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2013/05/14 第183回国会 参議院 参議院会議録情報 第183回国会 予算委員会 第17号
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2013/05/14 第183回国会 参議院

参議院会議録情報 第183回国会 予算委員会 第17号

#1
第183回国会 予算委員会 第17号
平成二十五年五月十四日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     直嶋 正行君     足立 信也君
     赤石 清美君     石井みどり君
     山田 俊男君     丸山 和也君
     草川 昭三君     山本 博司君
     水野 賢一君     中西 健治君
     平山 幸司君     広野ただし君
     紙  智子君     山下 芳生君
     中山 恭子君     片山虎之助君
     荒井 広幸君     舛添 要一君
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     足立 信也君     加藤 敏幸君
     大野 元裕君     牧山ひろえ君
     安井美沙子君     前川 清成君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         石井  一君
    理 事
                小川 敏夫君
                小林 正夫君
                白  眞勲君
                松浦 大悟君
                青木 一彦君
               北川イッセイ君
                山崎  力君
                谷合 正明君
                小野 次郎君
    委 員
                足立 信也君
                大河原雅子君
                大久保潔重君
                加賀谷 健君
                加藤 敏幸君
                川上 義博君
                小西 洋之君
                田中 直紀君
                徳永 エリ君
                藤末 健三君
                前川 清成君
                牧山ひろえ君
                石井みどり君
                岩井 茂樹君
                宇都 隆史君
                岡田  広君
                岸  宏一君
                末松 信介君
                谷川 秀善君
                中川 雅治君
                西田 昌司君
                野上浩太郎君
                藤川 政人君
                丸山 和也君
               三原じゅん子君
                山本 博司君
                横山 信一君
                渡辺 孝男君
                中西 健治君
                広野ただし君
                森 ゆうこ君
                山下 芳生君
                谷岡 郁子君
                福島みずほ君
                片山虎之助君
                舛添 要一君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       財務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(金融)
       )        麻生 太郎君
       総務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(地方分
       権改革))    新藤 義孝君
       外務大臣     岸田 文雄君
       文部科学大臣   下村 博文君
       厚生労働大臣   田村 憲久君
       農林水産大臣   林  芳正君
       経済産業大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(原子力
       損害賠償支援機
       構))      茂木 敏充君
       国土交通大臣   太田 昭宏君
       防衛大臣     小野寺五典君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(消費者
       及び食品安全、
       少子化対策、男
       女共同参画))  森 まさこ君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(経済財
       政政策))    甘利  明君
   副大臣
       財務副大臣    小渕 優子君
       厚生労働副大臣  桝屋 敬悟君
       厚生労働副大臣
       復興副大臣    秋葉 賢也君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  山本 庸幸君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小野 亮治君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        山崎 史郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成二十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十五年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○平成二十五年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(石井一君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 平成二十五年度総予算三案に関する理事会決定事項について御報告いたします。
 本日は、安倍内閣の政治姿勢に関する集中審議を行うこととし、質疑は往復方式で行い、質疑割当て時間は二百九十四分とし、各会派への割当て時間は、民主党・新緑風会百七分、自由民主党・無所属の会四十三分、公明党二十七分、みんなの党二十六分、生活の党二十六分、日本共産党十三分、みどりの風十三分、社会民主党・護憲連合十三分、日本維新の会十三分、新党改革十三分とすること、質疑順位につきましてはお手元の質疑通告表のとおりでございます。
    ─────────────
#3
○委員長(石井一君) 平成二十五年度一般会計予算、平成二十五年度特別会計予算、平成二十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、安倍内閣の政治姿勢に関する集中審議を行います。
 これより質疑を行います。牧山ひろえさん。
#4
○牧山ひろえ君 民主党の牧山ひろえです。よろしくお願いいたします。
 現在、安倍政権は、衆議院での多数の勢力を持って新自由主義的な政策を進めておられます。安倍首相は、前回の総選挙の結果をもって国民の意思が反映されていると思いますか。
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば選挙というのは国民に信を問うものでありまして、昨年の総選挙はまさに民主党の三年間と三か月の実績を問う選挙でもあったわけであります。それに対しまして私たちは、自由民主党が政権を取ればこういう政策を進めていくという、言わば私たちの政権公約を柱に選挙戦を戦ったわけでございますが、結果として我々は衆議院において多くの議席をいただいたわけでございます。ただ、私どもはまだまだ自由民主党に信頼が戻ってきたわけではないという認識の下に、今実績をつくるために努力をしているところでございます。
 基本的には、しかし投票率は低いという課題はもちろんございますが、ただ、直近の選挙の結果は言わばそれは政治全体が謙虚に受け止めるべきなんだろうと、このように思っておりますが、残念であったことは投票率が低かったということでございます。
#6
○牧山ひろえ君 おっしゃるとおり、選挙の結果は国民の意思表示の重要な一側面はあるかと思います。しかし、前回の衆議院選挙の投票率は五九%、約半分の方が投票し、半分の方が投票しなかったんですね。戦後最低を更新しています。
 投票率が低くなると、相対的に少数の意見で国の方向性が決まってしまうということになります。現に、前回の総選挙では、圧勝された自民党に投票したのは、全有権者数の、小選挙区の場合では二四・六七%、そして比例区の場合では一五・九九%にすぎなかったんですね。ですが、結果、獲得議席数は全体の六一%の二百九十四議席を占有する結果となっているんです。
 多くの死票が生じる今の小選挙区制度では民意を正確に表すのは難しいと思います。選挙制度の是非はおくとして、私たち国会議員の仕事というのは、国民の意思を国政に正確に反映するということが私たちの仕事だと思います。ですのに、低い投票率での選挙となると、民意の正確な反映は困難となります。私もこの低投票率の問題について今までずっと考えていて本を書いたぐらいですが、今ホームページで連載させていただいていますが、それほどこの問題は重要だと考えております。
 低投票率は以前から問題視されていますが、これまでに何一つ有効な施策は取られておりません。国民ならば投票に行くべきだとか、投票は義務だとか、そういう理想論を言っていても始まらないので、諸外国でこういった重要な問題に取り組んでいる国々をしっかりと見習って、それぞれの施策を取り入れるべきではないか、柔軟性を持つべきではないかと思います。
 それでは、最初のパネルを御覧ください。(資料提示)
 この一番下の赤い太い線が若い人たちの投票率です。前回の総選挙時の投票率を年代別で比べますと、二十歳から二十四歳が三五・三%で最も低くなっております。それに比べて、一番高い位置にある線が高年齢の方々の投票率なんですが、六十五歳から六十九歳は前回の選挙では七七・一五%の人たちが投票しております。約、若い人たちに比べて倍投票しているんですね。
 だからといって、若い人たちが政治に全然興味がないんではないかというのは私は間違っていると思います。実は、私の事務所ではインターン生を積極的にこれまでに預かってまいりました。私自身はインターナショナルスクール出身ですので、これまでにいろんな国のインターン生を預かってまいりました。皆さん共通して言えることは、最初は、私のインターンシップを始めたときに余り政治が、高く関心を持っていなかったり詳しくなかったりするんですが、私の事務所のインターンシップを通して様々な政治の場面に会って、そして私の事務所を卒業するときには、自分の国々に帰ったときには是非投票に参加したいと言って帰ってくれるんですね。
 このように、私はどの国の若者であっても潜在的には政治には関心があるんだと思います。ですから、私たち大人たち、政治家の役目は、そういった若者の政治に対する関心を呼び覚ますことが私たちの役目だと思うんです。
 ここで御紹介したいのは、投票率の高さで知られるノルウェーの事例です。ノルウェーにはスクールエレクションというものがあります。スクールは学校ですね。エレクションは選挙です。これは、学校の中で生徒会長を選ぶんではないんです。本物の選挙に学生たちが投票できるんです。ですが、本物の投票箱ではなくて、学校に置いてある模擬投票箱に自分の一票を投じることができます。実は本物の政治家、本当に実在するノルウェーの政党が競って自分の公約をアピールするんです。これは非常に注目が高くて、このときになるとマスコミが殺到するそうです。
 私は、こういった若者に対する政治意識を教育するという、こういったスクールエレクションというものも非常に参考になるかと思いますし、是非、日本の中高生のカリキュラムに取り入れるべきだと思いますが、総理はいかがですか。
#7
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、若者の投票率が低いことは憂慮すべき問題でありまして、我が国の子供たちに政治参加や選挙の意義について理解させることは大変重要なことだというふうに考えております。
 改正教育基本法では、教育の目標として、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うことが掲げられております。このことを踏まえまして、新学習指導要領では、中学校の社会科においては、選挙が主権を持つ国民の意思を政治に反映させるための主要な方法であり議会制民主主義を支えるものであるということを理解させるとともに、良識ある主権者として主体的に政治に参加することの意義を考えさせること、また、高等学校の公民科において、政党政治や選挙などに着目して望ましい政治の在り方及び主権者としての政治の参加の在り方について考察させるということになっております。
 また、指導に当たっては、御指摘がございましたが、ノルウェーで行われているスクールエレクションのように、実際の国政選挙などに合わせて、地域の選挙管理委員会との連携の下、実際の投票所に近い状況で模擬投票を実施する例も我が国にもございます。私も実際に、中学校や高校で模擬選挙ですね、行われている事例について先生方から話を聞いたこともございます。
 こうした取組等も参考にしつつ、今後、子供たちに政治参加や選挙の意義についてしっかりと指導を行うことにより、国民主権を担う公民としての必要な資質について養ってまいりたいと思います。
#8
○牧山ひろえ君 そういった事例があるにしても、全校で行っているわけではないみたいです。アメリカでもドイツでも、これは行われております。
 私は、最近若い人の投票権についていろいろ話題になっております、十八歳に参政権を与えるとか、そういったことは話題になっているんですけれども、教育については同じぐらいに話題になっていないと思うんですね。私は、これは参政権におけるネグレクトだと思います。
 江戸川区ではそういった事例があるというふうに聞いております。でも、これは区の教育委員会に止められたということを聞いております。というのは、教育基本法に触れると思われたからだそうです。特定の政党を応援したり反対したりするのは教育基本法に触れるということでストップが掛かったそうなんですけれども、私は、例えばICTを使って日本全国画一的に公平に各政党がアピールできるようにするとか、開票を実際の投票よりも後にするですとか、いろんな工夫をすることによってこのことはクリアできると思うんです。
 むしろ問題になるのは、若い人たちが自分の権利を十分に知らない、あるいは十分に考えないで投票してしまう、そのことの方がはるかに深刻だと思いますが、いかがでしょうか、総理。総理に聞いております。
#9
○国務大臣(下村博文君) 済みません、先に私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 江戸川区の事例については承知しておりませんが、基本的には社会科の先生等が模擬選挙を行うことについては、いろんなところで行われていることでありますし、もっと広く行われるべきことだというふうに思います。
 ただ、ノルウェーにおいては、もう十八歳、つまり高校生、実際ノルウェーは十六歳から高校生ですから、約半分が既に有権者であるという国の中で、有権者になる前の準備の段階としての模擬選挙ということで、我が国とはちょっと位置付けが違うところがあるというふうに思いますが、しかし、若者の投票率が低いことは事実ですし、もっと学校教育の中で広くやっぱり公民としての意識をしっかり持ってもらうと、権利であるし義務であるということを学校教育の中で位置付けるように、より深めてまいりたいと思います。
#10
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 多くの若い人たちはなぜ投票しないのかということなんですが、多くの人たちはやっぱり、投票しない多くの人たちは、投票したってしようがない、政治変わらないだろうという、そういう意味での無関心が多いんだろうと思うんですね。政治そのものに関心がないというのではなくて、自分の一票の価値に十分に認識がないというか、薄いんだろうと、このように思うわけでありまして、その中において、やはり一票を投じることがいかにこれは大切なことか、未来を決める一票であるということを、これは教育の場で教えていくという中において、今委員が指摘されたような試み等についても、今文科大臣から答弁したように、研究、検討していくことは大切だろうと、このように思います。
#11
○牧山ひろえ君 私は、善は急げ、思い立ったが吉日という言葉もございますので、是非、直近に予定される参議院選挙から、こういった有権者教育を根付かせるために、一刻も早くこういったスクールエレクションを全国の学校で導入お願いしたいと思います。
 続いて、次の話題に移りたいと思います。
 真の民意を国政で実現するのが国会議員としての使命だと私は考えておりますが、現状ですと、先ほど述べましたように、有権者数のたった四分の一以下の票しか獲得していない政党による独断的な政策が進められているんですね。例えば、今年度の政府予算案は、この間も私反対討論に立ちましたが、公共事業費は何と五兆二千八百五十三億円になって一二年度より一五・六%、大幅な増額になっている。これに対し教育の予算はというと、前年よりもがくんと落ちております。四兆六百八十億円とされています。公共事業費が教育をはるかに上回る予算案となっているのが現状でございます。人からコンクリートへの逆回転と申し上げても過言ではないと思います。
 私は、安倍政権が進める旧態依然としたコンクリート事業、公共事業頼みの政策を、私はこれは国民の皆さんが望んでいることだと思いません。このように、国の政治と国民の距離が開いてしまっていることにお気付きでしょうか、総理。(発言する者あり)
#12
○委員長(石井一君) ちょっと静粛にしてください。
#13
○牧山ひろえ君 総理はどのように認識されていますか。
#14
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々、まず、国会議員は、全ての国会議員が、あるいは政党が選挙の結果は真摯に、そして謙虚に受け止めるべきなんだろうと、このように思います。
 そして、前々回の選挙で私たちは三百近い議席から一気に百十九まで議席が減ったわけでありまして、我々は、なぜ国民から厳しい結果を与えられたか真摯に反省をし、そこからスタートしたわけであります。決して私たちは、あの結果はおかしい、そういうことは考えなかったわけでありまして、これはまさに国民の声であるということを受け止めたわけであります。
 選挙制度には完全な制度もありませんし、全ての国民に投票に行っていただければそれは一番いいわけでありますが、必ずしもそうはならない中における選挙において、しかしそれは、これは議会制民主主義の基本でありますから、その結果はやはりお互いに真摯に受け止めるべきだろうと、このように思います。
 そこで、公共事業についての考え方でございます。
 我々安倍政権においては、今回補正予算を組んだわけでありますが、大型の補正予算を組みました。考え方は二つあります。まず一つは、昨年の七月、八月、九月の四半期におけるGDPがマイナス三・五%になる。言わば景気が底割れしてしまうと。景気が底割れしてしまったら、例えば今年の四月に新卒学生の皆さん、これは大変なことになるわけでありまして、就職内定そのものが取り消されていく可能性もあります。もちろん、税収も大幅に減っていきます。それを何とか避けなければいけないというマクロ政策的観点からまず補正予算を組みました。
 同時に、中身は無駄遣いがあってはならないわけであります。多くの言わばインフラはもう建設されてから随分年月がたっているわけでありまして、コンクリートそのものが老朽化をしていれば、そこを使う国民の皆さんの安全にもかかわってくるわけでありますから、防災・減災という観点を主眼にいたしまして今回この補正予算を組んだわけでありますし、本予算においてもそういう考え方が貫かれているわけであります。
 同時に、地方において、地方の競争力、生産性を高めていくための競争力を手に入れるためのインフラ整備も当然必要であるわけでありまして、そうした観点から我々は言わば必要な公共投資を行っている、これはまさに未来への投資であると、このように考えております。
#15
○牧山ひろえ君 前回政権を取っていたときの反省に立つならば、なぜまたコンクリート事業ばかり始めてしまうのか疑問に思います。
 日本では、一般の国民の直接的な政治参加はほとんどの場合選挙における投票行動に限られています。何年かに一回の、それも限られた候補者や政党の中から選ぶ行動だけで国民の意思が国政にすくい上げられるのでしょうか。しかも、自分が投票した政党ですとか候補者が落選してしまえば、その票はその人にとってみれば無駄になってしまいます。言わば死票になってしまうんですね。
 私は、日本の社会や政治を良くするためには、政治と国民の距離を少しでも縮める必要があると思うんです。そのためには、国民の意見や希望を国政に反映する機会を極力多く、そして多彩なメニューを与えて政治参加を呼びかける、そのことが大事だと思うんです。
 ここで私は提案があります。以前も二〇〇九年に財政金融委員会でも御紹介させていただいておりまして、恐らく私が初めて国会でこのことを取り上げさせていただいたと思うんですが、ハンガリーで発祥した一%法です。ハンガリーでは、自分の税金の一%を自分が応援したいNPOにそれを寄附することができるんですね。税金を納める、自分の一%がそのNPOに行くわけです。同じようなことを実は日本でも市川市で行っておりました。ですが、これはハンガリーも市川市もそうなんですけれども、NPOに限るんです。
 ここで私のちょっと提案を御覧ください。上に書いてありますとおり、これまでの一%法というのは選択肢がNPOの中から選択するということになっておりまして、私のオリジナルというか牧山ひろえ版の一%法は、選択肢がNPOに限らず、予算配分先を選択できるということなんですね。私は、年末調整では現実的に難しいと思いますので、例えば確定申告の際にこのような予算使途希望表を用意して、その中に選択肢を設けます。選択肢として千も二千も並べたら集約が大変になります。また、空欄を並べてもいいんですけれども、これも集約が大変になるので、例えばこのぐらいの選択肢を皆さんに与える。
 ちょっと私が用意した事例ですが、例えば、質問を読みます。あなたは自分の納税した税金をどんな用途に使ってもらいたいですか。一番、箱物を充実させるための公共投資、コンクリート事業。二番、日本領土を防衛するための防衛力の強化。三番、子供たちの環境を良くするための教育投資。四番、失業者をスキルアップさせて失業率を下げる雇用対策。五番、小麦など食品の値段を下げるなどの生活支援。六番、国を信頼して全て任せる。
 私だったら、個人的には、一つしか選べないとしたら一番と二番は選ばないと思いますが、総理だったらどれを選びますか。ちなみにこの中で国民が一番望んでいるのはどれだと思いますか。
#16
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この出典は牧山委員の著書が出典なわけですね、これは。(発言する者あり)ああ、考えですね。
 そこで、これ基本的に、どの用途に使ってもらいたいですかということでありますが、私が納税者としてですか。基本的に、まさに私たちは、私たちが判断をして、議論をして判断をしてこの用途をこれは定めていくわけでございまして、その都度その都度言わば世論調査を行って一番高いものに予算を配分をしていくんであれば、まさに国会議員は要らなくなるんですね。
 つまり、そういう見識と知見を持った人を選んでいただくための選挙であるわけでございまして、その中において、当然、選挙において自分たちの政権公約あるいは政策を訴える中において、税金の使途についても、我々はどのように使っていくかということについても当然公約の中でお話をしているということでございます。(発言する者あり)
 質問に答えていないということでありますが、この中のどれを、どれに用途を絞ってもらいたいかという単純なものではないというのが私の答えであります。
#17
○牧山ひろえ君 私が聞いているのは、国民がどれを望んでいますかと聞いたんです。総理は答えられないということは、民意をよく御存じないのかなと思います。
 私は、世論調査のお話が出ていましたけれども、これは結構私一番いい世論調査になるんではないかと思うんです。(発言する者あり)
#18
○委員長(石井一君) 今日は朝からちょっと騒がしいですよ。質問者の声が聞こえる程度にやってください。
#19
○牧山ひろえ君 お願いします。
 私は以前、麻生副総理に、委員会の場で、輸入小麦の価格の高騰問題に対処してほしいというお願いをしたことがあります。カップ麺など、主要食品のお値段をお聞きしたことがあります。小麦の九割近くのものが輸入であり、政府が小麦の値段をコントロールできるので、国民生活を少しでも楽にしてほしいという思いで、輸入小麦の値段を下げてほしいとあのとき訴えたんです。その前振りの質問としてあれは聞いたんですね。
 その後、小麦の価格はおかげさまで二割下がったんですが、急な円安もあってか、最近また値上げされてきています。輸入小麦の政府卸売価格は、前回の改定で何と九・七%の大幅値上げでした。実は、年間五十億円ほどで小麦の卸売価格をキロ当たり一円下げることができるんですね。
 このような選択肢をつくって、納税者にこのように選ばせるわけです。このようにして納税のときの選択を集約して、その投じられた比率で一%分の税金の配分を決めていく。参考までにですが、平成二十三年度では確定申告をした方が二千百八十五万人いらっしゃいました。そのうち約六百七万人が二兆三千億円余りを納税しております。その一%というと、約二百億円について国民、納税者の選択に委ねるのです。
 例えば、Dの選択肢を選んだ場合、小麦等食品の値段を下げるなどの生活支援、これを選んだ場合に、毎日朝パンを食べるたびに、またお昼におうどんを食べるたびに、また夜スパゲッティ、パスタを食べるたびに、自分の税金の使い道、一%はこういうところに使ったんだなと、使ってくれたんだなと実感が湧くわけですよ。ですから、ますます政治が近く感じて、国民がもっと政治に参加したいという気持ちが湧くと思うんですね。
 ですから、まさに税金の使い道は、私、政治家が決めるんではなくて、テレビを御覧の皆様、あなたが決めるということですね。ですから、まさに一人一人が政治家、国民総政治家という状態に近づいていきます。それによって納得した税金が、納税が実現できるんです。納税者自身が自分の税の行き先を決めることができれば、納税者意識の向上にもつながりますし、税を受ける行政側も、納税者の思いのこもった、こんなに大切な税金を使っているわけですから、絶対に無駄にはできないという意識が生まれます。
 総理、この一%法導入について是非前向きに御答弁いただきたいと思います。総理、お願いします。
#20
○国務大臣(麻生太郎君) 今、一%の話というのは、これはノルウェーの話を例に引いておられるんですが、ノルウェーの人口ってどれくらい。
#21
○牧山ひろえ君 ハンガリー。
#22
○国務大臣(麻生太郎君) ハンガリー。ハンガリー、人口どれくらいですかね。私、こっち、一億二千七百万人いますからね。なかなか、小さな人口の数と、一概にこの種の話がすぐいかないというのもまずあると頭に入れておいていただいた上で話をしていただかにゃいかぬところだと思いますが、ここは間接民主主義を取っておりますわけで、少なくとも、コンピューターが発達したから、何が発達したからといって、直接民主主義をやっているわけではないんで、間接民主主義をやっておりますので、間接民主主義でやっている以上は、少なくとも国民の代表を選んでいただいて、その代表に決めてもらうというルールになっているのが基本中の基本、まずそこから話をしていただかにゃいかぬところだと思っております。
 それから、一%ということで、よく、たしかNPOの話を前のときはされたかな、あなた。たしかそんな記憶があるんですけれども、NPOの話をされておられましたけれども、少なくとも今、議会制民主主義でやっておりますので、いわゆる国民各層の、各種のいろんな意見というものを総合勘案して、調整して予算を編成する、これ間接民主主義ですから。そして、国民の代表の機関であります国会に提出し、審議を経て、採決して、それで成立するというようなことになっておりますので、この種の導入というものにつきましては、これは極めて慎重な検討が必要だと思っております。
 それから、NPOの話をこの前されておられましたので、この話もあるいはおなかの中におありなんだと思いますが、あれはたしか、あの後、所得税額の二五%を限度として、租税を減免するにふさわしい相当の公益を有するなど、一定の基準を満たす法人に対する寄附金の一部を納税額から削除することが認められた。これは御自分でおやりになったから御存じだと思いますが、これは二十三年度の法改正でこういうようになったんだと思いますので、少なくとも寄附金の優遇税制、こういった一%というようなものを活用するなどいろいろな支援というものは行っているんだと思いますけれども、いずれにしても、一%というもので、こういったような問題に、五つに絞っておりますが、箱物を充実させるための公共工事、箱物以外の公共投資もいっぱいございますんで、箱物と書かれるとかなり偏っているなという感じはします。
#23
○牧山ひろえ君 そうはおっしゃいますが、今年度の全体予算の歳出総額は九十二兆六千百十五億円と比較し、これは〇・二%程度のごく僅かな金額であり、実質的な予算編成ではないので私は問題にならないと思います。確定申告による納税者の、一%ですから、予算全体からすれば大きな割合にはなりません。
 一%法による納税者の意思表示は、税金を実際に納めている人のお金を納めながらの意思表示という、最も私は、信頼性の高い、国民の世論調査としての側面も持ちます。是非、民意の尊重という意味からも、また低投票率のことを考えて、是非国民の意思表示ができるような仕組みにしていただきたいと思います。
 続きまして、国民の健康について御質問します。
 健康の大前提となるのが私たちが毎日口にする食べ物なんですが、食の安全については多くの国民が今関心を持っていらっしゃいます。そして、私も神奈川県の選挙区の中で各駅に立って演説をしたりしておりますと、いろいろな方々が、食の安全の問題どうなるのと心配の声が今高まってきております。特に今一番心配しているのは、交渉参加に向けて動き出しているTPPにおいて、本当に安倍政権がこの食の安全という大事な問題、これに取り組んでくれるのかどうか、これが一番の心配だと思うんですね。
 食べ物や添加物の問題は、体が弱っている人たち、また高齢者の方々、ベビーフードや、妊婦さん、胎児から高齢者の方々まで全ての人たちがかかわってくる問題です。最近増えているアトピーなどのアレルギー疾患も、食べ物との関係を指摘する有力な意見がございます。今でさえも様々な食品添加物の問題があるかもしれない現状で、私もアトピーの子供を抱える母親として、これ以上基準を緩めるということはとんでもないと思います。
