割引の在り方について御所見をお聞きいたします。
 次に、高速道路会社の在り方について質問いたします。
 高速道路会社六社は、国や地方自治体が一〇〇%出資する特殊会社であり、料金体系や社長人事は大臣認可となっています。会社としては自由度の低いガバナンスではないかと思います。料金設定を含めて多様なサービスを提供できるようにすべきと考えます。
 我が党の橋下徹共同代表が市長を務める大阪市では、市営地下鉄の民営化に向けて様々な改革を行い、四月一日から初乗り運賃を二十円値下げをいたしました。運賃値下げは助かるといった利用者の声が届けられております。
 やはり、高速道路会社も自主的に料金設定ができてこそ真の民営化と言えるのではないかと思いますが、御所見をお聞きいたします。
 次に、市町村が管理をする道路の老朽化対策について質問いたします。
 老朽化問題で最も深刻なのは、小規模の市町村が管理する道路であります。我が国の道路延長約百二十万キロメートルのうち百万キロメートル、道路橋約七十万橋のうち約五十万橋を市町村が管理し、高度経済成長期に整備された橋梁が急速に老朽化し、通行止めや通行規制を実施している箇所が増加しております。
 小規模の市町村では、財源不足、技術職員不足などを理由に橋梁の老朽化対策が進んでおりませんが、国としてどのような支援策を検討しているのか、御答弁をお願い申し上げます。
 次に、道路のメンテナンス技術の向上促進への取組について質問いたします。
 老朽化対策の取組の実効性をより高めるため、点検業務や修繕工事を担うメンテナンス産業の発展を促進することが期待されます。
 産業界からは、発注条件によっては利益が出にくい、そして、再設計や契約変更が必要となるケースが多いとの指摘があります。施工実態等を踏まえた点検業務、修繕工事の適正な発注制度の改革に取り組むべきと考えますが、御所見をお聞きいたします。
 また、点検精度や調査の効率性の向上のため、国は道路のメンテナンスの技術開発をどのように促進させていくつもりなのか、御答弁をお願いいたします。
 最後に、道路行政における通学路の安全対策について質問をさせていただきます。
 通学路での事故や集団登下校中での事故が後を絶ちません。政府は、通学路の緊急合同点検を実施し、点検実施箇所約八万か所のうち約七・四万か所において安全対策が必要な場所であると結果を公表いたしました。
 安全対策が必要とされた箇所を中心に、ハード、ソフト両面による諸施策が講じられてきたと認識しておりますが、十分に安全が確保されている状況とは言えません。通学路の危険箇所対策に当たり、国としての取組状況について具体的な御答弁をお願いいたします。
 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(太田昭宏君) 室井邦彦議員の御質問にお答えします。
 まず、首都高速の大規模更新の工程についてお尋ねがございました。
 首都高速の更新事業に取り組むことに当たりまして、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催時に、どのような形で首都高速を御利用いただくかということも重要であると認識しています。
 現実には、都市内の限られた空間におきまして、現在利用している交通を確保しながら行う難工事であるために、通常の工法や手続等により開催に間に合うようにすることは厳しい状況ではあります。
 今後、工期短縮を図ることや、オリンピック・パラリンピック開催中の安全、快適な利用方法について、東京都等とも連携しながら検討を進め、二〇二〇年の開催に支障がないよう最大限の努力をしてまいります。
 次に、継続的な高速道路料金の徴収についてお尋ねがございました。
 道路は無料開放が原則であり、我が国では、厳しい財政状況の下、特別措置として有料道路制度を採用しているところです。このため、本法案においても、建設債務及び更新債務の償還満了後、無料開放する考え方になっております。高速道路を恒久的に有料にすることについては、利用者を始め広く理解を得られるかという課題もあり、今後も慎重な検討が必要であると考えています。
 次に、高速道路の料金割引についてお尋ねがございました。
 料金割引については、これまで様々な割引が導入され、路線、区間においては、平日の全ての時間帯で割引が行われた結果、割引効果が低くなり、利用者も実感しにくくなっているという指摘があったところです。このため、今年度から、観光振興、物流対策など実施目的を明確にし、高速道路利用の多い車に配慮するよう再編いたしました。
 今後とも、利用者にとって分かりやすく、効果の高い料金割引となるよう努めてまいります。
 次に、高速道路の自主的な料金設定についてお尋ねがございました。
 道路関係四公団の民営化は、高速道路会社が、民間ノウハウの発揮により、多様で弾力的な料金設定、サービスエリアやパーキングエリアの運営など、できる限り自由な事業展開を可能にしたものであります。今年四月からの料金割引の再編に当たっても、高速道路会社の自主性を尊重し、会社から昨年十一月に提出された案を踏まえて実施しております。
 次に、市町村の橋梁の老朽化対策に対する国の支援についてお尋ねがございました。
 橋梁等の老朽化対策において、約五十万橋を管理する市町村の役割と責任は極めて大きいと考えており、本格的に取り組んでいただく必要があります。このため、橋梁等は、五年に一度近接目視で点検するなど、市町村を含む道路管理者の義務を明確にいたしました。一方、市町村は、予算や人員やあるいは技術等の面で厳しい状況にあるために、国の技術者による支援や点検業務の地域一括発注など、支援を強めてまいります。
 次に、施工実態等を踏まえた点検業務、修繕工事の適正な発注制度の改革についてお尋ねがございました。
 メンテナンスサイクルを持続的に回していくためには、民間の技術力を引き出す仕組みづくりが重要と考えています。このため、舗装の性能規定発注、維持管理の複数年契約、複数工種の一括発注など、発注制度の改善に取り組んでいるところであります。
 引き続き、民間の技術力、ノウハウを最大限活用し、維持管理の効率化に努めてまいります。
 次に、道路メンテナンスの技術革新についてお尋ねがございました。
 道路施設の点検は、近接目視や打音検査が基本でありますが、信頼性確保やコストの軽減などのためにはメンテナンスの技術開発が重要と考えています。このため、レーザーを活用したコンクリートのひび割れを判別する技術や、センサーを用いたモニタリング技術などについて公募し、試行しているところであります。
 引き続き、産学官が連携してメンテナンスの技術開発を推進してまいります。
 次に、通学路の安全確保の取組についてお尋ねがございました。
 通学路の安全確保は、子供たちが学校へ安心して行けるようにするため、優先的に取り組む事項と考えております。特に、平成二十四年の児童等が巻き込まれる痛ましい事故を受けて、道路管理者、学校、警察等による緊急合同点検を行い、必要な対策を進めているところであります。この中で、道路管理者は、昨年度末でおおむね八割の対策を完了しました。
 今後とも、これらの即効性の高い対策に加えて、歩道整備等を計画的に実施するなど、継続的に通学路の安全確保を図ってまいります。(拍手)
    ─────────────
#15
○副議長(輿石東君) 辰已孝太郎君。
   〔辰已孝太郎君登壇、拍手〕
#16
○辰已孝太郎君 私は、日本共産党を代表して、道路法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 本改正案は、高速道路の大規模更新・修繕を実施する費用四兆四百五十億円を捻出するため、二〇五〇年までとしていた高速道路の料金徴収期間を十五年延長するものであります。つまり、高速料金の無料化を十五年先送りするということであります。
 二〇〇四年に道路公団を民営化した当時の計画では、道路公団の債務約四十兆円と新規の高速道路建設に係る債務を四十五年で償還するというものでありました。その時点で、既に大規模更新・修繕が将来必要だということは認識していたのではありませんか。なぜその費用を見込まなかったのでしょうか。民営化先にありきで、将来高速道路会社が返済すべき債務を少なく見せようとしたからではありませんか。
 結局、今回の法案は、民営化のスキーム自体がそもそも成り立たないものであったことを示しています。このようなずさんな計画で民営化を進めた結果、約束していた無料化を先送りし、新たな負担を利用者、国民に求めることについてどう受け止めていますか。国土交通大臣の答弁を求めます。
 今回、大規模更新・修繕に要する四兆円に上る債務は、元々四十五年で償還する計画の建設債務とは別枠にしています。なぜ別枠にするのでしょうか。予定されている新規道路建設を抑制すれば、大規模更新・修繕費用も当初どおり四十五年で償還する計画の枠内に収めることは可能ではありませんか。建設債務と別枠にすることで、今後も増え続ける大規模修繕・更新費用に影響されることなく新規道路の建設を続けるということではありませんか。
 道路公団民営化に当たっては、有料では採算の取れない区間は、新たに多額の税金を投入して無料の高速道路を整備する新直轄方式が導入されました。さらに、東京外郭環状道路や名古屋環状二号線については、一兆円を超える税金を投入して建設費の大半を賄い、高速道路会社はごく僅かの負担をする合併施行方式により建設を進めています。こんなやり方を認めれば、高速道路会社は、制限なくこれからも新たな道路を造ることができるのではありませんか。お答えください。一体、あとどれだけ高速道路を造り続けるつもりなのか、伺います。
 高規格幹線道路一万四千キロのうち、事業化されていない区間はどれだけあるのですか。それも造り続けるつもりですか。一万四千キロ以外にも、首都高や阪神高速などを含む地域高規格道路六千九百五十キロの計画があります。さらに加えて、二〇〇八年に調査が中止された海峡横断道路を復活させる動きもあります。莫大な費用を掛け新たな巨大開発道路を造ることより、既存トンネルなどの維持管理・更新こそ優先すべきではありませんか。お答えください。
 民営化に当たり、抜本的見直し区間として凍結された路線の一つに新名神高速道路の二区間があります。二〇一二年に凍結を解除した根拠は、名神高速の渋滞と老朽化でした。しかし、この間、第二京阪道路が開通し、渋滞回数は減少しています。名神高速の大規模改修工事は新名神が開通するまでに終わる予定であり、工事の際の代替路という理由は当たりません。凍結を解除した根拠は全く成り立たないのです。
 新名神二区間の総事業費は六千八百億円です。この建設を凍結し、その費用を大規模更新・改修に充てるべきではありませんか。答弁を求めます。
 次に、高速道路の老朽化対策の問題です。
 社会資本整備審議会は、四月十四日、「最後の警告―今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ」と提言し、警鐘を鳴らしています。同審議会は、今後適切な投資を行い修繕を行わなければ近い将来大きな負担が生じると、二〇〇二年以降繰り返し警告してきました。にもかかわらず、政府は道路公団民営化に際して高速道路の管理費を約三〇%削減させました。警告に耳を貸さず、本格的な老朽化対策を先送りしてきた責任についてどう考えますか。お答えください。
   〔副議長退席、議長着席〕
 こうした中で発生したのが二〇一二年十二月の中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故です。九名の尊い命が失われました。中日本高速道路会社は、事故の三年前に、落下した天井板を撤去する計画を立てていましたが、長期間通行止めになることを理由に実施しませんでした。安全最優先で天井板を撤去していれば防げた事故であります。必要な修繕費用を確保させず、コスト削減を求めた国の責任は重大です。反省はあるのですか。国土交通大臣の答弁を求めます。
 地方自治体が管理する道路の老朽化対策について伺います。
 我が国の道路の八割以上を市町村が管理しています。しかし、町の約五割、村の約七割で橋梁保全業務に携わる土木技術者が存在しません。地方自治体が老朽化対策を実施する上で、予算不足、人不足、技術不足の三つの課題があると提言では指摘されています。
 今後、地方自治体が管理する橋やトンネル、道路の大規模更新・修繕にどれだけ費用が必要になると考えていますか。その更新費用にふさわしい財政支援を求めます。次に、人不足、技術力不足について実情をどのように把握していますか。そして、国としてどのように対処、支援するのでしょうか。
 以上、総務大臣と国土交通大臣に答弁を求めます。
 維持更新・改修の財源を確保するために、新規の大型開発事業を抑制すべきです。政府の財政制度等審議会も、新規投資を重視する考え方を転換し、既存ストックの有効活用に軸足を移していくべきであると指摘しているではありませんか。予算編成において、新規の大型開発は抑制し、既存施設の老朽化対策、維持更新への転換を徹底するべきではありませんか。財務大臣及び国土交通大臣にお聞きします。
 日本共産党は、安倍政権が進める国土強靱化や成長戦略の名による巨大開発事業の復活や拡大を厳しく批判し、今こそ既存インフラの老朽化対策、維持更新事業を最優先させる方向に転換するべきだという指摘をして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(太田昭宏君) 辰已孝太郎議員の御質問にお答えします。
 まず、民営化当時の更新事業の見積りについてお尋ねがありました。
 道路構造物の老朽化予測には限界があり、民営化時においても更新需要の発生は想定していましたが、具体の箇所や対処方法が十分には明らかになっていませんでした。その後、東日本大震災や笹子トンネル天井板落下事故が起こり、老朽化対策が一層必要であるという認識が共有されていたところです。
 このような認識の下、建設後五十年が経過し、老朽化の進展により更新の必要な箇所が明らかになったことなどから、今般、更新事業に取り組むこととした次第であります。
 次に、無料化の時期についてお尋ねがありました。
 現在の償還計画に基づく建設債務については、将来世代に先送りせず、四十五年以内に償還する方針を今後も堅持してまいります。
 今後とも、国民の皆様に丁寧に説明し、負担について御理解を得るよう努力してまいります。
 次に、建設債務と更新債務の区分についてお尋ねがありました。
 高速道路の更新は極めて大事な取組であり、また、新規建設についても、厳格な評価を行い、必要な事業を推進することが重要であると考えております。
 その中で、現在の償還計画に基づく建設債務については、将来世代に先送りせず、四十五年以内に償還する方針を今後も堅持してまいります。このため、建設債務と新たな追加される更新債務を明確に区分し、各々の償還状況を国民に分かりやすく提示してまいります。
 次に、高速道路の整備方式についてお尋ねがありました。
 高速道路の整備方式の一つに、国が行う直轄方式と会社が行う有料道路方式を組み合わせて事業を実施する合併施行方式があり、これまでも、国と会社の役割分担を明確にしながら、必要に応じて採用しております。いかなる整備方式を採用したとしても、厳格な評価を行い、事業の必要性を確認した上で、コスト縮減を図りながら事業を進めることが重要であると考えています。
 次に、高規格幹線道路一万四千キロの事業化されていない区間についてお尋ねがありました。
 高規格幹線道路網計画一万四千キロのうち、未事業化区間の延長は、平成二十六年四月現在で約千百キロメートルとなっております。今後も、高規格幹線道路については、厳格な評価を行いながら、コスト縮減を図りつつ、必要な区間の整備に取り組んでまいります。
 次に、一万四千キロ以外の道路整備と既存道路の維持管理・更新についてお尋ねがございました。
 現在、高規格幹線道路の未整備区間の解消とともに、それ以外の道路についても、地域が抱える様々な問題に対応するため、ネットワーク強化対策、渋滞対策、防災・減災対策などに取り組んでいるところであります。引き続き、既存道路の維持管理や更新を計画的に進めるとともに、厳格な評価を行いながら、地域の課題を解消するための必要な対策に取り組んでまいります。
 次に、新名神高速についてお尋ねがございました。
 東日本大震災や笹子トンネル天井板落下事故を受け、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化は極めて大事な取組であり、重点的に実施することが必要であると考えます。
 一方、御指摘の新名神二区間については、現名神の渋滞解消やリダンダンシーなどの観点から、引き続き事業を推進することが必要であると考えています。
 次に、高速道路の本格的な老朽化対策についてお尋ねがありました。
 道路関係四公団の民営化に当たって、管理コストを約三割削減し、その後、損傷箇所の増加に対応すべく予算を増額して対応してまいりました。そのような中、平成二十四年十二月の笹子トンネル天井板落下事故により、道路管理者だけでなく、国民にも老朽化対策の重要性が強く認識をされたと思います。
 そこで、昨年をメンテナンス元年として様々な取組を講じてきましたが、今回の提言を重く受け止め、本法案の措置を含め本格的な実行に向けて積極的に取り組んでまいります。
 次に、笹子トンネル天井板落下事故と維持管理費用との関連についてお尋ねがありました。
 国土交通省では、事故直後に設置した有識者による調査・検討委員会において原因究明を行いました。委員会の報告によれば、事故は天井板をつり下げる部材の施工や経年劣化などが原因とされており、必ずしも維持管理費削減によるものとは言えないと考えています。
 今後も、債務償還という制約の下で、できる限り維持管理費を確保し、予防保全を含めた工夫をしながら、適切に維持管理・修繕を実施してまいりたいと考えております。
 次に、地方公共団体が管理する道路の大規模更新・修理の費用についてお尋ねがありました。
 五十万の橋梁を管理する市町村については、十分な点検がなされていない橋梁もあり、今般、橋梁、トンネルの点検など、道路管理者の義務を明確にしました。これにより、各市町村は、点検、診断の結果に基づいて、計画的な修繕・更新を実施することになります。
 今後、これらの結果を踏まえ、将来の修繕・更新需要を見極めつつ、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地方公共団体の実情、老朽化対策に対する国の支援についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、町の約五割、村の約七割で橋梁に関する技術者がいないなど、市町村は予算、人員、技術等の面で厳しい状況にあります。そのため、予算による支援に加え、国の技術者による支援なども進めてまいります。
 次に、道路の新規整備と老朽化対策の予算の考え方についてお尋ねがございました。
 道路は、地域の活性化や物流の効率化などに役立つとともに、リダンダンシーの確保や防災・減災の観点から重要なインフラであると考えています。このため、既存施設の老朽化対策に万全を期すとともに、新規の道路整備についても、厳格な事業評価を行った上で必要な事業を着実に実施すべきと考えております。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣新藤義孝君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(新藤義孝君) 辰已孝太郎議員から二点のお尋ねをいただいております。
 まず、地方公共団体が管理する社会インフラの更新費用等についてのお尋ねであります。
 総務省としても、地方公共団体が管理する社会インフラの大規模更新・修繕、長寿命化等を把握することは重要な課題と認識をしております。
 そのために、地方公共団体における公共施設等の管理が総合的かつ計画的に行われるよう、去る四月の二十二日に公共施設等総合管理計画の策定を全地方公共団体に要請したところであります。さらに、今後は、固定資産台帳の整備を前提とした統一的な基準による地方公会計の整備を要請することにしております。
 これらの取組を通じまして、各地方公共団体において社会インフラの更新費用が適切に把握されるものと認識をしております。必要な更新費用については、その実態に応じて適切な地方財政措置を講じてまいります。
 次に、道路の老朽化対策に関しまして、土木技術職員の不足についてのお尋ねであります。
 地方公共団体における土木技師の職員数は、平成二十五年四月現在、約七万八千九百人であり、ピーク時の平成九年から約一万六千五百人の減少となっていますが、十六年ぶりに対前年比約六百人の増加に転じているというところでございます。
 地方公共団体においては、地域の実情を踏まえつつ、行政需要の変化に対応しためり張りのある人員配置や、業務委託などを含めた必要な事務処理体制の確保に取り組むことが重要であると考えております。
 総務省としても、既存の事務委託や職員派遣の制度に加えて、地方公共団体間で連携して事務を処理できる仕組みの充実を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(麻生太郎君) 新規の大型開発の抑制と老朽化対策への転換の必要についてお尋ねがあっております。
 日本の厳しい財政事情や、今後人口が大きく減少していくということを考えれば、今後の社会資本の整備に当たりましては、当然のこととして、徹底的な選択と集中が行われる必要があると考えております。
 その際、高度経済成長期に急速に積み上げてきたインフラの整備、相当な水準に達しつつありますことを踏まえると、今後はそれらの有効活用や、寿命が長くなる長寿命化を図るといった観点が重要であろうと考えております。
 こうした観点から、平成二十六年度予算におきましては、インフラの老朽化対策のための予算を重点的に拡充いたしております。
 ただし、新規投資につきましても、日本の国際競争力を高める事業など、真に必要な事業につきましては、費用対効果等を十分に見極めた上で、重点的に実施する必要があると考えております。
 今後とも、社会資本の整備に当たりましては、老朽化対策を始め、真に必要性の高い事業への重点化を図ってまいりたいと考えております。(拍手)
#20
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#21
○議長(山崎正昭君) この際、日程に追加して、
 不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。国務大臣森まさこ君。
   〔国務大臣森まさこ君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(森まさこ君) ただいま議題となりました不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 食品表示等の不正事案の多発や高齢者等の消費者被害の深刻化などにより、消費者の安全、安心が揺るがされています。消費者の安全を確保し、その不安を払拭するためには、事業者の法令遵守意識を高めていくことに加え、地方を始めとする消費者行政の基盤を着実に強化していく必要があります。
 このため、国及び都道府県の不当表示等に対する監視指導体制を強化するとともに、事業者に表示等に係る適正な管理体制の整備を義務付けるほか、地域の消費者を見守るため、関係機関の間で消費生活相談等により得られた情報を共有して利用できる仕組みを創設し、消費生活相談体制を強化するための所要の規定を整備するため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、不当景品類及び不当表示防止法に関しては、事業所管大臣等に対して調査権限を、都道府県知事に対して措置命令権限等を付与することができるものとします。また、事業者が表示等を適正に管理するために必要な体制の整備等の措置を講じることを義務付けます。
 第二に、消費者安全法に関しては、地方公共団体が、見守り等の活動を行う消費者安全確保地域協議会を組織できるようにし、消費者の利益の擁護又は増進を図るための活動等を行う消費生活協力団体又は消費生活協力員を委嘱できるものとします。
 消費生活相談等の事務については、都道府県が、市町村に対して助言及び協力するほか、事務の共同処理等に関する必要な調整等を行うこととし、都道府県及び市町村が事務の一部を一定の基準に適合する者に委託できるものとします。
 消費生活センターについては、新たに規定する消費生活相談員資格試験に合格した者等である消費生活相談員が消費生活相談の事務に従事することとし、消費生活相談員資格試験を実施する登録試験機関制度を設けます。
 第三に、不当景品類及び不当表示防止法につき、政府は、この法律の施行後一年以内に、課徴金に係る制度の整備について検討を加え、必要な措置を講ずるものとします。
 以上、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────
#24
○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。斎藤嘉隆君。
   〔斎藤嘉隆君登壇、拍手〕
#25
○斎藤嘉隆君 民主党・新緑風会の斎藤嘉隆です。
 ただいま議題となりました不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案につきまして、会派を代表して質問をいたします。
 本法律案は、昨年発生した外食メニュー表示の虚偽表示問題や、近年深刻化している高齢者等の消費者被害問題を背景に提出されました。
 我が党は、こうした問題に対し速やかに実効性ある措置を講じ、全ての消費者に安全、安心の消費活動、消費生活を保障する社会を構築することが必要であると考えています。事業活動の公正、適正な発展は、健全な経済発展に必要不可欠です。
 しかし、さきの国会における森まさこ消費者担当大臣は、特定秘密保護法の答弁担当大臣と化し、外食メニュー表示の虚偽表示問題発覚後も、消費者問題特別委員会の早急な開催を度々要求したにもかかわらず、委員会審議に協力、努力しようとする姿勢は見られず、消費者行政軽視の姿勢に終始しました。やむなく森大臣に対する問責決議案を提出し、その資質を問うたところでありますが、改めて猛省を促したいと思います。
 本法律案は、消費者にとって身近な消費生活に深く関わる法律である景品表示法と消費者安全法という、それぞれ目的の違う二法を一本にまとめて改正をするものです。森大臣には、消費者、食品安全の担当大臣としての真摯な御対応と、何よりも消費者目線、国民目線に立つ姿勢を強く望むものであります。
 その上で、森まさこ大臣と林芳正農水大臣に質問いたします。
 まず、外食メニュー表示の虚偽表示問題に端を発し、早急に対処すべきとして検討された景品表示法の改正について、三点に絞ってお伺いをいたします。
 一つ目は、都道府県知事の権限強化についてです。
 現行法では、都道府県知事の権限として、景品表示法の違反事業者にその取りやめ等の指示をすることができ、指示に従わない場合などに内閣総理大臣に対して適切な措置をとるよう措置請求ができることとなっています。今回の改正により、都道府県の長が、違反事業者に対して直接措置命令等ができることとなります。
 外食メニュー虚偽表示問題発覚後の昨年十二月に、全国知事会は、措置命令及び合理的根拠の提出要求の権限付与を要請をしております。私たちも、昨年十一月、森大臣に対して、民主党食品虚偽表示問題対策本部として、都道府県知事に措置命令の権限を付与することと権限の強化を求めており、この要請を御検討いただいたものと評価をいたします。
 現行の権限である指示の執行状況と件数を見ますと、限られた地方自治体に集中しており、地方消費者行政への取組同様に偏りが生じています。森大臣はこの偏りの原因は何だとお考えでしょうか。お伺いをいたします。
 また、疑いのある事業者に対して遅延なく首長がその権限等を執行するためには、地方自治体の体制そのものの強化が必要と考えます。消費者庁として、法改正による権限等の強化に伴い、今後、どのような地方における消費者行政の体制が望ましいと考えているのか、これまでの取組の経緯も含め、森大臣、お答えをいただきたいと思います。
 二つ目は、課徴金制度の導入についてです。
 さきにも述べましたが、私たちが昨年十一月に行った森消費者担当大臣に対する要請の中で、事業者によるいわゆるやり得をなくすことで、再発を防止するため、課徴金制度の導入を提言をいたしました。本改正案に、施行後一年以内にと期限を付けた検討事項で、課徴金制度の検討を加え、必要な措置を講ずると規定されており、これも私たちの要請を御検討いただいたものと理解いたします。今後、消費者委員会での審議、答申を経て、消費者庁内で検討するものであり、注視をしてまいりたいと思います。
 景品表示法への課徴金制度の導入については、衆議院において附帯決議が付されています。事業者の経済活動を萎縮させないよう配慮するとともに、消費者被害の回復という観点から、消費者庁が検討する課徴金制度の在り方について森消費者担当大臣の御見解をお伺いをいたします。
 三つ目として、林農林水産大臣に行政監視体制の強化についてお伺いをいたします。
 本法改正案に先行して、地方部局を持たない消費者庁に代わって、農林水産省の表示・規格特別調査官、通称食品表示Gメン等が一時的に消費者庁職員と併任をするシステムが導入されました。研修等を実施した後に景品表示法に基づく外食店等への監視業務を行うとし、二月二十六日付けで、合計二百九十人の職員に対して研修期間を含め半年程度とする併任発令がなされています。
 本法改正案の施行期日は、公布の日から六月を超えない範囲内とされており、併任任期と本法案改正の施行の間に隙間が発生する可能性があります。農林水産省のホームページにおいて、食品Gメンについて、「食品偽装を許さない!「食品表示Gメン」の仕事」、「表示の不正を見抜く精鋭部隊」と紹介をされております。隙間なく、レストラン、百貨店等に対しても、食材の偽装を許さない精鋭部隊による監視体制が維持されるべきと考えますが、農林水産大臣のお考えをお伺いをいたします。
 さらに、本法が改正された後は、併任の二百九十人の少数部隊だけではなく、現在約二千百人いる食品表示Gメン等を中心に、どの程度の規模で消費者の安心、安全を守る精鋭部隊として監視業務を担っていただけるのか、消費者、生産者側の立場に立った御答弁を林大臣にお願いをいたします。
 続いて、消費者安全法の一部を改正する法律案について森消費者担当大臣にお伺いをいたします。
 本改正案は、近年深刻化している高齢者等の消費者被害問題を背景に提出をされました。高齢者からの消費生活相談は、高齢者人口の増加率を大きく上回るペースで急増しており、悪質商法の手口も巧妙化しているという事態となっています。さらに、二次被害に遭う高齢者も増加しており、相談一件当たりの契約金額やその支払額も高額化するなど、深刻な問題となっています。
 消費者被害に関連する数値指数の整備に関する調査によると、消費者被害に関する商品、サービス等への支出総額は約六兆円で、GDPの一%を超え、国民の利益、財産を損ない、健全な経済活動に支障を起こす事態となっており、早急に対処する必要があると考えます。
 そこで、三点に絞ってお伺いをいたします。
 まず、消費者教育の推進についてです。
 本改正案の国及び地方公共団体の責務に消費者教育の推進が規定されており、衆議院において附帯決議が付されています。
 この法改正に、「消費者教育を推進し」と規定した目的とその期待される効果を森大臣にお伺いをいたします。
 通常、教育の推進と規定されますと、学校教育にその対策が丸投げされ、学校がその対応に追われるといったことが多くあります。そのような対策ではなく、消費者教育推進法に基づき努力義務で地方自治体が設置する消費者教育推進地域協議会と、本法改正案で任意で設置することができる消費者安全確保地域協議会との連携などを強化をし、特に高齢者を含む社会人の消費者被害の未然防止につなげていくことが大切であると考えますが、森大臣の御見解をお伺いをいたします。
 地方消費者行政活性化交付金は、消費者教育の推進にも活用できます。しかし、消費者教育に活用する基金取崩し額は、毎年総額の三割台にとどまっております。消費者庁として、本法改正に併せて、更に地方自治体に対して活性化基金の活用を働きかけていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。森担当大臣にお伺いをいたします。
 次に、地域の見守りネットワークの構築について伺います。
 消費者安全確保のため、地域の見守りネットワークを構築することとし、消費者安全の確保のための組織を効果的かつ円滑に行うために、関係機関により構成される消費者安全確保地域協議会を設置をし、地域で見守り活動を行う消費生活協力員や消費生活協力団体ほか、病院、教育機関、その他関係機関、関係者を必要に応じて構成員とすることとしております。しかし、このことが、それぞれの特性を生かし、機動的な運営につながるのか懸念をしております。
 また、森大臣、この構成員の中に、かつての森まさこ弁護士のような消費者問題に熱心に取り組んでいる弁護士の方にも参画をいただき、適切なアドバイスが受けられるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 この地域協議会の構成員には罰則付きの守秘義務が課せられますが、情報を共有することが未然防止や被害回復には欠かせません。守秘義務、管理と情報提供、共有をどのように両立させ構築されるのか、お答えをいただきたいと思います。
 最後に、消費生活相談員についてお伺いをいたします。
 本改正案において、消費生活相談員の職を法的に位置付け、消費者が安心して相談できるよう、また事業者とのあっせんの円滑化が図られることが期待されます。また、あわせて、専門職として行政が認知をし、処遇改善、雇い止め等の抑止になることも期待されます。
 また、今回、消費生活センターが設置されていない市町村に対して、消費生活相談員を置くよう努めることとなっています。このことにより、どこに住んでいても質の高い相談を受けることのできる体制整備が期待されますが、実際、窓口の相談員が配置されているのは全体の約六割であり、地方自治体によってばらつきがあることも事実です。消費者庁として、総務省や地方自治体に対してどのように働きかけ、法改正の趣旨を達成するおつもりか、お伺いをいたします。
 消費生活相談員については、資格試験制度を導入するとし、登録試験機関が実施するとしています。現在、相談員資格は三団体が実施をする三資格があり、自治体で相談員として働く約四分の三がそのいずれかの資格を有しています。
 新たな資格試験の導入により、専門性の高い技術者としてその資質の向上等を図ることが期待されますが、本法改正の施行期日までにどのような検討がどのようなスケジュールで進むのか、森大臣の御答弁をお願いをいたします。
 この四月、消費税が上がり、消費者に更なる御負担をお願いをしているからには、政府にはこれまで以上に消費者の安全、安心を守る使命と責務があるものと考えます。本改正案は消費者にとって大変身近なものです。
 その観点から、本法改正のみならず、消費者に身近な問題として、さきの国会で成立した食品表示法に検討課題として残された中食、外食へのアレルギー表示等を早急に検討すること、また、景品表示法の改正を機に、事業者の表示管理体制の強化と併せて、公益通報者保護制度についてもしっかり機能するよう検討を加えるべきだと考えています。
 五月は消費者月間です。昭和六十三年の制定以来、第二十七回目を迎えます。スローガンとして「つながろう消費者 安全・安心なくらしのために」を掲げています。是非、そのスローガンの下に、消費者行政進展のため、更なる政府の取組の強化をお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣森まさこ君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(森まさこ君) 斎藤議員にお答えをいたします。
 地方自治体における景品表示法に基づく指示の件数の偏りの原因についてお尋ねがありました。
 景品表示法に基づく法的措置件数が地方自治体により異なる理由は、法執行を担う人員の配置等が地方自治体ごとに異なることなどによるものと考えられます。今後は、本法案を踏まえ、地方自治体における執行の水準が全体的に向上するよう、人材育成や情報提供等の支援を強化してまいります。
 本法案を踏まえた地方の執行体制の在り方についてお尋ねがありました。
 消費者庁としては、これまでも、地方自治体における景品表示法の執行の水準が全体的に向上するよう、人材育成や情報提供等の支援を行ってまいりました。本法案による都道府県知事の権限強化によって、地方自治体における景品表示法違反に対する取組への意識が変わることが期待できます。人員の配置等も含め、各地方自治体において必要な体制が構築されていくことが望ましく、地方自治体に対する支援を一層強化してまいります。
 課徴金制度の在り方についてお尋ねがありました。
 課徴金制度の導入に当たっては、法執行についての事業者の予見可能性を担保することが必要です。このため、賦課要件、手続等の明確化を図るとともに、研修会の開催や講師の派遣協力等を実施することで、事業者の景品表示法への理解促進に努めます。また、不当表示事案では、その特性上、民事訴訟になじまない場合も多いことから、被害回復という要素を何とか織り込んでいきたいと考えております。
 消費者教育推進地域協議会と消費者安全確保地域協議会の連携強化等についてお尋ねがありました。
 今回の改正で「消費者教育を推進し」と規定した目的は、消費者安全の確保を図る上で、被害に遭わない、合理的な意思決定ができる消費者を育成することが不可欠であることを明らかにすることにあります。高齢者等の消費者被害の未然防止、早期発見及び拡大防止など、消費者安全の確保のためには地域全体での取組が不可欠であり、消費者安全確保地域協議会と消費者教育推進地域協議会を始め、地域の関係機関における連携強化が進むよう努めてまいります。
 消費者教育推進のための地方消費者行政活性化基金の活用についてお尋ねがありました。
 昨年度に続き本年度も、この基金における地方の財源負担をなくした国と地方とのコラボレーションによる先駆的プログラムにおいては、消費者教育の推進をテーマの一つとして採択しており、基金を用いた取組の促進を図っているところです。今後も、地方公共団体に対し、基金の更なる活用も働きかけながら、消費者教育の推進を図ってまいりたいと思います。
 消費者安全確保地域協議会への弁護士の参画についてお尋ねがありました。
 地域において消費生活上特に配慮を要する消費者を見守る活動に、弁護士としての専門的な知識や経験を活用することは大変有意義なことと考えております。地方自治体において、消費者安全確保地域協議会への弁護士の参画が求められた場合に、これが円滑に実現できるよう、弁護士会と地方自治体との橋渡し役を積極的に努めてまいります。
 消費者安全確保地域協議会における情報の取扱いについてお尋ねがありました。
 消費者安全確保地域協議会における見守り活動においては、必要な情報の利用と保全を両立することが不可欠であり、情報漏えいを確実に防止するとともに、守秘義務への過剰反応が起こらないよう留意する必要があると考えます。このため、協議会の構成員に守秘義務の意義や情報管理の在り方をしっかりと御理解いただけるよう、消費者庁においてガイドラインを作成するとともに、その地方自治体への説明を徹底してまいります。
 消費生活相談員の配置及び処遇改善についてお尋ねがありました。
 本法案において、消費生活相談員の職の法定化や配置等について規定を設けた趣旨は、誰もがどこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられる地域体制を全国的に整備しようとするものです。
 この趣旨を実現するため、地方消費者行政活性化基金を活用して、相談窓口未設置自治体の解消や、消費生活相談員の資格保有率の引上げ等について具体的な数値目標を達成するよう各都道府県に対して働きかける地方消費者行政強化作戦を実施しています。また、総務省とも連携しながら、消費生活相談員の処遇を新たな職と資格の法律上の位置付けにふさわしいものに改善するよう、地方自治体に対してあらゆる機会を捉えて働きかけてまいります。
 消費生活相談員資格試験制度の検討事項とスケジュールについてお尋ねがありました。
 本法案により、消費生活相談員資格試験を実施する試験機関の登録に関する事項、消費生活相談員資格試験の実施に関する事項、現行の三資格保有者に関する経過措置に関する事項等が政省令に委任されます。新制度への円滑な移行を図るため、これらの政省令事項について、関係者の御意見を十分に聞きながら検討し、法の施行までに関係者が適切な準備ができるよう、できるだけ早く定めてまいりたいと考えており、あわせて、運用に関するガイドライン等も同様に整備していきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(林芳正君) 斎藤議員の御質問にお答えをいたします。
 食品表示Gメン等の併任任期と、それから本法案改正後の監視体制についてのお尋ねがありました。
 外食等における表示の適正化は大変重要であり、食品表示Gメン等の活用も含め、食品事業者に対する監視がしっかりと継続的に行われ、国民の食品表示への信頼が確保されることが重要と認識をしております。
 このため、半年間をめどに実施している食品表示Gメン等の併任発令による巡回監視や、改正法の下での権限委任に基づく調査について、今後、消費者庁と調整を図りつつ、必要な監視体制を確保の上、適切に対応してまいります。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(山崎正昭君) 佐々木さやか君。
   〔佐々木さやか君登壇、拍手〕
#29
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
 私は、ただいま議題となりました不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案に対し、自由民主党、公明党を代表して質問いたします。
 昨年十月以降、全国各地の有名ホテルや百貨店、レストラン等において、実際に使われていた食材と異なる不適切なメニュー表示がなされていたことが大きな問題となりました。
 日本の和食は、昨年十二月にはユネスコ無形文化遺産に登録されており、日本の食文化は、アニメ、ファッションなどとともにクールジャパン戦略の大きな柱になることも期待されています。一連の食品の不適切表示は、日本の食に対する国内外の信頼を揺るがしかねないものであり、重大な事態であります。
 また、消費者基本法二条一項は、消費者が商品及び役務について自主的かつ合理的な選択の機会を確保する権利並びに必要な情報が提供される権利について規定をしていますが、必要な情報とは正しい情報であるべきであり、一連の不適切表示はこうした消費者の権利を侵害するものと言わざるを得ません。
 消費者行政のかじ取り役として、消費者が主役となって安心して安全で豊かに暮らすことができる社会を実現することを使命とする消費者庁は、事態の再発防止と消費者の信頼確保に全力を挙げなければなりません。
 今回の改正案は、こうした背景の下、提出されるものでありますが、森消費者担当大臣の消費者の食への信頼回復と再発防止に向けた決意をお聞きします。
 食品の不適切表示の背景として、事業者内部の表示に関する管理責任体制の不明確さ、表示の重要性についての基本認識やコンプライアンス意識の欠如が指摘されています。
 公明党は、昨年十一月、食品表示問題に対する緊急提言として、景品表示法の適切な運用のため、内部チェック体制の充実など事業者における管理体制の強化を検討するよう政府に申入れをしました。
 今回の法律案では、事業者のコンプライアンス体制の確立として、表示等の適正な管理のため必要な体制の整備その他の必要な措置等を講じなければならないとされています。そして、具体的には、内閣総理大臣が事業者の講ずべき措置に関して必要な指針を定めるものとされています。
 事業者の講ずべき措置は、管理体制強化のために実効性あるものとされる必要があります。それとともに、全事業者が対象となることから、特に中小の事業者に対し、過度の負担となったり、事業活動に混乱を来したりしないよう配慮をする必要があります。
 事業者が講ずべき措置に関して必要な指針を定めるに当たり、管理体制の内容及び水準、業種や事業規模への配慮などについて、具体的にどのような方針を検討しているのか、大臣にお尋ねします。
 景品表示法における課徴金制度の導入は、不当表示などの違法行為を行った事業者のやり得を許さないものであり、実効性のある抑止策となります。
 本改正案では、第四条で、「この法律の施行後一年以内に、課徴金に係る制度の整備について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする。」としています。既に景品表示法における不当表示に係る課徴金制度に関する専門調査会での審議も行われているところであり、早期の制度導入を期待したいと思います。
 消費者被害は、個々の被害額は必ずしも大きくないケースが多く、簡易迅速かつ実効性のある被害回復をいかに行っていくかが重要な課題であります。課徴金制度の大きな目的は不当表示等の違反行為の事前抑止にありますが、事業者から徴収した課徴金を何らかの形で被害者の被害回復に結び付けるという視点も重要であると思います。この点についての消費者担当大臣のお考えをお聞きします。
 昨年十一月の公明党の緊急提言では、景品表示法の適正な運用を図るため、地方自治体を含む不当表示に関する監視指導体制の強化の必要性についても指摘をしました。
 今回の改正案は、消費者庁長官の権限の一部、具体的には措置命令権限や合理的根拠提出要求権限を都道府県知事に付与するものとなっています。そして同時に、地方自治体における消費生活相談等の事務の実施の充実も行われることから、今後、都道府県知事において行うべき措置命令の案件も増えてくることが予想されます。しかし、従来都道府県知事に認められていた指示の運用状況について見ると、専任の職員の数が十分ではないなど、体制整備が不十分という実情もあり、指示件数の実績は少なくなっています。
 地方自治体における監視指導体制の強化に当たっては、国として、人員確保のための財源措置の検討や必要な情報の提供など、地方自治体の体制整備のための支援を行っていくことが重要であると思いますが、消費者担当大臣のお考えをお聞きします。
 高齢者からの消費生活相談は高齢者人口の伸び以上に増加しており、高齢者の消費者被害の予防と救済にいかに取り組むかが課題となっています。
 本改正では、都道府県は、消費生活上特に配慮を要する消費者の見守り等を行う消費者安全確保地域協議会を設置することができ、消費者の利益の擁護又は推進を図るための活動等を行う消費生活協力団体や消費生活協力員を委嘱することができるとしています。
 地域での消費者教育や消費者被害の防止への取組はこれまでも行われてきたところでありますが、今回、消費者安全確保地域協議会や消費生活協力団体、協力員について新たに定めた狙いは何なのか、大臣にお尋ねします。
 また、消費生活上特に配慮を要する消費者の見守りを行っていくに当たっては、行政、地域団体、福祉、教育、法律関係者など、地域における多様な職種の連携が必要であると思います。そうした連携、協力がうまくいくための様々な具体的なノウハウについて、多重債務者への包括的支援プログラムや司法ソーシャルワークの成功事例などを基に、きめ細かく情報提供をしていくことが重要と考えますが、消費者安全確保地域協議会の設置の推進、運営に当たって国ではどのような支援を行っていくのか大臣にお尋ねし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森まさこ君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(森まさこ君) 佐々木議員にお答えします。
 食への信頼回復と再発防止への決意についてお尋ねがありました。
 今般の食品表示等問題に対しては、景品表示法に基づく措置命令を迅速に実施し、メニュー・料理等の食品表示に係るガイドラインを公表するとともに、本法案により、国及び都道府県の不当表示に対する監視指導体制や事業者の表示管理体制を強化する措置を講じようとしています。あわせて、景品表示法への課徴金制度の導入についても検討を進めています。
 これらの取組により、事業者自身による表示の適正化を促進し、景品表示法の監視指導体制や抑止力を強化することを通じて、食への信頼回復や不正表示の再発防止を図ってまいります。
 事業者が講ずべき表示等の管理上の措置に関する指針を策定する際の方針についてお尋ねがありました。
 コンプライアンスの確立のために事業者が講ずべき表示等の管理上の措置に関する指針については、不当な表示等を未然に防止するために役立つものとし、また、事業者の規模等に応じて必要な体制や措置をとることができるものとするよう、事業者を始め各方面の御意見を幅広く聞きながらその具体的内容を策定してまいります。
 課徴金制度における被害回復の視点についてお尋ねがありました。
 不当表示事案では、その特性上、民事訴訟になじまない場合も多く、消費者裁判手続特例法も含め、民事訴訟手続による対応だけでは十分とは言えないと考えられます。そこで、現在検討している課徴金制度には、消費者委員会における御議論を踏まえつつ、被害回復という要素を何とか織り込んでまいりたいと考えています。
 都道府県への景品表示法の監視指導体制に関する支援についてお尋ねがありました。
 本法案による都道府県における景品表示法の監視指導体制の強化について、その実効性を担保するためには、法改正により都道府県の意識の変化も期待できることを踏まえ、人材育成や担当職員への必要な情報提供等を通じて、都道府県における執行体制の整備を積極的に支援していく必要があります。
 具体的には、都道府県における研修等への地方消費者行政活性化交付金の活用の促進、消費者庁による研修の実施や情報共有システムを通じた緊密な情報交換等に取り組んでまいります。
 消費者安全確保地域協議会と消費生活協力団体、消費生活協力員についてお尋ねがありました。
 高齢者等の消費者被害の深刻化等を踏まえ、地域の消費者行政の体制を強化し、消費者が安心して安全な消費生活を営める地域づくりを促進する必要があります。
 このため、消費者安全確保地域協議会は、その構成員が情報共有をしつつ、高齢者等の消費生活上特に配慮を要する消費者を見守り、消費者被害の防止や被害への迅速な対応を行うために定めるものです。
 消費生活協力団体及び消費生活協力員は、民生委員や介護事業者、市民ボランティアなどの地域の人材に消費者被害防止のための情報提供等の活動に取り組んでいただくために定めるもので、協議会の活動に参加していただくことも想定しています。
 協議会の設置、運営が進むよう、効果的な取組事例を収集して整理した上で広く発信していくとともに、地域における関係機関の連携を促進するため、関係省庁や関係機関に対して働きかけるなど、必要な支援を行ってまいります。(拍手)
