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2013/11/05 第185回国会 参議院 参議院会議録情報 第185回国会 法務委員会 第2号
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2013/11/05 第185回国会 参議院

参議院会議録情報 第185回国会 法務委員会 第2号

#1
第185回国会 法務委員会 第2号
平成二十五年十一月五日(火曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                吉田 博美君
                若林 健太君
                小川 敏夫君
                真山 勇一君
    委 員
                石井 準一君
                溝手 顕正君
                宮沢 洋一君
                柳本 卓治君
                山下 雄平君
                有田 芳生君
                江田 五月君
                前川 清成君
               佐々木さやか君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       法務副大臣    奥野 信亮君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  平口  洋君
       文部科学大臣政
       務官       上野 通子君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  永野 厚郎君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   今崎 幸彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       内閣官房内閣情
       報調査室内閣審
       議官       桝田 好一君
       内閣府男女共同
       参画局長     佐村 知子君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小川 秀樹君
       法務省民事局長  深山 卓也君
       法務省刑事局長  稲田 伸夫君
       法務省矯正局長  西田  博君
       法務省保護局長  齊藤 雄彦君
       法務省人権擁護
       局長       萩原 秀紀君
       法務省入国管理
       局長       榊原 一夫君
       外務大臣官房審
       議官       新美  潤君
       文部科学大臣官
       房審議官     常盤  豊君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       石井 淳子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (再犯防止対策に関する件)
 (入国審査の充実強化に関する件)
 (ヘイトスピーチ対策に関する件)
 (特定秘密保護法案の問題点に関する件)
 (法曹養成制度に関する件)
 (婚外子相続分についての最高裁決定に関する
 件)
 (成年後見制度の利用促進に関する件)
 (裁判員制度の運用に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣情報調査室内閣審議官桝田好一君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(荒木清寛君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○若林健太君 自由民主党の若林でございます。
 今日は、先日の法務委員会における谷垣大臣の御挨拶の中から、再犯防止政策、あるいは犯罪被害者等の保護、支援の取組、さらには入国管理制度についてお伺いしたいというふうに思います。
 挨拶の中で、イの一番に取り組むべき課題として再犯防止対策というのを挙げられました。今なぜ再犯防止なのか、また再犯防止に取り組むことがどうして治安回復につながるかについてお伺いしたいと思います。
#6
○副大臣(奥野信亮君) 法務副大臣の奥野信亮でございます。
 今日は、御承知だろうと思いますが、谷垣大臣が衆議院の方へ行って本会議に出ておりますので、私の方からお答えさせていただきます。
 私も聞いていろいろ感じるところが多いんですが、犯罪の、何というんですかね、犯罪が起こる要因は何なんだということを考えてみると、再犯者による犯罪が非常に多いんだというのが今議論になっているわけであります。特に、安倍総理が谷垣大臣に、最初の就任のときに、世界一安全な国、安心して暮らせる国づくりを目指そうと、そういうようなことで谷垣大臣にお話しになったようでありますけれども、そういう論点からいうと、やはり再犯に焦点を当てていくのが一番効果があるんではないかと、こんなことを言われているわけであります。
 その周辺にある数字を少し申し上げると、皆さん方非常にびっくりされると思うんですけれども、刑務所へ入ってこられる方が大体一年間に二万五千人いるんだそうであります。出る方が三万人おられる。入ってこられる方の、二万五千のうちの六割が入所二回目以降、言うなれば再犯で刑務所へ行かれると、こういうようなことが大きな特徴になっているようであります。
 そんな意味から、再犯を防止することが一番安全、安心の国づくりに直結するんではないかと、こんなことから、今そこのところに焦点を当てて我々が活動しているということをまずもってお話しさせていただきたいと思います。
#7
○若林健太君 やっぱり再犯防止対策を推進するということが治安の回復にとって大変重要だというお話で、私もそのとおりだと思うんですね。
 その再犯防止を実効あらしめるためには、刑務所出所者の方の社会の中での居場所ですとか出番を確保すること、これが重要だというふうに思います。そうした条件を整えるためには、社会内で刑務所出所者の支援や指導に当たる保護司の方々や、雇用する、仕事を提供してくださる雇用主の方々、こうした民間の方々の協力が不可欠だというふうに思います。
 そこで、まず保護司についてお伺いしたいと思いますが、この保護司の方々の役割、大変、非常に重要性を増してきているというふうに思うんですが、他方で、年々その人員が減少してきている、あるいは高齢化が進んでいるというふうに聞いています。現状の人員、それから平均年齢についてどうなっているのかお伺いし、そして、それに対して法務省としてどんな対策を打たれようとしているか、伺いたいと思います。
#8
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 保護司さん、定員五万二千五百人でございます。今年の一月一日現在の実人員が四万七千九百九十人ということで、ここ四年ぐらいで約千人ぐらい減少しているというのが実情でございます。それから、保護司さんの平均年齢ですが、これも徐々に上がってきておりまして、これも今年の一月一日現在で六十四・三歳ということになっております。
 委員御指摘のように、保護司さんはまさに保護観察、更生保護の基盤でございまして、保護司さんの後継者確保、保護司さんが仕事がしやすくなるようにということで一生懸命やらなければいけないということは当然でございます。
 法務省といたしましては、平成二十三年に保護司さんとか学識経験者から成ります保護司制度の基盤整備検討会というものを立ち上げまして、昨年、提言書をいただいております。実にたくさんの項目に関する提言をちょうだいしておりまして、それを今誠実に実行しているところでございます。
 幾つか申し上げますと、ある意味で一番力を入れているのが保護司さんの活動の拠点でございます更生保護サポートセンター、これをできるだけ多くの希望される保護区に設置していこうということでございます。本年度の予算で全国に二百四十五か所設置できるという見込みになっております。
 それから、保護司さんが安心して保護司活動ができるようにということで、対象者から損害を受けたというような場合の補償制度も提言に従って既に導入しております。
 さらに、保護司さんの後継者の確保の関係に関しましては、いろいろなところから情報を得ると、後継者に関する情報を得るということで、自治体の方とか自治会の方々などに委員になっていただく協議会を本年度中に全国の保護区に立ち上げることとしております。
 以上でございます。
#9
○若林健太君 保護司の皆さんの人数が減ってきている、そしてまた平均年齢が上がっているということについてのお話、さらにはそれに対する対策についてのお話をいただきました。
 さきの通常国会で、刑の一部執行猶予制度というのが、導入する法律が成立したわけですけど、この法律が施行されることによって保護観察の件数というのはどの程度増えるのでしょうか。その見込みについてお伺いしたいと思います。
#10
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 一部猶予法案につきましては、一部猶予の判決をするかどうかというのは裁判官がもちろんお決めになることですし、初犯者の者については、一部猶予にされても保護観察を付けるかどうかということは裁判所が御判断されるということになりまして、非常に不確定な要素がございます。
 そういうことで、一概にこのぐらいの数ということを予測することは非常に困難なんですが、そういうことを前提にいたしまして、今ある統計などを参考に私どもで推計しているのは、大体年間二千件から三千件ぐらいの保護観察が増えるのではないかというふうに考えております。
#11
○若林健太君 今ほどのお話の中で、保護司の制度についていろんな検討をされているというお話がございました。しかし一方、保護観察等について増加する傾向にもあると。こういうことで、引き続きこの保護司を支援するための体制整備というのは大変不可欠だというふうに思いますが、その点について副大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
#12
○副大臣(奥野信亮君) 今事務方からお話をさせていただいたように、実際の数字は御理解いただいたと思います。
 しかし、この保護司制度というのは、基本的に無給のボランティアという感覚でずっと進めてきておりまして、世の中の受け取り方は慈善事業と、こんなふうになっているんだろうと思います。
 しかし、やはりそれだけでは前向きに進んでいきませんから、積極的に新しいことを導入しながら、先ほど事務方がしゃべりました、そのサポートセンター等を積極的につくって、保護司さんたちがいる場所、活動の拠点をつくっていくとか、あるいは、誇りとやりがいを持って活動いただけるようなことも我々としてサポートしていかなくてはいけないのではないかと思います。
 これは私の全くの私見ですけれども、今も保護司さんは、長いこと活動していただいた方には、いろいろな、何というんですか、評価をして、勲章面でもそれなりの対応をさせていただいておりますけれども、もう少し、周りの人から見て本当に苦労されたんだなということが分かるような評価をしていくこともこれからの課題ではないかなというふうに思っています。
#13
○若林健太君 是非、私、地元でいろんな方々が保護司の活動をされている方がいらっしゃいます。今、副大臣のお話しされたような、様々な条件の中で、昔のように素封家が中心としてそういった取組をしているというばかりではなくて、いろんな方々が取り組んでおられる。それに対する社会の評価をしっかりサポートしていくというのは非常に重要なことだと思います。是非、積極的にお取り組みをというふうに思います。
 次に、協力雇用主についてお伺いしたいと思います。出所された方、仕事場がないということではやっぱり再犯防止に非常に支障を来すということだと思います。
 この協力雇用主、どれぐらいの数の方々が登録を今されておられるのか。その推移を含めて教えていただきたいと思います。
#14
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 前科があることを分かって雇用してくださる協力雇用主さんが就労の確保で極めて重要でございます。私どももその数の増加ということに力を入れております。
 今年の四月一日現在で、協力雇用主さん、一万一千四十四事業主になっております。この一年間で約一千事業主増えております。更に数年遡りますと、三千、四千という数が増えているというのが実情でございます。
#15
○若林健太君 増加傾向にあるということで好ましいことだと思いますが、一方、協力雇用主さんの事業者の事業規模というのはどんな形になっているか。非常に小規模の方が多いというふうに伺っていますが、その職種等についてお伺いしたいと思います。
#16
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答えいたします。
 協力雇用主さんの大体半分が建設業ということになっております。それから、サービス業、製造業を入れまして、建設業も入れて大体八〇%がそのようなところということになっております。
 それから、事業の規模なんですが、やはり零細なところが多くて、従業員の規模でいいますと百人未満のところが大体七五%ぐらいになっているというのが実情でございます。
#17
○若林健太君 事業規模が小さいから問題だということではないとは思いますが、しかし、より理解をしていただく層を増やしていくということは大変重要だと、このように思います。
 実際にその協力雇用主のところに就職している出所者の数というのはどうなっておられますでしょうか。
#18
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 平成二十五年四月一日現在で、全国で八百七十九名の出所者が協力雇用主の下で稼働しているということでございます。
#19
○若林健太君 協力雇用主の方の数に比較して、実際に就職されている方の数、少し開きがあると、こういうことでございます。
 さらに、その登録をしていただいている方の事業主体というのは非常に小規模なところが多くて、できればやっぱりもっともっと幅広く御理解をいただける層を増やしていくと、こんなことが必要だと思いますが、その点について副大臣のこれからの取組、その方針をお伺いしたいと思います。
#20
○副大臣(奥野信亮君) 今、数字を若干申し上げたんですが、非常に違和感を感じるのは、一万一千企業が手を挙げていただいたわけでありますけれども、実際に雇用が実現したのが四百企業、それで、一万一千の手を挙げてくれた企業も、千人以上の企業のところはほんの微々たる数字であると。
 大企業が本当にそういう人たちを雇用できないのかというと、私も企業経営者としてずっとやってきて、大企業の範疇でありますが、やはり小さい方がそういう人たちを囲うのには非常にやりやすいという面があるのかもしれませんが、そうはいってもやはり大企業でやっていただけない限り数は確保できないわけでありますから、そういったところに積極的に我々の方から前へ出てお願いをしていくということも第一に考えたいと思っています。
 それから、細かいことになりますけれども、例えば今、私の地元の奈良県、それから大臣の地元の京都府、もう一つ三重県、この辺が積極的に採用をしていただいているようでありますけれども、例えばうまくいくかいかないか、トライアルで雇用してみようとか、あるいは身元保証制度を入れていこうとか、あるいは職場として定着してきた場合には協力謝金を出していくとか、お金が全てではないですけれども、そういったことも必要ですし、それから実際に働いていただく皆さん方が本当に安心して仕事ができるというようなことを、環境をつくっていくということも我々の努力でやらなくてはいけないのではないかなと、こう思っておりまして、積極的に前へ前へ進めていく所存であります。
#21
○若林健太君 次に、社会内で更生を図る前提として、刑務所の施設内での更生の充実ということが重要であるというふうに思います。特に、薬物事犯や性犯罪者など、刑務所に収容しているだけではなかなか更生させることが難しいのではないか、こういう事案もあると思うんですね。
 そこで、再犯防止を推進するため法務省がどのような取組をしているのか、また新たに始めた刑務所内での取組があるか、教えていただきたいと思います。
#22
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 刑事施設におきましては、平成十八年、刑事収容施設法の成立を機に、受刑者に対しまして本人に必要な改善指導等の矯正処遇を義務付けるということになっております。この改善指導には、原則として全受刑者が受けるとされる一般改善指導と、個々の受刑者の問題性に応じて行います特別改善指導がございます。
 ただいまお話がございました薬物事犯者、性犯罪者に対しましては、この特別改善指導として薬物事犯離脱指導とか性犯罪再犯防止指導等の処遇プログラムを実施しております。この薬物依存離脱指導につきましては、麻薬とか覚醒剤、その他の薬物に対する依存があるという者に対しまして、薬物使用に係る自分の問題点を理解させた上で再使用に至らないための具体的な方法を考えさせるといったような、方法を考えさせるための指導を行っているところでございます。
 また、性犯罪再犯防止指導につきましては、性犯罪につながる自己の問題性を認識させ、その改善を図るとともに、再犯しないための具体的な方法を習得させることを目的として実施しております。このプログラムは欧米諸国において実施されまして、実証研究等によって効果が認められております認知行動療法等を用いて作成されたものでございまして、個々の受刑者の再犯リスクとか、あるいは問題性の程度に応じて異なる密度の指導を行っております。
 いずれのプログラムにつきましても、これまでの指導実践や検証結果等を踏まえまして、より効果的な処遇内容とするべく、現在改善をしているところでございまして、今後ともその方向でやってまいりたいと思っております。
 以上でございます。
#23
○若林健太君 今様々な新しい取組をされているということでございました。そうした取組と加えて、出所してから社会で受け入れられるためには職業訓練というのも非常に重要だと思うんですけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
#24
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 受刑者の改善更生とか社会復帰を図るためには、おっしゃるとおり、職業訓練を充実させることが極めて重要であると考えております。
 全国の刑務所におきましては、受刑者に、職業に関する免許とか若しくは資格を習得させまして、又は職業に必要な知識及び技能を習得させることを目的としまして職業訓練を実施しております。種目といたしましては、現在ホームヘルパー科ですとか情報処理技術科、フォークリフト運転科等の職業訓練を実施しているところでございます。
 平成二十四年七月に犯罪対策閣僚会議におきまして決定されました再犯防止に向けた総合対策において、雇用ニーズに応じた職業訓練種目の導入とか、そういったことが指摘されておりますので、今後とも社会の雇用ニーズに応じました職業訓練の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#25
○若林健太君 こうしてそのプログラム、新しいプログラムを導入したり、あるいは職業訓練を行って、受刑者、出所された後安心して社会に受け入れてもらえるようにと、こう努力をしています。そうした努力をしているということを世間にもっと御理解をしてもらうという努力、これも求められるのではないかというふうに思いますが、その点について副大臣から御意見をお伺いしたいと思います。
#26
○副大臣(奥野信亮君) 私も実は今年の夏にアメリカへ行って、あれはたしかワシントン州だったと思いますが、ワシントンDCの刑務所を視察させてもらいました。そのときに、非常に、社会へ出た後のトレーニングというんでしょうかね、身に技術を付けるということに大変努力されているというのをこの目で実感してまいりました。一例を申し上げるならば、非常に水の深いところで作業をする、潜水作業でいろいろな仕事をするというようなのは大変苦しいようですけれども、そういうようなことをやっておられました。
 そして、そういった技術を身に付けたならば、それをやっぱりもっともっと広く国民に流布していくという必要性があると思うんです。犯罪を犯した方だというレッテルだけを張られるんじゃなくて、その方々がどういうふうに刑務所の中で改心をし、そして技術を身に付け社会復帰しようとしているかということをもっともっと広く流布していく必要性もあるんではないかと思います。そういったことにも我々はもっと積極的に、広報機関を通じるなりいろいろな場を通じて進めていかなくてはいけないんだろうと思います。
 例えば、刑務所の施設を参観するチャンスを増やすとか、あるいは、今もやっておりますけれども、矯正展をして多くの方々に見に来ていただく、あるいは購入していただくというようなことも必要だろうと思います。こういったことを報道機関を通じて積極的に皆さん方に知っていただくようなことも我々として努力をしていかなくてはいけないんではないかと考えている次第であります。
#27
○若林健太君 ありがとうございました。是非お取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
 今日、実は、犯罪被害者の保護、支援についてと、あと入管、入国管理行政についてお伺いしたいと思いますが、ちょっと時間がなくなってまいりました。この点はまた次回以降に譲るとして、せっかく谷垣大臣がお見えになりましたので、大臣の御挨拶の中で、プロとしての精度と質の高い法務行政サービスに努めたいと、このようにおっしゃっておられました。具体的にどのようなサービスの提供が大事だとお考えになっておられるか、あわせて、法務行政の課題克服と更なる向上に向けた御決意をお伺いさせていただいて、私の最後の質問にさせていただきたいと思います。お願いします。
#28
○国務大臣(谷垣禎一君) どこの役所もそれぞれの行政の専門知識を持った方がおられるわけですが、私は、法務省へ参りまして、ほかの役所に増して法務省という役所は専門家集団といいますかプロ集団だなと思いました。もちろん、民事、刑事を中心になって担っているのはプロの法律家でありますし、それから矯正、それから更生保護等も心理学等の知見を基にいかにして犯罪を犯した者が改善していくかということのプロでありますし、入管にしてもそうでございます。また、法務省はそうであらねばならないと、私はこのように思っているわけであります。専門的知識を持って国民のニーズにこたえていくということがほかの役所にも増して求められているところではないかなと、このように考えているところでございます。それがまた国民の安心、安全につながっていくと、こういうことではないかと思っております。
 したがいまして、私は法務大臣になりましてから法務省の職員に対して、君たちはプロであると、プロとしての自覚を持って、プロとしての技能を十分に磨いて国民にサービスを提供するようにと、プロの経験、プロの知識、プロのノウハウを持って対応していくということを常に訓示等で言っているわけでございます。
 私も、法務大臣として法務行政に対する理解と見識を深めまして、今御答弁をされていた奥野副大臣あるいは平口政務官と協力しまして、職員と一致協力してプロのサービス、プロの見識に立ったプロのサービスを提供していきたいと思っております。
 それと同時に、やはりプロであるからといってタコつぼの中に入ってはいけない、広く国民の声に耳を傾けながらプロのサービスを提供していく、このようなことが大事ではないかと、こう考えております。
#29
○若林健太君 大臣の今の御決意を伺いながら、日本のこの高い治安というのはまさに誇るべき大きな安心、安全の原点だと、このように思います。大臣を中心として御活躍されることを御祈念申し上げて、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#30
○山下雄平君 初めて質問に立たせていただいております自由民主党の山下雄平です。
 私は、前職、前の仕事が実は去年まで新聞記者、国会担当の政治記者をしておりました。私は、国会の政治記者として初めて番記者として担当させていただいたのが谷垣禎一政務調査会長でした。そのころから様々な質問をさせていただいておりましたが、今回、参議院議員として、委員の初めての質問を谷垣大臣にさせていただくということに非常に光栄に思っております。
 当時を振り返ると、谷垣政調会長がしばしばこうおっしゃっていたことを思い出します。自分は長らく財務大臣をしておったので、谷垣といえば税だ、財政だと言われるけれども、自分はそれに加えて、法の支配が公正にされているのか、法秩序はどうなっているのか、立憲主義はどうだと、そういったことにも非常に関心があるんですと話されていらっしゃいました。そのことを考えると、今の法務大臣という仕事に谷垣大臣は非常にやりがいを感じていらっしゃるんじゃないかなと思います。
 この法秩序の問題に関して、国家自身が、日本国がその法秩序を守れない事態に陥るんではないか、そういった事態が私の地元九州で起ころうとしております。諫早湾の潮受け堤防の開門調査の問題です。
 有明海というのは宝の海と言われて非常に豊かだった。しかし、最近は環境が非常に悪化して、タイラギなどが捕れなくなって漁師の方が漁業を維持できなくなっている、そういった事態に陥っている。この原因の一つが諫早湾の干拓事業ではないんだろうか、一度開門して調査してその原因を探ってほしい、そうした思いで、地元の漁業者の方などを中心として国に開門調査を求める訴訟が起こされました。そして、三年前、福岡高裁で国に開門調査を認める判決が出され、この判決が確定しました。そして、その開門調査の期限は来月の二十日です。しかし、地元長崎の干拓地の農家の方を含めてこの開門調査に反対されて、国は現地にもなかなか入れない状態で、開門に向けた対策工事も打つことができない状況に陥っております。国が確定判決で義務を負っている、その義務が履行できないかもしれないという状況に陥っております。
 法務省の設置法を見ると、法務省というのは、法秩序の維持、国の利害に関係のある争訟の適正な処理を図ることを任務とするとあります。法秩序の維持、国の利害に関係のある争訟の適正な処理に法務省は努めなければなりません。
 法務大臣として一つの個別な訴訟案件には触れづらいということは重々承知しております。しかし、まずは一般論として、確定判決によって命じられた義務に対して国はどのように対応していかなければならないと考えていらっしゃるか、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#31
○国務大臣(谷垣禎一君) 山下議員が新聞記者時代、番記者として日々お付き合いをして、若くて張り切っておられたあなたの姿、よく記憶しております。今回、大変厳しい選挙の中を勝って、こうして参議院に出てこられた。大いに活躍を期待しているところでございます。
 そして、選挙区のいろいろなお声をしょって諫早の問題について質問された。この問題は、長崎と佐賀でもかなり意見の対立が見られる大変難しい問題でございます。しかし、一般論として、確定判決が出た場合、国はどう対応すべきかというお問いかけでございます。もう言うまでもありませんが、確定された判決はその判断事項について当事者を拘束する、いわゆる既判力、既に判断を下したと、既判力というものがございますし、執行機関に対して判決内容の強制的実現を求める地位を与えると、つまり執行力と、術語でいえばそういうことになりますが、そういった等々の法的効力が認められているわけですね。
 したがって、確定判決によって命じられた事項については、国は、これは法的義務でございます、政治的義務というより法的にもうそういう義務を課せられておりまして、重く受け止めて誠実に執行すべきものでございます。
 そして、今おっしゃった平成二十二年十二月六日、福岡高裁で言い渡されました諫早湾干拓訴訟の判決は、その年の十二月二十一日に、三年前の十二月二十一日に確定しておりまして、その開門期限が今年の十二月二十日に迫っている。おっしゃるとおりでございます。
#32
○山下雄平君 エールを含めて、ありがとうございます。
 先ほど大臣が言われたとおり、意見が対立して非常に難しい問題です。長崎県の意見と佐賀、福岡、熊本の意見が対立しております。政府としても非常に難しい立場であることは分かっております。この不幸な状態を何とか打開しなければならないと私も思っております。しかし、意見がぶつかっているからこそ訴訟に持ち込まれて判決が下されたわけです。長崎県側の声を聞くと、いやいや、何で福岡高裁で確定させるんだと、上訴して、上告して最高裁まで持ち込むべきだったんじゃないかと、当時の民主党政権の政治的判断がおかしかったんだという声ももちろん聞きます。
 しかし、結論は出たわけです。法的には確定されたわけです。こうした問題が、確定判決がないがしろになってしまったら法秩序はなかなか守れないんだと感じております。やはり、この福岡高裁の判決は確定された。それに対して国はどう対応していくべきだとお考えになりますでしょうか。
#33
○国務大臣(谷垣禎一君) 確定判決で命じられた開門義務を果たさなければいけない、これが判決の命じるところでございます。しかし、実態を見たときに、じゃ何もしないですぐに開けられるかといえばそういうものではありません。対策工事、いろいろ考えられる影響がございますから、対策工事をきちっとした上で開門に向けていくということでないと不測の被害も生ずるということだろうと思います。
 そういうことで、今政府一体として、法務省ももちろんでございますが、一番関係のございます農林水産省等々とも一体となってこれは取り組んでいかなければならないことだと思います。引き続き、こういう関係機関と協議しながら適切に対応してまいりたいと考えております。
#34
○山下雄平君 大臣がおっしゃるとおり、開門に向けた対策が非常に重要だと思っております。しかし、地元のなかなか反対などで国はその現場に近づくことすらできない状態になっております。有明海の漁業者の方は、このまま確定判決がないがしろになってしまうんじゃないだろうかと、約束を国が守らない事態になるんではないだろうかと、非常に心配されております。
 今日午前の参議院の農林水産委員会で、林農水大臣はこのように答弁なさいました。義務の履行が司法の判断に委ねられないように理解を得られる努力をしたいと答弁されております。義務の履行が司法の判断に委ねられないように、司法手続上は間接強制を含めいろんな手段があると思いますけれども、国が義務を守らずに、いわゆる司法が行政に対していろんな形で強制力を働かせるというのは、恐らく前代未聞な状態だと思います。
 対策工事も含めて考えれば、時間は本当にないと思います。果たして本当に、期限である十二月二十日まで、国として、政府として、国家として確定判決の義務を履行することができるんでしょうか。
#35
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申し上げたように、何らかの開門したときの弊害を回避するような措置を併せて講じなければならない。
 そして、この工事は主として農林水産省が中心になって進めておられるわけですね。先ほどのような林大臣の御答弁がございました。私、今農水省が考えておられること、法務大臣として必ずしも適切にお答えできるとは思っておりませんが、その開門工事、その限定的な開門方法によって先へ進めることを考えておられるようでございます。しかし、地元の長崎の方たちはこの方法にも非常に強く反対をしておられる、先ほどのおっしゃったとおりですね。ですから、現状ではその着手を直ちに行うことは断念せざるを得ないような状況にあるんだと思います。
 直接それをやっておりません法務大臣が余り農水大臣の答えるべきことに立ち入って申し上げるのは、これ以上は差し控えたいと思っておりますが、いずれにせよ、何らかの形で御了解を得て対策工事を進めるような体制をつくらなきゃならないと。そういう意味では時間は非常に限られている、おっしゃるとおりだと思います。現在の段階では、更に政府一体となってそのための方策を何とか見出していくということをお答えするのにとどめたいと思います。
#36
○山下雄平君 非常に難しい案件に関して答弁をいただいてありがとうございます。新聞記者のちょっと癖かもしれませんが、なかなか追及調になってしまって大変申し訳ないなと思いますけれども、有明海の再生に向けて、そして国として法秩序を維持するために、何とか政府一丸となって解決策を見出していただければと思います。
 質問の趣向を変えまして、今度は外国人観光客の受入れ体制の件に関してです。
 政府として、ビジット・ジャパンということで多くの外国人の方に日本に観光に来ていただきたいと、今旗を振っているところだと思います。そして、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることとなったと。これから多くの方が日本に旅行に来ていただける、そして来やすい環境をつくっていかなければならない。法務省の管轄でいえば出入国管理だと思います。こうした体制が現在どのようになっているのか、お聞かせいただければと思います。
#37
○政府参考人(榊原一夫君) お答えいたします。
 委員御指摘のように、東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けてはもとよりのことでございますが、日本再興戦略等で掲げられました観光立国の推進のためにも、出入国手続のより一層の迅速化、円滑化が求められており、そのためにも所要の体制整備が必要であると認識しております。
 入国管理局におきましては、これまでにもシステム機器の整備や職員の増員等により、出入国手続の迅速化、円滑化に取り組んできたところですが、平成二十六年度予算の概算要求におきましても、成田空港LCCターミナルの新設など空港施設の整備に伴い必要となる職員の増員や、パスポートと指紋の照合により本人確認を自動的に行います自動化ゲートシステムの増設に必要となる経費などを要求しており、これらを通じまして、より一層の出入国手続の迅速化、円滑化を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。
#38
○山下雄平君 ありがとうございます。
 先ほど成田空港の話がありましたけれども、私の地元佐賀県で、佐賀空港では国際線の専用ターミナルが来月に供用される予定と聞いております。その体制に関してはどのようになっていますでしょうか。
#39
○政府参考人(榊原一夫君) 有明佐賀空港新ターミナルの運用が開始されることについては承知しているところでございます。今後更に外国人入国者数も増加するものと見込まれますので、出入国審査の円滑化を図るための体制整備といたしまして、平成二十六年度の概算要求におきまして入国審査官三人の増員を要求しているところでございます。現在の配置定員が三名でございますので、そういった状況で入国審査官三人の増員要求を行っているところでございます。
#40
○山下雄平君 ありがとうございます。
 佐賀に限らず、日本全国として、二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピックが来る、そして二〇三〇年、日本政府としては年間三千万人の外国人観光客を誘致したいという目標を掲げていらっしゃいます。二〇二〇年、そして二〇三〇年という目標を持って、政府としてどのような体制をつくっていくべきだと考えていらっしゃるでしょうか。
#41
○政府参考人(榊原一夫君) お答えいたします。
 今後も出入国審査体制の充実強化を図るとともに、合理的かつ的確な業務遂行のための工夫を重ねて、二〇二〇年に向けてはもとより、さらにはそれ以降も考えながら、先ほど申し上げましたような対策を講じて、迅速、円滑な出入国手続が実施できるよう準備を進めてまいるつもりでございます。よろしくお願いします。
#42
○山下雄平君 この入国管理の円滑化とともに、外国人の方がたくさん来られる中で、不法滞在の方が増えていったり、どこに行ったか分からなくなったり、そういったことがどんどん起こるようでは大問題です。入国管理の円滑化とともに、出入国審査の重大性がどんどん増してくると思いますけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#43
○国務大臣(谷垣禎一君) オリンピックにはたくさんの方に来ていただいて楽しんでいただきたいですし、さらに、オリンピックでなくても、多くの方に日本に来ていただいて日本の良さを知っていただきたいと思いますが、そうやってたくさんの方に来ていただけば、どうしても、好ましからざる人物というと語弊があるかもしれません、やはり犯罪やテロに関係のあるような方は、これは水際で阻止しなければいけないということだろうと思います。
 そこで、法務省では、指紋とかあるいは顔写真といった個人識別情報を活用する等々で厳格な入国審査を行ってまいりました。今後ともこういう厳格な入国審査を確実に使ってやっていくということのほかに、入国審査に資する各種情報の収集というのも劣らず大事でございます。それから、そういったいろんな情報を活用するノウハウというのも更に蓄積していかなければいけないんだろうと思います。ますますこういった点に工夫をしていく必要があると思いますので、今後この水際対策には力を入れていきたいと、このように考えております。
#44
○山下雄平君 本来であれば矯正施設の関係の質問も用意しておったんですけれども、去年までのように質問時間を超えてがんがんがんがん質問するわけにもいきませんので、その件の質問に関してはまた次回にさせていただきたいと思います。
 ありがとうございます。
#45
○有田芳生君 民主党の有田芳生です。
 今日与えられた時間の中で、いわゆるヘイトスピーチ、差別扇動の問題と、さらには、今大きな政治問題にもなりつつある特定秘密保護法案、この二つのテーマについてお聞きをしたいと思います。しかし、与えられた時間が三十分ですので、先ほど小川委員に話をしまして十分更にいただけることになりましたので、そうはいっても四十分の時間の中で大きな二つのテーマをお聞きする、開高健の言い方で言えば悠々と急げというような気持ちでお聞きをしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 先日、新宿の駅を歩いておりましたら、女優の宮崎あおいさんの大きなポスターが張ってありました。非常に目立つポスターなんですけれども、その横に文字が記されておりまして、何て書いてあるのかなと見ましたら、ヘイトスピーチって何ですかとありました。これはアパレルメーカーの宣伝なんですけれども、そういう若い女優さん、若い人たちに人気のある方を使ってヘイトスピーチって何と、そういう広告があったんですよね。
 さらには、十一月の八日に締切りですけれども、NHKが元AKB48のメンバーである篠田麻里子さん、篠田麻里子さんが番組を持っていらして、「麻里子さまのおりこうさま」というのがありまして、夜中に報じられている短い番組なんですけれども、そこで今の日本社会の中で様々な関心を呼んでいるテーマ、例えば和食とは何だというようなことが短い時間の中で報告をされるんですが、先ほど言いましたように、十一月八日締切りで視聴者の方々から意見を下さいということで、これまたヘイトスピーチというテーマが取り上げられております。
 このように、若い人たちもこのヘイトスピーチ、差別扇動の問題についてやはり関心を持たなければいけない。NHKのこの番組は、社会に出る前に一般常識として覚えておくテーマなんだと。そこで取り上げられているということは、非常に意味があるだろうと私は判断をしました。
 実は、谷垣大臣も私にとっても思い出の青春の地である京都で昨日デモがありました。午後三時半に京都市役所を出発して四条河原町、そして南座の前、そして八坂神社、円山公園、そしてまたUターンをして四条河原町から烏丸の方に向かっていったデモですが、そのデモが何だったかというと、司法による偏向判決を許すなと、自分たちがやってきたのはヘイトスピーチではないんだと、そして昨日シュプレヒコールなんかを聞いておりましても、朝鮮人は出ていけ、こういうことを繰り返し繰り返し語っているデモでした。
 何でこういうデモが昨日京都であったかというと、御承知のように、十月七日に京都地裁の判決がありました。この京都地裁の判決は何かといえば、振り返って二〇〇九年の十二月から翌年にかけて三回にわたって、在特会、在日特権を許さない市民の会というそのメンバーを中心にして、京都朝鮮第一初級学校に対して、授業中であるにもかかわらず、この初級学校というのは幼稚園児から小学校の子供たちが授業をやっているところに、大きなマイクを持って、非常に紹介するのもはばかられるような差別的な行為を行った。その判決が十月七日にありました。
 大臣御承知のとおりのことで、彼らの行動については、人種差別撤廃条約に基づいて、著しく侮蔑的で人種差別に当たると。そういうことで、学校周辺の街宣活動は禁止をされて、さらには、彼らに対して一千二百万円を超える賠償が求められました。民事上の不法行為に当たると、そういう判決が出ました。
 その翌日の十月八日、大臣は会見の中で記者の方々に質問をされたと思います。この十月八日というのは、十月七日に判決ですけど、十月七日の夕刊各紙見ましても、ヘイトスピーチは差別だと、これは朝日新聞の一面トップ記事、あるいは毎日新聞を始めとして各紙がその日の夕刊で大きく報じ、テレビでもトップニュースとして関西では報じられました。
 翌日、東京なども含めて全国各紙の社説を見ても、例えば毎日新聞、差別許さぬ当然の判決。あるいは東京新聞、言論の自由守るには、これは結果的に表現の自由を守ったんだという社説でした。あるいは朝日新聞、司法からの強い戒め。日本経済新聞、山下さんいらしたところですが、ヘイトスピーチいさめた判決と。産経新聞などにもそういう記事が出ました。あるいは地方紙なんかを見ますと、徳島新聞だと、ヘイトスピーチというのは言葉の暴力だから、それを断ち切ろうという社説。あるいは高知新聞、表現の自由を越えているなどなど、もう、やはりそういうことは日本社会として、東京オリンピック迎えるんですからやめなければいけないんじゃないかというような論調が広がりました。
 そこで大臣にお聞きをしたいんですが、十月八日の記者会見の中で、この判決に直接触れられているわけではありませんけれども、この間の一連の動きについて述べていらっしゃいましたが、今簡単に報告をしましたけれども、そういう流れについて、大臣、どのようにとらえていらっしゃるでしょうか。
#46
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、委員のお話のように、大変このヘイトスピーチというものに対する関心も高まってきておると思います。有田委員も御著書をお出しになりましたし、関心は高まってきているなと思います。
 それで、十月七日の京都地裁の判決は、これは今係属中の個別の民事訴訟でございますので、法務大臣としてはこういったことにコメントするのは差し控えております。ただ、この事案に対する評価は別として、先ほど来のお話のように、非常に関心が高まってきているのは、近時、デモにおいて特定の国籍の外国人を排斥する趣旨の言動が行われている、こういうことがしばしばあるように承知しております。こういった行為を見聞しますと、やっぱり不安感やあるいは嫌悪感を与えるということがあるのではないかと。そして、それを超えて差別意識を生じさせることにもつながりかねないと。
 ですから、一人一人の人権が尊重される、何というんでしょうか、我々は、やっぱり日本は成熟した社会で一人一人の人権が尊重される社会であってほしいと思っているわけですが、そういう社会をつくっていくという、実現していくという意味からは、甚だ残念なことであるというふうに思っております。
 法務省としても、人権擁護機関を持っておりますので、こういった外国人に対する偏見や差別の解消を目指していくということは大事なことでございまして、外国人の人権を尊重しようと、これを啓発活動の年間強調事項として掲げまして、講演会あるいは啓発冊子等々の活動を行ってきているところでございます。
 全般の状況はいろいろでございますが、引き続き、今述べましたような観点から、私としても今後の動向を十分注視していかなければいけないと、このように思っております。
#47
○有田芳生君 昨日も京都は、秋が近づいてきているという、もう秋と言っていいんですけれども、観光客が物すごく多くなっておりまして、外国人観光客などもそのヘイトスピーチデモなんかを聞いていて、もう大音量でやりますから、もう耳をふさいだり、日本人観光客も一体これは何ですかということで、様々な外国人観光客も含めて、こういうことは早くやめてほしいという声がいっぱいあったということを前提にお聞きをします。
 今大臣から人権擁護局の啓発活動等についてお述べになられました。もう少し詳しく人権擁護局の担当者の方から、これまで何をやってきたのか、そして、今お伝えしたようないわゆるヘイトスピーチのようなものが今吹き荒れている状況の下で、今後どのような具体的な新しい方策を考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
#48
○政府参考人(萩原秀紀君) お答えいたします。
 法務省の人権擁護局といたしましても、近時、デモ等におきまして特定の国籍の外国人を排斥する趣旨の言動が行われていることがヘイトスピーチであるとして取り上げられていることは承知しておりますので、人権啓発の観点から、本年五月の法務大臣記者会見での発言を法務省のホームページに掲載して周知を図ったほか、全国の各法務局、地方法務局に対しまして、同発言を踏まえて啓発活動に配意するよう事務連絡を発出いたしました。
 また、啓発冊子として発行しております平成二十五年度版の「人権の擁護」におきまして、こういったヘイトスピーチに関連する記述を追加して広く配布するとともに、また、地方公務員を対象とする人権啓発指導者養成研修におきまして、外国人の人権をテーマとする講義を設けるなどの啓発活動を実施しております。
 加えまして、各法務局、地方法務局におきましては、さきの事務連絡を受けまして積極的な啓発活動を実施しており、一例としましては、民間企業における研修、中高生を対象とした人権教室におきまして外国人の人権に関する説明の機会を増やすなどしております。
 そういうことでございますが、今後も各種研修等におきまして外国人の人権を取り上げる機会を増やすとともに、外国人の人権をテーマに取り入れたリーフレット、これを作成し街頭配布を行うなど、そういった効果的な啓発活動を検討し実施してまいりたいと、このように思っております。
 以上でございます。
#49
○有田芳生君 まさしくそういう大事な課題というものを更に強化をして頑張っていただきたいというふうに思います。
 しかし、国際的な人権基準からいって、まだまだ日本は差別をなくしていく上で十分ではないということを、今から一例をお伝えしますので、人種差別撤廃条約の担当である外務省の方にお聞きをしたいと思いますが、実は、東京の新大久保、大阪の鶴橋、あるいは川崎などでこのヘイトスピーチというものがずうっと続いてきたんですが、それに対して昨日も、京都ですけれども、反対する人たちが自然発生的に全国から集まってきて、二倍、三倍の人たちがそういう恥ずかしいことはやめろと言うことによって発言の内容がおとなしくなってきている傾向は一部ではあるんですけれども、しかし、東京や大阪や川崎でそういう反対運動があると、そこで一時的におとなしくなっても、抜けていく地域ではとんでもない発言がいまだなされているんです。
 外務省の方にちょっと聞いていただきたい、大臣にも聞いていただきたい、みんなにも聞いていただきたいんですが、例えば北海道の札幌の大通公園、どういうデモが歩いているかといいますと、こういうことは本当は読み上げたくないんですけれども、これは事実ですから、現実を理解していただくためにごくごく一部を紹介します。これは、非常に、マイクを持って女性が猫なで声で語っていることです。
 毎度お騒がせしております。こちらは不用品の回収車です。御近所で御不用な南朝鮮人、腐れ朝鮮人などございましたら、車まで御合図願います。どんな状態でも御処分いたします。泥棒、売春婦、ストーカー、どんな朝鮮人でも結構です。生きたままでも結構です。お気軽に御合図願います。これ、猫なで声で気持ち悪いことをずっと言って歩いていて、さらに、皆さん、左手御注目ください。日本を攻撃する悪の組織、在札幌韓国総領事館が見えてまいりました。皆さん、行きますよ。ここまで猫なで声で、いきなり声が変わって、罵声に変わって、女性が、排せつ物をトイレに流すと教えた恩をあだで返しやがって、恩知らず、恥知らずな朝鮮人どもをふん尿まみれにしろ。こういうのがずうっと続いているデモなんですよ。
 外務省、これは差別ではないですか。
#50
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。
 まず、先ほど法務大臣からもお話ございましたが、今委員から例の御指摘もございましたが、最近のデモにおいて、特定の国籍の外国人を排斥する趣旨の言動が行われて、過激な内容が含まれる場合もあると承知しております。こうした行為は、もちろん外務省といたしましても、人々に嫌悪感を与えるのみならず差別意識を生じさせることにもつながりかねないものでございまして、一人一人の人権が尊重される豊かな安心できる成熟した社会を実現するという観点からは甚だ残念だと思っております。
 その上で、今御質問がございました人種差別撤廃条約との関係について申し上げれば、人種差別撤廃条約第一条の一項は、人種差別を、ちょっと長くなりますが、「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するもの」と定義をしているわけでございます。
 そしてその上で、御指摘のようなヘイトスピーチにつきましては、この概念、定義はいまだ一般的に確立されていないというのが私ども政府の考え方でございます。
 また、個別具体的な事案の内容、すなわちその規模の大小やシュプレヒコールの内容等は事案ごとに様々でございまして、いわゆるヘイトスピーチというものが条約上の人種差別に当たるかということを一概に判断するのは困難だというふうに考えております。
#51
○有田芳生君 それはもう京都地裁の具体的な判決に基づいても、これは明らかに差別なんですよ。お立場があるからそれ以上のことは言えないというのは分かりますけれども、やはり日本が、国際的な人権基準に基づいて、しかも、一九九五年に日本が加入をしている人種差別撤廃条約に基づいてやはりしかるべき対応を取っていかなければいけない時期に来ているというふうに私は考えております。
 人権擁護局にお聞きをします。先ほどお話をしたような札幌でのヘイトスピーチについて、こういうのは啓発活動でなくなりますか。
#52
○政府参考人(萩原秀紀君) お答え申し上げます。
 法務省の人権擁護機関は啓発活動を通じて外国人の人権を尊重するよう呼びかけているところでございますが、こういった啓発活動により、我が国の国民が文化等の多様性を認め、また外国人の生活習慣等を理解、尊重し、その結果、偏見や差別がなくなっていくという、こういう効果が期待できると認識をしております。
 したがいまして、差別意識を生じさせることにつながりかねない言動につきましては人権擁護の観点から引き続き注視するとともに、一人一人の人権が尊重される社会の実現を目指して、より一層力を入れて啓発活動に取り組んでいかなければならないと思っております。
 以上でございます。
#53
○有田芳生君 啓発は本当に大事で、これからも強化をしなければいけませんけれども、今御紹介をした札幌の例を始めとして、いまだ続いているヘイトスピーチについては、何らかの新しい対応を取らなければやはり克服はできていかないというのが、やはりこれまでもヨーロッパ、アメリカも含めた現実だというふうに思います。
 先ほど外務省にお聞きをしましたけれども、そもそも日本政府は今年の一月に人種差別撤廃委員会に出した報告書の中でこういうふうに言っているんです。処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、現在の日本が人種差別思想の流布や扇動が行われている状況とは考えていない。人種差別思想の流布も扇動もないと言うんです。
 ところが、京都地裁判決で明らかなように、やはりああいうとんでもない行為を映像に撮って、今でもインターネットで流れている。これは扇動行為がなされているんじゃないですか。外務省、どうでしょうか。
#54
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘のございました日本政府の報告書は、人種差別の扇動等に関し処罰立法を求める人種差別撤廃条約第四条の(a)及び(b)に付した我が国の留保に関して申したわけでございますが、私どもが申し上げていますのは、正確に読みますと、留保を撤回し、人種差別思想の流布等に対し、正当な言論まで不当に萎縮させる危険を冒してまで処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、現在の日本人の、人種差別思想の流布や人種差別の扇動が行われている状況には考えてはいないと述べたものでございます。
 委員が御指摘されたのは後段の部分だと思いますけれども、私どもは前段も含めて、正当な言論を不当に萎縮させる危険を冒してまで検討しなければならないほどあるとは考えていないと申し上げたものでございまして、現時点ではかかる認識に変更はございません。
#55
○有田芳生君 あのね、現場に行ってくださいよ。被害者の声を聞いてくださいよ。どれだけ苦しんでいますか、子供たちも母親も父親も。涙を流しながら今でも悩んでいるんですよ。事件からもう何年もたっても、子供たちはもう学校へ行くの怖い、廃品回収の声が聞こえてきたら震えるという子供たちもいる。そういう被害者の方に立てば、やはり日本社会が前に進んでいかざるを得ないじゃないですか。
 今、人種差別撤廃条約について引用されましたけれども、じゃ、日本が加入をした人種差別撤廃条約第二条、もう細かくは言いません、(d)項、各締約国は、つまり日本もですよ、状況により必要とされるときは、立法を含む全ての適当な方法により、いかなる個人や集団、組織による人種差別も禁止し、終了させると書いているじゃないですか。日本政府が認めているじゃないですか。これも留保しているんですか。違うでしょう。だから、現実を一緒に変えていかなきゃ駄目なんですよ。
 だからこそ、外務省のお立場もありますからそれ以上は言いませんけれども、やはり、法学者の奥平康弘先生も最近おっしゃっていますけれども、ヘイトスピーチの問題がこんなに日本で急速に問題になるとは思わなかったというふうにおっしゃっておりますので、谷垣大臣も含めて、具体的にもう少し何ができるのかということを、法規制が必要かどうかということも含めて一緒に考えていきたいというふうに思います。新美さんを責めるつもりは全くありませんので、そういう日本の政府の今の立場だということで、やはりしっかりと考えていきたいと思います。
 もう時間が来ますので、もう一つ大きな問題で、秘密保護法の問題についてお聞きをしたいと思います。
 まず、内調からお聞きをしたいんですけれども、秘密保護法についてのパブリックコメントの結果についてお聞かせください。
#56
○政府参考人(桝田好一君) お答えいたします。
 お尋ねの意見募集につきましては、平成二十五年九月三日から九月十七日までの間に実施いたしまして、合計九万四百八十件の御意見が寄せられたところでございます。
 寄せられた御意見の内訳は、賛成の立場からの御意見が一万一千六百三十二件、反対の立場からの御意見が六万九千五百七十九件、その他の御意見が九千二百六十九件となってございます。
#57
○有田芳生君 時間との関係でもう、そのパブリックコメントについての期間は十五日間だったという理解でよろしいですよね。このパブリックコメントを求める期間について、例えば二〇一一年に幸福度指数に関する意見募集は二か月間募集されていて、あるいは二〇一三年の六月二十日から女性差別撤廃条約についてのパブリックコメントは、これも一か月ぐらい募集をしているんですが、これ、十五日間という短い何か特別な理由というのはあったんでしょうか。
#58
○政府参考人(桝田好一君) お答えいたします。
 お尋ねのパブリックコメントにつきましては、行政手続法に基づいて実施するものではございませんので、その実施期間につきまして特段の定めがあるわけではございません。これまで政府が実施いたしました法律案に関するパブリックコメントの中では、本件と同様、実施期間を二週間程度とした例があるものと承知しているところでございます。
#59
○有田芳生君 これほど知る権利、それから取材の自由を含めて、様々な議論になっている法律について、やはり短過ぎるのではないかという印象を私は持つんですけれども、その特定秘密保護法案について、じゃ、世論調査はどうなっているかといいますと、共同通信が十月二十六日から二十七日に実施をした調査によりますと、琉球新報は一面トップで報じましたけれども、特定秘密保護法案に反対が五〇・六%、半数を超えております。賛成は三五・九%、慎重審議をするべきだという意見が八二・七%、今国会で成立させるべきだというのは一二・九%。圧倒的に、八二%が慎重審議を求めている。更に細かく言いますと、今国会にこだわらず慎重に審議すべきだと答えた人は自民党の支持層で七七・三%、公明党の支持層で六八・三%、法案に賛成だと答えた人でも六九・四%が慎重審議を求めていると、こういう数字が今出ております。
 そこで、谷垣大臣に一般的にお聞きをしたいんですけれども、今から二十六年前に、もうこれも御本人御存じのとおり、中央公論、一九八七年四月号に、我ら自民党議員スパイ防止法案に反対するという記事を、論文をお出しになられました。このときはたしかまだ四十三歳のころだと思いますけれども、このスパイ防止法案に反対だという論文の中で一番の肝になるところは、大臣御自身が書かれておりますけれども、刑罰で秘密を守ろうという場合は、よくよく縛りを掛けておかないと人の活動をいたずらに萎縮させることになりかねないと、煎じ詰めればこれだけの単純なことなんであると。
 私は、今の特定秘密保護法案についても同じだというふうに思います。恐らく、大臣が、いや、まだ若かったからとか、その後の認識が変わったというお考えがあるかも分かりませんけれども、しかし、今私たちが審議をし、どう判断をするかというこの特定秘密保護法案については、一番のやはり問題のところは萎縮効果だというふうに思います。ついでに述べておけば、当時の谷垣大臣の表現だと、現行法制から出発するんだっていいじゃないかと、その二点が主な内容になっております。
 そういうかつてのお考えからして、今世論からすればもっともっと慎重に審議すべきだという声も含めて、どのように認識されていらっしゃいますか。
#60
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、これ内閣、閣法、提出の法案でございますから、当然閣議の一員として私も責任を負わなければならないことは事実だと思います、今度の法案につきまして。ただ、私は、自分の直接所管でないことを国務大臣として国会で答弁するということはできる限り控えるべきものだと思っております。ですから、これは森まさこ大臣もこの委員会のメンバーでいらっしゃるようですが、是非、森まさこ大臣との間で議論していただきたいと思っております。
 ただ、かつて私の書いたものとの関係だけは申し上げておきますと、もうこれ古いことでございますので私も細部までは実は記憶しておりません。当時はそれなりに一生懸命書いたつもりでございますが、一つは、委員の御指摘のように、萎縮効果というものをよく考えろということを言って、現在も私は刑事法はそういうもの、そうでなければならないと思っております。
 しかし、もう一つ、多分私そこに書いてあると思いますが、まず情報公開制度、当時の日本には情報公開制度というのはございませんでした。やはりこういう秘密保護ということを考える場合に、情報保護とセットで考えるべきではないかというのがそこで述べたことの背景にある考え方でございます。その点は、今日、日本の情報公開制度は一応存在しております。これに対してもいろんな御意見があると思いますが、それが存在しているということは当時との大きな事情の違いだなと私は現在考えております。
#61
○有田芳生君 大臣のこの間の所信の御挨拶の中で、三項目めにテロ対策等の推進と。それで、北朝鮮あるいはその他のテロ事件、その最後のところにオウム真理教についても引き続き団体規制法に基づいて云々とあり、公共の安全の確保に努めてまいりますと。だから、大臣にとってもやっぱりテロ問題というのは当然担当をされているわけですけれども、そういう立場から、一般論として、これ、つまりテロ計画などがあった場合には、それを特定秘密と指定されるわけですよね。
#62
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、今の法案の、森さんがお答えになるべきことでございますが、まだそれはどういう情報かも分からないのに、あらかじめこれはこうでございますと言うのはちょっと差し控えたいと思います。
#63
○有田芳生君 それでは、具体的に、今特定秘密法案が成立をしていない段階で、過去に遡ってお聞きをしたいんですが、皆さん御承知のように、一九九五年の三月二十日に地下鉄サリン事件が起こりました。その前年の一九九四年の六月二十七日、松本サリン事件が起こりました。その後、山梨県警、そして長野県警が協力をし合って、一体どこがこんな犯罪を犯したんだろうかと、当然警視庁あるいは神奈川県警も含めて必死の捜査を行いました。そして、その一九九四年の秋に、長野県警と山梨県警の合同捜査によってサリンの残留物が山梨県の上九一色村から発見されたということをつかみます。これはテロ計画に続くのではないかと。松本サリン事件があった、だけれども、その後にも七月に入ってサリンの残留物が発見された。そうすると、これはテロ計画だという認定は当然しますよね。いかがですか。
#64
○国務大臣(谷垣禎一君) それは、その当時の状況でどうか、私、今は全部お答えする自信はありません。
 また、こういう当てはめは具体的なことですから、直ちにテロ計画に当たるかどうかというのも私も答えにくいですが、そうなる可能性も大きいですね。そのようには思います。
#65
○有田芳生君 そういう、なる可能性は高いと思うんですよね。そうした場合、特定秘密として指定された場合、それをジャーナリストが、新聞記者が察知をして報道したら、それはどうなるんでしょうか。つまり、察知をして例えば記事にした場合、その情報を持っていた、それはもう当時の山梨県警か長野県警か、あるいは分析を警察庁に頼んでいますから警察庁か、そこら辺から漏れるしかないというような、特定秘密と、もし今法律があった場合には認定したものを、それが外に漏れた場合、その人たちはどうなるんでしょうか。
#66
○政府参考人(桝田好一君) 現在、国会に提出しております特定秘密保護法案におきましては、まず報道機関の通常の取材行為につきましては、これを処罰しない旨の規定を二十一条の二項に設けているところでございます。
 ただ、今先生からお尋ねがございました、それではその報道機関に対して漏らした公務員はどうなるのかというお尋ねだと思いますけれども、その公務員につきましては、特定秘密、この法律案に基づきまして特定秘密を取り扱うことを業務とする公務員あるいはこの法律案の規定に基づきまして特定秘密の提供を受けた公務員がその特定秘密を漏らしたという場合であれば、それはこの法律案に基づいてそれぞれ処罰を受けるということがあります。
 ただ、そういうお立場にない公務員がたまたま何らかの事情で特定秘密に該当するような事情を知りまして、それをまたほかの人に話したというような場合につきましては、この法律案との関係で申し上げれば、それは特定秘密を漏えいしたということで処罰の対象になるものではございません。
#67
○有田芳生君 秘密法案の第七章二十二条、漏らしたとき十年以下の懲役、それでよろしいんですね。
#68
○政府参考人(桝田好一君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘ございましたように、漏らした場合の罰則は法案の二十二条に書いてございますが、二十二条一項、まずこれ漏らす主体が限定されてございます。二十二条の一項に書いてございますように、特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときはという限定付きでありますけれども、そういう状況の下で漏らした場合は十年以下の懲役という形になってございます。
#69
○有田芳生君 二十三条、取得した者、やはり十年以下の懲役ですね。
#70
○政府参考人(桝田好一君) お答えいたします。
 二十三条は取得した場合についての罰則を書いてございますが、単純に取得した場合ではございませんで、これもかなり条件が厳しく書いてございます。すなわち、人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により取得した場合、あるいは、財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為、その他特定秘密を保有する者の管理を害する行為により特定秘密を取得した者、これらの者に対しましては今先生御指摘のとおり十年以下の懲役に処すということになってございます。
#71
○有田芳生君 取得する者が暴力を振るっているかあるいはだましたのか、いろんな条件が書かれているんですけれども、それは本人の身柄を拘束しなければ分からないことじゃないんですか。いかがですか。
#72
○政府参考人(桝田好一君) お答えいたします。
 お尋ねの点は、恐らく捜査の実務に関係することだと思いますけれども、何というんですか、そういう、ここの二十三条の条文に定める要件を満たすことがある程度疎明できるような状況にあって、恐らく捜査機関としては捜査に入っていくものと思います。
 また、もう一点付け加えますと、当然この二十三条は故意犯でございますので、この取得する者の側におきまして、その取得しようとする者が特定秘密であるということの認識を持っているということがまず前提になることも申し添えさせていただきたいと思います。
#73
○有田芳生君 先ほどもお話をしましたけれども、一九九四年の六月の末に松本サリン事件があり、さらに七月の上旬にオウム真理教の施設があった山梨県の上九一色村でサリンを作った形跡が山梨県警そして長野県警の合同捜査によって明らかになった。これはオウムが何かやるに違いないと、危ないというふうに当時捜査幹部たちは思っていたんですよ。恐らく、特定秘密保護法案ができていたならば、これは秘密になっているというふうに思うんですよ。
 ところが、九五年一月一日、これも皆さん思い出していただけるでしょうけれども、読売新聞が一面トップで、サリン残留物を検出、山梨の山麓、松本事件直後、関連解明急ぐ、長野、山梨県警合同でというような大きな記事が出ております。
 これが、もし先ほど言ったテロ計画があるというようなことが特定秘密として指定されているならば、この記事というものはとんでもないことに関係者にとってはなるんじゃないでしょうか。いかがですか。
#74
○政府参考人(桝田好一君) お答えいたします。
 当時、この特定秘密保護法案がございましたわけではございませんので、確たることを申し上げるのは難しいんでございますけれども、先ほど罰則のところの条文につきまして御説明申し上げましたとおり、これは漏らした場合の話でございますので、この漏らした者が、先ほど申し上げましたこの二十二条に掲げる特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により取得した特定秘密を漏らしたというこの類型に該当するのであれば、十年以下の懲役に処せられるような罪を犯したことになるということでございます。
#75
○有田芳生君 そういう例を挙げればいろいろありまして、例えばオウム関連でいっても、麻原彰晃が一九九五年の五月十六日に逮捕されますけれども、この麻原の奪還計画というのがロシア信者によって計画されまして、二〇〇〇年の六月二十二日に、これ事前に警視庁などは通報があったにもかかわらず、六月二十二日に新潟から日本に来日しているんですよね。結果的に、警視庁などの努力によって追い返して、ロシアに戻って二〇〇〇年の七月四日にグループが逮捕されました。自動小銃それから遠隔式の発火装置なども押収されて、麻原奪還計画というのは実現をしなかった。シガチョフという首謀者は懲役八年の実刑判決を受けましたけれども、そういうテロ計画が当時あったんですよ。
 これはもう、特定秘密保護法案がもしあったとすれば当然テロ計画ですから、秘密だという指定がされなければいけないじゃないですか。ところが、この件も当時の週刊誌、テレビなんというのは報道しているんですよね。だから、そういったケースがいっぱいあるんですよ。
 つまり、この問題というのは、党派の問題じゃなくて、イデオロギーの問題ではなくて、取材者にとっても本当に深刻な問題を抱えております。だから、今までだったら通常に取材をして、そして報道したことが、これからは大変なことになるんじゃないかというような危惧があるんですよね。だから、その危惧を払拭できているかどうかという疑問があるからこそ、先ほどお伝えしたような世論調査などの結果も出ているんだと私は思っているんですが、谷垣大臣、そういうことについてはどのように今思っていらっしゃいますでしょうか。
#76
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申し上げたように、例えばこの委員会で、今の討論もそうでございますが、もし法案が成立したときに、国会でこういう議論をしているといって公定的な解釈の参考になるような議論だと思うんですね。
 ですから、私は、もちろん閣内の一員として連帯して責任を持ちますが、この法案の成立等々、様々な議論に全て関与してきたわけではございません。したがいまして、委員のと言うと失礼ですが、誘導尋問でだんだん引きずり込まれそうな気がするものですから、私はそういう、直接担当の閣僚ではないという立場から、これ以上の御答弁は差し控えたいと思います。
#77
○有田芳生君 谷垣さんがかつてお若いころこういう論文を書いていらっしゃるので、非常にこの問題についても御関心が深いだろうという判断をして、こういう法務委員会という場であえて質問させていただいたわけで、やはりいろんな疑問があるのを本当に払拭できるような慎重審議を望みたいということを最後に述べて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#78
○小川敏夫君 民主党の小川敏夫でございます。
 まず、文科省から政務官がお越しいただいているので、先に質問をして、終わったら退席していただいても結構だと思いますが。
 本年三月に、義家政務官に対してこの法務委員会で質問しました。ロースクールの教員の人数の配置に関しまして、大規模校になればなるほど配置人数が少なくて済むということが実質的にロースクールのこの教育の充実を妨げるのではないかという視点から質問しましたところ、検討しますという答弁をいただきました。
 それから八か月近くたっておりますが、その点につきまして、文科省、どのような検討をされたでしょうか。
#79
○大臣政務官(上野通子君) 小川委員御指摘のように、三月の二十一日に前義家文科大臣政務官の方に御質問いただきまして、そのときに、もうちょっと大規模校に対して支援をしたらどうだというお話がございましたが、そのときにも政務官の方から話があったと思うんですが、ほかの通常の修士課程で必要とされる研究指導教員の、教員ですね、教育者の一・五倍の教員の配置が義務付けられております。
 また、専任教員一人当たりの学生の収容定員の算出において、通常の修士課程は二十人までとされているのに対し、十五人までとされているのは御存じと思います。さらには、百八十人までの専任の値が決まっていますが、最低限必要な専任教員を十二名と、百八十人で数えたときの十二名としているところでございます。
 また、その後の動きですが、義家政務官の方から、先生の御指摘を踏まえて検討していくという答弁がございましたが、その後、国の方では、法曹養成制度改革推進会議等を設置しまして、そちらの方で二十五年九月にこの会議をこれから開くということを閣議決定しました。その前に、同じものですが、名前としては法曹養成制度関係閣僚会議といたしまして、そちらの方で先生の御指摘のものを検討いたしました。
 検討課題としましては、先生の御指摘も含めて、例えば、公的支援の見直し強化策、入学定員の削減方策を検討、結論、あるいは法曹養成のための充実した教育ができる法科大学院について行う必要な支援や検討、結論、また、共通到達度テスト、確認試験等の、これ仮称ですが、の導入についての基本設計及び実施を検討などのことがこれからの検討課題として載っておりますが、今後、これらの検討については深く検討していくことになっております。
 また、有識者を入れましての検討会もこれから催していく予定でございます。
 以上でございます。
#80
○小川敏夫君 どうも、聞いても、新しく文科省が検討したという内容の答弁、中身がなかったように思うんですけれども、余りこのことで時間を取りたくないので、今日は今の点に関しましてはその点で結構でございます。
 副大臣にお尋ねしますが、民法で、非嫡出子の相続分が嫡出子の半分であるという規定が憲法違反であるという判決が出ました。非嫡出子の相続分が嫡出子の半分であるというこの規定について、副大臣はどのようにお考えですか。
#81
○委員長(荒木清寛君) 文科大臣政務官はもういいんですか。
#82
○小川敏夫君 はい、結構です。
#83
○委員長(荒木清寛君) では、上野文科大臣政務官は退席してください。
#84
○副大臣(奥野信亮君) 今委員が申された判決、最高裁判所の各判事の評決は、判決は、判断は十四対ゼロということで、それなりに私はびっくりした、当時ですね、びっくりした気持ちを持っておりました。しかし、日本の国は三権分立の制度の下に運営されているわけであります、司法、立法、行政。そういう意味合いから考えますと、その最高裁判所の判断というものをしっかり受け止めて、国民生活が混乱に陥らないようにしっかりと法律を改正していくというのがこれから臨む姿勢、あるいは我々が求める将来の方向だろうと考えております。
 そういうことから、私自身は、基本的には多くの人たちの意見を聞きながら、どういうふうに法律を、関連する法律も含めてしっかりと書き直せば国民全体が納得していただけるかということをよく見極めながら、できるだけ早くスピーディーに今の非嫡出子の相続分が嫡出子とイコールになるように法律改正をして、その法律が定着していくように進める、そういう方向を私は考えさせていただきたいと思っております。
#85
○小川敏夫君 私は、副大臣の考えとしてどのようなお考えですかと聞いたんですが。副大臣は、御自身の政治家としての信条として、非嫡出子の相続分が嫡出子と同じであるということは正当だと思いますか、不当だと思いますか。
#86
○副大臣(奥野信亮君) この場で私の意見を述べることが本当に妥当かどうかは私自身悩んでおりますけれども、基本的には最高裁判所の判断に従うのが国民の責務だと思っております。
#87
○小川敏夫君 最高裁に従うのは、国民でということよりも、副大臣は国会議員であるし、また副大臣ですから、公務員は当然憲法に従うわけですから、当然のことだと思いますがね。
 何か、私直接その場にいたわけではないんですけれども、自民党の法務部門会議では、非嫡出子の相続分が嫡出子と同じであるということについてけしからぬと、私はその生の言葉を聞いたわけではありませんが、妻とめかけを一緒にするとはけしからぬと、最高裁判決が間違っているんだと、このような発言があったように報道等あるいはその他で仄聞しておりますが、そのような趣旨の発言を何か副大臣もされておったというお話もあるんですが、副大臣はそのようなお考えを持ってそのような発言をされたんじゃないですか。
#88
○副大臣(奥野信亮君) 法務副大臣に就任して以来、これまで法務部会には一回も参加した実績はございません。したがって、その場でそういうことを発言したということはあり得ないと思います。
#89
○小川敏夫君 では、私が自民党の法務部会でというふうに場を限定しましたが、それ以外の場で副大臣は、私が指摘したような趣旨の発言をされたことはありませんか。
#90
○副大臣(奥野信亮君) 公式の場ではそういうような発言を一切したことはございません。
 それよりも、そういうことを言っておられる方を満足させるためにどういうふうなことを考えるのが妥当なのかということを私は今いろいろと考えて、役所の人たちとも議論をしているところであります。
#91
○小川敏夫君 公式の場では発言していないと言っておられましたが、公式というのは何をもって公式と言うんでしょうかね。副大臣としての国会の場の発言が公式であるとするならば、それ以外の発言の場は公式ではない、例えば大臣の私的な集会だとか、こういうのは公式じゃないということになると思うんですがね。
 じゃ、公式ということでまた限定されましたが、じゃ、公式ではない、非公式の場合も含めて、そのような趣旨の、私が先ほどから聞いている趣旨の発言をされたことはないですか。
#92
○副大臣(奥野信亮君) 先ほど私も最初の答弁の中で、びっくりしましたということを申し上げたわけであります。それが最大の言葉であります。
#93
○小川敏夫君 私は、あの最高裁判決を聞いて、大変納得ができる、当然のことだと思いまして余りびっくりしなかったんですが、なぜ副大臣はびっくりしたんですか。
#94
○副大臣(奥野信亮君) 今までの法律と変えろということが、十四対ゼロという判事の判断というのをびっくりしたと、こういうふうに申し上げたわけであります。
#95
○小川敏夫君 もっと核心的なことを聞きますが、副大臣は、この憲法違反の判決を受けて、何かほかの家族制度のことか何か、ほかのことの議論も含めて何か変えていこうというような趣旨の先ほど答弁されたように思うんですが、ほかの議論と一緒に、あるいは家族制度をどうするかというようなほかの議論も含めなければ、この非嫡出子の相続分を嫡出子と同じにするということにはできないんですか。
#96
○副大臣(奥野信亮君) 要するに、法律、最高裁判所の判断に従って法律を改正するということについては、それをスピーディーにやらなくてはいけないというのが私の認識です。
 だけれども、先ほど委員がおっしゃっているように、自民党の中にはいろんな意見を言う人がいるわけですから、そういう人たちも含めて皆さん方に納得していただくには、ほかにどこか触らなくてはいけないものがあるのかどうか、そういったことも含めて議論をちゃんと尽くせよということを役所の人たちと話しているということであります。
#97
○小川敏夫君 自民党の中にはいろんなことを言う人がいるという副大臣の御答弁でしたが、いろんなことを言う人の中に副大臣も入っているんじゃないですか。
#98
○副大臣(奥野信亮君) 私は自分の今の立場をわきまえて物を言っているつもりでありますから、私は今の段階ではその中には入っているとは思いません。
#99
○小川敏夫君 自分の立場というのは、法務副大臣の立場を踏まえて言っておられるわけですね。では、法務副大臣の立場を離れれば、いろんなことを言っている自民党の一部の人たちと同じ考えになってしまうわけですか。
#100
○副大臣(奥野信亮君) 今現在は法務副大臣でありますから、それを超えて物をしゃべることは今の段階ではないと思います。
#101
○小川敏夫君 それで、大事な点は、先ほどの答弁の後半部分ですけれども、自民党の中にいろんな意見を言う人がいると。ですから、何か議論をして、それでその十分な意見を聞いてから法案の改正のことを考えたいというような趣旨の答弁に理解したんですが、これはあれですか、つまり、非嫡出子の相続分だけに限定しないで、家族制度とかそういったものと抱き合わせにすると、そうした議論と一緒に議論する中でということではなくて、そういういろんな議論も十分聞いた上で、しかし、この非嫡出子の相続分に関しては、十分議論を聞いた上だけれども、しかし、この非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分と一緒にすることについては、これを抜き出して、これ単独でもきちんと最高裁の判決に従うように対応したいと、こういうことですか。
#102
○副大臣(奥野信亮君) 基本的には今委員のおっしゃっている方向で間違いないと思います。私も法務部会長というのを経験しておりますから、法務部会が大きく乱れるということは私自身としては大変心配な面があるわけでありますから、後任の法務部会長たちにも、なるべくスピーディーにまとめる方法を考えなさいと、こんなようなことは発言をさせていただいております。
#103
○小川敏夫君 そのスピーディーということですが、大臣、法務省はこの民法改正法案を提出するということで、提出するという作業をしておるんですが、先般、参議院の本会議で代表質問がありましたときに安倍総理大臣は、この民法改正案につきまして提出するとは言わなかった、検討するとしか言わなかった。
 それで、私はこれは、最高裁の違憲判決を受けた事項については国会の責任として速やかにこの改正をすべきだと思うんですが、どうでしょう、大臣、この国会中に法案が、民法改正が成立すると、法案が成立するということを見込んだ法案の提出ということはできるんでしょうか。
#104
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど来副大臣とも御議論をされておりますが、私は、最高裁判所があのような決定をお出しになった、相続というのは私人間で起こるものですから、法文の条文と最高裁の判断が違うというようなことは私人間の法律関係に混乱を来すものであると、このように感じておりまして、このどっちが、判例が、決定がいいのか条文がいいのか、これはいろいろ議論があり得るだろうと思うんです。でも、私は法務大臣として、あるいは政府としては、そのような混乱を避けると、可及的速やかに避けるように立法に向かっていくというのが正しいやり方だと、このように思っております。
 それで、現在準備いたしまして与党の中で審査をしていただいているわけでございますが、これはもう非常に多くの意見がございます。ですから、速やかに党の方でも、これは私がこの国会の場で申し上げることではないかもしれませんが、党の方でも速やかに御理解をいただきたいと、今その努力を続けているところでございます。
 なお、総理が検討するとだけおっしゃったと、こういうふうに今、小川委員がおっしゃいました。私はこの法律所管の大臣として責任を持って申し上げますが、総理の考え方と私の考え方に違いがある、そごがあるとは考えておりません。
#105
○小川敏夫君 私はもっと具体的に、この国会中に法案が成立するように十分な審議時間を取った時期に、取れる時期に法案を提出するかどうかということをかなり具体的に聞いたつもりなんですが、大臣の答弁はその点については具体的にはお答えいただけなくて、大変残念に思っているんですが。
 やはりこれは国会の責任として、もう何を差しおいても最優先課題として私はこの法案、民法改正をするべきだというふうに思っておりますので、また改めて聞きますが、この国会中に大臣、法務省としては、あるいは政府としては、この国会中に法案成立するということをしっかりと目標として、あるいは十分な、この国会で法案が成立できるだけの十分な審議時間がある段階で法案を提出するということを具体的に約束なり説明していただきたいんですが、いかがでしょうか。
#106
○国務大臣(谷垣禎一君) 法務大臣としては、今、小川委員がおっしゃったようなことを強く望んでおります。
 ただ、我が政権は、政権の意思決定としても与党審査として並行して行うということにいたしております。ですから、今私が申し上げられるのは、与党の中でその御努力をいただいているというところまで、現状ではそこまでしかお答えできないということでございます。
#107
○小川敏夫君 終わります。
#108
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかでございます。
 私は七月の参議院選挙で初当選をさせていただきました。法務委員会でも初めての質問となりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 先ほど議論に取り上げられました婚外子の民法の相続分規定につきましては、最高裁から違憲判決が出ている状況でございますので、国会としては速やかに対応をすべきであると思います。相続は日々発生をしておりますので、現場で混乱を来さぬように議論を進めるべきであることを冒頭申し上げておきます。
 私の方からは、まず成年後見制度の利用の促進についてお尋ねをいたします。
 公明党は成年後見制度の利用促進、これまでも取り組んでまいりました。昨年の七月には成年後見制度の利用促進法案の要綱の骨子案も作成をいたしております。現在、認知高齢者の方々が推計で約四百六十二万人、そのほかにも知的、また精神的障害をお持ちの方など、成年後見制度の利用対象となられる方々が多くいらっしゃると考えられます。それに対して、現状、この制度の利用者数は十六万六千二百八十九人にとどまっております。日本より人口の少ないドイツでは約百五十万人がこの後見制度を利用していると聞いておりますけれども、高齢化社会のますますの加速を考えましても、成年後見制度、その利用促進が大きな課題であると思います。
 ここで私が注目をしたいのが、司法ソーシャルワークでございます。大臣の挨拶の中でも言及がございました。弁護士などの法律家が自治体、また福祉関係機関と連携をいたしまして、高齢者の方、また障害者の方の法的ニーズを現場に積極的に入ってくみ上げると。そして、福祉と法的な面と総合的に御支援をすると。
 こうした司法ソーシャルワークでございますけれども、成年後見制度を利用される方々は判断能力も低下をしておりますし、またその周囲の家族の方々も御高齢であったりとか、また障害をお持ちであったりとか、いわゆる司法へのアクセスが困難な状態にあるという場合が多くございます。こうした方々というのは何らかの福祉サービスを受けていらっしゃる場合が通常でございますので、そうした方々と弁護士、また司法書士の先生方が連携を取ると、こうしたことは非常に意味があると思います。その中で成年後見の申立てがされることもあるでしょうし、また制度への理解、認識を広めていくことにもなるかと思います。法テラスの佐渡事務所では実際に成年後見制度の拡充に成功した、そういうケースもあるというふうに伺っております。
 この法テラスの司法ソーシャルワーク、これを是非成年後見の利用促進という観点からも進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
#109
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、佐々木委員が、法テラスが取り組んでおられる司法ソーシャルワーク、お触れになりました。
 これはやっぱり、お年を召していたり、あるいは障害を持っていたりされて、自分が法的な問題を抱えているということもなかなか理解できない方がやはり世の中にはいらっしゃる、意思疎通自体も困難であるということもあるだろうと思います。そういう方々に法的な救助手段、救いの手を伸ばしていこうと、福祉機関等とも連携してやっていこうということで今法テラスが非常に力を入れて取り組んでおられるというふうに私認識しております。
 それで、その一環として法テラスが力を入れておられるのは、特に高齢化が進んでいる地域で法テラスの常勤弁護士の方々が中心となって、しかも自治体や福祉施設とも連携しながら、成年後見の申立て等、関係する事項に関して高齢者あるいは障害者の方々に必要な手段を提供していこうということに取り組んでおられます。お触れになりました佐渡なんかはその一番嚆矢といいますか典型的な例でございますが、高齢化社会を、超高齢化社会を迎えてこのような活動は極めて重要になってくると思っております。私どももそれをバックアップすべく関心を持って見ていきたいと、このように思っております。
#110
○佐々木さやか君 是非お願いしたいと思います。
 成年後見制度についてはパンフレットなどを使いました広報活動というのももちろん重要でございますけれども、もう一歩促進をしていくために私は司法ソーシャルワークに期待をしたいと思っております。
 この法テラスの司法ソーシャルワーク、幾つか成功している事例があると聞いておりますけれども、この取組が成功している理由の一つとしては、法テラスが公的な機関であるために自治体ですとかそれから福祉関係者の皆さんと連携を取りやすいという面があるかと思います。もちろん、従前から司法ソーシャルワークに取り組んでこられた弁護士、また司法書士の先生方もいらっしゃいますけれども、この点について法テラスが果たすべき役割は大きいと思います。司法ソーシャルワークの促進のために法テラスとしても今後より体制を充実をしていただきたいと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。じゃ、大臣に伺います。
#111
○国務大臣(谷垣禎一君) やはりこの司法ソーシャルワークを進めていく上では担い手がちゃんと確保できていなきゃできません。
 そこで、日弁連や、あるいは日本書士会連合会等々と提携させていただくのはもちろんですが、やはり法テラスの常勤弁護士の存在というのが極めて重要だろうと思います。これが十全に展開できるよう、体制整備あるいは適正配置に努める必要があるというふうに私は思っております。
 ただ他方、同時に、法テラスの認知度というのはまだ十分じゃないんですね。私自身も選挙区の、私のホームタウンの事務所の同じフロアに法テラスが入りまして、法テラスって何だっけと言って、事務所の隣でございますからいろいろお付き合いして、ああなるほど、こういうことをやっているのかと、いささか、今ではないですよ、もっと前、前でございますが、法務大臣になったときにはそういうことで存じておりましたが、そういうことがないとなかなか分からなかったということがありますので、法テラスの認知度も更に上げていくように努力をしなければいけないと思っております。
#112
○佐々木さやか君 法テラスの特徴も生かしながら、また福祉関係者との連携、また弁護士会との連携もより深めて充実した体制づくりに取り組んでいただきたいと思います。
 成年後見制度のその制度自体の課題もまだまだあるかと思います。選挙権の制限につきましては公選法が改正をされましたけれども、ほかの資格制限ですとか能力の制限についても場合によっては権利侵害になりかねないものでありますので、今後も精査が必要かと私は思います。
 関係者の皆さんが現場で一番困っておられることの一つが医療行為の同意の問題でございます。後見人は御本人に代わって病院と診療契約を結ぶわけでございますけれども、身体への侵襲を伴う医療行為については、それとは別に御本人の同意が必要となります。ただ、この点については成年後見人には同意権はないと解釈をされておりますけれども、実際には自ら意思表示が難しい御本人に代わって成年後見人が同意を求められると、そうしたことが多いのが現状でございます。
 韓国では今年施行の民法改正で成年後見制度が導入をされて、その中で医療同意権も後見人に付与をされたというふうに聞いておりますけれども、この問題については様々な議論がこれまでもありましたが、利用しやすい制度にしていくという観点からは、この医療同意の問題についても法改正を含めた検討を進めていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
 この点については、じゃ、法務省の民事局長の方にお伺いいたします。
#113
○政府参考人(深山卓也君) 成年後見制度は、もう委員御案内のとおりですけれども、自らは有効な法律行為をする能力に欠ける者について後見的な立場からこれを補完すると。本人の財産を保護することを主たる目的とする制度でございますので、成年後見人は成年被後見人に代わって財産に関する契約等の法律行為を行う権限を有するものとされております。
 ところで、医療同意権限の問題ですが、現行法上、成年後見人が成年被後見人の医療行為について同意をすることができるか否かについて明文の規定はございませんけれども、一般的には、医療行為の同意というのは法律行為ではないということで代理に親しまないものであると理解されております。また、そもそもこの問題は、成年被後見人に限らず、救急患者とか乳幼児など、医療行為の内容を自ら理解して意思決定を表明することができない者に対する医療行為全般の問題としてどうすべきかを考えなくちゃいけない問題だと思っております。
 ということになりますと、医療を所管している厚生労働省において医療行為同意の在り方全般について検討していただく、その際に法務省も十分な協力をしていくと、こうやって解決するしかない問題ではないかというふうに考えております。
#114
○佐々木さやか君 成年後見制度の利用促進のためには、やはり現場でどういうことが問題になっているかと、そうした現場の声に耳を傾けていくことが重要であると思いますので、是非法務省としても積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、法テラスの震災特例法について御質問をいたします。
 この法律は、東日本大震災の被災者の方々を対象に法テラスが行っている民事法律扶助、弁護士費用の立替えなどの事業でございますけれども、この利用の要件を緩和をしたりとか、それから対象となる手続を拡大したりしている法律でございます。原発事故の損害賠償を始めとしまして、いまだ様々な法的な課題を抱えていらっしゃる被災者の方々が多くいることからも、こうした法的支援も引き続き重要ではないかと思います。
 この特例法は平成二十四年の四月一日から起算して三年の時限立法とされておりますけれども、ですので、失効まであと一年半を切ったという状況でございます。状況によっては期限の延長についても検討をされるべきではないかと思います。
 また、この震災特例法は、東日本大震災が発生してから約一年を経過をしてようやくできたという法律でございました。今後起き得る災害についてもこうした同様の、法テラスの被災者支援、行えるようにすべきだと思っております。東日本大震災だけでなくて、今後起き得るほかの災害についても適用ができるように恒久法にするということも考えるべきだと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。これは法務省の方に。
#115
○政府参考人(小川秀樹君) ただいまお話ございました東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務に関する法律、いわゆる震災特例法でございます。
 この法律に基づく震災法律援助につきましては、震災特例法が施行された平成二十四年四月から二十五年九月までの間に、震災法律相談援助は約六万七千五百件、震災代理援助は約三千九百件利用されております。特に被災三県では、平成二十四年度には平成二十三年度と比べて法律相談の件数が倍増しておりまして、全体として法律相談援助が積極的に利用されているものと認識しております。
 この震災特例法、御案内のとおり議員立法によるものでございまして、法務省といたしましては、震災からの復旧復興を進めるため震災特例法の積極的な活用を図り、その利用、実施条件については年度ごとに国会に報告をさせていただいているところでございます。
 震災特例法の時限の時期まで一年半を残す現在におきまして、来年度以降の利用状況を推測することは困難ではございますが、法務省といたしましては、今後の法テラスの活動に対する被災者の方々のニーズの動向を敏感に、そして的確に把握、分析するなどいたしまして、御指摘いただいた点も含めて必要な対応に努力してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#116
○佐々木さやか君 法的支援という面からも、今後起こり得る災害に備えていくということは重要であると思いますので、是非今後とも対応をよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、ストーカー被害、また性犯罪の被害者の保護について御質問いたします。
 こうした事件の場合、再被害を防止をするという観点からも、被害者の方々の個人情報が犯人に伝わるようなことのないように配慮が必要な場合が多くございます。昨年の十一月に起こりました逗子市のストーカー殺人事件では、逮捕状に記載をされていた被害者の方の氏名が犯人に伝わったことがきっかけでまた更なる大きな被害につながってしまったということがございました。こうしたことが二度と起こらないように十分に注意を払っていただきたいと思います。
 最近では、被害者の方の氏名を秘匿をして公訴を提起するというケースも出てきております。こうした場合には、被告人の防御権、また審判対象の特定といった問題も生じますけれども、被害者の保護という観点からは必要な場合もあるかと思います。
 ところで、先月の十月の十七日でございましたけれども、東京地裁で、児童が強制わいせつの被害に遭ったという事件におきまして匿名で公訴が提起をされた。しかしながら、被害者側が個人情報が被告人に伝わるということを恐れたために公訴が取り消されたという報道がございました。この公訴の取消しに至った事情につきましては、私は報道以上のことは分かりませんけれども、仮に、処罰を望んでいるにもかかわらず、再被害、また個人情報が伝わるということを恐れてそれを理由に断念をしたということがもしあったならば、そうしたことは起こってはならないと思います。
 こうした被害者の個人情報の秘匿が必要性が高いという場合に、起訴後の手続について十分な被害者保護の対策が取られているのか。捜査から起訴、公判に至る一連の手続の中で、被告人の防御権などとのバランスも取った上ででございますけれども、被害者の保護に一層取り組んでいただきたいと思いますけれども、この点について、現状の取組、また今後の方針などについてお聞きをしたいと思います。
#117
○政府参考人(稲田伸夫君) お尋ねがございましたように、起訴状に被害者の氏名を秘匿することによりまして、被害者の方に再被害のおそれがある場合、あるいはその名誉等に著しい危害が加えられるようなおそれがある場合には、検察当局におきまして、起訴状にその訴因の特定として被害者の氏名を記載せず、別の方法によってこれを特定するというような運用を行っている場合がございます。
 このようなことを行いました場合には、公判手続におきましては、検察におきまして、刑事訴訟法二百九十九条の三に基づきまして、被害者特定事項の秘匿を弁護人に要請するというようなことをいたし、弁護人に証拠書類の開示の際に被害者の氏名などを被告人に知られないようにすることを求めることをしておりますし、また、刑事訴訟法二百九十条の二に基づきまして、被害者の氏名などを公開の法廷で明らかにしないように裁判所の決定を求めるなどいたしまして、いずれにいたしましても、この被害者の特定する事項が被告人に明らかにならないように努力してきているところでございます。
 今も御指摘ございましたように、一方で、審判の対象であります訴因の特定という機能、あるいは被告人に対しまして防御の範囲を示すという訴因特定の趣旨というのがございます。その一方で、今までもお話がありましたように、被害者保護の要請というものがございます。そのそれぞれのバランスの中で、また、それぞれの事件がそれぞれの特徴を持っているということから、検察におきましては、裁判所や弁護人とも協調しながら、個別事案に応じて最も適切と考えられる運用に努めていっているものというふうに考えられていると承知しているところでございまして、このような柔軟な運用の積み重ねが重要な取組であるというふうに考えております。
#118
○佐々木さやか君 被害者の方、現に心配をされていらっしゃる方もおりますので、再被害を恐れることなく被害の申告ができるように、より保護、またその体制を充実をしていっていただきたいというふうに思います。
 このストーカーの被害というのは残念ながら後を絶たないわけでございます。警察庁によるストーカー事案の認知状況、昨年、平成二十四年で一万九千九百二十件、前年に比べまして三六・三%の増加で、ストーカー規制法の施行後最多となっております。ただ、認知に至っていないというような事件も多くあるかと思います。
 先日、改正されましたストーカー規制法が全面施行されました。その直後に三鷹市では事件が起こったわけでございます。この事件では、報道もされましたけれども、被害者である女子生徒の方が殺害をされる四日ほど前に担任の先生が警察署に相談をしておりました。結果的に、しかしそこでは有効な対策は取られずに、殺害という最悪の結果になってしまったわけでございます。どうして防ぐことができなかったのかなと、このように思わざるを得ません。
 警察庁では、ストーカー規制の在り方についての有識者会議を開くなどして対策を検討しているところだというふうに伺っておりますけれども、やはりその被害の重大化を防ぐためには、最初の相談、ここでの対応が重要であることを考えますと、警察はその相談窓口という観点からはまだまだ十分な体制ではないのかなと、このように思います。この点については警察庁の幹部も、被害者をかくまうシェルターとの連携、また加害者に対するカウンセリング、こうした点からも民間の力を活用していく必要があるとか、それから、いきなり警察に相談をするのはハードルが高いと、このように感じる被害者の方もいる、もっと気軽に相談ができる場所をつくるなど社会全体で防ぐ仕組みも必要であると、このように警察庁の幹部の方も指摘をしている報道を私は拝見をいたしました。
 ストーカー被害者の相談窓口の更なるやはり充実と、また警察との連携の強化というものを私はしていく必要があると思います。そういった点で、法務省の所管である法テラスもストーカー対策の面で更に体制を充実していただきたいと思いますし、特に警察との連携、必要な相談を速やかに受けることができるようにしていただきたいと思います。
 現在も法テラスは犯罪被害者の援助の事業を行っておりますけれども、保護シェルターとの連携も行えるという状況にあるとも聞いております。しかしながら、先ほど大臣からもありましたけれども、まだまだ認知の方は、市民の皆様、また国民の皆様への認知は不十分ではないかと思います。法テラスのストーカー被害対策についての機能の更なる充実とともに、この認知というところについてもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。この点について伺います、法務省の方に。
#119
○政府参考人(小川秀樹君) まず、現状の制度から御説明いたしますと、法テラスでは、犯罪被害者支援業務といたしまして、犯罪被害者支援ダイヤルを設けまして、犯罪被害者支援を行っている団体に関する情報を提供いたしますとともに、犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士さん、精通弁護士と呼んでございますが、精通弁護士の紹介を行っております。また、日本弁護士連合会からの委託援助業務として、警察署などへの被害届提出の同行、報道機関への対応、それからシェルターへの保護などといった犯罪被害者支援のための必要な活動についての弁護士費用の援助も行っているところでございます。これらの業務が十全に機能するよう、法テラスといたしましても、各都道府県警察や女性相談センターなど、関係機関、団体との間で協議会を開催するなどして情報共有を行い、各関係機関、団体が行っております犯罪被害者支援業務に関する相互の理解を深めているところでございます。
 法テラスにおきましては、関係機関、団体との間で緊密な連携をなお一層図ることによりまして更なる情報の共有を進め、御指摘ございましたストーカー被害を含む犯罪被害者に対する支援を適切に行っていくものと承知しております。
#120
○佐々木さやか君 是非、認知率の向上というところにも取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、離婚後の親と子の面会交流、これについてお伺いいたします。
 平成二十四年の離婚総数、これは二十三万五千四百六件、親が離婚をした未成年の子供の数、これは同年、平成二十四年ですけれども、二十三万五千二百三十二人と。現在の日本では、毎年二十四万人前後の子供たちが親の離婚という大きな困難に直面をする状況にあります。
 私は弁護士として離婚問題、面会交流の事件にも携わってまいりましたけれども、この面会交流について当事者間、また裁判所において合意がなされてもなかなか実際の履行がスムーズになされないと、こういったケースも実際のところ多くございます。しかし、この親子の面会交流というのは子の健全な発育のためには極めて重要であります。
 平成二十三年の調査でございますけれども、全国母子世帯等調査によりますと、離婚後に親子の面会交流、現在も行っているという回答は、母子世帯では二七・七%、そして父子世帯では三七・四%ということでございました。それ以外は面会交流がうまくいっていないという状況にあると考えられます。
 特に母親にとっては離婚をした相手方と会うというのは精神的に大きな負担を感じられる方も多くいらっしゃいますし、ましてや、例えばDV被害に遭っていた、そんな状況の場合には困難を極めます。ですから、こういう合意後の面会交流のサポートというものは、私は非常に重要であると思っております。そして、そうした面会交流は子供の心理にも精通をした専門家によってなされることが望ましいわけでございますけれども、実際にはそうした合意後のサポートを行っている機関、団体は全国的に見ても多くはないのが現状でございます。
 また、この点については費用の問題もございます。例えば面会交流のサポート事業を行っております家庭問題情報センターでございますけれども、相談料のほかに、付添い型のサポートの場合には一回当たり一万五千円から二万五千円という費用が掛かります。これを毎月支払う資力のない方は利用ができないわけでございますけれども、この点で私が注目をしたいのが、昨年から始まりました面会交流の支援事業を行う自治体への厚労省の補助事業でございます。現在、東京都、それから千葉県で行われていると聞いておりますけれども、一定の資力以下の方ですが、こうした面会交流の付添いを含めたサポートを無料で受けることができると聞いております。
 この面会交流支援事業の実施状況について厚労省の方に伺います。
#121
○政府参考人(石井淳子君) 厚生労働省では、まず平成十九年度から養育費相談支援センターを設置しまして、養育費のみならず面会交流の相談にも応じているところでございます。また、都道府県などを単位に設置されました母子家庭等就業・自立支援センターに専門の相談員を配置いたしまして、養育費相談支援センターのバックアップを受けながら、各地で養育費や面会交流の相談に応じております。
 そして、今、先ほど議員から御指摘いただきました事業でございます。平成二十四年度から、父母間に面会交流の取決めがあり、かつ支援を受けることに合意がある場合に、地方自治体が面会交流の相談、日程の調整、付添いなどの支援を行う補助事業を設けておりまして、現在、御指摘のとおり、東京都と千葉県で実施をいたしております。
 面会交流は子供の健やかな成長にとって好ましいものでございますし、また養育費を支払う意欲につながるという面もございますので、関係省庁と十分連携を図りながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#122
○佐々木さやか君 この自治体による面会交流支援事業、まだ東京と千葉ということで、二か所ということで、その援助に当たる専門職員の確保もなかなか難しいと、そのために実施が進んでいないという状況があるというふうに聞いております。こうした人的な支援というところについても是非十分に取り組んでいただきたいと思います。
 今、合意が前提であるというふうにございましたけれども、私が聞きました話によりますと、こうした面会交流支援事業の窓口には、合意に至っていない案件、子供に会いたいけれどもどうしたらいいかと、そういう相談も多く寄せられているというふうに聞いております。この前提として、そもそも離婚時に親子の面会交流について取決めがなされることが重要なわけでございますけれども、平成二十三年の民法改正でも、離婚の際には、その後の面会交流について子の利益を優先をして協議で定める旨条文上も明らかにされました。このときの改正の趣旨としては、当時の江田法務大臣でございますけれども、条文に明示をすることによって当事者間での取決めを促すというところに改正の趣旨があるというふうに答弁をされております。
 しかしながら、現状はどうかといいますと、法務省の調査では、昨年の四月からの一年間で、未成年のお子さんがいる夫婦の離婚届の提出というのは十三万千二百五十四件あったと。そのうち、面会交流の方法を決めたのが七万二千七百七十件、五五%ということでございます。
 この民法改正がなされたときには、その改正の趣旨について周知をすると、また、そのほかにも様々な面会交流の履行の確保のための必要な措置を講ずるという附帯決議もなされたわけでございますけれども、今申し上げました離婚届の提出状況に見ましても、まだまだ法の趣旨の周知、不十分でないかと思います。この点について法務省としての取組、また今後の方針についてお尋ねをいたします。
#123
○政府参考人(深山卓也君) ただいま御指摘ありましたとおり、平成二十三年に改正された民法七百六十六条は、離婚の際に父母が協議で定めるべき事項の具体例として、面会交流と養育費の分担を条文上明示することによって、当事者間での面会交流と養育費の分担の取決めを促すことを目的としております。
 そこで、法務省においては、離婚後の面会交流、それから養育費の分担の意義、重要性を周知する観点から、これまで大きく二つの取組をしております。
 まず、父母の離婚の際に、面会交流及び養育費の分担等について適切な取決めをし、これを履行することが子の利益の観点から重要であることを分かりやすく説明したリーフレットを平成二十四年の三月に作成をし、これを市町村等を始めとする関係機関に配付しております。また、法務省のホームページにも掲載をしております。
 さらに、面会交流、それから養育費の分担の取決めを促進するために、平成二十四年の四月から、離婚届に面会交流及び養育費の分担等の取決めの有無をチェックする欄を設ける様式改正を行いまして、各地方法務局において実際にチェックされた数を集計して、その結果を適切に開示することとしております。
 離婚に際して夫婦が面会交流、そして養育費の分担の取決めをし、その取決めの内容が誠実に履行されるということは子の健やかな成長にとって重要でございますので、引き続き、このチェックの件数の推移を注視しつつ、先ほど述べた取組を継続して、面会交流や養育費の支払の意義、それから重要性について周知を図っていきたいと思っております。
#124
○佐々木さやか君 改正をしただけでなくて、その趣旨の浸透が最も重要であるというふうに思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。
 時間が迫っておりますので、最後に一点、法曹養成制度に関連をしての質問でございますけれども、この法曹養成制度につきましては有資格者の活動領域の拡大ということが一つ大きな課題になっております。ただ、司法制度改革の趣旨からいいますと、法務博士、要するに司法試験には合格をしていないけれども、法科大学院で高度な法的教育を受けた人材、この活躍の舞台というものも私は大変重要ではないかなと思っております。
 現状、年間三千人の目標が、合格者のですね、掲げられておりましたけれども、その目標の見直しも迫られている状況にあります。法科大学院修了者の約五割程度が司法試験に合格ができないという現状からしても、この法務博士の方々の活動領域の拡大というのも法曹養成制度の見直しにおいては議論されるべきではないかと思いますが、この点については文科省の方にお伺いいたします。
#125
○政府参考人(常盤豊君) お答え申し上げます。
 法科大学院修了者の進路についてのお尋ねでございます。
 昨年の七月でございますけれども、中央教育審議会の法科大学院特別委員会におきましてもこの問題について議論を行いまして、提言をいただいております。その中では、各法科大学院におきまして、修了者の進路状況のより正確な把握を行うこと、そしてまた、それに基づいて充実した就職支援策を進めること、その結果として、法科大学院教育の成果でございます法務博士の存在が広く社会に認知されることを目指すべきであるという提言がなされているところでございます。
 文部科学省といたしましては、これまで修了生の多様な活躍状況について発信するシンポジウムの開催を支援するなどの取組を進めてきたところでございます。
 さらに、今申し上げました中央教育審議会の提言等を踏まえまして、修了者の進路に関する継続的な調査等を行いまして、各法科大学院における着実な把握を強く促し、修了者全体の進路動向の把握に努めるとともに、法科大学院修了者が自らのキャリアパスを適切に選択していけるように、各法科大学院における就職支援の取組を促してまいりたいというふうに考えてございます。
#126
○佐々木さやか君 私も法科大学院の出身でございますので、この法曹養成制度問題については取り組んでいきたいと思います。
 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。
#127
○真山勇一君 みんなの党の真山勇一です。さきの通常国会に引き続きまして、また法務委員会の所属ということになりましたので、谷垣大臣、ひとつまたよろしくお願いをいたします。
 まず、この委員会の初日に大臣の御挨拶というのがございました。この挨拶、中を見ますと、本当に今法務行政が抱えるいろいろな様々な問題点が網羅されておりまして、たくさんいろんな問題を抱えているなと、そんな思いをいたしました。大臣はその一つ一つについて大変誠実にいろいろと言及されているということで、私はやはりこれからのこの法務行政の仕事の大変さというのを十分理解した感じがするんですけれども。
 ただ、今回の国会、非常に短い期間であります。ですから、たくさん課題はある、法務省がやらなければならないことはたくさんあると思います。でも、全部はできない、あれもこれもというわけにはいかないと思います。そうすると、今回のこの短い国会、臨時国会の間で、大臣としてどの法案をまず最優先でやっていきたいというふうにお考えを持っておられるのかどうか、それをまずお伺いしたいと思います。
#128
○国務大臣(谷垣禎一君) 子供はみんなかわいいという気持ちがございますけれども、おっしゃるように優先順位を付けなければ仕事が進みません。そこで、今日、衆議院で、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案、これが可決いたしました。継続審議になっていたのが可決したわけでございますので、今度は参議院で審議をお願いすることになりますが、法務省としては、引き続きこの法律案の趣旨等について精いっぱい御説明してまいりたいと思っております。
 それから、今国会では、職業生活と家庭生活の両立が図られるようにするために、裁判官だけではありません、公務員一般につくる制度でございますが、併せて裁判官にも、外国で勤務等をする配偶者と生活を共にするための休業に関する制度を創設するということを内容とした裁判官の配偶者同行休業に関する法律案を提出しておりまして、これは今日、衆議院に今係属しているところでございます。
 そのほかに、この間この委員会で所信を申し上げさせていただきましたが、その中で、民法等の一部を改正する法律案、それから会社法の一部を改正する法律案及びその施行法の提出、これを予定しております。
 法案の優先順位につきましては、お尋ねではございますが、法案の審議の前後ということについては、当委員会で、立法府においてお決めいただくことであるというふうに認識しております。
 どの子もかわいいと最初申しましたが、いずれの法案も速やかに成立させていただいて、新たな施策に、新たな取組をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
#129
○真山勇一君 結婚した夫婦の間の子供も、婚外子の子供もかわいいという答えがまず出てくるかなというのを期待していたんですけれども。
 結構いろいろたくさんの法案を今挙げられて、これからそれやっていけるのかなというちょっと思いもするんですけれども、私は当然この今回の民法、相続のですね、この婚外子の話が、谷垣大臣、挨拶の中でも提出するというふうに言及していらっしゃるので、まずこれかなというふうに思ったんですけれども、まあ担当としてはやっぱりたくさんの法案があるということは分かったのですが。
 ただ、先ほどの、もうこの話は出てきていますので、ちょっと絞ってお伺いしたいのは、やはり最高裁で違憲判断が出ていて、そしてその後、東京地裁でそれに従った判決が出ているわけですね。もう現実的に最高裁の判断と法律が変わってきてしまっている。これは当然、混乱もあるかもしれないし、それは避けなければならないというふうに大臣もおっしゃいました。これ、避けなければならないじゃなくて、もうそういう事態が今起きてきているわけですね。そうすると、もしこのままでいくと、現場、司法の現場ではどんな混乱というのが予想されるんでしょうか。
#130
○国務大臣(谷垣禎一君) 司法の現場ということになりますと、裁判所がどう判断されるかですが、先例拘束性、特に大法廷判決が出ますと、下級審ではそれを尊重しながら、それに従いながら、つまり判例をばらばらにさせないように、まちまちの判断が起こらないようにするということで、最高裁の大法廷判決はそれだけの、何というんでしょうか、リーダーシップと申しますか力を持っているわけですね。司法の場では、司法の場でどう判断されるか余り法務大臣が言っちゃいけませんが、恐らくそうなると思います。
 むしろ、問題が起きてまいりますのは、司法に行けばそのような判断になると思いますが、特に非嫡出子が入ってくるような相続というのはなかなか話合いも難しいのではないかなと想像いたします。そういったときに、それぞれよるべき規範と申しますか判断基準は何なのかということで争いが生じてくる可能性があるのではないかと、このように思っております。
#131
○真山勇一君 私は、最高裁がこうした違憲判断を下した以上はやはり急ぐべきである、世界の流れも、そして時代の流れもやっぱりこの方向に動いているということを認識しなければならないと思うんですが、今日、そういうことで私たち野党の方も共同で婚外子の相続を等しくするという法案を、前の国会でも一回出させていただいたんですが、今回出させていただきました。もうあと本当に一か月しかないわけですね。
 その中でやはり、私は何としてもこれは、様々な問題点はあるし、やはり相続、お金、遺産、いろんな難しい問題があると思いますが、婚外子の問題というのは突然出てきたわけじゃないわけですね。何か、ちょっと私も感じるのは、世間の話の中で、今回の改正で何か新たな問題が出て大変だ、問題だというような論議もあるようなんですが、私は非常に、まあちょっとこういう言い方は乱暴ですけれども、二分の一だったところを同じにしようよということであって、婚外子の遺産の相続についての問題というのはいろいろあったし、そういう裁判もあったわけですね。ですから、やはり基本的に最高裁がこういう違憲判断を出したというのは一つの大きなきっかけであり変わり目だと思うので、やはり早く法案を改正すべきであるということで、もう一度、もう一回、谷垣大臣の気持ちの確認だけをさせていただきたいと思います。
#132
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申し上げたことの繰り返しでございますが、最高裁判所が、通常は立法府の立法に従って裁判をなさるわけですが、その法案が違憲であると判断されたときは、そういう判断権を持っているのは最高裁判所であると、裁判所であるということで、私どもとしては、その全体的な国家運営の秩序というものが乱れないようにしていく、そういう責務があるのではないかと思っております。できる限り早く法案を提出して御審議をしていただきたいと思っております。
#133
○真山勇一君 私どもも同じ気持ちなので、是非これを、何としてもそれに向けて一致して努力をしていかなければならないというふうに私も思っております。
 さて、今いろいろ申し上げたように、司法の現場で確かにいろんな今問題が出てきております。時代と合わないとか、あるいはなかなか、いろんな体制が変わってきているとか、いろんなことがあると思うんですが、そういうことの一つ、今回やはり議論の的になっているのが特定秘密保護法案なんですけれども、これについて幾つかやはりお聞きしていきたいというふうに思っているんです。
 もう先ほどから出ております、衆議院でも出たと思います、谷垣大臣が書かれた論文、一九八七年ということなんで大分古くて、大臣御自身も、もうちょっと詳しく覚えていないんだけれどもというふうにおっしゃっていましたけれども、私は、改めて読ませていただいて、なかなか力のこもったすばらしい論文であるというふうに思うんですね。
 大臣は、その中で、現行法の再検討から出発すべきで、この分野には既に多くの立法がなされており、決してしり抜けの状態になっているのではないというふうに認識を示されて、その後に、防衛機密などを保護するには、保護する体制は更に強化された、現在の法体系は十分であるという認識を示されているんですが、これが変わられたということになるんでしょうか。
#134
○国務大臣(谷垣禎一君) 私も、古いもので全部記憶しているわけではございません。しかし、今記憶しているのは二つのことを言ったんじゃないかと思います。一つは、先ほどの御指摘にもありましたけれども、刑法、刑事法の場合、罰則を科すのに余り曖昧な部分が残っていると、これやるとやばいんじゃないかと、ちょっと俗な言葉で申しますと、そういうことで全体に萎縮してしまうということがあるのではないかというのが一つでございます。
 それから、もう一つは、私はその中で多分、現在も変わらずそう思っておりますが、秘密そのものの存在を否定するわけではないと。しかし、同時に、民主主義の下で情報公開の制度と併せて議論しなきゃいけないんじゃないかということを申していると思います。それで、現在と今と違っておりますのは、その当時は情報公開制度というのはまだなかったわけです。事実上のことしかなかった。現在は一応、情報公開制度というのはできております。それに対する過不足の議論はいろいろあると存じますが、私はそういう意味で、議論の前提はかなり違ってきている面があると思っております。
#135
○真山勇一君 おっしゃるように、秘密の保護と情報公開って、やっぱりある意味、表裏一体のものであって、両方がきちっとしていなければ機能しないんではないかと私も思うんです。
 ただ、今回見ていますと、この秘密保護法案は情報公開よりも更にもう先へ行ってしまっていて、御存じのように、私がこれまで内閣府や関係省庁からの担当者の御説明を受けると、例えば何が秘密ですかと聞くと、それは秘密だから言えない。それから、例えば罪に問われて逮捕されたりする。何で逮捕されたのか、それは秘密だから何で逮捕されたかは言えない。そして、さらに裁判になりますね。裁判になったとき、弁護士がどういう罪で起訴されているのか知りたいと言ったら、それも公開できませんという、そういう答えをいただいたんですが、司法の立場でこういう認識で、大臣、よろしいんですかね。
#136
○国務大臣(谷垣禎一君) これも度々御答弁申し上げているところですが、私は閣議の一員として、これを閣議では認めたわけでございます。それで、連帯して責任を負うことはもちろんでございます。ただ、ここは権威ある国会の委員会で、国務大臣として答弁するからには、それだけの責任を持たなければいけません。
 それで、私は、この立法に関しては、どういう経緯でどういうような議論の上でここまでできたのか、概括的な報告は受けておりますが、細かなことにきちっと詰めた議論をする能力も責任も持っておりません。したがって、ここで国務大臣としてお答えすることは差し控えたいと、担当大臣との間で議論を進めていただきたいと、このように思っております。
#137
○真山勇一君 ただ、やっぱり今回のこの秘密保護法案は、当然その秘密を守るということがまず第一義的にあって、そしてその守るはずの秘密が漏れちゃったときにどうするかということで、その場合は十年以下の罪ということが言われているわけですけれども、その後、やはり一つの事実、その秘密があって、それが漏れたり、あるいは何か不正な手段で出たとかということになると犯罪になると。犯罪になるとやっぱり捜査があって、起訴されて裁判というと、裁判のところもあるわけなので、やはり一つは、今回の法案を作るんでしたら、やはり守ることと同時に、それが破られたときにどう法律が機能していくのかということも考えなくてはいけないわけなんですけれども、その点からいくと、やはりその秘密のために裁判に様々な障害というか、なかなか難しいところ、これまでの何か裁判のやり方と違うような事態が起きてくるんじゃないかということが予想されるんですが、そういうことはいかがでしょうか、考えておられるんでしょうか。
#138
○国務大臣(谷垣禎一君) 捜査等々は当然できた法律に従って行わなければならないわけですね。それ以上のことは今考えておりません。
#139
○真山勇一君 考えていないというふうにおっしゃっても、もうこれは、法案は衆議院でもう間もなく多分審議始まる、そうなれば参議院でも始まる。どうなんでしょう。今回の感じでいえば、何としても、政府のいろんな言動を見ていますと、何とか早めに成立させたいという思いがあるわけですね。
 法律ってやっぱり成立してしまっては、こういう、何というんですか、一つの流れで犯罪、法律である規則ができて、罰則ができて、その罰則をどう適用するかということは私は一つのセットだと思っているんですね。その取り締まる方だけ一生懸命決めて、あと、じゃ、もしその違反があって、その裁判、司法の問題になったときどうするかということも当然一つの大きなパッケージというか流れで考えていないと、法律としては私は不備があるんじゃないかなというふうに思っているんですけれども。
 これまでの政府の担当の方の説明を聞いていると、どうしても、秘密を守る、漏れちゃいかぬということは確かに分かるんですけれども、そのために、何もかもがやみの中にあって、結局、じゃ、裁判になったらどういうふうになるんだということがまるで分からないし、逆に言うと不安がいっぱいなわけですね。それこそ、大臣がおっしゃったように、情報公開してあれば、それは五年後に見直して発表するとか、三十年後にどうするかということがありますけれども、今の段階ですと、秘密のものは秘密のままということが強いんですけれども、それで果たして、その裁判になったときに、本当に公正で正しい裁判が行われていかれるのかどうか、そういう不安とか心配、これは国民誰もが持っていると思うんですよ。
 その辺りを考えるのは、逆に言ったら、これは法案自体が法務省の担当ではありませんというよりは、やはりその辺りを考えていただくのが逆に言うと法務省じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#140
○国務大臣(谷垣禎一君) それは、この法案でもそうでございますし、あるいは国会の中で議員立法で作っていただく法律もそうでございますが、審議を、何というんでしょうか、並行しながらどうやっていくかということも検討していくわけでございます。もちろん、しかし、私どもも併せて研究はしなければなりませんが、まずはやはりそういう御疑問は担当閣僚との間で闘わしていただきたいと、このように思っております。
#141
○真山勇一君 もう法案できてからでは遅いんで、やはり是非研究をしていただきたいなというふうに私は思うし、この法務委員会でもその辺りは是非大臣も積極的にこの後も委員会で論議に加わっていただきたいというふうに思っているんです。だって、その裁判の部分がそういうブラックボックスだとすると、だって今ブラックボックスなんですよ。どういうふうな裁判が行われるか。つまり容疑が、起訴事実が秘密。で、何でじゃ起訴されたんですかと弁護士が聞いても秘密というような、そんなブラックボックスの中で、それじゃ今までの裁判、想像できますか。私は余り想像力ないのかもしれませんが、やっぱりできないんですね。
 しかも、逆なことが想像できる。例えばそういうことによって、やはり冤罪ができるんじゃないかということですよね。分からない、何か分からないもので起訴されて裁判になって有罪になって、有罪になっても何が自分の犯罪だったのかというのが分からないような、そんな裁判というのはまるで信じられない。やはり民主主義であり法治国家である国がやるような裁判ではないと思うんですが、何かそういう形が予測され、心配されてはならないんですけれども、ちょっとそういう仮定の話で申し訳ないんですけれども、ただ、大事なことなので、やはりこれは司法の場で話すと思います。いかがでしょうか。
#142
○国務大臣(谷垣禎一君) それは、起訴事実も分からず証拠もなければ裁判ができるとは私は思っておりません。ただ、その辺をどう仕組んでいくかは、是非是非、担当閣僚との間で御議論をいただきたいと思っております。
#143
○真山勇一君 是非それはやっていかなければならないというふうに私は思っております。
 それから、あと、やはりもう一つ心配なのは、法案の中に、行政機関の長は次に掲げる場合に限り特定秘密を提供することができるということなんですね。そうすると、拒否も、提供しなければならないじゃなくて、提供することができるということなので、しない場合もあるわけなんですけれども、やはり行政の長の権限がこういう裁判とか司法に係る部分で強くなってくると、いわゆる、先ほどもおっしゃっていましたけれども、国の三権分立ですね、その三権分立で、立法、行政、司法とあって、この法案ができることによって行政の方が強くなってしまって、司法が、何ていうんですかね、様々な形で影響を受けてしまって正常な動きができなくなってしまう、余りにも行政の権限が強くなって三権分立が守られなくなるような私は危惧を感じるんですけれども、いかがでしょうか。
#144
○国務大臣(谷垣禎一君) その辺りもこの特定秘密の制度設計にかかわる問題ですね。是非、担当大臣との間で御議論を詰めていただきたいと思います。
#145
○真山勇一君 そうですね、また、これはやはり急ぐべき法案では私はないと思います。これはやはりしっかりと議論をして、問題点を洗い出して、そして国民誰もが納得できるという形で、秘密を守るということはやはり国民の安全、安心の上では大事なことだと思うんです。私も、その守ること自体は否定はしません。しかし、こういう欠陥だらけとも言えるようなまんまで法案を進めていくというのはやはり問題であると思うし、特にやはり司法の立場である谷垣大臣、法務委員会、法務省というのは、これにある程度積極的にかかわりを持ってやっていく、いただきたい。谷垣大臣の昔の論文を見ていると、私はその意気を感じていて、是非やってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#146
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほどから同じことばかり御答弁申し上げて誠に申し訳ございませんが、きちっと国会でこの制度設計について議論を詰めていただきまして、そして私どもは、まさに一般論ということになるわけですが、検察、当然、具体的にじゃ捜査もしなければいけないわけですね。それで公判を維持しなきゃいけない。検察当局においては、やはり法令の規定に基づいて、法と証拠に基づいてやっていくということになると思います。それ以上は、制度設計を最後は詰めていただきたいと、このように思っております。
#147
○真山勇一君 同じことを本当に根掘り葉掘りと、本当に申し訳ございませんでした。
 本当に最後に、この特定秘密保護法案について私申し上げたいことは、実は個人情報保護法というのがございました。このとき、やはり報道の自由、知る権利というものが非常に問題になって、私は当時、記者ということでメディアの現場にいて、これはやはり知る権利の危機を感じて、当時のキャスター七人がこの個人情報保護法の知る権利の部分、非常に心配しているということをアピールして、その後、その部分、知る権利については担保ができたということなんですけれども、先ほどからも大臣が指摘されているように、やはり萎縮現象というのが起きているんですね。
 やはり個人情報保護法があるために、取材、もちろん、本来ならば取材をして伝えたいということがなかなか出てこないということもありますけれども、それを取材する側の方も、やっぱりなかなか踏み込めない、ちゅうちょしてしまうという部分が現にやはり現場で出てきている。これは私の後輩の記者たちがそういうことをやはり言っているわけです。
 ですから、今回この秘密保護法ができれば、更にやはりメディアがこういうことで萎縮をしてしまうということは十分に考えられるというふうに思うんですけれども、今、この条文に書かれているメディアに対する保障、これで、大臣はこの言い方で十分だというふうにお思いでしょうか。
#148
○国務大臣(谷垣禎一君) 二つ申し上げたいと思うんです。
 一つは、情報、今の萎縮ということも、情報保護、公開体制というのが一応あるところとないところではその持っている意味は全然違うと思っております。したがいまして、三十年ほど前の状況と現在は違っているというふうに私自身は判断しております。
 それからもう一つは、直接今回の法案と直ちにかかわるわけではありませんが、私は民主党政権時代、野党の総裁をしておりました。そのときに感じたことは、今政権が前に推し進めようとしておられる中で、どういう情報を持って政権が判断しておられるんだろうか。野党としては当面反対せざるを得ないけれども、もしもここらで機微の話が本当にあるんだったら、場合によったら野党も与党に賛成しなければならないかもしれないと思うことが全くなかったわけではありません。しかし、そういう防衛とか安全保障に関する機微な情報は、例えば海外同盟国等から提供される場合もあるだろうと思います。
 そういうときに野党党首が仮にそういうことを、情報を共有しながら場合によっては判断をしなければならないけれども、野党党首にしゃべったら、野党党首はその途端に外に向かってしゃべってしまったというようなことではうまくいきませんね。そういった辺りをどうしていくのか、全くそういうことの制度的な手当ては、やっぱり考えておいた方がいいんじゃないかという問題意識を私は持っておりました。これは直接今回の法案そのものの問題ではありません。むしろ国会法の問題かもしれませんね。
 そういうようなことを考えますと、何らかの合理的な秘密保持制度といいますか、そういうものは私は、そういう野党総裁としての経験からも、必要なのではないかという感じを持っております。
#149
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日は大臣に、婚外子の相続分に関する差別を憲法違反とした最高裁の決定を踏まえて、民法に残された差別的条項全ての改正に向けた所信をお伺いをしたいと思います。
 この九月の最高裁決定を受けた原告のお一人が、私の生きる重みは二分の一ではない、ようやく自分の価値を取り戻したとコメントをされました。
 我が国においては、法令が憲法に適合するか否かについては個別具体的な事件の裁判の上で必要な限りにおいてなされるという付随的審査制を取っておるわけですから、こうした原告の言わば闘いがあったればこそ今回の違憲決定というのがなされたわけですね。そうした意味で、この最高裁の決定まで一言で言えない困難を乗り越えて闘ってこられたこの原告の方々に、私はまず敬意を心から申し上げたいと思うんです。
 この民法の婚外子相続分の規定について大臣にまず伺いたいのは、最高裁が憲法違反とした理由ですね。憲法二十四条及び国際人権規約、あるいは児童の権利条約に基づく国連委員会の勧告をも踏まえて、憲法十四条一項に違反すると。この最高裁の決定というのは極めて重大なのではないかと思います。あるいは、重要なのではないかと思うんですね。
 私どもにとりまして、民法というのは言わば基本法中の基本法だと思うんですが、この基本法が憲法に違反すると、そう判断をされたことの重みを所管大臣としてどのように受け止めておられるでしょうか。
#150
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、先ほど来から御答弁を申し上げているところですが、今の委員の御指摘にもあったように、法令が憲法に違反しているかどうかということは裁判所が、最高裁判所がその権限を持っているわけです。私どもは、私は今行政府の中にいる人間でございますが、やはり日本全体の統治システムとして、裁判所がそういう判断を下されたら、それを尊重して対応すべきものであると、このように考えております。それがやはり日本国憲法の下における国家秩序をうまく動かしていく大きなゆえんであると、このように考えております。
#151
○仁比聡平君 最高裁がそうした判断をされた、であるから、三権分立という観点からして尊重すべきであるということの中身、その判断の中身、最高裁の、ここについて、もう一度ちょっと大臣の御見解を伺いたいんです。
 今度の最高裁決定ではこういうくだりがあります。本件規定の合理性は、個人の尊厳と法の下の平等を定める憲法に照らし、権利が侵害されているか否かという観点から判断されるべき法的問題であると。つまり、憲法が保障する二十四条を始めとした基本的な人権の保障、そして法の下に平等であらねばならないという十四条の原則、この観点から権利が侵害されているか否かという法的問題であると。
 私流に少し言い換えますと、人権問題であると。現行の民法規定が基本的人権や平等原則に違反する言わば人権侵害の規定になっていると、権利侵害の規定になっていると、こう断ぜられて憲法違反という決定が出た。このことの重みについてどのような御認識ですか。
#152
○国務大臣(谷垣禎一君) それを判断する権限は、日本国においては最高裁判所が持っておられるわけですね。ですから、そのような判断をされたということを、やはり日本国憲法を尊重して、日本国の国家統治システムというのをうまく動かしていく、いかなければいけないと、閣僚としている私の責任でございます。
 したがいまして、先ほど来申し上げているような、それを尊重すべきものだと答弁しておるわけでございます。
#153
○仁比聡平君 私は、この規定の権利侵害性をしっかりと正面からとらえて、内閣や私ども国会が、いわゆる政治部門がしっかりとその最高裁の決定の重みをまず受け止めなければならないと思うんですね。
 そこで、最高裁においでいただいていると思うんですが、日本国憲法の施行後、法令そのものが憲法違反とされた判決や決定、これは法律用語では法令違憲というふうに呼ばれます。こうした判断がされた場合には、この当参議院においては、議院運営委員会に違憲決定の、判決決定の正本が机上に配付をされて、私ども国会が作っている立法が憲法違反と断ぜられましたという報告がなされるわけですね。私は、今回、その場面に自分自身が出会って、大変重たいものだというふうに感じました。こうした違憲判断というのは憲法施行後何件あっているでしょうか。
#154
○最高裁判所長官代理者(永野厚郎君) お答えいたします。
 日本国憲法施行後、最高裁判所がした、ただいま委員の御指摘のあった法令違憲の裁判の件数は、同じ法律の条文等に対して判断しているものもまとめまして、実質的な件数を数えますと九件となります。
#155
○仁比聡平君 その九件のうち、刑法のかつて存在した尊属殺を重く処罰するという規定は、国会が法を改正するまでにしばらく時間が掛かり、そのことについて大変大きな批判や議論がありました。であるけれども、この尊属殺規定というのは、違憲判断後、検察自身がその条項においては起訴しないという運用がされたことによって、実際にはその法律というのは言わば死文化していたわけですね。
 そのほかの違憲判断決定に対しては、基本的にその判断のすぐ近くの国会、直近の国会に政府から改正案が提出をされて、それが成立をするというふうになっております。選挙制度の議員定数不均衡をめぐるものについては、そうなっていない場合もありますが、それでも、国会として選挙制度をめぐる協議会などを設けて、この判断を具体化するために、問題を解消するために努力がされているわけですね。
 もし今回の相続分差別の違憲決定についてそうした対応が取られないとするならば、極めて重大な話になるわけです。その点の重みについて、与党の議員の中から、司法判断が出たからといって国権の最高機関たる国会がはいはいと従うわけにはいかないなどとの発言がなされているという報道があるんですが、この発言があったかないかは置いておいて、こうした理解というのは、大臣、当たりませんよね。
#156
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、先ほど来申し上げているように、最高裁判所が法律、法令が違憲であるかどうかというのを判断する権能、最終的な権能を持っているわけです。それをやはり尊重していくというのは、これは議会人としても、もちろん行政府にいる人間は当然のことでありますが、議会人としてもそれを尊重していかれるのが正しいと思います。
#157
○仁比聡平君 そこで、私は、この問題というのは極めて長きにわたって議論をされてきた問題だということについての大臣の認識を伺いたいんですが、政府はもう既に、男女平等の実現に係る新国内行動計画という一九九一年から九五年の計画の中において民法規定の見直しということを政策目標として掲げられました。法務省も、昭和五十四年以来、度々そうした動きをしておりまして、一九九一年には法制審議会に法制の見直しを諮問をして、法制審は一九九六年の二月に法律案の要綱を答申をしたわけです。
 世界を見ますと、同じような区別の規定があったドイツやフランスでも差別は解消されたと。そうした下で、日本政府あるいは日本の国会ではこの改正が行われないと。この日本の政府のあるいは国会の不作為が憲法違反とされたのだというその御認識はありますか。
#158
○国務大臣(谷垣禎一君) 当時の、私も立法府の一員でありましたから、どういう表現でしたらいいのか。しかし、今国務大臣として、行政の中におります国務大臣として国会のそういう御判断を論評するつもりはございません。
#159
○仁比聡平君 一九九六年に法制審の答申がなされて、法務省は提出できる法案を作成をいたしました。にもかかわらず、その後、ずっと国会提出もなされていないと。この点が私は、最高裁の決定や、その最高裁が判断の根拠としている国連委員会などから厳しく指摘をされているのだと、そう受け止めるべきだと思うんですね。
 外務省においでいただいていますが、この最高裁決定も援用している国連委員会の勧告、これは元々、国、すなわち日本政府に向けられたものだと思いますが、いかがですか。
#160
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘ありました各種の人権条約の委員会からの勧告は、各締約国に向けられたものでございます。
#161
○仁比聡平君 この締約国、すなわち政府に対して向けられた勧告、これが繰り返し厳しく行われてきた以上、本来、司法の違憲判断を待つことなく、私は、国、政府がこたえるべきだったと思います。大臣、その点いかがですか。
#162
○国務大臣(谷垣禎一君) 我が国が批准した国際人権規約、諸条約に基づき設置されました各委員会から、今、仁比委員がおっしゃったようないろいろな指摘があったことは十分承知しております。
 ただ、国内においても多様な意見があった、また現在でもあるわけでございます。私は、今、先ほど申し上げましたような観点から、一日も早く我々の案をまとめて国会にお出ししたいと思っておりますが、相当大きな意見の対立も国内にあったことも事実だと考えております。
#163
○仁比聡平君 今、大臣が今もおっしゃられた、国内においても多様な意見があったし今もあるというこの理由付けといいますか、これを日本政府は国連のそれぞれの委員会に対しても繰り返し述べてこられたわけですが、これが国連の委員会からどのように受け止められているのかという点についてお尋ねをしたいと思うんです。
 こうした国連関係の委員会からの勧告は、今回の決定に援用された人権規約委員会や児童の権利条約委員会のみではありません。女性差別撤廃条約に基づく女子差別撤廃委員会から、本年の九月三日付けで日本政府に対する書簡が届いていると思います。
 そこでは、二〇〇九年の七月に女子差別撤廃委員会において多くの日本政府に対する勧告が最終見解としてなされたわけですが、この最終見解のうち、民法の差別的条項の改正にかかわる問題と、もう一つ、女性たちの社会的な地位の向上にかかわる問題と、この二点がフォローアップ事項として手続にのせられました。二年間のうちに更なる情報を提出するようにというこのフォローアップ手続に基づいて、二〇一一年の八月、そして二〇一二年の十一月に日本政府が追加情報を提出をしているわけですが、二〇一三年の九月三日、今年の九月三日には、この夏、開催された委員会において、日本政府の対応は勧告を履行していないもの、不履行であるという判断をしているわけですね。
 その上に立って、次回の定期報告、これ二〇一四年の七月とも伺っていますけれども、この次回の定期報告にどのような追加的情報を提供するように勧告をされているか、外務省、紹介をしてください。
#164
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘がございましたとおり、九月三日付けのバーバラ・ベイリー女性差別撤廃委員会フォローアップ報告者から日本政府にあてられた書簡の中においては、嫡出である子と嫡出でない子の相続分を同等化することを内容とする勧告に対する日本政府の対応は勧告不履行であるという旨述べるとともに、日本政府に対して、次回の政府報告において追加的情報を提供するように勧告を受けております。
 これを受けまして、御指摘がございましたとおり来年の七月に次回の報告提出が予定されているわけでございますけれども、この中にいかなる内容を盛り込むかということについては、法務省と協議しつつ検討していきたいと考えております。
#165
○仁比聡平君 私の質問は、書簡の中身そのものを紹介してくれませんかということだったんですが、ちょっとそうならなかったので私から紹介をしますと、勧告が履行されていないという判断は婚外子相続分差別の問題にとどまりません。
 婚姻年齢を男女共に十八歳に設定すること、女子差別撤廃条約の規定に沿って夫婦に氏の選択を認めること、相続分を同等化すること、そうした要請について、締約国は民法改正法案を提出しておらず、この問題について引き続き国民の議論を深めることを望んでいることを示したが、これは勧告が履行されていないものと判断すると。六か月の再婚禁止期間を廃止する法律規定の準備についてという要請について、締約国日本が民法改正法案には再婚禁止期間の短縮が盛り込まれているということを示したが、委員会の勧告は再婚禁止期間の短縮ではなく廃止に係るものであって、勧告は履行されていないものと判断すると。そうした不履行の判断なんですね。
 その上で、来年の定期報告で、男女共に婚姻適齢を十八歳に設定すること、夫婦に氏の選択を認めること、嫡出である子と嫡出でない子の相続分を同等化することを内容とする民法改正法案を採択することが第一番目。二番目、女性のみに課せられ男性には課せられていない六か月間の再婚禁止期間を廃止する法規定を採択することが勧告なわけです、この九月の。
 外務省、この私の紹介に間違いはないと思いますが、その確認と、そして改めて、来年に迫っているこの定期報告でどのような報告をなされるおつもりですか。
#166
○政府参考人(新美潤君) バーバラ・ベイリー・フォローアップ報告者からの書簡の内容については、委員のおっしゃったとおりの内容でおおむねございます。
 それを踏まえまして、それに対して日本政府として次の来年七月に予定されております政府報告にいかなる内容を盛り込むかについては、繰り返しで恐縮でございますけれども、法務省とも協議をしつつ検討していきたいということでございます。
#167
○仁比聡平君 そこで、先ほどの大臣のお話なんですが、国内においても多様な意見がある、あるいはあったというお話ですけれども、今度の最高裁の決定も、法律婚主義を前提として子の相続分の区別が合理的かということを議論をしているわけですね。それをしかも、まず法律問題であると。これは私から考えれば人権問題であるということで憲法違反の判断をしたわけです。
 こうした判断を前にして、言わば国民世論、多数者の世論というものをもって問題を解消しない理由となるのかというと、これはならないということは、法律家としての大臣ももうよく踏まえておられることだろうと私は期待をしたいわけですね。
 もし、最高裁も違憲と判断をした現在においてもなお国民世論を理由にしてこの問題の解消を図らないとすることになるなら、これは国民世論に対する責任転嫁ではありませんか。
#168
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、先ほど来かなり注意深く御答弁をしたつもりでありますが、日本国において法令が違憲であるかどうか最終的な判断権を持っているのは最高裁判所でございます。その最高裁判所が違憲であるとした以上、当然それを尊重しなければならない、これは当然のことだと思います。
 他方、委員はいろいろな国際条約、国際人権関係の委員会からの勧告等を挙げられて、いろいろな国内世論があるというだけでそれをしないのはおかしいではないかという議論もなさいました。法務大臣になりまして私が少し驚いている点は、いろいろな日本が参加している国際機関ないしは条約から、日本もこのような法律を制定せよと勧告を受けているものがたくさんございます。その勧告を果たせていないものもたくさんございます。しかし、果たせない理由は様々でございます。あえて単純化して無礼の言にわたるのをお許しいただけば、保守の側が反対してできないものもございます。今、革新という言葉があるかどうか分かりませんが、いわゆる革新の方々が反対して動かないというものもたくさんございます。
 私は、ですから、先ほど来慎重に言っておりますのは、国際世論がこう言っているからとか、人権規約がこう言っているからというような形で、私、議論は慎重に避けてまいりました。最高裁判所、法令が違憲であるかどうか最終的な判断権限を持っている最高裁判所がそういう判断を下した。しかも、事柄は私人間で起こる権利関係の基準をどう与えるかという問題であると。一日も早くやらなければならないと私は思っております。これは世論の問題ではありません。日本国の統治システムがうまく動くか動かないかという問題だろうと私は思っております。
#169
○仁比聡平君 私は、今回の憲法違反と断じた決定が、国際人権関係の委員会からの勧告をその判断の根拠として踏まえている、そのことをもって大臣とこうした議論をさせていただいているわけです。大臣が、先ほどお話のあったような様々な問題が国際社会から指摘をされているというのは、それはそのとおりだろうと思うんですが、我が国の最高裁判所がそうした国際人権委員会の勧告を踏まえて憲法違反と断じたと、ここは重いでしょうというのが私の思いですし、大臣も恐らくその点は踏まえておられるのだろうと思いますし、踏まえていただきたいと思うんですね。
 最後に、この民法に残っている差別的規定の問題は、言わばこうした委員会室の中での空中戦ではなくて、現実に切迫した被害の根深さ、その解消は本当に切迫しているというふうに私も思います。婚外子相続分に関して言いますと、相続は日々発生しているわけですし、これを裁判あるいは遺産分割の審判に訴えて出るというのは、これは極めてそれ自体が困難なわけですね。そうした事態をこの最高裁決定が出てもなお国民に強いるのかという問題ですし、この決定の中にも、この九百条四号ただし書の前段の存在自体が出生時から婚外子に対する差別意識を生じさせていると、そうした認定もありまして、この婚外子相続分の規定の違憲性の解消というのは、これはもうせっぱ詰まっていると思います。
 この大きな根拠として、民法の一九四七年の改正以降、婚姻や家族の実態が著しく我が国で変化し多様化をする中で、婚姻、家族の在り方に対する国民の意識も変化をして、家族という共同体の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたことは明らかであるということも最高裁は判断の理由として述べているわけですね。これは、先ほど申し上げた他の差別的規定に関しても当てはまるものであると私考えます。是非、婚外子相続分の解消については速やかに、そして、残される民法規定の、残されている民法の差別的規定の改正も速やかに大臣に進めていただきたいということを求めまして、時間参りましたので質問を終わります。
#170
○谷亮子君 生活の党、谷亮子でございます。本日は、谷垣大臣、そして法務省の皆様、また最高裁判所の皆様にも御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議題となっております法務及び司法行政に関する調査につきまして、先日、十月二十九日に行われました谷垣法務大臣の挨拶の中にございました裁判員制度の円滑な運用につきまして本日は伺ってまいりたいと思っております。
 この裁判員制度は、広く国民の皆様に直接的にかかわってくる制度でございまして、この司法改革の中でも非常に大きな施策として導入されたと思います。
 この裁判員制度は、平成二年五月から議論等が重ねられてまいりまして、準備等が進められてまいりまして、平成十六年三月、裁判員法などを国会へ提出されまして、平成十六年五月二十一日に国会で、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律、裁判員法、改正刑事訴訟法が成立いたしました。その後に、平成二十一年五月二十一日に裁判員制度が施行されました。
 私も平成十六年に、この裁判員制度の導入の協力をするということで、ポスター等の啓蒙活動への依頼をいただきました。当時は裁判員制度ということで大変大きく議論をされていたことを覚えているんですけれども、やはり、有権者の中から選任されまして、そして重大な刑事事件の判決を決めていくといったことで、初め大変ちゅうちょいたしましたし、いろいろなことを考えさせられるところもございました。そしてまた、将来的にもそうした重大な刑事事件の判決をまた自分自身が出していかなければならない、そういったことで大変ちゅうちょしていたことを覚えているんですけれども。
 その裁判員制度は、現在、導入されましてから四年が経過をいたしました。これまでに裁判員として選任されました人数は、平成二十五年八月時点の速報値でございますが、これは裁判員が三万二千十三人、そして補充裁判員が一万九百七十四人でございまして、合計四万二千九百八十七人の方が裁判員を務められていらっしゃいます。
 また、この補充裁判員につきましては、裁判員と同様に最初から審理に立ち会いまして、訴訟に関する書類や証拠を見ることや評議を傍聴することなどができまして、また裁判官からも意見を求められるといったことがございます。
 そして、一つの事件に対しましては、裁判官が三人、そして裁判員が六人、そしてこの補充裁判員につきましては、裁判によって置かれる場合と置かれない場合がありますけれども、六人まで選任されるという体制でございます。
 こうした中、私が感じております裁判員制度の導入の目的といたしましては、有権者の中から選ばれた裁判員が裁判官とともに裁判を行う制度でございまして、国民の司法参加によりまして、国民の皆様が持つ日常感覚や常識といったものを裁判に反映するとともに、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上を図ることが目的とされていると思いますし、そう感じているわけでございます。
 先日の谷垣法務大臣の御挨拶で、裁判員制度につきましては、その施行から四年以上が経過をしましたが、裁判員の方々の誠実な取組により、おおむね順調に運営され、国民の間に定着しつつとございました。また、そして現在、裁判員制度に関する検討会や取りまとめ、また報告書を踏まえまして、法務省ではこの裁判員法の改正作業に入るとお聞きをいたしておりますけれども、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部改正に関する様々な課題に適切に対応されまして、谷垣大臣が関係機関とともに取りまとめを行われまして国会提出も視野に入れられていると思いますけれども、こうした期待された、また期待されている裁判員制度の導入によってどのような効果が生まれているとお感じになられているのか、総括的に成果も含めまして谷垣大臣にお伺いいたしたいと思います。
#171
○国務大臣(谷垣禎一君) まず裁判員制度の施行がありまして、私びっくりしましたのは、裁判員になっていただきたいという候補者の方々に裁判所に出頭していただくわけですが、それぞれみんなお仕事を持っておられるだろうと思いますが、極めて高い割合で出頭していただいている。それからまた、実際に裁判員に選ばれて審議に当たられるわけですが、極めて熱心に取り組んでいただいていると。大変なことだなと思っているわけでございます。それから、裁判員を務めていただいて、務められた九〇%以上の方が非常に良い経験をしたと感じていただいておりまして、充実感を持って審理に取り組んでいただいているなということも感じ取ることができました。
 それから、裁判員制度についていろんな方から、裁判所や司法が身近になった、こういう制度ができたんだね、身近になったねと、あるいは、裁判の結果に国民の感覚が反映されるようになっているんじゃないのというようなことを言っていただく方によくお会いします。そういう意味で、今までおおむね相当順調に来ているなというふうに私は思っております。
 それで、こういう制度を導入した効果、おおむね順調に運営されてきたわけでありますが、先ほどおっしゃったように、裁判員制度の判決に裁判員の方々、つまりプロの法律家以外の感覚が反映されるように少しずつなってきていると、またその過程を通じて司法に対する国民の理解が深まってきたのではないか、これが制度導入のときに狙っていた効果でありますけれども、そういうものが徐々に出つつあるのではないかというふうに現状を評価しております。
 私としては、改めて、裁判員候補者として手続に参加いただいた方、あるいは実際に裁判員をお務めいただいた方々に心から敬意を表したいと、心から感謝を申し上げたいと思っております。いろいろ、四年たちまして、若干、余り長期にわたるような事案については裁判員をお願いするのも無理ではないかとか、いろいろまた少し議論をしていただかなきゃならないところは今議論を始めておりますが、このように滑り出し、かなり順調に来ていることを大変有り難く思っている次第でございます。
#172
○谷亮子君 谷垣大臣、ありがとうございます。
 大臣のおっしゃられるとおりだと思います。司法の中だけではなくて、やはりそうした国民の皆さんの感覚やまた真意といったものが裁判に反映されやすくなったといったようなこともやはり実際にあるというふうに思いますし、また、裁判員の方の長期的な拘束という意味ではいろいろとこれからまた改善等が検討されていくと思いますけれども、そうした中で更なる取組を進めていただきたいなというふうに思っております。
 そして、他方で、審理の途中で証拠写真などを御覧になってストレスを感じられたという方や、国家賠償請求訴訟を起こされているということも起きておりまして、裁判員の精神的負担の軽減のため、裁判員裁判の対象事件を多く抱える東京地裁の担当裁判官の方々が対応を協議をされまして、本年八月一日から新たな運用が東京地裁の方で開始をされております。
 これまで裁判員の精神的負担の軽減はそれぞれの裁判官の裁量に任されてまいりましたけれども、各地の裁判所で統一的な対応が検討できるようにするために、最高裁判所は各地の裁判所に対しまして、東京地裁の申合せの内容を参考にするようにと促されているという報告もいただいておりますけれども、裁判員の精神的負担の軽減を実行していく上で、各裁判所でどのような対応と取組が行われていくと思われていらっしゃいますでしょうか。
 これは、最高裁判所の方に伺いたいと思います。
#173
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘の点でございますが、本年七月十九日、東京地方裁判所の本庁の刑事部の裁判官が裁判員の精神的な負担軽減につきまして申合せを行い、最高裁判所がその情報提供を受けましたため、これを各地の裁判所に参考までにということで送付させていただいております。それを受けまして、それぞれの裁判所におきましては、この申合せにもございますように、公判前整理手続、それから選任手続の前後、さらに、審理、評議及び判決宣告後を含めた各段階におきまして裁判員の精神的負担の軽減に努めているものと承知しております。
 具体的には、例えば選任手続におきますと、遺体写真など、今御指摘のような刺激の強い証拠の調べがなされる予定のある事件につきましては、事前に裁判員候補者の方々にその旨をお伝えしまして、不安のある方には申し出ていただいて個別に事情をお聞きすると、このような事例が幾つか生じておりますし、また、裁判員の経験者の方が精神的負担を負っているという可能性がうかがわれた事案におきましては、判決宣告後しばらくたってから裁判官が事件の経験者の方にお電話を掛ける、あるいは経験者全員の方にお電話を掛けるというようなことをいたしまして、体調等について問題がないかどうかの確認をするというような例も把握しているところでございます。
 今後も、このように各裁判所におきまして、訴訟関係人とも連携しながらこのような取組を続けていくというものと考えております。
#174
○谷亮子君 ありがとうございます。
 各裁判所での取組というのが更に強化されていくということを望んでおりますし、また、今お話にございましたように、その事後のケアですね、そういったものも電話連絡を通じてやっていかれるということで、更にその負担軽減等が、裁判員の方たちの負担軽減等が行っていかれるように、そういった負担を感じられている方たちのケアというものも十分に取り組んでいただきたいなというふうに思っております。
 そして次に、裁判員制度の関連予算の取組につきまして伺ってまいりたいというふうに思います。
 平成二十一年度の裁判員制度の関連予算の合計は五十五億五千二百万円、そして平成二十二年度が四十九億四千八百万円、平成二十四年度、三十六億三千八百万円、平成二十三年度、四十二億四千五百万円、平成二十五年度、三十二億三千二百万円となっておりました。
 また、裁判員が重大な刑事事件の判決にかかわり終局した件数でございますが、平成二十一年度、百三十八件、平成二十二年度、千四百二十三件、平成二十三年度、千四百四十二件、平成二十四年度、千四百十五件、平成二十五年度、八百二十三件、この平成二十五年は八月時点の速報値となっておりますけれども、この平成二十四年度と平成二十二年度ですね、この両年につきましては同じような件数と人数にあるにもかかわらず、平成二十二年度は千四百二十三件、そして平成二十四年度は千四百十五件と、このように同じような件数にもかかわらず予算は十三億一千万円減額をされているという現状であります。
 それからまた、裁判員裁判は、公判回数、また選任手続から判決言渡しまでの裁判員の出席日数は年々増え続けておりまして、事前事後の拘束を含めますと相当になるかと思われます。このような現状を考えますと、裁判員の心的また身体的なケアをしていくことや経済的負担を軽減していく手配が予算の減額により十分に行われていないのではないかなと大変危惧をいたしているところでございます。
 また、平成十六年度以降は、この刑法犯認知件数そして検挙件数は減少傾向にございます。ですから、これが予算と関連しているのかとも推測いたしておりますけれども、一方で、裁判の開廷回数そして評議時間の合計は年々増加し続けているという現状もございます。平成二十一年度は評議時間が六時間三十七分、年々増え続けまして、平成二十五年度は十時間三十一分というこの評議時間になっております。
 まず、なぜ減額をされているのか、その現況も含めまして、取組を含めまして、お伺いさせていただきたいと思います。
#175
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) お答え申し上げます。
 委員ただいま御指摘のとおり、平成二十一年あるいは二十二年と二十四年の裁判員制度の予算を比較いたしますと、減額する状態になっておりますが、これは主には制度の定着に伴います広報費の減少、あるいは今も御指摘ございましたが、想定される事件数を前提に予算を組んでおりますが、その減少に伴うものでございます。委員御懸念されておられます裁判員の負担軽減についての環境整備には特に影響がないものと承知しております。
 裁判員の負担軽減につきましては、専門知識を有します民間業者に委託いたしまして、裁判員の方々を対象としたメンタルヘルス相談窓口あるいは健康相談を行う窓口を設置しております。この窓口では、電話やインターネットを通じまして年中無休、二十四時間、無料で相談を受け付けておりまして、臨床心理士などによる電話や、場合によっては対面によるカウンセリングなども行っているところでございます。この窓口は裁判員の裁判が実際に始まった段階から設置され、現在まで基本的なサービス内容は変わっておりません。今後も必要な予算は確保いたしまして、環境整備を続けていきたいと思っております。
#176
○谷亮子君 ありがとうございます。
 今、精神的負担の軽減ということで、その予算は削られていないということで、大変いい予算の取組であったというふうに思いますし、そうした事後の精神的ケアも含めまして、正しい、またきちんとした予算というものが確保されていくこと、そういった予算の減額によってその手配等が手薄にならないようにお願いを更に申し上げてまいりたいというふうに思います。
 その中で、もう一点、負担軽減にもつながってくると、精神的負担軽減にもつながってくると思うんですが、もう一点伺いたいのが、裁判員として参加していただく上におきまして、健康診断等はどのように行われておられますでしょうか。
#177
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) お答え申し上げます。
 裁判所におきましては、裁判員裁判の手続の中で、裁判員やその候補者を対象といたします事前の健康診断のようなことは行っておりません。が、裁判員やその候補者の方が例えば健康上の問題で不安を抱えているということを裁判所の方で把握した場合には、例えば健康上の理由による辞退あるいは辞任を認めるなど、個々の裁判体の判断においてその方の状況そして手続のそれぞれの段階に応じ適切に対処しているものと承知しております。
#178
○谷亮子君 ありがとうございます。
 事前の健康診断等は行っていないということで、審理中そしてその事後のケア等はやっていかれると、やっておられるということでございますけれども、私は、やはりその事前、事後、審理中も含みますけれども、そうした健康診断等は是非行っていただきたいというふうに希望を持っているんですね。
 この選任される前の健康診断によりまして、自分は健康だ、元気だと思っていても、軽度の病を患っておられる場合に、その審理に入りましてからやはりそうした証拠写真等を見まして大変なストレスを感じられて、そこから大変重い病に、重度の病になられるといったことへつながってくる可能性もありまして、その事後のケアとしてそこを行っていくということであられると今思いますけれども、しかし、そうした事前の体制ということもやはりこの裁判員制度、裁判員裁判の中では非常に重要な取組になると思います。やはり精神的に、そして健康状態というのも非常にこの審理につきましては重要になってくると思いますので、その辺の取組を是非お考えいただきたいなというふうに思っております。
 そして、もう一点伺ってまいりたいわけなんですけれども、正当な予算を組んでいただきたいと。先ほど十三億一千万円の減額の内容につきましては、予算の内容につきましては十分理解できました。現在、裁判員の選任を受けた場合の環境の整備の中で一点、私、本日伺いたいことがございます。これは国民側における一時保育サービス等が全国の自治体で有料なところとそして無料なところと実はございまして、この裁判員に選任されて裁判に参加するという希望に沿えるように、やはりこの体制強化というものを構築していかなければならないというふうに思っております。
 そして、今政府の方針を立てておられる中で、やはり女性の労働力の活用、こういったことに対しましても取り組もうとされているし、大変積極的に発信をされている現状がございます。こうした中で、子育て中のお母さんがやはりそうした選任を受けて参加して取り組んでいきたいんだけれども、なかなか子育て中で断らざるを得ないと。しかし、そこはやはり有料なところと無料なところが非常に大きな壁となっている現状もあるかと思われるわけでございます。
 ですから、こうした、それぞれ自治体の取組と言われればそれまでになってしまうかもしれませんけれども、しかし、これは国、司法が推し進める裁判員裁判という中でしっかりとその環境を整備していく必要があると思いますので、その点に関しまして、法務省として、また国としてその見直しの議論や検討がされているのか、そしてまた新たな取組がございましたら御提示いただきたいというふうに思います。
#179
○政府参考人(稲田伸夫君) お答え申し上げます。
 法務省では、裁判員法の附則の九条の趣旨に従いまして、平成二十一年の九月から裁判員制度に関する検討会を設けまして、裁判員法の施行状況でありますとか、それを踏まえた措置の要否などについて検討を行ってまいりました。本年六月にその取りまとめ結果が取りまとめられたところでございます。
 その検討会におきまして一般有識者の先生方から、これは明示的に一時保育サービスとまでは言われていたわけではございませんが、育児をしている方々、あるいは小学生の子供を持っておられる方々も含まれると思いますけれども、こういう方々がより参加しやすい制度とするにはどうしたらいいんだろうかという問題提起がございまして、そういう御意見がなされたことに対しまして行われた議論を少し御紹介したいと思いますが、その中で裁判官の委員から、いわゆる一時保育サービスについて、裁判所が裁判員候補者に対して発送する呼出し状に一時保育サービスを利用するための方法などを説明したり、問合せ先の裁判所や区役所の電話番号を記入した案内文書を同封するでありますとか、これは東京地裁の場合だそうですが、保育サービスの利用希望者が電話を掛けてこられたら、希望地域にある保育所の所在地、保育時間、申込方法などを説明するといった取組が紹介されるなどの議論がなされたところでございます。
 もとより、裁判員制度の趣旨は国民の感覚を裁判の内容に反映させ、司法に対する国民の理解と支持を深めることにあるわけでございまして、その検討会も最終の取りまとめの中で、その運用に関する様々な問題については、今後とも裁判員裁判の実施にかかわる法曹三者等において一層の努力ないし配慮が重ねられて、より良く運用され、ひいては司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することを期待するとしているところでございまして、この際、この中で、検討会の中で述べられた議論も参考にしながら実務の運用に更に努めていくものと承知しております。
#180
○谷亮子君 非常に分かりやすく御説明いただきまして、ありがとうございます。
 今後また、そういった取組が各省の縦割りでなかなか進まないということがないように、また法務省の方からも働きかけ、厚労省になるのかもしれませんが、お互いにかけ合ってその体制を構築していただきたいなというふうに思います。
 また、その中で、裁判員法附則第三条、環境整備にもございますように、国は、裁判員の参加する刑事裁判の制度を円滑に運用するためには、国民がより容易に裁判員として裁判に参加できることができるようにすることが不可欠であるということに鑑み、そのために必要な環境の整備に努めなければならないとございますので、この附則の第三条にございますように、しっかりと構築していただきたいと思います。
 そして、もう時間がありませんので、最後に一点伺いたいと思います。
 次に、裁判員裁判の第一審の判決に沿った形で第二審の判決を出された件数はどれぐらいの割合を占めていますでしょうか、伺います。
#181
○委員長(荒木清寛君) 今崎刑事局長、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。
#182
○最高裁判所長官代理者(今崎幸彦君) お答え申し上げます。
 平成二十五年八月末現在、第一審が裁判員裁判で行われ、かつ第二審で判決を受けた人数は一千四百十三人でございますが、そのうち控訴の理由がないとして控訴棄却、すなわち一審維持の判決を受けたのは一千三百十四人、九三・〇%ということになります。
#183
○谷亮子君 ありがとうございます。
 非常に尊重されているということが分かりました。
 質問も通告いたしていたんですけれども、また次の一般質疑のときに質問させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#184
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。
 最後の質問になりますが、谷垣大臣始め皆様にはよろしくお願いしたいと思います。
 まず、寡婦控除が適用されない非婚の一人親の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 死別や離婚の一人親家庭とそれから非婚の一人親家庭とでは、一人親家庭という点では同じですが、寡婦控除の適用に大きな差があります。例えば、保育料それから公営住宅の家賃が収入から所得控除などを差し引いた所得に応じて決まりますが、これは所得税法が非婚の一人親を寡婦控除の対象にしていません。そのために、非婚の一人親世帯に対しては保育料や家賃の負担が重くのしかかってしまいます。私の地元沖縄県におきましても、寡婦控除を受けられないために公営住宅を退去させられた母子家庭がありました。
 そこで、日弁連に人権救済の申立てが行われて、日弁連から沖縄県などとして経済的苦境を救済するように要望書が出されましたことから、沖縄県では寡婦控除をみなし控除として適用することになりました。これは非婚の母親を合理的理由もなく差別するものであり、憲法十四条に違反すると、これ、日弁連は本年七月十九日に発表いたしました報告書で指摘しております。
 人権問題を所轄とする谷垣大臣に御所見をお伺いしたいと思います。
#185
○国務大臣(谷垣禎一君) 人権問題の所管であるということで糸数先生から御質問がありましたが、婚姻していない母に寡婦控除の適用を認めていないことが合理性のない差別である、日弁連等が批判しておられる、そういうことは私も承知しております。ただ、これは税、主として税務行政でございますので、法務大臣が答弁しちゃうと麻生大臣がびっくりしてしまうかもしれないと思っておりまして、法務大臣としてはこの点について言及することは差し控えたいと思います。
 ただ、一般論としては、合理性のない差別によって人権が不当に侵害されることがないよう、様々なお立場の方々のそれぞれの人権を尊重して擁護していくことは極めて大事でございまして、人権擁護機関を持っている私の職分でもございますので、必要なときにはそのような行動を取らなければいけないと思っております。でも、これは一般論でございます。
#186
○糸数慶子君 非婚の一人親家庭に寡婦控除をみなし適用として独自に支援する自治体が実は増えております。これ、九月の朝日新聞の調べによりますと、主要都市では一県十一市が実施しておりますし、東京の方では文京区、それから新宿区、二区も新たに予定していることが分かっています。沖縄県下では、保育料につきましては那覇市を含めて十七市町村が実施又は予定をしております。
 寡婦控除を全ての一人親家庭まで拡大することを求める意見書など、実は同趣旨のものが二〇一一年十二月からこの二年間で参議院に対して十七件届いていることも併せて御報告をして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、出生届の用紙に嫡出子、そして嫡出でない子の記載を義務付ける問題についてお伺いしたいと思います。
 出生届のその用紙に嫡出子、嫡出でない子の記載を義務付ける戸籍法四十九条の合憲あるいはその違憲性を問う裁判で、最高裁は九月二十六日、規定は合憲と判断をいたしました。しかし、裁判長は、嫡出子か婚外子か他の方法でも知り得るため、この出生届の記載は不可欠ではないと判示をしております。補足意見でも、出生届の記載をめぐる戸籍法の規定に関しましては見直しの検討が望まれるというふうに指摘しております。
 法務省では、民法のこの相続規定とともに既に戸籍法の改正が検討されていると思いますが、今国会で戸籍法のその改正を行われるかどうか、お伺いしたいと思います。
#187
○国務大臣(谷垣禎一君) 現在、最高裁で法令違憲と判断されました民法九百条四号ただし書、これは、この前半部分を削除する改正と同時に、戸籍法、今御指摘の四十九条第二項第一号に規定いたします出生届の届け書きの記載事項から嫡出子又は嫡出子でない子の別、これを削除する改正法案を本国会に提出できるよう現在準備をしているところでございます。
#188
○糸数慶子君 民法の婚外子相続分規定についてお伺いしたいと思います。
 最高裁大法廷が全員一致で違憲と判断したことを重く受け止めなければならないと思います。立法府の私たちが長期間の不作為を厳しく問われたのだということを踏まえ、質問いたします。
 最高裁は、立法府の裁量権を考慮しても、相続格差に合理的な根拠がなければ違憲となると判断基準を示しました。婚姻や家族の在り方に対する国民意識の多様化、そして差別を解消した諸外国の状況、国連から繰り返される婚外子差別撤廃の勧告、国籍法上の婚外子差別を解消したことなどを挙げ、父母が結婚していないという子にとって選択の余地がないことを理由に不利益を及ぼすことは許されず、その子供、子を個人として尊重すべきとの考えが確立されているというふうに指摘いたしました。
 この違憲判断を受けて婚外子の当事者の方からコメントが寄せられておりますので、御紹介したいと思います。
 子供は生まれてくる環境を選べません。子供は親を選ぶことができません。平和な社会に生まれる子供もいれば、戦渦の中に生まれる子供もいます。健康に生まれる子供もいれば、障害を抱えて生まれる子供もいます。両親がそろっている家庭に生まれる子供もいれば、両親がそろっていない家庭に生まれる子供もいます。子供に違いはあっても、どの子も価値は同じです。私はずっとそう訴え続けてきました。存在していけない命なんてないのです。日陰で生きなければならない命なんてないのです。誰かの半分の価値しかない命なんてないのです。今までも、これからも、私は自分に与えられた命を決して半分の力で生きるのではなく、精いっぱいの力で生きるつもりです。これまで支えてくださった多くの方々への感謝の思いとともに。
 このようなコメントです。一日も早く法改正が行われ、全ての人の心から婚外子のくせにというその差別意識が消えることを願っていますと寄せられています。
 最高裁の違憲判断以降、婚外子の当事者の切実な思いを踏みにじるような発言が国会議員から出ていること、極めて残念で仕方がありません。差別を助長するのではないかと懸念しております。
 そこで質問いたします。憲法第八十一条で、最高裁は法律が憲法に適合するかどうかを決定する権限を有する最終裁判所と、有する最終裁判所と規定しています。国会では、反対があるからといっても、最高裁が違憲としたものは速やかに法改正をしなければ、三権分立の統治システムは成り立たないというふうに思います。
 既に、先月二十八日、東京地裁で婚外子側の請求を認める判決も出されております。法改正は待ったなしだと思いますが、谷垣大臣の御所見をお伺いいたします。
#189
○国務大臣(谷垣禎一君) 度々この委員会でも御答弁申し上げたことでございますが、違憲立法審査権を有する最高裁判所が憲法違反の判断をしたということは、私どもとして厳粛に受け止めなければならないことだと思っております。そして、最高裁が法令違憲の判断をされた場合には、法案を提出権を有する内閣としては違憲決定の趣旨に従った措置をとることが期待されているものと、このように認識しております。
 民法九百条第四号のただし書は、相続に関して、これも度々御答弁を申し上げたことでありますが、私人間の法律関係を規律する規定でございまして、この規定が違憲と判断されたわけで、この規定がそのままになっていると、相続が発生した国民にとっては相続に関して従うべき準則が不明確になって、国民の間に混乱を引き起こすことにもなりかねないということから、法務省としては速やかに改正法案を今国会に提出してその成立を図る責務があると、このように考えております。
#190
○糸数慶子君 ありがとうございます。法改正、待ったなしであります。一日も早くこの法案が通過することを心から願います。
 次に、国連の主な人権機関から相続規定については撤廃が勧告されておりますが、国連の社会権規約委員会は二〇〇一年に嫡出概念のその撤廃を、子どもの権利委員会は二〇〇四年に嫡出でない子という差別用語を使用しないよう求めております。諸外国を見ましても、相続規定や嫡出概念や用語のその撤廃は行われており、今ではその差別をする国はほとんどありません。
 法制審議会でも議論は行われていなかったかと思いますが、嫡出用語やそれから嫡出概念は見直しを行うべきだと思いますが、法務省の御意見をお伺いいたします。
#191
○政府参考人(深山卓也君) ただいま御指摘がありましたように、嫡出という用語につきまして国連の各種人権委員会からその使用の撤廃を勧告されたことがあるというのは承知しております。
 各種の人権委員会からの勧告に対しては、条約締約国として誠実に対処する必要があるのはもとよりでございますが、他方で、このような勧告は法的拘束力を有するものではないというふうにも理解しているところです。
 また、嫡出でない子という用語は、あくまでも法律上の婚姻関係にない男女の間に出生した子を意味するものとして民法、戸籍法で用いられている法律用語でございまして、差別的な意味合いを含むものではないと思っております。
 したがって、現段階でこの用語の使用を見直すための法改正をする必要まではないと思っております。
#192
○糸数慶子君 大変残念な答弁でございますけれども、先ほども申し上げましたように、諸外国を見てもこういう差別用語はほとんどありません。これも併せまして一日も早く法改正をやれるようによろしくお願いしたいと思います。
 次に、九六年に法制審から答申されたのは、婚外子の相続分規定だけではありません。選択的夫婦別姓制度導入や女子だけにある再婚禁止期間の見直し、婚姻年齢の男女平等化など多岐にわたります。これらも諸外国では見られない差別規定であり、国連から繰り返し差別撤廃を勧告されています。これらの規定の見直しは、国連を中心とした国際的な女性の権利保障の進展というその中で出てきたものです。
 先ほどもありましたが、一九八五年の女性差別撤廃条約の批准、九一年に改定した新国内行動計画に、男女平等の見地から夫婦の氏や待婚期間の在り方を含めた婚姻及び離婚に関する法則の見直しを行うことと定められていること、そして、九一年一月から法制審議会で審議が始まりました。法制審議会は五年の歳月を掛けて慎重に審議し、九六年に法律案要綱を法務大臣に答申し、法務大臣はそれを当然引き継ぐ立場でいらっしゃると思います。
 この間、谷垣大臣の答弁を拝見いたしますと、世論を理由に慎重な立場を表明されていますが、そもそも民法改正のその議論は憲法や条約の理念に沿って見直すということが出発点であったにもかかわらず、そのことが全くないがしろにされ、その責任を国民に押し付けていらっしゃるようにも思えます。
 そこで、谷垣大臣のこの件に関する御所見をお伺いいたします。
#193
○国務大臣(谷垣禎一君) 法制審議会、これは法務大臣の諮問機関でございますが、今、糸数委員がおっしゃったように、平成八年二月に答申を出しまして、それは嫡出子と嫡出でない子の相続分を同等とせよと、今度の最高裁の決定が要求しているものと同じことを言ったわけでありますが、それ以外にも、今おっしゃった選択的夫婦別氏制度、それから女性の再婚禁止期間を短縮せよと、それから女性の婚姻年齢十六歳であるのを十八歳に引き上げよと、こういったことを含む内容でございました。
 そして、今、今度の法改正は、最高裁判所からあのような、九百条に関しては法令違憲であるという決定が出ましたので、その決定を踏まえて速やかに違憲状態を解消しようということで、まずこれをやるということでございます。それで、そのために今回の改正ではその他の事項を併せて行うことは今考えてございません。
 それで、国民世論に責任を転嫁しているとお叱りを受けましたが、やはり家族の在り方というものはいろいろな考え方がございまして、やはり大きな合意をつくりながら進めなければ、これは時によって、昭和二十年代にできた親族法でございます、親族法、相続法でございますが、その間にもちろん考え方の変化もございましたけれども、やっぱり国民の生活の基礎に家族、家庭というものがございます。多くの同意を取り付けながら進んでいくという考え方も私は必要であると、このように思っておりまして、その点は慎重に検討したいと思っております。
#194
○糸数慶子君 内閣委員会でも指摘をしたところですが、改めて法務委員会でもお示しをしたいと思います。
 今委員の皆様には参考資料をお配りしてございますけど、内閣府は、選択的夫婦別姓についてほぼ五年ごとに世論調査をしております。これから新しい家族をつくっていく年齢層の二十代、三十代の若い世代の多くが選択的夫婦別姓を容認しています。男女とも反対は六十歳以上だけです。六十歳以上の人に反対が多いから必要ないということではなく、若い世代をないがしろにしていると言われても仕方がありません。
 オウチーノ総研が二十代から五十代の既婚男女千百四人を対象に実施した調査によりますと、結婚後の職場で二十代女性の四人に一人、三十代では五人に一人が旧姓を使用しています。また、男性のおよそ八割が女性の旧姓使用を問題ないと考えていることが分かりました。旧姓の方が浸透していることや、新姓使用で生ずる様々な変更を避けるためというのがその理由であります。
 結婚改姓による不都合や不利益が大きいことの表れだと思いますが、九月五日に厚生労働省は二〇一二年の人口動態統計を公表いたしました。その中に、婚姻件数が六十六万八千八百六十九件で、離婚件数が二十三万五千四百六件でありました。夫妻とも又は一方が再婚だったのが十七万四千百二十組で約二六%、四組に一組は再婚カップル、再チャレンジ組であります。結婚や離婚、再婚のたびに一方が名前を変えなければならず、不都合やその不便を感じる方も少なくないと思います。
 谷垣大臣、これらの数字を御覧いただいて、法改正の必要性はないとお考えでしょうか。少なくとも望む人たちには別姓を認めるべきだと考えますが、改めて御見解をお伺いいたします。
#195
○国務大臣(谷垣禎一君) ここは個人的意見を申し上げる場ではないと思っております。国民の合意がどこにあるのかを慎重に見極めながら進みたいと法務大臣としては考えております。
#196
○糸数慶子君 今のアンケート、この調査を見ても分かるとおり、一般世論がこういうふうな状況で変わっている。その動きの中で大臣には答弁を求めたわけですが、ちょっと残念な御答弁でございます。
 次に、国連女性差別撤廃委員会は、第六次政府報告審査の総括所見で、法改正しない理由に世論を挙げていることを厳しく指摘しています。谷垣大臣の御答弁は国連の勧告に反するものと考えますが、大臣は国連の勧告をどのように受け止められているでしょうか。
#197
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほども申し上げましたが、国連及び国際機関から様々な勧告を受けております。その中には全然立場が、先ほど申し上げた、仁比先生にお答えしたのは余り卑俗に過ぎた回答、答弁だったと思いますが、しばしばそういうことがございますので、受け止め方、個人的には反感を持ったり共感をしたりすることがございますが、直ちにそれをもって何らかの理由にしようということは今考えておりません。
#198
○糸数慶子君 世界各国の政財界の指導者が集まるダボス会議を主催する世界経済フォーラムが、十月二十五日、二〇一三年版世界男女格差報告書を公表いたしました。日本の男女格差指数というのが百三十六か国中百五位で、昨年の百一位から後退し、過去最低となっています。男女格差指数は経済、教育、健康、政治の四分野を総合した評価であり、日本は健康分野が比較的評価が高いのに、男女賃金格差が大きいことや女性管理職の少なさから、経済分野が百四位、国会議員や閣僚の女性割合が極端に低い政治分野が百十八位と厳しい評価を受け、総合指数を下げています。
 安倍首相は九月の国連総会で、一般討論演説で大半を女性の人権や社会参加について費やされました。所信でも女性が輝く社会をつくり上げると述べていらっしゃいますが、どうも国際的な場面での発言と国内の施策がちぐはぐで、女性たちの声が届いていないのではないかというふうに懸念をしております。
 働く女性たちが求めているのは、男女格差の解消と結婚や出産における不利益取扱いの撤廃、そして、結婚改姓による不利益や煩雑な手続の解消であるというふうに思います。このことについてどのような感想をお持ちか、改めてお伺いしたいと思います。
#199
○政府参考人(佐村知子君) 女性にとって働きやすい環境を整えて、女性の就業機会や活動の場を充実させていくということは、今日ますます重要な課題となっていると私ども受け止めております。
 今お話のあった、先般、世界経済フォーラムの方で公表されたジェンダーギャップ指数における日本の順位にも、先生御指摘のとおり、経済分野や政治分野における女性の参画の遅れが反映をされて低いものになっているというふうに認識しております。
 本年六月に閣議決定をされました日本再興戦略におきましては、女性の活躍を成長戦略の中核と位置付けて、女性の活躍促進や仕事と子育て等の両立支援に取り組む企業に対するインセンティブの付与などや、様々な女性のライフステージに対応した活躍の支援、それから、男女が共に仕事と子育てなどを両立できる環境の整備といったことを盛り込んでございます。
 また、第三次男女共同参画基本計画には、男女共同参画社会の形成の促進に向けた様々なこれ以外の施策も盛り込まれており、こういった取組を合わせて関係施策をしっかり着実に推進することで、社会のあらゆる分野で女性が存分に活躍できる環境の整備に今後ともしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
#200
○糸数慶子君 谷垣大臣に一言お願いしたいと思います。あと一分ほどございます。
#201
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、佐村局長の御答弁がございましたけれども、私も、女性が輝く社会をという安倍総理の御主張には全く賛成をいたしております。あらゆる局面から女性の進出というものは必要でございますし、女性の創意工夫というのも必要でございます。
 私の役所のことばかり申し上げて恐縮でございますが、今年、いわゆる上級職を三十三名、今年の四月に採用しましたところ、十七名が女性でございました。つまり半分以上が女性になっていると。それから、六つ局がございますけれども、筆頭課長三名が女性でございます。採用の枠が増えましてから少し時間がございませんので、本当にトップの方にはまだ行っておりませんが、そのように法務省の中でも女性が活躍している分野が広がっていることを私は大変いいことだと思っておりまして、今後ともそういうことで努力をさせていただきたいと思っております。
#202
○糸数慶子君 ありがとうございました。
 今、大変いい御答弁をされましたけれども、私が今まで御質問申し上げたことに関しましては、かなり世論と、それから今の大臣の答弁の中身とギャップがありました。御主張されました法務省と同じように、質問いたしましたことも是非進めていただけますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#203
○委員長(荒木清寛君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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