 日本では、ある食品を何十年も食べ続けた場合、この影響については完全には私は証明されていないと思うんですね。短期の動物実験にすぎなかったり、私は、次の世代が何十年も同じ添加物を食べたらどうなるかというところまでは、まだそこまで立証されていない食品も多いです。
 今は、予防原則に基づいて、最低限消費者に表示という形でお知らせをする、こういった考え方を採用しております。その考え方に基づいて、遺伝子組換え食品、残留農薬基準、また、後ほど御説明しますがポストハーベスト農薬、BSE検査基準などについて、日本は国際基準より厳しい食の安全基準を確立してきました。
 パネル三を御覧ください。
 一番上にお米の事例が書いてありますが、農薬の名前、マラチオンという農薬もありますが、日本の基準は〇・一、そしてアメリカの基準は八、日本とアメリカと比べてアメリカは日本の八十倍にも上るんですね。
 それから、下に目を向けますと、大豆の方を御覧ください。ジカンバという農薬が使われているそうですが、日本の基準は〇・〇五ppm、アメリカは一〇ppm、何と二百倍です。農薬です、これ。農薬が日本の二百倍アメリカでは使われているんです。これは本当に多くの方々が心配していることだと思います。
 そして、アメリカの制度と違うのは、アメリカでは収穫した農産物に農薬を掛けて保存性を高めるというポストハーベスト農薬が認められているんです。ですが、日本ではこのポストハーベスト農薬は認められておりません。さらに、日本が認める食品添加物は約八百種類、これだけでも多いと思うんですけれども、アメリカは何とこの四倍近くの三千種類もの添加物、食品添加物が認められているわけでございます。
 これらの私たち日本国民の食を守るための基準も、輸出国から見ればいわゆる壁、大きなハードルとなり、それらの基準の緩和や撤廃を私は迫られるような気がいたします。絶対迫られるような気がいたします。
 与党の自民党は、党としてのTPP交渉参加の判断基準として、食の安全、安心の基準を守るということを明記されましたよね。しかし、実態は違うんです。二月に米国産牛肉の輸入規制を緩和したのに続き、今後も更にいろいろな食品の規制を緩和する方向で議論がなされています。あんなに大きな騒ぎが起きた牛肉の問題です。これをもう簡単に規制緩和してしまう方向に行っている。TPPの本交渉に入る前から早々と自ら緩和を表明しているのです。国民の健康にとって安全かどうかで判断する基準を相手へのお土産のために緩和するというのは私はとんでもない話だと思います。
 食品に対する現在の規制は、歴代の当局が食の安全を守るために必要だと判断したんですね。それで設定されたわけです。ですが、他国から求められて緩和を議論するということ自体が私は筋違いだと思っております。本交渉に入る前からこの有様で、本気で日本の食の安全を守る気があるのかどうか、私は一母親として非常に心配しております。
 そもそも、TPP交渉に際して、食の安全、安心の基準を守るということは与党としての公約なんでしょうか、それとも公約ではなくて選挙前のポーズにすぎないんでしょうか。総理、明確にお答えください、どちらでしょうか。総理、お願いします。
#24
○委員長(石井一君) それじゃ、まず厚生労働大臣、簡潔に前座はやってください。
#25
○国務大臣(田村憲久君) なかなか簡潔というわけにいかないんですけれども。
 この残留農薬の問題は、日本が厳しい、世界が厳しくないという問題ではありませんでして、米国と比べましても、今委員おっしゃられましたとおり、クロルピリホスメチルでありますが、米に対しては確かにアメリカは六ppm、日本は〇・一ppmでありますけれども、小麦は日本が一〇ppmでアメリカが六ppmと、日本の方が緩やかなんですね。多分食べる量だとかそういうものに影響があるんだというふうには思いますが。
 そういう状況の中で、実はWTO協定の中でSPS協定というのがございます。これはもう御承知だと思いますけれども、衛生植物検疫措置に関する協定、これは、言うなれば国内措置、検疫措置をするときに国際基準があればそれに従わなきゃならぬわけでありますけれども、しかし一方で、科学的な正当性、これがある場合に関してはそれよりも高い基準、厳しい基準というものを国内で維持、またそれを導入ができる、こういうふうな協定であります。TPPの議論の中におきましても、このSPS協定というもの、これに定められる権利義務というものを強化発展していくという議論になっておるわけでございますから、そういう意味では、科学的な正当性があれば十分にそのようなことは主張ができるということが前提にございます。
 その上で、まだ、個別の食品安全基準に関しましてはこれを緩和しろという議論があるというふうには、TPP交渉の中においては我々認識をいたしておりません。そういうことを認めておりませんので、そういう意味では、これからそれぞれいろんな議論があろうと思いますけど、我々はしっかりと食の安全というもの、これを守っていくということが前提でございますので、自民党といたしましても、また政府といたしましても、食の安全というもの、これをしっかりと守っていくという方針の下でTPPの交渉に参加をしてまいるというような次第でございます。
#26
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど委員が挙げられました米国の牛肉の輸入問題については、これは小泉政権時代からずっと議論が続いている問題の一環でございまして、TPPとは全く別の議論であるということはまず申し上げておきたいと思いますが、TPP交渉において、現在のところ、農薬の残留基準を含め、個別の食品安全基準の緩和は議論をされていないというふうに承知をしております。
 自由民主党は、今御紹介をいただきましたように、食の安全、安心の基準を守ると、これはJ―ファイルにはっきりと示しているわけでありまして、示していたものは、あるいは選挙でお約束をしたものは当然しっかりと守ってまいります。
#27
○牧山ひろえ君 今おっしゃっていたこと、本当にやってくださるんでしょうか。そもそも交渉をすること自体がおかしいと思います。自民党が総選挙で掲げた政策集に入っている内容を公約と言っていいんでしょうか、本当に。
#28
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々、六項目をお示しをいたしまして、聖域なき関税撤廃を前提条件とする以上交渉参加には反対する、これが公約の本体でございます。そして、J―ファイルにこれプラス五項目について挙げておりまして、食の安心、安全についてはその中に入っているわけでございますから。今、私はここで国民の皆様にお約束をしているんですから、当然その約束を守るために全力を尽くしていくわけであります。
 同時に、今の段階では全くこのTPPの交渉において食の安全基準を緩和をするという話は出ていないと、こういうことでございます。
#29
○牧山ひろえ君 最も参加の効果が出ると言われていた自動車分野についても譲りっ放し。私は、本当に食の安全について交渉をしっかりしてくださるのかどうか、非常に疑問に思います。
 TPPの交渉に当たっては、先ほど大臣もおっしゃられたWTO協定の一つであるSPS協定というものなのですが、この現行の基準を発展させる方向で議論することになっています。ただし、各加盟国は科学的な根拠がある場合のみ自国独自の厳しい基準を維持することができるとされているんですね。
 科学的な根拠というのは何なのかと私は厚生労働省に問合せをしました。そうしたら、一例として、日本人はお米をたくさん食べるので、お米に関しては厳しい基準が認められるでしょうなどの説明でした。
 しかし、今の日本人の食生活見てください。ハンバーガー食べたり、おそば食べたり、スパゲッティ食べたり、カレーライス食べたり。私の自宅では、週末、必ずメキシコ料理食べるんですね。みんな好きなものを食べているんですよ。もう昔のように三食、御飯、おみそ汁、おしんこ、お魚という時代ではないんです。給食でもそうです。いろんなものを食べています。ですから、安全基準は広く取っておくということが必要だと思います。
 しかし、現実の動きは、広く取っておくの逆なんですね。原則緩和、科学的根拠が認められたときだけ独自の基準が生き残れるというものなんです。しかし、科学的といっても、現段階の学問水準なんですね。しかも、多くは短期の動物実験。何十年も食べてみないと本当の影響が分からない、そして次の世代になってみないと分からない。それぞれの国の状況に合った予防原則の適用が私は必要だと思うんです。
 私は、食の安全から考えて、TPP交渉における先ほどの原則と例外の設定自体がおかしいと思います。話は全く逆で、科学的根拠が認められない限りその国の安全基準を下げないと決めるべきだと思います。この考えについて、是非念頭に入れて交渉に臨んでいただきたいと思います。
 また、私は、アトピーの子供を持つ二児の母親として、また高齢の両親を持つ娘として、食の安全を守るために厳しく交渉の経緯を見守っていきたいと思っております。
 続きまして、経済活性化についてです。
 日本経済の国際競争力強化のため、またTPPやFTAの進展によってますます国際貿易が活性化していくと見込まれることも踏まえ、日本の港湾のプレゼンス、これについては私は存在感の向上が必要だと思います。
 そのための対策として、全国百を超える港への分散投資がアジアにおける日本の港湾の弱体化を招いたという反省に基づいて、京浜港と阪神港が国際戦略港湾に指定されました。港湾政策の選択と集中に向けてかじを切ったというのは、私は方向としては正しい施策だったと思います。国際戦略港湾政策については、私も国会の審議などで積極的に推進を訴えてまいりました。そのかいもあって、港湾のハード面の整備などは徐々に進んできております。
 特に、最近はコンテナ船が非常に大型化しており、京浜港を利用する基幹航路のコンテナ船のうち、四割を超える船舶が水深十六メートル以上を必要とする大型船となっております。つまり、十六メートル以上の水深を持つコンテナターミナルが十分にないと国際基幹航路の拠点となり得ないんです。ですが、このところの積極的な設備投資によって、京浜港の場合ですと、従来、十六メートル以上の大規模ターミナルが横浜港に三バースしかなかったのが、現在、新たに横浜港に三バース、東京港に一バースのターミナルが追加整備されています。一気に倍増以上ということで、私も、この進展ぶりには長年の主張のかいがあったとうれしく思っております。
 しかし、ハード面はいいとして、一度釜山港などへの貨物の流出が始まってしまってからでは、なかなかこの流れを変えるというのは難しくなってきているようです。
 総理、現在の世界の港湾別コンテナ取扱個数で、東京港が大体何位ぐらいかとお考えでしょうか。
#30
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに、今委員が御指摘になったような公共投資が必要なんですよ、まさに。それが地域の言わば競争力を高めていくわけでございまして、御指摘をされましたような京浜港、東京港、そして川崎、横浜、神戸、大阪、これは六大港といって、実は私の下関も六大港なんですが、これからは残念ながら外されてしまっているんですが。つまり、それは国際競争力を持つためには、水深が今十八メートル以上なければ国際港としてのこれは競争力がないわけでありまして、これ一メートルしゅんせつするにも大きな投資、まさに公共投資が必要であって、そういうものを行っていくことによってこれはまさに未来の投資として地域を活性化させていくし、日本が国際的な戦略性を持つ中において競争力を持っていくんだろうと、このように思います。
 そこで、お尋ねのランキングでございますが、東京が二十九位となっておりまして、横浜、名古屋、大阪、神戸は三十位以下になってしまっている。これは、水深の問題もありますし、そして近年の行き過ぎた円高によって荷役料が国際競争力の中において比較的に高くなってしまったということもございます。近年、近年というかこの数か月において、この行き過ぎた円高が是正している中において、荷役料においては大分競争力を回復をしてきているのではないかと、このように思います。
#31
○牧山ひろえ君 私は、何でもかんでも公共投資にしてくださいという、予算配分してくださいと言っているわけではなくて、選択と集中で必要な公共投資をしてくださいと言っているんです。ちょっとお答えが偏っているなと思いました。
 御覧ください。御覧のように、総理もおっしゃっていたように、東京港は今二十九位になっているんですね。そして、ピンクで示されたのが日本の港湾なんですが、一九八〇年が左側、そして最近のランキングが右側なんですが、神戸港一つ取って見ても、一九八〇年には四位だったのが今どんと落ちてしまいまして、今五十三位になっております。これは私は非常に問題だと思います。
 是非こういった日本の港湾のランキングを上げていただきたいんですが、総理はこの港湾のランキング、何位に上げたいとお考えでしょうか。
#32
○内閣総理大臣(安倍晋三君) もちろん、目指すからには一位を目指したいと、このように思います。
 しかし、そのためにやらなければならないことがたくさんございます。サービスにおいて、二十四時間完全にサービスができるようにしていかなければいけませんし、釜山港など近隣諸国の港湾との熾烈な国際競争に鑑みれば、我が国港湾の国際競争力の強化を戦略的に進めていくことは喫緊の課題でございまして、こうした認識の下に、委員の地元の横浜も含めて、京浜港及び阪神港を国際コンテナ戦略港湾に位置付け、大水深のコンテナターミナルの整備や株式会社による民の視点での港湾運営など、国としてハード、ソフト一体となった機能強化に取り組んでおります。
 日本経済の成長を強力に推進していくためにも、国際コンテナ戦略港湾の機能強化に向けて効率的かつ集中的に取り組んでいきたいと考えております。
#33
○牧山ひろえ君 とてもうれしい御答弁ありがとうございます。一番にしてくださるということで、多くの方が喜んでいると思っておりますが。
 しかしながら、京浜港といえども、現行の港湾法では港湾管理者が地方公共団体に限定されており、制度として国の責任ある関与が欠落してしまっているんです。横浜港は私の選挙区ですが、神奈川県ですが、これは神奈川県だけの問題ではないんですね、日本の玄関ですから。これらの港湾の国際競争力を強化してアジアのハブ港の地位を奪い返すためには、国際港湾物流を成長政策の要と位置付けて抜本的な港湾政策に取り組む必要があると思うんです。つまり、国が主導してハブ港湾の形成を図らなくてはならないと思います。
 是非、その意味で、政府が六月にまとめると言われている日本の成長戦略の目玉の一つとして、国の主導によるハブ港の推進を位置付けてください。いかがでしょうか。
#34
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に我々、このハブ港、空港もそうなんですが、港も競争力を高めていくために極めて重要であるというふうに考えておりますし、まさにハブ港としての機能を日本がしっかりとアジアで持っていく、それは成長戦略においても重要な柱となろうと、このように思います。
#35
○牧山ひろえ君 続きまして、安倍内閣の教育政策についてお伺いしたいと思います。
 TPP交渉参加の方向で政府は動いておりますが、その結果にかかわらず、今後はビジネスの舞台がより国際化していくことは間違いありません。私も政治の世界に入る前に米国の弁護士としてアメリカで働いていましたが、そのころでも実にいろんな国の方々とやり取りがありました。今後はますますそういう時代になっていくと思います。そのためには子供たちを二十一世紀型グローバル人材にする必要があり、そのために必要なインフラが英語とICTだと思います。
 ここで、英語の日本のランキングを見ていただきたいと思います。これはTOEFLなどの基準ですが、百六十三か国中、日本は黄色く示されていますとおり、百三十五位なんですね。右の方を見てみますと、アジアのほかの三十か国と比べてみても二十七位という非常に低い水準となっていますが、総理、これを見ていかがでしょうか。今後の英語教育についてどのようなビジョンをお持ちでしょうか。
#36
○国務大臣(下村博文君) 委員御指摘のように、国際的に活躍できるグローバル人材を育成する上で、その基盤となる語学力、コミュニケーション能力、特に英語力の強化は、これは不可欠であるというふうに思いますし、今後ともしっかり対応していく必要がますます求められていると思います。
 二十三年度から段階的に、新学習指導要領において、小中高等学校において積極的なコミュニケーション能力を図ろうとする態度育成等の中で、英語教育も変えてまいりました。小学校の五、六年で既に外国語活動については導入をされていると、また、中学校の外国語科の授業も週三こまから四こまになった、また、高等学校の英語の授業は全て英語で行うということを基本とするということで外国語教育の強化を図ってきたところでありますが、これではやっぱり足らないと思います。
 今後、教育再生実行会議等の中で、更に小学校段階からより英語教育について強化をする、あるいは大学におけるグローバル人材を育成するための大学の質と量を高めていくということについて積極的にこれから取り組んでまいりたいと思います。
#37
○牧山ひろえ君 小学校の段階からとおっしゃっていましたけれども、私は小学校では遅いと思います。幼児のときから、ハードルが低いうちに英語教育をするべきだと思っております。例えば、日本語ももちろん大事です、日本語は大前提です。今グローバル時代になってきたわけですから、英語で意思疎通が、ほかのアジアの国々、世界の国々の人と、貿易などに、いろんな場面で生かせるように子供たちを育てることが必要だと言っているわけです。
 例えばシンガポールなどは、幼児のころから英語教育をしておりますので、全国民がバイリンガルなんですね。だからこそ今アジアのハブとして大変活躍されている、世界の企業を誘致していらっしゃる。私は、日本でも英語の教育は幼児から始めるべきだと思います。
 今日、私は安倍総理の政治姿勢を伺って、国の方向性がとても心配になりました。五兆円にも上る公共事業への大盤振る舞いは即決で行ってしまうのに対し、人への投資、特に子供たちへの投資は止めてしまう。例えば少人数学級ですとか止めてしまう。国民の民意を実現することについても余り関心がないことが分かりました。
 私は、一母親としても、人からコンクリートへの流れを食い止めるために、皆さんと一緒に思い切り怒りをぶつけていきたいと思います。
 ありがとうございました。
#38
○委員長(石井一君) 以上で牧山ひろえさんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#39
○委員長(石井一君) 次に、前川清成君の質疑を行います。前川君。
#40
○前川清成君 おはようございます。参議院奈良県選挙区の前川清成でございます。
 随分遅くなりましたが、総理、二度目の総理御就任おめでとうございます。前回、体調を崩して退陣をなさいました。特効薬ができたというふうにもお聞きしておりますけれども、連休もロシアやトルコを歴訪されてお疲れが残っていないのかというのが気掛かりでございます。どうか、総理お一人のお体ではありませんので、体調に御留意いただいて、日本と日本国民のために御尽力をいただきたいと思います。
 実は、総理とは、第一次安倍内閣のときに、国民投票法を審議した憲法調査特別委員会、その締めくくり質疑で一度憲法について議論をさせていただいています。今日も憲法について総理の御所見を伺いたいと思っておりますが、その前に、昨年十一月十四日の野田総理との党首討論における約束について確認をさせていただきたいと思います。
 今審議中の二十五年度一般会計予算でも、税収は四十三兆円です。しかし、歳出総額は九十二兆円、うち二十九兆円は少子高齢化で膨らんだ社会保障費、二十二兆円は一千兆円に達した借金の返済、足りない四十三兆円を借金していると。ここでは多くは触れられませんが、私は、消費税の引上げ、これは国民には御負担をお掛けして申し訳ないけれども、やむを得ないし、やらざるを得ないと、そういうふうに思っています。しかし、と同時に、消費税の引上げに先立って私たちも身を削らなければならないというふうに思います。
 同様に、昨年十一月十四日の党首討論で、当時の野田総理が、定数削減はやらなければいけないんです、消費税を引き上げる前に、お互い、国民の皆様に約束したことを、この国会で結論を出そうじゃありませんかというふうに提案をして、ここで国民の皆様の前に約束をしてほしいんです、定数削減は来年の通常国会で必ずやり遂げる、この御決断をいただくならば、私は今週末の十六日に解散をしてもいいと思っています、是非国民の前に約束してくださいと。
 こういう当時の野田総理の発言があって、これを受けて、当時の安倍総裁は、来年の通常国会、これはもう今の通常国会になります。私たちは既に、私たちの選挙公約において、定数の削減と選挙制度の改正を行っていく、こう約束をしています、今この場で、そのことをしっかりやっていく、約束をしますよと、こういうふうにおっしゃっています。
 つきましては、この定数削減、もう会期末も迫ってまいりました。どうするおつもりなのか、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
#41
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 昨年の十一月の十四日の党首討論におきまして、野田総理とのやり取り、今委員が御紹介していただいたとおりでございます。しかし同時に、まず〇増五減、これは一票の格差是正でございますから、これはすぐにやりましょうということで合意をいたしまして、昨年、本体が成立をしたわけでございまして、今、区割りについて、衆議院で可決をして、参議院で是非とも速やかな御議論をいただきたいと、こう思っている次第でございますが、選挙制度そのものの改革につきまして、また定数削減につきましては、これはまさに選挙制度というのは民主主義の土俵をつくるものでありますから、私と野田さんだけで決めるわけにはいきませんねと、これは社民党とか共産党、そういう小さな政党の議論もしっかりと踏まえていく必要がありますよと、できるだけ多くの政党が参加する形が望ましいですよというお話をさせていただいたところでございまして。
 私たち与党としての責任として、三十人削減させていくという新しい制度を、三十人削減させていくということと、比例において、言わば選挙の結果、国民の意思の集約と、そして同時に、また各党、死に票をなるべく少なくしていくという機能も必要ですから、それを加味した比例代表制度を御提案させていただいているところでございまして、あとは国会において、提示するかどうかについては、提示というか、国会に法案として提出をするかどうかは、今、党の方に、院の方にお任せをしているところでございまして、これは国会の方で提出されたら速やかに御議論をいただきたいと、このように思うところでございます。
#42
○前川清成君 松浦理事の方から少しパネルも出していただきたいと思うのですが。(資料提示)
 あの当時、当時というのは昨年の十一月十六日当時です。野田総理は同時に民主党の代表でもありました。民主党があのとき選挙に極めて不利だということはみんな分かっていました。しかし、消費税を引き上げる前に身を削る改革をやろうということで、十一月十六日に約束どおり解散をしましたし、このとおり三党間で合意も文書で確認をされました。今度は総理が約束を果たしていただく順番です。
 選挙制度について様々に難しい問題があることは承知しています。しかし、消費税を引き上げる前に私たちも身を削ると、これは国民の前で約束したわけですから、是非、私たち民主党は既に八十削減の法案も提出しています。まだつるしを下ろしてもらえないというふうに聞いています。是非これも審議をしていただきたいですし、会期末も迫っておりますので、自民党におかれましても早急に提案をしていただくと、そしてこの国会で約束どおり実現していただく、その約束だけ確認させていただけませんでしょうか。
#43
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々与党としては、先ほど申し上げましたように、与党として、自民党、公明党において、三十減、そして選挙制度そのものも変えていくという、その改正案については取りまとめを終えて、もう既に国民の皆様にお示しをしているところでございます。お示しはしているところでございまして。
 そこで、まず、〇増五減の法案、これは何といっても違憲状態を解消せよとのこれは司法の要請でありますから、まずこれにこたえていくことが先決であろうと、このように思うわけであります。まさにこれは、選挙の結果、私たちの議席の正当性そのものにかかわってくるわけでございますから、これをまず、この法案をできるだけ早く成立をさせたいということでございます。その中において、この法案の整理については国会の方にお任せをしているわけでございまして、我々はしっかりとその責任を果たしていきたいと、こう考えております。
#44
○前川清成君 総理、よく分かるんです。私は、定数削減や定数の是正、憲法の要請ですから、これもやらなければなりませんが、この国会、それだけで終わってしまうのではないかという心配があるんです。総理御自身がお約束いただいたわけですから、必ずこの国会中に結論を出していただくと、このことを改めてお願いをしておきたいと思います。これは国民と野田総理とそして安倍総理との約束ですので、是非お願いをしたいと思います。
 次に、総理が参議院選挙の中心的な論点だと、こういうふうにおっしゃっている憲法改正に関して議論をさせていただきたいと思います。
 その前提として、ちょっと私の立場も説明しておきたいと思いますが、私は、憲法は絶対に変えてはならないものだとは思っていません。不磨の大典だとは思っていません。仮に憲法であったとしても、時代や社会の変化に応じて見直すことはむしろ当然だと思っています。民主党も、二〇〇五年に取りまとめた憲法提言の中で、今、憲法の論議が盛り上がっている状況を歓迎すると、こういうふうに述べています。したがいまして、私は、もしも、あなたは護憲ですか改憲ですかと、こういうふうに問われたならば、総理と同様に改憲論者のつもりです。
 しかし、私が自民党の憲法改正草案と基本的に異なるのは、憲法というのは国民の心構えを書くものでもない、日本の美しい風土や歴史を書く宣言文でもない。じゃ、憲法とは何か。それは、国家権力を制限するためのルールです。市民革命など人類の歴史を振り返れば、自由や平等に対する最大の脅威は国家権力でした。たとえ民主的な国家権力であったとしても、ヒトラーのように濫用されることがあります。だから、自由や平等を守るためには国家権力を制限しなければならない、そのために生まれたルールが憲法です。憲法を論議するに当たっては、私は、この立憲主義の原点を忘れてはならないと思っています。
 その上で、九十六条に関してです。
 総理は、まずは九十六条を改正するべきだと主張しておられます。その理由として、国民の過半数が変えたいと思っても国会議員の三分の一が反対したら阻止できるのはおかしいと、だから発議要件を二分の一に引き下げるべきだと、こういうふうに述べておられます。
 そこで、総理にお尋ねしたいんですが、多数決なら何を決めてもいいんでしょうか。多数決なら、差別をしても、人間としての当然の権利、つまりは基本的人権を奪ってもいいのか。私たちにとって大切なものは多数決だけではありません。例えばですが、戦争はあかんよという平和主義、人間は生まれながらにして自由で平等だという基本的人権も大事な価値観です。だから、憲法は、王様でもやってはならないこと、総理大臣でもやってはならないこと、多数決でも奪ってはならないことをルールとして確認をしています。だったら、私は、たった二分の一の賛成だけで憲法を変えてはならないと、こういうふうに確信をしています。憲法改正に当たって多数決というのを強調されるのは私はいかがかと思っていますが、総理はいかがでしょうか。
#45
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 哲学として、多数決だったら何でもできるか、もちろん私もそれはできないと思います。そもそも日本は古来以来の長い歴史と伝統を持っているわけでありまして、その中において積み上げられたこれは知恵もあるわけでございます。これは、ある意味においては、法律、憲法があると同じように、私たちの生活の規範の一つとなっているんだろうと、こう思うわけでございます。
 そこで、この憲法についてでありますが、自由民主党は立党以来憲法改正を掲げてきたわけでございますが、残念ながら、この憲法論議というのはずっと深まらなかったのが事実であります。事実上、国民の皆様にとっては、これはまず自分たちがそれにかかわることはなかなかできないだろうと、そもそも最初からそう思ってしまう、そういう言わば改正規定になっていたことも私は一因ではないかと、こう思うところでございまして、そこで、発議要件について、今の三分の二というものは、言わば三分の一を少し超える国会議員がこれはもう国民投票にはさせないという意思を表明しただけにおいて、たとえ六割、七割の国民の皆さんが自分の意思を表明したいと思っていてもそれはできない、それは賛成でも反対でもいいですよ、ということができないという。ですから、事実上今まで一回も国民投票には付されていないわけであります。
 国民投票になればこれは必ず成立するとは限らないわけでございまして、事実、九十六条についても反対の方の意見の方が今多いのも事実であります。たとえ今三分の二でこれを国民投票に付したところでこれは否決されるわけでありまして、これこそまさに私は民主主義なんだろうと思うわけでありますし、つまりその中において私たちも国民の意思を尊重するべきだろうと。国民が自分の意思表示をしたいという気持ちも尊重するべきだろうし、国民の意思を私たちはある意味信頼するのも当然私たちのよって立つべき立場ではないかと、こう思うわけでございます。
 しかし、もし二分の一にしたところであっても、これは簡単にすぐにこの国民投票に行く、国民投票という大きなこれは政治的な決断を国民の皆様にお願いをしなければいけないわけでありますから、極めて重たいこれは判断であるということも申し添えておきたいと思います。
#46
○前川清成君 総理、若干論点がかみ合っていないと思います。私も憲法改正に当たって国民投票を否定するつもりはありません。もちろん、国会が発議をして、その後国民投票が行われる、その国民投票において国民の憲法に対する意思が表明されると、ここは一切否定していません。
 しかし、その前提として、発議の要件として本当に二分の一でいいんですかということを申し上げているんです。三分の二というのがそんなに高いハードルなのか、何でもかんでも二分の一で決めてもいいのですかと、その根源的なところをお聞きしました。その点について総理からも、いや、何でもかんでも二分の一で決めていいわけじゃないんだと、こういう御発言がありましたので、そこは価値観を共通できていると思います。
 そこで、ちょっとパネルをお出しいただきたいんですが、日本に限らず、憲法改正に当たって法律の改正よりも厳しい要件を課していると、これは言わば世界の常識であります。これを硬性憲法といいます。理屈を言うわけではありませんが、最高法規であることの論理的な帰結として硬性憲法が導かれます。なぜならば、法律の改正と同じ要件であれば憲法が法律と区別できなくなってしまうと、だからどこの国にあっても厳しい要件を決めています。
 もし二分の一になってしまうと、この法律との区別が余り付かなくなってしまうんじゃないのか。この点で、自民党の憲法改正推進本部長代行をしておられる船田元衆議院議員、長らく憲法改正の問題に真摯に取り組んでおられて、私も尊敬させていただく政治家のお一人でありますが、その船田議員も四月三十日の毎日新聞のインタビューで、二分の一だと一般法と余り変わらなくなってしまうと、こういうふうな危惧をお示しになっておられます。