    ─────────────
#31
○議長(山崎正昭君) 清水貴之君。
   〔清水貴之君登壇、拍手〕
#32
○清水貴之君 日本維新の会・結いの党の清水貴之です。
 不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案について、会派を代表して質問をさせていただきます。
 本法律案は、繰り返される食品の偽装表示問題、そして高齢者などの消費者被害問題という喫緊の課題を解決するために提出されたものであります。
 食品の偽装表示は、以前より繰り返されてきた問題ではありますが、昨年特に、一流であると評価されているホテルや百貨店で、相次ぎ消費者の信頼を揺るがすこととなりました。昨年流行語となりましたおもてなしで客人を迎える我が国の誇るべき文化、これが揺らいでいるのです。
 今、東京オリンピック・パラリンピックを始めとした海外からの観光客誘致や世界無形文化遺産に登録された和食によって、我が国のすばらしさを広めていく絶好の機会を得ています。世界で日本の食は注目されており、外国人観光客が訪日前に期待することの一位は食事、外国人が好きな料理の一位は、自国の料理を除くと日本料理との調査結果もあります。
 これ以上食品表示の信頼性を失うことがあっては、このすばらしい文化を築いてきた先人たちの努力と財産を無にすることにもなってしまいます。再発を許さない体制を早急に築いていかなければなりません。
 そこで、まず景品表示法部分の改正についてお尋ねいたします。
 国、都道府県の監視執行体制の強化のため、国においては、消費者庁長官の調査権限を、例えば農林水産大臣など各事業を所管する大臣等に委任できるとしています。この委任によって、全ての商品、サービスに係る表示や景品等の提供についての監視執行体制の構築は十分なものになると言えるのでしょうか。
 また、都道府県知事に、業者に不当な表示をやめるよう措置命令等の権限を付与することとしています。これにより、問題が発覚した際に迅速に対応することを可能にしますが、全国一律の的確な法執行のために、景品表示法の解釈、運用基準の明確化、地方からの問合せへの十分な対応、都道府県の自主財源、人員確保も必要になると考えますが、いかがでしょうか。
 地域に密着した都道府県が強い権限を持って迅速に対応できるようになれば、被害の広がりの防止につながりますので、改正を実効性あるものにするためには都道府県の体制を充実させていくことが欠かせません。
 事業者の管理体制については、事業者自身が表示等の適正化のため講ずべき措置に関して指針を策定することとなっています。その中には様々な業種や小規模の事業者も含まれていますので、事業活動に混乱を来すことがないよう配慮すべきと考えますが、この点、どのようにお考えでしょうか。
 課徴金制度は今回の改正の中で非常に注目されている点です。食品の産地偽装に加え、合理的な根拠もなく、例えば、飲むだけで痩せられるなどの文言で製品の効果を訴える広告、いわゆる不実証広告に課徴金が課されるか否かも今後の検討課題です。課徴金制度導入により、事業者が不当表示などによって得た利益を徴収することは、不当表示根絶に向けた実効性ある抑止効果を考えれば、早期の導入には意義があると考えます。
 しかし、景品表示法が食品だけではなく、商品、サービスを幅広く対象としていることから、金額の算定方法を明確に決定しておくことや、悪質性の高い行為として線引きするための主観的、客観的基準が必要ではないでしょうか。この点、どのように検討されているのか、お答え願います。
 次に、消費者安全法部分の改正についてお尋ねいたします。
 高齢者は、お金、健康、孤独の三つの大きな不安を持っていると言われています。悪質業者は言葉巧みにこれらの不安をあおり、親切にして信用させ、年金、貯蓄などの大切な財産を狙っています。高齢者の消費者トラブルは、本人が対応したのは三割にすぎず、本人以外から相談が寄せられる場合が多いという調査結果も出ています。また、被害に遭っていることに気が付いていないことや、被害に遭っても、恥ずかしいという気持ちから誰にも相談しない傾向があるともいいます。このようなことから、周りのサポートがいかに重要かということが分かるかと思います。
 そこで、地域ネットワークの構築がその対策になると考えられますが、法案では、自治体を中心として、医療・介護機関、警察、金融機関などが参加し、見守り活動を行う消費者安全確保地域協議会を組織できるようにすることとしています。既存のネットワークと連携をすることで、持続可能な地域ネットワークとしての構築を進めることが重要です。そのためにも、消費者庁は、全国的に地域ネットワーク構築に向けた普及活動の支援を行っていく必要があるのではないかと考えますが、どのように進めていくつもりでしょうか。
 また、都道府県は、市町村による消費生活相談の実施について援助を行うため、新たな資格試験合格者で一定の実務経験年数を有する消費生活相談員を指定消費生活相談員として置くことに努めることとしています。
 地方公共団体における消費生活相談のうち、およそ八割近くの相談を都道府県の消費生活センターで受け付けているという例もあり、こうした実情を考えますと、消費者行政が脆弱な市町村に対して、都道府県との連携、そして協力が重要となってきます。
 指定消費生活相談員の水準を確保するため、その任用に関する基準要件を明確にしておく必要性についての考えをお聞かせください。
 消費生活相談等の情報の活用と保全、管理の在り方について、相談業務の従事者が地域の見守り活動において個人情報を保管、活用することになっています。個人情報はもちろん慎重に取り扱う必要がありますが、個人情報保護に関する過剰反応によって見守り活動に支障が生じないよう、地域住民に対して納得のいく丁寧な説明が必要です。
 個人情報の適正な取扱いのため、消費者庁は、ガイドラインを策定し、また適切な監督実施を規定した条例などの整備について自治体に働きかける必要があるのではないでしょうか。
 質の高い消費生活相談対応に向けた相談業務の民間委託の在り方、これも検討課題です。
 現在、相談業務の民間委託については、地域の実情により当該地方公共団体の責任で実施されており、全国で七十八の地方公共団体が相談事業の民間委託を行っています。受託者の有する専門性が活用され、質が向上し、土日祝日開所の実現などの体制の充実がなされるのであれば、民間委託は消費者にとって望ましいことであると言えます。
 しかし、委託するに当たり、質の担保のためには、受託者の適合基準についての具体的要件の明示、さらには受託者に対する定期的な検証、評価も必要であるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 新たな消費生活相談員資格制度に関してお尋ねいたします。
 元来、消費生活相談に関しては、消費生活専門相談員、消費生活アドバイザー、消費生活コンサルタントの三つの資格が存在し、それぞれ試験内容が異なっています。
 登録試験機関の間で共通の試験を実施する一方で、相談員の資質も多様性があってしかるべきとの意見もあることから、各試験機関の独自性も発揮できるよう現場の意見を十分に踏まえて制度設計を行う必要があるのではないかと考えます。また、相談員資格保有者の資質向上のため、研修制度の拡充に向けた施策を講ずる必要性も考えますが、どのようにお考えか、お答えを願います。
 最後に、安全、安心な生活の確保は国民の総意であります。
 生産者、事業者、消費者、国や地方公共団体のそれぞれが努力していかなければ、安全で公正な社会を実現していくことはできません。そのための土台をつくるためにも、まず国に課せられた役割をしっかりと果たすべく、本法案が実効性あるものであると国民の皆さんが実感できるような御答弁をいただけることを御期待申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣森まさこ君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(森まさこ君) 清水議員にお答えをいたします。
 事業所管大臣等への景品表示法の調査権限の委任による監視執行体制の構築についてのお尋ねがありました。
 本法案により、各事業に知見を有する大臣等に調査権限を委任することで、より迅速かつ的確に不当表示等を認知し、調査をすることが可能となります。これに加えて、関係行政機関との相互の密接な連携を確保することにより、全ての商品、サービスに係る表示や景品類の提供について十分な監視指導体制を構築することができると考えます。
 本法案による景品表示法改正の実効性を確保するための都道府県に対する施策についてお尋ねがありました。
 都道府県において統一的かつ的確な法執行ができるようにするためには、法改正により都道府県の意識の変化も期待できることを踏まえ、人材育成や担当職員への必要な情報提供等を通じて、都道府県における執行体制の整備を積極的に支援していく必要があります。
 具体的には、法運用の考え方や具体的な執行事例の周知、消費者庁による研修の実施や情報共有システムを通じた緊密な情報交換、具体的な審査手法や事務処理手続等の法執行に関するノウハウの提供、都道府県における研修等への地方消費者行政活性化交付金の活用の促進等に取り組んでまいります。都道府県の自主財源や人員の確保については、各都道府県の御努力に期待をいたします。
 事業者が講ずべき表示等の管理上の措置に関する指針を策定する際における小規模事業者等に対する配慮についてお尋ねがありました。
 事業者が講ずべき表示等の管理上の措置に関する指針を策定するに際して、全ての事業者が必要な体制や措置をとることができるよう、事業者の規模等に対する配慮は必要です。事業者を始め、各方面の御意見を幅広く聞きながら、その具体的内容を策定してまいります。
 課徴金制度の早期の導入の必要性と在り方についてお尋ねがありました。
 課徴金制度の在り方に関し、消費者委員会においては、いわゆる不実証広告に対しても課徴金を課す、賦課金額につき一律の算定要件を設ける、賦課要件に主観的要素を盛り込むといった方向で議論が進んでいるものと認識しています。
 消費者庁としては、こうした消費者委員会における御議論をにらみながら検討を進め、六月にも予定される消費者委員会からの答申を踏まえ、できる限り早期に課徴金制度導入に係る法案を提出することとしたいと考えております。
 地域の消費者を見守るネットワークの構築についてお尋ねがありました。
 消費者安全確保地域協議会は、地域の実情に応じて、消費者教育推進地域協議会、地域包括支援センターの相談支援ネットワーク、防災関係のネットワーク等の既存の地域ネットワークと一体となって見守り活動に取り組むことも可能であり、またそれが現実的と考えております。
 消費者庁としても、消費者安全確保地域協議会が持続可能な地域ネットワークの核として全国で構築されるよう、関係省庁と連携し、地域協議会の進め方の参考となるようなガイドラインを策定するとともに、先進的な取組事例を収集し、地方公共団体に提供してまいります。
 指定消費生活相談員の任用に係る基準についてお尋ねがありました。
 人口規模の小さな市町村の多くでは、消費生活相談体制が脆弱であることから、各都道府県には、本法案で新たに定める指定消費生活相談員制度を最大限活用し、市町村の消費生活相談の実務を積極的に支援していただくことを大いに期待しています。
 法令により指定消費生活相談員の最低限の指定要件を定めることとしておりますが、各都道府県において、指定消費生活相談員に求める知識、経験等についての考え方をあらかじめ明示するため、それぞれ独自の指定基準を追加的に定めておくことも、指定消費生活相談員の質を確保する上で有効な手段であると考えます。
 消費生活相談等の従事者等における個人情報の取扱いについてお尋ねがありました。
 地域における見守り活動においては、必要な情報の利用と保全を両立することが不可欠であり、情報漏えいを確実に防止するとともに、個人情報の取扱いへの過剰反応から、必要な情報が提供されないといったことが起こらないよう留意する必要があると考えます。
 このため、本法案により、消費生活センターにおける消費生活相談等により得られた情報が適切に取り扱われるよう、地方自治体が情報の安全管理に関する事項等について条例で定めることとしています。また、見守り活動の従事者が個人情報の意義やその管理の在り方をしっかりと御理解いただけるよう、消費者庁においてガイドラインを策定するとともに、その地方自治体への説明を徹底してまいります。
 消費生活相談等の事務を民間委託する場合における受託者の適合基準等についてお尋ねがありました。
 消費生活相談等の事務は、たとえ民間委託される場合においても適切に実施される必要があります。このため、内閣府令において当該事務を受託できる者の要件等を定めるとともに、当該事務を民間委託した地方自治体に対し、委託事務の実施状況につき定期的に検証、評価するようガイドライン等で求めてまいりたいと考えております。
 登録試験機関制度の在り方及び消費生活相談員資格保有者の資質向上についてお尋ねがありました。
 登録試験機関制度においては、複数の試験機関が試験を実施する場合、一定の要件を満たした上で、それぞれの試験機関が独自性を発揮し、特色のある試験を実施していただくことは可能だと考えております。
 試験の実施方法を含め、その詳細な制度設計については、今後、消費生活相談員や現在の資格付与団体等、現場の関係者の意見を十分に踏まえ、しっかりと検討してまいります。
 また、消費生活相談員の資質向上のため、地方消費者行政強化作戦において、都道府県ごとに消費生活相談員の研修参加率を一〇〇%に引き上げることを目標として盛り込んだところであり、国民生活センターも活用しながら、消費生活相談員の研修制度の拡充を図ってまいります。(拍手)
#34
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#35
○議長(山崎正昭君) 日程第一 南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件
 日程第二 二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件
  (いずれも衆議院送付)
 以上両件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長末松信介君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔末松信介君登壇、拍手〕
#36
○末松信介君 ただいま議題となりました条約二件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、南インド洋漁業協定は、南インド洋の公海における漁業資源の長期的な保存及び持続可能な利用の確保を目的として、締約国会議で定める保存管理措置をとること等について定めるものであります。
 次に、船舶バラスト水規制管理条約は、船舶の縦傾斜等を制御するため船舶に取り入れられたバラスト水及び沈殿物の規制及び管理により、有害な水生生物及び病原体の移動から生ずる環境等に対する危険を防止すること等について定めるものであります。
 なお、この条約に定める基準の一部については、国際海事機関総会が、同総会が決議した計画に従って実施するよう勧告していることに鑑み、我が国は、その勧告するところによりこの条約を実施する旨の留保を付することとしております。
 委員会におきましては、両件を一括して議題とし、南インド洋公海漁業の現状と本協定締結の意義、違法な漁業等の防止策の具体的内容、開発途上国に対する水産分野の支援、船舶バラスト水による環境等への影響と本条約締結の意義、我が国船舶のバラスト水処理装置の設置状況と今後の取組、本条約発効の見通し等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、順次採決の結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#37
○議長(山崎正昭君) これより両件を一括して採決いたします。
 両件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#38
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#39
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十五  
  賛成           二百三十五  
  反対               〇  
 よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#40
○議長(山崎正昭君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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