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2013/02/20 第183回国会 参議院 参議院会議録情報 第183回国会 予算委員会 第4号
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2013/02/20 第183回国会 参議院

参議院会議録情報 第183回国会 予算委員会 第4号

#1
第183回国会 予算委員会 第4号
平成二十五年二月二十日(水曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月十九日
    辞任         補欠選任
     小西 洋之君     梅村  聡君
     高橋 千秋君     金子 恵美君
     中川 雅治君     渡辺 猛之君
     山田 俊男君     武見 敬三君
     吉田 博美君     古川 俊治君
     魚住裕一郎君     山本 香苗君
     紙  智子君     大門実紀史君
     吉田 忠智君     福島みずほ君
     片山虎之助君     水戸 将史君
     舛添 要一君     荒井 広幸君
 二月二十日
    辞任         補欠選任
     徳永 エリ君     小西 洋之君
     渡辺 猛之君     石井 浩郎君
     谷岡 郁子君     舟山 康江君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         石井  一君
    理 事
                植松恵美子君
                小川 敏夫君
                小林 正夫君
                松浦 大悟君
                青木 一彦君
               北川イッセイ君
                山崎  力君
                谷合 正明君
                小野 次郎君
    委 員
                梅村  聡君
                大河原雅子君
                大久保潔重君
                加賀谷 健君
                金子 恵美君
                川上 義博君
                小西 洋之君
                田中 直紀君
                津田弥太郎君
                徳永 エリ君
                藤末 健三君
                牧山ひろえ君
                赤石 清美君
                石井 浩郎君
                岩井 茂樹君
                宇都 隆史君
                岡田  広君
                岸  宏一君
                末松 信介君
                武見 敬三君
                谷川 秀善君
                西田 昌司君
                野上浩太郎君
                古川 俊治君
               三原じゅん子君
                渡辺 猛之君
                山本 香苗君
                横山 信一君
                渡辺 孝男君
                中西 健治君
                平山 幸司君
                森 ゆうこ君
                大門実紀史君
                舟山 康江君
                福島みずほ君
                水戸 将史君
                荒井 広幸君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
       総務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(地方分
       権改革))    新藤 義孝君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣   下村 博文君
       厚生労働大臣   田村 憲久君
       農林水産大臣   林  芳正君
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償支援機
       構))      茂木 敏充君
       国土交通大臣   太田 昭宏君
       環境大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       防災))     石原 伸晃君
       防衛大臣     小野寺五典君
       国務大臣
       (内閣官房長官) 菅  義偉君
       国務大臣
       (復興大臣)   根本  匠君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (内閣府特命担
       当大臣(防災)
       )        古屋 圭司君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(沖縄及
       び北方対策、科
       学技術政策、宇
       宙政策))    山本 一太君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(消費者
       及び食品安全、
       少子化対策、男
       女共同参画))  森 まさこ君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    甘利  明君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(規制改
       革))      稲田 朋美君
   副大臣
       財務副大臣    小渕 優子君
   大臣政務官
       環境大臣政務官  齋藤  健君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  山本 庸幸君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 亮治君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        石井 裕晶君
       法務大臣官房審
       議官       萩本  修君
       厚生労働省保険
       局長       木倉 敬之君
       原子力規制委員
       会委員長     田中 俊一君
   参考人
       日本銀行理事   木下 信行君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二十四年度一般会計補正予算(第1号)(
 内閣提出、衆議院送付)
○平成二十四年度特別会計補正予算(特第1号)
 (内閣提出、衆議院送付)
○平成二十四年度政府関係機関補正予算(機第1
 号)(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(石井一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成二十四年度補正予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行理事木下信行君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(石井一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(石井一君) 平成二十四年度補正予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日は、安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議を行うこととし、質疑は往復方式で行い、質疑割当て時間は四百十三分とし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会百四十九分、自由民主党・無所属の会六十分、公明党三十七分、みんなの党三十六分、生活の党三十六分、日本共産党十九分、みどりの風十九分、社会民主党・護憲連合十九分、日本維新の会十九分、新党改革十九分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
    ─────────────
#5
○委員長(石井一君) 平成二十四年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十四年度特別会計補正予算(特第1号)、平成二十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題とし、安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議を行います。
 これより質疑を行います。梅村聡君。
#6
○梅村聡君 おはようございます。民主党の梅村聡です。
 本日は、安倍内閣の基本姿勢ということで集中審議をさせていただきたいと思います。特に、本日、私は、社会保障制度を中心に安倍総理を始め関係閣僚の皆様方に質問させていただきたいと思います。
 この参議院の本会議の所信表明演説の中で、安倍総理は強い経済を目指していくということは所信表明をされましたが、残念ながら、その中で社会保障に関する言及というものはなかったかのように思っております。この当委員会でも、経済と税収、保険料あるいは社会保障、そういった関係のことは御答弁いただいておりますが、この社会保障制度そのものの現在の課題の在り方あるいは改革の方向性、そういったものについて改めて国民の皆さんに、安倍総理の社会保障制度に関する基本姿勢をお伺いしたいと思います。
#7
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も、安倍内閣としても、社会保障制度、国民の暮らしを支える制度でありますから極めて重要であると、このように考えております。
 この国民の暮らしの安心を支えてきた社会保障制度については、少子高齢化が進む中において社会保障費の急速な増大といった社会経済の変化に対応していく必要があるわけでありまして、このため、安定財源を確保しながら受益と負担の均衡が取れた、この均衡が取れていかないと言わば負担する側の納得が得られない、負担する側の納得が得られていなければ安定的な社会保障制度とは言えないわけでございますから、こうした中において、均衡の取れた持続可能な社会保障制度を構築するという観点から社会保障そして税の一体改革に取り組んでいかなければならないと、こう考えております。
 社会保障制度改革を進めるに当たりましては、自助、自立を第一に、そして共助と公助を組み合わせることを基本として検討を行っているわけでありまして、今後も改革推進法に基づいて、三党協議を踏まえて国民会議で精力的に議論を深めるなど、改革の具体化に向けて取組を進めていく考えであります。
#8
○梅村聡君 受益の負担と給付のお話、それから持続可能性ということに触れられたかと思うんですが、今日は、私はこの集中審議の中で、医療保険、例えばこれはもう既に五十年以上の歴史があります、あるいは生活保護、これも生活保護法が施行されて既に六十年がたっている、年金制度も五十年以上たっているという中で、本当に今の制度のままで突っ込んでいくことが、これは受益の負担と給付だけではなくて、この国の社会保障の持続可能性の中で本当にもつのかと、そういうことを是非閣僚の皆さんと一緒に考えさせていただきたいと思います。
 まずは、今総理がお触れになりました昨年の一体改革の中で、議員立法と成立をしました社会保障制度改革推進法であります。これは、三党で協議をした中で、医療や介護や年金、子育て、そういった改革の方向性の基本姿勢が述べられているわけでありますが、同時に、社会保障制度改革国民会議を設置をして、この設置期限が今年の八月二十一日であります。
 そして、この推進法の中にも、一年以内にきちっと必要な法制化を措置するという文言が書いてありますが、この国民会議、これまで十一月から始めて四回開催をされています。八月二十一日の期限ということが後ろ決まっておりますから、これ、どういっためどで、期限のめどですね、この国民会議として結論を出すのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
#9
○国務大臣(甘利明君) 梅村先生もたしか実務者のメンバーでいらっしゃいますから、よく先刻御承知のことと思います。
 改革推進法におきましては、施行後一年以内でありますから今年の八月二十一日でありますけれども、国民会議の審議結果等を踏まえて必要な法制上の措置を講ずる旨規定されているわけでありますし、今日まで昨日を含めて四回会議が開かれまして、来週には五回目の会議が開催予定をされています。
 この国民会議の具体的な取りまとめのタイミングにつきましては、国民会議の議論の状況であるとか、それからダブルトラックと言われていますけれども、この三党実務者協議の状況などを踏まえながら検討していくことになるわけであります。
 いずれにいたしましても、推進法の趣旨、これは推進法の四条と九条にその趣旨が書いてあるわけでありますけれども、それを踏まえまして対応していくという必要があるというふうに考えております。
#10
○梅村聡君 そうすると、確認ですが、この三か月で四回というペースですから、これから相当ペースアップをしてこの議論を行っていくということなんでしょうか。
 ちなみに、三党の実務者協議は今、週一回、そのペースで医療やあるいは年金制度、ペースアップして行っていこうということですが、この国民会議の方もこれからペースを上げてやっていくということになるんでしょうか。
#11
○国務大臣(甘利明君) 清家座長、議長を始めメンバーも、いついつまでに結論を出すということはよく御承知の上でやっていらっしゃると思います。
 今までの四回は、総合的に関係当事者からの意見聴取をすると。これから更に具体的なことに入ってくると思いますが、それに合わせて、一年以内ということを視野にしっかり入れて議論をしていただけるというふうに思っております。
#12
○梅村聡君 八月二十一日に結論が出ても、これは駄目なんですね。必要な法制上の措置を一年以内にやるということですから。
 ですから、八月二十一日までに行うことは、これは法案の成立を指しているのか、それぞれの医療や年金や介護のですね、あるいは法案を提出することが必要条件なのか、あるいはその骨子をつくることなのか。一体どのことが八月二十一日までにしなければいけないことなのか、これ確認させていただきたいと思います。
#13
○国務大臣(甘利明君) 施行後一年以内に法制上の措置を講ずるというふうに規定をされております。
 これ、過去の民主党政権の内閣のときにも答弁をされておりますが、この具体的な内容につきましては、例えばその……(発言する者あり)いやいや、その時期に国会が開かれているかいないか、その法制上の措置が法律を意味するのか、あるいは閣議決定を意味するのか。これは明確に、野田総理の時代の答弁をひもといてみましても、規定をされておりません。それは、これから三党実務者協議あるいはこの有識者会議の中でいろいろと議論をされていくことだというふうに思っております。
#14
○梅村聡君 野田総理の答弁ではなくて、安倍内閣としてどういうタイムスケジュール、どこまでをやっていかれるのかということをお聞きしているんですが、いかがでしょうか。
#15
○国務大臣(甘利明君) 法制上の措置の具体的な内容につきましては、改革推進法の趣旨に加えまして、国民会議における議論の状況、三党実務者協議の状況も踏まえながら今後検討していく必要があると思います。
 いずれにいたしましても、本年八月二十一日の設置期限に向けて、この推進法に基づきまして、三党実務者協議の状況も踏まえながら、医療・介護分野を始めとして国民会議で議論を深める、社会保障改革の更なる具体化に向けてしっかりと検討を進めていきたいと考えております。
 その法制上の措置を講ずるという規定が何を指すのかということにつきましては、一般的には法案の提出が想定をされますけれども、その時々の、先ほど申し上げましたけれども、国会の状況、三党協議の状況など様々な状況を踏まえまして、例えば法案要綱や骨子などの閣議決定も含めて、柔軟な対応が求められることも想定をされると。
 法案の具体的な提出時期につきましては、国会日程等を踏まえつつ、与党とも相談して検討する必要があるということに留意する必要があると思います。つまり、その時期に国会が開かれているか開かれてないかということもあるわけであります。
 先ほど申し上げましたけれども、これまでの答弁例におきましては、政府が法案の国会提出を行うことを念頭に置いた答弁もある一方で、具体的に何を指すのか明確に答弁していないという例も、先ほど申し上げましたが、あります。また、法制上の措置を講ずることは政府に課せられた責務であるということですから、一般的には法案の成立まで求められていないというふうに考えられております。
#16
○梅村聡君 基本姿勢をお聞きしていますから、一般論としてはいろいろあるんでしょうけれども。しかし、その一般論を顧みても、やっぱりこれは、法制化というものは、これはきちんと中身まで詰めて出されることなんじゃないかなと私は思っていますよ。
 これ、一部の報道によりますと、これは報道ベースですけれども、参議院選後に、今年の夏のですね、基本法案みたいなものを閣議決定する案が自民党内に浮上していると、そういう報道があります。私は、基本法ならばそんなものは要らないと思っています。というのは、この推進法自体が改革の目指す方向の基本法なわけですから。ですから、後は個別法にどう落としていくかということだと思っています。
 私は、この社会保障を考えるときに当たって安倍総理にお伺いしたいんですが、参議院選挙の後に全て耳の痛い話は先送りしようと、そういう態度は、私はやはり国民に対する信頼を得られない、そういうふうに思っています。やはり選挙というものを通じて、耳の痛い話、あるいは給付、そして負担増、そういったものをきちっと提示をすること、これが法制化することのやっぱり一つの目的なんだと思っています。
 そういうものをきっちり示して参議院選挙に臨んでいくということが私は与党としての一つの務めだと思っていますが、お考えはいかがでしょうか。
#17
○国務大臣(甘利明君) 私の先ほど来の答弁を補足をいたしますと、まずダブルトラックでやっていらっしゃるわけですね、先生自身も実務者の一員として。そこでいろいろ方針、議論もされているはずであります。それが相互に、国民会議の方に跳ね返り、国民会議からまた実務者の方に議論が跳ね返るという、相互が並行に進めていくということを確認されたはずであります。その中でもいろいろ議論をしていただきたいと思います。
 政府としては、国会が開かれていないのに法律を出すことはできません。それは国会の意思であります。政府としてできるのは閣議決定であります。ですから、その状況のときに国会が開かれていれば、閣議決定をされたものはそれは法律として出せるでしょうし、国会が開かれていなければ、それはやりようにも出せないわけであります。そういうことを申し上げているわけであります。
 三党実務者協議それから国民会議、その両方でダブルトラックとしてやっていくわけでありますから、その議論も三党の実務者協議の中でいろいろとしていただければと思っております。
#18
○梅村聡君 基本姿勢をお伺いしていますから、いろいろ、国会が開いているとき、どうなのかこうなのか、三党の実務者協議との兼ね合いというのはあるかと思いますが、内閣としてこのタイムスケジュールを目指してやっていくということはやっぱり僕はお示しすべきだと思いますよ。是非そのことをこれから考えていただきたいと思います。
 総理、いかがですか、参議院選挙に向けての。
#19
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そもそも、この税と社会保障の一体改革については三党で合意をしたわけであります。あのとき、なぜ三党で合意をしたかといえば、税や社会保障、選挙を前にして、委員のおっしゃったように、なるべく負担については議論をしない方がいい、あるいは負担は低く、そして給付は大きくした方がいいという誘惑にさらされるわけでありますが、そういう考え方からは決別をして、あるべき姿を冷静に考えていこう、それはやっぱり与野党が一緒にやっていこうという精神がこの三党合意だったんだろうと思います。
 その中において、今、実務者協議そしてまた国民会議についても、これは自民党が決めた、我が内閣で決めたわけではなくて、これは民主党政権時代に決められたものでもあります。その中で議論をしていくわけでありますから、当然我々は、毛頭、選挙前に、先送りしようとか、それは皆さんと一緒なんですからそういう考え方はしていないわけでありまして、ですから、その中においてしっかりと議論をしながら、成案を得るべく、国会が開かれているかいないかという、そういう議論についても説明をさせていただきましたが、という、基本的には参議院選挙においても我々はこういう姿勢、基本姿勢でやっていきたいということは堂々と述べていきたいと、このように思っております。
#20
○梅村聡君 それでは、三党実務者協議の方も、これは球を投げていきたいと思いますので、是非国民会議としっかり一緒になってやらせていただきたいと思います。投げた球に関しては、これはきちっとお答えをいただきたいと、そのように考えております。
 それでは、規制改革会議について質問をさせていただきたいと思います。
 これは規制改革会議、先週の二月十五日に第二回の規制改革会議の会合が開かれました。そのときの資料が私の手元にありますが、規制改革のテーマ、五十九個のテーマがこの中で提示をされています。ただ、私がこの五十九のテーマを少し見てみますと、いわゆる業界の方々から、あるいはそういうところから出されたものが羅列をされているだけのように私には見えます。この五十九のテーマが、本当にこれを実現することが確信を持って総理として国の経済成長あるいは民間資金を呼び込むことになるとお考えの中でのテーマなのかどうか、改めてお考えをお聞きしたいと思います。
#21
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 詳細については担当大臣からお答えをさせていただきますが、規制改革は三本目の矢でございますが、民間の投資を促していくという意味においてはまさに一丁目一番地と、我々はこのように考えています。その中でも、雇用関連あるいはエネルギー、そして医療分野あるいは環境、そして農業といった重点分野を、そうした分野を重点分野と位置付けまして、経済再生に資するものから優先的に見直しを行うように指示をしています。
 例えば、健康、医療については、規制改革によって新たなお薬や、あるいは医療機器の開発を実現をして健康に長生きできる社会の構築という国民のニーズにこたえるとともに、これは国際的にも展開をしていくことが十分に可能であろうと、そして、それは結果として国民の健康を守り、かつ国の富をつくり出していく、双方に有益ではないかと、このように思います。
#22
○梅村聡君 五十九の項目があるんですけど、私は、その中、やはり一つ一つを丁寧に議論をしていって、それが本当に経済に資するものなのかどうなのか、これを検討していく必要があるんだと思っています。
 そこで、田村厚生労働大臣にお聞きしたいんですけれども、この規制改革会議の規制改革要望の中に、保険外併用療養の範囲拡大という項目があるんですけれども、この保険外併用療養というのはどういう意味なのか、これをお教えいただきたいと思います。
#23
○国務大臣(田村憲久君) 医療保険制度でありますけれども、必要かつ適切な医療についてはこれは保険というふうな形で医療を提供していくということが基本的に国民皆保険の理念であります。そういう意味では、安全性でありますとか有効性、こういうものがしっかりと認められたものに関しては、これは保険の中に入れていって医療を提供していこうと。
 でありますから、それ以外のものですよね、これをそのようなものと併せて保険は適用しない、逆に言えば、保険外のものを治療行為をした場合には、これは全額保険外での治療になるということが前提としてあるわけでありますが、そうはいいましても、例えば評価療養のようなもの、それから選定療養のようなもの、評価療養というのは高度な医療等々を評価していって、安全性や有効性、こういうものを認めていけば、それは保険と保険外とを併用してこれは認めてもいいではないかというものでありますし、差額ベッドのようなものは、これは選定療養という形でやはり本来保険に入っていませんけれども、これは並行して認めていってもいいじゃないかというような、そういう考え方であります。
 ですから、保険外併用療養というものは、一定の範囲で認める中において保険と併用してもいいではないかというような考え方の下につくられておる制度でございまして、そのような意味では、ここを拡大というのか、今も一つ一つ、例えば高度医療ならば、それに関して検討をするところがございまして、これはそこに入れるべきなのかどうなのか、もちろんある程度の安全性と有効性が認められなければ、それは全く箸にも棒にも掛からないようなそういう薬だとか、まあ薬というのかどうか分かりませんけれども、治療方法というものは認められないかも分かりませんが、そういうものも含めて一応検討はそこでするということでありますから、そこに入ってくれば、当然保険外併用療養になるということでございます。
#24
○梅村聡君 要は、原則は自費診療と保険診療は並列で使うことができないと、同時に使うことができないと。ただし、条件の下で使えるものがあると。それは何かと。一つは差額ベッドのような選定療養と言われるもの、それからもう一つは先進医療ですね。まだ保険には適用されていないけれども、将来は保険に適用することを検討していく、そのことを前提に併用を認めていくということが保険外併用療養という御説明だったと思います。
 それで、このことを、その後のマスコミ、二月十五日、翌日の二月十六日のマスコミの皆さんは一斉に混合診療の適用拡大という見出しを付けられました。これ、読売新聞は「混合診療の適用拡大」、時事通信が「混合診療の範囲拡大」、毎日新聞は「混合診療の拡大」と一斉に報道されたわけですが、そもそも、この混合診療という言葉は行政用語として存在するんでしょうか。そして、保険外併用療養と混合診療というものは同じものを指すんでしょうか、違う概念を指しているのでしょうか。このことをお答えいただきたいと思います。
#25
○国務大臣(田村憲久君) 混合診療という言葉自体どういう概念で使われておられるのか、私も把握はいたしておりませんし、よく理解もいたしておりません。
 今言いましたように、保険外併用療養というそういう考え方の下で、厚生労働省といたしましては、今先生おっしゃられましたとおり、先進的な医療でありますとか、それから選定できるような、選定療養みたいなものを認めておるわけでありますので、混合診療は何ですかと言われましても、私自身が混合診療というもの自体の概念がよく分からぬものでありますから、答えようがないということだと思います。
 それから、行政用語としてもございませんし、一応法律上の用語としても混合診療という言葉はございません。
#26
○梅村聡君 私も、実はこれいろいろと調べてみたんです。省庁のホームページ等を調べてみました。そうすると、いわゆる混合診療という文言があるんですけれども、混合診療が要は行政用語として正式に述べられているというところはないんですね。ところが、この報道をされますと、国民の側からすれば印象が違うんですね。
 保険外併用療養というのは、さっきおっしゃったようなルールがあります。自費診療として保険と併用できるかどうかというのは、これは先進医療会議等で検討して、これは将来的には保険収載を目指していこうと、あるいは、症例を集めて、これが本当に医療として、これから保険として適切かどうか、こういうのを調べていこうと、これが前提なのが保険外併用療養です。
 混合診療となると定義がないんですけれども、一般の国民の方の印象は、保険外のものと保険の中のものというものを線引きしようと、そこの間に交流はないんだと。つまり、最初から分けて、それが未来永劫続いていくと、そういう印象があるんじゃないかなと、私のは国民の皆さんの感覚ですけれども、恐らくそこに少し違いがあるんだと思っています。
 そこで、稲田大臣に少しお伺いをしたいんですが、この二月十五日の資料にはこういう文言が書いてあります。「保険診療と保険外診療の併用制度について、先進的な医療技術の恩恵を患者が受けられるようにする観点から、先進的な医療技術全般にまでその範囲を拡大すべきではないか。」、こういう文言がございます。このことがどちらを目指しているのかというのがよく分からないわけです。
 つまり、今のルールの中で、じゃ、保険外でも使えるようにしていく技術を検討するスピードをどんどん上げていこうと、スピードを上げていって、更に保険適用をしていく審査も迅速にしていこうと、そういう方向を目指されているのか。あるいは、いや、そうじゃないと、今のルールそのものがこれは足かせになっているんだと、だからルール以外の道筋をつくるんだと、そういう方を目指されているのか。
 この三行の文章がどちらを目指されているのか、お答えをいただきたいと思います。
#27
○国務大臣(稲田朋美君) 今委員御指摘の書類が先週の金曜日の規制改革会議に提出をされたことは事実でございます。ただ、それは、規制改革会議で検討すべきテーマとして配付をされたものではなくて、これまでに提起をされている様々な課題の代表例を整理をして提示をされたものでございます。したがいまして、御指摘の資料は議論の材料として例示をされたものであって、これから規制改革会議として何をテーマに取り上げるかということについても、これからの会議の中の委員の皆様方に御議論をしていただくこととしております。
 したがいまして、規制改革会議で仮にこの御指摘の保険外併用療養の更なる範囲拡大について検討することになったとしても、また、それがテーマとして取り上げられるかどうかすら決まっておりませんが、その内容についても、方向性についても、委員の皆様方にこれから十分に御議論をいただくこととなっております。
#28
○梅村聡君 先ほど安倍総理にお伺いしたんですが、要は、この規制改革をすることが経済それから成長戦略につながるということだと思うんですが、そこの辺りをはっきりさせた上で議論をしないと、じゃ、これが本当につながるのかどうかというのは大きく方向が違うと思うんですよね、どっちの方向を目指されるかと。
 今回はまだこれから議論をいただくそのタイトルだけを並べただけだということだと思いますが、だけど、それでは本当に何をどのようにして成長につなげていくのかということが見えないんだと思います。ですから、そういった意味でいえば、そこのところをはっきりさせて、先ほどの保険外併用療養の拡大であれば、何を拡大していくのか。
 私は、これを素直に読めば、やっぱりそういった認可のスピードであるとか、あるいは検討するときのルールであるとか、そういったことをきちっと、今の枠組みの中で飛び出すのかどうなのか、そこのところを決めていただかないと、これ成長につながるかどうかと言われてもよく分かりません。ですから、そのことを是非、次の会議のときの資料か何か分かりませんが、きっちり議論をしていただきたいと、そういうふうに思っています。
 一般的には、この保険外併用療養の拡大、あるいはいわゆる混合診療といったものは、これは、言われていることは、公的保険の枠組みをちっちゃくするんじゃないかと。結果として、それは財政的に国の財政支出を減らせるんじゃないかと、そういうふうなことを言われて一般的にはいるんですが、私は、ここで考え方の転換というのが必要だと思っています。
 というのは、これ、今までの先進医療を保険に入れようとしたときに、どういう議論が行われているかと。まず一つは、それが医療として適切なものか、効果、効能があるのかという観点が一つ。それを保険に入れるときに、財源があるのかないのか、それに資する財源がなければ今回この医療技術は入れられない。こういう議論がこれまで専門家の中ではなされていました。
 しかし、私は、ここでもう一個考えないといけない観点は、その技術を入れることによって、結果として医療費が安くなるということもこれは考えられるわけですね。再生医療なんかそうですね。今まで生活習慣病、例えば糖尿病だったとしましょうか。これ今、ずっと生活習慣病で一生、罹患されている方は飲み薬も一生要る、あるいはインシュリンの注射も要る。そういったものが例えば再生医療で完治をすれば、その方々はその後の医療費は要らなくなるわけですから。
 ですから、その新しい技術は、単価としては高くても、それを入れることによって将来的にどうなのか、財政的にどうなのか、あるいは国民の健康という面からどうなのか、ここを総合的に判断するそういった仕組みが今ないから財源との間で壁ができてしまう。このことについて、きちっと考え方の転換をしていただくということをやっていただきたいんですが、厚労大臣、いかがですか。
#29
○国務大臣(田村憲久君) 先生、お医者様でございますから、もう現場で肌感で感じられたことを今御提案をいただいたというふうに思うわけでありますけれども。
 今、二年ごとに、診療報酬改定時に、先進医療会議で今先生がいろいろとおっしゃられたような観点から検討して、これを保険に入れるかどうかということを決めておるわけでございまして、今までも、平成十七年度からこの制度、先進医療という形で、それまでは高度先進医療等々いろんなことを言われておりましたけれども、新たな制度に変わったわけでありますが、六十三の医療技術が新たに保険適用してきたということでございます。
 ただ一方で、じゃ、非常にコストの高いものに対して、保険に入れるということ自体が医療費増大につながるのではないかというような御心配もあるというようなお話でございましたが、今現状は、中医協において費用対効果評価専門部会、これをつくって、今先生がおっしゃられたような観点から、費用対効果としてどうなのかという議論を始めてきております。
 まだまだ先生の思われているような方向に行っていないのかも分かりませんが、そういう議論には入ってきておるということは御理解をいただきたいと思います。
#30
○梅村聡君 規制改革というのも、これ物すごい大事なテーマなんですが、一方で、今ある考え方を変えるということが結果としてコストを下げて、医療機器やあるいは医薬品、こういったものが日本全体に広がっていく、それが経済活性につながっていく、成長につながっていくという道筋もありますから、これは規制改革に加えて、そういった考え方の転換ということを是非考えていただきたい、それが成長戦略につながるんだと私は思っています。
   〔委員長退席、理事小川敏夫君着席〕
 それでは、引き続きまして、生活保護について質問させていただきます。
 今回、生活保護基準、これは六百七十億円、国費ベースで引下げと言われていますが、この内訳について教えていただきたいと思います。
#31
○国務大臣(田村憲久君) 三年間でこれを実現をしていくわけでありますけれども、六百七十億円のうち約九十億円がゆがみの部分と言われます。例の年齢、それから世帯人数、地域差、こういうもので整合性を付ける、ゆがみの是正です。それから、五百十億円が生活扶助本体でございます。さらに、七十億円が加算部分というような形でございます。
#32
○梅村聡君 ゆがみの是正と、それからやっぱりデフレの影響ということがあったかと思います。
 これ、やっぱり大事なことは、国民の方にどういうルールで今回こういう六百七十億円という数字が出てきたのかということの説明だと思うんですね。
 私も、昨年の十二月二十六日まで厚労省で政務官という立場でありまして、この生活保護の基準のことについてはいろいろと役所ともやり取りをしていました。もちろん細心の注意を払うということが必要だと思っています。特に母子世帯の方々ですとか、あるいは子供さんがいる家庭の影響、こういったことの激変緩和措置というのは必要だと思っていますが、一方でデフレの影響というものもあるということ。それから、この九十億円の部分については、これは決して恣意的に下げたのではないと、それぞれの世帯の形態であるとか、そういったものの見合いでこの九十億円というものが結果として出てきたわけですから。ですから、そのことの説明がまず一つ必要なんじゃないかなと、そういうふうに思っています。
 そしてもう一つ、私がお話ししたいのは、今日は、パネルをお願いします。(資料提示)経済も三本の矢と言われていますが、生活保護制度の改革も、これも三本の矢だと思っています。
 日本のセーフティーネットを考えますと、生活保護というのは一番基本的な最後のセーフティーネットだと言われていまして、その中の基準について今議論がこの予算委員会なんかでも繰り広げられています。しかし、一方で我々が考えなければいけないのは、この生活保護制度そのものの制度としての見直し、さらには、生活保護に陥る前のセーフティーネット、これをどのようにつくっていくかということが私は大きな課題だと思っています。
 この中で、二番目のセーフティーネットを見ていただきますと、平成二十三年十月から求職者支援制度がスタートしました。これは、職業訓練を受けていただいた方にしっかり手当をお渡しする、訓練費をお渡しすると、これをしっかりつくることによってもう一度就労につながっていくと、これ大事だと思います。
 それからもう一つは、これ平成二十一年度の補正予算からスタートをしておりますが、職を失った方々が、本来何もセーフティーネットがなければ生活保護に陥るかもしれないという方々に住宅手当というものをお渡しをしています。これは、緊急雇用創出事業臨時特例基金として平成二十一年度の補正予算からスタートをしておりますが、これがどのような実績上げているのか、数字と、そしてこれまでの成果を教えていただきたいと思います。
#33
○国務大臣(田村憲久君) たしかリーマン・ショックの後、麻生内閣でこれを手当てしたというふうに記憶しておりますけれども、平成二十三年度、直近の数字でありますが、支給決定件数約二万四千件ある中で、支給を受けた方々の就職率は五四・五%ということでございまして、住まいのない離職者の方々がそのまま生活保護等々に陥らないようなセーフティーネットというような意味からいたしますと、その後、半分以上の方々がこれを利用して次の就職につながっておるということでありますから、一定の成果は得られたというふうに思っております。
#34
○梅村聡君 やっぱり真ん中の第二のセーフティーネットというのが非常に効果を上げているんだと、そう思っています。もしこの方々が生活保護に陥るとなると、これは当然生活扶助が必要ですし、あるいはその方々が医療を受けるときには医療扶助もこれは全額税から賄わなければいけない。そうすると、実は第二のセーフティーネットをつくることに、これを税をきちんと集中させるということは、私はこのセーフティーネット全体から考えると非常に意味のあることだと思っています。
 ところが、この今の住宅手当制度、これは基金一年延長になりましたが、二十五年度末で切れることになります。そうしますと、この第二のセーフティーネットをきちっと恒常化させるためにはきちんと法律上の位置付けをしなければ継続性がなくなってしまうということになりますが、この法律上の位置付けの必要性について、厚労大臣の見解をお願いいたします。
#35
○国務大臣(田村憲久君) この生活困窮者の方々の全体の対策という意味で、今の住宅のみならず、他に例えば全般的な就労支援、相談事業でありますとか、いろんなものを含めてやはりこれは対策を講じていかなきゃならぬというふうに思っておりまして、今先生がおっしゃった部分も含めて、できるだけ早く法整備に向かって努力してまいりたいというふうに思っております。
#36
○梅村聡君 これ今、住宅手当を一つの例に挙げましたけれども、こういった内容のものというのが、昨年、民主党政権の中で生活支援戦略、これ中間取りまとめまでやりましたけれども、この中にメニューとしてたくさん含まれています。
 ですから、そういった意味でいえば、一つ、新しい生活困窮者対策の新法、こういったものが私はやはり必要なんじゃないかと、そういうふうに考えています。
 一方で、真ん中のセーフティーネットをつくるということと、そしてもう一つは生活保護法そのものを改正していくということの作業が必要だと思っています。
 実は、昨年の六月十三日の当委員会でも、当時の小宮山大臣に対して、私、幾つかの提案をさせていただきました。その提案の幾つかは生活支援戦略の中にも盛り込まれていた、そういうふうな経緯がありましたが、改めてそのときの提案の検討状況を少しお聞きさせていただきたいと思います。
 一つは、生活保護に陥った方が職を見付けて就職をして脱却をしていく、このためのインセンティブをどのように付けるのかということをお話しさせていただきました。やはり、稼いだお金を全て収入認定されてしまうと、そうすると、せっかく働いても、じゃそこから脱却しようという気持ちにはなりにくいわけですね。
 ですから、その一部を積み立てて、そして脱却をしたときにはその分をお返ししようと、就労積立制度ということを提案いたしましたが、このことについて、今現在の検討状況、いかがでしょうか。
#37
○国務大臣(田村憲久君) 今も勤労控除等々で一定の割合は控除をされて収入認定されないわけでありますけれども、それだけでは足らない。つまり、生活保護から自立に向かったときに、何らかの蓄えがないとその一歩がなかなか踏み出しづらいんじゃないのかという、そういう論点からの御議論だというふうに思います。
 本当の意味での積立制度というのは、なかなか制度的に難しいところがございます。そこで、仮想的に積み立てたことにして、その上で生活保護から脱却されたときにその部分をお渡しして自立した生活のまずスタートにお役立ていただこうということは、今、私が先ほどお話をいたしました、提出を考えております法律の中でもそういうものを入れてまいりたいなというふうに思っております。
#38
○梅村聡君 済みません。確認なんですが、これ、生活保護法の改正でよろしいですよね、このテーマについては。
#39
○国務大臣(田村憲久君) 正確に申し上げますと、生活保護法の改正、これはそちらの方でやります。その以前のは、言われたとおり、困窮者の方の法律になると思います。
#40
○梅村聡君 それからもう一点、六月に提案をいたしましたが、これは医療機関の指定取消しの問題であります。これは、保険医療機関の取消し、これは不正を行ったときに、医療機関が行った場合には健康保険法に基づいて保険医療機関を取り消すということがこれは具体的に定められています。
 一方で、生活保護の指定医療機関は、これ、たとえ不正があったとしても、どういうときに取消しを行うのかという具体的なものがこれまでありませんでした。ですから、そういったものについて要件をきちんと明確にしていく、そういったことも当時の小宮山大臣答弁をされましたが、これについての検討状況、進捗状況、教えていただきたいと思います。
#41
○国務大臣(田村憲久君) この指定医療機関、医療扶助等々に関する部分でありますけれども、これに関しても、やっぱりおっしゃられますとおり、前政権からいろんな御議論をいただいてくる中で、やっぱりこの要件の明確化というのがまず必要であろうと。それから、取消し要件もその中には入れていく必要がある。さらには、その有効期間ですけれども、こういうものを期限切りまして見直すみたいなこともやっていかなきゃいけないだろうと。まあ一部では余りよろしくないようなことをされておられるという指定医療機関もあるやに聞く部分もございます。
 ですから、そこは適正に対応していかなきゃならぬということでありまして、これも法律改正の中に盛り込んでいこうと今検討している最中であります。
#42
○梅村聡君 ここで明らかになったことは、生活保護基準の見直しだけで終わったのでは何の改革にもなっていないということなんです。
 つまり、それプラス、今申し上げたようなこれまでの課題、これは新法という形で、新しい生活困窮者への新法という、自立支援という新法を提出される、あるいは今問題になっている不正の問題、あるいはきちっと生活保護から抜け出せるためのインセンティブを付けるという課題、こういったものをセットで、生活保護基準の見直しだけではなくて法律をセットで提出して初めて全体的な改革というものにつながるんだと私は思っているんです。それがなくて基準だけを見直すということであれば、これは単なる財源的な問題だけですよ。
 改めて、この通常国会、この基準の見直しというのは、これ八月からスタートするわけですね。ですから、それにきちんと平仄が合うように、法律の新たな提出、あるいは法改正、これをこの通常国会で是非やるということが私は必要だと思いますが、改めてそのための方針と決意をお願いしたいと思います。
#43
○国務大臣(田村憲久君) 何をもって一体と言うかという部分はあると思います。
 といいますのは、基準の見直しは、これは五年ごとに見直していこうというような一つのルールにのっとってやってきておるわけでございますから、この部分はこの部分といたしまして、これはやらなきゃいけない部分であります。
 一方で、言われるとおり、それだけではなくて、今、社会的に生活困窮者の方々でありますとか生活保護の方々が増えておられますから、こういう方々も自立に向かって頑張っていただかなきゃいけないためのいろんな環境整備をしなきゃいけない。困窮者の方々は生活保護の前で、手前でそのまま自立を続けていただく、こういう努力を促すようないろんな手当てもやっていかなきゃいけない。
 でありますから、両方とも大事な話でありまして、一体でないとか一体であるとかということではなくて、両方ともこれはやらなきゃならない、そういうような今回の改革であるというふうに思っております。
#44
○梅村聡君 ここで法律を出すんだと、この国会、通常国会でやるんだと、こう決意を言っていただければ格好よかったかなと思うんですが、僕は、やっぱりそれは、セットというのは行政的な手続を言っているわけじゃありません。やっぱり全体的な、包括的な仕組みをつくっていく、その決意を私はお聞きしたかったので、もう一回お願いします。
#45
○国務大臣(田村憲久君) いや、先ほど申し上げたと思うんですけれども、今国会、できるだけ早い時期に出すように努力をしてまいるということでございます。
#46
○梅村聡君 よろしくお願いします。
 それでは、次の話題に行きたいと思います。少し個別の話になりますけれども、一つの、今の社会保障制度の中での問題点と思ってお聞きをいただければと思います。
 今、各地で民間事業者が建てるような高齢者向けの住宅というのが拡大をしてきています。特に、二〇一一年の法改正によって、サービス付き高齢者向け住宅、こういったものもきちんと法律の中で位置付けられるようになってきました。
 ところが、最近、私の地元もそうです、あるいは都市部を中心にサービス付き高齢者向け住宅ができましたと。そうすると、そのときに、その近くの医療機関、開業医の先生が多いんですが、そこに電話が掛かってくるんです。電話の主は患者さんを紹介しますよと、患者さんを先生のところに紹介しますよという電話なんですね。
 私も、実はその録音テープを聴かせていただきました。そうすると、そこの中でどう言われているかといいますと、あるサービス付き高齢者住宅に入っている患者さんを先生に紹介します、紹介料は一か月お一人様一万五千七百五十円ですと。消費税まで取っているんですね。紹介業者の方が開業医の方に向かって、登録をしてください、登録料を下さい、そうすれば患者さんを、来ていただいて、往診をしてもらって診てもらうことができますよと、こういう患者紹介ビジネスというものが都市部で広がっています。
 いろいろな方にお聞きしますと、大体診療報酬の入った額の二割ぐらいをキックバックしてもらえれば患者さんを紹介して、そしてあなたが独占してその患者さんを診察することができますよと、そういう紹介業者というのが今非常に広がっているとお聞きをしています。
 実は、先週、二月十三日の中医協、厚生労働省の中の中医協の資料の中にもこの案件について少し書かれているんですが、厚生労働省として、こういう実態が広がってきているということを把握されておられますか。
#47
○国務大臣(田村憲久君) 委員の方からそういうお話があるということ、中医協でも一部報告されておるということでありまして、そういうものがどこまで広がっておるのかというのは我々も完全には把握できておりませんけれども、一部にあるというようなお話はお聞きをいたしております。
 問題は、やはりフリーアクセスという日本の保険医療の下で、これ制限ですよね、はっきり言いまして、そうなってきますと。アクセスへの制限みたいなものが許されるのかという部分と、あと、どういうふうな仕組みになっているのかちょっと私もよく分からないんですが、不適切なといいますか過剰な診療等々が、これ保険医療というか保険から出るんですよね、多分。となると、過剰な診療等々の医療行為がなされていますと、ここはやっぱりちょっと問題があるというふうに思いますので、個別事案が把握できればこれは指導をしていかなきゃならぬというふうに思っております。
#48
○梅村聡君 これ個別事案というよりも、診療報酬であるとか、診療報酬というのはこれ税金が入っているわけですよ、保険料も入っています、患者さんの窓口負担も入っています。そういったお金が使われ方として適切なのかどうかという根本的な問題があると思っています。
 ちょっとお伺いしたいんですが、患者さんのあっせん、これあっせんですよね、患者さんのあっせんに対して保険医療機関がその見返りの対価をお金で支払うこと、これは合法なんですか、あるいは違法なんですか、それとも、そもそも現行の法律や規則ではそういったことは想定されていないんですか、どれなんですか。
#49
○国務大臣(田村憲久君) よくあるのは嘱託医ですよね。逆に、施設側がお医者様に対して契約みたいな形で嘱託医契約を結ぶなどして、それで来られたときに訪問診療みたいな形になるんですかね。
 あとは、そうですね、だからお金は逆の流れであるというのが普通なんだと思いますが、今のお話ですと、医療機関が施設側に、サービス付き高齢者住宅のような集合住宅にお金を払うという話だというふうにお聞きをいたしましたので、ちょっと想定はしていない部分だというふうに思います。
#50
○梅村聡君 合法、違法以前に、多分これまで想定していなかったようなお金の流れが始まっているということだと思うんですね。
 これちょっと専門的な話でお聞きしたいんですが、実は、保険医療機関が保険医療を行うときにはいわゆる療担規則という規則があります。この中に従わないと、保険医療機関の、場合によっては取消しが行われるということがあると思いますが、この規則の第二条五のところ、特定の保険薬局への誘導禁止という項目があるんです。
 これちょっとそのまま、難しいですけれども読み上げますと、「保険医療機関は、保険医の行う処方せんの交付に関し、患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことの対償として、保険薬局から金品その他の財産上の利益を収受してはならない。」、こういうふうな規則が実はあるんですが、これ一回読んでも分からないので、これどういったことを規則として定めているのか教えていただきたいと思います。
#51
○政府参考人(木倉敬之君) お答えをいたします。
 先生今御指摘の保険医療機関及び保険医療養担当規則二条の五でございますが、これは適正な医薬分業を推進するという趣旨で置かれておる規定でございます。これは、お医者様と薬剤師さんそれぞれがその専門の分野で分担をして医療の中身をチェックして、適正な医療を進めようと。
 具体的には、医師が処方されました処方箋に基づく薬につきまして、薬剤師がその立場から、これが適切なものかどうか、重複等はないか、患者さんの立場に立ってチェックを行うと。それを担保していこうと。また、患者さんが自由に自分の選んだ薬局でそれを手に入れることができるということを担保するための規定でございます。
#52
○梅村聡君 簡単に言うと、お金を渡して患者さん集めをしては駄目ですよということを言っているんですね。調剤薬局に患者さんを呼び込むときに、じゃ周りのクリニックに、じゃ一枚レセプト来るごとにお金何ぼあげるからうちの薬局に患者さん集めてくださいねというふうな金品の授受で患者さんを集めてはいけないと、簡単に言えばそういう内容のことなんです。
 そうしますと、さっき申し上げた患者あっせんビジネスというものですかね、これ、原資は診療報酬なわけです、何回も申し上げますけど。そこには税が入っている、保険料も入っている。そういったお金の二割をあっせんしますねということで払うことが、保険薬局が同じことをやれば、それは罪になるわけです。だけど、さっきおっしゃいました、委託という話がありましたけど、それは診療所と施設がじゃ包括的に診てくださいよという契約であって、患者さん一人当たり何ぼよこせというのは、これ、診療報酬の二割をよこせというのは、これは保険薬局のお金を払って患者さん集めしてはいけないということと全く同じ構図だと思うんですよ。
 ですから、患者さんを集めることによって一人当たり何ぼといって診療報酬を何割かキックバックしろということは、これは厚生労働省として明確に禁止すべきだと思います。いかがですか。
#53
○国務大臣(田村憲久君) 実態が今どういう状況になっているのかということもちょっと調査はしてみないといけないと思います。
 そもそも、先ほど申し上げましたとおり、それ自体で例えば過剰な診療でありますとか医療を受ける制限みたいなものが行われているとなれば、それはもう根本的な問題になりますので、当然それに対しては一定の対応をしていかなきゃならぬというふうに思いますけれども、今おっしゃられた点が本当に、お金を払って囲い込みをするというやり方ですかね、そういうものが他の分野にどういうちょっと影響があるのかということもいろいろと勘案させていただきながら、他と整合性を取らせていただいて、もしこのやり方自体がやはり不適当であるということであれば、それはしっかりと対応をしてまいりたいというふうに思います。
#54
○梅村聡君 これまず実態調査、是非やってほしいんですよ、実態調査。
 これ過剰診療等とおっしゃったんですが、実はそれだけじゃないんですね、問題というのは。
 これ要するに、患者さんを紹介しますよと言って、本来在宅医療というのは地域で診るということですよね。遠くのお医者さんも登録しているわけです、そこへ。そこに決まった日だけやってくると。そうすると、ダンピング医療をやっているわけですよね、本来必要な診療報酬の何割かを上納しているわけですから。遠くからやってくるどこの誰か分からぬお医者さんがそこの施設に入り込んでくる、しかも、そこでダンピング医療をやっている。そうしたら、その方々は本当に在宅みとりとか在宅ケアをやるのかといったら、やらないわけですよ。もし急変が起きたら、悪くなったらどうするかと。往診ないですよ。救急車乗って、病院どうぞ行ってください。
 本来、今国が目指している地域包括ケアというのは、それぞれの地域でそれぞれの方が自分の望む過ごし方をしていくと、そのために医療や介護や福祉やそういったものが連携をして、地域で診ていくというのがこれ地域包括ケアの基本的な考え方ですよ。だけど、どこの誰やら分からぬ人を登録して、患者さんをお金であっせんしますよと、困ったときどうするんですか、地域の救急へ行ってくださいと。これ全然、地域包括ケアの理念と反しているんです。あるいは、地域の救急医療や病院からすれば、どんどんどんどんそういう患者さんが送り込まれてくる。
 ですから、これは過剰診療やお金のやり取りに加えて、実は国が考えている地域包括ケアの考え方に全く逆行したことが起こりかねない、根本を揺るがすことになるんだと思いますが、まず厚労大臣にその認識、お伺いしたいと思います。
#55
○国務大臣(田村憲久君) 医療機関だとか介護施設等々が連携しながら入所者等々に良質なサービスを提供するということは、これは当然あってしかるべきだと思うんです。ただ、その形態として今委員がおっしゃったようなことが本当に起こっているならば、これは本来の趣旨に反することでございますから、それに対してはやはり一定の我々としては対応を取っていかなきゃならぬというふうに思います。
 ただ、現状をちょっと把握をさせていただいて、どういう形でこういうような、今委員のおっしゃっておられたような事例は、これは完全に我々としても適正だとは思いませんので、そういうものを排除できるかというちょっと方法論も含めて検討させていただきたいと思います。
#56
○梅村聡君 安倍総理に少しお伺いしたいと思うんですが、実は、今の社会保障制度の中にこういうモラルの問題であるとか、あるいは今想定していないようなことが実際に起こってきている。ですから、こういうことも正していくということを、実は一体改革というのはお金の給付と負担の問題だけじゃないんです。こういった中身をもう一度、六十年間続いてきた、はっきり言えば、六十年間続いてきた医療保険制度と、それからこの十二、三年で生まれてきた介護保険制度、これが出会ったときにビジネスというものが生まれてきて、結果、それが地域医療を疲弊させるような、あるいは地域包括ケアが実現できないようなことが広がってきている。
 だから、こういったことを見直すということも私は社会保障の議論の中で必要なことだと思いますが、安倍総理の感想をお聞かせいただきたいと思います。
#57
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私の地元にもサービス付きの老人向けの住宅できておりますが、多くは近隣の病院と契約をして、委託をして、そしてその病院なり開業医が診る。あるいはまた、医療法人そのものがそういう会社をつくってそうした住宅をつくっているということがほとんどでございまして、そういうケースを私は寡聞にして知らなかったのでございますが、そもそも診療報酬の中で一万七千円とかを出してやる、お医者様側にそういう必要があるかどうか。
 つまり、本来、診療報酬は診療報酬として適切かどうかということを勘案して決められているわけであって、そこから出して、そしてそれによって大きな利益が上がるということを恐らく想定していなかったんだろうと、このように思うわけでありますが、本来のそれは医療の在り方をゆがめる危険性があるということでございますので、厚労省においてまず実態把握をしっかりとしていく必要があるだろう。
 そして、そういうことに応じている医者側ですよね、本来はそれぞれのお医者様はそういうあっせんを必要としないという中において医療行為をしているはずでありますから、どうしてそういうゆがんだ状況になっているかということも含めてよく実態を把握する必要があると、このように思います。
#58
○梅村聡君 かなり地域差があると聞いております。ですから、そのことを是非、実態調査をお願いしたいと、そういうふうに思っています。
 それから、次の話題に行きたいと思いますが、今日は、昨年の七月二十五日にも私、一体改革の特別委員会で少し取り上げたんですが、尊厳死の問題というのを考えていきたいと思います。
 まず、一月二十一日の社会保障制度改革国民会議で麻生大臣が、私、これは決して責めるつもりはないんですが、マスコミ報道でこの終末期医療に関して、ちょっと新聞報道を読み上げさせていただきますね。いいかげん死にたいと思っても生きられますからなんて生かされたんじゃかなわない。しかも、政府の金でやってもらっていると思うと、ますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらわないとと述べたと。私は少なくとも遺書を書いて、そういうことをしてもらう必要はない、さっさと死ぬからと書いて渡しているが、そういうことができないと死ねませんと述べたと。こういう報道がなされました。
 確かに、言葉遣いはちょっと乱暴なところはあるかと思いますし、それからお金の問題と絡めたというのはちょっと不適切だったかなとは思います。それから、発言した場所が国民会議ということだったということもいろんな議論があるかと思いますが、しかし問題は、マスコミの皆さんがこのことを速報で伝えたと。本来、このことが一体どういうことが根底の問題としてあって、私は、本来この発言からいろいろ国民的な議論が広がっていけばよかったのになと、そう思っていますよ。
 だから、この新聞の後には、何か野党が問題にする可能性があるとかいう丁寧な解説もありましたけど、私は、全然問題にするものではなくて、むしろこの発言から終末期医療の在り方、あるいはどういう形で個人が自分の終末期を過ごす自己決定を実現していくのか、そのことが大事だと思いますので、麻生大臣、改めてこの発言の真意、少しお話しいただきたいと思います。
#59
○国務大臣(麻生太郎君) 誤解を生むような発言をいたして大変申し訳なかったと思っているんですが、私のうちに、おやじのおふくろですけど、十六で嫁に来て、二十四で後家、四人の子供をそれぞれ育てて、子供や何かの方が先に亡くなり、自分は九十一で亡くなったんですけれども、病院に行かず、最期は、十二月の三十一日、大みそかの日、年越しそばを取って、医者を呼んでくれと。医者が来て、帰るときには長らくお世話になりましたとその医者に挨拶をし、二時間後にひ孫は、おばあちゃんが冷たい、で、行ったら亡くなっていた。これは我が家の実態経験です。
   〔理事小川敏夫君退席、委員長着席〕
 うちのおふくろって、まあ嫁ですわな、嫁にして、あんなうまいこと私も死にたいわ、これ我が家全員の実感だったんです。正直なところ、侍の娘で育ったせいもあるんでしょうけれども、痛かったのかも何かも全くそういうことも言わず、少々、後半は少し記憶力がどうかなと思わないでもありませんでしたけれども、少なくとも我々としゃべるときは全く普通にしゃべっておったのが、そういう状態でありましたんで。
 私のところはおやじが一番最初に亡くなりましたんで、私は喪主を三回ぐらいやったんだと思いますけれども、三、四回やったと記憶していますが、そういった中にあって、やっぱり人間というのは七十、私も七十二ですけれども、そろそろあっちの方に近くなってきていますので、やっぱりそこに行くときの行き方として、何となくこれまでの人生を振り返って、尊厳を持って静かに死なせてもらいたいなというのが率直な私の気持ちでしたし、傍ら、私も先生と同じ病院やっていますから、現場を知らないわけではありませんので、その意味では病院のところにおけますいろいろな家族のいろいろな難しい話もいっぱい見る立場にありましたので、そういった中を考えたときに実に複雑な心境でありましたので、私自身は是非そういった気持ちがあるのでといってきちんとその話を伝えるという、これはあくまでも私の個人の見解というか人生観みたいなものだったんですけれども、言った場所が言った場所、書いた人が書いた人だったものですから、何となく話が全然、先生おっしゃるとおりとは全く別の方向に話が行ったんで、こういうようなことになるんだったら全然意味が違いましたんでこの言葉は取り消させていただきますと言ってその言葉を取り消させていただいたというのがその背景であります。
#60
○梅村聡君 今日の麻生大臣の発言を是非新聞は書いていただきたいと思いますね、その真意というものをね。
 この中で、ちょっと麻生大臣、遺書を書いて渡してあるとおっしゃっていましたが、これ、遺書、どういう形で渡されていますか。それ実現されそうですか。
#61
○国務大臣(麻生太郎君) 少なくとも個人のことでありますので、内容を全部言うつもりはありませんけど、尊厳死の宣言書というようなこういったリビングウイルのこの種の話とは違って、一応筆で書いております。それだけです。
#62
○梅村聡君 実は、国民みんながこのことを個人では思っておられるんですね。最期の自らの終末期、そこは尊厳を持ってできるだけ苦痛がないように過ごしたいというのは、これみんなが思っていること。だけど、それを、例えば国会ですとかあるいは政治家の発言になってくると、真意と違うような報道がなされてしまって、結局はその議論をすること自体がタブーになってしまっている。実は、私も今日ここで、テレビ入りの予算委員会でこのテーマを出すことに対しては、ある意味戸惑いもありますし、言い方を一つ間違えればいろんな方を傷つけることになると。ですから慎重に考えないといけないんですが、一方でこの議論を国会やあるいはいろんなところで国民的に議論していくことが大事なんだと思います。
 今日は、遺書ではないんですが、今、日本尊厳死協会というところがこの会員証というものを出しております、これ現物ですけれども。この裏にちっちゃな字で書いてあるんですが、それを拡大したものが今フリップで出させていただいております。これはリビングウイルというものでありまして、これは以下の三項目、一番、私の傷病が、現代の医学で不治の状態であり、既に死が迫っていると診断された場合には、ただ単に死期を延ばすためだけの延命措置はお断りします、二番、ただしこの場合、私の苦痛を和らげるためには、麻薬などの適切な使用により十分な緩和医療を行ってください、三番、私が回復不能な遷延性意識障害に陥ったときは生命維持措置を取りやめてください、以上、私の宣言による要望を忠実に果たしてくださった方々に深く感謝申し上げるとともに、その方々が私の要望に従ってくださった行為一切の責任は私自身にあることを付記いたします、こういうカードなんです。
 私、これが遺書に当たるかどうか分かりませんが、意思表示、リビングウイルということだったと思うんですが、ちょっとこれ法務省にお聞きしたいんですが、カードを持っていることはいいんですけれども、このカードが実際に、きちっとこの意思が医療機関に伝わって実現をされるのかどうか、ここの担保がないんですね。特に独居の方あるいは認知症等意識がない方、こういう方々の意思表示というのはこれは法的に担保されていない。私は素人的に、それを担保するとすれば、成年後見制度等を使えばそれをきちっと実現できるのかなと思いますが、こういった内容というのは成年後見制度の中で想定されているんでしょうか。
#63
○政府参考人(萩本修君) 御指摘のありました成年後見制度は判断能力が衰えた人を支援する制度でございますが、その中で特に任意後見制度というのがございまして、これは、将来自分の判断能力が衰え、生活をしていく上で必要な預貯金の払戻しや財産管理などの行為を自分ですることができなくなった場合に備えて、判断能力が十分あるうちにあらかじめ自分の代理人を選任しておき、実際に判断能力が低下したときにその代理人に預貯金の払戻しや財産管理などの行為を自分に代わってやってもらうという制度でございます。
 この場合の代理人のことを任意後見人と呼んでおりますけれども、この任意後見人は、今申し上げましたとおり、あくまで財産管理などの行為を本人に代わって行う代理人という立場にすぎません。委員御指摘のような、尊厳死を宣言したい人の意思をどのようにして尊重するか、不治の病などで死期が迫っているという場面で延命措置を拒否するかどうかといったような話はその人の生死を決定するようなとても重い事柄ですので、およそこの代理には親しまないものと考えられます。
 したがいまして、そのような事柄について、成年後見制度あるいはその中の任意後見制度を活用することはちょっと難しいのではないかと考えているところでございます。
#64
○梅村聡君 成年後見制度を使うのは難しいということが分かりましたけど、そうしますと、さっきの宣言書ですね、リビングウイルをどれだけ法的にきちんと担保ができるのかということが大事だと思います。
 今回の一体改革の推進法、先ほどからちょっと甘利大臣ともやり取りした推進法の第六条三号に、「医療の在り方については、個人の尊厳が重んぜられ、患者の意思がより尊重されるよう必要な見直しを行い、特に人生の最終段階を穏やかに過ごすことができる環境を整備すること。」、こういう文言がありますが、こういうものに対して厚生労働省としてこれまでどういう取組をされてきたのか、あるいはこれからどういうことを考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
#65
○国務大臣(田村憲久君) 御本人の希望をかなえた終末期の医療行為というものを、これをどう実現していくかという話でございます。
 やはり一つは、お医者様が十分な情報を提供していただいて御説明もいただくということが前提になろうと思います。その上で、御本人の気持ちをそんたくした上で終末期の医療をやっていただくと。
 ただ、それはなかなか、今どこで担保するんだというお話がございましたので、平成十九年に一定のガイドラインを作りました。それまでいろんな事件が起こって裁判闘争になったわけでありますけれども、それ以降はそのような問題はないというふうに聞いておりますので、今のところ問題自体は一応鎮静化はしておりますが、ただ一方で、お医者様のいろんなお話をお聞きしますと、そうはいっても、どこで担保されているのか、これは不安だというお話もお聞きいたしております。
 一定の議員連盟の中でこの法案を提出を準備されているというお話もお聞きいたしておりますけれども、なかなか生命観、倫理観、これにかかわってくる問題でございますので、我が方として法整備云々というのはまだ検討いたしておるような状況ではございません。
#66
○梅村聡君 最後に、安倍総理に感想をお聞きしたいんですが、私はこれは法制化が必要になってくると思います。というのは、確かにガイドラインというのはあります。だけど、それをどのように個人の意思をきちんと反映できるのか。
 日本は国民皆保険制度の国ですから、延命をしてほしいという権利、これは十分に実現されます。ですから、延命してくださいと言えば一生懸命お医者さんもやってくれます。だけど、私はそれを拒否しますという、これも権利なんですね。ところが、その権利というのは今の日本では十分に担保をされていない。そのことも同時に担保しなければ、個人の尊厳ある終末期ということを過ごせることができません。
 ですから、私はこの尊厳死の法制化を考える議員連盟の一員ですので、法的にどう担保していくかということは、これは一議員としてこれからもやっていきたいと思いますが、こういった法的担保の必要性、あるいは尊厳死ということについて、最後に安倍総理に御感想をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#67
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員の指摘されたこの問題、尊厳死は、極めて重い問題であると、このように思いますが、大切なことは、これは言わば医療費との関連で考えないことだろうと思います。あくまでも自分の人生の最期をどう閉じたいかということについて議論をしていくことが重要ではないかと思います。最期の段階において望んでもいない延命措置をされる、こういうことがないようにどう担保していくか。
 こういう議論をいたしますといろんな方々から様々な批判が来るということはありますし、事実、今議連の皆様のところにもそういう電話等もあるというふうに聞いておりますので、議論自体が非常に慎重になりがちではありますが、そういう言わば人間が本来持っている、最期は尊厳を持って人生を終わりたいと、これが実現するように、そしてお医者様の側も安心してそう対応できるようなそういう仕組みは考えていきたいと、このように思います。
#68
○梅村聡君 終わります。
#69
○委員長(石井一君) 以上で梅村聡君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#70
○委員長(石井一君) 次に、金子恵美さんの質疑を行います。金子恵美さん。
#71
○金子恵美君 民主党・新緑風会の金子恵美でございます。
 今なお十五万人以上の方々が避難をされている福島県の県民の一人として質問をさせていただきたいというふうに思います。
 総理も就任直後から被災地を訪問されておられます。たしか十二月二十九日でしょうか、福島入りをされているということでありますが、改めて、被災地を回られる中で、総理も被災地の皆様方の生の声を聞かれ、そして改めて様々な思いを持たれたことだと思います。そしてまた、更に復興に向けての新たな御決意も持たれたのではないかというふうに思います。
 東日本大震災からの復興に向けての思い、そしてまた原発の問題を抱えながら苦しんでいる福島の皆様方のふるさとの再生に向けての思いというものをお聞かせいただきたいと思います。
#72
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、この東日本大震災からの復興なくして日本の復活はないと、このように思っております。
 そこで、安倍内閣の全ての閣僚に復興担当大臣という気持ちで取り組んでもらいたいということを指示をしているわけであります。
 総理に就任して一番最初の訪問先として福島を選んだわけであります。その後、宮城、岩手も訪問をいたしました。なぜ初めに福島を訪問したかといえば、地震、津波、さらには福島第一原発の事故によって一番言わば被災している方々が元の生活に戻るという先が見えていないという状況がある、そういうことも鑑みまして福島を最初の訪問地として選んだわけであります。
 そこで多くの被災地、避難をしておられる方々からお話を伺ったわけでありますが、先が見えない、これが一番不安であるということであります。その中におきまして、やはり一日も早く目に見える形で工程表をお示しをして、どれぐらいのめどで元の生活に戻ることができるということがお示しできるように、そして一番遅れているのが何といっても住宅の建設でございます。
 そうした意味からも、今回、今までの十九兆円というこの予算のフレームを六兆円増やしたところでもございますし、福島の方々、あるいは被災地、宮城県そして岩手県、被災地の方々の気持ちに寄り添う形の復興策を進めていきたいと、このように思っております。
#73
○金子恵美君 今、被災地の皆さんに寄り添うという、そういうお言葉をいただいたんですが、福島県民の皆さんに本当に寄り添っていただいているのかというふうに私は疑問に思うところがありました。
 それは、二十九日に福島入りされているわけですが、その福島県民の皆様方の中からは、恐らく、福島から原発はもう要らないという、そういうお声もあったのではないかというふうに思います。あるいは、総理御自身は、原発の問題から避難を余儀なくされている方々とお話をされたと思いますので、そういう県民の思いというのは総理の心に届いたのではないかというふうに私は思いたいのですが、残念ながら、次の日の三十日に放送されました民放テレビの番組で、原発の新規建設もあり得るというような趣旨の発言をなさっておられるんです。
 本当に福島の復興をまず第一に考えていらっしゃる、そして最優先に考えておられるということであるのであれば、福島を訪問したその次の日に、本当に原発の問題で苦しんでいる人々のことを考えるのであれば、まさかあのような言葉を発するとは私は思えないわけなんですが、私は総理のその発言については大変軽々しい発言だというふうに思っております。
 総理、いかがでしょうか。
#74
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が新たな建設について触れたわけでありますが、旧政権におきましても、例えば島根原発等の、大間もそうなんですが、新設ということは決めているわけでありますが、そうしたことについても、今までの安全基準と照らして、そしてまた更に厳しい基準が適用されていくわけでありますし、そしてまた福島の第一原発とはまた違うものができていくということを説明する中でお話をさせていただいたところでございますが、基本的には、被災地の皆様のお話を伺って、新設についてはじっくりと、そういう皆さんのお気持ちを酌んだ上において、じっくりと腰を据えて慎重に考えていかなければいけないと、このように考えております。
#75
○金子恵美君 民主党は三〇年代に原発ゼロという、そういう考え方を出させていただきましたけれども、総理はそれについても見直していくというようなことだというふうに思います。総理がおっしゃっておられることは、福島に本当に寄り添っているのかということを明確に示していないと私は思っています。
 福島県の中では、今も、「原発のない福島を」ということで、県民大集会というのを今準備をしているわけなんですけれども、これは三月の二十三日に開催されることになっております。呼びかけ人の方々というのは、女性団体の方々や、そして県旅館ホテル生活衛生同業組合の皆さん、そしてまた県森林組合連合会、そして生協、そして地元の大学、福島大学の教授ということになっておりますけれども、そして県農業協同組合、ですからJA中央会、そしてまた県の漁協組合というような方々が呼びかけ人の中に入っているんです。これだけの方々が原発のない福島をということで大集会を開催しようとしているということであります。
 この大集会の御案内を根本復興大臣にも差し上げたというようなことで聞いておりますけれども、復興大臣は、この大集会には出席ができないというようなことでのお返事をいただいているということでありますけれども、その点についても、後ほどもし御答弁があればでございますけれども、是非出席についても御検討いただきたいと思います。
 といいますのは、どれだけ改めて原発の問題から多くの方々が被害を受け、そして苦しんでいるかということを訴える大集会でありますので、改めて、本当に被災地の皆さん、そして福島県民の皆さんに寄り添うという形であれば、私はそばに来て、そしてその声に耳を傾けて是非いただきたいというふうに思っているんです。その中で、私は、繰り返しになりますけれども、二十九日に訪問をして、そしてその次の日にはもう原発のことを語っているということでありますので、本当に思いやりがあるのかどうかというところを私はここは疑ってしまったところでありました。
 でも、今、安倍総理がおっしゃっていただきましたが、全ての閣僚、大臣の方々は復興に向けてしっかりと働けというような御指示を出したというようなことでありますので、その中で福島の再生をお考えになられ新しい仕組みというものをつくられたということでございますので、その点について御質問させていただきたいと思います。
 復興庁が発足して一年となりました。ボードをお願いしたいと思いますが、(資料提示)今回福島復興再生総局という、この仕組みができたということであります。
 これまでは、復興庁の下、被災三県に岩手復興局、そして宮城復興局、福島復興局が設置されていたわけですが、原発事故がある様々な課題を持っている福島県内には復興局、そして福島環境再生事務所と原子力災害現地対策本部の三つの出先機関があったということであります。その上部に現地関係政務の体制を整備するという目的でこの福島復興再生総局を設置したということでございまして、そしてまた復興庁内には福島復興再生総括本部というものが設置されているというようなことでございます。
 目的といいますのは、復興庁の司令塔機能を強化するということでありまして、復興大臣トップのいわゆる福島、東京二本社体制ができたということであります。二月の一日に設置されているということでありますけれども、中身はまだまだ稼働した状況ではないというふうにも聞いている、準備段階だというふうには聞いています。
 私自身も前政権で最後に復興の大臣政務官をさせていただきましたので、福島の復興局に勤務をさせていただく中、やはりほかの二つの組織とのやり取りの中で、もっと円滑にすべきであろうという、そういう事例もたくさんありましたし、今回のこの三つの組織に横串を刺したという点では、これは評価されることだというふうに思っています。
 以前から復興庁内でも実務者連絡会議というものを開催しておりましたので、各省庁との窓口となる担当者が一堂に会してそして議論をするという、そういう場はありました。復興局とほかの組織も会議の開催をしてまいったようですし、個々の課題への対応、これをそれぞれの担当者が進め、それを情報共有していくということで復興の全体像が見えてきたということであろうかと思います。
 今回、この図を見ていきますと、もちろんしっかりとした役割分担は残っているのではないかとも思うんです。徹底した対応がなされないといけないとも思いますし、その部分は理解できるところであります。しかしまた、どのように変わっていくのか、どのような形で司令塔が強化されていくのかというところはこの図からは見えないところでありますので、御説明をいただければと思います。
#76
○国務大臣(根本匠君) 安倍内閣発足以来、今総理大臣からもお話がありました、とにかく復興を加速させる、これが安倍内閣の最重点課題の一つなんですね。
 私が安倍総理から指示をいただいたのは、とにかく復興を加速せよと、そしてこの復興の推進体制の体制抜本見直し、これを是非やれと、こういう御指示がありました。ですから、安倍総理、十二月二十九日に早速福島に訪問していただいて、そして県民の皆様に寄り添った現場主義に立ってやれと、これが私に対する御指示でありました。
 一月中に三点やりました。一つは、今御指摘の復興庁の体制の強化、そして財源フレームの十九兆円から二十五兆円の見直し、復興加速策、復興加速のための新たな対策、この三つの大きな柱を一月中にやりました。
 御指摘の復興庁の新体制でありますが、今私も金子委員の話を聞いて、うん、なるほど従前はそうだったんだろうなと思って聞いておりました。我々がやったのは、これも安倍総理の指示ですが、福島、東京二本社制をつくる。要は、現場で即断即決できる体制をつくる。これが実はこの福島復興再生総局であります。
 これは、委員御承知のように、復興局と福島環境再生事務所と原子力災害現地対策本部、この三つが分立していましたから、これを一元的に集約化する。そして、その事務方のトップには復興庁の事務方のトップを置く、事務局長。そして、その上に総括担当大臣たる私がいると。私の指揮の下に現場で即断即決する体制、三つの分立した組織を束ねる、横串を入れる、これをやりました。
 そしてもう一つは、復興庁の本体の方では、福島復興再生総括本部、これをつくりました。私が本部長で、関係省庁の局長クラスを併任を掛けて、そしてそこで束ねていく。この二本社体制をやりましたので、これで私は横串を刺して現場主義で即断即決できる司令塔機能の強化が果たされると思います。
#77
○金子恵美君 この復興再生総局でありますけれども、これは法的根拠はありますか。
#78
○国務大臣(根本匠君) 国家行政組織法に基づく組織と、あとは様々な会議体という考え方がありますが、福島復興再生総局はそれぞれの役割を果たしながら束ねていく、ある種会議体という形ですが、全部併任掛けてやっていますから、これは司令塔機能の強化はしっかり果たされてまいります。
#79
○金子恵美君 法的根拠のないつまり組織が、法に基づいて設置されている福島復興局、これ、復興局は御存じのとおり復興庁設置法です。そして、福島環境再生事務所は環境省設置法に基づく環境省令に基づく。そして、原子力災害現地対策本部は原子力災害対策特別措置法、このような形で設置されているわけなんですが、繰り返しになりますが、法的根拠のない組織が法に基づいて設置されているそういうそれぞれの組織を実際に統括し、そして指揮し、現地で即断即決することが実際に本当にできるんだろうかと懸念するところがありますが、いかがでしょうか。
#80
○国務大臣(根本匠君) 福島復興再生総局、もう一度御説明をいたしますが、福島現地の三つの国の行政機関、これは各々責任を果たすことは当然なんですね。果たすことは当然のこととした上で、縦割りを打破して迅速かつ機動的に対応できるようにする、これらを束ねる体制として早急に整備したものなんですね。
 動くかどうかは、先ほど御説明をしましたが、福島再生総局は束ねて事務局長を置きます。復興庁の事務方を置きます。そして、その上に担当大臣たる私がおりますので、これは指揮命令系統ありますから、併任掛けていますから、これでしっかり動かしてまいります。
#81
○金子恵美君 併任を掛けているというようなことで、そうであれば、本当にこの体制が、陣容という形へ、陣容についてということでお伺いさせていただくと、全体の体制はどういうふうになっているのでしょうか。それぞれ横串は刺したということではあります。もちろんそれについては私も正しいやり方であろうかというふうに思っているところでありますが、実際に動かせるのかというところだというふうに思います。
 そしてまた、さらに、我が党の中にも復興調査会という仕組みがありまして、その中で復興庁の参事官から説明を受けたときに、現地での即断即決というものは目指すけれども、この復興再生総局で解決できない問題については福島復興再生総括本部の方ですね、こちらの方で取り扱うのだというようなことをおっしゃっておられました。
 そうすると、その福島とそして東京でどのようなやり取りがこの中でなされていくのか。この矢印、この図にも矢印がありますけれども、これは連携なのか、それとも指示を出していくやり取りがあるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#82
○国務大臣(根本匠君) 福島復興再生総局と、それと復興庁の福島復興再生総括本部、この関係ですが、現場で一つの束ねる機能をしっかり持たせましたから、現場で即断即決できるものはそこで即断即決してもらう。もう今動いていますからね、機能していますから。そして、現場で解決できない、例えば各省庁の制度間にまたがるような話、これは当然福島復興再生本部、私が担当大臣ですから、そこで関係省庁を束ねていますから、そこで解決をしていく。例えば集団防災移転促進事業の、例えば市町村が買い取ろうとしたときに農地だと転用の許可が必要ですよと。これで手続が時間が掛かった。これはもう一月に農林水産大臣と復興庁、復興大臣、私が話をして、それは転用許可は不要になりました。
 こういう事例は一月でもたくさんもうありますから、どんどん我々がリーダーシップを持って、しかも、復興大臣は福島再生総局の担当大臣、そして、各省庁を束ねる担当大臣でもありますから、しっかり動かしてまいりたいと思います。
#83
○金子恵美君 結局は、霞が関といいますか、東京で決めていくということになっていくんだろうなというふうに思うんですが、その見えていくところ、もちろん福島復興再生総局の中でしっかりと現場とのやり取りをしているというところは、ここはしっかりと地元の皆さんの、あるいは首長さんたちのお声もしっかりと聞きながらやっていくと。そして、例えば制度等を変えなくてはいけない部分については恐らく東京に持ち込みながら、その復興が進まない原因というものが例えば制度であるということであれば、それを変えていくということは東京の方で恐らくこれはしっかりと議論をしていくということになるというふうには思います。
 しかし、スピーディーに本当に復興を進め、そしてニーズに合わせた形で対応するということは、もちろんこれは各省庁が全て横串を刺していただいた形で地元福島でやらなくてはいけないことでもあろうかと思います。もちろん復興局の中には各省庁からの方々が入っていると思いますが、しかし、この部分の強化をしっかりとやっていかなければ今までとそんなに変わらない状況ではないかというふうに思いますが。
 そしてまた、もう一つ申し上げさせていただくと、この二本社間で一つの課題について意思のそご、決定の違いというものが生まれることがあるのかどうか、もしあるとしたら、もちろん、東京も福島もトップが復興大臣、根本復興大臣でいらっしゃいますので、トップダウンでしっかりと指示をし決めていくということが可能であるのかどうか、そこを確認させていただきたいと思います。
#84
○国務大臣(根本匠君) 福島再生総局と福島復興再生本部ですね、これで意見が食い違うとかそういうことはありません。というよりも、最終的に私がそれは決めていきますから、それはスピーディーに、迅速に決めてまいります。だから、そこでそごが生ずるということはあり得ません。
#85
○金子恵美君 大変重い言葉をお伺いしたというふうに思います。
 いろいろな決断、もちろん復興大臣が様々な課題がある中で、この大きな組織全体のトップ、つまりは省庁の、それぞれの省庁よりも上にいるというような形でこの福島の復興については最終の決断をされるということでありますので、そういうことはないということを願っておりますし、福島県の出身の大臣でいらっしゃいますので福島県民に寄り添う形での御決断をされるということを望んでいるところでありますけれども、もしそうでない場合というのは大変な危険な状態もあるのではないかというふうに思っております。
 ただ、この仕組みについてはこれからいよいよ本格的に動いていくというようなことでありますので、設置根拠ということだけではなく、あるいは、どのような形で最終の決定、決断がされるのかというそういうやり取り、そういう仕組みだけではなく、やはり人員についても、そこで働く人たちの確保といいますか、トータルして実際は六十名になる、そういう体制になるというように伺っているんですが、そのことについてもこれで十分であるのかどうか、いろんなお考えがあると思います。実際に復興予算が出されていっても執行率がなかなか、例えば六割ぐらいにとどまってしまっているということが昨年六月の復興庁が公表した資料では分かったわけですが、本当にここには、私もいつも感じていたことではありましたけれども、人を集中して出していただきたいという思いがありました。
 それで、今回も除染を含めた復興を加速させるためには、とにかくお金を付けるだけでなく、そこに人の配置をしていくということが重要であろうかと思いますが、その件について今後のお考えというものがありましたらば、お聞かせいただきたいと思います。
#86
○国務大臣(根本匠君) 復興については、それぞれの官庁がそれぞれの所管を担っているという部分も大変多いものがあります。ですから、全体の復興加速のためには、必要な人員、予算、それぞれの担当省庁でも拡充していただく必要がありますし、例えば除染はそうだと思います。それから、復興庁本体としても、復興庁は各省庁の総合的な司令塔機能ですから、復興庁の本体の人員増強も必要なんですね。ですから、今、復興再生総局の体制、これについては人員強化を進めることとしておりまして、現在準備中であります。
 しっかり司令塔機能が発揮されるように人員体制の強化に努めて、鋭意全力を挙げて取り組んでまいります。
#87
○金子恵美君 準備中というようなことでありますので、復興については、いつも申し上げていることでありますが、党派を超えてしっかりと心を一つにして進めていかなくてはいけないことでもありますので、期待をします。しかし、一方ではしっかりと、もし課題があればチェックをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 先ほど来、復興のスピードアップということをおっしゃっていただいているんですが、これが本当にできるのかどうか。
 組織はできました。そして、今それぞれ準備、鋭意努力をしているということでありますが、安倍政権は、国土の強靱化を進める観点から、平成二十四年度補正予算、そして平成二十五年度予算を通じて、いわゆる十五か月予算において公共事業関係費として七兆七千二百七十九億円を盛り込んでいるということであります。公共事業予算の増加によって、かえって福島の復興にブレーキが掛かるのではないかと懸念されるところでもあります。
 もう既に私も、先日、町村会の首長の皆様と意見交換をさせていただいた折に、その中で、地元、復興が進められているちょうど新地町の町長からの御意見ではありましたけれども、やはり人、物が足りない、そして、今回、公共事業を全国的に展開することによって、被災地での公共事業が遅れるのではないか、復興が遅れるのではないかと、人と物がどんどん福島から離れていくのではないかという御懸念があるというような言葉も伺いました。
 この件につきましては、もう既に衆議院そして参議院、この予算委員会の方でもいろいろと御質問があったと思います。特に、その際、国交大臣、復興大臣、それぞれ御答弁の中で、全国的な公共事業の増加による被災地の復興の遅れの可能性を認められているということではないかと思います。様々な対策、工夫が必要であるというお言葉を何度もおっしゃっていました。そうであれば、この様々な対策、工夫というものはどのようになされていくのでしょうか。
 ちょうど昨日でしょうか、復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会、この会議が開催されたということであります。これは前政権、民主党政権下でつくられた組織でありまして、もう既に以前から、復興を進める段階で大変この課題が大きいということが分かってこの組織がつくられ、そしてその中でこの施工確保に関するための様々な対策というのを考えてきた、検討されてきたということであります。実際にこの連絡協議会が安倍政権になって昨日初めて開催されたのではないかと思います。
 そうであれば、一言で言うと、もう以前からこのような状況があるということは分かっていたわけで、その上で補正予算の編成に当たられているということです。しかも、もう既にこの補正予算が衆議院を通過する段階で当然開催されるべきものだったかもしれない。しかし、それも後回しにされた段階で、いろんな予算委員会の中での議論はされてはいましたけれども、しかし実際に会議の中でしっかりとした検討がなされないまま、御答弁のみということでありました。
 ですから、私から見てみますと、この協議会の開催というもの自体が何かアリバイづくりのように思われるところもあるのですけれども、実際であればもっと、増大した公共事業の執行に伴って人材不足、資材不足が起こるだろうということはもう既に予測がされていることでありましたので、単なる公共事業の予算ありきと、そして被災地の復興の遅れとか、そういう混乱というものは後回しにされていたような感がいたすところであります。復興の加速が使命という、先ほど来おっしゃっていただいているその表の言葉とは違っていて、実は別な考え方があったのではないかというふうに私は思うところであります。
 総理が何度もおっしゃっている復興が最優先ということであれば、なぜこのような形の予算付けをしているのか、そしてまた、さらには、本当に今後復興を遅れさせないためにどのような方策を考えていらっしゃるのか、太田国交大臣にお伺いしたいと思います。
#88
○国務大臣(太田昭宏君) 御指摘のように、昨日、その協議会を行いました。そして、それ以前からこの資材と人の不足ということについては大変大きな問題になっていたという状況の中で私たちが政権を担当したということでございます。
 そこで、具体的に何をするかということが一番大事なことだというふうに思っておりまして、そういう点では、まず、人ということについては、人材をできる限り効率的、広域的に行うということで、地域内外の建設業で結成するJVというのをつくる。そしてまた、技能者、技術者というのがいない。それで、例えば技術士という資格がある人がいますが、これが兼任できるというような形を取るとか、様々な形で人の不足ということについては現実に今動いているという状況にございます。
 それから、生コンが大変不足しているということで指摘があります。現実には、生コンの不足ということで、今日の報道でも、また昨日の会議でも、四三%価格が仙台地区で上がるというんですが、地域によってこれも違います。仙台の南の方ではそういうことが特に起きています。ところが、先生の福島市や南相馬というところの価格は四%増というような形になっております。
 いずれにしても、これは工事量ということとの関係性も当然あろうと思いますから、これについては、民間のプラントを設置する。そして、生コンということについて、骨材が必要でありますから、砕石ですね、生コンのプラントは現地に据え置き、これが不足しているからそれを造る。そして、その材料となる骨材というのを、これは広域的に集めなくちゃなりませんから、港の整備とかそういうことも含めて広域的と、そしてそのプラントのあるところに寄せるという仕組みをしっかりつくるということで、これも動き出しているところでございます。様々な手を打ちまして、人、資材ということについての手を現実に打っているということで、昨日もそうした協議の中でもそういうことを急げという、何とかしてほしいという話がありました。
 なお、このことで、全国でこの復興というもので資材や人が足りないというところに、大型の補正予算を作ってかえって復興の妨げになるのではないかというような議論をする方がいらっしゃいますけれども、現実にはそうではございませんで、現地で人、物ということについてはまずしっかり手を打つんですが、全体的な例えば規模からいきますと、今回、国土交通省管轄公共事業予算というのは一・八兆です。当初の予算は大体五兆規模です、この三、四年。といいますと、全部で六・三兆、五兆のうちの四・五兆が公共事業なんですが、公共事業としては補正、今回の、補正一・八兆とそして四・五兆を足して六・三兆円という規模がこの十五か月予算として出るということです。
 二十一年度のちなみに国交省のそうした公共事業予算は七兆二千という形になっております。十分これは、広域的な連携を取って、今回特に急に跳ね上がったということではありません。十分潜在能力があるという、この広域連携とかそうしたことをしっかりやりまして、何としてでも復興を加速したい、そして全国の防災・減災、老朽化対策というのを推進したいと、このような強い決意を持って挑んでいるところでございます。
#89
○金子恵美君 国交大臣から御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 今おっしゃっていただいたことは、繰り返しになりますけれども、もう既に被災地における復旧復興施工確保対策の一環として民主党政権から行われていたことであって、技術者の配置基準の緩和とか、実勢価格を反映した労務単価の設定、そして急激な物価変動に伴う請負代金額の変更等の措置というものが講じられてきた。しかし、それでもまだまだ今のような懸念が払拭されないというような状況で入札不調が多発しているということでありまして、昨日、協議会が開かれて、生コン等の対応等はされているということではありますけれども、人の対応、本当にできるのかどうかということです。もちろん、技術者の配置の問題というのはある程度緩和されているというようなことではありますが、実際に現場で働く人たちの確保というのは大変厳しい状況になってきていると思います。
 福島県はそれ以外に除染に対応する労働者の方々を必要としている状況もあります。求人はたくさんありますけれども確保ができないという状況もあります。今、県外から福島県内に働きに来られている方々もいますけれども、そういう方々がこれからも福島の復興のために残っていただけるのかどうか、そういう体制も含めて検討をしっかりとしていかなくては本当に地元福島の復興はできないというふうに思いますので、根本大臣からも一言あればお願いいたします。
#90
○国務大臣(根本匠君) 被災地の人材不足、資材不足への対応、これは更に重要な課題になると私ももう復興大臣に就任以来認識しておりました。ですから、連絡協議会の開催を待つことなく、私も関係省庁としっかりと議論をしてまいりました。
 もう国土交通大臣から対策についてはお話がありました。やはり、宮城、岩手、福島、それぞれ災害が起こったところって現地の状況異なりますから、地域別にきめ細かな対応が私は必要だと思っているんですね。
 ですから、人材不足についても二点あります。広く人材を集めるという対策と、そして人材をできる限り効率的に活用する。先ほど来、国土交通大臣、そういう御答弁でありました。私も二つの視点から必要な対策をしっかり打っていく。
 資材についても、地区別、資材ごとにきめ細かな対策を打っていく。そして、どれだけこれから需要が出てくるのか、それをあらかじめ想定して、きちんとした供給体制が組めるようにやっていく。
 いずれにしても、これは現場主義に立って、きめ細かに柔軟に対応してまいりたいと思います。
#91
○金子恵美君 しっかりと対応いただきたいと思いますが、ふるさとの復興のためには、やはりふるさとの未来を担う子供たちが存在していなければなりません。その子供たちが心身共に健康に成長していける、その環境というものをしっかりと取り戻す必要があるというふうに思います。
 福島県では原発の問題から放射能への不安というものがありまして、その不安感から屋外活動を制限している子供たちがたくさんいるということであります。十分な外遊びができないということから、肥満の子供の割合が増加しているということが文部科学省の調査により明らかになったところでありました。
 民主党政権においても、これまで、二十三年度第二次補正予算の福島県原子力被災者・子ども健康基金、平成二十三年度予備費は原子力被害応急対策基金というものを活用しましてサマーキャンプ、リフレッシュキャンプというのを行ってまいったところでありますが、これは休みの日を使った一時的な対策ということでありました。
 これが十分ではないということであれば、今度は日常生活においての子供の遊び場、屋内遊び場というものが必要であろうということで、これは実は安心こども基金等の活用をしまして屋内遊び場の設置の支援を進めてきたところでもありました。
 これは福島県内に三十八か所設置されているということでございまして、根本大臣の地元の郡山、大臣も視察されたということでございますが、ペップキッズこおりやまですね、これも今申し上げました安心こども基金の活用もされているということでありますが、これからますますこのような屋内遊び場をしっかりと確保していくということが必要となってくるというふうに思いますが、どのようなお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。
#92
○国務大臣(根本匠君) 私も、三・一一以降、子供の心と体にいろいろな影響が出るんではないかと心配しておりました。特に、屋外での活動が制限されておりましたから、子供たちが運動する機会が減っている、金子委員御案内のような問題点も生じてまいりました。
 ですから、私は、この福島の問題を解決するためには、子供が伸び伸びと運動できる、そういう機会を提供しなければいけないと私も思っておりました。ペップキッズもそのとおりです。委員御案内のように、今までも安心こども基金を活用して、小さなお子さんたちの屋内運動場、これは三十八か所とおっしゃられましたが、それを活用してやっていただきました。
 やはり、私は、今の子供の問題を考えますと、小さな子供の段階で運動不足が生じた。これからゴールデンエージを迎えるんですね。小学校の高学年から中学校、これのゴールデンエージ、これを迎えてしまう子供が多いんですよ、運動不足のまま。これはやはりしっかりと対応しなければいけないと思います。運動不足だった子供は、これから取り戻すためには二倍の運動量が必要なんですね。これは専門家がそうおっしゃっておられます。ですから、二十五年度予算において、子供の運動機会を確保するための、まあ徹底的に除染して屋外運動施設を造りたい、こういう要望もあります。それから、雨が降っても雪が降っても子供が運動できる屋内運動場、これは非常に強い要望をいただいておりますので、そういう屋内運動場も整備できるように。そして、単なるハードだけでは私は不十分だと思います。やはりソフト面も必要なんですね。どういう運動を子供にしてもらうか、科学的、合理的に。スポーツトレーナーによる運動指導等のソフト事業、それを一体的にやれるように、子ども元気復活交付金というものを二十五年度予算で新規に盛り込んだところであります。
 これらの予算を活用して、そして安心こども基金も活用して、是非これから日本の子供たちのモデルになるように、福島の子供たちの心身の健全な発展を促してまいりたいと思います。
#93
○金子恵美君 今回の復興庁の予算の中に、福島定住緊急支援交付金というものがあります。その中で、屋内遊戯施設の整備等に使えるというようなことが示されているわけなんですけれども、これは使い勝手が本当にいいのかどうか。維持費とか運営費は、これは使用することができないということであれば、ほかの今おっしゃっていただいたような基金等も含めて、ほかのメニューと一緒に組み合わせて、こちらの交付金が箱物であれば、中身については組合せをしながらしっかりと対応いただけるということでよろしいでしょうか。
#94
○国務大臣(根本匠君) 子ども元気復活交付金、これは福島定住緊急支援交付金とも言っておりますが、これはまずハード事業、これはやっていただくんですね。一方で、効果促進事業という概念で、これはほかの復興交付金にも効果促進事業という概念がありますが、ソフト施策にも使えるような、一定の割合でソフト施策に使えるような、併せてやれるような予算になっておりますので、その効果促進事業を使っていただくということと、もう一つの組合せとしてはこども基金。こども基金も使えますから、施策をうまく組み合わせていただいて、有効に活用していただきたいと思います。
#95
○金子恵美君 大変有り難い御答弁いただいたと思います。
 この件について、例えば安心こども基金の所管である厚労省さんに聞きましたらば、なかなかその形で使えるのかどうかというのが分からないということでありましたので、今おっしゃっていただいたように、間違いなく箱物と、そしてまた運営費、維持費等は別のものとということで、組合せをしながらしっかりと対応いただけるということの御答弁だったと思いますので、それは歓迎したいというふうに思います。
 さらに、私は昨年十二月に、日本赤十字社福島県支部の復興支援事業における屋内プレイランド事業、「すまいるぱーく in FUKUSHIMA」という期間限定の仮設屋内遊戯を視察させていただきました。これは、一言で言いますと、海外救援金を財源にして行っている事業でありまして、家電六点セットの寄贈事業と同じような財源で行っているということでありますけれども、どういう内容かといいますと、開催場所を変えながら、そして期間を限定しながら、そしてまた中身の遊具も実はレンタルですので毎回毎回変えながら、そして子供たちにおいでいただいて、そして自由に遊んでいただくというような事業なんです。
 これのいいところといいますのは、自治体がやっている固定の施設の補完になるというようなことだというふうにも思います。そのように御説明もいただきました。そしてまた、その遊具の中身が毎回毎回やるごとに変わるということと、そしてできるだけ県内各地、昨年の事業では七月から十二月の間に六回開催されているんですが、それが福島市、相馬市、いわき市、白河市、そして相馬市、福島市ということで、それぞれ毎回違っているところで開催というところで、そして中身もその開催施設も違っていますので、その場、そのときそのとき、その回ごとに遊んでくださる子供たちも違っているということであります。
 こういう事業もあるんですが、恐らくNPOも含めて、このような事業を展開していらっしゃる方たちは今県内にいらっしゃいます。
 それで、先ほど申し上げました安心こども基金をまだ活用できていない、そういう事業所、事業者もいらっしゃるというふうに思っていますが、今申し上げたような形で、移動遊び場といいますか、そういうことについての支援というのが今おっしゃっていただいたようなメニューの中でできるのかどうか、あるいは今後検討していただけるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
#96
○国務大臣(根本匠君) 先ほどの私の定住交付金の方は効果促進事業でも柔軟に対応できると、あと、施設を設置した以降については安心こども基金も活用していただきたいと、こう思っておりますが、今先生の御案内のお話については、これは厚生労働省所管だと思いますが、これは安心こども基金、福島県にも基金として健康管理基金とかいろんな基金が積まれていますよね。私は、できるだけその基金で、取崩しでやっていくわけですけど、その様々な基金、安心こども基金を含めて、その中で対応していただきたいなと思っておりますが、これは突然のお話なので私がここで断言するわけにはいきませんのでよく研究させて、厚生労働省などとも協議をして、しかるべき対応、どういう対応が可能か考えてまいりたいと思います。
#97
○金子恵美君 是非御検討いただきたいと思います。様々な場所で、本当に子供たちが自由に遊べる場所というのが必要になってきているということですので、選択肢は多ければ多いほどもちろんいいわけです。よろしくお願いいたします。
 そして、今、子供の体のお話というか健康ということを申し上げましたけれども、肥満対策ということから今のようなお話をさせていただきましたが、改めて子供たちの心のケアというものも必要になっているわけであります。
 文科省が保護者に震災後の子供の様子を尋ねた調査によりますと、福島県の子供たちは、ほかの被災地と比較して変化が見られた子供の割合が非常に高いものとなっていたということでありまして、例えば、物音に敏感になったり、いらいらするようになったとの回答は一六・五%、よく甘えるようになったとの回答は一七・四%に上るということで、どちらの項目も全体平均と比べて七ポイントも高いという数字が出ております。
 こうした子供たちの心のケアについては、これまでも文科省がスクールカウンセラーや加配教員の配置など対策を講じてまいりましたけれども、実は阪神・淡路大震災の場合、震災が発生した直後よりも震災後二年から四年後にかけてこの心のケアが必要な子供の数がピークとなっていると伺っています。東日本大震災についても同様の傾向がこれから生じるということだと思います。予想されることであります。ちょうどそろそろ震災から二年がたつところであります。
 そうであれば、これからますます本腰を入れてこの心のケア対策をしていかなくてはいけないということでありますけれども、今後どのような対策を進めていくのか、お伺いしたいというふうに思います。
#98
○国務大臣(下村博文君) お答えいたします。
 私が文部科学大臣就任して初めて視察に行ったところは福島でございまして、いわきに行きまして、被災した子供たち、小学生、中学生等と話もしてまいりました。最大限応援をさせていただきたいと思います。
 そして、心のケアでございますけれども、御指摘のとおり、中長期的に継続して取り組むことが重要であるというふうに考えております。
 文部科学省では、幼児、児童生徒等の心のケアのために、平成二十四年度予算において緊急スクールカウンセラー等派遣事業、これは全額国庫負担で約四十七億円、復興特会会計、これはそれぞれの被災県からの御要望をそのまま受けて満額で措置をさせていただいておりまして、被災三県の要望に対応して、全国から延べ四千百十四名のスクールカウンセラー、派遣しております。延べといっても、実際は、実数は百九十三人で、その方々が二十週にわたって行かれているということで、合計するとその数になります。
 さらに、平成二十五年度予算においても同じこの事業において要望、三県の合計額が約三十九億円でございますが、これも計上させていただいております。
 被災地の要望を踏まえ、引き続きこれからも切れ目のない支援に取り組んでまいります。
#99
○金子恵美君 下村文科大臣からの御答弁をいただきまして、今、四十七億円、二十四年度予算があったけれども、今回は三十九億ということで減額となっている。執行率の問題があるということでありますが、実はここで課題になっていくのが、私はニーズが明確にそこにあるからそれに対して予算を付けるということだけでいいのかということだと思うんです。
 といいますのは、実は顕在化していないニーズというものをしっかりと掘り起こすということが私は重要であろうかというふうに思っております。
 ですから、スクールカウンセラーの配置というものはとてもいいことであると、いい対策だというふうには思いますが、それだけではない。スクールカウンセラーに例えばカウンセリングを受けに行くという状況になるまでの段階で、やはり実は心のケアが必要である、その状況に至るまでの前にいろんな対策というのを取っていかなくてはいけないというふうに思うんです。
 恐らく、要望があったのでそれに対して付けましたという言い方をすると、これだけのニーズがあると、実はこれだけの心のケアが必要になっている人たちがいる、そしてその段階で出すということではないかと思うんですね。そうではなくて、やはり予防とか、あるいは隠れてしまっているケアを必要とする子供たちに対しての対策というのもしっかりと取っていかなくてはいけないというふうに思っているんです。
 であれば、最も恐らく重要であると思われるのは、ふだんから接していらっしゃる教員の方々の加配も含めてしっかりと進めていくということだというふうに思います。いかがでしょうか。
   〔委員長退席、理事小川敏夫君着席〕
#100
○国務大臣(下村博文君) 御指摘の点はおっしゃるとおりだというふうに思います。
 今回は被災三県からの御要望を受けた額をそのまま計上したわけでございますけれども、それ以外も、この被災三県に対する加配教員を一千人手当てを二十五年度もする予定でございますし、また、これから御議論になるかもしれませんが、いじめ対策等においても更に教員の増加を図っているところでございますし、いろんなレベルでしっかりと教育についての対応をしてまいりたいというふうに思います。
#101
○金子恵美君 引き続きの教員加配も含めての対策をしてくださるということですので、よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、心のケアを必要とする子供たちの中では、やはり放射線への不安という福島県独自の課題を抱えている人たちがいるというふうに思います。そこで、スクールカウンセラーの方々、また教員の皆さん含めまして、やはりリスクコミュニケーションをしっかりと充実させるということも必要かというふうに思います。
 いろんな情報を発信していらっしゃる方がいる中で、本当に知識はたくさんお持ちになっている親御さんはたくさんいらっしゃるんですが、それが整理をされていないということ、そしてまたさらに、不安で、とにかく不安で仕方がない親御さんの思いが子供たちにそのままうつるような形で、また子供たちも不安感を抱えるという毎日を過ごしているという、本当に家族全体での大変な苦しみをしているということになっています。
 しっかりとしたこのリスクコミュニケーションも含めての相談体制をつくっていくということが必要かというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
#102
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、あらゆる形で教育環境の整備について福島の子供たちのために対応してまいりたいというふうに思います。
 福島県において、例えば仮設校舎や避難先等での学習を余儀なくされている子供たち、今全部で一万八千人近くおられる。この子供たちに対して、教育現場も復興また途中であるという状況の中で、子供たちが以前と同様、落ち着いた環境の中で安心して学べるような継続的な支援をしていくことが重要であるというふうに認識をしております。
 先ほども申し上げましたが、一方で、福島に視察に行きまして、福島の子供たちが困難な状況の中にあってもたくましく生きていて、前向きに、そして、自分たちが多くの方々に支援をしていただいた、今度は自分たちが日本だけでなく世界の人たちに恩返しができる、そして、世界の人たちの役に立つような仕事を大人になってしたいということを次々と一緒に給食を食べたとき発言をしていることを目の当たりにいたしまして、本当に私も感動いたしました。そういう彼らの夢が実現できるよう、全力を尽くしてこれから応援をしていきたいというふうに思います。
 文部科学省としては、子供たちの学びたいと思うその思いにこたえまして、福島県からの要望を踏まえつつ、学校施設の復旧、それから就学機会の確保のための経済的支援や心のケアの充実、被災地の教育活動への支援等、環境整備に一層努めてまいりたいと思います。
#103
○金子恵美君 心のケア、しっかりと進めていただきたいというふうに思いますが、また、今も申し上げました放射能との闘いということでの不安感との闘いということで、健康調査が進められている中、例えば甲状腺がんの検査の結果について信頼性を得ることができない状況にあって、そして検査後、かえって不安感を持つという、そういう方々がいらっしゃるというのも実は事実でありまして、この検査の結果についての不安から心のケアを必要とするという人たちがいるという状況をどのように把握していらっしゃるか。
 そしてまた、その検査体制と、そしてまた検査結果についてきちんと説明できる場が必要になってくるのではないかというふうに思っておりますし、その中でしっかりと理解を得ることができるような体制を整えなくてはいけないというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。これは環境大臣。
#104
○国務大臣(石原伸晃君) もう委員御承知のことだと思いますが、福島県が行っております健康管理調査、特に放射能に関連しては、子供さんたちが甲状腺がんが多様に反応するというような指摘もありまして、三・一一の発災以来、たしか三十六万人でございますか、の調査を二十五年度中に一巡するという形で福島県が鋭意検査をしていただいておりますけれども、今委員の御指摘のとおり、検査の意義やこの結果は何と比較するんですかといったような不安が出ていることも事実だと思っております。
 そんな中で、これは前政権下でもございますけれども、受診者及びその保護者に対してその検査がどういうものであったんですかということをより丁寧に、理解を促進してもらうために、甲状腺検査というのは、普通の方は、成人の方はやりません、ほとんどやりませんので、これはどういうものですよというようなことが簡単に書いてあるもので御説明をさせていただいたり、あるいは、そういう方が集まる説明会ですか、こういうものを開催して取り組んでおります。
 そこで、国として何ができるのかということですけれども、これも委員御承知のことだと思いますが、福島県で今三十六万人の方は鋭意調査している、じゃ福島県外の方々と比較してどうかということが分かれば、ああなるほどなとその検査を受けた方が多分御納得、理解が進むということで、青森、山梨、長崎ですか、こちらで四千五百人を対象に同じような調査をさせていただいております。この調査結果というものも来月中には取りまとまりますので、その結果等々もまとまり次第明らかにさせていただいて、福島県の検査結果の理解促進、そして委員が御指摘されたその不安感の払拭に国としても全力を挙げて取り組ませていただきたい、こんなふうに考えております。
#105
○金子恵美君 県内でももっとスピーディーにエコー調査のできるお医者様を増やしていくということも重要であろうかと思いますが、なかなかそれには時間も掛かるでしょうし、また、もう既に医師不足という状況が発生している中、お医者様のその負担を大きくしてしまうというようなことから、医療サービスの質が低下するのではないかという懸念もあります。
 いろんな課題があるところであります。福島県の医師一九%が体調不良であるという調査結果が出されているということであったり、また福島では六二・九%に上るお医者様がストレスを感じているというふうに、そういう回答をしているという、これは日医総研でやった調査でありますけれども、そういう数字も出ている中で、しかも子供の健康調査をしっかりできる体制を医療従事者にお願いしたいということでありますので、これについてもしっかりとこれからどういう体制が必要なのかということを御検討いただき、体制を整えていただきたいというふうに思っているところであります。
 本来であればもう少しこの件についても質問したいところでありますが、時間が限られておりますので、次にいじめの問題に入らせていただきたいと思います。
 まず、第一次安倍内閣が発足した平成十八年当時においても、実はいじめによる自殺事件が社会問題化しておりました。安倍総理大臣の肝煎りで設置されました教育再生会議においても、いじめ問題は主要な課題として議論されました。
 第一次報告書では、いじめ相談体制の抜本的拡充、荒れている学校をなくすための予算、人事、教員定数で支援することや、教育委員会は、いじめ、校内暴力など学校の問題発生に正面から向き合い、危機管理チームを設け、迅速に対応することなどが提言されていたようであります。
 平成十八年その当時の議論も踏まえまして、なぜ今いじめがまだなくならないのか、そして総理、いじめをなくすために最も重要なことは何なのか、お答えいただきたいと思います。
#106
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 第一次安倍政権のときにも、いじめを苦にしてお子さんが自らの命を絶つという悲しい出来事がございました。そして、それはまた報道等によって連鎖を呼んだわけでありまして、それを何とか止めなければいけないというのが教育再生会議ができて最初の使命ともなったわけでありまして、今例として挙げていただきましたように、相談体制等を充実をするということでございました。
 その際にも議論になったわけでありますが、果たして、では、いじめを全くなくすことができるかといえば、まず大切なことは、当時は、いじめを苦に自殺に至る、それを何とか食い止めなければいけないということにおいて、早期発見をする、また学校側がいじめがあったことを隠蔽しないようにするということが大きな課題でもあったわけであります。大津の事件の結果報告書を見ても、やはり課題としては、大切なことは早期に発見をするということと、そしてもう一点は、学校として組織的にそれにしっかりと対応していくということではないかと思います。
 今、教育再生実行会議においても、このいじめの対応について議論をしているところでございますが、中長期的には、道徳の授業等も含めて、いじめについて、これはいかにひきょうな行為であるかということ、いじめられる子もいじめる側も、そして傍観者もつくらないような教育をしっかりとしていくということと同時に、今申し上げましたような早期発見体制もしっかり対応していかなきゃならないということで、今議論をしているところでございます。
#107
○金子恵美君 被災地の問題と関連して申し上げると、福島から避難された子供がいじめに遭ったという大変悲しい事件もありました。ですので、どんな状況の中にあってもいじめはいけないということをしっかりと言っていかなければなりません。
 実は、民主党は、いじめ・体罰防止対策ワーキングチームを発足いたしまして、そしてその中で、いじめは絶対に許されないという理念を踏まえて、全ての学校や教育委員会に常設のいじめ対策委員会を設置することなど、具体的実効性のある内容を盛り込んだ法案を取りまとめたところであります。やはり常設のいじめ対策委員会の設置、常日ごろからのいじめに対応することができる体制整備というものが必要になってくるというふうに思います。
 安倍総理も大津市の報告書を読まれたということでありますけれども、その中にはやはり、「緊急事態に備えて、学校及び教育委員会に調査チームなどの担当体制をあらかじめ決めており、シミュレーションを行うことによって事態に対応できるようにしておくべきである。」というふうに提言がされているということであります。
 実は、与党さんの自民党さんの方もいじめ防止対策基本法案の骨子というのを示されているようではありますけれども、それを拝見させていただくと、我々が設けているような常日ごろからのその常設組織の設置というのは言っていないようであります。私たちは、いじめ対策の体制として、国、教育委員会、学校、それぞれの常設組織をまず設置しましょうと、そしてまた計画もしっかりと策定しましょうと、これも国、教育委員会、学校、それぞれに策定をしておきましょうということを言っているところでありまして、その違いが如実に出ているかなと、比較をさせていただくと如実に出てしまっています。
   〔理事小川敏夫君退席、委員長着席〕
 繰り返しになりますけれども、これからのいじめ対策、どのような状況の中にあっても子供たちにしっかりといじめをさせないという、そういう体制をつくっていくということだというふうに思いますが、実効力のあるいじめ防止に向けた取組、どのようなものをお考えなのか、文科大臣、お願いいたします。
#108
○国務大臣(下村博文君) お答えいたします。
 御指摘のように、いじめは絶対に許されないと、そして加害者にもまた被害者にも傍観者にもならないと、そのためのしっかりとした国民意識、共有をしていくことによって対処していくことが必要であるというふうに思います。
 そのために、総理からもお話がございましたが、今、教育再生実行会議の中で、まずこのいじめ、それから体罰ですが、これについて今月中に提言をしていただきたいと思っておりまして、それを受けて、今御指摘のように、民主党さんの方でもいじめ対策防止基本法のような法律をお考えになっていらっしゃると。自民党も考えておりますし、また、さきの衆議院選挙で各党もそれぞれいじめ対策については対応を選挙公約等でうたっておりましたから、これはもう党派を超えて、超党派で議員立法で、是非、今国会でお互いに実務者協議をしていただいて、協調できるような形があれば是非それについて文部科学省の方でもバックアップをさせていただいて、できるだけ早く法制化をしていくことが必要であるというふうに思います。
 その中で、議員立法ですから、当然各党のそれぞれの法案のいいところをそれぞれが協議をして、そして一つの形に持っていくようなことについては柔軟に与党の方でも対応されるであろうと思いますし、委員の御指摘踏まえて対応しながら、また国がこの立法化をすることによって人とそして財源を確保すると、このことが地方自治体においても、大津でも条例を制定されたようでございますけれども、それぞれの自治体においても条例等を作っていただきながら、このいじめについては国を挙げて、また自治体を挙げて対応して、できるだけ早く根絶に向けて努力するという姿勢を示していくことが子供たちに対しても必要なことであるというふうに思います。
#109
○金子恵美君 是非、今おっしゃっていただいたような教職員の配置の適正化等も含めたプランをしっかりと整えていただきまして、いじめ対策を重点的に取り組んでいただきたいと思います。
 最後の質問に移らせていただきます。
 教育関連に、本当はインクルーシブ教育の在り方についてお伺いしたかったのですが、時間がありません。いずれにいたしましても、インクルーシブ教育の構築のためにしっかりと進めていただきたいということを文科大臣に申し上げさせていただき、そして学校教育法の施行令五条の改正という大きな課題がありますので、しっかり進めていただきたいと思いますが、最後に総理にお伺いします。
 民主党政権では、全ての人たちに居場所と出番をという言葉を掲げ、そして当然、障害のある人たちもない人たちも共に生きる社会を目指すということで、障害者政策を積極的に進めてきました。新しい仕組みである障がい者制度改革推進本部というものも立ち上げてまいりました。目標は、国内法整備を進めた上で国連の障害者権利条約を推進するということであります。国内法整備は進めてきましたが、政権が替わったことで、実は今国会で法案を提出しようとしていました障害者差別禁止法について全く動いていないという状況でもあります。
 安倍総理、共に生きるということについてどのような考えをお持ちでしょうか。共生社会についての考え方をお聞かせください。
#110
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍政権としても、また私自身も、障害者基本法に基づいて、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることはなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指していかなければならないと、このように考えております。
 全ての方々が、障害がある、ないにかかわらず、チャンスがある社会をつくっていく、そして、障害者の自立と社会参加の支援等のための施策を総合的にかつ計画的に進めていきたいと考えております。
#111
○金子恵美君 安倍総理、是非、被災地の皆さんに寄り添うだけではなく、全ての、全ての国民の皆様に寄り添う、そういう政治を行っていただきたいとお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございます。
#112
○委員長(石井一君) 以上で金子恵美さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#113
○委員長(石井一君) 次に、武見敬三君の質疑を行います。武見君。
#114
○武見敬三君 五年四か月ぶりに国政に復帰をいたしまして、初めての質問をさせていただきます。
 この二十一世紀の今日、アベノミクスでまさに我が国の経済、金融と財政とさらには成長戦略という三本の柱で国民の中で確実に明るさを持ち始めてきたということは、もう慶賀に堪えません。そこで、このアベノミクスというものと、また、新たにこれから構築されるであろう新しい持続可能な社会保障制度というものとパッケージで、一体どのような二十一世紀の新しい社会をおつくりになろうとされているのか、これをひとつ考えていただきたいというふうに思っております。(資料提示)
 実は、岸内閣とそれから池田内閣というのは、戦後の我が国のまさに国の形をつくった重要な内閣でした。岸内閣のときの一九五八年に健康保険法の改正、国民健康保険法の改正をやります。そしてまた、年金制度についての基礎もそこで築き、池田内閣の一九六一年のときに皆保険制度が達成をされ、皆年金制度が達成されます。
 そして、池田内閣というのは更に新しいチャレンジを行って、従来の経済成長が主たる目的であった、そうした経済の十か年計画というものの目的を変えた。すなわち、所得倍増という経済成長の結果をどう分配するかというところまで踏み込んで新しい経済十か年計画の目標としたと。しかも、当時の大蔵省は、所得税に関する累進課税率というのを七五%まで引き上げる。こうやって、言うならばこうした経済政策と社会保障政策というものがパッケージで一つの大きな国家目標を達成しようとしていました。それは何であったかといえば、健康で、そして教育レベルの高い中産階級社会を育て広げていくと、こういう大きな国家目標がその中にはありました。
 この表を御覧になってお分かりになると思いますけれども、その結果として我が国は高度経済成長にその後入るわけです。高度経済成長に入る前に、もう既にそういう準備を岸内閣と池田内閣がしてくれていました。結果としてどういうことが起きたかというと、貧富の格差を示すジニ係数というのがありますけれども、所得の再分配係数であります。このグラフを見ますと、何と、高度経済成長の時期であったにもかかわらず、我が国では貧富の格差はむしろ縮小したんですよ。
 これは、今、世界の多くの国で経済が成長し始めている、しかし貧富の格差がどんどん広がって社会の不安が起き、そして政治体制の不安まで起きようとしているときに、なぜ我が国ではこうした経済が成長しても社会が安定であったかといえば、こうした仕組みを事前にきちんと岸内閣と池田内閣でつくっていてくれたからなんですよ。こうしたことを今まさに同じ次元で考える時代に私たちは入りました。
 そして、まさにこのアベノミクスとして新しい経済政策を打ち出されようとしているときに、総理、新しい今度は持続可能な社会保障制度と併せて、どういう社会を総理は考えておられるんでしょうか。これをまず最初にお聞きしたいと思います。
#115
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もう武見先生に帰ってきていただいて、このようなすばらしい議論ができることは本当にうれしいと思うわけでありますが。
 岸政権のときに、岸政権といえば安保条約しか余り思い浮かばないわけでありますが、医療保険制度も、そして国民年金制度もここでスタートしたわけでありますし、もう一つ付け加えさせていただきますと、最低賃金制度も岸内閣時代に始まったわけであります。そして、もう一点言わさせていただきますと、高度経済成長は池田政権で始まったように思われているわけでありますが、そのスタートは事実上、岸政権で始まったわけでありますが、まさにこの高度経済成長をスタートさせていく中において、まずはしっかりとその分配を国民みんなでそれは分かち合えるように、その富を均てんできるような、そういう仕組みをつくったということが極めて重要であろうと、このように思っております。
 そこで、安倍政権が進めている経済財政政策につきましても、この運営において、デフレから脱却をして経済を力強く成長させていく中において、それによって生み出された果実はしっかりとみんなが分かち合えることができるようにしていくということが極めて大切なことであろうと思います。
 そして、やっぱりみんなが頑張って仕事をしていく、あるいは新しい会社をつくっていこう、思い切って一歩を踏み出していくためにはセーフティーネットが大切でありますし、人は一生懸命努力をしても、どうしても生活の基盤を失ってしまう場合もあります。そのときのセーフティーネットはしっかりと張っていく。しかし、そのセーフティーネットを張っていくためにも経済の成長が必要であります。経済の成長によって保険料収入、税収を確保して、この果実を配る、その財源も確保していく、この両方が大切なことではないかと思います。
 ちょうど池田政権のときにも論争がございました。経済成長よりも分配を先にやった方がいいんじゃないかと。そのときに、たしか下村治氏が、論争があって、あれ都留・下村論争ですかね、あのときに、やっぱり成長すると同時に、それによってちゃんとその果実を、一人が、特定の人間が独り占めにするのではなくて、それをちゃんと配分する機能を持っていれば、まずは成長していくということも大切であろうと、こんな議論があったことを覚えております。
#116
○武見敬三君 極めて大事な歴史の経緯も総理のお口から説明していただいて、誠に恐縮であります。
 ここの一つのキーワードは、やはり健康で教育レベルの高い中産階級社会という一つのイメージができていて、それを実現するために、非常にパッケージでいろんな政策が同じ方向を向いていたというのが、私は一つの大事なポイントだったと思います。そうしたことを、二十一世紀の今日、日本人一人一人の考え方、いろいろ変わってきている中でどう再構築するのかというのは物すごく重要な課題で、これは引き続き御議論をさせていただければというふうに思います。
 しかし、その中でも、社会の活力をいかに維持していくのかというのは大問題です。高齢化社会の中で、社会の活力を維持していくときの一つの課題はどこにあるかというと、実は熟年パワーなんですよ。要は、私も還暦プラス一でこの熟年パワーの一人でありますけれども、この熟年パワーの人たちの中で見ていると、八八%の人たち、九割方は七十歳までは仕事がしたい、そして社会とのつながりをきちんと持っていたい、そしてまた、同じく健康でいたい、そして経済的な安心感も確保していたいと。大体七十歳になるまで、最低で年収でも三百万円ぐらいは確保できればおおよそ安心できるんじゃないかと、こういう考え方を持っておられるわけですよ。
 こういう熟年パワーというものが、そのように元気で仕事をしておられて、その後は余生の中で生きがいをまた更に見付けていただいて、最後はぴんぴんころりという世界に入ってくれば、実は若い世代にも負担を掛けず、そしてまた経済の活力も維持できるということになるわけであって、こうした観点からのこの熟年パワーというものに対して、いかにこうした七十歳まで仕事がきちんとできるようにしたらよいのか、そしてその年収をどのような観点で確保したらいいのかというのは、先ほどの所得倍増計画の発想とも実は相似形の考え方の中で作り出されてくる政策だと思うのでありますが、この点に関しての総理のお考えをお聞かせいただければと思います。
#117
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 例えば、五十年前、六十年前に比べれば、今の六十代、七十代ははるかに元気、もう武見委員もそうですし、我が副総理もそうでありますが、これは、かつての五十代、四十代と言ってもいいぐらいの肉体的な、そして能力においても能力はあるんだろうと。ですから、その言わば時代に対応できる仕組みに変えていく必要があるんだろうと思います。
 生涯現役社会の実現に向けた高齢者の就労促進は安倍政権にとっても極めて重要な課題であります。このため、高年齢者の雇用確保を推進する制度改正がこの四月から実施されることとなっており、まずこの円滑な施行と定着に努めてまいりたいと、このように思います。
 また、三本の矢を始めとして、雇用と所得の増大を実現するための課題に鋭意取り組んでまいりますが、高年齢者を含めて頑張って働く人の所得を増やしていく、これは極めて重要なことでありますし、やっぱり高年齢者の方々がそういう意欲を失わない、それこそまさに目指すべき日本の社会の在り方ではないかと、このように思っております。
#118
○武見敬三君 極めて共通認識を持っていただけたことは、もう本当に感謝に堪えません。
 そして、この上で改めて今度は国民皆保険制度についてのお話を聞かせていただきたいと思いますが、国民皆保険制度といっても実は理解の仕方がたくさんあります。実際には、ただ医療保険のことだけを指しているのではなくて、その中身というのはおおよそ、WHOが総会でユニバーサル・ヘルス・カバレッジという言葉についての定義を下したことがあります。その定義というのは何であったかというと、誰もが負担可能なコストで適切な医療を受けることができるというのがそのユニバーサル・ヘルス・カバレッジのWHOにおける採択された決議であり、定義であります。
 この考え方をまさに実行するものが国民皆保険制度であると、こういうふうに私は考えるわけでありますが、この点について総理のお考えをお聞かせください。
#119
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさにおっしゃるとおりだろうと思います。かつて武見委員がイギリスで足を折られた際に……(発言する者あり)アキレス腱を切られた際に、日本の医療制度とイギリスの医療制度の違いを経験をされたんだろうと、このように思います。
 日本においては、誰でもどこでも皆、同じく医療のサービスを受けることができるわけでありまして、一定の自己負担でそのサービスを安心して受けられる仕組みになっております。このような国民皆保険制度は世界に誇るべきものであろうと、このように思うわけであります。まさに武見委員が身をもって経験した制度の違いですね。
 ですから、世界のいろいろな制度を見て一つだけを取り上げると、何かそっちの制度の方が優れているように誤解しがちなんですが、日本はまさに健康保険証を持っていれば日本中どこにいても同じようなサービスを安心して受けることができる、これはしっかりとこれからも世界に誇るべき制度として守っていかなければならないと、このように思っております。
#120
○武見敬三君 このまさに我々が国民皆保険制度と呼んでいる制度のおかげで、この図にございますように、日本の平均寿命というのはもう確実に延びた。これ、御覧いただきますとお分かりになりますように、大体、戦争直後ぐらいというのは男の平均寿命五十歳、女性五十六歳だったんですよ。これが大体、東京オリンピックぐらいまでの間に先進国の仲間入りできるぐらい平均寿命がぐうっと延びます。そのときまでのその延びた原因というのは、乳幼児死亡率を抑えるとか、あるいは妊産婦の死亡率を抑えるとか、あるいは結核のような感染症の死亡率を抑えたことによってぐわっと先進国並みに上がってきたんですよ。
 だけど、その後、日本が世界一の平均寿命まで例えば女性なんかが上り詰めてくるわけですが、それはなぜ可能であったかというと、成人人口、すなわち二十歳以上の人口の人たちの死亡率が抑えられて、引き続き延び続けたから日本の平均寿命というのは延び続けた。それはなぜかというと、そういう人たちがおおよそかかるであろう非感染症、慢性疾患にかかわる治療がこうした皆保険制度の下で地域医療で確実に普及していって、特にこれは、脳卒中というのは、高血圧症の方が大体その八割方脳卒中で亡くなるんですよ。この高血圧症の方々を地域医療の中で早く診断して、降圧剤の治療をして血圧を管理する、その結果として脳卒中で亡くなる患者さんを抑えていく、こうしたことでおおよそ一・二歳ぐらい平均寿命は延びているんですよね。
 こういうようなことが実際に可能であったのは国民皆保険制度があったからであって、これはまさに世界に冠たるものなんですよ。実は、この表も、イギリスの医学雑誌のランセットという雑誌がわざわざ、我が国の皆保険制度五十周年、これはおととしだったわけでありますけれども、それを記念して日本特集号を出してくれました。その日本特集号の中でこの事実が明らかにされているんですよ。
 したがって、そういう日本の皆保険制度、これは是非、どのような状況下においても徹底的にその基本は守っていただきたいということは総理に是非お願いをしておきたいと思います。
 そして、そのために一つお願いをしなければならないことは、医療保険制度に関しては持続可能性がかなり失われてきているというその事実なんですよ。我が国、三千五百もこの医療保険制度がある。そして、その中のほとんどが今赤字に転落してきている。そして、これを財政調整で、優良な保険者から高齢者が多くて支出の多い保険者に支援金を出すというようなことをやっている。しかし、それでも、今度はその支援金のおかげで雇用者保険のような優良な保険さえもがどんどんどんどん今度は赤字になって、保険料を上げてもまた赤字というイタチごっこになっていて、もはやあと何年かで全ての保険者赤字になっちゃうと、こういう構造に日本は今なってきているわけです。
 したがって、そういう中でどうやって我が国の医療保険制度というものを持続可能なものに再構築していくかということを考えたときに、私たちがやらなきゃならないのはやっぱり保険料にかかわる公平性の確保なんですね。既に岸内閣のときの改正で、実はいかなる保険者に属していても被保険者は同じ診療報酬が使われていることによってその給付というもの、すなわち医療サービスというのは同じものが受けられるという、まさに給付の平等というのは最初から達成されている。そしてまた、皆保険制度が達成されたことでアクセスの平等も達成されたわけです。そしてまた、時間は掛かりましたけど、患者負担の平等も、三割負担、そしてまた高齢者一割という形でおおよそその公平性が確保されてきた。しかし、この保険料にかかわる公平性だけは、保険者によって、同じ家族構成で同じような所得の条件があったとしても、結果として三倍から四倍も格差があるというのが現状なんですよ。
 しかし、この自公民の三党合意の中で、引き続き国民医療費というのは、これはこの保険料の財源を主たるものとするというふうにお決めになっておられる。そうすると、今後も引き続き安定した国民医療費の財源を保険料を通じて確保しようとするときに、こんな保険料の不公平さというものが残っている形でそうした保険料を通じた安定財源を確保することは難しいですよ、総理。だとすれば、その公平性を確保しようとすると、やはり保険者を整理統合するということが確実に必要になってくる。これはまさに喫緊の課題になってきているわけですよ。
 まずは、こうした市町村国保というような国民健康保険というものを都道府県ごとに統合していく、そしてその次には協会けんぽといったようなそうした雇用者保険を統合していく、そして最後に雇用者保険というものを統合して全体を統合していくという方向をまずは都道府県ごとに取るんですよ。しかし、それでも、そうすると高齢者の多い島根県、鳥取県というのは持続可能性ないから国が支援しなきゃならない。しかし、全国をおおよそ七つに分けて保険者というのを整理統合すると、総理、国全体を一つに統合したのとほぼ同じぐらいのリスクプールが確保できて、持続可能性が確保できるんですよ。すなわち、道州制を導入したときにそれをやりゃいいんで、そういうことの前にまずは都道府県ごとにやりゃいい。
 そういう一つの新しい持続可能な医療保険制度、そして保険料にかかわる公平性が確保される制度、そういったものをきちんと戦略的につくり上げていくことによって、そしてそれがアベノミクスと結び付いて、組み合わせてパッケージになることによって、国民が、一体日本という国はどういう方向を目指しているのかというのをきちんと示すということが私は今求められてきているんだろうというふうに思います。
 この点についての総理のお考えを聞かせてください。
#121
○国務大臣(田村憲久君) 武見委員、お帰りなさいませ。こうやって久しぶりに国会で武見先生と顔を合わせていただくということを大変うれしく思っておりますが、以前からの御持論であったように承っております。これ、保険者にはそれぞれいろんな意見もありまして、なかなか理想論は理想論であるんでありましょうけれども、難しい現状も御理解をいただいていると思います。
 まずは国民健康保険からということでございますが、今も、御承知のとおり、共同化事業でありますとか、いろんな部分である程度県単位で財政を安定化させていくというような、そんな取組を進めてまいってきておるわけでありますが、ここはなかなか、じゃ、市町村国保同士で必ずみんなくっつきたいかというと、そうではない、いろんな御意見があるというのも御承知のとおりだというふうに思います。
 一方で、被用者の方でありますが、こちらの保険者もやはりいろんな御意見があるということでございますが、ただ、自民党のたしか公約の中で、共済、公務員共済とそれから協会けんぽ、これを一つに統合したらどうだというような、そういう御意見があるということも承っております。いろんな御意見がある中で、今日は大変参考になる、そういうような御提案でございますが、慎重に検討をさせていただきたいというふうに思います。
#122
○武見敬三君 一九八〇年代後半のバブルの崩壊の前に実はこういうことをやっておけば、今我々はこんなに苦しまないでよかったんですよ。したがって、その後、インクリメンタルに徐々に徐々に改正をして対応してきたものだから、今全部山積しちゃったわけですよ、一遍に。だから、これは総理、徐々に徐々にという改革をする時間なんてもう我が国にないですから、これを大きく変える考え方を是非いずれ確立していただきたいというふうに思います。
 さて、ちょっと質問の方向を変えて、海洋権益の問題に入っていきたいと思います。
 我が国はアジア太平洋に位置している。しかし、このアジア太平洋というのは、実際に大きく米中がこれから海をめぐる覇権の争いをする可能性が極めて高くて、それによって二十世紀の冷戦というのは欧州大陸の陸上で起きましたけれども、二十一世紀の冷戦というのはひょっとすると米中間で海で起こる可能性が出てきた。そういう中で、どうやって我が国の海洋権益をそうしたはざまで確保していくかというのは、これもう重大な問題なわけです。
 そのときに、総理は東南アジアに行かれたときに、海に関するルール・オブ・ロー、法の支配をおっしゃった。私は、最も適切なことをおっしゃったと思う。しかし、法の支配ということをおっしゃる限りにおいては、じゃ、その法の支配の中でどのような我が国は海洋にかかわる法律を整備し、排他的経済水域にかかわる包括的な法律を整備し、そしてその法律の理屈の中でどうやって我が国の権益を守っていくかという国内法の整備が決定的に重要になります。
 ちょうど今年は海洋基本法に基づく基本計画見直しの五年ということになりますので、これをまさに議論する場になってきておるわけでありますが、その重要性についての御認識を伺いたいと思います。
#123
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず私がお答えをさせていただきまして、安倍内閣で海洋政策担当大臣を置きましたので担当大臣からもちょっと答弁させていただきたいと思いますが、武見議員がまさにこの基本法、政策を作られたわけでございます。
 つまり、日本は海の権益、排他的経済水域においては世界で六番目に大きな権益を持っているわけでありまして、その権益をしっかりと守っていく。しかし、そういう海の底に眠っている資源、この重要性に気付いている国は多くあるわけでありまして、そういう国々との関係においても、時には協力をしながら、あるいはしっかりと守っていくということも大切なんだろうと。そういう中において、我々も国内法を整備をしていくために検討をしていく、また現状をしっかりと認識をしていく必要があると思います。
#124
○武見敬三君 午前中の質問は以上にいたしたく思います。
#125
○委員長(石井一君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#126
○委員長(石井一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成二十四年度補正予算三案を一括して議題とし、安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議を行います。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 まず、冒頭、海洋担当大臣の答弁を求めます。
#127
○国務大臣(山本一太君) 武見委員が海洋基本法研究会、超党派の研究会を立ち上げて、代表世話人として海洋基本法の成立に中心的な役割を果たしてこられたと、すなわち、海洋基本法の生みの親の一人であるということは私も十分存じ上げていますし、全く武見委員と同じ問題意識を共有しています。
 委員がいつもおっしゃっているとおり、排他的経済水域等におけるこの海洋資源の開発利用は、これまでは、例えば海洋資源に関する法律とかあるいは環境保全に関する法律とか、個別法を適用してまいりました。しかしながら、情勢が大きく変わったということで、平成二十三年に鉱業法を改正して資源探査規制を導入したりいたしましたが、これだけ国際的な競争が資源をめぐって激しくなっている中ですから、我が国としても、やはり排他的経済水域等における海洋資源の開発利用については、積極的にこれを進めて、しかも海洋権益の保護もしっかりやって、さらに海洋産業もしっかり振興をして、安倍内閣の最重要課題である強い経済を取り戻す、日本経済再生に結び付けていく必要性はますます高まっていると思います。
 そこで、武見委員の長年の問題意識であるこのEEZ、排他的経済水域等の包括的な法案を作るということについては、この法制化の必要性を私も担当大臣として感じておりますので、ここは真剣に議論させていただきたいというふうに思っておりますし、委員御存じのとおり、安倍総理を本部長とする総合海洋政策本部で今新しい海洋基本計画、恐らく春ごろに閣議決定することになると思いますが、この準備をしていますので、その中に武見委員のこのEEZの包括法の考え方をどう具体的に盛り込めるかということについては担当大臣として真剣にやっていきたいと思いますし、また、もう一つの御懸念である事務局体制の強化、総合海洋政策本部の事務局体制の強化についても担当大臣として前向きに検討させていただきたいと思います。
 以上です。
#128
○武見敬三君 この点については、実際に手続法としての排他的経済水域にかかわる包括法の制定というのは、実はこれは国家の意思としてこうした排他的経済水域にかかわる我が国の権益を守るという意思を明確に強固にする意味を持っておりまして、近隣諸国に対しても極めて大きな意義がございますので、これは必ず実現してください。
 そして、こういうことを私が言ったときには、担当のお役所の方の中には、いや、そんなことをしたら近隣諸国に下手なフリクションが生じてよくないとか、そんなことを言う人がいたんですよ。だけど、まずは我が国の交渉ポジションをきちんと確立することなくして近隣諸国との交渉なんてあり得ないんですから、まずそこをやはりきちんと考えた方針の策定を内閣のリーダーシップでやってください。お役所に任せていたら絶対にうまくいきっこないんですから、お願いします。
 それからもう一つ、大事な課題ですので、総理、就任二日後に拉致被害者の御家族の皆様方にもすぐお会いになって、そして自らの内閣の中でしっかりとこれを解決していくということをおっしゃいました。そしてまた、これはもう御存じのとおり日米韓、この三か国の連携が必要でありますし、特に米国との連携が非常に重要であります。
 来るべき日米首脳会談の中で、やはりこの拉致の問題、きちんと御議論をしていただくことが私は必要と考えるのでありますが、総理の御見解を伺わせてください。
#129
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先般、オバマ大統領と電話会談をした際にも、この拉致問題について、日本はこの拉致問題を解決する決意であるという説明もいたしました。二十二日の首脳会談におきましても当然この拉致問題についても話をしたいと、このように思っています。
 委員の御指摘のとおり、日本と米国、そして日米韓で連携をしていくことが北朝鮮の抱えるこの拉致問題、もちろん核問題、ミサイル問題解決のためには必要であると、このように認識をしております。
 また、先般、李明博大統領との電話会談においてもそうした話をしているわけでありますが、この拉致問題について、米国にも協力をしていただくように要請をしたいと思います。
#130
○武見敬三君 この拉致問題というのは、我が国の主権国家としての基本にかかわる最も深刻な問題の一つでございます。この点に関しては、担当大臣の古屋大臣の方からも一言、こうした日米のかかわりも含めて御答弁をいただきたいと思いますが。
#131
○国務大臣(古屋圭司君) 武見議員御指摘のとおり、日米韓の連携、特に米国との関係は極めて大切ですよね。
 そういうこともあって、私も拉致議員連盟に所属しておりました当時から、毎年ワシントンを訪問して、国務省関係者あるいは、現在ですと例えばキャンベル国務次官補あるいはデービース特別代表と相当突っ込んだ意見交換していますし、また先日はデービース北朝鮮特別代表が日本に来ましたので、私会いまして、意見交換させていただきました。
 そういう中で、一貫して言っているのは、米国は、拉致問題に対する我が国の立場に深い理解と支持をすると、こう言っていますけど、やはりそこを、更に具体的な協力を深化させていく、こういうところにまでしっかり踏み込んでいく必要があるなと思います。
 その一環として、私どもはまず、今アメリカが国連の人権委員会の理事国を務めていますので、国連の中に北朝鮮の人権委員会をつくっていただくと、この要請をしています。そして、必ずその中には拉致問題をしっかり入れる、テーマとして入れるということが大切だというふうに。二つ目は、アメリカ人のデービッド・スネドンという人間が二〇〇四年に中国で北朝鮮によって拉致された証拠が幾つか出てきておりますね。もちろんこれはアメリカ国内で対応してもらう話ですけれども、しかし一方では、やはりしっかりそこの部分についても協力をする。我が国は拉致問題ではちょっと反応が遅かったですよね。やっぱりそういうのは反省点ですから、その辺もしっかり私はアメリカにも勧めているところです。それから、テロ支援国家の再指定も必要ですね。
 それからもう一つ、ちょっとだけお時間いただいて、これは新たな試みでございますので、法律に基づいて、今、十二月に北朝鮮人権週間、日本の政府が主宰して日本でやっています。これを新たに私はアメリカ、具体的にはワシントンとニューヨークで是非この連休に取り組みたい、新たな試みとしてやりたい。その目的は、何といっても世界各国に、そして北朝鮮に対して、この拉致問題を解決しない限りは絶対に支援はないよということを強く訴える。そういう意味から、このワシントン並びにニューヨークでの会合を今考えております。
 以上です。
#132
○武見敬三君 ありがとうございました。
#133
○委員長(石井一君) 以上で武見敬三君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#134
○委員長(石井一君) 次に、古川俊治君の質疑を行います。古川君。
#135
○古川俊治君 続きまして、自由民主党古川俊治から質問をさせていただきます。
 アベノミクス、大変効果が出ていると認識しておりますけれども、円高是正、その効果というのも限界がございますし、また国債を伴う公共事業投資というのもそう繰り返せるわけではないと。やはり、この予算委員会の議論でも出ていますけれども、アベノミクスによるこの日本経済の再生、そこで一番重要なのはやはり経済成長戦略であるということになると思います。
 成長戦略を考えた場合に、規制改革とか減税、これは現在ある産業競争力を潜在的なものを引き上げていく、これは可能だと思います。これも大事なんですけれども、一番大事なのはやはりイノベーションの創出、これは第一次安倍内閣のときも一番の課題でございましたけれども、このイノベーション創出の体制を、仕組みをいかにつくり上げるか、これが重要だと考えております。
 そこで、科学技術、ちょっと考えてみたいんですけれども、日本の科学技術政策、これは長い間司令塔の不在あるいは省庁の縦割り、その弊害がよく言われてきました。安倍総理も一月二十五日に第一回産業競争力会議の議論を経て、総合科学技術会議の司令塔機能の抜本的強化、このことに言及をされているわけでございます。
 ただ、確かにこの総合科学技術会議、なかなかリーダーシップが取れない、その指摘がございましたけれども、実はその法的な枠組みとしては、経済財政諮問会議と内閣府設置法において同列の立場にございます。それで、これはなぜ経済財政諮問会議があれだけのリーダーシップを発揮できるかというと、総理自らがこれ非常に頻繁に開かれるんですね、総理自らがそこに出席をしてリーダーシップを自ら取られると、これが非常に大きいというふうに聞いております。
 第一次安倍内閣のとき、これはもちろん経済財政と科学技術という性質は異なりますけれども、経済財政諮問会議は三十一回、それで、総合科学技術会議は持ち回りを含めて、持ち回りが一回あって、そして十回ということでございますから、差があるわけですよね。
 ただ、法律上同じものですから、総理の関与の仕方、意識の持ち方で相当このリーダーシップは実質的には変わってくるというふうに考えるんですが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
#136
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、今委員の御指摘された点、それが極めて私は重要なんだろうと、このように思っております。
 経済財政諮問会議と比べて開催頻度も少なく、結果として、この総合科学技術会議を中心に科学技術立国としての日本の戦略をどんどん進めていくという、そういう機能はいま一つ発揮できていなかったというふうに認識をしております。
 そこで、先般の日本経済再生本部において、科学技術イノベーション立国を実現するため、総合科学技術会議の司令塔機能の抜本的な強化を図ることを山本大臣、担当大臣でありますが、に対して指示をしたところでございまして、今後、私のリーダーシップの下に、そして山本大臣を中心に、この総合科学技術会議の司令塔機能、しっかりと機能を発揮するように再活性化をしていきたいと考えております。
#137
○古川俊治君 ありがとうございます。
 この総合科学技術会議に関しては、民主党政権下でも法律の改正ということは考えられたようなんですね。ただ、そこでは、議員の人数を増やすとか有識者議員の任期を延ばす、あるいは目的にイノベーションを加えるというので非常に形式的な議論だという気がするんですが、山本大臣、いかがでしょうか。
#138
○国務大臣(山本一太君) 御質問ありがとうございます。
 総理にもおっしゃっていただきましたけれども、この間の産業競争力会議で、抜本的に機能強化をしてほしいと、ここまでの指示をいただきました。当然、総合科学技術会議は開催の頻度を増やして、総理にも積極的に出ていただこうと思っています。
 しかし他方、今委員のおっしゃったように、総合科学技術会議の機能強化は非常に必要だと思います、法改正も含めて。実は、事務局と何度もブレーンストーミングをやりまして、五つか六つの案を作りました。それぞれ一長一短あるんですが、私の感覚として言うと、例えばやはり、後でFIRSTの議論も出てくると思いますが、総合科学技術会議としてきちっと裁量として戦略的に配分を決められる予算はあった方がいいんじゃないか、それは四百億か五百億か分かりませんけれども、当然この予算を確保するときには人員も連れてこなきゃいけないと思うんですが、その予算をしっかり確保して司令塔機能を強化する、他省庁との連携を強化していくという方法は一つの方策として考えられるんじゃないかというように思っています。
 いずれにせよ、総理にここまでバックアップしていただいているということですから、解散で結局廃案になったあの設置法みたいな中身ではなくて、申し訳ないんですけど、もっと踏み込んだ中身で法改正をするのであれば、もう前向きに、積極的に改革を検討していきたいと思います。
 以上です。
#139
○古川俊治君 ありがとうございます。
 今、山本大臣からお話があった世界最先端の研究開発支援プログラム、FIRST、これは我々が政権のとき、麻生政権でございますけれども、そのときに二千七百億という、大体これは科学技術予算の七%近くを予算化を、これを官邸主導、そして総合科学技術会議がまさに主導をして決めていくと、こういうシステムで、プロジェクトまで全部認定をしたという事例でございます。それが、山中教授のノーベル賞を始め、非常にその成果が上がっているということでございまして、先日の産業競争力会議の中においても、このFIRSTの後継プログラムを作ってほしい、これは民間議員からはっきり出ているわけですね。
 そうした大きな予算を、かつ、これ重要なのは、総合科学技術会議が仕切ってしっかりプロジェクト単位に落としていくということとともに、基金化をしたということが大きいんですよね。
 それで、この基金化から考えますと、単年度予算、単年度主義という原則には反するかもしれませんけど、予算が単年度だから科学技術も単年度じゃなきゃいけないというのは、それは不合理なわけですよね。ところが、これは財務省がなかなかそれをうんと言ってくれないという事情を聞いて伺っているんですが、麻生財務大臣、いかがでしょうか。
#140
○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のFIRSTのプログラムというものは、あのリーマン・ショック直後でもございましたので、あの深刻な経済状況に対応するために、平成二十一年度の補正予算におきまして異例な取組をやったんだと記憶をしております。
 厳しい財政事情の中で、数年度にまたがっていわゆるあらかじめ基金を積んでおいてというやり方に関しましては、これは当然のこととしてなかなか難しいところだったと記憶しますが、いずれにしても、二千七百億円を積ませていただいたんですが、翌年、たしか仕分とかいう当時はやった言葉がありましたけれども、あれで千五百億円になりましたかね、ばっさり切られて、随分、後でまた復活されておられますが、何のために切られたんだかさっぱり分からなかったんですけれども。
 いずれにいたしましても、御指摘のような科学技術といったようなこういうプロジェクトの話というのは、単年度というのはなかなか適していないんだと、私はそう思っておりますので、複数年度を見通したある程度安定的な研究資金を確保するという点はすごく重要なことなんだと、私には、そう思っております。
 いずれにしても、二十四年度の補正予算案では、その出資を活用した新たな産学実用化研究開発事業であります官民イノベーションプログラムに千八百億円というような形でやらせていただいて、二十五年度の予算では研究開発法人の運営費交付金などを活用させていただいて、長期的かつ安定的な研究資金の確保といったようなことを、今手当てを講じているところであります。
 いずれにしても、科学技術のプロジェクトの場合は、これはどれがいいのかって本当に我々にはよく分からぬ部分がいっぱいありますので、これの選定の仕方というのが大変重要だろうと思いますので、今後の総合科学技術会議などにおいてこの点につきましてはよくよく検討の上、御決断をいただければと思っております。
#141
○古川俊治君 ありがとうございます。
 じゃ、山本大臣、短くお願いします。
#142
○国務大臣(山本一太君) 今、麻生財務大臣から大変前向きの御答弁をいただいたので、すかさず申し上げますが、今、FIRST、三十課題があるんですが、これと別にやっぱり後継のプログラムを考えてほしいというのは産業競争力会議でもいろいろ議員から意見が出ていますので、今の財務大臣の御答弁も踏まえて、積極的にこれについても取り組んでいきたいと思います。
 以上です。
#143
○古川俊治君 ありがとうございます。
 是非、財務大臣、自分が総理のときはおやりになった、だから立場が変わると変わるという対応はやっぱりなしにして、しっかり基金を付けていただきたいと、私はそういうふうに思います。これは成果が上がっておりますので。
 そのまさにFIRSTプログラムの中の一つから出てきたのがiPS技術でございまして、このiPS細胞の実用化につきましては先日の所信表明演説でも総理から大変強い期待がやっぱり述べられていて非常にうれしく思いました。
 先日、このiPS細胞を用いた臨床研究につきまして、理研の高橋先生の技術を用いたものですけれども、神戸の医療機関においてその内部の倫理審査委員会の承認を得たという報道がなされました。これから国に上がってくるわけですね、この審査が。これはまさにiPS細胞のファーストインマンのトライアルでございまして、日本は山中先生が最初にiPSを発見して、かつ臨床研究を最初にスタートできると、これはまさにトップを走っている、今そういう状況にあるわけですね。
 これは非常に喜ばしいことなんですが、ただ、実を言うと、iPS細胞というのは非常に高率にがん化することが知られています。非常に未分化の細胞で、私はがんを取り扱う外科医でございましたけれども、がん、未分化の細胞でなかなか誘導できない、分割させられないというものは非常にたちが悪いんですね。たちが悪いがんととてもiPS細胞は似ているんですよ。ですから、その意味でいくと、この腫瘍形成性ということには極めて注意しなきゃいけない。
 それで、国が審査これからされるんですけれども、田村大臣、この点、どうお考えでしょうか。
#144
○国務大臣(田村憲久君) 再生医療は倫理面だとか安全面しっかりと踏まえた上でスピード感を持って進めていかなきゃならぬというふうに思っておりますが、今のお話の点でありますけれども、iPS細胞に関しましては、臨床研修に関して平成十八年に、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針、こういうものを作りまして、これに基づいて今手続をしているわけでありまして、厚生科学審議会で、倫理面もそうでありますし、安全面等々いろいろと勘案して意見が出てまいります。それに基づいて私が判断をするということになろうと思います。
 ただ、今も言われたとおり、このiPS細胞に関しましては、今、日本がトップランナーで走っておるわけでございまして、これ是非とも早く実用化に向かってという点もございます。厚生科学審議会の方で最新の知見、これを用いて、多分、がん化という話になりますと私は医者でないから分からないんですけれども、核型分析試験でありますとか軟寒天コロニー形成試験ですか、こういうものをしっかりやりながらしかるべき対応をしてまいりたいというふうに思っております。
#145
○古川俊治君 ありがとうございます。
 スピード感を持ってやらないとと、そのとおりなんですね。ただ、ポリティカルに非常にプレッシャーが掛かっている、国民的に期待が大きい、そういうときに、安全面、これ科学的であるべき安全性審査というのが怠られる、これは非常にまずいことだと思っているんですね。特に日本というのは、心臓移植の問題なんかで非常に長い間脳死体からの臓器移植が遅れたという、そういう文化の国でございますし、アメリカでは遺伝子治療の件に関しまして事故が起こっているんですね。ですから、そういうことを考えて、是非、しっかり安全性を取ることと患者さんのインフォームド・コンセントを確実に取ると、このことを進めていただきたいと思っています。
 この再生医療、これは非常に夢が大きい分野でございまして、特に先般の閣議決定においても、再生医療につきまして、細胞培養加工の医療機関外委託も可能とするための枠組みをつくると、こういうことの話になっているんですね。
 今、厚労省、政府の内部では、今まで規制が及ぶかどうか不明であった自由診療部分も含めて、再生医療と細胞療法というのを一体的に規制をしていくと。そこでは、細胞を加工するという業態を新たに認めていこうと、これは基準を作ってやるわけですけれども、そういうことが話し合われていると承知しております。
 細胞加工業、これは認定するわけですけれども、細胞の基準を作っていく、これはいいことなんですね。しかしながら、それだけじゃ駄目で、その細胞を用いた医療がいかに安全で有効か、このことが証明されないと、例えば、細胞はちゃんとつくってあるけれども全然効果がない治療というのも、これ国民的期待が高いんで受け続けることになるわけですね。ですから、細胞加工という業態を認めることはいいんですけれども、一定期間内にしっかりその有効性、安全性に関する個別技術の検証を行っていくと、そういうシステムを取り入れなきゃいけないと思うんですが、田村大臣、いかがでしょうか。
#146
○国務大臣(田村憲久君) 厚生科学審議会の中にその専門部会をつくっております。その専門委員会の中で今おっしゃられたような御意見もありまして、有効性というものもしっかりと踏まえなきゃならぬであろうと。あわせて、それを踏まえた上で、これから先進医療でありますとかまた薬事承認に向かってのルートというものもひとつ念頭に置きながら議論していかなきゃならぬというような話でございまして、いずれにいたしましても、大変重要な点を先生から御指摘をいただきましたので、しっかりと対応してまいりたいと思います。
#147
○古川俊治君 私も診療をしていて、これは細胞療法の例ですけど、通常の医療では治らなくなったがんの患者さん、これが、というのはやっぱり、なかなかもう現行の治療では治らないわけですけれども、そうすると、すごく根拠の薄い新しいとっぴな治療法に誘われるわけですね、どうしても誘因が働きますから。そうすると、そこは自由診療でやっていて物すごい高額なんですよ。死ぬまでそこにお金をつぎ込んで、数か月のうちに亡くなっていくと。結局、副作用が出ても、それ元々ががんですから、副作用が悪いのかがんが悪いのかよく分からないわけですよね。これは非常に問題が大きいというふうに認識しています。
 今回規制がされるようなんですけれども、再生医療についても、やはり細胞加工の業態があっても、有効性と安全性についてはしっかり検証していただきたい、そう思います。
 これは茂木大臣にお聞きしたいんですが、この細胞加工の業態を認めるということについては経済産業省が非常に熱心であったというふうに伺っております。もちろんそこでビジネスができるのはいいんですけど、結局、これ非常に期待が大きい分野です、再生医療というのは。ただ、その薬事上の個別技術の安全性や有効性が確認できない限りは製品化もできないし、海外の市場で売っていくこともできないんですよ。
 安倍総理がおっしゃいましたけれども、アメリカでは再生医療製品が九十七個できていて、日本では二つしかないとおっしゃっていますけれども、別に加工業を認めればこの問題が速やかに解決できるわけじゃないんですね。だから、必ず世界へ向かっていく、これを健全なビジネスとしてやっていくためには、経済産業省としても安全性、有効性の枠組みというのを支援すべきだと、私そう考えるんですが、いかがでしょうか。
#148
○国務大臣(茂木敏充君) さすがアメリカのカリフォルニア大学でがん治療の研究で博士号を取られた古川先生という思いで今御質問をお聞きいたしておりましたが、培養などの細胞加工、今、医療機関自らが、言ってみると家内工業的にやっているという形でありまして、非効率にどうしてもなるわけでありますから、これをやはり外部委託できるような制度に変えていきたいと、そんなふうに思っております。
 ただ、この細胞の加工業務を委託するに当たりましては、当然、委員御指摘のように、業務を安全かつ適切に遂行する能力がその業者に備わっているかどうかと、こういったことは的確に審査をしていかなければいけない、こんなふうに思っております。
 現在、経済産業省では、この再生医療の事業者、そしてまた大学関係者等の有識者によります研究会を開催いたしまして、細胞加工業者の適正確保のための基準、これを策定に向けまして検討に入っております。再生医療、独特の特性があるわけでありまして、これを踏まえた合理的な審査基準が作成できるよう、厚生労働省とも協力してまいりたいと考えております。
#149
○古川俊治君 そうですね、加工業の基準を作るだけではなくて、やはりその製品化を目指していただきたい。国際社会に日本の製品を売って出すんだということになれば必ず薬事上の承認が必要になってきますので、そちらに向けて頑張っていただきたいというふうに思っております。
 それで、時間の関係でちょっと質問の順序を変えますけれども、TPP交渉の参加に関する議論はこの予算委員会でも引き続き毎日行われておりました。実は、医療業界からもいろんな懸念の声がTPP交渉参加には上がっているわけですね。
 ただ、少し私から考えてみますと、懸念や誤解に基づいている、そういう指摘があるんではないかというふうに思っています。一番典型的なのは、TPP交渉に参加をすると、国民皆保険制度が崩壊をして、混合診療が解禁になって、株式会社の医療参入が解禁されると、こういう議論なんですね。
 しかしながら、今まで米国の通商代表部は、公的な医療保険制度を廃止して私的保険制度に移行しろということは絶対主張しないと、このように明言をされていますし、あるいはTPPの現在の交渉参加国の中にも、オーストラリアやカナダのように、既に公的医療保険制度、日本と同じように持ち合わせている国もあって、そこが他国の介入によってこの保険制度を捨てるということは考え難いわけですね。さらには、アメリカがオーストラリアや韓国と今FTA交渉をやっていますけれども、その中で公的な医療保険制度について彼らが自由化を求めたという、そういうエビデンスもないわけですね、こともないわけです。
 そうすると、考えてみますと、どうもこの国民皆保険制度がTPP交渉参加によって崩れるということはほとんど根拠がないと、私はそういう気がしているんですね。医薬品あるいは医療機器の価格というのもこれはほとんど今関税がないですし、あるいは薬価制度、ルールについても、これは非常に今日本の薬価制度は透明性が確保されていて公正なルールでやっています、別に内外品の格差があるわけじゃないですから、そこで。だから余り心配することはないというふうに考えているんです。
 是非、総理には、国民皆保険制度、これはやはり自民党の医療政策のイの一番なんですよ。我々のTPP交渉参加に関する基本方針の中でも国民皆保険制度を守ると明確に書いてあるわけですね。かつ、これは我々だけではなくて、恐らく他党の皆さんも国民皆保険制度が日本の宝であるということはコンセンサスがあると思うんですね。
 総理にこれ是非お願いしたいのは、仮に、仮にですよ、TPP交渉に参加することがあっても、国民皆保険制度の自由化のようなことが議論になるのであればTPP参加はしないと、これを明言していただきたいんですけれども。
#150
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま古川議員が例として挙げられましたように、カトラー氏が昨年来日した際にも、医療保険制度を民営化するよう要求するものではないと、このようにこれは明快に述べております。
 いずれにせよ、国民皆保険制度、これは日本の医療制度の根幹でありますから、これを揺るがすことは絶対ないということをはっきりと申し上げたいと思います。
#151
○古川俊治君 ありがとうございます。
 私、この国民皆保険制度で思い出すのは、総理御自身からよく伺っていることなんですけれども、アメリカは対GDP比でいって医療費が約日本の倍掛かっているんですね。日本が八%程度であれば、アメリカは一六%まで行っていますから。だから、アメリカの医療制度を日本が取り入れたら日本の経済はもたないということを常々おっしゃっているわけですよ。それは、ある意味で国民皆保険制度というのが一番低いコストでこの世界最長寿を達成してきたと、これは非常に誇るべき制度なんですね。是非、これをTPP交渉参加で失うことは絶対にないということは、信念を持って、交渉に参加するかどうか判断していただきたいというふうに思います。
 一点、この医療について、規制改革についても、第一回の産業競争力会議の議論を経て総理が言及されているというふうに伺っておりますけれども、医療の分野で大きな規制改革が必要であるとおっしゃった。その真意というか、どういう意図を持ってそれをおっしゃったのか、それを伺いたいと思っています。
#152
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この医療について言えば、例えばドラッグラグということが随分長い間言われていたわけでありまして、アメリカで認証を受けているものがなかなか日本では認証を受けられないという問題もあります。
 そしてまた、先ほど古川先生が例として挙げられましたiPS細胞を使った言わば実用例ですよね、創薬あるいは再生医療において、今これを実用化したものと今まさに治験中のものを合わせると、治験中のものを合わせると、日本が七つで、そして米国が九十七ということでありますが、韓国は三十八で欧州は四十六。そもそも日本の山中伸弥教授によって発明されたものであるにもかかわらず、米国の方が圧倒的に多い。そこにはやはり理由があるわけでしょうから、そうしたものをしっかりと、そこには行政上の問題があるのか、またそもそも規制上の問題があるのかどうかということも含めて見直しをしていくことによって、国民は健康を手に入れることができますし、同時に富を生み出していくことにもつながっていくだろうと、このように思います。
#153
○古川俊治君 ありがとうございます。
 この産業競争力会議の中では、実は混合診療の拡大というような議論もされたというふうに報道されております。
 今日も、先ほど混合診療、これは保険外併用療法ですか、そう言うべきだという話がありましたけれども、この保険外併用療法について、以前、規制改革会議で、私、一定の病院の基準を作って、その病院には解禁すべきだと、こういう議論がなされたように承知しております。
 ただ、医療のことから考えますと、たとえ大きな病院でやっても、技術が駄目ならやっぱり駄目なんですよ、それは。技術の安全性、有効性がしっかりしていれば、それはどこの病院でやろうが別に不都合はないわけですね。ですから、病院の仕組み、病院の大きさとか規模とか、あるいはどういった対応をしているか、これで保険外併用療法を進めるか進めないか、これを議論することは非常におかしいと思うんですね。
 確かに保険外併用療法というのは、例えば先進医療、これが今、富と雇用の創出で一番大きいわけですね、その部分が。ただ、先進医療の総額というのは実は百五十億円程度で、医療費の総額、医療給付金の総額が三十四兆に比べれば〇・〇五%なんですね。それから見ると、〇・〇五%ですから、財政規模から見ればまだ拡大していく余地はあると思うんですね。そうでありながらも、であれば、国民に本当にメリットになるような制度にしなきゃいけない。
 そのためには、やはり技術的な認証、今やっていますけど、技術の安全性、有効性を勘案をしてこの保険外併用療法も進めていくということを是非、規制改革大臣、お話しいただきたいんですが、いかがでしょうか。
#154
○国務大臣(稲田朋美君) 午前中も答弁いたしましたように、規制改革会議のこれから取り上げるべき具体的なテーマについては、今後の委員の議論に懸かっているところでございます。
 総理から指示をいただいているのは、改革のための改革にならないように、日本の経済の再生のため、また、あるべき社会像としては、健康、医療については健康で長生きできる社会を目指す、それに資する規制改革に取り組むようにということでございますので、ただいま委員から御指摘があったことなども含めて必要な改革に取り組んでまいります。
#155
○古川俊治君 ありがとうございます。
 先進医療というのは、一定期間、ある技術を検証する時間をつくる、それは、有効性、安全性あるいは経済性を検証すると。ですから、ある意味では健全なうちに保健医療を進歩させていくと、こういう側面もあると思っています。ですから、十分に技術を勘案をして進めていただきたいというふうに思っております。
 以上で私の質問を終わります。
#156
○委員長(石井一君) 以上で古川俊治君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#157
○委員長(石井一君) 次に、山本香苗さんの質疑を行います。山本さん。
#158
○山本香苗君 公明党の山本香苗でございます。
 安倍総理、遅ればせながらでございますが、御就任おめでとうございます。今日はよろしくお願いいたします。
 早速質問に入ります。
 まず、総理に伺います。
 総理は、女性の力が日本の強い経済を取り戻すために不可欠という認識を示しておられましたが、総理は実際どう女性の力を生かすという具体策をお持ちなんですか。
#159
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 女性にとって言わばチャンスのある社会をつくっていくこと、これが安倍内閣においての大きな基本的な考え方でございますが、同時に、経済再生を進めていく上においても女性の活力をしっかりと取り入れていく、それが生かされる社会をつくっていくということが不可欠でありますが、例えばこの環境整備について、また促進等について検討を進めていかなければいけませんが、税制については、現在も、次世代育成支援対策推進法によって、仕事と子育ての両立を図るための職場環境等の整備を行っている企業に税制上の優遇制度を設けておりますが、まずはその活用を促進をしていきたいと思います。
 その上におきまして、効果の検証を行いまして、更なる措置が必要か否かを含めて様々な御意見をいただきながら検討を進めていきたいと、このように思っております。
#160
○山本香苗君 では、具体的にお話をしていきたいと思います。
 先日、エンジンバルブを海外に、五十か国に輸出しております大阪の生野区の中小企業を訪問してまいりました。そこでは、女性に在庫管理を任せたところ、二万あった在庫が一万になって、そして五千になって、最後、まあ言ってみたら返品がなくなったということなんです。
 また、同じく大阪で、もう創業百三十年を超えるような特殊鋼販売の中小企業におきましては、本格的な海外展開というものを考えたときに英語のできる大卒を採用しようと思ったところ、応募に女性しか来なかったと、そのために女性を採用したと。当初は貿易事務だけをさせていたんですけれども、大変優秀だということで、その方に育休を取っていただいて、復帰した後には、今度はほかの三人の女性とチームをつくらせて海外ウエブ販売事業というものを担当させたと。そうしたら、そのことだけではありませんけれども、海外売上高比率というのが倍増したというんですね。こうした取組が就職情報誌に取り上げられましたところ、例年は大体二十人ぐらいしか応募者が来ないそうなんです、それが二〇一一年には二千人超えたというんですよ。女性の活躍というのは経営の改善に結び付くんです。企業にとってプラスなんです。こうした認識が、しかし全然というか、まだまだ共有されていないんです。
 そこで、森大臣に、女性活力担当大臣にお伺いしたいと思うんですが、この現状をどう是正されますか。
#161
○国務大臣(森まさこ君) ありがとうございます。
 安倍総理が復興にも経済成長にも女性の活力なしにはなし得ないという強い思いで、女性活力担当大臣という新しいネーミングをいただいたところですけれども、官邸で若者・女性活躍推進フォーラム、これを開催して、山本委員にも与党代表として御出席をいただきました。
 この中でいろいろな御意見をいただいているところでございますが、あわせて、今、政府は、例えば、二十四年の補正予算それから二十五年度の当初予算も併せてですけれども、女性の、今御指摘あった、一旦、結婚、出産で離職した女性が再就職をする、再就職をするところに助成金を付けまして、さらに、すぐ復帰するということが難しいわけですので、インターンシップ制度というのを設けまして、職場に出て働いていただいて、両者見て採用に結び付けようというところにも助成金を付けました。またさらには、女性の起業家がやはり女性の雇用を掘り起こしていくというそういう因果関係が見られますので、女性の起業支援というところでも、企業、三分の二まで助成をする制度を付けましたりとか、様々な、新卒者の職場実習への助成金、そういうものにも付けておりますし、それから、様々そのほか税制も、今おっしゃったようなところで、女性の採用、育児支援、育児休業を取っている女性を、七〇%以上育児休業を与えている企業等の要件を満たしている企業には税制優遇をしたりということで、様々な施策を今矢継ぎ早に打ち出しているところでございます。
 また、指導的地位における女性の割合を三〇%、二〇二〇年までに三〇%に上げようといういわゆる二〇三〇運動を推し進めていこうということで、政府目標を設定をいたしまして企業に向けて呼びかけているところではございますが、まず国民に呼びかけるならば、国家公務員も、官僚も身をもって示そうということで、先日、閣議で私の方から全大臣に協力を要請いたしまして、全省庁に通信簿を出しました。一位から最下位まで、女性の官僚の割合、それから審議会における女性の委員のパーセンテージを出しまして、今後そこに積極的に取り組んでいくような取組を行っているところでございます。
#162
○山本香苗君 森大臣、是非頑張っていただきたいと思いますが、今、働きたくても働けない女性がたくさんいるわけです。そういう中で、そうした女性に対して強い経済のために働けと言われても、子供を預ける保育所がなくては働けないんです。仕事と家庭の両立ができなければ働けないんです。実際、先ほど育児休業制度のお話もしていただきましたけれども、出産を機に辞める人は六割です。この数字は二十年以上変わっていません。
 とにかく、女性であったとしても、男性であったとしても、能力を十分生かしていきながら働き続けられる、そういうものを是非つくっていかなくちゃいけないと。そのためには、企業に頑張ってもらわなくちゃいけない、仕事と家庭の両立というところの支援をしっかりやっていただかなくちゃいけない。
 総理、ここで是非ともこの仕事と家庭の両立支援、これ柔軟に運用するような企業、そういうものに対して法人税の減税というものを本気で考えてみませんか。
#163
○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘ありましたけれども、女性が有能ということを無理しておっしゃらなくても、大体国会議員、女房のおかげで当選している人が圧倒的に多いと思いますので、女性の力というのは百も二百も分かっていると思いますので、あえておっしゃらなくても大丈夫と思いますが。
 いずれにしても、両立を図るという職場環境などを整備していくという、職場環境の整備というのはこれ間違いなく重要ですよ、これは。したがって、男性の育児休業取得者というのは、昔は何となく変な目で見られたと思いますが、今の場合、女性の育児休業取得率が七〇%以上ということなどの条件を満たした場合には、これは法人税は優遇ということになっている制度を平成二十三年度からこれは既に導入をしているところもありますけれども、これはほとんど知られていない。したがいまして、こういったところを今後喧伝、喧伝というか、広めていかねばならぬところだと思いますが、いずれにしてもこの現行制度を利用すると同時に、いろいろな意味でこの効用があると分かれば、その点については更に考えさせていただきます。
#164
○山本香苗君 今の既存の制度が知られていないだけじゃなくて、使えないようなものですから、是非使えるようなものにしていただきたいと思うわけです。
 今回の補正予算におきましては、もう一つの課題でありますけれども、安心こども基金を積み増しをしまして、五百億円、待機児童対策ということをやらせていただく形になっておりますけれども、ある自治体がこの安心こども基金を使って認可外保育所を質の向上を図って認可保育所に移行するという事業をやろうとしたと。そうしたら、平成二十三年度以降、新設、定員増した施設に限るという制約があって使えないと聞きました。何でこんな制約があるんですか。
#165
○国務大臣(田村憲久君) これ、待機児童解消先取りプロジェクトということでやり出した事業でして、平成二十三年度からスタートいたしておるわけでありますが、当初は使えたんですね。ところが、二十四年度からですかね、使えなくなっちゃったということでございまして、その後を受けて今回も積み増しをさせていただきました。
 なぜかというと、お気持ちはよく分かるんですが、結局、待機児童をやはり解消するということが一つの目的なものですから、まず増員したところに限られた財源を充てて、これから認可を目指すような、そういうような無認可の保育所等々に対応するという事業なものでありますから、やはり定員増をされるところに対して、本当を言うと、委員おっしゃられますとおり、みんなにこの事業をやはり対象にしたいんですけれども、しかしまずは、待機児童が大変多い状況でございますので、定員増をしたところを対象にさせていただいたということであります。
#166
○山本香苗君 今の大臣の御答弁は、要するに受入れ児童数の拡大につながらないから駄目だということなんですけれども、とにかく量を増やせばいいというものじゃないですよね。
 たしか、田村大臣、保育の質に大変高い御関心をお持ちだと以前から伺っておりましたけれども、この制約というのは、平成二十三年以前の既存の認可外保育所に対して、新たに、新たにですよ、新たにこの支援をスタートする自治体も使えないんですよ。今回駄目だとした理由は、ただ単に児童数が増えないだけというだけじゃなくて、やった自治体が結局今まで支援していたものをお金の組替えで地方自治体の負担が軽減されているだけだからという理由を財務省に言われているわけです。そうですよね。新たに二十七年の新システムにどうにかして乗ろうと、質の向上を図ろうと、そういう自治体まではねのけちゃっているわけなんですよ。
 前政権がつくった制約ですよね、これ。是非現場の状況を見て、この制約もう一回見直しをしていただけませんか。
#167
○国務大臣(田村憲久君) 財務省からと言われるとなかなか御返答しづらい部分ではあるんですけれども、一度詳しくお話はお聞かせをいただきたいと思います。
 ただ、先ほど申し上げたのは、やはり定員増につながらないことにはなかなか待機児童を解消できないと。質の問題も、決して言われるとおり定員増になりゃいいという話ではございませんでして、しっかりと、例えば職員の配置、これに関しては配置の、人数だけはクリアしていると。ただ一方で、全員が保育士というわけではない状況でありますから、それを保育士にしていただくために、例えば更に支援策を盛り込んでおるわけでございまして、そういうことも含めて、トータルで質の高い、より認可保育園の方に移っていただきたいという思いの中でこの事業をやっておるということでございますので、一度、現場の方、いろんなお話をお聞かせをいただきたいと思います。
#168
○山本香苗君 ありがとうございます。現場の声はしっかり聞いておりますので、後でじっくり御相談をさせていただきたいと思います。
 次に、再生医療についてお伺いしたいと思います。
 今年度の補正予算でiPS細胞研究による再生医療については二百十四億円、そして今後十年で一千百億円、そういう予算が確保されることになっておりますが、この枠組みの中でiPS細胞ストックというものを構築することになっております。このiPS細胞ストックをどこにどういう形でつくって、そしてこれができたことによって国民はどのような成果をどのような形で享受していくことができるのか、山本一太科学技術担当大臣、お願いいたします。
#169
○国務大臣(山本一太君) 御質問ありがとうございます。
 iPS細胞ストックは、iPS細胞を使った再生医療を患者さん御自身からだけではなくて他者から移植すると、これを行うために必要な基盤を整備するということで、これによってiPS細胞を使った再生医療を臨床研究から応用研究に進めて、さらには将来の普及に向けての基盤整備をするということなんですけれども、もう我が国においては、先生、委員御存じだと思うんですけれども、平成二十四年から安全で標準化したiPS、再生医療用のiPS細胞のストックの事業が京都大学でもう既に行われていまして、事業の場所としていうとやっぱり京都大学しか想定できないかなとちょっと個人的には思うんですけれども、そういう状況の中で、私、科学技術担当大臣ですから、iPS細胞を活用した再生医療、実用化、それから事業化していくためにはいろんなまだハードルがあると思うんですね。ですから、例えば臨床試験、臨床研究にかかわるのは厚生労働省です。それから周辺機器の開発、事業化に知見を有するのは経済産業省です。こういうところとしっかり協力をする、さらには産業界とも協力をすると。まさにオールジャパンでこれに対応していく、事業化を支援していかなければいけないということだと思います。
 この委員会でも随分質問がありましたけれども、やはり日本発の技術は日本で実用化されると、これがとても大事だと思いますので、そこは科学技術担当大臣として、総合科学技術会議を活用して、そういう環境が整備できるように精いっぱい頑張ってまいりたいと思います。
#170
○山本香苗君 昨年ノーベル賞を受賞された山中先生が我が党の会合に御講演に来てくださった折に、臍帯血から極めて良質でかつ効率的なiPS細胞ができるというお話がございました。
 臍帯血というのは、御存じのとおりお母さんと赤ちゃんとの間をつなぐへその緒や胎盤の中に含まれている血液のことでございますけれども、これは白血病などの血液難病の方々のために移植するために今全国で八つあります公的バンクの中で保存されているわけでございます。この中には、十年以上たって古くなったものや、また細胞数が小さくて移植に適さないものがございます。これらは行く行くは処分される運命にあるわけなんですけれども、これを患者さんのために使わせてもらいたいというのが山中先生の思いであるわけなんです。
 既に、今全国にあります八つあるバンクのうち、兵庫さい帯血バンクを有している兵庫県の井戸知事からは、この兵庫のさい帯血バンクの臍帯血から第一号を是非提供させてもらいたいと、そういう御要請をいただいております。また、さい帯血国際患者支援の会の有田美智世理事長等々、患者団体の方々からも是非兵庫からと、そういうお声をいただいております。
 今現在、もう既にさい帯血バンクから臍帯血を提供する手続というのを具体的に進めていただいているとは伺っておりますが、どの程度まで進んでいるんでしょうか。見通しは立ちましたでしょうか。
#171
○国務大臣(田村憲久君) 臍帯血からiPS細胞、これはやはり品質の問題というのは、全て何もかも臍帯血からできるというわけではありませんので、その品質をどうするんだという問題と、やはり本人の同意等々もあるわけでございまして、そこで厚生労働省として品質の一定の基準というものをこの七月にお示しをさせていただきました。その上で、同意の取り方も含めまして、各種指針に合意した研究計画、これが作れるように厚生労働省の方も支援をいたしております。
 そして、これからいよいよこの京都大学、それから兵庫のさい帯血バンク、ここの倫理委員会にこれがかかろうとしておるというふうにお聞きをいたしておりまして、これからも支援をしてまいりたいというふうに思っております。
#172
○山本香苗君 是非とも兵庫さい帯血バンクから一号をという思いでおりますので、より一層の御支援をお願いしたいと思っておりますが。
 我が党は、一人でも多くの白血病患者の方々の命を救いたいという思いで今までずっと患者団体の皆様や、また党員、支持者の皆様方とともに臍帯血移植を推進してまいりました。その臍帯血が、それも処分される、行く行く処分される運命にある臍帯血がiPS細胞によってよみがえって、白血病のみならず、いわゆる脊髄損傷であったり心疾患であったり、より多くの患者さんのために役立つ可能性というものが出てまいりました。本当にこれまでやってきて良かったなとしみじみと思っているわけでございます。
 ちょっと話を変えますが、先月末に臍帯血移植を受けた元同僚議員が亡くなりました。移植をしたら終わりではないんです。患者さんにとっては移植後が大事です。移植後にも強力なサポートが必要なんです。臍帯血移植であれ骨髄移植であれ、移植後に免疫不全を起こす場合がございます。そのときにウイルス感染すると致命的なんです。そのために迅速に感染症診断というのを行わなきゃいけないんですけれども、今の感染症診断は三日から七日掛かってしまうと。早期治療というものができません。元同僚議員も一旦移植後元気になったんですけれども、その後容体が急変しまして、結局何が原因か分からないままに適切な治療も受けられないで亡くなりました。
 何とかならないものかと、これだけ医療が進んでいる中でと。そう思っていたやさきに、この感染症診断を二時間から四時間以内に検出する方法というのを東京医科歯科大学と神鋼病院が共同研究して開発したと伺いました。この新たな感染症診断ということによって救命率は確実に上がると伺っております。この新たな感染症診断というものを是非患者さんのために早く使えるようにしていただきたいんです。
 そのためにどういうふうにやるのが一番いいのかと、その辺りで是非、田村厚生労働大臣にお知恵をいただきたいんですが、しっかり通告しておりますので、いい御答弁をいただきたいんですが、よろしくお願いします。
#173
○国務大臣(田村憲久君) どういうふうにって具体的にここで言われましても、どういうものかもよく分からないものでありますけれども、ただ、おっしゃられましたとおり、臍帯血を始め造血幹細胞の移植等々をしますとある意味免疫力が落ちる、抵抗力が落ちるということもございまして感染症になるという話でございますので、今お話をお聞きをいたしておりますと、どうも、私もちらっと委員の方からこういうようないいものがあるんですよというようなことを概要をお聞きをいたしたんですが、今まではウイルス一つ一つ検査しなきゃいけなかったというものを、ある程度まとめてやることによって時間を短縮できるということで、時間がある程度これ勝負でございますので、そういうようないい新たな検査方法というものができてきておるのであるならば、我が方の方に申請が来れば適切に対応して、なるべく早くこういうものを使えるようにしてまいりたいというふうに思っております。
   〔委員長退席、理事小川敏夫君着席〕
#174
○山本香苗君 是非よろしくお願い申し上げます。
 次に、復興支援についてお伺いしたいと思います。
 三月十一日の東日本大震災から間もなく二年となります。今年度、内閣府は被災地におけます社会的企業の起業を支援する復興支援型地域社会雇用創造事業というのを実施しております。が、今年度末で打ち切ると伺っております。なぜたった一年で打ち切るんですか。
#175
○政府参考人(石井裕晶君) お答えいたします。
 本事業は、被災地においてできるだけ速やかに起業と雇用を創造するため、平成二十三年度の第三次補正予算において設けられました三十二億円の基金により、今年度末までに終了する予定の事業として実施しております。一方、本事業は、昨年六月に各府省自らが事業の内容や効果の点検を行う行政事業レビューの公開プロセスにおきまして、外部有識者の方々から廃止すべきとの評決を受けました。
 内閣府といたしましては、本事業が終了する本年度までに所期の目的を達成するよう事業の遂行に注力するとともに、その効果につきましてしっかりと検証を行ってまいりたいと思います。
#176
○山本香苗君 打ち切らないんですか。
#177
○政府参考人(石井裕晶君) 終了の予定でございます。
#178
○山本香苗君 今おっしゃったように、外部の有識者がいろいろ言ったと、それも自己負担がないからいかがなものかという意見が大半を占めて廃止になったと。ただ、その廃止の判断されたのは事業が実施する前なんですよね。
 被災地で起業する方々の大半というのは、家族を亡くして家も職場も流されたにもかかわらず、被災地で必要とされる地域のビジネスというものを起こして地域の復興を担おうと、被災者自らが生活の安心と雇用を生み出そうと、そう頑張っているわけです。単なる起業とは違います。
 宮城県の南三陸町では、防災無線で最後まで住民の方々に避難を呼びかけ続けられた遠藤未希さんのお母様がこの事業を活用して、家族と一緒に民泊を行いながら、そこを拠点として仲間の方々と一緒にストレスケアというものを進めていく準備をされています。かけがえのないまな娘の死は受け入れ難く、深いストレスで眠れなくて、人と話せないようなつらい日々が続いたそうですが、仲間と一緒に仮設住宅でストレスケアの実習を行うことによって、施術する自分もストレスから解放されたと聞いております。また、岩手県陸前高田市におきましては、平均年齢六十五・八歳の女性たちが竹駒食堂を立ち上げています。避難所で知り合って意気投合した女性中心の仲間でつくった食堂です。開店以来、毎週毎週イベントをやって、地域に元気と笑顔を届けておられます。
 こうした事業というのは、当面、直接対価を受けることが難しいわけです。まだまだサポートが必要なんです。実際、福島でこの事業を受けて起業した起業家を対象としましたアンケートにおきましては、参加された方の七一・四%が、来年度以降もこの事業の継続や起業家への支援が必要と回答したと伺っております。これ、被災三県満遍なく、福島も岩手も宮城も満遍なくこの事業をやっていただいているんです。そして、今年度末には六百人、ほとんど目的、目標を達成するという形になっているわけなんです。
 被災地では復興の遅れからストレスがたまっています。他人との触れ合いというものは欠かせません。僅かな額でも収入というものが得られるということが大切な生きがいとなっています。このまま打ち切られれば、せっかく立ち上がった事業も立ち消えになりかねません。本当にそんなことになっていいのだろうかと。復興担当大臣、どうですか。
#179
○国務大臣(根本匠君) 私も被災地に何度もお伺いしていますが、やはり被災地のこれからの大きな課題は産業の再生ですから、とりわけ起業家の支援、起業の支援、事業の支援、これは必要だと思います。
#180
○山本香苗君 済みません。突然聞いたので、ちょっと答えがかみ合わない感じがするんですが。
 そこで、復興担当大臣にこれからちょっと具体的に提案しますから。なぜ大臣にお伺いしたかといいますと、復興庁には復興推進調整費というのがございますよね。今年度五十億円計上されているんですが、二月十五日時点でどれだけ使ったかと聞いたら、約十億円ぐらいしか使っていないんですよ。約四十億円余っています。
 何でこんなに余ったのかと聞いたら、復興庁に、この制度というのは被災県から要望が上がってきている中から復興庁が判断するんですと、そういう立て付けになっていますからということなんです。要するに、被災県が要望しなかったからということなんですよ。でも、私、それを聞いて、そもそも、そもそも制度設計自体が間違っているんだと思います。被災地の実態に合っていないと思います。
 来年度は、これは百億円計上されることになっているわけなんですけれども、被災した県から要望が上がってこなかったとしても、復興大臣が必要と認める事業に幅広く、かつ柔軟に使えるように改善するというふうには伺っております。是非この復興推進調整費を活用して、来年度以降もこの事業を継承するとともに、本年度の対象者向けのフォローアップを含めた支援事業、復興担当大臣、是非、是非、是非やっていただけないでしょうか。
#181
○国務大臣(根本匠君) 復興推進調整費、これは、既存のいろんな制度がありますね、その既存の制度がない、制度のすき間にあるものをできるだけ柔軟に進めようという趣旨で設けられた調整費なんですよ。
 それで、考え方は、予算編成段階では想定されなかった事業、これは新年度予算が動いていったときに既存の制度のはざまにあるような問題が出てきますから、それは自治体の要望に応じて協議しながら付けていこうということと、そこは今回柔軟にやれるように制度改善はしようとしております、これからの二十五年度予算。それからもう一つは、国が実施する調査企画の委託事業、これをやろうと。この二つの目的があります。その意味では、どのような事業を採択するか、これは被災地の要望も伺いながら個別に検討するということにさせていただきたいと思います。
 一方で、議員御指摘のとおり、被災地における起業の支援、事業の支援、これは非常に大事ですから、復興庁としてもどのような支援が適切か検討してまいりたいと思います。その上で、議員御指摘の事業、これは少し内閣府からも理由をお伺いして、被災地のニーズも踏まえてどのような形で対応すべきか、内閣府を含め関係省庁とも相談してまいりたいと思います。
#182
○山本香苗君 総理、この事業、絶対この内閣において続けなきゃいけないと思うんですけれども、総理からも一言お力添えいただけませんか。
#183
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 起業というのは極めて重要でしょうし、起業がなければそもそも仕事をする場がない、雇用の場を確保しなければ地域が残っていくことができないわけでありますから、せっかく起業しようとする人がいるんであればそれを支援していく。
 基金という形で、基金がなくなったということでありますが、どうこうした方々を支援していくかどうかは根本大臣の下で検討させていきたいと、このように思います。
#184
○山本香苗君 是非ともよろしくお願いいたします。
 最後に、防衛駐在官制度について伺いたいと思います。
 安倍総理は、十八日のこの予算委員会におきまして、この度のアルジェリア人質事件を受けて、防衛駐在官制度について、官房長官の下で駐在官が誰もいない国にどう配分していくのかも含めて検討したいと答弁されました。軍事情報というのは、おっしゃるとおり、武官しか得られることができません。テロリストの情報は軍が握っています。今回もアルジェリア軍が仕切っていて情報が入ってこなかった。
 しかし、これは単なる防衛駐在官を置く置かないの問題ではありません。政治が情報価値を重く見るか見ないのか、またその価値をどこに置いているのか、これが問われている問題です。インテリジェンスの問題です。
 冷戦時代とは構造が大きく変わりました。グローバル化が進んで、海外における邦人保護の必要性は高まっています。にもかかわらず、邦人保護のための情報収集の必要性の認識、これが私は弱かったんじゃないか、欠けていたんじゃないかと思うんですが、総理の御見解を伺います。
#185
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、グローバルな時代の中で、そもそも日本企業、海外で活躍をしてきたわけでありますが、その中で、言わば冷戦構造が崩壊した後のなかなか予見が難しい状況の中では情報収集というのは極めて重要であります。
 その中で、今、日本においては、各、内調、あるいはまた外務省、そしてまた情報本部等々幾つか情報収集をする機関がございますが、これを、こうした情報を更に、それぞれの情報収集機関で分析も行いますが、そういう情報機関に対して政策的な発注をしっかりとしていくということも大切なんだろうと思います。
 その意味において、今、日本版のNSCをつくって言わば政策的に発注をすると、情報機関側に投げると。そして、それを受けて情報機関がそれぞれ、これを一つにまとめる必要というのはないんでしょうけれども、この情報収集そして分析を行い、そして政策を決定する、政策決定をする言わば司令塔を担うこのNSCに持ってきていただいて、そこで政策的な選択肢を示してもらって、そしてそれが総理大臣に上がってくると。こういう言わば政策を発注し、情報収集してくると、こういう言わば組織をちゃんと整えていくことも重要ではないだろうかと、このように思います。
#186
○山本香苗君 その話は別として、我が国の防衛駐在官というのは他国と比べると少ないと。かつ、邦人保護のために情報収集を必要とするエリア、地域において、例えばアフリカで、フランス語やアラビア語が話せて、そしてイスラム文化にも精通していて、そういう人材自体が少ないと、ほとんどいないと、つくってこなかったと。そうした人材を養成するには時間が掛かるわけです。でも、つくってこなかった。やっぱり、邦人保護のための情報収集の必要性の認識が欠けていたんだと思うんです。
 国家戦略上必要な情報は何か。今総理が答弁されましたけれども、決めるのは総理です。外務省や防衛省に任せることではなくて、総理がこうすべきと具体的な指示を出さないと動きません。官房長官の下、見直しをされるのはいいんですが、もっと具体的に的確な指示を出さないと見直しもあやふやなものになると私は思います。
 是非その点をしっかりと具体的な指示を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#187
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この邦人保護ということについては、既に具体的な指示をいたしております。そのための情報収集。
 しかし、今の体制ではもう既に限界があるわけでありまして、先ほど委員が指摘されましたように、軍事情報というのは、これは基本的に軍人は軍人にしか情報は渡しません。と同時に、情報を取るためには、これはギブ・アンド・テークということもある、インテリジェンスコミュニティーにおいては。そういうこともありますから、情報収集力を高めていくことによって更に情報収集力は高まっていくわけでありますから、その中において我々も具体的な、今や、最初に申し上げましたように、発注もしますし、そうした強化も図っていきたいと思います。
#188
○山本香苗君 終わります。
#189
○理事(小川敏夫君) 以上で山本香苗さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#190
○理事(小川敏夫君) 次に、中西健治君の質疑を行います。中西健治君。
#191
○中西健治君 みんなの党の中西健治です。
 みんなの党も私自身も経済成長志向が非常に強いものですから、安倍政権がやろうとしているマクロ経済政策については我々が考えているところと重なるところもあります。そうした重なるところについては当然しっかり後押しをしていきたいというふうに思っておりますが、重なり合わないところ、考え方が異なるところ、これについてはしっかり異を唱えた上で我々の対案、提案を出していきたいというふうに考えております。
 さて、先週のG7の声明、それから週末のG20について、まずお聞きをしたいというふうに思います。
 このG7の声明、あとG20、これでの議論の整理というのは、金融政策の、国内の金融政策の範疇で説明できる、こうしたものについては認められるけれども、直接為替市場に働きかける、こうしたものについてはなかなか認められない、こんな議論の整理が行われたというふうに理解しております。
   〔理事小川敏夫君退席、委員長着席〕
 だとすれば、今後の政策手段として、財務省の行う為替介入は取れなくなったという認識でよろしいでしょうか。
#192
○国務大臣(麻生太郎君) G7の方もG20の方もコミュニケを読まれたと思いますので、あのコミュニケに書いてあるとおり、あれ以上でも以下でもないというのが正確なお答えなんだと存じますが。
 我々としては、少なくともこれまで一方的に特定の国からいろいろ、日本の場合は為替の操作をしているのではないかとか、為替の介入をしているのではないか、政府が、日銀が、という形で特定に名指しをされておりましたが、それらに対しては、我々は長引くデフレ不況からの脱却のためのいろいろやった経済政策が結果として円安、株高になったんであって、我々は直接介入したわけではないというのが一つ。
 もう一点は、みんなの意見として、少なくとも、今通貨戦争というような言葉がFT、FTというのはファイナンシャル・タイムズとか、そういったのにいろいろ載っていますけれども、そういったのは行き過ぎた表現であるというのがIMF等々、ECB等々からいろいろ出されておったというのが雰囲気と結果であります。
#193
○中西健治君 そこまでのことを踏まえた上で、今私は質問をさせていただきました。
 今後、財務省の行う為替介入というのはやれなくなった、現実的にはもうやることが非常に難しくなったという認識だということでよろしいでしょうか。
#194
○国務大臣(麻生太郎君) 今までも、我々は特定のことでない限り為替介入をしておりません。また、民主党内閣のとき何回かしておられますけれども、効果はありませんでした、ほとんど。(発言する者あり)あの程度の理解ですから。我々としては、結果としてですよ、我々は何もしていなくてもこれだけ円は上がりましたよ。(発言する者あり)それは結果として円が下がったんだ、これだけ……
#195
○委員長(石井一君) 御静粛に願います。
#196
○国務大臣(麻生太郎君) 結果としてですから、こういうのは口だけじゃない、結果論ですから。我々はここが一番理解していただきたいところだと。
#197
○中西健治君 今後の政策手段としては余り積極的ではないということのようでありましたけれども。
 財務大臣、これと少し異なるけれども関係していることでありますけれども、昨日、日銀の外債購入について、財務大臣は外債購入する気はありませんと、こういうふうに言ったということでありますけれども、これは日銀の政策手段に踏み込む発言だと思います。いつから財務大臣は日銀の総裁になったんですか。
#198
○国務大臣(麻生太郎君) 取り方なんだと思いますが、外債購入の話が私に対してありましたので、日銀が買う買わないじゃなくて私に直接質問がありましたから、私としては外債購入する気はありませんと、そう直接お答えをしております。
#199
○中西健治君 それは日銀についてということですか、確認したいところですけれども。日銀の外債購入について、それとも財務省の外債購入について、どちらでしょうか。
#200
○国務大臣(麻生太郎君) 私に対しての直接の御質問でしたので、大蔵省として直接、済みません、財務省として買うつもりはありませんと、そうお答えしました。
#201
○中西健治君 そうすると、報道が間違っていたということではないかと思います。財務省は外債を今購入する気がないということを確認されたということだと思います。
 安倍総理にお伺いいたします。
 自民党は公約で官民協調外債ファンドを創設するということを言ったわけでありますけれども、これもできなくなったと考えてよろしいでしょうか。
#202
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、言わば官民の外債ファンドについては、これは検討するということだったんですが、その検討するということを決めたのは、これは十一月ぐらいですかね、十月か十一月。つまり、我々のこの大胆な金融緩和について言わば極めて強いメッセージを出し始めたころなんですが、この状況においては今はまだ、検討して果たしてそれが必要かどうかということについては、この必要性は相当薄まってきているのではないだろうかと、このように思います。
#203
○中西健治君 確認ですけれども、十一月の時点では必要性があったけれども、今は必要性、九十三円、九十四円の為替では必要性は薄まったというふうにおっしゃったということですね。
#204
○内閣総理大臣(安倍晋三君) その段階では、まだ我々のこの経済金融政策について、我々政権取る前でありまして、いろいろな選択肢の中において行き過ぎた円高の是正についてどうすべきかということを議論したわけでございますが、私の個人的な考え方としては、というか総理大臣としては、今政権としては、既に大胆な金融緩和ということで軌道に乗ってきているわけでありますし、そもそも三月に日銀の総裁、副総裁の人事がある中においては、もう事実上そういう意味においては必要性というのはほとんどなくなってくるんだろうと、このように思います。
#205
○中西健治君 菅官房長官にお伺いいたします。
 菅官房長官は、一月十六日の記者会見において、そのときは一ドル八十九円ぐらいで推移していましたけれども、当時、甘利大臣や石破自民党幹事長から円安を容認しないような発言、これが幾つも出ておりましたので、政府の見解というのを記者会見で述べられました。政府の見解としては過度な円高が是正されている段階ということだ、公式見解を出されたわけでありますけれども、現在もこの公式見解は当てはまる、維持されると考えてよろしいでしょうか。
#206
○国務大臣(菅義偉君) 当時は前提として、今、中西委員が言われたようなことがありましたので、私が申し上げたのが、行き過ぎた円高が是正されている段階にある、こう言いました。そして同時に、その真意というのは、安倍内閣というのはデフレ、円高から脱却する、これが最重点の課題である、そういうことも付け加えて発言をしておりますので、御理解いただきたいと思います。
#207
○中西健治君 そこの部分は理解いたしますが、じゃ、現在当てはまるのかどうかということについてはいかがなんでしょうか。
#208
○国務大臣(菅義偉君) 為替の水準についてはコメントをすることは控えさせていただきたいと思いますけれども、円高、デフレからの脱却、これは安倍政権の重要課題であるという認識は変わっていません。
#209
○中西健治君 私は、公式見解を出したこと、出したときに非常に危ういことをしているなというふうに思いました。というのは、八十九円で一旦政府の公式見解を出してしまえば、局面が変わったときに今はどうなんだということを必ず聞かれるんです。そして、九十三円や九十四円のときに公式見解は出しませんということだと、それ自体が為替レートに関する政府の見方を表しているというふうに当然市場は受け取るということなんじゃないでしょうか。公式見解を出したことの是非についてどうお考えになりますか。
#210
○国務大臣(菅義偉君) 前提の発言について、それについて私自身の考え方を述べたわけでありまして、安倍政権は円高、デフレからの脱却が最重要課題である、このことを申し上げたかったことです。
#211
○中西健治君 これ以上一つ一つのことをくどくど言いませんけれども、ただ、安倍政権が発足してから、やはり閣僚等から市場に関するコメントというのが非常に多いと思います。これについて安倍総理、どうお考えになるかということなんです。やはり、市場について一定の影響力を持ちかねない人たちが発言をする、そしておしゃべり過ぎるんじゃないかなというふうに私自身は思っておりますけれども、総理はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。総理に、はい、これは。
#212
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員は特に為替の水準についてお話をされているのだろうと思います。閣僚の中において、為替についてどう考えるべきかという考え方について説明をした、その説明した言わば言葉の一つのセンテンスをとらえて報道されることによって、それは実際に為替に影響をすることもあるわけでありまして、そして、そういうことはやはり基本的には今委員がおっしゃったようにすぐに市場に反映をしてくる。これは、日本の経済にとっても大きな影響があるわけでありますからということを常に念頭に置きながら、為替そのものの水準が自分はこれがいいんだということではなくて、全く違う観点から説明することにおいてすらもやはり慎重でなければならないと、このように思います。
#213
○中西健治君 是非慎重な態度を貫いていただきたいと思います。
 官房長官への質問はこれで終わりですので、御退席いただいて結構です。どうもありがとうございます。
 それでは、補正予算についてお伺いしたいと思います。
 我々としては、やはり公共事業偏重になっているのではないか、そしてこれだけ公共事業にお金を使うことになってしまったら、そこには無駄や緩みが入っているのではないか、こうした疑問を大きく持っているということであります。公共事業を全て悪と言うつもりは全然ありませんけれども、けれどもそうした疑念がある、問題のある予算、補正予算になっているのではないかなというふうに思っています。
 この補正予算の議論をするためには、十一月までちょっと遡らなきゃいけないかなというふうに思っています。十一月の十六日に解散が行われたわけでありますけれども、この解散が行われた日に成立した法案、それが特例公債法です、特例公債法。
 この特例公債法の附則というのは、その三日前に民主、自民、公明で三党合意をした内容ということでありますが、そこに何て書かれているかといいますと、二〇一二年度の補正予算において、この補正予算ですね、において、政策的経費を含む歳出の見直しを行い、特例公債発行額を抑制するものとすると、こう明記がされています。この附則、そして三党合意というのは自民党が主導したというふうに理解しているわけでありますが、じゃ、この補正予算、見てみますと、どれだけの減額が行われたのかということであります。
 この政策的経費の見直しというのは、今回既定経費の見直しというのは一・七兆円になっていて、そのうち国債の利払い費が元々二%と想定していたものが一%ぐらいだったので一・四兆円減りました。結局、一・七から一・四を引くと〇・三兆しか政策的経費は見直しがされていない、減額がされていない、こうした予算になっているわけでありますけれども、これで特例公債法附則の求める減額を行ったというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
#214
○国務大臣(麻生太郎君) 補正予算に関して言わせていただければ、おっしゃる点、数字の上でそのとおりになっておりますが、物理的に時間は極端に限られておりましたので、その点に関しては今御指摘のとおり否定するつもりはありません。
 ただ、本予算の二十五年度予算、まだ審議に入っていただいておりませんけれども、二十五年度予算を見ますと、この三年間、間違いなく特例公債の方の発行額の方が税収を上回っておりました。それが確実に税収の方が上回り、特例公債の方が少なくなったというのは事実だと思っております。
#215
○中西健治君 物理的に時間が限られていたということについても、ちょっと後でそれに関連して質問したいと思いますが、総理にもお聞きしたいと思うんです。
 総理も、この特例公債法案の審議に際して、自民党総裁として、二〇一二年度予算の無駄遣いをなくしてくださいと予算の組替えを求めて要求していると述べ、度々減額補正に言及をされました。ところが、一旦政権に着いた後提出された補正予算は、減額とは正反対の超大型補正予算となっております。総理の言っていた減額補正って何なんですか。
#216
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が自民党総裁に就任したときと十一月のNHKの番組に出演をした際に、減額を要求すると、このように申し上げたわけでございますが、これは、特例公債による国民の負担を軽減するために、二十四年度の当初予算における経費についてできる限りの見直しを行うべきという趣旨で申し上げたものでございます。
 自由民主党としてその要求を出していたわけでありますが、これは、例として挙げれば、民主党政権の出していた、我々が四Kと言っていた予算について、これは減額すべきだと我々は主張していたわけでございます。そして、それについては我々、今これはどうなっているかということは別の委員会で、この四つの予算についてはどうなっているかということについてはもう説明をさせていただきましたからここでは繰り返しませんが、この補正予算については、私はそうした発言をした後、これは十二月に発表されました七―九のGDPが成長率がマイナス三・五になったわけでありまして、つまり、このままいけば景気が底割れするという危険に直面した中において、我々は、ここは大型の補正予算を組んで景気底割れを防ぐと同時にデフレから脱却をすると、こういうことも含めて補正予算を組んだところでございます。
#217
○中西健治君 七―九のGDPによってころっと変わったというような言い方ですけれども、七月―九月のGDPがマイナスになるだろうというのはほとんどの人に分かっていたという状況であります。しかも、マイナス幅が非常に大きくなるだろうということも分かっていた。しかも、これ十一月の十六日ですよ、特例公債、解散のその日に特例公債法というのが上がったと。その三日前に三党合意して、政策的経費は見直す、特例公債の発行額は見直す、こんなことを言っていたのに、やはりちょっと今の説明では無理があるんじゃないかなというふうに思います。
 そして、総理が今おっしゃられましたけれども、年度途中でも総理のおっしゃるばらまき四Kは見直すことができるということを前提としておっしゃられたと思うんです、そういう発言だったと思います。ところが、じゃ、来年度の予算で見直しも行わないじゃないですか、これはどういうことなのか、説明してください。
#218
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、当時、我々野党として、言わばこの象徴的な四Kについて見直しを行うべきだと強く要請をしました。しかし、実際政権を運営するに当たって、言わば既に農家の方々はこの現在の戸別所得補償を基盤に営農の準備をしておられますから、それはやっぱり変えられないんだろうなと。こういう現実の中において、言わばそういう政策に今年度は、今年度というか二十五年度はそういう方針にしたところでございます。
#219
○中西健治君 ずっと政権にいた方々ですから、それぐらいはあらかじめ分かっていたんじゃないかなというふうに思います。
 民主党のコンクリートから人へが人からコンクリートへ変わった、こんなようなことをメディアで言うのがありますけれども、これはそうではなくて、コンクリートをかさ上げしたということになるんじゃないですか。あれもこれも、元々ばらまきというふうに批判していたのに、更にそれにかさ上げをしているのがこの補正予算だし、今度の本予算ということになりませんか。
#220
○国務大臣(麻生太郎君) 全然見解が違うと思います。
 一言で言わせていただければ、少なくとも今の話の中で、我々のやっておりますばらまきの中で安全とか安心とかいうものは、最も……(発言する者あり)ばらまき、ばらまきの批判に対してのお答えなんですけど……
#221
○委員長(石井一君) 静粛に願います。
#222
○国務大臣(麻生太郎君) 私にしてみればばらまきに対するお答えなんですけれども、少なくともあのばらまきだけで言わせていただければ、高速道路無料化とか子ども手当というのは既に凍結されていますでしょう、こういったものは。それから、戸別農業補償とか高校生の無償という話については先ほど総理の方から答えられたとおりなんだと存じますが、少なくとも我々としてコンクリートのかさ上げという、いろいろ考えられたフレーズなんでしょうけれども、コンクリートから人へと言われたとき、元々セメント屋ですから俺に対する当て付けかと思わないでもなかったんですけれども、しかし、今考えてみますと、私どもから考えますと、そのコンクリートを妙にしていたおかげで、公共工事を大幅に減らし続けた結果、笹子トンネルを始めいろいろな異常な事態になったんじゃないんですか。こういったようなことは本当に大事なことじゃないんですか。無視された方々とは言いませんよ。少なくとも大幅に減らし続けてきたことは確かでしょう。
 そういったようなことを考えずに……(発言する者あり)
#223
○委員長(石井一君) 静粛に願います。
#224
○国務大臣(麻生太郎君) 我々はきちんとそういったものをやるべきだということを申し上げて、方針と。だから、コンクリートとかいうことに関しましては、我々は見解を異にしますと申し上げております。
#225
○中西健治君 民主党政権下で行われたことについてはやはり民主党の方々と議論をしていただきたいなというふうに思いますけれども、これだけ元々ばらまきと批判していたものが、自民党政権下に移ってからは何も今のところは手が付けられていない、それで来年度も付けられない、さらに、麻生副総理がおっしゃられたばらまきが足されているというのは、やはり七月の参議院選挙までは厳しいことはやりたくない、そうしたことがひょっとして隠れているのじゃないかと思いたくもなっちゃいますけれども、これについて総理はどうでしょう。
#226
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど、我々が四Kと言っていたものについての個々についてもう既に説明しておりますので私、省いたんですが、子ども手当については、我々、もうそれは廃止をしております。そして、高速道路無料化については、もうそもそも二十五年度の予算には盛り込んでいません。そしてまた、高校の無償化においては、もう既に就学の寸前ということもございましたので、二十五年度はそのままいくわけでありますが、二十六年度からは、我々、所得制限等々ということを既に申し上げてまいりました。そこで、所得制限ということも含めて検討をしていかなければいけない。そして、農家の戸別所得補償制度につきましても、二十五年度は、先ほど申し上げましたような理由で、もう既にそれで準備をしておられる方々がおられますから、それはそのままいきますが、二十六年度からは、我々はしっかりと検討していきたいと考えております。
#227
○中西健治君 我々は、この補正予算及び来年度の本予算、パッケージで見ると大変問題が多いというふうに思っています。ですから、我々は対案として、この官主導の公共事業ですとか官民ファンドに莫大な資金をつぎ込むのではなくて、民間の活力を引き出す自由償却、基礎科学研究などにこそ資金を振り向けるべきであるという補正予算の修正動議というのを衆議院に出しました。残念ながら衆議院では否決をされましたけれども、参議院ではほかの野党の皆さんと今共闘の道を探っているというところでございます。
 それでは、日銀総裁人事についてお伺いしたいと思います。
 日銀総裁、副総裁人事案、官房長官の方から話も昨日はあったようでありますが、総理の口からスケジュール、どのようにしていくのかということについて教えていただけないでしょうか。
#228
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 明日から訪米をいたしますので、訪米後から検討をいたしまして、任期が三月十八日ですか、空白が出ないように院の方に、両院の方にお願いをさせていただきたいと、このように思います。
#229
○中西健治君 それでは、帰朝されて、来週、官房長官の方からは来週ということを言われたようでありますが、来週御提示になられるということでよろしいでしょうか。
#230
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まだそれは、これから最終的に候補者の方々に当たっていく必要もございますので、いずれにせよ、三月十九日ですね、十九日が任期でございますので、その前までにスムーズに参議院、そして衆議院で御了解をいただけるように、我々も判断をしていきたいと思っております。
#231
○中西健治君 安倍総理は、二〇〇六年三月に日銀が決定した量的緩和解除がデフレ長期化の大きな要因であるということを繰り返し、こちらの院の中でもおっしゃられております。そしてまた、同時に、次期日銀総裁は首相の考え方に近い人を選ぶということを、これもやはり何度も何度もおっしゃられているわけでありますが、ということは、二〇〇六年の量的緩和解除の際に日銀政策委員であって賛成票を投じた二名の方というのは考え方が近いということではないということでよろしいでしょうか。
#232
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今この場で委員が挙げられたお二人については大体固有名詞を皆さん頭に浮かばれると思いますが、今それぞれの候補者についてここで具体的に申し上げることはできません。申し上げることができるのは、基本的にデフレ脱却に向けて強い意思を持って、そして能力を持ってそれを遂行していく、政策を進めていくことのできる人物であるということであります。
#233
○中西健治君 今の状況ではそうだろうというふうに思いますが、私の方からくぎを刺しておきたいのは、あれだけ総理が大きな、デフレ長期化の大きな要因だと言っている判断をしてしまったその人が日銀の総裁、副総裁になるということは、やはりもう一度同じ判断をしてしまう可能性が排除全然できないということだろうと思いますので、くぎを刺しておきたいというふうに思っております。
 そしてもう一つ、これは、総理は衆議院の予算委員会において、みんなの党の江田幹事長の質問に呼応してだと思いますけれども、日銀総裁、その資質として、国際金融マフィアになり得る人ということを言及されました。そして、一部にはこの発言を引いて、国際金融マフィアはイコール日本国内では通貨マフィアだと、通貨マフィア、イコール財務省の財務官OBだ、こういう見方をする人たちというのが結構いるんですけれども、これは総理の考えていることじゃないだろうと私は思うんです。江田幹事長も多分そういう思いで言っていなくて、もっと広い意味で、国際金融当局と渡り合える人ということで国際金融マフィアという言葉を使った、これは確認したいんです。お願いします。
#234
○内閣総理大臣(安倍晋三君) テレビで見ておられる方は、何か国際金融マフィアというと、何か非常に悪い人たちみたいな誤解を与えるかもしれませんが、言わば国際金融の世界で、そこはある種のインナーサークルを形成をしておりますので、その中に入っていって発信もできるし説得もできるという意味において、そういう能力を持った人が今こそ必要であろうと。
 つまり、我々の進めている金融政策、時には、それぞれの国にはそれぞれの国の国益がありますから、そういう批判に対して理論でもって反論できる人物、そしてそれが、言わばそういうサークルに自分の言葉を伝えることができる人物がふさわしいのではないかと、このように思います。
#235
○中西健治君 まさにそういうことだろうというふうに思います。そういう人選を是非ともしていただきたいと思います。
 そして、この日銀総裁人事と併せて新体制というのが三月二十日にスタートすることになるでしょうけれども、初めての政策決定会合というのが四月三日、四日と行われる予定になっています。この四月三日、四日、これは誇張じゃなくて世界中が注目しているということを総理は重々認識しているかどうかだけ、お聞かせください。
#236
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回、G7においてもG20においても、我々としては、日本としてまさに初めてといってもいいわけでありますが、我々の金融政策が世界から注目を浴びたわけでございまして、当然その政策決定会合は世界からも注目されていると、我々はそういうふうに認識をしております。
#237
○中西健治君 そうだと思います。ですので、国債の買入れの多少の増額ですとか長期化ですとかETFなどの多少の買い増しということでは、これまで膨らんでいた期待が一気に失望に変わりかねないというふうに私自身は思っておりますので、そこら辺は政府としてもしっかり認識しておいていただきたいなというふうに思います。
 復興についての質問をさせていただきます。
 現在、東京電力福島第一原発から二十キロ以内の警戒区域に立ち入る場合には、一時立入り許可申請を行って立ち入るということとなっています。この警戒区域は新たに三つの区域に再編されつつあります。そして、その三つのうちに居住制限区域とそして避難指示解除準備区域に再編されるところがあるわけですが、ここの二つに再編された場合には、これから二十四時間いつでも自由に立ち入ることができるようになります。
 既に町や村が再編計画を出して、そしてもう再編計画が決定されていて、そして原子力災害対策本部の正式決定を待っているような町や村においては、行政手続に時間が掛かるのであれば、それまでの間、許可申請にかかわる被災者の負担を軽減するという観点から、この二つの地域に再編される予定の地域についてはこの立入り基準の柔軟な運用を行うべきではないかというふうに考えますけれども、これは経産大臣だと思いますけれども、見解をお聞かせください。
#238
○国務大臣(茂木敏充君) 委員御指摘のように、現在の警戒区域、これが新しく帰還困難区域、居住制限区域、そして避難指示解除準備区域と、この三つの区域に見直しがされると。既に対象になっております十一市町村のうち、六つの市町村では見直し済みでありまして、五つの町村について現在見直しの作業を進めております。
 これを急がなければいけないと思っておりますし、そこの中ででき得る柔軟な対応については検討してまいりたいと考えております。
#239
○中西健治君 これまで、被災地が議会の承認を得て決定した区割りを原子力対策本部は変更したことはあるんでしょうか。これまでの六つというのは、原子力対策本部が後から駄目だよとか言ったようなケースというのはないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#240
○国務大臣(茂木敏充君) 通告受けておりません質問ですので、確認の上、お答えさせていただきます。
#241
○中西健治君 是非確認していただきたいと思いますが、ないんです。
 先ほど、前向きに検討するということでありましたので、是非とも柔軟な運用ということをやっていただきたいとお願いを申し上げます。
 林農水大臣にお伺いいたします。
 いまだに警戒区域内で殺処分に同意せずに被曝した牛を飼養管理している農家の方々がいらっしゃいます。国として、今なお生き続ける被曝牛については、原則殺処分という方針を見直して、今後の放射線研究の貴重なデータ収集等のために活用することを前向きに考えるべきではないかというふうに思っています。殺処分した牛の臓器保存等だけではなくて、被曝後に生まれた子牛への放射線の影響等の研究にも役に立たせるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#242
○国務大臣(林芳正君) お答えいたします。
 この件につきましてはもう委員から質問主意書もいただいておるところでございますが、警戒区域を見直して、平成二十四年の四月に新たな総理指示というのが出ておりまして、今お話がありました二十キロ圏内の警戒区域で飼われていた家畜については、原則として、苦痛を与えない方法で処分をするということを原則としておりますが、今お話がありましたように、この所有者、飼っておられる方がその処分に同意しない場合は、出荷や繁殖の制限とか個体識別の実施等の徹底を要請した上で継続して飼養することを認めておるわけでございます。
 今、この継続飼養を希望する農家等が約二十戸ぐらいいらっしゃいまして、既に警戒区域が再編された南相馬市や警戒区域内にある約十五か所の農場で八百六十頭、牛が飼養されておられます。
 我が省といたしましては、大学等の研究機関等から実行可能性のある具体的な計画の提出があった場合には研究利用することなどを認めてきておりますので、今までちょっと四例ぐらいあるんですが、これからも福島県などと協議の上、対応を真摯に検討していきたいと、こういうふうに思っております。
#243
○中西健治君 今四例だということでしたけれども、是非これを増やしていっていただきたいと思います。これは、自民党の石破幹事長も衆議院の予算委員会で、民主党政権下のときに、何とか助けてくださいということを言っていたことですから、是非これはやっていただきたいというふうに思います。
 こうした農家ですけれども、警戒区域内での放れ牛を農場に囲い込むことによって住宅等への二次被害を食い止めるということをしています。国として、補償とは別に必要な予算を計上して、こうしたことに対する対価を支払う等、飼養管理を支援していくべきではないかなというふうに私自身は思っています。
 安倍総理にお伺いしたいんですが、総理は所信で、ふるさとの復興は、被災地の皆さんが生きる希望を取り戻す作業だというふうにおっしゃっておりましたし、総理の御夫人も先日、警戒区域内の牧場の視察に行かれたということのようであります。是非、こうした細かいことを一つ一つ解決していっていただきたいというふうに思いますが、今の経産大臣と農林水産大臣の答弁を受けて、総理の決意をお伺いしたいと思います。
#244
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま農水大臣とそして経産大臣から答弁をいたしましたが、確かに、現場で牧場を持っておられる方々、まあ生き物を飼っておりますから、そこに入りたいという思いは強いんだろうと思います。
 その中で、どう対応できるか、どういうふうに運用で対応できるかということも含めて、よく両省と、また県とも相談をしていきたいと、真摯にこれを検討していきたいと思います。
#245
○中西健治君 是非お願いいたします。
 林農水大臣の方からもありましたけれども、これまで私は三回、これ、質問主意書を内閣の方に出させていただきました。一回目は民主党政権下、二回目は自民党政権に移ってからということで出させていただきましたけれども、これまでの二回はまるっきり同じ回答ということになっておりました。三回目が金曜日に回答を受けるということになるかと思いますので、今のお二人の大臣の答弁も踏まえた上で、この質問主意書に対しては内閣から前向きな返事が来るということを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#246
○委員長(石井一君) 以上で中西健治君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#247
○委員長(石井一君) 次に、平山幸司君の質疑を行います。平山幸司君。
#248
○平山幸司君 青森県選出の平山幸司です。小沢一郎代表率いる生活の党の考え方を軸に、TPP交渉参加問題について、国民、特に地方の立場に立って質問をいたします。
 このTPP交渉参加に関しては、日本の食料安全保障、その他幅広い分野に大きな影響を与えるものとして、日本の良き伝統文化、社会構造を脅かすという懸念が、あらゆる業界団体、国民、特に地方を中心に本委員会でも上がっております。一方で、アメリカのオバマ大統領がさきの一般教書演説で初めてTPPを取り上げ、早期の交渉妥結に意欲を示しております。
 安倍総理、明日から訪米し、オバマ大統領とこの重要なTPP交渉参加問題に関し会談し、近いうちに何らかの決断をすると報道で伺っております。
 リーダーは常に決断の連続です。そこで、一国のリーダーとして、この重要なTPPに関し、近いうちに交渉参加断念という表明をする決断はありますか。
#249
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、今まで申し上げておりますように、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上交渉には参加しない、これが安倍内閣の基本的な姿勢であります。
 そこで、この聖域なき関税撤廃かどうかということは、これはまさに会談で確かめてみなければ分からないわけでありますから、その上において、今までの交渉経過あるいはまた国内への影響等を分析をした上で判断をしたいと思っております。
#250
○平山幸司君 今の総理の答弁は余りはっきりとせずに、少し残念でございます。(資料提示)
 今日、パネルに不明確な点、混乱を招いている点ということでお示しをさせていただいておりますが、この点を明確にしていきたいと思います。
 同時に、今でも国民の政治への不信感は強く、昨年暮れの総選挙での投票率は戦後最低、その中でも私の地元青森県は全国でも最低水準と、はっきりしない政治、そして総理も再三言っておりますけれども、有権者との約束の大切さを話されておりますが、約束と違う政治、これに対しての不信感が渦巻いております。
 さらには、TPP交渉参加問題で将来に大きな不安を抱える農業者や医療関係者そして国民に対し、はっきりと近いうちにTPP交渉参加断念の表明の可能性があるのかどうか、もう一度だけ総理に聞きたいと思います。お願いいたします。
#251
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、今申し上げましたように、聖域なき関税撤廃が交渉参加の前提条件であるということになれば、これはもう参加をしない、我々はそうお約束をしているわけでありますから、聖域なき関税撤廃が交渉参加する上においてこれが条件であると、これがなければ交渉が、前提条件として交渉参加ということになっているんであれば、それは交渉参加できないということは、これはもう明確であります。それは、我々選挙においてお約束をしていることでありますから、選挙においてお約束をしたことは我々はたがえてはならないと、このように思っております。
#252
○平山幸司君 約束とは非常に大切だと私も思っております。
 そこで、今日は私、よく大切なものをこのワイシャツの左ポケットに入れておくんですけれども、たくさんの皆さんの強い思いがこもっているあるものを持ってまいりました。皆さんにちょっと御披露したいと思います。こちらです、こちらであります。皆さんもよく分かっていると思います。こういうふうにして着けてやるんでありますけれども、総理、これは何かお分かりですか。
#253
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ちょっと私、若干今乱視が入ってよく読めないんですが、鉢巻きであるということは分かります。スローガンが書いてある鉢巻きだと思います。
#254
○平山幸司君 これは、ただの鉢巻きではありません。
 そこで、今日は、女性で同じ参議院の森まさこ大臣に来ていただいておりますので、森大臣、簡潔に、これは何の鉢巻きか分かりますか。
#255
○国務大臣(森まさこ君) TPP交渉参加反対の鉢巻きでございます。
#256
○平山幸司君 これは、TPP交渉参加断固阻止なんです。反対ではないんです。そこを明確にさせていただきたいと思います。
 そこで、なぜこのお話をしたかといいますと、昨年十一月東京で、一昨年暮れには私の地元青森でも行われました農業者団体のTPP交渉参加断固阻止緊急集会に参加した際、使用したわけです。多くの皆さんの強い願いがこの実は鉢巻きには込められているということであります。日本全国の農業者、そして多くの国会議員も、東京又は地元の集会で見覚えがあるのではないかと思います。そして、議員であれば、この集会に参加するということがどういうことなのか誰もが理解しているはずです。まさに、TPP交渉参加断固反対ではなく、断固阻止するという政治家としての姿勢、信念の意思表示であります。
 そこで、お伺いいたします。
 森まさこ大臣、十一月に行われたこの集会、断固阻止の集会にあなたは参加されましたか。
#257
○国務大臣(森まさこ君) はい、参加いたしました。
#258
○平山幸司君 ありがとうございます。非常に誠実なお答えでありまして、本当に私は、森大臣、ずっとこの予算委員会でも野党の際に厳しい質問をされて、誠実な姿勢は尊敬しておりました。誠実なお答えありがとうございます。
 そういった意味で、私も青森県五所川原市の農林高校出身ですので、もちろんこの集会には参加しました。ある意味、政治家として国のことを本気で考えれば、この集会に参加するということは当然だと思っております。
 今の答弁にもありましたように、TPP交渉参加断固阻止の集会に鉢巻きを着けて森大臣も参加されたということでありますけれども、その意味が森大臣は自分自身でも十分に理解していると思います。それは、まさに政治家としてTPP交渉参加断固阻止の姿勢、政治家としての信念の意思表示であり、どんなに立場が変わっても、先ほどもお話ありましたけれども、誠実な森大臣であります、その姿勢はもちろん変わらないと思います。
 そこで、大臣は、安倍総理がTPP交渉参加表明に踏み切ろうとした際、内閣の一員として、当然、この集会に参加したときの政治姿勢、信念と同様に、TPP交渉参加を断固阻止、職を賭してでもTPP交渉参加を断固阻止しますね。いかがですか。
#259
○国務大臣(森まさこ君) 農業は国の礎であります。そして、文化、伝統、地域と環境を守る多面的な機能がございます。最も大事なことは、国民の命につながる食を守ってまいりました。そして、私は食の安心、安全を守る担当大臣でございます。
 自民党は、その意味で、聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉参加はしないという公約をいたしまして選挙をいたしました。私もその公約を守ってまいります。
#260
○平山幸司君 ありがとうございます。
 次に、日本の安全保障をつかさどる小野寺大臣。大臣も、日本の食料安全保障を守るという意味でもこの集会に参加されておりますか。お伺いいたします。
#261
○国務大臣(小野寺五典君) 防衛大臣でございます。
 累次、様々このような集会がありました。御指摘の会にそのまま出たかどうか、実は質問通知なかったんですが、恐らく何度かこういう会合には出ておりますし、昨年の秋であれば出たと思います。
#262
○平山幸司君 これも誠実なお答えありがとうございます。
 私、ここに新聞記事を持っておりまして、これは、TPP交渉参加断固阻止緊急集会に本人出席の名簿が出ておりまして、この中にお名前がございましたので質問させていただきました。これも、大臣の政治姿勢、そしてまた信念ですね、交渉参加断固阻止するんだという気持ちが、どういう立場であれ必要だと思います。
 先ほど森大臣にははっきりお答えいただけませんでしたので、是非はっきりお答えいただきますようお願いします。
#263
○国務大臣(小野寺五典君) 防衛大臣でございます。
 森大臣のお話は、私は我が党の姿勢そのとおりだと思っております。聖域なき関税撤廃を前提とするTPP交渉には参加しないという総理のお言葉のとおりでございますし、私も、青森御出身ということで、宮城出身であります。毎年、農協青年部と田植、稲刈りをして、私の作ったお米は実は安倍総理にもお届けしていますが、食べていただいているかどうかは存じ上げませんが、そういう農村の地域をしっかり感じている立場でございます。
#264
○平山幸司君 大臣、明確に答えてください。交渉参加に踏み切ろうとした、表明しようとした際は断固として反対、阻止するかどうか、そこを聞いているんです。
#265
○国務大臣(小野寺五典君) これは我が党の公約でもありますが、例外なき関税撤廃を前提とするTPP交渉には参加をしないということが我が党の方針だと思っております。
#266
○平山幸司君 その聖域なき関税撤廃の定義に関してはこの後やらせていただきますけれども、全く断固阻止するのか。集会に参加しているということは、自分がその政治姿勢を見せて信念を貫くということでありますので、これを是非閣内で貫いていただきたいと思うんです。
 同時に、せっかく来ていただいておりますので、田村厚労大臣にも同じ質問をしたいと思います。いかがでしょうか。この集会に参加されているか、あと、自分の交渉参加に対する姿勢をお伝えください。
#267
○国務大臣(田村憲久君) 正確には覚えていませんが、多分出ていると思います。幾つかの会に出ていました。
 どういうことか。そもそも我々が以前から主張していたのは、前政権の下において情報が十分に出てこないと、こういうものに対しては交渉参加入りは断固反対だと、こういうことを申し上げてきたわけでありまして、そのようなつもりで私は参加をいたしました。
#268
○平山幸司君 非常に今のお答えは残念です。というのは、出ていたか出ていないか分からないというお話ですが、その程度なんですか。この交渉参加を阻止、断固、集会、大変大事な、そして多くの皆さんがここで、当時、野田前総理が交渉参加を表明してしまうのではないかというときの集会です。そのとき、大切なときでありますけれども、その程度なんだなと、こういうふうに感じました。
 稲田大臣にもいらしていただいていますので、稲田大臣にもお願いいたします。
#269
○国務大臣(稲田朋美君) 御指摘の集会には出席したのではないかと思っております。
 また、私は、昨日もTPP交渉の質疑がここでございましたけれども、総理の御見解、御認識のとおりであり、私から付け加えるべきことはございません。
#270
○平山幸司君 先ほどの委員会の質疑の中でも、立場が変われば、それでも政治姿勢は変わってはおかしいですよと自民党の議員からも話がありました。是非ここは、四大臣、十八人の中で四大臣が安倍内閣の中でTPP交渉参加断固阻止の集会に参加をされているわけであります。
 私調べましたら、七百七十二人国会議員がおりますけれども、百二十一人の出席ですから、政治姿勢を明らかにしたのは、この集会だけ見れば一六%、二割に満たないわけでありますが、一方で安倍内閣は、先ほど言ったように十八人の中の四人がその集会に参加しているということであれば、これは国会議員全体の割合より多い、二割以上の大臣がTPP交渉参加断固阻止の政治スタンスを取っているということであります。政務官の方も調べまして、全て七十一人の中では全部で二十人参加をされておりました。よって、全体の三割近くの大臣がTPP交渉参加断固阻止の政治スタンスであります。
 今日は安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議でありますので、結果を見ると、私は、まさに安倍内閣はTPP交渉参加断固阻止内閣と言っても過言ではないと、こう感じているわけでありますが、総理、それでもまだ断念の可能性は否定いたしますか。
#271
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自民党というのは、非常に自由に、ダイナミックに議論をするわけでございまして、御党も同じかもしれませんが。
 そこで、今まで様々な政治的課題において、党は考え方が二分したこともあります。私も、まだ当選一回、二回のころは随分暴れたことがありますし、党の基本方針に反対もしたことがあります。しかし、そういう議論を超えて、最終的に党の基本的な方針が決まっていくわけでありますが、党においては、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上交渉には参加をしない、それを含めて六項目において、全党はこれを一つの認識にしようと、これを選挙における約束にしようということになったわけであります。そして、私たちは選挙で戦って議席を得ています。
 その前に、いろんな我々を応援をしていただける大切な団体の集会がありますよ。そこでは、当然、その団体あるいはその時点におけるその議員の意思を表明する。その時点ではまさにそれがその議員個々の考え方も表明するということになりますが、最終的に選挙を戦う上においては、これが全党の議員が議論した結果でありますから、そこはその一点ということで我々は約束をしたということでありますから、安倍内閣におけるそれぞれの議員がそうした集会に出ていたことと、この内閣として、党として基本的な姿勢を示したこと、全く私はこれは矛盾しないと、このように思います。
#272
○平山幸司君 それでは、最終的にはまとまるんだというお話ですが、私は、やはりこの四大臣の政治姿勢、断固阻止集会に参加しているということ、これは誠実に守られるんだなと、こういうふうに信じておりますので、結果的にこの四大臣が、表明、安倍総理がしようとした際に、駄目だと総理というふうに言った場合、これは総理はここに並んでいる大臣を罷免してでも参加する気持ちなんでしょうか。
#273
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、我が党としての方針というのは、先ほど申し上げましたように、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上交渉に参加しないというのが、これは基本的な公約ですから、もしこれを私がたがえるようであれば、恐らく今の閣僚たちはふざけるなということになるんだろうと思いますよ。これが基本でありますから、このことによって私は内閣を組織をしていると、こういうことであります。
#274
○平山幸司君 それでは、パネルにあるこの六項目、これをしっかりと明確にしていきたい。今の時点では明確になっていないからこそ、国会内でも大きな混乱も起きておりますし、賛成派、反対派いるわけでありますけれども、その両者もどうなんだという気持ちがあるわけであります。
 よって、この六項目、こちらのパネルに出ておりますけれども、これらを一つ一つ明確にしていきたいと、こう思っております。
 なかなか総理も聖域なき関税撤廃という定義をはっきりと言っていただけないので、やっぱりこれが不明確であると、こう感じているわけでありますけれども、現在、米国等十一か国で協議が進められているTPP交渉参加は、これは聖域なき関税撤廃というのが前提として行われているという御認識ですか。
#275
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そこは今分からないわけですね。今の段階ではそれが前提条件となっているのかどうか分からないので、首脳会談において首脳同士でそれを確認しようと、こういうことであります。
#276
○平山幸司君 分からないということであれば、この聖域なき関税撤廃の定義をはっきりさせて、判断基準をしっかりと示してください。
#277
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 既にこれは衆議院において内閣の統一見解を求められましたので、聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉に参加しないという意味であり、それ以上でもそれ以下でもないと、このようにお答えをしているところであります。
#278
○平山幸司君 それでは全く意味が分からないんですね。テレビを見ている人も、一体聖域って何なんだと、ずっと地元にいても聞かれます。そこをはっきりと、これとこれ、これはということを言っていただきたいんです。
 そこで、今日、甘利大臣もいらしていただいておりますので、甘利大臣の方がもっと分かりやすく説明していただけるんではないかなという期待を込めて、簡潔にこの定義についてお知らせ願います。
#279
○国務大臣(甘利明君) 私に何を期待されているのか分かりませんが、私の態度も総理と全く一緒でございまして、聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉には参加できないということであります。
#280
○平山幸司君 今のでも分かりません。
 そうしたら、これを行きます。自民党で決まった五品目というのがありますね。十四日の自民党農林部会長が、決議のこの部分が聖域であろうと思うが、はっきりさせる必要があると、こう党内で言っているわけです。部会長です。日本が関税撤廃の例外品目として守るべき聖域は、米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖の五品目が基本との見解を示しました。総理、これが聖域ですか。
#281
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば聖域が全くない、これが聖域というよりも、聖域がないという、全く認められないということであると言ってもいいと思いますが、全く聖域がないということかどうかということを確認するわけであって、今の個別項目それぞれを挙げてこれが聖域かこれが聖域かということではなくて、聖域が全くないのかどうかと、聖域なき関税撤廃なのかどうかということが確認されなければならないということであります。
#282
○平山幸司君 全く聖域がないということが確認されればという話でありましたので、逆に、一項目でも聖域があればそれは参加するということですか。
#283
○内閣総理大臣(安倍晋三君) オバマ大統領との首脳会談においては、言わば交渉する場ではございませんので一つ一つ項目を挙げるということではないわけでございまして、言わば聖域がまず存在するのかどうかということが、これが課題になるわけでありまして、そしてまた、交渉というのは、今、事前の交渉というのは民主党政権から行われているわけでございますが、言わば参加しての交渉というのは我々やっていないわけでありまして、そもそもが、そうすると参加した後に交渉によって勝ち取ることができるかどうかということになっていくわけでありまして、言わば交渉の余地が、参加した後の交渉の余地が全くない、聖域が全く認められないということであれば、それは当然公約違反になりますからそもそも参加できないと、こういうことになるわけであります。
#284
○平山幸司君 そうしたら、オバマ大統領が、会談、明日行くわけでありますけれども、聖域は存在するよと言ったら、それはあるということで認識するんですか。
#285
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、聖域なき関税撤廃には我々反対をしていますが、聖域があるということになればそれは話は別でありますが、しかし、そこですぐ参加ということではなくて、当然、今までの交渉の過程をもう一度分析をしながら、あるいは日本への影響等を分析して判断をしたいと思います。
#286
○平山幸司君 この聖域に関しましてはもっと深く、農林水産委員会でも、またこの予算委員会でもやっていきたいと思いますけれども、今、この聖域があっても、聖域がなくても参加しないということ、聖域があるとすれば参加するという話でありました。しかし、それだけではないという話でございましたので、自民党の六項目、ちょっとここ、話します。
 聖域なき関税撤廃がまず一つ。食の安心、安全の基準を守る、二つ目。国の主権を損なうような投資家・国家訴訟、ISD条項ですね、話されていますが、これは合意しない。自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。それから、国民皆保険制度を守る。さらには、政府調達、金融サービス等は我が国の特性を踏まえる等の五項目で、関税のことですね。この六項目は一つパッケージとして、昨日も林農水大臣は六項目が全て堅持されない限り交渉には参加しないと認識を示しました。しかし、総理の答弁からは、これがもう前提で、その六項目も全て確認されない限り交渉参加は表明しないんだというはっきりした言葉がないんです。
 よって、私は、この六項目を含めたものを、交渉に入る前提としてこの六項目を含めるという、衆議院ではこの関税のことを定義を聞かれて、そして政府見解を出したわけですね、関税のことについて。
 私は、この参議院の予算委員会で、関税も含めた六項目全てこれ問題視しておりますので、是非これを全部含めた形で政府の統一見解を出していただけますか。
#287
○国務大臣(林芳正君) 済みません、私の昨日の発言についてちょっとございましたので、改めて正確に申し上げたいと思いますが、今の五項目、残りについては、仮にTPP交渉に参加する前の段階で残りの五項目の判断基準に反することが明らかになった場合には、党の方針との関係でTPP交渉への参加が難しくなるのではないかと考えていると、これが正確に申し上げたところでございます。
#288
○平山幸司君 難しくなるのか、それともそれが交渉参加の前提なのか、総理、お答えください。
#289
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、林大臣が申し上げましたように、聖域なき関税撤廃、そしてそれ以外の五項目ですね、その五項目において、言わばそれについて五項目が守られないということが明らかになれば、それは参加はできないということでありますが、そういうことも含めて頭に、念頭に置いて、これは当然聖域なき関税撤廃なのかどうかということを確認をしなければいけないと思います。
#290
○平山幸司君 ありがとうございます。
 今総理は、六項目も、五項目含めてということで、しっかりとそれも含めると明言されたわけですので、政府の統一見解を出してください。
#291
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 統一見解というのは、今私が総理大臣として申し上げておりますので、それが、私が述べたことが統一見解でございます。
#292
○平山幸司君 といいますのは、先ほど、そこに四大臣もいらっしゃいますし、林大臣は難しいんじゃないかというところで含みを持たせましたので、今総理が、これが統一見解でこれが前提となるという話なので、林大臣、これでよろしいですか。
#293
○国務大臣(林芳正君) 安倍内閣の農水大臣でございます。したがって、総理がおっしゃったとおりでございます。
#294
○平山幸司君 ありがとうございます。
 この六項目も全てこれは交渉参加の前提として含まれると、よってこれらが守られなければ交渉参加には、参加しないと、表明をしないということを今約束をしていただきましたので、今日は本当に実りのあることだと思います。ありがとうございます。
 次に参ります。この判断時期についてお伺いをいたします。
 一月二十九日の報道番組で安倍総理は、TPPに関する基本的な方向性について夏の参議院選前に示していきたいと報道されております。これは、参議院選前の早い時期においてTPP交渉参加あるいは不参加という方針を示されるということでしょうか。
#295
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 首脳会談において、聖域なき関税撤廃なのかどうか、これを確かめたいと思います。
 その後に、その上において、例えば聖域なき関税撤廃ではないという私が認識を得た場合、その上において今までの交渉経過を、中身を分析をし、そして国内にどういう影響があるかということを精査しながら判断をしなければならないと考えておりますが、それには夏の七月の参議院選挙の以前に結論を出せるのではないかと思います。
#296
○平山幸司君 夏の参議院選前に結論を出すということでありました。そして、総理は今、アメリカに行って話をしてきた上でしっかりと分析をして、その上で考えていくという話であります。
 これも一つお伺いします。
 公明党の山口代表が二月の十七日に、TPPについて現時点では国民的議論が不十分だと、こう発言しております。この連立政権を組む党の代表の言葉は私は非常に重いと思います。これをどう受け止めますか。
 また、今、アメリカに行って、帰ってきて、いろんなことを分析してというお話がありましたので、同時に、連立を組む政権のトップの発言、提案ですから、TPPに関する集中審議なり特別委員会の設置をするということを、これは自民党の総裁として指示する考えはありませんか。
#297
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も山口代表の発言は承知をしております。言わば前政権時代の交渉過程において何らか分からない点も国民の皆様にはあったんだろうと思いますし、そもそも今まだ日米首脳会談が行われていないわけでありますから、聖域があるかないかということについての議論はされていないということなんだろうと思います。同時に、この交渉を、もし参加しないということになればそこで終わりでありますが、他方、参加するという判断もあるわけでありますが、その中においては時期等もあるわけでありますから、そうしたことも勘案して判断をしていきたいと、こう思います。
 国会については、これは、私は自由民主党の総裁ではありますが、行政府の長でありますから、国会においてお決めいただきたいと思います。
#298
○平山幸司君 ありがとうございます。
 今日は公明党の太田国交大臣にもいらしていただいています。
 後ほど、今日も青森、物すごい豪雪で、雪が降っておりまして、本当に皆さん大変な思いをされているので、この雪の問題も本当はやりたいと思っておったんですが、ちょっと時間がありませんので、今の総理の発言に対して、公明党の党に所属するという意味で、国交大臣に御見解をお願いいたします。
#299
○国務大臣(太田昭宏君) 総理の、政府の一員としては、おっしゃるとおりだと思います。
 私がここに国土交通大臣として存在しておりますのは、十二月二十五日の自公連立政権合意、そして合意文書に基づいて私はここに立っているということでございます。そこにおいては、TPPについては国益にかなう最善の道を求めると、このように書いてございます。
#300
○平山幸司君 ありがとうございます。
 今の、この公明党代表の発言に対して総理の御見解もいただきましたし、集中審議、この特別委員会の設置というのは国会が決めることであるということでございましたので、委員長に、これはTPPに関する集中審議、この委員会で行うと、若しくは特別委員会の設置というものを要求したいと思います。
#301
○委員長(石井一君) 承りました。後刻理事会で協議させていただきます。
 質疑を続行してください。
#302
○平山幸司君 それでは、最後の質問になるかと思いますが、このパネルの一番最後のところでございます。
 これは、玉虫色の選挙公約と、こう書いているわけでありますが、やはり今まで議論をさせていただいても、TPP交渉参加の是非に関しても不明確。聖域なき関税撤廃の定義も、これも不明確です。さらには、TPP交渉参加の判断基準、これも不明確。判断時期、これは言われました。七月前ということでございます。よって、しっかりと議論をしなければいけないということであります。また、ISD条項を含めた、これも今日の委員会の中で、これは前提とするということをしっかり言っていただきましたので、この部分はクリアに二つなったと思います。
 そこで、最後ですが、条件付反対と、聖域なき関税撤廃のことを言っておりますけれども、この玉虫色選挙公約に対しての政治責任に関してお伺いします。
 今回の衆議院選挙では、衆議院の当選議員の多くがTPP交渉、TPP参加絶対阻止を訴えているJA等の支援を受けました。聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉に、参加に反対という自民党の政権公約を聖域があれば交渉参加に踏み切ると読むのであれば反対ということでさきの衆議院選挙で自民党を支持された方々の気持ちを裏切る行為になるのではないかと、こう感じるわけであります。
 この条件付反対という玉虫色の選挙公約は、多くの議員、そして自民党政権にも責任があると思います。責任を果たすために、総理、最後の質問です、交渉参加断念、アメリカに行く前に決断が必要ではないでしょうか、いかがでしょうか。
#303
○内閣総理大臣(安倍晋三君) あくまでも首脳会談を行って聖域なき関税撤廃がどうかということを確認をしたいと思います。
#304
○平山幸司君 以上で終わります。ありがとうございました。
#305
○委員長(石井一君) 以上で平山幸司君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#306
○委員長(石井一君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。
#307
○大門実紀史君 今日は、物価と賃金の問題について質問をいたします。(資料提示)
 パネルの下の方を御覧いただきたいんですけれども、昨日、最新のエンゲル係数、二〇一二年の数字が発表されました。エンゲル係数というのは、もう御案内のとおり、家計支出に占める食料費、食費の割合でございます。所得の低い人ほど割合が高くなって、所得の高い人ほど割合が低くなると。つまり国民の生活のゆとりを示す数字でありますけれども、これは一ポイント上がるというのは大変なことでございます。そういうふうな数値として御覧いただければと思います。
 日本ではこの数年、このエンゲル係数が上昇をしてまいりました。つまり、生活にゆとりがなくなって、低所得者の方々と富裕層との生活格差が広がっていると。それを示すのがこのエンゲル係数でございます。
   〔委員長退席、理事小川敏夫君着席〕
 総理は、通告はしていませんけれど、この数字を見ていかが思われますでしょうか。
#308
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このエンゲル係数を見ますと、これは一一年、一二年と上がっているんですね、一〇年から一一年、一二年と、こう上がっておりまして、これはたまたま民主党政権ということになるんでしょうか。二〇〇六年、二〇〇七年、これは下がっておりますが、これはちょうど第一次安倍政権でございましたが。
 いずれにせよ格差を、この格差の定義いろいろありますが、格差というのは、国民的に許容できない格差、あるいはそれが固定をしてはならない、これは安倍政権の基本的な方針でございます。
#309
○大門実紀史君 なぜエンゲル係数が上昇してきたかなんですけれども、一つは、賃金がこの間、指摘されているとおり、減少してきたことがあります。二つ目には、食料品の値段がデフレとはいえどじわじわ上がってきているということがあります。
 通常、人々は所得が下がりますと節約をします。一番に節約するのは食費です。ですから、通常なら所得が下がったらストレートにエンゲル係数が上がるということは余りないんですね、こんな短期間で。したがって、何が起きたかというと、その間に食費が上がっているということがないとこういう数字にはならないわけでございます。
 ここ数年、デフレと言われながらも、今申し上げたように、食料品が下がらないでむしろ上がってまいりました。主な原因は、輸入物価が上がってきたからでございます。その背景にあるのは、新興国の需要が増大したのはもちろんありますが、海外のヘッジファンドなどが、投機マネーがやっぱり穀物とかそういう、原油なんかもそうですが、食料の世界的なマーケットに入り込んで、投機的につり上げてきたということもあります。一旦上がって落ちているのは、リーマン・ショックの、世界の原油が上がった、穀物が上がった後の話でございます。
 ですから、パネルの上段の方を見ていただければ分かるんですけれども、それは指数で表れておりますけれども、デフレといいながら国民が余りこの物価安を実感できなかったというのは、所得が減少した上に、今申し上げた食料、エネルギーなどの生活物価が値上がりしてきたからでございます。
 これが今までのトレンドなんですが、さらに、日本銀行に伺いますけれども、輸入物価について追いかけておられますので、直近の輸入物価のうち、生活関連ですから、食料、飼料、あと原油等々のエネルギー、これの物価動向について、その背景も含めて簡潔に説明をしてください。
#310
○参考人(木下信行君) お答え申し上げます。
 お尋ねの一月の輸入物価を円ベースで見ますと、食料品、飼料は前年比プラス一三・四%、石油、石炭、天然ガスは前年比プラス一四・五%と、為替円安を主因に上昇いたしております。
#311
○大門実紀史君 つまり、そもそもこういう流れにあったわけですけれども、やはり安倍総理の大胆な金融緩和の宣言をきっかけに、先ほど申し上げました、今海外投資家が動いておりますけれども、特に海外のヘッジファンドなどの投機筋によって急激な円安がつくられて、そして、今あったように、この一月の一番直近の生活関連の輸入物価は軒並み一割以上も上がっていると。やっぱりちょっと異常な事態に今なっているわけでございます。特に、私も被災地回っておりますが、灯油、ガソリン等の高騰が、被災地ではもう悲鳴が上がっているという状況でございます。
 それを踏まえてお聞きしたいわけですけれども、安倍内閣が二%の物価上昇目標を掲げておられますけれども、日本銀行の調査によりますと、二〇一一年度の数字なんですが、消費者物価において、パソコンとか電化製品など僅か十六品目、僅か十六品目の電気製品が一〇%からひどい場合は四〇%も下落して、この消費者物価を〇・六ポイントもそれだけで、僅かそれだけで下げているわけですね。
 こういうトレンドは急に変わらないというふうに思いますが、この下で二%の物価上昇を実現するとすれば、この生活物価、生活必需品関係の物価は相当上がらないと、少なくとも二%以上上がらないと全体で二%という物価上昇目標は実現しないと思うわけですけれども、そういう生活物価がどれぐらい上がると、二%のときですね、どれぐらい上がるというふうな予測なり試算なりはされているんでしょうか。
#312
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が指摘をされました家電製品でありますが、家電製品については、生産性の向上に伴って価格が下がっていくという性格もありますが、同時に、デフレによって価格が下がっていくという側面もあるんだろうと思います。
 消費者物価指数、CPIの約五〇%を今占めておりますのは、ウエートを占めておりますのはサービスの価格でございまして、これはもう委員御承知のとおりでありますが、日本においては横ばいないしは下降傾向にあるわけであります。一方、諸外国においては、サービス価格は毎年二、三%程度上昇をしているわけであります。日本では、残念ながら、サービスにおいては価格がデフレ、まさにデフレ状況で下がっておりますので、サービスにおいては人件費に直接これは影響してくる、言わば賃金が下がっていくという大きな原因になっておりますので、日本の賃金の伸び悩みにも直結をしているということであろうと、このように思います。
 その中で、この物価安定目標二%に向けて進んでいく中において、このサービスにおいて二、三%という諸外国並みに上昇をしていくことが望ましいのではないかと、このように思います。
#313
○大門実紀史君 一点だけ一致するのは、サービスですからやっぱり賃金が上がらないと、サービスは労働集約でございますので、賃金上がらなきゃいけないという点は一致するんですけれども、やっぱり全体として生活物価が相当上がらないと、アメリカの例でいきますと、大体二%上昇のときに生活物価は三%から四%毎年上がっているわけですね。過日、民主党の植松先生が指摘されましたけど、十年にすると三、四〇%上がっているわけですよね。そういうことになってしまうと、賃金が上がらないでそういう事態になると大変な、これはデフレよりもたちが悪くてもう最悪の物価上昇と、こういう危険性があるわけでございます。
 そうならないためには、本当に本腰入れて今この経済対策の一環として賃金を上げるということをやらないと、企業の業績が上がればそのうち賃金上げるでしょうというのは、二〇〇六年、七年でできなかったわけですね、失敗しているわけですよね。やっぱり賃金を上げるということに今踏み出さなければならないというふうに思います。
 エンゲル係数、生活物価の関係からいきますと、私は、全体の賃金の底上げでやっぱり最低賃金を引き上げるということは非常に重要な政府が取り組みやすい政策でもあるというふうに思います。これも新しい数字でございますけれども、日本の最低賃金は時給換算で七百四十九円ということで、とうとうアメリカにも抜かれました。先進国でもう最低の水準でございます。
 昨日、我が党の志位委員長が菅官房長官と会談をしたときに、賃金引上げの取組をすべきということを申し上げたときに、官房長官も最低賃金はもっと上げたかったと、ただし中小企業に対しての影響が心配だとおっしゃったわけでございまして、私は正しい認識だというふうに思います。
 我が党も中小企業に対する施策は大変重要だと思っておりますが、安倍総理も同じ考えだと思いますが、一言お願いします。
#314
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 委員指摘のとおりでございまして、中小企業、小規模事業者は、そう簡単になかなか最低賃金を上げていくということに対応できない。それを無理やりやっていきますと、むしろ逆に雇用を調整するあるいは事業自体をやめるということになりますので。他方、そういう企業あるいは小規模事業者の生産性を上げるために、政府としても様々な施策を推進していく必要があると思います。
#315
○大門実紀史君 パネルの三枚目なんですけれども、実は、各国政府が最低賃金引き上げるときに、大規模な中小企業支援策というのは実はどこの政府でもやっております。アメリカでは八千八百億円、これは短期間に、五年間で、日本円にすると当時で二百円の最低賃金引き上げるときに八十四億ドルの、特に減税中心ですけど、やっておりますし、フランスの場合は二兆二千八百億、これの場合は社会保険料の使用者負担軽減ですけど、特に中小企業支援として相当大規模にやりながら、最低賃金を一気に上げるということをやってきたわけでございます。
 日本は、民主党政権のときに最低賃金を千円に上げると大々的に掲げましたけれども、三年間で三十六円しか上がっておりません。ほとんど自民党時代の伸び率と変わっていない。日本としてはまだ本格的な取組がされていないということでございます。また、日本では、いまだ経団連などが、最賃を上げると雇用が減るとか企業の業績が上がってからやるべきだとかいう旧態依然とした意見が多いわけですけれども。
 今日ちょっと配付いたしましたけれど、資料、これはパネルにしておりません、資料の四枚目ですけど、アメリカが実際に最賃引上げに取り組んだんですけれども、経営者たちはどういうふうに考えているかということなんですけど。もちろん、当初はアメリカでも最低賃金引上げのときに反対した経営者たちが多かったわけですが、やってみれば、最低賃金引き上げることはビジネスにプラスになるというようなことで、最低賃金引上げをむしろ経営者の皆さんが支持するようになりました。
 それから、お手元にある配付した資料は、全米千社の社長と重役、そして中小企業経営者が最低賃金引上げを支持する声明に署名をしたと。その声明文がニュースでリリースされておりますので、もう一枚目には英文を載っけておきましたが、訳をしたものをそこに載っけてございます。
 何を言っているかといいますと、私たちは、最低賃金の引上げはビジネスにとっても地域社会にとっても利益となると。賃金の引上げは、消費者の購買力を高め、労働者の移動を減らし、生産性を高め、製品の品質を高め、消費者の満足度を高め、会社の評判を高め、したがってビジネスにも利益になると。つまり、業績が良くなったら上げましょうとか何かじゃなくて、いわゆるトリクルダウンとかダム論ではなくて、最賃の引上げそのものが企業の業績を伸ばすということを言っているわけで、ここは大変重要なことだというふうに思います。
 その下の方にも書いてございますけれども、実際最賃を上げた州と上げなかった州で何が起きているかというと、上げた州の方が雇用が改善して、政府の支援策もありますけれど、中小企業の経営も良好になったと。だから、最低賃金批判論者の予測と反対の結論になっているということを述べているわけですね。
 日本はまだやっていませんけど、心配ばっかりいろんなことを言っていますけど、やってみればこういう結果になったのがアメリカの例でございまして、これは、実際に本当にアメリカがそのときに消費を拡大して、国内の消費を拡大して景気も上向いたということがあるわけでございます。とにかく、アメリカの経営者は実践を通じて発想の転換をしてこう切り替わったわけでございますけれども、日本の経営者あるいは政府も、ちょっと発想の転換といいますか、やってみればこういうことになるんだということをやっぱり今きちっと学ぶべきだと思うんですよね。
 その点では、麻生大臣、経営者でもございましたから、ちょっと御感想をお聞きしたいというふうに思います。
#316
○国務大臣(麻生太郎君) いきなり所管外で振られたんでちょっとあれですけれども。
 これ組合が、連合なんというのは、きっと賃上げ一生懸命やっておられたんでしょうね、この三年間、余り聞いたことはないんですけれども。僕は正直言って、このアメリカの二〇〇七年の数字、この日付が二〇〇七年二月の八日と書いてありますので、このときこの情報を知りませんでしたので、ちょっと正直これは大変参考になりました。
 今、御存じのように、この数年間というか、リーマン・ショック以後で見ますと、一部上場企業の四三%から四%ぐらいは実質無借金になっているぐらい自己資本比率は極めて高いものになったというのが日本の企業の実態でして、十年、十五年前とは全く日本の企業の実力が違ったものになっております。それが一点。
 もう一点は、それだけたまった内部留保というのであれば、その内部留保は通常であれば賃金に回るか配当に回るか、若しくは設備投資に回る、そういうはずのものですけれども、それが回っていない。ただただ金利も付かないのに内部留保にじっとしているという状態は異常です。これは、明らかに今までに過去こんなことはなかったと思いまして、労働分配率は今どれぐらいになっているんでしょうね、これ、かなり落ちていると思いますけれども。
 我々の経営者のときとは全然時代が違って労働分配率が低くなっていると思いますが、いずれにしても、この間総理の方から経済三団体にお願いをしたときに、確かに企業は、既に賃金を上げるということを言っておられます。例えばローソンとか、私の地元では安川電機とか、そういうところははっきり、円安になったおかげで賃金を上げる方向で苦労させた社員に報いたいということをはっきり言われる経営者もおられる。そういった経営者が結果としてうまくいくと、ほかの方々も何となくヒラメの目みたいな横のつながりでずっとという形になる。
 そういった形になっていけばいいがなとは思いますけれども、少なくともそういった形になる、これは経営者に対して強制的にできる話ではございませんので、いろいろな意味でそちらの方がいいですというインセンティブをより多く与えるという努力が要ると思っております。
#317
○大門実紀史君 大臣おっしゃったとおり、最低賃金は、大企業はもう内部留保ありますから十分耐えられます。問題は中小企業なんですね。
   〔理事小川敏夫君退席、委員長着席〕
 それで、日本は一応、下に書いて、ちょっともう恥ずかしいぐらいですけど、一応計画を作ったところに助成しますよというちまちました制度があることはあったんです。民主党政権でつくったんです。それも僅か五十億だったんですね。これはどんどんどんどん減らしてきているんですね。
 もう時間がないので、田村大臣に来てもらって済みませんけど、なぜ減らしたのかを聞こうと思ったんですけど、聞いてみたら、使われていないから実績に応じて減らしたと言うんですよね。つまり、使われもしない制度をつくっちゃっているわけです。これは全面否定はいたしませんけれど、こんなレベルじゃなくて、本当に海外でフランスやアメリカがやっているような景気対策として大規模に大胆にやるということはどうしても今重要になっていると思いますけど、総理、いかがお考えでしょうか。
#318
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま大門議員から重要な御指摘があったと思います。
 言わば中小零細においてはなかなか賃上げというのは勇気が要ることでありますが、結果として業績が改善をしていくということになればこれはまた話は別になっていくでしょうし、我々もそうしたことを研究をしなければならないと、今委員の質問を伺っていてそう思った次第でございますが、日本の支援の仕方においても、使われないというのがたまにございますから、それはやはり使い勝手がいいように変えていくということも含めて検討をしていきたいと、このように思います。
#319
○大門実紀史君 是非頑張りましょう。
 これで終わります。
#320
○委員長(石井一君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#321
○委員長(石井一君) 次に、舟山康江さんの質疑を行います。舟山さん。
#322
○舟山康江君 みどりの風の舟山康江です。
 明日からの総理訪米を前に、日米首脳会談で議題に上がるだろうと思われておりますTPPにつきまして、既に何人かからもう質問が出ておりますけれども、私からも何点か確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 総理は、答弁の中でも、やはり聖域なき関税撤廃かどうかというのが非常にポイントだとお考えのような、そういった答弁が幾つか聞こえておりますけれども、この点もう一度確認したいと思います。
 やはりこのTPPに参加をするかどうかの判断の一番の肝は、その聖域が取れるかどうかという、そういった御理解だと理解してよろしいでしょうか。
#323
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどもお答えをさせていただいたんですが、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上交渉には参加しない、これが基本的な基本方針であります。
#324
○舟山康江君 私、大変僣越ながら、その認識はちょっと違うんではないかと思います。
 もちろん、関税の問題もこのTPPで大変大きな論点の一つではありますけれども、TPPは包括的な経済連携でありますので、関税以外にいわゆる非関税分野と言われるものがたくさん存在しています。今、交渉されている二十一分野のほとんどが非関税分野でありまして、例えば、衛生植物検疫、食品の安全基準をどうするのか。政府調達、こういったものに対する外国企業の参入条件をどうするのか。また、知的財産、著作権の問題ですね。金融サービス、これを外国企業にどう開放するか。投資ルール、こういったいわゆる非関税分野が非常に大きいというのがこのTPPの特徴でありまして、私はこれ、関税撤廃の例外が取れればいいという、そんな単純な話ではないと考えております。
 ちょっとパネルを御覧いただきたいと思いますけれども、(資料提示)様々な問題がある中で、特にISD条項というものがあります。これ、投資家が政府を訴えることができる、その規定を決めたものであって、総理も十分御承知だと思いますけれども、幾つも提訴されている中で、例えば、北米自由貿易協定の事例と、それから韓国が被提訴国になった事例という、これ二種類を挙げました。
 環境規制ですとか投資規制を掛けて、それで企業が損害を被ったと認定されれば賠償金を支払わなければいけないということですし、昨年の三月に米韓FTAが発効いたしましたけれども、これに基づいてもう既に韓国がアメリカの不動産専門ヘッジファンドから提訴されていて、今裁判が行われていると。
 これは非常に大きな問題だと思っています。今までは、先進国は途上国に対して安心して投資するためにこれは必要なんだという議論がありましたけれども、先進国も訴えられる。国内の規制が、国家主権で決められる様々な規制が外国の企業、投資家の利益に劣後するという、こういう懸念があると思っておりますので、やはりここは十分に注意しなければいけないと思います。
 私は、昨年の一月にアメリカに行ってまいりました。USTR、それから各種団体の方と会う中でアメリカ側から言われたことは、TPPのそもそもの目的であり良い点は、これ関税撤廃という言葉ではありませんでした、規制調和を目指していることなんだと、こういう答えが返ってまいりました。つまり、非関税分野こそが私はこのTPPの大きな問題だと思っております。
 さらに、知的財産の保護強化、特許の期間延長、先進国にとって良くても途上国に本当に甚大な被害を及ぼすということも考えられますし、先ほどの質問で、医療は、国民皆保険制度は対象外だというお話がありました。
 確かに、韓国においても国民皆保険制度は直接的には対象外でありましたけれども、実は、やはり敵もさることながら、そんなストレートな攻めはしてまいりません。韓国においても特区というものをつくって、特区においていわゆる混合診療を認めたりとか株式会社の病院参入を認めているという、こういう穴を空けているんですね。こういうことで医療に影響が及ぶというのも十分考えられると思っております。
 まさにこれ、農業を守るのかどうなのか、農業問題ではない、もう国民生活全体、国家主権全体の問題であるということを是非御認識いただきたいと思いますけれども、総理、その辺の御見解はどうでしょうか。
#325
○国務大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、TPP協定に関しましては、我が国といたしまして、非関税分野も含めて今情報収集に努めているところでございます。
 御指摘のあったISDS条項につきましても、これまで得られている情報によりますと、TPP交渉におきましては、投資の保護と国家の規制権限の確保との間の公平なバランスを保つことでISDS手続の濫用を防ぐための規定が今検討されている、こうした状況にあります。
 加えて、そもそも我が国において、この投資関連協定締結に当たっては、締結に当たって国内法との整合性を図る、こうした方針であります。ですから、この国家と投資家との間のISDS手続によって、我が国の国内法が協定に反するという、訴えられること、これがそもそも想定することは難しいと思っています。実際、我が国は、一九七八年以降、ISDS手続を含む投資関連協定、全部で二十四締結しておりますが、我が国の場合、この同手続で訴えられた前例は存在いたしません。
 これ以外のこの非関税分野につきましても、しっかりと情報を集めて、国益にかなう最善の道を求めていきたいと考えております。
#326
○舟山康江君 一般論としてISDS条項があらゆる協定に入っているというのは私も承知しております。
 問題はやはりアメリカなんですね。アメリカが、やはり訴訟大国としてあらゆる国に対してアメリカの企業が相手国を訴えているという、こういった事例が本当に多く散見しております。ここずっと累計で見ますと、このISDSの活用というのがもう四百件近いという状況もありまして、やはりここは細心の注意を払っていかなければいけない。つまり、聖域なき関税撤廃が、仮に、仮に聖域が取れたとしても、このTPPには多くの問題が含まれていると、ここをきちんと押さえていかなければ、TPP参加の是非は判断できないということを、是非、総理、訪米の前に肝に銘じていただきたいなと思っております。
 パネルを御覧いただきたいと思います。実は、この点につきましては、総理が総裁を務めます自民党でも相当強く認識をされていると思っております。これ、パネルは、二〇一二年、昨年末の衆議院選挙の際の自民党の政策集から抜粋をさせていただきました。自由貿易の取組というところで、自由貿易の推進は我が国の外交通商政策の柱ですと。私もこのことには異存がございません。そして、TPPについて、先ほど来総理がおっしゃっております聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対すると。これに加えまして、AからE、これも何度も多くの質問者が説明しておりますのでもう繰り返しませんけれども、これ以外にいわゆる非関税分野についてもちゃんと留意しなさいという、こういうことを、留意しますよということですね、しますよということを国民と自民党の約束ということで提起をしております。
 これは確認ですけれども、この六項目をクリアしない限り是非は判断できませんという、こういう理解でよろしいでしょうか。確認させてください。
#327
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、首脳会談において、聖域なき関税撤廃なのかどうかということを確認をしたいと、このように思います。それを踏まえて、今までの交渉経緯、そして、あるいはまた我が国に対する影響等を分析をする、していく。と同時に、国益にかなう最善の道を求めていくという中において判断をしたい。その判断をする上において、その五項目も当然踏まえて判断をしていくということになります。
#328
○舟山康江君 その五項目を踏まえてというのがなかなか分かりにくいんですけれども、五項目をきちんとクリアすると、これは、これをやりますという国民との約束だと思っておりますので、これをクリアしない限り是非は判断しないという、そういったことだと思っております。
 これ、二月一日の参議院本会議におけます我が党の谷岡代表の質問に対して安倍総理は、「内容の見えない条約に参加することはありません。」と明確に御答弁いただいております。ここが確認できない、つまりは内容が見えない、これが確認できない限り条約に参加することはないということでありますので、是非そこは踏まえていただきたいと思っております。
 そう考えますと、衆議院の予算委員会理事会に提出されましたTPP交渉参加に対する基本方針について、これ内閣官房の名前で出ていますけれども、これは、聖域なき関税撤廃を前提にする限りTPP交渉には参加しない、つまり公約の@だけが基本方針として掲げられています。
 是非、ほかの部分、先ほど来私も何度か指摘していますけれども、関税以外の様々な懸念についても十分留意するということも含めて、是非内閣としての基本方針を明確に文書でお出しいただきたいと思うんですけれども、総理、いかがでしょうか。
#329
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 方針としては、総理として私はお答えをしておりますのでこれが政府の基本的な考え方でございますが、まずは聖域なき関税撤廃を前提条件とする限り交渉に参加はしない、交渉に参加はしないということについては、これは基本方針であります。だからこそ、首脳会談において聖域なき関税撤廃かどうかということを確認をしていくということになるわけであります。
 その上において国益にかなう最善の道を求めていく、これは自民党と公明党の連立合意でありますが、という中において交渉参加するかどうかを判断していく。当然その五項目も念頭に入れながら判断をしていくということになってまいります。
#330
○舟山康江君 これ、聖域なき関税撤廃だけではない。仮に、繰り返しになりますけれども、聖域なき関税、聖域が取れたとしても、ISDが入るのは駄目、それから政府調達、金融サービスについてもきちんと我が国の立場を言っていくと、いろいろ様々な、国民皆保険制度についても守ると、食の安心、安全、そういったものに対して、よもや間違ってもアメリカンルールがそのまま押し付けられるようなことがないようにきちんと確認できると、そこをやはり確認した上でなければ交渉には参加しないということ、この姿勢を是非明確に、私はやはり、総理が口頭でおっしゃるのは、いや、総理の言葉ですから重いんですけれども、でも一方で文書で出てくるのが一項目だけという、非常にここがそごがあると思っていますので、是非これは文書で出していただきたいということを是非委員長に要求していただきますようお願いいたします。
#331
○委員長(石井一君) 私の立場で出せとは言えませんが、今の舟山康江さんの議論を総理もよく聞かれておりましたので、今の答弁と併せて予算委員会の重要な記録としてひとつ明記したいと、このように思います。
 質疑を続けてください。
#332
○舟山康江君 委員長、ありがとうございます。
 ところで、このTPP交渉に関していろんな面白い意見があります。まず一つは、まずは交渉に参加をしてルール作りに積極的にかかわるべきではないかと、こういった意見があります。これは、私は非常にちょっと間違っているんだと思います。もう既にTPPというものは交渉が始まっていて、日本が入るとすれば後から入る立場なんですね。既存の参加国にきちんと了解をいただかなければいけない、今まで決まっているルールはそのままのまなければいけないという、そういう状況ですので、早く入ってルール作りが主導できるというこの議論は私は間違っていると思います。
 そして、もう一つ、交渉に参加をして内容が悪ければ離脱すればいいではないかと、こんな議論もあります。果たして外交交渉上、途中の離脱は可能なんでしょうか。また、その事例はあるんでしょうか。教えてください。
#333
○国務大臣(岸田文雄君) まず、交渉に参加する場合、協定が我が国の国益に沿ったものになるよう交渉の中で最大限努力すること、これは当然のことであります。その上で、交渉した結果、仮に国際協定が我が国の国益にそぐわないとなる場合に協定に加わらないという判断をすることは、これは論理的にあり得ると考えています。
 実際、前例としましては、これは二〇〇二年のことですが、我が国が交渉に参加しながら、その後、署名、締結を行っていない例といたしまして、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約の選択議定書、この議定書が前例として存在いたします。
#334
○舟山康江君 大変非常にマイナーな議定書、条約だなと思いますけれども、やはり日米関係を重視する、だからこのTPP交渉には参加をしてきちんと日本も入るべきだという声があるその一方で、とにかく入って、駄目だったら抜ければいいではないかという議論があるというのは、私は非常に論理矛盾だと思うんですね。対外関係を考えたときに、入口で入らないというその外交上の損失よりも、入って気に入らないからやめたということの方がよほどやはり相手国に対して失礼な態度だと思っています。
 私もいろいろ、大きな条約で途中離脱という事例があるのか調べてみました。よく京都議定書だという話がありますけれども、これはアメリカは議定書に合意もしておりますし、署名もしています。議会批准の段階で批准ができなかったというものでありますので、途中離脱とは違うと思っています。それから、ほかのFTAの取組の中でも一部途中で離脱するというものがありますけれども、多くは復帰しているということですので、大きなやはり大国同士の協定の中で途中離脱という選択肢というのはやはり外交関係上、外交交渉上も現実的には難しいと、こういったことだと思いますけれども、総理、いかがお考えでしょうか。
#335
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど日本での例も挙げさせていただきましたが、米国は、やや京都議定書に似ているかもしれませんが、国際連盟の規約について、これはアメリカは規約を決めていく交渉に中心的な国であったわけでありますが、加盟はしていないということもございます。
 やはり交渉でございますから、しかし実際にしてみなければ分からない、参加をしてやってみなければ分からない点もありますし、だからこそ交渉参加において聖域なき関税撤廃という条件を付けられているということであれば参加はしないと、これが我が党の態度であります。
#336
○舟山康江君 いずれにいたしましても、やはりいまだ情報開示がまだまだ少ないと思っています。国民議論も足りないと思います。
 これは民主党政権時代から指摘されていたことでありますけれども、自公政権に替わって既に二か月がたちますけれども、自公政権になってから新しい情報というのは何か出てきているんでしょうか。総理です。総理、お願いします。
#337
○国務大臣(岸田文雄君) 政権交代後も引き続き二国間協議、そして情報収集の協議、さらには様々な国際会議における関係者の発言等、情報収集は引き続き続けております。様々な情報が入手され、それを今分析、精査している段階にあります。
#338
○舟山康江君 民主党政権時代に自民党は、経済連携に関する特別委員会を設置すべしだと、その上で情報開示と徹底審議を行うべきとしておりました。そしてまた、同調した公明党は、さきの衆院選マニフェストにも特別委員会設置を記載しております。
 与党として、やはりきちんとした情報開示、国民的議論をするという意味でも、まずは国会の中でそういった委員会をつくるべしと、私は大賛成でありますけれども、与党として設置に向けて働きかけを行うべきだと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
#339
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国会において判断をしていただきたいと思います。
#340
○舟山康江君 是非、国会もそうですけれども、やはり与党の責任者である総理も積極的にこれに関しては働きかけを行っていただきたいと、このことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#341
○委員長(石井一君) 以上で舟山康江さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#342
○委員長(石井一君) 次に、福島みずほさんの質疑を行います。福島さん。
#343
○福島みずほ君 明日、総理が訪米をされますので、日米首脳会談についてまずお聞きをいたします。
 集団的自衛権の行使はできないというのがずっと政府の見解でした。集団的自衛権の行使に関して、解釈改憲についてオバマ大統領と話をするのでしょうか。
#344
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まだ具体的な議題を決めたわけではございませんが、日米の同盟関係を強化をしていくということについて議論をしていくわけであります。
 その中において、今、日本において、安保法制懇の第一次安倍政権において取りまとめた四分類がございますが、これを更に議論をしていくということが決まっております。そうしたことについてもお話をさせていただきたいと、このように思っております。
#345
○福島みずほ君 憲法において、今までの政府見解でも集団的自衛権の行使はできないということでした。ですから、総理が、憲法尊重擁護義務もあるわけですし、その憲法が予想していないことについて発言するというのは極めて重要なことです。
 もちろん審議会で議論したというのは承知をしておりますが、それだったら、だってこの集団的自衛権の行使に関して国会でどこも議論していないんですよ、あるいは合意ができたわけでもないんです。なぜそのことについてオバマ大統領とまず真っ先に議論ができるんでしょうか。
#346
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、議論をするとか報告をするとかこれをやるということではなくて、日米同盟関係を更に強化をしていく、日本の安全、地域の平和と安定を強化をしていくために日本は何をすべきかという観点から日本は様々な議論をしていくということについては当然話し合っていくべきだろうと、こう思います。
 その中において、これは例えば四分類においてそれを説明するという考えはございませんが、この数十年の間にアジア太平洋地域の安全保障をめぐる環境は大きく変わってきているんですね。そういう中で、やはり日本の国民の生命と財産をしっかりと守っていくというのは我々のまさに政府の義務でもあるわけでありまして、そういう義務を背負っている私たちとしてどう対応していくべきかということは不断の検討をしていく、そういう責任があるのではないかと、このように思います。
#347
○福島みずほ君 確認ですが、集団的自衛権の解釈改憲についてオバマ大統領と話合いをするということでよろしいんですね。(発言する者あり)
#348
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、後ろから声がございましたが、これはまさに米国の了解を得るとかそういうことでは全くない話であって、我が国において憲法をどう解釈すべきか、憲法を解釈すると同時に、日本をどうしっかりと守っていくべきかどうか、これは日本が主体的に判断をしていくわけでございますが、その中において、日本は、日米の、同盟国であります、この同盟関係について、この同盟関係を強化していく上において、日本で様々な検討を行っていくということについて私は話をしようと思っておりますが、これは別に米国側からの意見を聞いたり、米国側からどうした方がいいという話を聞くというものでは全くございません。
#349
○福島みずほ君 問題だと思います。つまり、集団的自衛権の行使に関して、議論はしないにしても報告をするということじゃないですか。でも、集団的自衛権……(発言する者あり)いや、というか、総理、もうイエスかノーかで答えてくれますか。
 つまり、日米同盟に関して話をするというのは分かります。しかし、集団的自衛権の行使に関して、解釈改憲について報告をするという理解でいいんですね。
#350
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それについてはノーでございます。
 つまり、今、まさに第一次安倍政権で取りまとめた四分類を中心とした安保法制懇の報告書、この前その報告書を受け取ったところでございますが、それについてこれから議論をしていくわけであります。私がそれについて解釈変更した方がいいという予見を与えずに専門家の皆さんに議論をしていただこうと、こう思っているわけであります。
 私は、首脳会談を行うに当たって、日本の安全、あるいはアジアの地域の安全と平和を守っていかなければならないという観点からお話もさせていただきます。その上において、日米同盟関係は重要ですねということはお話をしていこうと思っておりますし、同時に、そうした研究が今行われている、検討が行われているということを、これはその話の流れの中でそういうお話をするということもあるかもしれないと、このように思います。
#351
○福島みずほ君 それは、総理が一月十三日のNHKインタビューで、オバマ大統領に対して、集団的自衛権の見直しは安倍政権の大きな方針の一つであり、オバマ大統領と議論をしたいというふうに自ら述べていらっしゃるからなんです。
 でも、今の話でも、私は、もちろん、その流れの中でとおっしゃいましたが、今の話で、その解釈改憲の審議会の結果を総理大臣としてオバマ大統領に説明するわけじゃないですか。少なくとも話をするわけでしょう。解釈改憲について、こういうことについてと一国の総理が外国の大統領に説明する、話をするというのは実に大きいですよ。日本は今まで集団的自衛権の行使はできないとされていたのが、総理大臣が外国の大統領に対して言うわけですから、それは極めて大きいですよ。そのことについては日本の中で何も議論されていません。日本の中で何の合意もありません。そのことを一国の総理大臣が言うということの重み、それはやっぱり極めて問題ですよ。(発言する者あり)いや、だってそれはその展開の中で言うとおっしゃっているじゃないですか。それを言うことはできないということを強く申し上げます。
 次に、沖縄県の辺野古沖を埋め立て米軍の海上基地を造るということについて、公有水面埋立てを三月にも沖縄県に申請するということをオバマ大統領に説明されるんでしょうか。
#352
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現時点では、普天間飛行場の移設に必要な埋立申請について具体的な時期は決めていません。それは今の時点では決めていないということであります。
#353
○福島みずほ君 では、そのことについてアメリカ大統領に、今、時期は決めていないとおっしゃいましたが、申請をするということは説明されるんですか。
#354
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今の段階では決めておりませんから、言及するということを予定はしておりません。
#355
○福島みずほ君 日米地位協定は、身柄の確保を捜査段階で日本の警察ができないという極めて不平等な条約です。日米地位協定についての改定は、沖縄の首長さんたちが建白書で先日もおっしゃったとおりであり、社民党もこの不平等な日米地位協定は改定すべきだと。たくさん犯罪が起きています。加害者が米兵なのか日本人かによってその後の刑事手続が違うというのは問題だと思います。
 総理、日米地位協定の改定について是非言っていただきたい。どうでしょうか。
#356
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日米地位協定について、前から福島委員、第一次安倍政権のときにも御質問をいただいたところでございますが、この首脳会談においては率直に双方の関心事項について意見交換をしたいと、このように思っています。
 日米地位協定についてはこれまでも運用において改善が図られてきたところでございまして、先ほど委員が挙げられましたような例についても運用の改善の努力が行われているわけでありますが、まずは現実的、具体的な運用の改善を積み重ねることが重要であるというふうに考えております。
 引き続き、事件や事故、騒音、環境などを含め、一つ一つの問題を解決すべく最大限の努力を払ってまいります。
#357
○福島みずほ君 犯罪が多発している中で、運用の改善では適用できないという段階に来ていると思います。是非しっかり日本の総理大臣として発言をしていただきたい、日本の総理大臣なんですから。それを心からお願いをいたします。
 次に、雇用、賃金の問題についてお聞きをいたします。
 消費者物価指数と賃金指数を見ると、賃金が下落して物価が下がっております。賃金の下落が物価指数が下がるデフレの一つの大きな原因だと考えますが、いかがですか。
#358
○内閣総理大臣(安倍晋三君) デフレの問題点として、物価の下落よりも賃金が下がっている、この悪循環に入っているわけでありまして、賃金が下がれば当然消費も落ちてくると、デフレが進んでいくという認識はそのとおりだろうと思います。
#359
○福島みずほ君 だとすれば、賃金を上げることをまずすべきではないでしょうか。
#360
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大切なことは、賃金を上げることができる環境をつくることであります。デフレ下にあっては、これは企業に無理やり賃金を上げさせることはできませんから、つまり、どの企業もこれはデフレ予測がありますから現金で持っていることが一番いいわけであります。借金をすれば実質金利はだんだん上がっていくというふうに企業はみんな考えるわけでありまして、だからこそ、このデフレマインドをなくさせていく、そしてインフレ期待に変えていく。インフレ期待に変わっていくことによって、言わばお金を持っているよりも投資をしなければいけない、物の値段も上がっていきますから来年買うよりも今日買ってしまおうかと、こうやって消費もだんだん活発になっていくわけであります。
 デフレマインドをインフレマインドに変えるためには、これは絶対的に大胆な金融緩和が必要であると、こう考えたわけであります。そして、更にスピードを速め、日本全国の地域隅々までそうした変化が出てくるように、機動的な財政政策、さらにはそれが継続するように成長戦略を進めていくことが極めて、賃金が上がっていくという、そういう軌道に乗っていくためにも必要であろうと、このように思います。
#361
○福島みずほ君 先日、毎月の勤労統計で、支払われた給料はついに一九九〇年以来最低になりました。
 二〇〇二年二月から二〇〇八年二月までの六年間、日本は史上最長の景気拡大期間、つまり好景気でした。日本の企業は史上最高の収益を当時受けました。しかし、この六年間、物価は下がり続けています。好景気になればデフレは解消されるというのは全くの誤りです。あの時期、小泉構造改革の下で、結局、好景気だけれども物価は下がる、給料が下がる。この期間は、好景気なのに会社員の平均年収は下がり続けるということが起きました。今後、二%の物価上昇といいながら、復興増税は一月から二・四%、二十五年間掛かる、消費税が上がる、でも、給料が上がらない。働いている人、踏んだりけったりではないですか。
 政府は給料を上げるためにどういうことをなさるんでしょうか。
#362
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小泉政権においては、実質成長率を上げていくことはできましたが、残念ながらデフレから脱却することはできなかった。この反省の上に立って我々は今回政策を立てているわけであります。あのとき足りなかったことの一つが、これはやっぱり金融緩和を続けていくということなんですね。金融緩和を続けていくことによってデフレから脱却できるという考え方の下に金融政策を行っていく、それがなかったんですよ。今回はまさにそれをやろうとしているわけであります。
 そして、当時は、麻生財務大臣からも先般答弁をしたように、また、あのバブル崩壊の後、金融機関から貸し剥がし等々に遭ったという経験がございますから、バランスシートをしっかりとしていこう、そっちに経営者は頭が行ってしまったわけでありまして、借金は返していく、自己資本比率を上げていくということに汗を流してきたわけでございます。
 そこで、今回は、まさに大胆な金融政策をやるし、そして機動的な財政政策もやるし、さらには投資先となるこの成長戦略も実行していく上において、企業家のマインドも変わりつつある中において、そこで、今回は、経団連の皆さん、あるいは商工会議所、そして同友会の方々にお集まりをいただいて、早くデフレから脱却をしていくためにも賃金を上げてくださいということをお願いをしたところでございまして、業績が改善したところから賃金を上げていく、あるいは一時金を上げていこうということで同意をしていただいた。前回は業績が改善しても上げなかったんですから、これは私は大きな変化ではないのかなと、このように思います。
#363
○福島みずほ君 トリクルダウンすると言ってトリクルダウンしなかったんですよ。今回も、賃金上げろと経団連に言ったにしても、政府がもっと賃金上げる政策を取らなければならない。(資料提示)社民党が考える賃金上昇のための政策、やっぱり最低賃金を上げる、正社員化を促進する、均等待遇の実現を図る、あるいは公共事業、公共調達のときの公契約法や公契約条例、これをもっと制定していくことなど必要だと考えています。政府がもっとこういうことをやらないとトリクルダウンなんかしないですよ、全く。
 次に、規制改革会議についてお聞きをします。
 規制改革会議は雇用について議論をします。解雇の要件の緩和、派遣法の緩和などが出ております。また労働法制の規制緩和をするんですか、やる方向が間違っているじゃないですか。非正規は今三五・二%、過去最高になりました。三分の一どころじゃないんですよ、三五・二%。製造業で失業者が増えています。規制改革会議が解雇条件を緩和すべきだと答申したときに、政府はどう対応するんですか。
#364
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 賃金について言えば、安倍政権が発足してまだ二か月もたっていないんですよ。二か月もたっていないにもかかわらず我々が行っている政策によって賃金を上げようという会社が出てきたんですから、こんなことはなかったですよね。(発言する者あり)かつて五年間政権が続いたとしてもそれはなかったわけでありますから、今、一社二社という話が出ましたが、そんなことはありませんよ。これはかなり波及していくと思うわけであります。まだ二か月もたっていない中においてそういう企業が出てきているというのは極めて大きなことではないかと、このように思います。
 そして、解雇規制の緩和については、これによって労働移動が円滑に行われるという見解がある一方で、多くの労働者が賃金によって生計を立てていること、雇用を通じて社会との様々なつながりが形成されていることを踏まえれば、労使間で十分に議論が尽くされるべき問題というふうに考えております。
#365
○福島みずほ君 小泉・竹中構造改革のときに見事に労働法制の規制緩和をして、派遣法の、製造業も可能にして、それもあり、非正規雇用が本当に拡大しました。今、三五%ですよ。そんなのんきなことを言っていいんですか。
 規制改革会議の中で、これは規制緩和の改革じゃないですか、言っていることは解雇の要件の緩和であり、労働者派遣法の規制緩和ですよ。規制改革会議、また自民党やるんですかという話ですよ。賃金上げるといいながら、労働法制規制緩和すれば、非正規雇用は増えるし、失業者は増えますよ、解雇の要件緩和したら。駄目だということなんです。
 この規制改革会議からこの雇用についての条項を削除すべきだと思いますが、いかがですか。
#366
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 正規雇用を増やしていくためにも景気の改善は極めて重要なんですね。第一次安倍政権のときにも、正規雇用者、これ増えました、相当。それはやはり景気が改善をしていくということであります。
 そこで、労働法制については、これは、経済がグローバル化しているということもこれは頭に入れておく必要がありますし、そして働き方も多様化をしています。その中において、非正規から、例えば派遣から正社員になりたいという人たちについてちゃんと道が開かれている、これも極めて重要ではないかと。そのことも含めて我々は検討していきたいと、このように思っています。
#367
○福島みずほ君 多様な働き方といって自民党は規制緩和をして、非正規雇用者増やしたんですよ。第一次安倍内閣のときも賃金下がり続けたんですよ。
 消費税増税するときの措置の要件の一つとして、賃金が上がっているということは要件ですか。
#368
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安倍政権では、十二円、最低賃金上げたということは申し添えておきたいと思いますが。
 それと、消費税を上げるということについては、様々な経済の指標を参考に入れて判断をしたいと、このように思います。
#369
○福島みずほ君 要件だということですか。
#370
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに、消費税を上げるかどうかということについては、来年からですね、今年の秋に様々な指標を見て法令にのっとって判断をしていきたいと思います。
#371
○福島みずほ君 賃金が上がらなければ消費税増税したら駄目ですよ。賃金が下がって消費税上がれば生活が圧迫されます。
 ということで、要件とすべきだ、消費税を上げるべきでないということを申し上げ、質問を終わります。
#372
○委員長(石井一君) 以上で福島みずほ君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#373
○委員長(石井一君) 次に、水戸将史君の質疑を行います。水戸将史君。
#374
○水戸将史君 日本維新の会の水戸将史でございます。時間が限られておりますので、簡潔明瞭なお答えをよろしくお願い申し上げたいと思います。
 まず、前政権のときに、食料自給率に関しましては二〇二〇年までに五〇%に高めていくんだという数値目標を出しました。安倍政権におかれましては、安倍総理自身はこの食料自給率に関しましてはどのようなお考えをお持ちなのか、御説明をお願いします。
#375
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 食料の安定供給を将来に向けて確保していくということは、これは政府として、国としての責務だと、このように思います。そのために、国内農業生産の増大を図り、食料自給率の向上を目指していく、図っていくことが重要であろうと、このように考えております。
 このような基本的な考え方に立ちまして、安倍内閣においては農業を成長分野と位置付けまして、農業の構造改革の加速化や、農産品、食品の輸出拡大といった取組を推進し、農業を魅力ある産業としていきたいと、このように思います。同時に、多面的な機能もございます。美しいふるさとを守る、日本を守っているのも農業でございます。そういう観点から農政を推進していきたいと、このように思います。
#376
○水戸将史君 先ほどからTPPの交渉参加の入口についていろいろと御意見やらいろんな手厳しい批判もございました。
 この交渉参加に当たりまして、食料自給率、食料安保という問題にも絡んできますけれども、こういうテーマについて考慮に入れてこの交渉参加に臨もうとするのかどうか。安倍政権としてはどういうようなスタンスでしょうか。
#377
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先進国を見てみますと、工業化していく中においていわゆる食料自給率は低下をしていくんですが、食料自給率を再び持ち直していく国、イギリスもそうですし、ドイツもそうなんだろうと、こう思うわけでありますが、食料自給率を回復をしていく中においてどういう努力をしていたかというと、食料の輸出をこれは飛躍的に増やしているわけでございます。そういう意味においては、一九六五年の数値を見ますと、イギリスやドイツ、それぞれ二十倍、七十倍と、こう増やしているわけでありまして、日本は増やしていない、ほとんど増えていないという点も考慮していく必要はあるだろうと思います。
 いずれにせよ、このTPPについて言えば、我々の基本的な方針というのは、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上、交渉に参加をしないということであります。
#378
○水戸将史君 総理の率直なお考えで構いませんけれども、いわゆるこのTPPに仮に参加した場合に、食料自給率の向上に資することもあり得るというような期待を持って交渉参加に臨むということも考えられますか。
#379
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このTPPいかんにかかわらず、基本的な方針として、食料自給率を向上させていくというのが基本的な方針であります。
#380
○水戸将史君 農業基本法ですね、一九六一年の六月ですか、制定されて、施行されてもう半世紀以上が経過いたしました。ほとんどこの間、若干のイレギュラーはありましたけれども、自民党の政権下の農業政策で進められてきたわけでありましたけれども、その当時から、農業の効率性、生産性を高めていこう、農地を集約をして、そしてコストを削減していこう、ひいては自給率の維持向上につなげていこうというような形で推移してきたにもかかわらず、残念ながら、その期待とは裏腹に、自給率はますます下がる状況でございますが。
 農水大臣、この五十年間の農業政策について、自給率が下がり、今、低値、低値安定はしているかもしれませんけれども、どこが原因であったのか、どこがいけなかったかということに関しましてどう総括をされているのか、率直な感想をお聞かせください。
#381
○国務大臣(林芳正君) お答えいたしたいと思います。
 今の長い間の食料自給率の低下についての原因というお話が、必ずしもそのずばりで通告がなかったものですから、もしあればもう少したくさん用意してきたんですが、大体、昭和四十年に生産額ベース八六、それからカロリーベース七三あったのが、それぞれ六六、三九まで大体ずっとこう落ちてきていると。
 一つ大きな理由としては、やはり食生活の変化で、私が生まれたころ、毎食御飯を食べて大体お代わりをする。したがって、大体一日に五、六杯御飯を食べていたということでございますが、今の食生活、大体その半分ぐらいかなというふうに私自身も思っておりますが、大体統計的にも、米の消費量、一人頭やっぱり半分ぐらいになってきていると。
 したがって、その倍あったものを支えるための水田というものがあったものが、このサプライサイドと、それからディマンドサイドといいますか、食べる方が合わなくなってきていると。これが例えばドイツとかヨーロッパ、イギリス等と比べた場合に、この数十年で余り食生活のこれほど大きな変化が起きていないというところが一つ要因としては挙げられたのではないかと。
 これは、我々、全く失敗していないという意味ではなくて、いろんな反省も踏まえて、しかし大きな要因としてはそういうことがあるのではないかというふうに思っております。
#382
○水戸将史君 前政権下の、先ほども若干お話も出ておりましたが、戸別所得補償政策ですね、これに関しまして、確かに農地の集約化に資するものなのか、生産性を高めてコストを縮減して、そして自給率の向上につながっていくものなのかということに関しましては、やはりこれは私自身も自問自答しまして、そうじゃないのかなということも十分考えられると思いますけれども、まあ自民党はこれに関しましては理念なきばらまきという形で批判をしておりましたけれども、政権交代したものですから、恐らくこれから理念あるばらまき政策をするんじゃないかと思っておりますが。
 具体的にこの戸別所得補償制度をどうしたいのか、全面的に廃止をして新しい形で衣替えして大転換を図っていくのか、どういう形で臨んでいかれるおつもりですか。
#383
○国務大臣(林芳正君) お答えいたします。
 米は直まきというのは余りないものですから、ばらまきというのは余りできないのかなと、こういうふうにも思ったりいたしますが。まあ冗談はさておきまして、戸別所得補償制度の見直し、先ほどの、午前中だったかお昼の頭の方だったか御議論あったようですが、実は野党のときに随分実務者協議をさせていただいて、早く準備をしていただくためのこの制度の変更というのを度々実は申入れをやっておったようでございます。
 なかなかそれがはかばかしく進まなくてここに至ったということもございまして、やはり現場が一番大事だと。生産現場の方が猫の目農政だというふうな御批判を持たないようにするためにも、やはりもう現行制度を前提に営農準備が始まっているということで、平成二十五年度は基本的には同じ仕組みでやっていただこうということで、二十六年度に向けて二十五年度の予算に調査費を計上させていただきまして、新しい仕組みをきちっと検証の上に基づいてつくっていこうということでございます。
 したがって、これまでの制度の実施状況を検証して、まずはやっぱり現場の方、農業者や地方公共団体の皆さんの意向を把握しながら、与党とも十分に協議をして進めていきたいと、こう考えております。
#384
○水戸将史君 戸別所得補償政策、現行の制度ですと、生産調整、いわゆる減反政策に協力をするということが前提となっているわけでありまして、もうずっと自民党政権下からもこの減反政策は順次繰り返し転換されてきましたけれども、もうそろそろこうした減反をしながら高い米価を維持していくというその政策は限界に来ているんじゃないかと私は思っておりまして、いきなりやめるともちろん米価が暴落するとかそういう懸念もありますけれども、段階的にこれを廃止をする。
 また、もちろん田んぼは田んぼとしての機能がありますものですから、田んぼを残しつつ、例えば食用米以外の飼用米とか加工米等々に関して、そこに転用できるような形でいわゆる減反政策というものを廃止をしていく、そういう方向性で進めていくべきだと私は思っているんですけれども、こういう形で今まで食用米にかなり重視しているような政策でやりましたけれども、今言ったような飼用米等々、そういうものに補助政策を含めて大いにこれを転用して、そしてまた畜産農家のそうしたコストの縮減にもつなげていくような、そうした政策転換が必要だと思っているんですけれども、それについてはどうでしょうか。
#385
○国務大臣(林芳正君) ありがとうございます。
 先ほど申し上げましたように、ちょうど我々が生まれたころから半分程度、百十八キロから五十八キロということでございます。現在、主食用米の作付面積は百五十三万ヘクタールで、既に水田面積全体が二百三十三万ヘクタールでございますから三分の二になってきておりますが、水戸先生今おっしゃったように、この現在の需要をはるかにオーバーした米の生産ということで大幅な余剰が生まれると。
 そのときにどうするかということで、まさに強制的な措置ということではなくて、メリット措置によって、農家の判断によってこの需給調整への参加を誘導するということで、今お話があったように、主食用以外で、例えば飼料用米ですね、餌米、それから米粉用米等の生産、それからホールクロップサイレージといったものが考えられると思いますが、それからあとは、輸入に頼っている大豆、これは自給率が七%でございますし、小麦も一一%ということですから、こういう生産を支援すると。こういうものを強制的な措置ではなくて誘導すると、メリット措置で誘導するということで水田の有効活用を図っていくということでございますので、大きな方向性は委員がおっしゃることと共通しておると思っております。
#386
○水戸将史君 昨今の新聞の記事でも、この耕作放棄地の対策のことが掲載をされておりました。今の方向性といたしますと、農水大臣が中心となりまして、いわゆる耕作放棄地に関しましては、全国で四十万ヘクタール、全体の一割近くなるという話でございますので、本当にこれは深刻な問題である。何とかこの放棄地をうまく活用できないものかということは誰しもが考えることでありまして、これから県が、都道府県が主体となって、そしてその耕作放棄地を借受けをして、そして意欲的な農家にそれを貸し付けていくという制度にしていこうというような話がございました。
 それはそれとして私は非常に好ましいことでございますし、またどんどんそういう形で推移をしながらも、その耕作放棄地を何とか生かしていくような、そうした政策転換をしていくべきだと思っております。
 プラスですね、やっぱり今の農家を見ていますと、確かにいろんな形で、後継者不足もありますし、借金漬けで非常に経営難にあえいでいる、天候が相手でありますし、なかなか思ったとおりに生産が上がらないという形で、非常にやりたくてもやれないというような、そうした農家や農業法人等々もあると聞いております。
 いわゆる借金漬けになっておりますものですから、ある意味でそれは、不良債権という言い方は正しいかどうか分かりませんけれども、やっぱりそういうものを、例えばかつて見られたような整理回収機構というような、不良債権を買い取って、そしてやる気のあるところに任せて、そして企業の再生に向けていくというような、そういうスキームがありました。これを農業にも生かすことができないものかと。この耕作放棄地もそうでありますけれども、今言ったようないわゆる不良債権化しているような、そうした農地や農家、農業者に関しまして、こういう機構を、スキームをつくりながら、そして買い取り、そして能力のある、体力のあるような、そのような担い手にそれを委託をして、そして何年か後にこれが再起を期すことができるならば、そこで初めてそういうところで購入してもらうというような形で、うまく今までの経験を農業にも使うことができないかということを提案したいと思っているんですけれども、こういう構想についてどうお考えですか。
#387
○国務大臣(林芳正君) お答えいたします。
 整理回収機構とどれぐらいパラレルかどうか分かりませんが、今委員がおっしゃったことは、もしかしたら御存じかもしれませんが、農業再生委員会というのがございまして、これは経営が困難となった農業者の事業再生、それから所有農地や生産施設等の経営資源が有効活用されることを目指しまして、都道府県担い手育成総合支援協議会というのの下にこの委員会をつくって、何とかならないかということをやるというのをやっておったようでございます。八道県、北海道、岩手、秋田、山形、石川、島根、徳島、大分で設置をしたのでございますが、平成十七年度から二十一年度までの活動実績はやっぱり四件しかなくて、これは余り言うべきことじゃないかもしれませんが、仕分でちょっと打ち切られちゃったということもありまして、今やっていないようでございます。
 そういうトライをまたやるということもあり得ると思いますし、今委員がおっしゃったように、県を使って、今、市の方の公社みたいなのが出し手の代理人になってやるというところまではあって、県の段階もあるんですが、なかなかその予算的な制約もあって、一回持って、それで面的な整理をした上で出すというところまでなかなか行っていないようですので、是非そういった方向で、その中で今先生がおっしゃったような趣旨がもしできればということも研究してみたいというふうに思います。
#388
○水戸将史君 是非研究を進めて、そういう形で農業の再生に期するような、そうしたスキームを是非つくっていただくことを強く要望したいと思っております。
 もう時間がありませんので、最後に一点、農協の改革についてお伺いしたいと思っております。
 これは、前政権下でも農協改革につきましてはいろんな形で論議がされておりました。今現行法でも、十五人以上の農家が集まれば、農業者が集まれば誰でも農協を新規につくることが可能なんですね。しかし、この新規につくるときは、これは農協法の第六十条に規定されておりますけれども、関係市町村及び都道府県の農協中央会と協議を、事前協議が必要だということで義務付けられております。ですから、勢い、新規農協をつくりたくても、この協議会にかかればなかなか、ライバルが増えるということにつながってきますので、ここで頓挫をするということがしばしばありました。
 ですから、前政権下でも、何とかこれを、農協法改正をして、やはり農協の中においても競争原理を設ける必要があるんじゃないかということが論議がされてまいりました。そして、前政権下のいろんな圧力がありまして、結局、置き土産でございますけれども、閣議決定だけは、法改正をするという閣議決定だけはしたようでございますけれども、新しい政権になりまして、この閣議決定をしたことを受けながら、もうそろそろ、やる気になれば、農協法のこの第六十条を若干手を入れれば済む話でございますものですから、是非農業者の立場に立った中における農協の在り方というもの、もちろん農協もいろいろといい面もありますけれども、やはり農業者の立場に立った中における農協の在り方というものに関して、農協法をこれを改正をする時期に来ていると思いますけれども、これについていかがでしょうか。
#389
○国務大臣(林芳正君) 時間がありませんので、ちょっと簡潔にお答えさせていただきます。
 十三年の農協法改正で、今お話がありましたように、重複農協、できるようになりました。したがって、今までもそうなんですが、協議することが義務付けられておりますけれども、八十七件全て認可をされております。
 今お話がありましたように、二十四年十一月の閣議決定でそういうふうに決められておりますので、一括法など関連する法案が提出される機会をとらえて必要な法制上の措置を講じたいと、こういうふうに思っております。
#390
○水戸将史君 是非今国会中に改正案をお出しいただきたいと思いますけれども、最後その決意をお述べいただいて、私の質問を終わります。
#391
○国務大臣(林芳正君) しっかりと必要な法制上の措置を講じたいと思います。
#392
○水戸将史君 私の質問を終わります。ありがとうございました。
#393
○委員長(石井一君) 以上で水戸将史君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#394
○委員長(石井一君) 本日最後に、荒井広幸君の質疑を行います。荒井君。
#395
○荒井広幸君 安倍幹事長時代に自民党公認をしていただかなければ、私は小泉総理と郵政で戦って落選をいたしました。安倍幹事長に公認を無理してでもいただかないと、今、今日、私はここにおりません。大恩はありますけれども、是々非々でやらなければなりません。
 同時に、安倍総理も本当に、恐らく、我々政治家として少しは理解できます、想像できます、大変な日々だったと思います。国民の皆さんにも自民党の皆さんにもいろいろなそのお気持ちの吐露がありましたが、そういうものを背負ってこられた。そして、自民党総裁になり、また総理になられたということで、私は非常にこの場、感慨深く非常に思っております。
 親しき中にも礼儀ありということではございますが、今日はアベノミクスと、そして、原発で亡くなった方がいないと、こういうことを言われております、この誤解を正して、更に対応をお願いしたいということの二点を今日は総理を中心にお願いしてまいりたいと思います。なお、関連の大臣にも、一般質疑で関連してまいりますので、共有していただくために、今回は政務官も含めて来ていただきました。
 さて、総理、日銀というのは何かお金の番人やっていればいいようなところがいっぱいあったわけですね。量的緩和を含め金融緩和をしなければ、給料も下がる、企業も元気がない。庶民感覚が全くなかった、日銀に。その庶民感覚を持てと言ったのが、金融緩和目標を一緒にしよう、このいわゆるアベノミクスによるその中でも金融緩和、こういうことだと思うんですね。
 この金融緩和、ここに図を持ってまいりました。(資料提示)皆さんにもお配りしました。(発言する者あり)顔、どちらがいいかどうかは別問題といたしまして、三本の矢ということで、金融緩和、そして財政出動、そして成長戦略ですね。しかし、お話をずっと聞いていますと、どうやら財政出動と成長戦略の中に生活の矢が含まっているというふうに私は解釈するんです。つまり、社会保障を充実しなければ、仮にこのアベノミクスで経済が回っていっても、所得が上がらなければ、上がっても、いや年金どうするかな、いや子供の、貯金を取り崩して生活に今まで回していたから貯金に戻そうかなというんじゃ、これどうしようもないわけです。ですから、早く、言ってみれば、このスピードの糸ということもありますが、賃金と雇用増ということも早くやるということも含めて、これは糸ですね、糸をぴしっと張って、びゅうんとスピードを出して当てていくということと、その生活の矢ということ、これを言っておられるんです。
 ですから、国民の皆さんにもう一回、そういう意味では、金融緩和、財政出動、成長戦略ということ、その中には社会保障の充実という生活の矢も張っていますよと、こう区別した方が分かりやすいと思うんですが、いかがでしょう。
#396
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 荒井議員とは、平成五年、当選同期でございまして、自来、小泉総理・総裁の総裁選挙、一回目は私と荒井さんが一緒に小泉総裁候補を推薦人として推した。以来、相当お互いの立場は変わってきたわけでございますが、こういう形で答弁させていただくのは大変感慨深いものがございますが。
 今、荒井委員が指摘をされましたこの生活の矢、これは極めて重要であり、まさにこれを求めて我々は三本の矢を打つと言ってもいいんだろうと、このように思います。
 社会保障制度をしっかりと安定的なものにするためにも、デフレから脱却をして、まさにこの社会保障の財源の基盤をしっかりとしたものにしなければならない。そして、結果として社会保障の基盤がしっかりしてくることによって人々はより安心して第一歩を踏み出していくこともできるわけでございますし、経済活動もより活発になっていくんだろうと、このように思います。そういう意味において、この三本の矢プラス一本の矢、それはまさに目的の一つでもあると言ってもいいんだろうと、このように思います。
#397
○荒井広幸君 まさに目的と手段をちょっと生活の矢というのは混同はしているんですが、総理がおっしゃるように、分かりやすく言っていただければそういうことですね。
 そうすると、次には、普通は循環で経済が回っていきますから、麻生財務大臣・副総理もおっしゃっているように回っていくわけですね。そうすると、最後に来るのがボーナスであったりベア、アップですね、ベースアップ。ひっくり返せばアベというふうになるから、ベアとアベというのは似ているなと、これ、あべこべミクスなんていうふうなことにならないようにしなくちゃいけませんが、それを待っていたのでは時間がないので、私は、評価する一点は、丁寧に、しかも謙虚な姿勢において経済界に協力要請をした、これは私は非常に画期的なことだと思うんですね。これは実は保守の真骨頂です。まさにその保守政治の王道を安倍晋三内閣総理大臣は歩んでいると思っているんです。
 それはどういうことかと。利益が上がったら、それを社員とともに分かち合おう、日本型経営を安倍総理は言わんとしているんです。日本型の経営を、もう一回いいところを取り戻そうと。そのときに内部留保を活用しない手はないよねということを言外に私は総理は言いたいんだろうと思いますが、優しいところがあるものですから、そこがなかなか言えないんだろうと思うので、私は二つ提案いたします。
 これは、国民の皆様、内部留保というのは、税も何も全部引いた後、手元に企業に残った、これ上場企業のものですが、もう既に内部留保というものを持っているわけです。この内部留保を持っているから、それを賃金や雇用に吐き出してくださいと言うと、何と経営者は言うかというと、次なんです。
 今、自民党と連携して今やっているわけでございますが、改革にはお手伝いする議員さんいないので、済みません。
 法人税を例えば下げるという場合に、いかがでしょう、皆さんのお手元にも資料があるんですが、法人税を下げるといったときに、これは民主党のときに政府税調に出た政府の資料なんです。政府が調べても、赤字で書きましたけれども、まず内部留保というのは、税金を下げられても、実は借金を返したり、もう一回内部留保に回すというんですね。
 ですから、安倍内閣の先ほどの矢の中に、財政出動にあるいわゆる税制の中で、国民の皆さんに知っていただきたいんですが、税制の中で二つあるわけですね。今まで一人雇用すると二十万円分減税しますよと言ったんです。ところがこれ、なかなか効果がなかった。そこで四十万円にしますというのを、これを入れているわけですね、財務大臣、一人雇用すると。だから、これ国民の皆さんにも分かっていただきたい。
 二つ目は、経営者の方が五%程度賃上げすれば、給料を上げれば、その分減税しますよと言っているんです。これは親切です。だから、これはもう非常に私は、まさにアベノミクスなんですよ。だからこれを言っているんですが、このように、やらないという資料もあるんです。
 ですから、あめだけでは駄目です、減税というあめだけ。今度はやっぱりペナルティーを科す、それがどういうことかというと、次です。
 このように設備投資には回していないんですから、ずうっと歴代、内部留保だけが積み増ししているんです。今度のアベノミクスでぐっと更に内部留保が増えていると言われているんですね。企業収益が上がっているんです。だから、今回だけは許されるだろうと、こういうふうにどんどん上がっているんですから。
 二つ提案いたします。一つ目は、株の配当、配当ですね、株主に対する、配当の課税をしていますが、この課税強化をする。それから次は、内部留保について課税する。この二つ法律を作ると、嫌であれば、さっき言った減税する方に、一人雇用か五%以上の賃上げをするという方を選べばいいんですよ。この新しく、もう一回言うと、内部留保に課税をする、それから配当、これに課税、これを上増しする、強める。それをやりたくないなら、さっき言った一人雇用して四十万分の、計算の仕方ありますが、減税しますよ、五%以上給料上げますと減税しますと。
 どっちがいいかなというこのインセンティブコントロールを与えてみたらどうかと思いますので、二つの税制改正、新たにやってみたらどうでしょう。総理。
#398
○国務大臣(麻生太郎君) これはなかなか多くの問題を含んでいますので、これを一概に簡単に、荒井さんの話だから簡単に言葉に乗せられて乗っかっちゃいそうですけれど、こういうところは注意せぬといかぬところの一つでしてね。
 今の話でいきますと、これはまず基本的には、今、株式やら、まあよく言うのは、株式に配当に回すか、設備投資するか、賃金か、内部留保はこの三つどこかのために常識なら使われるんですが、ただただ金利も付かない内部留保をどんどんどんどんと。しかし、問題は、その内部留保は既に税金も何も全部払い終わった後にたまっている金ですから、それにまた税金掛ける話ですから、これはなかなかちょっと理屈としては難しいなと思うのが一つです。
 もう一つは、やっぱりもう一点考えておかにゃいけませんのは、企業にとりましては、期末の資金やら期首の資金やらいろいろな都合があって、金を今、貸してくれない銀行が多かった時代に貸し剥がし、貸し渋りで痛い目に遭っていますから、そのときのためを思って抱え込んでいる金というのは必ずみんな持っていますので、その辺のところをいきなり取り上げちゃうという話は、これは企業の経営に直接介入してくる話なので、これはちょっとなかなか、何でしょうね、統制経済か何かよほどやっていない限りはなかなかこれは難しいかなと今思うんですが。
 ただ、今幸いにして、このところ今言われたような意見が出てきて、あちらこちらというとまだたくさんではありませんけど、私の地元では安川電機とか、そういったところは間違いなく給料払いますと、賃金上げると、賃金を上げるということを言うとるわけですよ。賃金を上げるってね、これ堂々と言ってくれた。そうすると何が起きるかって、ほかの会社が、えっ、おまえのところの会社は社員にあげるのかよって言って、俺のところもあげないとまずいかなという、これがヒラメの目効果がそこに出てくるんであって、ここはちょっといいところだと思っています。
#399
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま麻生財務大臣から答弁をしたような様々な課題もございますが、まずは今私たち、今、荒井議員がおっしゃっていただいたような北風と太陽であれば、我々は太陽政策を取っております。太陽政策にやっと反応していただいたわけですから、いきなりそこで北風を吹かせるというのではなくて、しかし、いずれにせよ、企業の経営者の方々にも大局的な観点から判断をしていただきたいと思いますし、今、荒井議員がおっしゃったようないろんなアイデアはあるんだろうと思います。そうしたことも、様々なこともこれから検討をしていくことも当然考えていかなければいけないわけでありますが、当面は、まずは経営者の皆さんに判断をしていただきたいし、今、税制について、我々が進めようとしている二つのポイントとなる税制について説明をしていただいたことは大変有り難かった。本来であれば自民党の議員がしなければいけないところでありますが、していただいたことに感謝申し上げたいと思います。
#400
○荒井広幸君 ただし、確かに北風なんですけれども、このアベノミクスによって、一定の是正措置ですが恩恵を受けています。少なくとも、そういった部分の数兆円あるいは何十兆円になりますその部分を社員に還元する、雇用に回すという、総理が常におっしゃるマインド、心意気がなければうまくいくわけない。ですから、この法律も、必要にならないことを願って提案、検討を願います。
 それから、その太陽政策ということで、総理、何遍か被災地、御一緒をさせていただきましたが、こういう数字を改めて申し上げたいんです。
 三月十二日、二百九名の方、歩ける方はバスに乗ってくださいと。そして、約二百数十名の方は病院に残りました。自衛隊が支援に参りたいと思いましたが、水素爆発が起こりまして、自衛隊でさえ戻りました。病院といわゆる施設の中で四人の方が亡くなっています。そして、九時間移動します、バスで。あの大変な中ですから、十五名バスの中で亡くなるんです、病院と施設の方が。そして、自衛隊も助けに行きたいがまた水素爆発で戻るんです。やっと三月十五日、救急車五台、大型バス二台、マイクロバス一台、女性の看護師さん五名、しかし女性の方は五ミリシーベルト、一時間以上いてはなりません、ビーと鳴ります。もう急いで乗ってもらいたいんですが、四十七名の方しか乗せられないんです。残った方は、約百名以上残っているんですよね。こういうことが原発災害の一つの大きな実態なんですよ。ところが、歴代の、今までの、例えば小宮山厚生労働大臣は原発災害で亡くなった人はいないと言うんです。これを聞いて、いないと思われますか。
 じゃ、この方々に対してどういう措置がとられているかというと、一つは原発災害死なんです。あっ、失礼しました、原発災害と、その原発が付けばいいんですが、災害関連死なんです。災害関連死というのは既に法律がありまして、自然災害です、自然災害に関係して亡くなった方々、そういう方を含めて死亡された方にいわゆるお見舞金を出すんですね。こういう制度はできているんです。
 しかし、この制度、実際、今言いましたように、直接石が当たったような話ではありませんから分かりませんね。恐怖もありますよ、もう混乱もあります、ガソリンもない、そうやって亡くなっていっても全く国の手当てはないんです。じゃ、この災害関連死というのは何かといったら、結局のところ、市町村が認定するんです。国の基準は入っていないんです。これも問題。国が逃げていますね。そして、その死亡された皆さんの御家族にその弔意を表しますが、国は二分の一しかお金出していない。市町村と県が四分の一ずつです。こういう扱いをしていってうまくいくのかなというのが、大臣各位、皆さんに、次回、あしたでもやらせていただきたいことなんですよ。今日は時間がなくなってまいりましたね。
 それでは、文部科学大臣来ていただいていますが、手短でいいんですよ。原賠法の世界ではどうされていますか、こういう方々に対して。
#401
○国務大臣(下村博文君) お答えいたします。時間がないので手短にお話ししたいと思いますが。
 このような状況の中で、原子力損害賠償紛争審査会は、平成二十三年八月に作成した中間指針において、本件事故により避難等を余儀なくされたため死亡したことにより生じた逸失利益、治療費、薬代、精神的損害等が賠償すべき損害であると明記しております。この指針を踏まえ、東京電力と被害者との間で直接交渉し、賠償が行われております。
 この一方で、賠償の対象となるかどうかについての立証が被害者に過度な負担となる等の課題もあると承知しており、直接交渉が困難な場合には原子力損害賠償紛争解決センターにおいて和解の仲介も行っており、既に避難を余儀なくされたことにより亡くなられた方に対する損害賠償についての和解が成立しているケースもございます。
 引き続き、文科省としては東電に対し、指針及び和解実例を踏まえ、被害者の方々の実情に応じた賠償を行うよう促すとともに、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介を行うことにより努力をしてまいりたいと思います。
#402
○荒井広幸君 これはテレビの前の皆さんにも聞いていただきたい。委員の皆さんにも聞いていただきたい。これは東電の責任で賠償していくという今の話なんです。国は全く責任を感じていないんです。この国の責任を安倍総理、もう一回実態をとらえて、亡くなった方ばかりでなくて、今も苦しんでいる人たちの実態を実態としてとらえ直さないと、どんな生活支援も除染も中間貯蔵も自主避難の人たちの対策、対応もできないんです。心に手が届く、その太陽政策をやってください。
 総理、もう一回実態をつかまえ直してください。
#403
○委員長(石井一君) もう時間が過ぎております。総理、一言、締めくくってください。
#404
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 実態を我々しっかりとまず把握をして、今委員の御指摘もございました、その上において、必要な対応について全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。
#405
○荒井広幸君 お願いします。
#406
○委員長(石井一君) 以上で荒井広幸君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議は終了いたしました。
 次回は明二十一日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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