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2013/10/17 第185回国会 参議院 参議院会議録情報 第185回国会 本会議 第2号
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2013/10/17 第185回国会 参議院

参議院会議録情報 第185回国会 本会議 第2号

#1
第185回国会 本会議 第2号
平成二十五年十月十七日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成二十五年十月十七日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(山崎正昭君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る十五日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。郡司彰君。
   〔郡司彰君登壇、拍手〕
#4
○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰です。
 まずは冒頭、昨日の台風二十六号は、伊豆大島を始め、痛ましい被害をもたらしました。亡くなられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 また、救助活動も続行中と思います。関係者の御努力に敬意を表するとともに、万全を期されまするようお願いを申し上げます。
 昨日の台風二十六号以外にも、本年は梅雨どきや台風の豪雨による河川のはんらん、土砂災害、突風・竜巻などにより、これまでに多くの方が亡くなられ、いまだ行方不明の方もおられます。四百名もの負傷者、多くの建物被害や農業被害が生じたとされています。これらの災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に対しまして心よりお見舞いを申し上げます。
 それでは、安倍総理の所信表明に対し、会派を代表して質問をいたします。
 七月二十一日に参議院通常選挙が実施をされ、一昨日、第百八十五回国会が召集されました。その間、八十六日でありました。
 私たち民主党・新緑風会は、他の野党の協力を得て、九月下旬に臨時国会召集要求書を提出しましたが、それからでも三週間が過ぎています。この間に政府は、成長戦略の当面の実行方針を決め、消費税率八%への最終判断とともに、五兆円規模の経済対策などを決定しました。
 さらに、TPP交渉や汚染水、自然災害への対応、シリア問題など、国会として取り組むべき喫緊の課題は山積みをする中、今国会を政府は成長戦略実行国会と位置付け、産業競争力強化法案などを提出するのに加え、日本版NSC設置法案や特定秘密保護法案などの提出も報じられています。
 これまで国会を召集しなかった分に加え、これらの重要法案や課題を短期間で審議し、成立させようとする意図には、国会は政府の決めたことをスピード感を持って追認するのが決める政治との考えがあってのことと思えます。それは国会を軽視をし、民主主義を危うくすることにつながりかねません。まずそのことを申し上げて、具体的な課題について質問をいたします。
 消費税率の引上げと社会保障制度改革について伺います。
 去る十月一日、総理は、消費税率を法律で定められたとおり来年四月から八%に引き上げると発表されました。消費税率の引上げは、増税分を全て社会保障に充て、社会保障を充実させるとの前提の下、昨年の通常国会において、民主、自民、公明の三党間で合意されたものであります。総理御自身、引上げ分は全額社会保障に充てると述べてこられました。しかし同時に、消費税率の引上げによる景気の落ち込みを避けるため、企業の支援や公共事業を柱とする五兆円規模の経済対策を策定する方針も示されました。
 消費税率引上げによる平成二十六年度の増収分は約五・一兆円と見込まれています。その一方で、これに匹敵をする五兆円規模の経済対策を行うというのでは、実態として、消費税率引上げ分を全額社会保障に充てるとは全く言えません。
 社会保障・税の一体改革においては、消費税率を一〇%に引き上げた場合、増収分は約十四兆円、そのうち社会保障の充実に充てられるのは消費税一%分に当たる二・八兆円です。ところが、今回八%に引き上げるに当たり、社会保障の充実に充てられるのが僅か五千億円とは余りにも少ないのではないでしょうか。これでは国民の理解が得られるとは到底思えません。
 社会保障の充実に充てられる額がなぜ五千億円にとどまるのか、そして、その五千億円をもって社会保障の充実をどのように図ろうとしているのか、その内訳もお示しください。
 今回の消費税率八%の引上げの判断に続き、一〇%の引上げは我が国経済において極めて重要な判断となります。この点について、総理は、改めて経済状況などを総合的に勘案し、判断時期も含めて適切に対応すると発言しております。その際、今回と同様のばらまき型の経済対策を行うのか、日銀の二%の物価安定目標の達成など、デフレ脱却を見据えた判断となるのか、さらに一〇%引上げの判断時期はいつとなるのか、総理の基本的な認識をお伺いします。
 また、消費税率が一〇%となれば、本格的な逆進性対策が欠かせません。しかし、自民党、公明党が検討を進めている軽減税率では、高所得者にも軽減効果が及ぶばかりか、対象が恣意的となり、新たな既得権益が生まれかねないなど、様々な問題点が指摘をされています。
 民主党は、共通番号制度を利用し、しっかりとした所得把握を今後検討した上で、低所得者の実情に応じた給付ができる給付付き税額控除を導入すべきと考えますが、総理、いかがでしょう。
 次に、高齢化への対応と今後の介護について伺います。
 社会保障の充実策の一つは高齢化への対応です。我が国は、十二年後の二〇二五年には国民の三人強に一人が六十五歳以上となります。これにより、介護と医療の需要が更に増大し、労働力も変質するなど、日本社会に大きな変化が起こることは誰もが認識をしているところです。
 しかし、世の中は平均値では成り立っていません。既に十二年後の高齢社会が現実のものとなっている地域や家族は、将来への不安や政策だけではなく、今日と明日の対策を望んでおり、その一つが待機特養の問題です。
 厚生労働省は平成二十一年に、特別養護老人ホームの入所申込者が四十二万人に上ると公表しました。このうち、真に入所が必要と考えられる人は約一割との調査もありますが、それでも待機者は四万人を上回ります。九割の真に入所が必要か疑問を持たれた家族の中には、疲労し、何とか入所可能な施設を探し巡っている方も多いはずであります。本人及び家族にとっては差し迫った問題です。特別養護老人ホームの待機の現状と対策をお示しください。
 また、二〇二五年は団塊の世代全てが七十五歳以上となる年です。そのときに、どこに住んでいてもその人にとって適切な医療・介護サービスが受けられる社会の実現を目指すのが社会保障と税の一体改革です。介護保険は、保険料を負担をする代わりに必要なサービスが受けられる社会保障であるからこそ広く受け入れられていることをよくよく思い返す必要があります。
 自立と自助を強調する現政権は、地域での介護に当たり、どのような理念をお持ちでしょうか。やはり、家族相互の助け合いによる自助を基本とするのか、社会保険による共助はその補完にすぎないと考えているのか、総理にお伺いをします。
 次に、成長戦略と規制改革について伺います。
 二〇一二年七―九月期から顕著になった円安の為替レート傾向は続き、株高が進んだことにより、景気のマインドが反転したとの見方は一般的な反応だと思います。
 一方、二〇一三年一―六月期の輸出を見てみると、円建て輸出金額四・二%増に対し、輸出総量八・三%減となっています。つまり、一ドル八十円が一ドル百円になれば売上げは二五%増となりますが、下請・中小企業の仕事は増えていないのが現実であります。
 当初、評論家の一部の方々はアベノミクスの効果は少なくとも半年は掛かると言っていましたけれども、今のところは逆に、例えば原発の稼働停止に伴い化石燃料への依存が高まる中、化石燃料の高騰を通じて、電気料金、ガソリンなど必需品も含む様々な分野において物価の上昇を引き起こす方向に作用しています。これは、政府、日銀が企図した良い物価上昇に向けた動きとは異なるのではないでしょうか。
 いわゆるアベノミクスの第三の矢である成長戦略については、総理を議長とする産業競争力会議で議論がなされ、日本再興戦略が閣議決定されています。一方、内閣府には規制改革会議が設置をされ、六月に答申が提出されましたが、その内容はどれほどが盛り込まれたのでしょうか。規制改革会議の答申と日本再興戦略との関係についてお答えください。
 規制改革会議では、農業、医療、雇用の岩盤規制の緩和に本気で取り組む覚悟とされ、八田ワーキンググループ座長は、特に厚労省が難色を示すと言われる雇用の規制緩和について、一番難航しているが破らないといけないと述べたと報じられています。本来、この問題は公労使の三者で話し合われるべきであり、他の規制緩和と同列に扱うのはおかしいのではないですか。
 まず確認したい点は、成長戦略の恩恵は企業ではなく国民の生活に還元されるべきだと思いますが、いかがですか。
 今回、政府が目指そうとしている規制緩和は、例えばドイツで先行実施されている部分と重なりますが、ドイツでは確かに求人の機会は増えましたが、逆に格差は拡大し、それはさきの総選挙の争点とされました。
 我が国では、九月末に民間企業の平均給与が公表されましたが、男女別では、男性五百二万円、女性が二百六十八万円、平均では四百八万円とのことでした。また、正規社員では四百六十八万円、非正規社員では百六十八万円というもので、近年の動向を見れば、新たな規制緩和が非正規の正規化へ作用するとは思えないのであります。その後に発表されたジニ係数もその傾向を示しています。
 総理にお伺いします。この流れの先に見えてくる社会に生きる現在の子供たちは、この国に安定や心豊かな生活を描いていけるのでしょうか。一部に呼ばれている解雇特区、ブラック特区やブラック企業との言葉を社会に定着させない決意と、若者が将来とも働きがいを見出せる国とするための道筋をお示しください。
 次に、東日本大震災の復興について伺います。
 民主党政権の震災復興に対し、自民党は野党時代、遅過ぎる、公明党は、遅い、鈍い、心がないとの批判を繰り返しました。しかし、当時の政権党であった私たちは、東日本大震災からの復興なくして日本の復興なし、福島の再生なくして日本の再生なしとの信念の下、被災地に寄り添う復興政策に懸命に取り組みました。民主党は、政権担当時の信念を片時も忘れることなく震災復興に取り組んでいるところであります。
 そこで、野党時代、遅いと指摘し続けた自公政権の復興への取組現状について伺いたいと思います。
 政府・与党は、本年一月、復興加速への当面の取り組みを取りまとめ、その後も次々と復興加速化策を発表しております。しかし、本当に復興は加速化しているのでしょうか。
 被災地の首長の中からは、復興の進捗状況について、その遅延を懸念する見解も示されています。特に、原発事故の避難指示区域の住民意向調査の最近の状況等を見るに、福島における復興が十分には加速されていない懸念もあるところであります。また、住宅再建・復興まちづくりの加速は復興加速化策の柱の一つとされていますが、具体的な検証の状況については必ずしも明確になっていません。
 政府・与党においては、復興加速化策が十分な効果を発揮しているのか明らかにする必要があると思います。その上で、復興加速化策の効果を適切に見極め、地域ごとの課題の解決に向けて真に必要な復興対策を講じていかなければなりません。復興の加速化は与野党の垣根を越えて取り組まなければならない課題であります。
 さて、復興が遅いという指摘は被災地からも寄せられました。とりわけ復興予算については、復興と関係のない分野への流用と執行率の低さを指摘をされました。しかし、政権交代を経た今、それらの指摘は生かされているのでしょうか。
 安倍総理は、本年五月の本院決算委員会において、復興予算の流用に関し、本年一月の復興推進会議において、不適切使用の批判を招くことがないよう使途の厳格化を指示したとの発言をしております。その後、この指示に基づいてどのような施策が講じられたのでしょうか。
 さらに、復興予算の流用を認めていると指摘される復興基本法を改めるお考えを持っているのか否か、お答えください。
 平成二十四年度復興予算の執行率については、平成二十三年度に比べ改善しているものの、全体のおよそ三五%に当たる約三兆四千億円が年度内に使われていません。また、三兆四千億円のうち一兆二千億円が使い道のない不用額となっており、その額は平成二十三年度より増加しております。復興予算の執行率が低い原因及び不用額が生じた原因をいかに分析しているのでしょうか。
 改めて安倍総理に、今後の復興の加速に向けたお考えについて具体的な答弁を求めます。
 次に、集中豪雨、台風、竜巻などの災害対策について伺います。
 このところ、毎年のように自然災害が多発しておりますが、近年、特に大雨の日が増加しているとも言われています。年間の大雨日数は、気象庁の過去百十二年間の観測値及びアメダスによる過去三十七年間の観測値、いずれも増加傾向にあり、IPCCの報告書でも極端な大雨の頻度は引き続き増加する可能性が高いとされています。大雨の発生頻度だけではありません。近年は、極めて短時間に住宅浸水や土砂災害が発生して深刻な被害をもたらしています。これは、これまでに経験したことのないような大雨や局所的な集中豪雨が増えたり、日本に接近をする台風の数や大きさ、強さが増しているためであり、近年の気象状況を踏まえて総合的な対策が必要であると考えますが、政府の見解を求めます。
 特に緊急的な対応が求められているのは、局所的な集中豪雨と同様に、突発的に発生し、短時間で大きな被害をもたらす竜巻です。昨年は茨城県、栃木県などで、今年も埼玉県や栃木県など各地で突風・竜巻被害が発生いたしました。竜巻への対処には素早く正しい状況判断が必要となりますが、竜巻は大変危険な現象でありながら、これまで遭遇する頻度が極めて低く、発生を予想するのが難しいと言われています。
 そこで、地域住民への周知方法の改善と竜巻の観測体制の拡充、予測技術の開発について政府の取組をお伺いします。
 大雨、集中豪雨や竜巻の増加、強大化は、地球温暖化やヒートアイランド現象による影響である可能性があるとも言われています。今後、様々な気候変動の影響によって大規模な洪水や土砂災害が起こる確率が高まるおそれがあります。
 従来の治山治水はもちろんのこと、減災に向けて、住民や地方公共団体、企業等の理解や協力、連携の下に、避難指示の見直しを含め、適応策を推進することが極めて重要であると考えますが、政府の取組をお伺いします。
 次に、環太平洋経済連携協定、TPPについて伺います。
 TPP交渉は、三月十五日の交渉参加表明から一か月後の四月十二日には、日米二国間協議で自動車分野や保険分野などの大幅譲歩の後、米国議会でのいわゆる九十日ルールに付されました。七月二十一日の投票日から二日後には日本郵政と米国保険会社の提携が発表され、さらに二日後の二十五日に日本はTPP交渉に正式に参加しました。
 思えば、そこに至るまでに、既に長い年月を掛けて守ってきた大きなものを失ったと言わざるを得ません。この間に、自民党は公約で、聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対として総選挙、参議院選挙を戦い、また、国会は両院の決議で重要五項目を関税撤廃の対象から除外するとしてきました。
 現在、TPP交渉は、バリ島での首脳会合において、年内の交渉妥結に向けた大筋合意がなされたのか疑問も出る中、今後も交渉が続くとされています。
 この時期に、政府・自民党は、重要五項目の中でも品目ごとに撤廃できるかの検討に着手をするとし、西川対策委員長は、時期的に早いわけではないと語っています。この発言は正直です。この発言は、いつの時点でかはともかく、当初から、最終局面では品目別に関税撤廃の検討をすることが了解事項として政府・与党にはあったことを認めているからです。総理、そうではないと言えますか、お答えください。
 TPPは秘密交渉です。しかし、各国での対応は一様ではありません。例えば、米国では利害関係六百社にテキストの内容が知らされているとも言われ、マレーシアは同国内の利害関係者には自国の主張点を伝えていると聞きます。
 それに比べ我が国は、であります。社会のありようが変わろうとする交渉の内容が全く伝えられない中で、国会や国民は、逆に偏ったり誤った情報を基に判断することがあってはなりません。また、今回の首脳声明では、国民の関心事項に適切に対応する最終的な協定を作り上げるため、利害関係者との協議を更に強化させるとしているではありませんか。可能な限りの情報開示をすべきと思いますが、いかがですか。
 また、経済連携の動きは、各ブロックごとにも、さらにその内部でも錯綜をしています。我が国は、東アジアの包括的経済連携協定、RCEPでは、来年夏には具体的な品目ごとの交渉に入るとされています。その後のASEANプラス6の枠組み、FTAAPの道筋も含め、日本の目指すべき方向性を今の時点で明らかにする必要があるのではないでしょうか。
 米国は既にEUとの経済連携についても動き出しており、食の安全に関してはTPP交渉にも影響を与えています。我が国もEUとの経済連携が日程に上っていると報道されていますが、WTOとブロック経済連携の整合性についてどのように国民に説明されるのか、総理にお伺いをします。
 次に、特定秘密保護法案について伺います。
 安倍総理は、衆議院で継続になっている安全保障会議設置法改正案、いわゆるNSC法案と、今国会提出予定の秘密保護を強化する特定秘密保護法案について、特別委員会を設置して審査を行い、成立に意欲を燃やしているとのことであります。
 安全保障体制の充実のためにインテリジェンスの強化やNSCを設置をすること自体は、一般論としては必要なことであると考えております。問題は、現在の日本において、安倍政権が導入をしようとしている組織、制度が必要なのかどうかであります。
 まず、現在の秘密保全体制において、秘密の漏えいが現実に問題となっているのか、その実態をお伺いします。ただ単に政府の都合の悪い情報の流出というのではなく、これまで公務員の行為によって何件が犯罪と立証されたのか、お伺いします。また、その流出の原因が現行法制、すなわち国家公務員法や自衛隊法の規定の不備、罰則の軽さにあるとするのであれば、その根拠を明らかにしていただきたいと思います。
 特定秘密保護法案は、防衛、外交等の四分野のうち、国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあり、秘匿の必要性が特に高い情報を行政機関の長が特定秘密に指定するとし、何が該当するかについては法案の別表に列挙されることとしております。
 しかし、別表の記載は抽象的であり、行政機関の長による恣意的な指定が行われるという懸念は否定することができません。恣意的な運用のおそれはないのでしょうか。第三者機関の設置によってチェックをすることも検討されているようですが、それで確実に担保されるのか、お伺いします。
 また、国会議員の活動、すなわち議会としてのチェック機能は、政府の姿勢を監視をし情報を適正に提出させることにもありますが、それらを損ねるようなことがあればゆゆしき問題です。
 さらに、取材、報道の自由との関連でも問題があります。民主主義の根幹とも言える国民の知る権利を保障する意味で、取材、報道の自由は極めて重要であります。法文の中に取材、報道の自由を侵害しない旨の明文規定を置くことはもちろんでありますが、たとえ置いたにしても、それを実効性のあるものとするためには具体的な基準が必要であると考えます。いずれにせよ、情報公開法の改正と並行していくべきと考えますが、総理の認識をお伺いします。
 次に、自動車関係諸税について伺います。
 税制には既に時代錯誤と思えるものもあります。例えば自動車関係諸税ですが、与党は十月一日に発表した民間投資活性化等のための税制改正大綱の中でも、改めて簡素化、負担の軽減、グリーン化を図る観点から見直しを行うとしています。
 私の住む茨城県は可住地面積の割合が高く、まさに車は生活に欠かせない相棒であり、また農家の軽トラックや個人商店の商用車にしても特定の富裕層が乗るぜいたく品とは誰もが思っていないと考えます。
 来年四月の消費税率変更の前に、取得、保有、走行の各段階で何種類も複雑かつ過剰に課せられている税制は解消されるべきであり、国民に対する生活減税であります。デフレを脱却し景気を確実な回復軌道に乗せるための経済対策として実現されるべきと考えますが、総理のお考えを伺います。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 二〇二〇年にオリンピック・パラリンピック東京大会が開かれることとなりました。
 まずは、今回の招致に携わった関係者に敬意を表したいと思います。我々民主党としても、一昨日の競技大会の成功に関する決議の趣旨にのっとり、大会成功のために全面的に協力することを改めて申し上げたいと存じます。
 既に下村大臣は、来年にはスポーツ庁を設置をすると発言をされていますが、予算を含めたスポーツ政策を拡充すること、市民スポーツ環境の整備で裾野を広げること、パラリンピック選手の競技環境の抜本的な改善を行うことなどを要望しておきたいと思います。
 前回の東京大会当時、私は片田舎に住む中学生でしたが、ニュースで見る新幹線や高速道路の開通に国民の一人として胸が高鳴ったことを思い出します。
 本来、オリンピックはスポーツの祭典、平和の祭典でありました。前大会の聖火最終走者の方が広島で原爆が投下された日に誕生された方であったことを後に聞かされ、戦後復興と併せ、日本が平和を守る国である姿勢を表したものと推測しておりました。
 そんな折、新聞の川柳欄に「五輪来る儲け話の電話あり」の句が載っておりました。
 総理は、二〇二〇年の東京、そして日本をどのような形にしようとしていますか。また、東京大会を通じて世界に何を発信しようとされるのか、お聞かせください。
 最後に、三年有余の政権党としての私たちを振り返るとき、統治能力の欠如を指摘もされ、また自覚もしていますが、第二次安倍内閣は、野にあったときから今日あるを思い、周到に戦略を練って事に対処しているのだと思います。
 私は、今回の政権交代で初めて政権を失う無念さを味わいました。多分に四年前に自民党、公明党の皆様はより深くその思いを抱き、そのことを忘れずに復帰後の政権運営を描いていたのだと思っています。
 私たちは、国会に身を置く者、野にあって捲土重来を期す者、またそれを望む支援者とともに、市民、納税者、消費者、働く人と共に生きる社会を構築するために、再びの政権交代を目指して競い合い、時には対峙していくことを申し上げて、私の質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 答弁に先立ちまして、まず、台風二十六号による大雨により亡くなられた多くの方々に心から哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々に対してお見舞いを申し上げます。
 政府としては、関係機関一体となって、いまだ行方不明となっておられる方々の救出・救助活動に全力を尽くすとともに、被災された方々への支援、ライフラインの早急な復旧などの応急対策に総力を挙げて当たってまいります。
 郡司彰議員にお答えをいたします。
 社会保障の充実の金額についてお尋ねがありました。
 今回決定した三%の引上げ分の消費税収は、全額社会保障財源化することとしており、これを経済対策の財源に充てることはありません。経済対策の財源については、経済成長による税収の自然増や二十四年度決算の剰余金などを最大限活用してまいります。
 消費税率引上げによる増収分については、民主党政権における考え方と同様、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げに充て、残余についてもそれ以外の社会保障の安定化と充実に向けることとしており、社会保障の充実に向ける金額を消費税収の増加に応じて段階的に拡大させてまいります。
 具体的には、来年度においては〇・五兆円程度を待機児童解消加速化プランの推進を始めとする子育て支援などに活用し、平成二十七年度には介護報酬改定などを含め一・三五兆円程度を社会保障の充実に活用します。
 消費税収の一〇%への引上げの判断についてのお尋ねがありました。
 税制抜本改革法において平成二十七年十月に一〇%へ消費税率を引き上げることが規定されていますが、その引上げについては、改めて附則第十八条にのっとって種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案しながら判断時期や必要となる対応も含め適切に判断してまいります。
 なお、今般の経済政策パッケージは、ばらまきではなく、賃金上昇と雇用拡大などを実現し、日本経済を持続的に成長させるための未来への投資として講じるものであります。
 消費税に関する低所得者対策についてのお尋ねがありました。
 税制抜本改革法においては、低所得者への配慮として、給付付き税額控除と複数税率が共に検討課題とされております。給付付き税額控除については、本年二月の自民党、公明党、民主党の三党合意において、低所得者対策については引き続き協議を行うとされており、三党における議論や与党における軽減税率に関する検討の状況等を踏まえながら必要な検討を行ってまいります。
 特別養護老人ホームの待機の現状と対策についてのお尋ねがありました。
 特別養護老人ホームの入所申込者は、平成二十一年度に行った調査結果では約四十二万人であり、また、入所申込者の一割強が重度の方や認知症の症状の重い方、介護者がいない方など、真に入所が必要と考えられる方でした。
 このような方々が安心して介護を受けられるようにするため、特別養護老人ホームや認知症グループホームなどの整備を進めつつ、介護度の重い方がより入所しやすい環境整備を進めるとともに、二十四時間対応の訪問介護サービスなどの在宅サービスを充実するなどの対策を講じてまいります。
 介護保険制度改革の理念についてお尋ねがありました。
 介護保険制度を始めとする社会保障制度については、自助自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと手を差し伸べていくことが重要です。このため、介護保険制度の見直しに当たっては、在宅サービスなどの充実を図りつつ、介護が必要な状態となっても住み慣れた地域で暮らしを継続できるようにする地域包括ケアシステムを構築してまいります。
 規制改革会議の答申と日本再興戦略との関係についてお尋ねがありました。
 規制改革会議は、経済活性化、民需主導の経済成長を実現する観点から、規制改革事項の具体的措置を審議しています。一方、日本再興戦略を検討した産業競争力会議は、産業競争力強化の観点から、我が国に必要な構造改革のテーマを横断的に検討しており、両会議は、我が国の成長戦略を一層加速させるため、連携して取り組んでいます。
 本年六月に決定した日本再興戦略では、再生医療の推進、電力システム改革、保育に係る規制改革など、規制改革会議の答申を踏まえた多くの事項を盛り込んでいます。
 雇用の規制緩和等についてお尋ねがありました。
 現在、規制改革会議や国家戦略特区ワーキンググループにおいては、雇用規制を含め、有識者に様々な観点から議論していただいているところです。また、雇用規制の見直しに当たっては、公労使の三者による議論が十分尽くされるべきと考えています。
 私の成長戦略の目指すところは、企業の競争力強化を図り、それによる企業収益の増加を若者、女性を始め頑張る人たちの雇用拡大、収入増加につなげることであり、その実感を必ずや全国津々浦々まで届けてまいります。
 労働市場の規制緩和や若者の働きがいについてのお尋ねがありました。
 安倍内閣の基本方針は、成熟産業から成長産業に円滑に人材が移動する失業なき労働移動の実現であります。現在、国家戦略特区において検討中の雇用改革は雇用拡大を目指すものです。解雇特区、ブラック特区などのレッテル張りは事実誤認であり、不適切であります。また、若者の使い捨てが疑われる企業等の問題については、相談体制、情報発信、監督指導等の対応策を強化することとしています。
 政府としては、我が国の将来を担う若者が活躍しやすい環境を整えるとともに、若者が安定した職業に就くことができるよう、着実に支援を行ってまいります。
 政権交代の復興加速化策の取組と現状についてお尋ねがありました。
 安倍内閣では、政権交代直後に復興施策の総点検を実施し、復興加速に向けた取組をスピード感を持って実行してまいりました。例えば、住宅再建・復興まちづくりについては、用地や資材等の課題に対応をしており、高台移転等は順次着工の段階に移っています。また、福島の復興については、避難区域への早期帰還と定住を一体的に加速させる事業を創設しており、避難指示区域の見直しも完了しました。
 今後とも引き続き、現場主義に立って、復興の加速化に全力で取り組んでまいります。
 復興関連予算の不適切使用についてお尋ねがありました。
 復興関連予算については、被災地域の復旧・復興に直接資する施策のみを復興特別会計に計上することを基本とし、使途の厳格化を図っているところであります。また、本年七月には、前政権下で使途の厳格化の対象外と整理された全国向けの基金事業についても、復興庁及び財務省から、基金を所管する府省に対し、執行の見合せ、国への返還等の要請を行い、返還が進められているところであります。
 このように、使途の厳格化の取組をしっかり進めているところであり、復興基本法を改正する必要はないと考えております。今後とも、国民に誤解を招くことのないよう、復興予算の適切な執行に努めてまいります。
 復興関連予算の執行率が低い原因及び不用額が生じた原因についてのお尋ねがありました。
 平成二十四年度の復興関連予算については、町づくりや除染実施の計画策定について地元との調整に時間を要したこと等により、主にこれらの経費を中心に未執行額が生じました。
 政府としては、こうした状況を踏まえ、復興庁の体制を強化するとともに、復興庁を中心に関係省庁の担当者を集めたタスクフォースを設置しました。被災地における課題へのきめ細やかな対応により、引き続き復興の加速化に努めてまいります。
 近年の気象状況を踏まえた自然災害への総合的な対策についてのお尋ねがありました。
 多様な災害が頻発する我が国において、国民の生命と財産を守るためには、自助、共助、公助、ハード、ソフトの対策を適切に組み合わせて一体的に行うことが極めて重要であると認識しております。
 具体的には、防災関連施設の整備を適切に推進するとともに、迅速かつ円滑な住民の避難を促す対策を推進するなど、総合的な防災対策に取り組んでまいります。
 竜巻についてのお尋ねがありました。
 竜巻等の突風は、突発的、局所的に大きな被害をもたらすものであり、災害予防対策を講じることが喫緊の課題です。
 政府としては、本年九月に関係府省庁による対策会議を立ち上げ、予測情報の改善、災害情報の伝達の在り方、被害軽減方策などについて検討を進めており、早急に竜巻等突風対策を取りまとめる予定です。
 避難指示の見直し等についてのお尋ねがありました。
 大規模な洪水や土砂災害から人命を救うためには、住民一人一人が迅速かつ的確に避難行動を行うことが重要です。
 政府としては、地方公共団体等と連携し、観測体制を強化するとともに、避難指示等の発令の迅速化、的確化、情報連絡体制の充実強化、避難行動に関する啓発活動の推進等を行うことにより、減災対策を進めてまいります。
 TPPと重要五品目についてのお尋ねがありました。
 我々が選挙でお示しした公約はたがえてはならないと考えております。政府としては、与党の立場を体し、全力を挙げて交渉に臨んできております。御指摘のような了解事項が政府・与党間にあったとの事実はありません。交渉はこれから本格化します。守るべきものは守り、攻めるべきは攻め、国益を追求するという政府の方針に何ら変更はありません。
 TPPの情報開示についてのお尋ねがありました。
 対外交渉なのでお話しできることとできないことがありますが、これまでも私自身がTPP交渉に臨む安倍政権の基本的考え方等について国会や記者会見等の場で御説明し、国民にTPP交渉への理解を深めてもらうよう努力をしてきております。また、交渉会合の前後に関係団体や地方公共団体等に対し随時説明会を開くなど、できるだけ情報を提供し、御意見をいただく機会を設けてきています。
 今後とも、できる限り国会への情報提供に努めるとともに、国民の声をしっかり踏まえ、交渉を通じ国益を実現してまいります。
 日本の目指すべき経済連携の方向性についてのお尋ねがありました。
 日本経済再生のために自由貿易を推進していくことは、我が国の対外通商政策の柱であります。力強い経済成長を達成するためにも、自由貿易体制をこれまで以上に強化し、諸外国の活力を我が国の成長に取り込む必要があります。
 御指摘のRCEPも、TPPなどとともにFTAAPの実現に寄与する地域的取組であり、包括的かつ高いレベルの協定を目指し、精力的に交渉を進めているところであります。
 これらの取組が相互に刺激し合い、全てが活性化するというダイナミズムが働いていくよう、経済連携を積極的に推進していく考えであります。
 WTOと地域経済連携の関係についてのお尋ねがありました。
 我が国は、WTOを中心とする多角的貿易体制の下で貿易自由化交渉を推進していくことを通商政策の主要な柱としてきましたが、WTOドーハ・ラウンド交渉の膠着により、多数国間の貿易交渉は大きな困難に直面しています。
 これを補完するために、各国とも二国間や地域の自由貿易協定、経済連携協定をこれまで以上に強化しています。活発に進む経済連携の取組は、WTO協定と整合的なものでなければなりません。
 我が国としては、こうした状況を踏まえて、ドーハ・ラウンド交渉の推進に引き続き粘り強く取り組むと同時に、アジア太平洋地域、東アジア地域、欧州などとの経済連携を積極的に推進してまいります。
 我が国の秘密保全体制の問題点についてお尋ねがありました。
 過去十五年間で公務員による主要な情報漏えい事件を五件把握しておりますが、このような漏えい事件が発生すること自体、大変遺憾なことであります。
 情報漏えいに関する脅威が高まっている状況や、外国との情報共有は情報が各国において保全されていることを前提に行われていることに鑑みると、秘密保全に関する法制を整備することは喫緊の課題であります。できるだけ早期に現在検討中の特定秘密の保護に関する法律案を国会に提出をし、情報漏えいの防止を図ってまいります。
 特定秘密の指定についてお尋ねがありました。
 特定秘密の指定が各行政機関の長において適切に行われるようにすることは重要であると認識しており、特定秘密の保護に関する法律案を提出するに際してしっかりと検討してまいります。
 特定秘密保護法と情報公開についてお尋ねがありました。
 我が国の安全保障に関する情報のうち、特に秘匿することが必要なものについて、その漏えいを防止し、適確に保護する体制を確立することは極めて重要と考えております。
 他方、情報の公開は、行政が国民に対し説明する責務を果たすために重要なものであり、今後とも、情報公開が適切かつ円滑に実施されるよう取り組んでまいります。
 自動車関連諸税についてのお尋ねがありました。
 自動車重量税等の車体課税については、税制抜本改革法第七条の規定を踏まえ、平成二十五年度与党税制改正大綱において、財源を確保し、一層のグリーン化等の観点から見直しを行うとの方向性が示されています。また、先般決定された民間投資活性化等のための税制改正大綱及び閣議決定においても、車体課税を見直すとの方針が示されたところであります。
 これらの方向性を踏まえ、平成二十六年度税制改正に向け、与党における検討状況を踏まえながら検討してまいります。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会についてお尋ねがありました。
 二〇二〇年の東京大会については、東京のみならず、日本全体が活力を取り戻す弾みとなるようなものとし、東日本大震災からの復興を成し遂げた日本の姿を世界に発信していきたいと考えております。
 また、海外からのお客様への最高のおもてなしにより、日本のすばらしさを感じていただく機会とするとともに、オリンピックムーブメントを日本から世界に広めてまいります。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(山崎正昭君) 脇雅史君。
   〔脇雅史君登壇、拍手〕
#7
○脇雅史君 自由民主党の脇雅史です。
 私は、参議院自民党を代表して、安倍総理の所信表明演説に対し、質問いたします。
 さきの参議院選挙の結果、自民党、公明党の連立与党が衆参共に多数を占めることとなり、安定政権の基盤ができました。これは、我々が国民の支持をいただいたという意味で大変有り難いことですが、同時に、我が国の国益にとっても大きな意味があると考えています。
 これまで、毎年のように繰り返された総理大臣の交代が我が国の国際的地位をいかに損なってきたか、中長期的な腰を据えた政策実現をどれほど妨げてきたか、申し上げるまでもありません。このことを考えると、与党が衆参両院で過半数を確保したこの状況下で、安倍政権を長期安定政権とすることが我が国の復活にとって必要条件、いや、絶対条件であると言っても過言ではありません。
 こうした中で、我々参議院自民党には、与党としての政策実現に全力を尽くすと同時に、総理や内閣、そして衆議院に対しても、申し上げるべきことは申し上げ、正すべきことは正すという重い責任が課せられています。本国会においても、その責任をしっかりと果たすことができるよう全力を尽くす所存です。
 では、質問に入ります。
 総理は、十月一日に消費税の引上げを発表されました。そして同時に、大胆な経済対策で景気回復を確実なものにすることにより、経済再生と財政健全化の両立は可能だと宣言されました。私は、この勇気ある決断に深く敬意を表します。どんな状況下でも、リスクを負って努力をしなければ道は開けません。日本経済がデフレのまま縮小均衡を続けていけば、いずれ破綻することは明らかです。
 歴史を振り返ってみれば、我が国は、昭和二十年代、三十年代の戦後復興期、貧しい時代にあっても、アメリカや世界銀行から積極的に融資を受ける等大変な努力をしてまいりました。その結果が高度経済成長であり、今の我々の暮らしにつながっているわけです。
 世界を見ても、戦後、国家債務のGDP比を減らした先進国で債務額自体を減らした国はありません。第二次大戦後の米国、英国、九〇年代のスウェーデンなど、皆、経済成長によってGDPを増やし、債務比率を減らしたのです。借金を返すことに専念するよりも、経済成長に専念する方が正解だということです。我々も、歴史に学び、前向きな発想で経済成長に努力しようではありませんか。
 最初の質問として、総理に、改めて経済再生への決意を表明いただきたいと思います。国民が前向きになれるようなお言葉がいただければ有り難いと思います。
 次に、今回の消費増税への対策について伺います。
 今回、景気対策として打ち出された経済政策パッケージは、五兆円規模の補正予算や企業減税の実施など、評価できる内容だと思います。
 ただ、私は、これらに加えて、労働者の賃金向上や労働環境の改善を一つの大きな柱としてはどうかと考えます。産業政策というのは回り回って個人の所得向上に役立つものですが、より直接的に国民所得の向上に焦点を当ててはどうでしょうか。
 下請企業など、多くの中小零細企業の労働環境は大変厳しい状況です。また、若者の低賃金、長時間労働は、ブラック企業などと呼ばれて問題になっています。これまでとは次元の違う対策をうたうのであれば、こうした部分にも光を当てて対策を取るべきだと思います。
 また、政府は、国家戦略特区で解雇や非正規雇用に関する規制緩和を検討しています。雇用環境を多様化、流動化しようという目的のようですが、本当にそれが企業と労働者の双方が望んでいることなのでしょうか。若者の多くは、安定した雇用環境の下でキャリアを積みたいと思っているのではないでしょうか。
 国民の所得向上や労働環境の改善について、より積極的な取組を求めたいと考えますが、総理の御見解はいかがでしょうか。
 次に、我が国がよって立つべき中長期的な経済モデルについて伺います。
 今後の我が国は、人口の減少と高齢化が続いていくと思われます。こうした状況の下で、持続的な経済発展を遂げていくためには、何を経済の中心に据えていくべきなのでしょうか。
 我々自民党は、さきの参院選の公約で、産業投資立国と貿易立国のハイブリッド型経済立国を掲げました。さらに、東京オリンピック・パラリンピック開催を起爆剤として、観光立国、文化・スポーツ立国といった可能性も開けています。
 総理は、今後十年、二十年という単位での我が国の経済モデルをどのように描いておられるのか、お伺いします。
 次に、外交政策について質問いたします。
 総理は、昨年十二月に発表した英語論文で、アジア太平洋に民主主義国家による安全保障ダイヤモンドを形成するという構想を示しておられます。オーストラリア、インド、日本、ハワイという四つの民主主義の拠点が、インド洋から西太平洋までの海洋権益を保護するというものです。そして、実際に安倍外交は、このダイヤモンドを形成する国々や、その中に位置するASEANとの関係を強化しようという方向で展開されています。
 私は、この論文の背景には、日本は海洋国家であり、また、そうあらねばならぬという国家観があると考えます。海洋国家にとっては、海洋の平和と安定の確保、言い換えれば制海権の確保が国家の命運を左右する死活問題になります。
 我が国は、同じ海洋国家であるアメリカやイギリスとこうした利害を共有しています。アジア太平洋地域でいえば、オーストラリア、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどが海洋国家です。
 したがって、我が国の外交の基本として、こうした利害を共有する海洋国家との関係強化が優先課題であるべきです。その上で、大陸国家である中国、韓国との関係は、環境が整うまで辛抱強く冷静に対応していくというのが正解でしょう。
 安倍総理は、まさにこの考え方に従った外交を展開しておられると私は考えますが、総理御自身はどのようにお考えなのか、総理の外交に関する現状認識と、今後の外交の基本方針をお聞かせください。
 次に、日米関係についての質問です。
 今申し上げた海洋国家群との関係の中で、最も重要なのが日米関係であることは論をまちません。ここで私は、我が国と米国との軍事的な役割分担について、中長期的にどうしていくのかというビジョンを持っておく必要があると考えます。
 先日、日米の外務・防衛閣僚による2プラス2が開催され、日米同盟の強化や我が国の役割の拡大、そのためのガイドラインの見直しなどについて合意しました。現下の国際環境の下では有意義な結論であると思います。しかし、将来の話として、我が国に多くの米軍基地を置き、安全保障の多くを米国に依存するという状況をいつまでも続けていくのか、あるいは自分の国は自分で守ることを基本にした同盟関係を目指すのか。
 これは、本当に戦後を終わらせるという意味でも、我が国が避けて通れない課題であると考えます。当然、憲法改正にもつながる話ですが、総理はどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。
 また、外交に関連して、TPPについても伺います。
 TPP交渉では、先ごろバリ島で首脳会合が開催され、年内決着に向けての合意が表明されました。しかし、関税など重要分野の具体的な交渉はまだこれからとのことです。今後の交渉に臨むに当たり、一つ総理に伺っておきたいことがあります。
 私は、自由貿易が絶対的な正義であるという考え方は、少し狭い考え方なのではないかと思っています。効率の良い国が大量生産してほかの国がそれを買う、そうした効率性の追求だけでは見失ってしまうものが多くあると思うのです。
 産業構造の変化は、各国固有の文化や伝統、自然環境、そして社会の在り方そのものにも影響を与えます。TPP交渉に当たっても、我が国が大切にすべき価値は何かを考えて、自由化の影響を慎重に見極め、国益に沿った判断をしなければなりません。
 もし関税が撤廃されれば壊滅的な打撃を受けると予想される産業もあります。例えば、群馬のコンニャク、沖縄、奄美のサトウキビなどです。砂糖の場合は、関税が撤廃されると一〇〇%外国産に置き換わると予測されています。
 貿易自由化論からすれば、外国から買った方が安いなら買う方がいい、そうして生まれた余剰を他に使えば更に国が栄えるという理屈になります。しかし、もし沖縄のサトウキビ産業が壊滅すれば、地域経済の衰退、伝統文化の喪失といった問題はもちろん、与那国島や南大東島といった離島から人口が流出し、国防上の危機にもつながります。
 私は、TPPに全面的に反対だと言うつもりはありません。交渉参加という総理の御判断を尊重します。しかし、取り返しが付かない国益の損失を招かないよう、一本筋の通った姿勢で交渉に臨むことが必要だと考えます。
 総理の自由貿易に関する基本認識、そして今後のTPP交渉に対する基本姿勢をお伺いします。
 次に、国土強靱化について伺います。
 我が国の目下の最重要課題は、デフレ脱却と経済再生です。デフレは、単に物価が下がるだけではありません。今年よりも来年の給料が減る、再来年はもっと減るというように、人々の給料も生活も、さらには将来の展望も希望も少しずつ縮めてしまいます。それが二十年にわたり続いたのです。
 戦後の復興期、そして高度成長期から七〇年代まで、我が国は、先進国に追い付け追い越せという目標を持って走り続けてきました。そして、八〇年代からバブル期には、どうやら追い付いたのではないか、いや、追い抜いたかもしれない、そういう気持ちになったわけです。
 しかし、我が国の政治は、その後の目標を提示できませんでした。どんな国家にしたいかという目標を提示できなければ、どういう方向に努力していいか分かりません。目標を見失った我が国は失速し、それから長きにわたるデフレに突入してしまったのです。
 そして今、再びその国家目標を作ろうというのが国土強靱化です。強い国をつくるにはどうしたらいいのか。やはり一極集中では弱い、地方が栄える必要があります。
 では、そのためにどうしたらいいのか。町づくりはどうあるべきか、人々の住まい方はどうしたらいいか、どんな産業を興すべきか、そのためにどんなインフラが必要か、さきの震災を教訓として、防災・減災対策はどうあるべきか、こうした具体的な国づくりの方向性を示そうというのが国土強靱化の考え方です。
 国土強靱化という政策に対して、ばらまきではないかという誤解があります。しかし、国家目標を立て、財政上も戦略的な優先順位を付け国づくりを進めていく、これをばらまきだという批判は余りにも底が浅いと言わざるを得ません。
 我が党が策定した国土強靱化基本法案において、その基本理念として、「地域の振興を図り、地域社会の活性化及び地域における定住を促進することにより、経済の停滞、少子高齢化の進展、人口の減少等の我が国が直面する課題の解決に資する」としています。これこそが国土強靱化の目標なのです。
 こうした国家のグランドデザインとしての国土強靱化について、総理はどのように推進していくお考えでしょうか、御見解をお伺いします。
 関連して、公共事業の発注を始めとする公共調達の在り方について伺います。
 現在の公共調達の方法は、明治時代に制定された会計法から基本的に変わっていません。すなわち、一般競争入札が原則であり、工事でも物品・サービスでも同じ扱いであり、また、発注者と受注者との交渉を認めないといった運用がなされてきました。
 しかし、現代の公共調達は明治時代には思いも付かぬほど多様化しています。時代の変化から取り残された結果、我が国の会計制度はグローバルスタンダードから懸け離れ、ガラパゴス化してしまいました。いまだに鉛筆とロケットを同じ方法で調達するのが原則だというのは、世界から見たら笑い話にしかなりません。
 したがって、今の硬直化した公共調達の方法を改め、調達の性格に応じて多様な発注方法を選択できるようにする、受注者側との交渉を可能にするなど、日本以外の先進国では当たり前の改正を行うことが急務だと考えます。この点について総理の御見解を伺います。
 次に、福島第一原発の汚染水問題について伺います。
 汚染水問題への対処としては、地下水の流入を止めること、冷却用の水は閉鎖系で循環させること、そして、既に発生している汚染水を浄化することが必要です。
 こうした対策はこれまで東電に委ねられてきており、ようやく政府が本格的に対応に乗り出すという段階です。しかし、これはもはや東電の能力を超えた問題であり、本来的に政府の役割なのではないでしょうか。原賠法の精神からも、事業者の能力を超える対応は政府が行うというのが原則です。
 これらの対策は、東電がやればその費用は電気料金として消費者が負担することになります。政府がやれば最終的に税金で賄うことになります。原発事故に関して政府の責任を認めるのであれば、税金を投入して対応するほかはありません。そのために復興増税も行ったのです。
 また、原発事故の収束は総理が世界に対して約束したことでもあります。国際的な責任として、政府が先頭に立って事故に対処するという具体的な方策を一日も早く国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 次に、社会保障政策について伺います。
 俗に言う揺りかごから墓場まで、国民一人一人がどんな状況にあっても国が最後まで面倒を見てくれるというのは、理想ではあっても、私は社会保障のあるべき姿ではないと思います。また、現在の我が国の状況ではそのような福祉は実現しようと思ってもできません。
 我々自民党は、自助、共助、公助ということを言っております。まず、自ら立てる者は自ら立つ、そして、お互い助け合えるところは助け合う、それでも足りないところは国や自治体が面倒を見る、こういう考え方です。
 この、国や自治体が面倒を見るというのも、天からお金が降ってくるわけではありません。誰かが負担しているから成り立っています。そして、この負担と給付の間にはバランスが必要です。誰かが一方的に負担をするわけにはいきませんから、給付を受ける側もある程度は我慢する必要があります。
 ところが、現在は、このバランスが偏って、若い人たちの負担が余りにも重くなっています。全体で見ると、所得の少ない若者世代から所得の多い高齢者世代に所得が移転する構造になっているのです。このままでは若い世代が疲弊してしまいます。
 ただし、若い人が一方的に損をしているわけでもありません。例えば、高齢者の介護を公的負担で行うことには、本来介護を行うはずの若い人の負担を減らしているという側面もあります。このように、若い人、高齢者、どちらが受益者なのかというのは、余り一面的に考えてはいけません。
 こうした見えない受益と負担も踏まえて、世代間の公平性や持続可能性をどのように確保していくのか、総理から基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
 次に、憲法について伺います。
 私は、現行憲法は当然改正すべきであると考えています。現行の日本国憲法は占領下で策定されたものであり、制定のときに国民投票もされていません。つまり、国民に直接選択された憲法とは言えない存在です。
 そのため、我々自民党は、憲法改正案をお示しし、真に国民の手による憲法を制定すべきと主張しています。憲法改正には両院議員の三分の二以上による発議と国民投票が必要になります。我々は、もちろんその手続に従って改正を目指していますので、各党及び国民の皆様に丁寧に説明し、理解を得ていく努力が必要だと考えています。
 改正の発議要件を二分の一にしようという九十六条の改正も、当然現行憲法の手続にのっとって行うものです。したがって、九十六条は論理的に改正してはならないとか、改正は憲法の趣旨に反するとか、そういった批判は当たりません。
 総理は、憲法改正についてこれまでも様々な場で意見表明をしてこられました。与党が衆参両院で多数を占めた今、本気で憲法改正を目指すという決意について、改めてお伺いしたいと思います。
 次に、公務員制度改革について伺います。
 公務員制度の基本は、国家のためにきちんと働いてもらう制度をいかにつくるかということです。そのためには、縦割りの弊害を除くことが重要だということで、内閣官房や内閣府に様々な組織がつくられましたが、必ずしも期待どおりには機能していません。
 内閣人事局についても、各省幹部の情報を集めて適材適所の人事配置をするという任用面での制度改革には役立つかもしれませんが、人事制度自体の管理運営は人事院に残す方がよいと考えます。それは、内閣の下に全ての権限を集約することにはある種の危険が伴うからです。
 稲田大臣は、内閣人事局で闘う公務員をつくるとおっしゃっています。その闘う相手は誰でしょうか。もちろん国民ではありません。国益のために、時には上司といえども闘う必要があるのです。言うまでもなく、国家公務員は、自民党のためでもなく、民主党のためでもなく、国民全体のために働くのです。
 民主党政権時代を思い出してください。当時の政権は、憲法や法律に基づかない恣意的な命令を連発しました。そのときに、公務員は命令を拒否すべく闘うことが本分だったはずです。しかし、政治主導の名の下に政治が力を持ち過ぎていたために、違法な命令に対して闘えなかったわけです。
 これが、内閣人事局を設置し、更に政治の力を強くするという方向だけで本当によいのでしょうか。明らかに違法な職務命令には従う義務はないというのが判例、通説ではあります。しかし、民主党政権を経た今、公務員が職務命令を拒否できる場合を法律上明確化するなど、公務員が闘えるルールを作る必要があると思います。民主党政権時の検証をしないまま、その前の自民党政権下で作った案に沿って改革を進めることが正しいとは思いません。
 内閣人事局の在り方を含め、民主党政権下の状況を検証した上でもう一度見直すべきではないでしょうか。総理はいかがお考えか、伺います。
 次に、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 今回の招致成功は、長年にわたるデフレに苦しみ、沈んでいた日本人の心を前向きにする効果がありました。近い将来に向けた国家的、国民的な目標を設定したという意味で非常に大きな成果です。招致活動では、総理御自身の強い思いが全体を動かす根本的な力になりました。これは、どの関係者に聞いても皆さん口をそろえておっしゃいます。
 今回の招致合戦は、マドリード、イスタンブールという強敵を相手に、必ずしも有利な戦いではありませんでした。そのような状況下においても、総理が失敗を恐れず、自らリスクを取って招致活動の先頭に立ったことは、まさにリーダーシップの本来の姿を示したものだと言えます。
 そこで、総理に、今回の招致活動を振り返っての感想と、二〇二〇年に向けての決意についてお伺いします。
 さて、ここで参議院の役割について一言申し上げます。
 さきの参議院選挙の結果、我々連立与党が衆参両院で過半数を占めるようになり、ねじれが解消されました。我々参議院は、国会がねじれているときは政治を停滞させると言われ、ねじれていなければ衆議院のカーボンコピーだと言われるという、甚だ理不尽な批判を受けることが往々にしてあります。
 参議院には総理の解散権が及びません。一方で、我々は内閣不信任決議もできません。内閣と衆議院の間にあるチェック・アンド・バランスの関係から一歩引いて、大所高所から両者に対して物申すというのが我々参議院の役割ではないかと考えております。
 現在行われている選挙制度改革の議論も、こうした衆議院と参議院の役割を果たすためにどのような選挙制度がふさわしいかという観点から行われる必要があります。国会議員の定数については、消費税増税とは関係ないものであり、どの程度の数が妥当なのか真摯に検討する必要があります。
 参議院は、選挙制度の改革に関する検討会と、その実務者組織である選挙制度協議会を設置して議論を開始しました。協議会は私が座長を務め、週一回のペースで精力的に議論しています。私は、この協議会では、一人の国民、一人の国会議員として、二十一世紀の日本の民主主義の在り方や参議院の果たすべき役割について原点から考えてまいりたいと思います。各議員の皆様の御理解、御協力を心からお願いを申し上げます。
 最後に一言、総理に申し上げます。
 先ごろ、新しいアメリカの駐日大使としてキャロライン・ケネディ氏が指名されました。間もなく着任される予定とのことです。お父様であるケネディ元大統領の暗殺から五十年という節目の年での着任は、当時を覚えている我々の世代にとって特に感慨深いものがあります。
 そのケネディ元大統領が、暗殺の前年、ムーン・スピーチという有名な演説をしています。テキサス州の大学で、十年以内に人類を月へ送るという計画について講演した際、彼はこう言いました。我々が月へ行くのは、それが簡単だからではなく、それが困難だからであると。
 当時のアメリカは、ソビエト連邦との国家の存亡を懸けた戦いの最中でした。現在の我が国も、当時のアメリカに勝るとも劣らない国難に直面しています。我々も先人に倣って、困難だからこそ挑戦するという気概を持ってこの危機を乗り切っていこうではありませんか。
 安倍総理には、是非その先頭に立って頑張っていただきたいと思います。総理への激励の言葉を申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#8
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 脇雅史議員にお答えをいたします。
 経済再生と財政健全化に向けた決意についてのお尋ねがありました。
 強い経済の再生なくして財政の再建も日本の将来もありません。経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与するという好循環を目指すことが重要です。
 我が国は長引くデフレの中で萎縮していましたが、三本の矢により景気は緩やかに回復しつつあります。もう一度力強く成長できるという未来への希望が芽生えています。この道を迷わずに進むしかないと確信をしています。やるべきことは明確であり、重要なことは、実行が伴うかどうかです。今国会において結果を出していけるよう、政府としてもしっかりと取り組んでまいります。
 国民の所得向上や労働環境の改善についてのお尋ねがありました。
 三本の矢で景気は順調に上向いてきており、経済再生への第一歩を踏み出しました。今後、成長を確かなものにし、その果実を全国津々浦々にお届けするため、経済政策パッケージを策定し、所得拡大促進税制の拡充などを盛り込んだところです。
 また、先般、政労使会議を立ち上げたところであり、賃金上昇や雇用拡大を伴う経済の好循環実現に向けた共通認識の醸成を政労使間で図ることとしています。あわせて、若者の使い捨てが疑われる企業等の問題について、相談体制、情報発信、監督指導等の対応策を強化するとともに、非正規雇用の方々のキャリアアップ等の取組を進めることにより、労働環境の改善を図ってまいります。
 今後の我が国の経済モデルについてのお尋ねがありました。
 我々が目指すべき姿は、人口減少と高齢化が進展する中にあっても、グローバル化に対応しつつ、強い日本、強い経済を実現することを通じて、全ての人々が生まれた喜びと誇りを持てる国をつくることであります。
 このため、起業、創業の精神に満ちあふれた国、若者が活躍し女性が輝く社会、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指した取組を行ってまいります。これにより、我が国経済が再び希望と活力、成長への自信を取り戻し、世界の中心で再び活躍できることを目指してまいります。
 外交に関する現状認識と今後の外交の基本方針についてお尋ねがありました。
 外交は、二国間関係だけを見るのではなく、地球儀を俯瞰するような観点で、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値に立脚し、戦略的に展開していく必要があると考えています。
 国連総会での演説においてもお示ししたとおり、私は、日本が国際協調主義に基づき、世界の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献する国になるべきとの考えを積極的平和主義として掲げました。
 刻々と変化する国際情勢を見極め、日本の置かれた状況を冷徹に把握し、日本の国益のため、そして地域や世界の平和と安定のため、志を同じくする諸国と連携協力していくことが重要と考えます。
 また、海洋は開かれ、安定したものでなければならず、その秩序は力ではなく法によって支配されなければなりません。戦略的利害を共有する関係国と連携しつつ、自由で開かれた海洋秩序の維持発展に努めてまいります。
 日本と中国、韓国が良好な関係を発展させていくことは、アジア太平洋地域の安定と繁栄にとり有意義と考えています。私は、何か問題があるからといって対話のドアを閉ざしてしまうのではなく、問題があるからこそ首脳レベルを含め話し合うべきと考えており、私の方からは中国、韓国に対して対話を呼びかけています。私の対話のドアは常にオープンです。中国、韓国にも同様の対応を期待します。
 日米同盟の在り方についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く安全保障環境は、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の不透明な軍事力の近代化や、急速に拡大、活発化する海洋進出等に見られるとおり、ますます厳しさを増しております。
 このような安全保障環境の中、日本の平和と安全を確保するためには、我が国の防衛力を適切に整備するとともに、日米安保条約を引き続き堅持することにより、米軍の前方展開を維持し、その抑止力を確保することが必要です。
 政府としては、このような認識に基づき、国家安全保障戦略の策定や防衛計画の大綱の見直し等を進めるとともに、日米安保体制の抑止力向上のため、先般の2プラス2会合の結果を踏まえ、引き続き幅広い分野で日米間の安保・防衛協力を進めていきます。
 TPP交渉に対する基本姿勢についてのお尋ねがありました。
 自由貿易の推進は我が国の対外通商政策の柱です。力強い経済成長を達成するために、TPPの実現によりアジア太平洋地域の活力を取り込むことが重要です。他方で、TPP交渉について御指摘のような懸念があることは承知をしております。我が国には息をのむほど美しい田園風景、農村の伝統文化、その中から生まれた世界に誇る国民皆保険制度など、世界に誇るべき国柄があり、これらの国柄を私は断固として守ってまいります。
 TPP交渉はこれから本格化します。TPP交渉では、守るべきは守り、攻めるべきは攻めていくことによって、国益にかなう最善の結果を追求してまいります。
 国土強靱化の推進についてお尋ねがありました。
 多様な災害が頻発する我が国において、国土全域にわたる強靱な国づくりを推進していくことは極めて重要な課題と考えております。このため、与党から提案のあった法案の内容にある国土、経済システムの幅広い分野についての脆弱性の評価を行い、ハード、ソフトを組み合わせながら強靱な国づくりを計画的に進めてまいりたいと考えております。
 公共調達の在り方についてお尋ねがありました。
 公共調達をめぐる制度については、議員の御指摘のとおり、公正性、経済性の原則を踏まえつつ、時代の変化に対応したものであるべきと考えております。
 政府としては、自民党において議員を中心に行われている議論も踏まえつつ、見直すべきものは見直していく所存であり、調達の性格に応じた多様な発注方法の選択といったことにつきましても、関係省において引き続き検討を進めてまいります。
 汚染水問題についてのお尋ねがありました。
 福島第一原発における汚染水問題は、東京電力のみに任せるのではなく、国が前面に出て、全体の工程管理などを行うとともに、技術的難易度が高く汚染水問題解決のボトルネックとなっている事業について予備費を活用して取り組んでいるところです。
 具体的には、先般決定した汚染水問題に関する基本方針に基づき、地下水を汚染源に近づけない、汚染源を取り除く、汚染水を漏らさないという三つの基本方針の下、国として陸側遮水壁の設置や高性能な多核種除去設備の整備などの対策を実施しています。
 現場を預かり、個々の対策を実施する東京電力は、プライドを持ちつつ、これまで以上の緊張感を持って全力で取り組んでもらいたいと考えております。
 これらの汚染水対策を国と東電が一体となって確実に実施していくとともに、世界の英知を活用しつつ、予防的かつ重層的な対策を講じていくことにより、汚染水問題の解決に向けた取組をしっかりと進めてまいります。
 社会保障政策についてのお尋ねがありました。
 社会保障制度については、自助自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べることが重要です。
 急速な少子高齢化が進む中、財源を確保し、世界に誇る我が国の社会保障制度を次世代に安定的に引き渡していくためにも、若い世代の納得感が得られる全世代型の社会保障へと転換することで世代間の公平を確保していきます。
 受益と負担の均衡が取れた持続可能な社会保障制度を確立するため、改革の全体像、進め方を明らかにする法律案を今国会に提出したところであり、着実に改革を実施してまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法改正については、自由民主党の憲法改正草案の発表を一つの契機として国民的な議論が始まりましたが、今後、国民の中での議論が更に深まっていくことが何より大切だと考えており、国民の皆様の理解を得ながら着実に進めてまいる所存です。
 なお、御指摘の九十六条の改正は、国会による憲法改正の提案を容易にし、国民投票で国民が判断する機会を得やすくするものと考えていますが、実際にいつ、どの条項から改正していくかについては、国民的な議論の深まりの中において判断されるべきものと考えております。
 国家公務員制度改革についてのお尋ねがありました。
 公務員には、広く世界に目を向け、国家国民のため能動的に行動することが求められています。
 今次の改革では、政権交代など近年の公務員をめぐる環境の変化も踏まえ、人事行政の公正確保への配慮をより明確にした上で、政府としての人材戦略を機動的に推進し、時代に応じた新しい公務員制度を構築することとします。こうした考え方の下、内閣人事局の設置や幹部人事の一元管理などを内容とする法案を今国会に提出したいと考えております。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会についてお尋ねがありました。
 今回の招致成功は、国を挙げてチームジャパンとして取り組んできた結果です。皆で力を合わせれば夢がかなう、そのことを国民の皆様とともに実感できました。
 また、マドリード、イスタンブールの皆さんが健闘されたことや、トルコのエルドアン首相が招致決定後すぐに祝福してくれたことも忘れてはならないと考えています。
 二〇二〇年の東京大会においては、世界中の一流アスリートがベストの競技をできるようにするとともに、海外から来られた方に最高のおもてなしを提供し、オリンピックの歴史に残るような大成功を収めたいと思います。
 七年後の大会の成功に向け、本院における御決議の趣旨も踏まえ、政府一丸となって全力で取り組んでまいります。
 以上であります。(拍手)
#9
○議長(山崎正昭君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(山崎正昭君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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