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2014/06/02 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 本会議 第27号
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2014/06/02 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 本会議 第27号

#1
第186回国会 本会議 第27号
平成二十六年六月二日(月曜日)
   午後二時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十七号
  平成二十六年六月二日
   午後二時開議
 第一 地域における医療及び介護の総合的な確
  保を推進するための関係法律の整備等に関す
  る法律案(趣旨説明)(前会の続)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、参議院規則の一部を改正する規則案(岩城
  光英君外九名発議)(委員会審査省略要求)
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 日程第一 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案(趣旨説明)(前会の続)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。厚生労働大臣田村憲久君。
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(田村憲久君) 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案の趣旨説明に先立ちまして、一言申し上げます。
 五月二十一日に、本法案の趣旨説明を行うに際し、事前の配付資料に誤りがあり、これにより参議院の議事運営に重大な混乱を招いたことにつきまして、改めて深くおわびを申し上げます。
 今後、全力を挙げて再発防止に努めてまいります。
 それでは、この度、政府から提出した地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 高齢化の進展に伴い、慢性的な疾病や複数の疾病を抱える患者の増加が見込まれる中、急性期の医療から在宅医療・介護までの一連のサービスを地域において確保し、患者の早期の社会復帰を進めるとともに、高齢者が住み慣れた地域において継続的に生活できるようにしていくことが必要であります。
 このような状況を踏まえ、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、効率的かつ質の高い医療提供体制や、地域包括ケアシステムの構築を通じ、地域における医療、介護の総合的な確保を推進するため、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。
 第一に、都道府県は、厚生労働大臣が策定した基本的な方針を踏まえ、市町村等と連携、共同しながら、新たな基金を活用し、医療・介護サービスの提供体制の総合的、計画的な整備等を推進することといたしております。
 第二に、地域での効率的かつ質の高い医療の確保に向けて、医療機能の分化、連携を推進するため、医療機関が病床の医療機能を都道府県知事に報告することとし、都道府県は、この報告制度等を活用し、各医療機能の必要量等を含む地域の医療提供体制の将来のあるべき姿である地域医療構想を策定することといたしております。
 また、医療機関相互の協議の場の設置や都道府県の役割強化など、地域医療構想の実現のための必要な措置を講ずることとしています。
 さらに、医療従事者の確保や医療機関における勤務環境の改善、看護師の研修制度の創設等のチーム医療の推進、医療事故に係る調査の仕組みの創設などにより、医療提供体制の整備を進めていくこととしています。
 第三に、地域包括ケアシステムの構築に向け、介護保険制度において、在宅医療・介護連携の推進、認知症施策の推進、生活支援サービスの充実等の措置を講ずるとともに、予防給付のうち通所介護と訪問介護について、市町村が地域の実情に応じて取り組むことができる地域支援事業に移行するなどの見直しを行うこととしています。
 また、特別養護老人ホームについて、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設としての機能に重点化することとしています。
 さらに、介護保険制度の持続可能性を高めるため、低所得者の保険料の軽減強化、一定以上の所得を有する者の給付割合の見直し、補足給付の支給要件の見直し等を行うこととしています。
 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日としています。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(山崎正昭君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。高階恵美子君。
   〔高階恵美子君登壇、拍手〕
#6
○高階恵美子君 自由民主党の高階恵美子です。
 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案について質問をいたします。
 それに先立ち、厚生労働大臣及び厚生労働省に対しては、二十一日の本会議で、質疑を軽んじる大失態を招いたことについて、改めて猛省を求めます。今後の審議対応には、より一層の緊張感を持って臨まれることを切望いたします。
 本法案は、平成十六年以降、順次進められてきた社会保障制度改革の本丸部分であり、今、そしてこれからを生きる一人一人が必要とする医療、介護を地域の実情に応じて提供できるようにするため、関係法案を一体的に見直し、体系化しています。都道府県ごとに医療・介護提供体制を再構築するための基金が創設され、初年度公費負担分で九百四億円が充てられていますが、これは消費税増収分をフルに活用しようとする方策でもあります。
 衆議院においては、参考人質疑、地方公聴会を含め、計三十九時間に及ぶ審議が行われました。参議院においても、その意思を引き継ぎ、真摯に議論を進めてまいります。政府には、一括改正することの必要性について、その将来的な意義も含めて的確な御説明をお願いいたします。また、時間的な制約がある中でも、政治は着実に結果を出さなければなりません。審議に当たっては、皆の協力を求め、充実した議論を進める必要があります。
 そこで、決意を固める上でも、総理から、新たな制度確立に懸ける意気込みと国民に対するメッセージをお聞かせください。
 安倍総理は、女性活力の活性化に力を注がれています。女性が学び、活動し、出産、子育てするには、その前提として女性たちが人生各期において健康であることが重要です。アベノミクス女性版として見れば、就業促進、子育て支援に女性の健康を包括的に支援する政策が加わると、まさしく三本柱がそろいます。これからの女性の健康支援についての総理の御所見を伺います。
 医療や福祉分野を志望する女性は多く、現在は医学部生でも三人に一人が女性です。この分野における女性の活躍は需要面でも供給面でもますますの伸びが期待されます。
 そこで、厚生労働大臣に伺います。
 医療、介護の場で働く女性の処遇と勤務実態を調査し、就業継続上の問題や障壁を取り除くことで、就業を希望する女性が安定的に社会参加できるようにする仕組みをつくるなど、一括改正法案における取扱い状況をお答えください。
 介護保険の改正ポイントは、市町村が行う地域支援事業を充実強化し、さらに地域の裁量で日常的な生活支援の一部を実施できるようにする点です。掃除や買物、簡単な調理、趣味や楽しみ、朝起きるタイミングなど、日常のささいな部分に不具合がある方々への関わりは、全国一律の運営基準に基づく予防給付で行うより、むしろ近隣の人的、物的つながりや風習になじむやり方で必要な支援を工夫することの方が親和性が高いと考えます。その一方で、専門的な知識、技術を要するサービスは、適切な基準に従って適正に給付されるべきです。
 また、必要なサービスを確保しつつも、保険料負担が過重にならないための配慮が必要です。特に、サービスを利用する高齢者世代の中での負担の公平化について、厚生労働大臣からお答えください。
 人生の最期をその人らしく過ごすという観点からも改革が進められてきました。しかし、一人一人についての最期に至るまでの経過を見ると、中には短い期間で居所を転々と移らざるを得ない例もあり、心穏やかとは言い難いのが現実です。ルールにのっとってサービスを利用する仕組みとなり、メニューが増えた中で、一か所に落ち着いて療養することができにくくなるという矛盾が生じています。利用者視点で、みとりも含めた在宅医療と訪問看護・介護を充実させ、高齢者が最期まで穏やかに暮らせる包括的なケア体制を地域に整えることが急務です。
 厚生労働大臣のみとり対策への取組決意をお尋ねし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 高階恵美子議員にお答えをいたします。
 医療、介護の制度改革の決意等についてお尋ねがありました。
 急速な少子高齢化の下で、地域で安心して医療や介護サービスを受けられるようにするためには、救急医療などの急性期の医療から退院後の生活を支える在宅医療・介護まで、一連のサービスを総合的に整備することが必要です。
 このため、今回の法案では、患者の状態に応じた適切な医療が提供されるよう医療提供体制の見直しを行うとともに、介護が必要となっても住み慣れた地域での暮らしを継続できる体制を整備することとしており、医療、介護の双方のサービスを対象とする新たな財政支援制度を設けるなどの取組を行うこととしております。
 いわゆる団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向けて必要な改革であり、国民の皆様には今回の改革の意義や効果を丁寧に説明してまいりたいと考えています。
 女性の健康支援についてお尋ねがありました。
 女性は、妊娠・出産期、更年期など、ライフステージによって異なる特有の健康問題を抱えており、それぞれの世代に対応した対策を行っていくことが重要です。
 自民党では、女性の健康の包括的支援に関するPTにおいて精力的に検討が行われ、法律案も取りまとめられたと承知していますが、政府としても、検診に対する支援や健康相談の実施など、包括的な対策を講じることにより、生涯を通じた女性の健康支援にしっかりと取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(田村憲久君) 高階議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、医療、介護に従事する女性の勤務環境改善についてのお尋ねがありました。
 今回の法案では、各医療機関に、多様な働き方の導入や院内保育所の整備など、実際に働く方のニーズを把握した具体的な計画の策定に取り組んでいただくとともに、こうした取組を総合的、専門的に支援する体制を各都道府県ごとに整備することといたしております。
 また、介護従事者の確保に当たっては、女性が働きやすい環境づくりという視点も含め、参入促進、キャリアパスの確立等による資質の向上、介護職員の処遇改善等の環境改善等に取り組むことが必要であります。
 こうした取組について、新たな財政支援制度なども積極的に活用しながら、医療・介護分野で女性が生き生きと働くことができる環境づくりに向け、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、介護保険の負担の公平化についてのお尋ねがありました。
 今後、介護費用の増大が見込まれる中、保険料の上昇を可能な限り抑え、介護保険制度の持続可能性を高めるとともに、高齢者世代における世代内の負担の公平性を図っていくことが必要であります。
 このため、今回の法案では、介護施設での補足給付について、一定額を超える預貯金等のある方を給付の対象外とするほか、一定以上の所得のある方には二割の利用負担をお願いするなど、負担能力のある方には負担をお願いする一方で、低所得者の方には公費を投入して保険料軽減の強化を図るなど、制度の持続可能性を高めるための改革を進めることといたしております。
 こうした改革により、保険料負担の上昇を可能な限り抑えつつ、必要な人にはしっかりと適切な給付やサービスが提供される制度としていきます。
 最後に、みとり対策への取組についてのお尋ねがありました。
 国民が可能な限り住み慣れた生活の場において必要な医療・介護サービスを受けられるよう、みとりに対応した在宅医療や地域包括ケアを推進することは重要と考えております。
 このため、都道府県が策定する医療計画にみとりも含めた在宅医療の提供体制に係る事項を盛り込む、また、診療報酬において、みとりも含めた在宅医療について重点的に評価を行うなどの取組を進めるところであります。
 また、今回の法案では、みとりへの対応を充実強化するために必要な在宅医療・介護連携を推進する事業を制度的に位置付けることといたしております。
 これらの取組を通じて、医療と介護が連携しながら、最期まで穏やかに暮らせる包括的な体制の構築に努めてまいります。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(山崎正昭君) 足立信也君。
   〔足立信也君登壇、拍手〕
#10
○足立信也君 民主党の足立信也です。
 冒頭、北朝鮮との合意について質問します。
 包括的全面調査には、拉致被害者や拉致された疑いのある人、戦前に北朝鮮で死亡した人の遺骨や墓地、残留日本人、結婚して北朝鮮に渡った日本人配偶者まで含まれますが、調査の実効性をどのように担保するのか、制裁措置の一部解除を、調査の進捗状況によらず調査開始時点とした理由とともに総理に伺います。
 それでは、いわゆる医療・介護一括法案につきまして、会派を代表して質問いたします。
 五月二十一日の件は、配付された趣旨説明の三行読み飛ばしです。読み飛ばしといえば、二〇〇七年九月十日、安倍総理の所信表明演説の二行読み飛ばしを思い出します。何やら、終わりの始まりのような気がします。
 この法案は、社会保障制度改革プログラム法に基づきます。我々は、改革推進法の、政府が一年以内に講ずる法制上の措置によって将来の社会保障の姿が一つずつ見えてくる、そう思っていました。自民党以外の皆さんも、まさかプログラム法とは思わなかったはずです。国民の皆さんの多くも、年金や高齢者医療制度の改革はどこに行ったんだ、だまされたと思いました。
 そのプログラム法を根拠に十九本もの法律案を一まとめにし、個別法案の審議を妨害する。与党の中には清濁併せのむ政治家は多いかもしれませんが、賛否の異なる法案を併せのむことは国会の矜持に関わる問題だと思います。まとまった法案から順次提出すべきでした。これほど重大な法案が衆議院では野党が全会派反対する結果を招いたのは、その法案提出の在り方に問題があったからです。これでは国民の関心が置き去りです。総理、いかがですか。
 こうなることは予測されました。与党議員の中にも、二つないしは三つに分けて提出すべきだと言う方がいますが、なぜプログラム法を熱心に推進したのでしょうか。
 国民会議の報告書、国民へのメッセージには、築き上げた国民の宝である社会保障制度の持続可能性を高め、更に質を高めるには、社会保険料と並ぶ主要な財源として国、地方の消費税収をしっかりと確保し、能力に応じた負担の仕組みを整備すると同時に、社会保障を必要としている人たちにしっかりと給付されるような改革を行う必要があると書かれています。時間軸で考えれば、一体改革による消費税の増収が段階的に生じる期間内に実施すべき改革であると書かれています。
 この法律案は、消費税率一〇%を想定して作成されている、さらに、軽減税率の導入は考慮されていない、総理、その理解でよろしいですか。
 五%引き上げた場合、平成二十九年度には十四兆円の増収が見込まれ、後代へのツケ回しの軽減に七・三兆円、社会保障の充実に二・八兆円。この割合を維持したまま、二十六年度は、五兆円の増収のうち、後代へのツケ回しの軽減に一・三兆円、社会保障の充実に五千億円となっています。しかし、医療への充実は千八百四十九億円、しかもその内訳は病床機能分化の未達成分と新たな基金が六百八十五億円含まれており、介護の充実には僅か四十三億円です。国民の多くは、プログラム法でだまされ、今度は消費税の使い道で裏切られたと感じています。
 総理、一〇%に増税されなかった場合又は軽減税率を導入した場合、この法律案の一部は前提が崩れ、意味を成さなくなるのではないですか。
 近く到来する超少子高齢、人口減少社会、男性の生涯未婚率は二〇%を超え、女性は一〇%を超えました。十年後には亡くなる人が年間四十万人も増え、二十五年後には生まれる人よりも亡くなる人が百万人多くなります。国民全員が迫りくる危機を理解し、責任を自覚し、協働しなければならないと思います。だからこそ、丁寧な説明を国民の皆さんに見ていただく必要があるのです。にもかかわらず、衆議院厚生労働委員会では強行採決されました。政府・与党には猛省を促します。田村大臣、熟議が必要であることを明言してください。
 改革推進法では、自助、共助及び公助の最も適切な組合せが基本的な考え方でしたが、プログラム法では、自助自立のための環境整備と変わりました。与党議員の中にも、医療や介護、国民の生命は国、公がこれを守る、そこにお互いにリスクを支え合うという共助が加わり、給付を受けない人との公平性のために自己負担があると言われる方もおられます。真っ当な意見だと思います。総理、この一括法案は、自助自立のための環境整備の法案なのですか。
 以下、田村大臣に個別法案の質問をしますが、残り九分で十九本もあり、一法案三十秒もありません。
 地域医療・介護確保推進法案について伺います。
 控除対象外消費税問題を根本的に解決することもなく、消費税増収分を活用した新たな基金を創設することは消費税の抱える矛盾に蓋をするものです。さらに、基金はその使われ方が極めて重要ですが、重層的なチェックの仕組みも構築されておらず、何の目的で、その基金を使った結果は何に資するのか、全く不明瞭です。我が会派の大塚政審会長が地下室で宴会と称したゆえんです。基金の使われ方をチェックする仕組みはどのようにするのですか。また、消費税法の改正で抜本改革を検討するとされたにもかかわらず、消費税一〇%導入時も控除対象外消費税問題は今回と同様なスキームで対処するのですか。
 医療法改正案だけでも一九四八年の制定以来最大のものです。しかし、医師確保対策の地域医療支援センターは三年前から既に行われ、医療機関の機能の明確化とその強化は一昨年、チーム医療の推進は昨年三月、医療事故調査制度は昨年五月に既に結論が出ており、昨年六月に医療法改正案は部会に提示されています。医療法改正案は昨年提出できたのではないですか。
 社会保障・人口問題研究所の推計では、三十年後に国土の二割が新たに無人になる。日本創成会議の発表では、三十年間で二十代、三十代の女性が半分以下になる自治体が四九・八%。五百二十三の自治体は人口が一万人以下となり、将来消滅する可能性があります。二次医療圏の見直しをまず国がやらなければ地方は対処できません。
 住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるような医療・介護提供体制と口では言っても、今後、ますます大都市周辺への人口集中、高齢化、やがては人口減少を促進させる政府方針であるならば、人口分布の今後の変化を国が覚悟を持って示すべきです。報告制度に基づく地域医療ビジョンの策定では、都道府県の機能強化と保険者や立場の異なったステークホルダーによる熟議の協議会が必要です。
 田村大臣、雇用・労働問題の議論から労働者代表を外すような悪い会議のまねをしないように委員の構成を図ってください。
 医療事故に係る調査の仕組みを創設すると言いながら、施行後僅か半年で見直すならば法案提出の意味はありません。実施状況を検証するにはどれほどの件数が必要であり、それにはどれくらいの実施期間が必要だと考えますか。
 田村大臣、国民健康保険料の軽減措置はとられましたが、協会けんぽの国庫補助引上げはしないのですか。
 歯科衛生士法改正で女子のみが業に就くことができる規定はなくなりましたが、今回の改正法案で、法律上女性にしかなれないものはほかにないのでしょうか。あるとすれば、なぜ改正しないのですか。
 介護保険法改正案は、主に以下の三点で強く批判されています。一、要支援者に対する訪問介護、通所介護サービスを、財源を抑制した上、市町村に移管すること、二、特養入居要件を要介護三以上に限定すること、三、年収二百八十万円以上の方の自己負担を二倍に増やすことです。
 しかしながら、地域支援事業が介護予防に功を奏したと度々取り上げられる和光市の取組は、約三キロ四方に八万人の住民がいて、その健康情報を市が把握している。その上、何より情熱を持った職員と多くの介護の専門家がいるという極めて特殊な環境にあります。決してボランティアが多いわけではないのです。この取組の全国展開は、市町村によってその対象、方法、費用、効果に必ず格差が生まれます。超高齢化、人口減少社会で住民主体の取組が持続可能でしょうか。そもそも、介護保険に要支援をつくり、介護給付の対象としたのはなぜですか。
 いわゆる長瀬効果で自己負担の増加と利用抑制は相関します。介護保険は公的社会保険であり、医療とともに現物給付です。介護が必要だと認定しながら給付対象から外す、これは共助である社会保険を根底から覆すものです。それほど給付を抑制したいのなら、要介護度認定制度そのものを見直す議論をした方がいいのではないですか。
 この法案成立を見越した民間事業者は、既に要介護にシフトしています。要支援は社会福祉法人に集まっています。逆に今後、社福への財政支援が必要になるのではないですか。
 一人一人を大切にした個別の医療・健康政策の推進とは口ばかりで、要支援の人に地域支援事業を行った場合の個人の状態はどう変化したのか、その追跡評価もせず、エビデンスに基づいた政策決定とは全く言えません。
 そういえば、自公政権が長年望んでいた二号被保険者の年齢引下げはどうなったのでしょうか。
 平成十九年の介護福祉士法の改正は、資質向上を図り、ステータスを上げ、処遇を改善し、ひいては人材を確保するものでした。二十三年には研修要件を緩和しました。なぜ施行を一年延ばすのですか。田村大臣、その間に介護分野の外国人技能実習生を大量に受け入れる制度を構築する予定ですか。よもや、認知症の多い要介護者には日本語が余り通じなくてもよいと思っているわけではありませんね。
 臨床研究中核病院が法定化されます。申請前の研究開発段階の迅速化が期待されます。現在十五ある臨床研究中核病院、早期・探索的臨床試験拠点は国家戦略特区の内外にありますが、それぞれ何か所あるのでしょうか。
 国家戦略特区の内でも外でも、法定化される病院の規制に格差が生じてしまいます。国家戦略特区内の医療規制の何を緩和するのですか。それは特区外の臨床研究中核病院、早期・探索的臨床試験拠点には適用されないのですか。新藤大臣に伺います。
 規制改革会議が提案している選択療養制度は、医師と患者の合意さえあれば、複数の薬剤の併用療法や治療方法まで保険外併用を認めることになります。そうなれば、民間保険の比率が更に高まり、民間保険が多くなれば、営利追求のため、医療機関あるいは医師の選別、囲い込みが起きます。
 皆さん、レディングの悲劇を知っていますか。レディング病院では、民間保険会社が病院経営をし、好成績を上げるために病気ではない人に手術を行っていたのです。日本では公的医療保険部分の医療費が更に増大するでしょう。選択療養に近いものは、アクセス制度又はコンパッショネートユース制度として既に行われています。総理、この議論はもうやめませんか。
 最後に、附則第六条六項、一年以下の懲役と書くべきところを一年以上の懲役と書いた労働者派遣法改正法案。明らかな瑕疵があり、この法案は撤回の上、再提出すべきです。総理にその確認を伺って、あとは委員会質疑に臨みます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#11
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 足立信也議員にお答えをいたします。
 北朝鮮の包括的、全面的調査についてお尋ねがありました。
 北朝鮮側は、包括的、全面的調査を行うために、全ての機関を対象とした調査を行うことのできる特別の権限を有する特別調査委員会を立ち上げ、調査開始までに委員会の具体的な組織、構成、責任者等を日本側に通報することとしています。
 また、調査が進捗する過程においても、実効性を担保するために、北朝鮮側から随時通報を受けて協議をするとともに、調査結果を直接確認する仕組みを確保しています。
 北朝鮮側が特別調査委員会を立ち上げ、調査を開始する時点で、行動対行動の原則に従い、日本側として制裁を一部解除することとしていますが、北朝鮮側がいかなる組織、構成の委員会を立ち上げ、調査を行っていくかを見極めることなくして制裁解除を行うことはありません。
 本法案の提出の在り方やプログラム法との関連についてお尋ねがありました。
 プログラム法は、社会保障制度改革国民会議の報告書を踏まえ、社会保障制度改革の進め方を明らかにするものであり、昨年の臨時国会において御審議いただいて成立したものであります。
 今回の法案は、このプログラム法に沿って、患者の状態に応じた適切な医療が提供されるよう医療提供体制の見直しを行うとともに、介護が必要となっても住み慣れた地域での暮らしを継続できる体制を整備することとしており、医療、介護の双方のサービスを対象とする新たな財政支援制度を設けるなどの取組を行うこととしております。
 これにより、急性期の医療から在宅医療・介護まで、一連のサービスを総合的に整備し、地域で安心して医療や介護サービスを受けられるようにすることが重要であり、早期の法案成立に向け、政府として丁寧に御説明したいと考えております。
 今回の法案と消費税率の引上げとの関係等についてのお尋ねがありました。
 今回の法案は、消費税率引上げにより安定財源を確保しつつ、医療、介護の一体的な改革を進めることとしていますが、消費税増収分について特定の規模を前提としているものではありません。したがって、消費税率の一〇%への引上げや軽減税率を導入するかどうかを前提としているものではありません。
 消費税率の一〇%への引上げについては、税制抜本改革法にのっとって、経済状況等を総合的に勘案しながら本年中に適切に判断したいと考えております。
 軽減税率については、昨年末の与党税制改正大綱を踏まえ、与党税制協議会において様々な課題について検討することとされており、政府としては、引き続き与党の御議論を見守ってまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、二〇二五年を見据えて、医療と介護の一体的な改革をしっかりと進めてまいります。
 社会保障の基本的な考え方と今回の法案の関係についてお尋ねがありました。
 社会保障制度の改革に当たっては、自助自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べることが重要です。今回の法案でもこの考え方に基づき、医療や介護が必要となっても住み慣れた地域においてできる限り自立した暮らしを継続できるよう医療や介護の基盤整備を進めるとともに、所得の低い方々に配慮しつつ、介護保険の負担の在り方を見直すなどの改革を行うこととしており、受益と負担の均衡の取れた医療・介護制度としてまいります。
 規制改革会議が提案している選択療養制度についてお尋ねがありました。
 現在でも、先端的な医療を迅速に受けられるよう、保険の対象となっていない医療技術等について、安全性、有効性が確認されれば保険診療と併用できる制度があります。この仕組みについては、昨年、抗がん剤について、より迅速に審査が行われるよう見直したところです。他方、規制改革会議においては、困難な病気と闘う患者が希望する治療の選択肢を拡大できるようにする新たな仕組みの創設について意見が取りまとめられたところであります。
 今後、困難な病気と闘う患者が未承認の医療品等を迅速に使用できるようにする等の観点から、保険外併用療養費制度の更なる改革について検討してまいります。
 なお、御指摘のアクセス制度については、医療上の必要性の高い未承認の医薬品について、現在治験の対象とならない患者の方々のアクセスを改善するため、新たな制度を導入することとしています。
 労働者派遣法改正法案の誤りについてお尋ねがありました。
 今国会に提出した労働者派遣法改正法案において、御指摘の条文の誤りがあったことについては極めて遺憾であり、今後の再発防止に向けて万全を期してまいります。政府としては、できる限り速やかに正確な条文として、国会での御審議をお願いしたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(田村憲久君) 足立議員から御質問をいただきました。お答え申し上げます。
 まず、国会審議での熟議の必要性についてのお尋ねがありました。
 今回の法案は、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療や介護の総合的な確保を推進するものであり、高齢化が進行する中で、国民生活にとって極めて重要な法案であります。
 二〇二五年を見据えた医療、介護の基盤整備のためにいずれも必要な内容であり、厚生労働省といたしましては、参議院においても丁寧に御説明をしてまいりたいと考えております。
 次に、基金の使われ方を確認する仕組みについてのお尋ねがありました。
 都道府県が基金を活用して行う事業に係る計画を策定するに当たっては、国において、関係団体との協議を踏まえ、地域包括ケアの推進等のため特に必要と考えられる事業の例を都道府県に示すとともに、市町村長、医療を受ける立場にある方々、医療関係団体等の幅広い地域の関係者から意見を聴取するなど、第三者が関わることなどによって計画の公正性、透明性を確保することといたしております。また、国においても、これを踏まえつつ、有識者の意見なども聞きながら都道府県の計画について確認することとしており、これらの取組を通じて基金の適正な利用を進めてまいりたいと考えております。
 次に、医療、介護に関する消費税問題への対応についてのお尋ねがございました。
 消費税が非課税とされている社会保険診療や介護サービスにおいては、医療機関等や介護サービス事業者が医薬品等を仕入れる際に支払う消費税分は、診療報酬や介護報酬により手当てされています。社会保険診療については、本年四月からの消費税率の引上げにおいては、医療機関等の実態調査に基づき、診療報酬で必要な財源を確保するとともに、できるだけ多くの医療機関等に手当てされるよう対応したところであり、介護サービスについても同様であります。
 いずれにせよ、税制抜本改革法において、医療に係る課税の在り方については引き続き検討することとされており、引き続き、与党の議論の状況等を踏まえつつ検討をしてまいります。
 次に、医療法改正案の提出時期についてのお尋ねがありました。
 平成二十五年六月に、厚生労働省から社会保障審議会に医療法等の改正事項の案を提出しましたが、これは、それまでの関連の検討会の議論等を踏まえ、いわゆるたたき台として提出したものであります。その後、平成二十五年八月に取りまとめられた社会保障制度改革国民会議の報告書やプログラム法の内容を踏まえつつ、審議会において、例えば病床機能報告制度の具体的な内容や地域医療構想の実現のための仕組み等の個別の内容について、九回にわたり議論され、平成二十五年十二月に医療法等改正に関する意見が取りまとめられました。
 この法案は、こうした経緯で提出に至ったものであり、昨年時点で提出することは難しかったと考えております。
 次に、地域医療構想の策定等における委員構成についてのお尋ねがございました。
 今回の法案では、都道府県が医療計画の一部として地域医療構想を策定するに当たって、都道府県医療審議会や市町村の意見を聴くとともに、新たに保険者協議会の意見も聴くことといたしております。なお、地域医療構想を実現するため、医療機関相互の協議により、自主的な機能分化、連携を進めていく仕組みとして新たに都道府県に協議の場を設置することとしていますが、この場についても、医療機関とともに、診療に関する学識経験者の団体、医療保険者その他の関係者の参加を広く得て協議を進めることといたしております。
 次に、医療事故調査制度の検討規定についてのお尋ねがございました。
 御指摘の検討規定では、政府は、医療事故調査の実施状況等を勘案し、医師法二十一条の規定による届出と本制度における医療事故の報告の在り方等について、この法律の公布後二年以内に検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずることとしております。実際に制度が施行されないと分からない部分もありますが、医師法二十一条との関連については、既にある程度問題点、論点が整理されているため、必要な見直しについては制度の施行前から議論することは可能と考えております。
 次に、協会けんぽの国庫補助についてのお尋ねがございました。
 協会けんぽは、自らは健康保険組合の設立が困難である中小零細企業の労働者とその家族が加入できるよう設立された保険者であり、その財政基盤の安定化が課題となります。
 協会けんぽへの財政支援については、平成二十二年度から特例的に国庫補助率を一三%から一六・四%に引き上げ、さらにこの措置を昨年の法改正により延長したところであります。この法改正の附則やプログラム法において、今後の協会けんぽへの国庫補助の在り方についての検討規定が盛り込まれているところであり、これにのっとって社会保障審議会等において検討していきたいと考えております。
 次に、今回改正される法律の中で、女性のみが取得できる資格についてのお尋ねがございました。
 歯科衛生士の資格については、歯科衛生士法の本則では女子に限定している一方、附則で男子も取得できることになっていますが、今回の改正法案の中で本則上も女子に限定しない改正を行うこととしております。
 一方、今回の法案に含まれている資格法の中で、女性のみが取得できる資格は、保健師助産師看護師法第三条に規定する助産師が該当します。助産師については、男性も資格を取得できるようにするための議員立法が平成十二年十一月に提出されましたが、一部の関係団体やケアを受ける対象者からの反対があり、廃案になったと承知いたしております。現在でも、男性助産師を認めるかどうかについては、関係者間でも様々な御意見があり、慎重な検討が必要であると考えております。
 続きまして、予防給付の見直しについてのお尋ねがありました。
 介護保険制度では、介護予防を推進する観点などから、軽度の段階から支援の対象とすることで利用者の自立支援を図っていくことといたしております。今回の予防給付の見直しは、こうした考え方は維持しながら、支え合いの体制づくりを推進し、多様なサービスの提供を目指します。見直し後の市町村による事業は、財源構成を予防給付と同様とするとともに、市町村間の財政調整の仕組みも設けるなど、市町村財政を支援いたします。また、高齢者にも積極的に担い手となっていただく支え合いの体制づくりも支援してまいります。
 次に、要介護認定制度の見直しについてのお尋ねがありました。
 要介護認定制度は、全国一律の基準に基づき高齢者の介護等のニーズを客観的に認定するための仕組みであり、保険給付の適正化と関連付けて見直すべきものではございません。また、今回の改革は、多様なニーズを有する高齢者に地域の実情に応じて多様なサービスを提供するとともに、負担能力のある方には一定の御負担をいただくなど、制度の持続可能性を確保するためのものであり、給付の抑制を目的とするものではないと考えております。
 次に、社会福祉法人への支援についてのお尋ねをいただきました。
 今般の見直しを通じて、要支援の方々の多様なニーズに応えるため、既存の介護事業者に加え、NPO、民間企業、ボランティアなど、多様な担い手による外出、買物等の多様な支援を充実させます。見直し後は、市町村が多様なサービスの内容に応じた単価等を設定いたしますが、既存の介護事業者が行う専門的なサービスはそれにふさわしい単価設定が適当と考えております。
 社会福祉法人には、今回の見直しを契機として、既存のサービスに加え、地域のニーズに応じた多様なサービスも積極的に担っていただきたいと考えております。
 次に、介護保険の第二号被保険者の年齢引下げについてのお尋ねがございました。
 介護保険制度の普遍化を図るとともに、保険財政の安定性を高めるため、第二号被保険者の年齢の引下げを検討すべきという御意見があります。一方で、若年者は介護サービスを利用する可能性が低く、保険料負担への理解を得られないおそれがあること、障害者団体の中には、障害者福祉制度の介護保険制度への統合に慎重な意見もあることなど、年齢の引下げには慎重であるべきという御意見もあります。このため、御指摘については、国民的な議論を更に積み重ねることが必要と考えております。
 最後に、介護福祉士についてのお尋ねがありました。
 平成二十七年四月を予定していた介護福祉士の資格取得方法の見直しについては、養成施設入学者の減少をもたらすのではないか、介護現場で働く者に過重な負担を課すものではないかという懸念の声があることを踏まえ、幅広い観点から介護人材確保に向けた方策を早急に検討することと併せて、施行を一年間延期することとしたものであります。
 また、介護分野を技能実習制度の対象とすることにつきましては、本制度の趣旨が技能移転であることを踏まえつつ、現状のEPAによる受入れとの対比や日本語要件など、介護分野特有の観点を踏まえて議論をすることが必要であると考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣新藤義孝君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(新藤義孝君) 足立議員から、国家戦略特区内での医療の規制緩和についてのお尋ねをいただきました。
 臨床研究中核病院は、国家戦略特区内に二つ、特区外に八つ、早期・探索的臨床試験拠点は五つ全てが特区内にございます。
 国家戦略特区内では、病床規制の特例による病床の新設・増床の容認、二国間協定に基づく外国医師の人数枠の拡大等、保険外併用療養の拡充といった規制の特例措置を活用することができます。
 これらの規制の特例措置は、国家戦略特区外においては適用されません。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#14
○議長(山崎正昭君) 秋野公造君。
   〔秋野公造君登壇、拍手〕
#15
○秋野公造君 公明党の秋野公造です。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案について質問をいたします。
 急速な高齢化の進展を見据えて、医療、介護を一体的に捉え、住み慣れた地域での継続的な国民の生活を支えるための内容を一括した法律案として提出されたことは、地域包括ケアシステムの実現を推進してきた公明党としても極めて意義のあることと考えます。
 まず、病床の機能分化、連携について厚生労働大臣に三点お伺いをします。
 第一に、今回の改正では、病床機能報告制度により、都道府県内の二次医療圏ごとに必要な医療の量を定める地域医療構想が策定され、病床の過剰、過疎の調整がなされますが、産婦人科・小児科医不足など、診療科も含めた偏在解消についてどのように対応されるのか。その上で、第一次から第三次の救急病床やICUが病床機能報告制度や地域医療構想においてどのように位置付けられるのか、お伺いをします。
 第二に、精神科受診数が増加をしています。診療所を受診する患者にとって、その医療にアクセスすることができない夜間、休日、また急変時の救急体制整備は重要であります。各都道府県においても、精神科救急の相談窓口や情報センター設置の推進など、今なお取組は継続しておりますが、今回の法改正と精神科救急医療体制の強化が今後どのような方向性で展開をしていくのか、お伺いをいたします。
 第三に、都道府県境などにおける地域医療はこれまで社会保険病院なども担い、国の関与を高く評価すべきと考えますが、こうした都道府県境を越えた医療ニーズをどのように評価した上で医療提供体制の整備に取り組むお考えなのか、以上三点お伺いをします。
 次に、在宅医療についてお伺いします。
 第一に、各地域にふさわしいバランスの取れた医療機能の分化と連携を推進するとされていますが、施設で提供する医療と比較して限定的となる在宅医療にとっては、患者の容体が急変した場合や臓器別の専門医及び急性期医療との連結については、不要な混乱を招かない意味でも整理しておく必要があると思います。
 第二に、例えば主に国立病院等で対応するとされてきた筋ジストロフィー患者を始め神経筋疾患患者の在宅療養が可能となってきました。在宅の筋ジストロフィー患者が用いる人工呼吸器の電源確保は、公明党の推進で都道府県の医療計画に位置付けられましたが、今後、地域医療構想を策定する中で、その他、在宅の筋ジストロフィー患者が地域で暮らし続ける推進策をどのように考えているのか、以上二点について厚生労働大臣の見解をお伺いします。
 次に、地域包括ケアシステムの前提である高齢者の住まいの確保について総理にお伺いをします。
 在宅介護が推進される中で、独居の高齢者や、徘回などの症状を示す認知症の患者についても在宅介護は優先されるのでしょうか。個別の事情に配慮が必要で、一律の在宅介護優先には無理があると考えます。
 また、都市部においては在宅サービスを提供できる事業者も多く、住まいを確保した上でサービスを選択し、生活の継続はより可能でしょう。しかし、地方においては在宅サービス事業者さえ存在せず、場合によっては施設を中心としたサービスの方がサービスの質を図る面でも経済的にも効率的な場合があることに留意すべきであります。都市、地方の差なく在宅が一律に推進されるのか、以上二点について総理の見解をお伺いします。
 そもそも、在宅への移行は住まいの確保が大前提となります。公明党は、サービス付き高齢者向け住宅の創設など、安心した住まいの確保は福祉の要として福祉政策に取り組んでまいりました。それでも、住まいを確保することさえ困難な方々も忘れてはなりません。資力がなく、国民年金だけで暮らさなくてはならない方でも入居可能なサービス付き高齢者向け住宅の必要性を提案し、これまで、鹿児島県日置市、いちき串木野市に独自の家賃減免制度により低所得者の入居を可能とした住宅もオープンをしました。
 このような先進的な取組を普及させるべきであり、命をつなぐ透析等、医療・介護サービスの多様なニーズを意識したサービス付き高齢者向け住宅の整備を引き続き促進すべきと考えます。
 さらに、UR等の公的賃貸住宅団地は、今後、建て替えに当たっては、医療・介護施設等をあらかじめ誘致して地域包括ケアシステムの構築に資するよう再生すべきと考えますが、以上二点について総理の見解をお伺いします。
 今後、サービス付き高齢者向け住宅の入居者の要介護度が重度化していくことも予想されます。特別養護老人ホームが重度化した方を対象とするように、サービス付き高齢者向け住宅においても、たとえ重度化しても安心して住み続けられるよう、特定施設入居者生活介護を組み合わせ、介護サービスが継続的に受けられる仕組みも推進すべきことと考えます。必要なら、施設系サービスが効率的なことがあることも踏まえ、参酌標準基準を撤廃した見直しも検討してはどうでしょうか。厚生労働大臣の見解をお伺いします。
 また、高齢化の進展により、二〇二五年に必要な介護職員数は約二百五十万人と推計され、今後百万人規模で増加をさせる必要があります。介護人材の確保のために、処遇改善に更に取り組まなくてはなりませんが、その前に、三Kといったイメージが付きまとい、介護職員の誇りが傷つけられている現状は極めて遺憾であります。介護は尊い仕事であり、職員は誇りを持って働いています。社会全体で介護職の正しいイメージを持つための普及啓発を展開すべきと考えます。
 さらに、子供の頃から高齢者に触れ合って、年を積み重ねることの誇り、人との関わりの温かさ、相手のことを思う気持ちが養われることにより、介護は尊い行いであると感じてもらうことが必要です。介護の仕事の重要性や魅力を伝えていくために、今こそ介護を義務教育の中で明確に位置付けることを提案いたしますが、総理の見解をお伺いします。
 持続可能な社会保障制度を維持するためには、制度へのアクセスを抑制するよりも、制度を使わなくて済む健康な人を増やすことが重要であり、中でも予防が重要であります。
 公明党は、胃がんを予防するために胃がんの原因であるピロリ菌の除菌の薬事承認と保険適用を提案し、昨年の二月に実現をしました。この医療費削減効果は三千億円との試算があります。自民党、公明党の推進で実現をした成人用肺炎球菌ワクチンの定期接種化により五千百二十億円の医療費削減効果が示されています。
 さらに、今や国民の中で一割が中等症以上で罹患しているとも言われる睡眠時無呼吸症候群の治療は生活習慣病の予防につながります。健康な生活につながる予防、早期発見、早期治療を促す仕組みを併せて行わないと、地域医療・介護のニーズは増大するばかりです。総理の見解をお伺いします。
 最後に、医療の安全は国民の誰もが願うところです。法案内にも、医療事故調査制度を創設し、再発防止のために、医療事故と考えられる事案について医療機関による院内調査や、医療機関又は遺族の要請に応じて第三者機関である医療事故調査・支援センターによる調査が行われることを評価します。
 しかしながら、院内調査と第三者機関による調査の報告内容が最終的に異なる場合、患者、また遺族はどちらの結果を信用すればいいのでしょうか。そもそも、再発防止が目的ならば、事故調の結果に医療機関が同意しなければ再発防止にはつながりません。また、事故調が常に正しい判断をすることはどのように担保されるのか。事案によっては訴訟に発展する可能性もあり、医療現場及び患者との関係について不要な混乱を避けるためにも制度の更なる検討が求められますが、総理の見解をお伺いします。
 本法案が我が国の持続可能な社会保障制度の確立につながることを期待します。そして、誰もが制度の谷間に陥ることなく、我が国が世界に誇る医療・介護人材に裏打ちされた制度の恩恵に浴されますよう心から期待し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#16
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 秋野公造議員にお答えをいたします。
 介護サービスの提供に関するお尋ねがありました。
 認知症といった高齢者の状況や地域の実情に応じて適切な介護サービスを提供していく中で、要介護状態になってもできる限り住み慣れた地域で暮らし続けたいという国民のニーズにしっかりと応えていく必要があると考えます。このため、特別養護老人ホームなど必要な施設を整備することはもとより、在宅サービスや認知症高齢者のグループホームなど、多様な介護サービス基盤を整備していくことが重要であり、政府としても地方自治体の取組を支援してまいります。
 高齢者の住まいの確保についてお尋ねがありました。
 サービス付き高齢者向け住宅について、議員から御紹介のあった取組は、今後広がりが期待される先進的で意欲的な事例であると認識しております。高齢者が安心して生活できる住まいの確保は喫緊の課題であり、政府としても、引き続き、医療・介護サービスと連携した住宅の整備を支援するとともに、都市再生機構等の団地の建て替えに当たり医療・介護拠点を整備するなど、地域包括ケアシステムの構築に資する取組を進めてまいります。
 介護職に関する普及啓発についてのお尋ねがありました。
 少子高齢化の下、介護人材の確保は重要な課題であり、今後、多くの方々に介護職を志していただくためにも、介護について社会全体の理解を深めていくことが重要と考えています。
 例えば、義務教育においては、学習指導要領に基づき、児童生徒が高齢者福祉施設を訪問し、介護職の方の話を聞いたり介護の手伝いをしたりするなど、高齢者との交流が図られているところであります。これらの取組などを通じ、介護職の重要性について普及啓発にしっかりと取り組んでまいります。
 疾病予防の重要性についてお尋ねがありました。
 持続可能な社会保障制度を構築するためには、給付の重点化、効率化と併せ、御指摘のとおり疾病予防対策を進めていくことが重要であります。
 政府としては、今後とも、健診の実施や健康づくりに対する支援等を通じ、誰もが健康で長生きできる社会の実現に努めてまいります。
 医療事故調査制度についてお尋ねがありました。
 今回創設する調査制度は、医療機関が医療事故として報告した事例を第三者機関において分析し、医療機関や遺族等へ情報提供することにより、再発防止につなげていくことを目的としています。
 実施に当たっては、調査結果をめぐって御懸念のような混乱が起きないようにするため、ガイドラインの策定や研修等により調査の質を確保していくとともに、第三者機関の調査結果の情報提供に当たっては丁寧な説明を行うよう指導するなど、厚生労働省においてしっかりと対応させてまいります。また、制度の実施状況についても適切に把握し、検証を行ってまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(田村憲久君) 秋野議員から御質問をいただきました。
 まずは、医師の偏在解消と救急病床等の位置付けについてのお尋ねでございます。
 地域医療構想では、必要な医師の確保、養成等の施策についても定めることといたしており、今回の法案で各都道府県に設置する新たな基金を活用しながら、地域の医師確保の支援等を行う地域医療支援センターの取組等を中心に、医師の偏在の解消を図っていきたいと考えております。
 また、救急病床等に関しては、急性期などにおける重要な機能を担う病床であり、各医療機関の現状と今後の機能についての意向を病床機能報告制度で把握しつつ、地域医療構想において必要な救急医療の体制を確保していきたいと考えております。
 次に、精神科救急医療体制の強化についてのお尋ねがありました。
 精神科救急医療については、在宅の精神障害者の症状の急性増悪等に対応できるよう、相談窓口等の設置を進めるとともに、平成二十六年度診療報酬改定において、夜間、休日に救急医療機関が精神障害者の救急受入れを行った場合の評価を新設したところであります。
 今回の法案で新たに設ける財政支援制度では、その対象として、医療従事者等の確保、養成のための事業等を行うことを規定しており、精神科救急医療の体制確保についても、都道府県において関係者と十分に協議を行った上で、地域の実情に応じて活用いただきたいと考えております。
 次に、都道府県境を越えた医療ニーズについてのお尋ねがありました。
 現在、地域の医療提供体制については、都道府県が二次医療圏等を設定した上で医療計画を策定し、計画的に整備を進めております。その際、都道府県は、地理的条件や交通事情等の社会的条件を考慮し、都道府県境を越えた患者の流出入などの実態を踏まえ、二次医療圏の設定や医療提供体制の構築を進めております。
 医療計画の一部として今後作成されることとなる地域医療構想についても、こうした社会的条件等を考慮しながら策定する必要があると考えており、厚生労働省としては、都道府県に対する患者の流出入データの提供などを通じて、地域の実情に応じた医療提供体制の整備が行われるよう技術的な支援を行っていきます。
 次に、在宅療養患者の急変時の対応についてのお尋ねがありました。
 在宅での療養生活を安心して送るためには、患者の急変時においても必要に応じて適切な医療を受けられるよう、事前に医療関係者と介護関係者が相談して、適切に対応が取れるような体制を整備することが重要であります。
 このため、今回の法案においても、医療計画において在宅医療に係る医療連携体制に関する事項の記載を義務付ける、また、市町村が行う介護保険の地域支援事業に在宅医療・介護連携の推進に係る事業を位置付けるなど、医療、介護の連携を深めるとともに、新たな財政支援制度を活用して、各都道府県において、地域の実情を踏まえつつ、在宅患者の急変時の対応に資する医療連携体制の運営も支援できることとしております。
 続きまして、在宅の筋ジストロフィー患者についてのお尋ねがありました。
 本法案では、都道府県は、将来の医療提供体制のあるべき姿を示す地域医療構想を医療計画の一部として策定することとなっており、この中で、患者が住み慣れた地域での生活を継続できるよう、在宅医療についても記載し、その充実に向けた取組を中長期的に進めることとしております。また、本法案では、新たな財政支援制度を設けて、地域の実情に応じて、在宅医療の実施のための都道府県の取組を支援することとしております。
 このような取組を通じて、筋ジストロフィー患者を含め、地域で医療を受けながら生活する方々の療養環境が改善されるよう努めてまいります。
 最後に、サービス付き高齢者向け住宅についてのお尋ねがありました。
 サービス付き高齢者向け住宅において介護保険サービスを受ける場合、外部の事業者に、訪問介護などの居宅サービス、また、在宅事業者自身による特定施設入居者生活介護のいずれかを利用することになります。
 今年の三月末時点では、サービス付き高齢者向け住宅のうち特定施設入居者生活介護の指定を受けているものは四・九%でありますが、このような枠組みを活用することは入居者の重度化への対応として効果的であると考えております。
 このような点も踏まえ、特定施設入居者生活介護については、地域の実情に応じて、地方公共団体が適切にサービス見込み量を定め、市町村の介護保険事業計画や都道府県の介護保険事業支援計画に反映すべきと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(山崎正昭君) 東徹君。
   〔東徹君登壇、拍手〕
#19
○東徹君 日本維新の会・結いの党の東徹です。
 会派を代表して、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案について質問させていただきます。
 まず冒頭に、今回の法案が、そもそも十九本のばらばらな法案を一本にまとめたむちゃなものであるにもかかわらず、衆議院厚生労働委員会において与党によって強行採決されました。そのむちゃな法案が五月二十一日の本会議に出され、その際、議員に配られた文章に誤りがあったため、本会議は混乱し流会となり、その後の審議の予定は大幅に狂うことになりました。これは、十九本もの法案を一本にして出すというむちゃな手法を使うからこのようなことになるのです。二度とこのような手法を使うことはしないと安倍総理にはお約束をいただきたいです。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まず、人口減少と東京一極集中の是正について伺います。
 我が国の総人口は、現在の出生率の水準が続けば、五十年後には約八千七百万人という、現在の三分の二の規模まで減少すると推計されています。今後も、特に若年層の東京への一極集中が続けば、相対的に出生率の低い東京への人口流入により、ますます少子化に拍車が掛かるとともに、地方圏の自治体では行政サービスの提供機能を失い、東京は超高齢化により医療・介護難民があふれ、都市としての活力を失いかねません。
 また、二〇四〇年までに全国の自治体の半数が将来的な消滅の危機にさらされるという将来推計の結果も公表されています。東京一極集中ではなく、東京から地方へと人が流れる仕組みをつくらなければなりません。
 人口減少や東京一極集中の是正の必要性について、どのように認識され、是正されようとするのか、総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、医療制度全体の適正化、効率化について伺います。
 国と地方の長期債務残高は、平成二十六年度末時点で約一千十兆円に及び、対GDP比で二〇〇%を超えるという危機的な状況に至ると見込まれています。その原因の一つである医療や介護など社会保障給付費は、高齢化の進展により、二〇二五年には約百五十兆円と、二〇一二年が約百十兆円であったことと比較すれば、十三年間で約四十兆円も増えると見込まれています。
 全ては次世代のために。財政状況の厳しい我が国において、我々国会議員は、次世代に対する責任を果たすためにも、借金を先送りするのではなくて、将来にわたって持続可能な社会保障制度を構築しなければなりません。
 そのために、医療分野では、病床の機能分担による過剰供給部分の抑制や市販類医薬品の保険外適用除外など、受益と負担の均衡を図り、医療制度全体の適正化、効率化を進めることが必要と考えますが、これをどのように進めていくのか、総理の御見解を伺います。
 医療分野における規制改革について伺います。
 政府の規制改革会議では、客観的に判断して安全な治療法で、医師と患者が同意すれば混合診療の対象とする選択療養制度が提唱されました。この選択療養制度は、いわゆる難病など困難な病気と闘う患者の治療の選択肢を増やし、また患者の経済的負担の軽減に資することから、一歩前進であると評価できますが、一方で、これに反対する団体も多くあるように聞いています。
 医療分野などの岩盤規制に対して自らドリルとなると表明された安倍総理に、選択療養制度の導入を含め、医療分野における規制改革に向けた御決意を伺います。
 短期集中特別訓練事業に係る不正入札事案について伺います。
 本件では、多数の厚生労働省のOBや現役出向者が在籍する独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に対して、厚生労働省の担当者による多数の不適切な行為が確認されております。
 本件は、厚生労働省、機構、中央職業能力開発協会、この三者の間の身内意識が原因で生じたものと言えます。本件によって失われた国民の信頼を回復するためには、このような身内意識を一掃する必要があり、独立行政法人改革等に関する基本的な方針を定めた昨年十二月二十四日閣議決定に基づき、この機構について独立行政法人として存続させる必要があるかを検証すべきであります。
 過去には、都道府県に基金を造成し、都道府県が地域の実情に応じて職業訓練事業等を実施した例もあることから、本件においても、事業の実施を都道府県に委ねた上、この機構を廃止するなど抜本的な改革を行うべきと考えますが、総理の御見解をお伺いします。
 医療法人の計算書類の公開について伺います。
 日本維新の会は、衆議院において、本法案に関する修正案を提出いたしました。この中で、特に医療法人については、他の法人制度では当然の義務とされている貸借対照表や収支計算書等の計算書類の公告が義務付けられておらず、これが医療法人徳洲会グループ事件の原因の一つではないでしょうか。
 医療が多くの国民負担により支えられていることから、納税者である国民に必要な情報を提供するため、医療法人の計算書類の公開を早期に義務付けるべきではないでしょうか。総理の御見解をお伺いします。
 介護人材の確保について伺います。
 高齢化の進展に伴って、介護需要はますます増加していきます。団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年には、六十五歳以上の高齢者がほぼ三分の一の三千六百五十七万人に及ぶと推計されております。この年、介護職員は約二百四十万人程度、現在の一・五倍以上の職員数が必要となると推計されています。少子化等により労働力人口の減少が進んでいることから、何も手を打たなければ、現状でも不足している介護人材の確保は非常に困難な状況が続くと予想されます。
 今回の法律改正では、現行制度を一年延長するだけのものであり、介護の仕事に夢や誇りを持てるようなものではありません。専門性の高い介護の質を維持しながらも介護の仕事に夢と誇りを持てるような介護人材の確保にどのように取り組むか、厚生労働大臣の御見解を伺います。
 次に、医療事故に係る調査の仕組みについて質問いたします。
 今回の法案では、医療機関は、死亡又は死産など一定の医療事故が発生した場合、民間の第三者機関に報告し、この機関が調査の上報告することとなっています。調査の信頼性や公平性を確保するため、また、今後の医療事故の再発防止につなげるため、適切に情報提供を行うためには、この第三者機関が行う調査に一定程度厚生労働省や都道府県など行政機関が関わるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、この仕組みは、高度急性期から在宅医療・介護まで、一連のサービスを地域において確保することとは全く違った観点のものであり、医療現場や患者、遺族への影響、司法との関係など、多くの論点が含まれております。せめてこの仕組みぐらいは別個に審議すべきと考えますが、いかがでしょうか。厚生労働大臣の御見解を伺います。
 厚生労働委員会での審議の進め方について伺います。
 今回の法案では、都道府県による地域医療構想の策定や、医療事故に関する調査報告に関する制度など、十分に審議を行う必要のある内容が多数含まれております。しかしながら、衆議院厚生労働委員会では、少し内容に踏み込んだ質問に対して、法律成立後にガイドラインで決めることになっているとの答弁が目立ちます。
 委員会において法律案を審議する際に、細かな点まで全て決まっていないと審議できないというものではありません。しかし、法律を制定することによって形作られる新たな仕組みが国民に対してどのような影響を持つかといった法案の基本的な内容については、十分に審議を行い、その適正性や効率性などを検討しなければなりません。少なくとも、ガイドラインの案を示していただくなど対応が必要と考えますが、この点について厚生労働大臣の御見解を伺います。
 先ほども述べましたが、本法案には必ずしも一度に審議する必要のない内容も含まれておりますが、一つ一つの中身を見れば、将来の医療・介護制度の方向性を決める極めて重要なものばかりであります。与党の皆様におかれましても、何でも一本化して審議するような手法をただ許すのではなく、与党は単なる役所の追認機関とやゆされることのないよう、しっかりと審議していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#20
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 東徹議員にお答えをいたします。
 本法案の提出の在り方についてお尋ねがありました。
 急速な少子高齢化の下で、地域で安心して医療や介護サービスを受けられるようにするためには、急性期の医療から在宅医療・介護まで、一連のサービスを総合的に整備することが必要です。
 今回の法案は、こうした観点から、患者の状態に応じた適切な医療が提供されるよう医療提供体制の見直しを行うとともに、介護が必要となっても住み慣れた地域での暮らしを継続できる体制を整備することとしており、医療、介護の双方のサービスを対象とする新たな財政支援制度を設けるなどの取組を行うこととしています。
 これらは、二〇二五年を見据えた医療、介護の基盤整備を図るために必要な内容であると考えております。いずれにいたしましても、社会保障改革の実施に当たっては、政府として丁寧に御説明をしていきたいと考えています。
 人口減少や東京一極集中についてお尋ねがありました。
 人口減少は我が国経済や地域社会に様々な影響を与えることから、喫緊に対策に取り組まなければならないと考えており、また、過剰な東京一極集中を回避していくことも大変重要な課題であります。このため、政府としては、待機児童解消や地域の子育て支援の充実を図るとともに、地域の産業施策と連携して雇用創出や観光振興等を図ることにより、地域の魅力を高め、若者が仕事を得て住み続けられる地域社会を実現していくなど、しっかりと取り組んでまいります。
 医療制度の適正化、効率化についてのお尋ねがありました。
 少子高齢化の下、持続可能な医療制度としていくためには、制度の効率化、適正化は重要な課題であり、政府としては、これまでも後発医薬品の使用促進や生活習慣病予防の推進などにより医療費の適正化等を進めてきたところであります。
 あわせて、今回の法案では、都道府県が策定する地域医療構想に基づき、地域の医療ニーズに応じた医療提供体制を整備していくこととしており、今後、効率的な医療提供を通じた医療費適正化にも取り組んでまいります。
 御指摘の市販類似薬の保険適用からの除外については、国民皆保険の下、必要な医療は適切に提供しつつ、受益と負担の均衡にも配慮して適切に対応してまいります。
 医療分野の規制改革についてお尋ねがありました。
 先端的な医療を迅速に受けられるよう、保険の対象となっていない医療技術等について、安全性、有効性が確認されれば保険診療と併用できる制度があります。この仕組みについては、昨年、抗がん剤について、より迅速に審査が行われるよう見直しをしたところであります。
 他方、規制改革会議においては、困難な病気と闘う患者が希望する治療の選択肢を拡大できるようにする新たな仕組みの創設について意見が取りまとめられたところです。今後、困難な病気と闘う患者が未承認の医薬品等を迅速に使用できるようにする等の観点から、保険外併用療養費制度の更なる改革について検討してまいります。
 こうした取組も含め、成長戦略を迅速かつ確実に実施していくためには、医療の分野でも適切な規制の見直しやイノベーションを促進していくことが重要です。今後とも、幅広い分野の岩盤規制に検討を加えて、規制改革の突破口を開いていきます。
 短期集中特別訓練事業の実施の在り方についてお尋ねがありました。
 御指摘の事業の入札手続をめぐる不適切事案については、徹底的な調査を踏まえ、厚生労働省において関係職員の処分等を行ったと承知しています。また、この事業を含め、職業能力開発行政全般の今後の在り方について、厚生労働大臣の指示の下、検討が行われると承知しており、その検討結果を踏まえ必要な改革が行われるものと考えています。
 医療法人の計算書類の公開についてお尋ねがありました。
 国民皆保険の下で医業経営を行う医療法人について、経営の透明性を高めていくことは重要な課題であると認識しています。医療法人の財務諸表については、現在でも一定の情報公開はなされているところです。御指摘の公告の義務付けなど、更なる情報公開については、医療現場の意見集約等を含め、今後、厚生労働省において検討されるものと考えています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(田村憲久君) 東議員から御質問をいただきました。
 まずは、介護人材の確保についてのお尋ねでございます。
 介護職の方々が夢や誇りを感じられる環境を整備していくことは、より多くの方々が介護に従事し、職場への定着を図る上で重要と考えており、これまで、介護職のイメージアップによる若年層へのアピール等の参入促進、キャリアパスの確立等の資質の向上、処遇改善や労働環境の改善等の環境改善などを一体的に進めてきたところであります。
 今後は、今月の四日に福祉人材確保対策検討会を立ち上げ、介護人材確保対策について早急に一定の方向性を示すとともに、平成二十七年度の介護報酬改定に向けて、財源を確保しつつ、更なる処遇改善を進めること等により、社会全体で介護人材を確保するという観点に立って全力で取り組んでまいります。
 次に、医療事故調査における行政機関の関与についてのお尋ねがございました。
 今回の法案では、制度の検討段階において、医療機関が医療事故の届出や調査報告を行う第三者機関は民間であることが望ましく、かつ、第三者機関から行政機関等への通報は行わないことで関係者の合意が得られたものであり、個別の調査に行政は関与しない仕組みといたしております。
 一方、御指摘の調査の信頼性や公平性の確保、再発防止に適切につなげるための情報提供はいずれも重要な課題であり、医学医術に関する学術団体等からの支援やガイドラインの策定などにより調査の質を確保すること、また、医療事故調査・支援センターにおいて事例を積み重ねて、適切に再発防止に係る普及啓発を行うことなどについて必要な検討を進めていきます。
 続きまして、医療事故調査制度の審議の在り方についてのお尋ねがありました。
 今回、医療法の改正により医療事故調査制度を創設することとしていますが、この制度は、医療事故が発生した全ての医療機関において医療事故調査が実施され、再発防止に向けた取組が促進されること、医療事故調査の結果を遺族に説明することにより医療に対する信頼が高まること、医療従事者が安心して医療を提供できる環境の整備が促進され、医療従事者の確保につながることなどにより、必要な医療の確保や質の向上に資するものと考えております。
 こうした観点から、本制度をこの法律案の一部として提出したものであり、御理解をお願いいたしたいと存じます。
 最後に、充実した法案審議についてのお尋ねがありました。
 地域医療構想や医療事故調査制度等の枠組みやその内容については、今回の法案の規定や関係資料においてお示ししているところであります。一方、地域医療構想の策定や医療事故調査制度等に関する手続の詳細な内容については、今後、関係者の意見も十分にお伺いしながら、ガイドラインにおいて具体的に定めることといたしております。このため、現時点でその案を示すことは困難でありますが、主要な課題やその基本的な考え方については審議の中でできる限り説明してきたところであり、今後とも丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#22
○議長(山崎正昭君) 薬師寺みちよ君。
   〔薬師寺みちよ君登壇、拍手〕
#23
○薬師寺みちよ君 みんなの党の薬師寺みちよでございます。
 私は、みんなの党を代表いたしまして、ただいま議題となりました地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案について質問させていただきます。
 まず、総理にお尋ねいたします。
 本法案は、医療、介護に加え、特定行為に係る看護師の研修制度や医療事故調の創設など、十九本の法改正を一括した極めて乱暴な総合法案であります。
 増税前に新たな医療・介護提供体制のメニューも示さず、本年四月より国民に増税を強いたことや、衆議院においては、議論も尽くさず、拙速に強行採決を行った国会軽視の姿勢を猛省すべきです。良識の府である参議院においては、より一層丁寧な審議を行うことをお約束いただけますでしょうか。
 次に、医療制度改革について総理に伺います。
 我が国の医療制度は、フリーアクセス、開業自由の原則、出来高払という特徴を有し、国際的にも優れた制度として評価を受けてまいりました。一方で、医療を取り巻く環境が激変する中、ファイナンスとデリバリーの両面において抜本的な改革の必要性が高まっております。
 しかし、本法案では、開業自由の原則やフリーアクセスについての見直しが行われず、医療財政の改革も先延ばしとされてしまいました。本法案を医療制度改革の第一の矢と考えるのであれば、第二、第三の矢は放たれるのでしょうか。
 さらに、日本人の平均寿命、健康寿命は世界でトップクラスであるが、医療費のGDP比率が九・六%と先進国の中で極めて低いことから、現行の医療制度の抜本的な改革は不要ではないかという見解が医療界に少なからずございます。しかし、医療費が相対的に低い水準に抑制されているのは、日本人の生活・教育水準の向上と公衆衛生の改善が相まった結果であると分析されております。
 高齢化で医療費が更に増える前に、必要な改革を断行しなければなりません。医療制度改革には長い時間を要します。診療報酬の一律的な引下げなど官僚統制的な手法ではなく、患者の視点からの医療サービスの合理化を通じて医療費の適正化を図ることが求められております。医療費適正化に対する総理の御所見を伺います。
 総理は、東日本大震災の救援にアメリカから駆け付け、日本の医師団からも高い評価を受けたなでしこジャパン支援隊の存在を御存じでいらっしゃいますでしょうか。支援隊のメンバーは、アメリカでは臨床医と看護師の中間職種と位置付けられたナースプラクティショナーやフィジシャンアシスタントによって構成されました。高い医療教育レベルを誇る中間職種は、多くの国々でチーム医療には欠かせない存在となっております。
 日本でも、二〇〇八年に大分県立看護科学大学大学院でナースプラクティショナーの養成が始まり、現在では全国で七校を数えるまでになりました。
 本法案でも、一定の診療の補助を行う看護師を養成するため、特定行為に係る研修制度を創設することとなっておりますが、資格化されず、研修も義務付けられてはおりません。医師に求められる知識や技術のレベルはとどまるところを知りません。医療の更なる安全確保のためにも、これまで医師にしか許されてこなかった医療行為が看護師やその他の職種へと広がっていくことは当然の流れです。
 今後、特定行為に係る研修制度の創設を足掛かりに、中間職種を創設し、日本においても良質なチーム医療を推進する必要性が高まっております。中間職種の必要性について総理の御見解を伺います。
 都立広尾病院事件から十五年がたち、公的な医療事故調査の第三者機関設立を求める運動も紆余曲折を経てようやく本法案に盛り込まれることとなりました。
 この事件の刑事、民事の訴訟で一貫して問われたことは、病院側の隠蔽体質でした。本来、医療事故調査が果たすべき役割は、医療事故の原因を究明し、遺族への説明責任を果たすとともに、再発防止に取り組むことだと考えられます。しかし、本法案における医療事故に係る調査の仕組みでは、病院の自己防衛に偏った仕組みになっていることが懸念されております。
 平成二十四年の診療報酬改定で患者サポート体制充実加算が新設され、患者、遺族側と医療者側の対話を橋渡しをする医療対話推進者の養成が進んでおります。しかしながら、現在の養成課程では、本来の対話を促進するという趣旨から外れ、紛争解決に重きを置いた内容となっております。
 医療事故に真摯に向き合い、紛争ありきの病院対応が前提ではなく、遺族と医療者や医療対話推進者が連携を図り、原因究明、再発防止に取り組むべきです。今回の医療事故に係る調査の仕組みに対する総理のお考えをお聞かせください。
 さらに、医療事故に係る調査の仕組みを創設しても問題は残ります。
 現場の勤務医が考える医療過誤の四大原因は、医師の負担増、時間の不足、スタッフの不足、過剰業務による疲労なのです。医療安全を論じるのであれば、まず、勤務医の過重労働を改善すべきではないでしょうか。
 当直を担う勤務医の八割は三十二時間以上の連続勤務を強いられ、交代制勤務に就く看護職の二十三人に一人が月六十時間を超える超過勤務を行っている、これが医療現場の実態です。飲酒に例えれば、連続勤務十七時間後には酩酊状態に値することも分かっております。私は、このような状態の医師や看護師に医療安全を求めること自体に矛盾を感じます。医師や看護師の多くが過労死の認定水準を超えて勤務をしている医療現場に対する総理の御認識を伺います。
 また、近年、医師の地域偏在が深刻化し、医療過疎地域においては診療所や病院が閉鎖され、医療へのアクセスが阻害されようとしております。既に地域医療や産業保健を担う医師の不足は深刻ですが、医療の産業化に伴い、今後更に基礎分野における医師のニーズも高まります。二〇二五年には女性医師の割合は三分の一を占め、子育て期にはフルタイムで勤務できない現実とも向き合っていかなければなりません。
 しかし、医師不足は今に始まったことではありません。一九八二年に医師抑制策を打ち出し、二〇〇八年に医学部定員削減が見直されるまでの間、厚労省は医師過剰を報告し続け、医師不足はなく、偏在しているだけだという見解に終始してまいりました。その結果が医師不足の現実です。現場の疲弊は政策的ミスから生じたものと言わざるを得ません。
 現在、医学部の入学定員を増員をしているため、二〇二五年までに必要数が確保できるとの将来予測は、医師の過労死水準に達する労働環境の改善や、年齢や性別を加味した上で十分な検討がなされているのでしょうか。総理の御答弁を求めます。
 総理、本法案は、女性の活躍にも大きく影響していることを御認識いただいていますでしょうか。少子高齢化社会において、女性は三重苦を背負わされることになります。第一に、生産年齢人口の減少に伴う代替労働力として働かなければなりません。第二に、子育て支援も手薄な中で、子供を産み、仕事も継続しなければなりません。第三に、いまだ介護は女性が担うものという考え方が蔓延し、介護離職を余儀なくされております。
 本法案でも、医療から介護へ、病院、施設から地域、在宅への流れを推進するため、地域包括ケアシステムを構築することとなっております。このことにより、更に女性の社会進出が妨げられることも想定されます。今回の法案は、女性の活躍を妨げないような制度設計となっているのでしょうか。総理の御答弁を求めます。
 医療、介護の問題を議論をしていくと、家族、地域社会、死という日本社会が最も軽んじてきた問題に直面いたします。医療費削減や小手先の制度改正を超えて国民的な議論が必要であることを申し添え、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#24
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 薬師寺みちよ議員にお答えをいたします。
 本法案の構成、提出や審議の在り方についてのお尋ねがありました。
 急速な少子高齢化の下で、地域で安心して医療や介護サービスを受けられるようにするためには、急性期の医療から在宅医療・介護まで、一連のサービスを総合的に整備することが必要であります。
 今回の法案は、こうした観点から、患者の状態に応じた適切な医療が提供されるよう医療提供体制の見直しを行うとともに、介護が必要となっても住み慣れた地域での暮らしを継続できる体制を整備することとしており、医療、介護の双方のサービスを対象とする新たな財政支援制度を設けるなどの取組を行うこととしております。
 これらは、二〇二五年を見据えた医療、介護の基盤整備を図るためにいずれも必要な内容であり、早期の法案成立に向け、政府として丁寧に説明したいと考えています。
 医療制度改革についてお尋ねがありました。
 我が国の医療において、フリーアクセスや医師の自由開業制度については、今後も守っていくべきものと考えております。一方で、効率的な医療提供の観点も重要であり、今回の法案においても、病床の機能分化、連携を推進すると同時に、かかりつけ医の普及や外来医療の機能分化に向けた取組を進めることとしています。
 プログラム法では、医療保険制度についても、今後、財政基盤の安定化や保険料に関する負担の公平性の確保等の観点から検討を行うことを明らかにしており、これを受け、平成二十七年の通常国会への法案提出に向け、改革を進めてまいります。
 医療費の適正化についてお尋ねがありました。
 医療保険制度を持続可能なものにするためには、高齢化の進展等に伴い増大する医療費の適正化に向けて不断の取組を行っていく必要があると考えています。
 今回の法案では、都道府県が策定する地域医療構想に基づき、地域の医療ニーズに応じた医療提供体制を整備していくこととしており、今後、効率的な医療提供を通じた医療費適正化にも取り組んでまいります。また、患者の視点に立った医療費の適正化としては、後発医薬品の使用や生活習慣病予防などを推進してまいります。
 医療における新たな職種の創設についてのお尋ねがありました。
 医療の高度化等に伴い、質の高い医療を効率的に提供していくためには、多種多様な医療に関係する専門職がそれぞれの専門性を生かし、互いに連携、補完していくことが必要であると考えます。
 このため、今回の法案においては、医師等の指示を前提として、医療の安全性を確保しつつ、看護師などの業務の範囲を広げることとしています。御指摘のような新たな職種の創設については、我が国の医療従事者の教育体系の在り方等にも関わるものであり、まずは、今回創設する研修制度を活用することにより、医療現場でのチーム医療を推進してまいります。
 医療事故調査制度についてお尋ねがありました。
 医療事故の再発防止のためには、医療機関が問題意識を持ってしっかりと対応していくことが重要と考えます。
 こうした観点から、今回創設する制度は、医療機関が医療事故として報告した事例を第三者機関において分析し、医療機関や遺族等へ情報提供することにより、再発防止につなげていくことを目的としています。こうした調査報告を契機として、医療機関の現場での意識が高まり、医療事故の再発防止に向けた取組が進むことを期待しています。
 医師や看護師の勤務環境についてお尋ねがありました。
 勤務医や看護師等は、夜勤、交代制勤務などの厳しい勤務環境にあり、医療事故の防止や医療の質の向上の観点からも、医療従事者の勤務環境の改善は重要な課題と考えています。
 こうしたことから、今回の法案では、各医療機関が勤務環境改善のための計画を作成するとともに、こうした取組を総合的、専門的に支援する体制を都道府県ごとに整備することとしています。医療従事者の勤務環境の改善に向け、しっかりと取り組んでまいります。
 医師の必要数についてお尋ねがありました。
 医師の確保については、平成二十年度から医学部入学定員を増員しており、平成二十六年度定員は過去最大の九千六十九人としました。将来必要な医師の数については、今後、医療の高度化、女性医師の増加、病院勤務医の負担増など、最近の医療を取り巻く環境の変化等を踏まえ、厚生労働省において検討が行われると考えています。
 今回の法案と女性の社会進出の関係についてお尋ねがありました。
 今回の法案においては、在宅医療・介護連携や認知症施策の推進、新たな財政支援制度による医療・介護提供体制の整備の促進などの施策を通じて、在宅での医療・介護サービスを充実することとしております。このような改革により介護等の家庭の負担軽減が図られるものと考えており、女性の社会進出を妨げるものではありません。(拍手)
    ─────────────
#25
○議長(山崎正昭君) 小池晃君。
   〔小池晃君登壇、拍手〕
#26
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、医療・介護の総合的確保を推進する法案について質問をします。
 政府が強行した消費税の増税は、国民の暮らしに重くのしかかっています。総理は、今回の増税を社会保障のためと言いますが、本法案に盛り込まれている新施策のうち、消費税増税分を充てるのは一体どれだけあるのでしょうか。
 衆議院での審議で、政府は、消費税増収分五兆円のうち介護の充実に充てる額は僅か四十億円と答弁しました。子育て支援などを含めても、社会保障の充実に充てるのは消費税増収分の一割程度にすぎず、その一方で、本法案のように大規模な給付減と負担増が狙われています。増税は社会保障のためというごまかしはもうやめるべきではありませんか。
 総理は、衆院での審議で、日本の社会保障の現状を世界に冠たるものと述べました。しかし、日本の社会保障費は、対GDP比でドイツやフランスの七割程度という水準です。地域医療の崩壊が叫ばれ、五十万人を超える介護難民が生まれ、国民年金の平均受給額は月四万円台です。この現実の一体どこが世界に冠たるものと言えるのでしょうか。
 総理は、国民皆保険を世界に誇れる制度とも言いますが、国民と医療従事者の努力で守られてきたこの制度を、窓口負担を毎年のように引き上げ、百四十万世帯以上から正規の国民健康保険証を取り上げ、根底から脅かしているではありませんか。本法案は、負担増にとどまらず、介護保険給付の対象を制限し、病院のベッド削減を強制的に進めるものであり、その結果、多くの国民を公的保険による医療・介護サービスから排除することになるのではありませんか。
 以上、安倍総理の答弁を求めます。
 さらに、法案の具体的な内容に即して質問します。
 第一に、法案が、要支援者への訪問・通所介護を保険給付から外し、市町村の地域支援事業に置き換えるとしていることであります。
 厚生労働大臣は、地域支援事業に変わっても適切なサービスが維持されると繰り返しています。しかし、今回の制度改変により、現行制度なら五から六%の伸びで推移していく要支援者の給付費を、今後は三から四%の伸びに抑え込むため、総予算の圧縮、サービス単価や人件費の切下げ、利用者の負担増を想定しています。給付費削減の目標を公然と掲げながら、サービスを維持、改善するかのように説明するのは、明らかな欺瞞ではないでしょうか。
 本法案には、各地の自治体当局からも次々と懸念の声が上がっています。中央社会保障推進協議会のアンケートに回答した五百十五自治体のうち、三割以上が新事業への対応は不可能と回答しています。全国二百十の地方議会で法案に異議を唱える意見書が採択され、そこには、市町村には受皿はなくサービスに地域格差が生じる、要支援者の重症化が進み保険財政を圧迫する、介護の社会化に逆行するなどの声があふれています。
 新事業の担い手とされる自治体からこれだけ反発が出ているという一点を取っても、本法案は撤回し、一から見直すべきではありませんか。厚労大臣の答弁を求めます。
 第二に、法案が、特養老人ホームへの入所を原則として要介護三以上に限定するとしていることであります。特養待機者は現在五十二万人、うち十七万八千人は要介護一と二です。これらの人の入所の道が閉ざされようとしているのです。
 この間、特養待機者が激増している根本的な原因には、高齢者の貧困の拡大があります。厚労省の調査でも、年金受給者の四八%は年額百万円以下の低年金者です。こうした方々が要介護状態となったとき、費用の心配なく入居できる施設は特養しかありません。
 ところが、政府は、特養の整備、増設を抑制し、有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅など、低所得者が利用できない、利用しにくい施設の整備ばかり推進してまいりました。そうした中で、行き場のない高齢者が、劣悪な条件のお泊まりデイサービスや簡易宿泊所を漂流するなどの事態が広がっています。長年御苦労を重ねてきた高齢者の人生の終末期に、こんな悲惨な暮らししか提供できない、そんな国でいいのでしょうか。
 特養入所を要介護三以上に限定すれば、大量の高齢者が、今度は待機者にもなれないまま放置されることになってしまいます。安倍総理、こんな改悪は直ちにやめ、特養の抜本的増設へ国がかじを切るべきではないでしょうか。
 第三に、法案は、利用料の二割負担の導入、低収入で介護施設に入所する人に対する補足給付の縮小など、在宅でも施設でも、利用料の大幅な負担増を盛り込んでいることであります。
 政府が検討する二割負担導入のラインは、医療保険の現役並み所得者の所得水準よりもはるかに低いもので、高齢者全体の二割に及びます。到底、高額所得者と呼べる方々ばかりではありません。要介護の高齢者は、定率の利用料のほかにも、医療費の窓口負担や通院費、ショートステイの食費、おむつ代など、様々な自己負担を強いられています。年金削減の被害も直撃しています。
 厚労大臣には、介護利用料の負担増が、サービス利用の抑制を引き起こし、重症化をもたらし、更なる介護保険財政の悪化を招くという認識はないのですか。はっきりお答えいただきたい。
 第四に、法案には、都道府県主導で病床の再編、削減を推進する仕組みが盛り込まれています。衆議院で参考人として陳述した日本医師会の中川俊男副会長は、都道府県が病床計画を持つことには賛成しつつ、決して強権的なペナルティーを発動することがないよう要請されました。
 ところが、我が党議員の質問に対し、厚労省は、都道府県の病床計画に病院が従わない場合、医療機関名の公表、各種補助金や融資対象からの除外などの制裁措置をとるとし、懐に武器を忍ばせていると答弁しました。
 まさに、医療機関に脅しを掛け、いざというときには強権を発動することの宣言であり、その結果、国民が医療機関を選択する権利を奪うことになるのではありませんか。日本の医療制度の根本原則であるフリーアクセスに対する重大な挑戦ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 本法案には、ほかにも、医療事故調査組織の創設、看護師による特定医行為など様々な制度改変が盛り込まれています。これらは、本来なら別々の法案として、十分な時間を掛けて慎重に審議すべきものであります。十九本もの法案を一括して提出したことは、国会の審議権を奪うものだと言わざるを得ません。参議院では、各会派が法案に対する賛否を超えて、徹底的な審議を行うことを求めるものであります。
 総理は、この間、社会保障の基本理念として、自助自立と家族の支え、地域の助け合いを強調してきました。しかし、憲法二十五条は生存権を保障し、社会保障増進の責務は国にあると定めています。
 社会保障の基本は自助自立でなく、公的責任なのではありませんか。それが世界人権宣言などにうたわれている世界の社会保障制度の根幹を成す理念なのではありませんか。総理にはそういう基本的認識はあるのでしょうか。明確な答弁を求めます。
 要支援者を介護保険の枠外に追いやり、要介護一、二を特養から排除し、入院患者を病院から追い出して家族や地域に押し付けようとする本法案の内容は、憲法二十五条で定められた社会保障に対する国の責任を投げ捨てるものにほかなりません。
 日本共産党は、社会保障の充実、応能負担の原則に立った税・財政の改革、国民の所得を増やす経済改革を一体に行うという抜本的対案を掲げています。日本の医療、介護の危機を一層深刻にする本法案は廃案とし、社会保障、財政、経済の未来を切り開く真の改革の実現のために奮闘する決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#27
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小池晃議員にお答えいたします。
 消費税率の引上げと社会保障の充実についてお尋ねがありました。
 消費税率引上げによる税収は、全額、社会保障の充実と安定化に充てます。社会保障の充実に向ける金額は、消費税収の増加に応じて段階的に拡大していくこととしており、三%引上げ分については、平成二十七年度には一・三五兆円程度を向け、介護サービスの充実を含め、更なる社会保障の充実に活用します。
 急速な少子高齢化の進展により、今後とも社会保障費の増加が避けられない中、消費税率の引上げにより安定財源を確保しつつ、制度の充実と重点化、効率化を同時に進め、持続可能な制度を確立していきます。
 日本の社会保障の現状認識についてお尋ねがありました。
 国民皆保険・皆年金を根幹とする我が国の社会保障制度は、国民に世界一の長寿と生活の安定をもたらしました世界に冠たる制度であると考えています。
 年金により老後の生活の安定を保障しつつ、医療、介護を必要とする方が適切なサービスを受けられる仕組みが将来にわたって持続可能であることが重要であり、社会保障給付費の対GDP比で単純に制度の良しあしを比較することは適切でないと考えます。引き続き、プログラム法に沿って、受益と負担の均衡が取れた制度へと不断の改革を進め、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡してまいります。
 医療・介護制度改革についてお尋ねがありました。
 急速な少子高齢化の下、国民皆保険を堅持していくためには、負担の公平を図る観点から、医療保険における適切な患者負担の在り方を検討していくことや、保険料を確実に納付していただくための対応は必要であると考えます。
 また、本法案は、患者の状態に応じた適切な医療が提供されるよう医療提供体制の見直しを行うとともに、要支援者の多様なニーズに対応するため、従来と同様、介護保険の財源を用いつつ、より柔軟かつ効率的なサービス提供ができるように見直しを行うものであり、御指摘は全く当たりません。
 特別養護老人ホームへの入所についてお尋ねがありました。
 今回の法案では、特別養護老人ホームへの新規入所については、より必要性の高い中重度の方に重点化することとしています。また、軽度の方であっても、認知症の方で在宅や他の施設での介護が困難である場合には入所できるようにするなど、一定の例外も設けることとしています。また、必要な特別養護老人ホームの整備や在宅サービスの充実を進めるとともに、有料老人ホームの確保を支援するなど、高齢者のニーズに応じた多様な住まいの確保に努めてまいります。
 今回の法案における都道府県の権限についてのお尋ねがありました。
 病床の機能分化、連携については、都道府県に協議の場を設置し、医療機関等の協議により、自主的な機能分化、連携を推進することとしています。
 このような自主的な協議を前提としつつ、都道府県が一定の役割を果たすことにより、患者の状態に応じた病床の機能分化、連携が効果的に推進され、地域に必要な効率的かつ質の高い医療提供体制が確保されるものと考えています。これは、むしろフリーアクセスを維持するためのものであり、御指摘は全く当たらないと考えます。
 社会保障制度の理念についてお尋ねがありました。
 今後の社会保障制度の方向性としては、若者も女性も高齢者も、国民一人一人が持てる力を最大限発揮し、健康で自分らしく生きることができるよう、その取組を支援する観点が重要と考えています。
 改革に当たっては、自助自立を第一としつつ、共助と公助を組み合わせ、弱い立場に置かれた方々にはしっかりと援助の手を差し伸べることとしており、憲法二十五条に基づき、国が社会保障の向上、増進に努める責務をしっかりと果たしてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(田村憲久君) 小池議員にお答え申し上げます。
 予防給付の見直し後のサービスと費用についてのお尋ねがありました。
 今回の改正はサービスの抑制ありきで行うのではありません。要支援者の多様なニーズに対応するため、市町村を中心とした支え合いの体制づくりをこれまで以上に推進し、既存の介護事業者によるサービスに加えて、住民が担い手として参加するサービスの拡充を進めます。その中で、市町村が多様なサービス内容に応じたふさわしい単価を設定することといたしております。
 あわせて、高齢者が主体的に参加する体操教室など介護予防につながる取組の強化を通じて、健康を維持し続ける高齢者や、生活機能が改善して要支援から自立する高齢者を増やしていきます。
 これらの取組により、利用者の選択の幅を広げつつ、費用の効率化を図っていきたいと考えております。
 続きまして、予防給付の見直しについてのお尋ねがありました。
 今回の見直しにより、予防給付の一部を地域支援事業に移行することとしていますが、地域支援事業の実施主体は市町村であるため、これまでも、見直しの趣旨や枠組みを市町村に丁寧に説明し、その御意見も反映させ、理解をいただきながら法案を提出いたしております。また、見直し後の事業の財源構成は予防給付と同様とするなど、市町村財政を支援するとともに、事務負担の軽減にも配慮いたしております。
 施行に向けても、引き続き市町村と意見交換しつつ、ガイドラインの策定などを通じて市町村の取組を最大限支援してまいります。
 最後に、介護保険の利用者負担についてのお尋ねがありました。
 今後、介護費用の増大が見込まれる中、保険料の上昇を可能な限り抑え、介護保険制度の持続可能性を高めるとともに、高齢者世代による世代内の負担の公平性を図っていくことが必要であります。
 このため、今回の法案においては、これまで一律一割であった利用者負担について、一定以上の所得のある方は二割とすることといたしております。その基準については、高齢者の消費支出等を考慮して負担可能と考えられる水準を基本としており、また、利用者負担の月額上限額は基本的に据え置くこととしていることから、必要なサービスの抑制にはつながらないと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#29
○議長(山崎正昭君) しばらくお待ちください。
 答弁の補足があります。内閣総理大臣安倍晋三君。
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#30
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 消費税増収分の活用についてのお尋ねについて答弁が抜けましたので、補足をさせていただきます。
 本法案に基づき各都道府県に設けられる新たな基金については、消費税増収分を活用することとしており、平成二十六年度では地域の医療機能の分化、連携等を進める事業について、国、地方合わせて五百四十四億円を確保します。
 このほか、平成二十七年度以降の施策として、今申し上げた基金のうち、介護分による基盤整備の実施、在宅医療・介護連携や認知症施策の推進等の地域支援事業の充実、低所得者の介護保険料軽減の拡充を本法案に基づいて図ることとしていますが、具体的な金額等については平成二十七年度予算編成過程において検討することとしております。
 以上であります。(拍手)
#31
○議長(山崎正昭君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#32
○議長(山崎正昭君) この際、お諮りいたします。
 岩城光英君外九名発議に係る参議院規則の一部を改正する規則案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
 よって、本規則案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。岩城光英君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔岩城光英君登壇、拍手〕
#34
○岩城光英君 ただいま議題となりました参議院規則の一部を改正する規則案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
 本規則案は、先般成立いたしました国家公務員法等の一部を改正する法律の施行により内閣人事局が設置されたことに伴い、国家公務員制度等に関する事務が内閣委員会の所管となることから、あわせて、現在総務委員会が所管している人事院の所管に属する事項についても内閣委員会の所管に変更しようとするものであります。
 以上が本規則案の提案の趣旨及び内容でございます。
 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#35
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 本規則案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#36
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#37
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十八  
  賛成           二百二十八  
  反対               〇  
 よって、本規則案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#38
○議長(山崎正昭君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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