くにさくロゴ
2013/03/21 第183回国会 参議院 参議院会議録情報 第183回国会 財政金融委員会 第2号
姉妹サイト
 
2013/03/21 第183回国会 参議院

参議院会議録情報 第183回国会 財政金融委員会 第2号

#1
第183回国会 財政金融委員会 第2号
平成二十五年三月二十一日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十一日
    辞任         補欠選任
     大塚 耕平君     広田  一君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤田 幸久君
    理 事
                金子 洋一君
                西田 昌司君
                野上浩太郎君
                竹谷とし子君
    委 員
                川合 孝典君
                川崎  稔君
                玉置 一弥君
                辻  泰弘君
                広田  一君
                愛知 治郎君
                古川 俊治君
                松村 龍二君
                溝手 顕正君
                脇  雅史君
                山口那津男君
                中西 健治君
                広野ただし君
                大門実紀史君
                中山 恭子君
   国務大臣
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
   副大臣
       内閣府副大臣   寺田  稔君
       財務副大臣    小渕 優子君
       経済産業副大臣  菅原 一秀君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 伸一君
   政府参考人
       金融庁監督局長  細溝 清史君
       財務省主計局次
       長        福田 淳一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (財政政策等の基本施策及び金融行政に関する
 件)
    ─────────────
#2
○委員長(藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁監督局長細溝清史君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(藤田幸久君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策及び金融行政に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○金子洋一君 おはようございます。民主党の金子洋一でございます。
 今日は、大臣、両副大臣、御出席をいただきまして、ありがとうございます。百分間という大変長い時間でございますけれども、どうかよろしくお願いいたします。
 また、おとといレクをさせていただきまして、そのときに問い番号を振っておりますので、なるべくその問い番号を申し上げて、二十問ぐらいございますので、こんがらがるといけないと思いますので、申し上げてからお尋ねをしようと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず消費税につきましてお尋ねをさせていただきまして、それから麻生財務大臣の経済に関するお考えの内容につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、消費税につきましてでございますが、昨年の八月に消費税引上げ法案が三党合意の枠組みの下で可決、成立をいたしました。その中でも様々な取決めがございますが、まず消費税の引上げの判断についてでございます。
 これは先日の代表質問でも大臣にお尋ねをさせていただきました。その内容を踏まえてでございますが、つまり、実質GDPが増えているかどうか、増加傾向にあるかどうかということが通常景気がいい悪いという判断の基準になっております。つまり、ほかの言い方をしますと、生産が上向きになっているのかどうかということだろうと思います。
 ところが、現在はデフレの環境にございます。前年同月比で見ますと、コアコアCPIで見るとマイナスの〇・七とか九とか大変なデフレ状態にある。となりますと、政策判断も、通常の経済の状態でしたら生産が上向く、つまり実質GDPが上向くということで政策の判断をしていいかと思いますが、この状況になりますと、これは少々違うのではないかと思っております。
 特に、消費税という問題は転嫁の問題がございます。転嫁というのは、これはデフレの環境ですと非常にしにくい。つまり、デフレの環境にありますと、経済主体の企業や家計の支出が一定になる。一定になる中で、一方の財の価格が上がるとなれば、その財の価格が仮に上がったとしても、ほかの財に支出をされる金額が減るわけですから、お金が減るわけですから、そちらの方が下がってしまうということが起きかねないわけであります。恐らく、デフレの環境ではそういったことが非常に起きやすくなっているんだろうと思います。
 となりますと、転嫁という、特に中小企業を中心とした企業にとりましては大変大きな問題を考えますと、デフレ環境から抜け出した状況で消費税が上がるということでしたら転嫁は簡単なんだろうと思いますが、そうでない場合には大変難しくなろうと思います。
 となりますと、生産が上向きになっているかどうか、つまり実質GDPで見るのではなくて、何らかの物価指標で見るべきではないか。例えば、コアコアCPI、先ほど申し上げましたが、そういったものでもいいかもしれませんけれども、もっとカバレッジが広い、コアコアCPIですと食料品、お酒は除きますけど、とエネルギーを除いたものがコアコアCPIですが、カバレッジが狭くなります。それでしたら、GDPデフレーターのように、四半期指標ではあって、速報性には欠けますが、カバレッジが非常に広いものを使って御判断をいただければどうかというふうに思っておりますが、そういったGDPデフレーター、例えば一%を超えるというようなことを基準の大きな部分に取り入れるということをされてはいかがでしょうか。
#6
○国務大臣(麻生太郎君) 今、金子先生の御指摘はもう極めて正しいところでありまして、これは御存じのように、デフレーションというものをやった経験というのは、過去、少なくとも一九四五年、さきの大戦が終わってこの方、デフレーションによる不況をやった国家は世界中に一つもありません。
 その中にあって、日本だけが初めてデフレーションによる不況というのをやっておりますので、デフレ不況に対する対策というものの経験者は日本にはもちろんのこと世界中に一人もいない中で、かれこれ我々は、土地が下がってきたのからいえば一九九二年ぐらいからこの問題に対処してきたんだということになろうと。多分歴史家はそう言うんだと思いますが、そういう中にあって、今おっしゃいましたように、この消費税の転嫁の話につきましては、極めて状況としては厳しい。したがって、実質成長率というのだけではなかなか難しいのではないかという御指摘は、全く正しいんだと思っております。
 したがいまして、昨年の成立いたしました税制抜本改革法におきまして、いわゆる来年の四月から引き上げるにしても、いわゆる消費税を五%から八%に引き上げるということになりましたけれども、これは機械的に何が何でも引き上げるということではないと。少なくとも、本年秋の十月ぐらいに、附則第十八条、税制抜本改革法の附則第十八条に書かれておりますところでありますけれども、今言われましたように、実質経済成長率、ほか名目経済成長率も必要でしょうし、あの中には物価動向というのも書いてありますが、そのほかQE等々、コアコア、いろいろあろうこととは思いますが、それ全部書かずに、もろもろの経済指標という言葉が使ってあると存じます。
 そういった中で、とにかくそういったものを全部複合的に考えて、この秋までに、来年四月、上げるか否かどうかを考えるという書き方にしてあるのでありまして、いずれにしても、それまでの間、今回の安倍内閣で出しております三本の矢の特に三本目の、いわゆる経済成長というものをきちんとした形で実感をしていただけるような形にすることができないと、これは極めて厳しい状況になるんだと思って、私どもはその点を踏まえて対応していきたいと考えております。
#7
○金子洋一君 ありがとうございます。
 おっしゃることに反対をするつもりは毛頭ございませんが、もろもろの指標を複合的に、総合的に判断をなさるとおっしゃいました。
 それはそれでいいと思うんですが、ただ、やはり総合的に判断をするということになりますと、どうしても役所の都合が入ってしまう、恣意的になってしまう。やはり転嫁ということを考えますと、デフレの環境ではこれは大変難しいわけですから、GDPデフレーターのように物価を示す指標を特に重視をしていただきたい。単に実質GDPが上向きになったからといって、それでオーケーですよということがないようにしていただきたいんですが、その点、もう一度お願いします。
#8
○国務大臣(麻生太郎君) おっしゃること、正しいと存じます。
 このGDPデフレーター、これは一番、一番なんて言うと問題があるかもしれませんが、極めて大事な指標として、実質成長率よりはGDPデフレーター、最も大事な指標の一つだと考えております。
#9
○金子洋一君 ありがとうございます。大変、麻生大臣らしい論理的なお答え、ありがとうございました。
 続きまして、その転嫁の問題でございますけれども、やはり、先ほども申しましたが、中小業者、特に下請事業者、あるいは大企業との取引先の業者に対する不利益防止など、転嫁対策をきちんと取っていく必要があろうと思います。これ、一九九七年の引上げ時には、各省庁が適切な転嫁のための広報、相談とか、あるいは、これは公正取引委員会の事業になりますけど、優越的地位の濫用防止といった取組をやってこられました。財務大臣としてこの消費増税の転嫁の問題についてどのようにお考えか、お答えをお願いいたします。
#10
○国務大臣(麻生太郎君) これはもう、転嫁をするのは、一番最初に、これは最初に三%が導入されたとき、外税か内税かという話はえらいもめました。正直なところであります。
 多くの当時の事業者の方が、内税は駄目だという御説が商工会議所、商工会等々が圧倒的に多かったのが、最初にできた、あれは山中貞則先生たちのときでしたのでもう大分前になりますが、そのときに随分騒ぎになったんですが、結果としてあのときは外税ということになったんですが。我々も当時チンピラ委員でそこに出ていて、外税なんかでやったら、ビールなんか外税でやったら誰が飲むんですかと。あれは内税だから飲んでいるんで、外税だったらあんなもの飲みやしませんよって言って反対だと言ったら、若造、黙れって言われて、あれ全部外税になっちゃったっていう記憶はあるんですけれども。
 あのときでも、本屋さんなんていうのは、百円だったものがいきなり百三円にしないで百五円にして内税で本屋さんは出されたんで、本屋に行っておまえ二円のお釣り出せと言ってしつこく迫ったんですけれども、そんなこと言うのは麻生さんだけですよって言われて、あのときは百五円で、週刊誌は全部百円が百五円になった。本屋の方が頭いいなとあのときすごく思った記憶があるんですけれども。
 そういう内税とか外税とかいうのは、あのときは随分騒ぎが、一回目のことで、初めてのことでもありましたのでいろいろお騒がせをしたことだったんですけれども、いずれにしても、こういったような方式をするときには、平成十六年の四月からこれは全部内税にせないかぬというような形のものにさせていただいたんですけれども、これは消費者からの視点というものと、これは売る方の事業者からの視点というのと両方考えないかぬところなんだと、私どもは基本的にそう思っております。
 与党においていろいろ御議論がなされておりますんですが、そういった中にあって、事業者からしてみると、八%にしてまたしばらくしたら一〇%にするということになるんであると、いわゆる値札の張り替えやら何やら、これは多分百円ショップとか、何でしょうね、ビックカメラとかいろいろ大量に売っておられる、ドン・キホーテなんか最たるものなんでしょうけれども、こんなところで値札一個、全部全部張り替えるといったら物すごい手間になりますんで、そういったなどの事務負担への配慮など等を考えて、とにかく税込み価格であるということをきちんと誤認されないようにちゃんと処置をした上で、消費税率の引上げの前後に限ってだけはもう外税でもいいとか内税でもいいとか、両方考えてやらねばならぬとか、いろんなことを考えてはおります、目に見える形としては。
 ただし、同時に、我々としては転嫁対策の特別措置法案というのを近々これは政府として出さねばならぬと思っておって、これは主に公正取引委員会等々とかが考えていられるんですが、いわゆる政府の共通の相談窓口というものをきちんと設置して、その上で転嫁拒否に対する、例えばこの分だけ値引いて出せとかいう、上から小売店に対して、仲卸からとか、メーカーから卸に対してとか、そういったようなところに対する各省庁、各都道府県等々に、ここらのところのどういうようなものが圧力が掛かって、その税金の分を全部業者がかぶらないかぬというような圧力にならないようにするということを我々この前のときもやらせていただいたんですが、今回はこれはデフレーションという状態でもありますので、これはかなり大掛かりにやらねばならぬという決意を持って、目下具体的にいろいろどういったことができるかというのを取り進め、そのためにはやっぱり法律の裏付けがないと、とにかく指導だけでとてもできるものではないのではないかとそのように考えて法律を出させていただかねばならぬと考えておるという次第であります。
#11
○金子洋一君 ありがとうございます。
 これは問い六でお尋ねをさせていただいておるんですけれども、やはり価格転嫁を進めるという意味では外税方式が望ましいんだろうと思います。この点は大臣のまさに問題意識と重なってくると思います。
 そして、この消費税法の改正法には、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、独占禁止法及び下請法の特例に係る必要な法制上の措置を講ずることと書いてありますので、まさに大臣の今言われたような法案が必要になってくるんだろうと思いますが、やはり消費税導入時に行われていたような表示カルテルですとか、あるいは転嫁カルテルといったような形のものを実施すべきではないかと思うんですが、この点、ひょっとすると所管外かもしれませんが、大臣のお考えをお尋ねできればと思います。
#12
○国務大臣(麻生太郎君) これは公正取引委員会の方から一斉にカルテルではないかと言われると、これはなかなか反論としては難しいし、加えて煩雑な話になりますし、自分たちとしてはまともなことをやっていてもそれがというと、その協定を破ったような人の方がむしろ何か評価されてみたりするというのは、これは甚だ、ちょっと世の中としては受け入れ難いところでもあろうと思いますので、この点につきましては、今回出される法律の中において、公正取引委員会の今回のこれに関しては対象外、カルテル等々とは認めないとかカルテルとはしないとかいうような形の対応が必要なんだと、私どもの意見としては過日申し上げたところでもございまして、おっしゃるとおり、御懸念に対して対応していかねばならぬと思っております。
#13
○金子洋一君 どうもありがとうございます。
 続きまして、順番が前後して恐縮ですが、問い二ということでお尋ねをさせていただきます。
 法律によっては転嫁ができない部門もございます。例えば、消費税非課税の医療での損税の問題、あるいはもう一つ、日本郵政の中の、昔でいうと会社間、会社内ですけど、その会社間の取引などが挙げられると思います。
 まず、その医療についてお尋ねをいたします。
 まず、これは非課税取引になっているというのは、中間投入物であるから非課税になっているものとか、あるいはもう一つ、社会政策的な配慮で非課税になっているものがあります。特に、社会政策的な配慮で非課税になっているものは学校授業料や助産料、埋葬料、あと、海外で申しますと書籍代とか子供の洋服代といったものがイギリスなどでは非課税になっております。ただ、これらは全て自由価格ですね。それぞれの企業が自由に価格を決められる、需要と供給で価格が決定をされるという形にマーケットでなっております。
 ところが、この医療における社会保険診療報酬は、これは公定価格です。二年に一回しか変わってまいりません。例えば、過去の消費税の引上げ時、平成元年には診療報酬全体で〇・七六%、平成九年には〇・七七%、こういった損税対策で診療報酬が引き上がっておりますけれども、やはりこの診療報酬の引上げ分が足りないということで約半分程度の損税が生じているのではないかというふうに様々な調査研究の結果言われております。
 この対策を今回、五%から最終的に一〇%になる時点でやっていく必要があるんではないかと私は思っております。例えば、現在は控除対象外となっている部分について検証を十分に行って、仕入れ税額控除が可能な制度にしていくというような対策を考えるべきではないかというふうに思っておりますが、こういったことについて大臣の御所見を伺いたいと思います。
#14
○国務大臣(麻生太郎君) この社会保障関係というか社会保険診療に特に限定しておられるんだと思いますが、これは可能な限りいわゆる国民の負担を抑えながらサービスということを、何というか、提供せねばならぬという政策的な配慮から、基本的には消費税というものは非課税とされております。これは大体、外国でもほぼ同じような政策が取られているんだと思いますが、医療機関が医薬品とか、また医療診療にかかわります機器を購入するに当たりましては、その分については、消費税が掛かっている分については、それを診療報酬で見ておるという形でこれまでは推移してきたんだと思います。
 このような診療報酬で対応してきているというのに対して、昔と違って今は診療報酬は〇・七とか〇・六とか、もうほとんど一%以下やないかと、そんなものに対して、これ、最近のMRIとかでかい機械を買った場合はとてもじゃないけどそんなものでは賄えぬという御意見は、これは前から指摘のあるところでありまして、私も病院経営していましたんで、よくそこのところは私どももそう思っております、これは、正直なところ。
 しかし、昨年の六月の三党合意が民主党、公明党、自民党の三党でなされたときにおいては、消費税率八%の引上げ時までに医療保険制度において適切な手当てを行う具体的な手法について検討し結論を得るものとするということにされておりますのは御存じのとおりで、この医療に係ります課税につきましては引き続き検討を行うということになりました。
 そして、今年に入りまして、今年の二月の三党合意におきましても引き続き協議を行うとされたところでありまして、これに基づきまして三党及び、また与党間で今度のこのことにつきましては、税制抜本改革法の規定に沿ってこれは検討していこうというところになっているというのが私どもの承知しているところであります。
#15
○金子洋一君 ありがとうございます。
 さすが機器の購入あるいはMRIのように大変大きな設備投資が必要だということ、もうきちんと御存じになっておられるということでありまして、まさにいろんな損税を出している医療機関をデータとしてプロットをしますと、ぴょんと飛び出すところがあります。ぴょんと飛び出す、上方に飛び出すところというのは、これは大きな設備投資をした医療機関であるということがほとんどで、その設備投資分を除くと、つまり通常の医療行為を重ねたような状態では、特に各医療機関共にほぼ同じような状況になるということであります。
 つまり、設備投資の部分は耐久財ですので、非常にそこの部分は、診療報酬で見てやるということになりますと、この年にどんと買うと、しかし、そのどんと買った設備投資のものがあと十年なり二十年なり使えるということになりますので、毎年の診療報酬で見てやるというのはなかなか難しいのではないか。逆に、診療報酬で見たとしますと、大きな設備投資を妨げる方向になるんではないかなと思います。
 そこで、また最初の話に戻ってしまって恐縮なんですけれども、やはりこういうふうに設備投資の在り方というのは各医療機関で違いますので、診療報酬で見るのではなくて、先ほど申しましたような仕入れ税額控除で認めていくべきではないかなと思うんですが、その点についてもうちょっと御意見いただければと思います。
#16
○国務大臣(麻生太郎君) これは金子先生、なかなか昔から言われているところであると同時に、これは意見のまた分かれるところでもありますんで、全くおっしゃるとおりなんであって、医療機器というのは極めて最近IT化、ICT化されて、かなり昔のレントゲンの機械とは訳が違って、物すごく高価なものになってきております。MRIを申し上げましたけれども、CTスキャンだ、いろんな高価な医療機器というのがいっぱい登場してきておりますんで、それはちょっとまた別にすればいいじゃないかという御意見もあったりして、これちょっと、私どもとして今この方向でというのを決めているわけではございませんけれども、そういったものを踏まえて対応していかねばならぬなというお話が三党間でいろいろされているというところまで私ども承知しているところであります。
#17
○金子洋一君 是非そういった方針で、税をつかさどる財務大臣が行動をしていただけるということを期待させていただきたいと思います。
 続きまして、郵政にかかわる内部取引の問題ですが、郵政民営化法で日本郵政グループが公社を分割した形で成立をしたということになります。そして、ゆうちょ銀行とかんぽ生命から大体年間一兆円程度の委託手数料を日本郵便株式会社に払っているということであります。となりますと、これが消費税が一〇%になりますと年間一千億円、消費税相当分を払うということになります。
 ところが、これが普通の企業ですと、一千億円も払うんだったら、いっそのこと合併をして、そして内部化してしまおうと。内部化すれば消費税は掛からないということになります。実際にそういった動きをなさるような業界もあると聞いておりますが、ところが、そういった合併をして内部化をするということは、郵政の場合は法律で禁じられております。
 前回の消費税引上げのときにも封書やはがきの料金というのは、これはそのまま据え置いたということになっております。このままそういった消費税の負担が大きくなるということになりますと、まさにユニバーサルサービスの提供も不可能になってくる可能性が大きく出てくるというふうに思いますので、ゆうちょ銀行とかんぽ生命が日本郵便株式会社へ窓口業務委託する際に支払う手数料については非課税にするとか、そういった取扱いをすべきではないかと、有利な取扱いをすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#18
○国務大臣(麻生太郎君) これはもう金子先生よく御存じのように、消費税という税金そのものの考え方、哲学がいわゆる広く薄くというか、広く公平にやるというのが大前提でありますので、産業政策的な観点から特定の業界とか特定の企業の税負担というものを考えるべきではないということに、そういうのにすべきではないという形で設定をされておりますのは御存じのとおりです。したがいまして、郵政グループ内におきます取引に関してはこれだけちょっと特別にしろというのはなかなか困難なんだと思っております。
 今お話ありました郵政民営化に伴います郵便貯金銀行、郵便保険会社、日本郵便株式会社等に係る税制上の措置につきましては、引き続き所要の検討を行うというのにされておりますのは、与党の税制改正大綱におきましてもそういうことになっているんだということは存じております。
 ただ、これは、何というか、郵政に限らず、例えばNTTとか、それから日本高速道路株式会社とか、また、JRもそうだと思いますが、こういったところでも同じような、分割されておりますので、本当だったら合併した方が安く済むというのは全くおっしゃるとおりなんですが、分割を法律でされております関係上、こういったところでも、例えば高速道路会社でも大体年間その分だけ、七百億円とか、いろんな多額の消費税を納めておられるという前提でされておりますので、この問題に関しては、日本郵政だけ別というのはちょっとなかなか法律的には難しいというように考えております。
#19
○金子洋一君 ありがとうございます。
 消費税が広く公平に課税をするものであると、したがって、産業政策的なものにはなじまないんだとおっしゃるその理念については大変よく分かります。
 ただ、この郵政の場合は、そういったゆうちょ銀行、かんぽ生命が窓口委託をするということが法令で決められているという点で、旧逓信省中にある事業でいいますと、先ほど言及なさいましたNTTとはこれは大きく違うわけですね。しかも、そういった形で業務委託をしなきゃいけないということで、業務委託を仮にしなかった場合には地方での金融窓口というのはなくなってしまうわけです、地方、もう大変な田舎ですね。そうなりますと、ユニバーサルサービスの提供という観点からこれは完全に誤ったことになってしまうと思います。
 ということを考えますと、NTTさんを例に挙げると申し訳ないんですけれども、やはりそういった企業とは、法令で義務付けられている以上、ここは大きく違うんではないかなと思いますので、その点を是非踏まえて御検討をいただきたいと思います。
 続きまして、次の質問に移らせていただきます。四問目でございますけれども、以前の自民党さんの政権のときに特別会計の廃止をなさいました。大変いい判断だと思います。済みません、番号入っていませんか。失礼します。タックス・オン・タックス、消費税の二重課税につきましてお尋ねをさせていただきます。
 特別会計の廃止というのは大変いいことだったと思います。こういったことを英断を下されたということについて深く敬意を表するところでありますが、これが、道路特定財源が平成二十一年の税制改正でなくなったということになりますと、これは、ガソリン税や軽油引取税というのは一般財源化したという解釈でよろしいんだと思います。ところが、そのガソリン税とか軽油引取税というのは、道路を造る財源として受益者負担の原則に基づいて自動車ユーザーが負担をしてきたというものだというふうに思いますが、このユーザーが負担をするという原則で課せられているんですけれども、一般財源化をされたということによってその根拠は失われたのではないかと思います。
 そこで、私は、ガソリン税や軽油引取税の当分の間税率、昔でいう暫定税率の部分につきましては、これは速やかに廃止すべきだというふうに思いますし、また、ガソリン税と消費税のタックス・オン・タックスの問題についても速やかに廃止すべきだと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
#20
○国務大臣(麻生太郎君) これはもうよく御存じのように、付加価値税の課税標準というものにつきましては、これは、いわゆる欧州等々におきましても他の租税も含まれていることにされております。したがって、揮発油税等々の個別の間接税を含みます価格に対しては消費税が課せられるというのは、ある程度国際的なルールとして確立されているものだと思っております。
 揮発油税につきましては、税制抜本改正の規定というものに従いまして、国際的なルールを踏まえて、簡単に言えば、国及び地方の財政状況を考えないかぬとか、それから、課税となる対象品目をめぐって、環境の変化、いわゆる地球温暖化等々の環境の変化、また国民生活への影響を考えて引き続き検討していかねばならぬとされておりますが、揮発油税等のいわゆる今言われた暫定税率、当分の間税率とかいろいろな表現はありますけれども、については、これは民主党の政権下におきましても、これは地球温暖化対策の観点とか厳しい財政状況を踏まえてこの税率水準は維持されたというものだと承知をいたしております。
 そして、揮発油税の税率水準につきましては、これは現在も、地球温暖化対策の必要性とか難しい財政状況とかいうものを踏まえますと、税制抜本改革法第七条という例の規定に踏まえてこれは慎重に対処していかねばならぬところで、やっぱり急激な税収の落ち込みというのもかなり大きな、財政事情に大きな影響を与えるものだとは存じますけれども、いずれにいたしましても、この点に関しましては慎重に検討していかねばならぬところだと考えております。
#21
○金子洋一君 ありがとうございます。
 ただ、これ、私が代表質問のときにも申し上げたんですが、円安が昨年の十一月から急激に進んでおります。私は、この円安というのは安倍内閣の非常に大きな功績だとは思っております。ただ、これ、政策として円安方向への誘導ということが結果的に生じました。これが生じるということは、もう実際に行う前から明らかであったと思います。つまり大胆な金融政策を取る、緩和をするということになって結果的に円安につながるんだということは、これ事前に読めていたはずなんですね。事前に読めていて、しかもレートが大体二割ぐらい下がるということになります。そうなりますと、当然、円建てで輸入をしていれば、価格が二割ぐらい上がってもおかしくないということになりますので、こういったガソリンや軽油価格が上がるということは、これ事前に予期をされていたはずだと思うんです。
 となりますと、今の安倍政権の、何ていうんでしょうね、大胆な金融緩和政策で非常に高い支持率になっている、これはプラスの面です。ただ一方で、それに伴うマイナスの面、これについてもきちんと責任を取っていただかなければならないのではないかと私は考えます。
 そういった意味で、この当分の間税率を外すべきじゃないかと。つまり、今のように、現時点でレギュラーが百五十円ですとか、あるいは場所によっては百六十円というところもあるんでしょう、一リットル、ガソリンの場合。これがもっと上がったらどうなるんですかということです。
 ですから、こういう形で当分の間税率をこのまま残しておくことについては、是非とも御検討をいただきたいというふうに思いますので、もしその点について一言お答えをいただければ有り難いのですが。
#22
○国務大臣(麻生太郎君) 確かに円安になりまして、これほど二割近く、かつては七十六円、七十五円ぐらいまで、一番円高のとき七十五円ぐらいまで行っておりましたので、それに比べますと今日で九十五円何十銭ということですから、約二割近くということになりますと、これは輸入されておられますものによってそれを価格に転嫁しないとやれないという部分というのはかなりなところに出てきているということも、円安のメリットばっかりよく新聞に出ますけれども、円安のデメリットの点につきましては輸入物価が直接響く、特にエネルギー価格等々で電力を始めエネルギーを多量に消費しておられるところにおいてはもろに影響が出てくることはもう間違いない事実なんだと思いますので、そういった点も考えておかねばならぬというのは全くごもっともな御指摘だと思います。
#23
○金子洋一君 ありがとうございました。
 続いて、次の質問をさせていただきます。
 逆進性の緩和策ということについてでありますけれども、今、自民党さん、公明党さんの中では軽減税率を大いに取り入れようじゃないかというような議論が行われていると思います。ところが、軽減税率を取り入れて複数税率ということになりますと、これは会計上も大変手間も掛かってまいりますし、またどの品目を軽減税率にするのかしないのかという、そういった大きな問題も出てまいります。
 これは、大蔵省OBの政治家の方がよくおっしゃる話なんですが、たんす、昔の物品税の時代ですが、たんすについては、通常の素材で作られているたんすについては物品税が高かったと。ところが、特定の木材で作られたたんすについては、これは非課税だったという例があるそうだそうです。その特定の木材で作られたたんすというのがなぜ非課税になるのかということになりますと、それが我が国の伝統工芸だからという理由で非課税になっていたということなんです。
 ところが、私が推量いたしますに、その特定の木材のたんすというのは、多分そういった税制に力を持っておられる国会議員が非常に親しくされているとかあるいは選挙区内にあるとか、そういったようなことでゼロ税率になっていたのではないかなと思いますが、こういったことがどこでもかしこでも起きてしまう可能性があるわけですね。具体的に、フランスなどでも、キャビアは普通の税率だけれども、フォアグラは自国産が多いので安いと、軽減税率だというようなこともあると言われております。そういったことがありますので、軽減税率は余り望ましくないと。
 そして、給付付き税額控除という仕組みがございます。負の所得税の一変形ですけれども、これですと低所得者を中心にそういった補助をお渡しすることができる、そういったメリットがございます。軽減税率にいたしますと、給付付き税額控除と比較をしますと、例えば食料品を軽減税率にした場合、もちろん低所得者層も食料品をたくさん買いますけれども、高所得者層も食料品は結構買うと。エンゲル係数は高所得者層の方が低いけれども、実額で見ると高所得者層の方が食料品を買う額というのは大きくなる。その結果として、食料品に軽減税率を当てはめると、高所得者層の方が多く消費税分戻ってきてしまうというようなことがございます。私も昔、十分位別でちょっと簡単に計算をしてみましたら、やはりそういった軽減税率を食料品に入れますとジニ係数が上がってしまう。つまり、貧富の差が拡大する方向になってしまうということが我が国のデータでも認められました。
 ということですので、逆進性の緩和策としては給付付き税額控除を取るべきであって、軽減税率は導入すべきではないというふうに私は思うんですが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#24
○国務大臣(麻生太郎君) これは、金子先生おっしゃるように、この低所得者層対策としてはこれが、消費税率が八に上がったとき、一〇に上がったとき、もっとそれ以上に上がったとき、いろいろな御説がありますけれども、いずれにいたしましても、税制抜本改革法のときに当たって、今言われた御指摘はいろいろ検討をされております。
 ただ、今言われましたように、給付付き税額控除の場合、これは誰が低所得者層なのかというのを確実にするために、これはいわゆる昔でいう国民総背番号、最近ではマイナンバーと言うんだそうですけれども、我々のときはグリーンカードとか、これは時代によって呼び方がいろいろ違いますので、やろうとしていることは同じなんですが、名前が変わって今マイナンバー制度という言葉が所得把握のために必要なんだということで使われ始めておりますけれども、この給付付き税額控除の場合は、そのマイナンバーというのをきちんとしていただかぬとどうにもならぬなと思いますのと。
 それから、軽減税率、複数税率とかいろいろな言い方ありますけれども、これも、言われましたように、対象品目というのが、これは私、ちょうどイギリスにおりましたときに、これ上がったときに、サッチャーの時代だったんですが、キャビアは確かにおっしゃるように高い方なんですけれども、イクラは安い方なんですよね。一挙にあれのおかげでイクラがえらくはやり始めたのは良かったんだと、我々から見ればそう思った記憶があるんですけれども。学生時代のときでも、結果的にジンは安い酒で何とかとか、日本でも焼酎は安くして特級酒は何とかとかいろいろなことやりましたけれども、結果的には、イギリスの場合はもう公平性を欠くということで、一律ゼロといって全部あれ一律ゼロに、もう口に入るものはみんな同じという最も分かりやすいやり方にしたんだと思っておりますけれども、この複数税率、軽減税率というのは、これなかなかそこのところの線引きが難しいなというのは、そのとき見ていてそういう実感があるんですけれども。
 いずれにしても、これによって財源がある程度減ってくることも覚悟せねばいけませんし、その中で、途中においてはいわゆるインボイスと言われるものが必要になってまいったりしますので、これ、どこかの段階で簡素な給付措置を実施することとされておりますので、そういった意味からいきますと、今年の二月の三党合意におきましても、給付付き税額控除及び複数税率の導入を含む低所得者対策について引き続き検討を行うということにされておりますので、お尋ねの、今、給付付き税額控除については、民主党を含めまして三党で今議論がされているんだと思いますけれども、こういった問題につきましては考えねばならぬ大事なところだと思いますので。ただ、それに伴いますいろいろな手続等々も踏まえてやりませんと、ただ一方的にやりましても、なかなか、ためを思ってやっても、結果として中小企業のところはえらい手間が掛かって大変だということになりかねぬと、いろんなものもあろうかと思いますので、検討していかねばならぬと思っております。
#25
○金子洋一君 ありがとうございます。
 これ、食料品に軽減税率を掛けますと、恐らく消費支出の三割程度が軽減税率の対象になってしまうわけですね。そうなりますと、一〇%への消費税引上げでは足りなくて、更に引き上げなきゃならないというようなことすら考えられるわけでありまして、是非ともそういったことのないように御配慮をいただきたいと思います。
 続きまして、次の問いに移らせていただきます。
 増税、消費税引上げに伴いまして、新規の、これは事業者を中心に考えた場合ですけれども、新規の設備投資をすると。会計ソフトを購入したり、あるいはレジスターを新しくするとか、そういったシステムを更新するというようなことをしなければならないと思いますし、またそういったシステム変更に伴って新たな作業をしなければいけない、それに伴って労働力の確保が必要になってくるといったようなことが出てくると思います。しかも、それがほぼ同時期に日本全国で起きますので、非常に手数料が高騰してしまうということが考えられると思います。
 これ二〇〇四年の四月に総額表示方式になりましたときに何が起きましたかと申しますと、三年間の経過措置だったんですけれども、IT投資促進税制や消費税額の一円未満の端数の切捨てが事業者負担の軽減策として行われたということであります。今回もそういった、特に中小事業者に対する悪影響回避のために税制上の優遇措置を行うといったことを御検討はなさっているんでしょうか。
#26
○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のように、中小企業者に対する、零細業者に対する施策というのは、これは平成元年の消費税の創設のとき、もう大分前になりますけれども、創設のときや、平成十五年度の改正、三から五に上がるときの改正時において、免税点制度とか、点数を決めたり、簡易税制の制度の見直しとか、みなし課税とかいろいろありましたけれども、総額表示義務の導入とか、いろいろな税制改正上や予算上の手続というのをさせていただいたのはもう御存じのとおりです。
 したがって、今回の消費税の引上げに当たっても、平成二十五年度の税制改正に当たりましては、緊急経済対策の一環として、中小企業、なかんずくサービス事業者がいわゆる店舗改修などの設備投資を行った場合に優遇税制を創設することとしておりまして、今言われましたように、冷蔵のショーケースとか陳列棚とかいろいろございましょうけれども、そういったものとか照明器具とか、そういったものに対する税制を優遇すること。
 また、二十四年度の補正予算におきましても、中小企業者の体質強化を図ってもらうために、新商品の開発とか販路の開拓支援とかいろいろあろうかと思いますので、商店街で人を集客することになろうと思いますので、そういったところに対する基金を二百億円つくらせていただいたり、また、いわゆる販路の開拓のために更にと、いろんなことをさせていただきました。
 また、平成二十五年度の予算におきましても、転嫁できない、上からの圧力とかいろいろあって、その分だけまけろとかいろいろ、等々の圧力等々掛かって転嫁できないということもあろうと思いますので、そういったことのために、公取とか地方の県、市、町等々から、時限的であっても、人員の拡大とか監視・検査体制、そういったものの強化というものを、先ほど法律プラスそれを実効せしめるだけの人的、マンパワーが要りますので、そのマンパワーの部分に関しましては人を時限的に出してもらうというようなことを考えて、それに対して予算を付けさせていただいたり、いろいろ図ることにさせていただいております。
 いずれにいたしましても、これ、税制改正に伴いまして、いろいろ、善意な第三者がきちんと言われたとおり上げようとするのを妨害する、そういったところの部分を排除することをしてやらないと、一斉に上げてまた、いわゆるカルテルだ何だ言われるようなことのないように、そういったことも考えて、こういったものに対する対応はきちんとしていかねばならぬ大事な点だと思っております。
#27
○金子洋一君 ありがとうございます。
 細かいことを申し上げるといろいろ出てまいりますけれども、方向性としては正しい方向でお考えになっていると思いますので、是非ともよろしくお願いをしたいと思います。
 続きまして、話がかなり変わります。外国格付会社あて意見書要旨についてということで。
 昨日、黒田元財務省財務官が日銀総裁になられるということになりました。私も大変いいことだというふうに思っております。もちろん、財務省出身者が日銀総裁になることがそれが果たしていいのかどうかというような議論もございますが、黒田さんの議論を、お話を聞いている限りにおいては、大変望ましい政策を取ってくださるんではないかと私は考えております。
 その黒田財務官、当時の財務官が、二〇〇二年にムーディーズやS&Pといった外国の格付会社が我が国の国債の格付を大幅に下げたということがございまして、それに対して反論の手紙を書いておられます。今も財務省のホームページ上に載っておりまして、外国格付会社あて意見書要旨についてということで、最初に三社に対してお手紙をお送りになると。そして、返事が戻ってきたんでしょう、S&P、そしてムーディーズに対して再反論をしているということがございます。
 これ、私も内容については賛成なんですが、この内容については現在も財務省の見解と食い違いはないというふうに考えてよろしいんでしょうか。
#28
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的に、民間の格付会社がどうしたってことに対して私の立場で一々コメントするのはちょっと差し控えさせていただきますが、御指摘のこの外国格付会社あての意見書というのは平成十四年に日本の国債が格下げをされたときに行われたものでありまして、その格下げされた理由を客観的に説明してみろといった文章なんですけれども、財務省歴代の中で海外に出された文章としては最も格調高い英語で最もまともなことが書いてあった話で、僕はあれべた褒めしたんですけれども、それが黒田財務官のときだったと思いますが。
 これは、僕はよく、スタンダード・アンド・プアーズじゃなくてプアスタンダーズというのが正しいんだといつも言う。これはちょっと、削除させたりしてちょっと文章訂正しておかないと問題になるのかね。まあいいや。とにかく問題なんですよ、ここは、私に言わせると。スタンダード・アンド・プアーズとかフィッチとかいろいろございますけれども、こういったところに対してボツワナより低い理由を言ってみろということを抗議した文章なんです、あの文書は。大体、自国通貨で国債を発行しているところで、どうしてそんなところで財政破綻なんか起きるんだと、起きるはずがないじゃないかということが簡単に言えば私みたいな言い方で、上品にきちっと書いてある文章だったと、私にはそういう具合にありますんで、決してあの文章を出したからといって日本の財政健全化というものを我々は否定するわけではないんであって、今後とも財政の健全化というものを我々はやっていかねばなりません。
 少なくとも、あのころ国債、国債というか、GDPに対する比率からいきましたら、あのころに比べれば、対GDP比があのころは一四〇%ぐらい、今は二〇〇%近くになろうと思いますんで、そういった意味じゃ今の方がよほどその点だけを見ればきついことになっているということになろうかと思いますけれども、基本的には、我々としては自国通貨でやっているんであって、今、自国通貨でやっている国は日本、アメリカ、イギリス、スイスぐらいですかね、それぐらいのものだと思いますけれども、そういった国で自国通貨建てでやっている国においてはデフォルトなんというのはあり得ぬでしょうがというのが書いてあるあの文章というのは、今でも基本的に正しいと思っております。
#29
○金子洋一君 ありがとうございます。私も全く大臣とその点同感であります。
 じゃ、ちょっとこの文章の内容についてお尋ねをさせていただきたいと思いますが、これは副大臣にお尋ねをさせていただくことになるんでしょうか。では、副大臣にお尋ねをさせていただきます。
 現在も基本的にこの財務省の見解と食い違いがないということを承りました。特に、このスタンダード・アンド・プアーズあて返信大要というところにいろいろ興味深いことが書いてあります。一つは、金利上昇についてですね、あるいは企業の貯蓄についてと申し上げた方がいいのかもしれませんが。これ、副大臣、お手元にお持ちでしょうか、このペーパーは。お持ちじゃない。S&Pあて返信大要というやつ、お持ちじゃないですかね。
 そうですか。お探しになっている間に内容をちょっと読ませていただきますが、その真ん中、2の(1)で、これは大臣がおっしゃったことと重なるんですが、日本国債は現在九五%が国内でかつ低金利で消化されていると。また、二〇〇一年は、一般政府部門の赤字三十二兆円に対し、民間の貯蓄超過は四十二兆円である。さらに、当面、経常収支の黒字は継続し、資本逃避のリスクも大きくない。したがって、資金フロー上の制約はないということ。これが2の(1)です。
 あともう一つ興味深いのが、3の(2)で、マクロバランスとの関係では、貴社は、景気が回復し銀行の新規融資が増加し、金利が上昇すると財政赤字の削減は困難となるとしている。しかしながら、このような状況では、名目、実質双方の成長率が高まり、税収が増え、不良債権処理が促進されることから、むしろ財政再建を進める上では歓迎される。金利上昇の懸念のみを強調して、景気回復に伴うはるかに大きな効果を無視するのは適切ではないというのが3の(2)でございます。
 これについてちょっとお尋ねをしたいわけでありますけれども、まず、よく世間で国債の利率が上がる、国債の価格がつまり下がるというようなことが起きた場合に、いろいろ試算をしまして、あるいは日銀なども試算をいたしますけれども、金利が上昇をするということで金融機関に悪影響がある、あっ、これは副大臣といっても、そうか、金融庁副大臣でいらっしゃる寺田先生ですね。済みません、失礼しました。お持ちじゃないのは当たり前です。失礼しました。
 ちょっと別の問いに入ってしまいますけれども、そういった国債の金利上昇、あるいは金利上昇そのものが銀行への悪影響を与えるという試算がよく出てまいります。これは悪影響を過大評価し過ぎているのではないかと私は思っております。つまり、国債を今現在大規模に取り扱っておられる金融機関というのは、過去もまた大規模に取り扱っておられたものがほとんどであろうと思います、特に我が国の場合は。となりますと、過去に新発国債を購入をしたということは、それによりまして大変大きな利益を上げていただろうというふうに考えられるわけであります。
 そういったことも、過去の蓄積も含めますと、そういったよくある試算というのは大変悪影響を大きく見過ぎているんじゃないかと思うんですが、済みません、これは寺田副大臣にお尋ねをしなきゃならないところを失礼いたしました。
#30
○副大臣(寺田稔君) お答えをいたします。
 確かに、金利下落局面、これによりまして国債価格が上昇して、金融機関も御承知のとおり昨今は一兆円を超える巨額の経常利益を計上しているわけであります。この金利の下落と上昇、それぞれ金融機関の経営に影響を与えるわけでありますが、上昇局面になりますと、委員御指摘のとおり、国債価格が下落をいたします。これだけを見れば、その局面においては損失要因になりますが、貸出金利も同様に上がるわけであります。これは、いわゆる預貸スプレッドが広がることによるいわゆる本業の利ざや、これが増える要因となってまいります。したがって、金利上昇したから直ちにその利益が吹っ飛ぶという構造にはなっていないことは委員御承知のとおりであります。
 この国債保有という側面だけ見ますと、長期的なこの金利の下落の期間、ターム、あと金利上昇の期間、この期間がどっちが長いか短いかによってかなりの程度に影響を受けるわけでありまして、通常、金利下落局面というのは長期的にだらだらだらだらと続くわけです。金利上昇局面というのは割と瞬時にやってまいります。
 例えば、大きなショックであるとか、いわゆる金融危機のときは瞬時に上がると。瞬時に上がると、確かに瞬時にその含み損が発生をするわけでありますが、これも直ちに実現をするわけではないということでありますので、むしろ長い目で見ると、国債の大量保有は、同じ幅上がったり下がったりしたとしても、金利下落局面の期間の方が長いがために金融機関の経営にとってはプラスであるというふうな側面もあろうかと思います。
#31
○金子洋一君 ありがとうございました。
 金利の動きだけを見ますと、まさにそのとおりで、何も異論を唱えるつもりはございませんけれども、ほかに、例えば都市銀行で、最近、都市銀行と言うんでしょうか、都市銀行で見ますと、国債の保有比率というのは多分大体四分の一ぐらいだと思います。それ以外は、突き詰めて言うと、土地や株式といった資産になってくるんだろうと思います、貸出しも含めてですね。となりますと、金利上昇局面で土地や株も、これは同時に上がってくるんではないかと思うんですが、この点に対していかが副大臣お考えでしょうか。
#32
○副大臣(寺田稔君) これはまあ、どちらが鶏でどちらが卵かという部分がございます。確かに、金利というのは実物資産の収益の利回りと裁定関係が働きます。したがって、金利が上がるということは、まさに実物資産の収益率が高まっているからこそ金利が上がる。また、おっしゃるとおり、実物資産の利回りと株価利回りもこの裁定関係が働きますから株価も上がっているというのが大宗であります。
 したがって、いわゆるリーマン・ショックとかショック性の金利上昇でない、通常の景気の上昇に伴う金利の上昇、こうした局面においては、おっしゃるとおり、株価も上がり、また企業の収益も上がっているのが通常の姿でありますので、当然それが金融機関の経営にプラスの影響をもたらすことになると思っております。
#33
○金子洋一君 ありがとうございます。
 さらに、その点、特に土地や株の方についてですけれども、景気が回復をしていく過程ですと、まさにショック性ではないわけですから、銀行のバランスシートにはいい影響を与えるというのが通例だというふうに考えてよろしいでしょうか。
#34
○副大臣(寺田稔君) その点について申し上げれば、おっしゃるとおりであります。もちろん、金利上昇による国債価格の下落あるいは債券価格の下落という面は、これはもちろんさっきも申し上げたとおりマイナス要因ですが、その実物経済の向上あるいは株価の上昇は明らかにプラス要因であります。
#35
○金子洋一君 ありがとうございます。
 世間には、国債が破綻をするとか、そういうようなことをよくおっしゃる方がいらっしゃいますので、全く私はそんなことはあり得ないと思っておりますので専門家にお尋ねをしたかったわけでありますけれども、思ったとおりのお答えをいただけましたので、大変安堵をいたしました。
 続きまして、これはどちらの副大臣にお尋ねすることになるのか。今後の国債の利率の動向なんですが、二%のインフレ目標が導入をされたということでありますけれども、そうなりますと、いずれ金利は上がるんだろうと思います。ただ、それは、よくリアルビジネスサイクルの学者さんなんというのは、すぐに金利が上がると、フィッシャー効果が一瞬にして効いてすぐに金利が上がっちゃうんだみたいなことをおっしゃいますが、そんなことは私はとても信じられませんし、そういった実例はないんだろうと思います。
 そこで、こういったデフレ脱却期と申しますか、あるいは世界恐慌期を含めてでも結構ですけれども、そういった景気が回復をしていくとか、デフレ脱却をしていく過程で金利が急上昇をするという事例はあるのかと、あるいは現在の量的緩和政策を取っている英国ですとか米国ですとか、あるいは北欧も含めていいと思いますけれども、そういった諸国で金利の動向というのはどういうふうになっているのかということをお尋ねをしたいと思いますが、どなたかお願いをいたします。
#36
○国務大臣(麻生太郎君) 先ほど一番最初に申し上げましたように、デフレーションというのは、これは一九四五年、さきの戦争に負けてこの方、デフレーションをやった国がありませんので、過去に例があるかというと、これはもう一九三〇年代の、いわゆるウォールストリートの株の大暴落に伴ったあの一九二九年九月以降のあのデフレーションしか例がないんですが、そのときに今言われたような例がなかった、急激に金利がいわゆる上昇したことはなかったというのは、歴史的にはそうなっております。
 また、これは、国債の金利というのはそれだけで決まらず、いろいろな要因で上がったり下がったり、いろいろな部分がするのはあれですので、物価上昇率との関係のみでこれで決まるというのは、そうはなかなか言えないところなんだと思っておりますが、金融緩和のために日本銀行が国債を大量に買い入れれば、これは需給が逼迫するわけですから、当然のことで国債金利の低下の条件になるという、これははっきりしていると思います。一方で、インフレ期待の方が上昇したりすると、財政に対しまして、日銀の財政ファイナンスに対する疑念というのがあって、リスクのプレミアムが上がってきますので、そうなると国債金利の上昇になるということも確かだろうと思いますが。
 いずれにしても、国債金利が上昇するということは、これは財政、さらには経済、国民生活等々、各般にわたって重大な影響が及びますので、これは日本銀行としては、金利全般が経済に与える影響というものに、これは十分日本銀行として配慮をしてもらわないかぬ、その上で金融政策をしていただかないかぬということになろうと思いますけれども、政府といたしましても、これは持続可能な財政構造というのをきちんと確立しておかないと、これは国債に対する不信ということになりますので、そういった意味で、我々としては、財政構造を我々きちんとやっていきますという姿勢というものはきちんと示しておかねばならぬ、そういったことを着実に取り組んでいかないといろんな意味で影響が出てくると、我々はそう思っております。
#37
○金子洋一君 ありがとうございます。
 もちろん、大量に国債を発行せよというようなことを申し上げているわけではございません。現在の諸外国ではどういうふうになっているというふうにお考えでしょうか。
#38
○国務大臣(麻生太郎君) 諸外国の金利……
#39
○金子洋一君 そうです。国債金利の動向が、まさに物価が例えばインフレ目標を導入して二%ぐらいになっている一方で、国債の金利がどうなっているのかと。アメリカですとか、イギリスですとか、北欧ですとか、そういったところでどうなっているでしょうか。
#40
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的には検討せねばならぬところだと思いますけれども、各国いずれも、今、金融は、日本より先にもうどっと金融を緩和をして、リーマン・ブラザーズのあの事件以降大量に金融は緩和しておられますので、その意味におきましては、直接今その関係がというのは見えるところではございませんけれども、これは引き続き、関係がどういうことになっているかというのは検討せねばならぬところだと思っております。
#41
○金子洋一君 実際には、例えばアメリカなりイギリスなりは物価上昇率が二%近いという状況で、国債の金利はそれでも〇・幾つとか、そういった形でマイナスの実質金利になっております。つまり、現時点でそういった国債金利の暴騰というようなものは先進国では起きていないということが、これが現状なんだろうと思いますし、そういう状況が、つまり実質金利がマイナスになる状況が、インフレ目標政策を取っている間、かなりの期間続くんではないかなと私は思っておりますが、もしこの私の見解について何らかのコメントがありましたらお願いします。
#42
○国務大臣(麻生太郎君) 御存じのように、インフレターゲットという言葉自体は、インフレを低く抑えるためにターゲットをつくるというのが通常使われるので、デフレをインフレにするためにインフレターゲットをやったという例は過去七十年間一回もありませんので、我々は今初めてそれをやっておるわけですけれども。
 いずれにしても、インフレターゲットという言葉を、目標という言葉を言っていただいた、日本銀行から、ということになりましたので、その意味では、今言われたように、少なくともイギリスとかアメリカとかいう自国通貨でいわゆる国債を発行している国等々を見れば、今おっしゃいましたように、実質金利というのはこういうふうになっているということは事実だと、私どももそう思っております。
#43
○金子洋一君 ありがとうございます。
 それでは、また黒田財務官のペーパーにちょっと戻らせていただきたいんですけれども、先ほどスタンダード・アンド・プアーズあての返信のところで、2の(1)と3の(2)ということでお話を読み上げさせていただきました。特に3の(2)についてなんですけれども、ここに書いてある「景気が回復し」、これはS&Pが言っているんですが、景気が回復し銀行の新規融資が増加し、金利が上昇すると財政赤字の削減は困難となるとしているということで、これに対して当時の黒田財務官は反論をしているわけです。そうではないと言っているわけです。
 現時点でも財務省は、こういったS&Pが言っているステートメントに対して、これは間違っているよというふうにお考えでしょうか。
#44
○国務大臣(麻生太郎君) この問題に対しては、このときの情勢というものは、先ほど申し上げましたように、日本の置かれています状況というのは、対GDP比に対する国債の比率が一四〇%が二〇〇%まで悪化しているという点は事実としてございますけれども、基本的に書いてあることに関して今と違っていることはございません。
#45
○金子洋一君 ありがとうございます。
 また、2の(1)についても、つまり、これもほぼ確認のような形になりますけれども、国内の消化が九五%、そして、一般政府部門の赤字三十二兆円に対して民間の貯蓄超過が四十二兆円だと。これは大臣もよく御存じのことだと思いますが、したがって資金フロー上の制約はないという記述。
 経常収支については、この一年、二年はちょっと悪化の傾向にございますが、この悪化の原因の大きなところは、LNGですとかそういった発電用の原料の輸入額が増えているというところであろうと思いますし、またこの点については、自民党さん、公明党さんの政権で手を打たれるということを承知しておりますので、この経常収支の問題も黒字に恐らくなってくるだろうということを考えますと、この2の(1)についても、この書き方というのは正しいというふうにお考えになられると思いますが、いかがでしょう。
#46
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的に我々としては全くこのとおりなんだと思っておりますけれども、この二年間ぐらいの間、簡単に言えば、多分、石油代金、ガス代金というものが、原発の電力に代わるものとして急遽古い火力発電所を稼働させてみたり、急にスポット買いをしたために石油またガスの値段が急激に上昇、それに伴って貿易収支が大赤字ということになったのが一番大きな理由で、経常収支にまで響いてきたんだと、私どもは基本的にそう思っておりますが。
 これは、私どもにとりましては、少なくともリーマン・ブラザーズのとき、発生したあのときには日本は経常収支も貿易収支も黒字ですから、あのときはそういった状況にもありましたので、我々は、当時、為替換算は百八円ぐらいだったと記憶していますけれども、それがどんどんどんどん円が高くなってドルが安くなって、七十五円ぐらいまでドルが下がったあのときも我々は耐えた。なぜなら、経常収支も貿易収支も大黒字だったから。今は両方とも赤やと。したがって、日本が七十五円が九十円になろうと九十五円になろうと、ほかの国からぶつぶつ文句を言われる必要はないと、我々は赤なんだから、今。今はあの当時とは全く時代が違うということで、今は事この問題に関しては起きていない、その種のクレームは起きていないと存じますけれども。
 いずれにしても、基本的にこれが一番大きくて、日本は対外純資産世界一等々、いろいろなものは私どもの持っている大きな強みだろうと思っておりますので、そういった国の債権に関するものを見ないで、こういったところの評価の仕方はおかしいのではないかという当時の黒田財務官の反論というのは、今日でも基本の反論のベースは同じだと思って、私どもは正しいと思っております。
#47
○金子洋一君 ありがとうございます。
 大変、大臣の極めて御経験に裏付けられた識見のあるところをお聞かせいただけたと思います。これからは、大臣の経済に関するお考えをちょっと直接お尋ねをさせていただきたいと思います。
 三月十五日のあの衆議院の財金委員会で大臣が様々な方に答弁をなさっておられまして、その中で、二〇〇一年から二〇〇六年までの我が国の量的緩和が無効だったという御発言を複数回なさっていらっしゃいます。我が国の量的緩和は長期国債を市場から買い取るという方法で実現をされていたわけでありますけれども、この量的緩和が無効だったとおっしゃることについて、私はかなり、そうではない、有効だったと思っておりますが、改めて大臣に、どうして無効だったとお考えなのかということについてお尋ねをしたいと思います。
#48
○国務大臣(麻生太郎君) これは二〇〇一年から二〇〇六年までの話をしたが、これはちょうど小泉内閣のときだったと思いますけれども、あの当時何をしておりましたかね、政調会長やら何やらさせていただいたんだと、総務大臣、そういうのをさせていただいた時期だと思いますが、この日本におけます長期、もうかなり長期にわたるデフレーションというものは、これはバブルが崩壊、バブルが崩壊というのは人によって定義が違いますので、多分一九八九年十二月の二十九日、東京証券取引所の終値が三万八千九百十五円かな、それが多分株価の最高値を付けたんですが、その翌年から、九〇年からどおんと株は下がっておりますが、土地はまだ九〇年、九一年と上がっておりました。それが下がり始めたのは、九二年から下がり始めたんだと記憶をいたしますけれども、これによりまして一挙に、企業にとりましては動産も不動産も、企業の持っております資産というものがどおんと低下をすることになりましたので、バランスシートでいきますと、簡単にいけば債務超過みたいな形になりますので、そういったものが長期化していきますと、需要の不足というものが出たために、二〇〇一年から二〇〇六年までの間、デフレーションというものから脱却するには需要を創出するということが必要だったんだと、私はそう思っております。
 したがいまして、量的緩和というものを、たしかあのときは大分長い期間あって、二十兆、二十五兆、三十兆、一番多いときで三十五兆ぐらいまで日本銀行は金融を緩和したんだと記憶しますけれども、私もそういったことを申し上げて、その後もデフレ状態というのは変わらずずっと続いておりますので、日本経済には今度はデフレになるんだという予想が定着して、早い話がデフレ状況から脱却するためには、もう来年も下がる、再来年も下がると思い、物は特に買わないということになりまして、こういったデフレーションの予想が固定化されちゃったことを払拭するということが、これは絶対なんだと私どもはそう思っております。
 したがいまして、今回三本の矢というのを申し上げさせていただいたのも、このデフレ予想を払拭させるためには、これは、金融政策の緩和というのは極めて大きな一番目の矢なんですけれども、二番目に財政も機動的にと、そして経済成長もという、この三つ一緒にやらねばならなかったんだと思いますが、あのときの二〇〇一年―二〇〇六年は、その第一のところだけがなくて、御存じのように、日本銀行が幾らお金を緩めましても、市中銀行に、まあ日銀に当座預金がたまりますけれども、それから先、お金が市中銀行から市中の企業に、若しくは個人にお金が出ていくことになりませんと、実需とかそういった実体経済が大きくなっていかないということになりますんで、その意味では、私どもから見ますと、あれは残り二つが足りないというのかな、今でいえば二つ足りない。金融緩和だけでは駄目で、財政も一緒にやらない限りは絶対駄目ですということを申し上げたのがその背景であります。
#49
○金子洋一君 ありがとうございます。
 需要を創出することが必要だと、大切だということをおっしゃったんではないかなと受け止めさせていただきましたが、例えばバランスシートが、企業のバランスシートが傷んだということをおっしゃいました。企業のバランスシートに、じゃ、金融緩和はどういうふうに影響を与えるとお考えでしょうか。つまり、言い方を変えると、金融緩和は資産価格にどういう影響を与えるとお考えでしょうか。
#50
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、中央銀行によります金融の緩和というのが起きますと、これは簡単にはインフレになるかもしらぬという期待インフレ、物価上昇率というのが上がってきますんで、ある程度持続的な、経済成長とうまく整合的な形でいきますと、少なくとも株価とか地価とか、そういった資産価格の上昇につながっていくということが基本的にはそういうことなんだと思っております。
 ただ、他方、金融緩和の副作用というのは必ず起きますんで、必要以上に余った金というのはどこに行くかというと、通常は株と土地に回る。他国でも同じようなことが起きるんで、この資産バブルというのが急激に発生する可能性というのがありますんで、そこのところは常に副作用として起きるということを覚悟して常にバランスをよく見とかないかぬ。バランスというのはバランスシートじゃなくて、それをコントロールする側の日本銀行にしても政府にしても、これが崩壊したときにはどんなことになったかというのは、もう過去我々何回となく経験しておるところなんで、そういったところを考えて、留意をしながらこういったところをやっていかないかぬと思いますんで、金融面での不均衡な蓄積というのをこれは考えないかぬところなので、そういった意味では、リスク要因というのは常に片っ方にありますよということを思いながらやっていかないかぬところなんだと、私どもとしてはそう思っております。
 いずれにしても、実需というものが上回るようなことになりませんと、金が回るようなことになりませんと、そういった意味では、金融の面だけで緩むと、その分は偏った、経済面で一点だけにとか偏った、土地とか株とか不動産とか、そういった偏ったところに金が行く、偏るということを我々としては注意深く見ておかねばならぬところだと考えております。
#51
○金子洋一君 ありがとうございます。
 ただ、先日の財金委員会でも財務大臣はバランスシート不況がデフレの原因だったというふうに、これはどなたでしょうね、小池委員に対して御答弁なさっています。金融緩和をすると土地や株の価格が上がる、仮にバブルであっても上がるということであれば、これはバランスシートは良くなるわけですよね。そうしますと、バランスシート不況がデフレの原因であれば、金融緩和をすればそういった資産を通じた経路によってデフレから脱却ができるということになるんじゃないでしょうか。
 特に、土地や株といった資産を通じてデフレからの脱却ができるというのは、私だけが言っているわけじゃ全くありませんで、内閣参与の浜田先生や本田先生もこれは全く同じことをおっしゃっているんですが、大臣の御所見、いかがでしょうか。
#52
○国務大臣(麻生太郎君) 間違いなく今言ったようなことになるということは、またはじける可能性もあるということも同時に意味しますので、余り同じことを繰り返すのは愚かなことになりかねませんので。
 やっぱり、企業のバランスシートの調整が長く続いたことはもう確かだと思います。少なくとも、企業が一斉に債務超過の状況になって金を一斉に返済し始めた。経済用語で言えば、利益の最大化をやめて債務の最小化を図ったと多分言うんだと思いますが。
 そういうことをやった結果、企業はせっせこ返済金、企業の利益は全て、設備投資に回ったやつ、配当に回ったやつ、まずは返済金というのをやっていったために、銀行は大量の返済に、返済攻勢という表現が正しいのかどうか知りませんが、返済を浴びたために金を貸す相手がいなくなったという形になって、返す人ばっかりになってきますと金融は金が回っていかなくなりますんで、それが多分九七年辺りが一番ひどかったときで、アジアの金融危機とも重なって、このときは北海道拓殖銀行が倒産し、長銀が潰れ、三洋証券等々、大きな、大手な金融関係がばたばたいかれたのはその傾向。
 ただし、それの後もずっと続いていきまして、バランスシート不況というような意味で債務の超過を消したのは、多分二〇〇五年ぐらいまで大体大手はそういった状況が続いていったんだと思いますけれども。
 いずれにしても、そういうような状況が続いて、さあ今からやってくれるというときにリーマンがまた来ましたんで、またぞろ収縮して、結果として、企業は今度はもうけた金を、返済するところはもう基本的には無借金みたいな形になっている企業が東証上場企業の四三%といいますから、ため込んだ内部留保が二百何十兆ということになってきますと、それを配当に回すか、設備投資に回すか、労働分配してもらうか、給与に回してもらうかと、そういったようなことになっていくべきところが、そのままじっとした状況というのがこの数年間続いているというところが私どもから見て一番問題なんであって。今言われましたように、金融さえ緩めたらまたどうなるかといえば、別に資金に困っていませんから、無借金みたいな状況で続いておりますので、そういった意味で、企業が金を借りて設備投資に回してくれればいいですけれども、少なくともそれをしないで資金が幾ら緩んでも、基本的には過去と同じように日銀当座預金というものが各市中銀行にだけたまるという状況は避けねばなりませんし、またそれが、特定な土地とか株とかREITとかいろいろございますけれども、そういったようなものに回るということは我々としては避けておかないといつか来た道になりかねぬという点は危惧はいたしております。
#53
○金子洋一君 今、二〇〇五年にバランスシートが傷むのが終わったというふうにおっしゃいましたが、それはまさに量的緩和の最中ではないでしょうか。ということになりますと、やはり量的緩和というのはバランスシートを良くすることには効いたし、そういった面で貢献をしたということにもなるんじゃないかと思います。
 あともう一点、これよく量的緩和の効果というときに忘れ去られているんですけれども、先ほども申しましたが、長期国債を市中から日銀が買うことによって量的緩和を行ったわけです。それは何を意味するのかといいますと、日銀の手元に国債がたまる。となりますと、国が利払いをした場合に日銀に行くわけですね、その持っている分は。日銀に入った余剰金の九五%は国に返っていくわけです。
 例えば、今ベースマネーが百三十兆円ぐらいあります。これを五〇%ぐらい、何ていうんでしょうね、量的緩和でベースマネーを増やすと。そのほとんどが長期国債だったということになりますと、五十兆円分日銀にお金が、国債が回っていくと。その五十兆円に対する利払いというのは、九五%が回り回って政府に戻ってくるわけです。ということは、五十兆円分、世の中から国債の発行残高が消えてなくなるということになるわけです。
 となりますと、こういうことも言えるわけじゃありませんか。量的緩和をしたことによって、少なくともその期間は国の財政が大変助かったということが出てきます。実際に、アメリカ、今量的緩和の真っ最中ですけれども、昨年は約九百億ドル、今のレートで申しますと、ですから九兆円、そういった形でFRBから剰余金が入ってきたということがあります。
 そういった大変大きな効果も量的緩和にはありますし、また大臣、大変バブルを気になさっていますが、バブルが生ずる可能性というのも、それは全く否定できないわけじゃありません。ただ、いつ起こるかどうか分からないのがこれまさにバブルだとも言えるわけで、いつ起こるか分からないバブルを余りに恐れるよりは、そういったことを除けば弊害がほとんどないであろう量的緩和を取ることが我が国の経済政策として今後望ましいんではないかなと私は思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
#54
○国務大臣(麻生太郎君) バブルは、もう最初に、経済史でいけば、多分オランダのチューリップ・バブルに始まり、イギリスの南海泡沫が十七世紀ぐらいから、ずっとこの種のバブルというのは、何回もあってははじけ、あってははじけして、常にバブルは起き、常にはじけるというのも歴史的事実なんですが、そういった意味で、我々としては、それに伴って起きます弊害のところも、ある程度なるべく自然に行くという方向を常に考えながらやっていかないかぬところだと思っております。
 したがいまして、今おっしゃいますように、量的緩和をして、確かに一九九五年、六年ぐらいから、日本銀行、政府が大量の国債を発行して、市中に余った余剰、過剰貯蓄、そういったものを政府が、年間二十兆、三十兆と買い上げてくれたから、日本の政府のあれは、何というの、発行する債券、国債は増えましたし、しかし、逆に言えば、おかげさまでGDP五百兆はこれだけデフレーションにもかかわらずほぼ維持し、ドルでいけば約五兆ドルを大体維持し、そして同時に、御存じのように、その分だけ、大量の国債が出た分だけ政府の借金だけはえらい増えました。
 それが事実でありますので、結果的に一四〇%が二〇〇%に膨れ上がっていったという背景でありますので、少なくとも日本が最大のそういった意味では債務を負っており、政府が負っているというのは事実ですので、こういった状況もある程度考えておかないけませんので、少なくともGDPが増えていくことによって、この債務の比率は今の二〇〇%が一五〇になり、下がっていくということも同時に頭に入れてやっておかねばならぬところだと思っております。
#55
○金子洋一君 あと、更に追加的にお尋ねをしたいんですが、銀行にお金が幾らあっても貸出しに回っていかない、なぜなら企業に資金需要がないからだとおっしゃいました。
 仮にそれを正しいとして議論を進めますと、企業に資金需要がないということを前提にしますと、例えば政府が財政支出をする、その財政支出の資金は国債を発行するということになります。十兆円国債を発行して十兆円の財政支出をすると。十兆円の財政支出をして、民間企業が十兆円分の受注をしたとします。あるいは、家計に十兆円分のうちの幾ばくかの労賃が回ったとします。
 ただ、おっしゃるように、それから先回らないということを前提とした場合には、これは十兆円の公共事業を出しても十兆円の需要しか増えない。その十兆円というのはどこから調達したかというと、市中から十兆円調達をしたんだということになりますと、乗数効果が一切働かないわけですね。乗数効果が一切働かない公共事業というのは、これは全く意味がないんじゃないでしょうか。少なくとも景気浮揚の効果は全くないんじゃないでしょうか。いかがお考えでしょうか。
#56
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的には一対一ということになりますとおっしゃるとおりです。そういうことになることは確かだと思いますが、しかし、仮にですよ、仮に、乗数効果の計算の仕方は難しいと思いますけれども、アメリカが同じような状況に陥った一九三〇年代後半ということになるんですが、このときにアメリカが造ったものは、例えばサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジもこのときできましたし、それからニューヨークのあそこのハドソン川に架かった橋もできましたし、それから、何でしょう、アメリカの大きないわゆる公共工事、あのフーバー・ダムと言われる、今ラスベガスを支えておりますあのダムも、巨大な無駄な公共工事と言われたあのフーバー・ダムが今のラスベガスを支えております。
 一切の公共工事というのはかなり大掛かりな無駄なものだったと思われたものが、結果としてはすさまじい大きな効果を生むことになっていったと思いますので、公共工事はその時点で見れば乗数効果ゼロという可能性はあるのかもしれませんけれども、長い目であるという点が一点あろうとは思います。
 しかし同時に、やっぱりそういった、もうGDPは御存じのように、個人消費、企業の民間投資、そして政府支出、この三つ、ほかにも純輸出とかいろいろありますけれども、基本的に大きなもの、GDPはこの三つででき上がっておりますけれども、その三つのうちの上二つがまず、上二つ、下二つが、個人消費と民間設備投資が全く動かないという状態になりますと、これはもう政府支出で動かしていく以外に方法がないんだと、私はそう思っておりますので、財政再建よりは機動的な財政運営だということを申し上げて約三か月間来たんですけれども、少なくともそれを動かない限りは、下の二つが、ああ、政府は方向を変えたんだという方向を見ると、企業は、じゃこれで道路が出る、仕事が出るとなれば、そこでブルドーザーを買ってみたり、ロングブームを買ってみたり、サイドダンプローダー買ったり、いろんなものをみんなするんだと思いますけれども、そういうようなものが出ていくと初めて民間の設備投資がそこに湧いてきて、そしてそれが結果的に給与に回ってというような形に回って消費に回る。
 したがって、いわゆる三本目の矢というのは最も大切なことになるんだと思いますので、最初に動かさねばならぬところが政府によります財政出動、それを裏付けられておりますのは金融の緩和等々というものが非常に大きな要素に占めることは間違いないと、私もそう思います。
#57
○金子洋一君 ありがとうございます。
 大臣のおっしゃっていることは、いわゆる呼び水効果であろうと思っておりますが、ただ、まさにデフレの環境で呼び水効果が働くとは、これはちょっと考えられないんじゃないでしょうかということが一点です。
 あと、そのTVAの例などを出されたと思いますが、世界大恐慌からの脱出について、アメリカの場合、公共事業の役割を大きく見るという視点は、これはもう随分前に否定をされておりまして、今のFRBの議長のバーナンキさんなんというのが大恐慌の研究の第一人者ですが、あれはもう基本的に金融政策を緩めたから脱出することができたんだということが定説になっております。
 それを踏まえますと、公共事業のことをおっしゃいましたが、例えば教育に、これ公共事業の代わりにお金を投入したらいかがでしょうか。と申しますのも、第三本目の矢、経済成長ですけれども、経済成長、成長戦略何とかというのはこれまでの政権で何回も何回もつくられてきております。私ども民主党の政権でもそうでした。ただ、これはありていに申しますと、どれもが予想どおりに働いたわけじゃありません。そういった産業政策が必ずしも効かないというのが最近の経済状況じゃないかと思います。
 となると、経済を成長させるためには何が必要かということになると、資本を蓄積することと、あと労働力を増やすということですね。特に労働力を増やすということになりますと、優秀な労働力が多ければ多いほど経済の潜在成長率というのは伸びます。ところが、今、日本は公的教育に対する支出が、OECDのデータでほぼ一番下とか下から二番目です。そういったところにお金を回すことによって、より経済成長を強化することができるんではないか。さらに、企業ですと、お金は余り使わないかもしれません。しかし、お子さんの教育ということになれば、最近の家計は幾らでもこれお金使います。これ、我が家でももういろんな教育をさせていただいている。子供は迷惑かもしれませんけれども、とにかく勉強してくれよということでやっています。
 そういうようなことで考えますと、公共事業よりもそういった教育にお金を回した方が私はいいと思いますが、これについて、大臣、いかがお考えになるか、これお尋ねをしまして、そろそろ時間になりますのでこれを最後の質問とさせていただきます。
#58
○国務大臣(麻生太郎君) 間違いなく、今回の我々の例えば公共事業、例えば例のいろいろ御意見のありました補正予算におきましても、公共事業以外のものとして、私どもは、手っ取り早く出ていくものとしては、補修とか改修とか、いわゆる落盤事故なんかありましたので、そういった意味に対しての補修事業、これはもう土地代にお金が行きませんから、間違いなくすぐ仕事が出てくる、地方にお金が回るということで、これ主にやらせていただきましたけど、同時に人材育成等々で約二千八百億円ぐらいのものをそういったところに回したりもいたしております。
 また、本予算の中においても、贈与の形として、少なくとも教育関係に関しては、一世代飛んで親が孫の教育にというのであればその分だけは無税にしますとかいろんな形で、従来ですと、そこに相続税が掛かるような話のところを飛んだりさせていただいておりますので、教育というものに関しまして、特に安倍内閣の場合は御自身が教育に非常に熱心であることもこれあり、そういったところに関していろいろ配慮をしておられる。
 私どもも、それを受けまして、予算編成に当たりましてはそういうところを十分に考えておりますので、教育というところにきちんとしたものをやっていくべきという方向に関しましては私どもも同様に考えております。
#59
○委員長(藤田幸久君) 金子洋一君、時間でございますので、おまとめください。
#60
○金子洋一君 はい。
 今日は長時間ありがとうございました。いろいろ質問が残っておりますが、それはまた別の機会にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
    ─────────────
#61
○委員長(藤田幸久君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、大塚耕平君が委員を辞任され、その補欠として広田一君が選任されました。
    ─────────────
#62
○西田昌司君 自民党の西田でございます。
 今、金子理事の質問を聞いていまして、ほとんど我が意を得たりというところがあったんですが、最後だけちょっと合わなくて、続きを引き受けさせていただきまして、引き続き麻生大臣に質問したいと思います。
 それで、今、金子理事からもずっと質問があったんですが、結局、あのバブルの後、デフレが長い間、二十年近く続いてまいりました。このデフレが一体何であったのかと。この原因が何であったのかということがはっきり分からないと、これから安倍内閣はデフレからの脱却ということでアベノミクスされているんですけれども、今のところ、これ順調にその政策効果が発揮されているというか、期待先行なんですけれども、なっていると思うんです。
 そこで、私は、今ずっとお話聞いていましても、麻生大臣のお話は、私、本当に我が意を得たりのところがありまして、安倍内閣でやってこられたのは、今やってこられようとしているのが大胆な金融緩和だし、それから、それだけでは日銀当座預金が大きくなるだけで直接市場に出ないので、政府支出をどんどん積極的にやっていきましょう、その結果としてまた民間投資が増えていきますでしょうと、こういう話であるわけなんですね。そのとおりだと思うんです。
 とすると、そもそも、じゃ、この二十年間、何でこのバブルの後、デフレになっていたのかと。今ずっと説明聞いてましても、実は、黒田財務官時代のホームページに出ているあの文書も私そのとおりだと思うんですけれども、じゃ、そこまで言っているんだったら、何で自民党政権のときに、国債大丈夫だと片っ方で財務官が言いながら、もう片っ方で、いや、国債がこれ以上伸びてくると悪いんだ悪いんだという話を言っていたんですよね。実は、あのオオカミ少年の話をずっと自民党政権時代にやってきてしまったと。
 ある意味でいいますと、財務省といいますのは、これは入るを量りて出るを制する、これは、だから税金取るのと予算使うのと、この仕事をしているのが財務省ですよ。ところが、あの当時、今から考えますと、税金を本当は取る仕事もやらなきゃならなかったんだけれども、税金取るのを放棄しましたね。まず、増税はしないと、そして減税をしちゃうんだという話になっちゃって、そこから私、話が変な方向に行っちゃったと思うんですよ。その当時、麻生総理は、財務大臣ではなかったわけですが、実は非常にじくじたる思いが持っておられたんじゃないかなと思うんです。
 そこで、せっかく、今回、安倍内閣の財務大臣、副総理という形でまさにアベノミクスの一番の先鋒役、これは私は実は、アベノミクスと言っておられますが、本当はアソウノミクスだと思うんですよね。実は、麻生総理大臣が、麻生総理があのリーマン・ショック以後されてきた政策が今のアベノミクスの私は基になっているとも思っているんです。
 そういうことで、こういうことについて今日はお聞きしますが、まず、あの二十年間のデフレは一体何だったのかと、その辺のところを率直にちょっともう一度お話聞かせていただけるでしょうか。
#63
○国務大臣(麻生太郎君) これは様々な話がありますので、少なくとも、先ほども金子先生の御質問にもお答えしていたんですが、少なくとも一九二九年のウォールストリートの株の大暴落、当時、フーバーという人が大統領だったんですが、この時代に、早い話が、デフレーションによる不況というのはアメリカ発で世界に広まって、日本もその例外ではなかった。そのとき、日本は犬養毅内閣、斎藤実内閣の時代だと記憶しますけれども、そういう時代にあっては間違いなく日本はどうしようもないといったときに、元内閣総理大臣だった高橋是清という、原敬の後、出てきた高橋是清という人が、デフレにはデフレ対策だといって、公共事業やります、雇用対策やりますと、徹底して社会インフラの整備をやって、間違いなく今次不況を世界最初に脱出する、日本は世界最初に脱出せり、これはたしか時のウォール・ストリート・ジャーナルだと思いますけど出ていた、新聞に。
 多分、僕の、ここからは間違いなく自分の独断と偏見でいえば、この新聞を読んだのが多分フランクリン・ルーズベルトという人だったと思うんですね。この人はこれを見て、おお、これこれと言うので、これをそのまま借用されて、それをニューディールという名前の包装紙に包んで、これが俺の新しいディールだと言って、一九三三年のアメリカ大統領選挙にこれを出されたんだと思うんです。この出された結果、彼は大統領になって、事実、これは日本の民主党と違ってマニフェストどおりに実行された、間違いなく。
 結果として、物すごい勢いでアメリカは景気が直って、GDPが半分というんだから、今、日本でいえば二百五十兆円ぐらいになっちゃったGDPを元に四年間で戻し、失業率が二四・九といいますから四人に一人だったものが、少なくとも一二・〇だか一%までやっぱり四年間で戻していますので、やっぱりこれ当たったんだと思うんですね。
 したがって、これしか我々にはデフレ対策をやったというのが世界の歴史にこのとき以外ありませんものですから、日本の戦後はこれ、インフレ対策をやってきただけで、デフレ不況対策をやった経験がありませんので、我々はこれをもうすべきではないかということを申し上げたんですが、残念ながら当時は多勢に無勢で、もう全くその種の話は認めてはいただけませんでした。
 闘った相手は竹中平蔵という方だったんですけれども、ここまで言うといかがなものかと思いますけれども、この方とは徹底してもう駄目でしたので。あちらは金融さえ緩めればという御説だったので、絶対、実体経済が伴わなきゃ駄目ですということを申し上げたんですが、残念ながら私の方は負けた方ですので。
 そういった意味では、今言わせていただければ、バブルというもののはじけるというのは、もう先ほどちょっとこれも金子先生に申し上げましたけれども、十六世紀のオランダのチューリップ・バブル、あるいはイギリスの十七世紀のあの南海泡沫に始まり、ITバブル、いろいろバブルありましたけれども、昔からいつとはなしに始まってぱっとはじけるんだと思いますが。
 日本の場合は、はじけるのに、バブルがばっといったのはやっぱり一九八五年の円高不況といういかがわしい名前の不況がありましたけれども、実は円高好況になったのは御存じのとおりで、二百四十円が百二十円までドルがばんと崩落したんですが、それ以後、八六、八七、八八、八九、ばっと土地が上がり、株が上がり、世界に日本が出ていったということで、あの円高による好況メリットというのを大いにやったんですけれども、やっぱりもうかった金が土地とか不動産とか特定のものに偏り過ぎて、結果として不動産バブルが飛んだのは九二年だと思いますが。
 こういった形になっておりますので、私どもとしては、あれからやっぱり学んでおかねばならぬことは、これは歴史じゃなくて経験ですから、少なくとも今回もこのアベノミクスという、この三つをやらせていただくに当たって、第一は間違いなく金融の緩和、これはもう先ほど金子先生がおっしゃるとおりです。これをやらない限りは、とてもじゃないんですが。これで日本銀行とお話合いをさせていただいて、きちっとした、日本銀行が二%やります、オープンエンドで金は出します等々、できるだけ早期になんて。これはもう役所用語で一番信用しちゃいかぬ、できるだけ早めにやりますなんというのは、とてもこんなのは、前向きに検討しますと同じような意味ですから余り信用しちゃいかぬ言葉で、英語で書いてくださいと言って、英語でアット・ジ・アーリエスト・ポッシブル・タイムという英語が出ましたんで、ああ、これなら結構ですということでこの話も持ち上がって、三つ基本的な話をさせていただいたり、いろいろさせていただいたりしたんですが。あっ、オープンエンドはその後でしたね。
 そういったような形でやらせていただきましたので、一応第一が終わって、第二のところが、今財務省でこれは補正をやらさせていただき、いろいろ公共事業等々を含めて経済を刺激する方向に行かない限りは公共事業を含めてきちんとやらないと、少なくとも公共工事はずっと減らしてきておりますので、そういったものの結果、天井がおっこっちゃうとか、ああいった話になっておりますので。
 アメリカも、一九三〇年代にやったもののメンテナンスが悪かったために、一九八〇年代、五十年後なんですが、荒れるアメリカと言われて、ブルックリンの橋が渡れなくなったり、コロラドの橋がおっこっちゃったりいろいろしたのは御存じのとおりなんで、ああいったことにならないように我々はきちんとメンテナンスをやっていくということをしないと、非常に大きな、人が亡くなってから何とかするなんというんじゃいかがなものかと存じますし、きちんとそういったものをやっていくべき、だから補修というのが必要だということを申し上げております。
 いずれにしても、そういったものをやっていきますと、政府の姿勢、日銀の姿勢がはっきり民間に定着すると、民間としては、これはもう一回何か景気が良くなってきそうだと、だったら今のうち貯金を下ろして株を買おうかとか、いろんな形で、今株の上がっておりますのは主に海外のお金が株を動かしている部分が大きいんですが、民間の持っておりますお金がきちっと株式の投資とかそういった将来に向けたものに向かっていくようにしていくというのが大事なところで、二本目、三本目がかなり関係しているところですけれども、そこらのところを同時にやるというのが大事なところで、高橋是清のときも、御本人が日銀総裁だったこともこれあり、同時にあの政策をほぼやっておられるというのが事実だと思いますので、今回は安倍総理の指導力で三つ今、事が一緒に進みつつあるのが、一般の方の期待先行になっておると思いますけれども、そういったところがもう少し時間が掛かって、おっ、本当なんだということになりますと、きちっとした形が出てくるんだと期待をしております。
#64
○西田昌司君 非常に率直にお話をいただきました。
 竹中さんの話が出たんですが、まさに私はこの二十年間のデフレの原因を考えると、要するに、麻生大臣が今おっしゃっていることをもう十年早くやっていれば良かったんです。
 ところが、その十年前のときには、要するに違う人が主導権を握っていたんですね。竹中路線なんですよ。その竹中路線が実は私はデフレをつくったと思っています。それは何かといえば、片っ方で、要するに、民間に、官から民に、民にできることは全部民にしちゃうという論法で政府支出を抑えましたね。その抑えた原因というのは、要は、これから本当は、税と社会保障の話が今出ていますが、本当は社会保障費がどんどん増えてきますから、当然国民負担率を上げるべきであったと。上げるべきであったのにそれを上げないということを先に小泉総理が決めましたから、その理屈を支えるために、じゃ支出は削減していこうという名の下にああいう財政削減がどんどんされちゃいましたね。
 そうなってくると、結局は、あの当時、民の方にどんどんお金やって金融緩和もしていたんですけれども、結局は日銀当座預金が積み上がるだけでお金が出ないと。そして、その出たお金は、結局は国内じゃなしに、もう片方大きな要因として、私は中国が、アジアの国がどんどんどんどん経済発展をし出してきた時期と重なっておりまして、日本が直接海外に投資をしちゃうと。
 ですから、本来は国内で投資をしてくれるだろうという思いで減税をし、金融緩和をしたものが、それが全部海外に行っちゃったと。海外に行くことによって企業利益はどんどん大きくなりました。東証の要するに上場企業は、史上最高益をどんどん更新して、借金どんどん返しちゃって、どんどんたまっちゃったと。たまったんだけれども、それは全て国内投資につながっていないんですね。給料にもつながっていない。給料は逆にどんどん海外移転をして下がっちゃってきたと。
 まさに、あのときに行ってきた構造改革的な手法が、結局はいっとき企業利益は物すごい上がっているように見えるんだけれども、実際の国民の利益を増やすことにならなかったと。だから、GDPは、実質GDP増えているとか言いながら、結局は増えなかったんです。名目がどんどん下がってきちゃうということになってきたんだと思うんですね。
 ですから、今回のこのアベノミクスというのは、麻生大臣が一番この重要大臣でおられますから私は安心しているんですけれども、しかし今、まだ、同じようなそういう海外投資がどんどんやっていったらいいじゃないですかと、国内投資よりも、海外投資も国内投資も余り頓着せず、企業の成長あるところならどちらでもいいじゃないですかと考える方が結構まだおられると思うんですよ。これは実は困った話でして、結局、今、本当のところ経済が良くなりかけているのに、またぞろ海外にお金が回っちゃうと、これ、日本の景気良くならないんですよね。
 だから、そこを私は、しっかりと麻生大臣がコントロールしてもらわなきゃならないと思うんですが、いかがでしょう。
#65
○国務大臣(麻生太郎君) これは西田先生、二つ考えておかないかぬのだと思いますが、一つはおっしゃるように、確かに中小企業が海外に出やすくするんじゃなくて中小企業が日本に残れるように考えるというのが本来あるべき姿なんだと、これは財務省というよりこれは経済産業省の仕事なのかもしれませんけれども、基本的にそれが正しい方向なんだと思っております。少なくとも雇用というような点を考えました場合にはそうなんだと存じます。
 それからもう一点は、やはり日本の場合、海外に出ていくといった場合に、少なくとも日本の一億二千七百万というマーケットだけではとてもじゃないほど日本の企業というのは大きくなっておりますので、今新興国で、例えばよく韓国が比較されますけれども、韓国の場合も、少なくともマーケットが日本みたいに一億二千万とかいうのであれば韓国も似たような道を歩んだのかもしれません。しかし、韓国の場合は、人口が四千何百万ということになりますと、はなから国内だけではやれないので海外にということになりました。
 そのときに、これから先のやり方がいろいろ違うんだと思いますが、日本の場合は企業が非常に国内競争が激しくて、国内で競争している企業が何十社、例えば韓国の場合、よく出てくるサムスンが出ますけど、サムスンは一社、巨大なガリバー企業ができ上がっておりますけど、日本の場合はそれに比べて、東芝があって日立があって三菱があってソニーがあってと過当競争になっておりますので、こっちが出す純利益とこの十何社が出す純利益とが同じということになると、こっちの方がいいじゃないかというお考え方というのは必ず一方にあるんだと存じますが。
 結果として韓国の場合は、大統領とも何回も話し合ったことありますけれども、結果的にあちらもヒュンダイやっておられました経営者なのでよく分かっておられるようでしたけれども、少なくともサムスンの場合は国内のウォンを輸出のために低く抑えてどんどん出します。したがって、従業員の給料も安い、製品も安いから海外で売れる、シェアを伸ばしたい、技術は日本から等々いろんな条件があって巨大なものになっていますが、利益が出たらそれは配当に回るわけです。その配当の七〇%ぐらいは外国人が持っておられる。そうすると、これは何のためにおたくらはこんなことをしておられるんですということになるんじゃないんですかと言ったら、それこそが韓国経済最大の問題とやっぱり御本人も理解をしておられる。
 日本はちょうどその逆でして、もうこっちは国内でというので、どこかこの中間ぐらいのところに答えが多分あるんだと思いますけれども、我々はそういったことも考えて、今後、日本のきちんとした企業を守りつつ、やっぱりいいのがあるんだと思います。
 やっぱり、まねされない仕事として、この間、自民党大会で来ておられた岡野工業の話がありましたけれども、あの痛くない注射、あれはたしか大企業と一社組んでおられるんですけれども、とにかく十億本の痛くない針を作って、蚊が刺す、何で刺すときは痛くねえんだという、あれから思い付かれたんだそうですけれども。とにかくこの岡野さんという人は、八十歳のおじさんが従業員たった四人で、少なくとも十億本の針を作っていまだかつて不良品の返品ゼロという世界に冠たるものをつくり上げて、誰もあれをまねしている人はいないというものをつくり上げているというようなものは一つの例です。ほかにも幾つもあるんだと存じますけれども。
 そういったようなものというのは、今後、日本としてやっぱり育てていかねばならぬ大事な中小零細企業というものの存在、私はこれがなかったら日本の大企業の基本も成り立たないと思っておりますので、この中小零細企業というものに最も我々は関心を払ってしかるべきと思いますので、税金の面とか、いろいろ、技術はあるんだけど資金力がないとか、技術はあるんだけど営業力がないとか、人によっていろいろ、会社によって違いますので、それをうまく、こういうようなことを考えていくというのが、今後、日本の企業が再生していくときにおいて、三本目の矢の一環として心掛けておかねばならぬ大事な点だと思っております。
#66
○西田昌司君 おっしゃるとおりだと思います。特に、サムスンの話をおっしゃいましたけれども、日本の企業の中にはサムスンになるのがいいみたいに思っている方がおられるんですが、これはとんでもない話でして、結局、韓国の国民は何も豊かになっていないと。韓国で物をつくっているだけで、一部の資本家は海外にどんどん投資されておりますから、そちらがもうかると。それを考えると、今、麻生大臣がおっしゃいましたように、日本国内でどう雇用を守り、そして、多少は効率が悪いようですけれども、幾つもの会社があるということが雇用をつくっているわけなんですよね。だから、これは非常に大事なポイントだと思うんです。
 そう考えましたときに、実は私、非常に懸念をしていますのはTPPなんですよ、TPPね。交渉参加するということになっただけで、これから、何も決まったわけじゃまだありませんが、私は、やっぱり警戒しておかなきゃならないのは、要するに、TPPも例の構造改革と非常によく似ているんです。要するに、経済の効率化なんですね。経済を効率よくやっていくと、日本国内でこれからどんどん投資を進めるよりも海外に出ていった方が市場は大きいじゃないですかと、その投資環境を整えていきましょうと、これがTPPですからね。
 そうすると、大企業なんかは、当然のことながら、投資環境を整えてくれるのならいいじゃないかと、どんどん賛成するのは当然なんですよ。しかし、大企業がもうかっても、それが、あの韓国と同じように、要するにサムスンはもうかっても国民に利益が配分されなければ意味がないんですね。だから、我々は言っているのは、これは、TPPで市場を開いているように見えるけれども、雇用が海外に行っちゃうとGDPは上がらないんじゃないですかと。
 だから、この前の予算委員会でも私質問しましたけれども、要は、アベノミクスでGDPが上がっているのに比べましても、TPPでGDPが上がる効果が非常に少ないのは、まさに雇用がどれだけ増えるかというのが余り定かじゃない。むしろ増えないと。海外移転されてしまう可能性があると。この配当で戻ってくるところがあるからGDPに貢献はありますが、そこが非常に不安定なところなんですね。ですから、これからいろんな交渉の仕方によってこれは変わってきますから、まだ一方的な非難もしませんが、そういう懸念があるということなんですね。
 ですから、これは、これから本当に安倍内閣が、しっかりと内需を拡大して経済が本当に復調していくためには、そういう大きな司令塔として、この表面の経済が大きくなるだけじゃなくて、内需を大きくしていかなければ、雇用を大きくしていかなきゃ駄目なんだという、そういう司令官がしっかりしていただかなきゃならないんですよ。それが、私は、麻生大臣が担われる一番のこの仕事だと思うんですけれども、このTPPの話も含め、大臣のこの御所見をお伺いしたいと思います。
#67
○国務大臣(麻生太郎君) TPPに限りませんけれども、これまで幾つかのフリー・トレード・アグリーメント、通称FTAというのを幾つかやってきております。日本で今まで十四、五、FTAを結んだと思いますが、そういったときも同様な懸念を踏まえて我々はやってきたんですが、今回の場合は、巨大なマーケットとして、経済力一番のアメリカと三番目の日本が一緒に太平洋を挟んでやるという非常に大きな話になりますんで、これはアメリカの今までのNAFTAという、ノース・アメリカ・フリー・トレードか、NAFTAというようなものよりはるかに大きなものができますんで、そういった意味では、これの交渉が今大きなもので、このほぼ二年間何も事は動いていませんので、この三年で、最後にこれ、全部集中して来ていますけれども、これ、三年ぐらい掛けて本当はきちっとやっていかないかぬ部分があるんだと思いますが、ほかの国の間、間それぞれ交渉はいろいろ、これは例外とかいろいろ規定が幾つかもう既にでき上がっております。
 丸々フリートレードができる、関税ゼロでできる国は多分シンガポールとブルネイ以外にないと思いますけれども、それぞれみんなこれだけは駄目というものはありますので。アメリカでも、牛肉はオーストラリアと駄目でしょうし、サトウキビは多分メキシコと駄目なんだと思いますが。そういったようなもの、幾つも例外は当然のこととしてあるんですが、その例外の部分をなるべく少なくして何%行こうということなんで、日本の場合はかなり関税率というのは低い、アメリカに比べても日本の場合は低いぐらいのところに来ていますんで、そういった意味では、我々としては、こういったようなものの中で日本だけ外に出されると非常に後々面倒くさいことになるという面が一つ考えておかねばならぬ大事なところなんだと思いますが。同時に、国内において少なくとも、医療が崩壊するとか、訳の分からぬ話に至っているのに対して、基本的にまだ中の交渉に着いていませんものですから、情報の絶対量が足りていないんですね。
 したがいまして、政府の中においても、予備交渉みたいな人でも、どういう情報をという話を私どもが、今、肉とサトウキビの話をちょっと申し上げましたけど、これは相手側から聞いた話で知っているだけなんであって、これが向こう側が日本に公式に知らせた情報では全くありませんから、そういったような情報がないと、とてもではありませんので、やっぱり交渉するという条件で初めて情報が開示される部分がありますんで、そういったところをやった上で、今言われたように、これはちょっとどう考えてもいかぬというんであれば、この点は駄目とか、ここはいいけど、そっちの部分、この点をどうにかしようとかいう交渉は個別にやっていかねばならぬ。
 これは、今十一か国が、九が二増えて十一か国、今度日本が入って十二ということになろうかと思いますが、そういった間でみんな合意を取り付けていくというのがこれからの話なんであって、その一番の基はやっぱり国内の雇用、それからもう一つは何といっても国益、そういったものを考えてやっていくという判断が一番必要であろう、大事なところであろうと私もそう思います。
#68
○西田昌司君 ありがとうございます。
 是非、そういう観点で安倍総理をサポートしていただいて、本当にせっかく今、期待が高いだけに、もしこれが期待外れの結果に終わっちゃうと、このしっぺ返しって物すごく大きいんですよね。ですから、今まだ実際には政策は何もしていませんから、これからするわけですけれども、その方向性が間違いのないように、かつての構造改革じゃなくて内需重視でやっていくんだと。まさに、安倍内閣を支える主要閣僚として、麻生総理が、かつてのあの、自分は負け組の方だったとおっしゃいましたけれども、その経験を踏まえて今度はしっかりと正しい政策をやっていただきたいと、そのことをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#69
○委員長(藤田幸久君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#70
○委員長(藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、財政政策等の基本施策及び金融行政に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#71
○竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子でございます。お忙しい中、当委員会の御出席、誠にありがとうございます。
 麻生財務大臣に質問させていただきますのは、本会議での所信への質疑に続き二回目となります。私は、三年前の参議院選挙において初当選をさせていただいた一期生議員でございますけれども、その前は民間企業の財務改善とか業務改革に携わった経験がございまして、民間が当たり前に取り組んできたことを行政でも取り組むべきだという思いがありまして、当委員会では特に行財政改革に関する質問ですとか提案が多くなると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、財務大臣に伺います。
 財務省のホームページ上に、財務省の使命そして政策の目標が掲げられています。この財務省の使命を読み上げますと、納税者としての国民の視点に立ち、効率かつ透明性の高い行政を行い、国の財務を総合的に管理運営することにより、健全で活力ある経済及び安心で豊かな社会を実現するとともに、世界経済の安定的発展に貢献することというふうにあります。
 そして、それを実現するための政策目標として掲げられています健全な財政の確保に当たり、公正で効率的かつ透明な財政・会計に係る制度の構築及びその適正な運営ということが挙げられていますけれども、新しい安倍内閣の下で麻生財務大臣は財務省のこの政策目標を達成するために具体的にどのように取組をなさるお考えか、伺いたいというふうに思います。
#72
○国務大臣(麻生太郎君) これは、政府としてはこの財政健全化というのは、これは何をもって健全と言うのかという定義はまたいろいろ分かれるところとは思いますけれども、少なくともGDP比で見ましても二〇〇%というのは確かに通常とは言い難い。イギリス、とうとう二四〇%までイギリスなんかは過去行った例がありますけれども、そういう中におきましても、少なくとも二〇〇%というのはどう考えても普通ではないというように考えておりましたので、少なくともプライマリーバランスにつきましては、二〇一五年までに少なくとも赤字の対GDP比を二〇一〇年度の水準から半減、また二〇二〇年度までに黒字化したいという目標を実現してまいりたいというのを基本的なところとしては持っております。
 そのために、二十五年度の当初予算につきましては、この財政健全化目標を踏まえまして、少なくとも四年ぶりに日本の財政としてはいわゆる公債金を上回る税収という形のもので、我々としては二〇一五年度への目標の一応第一歩というのを着実に踏み出せたのではないかと、さように考えております。
 また、今後この財政の健全化と同時に日本経済の再生という両方をやっていかないとどうにもなりませんので、経済が再生して経済が成長していかない限りはGDPが伸びないということになれば少なくともバランスはずっとということになりますので、その点につきましては、経済財政諮問会議等においてこれを検討させていくということにしておりまして、財政健全化目標を達成するために、この年の年央までには中期の財政計画を発表させていただきたいと考えております。
#73
○竹谷とし子君 今、経済財政諮問会議のお話がありましたけれども、三月八日の議事録を拝見させていただきました。麻生財務大臣も委員になられている会でございますけれども、この中で、PDCAをしっかりと回していくということを民間委員の方から御指摘がありました。私も同じ思いでございます。
 現在、新政権になって景気回復が期待される一方で、国民の中には公債に大きく依存した国家財政の先行き不安、今も財政健全化の計画を、中期計画を年央に発表されるというお話でありますけれども、この行政のお金の使い方に対して、やはり国民の不信感、これを拭い去っていかなければこの健全化目標というのもあり得ないというふうに私は思います。また、大型予算に対しても国民の目は一層厳しさを増しているということも忘れてはいけないと思います。
 政府のお金の使い方に対する国民の信頼を得ていくために、予算編成及びその執行過程において情報の透明性を高め、その目的と内容について真摯に分かりやすく十分な説明に努め、そして問題が発覚した場合には速やかに是正措置を行い、改善に取り組むという、民間で当たり前に行われているこのPDCA、プラン・ドゥー・チェック・アクト、この業務改善サイクルをしっかりつくっていくということが必要不可欠だと思います。残念ながら、プランとドゥーはあるんですけれども、チェックとアクトが弱いというふうに一般的にも言われております。私も国会議員とならせていただいてから様々な省庁からレクを受けさせていただいておりますけれども、それを痛感をいたします。
 現在、政策評価を行う機能として、財務省では予算執行調査、そして政策評価法に基づく各省庁の政策評価、これは総務省が取りまとめていると思います、また、会計検査院法に基づく会計検査、また、国会における決議など、様々なチェックが行われていますけれども、これらの改善すべき点を総合的に整理して評価をして、そして政府の方針とも整合性を持たせて確実に実行していく、そうした組織、手続というのが今不明確であるというふうに思います。この三月八日の財政諮問会議でも、民間の委員の方から指令塔が不在であるということが御指摘あったと思います。
 これは私、責任組織をしっかり政府に置くべきというふうに考えております。それを、財務省の権限を強めてもっと財務省にやっていただくのか、あるいは別組織をつくるのか、様々考えはあると思いますけれども、財政諮問会議の委員でもあります麻生財務大臣にお考えを伺いたいというふうに思います。
#74
○国務大臣(麻生太郎君) 竹谷先生御指摘のとおり、これは、予算がどのように執行されているかということにつきましては、これは評価とか検証、PDCAと言われるプラン・ドゥー・チェック・アンド・アクションというところなんだと思いますが、このPDCAサイクルというものは、これは予算というものを、更なる効率化を上げるためにはかなり、極めて重要なものだと、私どももそう思っております。
 財政当局においては、基本的には、予算の使途や資金の流れをチェックする行政事業レビューが一つ。それから、各府省が政策の検証を行います政策評価が二つ。そして、予算の担当職員、主に主計局になりますけれども、自らが予算の執行の実態を調査いたします、先ほど言われました予算の執行調査等々を活用させていただいて、事業の必要性とか効率とか、そういったものを的確に予算に反映させて、次の予算にということにしていきたいと考えております。
 今後、あそこの指摘、財政諮問会議の指摘でもありましたけれども、行政の事業レビューとか政策評価というものにつきましては、これは各担当大臣において更なる検討が進められているということを伺っておりますが、引き続きこれらのツールをしっかり活用させていただければと思っております。
 少なくとも、最近でこれの例で言わせていただければ、あの復興財源が流用されていたというのが発見されたのはこのツールから発見されておりますので、そういった意味で一応の成果はあるんだとは思っております。
#75
○竹谷とし子君 ありがとうございます。
 このPDCAをしっかり回すということについては麻生大臣も深く、深く理解をしていただいているというふうに思いますけれども、このPDCAを回して予算の使い方を継続的に改善していくためには、また国民への説明責任を果たしていくというために、公会計制度の改革というものが必要であるというふうに思います。
 バブル経済の崩壊後の企業の財務体質の改善のお手伝いさせていただいた経験がございますが、V字回復を果たした企業というのが経営体質の改善のために例外なく取り組んだことがあります。それは、会計を始めとする企業内の、組織内の情報の見える化でございました。これは業績が悪くなっていっても、この見える化をするための投資というのは、企業は大変苦しい財務状況の中でもやったんですね。これは、早く適時に企業の状況がどうかということを経営者が知って、そして打つべき戦略を過たずにやっていくという、その必要性からきちっと予算を取って取り組んでおられました。システムの構築というものもやってきました。
 一方で、政府は、二〇〇三年から複式簿記、発生主義会計の要素を取り入れた民間企業の会計に近い形の財務書類、これ、作成、開示をされています。私もこんな分厚い財務書類をいただいて、一生懸命一枚一枚めくりながら分析に使わせていただいておりますけれども、非常に有用な情報が載っています。作成される方、本当に大変な作業をされてできているものだと思います。それには敬意を表したいと思いますが、まだまだ、事業ごとのコスト情報の集計、開示など、改善の余地があるというふうに中身を見させていただいて感じております。
 一方で、地方自治体においても、先駆的な自治体、東京都などは事業ごとのコストまで集計、開示をしていますが、多くの自治体はまだ固定資産台帳も整備できていないという状況にあります。またこれは別な機会に質問させていただきたいと思うんですが、この固定資産台帳の整備もまだ国では不十分なところがあります。
 政府は、納税者から預かる多額のお金を管理する、そういう責務を負っている以上、その使い方について説明する義務、またPDCAを回して効率的に管理する責任を負っていると思います。民間企業並みに業務改善に取り組んで説明責任を果たしていくためには、今後、公会計制度の改革というのが不可欠であるというふうに考えております。
 私、民間の、特に中小企業の経営者の方とか零細の事業者の工場など回らせていただいてお話を常日ごろから伺っておりますけれども、三月十五日が、確定申告がございました。その中で、中小企業の経営者の方とお話をしていて、青色申告の恩恵を受けるためには複式簿記、発生主義会計で国は民間に対しては帳簿を付けることを求めているんだけれども、国というのは不十分であると、実は現金主義、単式簿記会計が基本になっているんだということを申し上げるとびっくりされるんですね、まだそんなことをやっているのかと。この財務書類を二〇〇三年から作るようになったといっても、まだまだ問題があります。
 そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、税務申告で青色申告の特典を受けるために企業や個人に複式簿記、発生主義会計による帳簿作成を求めている理由は何か、お伺いしたいというふうに思います。
#76
○副大臣(小渕優子君) お答えいたします。
 もう先生十分に御承知のことかと思いますが、事業所得に対する課税は利益に担税力を見出し行われることから、例えば法人税については、課税所得の計算上、収益や費用の計上は一般に公正妥当と認められる会計処理に基づくこととされております。正確な帳簿記録に基づく適正な申告を促進するため青色申告制度が設けられているわけですけれども、その適用を受けるには、原則として複式簿記により一切の取引を記録することが必要であります。これは、網羅性、検証性及び秩序性の確保された正確な帳簿記録のためには複式簿記が適切であるとの考えによるものであります。
 また、会計上、費用と収益を発生した期間に正しく割り当てるため発生主義に基づく会計処理が求められており、税務上も事業者は原則として発生主義に基づく会計を行うこととされています。
#77
○竹谷とし子君 ありがとうございます。
 これは、企業は一般に公正妥当と認められる会計原則にのっとる、正規の簿記の原則にのっとるべきということで、不正や誤謬が発見しやすい複式簿記、発生主義会計によることを国としては求めているのであるというふうに思います。
 一方で、国の記帳というのは青色申告法人として認められるレベルにあるでしょうか。お考えをお聞かせください。
#78
○副大臣(小渕優子君) 御指摘ありました今の国の記帳につきましては、予算の支出を厳格な財政統制の下確実に行うためのものでありまして、民間において行われる納税に関する申告のための記帳とは目的が違いますので、一概に比較というものはできないかと思いますが、国の税務書類の作成に当たっては、日々の取引の執行について、複式簿記の考え方に基づくシステム入力を行っており、歳入歳出決算、国有財産台帳等々、財務書類上のデータとの整合性を図っておる、そんなことなどから、国の財務書類の信頼性については適切に確保されているものと考えております。
#79
○竹谷とし子君 ありがとうございます。
 この公会計というのは民間と目的が違うからということでありますけれども、世界的に見ると、民間の企業会計に非常に近づいてきております。そうした観点から、日本の公会計制度の問題点を外国と比較をして指摘を三点させていただきたいというふうに思います。
 まず一つ目が、適時性、タイミングですね、これが不十分であるということであります。これについてもちょっとお伺いしたいんですけれども、企業の税務申告の期限というのは何か月でしょうか。
#80
○副大臣(小渕優子君) 内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二か月以内に税務署長に申告書を提出しなければならないこととされています。なお、会計監査人の監査を受けなければならない等の理由がある場合には一か月の延長も認められているところです。
#81
○竹谷とし子君 ありがとうございます。
 税務申告の場合は原則二か月、また、有価証券の報告書ですとか会社法の計算書類の提出期限も基本的に三か月というのがめどになっているというふうに思います。
 一方で、国のこの財務書類の公表は、今だんだん短く、努力をされて短くなってきている、昔に比べると、ということは理解しておりますが、今年は何か月でできていますでしょうか。
#82
○政府参考人(福田淳一君) 平成二十三年度版国の財務書類につきましては、通常国会冒頭の二十五年一月に提出させていただいたところでございます。会計年度終了から十か月後ということになります。なお、国においては、一会計年度において執行された収入支出の出納事務を完結する必要から出納整理期間を設けておりますが、その期限については、翌年度の七月三十一日としておりまして、この期日を起点とすれば六か月後に公表しているということに相なります。
#83
○竹谷とし子君 ありがとうございます。
 今、一生懸命努力をされてきて、翌年度内に出るようになってきたということと、今年は一月に出していただいているということで、私も早速見させていただきました。
 民間からいたしますと、自分たちには二か月以内に、年度末後二か月以内に税務申告をするように言っていて、それを過ぎると延滞金が掛かる、そういう罰則がある。また、一般的に企業の利害関係者の方々が御覧になる財務書類についても三か月が基本になっている。四半期の開示ですと、今一か月半というふうにもなっています。そのような中で、国がそんなに遅くて不公平じゃないかと、国にもしっかりやらせるようにという国民の声を私いただいております。
 これ、国は企業と違うから遅いのかというと、決してそうではないと思います。アメリカと比較いたしますと、アメリカの場合は三か月以内に連邦政府の財務書類が監査を終わって、監査意見を付して公表されています。それと比べると、日本は監査もないわけですね、会計検査院の検査というのはありますが、監査というのはされていない、適正かどうかの意見がなされていない、そのような財務書類でありますが、さらに遅い。
 この適時性というのは、財務書類というのは新聞のようなもので、昨日、おとといの新聞を見ても役に立たないと。だから、新しいほどいいんであるというのがもう世界の常識となっておりますけれども、非常に日本の政府の決算開示が遅いということを指摘をさせていただきたいと思います。
 今、参考人の方から御答弁の中にありましたが、出納整理期間があるから長くなっているというお話がありました。この出納整理期間というのは、年度末を超えて前年度の取引を処理できる期間、これは新しい年度とその前の年度との取引が混在する期間であります。これが設けられた経緯というのは、私の推測でありますけれども、そろばんで計算をして、そして紙に記帳をしていた、そういう時代の名残ではないかというふうに思うんですけれども、今は計算も記帳もコンピューターが一気にやりますので、こうしたことはもう必要ないのではないかというふうに私は思っております。
 こうしたことも含めて、適時性が不十分であるということを今後、公会計制度の改革の中の一つの問題点として改善をしていっていただきたいというふうに思います。
 そして、二つ目の問題点でありますが、これが、客観性の確保が不十分であるということであります。
 というのはどういうことかといいますと、会計基準を作っている人、どうやって財務書類を作るべきかという基準を作っている主体と作っている人が、同じ財務省なんですね。これは会計の世界ではあり得ないことであります。これもやはりアメリカでは分けています。
 そして、今はこの会計基準、国際公会計基準というものができてきております。国際会計士連盟が、二〇〇三年だったと思いますが、国際公会計基準というものを設定して、今これに準拠をしていると考えられているのがオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アメリカであります。監査をしていないというのも少ない方であります。これを、しっかりと客観性の確保、お手盛りではないということを示すためにも第三者が会計基準を設定する、あるいは更に言えば、国際公会計基準に準拠する形に日本も持っていくべきであるというふうに私は思っております。
 そして、三つ目の問題点でありますが、これが一番大きな問題であると思っています。それは、財務書類が継続的改善、PDCAのチェックからアクトに行くときの、そのための分析評価に生かされていないということであります。
 これは、例えばアメリカでありますと、会計専門家が常設機関で常時改善を行いながら、役に立っているかどうかということを評価をして改善に取り組むということをやっています。一方で、日本では財務省の財政制度審議会が行ってきておりますけれども、極めてその取組の御姿勢というのが後ろ向きというか前向きではないように、私の感じる限りでございますが、そのように感じております。
 その中で唯一改善してきたなというふうに感じていたのが、政策別コスト情報というものを作るようになったことでありました。これを私も見せていただきまして、作った省庁ごとに政策別コスト情報を作っておられますので、その内容について伺いましたら、その作った省庁でさえも意味が分かっていないと、残念ながら。
 これを、じゃ、政策別コスト情報ですので、総務省がやっている政策評価の方とリンクをできるのかなと。投資対効果、費用対効果を測るときに、掛かった予算というものを、政策ごとに掛かった予算というものをひも付けて、その結果どうだったのか、効果が上がっているのか、あるいは効率的に去年よりも少ないコストで同じ効果を上げられているのか、そういったことが分析をしていく必要があるんですけれども、残念ながら、この政策別コスト情報と総務省の政策評価の単位が違ってリンクをしていない。このような状況にありました。
 これは、財政の質を改善していくという財務省のミッション、これを果たすためには積極的にこれを使うべきであると、PDCAサイクルに対して働きかけていく。そして、改善の余地があるのであれば、その財務数値ももっと精度を上げていくといった、そういった取組が必要ではないかというふうに私は思います。
 非常にこの政策別コスト情報、三年目になるというふうに財務省から伺いましたけれども、せっかく作っているのに一体誰が使っているのかという、そういう状況にありますので、これを改善するべきではないか、使える財務情報を提供していくべきではないかと思いますが、財務大臣、いかがでしょうか。
#84
○国務大臣(麻生太郎君) 国の財務諸表、今言われましたようにでき上がって三年ぐらいのところなんで、いわゆるこういったものを作らさせていただいておるんですが、少なくとも、国の財政状況なんかに関する説明責任の履行というものに関しては少なくとも向上している面は間違いなくあろうと存じます。
 また、予算執行の効率化、適正化に役立つ財務情報というものを提供しているといった意味においては、その目的としております企業会計の考え方というか手法等々を参考にして作成、公表しているものなんですが、説明責任の履行の向上という点では、財務諸表やその説明資料の作成、公表により更に分かりやすい説明というものをしていく。同時に、こういったものを作った以上、少なくともいわゆるストックとかフローとかいうものがきちんとしていないと、国の各政策の経費の見直し、そういったようなことなどに役立てることが望ましいんだと、私どももそう思っていますので、政策ごとの成果の指標の設定やコストの集計等々につきましては、これは技術的な課題があることも確かですけれども、改善の余地は十分にあると、私どももそう思っております。
 今後とも、お知恵を拝借しながら更なる向上に努めてまいりたいと、私どももそのように考えております。
#85
○竹谷とし子君 ありがとうございます。
 午前中の西田委員からの質疑の中にもあったんですが、西田委員は同じ会計専門家ということで、税理士さんでありますので今、私が質問している内容をきっとよく分かってくださっているんじゃないかというふうに思うんですが、その西田委員の御質問の中でも、これから社会保障費がどんどん上がっていくから税金を国民の皆様に納めていただくようにお願いをしていかなければいけないというのが政府の立場であると思います。
 歳出の中の内容を分析をいたしますと、幾ら無駄遣いの削減をしたとしても、これから国民の負担を増やさずにそれを賄えるかというと、非常に難しいものがあると思います。それは、社会保障費と地方交付税、この割合というのが非常に高いからであります。であるならば、国民の皆様に、こうやって税金が行政サービスとして皆様に還元されていますということをもっともっと積極的に御説明をしていくべきであるというふうに思います。
 社会保障費が、今年度発表されたものですと、国民一人当たり八十六万円掛かっている、そして、六十五歳以上の方ですと、まあ年金が多いんですけれども、約二百六十万円である、そうしたことをお知らせをしていくと、ああ、そんなに掛かっているのかと、そういうことを分かってくださる人の中には、もっとちゃんと税金を納めていただくように政府としてお願いをしていかなければいけないんじゃないかというふうに理解をしてくださる方もいらっしゃいます。そうした努力をしていくべきだと思います。
 財政が厳しいと言われている地方自治体でも、例えば蜂の巣の駆除をただでやっている、しかし、そのために幾ら掛かっている、何万円も掛かっている、そうしたことを住民の皆様にお知らせすると、じゃ、これからはそれはただにしなくていいよとか、それ、どうせ税金で掛かっているんだったら民間の中でもっと安くやってくれる人にお願いをしたらいいとか、そういうふうに政策を取捨選択していく、そういう議論の素地にもなっていくものであると思います。
 今後、もう時間ですので最後にお願いでございますけれども、この公会計制度を改革することによって各省庁のコスト意識を大きく改善していくことが私はできると思います。また、国民の皆様への説明をもっと分かりやすくしていくことによって納税に対する理解、政府のお金の使い方に対する理解というのも生まれてくるというふうに思います。
 そこで、この財務書類、開示をしていただいてから十年ほどたったと思います。この作成、また活用、開示状況について財務省の中で一度総括をしていただいて、そして、これからどう改善をしていくべきか、是非御検討をお願いしたいと思います。お願いだけで、時間ですので答弁は結構です。また引き続きこの問題、取り上げさせていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
#86
○中西健治君 みんなの党の中西健治です。
 本日は、所信に対する質疑でありますから、基本的な認識を麻生大臣にお伺いしたいというふうに考えております。
 まず、財金分離に関するお考えをお伺いしたいと思います。
 財政と金融の分離については、一九九六年に旧大蔵省幹部に対する金融機関からの過剰接待ですとか、バブル崩壊後の金融危機への対応の不手際を受けて金融行政を大蔵省から分離することを決定して、二年後の一九九八年から実施されたわけでありますけれども、二〇〇八年、十年の時を経て二〇〇八年に麻生内閣において初めて財務大臣と金融担当大臣が兼務されるということになりました。言わば、財金分離の原則がここで破られるというようなことになったわけでありますけれども、麻生大臣はこの財金分離が実施されることになった経緯をどのように認識していて、そして現在はどのような見解をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#87
○国務大臣(麻生太郎君) おっしゃるとおり、五年前に総理をしておりましたときに、そのときの組閣に財務と金融というのを兼務させたと思いますが、あのときはリーマン・ショックの直後だったこともこれありですけれども、少なくとも国内の景気対策とか海外の金融情勢の対応というものを考えたときに、これ、一人でやった方がよほど機能的だと基本的にそう思っていました、今でもそう思っていますけれども。
 私自身の人事や所掌事務に関することをちょっと自らコメントするということに関しましては少々控えさせていただくべきなんだと思っておりますが、安倍総理の今回の判断の背景は、多分、このところの欧州の財政、金融問題など、不透明な国際情勢というのが非常にはっきりして、また最近もちょっと別なのが出てきていますので、そういった意味では、日本の金融、経済の安定性の確保の観点とか、G20への対応を含めますと、G20はほとんど両方一人でしておられますので、財務省と金融庁が密接に連携する必要があるということなどに照らせば、時宜にかなったものではなかったかと考えております。
#88
○中西健治君 御自身、財務大臣も金融担当大臣、兼務されていて、それについての任命についてはコメントを差し控えたいということでありましたけれども、ちょっと一回お聞きしたいなというふうに思っていたのは、予算委員会などで麻生大臣の答弁を聞いておりますと、財務省と言うべきところを大蔵省と言い間違えることが非常に多いということでありますけれども、あれだけ回数を重ねてくると、やはり言い間違いではなくて意図的に言い換えている、言い違えているとしか思えないということでありますけれども、何か御意図がおありなんでしょうか。
#89
○国務大臣(麻生太郎君) まあ年を取ってくるとなかなか記憶力が悪くなっているので、あなたみたいに若くないという点も一つ考えていただくのと、私どもはやっぱり大蔵省の方が長いですからね。五十年以上私は大蔵省と聞いて育ちましたんで、この十年そこらじゃなかなか頭は切り替わっておらぬというのと、アルツハイマーとは言いませんけれども、ちょっと年取ったのと両方であって、意図的なものとは考えておりません。
#90
○中西健治君 大臣がアルツハイマーなんて全然私は思っておりませんけれども、ですから、ひょっとして何か意図があるのではないかというふうに思ったりもするということでありますけれども。
 では、麻生財務大臣は財政と金融の利益相反についてはどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。(発言する者あり)利益相反。財政と金融で利益が相反することが起こり得る、それがゆえに財政と金融の分離というのは行われることが多いということなんですが。
 どういうことかというと、財務省が国債を発行します。だから、国債の売手は財務省、そして、一番大きな買手というのが金融機関ということになりますけれども、売手と買手、当然利害が衝突することがあり得るということになります。その中で、金融行政を携わるのが金融担当大臣、そして国債を発行する財務省のトップが財務大臣ということになるわけですから、ここで財政と金融で利害が衝突することが起こり得ると。
 これが一番典型的な利益相反ということになるのかと思いますけれども、そこら辺についてお考えになられたことはございますか。
#91
○国務大臣(麻生太郎君) 今の言われた意味には、中西先生の言われた点は十分にあり得る前提なんだと思いますけれども、そういうときになったときには、やはり基本的には、利益相反した場合は、どちらの方がより国益にかなうかという一点に絞って、中立、冷静に判断をしなきゃならぬのがその立場に置かれた大臣、担当大臣の責務だと思っております。
#92
○中西健治君 まさにそうだというふうに思います。
 この安倍内閣では、特に大胆な金融緩和ということを掲げているからこそ、いずれは出口戦略ということになってくることになるかと思います。その出口戦略になったときにこそ、この国債を発行する人と国債を買う人、この間で利害がぶつかり合うということになりますので、やはりそこら辺は非常に注意深く政権としてやってもらわなきゃいけない。がゆえに、財務大臣と金融担当大臣が、いや、ひょっとしたら一体の方がいいのかもしれません、けれども、本来的にはそれが分かれていて、それぞれの大臣が意見を言い合うという形の方が望ましいのではないかというふうに私は考えますが、その出口戦略にいつかはなるだろうと思いますけれども、そのときに財務大臣はどれだけ、今言ったところをもう一回強調していただくということになるかと思いますけれども、どうした考え方でやっていくかということを教えてください。
#93
○国務大臣(麻生太郎君) いずれ出口戦略になるというのは、もう間違いないところだと思っております。これがデフレからインフレに変わっていくとか、いろんな時代によって情勢が変わってまいりますので、そういったことを常に考えておかねばならぬところだと思いますけれども、いずれにしても、その立場に立って、先ほど申し上げましたように、そのときの時代というものを考え、国益を考えて最も正しいという判断を選択する、その責任が与えられていると思っております。
#94
○中西健治君 ありがとうございます。是非ともそのようにやっていただきたいと思います。
 続きまして、日銀法の改正について少しお伺いしたいと思います。
 二%の物価目標についてできるだけ早い時期、麻生大臣がよく言及されるアット・ジ・アーリエスト・ポッシブル・タイム、アズ・スーン・アズ・ポッシブルじゃないんですよということをよくおっしゃられるわけですけれども、今の新しく総裁になられた黒田総裁は二年というのをめどにやっていきたいということでありますけれども、もし二年で達成できない、そしてアット・ジ・アーリエスト・ポッシブル・タイムでも達成できないとなった場合に、五年間待ち続けるのがいいのか、それともそうじゃないのかということについてはいかがお考えでしょうか。
#95
○国務大臣(麻生太郎君) 私は、二年間でそんなに行くかいなと、正直あの発言があられたときに、あれはたしか、もう一人の民間から来られた学者の方がたしか委員会か何かで発言をしておられましたので、はあ、やっぱり学者というのはこんなものかいなと思って、実体経済が分かっとらん人だとこういう発言をするんだなと正直思いましたよ、私自身は。しかし、御本人がそう言っておられますので。
 そう思いましたけれども、物価というのは、御存じのように、そうですね、オイルショックのときは毎年三〇%、三二%上がっていましたから、あのころは。一年間ですからね、一年間で三〇%、三三%あのときは上がっていった。昭和五十一年、五十二年、あのころはそういう時代でしたから、ちょっと正直たまげた時代でしたけれども。
 そういうこともあり得るというのは分からぬわけじゃありませんけれども、やっぱりデフレーションからインフレーションに戻して、いきなりぼんとそこまで行くというのはなかなかちょっと簡単な話じゃないと思っておりましたから、二%が二年間で簡単に行くかなとは正直思わないでもありません。正直、私それ、意外と慎重にそこらのところは、そんなに、一般人の気持ちがインフレに変わっていくというのはそんな簡単に、二十年続いた気持ちがいきなりというのはそんな簡単にいかぬのだと、私はそういう前提で考えていますので、そんなに行くかなとは思いますが。
 仮に行かなかったとして日銀法を改正する必要があるかといえば、僕は、日銀法を改正して確実に二%行きますかといえば、誰がやったって同じようなことであって、黒田さんなり、また中曽さんたちの対応がきちんと努力をしておられるという評価を多分これは経済財政諮問会議で検討を、またそういったものを評価されるんだと思いますが、そこの評価の上で、全然しとらぬというのであれば、それはまたそのときに考えればいいだけの話で、今どうのこうの言う段階ではないと思っております。
#96
○中西健治君 今、大臣、岩田規久男副総裁が二年というふうにおっしゃいましたけれども、確かに岩田規久男副総裁も二年と言っていますが、黒田新総裁もやはり二年をめどにということをおっしゃっておりますので、総裁、副総裁のお一人が二年というふうに言っていますから、まあ日銀はもう二年を公約しているということなんだろうと思います。ですので、麻生財務大臣のタイムスパンとは若干ずれがあるのかもしれませんけれども、やはりそれ相応の時点で結果が出なければ、それはそれで政府としても考えなきゃいけないんだろうというふうに私は思います。
 そんな中で、総裁の解任権ですとか副総裁の解任権ですとか、こういったことはよく話題になりますけれども、実は、御承知のとおり、日銀は政策決定会合、九人の多数決ということになります。たとえ総裁が頑張ってやろうやろうと言っても、結局多数決で否決されてしまう可能性というのは常にあるわけです。そうしますと、審議委員についても本当は解任ということもできなければならないということがあり得るんだろうと思いますが、やはりこの審議委員についても総裁、副総裁と同じような、きちっとしたというか、固い身分保障というものが付いておりまして、そうした解任権というものがないと。
 ですので、我々は、日銀法改正というのはそういったところも含めてやっていくべきなんではないかというふうに思っておりますが、そこら辺はいかがでしょうか。
#97
○国務大臣(麻生太郎君) この話は、御党の話でいきますといろいろ書いてあるのは知らないわけではありませんけれども、今、正確に言われたらそこまでやらなきゃおかしいのではないかというお気持ちは分からぬではないんですけれども、私どもの知っている範囲で、主要先進国の中で中央銀行総裁の解任権を政党、議会が持っているという国は多分ニュージーランドぐらいしか私の知っている範囲ではないんですけれども、ほかにあるのかもしれませんが、このニュージーランドの場合は政策審議委員がありません。中央銀行一人ですから、あの方一人で決めることになっています。それはちょっと解任権ぐらい持っておいてもらわないと、その人がちょっとおかしくなる可能性だってないわけじゃありません、人間のやることですから。
 そういう意味ですと、これ、九人いて全員が全員というのはなかなかですし、今回の日銀の総裁と交渉させていただいて、共同声明というときに、出るときでも、あれは九対〇じゃなくて七対二に分かれたと思います。共同声明の際も七対二で、多数決で通っておりますので、そういった意味では今の日銀というのは正常に作動している。僕は全員が賛成というのは余り、誰かがうそをついているというように考えないと世の中間違えると思っておりますので、僕は、僕の感性からいきますとあれは正しい判断が行われたんだと、私はそう思っておりますので、今の段階で日銀法の改正というものを、これは選択肢の一つとして常にあると思いますけれども、今そういう段階にはないと思っております。
#98
○中西健治君 ありがとうございます。
 それでは、財政の運営方針というか、これからの健全化についてのお考えをお聞きしたいと思いますが、安倍政権は、これまでの民主党政権と同じく、二〇一五年度までにプライマリーバランスの赤字を二〇一〇年度に比べて半減する、そして二〇二〇年度までに黒字化するという目標を実現する必要があるというふうにしておりますけれども、二月末の経済財政諮問会議に政府が提出した試算によりますと、今回の大型補正予算後でやはり財政はかなり厳しい状況になるということで、二〇一三年度末でGDP比六・九%と、前よりも悪くなる、二〇一〇年度よりも悪くなる、そして額にしても三十三・九兆円の赤字になると、こういうことが政府の試算として出されているわけでありますけれども。
 そうしますと、二〇一五年度までということでいいますと、二〇一三年度末から二年しかない。その二年間で率にして三・七%、金額にして十八兆円改善をしなきゃいけないということになりますが、十八兆円という金額だと消費税を上げただけでは到底追っ付かないという金額になりますが、どのように道筋を考えていらっしゃるか、教えてください。
#99
○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘の、国・地方のプライマリーバランス等の推移という内閣府が出されたこの資料に基づいておられるんだと存じますが、これはもう御存じのように、国民経済計算という、通称SNAと言うんですけれども、システム・オブ・ナショナル・アカウンツという、それを略してSNAといいますけれども、これは、内閣府の試算というのはSNAベースの試算でして、この試算方法、計算方法というのは、御存じのように、予算の計上年度、計上した計上年度ではなくて、実際に支出される年度でのプライマリーバランスが計算されることになります。また、一部の特別会計とか、独立行政法人も外れていると思いますけれども、そういったものは外してありますので、こうしたSNA統計の性格を踏まえて、それで二十五年度の予算を見ますと、二十四年度分の補正予算で積み残されるであろう部分が二十五年度に執行されるということになり得る、またそういう整理になりますので、二十四年度より二十五年度のプライマリーバランスの方がより悪化するという形になっているんだと思います。これは、計上ベース、予算を計上ベースと違って執行ベースでありますので、これは平成二十六年度以降のプライマリーバランスにこれは全然影響しないということになろうと思うので、継続性のあるものではないという点が一点。
 もう一点は、二〇一三年度、平成二十五年度になりますけれども、これの当初予算では、先ほどもお話があっていましたけれども、四年ぶりに税の収入が公債金より上回ったという形になっておりますので、一応曲がりなりにも財政均衡とか財政再生への第一歩を踏み出した形になっているとは思いますけれども。
 いずれにしても、この財政健全化目標というのを実現していくためには、これはいろいろ、今から経済の流れとかいろいろな動きが出てくると思います。思いますけれども、少なくとも、この中期財政計画というのを年央をめどにきちんとしたものを作り上げにゃいかぬということで、今財政構造を確立していくためにもこれをそこまで作り上げるというのが目先、最も大事なところかと考えております。
#100
○中西健治君 中期財政計画を作るにしても、まあ結局のところは歳出を削減するのか税収を増やすしかないということになるわけでありますけれども、多分アベノミクスで期待されているというのは、増税ということではなくて、経済のパイが大きくなることによって税収が自然に大きくなるということが期待されているということなんではないかと思います。
 その中で、麻生財務大臣の率直なというか正直なところをお聞かせいただければというふうに思うんですが、政府のこれまでの試算というのは、いわゆる税収の弾性値というものについて、一・一ないし一・二というものを使われています。それはどういうことかというと、GDPが一%成長したときに、税収は全体で一%増えるのであれば一同士ですね。それが一・一%増えるのであれば一・一ということになりますけれども、ということは、GDPが五百兆から一%成長しても税収は四十兆あったものが一%しか伸びないと、こんなようなことを言っているのと同じことになります。
 そうすると、たとえ三%成長しても一兆二千億円しか税収が伸びない、こういう試算になっているんですけれども、この税収の弾性値については、経済が拡大するとき、好況のときには一どころではなくて三ですとか四ですとか、こうした意見というのは学者さんの中でも結構言う方がいらっしゃいます。そうしたものを使えば当然国の財政の形というのが違うふうに見えてくるということになるわけでありますが、ここら辺、経済が成長するときに税収はもっと伸びるはずなんじゃないかと、こうしたことについては麻生財務大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#101
○国務大臣(麻生太郎君) これは、中西先生、なかなか難しいところなんですけれども、ちなみに、ちなみにですよ、二〇〇一年から二〇〇九年までの平均で見ますと、これ実は四%伸びておるんです。しかし、これは物すごいあれでして、実は二〇〇二年は一一・二四伸びているけれども、二〇〇三年はマイナス一・六とかですね、アップ・アンド・ダウン、アップ・アンド・ダウンというか、上下の差が物すごい激しい数字で、単純に割って四%という数字になっていますので、これはなかなか、さように高く見積もれば見積もれないことはありません。ないことはありませんけど、これは少なくとも確実なところで見ないかぬところというんで、これはやっぱり財務省としては、きちんと確実なところといえば、一・一というのは、過去の平均値でいけば平常の状況においては一・一ぐらいで、上り坂であれば間違いなく二でも三でもあり得るというのはもう事実だと思います。
#102
○中西健治君 統計の分析ですからいろんな指標があって、単純平均を取ると四だというのも直近のデータとしてあるわけですけれども、やはりそこら辺も見直していく必要があるんじゃないかなと。慎重になるのもいいんですけれども、慎重になり過ぎるということですと、結果が増税だということになりかねない。若しくは、歳出を削るにしても削っちゃいけないところを削る、こんなことにもなりかねないということですから、ここら辺も是非、中期の財政計画を立てるのであれば見ていただきたいなというふうに思います。
 これで私の質問を終わらせていただきます。
#103
○広野ただし君 生活の党の広野ただしです。麻生大臣の所信について伺いたいと思います。
 いわゆる三本の矢、大々的な金融緩和、機動的な財政政策の発動、そして成長戦略、こういうことですが、いずれにしても、それはパイを大きくするということ、そして、まずそれがあって、所得が増えて好循環になっていく、こういう比較的楽観的な見通しでできていると、こう思うんですが、実体経済がなかなか付いていかないということも先ほどおっしゃっておりました。
 それで、これはオバマ大統領も言っているんですが、中間層の底上げが経済成長のエンジンになる、私たちも、国民生活を第一にするという立場から、またそうすることがやっぱり本当に豊かさを実感できる大事なことなわけで、この賃金、所得、あるいは失業率の改善というところを本当にこの三本の矢だけでできるのかどうか、そこのところをちょっとお伺いしたいと思います。
#104
○国務大臣(麻生太郎君) これは間違いなく、日本の経済というものを再生させていくという意味におきましては、これはどう考えても、日本経済の中に、実体経済の中に実需というのをつくり出していくということは、これは絶対に避けて通れないところなんだと思っておりますので、そのためには、企業活動が活性化するとか、また、御指摘のように、雇用とか所得とかいうものが拡大していくという意味で、経済全体の金の回りというものを良くしていかないとどうにもならぬというものだと思っております。
 前の予算委員会で申し上げたと記憶していますけれども、やっぱり東証上場企業のうちで四〇%以上の会社は実質無借金ということになっておりますのが実態です。これは、日本の企業というものは自己資本比率がやたら低いじゃないかと、昔かつてのBISやら何やらからやたら言われた時代とはもう全く今の状況は違って、日本の企業というのは極めて自己資本比率が高い企業になっているんですが、その企業が自分たちの中で内部留保として持っておられる金が二百兆だ二百五十兆だという話になってきますと、本来はその金は配当に回してもらうか、若しくは給与を上げる、労働分配率を上げてもらうか、又は設備投資に回るべき金がそのままじっと中に残っているという状況が、企業が、景気が回復してもその状態が続くというのであれば、おっしゃったような懸念というのは更に拡大することになりかねぬということだと思いますので、そのために、今回、政府としては、所得拡大促進税制として、給与の支払を増加していただいた企業には支援するとか、また、雇用をということで、雇用促進税制として、雇用を増加させた企業にはそういった恩典を出しますとか、いろいろ施策というものを今講じておりまして、給与所得が二十四年度上がった場合は、今五%になっておりますが、それが一〇%までの控除を認めますとか、また、雇用を促進していただいたところですと、税額控除二十万円から倍の四十万円に引き上げますとか、いろんなことをやらせていただいております。
 また、賃金を引き上げていただくというのは、これはやっぱり企業にとってはなかなか、経営者側にとっては難しいところだというのだとは思いますけれども、総理から二月の初め、私からも三月の初めに経済界に対して直接要請をする、これは少々、自民党として、賃金の値上げ交渉を自民党がやるなんというのはちょっと従来、我々の仕事じゃないんです、などとは思わぬでもありませんでしたけれども、しかし、とにかくこれすごく大事なことだと思いましたので、そういった意味でやらせていただきまして、明るい兆しも出てきておると思いますので、いずれにいたしましても、御指摘の点を踏まえて対応していきたいと考えております。
#105
○広野ただし君 大臣の丁重な御答弁、本当にありがとうございます。時間の問題もありますので、できるだけそこもまた簡潔によろしくお願いしたいと思います。
 FRBは、失業率を六・五%というようなことをやっぱり目指しているんですね。FRBだけでできるわけではありませんが、やっぱり目標のないところには雇用の改善というのもないと思うんです。
 私は、やっぱり現在四%前後と、日本の場合ですね、とすれば、三%を切る、あるいは二%台にできるだけ早く持っていくと、こういう一つの目標を掲げて、そこで雇用の改善にやっていく。やっぱり生活、暮らしの中で、失業というのはもう諸悪の根源です。やっぱり家庭が崩壊したり、場合によっては家を失ったり、もういろんなことになるわけで、これはやっぱり全体の政策の中の大きな目標にすべきだと、こう思っておりますが、特に実体経済をよく御存じの麻生大臣、そして副総理でもいらっしゃいますから、そこのところをどういうふうに、目標に掲げていくということはどうでしょうか。
#106
○国務大臣(麻生太郎君) これは失業率が何%ぐらいがいいかというところは、これは先生、なかなか一概には言えないところで、一番景気のいいとき、時代であったにしても、数%、三%、二%あった時代がありましたので、あのときで二%ですから、そういった意味では、ヨーロッパみたいに十何%いっているなんということは日本の場合はありませんでしたけれども、日本の場合、その点はかなりな部分はほかの国に比べれば低いんだとは思いますけれども、まだ四%台というのは、もうちょっと下げてもおかしくないのではないか、もっといけないはずはないのではないかという御指摘は正しいと思いますけれども、これをパーセントでこれまでと言われると、ちょっとなかなか政府として、これまでにしなければならぬというようなあれをちょっと申し上げる段階にはないと、そう思っております。
#107
○広野ただし君 物価目標については二%というのを言っているわけですね。これが二年でまず達成をされるとなりますと、その後、毎年二%ずつですから、日銀総裁期間の五年間なんかからしますと、八、九%物価が上がっていくと。
 しかし、実体経済が伴わないということになりますと、所得が上がらない、言わばスタグフレーションというようなことになりかねないわけですね。その懸念があるわけで、じゃ、同じ物価目標においてもそういうことをやるんですから、失業率についても、その三本の矢をうまく活用しながら、特に財政ですよね、財政の出動によってその改善はできるんじゃないかと、こう思いますが、いかがでしょうか。
#108
○国務大臣(麻生太郎君) いわゆるスタグフレーションに陥るのではないかと言われる御心配なんだと思いますけれども、これは実体経済の成長を伴わないで物価だけ上昇するということが発生した場合は、いわゆるおっしゃったようなスタグフレーションということになり得るんだと思いますので、そのために日銀との共同声明において、大胆な金融政策に併せて、政府として、今おっしゃったように、財政の機動的な対応とか経済の成長とかいうような話を申し上げているのであって、デフレの脱却と持続的な経済成長というものの実現を両方目指していくことにしないといかぬところだと思っておりますが。
 何にしても、とにかく金融と財政が出動しても実需が伴ってこない限りは今言われたところに一番陥りやすいことになりますので、三本の矢で言うなら、その三本目の矢が一番難しいところだと思いますが、そこが一番我々としてはこれから最も力を入れて取り組んでいかねばならぬところだと思っております。
#109
○広野ただし君 中間層の底上げというような、そういうことがやっぱり非常に大切だと思いますが、そこがちょっと抜けているんじゃないのかなと、こういう懸念を一つ思います。
 それともう一つ、アクセルとブレーキですよね。先ほどからも出ておりますように、やっぱり消費税を上げますと、特に二十五年度はいいんですが、二十六年度、これはもう八パーになりますから、そのほか控除が縮小されるとか、基礎控除等が縮小されるということになりますと、やっぱり八、九兆円の国民負担が増えるということですよね。
 かつての橋本内閣のときもいろいろと心配をされました。そして、結局、不況に突っ込んでいくと。要するに、今までの大蔵省、財務省のやり方は、アクセルとブレーキの踏み方のタイミングが、特にブレーキが早過ぎるんですね。だから、常にゴー・アンド・ストップというのをやって、そして、経済が軌道に乗らないうちにやっちまいますから借金ばっかりが増えていると、こういうことなんです。
 それで、今度の場合は二十六年度、二十七年度、もう明らかにそれが来るわけですね。その点、どういうふうにお考えかということです。よろしくお願いします。
#110
○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のありましたブレーキを早めに踏むというのは、一九九七年度、九八年度、例の三から五に上がったときの話をしておられるんだと思いますが、あのときは三税と言われる所得税、法人税、消費税三税が、九七年が四十一兆円、九八年が三十七兆円、多分四兆円落ちた。だから、増税したら減収したという話に結果としてなりました。あのときは九七年のアジアの通貨危機とかいろんなものが重なったせいもありますけれども、結果としては増税したら減収したという形になったのはもう事実と思っております。
 そういった意味で、私どもが法律を今度やらせていただくに当たって、これは自公民三者で合意をしておられますけれども、いわゆる税制抜本改革法附則第十八条にのっとって、いわゆるもう上げる、来年四月に上げるという前に当たっては、少なくとも名目成長率はどうしているとか、実質成長率はどうしているとか、物価動静がどうなっているかとか、いろんなことを全部突っ込んで、きちんとした、まあそのほかQEとかいろいろありましょうけれども、そういった財務諸表等々を全て見込んだ上でやっていくということを決めておりますので、そういった意味では、我々としてはこの点は十分に踏まえて、それまで、この十月までどういった情勢になるかというものを十分に考えないと、もう大丈夫だというのでいきなり踏んだら、まだ実体経済でいえば雰囲気だけ上がったって何も上がっていないじゃないかということになりかねぬという点は、我々としては十分に注意して臨んでいかねばならぬと考えております。
#111
○広野ただし君 まさにブレーキを常に、財政再建のことが頭にあるものですから、常に早く踏むんですね。結局は長期的に見ると債務がぼんぼんぼんぼん膨らんでいるというのが過去十数年の、我々が学んでいる一つの教訓だと思いますので、機動的な財政運営というものを是非よろしくお願いしたいと思います。
 時間の問題もありますので、先ほどもあったように、私は、グローバル経済を中に入れるという面も確かにありますけれども、やっぱり地域経済等を考えますと、内需を振興しないとこれはもう本当にやっていけない。その中でも特に、自民党さんは公共投資重視ですけれども、地域経済の先ほどおっしゃった補修ですとかそういう改善をする、更新をするというのは非常に大切だと思いますが、何よりもやっぱり人を重視する、人を大切にする政治をやっていく、これが、教育投資は何かいかにもまだるっこいように思いますけれども、急がば回れで、やっぱり人を大切にすることによって、それが経済を発展する原動力にもなるというふうにも思っております。
 それともう一つは、大量生産、大量消費の考え方をきちっと変えないと、やっぱり、私はSMAPじゃないですけれども、オンリーワンですよ。オンリーワンの物ですとかサービスを提供をする。ですから、少々値段は高くても、そしてそれがちゃんと受け入れられると。もうヨーロッパでもみんな高級ブランドです。実態をよく見ると何かよく分からないんですが、やっぱりそういうものを世界中が買うわけですね。日本は、もう安かろう、大量生産でどんどん価格を下げていって首を絞めていると。それで、いろんな努力しますが、言葉は悪いですが、こっぱ集めの大木流しですよ。そんなことばっかりやってきている。だけれども、やっぱり高級なものを、物でもサービスでもオンリーワンの考え方でやっていくと少々値段は高くてもやれるんじゃないかというふうに私は思っております。特に、中小企業においてはそういうことをやるということが非常に大事だと思いますし、釈迦に説法ですが、中小企業は日本の九九%がそうですし、雇用だって七五%は中小企業で持っております。
 その中で、このポスト中小企業金融円滑化法のことですが、これはもう地域経済にとっても非常に中小企業の役割は大きいですから、ここのところで、今、常に問題になりますのがリスクをどこが取るかと。保証協会も頑張ってくれているんですよ。それで、地域の中小企業金融機関も頑張っている。だけど、最終的なところへ行ったら、どこでそのリスクを取るのかという世界になっちゃうんですね。それで、押し付け合いをやっていて、それで結局は中小企業は破綻の方へ行ってしまうというのが非常に多いわけで、ここのところを、ポスト中小企業円滑化法の枠組みをまず簡単にちょっと御説明いただきたいと思います。
#112
○国務大臣(麻生太郎君) おっしゃるとおり、中小企業、どこがリスクを取るかというのは、最終的にはそれはもちろん経営者が取るんですけれども、基本的には、いわゆる金融機関というものがそういったものの、何というか、仲介機能というものを十分に果たさにゃいかぬというところなんだと思って、何となく土地があるから貸してやるんじゃなくて、出すに当たっては、少なくとも経営者の考えている経営姿勢とか、今売ろうとしているものとか、経営計画とかいうのをよく見極めて、この企業を育ててやるというような気持ちになってある程度リスクを取らにゃいかぬというところが本来の役割なんだと思いますけれども、その点、リーマン・ショック以降はちょっと特にその点は引けていたんじゃないかなという感じが私どもしております。
 したがいまして、この三月の円滑化法というもののあの到来した後につきましても、この円滑な資金の供給というのは極めて重要であろうと改めて思っておりますので、金融検査マニュアルというものをきちんとして、少なくとも我々金融庁が検査する、そういった立場にありますので、検査監督で、これは、問題は、貸していないところの方をきちんと指導するというような形にしないと、従来のつもりで、とにかく取りっぱぐれないようにだけというような形だけになりますと、逆に剥がす、引き揚げる、そういった方向に、逆の方向になりかねぬと思っておりますので、個々の借り手の方々の経営改善もきちんとしていただかなければならぬことはもうはっきりしておりますけれども、きめ細かい支援策というものをきちんとやっていかねばならぬ。これはかなり今回は各商工会議所からどこに至るまで中小企業庁と一緒にいろいろやらせていただいていると思っております。
#113
○広野ただし君 保証協会が、あれ補正予算で五兆円になったんだったですかね。そして、政府関係の中小金融機関の融資枠五兆円という、ここのところはどういうふうになっておりますか。
#114
○副大臣(菅原一秀君) 経済産業省中小企業庁の方から答弁をさせていただきます。
 委員御指摘の借換え保証でございますが、お話しのとおり、三月六日に経済産業大臣を本部長とする中小企業・小規模事業者経営改善支援対策本部を立ち上げまして、補正予算で五百億の枠を取りました。事業規模で五兆円。この複数のこれまでの保証付きの借入れを一本化しまして、かつまたその返済期限を延長するというような対策を取るということに関しまして約五兆円規模で実施を行っていくところでございます。
 また一方で、業況が悪化をしている、しかし資金ニーズがある、そうしたところに対しまして、経営改善計画をしっかり出した上で、このセーフティーネット、大変低利の融資の貸付けを合わせて五兆円、計十兆円規模で行うことを今進めているところでございます。
#115
○委員長(藤田幸久君) 広野ただし君、質問終了時刻が参りましたので、おまとめをお願いいたします。
#116
○広野ただし君 はい、ありがとうございます。
 結局、起業をする、廃業をする、アメリカだと起業が多いわけですよね。日本はもう廃業の方が多くなっちゃっているという事態で、その中でも中小企業を守らないと地域経済がどうにもならないわけですね。ですから、本当に地域を大切にする、中小企業を大切にするということから、ポスト中小企業円滑化法の出口戦略を本当に万般にやってもらわないと、本当に日本の宝を失っていくということだと思いますので、よろしくお願いします。
#117
○大門実紀史君 大門でございます。麻生大臣、これからまたよろしくお願いをいたします。
 先ほど、竹中さんと闘ったという話を聞いて大変親近感を抱きましたけれども、西田さんからもありましたが、当時私もデフレの議論をここで竹中さんとよくやったんですけれども、やっぱりあのサプライサイド論はデフレを深刻化させたなと。賃金を抑制して、価格破壊といってダンピング競争をあおるというようなこともありましたから、本当によくその辺から総括をしなければいけないと思っておりますが、今日は、実はそういう議論をしたいんですけれども、対応が急がれておりますちょっと被災地の金融の問題について質問をさせていただきますので、経済問題は次回にまた議論させていただきたいというふうに思います。
 まず、事務方の方で結構ですので状況を説明してほしいんですけれども、お手元に資料を配付いたしましたけれども、被災三県の被災者の債務の返済状況が今どうなっているのか、簡潔に少しこの資料に基づいて説明をしてください。
#118
○政府参考人(細溝清史君) お手元の資料の一ページ目にございますが、これは被災三県、岩手県、宮城県、福島県に所在します金融機関へのヒアリング結果でございます。昨年十一月時点でございます。
 上にありますように、約定弁済を一時停止している債務者数は六百三十九先、債権で二百十億円、うち住宅ローンが三百二十七先でございますので、いわゆる事業者数としては三百十二先、債権額としては百六十四億円が約定弁済を一時停止しております。
 それから、その下の段にありますように、正式な条件変更の契約につきましては、これを締結した債務者数は二万二千九十一先、債権としては一兆六百九十七億円、うち住宅ローン六千八百六十二先を除くいわゆる事業者数は一万五千二百二十九先、債権額としては九千七百二十一億円となっております。
 ただ、事業者はいろんな複数の金融機関から借りていることがございますので、これは各金融機関のヒアリングの合計でございますので、重複計上があり得るということでございます。
 ということで、約定弁済を一時停止しているケースは債務者数、債権額共に減少しておりますが、正式な条件変更に移っているケースは、これは契約を締結した債務者数、債権額は増加しております。一般的に申し上げますと、大震災の影響で返済を一時停止されていた債務者が一部の事業再開や生活再建の進捗に応じて正式な条件変更契約を締結しているものと考えております。
#119
○大門実紀史君 ありがとうございます。
 これは、事業者という数字では引き算しなきゃいけないんですけれども、要するに、返済をいまだ返せない、停止している人は、六百三十九から三百二十七引いたものはほとんど事業者だと思いますので、三百十七ぐらいの事業者がいまだ返済ができていないと。三百ぐらいの事業者がそういうことだと思いますし、条件変更をして返済を取りあえずしているという事業者は、これも引き算しますと一万五千ぐらいの事業者というふうな数字になるかと思います。
 それで、二枚目にこの推移が、今までの状況の変化をグラフにしてもらったのが二枚目ですが、これ、簡単に私の方から説明いたしますと、平成二十三年の五月の時点では、震災が起きた年の五月では、一時返済をストップしていた人が、全体が一万九千五十八件中一万四千八十三の人たちが返済をストップしておりましたけれども、去年の十一月でいきますと、それが先ほどあったように六百三十九に減っていると。もうほとんど条件変更をして返済をしているという状況に今はなっているわけでございます。
 国が、後で触れますが、借金を減らす仕組みをつくったわけですけれども、借金を減らさないで返しているという人たちがもうほとんどになってきているという状況です。ところが、度々触れられていますとおり、被災地の状況は、復興はまだまだこれからでございまして、事業が正常化している人というのはほんの一握りであります。にもかかわらず、これだけの人たちが返済している状況と。これは金融庁として、事務方で結構ですけれども、どういうふうに把握されておりますか。
#120
○政府参考人(細溝清史君) この条件変更の具体的内容は、元本返済猶予というのが多いのではないかと聞いております。
 金融機関で個別にヒアリングしましたところ、条件変更契約を締結して返済している事業者、例えば仮設店舗等で営業を再開しているものの本格再開に至っていないため、当面の間、震災前の債務の返済負担軽減のための条件変更をしている、あるいは、グループ補助金等により事業再開のめどが立っているものの震災前債務の返済負担の軽減のため条件変更をしているケース等々、様々なケースがあると聞いております。
#121
○大門実紀史君 私も何度も被災地の金融調査行っていますけれども、いろんな理由があるのは確かでございます。
 この取りあえず返している中もいろいろございまして、元本据置きで利息だけ払っている人もいれば、条件変更ですから、返済額をちょっと減らしてもらって返済している人もいれば、今までどおり返済しているという方もいるわけでございます。
 まず、この一時停止してまだ一円も返せない人と、今申し上げた、元本据置きで利息だけ払っている人、返済額を減らしてもらって返している人、この方々はやっぱり震災の被害を受けた方々で、通常どおり返している人はもう被害が非常に少なかった方だというふうに、そういうようなことになると思います。その被害を受けた、取りあえず利息だけ返しているとか、返済額を減らしている人とか、全然返せないという人は、恐らく一万人以上まだいらっしゃるというカウントになるんじゃないかと思います。
 そういう方々がどういう方向になるかというのは、これも私、自分で調査して、大体分かれるのが、もう事業の再開を断念した人、もう年齢の関係とかいろいろあって、それと政府の対応も遅かったということも起因していると思いますが、とにかく廃業をしてもう整理に入るという人と、あとは、先ほどありましたが、中小企業のグループ補助を受けて、これで再開の準備に入っている人、自力で、補助は受けていないけど自力で再開の準備をしている人と、あとは、町の復興計画がまだ決まっていないと、かさ上げもこれからと、どこで自分の工場を建てるとか事業所を出すとか決まっていないという、この町の復興計画待ちになっている人というような方々がいるわけですけれども、事業再開の意思のある人々全てを支援しようというのが国会でのこの二年間の議論でございました。
 その手段が二つございまして、一つが先ほどあった中小企業グループ補助制度で、これはもう既に約四千億円で、八千数百の企業が認定されておりますので、大変喜ばれている制度でございます。
 問題は、その二つ目の債権買取り機構の方なんですけれども、これも資料を御用意しておりますけれども、結論だけ申し上げますと、債権買取り機構は、御案内のとおり、新たに事業を再開するときには借金をしなきゃいけない、二重ローンになりますから、過去の借金を減らしてあげようという、買い取ってあげようという機構でございますけれども、これが二つありまして、中小企業庁の復興機構、これは元々あったといいますか、あったんですね。それでもう一つ、この国会の議論で特に自民党の方々から、この中小企業庁の復興機構は駄目だと、こんなものは大きいところしか救わないから駄目だということで、新たにつくらなきゃいけないということでできたのが事業者再生支援機構というものでございます。これは私たちも賛成いたしましたが、野党の議員立法でできたものでございます。
 ただ、私自身は、この中小企業庁の産業復興機構に最初からかかわっておりましたんで、中小企業庁の機構を広げてやれるんではないかというふうに考えておりましたけれども、復興庁が管轄する支援機構がもう一つできることはできたわけでございます。
 これは大変鳴り物入りでできたものでございまして、さっき言った中小企業庁の復興機構をたたきにたたいて、おまえらは駄目なんだということでつくった機構でございまして、規模も五千億の買取り規模というような、打ち出しもすごかったんですけれども、それをやったわけですね。
 ところが、それだけ鳴り物入りでつくっておいて今どうなっているかというと、まだ買取り件数が僅か百五件でございます。中小企業庁の復興機構は九十五件なんですが、向こうが駄目だと言っていて新たにつくってわざわざつくったのが百五件なんですね。
 これは、ちょっと本当に、あのときの議論を聞いておられた議員の方もいると思いますけれども、何のためにつくったのかと、二つもですね、が問われる事態に今なりかけてきていると思います。五千億の規模と言って、少なくとも二千件ぐらいの買取りをと言ったのがまだこんな数でございますから、これ、政治的にも問題になるんじゃないかと、国会は何やっているのかというふうになりかねない問題だと思います。
 これは、金融庁として、この買取り機構の買取りが進まない理由をどのように把握されているか、ちょっと簡潔にお願いしたいと思います。
#122
○政府参考人(細溝清史君) 議員御指摘のとおり、この三月十八日時点で、この機構による買取り決定は百五件、支援決定になりますと百三十三件、それから、支援に向けて具体的な協議や最終調整をしている先は二百三十四件あるというふうに承知しております。
 今後、復興計画が進展しまして被災者が本格的な事業を再開する場合に新規融資が必要となるということから、今後これまで以上に機構の活用が進むんではないかと考えております。
#123
○大門実紀史君 もちろん、町の復興計画を待っている方々がこれからこの買取りを要請するというのは、先ほど私も申し上げたとおり、あると思いますが、それにしたって、余りにも少な過ぎると思います。
 この中にはいろいろ理由がありまして、中小企業グループ補助を受けて、もう一段落して、これ以上国の面倒見てもらっていいのかという、皆さん真面目ですから、そういう方々もいるのは事実でございますが、これはグループ補助を受けてもこの買取り機構を使えるというふうになっておりまして、それは一応宣伝もしているわけですね。ところが、ほとんどそれは、両方使うということをやられておりません。
 これはやっぱり、きちっとタイアップしてもらって、といいますのは、グループ補助は、四分の三出ますけれども、四分の一は自己負担です。この自己負担といっても、被災地は今、資材とか建築費が高騰しておりまして、四分の一自己負担できると思ったのができなくなってきたということが来ておりますし、その借入れも中小企業庁がやったりしてくれているんですけれども、非常に負担になっておりますから、やはり過去の借金を減らすということで、この機構を活用して、是非宣伝してほしいといいますか、タイアップを進めてほしいと思います。
 もう一つは、機構そのものの問題でございまして、これはこの議論のときに絶えず指摘してきたんですけれども、この買取り機構というのは平時の事業再生機構と違うんだと、被災地の、自己責任ではない、この震災被害の方々を支援するものなんだということを繰り返し指摘してきたんですけれども、どうしてもこのかかわる人たちが、経済合理性とか、事業再生のいろんな平時の物差しを持ってきて、そこがハードルを高くしてなかなか買取りまでいかないというのがこの間進んできております。
 これは、民主党政権の平野復興担当大臣のときにも御意見を申し上げて、じゃ、どうしましょうかということになって、少なくとも保証協会の保証が付いたものについてはもうスピードアップして先に買い取りましょうというような、いろんな改善はしてもらってきているんですけれども、いまだこのかかわる方々の、みんな頑張っているんですけれども、どうも意識が、平時の事業再生にとらわれちゃって支援の手が先に伸びないというふうになっているわけでございますので、これは引き続き私も指摘させてもらいますけれども、この買取りの物差しについては十分もっともっと柔軟化していくということを金融庁からも指導してほしいというふうに思います。
 その中で今日ちょっと取り上げたかったのは、被災者の方々から大変な怒りの声が上がっている問題でございます。
 今申し上げた平時の事業再生の発想からくる問題なんですけれども、この買取り機構で買い取ってもらうというか相談をするときに、これは二つの機構、両方ともそうなんですけれども、被災者の方々は、相談に行くと機構の方から、デューデリジェンスといいますけれども、要するに事業再建計画を作ってみてくださいと、こう言われるわけですね。ところが、かなり難しい計画作りになりますので、専門家に頼まなければできない人が多いわけでございます。規模が大きくなると会計監査法人に頼んで百万円以上払うというようなことになるわけですけれども、その専門家に頼むときの費用を中小企業庁の復興機構は機構が負担してあげているんです。これは当たり前だと思います、被災者が相手ですからね。ところが、復興庁の事業再生支援機構の方は本人に負担してくださいと言うわけですね。
 そうすると、本人の方は、事業計画作って支援が受けられるかどうか分からないのに何十万とか百万円以上とか負担させられるというところだけでもうやめようということで引く人とか、負担したけれども結局支援を受けられなかったとか、もう大変な問題になっておりまして、これを私、聞いて、同じ国の機構で、片や本人負担なし、片や本人負担というのは余りにもひどい、余りにもおかしい、不公平だということを言いまして、改善の方向だとは思うんですけれども、ちょっと検討させてくれということにはなっているんですね。ただ、いまだ返事が来ません。
 これはやっぱり政治家が判断すべき問題だと私は思っておりまして、是非、麻生大臣、これはもう速やかに改善して、機構が負担をする、被災者の方々に負担を掛けない、同じ基準でやるということに麻生大臣からも指導してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
#124
○国務大臣(麻生太郎君) これ、ちょっと今日、追加質問を先ほどいただいたので、私、この話をお聞きするまでちょっと二つ別々になっているということは知りませんでしたので、ちょっと今の話を聞いて、この種の話は一方的に聞いても駄目なので、両方から聞かないかぬところなんですけれども、いずれにいたしましても、これは早速問い合わせてみます。向こうは検討中と言っておりますので、検討させるといったって、今の方向というのは基本的な方向として片っ方はやっておるわけですから、そういった意味では、今言われた方向で話を進めさせていただきたいと存じます。
#125
○大門実紀史君 これはもう個々に現れる平時の事業再生、そういうのは自己責任だというか自覚を持ってもらうために負担してもらった方がいいみたいなとんでもないことが持ち込まれているわけでございまして、決して悪気があってやっておるわけじゃないと思うんですけれども、その発想が分かっていない方がまだいらっしゃるんで注意をしてもらいたいと、多分改善の方向になると思いますけれども。
 最後に、これは衆議院で我が党の佐々木憲昭議員が取り上げましたけれども、もう一つは金融機関側の問題があります。金融機関がなかなか買取り機構に持ち込まないと。買取り機構に持ち込みますと債権カットを要請されますので損失が出るということで、できればということで抱え込んだままになっているわけですね。これはやっぱり被災者を支援するためにも、とにかくおまとめローンで新規融資もまとめて返させるんじゃなくて、過去の借金は減らすと、国の制度があるわけですから、そういうふうに機構を活用させるように金融機関を支援してほしいと思います。これは金融庁、割と頑張って指導をしてくれているのは存じております。
 資料を用意したのは、特に公的資金を受けたところは、例の公的資金の入れるときの法案の審議で、被災金融機関だけではなくて被災した企業のためにもこの公的資金、必要だということで我が党も珍しく賛成をしたわけです。だから、そういう趣旨もありますので、公的資金を受けた金融機関ほどきちっと被災中小事業者を支援してほしいと。この資料がありますけれども、まだ産業機構の活用が公的資金を受けたところの割には大変少ないわけですね。積極的に、あなたたちのためだけに公的資金を入れたんじゃないということを指導してもらって、進むように、これ、もう最後ですので、麻生大臣から一言いただいて、質問を終わりたいと思います。
#126
○国務大臣(麻生太郎君) これ、御存じのように、銀行、信用金庫、信用組合、十二行、この対象になっているところがあるんですが、その中にありまして、震災支援機構など、いわゆる積極的な活用を含めて、被災者のいわゆる再生支援というものに貢献していくことがこれ大前提でさせていただいておりますので、具体的には、このようなこの十二の金融機関につきましては、経営強化計画におきまして、被災者の再生支援の一つとして積極的に活用をやってもらいますよというのがこの計画の中に盛り込まれておるというのは御存じのとおりでありますので、この履行状況のフォローアップというものが一番大事なところなんだと思いますので、私どもといたしましては、この十二の金融機関がきちんとそれを履行するように引き続きしっかりと促してまいりたいと、そのように考えております。
#127
○大門実紀史君 終わります。
#128
○中山恭子君 日本維新の会、中山恭子でございます。
 日本銀行が今日から新たな体制で金融政策を担うこととなりました。今後、金融政策、財政・経済政策が整合性を保って日本経済の復興に対応してくれるものと心から願っております。
 日本銀行総裁となられた黒田東彦さんは、大蔵省の一年後輩でございます。一九七五年から七八年、もう三十数年前のことですけれども、ワシントンで、国連の経済専門機関である国際通貨基金、IMFの理事補として部屋を、向こうでは机ではなくて小さな部屋がありまして、部屋を並べて勤務した方でいらっしゃいます。非常な理論家です。そして、当時、若い各国のエコノミストたちともう毎日のようにいろんな議論がなされました。ドルの金廃貨とか、いろんな問題が非常に国際金融について動いている時期でございました。黒田さんが堂々と対応して若い他の国のエコノミストたちを説得したりしている様子を非常に頼もしく見ておりました。また、アジア開銀総裁でもいらっしゃいましたので、国際金融だけではなくて、諸国の経済情勢を熟知していらっしゃるということもあって、国際社会での知名度、信頼度も高い方ですので、今後のかじ取りを私は非常に期待しているところでございます。
 さて、金融政策の問題の一つとして、先ほど広野先生からもお話が出ましたけれども、中小企業金融円滑化法の期限がこの三月末で到来します。日本の銀行はその成り立ちそのものがヨーロッパやアメリカの銀行と違っていますし、また、それぞれの地域で果たしている役割というのも違っているということを認識して対応する必要があると考えております。
 現在もなお、地域の銀行が中小企業経営や地域経済の発展を支えております。金融円滑化法の定めのあるなしにかかわらず、地域の金融機関が、血液と呼ばれているような地域の金融機関が中小企業を発展させ、地域経済とともに歩む、その姿勢が非常に重要であると考えております。
 金融行政におかれまして、地域密着型の金融の在り方を一層推進することが求められると考えておりますが、今後の中小企業金融対策の方向性について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#129
○国務大臣(麻生太郎君) 中山先生御指摘のありましたとおりに、日本の場合は、戦争に負けたのが一番大きな理由だと思いますけれども、ドイツとか日本とか、いわゆる企業を始めるときに、例えば、中山、俺に資本金を出せという人はほとんどおりませんでね、日本では。中山、俺に金を貸せって、大体こういうことになっております。それは、金利に金払う分については、これは赤字でも払えます。金利さえ払えば別に問題ありませんけれども、資本金でありますと、その点は黒字にならない限りは配当でしか金は払えないと。多分それが一番大きな背景だと思いますが、日本とかドイツとか、そういった、韓国もそうですけれども、いわゆる金を借りてスタートするという形の方が多い。それに比べてイギリス、アメリカ等々、これは資本金でやるのが多いので、元々の生い立ちが銀行の生い立ちからしてもう全く違っておりますのはもう御指摘のとおりなのですが。
 したがいまして、この金融機関というものの存在というのは、特に戦後、開発銀行の前の復興銀行とか、ああいう時代に遡りまして、間違いなく日本の場合は銀行の果たす役割というのが極めて大きいものでありまして、政府系の金融機関とかいうものの存在価値も極めて昭和二十年代、三十年代、大きかったと存じます。
 基本的に、そういう背景を基にしてどういうことになったかといえば、日本の場合は確かに巨大な企業もできましたけれども、多くの中小企業を残すことに成功したと、これは中小企業ばっかりといって悲観論もありますけれども、私は中小企業を多く残して、巨大なガリバーみたいなものしかできなかった、何か国かありますけれども、そういう国と違った形になったのは結果論としてはよかったんだと思いますが。これを支え続けるために信用金庫、信用組合、第二地銀等々、地方の銀行の果たした役割というのは、僕はこれは物すごく大きかったと思っておりますので、その銀行がそういった地方の中小零細企業の計画の未熟なところをいろいろ補完してやり、その点に話を付けてやったり、こういうところだったら、おまえ、ここに売りに行ったら売れるんじゃないかという情報まで提供したり、いろいろなことをしてきたのが地方の小さな金融機関の果たした役割だったと、私もそう思っておりますので、是非今後ともそういった企業を育てるという観点に立って金融庁としてきちんと作動していかねばならぬ。
 リーマン・ショックの後、銀行が倒れそうだったものですから、いろいろな時期がありましたけれども、今明らかに方向をきちんと、そちらの方向に向けて金融庁としても指導をさせていきたいと考えております。
#130
○中山恭子君 ありがとうございます。
 地方では、例えば信金さんとか、さん付けで呼ばれていたり、地方の中小金融機関が果たしている役割というのは、その地域の公共性も帯びていると言われているほどでございますので、それぞれの地域で大きな役割を果たすということを、是非その点に対してもお力添えをいただきたいと、そんなふうに思っております。
 さて、大臣が午前中も何度も申されておりましたように、デフレからの脱却というのは日銀による金融政策だけではとてもできるものではありません。二本目の矢が非常に重要だと考えております。
 大臣は、デフレ不況から脱却するためには従来の延長線上にある対応では不十分であり、次元が違う大胆な政策パッケージを実行するとおっしゃられています。非常に心強く感じておりますけれども、二十五年度予算でも公共投資を重視する姿勢が非常に明らかに出ておりますし、大臣の所信にも国民の命と暮らしを守る公共事業予算の充実が盛り込まれているということで、私自身は大変高く評価しております。
 公共事業が悪であるということを時々言われますけれども、もちろん一部の政治家などの利権のために悪用されたことが、そういうことは問題であったと思いますが、誤った認識が社会に植え付けられてしまったということは、日本経済にとって、また、国土形成を進めていく上でも非常に残念なことだったと考えております。
 防災、減災のための公共事業、インフラ老朽化対策のための公共事業などは非常に重要な必要なものであり、まさに政府が行わなければならない事業でございます。官から民へという段階でも、民でできないことは官がやらなければいけないということは当たり前、当然のことであると考えております。その点について、大臣のお考えをお願いいたします。
#131
○国務大臣(麻生太郎君) よく効率の話が出ますけれども、そんな効率が良くてもうかるものだったら、それは民がやりゃいいんであって、何も官がやることはない、当たり前の話ですけれども、もうからなくてもやらねばならぬことがいっぱいあるから官がやる。
 したがって、公共工事というのは必ず、特に日本のように、とにかく災害はもう百貨店のように全部、最近は津波含めまして、地震、竜巻まで含めまして、最近、従来なかったものまでいろんな現象が出てきて、台風はもちろんのこと、ありとあらゆる災害を抱えております国におきましては、国土を強靱化しておかないことにはどうにもならぬというのは、これは何というか、とにかく歴史始まって以来、ずっとこの国に与え続けられてきた基本的な生き方として、自然災害というのは忘れたころにはやってくるという覚悟をしてやらねばならぬところなんだと、私はそう思っております。
 その意味で、公共事業のお話が出ておりましたけれども、当初予算の最高、補正予算は別にして、当初予算の最高というのは、平成九年のときには九兆七千四百四十七億円ありましたものが、平成二十四年度では四兆五千億に減っておりますので、大体半分になったと思っていただいたらよろしいんだと存じます。このほか、補正やら何やら付けますと、いろいろまた比較のしようがまた変わってまいりますので違いますけれども、いずれにいたしましても、そういった形になってきておりますので、公共工事というものがやっぱり果たす役割につきましては、今回、笹子のトンネルの例に限らずいろいろあるんだと思っております。
 また、今後、公共工事をすることによって、無駄なものをする必要など全くありませんけれども、例えば日本でこれだけ、そうでございますね、この二十年間で多分コンテナなんというものは三倍ぐらいに絶対量が増えていると思いますけれども、港からコンテナ積んで最寄りの高速道路に出るまでの道路というものはもうほとんどシャビー、シャビーって、みすぼらしいものになっておりますので、これがきちっとつながるということは、間違いなく日本の経済活力、力という、経済力というのを高めることにもなりますし、いろんな意味でそういったものが大事な大事なもんなんだと思っております。
 アメリカも、よく八〇年代の例に引かれますけれども、やっぱりいろんな意味での、テネシー・バレー・オーソリティーとか、我々が学校で習ったTVAなんかで見るまでもなく、やっぱりフーバー・ダムにしても、サンフランシスコのゴールデンゲートにしても何にしても、ああいったようなものというのがアメリカにもたらした影響というのは物すごい大きいものだと思いますので、日本として、今後、今我々としてやらねばならぬ、途中で公共工事は悪であるという感じで止まっちゃっているようなもの、それをきちんと、今、東北のところ、高速をつなげようとしたりいろいろしておりますけれども、そういったものは今後ともきちんとやることによって、強靱化されると同時に、それが経済発展につながっていくというようなものをきちんと両方つなげていく、その姿勢が大事にされなければならぬものだと思って、努めてまいりたいと考えております。
#132
○中山恭子君 予算でも公共事業を計上していただいている、また力を入れてくださるということで、大変有り難く思います。
 老朽化した社会インフラのメンテナンスについては、今日、午前中のお答えの中にありました。メンテナンスを行っていくということも大事ですけれども、当然やらなければいけないことですが、今、日本全体の中で新たな社会インフラ、世界の最先端の事業を使った社会インフラを日本の国土にしつらえていくということも是非考えていただけたらと思っております。
 先日、二月二十六日の補正予算に関する締めくくり質疑の際にもちょっと申し上げたんですが、四分間という短い時間でございましたので余りしっかりした質疑を行えませんでした。麻生大臣からは非常にきちんとしたお答えをいただいて有り難かったとは思っておりますが、今回の公共事業又は財政出動をどのような形で進めていくかというものの具体的なイメージというものが一つあってもいいのではないかと思っています。
 その会議でも申し上げましたように、一つは共同溝の敷設をしてほしいと考えております。あのとき、国交大臣からのお答えの中でも、日本の主要な都市の共同溝の敷設というのはヨーロッパの都市に比べても非常に劣っている、全国の平均ではもう更に更に、十数%といったお答えだったかと思いますが、まだまだ日本ではそういったものができておりません。
 防災のためにも、それから観光のためにも、美しい町づくり、強靱な町づくりのためにも共同溝の敷設を、しかも、これ一年で終わるわけではありませんので、長年掛かることでございますので、公共事業としても非常にもちのいい、全国に景気回復のためのきっかけをつくっていくでしょうし、それから、それぞれの地域の企業を使っていけば、企業の方々、特殊な技術ではありませんので、共同溝を造っていくということであればそれぞれの地域の雇用も増えてくるということでございますので、是非御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#133
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的に、共同溝、ガスとか水道とかいろいろございますけれども、加えて電線というものの地下埋設をしてもらいますと、これは電柱が地下に埋設すると、まず最初に景観が変わります。それから、場所が広くなります、間違いなく。大体、車をぶつける最初は電信柱と相場は決まっていますけれども、その電信柱が地下に埋設されるんですから車道と歩道と分けられますし、安心、安全の面でも効果があります。
 おまけに、これは土地は国か県のものですから、基本的に特定の人に金が行くということはありませんし、地下埋設する共同溝というのは、これは今猛烈な強度の高いものが出まして、上に少々の重量の、何というか、重たいトラックやらバスなんてもう全然いいことになっておりますし、嵐になって電柱が倒れて、大体これが全て交通麻痺のもとなんですけれども、これもございませんし、いろんな意味で電柱の地下埋設を含みます共同溝の開発というのは、これはいわゆる我々として最も簡単にできるものでありますし、新たに土地の買収費が掛かるわけでもないという意味においてはすぐ進められるものの一つなんだと思っておりますんで、補修含めまして、こういったものは極めて効果の高い、効率のいいものだと、私どももそう思っておりますので。
 これ、ただ、ガス会社と電気会社と電話会社、何かいろいろなものと話合いをさせるところが最も手間暇の掛かるところでして、これはちょっとかなりなところでここからやれということでスタートしないと、うちの会社の計画と違いますとかなんとか言われて、ずっと話合いが付かないなんていうのがこれまでよく起きる話でしたんで、ばらばらにやられるものならばらばらに工事がずっと続くなんていうことになりますんで、そういったことのないように効率よくということを頭に置いてやらせねばならぬ。そういうやらせねばならぬという覚悟でいかないと、これ従来どおりでたらたら予算だけ付けたって、何回も掘り返されることになるということは避けねばならぬとも思っております。
#134
○中山恭子君 大変ありがとうございます。
 これまで何度も何度もこのテーマは財政金融委員会でも申し上げてきておりますが、やっと初めてこの共同溝に目を付けていただけました。大変有り難いことと思いますし、日本の将来を考えますと、やはりこれだけ災害の大きい地域ですので、将来の子供や孫が住んでいく上でも進めていただけたら大変有り難いテーマだと考えております。
 さらに、東日本の大災害の後、あそこは社会インフラが全て消えてしまっております。あの中で復興計画を立てていく中で、最初から道路を造ると同時にこの共同溝を敷設するということを考えていただければ、日本全体より早く東日本には美しい、しかも安全な地域が復興させられるのではないかと考えておりますので、その点も是非御検討いただきたいと思っております。
 先日、福島に行ってまいりました。参議院の中には共生社会・地域活性化調査会というものがありまして、この会の視察として福島に行ってまいりました。もちろん、原発の問題もありますが、それだけではなくて、それぞれの地域の市の関係者の方々、また仮設住宅にいる方々のお話を伺いました。その中で、国が動いてもらいたい。私は、国が口出すと外されるというような話があると伺っておりましたんですが、地域の方々の意見では、国がしっかりと資金を出すだけではなくて、計画そのものの企画の段階から加わってほしいという強い意見が各所で聞かれました。是非、国としても入っていただけたら有り難いことでございます。
 時間ですね。
#135
○委員長(藤田幸久君) はい、時間でございます。
#136
○中山恭子君 もし何かお答えがありましたら。
#137
○委員長(藤田幸久君) 手短にお願いいたします。
#138
○国務大臣(麻生太郎君) 国の責務として、これは市町村の能力を最大限に発揮できるようにとか、地方の声とかいうのがやたら言われますものですから、どうしてもそういった意識があるのはもう間違いないんだと思いますけれども。いずれにしても、国の責任を十分に果たすため、政権交代直後に十九兆円の復興フレームというのも見直すということにしておりますので、福島と東京の二本社体制とか、いろいろな形で司令塔の強化などをやらせていただくことにしておりますけれども。
 いずれにしても、ちょっとこれ、根本復興担当大臣の仕事なんではあるんだとは思いますけれども、加速化をさせていく意味におきましても、今言われたところは、なかなか各地の行政体の調整が付かないというところは、県の部分だ、市の部分だ、隣接市のどっちが負担するんだという話はよくある話でもありますので、今言われましたように、ある程度国がきちんとした関与をしていくという姿勢はある程度必要なのかなと感じております。
#139
○中山恭子君 ありがとうございました。
#140
○委員長(藤田幸久君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト