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2013/11/12 第185回国会 参議院 参議院会議録情報 第185回国会 法務委員会 第4号
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2013/11/12 第185回国会 参議院

参議院会議録情報 第185回国会 法務委員会 第4号

#1
第185回国会 法務委員会 第4号
平成二十五年十一月十二日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十二日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     難波 奨二君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                吉田 博美君
                若林 健太君
                小川 敏夫君
                真山 勇一君
    委 員
                石井 準一君
                溝手 顕正君
                宮沢 洋一君
                柳本 卓治君
                山下 雄平君
                有田 芳生君
                難波 奨二君
                前川 清成君
               佐々木さやか君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
                糸数 慶子君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       法務副大臣    奥野 信亮君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  平口  洋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       警察庁交通局長  倉田  潤君
       法務省刑事局長  稲田 伸夫君
       法務省矯正局長  西田  博君
       法務省保護局長  齊藤 雄彦君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        久保 公人君
       国土交通省自動
       車局次長     清谷 伸吾君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○自動車の運転により人を死傷させる行為等の処
 罰に関する法律案(第百八十三回国会内閣提出
 、第百八十五回国会衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省刑事局長稲田伸夫君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(荒木清寛君) 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○若林健太君 自由民主党の若林でございます。
 何の罪もない方が自動車の運転のせいで亡くなったり、大けがをされたりする。特に、栃木のクレーンの事案やあるいは京都亀岡の事案のように、悪質で危険な運転によって小さな子供たちを理不尽かつ突然に失われた御遺族の無念さ、つらさ、悲しさはいかばかりかというふうに思います。
 今回、そのような御遺族も含めた多くの方の御要望を踏まえ、法務省で検討された法律案が提出されるわけですけれども、飲酒運転や無免許運転のような悪質、危険な運転は以前からも多く見られたものであり、御遺族の方々からはもっと早く法整備すべきであったのではないかと、そういう声もあると聞いています。
 この点について、本法律案の立案に至るまでの検討経過について、谷垣大臣にお伺いしたいと思います。
#6
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、若林委員が指摘されましたように、悪質な運転行為によって亡くなる方、犠牲になる方が絶えないわけでございます。それで、今までもこういった犯罪に対して適切な処罰を可能にしなければいけないということで、平成十三年には危険運転致死傷罪というのを新設いたしました。それから、平成十九年には自動車運転過失致死傷罪を新設すると、こういった法整備を行ってきたところでございまして、その後、自動車運転による死傷者事犯数というのは減少傾向にあったというのも事実でございます。
 その一方で、先ほどおっしゃったような、依然として飲酒運転あるいは無免許運転など悪質、危険な運転行為によって死傷事犯が少なからず発生しておりまして、こういう悪質、危険な運転行為による死傷事犯でございましても危険運転致死傷罪に該当しなくて自動車運転過失致死傷罪が適用された事件、こういったものをきっかけとして更なる罰則の見直しが必要ではないかという意見が起こってきたわけでございます。
 この罰則の見直しは刑事の基本法にかかわるものでございましたので、昨年九月に法制審議会に諮問いたしまして、被害者団体等々からヒアリングが行われたほか、七回にわたる部会での審議を経まして、今年の三月に具体的な法整備を内容とする答申をいただきまして、それを受けて今回の法律案をさきの通常国会に提出するに至ったと、経緯を概略申し上げると以上でございます。
#7
○若林健太君 過去の改正にもかかわらず、依然として悪質、危険な運転行為により死傷事犯が少なからず発生し続けていたと、こういうお話がございました。
 その中でも、特に悪質、危険なものとして記憶に残っているものとしては、栃木の大型クレーン車の事案、あるいは京都亀岡の事案や名古屋の無免許運転のブラジル人の事案などがあると思いますが、これらの三つの事案の概要についてお答えいただければと思います。
#8
○政府参考人(稲田伸夫君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のありました三つの事件でございますが、まず栃木県鹿沼市内における事件でございますが、てんかんの疾病を有して投薬治療を受けており、てんかんの発作により意識を喪失して人身事故や物損事故を起こした経験があり、医師から運転をしないよう指導されていた上、てんかんの発作の予兆を感じていたにもかかわらず大型特殊自動車の運転を開始し、時速約四十キロメートルで進行中にてんかんの発作が起きて意識を喪失し、自車を右前方に逸走させ、登校中の当時九歳から十一歳の小学生六人に衝突させて六人全員を死亡させたという事案でございます。これは懲役七年の刑が確定しております。
 それから、名古屋の事件でございますが、これは無免許でかつ酒気を帯びて普通乗用車を運転し、交通整理の行われていない交差点に向かって進行するに当たりまして、前方を注視し道路状況に応じて徐行するなどの自動車運転上の注意義務を怠り、交差点に設けられた横断歩道上を自転車で進行していた十九歳の大学生の被害者に自車右前部を衝突させて死亡させ、かつ同人を救護するなど必要な措置を講じなかったというもので、同じく懲役七年の刑が確定しております。
 京都の亀岡の件でございますが、無免許で普通乗用車を運転して、連日の夜遊びによる寝不足などにより強い眠気を催すなどしていたにもかかわらず、直ちに運転を中止すべき注意義務を怠り、仮睡状態に陥り、自車を右前方に逸走させ、登校中の被害者に背後から自車を衝突させるなどして三人、うち二人が七歳と八歳の小学生、もう一人が当時二十六歳の保護者で妊娠中でございましたが、このいずれの三名の方も死亡させ、そのほかに七人を負傷させたという事案でございまして、懲役五年以上九年以下の刑が確定しているというものでございます。
#9
○若林健太君 答弁を伺っていて、このような自動車運転による死傷事件の悲惨さ、悪質さというのを、また、かけがえのない御家族を失われた御遺族の無念というものを改めて感じるわけであります。制度をつくるに当たっては、こうした方々の思いをよくよく酌み取ってなされなければならないというふうに思います。
 先ほど大臣から、本法律案の立案経緯として、御遺族からの強い要望を踏まえて法制審議会において審議されたということを御答弁いただきました。
 それでは、法制審議会において御遺族や被害者の方々の団体から御意見や御要望をどのように伺っているのか、具体的に御意見、どんな御要望があって、それを審議にどのように反映したのかということを伺いたいと思います。
#10
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほど大臣の方から答弁がございましたように、法制審議会に昨年九月に諮問をいたしました後、刑事法部会、自動車運転に係る死傷事犯関係の部会を開催いたしまして、その部会では昨年十月二十五日と二十六日の二日間にわたりましてヒアリングを行いました。その際に、十三の交通事故被害者団体の方々から直接御意見、御要望を伺ったところでございます。
 その御意見、御要望としていただいたものは多岐にわたります。刑事実体法にかかわるもの以外にも、捜査手続、公判手続等にかかわるもの等もございましたが、この中で刑事実体法による罰則整備に関するものといたしましては、危険運転致死傷罪の適用範囲の拡大を求めるもの、危険運転致死傷罪の構成要件の明確化を求めるもの、ひき逃げをした場合の厳罰化を求めるもの、自動車運転過失致死傷罪の法定刑の見直しを求めるものなどがございました。そこで、法制審議会の同部会におきましては、これらの御要望につきまして考え得る対応、方策案を審議した上で、今回の法案になります要綱が取りまとめられたところでございます。
 なお、この部会には、被害者支援に精通した弁護士の方でありますとか被害者支援団体で活動している方にも委員として常時出席をしていただいたところでございます。
#11
○若林健太君 次に、本法律案の第三条第二項について、自動車の運転に支障を及ぼすおそれのある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれのある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた場合には十二年以下の懲役、人を死亡させた場合には十五年以下の懲役に処すると、こういうふうにされています。
 この条文について、政令に定めることが想定されている病気に関するお医者さんや患者さんの団体から、特定の病気に対する差別を助長するのではないかといった懸念が示されております。本法律案が成立すれば法務省において政令の規定について検討されるというふうに思いますが、このような懸念を踏まえ、今後、政令の内容を検討するに当たっての方針、どのようになっているか教えていただきたいと思います。
#12
○政府参考人(稲田伸夫君) まず、御指摘のような御懸念をお持ちになる方がおられるということは、私どもとしても承知しているところでございます。
 現在におきましても、病気の症状が原因で自動車運転により人を死傷させた場合、自動車運転過失致死傷罪等によりまして処罰され得るところではございますが、新たに設けようといたしております第三条第二項の罪は、一定の病気の影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態であることを認識しているにもかかわらず、それでもあえて自動車を運転した行為、すなわち、具体的な例で申し上げますと、例えば発作を抑える薬を服用しておらず、発作の予兆が生じているにもかかわらず、それでもあえて自動車を運転した行為というような点に危険性、悪質性があることから、そのような運転行為によって人を死傷させた場合に、過失犯でございます自動車運転過失致死傷罪よりも責任非難が高い点に着目して重く処罰しようとするものでございまして、一定の病気の患者が起こした事案の全てを重く罰するものでもなければ、一定の病気にかかっていることのみを理由として重く罰するものではないところでございます。
 そして、自動車運転に支障を及ぼすおそれがある病気につきましては、自動車の運転に支障を及ぼすおそれがあるような、道路交通法において運転免許の欠格事由とされている病気の症状に着目するものでありまして、病名のみに着目するものではないということでございます。
 その具体的な内容を今後政令で定めるに当たりましては、今申しましたような前提に立ちまして、病気の症状に着目した内容とするとともに、医学に関する専門家の方々から対象とする病気やその症状などについての御意見をちょうだいした上で、対象とすべきものを適切に規定できるようにしたいというふうに考えているところでございます。
#13
○若林健太君 これから政令について検討されるんだというふうに思いますが、差別が助長されるというような懸念が払拭されるように努力をしていただきたいというふうに思います。
 総論的なお尋ねは以上として、次に個別の条文についてお伺いしたいと思います。
 本法律案の第二条六号は、通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為を新たに危険運転行為として危険運転致死傷罪の対象とし、通行禁止道路は具体的には政令で定めるというふうに出ています。
 政令では具体的にどのようなものを対象にすることを考えているのか、そして法律ではなく政令で定めることにしている経緯についてお伺いしたいと思います。
#14
○政府参考人(稲田伸夫君) 御指摘の通行禁止道路につきましては、道路交通法で通行が禁止されている道路のうち、その道路を禁止に反して走行することの危険性や悪質性が類型的に高いもの、すなわち、ほかの通行者から見ますと、自動車が進行してくることはないはずであるという前提で通行しているにもかかわらず、禁止に反して自動車が通行してくると、そういう場合があるということに着目しているわけでございまして、そのような場合には、他の通行者からすると回避するための措置をとることが通常困難であるという意味で、この通行禁止道路を通行するものが類型的に危険性、悪質性が高いと考え、それらを選定することとしているところでございます。
 具体的には政令で定めるわけでございますが、現段階で考えておりますのは、車両通行止めの道路、自転車及び歩行者専用道路、一方通行道路の逆走、高速道路の逆走、これは高速道路の中央から右側部分ということになりますが、そこの走行などを対象とすることを想定しております。
 また、通行禁止道路は、道路交通法における様々な通行規制のうちで、他の通行者としては自動車が進行してくることがないはずであるという前提で通行しているかどうかという観点から定めるというふうに先ほども申し上げましたが、そうしますと、道路交通法及びその下位法令を引用するなどして限定して規定することとなりますことから、このような細目的事項を法律に規定することは立法技術的に困難である上、道路交通法令の見直しに伴って本罪の通行禁止道路の対象も弾力的に見直すことができるようにすることも必要でありますために、政令で規定することが適当であろうかと考えているところでございます。
#15
○若林健太君 今、車両通行止め道路を通行禁止道路として指定することを想定しているというお話がありました。
 車両通行止め道路というと、ずっと通行止めになっているところと時間帯によって通行止めになっているところというのがあると思います。特に、いわゆるスクールゾーンのように、例えば朝の一時間だけ車両通行止めになるような道路が政令で定める通行禁止道路に含まれるのかというところが大事になると思います。特に小さいお子さんを持っている方々にとっては関心のあるところだと思いますが、この点についてお伺いしたいというふうに思います。
#16
○政府参考人(稲田伸夫君) いわゆるスクールゾーンにつきましては、道路交通法に基づきまして、道路標識などによりまして特定の時間帯の自動車の通行が全面的に禁止される道路というふうに認識しております。これらにつきましては、当該時間帯は、例えば車両通行止め道路や自転車及び歩行者専用道路として道路交通法上の規制対象に当たります上、実質的に考えましても、当該時間帯にはその道路を禁止に反して走行してくることが他の通行者から見て想定はされない、先ほど申し上げましたような危険性、悪質性が類型的に高いものであるというふうに言えると考えますことから、政令で定めます通行禁止道路に含めていくことが適当であろうというふうに考えているところでございます。
 なお、もとより、通行が禁止されると申し上げましても一定の時間帯に限られておりますので、当然その当該時間帯の間だけでございますし、被疑者といいますか犯人側から見ますと、当然その通行が禁止される時間帯に通行しているということを認識している場合に限りまして当該事犯の故意が成立するということになりますので、そのような時間帯に、かつそのことを、当該禁止されている時間帯であることの認識している場合に限って本罪に該当し得るものと考えているところでございます。
#17
○若林健太君 先ほど答弁をいただいたような悲惨で悪質な交通死傷事犯というのは、二度と繰り返してはならないというふうに思います。かけがえのない家族を理不尽にも奪われた御遺族におかれても、自分たちと同じような苦しみや無念を持つ人がこれ以上増えないようにと切なる願いだというふうに拝察いたします。
 交通死傷事犯の抑止のためには、法務省だけではなく政府全体における総合的な取組が必要であり、本法律案だけで抑止できるものではないというふうに思いますが、本法律案による抑止の効果について、総合的な対策を視野に入れながら、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#18
○国務大臣(谷垣禎一君) 悪質、危険な自動車運転で亡くなる方あるいは大けがを負われるような方、こういう被害に遭われる方が一人でも少なくなるようにと私も強く望んでいるところでございます。
 しかし、今委員の御指摘のとおり、これが法務省だけで、あるいはこの法律だけでできるものではないということも当然のことでございまして、今、第九次交通安全基本計画というのがございますが、これも道路及び交通安全施設等の整備、それから交通安全教育の充実その他の行政的施策を幅広く含んだものでございまして、こういうものにのっとって関係諸機関が総合的に一緒になって取り組まないと効果は上がってこないと。それで、第九次基本計画の下で、今委員の御指摘されたような方向を目指しながら施策を進めているところでございます。
 そして、本法律案だけで自動車運転による死傷事犯の防止、抑止が実現されるわけでないということもまたそのとおりでございますけれども、この法律が成立しますと、悪質、危険な運転行為に対して従来より重い法定刑で臨むことになりますので、特に悪質、危険な運転を行う運転者に対して自覚を促して抑止する効果が十分期待できるのではないかと、こう考えております。
#19
○若林健太君 ありがとうございました。悲惨な交通死傷事犯というのを少しでも減少できるように、法務省を始めとした政府に対して引き続き御努力をお願いを申し上げるとともに、私も努力しますということを申し上げて、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#20
○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として難波奨二君が選任されました。
    ─────────────
#21
○小川敏夫君 民主党の小川敏夫でございます。
 交通事故、特に悪質な運転行為による被害を限りなく防止しなくてはならないという国民の声、これが大変強いわけであります。そうした声にこたえて、こうした法案を作られた法務省の御苦労は本当によく分かるところでございます。
 ただ、なかなか、そもそも自動車運転で事故を起こす、人を傷つけようと思ってやればこれは傷害なり殺人になるわけですから、それはまた別の問題として、事故を起こそうと思って運転している場合じゃないけれども、しかし事故を起こしたということで、基本的には過失事犯だと思うんですね。しかし、中には、一つの難しい類型をとらえて、難しいというか危険な行為を、類型をとらえて故意犯的な要素で厳しくという構造の法体系になっていると思うんですが。
 そこのところで、やはり悪質な運転はなくさなくてはいけない、もしそういう悪質な行為で死傷が生じたら厳罰に処すべきだという国民の声と、一方で、これはやはり刑事罰ですから、構成要件的なものについては厳格にしなくてはならないという両方の要請があるので、なかなか苦心されたところの法案だなというところは私としては感じております。これから質問することも、私どもはもう既に衆議院で党としては賛成しておりますし、私も特にこの法案に反対するという意味ではありませんが、若干質問をさせていただきたいと思います。
 まず、ちょうど若林委員の質問の中にも出ましたのでそこから質問させていただきますけれども、この第二条の六号、これ、通行禁止道路ということでありますが、一般に言う通行禁止道路というと、反対車線にはみ出る、要するに自動車は左側通行ですけれども、一般道路の反対側車線にはみ出して走るというのは、これは入るんでしょうか。
#22
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほど私の方で、通行禁止道路はこういうところを考えているということを御説明申し上げました。その中で申し上げましたように、他の通行者としては自動車が来ないはずであるという前提で通行している、そういうところをあえて通るという意味での危険性ということを申し上げたところでございます。
 そういう意味では、先ほど申し上げましたように、車両通行止めの道路であるとか、自転車及び歩行者専用道路でありますとか、一方通行道路及び高速道路の中央から右側部分、これはすなわち反対車線でございますけれども、これらを想定しているということでございまして、御指摘のような一般道の反対側車線といいますか右側部分の逆走というのは、これらと同等までの類型的な危険性、悪質性があるとは言い難いと考えておりまして、そこは現段階でその通行禁止道路に含めることは考えておりません。
 それは、あえて申し上げますと、追越しをするために一般道路で対向車線を走行する場合のうちに、追越しのための右側はみ出し通行が禁止されていない道路というのがございます。これらにつきましては、対向車線にはみ出して通行すること自体が道路交通法上も禁止されておりませんし、仮に追越しのための右側はみ出し通行が禁止されている道路でございましても、道路交通法上は駐車車両や障害物などを回避するため右側にはみ出すことについては禁止はされていないというふうに認識しておりまして、したがいまして、これらの場合におきましては、他の通行者として対向から自動車が進行してくることはないはずであるという前提で通行しているかどうかという観点からすると、車両通行止め道路や一方通行道路などと同等と言えるほどの類型的な危険性、悪質性があるとは言い難いことから、対象としないというふうに考えているところでございます。
#23
○小川敏夫君 この第二条はもう危険極まりないということを類型化した行為だと思うんですが、五号、赤信号を無視して交差点へ突っ込んでくる、これはもう危険極まりない。六号も、一方通行を逆走するとか高速道路の逆走をするとか、危険極まりないということは分かるんですけれども、例えば、私がよく通るところで、新宿の神楽坂だったかな、午前中と午後で一方通行道路の向きが時間によって反対になるような道路があります。
 五号の場合、赤信号無視の場合には、この条文で「信号を殊更に無視し、」というふうに要件が書いてあるわけです。すなわち、殊更にですから、ついうっかりではなくて、赤信号を認識していながらなおその赤信号を言わば意図的に無視するというふうになっておるわけです。ただ、六号はその殊更がないんですね。つまり、この括弧を省略しますと、「通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」と。
 そうすると、ついうっかり一方通行道路を逆走してしまったという過失によって、一方通行道路に入ってしまって逆走してしまったことによって生じた場合でも、これは処罰の対象になるんでしょうか。
#24
○政府参考人(稲田伸夫君) 御案内のとおり、危険運転致死傷罪は故意犯でございますので、一方通行道路を逆走するような場合でありましても、当然その危険運転の中身であります一方通行を逆走しているということを認識している必要があるわけでございます。
 したがいまして、先ほどから出ております、その通行禁止道路の通行禁止であるということを当然認識して、その上であえて運転をするという行為でなければならないという意味で、一方通行禁止を認識しておらない、例えば先ほどお挙げになられました例で、時間帯によって一方通行の向きが逆になるというような場合に、例えば前の時間帯のことと勘違いをしていて一方通行でないと考えて進入し、そのこと自体が当時の状況からやむを得ない、誰が見てもそうだろうと思われれば、当然それは一方通行禁止の故意がないということになるわけでございます。
 問題は、赤信号の場合の五号につきまして、殊更に無視するという要件が付け加えられております。これがどういう意味かということでございますが、これは、現行の危険運転致死傷罪の中にも当然殊更に赤信号を無視しということはございまして、当時の立法の際の御議論からいたしますと、信号機の場合、時間帯といいますよりも、非常に短時間のうちに青、黄、赤と通行規制の内容が変化いたします。
 したがいまして、信号の変わり際というのがございます。そういう場合に、赤に変わるかもしれないという未必的な認識で進行するということが生じ得るわけでございまして、このような場合についてまで危険運転致死傷罪による重い処罰の対象とするのは適当ではないというようなことがございまして、このような未必的な認識による場合を排除し、およそ赤色信号に従う意思のない者に処罰範囲を限定するために、当時の立法の際に、殊更に無視するという主観的要件が付け加えられたものと承知しているところでございます。
#25
○小川敏夫君 今の局長の答弁にもありましたように、これは故意犯だということを想定した規定だということで、私もこの危険運転致死傷そのものが故意犯だという理解でおるんですけれども。どうもこの第二条の六号、第二条の本文も別に「次に掲げる行為を行い、」というふうに書いてあるわけですから、まあ行いだから、行いが故意犯を意味するのかなというふうに善解できなくもないけれども、この六号を読む限りは、通行禁止道路を進行したということと危険な速度で運転したと、これは両方ともついうっかりがあり得るわけですね。だから、そうすると、ちょっと六号のこの書きぶりだと、必ずしも故意犯じゃなくて、過失犯も範疇に入ってしまうかのような書きぶりに思えたもので、ちょっとそこのところを確認したわけですが。
 そうすると、これは通行禁止道路を進行するということについても故意であって、なおかつ危険を生じさせる速度の点についても故意と。ですから、両方の要件において故意の要件が必要であると、こういう理解でよろしいんでしょうか。
#26
○政府参考人(稲田伸夫君) ただいま御指摘のとおりだろうというふうに考えております。
#27
○小川敏夫君 いや、御指摘のとおりだろうじゃなくて、御指摘のとおりでありますと、刑事罰の解釈ですから、明確にしていただきたいんですが。
#28
○政府参考人(稲田伸夫君) 御指摘のとおりでございます。
#29
○小川敏夫君 ちょっと別の点をお尋ねしますが、これもやはり若林委員の方に指摘がありました。てんかんとか精神障害のお持ちの方の中から、これは病気を持つ人に対する差別を助長するんではないかと、このような声が上がっております。
 そういう観点で、私も、第三条の二項ですか、この条文を読んでみましたところ、「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気」というふうに書いてあります。それで、これから政令でてんかんなどの病気を定めるんでしょうけれども、そうすると、この自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気ということ自体は間違えているとは言わないんだけど、何か病気そのものが自動車の運転に支障を及ぼす病気なんだと、このような印象をちょっと感じるんですね。だから、ちょっとこの書きぶりが、間違いじゃないけれども、もう少し違った書きぶりができたんではないかなというふうにも思っております。
 特に、十四日にそうした方の参考人として意見をいただくので明確になるかと思うんですが、病気の方が全てこうして運転に支障を及ぼすおそれを持っているわけじゃないんで、病気の中でも様々な症状によると。ですから、病気ということの、持っている人がすなわち運転に支障を及ぼすおそれがあるというふうに誤解を招くんだと、こうした指摘であります。
 ですから、私なりに考えまして、この自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気という書き方を、例えば自動車の運転に支障を及ぼす症状を発することがある病気とか、こういうふうに書けばそういう誤解は少しは減ったのかなと思うんですが、この第三条二項の書きぶりはいかがでございましょうか。
#30
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほども御答弁申し上げましたように、自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気というのは、自動車の運転に支障を及ぼすおそれがあるような、言い換えますと、道路交通法において運転免許の欠格事由とされているような病気の症状に着目するものでございまして、病名のみに着目するものではないという前提でございます。
 確かに御指摘のように、この場合に、症状を発するようなでございますか、そういう病気というふうに書くことによって明確化されるのではないかということだろうと思いますが、従来の法律用語、法律で用いられております用語といたしましては、病気というのが、具体的な病名、例えばてんかんでありますとかそういう病名だけではなくて、症状を含む概念として用いられていると考えられるところでございまして、そういう意味からいたしますと、本法案の三条二項に言う自動車運転に支障を及ぼすおそれがある病気につきましても、その具体的な病名のみに限らず症状を含む概念として、これまでの法律用語の使い方として同じものとして、症状を含む概念として用いることとしているところでございます。
 仮に御指摘のような形で規定いたしますと、そういう意味では概念の重複が生じるということでございまして、必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えた次第でございますし、本法案のように、自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気と規定した上で、その具体的な内容につきましては病気の症状に着目して政令で定めることが適切であろうというふうに考えているところでございます。
#31
○小川敏夫君 私もこの今の書きぶりが間違いとは言わないんで、この書きぶりで法的にはよろしいんでしょうけれども、しかし、現実にこれでは誤解が生じるんではないかという声があるわけで、確かにそういう声が上がるのももっともかなと感じるところもございます。
 法律文の書きぶりとして、局長の言葉を借りれば適切だということでしたけど、やむを得ないんであれば、逆に今度は、そういう病気を持っている方の差別にならないように、すなわち、病気が、持っている方が、全ての人が運転に支障があるということではなくて、あくまでもそういう症状を持っている方の固有の問題だということを広く国民全般に啓発して、障害を持っている方の雇用とか生活に支障がないような、そうした趣旨であることを広く国民が認識するように啓発活動を努めていただきたいんですが、ここは局長と是非大臣にもそうした方向での答弁をいただきたいのでありますが、いかがでしょうか。
#32
○政府参考人(稲田伸夫君) まず、私の方から申し上げたいのは、先ほども申し上げましたように、この三条二項の規定が特定の病気の病名のみに着目するものではなくて、自動車の運転に支障を及ぼすおそれがあるような、道路交通法において運転免許の欠格事由とされている病気の症状に着目するものであるということから、政令を定めるに当たりましては、専門的な方々の御意見を聴取した上で対象とすべきものを適切に定めることにしていきたいと思っておりますし、そのことにつきましては十分に啓発をしていくように努力をしたいと思っております。
#33
○国務大臣(谷垣禎一君) 具体的には今、稲田刑事局長の答弁どおりでございますが、私もこの間議論をずっとさせていただき、それから関係団体の方々のお話などを聞きまして、これはやはり啓発活動というのは非常に大事だと思います。
 これは法務省としても、もちろんホームページやあるいはいろいろな通達などに生かしていかなければならない当然のことでございますが、もっと幅広く、いろいろな病気に対する差別や偏見をいかに啓発し、あるいはそういう差別、偏見と闘っていくかという文脈の中で、私どもとしますと、単に刑事あるいは捜査の問題だけではなく、人権擁護等との関係等もないわけではないと思っております。総合的に取り組んでまいりたいと、このように思います。
#34
○小川敏夫君 物事、特に最初が肝心と言います。初めに誤った先入観を持たれてしまいますと、その先入観を払拭するのがなかなか大変でありますので、この法律が仮に成立して公布ということになる、この最初が肝心だと思いますので、是非大臣にも、そうした誤解が国民の間に生じないような最大限の努力をお願いいたします。
 それから、ちょっとこの法律の要件的な構造をお尋ねするんですけれども、第二条一号にあるように、運転するときにそもそももう正常な運転が、第二条の一号ですね、アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で運転すれば第二条の一号になるわけであります。そうすると、第三条は、運転するときには別に正常な運転に支障があるわけではなかったんだけど、運転している間ですか、運転を開始した後に正常な運転が困難な状態に陥ったと、このような構造になっておるんでしょうか。
#35
○政府参考人(稲田伸夫君) 条文の規定どおりでございまして、ただいまもございましたように、二条の場合には、正常な運転が困難な状態で運転を開始し、そのことを当然認識していなければならないということでございます。この場合の正常な運転が困難な状態とは、道路及び交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態をいうというふうに従来されているところでございまして、例えば酒酔いなどの場合には、その影響により前方の注視が困難であったり、ハンドル、ブレーキなどの操作の時期や加減についてこれを意図したとおりに行うことが困難であるなど、現実にこのような運転操作を行うことが困難な心身の状態であると考えております。
 他方、三条で規定しております正常な運転に支障が生じるおそれがある状態は、そこまでは至らないものの、自動車を運転するのに必要な注意力、判断能力、操作能力がそうではないときの状態と比べて相当程度減退して危険性のある状態にあることをいうと考えておりまして、したがいまして、三条に該当する場合は、運転を開始した段階では今申し上げましたような正常な運転に支障が生じるおそれがある状態であり、そのことを認識していたわけでございますが、その後さらに、例えばアルコールであれば酩酊の状態が進み、先ほど申し上げました正常な運転が困難な状態になるような場合が考えられるというふうに思っております。
#36
○小川敏夫君 第二条一号も正常な運転が困難な状態でと、第三条の一項も、運転の開始時は別として、運転中に正常な運転が困難な状態に陥ったということで、正常な運転が困難な状態というのは同じなわけですね。
 ただ、第三条の一項は、そうすると、運転を開始する時点ではまだ正常な運転が困難な状態には陥っていないと、まさに正常な運転が困難な状態ではなくて正常な運転に支障が生じるおそれの状態だと、程度がもう少し軽いというぐらいのところになるわけですね。
#37
○政府参考人(稲田伸夫君) 程度というのはどういうふうかというところはございますけれども、基本的にはそういう考え方に立っておりまして、運転開始時点では正常な運転が困難な状態には至っていなくても、その後、正常な運転が困難な状態になった場合に該当するというのは当然だろうというふうに思います。
 また、その上で、正常な運転が困難な状態になるのは、三条の場合には故意の対象にはいたしておりませんので、元々運転時から正常な運転が困難な状態ではあったものの、本人がそこまでの認識をしていなかった、すなわち故意が正常な運転に支障がある状態にすぎない場合に、結果として正常な運転が困難な状態でございますので、事故を起こし死傷の結果を発生させれば、それも三条に当たり得るというふうに考えております。
#38
○小川敏夫君 論理的な区別もよく分かるんですが、ただ、お酒は飲んで、運転中に更にお酒飲めば別でしょうけど、そうじゃなければ、運転を開始したときから更に酔いが深まるというのがあるのかなと。飲んでお酒が体に回るのが一時間後ぐらいだから論理的にはあるのかもしれないけど、なかなかそういうことがちょっとあるのかなと感じたところであります。
 次に、今度、第三条の二項の方、これは鹿沼のクレーン車の事故ですか、てんかんの方が薬を飲まなかったということが一つの事例としての規定だと思うんですが。二項の方は、病気のせいですと、さっきのお酒の程度でだんだんだんだん悪くなったというんじゃなくて、むしろ運転を開始するときには正常だったと、しかし運転中に言わば発作的に急激な症状が現れて意識がなくなったとか、混濁したとか、もうろうとしたとか、こういう症状が急激に出たということが一般的に想定されると思うんですが、そういうことでよろしいんでしょうか。
#39
○政府参考人(稲田伸夫君) 三条二項の場合につきましても、自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある状態でございますので、全く病気の予兆がないような場合にまでこれを対象としているということでは基本的にはないわけでありまして、当然その病気に罹患していることを本人が認識をしていて、なおかつ、例えば投薬等が必要であり、それを行って運転がやっとできるというような場合に、鹿沼の事例もそうなんですけれども、投薬をせずに運転をしていたということであり、なおかつその予兆があったというような場合でございまして、そういう意味で自動車の運転に支障を及ぼすようなおそれのある状態ということが言えるわけでございまして、基本的にはそういう状態にあったという中で運転を行ったということを対象にしているというふうに考えております。
#40
○小川敏夫君 そうすると、その運転開始時にもう正常な運転に支障が生ずるおそれがある程度、つまり症状がある程度出ている場合なんですか。
 そうすると、例えばてんかんの方でも、薬を服用する、あるいは発作が出なければ私の理解では全く正常に車を運転できるというふうに理解をしておったんですが、じゃ、てんかんの方で、薬を飲まなければ発作が出るよということを認識しているけれども、しかし運転を開始するときには全く正常な運転ができる状態であったとすれば、この三条の二項には当たらないんですか。
#41
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほども申し上げましたように、本人に病識があり、つまり発作が起こり得るという認識があり、かつ発作によった場合には意識喪失状態に陥るということがあり得るということを認識している場合に、将来の走行中のある時点でこの発作による意識喪失に陥る具体的なおそれがあれば、そのことを本人が認識していれば、それは当然にこの支障を及ぼすおそれがある状態に該当すると考えております。
#42
○小川敏夫君 だから、そうすると、要するに運転開始時の認識として、走行中に正常な運転に支障が生じるおそれの病状が出ている必要はないんですね。要するに、そういうことがあり得る状況だという、こういう解釈でありますね。
#43
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほども申し上げましたように、そういう発作が起こり得るということを認識しているということで足りるものと考えております。
#44
○小川敏夫君 いや、ちょっと私の聞き方が悪かったのかもしれないけれども、局長の答弁の、前のその前の答弁のときには、何か運転開始時にもちょっと病状が出ていることが必要であるかのような答弁のように私は聞いたんですけれども、だから前の答弁と言われても困るんだけど。要するに、運転を開始するときには症状が全く出ていなくても、その症状が出るということの可能性があることで足りると、こういうことですね。ですから、運転を開始するときには症状が全く出ていなくてもいいわけですね。
#45
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほどは典型例ということで申し上げたつもりでございましたので、そういう意味では、走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態というのは発作が起こり得るという状態であるということで、それを認識しているということであれば足りると考えております。
#46
○小川敏夫君 なかなか、ここは理屈としていうと簡単かもしれないけど、実際の病気に当てはめるとかなり難しい部分があるんじゃないかとも思うんですがね。
 ただ、私の理解としては、やはり運転を開始するときにもう症状が出ているんじゃないんで、それはまた別のことだといっても、しかし第二条はアルコール又は薬物の影響ですから、運転を開始するときにもうほとんどその症状が出ている場合は第二条にはしかし当たらないんですよね。第二条一号はアルコール又は薬物の影響で正常な運転が困難な状態ということですから、病気の影響によって正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為は第二条には当たらないですよね。
#47
○政府参考人(稲田伸夫君) 当該病気がアルコール又は薬物と関係がなければ、それは当たらないと考えております。
#48
○小川敏夫君 そうすると、この第三条二項の位置付けは、初めから症状が出ている、もう困難な症状が出ている人は当たらないんで、少なくとも困難な状態には至っていない、あるいは全然症状が出ていない人だけの場合が、それで症状が急変したという場合だけが当たると、このように理解できるんですが、そういう枠組みでよろしいんでしょうか。
#49
○政府参考人(稲田伸夫君) それは必ずしも、正常な運転に支障が生じるおそれというのはより広い概念だというふうに思っておりますので、当然、今おっしゃられたのは、発作が起きていて現実にはもう正常な運転が困難な状態に陥って、そこで運転を開始すると、こういう設例かと思いますが、そういう事例があり得るのかどうかというのは、ちょっと私、病気の場合にどこまであり得るかということは把握しかねておりますけれども、仮にそういう事例があったとすれば、それはただ三条の二項に該当し得るもの、つまり、それは支障を及ぼすおそれのより強度な状態にあるわけでございますので、そこは該当し得るというふうに考えております。
#50
○小川敏夫君 そうすると、第二条一号の場合はアルコール又は薬物だけれども、第二条の一号に相当するような病気の症状が出ている場合には、しかし第三条二項もそういう場合も含むんだと、このような答弁でしたね、今の内容は。
#51
○政府参考人(稲田伸夫君) 客観的に、その病気により正常な運転が困難な状態にある場合も、それは客観的には入り得ると思います。ただ、病気で正常な運転が困難な状態に陥った際にどこまで故意としてそれを認識できるのか、当該事案において。
 例えば、てんかんの発作の場合に、既にもう発作が生じてしまっている場合に故意としてその状態を認識できるのかとか、そういう問題はあろうかと思いますけれども、純粋理論的にいえば含まれ得るというふうに考えるところでございます。
#52
○小川敏夫君 責任能力がなければという、それは一般理論は別な問題として、今構成要件のことをお尋ねしたわけであります。
 また別の観点から聞きますが、第三条二項は、しかし、普通のパターンとしては、一般的なパターンとしては、運転はできる状態だけれども運転中に病変が生じて、急激な病変が生じて運転が困難な状態になったということを想定していると思うんですが、それで政令で定める病気として道路交通法と合わせるというような説明をいただいておるんですが。
 では、こういうのはどうでしょうか。例えば、狭心症とか心筋梗塞の発作が出る可能性が十分あり得る人が運転を開始した、あるいは発作を抑えるニトログリセリンを持っていなくちゃいけないのに持っていなかったと。こんなような場合、急激な症状、発作が出れば運転は困難な状態に陥るわけですが、こんなような場合は病気の中には入らないんでしょうか。
#53
○政府参考人(稲田伸夫君) 三条二項での病気についての、政令で今後定めることにいたしておりますけれども、これにつきましては、道路交通法において運転免許の欠格事由の対象とされている病気の例を参考とし、その症状に着目して自動車の運転に支障を及ぼすおそれがあるものに限定することとしておりますところ、これらの運転免許の欠格事由として具体的に列挙されている場合には、今御指摘のような場合は該当していないというふうに思っております。したがいまして、現段階の検討といたしましては、これらを含めることは考えていないところでございます。
#54
○小川敏夫君 狭心症、心筋梗塞といっても、突然の発作が出るのが、可能性といいますか、そんなに高い確率で予知できるわけでもないということもあるんでしょうけれども、これは、例えば政令に定めた病気の中でもやはりそうした急激な病変が起きるという可能性が相当低いものもあり得るんじゃないかと思うんですね。ですから、そこら辺のこれは、何だろう、法律の決め方というか、実際の法の適用の場面ですか、なかなかそうした精神障害なりてんかんなりの具体的な適用に当たってはかなり難しい適用の場面があるんじゃないかと思うんですが、そこら辺のところはどうでしょうか。
#55
○政府参考人(稲田伸夫君) まず、そもそも政令でどのように定めるかというところからこれはきちんとしていかなければいけないというふうに思っておりまして、先ほども申し上げましたように、もし本法案を成立させていただきましたらば、私どもといたしましては、医学等の専門の皆様方から御意見を聴取いたしまして、その中で、どのような形で政令を定めるのが最も望ましいのか、正しいのかということをきちんと議論していきたいというふうに思っております。
 さらに、それをどのような形で適用していくか。特に、検察がこれを立証していくことになるわけでございまして、それはもちろん個別の事案によるわけでございますけれども、一般論で申し上げれば、やはり個々の症状がこの政令で定めるものに該当するかどうかにつきましては、例えばお医者さんの診断内容でありますとか事故前の具体的な病状などをきちんと精査した上で立証していくということになりますし、その際には当然専門家の御意見も聴取していくこと、特に最初のうちはそういうことが必要になるんだろうなというふうに思っております。
#56
○小川敏夫君 非常に刑法の構成要件的にも難しい中、しかし、やはり悪質運転はなくさなければならないという国民の声にもこたえなくてはならないという中で、大変難しい法律の作り方だということは私も感じておるところですが、やはり、しかしだからといって精神障害者やてんかんなどの病気を持つ方がやはり就職とか日常生活に支障があってはいけませんので、そうした運用面での配慮を、また十分に厚く配慮していただきたいと思います。
 これは、またくどいようですが、あるいはそうした配慮をしていただけるということを、やはりまた大臣の方からも強い決意をいただきたいんでありますが。
#57
○国務大臣(谷垣禎一君) その点は全く委員の御主張に同感でございます。
 今いろいろと詰めた議論をしていただきまして私も大変勉強になったわけですが、実際にこれを運用していくとなると、どう判断していくかということも含めて、正しい医学の知識を借りないとなかなか進まないところがあろうかと思いますし、さらにその前提として、何というんでしょうか、世間の偏見や何かを払拭するような努力、これを我々はしていかなければならないと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
#58
○小川敏夫君 むしろ私の方からよろしくお願いしますということになるわけですが。
 今日は警察庁にお越しいただいているわけですけれども、自動車の運転を開始するときには正常だったけれども、自動車を運転中に何らかの病変、急激な病気の症状が現れて運転が困難になる、その結果事故を生じてしまったと、そして人を死傷させてしまったというような、こうした事例ですが、どのくらいあるのか、こうした統計的な資料はあるんでしょうか。
#59
○政府参考人(倉田潤君) お答えいたします。
 運転手がその運転開始時にどのような認識であったかということは別といたしまして、運転者の発作、急病に起因する交通事故の発生件数でございますけれども、平成二十四年は二百六十二件、内訳といたしまして、てんかんが六十三件、心臓麻痺が十八件、脳血管障害が五十四件、その他が百二十七件ということでございます。
 なお、平成二十三年につきましては全体で二百五十八件、内訳は、てんかん七十三件、心臓麻痺二十二件、脳血管障害五十九件、その他百四件。平成二十二年は二百四十三件、内訳は、てんかん六十七件、心臓麻痺二十件、脳血管障害五十一件、その他百五件。平成二十一年は二百八十八件、てんかん六十七件、心臓麻痺二十六件、脳血管障害七十三件、その他百二十二件。平成二十年は二百六十二件、てんかん七十三件、心臓麻痺十八件、脳血管障害五十五件、その他百十六件でございまして、おおむね二百五十件から三百件程度で推移をしているところでございます。
#60
○小川敏夫君 今聞いて、てんかんもあるけれども、心臓あるいは脳血管ということがありました。特に脳血管ですと、自分が脳溢血なり脳梗塞があるということを認識、予知している人は少ないでしょうから同じには扱えないかとは思うんですが、しかし、運転中の病変により運転が困難な状態になったということで起きた事故というと、てんかんだけではなくて心臓疾患、脳血管の病変もかなりの数に上っておるようであります。
 そういう病変が出ることを予知できるかどうかということの問題はあるんですが、どうも政令では、てんかんとかそうした、あるいは精神障害的な病気しか定めないようでありまして、心臓疾患、脳血管障害は含まれないかのように聞いておりますが、この点はいかがでしょうか。
#61
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほども申し上げましたように、この政令で定める病気につきましては、本法律案が成立しました暁に専門家の御意見を聴取した上で定めていくことを考えておりますが、現時点での考え方といたしましては、運転免許を取得することができるというそこのところの切り口を一つの考え方としておりまして、現行法で、現行の道路交通法で運転免許の欠格事由に当たるか否かというのは一つの非常に大きな要素だろうと思います。
 またその上で、この法律が比較的刑罰としても重いわけでございまして、重いか否かにもかかわらず刑罰であるということからいたしますれば、当然のことながら、構成要件の明確性というのは当然必要になってくるわけでございまして、いろいろな要素のあり得るところでどこまでのところを規定するかというのは、かなり範囲として厳格なものでなければならないというふうに思っておりますので、現時点で非常に広い範囲で定めるというのは望ましくはないだろうというふうに思っております。その上で、具体的にどの範囲にすべきかということで考えていく必要があるんだろうというふうに思っております。
#62
○小川敏夫君 広い範囲で定める必要はないだろうということでしたが、しかし、狭い範囲でてんかんや精神疾患だけを取り上げると、結局てんかんやそうした精神疾患等の病気をお持ちの方に対する差別感を助長するんではないかと、こうした気持ちになってしまうわけでありますので、そうした差別感を助長することがないように、もう同じことを何回も言っているわけですけれども、是非努めていただきたいと思います。
 最後に、法務副大臣にちょっと変わった質問をさせていただきますけれども、先日、一般質問で非嫡出子の相続分についてお尋ねしました。非嫡出子の相続分は嫡出子の半分だということでございます。
 ちょっと変わった聞き方をしますが、こうした自動車運転で大変不幸なことに子供が被害に遭って命を落としてしまったというような場合、その被害者となって死亡した子供が非嫡出子だった場合、これは被害者が嫡出子だった場合に比べて運転手の刑は半分になるんですか。
#63
○副大臣(奥野信亮君) 私は法曹界の専門家じゃありませんから間違ったことを言うかもしれませんが、今の御質問にお答えするとするならば、そういう差別はないと思います。
#64
○小川敏夫君 私もそういう答弁をいただけると思ってちょっと変わった聞き方をしたんですが、非嫡出子も要するに嫡出子も人としての権利は全く同じだと、こういう基本的な考えに立っておるわけですよね。いや、副大臣、首を縦に振るだけじゃなくて、是非言葉で。
#65
○副大臣(奥野信亮君) おっしゃるとおり、今の事例で判断する限り、私は、全てが公平であり、人権上も、それから、差別をするべきではないという判断が根底にあると思います。
#66
○小川敏夫君 であれば、子供が生まれてくるときに自分の意思で非嫡出子として生まれているわけではないんで、子供の意思ではなく、子供には全く責任がない事柄で生じた身分関係ですので、是非、民法の分野でも平等に扱っていただきたいというお気持ちを、法務大臣という立場の職責ではなくて、一人の政治家としても是非お持ちいただきたいんでありますが、このところはいかがでございましょうか。
#67
○副大臣(奥野信亮君) 私どもの政党は、部会なりいろいろな委員会で決着が付きますと全員その方向に向かって進みますので、私も、今自民党の部会であるいは民法改正を実行しようという方向でまとまっておりますから、考え方はそれで間違いないということに尽きると思います。
#68
○小川敏夫君 もっと大臣の一人の政治家としてのお考えも聞きたかったんですが、何回聞いても同じような答弁になるように思います。
 非嫡出子も嫡出子も人として全く同じだという答弁をいただきましたので、今日のところはそれで満足させていただきます。
 ちょっと時間余しましたが、基本的な考え方では正しいといいますか、副大臣から答弁いただきましたので、ここで終わります。
#69
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかでございます。
 今回、この法案の審議を行うわけでございますけれども、悪質な危険な運転行為による、人の命を奪うと、そのような重大な事故が残念ながらなくならない、被害者の方々、また御遺族の皆様の御無念はいかばかりかと思います。そうした行為を適正に処罰をするという観点からも、今回の法改正は必要なものであるというふうに思っております。
 ただ、しかしながら、刑罰法規である以上、明確性というものが重要でございます。今回の法律はなかなか定め方として少し分かりにくいというところもございますので、この点について国会の審議の中で明らかにしていくということが重要ではないかと思います。そうした観点から質問をさせていただきます。
 まず、二条の六号に定めが置かれます通行禁止道路、この進行による危険運転についてでございます。
 この通行禁止道路を政令で指定をする場合の考え方の基準については先ほど刑事局長から御説明がございました。そしてまた、一般道路の、普通の道路の右側の逆走ということも、この通行禁止道路、政令で定めるものには当たらないと、このようにお答えがございましたけれども、この点について、しかしながら、普通の道路の逆走であっても、歩行者の方が例えば渡っているときにまさかこちらから来るとは思わないと、そういう危険性もございますし、また、追越しのために右側にはみ出して車が進行するということもありますけれども、例えば一車線が、片側が三車線とか、非常に幅が広いような、そういう道路の場合にはそういう危険、可能性も余りないわけでございます。にもかかわらず、一般道路の右側の逆走ということは今回この政令で定めるものには当たらないと、このように考えていることについて、もう少し詳しく刑事局長の方から御説明いただけますでしょうか。
#70
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、政令で定める通行禁止道路というのは、ほかの通行者から見て自動車が来ないはずであるという前提で通行している場所という意味での類型的な危険性、悪質性の観点から、今回は、道路交通法において自動車の通行が禁止されている道路又はその部分のうち、車両通行止め道路、自転車及び歩行者専用道路、一方通行道路及び高速道路の中央から右側部分とすることを想定いたしておりまして、御指摘のような一般道の右側部分の逆走は、これらと同等の類型的な危険性、悪質性があるとまでは言い難いと考えたところでございます。
 すなわち、追越しをするために一般道路で対向車線を走行する場合のうち、追越しのための右側はみ出し通行が禁止されていない道路につきましては、対向車線にはみ出して通行すること自体が道路交通法上も禁止されておりませんし、また、追越しのための右側はみ出し通行が禁止されている道路でありましても、道路交通法上、駐車車両や障害物などを回避するため右側にはみ出すことについてまでは禁止されていないという状況にございます。
 そういう意味で、他の通行者から見て対向から自動車が進行してくることはないはずであるという前提で通行しているかどうかという観点からいたしますと、やはり車両通行止めや一方通行道路などと同等と言えるまでの類型的な危険性、悪質性があるとは言い難いのではないかと考えております。
 もとより、道路にはいろいろな形状がございまして、今御指摘のように、片側が非常に何車線もあるような道路とか、いろいろあろうかと思います。ただ、構成要件を明確に限定して画していくという観点からいたしますと、今回は、今申し上げたような諸般の点に踏まえますと、やはりなかなか、ここまで通行禁止道路の中に入れることは適切ではないだろうというふうに思いますし、この点につきましては、法制審議会の部会におきまして議論された際にもこの点につきましては同様の御議論がございましたが、その議論の中でも今申し上げましたような御指摘があり、対象としない方向とされたところと承知しております。
#71
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
 では、政令で定めるものとして予定をされております一方通行の道路についてお伺いしますけれども、この一方通行道路というのも、例えば時間帯によっては人通りが少なかったりだとか、様々な状況があると思いますけれども、そういう人通りの多い少ない、また時間帯、そういう状況にかかわらず、一方通行道路の逆走についてはこの二条六号の危険運転の対象になるという理解でよろしいんでしょうか、この点お願いします。
#72
○政府参考人(稲田伸夫君) この通行禁止道路の通行というのは、やはり他の通行者としては自動車が来ないはずであるという前提で通行している道路を、それと認識しながら、そういう他の通行者が認識している道路であると認識しながら重大な交通の危険を生じさせる速度で進行する行為の類型的な危険性、悪質性に着目して、現行の危険運転致死傷罪の類型に追加することとしたものでございます。
 現行の規定の中でも、例えば赤色信号を無視する類型におきましては、時間や人通りなどによって当然差異は生じます。全くその時間帯には通常は車が通らないというような場合も該当し得るとされておりまして、時間や人通りを限定するような要件は設けられていないところでございますし、本罪におきましても、時間や人通りといったその状況を要件とはしないこととしたものでございまして、これはやはり、先ほど申し上げましたように、現に他の通行者があった場合には、その通行者から見れば極めて危険な運転であるということが考えられる行為を切り出したという観点からすると、その時間帯でありますとか人通りという具体的な状況による必要はないものと考えております。
#73
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
 ただ、やはり先ほど申しました一般道路の右側部分の逆走というものも具体的に考えると危険な場合もたくさんあろうかと思いますし、逆に言うと、一方通行道路についても人通りが少ない、現に歩行者の方、また対向車の方がいらっしゃれば危険ではありますけれども、そういったことを考えると、この一般道路の右側の逆走ということを対象にしないということとのバランスが少し取れないような気もいたしますけれども、その点、もう一度御説明いただいてもよろしいでしょうか。
#74
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほど申し上げましたように、対向車線というのは、どこまで通っていいのかということについて道路交通法上いろいろな例外的な定めがございます。そのような中でいろいろと考えなければならないというところもございまして、構成要件の明確性という観点からいたしますと、やはりその対向車線というものにつきましてまで現時点で取り込むことは適当ではないのではないかと考えたところでございます。
#75
○佐々木さやか君 御説明ありがとうございました。
 そうしましたら、次に、第三条の一項に定めがございますアルコール又は薬物の影響による危険運転行為、この点について質問をしたいと思います。
 この三条の一項、また二項の類型というのは、この正常な運転に支障が生ずるおそれがある状態というような言い回しが普通に読んで非常に分かりにくいわけでございますけれども、そして、この薬物というものの中には、例えば市販されているような風邪薬ですとか、また花粉症の薬といったこうしたものも含まれると、そして危険運転の成立の可能性があるというふうにも聞いております。ただ、こうした薬というのは広く国民が使用するものでございますので、もし服用して眠気が生じて事故になってしまったらどうしようと皆さんも非常に御不安に思うと思うんです。
 こういう花粉症の薬、また風邪薬、こうした普通の薬を服用をしていて事故になってしまったと、このような場合に、この三条一項に言います危険運転の罪が成立をするというのはどういった場合なのか、この点について御説明をお願いいたします。
#76
○政府参考人(稲田伸夫君) ただいまのお尋ねが、その薬物、三条一項の薬物について、それが風邪薬のような市販されているものについてということでございますと、この薬物につきましては、確かに現行法の危険運転致死傷罪の薬物の影響の際の薬物にもございます規定と同義でございますので、確かに、規制された薬物に限られるものではなくて、今申し上げました風邪薬のような市販の薬も含まれ得ることにはなります。それはまあ、裸で薬物としていることからそうなるわけでございますが。
 ただ、これは平成十三年に危険運転致死傷罪が創設された際にもそのような御議論がございましたが、一般的に風邪薬や花粉症の薬などはそれほど強い眠気を誘うものではないというふうに考えられておりまして、通常は、第三条第一項のこの客観的要件である正常な運転が困難な状態にまで至るものではないものというふうに考えられると思っているところでございます。
#77
○佐々木さやか君 この正常な運転に支障が生じるおそれがある状態でと、ここに対する故意の認識が必要になりまして、そこがどういう状態で、風邪薬の影響で眠気が生じるかもしれないなと思っていたとか、また説明書きを読んでいたとか、お医者様から、これを飲んだら運転をしてはいけないよと、このように言われていたとか、そういう状況にあったけれども運転をしてしまって、眠気が生じて事故を起こしてしまったと。そういったような場合に、確認ですけれども、こうしたお医者さんからの説明、また注意書きを読んでいたにもかかわらず運転をしてしまったと、こういう場合にこの三条一項に言う危険運転の成立があり得るのかどうか、ちょっとこの点、もう一度分かりやすく御説明いただけますでしょうか。
#78
○政府参考人(稲田伸夫君) お尋ねは、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態というのはそもそもどういう状態かということにまずあるのだろうと思います。それは、自動車の運転に必要な注意力、判断能力、操作能力がそうでないときの状態と比べて相当程度減退して危険性のある状態にあることをいうものと考えております。
 先ほどからお尋ねのございますような風邪薬等による眠気というものがどの程度のものかというのは、これはもうその当該薬によって違う点はあろうかとは思いますが、一般的に申し上げて、確かにある程度の眠気を誘うことはあるかもしれませんけれども、それほど強い眠気を誘うものではないというふうに考えられますし、これがそもそも正常な運転が困難な状態に陥るようなものであるというふうには一般的には考えられないというふうに考えているところでございますし、また、そのおそれのある状態であるかどうかというのも当該その状態によって認識の程度というのは違ってくるわけでありますので、風邪薬を飲んだ程度で必ずしもその状態にあるのかということは、当該事件によって異なってくるのではないかというふうに思います。
#79
○佐々木さやか君 お話によりますと、風邪薬のようなものは、そう強い眠気を誘って正常な運転が困難な状態に陥るようなことも通常は余り考えられないだろうというようなお話でございました。
 そう考えますと、風邪薬自体の危険性は余り高くないのかなという気もいたします。また、例えば覚醒剤ですとか、そういった薬物を摂取したような場合と風邪薬を摂取をして眠気を催したような場合とでは、反規範性というようなところについても違うのではないかなと思います。
 こういったところから、例えばですけれども、風邪薬のような危険性が余り高くないと思われるような薬物についてはこの類型の対象としないというふうに定めるとか、そういったことも考えられるかなと思うんですが、このようにしないその理由について御説明いただけますでしょうか。
#80
○政府参考人(稲田伸夫君) 薬の中には、市販されていたり医師から処方されたりした薬物であっても、運転者の精神的、身体的能力を低下させて正常な運転が困難な状態を生じさせる薬理作用のあるものであれば、その影響による運転の危険性という点では麻薬、覚醒剤等の規制薬物と変わるところがなく、医師が処方した薬あるいは市販薬であることをもって薬物の対象から除外するまですることは適当ではないと考えられます。
 とりわけ、規制薬物に限定をいたしますとすると、いわゆる脱法ハーブでありますとか脱法ドラッグの影響による場合が対象となりませんし、例えば市販の睡眠薬を当然指定された量よりも随分多量に服用したり、あるいは医師に偽りの症状を訴えて処方を受けた薬物を服用したりして、その薬理作用を十分に認識しながらあえて運転をして、結局事故につながるような当罰性の高いものが、この規制薬物に限定してしまうと除外されてしまうというところもございますので、適当ではないと考えております。
#81
○佐々木さやか君 この点、なかなか分かりにくい定め方となっておりますので、国民の皆様にどういう場合に危険運転行為に当たり得るのかというところも是非広く周知をしていただきたいと思います。
 続きまして、同じ三条の二項について御質問したいと思います。
 これは、政令で定めた病気による影響によって正常な運転に支障が生ずるおそれがある状態で自動車を運転をして、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥った場合の故意についてですけれども、これも少し分かりにくい定め方でございます。
 この病気の例として議論をされている中で、てんかんがございます。このてんかんについては、例えば薬の服用を怠っていて、運転中に発作が起こる予兆を感じていたにもかかわらず運転をしたような場合に、その走行中に正常な運転に支障が生ずるおそれがある状態に当たると、私はこのように理解をしておりますけれども、では、統合失調症ですとか、また躁うつ病といった、そういった精神疾患の場合にはどうなのか。こういった病気の場合には服薬状況というのは病気の症状とは相関せず、病気への認識についても精神疾患特有の病識の問題があるというような問題点も指摘をされております。
 ですから、こういった精神疾患の場合にはてんかんとは同じようにはなかなか論じられないというふうに思うんですけれども、この点についていかがでしょうか、御説明お願いします。
#82
○政府参考人(稲田伸夫君) 本罪の基本的な考え方は、一定の病気の影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態、すなわち自動車を運転するのに必要な注意力でありますとか判断能力、操作能力が相当程度減退して危険性のある状態で、そのことを認識しながら運転していたところ、客観的に正常な運転が困難な状態に、これは本人がその認識はないにもかかわらず、そういう状態に陥って人を死傷させた場合に成立するという構造でございます。
 そこで、その際のその病気につきましては、先ほどからも御答弁申し上げておりますように、運転免許の欠格事由を参考にしながら法律で定めることといたしております。したがいまして、政令の中でどのように定めるかという問題ではあろうかと思いますが、仮に政令の中で定めることにいたしますれば、これについて処罰の対象になり得るし、同様に考えることができるのではないかというふうに考えております。
#83
○佐々木さやか君 この点、精神疾患を持つ方が交通事故を起こす確率が高いというようなデータが特にあるわけではない、また、統合失調症や躁うつ病といった疾患の症状が運転に与える影響といいますのは、例えばインフルエンザの高熱で意識がもうろうとしているとか、そういったほかのどのような病気でも起こり得るような運転への影響を特段超えるものではないというような指摘もございます。
 にもかかわらず、精神疾患の場合だけを政令で対象として定めますと、やはり精神疾患による運転への影響というものだけを特別視をしているようで、差別につながるおそれがあるのではないかと思っております。
 こうした差別を防ぐための啓蒙ですとか対策の必要性については先ほどからもお話がございますけれども、また薬の場合と同様に、こうした疾患をお持ちの方が運転をするに当たって萎縮をしないように、そういう社会生活が妨げられないように、どういう場合に気を付けなければならないのかと、そういったことの啓蒙も十分に行っていただきたいと思いますけれども、この点について大臣にお考えをお聞きしたいと思います。
#84
○国務大臣(谷垣禎一君) 衆議院あるいはこの参議院でのこの法案の審議通じまして、特に三条二項のような一定の病気、これは病状に着目すると度々申し上げておりますが、それが一定の病気の差別、偏見につながるのではないかという御懸念はずっと出ているところでございます。
 それで、私どもの考え方は、この罪は、一定の病気の影響で正常な運転に支障が生じるおそれがある状態、しかも、そういう状態であることを認識しているにもかかわらず、あえて自動車を運転したという点に危険性、責められる根拠があるであろうと。でありますから、そういう運転行為によって人を死傷させた場合には過失犯である自動車運転過失致死傷罪よりも重く罰すると、こういう構造になっているわけでございます。そして、決してそれは特定の病気だから罰するというわけでは、重く罰するというわけでもなければ、ましてや特定の病気にかかっているというだけで罰するわけでもないと、そういう法文の構造になっているというふうに考えております。
 もちろん、御指摘のように、国民の間に誤解を生じないような啓蒙、啓発、周知徹底というのを図っていくことは当然大事なことでございますから、それはしっかりやらせていただきたいと、このように思っております。
#85
○佐々木さやか君 ありがとうございます。是非よろしくお願いを申し上げます。
 次に、こうした三条のような危険運転行為の中に、過労による運転、居眠り運転のようなもの、こうしたものについては対象としなかったわけでございますけれども、過労による運転、いろいろな事情があるかと思います。ただ、夜通し遊んでいて居眠りをしてしまうというような悪質なものも中にはあるわけでございます。こうした場合には反規範性というものも高いように思いますけれども、こうした過労による運転を今回対象としなかった理由について御説明いただけますでしょうか。
#86
○政府参考人(稲田伸夫君) 御指摘のように、過労運転は、場合によりましては悪質性、危険性の存するものではございますが、医学界におきましても過労の定義自体が困難だとされておりますし、その中でも、類型的に特に危険性の高いものをとらえて構成要件として明確に規定することが困難であるということがございましたし、居眠り運転を引き起こす過労運転では、意識がある状態と無意識の状態を行き来しながら最終的に意識を失うというメカニズムとされておりますが、そのうちどの段階でその過労運転の故意を認めるかの判断が困難であるということもございまして、今回、危険運転致死傷罪の類型には追加しなかったところでございます。
 この点につきましては、立案に先立ちまして諮問し、御議論いただきました法制審議会におきましても、過労運転について学識を有する方にも委員として御参加いただき検討がなされたところでございますが、今申し上げた内容と同種の議論となり、同様の結論に至ったところでございます。
 したがいまして、現時点におきましては、危険運転致死傷罪の対象に過労運転による死傷事犯を含めることについては慎重な検討が必要であると考えているところでございます。
#87
○佐々木さやか君 必ずしも厳罰化にすることがこうした過労運転による悪質な事故を防ぐということにはならないかもしれませんけれども、例えば労働環境の改善ですとか、それから意識啓発活動、こうしたことについても引き続き政府として是非取り組んでいただきたいと思います。
 次に、被害者の会の方々などから、例えば高速度走行というのは非常に危険であると。この高速度走行というのは、二条では、従来ある条文でございますけれども、その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行した場合に危険運転行為に当たり得ると。この場合は、上限として、法定刑として二十年の刑になるわけですけれども、そこまでのスピードに当たると認定されなかった場合には七年という形で大きな開きがあると。これはやはり不均衡ではないかというお声があるわけでございますけれども、この過失運転致死傷と危険運転の間に高速度について中間的な刑を設けなかったのはどうしてなのか、この点、御説明をお願いいたします。
#88
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほどから御答弁申し上げておりますように、三条一項を設けました趣旨は、アルコール又は薬物の影響での運転によって人を死傷させる行為でありますが、現行の危険運転致死傷罪の対象となりますのは、この影響によりまして客観的に正常な運転が困難な状態にあり、かつ行為者がそのような状態にあることを認識していることが必要でありまして、例えば、その認識がない、あるいは立証ができないときには現行の危険運転致死傷罪が適用できないということになるわけでございます。
 他方で、現行の危険運転致死傷罪におけます進行を制御することが困難な高速度の類型におきまして考えてみますと、この場合も進行を制御することが困難な高速度によって運転をしているという認識は当然必要でございまして、これが立証されなければならないわけでありますが、運転者が客観的にそのような高速度で進行しながらその認識を有しないということはおよそ考えにくい上、実際に当該道路状況等に照らし進路を維持するのが困難と認められる速度を出していた事実は、例えばいわゆるタコグラフ等の記録、犯行現場に残されたタイヤ痕などの客観的な証拠によって認定が可能であるなど、先ほど申し上げましたアルコール又は薬物の類型などに比べますと、その認識の点について問題のある事件、あるいは立証の困難がある事例が考えにくいということがございます。
 また、アルコール又は薬物の類型におきましては、酔いの程度が先ほども御指摘がございましたように徐々に強まっていき、当初正常な運転に支障が生じるおそれがある状態から正常な運転が困難な状態に至るのが大半でございまして、その罪の構成要件を客観的な状態でありますとかその認識の段階に応じたものとして規定することになじむものではございます。
 他方で、今の進行制御困難類型は、速度が速過ぎるため道路の状況に応じて進行することが困難な状態で自車を走行させ、そのことによって人を死傷させる行為を処罰するものでございまして、そこに至らない状態は、つまりそれは道路の状況に応じて進行することが困難とは言えない状態の速度で進行しているということでございまして、先ほど申し上げましたアルコール、薬物類型とは異なりまして、客観的状態やその認識の段階に応じた罪として設けることが困難ではないかと考えられるところでございます。
 したがいまして、現行の危険運転致死傷罪の進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる類型につきまして、なかなかその中間的な類型の罪を創設することについては今後も更に慎重な検討が必要であると考えております。
#89
○佐々木さやか君 ありがとうございます。
 ちょっと時間が迫ってまいりましたけれども、高速度についてはそのような形で中間的な刑は設けなかったという御説明でございました。
 それから、信号無視の場合の走行につきましても、この二条の五号ですけれども、赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視をして進行したと、こういった場合に、殊更に無視と言えるかどうかで危険運転行為に当たるか、また通常の過失運転致死傷に当たるかという差がございます。被害者の側から見れば、客観的な危険というのは同じでございます、信号を無視して猛スピードで走ってくると。その殊更と言えるかどうかという一点で非常に大きな違いがあります。
 こうした点についても不均衡と思いますけれども、中間的な刑を定めなかった点について、ちょっと時間がありませんので簡単で結構ですが、御説明をお願いいたします。
#90
○委員長(荒木清寛君) 稲田刑事局長、簡潔にお願いします。
#91
○政府参考人(稲田伸夫君) 赤色信号殊更無視の類型につきましても、およそ赤色信号に従う意思がなく、殊更にこれを無視して走行させたというその時点の結果をとらえて処罰するものでございまして、客観的状態やその認識の段階に応じた罪として設けることはなかなか難しいのではないかというふうに考えられるところでございまして、今後、どのような段階のものが果たして御指摘のような形で過失犯とは異なる当罰性を有するものとして処罰範囲を画することができるのかという点について、なお慎重に検討する必要があろうかと思います。
#92
○佐々木さやか君 ありがとうございました。
 今日は質問には及びませんでしたけれども、厳罰化だけではなかなか交通事故を防ぎ切れないという観点から、安全教育ですとかそれから再犯の防止、そうした点についても是非政府として取り組んでいっていただきたいと思います。
 じゃ、以上で質問を終わります。
#93
○真山勇一君 みんなの党の真山勇一です。よろしくお願いします。
 私、この法務委員会での仕事を始めてから感じていることがあるんです。それは、やはり社会がいろいろ変わってきたり、それから社会が求めていても、立法府がそれにこたえるような法律の改正ですとか新しい法律作るということがなかなか難しい、進まないというようなことを感じているわけです。ですから、もう既に時代遅れになってしまっていたり、あるいは憲法違反という判断が出ていてもなかなか変えていくまでに時間が掛かるなという、そういう思いがしております。もちろん、法律を変えたり、作る、これはもう慎重にやっていかなければならないということもありますけれども、やはり速やかに対応していくということは私たちの仕事ではないかというふうに思っているんですけれども。
 そんな中で、交通事故関係のこの今回の法案というんですが、多少、危険で重大な事故が起きてからその後追いという感じも否めませんけれども、でも、それでもやはり少しずつでもこうやって変えていくその効果というか、成果を出しているというふうな感じが私はしております。それは、取りも直さず、やはり交通事故ということは人の命にかかわること、命という問題があるので、そういう観点からひとつやはり問題のあるところはどんどんどんどん改め、新しいものを作らなくちゃいけないということがあるでしょうし、それからもう一つは、愛する人を亡くしたその家族の悲しみとか苦しみというものがやはり目の前にある。やっぱりこれを何とかしなくちゃいけないという思いというのもその法改正の大きな大きな原動力に私はなっているというふうに思います。
 ちょっと私事なんですけれども、実は交通事故というと、私は現役の仕事をしていたときに巡り合った大きな事故を思い出します。それは、一九九九年のあの東名高速の東京インターチェンジで、行楽、楽しい楽しい家族旅行から帰ってきた一家の乗用車が渋滞で最後尾に止まっていたところへ後ろから来たトラックに追突されたと。そして燃え上がって、後ろの座席に幼い女の子二人いたんですけれども、お父さん、お母さん、助けることもできず、何もできずにその場にいなければならなかったということ。そして、その現場には大量のお酒を飲んだトラックの運転手がふらふらと歩いている姿、これたまたま偶然テレビクルーが取材をしておりまして、映像がありました。本当に衝撃的な映像だったと思います。私もそのニュースを伝えて、本当にこういう事故が起きることが信じられないというふうに思いましたし、そして何よりもこの事故の罪が業務上過失致死という、そういうことでしたね。
 結局これが原因になって交通関係のこの危険運転罪というのが出てきたわけですけれども、実はこの御家族、井上さんとおっしゃいます。今日、傍聴に来ておられます。井上さん、お久しぶりでございます。
 実は、この事故現場には私は行けなかったけれども、その後、千葉の井上さんのお宅をお訪ねして、二人の幼いお嬢さんを亡くしたそのときの苦しみ、そして悲しみというものをお話を聞かせていただきました。本当にそのとき、井上さん、奥様、一緒に何とかこういう交通の犠牲者を救ってほしいという、そういう思いがあったと思います。
 私はやっぱりそういうことで、今回の法律というのは非常にそういう意味では被害者の立場に立って改正が進められてきたというふうに私は認識をしています。ただ、残念ながら危険で重大な交通事故というのはその後も起きていて、それに合わせてやっぱり法律が変えてこられてきているということも、またそれも一つの評価するべきことであるというふうに思っています。
 今回、この法案で、一つ飲酒のところで、お酒を飲んだけれども、事故を起こしたとき、お酒を飲んでいることを少しでも隠すために現場から逃走してしまう、そして、さめたころ、あるいは少し何か飲んでアルコール濃度が薄くなったところで出てきて罪を認めるというふうなことがあって、その部分、つまりいわゆる逃げ得というふうな言葉で表現されておりますけれども、そういうものをひとつ網をかぶせるということと、それから、これまで無免許運転も、やはり一つは免許を持っていないで事故を起こしたのになぜこのぐらいの罪なんだろうか、このぐらいの犯罪なんだろうかということがありましたけれども、これについても今回は網をかぶせてきているということだと思います。
 伺いたいのは、まず、今回のこの法案の意図するところによって、飲酒運転による事故のいわゆる現場から一回逃げてしまう逃げ得ということと、それから無免許もこれも罪を重くしているわけですけれども、この辺りで、やはりこれでこうした危険、重大な事故を防ぐ抑止力というのは出てくるのかどうか、この辺りの効果というのをどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか。
#94
○政府参考人(稲田伸夫君) もちろん、いわゆる逃げ得の状況でございますとか無免許運転による死傷事故が生じる件数などというものは様々な要因によって左右されるところがございますので、この法律案が成立して施行されたとして、それによって具体的にどれだけ減少するのかということはなかなか定数的に数値としてお答えすることは難しいということは御理解いただきたいと思います。
 ただ、その上であえて申し上げますと、まず第四条の罪につきましては、現在のアルコールの影響による危険運転致死罪の一年以上二十年以下の懲役という法定刑との差は幾らか残りますが、この四条の罪が成立し、その場合はほぼ間違いなく道路交通法違反の救護義務違反の罪が成立いたしますので、その併合罪加重により処断刑が十八年以下の懲役となりますことから、これによりまして、危険運転致死傷罪による重い処罰を免れるために、人を死傷させた後に道交法の救護義務違反の罪を犯してでもその場を立ち去るなどしてアルコールなどの影響が発覚することを免れようとする者に対し、その程度の重い罪が問われるということから、自覚を促して抑止する効果が十分期待でき、逃げ得と言われる状況に対する効果も相当程度上がるのではないかと考えております。
 また、本法案の六条の罪によりまして、法案の二条から五条までの罪を犯した者が無免許であるときには、それぞれ道路交通法の無免許運転罪との併合罪以上の重い法定刑となりますことから、無免許運転をする者に対しましても、この第六条の導入によりまして自覚を促して抑止する効果が十分期待できると考えているところでございます。
#95
○真山勇一君 こうした厳罰化に対する一部反発というか批判も当然あるというふうに思うんですけれども、ただ、厳罰化をすることによって、もちろん飲酒していることはいけない、それから飲酒を少しでも隠そうとして逃げ得もいけないということになって、それが厳罰化してくると、例えば、ここで法律の今はざまを埋めるような改正ができてきているわけですが、今度、逆に、逃げ得を厳罰化したということによって、もうこれだけ犯罪として罪が重くなるんならば、逃げられるんならば逃げ切ってしまおうということで、もう徹底的につまり逃げてしまう、決して例えば自首してこようとかそういうことを思わなくなってしまうというケースも考えられるんですけれども。そういう逃げ切り、逆に厳しくするゆえに逃げ切ってしまおうというふうに事故を起こした本人が思ってくる、そういう辺りの可能性もあるというふうに思うんですけれども、その辺りはどういうふうにとらえていらっしゃいますか。
#96
○政府参考人(稲田伸夫君) 確かに、罪が重くなりますると、それを知っている者にとりましては、それを免れるためにより一層強い気持ちで逃げようとする者が生じ得ることは御指摘のとおりだろうとは思います。ただ、それを完全に抑止するというのはなかなか容易なことではございません。
 他方で、このような法律によりまして重い罪を定めるということが立法者意思として示されることで、通常の方々に対してやはり自覚を促し、逃げることに対する抑止をする効果はやはり十分期待できるというふうに思います。
 いずれにしましても、法務省といたしましては、今回の法改正の趣旨をできるだけ広く周知していきたいと思いますし、検察当局におきましては、第四条に該当する事案があったときには、この立法趣旨を踏まえて適切に対処していき、少しでもそのような逃げ得を許さないように努力していきたいというふうに考えております。
#97
○真山勇一君 分かりました。こういうものというのは法律の予想外のはざま、はざま、逃げてしまうというのは、今回の法の強化の部分もやはりそういうことが出てきてしまうと。また一方で、厳しくするとまたその抜け道が出てくるというようなことがありますので、こういうことも是非速やかな対応をしていただければというふうに思っております。
 今申し上げたように、やはり交通事故、随分減ってきています。それによる死亡者の数も、一万人超えていた死亡者が最近はもうその半分以下、四千人ちょっとぐらいにまで減って、本当に大きく減ってきていると思うんですけれども、その死亡事故の何か、どういうことが事故かなということを調べてみますと、死亡事故の四〇%余り、これが飲酒によるもの、それから一六%余りが無免許によるものということで、これを合わせると六〇%近く占める。つまり、この二つ、飲酒と無免許ということでかなりの事故の比率を占めるわけですね。
 ところが、お酒を飲むというのも、無免許というのも、割合とその当人は意識して繰り返してやってしまうという。お酒を飲んで運転してしまう、いけないと知りながらやっぱり飲んでしまう。それから、免許を持っていない、取っていないのに、運転は悪いと思っていても運転してしまうということがあるんですけれども。そういう常習性あるいは反復性ということを何か示すようなものがあるのかどうかということと、そういうことで、まずそういう統計があるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#98
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 今お尋ねのありました再犯率というものについては、実は形態によります再犯率というのはございません。ただ、同じ罪名で刑事施設に再び収容、入所した者の率についてはございます。
 簡単に申し上げますと、平成十九年に出所した者のうち、同じ罪名によって平成二十三年末までに再入所した者、これが、道路交通法違反が一一・九%、それ以外の業務上過失致死傷等につきましてはゼロ%でございます。それから、一年上がりまして平成二十年に出所した者のうち、同じ罪名によって平成二十四年末までに刑事施設へ再入所した者の罪名別の割合、これも道路交通法が九・三%、若干下がっておりますけれども、九・三%、それ以外につきましてはゼロ%というところでございます。
#99
○真山勇一君 そんなに多い数字ではないかなというふうに思うんですが、私、一つちょっと気になるのは、例えば飲酒それから無免許、こういうものは交通違反で何回か重ねると記録も残るわけですね。そうすると、そういう人がやはり繰り返すことによっていつか大事故につながってしまうということもあってはいけないと思いますので、一回大きな事故、危険な大変な事故を起こして交通刑務所なりに入った人というのは、その後、まさかそんなことはないだろうと思いますけれども、例えば飲酒とか無免許を繰り返している人というのはいつか大きな事故、危険な事故を起こす可能性というのは大きくなるわけですから、その辺り、きめ細かく記録も残ると思いますので、そういうものを取って、そして大きな事故、これはもちろん起きたら罰するのはいいんですけれども、やっぱり防ぐという意味、大きな危険な事故、悲しい事故を未然に防ぐという意味で、その辺りの体制というのも取っていくというのはいかがでしょうか。その辺りのちょっと御提案なんですが。
#100
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 今もやっておりますけれども、やはり被害者の生命や身体に重大な影響を及ぼした事故を起こしたり、あるいは重大な交通違反を頻回する、反復するような者については、やはり当方といたしましてもある程度ピックアップをしまして、所要の改善指導を行うべきだというふうに考えておりまして、少しずつやっておりますけれども、そのように考えております。
#101
○真山勇一君 少しずつやっているということでございますけれども、やはりその辺りもできれば統計を取って、飲酒、無免許というのはいけないんだという、やはり車というのは誰もが運転する今可能性あるわけですから、その辺りの認識、これだけ、お酒を飲むな、飲んだら乗るな、乗るなら飲むなと言われていても起きてしまうという現実もあるわけですから、是非その辺りはひとつお願いをしたいというふうに思います。
 それから、今回の一つ言われていることに、無免許運転に対して刑量が加重されるというふうに言っておりますけれども、何というんですか、感覚的に言うと、無免許というのがやはり自動車運転過失致死傷罪というところに入るということについては、例えば被害者の方ですとか、それから一般的な感覚からいってもちょっとやっぱり違和感があるんではないかというふうに思うわけですね。
 ですから、無免許運転ということを、過失扱いではなくて、やはりひとつ危険運転致死傷罪というふうなところへ入れると、適用するようにするというふうなことはどういうふうに考えておられるのかどうか、これは谷垣法務大臣にお伺いしたいと思います。
#102
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど、危険運転致死傷罪というものが生まれたきっかけの事故、御言及されましたね。あれはそれまでは業務上過失で罰していたと。しかし、もっと悪質なものがあるじゃないかということで、いわゆる傷害罪、少なくとも暴行するには故意が必要な傷害罪あるいは傷害致死罪と同じ刑を適用できないかということから危険運転致死傷罪というものが生まれてきたという経緯がございます。したがいまして、そこで、故意の対象としては、相手に暴行を加えてやろうというのに匹敵するような危険運転致死傷罪には類型が必要だという立法当時の経緯がございます。
 それで、今回も法制審議会では無免許運転を危険運転致死傷罪に含めることはどうかということで議論をいただきましたが、その中で、法制審議会の議論としましては、無免許というのが暴行に準ずるような類型とは言えないんではないかということが一つ、それからもう一つは、無免許と致死傷の結果の間に因果関係があるかどうかと。亀岡の事犯などを見ましても、個別事件どうこうというのを私余り言うといけないんですが、亀岡の事犯なんか、くたくたに疲れるまで夜通し運転したというそういう行為とあの悲惨な結果の間にはもちろん因果関係があるだろうけれども、彼が無免許だったということとの間に因果関係というものはこれは認めにくいのではないかということから、直接的な因果関係というものが認めにくいということから、現時点ではこれを危険運転致死傷罪に入れるのは少し難しいかというのが法制審議会の結論でございました。
 そして、今も委員がおっしゃいましたように、しかし、無免許をここに加えたらどうかというような御議論もずっとあるわけでございまして、言わば検討課題ということになっているわけですが、しかし、今申し上げたような問題点が存在するということはこれはやはりございますので、そこは慎重に議論していかなければならないところだと、このように思っております。そういうことで、無免許と自動車運転過失傷害罪、過失致死傷罪というものを単なる併合罪の加重よりももっと重い類型で処罰するようにしようということで、今回は一応こういう制度を立てたわけでございます。
 私は、以上のようなことを踏まえてこの審議に立たせていただいているわけでございますが、もちろんこういう問題を議論するときには、御遺族のお気持ちや何か、被害者感情というものを十分にそんたくしながら議論を進めていく必要があることは当然だと思っております。
#103
○真山勇一君 ありがとうございます。
 時間がなくなりましたので、あと、ここでずっと何度も話題に出ております、取り上げられております第三条の病気の件についても伺いたかったんですけれども、もういろいろな方が様々な角度から伺っていますので、私としては、やっぱりこの病気、大変難しいということを説明でよく分かりました。ですから、病気に関しては、法律的な問題解決というのを一つ優先的にやるんじゃなくて、やはり医学的な問題、そういう病気の症状、私は病気の症状の方がいいと思っているんですが、症状を持っている方の医学的な面からの、事故があったり事故を防ぐための、そのためのひとつ医療システムみたいなもの、是非こういうものも考えながらやっていただけると有り難いというふうに思いまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#104
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 私も、今回の法改正は悪質な運転の処罰範囲を拡大し法定刑を引き上げるもので、こうした危険運転の根絶に向けた方策の一つになり得るものと考えております。
 しかし、構成要件が曖昧になってはならないということはこれまでも御議論になっているとおりで、今日初めての質問ですので、幾つかただしていきたいと思います。
 まず、危険運転致死傷罪、二条における「正常な運転が困難な状態で」というこの構成要件が、例えば海の中道で発生をしました事件についても最高裁判所まで争われるというようなことがございました。元々、困難な状態というその状態という構成要件は、本罪とそして新設されようとしている三条、ここにしか刑法典上はないのではないかと思われるわけですけれども、この定義をどう解するのかと、そのことと、今回新たに盛り込まれた三条一項の「その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」とはどんな場合を指すのか、ここをまず局長に明らかにしていただきたいと思います。
#105
○政府参考人(稲田伸夫君) まず、お尋ねの正常な運転が困難な状態とは、道路及び交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態をいい、アルコールの影響による場合、酒酔いの影響により前方の注視が困難であったり、ハンドル、ブレーキなどの操作の時期や加減についてこれを意図したとおりに行うことが困難であるなど、現実にこのような運転操作を行うことが困難な心身の状態であることをいうと考えます。また、病気の影響による場合は、例えば発作により意識喪失に陥っている状態などがこれに当たるものと考えております。
 他方、新設いたします三条にございます正常な運転に支障が生じるおそれがある状態とは、自動車を運転するのに必要な注意力、判断能力、操作能力がそうではないときの状態と比べて相当程度減退して危険性のある状態にあることをいい、アルコールの影響による場合を例に取りますと、酒気帯び運転罪に該当する程度のアルコール、呼気一リットル当たり〇・一五ミリグラムでございますが、これを身体に保有している状態にあれば通常はこれに当たるものと考えられます。また、病気の影響による場合について申し上げますと、例えば発作によって意識喪失に陥る場合を例に取ると、現に正常な運転に支障を生じている状態に限らず、将来の走行中のある時点において発作による意識喪失に陥る具体的なおそれがある場合もこれに該当すると考えております。
 以上です。
#106
○仁比聡平君 そのような構成要件であるということを踏まえて、そうすると、これまでも議論があったところですけれども、現実にそうした困難な状態、あるいは新設の三条の本罪で言いますと、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態であるか否かという客観的な事実認定と、それを認識していたかという故意の主観面の問題というのは、これは当たり前のようですけれども、個々の事案ごとにおいて証拠に基づいて判断されると、そういうことになるわけでしょうか。
#107
○政府参考人(稲田伸夫君) 誠に御指摘のとおりでございまして、客観的に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態であること、あるいは正常な運転が困難な状態にあることの立証が必要でございますし、それと併せまして、それぞれの構成要件に定められたところによりまして、それぞれの状態であることの認識が必要であるというふうに考えております。
#108
○仁比聡平君 そういう中で、この三条、アルコール、薬物の影響の場合にちょっと絞った方が分かりやすいと思いますので、三条一項の新設によってどのような行為が処罰対象となるとお考えになるのでしょうか。
#109
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほども申し上げましたように、従来、アルコールの影響による類型の危険運転致死傷罪につきましては、正常な運転が困難な状態で運転をし、よって死傷の結果を発生したということが必要でございますので、酒に酔って正常な運転が困難な状態であり、その認識があるということが当然前提で危険運転致死傷罪が適用されたわけでございます。
 今回の三条一項はそれより法定刑が軽いわけでございますが、その際には、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で運転をしたという客観的状態と、さらに、その結果正常な運転が困難な状態になって事故を起こしたという客観面と、本人の主観としての正常な運転に支障が生じるおそれがある状態であったということについての認識がそれぞれ立証される必要があるわけでございます。
 もとより、個々の事件における立証につきましては当該事件における証拠関係によって定まってくるものでございまして、その際のどの程度の証拠があるかということによることになろうかと思いますが、一般にアルコールの影響による場合に、酒気帯び運転罪に該当するアルコールを身体に保有している状態であり、そのことについての認識を持って運転をしている場合には、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態に該当し、かつその認識が通常あるものというふうに考えられるのではないかと思います。
#110
○仁比聡平君 そうしますと、検察が二条に該当するという主張で起訴をした事案について、証拠関係上、三条の罪というものが縮小認定されると、そういった場合もある、そういう関係になるということでしょうか。
#111
○政府参考人(稲田伸夫君) 事実関係及び証拠関係によりますけれども、公訴事実が二条の正常な運転が困難な状態のものとして起訴した場合であっても、その証拠によりましては三条の認定がなされ得ることもあり得ると考えております。
#112
○仁比聡平君 そうした構造の構成要件について、先ほどアルコールの、道交法上で言えば血中、呼気中の濃度、酒気帯び程度のものがあれば、三条一項に言う支障が生じるおそれがある状態に一般的には当たるであろうというお話があったんですが、個々の事案ごとであるということであると、アルコールに弱い体質の方は、その程度に至らなくても、つまり道交法上の酒気帯び運転罪には該当しない程度のアルコール量であったとしても、三条一項の適用というのはあり得るわけでしょうか。
#113
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほど申し上げましたアルコールの影響による場合に、いわゆる酒気帯び運転罪のアルコールの量を身体に保有している状態である場合が、通常一般にこれが該当するだろうと考えているところでございますが、ただ、この罪はあくまでも酒気帯び運転罪のように客観的に一定程度のアルコールを身体に保有しながら自動車を運転する行為を処罰するものではなく、あくまでも運転の危険性、悪質性に着目した罪でございますから、特にアルコール等の影響を受けやすい者につきまして、酒気帯び運転罪に該当しない程度のアルコール量であったとしても、自動車を運転するのに必要な注意力などが相当程度減退している状態にあると認められる場合には、正常な運転に支障が生じるおそれのある場合に該当することもあり得るものと考えます。
 ただ、その場合につきましても、もとより運転者についてはその点についての主観的認識が必要であるというふうに考えているところでございます。
#114
○仁比聡平君 一般には酩酊に至るような量ではないアルコールを飲酒して運転したという場合がこの三条一項に当たるのかという、この認定が問題になるときに、どんな主観的認識が必要だと、故意がですね、ということになるのでしょうか。
#115
○政府参考人(稲田伸夫君) これは、結局のところは、本人がまずアルコールを摂取しているということは当然認識している必要がございますし、どの程度のアルコールを摂取したのかということもございますし、摂取した時間あるいはそのときの体調等々、様々な要因によって主観的な要素というのは変わり得るところであろうと思いますが、やはり基本的には、どの程度のアルコールを自らが摂取したと認識をしていたのかというのが基本的な要素になろうかと思います。
#116
○仁比聡平君 よく議事録読んで考えたいと思うんですけれども。
 その同じ条項の薬物の影響についても先ほど御議論がありました。風邪薬だとか睡眠薬なども含めて、一般に処方薬であれば千六百以上、市販薬でも千五百以上の品目が服用しての運転を禁じているという、そういう注意書きがあるそうですけれども、こういう注意書きを読んだ上で、だからこの薬を飲むと眠くなるなということを一般的には知った上で運転し、残念な事故を起こした場合にこの対象となるのか、本罪の対象となるのかということについてなんですが、この点について、先ほど一般的な服用では困難な状態に陥るものでは定型的にはないからというお話がありました。
 これは、だけれども、服用する運転者のそれぞれの状況というか、いわゆる個々の状況に懸かってくるのではないかと思うんです。この点はどんなふうに考えるんですか。
#117
○政府参考人(稲田伸夫君) これは、平成十三年の立案の際にも、困難な状態に通常の薬物で陥ることはない、通常の薬品で陥ることはないのかというお尋ねがありました際に、政府側から御答弁申し上げているように、通常考えられないというふうに御答弁を申し上げているところでございます。
 そういう意味で、現在もその点については考え方は変わっておりませんので、通常、いわゆる風邪薬と言われるようなもので正常な運転が困難な状態にまで至るものではないのではないかと考えております。
#118
○仁比聡平君 つまり、眠くなるかもしれないなということで、そういう意味では支障が生ずるおそれはあるかもしれないなと思って服用していても、その結果困難な状態に陥ることはない、だから、そこに結び付くことはないから、定型的にないから、この三条一項の適用はないと、そういう考え方ですか。
#119
○政府参考人(稲田伸夫君) まず、今申し上げましたところは委員御指摘のとおりでございまして、定型的に通常の市販薬で正常な運転が困難な状態に陥ることはないと考えているというところでございます。
 またさらに、三条一項の薬物の影響による類型におきましては、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態についての故意が当然必要でございます。これにつきまして、市販薬でありましても、それを摂取し、その影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態ということを認識しつつ運転する必要があるわけでございますが、仮にその添付文書、風邪薬等に入っている添付文書を読んだことをとらえましても、それは確かに故意を認定することに当たっての一つの間接事実とはなり得ますけれども、そのことのみをもって薬物の影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態にあることの認識を有していたことにはならないというふうにも考えております。
 したがいまして、認識の点におきましても、通常、市販されている風邪薬のその眠気を催すことがありますということを読んで運転したからといって、支障が生じるおそれがある状態の認識があったとまでは言い難い場合が多いだろうと考えております。
#120
○仁比聡平君 次に、三条の二項なんですが、今日も様々御議論があっているところなんですけれども、この新設されようとしている刑罰法規に「おそれがある病気」という文言があると。このことは、これまでの御説明がありながらも、「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの」というこの表現、表現というか構成要件が、だったら何の病気という病名に結び付くそうした懸念を関係の皆さんに広げて、ですから、病気や障害がある方の排除につながる法律を作ってはならないという指摘がなされているのは、これは私は受け止めなければならないことだと思っているんです。
 そこで、今日もお話ありましたが、本条の政令について、道交法にのっとって定めていくというふうに言われていますけれども、その方向についての道交法にかかわる提言が平成二十四年の十月二十五日に一定の病気等に係る運転免許制度の在り方に関する有識者検討会というところでなされておりまして、ここでは、運転に支障を及ぼす症状についての整備が必要であると、あるいは、病気を理由とした差別を助長するおそれが生じないようにするため、現行の様式と同様、特定の病名を記載せずに幾つかの症状を定めた申告書式に記載する方式を取ることが適当であると、そうした考え方が示されているんですが。
 時間がないので、大臣、大臣が繰り返し症状に着目してというふうに御答弁されているのはこれと全く同じだと考えてよろしいでしょうか。
#121
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の御議論、私精細に検討したことはないんですが、私どもが考えておりますことは、従来、道路交通法等で定型的にやはり危険性のあるものとして一定の病気を挙げていたけれども、それは必ずしも病気、その特定の病名に着目したわけではなくて、それと同時に、その一定の定型的に危険のあるような症状を含んだものとして考えているということでございます。
 それで、その考え方は今回の政令でも十分貫いていかなければいけないということだろうと思います。もちろん、そういうふうに申しましても、いろいろな誤解やら考え方があるだろうと思います。十分私どもの考えのよって立つところを広報する、あるいは啓発する、これ十分にしなければならないと、このように考えております。
#122
○仁比聡平君 大臣、またそこにかかわる御答弁の中で、政令を作ることによって、個別具体的な事案においても、医師の診断や病状によって適切な対応が可能であると考えておりますと衆議院で御答弁されていることがあるんですけれども、これはつまり、三条二項で重く処罰されるかどうか、病気として政令で定めるものの影響によりというふうに認められるかどうかについては、これは主治医を始めとした医師の診断が重要な判断要素になると、そういうことなんでしょうか。
#123
○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員のおっしゃるとおりだろうと思います。実際の例えば裁判等に当たりましては、あるいは捜査についてもそうだと思いますが、きちっとした医学の所見を踏まえながらやっていくということが必要ではないかと思います。
#124
○仁比聡平君 もう一つ、ちょっと重ねてのようなお話になりますけれども、先ほど小川理事の御質問に対して局長から、この支障が生ずるおそれがある状態というふうな認識に運転者が立つには、自ら病識があり、発作によって意識障害に陥るおそれがある状態であって、そのことを認識しているという、そういうことが必要であるという御答弁があったかと思うんです。
 それはつまり、医師の診断、主治医の診断や処方どおりに薬を服用しているというような場合、ですから、ちゃんとお医者さんの言うとおりに治療に臨んで、薬も飲んで、お医者さんはそれだったら大丈夫だよということで車に乗った、だけれども、残念ながら意識障害などが起こってしまって事故に至ってしまったというような場合は、この三条一項には適用されないという理解でよろしいですか。
#125
○委員長(荒木清寛君) 稲田刑事局長、簡潔にお願いします。
#126
○政府参考人(稲田伸夫君) 個別の事件における証拠関係によろうかと思いますけれども、今御指摘の場合は、御本人、その方について自分が運転に支障を生じるおそれがある状態で運転をしているという認識に欠ける場合が多いのではないかというふうに思いますので、その点で成立しないということになろうかというふうに思います。
#127
○仁比聡平君 時間が参りましたので、終わります。
#128
○谷亮子君 生活の党、谷亮子でございます。
 本日の議題となっております自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案につきまして伺ってまいりたいというふうに思います。
 近時におきまして悪質あるいは危険な運転行為による重大な死傷事故が発生しているという状況がありまして、それらが従来の危険運転致死傷罪に該当しないために自動車運転過失致死傷罪が適用される件が生じたことを契機といたしまして、これらの罰則の見直しを求める意見が強く発せられるようになりました。
 この自動車運転による死傷事故の実態に即した罰則の法整備につきまして、昨年九月に法務省法制審議会に諮問が行われ、今年三月に答申を受けて新たな罰則を創設するといたしまして、今回の法律案につながってきているものと思います。
 そして、今回新設された処罰といたしまして、条文の第四条に、十二年以下の懲役を科する過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪がございます。この第四条は、酒気帯び運転罪三年以下の懲役と自動車運転過失致死傷罪七年以下の懲役、そして証拠隠滅罪二年以下の懲役を合わせた構造になっております。
 そして、刑法百四条の証拠隠滅罪は、期待可能性が認められないことから、他人の刑事事件に関する証拠を隠滅しようとする証拠隠滅行為を処罰しようとするものでございまして、また第四条は、アルコール又は薬物の影響による自己の犯罪を積極的あるいは消極的に免れようとすることを処罰するものでございます。
 ここで、その刑法百四条と新設される第四条につきまして、処罰の整合性につきましてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。その第四条が設けられました趣旨と併せましてお伺いさせていただきたいと思います。
#129
○政府参考人(稲田伸夫君) まず、その第四条を設けました趣旨でございますが、アルコール又は薬物の影響によりまして正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて人を死傷させた者には、現行の危険運転致死傷罪、これは人が死亡した場合は一年以上二十年以下の懲役になりますが、この罪が適用されますが、犯人が逃走するなどしてアルコール等による影響の程度が立証できない場合がございまして、そうした場合には自動車運転過失致死傷罪と道路交通法の救護義務違反の罪の併合罪、処断刑として科し得る刑の上限が懲役十五年ということになるものを適用せざるを得ないこととなります。
 このように、危険運転致死傷罪は、アルコール等の影響により正常な運転が困難な状態にあったことを要件としておりますところ、その重い処罰を免れるため、人を死傷させた後に道路交通法の救護義務違反の罪を犯してでもその場を立ち去るなどしてアルコールなどの影響が発覚することを免れようとする状況が生じ得ることから、本法律案では、アルコール等の影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転し、必要な注意を怠って人を死傷させた上、運転時のアルコール等の影響が発覚することを免れるべき行為をした者に対する罰則を設けることとしたものでございます。
 そこで、御指摘のその証拠隠滅罪との関係ということでございます。確かに、刑法におきましては、自己の刑事事件に関する証拠の隠滅は処罰の対象とされておりません。これにつきましては、一般に、期待可能性が欠如しているということを考慮したことによるというふうに学説等でされているところでございます。
 ただ、他方で、犯人がほかの人に自分の刑事事件に関する証拠の隠滅等を教唆した場合には、自分の事件のものであっても証拠隠滅等の教唆罪が成立するとするのが判例でございまして、学説におきましても、このような場合には定型的に期待可能性がないとは言えないというふうにしていて、これを認めているところでございまして、自己の刑事事件に関する証拠の隠滅行為でありましても、常に期待可能性がないというわけではなく、一定の場合には期待可能性があり、これを処罰対象とすることも可能であるというふうに考えられるところでございます。
 そして、道路交通法が規律する交通事故を発生させたという状況の下では、車両等の運転者等は救護や報告等を行わなければならないことが罰則によって義務付けられておりまして、そのことは広く一般国民の常識ともなっているのでございますから、このような場合には、自己の刑事事件に関する証拠の隠滅行為を行わないこととすることへの期待可能性が十分にあると考えられるところでございます。
 また、本罪において対象としているものは、証拠一般の隠滅ではございませんで、容易に隠滅されやすいアルコール又は薬物の影響の有無又は程度という点に限定をしておりまして、そのような証拠の隠滅が行われる類型的な実態があるという社会の状態に着目いたしまして、その限りで処罰対象とするものでございます。したがいまして、刑法との関係を踏まえましても、本罪の処罰対象は適切なものではないかと考えております。
#130
○谷亮子君 整合性につきまして、丁寧な御説明をいただきましてありがとうございます。
 やはり、重大な自動車事故におきましては、幇助、そして教唆することによって軽微な罪となり処罰されるおそれもあるのではないかという疑念もございます。そしてまた、その罪の大きさに比べて処罰が小さく軽くなるとその整合性が保たれないと思いますので、明確化させていただくためにも本日改めて伺わせていただいた次第でございます。
 そしてそこで、第四条の過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱が、人を死亡させた場合とそして負傷させた場合とでは同じ懲役十二年以下に処するとなっております。ここでは、人を死亡させた場合と負傷させた場合をこの死傷という一語で明記をされております。しかし、その死傷という意味におきましては、もちろんその罪質も異なってくるというふうに思いますし、当然ここでは飲酒等の量、そして犯行態様又は被害者の負傷の程度など様々ございまして、その罪質が必ずしも合致しているとは言えないというふうに思います。そしてまた、その犯情の軽重を一概に論ずることは、これはまた困難であると思います。
 そこでまた、現行の自動車運転過失致死傷罪におきましても、これはまた致死と致傷で同じ法定刑とされていることから、第四条におきましても、こちらも同じく法定刑に差を設けることは相当ではないということもこれは考慮されているのかなとも思うわけなんですけれども、本罪の法定刑は懲役十二年以下というふうに同じようにされたのではないかというふうに思っているわけなんですが、改めまして、この第四条におきまして、致死と致傷につきましてそれぞれ差を設けず一語で死傷と明記されたことにつきまして理由をお伺いいたしたいというふうに思います。
#131
○政府参考人(稲田伸夫君) 本法案第四条のアルコール等影響発覚免脱罪でございますが、これは、酒気帯び運転罪、自動車運転過失致死傷罪、証拠隠滅罪の複合形態であるというふうに考えております。酒気帯び運転罪は三年以下の懲役、自動車運転過失致死傷罪が七年以下の懲役又は禁錮、証拠隠滅罪が二年以下の懲役とされておりますところ、先ほども御答弁申し上げましたが、証拠隠滅罪につきましては、刑法上、一般には犯人が自ら行った場合には処罰対象とされていないところ、ここではあえて処罰の対象としているということを考え合わせますと、この三つの複合している罪の法定刑の合算より今回新設する罪の法定刑を重く規定することは相当でないと考えられますし、基本となりますのが現行刑法の自動車運転過失致死傷罪でございますので、その自動車運転過失致死傷罪が致死と致傷で同じ法定刑とされていることを考え合わせまして、本罪の法定刑は致死であっても致傷の場合でも十二年以下としたものでございます。
 それでは、自動車運転過失致死傷罪において致死と致傷が同じ法定刑とされているということについてでございますが、これは従前からそのようにされているところでございますが、かつて平成十九年に自動車運転過失致死傷罪が創設されました際にも御議論がありましたが、最近における医療技術の進歩等によりまして、以前であれば亡くなっていた被害者が、一命を取り留めたものの、いわゆる植物人間その他重篤な障害の結果が発生するものが少なくないという状況がある上に、自動車運転過失致死傷罪は過失犯でございまして、結果の発生を容認又は意図している故意犯とは異なりまして、死傷の結果が偶然の事情に左右される場合も多いことなどからいたしますと、致死と致傷の法定刑を区別することが適当でないと考えられたとされているところでございまして、今回もそれを踏襲させて考えているところでございます。
#132
○谷亮子君 丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。
 複合形態であるということはそれは理解いたしておりますけれども、被害者や御関係の方々の心情を思えば、やはりそこは、致傷に比べて命を落とされた場合に、アルコール等の影響の発覚を免脱する行為は許し難いものがあるというふうに思うわけでございます。ですから、罪質も異なってくるという現状もあるとは思いますけれども、やはり今後、正当な処断がされていくということを望んでまいりたいというふうに思っております。
 そしてまた、この第四条の免脱罪は、第二条や第三条の危険運転致死傷罪が成立しない場合、あるいはその立証ができない場合に適用される関係として設けるものでございまして、また免脱罪と道路交通法七十二条の救護義務違反は独立して併合罪となりまして、合わせた量刑は、第四条の懲役十二年のこれは一・五倍の懲役となりまして十八年以下となります。
 そして、その最高刑の二十年以下の懲役よりもこれは軽いものとなるということになるわけなんですけれども、改めまして伺いたいと思いますが、その量刑で逃げ得が生じないという状況が一定程度是正されるところはどういったところにあるのか、御説明をいただきたいというふうに思います。
#133
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほども申し上げましたように、第四条の罪は、酒気帯び運転罪と自動車運転過失致死傷罪、それから証拠隠滅罪の三つの罪の言わば複合形態の罪でございますし、証拠隠滅罪について、一般には刑法上、犯人が自ら行った場合には処罰対象とされていないことを考え、これら三つの罪の法定刑の合算の十二年よりも重い法定刑を規定することは相当ではないというふうに考えたこともあって、懲役十二年以下というふうにしたところでございます。それによりまして、救護義務違反、十年以下の法定刑でございますが、この罪との併合罪加重によりまして、処断刑は十八年以下となるわけでございます。
 確かに御指摘のように、アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて人を死亡させた場合に適用される第二条第一号の危険運転致死罪が一年以上二十年以下の懲役とされていることからいたしますと、そこに二年分の差は残っておりますが、本罪を設け、この種の行為を重く処罰することを立法により明らかにすることになりますし、そのことによりまして、いわゆる逃げ得が生じている状況が一定程度はこれにより是正されるものと考えているところでございます。
 さらに、これまでは、今申し上げました併合罪加重をするに当たりまして、人の死傷を評価する自動車運転過失致死傷罪ではなく、救護義務違反の罪を基準にして併合罪加重をされてきたというのが実態でございますが、今回は、人の死傷を評価した罪であります四条の罪を基準として併合罪加重がされるようになりますことから、そういう意味でも事案の実態に即した併合罪加重がされることになり、一定の意義があるものと考えております。
#134
○谷亮子君 ありがとうございます。
 やはりその第四条、今御説明いただきましたけれども、この免脱罪は道路交通法の救護義務違反の罪との併合加重であると今お話ございましたが、その処断刑が十八年以下となりますけれども、二条一号の危険運転致死傷罪の二十年以下との差も残ります、これ今お話ございましたけれども。その中で、その処罰の適正という観点からも、新設される第四条の、その運転のときのアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的でとここでは限定されていることから、新たに法定刑が重い罰則で処罰するという合理性がこれは見出されるものであるというふうに理解をいたしました。
 そしてそこで、発覚免脱罪の共犯についてもここで伺いたいと思います。
 事例を挙げて申し上げさせていただきますと、飲酒運転により事故を起こし死傷者が発生している場合、事故後、現場を走り去った後、知人や同乗者が身代わりを名のる場合、あるいは事故後、加害者に水を大量に飲ませ血中のアルコール濃度を緩和する行為をさせ飲酒運転を隠蔽させるとした場合、また、飲酒運転を知りながら重大事故を犯した加害者の運転する車に同乗した者、これそれぞれが証拠隠滅罪、そして道路交通法違反の罪にこれは問われると思いますが、共犯の厳罰化を図るということで、社会全体で重大な交通事故を防ごうとの意識がこういうことをやっていくことによって進んでいくというふうに思いますけれども、やはりそういった状況も加えながら、本条の趣旨からすれば、第二条、第三条の罪の発覚を免れる犯罪の教唆犯として、そして幇助犯としても加重した罪に問われればこそ、ここは本法律案に期待される社会の共通認識として重大事故を抑止する作用が実現できるというふうに私は思っているわけでございます。
 今後の方針も含めまして、法務省の御所見をお伺いしたいと思います。
#135
○政府参考人(稲田伸夫君) まず、本法案上、御指摘の共犯の処罰がどうなるかという点からお答えをしたいと思いますが、第四条の過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱の罪は、アルコール又は薬物の影響により正常な運転に支障を生じるおそれがある状態で自動車を運転する行為、その運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させる行為、そして免れるべき行為の三つの複合形態であります。それは先ほどから何回も申し上げているとおりでございまして、そのいずれもが実行行為ということになります。そのうち、最後のその免れるべき行為にのみ加担した者の刑事責任はどうなるのかという問題だろうと思います。
 これは、実は法務省で立案に先立って審議された法制審議会におきましても議論があったところでございまして、刑法の講学上、いわゆる承継的共同正犯と申しまして、ある者が既に実行行為の一部を行ったが、まだその実行行為が終了するに至らない前に他の者が共同実行の意思を持って実行に参加する場合に、どこまで前の者の行ったものの責任を負うのかということについて、これは累次最高裁の判例がございまして、いろんなケースについて最高裁の判例がございます。
 それについての理解というのは、これはなかなか学者の先生方の間にもいろいろな御見解がありまして、法務省としてなかなか確定的なお答えをすることは難しいところでございますが、先ほど申し上げました法制審議会における御議論で、刑法の第一線の学者の先生方相当数に参加していただきましたが、なかなか議論が難しいところではあるものの、第四条の罪の共犯は成立しないだろうという結論が、ほぼそのような意見であったわけでございまして、そういう意味では、基本的には自らが実際に加担した免れるべき行為についてのみ責任を負うことになるんだろうというふうに考えております。
 ただ、問題は、その免れるべき行為にのみ関与した者につきましては、運転手である他人の刑事事件の証拠隠滅を行ったことになりますので、当然、刑法百四条の証拠隠滅罪が成立し得るものと考えられます。
 本罪の免れるべき行為に関与した者にとどまらず、現在、その証拠隠滅罪一般の法定刑の在り方につきましては、別の法制審議会の新時代の刑事司法特別部会で御議論もいただいているところでございまして、法務省といたしましては引き続き検討していきたいと考えております。
#136
○谷亮子君 時間も限られておりますので、最後の質問とさせていただきたいと思います。谷垣大臣にお伺いしたいと思います。
 平成十三年の刑法改正で危険運転致死傷罪が新設をされまして、一定の実効性は上げられていますが、自動車事故による犯罪の重罰化により、更なる証拠隠滅そして逃走等を生むことへの懸念がございます。
 こうした中、法務省として今後どのようにこういったことに対して対処されていくのか、またどういった方針をお持ちか、谷垣大臣の方に最後お伺いしたいと思います。
#137
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、重罰化をしたり新しい刑罰を設けたりすると、何というんでしょうか、それを潜脱するために、その網をかいくぐるためにまた悪知恵を使う人が出てくるというのは、残念ながらそういうことはございます。しかし、私としては、この本条を設けることによってやはり立法意思をきちっと示すと、こういうものは許さないんだと、重罰化をして許さないんだということによって抑止効果というものを期待することができると私自身は思っております。
 それで、もちろん、法務省はこの趣旨、また検察等々、捜査当局もこの趣旨をよく踏まえなければなりませんが、この罰則が施行された後、検察当局において、この第四条に当たるような、第四条のような潜脱があるということを、事案が発生したときには、その趣旨を踏まえて、やはり法と証拠にのっとって検察としての機能をきちっと発揮しなければいけない、そういうことだろうと思っております。
#138
○谷亮子君 ありがとうございます。谷垣大臣、丁寧な御説明ありがとうございます。そして、稲田刑事局長もありがとうございました。
 終わります。
#139
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほどから議題に上がっております自動車運転処罰法について、まず自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気の具体的内容と、病気に対する差別が助長される懸念についてお伺いをしたいと思います。
 法制審議会の答申によりますと、政令で定める自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気は、道路交通法において運転免許の欠格事由の対象とされている病気の例を参考とし、その症状に着目して、自動車の運転に支障を及ぼすおそれがあるものに限定するとされており、谷垣法務大臣も衆議院法務委員会においてその旨の答弁をされています。
 一方で、日本精神神経学会、日本てんかん学会、日本うつ病学会、日本認知症学会、日本不整脈学会、日本睡眠学会及び日本神経学会の七学会は、衆参法務委員会において提出いたしました要望書、これ、平成二十五年九月三十日の要望書の中で、第三条第二項の対象となる一定の病気による事故率が他の要因と比較して高いという医学的根拠はないというふうに主張しています。
 そこで、全交通事故に占める発作、急病による事故の件数について、まず警察庁にお伺いをしたいと思います。
#140
○政府参考人(倉田潤君) お答えいたします。
 平成二十二年から二十四年までの交通事故発生件数につきましては約六十七万件から七十三万件でございますが、このうち運転者の発作、急病に起因する交通事故の発生件数につきましては、平成二十四年は二百六十二件、平成二十三年は二百五十八件、平成二十二年は二百四十三件でございまして、おおむね二百五十件程度で推移をしているところでございます。
 また、このうち死亡事故件数につきましては、平成二十四年十三件、平成二十三年二十一件、平成二十二年十件でございまして、おおむね十件から二十件程度で推移をしているところでございます。
#141
○糸数慶子君 発作、急病による事故が交通事故全体に占めるその割合は決して高いものではないにもかかわらず、一定の病気の影響による場合を危険運転致死傷罪の対象とする理由は何でしょうか。
#142
○政府参考人(稲田伸夫君) 病気の症状が原因で自動車運転により人を死傷させた場合、現行法でも自動車運転過失致死傷罪などによりまして処罰され得るところでございます。
 今回の第三条第二項の危険運転致死傷罪は、一定の病気の影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態であることを認識したにもかかわらず、それでもあえて自動車を運転した場合、具体的に申しますと、例えば発作を抑える薬を服用しておらず、発作の予兆が生じているにもかかわらず、それでもあえて自動車を運転した行為のような点に危険性、悪質性があることから、そのような運転行為によって人を死傷させた場合に、過失犯である自動車運転過失致死傷罪よりも、当罰性、すなわち責任非難が強いものとしてより重く処罰しようとするものでございます。
 したがいまして、発作、急病による事故の交通事故全体に占める割合そのものによって本罪の必要性、合理性が左右されるものではないのだろうというふうに考えております。
#143
○糸数慶子君 過労運転を危険運転致死傷罪の対象とせず一定の病気の場合には該当し得るとすることは、病気による差別であり、病名に対する偏見を形成し助長する危険性があるとの指摘もあります。病気に対する偏見、差別が助長されないよう、法律の趣旨を分かりやすく丁寧に国民に説明する必要があるのではないでしょうか。谷垣大臣にお伺いいたします。
#144
○国務大臣(谷垣禎一君) それはもう委員のおっしゃるとおりだと思います。
 それで、三条二項の場合に、こういう罰則の類型、普通の過失傷害よりも過失致死、過失傷害を重く定めた理由は、そういうおそれがあることを知っていて、しかもやったというところに重い原因があると先ほど刑事局長が御説明申し上げました。したがって、決して、ある病気であるからとか、そういう理由で処罰をするわけではないわけですね。ですから、その趣旨は私ども丁寧に発信していかなければならないと思っております。
#145
○糸数慶子君 先ほど述べましたこの七学会の要望書の中で、病気、並びにその程度と、運転技能及び交通事故との関係を科学的に明らかにすべきであるとしています。また、第百八十三回国会においては、一定の病気等に係る運転者対策等を内容とする道路交通法の一部を改正する法律案が成立いたしました。私も当時、内閣委員として質疑に参加をいたしております。その際、内閣委員会は、附帯決議、平成二十五年五月十六日のこの附帯決議の中で、国内外における一定の病気に関する科学的な調査、研究を推進するとともに、最新の医学的知見を反映させるため、一定の病気等に係る免許の可否等の運用基準については、必要に応じて見直しを行うということで、政府に対して附帯決議も付けております。
 そこで、第三条第二項のこの病気についても、法施行後も絶えずフォローアップを行い、医学界の専門的知見や、意見や、あるいは患者団体の意見を聞く機会を確保し、この免許の可否基準の見直しに応じて必要な措置を速やかに講じるべきであると考えますが、政府の見解をお伺いいたします。
#146
○政府参考人(稲田伸夫君) まず、本法案が成立いたしました暁にはこの政令を定めることになりますが、この第三条第二項の自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気を政令で規定するに当たりましては、運転免許の欠格事由とされている病気の例を参考とし、医学に関する専門家の方などから対象とする病気やその症状などについて専門的な御意見を聞いた上で、この三条二項の危険運転致死傷罪の対象とすべきものを適切に規定したいと考えております。
 そして、この三条二項が今回の法律案において初めて導入される犯罪類型でございますことから、引き続きまして、運転免許の欠格事由の対象とされる病気の例を参考とすべく、その動向に留意するとともに、本罪の適用状況などについて注視してまいりたいと考えております。その上で、将来、道路交通法令において新たな一定の症状を呈する病気が類型化され運転免許の欠格事由に追加され、あるいは現行の欠格事由の一部が欠格事由とされなくなるなどの改正がなされる場合には、それを危険運転致死傷罪の対象とするかを含め検討したいと考えております。
#147
○糸数慶子君 次に、ひき逃げを重罰化することによる抑止効果についてでありますが、本法律案第四条で新設される過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪の法定刑の上限は十二年の懲役ですが、この罪と道路交通法の救護義務違反は併合罪の関係に立つのでしょうか。また、その際の処断刑についてお伺いいたします。
#148
○政府参考人(稲田伸夫君) まず最初に結論から申し上げますと、新設される第四条の罪と道交法の救護義務違反の罪との罪数関係は併合罪になると考えております。
 その理由について御説明いたしますと、まず、第四条のアルコール等影響発覚免脱罪の罪の態様はその場を離れるものでございます。それに対しまして、道路交通法違反の救護義務違反は救護をしないという不作為犯ということでございまして、作為犯と不作為犯という点でまず違うものでございます。また、アルコール等影響発覚免脱罪は、救護義務違反の罪と異なりまして、単にその場から立ち去っただけで直ちに成立する罪ではないわけであります。先ほど、その場から離れるものでありますと言いましたが、その場から離れるものであったとしてもということでございまして、いずれにしても、行為の態様が、アルコール等影響発覚免脱罪と救護義務違反の罪とではその態様が異なってきております。
 一般に罪数の考え方について最高裁が取っております、法的評価を離れ構成要件的観点を捨象した自然的観察の下で行為者の動態が社会的見解上一個のものと評価できるか否かという観点から考えますと、併合罪の関係になるということになると思います。
 さらに、アルコール又は薬物を摂取する行為でありますと、これは明らかに救護義務違反とは別個の構成要件的行為でございますので、併合罪になると考えております。そのようになりますと、アルコール等影響発覚免脱罪と救護義務違反の罪は、処断刑といたしましては懲役十八年以下ということになります。
#149
○糸数慶子君 十八年の懲役という処断刑ですが、これは第二条の危険運転致死罪の二十年に比べると軽いとはいえ、相当に長期間であります。第四条を新設することによって期待される逃げ得の是正効果についてお伺いいたします。
#150
○政府参考人(稲田伸夫君) なかなか、ひき逃げ等の事案の発生というのは様々な要因によって左右されるところがございますので、ストレートに新たな罪の創設によってどの程度罪がというか、犯罪の発生が減少するかお答えするのは難しいところはございますが、いずれにいたしましても、危険運転致死罪の二十年以下と法定刑で僅か二年とはいえ差があるものの、やはり十八年以下というかなり重い罪で処断されることになりますことからいたしますと、このような事故を起こした後にその場を立ち去るなどしてアルコール等の影響発覚を免れようとするような者に対しましては、その自覚を促して抑止する効果は十分期待できるのではないかと、その意味において逃げ得と言われる状況に対する相当程度の抑止効果があるのではないかというふうに考えております。
#151
○糸数慶子君 ひき逃げに対しては、重罰化するのではなく、現場から事故を通報したり被害者を救護した者については必要的に刑を減軽するか刑の免除をすることによって、加害者がそのような行為をすることに恩典を与える方が被害者の救護を促進することになるとの意見もあります。ドイツ刑法第百四十二条四項にそのような規定が設けられており、そのような立法例がありますが、政府の御見解をお伺いいたします。
#152
○政府参考人(稲田伸夫君) 外国法令につきましては、なかなか私ども、つまびらかにできないところがございますけれども、御指摘のドイツ刑法百四十二条第四項は物損のみが生じた場合に限って適用されるものではないかというふうに考えておりまして、人を死傷させた場合にまでは対象になっていないように思われます。
 ただ、いずれにいたしましても、御指摘の制度が死傷事犯について刑の減免をするということでございますと、我が国におきましては、現に交通死傷事犯を起こした多くの方は自主的に通報、救護しているという実態がございます。それに鑑みて、他方で救護等をせずに現場から立ち去っている一部の者に対処するために、結果の軽重にかかわらず、広く恩典として刑の減免制度を設けるのは相当ではないのではないかというふうに考えているところでございます。
#153
○糸数慶子君 次に、無免許運転であった場合に加重した法定刑を定めることの妥当性についてお伺いいたします。
 第六条では、運転時に無免許であれば、事故と因果関係がなくても加重が行われるということよろしいでしょうか。
#154
○政府参考人(稲田伸夫君) 委員御指摘のとおりでございまして、第六条の無免許運転による加重の罪は、第二条から第五条までの罪を犯した者がその罪を犯したときに無免許であれば、無免許であることと人の死傷との間に因果関係を問うことなく成立するものでございます。
#155
○糸数慶子君 無免許運転行為が死傷の結果に影響していない場合において、その行為が一律に違法性や責任を高めるとは考えられないとの意見もありますが、無免許運転によるその加重を行うとした理論的根拠についてお伺いいたします。
#156
○国務大臣(谷垣禎一君) この六条に関してはいろんな意見がございます。無免許運転そのものを危険運転にせよという御意見もありますし、今の糸数委員の御意見は、どちらかというと、その因果関係のないといいますか、そういうようなものを重く罰するのはどうかという問題意識に発して御質問があったというふうに認識しております。
 そこで、私どもの考え方を申しますと、まず、自動車運転する場合に免許を取って運転してくださいよというのはドライバーのやはり基本的な義務といいますか、そういうものとして制度がつくられているわけですね。したがいまして、自動車運転のための最も基本的な義務に違反した、そのような意味で規範意識を著しく欠いたということがまずあると思います。
 加えまして、その運転免許を要求することによって、安全や何かに必要な技能、適性、知識というものをこの試験によって求めているわけでありますが、これを欠いているという意味で、無免許運転というのはやはり抽象的、潜在的には極めて危険な行為であると言わざるを得ないと。それで、現実に運転しているときに事故を起こしてしまったというのは、この潜在的、抽象的なものが、言わば反規範性が顕在化したというふうにとらえることができるのではないかと思っております。
 そして、無免許運転のこの反規範性というのは、危険性が顕在化あるいは現実化した場合でも人を死傷させた事犯そのものの責任や違法性の重さとして評価すべきでありまして、その法定刑も無免許運転と全く、何というんでしょうか、無関係といいますか、併合罪の場合には特別な関係がなくても併合罪になるわけでありますけれども、そういう併合罪加重よりも、やはりこのような潜在的なあるいは抽象的な危険が顕在化したと考えられる場合には重く持っていくべきではないかというようなことから加重をされた罪を設けることにしたというのが私どもの考え方でございます。
#157
○糸数慶子君 たまたま免許を失効させた者など、無免許運転が必ずしも結果に影響したとは言えないような場合、免許を取得したことが全くない者と同じように違法性や責任が大きいとは考えにくく、両者を一律に重く処罰する根拠は十分ではないと思われますが、その点をどのように整理しているのでしょうか。
#158
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほど大臣から御答弁がございましたように、本条で無免許運転による加重をすることにした趣旨は、無免許運転で人を死傷させた事案につきましては無免許運転の反規範性でありますとか危険性が言わば顕在化、現実化したものと評価して、その意味で重い処罰を可能にするという点にございます。
 この点、免許を失効した後にそれを認識しながら自動車を運転する行為は、自動車運転のための最も基本的な義務に違反した著しく規範意識を欠いた行為であることには変わりはないと思います。また、更新時の適性検査でありますとか最新の交通法規の知識取得の機会がなかったという点で危険性も認められることから、人を死傷させたときは、その反規範性や危険性が言わば顕在化、現実化したと評価できるという意味においては運転免許を取得したことがない者と同様であると考えられます。したがいまして、本法律案におきましては、道路交通法の無免許運転罪と同様に、無免許の類型ごとに区別するようなことはしておりません。
 なお、もとより運転免許を失効したことについて認識がない場合、すなわち免許をまだ持っていると思っていた場合には、無免許運転による加重も当然故意がないことからなされないことになります。
#159
○糸数慶子君 次に、現行の警察の免許管理システムでは、運転免許が失効した者と一度も運転免許を受けていない者を区別して把握することができないことが明らかになっていますが、無免許運転の態様を把握するため、システムの変更も検討すべきではないでしょうか。また、法務省では本規定の適用状況をどのように検証していくのか、お伺いしたいと思います。
#160
○政府参考人(倉田潤君) お答えいたします。
 現行の運転者管理システムでは、一度運転免許を受けた者であっても例えば違反歴等がなく運転免許を失効させた場合には、その者のデータを失効から三年三月で削除することとしております。現行の運転者管理システムを変更し運転免許が失効した者のデータを永久に保存することとすれば、一度運転免許を受けた者のデータにつきましては何らかの形でシステムに残ることとなりますので、御指摘のような区別を行うことが可能になります。
 もっとも、システムの変更の時点で既にシステムから削除されている者につきましては、データの復元ができませんので、御指摘のような区別をシステム変更以前に遡って完全に行うことはできないところでございます。
 今後、御指摘のような者を危険運転致死傷罪等の対象とする方向で検討を進めることとなる場合には、警察庁としても必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
#161
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほども御答弁申し上げたとおり、運転免許を取得したことがない者と運転免許を取得したことはあるが失効した者との間に、我々といたしましてはその差を設ける必要性は現時点ではないものとは考えておりますが、今後の六条の無免許運転による加重を含め本法の施行状況につきましては、適用状況や量刑の実態について的確に把握していかなければならないと考えており、今後その中で検討をしていきたいというふうに考えております。
#162
○糸数慶子君 通告をいたしました質問があと幾つか残っておりますけれども、時間の関係で、残りはまた参考人質疑のときにさせていただきます。
 以上です。ありがとうございました。
#163
○委員長(荒木清寛君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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