 憲法典を持つ国々において硬性憲法であるということは世界の常識だと、こういうふうに申し上げたんですが、例えば明治憲法、これも七十三条の二項で両院の三分の二を必要としておりました。
 今パネルをお示しをいたしましたが、日本と同様に第二次大戦の敗戦国でありますドイツ、ここにおいても両院の三分の二の賛成を必要としています。しかし、戦後五十九回憲法を改正しています。アメリカ、これも両院の三分の二とさらには州議会の可決も必要ですが、戦後だけで六回改正をしています。お隣の韓国、これは一院制ですけれども、やはり国会の三分の二の多数、しかし戦後九回改正をしています。
 まだまだ例はあるわけですが、御理解をいただきたいのは、現行憲法が憲法の改正に三分の二以上の多数と定めているのは別に不思議なことではなくて、ほぼ世界の大勢だと、こういうことであります。先ほども申し上げましたが、国民にとって、王様でも奪ってはならないこと、多数決でも奪ってはならない自由や平等を保障している憲法である以上は、二分の一の賛成だけでは憲法を変えてはならない、これは論理的な帰結だと私は考えます。
 そこで、総理にお尋ねをしたいんですが、アメリカやドイツや韓国でそれぞれ六回、五十九回、九回、憲法が改正されています。日本で戦後七十年憲法が改正されなかったその理由は、憲法九十六条があったからでしょうか。
#47
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 米国の場合は州の批准がありますが、しかし国民投票はございませんし、ドイツの場合も国民投票はありません。日本の場合は国民投票があるということでありますから、そこは大きく違う点なんだろうと思います。
 今の御質問でございますが、そもそも言わば三分の二を取った勢力が今までいなかった、日本においてはですね。かつては自由民主党のみがこれは改憲勢力であったわけでありますが、衆議院と参議院両方でそれぞれ三分の二を取ることはなかったわけでございますし、また、米国と違う点は、クロスボーティング、党派を超えて法案について賛否が自由に行えるという、そういう仕組みではなくて、党議でそれぞれの党が縛っていくという中において、議院内閣制でありますから、そこは違う点だったんだろうと、このように思います。
 しかし、一般的に、それは国民の皆様の多くが世論において憲法を変える必要がないだろうというふうに考えていたのも事実だろうと思います、長い間ですね。しかし、この数年の間はまさにこれは逆転をしておりまして、多くの世論調査の結果、憲法は変えた方がいいという考えに変わっているということは申し上げておきたいと思います。
#48
○前川清成君 総理、私の今質問にはお答えいただけなかったんですが、憲法九十六条があったから戦後憲法は改正されなかったというのは正確ではないということはお認めいただきたいと思います。それぞれの国で三分の二を、要件を課しながら憲法の改正が行われてきたわけですから。
 それで、今総理の方から、三分の二の勢力を取った政党がなかったんだと、だから憲法が改正されなかったんだと、こうおっしゃったんですが、私は、是非その発想はおやめいただきたいと思います。
 私は、憲法というのは、例えば自民党政権の憲法、民主党政権の憲法、あっていいものだとは思っていません。国の基本的なルールです。選挙があっても、政権交代があっても、やはり基本的なルールは変わってはいけない。そうであれば、自民党の憲法ではなくて、与野党で少なくとも三分の二、これは主要政党間の合意で足りるわけですから、主要政党間の合意を醸成する努力を戦後六十年間やってこなかったんだと、だから憲法は改正されなかったんだと、そういうふうに理解するべきではないかと、こういうふうに思います。
 その点で、ボードを替えていただきたいんですが、今の二分の一というのがどの程度の国民の支持に基づいているのかと。先ほど牧山さんの質問の中にもありましたが、二〇一二年の衆議院選挙、これは自民党は二百九十四議席を獲得されました。衆議院の四百八十の議席の六一・三%を占めています。しかし、小選挙区と比例区と平均をいたしますと、全ての有権者の中で自民党の候補の名前あるいは自民党と書いた方は二〇・三%しかいらっしゃらない。民主党も二〇〇九年の選挙で三百八議席をいただきました。これは四百八十の議席の六四・二%に当たります。しかしながら、民主党の候補者の名前あるいは民主党と書いていただいた有権者は全有権者の三〇・五%しかいなかったわけです。そうであれば、国会議員の二分の一というのがどの程度国民の世論を正確に反映しているのか。
 先ほど選挙制度は様々な難しい問題があるという御発言もありましたが、まさにそのとおりで、今の選挙制度を前提にするならば、私は二分の一という数字に対してもう少し謙虚に向かい合う必要があるのではないかと考えております。総理、いかがでしょうか。
#49
○内閣総理大臣(安倍晋三君) しかし、この憲法改正においては国民投票があるわけでありまして、この国民投票をさせない、つまり二分の一でパーセンテージが少ないとおっしゃられましたが、三分の一以下であれば、三分の一ちょっとを超えるぐらいであればもっと少ないじゃないですか。ほんのちょっとの人たちの意見で国民投票自体ができない。国民投票は五割の方が賛成しなければこれ変えられないんですから、変えられない、変えるかどうかの意思判断をさせないということを、今委員がおっしゃった論理でいえば、まさに国民の支持のほんの少ししかない人たちがそれを封印することができていいのかという考え方も十分に私は成り立つのではないか。
 ただ、私も、委員がおっしゃっている御懸念も分かりますよ。これは法律と同じように憲法を変えていいとは全く思いませんし、自由民主党の憲法、そして、では政党が入れ替わったら今度は民主党の憲法になるというものであってはならないと思いますし、できる限り多くの政党の理解を得る努力を私もしていくべきだろうと、このように思います。
 かつて五五年体制下においては、指一本触れさせないという護憲勢力がいて、一方、憲法を変えようという自由民主党との間には対話は不可能であったわけでございまして、今委員は自分も全く護憲派ではないということでありましたから、ではそういうのはどういう条項に当たるかということにおいて逐条的に議論をしていくということも大切であろうということでありまして、今我々が九十六条ということを掲げていることは、これはまずはということについて申し上げているのは、国民の皆様がそれは投票に参加できるようになるということにおいて申し上げているわけでありまして、実際それも三分の二が必要ですから、では三分の二があれば、直接私たちはお示しをしていますから、その中において、結局ここがなかなか国民の支持を得られないという中においては、では、皆さん方とこれは認識を一つにするものがあればそういう努力も当然やっていくというのが現実の政治の姿だろうと、このように思います。
#50
○前川清成君 今総理が、三分の一の人たちが憲法改正阻止できるのはおかしいと、こういうふうにおっしゃいました。しかし、それは民主主義ということだけ考えれば総理のおっしゃるとおりかもしれませんが、そもそも憲法という法の成り立ち、これはいわゆる自由の基礎法と言われているように、多数決であっても民主主義政体であっても、少数の人たちの権利や自由を守ろうというためにできたルールなんです。そうであれば、三分の一の人たちが阻止権を持っているというのはむしろ憲法の成り立ちからいうと当然なんです。
 だから、先ほど申し上げたとおり、三分の二の広範な合意を形成するための努力を与野党共にやっていかなければならないと、こういうことであって、私は、憲法を例えば選挙の争点にしたり、憲法について真面目な議論をしているのに自民党席からやじったりとか、こういうことは適当でないと思います。それで、逐条的な議論、これは是非お願いしたいと思いますし、この後予定しています。
 民主党も二〇〇五年に憲法提言というのをまとめました。これはなかなかよくできているというふうに言っていただくんですが、ただし、長文で抽象的で少し難解なところがありますので、結論をセンテンスの形に是非早々にまとめていきたいと、こういうふうに思っています。
 その前にもう一つ、九十六条改正先行論についてです。九十六条を、今総理がおっしゃるように中身の議論とセット、これは私は賛成ですが、これまで総理は、まずは九十六条だけ先に改正しましょうと、こういうふうにおっしゃっていました。それに対して私は大変危惧を持っておりました。
 報道によると、これは正しいかどうか分かりませんが、ゴールデンウイークに訪米した自民党議員を通してアメリカ政府が九十六条改正先行論に懸念している旨を総理に伝えたと、こういうふうにあるわけですが、これは事実なんでしょうか、間違っているんでしょうか。
#51
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そんな事実は全くもちろんございません。そして、もしたとえあったとしても、他国から我が国の憲法に、変えていい、変えては駄目だと言われる筋合いのものでは全くないと、このように思います。
#52
○前川清成君 ありがとうございました。
 それで、先ほど総理が五五年体制のお話をされていましたが、私も長く続いた五五年体制下の憲法論議というのは、一方では自民党が占領下の憲法だと、自主憲法を作る、ともかく全面的な憲法の改正ということを党是にしておられました。他方で、五五年体制で社会党が大変大きな勢力を持っていて、その社会党は、いわゆる護憲、憲法に指一本触れてはならないと、憲法を変えることが戦争への道だと、こういうふうな論理でした。
 しかし、先ほど私も申し上げたとおり、憲法というのは、時代や社会の変化に応じて見直すべきことはむしろ当然だと思っています。しかし、ただ変えたらいいんじゃなくて、どう変えていくのかと。現行憲法のどこに問題があるのか、その具体的な方向と必要性を国民の皆さん方にお示しをして、国民とともに、憲法制定権力者は国民ですから、国民とともに議論することが私は大事だと思います。
 その点で、少し自民党の憲法改正草案についてお尋ねをしたいんですが、国家は宗教に立ち入らないと、いわゆる政教分離に関してですけれども、この政教分離を定めた憲法二十条の中に、自民党は今度はただし書を置いて、社会的儀礼又は習俗的行為、これについては政教分離の例外にするというふうに書いておられます。
 そこで、この社会的儀礼、習俗的行為、これはどのようなものを指すのか、御説明をお願いしたいと思います。
#53
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自民党のこれは草案でございますから、その解釈について、私は今ここに総理大臣として出ておりますので本来はふさわしくないとは思いますが、委員の御質問でございますので、総裁として、自民党総裁としてお答えをさせていただきたいと、このように思います。
 そして、先ほど九十六条と言わば中身の関係について御指摘をいただいたんですが、まさに中身を示せ。ですから、まさにそういう議論を私たちもしたかったわけでありまして、我々は中身についてお示しをしておりますのでお答えをさせていただきたいと思いますが、自民党の憲法改正草案の第二十条第三項における社会的儀礼、習俗的行事とは、国等の行為について、社会一般で慣習的に行われている儀式などの行為であって、一般人において宗教的意義が希薄化したものと評価されているものといった意味で用いられているわけであります。
#54
○前川清成君 今の定義をお答えいただいても、なかなか例えばテレビを見ておられる方々に意味が通じにくいのではないかなと、こういうふうに思います。
 そこで、総理、少し具体的にお聞きをしたいんですが、現在の平和と繁栄を築くために、心ならずも戦地に赴いて、生きて再び故郷へ帰れなかった方々がたくさんいらっしゃいます。これらの戦没者を追悼し、戦争の惨禍に思いを深くする、不戦の誓いを新たにする、そのために総理大臣が靖国神社に参拝をすると、これは宗教的行為に当たるんでしょうか、あるいは社会的儀礼なんでしょうか、それとも習俗的行為なんでしょうか、どれに当たるんでしょうか。
#55
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員の御質問は、総理大臣あるいはまた閣僚の靖国参拝においての位置付けだろうと、このように思います。
 内閣総理大臣その他の国務大臣の地位である者であっても、私人として信教の自由が保障されていることは委員も御承知のとおりであろうと思います。
 これらの者が私人の立場で参拝することはもとより自由であるので、社会的儀礼等に当たるか否かという問題ではないというふうに考えております。
#56
○前川清成君 総理、今の憲法で総理大臣が参拝されるのをいいとか悪いとかをお聞きしているのではなくて、新しい憲法が、仮にですよ、仮に自民党の憲法改正草案のとおりできましたと、そのときに、今おっしゃっていただいたような解釈は変わるんですか、変わらないんですかというお尋ねなんです。
#57
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的には変わらないということであります。
#58
○前川清成君 基本的に変わらないのであれば、この憲法の改正というのは必要ないのではないでしょうか。
#59
○内閣総理大臣(安倍晋三君) つまり、自民党の改正案の中には字句の整理、あるいは理解しやすくするという意味において改正したものも多々ございますが、これもその中において、言わば誤解等を排除するためのある意味修文なんだろうと、このように思います。
#60
○前川清成君 自民党の憲法改正QアンドAというのを拝読させていただきました。そこに、この習俗的行為の例としては地鎮祭が挙げておられます。ただ、この点は、客観的な事実として指摘させていただきたいんですが、戦後の政教分離の議論において、あるいは各種の裁判において、仏教と、あるいはキリスト教と、ほかの宗教と国家との結び付きが問題になったことは私は知りません。常に神社神道と国家との結び付きが議論の対象になってきました。そうであると、この憲法の新しい改正案というのは国家神道との結び付き、これを是認する方向になるのかという疑念、これは正直生じると私は思います。
 それで、私も、先ほど申し上げたように、心ならずも戦地に赴いて家族やふるさとを思いながら異国で倒れた方々、戦没者の方々への追悼する気持ち、これは大切にしています。同時に、戦争の惨禍に思いを深くする、そして不戦の誓いを新たにする気持ち、これも大事にしています。
 しかし、そのための唯一の方法というのは靖国神社に参拝することなのでしょうか。地域の護国神社に参拝する、あるいはほかの神社に参拝するということもあります。仏教を信心する人たちはお寺でもいいし、キリスト教を信仰する方々は教会でもいいし、あるいは宗教施設でなくてもいいのではないかと、こういうふうに考えているのですが、総理はいかがでしょうか。
#61
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 靖国神社が戦争で倒れた英霊の魂を安んじる場として中心的な施設であるわけでありますが、なぜそうであるかということでございます。
 御遺族の方はほとんど多くは靖国神社に参拝をされるわけでございますが、そこに行けば、これはやはり、自分の父親にあるいは亡き夫にこれは会えるかもしれない、魂が触れ合うことがあるかもしれないという思いでそこに足を運ぶわけであろうと、このように思います。その中において、多くの方々がそこに足を運んでいるという姿を見て、自分の肉親の死に、ある意味、意味を感じることができることによって自分の気持ちが癒やされるという場になっているんだろうと、このように思うわけでありまして、そこで、確かにこれは人それぞれでございますから、これは全ての御遺族というふうに私は申し上げるつもりは全くございません。そうでない方々も当然おられるんだろうなと、このように思いますが、だからこそ中心的な施設になっているんだろうと。そして、国としては八月十五日に戦没者慰霊祭を武道館で実施をするわけであります。
#62
○前川清成君 アメリカの大統領は、大統領に就任する際に聖書に手を置いて宣誓をされます。これに対して例えば世界のイスラムの国が、仏教の国が抗議したという話を私は知りません。しかし、日本の例えば総理が、閣僚が靖国神社へ参拝すると中国や韓国が非難をすると。他国から非難されたら全て唯々諾々と受け入れなければならないという考えは私は全く持っていません。しかし同時に、他国に対する配慮、これも必要でしょうし、過去の日本の歴史を直視する必要もあるだろうと、そういうふうに思っています。
 特に今、北朝鮮がミサイル、核開発を進める中で、日本とアメリカと中国、韓国との連携が大切です。拉致の問題ももちろんあります。ところが、今、日本を除いてアメリカ、中国、韓国だけの連携が進んでいるように思えます。これは、客観的には、麻生副総理いらっしゃって申し訳ないんですが、春の例大祭に麻生副総理ら閣僚が参拝したことに反発をして、韓国の外相が日本訪問を取りやめた。この靖国神社参拝が外交問題になったからというふうに考えています。
 そこで、先ほどの私の質問です。戦没者を追悼する施設は靖国神社に限らないのではないか、これは私のオリジナルではありません。総理も官房副長官としてかかわっておられた平成十四年、福田官房長官の下で開催された懇談会、ここにおいて取りまとめられた意見書で、国を挙げて追悼、平和祈念を行うための国立の無宗教の恒久的施設を検討してはどうかというふうな結論が書かれています。
 私の先ほどの質問は、この福田官房長官の下でまとめられたこの施設、これの建設を今こそ検討するべきではないかと、こういう趣旨で申し上げておりますが、いかがでしょうか。
#63
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 閣僚の靖国参拝に対して中国、韓国から非難がなされておりますが、しかし私は、かなりこれは誤解に基づくものが多いと、このように思います。
 果たして、では靖国神社が軍国主義の象徴なのか。これは参拝をしていただければ、行っていただければすぐ分かることでありますが、これはまさに、ひたすらこれは英霊の慰霊をする場になっている静かな場であります。しかし、そういう特別な日には多くの方々があそこに押し寄せて騒がしい場所になっていることは大変残念なことではありますが、韓国や中国の方があの場に行って、随分自分の想像とは違うということをおっしゃる人も随分います。私も靖国に参拝をした際に、中国の方々がおられて、安倍さんだとかいって一緒に写真撮ったことがあるんですが、そのときに話をしたら、随分自分たちが想像したものとは違ったということであります。
 そこで、追悼施設ということでありますが、私も官房副長官として議論に参加をしておりました。しかし、一つの課題としては、多くの御遺族の方々がどう思われるかということも大変大きなこれは課題なんだろうと思います。確かに、私も総理として海外に行けば、無宗教のそうした施設があって、そこに献花をする場所があります。そうしたものが必要ではないかという問題意識というのは、これはもちろんあるわけでございますが、同時に、多くの御遺族の皆様にとってこういう場所をつくることがどうなのかという、言わば国民的な敬意を集める場所でなければいけないということも議論していく必要があるのではないかと、このように思います。
#64
○前川清成君 新たな国立の追悼施設と靖国神社は両立できると、決して靖国神社の存在意義を損なわないというふうにこの福田官房長官の下での懇談会の意見書も取りまとめております。
 是非、戦没者の御遺族の皆さん方や靖国神社の方々、あるいは日中韓の問題に憂慮されている方々などは、この意見書、今も官邸のホームページでアップされておりますので御覧をいただいたらと、そういうふうに思います。
 もう一度、次に、憲法二十一条、自民党の改正草案の二十一条についてお尋ねをしたいと思います。
 ここには、二十一条の二項に「前項の規定にかかわらず、」ということが追加されておりまして、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」と、こういうふうに書いています。自民党のQ&Aでも、内心の自由はどこまでも自由ですが、それを社会的に表現する段階となれば、一定の制限を受けるのは当然ですというふうに書いています。当然のことだと思います。
 そこで、総理、お尋ねしたいんですが、この当然の制限は現行憲法では認められていないんでしょうか。
#65
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、最高裁判決、これは平成二年の最高裁判決でありますが、これは、表現活動といえども、絶対無制限に許容されるものではなくて、公共の福祉に反し、表現の自由の限界を逸脱するときには、制限を受けるのはやむを得ないと、こういう判断がございます。
#66
○前川清成君 ですから、今総理お答えいただいたとおり、現行憲法であっても、ここに書いてありますが、二十条の信教の自由にしても、表現の自由にしても、人権相互間の調整、すなわち内在的制約を受けるのは当然のことなので、私は改正草案にあえてたけだけしく公共の福祉による制限というのを書き加える必要はないと思っています。
 それと、今の日本国憲法を見ていただきたいんですが、二十条も二十一条も公共の福祉による留保はあえて入れていません。公共の福祉による留保はないけれども、十三条が「公共の福祉に反しない限り、」と書いてあって、これが人権相互間の調整、つまりは内在的制約の根拠になっています。
 しかし、総理、見ていただいたらと思いますが、二十二条の職業選択の自由、二十九条の財産権、これについてはわざわざその人権条項で公共の福祉という文言が書いています。これは意味のないことかというと、そうじゃなくて、最高裁の昭和五十年四月三十日の大法廷判決もそう言っていますが、福祉国家を実現するためには、つまりは生存権始めとする社会政策を実現するためには、営業の自由であったり財産権に対して内在的制約を超えて政策的な制約を認める必要があると。だから、内在的制約ではありません、政策的な制約を根拠としてわざわざ二十二条、二十九条に公共の福祉という文言を入れた、これが通説なんです。
 ですから、自民党の草案の二十一条の二項です。人権条項にわざわざ公共の福祉という文言を入れてしまうと、これは表現の自由に対しても内在的制約を超えて政策的な制約を認めてしまう根拠になってしまうと私は思います。総理が先ほどお話しになったような趣旨でお考えいただいているのであれば、私はこの自民党草案の二十一条二項というのはお考え直しいただく必要があると思います。
 それで、申し訳ありません、時間がなくなってまいりましたので、是非、憲法九条についても議論をさせていただきたいと思います。
 まず、私も、当然のことですが、自衛隊というのは必要だと思っています。九条もタブーにすることなく改正の対象として議論すると、そして自衛隊を憲法か、あるいは憲法の附属法典、例えばですが、安全保障基本法にきっちりと位置付けておくべきではないかと。そして、その際には、平和主義、戦争はあかんでということ、二つ目には、専守防衛、つまりは他国を侵略しませんと、日本を守るための必要最小限度の戦力しか保持しないと、三つ目には、徴兵制は採用しないと、このことを明記すべきだというふうに私は考えています。
 その前提で総理にお尋ねをしたいんです。
 自民党の憲法改正草案の中には、国民も国と協力して領土などの保全義務を課しています。国民が果たすべき義務というのは何を指すんですか。
#67
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 既に国民の保護法制というものがございます。その際、様々な非常事態において国民の皆様に御協力をいただくということになっているわけでございますが、それを憲法上書いているということで御理解をいただきたいと、このように思います。
 また、今いろいろと、いろんな徴兵制等についての御議論もいただきました。まさにこれは九条を変えるということにおいて、我々、これがこのまま、そのまま憲法改正として通るとは全く思っていないわけでございまして、是非……(発言する者あり)これは私たちの、私たちの案として出しているんであって、私たちの案として出しているんであって、三分の二はそんな簡単なことだと思っていませんし、二分の一がそんな簡単なことだとは思っていないんですよ。できる限り多くの人たちに賛成していただきたいという中において、前川委員に、何人か、多くの方々、仲間として賛成していただけるんであればそういう修文の議論にも建設的に私たちは応じていきたい、むしろそういう議論をしていくべきだろうというのが自由民主党の姿勢であるということは申し上げておきたいと思います。
#68
○前川清成君 総理、私が心配性なのかもしれませんが、外敵から主権や領土、領空、領海を守っていただくのは自衛隊です。その自衛隊を維持するための経済的な負担、つまりは納税の義務については憲法三十条に既に書いています。金以外のもので領土を守るための協力と、こういうふうに書かれてしまうと、体を出せということなのかと。つまりは、徴兵制に対してこれを道を開くのかというふうな私は危機感を持ってしまいました。そうでないというのであれば御説明をいただきたいと思います。
#69
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に、国民の皆様に苦役を、これを、この表現がいいのかどうかは難しいんですが、を課すということではないわけでありまして、現在、現行憲法で徴兵制ができないという根拠になっているわけでございまして、それは変わらないわけでございますし、そもそも現実問題として、これはもう世界の潮流として徴兵制度を取っている国は極めて少数でございますし、それは、実質的に安全保障上の政策としてもこれは余り合理的ではないというふうに考えているわけでございますし、そもそも我々はそんなことは全く考えていないということは申し上げておきたいと思います。
#70
○前川清成君 ただ、総理、これ憲法の議論ですので、時の総理大臣がどう考えておられるというのではなくて、客観的に憲法の文言がどうなっているのかというのが、これから先、百年の議論ですので、私はそちらの方が大事だと思います。
 それで、時間がなくなってしまいました。最後に、総理の御発言の中で私は気になるところがあります。それは、例えばこの前の四月十七日の読売新聞のインタビューでも、総理は、憲法を改正したいと、その理由として憲法の制定過程に問題があるんだと、現行憲法は占領軍が作ったと、こういうふうにおっしゃっています。
 しかし、私はそれはどうなのかなと、こういうふうに思っています。時間がなくなってきましたので簡単に取りまとめますが、GHQが草案を作りました。しかし、政府も二院制に変更しました。日本で初めて女性が入った普通選挙で衆議院が選ばれて、修正も行われました。貴族院がありました。そして、最後は昭和天皇の裁可を経て今の憲法ができ上がっています。その成り立ちにいつまでもこだわるのではなくて、中身についてもっと議論するべきだということを申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#71
○委員長(石井一君) 以上で前川清成君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#72
○委員長(石井一君) 次に、丸山和也君の質疑を行います。丸山君。
#73
○丸山和也君 本日の質疑は、安倍内閣の政治姿勢を問うと、政治姿勢という、こういうまさに安倍内閣の本領発揮というか核に迫る質疑だと思いますので、そういうつもりで大所高所から御質疑させていただきたいと思います。
 安倍総理は、「美しい国へ」という著書の中でも、またその他でも、要するに全ての政治的課題の根本的な問題は、根っこはいわゆる戦後政治、戦後レジームですね、戦後レジームにあると。したがって、これらを解決するためには戦後レジームからの脱却が必要なんだというところを非常に強調されております。
 そして、さらに具体的には、政治家安倍晋三の二つのテーマとして、やっぱり安全保障と生活の保障といいますか、この二つですね、これが具体的に大事なんだと、こういうふうにおっしゃっています。そして、これはもう非常に簡潔に、安倍総理が現在における日本の抱えている問題点とそれから自分のなすべきこと、その視点がどこに置いてやっていくかということを一種の見据えた御意見だと思うんですね。
 こういうとらえ方を私はしているんですが、こういう点についてはそのとおりでしょうか。
#74
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今年の四月の二十八日で日本が主権を回復をしてから六十一年がたつわけでありますが、七年の占領期間に、例えば憲法あるいは教育基本法等、そうした根本的な法典あるいは法律ができ上がったわけでございます。
 言わば、そういう意味においては、そのことをもう一度見直す中において、二十一世紀、誇りある日本をつくっていくことができるのではないかというのが私の基本的な考え方でございます。既に教育基本法は改正されたわけでございます。そういう問題意識を持って政治に取り組んでいきたいと、こう考えているところでございます。
#75
○丸山和也君 そうしますと、この問題を掘り下げていきますと、一つは、具体的にどういう対処をしていくかという問題と、それからやっぱり一つの、日本国家というか日本人の精神的な構造といいますか、そういう二つの具体的な面それから抽象的な面、これが非常に大事になるんじゃないかと思っていまして、そういう角度から質問させていただきたいと思いますが、今国会において総理は非常に大事な発言を幾つかされています。
 一つはやっぱり、衆議院、あるいは参議院でもありましたけれども、歴史認識についてでございます。これは、いわゆる村山談話というのが非常に問題になっておりますときに、単にそのまま村山談話を継承するのでなくて、七十年とかその節目においていわゆる安倍談話なるものを未来志向において発表したいと、こういう勇気のある発言をされているんですけれども、これはまさに、いわゆる戦後レジームから脱却という観点を考えた場合、抜きにできない課題だと思うんですね。そういう意味では、いつかは分かりませんが、安倍総理による安倍談話というものを発表していただきたいと思うんですけれども、これはまだ時期とか具体的内容については時期尚早ということなんでしょうか。簡潔にお答えください。
#76
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国は、さきの大戦を含め、過去において多くの国々、特にアジアの国々に多大な被害を与えたわけでありまして、この深刻な反省から戦後の歩みが始まったわけであります。その中において、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といったものをしっかりと確立をし、守ってきたのでありまして、さらに、二十一世紀、未来に向かって、地域、世界に対してどういう貢献をしていくかということも含めて日本の考え方を表明していくべきだろうと考えております。
 五十年を期して出されたのが村山談話であれば、六十年、小泉談話もございます。七十年も一つの節目ではないかと、このように考えております。
#77
○委員長(石井一君) 丸山君、残余の質疑は午後に譲ることにいたしたいと存じます。締めくくりの言葉があれば、一言言ってください。
#78
○丸山和也君 では、午後において本格的に論戦に挑ませていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
#79
○委員長(石井一君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#80
○委員長(石井一君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成二十五年度総予算三案を一括して議題とし、安倍内閣の政治姿勢に関する集中審議を行います。
 一言申し上げます。
 午前中の審議は、本日の集中のテーマにふさわしい格調の高い議論が政府と委員の間に行われておりますことに感謝申し上げます。場内はできるだけ議論を妨げないように、国民の皆さんは真剣にこの議論を聞いておられると思いますので、御協力をお願い申し上げます。
 休憩前に引き続き質疑を行います。丸山和也君。
#81
○丸山和也君 いわゆる、午前中、歴史認識に関しまして質問させていただきまして、よくこれに関しまして、諸外国から、あるいは韓国を中心とした等の国から歴史に向き合わない国民あるいは国に将来はないというようなことがよく言われているんですけれども、これはよく考えてみると、歴史に向き合うとはどういうことかと。歴史の中には、良かったこと、悪かったこと、間違ったこと、正しかったこと、いろいろあるわけですね。そういう分析をしないで、とにかく謝れと、あるいはとにかく謝罪しろ、とにかく賠償しろということに対して、とにかくみそもくそも一緒にしたような形で謝罪をするというようなことは、これこそまさに歴史に向き合っていないわけですよ。
 だから、歴史に向き合わない国民に将来はないと、それは立派な言葉です。我々も賛成ですよ。歴史に向き合うんなら、歴史の起こった事象を分析し、どこが間違いか、どこが正しかったかということをやるべきだと思うんですね。それが本当の歴史認識であって、政治的プロパガンダによる批判には屈しないできちっとした歴史認識を堂々とやるということが歴史に向き合うことだと思いますので、どうかそのつもりで今後の安倍談話にも反映させていただきたいと、このように思っております。
 それから次に、もう一つ具体的な問題で安倍政権の姿勢が問われるものに、やっぱり尖閣諸島の問題があると思うんですね。前回の質疑におきまして非常にはっきりしたことを答弁なさって、これは非常に良かったと思う。
 一つは、仮に尖閣諸島に中国船が迫って、上陸をされた場合はどうするかと。これは実力をもって排除するのは当然ですと、こうおっしゃった。これは明確な答えであって、この一言によってどれだけ日本国民が奮い立ったか、あるいは、当たり前だと、当たり前のことを堂々と言ってくれたということで自信を持ったか、計り知れない力があるわけですよ。そこは是非、我々共々、今後ともそういう姿勢を貫いていただきたい。
 ただ、もう一点、上陸はしないけれども、多数の船が取り囲んでしまって出ていかなくなった場合。これは、現政権としてできるだけそういうことがないように努力されているのはよく分かります。しかし、実際問題として、数百隻が取り巻いてしまって出ていかない事態が起こったときにどうするかと。
 これは厄介な問題になると思うんですよ。そうして、一か月後に実効支配が確立したという宣言をしたような場合は、これは当然そういう事態に至らせては困るんでありますけれども、そういう事態に至らせないためにも、長期間滞留する、領海内に、出ていかないと、こういうことに対してはやはりきちっとした対抗措置をとるべきだと思うんですね。
 一つは、国際法では、総理も御存じかと思いますけれども、無害通航権というのがありますから、領海を通航することはできます。しかし、通航目的ではなくて、滞在してしまう、あるいはある目的を持って動かないと、こういう場合は、これは領海侵犯です、はっきり言って。その場合は、国際法上も攻撃する権利があると思います。認められておると思います。ただ、国内法的には、領海侵犯罪というのが刑法なりその他特別法ではっきりと決められていない国内法上の問題はありますけれども、やはり長期間滞留するような場合に対しては強制接岸排除、それでも無理な場合は一つの攻撃をするということは当然の選択肢だと思うんですけれども、私はそう思うんですけれども。
 これを考えたときに、一九八二年でしたか、フォークランド紛争というのがございました、アルゼンチンとイギリスの間でですね。アルゼンチン軍は、領土の帰属をもって争いがあったフォークランドに軍を派遣して占拠したと。これに対して、新しく政権に就いたサッチャー氏が、宣戦布告をした上で、飛行機それから船、たしか原子力空母まで出したと思うんですけれども、そうやって毅然としたイギリスの領土だということを示してそれを奪還したと、こういう事例がございます。
 一つのエピソードでございますけれども、やはり、遠く離れたたった一つの小さな島であっても、領土を守り抜くんだという気概を最高責任者が示すということでイギリス国民は奮い立ち、国家の尊厳が保たれたわけであります。これは、争いはできるだけ穏便にしようということでほっておけば、あるいは竹島のようになっていたかも分かりません。
 こういう意味で、国の最高責任者がたった一粒の領土であっても命を懸けても守り抜くという決意を明確に示すということは、どれだけ我々を勇気付けるか、あるいは日本国民の気概を奮い立たせるか、ここに是非留意していただいて尖閣問題についても引き続き対応していただきたいと思うんです。
 ここで総理に、じゃ中国戦艦を攻撃するのかと、沈没させるのかという質問をしたとしても、はい、そうしますとはなかなか立場上おっしゃらないと思いますけれども、私の言いたいところはそこでございますから、極めて、そういう信念を持って行動していただきたいと。そうじゃないと、やっぱりたった一つの小さな島でも守れないと。それは単なる不動産の問題じゃなくて、やっぱり国土、領土、国民の生命、安全、領土を守るという一番大事な最高責任者の責務にかかわることであります。
 思い出しますけれども、ニクソンとケネディが大統領選を争ったときに、これはニクソンでありましたけれども、やっぱり領土に関しては、たった一粒のアメリカの領土であっても、これは単に広さの問題じゃないんだと、アメリカ全体の国民の問題なんだということを高らかに議論をやっていましたけれども、それを思い出しましたけれども。
 是非、尖閣諸島に関しては、日本人のあるいは日本国家の命運と言ったらあれですけれども、気概が全て懸かっているという決意で断固として処置していただきたい。まさに中国は、東シナ海、南シナ海全てに対して今そういう一種の拡張政策を取っております。そしてまた、その中で日本の気概を試そうとしているんだと私は思います。ですから、その試されているんだということを自覚する以上は、毅然とした態度を取るということ以外にそれを防ぎようがない、それがあればやっぱり侵略はできないと、私はそう確信しておりますので、どうかそういう決意で臨んでいただきたいと思います。
 それから、日本は決して戦争を好む国家でもなくて、気概を持った平和国家だと思うんですね。その点について一つお話ししたいと思うんですけれども、例えば六百七年、聖徳太子が隋の皇帝に遣隋使を派遣しました。そのときに国書に、日出るところの天子、書を日没するところの天子に致す、つつがなしや否やと、こう書いてあるんですね。これは、これを見て隋の煬帝は怒ったと。これは、日が昇る沈むに怒ったんじゃなくて、日本の天子、日本が勝手に天子を名のっていると、俺が認めていないのに勝手に天子と言っていると、この点について怒ったんですよ。しかし、これはまさに聖徳太子が日本の、当時日本と言ったかどうかは別にしましてですよ、日本の、日本人の気概を示しているんですね。東方のちっちゃな国が隋皇帝に対して、日出るところの天子であると、この気概なんですよ。
 しかし、聖徳太子は同時に十七条の憲法、まさに憲法でございますけれども、発布しております。これは、第一条に分かりますように、和をもって貴しとなすと。まさにそれが第一条なんですよ。第一条、決して好戦的なものではない。しかも、第十七条、一条と十七条が非常に大事です、十七条は、十七にいわく、それ事は独り定むべからず、必ず衆とともにあげつらうべし。要するに、独断専行はいかぬよと、必ず民衆、大衆、あるいは下の者と協議して事を決しなきゃいかぬと。まさにこれは独裁者の発想と全く違うんです。こういう思想は中国には全くないんですよ。これは、上と下が相和らぎ一つになるという発想なんですね。これはまさに今でいう民主主義ですよ。そして平和主義なんですね、第一条、十七条、民主的に平和主義と、これはもう聖徳太子のころからこうなんですよ。そしてこれは、奇しくも明治維新のころの発布された五箇条の御誓文、国是とされた五箇条の御誓文にも、第一が万機公論に決すべしと、こういうふうに述べられている。
 見ますと、日本というのは非常に民主的な国であって、そもそも平和主義なんですよ、日本人の、きちっとしておる。これがまさに日本人の気概なんですよ。こういう気概を持って世界に堂々とアピールするということが大事であって、決して他国が騒いだからといって、みそもくそも混ぜこぜに、ごめんなさい、悪うございましたとか反省するというのは、これこそいいかげんな態度なんですよ。そこがまさに戦後六十年、あるいは六十五年、日本がおろそかにしてきたことじゃないかと私は思うんですね。
 だから、今後、外交政策をするに当たってこういう気概というものが非常に大事だと思うんですけれども、外務大臣、どのようにお考えでしょうか。
#82
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国はこれからもこの平和主義をしっかりと踏襲していかなければならないと思っています。そして、引き続き、この平和による恩恵を我が国国民はもとより世界の人々が享受できるように、国際社会の安定に資するような外交を展開していかなければいけないと考えております。
 そして同時に、我が国の大切にしてきた伝統ですとか文化、さらには、先ほど来話が出ております領海、領空、領土、こうしたものをしっかり守っていく決意であります。是非、こうした領土、領海、領空に関しましても、決して我が国からエスカレートさせることなく、国際ルールにのっとって毅然かつ冷静にしっかり対応していく、こうした所存であります。
#83
○丸山和也君 私は実は、ここ一年余りの間、超党派で勉強会をやってまいりました。それは、日本人とは何か、民主主義とは何か、十七条の憲法の真髄は何か、五箇条の御誓文の真髄は何か。やっぱり日本というのは世界にまれな、民主主義的な、今でいう民主主義的な、若干西洋の民主主義とは違いますけれども、民主主義的な国家なんですよ、古代から。それを綿々と引き継いできている、これが日本人の気概であり精神構造。ここを本当に今後新しい憲法の作成に当たっては生かしていける、すばらしい国だと思っております。そういうことを言いたいためにこの質問をしているんですけれども。
 そこで、憲法改正の問題なんですけれども、今度の参議院選の一つのもちろんテーマにもなるでしょうけれども、やはり私は総理に一言申し上げたいのは、質問というより、より申し上げたいのは、リンカーンも演説をやりましたよ、オブ・ザ・ピープル、バイ・ザ・ピープル、フォー・ザ・ピープルという。それからケネディも、国民に対して国が何をしてくれるかじゃなくて、国のために君は何をするのかと考えてくれと、こう言いました。やっぱりそれぞれが歴史に残る大演説ですよ。
 そこで、憲法改正を本気でやろうとするならば、決して、三分の二がどうか、二分の一がどうかと、もちろんそれは大事なことですけれども、国民に対して、単なる機運が盛り上がるのを待つのでなく、やっぱり総理自身が憲法改正が私の使命だとおっしゃるならば、そういう国民に対して大演説をするべきだと思う。一時間ぐらい掛かっていいと思うんですよ。国民大衆に向かって、このまさに新しい国へ、戦後レジームからの脱却と言われるような、これを憲法改正に集約した上での、国民に向かっての熱い魂を披瀝される、これがなくして僕は憲法改正はなかなか進まないと思う。やっぱり国民は総理の言葉一つ一つで心が動くんですよ。熱い魂が動くんですよ。賛否両論あるでしょうけれども、あるがゆえに、キッシンジャーも言っていますよ、五十一対四十九で決断するのが一番難しいんだと。その決断をする、させるのが総理の仕事であると、こういうふうに思うんです。
 こういう大演説をやっていただきたいと思うんですが、総理、いかがでしょうか。
#84
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私も是非大演説をしたいところでありますが、あと一分になってしまいました。
 そこで、今まさに、我々自由民主党結党以来、憲法改正ということを訴えてきたんですが、しかし、実際は五五年体制の中で本当に自由民主党が憲法を改正するために何かやったかといえば、実はそうではなかったんですね。自由民主党自体が憲法改正の草案を出したことはありませんでしたし、政治的な課題としたこともなかった。それは、やはり政治的なリスクが高いし、政治的な資産を削らなければならないという中においてそういう判断をしてきたんだろうと思います。
 つまり、戦後、貧しい中でとにかく豊かな国をつくりたかった、そちらを第一優先にしてきた結果、その判断が必ずしも間違っていたとは今の段階で軽々に申し上げることはいたしませんが、だからこそ今私たちは、私たちの世代においてこの課題に取り組んでいきたいと、こう思っておりますが、この中で私は、今初めて憲法改正にリアリティーを多くの方々が感じていただいて、反対の方も含めて、こうやってしっかりと議論されていること、まさに議論がしっかりと広まり深まっていくことは望ましいと、このように思っております。
#85
○丸山和也君 では、総理、最後に、損得を超えて、リスクを取って、是非とも果敢に挑戦していただきたい。それが安倍総理が歴史に名を残すか否かという、まさに試されていることであるということを生意気にも申し上げて、私の質問を終わります。多くの国民はそれを注視していると思います。
 ありがとうございました。
#86
○委員長(石井一君) 以上で丸山和也君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#87
○委員長(石井一君) 次に、石井みどりさんの質疑を行います。石井さん。
#88
○石井みどり君 自由民主党の石井みどりでございます。
 今、同僚の、同志の丸山委員からの御質問にも少し関連してまいりますが、昨日の夕刊そして今朝の朝刊で大変気になる報道に接しました。
 それは、一昨日の深夜から昨日にかけて我が国の領海の接続水域内を国籍不明の、しかも潜航したままで潜水艦が通過をしたという発表でありました。そして、昨日の朝には、十二日の深夜から接続水域内を進行し、そして接続水域外へ南東方面へ航行したという報道であります。大変私としては懸念をする報道であります。
 このことに関しまして、まず防衛大臣の方に、おいでになっていますか、この事実関係、事実関係といいますか、まずこの確認をさせていただきたいと思います。
#89
○国務大臣(小野寺五典君) 十二日深夜、海上自衛隊のP3C哨戒機が久米島の南、接続水域内を東進する国籍不明の潜没潜水艦を確認いたしました。その後、十三日朝、当該潜水艦が久米島の南の接続水域外を南東進しているのを確認しました。なお、五月二日木曜日、国籍不明潜水艦が奄美大島の西海域において、短時間ではありますが接続水域内を潜没航行したのを確認をしております。
 防衛省・自衛隊としては、我が国周辺で行動する潜水艦について平素から重大な関心を持って情報収集に当たっており、今般の潜没潜水艦についても、既に国籍を含め必要な分析、評価を行っております。防衛省・自衛隊としては、引き続き警戒監視に努めてまいります。
#90
○石井みどり君 防衛省としてこういう情報を発表されるというのは相当なお考えや御判断がおありになったんだと思うんですが、今の防衛大臣のお話ですと、五月二日の夜にも国籍不明潜水艦が奄美大島の西の海域において接続水域内を潜没航行をしたということでございました。もちろん、国連海洋法条約によれば、領海内でなく接続水域内であれば、潜没して航行することは直ちにこの法律に抵触するわけではありませんが、しかし、五月二日と、またこれが十二日の夜から昨日にかけてという非常に短期間の間に繰り返し行われるわけであります。
 このことに関して、五月二日の日には発表されなくて、そして今回発表されたということに関してお考えがおありになるんだろうと思います。総理大臣にお伺いしたいと思います。
#91
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御承知のように、潜水艦は潜航して航行することもできますし、浮上して航行することもできます。そこで、領海内においては、海洋法条約上も浮上して航行することが求められているわけであります。ということは、つまり、潜航して航行するということは、言わば普通の艦船に対する攻撃がこれはひそかに行うことができるという状況であると言ってもいいんだろうと思うわけでございます。
 そこで、五月二日にも接続水域に入りました。接続水域と領海はそれほどの距離がないわけでございまして、潜水したまま領海に入ればこれは言わば海上警備行動の対象となるわけでありまして、そうなれば我々は海上警備行動を通常発動していくことに当然なるわけでございまして、言わばその近い距離までに来たということは重大な行為であったわけでございます。
 しかし、五月二日の段階においては、これは言わば当該潜水艦自体が意図せずに接続水域をしばらく航行したということもあり得たわけでございますが、今回、十日後の五月十二日にも言わば同じようにこれは接続水域に入ってきたということについては、ある種の意図を感じざるを得ないわけでございまして、事実関係を公表するという判断をしたところでございます。
 今防衛大臣の方から答弁をさせていただきました。今あえて私はこれは国籍については申し上げませんが、しかし、この国籍も含めて必要な分析、評価は既に行っております。しかし、これはこちらの能力にもかかわることでございますので、あえて今はっきりとは申し上げておりませんが、実際にこうした行為は二度と行わないようにこれは当該国に、はっきりとは国籍は申し上げませんが、認識をしていただかなければならないと、こういうことでございます。
 いずれにせよ、この接続水域と領海との間は、これは相当領海に近づいていくという、言わば経路になるわけでございますから、あえてこのように申し上げているということでございます。
#92
○石井みどり君 ありがとうございました。
 私、丸山委員のように大層勇ましい申し上げ方はいたしませんが、今の総理の御答弁を国民の方はかなり注視して見ておられると思います。やはり我が国の領土、領海、領空、これを守っていくこと、そして、その最高指揮権者は総理であります。大変力強い、また賢明なる御答弁を賜ったと存じます。
 それでは、引き続き、まず、私はこの予算委員会でも、また厚生労働委員会でも度々御質問してきていることでありますが、まさに国民的課題である認知症政策についてお伺いをしたいと存じます。
 少し古くなりますが、本年二月八日、長崎市の認知症グループホームの火災で入所者の方十人と職員二人の計十二人が病院に搬送され、女性四人が死亡いたしました。
 そして、これは昨日の報道によりますと、国土交通省の緊急調査で、全国の認知症グループホームのうち七百三十一施設で防火や避難に関する建築基準法令の規定に違反があり、全施設の約六%にわたって違反がある。そして、繰り返し指摘を受けながら是正されない施設が相当数あるという報道がございました。また、これまでも認知症のグループホームでは火災が繰り返されています。このことに関して少しお伺いをしたいと思っております。
 いち早く厚生労働省の老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室は、二月九日、この火災の翌日に通知を出しておられます。「認知症高齢者グループホームにおける防火安全体制の徹底及び点検について」という通知を出しておられますが、しかし、昨日の国土交通省のこの調査によりますと、厚生労働省が出した一片の通知だけでは事態は改善されないのではないか、これからも同様の火災を繰り返すおそれがあるんではないかというふうに思っております。そのことに関して、本年三月十一日から消防庁の方で認知症高齢者グループホーム等火災対策検討部会も始まっております。
 しかし、私は、火災対策のみで十分なんだろうかという思いを持っております。まさにこの認知症高齢者のグループホームに関しては制度的な欠陥があるのではないかというふうに懸念をしております。
 まず、今日は、大変残念ながら厚生労働大臣、衆議院の本会議の方へ行っておられるので、厚生労働省の方からは御答弁、副大臣でしょうか、いただくことになっておりますが、このグループホームに対しての私は監査体制が不十分である、あるいはまた人権に対する配慮が欠けているんではないかという思いを持っておりますが、グループホームに対しての監査の頻度あるいはその内容等はどうなっているのかをお教えいただけますか。
#93
○副大臣(秋葉賢也君) 先生御指摘のとおり、様々な社会事案を受けまして、今、厚生労働省でも、五月の二十四日をめどに消防庁の方からも報告書も出ると伺っていますので、それを受けて、八月中にいろんな対策、スプリンクラーの問題とか設置の問題も検討させていただいているところでございますけれども、今御指摘いただきました指導監査の充実につきましては、認知症グループホームに対する指導については市町村が行っているわけでございますけれども、国におきましては、この指導監査の指針を定めまして、その中で、毎年度、集団指導を実施すること、そして、国が示しました集団重点事項等に基づきまして実地指導計画を作成をいたしまして、この実地指導を確実に実施してもらうよう指導しているところでございます。また、この実地指導を行う際の留意点といたしまして、マニュアルも作成し、お示しをさせていただいているところでございます。
 監査につきましては、現場からの通報あるいは苦情等により指定基準違反や報酬の不正請求が疑われる場合に行うものでありまして、国におきましては、機動的な監査の実施、厳正な対応を指示してきているところでございます。引き続き適切な指導監査の徹底を図ってまいりたいと考えております。
#94
○石井みどり君 指導監査の徹底を図るということでありますが、先ほど申し上げましたように、何度も消防庁の方から指摘をされながらも、建築基準法令の違反に関しまして繰り返しの指摘を受けながら是正されないという実態がございますので、そこのところが私としましては、本当にその監査が機能しているんであろうか、そして、まず、そもそも論でありますが、グループホームの業者の参入要件が緩過ぎるのではないか、緩和され過ぎではないかというふうな思いを持っております。
 同時に、グループホームの職員、スタッフの資質に関しても懸念すべきことがございます。教育体制はどうなっているのか、あるいは人権の配慮ができているのか。報道されるだけでも、虐待や暴力や様々な不祥事が頻発をしています。まさに氷山の一角ではないかという思いを持っています。
 この業者の参入要件、これを私は厳格化する必要があると思いますし、またスタッフの資質も担保されなくてはいけないというふうに思っております。この辺りに関して、どういう対策をお取りになるのか、お聞かせいただけますでしょうか。
#95
○副大臣(秋葉賢也君) 今、石井先生から御指摘いただいた件、大変重要なことだというふうに認識しております。
 認知症の高齢者グループホームの運営主体につきましては、当初より民間の参入を前提とした上で、指定の際の要件の審査でありますとか指導監査において適切な運営が図られるような仕組みを構築してきているところでございます。事業所で働く職員につきましては、管理者に対して認知症対応型サービス事業管理者研修を受講することを義務付けてきているところでございます。また、介護従事者に対しましても、認知症介護実践研修を実施するなど、質の確保に取り組んでいるところでございます。
 また、認知症のグループホームに対しましては、指定基準上、日中の利用者三人に対しまして一人の職員に加え、夜勤職員もワンユニットに一人の配置を義務付けておりまして、ほかのサービスと比較いたしましても手厚い水準を確保してきているところでございます。
 また、認知症の行動・心理症状が認められる場合には、やはり病院としっかり連携をいたしまして対応していくことも必要でございます。こうした意味で、医療機関との介護との連携の強化ということも常に図りながら進めていくことが重要だと認識しております。
 今後とも、必要な調査研究を十分行いながら、認知症の実態にふさわしいサービスというものをしっかり提供していくための取組に努めてまいりたいと考えております。
#96
○石井みどり君 今、様々対策を取るというお話でありましたが、一人から三人に対して一人のスタッフが要るという、ここに関しましても、実態としては、日中一人でツーユニットを掛け持ちをしているというような実態も決して珍しくないわけであります。そういう実態もございます。
 そして、特に小規模であるから、グループホームの機能として以上の、能力以上の重度の利用者を経営上の都合から抱え込んでいるという実態もこれも広く見られるわけであります。一人、二人利用者が減少しても大変大きく経営に影響をするわけであります。小規模であるために、極めて安定した経営が困難であるという、そういう状況がございます。そういう中で、今おっしゃったようなことが本当にきちんと担保されるのだろうか。そして、参入要件を私はやはりそもそも厳格化する必要があると思っておりますし、それから、一説によると、暴力団が経営しているグループホームまであるという、そういう報道すらあったわけであります。
 そういうことも厚生労働省として本当に実態をきちんと把握された上での今おっしゃったような対策が取られているのかどうか、非常に懸念するところであります。その辺りをもう一度お答えいただけますでしょうか。
#97
○副大臣(秋葉賢也君) 石井先生から御指摘いただきましたように、十分かどうかという面、集団監査が基本でありますから、場合によって、時に漏れる部分も出てまいります。そこは後日書類などを送付して、しっかりと拝読をいただくということを指導しておるところでございますが、個別監査の場合によっては対応も含めまして、今後しっかりと監査体制を強化してまいりたいと考えております。
#98
○石井みどり君 繰り返し申し上げますが、極めて参入の要件が緩和され過ぎているために、劣悪な事業者のまさに参入が見られているのが実態なんであります。今おっしゃったような個別監査でない限り、そういうことを私はあぶり出すことはできないんではないかと思うんですが、本当にこれ、報道の世界だけの話でしょうか、暴力団が経営しているというようなことは。その辺りは厚生労働省、把握されておられるんでしょうか。虐待、暴力、セクハラ、報道でも随分いろいろあったじゃないですか。セクハラに至っては、本当におぞましい、人間の尊厳をまさに無視するような、そういう事例が随分報道で出ております。まさにこれは氷山の一角ではないか。
 そして、今や我が国の認知症の方、認知症高齢者は四百万人いると言われている。冒頭私は国民的課題であると申し上げた。なぜここまでグループホームのことを申し上げるかといいますと、昨年の六月十八日、厚生労働省がお出しになった「今後の認知症施策の方向性について」という報告がございます。これは厚生労働省認知症施策検討プロジェクトチームがお出しになったものでありますが、その中のVの具体的な対応方策の4のところで、地域での生活を支える介護サービスの構築の中で、地域の認知症ケアの拠点としてのグループホームの活用の推進という、こういう記載があるんですね。
 しかし、地域の認知症ケアの拠点としてのグループホームの活用の推進、推進をうたう前に、まずこういう不祥事が起こらないような、質を担保できる、介護スタッフの質も担保できる、そして施設の、業者の参入要件あるいは入所の基準要件を明確化するとか、そういうやるべきことがたくさんあるんではないんでしょうか。小規模にかかわらず、重度の、処遇能力以上の認知症患者を抱え込んでいるという実態があるわけですね。ですから、そのことを実態も把握しないでこういう方策の中に盛り込んである。
 大変申し上げにくいことでありますが、これは民主党政権下で出た報告ではありますが、私は、これから先の認知症施策、まさに国民的課題であります、この方向性を見る限り大きな懸念を持たざるを得ませんが、いかがでしょうか。
#99
○副大臣(秋葉賢也君) 石井先生御指摘のとおり、民主党政権時代に政務官の下でプロジェクトチームができて一つの報告書が出たわけでございますが、その後の五か年計画を策定する際には、関係団体、機関にも十分ヒアリングをしながら今年度から適用になりました五か年計画などは取りまとめをさせていただいているところでございます。
 本当に、厚生労働省といたしましても、集団監査に限定せずに極力個別監査も実施をしながら、監査体制というものを充実強化してまいりたいというふうに考えております。
#100
○石井みどり君 本日は、本来ならばこの「今後の認知症施策の方向性について」、るる御質問をし、問題点を指摘し、懸念する方向性をこれは軌道修正すべきではないかということを申し上げたかったんでありますが、もう大変厳しい時間になってまいりましたので、また今後このテーマは厚生労働委員会等で御質問をさせていただこうとも思っておりますが、しかし、まず、先ほどから何度も申し上げますが、このグループホームそのものの在り方を考えていくことをしない限り、そもそも論に立ち返ってやらない限り、先ほど来おっしゃっておられる施策も私は絵にかいたもちに終わるのではないかというふうに思っております。
 そして、本当は今日はもう少しいろいろ御質問したいと思っておりまして、実は、例えば、この「今後の認知症施策の方向性について」、これは施設と入院、言わば施設ケア、あるいは入院医療というものを当初、不適切なケアの流れというふうに断じておられます。私はこの方向性は軌道修正すべきであるというふうに思っておりますが、多彩な病態と家族介護の負担、あるいはこれからの家族構成を考えれば、高齢者世帯あるいは単独世帯、老老介護あるいは認認介護というようなものも大きく報道されている状態があります。
 そうした地域の介護力の低下とか問題がある中で、あらゆる社会資源の質の向上と効率化を図って本当の認知症の施策を考えていかなくてはいけないと思っておりますが、恐縮ですが、総理、一言お聞かせいただければと存じます。
#101
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 委員とは、認知症を始めそうした疾患の方々に対するケアの勉強会、御一緒させていただいたこともございますが、言わば認知症、これは今の若い方々にとっても、将来そういう疾病が発症する可能性もあるわけでありますし、家族の中で介護をしなければならないという立場になることもあるわけでございますので、言わば国としてしっかりとそうした対応について、あるべき在り方、医療の在り方、介護の在り方について検討していきたいと、このように思っております。
#102
○石井みどり君 ありがとうございました。
#103
○委員長(石井一君) 以上で石井みどりさんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#104
○委員長(石井一君) 次に、山本博司君の質疑を行います。山本君。
#105
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、社会保障の充実と今後の成長戦略に関する政府の基本的な姿勢についてお聞きを申し上げたいと思います。
 昨年、社会保障と税の一体改革によりまして、年金と子育て支援策に関しましては一定の前進を図ることができました。現在、社会保障制度の国民会議での議論が進められておりますけれども、医師不足対策の充実や介護人材の処遇改善など、まだ医療や介護の分野の課題は山積をしております。本年八月の期限に向けて精力的な議論を強く期待をしております。
 また、現在、安倍内閣による経済政策の実行によりまして円高は是正されておりまして、景気に明るい兆しが見え始めております。この経済政策の効果を少しでも早く高齢者の方々とか子育て世代を始めとする全ての国民が実感できるように更なる努力が必要であると思います。
 そこで、安倍総理にお聞きをしたいと思いますけれども、こうした社会保障制度の充実に向けた御認識、決意を伺いたいと思います。
#106
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに、この社会保障制度の整備、確立は我々日本において安心して生活を送っていく上において必須条件であろうと、このように思うわけでございまして、今、我々、強い経済を取り戻す、そのための政策を進めておりますが、それは手段であって、目的はやはりしっかりとした社会保障制度、その財源を得ることもその目的の一つであろうと、このように思うわけでございまして、日本人が安心して生活を送ることができるような、セーフティーネットとしての社会保障制度をしっかりと確立してまいりたいと、このように考えております。
   〔委員長退席、理事小川敏夫君着席〕
#107
○山本博司君 その上で、社会保障の充実という観点でお聞きをしたいと思います。
 公明党は、平成二十二年の十二月に新しい福祉社会のビジョン、この中間取りまとめを発表いたしました。この新しい福祉社会ビジョンといいますのは、孤立から支え合いの社会への総合的な対応策を提言をしているわけでございます。
 我が国は、今、超高齢化、人口減少社会の到来に伴う社会構造の変化が影響をして、貧困、格差の拡大とか、雇用環境の変化、また社会的な引きこもりとか高齢単身世帯の増加、さらにはうつ病や発達障害、自殺の増加など、そうした課題に直面をしているわけでございます。しかし、現状は、この社会制度を含め、まだまだ十分な対応ができておりません。
 こうした新しい福祉という課題に対しまして、自助、共助、公助、この支え合いの社会の構築を是非とも目指すべきと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
#108
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御党の新しい福祉ビジョン、中間取りまとめには、様々な問題が生じている社会の変化を踏まえた上で、孤立から支え合いの社会を目指したビジョンが提示をされています。重要な御示唆を含むものというふうに認識をしております。
 社会保障制度は、人生のリスクに対するセーフティーネットとして不可欠な仕組みであると考えております。まさに今委員が御指摘になられましたように、自助自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べるという基本的な考え方に基づき、御党の御意見も伺いながら必要な施策を推進をしていきたいと、このように考えておりますが、社会保障制度改革については、改革推進法に基づいて国民会議で精力的に議論を行っております。
 医療・介護分野については、四月二十二日の国民会議においてこれまでの議論を一定程度整理したものと承知をしております。八月の取りまとめに向け更に議論を深めていただき、改革の具体化を進めてまいりたいと、このように考えておりまして、医療、介護を含め社会保障制度改革を進めることで、国民が暮らしの安心をより実感することができるものにしていきたいと、このように考えております。
#109
○山本博司君 ありがとうございます。
 それでは、社会保障に関する具体的な課題に関しましてこれからお聞きしたいと思います。
 まず、障害者施策でございます。
 今、障害の方々の数は約七百四十四万人と言われております。十八歳から、そのうち、六十四歳まで、働きたいという意欲を持っていらっしゃる方々の数は三百二十二万人でございます。しかし、一般企業に、民間の、就労されている方の数は僅か三十七万人でございます。働きたくても働けない。特にその中でも、精神障害者の雇用は大変厳しいのが現状でございます。
 公明党も、ずっとこうした雇用・就労環境、その主張をし、行動してまいりました。この四月十九日に閣議決定をされました障害者雇用促進法改正案では、企業に一定の割合で障害者の雇用を義務付けておりますけれども、その障害の範囲に、従来の身体障害者と知的障害者の上に、うつ病とか統合失調症の精神障害のことを加えることになりました。これは大変な前進であるわけでございます。
 今、この日本の置かれている状況は、精神障害の方々への偏見、差別というのはいまだ根強いものがございまして、今回のこの雇用の義務化が差別解消に向けた重要な一歩になることを願っております。この法改正を今国会中に行って、精神障害の方たちが希望すれば働ける社会、これにすべきと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
#110
○国務大臣(田村憲久君) 障害者の方々の雇用というもの、これは大変大きな課題であります。特に、今委員おっしゃられました精神障害者の方々の求職者は非常に増えておるわけでございます。
 そのような意味で、今般、障害者雇用促進法の改正案を国会に提出をさせていただきました。中身的には、一つは雇用分野の障害者の差別の禁止、これによって障害者権利条約への批准の対応をしてまいりたい、このように思っております。
 もう一点は、今おっしゃられました精神障害者の方々、この方々を法定雇用率の算定基礎の中に入れるということにおきまして、精神障害者の方々の雇用というものを促進してまいりたい、このように思っておるわけであります。
 いずれにいたしましても、この法案を基に更に障害者雇用の方を推進してまいりたい、このように考えております。
#111
○山本博司君 是非とも、今精神障害の方が三百二、三十万人いらっしゃると思いますけれども、この条件整備を含めまして推進をお願いをしたいと思います。
 次に、障害者の差別解消に関しましてお聞きをしたいと思います。
 障害を理由とした差別的取扱いと障害者への合理的配慮の不提供を禁止する障害者差別解消法、この四月二十六日に閣議決定されました。まず、その概要を御報告いただきたいと思います。
#112
○国務大臣(森まさこ君) 障害者差別解消法案を提出をさせていただいたところでございますが、本法案の目的は、障害の有無にかかわらず社会に参加して共生できる社会を実現するために、障害を理由とする差別の解消を推進することでございます。
 本法案においては、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置、障害を理由とする差別を解消するための支援措置等を規定しているものとなっております。
#113
○山本博司君 これは、障害者差別解消法は、二〇〇六年の国連の障害者の権利条約の批准、百三十か国の国々は批准をされておりますけれども、まだ日本はされておりません。それは、法整備がされていないということで、この数年間、障害者自立支援法の改正、そして、二年前には障害者の基本法、虐待防止法、昨年は障害者の総合支援法という形で、この国内法の整備がなってきました。その集大成がこの障害者差別解消法でございます。その意味で、多くの障害者団体の方々、関係団体の方々はこの早期施行を望まれております。今日も実は国会の中で院内集会という形で全国の障害団体の方々が、党派を乗り越えて、ともかくこの成立に向けて早期成立をという、そういう思いで皆さん集まっていらっしゃいました。やはり、この権利条約の批准を早急に整えるためにも、この法律を先送りすることなく今国会での成立を強く求めますけれども、総理、いかがでしょうか。
#114
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 障害者差別解消法につきましては、内閣提出法案ではありますが、与党である自民党、公明党両党はもとより、民主党の考えも反映したものとなっております。特に、山本議員を始め、公明党においては本法案の作成、調整及び国会提出に当たり大変御尽力をいただいたものと承知をいたしております。
 本法案は、障害者差別のない社会を実現するために重要な法案であると考えております。また、多くの障害当事者等の関係団体が今国会での成立を強く望んでいるものと伺っております。
 政府としても、同法の今国会における成立を目指していく考えでございます。
#115
○山本博司君 力強い総理のお話でございます。
 これは国会での審議になると思いますけれども、是非とも、与野党の議員の皆様、障害者のこの差別解消、是非ともお願いを申し上げる次第でございます。
 この差別解消法の中には、交通バリアフリーということも含まれております。新バリアフリー法のこの基本方針の中で、二〇一一年三月以降は三千人以上の駅を対象に、また二〇二〇年までには全ての駅のバリアフリー化ということを目指しております。
 そこで、太田大臣にお聞きをしたいと思いますけれども、この交通機関におけるバリアフリー化の進捗状況、また東京都議会の公明党からも強く要望がございました視覚障害者、駅のホームへの転落を防止するホームドアの設置状況、御報告をいただきたいと思います。
#116
○国務大臣(太田昭宏君) 交通機関のバリアフリー、物すごく大事な問題で、バリアフリー法が十八年の十二月に施行されまして具体的にスタートを切って今日に至っております。
 今御指摘のありましたように、駅ということにおきましては、一日の乗降客数が五千人という最初の基本目標でありましたが、三千人以上というところに変えたということもあったりしまして、基本方針で整備目標を決めまして、旅客施設においていわゆる段差解消ということについて、また鉄軌道、いわゆる車両について、これは七〇%以上にするとかあるいはノンステップバスを七〇%以上にするというような、そうした目標が掲げられて今日まで来ております。
 特に駅におきましては、段差解消を行っている五千人以上の旅客施設の割合は、平成十四年度は三九・三%でございましたが、二十三年度に八八・五%。八八・五%というともうほとんどというふうに思われるでしょうけれども、一つの駅で一か所でもそれがあればということですから、もう少しこれは、一〇〇%といっても一〇〇%以上にしていかなくてはならないことでありますけれども、一応八八・五%というところまで来ました。視覚障害者用の誘導ブロックは九七・二%、そして障害者用のトイレは八五・八%と。
 特にまた、今御指摘のありましたホームドアの設置ということについて、私も強く鉄道関係者に申し入れておきまして、平成二十四年九月末現在では全国五百三十九駅でございますけれども、急ピッチでこれが進んでいくようにと、例えば東京では、山手線始めとしてそうしたところを急いでやるようにということを指示をしているところでございます。JRの社の方も非常に協力的で、一生懸命これを少しでもということを今推進をしているということでありますが、今後とも交通機関のバリアフリーについては力を注いでいきたいと、このように思っているところでございます。
#117
○山本博司君 このバリアフリー化の促進は高齢者の方々、障害者の方々の命を守る大変必要な施策でございますので、今後とも国として財政的な支援も含めて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、こちらのパネルを御覧いただきたいと思います。(資料提示)
 これは滋賀県草津市に住まれております澤田真一さんの作品でございます。この作品が、世界で最も伝統と権威のある現代美術の祭典でございますベネチア・ビエンナーレ国際美術展に招待されることになりました。澤田さんは自閉症で、障害者福祉施設での粘土を利用した陶芸に出会いまして、作品を作るようになりました。こうした作品はフランス語でアール・ブリュットと呼ばれておりまして、日本語に訳しますと、加工されない生のままの芸術ということでございます。正規の芸術教育を受けていない人によって、自由で無垢による表現が特徴で、作家の魂の叫びや無意識から生まれる多様な表現を含んでいるということでございます。
 先月、超党派の議員の方々とともに障害者の芸術文化振興議員連盟、設立をされました。私が事務局長を務めさしていただいておりますけれども、この障害者の文化芸術活動を積極的に発信するために、美術館や相談支援機能、また人材育成機能を併せ持つアール・ブリュット・ナショナルセンター、この整備にも国を挙げて取り組むよう議連としても求めているわけでございます。
 こうした障害者の芸術の振興を求めるべきと考えますけれども、下村大臣、いかがでしょうか。
#118
○国務大臣(下村博文君) 障害者による文化芸術活動の取組を支援することは、文化芸術の振興にもつながるものであり、大変意義深いものと認識しております。
 文化芸術振興基本法や平成二十三年二月に閣議決定されました文化芸術の振興に関する基本方針におきましても、障害者の文化芸術活動の充実を図るため必要な施策を講ずることが定められております。
 このため、文部科学省において、これまでも芸術文化の振興を図る施策の中で、例えば全国高等学校総合文化祭における特別支援学校の生徒による美術作品等の展示や舞台芸術の発表の実施、また地方公共団体が企画する障害者の芸術作品の展示等の活動の支援、さらに厚労省が自治体と実施している全国障害者芸術・文化祭への支援など、障害者の文化芸術活動を支援する取組を行っているところでございます。
 障害者の文化芸術活動の振興については、文部科学省だけでなく厚生労働省との連携が不可欠であるということから、今後とも関係省庁と協力しながら一層施策の推進に取り組んでまいります。
#119
○山本博司君 これ以外にも、聴覚障害、また視覚障害のある方に対しまして映画作品のバリアフリー化を推進すること、これも大変重要な課題でございます。やはり、政府を挙げてこの文化芸術の振興に是非とも取り組んでいただきたいと思います。
 さらに、障害者の施策の充実ということで安倍総理にお伺いをしたいと思います。
 私は、重度の知的障害の娘を通じまして、障害者施策の様々な課題を知りました。安倍総理は、四月二日の夜、東京タワーで行われました世界自閉症啓発デー、このブルーライトアップのイベントに、雨の中でございましたけれども、参加をしていただきました。本当にありがとうございました。総理が参加されたことは、関係者を大きく勇気付けたと思います。この日は世界中の九十か国、七千の都市がブルーに染まり、自閉症を始めとした発達障害の方々の理解を深める新たな一歩になったと思います。
 障害のある人もない人も共に社会のために活躍できる機会を与える共生社会の構築、これを進めるべきと考えますけれども、これまでの議論を踏まえまして、障害者施策の充実ということを、総理の決意をお伺いしたいと思います。
#120
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに今委員がおっしゃったように、障害の有無にかかわらず、障害のある人もない人も同じようにチャンスがある社会、生きがいを感じることができる社会をつくっていきたいと、このように思っております。
 本年の四月に、たまたまずっと私の地元でそうした活動を行っている人から依頼がございまして、世界自閉症啓発デーのイベントである東京タワーのブルーライトアップに私も参加をしたところでございますが、多くの方々が日本中からこのイベントに集まっておられました。まだまだ自閉症を含めた発達障害の方々への偏見は強いものがあるわけでございまして、こうしたイベントを通じて多くの方々がそうした偏見を払拭をしていただきたいと、こう思うわけでございますし、また、先ほど例として挙げられた多くの障害者の皆さんの手による芸術文化について、多くの皆さんに触れていただくことも極めて重要ではないのかなと思います。
 今後とも、障害者の自立と社会参加の支援等のための施策の一層の充実に取り組んでいきたいと、このように思いますし、第一次安倍政権の際に官邸におきまして障害者の方々の美術品の展示を行ったこともございました。また、しかるべきときを選んでそうした展示も是非官邸あるいは公邸において開催をさせていただきたいと、このように思っております。
#121
○山本博司君 大変ありがとうございます。
 続きまして、難病対策ということをお聞きしたいと思います。
 私のところにも難病患者若しくは関係団体の方々から、原因の究明とか、医療費の負担軽減とか、生活への支援、これを本当に求める悲痛な声が数多く上げられておりまして、早急な対策が急務となっております。
 安倍総理は、四月十九日のこの成長戦略スピーチの中で、自身の経験を通じて、天命ともいうべき責任がある、このように語っていただきました。難病と闘う方々にとりましては大きな希望となっているものと私は確信をしております。
 この厚生科学審議会難病対策委員会、一月二十五日に今後の難病の対策の在り方、提言を出されました。この概要を御説明いただきたいと思います。
#122
○国務大臣(田村憲久君) 今、山本委員おっしゃられましたとおり、今年の一月に厚生科学審議会の中におきましてこの難病対策に対しての提言をいただいております。
 三つの大きな柱があるんですが、一つは、難病、どうしても原因が不明である、それから有効な治療方法がないということでございますので、そういう意味で、この難病の治療に関しての研究、さらには医療体制というものをしっかり整備していくということ。
 二点目に関しましては、どうしてもこの難病の皆様方は長期の療養ということでございますから医療費が掛かるということでございまして、そのような意味で、医療費の助成ということで今五十六疾患というものを、この対象疾患をどれだけ増やしていくのか、それから対象患者の方々の対象をどうするんだと。さらには、給付水準、これに関して、どう安定的で、その上で平等であるかという、公平であるかという、こういう部分の議論をする必要があるということ。
 それから三点目に関しましては、難病のある方々が地域で御生活を尊厳を持ってしていただくために、やはり共生社会の実現ということが大変重要であるということでございまして、その意味で、国民の皆様方にしっかりと難病に対しての理解をいただくということでこの啓発活動というもの、さらには、難病の方々の相談支援の体制、それから就職支援の体制、こういうものをしっかり整えていくということでございまして、このような総合的な対策を進める中において、この難病患者の方々がより良く生きていただけるための、生活をしていただけるための環境を整備していくというような、そういう提言をいただいておるような次第であります。
#123
○山本博司君 今、難病の方々、約二百数十万人とも言われておりまして、やはりこうした形での拡大ということでしっかり取り組んでいただきたいと思います。法整備も含めて、そういったことに関して公明党も、難病対策基本法、この法整備と財政的な支援をしっかり取り組んでいくということをお願いをする次第でございます。
 次に、安倍総理、四月十九日の成長戦略の中で日本版NIHの創設を宣言をされました。政府は基礎から臨床まで切れ目ないライフサイエンス研究を推進をしていく姿勢を鮮明にされたわけでございまして、これは大変大きな、重要なメッセージであると思います。
 この日本版NIHの構想に対する総理の決意をお聞かせいただきたいと思います。
#124
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 再生医療を始め、健康長寿社会に向けて最先端の医療技術を開発をしていくためには、厚生労働省、経済産業省そして文部科学省などにまたがる医療分野の研究開発について新たな司令塔機能を創設をして、研究から実用化までを一気通貫でつないで、再生医療、創薬、そして最新の医療技術の新たな地平を切り開いていく必要があります。今まで厚労省、経産省、文部科学省、それぞれでやっていたことをやっぱりまとめていく必要がありますし、戦略的に取り組んでいく必要もあるんだろうと思います。
 このため、日本版NIHとして、司令塔の本部として内閣に、総理、担当大臣、関係閣僚から成る推進本部を設置をいたします。一元的な研究管理の実務を担う中核組織を創設をいたします。研究を臨床につなげていくために、国際水準の質の高い臨床研究、治験が確実に実施される仕組みを構築をするとの三つの柱に基づいて、医療分野の研究開発の司令塔機能を創設することといたしました。
 今後は、この骨子に基づいて詳細な制度設計に取り組み、革新的な医療技術の実用化を加速していく考えでございます。
#125
○山本博司君 やはり、難病患者にとりまして大変大事でございます。特に今、山中教授が昨年、iPS細胞、ノーベル賞をいただきました。再生医療というのが非常に難病の方にとりましての希望になっております。しかし、それは国として環境の整備、また財政的な支援が必要でございます。その意味で、この再生医療の取組、文科大臣とそれから厚労大臣にお聞きしたいと思います。
#126
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、iPS細胞を用いた再生医療、創薬に関する研究は、健康長寿社会の実現に貢献するとともに新たな産業の創出につながるものであり、重点的に推進すべきものであるというふうに認識しております。
 文部科学省としては、一月十一日の総理からの指示を受けまして、iPS細胞等を用いた再生医療、創薬に関する研究を推進するため、平成二十四年度補正予算における手当てを含め、今後十年間で一千百億円程度の継続的かつ着実な支援を行うこととし、研究者、研究支援者の確保を含め、切れ目なく研究に専念できる環境を整備していくこととしております。
 具体的な研究の推進に当たっては、iPS細胞の安全化、標準化に関する研究等を行う中核拠点に加え、様々な疾患、組織別に責任を持って再生医療の実現を目指す複数の研究拠点に対して支援を行うこととなっておりまして、国際競争力に勝ち抜くような支援をしっかり対応してまいりたいと思います。
   〔理事小川敏夫君退席、委員長着席〕
#127
○国務大臣(田村憲久君) 再生医療実現化ハイウェイ構想に基づきましてしっかりと対応していくということでございまして、例えば創薬研究支援事業、これはiPS細胞を利用したものでありますが、十九・九億円等々、必要な財政措置をしっかりとさせていただいておるような次第でございます。
#128
○山本博司君 是非とも、この難病支援を含めて、よろしくお願いしたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#129
○委員長(石井一君) 以上で山本博司君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#130
○委員長(石井一君) 次に、小野次郎君の質疑を行います。小野君。
#131
○小野次郎君 みんなの党の小野次郎です。
 今日は、安倍総理、私から総理にだけ質問をさせていただきます。
 総理は、前回、二〇〇六年だったでしょうか、政権を担って以来、戦後レジームからの脱却ということを言われております。ですから、いろいろ考え抜いた挙げ句のこのフレーズだと思いますが、まず、脱却すべき戦後レジームというのは、総理がお考えになっているのは具体的にどんな制度や仕組み、頭に置いておられるのか、御説明いただきたいと思います。
#132
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この戦後レジーム、つまり戦後につくり上げられた体制と言ってもいいわけでございますが、これは主に、日本が戦い破れ、敗戦下にあった七年間の間につくり上げられた、例えば憲法であり、そしてまた教育基本法等、そうした枠組みと言ってもいいんだろうと、このように思うわけでございまして、言わば、日本が独立をしていないときにつくり上げられたものであって、やはり日本人自らの手によって、それからもう随分、六十年以上の時を経たわけでありますから、それは絶対に変えられない不磨の大典ではない、もう既に教育基本法は改正がなったわけでございます。
 この教育基本法についても、もうこれは変えられないんではないかという、言わばマインドコントロールされたような観念が自民党の中にもあったわけでございまして、挑戦すらしてこなかったというものでありまして、恐らく憲法もそうだろうと、こう思うわけでございまして、こういうものにしっかりと向き合い、そして日本の将来を描く中において挑戦していき、変えるものは変えていく、新しい日本をつくっていく精神こそ、それを取り戻すことこそ戦後レジームの脱却であろうと、このように思います。
#133
○小野次郎君 二〇〇七年に答弁されているのは、戦後の憲法を頂点とした行政システム、教育、経済、雇用、国と地方の関係、外交・安全保障などの基本的枠組みと答弁されていますが、基本的にはこのとおりですか。
#134
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的には、それは本会議で答弁したものだろうと思いますが、それはそのとおりであります。
#135
○小野次郎君 それでは伺いますが、戦後日本の実効支配の及ぶ領土というのは大分小さくなりましたけれども、この狭くなった領土というのも戦後レジームですか。
#136
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは見方が、申し訳ないんですが、間違っていると思うんですが。つまり、領土は私たち自身の手でしっかりと守っていく、この認識ですね、この認識の喪失、これこそが戦後レジームだったんだろうと、このように思います。つまり、それは、私たちがやらなくても誰かがやってくれるという認識自体を変えていくということが私は重要ではないかと、このように思うところでございます。
#137
○小野次郎君 私は、総理に確認したかったのは、領土的野心は持っていないということなんですけれども、そのとおりでよろしいですね。
#138
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 領土的野心を私が持っているというふうに考える人はさすがにいないんだろうというふうに思うわけでございますが、領土的野心は我々日本人にはもちろんないわけでありまして、むしろ、私たちの領土、領海自体が今脅かされているという認識を持つことの方が重要ではないか、今目の前にある危機に私たちが向き合っていくことこそ我々政治家の使命ではないかと、このように思います。
#139
○小野次郎君 私は目の前にある危機のことを聞いているんじゃないんですよ。あなたが七年前から戦後レジームを全部脱却するんだと言っているから聞いているんじゃないですか。すり替えないでください、質問を。
 続けます。
 それでは、今の日本の制度は、いわゆる明治以来の戦前型の制度と、いわゆる戦争準備の段階から戦時中の体制と、それと総理がおっしゃっている戦後の制度と、三つが混在しているんですよ。どうして総理はその戦後の制度だけは脱却しなきゃいけないと、コケが生えたような明治以来の制度、まだまだ残っているやつ、これを改革しなきゃいけないとはお考えにならないんですか。
#140
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然、変えるべきものは変えていきます。
 これは小野委員のおっしゃるように、これはこのようにどんどん仕分していくかということですね、明確に基準を分けていくということではなくて、範囲を分けていくということではなくて、これは戦前以来ずっと続いている間違ったものは、もう今の時代にふさわしくないものは、しっかりと変えていくのは当然のことであろうと思うわけでございますし、例えば、第一次安倍政権において公務員制度の改革を行いました。御党の今党首は安倍内閣の一員としてこれに取り組んだわけでございますが、それは、まさにある意味ずっと続いてきた官僚制度をもう一度見直しをするという取組であったということは申し上げておきたいと思います。
#141
○小野次郎君 総理はそうおっしゃっても、戦後の制度全部悪いとおっしゃっているんじゃないんだと思うんですが、それじゃ伺いますけど、何を基準にして、残す価値がある戦後の制度と脱却すべき戦後レジームとを峻別されているんですか。
#142
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々は、何を基準に、まさにそれは日本の国柄であり、日本の将来と言えると思うわけでありまして、その中において、私たちは教育基本法を改正をしたわけでございます。
 では、なぜ教育基本法を改正をしたかということでございますが、古い教育基本法と新しい教育基本法を見ていただければはっきりしているのは、教育の目的と目標を書き込んだわけでございます。ここが古い教育基本法と新しい教育基本法の大きな違いといってもいいんだろうと思いますね。その中には、例えば、しっかりと公共の精神をちゃんと教えていこうということを書き込んだわけであります。
 子供たちに子供たちの権利を教えていくことは当然大切でありますが、しかし、子供たちに、君たちはきれいな町をつくりたいと思いますか、きれいな町をつくりたいのであれば、君たちもその責任を果たしていきましょうということを教えていくことは公共の精神であります。同時に、日本の伝統を、文化を尊重するということもこの教育基本法の新しい精神に書き込んだわけでありまして、それがなかったのがまさに古い教育基本法であって、それを新しい教育基本法に変えていく、これこそ戦後レジームからの脱却であります。
#143
○小野次郎君 個別の教育基本法の話なんか聞いていないんですけれども、何かその話で、まあ多分サンプルでおっしゃったんだと思いますが。
 続けますけれども、日本は伝統ある国ですから、戦後の諸制度というのは、別にその部分それまで制度がなかったんじゃなくて、戦前の制度あるいは戦中の制度を改廃して成立しているわけですよ。そうすると、戦後レジームを否定するんだ、脱却するんだという考えの中には、戦前のレジーム、つまりアンシャンレジームに回帰したいというお考えがあるんじゃないですか。
#144
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は昭和二十九年生まれであって、戦争が終わってもう九年が経ているわけでありまして、私は復古主義的にまた戦前に戻ろうということを全く言っているわけではないわけでありまして。
 そうではなくて、むしろ長い日本人の営み全体を考えた中において、日本の国柄を考え、守るべきものは守る、守るべきものを守っていくために変えるべきものについては果敢に挑戦をしていくということであって、つまり、これはもう天から与えられたという考え方に陥って、変えられないのではないかという考え方自体が間違っているということでありまして、それは今、小野委員がおっしゃったように、戦後でき上がったものであったとしても、戦前にあったものとしてもそれは同じでありまして、私は、一つの象徴として、日本が占領時代につくり上げられたものは変えてはいけないという、この考え方をまず変えていこうと、こういうことでございます。
#145
○小野次郎君 是非は別にして、総理は、四月二十八日、主権回復の日、政府が何十年ぶりかに式典を行われたわけですけれども、私は、戦後レジームというのは、端的に言えば、サンフランシスコ平和条約体制あるいは日米安保体制の下でそれを形作っている一連の制度だと思うんですけれども、平和条約にも、東京裁判、いわゆる戦犯裁判を全体として受け入れる、そういう条項あるわけですけれども、総理はこの東京裁判を全体として受け入れられるのか、それとも否定されるのか、総理の認識をお伺いしたいと思います。
#146
○内閣総理大臣(安倍晋三君) サンフランシスコ平和条約において、十一条のことをおっしゃっておられるんだろうなと、このように思います。まさに、日本はこの平和条約を結び国際社会に復帰をした、主権を回復をして復帰をしたわけでございます。当然、この条約を批准しなければ、そして批准されなければ、日本の復帰はなかったわけでございますが。
 そこで、普通であれば、戦争裁判が終わり、そしてさらに平和条約が結ばれたら、つまり、戦争裁判の結果も含めてこれはもう既に失効するということになる。効力は失効し、新しい時代が始まっていく、これが国際法的な通念でありますが、しかし、あの状況においては、日本は、実は戦犯と言われた方々、BC級戦犯の方々は海外でも言わば刑期を続けていたわけでございますが、普通であればこの刑期は終わるわけでありますが。これは、言わば戦勝国の了解を得なければこの刑期を終えることができないということがまさに主たる目的の条項であったと言ってもいいわけでございますが、海外にまだたくさんの同胞の方々がつながれていたわけでございますが、しかし、ここは日本がまずは主権を回復をし、そして国際社会に復帰をするためにこの裁判を受け入れたということであります。
 まさに、そうした苦難の歴史にも思いをはせて、これから民主的で自由でそして基本的人権が守られる国をしっかりと守っていきたいと、このように思っているところでございます。
#147
○小野次郎君 これは前から議論があって、判決を受け入れただけなのか、裁判を受け入れたのかと。今総理は裁判を受け入れたとおっしゃいましたけれども、間違いはございませんね。
#148
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは様々な議論があります。で、ジャッジメンツということに原文はなっておりますから、諸判決という考え方もあると、このように思うわけであります。
 当時のこれは議論があったときに、外務省の見解として、裁判と、こういうことであったわけでございますが、いずれにせよ、これは、今申し上げましたような状況を日本は受け入れて国際社会に復帰をしたという事実を申し上げているところでございます。
#149
○小野次郎君 戦後の制度の中で、どの党の支持者であっても、条約だから受け入れてはいるけど、快くは受け入れられないのがあります、一つ。それは日米地位協定。
 一般国民や在日のこれだけ世界中から多くの外国人が来られている、その方たちとは区別して、米軍関係者だけを特別扱いしているこの戦後レジーム、改定をアメリカ側に提案するお考えはございませんか。
#150
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日米地位協定でございますが、まさに今委員がおっしゃった戦後レジームからの脱却、占領時代からの脱却という中において、五二年に安保条約が結ばれました。それまでは占領軍としていたものを条約の形にしたわけでございますが、この段階では、残念ながら地位協定はなかったわけでありますし、当然、日本に対する防衛義務もなかった。
 それを、六〇年に安保を改定して、日本に対する防衛義務、これは五条ですが、防衛義務を課し、同時に地位協定をこの段階では言わば勝ち得たわけでございまして、その後、累次この運用を変えてきているわけでございますが、日米地位協定についてはこれまでも運用において改善が図られているというふうに認識をしております。
 まずは、現実的に、具体的な運用の改善を積み重ねることが重要であると考えております。引き続き、事件、事故、騒音、環境などを含め、一つ一つの問題を解決すべく、最大限努力をしていく考えであります。
 申し上げましたように、かつては占領時代、そして五二年に条約にしたけれども地位協定そのものが全くないという状況で、事実上占領軍に近い形で米軍は存在をしていたわけでありますが、しかし、六〇年においては地位協定というものを結んだ。もちろん彼らの権利でもありますけれども、我々の権利にもなる。そして、法規の中にちゃんと盛り込んだということは極めて大きかったわけでございますが。
 他国との地位協定との比較においても、日米地位協定が接受国側にとり特に不利なものとなっているとは考えておりません。例えば、日米地位協定の根幹の一つを成す刑事分野において、起訴前の被疑者の拘禁の日本側への移転を可能とする枠組みがありまして、実際にもそのような移転が行われている例は米国と我が国以外の国との間にはないものと承知をしております。
 こうした中で、現実的、具体的な運用の改善を更に積み重ねていくことが重要であるとの考え方の下に最大限の努力をしていきたいと、このように思います。
#151
○小野次郎君 何か岸田外務大臣がお答えになるような丁寧な御答弁、そんなことを聞いているんじゃなくて、それも戦後レジームなんじゃないですかと申し上げたので、そう思わないなら思わないで結構なんですが、総理は、どうもアメリカのことになると、それは戦後レジームじゃないというふうにお考えなんですか。日本の国内のやつは憲法以下全ての制度を脱却するんだとおっしゃっている割には、歯切れのいい答弁ではなかったように私は受け取りました。
 さて、歴史認識についてお伺いしますが、私自身もほぼ毎年靖国神社には個人として参拝いたしております。一つには、私のおじの中の一人もセブ島で戦死しましたし、曽祖父は、まあ戸籍上でしか知りませんが、日清戦争で戦死したという話を聞いているので、お参りしている点もございます。
 ただ、私は何回お参りしても少し気になるのは、靖国神社が戦死戦没者にとどまらないで、A級戦犯、さらには人道に対する罪とか戦時国際法違反で裁判にかかって処罰されたBC級戦犯まで昭和殉難者としてお祭りしている靖国神社というのについては、果たして全国民がわだかまりなくお参りできる存在であると総理はお考えになりますか。
#152
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、神社側の判断について私はコメントする立場にはございません。
 基本的に、一般的に、言わば平和条約が結ばれるまでは事実上交戦状態が、戦争状態が継続しているという恐らく考え方の下の私は判断なんだろうと、このように思います。
#153
○小野次郎君 私は、さっきたしか同僚の前川さんがお聞きになったかもしれませんが、私自身も御存じのとおり秘書官のときに何度も小泉総理にお供して靖国神社までは参りましたけれども、一宗教法人である現在の靖国神社は、それはその存在として認めつつ、しかし別に国として公式に戦死者、戦没者をお祭りする国立追悼施設を設けるという考えもあり得るんじゃないかと思うんですが、これに対する安倍総理の認識をお伺いしたいと思います。
#154
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 既に千鳥ケ淵という施設もあるわけでございます。そして、言わばなぜ靖国神社が中心的な施設になっているかといえば、多くのほとんどの遺族の方々が言わば靖国に参ればこれは魂が触れ合うことができるかもしれないと思うからであります。言わば、幾ら国が立派な施設を造ったとしても、そこに行ってもまさにそうしたものが感じられないのであれば、誰もそこには行かないということに私はなるのではないかと、こう思うわけでございまして、これは合理的に造るかどうかという判断なんだろうと、こう思うわけでございます。
 つまり、言わば靖国が問題になっているから、あるいは何となく靖国神社みたいなものではなくて別のものを造ろうという判断で造るということであればそれは間違いなんだろうと私は思うわけでございまして、そこをよく深く考えていく必要があるのではないのかなと、このように思うところでございます。
#155
○小野次郎君 私は、政治家が参拝するたびに私的か個人としてかあるいは公的かという議論が延々と続くのであれば、堂々と公式に参拝し、また外国の方にも公式行事の中でお参りいただけるような追悼施設を考えた方がいいんじゃないかなと私は思っておりますが、まあ意見が違うので、次へ進ませていただきますが。
 次に、村山談話、我が国による戦前の植民地支配と侵略を認めた村山談話と従軍慰安婦の問題に関する河野談話の見直し、総理としてこれに取り組む意思を持っておられますか。
#156
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど村山談話についてはお話をさせていただきました。村山談話につきましては、まさに戦後五十年を期して村山内閣において出した談話でございます。日本は過去多くの国々の人々、特にアジアの国々の方々に対して多くの被害を与えたことに対する思い、この思いの下に戦後の日本の歩みがあるわけでございまして、この基本的な考え方について私は過去の内閣、姿勢と変わらないわけでございます。
 そこで、六十年には、これは小野委員もかかわられたかもしれませんが、小泉総理が六十年を期して談話を出した。また七十年を迎えるわけでありますから、その七十年にはまさに新しい時代にふさわしいものも考えていくべきではないかと、こういうふうに私は考えているところでございます。
 また、河野談話につきましては、これは官房長官の談話でございますので、官房長官がお答えをするのが適当であろうと、このように考えているところでございます。
#157
○小野次郎君 しかし、総理が自ら見直しに言及しているんですよ、河野談話。それから、村山談話についても、つい二週間前、答弁の中でその内容は曖昧だとか不正確だとか指摘しているんですよ、一国の総理が。だから、見直しの決意を放棄されているのであれば、端的に国の内外に対してその旨は釈明した方がいいんじゃないですか。
#158
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 釈明ではなくて説明ですね。説明については、ずっと従来から私は答弁をしているとおりでございまして、そして、村山談話につきましては、まさにこれは今申し上げたとおりでありまして、これは従来から何回も何回も申し上げているとおりでございまして、言わばもうじき七十年を迎えるわけでありますから、その段階で安倍政権として、安倍政権が続いていればということでございますが、安倍政権として是非そのときにまた未来に向かって談話を発表したいと、こう考えているところでございます。
 そして、河野談話につきましては、まさに、これは繰り返し私は既に述べているわけでございますが、慰安婦の方々が大変つらい思いをされた、筆舌に尽くし難い思いをされたということに対しましては、心から同情をするわけでございます。
 その上において、第一次安倍政権においては閣議決定をしているものもあるわけでございます。そうしたものをどう理解をしていただくかということも含めて、これは官房長官の下で今検討をしているということになるわけでございまして、いずれにせよ、歴史認識の問題については政治問題あるいは外交問題にするべきではないと、こう考えているところでございます。
#159
○小野次郎君 実は私もこの村山談話を、毎年八月十五日の戦没者慰霊祭の際に、内閣総理大臣の式辞という原稿を起案するときに村山談話をやっぱり参照しながら作るんですね。やっぱり、その村山談話作成に関与していない私としては毎年毎年うんざりするわけですよ。これをまた繰り返さなきゃいけないのかと。それはやっぱり誰も思うんですが、しかし官房副長官としてお気付きになったと思います。ちょっとずつ変わっていますよね、あれ、式辞。それはやっぱり、軍人としてか官僚としてか、あるいは社会人として戦争に参加というか、そのときに大人でいた方が総理大臣をやっている時代と、それから子供のころに戦争を見たよという方と、また安倍総理のように、完全にアプレゲール、戦後に生まれたという方と……(発言する者あり)そうですね、失礼、そういう悪い意味じゃないんですけど、戦後に生まれたという方、話の中でしか戦争を知らない世代になってくれば、おのずから、同じような、国の代表としての意思を示すにしても表現や何かは変わってくるだろうと思って私は変更しました。
 しかし、あるところまで行って、それは限界があるということに気が付いたんですね。何かというと、やはり歴史認識なんじゃなくて、過去においてきちっとしたある形のものをつくったものを、後になってそれを、何というんですかね、なかったことにするということはできないので、もう歴史認識もそれが歴史になっているということだと私は思いました。
 ちょうど、この間イチゴのショートケーキの話をしましたが、フランスのケーキでミルフィーユってありますね、重ねて、層のように重なっているお菓子ですけれども、歴史もそういうものじゃないかなと私思うんですね。だから、この一枚だけ気に入らないから抜こうといっても、その上にいろんなものが重なって今の現実の社会になってきているんだから、それは一般の政府にいない人があれはおかしいといつまでもおっしゃるのは自由だと思いますけれども、今まさに全ての日本の今日に至る制度の責任がかぶってきている内閣総理大臣が、余り、あれはいかぬ、これは曖昧だ、不正確だと言っておきながら実際になるとなかなか見直しができないというのは、私は当然なんだろうと思うんです。戻せるものと戻せないものがあるということを申し上げておきたいと思います。
 それでは、次に憲法改正の話をお伺いしますが、総理、憲法擁護義務、内閣総理大臣負っていますが、これについての認識をお伺いします。
#160
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 当然、私は内閣総理大臣でございますから、憲法を尊重擁護する義務があると、このように思っております。
#161
○小野次郎君 尊重というのは、文字どおり尊重、尊敬ですけれども、擁護というのは、物の本見ると、一つは、三つ意味があると、委員長、言っているんですよ。一つは憲法を守るという意味だと、もう一つは相手に反抗して支援するという意味だと、三つ目には不変の状態に保つ、つまりメインテインという意味だと書いてある。総理、本当にこれ、尊重擁護されていますか。
#162
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は、ですから、憲法九十六条も含めて擁護しているということでございます。
#163
○小野次郎君 僕が聞いているのは、総理にとって、現行憲法自体が脱却すべき戦後レジームの一つと認識しているんじゃないんですか。
#164
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、憲法を、私は、憲法違反はしないのは当たり前のことであって、憲法を守らなければならないと。まさにこれは尊重し、擁護しているわけでございます。しかし、憲法には改正条項があるわけでありますから、この改正条項にのっとって時代にそぐわない条項については変えていこうということを考えることは、これは何ら問題ないんだろうと。つまり、政府の、言わば委員が一切それができないと言うのであれば、恐らくこれは海外においても、その時の政権は憲法を尊重し、擁護する義務があるんだろうと思いますが、その中において改正も行っているということではないかと思います。
#165
○小野次郎君 現行憲法とその下につくられた様々な制度を否定しておきながら、当面は単に憲法改正手続に関する九十六条だけを取り上げて他の政党に同調を求めたりするのは、その政党に対しても、また国民に対しても私は極めて総理の態度は不誠実な態度だと言わざるを得ません。
 そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
#166
○委員長(石井一君) 以上で小野次郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#167
○委員長(石井一君) 次に、広野ただし君の質疑を行います。広野君。
#168
○広野ただし君 生活の党の広野ただしでございます。
 今日は安倍内閣の政治姿勢ということでございます。そういうことで話を進めさせていただきます。
 アベノミクスが一見順調に滑り出しているということでありますが、その中で、私は大きな視点がやっぱり欠けているんではないかと思っております。それは、地方重視という観点であります。
 やはり地方は今非常に、シャッター通りでありますとか、あるいは地元中小企業、そしてまた限界集落ですとか過疎集落という形で非常に弱ってきております。そういうことで、大都会ばっかりが栄えればいいということではないと思うんですね。やっぱり東京だって、電力も、あるいは水も、食料、食品、こういうものも、そしてまた人も全部地方から供給をされているということでありますから、地方が疲弊すればこれは日本全体がおかしくなってくると、こういうことだと思うわけですね。
 そういう中で、まず中小企業です。この中小企業、よく財政金融委員会で麻生副総理ともお話をさせていただきますが、中小企業の今度金融円滑化法が切れるという中で、いまだにやはり歴史ある老舗ですとか地元の中小企業などが非常に困っている。これがもう三十万社だとか、そういうところが非常に資金繰りに困っているということであります。
 そういう中で、言わば今度は再生協議会とかそういう形のものができますけれど、そういう形の中で、言わば本当に資金繰りが困って、貸し渋りが出て、あるいは貸し剥がしといいますか、そういうものができたときに本当に、何といいますか、駆け込み寺のような、言わばそういう協議会ですと地方でぐるぐるなんですね、いろんな情報が。ですから、やっぱりどこかへ駆け込まないと、これは金融庁の本庁かもしれませんし、中小企業庁の本庁かもしれない、そういうところなんですが。
 こういう資料がたくさん今作られておりまして、主な中小企業支援策ですとか、いざという場合には借り手の皆様へという形で、財務局へ行くとか、あるいは地方の経済産業局へ行くとか、そういう形のことが言われておりますが、駆け込まれたときにしっかりときちんと真摯に対応できるのか、その点伺います。
#169
○国務大臣(麻生太郎君) 財務省所管の話だけで答弁を差し控えさせていただきますが。
 財務局等々、そのほかにも商工会とか商工会議所とかいろいろございますけれども、そういった中で、広野先生御心配がありましたように、しかるべき窓口を決めておかないとぐるぐる回されて、結果、何の効果もなく時間だけ来て終わるという可能性があるではないかという御指摘は随分早くからいただいておりました。
 私どもも全くそう思っておりましたので対応をさせていただいておりますが、三月から開始をさせていただきまして、三月、四月、五月の一日現在で財務省所管のところで駆け込み、いわゆる御相談という形で受け付けた件は約八百件で、正確には八百一件ございました、そのうちでこの三月、四月に入って特に倒産が従来、一月、二月に比べて急激に増えたかというようなことはございません。
 したがいまして、それなりの対応はさせていただいているんだと、私どもの範疇ではそう思っておりますので、通産省その他、他省庁のことに関しましては、今ここに資料を持っておりませんけれども、私の方からお答えできるのはそこまででございます。
#170
○広野ただし君 それと、地方において過疎集落ということ、そしてまた、今総務省は限界集落という言葉は使わないようでありますけれども、農水省の考え方、総務省の考え方、あるいは国土交通省の考え方、いずれにしましても、六十五歳以上の高齢化率が五〇%以上を超えている集落が、三年前にはこれ、一万超しているんですね。過疎地域、過疎対策法においてこれはもう八百ぐらいの市町村が指定されておりますけれども、その中の過疎集落部分というのはどれぐらいなのか、これは計算はされていませんが、私は日本国全土の大体三割ぐらいがこの過疎集落で限界集落ということだと思っております。限界集落では、本当にここ数年のうちに消滅集落になる、あるいはなくなってしまうと、こういう集落がいっぱいあるんですね。これは農水省と国土省といろいろと調査もしておりますが、大体、ちょっと数字が違いますので、私は二千ぐらいの集落がここ十年ぐらいになくなっていくということであります。
 実際、豪雪対策法なんかも作りましたときに、私は議連の会長もやっておりましたから、空き家対策、豪雪地帯というのは物すごい過疎地域であります。空き家対策というのも公明党さんとも話合いをして、空き家対策というのは豪雪法の中に入っております。そういうことをやっても、もう本当に限界集落、過疎集落というのは大変なことになっております。
 総理は、美しい国をつくるんだということを七年前はおっしゃいました。しかし、結局は山や川や森がもう荒れていって、山河、田園地帯が荒れて、そうしますと災害が非常に多発する、非常にひどい状況になっていくんですね。
 改めてやっぱり地方重視という考え方を私はきちっとやっていかなければならないと、こう思っております。生活の党は、思い切った地方分権をやることによって、地方のことは地方で決める、財源も権限もみんな地方にちゃんと渡して、しっかりした地域おこしをするということをやっていきたいと、こういうふうに思っております。
 それで、限界集落で、まあ非常に言葉が悪いから使わなくなったのではないかと、こう思いますけれども、頑張っている地域もいっぱいあります。事例集というのがありまして、例えば花、バラを作って、ばらサミットなんか二十数市が入ってばらサミットをやる、実際、菜の花をやるとかスイセンの、こういう今はまさにそういう季節であります。そういうことでありますとか、ヒマワリですとかいろんなことをやりながら、フラワーロードを造ったり、そういう形をしてみんな頑張っています。あるいは子育てについて一生懸命やって過疎化を防げてる、そういう地域もいっぱいあります。あるいはハーブですとかあるいはブルーベリーですとか、そういうものを作って頑張っているところもある。
 ところが、TPPによって、これはそういうところもまた足引っ張られちゃうんですよ。農林水産業、地域にとって農林水産業は非常に大切だと、私たち生活の党はTPPは反対であります。そういうことについて、本当に結局は過疎地域あるいは中山間地、限界集落というものを非常に疲弊させる、こういうふうに思うわけであります。そういう視点が安倍内閣の政策に欠けているというふうに言わざるを得ないと私は思っております。
 続きまして、安倍外交であります。
 安倍外交は順調に出ているように思いますけれども、ところが、やっぱり近隣外交、日本は北東アジアの中にあって、北東アジアの平和と安定、これがなければやっぱり発展をしない。この二十一世紀はアジアの世紀だと、こういうふうに言われながら、結局この近隣周辺外交が非常にうまくいっていない。私は、尖閣も日本の固有の領土だ、竹島もそうだと、こういうふうに思っています。しかし、相手もあるんですよ。で、相手もまた言ってくる。そして、歴史認識もというようなことになるんですね。ただこっちが主張しておればいいというものではありません。
 ですから、どうやってこの周辺外交、近所のことがうまくやれないで、結局、近攻遠交ということをやっているわけですね。近くがうまくいかないから外をうまく連携をしながらやっていくということを今やっているんじゃないかと思いますが、周辺外交、どうやって具体的に解決されようとしますか。
#171
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 尊敬する広野先生に評価していただけないのは大変残念なことでございますが、言わば中国、韓国、中国は日本にとって最も大切な日中関係は二国間関係の一つですし、そして日韓関係は、日本も韓国も同じ自由や民主主義、基本的な人権、法の支配、普遍的な価値を共有する大切な隣国であります。友好な関係を築いていくことは当然日本にとって国益であり、地域の平和と安定と繁栄のために大切なことであるというふうに私も考えているわけでございますが、残念ながら、両国との関係において、中国との関係においては尖閣をめぐる情勢について、中国がいまだに挑発的な行動を取っていることは大変残念なことであります。
 しかし、その中においても、例えば昨日も領海を侵犯をされているわけでございますし、日本の釣り船の近傍まで近づいてきているという危険な行為だと私は思います。そういう行為を繰り返しているわけでございますが、しかし、私は、一つの問題があったとしても全ての外交関係を閉じてしまうのは間違っていると、こう思うわけでございまして、一つの問題があったとしても、両国は切っても切れない関係でありますから、話は、言わば両国がしっかりと対話をしていくというルートは確保しながら、対話は継続をしていく、そして全体的な関係においては発展させていくように両国が努力をしていくことが大切であろうと思います。
 ですから、日本側は常に対話のドアは開いているということは申し上げておきたいと、こう思うわけでありますが、大切なことは、力によって現状を変更してはならないということでございまして、だからこそ、ルール、法に基づいた秩序をつくっていくという努力をしたい、こう思っているわけでございまして、その中において、一つの国との関係を見るときに、これはやはり地球全体を俯瞰しながら外交戦略を構築をしていくことが重要なことではないかと、こう思っている次第でございます。
 韓国の朴槿恵大統領とも電話で会談を行ったところでありますし、朴大統領の米国における議会での演説は大変すばらしい演説だったと、私は敬服をしているところでございます。何とか対話をスタートさせるべく努力をしていきたいと、このように思っているところでございます。
#172
○広野ただし君 やはりナショナリズムも、私は健全なナショナリズムと偏狭なナショナリズムがやっぱりあるんだと思うんです。余り偏狭なナショナリズムに火を付けますと、これは相手だってそうありますから、いろんな形で私は周辺外交がアベノリスクということに、そういうことになるんじゃないかという非常に不安を思うんですよ。
 やっぱりそういうことをよく考えながら、私たち生活の党は、対中あるいは対韓においては、領土問題もあり、そしてまた歴史認識の問題もある。ですから、国際会議を、二国間の専門家、官民入れて、学者も入るでしょう、そして、あるいはアメリカが入ってもいい、そしてまたアジアの国々が入ってもいい、そういう国際会議を常設をして、やっぱりきちっと話をずっとやっていくということをまずやって、やはりこの近隣外交をうまく安定させないと、アジアの発展を、二十一世紀はアジアの世紀だと言っているのに、それを取り入れることができなくなってくるということを非常に懸念をするわけであります。
 対北朝鮮問題もあります。もうこれは威嚇外交、恫喝外交を展開して、いまだに撃つわ撃つわというような感じをやっております。そして、日本は核、ミサイルのほかにもう一つ、拉致の問題を抱えております。総理はずっとこのバッジをやられて真剣に取り組んでおられますが、なかなかこれも解決はいかない、こういう状況であります。
 いずれにしても、北東アジアの平和と安定をきちんと維持をしていくということに最大の努力を注いでもらいたいなと、こう思っております。
 続きまして、日米の関係であります。
 日米の関係はまさに基軸であると、これは私も思っております。ところが、先ほどもありましたように対等の立場にならなきゃならない。まさに戦後六十八年たち、安保条約改定からでももう五十三年だとか、そういうふうになってきているわけですね。そして地位協定もそうだと、こういうことであります。
 地位協定、先ほどお話ありましたとおり、私はやっぱり不平等条約だと思います。明治の先人は不平等条約を直すために四十年、五十年掛けてこの不平等条約を直してきているんですね。日本ももう五十数年たった、戦後からいえば六十数年たっていると、そういう中にあって、この不平等条約、治外法権的なところもあります。
 先ほど総理は運用で改善をしていくんだと、こうおっしゃいましたけれど、やっぱり対等の立場に立って、元々日本の土地、領空、あるいはそういうものを貸しているんですよね。確かに守っていただいているというところもあるでしょう。だけれども、対等の立場でそれをやらないと、いつまでたってもああいう悲惨な事件が起きたり、暴行事件が起きたり、事故が起きたりということだと思うんです。
 その中にあって、航空法関係、航空特例法の関係でありますけれど、横田基地ですとか座間、あるいは厚木ということで、そういう空域があります。そこを避けるために、五千メーター、七千メーターというところを避けるためにずっと迂回したり大きく曲がって飛行機で飛ばなきゃいけない、こういうことでありますから、やっぱり地位協定は、これも合同委員会があって協議をしていると多分おっしゃるでしょうけれども、やはりここは対等の立場に立ってきちっと改定をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#173
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に、この日米安保条約については、そもそも旧安保条約、五二年の安保条約は、占領軍がどうなるかという中において、日本は全く日本を守るすべ、自衛隊も全く不十分な状況の中において、米軍に言わば残ってもらう中においての条約でありましたから、極めてこれは不平等であったわけでございますが、これは、この条約は米国が了解しなければ破棄できない条約であったものを米国に了解をさせて改定したのが六〇年の安保改定でありまして、現在は我々がこれは破棄をしようと思えば破棄できる条約に変わったわけでございます。
 その中において、まさに日米の関係においては、この安全保障条約の中で日本が攻撃をされた際には米国が共同対処をするということにおいて、これはまさに日本に対する抑止力が守られているわけでございまして、これを念頭に我々様々な対応を考えていかなければならないわけでありまして、御指摘の米軍が横田で進入管制業務を行っている空域、横田空域でありますが、については二〇〇六年五月の再編実施のための日米ロードマップに基づいて、同年十月に横田ラプコン、進入管制業務でありますが、の範囲の削減について合意をしました。二〇〇八年九月から削減空域の管制権限が日本に移管をされたわけでございまして、このように累次我々も努力をしているわけでございますが、横田空域の更なる返還については今後とも調整を続けていきたいと考えております。
#174
○広野ただし君 やはりアメリカに対しては、非常なある意味で配慮をしているといいますか、ということだと思うんですね。やっぱり対等の立場に立って、元々、これは石原慎太郎さんも横田基地を返せとか、そういうことをかつて言われたわけですよ。それは何かトーンダウンされましたけれども。いずれにしても、そこは首都圏防衛のために貸しているんですね。だから、どういう形で管制システムをやるかというのは日本に本来主導権があってしかるべしなんですよ。
 だから、そういうことを地位協定の改定、あるいは航空法特例法、日米合同会議があってロードマップを作ってとおっしゃっていますが、対等の立場でやっていくという観点がやっぱり抜けているんじゃないかと思います。再答弁をお願いします。
#175
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 対等の立場、これは極めて私は重要な考え方だと思いますし、我々もその考え方の下に交渉を行っていきたいと、こう考えているところであります。
 同時に、やはり、北朝鮮がミサイルを発射するかどうかということをおっしゃったわけでございますが、その中において、このミサイルを撃墜する上においても米国のこれは情報提供がなしにはこれはできないわけでございますし、ではそのミサイルの基地をどうやって攻撃するかといえば、日本には打撃力が存在をしないわけでございまして、米側に日本をそもそも攻撃をするミサイルを、この基地を、これを破壊をしてもらうということは、日本側が米側に残念ながら依頼をしなければそのもとを断つことはできないというのが現実の中において、ではこの空域の問題をどう考えるかということも、当然外交的には頭の中に置いておく必要はあるんだろうと思います。
 いずれにせよ、委員が御指摘のように、五条と六条、六条において日本は基地を提供しているわけであって、この基地の提供によって米側は、アメリカは前方展開戦略が実施できるということは事実でありますから、そうしたことも踏まえて日本の利益を守りながら日本の安全を守っていきたいと、このように考えているところでございます。
#176
○広野ただし君 この間、トルコ、UAEに行かれて原子力協定等を結ばれました。三・一一の原子力福島事故があって以来、ベトナム、韓国、ヨルダン、ロシアと、これは前政権、民主党政権の時代に原子力協定をやっています。そして、安倍政権になってからア首連とトルコと、こういうことでありますが、この原子力協定の中で使用済燃料の問題、使用済燃料を日本にまた持ち込んでくるのかどうか、この点について伺います。
#177
○国務大臣(茂木敏充君) 使用済核燃料の処理につきましては、基本的に当該原子力施設を管理する国が責任を持って取り組むべき課題だと、このように考えております。
 そして、協定を結んでおります国の方から日本に対しまして、使用済燃料を我が国に引き取るよう、そういう要請は来ておりません。
#178
○広野ただし君 来ていないということですね。
 しかし、これはプラントを売り込んで、燃料を、燃料も一つの大きな交渉事であります、これをどうするかと。特に原子力発電所というのは、言葉が悪いんですけれども、トイレのないマンションだとか億ションだと、こう言われているわけですね。この使用済燃料あるいは放射性廃棄物、このことが大きな問題になるわけです。これ、もし、日本が引き取るようなもし契約になっていたらば、民間業者との間で、これは拒否しますか。
#179
○国務大臣(茂木敏充君) 協定上もそのような移転はないということになっておりますし、当然、民間の事業者におきましても、その使用済燃料については当該国において処理される問題だと、そのような認識を持っていると理解いたしております。
#180
○広野ただし君 使用済燃料の中にはプルトニウムが入っており、プルトニウムというのはいろんな意味で、放射性廃棄物の点もありますが、要するに爆発物に転換することだってできるわけですね。ですから、まさに核不拡散条約に入っている国、NPTに入っている国、そしてまたその査察を受ける、IAEAの査察を受ける国、そういうことでなければならないと、こう思っていますが、その認識はいいですか。
#181
○国務大臣(茂木敏充君) 基本的に委員と同じ認識を持っております。
#182
○広野ただし君 新聞報道によりますと、サミット前後に安倍総理がまた東欧を訪問され、ポーランドですとかハンガリー、チェコ等々、そこも原発の話があるから原子力協定を推進をしようというお考えというふうに報道をされております。
 その中にあって、やっぱり使用済燃料というものはどうされるのかという観点が極めて大事だと。使用済燃料というのは、まさに取扱いがもう非常に今困っているわけです、どこの国も。日本もイギリスに頼んだり、そういうことをやっているんです、フランスに頼んだりということをやって、日本でも処理ができないんですね、もう。という状況の中で、原子力協定、なお推進されますか。
#183
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この東日本大震災以降に国会の御承認を得た、又は署名を行った我が国の原子力協定においては、我が国と相手国との間で使用済燃料は移転されないことになっておりまして、このため、我が国が相手国から使用済燃料を引き受けることにはならないということは申し上げておきたいと、このように思います。
 また、サミット時にどういう国を訪問するかということはまだ確定はいたしておりません。
#184
○広野ただし君 それでは終わります。ありがとうございました。
#185
○委員長(石井一君) 以上で広野ただし君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#186
○委員長(石井一君) 次に、山下芳生君の質疑を行います。山下君。
#187
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 ブラック企業について質問します。
 かつては暴力団のフロント企業という意味で使われたブラック企業という言葉ですが、今は違います。新卒の若者を正社員として大量に採用し、過大な業務を与え、長時間労働やパワーハラスメントなどで短期間のうちに企業に極端に従属する人間に変えてしまう、その過程で若者は選別され、精神を病むなどして大量に退職に追い込まれる、そういう企業を若者たちがブラック企業と呼ぶようになっています。そのブラック企業が今や有名企業にまで広がっています。
 私は、三月の代表質問で、政府としてブラック企業の実態を調査すること、背景にある長時間労働を規制することを求めました。総理は、厳正に対処すると答弁されました。
 総理、その後どんな対策を取られましたか。
#188
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 労働基準法の違反などが疑われる企業には調査に入り、長時間労働の抑制を指導し、重大な法違反については厳正に対処するなど取り組んできたところであります。
 特に、過重労働が疑われる事業場への重点的な監督指導を労働基準監督署に改めて徹底をするなど、そうした対応をしているわけでございますが、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと、このように考えております。
#189
○山下芳生君 今やブラック企業は社会問題になりつつあります。就職活動中の学生はもちろん、その親たちも子供の就職先がブラック企業ではないかと不安を抱くようになっています。ですから、これ早急な対策が必要だと思うんですね。
 ブラック企業と言われている企業で、若者たちはどんな働かされ方をしているか。四月二十三日、朝日新聞は、大手衣料品販売店ユニクロの柳井正会長のインタビューとともに、ユニクロで働く若者たちの実態をリアルに報じました。
 ユニクロでは、新卒社員が入社後三年以内に退社する割合が五〇%に達しています。休職している人のうち四二%がうつ病などの精神疾患だといいます。ある二十歳代の男性元社員。会社が決めた勤務時間の上限ではとても仕事を消化し切れず、サービス残業の毎日、繁忙期の勤務は月三百時間を超えた、周囲にはうつ病になって突然出社できなくなる同僚がいた、このままでは自分も精神状態がもたないと退社を決めた。別の二十歳代の元店員。膨大な仕事量と店長代理の資格試験の重圧に押し潰されそうだった、休日も厚さ十センチほどのマニュアルの勉強に費やし、入社八か月後にうつ状態と診断され退社したなどの例が載っております。
 我が党も独自に調査をいたしました。
 ある二十歳代のユニクロの元店長は、去年の四月に入社をし、九月に店長に合格をしました。大学を卒業して僅か半年で、店舗の売上目標達成からアルバイトの管理まで過酷な労働が強いられました。十二月にはうつ状態となって休職し、三月に退職をしています。学生時代、彼と同じ部活動だった友人たちは、あの人、人間変わっちゃったね、前はもっといい人だったのにと、その変貌ぶりに驚いていました。
 ユニクロだけじゃありません。大手居酒屋チェーン店、IT関連企業等々でも同様の事態が広がっております。高校、大学と一生懸命勉強し、多額の費用を掛けてようやく卒業し、正社員として就職できた若者が、家族にも良かったねと喜んでもらった若者が、何年もたたないうちにうつ病などで退職に追い込まれる。若者の能力を生かすのではなくてすり潰す、若者を育てるのではなくて人間を壊す、私はこんなことを許す社会であってはならないと思いますが、総理の認識、いかがでしょうか。
#190
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それはまさに私もそのとおりだと思うわけでございまして、人材として若者を採用した以上は、経営者も責任を持ってそうした人材を育てていくという姿勢が求められているだろうと、このように思います。
#191
○山下芳生君 大事な御答弁だったと思います。
 ブラック企業と言われる企業で働いていた元社員の若者に是非実態を聞かせてほしいと連絡を取りますと、その多くは是非聞いてくださいと、こう言うんです。しかし、実際、当日になると、体調が悪くて家から出られません、こうなる人が多いんですね。会社のことを思い出すと苦しくなるんでしょう。いつまでも尾を引いている。まさに人間が壊され、人生が壊されていると、そう思いました。
 私は、ブラック企業根絶のために二つの緊急提案をしたいと思います。
 一つは、政府として、各企業の新入社員の離職率を調査し、離職率の高い企業については企業名を公表すること。もう一つは、企業が採用募集する際に、現在、賃金、勤務時間、勤務場所、休日などを明示することが義務付けられていますが、それに加えて新入社員の離職率の明示を義務付けること、これだけでも学生の皆さんには大事な情報提供になると思います。
 総理、このくらいはやらなくちゃ駄目なんじゃないでしょうか。
#192
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど答弁させていただきましたように、違反が疑われる企業には調査に入って長時間労働の抑制を指導し、また過重労働が疑われる事業場に対する重点的な監督指導を行い、重大な法違反については厳正に対処しているわけでありますが、一方で、御提案について申し上げると、若者の離職率に対する調査によれば、若者が離職する理由には、仕事上のストレスが大きい、あるいは労働時間が長いといったものがある一方で、給与に不満、会社の将来性、安定性に期待が持てない、あるいはまたキャリアアップするためなど、様々な理由があるのも事実でございます。
 御提案は、言わば雇用する際に離職率を学生たちに対して示すという御提案なんだろうと、このように思うわけでございますが、単に離職率が高いことをもって労働関係の法違反が生じていると考えることはなかなか難しいわけでございますが、一方、今御提案にあった、若者たちが就職する際に様々な情報をあらかじめ取得をして、その上で参考にしながら就職をするということについては研究をさせていただきたいと、このように思います。
#193
○山下芳生君 是非早急に検討いただきたいと思います。
 若者を大量に採用した上で使える者だけを選別して、残りは自己都合退職に追い込む、僅か数年間で体力を消耗し尽くし退職していくことを織り込んで労務管理を行う、あたかも摩耗した部品を交換するように新しい若者に取り替える、こういうやり方の企業経営が成り立つのはなぜか。代わりは幾らでもいるからなんですよ。今や若者の二人に一人は非正規雇用となり不安定で低賃金な働き方を強いられておりますが、それが新卒の若者たちを正社員を目指す過酷な競争に駆り立てております。
 歴代政府の規制緩和によって非正規雇用が増大したことがブラック企業が広がる土壌となっている、総理、そういう認識はありますか。
#194
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自民党政権においては、経済産業構造の変化に対応して必要な労働分野の改革を行ってまいりました。こうした中で、非正規雇用については、近年、労使双方のニーズによりこれは増加をしているわけでありますが、厳しい経済状況の中、我が国の失業率の上昇を抑えたという側面もあるということは指摘されているところでございます。また、労働規制については、現在、産業競争力会議や規制改革会議の場で、それぞれの設置目的に沿って自由闊達に議論をいただいているところでございます。
 政府としては、関係各層の御意見も踏まえながら、その適否を含めて今後検討をしていきたいと、このように考えております。
#195
○山下芳生君 労使双方のニーズという言葉がありましたけど、とんでもないですよ。多くの非正規で働く若者は、正社員になりたくてもなれないから今派遣や期間社員で働いているんですよ。
 自民党政権の労働の規制緩和によってどうなったか。一九九〇年五十万人だった派遣労働者が二〇〇八年には四百万人、八倍に増えております。こういう下で新卒の若者たちが正社員を目指す苛烈な競争に駆り立てられ、いつでも代わりはいるんだという事態をつくっているんですよ。あなた方がつくったという自覚を私は持つ必要があると思います。
 重大なことは、安倍内閣の下で新たな労働の規制緩和が検討されていることです。パネルにいたしました。(資料提示)
 もう時間ないので特徴だけ言いますけれども、解雇を自由化し、残業代ゼロで長時間労働を野放しにし、非正規雇用を増大させる、こういうメニューがずらっと並んでおります。こんな労働の規制緩和を進めたら、ブラック企業根絶どころか、逆にますます拡大することは明らかじゃありませんか。総理、やめるべきじゃありませんか。
#196
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、誤解されたらいけないんですが、安倍政権が進めていることではありません。解雇自由化なんということは全く考えてはおりませんし、当然、残業代ゼロ、長時間労働野放し、こんなことも全く考えていないわけでございますし、非正規雇用増大、こんなことも全く考えてはいないわけでございまして、我々は今、経済の状況が大きく変化をしていく中において、グローバルな競争に我が国の企業も勝ち残っていかなければならないというのが現実でございます。
 この現実の中において、これは労使双方の中においてニーズに対応する中において、日本の企業が生き残る中において何とか雇用を確保していきたいと、こう考えているわけでございまして、しかし、その中においても、非正規雇用者の方々が正規に移っていきたい、そういう希望を持っておられる方々がそういう希望を達成できるような、そういう夢を達成できるような道はしっかりとこれは広くしていく必要があるだろうと、このように考えているところでございます。
#197
○山下芳生君 全く考えていないとおっしゃいますけど、安倍内閣の下で産業競争力会議や規制改革会議に参加している委員の皆さんが、これ資料として出しているんですよ。そこにこういうメニューがずらっとあるんですよ。それはどうなるかというと、解雇自由であり、残業代ゼロ、長時間労働野放し、非正規雇用増大になるようなメニューがいっぱいあるんですね。
 私は、一企業の目先の利益のために若者たちを使い潰す、そんなことを許す社会には未来はないと思います。実効あるブラック企業対策を緊急に実施すること、そしてブラック企業を更に拡大する雇用の規制緩和を中止することを強く求めて、質問を終わります。
#198
○委員長(石井一君) 以上で山下芳生君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#199
○委員長(石井一君) 次に、谷岡郁子さんの質疑を行います。谷岡郁子さん。
#200
○谷岡郁子君 みどりの風の谷岡郁子です。
 今の質問にも関係あると思うんですけれども、私たちは、みどりの風として日本らしさということが何だろうということをこの間ずっと考えてまいりました。日本らしさとは、日本の伝統文化ということ、それは日本人の自然をよく読み取り、自然から見事に恵みを引き出し、循環させてきた能力、ハードとしての文化遺産よりもソフトな自然遺産や文化遺産の在り方というものを追求してきて、器用で、そして現場での創意工夫というものがある日本人、助け合い、支え合い、分かち合うということの上手な協調性豊かな民族としての日本人だというふうに思っております。今の山下さんの質問でもありましたけれども、かつては若者をもっと大事にしたんじゃないでしょうか。
 これ総理、本当に深刻な問題なんですね。私の教え子がどれだけ潰されてきたか。自慢の体力のある根性のある子たちほどが、本当に懸命になるがゆえに潰れてしまったということがありました。そして、田舎の持っていた、今日もありましたけれども、豊かな自然を引き出し、そしてその恵みを循環させることの能力を持った、現場の創意工夫がある器用な人たちというものがどんどん隅へ追いやられるような状況というものがあるような気がしています。
 総理は日本らしさをどんなふうにお考えなんでしょうか。
#201
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私の地元は山口県でございまして、元々の父の生家は日本海に面した小さな町でありました、元々は村でございますが。そうした地域が恐らく日本の多くを元々は占めていたんだろうと、こう思うわけでございますが、日本人は古来から、朝早く起きて、額に汗を流して田を耕し、そして水を分かち合いながら、秋になればみんなで五穀豊穣を祈ってきた民だろうと、このように思うわけでございまして、誰かが病気で働けなくなったらみんながお米を持ち寄って助け合ってきた、それが私は日本の麗しい文化なんだろうと、このように思うわけでございます。
 そこで、先ほど、言わば経済の話でありますが、よく新自由主義と、こういうふうに言われるわけでございますが、市場原理主義ではもちろんなく、また強欲を原動力とする資本主義、市場主義であってはならないと、このように思うわけでございまして、その文化と伝統に培われた道義を重んじ、真の豊かさは何かということを知る市場主義でなければならないと、こう思うわけでございまして、そうした日本の麗しい国柄、文化、伝統はしっかりと守っていきたいと、こう思うところでございます。
#202
○谷岡郁子君 それならば、やはり今の経済再生会議の人選であるとか、今の成功者たち、本当に人々を搾取してそして豊かになってきた人たちが重用される、多国籍企業、マニュアル社会、現場の創意工夫を潰す、現場の創意工夫と器用さほどこの高度成長、日本の大企業を培ってきたものはない、そういう人々は田舎から出てきた、みどりの風はそんなふうに考えています。
 そして一方で、もう一つの観点として、日本らしさということは穏やかで温かく文化的であるということだと思います。恐れながら、私は陛下がその象徴だというふうに思っています。日本は天武天皇を最後として武人天皇というのはほとんどいらっしゃらなかった。皆さん文人天皇であって、科学を愛し、文化を愛し、音楽を愛し、今の陛下もそうでございますけれども、科学の研究にいそしみ、そして農民のルーツということの中からお田植をおやりになり、毎年歌会をやっていらっしゃる。そして、万葉集以来、これほど多くの陛下の歌が歌っている国というのはほかの国にはないものだというふうに思っています。それが今の日本の日本らしさということではないでしょうか。
 しかるに、この間の状況を見ておりますと、とても国を守るということは大事でありますけれども、それは戦争を放棄して外交的に、そして尊敬される国をつくることによってやるというはずになっていたのに、なぜか自衛隊ではなく国防軍というような話が出てきてしまう。
 自衛隊と国防軍というのは一体どういう違いがあるのでしょうか、総理。
#203
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 自衛隊は、現憲法下にあって、言わば武力行使の三要件の中においてのみ武力行使を行うわけでございます。つまり、必要最小限の武力行使を行うというのが基本的な姿勢になっているわけでございます。その中から専守防衛と、急迫不正の侵害であって、他に手段がない、そして必要最小限ということになるわけでございますが。
 そこで、自衛隊については、言わば自衛隊は自衛隊であって軍ではないというのが政府的な見解になっているわけでございます。ほかの軍隊と違って、例えば軍法会議もないということになるわけでございます。しかし同時に、もし日本が外敵に侵略された際、日本を守るために戦うわけでございまして、その際に、もし日本の自衛隊が外国の、侵略側の軍隊に捕虜となった場合は果たして捕虜として扱われるか。これは、外国からは軍隊として認識されているということになるわけでありまして、軍隊として認識されていなければ、これは言わば捕虜としての取扱いは受けないということになるわけでございます。
 そうした観点から、自民党の憲法改正草案については、そこはむしろちゃんと整理をして書きましょうということに、そうした言わば矛盾をなくして分かりやすく書きましょうということにしたところでございまして、これは言わば、自衛隊を英訳した際、セルフディフェンスフォースというふうになっているわけでございますが、このSDFに対して、言わばセルフディフェンスでありますから、言わばまさに我が身を守るという、これ、やゆをされているのも事実でございまして、ここをナショナルディフェンスフォースに変えたということになるわけでございます。
#204
○谷岡郁子君 まるで説明、私は分かりませんでした。
 私は、人間の安全保障という点から考えて、そして、それは津波や地震等の自然災害であったり、そして世界中にこの自衛隊の優れた力ということを及ぼすことであり、また疫病であったり、様々な形で、軍隊という形とは限らない形で、様々な人間に対する危険というものが押し寄せていくときに、むしろ自衛隊というのは大変先進的な立場ではないかというふうに思っておりますし、それがなぜ駄目なのかということが分かりません。
 後ほど総理には、是非、徴兵される気があるのかどうかということも伺いたいと思っていますが、その前に、四月二十七日に総理は幕張メッセで迷彩服を着て、そして陸上自衛隊の戦車に乗られたと、そのことが大変な物議を醸しております。私の数年前の教え子たち、韓国や中国に帰っている子たちであるとか、かつての部下たちが、大丈夫ですか、学長ということで、本当に何年ぶりかに連絡をしてくると。日本どうしちゃったんですか、軍国主義の道を歩むんですかと。そういうふうに、迷彩服姿の総理、かつてそういう写真というものはほとんどなかったと思いますが、中国だとかいろんなところでそういう映像が流れ続けているということなんですね。はっきり言ってこれはひんしゅく買っています。そして、私はそれを教え子たちの状況から感じるわけですね。
 これ、間違ったメッセージではありませんか。間違ったメッセージを与えたと思われませんか。ただのおふざけでおやりになったのか、それとも何か政治的な意図があっておやりになったのか、その点をちょっと確かめたいんです。
#205
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 明治天皇は十万首の歌を、御製を詠まれました。文化的な天皇陛下だったと思いますが、同時に、日清戦争、日露戦争を指導され、日本を守り抜かれたわけでございます。
 そして、私は日本のリーダーとして、今、目の前にある危機が、実際にあるんですよ。何回も今、領海は公船によって侵犯されています。そして、接続水域に潜水艦が二回も入ってきているという状況が目の前にあるわけでありまして、毎日頑張っている自衛隊の諸君がいるんですね。そうやって接続水域に入ってきている潜水艦に対してはP3Cがずっとこれはそれを追い続けるわけでありますが、追い続けなければこれは領海に入っていても分からないわけでありまして、そういう緊張感の中で、あるいはまた日本の防空識別圏には何機も……(発言する者あり)済みません、小野議員、静かにしていただけますか、大切なんですから。
 委員長、ちょっと注意していただけますか、小野議員を。
#206
○委員長(石井一君) 静粛に願います。静粛に願います。
#207
○内閣総理大臣(安倍晋三君) その中において、緊迫した中において自衛隊の諸君は今本当に頑張っているわけでございます。
 そういう中において、私が幕張メッセに行って、彼らは言わば日本を守る活動の一環として、広報活動として多くの方にどういう彼らは活動をしているのかという中において戦車を展示をしていたということであります。そして、私は最高指揮官でもあるわけでありまして、最高指揮官としての総理大臣に是非このジャンパーを着てもらってこれに乗ってもらいたいという要請を受けたわけでありまして、彼らが乗っている戦車がどういう状況かというのを私は知ってみる必要が当然あるわけでありまして、それを果たしたということにすぎないわけであります。
 そして、自衛隊は東日本大震災においても救援救助活動をしました。様々な疾病対策についてもやっている。これ、自衛隊法でやっている組織というのは、実は軍隊組織としては、軍隊ではないと言っているんですが、ほかには恐らくないんだろうと思いますよ。しかし、そういうことはしっかりと大切にしていきますが、同時に、各国はみんなこれはほとんど国防軍という名を付けているわけでありまして、日本だけが付けることが特別ではないと、このように全く思うわけでございます。
#208
○谷岡郁子君 明治大帝が軍服姿でおありになったということ自身が近代国家としてのある意味ではヨーロッパからの輸入であり、そして日本の言ってみれば伝統から少しずれた姿であったというふうに私どもは理解をしております。長い日本の歴史をひもといていただければ、軍服姿になられた天皇というものが一体何人おられたかということは、それは歴然としたことであります。
 また、総理が最高指揮官であるということはもちろん当然のことです。だからシビリアンコントロールなのではありませんか。文人である人が、そして軍人ではない人がコントロールを持つことが大事なのだということが文民統制だということではないのですか。
 幾ら自衛隊員たちを励ますためといっても、やはりあの軍服姿、そして戦車に乗った姿というものが多くの誤解を与えているということでありますし、私はそういうところ、そういう……(発言する者あり)何をおっしゃっているんですか、個人的な問題じゃなくて、これは外交問題として、日本の例えば貿易国の相手であるところを大きく傷つけているから申し上げているんであって、やはりこの辺のところをおやりになるのであるならば、もう少し気を付けていただきたかったと思いますし、ただでさえ偏狭なナショナリズムとか、ニューヨーク・タイムズにおいてはアンネセサリー・ナショナリズムというふうに、つまり必要のないナショナリズムというふうに言われることがあるわけです。(発言する者あり)いや、違います。ニューヨーク・タイムズが間違っているか間違っていないと言っているのではなくて、そういうことに対しては気を付けなければいけない存在であると、お立場であると、公人であると。
 様々な形で、うがった見方を含めてやろうとしている勢力というものが世界中に多々ある中で、総理としてやっぱり気を付けていただきたいことは気を付けていただきたいし、今ははっきり間違ったメッセージを出させていると思いますし、それが国民を不安に陥れているんだということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#209
○委員長(石井一君) 以上で谷岡郁子さんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#210
○委員長(石井一君) 次に、福島みずほさんの質疑を行います。福島みずほさん。
#211
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 自民党は、参議院選挙の公約に日本国憲法改正原案を出すというふうにおっしゃっています。日本国憲法改正草案の問題点について国民の皆さんに分かっていただきたく、質問をいたします。
 自民党の日本国憲法改正草案が規定する国民の義務です。(資料提示)国防の義務、日の丸・君が代、国旗国歌尊重義務、領土・資源確保義務、公益及び公の秩序に従わなければならないという義務、個人情報不正取得等禁止義務、家族助け合い義務、「家族は、互いに助け合わなければならない。」と、義務が二十四条に入ります。環境保全義務、地方自治負担分担義務、緊急事態指示服従義務、憲法尊重擁護義務、十個の新たな義務がこういうふうに規定をされるわけです。
 憲法とは、憲法というのは、国民の表現の自由を侵害するな、無理に、きちっとしないで逮捕するなというようなことを、そういうことを規定する、国家に対して規制をするもの、国家権力を縛るものが憲法です。どうしてこんなにたくさんの義務、しかも、今あるのは国民には憲法尊重擁護義務がありませんが、新たに憲法尊重擁護義務が課されます。世界で、国防義務、公益及び公の秩序義務、家族助け合い義務などこんなにたくさんの義務を規定している憲法はありません。
 これは憲法じゃないんじゃないですか。どうしてたくさんこんなに義務を期待しているんでしょうか。
#212
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今示されましたが、では今、自民党の、誤解があってはいけないので、自民党の原案をじゃ読まさせていただいてよろしいですか。
#213
○福島みずほ君 時間がもったいない。
#214
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、時間がもったいないとおっしゃっても、一方的に誹謗中傷をされたわけですから、自民党が出した憲法改正草案ですね。そして、これは自民党においてずっと議論をしたんですよ。二時間にわたって議論をしたものを今ここでまさに福島委員が誹謗中傷を行ったわけでありまして、それはやっぱり大きな問題だと思いますよ。であるならば……(発言する者あり)またちょっと今、小野議員がうるさいので、もう会場から出ていってもらえますか。
#215
○委員長(石井一君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#216
○委員長(石井一君) 速記を起こしてください。
 時間が限られておりますが、冷静に議論をしていただきたい。国民が注視しておりますので、質問者も、また政府の答弁も冷静の中に議事を進行していただきたいと存じます。
 質疑を続行します。
#217
○福島みずほ君 では、二十四条一項に、家族は共に助け合わなければならないというふうに規定をしています。たくさんの義務があると考えているのはその理由です。なぜこの規定が入っているんでしょうか。
#218
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に申し上げますと、何回も申し上げておりますが、これは自由民主党が出している憲法改正草案であって、そしてそもそも国民投票に付せるのは逐条的にしか付すことができないわけでありまして、そして例えば我が党で、与党で、どの条文について我々は憲法を改正しようとして出して、その段階で初めて憲法審査会において深い議論がなされていくわけでございまして、今この予算委員会においてこの全ての条文について一々議論していくことがふさわしいかといえば、私はそうではないというふうに思いますし、本来、私は総理大臣としてここに立っているわけでございまして、自由民主党の案として出しているこの条文について、それを一々解説する立場には基本的にはないということは申し上げておきたいと思うわけでございます。
 その上において申し上げれば、その上において申し上げれば、自民党の考え方について、それは家族が助け合っていくべきだろうというそういう考え方を述べたわけでございまして、それを義務として書いているということでは全くないということでございます。
#219
○福島みずほ君 これは、こういう道徳的な、これは道徳かもしれませんが、憲法に書くものではないんですよ。憲法は、国家権力に対して言うものなんです。
 自民党の日本国憲法改正草案QアンドAにはこうあります。「現行憲法の規定の中には、西欧の天賦人権説に基づいて規定されていると思われるものが散見されることから、こうした規定は改める必要があると考えました。」。自民党は天賦人権説を否定しているんでしょうか。
#220
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 一般にいわゆる天賦人権説とは、基本的人権は国家から与えられるものではなく、人が生まれながらにして持つ人間の本来享有すべき天賦の権利であるという自然法的な考え方でもありまして、この思想はルソーなどの十八世紀の啓蒙思想家により主張されていたところでございます。アメリカの独立宣言やフランスの人権宣言、さらには日本国憲法に表れていると、このように言われております。
 他方、宗教思想が深く浸透している国においては、基本的人権は神から与えられたというような解釈をする国もあると言われているところでありまして、我が国の現行憲法においても、「基本的人権は、」「現在及び将来の国民に与へられる。」と受け身の表現が使われているところから、このような国の考え方と同様であると誤解されることがないように、「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。」という書きぶりに改正することとしたところでございます。
 いずれにせよ、福島委員、自由民主党の改正案について出すのであれば、それは福島さんの解釈で言わずに、ちゃんと自民党の全文もちゃんとしっかりと紹介した上において論評していただきたいと、このように思いますし、本来、憲法審査会においてしっかりと私は議論をしていただきたいと、このように思うわけでございます。
#221
○福島みずほ君 大事だと思うから聞いているんです。最も重要なことですよ。
 天賦人権説に基づいて規定されていると思うのが散見するから改めると言っているんです。でも、天賦人権論は、人間が生まれながらにして平等であるという、当たり前のとても大事な、そういうものじゃないですか、それを改めるって書いてあるわけです。
 十三条、正確に引用しています。「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重」される。つまり、公益及び公の秩序に反してはならないんですよ。今、公共の福祉で人権と人権の衝突、どっちを優先するかやっているが、自民党の新憲法草案は、公益及び公の秩序という抽象的な概念で、そういう法律を作れば幾らでも表現の自由も結社の自由も制限できるもので、これは天賦人権説に立たないからこういう見解になるんじゃないかと思います。
 総理、次に九十七条をお示しいたします。「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」。これ、極めて大事な、基本的人権が大事だという。だって、憲法は基本的人権を守るために存在するわけですから、最も重要な十三条と並ぶ条文です。自民党はこれを削除していますよね。これは何なんでしょうか。
#222
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども福島委員が誤解を与えるような言辞を並べられますからはっきりと申し上げておきたいと思いますが、自民党の憲法において、「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。」ということははっきりと記してあるわけでありまして、言わば人権と人権とのぶつかり合いの中において公の秩序と書いたのは、現行憲法にあるものをこれは言語上分かりやすく整理したものにすぎないということははっきりと申し上げておきたいと、このように思うわけでございます。
 その上において、改正草案において憲法第九十七条を削除したのは、党内において様々な議論がありました。その結果、第十一条にまとめることが適当であると、このように結論が出たわけでありまして、十一条について、現行憲法の十一条は、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」と、こう書いてあります。そして、九十七条は、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と、こうあるわけでございますが、自民党案は、この九十七条は削除をしておりますが、第十一条に、「国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。」と、このように明確に書き記しているところでございます。
 これを福島委員はおっしゃらずに、九十七条をこれは削除した、だから基本的人権について自民党案は極めて軽視をしているというのは、ためにする議論であるということははっきりと申し上げておきたいと思います。
#223
○福島みずほ君 総理が今言った十一条は、ほぼ現行日本国憲法にあるじゃないですか。この憲法が国民に保障する基本的人権は侵すことのできない永久の権利であると十一条に書いてあるんですよ。わざわざ九十七条を削除しているというのは、十一条とはそれは違うんですよ。
 それと、さっき……(発言する者あり)そう、最高法規のこの九十七条は条文なんです。
#224
○委員長(石井一君) 静粛に願います。
#225
○福島みずほ君 そして、公共の福祉に関してさっき総理は、相互の利益調整と。そうじゃないんですよ。自民党は、公共の福祉というのは、人権相互の衝突の場合に限っているが、そういうものではないために公益及び公の秩序という概念を持ってきたと書いているんですよ。天賦人権論を否定する。つまり、天賦人権論を改めなければならないと自分たちがQアンドAにはっきり書いているじゃないですか。
 ところで、集団的自衛権の行使について、総理は読売新聞のインタビューについて話をしています。
 内閣法制局、日本国憲法下で集団的自衛権の行使は認められますか。
#226
○委員長(石井一君) かなり時間が切迫いたしております。どうぞよろしくお願いします。
#227
○政府特別補佐人(山本庸幸君) 集団的自衛権についての現在の従来から考えられてきた政府の見解を申し上げますと、憲法九条の下におきましては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に、これを排除するための必要最小限度の実力の行使を除いて、武力の行使は一般に禁じられております。
 そこで、集団的自衛権ですけれども、我が国に対する武力攻撃に対処するものではなくて、他国に加えられた武力攻撃を我が国が実力をもって阻止することを内容とするものでありますから、その行使は憲法九条の観点で許されないということでございます。
#228
○福島みずほ君 集団的自衛権の行使は日本国憲法に反して、違憲です。違憲であることについて検討するということは許されないというふうに思いますが、総理、どうですか。
#229
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在、安全保障環境が大きく変わってきているわけでございます。この安全保障環境が大きく変わってきている中において、日本の国民の命や領土、領海を守るためにどう考えるべきかということに今真摯に議論をしているわけでございまして、安保法制懇においての御議論においてしっかりと御議論をいただきたいと、このように思うところでございます。
#230
○福島みずほ君 九条で、自民党は、国防軍とし、集団的自衛権、交戦権を認めるという点は極めて問題です。でも、今日の質問は、解釈改憲で日本国憲法下で違憲のものを認める、認められないということを、違憲だとしてきたことを認めるという点で極めて問題だと思います。
 自民党が提案している自民党新憲法草案の問題点、極めてあるということを申し上げ、私の質問を終わります。
#231
○委員長(石井一君) 以上で福島みずほさんの質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#232
○委員長(石井一君) 次に、片山虎之助君の質疑を行います。片山君。
#233
○片山虎之助君 片山でございます。よろしくお願いします。
 時間が短うございますので同じことを言いますが、ひとつ簡潔、的確にお願いいたします。
 安倍政権ができまして百四十日ですね。もう百四十日か、まだ百四十日かと両方あると思いますけれども、その間、私は日本はかなり変わったなと、日本中が明るくなったことは事実です。アベノミクスの円安、株高ですね。景気もなだらかに、いろんなことが言われますけれども、私はなだらかに良くなっていると思う。
 それから、民主党政権で少し日米同盟緩みましたよね。それを、たがを締め直したと、こういう関係で強化されてきた、こういうことは大変いい点だと思いますけれども。
 今日も盛んに議論になっていますよね、北東アジアの緊張関係というのか、中国と韓国の関係。中国に至ってはいろんなことがここでも議論されましたが、この間の人民日報なんかは琉球帰属問題というのを社説に載せたんですよね。尖閣じゃないんだね。
 それから、韓国については、これまた今日も議論ありましたが、朴大統領がなって大変融和ムードになって、麻生さんも行かれて、これから良くなるなと私は思いましたけど、そうはいかないんですね。この間、アメリカに行かれて日本のことをオバマ大統領といろいろ話されている。褒めているわけじゃないわ。
 こういうことになると、これから我々はやっぱり日米韓で対中国や対北朝鮮を考えていかなきゃいかぬのですよね。価値観が同じ、そういう同じ体制の日本と韓国と米国は、アメリカは、結束していかないかぬ。ところが、そうはなっていない。歴史認識の話もありましたが、私はそれはそれとして、総理のような、それはそれで、私、異論はない点がたくさんありますけれども、したたかな外交戦略というのが別に要るんじゃないでしょうかね。総理、どうですか。
#234
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が御指摘になった、人民日報に載りました、琉球の帰属についてそれは定まっていないんだという論文は、何といってもこれは人民日報でありますから我々は直ちに抗議をしたところでございまして、中国側は今までの立場とは変わっていないということでございました。
 しかし、ここは本来は、はっきりと琉球の帰属については日本のものであるということは本当は正さなければいけないことであろうと、こうも思うわけでございますが、いずれにせよ、日本と中国の関係は、これは切っても切れない関係にあるわけでありますし、日本の投資によって中国は多くのこれは雇用を生み出し、そして、日本にしかできない半製品を輸入し、それを加工して輸出することによって大きな利益を上げているのも事実であろうと。
 だからこそ、戦略的互恵関係であるという認識を持って、お互いが一つの問題で全てのこれは対話を閉じてしまってはならないと、こう思うわけでございまして、私は基本的に、今、たとえ昨日ああして中国の公船が我が国の領海に入ってこようとも、対話のドアは常に開いていきたいと、こう思っているところでございますし、特に韓国については、朴大統領は、若い女性の大統領が登場したわけでありますし、私も大いに期待をしておりますし、是非、指導者同士として信頼関係を築いていきたいと、こう思っているところでございます。
#235
○片山虎之助君 今日は総理も対話ということを盛んに言われますよね。しかし、簡単に対話できるかどうかですよね、これから。ただ、私は言うべきことは我が国も言わなきゃいかぬと思いますよ。言うべきことを言わずに対話というんじゃないんで、対話というのはそういうことじゃないんで。ただ、対話、対話と言うだけで、すぐそれが乗り越えてパイプができるかどうか、これはもう大変いろんな私は知恵が要ると思う。遠交近攻の話もありましたけど、あらゆることを含めて是非御努力を賜りたいと思います。
 そこで、TPPですよね。これは大変総理以下皆さんの御努力で、アメリカの方は、政府の方は通過して、今は議会でしょう。それで、これが九十日ルールでうまくいけば七月下旬から本交渉と、こういうことなんですけれども、日米の事前協議を見たときに、私は、申し訳ないんだけど、日本がやられっ放しじゃないかと思うんですよ。向こうの言うことはかなり通った。できるだけの、後ろ倒しなんていうのは初めて知りましたよ、私は、前倒しという言葉はあるけれどもね。関税はできるだけの後ろ倒しでしょう。それから、簡易手続は、これは二千台、五千台とか、あるいは保険の問題、非関税措置、障壁の問題。どうも全部日本はやられっ放しで、日本の農産物の関税や何かについては、これはセンシティビティーだと、総理とオバマさん、決めたとおりのことを書いているだけで、あるいは情報開示が不十分かもしれませんよ。どうですか。
 総理は、交渉力、交渉力と言われましたよ、前の政権と我々が違うのは交渉力があるんだと。だから、交渉でいろんなことをひっくり返すとは言われぬけれども、そういう期待を与えるようなことを言われた。しかし、少なくともこの事前協議を見るところ、交渉力はどこへ行ったのかと思うんですが、あるいは隠れて何かいろんなあれがあるんですか、いかがですか。
#236
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPPについては、言わば交渉が始まって、残念ながらずっと二年間参加ということにならない中において、今年中に交渉を閉じるという中においての判断でありますから、かなりある意味においては交渉参加の交渉においてある種のハンディキャップがあったのは事実であります。
 しかし、そういう中において、今例として挙げられました日米における自動車の交渉についてでありますが、これはずっと今まで交渉してきたところを継続していく中において、最終的にこれは、後ろ倒しではありますが、最終的にはアメリカの関税をゼロにするということを勝ち取ったわけでございまして、こちら側にはもう既に関税がありませんから、こちら側の関税をてこにして向こう側と交渉するということができない中においてのこの自動車交渉の中において最終的にはゼロにしていく、そして、安全の基準については私たちは決して譲ることはできないと、こう思っております。
 そして、いよいよ交渉に参加することができれば、これは米国以外にアジアの国々も多く参加をしているわけでございまして、先般、そういう国々に甘利大臣を派遣をいたしまして今後の交渉についていろいろな話をさせていただいたところでございまして、我々も、様々な戦略、戦術を使いながら国益を最大限確保していくために努力をしていきたいと、このように思っております。
#237
○片山虎之助君 済みません、事は外交交渉で機密を要しますから、全部言えないかもしれませんわね。しかし、どうも私は事務方の隠蔽体質は前の政権時代から変わっていないと思いますよ。あるいはもっと強くなったのかな。
 それは、総理の人気の一つはリーダーシップとアピール力なんですよ。だから、是非TPPでもリーダーシップを発揮して、言えることは言うということが私は必要じゃないかと思いますけれどもね。どうですか、農産物の、非常に農業関係者を中心に国民が関心を持っている農産物の関税の扱いについては事前協議で相当やったんですか。あるいは、どなたかほかの人、簡潔にひとつ。
#238
○国務大臣(甘利明君) 事前協議は、まず入会を認めてもらうための交渉でございます。全ての国の了解を取れないと入れないということです。全ての国の了解が取れたわけでありまして、交渉はこれからであります。で、こちらが入っていく際に、向こうがいろんなことを言ってくることはある。
 その典型がアメリカでありますけれども、アメリカとは、総理から今答弁をさせていただきましたとおり、こちらはカードは事実上はまだ切っていないわけでありますけれども、向こう側のカードは切ることができたと。それはもちろん即時撤廃すれば百点満点の交渉だったと思いますけれども、こちらはまだこれから入って交渉するわけでありまして、二国間で全部決めてしまったらもう入る必要がないということになりますから、最低限のこちらの譲歩で入会を勝ち取ったというふうに私どもは理解をしております。
#239
○片山虎之助君 そこで、私は、総理、何を守るのか。これは必ず守りますよと、例えば米を始め何品は守ると、日本の国民皆保険の医療保険制度は守ると。この前、石原さんが盛んに言っていた遺伝子組換えなんかに絡む食の安全は守るとか、これは守りますよということをある程度はっきり言われるという必要があるんじゃないかな。
 これは守ると、これはできるだけ守ると、これはちょっといろいろあるんで交渉によると。ある程度そういうことを国民に知らせて安心させるということが必要なので、カナダなんかは、ある程度畜産物については、ここは、これはきちっと守るということを言って、大変農業関係者が落ち着いていると聞いているんですよ、事実は定かじゃありませんが。いかがですか、何を守るか、何を勝ち取るか。
#240
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに、守るものは我が国の国柄であり、委員の地元の岡山県も、私の山口県も同じ中国地方で美しい田園風景が見れるわけでありますが、そうした田園風景も含めた日本を守っていきたいと思いますが、自由民主党としては、既にJ―ファイルにおいてお示しをしておりますように、今委員が御指摘になった国民皆保険制度をしっかりと守っていく、そして食の安全、安心の基準をちゃんと守っていくということでございます。そして、国の主権を損なうようなISD条項は合意をしない、政府調達、金融サービス等は我が国の特性を踏まえるということを示しているわけでございまして、また、自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れないということも決めているところでございます。
#241
○片山虎之助君 国柄も田園風景も守ってもらわないけませんけど、これは取りあえず止められませんわね、断る断らないに関係ないんで。今言われたことは、是非、総理の言葉は大変重いと思いますので、そういうふうに国民に物を教えるということが私はこのTPPが理解されるゆえんじゃないかと、こういうふうに思っております。
 そこで、話は、もう時間がないのでもう一項目お願いをするんですが、四月の経済財政諮問会議で、その中で、これは官房長官と議事録にあるようですけれども、プライマリーバランスの赤字を半分にすると、二〇一五年度までに。これについてはすぐやらなくてもいい、固定的に考えなくても様子を見てやればいいと。これは前政権が決めたことですけど、安倍政権も引き継いでいるんですから、政府の方針になっているんですね。方針をお変えになるんですね、プライマリーバランスの。
#242
○国務大臣(麻生太郎君) 政府として今、国と地方のプライマリーバランスの例の二〇一〇年度水準からというお話、二〇一五年度までに半減、二〇二〇年度までに黒字という財政健全化目標というのを御存じのように掲げておるというところでありまして、これを変更したというようなことはございません。まず一つです。
 二つ目。先週末のイギリスのG7というのにおきましても、これは財政の健全化と経済成長は両立し得るという話でこの話は全部まとまっておりますので、中期的に財政の健全化を着実に進めていかないと、我々は。したがって、我々はいわゆる消費税まできちんとやっていまして、おたくらそんなことできていないでしょうが、うちはちゃんとやっていますというところまで完全に申し上げて、そして財政健全化目標をきっちり年央までにやりますということをきちんと申し上げております。そうでないと日本の、片山先生御心配のように、我が国のいわゆる国債なり国というものの信用を失うということになりかねませんので、きちんとした目標を、中期財政計画を年央をめどにきちんと立ち上げるということは我々としては変えておらぬということであります。
#243
○片山虎之助君 財政規律の問題は、副総理、大変大切なんですが、今のその二〇一五年までに半減するとか、二〇二〇年までにゼロにするとか、私はできないと思います。それは、まずいろんな状況を考えるとできないんで、それをどう考えるかという。それと、消費増税が来年の四月には待っているんで、その辺の組合せをしっかり考えて、一方では財政規律を守るということがないと、これはマーケットを含めて一遍に信用がなくなりますから、そこが大変心配でございますが、是非しっかりやっていただきますように。
#244
○委員長(石井一君) それじゃ、一言。
#245
○国務大臣(麻生太郎君) しっかりやらせていただきます。
#246
○片山虎之助君 ありがとうございました。
#247
○委員長(石井一君) 以上で片山虎之助君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#248
○委員長(石井一君) 最後に、舛添要一君の質疑を行います。舛添君。
#249
○舛添要一君 今日は、安倍総理がどういう社会をつくりたいかと、そういうことについて総理の政治哲学、特に税と社会保障の一体改革などに関連して御質問いたしたいと思います。
 安倍総理、ここのところ、私、この予算委員会で問題にしているのは、アベノミクス、どんどん頑張ってやっていただきたいんですけれども、こういう点、もっと補強した方がいいんじゃないかということで御提案申し上げました。先般は会社法の改正ということで御提案いたしましたし、そういう観点から見て、今日は是非総理に、格差、格差社会と言われているものに対して切り込んでくださいということを御提案申し上げたいと思っております。
 今、だんだん経済良くなっていく。これ、国民みんなが豊かにならないと駄目だと思います。富める人がどんどん富んで貧しい人がもっと貧しくなるようでは、私はこの日本社会というのはやっていけないというふうに思いますので、その経済成長の果実が国民にどう均てんさせるのかということが、これからの、長期的に見たときに安倍総理のかじ取りに懸かっていると思います。
 しかし、この前、私も自民党でしたけれども、お二方の内閣総理大臣の下で大臣を務めさせていただきました。しかし、政権交代で民主党に政権は移りました。そのときの一つの大きな理由は、やっぱり格差ということだったんだろうというふうに思っております。男女間の格差もあれば、世代間の格差もある。それから、先ほど同僚議員が質問をいたしたように、非正規労働者、派遣労働なんというのは、大変私、労働大臣として苦労をいたしました。
 そういう格差をどうするのかというときに、根本的な政治哲学の問題に入りますけれども、要するに自由か平等かと。自由に自由競争をやってどんどん効率を高めれば必ず格差は生まれます。しかし、片一方で、公平ということで平等政策を税金使ってやれば必ずモラルハザードが起こってくる。ですから、恐らく、国の最高指導者としてはそこのところのバランスをどう取るのか。
 そして、諸外国を見ると、どっちかというと自由の方に力点を置く政党、アメリカでいうと共和党、イギリスだと保守党、どっちかというと平等、これはアメリカの民主党とかイギリスの労働党あるんですけれども、日本の場合、余りそういう区分けしないで、大体真ん中のところに収まるような感じがしますけれども、今のその自由か平等かということについて、一言、総理のお考えをお述べいただきたいと思います。まず、抽象的なところから。
#250
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そこはまさにさじ加減なんだろうと、このように思うわけでありまして、日本はまさにその中庸を行っているわけでありまして、単に市場主義だけを追求するのではなくて、先ほど申し上げたんですが、言わば市場の原理としての効率性を求めていく、あるいは、基本的には頑張った人が報われていくという競争の原理を活用していくことは、とても、活力を得るためには、活力を維持し続けるためにも必要であります。
 しかし、同時に格差の問題がありましたが、格差とは何かといえば、やっぱりこれは耐え得ない格差というものがあるわけでありまして、同時に格差が固定することはあってはならない。そこで、さじ加減という話をしたわけでございますが、例えば税制とかあるいは政策的なことによって、それを調整していくことが求められていくんだろうと。つまり、日本的な市場主義、自由と平等という話がございましたが、日本の古来からの文化と伝統に根付いた自由と平等の中の中庸を図っていくという知恵が私たちにはあるんではないかと、このように思っております。
#251
○舛添要一君 今総理もおっしゃいましたけど、私は、厚生労働大臣をやっているときに非常に心を痛めましたのは、いわゆる貧困の連鎖と、子供の要するに貧困ということが大変な問題になりました。要するに、どの親の子供に生まれるかというのは子供の責任じゃないんで、そのことによって教育の機会を失われたりするということはずっとこの貧困の連鎖が続いていく。
 これは、社会として、ソーシャルモビリティーというか、社会的な流動性が非常に低下した社会になる。だから、山小屋から大統領府に、ホワイトハウスまで行けるという、これがある意味でアメリカの自由な理想なわけで、私は是非、そちらの方の社会的流動性を増すということを是非政策としてやっていただきたい。つまり、格差が世代間で継承されないということの方が私はいいと思いますが、その点はどうでしょう。
#252
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 特に教育においてはそうですが、貧困の再生産があってはならないと、このように思いますし、まさに、この流動性をしっかりと確保していく、頑張れば頑張った人が報われていく社会がこれは重要であろうと、このように思います。
#253
○舛添要一君 ただ、頑張りようがない、つまり機会の平等が、結果の平等は私は求めません、だけど、機会の平等が保障されていない部分が多々あると思います。それは労働の分野でも教育の分野でもそうなんで、そういうところをどうするのかということが非常に大きな問題です。
 先般、総理と、ファビウス外務大臣来られて、フランスの件もちょっとお話ししましたけれども、ヨーロッパでは社会主義とか社会民主主義と冠する政党は結構政権に就く。今のフランスのオランド政権は、発足一年たって、めちゃくちゃ人気が悪いんですけれども、しかし、ああいうふうに政権取るのは、実を言うと、医療と教育について、要するに世代間で格差が継承されちゃいけないという、それがマルクス主義ではなくてフランスの社会主義の基本なんですね。ですから、少なくとも医療とか教育へのアクセスが阻害されるようなことは全力を挙げて阻止するという政治姿勢が国民に支持される。
 だから、私は、是非総理にも、今教育と医療、できれば労働の分野でも、アクセス阻害されないために自分はしっかりやるんだと、実はそれがないと経済良くなっても活力ある日本の社会は生まれないと思います。だから、アベノミクスの三本の矢だけじゃなくて、この前、会社法も言いました、いろんなことを申し上げているけど、矢をもう少し増やしていただきたい中に今言った問題があると思いますが、いかがでしょうか。
#254
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員の御指摘になった医療においては、皆保険制度があることによって誰でもどこでも一定水準以上のしっかりとした医療のサービスを受けることができますし、また教育においても、義務教育プラス様々な奨学金制度等について支援ができるということも大切でしょうし、また労働においても常にアクセスできると、これは例えば十八歳や二十二歳で決まらないということも大切なんだろうと思います。途中の段階においても学び直しもできますし、あるいはまた、同時に会社を、仕事を移っていくこともできると、そういう流動性が確保された社会になって初めて、今委員がおっしゃったような固定化が阻止されていくんだろうと。固定化ではなくて、言わば頑張った人が報われるし、様々な分野でそれぞれチャンスを得ることができると、このように思います。
#255
○舛添要一君 そこで、税制というのは私は非常に重要になると思います。所得、資産、消費、その三つの分野で税制を分けますと、例えば一番分かりやすいのは、所得税制について累進税率をどれぐらいにするのかなと。それから資産課税、これは捕捉できるかどうかは別として、資産課税についてどう考えるかと。それから、消費税についても逆累進性というような考え方があります。
 だから、一番分かりやすいのは、例えば累進税率を変えるというようなことでその政権のある意味で経済政策、財政政策が分かるわけですが、これは、麻生財務大臣でも構いませんが、安倍政権として税制について、今言った社会的な流動性を保っていく、格差を固定化させない、そういう観点から見てどういうお考えか、どちらでも構いませんのでよろしくお願いします。
#256
○国務大臣(麻生太郎君) 累進税率につきましては、もう舛添先生御存じのように、これは昭和六十年代以降、これ大幅に累進税率は緩和をされて、昔九〇%近くあったものが四〇%ぐらいまでに、所得分配機能というのはずっと低下させてきたんだと思います。逆に言えば、働くインセンティブというものがそっちにうまく働いたということになるんだと思いますが、いずれにしても、働くインセンティブを損なわないということと所得の再分配を図ることというのをどれくらいバランスさせるかというのは、これは永遠の課題みたいな話で、ちょっと私みたいな頭じゃとてもできませんので、これはみんなで考えていただくしかないんですが。
 安倍政権の中において、少なくとも最高税率につきましては、これは課税所得四千万円超につきましては、従来四〇%、民主党のときに四〇%だったものを四五%に累進課税を引き上げておるということで、一つの方向と言われればそういう方向であろうと思っております。
 ちょっと時間がなさそうだけど、今大体それで、あとの、ほかの所得税はよろしゅうございましょう。
#257
○舛添要一君 自民党が野党だったときに政権党にある民主党政権の政策を批判する、これは当たり前なんです。だけど、私は、自民党が野に下ったときにいろいろ批判された中で、民主党が批判した面で正しい面もあると思います。民主党は政権交代でまた野党になっちゃった。だけど、だから全て悪いんじゃなくて、やはり格差是正のような点について、いい政策は継承する、そのゆとりと幅というか、が必要だというふうに思っております。
 それで、先ほどの子供の教育についてなんですが、ちらっと先ほど総理もおっしゃいましたけれども、例えば、私は、奨学金制度を含めて就学支援というのを前の民主党政権以上に一生懸命やるということが、これはアベノミクスが成功する長期的な道だと思っておりますが、具体的にどういうような格差是正政策をやるか、今の奨学金を含めての就学支援、一つの例なんですけど、ありましたらおっしゃってください。
#258
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 格差については、これはまさに固定化しないことや、同時に、誰もが何度でもチャンスがあるという社会をつくっていくことが大変重要であると考えております。先ほど申し上げました医療や教育、あるいはまた雇用のチャンスをしっかりと守っていく。
 教育については、引き続き奨学金や授業料免除を通じて家庭の教育費負担の軽減に努めていくとともに、教育再生実行会議の提言も踏まえて、世界トップレベルの学力と規範意識を身に付ける機会を保障する教育体制を構築をして質の高い公教育を確立をしていきたいと、こう考えております。やはり、質の高い公教育というのは、私立であればどうしても授業料は高いわけでありますが、公教育であれば誰もがアクセスできるということでございまして、この公教育の質を高めていきたいと。
 医療については、日本の国民皆保険制度は保険証一枚で誰でもどこでもしっかりとした水準の医療サービスを受けることができる世界に冠たる制度でありまして、引き続き社会保障のセーフティーネットを維持をしていきたいと考えております。
 同時に、お互いに良い意味で競争して、頑張った人が報われる社会を構築していくことによって継続的に富を生み出していくことも重要であろうと、このように思っております。
#259
○舛添要一君 安倍政権、どうしても自由とか経済効率性ということのイメージが非常に強うございます。だけれども、私は、やっぱり平等とか公平性をしっかり保つんだということを総理自らが国民に対して、政策を立案するときに、実行するときにしっかりおっしゃるということは、これが広く国民の支持を得る道だということを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#260
○委員長(石井一君) 以上で舛添要一君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて安倍内閣の政治姿勢に関する集中審議は終了いたしました。
 次回は明十五日午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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