くにさくロゴ
2013/03/27 第183回国会 参議院 参議院会議録情報 第183回国会 財政金融委員会 第4号
姉妹サイト
 
2013/03/27 第183回国会 参議院

参議院会議録情報 第183回国会 財政金融委員会 第4号

#1
第183回国会 財政金融委員会 第4号
平成二十五年三月二十七日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     川合 孝典君     田城  郁君
     辻  泰弘君     那谷屋正義君
     林  芳正君     上野 通子君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     石橋 通宏君     川上 義博君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤田 幸久君
    理 事
                金子 洋一君
                西田 昌司君
                野上浩太郎君
                竹谷とし子君
    委 員
                大塚 耕平君
                川崎  稔君
                田城  郁君
                玉置 一弥君
                那谷屋正義君
                平野 達男君
                愛知 治郎君
                上野 通子君
                鴻池 祥肇君
                古川 俊治君
                松村 龍二君
                溝手 顕正君
                脇  雅史君
                山口那津男君
                中西 健治君
                広野ただし君
                大門実紀史君
                中山 恭子君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣     麻生 太郎君
   副大臣
       法務副大臣    後藤 茂之君
       財務副大臣    小渕 優子君
       農林水産副大臣  加治屋義人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 伸一君
   政府参考人
       財務省主計局次
       長        福田 淳一君
       財務省主税局長  田中 一穂君
       財務省関税局長  稲垣 光隆君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日までに、林芳正君、辻泰弘君、川合孝典君及び石橋通宏君が委員を辞任され、その補欠として上野通子君、那谷屋正義君、田城郁君及び川上義博君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(藤田幸久君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 所得税法等の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省主計局次長福田淳一君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(藤田幸久君) 所得税法等の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○金子洋一君 おはようございます。民主党の金子洋一でございます。
 今日は、安倍総理、麻生大臣を始めとする皆様に早朝から御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。
 私は六十分間の時間をいただいております。まず、関税について総理にお尋ねをさせていただきます。
 これ、報道ベースなんですが、欧州の自動車工業会が昨日、二十六日ですね、日・EUの経済連携協定、EPAの交渉開始を宣言をしたということで、声明を出したという報道がございます。その声明には、日本には自動車の安全や技術に関する独特な国内基準がある、そして欧州メーカーの進出を妨げているんだと批判をしております。そして、相互認証制度の実現を求めたほか、日本の規制の産物の軽自動車が享受する税制などの特権、こういう表現を使っておりますが、の変更や欧州の小型車が日本の市場で公平に競争できる環境整備を訴えたということであります。
 これは総理に御通告申し上げておりませんけれども、これは完全な言いがかりだと私は思います。こうした言いがかりに対してきちんと反論をしながら、かつ日欧のEPAですとかあるいはTPPといった経済連携協定を進めるということは我が国の国益に合うことだと思いますが、そうしたこれからの交渉に向かう総理の御決意を、済みません、通告しておりませんけれども、お尋ねしたいと思います。
#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいまの報道については、私も詳細については把握はしておりませんが、自動車についてはむしろ日本は関税は欧州に対してはゼロでございますし、そうした欧州側が指摘しているようなものは、いわゆる非関税障壁として日本が批判されることではないと、このように認識をしております。
 いずれにせよ、我々、交渉していく上において、交渉チーム、強力な交渉チームを編成して、日本の国益を守るために全力を尽くしていく決意でございます。
#8
○金子洋一君 ありがとうございます。まさにそういった心構えで邁進をしていただきたいと思います。
 しかし、EPAにしろTPPにしろ、相手国の市場は開放しろと、その代わり我が国の市場は開放しないぞということでは、これは交渉も進んでいかないものだろうと思っております。こちら側も輸入市場の開放がどうしても必要になるんだろうと私は思います。
 ただし、我が国では、現状において農産物の輸入自由化に対しては大変強い反対がある。その反対をされる方々のお気持ちも、私、分からないわけではありません。ただ、やはり農業保護というものは、今のような形とはちょっと違って、WTOのルールにのっとって堂々とやればいいというふうに私は思います。
 ところが、これも報道ベースですけれども、自民党さんが参議院の選挙に向けて、原則全ての農地を対象とする交付金制度や農業の担い手支援の具体策を打ち出すと。まあ、ここまではいいと思います。そして、米や麦など重要五品目の関税維持をも目指すという方針を出されると聞いております。これについて、本当にそういったことが我が国の国益に沿うことなのかなと私は考えるわけであります。
 そこで、総理にお尋ねをさせていただきますが、海外からの農産物、これは数量制限や高い関税で現在我が国では輸入が制限をされております。ところが、OECDによる生産者支持推定量、PSEというものですけれども、この我が国のここ数年の推移、そしてEUですとか米国ですとかそういったところの推移を御覧になって、これ総理は率直にどのような御感想をお持ちになるでしょうか。
#9
○内閣総理大臣(安倍晋三君) OECDによるPSEとは、農家への直接支払額と農産品の関税等による内外価格差の合計であると承知をしておりますが、我が国の生産者受取額に占めるPSEの割合は、ここ数年大きな変化はなく、EUや米国と比べて高い傾向にあることは議員と同じ認識でございます。
 我が国においても構造改革の努力を重ねてまいりましたが、農家の平均経営面積は米国の七十五分の一であり、EUの六分の一であるなど、地理的に見ても個々の生産者の経営努力で埋め難い内外の競争条件の格差があり、食料の安定供給や国土保全等の機能を果たしている農業の重要な役割を維持していくための支援は引き続き必要であると、こう考えております。
 なお、消費者物価を見ると、直近の為替動向は現時点で食料品価格に影響を与えていませんが、そうしたことも注視をしながら、今委員が御指摘になった観点としては生産者と消費者との観点なんだろうと、このように思いますが、いずれにせよ、日本の場合は大変条件としては欧米に比べて不利な条件であり、そうしたことを緩和をしていく必要があるんだろうと、このように思っております。
#10
○金子洋一君 ありがとうございます。
 今総理、御答弁の中で我が国の農業の一戸当たりの面積がEUの六分の一であるとおっしゃいました。それは正しいと思いますが、ただ、昔はEUも家族的な経営を中心にした非常に小さな面積の農家が中心でありました。それが、まさに総理がおっしゃったように、構造改革によって現在に至ったわけであります。
 じゃ、どういう政策をEUが取ったのかということになりますと、これは、まず、大体一九九〇年初頭に大きな政策の変化があったわけですけれども、これが、それ以前は価格補助金を付けてEU域内でというかヨーロッパ内で余った農産物を輸出をすると。輸出された国では補助金が乗っかってきているので、これは市場を乱すということで大変厳しい受け止められ方をしておりました。
 そこを一九九〇年代の初頭、ちょうどガット・ウルグアイ・ラウンドに対する対応が我が国でも行われたときですけれども、そのときにどういう政策を取ったのかというと、基本的な方向性として数量制限や高い関税というのをやめた。そして、余った農作物に補助金を付けて外国に、EU域外にというかヨーロッパ域外に輸出をするというのもやめたと。自由化をします。ですからEU、ヨーロッパ内の価格は下がります。下がるんですけれども、その下がった部分について農家に直接支払の補助金を入れたという政策を取りました。
 その結果、採算がきちんと農家にとって合うようになった、消費者にとっては非常に安い価格の農作物が消費できるようになったということで、EU域内の家族経営中心だった、日本とさほど変わらないような形態だったものが今は六倍の面積になったというところがこれは事実であろうと思います。こうした政策、大きな成功を収めたというふうに思うわけであります。
 今、農業保護と申しますと、輸入制限とあるいは高関税ということになっております、我が国では。もちろん、そういう方向もこれまで取ってきたということには合理性があるんだろうと思いますけれども、これからもっと農業を強くしていくと。ほうっておけば農家の所得、どんどんどんどん落ちていきます。たしか平成七年辺りがピークで、農業所得が六兆円ぐらいあったんだと思います、済みません、ちょっと正確じゃないかもしれませんが、それが十年ぐらいで二・二兆円台に落ちてしまったと、今も落ち続けているという状況であります。
 これをきちんとした方向に正していく、国際的に競争力のある農業をつくる、あるいは美しい農村の風景を、光景を守るということでありましたら、この農作物の自由化プラス補助金の農家への直接支払という欧州で採用された政策を取って、そして堂々と農業保護を国際的なルールに沿うような形で行えばいいと思うんですが、この点について、総理のお考えをお聞かせください。
#11
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 第一次安倍政権のときに、当時の松岡農林水産大臣を中心に、構造改革を進めていく上において欧州における改革を、これを研究をしたわけでございまして、その中において、そうしたものを参考にしながら担い手に土地を集めていく、そういう方針を取ったわけでございます。
 しかし、基本的に地理的な条件というのはかなり欧州とは日本、違うわけでございまして、単純に比較するのは難しいということは委員御承知のとおりなんだろうと、このように思いますが、一般論で申し上げれば、関税を撤廃して直接支払に切り替えた場合は、消費者にとっては輸入品を中心に農産物の価格が安くなるという利益がある一方で、国内農業生産を支援するための財政負担が増えるという側面もあるのも事実でございます。
 その際、国内生産者の経営努力では埋め難い内外の競争条件の格差がある中で、十分な支援が行われないままに関税が撤廃された場合には、農業生産者の経営を直撃をして、国内生産の減少と自給率の低下を招くおそれがあります。さらには、今委員がおっしゃったように、美しい国土を守っていく、農業の多面的機能を守っていくということについては、それを損なっていくおそれがあるということも念頭に置く必要があると思います。
 このため、関税撤廃と直接支払への転換の適否については、こうした状況についての国民的議論を行いながら、慎重に検討する必要があると考えております。
#12
○金子洋一君 ありがとうございます。
 今、私は手元に、これは農水省さんが作ってくださったんですが、OECDにおけるPSE、生産者支持推定量の推移というデータを持っております。あるいは総理も御覧になったかもしれませんが、ここで、内外価格差と直接支払ということで、農家に、農業に対する補助金と申しましょうか、サポートの区分けが載っているんですけれども、内外価格差と直接支払というふうに書きますと、これは正直言って本質が見えません。内外価格差は、これは要するに消費者負担になっている部分であります。そして、直接支払の部分というのは、これはまさに、総理もおっしゃいました、財政負担、納税者負担という形になっている部分であります。
 我が国の場合は、これがガット・ウルグアイ・ラウンド対策のちょうど始まるくらい、一九九一年においたデータで申しますと、消費者負担、内外価格差の部分が直接支払の部分と比較をしまして全体の八九%あったと。そして、それが二〇〇一年でも八八%、二〇一一年になりますと、これは直接支払の部分に我が党の戸別所得補償制度の支払部分が恐らく数千億入って七六%という形で、消費者負担が減っております。減ったということなんですけれども、基本的には八割台の半ば以降という非常に高い消費者の負担が続いております。一方、EU、これは一九九一年ですと消費者の負担が七九%でしたけれども、二〇一一年では一一%になっております。米国でも二〇一一年では一二%ぐらいです。
 となりますと、ここで六割、七割、消費者負担が我が国では多いわけですね。消費者の言わば余剰、消費者の負担で農業保護をすべきなのか、それとも日本全体で財政負担で農業保護をすべきなのかということは、これはやはり十分に考える必要があるんじゃないかと思います。消費者の負担、つまり輸入自由化を行わない、そして直接支払をやらないということになりますと、消費者の負担が年間、我が国で申しますと、二〇一一年で申しますと三・六兆円、三・七兆円と試算をされているわけです、OECDによって。
 これをそのままにしておくということは正当化できるとは私には思えませんが、総理のお考えをお聞かせください。
#13
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま金子委員が御指摘になったように、言わば関税という形で消費者に、農業を維持をしていくために、多面的機能も含めて維持をしていくために負担をしてもらうのか、あるいは税金という形で全ての国民にそれを維持をしてもらうのかということについては、またその割合については十分に議論していく必要があるというふうに私も思います。そうした議論をしっかりとしていくことが求められているんだろうと、このように思います。
 一方、繰り返しになるわけでありますが、やはり我々も努力を重ねておりますし、またこれからも努力をしていくわけでありますから、構造改革を進め、言わば担い手の方々に、意欲のある担い手の方々に、しっかりと生産性を上げていく、質を更に向上させていくという農業経営に取り組んでいただくための基盤をつくっていく必要があるんだろうと、このように思っているわけでございますが、同時に、やはり中山間地域がたくさんあるわけでございまして、欧米のように、あそこまで大規模機械化するのはなかなか難しい地域もあって、同時に、そういう地域は、そうした田畑が地域の環境、国土を保全する上において大きな役割を担っているのも事実でございます。水を涵養するという大きな機能を果たしている、中山間地域は特にそうなんですね。
 ですから、そういうことも鑑みながら我々は政策を進めていく必要があるだろうと、このように思いますが、ただ同時に、金子委員が御指摘をされたような点にも十分に留意をしながら、農家の皆さん方にもそういう点も考えていただきながら議論を深めていきたいと、このように思っております。
#14
○金子洋一君 ありがとうございます。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド対策費が約六兆円ございました。そして、全く同じ時期に、EUの対策と同じ時期に始まって、五年ですか、六年ですか、ウルグアイ・ラウンド対策費が政策として実施をされたわけであります。その期間に我が国の農業の生産額は、一兆五千億円ですか、年間につき落ちてしまったということがあります。ですから、私は、EUのような農業改革の取組の方が我が国がかつて行ったウルグアイ・ラウンド対策の農業の取組よりも優れている、我が国の農業を残すためにはそういった方策しかないと固く信じております。
 続きまして、国税関連の御質問に移らせていただきます。
 これも総理にお尋ねをさせていただきます。
 これはお隣に座っておられます麻生財務大臣がよく国会の質疑でおっしゃることですけれども、今回の予算編成では、国債発行四十四兆円枠を特に意識せず編成をして、結果的にその枠に収まったというふうに承っております。今後の歳出の規模について、総理はどのようにお考えでしょうか。
 アベノミクス、三本の矢でございます。第一の矢、大胆な金融政策につきましては、私は先日の代表質問のときにも申しました。全面的に賛成であります。しかし、第二、第三の矢が果たしてすばらしいものであるかについては、かなり疑問を持っております。そういった意味で、この財政支出をどうお考えになるのかということについて、総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 公債金の四十四兆円という枠は、これは前政権、前内閣で決められたものでございます。これは一つの前内閣としての見識を示されたものであろうと、このように思いますが、安倍内閣においては、この四十四兆円という枠にはとらわれないという方針で予算編成をしたところでございますが、財務省を始め、各省庁の努力によって、結果としては四十二・九兆円、四十四兆円の枠の中に結果として収まったということでございます。
 今後、我々も、国、地方のプライマリーバランスの赤字の対GDP比については、二〇一五年までに二〇一〇年度の水準から半減をして、そして二〇二〇年までに黒字化をするという方針、これは前政権のときにもこの方針であったと思いますが、我々もこの方針には変わりがないわけでありまして、この方針に向かって財政健全化、この目標を実現する必要があると、このように考えております。
 今後、年央の骨太方針の取りまとめに向けた検討状況も踏まえながら、財政健全化目標を実現するための中期財政計画の具体化の検討を進めることにしております。今後、歳出規模についてもその過程で検討を進めていく考えであります。
#16
○金子洋一君 ありがとうございます。
 そうなりますと、アベノミクスの二本目の矢、機動的な財政政策というのは、これは財政支出を増やすということであるんでしょうか、ないんでしょうか。それとも全く別な意味合いを持っているんでしょうか。総理にお尋ねをします。
#17
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この機動的な財政出動というのは、経済は生き物でありますから、経済の状況を見ながら必要であればマクロ経済政策的に思い切った財政出動もしていくという、そういう構えでございまして、特に二十四年度の補正予算、大型の補正予算については、昨年の七―九が、これは大きく経済が失速する、マイナス成長、マイナス三・五ですか、になる、言わば景気が底割れする危険性があったと。そして、プラスこの十数年間ずうっとデフレがこびりついている中にあって、これを変えていくのは相当今までとは違うものだという、次元が違うというふうに国民の多くの方々に認識をしてもらわなければその状況から脱却するのは難しいと。その大きな気持ち、期待値をどんと変えていくためには、やはり今までとは違う規模のものにしなくてはならないということも鑑みてあの大型の補正予算になったわけでございますが、しかし、私どもも再三申し上げておりますように、これは何回もやるわけにはいきませんから、基本的には第三の矢、成長戦略で民間の投資を喚起していくことによって力強い経済の成長軌道に乗せていきたいと、こう考えているところでございます。
 繰り返しになりますが、言わばこの機動的な財政政策というのは、経済の状況に鑑みながら、時にはそうした大胆な財政政策を行う、しかし基本には、今後は、経済を成長軌道に乗せることになっていけばしっかりと財政健全化目標に向けて歩みを進めていかなければならない、これが基本的な考え方でございます。
#18
○金子洋一君 いただいたお答えを私なりに解釈をさせていただきますと、景気の悪いときにはきちんと財政支出をするが、景気が回復軌道に乗ってきたらそれは絞って財政再建に切り替えていくということでありましょうか。
#19
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然そのように、緩めるときには緩めて、絞るときにはしっかりと絞っていくということでございまして、なかなか一回緩めたらまた絞りにくいんじゃないかという、そういう見方もあるわけでありますが、我々はそうではなくて、緩めるときには大胆にしっかりとやるべきことはやっていきますが、絞るときにはしっかりと絞っていきたいと、財政健全化目標は頭の真ん中に据えてその方向で行きたいと、こう考えております。
#20
○金子洋一君 ありがとうございます。
 そういったその数量的な側面、金額的な側面につきましては総理のおっしゃるとおりだとして、では、その使い方についてはいかがでしょうか。
 よく産業政策を推進をされる方がおいでです、非常にミクロな産業政策です。でも、そのミクロな産業政策というのは、これは政府は民間よりも賢いという前提に立って行っているものだろうと思いますが、こういった考え方を取ってその使い方を考えていかれるのか、それともほかの分野についてお使いになろうとお考えになっておられるんでしょうか、総理にお尋ねします。
#21
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 産業政策について言えば、これは三本目の矢にかかわってくることでございますが、我々はターゲティングポリシーという言葉を使ったんですが、これは誤解されている面もあるかもしれないと思います。つまり、政府が計画経済ふうにこの産業この産業と、伸びていく産業があらかじめ神のごとく分かっているかのように錯覚をしてその産業を決めて、そこに集中的に投資をしなさいと、これは間違っているんだろうと思います。
 我々はそういうターゲティングポリシーではなくて、そうではなくて、これはあるべき社会像を設定をして、こういう社会をつくっていきたいなと。それは、例えば健康で長生きできる社会であり、クリーンなエネルギーを使うことのできる社会であると。そういう社会をつくっていく上において、言わばこの分野におけるイノベーションを促しながら、あるいはまた規制緩和、あるいは行政の仕組みや法体系等を見直しをしていくということを集中的にやっていこうということでございまして、一定の、例えば鉄鋼産業なら鉄鋼産業とか、家電なら家電、そういうところに傾斜配分的に国家資源を投入していくという考え方ではなくて、むしろあるべき社会像に向かって、これは私たちの課題であり、そしてこれは世界にも展開していくことができる分野であろうという観点から決めているわけでございます。
#22
○金子洋一君 ありがとうございます。
 ただ、例えば太陽光発電などを例に取りましても、ドイツの、ドイツは我が国よりも進んだ太陽光に対する取組をしておると理解をしておりますけれども、ドイツのQセルズという会社は法的整理に陥りましたし、シーメンスはこれも撤退をしたんですか、そしてボッシュもついこの間、太陽光発電からはもう足を洗いますというようなことを決めました。さらに、中国のメーカーにしても、非常な大手のメーカーも、太陽光発電をやっていたところがこれも倒産に近い状態になるというようなことがありました。
 やはり、将来のどの産業が伸びていくのかということを政府が予見をするのは非常に難しいと思います。そういった意味で、産業政策的な経済運営と申しますか、そういった政策の取り方はやるべきではないんだろうと私は思うんです。
 ただ、じゃ、政府の役割を全て否定をするのかと、使い方について否定をするのかと申しますと、そうではありません。マーケットメカニズムがきちんと働かないような分野については、政府の役割というのは大変大きく存在をすると思っております。特に、そのマーケットメカニズムが働かないという分野で申しますと、医療とか介護とか、公定価格あるいは人手不足といったものに悩まされている分野があろうと思います。
 こうした医療や介護といった、これは社会保障費に当てはまりますけれども、こういったものは、過去の自民党政権ではずっと抑制をされてきたというふうに理解をしております。昔の小泉さんの政権のときにも、一年間に二千二百億円抑制をする計画が作られました。そういった計画が作られたということがございます。
 そういった形での社会保障費の伸びの抑制というのは行うべきではないと私は思っておりますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
#23
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 医療費について、これはずっと年々、今これは給付が伸びているわけでございまして、この医療費の給付、一兆円近く毎年毎年給付が伸びているという中において、これは小泉政権時代に、果たしてこの医療費の給付が合理的なものかどうかという、そういう疑問もあったわけでございまして、そこで、当時は、この伸びていく医療費をどうするかという課題の中において、それぞれ医療の関係者にももっと努力をしていただこうと。その上においては、キャップ的なものをかぶせていくという議論もございましたが、毎年毎年二千億円以上の削減を図るという、五年間ですね、続けていくと、二千二百億ですから、図っていくという目標を作ったわけでございますが、ただ同時に、やはりその後、これは医療において医療現場が、機械的にこうしたキャップを掛けたことによって医療現場が傷んだという状況もなかったわけではございません。
 そこで、我々としては、必要な給付の質は確保していく必要があるんだろうと、このように思いますが、しかし不断の努力はしっかりとやっていただく必要があるのではないのかなと。レセプトの電子化等、そうしたものを、合理化すべき点は合理化をして、合理的な抑制をしていく、つまり給付の質は下げてはならないということを基本とした姿勢でいきたいと、このように思っております。
#24
○金子洋一君 ありがとうございます。
 財政支出の金額ということで考えますと、社会保障の支出を増やすことも、あるいは公共事業費を増やすことも、これは需要を増やすという意味で景気に対する効果としては同じことになろうと思います。
 となると、やはりどういう価値判断をこれから政権でやっていくのかということに非常にかかわってくるんだろうと思います。民主党ですから、公共事業が悪いんだというような話をするんじゃないかと思われるかもしれませんが、無駄な公共事業については、これはやるべきじゃないと思っております。しかし、無駄じゃない公共事業もたくさんあるんだろうと思います。
 いずれにせよ、金額としてその社会保障費を伸ばしていくという発想も、これは財政支出を伸ばして景気の下支えをするという上ではあり得ると思うんですけれども、総理、いかがお考えでしょうか。
#25
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 社会保障についていえば、これはやはり経済活動を行っていく上においても、そうしたセーフティーネットがしっかりとしているということは、これは安心感にもつながっていくわけでございますし、一歩前に思い切って足を踏み出そうというときにも、セーフティーネットがしっかりとしていれば思い切って足を一歩踏み出すことができるということではないかと、このように思いますし、特に医療については、人間は不幸にして病を得ることもあります。
 その際にしっかりとした医療が提供される、自己負担も抑制される中において提供されるという社会をつくっていくということは、これは私たちがそういう社会をつくってこようという努力の大きな成果でありますし、世界に誇るこうした国民皆保険、そして皆年金の仕組みはしっかりと守っていくことが、これは経済にも、そうしたものが守られているということにおいて不安を払拭していくことによって経済活動も活発化していくことは十分に考えられるんだろうと、このように思います。
#26
○金子洋一君 ありがとうございます。
 是非とも、国民皆保険あるいは皆年金というのは我が国が世界的に誇る仕組みであろうと思いますので、そちらを守りつつ政策運営をしていただきたいと思います。
 続きまして、消費税の引上げ対策についてお尋ねをしたいと思います。
 今回の法案を拝見をしておりますと、結局、消費税の引上げ対策については、住宅ローン減税以外は入っていないんではないかなというふうに思います。私はこれは不十分だと考えます。
 民主党は、衆議院の方で議員立法という形でいろいろな提案をさせていただきました。例えば、簡素な給付措置、あるいは住宅購入に係る給付措置、あるいはまた医療機関の損税問題への対応といったようなことがございます。こうしたことを早急に具体化をしていくべきではないかと思います。
 また、自動車、同じく民主党の提案の中にあったわけですけれども、自動車取得税の廃止、重量税の当分の間税の特例税率の廃止、こういったものも必要ではないかと思いますけれども、総理のお考えを伺いたいと思います。
#27
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 消費税の引上げ対策についてでございますが、簡素な給付措置について、民主党は、昨年の六月の三党合意において、真に配慮が必要な低所得者を対象にしっかりとした措置が行われるよう、今後、予算編成過程において立法措置を含めた具体化を検討するということとしているわけでございますが、その後、本年二月の三党合意において、低所得者対策については引き続き協議を行うとされたところでございます。この簡素な給付措置の具体的内容についても、与党間及び三党間での議論を踏まえて検討をしていきたいと、このように考えております。
 そしてまた、今、住宅取得についても御質問があったと思いますが、住宅取得者に対する給付措置については、与党税制改正大綱等を踏まえて、所得税に加え住民税による住宅ローン減税の拡充策を講じてもなお効果が限定的な所得層に対して、別途、良質な住宅ストックの形成を促す住宅政策の観点から適切な給付を講じることとしており、政府において検討を進めているところでございます。
 いずれにせよ、給付の具体的な内容については一定の周知期間が必要であることを踏まえ、できるだけ早期に、遅くともこの夏にはその姿を示したいと考えております。
#28
○金子洋一君 ちょっと、自動車取得税や重量税の部分につきましてもお尋ねをさせていただいているんですが。
#29
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今般の与党税制大綱において、自動車重量税の一層のグリーン化など車体課税の見直しの方向性が示されています。車体課税の見直しは、昨年六月の三党合意でも、消費税率八%への引上げ時までに結論を得るとされていた課題であります。
 今般の与党税制改正大綱や税制抜本改革法第七条の規定を踏まえながら、平成二十六年度税制改正へ向けて検討をしていく考えであります。
#30
○金子洋一君 ありがとうございます。
 ただ、ここで住宅や自動車が載っている理由というのは、まず、我が国のGDPに占める住宅業界、あるいは自動車業界の比率が大きいというだけではございません。これは、消費税というのは駆け込み需要が生ずるわけです。これは耐久消費財の場合、特に顕著になります。となりますと、耐久消費財の中で大きいのが住宅であり自動車ということになるわけです。
 ですから、例えば日用品でしたら、駆け込み需要といってもそんな大したことはありません。しかし、住宅、一生に一回か二回か、そのくらいしか買えません。私は買ったことありませんけれども。自動車も、もっと頻繁だろうとは思いますけれども、一年に一回買うものじゃありません。
 ということで、じゃ、もうこういうことになったから、駆け込み需要するのはやめてもっと長く古いままにしておこうかなということで、需要が縮小してしまう可能性が非常に強い。景気に悪影響を与える可能性が非常に強いから、だから住宅や自動車については特段の配慮が消費税引上げで必要になるというふうに申し上げているわけです。ほかの項目も重要です。しかし、特にこれは消費税の引上げの問題を考える上でないがしろにできない点であると思いますので、真剣にお取り組みをいただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 今回、大幅な円安が進みました。十一月の半ばから円安がぐんぐんと進んで、一ドル七十九円程度から九十五円というところまで進んだわけであります。これは、わざと介入をして進んだものではありません。アベノミクスが実現をされるであろうということを見越して、大胆な金融緩和が起きるであろうということから結果的に円安が起きるということが生じたわけであります。この点につきましては、すばらしい、いい政策であったなというふうに思います。特に、輸出産業についてはいい政策だったというふうに思います。
 ところが、円安ということになりますと、当然、輸入物価が大幅に上昇をいたします。円高でしたら二割ぐらい上がるわけですね。となりますと、この大幅な円高の対策というのがどうしても必要になります。そして、これまでにも、済みません、円安に対する対策ですね、円高対策というのは何回もありました。しかし、これは意図的に政権の政策として結果的に引き起こされたものではありません。政権の選択として今回は円安が進行をしたわけであります。
 逆の言い方をしますと、十一月の半ばからこれは円安が進んでまいりました。そして、そのころから、こういった円安が続くであろうということは、アベノミクスの第一の矢、大胆な金融緩和を自信を持って進めておられる総理としては容易に予想が付いたことだろうと私は考えます。
 ところが、一月に取りまとめられた経済対策にも今回の法案にも、こうした大幅な円安が生み出す輸入価格の急上昇に対する対策というのは含まれていないのではないでしょうか。そして、何で含まれていないのでしょうか。その点について総理にお尋ねをいたします。
#31
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ガソリンや輸入食料品の価格は、為替相場の動向に加えて、地政学的リスクの増大などによる原油価格の動向や国際穀物相場など、様々な要因で変動をするわけでございますが、現下のガソリン等の一部の価格の上昇による家計や企業への影響については引き続き注視をしていかなければなりませんが、最近の為替相場の動向は全体として景気にプラスの影響をもたらすと考えております。これは委員も大体同じお考えではないかと、こう思うわけでありますが。
 いずれにせよ、政府としては、三本の矢によって企業の収益機会を増やして雇用や所得の拡大を実現することで国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていく考えであります。この過程では、物価のみが上昇するのではなく、企業の収益力向上の成果が適切に勤労者にも分配されることが重要であります。
 現在、報酬引上げの動きが各企業に広がっており、こうした所得の増加が支出の増加につながり、それが生産の増加をもたらすという経済の好循環を生み出すことで、民需主導の持続的な経済成長を目指していく考えでございます。
#32
○金子洋一君 民需主導の経済成長を目指していくというお考え、これは私ももちろん反対はいたしません。そして、経済学的な発想をすれば、一般物価が上がる、二%上がるというんだったら、賃金というのは労働力の価格ですから、当然労働力の価格も上がっていくだろうと考えるのは、これは経済学的な発想としては当然だと思います。ただし、これは、長期的な均衡状態では労働力の価格も一緒に上がりますが、果たしてその調整過程がどのくらい時間が掛かるのかということについては、その経済学的な知見は何も言っていないわけであります。
 そして、今回の国会の質疑で、これ何度も引き合いに出して恐縮でございますけれども、麻生財務大臣は、日銀が二%の消費者物価の上昇率を目指しているということについて、物価が二%上昇となるまでに二年以上掛かるだろうと再三おっしゃっていると思います。
 ここで考えなければいけないのは、輸入物価が上がるということは、これは明白だということであります。そして、消費者物価は上がらないけれども輸入物価が上がるということは何を意味するのか。これは国内物価が下がるという意味です。それ以外、解釈の余地はありません。となりますと、国内物価が下がる、企業が売るものの価格は下がる、そうすると企業の収益は増えません。賃金というのは企業の収益を分配をするものですから、当然賃金も上がってこないということになります。これは当然の論理的な帰結です。
 もし仮に、物価上昇が速やかに行われます、消費者物価全体がすぐに上がるんですというんだったらそうはなりませんが、麻生財務大臣は二年以上掛かるというふうにお答えになっておられます。ということになりますと、これは、当然賃金は上がらないわけであります。賃金が上がらない中で輸入物価が上がる。
 輸入をされているものは、先ほどもお話をさせていただきましたように、食料品などが中心になっておりますし、またエネルギー関係のものもたくさんございます。ついこの間まで北海道では大寒波が来ておりまして、大変痛ましい事故もありました。灯油の価格がその中で大変上がっているので、灯油をたき続けると負担が物すごく大きくなるんだというお話を私も聞いたことがございます。
 そういった中で、要するに賃金は上がらないという中で円安が起きるわけですから、これに対する対策を行わないというのは、これは対応として全く欠けているとしか思えないんですが、私のこうやって申し上げていることが間違っているんでしょうか。それともまた、何かほかの考え方があるんでしょうか。総理の御所見を伺いたいと思います。
#33
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに金子委員は、これ、エコノミストです、専門家でありますから、鋭い分析だろうと私も思います。
 その中において我々は、この一本、二本、三本の矢を射込んでいくというのが我々の経済財政金融政策でございます。その中において我々はできるだけ早期に二%の物価安定目標に到達をしていただきたいと、こう思っておりますし、政府と日銀の共同声明でもそのように書かれております。
 さらに、新たに日銀の総裁に就任した黒田総裁あるいは岩田副総裁も、二年で、これは二年以内に達成したいという、そういう力強い、頼もしい発言をしておられるわけでございまして、そういう中において、なるべく早い段階において賃金も上昇していく、そういう状況をつくっていきたいということで産業界にも働きかけているわけでございますが、同時に、我々は二本目の矢として大胆な財政政策を行ったわけでありまして、十兆円という大きな補正予算を、十兆円を超える補正予算を組んだところでございますが、それはまさに、政府が実需をつくっていく、そしてそれは一定の大都市だけではなくて、これはもう地方に隅々に行き渡るような形で実需をつくっていくことによって加速をしていきたいと、こう考えているわけでありまして、景気の上昇、そしてデフレの脱却に向けてその歩みを早めていきたい。
 そして、賃金の上昇にも、なるべくこれは短い期間で賃金の上昇につなげていきたいと、こう考えているわけでございまして、そこで、今委員が御指摘の円安が進むことによる輸入物価の上昇については、これはやはり十分に注視をしていかなければならないと、このように思っております。
#34
○金子洋一君 ありがとうございます。
 財政政策でそこのところを補うんだという御趣旨だったと思いますが、仮にそういった御趣旨でしたら、公共事業中心ですとそういった影響が及ぶ業種というのが極めて偏ってしまいます。それでしたら、先ほどお尋ねをしましたように、例えば社会保障関係、医療ですとか介護関係でお金を使った方が広く国民各層には回ったはずだと私は思います。
 そもそも論になるんですが、私も昔国家公務員をやっておりまして、政府経済対策を取りまとめる部署におりました。ですから分かるんですが、やはり経済対策を円高対策と同じ調子でつくってしまったということに根本的なミスがあったんじゃないかと思います。やはり円安が生じるんだから、そこのところを十分気を付けてくれという指示を出してつくらせなかったためにこうしたことになってしまったんではないかなと、私はそう考えるところであります。
 続いて、次のお尋ねに移らせていただきます。
 今年の二月の七日の衆議院の予算委員会の伊藤先生からの質疑、あるいは二月十九日の舛添先生との質疑で、これは、総理は二〇〇〇年のゼロ金利の解除も二〇〇六年の量的緩和の解除も共に早過ぎたんだというふうに受け取られるような御答弁をなさっておりますが、これは、そういったことで総理のお考えを解釈させていただいてよろしいでしょうか。
#35
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 二〇〇〇年のゼロ金利の解除のときは私は官房副長官でございました。そのときも政府としては、これは待っていただきたい、当時は宮澤大蔵大臣でありましたが、これは何とか待っていただけないかという、そういう姿勢であったわけでございますが、日本銀行はそれを振り切ってゼロ金利の解除に進んでいったということであります。
 二〇〇六年のときには、この量的緩和の解除のときに私は官房長官でございましたが、あのときも政府としては、これはまだ少し早いのではないかということを申し上げたわけでございますが、それは、残念ながらこのときも日本銀行はそれを振り切って量的緩和の解除を行ったということでございまして、これは、あのときもそう思っておりましたし、今でもこれはやはり早かったと、こう認識をしております。
 こうした点も踏まえて、先般、政府、日本銀行の間の緊密な意思疎通を行った上で共同声明を取りまとめて、日本銀行が自ら二%の物価安定目標を定めたところでございまして、この早期実現を目指していくと、こういうことになったところでございます。
#36
○金子洋一君 この日銀の政策決定会合には財務省からも代表が出ておると思います、通常副大臣級だと思いますが。同じく、この二〇〇〇年のゼロ金利解除、二〇〇六年の量的緩和解除について早過ぎたという総理の御判断を受けて、麻生大臣、いかがお考えでしょうか。
#37
○国務大臣(麻生太郎君) 基本的には、当時、御記憶かと思いますけれども、あのときには第二、第三の矢はなかったんです。第一の矢だけだった。したがって、その効果は極めて限られたものになったということは、今、十年たってみればそれが申し上げられるんだと存じますが、その意味で、あの時点においてもう少しというのは、もうたらればの話になりますので余り意味がないと存じますが。
 いずれにいたしましても、この間、日本銀行との共同声明作成に当たりましても、これは、我々としては、今申し上げましたように、そのときの経緯をよく御存じの方が向こうにいらっしゃいますので、向こうは政治家とは違って同じ方がずっとおられますから、政策委員会には。したがいまして、あのときの話も御存じかと思いますがということで、当然知っておられるわけで、私どもとしては、今申し上げたように、結果論でこうやって見ると早過ぎたのではないかと評価されてもやむを得ないのではないかと思っております。
 第二、第三の矢があるからこそ今回は乗ってきましたというのは、向こうは言われたいところなのはよく分かりますけれども、少なくともあの段階において、何かもう少しやっていればという話はあってしかるべきところなのであって、早過ぎたのではないかと言われてもやむを得ないところはあろうかと存じます。
#38
○金子洋一君 ありがとうございます。
 政府の政策にせよ、中央銀行の政策にせよ、やはりコミットメントですとか信頼というものは大変重要になってくるんだろうと思います。そういった観点からいたしますと、この二〇〇〇年、二〇〇六年の日銀の判断が誤っていたんだということをこれは明確に政府として、この判断が間違っていたということを政府として外に出していく必要があるんじゃないでしょうか。
 と申しますのも、仮に二〇〇〇年、二〇〇六年について、合っていたかもしれないけれども間違っていたかもしれないという、これは日銀さんの答弁を勝手に縮めて言うとそんな言い方なんですけれども。そういう形でいきますと、じゃ、またああいった局面になったときに、つまり、少し消費者物価指数が上がってきて景気も良くなってきたかなというときになると、日銀はまた引き締めてしまうんではないかというふうに投資家も企業も消費者も思うことでしょう。そうなりますと、政府としても大変、二本目の矢、三本目の矢に負担が掛かるわけであります。
 日銀の、中央銀行の独立性という言葉がありますけれども、これは、今どういう政策を取るべきか、どういった商品をどのくらい買うのかということについて政府が中央銀行にあれこれ言うというのは、これはやめましょうという意味合いです。過去の判断について、今その過去の判断についてどうこう言っても過去の判断が変わるわけじゃありません。二〇〇〇年、二〇〇六年の判断が覆るわけじゃありません。
 ですから、二〇〇〇年、二〇〇六年の判断が間違っていたということを、これを公にするということは、中央銀行の独立性をむしばむものでも全くありませんし、むしろ政府そして日銀一体となった信頼性の向上、コミットメントの向上につながると思いますので、是非ともこの判断、二つの判断は間違っていたということをおっしゃっていただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。
#39
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今般の金融政策については、まさにこの二〇〇〇年の判断、二〇〇六年の判断がやはりこれは問題があったと、だからこそ今回は物価安定目標を設けたわけでございまして、あのとき、例えば二〇〇六年も物価安定目標があれば、そこに達していないわけですから、あの段階で量的緩和を解除するということはなかったんだろうと、このように思うわけでございます。
 そして、やはり責任が明確になったという、物価安定目標というのは責任が明確になったということでもあるわけでございまして、この二%という物価安定目標については日本銀行が責任を持ってちゃんと維持管理をしていきますよという、また到達をし、そして管理をしていくという言わば責任を負ったということであります。ですから、そこで責任が明確になり、その目標ができたということが大きな違いであろうと、当時とは大きな違いであろうと思うわけでございます。
 そして、それに加えて、経済財政諮問会議において四半期に一回、この物価安定目標に向かってちゃんと歩みを進めているのかどうか、あるいはまた、その近傍においてはそういう管理をしているのかどうかということについて議論をしていくということになるんだろうと思います。
 基本的には、私は、二〇〇〇年、二〇〇六年の判断は間違っていたと、このように認識をしております。基本的には、今委員がおっしゃったように、選挙によって、国民によって選ばれた政府が目標を定め、そして日本銀行が独立をして手段を決めていくということが正しい姿ではないかと、このように思います。
#40
○金子洋一君 総理のおっしゃるとおり、インフレ目標があれば大丈夫だっただろうということ、そして今後はそれを守っていただきたいということは、まさにおっしゃるとおりであります。しかし、インフレ目標を守る、そういった作業を行うのは突き詰めて言うと日銀になりますし、政府からは何も現状では言えないわけであります。
 となりますと、過去のこうした二回の判断が明らかに間違いであるということをきちんと天下に宣言をすること、これをすることが、よりこの日銀に対する我々の、介入はしないけれどもきちんと見守っているよというメッセージを送ることになると思いますので、今すぐそういうふうなことを大声で言っていただくということは無理であるかもしれませんけれども、是非ともその点を御検討をいただきたいと思います。
 私からの御質問は以上にさせていただきます。本日はありがとうございました。
#41
○中西健治君 みんなの党の中西健治です。
 安倍総理、財金の方に御出席いただきましてありがとうございます。
 税法の審議ですので、まず、その中で大きい消費税増税の判断についてお伺いしたいと思います。
 補正予算の審議の際に、予算委員会で私、安倍総理に質問をいたしました。そのときに、野党時代には元々、減額補正と度々言及していたのに、政権交代後には正反対の超大型増額補正となったのはなぜかということを問いただしたところ、総理は、昨年十二月に七月から九月のGDPが発表されて、それがマイナス三・五%という事態になったと、これに直面して大型の補正予算が必要ということになったというふうにお答えになられました。
 まさに正反対の対応を取ることとなったきっかけが毎四半期に出てくるGDPの数字であったということから考えますと、当然、来年四月からの消費税増税の最終判断に当たっても、この四半期のGDPの数字が大きな判断要素であるというふうに思われますけれども、その認識でよろしいでしょうか。
#42
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今般の消費税の引上げについては、伸びていく社会保障費に対応するためであり、また国の信認を守るために消費税を上げていくという判断をしたところでございます。
 そこで、その来年の四月から上げるかどうかということについては、今年の秋にそれを判断するわけでございますが、その際、当然、足下の経済の状況がどうなっているかということは注意深く見ながら、そうした指標を勘案しながら総合的に判断をしていきたいと考えております。
#43
○中西健治君 総合的な判断ということでありますけれども、やはりGDPはその中で大きな要素となっていくことは間違いないだろうというふうに思います。
 そして、秋ということを今おっしゃられました。消費税増税の判断の時期、秋ごろというふうにおっしゃられましたけれども、それは十月ということで考えてよろしいでしょうか。
#44
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大体それぐらいに判断をするということになるんだろうと思います。
#45
○中西健治君 GDPの統計は、四月から六月期の二次速報が九月の九日に発表されます。そして、七月から九月期の一次速報は十一月十四日に発表されるということになりますので、十月ごろということであれば、四―六の数値しか手元にないということになります。四―六のGDPをもって判断してしまうのか、それとも七―九のGDPまで待って、十一月の中旬まで待つのか、それについてはいかがでしょうか。
#46
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そこのところはまだ今決めているわけではございませんが、もし十月に決めるということになれば、その段階で四―六の数字が出ているということになるわけでございますが、同時に、足下の状況がどうかということも注意深く見ながら判断をする必要があるだろうと思っております。
#47
○中西健治君 足下の数字といっても、月次のデータが幾つかある、月次のデータがあるだけで、やはり四半期ごとということでいえば、このGDPの統計ということが何といっても重たいものなんではないかなというふうに私自身は思います。
 先ほどの議論でもありましたけれども、安倍総理は、二〇〇六年の量的緩和解除に対して、これは間違いだったというふうにおっしゃっておりました。早過ぎたというふうにおっしゃっておりました。それが意味するところというのは、ちょっと経済指標が短い間上がってきたとしても、それだけでは判断するのは早計だということをおっしゃっているのと等しいと思うんです。にもかかわらず、四―六ということだけで判断してしまっていいのかどうか、そこについてはいかがでしょうか。
#48
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、附則十八条に定められているところによって判断をしていきたいと思うわけでございますが、当然、何が何でも消費税を上げるという姿勢ではないわけでございまして、税収が上がっていかないということになってしまっては元も子もないわけでございますし、景気そのものに悪影響を相当及ぼすということになってしまっては、これは本来の趣旨に反するだろうと、こう思います。
 そういう観点から、十分に吟味しながら的確に判断をしていきたいと思います。
#49
○中西健治君 アベノミクスといってもまだ何も実行していないということは、政権にいらっしゃる皆様が、自戒を込めてだと思いますけれども、よくおっしゃられることだと思います。まさに、日銀の金融緩和も行われるのがこれからということになりますし、三月の補正予算というのも少しずつ執行に向けてということだと思いますけれども、やはりその効果が出てくるのがこの四月からということが大きいんだと思います。ということは、四月―六月というのはまさにスタートの時点だろうというふうに思うんです。その四月―六月のスタートの時点だけの数字を取ってみて判断をするというのは、やはり見切り発車になるんじゃないかということを私は懸念をしているということを申し上げたいというふうに思います。
 その中で、特に懸念されること、これは二%の物価目標に関連してよく言われることですが、いや、物価が上がっても賃金が上がらないんじゃないか、こんなようなことをよく言われるわけでありますけれども、本年秋の時点で判断をするであろうこの消費税増税についても、やはりこの物価が二%上昇するということだけではなくて、この物価水準にも影響を与えるこの消費税増税ですから、そのときまでに賃金が十分に上がっているというところが全般的に見えてこなければ上げにくいということになるんじゃないかと思いますが、この賃金の予想をどのようにお考えになりますか。
#50
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この賃金が上がっていく、これはまさに今行っている金融財政政策によって株価が上がり、そして為替が、かつて行き過ぎた円高が是正され始めているわけでございますが、輸出企業を中心に業績が回復をしていく中において株価も上がっていきますから、資産効果によって消費が活発になっていくという中において、企業が、多くの企業が収益を改善をしていくという中において、投資もあれば、そしてまた従業員に対してその利益を還元をしていくということになって賃金が上がっていきます。それまではしばらく時間が掛かるということでありますが、しかし、それを待っているいとまはありませんし、なるべくこの物価が上がっていく中において、やはり収入もそれに備えて上がっていくという状況を早くつくっていくことが、これは経済にとっても企業にとっても好ましい循環に入っていくわけでございますから、そういう観点から、経済界にも呼びかけを行って、次々とそれにこたえてくれる企業が出てきたことは大変喜ばしいわけでございますが、こうした動きを広げていく努力をしていきたい。
 ただ、もちろん零細、小規模の企業はとてもそれに対応できないというところがたくさんあることは十分に承知をしておりますが、その中において、そうした恩恵がしっかりと広がっていくように、また、補正予算の執行も、なるべくこれはスピーディーに行いながら、そうした暖かい風が隅々まで広がっていくようにしたいと、そして、それが賃金上昇につながっていくように我々も努力をしていきたいと思っております。
#51
○中西健治君 経済状況が好転して、そしていろんな市場需給が引き締まっていって賃金が上がってくる、これはこれでいいことだろうというふうに思うわけですし、そうなってもらいたいというふうに思いますけれども、これに消費税増税が加わるとなると、やはりちょっと待てよということを考えざるを得ないんじゃないかと思います。
 二%物価が上昇して、更に消費税が五%上げられる。となると、物価水準は七%も二年ちょっとで上がるということを意味しています。二年ちょっとで、もし物価目標が達成できて、そして二年半後に残り三%、二%の消費税増税が行われるということになると七%ですよ。七%も物価水準が上がる。それだけの見合いで賃金が上昇すると想定されていますか。
#52
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 二%に対して、物価が上昇していく中において、収入が追い付くように私たちは努力をしているわけでございますが、しかし、消費税については社会保障の給付という形において、多くの国民はその言わば給付を受けるという形でそれを享受しているわけですね。ですから、それについて、給付と負担のバランスからいって給付の方が今勝っている状況の中において、これはやはり負担をお願いをするという中において消費税を引き上げるということでございまして、そこのところは御了解をいただきたいと、こう考えているところでございます。
#53
○中西健治君 給付という形で返ってくる部分もあるし、還元される部分もあるということは、そうなんだろうというふうに思います。ですので、二足す五で七%丸々賃金が上がるということでなくても生活水準としては変わらないという部分もあるかもしれませんが、ただ、やはり物価水準は七%上がるんです。となると、賃金もそれ相応には上がっていなきゃいけないということだろうと思いますので、物価目標で二%、それに見合いで賃金が上がればいいという考え方をもし政府がお取りになっているのであれば、それだけでは目標としては低過ぎるということを私は注意喚起しておきたいというふうに思います。
 この消費税増税についてはここら辺にいたしまして、金融政策についてお伺いさせていただきます。
 この財政金融委員会では、麻生大臣からは考え方を伺わせていただいております。そんな中で、二年で二%という目標についてはそんな簡単にいくものではないと、かなり懐疑的な見解というのを麻生大臣は示されております。安倍総理はこれまで二%ということについてはかなり前向きに取り組まれていると、そこに疑義があるような感じを私は受けておりません。この麻生財務大臣が懐疑的になっていることに関して、安倍総理自身はどのように考えていらっしゃるか、教えてください。
#54
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 麻生副総理は、財政を預かる者として、そして財政金融政策の大臣でありますから、その中において当然慎重な見方も含めて発言をしておられるんだろうと、こう思うわけでございますが、まさに日本銀行と共同声明を作った張本人でありますから、つまり二%という物価目標と、それを早期に実現をすると、これは日本銀行が文書で書く、責任を明確にさせるということは画期的なことだったんだろうと、このように思います。同時に、政府として、国民に対する約束もそこに書いておりますので、二本目、三本目の矢をきっちりと放っていくことが重要だろうと、このように思います。
#55
○中西健治君 日銀黒田新体制が二年をめどに二%と言っていることについて、安倍総理はこの二年をめどに二%というのは十分に実現可能な目標であるというふうに考えていらっしゃるかどうか、教えてください。
#56
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は金融政策の専門家ではございませんが、専門家たる黒田総裁、そして岩田副総裁が二年で達成するという意思を示しておられることは大変心強いと、このように思っておりますし、四月からまさに新体制が発足をして金融政策決定会合が、第一回目の会合が四月の初旬に開催をされるわけでありますが、しっかりとその責任を果たしていただきたいと、このように思っております。
#57
○中西健治君 最後の質問ですけれども、安倍総理は、デフレというのは貨幣現象である、このデフレギャップは財政出動によって埋めなくても、貨幣現象でありますから、それは十分に可能性がある、このように国会でも答弁をされているわけでありますけれども、これは財政出動というのはマストではない、金融政策だけで十分物価目標は達成できると、こういうふうに考えていらっしゃるということでよろしいでしょうか。
#58
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 答弁をしたとおりでございまして、まさにこれは貨幣現象でありますから、この二%に向けて日本銀行に正しい手段を取っていただきたいと、このように思います。
 しかし同時に、今まで強くこびりついてしまった、強くこびりついてしまったデフレマインドを払拭するというのはそう簡単なことではないのは事実でございます。その中において、やはりなるべく二%に到達する速度を速める、そして、その景気の波を地方隅々まで行き渡らせていくためにはやはりこの財政政策が必要だろうということでございまして、そして、それを持続するためには三本目の矢も必要だろうと、このように考えております。
#59
○中西健治君 時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#60
○広野ただし君 生活の党の広野ただしでございます。
 今日は財政金融委員会に安倍総理、御来所いただきまして、本当にありがとうございます。私の持ち時間は十五分なものですから、恐縮ですが、簡潔にまた御答弁をよろしくお願いしたいと思います。
 アベノミクスで懸念されることがやはり三つあると思います。三本の矢ということではあるんですが、パイを大きくすれば企業収益も上がり、また所得も上がり、国民所得も上がり、それが好循環をもたらすという、まあ比較的楽観論なんじゃないかなと思います。しかし、小泉政権のときに緩やかにある程度経済が回復しつつあった、しかしその中でみんながなかなか好況の実感がなかった、かえって所得格差が広がった、あるいは企業格差が広がった、地域格差が広がった。この三つの格差の問題というのは今も、アベノミクスの中でも私は懸念のされることだと思うんです。
 オバマ大統領は中間層の底上げということを言って、それが経済成長のエンジンになるんだということであります。ここの財政金融委員会、税制の方を主体にやっておりますが、雇用拡大あるいは所得拡大の税制というのも盛り込まれておりますが、それは減税規模でいうとどうも一千億円ぐらいなんじゃないかなという、前後の世界だというふうなことであります。
 私は、税制においても中間層の所得を減税でもって支持をする、促進をするという政策があってしかるべきじゃないかと思うんですね。確かに所得拡大税制がちょっと入っておりますが、これは余りにもツーリトルで、もう本当にメニューだけをそろえたという程度で決してその中間層を底上げをするということにはなっていないんじゃないかと、こう思いますが、税制上もっとこの中間層の所得拡大に寄与するという考え方はございませんか。
#61
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国の経済の再生に向けて、企業の収益力の向上の成果が適切に勤労者に分配されていく中で、中間層を含む全体の所得の増加が支出の増加につながって、それが生産の増加をもたらすという経済の好循環を生み出していかなければならないと考えております。平成二十五年度税制改正においても、こうした観点から、所得拡大促進税制の創設や雇用促進税制の拡充によって従業員の給与や雇用の拡大を図ることとしております。
 一方、日本の所得税は、昭和六十年代以降、中堅所得者層の負担累増感を解消する観点から税率構造の見直しを行ってまいりました。そして、大幅な累進緩和を実施をしてきておりまして、近年、所得再配分機能の低下が指摘をされております。
 こうした状況に鑑みれば、所得税の税率構造の見直しという形で中間層の税負担を更に軽減するという状況にはないというふうに考えておりますが、いずれにせよ、所得拡大促進税制などを含む三本の矢の実施によって成長と富の創出の好循環を実現をしていきたいと、これを通して所得と雇用の拡大を実現することによって中間層にも恩恵が及ぶものと考えております。
#62
○広野ただし君 所得拡大税制というのは確かにちょっと入っているんです。先ほど申し上げましたような、この辺はどれくらい利用されるかちょっと分からないんですが、最大に見積もっても一千億円ぐらいの減税になるのかなという程度です。
 今まで日本は、分厚い中間層というものがぐっと押し下げられまして、それで非常に細ったという世界だと思うんですね。それをやはり、単なるアベノミクスの好循環だけでは私はそういう所得格差というものは直らない、やっぱり税制で、所得税制で、大幅な減税で下支えをするということが非常に大事なんじゃないかなと、こう思っております。
 そして、あわせて、今度は中小企業、企業格差の問題で、中小企業がやっぱり元気な中小企業にならないと駄目なんだと思うんです。地域も元気な地域でなければならない。そういうふうになかなか今いっていないんだと思うんですね。ですから、中小企業の税制も、これも小売商業ですとかサービスについて少し減税措置が入っております。これも物すごくツーリトルなんですね、小さ過ぎるんです。ですから、なかなか中小企業を元気にすることができない。地域は中小企業でもっているんですね。
 よく安倍総理が言われる、美しい日本を、地域を、田園をと、こういう世界になりますと、中小企業を元気にして、そしてまた地域を元気にしないと、日本は本当に強い経済ということにはならないと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#63
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 中小企業がまさに私は日本の経済を支えていると思いますし、特に地方においては中小企業あるいは小規模事業者が地方の経済、雇用を支えていると、このように思います。
 平成二十五年度の税制改正においては、中小法人の交際費課税の特例の拡充や、商業、サービス業等を営む中小企業等の経営改善のための設備投資を支援する税制の創設などを行うこととしております。また、過疎地域を含めた企業の立地条件が不利な地域における投資促進税制について、過疎地域については二年間延長、特に既存税制の活用が少なかった離島や半島地域については制度の改善、拡充を行うこととしております。
 このように中小企業支援や地域活性化には特段の配慮を行っているところでございまして、こうした取組と併せて成長戦略を実施することによって日本経済の全体の活性化につなげていきたいと思います。
#64
○広野ただし君 メニューはある程度そろっているんです、その過疎対策も含めてですね。だけれども、余りにも小さいんですね。ですから、本当に元気が出てこないということだと思うんです。
 安倍総理が言われる美しい田園風景、はっと息をのむような、そういう美しい日本の原風景、この田園がまさに荒れんとしているんですね。過疎が進んで、そして人口が減少して、お年寄りが増える、高齢者が増える、こういう事態がもう各地で見受けられるわけですね。ですから、そういうことに対して、税制ばっかりじゃありません、あらゆる財政手段を、金融も含めて、あらゆる政策手段をもってそれを何とか下支えしませんと、これは本当に大都会だけが、そして大企業だけが栄える、こういう日本になってしまうんですね。
 やっぱり元気な中小企業、そして元気な地域、そして元気な中間層というものがあって本当に強い経済ということになると思いますが、まずその地域について、もう一度お答えいただきたいと思います。
#65
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに元気な地域があって初めて日本の活性化があるんだろうと、このように思っておりますし、私どもが進めている財政金融政策について言えば、それは決して一部の地域、特に大都市、東京だけが繁栄するものではありません。だからこそ、今回、一本目の矢だけではなくて、二本目の矢として地域が生産性を高めていく、地域が競争力を高めていくためのインフラの投資も行わなければならないと、こう考えたところでございまして、そういう意味においては、まさに美しい田園風景があって美しい日本なんだろうと、このように思います。
 東京だけではなくて、例えば富山市も、意識調査によると大変住み心地がいいという高い回答率があるというふうに伺っておりますが、そうした地域をしっかりと維持、また活性化していくことが重要な使命なんだろうと、このように思います。
#66
○広野ただし君 ふるさと富山市のことを述べていただきまして、ありがとうございます。
 しかしながら、やはり過疎地域をいっぱい抱えております。ですから、中山間地は本当に大変なんですね。これは地域主権をやっていくことによって解消するというのもある程度はあると思いますが、やっぱりあらゆる政策手段を動員をして、地域のこと、そして中小企業のこと、中間層、私は生活の党で、国民生活第一という考え方でやっぱりやっていきませんと、本当に強い豊かな経済というのにはならないと思いますので、そこはもう非常に、麻生副総理の言葉で申し上げますと、ちょっとちまちました税制なのじゃないかなというふうに私はやっぱり思います。
 それと、今お話ありましたが、日本が本当に強い経済にしていくために、今まではグローバルな経済を取り込むという話ばっかりです。TPPもそういう考え方になっていますが、やっぱり内需振興だと思うんですね、内需振興。これはもう麻生副総理も、貿易関係は一〇%ちょっとですから、内需をきちっとしない限りやっぱり本当に豊かな日本というのにはならない。
 そういう中で、何といいますか、インフラも古くなっておりますけれども、民間の設備も非常に古くなっているんですね。ですから、私は、競争力の観点からも、耐用年数なんかを思い切って全面的に見直して、そういう更新投資が行われて、そして競争力が付いていくということも大々的にやらなきゃいけないし、今度の中に入っておりますが、教育投資、これはもう本当に、相続税を、贈与のことを非課税にしまして教育にお金を投入をしていくということだと思いますが、これはまだある意味でファミリーで支えるという考え方ですね、お孫さんに渡していくという世界ですが、私は、やっぱり国家として、社会としてちゃんとやらないと教育格差が付くんだというふうに思うんですね。
 やっぱり、これは釈迦に説法でありますが、一年の計は穀を植うるにしかず、十年の計は木を植うるにしかず、百年の計は人を植うるにしかずということで、急がば回れでありませんけれども、この人づくり、教育、これはもう安倍総理もまさにそういうことをおっしゃっておいでですが、教育に関する、あるいは研究、あるいは文化に関する寄附税制というのがありますが、これは損金算入ぐらいにしかならないんですね。しかも、何か脱税をしているんじゃないかということでいろんな手続が必要だということで。これは、社会貢献をしたい方々はいっぱいおられるんです。
 ですから、大いにそういう点を改革をして、本当に教育にも文化にも研究開発にも税制上しっかりと支えるということが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#67
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 教育やあるいは文化について自分も貢献したいという方々がたくさんやはりいらっしゃるんだろうと思います。その中において、手続が煩雑であったり、かえってそうしたことを申し出たことによっていろんなことで調べられたりとかあるんだろうと思います。
 今後、やはりそうした教育あるいは地域の文化も含めて、そうしたものを多くの人たちに支援をしていただきやすい仕組みをつくっていくということも検討していくことが必要だろうと、このように思っております。
#68
○広野ただし君 それと、やはり東日本の被災地がもうなかなか復旧復興が進まない。ですから、全ての税制において、もちろん予算的にもそうですが、更に東日本の復旧復興に傾斜を付けていただかないと、なかなか東日本の方に企業が行くとか、そういう働き場所が確保できるとか所得が上がるとか雇用が拡大するとか、そういうことにはなかなかならないんで、最後にそれをお伺いして、終わります。
#69
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 東日本大震災からの復興を促進するため、平成二十五年度税制改正においては、避難解除区域等に係る課税の特例について、新たに進出する企業に被災事業者と同様の措置を講ずる等の拡充を行うことにしております。また、新規立地した新設企業を五年間無税とするなどの復興特区に係る税制を設けております。既に千百四十三事業者が適用を受けるための指定を受けるなど、復興を推進するために一定の役割を果たしていると考えております。
 東日本大震災からの復興については、中長期的な視野を持って取り組む必要があります。今後とも、震災からの復旧復興状況を踏まえて、税制上の支援について検討を進めていきたいと思います。
#70
○広野ただし君 どうもありがとうございました。
#71
○大門実紀史君 大門でございます。
 総理、大変御苦労さまでございます。
 まず、昨日も麻生元総理と議論をしたんですけれど、現状認識について若干伺いたいと思いますが。
 今の円安株高をどう見るかですが、安倍総理は、テレビでは割と強気な、若干自画自賛的な発言もされておりますけれども、本当は謙虚な方ですので、この先どうなるかということは一人でもいろいろお考えじゃないかと思います。
 実体経済が良くなって株が上がる、円高が是正される、これはいいことだと私も思うわけですけれども、この間は、そうではなくて、総理になられる前の安倍さんの大胆な金融緩和発言、宣言に、昨日も言ったんですけど、まず海外のヘッジファンドが飛び付いて誘導してくるという流れがあったわけでございます。非常にタイミングは、大変あのときは、何といいますか、絶妙なタイミングでやられたというのは間違いないと思います。
 あのユーロ危機から、あるいはアメリカの財政の崖からいろんなリスクを取れなかったのが、これから取ろうというところで、世界的に同時株高になる流れ、あるいは今まで安全な円を買っていたのがこれからまたドルを買おうとかユーロを買おうとかいう、この流れのときにああいう宣言をされたんで、非常にヘッジファンドとかにとっては格好の材料になったという面もあってこちらにずっとお金が入ってきたんだと思います。それに一般投資家が後からくっついていって、これだけの円安株高になっているんだと思います。
 これは、これだけで終わると大変なことでございまして、そういうヘッジファンドは、昨日も言ったんですが、必ずどこかで売り抜けをやります。利ざやを稼がなきゃなりませんから。後から付いていった一般投資家が売り抜け遅れて損をするというふうなことを今までも繰り返されているわけでございまして、下手すると、これだけで終わるとバブルで終わっちゃう可能性がある、危険性があるわけですね。
 昨日も麻生大臣とお話ししたのは、やっぱり実体経済を良くしなきゃいけないし、賃金をどうしても上げるということが必要ではないかと、そこのところに踏み出す必要があるということで、その辺は一致するわけですけれども。
 そこで、この間総理が言われている、一部の企業でも、一部の企業といいますか、企業の中にも賃金を引き上げる傾向が出てきているとおっしゃいましたけど、実は、総理はよく御存じですけど、二〇〇五年から二〇〇七年のときも、あのとき一応景気回復というのがあったんですが、大企業を含めて一部の企業ではボーナスを出したり賃金を上げたりしたんですよね。あのときも今のようなムードがあったんです。ところが、総賃金が上がらなかったんですね、全体として。したがって、内部留保だけ結果的に積み上がって、全体に回らなかったというのがあるわけですね。
 そういう点でいきますと、いずれ上がるだろうと、賃金上がるだろうということではなくて、今回の政策の一環として、やっぱり政府がやれることは何でもやると。もちろん経済界にお願いしてもらうことは大事なことなんだと思います、我が党の志位委員長も経団連に要請したこともありますけれど、もっと政府が自身がやれることでもっと知恵を出して、幾つか直接やれることに、今踏み出せることには踏み出すべきだというふうなことを思ったりするわけですけれども、その辺いかがお考えでしょうか。
#72
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、ここで終わってしまってはいけないわけでございますし、実体経済を伴う形において経済が成長し、そしてその果実が多くの国民に行き渡るようにしていくことは極めて重要であり我々の責任だろうと、このように考えているわけでございまして、その中において、例えば政府が多くの企業に対して賃金上げてくださいとお願いをするということは、これは今までにない出来事だったんだろうと思いますし、先般、米国のスティグリッツ教授と話をしたら、そんなことはアメリカでは絶対起こらないという話でございましたが、そうした努力もしていきたいと、こう思うわけでございまして、これから更に私たちができることに何があるか、これは限界もあるわけでございますが、最低賃金が上がっていくような状況をつくっていくことも必要でしょうし、何ができるかということについては様々な観点から検討していきたいと、このように思っております。
#73
○大門実紀史君 それで、その賃金を上げる方策といいますか知恵は自民党よりも共産党の方があると思いますので、幾つか御提案を更にしたいと思いますけれど。二月の二十日の予算委員会のときに総理がなかなかいい答弁をされているんです。的確な答弁をされていまして、私の質問に対して、日本ではサービス価格が下落傾向にある、サービス分野は価格が人件費に直接影響を及ぼすのでデフレが賃金下落の大きな要因になった、日本の賃金の下落にも反映したというふうなことをおっしゃって、サービス価格のことをおっしゃっていまして、これはCPIの中で比重が多いですから、大変正確な御答弁をされているわけです。
 それをお聞きして、私、総理の御答弁に沿ってちょっと調べてみたんですけれども、資料をお配りいたしましたが、時間の関係で結論だけ申し上げますと、一枚目の資料は、いわゆるサービス物価とサービス業の賃金の関係で、調べてみて分かったのは、サービス価格の下落、賃金が先か価格の下落が先かというのはあるんですが、両方との悪循環になっていると思うんですが、いずれにせよ申し上げたいことは、サービス価格が下落していると、これを上げない限り物価は二%も行かないと。それには、連動しているのがサービス業のパートタイマー、アルバイトとかパートタイマーの賃金が連動しているというのが分かりました。つまり、サービス業はやっぱり非正規雇用がずっと増えておりまして、このアルバイト、パートの部分の賃金上がらないとサービス価格も上がらないと、ここが抑え付けられますと上がらないと、こういう関係になるわけですね。
 したがって、ここの部分は、この前提案したように、最低賃金を上げていくというのは非常に関係する部分でございますので、やっぱり最低賃金の本格的な引上げですね、これは何度も提案しておりますけれど、大胆に大きくやることが必要だというふうに思います。
 もう一つ、これもサービス物価を調べて分かったのが、二枚目の資料なんですけれども、これもちょっと結論だけ申し上げますと、サービスというのは業種にすればいろいろあるわけです。それぞれの時間当たりの賃金の動向を調べてみましたら、いろいろ変化はあるんですけれど、要するに、正規も、パート、非正規も両方とも賃金が下落したのは医療、福祉関係なんですね。これは、私、先ほど申し上げました政府がすぐやれることという意味で提案しているわけですけれども、この医療、介護の労働者の賃金が下がったのは、言うまでもなく政府の診療報酬、介護報酬の関係が非常に影響を与えているわけでございます。
 民主党政権のときにこの介護労働者の賃金を四万円上げるということを公約したんですけれども、ほとんど何も実現されなかったと。ただし、問題意識はやっぱりそこにあったわけですよね。
 この部分の引上げというのは民間の世界だけではありませんので、むしろ政府が主導できる部分でございますので、最低賃金を上げる努力、これから本当にいろいろなことを考えるというのと、医療・介護労働者の賃金引上げ、これは課題にもなっていると思うんですけれども、これに本腰で取り組むということが総理の問題意識と沿うんじゃないかと、サービス価格を上げていく、サービス関係の賃金を上げていくということに沿うんじゃないかと思うわけでございます。
 最低賃金の引上げと医療・介護労働者の処遇改善について取り組んでほしいと思いますが、いかがでしょうか。
#74
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 最低賃金の引上げについては、これが、この最低賃金が順調に上がっていくということが一番望ましいわけでございますが、その中で政府として最低賃金の上昇に向けて何ができるかということについてはよく考えていきたいと、こう思っております。
 また、医療従事者についてでございますが、今までも、特に介護分野においては、なかなか介護分野の若い方々が一年、二年で離職をしてしまうということは大変多かったわけでございます。これは、なかなか介護分野においての給料が低い、賃金が低いということと、だんだん自分のキャリアが上がっていくという世界になっていないという二つの課題も指摘をされていたところでございまして、その中において、これは麻生政権の最後の段階において介護従事者に対する待遇の改善を図ったところでございますが、今後とも、御指摘の点も踏まえて、医療従事者の処遇の改善については、その実態もよく踏まえながら検討をしていきたいと、このように思っております。
#75
○大門実紀史君 今、麻生元総理のときの話が出ましたので、これはやっぱり財務省と厚労省の予算の関係とかあると思うんですけれど、やっぱり医療、介護、特に介護労働者ですね、大変な状況で働いていますけど、是非、麻生元総理、財務大臣、この分野はやっぱり改善の方向で考えていただきたいと思いますが、ちょっと一言いかがでしょうか。
#76
○国務大臣(麻生太郎君) これは介護に特に焦点が当たっておりますけど、看護婦含めましてこれは極めて条件としては三K職場と言われるほど厳しい状況になっておるというのが実態なんだと思います。
 したがって、看護師でも結婚して退職した人たちで数年してもう一回働けるという状況にある人が実はいっぱいおりまして、いい病院へ行ったら大体子供を預かる施設を病院に持っていると思いますね。そういったところには古手の看護婦が戻ってくる。その看護婦は極めて有能。経験もありますし、特に自分で出産しておりますので助産含めて極めて、そういった急患等々に対する対応も極めて適切という、評価は極めて高いにもかかわらず、一回退職していると何となく給料の扱いが別になっていたり、なかなか難しい問題等々もあるのは事実でもありますので、そういったところを含めて、この点は今後検討しなければならぬ大きな課題だと思っております。
#77
○大門実紀史君 もう時間が余りありませんので次の質問はいたしませんが、とにかく今すぐ賃金で政府がやれることに踏み出していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#78
○中山恭子君 日本維新の会、中山恭子でございます。
 関税定率法に関しまして、税関の水際対策の重要性と定員の確保について財務大臣にお伺いいたします。
 税関の仕事は非常に幅広い分野に及びます。入国する人の手荷物、航空貨物、船便で運ばれてくる貨物、全ての貨物について検査を行い、日本国内に害を及ぼす物品を水際で阻止しています。税関は財務省の機関ですけれども、検査の範囲は経産省、防衛省、厚労省、文科省、農水省など全ての省庁の法規に基づく検査を行っております。
 麻薬、拳銃の取締りというのは最も分かりやすい検査の例ですけれども、このほかにも、良俗を乱すものかどうか、知的財産侵害物品か、ワシントン条約対象のものでないか、武器輸出につきましても武器輸出三原則にかかわる物品でないか等々、税関職員は常に研修を行い、国の安全を守っています。覚醒剤等については、国内に麻薬が蔓延することを防ぐためには、大口の持込みだけではなく、小さな、小口の持込み、例えば飲み込んでくるとか靴底に隠すとかいろんな手だてを使って持ち込んでまいりますが、こういった麻薬の小さな持込みを防ぐということが国内に麻薬蔓延を防ぐ鉄則でございます。また、最近は、特に偽のブランド品の持込みが急増していると聞いておりますし、知的財産侵害物品の輸入差止め件数も過去最高を記録したと聞いております。
 税関職員には高度な知識、経験等が要求されます。日本が安全な国で居続けるためには、職場環境の改善、十分な人員の確保が必須であると考えていますが、いかがでしょうか。
#79
○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘がありましたように、過去二十年にわたりまして、これはもう業務量が実に大幅に増えております。出入国の旅客数がとにかく三千百万人から五千五百万人、そして輸出入の申告件数も千三百万から三千七百万と、三倍とは言いませんけど物すごい増えておるのに対して、税関の職員は七千八百九十六人が八千七百七十八人。
 これはもう物理的なことを申し上げてとてもではないということになるんですが、これを検査機器の整備、いわゆるいろいろなものの検査、透視で見られるとかいろんな機器の整備とかIT化などによってかなりの部分は埋め合わせていることは事実です、昔に比べて。
 そういったものは事実なんですけれども、いずれにいたしましても、これをきちんと調べるには、単に人がいればいいというのではなくて、いわゆる識別眼、目がないととてもできないということなんで、養成するのに結構な時間が掛かる職場でもありますし、極めて忠誠心の強い人でないとなかなか難しい等々の問題もありますんで、いわゆる定数の確保プラスそういった方々の処遇の改善というのを図っていかねばならぬところだと思っておるんですけれども。
 いずれにいたしましても、なかなか状況としては難しいんでありますけれども、今後とも、ここが緩みますと、麻薬が国内に入ってからの取締りより、水際で押さえるということにしないといかぬ、そういったものを考えまして、今後ともこの点につきましては強化をしていきたいという方向で考えております。
#80
○中山恭子君 ありがとうございます。是非、その方向でお考えいただきたいと思っております。
 安倍総理にお伺いいたします。
 総理が進めていらっしゃる経済復興を目指す政策、金融政策だけではとても経済復興は難しいと考えておりますので、第二、第三の矢が非常に重要だと思っております。したがって、私は、心からこの政策を歓迎し、高く評価し、期待もしております。
 国土の防災、減災のための公共事業、インフラ老朽化対策のための公共事業、メンテナンスだけではなくて最高の技術を用いた社会インフラを日本の全ての地域に構築していくこと、こういったことは決して無駄な公共事業ではなく必要な公共事業であると考えております。民でできるものではありませんので、まさに政府が行わなければならない必要な施策であると考えております。また、これらは、この後、五十年、百年使われるものであり、日本の資産を形成するものと考えております。そして、必要な公共事業の推進がデフレ脱却につながります。国内に大きな需要があると見ております。
 ただ、この公共事業等財政出動を行っていく施策についての具体的なイメージというものがなかなかつかまえ切れません。より具体的にどのような形でこの事業を進めていくのかといったようなことを打ち出していただければ、より良く納得できるのではないかと考えております。
 私からは、共同溝の敷設や、それから東日本において、かえってこの機を使って美しい街区を、アメーバのように点々と家を造って土地を私有化していくというだけではなくて、美しい街区をつくっていくというようなことも考慮に入れてイメージを打ち出していただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
#81
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、中山委員が指摘された点は極めて重要な点なんだろうと思います。共同溝もそうでございますが、その共同溝を進めていくことによって電柱の地下埋設も進み、そしてそこには街路樹が青々と茂っていく美しい町並みが形成されていくんだろうと、このように思います。言わば、町づくりにおいて、東北においてもそうなんですが、我々はまさに新たな東北を創造していくこの機会としていきたいと考えているところでございまして、新しい町をつくる上において、今委員が指摘されたように、だんだんアメーバのように広がっていくということではなくて、きっちりと一つのコンセプトを持って町をつくっていくということが大切であろうと、美しい景観をつくっていくことが大切だろうというふうに思っております。
#82
○中山恭子君 東日本につきましても、多くの方が亡くなられ、多くの方が被災されています。ある意味では、この犠牲になられた方々の鎮魂という意味も込めて美しい東日本をつくっていく方策を練っていただけたらと考えております。
 外国人の土地売買を規制する必要性について、総理にお伺いいたします。
 ちょっと議題から外れますけれども、現在の国際社会ではどの国でも、海岸線や国境線に近い土地、またその国にとって重要な土地は外国人に売らないということがごく普通の在り方として考えられております。また、日本では、海岸線や国境線だけではなく、水を治めること、これは古来、政治の基本と言われておりますが、大事な水、水源地を外国人や外国法人が購入しようとする動きが多々見られますので、こういった動きを規制する必要もあると考えております。
 日本政府として外国人による土地購入の実態調査を、まず実態調査を行っているのかどうか、お伺いいたします。
#83
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 調査を行っております。
#84
○中山恭子君 ありがとうございます。
 そういった実態調査を基にして今後の在り方を考えていかなければいけないと思っておりますが、例えば中国大使館は日本の国内の土地を取得して施設を造っております。一方、中国国内では日本は土地の取得はできません。相互主義を適用してよいと考えますが、いかがでしょうか。
#85
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国の土地取得に関する現行法制は、土地利用の適正化を目的とする一定の規定、規制は設けておりますが、一般に、外国資本等であることのみをもって特段の制限を設けることはしていないというのは御承知のとおりでございます。
 政府として、外国人による土地取得の網羅的な実態把握は現在行っておりませんが、個人の財産権を尊重しつつ、国土の望ましい利用を図るため、適正な土地利用を確保していくことが重要であると考えております。
 国防上の観点から外国資本による我が国の土地取得を規制するべきではないかとの考え方もあるわけでございますが、関係省庁が連携して情報収集を努めているところでございます。
 外国人土地法に代わる新たな法を整備することを含めて、安全保障上の必要性や個人の財産権の保護の観点等の諸事情を総合的に勘案した上でしっかりと研究をしていきたいと、このように思いますが、自民党においても高市早苗議員が中心になってこうした議論を進めてきた経緯もございます。今後とも検討していきたいと思います。
#86
○中山恭子君 日本では、一九二五年、大正十四年に外国人土地法が制定されました。日本における土地の権利の享有について、その外国人、外国法人が属する国が制限している内容と同様の制限を政令によって掛けることができると定められております。しかし、この法律は現在有名無実になっていますし、政令に当たる勅令は一九四五年、敗戦後廃止されたままとなっております。現在、外国人が土地を取得する際の制限基準や要件を定める規定が今、日本にはありませんので、誰もが土地購入できる、そのような状態になっていると承知しております。
 どの国も自国の土地を外国人が購入することについて制限を設けていると承知しておりますし、日本としても外国人土地法を新たに制定し、政令を設けて外国人の土地購入に関し規制を行う必要があると考えております。党内でも御検討いただいているということは承知しておりますが、是非、この点、日本に欠けている問題でございますので、進めていただきたいと思っております。是非、毅然とした対応をお願いしたいと思います。
#87
○内閣総理大臣(安倍晋三君) その勉強会、検討会において、私も参加をしていたわけでございますが、外国人の国境離島等に対する取得、あるいは自衛隊の施設の近傍に対する土地の取得について制限を掛けるべきではないかという議論があったのでございますが、WTO上、外国人に対して、外国人であるという、あるいは法人であるということによって制限は掛けることはできないということでございまして、一方、中国は、この適用の、WTOに加盟する段階でこれは留保しているということになっておりますが、日本はそういう留保がないという中においてはなかなか難しいという中において、例えば安全保障上の理由で、これは、内外は無差別の中においてそういうことも考えられないかということも議論したことがあるわけでございまして、言わば安全保障上何をなすべきか、あるいはまた大切な水の資源を守るために何をすべきかということについてはよく議論をしていく必要があるだろうと思っております。
#88
○委員長(藤田幸久君) 質疑時間が参りましたので、簡潔にお願いいたします。
#89
○副大臣(後藤茂之君) はい。
 ただいまの御質問のありました外国人土地法についてだけ説明をさせていただきたいというふうに思いますけれども、御指摘のとおり、外国人土地法は外国人や外国法人による土地取得を解禁することを目的として制定された法律で、その例外として、国防上必要のある地区については政令で指定するということで制限ができる旨の規定がございます。
 ただ、この国防上必要のある地区を政令で指定することにつきましては、そもそもこの外国人土地法が大日本帝国憲法下における陸海軍の軍事活動について規定したものであるということから、その趣旨自体が現行憲法上どういうふうに考えるのかという問題、それから、制限の対象となる権利や制限の態様や制限違反があった場合の対応等についてきちんとした規定もない、全くの白紙委任の政令になるということで、外国人土地法を用いて外国人の土地の所有等について規制を行うということは難しいのではないかというふうには考えてはおります。
 ただ、ただいまからも、今も御議論がありましたように、関係省庁において、国防上の観点から外国人の取得についていかなる対応をするかということでありますれば、いろんな形での対応を進めていく必要があるだろうというふうに考えております。
#90
○中山恭子君 ありがとうございました。
#91
○委員長(藤田幸久君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#92
○委員長(藤田幸久君) 速記を起こしてください。
 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#93
○大門実紀史君 所得税法等の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。
 反対する第一の理由は、研究開発減税が拡充されることです。政府の調査でも、減税の八割が資本金十億円以上の企業に集中し、研究促進というよりも、事実上の大企業補助金になっております。諸外国に比べ乏しい中小企業の研究開発こそ政府が後押しし、底上げすべきであります。
 また、富裕層優遇のために株式の譲渡損を利益と相殺する範囲を拡大することも問題です。さらに、日本版ISAも問題です。そもそも自己責任の投資活動に、投資リスクに政府が税制で誘導すること自体問題です。ましてや、投資は非課税にする一方、国民の預貯金利子には引き続き二〇%も課税するのは本末転倒であります。
 本法案には、長年事業者等から要望があった延滞税、延納等に課される利子税の引下げ、中小企業への事業承継税制、設備投資減税の拡充、復興支援税制の拡充など改善面もありますが、以上述べた理由から、全体として反対せざるを得ません。
 なお、関税定率法等改正案については、必要な措置が盛り込まれており、賛成であります。
 以上で討論を終わります。
#94
○委員長(藤田幸久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次採決に入ります。
 まず、所得税法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#95
○委員長(藤田幸久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、金子君から発言を求められておりますので、これを許します。金子洋一君。
#96
○金子洋一君 私は、ただいま可決されました所得税法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党・無所属の会、公明党及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 税制の公平性等を確保するため、租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書を踏まえ、適用実績の把握と効果の検証を十分に行うとともに、効果が不明確なものは縮減・廃止するなど、租税特別措置の徹底した見直しを推進すること。
 一 申告件数の増加、滞納状況の推移、経済取引の国際化・広域化・高度情報化による調査・徴収事務等の複雑化に加え、近年の国税通則法の改正及び社会保障・税一体改革に伴う税制改正への対応など事務量の増大に鑑み、適正かつ公平な課税及び徴収の実現を図り、歳入を確保するため、国税職員の定員の確保、高度な専門知識を要する職務に従事する国税職員の処遇の改善、機構の充実及び職場環境の整備に特段の努力を払うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#97
○委員長(藤田幸久君) ただいま金子君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#98
○委員長(藤田幸久君) 多数と認めます。よって、金子君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、麻生財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。麻生財務大臣。
#99
○国務大臣(麻生太郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
#100
○委員長(藤田幸久君) 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#101
○委員長(藤田幸久君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、金子君から発言を求められておりますので、これを許します。金子洋一君。
#102
○金子洋一君 私は、ただいま可決されました関税定率法等の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党・無所属の会、公明党及び日本維新の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 東日本大震災により多大な被害を受けた地域における復旧・復興を図るため、被災者の状況に十分配慮した税関手続の弾力的な対応に引き続き努めるとともに、被災地域の物流・貿易の円滑化、活性化に向けた税関による支援策を積極的に実施すること。
 一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国民経済的な視点から国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、調和ある対外経済関係の強化及び国民生活の安定・向上に寄与するよう努めること。
 一 最近におけるグローバル化の進展等に伴い、税関業務が増大し、複雑化する中で、適正かつ迅速な税関業務の実現を図り、また、水際において国民の安心・安全を確保するため、税関職員の定員の確保、高度な専門性を要する職務に従事する税関職員の処遇改善、機構の充実及び職場環境の整備等に特段の努力を払うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#103
○委員長(藤田幸久君) ただいま金子君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#104
○委員長(藤田幸久君) 全会一致と認めます。よって、金子君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対して、麻生財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。麻生財務大臣。
#105
○国務大臣(麻生太郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
#106
○委員長(藤田幸久君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#107
○委員長(藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト