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2013/11/28 第185回国会 参議院 参議院会議録情報 第185回国会 法務委員会 第9号
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2013/11/28 第185回国会 参議院

参議院会議録情報 第185回国会 法務委員会 第9号

#1
第185回国会 法務委員会 第9号
平成二十五年十一月二十八日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十六日
    辞任         補欠選任
     石井 正弘君     宮沢 洋一君
     中泉 松司君     森 まさこ君
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任
     宮沢 洋一君     古賀友一郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                吉田 博美君
                若林 健太君
                小川 敏夫君
                真山 勇一君
    委 員
                石井 準一君
                古賀友一郎君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                山下 雄平君
                有田 芳生君
                江田 五月君
                前川 清成君
               佐々木さやか君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
                糸数 慶子君
       発議者      小川 敏夫君
       発議者      前川 清成君
       発議者      真山 勇一君
       発議者      仁比 聡平君
       発議者      糸数 慶子君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       法務副大臣    奥野 信亮君
       文部科学副大臣  西川 京子君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  平口  洋君
       厚生労働大臣政
       務官       高鳥 修一君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   岡 健太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       法務省民事局長  深山 卓也君
       法務省刑事局長  稲田 伸夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○戸籍法の一部を改正する法律案(小川敏夫君外
 七名発議)
    ─────────────
#2
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、石井正弘君及び中泉松司君が委員を辞任され、その補欠として森まさこさん及び古賀友一郎君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(荒木清寛君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法の一部を改正する法律案及び戸籍法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長深山卓也君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(荒木清寛君) 民法の一部を改正する法律案及び戸籍法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○前川清成君 おはようございます。
 大事な民法の質疑に入る前なんですが、実は火曜日の委員会の最後で時間が切れてしまいました。
 大臣に、東京でコンビニに行くと中国人と思われるような名札を付けている方がいらっしゃる、多い、恐らくは中国からの留学生ではないかと。それに比べて日本の留学生がどうなっているのかということで、これは前回もお話しいたしましたけれども、二〇一〇年時点で中国の海外留学生が六十三万六千三百五十四人、これに対して日本人が五万八千六十人、二〇〇一年時点では日本は七万八千百五十一人でしたので、減少しています。片や中国は、二〇〇一年時点で十三万一千百三十八人でしたから、失礼な言い方ですけれども、国力の伸び以上に、豊かさの伸び以上に頑張って海外留学生を輩出していると。片や日本ですけれども、日本からアメリカに対する留学生が一九九九年時点に四万六千八百七十二人、それが二〇一一年時点では二万一千二百九十人と、大幅に落ち込んでいます。
 他方では、別に海外に留学しなくても日本国内でしっかり勉強できるから海外留学生が減ったんだという見方があるのかもしれませんし、あるいは、そうじゃなくて、日本の若者が若いころの私のように志を失っているのかなとも思います。
 この点について、今日は文科西川副大臣に来ていただいていますので、文科省としてどのようにお考えになっているのか、まずお尋ねしたいと思います。
#7
○副大臣(西川京子君) 前川先生、御質問ありがとうございます。
 今まさに世界の経済活動全てがグローバル化している中で、日本人の海外留学生が減っているという現状はやはり率直に認めざるを得ない、このことに関しては大変文科省も危機感を持っております。
 先生がおっしゃいましたように、二〇〇四年で八万三千人をピークに、二〇一〇年には五万八千人、二万五千人が減少しております。これに比べて、中国は六七%の増加、韓国は三九%の増加。非常に、ある意味では発展途上というんでしょうか、そういう元気のある国ということもある。そして、先生もおっしゃいましたけど、自分の国で十分そういう研究の条件はそろっているからということもあるかとも思います。
 ただし、その中でちょっと考えられる要因として、リーマン・ショックの影響もあるかもしれません。留学費用が非常に高くなって経済的負担が大きい。特にアメリカが減っているのは、アメリカの大学に行きますと、生活費は日本でいるのと同じくらいかもしれませんが、学費として三百万前後掛かるということで、この経済的負担ということも大きな要因かと思います。それともう一つは、やはり就職活動の時期を逸する可能性がある。日本の大学制度と、かの国の大学制度といろいろ卒業年次とかが違うということもある。いろんな要因がありまして、その辺の危惧というのが一番大きいようでございます。
 そういうことですので、これから大学の支援体制、あるいは特に語学力がちょっとやっぱり日本人は苦手だとか、そういう幾つかの要因が考えられると思います。
#8
○前川清成君 語学力については確かにおっしゃるとおりかなと。私たちが若いころの英語の勉強は、読むことはできても話せないと、話すことは何とかできても聞き取れないということなんじゃないかなと思います。
 私の同期の弁護士がニューヨークのロースクールに留学してニューヨークの法曹資格を取ったんですが、たしか二年間行ったんですが、うち半年間はまず英会話学校に行って英語を勉強してきて、たしか半年だったと思いますね、向こうのロースクール行くの。それでもうニューヨークの司法試験に通って。だから、ニューヨークの司法試験に通るのと英会話学校へ行くのとほぼ同じぐらいのウエートで。その後はローファームで研さんをして帰ってきましたけれども。帰ってきても、じゃその研さんに応じたような仕事があるのかというと、どうだったのかなというところもあります。
 それで、今、その語学力のこととか、あるいは経済問題についてはまたこの後お聞きしようと思うんですが、そもそもこの留学生が減少しているということは、日本の国力にとってどういうふうにお感じになっているのかですね。日本の国力が上がってきたから日本の国内で十分勉強できるんだと、だからもういいんだというふうにお考えなのか。そうじゃなくて、厳しい財政状況の中だけれども頑張って海外に留学する若者たちを制度としても応援していかなければならないと、こういうふうにお考えになっているのか。この辺、スタンスとしてはどちらですか。
#9
○副大臣(西川京子君) いや、日本国内で研究が間に合っているから十分とは全く思っておりません。特に今のこのグローバル経済の中で、実は日本の経済力、物づくり、これ本当にすばらしい力があって、良いものを研究開発、あるいはものをつくっている。しかし、そのつくった後に営業活動がうまくいかないで世界基準を取れないというような、そういう今日本経済のかなり大きなところ、マイナス面があると思うんですね。そういう意味では、国の大きさにもよりますが、韓国辺りはもう即決即断主義で政府一体となった営業活動をするようなところもありますから、そういう意味の中で、やはり語学力ということが、単にツールとして英語力が不足するがためにその辺がうまくいかないという現実はすごくあると思うんですね。
 ですから私たちも、今回文科省では、国際人材、グローバル人材を育てるという大きな目標を立てましたけど、それは決して日本の国語力とか日本の大事なものを横に置いてということではなくて、そのことは基本として大事なんだけれども、やっぱり一方として、ツールとして英語力が不足しているということが圧倒的に日本の様々な分野で損をしていると。ここは絶対に英語ぐらいはまず話せなきゃ駄目だよねということで、今回、その延長線上で留学生の増、これからの、大いに海外に飛躍してほしいと。今このバッジが、トビタチ、留学生JAPANというバッジを作りまして、これもう官民一体となって留学生を二〇二〇年のオリンピックをターゲットとして六万人を十二万人にしていこうという戦略を練って頑張っておりますので、よろしく御支援をお願いしたいと思います。
#10
○前川清成君 一昨年ですか、経済産業委員長をさせていただいて、あるいは去年副大臣をさせていただいて、ASEANの皆さん方との会議とかが何度かあったんですけれども、そんな席上で通訳は日本語と英語だけなんですね。ただ、インドネシア語と日本語とか、タイ語と日本語とか入らなくて、ASEANからいらっしゃっている皆さん方は全員英語が話せるということ前提の会議です。
 こちら側は、国会議員の皆さん方、副大臣も始め皆さん方、教養の立派な方々ばっかりなんですけれども、やっぱり通訳がないと全然コミュニケーションができないと。その意味においてある種英語というのが大事なのかもしれませんが、それ以上に更に新しい技術とか新しい科学とか、そういうことを学ぶ必要もあろうかと思います。
 私が生まれて初めて海外旅行をしたのは、二十八歳のときに新婚旅行でニューヨークに行ったんですが、そのときに、まあ私なりにですが、英語を話せたんです。言いたいことは全部言えるんです。ところが、向こうのおっしゃっていることが全く聞き取れないんです。それで会話としては成り立たなかった。これはやっぱりこれまでの教育のありよう、日本の国内における教育のありようもあるかと思いますので、御検討いただけたらと思います。
 それで、大事な大事な民法の話をさせていただきたいんですが、実は、昨年末に私たちが政権から転落をいたしまして、谷垣総裁のときに影の内閣というのをやっておられましたけれども、民主党の場合は次の内閣というのをやっておりまして、この通常国会まで私が法務の責任者、恥ずかしいんですが、次の内閣のネクスト法務大臣というのをさせていただきました。
 その際に、二月二十七日に最高裁判所の第一小法廷が非嫡出子の法定相続分を争う事件を大法廷に回付をいたしました。結論は出ていませんが、第一小法廷から大法廷に事件を移しました。それで、これを受けて私たちは、四月二十六日に、今回政府が提出されたのと全く同じ法案、民法九百条の四号のただし書の前段を削除する法案を出させていただきました。
 それ以前に民主党は実は十六回、この非嫡出子の法定相続分差別撤廃の議員立法を出しているんですが、その折はいつも選択的夫婦別姓の導入とセットで出していました。しかし、四月の際はあえて切り離したと。党内には様々な意見もありましたけれども、あえて切り離して提出をさせていただきました。
 禅問答みたいで申し訳ないんですが、谷垣大臣、なぜ切り離してでもこの非嫡出子の問題を先に提出したのか、気持ちは御理解いただけますでしょうか。
#11
○国務大臣(谷垣禎一君) どうしてそういう出し方をされたのかは想像するしか仕方がございませんが、あえて想像を申し上げますと、夫婦別氏制と一緒にすると、それ様々な議論があって反対論も強いだろうと、せめて嫡出子、非嫡出子のこの九百条の問題だけでも早く処理をしたいというお考えであったのではないかと推察いたします。
#12
○前川清成君 賢明な大臣におかれましてはそのとおりでございまして、釈迦に説法ですが、裁判所法十条の規定があって、どのような場合には大法廷でないと判決できないのかというのが書かれていまして、判例変更の場合。平成七年に合憲の判決がありました。これが大法廷に移るということは判例変更がされるんだろうと。あるいは、憲法違反の判決については大法廷、裁判所法に書かれていますから。私たちは二月二十七日の段階で確実に、今年九月でしたでしょうか、憲法違反の判決があるということを予想をいたしました。
 それで、三権分立があるわけですが、最高裁から憲法違反と言われて、それから立法府が法律を直すのではなくて、少なくとも確実に憲法違反の判決が予想されるわけです、一日も早くこの九百条を改正しなければならないと思います。そして、自民党の中には違う御意見の方もあろうかと思いますが、報道等によりますと、自民党の中では選択的夫婦別姓については異論が多いと。セットで出すと、つるしを下ろしてももらえないだろうと。だから、ここは切り離して、一日も早く最高裁の憲法違反の判決までに何とか改正をしたいと、そういう努力をいたしました。結局、通常国会の法務委員会、期日は空いていたんですが、審議さえ応じていただけませんでした。私は、この点は大変残念に思っています。
 また時間があれば、あと、これまでの最高裁の判決の経緯についても触れたいと思うんですが、平成七年の最高裁の判決も、社会の状況が変わっているんだから、家族状況が変わっているんだから立法府において解決してくださいねというふうなサインを出しています。その後も出し続けています。結局、今年の最高裁判決というのは、言わば業を煮やしてこの判決を出したのではないのかなと。そういう意味において、国会のありようについても是非共に考えていただきたい、こういうふうに思うんですが。
 その上で、谷垣大臣、私たちは、確実に憲法違反の判決が予想されると、だから今年四月に改正案を議員立法で出しましたが、法務省としては、なぜこの判決以前に出そうと、改正してしまおうというふうにはお考えにならなかったんですか。
#13
○国務大臣(谷垣禎一君) この問題の検討は法務省の中でも長い経過があると思っております。平成八年の法制審議会の答申の中に、この九百条の問題それから夫婦別氏等々についても勧告がございました。法務省としては何回かその平成八年の答申に合わせて立法を準備した経緯がございましたけれども、様々なやはり議論があって、国会に提出するという判断には、できるという判断には至らなかったという経緯であったと思います。
 今回、今、前川委員がおっしゃいましたように、確かに、大法廷に回されたということで、ある程度の予測といいますか推測はできたことも事実でございますが、そういう経緯の下で今回こういう判決が出ましたので、やはり行政府としてもそれを尊重した対応が必要であろうということで今回提出させていただいたということでございます。
#14
○前川清成君 大臣、私は、個別的効力説に立ったとしても、最高裁が法令違反の判決をしているわけですから、その後に立法府が法律を改正するのは当たり前だと思っています。今お尋ねをしたのは、確実に予測できたのであるから、それに先立って改正するべきではなかったのかという点でありますけど、この点、いかがですか。
#15
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、余り判決が出る前に予測をして先読みをするということもいかがかということもございます。それから、今回、こういう効力について、最高裁判所は、平成十三年の七月でしたか、遅くともその時点で違憲になっていると判断の下に、しかし、それ以降の起こった相続についてどうするかというのは一定の判示をされておりますね。その辺をどうしていくかというのは、実は事前に私どもも、最高裁判所がどういう判断をされるんだろうかと。これ、かなり技術的にも難しい問題があったことも事実でございます。
 そういうようなことがいろいろあって、余りそういう辺りを事前に予想するのもいかがなものかということで今回のような対応になったということでございます。
#16
○前川清成君 ちょっと納得はできませんけれども、もうこの程度にさせていただきたいと思います。
 というのは、これまでの最高裁判決の中で何度も何度も、その多数意見の中でも立法において解決すべきだというふうに書いておりますので、これはサインだったのではないかと私は思っております。
 それで、先ほど申し上げましたように、今年四月にその民法九百条改正を出させていただいたときは、私は筆頭発議者を務めさせていただきました。今回、小川先生が筆頭発議者で、内閣から閣法がなかなか出てきませんので、業を煮やして野党の皆さん方と一緒に議員立法を出させていただきましたが、そのときも私は発議者に名を連ねさせていただきました。ですから、言うまでもありませんが、この民法九百条改正、私は賛成であります。
 ところが、郷土の先輩であります奥野副大臣と過日質疑をさせていただいた際に、私も意外だったんですが、前川先生とはほとんどのことで意見が対立するわけでありますが、この件ばかりは多分一つにまとまりますと、こういうふうにおっしゃっていただきました。やっぱり奥野先生は民法九百条改正反対なのかなと心配をしてしまったわけですが、副大臣、いかがでしょう。
#17
○副大臣(奥野信亮君) これは、ここは公の場ですから、私情を言うということは禁じられると思います。前々から小川先生にもお答えしているとおりでありまして、憲法判断まで最高裁がしたわけでありますから、それは、それに従うのが私の立場としては妥当だということで進めていきたいと、こう思っております。
#18
○前川清成君 現行の民法九百条の四項ただし書の前段という条文がありまして、この条文によると、法定相続分で非嫡出子は嫡出子の二分の一というふうに不利益を受けるわけです。不利益を受けるんですが、その不利益を受ける当の非嫡出子は何かしたのか。これは、御本人自体は何にもしていない。嫡出子であるという生まれながらの身分というのは本人が決定したわけではないわけであります。
 この点で平成七年の最高裁判決の少数意見の中で、出生について責任を有するのは被相続人であって、非嫡出子には何の責任もなく、その身分は自らの意思や努力によって変えることはできないと。出生について何の責任も負わない非嫡出子をそのことを理由に法律上差別することは、婚姻の尊重、保護という立法目的の枠を超えるものであり、立法目的と手段との実質関連性は認められず、合理的であると言うことはできないのであると、こういうふうに少数意見の中で述べています。
 私はこのとおりだと思います。誤解なきように申し上げれば、法律婚を否定するつもりも一夫一婦制を否定するつもりもありませんが、自分に何の責任もないにもかかわらず非嫡出子というふうなレッテルを張られて、そして法定相続分で差別を受ける、これは生まれによる差別であって、私は許されないことではないかと。この平成七年の判決の少数意見を読んだときからそういうふうに思っておりました。
 私はこのようにこの前回の少数意見を理解しているわけですけれども、西川副大臣も御理解いただけますでしょうか。
#19
○副大臣(西川京子君) 憲法判断が出ました。そのとおりでございます。
#20
○前川清成君 これは新聞報道なんですが、自民党内に保守派という方々がいらっしゃって、その方々の中から、非嫡出子の法定相続分差別を撤廃したら浮気が増えるという心配があって、最後の法務部会でこの了承をする際に三時間掛かったというふうな報道があるんですが、西川副大臣も同じようにお考えなんですか。
#21
○副大臣(西川京子君) 浮気の問題はどうか分かりませんが、法定婚を前提としている日本の家族制度、結婚制度、そこにやはり多大な影響があるのではないかという思いはありました。
#22
○前川清成君 是非詳しく教えていただけませんでしょうか。
#23
○副大臣(西川京子君) 詳しくというと、どういうことでしょうか。
#24
○前川清成君 今、副大臣の御見解は、この非嫡出子と嫡出子の法定相続分を平等にしたら法律婚に影響が出てしまうという御見解でしたので、どうして影響が出てしまうのかお教えいただきたいと思います。
#25
○副大臣(西川京子君) 先生がおっしゃったように、子供の立場で考えると、まさに非嫡出子と嫡出子との間に差はないと、これはもうそのとおりでございます。そこに異論を持つものではありません。
 ただ、そうなりますと、要は妻の立場ということを考えますと、やはり結婚、ちゃんと法律で定められてきちんと戸籍に、婚姻届を出して、長い間一緒に家庭を築いてきたいわゆる正妻、妻の立場、それと、いわゆるそこの法律婚を通していない女性との間に差がなくなるということですね。実質的な差がなくなると、相続分においてはですよ。相続というのは妻という以上に子供に相続するということが本来の意味でしょうから、そういう意味で、それを経由する妻の立場を考えると差がなくなると。じゃ、それまで一緒に夫婦生活をずっとやっていた妻の立場に対する配慮はどうなるんだと、そういうことにちょっと一定の危惧を持つということはあると思いますね。
#26
○前川清成君 今回の政府提出の法案も、私たちが過去十八回合計出してきた法案も、妻の法定相続分、これは昭和五十五年の改正だったでしょうか、三分の一から二分の一に引き上げられました。そこには手を着けていません。閣法もそうです。にもかかわらず、妻の立場を損なうというのが少し理解できないんですが、教えていただけますでしょうか。
#27
○副大臣(西川京子君) 私も法律の専門家ではありませんから、細かい根拠というと、そこを詰められるとちょっとよく、正確には答えられないかもしれませんが、言わば社会通念、そういう意味で、やはりちゃんときちんと届出をした結婚した妻と、そうでないいわゆる愛人関係にある女性と、そこに一定の差があるという、それは社会通念としては日本では確立していたと思うんですね。
 それで、先ほど先生がおっしゃいましたが、一つの、今回、二〇〇七年、八年ですか、の合憲の判断と今回の違憲だという判断の中の差は、社会通念が変わったということが大きな理由になっていますが、実際には婚外子で生まれる子供は一・一%から二・二%に増えたと。それは二倍にはなっていますが、全体の中ではやはりまだ少ないという中で、社会一般の常識、今までの日本の伝統的な慣習とかそういうことを配慮して、二〇〇七年では合憲だ、違憲ではないというような、合憲だという判断だと思うんですね。
 ですから、それから今回の判決に至るまでの変化というのは、そこに、一・一%が二・二%になったということで社会通念が変わったというふうにはちょっと思えないなというのが自民党の中の言わば大勢の意見だったと私は認識しております。
#28
○前川清成君 副大臣御自身が法律の専門家でないとおっしゃいましたので、そのことを前提にちょっと生意気なことを申し上げますと、妻の法定相続分は二分の一というふうに定められていますので、非嫡出子の法定相続分を触ったとしても一向に影響はありません。それと、相続というのは公の秩序ですので、これは戸籍に従って全部判断されます。
 したがいまして、今、副大臣が正妻、愛人というお言葉を使われましたけれども、仮に愛人の方々と何十年一緒に暮らしていようと、愛人には一切相続分はないんです。そのことも御理解いただいた上で、それでも反対されたんですか。
#29
○副大臣(西川京子君) そのことは分かっております。その中で、じゃ、嫡出子の子供の立場ということにもやはり考えなければいけないですね。
 やはり、大概の場合は、相続を残す御本人、そこに男性がいる、その方が亡くなった後でいろんな問題が起きてくることが多いわけで、そのときに、やはりこの民法を作る段階、昭和の初期のころには、要は全くゼロであったと、嫡出子の方は。だけど、それはやっぱりどう考えても気の毒だろうということで、合理的な一つの折衷案という形で二分の一になったという経緯をお聞きしております。
 そういう中で、これは明らかに、今の憲法にのっとって今の民法というのは作られたわけですから、そういう意味で、その中で、そういう配慮も入れた中で二分の一という規定ができたわけですから、それは明らかに憲法違反ということがちょっと納得できないんじゃないかなという思いが与党の中ではあったと思いますね。
 妻の立場は分かっております。その嫡出子と非嫡出子の立場は、そういう通念上、やっぱりそこには、それ長い間、家庭を築いてきた子供も、例えば今回のケースは一緒にお店をずっとやってきたわけですね、その妻と子供が。途中からその女性が入ってきて、本来の方が、親子は家を出されたといういろんな経緯がある中で、やはり嫡出子の権利もあると思いますので、そういう意見の方が多かったと記憶しております。
#30
○前川清成君 新しい憲法、現行憲法ができて、副大臣がおっしゃるように、旧来の家制度が個人の尊厳を前提とする現行憲法に合わないということで、たしか昭和二十二年でしたか、民法の家族法の部分が全面改正されました。全面改正されたから、もうこれで未来永劫家族法は憲法違反にならないのかというと、そうじゃないんですよね、社会が変わるわけですから。
 それと、これもちょっとお調べをいただけたらと思うんですが、私もうろ覚えですが、昭和二十二年の家族法改正、民法改正のときに、参議院ではなく衆議院が附帯決議をしておられるんです。これは、今回は、憲法改正に伴って、新憲法制定に伴って急いで家族法を改正したので、引き続き早急に家族法全体を見直さなければならないという附帯決議がありまして、それで、先ほど申し上げた五十五年の改正であったり、あるいはその前後の改正であったりが続いているわけで、昭和二十二年に合憲だったから、これから未来永劫合憲にはならないと私は思います。
 それと、今のお話は、嫡出子は、妻の法定相続分が二分の一で動かないことは分かっています、妻以外の女性も法定相続分がないことも分かっていますと、分かっているんだけれども、嫡出子が、何かお店をされていたんですか、今回のケースで、私はそれ知りませんが、家業を手伝っていた、家業を手伝って被相続人の財産形成に寄与してきたと。だから、そのこともしんしゃくすると法定相続分を触るべきではないと、こういうふうなお答えでしたけれども、被相続人の財産形成に寄与した人に対しては、それは法定相続分で考慮するのではなくて、民法の別の仕組みがあるんですね。
 そこも、皆さん方、いわゆる自民党保守派の皆さん方は理解した上で議論されていたんですか。少なくとも、では西川副大臣は分かっておられたんですか。
#31
○副大臣(西川京子君) 寡聞にしてそれ以外でということは理解しておりませんでした。
#32
○前川清成君 例えばですが、これは逆に、非嫡出子がお父さんの仕事を手伝ってお父さんの財産を殖やした、あるいは、副大臣おっしゃるように、嫡出子がお父さんの仕事を手伝って財産を殖やした、この場合には、相続人間の公平を図るために民法に寄与分という仕組みがあります。ですから、今おっしゃっているような心配は、それは法定相続分でする話じゃなくて、寄与分という仕組みの中で、例えば、お父さんの仕事を一緒にやってきました、その結果、実はお父さんの名前で財産は蓄積したけれども、本人はもう生活費だけもらって家のためにただただ尽くしてきました、そうでない子供はもう東京へ行って遊び暮らして生活費だけ送ってもらっていました、家庭の、お父さんの財産形成に何ら寄与していませんと。その不公平を是正するためには寄与分という仕組みがあるわけで、そこに法定相続分を持ってきたら、私はむちゃむちゃだと思います。
 それと、逆に、こんなことはおっしゃっていませんが、仮に嫡出子と非嫡出子といらっしゃって、嫡出子は一生懸命働いたけれども余りかわいがってもらっていなかった、非嫡出子はお父さんからかわいがってもらっていっぱい財産もらっていたと。こういうケースが仮にあったとしたら、それもやっぱり相続の際に、特別受益という制度があって、それによって法定相続分を超えた配慮がなされるわけです。
 今のお話を、私、もうちょっと何か、自民党内の議論は、何というんですか、失礼な言い方ですけれども、会長、もうちょっと思想に基づいた、それこそフィロソフィーの話があるのかなと思っていたんですが、ちょっと無知に基づくような議論をされているのであれば、今回の改正が、この国会、何とか間に合いましたけれども、ぎりぎりになったことは反省していただけたらと、そんなふうに思います。
 その上で、時間が残り少なくなってきましたので最後に申し上げたいと思うんですが、憲法が、憲法十四条ですが、十四条の二項で、華族その他貴族の制度は、これを認めないというふうに明記しています。三項で、栄典の授与は、これを受ける者一代に限り、その効力を有すると、こういうふうに書いた上で、一項で、全て国民は法の下に平等であって云々かんぬんで差別されないと。この二項、三項も併せて憲法十四条一項を理解すれば、憲法十四条が最も禁止しているのは生まれによる差別ではないのかと。とりわけ、封建制度を否定して、近代市民革命が封建制度を否定して民主主義国家をつくりました。そんな中にあって、生まれによる差別、私は、この非嫡出子の法定相続分というのはまさにそのものであったのではないかなと、こういうふうに思っています。
 あと、本当に時間が僅かになったんですが、実は、私がまだ勤務弁護士のころ、二十代のころに、同じような非嫡出子の法定相続分に関する事件を担当させていただきました。
 Aさんという方がいらっしゃって、戦争に行って帰ってこられました。戦争から帰ってきて、仕事がない。当時、奈良市内で、今は高級住宅街地になっているところなんですが、県が開拓団を募集していますと。そのAさんは、仕事がないので開拓団に応じて開拓に入られました。奥さん、B子さんがいたんですが、農作業が嫌で付いていきませんでした。AさんとBさんとの間にはCという子供がいました。しかし、当然、Bさんが行かないのでCも付いていきませんでした。単身で掘っ建て小屋を建てて開拓をしている間に、AさんはD子さんという女性と仲良くなられた。その間にEさん、非嫡出子が生まれました。その開拓した土地は、周りが高級住宅地になって、バブルのときに何億円で売れました。何億円という預金がありました。
 ところが、Aさんがその後脳梗塞で倒れました。いわゆる愛人のD子さんは、介護をするのはもちろん、何億円の預金をある銀行にしていますので、自分の畑で取れた野菜をその銀行の駐車場で売って、それによって生計を支えました。そのAさんが亡くなって、私は嫡出子といわゆる正妻の側の代理を受けたわけですが、この場合に、いわゆる愛人であるDさん、これ五十年間一緒に暮らしてきて、しかも開拓も一緒にやってきて、その亡くなったAさんの財産形成のほとんどはAさんとDさんでやっているわけです。
 ところが、先ほど副大臣にも申し上げましたけれども、Aさんが亡くなったときに、Dさんの相続はゼロです。五十年間それこそ顔も見たことのない正妻のB子さん、これが二分の一を相続されました。非嫡出子の法定相続分は二分の一という規定がありますので、残された二分の一については嫡出子のCさんが三分の一で、非嫡出子のEさんというのは六分の一。
 先ほど副大臣は正妻の側が考慮されないのではないかとおっしゃったけれども、今の事例、実際に財産形成を一緒にやってきたいわゆる愛人の側には、その子供も含めて全体の六分の一しか行かなかった。残りの六分の五は妻と嫡出子に行った。私も当時まだ二十代で世の中のことも余り分かっていませんでしたので、こんなもんだというふうに思っていましたけれども、今から考えると、やはり社会のバランスがどうなのかなと。もちろん、それもAさんの側がもう少し配慮をしたら、例えば遺言書を作っておくとかというふうにもできたわけで、それもすべきだったと。ちなみに、今のケースですと、副大臣が心配されているように、B子さんをAの側から離婚できるかというと、できない。なぜならば有責配偶者だから。
 ですから、ちょっと余りにも私は、よく分かりませんよ、自民党保守派内の議論というのは感情的に過ぎたのではないのかな、もう少し地に足の付いた科学的な政策の議論をしていただいたらよかったかなと、こういうふうに思っております。
 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#33
○小川敏夫君 民主党の小川敏夫です。
 西川文科副大臣に最初に質問させていただきますが、今回の民法改正、これは最高裁の決定を受けたわけでありますが、最高裁の決定そのものは、直接は非嫡出子の相続分を嫡出子の二分の一とすることは違憲だということですが、その根底は非嫡出子というものを差別してはいけないと、つまり、生まれながらに生まれた身分で差別してはいけないということがこれは根本の考え方であって、ただ単に相続分だけの問題じゃないわけです。
 それで、まずお尋ねするのは、こうした非嫡出子等のこの差別を、これはやはり学校教育の場においてもそうした差別的なことがないような配慮をしなければならないと思うわけですが、文科、教育行政の担当の副大臣としてはどのようにこの判決を受け止めたでしょうか。
#34
○副大臣(西川京子君) 文科副大臣の立場で、今回の判決はもう真摯に受け止めております。
 文科省としては、当然、憲法及び教育基本法の精神にのっとり、学校の教育の現場でも人権教育、しっかりと対応させていただいております。
#35
○小川敏夫君 ところで、新聞報道で見たんですけれども、西川文科副大臣はこの民法改正案について賛成されなかった、すなわち反対したというふうに報道があったんですが、これはどうですか。
#36
○副大臣(西川京子君) 要は、子供の立場では全く平等だというのは、これは全く異論ございません。
 このとき私も正直、先ほども前川先生の御質問にもお答えしましたけど、私、やはり法定婚に基づく今の日本の結婚制度、大変大事だと思っておりますので、その辺のところがどうなるのかなということをちょっと考えておりまして、ぼうっとしてちょっと立つのを失念したということでございます。
#37
○小川敏夫君 しかし、国会議員がその採決で立つのを失念したというと、じゃ、本当は賛成するという立場だったのにうっかり立ち忘れて反対してしまった、反対という意思表示の行動になってしまったと、こういうことなんですか。
#38
○副大臣(西川京子君) そうです。
#39
○小川敏夫君 それは国会議員を辞めた方がいいんじゃないですか。法案の採決について誤った意思表示をするというのは、国民に対して責任が立たないですよ。
 大臣にお尋ねしますが、今回、開会に先立って提出予定法案の説明を受けました。そのときにはこの民法改正案と一緒に戸籍法の改正案、これも一緒に併せて提出するということでしたけれども、結局戸籍法の改正案は提出されませんでした。この事情はどういうことなんでしょうか。
#40
○国務大臣(谷垣禎一君) 御答弁申し上げたように、確かに法務省としては戸籍法も改正する、併せて提出しようということで準備をしていたことは事実でございます。しかし、その後与党の審査の中でいろいろな御議論がございまして、それから、特に最高裁の判決におきましてもこの戸籍法の規定自体が違憲となるわけではないという判断もございました。したがいまして、違憲判決が出ているその九百条、違憲決定が出ました九百条の問題ほど緊急性はないのではないかと、こういう御議論でしたので、政府としてもそういう判断に従って今回のような法案を出させていただいたということでございます。
#41
○小川敏夫君 緊急性がないと言うけれども、しかし、そうした出生届に非嫡出子として記載をさせるという実務なり、法の規定はそういうふうになっておるわけでして、そうした差別的な記載はとてもしたくないという人は現実におるわけでありますから、これをしかし緊急性がないというだけで処理して、対応していいのかなというふうに思うわけですが。
 大臣と西川副大臣にお尋ねしますけれども、出生届で非嫡出子と記載することを義務付けていると、しかし、これを義務付けないことによって本来のその籍に入っている正妻なり嫡出子が不利益を被るような場面がございますか。
#42
○国務大臣(谷垣禎一君) この戸籍法の届出をすることによって受ける不利益でございますか。
#43
○小川敏夫君 非嫡出子の記載を義務付けることを削除した場合、する場合としない場合で嫡出子なり正妻が不利益、利益があるかどうか。
#44
○国務大臣(谷垣禎一君) 特段の不利益はないのではないかと考えます。ただ、民法上、法律婚の体制を取っておりますと、法律上の婚姻から生まれた子、あるいは法律上の婚姻からではないところから生まれた子という違いというのは、どうしても民法上の扱いに違いが出てくるということはこれはございます。したがいまして、そういうことを含めた便宜的なというか、事務処理上の、何というか、便宜のための措置であるというふうに私は考えております。
#45
○小川敏夫君 ですから、事務処理上の都合ということは分かりましたけれども、例えば相続分差別の規定は、非嫡出子の相続分を、二分の一であるところを嫡出子と同じにするといえば嫡出子に影響を受けるわけです。しかし、この非嫡出で生まれた子供の出生届、これを非嫡出子と書かせなくたって母親、父親との関係から非嫡出子であることは明らかなわけです。ただ、大臣の答弁は事務処理上の都合でということで、そういう記載をさせるということになっておるわけですけれども。
 結論から私が思うところは、出生届の記載で非嫡出子ということを書かせないということが生じたとしても、そういうことになったとしても、正妻あるいは他の嫡出の子供たちに何の不利益も何の影響もないと思うんですよ。大臣は事務的なということをおっしゃいましたけれども、事務的な都合は別にして、これは正妻なり嫡出子の利益を守るために出生届に非嫡出子という記載を義務付けているんではなくて、あくまでも事務処理上の問題ですね。
 すなわち、重ねて西川副大臣にこれから答弁をいただくので重ねてくどくお尋ねしますけれども、非嫡出子という記載を、出生届からこれを削除したとしても、嫡出子の権利や地位やあるいは気分に何の影響もないと思うんですが、いかがでしょうか。
#46
○副大臣(西川京子君) その前提条件として、今回の最高裁の判決では戸籍法については言及していないので、そこは必要ないんじゃないですかというのが党の意見ですので、私も同様ですので、戸籍法のことに関しては私は意見を申し上げません。
#47
○小川敏夫君 しかし、大臣の御答弁ですと、与党の中で賛同を得られなかったから、本来提出予定だと、私どもにも提出する予定であるというふうに説明しておった法案が与党の反対で結局調整できなかったので提出しないと言っているわけですから、与党が反対したわけですよね。その反対した与党の中の反対者の中に西川副大臣は入っていらっしゃるんじゃないですか。
#48
○副大臣(西川京子君) 最初の、嫡出子と非嫡出子の差が、民法改正の方ですね、そっちは議論しましたが、今回の戸籍法に関してはほとんど議論しておりません。今回、最高裁がそれを、そのことに言及していないので、それを一緒に出す必要はないんじゃないかというのが私たちの議論だったと思っています。
#49
○小川敏夫君 大臣、何か与党は戸籍法について議論していないんだったら、提出予定法案で出せばよかったじゃないですか。
#50
○国務大臣(谷垣禎一君) いや、そういう御議論があったと私は報告を受けております。戸籍法につきましてそれほど急ぐ必要はないのではないかという御議論があったというふうに私は承知しております。
#51
○副大臣(西川京子君) 私の言い方がちょっと不適切だったかもしれません。大臣のおっしゃるとおりです。そういうことです。必要ないという。
#52
○小川敏夫君 西川副大臣は民法改正に本当は賛成なんであるというお立場ですから、まあ賛成だということで受け止めますが。先ほどの前川議員は実質的なことでお尋ねをしましたけど、私は憲法の統治機構上の問題としてまた西川副大臣にお尋ねしますが、要するに、この最高裁の違憲の判断については、これは国会は従わなくてはいけない。あるいは、公務員はこの憲法に従わなければならないと、憲法を尊重し擁護するというのは憲法に従わなくてはいけないということです。
 ですから、西川さん個人がどういうお考えを持とうとそれは全く自由だけど、副大臣として、あるいは国会議員としては最高裁の決定に従わなければならないんですよ。それに従わないのであれば、それは公務員を辞めなさいということです。それがこの憲法の仕組みです。
 ですから、実質的に反対する意見をお持ちの方であっても最高裁決定には従わなければならないというのがこの統治システムだと思うんですが、西川副大臣はどのようにお考えですか。
#53
○副大臣(西川京子君) 決して反対するものではありません。賛成いたしました。そういういろいろなことを考えていて立つのを失念したということでございます。
#54
○小川敏夫君 しかし、賛成者が起立すべきときに起立しなかったというのは一つの事実ですから、どうも答弁が空虚に聞こえますが。
 また別のことに聞きます。大臣にお尋ねしますけれども、今回これで相続分に関して非嫡出子という分の相続分が嫡出子と同じになるということですが、この民法あるいは民法のそのほかの規定で非嫡出子という用語を使った規定、あるいは非嫡出子に関する規定というのはほかに何があるでしょうか。
#55
○国務大臣(谷垣禎一君) 嫡出の子と嫡出でない子の違いということでしょうか。それは一つございますのは、九百条を除きますと民法七百七十二条から七百九十九条、法律上の父と子の関係ですね。これは、嫡出子、いわゆる法律上の婚姻から生まれた子であれば、父が、母の夫である父が当然父であるという推定が働きますが、法律上の婚姻でない場合はその父の規定が戸籍上からは表れない。父ということを定めるためには認知という手続が必要である。ここが非常に大きな違いであろうと思います。
 それからもう一つございますのは、子供の氏をどうするかという問題で、嫡出の子供は当然父と母が名のっているその氏を名のるということでございますが、非嫡出の場合には母の氏を名のるというのがその前提となっている仕組みというふうに私理解しております。
#56
○小川敏夫君 大臣が言われた前段は、これ親子関係があるかどうかを決定する話ですから、非嫡出子と嫡出子を実質的に差別するという規定ではないとは思うんですね。また、氏の問題もそうした御事情だということだと思いますが。そうすると、民法上は今述べられた以外にはないと。そうすると、あとは戸籍法で今私どもが提案した出生届の問題がありますが、ほかにはないんでしょうか、関連法案で。
#57
○国務大臣(谷垣禎一君) 私、網羅的に調べたかどうか分かりませんが、民法上は今申し上げたことでほぼ尽きているのではないかと思っております。
 それで、戸籍法制の場合には、嫡出子は父母の戸籍に入るのに対して、非嫡出子は、嫡出でない子は母の戸籍に入る、これは戸籍法上の規定でございますが、そういう規定はございます。
#58
○小川敏夫君 今日は厚労副大臣にお越しいただきました。厚労省で統計調査の際、死産があった場合にはその死産の届けの際に非嫡出子であることを明示して届けるというように扱っているようですが、この点はいかがでしょうか。
#59
○大臣政務官(高鳥修一君) 厚労政務官でございます。小川委員にお答えを申し上げます。
 厚生労働省では、死産の届出を基に人口動態調査を実施いたしておりまして、その中で、嫡出子、嫡出でない子の別の死産の状況を把握するために、嫡出子、嫡出でない子の別に自然死産と人工死産に分けた統計などを作成いたしております。これによりまして、嫡出でない子につきましては嫡出子に比べ経済的理由による人工死産の割合が多いといった状況の把握に活用しているところでございます。
 また、当該統計は国立社会保障・人口問題研究所におきまして人口動向を把握し分析する資料として活用されているとお聞きいたしております。
#60
○小川敏夫君 まず、今の答弁の中で若干触れていましたけれども、嫡出の子と非嫡出の子となるべき者の死産ですか、これについて有意な差が認められるわけですか。
#61
○大臣政務官(高鳥修一君) 今把握している数字を若干申し上げますと、嫡出子の死産につきましては約三五%が人工死産であるということに対しまして、嫡出でない子の死産については約八七%が人工死産であるということでございます。
#62
○小川敏夫君 死産という言葉の定義ですけれども、これは、いや、じゃ死産という言葉の定義を説明していただけますか。どういうものが死産というのか。
#63
○大臣政務官(高鳥修一君) 死産ということの定義でございますが、死産とは妊娠第四月以降における死児の出生をいい、死児とは出産後において心臓拍動、随意筋の運動及び呼吸のいずれをも認めないものをいうとされております。
#64
○小川敏夫君 だから、要するに、人工中絶というのがありますよね。そうすると、四か月未満ですと、これは中絶、まあ流産してしまうのもあるかもしれないけど、中絶という一般的な言葉であるから、それは死産に入らないわけですね、今の統計の話ですと。そうすると、四か月以降は中絶の場合もこれは死産に当たると、これはそういうお話ですね。それから、生まれ出た子供が、分娩で出た子供が実は呼吸しなかった、死んでいたというのも死産ということで、この今言われた死産の中にはちょっと幅広い定義があるわけですね。
 それで、差があるというのはどちらの方ですか。私が直感的に考えましても、自然の分娩で出てきた子供が死亡していたという死産の場合には、嫡出子であろうと非嫡出子であろうと差はないと思うんですよ。ただ、中絶の場合ですと、やはり様々な事情、要するに夫婦間でない子供でしょうから、中絶ということについては影響があるのかなと思うんですが。どうです、言わば死産という定義の中で分娩前の死産と分娩したときの死産とがありましたけれども、そこら辺のところで有意な差があるかどうかはどうですか。
#65
○大臣政務官(高鳥修一君) お答えいたします。
 データとしては、今、死産の中で分けたものは持ち合わせておりません。
#66
○小川敏夫君 有意な差があって、統計上それが非常に統計を取る意味があるということであれば、そうした区別を付けることについては特に異を述べないけれども、では、更にその上に立って、非嫡出子という言葉を使うことの合理性も考えてみなくてはいけないと思うんですね。
 つまり、ただ単に非嫡出子という言葉を使わなくても、いろんな使い方があると思うわけですよ。つまり、死産をした母親が、あなたは婚姻中ですかという聞き方でも十分足りると思うんですよね。ですから、非嫡出子ですかという、そのような質問の仕方じゃない工夫も同じ目的を達することができると思うんですよね。母親は、あなたは婚姻中ですかという質問でも、生まれてくる子供が婚姻中なら嫡出子、婚姻中じゃなければ一般には非嫡出子ですから、非嫡出子という言葉を殊更使わなくても同じ目的を達せられるんじゃないですかと思うんですが、どうでしょう。
#67
○大臣政務官(高鳥修一君) 先ほど申し上げたように、その状況を引き続き把握をするために、死産における嫡出子と嫡出でない子の別に関する統計は引き続き作成する必要があると考えております。
 なお、出生届と死産届は市区町村の窓口において一体のものとして処理されておりますので、もし仮に死産届の記載事項見直しをするといたしましても、出生届の見直しと併せて行うことが適当であると考えます。
#68
○小川敏夫君 だから、そういう統計上、嫡出子と非嫡出子について区別してその実態を把握するという意味があるということなら、その意味があるならという前提の上に立って私は質問したんですよ。統計上のそうした目的を達するためには、非嫡出子ということを、殊更用語を使わなくても、あるいは非嫡出子ということを書かせなくても足りるやり方があるんじゃないですかと聞いたわけです。ですから、一つの例えとして、母親は、あなたは婚姻中ですかという聞き方でも足りるんじゃないですかと聞いたわけです。
#69
○大臣政務官(高鳥修一君) 嫡出でない子という用語は、あくまで法律上の婚姻関係にない男女の間に出生した子を意味するものとして用いられている法律用語と解しております。
#70
○小川敏夫君 婚姻関係にないと。だから、母親に、あなたは婚姻中ですかどうかという質問の仕方でも目的を達するんじゃないですかと聞いているわけです。
#71
○大臣政務官(高鳥修一君) 繰り返しになりますけれども、出生届と死産届は市区町村の窓口において一体のものとして処理されていることから、仮に死産届の記載事項見直しをするとしても、出生届の見直しと併せて行うことが適当であると考えております。
#72
○小川敏夫君 私の質問に答えていただけないんですけれども。私の質問の趣旨をよく理解して、十分な検討をしていただきたいというふうに思いますが、これ以上押し問答はしませんけれども。
 大分質問時間、本当はもっと質問したいことがあるんですが、いろいろあるんですけれども、じゃ、一つだけ大臣にお尋ねしますが、今度、最高裁決定が出ました。今回の民法改正案は、最高裁決定が出た日の後の相続について適用するということになっております。ただ、最高裁決定は、たしか平成十三年七月の相続開始の件について、平成十三年七月時点のこの相続について違憲の決定をしたわけです。
 そうすると、平成十三年七月の相続について違憲決定であれば、平成十三年七月以降の相続について、やはりこれは非嫡出子の相続分は嫡出子と同じとすべきというのが、普通に考えればそうすべきじゃないかとは思うんですが。この十三年七月が違憲決定とされた相続であると。そうすると、それ以降、この法律を改正するというか、この法律を改正して施行するまでの間の十二年間ですか、この間に生じた相続についてはどういう扱いになるんでしょうか。
#73
○国務大臣(谷垣禎一君) 委員の御指摘のように、今度の大法廷の決定は、平成十三年七月の時点では遅くとも違憲となっていたという判示をしております。
 そうしますと、この決定の以降は、最高裁の、何というんでしょうか、判断に従って処理するにしても、その間は一体どうなるのかという問題がございまして、そこのところは、平成十三年七月から決定の日までの間に開始された相続について、現行の規定を前提として既にされた遺産の分割の審判等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではないというふうに判示をしております。
 そこで、どういう立法をするかということは、実は法務省の中でも大分検討をいたしました。原則として、平成十三年七月以降、これは無効として、しかし最高裁が、無効といいますか、二分の一という規定はもう無効になったものとして、同等のものとして原則として扱い、しかし確定した法律関係に、相続関係に、何というんでしょうか、不安定をもたらしてはいけないという見地から、そういうものを、何というんでしょうか、抜き出して記述するということはできないかということも実は検討いたしましたけれども、それは非常に、実際問題として法律の条文に書き表すのは技術的にもとても不可能であるという結論に達しまして、今回のような規定にしたわけでございます。
 したがいまして、この十三年七月から、それからこの判示に至るまで、九月の四日ですか、に至るまでの間というのは、この最高裁の趣旨に従って例えば審判等の中で判断をされていくということになるだろうと思います。
#74
○小川敏夫君 ですから、十三年七月以降のその決定までの間の相続について、まだ話が付いていないものは、これは当然同じ相続分と、非嫡出子も嫡出子も同じ相続分という前提でこれから話が進むでしょうからいいでしょうけれども、既に確定してしまったものについて、しかし、話合いが決まった、あるいは当時審判が確定してしまった、最高裁まで行かなかった、確定してしまったといっても、やっぱりその話合いなり確定した審判の前提は、当時のその時点の民法、すなわち非嫡出子は嫡出子の半分であるというその民法の規定を前提にして決まっていると思うんですよね。
 ですから、技術的に難しいといっても、しかし、いや、基本前提の民法が実は憲法違反で不適用になったんだから、やはりこの決まった審判も、錯誤があるから、あるいは前提が違うからやり直しだと言われれば、これはそうせざるを得ないような気もするんですが。
 時間も来ましたから、私どもは、先ほど前川委員も言いましたように、この民法改正は最高裁の決定を待つ前に立法的に解決すべきだという観点から、最高裁の決定を前に立法的解決を促すためにこうした法案を提出したわけですけれども、大変、そうした立法的な解決がなされないまま、前川委員を始めとして提出した法案は審議時間があるのに審議がされないまま放置されて、結局、立法的解決がなされないまま最高裁の決定を迎えてしまったということに、今のようなタイムラグがある困難な問題を引き起こしてしまったとも思うんですね。
 私は、そういった面で是非法務行政の在り方としても反省していただきたいと思うんですが、時間が来ましたから答弁は要りませんが、また会もありますので、また引き続いて質問させていただきますので、本日はこれで終わります。
#75
○真山勇一君 みんなの党の真山勇一です。
 今日のこの民法の一部改正案、それから戸籍法、議員提案をさせていただいたこの戸籍法一部改正案の質問の前に谷垣大臣に伺わせていただきたいことがございます。
 昨日、衆議院の本会議で特定秘密保護法案の趣旨説明が行われました。私も質問をさせていただいて、あっ、参議院、失礼しました、参議院の本会議で趣旨説明がございました。その中で私も質問させていただいたんですが、あの法案の中に、特定秘密ということをめぐって、やはり私は、場合によっては冤罪が起きる可能性、おそれがあるんじゃないか、その辺りをどういうふうにお思いになるかということで谷垣大臣に質問させていただいたんですが、そのときに谷垣大臣の方から、法律には、冤罪というその言葉が法令上ないということで、お答えしかねるというような趣旨の答弁をいただいたんですが。ちょっと私は、法務大臣としては、私としては納得ができない答弁だったというふうに思いまして、この冤罪ということでお伺いしたいんですが、法令にない、冤罪はないということですと、例えば法務省では冤罪というのはどういう定義をなさっているんでしょうか。
#76
○国務大臣(谷垣禎一君) 昔、冤罪の冤という字を漢和辞典で引いてみますと、ウサギが囲いの中に追い込まれて身動きができない状態というような解説がされていたという、記憶いたします。
 ただ、これ人によって使い方様々な言葉でございまして、例えば、我々はもう原則としておりますのは、犯罪の実行行為をした者でない者が有罪判決を受けたりするようなことがあってはならないと、それは当然のことだろうと思います。そのために様々の手だてが法律上も講じられている。それで、それをきちっと守って我々は、検察は仕事をしなきゃならない、これは当然のことだろうと思います。
 ただ、法律上この定義がされておりませんし、人によって使い方が様々なわけです。つまり、実行行為をしていない者が有罪判決を受けることが冤罪だと言う方もいらっしゃれば、実行行為をしていない者が逮捕されるというのは冤罪じゃないかとおっしゃる方もいて、使い方が様々でございますので、法務省として特定の定義を持っているわけではございません。
 法務省として考えておりますことは、実行行為をしていない者が有罪判決を受けるようなことはしてはいけない、法と証拠に基づいて刑事訴訟の基本を、大道を踏まえて物事を処理していくと、法務省が考えていることは突き詰めればそういうことでございます。
#77
○真山勇一君 確かに法令上ないということですけれども、一般的に言うと、冤罪という言葉は非常によく使われますね。例えば、新聞を見ても、テレビのニュースを見ても、冤罪事件、冤罪はあってはならないというような、そういうことが流れます。ごくごく普通な言葉で、そして私としては、法廷の中ででも冤罪という言葉が使われているというふうに認識をしているわけなんですけれども。
 今、その法律がないということですが、私もこの冤という字が何か、どういうふうに書いていいのか分からなくて辞書で確かめつつ書いたんですけれども、実はおなじみの広辞苑というのを引いてみましたら、まあこんなことは聞かなくても分かるよということかもしれませんが、冤罪というところを引いたら、本当にもう一言で説明してあるんですね、無実の罪、ぬれぎぬ。例として、冤罪を晴らすと、これだけですね。あの分厚い広辞苑の中でこれだけで、冤罪ということは、逆に言えばシンプルで、もう言葉の意味というのは無実の罪、ぬれぎぬということで分かるのではないかというふうに思うんですが。
 そうすると、この冤罪というのがないとなると、例えば表現上、冤罪とか冤罪事件というものがあると思うんですが、そういうものを例えば表現するにはどういう言い方で使われるんでしょうか。
#78
○国務大臣(谷垣禎一君) 私、実は広辞苑も引いてみました。実はもう一つよく理解できないわけですね。つまり、無実の罪ということであるならば、いろいろ争った挙げ句無罪判決が出た、無罪判決が確定したというのは冤罪だったのか、ないのか。つまり、そこまで被告人として過ごさなければならなかったことが冤罪なのかどうかというのは、どうも辞書を引いてみてもはっきりしないんですね。
 要するに、日本のシステムとしては、もちろん簡単に実行行為をしていない者が起訴を受けるというようなこともあってはならないでしょうが、やはりそれは最終的には裁判の中で、いわゆる三審制等々の中でそういう問題が生じないようにするという仕組みになっていると。もちろん、そのために憲法上もいろいろ規定がございますけれども、検察等々の捜査も、裁判官による令状であるとか、法と証拠に基づいて起訴をし、そして公判を進めていくというようないろんな原則があって、冤罪という言葉はかなり包括的な、何というんでしょうか、見ようによっては幅広い概念なものですから、どこまでその言葉を含めて考えるかと。法律を実務的に考えてみた場合、なかなか使いにくい言葉であるというのが私は率直なところでございます。
#79
○真山勇一君 それではちょっと、例えば裁判の検察という立場で、今日は稲田刑事局長もおいでになっていらっしゃると思うので、検察ではこの冤罪というのをどういうふうに定義、どんな使い方になるんでしょうか。
#80
○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほど大臣の方から御答弁がありましたように、検察当局におきましても、当然のことながら犯人でない人を処罰してはいけないということは、もうこれは当然のこととして受け止めているわけであります。
 ただ、御指摘のように冤罪というものをどういうふうに受け止めるかということになりますと、言葉の使い方として、今まさに大臣の方からお話がございましたように、なかなか幅広いところもございまして、一概にどこまでが冤罪なのかということはおっしゃる方によって使い方が違いますし、検察部内の中で冤罪という言葉が全く使われないとかそういう趣旨で申し上げているのではなくて、定まった範囲として申し上げるのはなかなか困難ではないかというふうに思っているというところは、先ほど大臣からお話があったことと検察部内での受け止め方は違わないものというふうに考えております。
#81
○真山勇一君 ただ、現実にはやはりいわゆる冤罪、冤罪事件というのはあるわけで、例えば有名な、有名なというのは、まだ記憶に残っている事件では例の郵便不正事件みたいなものもありますね。つまり、明らかにこれは証拠を改ざんしてつくって、実際には無罪であるのにもかかわらず有罪になってしまったということがあるわけです。こういうものを一般的に冤罪事件という呼び方をしているわけで、これを、じゃ、冤罪事件じゃなくて何と呼ぶのかなというのを私はちょっと、例えばこうした世の中の事件とか事故を伝える立場でいうと、やっぱりどういう言い方をしていいのかなという、かなりいろんな疑問を持っております。やはり、現実的には一般の人たちは、冤罪というものがあれば、それに対するイメージも、それから一つの具体的なその言葉の意味も持っているんじゃないかなというふうに思っております。
 谷垣大臣に伺いたかったのは、そういうことで、法律的な面とそれから一般的な面というのは私も承知しているつもりです。ただやはり、先日の委員会で気になったのは、石井委員の質問に答えられて、世の中というのは、法律があるけれどもその法だけじゃない、やっぱり人間が大事だ、心が大事だと、不幸な人も幸せな人もいるけれども、法律というのはその法律だけで裁けない、人の心もやはり大事だというようなことをおっしゃっていたわけですね。
 そういうことからいくと、裁判でやはりいわゆる冤罪事件というのが起きてきてしまうわけなので、この辺りを、法務省も、それから例えば検察サイドも、それから日本弁護士会なんかも、冤罪事件を起こしてはならない、冤罪があってはならないということでいろいろな対策考えていますね。いろいろなことを法務省も打ち出していると思うんですが、こうした対策を打ち出している、これは冤罪をなくすために打ち出しているものというふうに言ってよろしいんですか。
#82
○国務大臣(谷垣禎一君) 冤罪、要するに適正な手法、捜査なり公判運営をしなければならない。適正に行われていく、そして、委員の言葉で言えば冤罪を発生させてはいけない、無辜の人に有罪を、罪を負わせるようなことがあってはならない、そのための、正しいといいますか、適正な捜査手続あるいは公判手続はいかなるものかという観点で我々は臨まなきゃならないし、そういう議論をしていかなきゃならないということだろうと思います。
#83
○真山勇一君 私もおっしゃることはよく分かります。ただ、やはり昨日の答弁で、私から感じたら木で鼻をくくったようなちょっとお答えだったので、やはり法の立場でいらっしゃる、そこでの公の発言ということは分かるんですが、ふだんのこの委員会での谷垣大臣のいろいろなお答えを聞いていますと、法律で何事も解決するんじゃなくて、やはり人間が大事だということを盛んにおっしゃっていてくれて、私もそうした心というのは法を扱う人間、法に携わる人間は必要じゃないかというふうに思っております。
 ですから、法曹にいらっしゃる、大臣も含めそういう人たちが、言葉の、法律でないからという冷たく何か私は突き放されたような気がして、やっぱりそういうものではない。やはり冤罪、まさに冤罪はあってはならないことなんだし、そういうことをやはり常に思っていただければという思いで谷垣大臣に伺わせていただいたんですが、いかがでしょうか。
#84
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど稲田刑事局長が答弁をいたしましたけれども、何も私たちも冤罪という言葉を一切使わないという趣旨で申し上げているわけではございません。やはり適正な刑事司法をどう築いていくかと。それは今私が答弁でも申しているというふうに真山先生に言っていただきましたけれども、もちろん法規範だけで全てが解決できるわけではないわけですので、幅広くいろいろな事象を踏まえながら、適正な、公正な刑事司法というのはいかなるものかと追求してまいりたいと、こう思っております。
#85
○真山勇一君 ありがとうございました。
 それでは、今日の本来の民法と戸籍法の一部改正、この件についてお伺いをしていきたいというふうに思っているんです。
 民法というのは、やはり旧民法それから戦後の改正いろいろ行われて、長いいろいろ道のりがあったと思うんですね。特に民法の家督相続ですとかそれから遺産の関係というのは、やはりどんどんどんどん社会も変わってきているので、変えていかなければならないところがある。
 幾つかの点は当然改正をされてきたということなんですが、婚外子、いわゆる非嫡出子についての項目はずっと残ってきてしまったんですが、いただいた資料などをちょっとひっくり返してみましたら、実は法務省が比較的早い時点で嫡出子と非嫡出子を等しくするというもの、これ試案、まだ試案というふうなことらしいんですが、出ていたことが分かりました。昭和五十五年なんですね、一九八〇年ということになるんですが。このとき、こういう法務省がもう既に婚外子と財産を同じ額にするという試案、試案にしろ出していたということで、私は、ああ、こんなに早くこういうことが改正、改正というか、問題点があるという指摘、多分指摘になると思うんですが、出ていたということにちょっと興味を持ちました。
 このときの、どういうことだったのか、このいきさつ、それからその辺りの、これが出てきた、こういう試案が出たことの社会的な背景もあると思うんです。その辺をお聞かせください。
#86
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、昭和五十五年とおっしゃいましたが、実は五十四年に作成、公表された相続に関する改正要綱試案というのがございまして、それに基づいてある程度法改正をした部分がございまして、それが昭和五十五年に法改正をしたということでございます。
 そこで、その中身の概要を申し上げますと、一つは配偶者の法定相続分の引上げでございます。細かには申し上げませんが、それまでは配偶者は三分の一、相続分は三分の一だった、それを二分の一に引き上げるという改正をしたらどうかということをここで言ったわけですね。
 その背景には幾つか問題点があったと思いますが、これは婚姻共同生活における夫婦相互の協力と貢献に報いるということ、あるいは亡くなった後、生存配偶者の生活を安定させる必要がある。それからもう一つありますのは、一組の夫婦当たりの昔はたくさん子供がいたと、だから奥さんは三分の一取っても、お子さんを分けた、お子さんはそんなに多くはなかったと。ところが、子供の数が減っていくと、子供に比べて配偶者の、何というんですか、相続分が低過ぎるじゃないかというようなことにもなりかねなくなってきたという、そういう子供の数がどれだけあるかという変化もどうもあったようでございますね。それで三分の一から二分の一に持っていくということでございました。これが一つですね。
 それからもう一つありますのは、これが今回問題になっております嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と等しくするというのがございました。これは、背景にありましたのは、法の下の平等というような観念の浸透というか受け止め、それの社会の受け止め方の変化ということもあったと思いますし、国際的な立法の動向というものも影響を与えていたようでございます。
 それから三番目に、寄与分の制度を新設するというのがございまして、これは相続人中に、先ほど来いろいろ御議論もございましたけれども、相当資産を殖やしていくことに努力したにもかかわらず相続分だけではうまく評価できないというようなことがございまして、相続人間の実質的な公平を図るには寄与分というものを考える必要があるんじゃないかと、こういう提言をしたわけでございます。
 今三つ挙げましたが、そのうち嫡出でない、今回問題になっているものを除く二つの問題点、これについては昭和五十五年に改正をされて現行法の内容となっているわけでございます。
 それから、嫡出と非嫡出子の相続分を等しくするという問題は、これも先ほどから申し上げておりますが、やはり相当いろんな議論が起きてまいりまして、法案化して国会に提出するには至らなかったということでございます。
#87
○真山勇一君 やはり、法律というのは時代の流れ、時の流れ、そのときのいろいろな社会通念なんかも影響してくるんでしょうし、そこで初めて改正されていくのは分かるんですが、五十五年の時点でこういうことを指摘した、法律に携わるところというのはそういう世の中の動きに常にやはり敏感で是非いなくちゃいけないと思いますし、民法も、ほかにも多分古い法律ですから変えなくちゃいけないところがあると思います。是非こういう感覚をやはり大事に、常に大事に持って人のための法律というのを作っていかなくてはいけないんじゃないかなというような気がいたします。
 もう一つだけお伺いしたいんですけれども、これと一緒に出るはずだった戸籍法の一部改正案が出なかったということで、先ほど大臣の方から、これは残しておいても違憲ではないということと緊急性がないというようなことをおっしゃったんですけれども、そうではないにしても、やはり生まれたところから子供が言ってみれば差別を受ける、あるいは本人が差別の感じを受けるようなものをあえて残すのでしたら、先ほどの論法でいえば、やはりこういうものはむしろ先駆けて直していこうということが必要なんですけれども、いろいろ事情はあるかと思うんですが、こういうものもやはり法務省は積極的にむしろ出していくというくらいのことをやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
#88
○国務大臣(谷垣禎一君) これも、先ほど来度々御答弁を申し上げているところでございますけれども、私どもは、やはり政府と与党というものが一体になって政策を立て法律化していかなければいけないという仕組みで行動しております。そこで、与党審査の過程の中で、先ほど申し上げたような、緊急性が必ずしもないのではないか、最高裁のこの問題に関する、戸籍法に関する判決も受けてそういう御指摘があったものですから、今回はこのようなさばきにさせていただいているということでございます。
#89
○真山勇一君 時間になりました。
 やはり、遅れるというのはそれだけ、多分、非嫡出子、これ数もちょっと伺おうと思っていたんですが、大分の方がいらっしゃるわけですね。そういう人たちがこういう差別、言わば差別を受けるというのは、やはり是正すべきならば一刻も早く是正すべきであるというふうに私も考えます。また、改めて締めくくりで質問させていただきます。
 ありがとうございました。
#90
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 この民法の婚外子相続分の差別規定について、九月の憲法違反の最高裁決定を受けまして、既に十一月五日に当委員会で行われました大臣の所信に対する質疑で、私、この最高裁決定の意義をどうとらえるかということで大臣の御意見、所見を伺わせていただきました。その質疑を踏まえた上で、今回、政府から民法九百条四号ただし書の差別規定を削除するというこの提案があったことは最低限の責務を果たしたものであって、言わば当然のものというふうに受け止めております。
 そこで、審議に入るまず最初に、今日も議論があっておるわけですけれども、これまで婚外子の相続分を差別してきたこの規定が戦後の早い段階から憲法との抵触が問題とされてきたのではないのかということなのです。事は今度の最高裁の憲法違反の決定というところに始まるものでは全くないということなんですね。
 先ほどもお話がありましたが、法務省がこの条項の見直しの検討を開始したのは極めて早い段階です。一九四七年、昭和二十二年に民法が改正をされ、既に一九五四年、昭和二十九年には法相から法制審に対する諮問がなされているのだろうと思います。
 その諮問と相続編の部分についてもの検討を受けて、先ほどお話のあった一九七九年に要綱案が作成されたという経過かと思うんですが、民事局長にお尋ねしたいと思いますが、そうした理解でいいのかということと、その要綱試案の中で九百条四号ただし書についてはどんな案が示されているのか、御紹介ください。
#91
○政府参考人(深山卓也君) ただいまの御説明の中にあったように、昭和二十二年の民法の一部改正法律が成立したわけですけれども、これは日本国憲法と抵触する民法の規定を改めるということで緊急に行われた立法でございまして、改正作業の時間が非常に限られておりました。
 そのため、憲法に直接抵触しない規定についてはその当時はそのまま維持されることになりましたが、その際の衆議院において、この法律が可決された際に、本法は、可及的速やかに、将来において更に改正する必要があることを認めるといった附帯決議がされていたところでございます。
 そこで、この二十二年の民法改正が家族法の現代化、合理化にとって必ずしも十分な内容ではなかったということから、その当時から近い将来の更なる見直しが予定されていたところ、法務大臣は昭和二十九年七月に法制審議会に対して、民法に改正を加える必要があるとすればその要綱を示されたいという一般的な諮問を行って、これを受けて法制審議会の身分法に関する小委員会ができて、そこで身分法の見直しの作業が開始されたものと承知しております。
 その結果、今委員が御指摘のあった昭和五十四年七月に作成、公表された相続に関する改正要綱試案では、今回問題になっています九百条四号ただし書につきまして、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と同等とする旨の案が示されておりました。
#92
○仁比聡平君 そうした要綱試案を受けて翌一九八〇年には民法の改正が行われまして、その際、今日も前川議員の質疑などで取り上げられました配偶者の相続分が引き上げられ、あるいは寄与分の制度が改正をされたわけです。ところが、この婚外子相続分の差別規定については法案提出がなされなかったわけですが、これは一体なぜなんでしょうか、局長。
#93
○政府参考人(深山卓也君) この御指摘の嫡出子と嫡出でない子の相続分を同等化することにつきましては、試案で提案した内容につきまして各方面からの反対意見が非常に強かったことから、最終的に法務大臣に答申した要綱にこの内容が盛り込まれず、したがってこの要綱に基づく五十五年の法案の内容に盛り込まれなかったと、こういうことでございます。
#94
○仁比聡平君 なぜ盛り込まれなかったのかがよく分からないんですけれども。
 大臣にちょっとお尋ねしたいんですが、この九百条四号の規定の憲法違反性、違憲性については、これは一九四七年の民法改正当初から憲法違反だったのであるという極めて重い意見が法曹界の中では有力です。その憲法違反性というのは、今回の最高裁決定で論じられていることが、つまり一九四七年からあったということだと思うんですね。
 ところが、そうした問題意識で、言わば戦前の残り物を速やかに戦後改正をしなければならないということもあって、法相も法制審に諮問をしながら、その法制審が要綱試案で同等にせよと言ったのに法案の提出に至らなかった。それ、当時の所管大臣ではないわけですけど、大臣として今どうお考えですか。
#95
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、仁比委員が昭和二十二年の親族法、相続法の改正のときからこの規定は違憲であったのだというふうにおっしゃいました。それが法曹界で有力な意見であるとおっしゃった。私は必ずしも、多分そういう議論は当時からあったのかもしれませんが、その議論が極めて有力だったかどうかは私ははっきり承知しておりません。
 私どもが学んでまいりましたのは、二分の一、嫡出子、法律上の婚姻から生まれた子供の権利性をはっきり認めるとともに、非嫡出子の立場というものも配慮しなければならない、その調和規定がこれであるというような説明を、私どもはそういうことかなというふうに考えていたわけであります。
 しかし、今回こういう決定が出ましたのは、それを支えているいろんな平等に関する意識等々、あるいは更に申し上げるならば、ここは法務大臣として申し上げるより私のある意味で独断もございますが、夫婦の財産形成の在り方なんかも、昔のようなかなり家というものが強い時代と夫婦両方が勤務して仕事に就いている場合が多い場合ではかなり変わってきている、そういうようなことも意識に変化を与えているのではないかと、こんなふうに思っております。
#96
○仁比聡平君 この相続分規定については、今も少し大臣が触れられましたけれども、家という概念だとか制度をどういうふうにとらえるのかというところと深くかかわっているのだろうと思うんですね。
 私は、日本の戦前の社会というのは、国の命令一つで国民の自由や権利が奪われる、そうした下であの戦争に突き進んでいくことになったと、そうした社会だったと思います。その中で、戸主制度あるいは家制度というものが大きな柱となっていて、これが戦争を経ての私たちの日本国憲法に照らしたときに、そうしたままでいいはずがないという形で、戦後、民法の大改正や、そして今、先ほど御紹介いただいたような経過があるのだろうと思うんですね。
 そうした中で、この婚外子差別について言うと、生まれた子の本人の意思ではいかんともし難い事情による差別であるということはもう繰り返し申し上げるまでもないと思うんです。このことが国民の基本的人権の保障という観点からしたときに、世論などで左右できるものではないということも今度の違憲決定で明らかなのだろうと思うんですね。
 当時、なぜ提出に至らなかったのか、あの八〇年のことですが、について政府の担当者との勉強のレクの中では、民事局長はそうはおっしゃいませんでしたけれども、勉強のレクの中では、今より多く反対の世論があったと、政府の調査で四七・八%が反対をしていた、これは、その当時同等化を求めたのは一五・六%だった、したがって時期尚早であると、そういうふうな判断がされたというふうに伺いましたけれども、もう局長もそういう御発言はなさりませんでした。
 こうした世論だとかあるいは世論調査、これを理由に民法の差別規定の解消を図ることを阻むような、そうした議論はもうおやめになるべきだと思うんですが、いかがですか。
#97
○国務大臣(谷垣禎一君) 世論調査で全てを決めていくというのは、私、やっぱり違うだろうと思います。
 ただ、今、仁比委員のお話を伺っておりまして、私と仁比委員と若干、私、これは法務大臣として申し上げているというよりも、大学で法律を学び、その後弁護士としての生活も送った者の、私の時代の感覚でございますが、私が親族法を学びましたときは、一つはやっぱり法律婚というものを重視していこうと、つまり両性の合意によって成立した法律婚というものをやっぱり重視していこうというのは昭和二十二年民法改正の極めて大きな柱だったと思うんです。そのやっぱり、何というんでしょうか、考え方が嫡出子を重んずるというところにつながっていったところがあると。
 それで、世論調査などで決めるべきではないという仁比先生のお考えも、私はそのとおりだと思います。ただ、その辺りの意識は、昭和二十二年と現在ではかなり変化してきている部分があるのではないかと。やはり、そういう国民意識の平等やあるいは法律婚というものをどこまで重視するかとか、非嫡出子の権利をどこまでその平等を重んずべきかというのは、やはり国民の意識の変遷というのは私はあったのかなと、こんなふうに思います。
#98
○仁比聡平君 世論調査の数字などで決めるべきではないという点で大臣と御意見が共にできることはうれしいことです。
 それで、大臣のおっしゃる意識、国民の意識、あるいは法意識とか感覚とかいうようなもののお話かと思うのですね。
 それで、ちょっと質問時間も今日そう十分ではないので、本当だったらば、国際社会での差別規定の解消やあるいは国際人権機関からの度重なる勧告ということについても伺いたいと思っていたんですが、ちょっとそれはまたの機会にして、戸籍法の考え方について基本的なところを伺っておきたいと思うんです。それが国民の家族観とかあるいは法感覚ということにかかわるものなのかどうなのか、この点についての政府や与党の中での議論というのはどういうものなのかというのが私によく分からないからなんです。
 それで、まず民事局長に伺いたいと思うんですが、戸籍法四十九条の二項一号、ここには、嫡出子又は嫡出でない子の別を記載しなければならないという出生届書きについての規定があるわけですが、この根拠は何なんでしょうか。
#99
○政府参考人(深山卓也君) 御案内のとおり、民法では子が嫡出であるか否かに応じた身分関係上の区別を設けております。嫡出子と嫡出でない子の間で異なる取扱いをしている規定は、この相続分以外にも、氏の問題でありますとか法律上の父子関係などございます。
 これを受けまして、戸籍法制におきましても、嫡出子は父母の戸籍に入るのに対し、嫡出でない子は母の戸籍に入るといった取扱いの差異がございまして、民法上の区別が戸籍に反映するということになっております。
 そこで、今問題になっている四十九条二項ですか、戸籍の窓口で出生届に係る子が嫡出子であるか否かを戸籍簿等の資料から判断する、これはできるんですけれども、その際の契機とすることによって、戸籍事務処理上の便宜に資するべく、これを出生届出書の記載事項としているものでございます。
#100
○仁比聡平君 民法上の区別がというのがよく、との意味をもう少し伺いたいと思うんですけれども、出生届において父母との続き柄を必要記載事項とするというのは、つまり、その続き柄が民法の身分関係法によって規律される法律上の効果を、これをその戸籍がどうするからということなんですか。
 その民法の身分法と、民法と戸籍法の関係についてちょっと伺いたいと思います。
#101
○政府参考人(深山卓也君) ちょっと説明が舌足らずでございましたが、民法上、嫡出子と嫡出でない子に法律上の取扱いの差があると。それの反映として、戸籍法においても取扱いが、どこの戸籍に入るかということで大きく違います。つまり、父母の戸籍に入るか母の戸籍に入るか、そのことを戸籍の窓口では出生届があった段階で判断をしなくちゃもちろんいけません。そのときの判断の事務処理上の便宜に資するということでこの記載事項が設けられていると、こういうことでございます。
#102
○仁比聡平君 やっぱりよく分からないですね。その取扱いというのは、法務当局のサイドの取扱いの便宜のような話なんでしょうか。
 戸籍法の本を読みますと、戸籍というのは、人が生まれて死ぬまでの間における身分関係を公に記録し、公に証明することを目的とする制度であると、そういうふうにも例えばあるわけですけれども、そういう理解でいいんですか。
#103
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおりでございまして、戸籍は人の親族的な身分関係を登録公証することを目的とする制度でございます。
#104
○仁比聡平君 ところが、古くは、ところがというのは違いますか、古くは、戸籍や戸籍制度になるに至る制度というのはそうではなかったようで、その戸籍制度の歴史を振り返っている本を見ますと、例えば、戸籍が、警察、軍備、財政、刑事行政目的のため、現実の居住者を戸ごとに調査し記録する目的を有し、行政的監督に服し、財産状況なども表示をしていたという、そういう時代が明治にあるわけですね、明治に至るまで。
 こうした戸籍が徴兵制とも密接に結び付けられ、各戸主は、一家を扶持する戸主を兵に取ることを不当として、戸主や推定相続人には徴兵猶予の特典もあったことから、いろんな混乱も戦前社会であったといった話もあるわけですけど。
 こうした戸主制度を前提にした家を何かその戸籍簿が表示するとか化体しているとか、そういうものではないんでしょう、局長。
#105
○政府参考人(深山卓也君) 先ほど申し上げたとおり、戸籍の機能は身分関係の登録公証に尽きるものと思っております。
#106
○仁比聡平君 最後に大臣、今日はこれで終わりますが、法律婚の尊重というのは違憲決定も前提にしていることであって、この法律婚の尊重ということと戸籍というのは、私はこれは関係ないと思うんですけれど、いかがですか。
#107
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、深山局長の御説明も、結局、結婚して、あるいは生まれて、誰が親であり誰が配偶者でありというような個人の身分関係を記録し公証するものであるとしますと、その前提となる秩序は民法によってその身分関係は定められている、それを反映するのが戸籍であるという関係だろうと私は思うんですね。そうしますと、民法はやはり法律婚を尊重しておりますから、その限りにおいては戸籍法も、そこらは私、正直言うとよく分かりません、極めて技術的なものとしてとらえることも可能ではあろうと思いますが、今ちょっと明言する自信はございません。
#108
○仁比聡平君 今日は終わります。
#109
○谷亮子君 生活の党、谷亮子でございます。
 本日の議題に沿って、まず初めに、違憲判決と法的安定性について伺ってまいりたいと思います。
 今回の民法改正案が提出された契機は、本年九月四日に最高裁判所において、民法九百条四号ただし書前段の規定に初めて違憲判断を示されたことによるものとされていると思います。最高裁判所のこの決定によれば、憲法に違反する法律は、原則でありますが無効ということになりますから、民法のこの規定は、この度の最高裁判所決定によって、遅くとも平成十三年七月当時において憲法十四条一項に違反していたと判断されたことで、先例としての拘束性というものによって当時以降は無効であることとなりまして、この民法九百条ただし書前段に基づいてされた裁判や合意の効力なども無効として否定されることになると考えられます。
 しかし、民法九百条ただし書前段の規定は国民生活や身分関係の基本法の一部でございますから、平成十三年七月から約十二年も長い期間が過ぎている現状がございますので、その間に民法のこの規定の合憲性を前提としてたくさんの件数の遺産分配が行われまして、さらにそれを基に新たな権利義務の関係がつくられるという事態が生じてきているわけでございます。
 そこで、もし違憲判断が既に行われた遺産の分割等の効力に影響して確定した遺産分割にも効果が及んで、例えば遺産分割をやり直さなければならないとすれば大変に法的安定性というものを害することになると、これは最高裁判所が論じているわけでございます。
 しかし、そうでありますと、結果として、遺産分割や法律の関係についての確定がこの大法廷決定の前か後かで婚外子の方の中で処遇に平等、不平等の格差を生じてしまうことになるということも考えられているわけでございまして、そこで、まず、法務省にお伺いしたいと思うんですけれども、この違憲判断の効力について、画期的な新たな判断との評価が法務省からされておりますが、それがどのようなものであるのか、まずお伺いしたいと思います。
#110
○政府参考人(深山卓也君) 今回の最高裁判所の決定は、民法九百条四号ただし書の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の二分の一とする部分は、遅くとも平成十三年七月当時において憲法十四条一項に違反していたと判断したとともに、この決定は、平成十三年七月からこの決定までの間に開始された相続につき、現行の規定を前提として既にされた遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではないと、この二点を判示いたしました。
 これは既に委員の御指摘のとおりですが、一般に最高裁判所の判例は先例として事実上の拘束力がございますので、これによれば、遅くとも平成十三年七月当時に現行の規定が違憲、無効であるとすれば、それ以後、この規定に基づいてされた行為の効力に当然に影響が及ぶことになるのが原則でございます。
 しかし、平成十三年七月から既に十二年もの期間が経過しておりますので、この現行規定が有効であることを前提として多数の遺産分割が既に行われております。その結果、新しい法律関係が形成されておりますので、このような状況において、事実上の拘束力の及ぶ範囲について何らの判断をせず、既に行われた遺産分割の効力に影響を及ぼすということは著しく法的安定を害することになると。こういった考慮から、今回の最高裁の決定は、このような事情を考慮して、違憲判断の事実上の拘束力の及ぶ範囲にまで立ち入ってこれを制限するという判断をしたもので、この点がかつてなかった新しい判断であるというふうに思っております。
#111
○谷亮子君 やはり権利義務と、また財産等にかかわってくることでございましたので、改めて伺わせていただいた次第でございます。
 そして、次に伺いたいのが、遺産分割や法律の関係についての確定が、この大法廷決定の前後により婚外子の中で処遇に格差を生じてしまうことになるのではないかと想定をされておりまして、この格差があるのかないのか、あるとした場合、その格差を埋める方策を法務省としてお考えなのかを伺います。
#112
○政府参考人(深山卓也君) 今御答弁いたしました最高裁判所の決定の判示によりまして、御指摘のとおり、平成十三年七月から平成二十五年九月四日までの間に開始した相続については、確定的なものとなった法律関係に当たるか否かによって適用されるルールが違う、相続分が違うということになります。
 委員の問題意識は、恐らく、確定的なものとなった法律関係に当たる場合であっても、実質において嫡出子と嫡出でない子の相続分が同等に扱われたのと同じ結果になるような何らかの格差是正措置を取るべきではないかと、こういうことかと思います。
 ただ、このような措置を設けることは、結局、最高裁判所が違憲判断の事実上の拘束力を制限してまで保護しようと考えていた法的安定性を害する事態が生じてしまいますので、結局、この社会的混乱を避けるためには、この場合の格差というのはある意味でやむを得ないというふうに考えております。
#113
○谷亮子君 やはり法改正がなされた場合には、しっかりと改正後、実効性がきちんと担保されていくということを期待してまいりたいというふうに思っております。
 そして次に、本日審議されております民法の一部を改正する法律案、閣法第二十号と、戸籍法の一部を改正する法律案、参議院第六号が本日一括議題となっているわけなんですが、子供の、子の権利を守る、また人権を守るという同じ観点から、特別養子縁組につきましてお尋ねいたしたいと思います。
 現在、日本の法律には二通りの養子縁組の形がございます。普通養子縁組と特別養子縁組がこれはございまして、普通養子縁組の戸籍への記載は、実親、実の親ですね、そして養親、養い親の両方の名前が記載をされまして、養子は、養子そして養女と書かれます。そして、特別養子縁組の戸籍への記載は養親だけが記載をされまして、養子は嫡出子と同様に実子扱いとした長男そして長女と記載されることになっております。
 そしてまた、縁組による父母、血縁親族との関係につきましては、普通養子縁組は存続いたしますが、特別養子縁組の方は終了するということになっておりまして、ここでお伺いしたいんですけれども、特別養子縁組は実子と同じように長男、長女と記載をされるわけですが、特別養子縁組制度におきまして、養親は、養い親ですね、養い親は、養子として迎え入れた子に対して本当の両親である実親を告知する義務が生じてくるのではないかと思うんですけれども、お尋ねいたしたいと思います。
#114
○政府参考人(深山卓也君) 民法上、特別養子縁組をした養親が養子に対して、その実親の存在を告知する義務は認められてはおりません。
 特別養子縁組というのは、御案内のとおり、実父母による子の監護が著しく困難又は不適当な場合等に認められるものでございまして、養子と養親との間に実親子関係と同様の強固で安定した親子関係を構築するための制度でございます。そのため、養親が養子に対してその実親の存在を告知することを法律上義務付けるのは相当でない、子の生育過程を見ながら養親の判断で任意的に告知を行うことが望ましいと考えられます。
 もっとも、成長した養子、子供自身が自分の実親について知りたいと考えた場合には、自らの戸籍から戸籍をたどることによりまして実親の戸籍を探索することはできるようになっております。したがって、これによって成人になった子が実親を知ることができるような仕組みにはなってはおります。
#115
○谷亮子君 法律上また戸籍上つながりがないから、結局、実際の、実の親がいるということを告知する義務は生じないのではないかというような答弁だったというふうに思うわけなんですが、しかし、子供自身がやはり実の親の存在を知る機会といいますか、自分自身で見付ける場合とそして知る場合もございますし、先ほど、今御説明いただきましたように、周りが教えていく場合も、そういった環境もあるわけでございます。
 そして、さらには、今はDNA鑑定というのが容易にできるような現状になっておりますので、そうしたいろいろな環境の下でやはり実の親という存在を知るということはもうこれ自然と生じてくることではないかというふうに考えるわけでございます。
 そして、そのときに一番大事なのは、やはりその子が人権的侵害を受けてしまうということにつながってくるということ、これを第一義的に防いでいかなければならないと思われるわけなんですけれども、子の権利と人権を守るという観点からは、戸籍上がつながりがないからその実親を告知する義務が生じてこない、また知る権利もないというのであれば、子が受けた人権的侵害を知って知らぬふりをしているだけにすぎないというふうにも感じてしまうわけでございます。
 ですから、もう既に、実親を告知する義務は既に生じているのではないかという私自身の見解でもあるわけなんですけれども、しかし、この特別養子縁組につきましては、現在国内におきましては三百組ほど行われて、年間、おります。そしてまた、アメリカの特別養子縁組は年間三万件ほど行われておりまして、普通養子縁組は十二万件ほど行われているという現状でございます。
 そして、国内の特別養子縁組は民法八百十七条、児童福祉法第二十八条に準拠しておりまして、特別養子縁組の条件といたしましては、養子の年齢は六歳未満と制限されている現状がございます。六歳未満から事実上養育していたということが認められた場合におきましては八歳未満まで可能となっておりますが、幼少時代、若い小さなころにそうした特別養子縁組ということが成り立っていくというような現状もございまして、この民法八百十七条の七にございますように、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他の特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認める場合、民法八百十七条の二にございます、養親となる、養い親となる者の請求により家庭裁判所がこれを成立させるとされているわけでございます。
 ですから、子の年齢がゼロ歳から五歳、六歳未満ということでございますから、本当に物心付く前にそうしたことが、家庭裁判所の人権的尊重の観点から特別養子縁組ということがなされていくわけなんですけれども、そこで将来にわたって実の親をやはり知りたいと思う、知る権利というものがここでも尊重されていかなければならないというふうに思っております。
 そしてまた、特別養子縁組へとなっていくに当たって、戸籍上も実子と同じように長男、長女と記載されることから、やはり実の親を知る権利の尊重も同時になされていかなければならないと私は思っております。
 そこで、特別養子縁組の相続につきましてもお伺いしたいというふうに思います。
 今回の法律案では、嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分と同等とするものであるとされていくように、子の人権や権利を守るという同じ視点に立ち、特別養子も双方の親から相続されるようにすべきと考えます。
 普通養子は、双方の親から相続がなされます。そして、特別養子は養親の相続だけ、実親からの相続というのは受けられないのが、先ほどお話ございましたけれども、なっております。子が実の親を知る権利や、その人権を侵害しないためにも、子と同じ視点に立って考えなければならないというのが第一義的に行われなければならないことだと思っておりますが、そこで、法務省といたしましては、特別養子縁組に養子となった子の実の親の遺産相続に関して、どのような見解をお持ちなのかを改めて伺います。
#116
○政府参考人(深山卓也君) 今御指摘のとおり、特別養子縁組がされた場合には、法律上の実親子関係が終了いたしますので、養子は実親を相続することはできません。これは、実親の相続を認めるべきであるという意見は、この特別養子縁組制度を創設する際にもございました。ただ、特別養子縁組は実父母による子の監護が著しく困難又は不適当な場合に認められるものでございまして、実親子関係の終了は、養子にとって養親を唯一の親として、両者の間に実親子関係と同様の強固で安定した親子関係を成立させ、実親からの不当な干渉を防止するための不可欠な方策であると考えられたことから、財産上の請求権を存続させておくことはかえって子の福祉に反することになりかねないという判断に立ちまして、実親の相続権が認められなかったものと承知しております。
#117
○谷亮子君 これまでの経緯も十分に理解できますし、私はやはり、より良い方策を考えていかなければならないと、時代にまた沿った特別養子縁組というのがなされていかなければならないと思っているんです。
 その特別養子縁組は、一九八七年に民法改正によって特別養子縁組が導入をされまして、翌年の一九八八年に施行されました。また、乳児院には約三千人の乳幼児が保護をされている現状でございまして、親元に帰る可能性が少なく、そして施設生活を続けている現状がございます。また、子育てをしたいけれども、やはり育てる環境がないことから、やむなく子育てを諦めなければならないために施設へ入らざるを得ない赤ちゃんや、特別養子縁組が必要なのに施設で長時間養育をされている赤ちゃんもたくさんいるという現状があるわけでございます。
 そして、そこで将来的にわたっても実の親の存在を知る機会は、これはやはりおのずと訪れてくる現状が、また環境が実際にあるわけでございまして、伏せられていたことを、子が将来的にわたってその実の親の存在を知る、その知ったときの人権的侵害の大きさというものを考えれば、私といたしましては、この特別養子縁組が導入されてもう既に二十五年が過ぎておりますので、その辺をやはりしっかりと法務省としても子供の視点に立った、立場に立った方策というものをお考えいただきたいと思っているんですが、最後に谷垣大臣に、今後、そうした現状を踏まえた上で、何か法務省として良い手だて、また良い方策というものをお考えでおられるのかお伺いして、終わりたいと思います。
#118
○国務大臣(谷垣禎一君) 特別養子制度は、先ほどから民事局長が御説明しておりますように、やっぱり実親に監護をさせていくようなことが困難であったり不適切であるという場合に、こういう言葉が適切かどうか分かりませんが、実親ともう切り離して養親の元で育てようという制度ですから、ですから相続権もないし、逆に言えば実親に扶養を請求することもできないと。そういう一環として、やっぱりそのときに、私もこれは詳細に知っているわけではありませんが、特別養子を迎える親の側にも、何というんでしょうか、本当に子供として育てたいという思いもあってこういう制度になっているんだろうと思うんですね。
 それで、今私は、直ちに、今、谷委員がおっしゃったように、告知をしなければならないとか、あるいは実親からの相続権も認めるべきだという考えに立っているわけではありません。今の制度でも、実際に、もし大人になって実際に知りたいと思ったときにはその手だては残っているということでございます。
 ただ、私も実は従来この制度を余りよく勉強したわけではございませんで、委員がお取り上げになってちょっとまた勉強したというのが正直なところでございます。ですから、私も関心を持ってこの問題、更に勉強していきたいと思っております。
#119
○谷亮子君 谷垣大臣、丁寧な御答弁、ありがとうございました。そして、前向きな御答弁もいただきまして、本当にありがとうございます。
 やはり、今、谷垣大臣が申されましたとおりに、実親に対してはその相続であったり扶養というものを請求できないという現状が確かに今あります。しかし、そこにはやはり子供の人権的侵害を受けたその立場に立った現状というものが著しく生じているという、実親がいるということを後々知る環境が、成長していくに当たって、実際にそういった環境が今、まさに先ほどもお話ししましたように、DNA鑑定であったり、周りから知らされることもあったり、あとは自分自身で知ったり、いろいろなことが想定されまして、そのときに、知らなかったことを子が知ったときのその人権的侵害の大きさを考えれば、これは何らかのやはり方策というものを、二十五年たっていろいろなことがあったと思いますが、導入後二十五年の間で改善すべきところも今出てきているのではないかというふうに私自身も感じましたので、今回テーマとして、子供の人権と権利を守るという同じ視点から取り上げさせていただいた次第でございます。
 また、私も改めましてしっかりと勉強してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 終わります。
#120
○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。
 衆議院法務委員会の議論を見ておりますと、最高裁が違憲判断したから法を改正するというのではなく、民法を改正するというその立法府の強い意思を表明する必要があると主張する議員がいらっしゃる一方、最高裁の判断を受け入れることができず、婚外子やその母親をおとしめるような発言も多々ありました。最高裁が違憲判断するに至った経緯、また立法不作為が問われたのだということがいまだに理解されていないのではないかと危惧いたします。
 既にほかの委員からも言及されていることですが、改めて私の意思を表明をしておきたいというふうに思います。
 我が国には憲法裁判所がないため、法令が憲法に適合するかどうかは裁判所が具体的事件の解決に必要な限度で審査をする、いわゆる付随的審査制を取っています。ですから、原告が裁判をしなければ裁判所が勝手に違憲判断はできませんし、下級審で確定したり裁判の途中で和解されたりすれば一度最高裁で合憲とされた判断は覆らないことになるわけです。
 今回の違憲判断も原告が長い年月を掛けて最高裁まで闘ったからこそ引き出した違憲判断であり、法改正を導いたというふうに言えると思います。原告となって裁判を闘ってこられた方々に改めて心から敬意を表したいと思います。法制審議会が様々な観点から慎重に議論し、九六年に答申した民法改正をきちんと受け止め法改正をしていれば、闘う必要もなかった裁判です。また、差別や偏見に苦しむこともなかったのではないかというふうに思います。
 最高裁が法改正を促し、当事者からも改正すべきであると指摘されました戸籍法四十九条の改正については、今回法案提出が見送られました。合理性が乏しくなった規定を見直さないのは、政府や立法府の差別解消に消極的な姿勢を露呈するものと言わざるを得ません。本来であれば政府から提出されるべき法案でしたが、それがかなわず、私どもは議員立法案として提出せざるを得なかったわけです。
 そこでお伺いしたいと思います。
 戸籍法改正が見送られたことについてでありますが、十一月五日の法務委員会で、出生届の用紙に嫡出子、嫡出でない子の記載を義務付ける戸籍法四十九条の改正について、今国会で法改正が行われるのか谷垣大臣に伺いました。これに対しまして谷垣大臣は、改正法案を本国会に提出できるよう現在準備しているところでございますと答弁されました。
 この答弁の直後、与党審査で了承が得られず、法改正を見送ったという報道がございました。谷垣大臣は、違憲決定直後の会見でも、法改正を示唆されていらっしゃいました。戸籍法の規定の存在の最大の根拠とされた婚外子相続分規定が削除されるわけですから、最高裁は、大臣の意向も踏まえ立法解決されるものと期待されていたというふうに思います。
 九月二十六日の判決では、嫡出でない子の問題の発生を将来にわたって極力避けるためには、父母の婚姻関係の有無に係る記載内容の変更や削除を含め、出生届について、戸籍法の規定を含む制度の在り方についてしかるべき見直しの検討が行われることが望まれるところであると補足意見を付して、国会に規定削除を要請しております。
 違憲判断されていないということを理由に法改正しないことになれば、婚外子相続規定の民法で問われた立法不作為を戸籍法でも繰り返し、将来その判断の過ちが指摘されるのではないかと懸念をしております。与党においては今回の最高裁の補足意見が届かなかったのは本当に残念だというふうに思いますが、谷垣大臣に改めて伺います。法改正の意向を示された国会答弁の直後、どの段階で何を理由に法改正を断念されたのでしょうか。
#121
○国務大臣(谷垣禎一君) 私がこの委員会でも戸籍法の改正も準備していると、それが出せるように今準備をしているところだという趣旨の答弁をいたしましたのはおっしゃるとおりでございます。
 いついかなる段階でそれを断念したのかという、私ちょっと正確に日時は記憶しておりませんが、私どもは、要するに与党の中の議論と政府の中の議論、一体になって政策をつくって国会に法律を出していこうという体制を取っております。その与党審査の中で、これも先ほどから何遍も御答弁を申し上げているところでございますけれども、これは法令違憲の判断が出た民法九百条の問題に比べると、それほど急ぐ必要はないというのが与党の中での御議論でございました。したがいまして、現状では、今お出ししているようなものを内閣提案として出させていただいているわけでございます。
#122
○糸数慶子君 先ほどから多くの質疑者がお話しされているところでございますけれども、やはり最高裁から出たことに対する立法府としてのやるべきこと、本当に残念ながら後退してしまうのはちょっと私は遺憾に思います。
 嫡出用語と嫡出概念の撤廃について次に伺います。
 十一月五日の参議院法務委員会で、嫡出用語や嫡出概念は見直しを行うべきではないかという私の質問に対しまして、深山政府参考人は、嫡出という用語につきましては国連の各種人権委員会からその使用の撤廃を勧告されたことがあるというのは承知しております。各種の人権委員会からの勧告に対しては、条約締結国として誠実に対処する必要があるのはもとよりでございますが、他方で、このような勧告は法的拘束力を有するものではないというふうにも理解しているところです。嫡出でない子という用語は、あくまでも法律上の婚姻関係にない男女間の間に出生した子を意味するものとして民法、戸籍法で用いられている法律用語でございまして、差別的な意味合いを含むものではないと思っております。したがって、現段階でこの用語の使用を見直すための法改正をする必要まではないと思っておりますと答弁をされました。
 そこで、お伺いいたしますが、民法の条文上使われている嫡出でない子ですが、民法には用語の説明はありません。法律上の婚姻関係にない男女の間に出生した子を意味するというのも理解はしております。しかし、嫡というその言葉には正統あるいは正しく受け継ぐという意味もありますので、嫡出でない子は正統でない子となってしまうため、当事者から使用しないでほしいと求められています。ですから、国連の社会権規約委員会は二〇〇一年に嫡出概念の撤廃を、子どもの権利委員会は二〇〇四年に嫡出でない子という差別用語を使用しないよう求めたのだというふうに思います。諸外国を見ても、嫡出概念や嫡出用語の撤廃は行われております。
 二〇一〇年三月、法務省は、嫡出でない子の出生の届出に当たり、届け書の父母との続き柄の欄の表記等がされていない場合の取扱いについて通知を出されていますが、これは当事者への配慮があったからではないでしょうか。二〇一二年七月二十七日の衆議院法務委員会で、嫡出用語を見直すよう求められた政府参考人の原優民事局長は、民法で現在、嫡出である子あるいは嫡出でない子という言葉が使われておりますので、この言葉を今後、法改正をする場合にどうするかというのは検討事項だというふうに考えておりますと答弁をされています。民法にも最も精通した前局長の御答弁も差別的意味合いを含むとの認識があり、そのような答弁だったというふうに私は理解しております。
 用語の見直しが必要だと思いますが、谷垣大臣の御見解をお聞かせください。
#123
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、日本語は言霊というものがあるという御意見がありまして、一つ一つの言葉が、何というか、中立的な概念として使われるという以上にいろんな陰影を帯びて使われるという局面があるのは承知いたしております。
 ただ私は、余りにも、頭の固い法律家だと糸数先生に言われるかもしれませんが、嫡出子という概念はあくまで法律上の婚姻から生まれた子というふうにとらえておりまして、それに特別なニュアンスというか陰影を余りにも付け加えて運用していくのは好ましくないと私は考えております。
 ですから、私は、あくまで嫡出概念というのは法律上の婚姻によって生まれた子であるかと。しかし、これは、ですから私の考え方からしますと、そこを改めるということは、法律婚から生まれた子と法律婚から生まれなかった子という民法の区別そのものを、何というんでしょうか、いじらなければなかなかできないのではないかと私自身はそのように考えております。
#124
○糸数慶子君 私、谷垣大臣は決して頭の固い大臣だとは思っておりません。
 当事者のやはり受ける印象、そして周りの社会的な状況から考えましても、やはりもうこの辺りでそろそろ変えていくべきだというふうに思います。それは以前の政府参考人からもそういうような、原優民事局長もそういうことをきちんと答弁をされた事実があるわけで、やはりもう少し頭を柔らかくしていただいて変えていただくということを要望したいと思います。
 次に、条約実施義務についてでありますが、条約加盟国には条約実施義務があります。憲法九十八条二項でも、日本が締結した条約は、これを誠実に遵守する必要があると規定しています。国連の各人権委員会が何度も勧告しているのは、日本の規定が条約に適合していないからではないでしょうか。国連の勧告を引き合いに法改正を求めると、谷垣大臣は、勧告を果たせないのは保守の側が反対しているものもあれば革新の側が反対してできないものもある、国際世論や人権規約が言っているというような形の議論を避けてきたという趣旨の御答弁もされていらっしゃいますが、今回の最高裁決定においても国連からの勧告が判断に取り入れられました。これはとても重く受け止めるべきだというふうに思います。深山政府参考人の、誠実に対処する必要があるが、他方で、勧告は法的拘束力を有するものではないという発言は、勧告に法的拘束力がないから繰り返し勧告を受けても問題ないというメッセージになってしまうのではないかと思いますが、いかがでございましょうか、お伺いいたします。
#125
○政府参考人(深山卓也君) 先日の法務委員会におきましても、この点について、今御指摘のとおり、法的拘束力を有するものではないという御答弁を申し上げました。
 この法的拘束力を有するものではないということの意味ですけれども、我が国が勧告を受けたことにより直ちに国内法整備の法的義務を条約上負うというものではないと、そこに尽きるものでございまして、この勧告がどういう効果を持つかということについてのこれまでの一般的な政府の理解を述べたものでございます。条約締約国として勧告を無視してよいとか、ないのと同じだと、そういう趣旨で申し上げているものではございません。
 もとより、その勧告を尊重して誠実に対処する必要があると考えておりますが、引き続き国連の人権関係の各委員会に対しては我が国の立場を丁寧に説明するなどして、誠実な対応をすべきものと思っております。
#126
○糸数慶子君 誠実に是非対応していただいて、ちゃんとした成果を出していただきたいというふうに思います。
 次に、事実婚夫婦の単独親権について伺います。
 婚外子の場合、父母どちらかの単独親権となっています。父母が事実婚で一緒に子供を養育していても共同親権は認められていません。父母の片方にしか親権がないことは、親権のない親にとってはつらいことだと思います。事実婚を法律婚と同等に扱うようになっている中、事実婚には共同親権を認めないことについて合理的な理由があると思えないのですが、改めて谷垣大臣の御見解を伺います。
#127
○国務大臣(谷垣禎一君) 民法上、父母の婚姻中は父母が共同して親権を行使すると、それから、嫡出でない子の場合には母又は父が単独で親権を行使すると、こういう規定の仕方になっております。こういう規定をしているのは、民法が法律上の夫婦とその間に生まれた嫡出子から成る婚姻共同体、これを基礎として親族間の様々な法律関係を規律していこうという基本的な考え方を取っている反映だろうと私は思うんです。
 それで、それに対して事実婚の場合は、子の両親、父、母、この結び付きや生活状況というのは極めて様々であろうと思います。したがって、一定の状況を前提とした規律に親しみにくい面があるのではないか。今、共同親権とおっしゃったけれども、本当に共同親権というのがうまく機能していく状況にあるのかどうかというようなことが、単独親権とされてきた、そういう規定となっている考え方の背景にはそういうことがあるのではないかと思っております。
 それで、これをどう考えていくかというのはいろいろ議論があろうかと思っておりますが、離婚した場合にも共同親権にせよというような御議論が今、おっしゃる方があることも事実でございます。可能性としてはいろんなことがあり得ると思いますが、現在のところ、私は、そういう基礎を考えますと、必ずしも不合理な規定だというふうには考えておりません。
#128
○糸数慶子君 事実婚夫婦にも法律婚と同様に様々な行政サービスが提供され、配偶者として広く認められていることもあるわけで、ある意味、親として認めていないということになります。諸外国でも共同親権が認められており、この規定、単独親権は早急に改正されるべきだというふうに考えます。
 そして、最後にお伺いいたしますが、谷垣大臣が自民党の様々な意見がある中で御苦労されていることは一定の理解を私も示しております。法律家でいらっしゃる谷垣大臣が婚外子相続分規定以外の民法の改正について世論を理由に否定的な発言をされていることは残念な思いもいたしますが、谷垣大臣には、人権の問題としてこの法改正が必要との立場から、個別に一つだけ伺いたいと思います。
 婚姻適齢についてでありますが、現行民法では婚姻の最低年齢は男性十八歳、女性十六歳と規定しています。十月三十日に公表された二〇一三年版世界人口白書でも児童婚が取り上げられています。国連は十八歳未満の婚姻を児童婚と指摘し、最低年齢の引上げを求めています。婚姻最低年齢については国により差がありますが、男女に差を設けている国は余り見られません。これは日本や中国ぐらいです。
 日本における高等教育への進学率も男女差がなくなっており、その差を設ける合理性がないと思いますが、女性だけ十六歳としているその民法の改正は必要がないとの御認識でしょうか。
#129
○国務大臣(谷垣禎一君) これ、なぜ十六歳、私、昔からそういう、男は十八歳、十六歳という規定であると実は最近まで誤解しておりまして、調べましたら、昭和二十二年の民法改正でこういう規定になったということでございます。それまでは十七歳、十五歳ということであったということでございます。
 それで、実際に昔の例などを考えますと、女性はかなり早く結婚をしたということもあったようでございます。今はまあ割に晩婚化でございますから、十六歳というのはどうかという御意見が出るのはよく分かりますが、かつてかなり若い年齢で婚姻をしていくということもあって、それは男女間に差別を設けているということでは必ずしもなくて、一般に女性の方が心身の発達が早くて低年齢での婚姻ということがあったということを反映しているんだろうと思います。
 だから、必ずしも私はこれがすぐ、何というんでしょうか、理由のない差別であるというふうには考えていないわけですが、しかし、女性の婚姻年齢を十八歳に引き上げるということについては、平成八年の法制審議会の答申にも既に含まれておりました。
 この問題、やはり、何というんでしょうか、ただ放置しておけばよい、放置というとちょっと表現が悪うございますが、十六歳のままでいいのかどうか、こういった平成八年の法制審議会の答申もございますから、更に議論を深めていく必要があると思っております。
#130
○糸数慶子君 まだ通告はかなりしておりましたけど、時間になりましたので、今日はこれで終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#131
○委員長(荒木清寛君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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