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2013/05/30 第183回国会 参議院 参議院会議録情報 第183回国会 厚生労働委員会 第10号
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2013/05/30 第183回国会 参議院

参議院会議録情報 第183回国会 厚生労働委員会 第10号

#1
第183回国会 厚生労働委員会 第10号
平成二十五年五月三十日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     梅村  聡君     尾辻かな子君
     小見山幸治君     大久保潔重君
     山根 隆治君     牧山ひろえ君
     石井 浩郎君     武見 敬三君
     寺田 典城君     行田 邦子君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     武見 敬三君     渡辺 猛之君
     中村 博彦君     磯崎 仁彦君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         武内 則男君
    理 事
                足立 信也君
                津田弥太郎君
                赤石 清美君
                高階恵美子君
                渡辺 孝男君
    委 員
                石橋 通宏君
                尾辻かな子君
                小西 洋之君
                小林 正夫君
                櫻井  充君
                牧山ひろえ君
                磯崎 仁彦君
                大家 敏志君
                熊谷  大君
                藤井 基之君
                丸川 珠代君
               三原じゅん子君
                渡辺 猛之君
                浜田 昌良君
                川田 龍平君
                行田 邦子君
                田村 智子君
                福島みずほ君
   国務大臣
       厚生労働大臣   田村 憲久君
   副大臣
       厚生労働副大臣  桝屋 敬悟君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        松田 茂敬君
   政府参考人
       総務省総合通信
       基盤局電気通信
       事業部長     安藤 友裕君
       外務大臣官房参
       事官       新美  潤君
       厚生労働省職業
       安定局高齢・障
       害者雇用対策部
       長        小川  誠君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    岡田 太造君
   参考人
       全国就労移行支
       援事業所連絡協
       議会会長     石原 康則君
       公益社団法人全
       国精神保健福祉
       会連合会(みん
       なねっと)副理
       事長       本條 義和君
       東京アドヴォカ
       シー法律事務所
       所長
       弁護士      池原 毅和君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出)
○精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出)
○政府参考人の出席要求に関する件
○戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦
 没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(武内則男君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、寺田典城君、小見山幸治君、山根隆治君、石井浩郎君及び梅村聡君が委員を辞任され、その補欠として行田邦子君、大久保潔重君、牧山ひろえ君、武見敬三君及び尾辻かな子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(武内則男君) 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
 御出席いただいております参考人は、全国就労移行支援事業所連絡協議会会長石原康則君、公益社団法人全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)副理事長本條義和君及び東京アドヴォカシー法律事務所所長・弁護士池原毅和君でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、両案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、議事の進め方でございますが、まず、参考人の皆様からお一人十分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人、質疑者共に発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず石原参考人にお願いいたします。石原参考人。
#4
○参考人(石原康則君) 私は全国就労移行支援事業所連絡協議会の石原でございます。事業所といたしましては社会福祉法人電機神奈川福祉センターであります。このような場で発言の機会を与えていただき、心より感謝申し上げます。
 全国就労移行支援事業所連絡協議会は、社会福祉法人若しくはNPO法人が運営し、一定以上の実績を上げている就労移行支援事業所が団結した協議会です。就労移行支援事業の重要性をアピールし、そのノウハウを全国に広げるべく、昨年八月に発足したものであります。現在、全国二十九か所の事業所で構成しております。ちょうど昨日も一事業所が入会したところでございます。
 障害者自立支援法が施行されてから現在までの間、会員事業所だけで千百九十二名の方が就労されています。事業所を運営する法人全体を考えれば、三千名を超える方が一般就労を果たしています。
 私は、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案、以下今改正法案に賛成の立場で、そしてまた、是非今国会で成立させていただきたいとの願いを込めて、参考人として意見を表明させていただきます。
 今改正案は、障害者の一般就労が着実に拡大、前進している今日にあって、職場で働くに当たっての支障を改善するための処置や精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加える等の処置が講じられており、本法案を評価するものであります。もちろん、施行期日までに解決されなければならない課題や問題を有していると考えられることから、関係機関におかれまして引き続き努力が重ねられなければなりません。
 本日、第一に強調したいことは、今後も障害者政策の中核に障害者雇用が据えられなければならないという点であります。
 今日までいろいろな施策が実行に移された結果、一般企業に雇用される障害者の数は九年連続で過去最高を更新し続けており、この事実は高く評価されなければなりません。そして、今後も就労支援を障害者政策の中核に据えていただき、福祉、教育、医療、労働が連携を取りながら、一般就労の拡大というこの流れを加速させていただかなければなりません。そのためには、私たちが担う就労移行支援事業所の更なる努力とともに、昨今、多くの就労に結び付けていただいているハローワーク体制の強化充実、医療から一般就労への取組、特別支援学校等における進路指導の取組などの強化が重要であります。
 第二は、就職した後の職場定着支援の強化充実が何より重要となっているということであります。
 福祉の法律ではございますが、四月施行の障害者総合支援法の附帯決議に「就労定着への支援を着実に行えるようなサービスの在り方について検討する」とされているように、採用された障害者が生き生きと働き続けるためには適宜適切な支援を必要とします。企業の雇用管理に委ねるだけでは限界があります。事業主や使用者はそもそも障害福祉の専門家ではないからであります。また、生活基盤や家庭環境がしっかりしていなければ継続して働き続けることは困難であり、生活面のサポートも欠かせません。
 現行制度では職場定着支援の担い手は障害者就業・生活支援センターや地域の就労支援機関ですが、業務量が非常に多く、その体制は十分とは言えません。働く障害者が右肩上がりで増加している現状にあって、支援機関の陣容が乏しいことに加え、その取組においても地域間格差があることなどが既に指摘されております。
 今改正法案を踏まえ、障害者が継続して働き続けるための支援、安心して雇用し続けるための企業への支援が大切になってまいります。せっかく就職できても離職してしまうというのでは、就職した障害者にとっても障害者を雇用する企業にとっても不幸な事態と言うべきであります。
 お手元の資料の一や三に示しているように、特別支援学校や就労移行支援事業所においても独自に定着支援を行う仕組みをつくることが重要であり、労働、福祉、教育、医療で緊密な連携を取っていただき、是非この点に対する充実強化をしていただきたいと思います。
 第三は、働く障害者は労働契約を締結した一方の当事者として職場でのトラブルから保護されなければならないということであります。
 今改正法案は、雇用する障害者からの苦情を自主的に解決することを努力義務として課しています。自主的解決が望ましいことは明らかでありますが、特に判断力に障害のある労働者に労働契約の当事者として置かれた状況を十分に理解させ判断を求めるというのは、本人にとっても大きな負担を強いることにもなります。
 これは契約締結時だけの問題ではありません。障害者雇用をめぐる困難な課題の一つが、労働契約に基づく広義の法律行為としての権利義務関係は労働契約の締結時だけではなく日常不断の行為だという点であります。そのため、職場で働く障害者にかかわる職場における日々の法律行為をチェックする支援者や理解者がどうしても必要となります。この点でも外部からの職場定着支援が重要なのでございます。
 働く障害者の苦情処理、紛争解決援助は、その制度、仕組みとともに、適宜適切に相談に応じアドバイスできる運用面での整備がなされることが重要であります。
 第四は、施行期日までに様々な現場の意向を踏まえた細部にわたる取組を要請したいと思います。
 差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供を法により義務付けるのは意義深いことでありますが、実践、実行を求められる企業側には戸惑いがあると思われます。その点、企業に伝達したり改善を求めたりするのはやはり専門家である支援機関やハローワーク等行政の役割になってくると思われますので、企業を丁寧にバックアップするとの視点から、施行に向け準備に万全を期していただきたいと思います。
 また、精神障害の義務化につきましては、〇六年にみなし雇用となって既に時間が経過したことや激変緩和処置が設けられたこともあり、基本、理解したいと考えます。懸念している点を端的に申し上げれば、資料二なのでありますが、精神障害者の職場定着率は知的障害者の半分以下との調査結果があるということであります。
 厚生労働省は、今年度、医療機関と連携した精神障害者の就労支援モデル事業を準備され、調査研究が行われようとしておりますが、私たちの連絡協議会の会員の中にも精神障害の就労移行に成果を上げている事業所があります。そこで私たちは、更なるスキルやノウハウの向上に研さんを積み、そのふさわしいありようについて今後提起していきたいと考えますので、今後の検討に当たりましては、現場の実態を踏まえた判断を要望しておきたいと思います。
 最後に、私は、社会福祉法人電機神奈川福祉センターの理事長という立場でもあります。
 電機神奈川福祉センターは、電機連合神奈川地方協議会が労働組合運動の一環として障害者雇用に本格的に取り組むため発足させたもので、何より労働の意義と価値を障害のある人たちにも実感させてあげたいという思いで、運動の出発点から数えれば本年で四十年、障害者の就労支援に力点を置いて携わってまいりました。そして昨年には、全国の就労移行支援事業所が連携して障害者雇用に取り組もうと新たな連絡協議会を立ち上げました。今後、引き続き全国の仲間とともに、社会的自立を目指し就労したい人、就労できる人は一人でも多く一般就労できるよう事業サービスに更に磨きを掛け、障害者雇用発展の一翼を担い邁進していく決意でございます。
 今改正法案を成立させていただき、障害者総合支援法の附帯決議とともに就労支援施策の迅速かつ更なる充実強化をお願いし、参考人としての意見表明といたします。
 ありがとうございました。
#5
○委員長(武内則男君) ありがとうございました。
 次に、本條参考人にお願いいたします。本條参考人。
#6
○参考人(本條義和君) 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会副理事長の本條でございます。
 このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 当会からは、障害者雇用促進法改正案と精神保健福祉法改正案について意見表明させていただきます。
 まず最初に、障害者雇用促進法改正案について申し述べさせていただきます。
 本改正案に関しましては、平成二十二年閣議決定された「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」を踏まえて、障害者雇用促進法の検討、また、障害者権利条約に関し、労働・雇用分野においてようやく締結に向けた検討が行われました。身体、知的等障害者団体や関係団体、関係研究者等により審議され、全員の合意が得られました。特に、精神障害者が雇用義務の対象と位置付けられましたことは精神障害者の社会参加を促進するものであり、当会はこの法案の成立を強く望むところであります。
 一、法定雇用率の激変緩和措置についてであります。
 平成二十五年四月から、身体障害者、知的障害者を対象とした法定雇用率が二%となったことを鑑み、精神障害者を新たに追加するための法定雇用率の激変緩和措置は致し方ないものとしました。しかし、その後の五年ごとの法定雇用率の見直しにつきましては、障害者雇用の状況により短縮されることを切望いたします。
 二番、合理的配慮の提供義務。
 障害者に対して職場における合理的配慮の提供が事業主に義務付けられております。合理的配慮は、障害者個々の事情と事業主側の相互理解の中で提供されるものとされ、障害特性に基づくことが必要であります。精神障害者には、人的支援、相談支援が必要でありますが、今後は、本人の立場に立ち、本人の気持ちに寄り添うような支援者の養成が望まれるところでございます。
 三番、就労支援。
 精神障害者の雇用義務化に伴い、就労支援体制の確立が必要です。精神障害者の就労支援体制は、地域ではないところも多く、精神障害者の就労を困難にしております。特に精神障害者の就労支援は、職場だけではなく日常生活支援も欠かせません。また、事業主への支援も必要となります。精神障害者への理解がいまだに進んでいない現状では事業主への丁寧な支援が必要で、一人の精神障害者の就労に関しましては職場と地域の支援が連携することが望ましいことであります。そのような支援の仕組みづくりは実現を強く要望いたします。
 引き続きまして、精神保健福祉法の改正案について申し上げます。
 精神保健福祉法改正案の成立を強く要望いたします。
 平成二十二年六月に障がい者制度改革推進会議の第一次意見が閣議決定され、その中に、保護者制度の見直し等も含めて、その在り方を検討し、平成二十四年内をめどに結論を得ることとされました。当会としても高い関心を持って各種会議において議論に参加してまいりました。この度、保護者制度など重要な問題が焦点となって改正されますことに私たち家族会は高い関心と希望を持っており、この法案の成立を強く望むものであります。
 保護者制度の廃止については高く評価したいと思います。
 精神障害者家族会は長きにわたり保護者制度の廃止を要望してまいりました。この制度は、明治時代の精神病者監護法以来、百年にわたって家族に介護や保護を義務付けてきた制度であります。保護者制度は、精神障害者について保護が必要な人であるとして、一人の人間として扱わないという差別をしてまいりました。保護者には治療を受けさせる義務など、素人の家族に過重な負担を強いてきました。保護者は、治療を拒否する当事者を説得し切れず、当事者が何らか他人に害するような行為があったとき賠償責任を負うなど、家族にはとても背負い切れない重責を負わされ、そのことが時には家族が退院を拒むという事態を引き起こし、御本人の入院の長期化の原因にも結び付いてきました。この度の改正案は、保護者制度を廃止し、保護者の義務を全廃しており、長年の家族会の要望が実現することになります。
 医療保護入院についてでございます。
 医療保護入院について家族等の同意が必要とされたことは非常に残念であります。極めて遺憾であります。家族等の同意という文言が残ることによって、家族と当事者の対立という構図になることが解決できないことになります。家族への依存体質、精神障害者への差別が払拭されていないと考えます。
 しかしながら、一方、退院請求には一人の保護者ではなく家族等と広がりました。入院に疑問がある場合、同意者だけではなく他の家族の請求で精神医療審査会が開かれることになり、指定医一名の判断という危うさを補うとも考えられます。
 改正案は三年後の見直しを附則に付けており、今後、他の疾患と同様に、家族等の同意を取り除いて、今回は実現が難しかった代弁者などの権利擁護の在り方を整備し、当事者の権利擁護ができるシステムに変えていくように要望いたします。
 三番、厚生労働大臣が定める良質かつ適切な精神医療の提供確保に関する指針、あるいは地域生活の移行促進についてであります。
 厚生労働大臣が精神科医療に関する指針を定めると規定されていることは、今後の精神科医療の向上を進めることと期待いたします。医療保護入院者の早期の退院を支援することは必要なことであります。退院先については、安易に家族の下に帰すということではなく、当事者、家族の意向、関係性、生活環境等を十分に検討すべきです。地域援助事業者との連携、居宅サービスの充実等、上記指針にも大きく関係することだと考えておるところでございます。
 四番、精神医療審査会の委員の構成について。
 精神障害者の保健又は福祉に関し学識経験を有する者を規定することには賛成いたします。福祉的視点が入ることによって審査の幅が広がることを期待いたします。
 以上でございます。
#7
○委員長(武内則男君) ありがとうございました。
 次に、池原参考人にお願いいたします。池原参考人。
#8
○参考人(池原毅和君) ありがとうございます。
 この度は貴重な意見陳述の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 私は、精神保健福祉法改正案について御検討いただきたい点につきまして、法律家の立場から数点申し上げさせていただきたいと存じます。
 第一は、医療保護入院の在り方について、従前は保護者の同意を要件としていた点を、家族等の同意という形に改正する点についてであります。
 今回の法改正で保護者制度の廃止に踏み切られることは歴史的に評価されるべき英断であると存じます。しかしながら、医療保護入院について、家族等の同意を保護者の同意に代えるとする改正案には疑問がございます。
 精神保健福祉分野では、一九九一年に国連で採択されました精神障害者の保護及びメンタルヘルスケア改善のための原則が国際的な最低基準を定めており、その原則十六は、判断能力が阻害されている患者についての強制入院の要件を定めています。これによると、入院決定の判断は資格を有する二名の精神保健従事者、我が国でいえば精神保健指定医ということになりますが、その判断によるべきものとされ、そのうち一名の精神保健従事者は、でき得れば独立した第三者であることと定められています。
 医療保護入院では、国際的な診断基準であるICD10に基づいて正しい精神障害の診断がされているのかどうか、その症状の重症度が入院治療を要するようなものであるのかどうか、患者の精神症状がその判断能力にいかなる影響を及ぼしているか、入院させない場合にどのような状態の悪化を招く可能性があるか、入院治療以外の治療方法はないのかなど、いずれも医学的な判断が求められます。こうした事項を正確に判定できるのは精神保健指定医であり、二名必要な資格を有する精神保健従事者の判断を、医学の素人である家族の同意で代用することはできるはずがありません。
 ちなみに、緊急措置入院では指定医一名の判断で強制入院をさせますけれども、そのために要件を厳しくして、単なる自傷他害のおそれでは足りず、著しい可能性がなければならないということ、それから入院時間も七十二時間に限定されています。これに対して、同じく一名の指定医で行われる医療保護入院においては、その入院期間は定められておらず、二つの入院制度の整合性は著しく損なわれていると考えられます。
 もっとも、指定医二名の判定を理想としながらも、現実には指定医の供給が不十分であり、その理想を現実化できないという見解もございます。しかし、一か月間の医療保護入院患者数は全国で約一万二千人です。一方、指定医の方々の数は約一万五百二十七人ですから、二名の指定医で診察をするとした場合でも、一か月に一人の指定医が平均二・二名の患者を診察することで対応が可能という計算になります。
 もちろん、一万五百二十七名の指定医の方々は全てが常勤ではなく、地域的偏在なども考慮しなければならないでしょう。しかし、仮に実働できる指定医数を半数の五千人程度というふうに考えても、ケースロードは一か月に四、五人の患者の判定に立ち会うという程度にすぎないことになり、十分に現実的な状態であると考えられます。
 来年は、自由権規約について日本政府が条約の履行状況を報告し審査を受ける年に当たっております。一九九一年の国連原則は、それ自体は法的拘束力を持っていませんが、条約法に関するウィーン条約三十一条三項によって自由権規約の解釈根拠になるものと理解されています。この点では、国連原則に従わないことは、来るべき政府報告においても国際的な非難を受けることになるのではないかと考えております。
 家族の同意を要件とする医療保護入院の改正案は、インフォームド・コンセントをめぐる国内法の在り方としても非常に特殊なものになっています。確かに、一般医療においても、入院する場合に家族が入院保証人や身元引受人として署名を求められたり、大きな外科手術をする場合に家族が同意を求められるという場合はよく見受けられることです。しかし、一般医療においては、その同意が法律の条文として規定されているということはありません。それは、患者本人ではない家族の同意というものを法律的にどのような意味のあるものと位置付けるべきなのかということについて、法律学者や裁判所の判決例などで確定した考え方がまだできていないからです。
 二〇〇〇年に民法改正で現在の成年後見制度をつくったときに、成年後見人に治療同意権限を与えるべきかどうかということが法制審議会で議論になりました。結論として、成年後見人に治療同意権を与えることは保留されました。その理由は、患者以外の者による治療同意の在り方について一致した見解を見出し難いということでした。つまり、一般医療の臨床現場で行われている家族の同意が公式に本人のインフォームド・コンセントに代わるものであると言えるかどうかについては、現在議論は進行中であり、将来的には成年後見制度の改正問題にもかかわる問題として、結論の出ていない問題であるということであります。
 これに対して医療保護入院の改正案は、家族の同意が医療保護入院を正当化する要素になるとするわけですから、一般医療の場面では議論が進んでいる、進行中である問題について、家族の同意が患者のインフォームド・コンセントを代替し、補充できるということを公認されるに至っていない見解なんですけれども、それを法律に書き込むということになってしまいます。例えば、将来、成年後見人に一定の治療同意権限が与えられるような法律ができた場合、家族の同意で足りるとする医療保護入院は、裁判所を通じた後見人の選任手続を欠き、同意権者として適正であるかの判断なしで行われる強制入院ということになりますので、国内法的に見ても違法であると判断される可能性があると思います。
 拙速を避け、精神科医療においても、むしろ一般医療と同じ水準で、法律には書き込まないけれども、臨床現場では慣行として家族に入院の保証人や同意を求めるとすることの方が治療同意に関する現在進行中の議論に反することにならず、さらに、精神科医療を一般医療とは異なる特殊なものとはしない、できるだけノーマルなものにしていくという精神科医療のノーマライゼーションにも資するものだと考えます。
 医療保護入院の同意者を家族等であれば誰でもよいとする改正案では、入院場面で様々な混乱が生じることは多くの医療保健従事者から指摘されているところです。常識的に考えても、例えば五人家族のいる患者さんについて、四人が入院に反対しているのに一人が同意すれば入院は有効になるというのは、一般国民には理解し難い制度だと思います。法律上対等の立場にあるはずの家族に反対者が多数いても賛成者が一人いれば入院が肯定されるという制度は、余りにも入院に対して肯定的で、要は、家族の同意は入院を適正化する役割を期待されているものではなく、入院を促進することを期待されている制度であるというほかありません。一九九一年の国連原則が指定医二名の診断を条件にする慎重さを求めているのとは正反対の方向に向かう改正ということになります。
 さらに、民法では、親権は共同行使しなければならないとされていますが、精神保健福祉法では、一方の親権者が反対していても他方の親権者が同意していれば入院ということになり、さらに、両親が離婚している場合、親権者である親が反対していても、親権者でない親が賛成していれば入院になってしまうという異常な状態を生じさせることになります。
 保護者制度の最も深刻な問題点の一つは、医療保護入院の同意をめぐった家族と患者の葛藤関係が深まるということが指摘されてきたわけですが、今回の改正案では、その問題はさらに、同意権者たり得る全ての家族員の利害を巻き込んで複雑な紛争の種を植え付けるということになるのではないかと危惧しております。
 二点目は、患者の権利擁護者についての規定が今回の改正では見送られてしまっている点でございます。
 一九九一年国連原則十八は、退院請求や処遇改善請求などの手続については、患者自身を代理する弁護人を付け、経済的に必要であれば公費で弁護人を付ける旨を定めています。また、二〇〇二年に欧州評議会が行った精神障害者の強制入院及び非自発的医療、EU加盟国における法制度と実践報告書によりますと、強制入院率に有意な関連性が認められる唯一のファクターは、強制入院手続に独立した代理人が義務付けられていることとされています。
 したがって、国際的な基準に従っても、あるいは実際に強制入院を適正に減らしていくという観点からも、患者の権利擁護者を法律上の義務として付けることは極めて重要であります。この点についても是非今国会において十分に御審議いただき、適正で有効で無駄のない精神保健福祉法が作られますように、先生方の御尽力をお願いしたいと存じます。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(武内則男君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。
 参考人のお三方の皆さんには、大変お忙しい中、本委員会に御出席をいただき、今、貴重な御意見、御提言を賜りましたことを心より感謝申し上げます。
 早速質問に入らせていただきますが、まずは障害者雇用促進法に関連して、石原参考人にお尋ねをいたします。
 私は、障害者政策の中核に雇用を据えて、福祉、教育、医療などの分野とも連携を取りながら、とりわけ一般就労の拡大に向けて日々取組を続けておられます石原参考人を中心とした就労移行支援事業所の皆様に心から敬意を表したいと思っております。その上で、皆様方の立場で、更に雇用あるいは一般就労を進めるために厚生労働省に対して何を要望されるのか、是非率直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#11
○参考人(石原康則君) 石原でございます。
 私どもとして今直面している課題は、今まではいかに雇用、就職をさせるかという入口が重視されていたわけですけれども、当然そこはこれからも重視されなければならないんですが、先ほども申し上げましたように、これからは一日でも長く障害者が働き続ける、民間企業で、この取組が必要で、そのために定着支援が必要だというふうに認識しておりまして、今までどちらかというと入口に政策の中心が置かれていましたけれども、これから是非、この雇用促進法の面におきましても障害者総合支援法の問題におきましても、うまく福祉と労働が連携して、定着支援に向けて厚生労働省さんがアクセルを踏まれることを私どもとしては期待している。
 それから、労働側でいうと、いわゆる中ポツセンターとかジョブコーチに対する充実した人員配置、これも欠かせないだろうと思っています。
 また、これ企業サイドで、とても努力して長く障害者を雇用している企業に対して、あるインセンティブというんでしょうか、今、短期、二年間ぐらいには随分厚い支援があるんですけど、五年、十年と続けた企業にはインセンティブをあげてもいいんじゃないかというふうに思います。
 それから、ちょっと視点が変わるんですけど、私ども、事務処理、報酬の請求とか申請書類が、結構事務に追われておりまして、本来、障害者に支援したい、その業務が要員が少ない中で結構手間を取られているという現場の指摘もございますので、その辺りにも厚生労働省さんの方で効率的な事務が執り行われるように配慮いただければ有り難いというふうに思っております。
 以上です。
#12
○津田弥太郎君 それではもう一点、石原参考人にお尋ねをしたいと思います。
 この四月から施行されました障害者総合支援法は、私も当時担当政務官を務めておりました法律でありまして、思い入れがあるわけでございます。参考人は、先ほど意見陳述の中で、この法律に関する本委員会の附帯決議についてお触れになりました。この附帯決議の中での七番目の項目、先ほど申されました。附帯決議というのは、その内容について政府が適切な措置を講ずることが求められるわけでありますが、障害者総合支援法の附帯決議、十項目の中でもこの七番目の項目、これは肝の一つであるというふうに私自身も受け止めているところでございます。
 そこでお尋ねをいたします。
 石原参考人におかれましては、この附帯決議の七番目の項目についてどのようなお考えをお持ちなのか、いま少し詳しくお述べをいただきたいと思います。
#13
○参考人(石原康則君) 先ほどの質問とダブるところが出てくるかも分かりませんが、この附帯決議において定着支援というのが明記されたということはとても私どもとしては評価しておりますし、一刻も早くこの附帯決議に沿って検討が動き出すことを私どもとしては望んでおります。
 かつ、総合支援法の中の附帯決議でございますけれども、障害者雇用促進法との絡みはとても大きいものがございますし、定着支援という意味では学校側の問題もございますので、そういった垣根、省庁の垣根を越えて、あるいは省内の垣根を越えて、この附帯決議に対する連帯した取組、検討、これを早急にやっていただいて結論を見出してほしいというのが私どもの要望でございます。
 以上です。
#14
○津田弥太郎君 次に、精神保健法に関連して、まず本條参考人にお尋ねをしたいと思います。
 実は、今回のこの法案につきまして、私たち民主党内でも様々な議論が行われました。おとといの本委員会で質問に立った我が党の質問者からも法案に対する懸念点が示されたことも事実でございます。そうした中で、最終的には、全体として本法案を一歩前進と受け止めるかどうかということで、法案についての賛否の決定もしていくわけでございます。恐らく、本條参考人を始めとした家族会の皆様方も、本法案の立案段階から今日まで様々な思いを抱かれてこられたと思います。先ほどもその点お述べになりました。基本的には、本法案についてその成立を求めるというお立場になられたのかなというふうに先ほどの本條参考人の陳述の中では感じたわけでございます。
 本法案が参議院で可決した後、衆議院で法案審議が行われるわけでございますが、率直に本案に対して懸念を示している方も衆議院の中でも少なくありません。そのような状況において、ある意味で法案の重要な当事者、関係者である皆様方がそうした懸念を払拭していく努力というものがかなり大きな意味を持つというふうに私は考えるわけでございますが、先ほどもお述べになりましたけれども、この点について、率直な本條参考人の御意見を賜りたいと思います。
#15
○参考人(本條義和君) 先ほども申し上げましたように、この法案そのものは、百年続いてきました保護者制度が廃止されるという点においては大きな前進ではないか、このように評価しております。
 ただし、医療保護入院において、家族の同意というところが私たちも懸念を持っているところでございますが、先ほど池原参考人から、その疑問点といいますか問題点については参考意見を述べられましたが、私どもも同様な考えを持っておりまして、家族がそれを同意するということは非常に難しい、困難が伴うのではないか、このように思っております。
 ただし、そういうものが全くないままに、引き続き非自発的入院といいますか医療保護入院というものが続きますと、権利擁護を代弁する人が全くなくなってしまいますので、できましたら、要望といたしましては代弁者制度というものを取り入れていただきたいのはやまやまですが、時間的な制約等もありましょうから、取りあえずということで賛成を表明したところでございます。
#16
○津田弥太郎君 続きまして、池原参考人にお尋ねをしたいと思います。
 池原参考人は、まさに御自身の法律事務所が東京アドヴォカシー法律事務所ということで、まさに代弁者、アドヴォケーター、こういう名称を事務所にも付けられているわけでございます。ある面では、代弁者の重要性について先ほどもお述べになりましたが、誰よりも認識をされているというふうに思います。
 今回の法案に盛り込まれなかったこの代弁者の仕組みについては、患者御本人の権利擁護のためにも大変重要な役割を果たすものであるというふうに思いますが、具体的にどのような場面あるいはどのような働きがこの代弁者が期待され得るのか、池原参考人の思い描かれる代弁者の在り方について御見解を伺いたいと思います。
#17
○参考人(池原毅和君) ありがとうございます。
 既に福岡県弁護士会では二十年近い経験が蓄積されていまして、精神医療当番弁護士というシステムが行われています。これは、病院に強制的に入院させられた患者さん等が弁護士会に弁護士を派遣してほしいという申込みをされますと、数日以内には弁護士が病院に駆け付けて、患者さんの御意見とか御希望を伺って、もし退院をしたいということであれば精神医療審査会に退院申請をするとか、あるいは処遇上問題があるということであれば処遇改善請求をするというようなことで動いていて、これは実は福岡県の病院協会の方々とも非常にある意味で良好な関係ができていて、むしろ、権利擁護者が入らない段階ですと精神科のお医者さんと患者さんが真っ正面から衝突してしまうわけですけれども、権利擁護者が入ることによって、むしろ、不満とか不服があるのであれば、あるいは疑問があるのであればしかるべき手続を通じてやってくださいということで、医療環境としても非常に良好になっているということが評価されていて、これは厚生労働科学研究でも報告をされています。
 こうしたものが全国の弁護士会単位会でかなりの数行われるようになってきていまして、私としては、具体的なイメージとしては、強制入院をさせられた場合には数日以内に弁護士が面会できるようにするとか、あるいは少し入院が長期化した場合には必ずもう一度チェックを入れるとか、そういう少なくとも外部の弁護士を中心とした、もちろん精神保健福祉士の方などの御協力も当然必要なわけですけれども、そうした専門家の立場で様々なアドバイスとかあるいは権利擁護の手続を取れるということが非常に重要だと思っています。
#18
○津田弥太郎君 ありがとうございました。
 今、本委員会の中でこの当法案についての修正についての協議をいたしておりまして、附則の八条に、今先生がおっしゃった、入院中の処遇あるいは退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明についての支援の在り方について検討項目に加えようというような今協議をさせていただいているところでございます。今先生がおっしゃったような御意見をこの中に込めたというふうに理解をいたしておるわけでございますけれども、そのような取組を進めていきたいと思っておりますので、また御理解をお願いを申し上げたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。
#19
○大家敏志君 おはようございます。自由民主党の大家敏志です。
 与党という立場で臨む初めての国会であります。いろんな経緯がありました。そんな中で、残す会期も僅かとなったんですけれども、連日精力的に審議が進んでいること、これは、委員長そしてそれぞれの党の理事、また各委員の熱意のたまものだと思っております。
 そのような中に、今日は大変お忙しい中、本條さん、石原さん、池原さん、三人の方々に参考人という立場で御出席を賜りました。心から感謝を申し上げたいと思います。
 まず、精神保健福祉法改正案について、みんなねっと副理事長の本條参考人にお伺いをしたいというふうに思います。
 先ほども詳しく本條会長の意見についてはお伺いをしました。そのような中で、改めて数点についてお伺いをさせていただきたいと思うんですけれども、現行の精神保健福祉法の保護者制度は、他の疾病や障害にはない、精神障害者特有の制度だと言えます。今回の精神保健福祉法改正案では、この保護者制度の廃止が盛り込まれています。
 先ほどの話にもありましたけれども、長年の家族会の悲願であったともお伺いをしています。明治時代の精神病者監護法以来百年義務付けられてきた制度の廃止について、この点の所感を改めてお伺いをしたいというふうに思います。
#20
○参考人(本條義和君) 委員御指摘のありましたように、この保護者制度というのは、他の障害者等には見られない、精神障害者だけに対する制度といいますか、そういう法でございまして、本来二十歳を過ぎますと一人前の人間でございますので、保護者が付けられるということ自体問題であります。また、そういう入院、あるいは医療保護入院等もそうなんですけれども、本人が選択すべきものを、親とか家族とはいえ、他人がその本人の選択権を制限するということは非常に問題があるのではないかと、このように考えておりますし、先ほど言いましたように、家族とそれから本人との相克といいますか葛藤といいますか、そういうものが生じるという点で非常に問題があるのではないかと思っております。
 しかしながら、今回、私たちの長年の要望であります保護者制度が廃止になるということで、非常に前進であると、このように受け止めておるところでございます。
#21
○大家敏志君 ありがとうございました。
 この保護者制度が廃止された後、精神障害者の御家族の方々は、精神障害者御本人の治療や地域生活においてどのような役割を果たされるとお考えでしょうか。
#22
○参考人(本條義和君) やはりこれは一般医療と同等にすべきではないかと、このように思っております。
 先ほど池原参考人からもお話がありましたように、一般医療においても、大きな手術でありますとか本人が意思表示ができない場合には、やはり家族のそういう同意といいますか、インフォームド・コンセントといいますか、そういうものが必要にはなってくると思いますから、それと同様であれば、私たちも当然のこととして受け入れるつもりではおります。
 したがいまして、そういう法律で定めた義務といいますか、そういうものが規定されている以上は、やはりそういう法律的な素養といいますか、権利擁護についての知識のある方が第三者として、代弁者としてそれはいろんな対応をすべきであると、こういう具合に考えております。家族としては、一般医療と同等の責任の範囲であるべきであると、こういう具合に考えております。
#23
○大家敏志君 ありがとうございます。
 また、続いて、今回の改正案では、医療保護入院について、精神保健指定医一名の診断に加え、保護者の同意の代わりに家族等のうちのいずれかの者の同意が要件とされています。この件についてもお考えを改めてお聞かせいただきたいと思います。
#24
○参考人(本條義和君) これも議論の分かれるところではございますが、先ほどと同様に、保護者という法律で規定されている者ではなく家族等となったことについては一歩前進ではないかと、こういうように思っております。
 確かに、家族等ということになって、一名が同意すれば多数が不同意の場合問題が生ずるのではないかという御意見があることは承知しておりますけれども、そういう点も、今後、審議時間も短いとは思いますが、是非とも前向きに御検討いただいて、代弁者ということを何とか取り入れていただきたいというのが要望でございますけれども、これがなければ法案が成立しないということであれば、私たちの百年間望んできた保護者制度が廃止になるという、それが一番の眼目でございますので、非常に悩ましい問題ではあると考えております。
#25
○大家敏志君 一歩前進ということですかね。ありがとうございます。
 今回の改正案による改正後においても、入院患者の退院に向けての環境整備や退院後の治療継続の観点から、医療保護入院は可能な限り広い範囲の家族等の同意を得た上で行われることが望ましいと考えます。この点について、御家族の立場からの所感をお聞かせいただければと思います。
#26
○参考人(本條義和君) 全く委員のおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、そういう権利擁護という意味におきましては、私、三月にイギリスに行ってまいりました。イギリスでは、精神科医が複数、入院が妥当であると判断しましても、日本でいえば精神保健福祉士ですね、そういう方が、やはり入院ではなく地域で医療をすべきが適当であるというような御意見があれば、それは入院をさせることができないといいますか、ストップが掛かるというような制度になっているようでございます。
 やはりそういう、もちろん医療的な立場が一番大事なんですけれども、やはり権利擁護という意味においては、医療関係者だけではなく第三者の御意見が是非とも必要ではないかと、こういう具合に考えております。
#27
○大家敏志君 ありがとうございました。
 また、改正案では、厚生労働大臣が精神科医療の方向性を示す指針を策定することとされていますが、御家族の立場からこの指針の内容についての御意見があればお伺いしたいというふうに思います。
#28
○参考人(本條義和君) これからいろいろ議論がされていくと思いますけれども、そういう第三者の意見を取り入れていくということにつきましては、先ほど言いましたような権利擁護の視点とか、そういう意味からも非常に重要なことではないか、こういう具合に考えております。
#29
○大家敏志君 ありがとうございます。
 続いて、障害者雇用促進法改正案について、これもまた本條参考人にお伺いしたいと思うんですけれども。
 障害者雇用促進法の改正法案において精神障害者の雇用義務化が盛り込まれていますが、これもまた長年家族会の方々から要望されてきた事項だと伺っています。精神障害者の雇用義務化の意義についてどのように評価されておられるか、意見をお聞かせいただきたいと思います。
#30
○参考人(本條義和君) やはり雇用義務ということは非常に重要ではないかと思っております。障害者雇用促進法において、最初は身体障害者だけが雇用義務対象者になっておりました。それが知的障害者も雇用義務の対象者になったことにより、非常に就労が進んでおります。
 例えば、特例子会社という制度があるんですけれども、それによりますと、ちょっと詳しい資料は手元にないものですからあれですけれども、知的障害者が実に第一番になりまして、四八%が知的障害、それから身体障害者が四七%ぐらいというように逆転現象が起こっております。それはやはりいろんな法制度の効果もあると思うんですけれども、私は、義務化にしたことによる効果が一番大きいのではないか。そういう意味で、精神障害者の雇用義務化がうたわれるということは非常に大事なことであると、こういう認識をしております。
#31
○大家敏志君 本條さん、ありがとうございました。
 次に、石原参考人にお伺いしたいと思います。
 今回の障害者雇用促進法の改正に当たり、障害者雇用に取り組む企業に対しての支援が今後重要になると考えます。今後の企業支援の在り方や、また就労支援機関が今後果たすべき役割、これについて石原さんの考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#32
○参考人(石原康則君) 先ほどもお話がございましたですけれども、知的障害が義務化になって、今度精神障害が義務化されるという中におきまして、知的に障害のある方と精神に障害のある方と、その特性という意味ではやはりそこには違いがあるだろうと思います。
 したがって、一律的な対応とかそういうことはなかなか難しいだろうというふうに思っておりまして、私どもの加盟の事業所の中でも既にもう精神に特化して就労支援等に、みなし雇用でも精神障害者が現場に入っていますから雇用もされていますので、そういう精神に特化した支援事業所もございまして、そこでいろいろ知的障害者と違うノウハウ等を研究しておりまして成果を上げてきている。それらを横展開することによって、今後、本格的な義務化になったときに精神障害に対するサポートをきちっとやっていかないといけない。
 だから、知的と精神ではやはり同じように扱うということではいけないので、企業に対しても、私どもの事業所に対しても、その特性に合った支援の在り方というのを、まあ実績もありますし、あるんですが、これからも更に雇用が進めば私どもの努力も重ねていかなければいけないというふうに思っています。
#33
○大家敏志君 本條参考人、石原参考人、貴重な意見、ありがとうございました。池原さんには聞く時間がありませんでしたけれども、これで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#34
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
 今日は、お三方より貴重な御意見そしてまた提言等をいただきまして、心から感謝申し上げたいと思います。私からは、まず石原康則参考人に対してお伺いをしたいと思います。
 まず、お話の中では、障害者の職場定着支援が非常に大事だということでありまして、その強化充実をすべきだというお話がありました。
 先ほどいただいた資料二の方で、知的障害者そして精神障害者の方々の就労継続率の比較で、やはり精神障害者の方々は継続率が低いという資料でございました。それで、知的障害者と比較した図表でございますけれども、精神障害者の方々が就労を継続をするに当たってこのような差が出てきてしまうということの原因といいますか、その点お伺いをしたいと思います。
#35
○参考人(石原康則君) 現場から私どもが報告を聞いている点で、精神に障害のある方の、日々業務に就いたときに、今日は立派な成果を出したけれども、翌日なかなか体調が維持できずに就労の成果が出ないとか、そういう波というんでしょうか起伏が知的障害者よりは精神に障害のある方の方が多くて、その点における雇用管理がとても大事になってくるということでございます。
 したがって、その辺りを企業の経営者だけに委ねるわけにはいかないわけですから、きちっと支援事業所あるいは就業・生活支援センターのいわゆる就労支援のプロがしっかりとサポートするということが、ゆえに非常に大事になってくるというふうに認識しております。その起伏、波、そういったものに対してサポートしてあげるということが大事じゃないかと思っています。
#36
○渡辺孝男君 そういう支援の機関があるわけですけれども、現場に障害者の方、特に精神障害者の方に寄り添ってそういう就労を支援するというようなことも、ジョブコーチさんの中ではそういう活動もしていただいておるのでしょうか。
 そういう場合に、やはり能力の向上といいますか、ジョブコーチの能力の向上、あるいは精神障害者の方々に対する、より特性を知った上での対応というのが求められるというお話を聞いておりますが、そういう点で、ジョブコーチのこれから資質向上あるいはそういう特性を踏まえての対応に関して、何か御要望とか提案がございましたら教えていただければと思います。
#37
○参考人(石原康則君) 就労支援事業所の職員あるいは就職先の企業におけるジョブコーチでのサポート、これらは当然必要な形で支援をしているんですけれども、その体制は決して十分ではないと。今後義務化されてまいりまして、例えばそういう精神に障害のある方々が職場で数多くなってまいりますと、ここでの体制強化は当然必要になってくるだろうというふうに思いますので、しっかり定着支援できるような援助、御理解をお願いしたいというふうに思っています。
#38
○渡辺孝男君 次に、本條義和参考人にお伺いをしたいと思います。
 本條参考人のこれまでの資料を見させていただきましたらば、家族会によるそういう精神障害者の方々の相談事業ですかね、そういうものを一生懸命やってきておられたということでありまして、いただいた資料では、そういう同じ精神障害者の方を家族に持つ方が相談に応じますと、やはり親身になって、自らの体験もございますので、相談者のお話をきちんと聞いてあげて、よくその方の家族の相談者の方々に寄り添った支援とかアドバイスができるという、そういうお話でございましたけれども、この点に関して、今までの御経験等を教えていただければと思います。
#39
○参考人(本條義和君) 家族相談事業でございますけれども、兵庫県でその制度の創設を要望していましたときに、既に公務員の方が、主に都道府県職員の方が精神保健福祉相談員となって相談をしているということと、やはりそういう家族相談あるいは当事者相談においても、精神医療、精神保健あるいは精神福祉等の非常に専門的な知識が必要ではないか、そういう難しい相談に家族が応じられないのではないかというような御意見がありました。しかし、私たちは、やはり同じ体験をした者が、家族ならではの相談があるのではないかということを強く要望してこの制度が、兵庫県独自の制度でございますけれども、県知事の委嘱による相談員制度というのができたわけなんです。
 やはり同じ体験を持つということによって安心してお話を言っていただける、相談を掛けていただけるという、そしてまた、聞く相談員といいますか、相談される、応じる方の立場の方も、やはり自分もそういう経験をしてきておりますから、すんなりとその困った状況でありますとか、そういう不安でありますとか、そういうものが受け入れられるということによって、共通の土壌にいますから、相談が円滑に進むのではないかと、こういう具合に思っております。
 やはり傾聴といいますか、そういうものが一番大事になってくると思うんですけれども、やはり傾聴、お話を聞くといっても、自分より、自分よりといいますか、全然体験も知識もない人には人は相談しませんし、余りにも懸け離れた存在という方にも相談はしにくいものでございますけれども、同じような立場にいるということで相談を掛けやすい。また、話を聞いていただいたということによって、非常に不安とかそういうストレスが解消するのではないかと、こういうようにも思っております。
#40
○渡辺孝男君 非常にすばらしい活動だと思うんですが、恐らく兵庫県だけではなくてほかの自治体からも、そういう経験をした御家族による相談者への相談支援、支援というようなことがやりたいというようなお話もあるんだと思うんですけれども、まあなかなか全国的にそういうところまで進めることが難しいという事情もあるのかと思うんですが、その点、ほかの自治体とか、あるいは国にも何度か要望はされていると思うんですが、なかなかできにくい、そういう状況というのはどう克服していったらいいのか、また、ほかの県ではどうそういうものを実現しようと努力しているのか、その点の情報がいただけましたら有り難いと思います。
#41
○参考人(本條義和君) 兵庫県のように県知事の委嘱による、ある程度法律上といいますか条例といいますか、それで認められた制度というのは余りありませんけれども、全国の家族会では家族が相談に応じている、相談事業をやっている都道府県連の方が多いと思います。今数字的なものは持ち合わせておりませんけれども、多いと思います。
 それで、是非とも、やはりこれも法制化しないとなかなか難しいのではないかと思います、是非とも実現していただきたいと、こういう具合に思っております。
#42
○渡辺孝男君 そういう意味では、相談支援のそういう実績等もございますので、そういうものを私どももしっかり勉強して、皆様の要望が実現できるような、そういう全国的な制度になるように努力をしていきたいと思っております。
 それでは次に、池原毅和参考人にお伺いをしたいと思います。
 池原参考人から前にいただいていた資料だと思うんですけれども、精神科の保護入院あるいは措置入院等に関しましてこのように述べておられました。
 法律論として言えば、一方には患者の適時適切な医療を受ける利益あるいは権利があり、他方に患者が自分の生活や人生の在り方を自分なりに決めていける存在としての自己決定権がある、この両者をどう調和していくかということが課題であると。病識や判断能力が損なわれているときに自己決定権だけを重視してしまうと、適時適切な医療を受ける利益が損なわれる可能性があると。しかし、適時適切な医療を受ける利益のみを重視してしまうと、その人なりの生き方や生活の在り方を自分なりに決めていくという人間の尊厳にかかわる権利を否定することになってしまうということで、非常に難しい精神科の医療があるわけでございますけれども。
 その中で、もう一つこういう御指摘もございました。
 医療の介入というものは必要な範囲にとどめ、できるだけ短期間、入院の場合ですね、短期間に限って行うべきであると。しかし、往々にして、医療チームの方はいろいろ自己検証しながら治療を続ける努力はされている、当然ながらされていると思うんですが、そのことに関しまして、危機介入は、医師、看護師、保健師、福祉関係者、行政関係者などの複数の関係者がチームを形成して相互検証しながら進めることが必要であると。こうしたチームはどちらかというと介入に傾斜する危険性があり、患者本人の立場を代弁する役割を欠きがちであると。
 そうした面では、患者の立場を代弁できる患者権利擁護者が関与することも必要であるというふうに述べておられるわけでありますが、そういう医療チームがどうしても介入に傾斜する危険性があると。要するに、やはり治療をしっかりするために少し長く入院してしまうというようなことがあるのかもしれませんが、こういう現実というのはやはりどう改善を図っていったらいいのか、御意見を賜れればと思います。
 あと、患者権利擁護者というものはどういう形で整えていけばいいのか、どういう方がすべきか、この点に関しての御意見も併せていただければ有り難いと思います。
#43
○参考人(池原毅和君) ありがとうございます。
 今先生に非常に重要なところを御指摘いただいて、ありがとうございます。
 具体的なシステムのつくり方というのはまた様々議論をしていかなければならないところがあると思いますけれども、やはり先生が御指摘していただいたような、片方には適時に適切な医療を受ける利益というものがあり、片方には本人の自己決定権を保障しなければいけないと。この二つをある一人の人とか一つの立場の人が決めるということは非常に難しいところがあって、したがって、適時に適切な医療を受けさせるという利益をある意味では重視する立場が恐らく医療チームになるでしょうし、患者の自己決定権の方を尊重するという方はむしろ権利擁護者の役割になって、そこがしっかりとした議論をして、今何が必要で何がすべきなのかということを決めていけるようなシステムというのが抽象的に言えば必要なんだと思うんですね。
 具体的に言えば、恐らく入院の時点、あるいは入院して例えば三日とか一週間とか、場合によれば十日とかと、こういうある一定の長さのところで事後検証ができるといいますか、つまり患者の権利擁護者の方が患者の立場で、一旦入院は決定されているけれども、このままでよかったのかということを検証できるようなシステムは非常に有益だと思います。特に、最近の精神科医療では、一か月ぐらいで退院されるという方がかなり多くなっていて、もう半数以上の人は三か月以内には退院するというような状況も出てきていますので、やはり入院した後で、その入院後の治療の状況も踏まえながら、しっかりとした権利擁護がそこで行われるということが現実的に必要なのかなというふうに思っております。
#44
○渡辺孝男君 ありがとうございました。
 以上で終わります。
#45
○川田龍平君 みんなの党の川田龍平です。
 本日は、石原参考人、本條参考人、池原参考人、大変お忙しい中、御意見をいただきましてありがとうございます。
   〔委員長退席、理事津田弥太郎君着席〕
 早速質問させていただきます。まず、障害者雇用促進法改正案について、石原参考人に質問いたします。
 企業側が合理的配慮をどこまでするべきなのか、今後政府がガイドラインを作るということになっておりますが、検討していくということですが、企業側そして労働者側として、どのような点に留意しながらガイドラインの策定の議論を進めていくべきと考えていますでしょうか。
#46
○参考人(石原康則君) 今の、どういう点に合理的配慮をということでございますけれども、正直、正鵠を得た答弁をする用意はできていません。むしろ、合理的というこの用語、どういうように現場の中で配慮を加えていくのかというのは、これからやはりガイドラインができて、そのガイドラインに基づいて私ども支援側がそのガイドラインをどう具体化していくかという、そういう、何というんでしょうか、かみ砕き、検討が必要だというふうに思っておりますので、どういう処置が必要なのかという点について答弁を求められますと、ちょっと自信はないということですね。
#47
○川田龍平君 石原参考人は、就労促進や定着のためには、この施策には幾つもの省庁や部局がかかわっており、二重行政の弊害を排して専門性を持つ役割分担と連携の仕組みを検討せよとの指摘をされておりますが、ワンストップで垣根を越えた施策を実施するには、具体的にはどのような体制が必要だとお考えでしょうか。
#48
○参考人(石原康則君) 二重行政という意味で私は申し上げているんではなしに、お手元に資料を配付させていただいていますが、資料三でございますが、障害のある人が働くというプロセスにおいてどういう支援が必要か、それを、あるべき姿を図示したものなんですけれども、この一番下にあるミクロネットワーク、今これが、二重行政という意味ではなしに、ある意味それぞれの役割、機能を果たしていて、それがある意味連帯できていないんじゃないかという思いがあるということで、それぞれ役割を持って取り組んでいるんですけれども、ここをもう少しシステム的に連帯を持ってネットワークとして取り組んでいただきたいという、そういう要望を申し述べたということです。ここに当然ハローワークさんとかそういう行政のかかわりも出てまいります。
 以上です。
#49
○川田龍平君 それでは、引き続き石原参考人に、就労している障害者と企業との紛争解決について、裁判にまで持ち込まなくても解決をできるようにするためには、国がどのような制度を準備すべきと考えていますでしょうか。
#50
○参考人(石原康則君) 国は今は苦情処理機関における調整機関を流用していくというその仕組みで、私はその仕組みは是としたいというふうに思います。
   〔理事津田弥太郎君退席、委員長着席〕
 問題は、障害のある人が、自分が不法行為を受けているとか基準法違反に置かされているとか、その認識がない、あるいは認識はあっても、仮に認識があっても、私は基準法違反ですということが意思表示できないでいるケースがある、そういうように思っていて、そこを非常に懸念しているんです。
 御案内のとおり、労働審判事件は、全国で一年間三千数百件、労働局への相談件数も二十数万件と報道されています、全国で。その中で、障害者の人たちがじゃそういう労働審判制度とか相談制度を有効に使われているかというと、意思表示できないとか、そういう悩みを抱え込んでしまっているとか、保護者に相談しても、保護者は、就職をせっかくしているんだからそんなクレーム付けちゃ駄目よとか、そういうスタンスになっちゃっているんじゃないか。そこをサポートするには定着支援、そういう意味では就労支援事業所とかジョブコーチさんもかかわってまいりますけれども、そこの定着支援を外部からサポートしてあげることが必要だ、そういうふうに思っています。
#51
○川田龍平君 労働契約がない生活保護、またそして労働契約がある福祉サービスというのがありますが、この労働者性は非常に大事な議論だと考えております。
 石原参考人が提言している福祉的労働法を策定するにはどのような論点整理をする必要があるのか、御教示ください。
#52
○参考人(石原康則君) 〇七年通達ですか、労働省ですか、施設における労働者性についての通達がありますけれども、そこで労働者だというふうに認定すれば、それは当然労働者にすべき。しかし、それが労働者でないという判定にもかかわらず、そこを社会的、福祉的な就労に持ち込むというのが、労働という概念に持ち込むのが正しいのかなという私に疑問があるということで、そこを、もう近い労働なんだから労働というふうに認定して、例えば最低賃金まで税金で賃金補填してもいいじゃないかという意見がありますけれども、なかなかそこには私としては賛成できない。
 それは、そこで一つの福祉的事業所の中で労働者性を持ち込んで最低賃金なんかで環境をつくっちゃうと、まさに生活保護法と同じで、働きに出るよりは、一般就労するよりは、そこの施設で福祉的就労をしている方が楽だねということになりはしないかと。だから、一般就労にブレーキを掛けちゃうんじゃないかという、そこを懸念しているということでございます。
 以上です。
#53
○川田龍平君 ありがとうございました。
 それでは、精神保健法改正案についての質問に移らせていただきます。
 まず、池原参考人に質問いたします。
 今回の改正案では、医療保護入院手続における御本人の権利擁護が不十分なまま、すなわちほぼ手付かずのままであると認識をしております。こうした極めて不十分な権利擁護体制を存続したまま今回の法改正を行った場合の人権的、法律的な問題点について、国際的現状とも照らし合わせながら御意見をお聞かせください。
#54
○参考人(池原毅和君) ありがとうございます。
 国際的な基準から申し上げますと、先ほど意見で申し上げさせていただいたように、日本法でいえば少なくとも精神保健指定医二名の判断で入院をするというシステムが必要であるということですね。つまり、入口の部分でまず一つしっかりとしたチェックができなければいけないということがあります。
 それから、入った後で、やはりどういうふうにして退院をしていけるのかという部分について、やはり権利擁護者が是非必要であり、その部分については弁護士であるとかあるいは精神保健福祉士の方のようなある種の専門性を持った人たちが患者さんの意向を聞いて必要な退院請求の手続を取るとか、あるいは医療機関と話合いをしながら退院に向けての手続を進めるというようなことが最低限必要になるだろうというふうに思います。
#55
○川田龍平君 ありがとうございます。
 次に、本條参考人に質問いたします。
 精神障害をお持ちの御本人を最も近くで支えておられる御家族が、長年にわたりこの精神保健福祉法を始めとする関連法制度の不十分さによって大変な御苦労を重ねてこられたのだと認識をしております。
 その上で、今回の改正案では、医療保護入院手続において同意する家族の範囲が拡大され、一方で御本人の権利擁護に関する制度については極めて不十分なままでありますが、こうした改正によって、医療保護入院手続をめぐるこれまでの御本人と御家族の葛藤は解消されるとお考えでしょうか。
#56
○参考人(本條義和君) 結論から申し上げまして、なかなか、今の状態であれば、そういう本人と家族の葛藤というものが法改正によって改善されるとは考えておりません。早急にやはり代弁者といいますか、権利擁護をしていく人を制度として設けるべきだと、こういうふうに考えております。
#57
○川田龍平君 ありがとうございます。
 引き続き本條参考人に質問いたします。
 現在の入院医療を主とするこの精神科医療体制、すなわち御本人や御家族が安心して地域での生活を継続していくための地域支援体制、地域医療体制が不十分なままでは、幾ら法律を改正したとしても、実質的な御本人、御家族の苦労は変わらないのではないかと思われます。御本人にとっても御家族にとっても不本意な強制入院の機会をできる限り減らすことのできる地域医療モデルの本格的な推進が求められると思われますが、この点について、御家族の立場からの御見解をお聞かせください。
#58
○参考人(本條義和君) 先生のおっしゃるとおりであると考えております。ただ、私たちは、家族に対して非常に重い義務が課せられておりました。それが幾分でもこれで解消されるということも思っております。
 今後の課題として、そういう障害があっても地域で健常者の方と変わらない生活ができるように、法制度も含めていろいろな施策を講じていく必要があるかとは存じているところでございます。
#59
○川田龍平君 次に、池原参考人に伺います。
 日本の精神科強制入院率は四二%と国際的に見て異常に高いわけですが、こうした強制入院の乱発を防ぐための制度やサービスの開発、普及は国際的にはどのようになっているのでしょうか。
#60
○参考人(池原毅和君) 先ほど、ヨーロッパ評議会でEU加盟諸国の強制入院を比較検討した研究結果によると、強制入院にブレーキを掛けるシステムというのは、例えば自傷他害のおそれとか判断能力の喪失というような要件をより厳しくする方法であるとか、あるいは裁判所が判断して初めて入院になる方法とか、幾つかのファクターがあるわけですが、その研究結果によると、唯一強制入院率を減少させるファクターになるのは権利擁護者が付いているということであるということが実証的に分かっていて、その意味では、ある意味で無駄な、過剰な入院を抑制して、医療費も節減するという意味も含めて、権利擁護者を付けるということは極めて有効性が高いというふうに考えています。
#61
○川田龍平君 引き続き池原参考人に伺います。
 各国では認知症の人を、判断能力をできる限り尊重し、統合失調症をモデルにした精神保健福祉法の適用外とする、又は極めて限定的な条件の下でその適用とするという方針が政策的に取られております。
 この医療保護入院によって入院されている認知症の人の数が急増している現状において、早急にこの認知症の人の権利擁護を重視した新たな強制入院に関する制度設計が求められています。そうした制度設計をこの三年間で具体化し、三年後にはその制度を施行できるようにと思いますが、こうした認知症の人の人権を守る新たな強制入院制度の枠組みについての御意見をお聞かせください。
#62
○参考人(池原毅和君) ありがとうございます。
 認知症の方も一つ典型的に判断能力を失いやすい状態にある人たちですが、基本的には、これは精神障害の方も含めて、判断能力をどう補充していくか、つまり、他人が頭越しに決めていくということを第一次的な選択とするのではなくて、むしろ御本人の意思をどういうふうに周囲が読み取れるような、あるいは本人の判断をどう補充してあげられるかという、いわゆる自己決定の支援ということが、認知症を中心として、さらに精神障害の人にとっても必要なことだと思うんですね。
 ですので、まず強制入院ありきではなくて、まずは見かけ上判断能力がなさそうに見える状態に対してどうその自己決定を支援していくかと、このシステムをつくっていくことが心理学や社会学の専門家の協力を受けながら必要になってくるだろうと思います。
 その上で、認知症の方の場合の大きな問題というのは、実は認知症で現れる精神的な症状というのは、通常、周辺症状と呼ばれていて、認知症そのものの中心的な症状ではないわけですね。ただ、その周辺症状があるために精神科に入院させられることが多いわけですが、しかし、むしろ認知症の方の場合には、もっと生活的な能力のリハビリテーションであるとか身体的なケアということが非常に重要であって、この点については必ずしも精神科病院は十分な技能を持っているわけではないということなので、認知症の方が老後を安心して暮らせるような生活環境を提供できるような施設とか場所というものが精神科病院とは別に恐らく必要になるのではないかと思います。
#63
○川田龍平君 ありがとうございます。
 終わります。
#64
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 本日は本当にありがとうございます。
 私、まず精神保健福祉法の方からお聞きをしたくて、池原参考人からまずお聞きをしたいと思います。
 おとといの質疑の中で、やはり代理人がなぜ法制度の中に盛り込まれなかったのかということが一つの審議の焦点になりました。その中で、厚生労働省の側の答弁としては、どのような人を代理人として指定していくのかということがいまだまとまらない、検討の段階だというような答弁もあったんですけれども、その点についてのお考えをお聞かせください。
#65
○参考人(池原毅和君) ありがとうございます。
 その点は、私はちょっと厚生労働省の方々の御答弁についてはやや理解し難いところがあって、先ほども申し上げましたように、既に二十年来、福岡県弁護士会では退院請求や処遇改善請求のための弁護士の代理人システムというのを動かしていまして、これはその地域では非常に高い評価も受けて現実的に動いているわけです。こうした似たようなシステムは大阪でも岡山でも、さらに愛知県でも行われていて、日本弁護士連合会では全国的にそれを展開するというための今パイロット事業を進めているところです。
 ですので、少なくとも強制入院との関係でいうと、権利擁護者というのは、まずは本人が退院したいと言えば退院できるための手続を代理できるシステム、あるいは処遇が不当だと言えば処遇改善を求めることができるシステムが必要であって、そのために適応した職種とすれば、法律の専門家である弁護士か、あるいは福祉的なことについても精通している精神保健福祉士という人たちがその権利擁護をすることができるということはそれほど疑問のある話ではなくて、決して代弁者とか権利擁護者という概念がまだ曖昧であるということにはなっていないというふうに私は思っております。
#66
○田村智子君 ありがとうございます。
 もう一点、保護者制度を廃止したけれども、家族等の同意で医療保護入院が引き続きできると。このときの家族等が、おじさんやおばさんでもいいと、一緒に生活をしていない方も同意の対象になり得るわけですね。このことによってどのような状況が想定されるのだろうかと。患者さん本人にとっての前進面と言えるのか、家族の方にとってはどうなのか、率直な御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#67
○参考人(池原毅和君) ありがとうございます。
 保護者制度の非常に大きな問題点の一つとして、家族である保護者が強制入院に同意するということをしたがために、患者さん本人とその保護者との間の葛藤関係が深まってしまうということがずっと指摘されていたわけですけれども、その同意者の範囲を家族等という形で広めてしまうということになりますと、先生御指摘のように、むしろ同居していた家族、例えば親は入院に反対しているんだけれども、本人の兄弟が別のところに住んでいて、いや、もう入院させた方がいいんだということで同意してしまったというようなことになると、その同意をした人と反対していた親との間の更に葛藤が深まったりとかいうことが当然起こってきて、かつ同居をしていない、本人の状況がよく分かっていない人でも同意をしてもいいということになるわけですから、必ずしも適切な同意がされるかどうかも分からないということになって、むしろ事態は非常に複雑化していくだろうと。
 そしてさらには、最近の医療保護入院の増加傾向の一つは、認知症の患者さんを医療保護入院をさせているということがありますけれども、特に高齢者の方の強制入院に関しては、私ども法律の実務家としてしばしばぶつかるのは、かなり相続だとか財産関係に絡んで入院ということが行われるということも必ずしも珍しくはないということがありまして、非常に複雑な問題が生じてしまうと。逆に、医療機関の側としても、そういう家族間のかなりどろどろしたような議論に巻き込まれていくということになって、これは決していい結果にはならないだろうというふうに私は思います。
#68
○田村智子君 ありがとうございました。
 次に、本條参考人に、本当に今御意見をお聞きしていても苦渋の思いがにじんでおられるなというふうに感じているんですけれども、同じことをちょっとお聞きをしたくて、家族等の同意ということについてどのようなお考えをお持ちか、まずお聞かせください。
#69
○参考人(本條義和君) 先ほど池原先生からもお話がありましたように、これは家族会としても非常に問題視しておりまして、かねて、やはり一般医療と同じように法律的な義務とかそういうものが生じないような同意であれば、それは当然、御本人がそういう判断能力といいますか、そういう意思決定が難しいという状態においては、それは当然家族がしていかなくてはならないと思うんですけれども、それによって権利義務が生じてくるとかそういうことになると問題が大きくなると、こういう具合に判断しておりまして、できましたらそういう代理人と申しますか、代弁者というものを早急に制度化して法案に盛り込むか、それとも附則で入れていただくかしていただきたいというのが要望です。
#70
○田村智子君 もう一点、医療保護入院の場合も、措置入院や緊急入院ではないということで、やはりこうした本人の意に反した入院というのはできる限り減らしていくような努力というのが求められていると思うんです。
 例えば、家族への支援がもっとこういう面で充実させられていたらとか、地域での支援があれば入院しなくてもいいような場合もあるんじゃないかとか、あるいは、入院は必要だけど本人が拒まれているその要因ですね、精神医療に対するマイナスのイメージであるとか、長く続いてきた医療の貧困さからの、何というんですかね、入院したくないと、一度入っちゃったら出られないんじゃないかとか、そういういろんな外的な要因というのを、本人が拒む外的な要因、これを取り除いていくような努力というのが求められているんじゃないかと思うんですけれども、その点での御意見をお聞かせください。
#71
○参考人(本條義和君) 全くそのとおりだと思います。やはり日本は非常に入院患者が多いですね。それは、やはりできるだけ地域でいろんな人が支えてあげながら、御本人の本人選択の選択権を担保しながら、地域で生活し、そして医療を医療機関から届けていくと、福祉もそうなんですけれども、そういうシステムにしていかないといけないなと、こういう具合に思っております。
#72
○田村智子君 医療機関に対する御要望などもありましたら、せっかくの機会ですので、お聞かせください。
#73
○参考人(本條義和君) それは先ほど申し上げましたように、今までは医療というものが病院に家族が連れていってそして始まるというのがほとんどだったわけです。やはり諸外国を見てみましても、今主流は、もちろん入院制度もありますけれども、地域で支えていくということが主流になりつつあります。やはり医療を医療側から、また福祉にしましても福祉の側から、サービスを提供する側から届けるということが必要ではないかと、これが医療及び福祉に対する要望でございます。
#74
○田村智子君 ありがとうございました。
 それでは、障害者雇用のことで石原参考人にお聞きをいたします。
 いただいた資料を見てみまして、確かに職場定着というのが一つ大きな課題になっていくんだなということを感じたんですけれども、特にやはり、やはりと言ってはいけないですね、精神障害の方の定着率が六年後には二割台になっていると、いただいた資料のところでですね。一方、知的障害の方は六割超える、七割近いような定着率だというのを見たときに、精神障害の方がいかにその職場に定着していくかというところで、まだまだ、まあ始まったばかりといえばあれなのかもしれないんですけれども、でも、施策の充実が求められているんだということを痛感したところなんですが、その点について御意見をお聞かせください。
#75
○参考人(石原康則君) ありがとうございます。
 認識については全く一緒で、精神障害者の人たちがみなし雇用から今度は義務化されて、精神障害の方々が職場で働いている姿が多くなる中で、どういう形でケアしていけばいいのかという、ここのノウハウ、スキル、こういったものは、先ほども申し上げましたけれども、今も熱心に取り組んでいる事業所もあるんですけれども、これから数も増えていくわけですから、皆様方の御支援をいただいて、定着支援に対して要員をもっともっと充実させていけるのであれば、そういう点に対する強化を図っていくことができるのではないかというふうに思っています。
#76
○田村智子君 やっぱり人的支援が非常に大切になってくるということなんでしょうかね。事業所にも出向いていって理解も広げたり、こういう、何というんですか、やり方にしてみたらどうでしょうかとか、相談に乗ったりとか、そういう面の充実が求められるというふうに理解してよろしいでしょうか。
#77
○参考人(石原康則君) まず、そういう要員不足というのは、これは知的障害の部分でも感じていまして、決して十分ではないと。何でもかんでも人をよこせという話ではないんですけれども、今、学校から卒業されて職場に入って、そういう人たちが就労移行支援事業所なんかに登録される、その数がどんと増えているわけですね、今。学校からの就職者も増えている、ハローワークからの就職者も増えている。そういうサポートに対して陣容が十分かというと、十分ではないと。そこに精神障害者の方々がまた加わってくるだろうと。新たな対応を求められる、新たなスキルを研究していかないといけない、そういうことになれば、そういう対応できるような陣容の強化、こういったものはお願いしたいなというふうに思いますけれども。
#78
○田村智子君 最後になんですけれども、私、就業・生活支援センター、おとといの質問の中でも取り上げたんですけれども、大変多岐にわたる、職場開拓から、家族の相談にも乗って、まさに就労したいという意欲を引き出すような支援から、大変多岐にわたるものを僅かな人員でやっていることに驚いたのと、予算が委託事業だから単年度予算で、正規雇用が難しいという問題を抱えているんだということも分かって、ちょっと驚いたんですね。この就業・生活支援センターの改善といいますか、どうやっていけば、まあ予算が足りないというのが一番はあるとは思うんですけれども、例えば役割分担であるとか、安定的な運営にするためにはどうしたらというようなことで御提案ありましたら、お聞かせ願いたいというふうに思います。
#79
○参考人(石原康則君) 増えている要因には、先ほど言いましたように、学校からの就職者とか、私どもの就労移行支援事業所からの就職者とかハローワークからの就職者、それらがどんと就労・生活支援センターに行っちゃうと、パンクしている、今そういう状況にあるんですけれども、先ほども申し上げましたように、就労移行支援事業所から就職した人は生涯私どもが、就労移行支援事業所がサポートしていく。だから、中ポツセンターに登録替えしちゃうのじゃなしに、私どもがサポートすることで定着率は高まっている。学校からの卒業生は学校にある地域就労支援センターのような、その学校が相談に応じてあげる、障害者も母校に相談する、そういう方が信頼関係があるわけですね。
 だから、登録替えして中ポツセンターに面倒見させるのはいいんですけれども、そこではまた新たな信頼関係を構築しないといけない。だから、できるだけ中ポツセンターの負荷を掛けないように、私どもの就労移行支援事業所とか、できれば学校の皆様方も、就職させたらおしまいではなしに、学校もずっと働いている限りサポートしてあげるような体制が組めないか。そうすれば定着率も高まっていくだろうし、中ポツセンターの負荷もパンクする状態は改善できるんじゃないかというふうに思っています。
#80
○田村智子君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#81
○福島みずほ君 どうも今日は、三人の参考人の皆さん、本当に貴重な御意見を本当にありがとうございます。
 社民党の福島みずほです。
 まず、池原参考人にお聞きをします。
 先日行われた国連の拷問等禁止条約の中で、日本の長期入院や待遇などについて委員の皆さんからやはり懸念や問題、たくさんの質問が出ました。この日本の状況について、問題点、そしてどうすればいいのか、お願いいたします。
#82
○参考人(池原毅和君) 実は、今回、拷問等禁止条約の日本政府の報告審査について、私もジュネーブに行って少し参加してまいりました。
 その中で、一つは、例えば判断能力がないということについての判定を民間の医師一名がしているというのは驚きであるということ。これは実は、むしろ世界的な基準では通常裁判所が判定する事柄で、成年後見制度を見ていただければお分かりのように、通常は裁判所がかかわるべき問題ではあるわけですね。
 それから、医療保護入院に関して言えば、既に国連から日本政府が指摘を受けているのは、措置入院は都道府県知事の判断で決定がされているわけですが、医療保護入院に関して言うと、民間の病院の管理者が決定しているかのようなシステムになっていて、実はその強制権限の根拠というのが非常に曖昧であるということがあって、この点についても人権上重大な問題があるということが指摘されています。
 さらに、強制的な入院が行われているにもかかわらず、権利擁護者というものについて義務化されていないと。本人が選びたければ選ぶことができないわけではないですけれども、制度としてそれがつくられていないという点についても国際的な基準を到底満たすものではないというような指摘がされていると思います。
#83
○福島みずほ君 それを改善するには、その逆のことだと思うんですが、何かアドバイス等、今これはやれというのがあればお願いします。
#84
○参考人(池原毅和君) 最低限度必要なことは、少なくとも権利擁護者を義務化する、少なくとも強制的な入院をするについては権利擁護者を義務化するということと、精神保健指定医二名の判定で入院を決めるということは最低限度必要であろうというふうに思います。
#85
○福島みずほ君 今日は本條参考人と池原参考人が、保護者を削除することはいいんだけれども、家族等ということになることについての懸念をそれぞれお話をされたというふうに思っています。今日それぞれ本條参考人、池原参考人の方から、権利擁護者、代弁者というのをきちっと入れて、例えば入院するときもその人がやっぱり付いているということが大事だと思うのですが、権利擁護者、代弁者についての言及がありました。
 残念ながら、今度の法律にはそれが、法案にはないんですよね。法案に入れるべき、でも入らないんであれば、例えばガイドラインの中にこれはきちっと、代弁者が、権利擁護者が一番初めの段階から、入院の段階から必要だとか、やっぱりせっかくですから改善をここでかなりやるということが必要だと思いますが、本條参考人、池原参考人、よろしくお願いします。
#86
○参考人(本條義和君) 福島先生のおっしゃるとおりだと思います。法案に入れられなくても、ガイドライン等にそういう趣旨を明記していただきたいと、こういう具合に要望いたします。
#87
○参考人(池原毅和君) 例えば、現在でも、厚生労働省で出している精神医療審査会運営マニュアルの中には、退院請求あるいは処遇改善請求の手続について代理人を付けることができる、あるいは弁護士が代理人の場合には精神医療審査会に提出されている資料などについて見ることができるというような規定は僅かに存在しているんですけれども、それが原則的な形態にされていないということがありますので、精神医療審査会の運営マニュアルは改善するとか、それから、措置入院や医療保護入院についての新たな基準として、入院に際しては権利擁護者の立会いとか、あるいは少なくとも権利擁護者に連絡を取る権利があることを告知するとか、そういう幾つかの改善をすべきだろうというふうには思います。
#88
○福島みずほ君 池原参考人にお聞きします。
 先ほど、認知症の人が精神病院に入院することについて御意見をいただいたんですが、認知症の人で入っている人は一八%、社会的入院が二二%。今後、高齢社会になると、本当に認知症の方が精神病院の中で入院で、しかも非常に長期になり、退院がなかなか、家族がいなかったり家族の引取り手がいないととにかく退院できないという事態が起きるのではないか。でも、それは本来の趣旨からすれば違うわけで、その観点からも権利擁護者、代弁者、あるいは福祉の観点から、総合的な観点からの判定がやっぱり必要だと思いますが、いかがでしょうか。
#89
○参考人(池原毅和君) おっしゃるとおりだと思います。
 元々、精神科病院は医療を行って治療をすると。逆に言えば、それは治療をすることによって健康状態が回復していくという、言わば病気を治していくという場所なわけですが、残念ながら現在の医療水準では認知症を治すということはできない状態にあって、これはまた時代が変われば少し違うかもしれませんけれども、現状でいくと、むしろ認知症の方については、なるべく日常生活の環境に近いような環境を整えて、その中でリハビリをしながら生活をしていただくということが重要なんですけれども、精神科病院では残念ながらそういう状況ではないと。
 しかも、判定すべき事柄というのも、統合失調症を典型的なモデルとする精神保健福祉法と認知症というものはどうしても一致しないところがあって、それについては、やはり先生がおっしゃるように、医師とかあるいは法律家あるいは福祉の専門家、そういう人たちがある程度チームを組んで判定をし、最も適切な環境がどういう場所であるのかということを決めていくということが必要だと思います。
#90
○福島みずほ君 先ほど池原参考人が、全国的に権利擁護者を持ちながらやっている福岡の例や、いろいろ紹介をしてくださいましたが、大阪でも例えば精神医療オンブズマン制度などがあり、そういうきめ細かにいろいろ権利擁護をしていくということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
#91
○参考人(池原毅和君) その点、まさにおっしゃられるとおりでして、大阪のオンブズマン制度も、これもまた非常に有効な機能をしていまして、特に精神医療審査会は退院請求とか処遇改善請求というある意味では非常に大きな問題を取り扱うわけですが、例えば大阪のオンブズマンの試みでは、病院のカーテンの色がこんな色でいいんだろうかとか、あるいは居室の環境がもうちょっと快適なものにならないだろうかという、もう少しきめの細かい、日常生活のQOLにかかわるようなことまでいろいろと指摘をしたり助言をしたりして、それによって実は大阪の病院協会の方々も内部では気が付かないことを外から言っていただいて、患者さんにも非常にいい効果があってよかったということが言われているというふうに聞いています。
#92
○福島みずほ君 本條参考人にお聞きをします。
 私自身も、精神病院で働いていらっしゃる労働者の皆さんたちと行政交渉をしたり、何ができるかというのをやってきたりして、例えば公衆電話、全部やはりテレホンカードで掛けられるようにやるべきだとか、そういう交渉もしているんですが、精神病院がこう変わってほしいとか、家族の立場からするとこういうところが変わると本当にいいんだけれどもという、通院、入院、両方を含めてアドバイスをお願いします。
#93
○参考人(本條義和君) 適切な回答にならないかと思いますけれども、今までの障害者施策というのは、やはり障害のある方を変えて健常者に近づける、御病気の方であれば病気を回復させて何とか健常者に近づけるという施策が中心だったと思うんです。就労でもそうだと思うんですけれども、環境を変えていくということがやっぱり非常に大事になってくるんじゃないかと思いますから、具体的には申しませんけれども、当事者の方、また家族の方の意見を聞いて環境面で整備していく、応援していく、支援していくということが必要になってくるんじゃないかなと、こういう具合に思っています。
#94
○福島みずほ君 もしよければ、具体的にどういうことをやればというのがアドバイスがあればお願いします。
#95
○参考人(本條義和君) やはり、本人の退院したいとかそういう気持ちを表明できる、代わって言っていただける、それこそ代弁者、そういうものがやはり必要だと思いますし、そのほかのことについてもなかなか意見表明がといいますか、それができにくい環境にあるんじゃないかと思いますから、本人の選択権というのが尊重されるべきだと思っております。
#96
○福島みずほ君 雇用のことについてお聞きをいたします。石原参考人がいろんな、本当に現場で頑張っていらっしゃることに心から敬意を表します。
 障害のある方の雇用率、精神障害者の方の雇用率がずっと上がってきている、九割ぐらいになっているということは非常に歓迎すべきだと思うんですが、この上がってきた要因というのを石原参考人自身はどういうふうに分析をされていらっしゃるでしょうか。こういう点はいい、こういう点はもっと足りないとかいう点を率直に教えてください。
#97
○参考人(石原康則君) ちょっと質問の趣旨がとらえ違えているかも分かりませんけど、雇用が進むということは、企業の努力、これはやはり大きいと思います。先ほどもお話がありましたけど、特例子会社にもいろいろ御意見がありますけど、障害者のための職場環境、こういうのを構築するという意味で特例子会社の果たす役割、これはとても大きいと思いますし、障害者自身が働くというときにも、一般の職場に配属されるよりはそういう特例子会社の中でみんなと一緒になって働けるという、そういう環境がつくられている、構築できている、そういう努力がされているということが一つ。
 それから、私どもが担っている就労移行支援事業、自立支援法からいろんな課題が指摘されましたですけど、就労移行支援事業の果たした役割、これはとても大きいと私は思っています。
 以上です。
#98
○福島みずほ君 そうしたら、最後に池原参考人に、障害者差別解消法案の審議会で議論をずっとされていた委員でいらっしゃいますので、とりわけ雇用、精神の障害のある方に対してのこれからの施策について、私の時間は十二時までですので、存分に語ってください。存分の時間って、ちょっと余りないかもしれませんが、お願いします。
#99
○参考人(池原毅和君) ありがとうございます。
 今回、障害差別解消法で合理的配慮についての規定ができたり、あるいは障害者雇用促進法にも合理的配慮の規定が入って、これはそれなりの大きな進歩ではあるとは思います。
 ただ、国際的な動きとの関係でいうと、通常は民事法の中にその規定が盛り込まれていて、言ってみれば、障害のある人がもし自分で必要な合理的配慮がしてもらえないような状態のときに、民事法というか差別禁止法の規定に基づいて裁判を提起することができるわけですね。
 ただ、日本の法律制度は、今のところ、障害者雇用促進法にせよ、障害差別解消法にせよ、これは一定の行政法規的な法律だというふうに考えられるので、民法の九十条の公序良俗だとかあるいは不法行為という規定を介して間接的に裁判を起こすということも可能ではあるわけですけれども、なかなか具体的にどういう合理的配慮を求められるかということがはっきりはしないというところがあって、今後も更にそういう部分について、法改正とか、より詳細な規定を作っていくということが求められるのかなというふうに私は思っております。
#100
○福島みずほ君 どうも、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
#101
○委員長(武内則男君) 以上で参考人に対する質疑は終了をいたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#102
○委員長(武内則男君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長小川誠君外三名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(武内則男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#104
○委員長(武内則男君) 休憩前に引き続き、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#105
○石橋通宏君 民主党の石橋通宏でございます。
 おととい百分の時間をいただいておりましたが、今日も六十分の時間をいただけるということでしたが、若干諸事情により質問時間を短縮する運びとなりましたので、答弁者の皆様方は簡潔明瞭な御答弁に御協力をいただきますよう、是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 今日、最初に、議題になっております二法案の締めくくり総括ということですが、その議題に入ります前に、一つ大変懸念のある情勢で、中東、そしてヨーロッパで今、MERS、新型コロナウイルスということで、今日の最新の情報をチェックしましたところ、WHO発表で感染者が四十九人にまで拡大をしていると、そして死者が二十七人ということで、大変致死性の高い非常に危険なウイルスだということで、どうも人から人への感染も疑われているようですし、そういうことからしてWHOも、世界を脅かす存在になりつつあるというような発表も今日の時点であるようです。
 この情勢に対して、厚生労働省として既に具体的な対応なり措置なり情報収集、進められていることと思いますが、現状について御説明いただければと思います。
#106
○副大臣(桝屋敬悟君) 御苦労さまです。お答えを申し上げます。
 昨年九月からアラビア半島諸国を中心に発生が報告をされております、今委員からお尋ねがございました新種のコロナウイルス感染症であります中東呼吸器症候群、いわゆるMERSでございますが、本時点で、委員の方から今四十九名と、こう言われましたんですが、私ども確認している数字が、感染者数五十名、うち死亡者数が二十七名と過半になるわけであります、報告されております。ただ、持続的なヒト・ヒト感染はまだ確認はされていないと、こういう状況でございます。
 厚生労働省といたしましては、各自治体に対して、アラビア半島とその周辺諸国からの帰国者でMERSの症状を示す患者についての情報提供を依頼するとともに、患者に対する検査体制を全国的に整備したところでございます。さらに、検疫所では、ポスターやホームページ等を通じてアラビア半島諸国への渡航者や帰国者に対して注意喚起を行っているところでございます。
 引き続き、WHO等を通じてMERSの発生動向を注視するとともに、国民への情報提供、情報収集等適切な対応を行っていきたいと考えてございます。
#107
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 ヨーロッパ、今、イギリス、フランス、ドイツで感染者が出ているという状況です。ヨーロッパ、我が国との行き来も大変多い地域でございますので、その辺しっかりと今後の推移モニターしながら、対策を十分に取っていただければというふうに要請をしておきたいと思います。
 それから、済みません、もう一点、本題に入ります前に、これ通告していませんが、今日の新聞でまた、この間、先日、今日福島先生おられませんが、政府の規制改革会議等が最近秘密会議になってしまって、情報が全然出てこないじゃないかというような御指摘もおとといの委員会でありました。今日の新聞でも、昨日の規制改革会議の雇用ワーキング・グループでまた、限定正社員、派遣労働規制緩和、裁量労働制の拡大、これ新聞発表ですが、何せ秘密会議なので情報が出てこないものですから、具体的にどういう中身でどういう具体的な話があったのか全く分かっていないということで、ここでちょっと指摘をさせていただきたいのは、我々が聞いているところによると、これだけの大きな労働の問題についての議論が行われながら、昨日の会議では厚生労働省、大臣含め一切呼ばれていないし、含められていないという状況だというふうに理解をしております。
 これまで政府の答弁でも、安倍総理も、労働、雇用のことを話をするときは厚生労働省を代表して大臣に同席をいただいて意見もいただいているんだというふうな御説明をいただいていたわけです。もうこれはおとといもやりましたし、今ここに入る前に大臣とそこで鉢合って、三者構成主義の大切さ、大事だよねと言っていただいた。全然違うじゃないですか。こういう大事なことを話をしているときに、大臣も呼ばれていない、厚生労働省の担当も呼ばれていない、秘密会議で何話されたかも分からない、それでこういうことがばあんと出てくる。
 今日、本会議をやっておられるそうですが、そこに厚生労働省呼ばれているのかどうか分かりませんけれども、大臣、これは大変憂慮すべき状況だと思いますが、大臣御自身どうなんですか、この状況。
#108
○国務大臣(田村憲久君) それぞれの会議でそれぞれのいろんな御議論をいただいているんだというふうに思いますが、この中である程度方向性が出てきたものは当然我が方に話が来るわけでございまして、いずれにいたしましても、この労働分野、これに関しましては最終的に判断をするのは我が省でありまして、我がじゃない、私、厚生労働大臣でございます。そういう意味からいたしますと、我が省に来た時点で、先ほど来、おトイレでもお話をさせていただきましたけれども、しっかり三者構成主義というものを、これを我々は守るということでございまして、もうそこは絶対に外すわけにはいきませんので、それだけはしっかりと申し上げさせていただきたいというふうに思っております。
#109
○石橋通宏君 もうこれ政府が出されると聞いておりますが、成長戦略の中に具体的に盛り込まれるという方向であれば、成長戦略、これは政府として閣議決定もされることになると思いますが、そういうところにももう盛り込まれるわけでしょう。そうしたら、それを盛り込まれて、じゃ、後でという話にはならない。そこは大臣しっかりと、本来であればやはりこういうところにしっかりと三者構成主義を取り込んでいくということこそが、これ繰り返しますけれども、三者構成主義の理念、原則です。そのことは是非踏まえて政府内で改めて対応いただきたいと。これは本当に我々としても憂慮すべき事態だというふうに思っておりますことをこの場をお借りして是非記録に残しておきたいと思います。
 それでは、早速ですが、議題となっております二法案、午前中、参考人の皆様方から大変貴重な御意見いただきまして、改めてこの最後の総括的な質疑ということになると思いますが、最初に障害者雇用促進法改正案につきまして、これ、おとといの質疑でかなり問題点なり不明な点、クリアにさせていただいたと思っておりますが、追加的に残された課題について確認をさせていただきたいと思います。
 まず最初は、これまで雇用促進法、差別解消法の枠組みの中でどういうふうにこの差別の禁止というものを規定していくべきなのかという話の中で、これまでいわゆる差別の類型的な議論が結構ありました。これは、例えば直接差別、間接差別、関連差別と、様々に差別の類型というのがありますねと。じゃ、それをどうこの差別禁止の中に取り込んでいくのか、法律で規定していくのかという議論があったわけです。
 最終的に今回こういう法律、法案、法文になっているわけですけれども、これまでのいわゆる類型に基づいた議論というのが最終的にこの法律の中で、差別の禁止、合理的配慮義務、ここにどういう形で具現化されているのかということについて、改めて政府の御説明をお願いしたいと思います。
#110
○国務大臣(田村憲久君) 障害者権利条約第五条第二項で差別の禁止というものをしっかりとうたっておるわけでありまして、それに基づいて今回、差別の禁止というものを盛り込んだわけでありますけれども、今委員おっしゃられた、例えば、直接差別はこれは当然の話なんですけれども、間接差別というものは一体どういうものが当たるんだということを分科会でもいろいろ御議論をいただいてきたわけでありまして、なかなか間接差別なるものが具体的に今思い浮かばないと。多分、概念としてはあるわけですよね、それは。男女雇用機会という意味からすれば、その中においては間接差別というものがあるわけでありまして、概念としてはあるわけでありますけれども、そういう意味からしますと、そういう概念はあるんだけど実態がなかなか見えないという問題と、もう一つは、合理的配慮というものでかなりのものが解消されていくわけでありまして、結果的に今回は、そういう意味では具体的なものが思い浮かばないという中において、あえてこの法律の中には書き込まなかったということでございます。
 しかし、差別という概念は、これはあってはならないことでございますから、当然差別は禁止でありますけれども、今回は、そういうような形で具体的なものが当てはまらないということでございまして、この法律の中には書き込まなかったということでございます。もし今後そういうものが出てくるようであれば、そのときには議論をいただいた上で適切な対応を法律の中でさせていただくこともあるということでございます。
#111
○石橋通宏君 ちょっと確認ですが、今、具体的なものが思い浮かばないのでという表現、大臣いただきましたけれども、具体的なものが思い浮かばないというよりは、様々に事例があるんだけれども、それが明確に、これが直接でこれが間接でという明確な規定ができないので、法律に書き込む、法律事項として書き込むことは非常に難しいという形でこういうふうになった。しかし、まさに大臣言われたように、今後事例を積み重ねることによって様々な事例が、それはひょっとするといわゆる間接かもしれないしと。ただ、事例を今後重ねることによって、例えば今後作っていただくガイドラインとか指針、そういう中でそういう事例も盛り込んでいけるようにしていくんだと、そういうことで私は理解しておったんですが、それは違うんでしょうか。
#112
○国務大臣(田村憲久君) ここで分科会の意見書を正確に読まさせていただきます。こういう御議論であります。
 間接差別については、どのようなものが間接差別に該当するのか明確でないこと、直接差別に当たらない事案についても合理的配慮の提供で対応が図られると考えることから、現段階では間接差別の禁止規定を設けることは困難である、将来的には、具体的な相談事例や裁判例の集積等を行った上で、間接差別の禁止規定を設ける必要性について検討を行う必要があると、こういうことでございます。
#113
○石橋通宏君 今改めて大臣から答弁いただきましたので、その方向でしっかり今後具体的な事例を積み重ねながら対応いただくということで確認をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、紛争の解決について、おとといの議論でも、紛争解決についてはできるだけ自主的な解決を目指していくんだというような方向も含めて質疑をさせていただきましたけれども、ちょっと不明瞭な点があるといいますか、具体的には、第七十四条の六の二、それから七の二、ここにこういう規定があります。障害者である労働者が紛争解決の援助や調停を申し出たことを理由として解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと。これは明示的に不利益な取扱いをしてはならないという規定があるわけです。しかし、これが七十四条の六の二と七の二だけに掛かっている規定であって、これが例えば七十四条の四の苦情処理機関のところには掛かっていない、そこには規定されていないわけです。つまり、労働者がこういう課題があるということを職場の苦情処理機関に対して申出を行ったときには、この明示的な規定は当てはまらないというふうな法律構成になっています。
 これはなぜこうするんですか。
#114
○政府参考人(小川誠君) 先生御指摘の七十四条の六の第二項とそれから七の第二項につきましては、障害者差別等に関する紛争が生じた場合に労働者が都道府県労働局長による助言等の措置を求めることができるという旨を規定した上で、そういうことをやった労働者がそういう措置を求めたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないということを規定しております。
 一方、七十四条の四につきましては、具体的な紛争が生じる前にできる限り企業内で苦情の自主的な解決が図られるよう事業主に努力義務を課すものであるということでございまして、七十四条の六とか七十四条の七とは趣旨が違うということでございます。したがって、条文上、労働者に対して不利益な取扱いをしてはならない旨を規定することは困難であると考えております。
 しかしながら、いずれにいたしましても、障害者差別に関しまして障害者が事業主に対して適切に相談できることが非常に重要であるというふうに考えておりますので、法の趣旨の周知等を適切に行ってまいりたいと考えております。
#115
○石橋通宏君 まあそういうお答えになるんだろうなというふうに思いますが、これ現実問題として、職場で、これは障害あるなしにかかわらず、職場で労働者が権利の主張をしたり使用者に対して様々な改善の要求をしたり、それによって解雇されたり、それによってというのは結構あるわけです、事例としては。まして、今回、この法律の目的に鑑みて、職場でより障害者の皆さんに発言をしていただいて、職場の改善をまさに職場で、苦情処理機関でやっていただく。しかし、それにおいて、現場では、言い出した、せっかく勇気を持って発言していただいた障害ある方がそれによって不利益を被る可能性というのは現実の社会ではあるわけです。
 だからこそ、これ明示的な法律の規定はできないという今の御説明ですが、しかし、法律的には明示的にしないまでも、そういうことがあってはならないということで、これはしっかりと現場の指導をしていただくということが必要だと思います。それ、しっかりやっていただくということでもう一回確認させてください。
#116
○政府参考人(小川誠君) 先生御指摘のとおり、差別等に関して障害者が事業主に相談をできるということが非常に大事だと思っておりますので、ちゃんとそれにつきましては、法の趣旨について周知をしてまいりたいと考えております。
#117
○石橋通宏君 それによって不利益を被らないんだということを改めてきちんと徹底をしていただきたいということなので、そこのところを是非よろしくお願いいたします。
 それで、七十四条の七の調停ですが、これ、紛争調整委員会に労働局長から委ねるという構成になっています。これは理解するところですが、今、紛争調整委員会そのものが任意の調整ということで事業主側に出頭が義務付けられていないということで、かなりこれ現実的には出頭率が悪いということも聞いております。
 そうすると、具体的な今回の構成にしていただいて紛争調整委員会に委ねても、残念ながら事業主が出頭してくれない、そこから先に調停が進まない、問題の解決が進まないと。いや、そうすれば、じゃ裁判に行けばいいじゃないかと言われるのかもしれないけれども、なかなか障害ある労働者の方々がじゃ裁判に行こうというふうには、これはかなり難しいことです。
 であれば、やはりこの紛争解決の手段として、調整委員会、よりきちんと役割を果たしていただけるような何らかの措置が必要だと思いますが、具体的な措置、検討されるんでしょうか。
#118
○政府参考人(小川誠君) 調停制度そのものが当事者間の合意によって紛争の解決を図るということを基本とするものでございます。したがって、調停制度による紛争解決を望まない人に対して紛争について強制的に参加させるということを行っても、結局のところ調停による解決の見込みが立たない、結局最後は調停の打切りになるというふうになりますので、参加を義務付けるということ自身はなかなか難しいんではないかというふうに考えております。
 ただ一方、法の実効性を保つという観点からは、結局この調停制度が積極的に活用されるということは重要だと考えております。したがって、この施行に当たっては、関係当事者に対して積極的な活用を呼びかける等、適切に対応してまいりたいと考えております。
#119
○石橋通宏君 これ、是非ちゃんとモニターして状況を見て、本当にこれは機能するのかどうか、そこは確認をしていただきながら、もし現状のように事業主がなかなか出頭しない、これは具体的な対応なり措置を講じていただく、検討いただくということでよろしくお願いしたいと思います。
 次に、今回の差別禁止、そして合理的配慮義務、これとにかく全ての事業主に適用されて、そうすると全ての雇用関係にある労働者に適用されるというふうに理解をいたしますが、その意味で、確認ですが、非正規雇用の労働者、具体的には有期雇用、契約、嘱託、またパートという様々な雇用形態、非正規と言われるところがあるわけですが、こういう非正規という方々にもこれはもちろん当てはまるんだ、適用されるんだということでよろしいでしょうか。
#120
○国務大臣(田村憲久君) 募集、採用時の均等な機会の確保、それから、今言われた不当な差別的取扱い、こういうものの禁止、さらには合理的配慮の提供というものに関しまして、まさに労働契約でございますので、あらゆる形態にこれは適用されるわけでありまして、今委員がおっしゃられたような非正規雇用型の労働者の方々、中でもパート労働でありますとかいろんな形態あると思いますけれども、それ全てに当てはまるということでございます。
#121
○石橋通宏君 御確認をいただきました。全ての雇用形態に当てはまるんだということですので、とりわけ非正規というのは一般的に言っても非常に立場の弱い状況に置かれているということですので、とりわけ本法律案、改正案の趣旨を鑑みれば、この非正規雇用の世界においてもきちんと差別禁止、合理的配慮義務、徹底されるように、引き続きしっかりと対応いただければというふうに思っております。
 続きまして、ちょっと視点が変わるかもしれませんが、昨今、募集、採用の現場ではいわゆる民間の職業紹介サービスを様々に利用する事業主が増えております。これ、直接的にいわゆるハローワークの民間版という意味での民間の職業紹介サービスというのもあれば、いわゆる具体的にマッチングを行うところもあれば、一方で、いわゆる事業主の出す求人情報をある種単にそのまま仲介して流すような、そういう、あれ具体的に何という名称か分かりませんが、求人情報提供サービスのようなものも今非常に拡大をしていると。多くの求職者がそこを通じて求人情報を得ているという現場があります。
 このような民間の職業紹介サービス若しくは求人情報提供サービス、この法律の差別禁止、合理的配慮義務というのは、こういう民間の事業者に対しては何らかの法的効果を発するんでしょうか。
#122
○副大臣(桝屋敬悟君) お尋ねの民間の職業紹介事業者につきましては、職業安定法によりまして、求人及び求職の申込みの受理等におきまして人種、信条等を理由とする差別的な取扱いが禁じられておりまして、その対象には障害者であることを理由とする差別も含まれているという、この措置が既に講じられているというふうに理解してございます。
 また、職業安定法においては、民間の職業紹介事業者は、申込みの内容が法令に違反するときは、普通は受けなきゃいかぬのですが、法令に違反するときはこれを受理しないことができると定められておりまして、今回の改正によりまして、障害者であることを理由とする差別的な申込みは法令に違反することが明らかになると考えてございます。
 なお、さらにお話がございました、例えばリクナビとか求人情報あるいは求職などの情報提供事業者、これを利用して事業主が募集を行う場合ということも最近は多々あろうかと思うんですが、この場合は、当該事業主に対して直接障害者雇用促進法の規定が適用されるということになるわけでありまして、障害者であることを理由とする差別的な募集、採用は禁止されるということになるわけでございます。
#123
○石橋通宏君 今の御説明でかなりクリアになっていると思いますので、是非そこの辺、募集、採用に、この間、おとといも言いましたけれども、入口の部分でいかに機会の均等というのを確保できるかというのがまさに今後の障害者雇用の拡大、促進に向けても非常に重要なポイントだと思っておりますので、是非こういう職業紹介サービス、情報提供サービスにおいてもきちんと今御説明のあったような趣旨が守られるように、今後しっかりとチェックをしていっていただきたいというふうに思っております。
 続いて、ちょっと時間の関係もありますので、今日午前中の参考人の質疑の中でも、やっぱりしっかりやっている事業者に対しては何らかのインセンティブがあってもいいのではないかというようなお話がありました。これ、既に障害者雇用の促進という観点で、例えばここは積極的に行っていただいているような事業主に対して何らかの表彰サービスというか、顕著に、一般的に周知をするとかいうのがあると思うんですが、今回のこの差別禁止、そして合理的配慮義務、今後様々にいろんな事業主の取組をいただくわけですが、そこにやはり具体的に何らかのインセンティブを付与していく、奨励していく意味合いでですね、というのはあってもいい対応かなというふうに思うんですけれども、厚労省として本法の趣旨の促進に向けてそのような具体的な措置を検討されていくのかどうか、御説明いただければと思います。
#124
○政府参考人(小川誠君) 先生御指摘のとおり、そういったいろいろ頑張っている、努力している事業所に対して表彰するということは重要であると考えております。現在でも厚生労働省では、障害者雇用に関する好事例を募集して、優秀事例を職場改善好事例として厚生労働大臣表彰を始めとした表彰を行っております。
 今後とも、数多くの事例が応募があるように募集の周知を図りますし、また、そういった合理的配慮なんかにつきましても、好事例があったらそれを集めて表彰していくということによって優秀事例の周知に努めてまいりたいと考えております。
#125
○石橋通宏君 先ほど差別の類型のところでも大臣からも御答弁ありましたけれども、やはりしっかりと好事例の蓄積をしていただいて、それをただ持っていてもしようがないので、広く周知をいただいて、より全国でみんなで協力しながら、しっかりと差別禁止、具体的には合理的配慮義務、これを職場で進めていただけるような、それを促進していただけるような措置を是非とっていっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
 今日これも参考人質疑の中で、支援者がやっぱり必要だし、継続的に障害ある方の雇用継続を図るその意味でも、改めて、例えば障害者の皆さん御自身に対する就業前そして就業後の継続的な職業訓練の機会の提供というのは、これ今まで以上に恐らく重要になってくるというふうに思います。
 この点について、これまでにも障害者の皆さんに対する職業訓練の機会というのはあるわけですが、今後これを機会にそこを更に拡充をする、そして就労後も、もちろん企業にも訓練の提供をいただくというのは、これはまさに法律の中にも書いていただいているわけですが、国としてもしっかりと就労後も企業と協力しながら公的な職業訓練の機会を持続的に提供する、そういうことが必要だと思っておりますけれども、その点について具体的な措置が検討されるでしょうか。
#126
○国務大臣(田村憲久君) 今委員おっしゃられましたとおり、障害者の方々が希望したやはり職業に就いていくという意味ではしっかりと職業訓練をやっていかなきゃいけないわけでありまして、現在も障害者職業能力開発校、ここでしっかりと訓練をいただく、それから一般の職業能力開発校でも御訓練をいただく、そういうプログラムがあります。さらには、障害者委託訓練ということで、委託をして訓練をいただくということで、これ二十三年度の離職者訓練でありますが、八千三百四人中、障害者職業能力開発校で千九百四十八人、一般校で七百十九人、それから障害者の委託訓練で五千六百三十七人というふうになっておるわけでありまして、そういう意味ではこのような訓練はこれからもしっかりと我々は力を入れてまいりたいというふうに思っております。
 あわせて、こういうところを使いながらでありますけれども、一回就職された後も訓練を継続していくというような形で、それは長い期間というわけではありませんけれども、訓練できるようなそういうプログラムもございますので、そういうことを含めて能力を高めていただく、そして自分の求める仕事というものにしっかりと就いていただきながら、また就いた場合でもその能力を生かしていただいて、更に伸ばしていただいて、より重い仕事をしていただくというようなことを我々も目指しておるわけでございますので、言われますとおり、しっかりとこの点に関しましても取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#127
○石橋通宏君 ありがとうございます。
 とりわけ中小零細企業なんかは、独自に自前で継続的に就労後も訓練機会を提供していくというのは、これはなかなか難しいということがあります。ですから、そういう公的な場を地域の中小零細企業の皆さんのためにもしっかり持っていただいて、そこで継続的な障害者の皆さんのスキルアップのためにやっていくというのは非常に重要な取組だと思いますので、雇用促進そして定着支援に向けて是非しっかりとやっていただきたいということをお願いをさせていただきまして、ほかにもたくさんありましたが、雇用促進法については、今日そして火曜日、答弁いただきまして、かなり明らかになったと思います。
 是非ともこの法律の成立を契機に、差別の撤廃とそして合理的配慮の義務の促進によって、障害者の皆さんの雇用が本当の意味で促進されるようにしっかりと対応いただきたいと、そのことをお願いをさせていただきたいと思います。
 それでは、精神保健及び精神障害者福祉法改正案について、残りの時間で質疑をさせていただきたいと思いますが、今日の午前中の参考人質疑でも改めて、火曜日に本委員会で様々に問題点指摘をさせていただきまして、答弁いただいたんですが、なかなかすとんと落ちないなと。まさに、今日の午前中の参考人の皆さん方の御意見を聞きながら、やっぱり改めて問題は多いなという思いで個人的にはいっぱいであります。
 特に、改めて今日、私、この場でも、強制入院としての医療保護入院、今、大変残念ながら、この強制入院、医療保護入院が数としてはどんどんどんどん増えていっている、入院が長期化をしている、これ事実です。世界の中で比較しても断トツ、圧倒的な数、これは事実です。
 おととい大臣に答弁いただきました。これはやっぱり強制入院ですから、これはもう最低限、本当に最小限にしなきゃならないんだ、人権擁護の観点からも、これはもう本当にそれをしなければ患者さんの命にかかわる、医療を受ける権利を侵害してしまう、そういう、本当に究極の判断の下でこれはやるものなんだという、これは大臣も答弁で確認をいただいた点だというふうに思っています。しかし、その最小限、究極のものがこれだけ増えているんだ、これだけ世界的に見ても断トツ多い数になっているんだというのが厳然たる事実であります。
 まずそのことを認識をすると、じゃ、本当にこれをどう最小限にしていくのか。入口の部分も、本来であれば、より厳格な規定を適用させていただいて、そして入院後も、大臣の言葉を借りれば、より早期に退院できるように最大限の努力を、治療の面でも、そして地域への移行促進の面でもしっかりとやっていくんだというお話であったと思いますが、それがなかなか、本当にそうなっているのかなというところだと思うんです。
 一つ、おとといの答弁で、今回保護者制度を廃止をしたと。これはもう本当に今日の参考人の皆さんもよしとしたいと、歓迎するというお言葉でした。しかし、家族等の同意ということで、むしろ同意できる対象者を広げてしまったという御説明があったと。その他全員が反対しても、中の一人が同意をすれば強制入院が可能になってしまうということに対しては、本当に懸念を表明をされておりました。人権保護の観点からも懸念を表明されておりました。
 改めて確認をさせていただきますが、これによって、今申し上げた、これまでにも進めて増えてきた医療保護入院は、明らかにこれからもっと医療保護入院は増えると。つまり、入院が認められる件数は今まで以上に増えることになると。だって、これどう見ても要件緩和ですよ。なので、増えるという前提で様々な施策を講じていかなければならないんですが、厚生労働省、おとといの答弁では、いや、変わらないと。これは明らかに認識がおかしいと思いますが、改めてこの点、大臣、答弁をお願いします。
#128
○国務大臣(田村憲久君) 保護者制度自体を廃止するというのは、一人の方に過度な負担が掛かるという部分もあるわけでございます。そういう家族会のいろいろな御意見をいただく中で、これ自体を廃止をしようと。そのときに、指定医お一人の御判断でもいいんではないかという御意見もございましたが、そこは一方で権利擁護という意味から考えれば、やはり御家族のどなたかかが同意をするということも必要であろうということで、このような形にさせていただいたわけであります。
 いずれにいたしましても、指定医というプロの方の診断でこれは入院が必要かどうかということを判断をする基準があるわけでありまして、そのような意味からすれば、本来入院をする必要のない方々がどんどんどんどん入院になる、医療保護入院になるというような形ではないわけであります。
 一方で、委員のおっしゃられる懸念というのは、今までは保護者の方がお一人が判断をされて、そして指定医と相談して、言うなれば入院になるわけでありますけれども、それが誰か一人でいいということになれば、多分保護者の人一人であるよりも、賛成者が複数の中に一人でもいれば、まあどちらの方が確率論として賛成だという判断を下す可能性が高いかという話なんだろうと思うんですけれども、確率論でこれを言うのがいいのかどうなのかちょっと私も疑問もありますが、そういう意味では、御家族の中でどなたかというのを、お一方でいいわけでありますから、増えるというようなそういう結論に至られたんだと思うんですが。
 ただ、そこはお連れになられる方ですよね、基本的には。遠く離れた家族がうんと同意したところで、実際、指定医との間に人間関係もなければ会話もないわけでありますから。そこはやはりお連れになってこられる方が同意をされるという話でございますので、そういう意味では、今までの保護者の方とこれが変わっただけの話でありますから、そう極端に御心配をいただくような増え方というのはないのではないのかというのを先般、我が省の方は答弁をしたというふうに御理解をいただければ有り難いというふうに思います。
#129
○石橋通宏君 なかなか理解できないのは、今回、厚労省の説明でも、保護者制度の廃止は、これまでは保護者制度の下で保護者として認定された方がノーと言えば、本当は医療保護入院が必要なのに、その保護者の方がノーと言うので早期の入院が図られなかったと。だから、今回保護者制度を廃止をして、家族等の同意で早期に入院ができるようにするんですという説明があるわけです。
 とすると、今まで保護者の方が様々な御事情で同意ができなかった。しかし、今回、家族等にすることによって早期に入院を図るわけでしょう。とすると、今まで医療保護入院が図られなかった患者の方も今回の措置によってむしろ早期に入院ができるようにするというのが厚生労働省の方針だということになれば、当然に増えるわけですよ。それが、促進するというのがむしろ厚生労働省の方針でしょう。促進をして早期に治療をするんだと。早期に治療をすれば、早期に医療保護入院が解除できると。だとすれば、素直に、いや、それはむしろ増えるんです、増えるけれども早期の退院を図るんですということをしないと、適切な措置が図られないのではないかというふうなことを我々はすごく懸念をしているわけです。
 済みません、時間がないので答弁求めませんけれども、先ほども権利擁護のために家族一人と言われましたけれども、それでは権利擁護にならないというのが、これはもう多くの、今日の参考人の皆さんも口をそろえて、それでは権利擁護になりませんと。
 本当に大臣、権利擁護を考えるのであれば、やはり、例えば指定医を二人にして、当該精神病院の指定医だけでは駄目で、そのほかの所属の第三者の専門医の同意を得られるようにするというのがまさに権利擁護の観点からも必要なんだ、国際法上の要請からも必要なんだと。これでは権利擁護にならないというのが御指摘だし、もう一点は、ずっと議論をしております代弁者ということを設けることこそが権利擁護なんだというのも、これも皆さん御指摘をなさるところで、今回、代弁者制度を設けていないことで権利擁護には全くなっていないというのがこれは共通した認識なんです。
 とすると、大臣、先ほど来、火曜日の答弁から、権利擁護は大事だ、権利擁護は最大限やらなければいけない。しかし一方で、今回、結局は指定医一人、それもどこの指定医でもいいわけで、それになってしまったこと、代弁者制度が導入されなかったこと、これは物すごい大きな、権利の擁護という観点からいけば、引き続きこれまでと同じような、残念ながら権利侵害のレベルが残ってしまったということなんです。このことは大臣としても御認識はされるということでよろしいですね。
#130
○国務大臣(田村憲久君) 入院が促進されるのが目的でしょうと言われると、そうだとはなかなか言えないわけでありまして、まず医療にアクセスしていただくということが重要であろうと思います。治療というもの、治療が必要な方々がまず医療機関にアクセスしていないということ自体はその病状を悪化させるわけでありますから、その結果、入院が必要である、医療保護入院が必要であるという方が医療保護入院になるわけでありまして、そこは、誰でも入院をさせようなんということは一切我々は考えていないと。
 ですから、あえて申し上げれば、本来必要な方々で入院されていなかった方々が入院になるということは確かにそれは事実でありますから、そういう形の中で必要な医療を受けていただく、その上で早急に、早く治療をしていただいて地域社会に戻っていただこうというのがこの法律の改正の趣旨であるということでございます。
 その上で、権利擁護の問題でございましたが、確かに、指定医二人付けて、そこで判断していただくということができればそれは理想なのでありましょうけれども、なかなか現状、そういうような現状ではないという部分が一つございます。
 これは先般の議論の中でもいろんな人員の問題等々で、そういう問題もあるというお話でございましたからあえてここでは申し上げませんが、一方で、代弁者という形も、これも議論をいただいたわけでありました、検討会の中で。それもそれで一つの方向性として重要な方向性であるとは思いますが、一方で、足下ですね、本当にどういう方々がやるのか、実施主体は何なのか、またどういうものを担っていただくのか。実際問題、準備してスタートということになればいろんな問題も起こってくるわけでありまして、そこがまだ十分に検証されていないということで、方向性は確かに我々も理解するところはあるんですが、今般の法律改正には間に合わなかったというのが本当のところだと思います。
 そこで、今度見直しのときにそういうことも含めていろんな御議論をいただいて、必要なものはそれに対しての対応をしていくということでございますので、委員のおっしゃられておられるその視点というものは我々も十分に理解はさせていただいております。
#131
○石橋通宏君 指摘をしておりますことについては十分に御理解をいただいているということです。
 指定医二人は現実的に難しいというような御説明を繰り返しいただいておりますけれども、例えば今日も参考人の方からは、いや、二人は十分可能であるという御指摘でした。今現在の指定医の皆さんの数、それから患者さんの数を鑑みれば、十分に対応が可能であると。むしろ、おととい私が指摘をさせていただいたように、よっぽど、今、審査会の数、合議体の数から、いわゆる入院についての報告、審査の数、これがもうほぼ不可能なぐらいにアンバランスになっているということの方が実態としておかしいのであって、指定医の数から、今日の御指摘では、一人の指定医が月五人程度の患者さんの審査ができれば十分にそれは可能なんだという御指摘でした。つまり、物理的に可能なんです。
 つまり、なかなか厚労省の説明では説明が付いていないということだと思いますし、保護者制度についても、既に検討チームの中でこれは明らかにほぼ一定の方向性は出ているし、そして現実的に地域では、例えば弁護士さんたちがチーム組んで様々に代弁者的な制度をやっておられるという事例も既に日本の中ではあるんだと。にもかかわらず今回整っていないというのは、これは明らかに厚生労働省、説明がおかしいというふうに言われているわけです。
 なので、今大臣、今後の検討の中で代弁者制度はもうやるんだというぐらいの勢いで今言っていただきましたので、今回法律の中に法律事項としては入りませんでしたが、これは権利擁護のために絶対に必要なんだという観点から、これはしっかりと法律施行後に、まあ法律の改正という意味では三年間いろいろやっていただくのでしょうけれども、それに類するような様々な取組というのは、弁護士さんたち含めて様々に御協力をいただきながらいろんな形で実行はできると思うんです。
 より権利擁護を、権利保護というのを実態的にしっかりやっていただくための取組というのは、これは法施行後にすぐに様々に取組をいただけると思いますので、この点については具体的に早急にできるところから取り組んでいただいて、一刻も早くこの医療保護入院の患者さんたちの権利擁護が守られる、それによって早期の退院が促進されるような体制を早急に取っていただくということも含めてお願いをし、最後に大臣から答弁をいただきたいと思います。
#132
○国務大臣(田村憲久君) しっかりとまず御検討をいただかなきゃいけないということが前提でございます。代弁者制度自体、実際問題動くかどうか。もちろん、今委員言われたとおり、うまくやられているところも、それはまあ、それを担当されている方々がノウハウを持っていたりだとか意識が高いだとか、いろんなことがあると思います。
 しかし、これを全国展開をしなきゃならぬわけでありまして、そういう人材は本当にそろうのかと。それから、そもそもどこまで代弁者の方々がその権利を擁護するための職務を担うのかということも含めて、いろいろとこれから検討をしなきゃこれはいけないわけでありますよね。
 ですから、今のところはそれはボランティアでやられているのだろうと思いますけれども、ボランティアでやられているということであれば、その範囲というものはあくまでもボランティアの範囲でありますから、限られてくるわけでありますけれども、制度の中に入れてくるとなれば、そこは精緻な詰めをしなきゃいけないわけでありまして、そういうことも含めて検討をさせていただきながら、最終的にどうするかというような結論を得ていくということでございます。
#133
○石橋通宏君 終わります。
    ─────────────
#134
○委員長(武内則男君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、武見敬三君及び中村博彦君が委員を辞任され、その補欠として渡辺猛之君及び磯崎仁彦君が選任されました。
    ─────────────
#135
○川田龍平君 座ってお話をさせていただきます。済みません。みんなの党の川田龍平です。
 障害者雇用促進法改正案について質問いたします。
 合理的配慮の中身がどうなるかが決め手ですが、どこまで詳細な指針を作成する方針なのでしょうか。また、一昨日の委員会では総合的な判断が必要だと答弁されていますが、具体的にどのような判断項目があるのかの御説明をください。
#136
○政府参考人(小川誠君) 合理的配慮につきましては、過重な負担にならない範囲で事業主に提供を義務付けるものでございます。
 その過重な負担につきましては、企業規模でありますとか企業の置かれている財政状況等が考慮要素となると考えておりますが、過重な負担の考え方につきましては、具体的には公労使障の四者構成である労働政策審議会の場で議論をした上で策定する指針の中でお示ししたいと考えております。
#137
○川田龍平君 精神障害者の雇用の伸び率は今後どのくらい上がると見込んでいるのでしょうか。
#138
○政府参考人(小川誠君) 最近の障害者の雇用の状況は伸びているわけでございまして、九年連続で過去最高を更新しているという状況でございます。特に、障害種別に見ますと、精神障害者の伸びが大きくなっているということでございます。
 また、ハローワークの精神障害者の就職件数につきましても、平成二十四年において二万三千八百六十一件と、前年度に比較して二六・六%の増加というふうに高い伸びで推移しております。
 このような推移とともに、今回の制度改正でございますとかハローワークにおける支援体制の充実、医療機関との連携の強化などにより、今後とも民間企業での精神障害者の雇用が一層推進されるものと考えております。そのため、その支援体制の充実について図っていきたいと考えております。
#139
○川田龍平君 今回の改正で、雇用分野においては、障害者権利条約の批准の条件整備は整うと考えてよろしいのでしょうか。
#140
○国務大臣(田村憲久君) 今般のこの法律で、障害者の差別の禁止それから合理的配慮の提供ということ、これが位置付けられるわけでございまして、今おっしゃられましたとおり、雇用分野ということに限れば、これで障害者権利条約の批准に向けた環境整備というものは、この部分は整うということでございます。
#141
○川田龍平君 この合理的配慮は三年後、精神障害者の法定雇用率組入れは五年後と時間が掛かりますが、障害者権利条約の批准に向けたスケジュールの中できちんと間に合うのでしょうか。批准のスケジュールをどのように考えているのかをお示しください。
#142
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。
 政府といたしましては、障害者権利条約の締結に先立ちまして、障害者に対する施策の充実のために国内制度の整備に努めているところでございます。その中で、既に行われました障害者基本法の改正及び障害者総合支援法が既に成立しておりまして、現在、差別解消法、そして今御議論いただいている障害者雇用促進法改正案が今次通常国会に提出されているわけでございます。
 これらの国内法の整備は条約の実効的な運用の観点から大変有意義なものだと思っておりまして、これらの国内制度の整備の進捗状況も踏まえた上で、可能な限り早期に条約を締結したいと考えております。
#143
○川田龍平君 次に、精神保健法改正法案について質問いたします。
 精神保健法は、現状の入院医療を主とする精神科医療供給体制を前提としており、かつ統合失調症をモデルに制度設計をされています。しかし、今や認知症患者への適切な医療供給体制として制度設計するべきではないでしょうか。一昨日の政府の答弁でも、精神科病院の入院患者中の認知症患者の割合は一八%とのことで、外国との比較もできていないとのことです。足立委員からも、実際はもう少し高いのではないか、トレンドとしては増えているのではないかと懸念を示されています。
 政府の精神保健に対する施策がこのままでよいのか、桝屋副大臣にお尋ねいたします。
#144
○副大臣(桝屋敬悟君) 今御指摘がありましたとおり、従来の精神科医療は主に統合失調症を中心としました入院治療、これが中心であってきたわけであります。しかし、近年の医療技術等の進歩によりまして統合失調症の入院患者は減少傾向にあると、こういうことでございます。一方、今御指摘がありましたように、認知症患者、平成二十三年度で五十万人を超える状況にございまして、介護福祉サービスと連携しつつ適切に対応する必要があると考えております。
 今後の精神医療の提供体制につきましては、委員からもお話がございましたが、統合失調症あるいは認知症だけでなく、摂食障害あるいは発達障害などの児童思春期の精神医療、あるいはアルコール、薬物などによる依存症疾患への医療など、求められる医療が多様化している現状がございます。それに対応できるように、今回の改正法に基づき、精神科医療に関する指針を策定する中で検討してまいりたいと思っております。
 認知症につきましては、本年三月、精神科医療及び介護関係者で構成されました研究会を設置いたしまして、精神科病院に入院が必要な認知症の人の病態像の明確化、あるいは認知症の人の地域在宅生活継続を可能とするための支援条件などについて検討を進めているところでございます。
 権利擁護についても、成年後見制度それから虐待防止法など、さらには、昨年六月でしたっけ、オレンジプランという認知症施策推進五か年計画でも重要な柱として日常の権利擁護に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
#145
○川田龍平君 認知症患者の権利擁護については、様々な国際的な知見や実践があります。それらを参考にして、是非検討を進めるべきではないでしょうか。
 一昨日の答弁でも、外国との比較ができない理由を各国ごとの医療システムや福祉システムの制度が大きく異なっておりと説明されていますが、なぜ違うのか。日本が間違っているのかもしれない、なぜイタリアに精神病院がないのか、そういう視座からの検討が全くされていないということではないでしょうか。桝屋副大臣、いかがでしょうか。
#146
○副大臣(桝屋敬悟君) この点については、今年一月に開催をされました認知症国家戦略に関する国際政策シンポジウム、この内容も、私も参加できませんでしたが、各国の状況等も十分聞かせていただきました。川田委員も十分その内容を御承知のことだと思います。こうしたシンポジウムで紹介されました諸外国の知見等も参考としながら、認知症施策の推進に改めて取り組んでまいりたいと思っております。
#147
○川田龍平君 先月になりますが、桝屋副大臣は、日本にも本格的な認知症の国家戦略をと題する大討論会にパネラーの一人として参加されていました。私も客席で討論会を聞かせていただきましたが、若年認知症の当事者のお二人のトークがメーンで、それぞれがしっかりと自分を分析され、自己決定の下に自分の生き方を決めていたことを桝屋副大臣も御記憶だと思います。また、日本各地、そして諸外国での実践例についても紹介をされていました。
 国としても、認知症当事者の立場から、当事者の意見も聞きながら政策立案をする必要があるのではないかと考えます。私は医師ではありませんが、患者としての当事者性を大事にして、患者の立場で医療政策をつくっていく必要があると、自分自身の体験からも強く思い、国会で仕事をさせていただいております。
 桝屋副大臣御自身のお言葉で今後の精神保健の在り方のビジョンを語っていただけないでしょうか。
#148
○副大臣(桝屋敬悟君) 先ほど委員から御紹介いただいた、認知症対策を国家戦略として取り組むようにと、こういう大きなシンポジウム、確かに私も出させていただきました。
 この点は、認知症の対策というのが我が国の医療、介護の中でやはり極めて大きなテーマになっている、避けて通れない課題であると。そういう意味では、民主党政権のときでありましたが、この対策を前面にとらえて対策の方向性を打ち出され、それが五か年戦略として発表されたということは、私は高く評価したいと思いますし、そうした方向性を、政権交代になりましたけれども、精神科医療の在り方という中でもしっかり意識しながら取り組んでいかなきゃならぬというふうに思っている次第でございます。
#149
○川田龍平君 是非進めていただきたいと思います。
 続けて、一昨日の時間切れによって質問できなかった具体的な事項について、一つ一つ確かめさせていただきたいと思います。
 厚労省としては、家族同意を要件とするのは次善の策であり、本来は不要だと考えているのでしょうか。また、今後、家族同意を廃止して別の要件とするために必要な体制整備はどのようなものになるのでしょうか。
#150
○政府参考人(岡田太造君) 今回の改正案で規定いたします家族等の同意につきましては、精神障害者の家族などに対するインフォームド・コンセントの重要性、それから精神障害者本人の権利擁護といった観点から必要であると考えているところでございます。
 一方で、家族等の同意を設けることについては様々な御意見がございます。医療保護入院の入院手続の在り方につきましては、改正法の施行の状況などを勘案し、施行後三年を目途として検討を行うこととしています。その中で、必要に応じまして、家族等の同意に代わるほかの要件や必要な体制整備などについても議論してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#151
○川田龍平君 非自発的入院である以上、本人の意思を尊重するための権利擁護の制度は不可欠であるはずなんですが、今回、代弁者制度を見送るのはなぜなのでしょうか。また、代弁者制度を法制化し、予算化することができない理由は何なのでしょうか。そのための調査研究をしているそうですが、どんな調査結果が出ているのでしょうか。
#152
○政府参考人(岡田太造君) 昨年六月の検討チームの報告では、本人の権利擁護のための仕組みとして、入院した人は、自分の気持ちを代弁し、病院などに伝える役割をする代弁者を選ぶことができる仕組みを導入すべきであるという提言を受けたところでございます。
 しかしながら、この検討会の場でも、例えば家族がなるであるとかピアサポーターであるとか、いろんな、どういう方が代弁者になるのかということについては様々御議論がございます。法律上に代弁者を位置付けるためには、やはりその実施主体であるとか活動内容、どういうことをやってもらうか、誰がどういうことをやってもらうかということをやはり明確に規定する必要があるというふうに考えておりまして、そういう観点からしますと、現状ではその実施主体、活動内容について関係者間で様々な御議論がある、意見の違いがあるということから、今回の法改正には盛り込まなかったところでございます。
 代弁者制度の実施主体、それから活動内容につきましては、平成二十四年度におきまして精神障害者のニーズに関する調査研究を行ったところでありまして、今年度はさらに制度の具体化のために詳細な調査研究を行うことにしているところでございます。
#153
○川田龍平君 この昨年度の結果についての報告はされているということですよね。されているということですが、この代弁者制度がないことは、障害者の権利条約上の問題はないのでしょうか。また、国連の精神障害者の保護及びメンタルヘルスケア改善のための諸原則との整合性は取れるのでしょうか。
#154
○政府参考人(岡田太造君) 障害者権利条約におきましては、代弁者制度を必須とするような規定は置かれていないと承知しております。
 また、精神疾患を有する者の保護及びメンタルヘルスケア改善のための諸原則におきましては、法的能力を欠く者の代理される権利に関する規定がございますが、この代理制度は、昨年六月の検討チームの報告で提言されました代弁者制度とは必ずしも同一のものではないというふうに考えております。
 また、現行でも、入院中の精神障害者の退院請求、それから処遇改善請求ができるという仕組みが現在でもございます。そういった仕組みの中で、弁護士さんを基本として、代理人となる者を幅広く認めて活動していただいているというようなことでございます。したがいまして、障害者権利条約、精神障害者の保護及びメンタルヘルスケア改善のための諸原則との整合性は問題ないと考えているところでございます。
#155
○川田龍平君 欧州では権利擁護がきちんとできていますが、日本にもそうした制度が必要なのは、国連の自由権規約第九条第四項が定める適正手続の保障を満たすために必須であることからも明らかです。そんな状況下で来年の国連人権規約の審査は通ると考えているのでしょうか。
#156
○政府参考人(岡田太造君) 代弁者制度は検討チームの報告で提言を受けたものでございますが、国際人権規約におきまして、精神障害者に権利擁護者を付けることを必須とするような規定は置かれていないものと承知しています。
 したがって、今回の改正で代弁者制度を盛り込まなかったことで国際人権規約の審査上支障が生じるとは考えていないところでございます。
#157
○川田龍平君 それでは、医療保護入院について、具体的に幾つかの確認をさせていただきます。
 家族等いずれかの者の同意との要件について、同居親族が入院不要だと言っており別居親族が入院が必要だと言った場合、入院は成立するのでしょうか。家族間で紛争が起こり、まして医師が医療の必要を認めていることから、医師としてもどちらの家族の声を聞いたらよいのか分かりません。裁判が起こされることも予想できますが、どのように対処するつもりでしょうか。
#158
○政府参考人(岡田太造君) 医療保護入院の対象になるような精神疾患の方は、御本人に自分が病気だという病識がないというケースでございますので、同居する家族がその病識のない精神障害者に付き添って診察を受けるケースが実際上ほとんどであるというふうに考えています。
 御指摘のように、別居する親族が入院に反対する同居家族の了解を得て診察に付き合うというのは例外的な場合に限られるんじゃないかというふうに考えているところでございます。
 なお、今回の法改正におきまして、医療保護入院の同意は、保護者ではなく、家族などのいずれかの者が行う仕組みになっていることから、制度上は、同居の有無にかかわらず、家族などであれば医療保護入院の同意の判断を行うことが可能でございます。
#159
○川田龍平君 この紛争の場合にはどうなるんでしょうか。
#160
○政府参考人(岡田太造君) 家族間でいろいろと御意見が違うことに対しましては、まず、その入院の判断をされました精神保健指定医の方が家族に御理解を求めるように御説明いただく、できるだけ多くの家族の方に御理解いただくようにしていただくというのが一つ大きなことだと思っています。その上で、どうしても反対だということであれば、それは審査会の方に退院の請求をすることができるというのを今回新しく法律上その権利を設けたところでございます。
#161
○川田龍平君 ガイドラインや運用上の通知で解決できるというふうに思わないのですが、私、薬害エイズの当事者として厚生省とも闘ってきましたけれども、法制化されていないということで、厚生省が国民の命を守ることよりも保身に回ってしまって、当事者が裁判をして家族がばらばらになったりとか大きな傷を負うんではないかということで、大事なことをやっぱり先送りにして、三年後に問題が出たらまた検討を行って、通知やガイドラインで運用することを当事者や患者や家族が本当に望んでいるんでしょうか、私には疑問です。田村大臣のお考えをお聞かせください。
#162
○国務大臣(田村憲久君) 一つは、十分に医療というものを受ける必要のある方が受けない、受ける環境にないということがあります。
 今、自らが疾患をお持ちだということに気付かない、そういう方々がどうしてもこの疾患に関しては多いわけでありまして、そういう意味では、まず医療機関にアクセスをしていただくと。これは多分家族の方がお連れをいただいたりなどして受けるわけですね、診療を。
 その上で、これは入院の必要性があるという場合に関して家族の同意、つまり、普通は連れてきた方の同意を得て、それで御本人はやっぱり入るべきであろうと、家族がそのような同意を得た上で入院という、そういう段に至るわけでございまして、今委員がおっしゃられた、逆に、別居されている方は賛成で同居されている御親族は反対だという場合は、多分ノーという答えを出されるんだというふうに思うんです。ですから、その場合には同意がありませんから入院ということにはならないわけでありますが、一方で、もしかしたら別居の方が本人を連れて病院に来られて、同居の方との意思疎通がないままにそこで同意入院というような話になった場合に果たしてどうなるんだろうというのが多分今の委員の御質問であろうというふうに思います。
 ですから、ふだんいる同居の方は要するに知らないと、知らない中において別居の親族の方々がお連れになられて同意しちゃったと。これは形は入院になるわけでありますが、その場合は例えば同居の方がこれに対して退院の請求をできるようになっておるということでございますので、その上で審査会の方で御議論をいただいて、入退院どうなるかということを御判断をいただくというような仕組みになっておるということであります。
#163
○川田龍平君 指定医の判断と家族の判断が異なる場合、別の医師の判断を参照することが必要ではないでしょうか。
#164
○政府参考人(岡田太造君) 医療保護入院の診断を行います精神保健指定医は、その精神障害者の入院の必要があるかどうかについて医学的な観点で判断をするものであり、家族等の同意の有無はその判断に影響を及ぼすものではないというふうに考えております。
 別の医師の判断を参照するということにつきましては、これは精神保健指定医の二名で判断すべきという御提案に近いものだと思いますが、これにつきましては、現状の医療保護入院の患者さん、入院患者は約十四万にも上っているという現状で、精神保健指定医はほかにもいろいろと仕事を持ちながらやっていただくというようなことでございますので、現実的にはやっぱり二名でやるというのは非常に難しいということで、現時点では困難だという判断をしているというところでございます。
#165
○川田龍平君 患者と利益相反関係にある家族の同意による医療保護入院を精神科病院の管理者は断ることができるんでしょうか。従来であれば、保護者順位を司法により変えることができましたが、同様の権利擁護の仕組みをどう担保するのでしょうか。
#166
○政府参考人(岡田太造君) 現行の医療保護入院につきましては、精神科病院の管理者は、精神障害者について、指定医の診察の結果、入院の必要が認められ、かつ保護者の同意があるときは、本人の同意がなくても入院させることができると規定されておりまして、精神科病院の管理者は患者の不利益が予想される場合などにおいて入院を断ることも可能であります。この点につきましては、改正後の家族等の同意においても変更はございません。
 また、現在の保護者制度におきましては、精神障害者に対して訴訟をしている者などについて法律上保護者になることができないこととなっておりまして、この点も改正後の家族などにおいては変更はないところでございます。
#167
○川田龍平君 家族全てが患者を見放していて治療に協力しない場合、保護が必要な場合でも入院させることができなくなるおそれがあるのではないでしょうか。
#168
○政府参考人(岡田太造君) 家族全員が医療保護入院の同意を行わない場合は医療保護入院を行うことができませんが、現行においては、一人の保護者の同意が得られなければ医療保護入院はできないというのが現行法でございます。
 なお、精神障害者に医療又は保護の必要があることが明らかな場合で家族などの全員が医療保護入院の同意を行わない場合は、保健所が医療につながるよう本人や家族に働きかけを行うことになるというふうに考えているところでございます。
#169
○川田龍平君 退院請求について、入院に同意していない家族が退院請求をした場合、精神医療審査会は入院に同意した家族の意見を聞くのでしょうか。また、患者が退院請求した場合はどの家族の意見を聞くのでしょうか。
#170
○政府参考人(岡田太造君) 現行、保護者から退院請求があった場合の審査の具体的手続につきましては、精神医療審査会運営マニュアルというのをお示ししております。
 今回の改正で、家族などが退院請求を行った場合の手続や患者が退院請求した場合の意見聴取についてもマニュアルを改正してお示しをしたいというふうに考えております。
 改正の具体的内容については、今後関係者の御意見も聞きながら検討していきたいというふうに考えておりますが、同意した家族は一般に入院患者を身近で支える家族であると考えられることから、その方の御意見は聴取することが適当ではないかというふうに考えているところでございます。
#171
○川田龍平君 この今までのやり取りを聞いていて、田村大臣は、日本の精神保健をつかさどる最高責任者として堂々と自信を持ってこの法改正を患者さんや当事者の方々にお示しできるのでしょうか。
 私の議員会館の事務所には、この法案が閣議決定されて以来、たくさんの陳情やファクスが送られてきました。こうした陳情のファクスは、大抵の場合団体でまとめて定型文のファクスが大量に送られてくることが多いんですけれども、しかし今回は違うんです。皆様それぞれ当事者の実情を長文で切々と書いてこられ、住所やお名前や携帯電話の番号まで書いて、まるで私が一昨日と今日質問させていただいたような内容の疑問点を指摘されているわけです。そうした声は大臣にも届いているのでしょうか。当事者の方々への大臣のメッセージをお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#172
○国務大臣(田村憲久君) 一つは、やはり精神障害をお持ちの方がしっかりと治療をしていただいて社会で生活をしていただくということがこれは第一でございます。だから、我々はこれは地域にどうやって移行していくかということを念頭に置いております。
 委員が今ほど来ずっとおっしゃっておられた、例えば長期入院になっていると、これは確かに世界と比べても大変長い入院期間になっているわけでありまして、こういうものをどう是正するんだと。一方で、本来医療を受けなきゃいけない方が医療を受けていないという実情もあります。ですから、あくまでも医療保護入院をする場合は、指定医の先生方の医学的な見地から必要だということで入院をされるわけでありますけれども、その入院期間をなるべく短くすること。ですから、我々は、医療機関に対しても、精神科病院に対しても、これは早く退院をさせる、そういう義務を課していますよということをこの法律の中に入れておるわけであります。
 そして、そのためには、お医者様だけじゃ駄目であって、看護師やPSWの皆様方や、いろんな方々と連携しながら、やはり地域移行する準備もしていかなきゃいけないわけでありまして、それは外来の強化もそうでありますし、それから訪問支援という形も必要であります。地域の受皿も必要である。これはまた一方で、総合支援法の方で相談事業でありますとか地域支援事業でありますとか、そういうものの受皿も必要であるわけでありまして、あくまでも、やはりこれからは地域で御生活をいただくんだということがこの法律の精神であるわけでありますが、委員がおっしゃられましたとおり、まだ確かに十分でないところがあります。
 ですから、なかなか、三年をめどと言っているけれども、そんなに待てないという話おっしゃられますが、三年たってから議論するのではなくて、法律が通った後いろんな問題点はしっかりと議論もさせていただきながら、三年後の検討期限のときに至らぬ点はしっかりと整備をするための努力をしてまいるということでございますので、いろんな御提案はあろうと思いますけれども、ひとつ御理解をいただきますように、よろしくお願いをいたします。
#173
○川田龍平君 ありがとうございました。
#174
○田村智子君 二十八日の委員会に続けて、精神保健福祉法の法案についてお聞きをいたします。
 前回、私、保護者制度を廃止する一方で医療保護入院に家族等の同意を必要とする新たな法整備をしたということは、家族の苦しみや本人とのあつれきなどをつくることになるということを指摘をいたしました。これに対して桝屋副大臣は、インフォームド・コンセントあるいは精神障害者本人の権利擁護の観点から家族等の同意というのは必要だと、こういう判断だというふうに答弁をされたんですね。
 ただ、これ、答弁聞いていると、大変ちぐはぐ感が拭えないわけですよ。インフォームド・コンセント、それから御本人の権利擁護ということだったら、やっぱり代理人、代弁者を置くということが求められたわけですし、そっちはやらないと。だけど、インフォームド・コンセントだから家族の同意は必要だと。非常にちぐはぐ感を私は感じるんです。
 昨日の答弁や今の答弁の中でも、どういう方を置くのかということはこれからもっと調査や議論が必要なんだ、午前中の参考人にこのことをぶつけてみたんです、どうなんですかと。そうしたら、池原毅和弁護士は、もう長年取り組んでいると、現場では。大阪や愛知などでは弁護士が権利擁護者となって、事実上代弁者としての取組というのを広げているんだと。それだけ大掛かりに取り組んできているのに、なぜ今回法整備に盛り込まれないのかということは、非常にこれは納得ができないというふうにも意見をいただいているんですね。いかがでしょうか。
#175
○副大臣(桝屋敬悟君) 今日、午前中の参考人質疑の状況もあらあら伺わせていただきました。
 確かに、代弁者の制度については全国的には先駆的に取り組まれている事例があるのかもしれません。また、あるということも知らないわけではありませんけれども、先ほど大臣が申し上げたように、これを全国的な制度として整理するということになりますと、やはり確かに限られた状況の中で、限られた人材で今の制度の中で大きな効果を発揮しておられるという状況はあるにせよ、これを制度化するについては、やはり大臣が申し上げたとおり、様々な問題があるわけでありまして、ここは時期尚早というか準備不足ということもあって、検討会で是非導入をという提言をいただいていることは十分認識しつつも、全国的な制度として仕込むには時間が及ばなかったと、こういうふうに考えている次第でございます。
 なお引き続き検討していきたいということでございます。
#176
○田村智子君 一緒に今日審議されている例えば雇用促進の法案でいいますと、精神障害者の方のその雇用率の算定基準に入れるのは、まずは法文に書き込んで、その上で五年とかというふうにやっているわけじゃないですか。今回、ところが、法文の中にそもそも入ってこないというのは、やっぱりそれは私はおかしいと思うんですよね。
 医療保護入院というのは、自傷他害のおそれがあるとか緊急性があるなどの措置入院ではないわけで、やっぱり治療として入院が必要だけど本人の同意が得られていない、こういう場合はやっぱり本人に対して丁寧な説明を行うし、それはそういう意思疎通がなかなか難しいような状況があれば、やっぱりその本人の意向を代理、代弁する立場で権利擁護を行う代理人を置くという、その法律上の整備は、確かに施行期日いつにするかというのは検討が必要になることが出てくるかもしれませんよ、だけど、法整備としてはきっちりそのことを書き込むということが私は必要だったということは、改めて強く申し上げたいというふうに思うんですね。
 それで、こういう、だからちょっと私、ちぐはぐという言い方言いましたけど、矛盾のあるような法整備になっているので、これ代理人というのが法の整備上置かれないと、実態としては家族の方が本人の生育の状況も分かっている、病気の様子も一番知っている、それでまた入院中もやっぱり一番本人と接触する立場にあるので、事実上本人の代理人であり、代弁者という立場になるわけですよね。
 だけど一方で、その方が本人の意にそぐわない入院の決定をせざるを得ないという、本来はこういうことは通常はあり得ないわけですよ。本人の意向に全て寄り添うような、本人の意向をそんたくして代弁する立場というのと、本人の意に反した決定をするというのは、本来相入れないわけですよね。
 そうすると、やっぱりこれが、こういう矛盾を抱えて家族にあつれきを法整備上つくってしまうということが、そちらは退院急ぐと言うんですけれども、これやっぱり入れたのは家族じゃないかと、逆に地域に移行するときの問題点をこうした法整備によってつくってしまうんじゃないのか、地域移行支援、退院促すということを逆に阻害するような要因になってしまうんじゃないのかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#177
○副大臣(桝屋敬悟君) 今いろんな事例をお話しいただきましたけれども、先日の回答の中では、今回は今までの保護者制度を廃止して、その代わり医療保護入院に当たっては指定医師の判断と、そして家族のいずれかが同意するということを形として整理するわけでありますが、家族の同意と、それから、先生は代弁者のお話を両方比較検討されておっしゃっているわけでありますが、先生がおっしゃった、地域移行を妨げる要因になるんじゃないかと、こういうことは決して我々そう思っているわけではなくして、今回の改正に当たりまして、ここは大臣が何度も答弁をしておりますけれども、精神障害者の早期退院を促すための様々な仕組みを今回は導入しているわけでありますから、地域移行を決して阻むということよりも、むしろ進めるために今回の法改正をするということでございまして、委員がおっしゃったように、例えば保護者間で意見が食い違うと。あるいはもっと大事なことは、今先生がおっしゃったけれども、主治医は入院は必要かもしれない、必要だという判断、同居家族は逆に退院をさせてもらいたい、逆の判断もあるかもしれない。
 そんな中で、精神科医療の現場はそれでもなおかつ地域移行に向けて様々な関係者が努力しているわけでありますから、その関係者の努力をできるだけ阻害しない方向で、形付ける方向で今回法改正をするという私は制度だというふうに理解をしてございます。
#178
○田村智子君 その家族等の同意のことで、先ほど大臣の答弁聞いていてちょっと一点確認したいんですけど、これは民法に規定する扶養義務者を指していて、つまりは本人から見て三親等の範囲の中のお一人が同意をすれば法整備上は入院が可能であるということでいいわけですよね。
#179
○副大臣(桝屋敬悟君) それで結構でございます。そのとおりです。
#180
○田村智子君 そうすると、離れて暮らしている人が連れていくことは難しいから、なかなか近しい人の判断がやっぱりなければという御答弁だったんですけども、法整備上は違うんですよね。法律上は離れている人が同意でもいいわけですよ。そうすると、近しい人の判断を排除し得るという改定にもなってしまうということなんですけど、どうなんですか。
#181
○副大臣(桝屋敬悟君) 委員は首をかしげておられましたけれども、近い、同居の家族の方と遠くの家族の方、その近い家族は入院はさせたくないと。しかし、遠くの家族から見ると、やはりこれは入院加療が必要ではないかと。で、指定医がこれはやはり入院加療が必要だというケースについて、まあそういうケースがあるかどうかですが、やはり遠くの家族の方がおいでになって地元の家族の方と相談をされて、近くの家族の方と相談をされて、この方が、どうしても地元の、近くの家族は同意しないけれども、今おっしゃった三親等以内の遠くの家族が同意ということであれば入院はあると。
 ただ、大臣がさっきお答えを申し上げたのは、遠くの家族が来て入院をさせるというケースはそんなにないのではないか、やはり患者に付き添って医療へのアクセスをするということが一般的な形ではないかというふうにお答えをさせていただいたんだと思います。
#182
○田村智子君 やっぱり法律がどういう形になっているかということが重要なわけですよ。午前中もやっぱり弁護士からの指摘がありましたけれども、例えば相続絡みの、認知症の方の入院をめぐって相続絡みでというようなこととか、親戚同士、家族同士の様々なあつれきやどろどろとした問題が、これは法律がそれを起こし得るような作りになってしまっていると。これはやっぱり、むしろ事態を、家族間のあつれきという問題では実に複雑な問題を、そこに病院も絡んだ複雑な問題を起こしかねないということが指摘をされているんですね。私、それは重大な指摘だというふうに思っています。
 それで、家族の方、特に同居の家族の方というのはやっぱり治療を受けさせるという努力も現に行っていると思いますし、保護者制度を廃止したとしたって、もちろん財産上の利益の保護など家族の利益のためにというふうに努力をされていくことになると思うんです。やはりそういう家族に寄り添って、本人も家族も入院治療を納得できるような相談支援の体制をどうつくっていくかと、ここに本当に力を入れていくことが必要だと思うんですよ。そこを考えたときに、今回の遠い方でもオーケーというふうにしちゃったことが果たしてどういう影響を及ぼすかということなんですよね。
 これ、午前中、やっぱり当事者家族の方がおっしゃっていましたけれども、家族の理解があったり、あるいは生活への支援があれば入院が避けられるケースもあると。そうなんですよ。例えば近しい家族がそうやって判断する場合だってあるわけですよ。もうちょっと時間掛けて本人と話をしたらとか、もうちょっと支援の手だてがどこにあるかということを探したら、本人の意に沿わない入院は避けられるかもしれないと、こういう場合だっていっぱいあり得ると思うんです。だけど、遠い方でオーケーと。
 そういうのを聞いたときに、おとといの答弁の中で、桝屋副大臣、例えば入院の必要性があるという場合、これは今までは一人の保護者が、保護義務者がどうしても入院はさせないということであればなかなか医療にアクセスできなかったというケースもあると。どなたか一人が同意すればアクセスできるようになると。アクセスって入院ですよ、これはもう、入院しかないわけですよ、でしょう。だって、入院なんだもの、医療保護の同意なんですから、ですよね。
 そうすると、せっかく意に沿わない入院を避けようという努力が薄められて、いいじゃないかと、もう本人の同意取れたからというので入院させられちゃう、こういうことだって私は起こり得るんじゃないかと。
 先ほど、医療保護入院増えるんじゃないかという指摘を否定されましたけど、やっぱりそういういろんなことを考えると、医療保護入院じゃない別の手だてという選択肢を、安易という言葉は使ってはどうかとは思うんですけど、でも、近しい人じゃない方の判断によってその努力が途中で中断させられて医療保護入院が増えるということは、これは私はやっぱり否定できないんじゃないかというふうに思うんですけど、いかがでしょうか。
#183
○副大臣(桝屋敬悟君) 精神科医療、とりわけ医療保護入院のケースについては、私は、家族の思いというのは様々な形であるんだろうと思います。
 したがって、医療保護入院のケースで一番大事なことは、やはりまずは指定医、主治医、お医者さんの判断というものがまずここは大事だろうと思います。委員おっしゃったように、これは入院加療、入院での治療が必要ないというケースもあるでしょうし、やはり状況によっては入院した方がいいと、こういう判断がなされる場合もある、そこはまずは一義的には私は医療上の医師の判断、指定医の判断がまず大事だろうと思います。その上に立って、家族間で、その医師の判断がなかなか家族の間で合意できないというような場合は、委員いろいろなケースを言われましたけれども、それは確かにいろんなケースがあるでしょう。
 ただ、大臣が先ほどから申し上げているのは、それによって現在の我が国の精神科医療の現状が一気に入院が増えたり減ったりというようなことではないんだろうと。むしろ、今回の制度で期待をしておりますのは、今まで入院へのアクセスがたった一人の保護義務者によって、いや、治療はさせない、入院はさせないというようなことで医療へのアクセスができないというような事例は、これはやはり医療へのアクセスを容易にするようにした方がいいし、あるいは、そうは言いながら、家族全体で、一人でも多くの家族の方に、その治療、当該患者が入院はできるだけ短い方がいいわけでありますから、最近は三か月あるいは六か月で社会復帰される、社会へ出ていかれるというケースも多いわけでありまして、そういうことを想定をし、一人でも多くの家族の方にその治療について理解を得るという意味で、インフォームド・コンセントといいましょうか、やはり家族の方の同意も併せて必要だと、こういう判断で今回の制度ができ上がっているというふうに考えてございます。
#184
○田村智子君 危惧は本当に拭えないというふうに言わざるを得ないと思うんです。
 それで、先ほど、だから地域移行を本当に支援して、入院も短期で終わるようにという御答弁だったんですけれども、じゃ、その地域移行の支援策についてお聞きをしたいんです。
 厚生労働省は、精神障害者アウトリーチ事業をモデル事業として打ち出して、現在二十四道府県三十七か所で実施されていて、今回の改正法が施行される来年度にはこれを一般事業、モデル事業から一般事業に移行して全国展開するというような説明を受けています。
 このアウトリーチ推進事業は、在宅生活をしている精神障害者の方あるいは病気の疑いのある人も含むんですけども、こういう人を病院スタッフと相談員や精神保健福祉士などがチームを構成して支援するというものなんです。例えば通院が中断している患者さんとか、受診が必要だけど受診に結び付いていない方とか、退院したけれども病状が不安定な方とか、こういう方を訪問看護とか障害福祉サービスの利用につながるように支援していこうというものなんです。また入院に戻らなくなるようにとか、入院せざるを得ないような状態にしないようにしていくと、非常に重要だと思うんです。
 このモデル事業なんですけれども、電話相談や家族等の相談を受ける体制というのは、あるいは医療や福祉サービスにつながっていない段階での訪問などは、これ診療報酬では評価されなくて、今は十分の十の国庫補助なんです。じゃ、これはモデル事業から一般事業になったときにどういう補助体系になるんでしょうか。
#185
○政府参考人(岡田太造君) 御指摘のとおり、平成二十四年度予算で六億八千万円を計上して、二十四自治体三十七機関で精神障害者アウトリーチ推進事業というのを実施しているところでございます。この事業は、先生御説明ありましたように、精神科病院などにチームを設置しまして、受診の中断者などの在宅の精神障害者やその家族に対して二十四時間三百六十五日支援を行い、精神障害者の在宅生活の継続や病状の安定を図るものでございます。
 このアウトリーチを含めました精神科医療の診療報酬上の評価につきましては、今後、必要に応じて中央社会保険医療協議会で御議論いただくということになっているところでございます。今後、どういう形でその診療報酬の中に組み込まれるかによりますが、御指摘のように診療報酬で対応できない部分につきましては、今行っています事業の効果の検証も踏まえて、どういう形で対応することが適当か、どういうことができるかということを検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#186
○田村智子君 これは来年度一般事業化ということなんだけれども、まだそれをどうしていくのかが分かっていないということなんですよ。先ほどの大臣の答弁とちょっと距離感があり過ぎるなというふうに感じるんですね。
 もう一点、精神障害者地域移行・地域定着支援事業、これ、例えば地域移行推進員というのが補助金事業から個別給付に移ったと。障害者総合福祉法の個別給付に移ったということはあるんですけれども、余りに補助金の額が予算ベースで減っているんですよ。二〇一一年度は前年度マイナス十億円で六・七億円、一二年度はマイナス三・五億円で三・二億円、本年度は更に二億円削って一・二億円と。これ地域移行を進める支援事業が、こうやって予算が次から次へと減らされているわけですね。
 これは中身を見てみると、例えば地域体制整備コーディネーターというのが、病院に人を派遣して長期入院になっている方に相談に乗って、御本人の退院の計画を立てる前段階ですよ、退院の意向を育てていくような、こういう制度は事業仕分で廃止になってしまって、そもそもなくなっちゃったと。それで、代替というわけではないでしょうけれども、高齢入院患者地域支援事業を立ち上げたけど、これはちょっと時間ないので言っちゃいますけど、これは全然もう全都道府県にも広がってないわけですよ。今廃止した事業と比べても規模が余りに小さいわけなんです。これで果たして本当に地域移行を進めていくことができるんだろうかと。
 特に、この地域体制整備コーディネーターというのは、元々は全都道府県に配置ということでやってきたし、二次医療圏区域の九割近くの事業所で実施がされていたと。ところが、廃止になって、補助金もなくなって、これは、一生懸命困難事例をやろうとすればするほど事業所は持ち出しになって、もう続けることが難しいと、こういう声も聞こえてくるわけですよ。これは先ほど大臣、地域移行を頑張るんだと言ったけど、予算これだけ削って事業仕分で廃止もしちゃって、それで本当に地域移行進んでいくのかどうか、これをお答えいただきたいと思うんです。
#187
○国務大臣(田村憲久君) 今委員おっしゃられましたとおり、確かに、この地域体制整備コーディネーターですか、これは行政レビューで二十五年度から廃止ということになったわけであります。一方で、診療報酬の方では、医師や看護師や、また作業療法士等々、こういう方々が共同して、PSWもそうでありますけれども、相談支援事業所等と連携をいたしまして、退院後における医療サービスや福祉サービス等に関する計画を作成する、また指導するということに対して評価をするわけであります。
 ですから、そういうものを全体としていろいろなものを利用しながら、とにかく地域移行に対しての計画等々を組む中において対応していくわけでありますから、医療、福祉、これ両方が連携をするわけですよね。総合支援法の中のいろんなメニューもあるわけでありまして、そちらの方も地域移行をしっかり支援していくために、例えば相談事業もありますし、それから地域援助事業者ですか、等々の事業もあるわけでありますから、そういうものも含めながら、これは連携しながら総合的に地域移行を図っていくということでございまして、このコーディネーターがなくなったというのは、これはもういかんともし難いことでございますので、その前提の上でちゃんと地域移行が進められるような、そんな仕組みをつくっていかなきゃならぬと、今も整備してきておりますから、それを更に強化しながら地域移行が実施できるようにしてまいりたいと、このように思っております。
#188
○田村智子君 終わります。
#189
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 まず二十八日、足立理事への答弁に対して、厚生労働省がOECDの平均在院日数が百日以内と言ったのは間違いではないでしょうか。デンマークは四・一日、フランスは五・九日、スイスは三十日、イギリスは五十二・八など、アイルランドは十一・一、とても短いんですね。日本の三百日に比べると、もう雲泥の差なんですが、この百日以内というのは虚偽答弁じゃないですか。
#190
○政府参考人(岡田太造君) 私が答弁したと記憶していますが、OECD諸国の各国の平均在院日数を比較してみますと、その中で一番長いのが韓国が約百日強ということでございますので、そういう趣旨でOECD各国の平均在院日数が約百日以内という形で答弁させていただいたつもりでございます。単純平均すると、先生御指摘のような、まだもう少し短くなるということだと思います。
#191
○福島みずほ君 ですから、百日以内、でも、これは多くの方から、これ違うんじゃないか、やっぱり誤解を招くのでという意見が出ましたので、日本が断トツに多いと。つまり、韓国の百日だって大きいわけで、あとはぐんと少なくて、計算したら日本以外の平均は三十一日になりました。ですから、その意味では百日以内というのはちょっと、もう少し正確であるべきではなかったかと思います。
 次に、精神科病院における公衆電話設置について一言お聞きをします。
 精神保健福祉法や厚労省告示によって精神科病院の閉鎖病棟に公衆電話設置が義務付けられているにもかかわらず、二〇一一年十一月時点で七十二施設百五病棟で未設置が確認をされております。外部との意思疎通は極めて重要です。刑事施設における受刑者に対しては、現在一定の条件があるものの、施設の中から公衆電話が掛けられることができます。また、入管施設においては、各施設によって違いはありますが、日中の一定の時間帯に施設内の公衆電話を自由に使う権利が保障されています。入管や刑務所も変わってきている。
 精神病院の中でやっぱりカードで自由に電話が掛けられる、これは絶対に必要だと思いますが、いかがですか。
#192
○国務大臣(田村憲久君) それはおっしゃるとおりでございまして、閉鎖病棟等への隔離のような状況になっているわけでありますから、そういう意味からいたしますと、行動の自由というものが制限されておるわけでありますので、一定の範囲の中においてでもやはり外部との接触というものができなければならないということはそのとおりでございます。
 そういう家族等々との接触は、これは治療上も意味のあることでありますし、一方で、権利擁護の観点からもこれ重要な点でありますから、そういう意味では公衆電話を設置することを義務付けているわけでありますけれども、ただ一方で、代替措置がございまして、公衆電話となりますとなかなか企業との関連性もあるわけでありますね、これは。ですから、そこで代替措置等々で、例えばそのような電話、いつでも掛けられるような電話が置いてあればいいでありますとか、それから、本当は病棟に一つずつなきゃいけないんですけれども、それも病棟一つずつでなくても自由に使える電話が例えば二病棟に一つ置いてあってもいいというような、そういうような代替措置があるということでございまして、結果的には今委員がおっしゃられたような状況があることも事実であります。
 ただ、一方で、自由なアクセスというものが阻害される、これは駄目なわけでありますので、その点もし我々そういう案件が確認できれば、それは適切に指導させていただいております。
#193
○福島みずほ君 これはナースステーションの電話で代替できるのでもいいというふうにしているんです。ただ、実際、虐待を受けたり問題があるときにナースステーションに行けない、あるいは電話を掛けるときに見張られているというふうに思えば電話できないですよね。
 私は、刑務所や入管施設が変わり始めているので、精神病棟にこれはやっぱりきちっと、共通の場所とかではなくてちゃんと置くようにしていただきたい。これはどこにも電話が掛けられるようにしていただきたい。
 今日は総務省に来ていただきました。
 これは精神科病院から公衆電話の設置を要請されたNTTが使用率や売上げの低さを理由に設置を断ったなどの事例が報告されています。でも、刑務所にだってあるんだから、入管施設にだってあるんだから、これ是非総務省、必要なものだという形で電話の設置をお願いします。
#194
○政府参考人(安藤友裕君) お答え申し上げます。
 公衆電話につきましては、電気通信事業法令上、あまねく日本全国において役務の提供が確保されるべきものとされている基礎的電気通信役務として提供されている公衆電話というものは、第一種公衆電話として、その役務の趣旨に鑑み、その設置について地理的観点から一定の面的基準が設けられているところでございます。
 他方、精神科病院の閉鎖病棟に設置されている公衆電話はこの第一種公衆電話ではなく、NTT東西の経営判断に基づき設置されているものであるということでございます。
 いずれにしましても、総務省といたしましては、電気通信事業法に基づきまして、電気通信事業の公正な競争を促進するなどによりまして、精神科病院の閉鎖病棟の患者さんを含む広く国民の利便の確保を図り、公共の福祉の増進に寄与してまいる所存でございます。
#195
○福島みずほ君 じゃ、やってくださいよ。
 そして、大臣、これは代替手段では駄目なんですよ。
 私、何十年か前なんですが、スウェーデンで、刑務所で公衆電話のボックスがあるのを見て、やっぱりちょっとカルチャーショックでした。でも、日本も変わってきたんです。精神病院で中にいる人が困っている、虐待を受けている、こんな目に遭っているとテレホンカードで電話をできるというので、人権侵害をやっぱり、外部と交通権があるというのが人権侵害をなくすんですよ。
 厚労省は通知出してくれているけれど、代替手段じゃなくて、全てやっぱりこの通知どおり、公衆電話の設置をする。総務省も、さっきの、もうちょっと心のある、踏み込んでください、お願いします。刑務所と入管施設と精神病院、それぞれ違いますが、ちゃんと電話ができる。
 厚労大臣、今日ちょっと決意を示してください。
#196
○国務大臣(田村憲久君) 公衆電話と言われますと、我が省の所管じゃない部分でございますのでなかなか難しい部分でございますが、委員の言われている意味は私も理解をいたしておりますので、やはり入院されている方々がちゃんとプライバシーが守られるような形で電話ができるような、そんな指導はしていかなきゃならぬというふうに思っておりますので、人権が侵害されることのないように、その点は対応はしていくように指導してまいりたいというふうに思います。
#197
○福島みずほ君 宇都宮病院のときですか、中から紙飛行機を飛ばして侵害を訴えたというふうに私は聞いていて、電話、重要ですよ。大臣、これ、徹底するように、さっきの決意はそうだろうと思いますので、よろしくお願いします。
 医療保護入院に当たり、同意者がその意思を取り消した場合、当該医療保護入院は直ちに中止すべきと考えますが、いかがでしょうか。
#198
○国務大臣(田村憲久君) 申請をされた方が取消しをということになれば、当然請求を出されるという形になりますので、審査会の方で御議論をいただいた上でどうされるか判断をすると。若しくは、その前に指定医の先生と話をいただいて、十分に戻れる環境であるということであれば、そのときにはその判断の下で退院をされるということになろうというふうに思います。
#199
○福島みずほ君 しかし、本人の意思に反して行われた強制入院で、同意者がその意思を取り消した場合、入院は取り消されるのは当然で、納得できないと。というのは、退院するのにやっぱり時間が掛かってしまう、取り消せばやっぱりそれで退院できるようにやるべきだと思いますが、いかがですか。
#200
○国務大臣(田村憲久君) そこはやはり指定医の先生が判断をされて、入院が必要だということで、御家族の同意を得て入院という形になるわけでございますので、どういう状況の下でその御家族が退院を求められるかどうか、取消しをされるかどうかというのは分かりませんが、内容は。
 また御自宅の方にお戻りになられる、地域にお戻りになられても、それは十分に対応ができると、通院で対応ができるというようなものであればそれはそれでいいと思いますけれども、治療が必要だというときに、御家族が戻すというような意思を発せられて退院をするということになりますと、治療をせっかくして、途中でもう退院が間近である者も、退院をさせてしまってまた悪化をさせてしまうということもあり得るわけでありますから、そこはやはり指定医の先生の御判断というものが重要であろうというふうに思います。
#201
○福島みずほ君 ただ、同意要件が一つの要件であったわけで、それがなくなった以上、入院の要件がなくなったというふうにも思います。
 また、先ほども質問ありますが、指定医がいつも一人で判断するというのも問題で、本来ならやっぱり代弁者がいるとか、そういうことは必要だと思います。今日も二十八日もそうですが、今日、本條参考人と池原参考人のお二人は共に、保護者というのが削除されることは歓迎だが、家族の同意についてはお二人とも問題だというふうにおっしゃいました。私自身も、国際的な標準、基準からいっても代弁者を設けるべきだと、今回設けなかったことは本当に残念だと思っています。
 ガイドラインをこの後、厚労省は作るやに聞いているんですが、できれば、例えば、百歩譲って、家族全体の総意が望ましいというふうにするとか、代弁者というのを徐々にでもどんどん入れていくというようなことを是非やっていただきたい。どうでしょうか。今日、家族会の方も代弁者、池原さんも代弁者のことをおっしゃいました。どうですか。
#202
○国務大臣(田村憲久君) 先ほど来、副大臣も答弁されておりますけれども、確かにうまくいっている事例が今日お話があられたということでございますから、その地域ではそのノウハウを持っておられる方々、それからその熱意等々でうまくいっている部分があるんだというふうに思います。
 ただ、これを全国的に制度化しようと思うと、まず、そもそもそれができる人材がいなければならないわけでありますし、どこまでその権利を擁護するための役割を担うんだということも、これ明確に決めなきゃいけないわけですね。
 これ議論の中で、もう委員も御承知だと思いますけれども、そもそも今、弁護士の先生方が中心になってと言われるところもあれば、ピアサポートのような形態を主張される方々もおられる。そして、それぞれが、権利を擁護する役割、どこまでやるのかということも違っているわけでありまして、合意がまだなされていない。合意点がない中において制度化というのはなかなかやっぱり難しいわけでありまして、これからやはり見直し、見直しといいますか、検討規定の中で三年間見るわけでありますけれども、その間に、じゃ、どのような形で実際問題できるのかということも含めながら、もちろん費用の問題もあろうと思います、それは。
 そういうことまで含めて議論をしないと、それは、もう何もこれ議論が固まっていない中でこの法律でこれを導入するというわけにはいかないものでありますから、議論の中でどのような形で導入ができるのかできないのか、いろんな問題点も含めて御議論をいただくということであります。
#203
○福島みずほ君 でも、私は、家族、つまり今日のこの法案ですと三親等内の親族、扶養義務があるから、おい、めいにまで、遠く離れた家族だって、みんなが反対していてもその人の同意があればいいとするぐらいだったら、私からすれば、それはやっぱり強制入院の規制緩和なんですよ。みんなが反対していても、遠い家族の一人がオーケーと言えばいいやという形じゃないですか。
 ですから、これは、そういう保護者をやめて家族の誰かだったらいいというのではなく、やっぱり強制入院の当初から、サポーターじゃないけれども、代弁者という制度を是非考えていただきたい。大臣、いかがですか。
#204
○国務大臣(田村憲久君) 代弁者もいろいろとお考えあるみたいで、入院される前から代弁者を付けた方がいいというお考えもあるし、入院してからというお考えもあるので、そこの整理も必要なんだというふうに思いますけれども。
 もちろん、御本人の意思を代弁される方がおられるということは、我々も悪いとは言っていないんです、それはもう理想の姿であるわけでありますが、それをするためのいろんな環境整備というものも必要でありましょうし、先ほど言いました、費用をどうするんだという大きな問題もありますよね、これ。
 そういうことも含めて、これは議論が煮詰まってまいりませんと、何も固まっていなくて、さあ、やりましょうと書いちゃったら、後、大変なことになるわけでございますから、委員の思いというものは私は重く受け止めさせていただきますが、すぐにやれというのはなかなか難しいと。
 それと、家族の話がありました。同居されている家族は反対、だけど、別居されている親族が突然やってきて、同居されている家族に例えば黙って本人を連れて保険証を持って医療機関に行って診断していただいて、そのまま同意をして入院というようなことになった場合どうする。まあ、そんなものがあるかどうかは別でありますけれども、その場合も、同居されている家族が指定医の先生に、いや、こういう状況でこうこうこうだとお訴えになられれば、いや、あなたがいるのならばそれは十分に自宅でも治療できますねということであれば退院ができるわけでありますし、審査会の中においてそういう御議論があることもあるわけでありますから、それは常識の範囲内の中において対応いただけるというふうに思っております。
 でありますから、話を戻しますが、思いは受け止めさせていただきますが、なかなかすぐに導入というわけにはいかないということは御理解をいただきたいというふうに思います。
#205
○福島みずほ君 代弁者をどの段階で入れるかという、どういう代弁者を入れるかも重要なんですが、やっぱり、さっきから済みませんが、刑務所であれ入管であれ、いろんなところであれ、閉鎖的なところにきちっとサポーターを入れていくというのはとても人権上重要なことですので、重く受け止めるという部分を私は重く受け止めて、今後それが議論になるように、本当によろしくお願いします。
 それで、強制入院当初より、障害者総合支援法にある一般相談、地域移行・地域定着支援の個別給付が行われるようにできないかという点についてはいかがでしょうか。
#206
○政府参考人(岡田太造君) 入院当初からというのは、入院中からという御趣旨でございましょうか。
 それは、やっぱりちょっと、給付がどういう性格でというか、医療保険で出ている給付と、それから総合支援法で出ている給付をどう調整するかという重複の問題もございますので、ちょっと簡単ではないなというのが率直な感想です。
#207
○福島みずほ君 ただ、今回のこの委員会でのテーマは、やはり入院が長い強制入院の人たちをどうやって早く地域へ、できれば帰すことができるかという中での地域移行は、やっぱり実は入院のときから始まっている、そこからケアをすることで退院ができるんじゃないかと思っていますので、岡田部長、ちょっとこれ、宿題というか、検討していただけないですか。
#208
○政府参考人(岡田太造君) 今回の法案の中では、精神科病院の管理者に、まず退院後の生活環境に関する相談及び指導を行う者を設置を義務付けるであるとか、それから地域援助事業者ですね、例えば入院患者本人や家族の相談に応じて必要な情報提供を行う相談事業者との連携、家族がそういうことを希望される場合にはちゃんとつないであげるというようなことを精神科病院の管理者にお願いすることにしていますので、そういう中でそういうような対応をしていきたいというふうに思っています。
#209
○福島みずほ君 非自発的入院者に対して、これをどう減らしていくかという施策が見えるように、そして具体的な応援ができるようにお願いします。
 政府の規制改革会議の雇用ワーキング・グループが、正社員より解雇しやすい限定正社員や派遣労働の規制緩和、ホワイトカラーエグゼンプションなどの提言案を固めたというふうに報道されています。
 限定正社員、職種、地域、特に職種を決める、その職種がなくなったらその限定正社員は首なんということになれば、今の解雇の四要件や、それから正当な理由がなければ解雇できないというのが全く揺らいでしまう。限定正社員、何のために入れるんですか、解雇するためですというような、こういう構図、毎回、規制改革会議、問題だと言っていますが、厚生労働大臣、こんな派遣の規制緩和、これからやるんですかということで、こういう規制改革会議に関して厚生労働省は断固闘うという決意表明をお願いします。
#210
○国務大臣(田村憲久君) 闘うとか闘わないのではなくて、私は、労働者の権利を擁護するというのが大きな役割であるというふうに思っております。
 地域限定になるか職種限定になるのか分かりませんが、限定正社員という話が出ておるというのは今回に限ったことではなくて、これは様々な会議でそういう御議論もいただいておりますが、正直申し上げまして、これは委員も法律の専門家でございますのでもうよく御承知のとおり、権利の濫用というもの、これは許さないわけでありまして、解雇権の濫用というものも、これは許されないわけであります。
 これは権利というものに内在する法的な要請でございますから、そういう意味からいたしますと、結果的に、限定というようなことがあっても、これは解雇権の濫用法理というものは適用されるわけでございまして、ただ、今よりも、今も実は限定されている職種あるわけでありまして、それは裁判でいろんな判例が出ているわけですよね。それが、こうやって新しい、新しくもないんです、今もある形態ですからね、限定契約というのは。そういうものが生まれたから、今までの裁判の判例よりも簡単に解雇しやすくなるなんてことがあるわけがないんで、そこは変わらないというふうに我々は理解をいたしております。
#211
○福島みずほ君 ただ、これ、限定正社員が解雇のルールと絡めて議論が出ているところが極めて問題だというふうに思いますし、派遣のルールの規制緩和など許せないというふうに思っています。
 これは、厚生労働省そして厚生労働委員会が、やはりディーセントワークを実現するために規制緩和は許せないという立場で厚生労働省はこれ頑張ってほしいと。そして精神病院の問題については、オンブズマン制度や代弁者などの件でしっかり取り組んでくださるようお願いいたします。
#212
○委員長(武内則男君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案の修正について田村君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田村智子さん。
#213
○田村智子君 私は、ただいま議題となっております障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、日本共産党を代表して、修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりです。
 これよりその趣旨について説明いたします。
 この修正案は、精神障害者の法定雇用率の義務化について、施行後五年後から来年度に前倒しし実施するものです。精神障害者に対する雇用率制度の適用から既に七年が経過し、精神障害者の就職件数も急速に伸びている中、精神障害者だけが法定雇用率の算定の基礎に入っていないという他の障害種別との格差をこのまま五年間も放置すべきではありません。
 五年間の経過措置の間に、特に中小企業を中心とした事業所への支援策や、ハローワーク、障害者就業・生活支援センターを始めとする行政支援体制を強化し、法定雇用率の達成に向けて後押しをすべきです。
 また、今回新たに設けられた事業主が負う障害特性に配慮した措置の義務化に関しては、事業主に過重な負担を及ぼす範囲に限って免除することをより明確にし、指針で過重な負担について明らかにすることとします。これは、事業主が経営等を理由に合理的配慮を全く行わないといった事態を防ぎ、条文上明確にされていない過重な負担の範囲を指針に定めることを規定することによって、事業主の責任を最低限担保するためです。
 最後に、差別禁止の法的効力を高めるために、差別の禁止に係る規定及び均等な機会の確保等を図るための措置に係る規定に違反した事業主に対して、勧告を行っても従わなかったときに公表することができる規定を追加します。
 いずれも障害者権利条約批准に向けて必要な措置と考え、本修正案を提出いたします。
 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
#214
○委員長(武内則男君) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案の修正について足立君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。足立信也君。
#215
○足立信也君 私は、ただいま議題となっております精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党及びみんなの党を代表して、修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
 その趣旨について御説明申し上げます。
 修正の要旨は、この法律の施行後三年を目途として検討を加えるべき事項に、精神科病院に係る入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明についての支援の在り方を追加することであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#216
○委員長(武内則男君) これより両案及び両修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#217
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 以下、反対する法案について、その理由を述べます。
 理由の第一は、保護者制度は廃止するものの、医療保護入院の要件に家族等の同意を加えることで、実質的に保護者制度を温存するものとなるからです。保護者制度は、家族に過重な負担をもたらす、家族に強制的に入院させられたと受け取り家族関係が悪化する、保護者の反対によって入院が長期化する場合もあることなどの問題点が指摘されてきましたが、本改正はこれらの問題点を引き継ぐことになります。
 また、社会的入院の解消が求められているにもかかわらず、医療保護入院要件の緩和によって、解消すべき社会的入院が増加することも懸念されます。当事者、家族が強く求めていた代弁者の導入も見送っています。
 第二の理由は、本改正が精神科病床の機能再編を進めようとしているからです。
 昨年の検討会の議論では、急性期精神医療は一般病床並みに職員配置を引き上げる一方で、それ以外は精神科特例を維持し、長期入院患者は更に基準を引き下げる方向が出されています。長期入院者は医療、看護の後退を招きかねません。
 地域移行促進のため、精神科病院に体制構築を義務付けましたが、財源が診療報酬で手当てされるかどうか不透明です。仮に診療報酬で手当てしたとしても、退院を希望する者に対する支援は評価されますが、長期入院者の働きかけなど困難な事例に係る活動への手当てはありません。一方、長期患者等に働きかける事業に対する補助は大幅に削減されています。精神科病院の入院増加が懸念される一方で、地域移行促進の事業が後退するのは問題です。
 なお、精神保健法改正案に対する民主党、自由民主党、公明党、みんなの党の共同提出の修正案は当事者家族からの要望にこたえるものであり、賛成します。
 障害者雇用促進法改正案は、不十分ながらも精神障害者の雇用を義務付け、雇用における障害者差別の禁止やそのための必要な措置の義務付けなどを行うものであり、賛成ですが、より早期に実効性を持って施行するために修正が行われることを希望し、討論を終わります。
#218
○福島みずほ君 私は、社民党を代表し、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。
 今回の改正は、医療保護入院における保護者の同意を削除したこと自体は評価できますが、問題点が余りにあります。保護者の同意から家族等の同意への変更は、強制入院の一形態である医療保護入院のハードルを下げることにより、人権侵害のおそれが極めて高い医療保護入院を更に助長する危険性があります。このような強制入院の数を減らし、できるだけ地域の中で暮らしながら治療できる体制を整備すべきです。
 厚労省は、医療機関へのアクセスを確保し、早期入院、早期治療で入院期間の短期化が見込まれる旨の説明を行っていますが、全く納得できません。強制入院そのものが国連の拷問等禁止委員会などから極めて厳しい批判を受け続けていることを日本政府はしっかりと反省すべきです。医療機関へのアクセスについては、患者が地域生活を営みながらしっかりと通院治療を受けられる施策こそ推進すべきです。
 今回創設される家族等の同意は、患者本人と家族の間の、また家族間の対立やあつれきを深めるおそれもあります。患者本人の意に反した入院の同意を家族から得るわけですから、患者がその家族に対して不信感を抱く可能性もあり、その場合、地域社会への速やかな復帰が阻害されるおそれも生じます。また、医療保護入院の是非をめぐって家族間の対立が生じたり、扶養義務や遺産相続にまつわる紛争を深刻化させることにもつながりかねません。家族同意で医療保護入院の間口を広げるのではなく、人権侵害の一典型ともなりかねない強制入院そのものからの脱却に向けて方向転換すべきです。
 同時に、代弁者の法的創設や権利擁護のための弁護士選任費用を公費で賄うなど、患者の側に立った法整備や施策を推進すべきです。また、人権擁護にかかわる市民の参画を促すことは、患者が地域の中で暮らしていく上でも非常に重要です。オンブズパーソンなどの設置にも積極的に取り組むべきです。
 以上、改正案反対の理由といたします。
#219
○委員長(武内則男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、田村君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#220
○委員長(武内則男君) 少数と認めます。よって、田村君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#221
○委員長(武内則男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、足立君から発言を求められておりますので、これを許します。足立信也君。
#222
○足立信也君 私は、ただいま可決されました障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党、みんなの党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、本法の目的を十分に考慮し、障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供が、募集、採用、就労のいずれの段階においても早期に実現し、障害者雇用の一層の促進が図られるよう、当事者である障害者の意向を最大限に考慮しながら、具体的施策の取組を進めていくこと。
 二、合理的配慮義務の適用が猶予される「過重な負担」の基準設定については、その水準が本法の趣旨を不当に歪めることのない合理的な範囲で設定されるべきであることを念頭に、障害者団体を含む四者による労働政策審議会の協議を通じて指針を定めること。その際、合理的配慮の提供に対する財政的支援措置の在り方についても併せて検討すること。
 三、障害者に対する雇用上の差別禁止規定に違反する個々の案件に対する私法上の効果については、民法上の規定に則って個々の案件ごとに判断されることから、その適切な周知を図ること。
 四、公務部門における差別禁止と合理的配慮義務の遵守については、本法で適用が除外されている規定についての法令上の措置を確保するとともに、本法の目的を率先して実現し、障害者雇用の促進に寄与していく観点から、必要な財政上の措置に関する検討を含め、積極的な対策を講ずること。
 五、障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供義務に関する紛争については、まずその自主的解決が促進されるよう具体的な施策を講ずることとし、その上で、都道府県労働局長による助言、指導又は勧告、及び紛争調整委員会による調停が実効性あるものとなるよう、必要な対策を講ずること。
 六、労働者派遣契約の下での障害者の差別の禁止及び合理的配慮の提供義務については、現行の労働者派遣法に基づき適正な対応が図られるよう周知徹底を図ることとし、必要に応じて、具体的な措置を講ずるよう検討すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#223
○委員長(武内則男君) ただいま足立君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#224
○委員長(武内則男君) 全会一致と認めます。よって、足立君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田村厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田村厚生労働大臣。
#225
○国務大臣(田村憲久君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#226
○委員長(武内則男君) 次に、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 まず、足立君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#227
○委員長(武内則男君) 多数と認めます。よって、足立君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#228
○委員長(武内則男君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 この際、足立君から発言を求められておりますので、これを許します。足立信也君。
#229
○足立信也君 私は、ただいま可決されました精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党及びみんなの党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、精神障害のある人の保健・医療・福祉施策は、他の者との平等を基礎とする障害者の権利に関する条約の理念に基づき、これを具現化する方向で講ぜられること。
 二、精神科医療機関の施設基準や、精神病床における人員配置基準等については、精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針の内容を踏まえ、一般医療との整合性を図り、精神障害者が適切な医療を受けられるよう、各規定の見直しを検討すること。
 三、精神障害者の意思決定への支援を強化する観点からも、自発的・非自発的入院を問わず、精神保健福祉士等専門的な多職種連携による支援を推進する施策を講ずること。また、非自発的入院者の意思決定及び意思表明については、代弁を含む実効性のある支援の在り方について早急に検討を行うこと。
 四、非自発的入院の減少を図るため、「家族等いずれかの同意」要件を含め、国及び地方自治体の責任、精神保健指定医の判断等、幅広い観点から、速やかに検討を加えること。
 五、精神疾患の患者の権利擁護を図る観点から、精神医療審査会の機能強化の在り方を検討し、必要な措置を講ずること。
 六、非自発的入院の特性に鑑み、経済面も含め、家族等の負担が過大にならぬよう検討すること。
 七、医療保護入院等の患者の退院後における地域生活への移行を促進するため、相談対応や必要な情報の提供、アウトリーチ支援など、その受け皿や体制整備の充実を図ること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#230
○委員長(武内則男君) ただいま足立君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#231
○委員長(武内則男君) 多数と認めます。よって、足立君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田村厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田村厚生労働大臣。
#232
○国務大臣(田村憲久君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#233
○委員長(武内則男君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#234
○委員長(武内則男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#235
○委員長(武内則男君) 次に、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明を聴取いたします。田村厚生労働大臣。
#236
○国務大臣(田村憲久君) ただいま議題となりました戦没者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
 戦没者の妻及び父母等に対しましては、これまで特別給付金として国債を継続して支給してきたところでありますが、これが最終償還を終えるため、今回、これらの方々に対し改めて特別給付金を支給することとし、関係の法律を改正するものであります。
 以下、この法律案の内容について、その概要を説明いたします。
 第一に、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、国債の最終償還を終えた戦没者等の妻に対し、特別給付金として、二百万円、十年償還の無利子の国債を改めて支給すること等の措置を講ずるものであります。
 第二に、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部改正です。これは、国債の最終償還を終えた戦没者の父母等に対し、特別給付金として、百万円、五年償還の無利子の国債を改めて支給すること等の措置を講ずるものであります。
 以上がこの法律案の趣旨でありますが、平成二十五年四月一日から施行することとしておりました改正規定につきましては、衆議院において、公布の日から施行し、平成二十五年四月一日に遡って適用することとする修正がなされております。
 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。
 以上でございます。
#237
○委員長(武内則男君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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