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2014/06/13 第186回国会 参議院 参議院会議録情報 第186回国会 本会議 第31号
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2014/06/13 第186回国会 参議院

参議院会議録情報 第186回国会 本会議 第31号

#1
第186回国会 本会議 第31号
平成二十六年六月十三日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十一号
  平成二十六年六月十三日
   午前十時開議
 第一 投資の促進及び保護に関する日本国とサ
  ウジアラビア王国との間の協定の締結につい
  て承認を求めるの件(衆議院送付)
 第二 投資の相互の自由化、促進及び保護に関
  する日本国政府とモザンビーク共和国政府と
  の間の協定の締結について承認を求めるの件
  (衆議院送付)
 第三 投資の自由化、促進及び保護に関する日
  本国政府とミャンマー連邦共和国政府との間
  の協定の締結について承認を求めるの件(衆
  議院送付)
 第四 航空業務に関する日本国政府とビルマ連
  邦政府との間の協定を改正する議定書の締結
  について承認を求めるの件(衆議院送付)
 第五 日本国憲法の改正手続に関する法律の一
  部を改正する法律案(衆議院提出)
 第六 農業の担い手に対する経営安定のための
  交付金の交付に関する法律の一部を改正する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第七 農業の有する多面的機能の発揮の促進に
  関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第八 地方教育行政の組織及び運営に関する法
  律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
  院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一より第八まで
 一、国の統治機構等に関する調査の中間報告
 一、国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建
  に関する調査の中間報告
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 日程第一 投資の促進及び保護に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第二 投資の相互の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とモザンビーク共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第三 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とミャンマー連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件
 日程第四 航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
  (いずれも衆議院送付)
 以上四件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長末松信介君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔末松信介君登壇、拍手〕
#4
○末松信介君 ただいま議題となりました条約四件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、投資協定三件は、いずれも、投資家とその所有、支配する投資財産に対し、内国民待遇及び最恵国待遇を原則として供与すること等を規定するものであります。
 そのうち、サウジアラビアとの協定は、投資の許可後において、また、モザンビーク及びミャンマーとの協定は、投資の許可段階及び許可後において、それぞれ内国民待遇及び最恵国待遇を供与することとしております。
 あわせて、これらの協定は、公正衡平待遇義務、収用等の措置がとられた場合の補償措置、支払等の自由な移転、投資紛争の解決のための手続等について定めるものであります。
 次に、日・ミャンマー航空協定改正議定書は、定期航空業務の運営のため、両締約国が指定できる自国の航空企業の数を現行の一から二以上に改めること等につき定めるとともに、あわせて、指定航空企業の就航路線を航空自由化の観点から拡大するものであります。
 委員会におきましては、四件を一括して議題とし、投資協定の締結が我が国外交に与える影響、サウジアラビアとの投資協定において契約遵守義務に係る規定などを設けなかった経緯と我が国進出企業の権利保護、ミャンマーとの投資協定において行政手続に係る規定を定めた趣旨、国家と投資家との紛争解決手続の概要とその運用の実績、ミャンマーとの航空路線への航空企業参入の見通しと安全性の確保、東南アジア諸国との航空自由化に向けた取組等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終え、まず、投資協定三件について討論に入りましたところ、日本共産党の井上委員より三件に反対する旨の意見が述べられ、次いで、採決の結果、三件はいずれも多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、日・ミャンマー航空協定改正議定書について採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 まず、投資の促進及び保護に関する日本国とサウジアラビア王国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の相互の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とモザンビーク共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件及び投資の自由化、促進及び保護に関する日本国政府とミャンマー連邦共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。
 三件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#6
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#7
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百四十  
  賛成           二百二十八  
  反対              十二  
 よって、三件は承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#8
○議長(山崎正昭君) 次に、航空業務に関する日本国政府とビルマ連邦政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。
 本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#9
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#10
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百四十  
  賛成            二百四十  
  反対               〇  
 よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#11
○議長(山崎正昭君) 日程第五 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、憲法審査会会長の報告を求めます。憲法審査会会長小坂憲次君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔小坂憲次君登壇、拍手〕
#12
○小坂憲次君 ただいま議題となりました法律案につきまして、憲法審査会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院において、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党、結いの党、生活の党の七会派を代表し、船田元君外七名から提出されたものであります。
 その内容は、現行法の附則第三条、第十一条及び第十二条に定められている、いわゆる三つの宿題に答えて、憲法改正の手続を整備しようとするものであります。
 具体的には、国民投票の投票権年齢が現行法の本則において満十八年以上とされているところ、この法律の施行後四年を経過するまでの間、満二十年以上とし、この法律の施行後速やかに年齢満十八年以上の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、必要な法制上の措置を講ずるものとするものであります。また、公務員が行う国民投票運動について、純粋な勧誘行為及び意見表明に限り行うことができるものとする等の措置を講じようとするものであります。
 審査会におきましては、提出者に対する質疑のほか、新藤総務大臣及び谷垣法務大臣の出席を求め、慎重に審査を行いました。その質疑におきましては、投票権年齢、選挙権年齢及び成年年齢の引下げの関係、純粋な国民投票運動の範囲、最低投票率の検討の必要性、政府の憲法解釈の変更と国民投票の関係等の問題が取り上げられました。また、二回にわたって参考人より意見聴取も行いましたが、これらの詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して仁比聡平幹事より反対、民主党・新緑風会を代表して藤末健三委員より賛成、社会民主党・護憲連合を代表して福島みずほ委員より反対、みんなの党を代表して松田公太幹事より賛成の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#13
○議長(山崎正昭君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。仁比聡平君。
   〔仁比聡平君登壇、拍手〕
#14
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、改憲手続法改正案に断固反対の討論を行います。
 安倍総理が、何が何でも集団的自衛権の行使を容認しようと、事もあろうか解釈改憲の閣議決定をあと僅か一週間の今会期中に迫るなどという立憲主義破壊の暴走に、国民的怒りは日を追うごとに広がっています。
 解釈改憲であれ明文改憲であれ、我が国憲法の根幹である憲法九条をなきものにし、日本を戦争をする国に変える憲法改悪は断じて許されない、それが多くの国民の声であります。
 そもそも、改憲手続法は、七年前、戦後レジームからの脱却、時代に最もそぐわないのは憲法九条と唱えた第一次安倍政権によって強行された九条改憲と地続きのものです。
 その内容自体、改憲案に対する国民投票に最低投票率の定めがなく、投票権者の僅か一割、二割の賛成でも改憲案が通り得る仕組みになっていることを始め、最も自由であるべき国民の意見表明と国民投票運動を不当に制限し、改憲案の広報や広告を改憲推進勢力に有利な仕組みにするなど、できるだけ低いハードルで改憲案を通せるようにした極めて不公正かつ反民主的なものであり、それは国民主権と憲法九十六条の理念、趣旨に反する根本的欠陥にほかなりません。
 投票権年齢、公務員などの運動規制、国民投票の対象といういわゆる三つの宿題も、参議院における十八項目にも及ぶ異例の附帯決議も、そうした重大問題に発したものでした。
 ところが、本改正案は、その根本的欠陥をそのままに、宿題は解いたと強弁して、国民投票をとにかく動かせるようにしようというものであります。それは、解釈改憲の暴走と車の両輪であり、憲法破壊と日本国憲法との相入れない矛盾を打開するための明文改憲の条件づくりにほかなりません。
 法案は、第一に、現行法が義務付けたはずの選挙権年齢の十八歳への引下げを棚上げし、国民投票権年齢だけを確定するとしていますが、これは、七年前、当の発議者が、選挙権年齢を投票権年齢とともに引き下げることは国民投票の大前提、最低限の条件と繰り返した答弁にも真っ向から反するものです。
 中でも重大なのは、国民投票権年齢と選挙権年齢の一致を求める法律上のリンクを切り離し、選挙権年齢の十八歳への引下げについての法律上の期限をなくしてしまう点です。これでは、改憲案が発議されたとき、国民投票は行うのに、その改憲案を発議する国会議員は選べないことになる、それは不条理だという若者たちの声にどう答えるのですか。法的担保をなくせば、投票権年齢と選挙権年齢の不一致が長期間継続する事態も排除できません。
 憲法審査会における幾人もの参考人から、憲法改正には政治的判断能力があるとされながら選挙権は認めないのは憲法十五条の参政権平等原則に反する、憲法九十六条に言う国民と十五条に言う国民は主権者として政治に参加する点で一致しており、両者の年齢は共に引き下げることが選挙権平等の当然の要請である、また両者の不一致は立法不作為であるなど、厳しい指摘がなされました。
 我が党の質問に対して、発議者自身が、不一致が長い間放置されれば憲法上の問題になり得ることを認めているのであります。憲法違反の蓋然性ある法案をそのまま通していいはずがないではありませんか。
 第二に、法案は、公務員による国民投票運動の自由が広範に制限されかねない規定を設けるとともに、さらに罰則や組織による国民投票運動の規制を検討するとしていますが、それは公務員や教育者の運動を規制することによって、広く主権者国民の自由な意見表明や国民投票運動を抑え込み、取り返しの付かない萎縮的効果をもたらすものであって、宿題を解くどころか、とんでもない逆行であります。七年前、国民投票運動は自由であるとして削除された、裁判官など特定公務員四職種への禁止規定の復活はその象徴です。
 一般の公務員について、発議者は、純粋な国民投票運動は許されるが、政治的目的を伴った行為は許されないなどと言いますが、その切り分けは極めて曖昧であり、憲法上許されない過度に広範な規制にほかなりません。
 公務員法による政治的行為の禁止は、極めて限定された制限列挙です。いわゆる堀越事件最高裁判決は、公務員の政治活動は、公務員の職務遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められない限り自由であるとしています。公職選挙法で禁じられる地位利用も、職権行使そのもの、又は職権を濫用して行われる場合に限られています。公務員法や公選法で何ら問題とされないことが、改憲案の是非をめぐって世論が沸騰する中行われる憲法改正国民投票運動においては許されないなど、あり得ないではありませんか。
 さらには、本改正案発議に当たって、七年前の審議で調査検討が強く求められてきた最低投票率制度を検討さえしていないなど、参議院附帯決議を一顧だにしていないことも明らかになりました。
 改憲手続法の根本的欠陥という背理に更に背理を重ねて、とにかく動かせるようにしたと強弁して動かすなら、そうした欠陥の露呈は避けられないでしょう。そうなれば、行われる国民投票に重大な瑕疵が生まれることになります。
 憲法は国民のものであり、主権者の力で時の権力の手を縛るものであります。憲法改正の決定権は国民一人一人とその総意にある、それが憲法九十六条の趣旨であります。どんなに法律の条文だけは整えても、憲法破壊を許さない国民的世論の広がりが立ちはだかるでしょう。
 欠陥だらけの改憲手続法は、改定ではなく廃止すべきことを強く求め、反対討論を終わります。(拍手)
#15
○議長(山崎正昭君) 白眞勲君。
   〔白眞勲君登壇、拍手〕
#16
○白眞勲君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、賛成の立場から討論を行います。
 本改正案は、現行の国民投票法の附則が定める、いわゆる三つの宿題を解決して、国民投票が法制上可能になるように環境を整備しようとするものであります。
 民主党は、三つの宿題の解決に向けて、ほかの与野党八党とも精力的に協議を重ねて、本改正案の共同提出者となりました。しかし、その内容を見ると、本改正案が成立したとしても、まだまだ検討するべき事項が残されていることも事実であります。
 以下、三つの宿題ごとに残されている検討事項について述べていきます。
 第一に、改正案では、改正法施行後四年が経過すると投票権年齢が自動的に十八歳に引き下げられるとなっており、それに対し、八党間の合意により、二年以内の選挙権年齢の十八歳への引下げ及びこれに合わせた投票権年齢の早期引下げの道筋が付きました。
 しかし、そもそも年齢の問題は、法律の施行までに政府が対応すべきだったところ、政府内の議論がまとまらないという考えられない理由により実現しなかったものであり、今後、国会側で対応することとなりました。政府には猛省を促したいと存じます。
 その十八歳への引下げについては、私も当初、えっ、十八歳にするのと思ったものでありました。世論調査などを見ると、国民の中には反対の意見が多いのが実情です。その一方で、各国の例を見ると、世界百七十六か国が十八歳選挙権となっており、私も驚きました。確かに、考えてみれば、男性は十八歳、女性は十六歳で結婚もできるわけですし、この大人という概念、さらには成年年齢、選挙権年齢と投票権年齢が一致しているのが世界のスタンダードであり、今後、どのように国民の理解を得て世界標準に合わせていくかの課題があります。この点に関連して、政府においては十八歳への引下げに向けて十分な対応をするよう強く要請するものであります。
 第二に、国民投票運動において公務員の純粋な勧誘行為と意見表明ができることが規定されました。これは、全体の奉仕者である公務員についても一市民としての政治活動は原則自由であるべきと考える民主党として、意義のあるものと考えます。
 しかし、本法律の附則においては、規制の在り方について検討を加えることとなっております。当初の与党案は組織的に行われる勧誘運動等を規制しようとするものでありましたが、与野党協議において本則から外れたものと承知しております。しかし、そもそも必要最小限度を超える規制は憲法違反であります。本改正案の審議において、参考人から、過度な規制に対し反対する意見が示されております。我が党としては、こうした規制には反対であり、憲法違反を認めることはできません。
 第三に、一般国民投票の拡大について更に検討を加えることが法制化されるとともに、憲法審査会において定期的に議論することが合意されたことも我が国の民主主義の発展に資するものと言えます。しかし、この点においては、現行法の規定と比べて大幅に進捗したとは言い難く、さらに参考人からは消極的な意見が出るなど、今後十分な議論が必要です。
 三つの宿題以外にも、最低投票率の問題等、与野党協議や衆議院の審議においてほとんど議論されていない、検討すべき重要課題も残っております。
 現行の国民投票法が成立した際には特別委員会で十八項目の附帯決議が付きましたが、そのほとんどは未決着であるところ、今回の改正案においては、前回を上回る二十項目の附帯決議が付きました。こうした点からも、本改正案をもって国民投票に関する全ての問題が解決したとは言えない状況であることがよく分かります。
 しかも、今般、国民主権を徹底する国民投票の環境整備という与野党を超えた努力、すなわち、この法案を多くの委員の皆様と延べ十七時間以上も審議して、最終的に審査会採決をしたにもかかわらず、これとは真っ向から相反する民主主義を否定するような行為が安倍内閣によって行われているという、極めてゆゆしき政治状況にあります。言うまでもなく、集団的自衛権の行使に関する憲法解釈の変更であります。今の政権は、憲法改正をせずとも、この憲法の根本理念の平和主義を解釈によって変更しようとしております。何のための国民投票なんですか。
 先ほどの会長報告にもあったように、審査会における審議においては、国民投票と解釈改憲の関係について多くの疑念が提示されました。
 五月二十六日に参考人として招致した小林節慶應義塾大学名誉教授は、政府・与党が行おうとしている解釈改憲に対して、こう答弁されました。ここからは議事録を読みますけれども、「国民の持ち物の憲法を国民の持ち物によって管理されるべき権力者がひょいと取り上げて、これが憲法だ、おまえたちに下げ渡す、これって持ち主が逆転しちゃっているじゃないですか。だから、それを泥棒だと言ったんで、別の表現としてはハイジャックと言ったんですけれども、その思いは変わりありません。」と。
 つまり、これまで長年にわたる議論の積み重ねによって確立した政府解釈を、一内閣の判断で変更し、集団的自衛権行使を容認しようとする政府・与党の動きは、まさに立憲主義に反する、憲法を憲法でなくす行為であるとの強い非難でありませんか。
 この現憲法下において解釈によって集団的自衛権を容認することについて、安倍総理は私的懇談会であるいわゆる安保法制懇という組織を立ち上げました。政府はこの組織について、公平にバランスの取れた人選をしたとしておりますが、どこがですか。そもそも、当事者の北岡座長代理でさえ、首相の私的懇談会だから正統性なんかそもそもあるわけがないと本人がおっしゃっているじゃありませんか。自分の仲間だけ集めて、結論ありきで導き出し、表向きの公式協議は七回と言いつつ、実は何と裏で非公式も八回もやっていることが国会答弁で明らかになりました。
 さらに、この報告書が出た五月十五日の三十四分後には、たった二十分間のNSC四大臣会合。そして、夕方には例の米艦に日本人を乗せた船をパネルに出して記者会見。あのう、この二時間もたっていない間でいつパネルを作ったのですか。私もパネルを作ったことはありますが、とてもじゃないけどできません。それに、五月十六日産経新聞によりますと、そのパネルも、当初の官僚が用意したパネルではなくて、子供や孫に関わりがあることが分かるパネルを作れと再作成を指示したとの報道。どう考えたって前もって準備していた出来レースとしか思えないじゃありませんか。
 さらに、公明党とのその後の協議についても、国民には一切説明しようとせず、衆議院議員会館の地下の一室において与党協議をしつつ、最終的にはこの国会で閣議決定しようとしているではありませんか。とんでもない暴挙であります。
 この集団的自衛権についても、安倍内閣は、限定的にだったら、あるいは必要最小限なら認めてもいいのではないかとのことですが、要は、ちょっとだけよ、ちょっとだけならいいじゃないがちょっとだけに収まらないのは、ここにいる皆さんもよく御存じのはずです。
 そもそも、法制局長官は、限定的集団自衛権という概念はあるのかという私の問いに対し、既に既存のものとしてその限定的な集団的自衛権の行使というものが確立したものとして存在していることではございませんと答えています。要するに、まだ何も確立していない概念を、ちょっとだけ集団的自衛権だという概念にしているだけでございます。あんたも好きねではこの問題は済まされないのであります。
 この国の形を決める大切な憲法をないがしろにしないでもらいたい。どうしても集団的自衛権を行使したいのなら、しっかりと憲法改正の手続を踏むべきではありませんか。そのための国民投票なんですよ。
 一昨日、驚くべきニュースが飛び込んでまいりました。政府の飯島参与がワシントンでの講演での、政教分離原則に関して従来の政府見解が変更される可能性に言及したとのことであります。
 皆さんも御存じのように、政教分離の解釈については、宗教団体が政治的活動をすることを排除している趣旨ではないとした上で、憲法が規制対象としているのは国家権力の側で、国家権力がある特定の宗教を擁護したり国民に強制するようなことを禁じているのが政教分離原則だとしているものです。
 つまり、時の政権が思うがまま、今までの憲法解釈を恣意的にいつでも変えるんだぞという表現を使い出すこと自体、極めて危険な発想なんですよ。そうだとすると、今後、時の政権の都合でほかの条文解釈だって自由に変えられたら、政権が気に食わない国民に対してはいつでも弾圧を加えることができる、こんな解釈もでき得るということじゃありませんか。
 今、まさに憲法の空洞化、議会制民主主義の危機に瀕しています。参議院の皆さん、良識の府としての参議院の矜持を持とうじゃありませんか。戦争をするのであれば議員など要らないのです。私たちは、周辺の状況がどうであれ、平和を維持すること、そのために知恵を出すことが我々政治家の務めではありませんか。まさに憲法九条がノーベル平和賞の申込みをノーベル委員会から受理されているわけでございます。こんな喜ばしいことはない。
 私が大事にしている言葉に、危険を冒してまで武装するよりも、むしろ平和のために危険を冒すべきであるというのがあります。平和はつとに人類生存の問題であり、安全とは他者と共に生きるという自覚の上に成り立つものであります。
 場内の参議院議員の皆さん、これから、現行憲法の基本理念を具現化し、真の立憲主義を確立すべく、国民とともに憲法対話を進めていこうじゃありませんか。そして、戦後、一人も他国の兵士を殺していないこの日本が、世界の平和に貢献できることを無数に持っている、そのことを自覚を持って、その知恵とともにいこうではありませんか。
 この決意を改めて申し上げ、私の賛成討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
#17
○議長(山崎正昭君) 松田公太君。
   〔松田公太君登壇、拍手〕
#18
○松田公太君 みんなの党の松田公太です。
 みんなの党を代表して、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案、国民投票法改正案に対し、賛成の立場から討論をさせていただきます。
 今年一月、安倍総理の施政方針演説に対する代表質問で、私は、国民投票法の改正を実現することの必要性を訴え、特に二つの点について強調をさせていただきました。
 まず一つが、これからの日本を担う若者の意見をより国政に反映させるため、選挙権も国民投票権と合わせて十八歳以上にするべきだという点です。
 現在、日本は、千兆円を超える借金、年金、医療、介護など、三十年後、五十年後には今より更に深刻になるのが明白な問題を数多く抱えています。これらの問題は、まさにその時代の中心となっている現在の若者たちと一緒に考え、決めていかなければなりません。
 十八歳ではまだ若過ぎるという議論もよく聞かれますが、それでは、二十歳は十分に政治のことを理解しているのか、二十五歳はどうなのかという話になってしまいます。私は、高校生百人掛ける国会議員というイベントに何度か参加をさせていただいておりますが、十六歳になったばかりの高校生が、政治について大変詳しく、様々なテーマで立派に話し合っている姿を何度も拝見させていただいております。大切なのは、一定の年齢に達したかどうかよりも、有権者としての意識が備わっているかどうかです。
 そのため、政治参加教育が極めて重要になります。私は、今回の改正で十八歳以上に投票権が認められるということをきっかけに、政治参加のための実践的な教育を充実させるべきだと考えております。
 例えば、中学、高校での模擬投票。実際の国政選挙のときに、各党の公約や政策集を読んで、みんなで議論し、最終的には自分で判断して投票する、そしてそれを本物の投票結果と比べてみる。このようなシミュレーションを通じて、選挙が、そして政治が身近なものとなり、政治への関心の高まりと投票への動機付けが生まれます。このような教育はほとんどの先進民主主義国家で実施されており、中には小学校から行っている国も多くあります。日本でも早い段階から政治参加教育を行うことが大切です。
 また、インターネット選挙運動も解禁となりましたが、若者の政治参加を促す上では、更にネットの力を活用するべきだと思います。みんなの党が以前法案の一つとして提出し、インターネット選挙運動解禁法の附帯決議にも入れていただきましたネット投票を実現することができれば、政策重視の投票行動につながっていくと考えております。
 日本は他国と比較して、政治について家庭内や友人同士で語ったり議論したりする機会が少ないと言われますが、学校やネットでの教育が進むことによって、政治を積極的に話題にする文化が醸成されることも期待できます。そうなれば、世界の趨勢と同じく十八歳に選挙権を与えても、未熟だ、意識レベルが低いといった批判はされなくなると考えております。
 もう一つが、国民投票の対象を憲法改正以外にも広げるべきだという点です。
 海外に目を向けますと、様々な国で憲法改正以外の国民投票が数多く実施されています。例えば、同性婚の可否、国歌の選択、終身刑の廃止、年金制度、ユーロの導入、そして原発の開発等々です。このような国民投票を行っている国では、政治に対する関心が非常に高くなっております。
 しかし、残念ながら、日本では国民の政治への気持ちは薄れる一方です。NHKの世論調査でも、政治に関心があるという回答は毎年減っており、選挙の投票率が減少傾向であることからもそれは明らかです。このような状況は、国民にとって政治が遠いものになってしまっていて、自分たちの力では何も変えられないし、意思決定にも参加できないと諦めさせてしまっているのが最大の要因です。
 みんなの党は、こうした現状を打破して国民の手に政治を奪還するため、国家の道筋を決める重大な案件については国民投票を実施し、国民とともに決めていくべきだと考えております。それを具現化するために、原発国民投票法案や国民投票型の首相公選制法案などを議員立法し、参議院で提出してきました。
 原発国民投票法案は、原発政策の方向性を確認するためのものです。福島原発事故により、原発政策の見直しが喫緊の課題であるとともに、国民の重大な関心事となっている中では、継続の可否を直接国民に問う必要があると考えています。実施に当たっては、原発を停止した場合に、燃料費の高騰などで一時的に電気料金が高止まりしてしまうかもしれないことなど、デメリットについても正確な情報を提示し、しっかりと考えてもらった上で投票していただく必要があります。国民がそれでもよいと原発から離れることを選んだのであれば、政府はそれを最大限尊重して、基本エネルギー計画や再生可能エネルギー増加策を講じるというものです。
 また、みんなの党は、今週月曜日、新党改革とともに、原発国有化の法案を参議院に提出しましたが、これは、被害者救済の促進、国の汚染水と廃炉の引受け、経営者、株主、金融機関の応分負担、東電社員のモチベーション向上、そして所有権分離の実現等を目的としたものであり、重大事故を起こした電力会社の原発と送電網を一時国有化するとしています。本来ならば、我々が提出したこの原発国有化法案も国民の意見を投票で聞いた上で進めていくのが理想です。
 首相公選制は、内閣総理大臣が安定的な政治的指導力を発揮するためのものです。小泉首相が辞められた後の自民党政権下では、安倍首相、福田首相、麻生首相と、総選挙も経ずに毎年のように総理大臣が替わり、そして政権交代後の民主党政権でも、鳩山首相の後に菅首相、野田首相と、目まぐるしく替わってしまいました。十年で七人も首相が替わってしまうということが起こってしまったのです。
 国民は自分たちのトップを勝手に決められたという意識になってしまい、フォロワーシップも低くなってしまいます。現に、御祝儀相場の後は軒並み支持率は下がり、非常に不安定な政権運営をされていました。もちろん、その間は国際社会からの信頼も得られなかったわけです。そのような状況を考えると、やはり首相公選制を導入することは必要だと考えております。
 この制度については、提唱者の中曽根首相や首相公選制の懇談会を立ち上げた小泉首相など、積極的であった自民党総裁もいました。しかし、その方々が長期政権となると、なぜか話が立ち消えになってしまいます。むしろ、安定的な政権の下で、将来に不安定な状況をつくらないためにそのような改革を推し進めるべきだと思います。現政権にも是非前向きに検討していただきたいと思っております。
 また、みんなの党の基本政策の一つ、地域主権型道州制については、憲法改正なしで実現する方策もありますが、本質的な改革のためにはやはり憲法改正が必要だと考えております。また、仮に憲法を改正せずに進める場合は国民投票を行うべきです。地域主権型道州制の導入は国の基盤となるプラットフォームを変えるものであり、直接国民の信を問う必要があるからです。
 さて、今回の国民投票法を導入するに当たって、そのほかにも考え、明確にしなくてはいけないことが幾つかあります。例えば、公務員等の国民投票運動に関する規制や国会法六十八条の三は果たして憲法全体を自主憲法として変えることを認めているのかなどといった部分です。投票に当たって、公務員に不当な地位利用があると公正性が失われて公務の信頼も失いかねません。
 国民投票は、国民にとって非常に重要な政策を決めるものであり、また実施に八百五十億円以上も掛かることが見込まれることから、やり直しは容易ではありません。そのような観点からも、事前に不正を発生させない仕組みが必要です。
 このように、散見される課題を解決するまでは、七年前からの宿題はまだ一〇〇%完成していないと言えるでしょう。
 今回の改正は、あくまでも国民投票のスタートラインに立つためのファーストステップだと認識し、今後も皆様とともに更なる改善を進めていきたいと申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
#19
○議長(山崎正昭君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#20
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#21
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#22
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百四十  
  賛成           二百二十四  
  反対              十六  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#23
○議長(山崎正昭君) 日程第六 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案
 日程第七 農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長野村哲郎君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔野村哲郎君登壇、拍手〕
#24
○野村哲郎君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案は、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する措置の改善を図るため、対象農業者への認定就農者の追加、生産条件不利補正交付金に係る交付基準の変更等の措置を講じようとするものであります。
 なお、衆議院において、附則に、政府は、本法律の施行後三年を目途として、農産物に係る収入の著しい変動が農業者の農業経営に及ぼす影響を緩和するための総合的な施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする規定を追加する修正が行われました。
 次に、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案は、農業の有する多面的機能の発揮の促進を図るため、その基本理念、農林水産大臣が策定する基本指針等について定めるとともに、多面的機能発揮促進事業について、その事業計画の認定、費用の補助、関係法律の特例等について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、参考人を招致してその意見を聴取するとともに、島根県において地方公聴会及び現地調査を実施したほか、安倍内閣総理大臣にも出席を求め、質疑を行いました。
 委員会における主な質疑の内容は、戦後農政における新しい農業・農村政策の位置付け、担い手の規模要件撤廃が農地集約に及ぼす影響、農業における担い手の確保策、米の直接支払交付金を廃止する理由、生産調整の見直しが米の過剰や不足を招く可能性、多面的機能支払交付金の単価設定の妥当性、日本型直接支払に係る手続簡素化の必要性、中山間地域における総合的な地域政策の必要性等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して徳永エリ委員より両法律案に反対、みんなの党を代表して山田太郎委員より両法律案に反対、日本共産党を代表して紙智子理事より両法律案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終局し、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#25
○議長(山崎正昭君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。小川勝也君。
   〔小川勝也君登壇、拍手〕
#26
○小川勝也君 私は、民主党・新緑風会を代表して、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案、農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案の両案に反対の立場から討論を行います。
 信なくば立たず、これは論語に出てくる孔子の有名な言葉であります。弟子の子貢が政治の要諦について尋ねたところ、孔子は、食料を十分にし、軍備を十分にして、人民には信頼を持たせることであると答えました。このように、政治は国民の信頼を得るものでなければなりません。
 さて、現在の農政は農業者の信頼を得ているでしょうか。主業農家の経営安定に大きな効果を果たしてきた米の直接支払交付金は廃止されることになりました。農業経営に重大な影響を及ぼしかねないTPP交渉について、政府は具体的な中身を全く明らかにしておりません。規制改革会議が提言した農業協同組合や農業委員会制度の見直しは実に唐突で、現場の農業関係者や専門家の意見を聞いたとはとても思えません。これらの政府の施策や姿勢、これをめぐる報道などにより、現場の農業者の間では将来に対する不安が広がっております。
 政府は、新しい農業・農村政策を進めるとして、昨年秋の臨時国会に農地中間管理機構関連法案を、また、今国会に議題となっている両法律案を提出いたしました。農地中間管理機構の創設や規制改革会議の農業改革に関する提言からは、現政権の農業政策には、企業の農業参入を促進しようとする姿勢が目立ちます。
 私は、企業の参入を頭から否定するものではありませんが、まず、地域農業を支える担い手や若い農業者を確保し、農村集落を維持、活性化していく必要があると考えます。残念ながら、政府が提出した法案では、過疎化、高齢化が進む農業、農村を維持していけるのかどうか、全く明らかではありません。
 また、企業参入を重視する官邸と与党や農林水産省との間では、農業改革についての理念や思いがどこまで共有されているのかも甚だ疑問であります。このまま農協や農業委員会の見直しの議論を拙速に進めれば、将来の世代に大きな禍根を残すことにもなりかねません。政府に求められていることは、我が国の地域社会、特に農村集落の現状をきちんと直視するとともに、必要な政策を立て、早急に実行することであります。
 我が国の直面する最大の課題の一つは、少子化の進行による人口減少です。農村地域では、人口減少による担い手不足と高齢化が年々深刻化しております。特に、中山間地域は厳しい状況にあります。今般の法案審査の一環で中山間地域を視察しましたが、私は改めてそのことを強く肌で感じました。
 国土交通省が本年三月に公表した新たな国土のグランドデザインの骨子や日本創成会議の人口減少問題検討分科会が本年五月に公表した推計では、地方の急激な人口減少が深刻な状況にあることが明らかにされました。二〇四〇年までに地方自治体の半分が消滅する可能性があります。多くの地域において、農村集落維持について懸念があり、人口減少が深刻な中山間地域では、集落消滅のおそれがあります。
 政府が取り組もうとしている担い手への農地集積を進めていけば、集落において何とか農地を維持することはできるでしょう。しかし、農地集積が行き過ぎ、引き継ぐ農地がなくなれば、農村を離れた息子や娘たちが定年を迎えても、Uターンして地域に戻ることはなくなります。結果として、農村集落の崩壊を招くことになりかねません。政府の新農政は、担い手への農地集積によって農村集落の人口減少に拍車を掛ける一方で、新たな担い手を確保し育て、地域を維持していく工夫が足りません。
 農業の持つ多面的機能の中で重要なものの一つに、国土の保全があります。我が国は、洪水や地すべり、土砂崩れなどの自然災害も少なくなく、特に中山間地域での農業は、その防止を図る上で重要な役割を果たしております。中山間地域の農業を維持するためには、直接支払によって農家の所得を補填する施策が必要です。
 私ども民主党が導入した戸別所得補償制度は、現場の農業者から、農業経営の安定に資するものであるとして高い評価をいただきました。米の生産コスト割れを補填する交付金は、担い手の農業投資や経営規模の拡大を促進しました。
 自由民主党からは、全ての販売農家を対象とすることは構造改革に逆行するとの批判をいただきましたが、主業農家の経営安定に多大な効果を発揮したことにより、緩やかな構造改革を促す効果があったのです。
 しかしながら、政府の新農政では、戸別所得補償制度の効果を十分に検証することなく、米の直接支払交付金を平成二十六年産から半減し、四年後の三十年産において廃止することとしました。米の直接支払交付金が半減、廃止される結果、主業農家の所得が大幅に減少し、設備投資に係る債務の返済に影響を生じさせるなど、経営の継続に重大な支障を及ぼしかねない状況となっています。
 農業を継続できる所得を確保する上で問題があります。また、政府が創設しようとし、法案の中に盛り込まれた日本型直接支払制度は、活動組織への交付金交付が基本であり、個人の所得確保を支援する視点が欠けています。
 政府は、米の直接支払交付金を半減、廃止する代わりに、主食用米から飼料用米への転作を誘導するとともに、飼料用米作付けに手厚い補助を行い、農家の所得確保を図ろうとしています。
 しかし、飼料用米については、耕種農家と畜産農家とのマッチング、飼料用米専用品種の不足、配合飼料工場の偏在、流通体制の未整備など、数多くの課題があります。飼料用米の需要先確保についても現状は全く不十分です。飼料用米生産を進めようとしたことは、生産現場に混乱をもたらしております。
 以上、両法律案とその基になった政府の新しい農業・農村政策に対して、反対する理由を述べてまいりました。
 政府が進めようとしている新農政は、米農家の所得減少をもたらすこと、拙速な飼料用米推進が生産現場に混乱を招いたこと、中山間地域の集落崩壊に対する歯止めが何ら措置されていないことを改めて指摘しておきます。
 私は、戸別所得補償制度だけで我が国農業の抱える問題を全て解決できるとは考えていません。また、攻めの農業や農産物の輸出促進の意義を否定するものでもありません。地域ごとに多様な農業があってよいと思っています。
 しかし、我が国において、国土保全の上で農業が重要な役割を果たしていることは忘れてはなりません。そこで農業者が安心して営農を続けるとともに、農村集落を維持することができるよう、ヨーロッパの直接支払制度を参考に、新たな直接支払を模索することが今何よりも必要であることを申し上げ、私の反対討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
#27
○議長(山崎正昭君) 山田太郎君。
   〔山田太郎君登壇、拍手〕
#28
○山田太郎君 みんなの党の山田太郎です。
 私は、みんなの党を代表し、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案並びに農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案に対し、反対の立場から討論させていただきます。
 私たちみんなの党のアジェンダが掲げる農業政策の基本は、米の減反政策を廃止し、特定の農産物に補助金を出す政策誘導型の補助金方式は見直す、また、農業政策の目的を、自給率向上から国民一人当たりの国内農産物生産の量と質の向上に転換し、耕作地の拡大と単収の向上による生産量増大と高付加価値化を図っていくというものであります。
 さらには、世界標準の合理的な経済政策を進め、日本が通商ルールの標準づくりを主導することによって、中国を始めとする諸外国に対して優位に通商交渉を進め、日本が投資・貿易立国として地位を再興するというものであります。
 このみんなの党のアジェンダに従って、今回の政府提出二法案を審査、検討いたしましたが、数多くの問題が明らかになっております。
 まず、総論的に申し上げれば、政府提出の両法案は、自給率向上という政策目標を持った法案ではありますが、政府は今年度中に自給率目標の水準や内容を再検討する予定であり、そもそも法案提出の前提が揺らいでおります。また、政府は、減反政策を廃止したと言いながら、米の高価格維持のために生産数量目標を維持する事実上の減反政策の継続、しかも、飼料用米など食用米に代わる作物の販路拡大、消費拡大対策にはほとんど手付かずの状態であります。
 二〇一二年の農業総生産額は八・五兆円、この二十年間で二割減少しています。酪農、畜産、果樹、野菜、これは経営改革、生産性向上策が現場で進み、生産額の減少に一定の歯止めが掛かっていますが、しかし米の生産の落ち込みは深刻です。米の生産額は約二兆円で、四割も減少しているのです。米生産の落ち込みは、食生活の変化という要因があるものの、それ以上に、市場に見合わない米の高価格維持を行う生産調整、いわゆる減反の影響が大きいと考えています。さらに、過度な米の保護政策を続けた結果、小規模零細兼業農家が維持され、経営規模の拡大が進まずに来ました。
 今回の経営安定交付金の制度の見直しで、私は、政府の生産調整、いわゆる減反政策の抜本的な見直しを期待していました。しかし、水田活用の直接支払交付金の中で、飼料用米や米粉への転作奨励、主食米との差額補償の政策は、まさに減反政策と何も変わりません。これでは、政策の目的は生産性の向上や市場価格への調整に対する需要の喚起ではなく、米の高価格維持を目的とした、形を変えた新減反政策になったとしか思えません。そして、この飼料用米への転換も、販売や流通のプロセス、在庫設備等がまだまだ未整備で、現在、飼料用米の販路拡大、消費拡大対策にはほとんど手付かずの状態で、本当に転作が成功するとも思えません。
 これまで主食米を作る農家が飼料用米や米粉米など単価の安い米を作るように言われる政策は、果たして、農家の現場のプライドを持っておいしい主食米を作り続けてきたこの人たちに対し、そしてその担い手に対し、新しい未来を予感させるものなのかどうか、甚だ疑問が残るものであります。
 今回の政府提出二法案で様々な交付金を農家に支給しても、農業の構造改革には全く寄与せず、まさに砂漠に水をまくような、大切な税金が消えていくことになると思います。
 次に、各法案の問題点を各論的に申し上げます。
 まず、担い手法案につきましては、現行の予算措置として行われている特定農産物に補助金を交付する政策誘導型の交付金を、小規模耕作地を温存し、かつWTOルールに逆行する方向に見直そうとするものであり、こうした政策転換は到底受け入れられません。
 そして、平成二十四年度に我が国が最も貿易歪曲的な国内助成策としてWTOに通報した補助金の総額は六千八十九億円でございますが、政府側に、どんな補助金をこの通報、すなわちWTOルールにそぐわない補助金として自己申告したのか、このことを質問したところ、それは明らかにできないということでありました。
 驚くべきことに、政府は、国会が審議中の法案と国際約束の整合性を判断するために請求したごく基本的な情報開示すら、特定秘密でもないのにかかわらず応じてもらえない。憲法九十八条は、我が国が締結した条約は、これを誠実に遵守すると規定しておりますが、この憲法の趣旨をないがしろにするような政府の行為は許されるものではないと考えています。
 次に、多面的機能法案について、そもそも農業の多面的機能の発揮という政策目標が全く不明確であり、政府側に度重なる質疑を続けてきましたが、最後まで明らかになりませんでした。
 政府側は、農業の多面的機能は八兆円もあるのだから、それが八百億円で維持できるのであれば安いものだというような趣旨の説明を重ねておりますが、それならば、政府自らが森林の多面的機能は七十兆円あると試算しているわけですから、八兆円の多面的機能の維持より七十兆円の維持のために予算を使った方が合理的だと考えます。
 また、多面的機能法案による交付金は日本の全耕地面積の七割を交付対象にすると聞いていますが、全耕地面積の三割が担い手が自分で水路や農道管理ができる農地であって、あとの七割の耕地は担い手が自分で水路や農道管理ができない農地だということです。こんな不思議なことがあっていいのでしょうか。担い手というのは、自分だけで農業生産を行える自立した農家という定義ではなかったのでしょうか。
 そして、多面的法案では、大きな政策的な矛盾も明らかになっています。水路の泥上げや草刈りなどの手入れは、基幹的な農業用水路、すなわち、大きな水路では近隣の受水農家から集めた賦課金で業者に委託して行われるにもかかわらず、末端の小さな水路では、水路の泥上げや草刈りなどの手入れを周りの住民が行うとこの法案による交付金がもらえるというものです。大きな水路の方が農業や耕地維持のためには重要で、お金も掛かるし作業も大変なのに、その費用は自分で負担する、小さな水路の簡単な作業をすれば、逆に周りの人たちがお金をもらえるというものなんです。これもおかしな話ですが、政府からはこれ以上の詳しい説明はいただけませんでした。
 もしこのような助成制度をつくるなら、担い手支援のために農作物を作っている農作業そのものに対して、そして農地を守る担い手に対して直接支払われるべきものだと思っています。つまり、多面的機能法案は、担い手の規模拡大や生産性の向上に貢献するものなのかどうか大変疑わしいものであり、予算が余ったからばらまくんだという政治的な思惑が見え隠れする、農業政策本来の道からは外れた法案ではないかと考えています。
 このように、今回の政府提出の二法案は、問題が山積の法案です。信念を持って反対させていただきたいと思います。
 では、どうしてこのような日本の農業の近代化に逆行するような法案を政府は提出するのでしょうか。きっと、農水省の官僚の皆さんは、もっと政策的な合理性のある筋の通った法案を立案したかったに違いありません。それがかなわないその答えは、農協とそれに群がる族議員の存在という時代錯誤的な構造的な問題があると考えます。
 現在の全中を司令塔にしたピラミッド型の農協組織と農協マネーの流れをシャットアウトしなければ、どんな農業政策や法案、予算でも農協や族議員の都合が良いようにゆがめられ、政府の都合でころころ政策が変わる猫の目農政が続き、その被害を受けるのは一戸一戸の現場の農家なんです。
 全中と関連する政治団体から自民党の支部に数千万円を超える多額の寄附が、また、さきの衆議院総選挙でも、多くの選挙区に対して推薦料の名目で幅広く全地域の全中から団体に寄附されたことも分かってきています。自民党議員の先生が、この問題に対してある講演会の中で、全中は政治運動をやめた方がいい、国民の目にどう映っているか、まずいと思うとおっしゃったようですが、私も全中からはお金をもらわない方がいいと思います。こうした農協と族議員の構造問題に果敢に切り込んでこそ、農業の明るい未来が見えてくるのです。
#29
○議長(山崎正昭君) 山田君、時間が超過しております。簡単に願います。
#30
○山田太郎君(続) その点、政府の規制改革会議が公表した全中の廃止や全農株式会社化といった農協改革案は大いに評価されるものであります。是非、与党の皆さんは、改革をすると選挙に勝てないと言う前に、国民のために落ち着いて考えていただきたいと思います。
#31
○議長(山崎正昭君) 山田君、簡単に願います。
#32
○山田太郎君(続) 私の反対討論をこれで終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
#33
○議長(山崎正昭君) 紙智子君。
   〔紙智子君登壇、拍手〕
#34
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案及び農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律案に反対の討論を行います。
 安倍政権は、二〇一三年に日本再興戦略を閣議決定し、TPP参加を前提に農業の競争力強化、大規模化や企業参入の加速化等を推進することを決めました。今後十年間で全農地面積の八割を担い手に利用させ、米の生産コストを四割に削減し、法人経営体を五万法人にするための大胆な構造改革を行うとしています。両法律案はその方向を推し進めるもので、多面的な家族農業と集落営農の経営を一層困難に追い込むと言わざるを得ず、認めることはできません。
 担い手経営安定のための交付金交付に関する法律案は、交付金の対象者を、全ての販売農家から、認定農業者、集落営農、認定就農者だけに絞り込むものです。これにより対象農家は八万三千八百四十八戸から三万八千五十三戸へと半分以下になることが明らかになりました。農村集落に差別、選別を持ち込むことは容認できません。全ての販売農家を認定農業者などの担い手に絞り込めば、食料自給率向上にも逆行するものと言わざるを得ません。また、交付基準を面積払いから数量払いに変えれば、中山間地域などの条件不利の農家は、交付額が削減され農業経営に大きな打撃となるものです。
 多面的機能促進法案は、担い手の営農負担を減らすために水路や農道等の管理などを地域住民に求めるものです。担い手への農地の集積、規模拡大を図り、担い手経営安定法案と一体に農業の構造改革を推進することを認めることはできません。また、農地を担い手に売却した農家の失業対策事業になりかねません。本来の多面的機能の趣旨をゆがめ、地域に格差を生むことになりかねないものです。
 農業者が求めているのは、農業を支えてきた集落の社会的つながり、コミュニティーを維持することであることが参考人質疑で明らかになりました。農業の生産活動が縮小すれば、耕作放棄地や鳥獣被害、廃棄物が増え、災害発生にもつながります。生産活動と切り離した支援では多面的機能を発揮できないのは明らかです。
 岩盤に穴を空けると称する安倍農政改革は、規制改革会議と産業競争力会議をよりどころに、生産調整の廃止、全国農協中央会の廃止、全農の株式会社化、農業委員会の公選制廃止など、農政全般に及んでいます。
 農業委員会委員の公選制を廃止することは、市町村長の任命で農業委員を少数にするもので、農民の代表機関、農民の議会という基本的な性格を奪い、行政の下請機関に変質させるものです。農協については、全農を株式会社化し、准組合員の事業利用を制限するなど、多くの問題点を含んでいます。いずれも家族農業とその共同を中心とした戦後の農政の在り方を根本から覆すものです。
 これらは、安倍総理の言う、世界で企業が一番活躍しやすい国づくりの農業版であり、この間、関係者から厳しい意見が相次いでおります。政府は、この間の質疑で、農業関係者から廃止の要望が一切出ていないと認めましたが、現場の声を聞かず押し付けるやり方は、まさにファッショ的とも言えるもので容認できません。
 今年は国連が定めた国際家族農業年です。国連は、飢餓や貧困、環境問題の解決には多数の家族農業の存在が欠かせないとして、世界各国に正当な評価と支援を呼びかけました。昨日の質疑で見解を求めましたが、総理は答弁に立ちませんでした。政府が真面目に取り組んでいるとは思えません。家族農業は食料の安定供給や農地の多面的機能の維持にとって欠かせません。担い手不足、耕作放棄地が増大する日本でこそ実践されるべきです。家族農業を支えるためには、農業者の協同組合の重要性は増しています。農協や農業委員会、農地制度の基本は将来に引き継いでいくべきです。
 我が国の農政に今最も必要となっているのは、大多数の農家が農業に励める条件を国の責任で整えることです。農業の担い手を確保するために、国や自治体、関係団体が総力を挙げて取り組むことです。我が党は、農業を国の基幹産業に位置付け、食料自給率向上を柱に据え、適切な国境措置や価格保障、所得補償の実現などによる総合的な農業再生プランを示していますが、その実現のために、農協や農業委員会など、共同を広げ、安倍政権による農業潰しを阻止するために全力を尽くす決意を述べ、反対討論といたします。(拍手)
#35
○議長(山崎正昭君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#36
○議長(山崎正昭君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#37
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#38
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十九  
  賛成            百四十三  
  反対             九十六  
 よって、両案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#39
○議長(山崎正昭君) 日程第八 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長丸山和也君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔丸山和也君登壇、拍手〕
#40
○丸山和也君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、教育の再生を図るため、地方公共団体の長が当該地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱を定めるとともに、当該大綱の策定に関する協議等を行うために総合教育会議を設けることとし、あわせて、地方公共団体の長が議会の同意を得て任命する教育長は、教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表する等の必要な見直しを行おうとするものであります。
 委員会におきましては、安倍内閣総理大臣、下村文部科学大臣等に対して質疑を行うとともに、参考人からの意見聴取、愛知県及び静岡県に委員を派遣しての地方公聴会の開会など、慎重に審査を重ねました。
 委員会における主な質疑の内容は、教育委員会制度の抜本的改革の必要性、教育委員会活性化に向けた取組、大綱と地方教育振興基本計画の関係、総合教育会議において首長と教育委員会の調整が付かない場合の対応、学校運営協議会の普及に向けた方策等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局した後、みんなの党を代表して松沢理事より、本法施行後三年以内に、教育委員会必置義務の撤廃等も含め、制度の在り方について検討を加える旨の修正案が提出されました。
 次いで、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して那谷屋委員より原案及び修正案に反対、自由民主党及び公明党を代表して公明党の矢倉委員より原案に賛成、修正案に反対、日本維新の会・結いの党を代表して柴田委員より原案及び修正案に反対、みんなの党を代表して松沢理事より原案に反対、日本共産党を代表して田村委員より原案及び修正案に反対の意見が述べられました。
 討論を終わり、順次採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#41
○議長(山崎正昭君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。大島九州男君。
   〔大島九州男君登壇、拍手〕
#42
○大島九州男君 民主党の大島九州男でございます。
 私は、会派を代表して、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をさせていただきます。
 以下、その理由を述べさせていただきます。
 地方教育行政に関する現行制度の趣旨は、教育の政治的中立性の確保、安定した継続性の確保等にあります。それは、教育への不当支配、介入を禁止し、自主性、自律性という教育の本質的要請に応え、ひいては憲法の保障する子供の教育を受ける権利、学習権、成長発達権等の基本的人権の十全な保障を確保するために戦後創設された制度、枠組みであることは、皆さんも御承知のことと思います。
 その理念を、戦後レジームからの脱却との掛け声の下、地方自治体の首長の権限を強め、国の地方教育行政への関与権限を強めようとする法律に改めようとするその考え方は、決して容認できるものではありません。
 今回の改正案には、三つの大きな危惧される問題があります。
 一つ目は、教育長と教育委員長を統合して新教育長として、首長が議会の同意を得て任命、罷免するものとし、任期を三年としていることです。
 一見新しい制度のように見えるこの改正は、下村大臣も、今までの教育長は教育委員の中から選ぶということになっていますが、実態的には、事実上、首長が教育長を任命していたという部分があり、多くの自治体でも一般的にそうだったのではないかと思いますと、こういう答弁をされています。
 この改正は、いじめ自殺問題等、重大事件が起こったときに、本来実質的に教育長を任命した首長の責任が議論されることなく、教育委員会とその責任の所在を曖昧にしてきた点を明快にさせる意味においては、一定の効果が見込めることは否定するものではありませんが、教育における中立性、継続性、安定性の確保が脅かされ、政治家個人の思いによる極端な教育が行われていくことを危惧することであります。
 二つ目は、首長が主宰する総合教育会議の設置を義務付け、大綱的な方針を決定することになっています。本来、首長が任命し議会の同意を得る人物が首長の意向に沿わない教育方針を掲げる可能性は低く、まさに第一次安倍お友達内閣の理念が反映されている基本的考え方に到底賛成することはできません。
 三つ目は、新法第五十条に、文部科学大臣は、都道府県教育委員会又は市町村教育委員会の教育に関する事務の管理及び執行が法令の規定に違反するものがある場合等、当該違反を是正し、又は当該怠る事務の管理及び執行を改めるべきことを指示することができるとなっています。まさに、このことは、自治事務に対する国の関与は限定的であるべきという地方自治の原則を脅かすおそれを感じさせます。
 以上、反対の理由を述べさせていただきましたが、この改正案を国家国民のための改正案にするためには、教育現場の声をしっかり反映する法律の運用を行うことが何よりも大切です。
 そこで、昨日、委員会で安倍総理に確認をさせていただいたことは、首長が任命する新教育長の執行する教育委員会の責任については、第一義的には、任命者である首長の任命責任が重いこと、次に、議会の同意人事であることから、地方議会にも大きな責任があること。
 総合教育会議の構成員は、首長と教育委員会のメンバーとされていますが、下村大臣は、総合教育会議には地域の有識者、有識者の中には地域運営協議会や学校支援地域本部に関わる方々が積極的に関わっていただくことはその地域における教育力をアップしていく大切な要素と答弁され、安倍総理も同じ認識という確認をさせていただきました。
 首長が積極的に学校運営協議会や学校支援地域本部に関わる人たちを総合教育会議のメンバーとして、地域一体となって大綱を定める努力を行うことで、教育の中立性、継続性、安定性を確保し、レーマンコントロールの趣旨が守られる運営になることから、総合教育会議を主宰する首長にはそのことを実践していただく指導を文部科学省には強く求めたいと思います。
 このように、地域の声を反映する総合教育会議から生まれる大綱は、必ず地域の住民と学校の先生と一体となった教育の実践につながり、その教育から育つ人材は、この日本を支える多様な人材に育っていくことと確信します。
 結びに、昨日、委員会で総理に質問させていただいた内容について述べさせていただきます。
 「名にかへてこのみいくさの正しさを来世までも語り残さむ」、この歌は、岸元首相が郷里の山口県から離れる際に旧制一高の恩師から自決を促される短歌を受け取ったときに返した歌と言われております。
 私は、この通説とは違う解釈をさせていただいております。それはなぜかというと、学校の先生の集会に参加をさせていただくと、教え子を再び戦場に送るなのスローガンが必ずあります。これは、戦前、戦中に自分の意思に反して戦争で命を落とすことをいとわない教育を時の政府から押し付けられ、その教育を実践してしまったざんげの言葉と受け取っています。なぜなら、教師として、人間として、誰一人として命を失うことを奨励する人はいない。安倍総理、あなたもそうだと思います。岸元首相の恩師もそうだったでしょう。
 当時、苦悩の中にある岸元首相の性格を熟知した先生は、強く生きてほしい、命を大切にしてほしいとの思いで、自決を促す短歌を送れば、それに反発して強く生きてくれる、そう信じて短歌を送ったのでしょう。その深い思いを受けて、先生に感謝の思いを込めて返したのがこの歌だと私は解釈させていただきました。
 その岸元首相の心は、恩師に、先生、戦争で多くの国民が命を奪われ、戦犯で処刑された人や自決された皆さんのことを思うと、私の生かされている命の使命は、二度と戦争のないこの国をつくっていくため、自分の人生をささげ、来世までそのことを伝えていくことですと、この決意を込めて恩師にお答えされた深い歌だと受け取っています。
 このように総理に問いかけましたら、祖父の歌を教えていただいてありがとうございます、解釈はいろいろありますねと答弁されました。そこで、私は、解釈は人によって違う、だから、憲法改正は、人によって違う解釈の変更ではなく、国民に問うべきものだ、安保条約の中にさえアメリカは集団的自衛権を日本に求める想定はないことも御紹介させていただきました。
 お釈迦様は、極端を捨てて中道に付けとお説きになりました。何をもって中道とするのか。それは、すなわち八つの正しい道であります。正見、正思、正語、正行、正命、正精進、正念、正定であると説かれています。中道とは決して単純な意味の真ん中を指すのではなく、真理に即した、流動的な正しさに即した生き方こそが中道と言われています。
 世の中は複雑であり、人間も千差万別です。生まれ育った環境が違えば考え方や文化も違ってきます。子供たちにも多様な個性があります。その子供たちを育む教育は、その多様な個性、多様な意見に配慮しながら、バランスの取れた人格が形成され、すなわち真理に合った道を進んでいくものだと思います。
 これからの地方教育行政も、時代の流れに流動的に対応した正しい道に向かうため、地域住民、学校現場に関わる皆さんの声をしっかり受け止めた、真に子供たちのための地方教育行政の道を歩んでいくことを願い、安倍総理には、岸元首相の思いを深く推し量って、国民の立場に立った内閣を運営していただくことをお願いし、討論を終わります。(拍手)
#43
○議長(山崎正昭君) 柴田巧君。
   〔柴田巧君登壇、拍手〕
#44
○柴田巧君 日本維新の会・結いの党の柴田巧です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をいたします。
 安倍内閣においては、教育再生を経済再生と並ぶ重要政策の一つとして掲げています。そして、総理自らも、今通常国会での施政方針演説において、教育現場の問題に的確で速やかな対応を行えるよう、責任の所在が曖昧な現行の教育委員会制度を抜本的に改革してまいりますと述べました。
 しかし、この度の改正案は、抜本改革とは言い難いものであります。確かに、教育委員長と教育長の統合で新教育長を設けるなど、一定の前進を見ておりますが、他方、執行機関としての教育委員会は存続させるなど、現状を微調整して追認したにすぎず、誠に落胆を禁じ得ません。
 改めて言うまでもなく、今般の教育委員会制度改革の大きなきっかけとなったのは、平成二十三年に起きた大津市のいじめ自殺事件です。その際に最も問題となったのは一体何であったでしょうか。それは、一人の生徒の尊い命が失われたにもかかわらず、情報を必要な部署に開示せず、調査を途中で打ち切り、いじめの真相究明、検証を怠った教育委員会の隠蔽体質でありました。
 教育委員会事務局の多くは教員出身者で占められており、学校現場との同一性は極めて高いものがあります。それゆえ、学校での不都合な真実を隠そうとする心理と行動が教育委員会に働いてしまいます。このような教育委員会による隠蔽は、大津のみならず、他の自治体でも指摘される問題です。実際、昨年成立したいじめ防止対策推進法が施行された後も、教育委員会による隠蔽が疑われる事案が幾つも発生しています。
 こういう隠蔽体質こそ現行の地方教育行政制度の問題の根源であり、その解消のためには、地域住民からの監視が弱く、いわゆる教育村のなれ合いを温存させている現行の教育委員会の仕組み、在り方を抜本的に見直す以外にありません。教育委員会制度は既に制度疲労を起こし、もはや運用で改善できる限界を超えており、存続ありきの議論では根本問題が解決しません。このことを改めて強調したいと思います。
 また、大津市の事件で指摘された教育行政における責任体制の明確化についても、改正案は極めて曖昧です。
 改正案においては、教育委員長と教育長を統合した新教育長の設置により、責任体制が明確になるとされていますが、依然として、首長と教育委員会の権限の分断については残ったままです。その上、首長、教育委員会両者の協議、調整の場として総合教育会議が設けられましたが、これはまさに屋上屋を架すようなものであり、参考人や地方公聴会の公述人からも懸念が示されました。
 委員会審議でもこの問題は何度も取り上げられましたが、総合教育会議において、教育、学術及び文化の振興に関する総合的施策の大綱を策定する際、首長と教育委員会の方針が食い違い、協議、調整が付かなかった場合、どのような対応が最終的に行われるか、結局判然としませんでした。このような結果となったのも、与党内で妥協に妥協を重ね、教育委員会の存続が優先されたからにほかなりません。これでは教育現場に無用な混乱が起こってしまいます。
 加えて、首長と教育委員会にそれぞれ権限が分配されたままの改正案では、児童生徒の生命、身体が脅かされるような緊急事態に迅速に対応できるかについても疑問が残ります。
 緊急事態としては、例えば、いじめによる自殺事案、通学路での交通事故の発生、さらには感染症が蔓延した場合等が考えられますが、改正案では、総合教育会議が設けられることにより迅速な危機管理体制が構築されるとしています。しかし、果たしてそうでしょうか。
 そもそも緊急時には、地方公共団体の各部局でまず対応が協議され、恐らく対策本部等も開催されます。加えて、総合教育会議が開かれたものの、協議、調整に時間を要すれば、むしろ対応が遅れる懸念があります。緊急時に求められるのは、協議、調整ではなく、決断、実行であります。したがって、総合教育会議のような組織が緊急事態に迅速、的確に対応できるとは思われません。
 さて、改正案では、教育長と教育委員長を一本化され、新教育長が果たす役割は大変大きなものとなります。このため、研修制度の充実を図り、教育長の力量の向上、将来の教育長候補の計画的養成が求められます。一方、この新教育長の問題としては、暴走、独走する教育長を辞めさせることが極めて困難であるということが挙げられます。つまり、首長との意見が食い違い、教育長が暴走、独走した場合、誰がストップを掛けるのでしょうか。
 改正案における教育長に対する罷免要件は、現行と同様、心身の故障のため職務遂行に堪えられない場合や職務上の義務違反等に限られています。したがって、強大化した教育長の暴走、独走を防ぐためには、罷免要件を何らかの形で緩和すべきだったと考えます。
 ところで、現行制度が抱える課題の一つに、教育行政や学校運営に地域住民や保護者の意向をいかに反映させるかということがあります。しかし、この点からも改正案は不十分なものであります。
 保護者や地域住民などが学校運営や教育活動について意見を述べることのできる学校運営協議会は、この十年で各小中学校への設置が進められてきましたが、その導入校数は目標とされる三千校の半分程度にとどまっています。導入が思うように進まない理由として、学校の教職員、地域住民の間で学校運営協議会に対する理解が進んでいないことなどが挙げられます。
 政府は、この現状に鑑み、学校運営協議会についての理解促進、導入校へのインセンティブの付与等により学校運営協議会の設置促進に努めるべきですが、こうした内容が改正案に明記されてはいません。学校運営協議会を各学校に必ず置くようにし、さらに、学校運営協議会等の代表者をその地方公共団体の教育委員に選任するよう求めるなど、地域住民、保護者が教育行政、学校運営により参画できるような具体的仕組みを改正案に盛り込むべきだったのではないでしょうか。
 他方で、改正案では、国の地方公共団体への関与の見直しとして、児童生徒等の生命又は身体への被害の発生を防止する緊急の必要がある場合に、文部科学大臣は教育委員会に対し指示できることが明確にされました。しかし、当該地方公共団体の首長に指示権がないのに文部科学大臣に指示権を認めることは、先ほどもありましたが、地方分権に明らかに反するものと思われます。
 地方の自立的な教育行政を展開するためにも、緊急事態に対して首長が迅速に対応できるような実効性のある仕組みこそ設けるべきであります。
 本来なら、文部科学省、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、学校現場とつながる、縦の系列につながるこの官僚の教育行政支配を変える必要があるのに、改正案はここに何ら手を加えていないことは非常に残念であります。
 以上のように、教育行政制度の見直しに当たっては、隠蔽体質の解消、責任と権限の所在の一致、そして民意をより教育行政に反映させるものでなければ、六十年ぶりの抜本的改革という名に全く値しません。しかし、改正案はそれらとは程遠い内容となっており、よって、私ども日本維新の会・結いの党は改正案に反対せざるを得ないことを申し上げ、討論とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
#45
○議長(山崎正昭君) 松沢成文君。
   〔松沢成文君登壇、拍手〕
#46
○松沢成文君 みんなの党の松沢成文でございます。
 私は、みんなの党を代表いたしまして、政府提出の地方教育行政法改正案に対して、反対の立場から討論をいたします。
 教育委員会制度は、戦前の中央集権的な教育行政への反省から、昭和二十三年、首長から一定の距離を置く独立の行政機関として導入されました。その後、公選制の廃止などの改正はありましたが、抜本的な改正は行われることなく今日に至っております。
 この間、教育委員会は、権限と責任の所在が不明確であること、地域住民の意向の反映が不十分であること、審議等が形骸化していること、迅速性、機動性が欠如していることなど、様々な問題を指摘されてまいりました。また、首長から独立した立場を保ちながら非常勤の教育委員で構成される教育委員会は、実態として教育長を中心とする教育専門職による閉鎖的共同体を生み出し、文部科学省を頂点とする上意下達の中央集権型教育行政を維持するための装置となっているとの批判もあります。
 このような諸問題に対応するために、この度、政府が一つの改革案を提示したことについては評価をするところであります。しかしながら、本改正案をもって、巷間言われるような六十年ぶりの抜本的改革と言うことは到底できません。
 そもそも、本改正案でも、責任の所在は不明確なままであります。衆参両院での質疑を通じ、総合教育会議において、重大事案への対処や大綱策定の方針について、首長と教育長の意見が対立した場合にはどうなるのかが繰り返し問われましたが、下村大臣は、あくまで協議し調整を尽くすことが必要と答弁するのみであり、明確な回答を示すことはできませんでした。
 また、教育長には教育行政に関し識見を有するものとの要件が課されましたが、専門性のハードルが上がることにより、教育専門職により構成される共同体の閉鎖性は今以上に高まり、教育委員会がますます形骸化することも容易に予想されるところであります。教育委員会の理念であるレーマンコントロールは一体どこへ行くのでしょうか。
 振り返れば、この十年間、幾つもの総理の諮問機関や地方団体が、教育委員会制度の抜本的改革を求める答申や要望を出してまいりました。平成十六年には地方分権改革推進会議が、平成十七年には第二十八次地方制度調査会が、平成十八年には全国市長会・全国町村長会、経済財政諮問会議、そして規制改革・民間開放推進会議がそれぞれの立場から教育委員会制度の抜本的改革を求めてまいりました。さらに、平成二十五年にも、改めて第三十次地方制度調査会と全国知事会を始めとする地方六団体が抜本的な改革を求める答申や意見を提出しているのであります。
 そして、これらの答申や要望書が求める抜本的改革案とは、その全てが、教育委員会の必置規制を外し、教育委員会を設置するかしないかを地方自治体の選択に委ねる選択制を導入することにほかなりません。なぜ政府は多くの団体が求める抜本的改革案を無視するのでしょうか。
 人口僅か千人にも満たない小さな自治体から一千万人を超える巨大な自治体が存在するにもかかわらず、十把一からげに全国一律の制度で縛ろうとすること自体、到底無理であります。
 小さな自治体の中には、教育委員を集めることができず充て職にしているところや、他の自治体に住んでいる者を選任しているところもあります。このような自治体に教育委員会を設置する意味はどこにあるのでしょうか。一方で、現行の教育委員会制度の下でも大きな改革、そして教育成果を上げている自治体もあります。このような自治体に新しい制度を押し付ける必要はあるのでしょうか。
 それぞれの自治体は、人口、人材、経済力、そして、歴史、文化、風土までも多種多様であります。その地域の特性を生かした地域の教育文化に合う制度を首長、議会、地域住民が議論し、判断し、そして導入することが地域民主主義や地方自治の推進につながるのであります。
 安倍総理は、さきの参議院本会議において、選択制に対して、どの地域においても責任ある体制を構築する観点から統一的な仕組みとすることが必要であると述べ、否定的な見解を示されました。
 私も、教育において、国がナショナルミニマムを保障する必要は当然あると考えています。国において教育基本法を制定し、学習指導要領を定め、あるいは教科書検定を行って方針や基準を示すことは極めて重要であります。
 しかしながら、地方の教育行政は地方自治体の自治事務であります。国は、教育の方針や基準を示すことに特化し、教育の実務は地方に任せるべきです。国による責任ある体制の名の下に、地方教育行政の枠組みまで全国一律とすることは、過度のパターナリズムであり、地方を信頼していないことのあかしであります。
 このように、地方からの改革要望を無視し、上から一律の制度を一方的に押し付ける本改正案を支持することはできません。
 みんなの党は、地方教育行政における地域の自主性と多様性を尊重し、地方分権と規制改革を推進する立場から、文教科学委員会において選択制を実現するための修正案を提出しておりましたが、残念ながら否決されました。
 しかしながら、地方分権推進と規制改革は時代の大きな流れです。いずれまた選択制を議論する日が必ず来ると確信しています。教育委員会制度改革は、本改正案をもって終わったわけではなく、まさに本改正案によって端緒に就いたのであります。
 みんなの党は、時代の流れとともに変わっていく地方教育行政への要望を常に取り込み、これからも不断の教育改革を続けていくことを国民の皆様にお誓いしまして、討論を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
#47
○議長(山崎正昭君) 田村智子君。
   〔田村智子君登壇、拍手〕
#48
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 第一に、首長の教育への関与を強めることは、教育の自主性、自律性を脅かします。
 法案は、地方自治体の教育政策の大本となる大綱を首長が主宰する総合教育会議で協議し、首長の権限で策定するとしています。この大綱に首長がどこまで書き込めるのかは法案審議の焦点の一つとなり、名古屋市地方公聴会でも、市長、教育長などの公述人から次々に懸念が示されました。
 私は、本会議の代表質問で、大綱に教科書採択についてなど教育委員会の専権事項も書き込めるのかとただし、総理は、教育委員会が適切と判断した場合においては記載することも可能と答弁しました。
 ところが、委員会審議の中で、教育委員会の判断に関係なく首長が勝手に書くことができ、総理の答弁がごまかしとも言えるものであることが明らかになりました。首長の判断で愛国心教育にふさわしい教科書を採択する、全国学力テストの結果を公表するなど、教育内容に直接関わることも教育委員会の同意なしに記載できるということです。
 政府は、大綱に記載されても教育委員会が同意しなければ執行できないので意味がないとも答弁しましたが、これが首長による政治的圧力になることは十分考えられます。大綱に記載したことに賛成かどうかで教育委員の任命を判断すれば、まさに首長の思いどおりの教育委員会をつくることにもなります。
 現に、静岡県では、知事が教育委員会との協議も行わず、全国学力テストの学校ごとの結果の一部を公表し、この圧力で授業を学力テスト対策の試験に置き換えるなどの事態が生じています。
 また、大阪府・市では、法案を先取りするように、首長が教育委員会と協議して教育振興基本計画を策定するなど、首長の関与を強める条例を制定しました。この下で、大阪市では、市長の強い意向を受けて公立学校の長を原則公募としましたが、二〇一三年春に採用された民間人校長十一人のうち六人が僅かの期間に保護者へのセクハラなど問題を起こし、市民への信頼を失わせ、学校を混乱させる事態になっています。
 学力テストの扱いも校長を始めとする教員人事も、法律によって、首長の職務権限ではなく、教育委員会の職務権限と明確に定められています。にもかかわらず、今でも首長の圧力が教育行政に深刻なゆがみや問題をもたらしているときに、大綱に何を書くか、法律によって首長にフリーハンドを与えることは本末転倒と言わなければなりません。
 第二に、教育長の権限を強める一方で、教育委員会による教育長へのチェック機能は大きく後退します。
 法案によって、教育委員の互選である教育委員長のポストはなくなり、首長が直接任命する教育長が教育委員会のトップとなり、教育長への指揮監督権限も任命、罷免の権限も、教育委員会からは奪われることになります。
 大津のいじめ事件では、教育長を始めとする教育委員会事務局による独走が、いじめの事実を隠蔽する要因となりました。住民の代表である教育委員会による教育長を始め事務局へのチェック機能の強化こそ検討されるべきです。
 第三に、教育委員会そのものの活性化が求められているにもかかわらず、それに資する内容が本法案には全くありません。
 教育委員が、保護者、子供、教職員、住民の不満や要求を直接つかむ、つかんだ要求を踏まえて自治体の教育施策をチェックし改善するなど、我が党の教育委員会改革の提言に、下村文科大臣はすばらしい提案と答弁をされました。しかし、文科省は、これまでも、教育委員会の活性化についてはまともな指導、援助は行っていません。ここにこそメスを入れるべきです。
 法案の審議を通じて、本法案を始め、安倍内閣の教育再生の目的が、国家によるゆがんだ愛国心や道徳教育の押し付け、全国学力テストによる競争教育の強化など、国家による教育への介入にあることも浮き彫りになりました。
 下村大臣は、この法案審議のさなかに、心のノートを全面改訂した道徳教材を全児童生徒に配付するにとどまらず、家庭に持ち帰らせていない学校を問題視し、自らのフェイスブックで調査を呼びかけ、文科省に、持ち帰ることを強く求める通知まで出させました。各学校での教材の扱いについて国には何の権限もなく、あってはならない個々の学校への教育介入を行ったと言わざるを得ません。
 また、昨日の委員会では、日本軍慰安婦について記述する教科書は、国や郷土を愛する態度を強調する改正教育基本法にのっとっていないとの攻撃が国会でも行われていることを取り上げ、総理の見解をただしましたが、総理は、現在使われている慰安婦について記述した高校教科書について、教育基本法にのっとっているということさえ言いませんでした。これは、日本軍慰安婦など、侵略戦争の事実を教科書から排除しようとする政治的運動を容認する態度だと言わなければなりません。
 全国学力テストについても、平均点や順位の向上を至上命題として、運動会などの学校行事にもしわ寄せが起きていることを指摘しましたが、文科大臣は、学力向上は否定すべきではないと答弁しました。その上、今年度からは、教育委員会の判断で学校ごとの平均点などを公表できることとし、更に競争を激化させようとしていることは重大です。
 教育は、人格の完成を目指し、全ての子供たちの成長、発達を保障する、深く、普遍的な営みでなければなりません。だからこそ、地方教育行政は、国や一般行政権力から独立した執行機関として教育委員会を制度化したのです。
 教育委員会の本旨に基づく真の改革へ力を尽くす決意を述べ、反対討論を終わります。(拍手)
#49
○議長(山崎正昭君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#50
○議長(山崎正昭君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#51
○議長(山崎正昭君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#52
○議長(山崎正昭君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百三十八  
  賛成            百三十六  
  反対              百二  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#53
○議長(山崎正昭君) この際、国の統治機構に関する調査会長から、国の統治機構等に関する調査の中間報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。国の統治機構に関する調査会長武見敬三君。
    ─────────────
   〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔武見敬三君登壇、拍手〕
#55
○武見敬三君 国の統治機構に関する調査会の中間報告につきまして、その概要を御報告申し上げます。
 本調査会は、第百八十四回国会の平成二十五年八月七日に設置されました。
 グローバル化が進展し、経済や社会の構造が大きく変動する中で、こうした状況に対応するため、我が国においても行政改革や規制改革が進められてきました。また、平成十三年には省庁再編を軸とする行政改革が実施され、さらには司法制度改革、地方分権改革、独立行政法人制度の創設等、今日まで、統治機構に関連した一連の改革が実施されてきたところであります。
 この間、東日本大震災が発生し、震災からの復興とその経験から、非常時の危機管理体制の整備が重要な課題となっております。また、我が国経済は長期にわたるデフレ状態が継続しており、デフレからの脱却及び持続的な経済成長の実現は政治に課せられた課題として重要です。
 こうした状況に対し、必要な政策を決定し着実に遂行すると同時に、その行き過ぎや不公正がないかチェックする政治の確立が必要であり、国民主権と代表制を採用する憲法の理念に沿って統治機構の在り方を問い直すことが求められております。
 本調査会では、以上のような問題意識から、調査テーマを「時代の変化に対応した国の統治機構の在り方」とするとともに、当面の調査項目として「議院内閣制における内閣の在り方」を取り上げ、昨年来、調査を行ってまいりました。
 これまでの調査結果を踏まえ、去る六月十一日、議長に中間報告書を提出いたしました。
 その内容は、参考人質疑のあらまし、委員間の意見交換、以上を受けて調査会における議論を論点別に整理したものであります。
 論点と主な議論の内容は次のとおりです。
 第一に、議院内閣制についてであります。
 内閣が議会の信任に依存する議院内閣制の意義、議院内閣制と権力分立の関係性等について言及しております。
 第二に、内閣及びその機能強化についてであります。
 首相・内閣の役割、その補佐機構である内閣官房、内閣府の機能強化、内閣の方針に基づく府省間調整の必要性等について言及しております。
 第三に、参議院の在り方についてであります。
 政府に対する参議院による権力分立制的コントロールの重要性、参議院の行政監視機能の強化等について言及しております。
 このほか、内閣と国会の関係、国会及びその機能強化、政治システムと政治改革、基本法としての憲法についても言及しております。
 本調査会といたしましては、以上の認識を踏まえ、二年目以降、引き続き「時代の変化に対応した国の統治機構の在り方」について更に調査を進めてまいりたいと考えております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
     ─────・─────
#56
○議長(山崎正昭君) この際、国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会長から、国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査の中間報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会長鴻池祥肇君。
    ─────────────
   〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔鴻池祥肇君登壇、拍手〕
#58
○鴻池祥肇君 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会における中間報告について御報告をいたします。
 本調査会は、国民生活の安定及び向上の観点から、デフレ脱却及び財政再建に関し、長期的かつ総合的な調査を行うため、第百八十四回国会の平成二十五年八月七日に設置され、三年間にわたる調査を開始いたしました。
 本調査会では、三年間の調査項目を「デフレからの脱却と財政再建の在り方など経済状況について」と決定し、一年目の調査において、十三名の参考人から意見を聴取し、質疑を行いました。
 その後、中間報告書を取りまとめるに当たって委員間の意見交換を行い、それらの調査内容を踏まえ、今般、八項目の提言を含む報告書を取りまとめ、去る六月十一日、これを議長に提出いたしました。
 以下、報告書の主な内容について、提言部分を中心に御報告申し上げます。
 我が国経済は、バブル崩壊後、長い景気停滞期にありましたが、アベノミクスの登場は、デフレの暗雲を取り除き、人々に景気の好転、生活水準の向上等を期待させるものとなりました。こうした中で、引き続きデフレ脱却の努力を間断なく継続することが必要であり、それに向けて課題を挙げております。
 以下、主なものを三項目御説明いたします。
 第一は、積極的かつ柔軟な財政政策とこれに連携した金融政策の推進についてであります。
 様々な経済政策を一本にまとめ、計画的、合理的に推進し、その中心に財政政策を据えるとともに、その投資内容は国民生活の向上に直結するものとし、積極的に行うことを挙げております。そして、金融政策は政府の財政政策の実施と連携を図り、日銀が金融市場に資金を供給する役割を果たすことも挙げております。
 第二は、国民の安心・安全への投資についてであります。
 高度成長期に構築した公共インフラは既に建設から五十年を超えるものがあり、その維持更新のためのメンテナンスが不可欠となっていること、また、東日本大震災の教訓を踏まえ、国民の安心・安全を確保するためのインフラ整備を強力に推進することを挙げております。
 第三は、法人税減税、消費税増税の取扱いについてであります。
 法人税減税については、その効果を精査し、慎重に対応すべきであるとしております。また、消費税については、社会保障費の給付財源として重要でありますが、今後更なる超高齢化社会を迎える中、国民負担率の在り方について更なる検討が必要であるとしております。
 以上が報告書に盛り込まれた提言の主な内容であります。
 本調査会といたしましては、これらの提言の実施状況等を踏まえつつ、今後とも、デフレからの脱却と財政再建の在り方など経済状況について更に議論を深めていきたいと考えております。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
#59
○議長(山崎正昭君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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