くにさくロゴ
2013/11/29 第185回国会 参議院 参議院会議録情報 第185回国会 消費者問題に関する特別委員会 第5号
姉妹サイト
 
2013/11/29 第185回国会 参議院

参議院会議録情報 第185回国会 消費者問題に関する特別委員会 第5号

#1
第185回国会 消費者問題に関する特別委員会 第5号
平成二十五年十一月二十九日(金曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十八日
    辞任         補欠選任
    佐々木さやか君     新妻 秀規君
     山田 太郎君     和田 政宗君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         寺田 典城君
    理 事
                青木 一彦君
                猪口 邦子君
                鶴保 庸介君
                金子 洋一君
                魚住裕一郎君
    委 員
                石井みどり君
                尾辻 秀久君
                太田 房江君
                金子原二郎君
                島田 三郎君
                三木  亨君
                山田 修路君
                江崎  孝君
                加藤 敏幸君
                斎藤 嘉隆君
                森本 真治君
                新妻 秀規君
                和田 政宗君
                大門実紀史君
                清水 貴之君
                福島みずほ君
                主濱  了君
                谷  亮子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        五十嵐吉郎君
   参考人
       特定非営利活動
       法人消費者機構
       日本専務理事   磯辺 浩一君
       一般社団法人日
       本経済団体連合
       会経済法規委員
       会消費者法部会
       長        土屋 達朗君
       慶應義塾大学大
       学院法務研究科
       教授兼法学部教
       授        三木 浩一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○消費者の財産的被害の集団的な回復のための民
 事の裁判手続の特例に関する法律案(第百八十
 三回国会内閣提出、第百八十五回国会衆議院送
 付)
    ─────────────
#2
○委員長(寺田典城君) ただいまから消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、山田太郎君及び佐々木さやか君が委員を辞任され、その補欠として和田政宗君及び新妻秀規君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(寺田典城君) 消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案を議題とし、参考人の方々から御意見を伺います。
 本日は、本案の審査のため、参考人として特定非営利活動法人消費者機構日本専務理事磯辺浩一君、一般社団法人日本経済団体連合会経済法規委員会消費者法部会長土屋達朗君及び慶應義塾大学大学院法務研究科教授兼法学部教授三木浩一君に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。
 まず、磯辺参考人、土屋参考人、三木参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 御発言いただく際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いいたします。
 なお、御発言は、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 それでは、磯辺参考人からお願いいたします。磯辺参考人。
#4
○参考人(磯辺浩一君) 御紹介をいただきました、適格消費者団体、消費者機構日本の磯辺と申します。本日は、貴重な機会をいただき、どうもありがとうございます。
 私は、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案について、共通原因で多数発生する消費者被害の回復に資する画期的制度であり、本制度について今臨時国会での成立を強く求めるものです。
 まず、現在の消費者団体訴訟制度、これは事業者の不当な行為に対する差止め請求権を一定の要件を満たす消費者団体に認めたものですが、その適格消費者団体として活動しております私ども消費者機構日本について御紹介をいたします。
 資料の二ページを御参照ください。
 消費者機構日本は、政府において消費者団体訴訟制度が検討されていた際に、同制度を活用できる体制を消費者団体としてつくる必要があるとの問題意識から、消費者団体と法律の専門家、そして消費生活相談員等で平成十六年九月に設立、その後、平成十七年一月に特定非営利活動法人として認証を受けました。さらに、平成二十三年一月には認定NPO法人の認定を国税庁より受け、現在に至っております。
 現在の会員数並びに主な役員はお手元の資料のとおりです。
 資料の三ページに進みます。
 消費者機構日本の活動状況ですが、消費者団体訴訟制度が施行されました平成十九年に消費者支援機構関西と並んで第一号の適格消費者団体の認定を受けました。認定以前から事業者の使用する不当な契約条項等の是正に取り組んでまいりまして、今年の十月末日までに五十四件についての是正が図られています。訴訟にまで至ったものは二件ですので、多くは訴訟に至る前の裁判外の申入れの段階で是正が図られています。
 差止め請求関係業務は、まず、消費者等からの情報提供が端緒となります。提供された情報のうち、不当な契約条項の使用、不当な勧誘行為、不当な広告表示に関する情報について、法律専門家や消費生活の専門家に法令に定められた差止め請求の対象になるかどうか検討していただきます。差止め請求の対象になり得るとなれば、法律の専門家に申入れ書の起案をお願いし、ワーキンググループで確認の上、理事会の議決を経て相手方事業者に送付します。そして、相手方事業者からの回答が届けば、これらの専門家の方々に回答評価を行っていただき、法令に照らして問題のない程度に是正が図られれば協議終了に向かいます。協議終了に当たっても、専門家の参加するワーキンググループで確認の上、理事会の議決を経ます。
 裁判外の是正も含め、差止め請求の結果については原則として当機構のホームページで公表しています。これは、一つには、適格消費者団体としての活動の透明性を確保するという趣旨があります。そして、契約条項等の是正結果を公表することで、例えば是正前の契約条項で契約してしまった消費者の方々が自らの被害回復を図る上で参考にしてもらうといった目的もあります。
 これら一連の活動は、専門家の方々のボランティア活動によって支えられています。消費者被害を未然に防止したいという善意による専門家の御協力で維持されている制度であると言えます。
 以上が、私どもの差止め請求関係業務の概要の御紹介です。
 次に、これまで私どもが取り組んだ事例から本制度の必要性を実感した事例を三つほど御紹介をします。
 四ページを参照ください。
 一つ目は、ある外国語講座の中途解約時の過大な違約金条項の事例です。二〇〇五年、平成十七年ごろの事例となります。
 外国語講座については、特定商取引法で、消費者都合の中途解約時の違約金に上限が設けられています。本事案は、形式上は特定商取引法の清算ルールにのっとっているように見せながら、解約清算時に、一定の時期を経過したポイントは消化済みとみなしたり、契約時と異なるポイント単価で計算するなどして、消費者に返金すべき金額を減じていたものです。
 消費生活センターには、数年来、この事案の相談が年間約千件寄せられていましたが、当該事業者があっせんに応じないケースも多く、消費生活センターが関与しない場合には、事業者の清算方法による返金しかされていません。このように、消費者は少ない返金額に甘んぜざるを得ない状況が続いていました。被害額は、一人当たり十万円から三十万円程度と思われます。
 訴訟を起こした消費者もいましたが、和解で和解条項は非公開にされるという対応が続いていました。そのような中、最高裁の判断を求めて裁判を進めた消費者と弁護士さんがいて、特定商取引法に反する清算条項との判決が確定をしました。
 もし、当時、本制度があれば、このような事案は、被害件数が比較的少ない段階で特定適格消費者団体が提訴することで解決が図られた事案と言うことができます。
 次に、五ページを参照ください。
 二つ目は、ある保証人紹介ビジネスの事例です。これは、二〇〇八年、平成二十年ごろの事例となります。
 この事業者は、保証人を必ず紹介するかのようにホームページで宣伝し、会費四万円を徴収していました。しかし、実際には、保証人が紹介されなかったり、保証人資格を満たさない者を紹介されたといった被害が多数、年間百件程度発生した事例です。
 差止め請求では、ホームページに保証人が必ず紹介できるといった趣旨の不当な掲示をしないように求めることまでしかできません。業務自体を差し止めることはできないのです。
 本制度があれば、債務不履行の損害賠償請求ができた事例になります。情報提供者を含めたこれまでの被害者の被害回復が可能になるとともに、実質的に同様の行為を事業者に行わせない強い抑止力となったはずです。
 なお、当該事業者については、その後、平成二十三年三月に特定商取引法による業務停止命令が出されています。
 次に、六ページにお進みください。
 三つ目は、ある有料老人ホームの申込金が不返還、入居一時金が早期に高率で償却されていた事例です。
 この有料老人ホームでは、入居に際し、申込金七十三万五千円と入居一時金四百十万円の支払が必要でした。そのうち、一切不返還とされていた申込金の性格を当該事業者に問い合わせたところ、広告宣伝費や人件費を含むという回答で、事務手数料などの初期費用という枠組みを超えたものであると考えられたため、不返還条項の削除を求めました。
 入居一時金四百十万円については、ほかの事業者では通例、初期償却、二〇%から三〇%分を除いた部分について、償却期間六十か月程度に月ごとに均等に償却される仕組みとなっています。しかし、当該事業者は、初期償却に加え、早期に高率で償却する仕組みとしていたため、償却期間六十か月であっても、十二か月経過した時点で五〇%、二十四か月で七〇%が償却され、退居した場合に返金額が少なく、トラブルになっていました。
 以上の二点を消費者契約法第九条一号に反するとして是正等の申入れを行ったところ、申込金は廃止され、月ごとに均等に償却する仕組みに改善されました。
 ところが、これらの条項が法令違反であることは当該事業者は認めませんでした。裁判前の協議で当該約款は是正されましたので、既に訴えの対象はなく、差止め請求訴訟を提起することはできません。つまり、これらの契約条項が違法であったかどうかの裁判所の判断は示されていません。そのため、個別の消費者が被害回復を求める場合、差止め請求の成果を事実上活用することも困難であり、当該約款の違法性を改めて主張しなければならず、大変難しい訴訟を覚悟しなければならなくなります。
 本制度により特定適格消費者団体に不当利得返還請求権が認められていれば、第一段階目でこのような契約条項の不当性を争い、勝訴できれば、二段階目の手続から被害者に参加をしていただいて、中途退居によって事業者に生じた平均的損害を超えて徴収された金額、その部分については返金を求めることができます。
 以上のような事例からも本制度の必要性が御理解いただけるのではないかというふうに思います。
 さて、次のページでは、本制度を円滑に活用するために必要である特定適格消費者団体への支援の必要性について述べさせていただきます。
 特定適格消費者団体への支援は、大きく分けて財政面での支援と情報面での支援が必要であると考えます。
 財政面での支援の必要ですが、現在の適格消費者団体は、差止め請求関係業務での収入は認められず、会費、寄附金を主な財源として活動をしております。例えば消費者機構日本では、適格消費者団体の中でも比較的財政規模が大きい方ですが、それでも平成二十四年度の収支規模は二千万円弱にすぎません。本制度では、被害回復の趣旨を損なわない範囲での費用、報酬の取得が認められますが、それは二段階目の手続の最後に被害者への返金を行う段階で団体の収入となると考えられます。仮差押えの担保金、一段階目での代理人弁護士の着手金、二段階目での通知、公告費用等は団体による立替えとなるため、特定適格消費者団体に対する低利又は無利子の貸付けなどの財政支援が必要と考えます。
 このほか、特定適格消費者団体の活動が公共の利益に資するものであることに鑑み、公的助成についての検討をお願いします。
 次に、情報面での支援の必要性です。
 現在、適格消費者団体は、国民生活センター並びに消費生活センターからPIO―NET情報の提供が受けられますが、その内容は事案の概要までです。本制度を活用するためには、事案の処理結果についても確認が必要です。つまり、相談によってその被害が回復されたのか、それとも被害回復には至らなかったのかが分からなければ、本制度の対象になり得るかどうかが判断できないからです。
 また、現在は、情報提供に当たっては書面申請が必要であり、申請後、二、三週間で情報を提供いただいております。差止め請求の場合はこのようなスパンでも大きな問題は生じないのですが、本制度のように金銭請求の訴訟を行う場合には、より迅速な判断が必要になると思われるところから、この期間の短縮が必要です。そのためには、特定適格消費者団体へのPIO―NET端末配置が有効ではないかと考えます。
 さらに、多くの消費者被害情報に最も早く接するのは、各地の消費生活センターであり、国民生活センターです。相談を受けた事案の中から本制度に適合的な事案について、消費者被害の救済のため、積極的に特定適格消費者団体に情報提供をいただけるような仕組みの整備を併せて御検討いただきたいと思います。
 続けて、制度の実効性を確保する観点から、共通義務確認訴訟の確定判決等の公表について要望いたします。
 八ページを参照ください。
 本制度が消費者の被害回復に資するためには、被害者に確実に一段階目の共通義務確認訴訟における勝訴判決等の情報が届くようにする必要があります。ここが、この制度が有効に機能し、実際に被害回復に結び付くか否かのポイントです。
 特定適格消費者団体が、第二段階目において、被告事業者からの名簿提供などを受けながら個別の通知を確実に行うとともに、ホームページ等での周知に努力することはもちろんです。
 あわせて、政府においては、本法案第九十条第一項に定められた共通義務確認訴訟の確定判決等の概要の公表に当たっては、インターネットの利用のほか、事案の性格や被害者の属性に応じ、各種適切な媒体の採用や地域でのネットワークの活用、そして表現も分かりやすく工夫するなど、制度の実効性確保の観点から、被害者に確実に情報が伝わるよう努めてください。よろしくお願いします。
 次に、本制度の枠外の課題となりますが、本制度の仮差押えでも対応困難な、極めて悪質な事業者による財産の隠匿、散逸に対応するため、行政機関による財産保全策について、消費者庁において具体的な検討を進めてください。
 継続的に事業を営む意思がなく、詐欺的行為で金銭を集めるだけ集めて、財産を散逸、隠匿し、所在が不明となるような極めて悪質な事業者が後を絶ちません。このような案件は、本制度を含む民事訴訟制度で対応することは極めて困難です。このような極めて悪質な事業者が不当に得た財産を、情報を早く探知し得る行政の権限によって保全し、その後、民事的手続を経て被害回復に充てるといった仕組みが構想される必要があります。
 既に、消費者庁では消費者の財産被害に係る行政手法研究会の取りまとめを行い、本年六月にはそれが報告もされています。是非、今後具体的な制度の検討を進めていただきたいというふうに思います。
 本制度は、多くの消費者被害の中でも、特に共通の原因で相当多数発生する消費者被害の回復を図るために欠くべからざる制度です。十年を超える長年にわたり、政府の審議会や国会、衆参両院の附帯決議など、様々な機会にその必要性が指摘されてきた、消費者にとって待ち望んだ制度です。衆議院での全会一致の可決、そして参議院消費者問題特別委員会での皆様方の熱心な御審議と、制度成立の機運は熟しております。メニュー表示の偽装問題も重要な課題ですが、本委員会におきましては、まずはこの法案を成立させていただきますことを改めてお願い申し上げ、私の陳述とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#5
○委員長(寺田典城君) ありがとうございました。
 次に、土屋参考人にお願いいたします。土屋参考人。
#6
○参考人(土屋達朗君) 日本経団連の経済法規委員会消費者法部会長を務めております土屋でございます。本日はこのような意見陳述の機会を設けていただきまして、誠にありがとうございます。
 私から、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案につきまして、日本経団連の考え方を御説明いたします。
 お手元に配付いたしておりますレジュメに沿いまして御説明申し上げます。
 初めに、既存の民事訴訟制度では救済が困難な、少額かつ多数の人に生じている被害を迅速かつ効率的に救済する制度を設けることは重要であると考えております。経団連が公表し、会員企業に遵守を求めております企業行動憲章におきましても、その第一条において、社会に有用で安全な商品、サービスを開発、提供し、消費者、顧客の満足と信頼を獲得するといたしております。消費者は、企業にとりましては大事なお客様でございます。企業と消費者とは決して対立関係に立つものではございません。お互いがウイン・ウインの関係を構築していくことが重要であると考えております。これまでも企業は消費者の信頼を得るべく活動してまいりました。今後も、消費者皆様の御期待にこたえ、信頼を得られるよう一層努力してまいりたいと考えております。
 本法律案につきましては、効率かつ迅速に被害救済を図りながら、乱訴防止のための方策を設けるために相応の工夫をいただいております。例えば、訴訟を二段階に分けて、被害者に共通する義務の確認を第一段階目と、対象となる被害者が加入をする第二段階目とに分けられております。また、対象となる請求の範囲について、個別の認定が必要な拡大損害、人身損害及び慰謝料につきまして対象から除外されております。そして、差止め関係業務を行っている適格消費者団体の中から、更に政府から認定を受けた特定適格消費者団体のみが訴えを提起することとなっております。訴え提起の主体が限定されているということでございます。このようなことから、アメリカのクラスアクション制度とは全く異なる仕組みであり、民事訴訟制度の特例として十分に練られたものとなっていると考えております。
 しかしながら、制度次第では、制度の運用次第では乱訴を生じ、健全な事業活動を萎縮させることにもなりかねない点がいまだ幾つか残されていると存じます。
 企業にとりましては、訴訟が提起されるだけで、風評被害にさらされ事業活動が困難になるリスクがございます。被害の回復を求めて訴えを提起することは正当な行為でありますけれども、他方、訴えを提起された者にとりましては、弁護士に訴訟追行を委任してその費用を支払うことや、相応の人員を割く必要があるなど、大きな負担を強いることになります。このことは、特に経営基盤が脆弱な中小の事業者にとりましては特に深刻な影響があると存じます。
 今年三月には、本日お配りいたしておりますように、国内外の七つの経済団体で慎重な検討を求める旨の意見書も公表しており、海外の事業者も同じような懸念を有しております。
 そこで、是非とも乱訴を防止する手だてが必要になると考えております。本制度は、政府から認定を受けた特定適格消費者団体が被害者に代わって訴えを提起することとされており、被害者自身が訴え、訴訟の追行をしない点に特色がございます。授権が不要なので、実際に被害を生じている多くの消費者がこの手続による救済を求めているかが明らかでないまま訴訟提起がされかねず、乱訴につながるおそれがあると考えております。
 そこで、乱訴を防止するための一つの方策は、特定適格消費者団体を適正に監督することであると考えております。乱訴の懸念を払拭するには、特定適格消費者団体に対する監督の在り方についての要望を含めて、幾つかの具体的な懸念点と要望を述べたいと存じます。
 レジュメの二枚目を御覧ください。
 第一に、企業は、製品に不都合が見付かった場合には、迅速に製品の回収、修理、交換といった手続を取ります。そのように、自主的に製品の回収、修理等を行っている場合に本制度に基づく訴えが提起されることがないようにすべきであると存じます。製品回収等を行う製品については、実際には不都合が生じていないものも多く対象に含まれることがございますが、訴訟が起きているために自主回収が進まないことになれば、消費者の安全の確保の観点からも問題がございます。
 そこで、経団連では、法律において、企業が自主対応をしている場合には訴えを提起することができないようにすべきと主張してまいりました。この点、衆議院における修正で附則第三条が追加され、「政府は、この法律の趣旨にのっとり、特定適格消費者団体がその権限を濫用して事業者の事業活動に不当な影響を及ぼさないようにするための方策について、事業者、消費者その他の関係者の意見を踏まえて、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と明記されたことは高く評価したいと存じます。
 さらに加えて、特定適格消費者団体に対する監督指針において、具体的に企業が自主回収を行っている場合には訴えを提起することができないように明記をしていただきたいと存じます。
 具体的には、法律案第七十五条二項は、「特定適格消費者団体は、不当な目的でみだりに共通義務確認の訴えの提起その他の被害回復関係業務を実施してはならない。」と規定しておりますが、この「不当な目的でみだりに」の中身を示していただく際に、企業の自主的な対応がなされている場合にみだりに訴訟を提起すべきではないことを明らかにしていただきたいと存じます。
 また、製品の不具合に関連して、本法律案第三条一項四号では瑕疵担保責任を対象とすることとしております。
 瑕疵担保責任が対象となるとすると、請求が認められる範囲が不当に拡大するおそれがございます。大量の製品を生産している場合において、品質管理についての努力をしていたとしても、ごく一部に不良のある製品が混入する可能性を完全になくすことは極めて難しいということでございます。そのようなケースにおいて、ほとんど全ての製品については不具合が発生していないにもかかわらず、ごく一部の製品に不具合があることをもって当該製品全体に瑕疵担保責任の訴えを提起できることは妥当ではないと考えます。
 自己の被害についてではなく被害者に代わって団体が訴えを提起するという本制度の特徴を考えると、瑕疵担保責任については監督指針において、例えば製品の不具合が製造過程において僅少な割合で不可避的に発生する不良に由来する場合であって、当該不具合の有無を客観的に判断することが容易でないため、事実上及び法律上の原因を共通にする対象消費者の範囲の設定が困難である場合や、製品の不具合の有無を客観的に判断することが容易でないため、簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難である場合には、この集団訴訟の対象とはならないことを明記していただきたいと存じます。
 第二に、本制度においては、団体が独自の判断において訴えを提起することが認められていることから、実際に相当多数の被害者がこの制度による被害の救済を求めているかどうかが明らかでないままに、特定適格消費者団体が訴えを提起する可能性がないわけではありません。実際に相当多数の被害者が本制度に基づく救済を求めていることを明らかにするために、特定適格消費者団体は訴えを提起する前に、例えば民事訴訟法における大規模訴訟の特則の百人といった人数から授権を得ていることを立証すべきであります。また、実際に相当多数の被害者が救済を求めていることを調査することなしに共通義務確認の訴えを提起することは、特定適格消費者団体に対する改善命令や団体としての適格認定の取消しの対象となるということを監督指針において明らかにしていただきたいと存じます。
 本制度は、多数に生じている消費者被害を効率的に救済するという目的の下、検討が行われてきたものであり、法律が具体的に定義をすることは困難であるとしても、共通性、支配性、多数性についてより具体化した規定を政省令等に置くべきであると存じます。特に、相当多数について、どの程度を指すかを政省令や監督指針において具体的に示すべきであると存じます。
 冒頭にも述べましたとおり、私どもといたしましても、消費者被害を救済することは重要な課題であると認識しております。
 ただし、詐欺のような悪質な事案につきましては、今般の制度では迅速な解決は困難であると考えておりまして、刑事手続や行政的な手法を組み合わせることが重要であると考えております。今後、具体的な事案について、どのような被害が生じておりどのような手法を取ることが真に効果的かという観点から更に検討を深めていただきたいと思います。
 以上で私からの説明を終わりとさせていただきます。
 ありがとうございました。
#7
○委員長(寺田典城君) ありがとうございました。
 次に、三木参考人にお願いいたします。三木参考人。
#8
○参考人(三木浩一君) 慶應義塾大学の三木と申します。本日は、貴重な機会を与えていただき、感謝を申し上げます。
 本日は、私の民事手続法の研究者としての知見及び平成二十二年十月から平成二十三年八月まで消費者委員会で開催されました集団的消費者被害救済制度専門調査会におきまして座長代理として審議に参加した立場から、また、それに先立つ内閣府の集団的消費者被害回復制度等に関する研究会や、あるいは消費者庁の集団的消費者被害救済制度研究会で座長としての経験なども踏まえまして、本法律案に関する幾つかの特徴的な点を取り上げまして、意見を申し述べさせていただきます。
 この法律案でありますが、消費者の財産的被害の回復の実効性を高めるという政策目的を実現するために、民事裁判手続に関して新たな特例を創設するというものであります。
 そこに盛り込まれております内容は、基本的には、集団的消費者被害救済制度専門調査会において消費者、事業者、法曹実務家、研究者等によって慎重に積み重ねられてきた議論の結果をほぼ忠実に反映したものとなっております。すなわち、本制度の検討に当たっては、二段階型の手続構造を採用するという画期的な仕組みを基礎としつつ、同時に、我が国の従来の裁判手続になじむような制度とするための調整が重ねられてきました。この法律案は、そうした議論にほぼ沿ったものとなっており、我が国で初めての消費者被害救済型の集合訴訟の在り方として高く評価できるものとなっているかと存じます。
 この二段階型の集合訴訟の手続構造ですが、具体的には次のように整理することができようかと思います。
 まず、一段階目の手続では、被害を受けた消費者が自ら訴えを提起するとか、あるいは一定の個人又は団体が被害を受けた消費者から訴訟追行権限の授与を受けて訴えを提起するとかといった仕組みは採用しておりません。この制度では、内閣総理大臣から認定を受けた特定適格消費者団体が団体自身の判断で一段階目の訴えを提起することができます。
 次に、この原告となった特定適格消費者団体と、それから被告とされた事業者の間で出された判決、これを前提として、二段階目の手続において、被害を受けた消費者がこの適格消費者団体に権限を授与することで手続に加入するということになります。つまり、二段階目の手続は消費者自らの参加という行為が必要であり、この部分はいわゆるオプトイン型となります。
 それでは、この法案の仕組みのような制度を我が国に導入するということの利点といいますかメリットは何であるかということですが、大きく次の三点に集約されようかと思います。
 第一に、従来の裁判手続では救済が望めなかったような消費者被害につきまして被害回復の道が開かれるということが期待されます。すなわち、被害を受けた消費者個々人は裁判を起こしてみても勝てるかどうか分からないということで、なかなか個人個人では提訴に踏み切ることができません。しかし、この制度が実現すれば、特定適格消費者団体という消費者保護を専門とする団体が一段階目の訴えを提起することが可能となり、そして、その訴訟で事業者に責任があると認められたときには、消費者はそれなりに裁判の結果についての見通しを持った上で二段階目の手続に加入することができます。
 また、従来であれば消費者ごとに別個の裁判手続となるところ、これを一括した手続とすることで消費者側の費用あるいは時間等の負担軽減を図ることができます。こうした点は、消費者の財産的被害の回復についてその実効性を高めるという、この制度に元々期待されている政策目的に合致した制度であると評価することができます。また、我が国における市民の司法アクセスの促進と拡充を目指すということをうたった司法制度改革の趣旨にもかなうものと言えましょう。
 第二として、共通的な被害を受けた消費者の事件を一個の訴訟にまとめることによって、紛争の一回的解決を図ることができます。
 ちなみに、紛争の一回的解決という点では、アメリカのクラスアクションのような、手続からの離脱をしない限り自動的に全ての被害者に裁判の効果が及ぶという仕組み、すなわちオプトアウト型の方がより効率的であるとも言われております。それに対して、本制度はオプトイン型の要素がアメリカのクラスアクションよりも強く、二段階目の手続では消費者が手続に積極的に加入するという行為が必要になります。しかし、集合訴訟制度を利用するか否かを消費者個々人が決めることができる点で、消費者の手続保障という観点ではオプトアウト型よりも望ましいと言えます。また、本制度では消費者の二段階目の手続への加入を促すための諸方策が設けられており、そうした制度的な手当てによって紛争の一回的解決が期待できるというふうに考えられます。
 このように紛争の一回的解決が促進されることは、事業者の側にとってもメリットとなります。通常の訴訟が、消費者ごとに提起されたり、あるいは全国の各地で散発的に集団訴訟が提起されるということに比べますと、この制度によって一括的に事件処理される方が事業者にとっても望ましいと言えるからです。つまり、事業者側の負担軽減につながるという側面もあることを強調しておきたいと思います。また、国家の司法制度の在り方として、司法資源の効率的な活用という観点からも評価することができようかと思います。
 第三でありますが、この法律案は事業者側の負担軽減についても慎重な配慮がなされております。
 まず、本制度の対象となる請求権でありますが、消費者契約に関する一定の請求権のみに限定されております。さらに、損害賠償請求における損害の範囲についても厳しい限定が加えられております。また、先ほど述べましたように、訴えを起こすことのできるのは特定適格消費者団体に限られておりますなど、事業者側の懸念に対する種々の配慮がなされておるかと存じます。
 ちなみに、アメリカのクラスアクションで指摘されることのある乱訴の弊害ということを言う御意見もあるようでありますが、そもそも日本の民事訴訟制度とアメリカの民事訴訟制度とでは前提が異なります。すなわち、アメリカには民事陪審という制度、懲罰的損害賠償制度、完全成功報酬制度等々、我が国には存在しない種々の制度があります。私はこれらをヤンキーパッケージというふうに呼んでおりますが、このヤンキーパッケージを持っていない国では基本的には乱訴という問題は生じないと一般に言われております。
 このように本制度は、消費者の財産的被害の回復の実効性を高めるという政策に合致した手続であると同時に、事業者側の負担にも配慮するというものとして評価できようかと存じます。
 以上述べてまいりましたように、この法律案に基づく訴訟制度は十分に評価できるものであると考えます。したがいまして、まずは本制度を今国会で成立させていただき、実行してみることが肝要であり、その後、その運用状況をフォローして改めるべき点が見付かれば、それに応じて迅速に改善を図るということで対応すべきものと考えます。そうした実務の運営によって、消費者と事業者、双方にとってより良い裁判手続が実現されていくということが望ましいと考えております。
 私の意見は以上でございます。
#9
○委員長(寺田典城君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○太田房江君 ありがとうございます。
 自由民主党の太田房江でございます。消費者特において初めての質問をさせていただきます。ありがとうございます。
 そしてまた、今日は、磯辺様、土屋様、三木様、大変お忙しいところ、三人の参考人の皆様方、お運びいただきまして、ありがとうございます。時間が限られておりますので、早速本題に入らせていただきます。
 私も消費者行政を旧通産省で担当したことがある身として申し上げますと、消費者行政の基本的な考え方、これは、まず被害は発生させない、もし発生したら拡大させない、それでも被害は根絶できない、だから被害を救済する、こういうことであろうかと思います。そして、この法案は、この基本的な考え方に沿って消費者行政を更に一歩進めるものでありまして、画期的なものであると考えております。
 私は、先ほど申し上げましたように、旧通産省で二度消費者行政を担当させていただきましたけれども、そして平成十二年に成立をいたしました消費者契約法の制定にもかかわらせていただきましたけれども、先般、森大臣が趣旨説明の中でも言及されましたとおり、消費者と事業者との間には契約の締結や取引に関して構造的な情報の質や量そして交渉力の格差が存在いたします。その格差を埋めるために重要な役割を果たす主体として適格消費者団体が存在をすると、こういうことだと思います。
 平成十八年には消費者契約法が改正をされまして、適格消費者団体による差止め制度が、先ほど御説明のあったとおり、できました。そして、今回の法案では、それをさらに特定適格消費者団体として認定をし、これがこの法案の中で重要な役割を果たしながら、画期的な裁判手続であります二段階型の訴訟制度というものを創設しようとしているわけであります。
 そこで、質問に入らせていただきます。まず、土屋参考人にお伺いをしたいと存じます。
 経団連を始め主な経済団体は、当初、この法案に対して、クラスアクションになる可能性がある、あるいは乱訴の危険性があるなどの点を指摘されまして、制度の設計や運用次第では健全な事業活動を萎縮させることになりかねないということを懸念として示しておられましたし、本日の御発言においても特に中小企業への影響を指摘されるなど、その懸念はいまだ大きく残っているというふうに御発言をされたと思います。
 衆議院の方の修正案におきましては、特定適格消費者団体による権限濫用の防止策を検討するということが附則の第三条に盛り込まれたところでございます。私は今日、この具体的な検討においてどういう点について検討されるべきかということをお尋ねしようと思っていたんですけれども、先ほど随分この点について言及が詳しくございました。
 それで、私ちょっと思ったんですけれども、三月二十五日の時点での大変慎重審議を要請するペーパー、このときはどちらかというと懸念の方がずっと大きかったと思いますけれども、その後、本日のペーパーでは一番目に、こういう法律も重要である、大分乱訴の危険性は減ぜられてきたということがまず最初にあって、その後で、特定適格消費者団体に対して、私から今お聞きした限りでは相当な縛りになるであろういろいろな点の御指摘がございました。
 そこで、三月の時点と本日の時点で、何か中小企業を含めて状況の変化があった、状況の変化といいましょうか、いろいろな御発言が引き続いてあったのか、あるいはまた、それがないとすれば、状況の変化がないとすれば、先ほどおっしゃった点の中で、特にこれだけは必ず附則第三条に盛り込んでいただきたいということについて、必要最小限と申し上げるとあれですが、必要十分な観点から何を御指摘になるのか、教えていただきたいと存じます。
#11
○参考人(土屋達朗君) 土屋でございます。
 まず、衆議院におけます修正によりまして、第三条でございますけれども、事業者の事業活動に不当な影響を及ぼさないようにするための方策について検討することとされたことにつきましては、大変高く評価するところでございます。
 それから、先生の御質問で、三月の時点と今で何か変わったかというところでございますけれども、まず基本的な団体のスタンスとしては変わっておりません。ただ、変わっていない中で、こういった附則三条の修正が加えられたこと、それから経過措置が加えられたこと、これは大変有り難いものだと思っております。そうした中で、特にお願いをしたいというのが先ほど申し上げた点でございます。
 今後、消費者庁におかれまして特定適格消費者団体に対する監督指針を検討されていくと思いますけれども、こういったものの中で、その運用についてしっかり懸念を払拭させていただくようにしていただければと思っております。
 もう一回、繰り返しになりますけれども、三点ございます。
 一つは、自主回収を行っているような場合に本制度の訴訟が提起されないようにお願いをしたいということでございます。
 それから二点目は、先ほど申しましたように、瑕疵担保の問題でございます。もう、ほんのごく一部、大量に製品製造している場合にごく一部の不良品が混じるということは十二分に考えられます。どれだけ努力しても難しいというところはあろうかと思っております。ほんの一部の製品の不具合でもって訴訟を提起するというようなことがありますと、本当に事業活動を萎縮させる可能性があるということでございまして、このようなこともできないようにしていただければと思っております。
 それから三点目は、基本的にこちらは少額多数の方の損害を効率的に解決をするということでございますので、どのような事案が対象になるかということで、共通性、支配性、多数性ということについて具体的に定義をお願いをしたいということでございます。
#12
○太田房江君 ありがとうございます。
 次に、磯辺参考人にお伺いをしたいと思います。
 乱訴を防止するという観点からは、特定適格消費者団体が一段階目の訴訟を提起するに際してどういうメルクマールでそれを決定するかということが一つのポイントになると思います。そこで、一段階目の訴訟を提起するに当たってどのような点を考慮し、検討することになると思われるか、お教えください。
#13
○参考人(磯辺浩一君) この制度では、共通原因で相当多数にわたって発生しているものが対象の事案となりますし、二段階目の審理において、非常に個別事情があって審理が複雑になるものはその対象にはならないということが定められているわけでして、この要件をきちんと満たし得るかどうかというのを実情に照らして把握していくということになろうかと思います。
 共通原因ということになれば、例えば共通する不当な約款等が実際にあり、活用されているかどうかというふうな点を見るでしょうし、不当利得返還請求の場合ですね、被害者の数という意味では、消費生活センター等の情報も活用しながら、一体どの程度の被害の数があるのかということを判断の材料にする、相当多数ということですから、二十から三十といったことを一つの判断材料にしながら対象事案を考えていく。で、被害の訴えられている内容をよく見まして、一段階目で判決を得ればその被害額というのがおおむね特定でき、簡単な手続、確認で特定できるというふうな事案を対象に進めてまいるということになろうかと思います。
#14
○太田房江君 ありがとうございます。時間……
#15
○委員長(寺田典城君) 太田房江君、どうぞ。
#16
○太田房江君 ごめんなさい。時間が限られておりますので、ちょっと焦ってしまいました。済みません。
 良い機会ですので、昨今の食品の偽装表示問題、これについて、土屋参考人に一言だけお願いをしたいと思います。
 自民党の消費者問題調査会の席で、今回の問題がこの法案の対象事案となり得るかということを質問したところ、対象になるというふうなお答えがございましたし、これは衆議院でもそういう回答であったと思います。ここまで問題が広がりを見せている、しかも、一流企業においてどんどん同じような問題が起こっていくという中で、私としては、経済界としてもこの機会に襟を正して的確な取引、的確な表示等が行われているのか点検する必要があると思いますし、再発防止策も設けるべきであるというふうに思います。
 この点について、時間がございませんけれども、少しだけお答えいただければ幸いです。
#17
○委員長(寺田典城君) 時間過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
#18
○参考人(土屋達朗君) 大変残念でなりません。経団連といたしましても、今後こういったことがないように徹底をしていくということでございますけれども、先般、消費者志向経営トップセミナーというものを、消費者庁の御支援の下、開催をいたしております。経営者を始めとする三百名の企業関係者が集まって、こういったものについての注意喚起を促したということでございます。
 また、森大臣からも、消費者の誤解を招くような不当な表示を根絶するようにということで御発言をいただいておりますので、経団連の企業行動憲章の改定も来年予定をしておりますので、そういった中で取組を強化して、消費者の方々の信頼を回復してまいりたいと存じます。
#19
○太田房江君 時間を超過して申し訳ありません。
 以上で終わります。
#20
○金子洋一君 民主党の金子洋一でございます。
 今日は、参考人のお三方、大変短い期間でお願いをして、そして御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。なかなかスケジュール組みというのがいろいろ難しゅうございまして、本当に御協力をいただきまして、ありがとうございます。
 さて、ちょっと時間的制約がございますので、いろいろお尋ねをしたいと思いますが、まず三木先生にお尋ねをさせていただきたいと思うんですけれども、今お話の中で、ヤンキーパッケージ、懲罰的賠償と成功報酬などのヤンキーパッケージがなければ乱訴はないというような御説明をいただきまして、大変不勉強で申し訳ないんですけれども、ああ、なるほど、面白い考え方だなと思いました。その点につきまして少し御説明をいただければと思います。
#21
○参考人(三木浩一君) 乱訴ということがなぜ起きるかということですが、それは、乱訴を起こすと何かその起こした側にメリットがあるから起こすわけで、誰もメリットがないのに乱訴などしないわけです。そのメリットというのは、基本的には金銭的な利益が中心です。アメリカの場合は日本とかヨーロッパにはない様々な制度がありますが、ヤンキーパッケージに含まれるのには、数え方によって七つ、八つあるいは十近くあるんですが、代表的なものが、先ほど申し上げた懲罰的損害賠償とか民事陪審であります。
 懲罰的損害賠償といいますのは、実際に被った損害の何倍という損害賠償が得られると。ひどい場合には百倍とかいうケースも過去にはあります。まあ三倍、五倍、十倍と。実際に被った損害だけしか賠償が得られないと、その損害額は全て被害者の元に還付されるわけですから、訴えを起こした団体とか弁護士には何のメリットもないことになります。
 それからもう一つ、民事陪審というのがアメリカにありまして、刑事の陪審制度は有名ですが、民事でも素人の方々が損害額を判定することができると。そうすると、素人の方々、一般市民の方々は被害者に同情して感情的な評決を下すことがありまして、実際の損害に比べて相当高額な評決が出ると。
 こういうことで、言わばカジノでスロットマシンを引くと大当たりが出ると、ジャックポットというふうにアメリカで言いますが、そういうことが何回かに一回起きるということがあるので乱訴をすると。要するに、乱訴というのは、長くなって済みませんが、起こしても、もちろん裁判所が認めてくれなければそれは請求棄却されるわけです。ですから、乱訴を起こしても、結局裁判所という関門がありますから、あんまりメリットはない。しかし、何回に一回か変な裁判官がいたりするとうまくいくと。そういうことが背景にあると。長くなりましたが、そういうことがアメリカではあるけれども日本ではないということを申し上げました。
#22
○金子洋一君 ありがとうございます。大変興味深い分析だと思っております。
 その上で、先生は、団体自身の判断で訴えを起こせる第一段にということでおっしゃっておられます。まさに団体が判断をするということは、そういった何回に一度かの大当たりがないという我が国では、なかなか下手な鉄砲も数打ちゃ当たるというような考えに至らないんではないかというふうに私は受け止めさせていただきました。
 そこで、磯辺参考人にお尋ねをさせていただきたいと思うんですが、磯辺参考人もずっとこの世界で御活躍をなさってきて、いろいろな団体を御覧になってきたと思います。
 特に、数多くの消費者団体の中のエリート中のエリートというのが特定適格消費者団体だろうというふうに思うんですが、そういったエリートが自分の団体の判断で訴訟を起こすということを考えたときに、果たして、あやふやな根拠や、あるいはこれはひょっとすると勝てるかもしれないから金銭的なメリットがあるから起こすということがあり得るのかどうかということについて、どういうふうに思われるのかということを一点お尋ねしたいのと、あと、それと似たようでちょっと違うんですけれども、今回訴訟を提起しても負けるかもしれない、ただし今後の、何というんでしょうね、法的な議論の上でこの事案について注目を集める、あるいは世論を喚起する必要があるから、負けるかもしれないけれども訴訟を提起するという可能性というのがあるのかどうか。
 御自身のところでこういうのをやりますというと、何となく、じゃ、乱訴やるのかと言われちゃうかもしれませんので、そういうような発想をされる場合というのが、何といえばいいんでしょうね、あるのかないのかということについて御感想と申しますか、コメントをいただけないでしょうか。
#23
○参考人(磯辺浩一君) 特定適格消費者団体になるには、適格消費者団体としての活動期間が相当期間適正に行われることが必要になるわけです。
 適格消費者団体というのは、特定適格消費者団体もそうですけれども、消費者の権利擁護、利益擁護を主たる活動目的として、その活動実績がきちんとあるということです。しかも、適格消費者団体の活動時期が多分二年とかぐらいは求められることになるでしょうから、そういったことを考えると、その間、適格消費者団体の間の場合は差止め請求しかできませんので、何らの費用報酬は発生しないと、業務で。そういうことをきちんと積み上げてきたところが初めて特定適格消費者団体になれるという、そういう事情を是非御理解をいただきたいというふうに思いますし、そういう意味では、特定適格消費者団体が費用報酬を得られるとはいっても、消費者の被害回復を損ねない範囲でこの制度を維持していくために受け取れるという、そういう趣旨を十分理解して、その旨でのガイドライン等も今後検討されると思いますので、金銭目的でみだりに訴訟を起こすといったことはないというふうに申し上げたいというふうに思います。
 それと、もう一つは、今後の、何といいますか、世論喚起若しくは政策提起のために訴訟を提起することがあるのかどうかということにつきましては、まず今回、実際に敗訴した場合に、それぞれの請求権はそれぞれの被害者の方々に残るとはいえ、一段階目で敗訴した場合にですね、しかし、特定適格消費者団体が責任を持って提起したことがそういう判決の結果になるということは、事実上かなり大きな影響を及ぼすというふうになります。
 ですから、やはり正当な請求、法律上の根拠をきちんと検討した上での請求ということは最大重視されなければならないし、そのように運営に努めていきたいと思います。ただ、必ず勝つものしかやらないのかと言われると、それは民事訴訟というのはやはりやってみないと分からないという側面も非常に強うございますし、一つ一つその時々の問題をきちんと把握して、消費者の利益擁護ということを第一の観点にして制度運用を進めてまいりたいというふうに思います。もし特定適格消費者団体として認められればですけれども。
 以上です。
#24
○金子洋一君 どうもありがとうございます。
 時間迫っておりますが、最後の一問を土屋参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 詐欺のような犯罪については今回の制度では難しいんではないかという御見解でした。私も同感です。私は、それを踏まえた上で、やはりそういった特に悪質な業者に対する、磯辺参考人からお話がありましたけれども、財産の保全といったものを行政あるいは司法の手で何らかの形でできるような制度を導入することが望ましいと思いますが、土屋参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#25
○委員長(寺田典城君) 時間ですので、お答えは簡潔にひとつよろしくお願いします。
#26
○参考人(土屋達朗君) 先生御指摘のとおりだと存じます。
#27
○金子洋一君 どうもありがとうございました。
#28
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
 今日の三人の参考人の皆様、それぞれのお立場で的確な御意見をいただきまして、心から感謝を申し上げます。
 まず、磯辺参考人にお願いをしたいわけでございますが、この法律成立後、本制度が有効に機能するためには何が必要と考えるか。三年まで、この施行まで公布からあるわけでございますが、何をすべきか。
 先ほど、特に特定適格消費者団体への支援ということで、財政面の支援と情報面での支援ということが意見として述べられたところでございますが、例えば適格団体数を増やすとか、あるいは国民への周知というか、こういうこともやっていかなきゃいけないなとは思うわけでございますが、その辺についての御意見がありましたらいただきたいと思います。
#29
○参考人(磯辺浩一君) 制度施行までの間の課題ですけれども、特定適格消費者団体への支援ということを除きますと、一つはやはり制度の周知というのが非常に大切だと思います。
 これは、一つは、消費者が第一段階目の判決が出た際にそのことに注目をしてくれる、自らの被害ということに照らし合わせて名のり出てくれるという条件整備をやはり進める必要があるだろうという、消費者の観点から見るとそういうことですし、逆に、事業者からの観点から見ても、せっかく三年という施行期間が、最大三年ということで置かれたわけですから、その間にもう一度御自身の、制度の趣旨を理解していただいて、事業活動を振り返っていただく、点検していただく。特に、共通原因で多数発生している事案が対象になりますので、同じような原因でクレームがたくさん来ているなというふうなものについては迅速に対処をしていただくというふうな努力を進めていただいて、ある意味、善意の事業者が善意で事業活動を行っていらっしゃるときに過失でいろいろなトラブルが起きるということもあり得るわけですけれども、そういったことがこういう訴訟の対象にならないように、事前の準備をして、個別にきちんと対応しておいていただく、若しくは消費者にお金を返すとか、クレームがあった場合に、というふうな対応を自主的に進めていただく。そういったことを進めていただくというふうなことができる期間でもありますので、そういったことを是非留意していただければというふうに思います。
 それと、もう一つは施行までの課題ということですけれども、今、適格消費者団体の数が十一団体でございます。空白の地域として、東北、それと北陸地方、それと四国がございます。せめて、私どもは、この制度が、消費者団体訴訟制度がスタートする際に、高裁管轄内に一つずつぐらいは適格消費者団体があった方がいいのではないかと。
 それは、裁判管轄の問題がございまして、被害が発生した地か事業者の本支店所在地での提訴ということが義務付けられておりますので、例えば、現在、四国での被害が発生して四国の事業者が相手だったということになりますと、適格消費者団体に通知があっても、どこかの適格消費者団体が四国まで出かけていかないと訴訟ができない、そのことを前提にして裁判前の交渉を始めるというふうな制約がございますので、せめて各ブロックに一つぐらいということをまず前提にしつつ、その中からやはりきちんとしたこの新しい制度を活用できる体制を実質上備えた団体というのがたくさんできてくれればというふうに思っております。
 以上です。
#30
○魚住裕一郎君 ありがとうございました。
 続いて、土屋参考人にお願いしたいのでございますが、先ほども御指摘があったんですが、昨今、企業のコンプライアンスが本当にどうなっているんだというような事案がたくさんございました。あの食品の表示もそうでありますし、化粧品の、白斑というんですか、そういうこともあったし、宅急便の問題もあるとか、次から次へと企業のトップが頭を下げているような、そういうときに乱訴と言われてもなかなか説得力ないなという側面もあるわけでございますけれども。
 何か似たようなので、昔、製造物責任みたいなことが結構あったなと思っておりまして、ただ、あれは消費者契約というか、その契約当事者は小売店で買うわけですから、じゃ、メーカーはどうなるのかと。今回、この制度はたしかメーカーは補助参加できますよね。その場合、やはりこの小売店とメーカーとの関係をどういうふうに考えていくのかということも考えていかなきゃいけないなと思っておりまして、この関連で、経団連としてはどういうふうな考えでおいでになりますか。
#31
○参考人(土屋達朗君) まず、今回の制度につきましては、少額多数の被害を効率的に解決するということでございますので、そういった制度趣旨から、契約の当事者が消費者とその相手方と、そのように限定されたものとまずは理解しております。したがいまして、小売店からはメーカーに対する求償をすると、そういう構図になるものと理解しております。
#32
○魚住裕一郎君 ありがとうございます。
 コンプライアンスをしっかり遵守していただいて、健全な企業風土といいますか、つくっていただきたいと思っております。
 次に、三木参考人にお願いをいたします。
 今回の制度の対象となる請求は、金銭の支払義務であって、消費者契約にかかわるものというふうに限定をするわけでございますが、この訴訟制度、ぱっと見たら、何か昔の判決の既判力というか、争点効という議論がございましたけれども、それに関連することと、それから第二段階目は何か破産の債権届出手続に似ているなといいますか、要するに被告側が認否するという形になっていること、それを組み合わせたようなふうに思うわけでございますが。
 ただ、事実上、この第一段の訴訟でその中身が確定をしていきますと、事実上、他に与える影響といいますか、争点効みたいな形で多大な影響を及ぼすと思うわけでございまして、そうなってくると、今度、損害を限定するのではなくて、拡大損害あるいは人身損害まで、人的損害まで逆に広めていってもいいのではないのかとも思うわけでございますが、この点、先生はどういうふうにお考えでしょうか。
#33
○参考人(三木浩一君) 議員御指摘のとおり、今回の制度というのは一見目新しく見えますが、従来の裁判で行われてきた実務とかあるいは考え方の言わば組合せのようなものでつくられております。
 一段階目の訴訟というのは、一応制度上は完結した訴訟で、ここで判決が出ますけれども、実質的にはその中間段階、つまり責任の部分だけを判決するわけですから、おっしゃるように従来の訴訟でいうと中間判決に近い。あるいは、従来の判決でいうと判決の理由中で判断されるような内容ですから、争点効が及ぶような内容を今回は一段階目の判決にしたと。それから、二段階目につきましても、簡易な手続というのは、おっしゃるように倒産の世界であるとかその他の簡易な債権確定手続の発想を借りております。
 そういう意味でいいますと、決して奇異なものではなく、従来ある仕組みのいいところを取って組み合わせたということで、十分に制度として従来の仕組みとの連続性、整合性はあろうかと思います。
 質問のもう一点は何でしたか。
#34
○魚住裕一郎君 拡大損害。
#35
○参考人(三木浩一君) 今回、おっしゃるように対象の請求権をかなり絞ったわけで、拡大損害、人身損害、慰謝料は対象にしなかったと。これは、この集合訴訟という制度になじまないということはなくて、つまり理論上外したということではなく、政策的な判断があってのことだろうと思います。
 すなわち、この制度は日本で初めての新しい制度ですから、最初は限定的につくって余り最初から大きなものにしないという、事業者側の御懸念もありますので、つくったということですので、私個人は、この運用を見て将来的には先生御指摘のような拡大損害とか人身損害に拡張していくという議論も将来なされるべきではないかと考えております。
#36
○魚住裕一郎君 どうもありがとうございました。
#37
○和田政宗君 みんなの党の和田政宗でございます。
 本日は、お三方、お忙しい中お越しくださいまして、ありがとうございました。時間も限られておりますので、質問に移らせていただきます。
 まず、磯辺さんにお聞きしたいのですけれども、法案の施行ですが、公布から三年を超えない範囲内において政令で定める日以内とされています。法律の施行後の消費契約に基づく損害しか救済されないという状況です。ですので、三年と言わず、例えば二年で施行できるよう必要な準備作業を消費者庁急ぐべきだというふうに考えますけれども、磯辺参考人の意見はいかがでしょうか。
#38
○参考人(磯辺浩一君) 施行時期が早められるのであればそれはその方が望ましいというふうに考えます。ただ一方で、最高裁の規則の見直しですとか、あと、この後のガイドラインの策定ですとか、私ども団体の側の準備といったこともございますので、その辺はそういうことの進捗をきちんと計りながら具体的に施行時期が定められればというふうに思います。
#39
○和田政宗君 国民生活センターのことについてもちょっと見解をお聞きしたいんですけれども、国への移管が現在凍結されているような状況でありますけれども、これについてはどのように考えますか。
#40
○参考人(磯辺浩一君) 私個人の意見になりますが、国民生活センターにつきましては、例えばADRですとか相談対応、市町村の相談のバックアップというようなことで、やはり自主的に判断して活動を進めるという側面が非常に強い機能を持っております。これらの機能が維持発展されるということからいいますと、国等の行政機関とやっぱり区別の付いた独立行政法人等できちんと維持するという方が機能の維持ということではよいのではないかというふうに思いますが、一方、消費者庁の持っている機能との重複がないかというふうなことについてはきちんと精査をして、合理的な行政運営には努めるべきというふうには思います。
 以上でございます。
#41
○和田政宗君 次に、土屋さんにお聞きしたいと思います。
 衆議院段階の修正では、附則の第三条に乱訴防止のための規定が盛り込まれました。この附則によりまして、消費者庁は乱訴防止のためのガイドライン的な基準作りに着手するものと思われますけれども、土屋さんから見てどのような基準が望ましいと考えていますでしょうか。
#42
○参考人(土屋達朗君) まず、みだりにと、先ほど御説明させていただきましたけれども、七十五条の規定がございますようなところの「みだりに」というようなところを具体的に説明をしていただくということが大事かと思っております。
#43
○和田政宗君 特定消費者団体の権限濫用ということをやはり気にされるというふうに思いますけれども、どういったものが権限濫用に当たるというふうに想定していますでしょうか。
#44
○参考人(土屋達朗君) 先ほども申し上げさせていただきましたけれども、まず、提訴の段階で授権がないということでございますね。したがって、特定消費者団体の御判断で訴訟が提起できると、理屈上はそういうことになっております。したがって、実際の被害者がどれぐらいいるのかということがなくても提訴できてしまうということを非常に懸念をしておりますので、そこの多数性というところを明確に定義をしていただきたいということでございます。
#45
○和田政宗君 そうしましたら、三木さんにお聞きをしていきたいというふうに思うんですが、今回の法案というのは諸外国の法制に対する比較法的な研究を踏まえたものであるというふうに推察できますけれども、集団的消費者被害救済制度を既に持つ諸外国、制度の運用上どのような問題が生じているか、教えていただければと思います。
#46
○参考人(三木浩一君) 議員御指摘のように、今回の制度をつくるに当たっては、諸外国の制度を実際に諸外国に赴きまして種々調査して、その成果を生かしてつくっておりますので、外国の制度を参考にしております。
 特に参考にしたのは、既に世界で初めての二段階型の本格的な制度を持っておりますブラジルの制度でありますが、ブラジルは日本の今般の制度よりもずっと対象も広く、原告になれる団体や機関ももっと幅広いんですけれども、私たちが調べた限りでは、今話題に出ましたような乱訴とかそういう問題は余り聞いておりません。比較的歓迎された制度としてもう長年にわたって運用されているように理解しております。
 先ほどの話の繰り返しになりますが、乱訴というのが指摘されるのは我々が調べた限りではほとんどアメリカだけでありまして、カナダの制度も我々参考にしまして、カナダはアメリカとそっくりのクラスアクションを持っているんですけれども、ヤンキーパッケージを持っていないために余り乱訴ということは聞かれません。オーストラリアも同じようなクラスアクションを持っておりますが、むしろオーストラリアは制度が活発ではない、もっと訴えを起こすべきだというような議論すらされているというふうに伺っております。
#47
○和田政宗君 ブラジルの制度についてちょっとお聞きしたいんですけれども、これ、制度上の課題というのがブラジルの場合どんなものがあって、その課題というのはこの法案にどのように反映されているかというところをお教え願えればと思います。
#48
○参考人(三木浩一君) ブラジルの制度上の課題として現在ブラジル国会で議論をされているのは、ブラジルも日本の今回の制度と同じく一定の団体とか国家機関しか原告になれない制度なんですが、それを個人にも広げた方がいいという、むしろ今回の我々の法案よりも一歩先に行くような議論が課題として指摘されております。
 それから、あとは広報の問題、まだまだブラジルは国民の学力レベルとかが低いものですから、消費者意識を高めていって制度をより利用できるようにというような辺りが課題になっているというふうに伺っております。
#49
○和田政宗君 重ねて三木さんにお聞きしたいんですけれども、先ほど周知とかという面で磯辺参考人からの意見等ございましたけれども、様々なツールを使って周知をしていくというふうに思うんですけれども、これを広く国民に知ってもらうという観点ではどういった作業が必要であると考えますでしょうか。
#50
○参考人(三木浩一君) 予算措置を伴うことですので軽々には申し上げられませんけれども、個人的な希望としては、やはり政府広報的な形で政府の側でもきちんと広報していただきたいと。もちろん、消費者団体などでも周知を図っていくとは思いますけれども、力が限られておりますので、公的な形で広報していただきたいというふうに考えております。
#51
○和田政宗君 これも土屋さんにお聞きしたいのですけれども、これは、例えば経済団体であるとか企業の中でこういった制度ができたということを周知することによって、企業の健全性が保てたりですとか、そういったこともあるというふうに思うんですね、消費者に対してより丁寧になったりですとか。そういったところでは、その周知のやり方というのはどういうふうに考えていますでしょうか。
#52
○参考人(土屋達朗君) 経団連の会員企業におきましては、これは比較的容易だろうと思っております。理事会等でしっかり対応できるのではないかと思っておりますが、事業者といいましても、大きなところから中小零細、そして個人事業主までございますので、そういったところまでの周知徹底ということになりますと、やはり大変な労力を掛けないと問題があろうかと思っております。
 制度の趣旨、目的、そういったものを本当に理解をしていただきませんと、これは大変なものになると、そのように考えておりますので、相当な時間を取って入念に準備をするということかと思います。
#53
○和田政宗君 ありがとうございます。質問を終わります。
#54
○大門実紀史君 お忙しい中、ありがとうございます。大門です。
 この法案に異論を唱えておられるのは大体経済界の方なんですけれども、私もこの間、懇談をしてきましたが、ただ、土屋参考人、大の経団連が何かこの法案ごときでびくびくされるのがちょっと違和感あるんですよね。過剰反応じゃないかなと思います。
 しかも、この緊急提言にアメリカの商工会議所まで出てくるというのは本当に内政干渉だなと思いますし、自分の国はクラスアクションがありながら、日本にやるなと言うのは、よくこういうことをほかの国の国会に対して言うなというふうに思っております。例えばアメリカ商工会議所のリサ・リカードさんの論文を読みましたけど、やはり過剰反応じゃないかなと思うわけです。
 先日、私、この委員会でそういう経済界の方々のいろいろ出ている懸念について、消費者庁に対して、消費者庁に質問する形でかなり懸念を解いてもらったと思っているんですけれど、今日せっかくの機会でございますので、磯辺参考人も三木先生もいらっしゃいますので、直接、例えば先ほど土屋参考人の資料の中で法案の具体的懸念点と要望というのが出されておりますけれど、例えば一番目の、これ、磯辺参考人にお聞きしたいんですけれど、事業者が代金返還とか修理、交換などの自主的な対応をしているにもかかわらず、訴えを提起されることがあり得ると。事業者が自主的な対応をしている場合には、訴えが提起されないようにしてもらいたいというふうに要望が出されていますけれど、これは実際どういうふうにお考えになりますか。
#55
○参考人(磯辺浩一君) リコールの結果、実際に返品、交換が着実に、返金も含めてですが、着実に進められていればその時点で消費者側には請求権がなくなるということになりますので、そういった事態になっている事案についてはそもそも訴えの対象にならないというふうに思っております。
 むしろ、特定適格消費者団体、多分数も体制も限られますので、そういうきちんと機能しているリコール窓口であれば、むしろそこを消費者の方から御相談があったときに紹介して被害回復を図っていただくということが簡易迅速に被害回復を図れることになるというふうに思います。
 ただ、一方、リコールとはいっても、それが形ばかりのもので、実際の返品、交換対応がきちんとされていないという場合もあり得るわけでして、そういう場合には訴訟の対象になり得るということで検討を進めるということですから、やはり消費者の側に請求権があるかないかということをきちんと判断してまいりたいというふうに思っております。
#56
○大門実紀史君 本当に、当然そういうことだというふうに思います。
 三木先生に伺いたいのは、この土屋参考人の要望の、懸念点の二番目なんですけれど、これは実は新経済連盟からも、第一段階で授権が全くないのに訴訟が起こせるのは幾ら何でもおかしいんじゃないかという意見がありまして、この前、消費者庁には答えてもらって、そういう懸念はないんですけれども、また、経団連の土屋参考人から、一定数の対象となる消費者から授権を得るようにすべきだというふうな懸念といいますか要望が出ております。
 これは、三木先生、逆にこういうふうにしちゃうと、授権を受ける、一人であれ二人であれ受けることを条件にしちゃうとやっぱりデメリット、制度のデメリットが生じるんじゃないかと思いますが、三木先生の御意見を伺いたいと思います。
#57
○参考人(三木浩一君) 最初の一段階目から授権を受けろということになると、それは制度全体をオプトイン型にしろということになるわけです。オプトイン型というのは、既に我が国でも選定当事者という、余り使われておりませんけれども、制度があって、これが全く機能しないということで、専門調査会の段階でも純粋オプトイン型は取らないということがもう全員の合意で決まって、じゃ、二段階型を取るのかオプトアウト型を取るのか、何を取るのかという議論になったわけですから、完全な一段階目から授権を得ろという仕組みはちょっと現時点では考えられないというふうに思います。また、諸外国を見ても、純粋オプトイン型で成功している例はないと理解しております。
 それから、人数のことですけれども、相当多数というのは何人かというガイドラインを置けという御指摘で、そういうことをおっしゃる意味が分からないわけではないですけれども、それは実際には難しいことで、外国でもそういう議論がされることが過去に立法であったんですけれども、例えば三十という数を置いたときに、じゃ二十九は駄目で三十はいいのかとか、そういう話にどうしてもなってしまいますので、やはり授権の規模とか、つまり人数は少なくても規模が大きいとか、様々な要素で判断すべきことがありますので、数値基準というのはなじまないというふうに考えます。
#58
○大門実紀史君 三木先生の論文も読ませていただきましたけれども、外国に比べて今回の集団、日本のこの制度は、かなり対象者も対象事案も限定的なものだと思います。それにもかかわらず、これは新経済連盟からの、何といいますか、懸念、要望といいますか、出されて、これもこの前委員会では質問したんですけれども、三木先生の御意見を伺いたいと思いますが。
 つまり、この対象となる外延が不明確だと。具体的に言うと、法文の中にありました勧誘を助長する者というのはどこまで入るのかと。広げられちゃうといろんな関係者が入ってしまうという懸念が出されておりまして、この前委員会質問では、例えばテレビのCMですね、その商品を、後から欠陥があったと分かったと、しかし、そのCMを流したテレビ局あるいは広告宣伝会社が訴訟の対象になるかといったら、ならないと、一般論で基本的にはならないということですね。ネット販売ですね、特に楽天なんかが心配している、通販におけるああいう楽天市場みたいなところでかかわった場合、自分たちが対象にされるのかと。これも一般的にはないというふうなことは役所の方は言っておりますが、そういう点でいっても非常に限定的な制度だと思いますが、三木先生の御意見を伺いたいと思います。
#59
○参考人(三木浩一君) 外延が不明確ということですが、勧誘助長という概念にせよほかの概念にせよ、これ結局最終的には、訴えが起こせても、裁判に行って裁判所に権利が認められて勝たないと訴訟を起こす意味はないわけです。ですから、勧誘助長なら勧誘助長がどこまでかというのは、結局それで裁判を起こして権利として認められる程度の勧誘をしているかということで判断するということになろうかと思います。それについては、判例とか裁判例とかいろいろありますので、そういったものが一応の基準になりますから、完全な明確な線が引かれているわけではもちろんありませんけれども、言われるほど不明確かと言われると、そうではないというふうに思います。
 対象事案が制限されていることにつきましては、先ほどの答えと重複しますけれども、初めてこういう日本にはなかった制度をつくるわけですから、最初は事業者側の御懸念にもこたえて制限的につくったということで、それは一定の理解はできますけれども、将来的にこのままでいいのかということは、継続的にウオッチをしていって、場合によっては数年後に見直すと。場合によってはというか、数年後に見直しの機会を設けるということは元々盛り込まれていると思いますが、そこでまた判断をすべきことだと思っております。
#60
○大門実紀史君 終わります。
#61
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、お忙しい中、参考人の皆様、ありがとうございます。
 まず、磯辺参考人にお聞きしたいんですけれども、これから、適格消費者団体、十一ある団体が特定という名前をこれから求めていかなければいけないわけなんですけれども、法案の中にも要件は入っているんですが、これが、経理的規模がどうのこうのとか、なかなかぱっと読んでも分かりにくい部分があると僕は感じているんですけれども、その辺りについてどうお考えですか。
#62
○参考人(磯辺浩一君) 適格消費者団体が更に一定の要件を満たした場合に特定適格消費者団体になるということで、その要件ですけれども、法律の段階ではまだ一定、抽象的な表記にならざるを得ないというふうに思いますが、考え方としては、今、適格消費者団体は差止め請求の仕事をやっています。新しく特定適格消費者団体になりますと被害救済の仕事をやらないといけないということになりますので、一段階目の提訴で一段階目の判決を得るまでは今の差止め請求の実務とそう大きくは変わらないのかもしれませんが、その後、被害者の方々に個別に通知をし、インターネット等で公告をし、名のり出ていただいて名簿を整え、債権額を裁判所に届け出て確定し、お金を事業者から受け取り分配すると、一連の実務が発生します。これがきちんと行えることがやはり必要ですので、そういう観点から要件が設けられるということだと理解しております。
 ただ、その要件を設ける際に何か外形的に、例えば財産規模が何千万円以上なければ駄目だですとか、職員が何名以上いなければ駄目だですとかということで設けられるべきではなく、実際にはボランティア的な活動で実務を運営することもありますし、訴訟事案があって忙しい時期に臨時で応援をしていただく、人を雇用するといったこともあろうかと思いますので、そういったことが実質的に行えるかどうかという実質面で判断される、そういう要件であってほしいというふうに思います。
#63
○清水貴之君 ということは、余りかちっと決めずに、もうやっていく中で消費者庁と話をしながら進めていく方がむしろいいというお考えでいらっしゃいますか。
#64
○参考人(磯辺浩一君) 先ほどお話ししたような実務を遂行できるという観点から、ガイドラインについては一定やはり示す必要はあるというふうに思います。それはやはり、団体がきちんと責任を持ってやるということがどういう観点から行政が判断したのか、団体はどこを目指すのかといったことが明確になるからきちんと書いていただきたいというふうに思いますが、お話ししたのは、それを何か規模で、数字でこれ以上なければ駄目だとかいう外形的要件だけで定めるのではなく、実質的な要件化というふうなことでガイドラインについては定めていただきたいというふうに思います。
 以上です。
#65
○清水貴之君 私、地元兵庫ですので、ひょうご消費者ネットにも行きましてお話聞いてきたんですけれども、やはり同じ、今回も磯辺参考人から出ているペーパーにもあるように、財政的な面での支援と情報面での支援、これはやはり同じように言っておられました。
 やはり、財政的な面は本当どうなんだろう、大丈夫なのかなと思ってしまうところがあるんですけれども、これも今おっしゃったとおり、扱う案件によってとかその団体の規模によっても変わってくるものがあると思うんですけれども、ただ、やはりいろいろこれから実務をしていくわけで、必要最低限のお金である、人である、これは必要だと思うんですけれども、この辺りについてはどう考えていらっしゃいますか。
#66
○参考人(磯辺浩一君) 適格消費者団体の認定要件に当たっては、週のうち三日以上ぐらい事務所がきちんと開設されて、そこに人がいて一定の時間ちゃんと電話対応ができて事業者等の問合せに対応できるというふうなことが一つのメルクマールというふうにされています。
 それと、そうですね、財政規模等については大体収支規模が二百万円ぐらいで、そうすると、その中から勘案すれば、年間に一、二件程度の訴訟というのは、ボランティアで弁護士さんに協力していただくにしても、一定の実務費用は出せるだろうというふうなことで、そういったことが一つの判断基準になっているというふうに伺っていますので、そういったものが出てくるのはやむを得ないんですが、実際に仕事がどの程度できるかということで判断した結果、最低限のものが出てくるのはやむを得ないというふうに思いますが、そこはお互い実際に仕事ができるかどうかという実質で判断してその水準というのは決められるべきだというふうに思います。
#67
○清水貴之君 もう一つ、情報面なんですけれども、やはり消費生活センターと国民生活センター、そんなに連携がうまくというか、そこまでスムーズにいっていないという話も聞いておりまして、やはり、どれだけ被害者がいるか、その実態をつかむためにもその情報というのはかなり密にしていくべきではないかと思っているんですけれども、今現在どのように情報を取っているのか、被害者からの情報というのはどう取っているのか、この辺りを教えていただけますか。
#68
○参考人(磯辺浩一君) 現在の差止め請求業務においては、消費者の方から情報、まあ相談という形で来ることが多いわけですけれども、情報をお受けして、その中から不当な約款、勧誘行為等がないかということを見て差止め請求につなげるという活動をしております。
 そのほか、消費生活センターに入ってきた事案でこれは差止め請求になじみそうだというものについては、なかなかセンターから直接こちらに情報提供していただくというのは、それぞれの行政によって個人情報保護の規定なんかも違って簡単にいかない側面がございますので、相談に来た方に相談員の方から、あなたの被害救済はセンターであっせん等相談に乗るけれども、同じような被害を繰り返さないために差止め請求という制度があるから、こちらの団体にも情報提供してはどうかというふうな紹介をしていただいて、それで情報提供を受けるというふうなこともだんだん定着してきているかというふうに思います。
 被害救済についてはそれよりも更に踏み込んで、センターのところでかなりの端緒情報といいますか被害情報が入ってきた場合には、共通原因で多数発生している、なかなか訴訟でないと解決が困難だというふうに判断がされた場合には、是非直接でも特定適格消費者団体に情報提供していただけるようなそういう仕組みというのを、もちろん個人情報保護の観点ですとかいろいろ工夫が必要だと思いますけれども、今後、施行までに御相談をさせていただければというふうに思っております。
#69
○清水貴之君 続いて、土屋参考人にお聞きしたいんですけれども、産業界が懸念されている部分の一つとしまして、第一段階で訴訟が起こされた段階で、その結果がどうであれ、やっぱり風評被害が起こってしまうんじゃないか、それを懸念されているというふうに聞いていますけれども、この辺りについて説明、お話しいただけますか。
#70
○参考人(土屋達朗君) 先生御指摘のとおりでございまして、企業というのは、訴訟が提起された段階でその案件がどのように跳ねるかというのが分かりません。風評被害ということになれば、まあ大企業はそれほど大きな影響はないのかもしれませんけれども、中小零細といったところには大変な問題も出てまいりますので、そういう意味で慎重な御検討をお願いをしたいと、そういうことで申し上げております。
 以上でございます。
#71
○清水貴之君 その辺りの例えば対策であるとか考えていらっしゃることというのはあるんですか。
#72
○参考人(土屋達朗君) まずはこの制度の周知徹底を図っていただくということが極めて大事だと思っております。三か年なら三か年の間にしっかりもう一度事業内容を見直す、ふだんの活動、商売のやり方等々をもう一回精査をする、そういったことも含めまして対策を講じていくということが大事かと思っております。
 以上でございます。
#73
○清水貴之君 最後に、三木参考人にもお聞きしたいんですけれども、先ほど、やはりこの法案ですけれども、大分練られていて、日本の形にも大分合っているシステムだと、ひとまずこれでスタートして、改善すべきところが今度出てきたらそこでいろいろ手を加えていけばという話があったんですけれども、実際にどういったところを今後改善すべき点として、まあ今後出てくるんだと思うんですけれども、今思い付くところがございましたら教えていただけますでしょうか。
#74
○参考人(三木浩一君) これから制度をつくるわけですから、今この段階で改善すべき点を具体的に、があるかというと、それがあるんだったら今の段階で直せばいいわけですから具体的には特にないんですが、先ほどから話に出ていますように、一般的に言われているのは余りにも制度を絞り込み過ぎているということで、一つは、原告となれるのが特定適格消費者団体に限られておりますけれども、これは世界的に見ると相当珍しいというか、これほど絞り込んでいる制度はいろんな制度がありますけれども珍しいと。それから、対象事案についても、ここまで絞り込んでいる制度は私は寡聞ながら存じませんで、世界中にいろんな種類の集合訴訟制度はありますけれども、最も絞り込んでいる制度ですので、その辺は見直しの対象になり得るんだろうと一般的には言えるかと思います。
#75
○清水貴之君 以上です。ありがとうございました。
#76
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 まず、私は、この集団的な回復のための民事の裁判手続ということに関しては、こういう法案は極めて重要だというふうに思っております。というのは、憲法上、裁判を受ける権利が保障されていて裁判をする権利が保障されているわけですが、ある意味、少額だったり困難だったりすれば一人ではなかなか裁判を起こしづらいと。それが、こういう形であれば被害の救済もできるわけですし、的確に行われれば被害が拡大することも防ぐこともできるし、被害の救済ができればまた悪徳商法などが跳梁ばっこすることの物すごいやはり歯止めにもなるというふうに思っております。
 ですから、磯辺参考人、やはりこの法案の大事な点、あんこの部分をちょっと一言語ってください。
#77
○参考人(磯辺浩一君) ありがとうございます。
 消費者被害に遭った際に、これはもう皆さんよく御存じのことではありますが、やはり被害回復というのは難しい。まずは事業者と交渉して解決する場合もある、それで駄目であれば消費生活センターに相談する、消費生活センターに相談してあっせんに入ってもらってもなかなか解決が難しい場合に、やはり訴訟しか手だてが残されないということが現状でございます。
 ところが、訴訟を一人一人の消費者が起こすことは、日常生活を忙しく送っていて、そのためにまた訴訟のための労力を割くということは非常に大変ですし、ましてや消費者法をめぐっての権利の有無ということを争う難しい裁判になる場合が多いわけですので、やはり代理人に付いていただかないといけない。そうしますと、被害金額に照らしてやはり費用の方も掛かってしまうというふうないろんな要素があってなかなか訴訟が提起できないと。そういう状況が続く中で被害がどんどん広がっていってしまうというのは、例えば私が今日御紹介した一番目の事例なんかでも明らかなことだというふうに思うわけです。
 ですから、やはりこの制度の消費者から見てのメリットですけれども、一段階目で一定の帰趨がはっきりして、で、自分の権利が認められそうだというふうな段階になって初めて名のり出ればいいということ。つまり、最初から勝つか負けるか分からないという段階から自ら訴訟を起こすという必要がないということ。そこが一つの大きなポイント、消費者にとってのポイントになりますし、もう一つは費用負担。団体でまとめて弁護士さんにも委任しますし、二段階目の手続も簡易な、安価な費用でということになっておりますので、費用負担も非常に現状の制度で一人一人が訴訟を起こすよりは少なくなる、この二点が消費者の立場から見たこの制度のメリットだというふうに思います。
#78
○福島みずほ君 経済界との関係でもウイン・ウイン・ゲームができると思っているんですね。悪徳商法や悪いものが、やはりそうではないと、信頼できるものというのができれば経済も回っていきますし、ウイン・ウイン・ゲームができるというふうに思っております。
 それで、三木参考人にお聞きをしたいんですが、先ほど自主回収や瑕疵担保の場合などもやっぱり懸念があるという土屋参考人からの御意見もあり、それも私も理解できるところではあるんですが、ただ、企業が自主回収をやっていれば、もうこの集団的訴訟ができないというか謙抑的にならなければならないとなると、被害の救済がちょっと遅れるんではないか。あるいは、瑕疵担保といっても確かにピンからキリで、今まで裁判例になった様々なケースも瑕疵担保のケースも多いわけですから、全てが例えば製造物責任が問えなくてもやっぱり問題があるという場合もあるわけで、やはり、この自主回収、瑕疵担保の点についての三木参考人の御意見を教えてください。
#79
○参考人(三木浩一君) おっしゃるように、自主回収がされているといっても、その程度とか対応は様々なわけですね。ですから、自主回収をしていると言ってやっているけれども、非常に遅々としてやっていて、言わば時間の引き延ばしのような形でやられているケースもあれば適切にやられているケースもあるので、一概に自主回収やっているから訴えは起こせないとかいうわけにはいかないだろうと思います。
 また、瑕疵担保の件につきましても、土屋参考人がおっしゃるように、商品が何百万あって、そのうちの例えば数%について瑕疵があるとかいうようなケースはもちろんありますが、しかしその数%が救済されなくても、放置されていいのかということにはやっぱりならないわけで、やはりそういった場合でも、こういう制度を使って救済が必要な場合というのはあろうと思います。
 私が、特に、今のこの点も含めて強調しておきたいのは、集合訴訟制度というと皆さん訴訟をやるための制度とだけ思いますけれども、集合訴訟制度をつくるというのは、ある面では、訴訟をやらなくて和解というか、訴訟以外、訴訟を起こす以前の交渉とかあるいは訴訟を起こした後でも判決まで行かずに和解で事件を収めるというときのてこになるわけですね。つまり、最後にこういう集合訴訟が控えていると、これは伝家の宝刀として機能して、訴訟がないと交渉しても相手がきちんと対応してくれないという場合であっても、こういう訴訟制度があると相手が対応してくれるということで和解が促進されると。
 土屋参考人がおっしゃった、自主回収が進んでいるとか瑕疵担保の事案とかいうのは、現在では和解交渉がうまくいかない場合があっても、この制度ができれば和解交渉が促進されるということになろうかと思いますので、訴訟に直結して考えるというばかりではないというふうに考えます。
#80
○福島みずほ君 私自身は今回の集団的訴訟について、けがをした場合の例えば慰謝料などが入っていないというのは、私もどちらかといえばヤンキーパッケージ、懲罰的慰謝料とかそちらの方に、ちょっとアメリカの制度など影響をされている面もあるかもしれませんが、けがをした場合の慰謝料も要求できないとなれば、実は、製造物責任、テレビやいろんなもの爆発した、パロマの件で人身被害が発生する、車とか、あるので、この点は実は拡張してほしいと私自身は思っております。
 その点は、三木参考人、いかがでしょうか。
#81
○参考人(三木浩一君) 今回いろんな請求権が今度の対象から落とされたわけですが、私個人も落とされた中で一番将来改正があれば入れてもらいたいと思うのはやはり慰謝料でして、やはり消費者被害の事件の中で、実損というのがそんなに大きくないけれども非常に大きな社会的、精神的ダメージを受けるというケースがありますので、特に消費者被害にはそういう事件が多いように思います。
 ですから、慰謝料が将来入るような検討がされるべきだというふうに個人的には思っております。
#82
○福島みずほ君 あと二分ですので、磯辺参考人に、施行まで少し時間があると、そうすると、この間被害を受けた人は救済をされないので、この間被害を受けた人の救済についてどうお考えか、一言お願いします。
#83
○参考人(磯辺浩一君) 制度が施行された際に、私どものところに情報提供があり、今度の制度の対象になると判断して提訴し、例えば一段階目で勝訴する場合があると思います。だけど、同じ案件でありながら、制度の施行を挟んでその前に契約した事案は救済されない、制度の施行後の契約事案は救済されるという矛盾が今回の制度、法案には残っているというふうには思います。
 それで、この辺は大変残念なんですけれども、しかし、これはやはりこの制度のインパクトを考慮しての最終的な閣議決定の際の判断ということですので、この原案で進めていただければと、やむを得ないというふうに思いますが、ただ同時に、施行前の事案については、一段階目の判決の結果が出ていますので、その判決の結果を実質的に活用してADR等で集団的に処理をしていただく、そのための国民生活センター等の体制整備というふうなこともこの準備期間に進めていただければというふうに思います。
#84
○福島みずほ君 どうもありがとうございました。
#85
○谷亮子君 生活の党、谷亮子でございます。
 本日は、参考人の先生皆様に大変貴重な御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。
 初めに、磯辺参考人にお伺いしたいと思います。
 消費者機構日本は、二〇〇七年の消費者団体訴訟制度の施行に伴って適格消費者団体として内閣総理大臣の認定を受けた消費者団体であると伺っております。二〇一一年には、消費者委員会における集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の検討に参加をされまして、実効性ある制度の早期創設を求めるパブリックコメントを提出されるなど、政策提言を行い、大変大きな貢献をされていらっしゃいます。
 そして、今回の本制度は、消費者被害に遭った消費者の泣き寝入りを防止するための制度の一つを新たに設ける制度でございまして、私は、そもそも多様な消費活動を日常的に行う消費者に被害を発生させないための措置が必要であると考えているわけでございます。それには、差止め請求訴訟制度という制度もございますけれども、未然に消費者被害を防ぐということも同時にやらなければならないということを本委員会でも何度も質疑をさせていただいた次第でございます。
 そこで、先ほど磯辺参考人からお配りいただきました資料の中に、本制度を円滑に進めるための財政面での支援の必要性があるとのお話がございました。先ほど清水委員の方からもお話があったと思いますけれども、現在、適格消費者団体の財源としては、差止め請求関係業務での収入は認められず、会費そして寄附金が主な財源ということでございましたが、現在そしてこれから持続可能的に活動を続けていくためにどのような支援そして措置を講じていただきたいとお考えなのか、要望も含めて少しお伺いしたいと思います。
#86
○参考人(磯辺浩一君) ありがとうございます。
 一つは、この新しい訴訟制度を円滑に運営していくというためには、先ほどもお話ししましたが、提訴時に掛かる一時的な立替えの費用ですね、これが相当多額になります。このやはり貸付けというふうなことは最低でも御検討をお願いしたいというふうに思います。低利、無利子での貸付けということになります。
 それと、日常的な運営経費等についても、何らかの形で特定適格消費者団体の活動目的が非常に公共の利益に資するという観点から検討していただければというふうに思っておりまして、例えば現在、消費者庁が予算措置をされて地方自治体の方で適格消費者団体の立ち上げについて支援をするという予算の枠がつくられております。これを例えば特定適格消費者団体の準備といったことについても行うですとか、若しくは既存の適格消費者団体の活動に対しても一定の事業等を定めて、目的等を定めて援助をしていただく、若しくは委託事業といった形で検討していただくというふうなことも各地方自治体が積極的に行えるように消費者庁の方で予算措置をバックアップしていただくというふうなことがお願いできるのではないかということで、その点を御相談をしてまいりたいというふうに思っています。
#87
○谷亮子君 ありがとうございます。
 今の現状というものも分かりましたし、やはり総合的にバックアップ体制というものをしっかり構築していく必要があるということが分かりました。
 次に、土屋参考人にお伺いしたいと思います。
 日本経済団体連合は、早くから消費者団体訴訟に関係する問題に取り組まれておりまして、悪徳業者を市場から排除する取組を求める提言や、そして消費者被害の発生、拡散を未然に防止することを政策課題にお示しされるなど、消費者保護にも大きく貢献されていらっしゃると思います。
 そして、先ほどの土屋参考人からお配りいただきました資料の中に、日本における集団訴訟制度に関する緊急提言といたしまして、「消費者に対する実効的な救済を実現するとともに、雇用創出、賃金上昇、イノベーション及び経済成長といった政府の経済再生プログラムと整合的な制度とするために、十分に慎重な検討が必要である。」というふうにございました。整合的にしていくためには、現在離合している点があると思われるわけなんですけれども、整合的な制度とするためにどのような検討が必要なのかということを改めてお聞かせいただきたいと思います。
#88
○参考人(土屋達朗君) 冒頭から申し上げておりますとおり、この制度そのものについては賛成をいたしております。経済界と消費者というのはウイン・ウインの関係でなければいけませんので、健全な関係が維持できるように今後も努めていきたいと、これはもう願っているわけでございます。そして、この制度も大変よく練られておりますので、アメリカのクラスアクションのようなことにはならないというふうには考えておりますし、現在のままで施行されたとしてもそんなに大きなものがすぐに発生するとも考えてはおりません。
 しかしながら、例えば、提訴できる特定適格消費者団体におかれましては、現在の団体の方々というのは大変立派な方々がおやりになっておられますので大変信頼を申し上げているわけでございますけれども、将来にわたってどうなるかということは、これは正直申しまして誰も分からないということでございます。そういった中で、企業活動を萎縮するような制度をつくるということに懸念を表しているということでございます。
 再三申し上げておりますが、自主回収の問題、あるいは瑕疵担保の問題、そして共通性、支配性、多数性、こういったものにつきまして明確な基準等々を御検討いただきたいと、こういうことを申し上げているということでございます。
#89
○谷亮子君 ありがとうございました。
 やはり、守るものとそして取り組んでいくものというものがそれぞれのお立場の中からあると思いますし、何よりも第一義的に行われなければならない消費者を守っていくといったことがしっかりと担保されなければならないというふうに、そこは大前提にあるというふうに思います。
 そして、次に三木参考人にお伺いしたいと思います。
 政府原案の基礎を作成する集団的消費者被害救済制度専門調査会の座長代理をお務めいただきまして、本法案の立案に際して終始中心的な役割を果たされまして、この度の法案が消費者を被害に遭わせないため、また安心、安全な整備がなされるために設けられる法律として機能されることを期待されていらっしゃるというふうに思います。
 そこで、この制度の導入は、これまで泣き寝入りするしかなかった消費者の被害回復を図って、安心して消費活動を続けられる生活を担保することが大きいと思います。また、少額多数被害の救済もしやすくなると期待されているわけでございまして、しかし、そこには先ほどからもお話ございますように経済界からの乱訴を懸念する声も聞かれるところでございますけれども、まず第一義的に行われなければならない消費者の被害救済、そしてその回復ということを考えますと、訴訟制度は整備されることであるというふうに考えられるわけでございます。
 そして、この度のこの法案では、新制度として二段階の訴訟制度となっておりまして、乱訴についての対策を見ますと、衆議院での修正により加わりました附則の三条、乱訴防止策の検討規定で、特定適格消費者団体がその権限を濫用して事業者の事業活動に不当な影響を及ぼさないようにするための方策について検討し、必要な措置を講ずるとの規定が加えられました。
 現在の適格消費者団体の方々はいずれもしっかりとした活動をされておりまして、内閣総理大臣の認定を受けた特定適格消費者団体が、多くの消費者に代わって、これは手続を行うことで消費者がより少ない労力や費用で被害の回復ができるようになってまいりますので、乱訴というのは想定はできないと思われるわけなんですけれども、この法案の修正につきましてはどのようにお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。
#90
○参考人(三木浩一君) 議員御指摘のように、原案の段階でも私は乱訴ということは考えられないと思いますが、修正で加わった附則三条は、抽象的な規定ですけれども、言っていることそれ自体は別におかしいことではありません。不当な影響を及ぼさないように、事業者の事業活動に不当な影響を及ぼさないようにこの訴訟制度を遂行しなさいということは、それ自体はおかしなことではありませんので、この附則が加わったことについて、特に反対とか異論があるわけではありません。
 一点付け加えておきたいのは、先ほど申したことともちょっと関連しますが、新しい訴訟制度をつくったということは、訴訟をどんどんたくさんやりなさいということでは必ずしもなくて、今回の訴訟制度は過去の被害の回復制度ですけれども、効果的な回復制度というのは最も効果的な予防制度でもあるわけです、被害予防制度でも。つまり、後で効果的な回復制度があるとなると、事業者の側もあるいは消費者の側も、それを想定して行動するわけですから、予防にもつながると。
 先ほどから話も出ていましたように、消費者被害の救済はもちろん大事ですが、しかしそれが発生しないように予防することの方がより大事で、起きなければ一番いいわけですから、是非この制度はそうしたもののてこになるという発想で御審議いただきたいですし、またそういうふうに運用していただきたいというふうに希望しております。
#91
○谷亮子君 私も三木参考人と同意見でございまして、やはり未然の対策というものがまず両立して必要であるということを大前提に、今回この法案が成立いたしましたら、実効性ある法律として機能することを望んで、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#92
○委員長(寺田典城君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト