くにさくロゴ
2013/05/30 第183回国会 参議院 参議院会議録情報 第183回国会 財政金融委員会 第8号
姉妹サイト
 
2013/05/30 第183回国会 参議院

参議院会議録情報 第183回国会 財政金融委員会 第8号

#1
第183回国会 財政金融委員会 第8号
平成二十五年五月三十日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     有田 芳生君     辻  泰弘君
     田城  郁君     川上 義博君
     石井 浩郎君     脇  雅史君
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     藤本 祐司君     大塚 耕平君
     岩井 茂樹君     林  芳正君
     江島  潔君     古川 俊治君
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     川合 孝典君     小川 勝也君
     林  芳正君     石井みどり君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     小川 勝也君     川合 孝典君
 五月二十七日
    辞任         補欠選任
     石井みどり君     林  芳正君
     竹谷とし子君     山本 博司君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     山本 博司君     竹谷とし子君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     溝手 顕正君     長谷川 岳君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤田 幸久君
    理 事
                尾立 源幸君
                金子 洋一君
                西田 昌司君
                野上浩太郎君
                竹谷とし子君
    委 員
                大塚 耕平君
                川合 孝典君
                玉置 一弥君
                鴻池 祥肇君
                長谷川 岳君
                古川 俊治君
                松村 龍二君
                脇  雅史君
                山口那津男君
                中西 健治君
                広野ただし君
                大門実紀史君
                中山 恭子君
                川崎  稔君
   国務大臣
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
   副大臣
       内閣府副大臣   寺田  稔君
       財務副大臣    小渕 優子君
       経済産業副大臣  菅原 一秀君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        島尻安伊子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 伸一君
   政府参考人
       金融庁監督局長  細溝 清史君
       国税庁次長    西村 善嗣君
   参考人
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
       日本銀行理事   武田 知久君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○連合審査会に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (金融機能の再生のための緊急措置に関する法
 律第五条の規定に基づく破綻金融機関の処理の
 ために講じた措置の内容等に関する報告に関す
 る件)
 (日本銀行の会計処理に関する件)
 (長期金利変動の影響に関する件)
 (経済対策の効果に関する件)
 (ファンドの実態把握に関する件)
 (個人版私的整理ガイドラインに関する件)
○金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、有田芳生君、田城郁君、石井浩郎君、藤本祐司君、江島潔君、岩井茂樹君及び溝手顕正君が委員を辞任され、その補欠として辻泰弘君、川上義博君、脇雅史君、大塚耕平君、古川俊治君、林芳正君及び長谷川岳君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(藤田幸久君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(藤田幸久君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に竹谷とし子さんを指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(藤田幸久君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案について、経済産業委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#8
○委員長(藤田幸久君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁監督局長細溝清史君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#10
○委員長(藤田幸久君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁黒田東彦君及び同理事武田知久君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#12
○委員長(藤田幸久君) 財政及び金融等に関する調査を議題といたします。
 まず、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づく破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告に関する件について、政府から説明を聴取いたします。麻生内閣府特命担当大臣。
#13
○国務大臣(麻生太郎君) 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、平成二十二年十月一日以降平成二十四年九月三十日までの期間につき、六か月ごとを報告対象期間として、その間における破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告書を、それぞれ、平成二十三年六月十七日、十二月九日、平成二十四年六月八日及び十二月七日に国会に提出をいたしております。
 これらの報告に対して御審議をいただくに先立ちまして、その概要を御説明申し上げます。
 初めに、管理を命ずる処分の状況につきまして申し上げさせていただきます。
 日本振興銀行につきましては、平成二十二年九月十日、預金保険法第七十四条第一項の規定に基づき、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が行われると同時に、同法第七十七条第二項の規定に基づき、預金保険機構が同行の金融整理管財人として選任をされております。
 今回の報告対象期間中には、平成二十三年四月二十五日、日本振興銀行から第二日本承継銀行に事業譲渡が行われ、同年十二月二十六日、預金保険機構より日本振興銀行の最終受皿に選定をされましたイオン銀行に対し、第二日本承継銀行の株式譲渡が行われております。
 その後、平成二十四年三月二十三日以降、日本振興銀行の再生計画に基づき、同行の債権者に対して、第一回弁済が開始されております。
 また、同年九月十日、日本振興銀行が解散したことを受け、同行に対する管理を命ずる処分が取り消されております。
 次に、預金保険機構における主な資金援助等の実施状況及び政府保証付借入れ等の残高について申し上げさせていただきます。
 破綻金融機関から救済金融機関への事業譲渡等に際し、預金保険機構から救済金融機関に交付される金銭の贈与に係る資金援助は、今回の報告対象期間中に一千二百三十九億円、これまでの累計で十八兆九千八百八十七億円となっております。
 預金保険機構における破綻金融機関からの資産の買取りは、今回の報告対象期間中に五百三十億円、これまでの累計で六兆五千百九十二億円となっております。
 また、預金保険機構の政府保証付借入等の残高は、平成二十四年九月三十日現在、各勘定合計で二兆八千六十二億円となっております。
 ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関の処理等に関しては、これまでも適時適切に所要の措置を講ずることに努めてきたところであります。
 金融庁といたしましては、今後とも、我が国金融システムの一層の安定確保に向けて、万全を期してまいる所存であります。
 御審議のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 以上です。
#14
○委員長(藤田幸久君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#15
○金子洋一君 おはようございます。民主党の金子洋一でございます。
 今日は、大臣、副大臣、そして黒田総裁、そして皆様方、朝早くからお越しをいただきまして、ありがとうございます。
 まず、金融政策に入らせていただく前に、一つ所得税法関係の御質問をさせていただきたいと思います。
 所得税法と申しますと堅苦しいんですが、実は先日、五月の二十三日に大阪地裁の方で、馬券ですね、競馬、勝馬投票券を購入し、多額の利益を得たのにもかかわらず確定申告をしなかったということで、所得税法違反、無申告罪に問われた元会社員の方、三十九歳だということですけれども、その方に対する地裁の判決が出たということであります。この方は、二〇〇五年から馬券購入を始め、そして当たり馬券の払戻金を次のレースに投入をするという方式で、五年間にこれは延べですけれども約三十五億円分購入をして、そのうち、そしてそこから一億五千五百万円の利益を得たと。ただ、確定申告をしていなかったので、税務当局が調査をして、これは利益の四倍以上に当たる所得税を課したという件でございます。
 この件につきましては、現在係争中の案件でもございますし、この場で議論をするというのにはふさわしくないと思いますので、国税庁の方といろいろと議論をさせていただきました。
 競馬と申しますのは、これは昭和の二十三年ですけれども、畜産の振興に寄与することを目的にということで始められたということでありまして、この場合、公営競技は競馬だけではありません、競輪ですとかオートレースですとか競艇ですとかありまして、それぞれの競技にはそれぞれの公益的目的があるということになっております。
 公営競技のファンからはいろんな声が出ておりまして、要するに、通常二五%控除をされると、いわゆるテラ銭と口語的に言うと申しますんでしょうか、それがあると。つまり、七五%しか戻ってこないと。元々二五%引かれているのに、その配当にも申告や納税の義務があるのかと。そして、それだとちょっとやってられないよなというような御意見が非常に多くなっておりますし、私も大変共感をするところでございます。
 これ、よく考えてみますと、ファンが勝馬投票券を買いませんと競技として成り立ちませんし、その公益的目的に回るお金というのもおのずと減ってしまうわけであります。そこで、どうやって納得をしていただくのかというところが非常に大きな問題になってまいりますけれども、ほかの、例えば宝くじを見てまいりますと、当せん金付証票法ということで宝くじを発行されておるんですけれども、「所得税を課さない。」と明記をしてあります。サッカーくじも同様です。ということで、何で公営競技だけがという声が大変強くなっているわけです。国税庁のホームページを見ましても、一時所得として懸賞、当せん金や競馬や競輪の払戻金を申告せよと書いてあります。オートレースや競艇は書いていないんですが、同じことだと思います。
 そういうことを見てまいりますと、非常に、ああ我々は何か脱法行為やっているのかという大変不安の声が強く出ておりまして、ただ、いろいろ議論をさせていただきましたところ、そういうことが本当に必要になってくるのかと。趣味的に買う範囲内で本当に、一般論として、今の判決とは別ですね、趣味的に買う範囲内でそういった申告をしていないとこれはいけないことなのかどうかということ。つまり、こうした競馬に、あるいは公営競技について配当が来ると、その配当についてどういうふうに取り扱えばいいのかという課税関係について、どうか、そういった公営競技ファンが安心をするような御答弁をいただきたいと存じますが、できれば大臣、お願いをしたいと存じます。
#16
○国務大臣(麻生太郎君) サッカーくじをつくるときにこの問題は一番問題になったと記憶をいたします。たしか宝くじとサッカーくじ、この二つだけは、今言われましたように、課税の対象になっていないという御説は正しいです。ただし、その代わり払戻金は五割ですから。競輪、競馬は七五%、サッカーくじとあれは五割なんですよ。これはもう、最初つくるときにこれが一番もめて、文部省でこれを所管するのに脱税をやるなんということになると話が込み入るではないかというんで、配当金は五割でいい、その代わり税金は払わないという方法をあのときは選ばさせていただきました。
 したがいまして、今のおっしゃることは決して分からぬわけではないし、気持ちとしても分からぬわけでもないし、俺もそれだけ万馬券当てたいなと思わない気持ちもないわけじゃないんですが、取ったら大体あれ身銭として使わずにみんなぱあっと使ってくれますので消費税は上がりますし、悪くないなと私自身は率直にそう思わないわけではありませんが、元々のあれは配当の額が七五と五〇の違いでスタートしておりますので、ちょっとサッカーくじと宝くじ、それと競輪、競馬とは元々が違っておるという背景があるという点だけは御理解をいただいておきたいと存じます。
#17
○政府参考人(西村善嗣君) お答え申し上げます。
 一般論として申し上げれば、競馬の馬券の払戻金から得た所得につきましては、所得税法上、一時所得となります。一時所得の金額は、一時所得の総収入金額からその収入を得るために支出した金額で直接要したものを控除し、さらにその残額から五十万円の特別控除額を控除した金額であり、その二分の一の金額が課税の対象となるものでございます。
 私ども国税当局といたしましては、個々の事実関係に基づきまして、法令等に照らして適切に取り扱うこととしております。
#18
○金子洋一君 ありがとうございました。
 大臣、決してサッカーくじの悪口を申し上げておるわけではございません。私もサッカーは好きです。やる方は絶対無理なんですけれども、見る方は大変好きでございます。今の次長の御説明で、趣味的にやる範囲内では大丈夫なのかなというふうに思わせていただきました。私も公営競技ファンの一人として大変安心をしたところでございます。
 続きまして、金融政策に入らせていただきます。
 アベノミクスの大変主要な柱、第一の矢として大胆な金融政策がございます。これは、一言で申しますと、私は明らかに成功していると言わざるを得ないと思います。もちろん円安、株高、それは影の部分があるということは、これは世の中の事象全てそういうものだろうと思います。
 ですから、原燃料費の高騰ということに対していろいろな手当てをすべきだという議論、私も大変賛成でございますけれども、この場は金融政策でございますので。また、これまでこの財金委員会でも本会議でも麻生大臣に対して何回かお尋ねをさせていただきましたが、何となく基本的にゼロ回答だったかなという感じもいたしますが、それはさておきまして、大変大胆な金融政策、特に黒田総裁率いる日銀の下での金融緩和というのは非常に大きな成果を上げているということは、我が国の中でも、あるいは国際的に見てもそういう高い評価が与えられていると私は考えております。
 特に、異次元緩和と呼ばれるこの緩和が異次元であるゆえんは、私に表現をさせていただきますと、いわゆるこれまでの日銀理論というものから懸け離れた存在であるというふうに考えております。そして、日銀理論と申しますと、金融政策で物価を動かすことはできないと、非常に平たい言い方をするとそういうようなものであるというふうにこれまで言われてまいりました。そこに私は、それ以外にも、例えば中央銀行の自己資本を過度に大切にすると。過度にです、ある程度大切にするのは分かります。あともう一点は、景気よりも国債の価格を気にするといったような点があるのではないかと私は思っております。
 そういった見方から、ちょっと日銀の会計についてお尋ねを黒田総裁にさせていただきたいと思います。
 実は、昨日の十六時に二十四年度の日銀の決算報告がございまして、非常に良い数字が出たと思っております。大体日銀には約五・五兆円の外貨資産がありまして、その外貨資産が円安になったということで為替益が出たと。そして、この為替益については六千三十六億円だったということであります。
 黒田総裁にお尋ねしますけれども、この六千三十六億円をまず収益に繰り入れて、そしてさらに、納税した残りについて、その納税した残りの九五%を国庫に納付すると考えてよろしいんでしょうか。
#19
○参考人(武田知久君) そのように考えてよろしいと思います。
#20
○金子洋一君 ありがとうございます。
 特に、外国為替の取引について為替差損が出たときには、過去の例を見ていますと、為替差損が出たときには、その差損分は国庫納付を減らしていて、一方で、為替益が出た場合には、半分今後の差損が出たときの引当金として日銀内にとどめるということをなさっているんではないかなと思うんですけれども、それは私の認識違いでしょうか。
#21
○参考人(武田知久君) 日本銀行の決算では、一般の会計原則を尊重しつつ、対外的にも公表しております会計規程などに基づいて作成されております。毎期の決算の内容につきましては、日本銀行の政策運営とか保有資産の状況、金融経済環境なども踏まえた上で政策委員会で決定し、日本銀行法第五十二条に基づいて財務大臣に承認を受けております。
 ただいま委員御指摘のとおり、外国為替の取引損失引当金につきましては、これまで、ここ数年間取崩しを行わず、このところ、今回は差益が生じた部分については積立てを行っているというのが現状であります。
#22
○金子洋一君 ありがとうございます。
 もちろん法的な手続はきちんと踏んでおられるということでありますけれども、となりますと、為替が上下をすると、円高になると損益の為替差損が出て、それは要するに国庫納付分から全額引くと。一方で、円安になると、差益の分については半分を手元に残して国庫に納付をするということだと思います。となりますと、為替が上下をして、でも平均で横ばいになったということになりますと、これ自動的に日銀の手元にお金がどんどん残っていくということになりはしませんでしょうか。
#23
○参考人(黒田東彦君) ただいま委員が御指摘のような決算をこのところしておることは事実でございます。ただ、かつては自己資本比率の数字について、決められている数字よりもかなり高い自己資本比率がある下ではそういった言わば対称的な取扱いをしていたわけでございますが、このところ自己資本比率が下がっておりまして、そうした下で今委員が御指摘のような形の取扱いをしております。
 これは、先ほど理事からも御説明申し上げたとおり、対外的にも公表している会計規程にそういった保有資産の状況とかその他を踏まえた上で適切な会計処理をして、そして財務大臣の承認を受けるという形になっておることを踏まえて行っているものでございます。
#24
○金子洋一君 今の総裁の御答弁を解釈をいたしますと、法的な手続はきちんとやっていると。ただし、その都度日銀の会計なり自己資本比率を見てその都度判断をするというふうにおっしゃっているんだと思いますけれども、これですと非常に不透明で非常に恣意的なものになってしまう可能性があるんじゃないかと思いますが、そういうような懸念が外部から寄せられるという可能性についていかがお考えでしょうか。
#25
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、公表されている日銀の会計規程に沿って処理をしておりまして、その会計規程の中で、今言ったような、当然ですけれども、銀行としてその健全性というものを踏まえつつ会計処理をするわけでございますので、自己資本比率の状況から見ますと、現在それを下回っているという状況でございますので、そうした下で先ほど委員御指摘のとおりの処理をしてきていると。しかも、これは、当然のことながら財務大臣の承認も得て、かつ、こういう形でやっておりますということで公表もしております。
#26
○金子洋一君 公表をしておられるのは分かっておりますし、手続的に法的には満たしているということもよく分かりますが、ただ、我が国の経済の状況を踏まえてみますと、要するに日銀さんの自己資本を増やしていくということを目指してそういうその都度判断をされているんだと思いますけれども、果たしてそれが我が国の経済にとってどのくらい重要であるのかということが私は大変気になるところなんです。
 と申しますのも、そういった下落、円安になるときには半分しか国庫に納付しないけれども、円高になるときには全額差し引きますということをやっていると、自己資本が増えていくということであります。これが市中銀行でしたら自己資本が増えていけばリスクをがんがん取るようになって貸出しが伸びるということになるんだろうと思いますけれども、果たして中央銀行でそういうことが行われているのかな、特にこの日銀さんの場合どうなのかなという感じがいたします。
 と申しますのも、二〇一一年の五月の十二日にこの財金委員会で、今度理事にお戻りになりましたが、雨宮理事に質疑をさせていただきまして、平たく申しますと、私の方から、自己資本が増えるということになれば、例えば長期国債の買い切りオペを増やしていただく余裕が増えるとか、そういうような金融緩和をより大胆にやってくれるということなんですかというふうにお尋ねをしましたら、イエスという答えはとうとう出てこなかったわけなんですね。これは二〇一一年の議事録を御覧いただくと明確にそうなっております。
 じゃ、国民の経済にとって、我が国の経済にとって大変重要な金融緩和をしないと、その一方で国庫に納付もしませんということになりますと、果たして何のために自己資本を増やしていて、それは日本の国民のためになっているのかという大変な疑問が出てまいるわけであります。もちろん、自己資本比率が大変に悪くなった場合には、それは諸外国との比較でああだこうだ言われて、非常に私どもにとって不利益なことが起きるかもしれませんけれども、何でその自己資本をお増やしになるということ。いいんですよ、増やしても。増やしても、じゃ、それでもっと更に大胆な金融緩和をやりますとそこで一言おっしゃっていただきゃいいんですけれども、そういうことは少なくとも二〇一一年の段階ではおっしゃっていないわけです。
 そこのところ、私はちょっと整合性が取れていないと思うんですが、総裁、いかがお考えでしょう。
#27
○参考人(黒田東彦君) 委員御指摘の点につきまして、まず第一に、日本銀行として今回決定いたしました量的・質的金融緩和というものは、極めて大規模でかつ日本経済をデフレから脱却させるために必要かつ十分なものだというふうに思っておりますので、そういった意味では、委員御指摘の大胆な金融緩和ということは既に行われているわけでございます。その上で、日本銀行の財務の健全性を確保するということが、やはり今言ったような量的・質的金融緩和の下で思い切った金融緩和を行っておりまして、この自ら決定した政策を的確に遂行していく上でも、財務の健全性を維持していくということはやはり必要ではないかと。
 それから、更に加えて言いますと、日本銀行が中央銀行としての使命を果たしていく上では、言わば国民からの信認というものも維持していかなければならないわけでして、それにも貢献するのではないかというふうに思っております。
 私も総裁になってまだ二か月程度でございまして、委員のおっしゃることもある意味でよく分かるわけでございまして、各国ごとに、実は自己資本比率あるいは自己資本の在り方については、歴史的な経緯とか制度的な違いを背景にして、国ごとにかなりまちまちでございます。したがって、まだ一律に全ての国に適用されるようなものがあるわけではありませんが、しかし、その中でもやはり多くの中央銀行が一定の自己資本というものを持って、それを財務の健全性の一番重要なバックアップにしているというところは比較的共通しているように思いますので、その意味では、やはり財務の健全性ということは重要であるというふうに思っております。
#28
○金子洋一君 私も、自己資本の、あるいは自己資本比率というものについて重要ではないとは思っておりません。
 ただ、日銀の信用といったときに、その信用のバックになっているものはやはり、一兆円ですか二兆円ですか、その自己資本じゃなくて、日本国の中央銀行であるということがその全ての信用の源泉になっていると思うんです。そういった意味で、通常の市中銀行とは全く存在、その自己資本を重んずるといったときに、その重んじ方というのは違う形であるべきだと思います。
 実は、二〇〇三年度の日本金融学会の春の大会で、今のFRBの議長のバーナンキが来日をしまして講演をしておりまして、彼はこう言っております。
 日銀の資本をめぐって議論があるからといって我々は現状の経済状況から目を背けてはなりません。特に、民間株主がいるとはいえ、日本銀行は民間商業銀行ではありません。民間企業の破産という意味での破産は日本銀行の場合にはあり得ませんし、商業銀行が資本を維持する、例えば、過大なリスクを引き受けるというインセンティブを減らすためにという普通の理由は日銀については直接には当てはまりませんというふうに講演をしております。
 私はこの考えに賛成をいたしますので、どうでしょうか、これまでのような会計の仕方を見直していただいて、もっと透明な、その場の恣意的な判断ではないというような仕組みづくりに向けて、少なくとも予算の説明の在り方とか国会との関係とか、そういったところを見直していくべきではないかと思いますが、総裁、いかがでしょうか。
#29
○参考人(黒田東彦君) もとより、常日ごろから適切な情報公開、そして、特に今御指摘のような論点については十分配意しておりますし、今後とも配意してまいりたいというふうに思っております。
#30
○金子洋一君 これは麻生財務大臣にお尋ねをしたいんですが、為替が十円上振れ、下振れいたしますと、そういった日銀の外貨資産の、五・五兆円ありますから、プラスマイナスというのは千億とか二千億とか三千億出ます。非常に大きいわけですね。二千億円の税制改正といったら、これはかなり大ごとになります。そういうものが日本銀行というシステムの中で決められてしまうと、もちろん財務省には協議はするということですけれども。そういったこの仕組みの在り方、あるいは自己資本の在り方ということについて検討する必要が、予算作成の面から検討する必要があるんじゃないかと思いますけれども、大臣、お考え、いかがでしょうか。
#31
○国務大臣(麻生太郎君) 自己資本比率を何%、今七・四とか五とかいう話になっていると思いますが、この話を大体八ぐらいをめどにこれまで運用してこられておられる。で、この十年ぐらいは大体八をずっと割っていると思いますが、そういう形になって、一応八、その八が適正かどうかというのは、各国と比べてみますと、これはいろいろ国によって差があるというのは先ほど総裁のお答えになったとおりだと思っております。
 これを、為替差益が出たときに、その自己資本比率のパーセントを上げるのをやめて、逆にむしろ七でいいやということにして、残りは全部国庫納付金、それはいただく方は、我々の方としては大変有り難いということにはなりますが、果たしてそれが世界的に見て、世界的に見てそれが、日銀、何でそんなことをするんだということになるのか、ちょっとそこらのところが私どもも、ちょっと中央銀行の立場というのは各国それぞれその国の中における立場がありますので、そういった横の連携というのを見ました場合に、それぞれお互いに、そうですね、G7ぐらいのところの中央銀行総裁の横の連絡というのは極めて密に見えますし、そこのところの関係を見てみると、大体同じような考えで事をスタートしてお互いの信用を高め合っておられるように見受けますので、特に日本銀行の場合は、ヨーロッパのようにオーバーナイトコールは一晩で二%だ、三%だとむちゃくちゃなことになったこともないし、きちんとした信用のあるところでもありますので、私どもから見ていると、今のように直ちに変えねばならぬというような意識があるわけではございません。
#32
○金子洋一君 ありがとうございます。
 ただ、これ、日本銀行の場合は外為引当金という名前なんですね。となりますと、上がったときと下がったときでやり方が非対称的であると、これはいかにも不透明、非論理的だという印象をかえって与えかねないんじゃないかと私は思いますが、この件につきましては、またいろいろと勉強をさせていただいて、お尋ねをさせていただこうと思います。
 続きまして、長期金利の動向と経済情勢につきまして、黒田総裁にお尋ねをしたいと思います。
 最近、長期金利と申しますか金利の動向が上がったり下がったりが激しくなっておりますけれども、景気が回復をすれば基本的に特に長期金利が上がるというのは、これはもう昔から常識でありまして、今の景気動向指数にも長短金利差が先行指数として入っているぐらいであります。
 問題は実質金利になってくるんだろうと思います。その実質金利のことについては後ほどお尋ねをしますけれども、まず、このイールドカーブの形状がどうなっているのかということでありまして、これ、三か月とか六か月とか、そういった比較的短期のものについてはそのままで、そしてそれより長いものについては上がっているという形で、言わばイールドカーブの景気回復を示すスティープ化が起きているというふうに私はとらえておるんですけれども、総裁はこのイールドカーブの動きについてどのようにお考えでしょうか。
#33
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、足下のイールドカーブを見ますと、短期のゾーンは日銀の金融緩和により低位に抑制されている一方、全体としては緩やかな右上がりの形状になっております。
 長期金利は、御指摘のとおり、先行きの経済あるいは物価情勢に関する見通しを反映するものであることはそのとおりでありますが、更にそれに加えて、債券を保有することに伴う様々なリスクに応じた上乗せ、いわゆるリスクプレミアムが加わった形で形成されているわけでございます。現在、日本銀行が行っております巨額の国債買入れにはこのリスクプレミアムを圧縮するという効果がありまして、その意味では強力な金利低下圧力を加えているわけでございまして、この効果は買入れが更に進んでいくにつれて強まっていくというふうに考えております。
#34
○金子洋一君 ありがとうございます。
 今、リスクプレミアムのお話が出ましたけれども、物価連動債、これが大体残存期間、一番長いもので五年ちょっとぐらいになっておりますけれども、ですから、今後、理屈で言うと五年間ぐらいの物価の動きを踏まえたものになっておりまして、これが大体、簡単に言うと、今後五年間の実質金利とそこにリスクプレミアムを乗っけたものの合計だろうと思いますが、その数字がマイナスの一・三%ぐらいになっています。となりますと、これ、我が国もそういった五・五年というような金利もマイナスになってきていると、実質金利がマイナスになってきているというふうに私は見るんですけれども、総裁、いかがお考えでしょうか。
#35
○参考人(黒田東彦君) 予想物価上昇率を正確に計測することがなかなか難しいわけでございまして、実質金利の水準について確たることを申し上げにくいわけですが、委員御指摘のとおり、物価連動国債等、あるいはさらには様々のアンケート調査などを見ますと、このところ予想物価上昇率の上昇を示唆する指標がたくさん出てきておりまして、その意味では実質金利が低下しているということは事実だと思いますが、それがマイナスになっているということについては、そういった計算もされておりますけれども、先ほど申し上げたように、そもそも予想物価上昇率を正確に計測しにくいためにマイナスになっているというふうに断定することは難しいと思いますが、実質金利が下がってきているということは事実だと思います。
#36
○金子洋一君 ありがとうございます。
 ただ、物価連動債の利回りがマイナス一・三だということになれば、理屈だけで考えますと、物価連動債というのは実質金利そのものですね。ただ、債券ですのでリスクプレミアム分があって、ですから何がしかそれよりも、実際の実質金利よりもマイナス一・三というのは上になっているはずですよね、リスクプレミアム分が。ですから、リスクプレミアムが大きければ大きいほど、実際はマイナス一・三という数字がマイナス一・五かもしれないしマイナス一・六かもしれないわけですから、私は総裁のおっしゃっていることというのはちょっと理屈になっていないなと、ちょっと甚だ失礼ながら思っております。
 これは、実質金利がマイナスになっているということになれば、例えば企業なり個人なりが貯金をしているあるいは手元に置いている現金を使うようになるということで、歓迎すべき、少なくとも景気回復については歓迎すべきことだと思っておりますので、この大胆な金融緩和政策というのはうまくいっているという証拠だろうと私は考えております。
 あと、もう一点なんですが、四月四日の異次元緩和の実施に伴うペーパーを見ておりますと、要するにマネタリーベースを目標に変えたんだという書き方をしておられます。そういう量を目標に変えたということになりますと、これまでは金利を目標にしていたわけですね。そうなりますと、これまでは金利を目標にしていたんだから余り乱高下は当然しないと、目標数値ですから。しかし、今回、四月四日以降は金利を目標にしなくなりましたので、ある意味で乱高下してしまうということも、激しく動いてしまうということも大いにあり得るということにこれ原理的になると思うんです。
 ところが、総裁の発言を聞いておりますと、いや、金利の乱高下についてはきちんと何らかの対応策を打ってまいりますというふうにおっしゃっていて、それはもちろん必要だと思うんですが、そもそも論として、マネタリーベースを目標に変えてしまったわけですから、金利が激しく動くというのは、これはもう当然じゃないかと私は思います。
 それで、例えば債券を売り買いをなさっている方というのは大変な目に遭われるんだと思いますけれども、これは市場というのはそういうものですから、これは残念ながらそこは甘受をしていただかなければならないと思うんですが、そういったマネタリーベースを目標にしたために金利の上下が原理的には起こってしまうという考え方について、総裁、いかがお考えでしょうか。
#37
○参考人(黒田東彦君) 確かに、従来のオーバーナイト金利を金融調節の目標にしていた形からマネタリーベースに変えたことは事実でございますが、オーバーナイトの金利のところはいずれにせよ新しい金融緩和措置をとる前と後とで全く同じで、基本的にゼロ近いというか付利の金利である〇・一のところにアンカーされておりますので、そういう意味では、金融調節の手段がオーバーナイト金利からマネタリーベースに変わったということは事実でございますが、それ自体で何か金利が大きく動かなければならないと、あるいは動いても構わないということではなくて、短期金利のところは前と同様にアンカーをされております。
 問題は、金融政策、新しいものを取った後、やや一部に、特に長期国債の一部に価格が乱高下してボラティリティーが高まり、それ自体がリスクプレミアムを上げてしまうと、せっかくリスクプレミアムを圧縮して実質金利を下げていこうということにプラスになりませんので、そういった意味で、引き続き長期金利に強力な低下圧力を加えていくというためにも、やはり長期金利が安定的に形成されるということが重要であると。その意味で、金利のボラティリティーを放置するということではなくて、それをできる限り小さくして、それを通じて更に金融政策の効果がより強力に発揮されるようにしていくことを考えております。
#38
○委員長(藤田幸久君) 委員長から申し上げます。
 ちょっと今空席が目立ちますので、しばらく休憩を……(発言する者あり)与党の方で空席が目立ちますので、しばらく休憩をさせていただきます。
 それでは、速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#39
○委員長(藤田幸久君) それでは、速記を起こしてください。
 質疑を続けます。
#40
○金子洋一君 済みません、私の残り時間があと多分三分ぐらいになっておると思いますので、最後に、こうした金利のいわゆる乱高下という状況が金融機関にどういった影響をもたらしていると考えられるのか、御所見を金融担当大臣としての麻生大臣と、そして黒田総裁、お二方にお尋ねをさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
#41
○国務大臣(麻生太郎君) 金利の上昇が金融機関、いわゆる財務に与える影響をどのように金融庁でとらえているかという御質問なんだと思いますが、これは御存じのように、これは金融機関の財務に具体的にいかなる影響を与えているかということはちょっと立場上なかなか言える立場にありませんので、その点に関してはコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。
 ただし、一般論として申し上げれば、これは、金利の上昇ということが国債価格の下落ということによって金融機関の財務にマイナスを与えるというのは、持っております国債の金利等々ございますので。したがって、貸出金利の上昇とか金融回復等々に伴う株価の上昇によって、そして財務にプラスの影響を与えるという面もこれは逆に期待されるというところであろうと、それぞれ株式を持っておられますので。
 そういった意味で、参考までで申し上げれば、金利が一律に一ポイント仮に上昇をした場合でも、大手行に相応の債券時価損失というものはある程度生じるとは思いますけれども、自己資本、先ほど御質問があった自己資本基盤というものが全体として大きく損なわれるというようなことではない、そのくらい自己資本比率が高いということだろうと思いますが、そういったことが試算としても出てきておると思っております。
 いずれにいたしましても、債券保有というものに伴いますリスク管理というものは、これはもう基本的には金融機関の責任において行っていただかなきゃいかぬところだと思っておりますが、金融庁としても、足下の銀行のポートフォリオ等々をよく、債券の比重が高まっているという状況も踏まえて、私どもとしては適切な検査監督は引き続き行っていかねばならぬと考えております。
#42
○委員長(藤田幸久君) 黒田総裁、質疑時間が過ぎておりますが、簡単にお願いいたします。
#43
○参考人(黒田東彦君) はい。
 大臣が述べられたとおりでありまして、金利の上昇が金融機関の保有する債券価格を下落させる一方で、経済情勢の改善を伴うものであれば、利ざやの改善あるいは貸出しの増加などを通じて金融機関の収益にはプラスの影響を及ぼすということでございまして、金融機関の現状、自己資本の充実度などを見ますと、金利が相応に上昇しても金融機関の経営や金融システムの安定に大きな影響を及ぼすとは考えておりません。
#44
○金子洋一君 どうもありがとうございました。
#45
○野上浩太郎君 自由民主党の野上浩太郎でございます。よろしくお願いをいたします。
 まず、FRC報告に関連して、日本振興銀行の破綻処理について伺いたいと思います。
 この日本振興銀行の破綻処理というのは、いわゆるペイオフの初めての適用のものということになりますので、これ一千万円を超える部分については弁済率三九%ということも伺っております。
 この日本振興銀行にペイオフが適用されることとなった理由について、これ当時の自見金融担当大臣の答弁を読みますと、預金や貸出金の規模が小さく、特定の地域で高いシェアを有する事業を展開しているわけでもなく、また決済機能も有していなかったという状況を踏まえると、同行の破綻を契機に我が国又は特定の地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあるとは認められないことから、預金保険法の原則に従って預金の定額保護、ペイオフを行ったと述べています。
 ペイオフ基準についても、これは当時様々な議論があったかと思いますが、これが初めて適用された今回の破綻処理ということになりますので、まず、麻生大臣にこの処理のことについて総括をお願いしたいというふうに思います。
#46
○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のありましたとおり、振興銀行は、これは、木村剛等々、結構有名な人でしたけれども、いろんな意味で。この経営陣が、貸金業者からの債権の買取りとか、また親密な友人関係等々に対して大口融資による急激な業績というか業容の拡大ということを図るという、特異なビジネスモデルというべきかな、そういうものでやりますという話で、当初からいろいろ問題があったところでありますが、それに見合った十分な審査、正確には与信審査というものをやらずに業務を遂行した結果、経営破綻に至ったものだというように私どもは理解をしておりまして、甚だ問題、遺憾だと思っております。
 今御指摘のありましたとおりに、あの地域の信用秩序に大きな影響も与えるほど、そういった特定の地域ということでもないようでもありますので、私どもとしては、これは預金保険法の原則に従いまして、預金等の定額、何というの、保護というか、一千万円超という定額保護をされない分につきましては初めてペイオフというものを行わさせていただいたという経緯であります。
 その際に、預金者や借り手へのきめ細かな情報提供、また迅速な預金などの払戻しを行った結果、予想されていたような大きな混乱というものは生じなかったように思いますし、日本の金融システムの安定性は一応確保されたように思っております。
 なお、現在、まだ日本振興銀行の債権回収を委託をされております整理回収機構におきましては債権回収の最大化というのを今継続中でありまして、預金者等への追加的な弁済ができるように努めておるというように理解をいたしております。
 いずれにいたしましても、金融庁としては、金融システムの安定確保というものに今後とも邁進していかねばならぬと考えております。
#47
○野上浩太郎君 ありがとうございます。
 そして、このケースは、この適用を通じて、やはり預金保険制度の在り方というものをもう一度考える機会にもなっているんじゃないかなというふうに思います。
 昨年の三月ですか、預金保険機構の保険料率に関する調査会というところから報告書も出されておりますが、それを見ますと、例えば可変保険料率について、これは個々の金融機関の健全性によって料率に差を付ける方がいいんじゃないかというようなものでありますが、こういうことを導入した方がいいんじゃないかという話がありましたり、また一方で、財務力が低下した金融機関の経営をそうするとより脆弱化させるのではないかという意見があったり、あるいは、信金、信組については相互支援機能がありますから料率を下げた方がいいんじゃないかとか、これはいろいろな議論がその報告書の中では見られます。
 そういう中で、この四月には制度発足以来初めて還付金千二百億円というものがございました。これを差し引きますと、これ一二年度は〇・〇八四%が〇・〇七%になるということになるんだと思いますが、一方でその保険料率自体を引き下げるべきだという意見もございます。
 様々な意見があるんですが、今後の預金保険制度の在り方についてどうあるべきかということを御所見をお聞きしたいと思います。
#48
○国務大臣(麻生太郎君) 日本の金融システム全体として見れば、私どもは、これは総体的な話であろうとは存じますけれども、極めて健全と考えております。
   〔委員長退席、理事尾立源幸君着席〕
 また、日本振興銀行の破綻及びその処理という、多分歴史的な教訓ということになるんだと思いますが、初めての例ですので、踏まえますと、やっぱり金融システムの安定性、健全性というものは極めて大事なもので、今後とも維持していかねばならぬところでもありますので、預金保険制度の適切な運営というのは引き続き重要と考えております。その際に、預金保険制度の財務の健全性の確保というところも極めて大事なところであろうと存じますので、これは引き続き、長期的には均衡というものを図っていかねばならぬところだと考えております。
 その前提で、日本の金融機関の置かれております状況とか、また世界の情勢等々を踏まえて、ある程度柔軟に調整をしていかないかぬというところがあることはもう間違いないと思いますが、今御指摘のありましたように、二十四年度以降の預金保険料率につきましては、実効料率を〇・〇八四%を維持しつつも、年度内には、金融機関の破綻がなかった場合、さっきのような振興銀行みたいな話がなかった場合には、翌年度に速やかに〇・〇一四を返還するということにしておりまして、もし仮に破綻があった場合は返還はいたしませんが、といった設定をするというような対応をしてきて、かなりその点は柔軟に考えてやってきております。
 いずれにいたしましても、この預金保険制度というものは、かなり預金しておられる方々への安心、安全を与えているという意味においては大きな機構、存在、組織と私どもは考え、これの安定のために今後とも努力をしていきたいと考えております。
#49
○野上浩太郎君 ありがとうございます。まさに、これは現在の金融システムをどう判断していくのかと、状況をどう判断していくのかということにつながっていきますので、それを判断しながら柔軟な運用をしていっていただきたいというふうに思います。
 次に、長期金利の動向に関連して質問をしたいと思います。
 先ほど金子委員からも話がありましたが、最近、株が乱高下をしていますけれども、これは一つには、やっぱり急激な大胆な緩和があって、少し市場が不安定化しているということと、もう一つは調整局面ということがあるんだろうと思います。
 しかし、長期金利については非常に注視していかなきゃならぬと思っていまして、特に金融機関に与える影響というもの、先ほど議論ありましたが、いろんな懸念があると思います。金利が上がれば国債も下がるわけですから、金融機関の含み損というものも大きくなっていくということであります。
 四月に日銀が金融システムレポートというものを出しているんですが、これは国債などの金利が一%上昇すると銀行が保有する債券の評価額が六・六兆円減少すると、こういうように試算をしています。また、金利が二%上昇する場合には国際統一基準行の自己資本比率を〇・七ポイント引き下げると、三%上昇すると一・一ポイント押し下げるということの試算も公表をされています。
 ただ、金利が上がっても、これは景気が回復していけば資金需要も出てきますし、株価も上がるということで、直ちにそれは大きな影響があるということにはならないと思います。一定の金利上昇は大きな景気回復が整っていれば懸念はないというふうに思うんですが、ちょっと私の心配しておりますのは、やっぱり地方の金融機関なんですね。地方はやっぱりまだまだこの景気の回復の波が行っていないというところがありますので、まだその資金需要が出てきているという段階にもないということにもなりますので、また、その長い期間の国債を持っている傾向もありますので、ここがちょっと心配かなという感じがいたします。
 金融庁においては、金融検査マニュアルでこの金利に対するリスク管理についてしっかり管理していくんだということにもなっているんですが、この金利上昇が我が国の金融システムに与える影響をどうとらえておられて、そして、その金融システムの、金融機関のリスク増大に対してどういうふうにして対応していくのかということをお聞きしたいと思います。
#50
○国務大臣(麻生太郎君) その時々、その場面場面での金利の動向というものが金融機関の財務に具体的にどのような影響を与えるかにつきましては、これはちょっとコメントする立場というか、ちょっと差し控えさせていただきますが、重ねて一般論として申し上げさせていただければ、これは金利の上昇は国債価格の下落というものによりまして金融機関が保持しております国債の資産価値を下げるというマイナスの影響を与えるということは間違いない一面として理解をしておかねばならぬところだと思います。
 他方、貸出金利の上昇とか景気回復に伴います株価の上昇というものがございますので、これは持っております株式、保有しておられる株式の価額という資産が上昇いたしますから、その点はプラスになろうと思います。
 ただ、今、先ほども例に引かれましたが、金利が一律に一ポイント上昇したという場合におきましても、大体、これ大手行には相応の債券時価損失というものが一定は生じるのは確かですけれども、自己資本基盤というものがかなり整備をされておりますので、大きく損なわれることはないという旨の試算はもう公表されておりますのはもう御存じのとおりです。
 いずれにいたしましても、債券保有というものに伴いまして起きてくるリスクというものの管理につきましては、これは、一義的にはこれは金融機関の自己責任でやっていただかなきゃならぬということはもう確かなんですが、金融庁としては、これは足下の銀行のポートフォリオ内容に占める債券の割合、これは銀行によっても違いますので、いろいろ比重が高まっておりますが、債券の比重が高まったということを踏まえて、この際、その対応については適切に対応していかねばならぬと考えております。
#51
○野上浩太郎君 それで、金利を考えるときに、やっぱりもう一つは財政の信認だと思うんですね。
 それで、今度、政府としては、六月に骨太の方針を策定をすると、また成長戦略の策定もあると、八月には中期財政計画の策定があるということでありますので、ここを通して、財政の信認と、もう一つはやっぱり成長戦略との両立ですよね、ここのバランスが非常に難しいし、ここが肝なんじゃないかなと思うんですが、二日前にもその骨太の方針の大枠が財政諮問会議で示されたということなんですが、この六月に向けてどういう姿勢で財務大臣として臨んでいくのか、お聞きをしたいと思います。
#52
○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘になりましたように、この財政というものの健全化というものなくしてこれは国の将来も安定したものは得られないと思っております。
 したがいまして、今矢継ぎ早によく言われる三本の矢というものを実施させていただいて、持続的な経済成長というものを実現していくためには、これは税収の増加というものを通じて財政健全化というものに大きく貢献するというものだと考えております。
 他方、歳出の重点化ということもこれは当然やらなければならぬのであって、消費税率の引上げを含みます社会保障と税の一体改革等々を着実に実行して、持続可能な財政構造というものを構築していくことが大変大事だと思っております。
 今また市場の信認ということを言われておりますけれども、これは長期金利が急激に上昇するというようなことによって、これはリスクというものを、出てくるということになりますので、民間の投資を促進するということも、この際、GDPのうちの大きな一環を成します個人、企業の設備投資等々、そういったものに対しましても、将来への不安というものを感じるようではそこに投資も起きなきゃ消費も起きませんので、そういった意味では、私どもとしては十分にそこらを踏まえて、先般の五月の二十八日、財政諮問会議におきまして骨太方針の目次案が出されたところでありますが、これ、目次のところで、目次はこういったことって羅列されただけのところでもありますので、これを行う九月の半ばぐらいまでにこの骨太方針というのは正式にでき上がることになろうと思っておりますが、今私どもとしては、この中に財政健全化と経済成長は両立するんだということをきちっと踏まえた上でやっていただかないと、何となくこっちだけいって健全化がおろそかになるというのでは、国家としての信用、国の債券の信用が損なわれるということになりますので、私どもとしてはそういったことを十分に踏まえて、年央をめどに中期財政計画を策定する等々、きちっと対応していかねばならぬと考えております。
#53
○野上浩太郎君 時間が来たので終わります。
 通告していた質問については、また次の質問の際にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#54
○竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子でございます。
 第二次安倍政権が発足して約五か月、大胆な金融政策、機動的な財政政策の二本の矢は、日本経済再生への期待と個人消費の増加をもたらし、一月―三月期のGDPは年率三・五%成長となるなど、日本経済は長い低迷から回復の兆しを見せつつあると思います。しかしながら、まだ実感できないという人が国民の大半であるというのも実態であると思います。
 これを本格的な実体経済の回復につなげることができるかは、三本目の矢である政府において現在策定中の成長戦略に懸かってくるものと思いますが、中でもその効果が高いところに的を絞るべきだということを考えております。どこを的にするべきかということについて、戦略よりも、より具体的な戦術といったものに近いかもしれませんが、私は本日、財務大臣に一点提言をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、提出資料についてでございますが、これは内閣府の月例経済報告の五月のものでございます。これは、「五十代、六十代前半が消費を牽引」という題が付いております。一世帯当たりの名目消費支出、全体平均は二%ですが、五十代、六十代が七%前後、前年同期比で消費が増加しているということで、この表を御覧になって、安倍政権の経済対策効果、これが国内消費行動にどのように表れていると見るか、財務大臣の御所感を伺いたいというふうに思います。
#55
○国務大臣(麻生太郎君) 第二次安倍政権発足後の中で言わせていただければ、三本目の矢というところが一番の問題で、第一の矢、これは日本銀行、第二の矢は主に財務省ということになろうと思いますが、そこの部分は今きちっとした形で対応ができてきておりますので、問題はその三本目の矢、これは主に民間の社長がきちんとしてもらわにゃ困るところ。はっきりしていますよ、これ。
 これまで政府に頼らぬでください、民間でちゃんとやるべきでしょうがという話はこの間もお話をさせていただいておりますけれども、これまでしているんですから、今度やるのはおたくらの方ですと。ため込んでる二百四十兆の、及ぶ、金利の付かない内部留保を、配当するか、設備投資に回すか、労働分配率を上げるか、どれかやるのが当り前じゃないんですかというので、いろいろ何となく太陽と北風でいけば太陽の話ばかりみんななさいますけど、選挙の前で何となく太陽の話をしたいのは分からぬわけじゃないですけど、僕たちは今、参議院の選挙があるわけじゃありませんので、北風の部分もやらないと話にならぬ。はっきりしていますよ、それは。だから、私どもとしては、きっちりこれをやらない限りは経済の第三本目の矢が出てきませんから、そのためには断固やっていただきますよということは申し上げてきております。
 問題は、先生よく御存じのように、GDPのうちに占める比率は、御存じのように、消費、そして二番目が設備投資、そして政府支出、ほかにも純輸出とかいろいろありますけれども、基本的にはこの三本でGDPというのはでき上がっているんですけれども、構成されているんですけれども、そのうちの設備投資が今一番出てきていないところです。やっと機械受注が三月出ましたので、少しずつ上がってくるかなというところではありますけれども、まだ設備投資に回っていない前に消費の方が先に来た、反応が早かった。
 しかも、これは五十代とか六十代とかいうことになってきておりますので、そこらのところが、いろんな理由があると思う。リタイアされた方とかいう方もいらっしゃいますでしょうし、そういった方々の気持ちが前向きになってきているということでもありましょうし、私どもとしては、いろいろな高齢者の方々の孫への資産、あれにつきましては、教育費に関してはとか、いろんな形で、一千五百兆とか一千五百六十兆とか言われる個人金融資産というものがじっとしている、ほかにもたんす預金が約三十兆あります、四十兆ありますとよく言われておりますが、その部分が出てくる。それだけためている人というのは二十代にいません。二十代、そんなお金ためている人いないんです、使いますから、当たり前の話です。したがって、この世代が一番使える、ある程度余裕がおありになるところだと思いますんで、こういったところの的を絞られた商品出てきますと、着物がよく売れてみたり、ハンドバッグの高級なものがよく売れたりする。もうこれ、指標では完全に上がってきておりますんで、そういったようなことは、私どもとしては一つの流れとして十分に注視しておかねばならぬところだと思っております。
#56
○竹谷とし子君 ありがとうございます。大臣の本音の部分でお答えいただいて、大変うれしく思います。
 私はこの表を見まして、私は今四十代なんですけれども、やはり三十代、四十代の消費、これが上がってくるということが本当の景気回復なんだろうというふうに感じております。もちろん、五十代、六十代の方が着物などの、私も着物好きなんですけれども、そういった高級品を買っていただいて、そして今度は、そこに、買っていただいた呉服店であれば従業員の方の賃金が上がり、経営者の方の所得が増え、また別な消費に回っていくということで、だんだんだんだん循環をしてくるものというふうにも思いますけれども、やはりこの三十代、四十代というのが、入ってきた分をすぐに使う、効果が高い世代でもあるというふうに思います。
 この三十代、四十代について、今まだ顕著な変化が見られていません。でも、街角のお話を聞きますと、例えば飲食店が少し元気になってきているような、今まで単価が二千五百円ぐらいだったのが、お客様の単価が三千円ぐらいになった、一杯飲む分が増えたとか、そういったところには影響出てきているというふうには思いますが、これをもっともっと広げていく必要があると思います。
 具体的には、私は、この十年余りデフレと言われましたけれども、物価下落以上に賃金が下落をしています。これはもうデータでも明らかですけれども、家計の可処分所得を子育て世代と高齢世代でどれぐらい減少したかという、分けて調査した表が政府から出ていました。それを見ますと、高齢世代の倍、可処分所得の下落幅が大きいのが、下落率が大きいのが子育て世代だったんです。もちろん、その分家計の支出も減らしているわけですけれども、私はここの部分がデフレ不況の大きな原因になったのではないかというふうに分析をしております。
 公明党は、五月二十四日に政府に対して日本経済再生のための成長戦略を提言させていただきました。その中で、子育て世代を中心に世帯収入を増加させる取組というものを訴えております。ここを賃金を、三十代、四十代の賃金を上昇させていくために、麻生財務大臣、今、北風、経済界に対してしっかりと、勤労所得に回していく、労働分配率を上げる、配当に回す、設備投資をするようにしっかり言っているという力強いお答えありましたけれども、私は、この消費を、GDPを構成する一番大きいものは消費であります、国内消費であります。この消費性向が高いところの賃金所得をまず上げていけるように的を絞っていくことが、政策としては効果が高いのではないかというふうに思っております。
 二枚目の資料にはっきり出ているんですけれども、これは総務省の家計調査でございます。年間収入を五分位に階級別に分けて、そして平均の消費性向を出しているものでありますが、この黒枠で囲っているところが所得の階級別の平均消費性向でございますが、第一階級の三百五十二万円未満のところの消費性向は八〇・七%。平均が七二・一%であります。一方で、八百二十八万円以上の階級では平均消費性向六七・六%ということで、この第一階級である三百五十二万円以下の世帯の所得、特に勤労世帯の所得を上げていくということが消費につながる率が高いということで、是非ここをターゲットに絞るべきではないかと思います。
 三枚目の提出資料が、「保育士・介護従事者等の平均賃金等について」というものでございます。この平均賃金でありますが、この表の中には表現されていないんですけれども、サービス業である飲食、小売、流通、また宿泊といったサービス業、これ女性が多い、また非正社員が多い、若者も多い、そういう職種でございますけれども、その平均賃金というのは全体に比べると低くなっております。
 同じように低いのが保育士、介護従事者でございます。こちらの表では、全職種が年間の賞与その他特別給与八十一万九千三百円となっております。年収にすると四百七十二万六千五百円となっています。保育士さん、また福祉施設介護員、ホームヘルパーさん、三百万円前後という年収になっています。
 ここの賃金を上げていくということで、あとは民間の仕事だということも全くそのとおりだとも思うんですが、この保育、福祉介護、ホームヘルパーさんというのは、これは民間では決まらない賃金であると思います。これは政府が介在しているために、今、超過需要の状態であるにもかかわらず供給不足に陥っている子供の待機児童の問題ですとか、特別養護老人ホームなどの介護施設の入居待機者がたくさんいらっしゃるということを見ても明らかであります。
 保育施設を先日、お話を伺いに行ってまいりましたけれども、やはり保育士さんが不足しているということがこれから施設を拡充していくに当たって課題になると。しかし、そこの保育施設は経営者の方の心配りで保育士さんが働きやすい、いろんな短時間勤務ですとか交代をしやすくしたりですとか、そういったことをしていることによって保育士さんがお子さんを産んでもまた戻ってくるようなそういう環境をつくられていて、待遇を良くすれば保育士さんというのは戻ってくるんだと。今、潜在的に資格を持っていて、働いていらっしゃらない方もいると。
 そういうことを考えますと、需要がある分野ですから、ここは政府がきちんとお金を使って、供給に見合う保育士さん、また介護の職員を確保していくと同時に、適正な賃金というものに引き上げていくべきであるというふうに思います。このサービス業全体を引き上げるには、政府ができることというのは、政府が介在している保育・介護分野の賃金の引上げというものを行っていくことが必要だと思います。
 全体を温めていくということも一つの方法ですが、一点を温めてほかにその熱を伝播させていくというやり方もあると思います。この介護、保育の賃金を上げるということが、ここは三百万前後の所得でありますので消費性向が八割と高い世帯であります。それがまた国内消費に回っていくという好循環を考えると、政府の支出としてここを上げていくというのは、私は、財政の健全化と経済成長との両立を図っていく上でも最も効果が高いところではないかというふうに思います。
 最後に財務大臣のお考えをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#57
○国務大臣(麻生太郎君) 竹谷先生御指摘のとおり、低賃金の勤労世帯の方が消費性向が高いというデータは、確かにそういう傾向にあって、八〇%ぐらいになっているということであろうと思っております。
   〔理事尾立源幸君退席、委員長着席〕
 もう一点の保育士、介護士ですが、これは保育士の人材確保という観点から、平成二十四年度、今年一月の初めにやらせていただきました二十四年度の補正予算で、月八千円というものの処遇改善、月額給与の引上げというのをこれは補正予算でやらせていただいております。この傾向に、今、月、介護で約三十万だと思いますので、それのところの分につきましては八千円の月額というものをやらせていただいております。
 介護職員につきましては、私が総理でしたので、ですからあれは平成二十年、二十一年ぐらいのときだったと記憶しますが、介護報酬の改定というのと同時に、平成二十一年度の第一次の補正予算というものと併せまして月二万四千円の介護職員のいわゆる処遇改善、月額給与の引上げというのを行っておりますが、あれは二十万円だったものを二万四千円上げておりますから一割二分ぐらい上げたと思いますけれども、そこの補正予算に対応した介護報酬を組み込むなど、これまでも対応を行ってきたところではあります。
 ありますけれども、いわゆる処遇の改善というものにつきましては、この間の四月の十九日でしたか、安倍総理の方から、待機児童解消加速化プランだったかな、という社会保障と税の一体での取組というものを継続して取り組むということにいたしておりますので、いずれも、おっしゃいましたように、こういった意味では、きちんとそういう消費につながるところという前に、生活を考えた場合に、消費の前にその人たちの生活というものを考えていかないといかぬところなんであって、国民各層の経済成長というものの恩恵が行き渡りませんと、二%の経済成長や二%の物価上昇ということになっていくと、それに見合う給与の増というものがつながっていかないとそこらのところは一番きついことになってくるということも考えて対応していかなければならぬと考えております。
#58
○委員長(藤田幸久君) 竹谷さん、質疑時間が参りましたので、おまとめいただきたいと思います。
#59
○竹谷とし子君 はい。時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
#60
○中西健治君 みんなの党の中西健治です。
 皆さんももう質問されておりますけれども、やはり市場のボラティリティー、変動率が高まってきておりますので、幾つか気になる点について御指摘申し上げて、問題認識を共有させていただければというふうに考えております。
 まず、金利についてなんですが、これだけ市場の、金利市場のボラティリティー、変動率が高まってきて、更に高まっていくということになりますと、銀行などの計算上のリスクというものが、リスク量というものが増大するということになってまいります。
 そうなりますと、二〇〇三年にVaRショックというのが起こりました。二〇〇三年のVaRショックというのは、〇・四三%まで十年物の金利が下がっていく中で、ちょっと売られたときに、銀行がバリュー・アット・リスクという管理手法を用いておりまして、統計的な管理手法ですけれども、リスクにさらされているお金とでもいうんでしょうか、あるリミット、限度額を来てしまったら売らなきゃいけないと、こんなようなルールというのを各行が行内のルールで定めていて、ボラティリティーなんかが上がってくると、そうするとそのリミットに抵触してしまうので売らなければいけないと。こんなようなことで、〇・四三%が二%近くまで金利が上昇してしまったということなんですが。一行がこのバリュー・アット・リスクのリミットに抵触するようなときには、同じような手法を皆さん用いているのでほかの銀行も抵触してということで、売りが売りを呼んで結局大きく金利が上昇したということになってしまったわけでありますけれども。
 これは資本不足を回避するためのロスカットルールということなんでしょうが、それぞれの銀行は正しい、善かれと思ってこうした行内規定を定めているわけですけれども、これは合成の誤謬とでもいいましょうか、全体になると思わぬ売りが思わぬ結果になってしまうと、こんなようなことになってしまうわけでありますけれども、同じようなことが起こらないかということを私は危惧をしているということであります。
 VaRショックと同じようなことが再来されてはいけないというふうに私は思っておりますが、この今の市場の変動率の上昇と銀行のこうしたリスク管理手法について、どのようにお考えになるかということをお聞かせいただきたいと思います。
#61
○国務大臣(麻生太郎君) これは今、金利の急激な変動に伴いますリスクを管理するに当たって、今、中西先生御指摘ありましたように、通称VaRと言われる、バリュー・アット・リスクだったっけな、の統計的な手法というものだけじゃなくて、今想定される最も厳しいシナリオを前提としてストレステストというものを実施するなど、いろいろな点でリスク管理を各銀行で行っておられると思います。
 いずれにいたしましても、私どもとしては、この国債市場の動向というのをきちんと見守ると同時に、引き続き金融機関が債券を保有するというのに伴うリスクというものに適切に対処していくというのは、私どもにとりましては、国債を売る立場におきましては極めて大事なところだといってきちっと注視してまいりたいと考えております。
#62
○中西健治君 大変もう是非お願いしたいわけでありますけれども、各行の検査などを行って、それぞれの銀行では適切な管理手法を取っているねということを点検したとしても、先ほどの例で合成の誤謬のようなことになりかねないということですから、金融システム全体としてどのようなことが連鎖として起こり得るのかと、こういうようなことを是非金融庁さんにはきちっと点検をしていただきたいなというふうに思います。そこのところを是非ともよろしくお願い申し上げます。
 そして、金利リスクといいますと、私もこの委員会で累次取り上げてきているんですが、何といっても金利リスクを大きく持っているのはゆうちょ銀行であろうというふうに思っております。国債の保有高が少なくなったとはいえ、百四十兆円ということですし、長期債の主たる買手であるということであります。ですので、今般の長期金利の上昇、市場変動率が高くなっていることが大きく影響を与えているんじゃないかなというふうに思います。
 ゆうちょ銀行、民間と競合する商品というのはなかなかやりにくいということになっておりますから、やはり、やるとすれば、機関投資家としての能力を高めていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。私は、最終的には、ゆうちょ銀行というのは粛々と縮小していくべきだろうというふうに思っておりますが、そうじゃない場合においても、やはり機関投資家としての能力を高めていかなきゃいけないということだと思いますが、今のゆうちょ銀行、こうした機関投資家として運用能力、リスク管理の能力、こうしたものについては私は十分じゃないんだろうというふうに思っておりますが、そこら辺、どのようにお考えになっていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
#63
○国務大臣(麻生太郎君) これはもう、ゆうちょ銀行というのはいわゆる独立した金融機関でありますので、御自分で、自己責任の下、きちんと経営をやっていかれるのは自主判断にされていかにゃいかぬところなんでしょうし、また、リスクの管理に関しましては、これは今たしか業務部門から独立したリスク管理部門をつくられたんですよね、そう思いますので、そういった管理する体制を整備されていると伺っておりますので、前に比べれば明らかにそういったものに関する配慮が出てきたかなと。自分で、国がやっているんじゃない、自分たちでやっているという意識が出てこられてきたんだと、私どもはそう思っておりますし、リスクのいわゆる管理に伴いまして、当然、分散化するとか、また収益源の多様化というものを図っていかれるのは、これは当然のことなんだと思っております。
 いずれにいたしましても、こういったものをやられる以上はきちんとやっていかにゃいかぬのですが、今言われましたように、新しい投資の部分とかいうことになったときに、そういう人が育っているかと、いや、育っているとは私自身は思っておりません。まず、経験がないのにいきなり、ただでさえ難しいところに全く経験がないのにやってきてやれるはずのない世界だと思いますので、生き馬の目を抜くような中西さんみたいな方ですら健全な政治家稼業の方に足を向けられたんだと思いますので、昔はこれはかなり生き馬の目を抜く仕事だと思いますんで、そこにいきなり特定郵便局長のおじさんができるとは思ったこともありませんので、いろんな意味で、これは人材を育てられるというのは、何も特定郵便局の中とか郵便局の中以外、いわゆる辞められた方とか、そういった方を引き抜いてでもそこに充てるとか、いろんなことをされて人を育てない限りは、これはとてもじゃないけど、持っている金の額が大きいんで、極めてその運用に当たっては、私どもとしては大丈夫ですかということを申し上げざるを得ないというのが今の現状だと思って理解しております。
#64
○中西健治君 ありがとうございます。
 自主判断ということでありますけれども、前回の委員会では麻生大臣には株屋さんは面白いところに目を付けるなというコメントをいただきましたけれども、ゆうちょ銀行に関して、いろんな市場関係者、外国人のヘッジファンドなんかも含めて話をしておりますと、いろいろ面白いことを言います。そんな中には、日本郵政の経営陣が今回、政府の意向を受けるような形でほぼ総入替えとなりました。となると、今後の新しい経営陣は、安倍政権の顔色をうかがう余り円安の片棒を担いで、国債から米国債へお金をシフトするんじゃないか、こんなようなことを言う人もいますが、それはそれとして置いておいて、私は、先ほど申し上げたとおり、ゆうちょ銀行は機関投資家としての能力を高めていかないといけないと思いますので、是非とも、そうするのであれば、運用体制の整備ということを図っていくようにしなければいけないだろうというふうに申し上げておきます。
 もう一つ気になることとして、為替の証拠金取引、個人が行っている為替の証拠金取引についてお伺いしたいと思います。
 円安の要因として生保の外債投資などということも挙げられていますけれども、実際の買い越し量はそれほど多くなっていませんし、統計で見ても、多くは為替のヘッジというものを付けられているんだろうと思います。また、銀行も外債をネットで売り越していますから、この円安の主因というか、主たる買手は、ドルの買手、円の売手は誰なんだということで考えても、ヘッジファンドなんかもあると思いますが、個人というのも挙げられると思います。
 店頭取引のデータを見ますと、昨年の十月は一月当たり百二十六・五兆円であった為替の証拠金取引が、この四月には四百四十三・四兆円まで増えています。また、東京金融取引所のくりっく365の取引数量も十月から四月にかけて五倍に膨れ上がっているということであります。
 個人が急に為替に対して実需を増やすということはあり得ないだろうというふうに思いますので、この相場はひょっとしたら単に国民の射幸心に支えられているということになってしまうのかもしれません。期待に働きかける金融政策ということは、ともすれば国民の射幸心をあおる政策にもなりかねないということでありますが、この個人のFX為替証拠金取引の活況ぶりについて、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
#65
○国務大臣(麻生太郎君) いわゆるFX、フォーリンエクスチェンジでしたっけ、FX取引の話だと思いますけれども、これは間違いなく、第一・四半期、第二・四半期、第三・四半期に比べて、四百兆ぐらいで各四半期行っていたものがいきなり千兆台になっていますんで、二・何倍になってきているというのは確かに急激な変化であることは、増加しているのは承知しております。
 ただ、この為替市場の動向を始め、こういったような要因があると見られておりますが、人はいろいろ言うんです。ちょっとコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、いずれにしても、これは投資者保護という立場を我々考えにゃいけませんので、その点から、何というの、このFX取引をやっている経営者たちの経営の健全性が確保されていますかという点に関しましては、何となくさっき言われた射幸心をあおられている部分もあって、あら面白いわねというような話で、何となくドルが安くなって円が高くなったり、逆になったり、円が安くなってドルが高くなったり、いろいろあろうと思いますんで、そういった意味では、この取引関係の動向というのは、ちょっときちんと、今までとは違うところで行われているとか、急に膨らんだりというのは、大体何でもこういうのは急に上がったり急に下がったりするのは何となく気にしておかにゃならぬところだと思っております。
#66
○中西健治君 是非ともそこのところを気にしていただきたいと思います。
 そして、このFXの証拠金取引の中にバイナリーオプションという取引形態があります。それは、十分後に上がるか下がるか、これに懸けるような商品ということになりますけれども、十分後に上がるか下がるかなどというのは基本的には分からない、丁半ばくちのような世界ということであります。こうしたものをしっかりと規制していかなきゃいけないというふうに考えます。
 金融庁も同じ方向性だというふうに考えておりますが、どのような規制を行おうとしているのか、教えていただきたいと思います。
#67
○副大臣(寺田稔君) お答えをいたします。
 今委員御指摘のとおり、個人向けのバイナリーオプション取引、この期間の問題、非常に短い期間、また、いわゆる権利行使価格、ストライクプライスがブラインドであるような商品も現れてきております。
 今、自主規制機関でありますところの金融先物取引業協会におきまして、適正な個人向けの自主規制の在り方、この議論を重ねておりまして、例えば期間設定を一定のもの以上にするとか、あるいは権利行使価格についてもそのルール立てを開示をするとか議論が行われており、金融庁の方もそれを十分フォローしております。
 金融庁といたしましては、こうしたSROの議論も踏まえて、監督指針、金融商品取引業者向けの監督指針の改正案を公表し、今、パブリックコメント、これの手続を開始をしたところでありまして、適正にこの取引の健全化に向けて取り組んでまいりたいと思います。
#68
○中西健治君 是非取り組んでいただきたいと思いますが、十分間では短過ぎるから二時間ぐらいにすればいいんじゃないか、こんなような話になっていると思いますが、二時間でもやっぱり短いんじゃないかなというふうに思うところでありますので、そこら辺、私の意見として申し上げさせていただきます。
 市場には流動性が必要ですけれども、一時的な流行によってのみ行動する逃げ足の速い資金というのは、そういうのであれば、市場の流動性というのはかえって低下するんじゃないかなと私は思っています。これはアジア通貨危機のときに言われたホットマネーというのも同じような行動を取ったということでありますので、個人の為替の証拠金取引というのは、ひょっとするとこれから市場の攪乱要因として流動性を欠落させる方向に働きかねないということなんじゃないかと私自身は思っております。
 マーケットの流動性というのは、取引高ではなくて、その上と下に潜在的にちゃんと買う人、売る人がいるかどうかという、そういう厚みだということだと思っていますので、そうした観点から是非この為替取引についても見ていただきたいと申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#69
○広野ただし君 生活の党の広野ただしでございます。
 今日のFRC報告についての質疑、本当に大事なものだと思います。参議院は決算を重視するということで非常に特徴を持っておりますが、言わば、金融再生のことについての言わばこの財金における決算審査みたいなものでありまして、特に、先ほども麻生大臣から、破綻金融機関、累計今まで十八兆九千億ですか、それとか、買取りで六兆五千、大変なお金をやっておりますし、この二年間の間にも、先ほど野上さんからありました日本振興銀行の話、あるいは震災特例ということで、これは十二機関に二千三百億ほど入れております。やはり震災地における金融機関、非常にそういう面では信用不安もあるようなところもあったと思いますが、いち早く資本増強をしまして、そういう面では非常に良かったんではないのかなと、こういうふうに思っているところであります。
 そういうことのほかに、かつて非常に話題になりました住専ですね、住専も六兆円ほどでありましたが、この間に最終処理をやりまして、第二次損失というものの処理をやっております。そういう面では、非常に大事なこのFRCの審議でないかと思っておりますが。
 ところで、今日、現下の状況において何回も麻生大臣ともお話をしてきております、地方における、そして中小企業における実体経済、そしてまた、東日本震災復興地における中小企業の状況。統計的には、何か各財務局から聞いたり経産局から聞いたり日銀のさくら報告とか様々なものを見て、言わば横ばいあるいは上がってきているという話が大っぴらでありますけれども、ところが、我々、中小企業、実態、いろんな話を聞きますと、年初よりも仕事が減ってきているということを言うんですね。円滑化法が切れる、それでまた資金繰りも、麻生大臣は何回もお話もいただいておりますが、なかなか大変だと。大変に不安を持っているわけであります。そのほか、中小企業同友会は一万社ぐらいの話をやっぱり聞いて、景況感をあれしております。決して良くなっていないと、言わば零細企業ほど厳しいと、こういうこと、まあ当たり前かもしれませんですが、そういう状況になっておりますので、最後には麻生大臣に締めのあれをいただきますが、まず菅原副大臣からお願いしたいと思います。この実体経済、統計上と実体経済の乖離というか、その点についてお願いしたいと思います。
#70
○副大臣(菅原一秀君) 今、広野委員からるる御指摘がございましたように、まず、マクロ的に見ますと、GDPは、この一月―三月期、実質年率プラス三・五%と、二期連続プラスになってございます。一方で、経済産業省が四半期に一度行います全国の中小企業・小規模事業者約二万社を対象にしました業況等のこの状況調査によりますと、中小企業・小規模事業者の業況判断指標が、去年の六月から十二月まで見ますと三・五悪化をしていたわけですけれども、その後、去年の十二月から今年の三月までは四・三ポイント改善をいたしまして、この事業者のマインドはネガティブからポジティブになっているという、そういう一面もございます。
 その一方で、東北等におきましては、建設業等は非常に好調である一方、お話にございますように、小売業者等は非常に厳しい、足踏みをしていると、こういう見方もできるわけであります。さらに、被災三県を見ますと、土地のかさ上げ等の遅れ、こうした地域もございますし、そういったところには中小企業等のグループ補助金、あるいは津波、原子力災害の立地補助金、こうした支援を通じましてこの中小企業・小規模事業者の復旧復興をバックアップをいたしているところでございますが、こうした対策と、これがまだ全般に一〇〇%行き渡っていないという現状も私ども認識をいたしておりまして、委員の御指摘のとおり、これから継続的に小規模事業者、特に零細企業に対してバックアップ体制を強化をしていきたいと、このように考えております。
#71
○広野ただし君 まさにそのとおりだと思うんですね。地方、そして中小企業、零細企業、そして東日本の場所と、復興需要というのはある程度、そういう土木建設関係では人件費が沸騰するくらいにあるということではありますが、被災地三県は御承知のように農林水産業がやっぱり主体である。そこは言わばちょっと戻っただけで、それは上がることは上がります。だけれども、息をちょっとする、ほっとするような世界ではないわけですね。もう大変厳しい状況にある。こういうことから、復興需要以外に実態はどうなっているのか、復興庁からお伺いしたいと思います。誰か来ておられませんか、内閣は。──じゃ、そういう復興関係のところ、データと実体経済の状況等は大変な乖離あるということですから、しっかりと見ていっていただきたいと思います。
 それと、麻生大臣、先ほどもおっしゃいましたが、企業の内部留保ですね、内部留保二百四十とか二百八十兆とか、大変に積み上がってきております。それをどう活用するのか。私はやっぱり、これは民間だけに任すんじゃなくて、例えば、前向きな開発投資ですね、研究開発投資、三〇パーぐらいの税額控除じゃなくて五〇パーぐらいでも税額控除して、これはリスクが伴うわけですから、当たるか当たらぬか分からぬところがあるわけですから、大いにやって、どんどん開発投資をやってもらう。
 それと、大事なのは、民間が今持っている設備は、もう非常にインフラと一緒で古くなってきています。ですから、それを早く、耐用年数なんかを縮めたり、特別償却をがっとやったり、生産量を増強するんではなくて、やっぱりその中で近代化を図るということをきちっとやりませんと、企業の長期的な観点からはやっぱりいろいろと問題が起こると、こういうふうに私は思っております。
 大体、ハーバード・ビジネス・スクールという出身の人たちは、非常に短期的で、企業価値を上げるためになかなかお金を使わない、ちゃんと利益を上げりゃいいんだと、それによって企業価値が上がってくるという考え方が強いです。しかし、日本は元々従業員あるいは取引先、お客さんというような考え方で、長期的な考え方でやっていきますから、やっぱりそういう更新投資等もしっかりとやっていく。これは日本のいいところだと思うんです。ところが、もう短期的に考えて、ちゃんと利益を上げりゃいいんだということだと、これはとてもじゃないけど投資なんてしませんよ。ということを踏まえて、何とか内部留保をどうやって使うかという点で麻生大臣のお考えを伺います。
#72
○国務大臣(麻生太郎君) 内部留保というものは、やっぱり広野先生、これだけ増えた最大の理由はデフレですよ。デフレだから、じいっと持っていたら、だって金の値打ちはどんどん上がるんですもん。どんどん下がっていくわけだから、何もしないでじいっと持っていたらもうかったわけですよ。僕は、それが経営者の多分マインドだったんだと思うんですね。これがインフレに変わりますよと、我々は今、日本銀行とともに二%のインフレにしますと、インフレ率ターゲットは二%にしますと言われて、これが本当になるとなったら、それはじいっと持っていたって二%損しますから、それは黙って使うんですよ、これは。
 僕はそこは大事なところだと思っているんですが、基本的に今、二百四十兆を今やったら一括償却を認めてあげます、仮に。すると、それは一種のあめの部分なんですけれども、やらなかったら逆に取り上げますよという法律が強化法で出てこないと、あめの話ばかりみんなが企業にするのでは、それはおかしいんで、ちゃんと反対側の話もしていただかぬとおかしいんじゃないかと私らの立場としてはそう思うんですけれども。これはなかなか、今から意見の分かれるところだと思いますが、これは、少なくとも自由主義経済をやっていますんで、統制経済をやっているんじゃないんで、ちょっとなかなか、一方的にばあんと言えるかといえば、それはなかなかちょっと、どこら辺までが言えるかでしょうけれども、今投資しないと損するという形にしない限りは、なかなかその金が出てくるということにはならぬのじゃないか。
 また、労働分配率だって上げられずに、だって今までは雇用確保の方が優先して、給与を上げるのを連合は言わなかったわけですよ。はっきりしていますでしょう。雇用確保を優先したんですよ。だから、みんな黙って、給与はずうっと行ってみたら、気が付いてみたら日本の平均給与というのはずうっと下がっていったというのは事実だと思いますね。
 だから、そういったのは、何だか知らないけど、みんなこの十五年間そういう意識になっておられるところを変えるというところを、ちょっと今からかなり荒療治みたいなことを言わにゃとか、やらにゃいかぬことになるのかなという感じがします。
#73
○広野ただし君 荒療治なのかどうかは分かりませんが、いずれにしても、日本の長期的な観点での経営マインドというものをやっぱりやらないと、欧米流の短期的な企業価値を上げるというような、そんなことだけのことでは私はうまくいかないんじゃないかと、こう思っております。
 それと、今、中西先生からもありましたが、ファンドですね。MRIの問題もありますが、どんどんお金を集めておいて詐欺まがいなことをやる。ところが、ジョージ・ソロスのように、大きなばくちみたいなことを打ってちゃんともうける人たちもいます。
 しかし、このファンドの実態はなかなか分からないというスタイルになっているわけですね。世界的にもファンドの情報開示、そしてまた透明性を高めるということをやりませんと、為替は振られるは、デリバティブという新しい商品が出てきて、もう誰も理解ができないものにお金がどんどんつぎ込まれて、それが将来どんと来たときにどんどんどんどんおかしくなっていくと、これを何回も繰り返すわけですよね。
 ですから、やっぱりファンドの情報開示と透明性というものをいかにやっていくかということについて、麻生大臣の見解を伺います。
#74
○国務大臣(麻生太郎君) 過日のロンドン郊外で開かれたG7のときにも、いわゆるその他のところで出た話題の一つがこれ、正確には日本が提案しておりますんですが。
 少なくとも、例えば皆さんお使いのアップルにしてもグーグルにしてもスターバックスにしても、等々の会社はどこに税金払っているんですか。アメリカはもらっていますか。うちはもらっていませんよと。うちはこれだけ立派なマーケットを提供しながら、何にもうちは税金もらっていませんよと。しかも、これは合法的ですから、非合法じゃない、だから脱税しているわけじゃない、この人たちは。合法的にそれができるというルールだというところが、間違いなく我々財務大臣が責任者なので、ここにいる中央銀行総裁関係ないと。ここにいる大臣がみんな責任者なんじゃないのかといって、わあっというか、なって、このファンドもそのうちの一環なんです、実は。したがって、これのファンドの話になるとアメリカは黙る、一番でかいから、というのが今の現実なんだと思いますが。
 いずれにしても、この問題というのは、どういった形できちっと、僕は、商売としてやられる場合はきちっとその内容が公開されて、税金というしかるべきものを払う、しかも安全な取引をできるそのシステムは全て政府ですから、そういったものをきちんとやっていくというところが大事なのかなと思いますので、これは今後の問題として、これは先生、一か国じゃとてもできる話じゃありませんので、最低でもG7、G20というところでやらないとこの問題はなかなか解決しないだろうという感じはいたします。
#75
○委員長(藤田幸久君) 広野ただし君、時間が過ぎましたので。
#76
○広野ただし君 まさに国籍なき、そういうファンドの実態だと思うんです。それが大変な悪さをするということもあろうと思います。また、それとはまた別に、ネット銀行、これは非常に今発展をしておりますが、ネット専業銀行、これが二、四、六ですか、日本でもあるようであります。これも実態、どういうふうになっていくか、将来のこともありますので、これはいつかまた質問をさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、FRCの報告についての審議、非常に有意義なものをやっていただきまして、ありがとうございます。
 どうも、終わります。
#77
○大門実紀史君 大門でございます。
 今日は、時間が短いんですけれども、被災地の金融問題について取り上げます。
 被災者の住宅ローンなどの債務、過去の債務を減免するための私的整理ガイドラインがつくられて一年九か月ぐらいになるわけですけれども、余りに利用者が少ないということが指摘されてまいりました。その原因の一つが、被災者の債務減免の申請をしにくくする、あるいは拒否するというような、いわゆる水際作戦のようなことが行われてきたということが分かってまいりました。この制度の趣旨に反する運用が行われてきたわけでございます。
 資料を配りましたけれども、先週の五月二十二日に、この運用を担当しているのはガイドライン運営委員会というんですけれども、そのやり方に対して被災地の弁護士会から抗議の声明が出されました。仙台弁護士会でございます。
 御案内のとおり、東北最大の弁護士会でございまして、メンバーは被災者支援の最前線で奮闘されてきた方々ばかりでございます。金融庁もいろいろ知恵を借りてきた方々でございますし、私も信頼している方ばかりでございます。その仙台弁護士会がこのガイドラインの運営委員会について不当という強い言葉を使って抗議声明を出されております。尋常のことではございません。
 何を抗議しておられるのかということで、資料にございますけれど、簡単に申し上げますと、まず二番目のところですけれど、この部分は朝日新聞でも取り上げられましたが、要するに、被災者の方々があらかじめ一千万円とか月何万円とか返済の約束をしないと、相談に乗る弁護士さんを紹介してあげないと。つまり、最初の受付の、受付しないというようなことと同じなわけなんですけれども。
 債務整理というのは、一定額は返済して一定額免除してもらうと。その一定額を返済する部分を、この部分を先に確約させるというようなことが運営委員会の入口の段階で行われていて、通常は弁護士さんを紹介して、弁護士さんと一緒にいろいろ検討して、幾らなら返済できますというのが当たり前なんですけれども、先にこういう返済を確約させる念書を取っていたという問題でございます。
 これはもう本当に、生活保護の水際作戦、今問題になっておりますけれども、それに似た、入口でこんなことを求められたら、もうそれだけで気が萎えてしまうといいますか、そこでもう諦めちゃうわけですね。そんなことが行われてきたわけです。
 この問題、今週の初めに金融庁に調査を求めましたけれども、まずこの部分について、あらかじめこういうことをやるというのはこの趣旨そのものに反すると思いますし、まず事実かどうかということと、これは大変不適切なことだと思いますが、金融庁、いかがですか。
#78
○政府参考人(細溝清史君) 個人版私的整理ガイドラインについてのお尋ねでございます。
 このガイドラインは債務整理に関します民間当事者間の自主的なルールでございまして、その運用の過程で生じる様々な課題につきましては、運営委員会において適切に御対応いただくべきものと考えております。
 金融庁といたしましては、こうした性格に鑑みまして、基本的に個々の案件には関与すべき立場ではないということと考えておりますが、この五月二十二日に仙台弁護士会からこういった声明が出てまいりましたので、運営委員会に対しまして事実関係の確認を行いました。
 運営委員会によりますと、一定金額の返済を約束する同意書を求めるケースはあると。例えば、債務者がその収入や現預金等の資産を相当保有しているという場合に、そのままではガイドラインの適用が難しいと考えられるような事例について、債務の一部を弁済し残額を免除するというガイドラインに基づく債務整理、これを行おうとする場合に同意書の提出をお願いしているということでございました。
 ただ、その時点につきましては、弁護士紹介前に提出を求めた事案もあれば紹介後に求めた事案もあるということでございました。それで、さらに紹介前の事案であっても、一部に債務者に同意書提出が条件であると受け止められるような説明をしてしまったものがあったというふうに報告を受けております。
 こういった経緯も踏まえまして、運営委員会において、被災者の方に安心してガイドラインを御利用いただけるように、今後こういった同意書の提出をお願いするという必要がある場合には、その趣旨、目的を十分かつ丁寧に御説明するなど、運用の改善を図っていくというふうに聞いております。
#79
○大門実紀史君 要するに、何を言っているのか分からないんだけどね。これは個々の問題じゃないですよ、運営の問題なんですよ。分かりますか。念書取ることはあり得ますよね、後からいろいろ返済のね。先に念書を出さないと弁護士を紹介しないという、これ、こういう運営を、運営に関しては金融庁は責任を持っておられるはずだから、最初からこのガイドラインを作るのに関与されているわけですよね。これに対してのことを聞いているわけで、その個々の問題のなんて前置きは要らないんですよ。これ不適切でしょう、こんなこと。やらせるんですか、これ以上。ちょっとまずそこをはっきりしてください。
#80
○政府参考人(細溝清史君) このガイドライン自体は民間当事者間の自主的なルールでございまして、その中で生じた様々な課題は運営委員会において適切に対応していただくべきものでございます。
 そうした中で、金融庁といたしましては、今申し上げましたように、個々の案件には関与いたしませんが、仮に運用取扱いについて改善すべき点があるという場合には、運営委員会に問題提起をしてきたところでございます。
#81
○大門実紀史君 さらに、仙台弁護士会がここまで言うというのはよほどのことで、ちゃんと裏付けを取ってこれだけの声明を出されているわけですね。私の方にも、資料を付けてありますけれども、現物資料ありますけれどもね。
 さらに、三番目のところ、四番目のところで何言っているかといいますと、声明がですね、弁護士さんが相談に乗って制度を利用できると判断したのに、運営委員会が取り下げさせると、拒絶すると。そもそも弁護士さんが相談に乗っても、要件が決められていますから何でもかんでもばんばん返済免除をしてもらえるわけではないんですよ。だから、弁護士さんだって慎重に検討した上で運営委員会にこの案件お願いしますと出すわけですけれども、それでも取り下げる例が相次いでおります。
 しかも、そのときに弁護士さんが異論を、異議を申し立てますと、この弁護士さんに委嘱するのは運営委員会でございますから、委嘱を撤回して東京の弁護士に委嘱し直して、その弁護士は、取り下げていいです、取り下げますと言わせると、こんなことまで行われているわけでございまして、そもそも、国会で大議論をした二重債務、二重ローンの減免、被災者の方々のためにいろんなことをやろうとあれだけ大議論して、いろんなこと、このガイドラインもつくられてきたわけですけれども、金融庁も関与してこんなパンフレットまで作っているわけでしょう。にもかかわらず、現場でこんなことが行われているわけでございます。
 ちょっと聞きたいんですけれども、大体、この資料の最後に付けておきましたけれども、この運営委員会は、こんなことをやっていると、もう被災者の立場じゃなくて、債務免除をしたくない金融機関の立場に立っていると思われても仕方がない事例が相次いでいるわけですね。ここに名簿がありますけれども、この中の、日常的には誰がやっているのか分からないですけれども、この中のどの人間の判断でこういう指摘されているようなことが行われているんですか。
#82
○政府参考人(細溝清史君) 日常的な事案の判断につきましては、被災地の弁護士である登録専門家、それからこの運営委員会の支部職員からの報告を基に、運営協議会の幹事等の弁護士、それから運営委員会が委嘱した弁護士が判断していると聞いております。
#83
○大門実紀史君 細溝さん、そう言うけれども、私が聞いたら、これは、この議長、副議長、そして幹事の弁護士、そして事務局の山本さん、このところで日常的にはこういう判断をしていると、こういう念書を取るとか個々の案件について一遍委嘱し直すとかやっているそうでございます。この事務局の方は全銀協から来ている人ですよね。これはもうどう見たって、銀行業界と一部弁護士と運営委員会ができるだけ債務免除をしたくない金融機関の側に立って癒着して、それで弁護士の委託替えも行うと。
 私は、本当にこれ、金融庁が本気でやらないなら徹底的に調べますよ。弁護士さんを替えると、委嘱された新しい弁護士と、この紹介は誰が行ったのかと、その報酬はどうなったのかと。銀行側の癒着という構図だってあるわけですよ。そこまで徹底的にやるべきですよ、本当は。
 金融庁はちゃんとそういうことを正さなきゃいけないと。場合によっちゃ、国会にこの高木議長ですか、新二郎さんですか、参考人で来てもらうことだってあり得るわけですよ。それぐらいの大問題ですよ、今、これは。分かっているんですか。金融庁として、それぐらいの意識を持たなきゃまず駄目ですよ。
 そもそも、そういうことをしたのは、金融庁は、これ、ここまでの問題が起きていることを今まで知らなかったんですか。
#84
○政府参考人(細溝清史君) 五月二十二日の仙台弁護士会のこの指摘をもって私どもは正式にお伺いをしたということにはなりますが、事前にもいろいろな方から情報が寄せられていたことは事実でございます。ただ、その際に、いろいろ私どもも実態を調べなきゃいけませんので、その実態把握に時間が掛かっておったということでございます。
#85
○大門実紀史君 私は、金融庁は全体として被災者の問題頑張ってこられたのはよく承知しております。今の畑中長官の下ですからね、いろんな部分で頑張ってこられたのを知っていますが、なぜその金融庁がオブザーバーでかかわっているのにこんなことが起きたのかと。率直に申し上げて、前の課長は何やっていたのかと。これを最初からつくって、このメンバーといろいろやってきた前の課長は一体何やってきたのかと。何も知らないわけないんですよね。そこまでやりましょうか、そこまで追及しましょうか、やるならば。もっときちっとした姿勢でこの問題徹底的に明らかにするとやらなきゃ駄目ですよ。
 麻生さん、金融庁がこんなパンフレットを作っているんですよ。このガイドライン、皆さん利用してくださいと。個人の住宅ローンなどを減らしますからと。麻生さんの好きな漫画形式で、非常に分かりやすい、いいやつなんですよね。この中に書いてあるとおりやってくださいよ。これ、運営委員会の人もみんな善意の顔しているし、こんなことをやるような人じゃないでしょう、これ。ちゃんと支援弁護士さんと相談に乗って、被災者のために頑張るようになっているでしょう。このとおりやりなさいよ、このとおり。やらせなさいよ。これ金融庁のパンフレットでしょう。
 どうしてこんなことが金融庁のオブザーバーが入っていて起きているのかと。これ徹底的に国会で、今日は時間ありませんから、私も何回も取り上げますけれども、徹底的に調査をしてもらいたいというふうに思います。
 これはちょっと、局長もちょっとぼやっとしたことを言っていますので、大臣、これ、きちっとした指示をしてもらって徹底調査してもらいたいと思いますが、いかがですか。
#86
○国務大臣(麻生太郎君) 今般の仙台弁護士会からの話というのを私も今読ませていただきましたけれども、これは仙台弁護士会からの話でもありますので、これは事実確認をさせていただきました上できちんと対応させていただきます。
#87
○大門実紀史君 ちょっと言っておきますと、この資料の三枚目、四枚目ですかね、現物の資料を付けておきました。さっきの、一千万円を払えと、先に払わないと弁護士を紹介しないぞという話ですね。これも、そして、異議があった場合、この運営委員会が、弁護士さんが、異議を申し立てた弁護士が、言うことを聞かない弁護士がいたらほかの弁護士に運営委員会が委嘱し直すと。
 これ、細溝さん、よく承知してほしいんですけれども、これは個々の、個別の現場の判断ではなくて、運営上の問題です、両方とも。運営上ですね、個々のケースでなくて。運営でそういうことを、同意書を取るとか簡単に委嘱をし直すとか、これ運営上の問題ですから、運営上の問題は、もちろんこれ民間の、民民の世界はあるんですけれども、このガイドラインをつくって、金融庁も入って被災者のためにガイドラインをつくるときには関与されて、後から意見があったときも金融庁が指導、率直に言って指導されてガイドラインをつくったと、中身をいろいろ改善したという点があるわけですから、この運営上の問題としてきちっと意識して、こういう運営は二度とないように、引き続き調査等、また報告求めますけれども、調査してもらいたいと、大臣の指示どおりやってください。
 以上申し上げて、質問を終わります。
#88
○中山恭子君 日本維新の会、中山恭子でございます。
 本日は、破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告に関する質疑ということですので、日本振興銀行の破綻処理についてまず質問いたします。
 日本の金融行政は、一九九八年、当時の金融ビッグバンによって事前指導型から事後監視型へ転換いたしました。二〇〇一年には一般企業が銀行業に参入しやすいように規制緩和され、間口も広がりました。
 日本振興銀行が中小企業融資に特化し、決済用預金を持たない新しい形態の銀行として免許を得たのは、その三年後の二〇〇四年のことでございました。その後、日本振興銀行は二〇一〇年五月に検査忌避及びその他の法令違反行為等について行政処分を受け、同年六月には検査忌避行為について告発されました。
 日本振興銀行の破綻処理に当たっては初めてペイオフが実施され、預金者に負担を強いることになったほか、多額の公的資金が投入されることになりました。経営状況を早期に是正していれば、結果的に預金者や納税者の負担を軽減することができたとも思われます。
 当時、大蔵省批判、官僚批判が激しかったころでございました。裁量行政といった批判を恐れる余り、日本振興銀行に対するその開業から経営破綻に至るまでの検査監督においてちゅうちょした対応があったのではないか、また、その結果、法のすき間をつかれたのではないかとの指摘があります。
 先ほど大臣から、長官からでしょうか、安全に対して十分対応していくとのお答えがありましたが、それだけではなくて、この一連の流れを見ていますと、官僚組織がむやみに敵視される状況の中、余りにも萎縮していたのではないだろうかという思いがいたします。
 今後、自由化、グローバル化を、それを信奉するだけの政策が裏目に出たとも言えますので、今後、この一例を基にして、ただ自由化すればいい、規制緩和すればいいというのではなく、日本の状況に合わせた検査監督を行っていただきたいと思っておりますが、大臣の御所見を伺います。
#89
○国務大臣(麻生太郎君) 振興銀行と今言っておりましたけれども、木村剛らのこの旧経営陣の最初のころのモデルというのは、一応、ミドルリスクマーケットマネジメントでしたかね、何かそんな言葉を使って、何だ、その怪しげな言葉なんて言っておちょくったことも記憶がありますので、私どもは。
 それで、結果的に融資をビジネスモデルにしていたんですけれども、早い話、伸び悩みましてね、これ。だんだんだんだんうまくなくなってきて、たしか商工ファンドからの資金の、貸金業者から債権買取り業務を開始とか、大体その辺から何となく怪しげなことになってきたという感じは皆あったと思っておりますけれども、いろんな形で十分な審査、管理というか、与信の審査がきちんとできていなかったというのが一番大きかったんだと、私はそう思っておりまして、これ甚だ遺憾だったと思っております。
 また、当時、言われるように、財務省批判とか金融行政に関する批判等々が甚だ激しいころでもありましたので、そういった意味では、何となく、金融を監督する当時は銀行局だったかな、何となくちょっと引けた部分、引いて構えた部分もあったんだと思っておりますけれども、いずれにしても、これは当時の情勢で何となく、管理すると、すぐ金融に対する行政の介入というのは、何でもかんでもそういうのを言うのが好きな政党もいましたし、世論もそういうのがありましたので、そういった時代に流されて何となく決まっていったという経緯は、あのときを思い返しますとそういうのがありますので、これはきちんとした対応を業務上やるべきというのを、そこらのところは少し手が抜けていたのではないか。
 それは、結果として、これを、申請を受理して認めたところからそもそも何となくという感じがしておりますので、これは私どもとしては十分に反省の上に立って今後対応していかねばならぬと考えております。
#90
○中山恭子君 やはり監督行政というものも非常に重要なことだと思っておりまして、その場合には、その場で、善かれと思ってという単語が適切でしょうか、その場しのぎの対応をした場合には後々に非常に大きな問題を生じさせるということが成り行きであろうと思っておりますので、冷たい心ではなくて、毅然とした態度で監督行政を行っていただきたいと、そのように考えております。
 もう一点、国際会計基準について、同じような論点になるかとは思いますが、金融庁の企業会計審査会で議論されている国際会計基準についてお伺いいたします。
 上場企業に国際会計基準を義務付ける時期について、結論を見送る、当面見送る可能性があるとお聞きしました。現在の議論の状況それから今後の見通しについて、どうなっているかお聞かせいただきたいと思います。
#91
○国務大臣(麻生太郎君) 通称IFRS、インターナショナル・ファイナンス・リポーティング何とかと、大体こう片仮名の長いのが付いてきたやつは何となく怪しいなという、思って読まないかぬところなんですが、国際会計基準というので、世界中みんなこれをやっている、全部正しい、これがスタンダードに決まっているんだというような話に何となくなりやすいんですが、それはそういう簡単な話ではないんだと思っておりますので、これは企業会計審議会で今議論をいただいているところだと思っておりますけれども、この種の話が強制適用されるとか、何かいろいろ尾ひれ、背ひれが付いていろんな話が出ているように思いますけれども、今の状況で何らかの結論が得られるような状況にあるというように考えてはおりません。
 いずれにいたしましても、これ、それぞれ国の生い立ち、会社の生い立ち、資本主義の成熟度合い、いろんなその国によって大分違いますので、我々としてはしかるべき対応をしておかねばならぬと思います。分かりやすいから、見やすいから何とかというのは、非常に公正に聞こえるような話もいっぱいないわけではありませんし、我々の方のやり方の方が正しいといえば、これはこれなりに理屈が両方立つところでもありますので、そういった意味では、世界中みんな百九十二か国全部同じルールで日本だけが違うというようなことになれば、それはまた話としては違うのかと思いますけれども、いずれにしても、そういったものを対応しながらきちんとした理解を得られた上でやらないと、何となく簿価で書いてあるのがけしからぬとかいう話でしょう、あれは。簿価で書いて何で悪いんだという話もありますので、そういった意味ではいろいろ御意見の分かれるところだということは承知しておりますので、極端なことにならないように注意してまいりたいと考えております。
#92
○中山恭子君 大変、ちょっとほっとするようなお答えいただきまして、有り難いことだと思っております。
 日本には現在、国内基準、米国基準、国際会計基準、いろいろな基準が存在して、併存していますけれども、考え方として、やはりどうしてもヨーロッパ中心の基準というものが、そこに合わせておくということは必要であるとは思いますが、そちらの方が非常に正しいのだというような考え方というのも非常に強くあると考えております。
 この場合には、日本だけではなくて新興国の問題ともかかわってくると思っておりますので、日本の社会には日本型、日本基準というものが何らかの形で残せたらよいのではないかと考えております。その場合、ヨーロッパの考え方では強いことイコール正義という、これが西洋文明の非常に大きな特徴だと考えておりますが、日本では弱い者へのいたわりというものが基礎にある。この日本文化というものがやはりヨーロッパの文明とは違っている、でも決して価値が劣るものではない、優劣のあるものではないと思っておりますので、このヨーロッパ社会の基準に対して、日本が持っている、古くから持っているその基準をどのように調整していくのか、非常に難しいことであるとは思いますけれども、やはりヨーロッパの人々に対してきちんと説明をし、説得をし、場合によっては、ヨーロッパのそういう基準と日本の基準の間の何らかの調整を図るツールというものを真剣に考えた上で調整を図っていく必要が、その準備をする必要があると思っております。
 その点、もう一言、いかがでございましょうか。
#93
○国務大臣(麻生太郎君) 御存じのように、中山先生、日本の場合は、ヨーロッパと言われましたけれども、日本の場合、ドイツの場合、韓国の場合、これは基本的に税理士が発達しております。会計士はほとんど、余り評価される対象ではありませんでした。代わりに、アメリカ、フランス、イギリス等々は会計士が発達して、税理士はほとんど発達していなかったと。
 どうしてそういう違いが起きてきたのかといえば、私のこれは独断ですけれども、多分、会社を始めるときに、中山、俺、会社するから金を貸せという日本、ドイツ等々は、金を借りる、その場合は配当はしなくてもいい、すなわち会社が黒字にしなくてもいい、金利さえ払えばきちんとなります。資本というか重商主義の時代のあれが少なかったためとも思いますけれども、ところだと思っております。ところが、アメリカの場合は、俺、麻生、俺が会社やるから資本を出せと、投資しろと言うわけです。投資を受けた本人は、金を払う場合はそれは配当しか基本的にはありませんので、外から見た会計が必要なんで、公認会計士が発達した。多分、公認会計士と税理士の発達の歴史は、これがそういうことになったんだと思いますけれども。
 ヨーロッパの場合とも、これはアメリカの場合とも、また全然やり方が違っておりますので、何となく、国際基準というと世界中というように、日本語というのは不思議な言葉で、インターナショナルと付けば何でも全ていいように聞こえるんですけれども、これは大体、この種の話はちょっといかがなものかと思っておりますし、日本の場合は、こういった基準のせいか何か知りませんけど、少なくとも大化の改新、一千五百年の昔にわたって今日まで綿々と続いている会社、一千五百年ぐらい続いている会社というのは、神戸の金剛組始めそういった会社が現実存在していますけど、ヨーロッパにそんな会社は一つもありませんし、アメリカ、アメリカは千年もありませんから無理ですけれども。
 その他、いずれにしても、そういった何百年続いている会社というのは日本はいっぱいあるんで、これは、日本の場合、起業が少ないというけど廃業も少ないというのが日本の会社の基本なんだと思っておりますが、それとこの会計基準とが直接関係していると思っているわけではありませんけれども、そういったことまで考えて、我々はこの基本の基準とかこういったものを、我々にとって都合のいいものは受け入れた方がいいのかもしれませんけれども、日本の国益を考えてやらぬと、うかつな話に変に乗ると後々痛いことになりかねぬと思って対応していきたいと思っております。
#94
○委員長(藤田幸久君) 中山恭子さん、時間が参りましたので、おまとめをお願いいたします。
#95
○中山恭子君 大変心強い御答弁いただきまして、今日は本当に幸せな一日でございます。
 ありがとうございました。質問を終わります。
#96
○委員長(藤田幸久君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#97
○委員長(藤田幸久君) 次に、金融商品取引法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。麻生内閣府特命担当大臣。
#98
○国務大臣(麻生太郎君) ただいま議題となりました金融商品取引法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明させていただきます。
 先般の金融危機にかかわる諸問題を踏まえ、市場型金融危機への対応、金融資本市場、金融業の信頼性回復、機能強化を図るための規定を整備していくことが喫緊の課題となっております。このような状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして、御説明させていただきます。
 第一に、公募増資に関連したインサイダー取引事案等を踏まえ、インサイダー取引規制に関し、情報伝達・取引推奨行為に対する規制を設けるとともに、課徴金額の計算方法の見直しを行うことといたしております。
 第二に、AIJ事案を踏まえた資産運用規制の見直しとして、投資一任業者等による運用報告書の虚偽記載等に係る罰則の引上げ等を行うことといたしております。
 第三に、金融市場を通じて伝播し、実体経済に深刻な影響を与える市場型の金融危機を防ぐため、G20サミットにおける国際的な合意等を踏まえ、金融機関等の資産及び負債の秩序ある処理に関する措置の整備等を行うことといたしております。
 第四に、銀行等による資本性資金の供給強化を図るため、議決権保有規制、いわゆる五%ルールの見直しを行うことといたしております。
 第五に、投資法人の資本政策手段の多様化等を図るため、自己投資口の取得及び投資主への割当て増資等を可能とすることといたしております。
 その他、関連する規定の整備等を行うことといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げます。
 以上です。
#99
○委員長(藤田幸久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ─────────────
#100
○委員長(藤田幸久君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 金融商品取引法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○委員長(藤田幸久君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○委員長(藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト