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2013/05/21 第183回国会 参議院 参議院会議録情報 第183回国会 農林水産委員会 第7号
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2013/05/21 第183回国会 参議院

参議院会議録情報 第183回国会 農林水産委員会 第7号

#1
第183回国会 農林水産委員会 第7号
平成二十五年五月二十一日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十日
    辞任         補欠選任
     金子 恵美君     小川 敏夫君
     山田 俊男君     熊谷  大君
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     松浦 大悟君     小見山幸治君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         中谷 智司君
    理 事
                郡司  彰君
                徳永 エリ君
                野村 哲郎君
                長谷川 岳君
    委 員
                一川 保夫君
                岩本  司君
                小川 敏夫君
                小見山幸治君
                岡田 直樹君
                加治屋義人君
                熊谷  大君
                福岡 資麿君
                白浜 一良君
                横山 信一君
                山田 太郎君
                平山 幸司君
                紙  智子君
                舟山 康江君
   国務大臣
       農林水産大臣   林  芳正君
   副大臣
       内閣府副大臣   伊達 忠一君
       農林水産副大臣  加治屋義人君
       環境副大臣    田中 和徳君
   大臣政務官
       農林水産大臣政
       務官       稲津  久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        稲熊 利和君
   政府参考人
       消費者庁審議官  菅久 修一君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   荒川  隆君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   山下 正行君
       農林水産省消費
       ・安全局長    藤本  潔君
       農林水産省食料
       産業局長     針原 寿朗君
       農林水産省経営
       局長       奥原 正明君
       農林水産省農村
       振興局長     實重 重実君
       水産庁長官    本川 一善君
       環境省自然環境
       局長       伊藤 哲夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交
 渉参加に関する件)
 (飢餓と飽食への取組に関する件)
 (攻めの農林水産業に関する件)
 (食品安全行政の一元化に関する件)
 (農林漁業成長産業化ファンドに関する件)
 (人・農地プランの進捗に関する件)
 (ゼニガタアザラシによる漁業被害対策に関す
 る件)
 (中国漁船による虎網使用に関する件)
○森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ─────────────
#2
○委員長(中谷智司君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、金子恵美さん及び山田俊男君が委員を辞任され、その補欠として小川敏夫君及び熊谷大君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(中谷智司君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、消費者庁審議官菅久修一君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(中谷智司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(中谷智司君) 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○郡司彰君 おはようございます。民主党・新緑風会の郡司でございますけれども、林大臣になりまして初めての質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 御存じのことかもしれませんけれども、政権交代まで大臣を務めさせていただきました。その間に、もう少し余裕があればこういうことに取り組みたいなということが幾つかございましたけれども、その一つの食の問題について今日は質問をさせていただきたい、このように思っているところでございます。
 まず一つ目でございますけれども、食の問題といいますといろいろな切り口があろうかというふうに思っておりまして、国内でも、例えば安全の問題であるとか、あるいは病気にかかわる物質が含まれているとかいろんなことがありますけれども、私自身は、ある方の話も伺って、大きなことを言えば、食の問題というのは飢餓という問題と飽食というこの二つだというような認識をかねがね持っております。
 御存じのように、直近の数字というのがなかなか新しいものでは見当たりませんけれども、例えば、二〇一〇年でありますと飢餓人口が九億二千万人、これは人口の一六%に相当をし、七人に一人ということになるわけであります。そしてまた、昨日、一番新しい数字をと思ってネットの方で調べさせていただきましたが、では、年間にこのことによってどのぐらいの方々が実際の身体的な、何というんでしょうか、障害といいますか、あるいは死に至るようなことになっているんだろうか。これ、二万五千人というのが一日当たりというような数字で出ておりました。ざっと計算をすると年間に九百万を超える方、しかし、統計上は、推計でいうと二千万ぐらいの方々が年間に餓死をしているんではないか、これは女性、子供を中心にということでございます。だとすると、これは、第二次世界大戦で期間中失った全ての方々の数が約二千万というようなことを言われておりますので、相当な数の方が毎年食の問題で亡くなっていると。
 しかし、これは、何ということかというと、ニュースにさえならない、当たり前のこととして日常茶飯にそれだけの人が亡くなっている、こういう現状があるわけでありますけれども、このような現状に対して、まず林大臣の御認識というものをお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(林芳正君) 郡司前大臣、よく存じ上げておりますが、大変に御縁をいただいておりまして、実は、たしか議院運営委員会でも御一緒させていただいたわけでございまして、大変丁寧な引継ぎをいただきまして、しっかりとその後をやっていきたいと思っておりますが、今、郡司先生からは、もう少し時間があれば取り組みたいということでこの質問をいただきました。
 このFAOの数字でございますと、世界の栄養不足人口というのが八・七億人ということでございます。これが、世界人口七十億の中の八・七ということでございますが、一九九〇年ぐらいが十億、それから九九年が九・二億ということで、人口が増えていく中で減ってはおりますけれども、まだ日本の人口の約八倍の方が栄養不足しているということ、そして、今先生からお話がありましたように、飢餓による死亡、統計上は毎日二万五千人ということでございます。
 なかなか我々日本で暮らしておりますとイメージしにくい状況でありますが、食べるものがなくて亡くなるということはどれほどつらいことだろうかと、こう思いますと心が痛む話でございまして、この飢餓や貧困というものの解決というのは、やはりその国々に委ねるということを超えて、国際社会が全体としてやっぱり協力して取り組んでいかなければならないと、こういうふうに思っております。
 我が国としても、世界的な食料の生産拡大など、農林水産業への支援を通じて、飢餓・貧困対策に積極的に貢献していくことが重要だと考えておりまして、たしかこの委員会でもネリカ米の御議論もいただいたというふうに記憶しておりますが、国連等の関係機関等とも連携しながら、このアフリカ諸国における米や芋、それから豆類の増産支援等の取組を実施をしているところでございます。
#8
○郡司彰君 ありがとうございました。
 大臣も、やはり同じような認識の下にアフリカに対する支援等を行ってきた。時あたかもでございますけれども、六月の一日からTICADX、第五回アフリカ開発会議というものが横浜で開かれることにもなっているかというふうに思っております。
 アフリカは、今現在、十億人ぐらいの人口を抱えておりますけれども、予測からすれば二〇五〇年には二十億、倍増をするだろうと、このように言われているところであります。そして、二、三日前、政府の方も、これは別の閣僚会議の中でのことであったというふうに思いますけれども、これから民間の企業がアフリカに投資等を行う場合には援助をしていくというようなことを決めたということを流しておりました。いろいろな分野があろうかというふうに思いますので、農林水産に限って言えば、どのようなお考えでどのようなことになるんだろうか。
 それから、もちろんこれは今の大臣の発言の中にもあったというふうにも思いますけれども、これは、民間の企業、それから相手の国、そしてその相手の現地の生産をする方々、関係をする方々、トリプル・ウインというような関係にならなければいけないんだろう、こういうようにも思っておりまして、一方で、しかしながらこれまでの取組等を見るとなかなかそうではないということが私どもの国以外ではまだ起こっているやもしれませんし、これからアフリカというところの取組については、先ほど大臣が言われましたように、なかなか見えにくい地域でもありますので、十分にその辺のところを留意をしてやっていただきたいと思いますけれども、大臣にお答えをお聞かせいただければと思います。
#9
○政府参考人(山下正行君) お答え申し上げます。
 アフリカ開発会議、いわゆるTICADでございますけれども、これは一九九三年以降日本が主導し、国連や国連開発計画、それから世銀などと共同で開催しているものでございまして、今回、先生がおっしゃいましたように、六月一日から三日まで、横浜におきまして第五回の会合が開催されることになっております。
 近年、アフリカは経済成長を遂げている一方、栄養不足人口はFAOの統計では二億人以上に上りまして、貧困や飢餓といった克服すべき課題を抱えていると考えております。これらの課題を克服するためには、我が国の有する高い農業生産技術を生かし、アフリカ諸国自身による農業生産の増大と生産性の向上が図られるよう、技術の移転、普及を行うことが重要と認識しております。
 また、今回、TICADXということになるわけでございますけれども、ここにおきましては、アフリカの持続的経済成長には民間投資の促進が重視されているということでございます。ただし、大規模な海外農業投資の一部には、農地の争奪ですとか新植民地主義といった、こういった懸念もあることから、被投資国、それから小農も含めた現地の人々、それから投資家の三者が裨益するいわゆる責任ある農業投資を行うことが重要と考えておりまして、農林水産省としては、FAOの世界食料安全保障委員会におきます責任ある農業投資原則の策定に向けた議論に積極的に参画しているところでございます。
#10
○郡司彰君 今御答弁をいただきましたような形で、やはり日本の国が出ていった場合には違うぞと、いい結果がもたらされるんだという形で取組をいただきたいなというふうに思っております。
 そして、より具体的には、私自身もこれまでいろいろなところで発言をさせていただきましたけれども、農業・農村開発を通じて飢餓や貧困を撲滅をしていこうと、こういうようなことを訴えさせていただきました。これはもう技術の面からいえばソフト、ハード一体で途上国へ移転をするというようなこともやっていかなければいけませんし、先ほどのネリカ米、これ随分、オカボだけではなくて水田にも適応するようなもの、それから燐をわざわざ後に加えなくても育つようなものができていたり、いろんなことができてきているんだろうなというふうに思っております。
 そして、そういう中で、先ほど来からの話の延長ではございますけれども、しかしながら、そうしたことと併せて、アフリカあるいはいろいろな国の農地を取得をするということも現実的には起こってきているというふうにも思っております。このことに関しましては、先ほどの御答弁にもありましたけれども、アフリカそのものは歴史上飢えていなかった土地、しかしそれがプランテーションによって換金作物を作らされることによって飢えが蔓延をしたと、こういうようなことが歴史上の事実だろうというふうに思いますので、決してそのようなことが再び起こらないような何らかの歯止めというか、倫理面だけではなくて、必要ではないかなというふうに思っております。
 これはアフリカだけではございません。例えば近隣のアジアの関係においても、私どもの有能な技術者の方々が、あるいは研究者の方々が、例えば新しい種を作った。しかし、日本で栽培をするより前に例えば隣の中国でもう作られていて、それが逆に輸入をされるようなこともこれまでにもあったというふうに思っておりますので、農地についてはしっかりとした考え方を持つべきだ。
 それから、それ以外のものについても、きちんと移転を行うことと同時に、そこに対して何らかのことというものを考えていかなければいけないのではないか、このように思っておりまして、それに対してのお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
#11
○政府参考人(山下正行君) お答え申し上げます。
 我が国は農業分野における世界第二位の支援国でございます。農林水産省は、外務省それからJICA、国際機関等と連携をいたしまして、先ほどもございましたネリカ米を始めとした米生産を倍増すべくアフリカの稲作普及に取り組むほか、芋とかそれから豆の増産を支援しているところでございます。また、農業用水の確保や効率的な水利用のためのかんがい施設整備等、持続可能な農業・農村開発を支援するなど、研究開発それから普及及び施設整備等を一体的に支援しているというところでございます。
 先ほどもございましたけれども、ODAのみならず民間投資の活用も重要でございますけれども、先ほども申し上げましたけれども、いわゆる農地争奪それから新植民地主義という懸念があることから、先ほども申し上げましたが、被投資国、それから特に小農を含めた現地の人々、投資家の三者の裨益する責任ある農業投資ということにつきまして、国際的な議論に積極的に参加していきたいと思っています。
#12
○郡司彰君 先ほど林大臣からの答弁の中で、ちょっと前まで十億人ぐらい飢餓人口がいたんだということでございました。五、六年前まで、世界のそうした統計を取ると、かなりの数、中国の方々の人口が、そのうち一億五千万とか一億三千万とかという数字で出ておったんです。
 これはやはり、しっかりした取組でその国の力が付いてくれば、その分ぐらいは減ってきているけれども、まだそれ以外のところで可能性があるということを示しているというふうに思いますので、これらについては日本も世界の大きな力を持っている、発言権を持っているんだと、そのようなことで取組をいただきたいなというふうに思っております。
 次に飽食の方の関係でございますけれども、今日、農林水産省でお作りになった資料を配らせていただいております。それをちょっと目を通させていただければというふうに思いますが、一枚目の紙にFAOの調査結果の概要が主な調査結果として出ております。ここを読みますと、生産から消費に至るフードサプライチェーンの中で、世界の生産量の三分の一に当たる十三億トンの食料が毎年廃棄をされているというような数字がございます。その下には地域別の一人当たり年間の食品廃棄というのがございますけれども、これを単純に日本に当てはめると百三十三キログラムぐらいの数になる計算にもなるわけであります。
 二枚目を見ていただきますと、日本では食べ物の約二割に当たる年間約千八百万トンの食品廃棄物が出ておりますけれども、その中で、本来食べられるのに廃棄をされているいわゆる食品ロスが年間五百万から八百万、上限でいいますと、事業系で四百万トン、それから家庭用の廃棄物として四百万トン。
 この四百万トンというのは、さらにその次のページを見ていただきますと、世界全体の食料援助量の約二倍に該当すると、両方合わせた八百万トンがですね。こういう国に私どもは住んでいるんだというようなことを頭に置きながら、もう一度繰り返して言えば、世界の一・八%の人口、その中で、穀物貿易量の約一割というものを私どもの国は輸入をしているということにもなるわけであります。
 こうした現状について、大臣の御認識をまずお伺いしたいと思います。
#13
○国務大臣(林芳正君) 今、郡司先生がおっしゃいましたように、大変一言で言うともったいないことが起こっているということではないかなというふうに思います。約八千四百万トンの食用の食料のうち食品ロス、今おっしゃっていただいたように五百から八百万トンということです。食品工場、スーパー、レストランという企業の方が三百から四百で、家庭でも食べ残しや調理ロスとして二百から四百万トンと。我が家では私が大体残飯整理をすることになっておりますので、こういう割合で出てないとは思っておりますが、ただ、やっぱりこういう食品ロスは大変に処理や管理にコストが掛かるということで、企業収益も実は圧迫をしているというふうに言われております。
 冒頭申し上げましたように、やはりもったいないという言葉がもうほかの国に行ってもそのまま通じるように、これはマータイさんの御功績が大きかったということだと思いますが、発祥地としてやっぱり我が国は率先してこのことに取り組んでいかなければならないと思っておりますし、そもそもこの言葉がありますように、食事の前に手を合わせるという習慣あるわけでございまして、やはりそういうところもうまく用いながらこの問題取り組んでいかなければならないと思っております。
 先ほど来の話で、八億人を超える人が栄養不足ということでございます。中国のお話ありましたけれども、まだまだ中国の中でもいらっしゃるんでしょうけれども、やっぱり国としてある程度離陸をしていく途中でそこの国の人が減っていくと。ただ、委員がおっしゃったように、責任ある投資原則というのはできておりますが、いい離陸の仕方をしてもらわないと、結局そういう方々には自分の国で作っているものも行かない、こういうこともあるわけでございますから、そういうことも併せて考えますと、やはり大量の輸入をしている我が国としては、この食品ロスの問題は人道的な面からも解決すべき課題だというふうに考えておるところでございます。
#14
○郡司彰君 改めて、お配りをした資料の二枚目を御覧になっていただきたいなというふうに思っております。
 先ほど概括的に申し上げましたが、下段の方の右寄りの方、食品由来の廃棄物、一千七百十三万トンの内訳が書いてございます。上限でいえば、それぞれ事業系あるいは家庭用、可食部分の捨てられるものが四百万トンということになるわけでありますけれども、事業系そのものでいうと、六百四十一万トンのうち焼却、埋立ては三百三十二万トン。半分ぐらいはそれでも捨てられる、燃やされるということになるわけでありますが、一方、家庭用のものを見ますと、焼却あるいは埋立てというのが一千五万トンというような数字になって、こちらの方はほとんどが焼却あるいは埋立てということになるわけであります。
 それで、最後のページを御覧になっていただきたいというふうに思いますが、この食品の廃棄物を処理をするためにどのぐらいの税金を使っているんだということになりますと、これ漸減をしているような数字が出てきておりまして、そのことは喜ばしい。しかし、ピーク時で見ますと、平成十三年度、二・六兆円、二十一年度で約一・八兆円、これは神奈川県の年間の予算に匹敵をする額だそうであります。また、個人個人で見ましても、十三年が二万五百円、それから二十一年には一万四千円をちょっと超える数字になってきておりまして、それぞれ国、家庭、努力をされているということは分かるんであります。しかし、それでもなおかつ二兆円近いものが、これは、これに含まれない新たな処理場の建設のものでありますとか、いろいろなものが加わることによってまだ相当程度税を投入をしているということになるわけであります。
 もう繰り返しませんけれども、これは、世界中の農地を使い、水を使い、労働力を使って、大量のCO2を排出をさせながら運んできて、そして、私どもの国においてはそのことによって河川、湖沼の富栄養化ももたらすことになるかもしれない。一方で、送り出した国においては、その作物の、何というんですか、実りが土に戻るということがもしないとすれば、その土地は、土壌は痩せていって砂漠化をするようなことの連鎖を生み出しているかもしれない。持ってきたところで二兆円に近いお金を使っている。
 こういうような現状がある中で、一部業者の方々、業務用の方々については、四ページにありますように、これまでの三分の一ルールというのがございました。例えば、ここには例示として六か月のものがありますけれども、作ってから二か月以内に商品として並ぶ、それから二か月間は販売をする、そして賞味期限の二か月前になったら回収をして廃棄をするというのがいわゆる三分の一ルールであります。これは余りにも食品ロスを生み出すような要素ではないかということでの取組がされてきて、随分と改善をされているというふうに聞いております。その取組の成果等についてお話をいただければというふうに思います。
#15
○政府参考人(針原寿朗君) 今御指摘になりましたいわゆる三分の一ルールでございます。
 食品ロスの発生要因の大きな要因と考えられる商慣習でございますが、この問題につきましては、昨年の十月から、農林水産省が事務経費を補助いたしまして民間団体が主体となったワーキングチーム、食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチームを設置しております。実態、問題を共有するとともに、解決を目指す検討が進められているところでございます。
 この三月五日に中間取りまとめが公表されました。これに基づきまして、本年六月をめどに納品期限の見直し、取りあえず三分の一をアメリカ並みの二分の一にするような取組をパイロット的に行う、そのようなパイロットプロジェクトを開始すべく、現在、菓子、飲料の食品メーカーさん、製造でございます、それから卸売業の方、それからチェーン展開している小売業の方等の関係者によって実施に向けた調整が進められているわけでございます。
 農林水産省といたしましても、関係省庁と一体となってこの商慣習の見直しの取組に積極的に協力してまいりたいと考えております。
#16
○郡司彰君 一ページ目には、ヨーロッパの方で、EU関係の中で、来年でありますから二〇一四年、ヨーロッパ反食品廃棄年という形で取組を行うということが記載をされております。これ日本もまねしてやれということだけで実効性が上がるというふうには思いません。
 例えば、これほど世界の中で短い期間に食文化、今大半は褒められているところがありますけれども、逆に捨てさせてきたような国というのも少ないのではないかなというふうにも思っております。女性のことだけ言うと恐縮ですけれども、三十歳、二十歳代の女性の方々で、冷蔵庫はあるけれども、まないた、包丁、その他は一切持っていないという単身の方々の比率というのは三割近くになっているというような数字もございます。
 それから、食べ残しのうち、大体四割近くが食べられるものを捨てるんだけれども、その半分については封も切らずに日にち前に捨てるというようなことが、これは女性だけではありませんけれども、数字としては上がってきているんですね。こういうようなことを考えて、しかしながら啓発ということもやっていかなければいけないだろう。
 あるいは、教育の現場で、例えばフランスの女性の方々、私もお付き合いもしたことないので分かりませんけれども、成人になるまでにはジビエの料理の仕方がほとんどできるようになっているとか、それから私、大臣のときにイタリアの方にFAOの会合で行かせていただいて、ワイン農家に寄らさせていただいたときに、出てきたメインディッシュはウサギの肉でございました。
 こういうような文化というものがしっかり根付いて残っているということも含めて、私どもの国においても、このヨーロッパにおけるところのまねをするということではなくて、何らかこの飢餓と飽食について考えるような取組というのを政府全体で行っていただければというふうに思っておりますけれども、大臣の方からお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
#17
○国務大臣(林芳正君) まさに今先生から御披露いただいた数字は、ちょっと私も今聞いて、ああ、そんなに多いんだなと思ったわけでございます。自分が余り包丁を握ってことことやらないものですから、人のことを言える立場じゃないとは思いますけれども、しかし、そういった意味では、食育とかいろんな伝統ある食習慣、こういうものをやはり知らないということがあると思うんですね。ですから、いろいろなところで教えてもらって、ああ、いいなと思っていただければ、別に嫌だからやらないということではないという部分があるんではないかなと、こういうふうに思います。
 先ほどのお話がありますように、企業の部分、家庭からの部分、それぞれ三百から四百、二百から四百ということになっておりますが、需給予測の向上とか商慣習の見直し、今事務方、局長から答弁させていただきましたように、やっておりますが、この家庭の取組というのはまだ正直言って不十分だろうなというふうに思っております。
 何度も言うようですが、もったいないという意識、食に対する感謝の念。私のような田舎ですと、春、五穀豊穣をお願いして、秋にそれを感謝をするということを集落でやっている、こういうことも含めて、このやはりもったいないとか有り難いという意識の啓発が重要であると。余計なことですが、有り難いという言葉も、元々はなかなかないことであるというのが語源でございまして、五穀豊穣でお米を腹いっぱい食えるということは有り難いことであるという言葉の意味をやはりかみしめるということではないかというふうに思います。
 先ほどありましたように、七月に立ち上げられました食品ロス削減関係省庁等連絡会議、これにおきましても、消費者の意識改革に向けた取組というものを連携して推進し、国民運動として展開されていくことを目指しております。シンポジウムの開催や政府広報、それからPR、マスコミへの情報発信ということで取り組んでおりまして、例えば、我々、ネクタイ外させていただいておりますが、クールビズといったような、一言で分かるような食品ロスを削減していくキャッチフレーズ的なものもしっかりと考えて、この発信を強化していきたいと考えておるところでございます。
#18
○郡司彰君 ありがとうございます。
 冒頭申し上げましたように、今の政府、省の対応がどうのこうのということではなくて、できますれば私もこういう問題に取り組みたかったというような中で、これからまた林大臣には積極的にお願いをしたいなというふうに思います。
 先ほど来から出ております、もったいないという言葉でございますけれども、大臣が言われましたように、日本の食文化あるいは風習等を褒めるような言葉として世界中に使われておりますけれども、私自身は、その分はもちろん有り難いという思いで受けるにしても、先ほど来からの話を聞けば、もっとしっかりしろという意味で、もったいないというのはおまえたち自身がもっと考えるべきだという言葉でとらえておく必要もあるのではないかなというふうに思っております。
 何年前だか忘れましたけれども、愛知万博の記念式典、開会式典に行きましたときに記念品をいただきました。どういうものかといいますと、十センチ四方ぐらいの麻袋が配られまして、その中にたった一つコーンが入っておりました、トウモロコシが入っておりました。その上には、袋のところには、要するに英知というか、人類の英知をこの袋の中から考えろというようなメッセージがあったんだろうというふうに思っておりまして、そういう意味で、ここから先が本来私が言いたかったことなんでありますけれども、今でも、数は足りているけれども餓死者が何百万、何千という形で出てきている、これは人類の英知というものがやはりそこに至っていないということの証左であろうというふうに思っております。
 一つは、もちろん自由に貿易をしていいわけでありますけれども、この食料というものに関して本当に市場という中の原理だけでいいんだろうか、そこに何らかしら、これからやはり知恵を働かすということがなければいけないんではないか。私は、そういう意味において、一つはTPPの議論というものがありますけれども、そこの一つ一つの議論ではなくて、全体として食料というものをそういう範疇だけで扱っていいんだろうかというような思いがありますけれども、もし何か大臣の御感想がありましたらお伺いしたいと思います。
#19
○国務大臣(林芳正君) まさに食品とか農産物というものは、今先生がおっしゃっていただいたように、何というんですか、自動車とかテレビというような工業製品とは全くそういう意味で違っていると。ですから、付加価値を付けて自由に取引をして経済的価値を高めるという産業的な側面もあるんでございますが、それ以上に、やはり人間の生存といいますか、それにとって不可欠なものであると。
 私、冒頭に申し上げましたように、日本でこういう暮らしをしておりますと、なかなかそこを忘れがちになるわけでございますが、やっぱり世界ではまだ、今日御議論いただいているように、そういう状況がまだまだあるということにやっぱり思いをはせて、世界全体でこのことに取り組んでいくということが必要であると思っております。
 十九世紀から二十世紀にかけて、いっとき人口論みたいなものが出てきたことがあって、もう全く足りなくなるぞというようなことが一度あって、その後、農薬等、グリーンレボリューションということがあって、そういうことが実際にはなかったということですが、また今度は別の形でこういう問題が出てきて、あのときは全体の需要と供給のバランスが崩れるという話でありましたが、今はもう、まさに委員がおっしゃるように、供給過剰の国が一方であって、需要がもう凌駕されている国があって、一方で全く供給が足らない国があると。このアンバランスをやっぱりどうしていくのかということは、本当に世界全体で、国際社会で取り組んでいかなければならない大きな問題であるというふうに思っておりますので、シンク・グローバリー、アクト・ローカリーという言葉がございますけれども、全体の、FAO等との議論を進めていく、援助を進めていくということと併せて足下でできることを、今の食品ロスの話もそうですが、きちっとやっぱりやっていくと、これ、両方を進めていく必要があると考えておるところでございます。
#20
○郡司彰君 今日は、食の問題で食料安全保障ということについて、平時あるいは有事の際のことについてもお聞きをしたかったのでありますが、ちょっと時間の配分が全然狂っておりまして、もし徳永理事が許してくれればこの次の機会にまたさせていただくことにして、ちょっと飛ばさせていただきたいなと思います。
 ただ、安全保障の関係も、平成十四年のときの不測時の食料安全保障マニュアル、これ、一般的に知られておりまして、二千二十キロカロリーぐらいをこの国はきちんと確保するようなことをやるんだと、こういうようなことがございましたし、震災を受けて、不測の事態というのは、考えていたことだけではなくて、もちろん入っていたんですけれども、地震や津波や、そしてもう一つ、核の汚染ということが大変大事なことになってきたんだと、こういうようなことで、昨年の九月には緊急事態食料安全保障指針というものも作られております。
 私は、それぞれについて問題点があろうかというふうに思いますし、平時のときにやっておかなければいけないことが有事のときに役立つというようなことから、これは一体のものとして、有事のときのものは平時にきちんとやっていくということが必要ではないかなと、このように思っております。
 さらに、ほかの国の例を見ると、本当に今のマニュアルや指針ということだけで十分なんだろうか。転作を進めるということの場合に、例えば順位として、花であるとか草地であるとか野菜であるとか果物であるとかという順番は決まっています。その人たちが、木を切りなさい、それから今までのハウス園芸の施設を全部取っ払って、これから熱量の高いものだけ作りなさい、そんなに簡単にいくような話ではないんだろうというふうに思っておりまして、これについては、恐縮でございますが、次回に質問をさせていただきたいなというふうに思っております。おいでをいただいた関係の方々、恐縮でございます。
 次に、食の安全について。
 安全保障の中の一つの大きな要因は安全ということでございますけれども、この安全について、今国会に食品表示一元化法が提示をされることになっております。私は、この表示の一元化そのものは一つの前進、三つの法律が一つになる、消費者にとっても行政の側にとっても分かりやすく扱いやすくということになれば、それはよろしいなというふうに思っておりますが、幾つか問題点もまだあるのではないかなというふうに思っております。
 例えば、関係をするところが内閣府あるいは厚労省、農水省、そしてまた環境省もあるかもしれません。そしてまた、何というんでしょうか、お酒の関係でいえば財務省ということも出てくるわけであります。この財務省の関係は、ちょっと取り上げさせていただきますのは、余り食の安全で財務省というイメージがないけれども、しかし、お酒のことに関していえば、前にもちょっと言わせていただいたことがあるかもしれませんが、梅酒が、一個も使っていなくても梅酒としては売っていいわけですね、今現在は。それから、日本酒というのは別に日本で造られていなくても、私もほかの国に行って、この国で造ったおいしい日本酒どうぞということもございました。こういうようなことも含めて、それからまた香港に行かせていただいたときには、表示が国産の表示として輸入をされた品物が、お菓子類でも何でもそうでありますけれども、現地の表示に張り替えるという作業を行わなければいけない。この辺のことについては大変に時間も掛かるし、人手も掛かるし、その情報も取り寄せなければいけないしと、こういうようなことを言われました。つまり、国際的な戦略をこれから打ち出していこうということに安倍総理が十七日に発表されまして、私もその資料を読まさせていただきましたが、繰り返しになりますけれども、その中で米及び米加工品、日本酒は相当これから売れますよ、頑張っていきますよというような記述がございました。その場合にも先ほど言ったような、じゃ、オーストラリア産でも日本酒でよろしいんですかということもありましょうし、いろいろと、今回の表示の一元化だけでは含まれないような国際戦略上の問題というものも出てくるんだろうと思います。
 簡単に申し上げますけれども、そうしたことについて、今行っている行政の仕組み、これはリスク評価を行う食品安全委員会、リスク低減措置の文案を、あるいはリスク管理を行う厚労省、農水省、それから司令塔的な役割、あるいはコンニャクゼリーのようなすき間事案を扱う消費者庁等々があるわけでありますが、私どもは一元化をすべきではないかというような考え方を持っておりまして、今までの話、ざっと時間の関係でかいつまんでのことになりましたけれども、そうした行政の一元化ということについてこれから必要ではないかという私の考えでありますけれども、御意見がありましたらば、お聞かせいただきたいと思います。
#21
○国務大臣(林芳正君) 実は私も、この週末に九州へ行ったときに、漁協の方から、ノリを作っていらっしゃって、ノリの表示をきちっとやってくださいと言われて、いや、やっているんじゃないですかと言ったら、ノリ単体で売っているものは確かにどこどこのノリだとか国産だと書いてあるんですが、例えばコンビニでおにぎりを売っていると、それノリで巻いてあるわけですが、じゃ、そのノリはどうかというと、そこは表示はないんだというようなことをお聞かせいただいたわけでして、やっぱりますます消費者の嗜好とか安全に対する思いが強くなってまいりますと、この表示というのは非常に大事になってくると思いますし。
 それから、国際戦略を考えた上でも、日本酒のお話もありましたけれども、例えば、この間、東南アジアに出張いたしましたときに、和牛という言葉が使われているんですが、どうもよくよく話してみると日本から来たものではなくて、現地やオーストラリアで和牛のようなものをつくっているのを和牛と称していると。ですから、漢字の和牛ではなくてローマ字のWAGYUというものなのかなと、こうやって思ったわけですが、大変大事なところでございます。
 それで、先生も御案内のように、いろんな経緯があって二十一年の九月に消費者庁ができ、JAS法の食品表示制度の企画立案、執行、こういうことをやるということになって、今委員からお話があったような役割分担ということになっております。
 我が省といたしましても、消費者庁とともに、JAS法に基づく調査、是正指示等の監視業務を所掌すると、こういうことでございまして、今お話のありました食品表示法案、これはまだ衆議院の消費者問題特別委員会で御審議いただいていると思いますが、この施行においても、この考え方によりまして、消費者庁それから厚生労働省と緊密に連携することによって、食品表示の在り方や監視業務というものも適切に実施してまいりたいと考えておるところでございます。
#22
○郡司彰君 大臣のお人柄だと思いますけれども、緊密に連携してということで、それはもう当然のことだろうというふうに思います。
 実際に、いろいろなところに分担をされているけれども、どこが能力を持っているんだと、あるいは人手を持っているんだということになれば、私は一番持っているのは農水省だろうというふうに思っておりますけれども、しかしながら、今三つ言われたところには、それぞれの職員の方がいて、管理部門を除いてもそれぞれの専門の方々もいらっしゃる。そして、そのことが一つになることによっての相乗効果というものは私はあるのではないかなというふうにも思っております。
 さらに、例えば農林水産省の関係でいいますと、私どもの茨城県でもう随分前、十年ぐらい前でありますけれども、メロンの時期でありますが、無登録の農薬を使ったということでさんざんメディアでも取り上げられたことがございました。これは無登録ということと、安全性がどうのこうのというのは、これはちょっと別な問題があるかもしれません。
 でも、この例えば農薬の登録のこと一つにしても、今現在、毒性の評価は食品安全委員会、それから残留基準については厚労省、環境評価については環境省が行うというような形になっておりまして、実際何か起こった場合には、自治体や何かから上がってきたものについて農水省が行うような形になっている。それぞれ時間もお金も掛かるというような形になっていて、無登録農薬のときも申し上げたのでありますけれども、これは新規のものだけではなくて継続のものでも相当なお金が掛かります。マイナークロップのようなものでありますと、地域限定の野菜その他でありますとほとんど対応できないというようなことも今までは起こっているというようなこともあって、私はこの食の安全と行政の一元化というものはできるだけ行うという方向性で考えをいただくのが有り難いと思いますけれども、重ねてそのお考えだけをお聞きをしたいと思います。
#23
○国務大臣(林芳正君) 今どういう人がどれぐらいずついるかというお話もちょっと触れていただきましたけれども、農林水産省では、この食品の安全を確保するため、有害化学物質や微生物の含有実態の調査、それから農薬や動物用医薬品、飼料等の生産資材の監視等の施策を担当する部署に約百五十名、これはもう委員は大臣されておられますからよく御存じだと思いますが、専攻分野は生化学や獣医学、薬学、土壌学、植物栄養学等でありまして、マスターを持っております者が八十七名、それからドクターが七名ということで、かなり専門的なスタッフがおるというふうに承知をしております。
 ほかの省でございますが、厚生労働省も医薬食品局食品安全部は九十名、それから内閣府の食品安全委員会の事務局には六十名それぞれ配置をされておるということでございます。消費者庁においては食品安全のみを所掌するところはないわけですが、食品安全にも消費者安全課が対応しておりまして、そこには四十二名ということでございます。
 地方に行きますと、一元化ということがあった方がいいんではないかという今の先生の御指摘があったわけでございますが、なるべく我々緊密に連携して、外から来た方がいわゆるたらい回しというようなことにならないように、中ではこれ、冒頭申し上げましたように、いろんな経緯があって今の仕組みになったということもございますので、そこはある意味ではチェック・アンド・バランスが働くということでこの仕組みが始まったということも一つあるんではないかと、こう思いますが、やはり、だからといって行政を利用される方がたらい回しになったり行ったり来たりするということがないように、しっかりと連携を密にしてまいりたいと思っておるところでございます。
#24
○郡司彰君 安倍総理の下の内閣でございますので、アメリカのこの食品あるいは医薬品に関する行政組織というものがどのようかというのは御存じのことだというふうに思っております。アメリカに倣うのが全て良いわけではございませんけれども、もっとシンプルな形も多分安倍政権ならやるんだろうというふうにも思っておりますので、そのことだけ申し添えておきたいなというふうに思います。
 それから、残りの時間で加治屋副大臣の方にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 加治屋副大臣、初めて質問をさせていただきますけれども、大先輩でございまして、これまで委員会の中だけではなくて、いろいろと御指導をいただいてまいりました。この度、次の選挙には立候補されないというようなお話も若干お聞きをしておりまして、せっかくの機会でございますのでお尋ねをしておきたいなというふうに思います。
 ここ二、三年の加治屋副大臣の質問の議事録等も読まさせていただきました。おおよそ森林、林業に関することが多かったのではないかなというふうに思っておりまして、例えば公共建築物木造化の利用促進のための法律などについても随分といろんな観点からの御質疑をいただいたというふうに思っております。それからまた、森林・林業再生プラン、このことについても何度となく御質問をされておりまして、今はその実行段階に移っているということでございますけれども、これからの森林、林業、どのような方法でやっていくことが一番よろしいと思っているか、御認識をお伺いしたいと思います。
#25
○副大臣(加治屋義人君) 郡司先生、もう既によく林業については御承知のとおりでございますので、簡潔にお答えしたいと思っております。
 戦後、造成された森林資源が本格的に利用可能な段階を迎えております。この森林資源をどう活用していくのか、大切なことだと思っておりまして、森林の多面的機能の持続的発揮や山村地域の雇用の創出を図るためにも大切なことであります。そのためにも、御指摘の必要な予算を安定的に確保していくことが重要と考えております。
 農林水産省では、平成二十三年に策定した森林・林業基本計画、これに基づいて、一つには施業の集約化や路網の整備、二つ目には公共建築物やバイオマスへの国産材の利用の促進などを取り組んで、地域の実情を踏まえつつ総合的に推進をしていきたいと考えております。
 今後とも、関係予算の確保に努めつつ、川上から川下に至る施策を戦略的、総合的に展開をしてまいりたいと考えております。
#26
○郡司彰君 予算のことについても触れていただきましたけれども、以前の質疑の中で、例えばその計画どおりにやろうとするならば、これまでに加えて年間に二千億、十年間で二兆円ぐらいをしっかりやっていかないと、結果としてその成果の実が出ないんだと、こういうようなお話をされたというふうに思っております。
 私も同じような認識でございまして、やはりこれまでのことを振り返りこれからのことを思うときに、やはりしっかりとした予算を付けていく、そしてそのことによって山が本当にもう一度宝の山に戻る、そこにはやっぱり雇用もつながってくるだろうし、それから、国全体だけではなくて、世界中の劣化しつつある森林のことも考えながらやはりやっていくべきだろうというふうに思っております。
 予算についてもお述べをいただきましたけれども、毎年二千億、それから十年間で二兆円、隣に大臣がいらっしゃいますのでしっかりと御要請をいただきまして、確保のことについて、何というんでしょう、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
#27
○副大臣(加治屋義人君) 個人的にと言うとおかしいんですけれども、今後何が必要かということを私なりに少し話させていただきたいと思いますが、やはり一つには、森林、林業の再生、林業の成長産業化の実現に向けて政府を中心にやはり与野党が一致結束して林業問題、森林問題に取り組まなきゃいけないというのを一つ考えております。
 二つ目に思いますのが、山を増やしなさいよ、そして、現在の森林を維持するだけでなくて積極的に造林を進めなさいよと、これが私がいつも考えていることであります。
 三つ目には、郡司先生御指摘の予算の安定的なことなんですけれども、どうしても皆さんに議論をこれからお願いをしておきたいのは環境税の導入、これをしっかり議論を将来していただくことが必要ではないかと。私が森林、林業に少しかかわったいきさつ上、今そういう気持ちでおります。
 以上です。
#28
○郡司彰君 ありがとうございました。
 森林、林業についてのお尋ねをいたしましたけれども、加治屋副大臣、これからまだ十分時間がありますので副大臣の仕事をなさっていただきたいなというふうに思いますけれども、こうした場での発言というのはなかなか私自身が持てるかどうか分かりませんので、改めてでございますけれども、農林水産のことだけではなくて、政治家として少し私ども後輩に言っておかなくちゃいけないことがあるなということでもございましたらば、最後にお聞きをして、私の質問を終わらさせていただきたいと思います。
#29
○副大臣(加治屋義人君) もう私から申し上げることはありませんけれども、先ほど一つ目に言った、政府を中心として与野党、本当に国民のために一致結束して、お互い議論していくことが必要だと、そのことをつくづく今思っております。
 よく、辞めてから何するんだということを聞かれますけれども、子供の精神に戻りたいと言わせていただいております。子供のあの純粋な気持ちに戻って世の中を見、政治を見ていきたいと、私はいつもそんなことを言わせていただいておりますので、今後そういう気持ちで皆さん方の議論を見詰めていきたいと思っております。
 以上です。
#30
○郡司彰君 終わります。
    ─────────────
#31
○委員長(中谷智司君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、松浦大悟君が委員を辞任され、その補欠として小見山幸治君が選任されました。
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#32
○福岡資麿君 自由民主党の福岡資麿と申します。
 今日は質問の機会をいただきましたことを心から感謝を申し上げます。また、先ほどは加治屋副大臣から大変深いお話を承ることができて、大変有り難い思いで拝聴させていただいておりました。
 私からは、まず人・農地プランについてお伺いをさせていただきたいと思います。
 政府は、人・農地プランの作成を平成二十四年度から二年間で作成意向のある全ての市町村で作成されるよう今進めておられるというふうに承知をしています。昨年一年間実施されて、今年の三月末の時点で作成に至っているのは千三百十二の市町村、七千五百七十三地区となっているというふうに承知していますが、作成状況は地域によって大きなばらつきがあるということもあろうかというふうに思います。
 まず、政府として現状についてどのように評価をされているか、お伺いします。
#33
○政府参考人(奥原正明君) 人・農地プランでございます。このプランにつきましては、高齢化あるいは後継者の不足あるいは耕作放棄地の増加、こういったことで五年後、十年後の展望が開けないという集落、地域がかなり多くなっておりますので、この中で地域の関係者が徹底して話合いをやっていただいて、その地域の中心的な経営体がどこであるのか、そこに対して農地をどういうふうに集積をしていくのかということを話し合って方向性を出していただくと、これが人・農地プランでございます。
 御指摘ありましたように、このプランにつきましては二十四年度、二十五年度で、この二年間で一通りまず全ての市町村で作っていただくということを目指しておりますが、今年の三月末現在でプランの作成に至りました市町村、これは市町村の中で一地区でもできていればカウントしているわけでございますが、これが千三百十二ございます。プランを作ろうとしている市町村が千五百六十でございますので、これに対して八四%でございます。
 一方で、これをプランを作る地域の数で見てみますと、プランを作ろうとしている地域が一万七千四百八十一ございまして、この中で今年の三月末ではプランの作成まで至ったところは七千五百七十三地域で四三%ということになっております。
 これまでの各県、市町村、地域の取組によりまして一定の進捗が図られたというふうに考えておりますが、これまでできたプラン、これを見てみますと、本格的なプランになっているところもございますけれども、その一方でこのプランを作りますとメリットがございます。例えば青年就農給付金ですとか、スーパーL資金の当初五年間を無利子にすると、こういった無利子措置がございますが、これを活用したいという、これに、この農業者のニーズにこたえるということで、メリット措置を目的に取りあえずプランを作ってみたというところもあるというふうに認識をしてございます。
 したがいまして、プランを作っていない地域におきましてはこれから更に作っていただきますし、それから既にプランができた地域につきましても今後定期的又は随時に話合いを進めていただいて、より良いプランにしていただくということで指導していきたいというふうに考えております。
#34
○福岡資麿君 ありがとうございます。
 今おっしゃられましたように、まずは地域によってその話合いをしていく上で、なかなか様々な困難もあり難しい地域もあるというふうに思いますし、一方では、今おっしゃられたように、支援を受けるための枠組みとして作ったということで、その要件を整えるために取りあえず作ったというところもあるというようなところだろうというふうに思います。
 この人・農地プランについては、徹底した話合いを通じて人と農地の問題を解決するための未来の設計図というふうにうたってあられるのであれば、きちっとした取組を今後担保していく必要があるというふうに思いますが、今後のその取組についてお伺いをさせていただきたいと思います。
#35
○副大臣(加治屋義人君) 人・農地プランは、地域の中心となる経営体を明確化して、そこへの農地利用の集積を進めることを目的としております。その作成と定期的な見直しは、地域の農業振興の基礎として長期にわたって粘り強く継続的に取り組んでいく必要があると考えております。
 このために、平成二十五年度予算において、一つには地域における推進体制の強化、二つ目にはプラン作成メリットの強化、三つ目に農地集積協力金の対象の拡大等の新たな措置を講じて人・農地プランの取組を後押ししていくことにしております。
 さらに、地域の自然的な取組を喚起し、プランの作成、見直しが的確に進むように、一つには市町村によるプランの自己点検と評価の実施、二つ目には都道府県ごと、ブロックごとに意見交換会を開催して、優良事例の共有、周知とともに、うまくいっていない地域については、悩みを解決するための協議の実施等にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
#36
○福岡資麿君 ありがとうございます。
 この人・農地プランに絡みまして、青年就農給付金についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 ちょうど昨年の六月十九日、私もこの委員会でこの件について質問をさせていただきました。当初は、二十四年度において当初八千二百人という規模を想定していたのに対して一万五千名を超えるような申込みがあるのではないかという報道がされた、そういう時期であったというふうに承知していますが、その平成二十四年度において、その後予備費等で増額もされたというふうに承知していますが、初年度の対応であったり実績についてお伺いをしたいと思います。
#37
○政府参考人(奥原正明君) 青年就農給付金でございます。この制度は平成二十四年度から開始をしたものでございますけれども、研修中の方に交付をいたします準備型の方は都道府県から給付をいたしますし、それから、自分で経営を始められた方につきましては経営開始型ということで市町村から給付をするという仕組みになってございます。
 二十四年度の給付実績につきましては、都道府県を経由をいたしまして六月の十日までに国の方に報告をいただくということになっておりますので、正確な数字はまだ入っておりません。ですが、先ほど御指摘ございましたように、二十四年度の当初、昨年の今ごろは、各県から要望を取りましたところ、給付金の予算の積算人数は八千二百人、これは準備型と経営開始型合わせてでございますが、八千二百人でございますが、これに対しまして、当初は都道府県の方からこれの二倍近くの要望が出てございました。
 ですけれども、その後、やはりこの経営開始型の方は、人・農地プランができまして、その中にその新規就農者の方がきちんと位置付けられているということが必要でございますけれども、やっぱり人・農地プラン作成に、それに時間が掛かるということが一つございましたのと、二倍近くの要望がございましたので、各県は自分の要望に対して国から配分された予算額がかなり小さかったということもございまして、各県とも人の審査その他かなり慎重に行うということもございまして、絞り込みが図られたところでございます。
 したがいまして、正確な数字はまだ報告来ておりませんけれども、大体当初の予算積算の人数の範囲内に収まっているのではないかというふうに考えているところでございます。
#38
○福岡資麿君 続いては、まずその二十五年度の予算について、昨年度と比較してどれだけの予算を確保されているのか、その点についてもお教えいただきたいと思います。
#39
○政府参考人(奥原正明君) 二十五年度の予算でございますが、これにつきましては二十四年度の補正予算で一部前倒しをしております。そういう関係で、二十四年度の補正予算と二十五年度の当初予算、この二つを合わせて二十五年度分に使っていくということになりますが、二十四年度の補正予算の方が七十七億円、それから二十五年度の当初予算の方が百七十五億円ということになっておりまして、合計いたしますと二百五十二億円ということになります。
#40
○福岡資麿君 今おっしゃられた数字の、最初、昨年度は当初八千二百名を対象にということを想定されていたんですが、今の数字というのは今年度何人を対象とされているのか、教えてください。
#41
○政府参考人(奥原正明君) このスキームにつきましては、準備型の方は百五十万円をその方に二年間、研修が二年間大体続きますので二年間給付をする、それから経営開始型の方は経営を始めてから五年間給付をすると、こういうことになります。
 二十四年度からこの制度を始めましたので、二年目になりますと、一年目に給付を受けた方の二年目分、その継続分というものが当然出てくることになります。ただ、二年目はもうかなり経営が定着をして所得も上がってきたので給付金を受けないという方も出てまいりますので、その点をちょっと調整をすることになりますが、この二十五年度に新規に始められる方に対する給付といたしましては、二十四年度と同様に八千二百人を想定をしております。それから、継続分の方につきましては、基本的に二十四年度八千二百人を想定をしておりましたけれども、これも一定の割合の方が卒業するといいますか、もう給付を受けられないということも想定をいたしまして七千二百人、この二つ合わせますと一万五千四百人ですか、この数字になっております。
#42
○福岡資麿君 昨年の六月十九日に質問させていただいた際には、当時、郡司大臣とやり取りをさせていただいたと思います。
 先ほどおっしゃったように、まず人・農地プランにきちっと位置付けられるかどうかというのはポイントとしてあると思うんですが、ただ、そういう人・農地プランに位置付けられる意欲のある方々にはきちっと行き渡るようにしましょうというのが当時の議論としてもあったと思うんですね。その中で、先ほどおっしゃったように、二十四年度については、当初その二倍の見込みがあったのが、どうやら予算内に収まりそうだと。そのときに、人・農地プランに位置付けられるかどうかの地域の話合いというのはあるんでしょうが、一方で、行政窓口の方で絞り込みを行った結果みたいなことを今答弁でおっしゃったとすると、今、当時議論していたことが余り生かされていないのかなと。やはり希望する方にきちっと行くような仕組みつくりましょうという中で、そこはしっかり行政の方でも希望する方に行き渡る対応をしていただきたいということを要望として申し上げさせていただきたいというふうに思っています。
 そして、当初も大分、一番最初にこの問題が新聞紙上等で提起されたのがちょうど一年前です。ちょうど一年前、去年の五月二十二日の新聞に、八千二百人に対して一万五千人を超えるような人たちが応募をしているということで、需給見通しが甘いんじゃないかというようなことを指摘をさせていただきました。そのときに御答弁でいただいたのは、そのときは、新しく始めるこれまでにない試みだからということが一つ、そしてその後で、これから始めていくに当たって市町村ともしっかり内容について吟味をした上で、そういったところの情報とも併せて更に検討を進めていきたいというような御答弁をいただいているわけなんですね。
 そうやって御検討をいただいている、今後の実施状況も見極めるというふうにおっしゃっていただきながら、どうも二十五年度の予算の積算根拠を聞くと、去年と同じ人数を積んでいますというだけの話で、まだその実施状況については六月十日まで分かりませんというような状況というのは、ちょっとその見通しの立て方としていかがなものかなという思いを持つわけでありますが、その点についてちょっとお答えをいただきたいと思います。
#43
○政府参考人(奥原正明君) 御指摘のとおり、できるだけ正確な見通しをつくって、これで予算を積算してきちんとやっていくと、これが理想だというふうに当然思っております。
 昨年も御答弁させていただいたことに重複いたしますが、この青年就農給付金は二十四年度から導入をした新規の事業でございます。特に青年就農を思い切って推進をするという観点で、従来はこの新規就農対策は無利子の資金しかございませんでした。そこのところを今回は融資ということではなくて、準備型二年間、それから経営開始型五年間ということで百五十万円をその間支給をすると、相当思い切った事業として始めたわけでございます。その意味で、去年の今ごろは各県の方も、これはもうできるだけたくさん使おうということで、ある意味、数を数えたというよりも県の希望として出したというところがかなりあったんではないかというふうに思います。
 この事業がある程度継続をしていけば状況が安定をいたしますので、本当に次の年はどのくらいの人数になるかということもかなり正確に算出をした上で予算をはじくということができるようになると思いますが、なかなか初年度でそこを正確にはじくというのは難しいという状況がございました。特にこの二十五年度の予算の概算決定、今年の一月でございますが、その段階で二十四年度の実際の実績が正確に分かっていたかというと、これはなかなか難しいところがございまして、そこまで精緻なことはできなかったというふうに思っております。
 ただ、人・農地プランの作成もだんだん進んできておりますし、それから各県も二年目になってまいりましたので、大体どのくらいのニーズが出てくるか、かなり地に足の付いたそういった数字がこれからは出せるようになってくるというふうに思いますので、御指摘を十分踏まえましてきちんとしたことをやっていきたいと思っております。
#44
○福岡資麿君 今おっしゃられたように、そういうことであれば次からはきちっと実態を把握された上で適切な対応をされるということを望みたいと思います。
 また、それに絡んでですが、この人・農地プランに絡んで、規模拡大交付金、農地集積協力金等があります。これについては出し手、受け手双方に支援を行うというようなことに変えていったということでございますが、これも去年一年間実施されてみたところの状況についてお伺いをさせていただきたいと思います。
#45
○政府参考人(奥原正明君) 農地の集積を推進するために、農地の受け手の方に対しましては平成二十三年度から規模拡大加算というのを出しております。それから、農地の出し手の方、これに対しましては、一年遅れましたけれども、二十四年度から農地集積協力金、これを措置をしているところでございます。
 この受け手に対する規模拡大加算、これは二十三年度から始まっているわけでございますが、まず二十三年度の交付実績、これが約一万七千ヘクタールということになっておりまして、この二十三年の、この補助金とは関係なく実際に利用権の設定がされた面積、要するに農地の流動化が進んだ面積は約八万一千ヘクタールということになっておりまして、この八万一千ヘクタールは、前の年が六万五千ヘクタールでしたので、約一万六千ヘクタール増加をしているということでございます。要するに、規模拡大加算を始めまして、これの交付実績が出たということによりまして全体としての利用権の設定面積も増えている、大体二五%ぐらい農地の集積面積が増えていると、こういう状況でございます。
 それから、二十四年度の規模拡大加算、これの実績でございますけれども、これはまだ速報値段階でございますけれども、今の感じでは二十三年度の実績を更に五千ヘクタール程度上回るんじゃないかと見られておりまして、前の年に足しますと二万二千ヘクタール程度ということになります。これは二十四年度からは出し手の方についての農地集積協力金、これを始めたということも効果を持っていると思いますので、この二つを相まつ形で農地の集積を更に加速をしていきたいというふうに思っております。
 それから、二十四年度の方の集積協力金の実績でございますが、これは先ほどと同じでございますけれども、六月の十日までに都道府県から国に報告をされることになっておりますので、まだ正確な数字がちょっと分かりませんけれども、大体四、五千ヘクタールではないかというふうに見ております。
#46
○福岡資麿君 着実に少しずつ進んでいるということはあろうかというふうに思いますが、元々その目標がたしか五万ヘクタールとかに対して、二十三年度が一万七千ヘクタール、二十四年度も増えているということですが、当初の目標に対して言うと、まだまだその達成状況としては低いということがあるというふうに思います。
 これは、先ほどの青年就農給付金もそうですけれども、人・農地プランを作成してその地域の中で若い方々にしっかり担い手として育っていただく、そこに農地が集積するというのは、今後の農政という意味では核の部分でありまして、そこが着実に進んでいるとはいえ、まだまだ当初の予想に対して十分に進んでいないということがあるとすれば、これはきっちり今後状況を見極めていきながら、どういう対応を考えていくかということを更に検証していただく必要があろうかと思いますが、その点について是非大臣からお願いします。
#47
○国務大臣(林芳正君) まさに福岡先生からお話がありましたように、特に土地利用型と言われる農業については集積を加速するということは大変大事なことではないかというふうに思っております。
 したがって、今局長から答弁いたしましたようなことをずっと積み重ねてやってきてそれなりに成果は上がっているということでありますが、さらに、今朝の閣議で、第一回目の官邸での農業の本部を行いましたが、こういう中での検討も踏まえながら、まだ仮称でございますけれども、県段階の機構、今、公社というふうに言っているところが多いと思いますが、これを衣替えをして抜本的に強化をすることによって、やはり受け手と出し手の間に入っていろんな集積を戦略的に考えて、そしてある意味では分散、錯綜しておりますところをある程度まとめてから受け手に出すと。その間の土地改良もできるということ。また、耕作放棄地が生じるのを待つということではなくて、あらかじめある程度の年齢の方などを対象にいろんなことをお聞きして、そろそろこういう方に集めていきませんかと。これは、人と農地プラン、今お尋ねいただいたようなところもやっているわけでございますが、そういうところを強化し、予算それから法制度等々強化をしてこういうことを進めていくことによって更なる大事な集積化の加速ということをやっていきたいと考えておるところでございます。
#48
○福岡資麿君 大臣から力強い決意表明をいただきました。ありがとうございました。
 林大臣も先週末、九州に来られたということでありますが、実は安倍総理も九州入りをされまして、その際に私の地元佐賀県でも対話集会を行われました。その際に、農業関係者と意見を交わされた際に、六次産業化の必要等についても総理も御主張をされたところでありますので、六次産業化ファンドについてお伺いをさせていただきたいというふうに思っています。
 機構は、本年三月に十八のサブファンドに対して出資を行うということを決めて、また、五月の九日には二つのサブファンドに対して新たに出資をすることについて認可の申請を行っているというふうに承知をしておるわけでございます。
 機構の成立からこれまでの動き、現段階のサブファンドの設立の状況についてどのように評価されているのかについてまずお伺いしたいと思います。
#49
○大臣政務官(稲津久君) お答えさせていただきます。
 農山漁村における所得と雇用の拡大を図るために、農林水産物の活用を二次産業、三次産業につなげて、これを大きく高めていく取組によりまして農林漁業が持つ潜在的な成長力を顕在化させると。このことが重要であるということから、この取組を強力に推進するために、出資と経営支援を一体的に行う株式会社農林漁業成長産業化支援機構、A―FIVE、これが二月の一日から営業開始をしております。
 今御指摘のサブファンドに関してですけれども、三月の下旬に十八のサブファンドに対してA―FIVEから二百三十億一千万の出資が決定をされまして、さらに、現在、二つのサブファンドにおいて出資決定に係る認可の申請が行われているところでございます。
 このようにサブファンドによる支援体制の整備が着実に進んでいると、このように認識しているところでございます。
#50
○福岡資麿君 機構の職員の方々も大変御努力いただいているというふうに思います。
 実は、私の地元の方でも、私の長年来の友人が今そのサブファンドの設立に向けて地元で汗をかいているという状況でございまして、地元だけではなかなか十分なノウハウがない中で、サブファンドの設立からフォローアップに関して、機構の職員の方々が度々現地にも入られて、地域の勉強会とか関連する団体へのサポートをしていただいているということが大変心強いということでありまして、こういった取組のバックアップ、更に進めていただきたいというようなことでございます。
 現在、機構も、定員三十六人に対して今二十六人の職員ということでございまして、まだ定員もあと十人枠があるわけでございます。更なる充実の方をお願いをしたいということを要望だけ申し上げさせていただきたいというふうに思っています。
 また、この機構については、これについては生産者が二五%以上の出資をするということが前提となっているということでございますが、やはり地方ということになると、なかなか生産者の中にも出資するだけの原資を持っていらっしゃらないところもあったりして、そういったところに金融機関も与信を付けることが難しいケースというのもあるやに聞いていまして、そういったところをどうやってサポートするかも一つの大きな課題だろうと思いますが、その点についてお伺いさせていただきます。
#51
○政府参考人(針原寿朗君) このA―FIVEは、いわゆる六次産業化の取組を現場レベルで強力に推進しようという目的で設立されております。この六次産業化の取組につきましては、小規模な農家も大きな農家もひとしく頑張っていただきたいなと思っているわけでございます。
 特に、このA―FIVE、出資の手法で支援するわけでございますが、この出資だけが万能薬ではないと私どもは考えております。最初に六次産業化に取り組まれるときは、まず人を雇うというところからかかって、いろいろお悩みがあるというふうにも承知しております。そういう方にはプランナーによる個別相談をしてあげる、あるいは、トライアル期間につきましては補助や融資で少し規模を大きくする取組を助けてあげる、力が付いたときに出資という形で新しい会社を設立していただくと、こういういろんな手段を講じながら取組を進めたいと思います。
 今の御質問の、その際に小さな規模の農家について、きちんとした取組ができるという方については、ファンドの方式による支援も十分可能なようなことをしなければいけないとも考えております。その際には、例えば地方銀行が主体となったファンドが小さな取組についてもきちっとフォローしてあげる、あるいは、金融的な手法でございますが、議決権のない株式を事業者の方に出資していただくとか、あるいはA―FIVEから直接、資本性劣後ローンの貸付けを行います。ですから、劣後ローンの形で資本増強を行っていただく。そういうような一つ一つの経営体の実情に応じて御希望に沿えるように頑張っていきたいと思っております。
#52
○福岡資麿君 是非きめ細やかな対応をお願いをさせていただきたいと思います。
 最後に、先ほども申し上げましたように、林大臣、先週末、九州にもお越しいただいたということで、漁業関係者の方とも意見を交わされたというふうに承っております。今日は諫干のことについては聞きませんが、今回、有明海については二枚貝の新しい実証実験も始まるという、非常に前向きなことが始まるということも聞いております。有明海の再生について大臣の意気込みをお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#53
○国務大臣(林芳正君) この週末九州へ参りまして福岡県で、有明海を取り巻く四県の漁協の皆さん、佐賀県、熊本県、福岡県、長崎県の四県の漁協の方がそろってお会いをしていただきまして、今まさに先生がおっしゃっていただいたように、この有明海の漁業をどうやって振興していくかということで、御要望をいただくとともに、かなりいろんな意見交換、現場のお話も聞けて大変有り難かったなというふうに思っております。
 そこでも話題になりましたが、赤潮、それから貧酸素水塊という、酸素が少ないのが塊で水があると、こういうものが発生していると。それからもう一つ、今年、今年というか去年ですね、九州北部豪雨で漁場へ泥が入ってきて堆積してしまっていると。いろんな事業で畝をせっかくつくったのを、また泥が上からかぶさると、こういうことがあって有明海の基幹のノリ養殖や二枚貝の漁業に大変大きな影響を与えているということを改めて認識をさせていただきました。
 農林水産省で技術をいろいろと研究をしまして、二十五年度から垂下養殖と、ウオーターメロンのスイカではなくて、つり下げる、垂直にですね。普通、養殖というのは平面的にやるんですが、そうするとどうしても酸素がないところに行ってしまうということで、網なんかに入れてつり下げて、酸素があるところで貝が生息できるような技術というのをずっとやってまいりまして、アサリやタイラギをこういう形で養殖すると、こういう実証実験始まりまして、それについてもいろいろ意見交換ができたところでございます。
 こういういろんな取組、それから予算、先ほど畝をつくるとか覆砂をするとか、いろんなことがあると思いますけれども、そういうことを通じてやはり豊かな海を取り戻さなければならない、そして浜の方が元気になると、このことをしっかりと推進してまいりたいというふうに思っております。
#54
○福岡資麿君 ありがとうございました。
#55
○横山信一君 公明党の横山信一でございます。
 それでは、ゼニガタアザラシについてお聞きをしてまいります。
 先日も予算委員会で石原大臣に急遽のこのゼニガタアザラシ対策の変更についてお伺いをしたところでありますが、その場でも大臣の方から御答弁がございましたけれども、この個体数調整の見送りについて現地で説明会を開催をするということでございました。それはどのような状況であったのか、まず伺います。
#56
○政府参考人(伊藤哲夫君) 五月十四日に本省から担当官をえりも町に派遣いたしまして、漁業関係者や役場の職員の皆様に集まっていただきまして、今年度予定しておりました試験捕獲の中止や新たな防除事業の実施などについて説明をいたしたところでございます。
 地元関係者からは、試験捕獲の中止について非常に厳しい御意見をいただくとともに、ゼニガタアザラシによる漁業被害の深刻さについて再度訴えがございました。また、今後作成する保護管理計画については十分地元と調整してもらいたいと、こういった御意見もあった次第でございます。
 環境省としましては、引き続き地域の声をしっかり聞きながら、防除事業を中心とした被害対策を進めるため、今後とも漁協等と十分調整を図ってまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
#57
○横山信一君 私も非常に厳しいというふうに聞いておりました。
 元々、このゼニガタアザラシの自然保護管理計画というのは、環境省の北海道事務所がえりも地域ゼニガタアザラシ生息等調査というのを実施をして、その中で東京農大の小林先生のグループなんかが、生息頭数が急激にゼニガタアザラシが増加をしていると、一方で、急激な増加に伴って漁業被害が発生をしているということをその中で明らかにされてきたわけであります。
 環境省では、これを受けて、絶滅危惧種の見直しを含めて、このいわゆる自然保護管理計画というものに取り組むことになったと。本来であれば昨年四十頭の捕獲ということが予定されていたんですが、残念ながらこれが条件が整わなかったということで、今年、昨年分と合わせて八十頭ということで計画をされていたところが、突然こういうふうになったわけです。
 そもそも、じゃ、この自然保護管理計画に取り組むことになったその背景といいますか、どうして取り組むことになったのか、そこのところを伺います。
#58
○副大臣(田中和徳君) もう横山先生が一番よく御存じのことでございますけれど、環境省では、ゼニガタアザラシによる漁業被害が深刻であることを受けて、昨年度より、絶滅危惧種ではあるものの個体数調整も視野に入れた総合的な対策を行うため、保護管理計画策定を進めてきたところでございます。
 個体数調整については、検討会等において専門家の意見も聞きながら、実施の効果や必要性についても今後検討することとしていたものでございまして、実施についてはまだ確定していたものではなかったというところがございます。仮に個体数調整を行うこととなった場合には、生息環境への影響等を考慮した捕獲手法が必要となります。このため、今年度は、計画策定の検討の中で、捕獲手法の検討のための試験的な捕獲に限って、四十頭という数字が今先生からもお話がありましたけれど、予定していたものでございます。
#59
○横山信一君 捕獲も検討するというふうな言い方をされましたけれども、元々は、この小林先生のグループなんかで明らかにされてきたことの内容というのは、これはゼニガタアザラシに発信器を装着をして調査をする。そうすると、定置網の中に入ってくると。定置網の中に入って、今日資料をお出ししましたけれども、このようなサケが食い荒らされると。食べてくれるならまだいいんですが、この写真見て分かりますように、食べるというよりはいたずらをするという、それに近い食べ方なんですね。だから、頭だけかじって全部殺してしまうと。そうすると、このサケはもう商品価値がなくなってしまうわけですから、網を上げるたびごとにこういうサケが出てくるという、その状況を想像していただきたいわけでありますが、こういう状況が続いてきたと。
 その中で、本来、ゼニガタアザラシというのは泳ぎ回るサケを捕まえて食べるわけです。それが定置網の中に入ってきて、こういういたずらというか食べることをするということで、これは、本来持っているゼニガタアザラシの生態が変わってしまったということがこれまでの調査で明らかになった。要するに、人の漁業に対してゼニガタアザラシが過度に依存した生態に変化してしまったと。だから、こういった生態が変化してしまったところに対してしっかりと対策を打っていこうじゃないかというところの中に本来の捕殺というか捕獲の話が出てきたわけです。
 また、もう一方で、この定置網の中には幼獣も入ってくるわけですが、小さな個体ですね、幼獣はサケを食べていないと。要するに、だから、定置網の中に入ってくることを学習してしまっているゼニガタアザラシをしっかりと駆除というか、対策を立てることによって本来のゼニガタアザラシの生態系を維持しようということがこの調査の目的だったはずです。それを今回突然中止にしてしまったという科学的な根拠というのが、自然保護管理計画にはこういった根拠があったわけですね、それを覆したわけですから、その覆す根拠というのは一体何だったのか、伺います。
#60
○副大臣(田中和徳君) ゼニガタアザラシは日本における絶滅危惧種に選定された動物でありまして、個体数の調整は慎重にすべきであると、こういうところがまずございました。それから、一定数捕獲したとしても被害が減少するかどうかの確率性が低いこと、襟裳岬周辺に特にゼニガタアザラシが集中しておりまして本当に深刻な事態でございますけれど、そういう面がございました。それで、今回、試験捕獲も含め個体数の調整を取りあえず行わないと、こういうことでございます。
 漁業被害の深刻さについては、何度も申し上げますように認識をしておりますので、地域の声を聞きながら、ゼニガタアザラシの網への侵入を防止するなどの漁業被害防止のための事業の実施を中心として対策を行ってまいりたいと思います。できる限り地元の漁業者の方々にその役割を担っていただき、少しでも収入等につながる道を検討していくことができればと、このような思いもございます。
 いずれにしても、環境省の研究費の中でも漁具の改良等を通じた被害軽減手法の検討を行う予定であります。この点については、もうさんざんやったけれどなかなか効果的でないと、こういう御指摘もいただいておりまして、私たちも更に重ねて検討をするということにしてまいりたいと思います。
#61
○横山信一君 本当は石原大臣に言いたいんですけど、田中副大臣にどうしても厳しいことを言ってしまうのは何か心苦しい面もあるんですが、ただ、やっぱり言っておかなくちゃいけないので言わせていただきますけれども、今、防除対策という話がありました。一方で、副大臣の話からもありましたけれども、効果がないという漁業者からの話もあったということでありますが、この防除対策という部分ではこれまでトドではさんざんいろんなことをやってきているわけです。じゃ、そのトドの追い払い効果というか防除対策、今までどんなことをやってどういう効果を出したのか、伺います。
#62
○政府参考人(本川一善君) 水産庁におきましては、これまでトドによる漁業被害防止対策の一環として、音響や花火等による追い払いの技術開発を行ってきております。このうち、爆音機というので大きな音を出してトドの上陸を阻止するということについては一定の効果が見られているところであります。
 一方で、水中で音波を発生させて網に近寄らないようにするというようなことについて取り組んだわけであります。これは、まず刺し網について取り組んだわけでありますが、刺し網というのは非常に長い網を使ってやる漁業でありますので、そのところどころに音波の発生装置を付けるといったようなことになるわけでありますが、どうしてもやはり長い網に付けていくということで、余り大きなものを付けると網が沈んでしまいますので、そのようなことでやったところ、平成二十年度にやったわけでありますが、必ずしも十分な忌避効果は得られなかったと。その原因としては、やはり音源の出力不足、それから周波数の不適合、こういったことが該当するんではないかと思います。
 それから、もう一つ問題になっている定置網でございますけれども、この定置網については残念ながら調査をいたしておりません。定置網については、入口が一か所であるといったようなこともありまして、調査をということもありますが、強化網の方でいろいろ開発をし取り組んでいる、そのような状況にあるわけでございます。
 引き続き、こういう防止において有効な追い払い手法の検証に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
#63
○横山信一君 最後、引き続きという話がありましたけれども、要するに、今までやってきたけれども、それで有効ななかなか結果が出てこないと。有効な結果が出てくれば今もってトドが問題にはなっていないわけでありますから、そういう意味では、一時的な効果は得られるけれども、なかなかそれは持続しないというのが実態なんですね。
 そういう中であって、先ほどもお話をしましたけれども、間引きをする効果ということを調べるということも本来、今回の調査の目的だったんですね。定置網に入ってくる成獣あるいは亜成獣というのを間引きをすることによって、まだ学習をしていない個体を多くすることで、この漁業被害を減らせるんじゃないかと、それが今回の調査の目的でもあったわけです。そういったことをやらないで防除対策をするという、それはなかなか理解はできないわけですよね。
 一方で、じゃ、これちょっと局長に伺いますけれども、ゼニガタアザラシ、これは国内ではレッドリストに入れているわけですが、国際的にはどういう評価になっているか、伺います。
#64
○政府参考人(伊藤哲夫君) IUCNの作成しているレッドリストには絶滅危惧種としては指定はされていないと、日本のレッドリストで、日本国内においては絶滅種だと、こういうふうなことの整理にされているところでございます。
#65
○横山信一君 要するに、トドよりもこのゼニガタアザラシというのは数が多いわけです。非常に多いんです。ですから、多分にこの問題というのは国内問題なんですね。
 なおかつ、先ほど申し上げたように、生態が変化をしているということは、これは本来の自然保護の観点からいうとおかしいんじゃないですかね。生態が変化しているということに対して何らかの対策を打つというのが本来の筋じゃないでしょうか。これも局長に伺います。
#66
○政府参考人(伊藤哲夫君) 様々な観点から、今回の調査についていろんな検討が行われてきたことは事実でございます。いろいろそういった中で、今回、試験的に捕獲するといったことは当面見合わせたということでございますが、これは、大変恐縮ですが、この理由につきましては、先ほど来副大臣の方からも御説明申し上げているとおり、我が国における絶滅危惧種に選定された動物であるということで、個体数調整は慎重に検討すべきだと、こういったこと。一定数捕獲したとしても、被害が減少するかどうかは、確実性という面でも、これはいろいろな議論があるということは承知しておりますけれども、そういった問題もあるということで、当面、試験捕獲を含めた個体数調整を行わないと、こういうふうにしたところでございます。
#67
○横山信一君 論理が破綻しているわけですよ、要するに。今まで調査を積み上げてきて、そして生態が変化をしていると。そこに対して、自然保護の観点からも、そしてまた漁業被害を低減させるという観点からもこの自然保護管理計画を立てたということなんですね。それを今回いきなり変えてしまったと。こういうのを朝令暮改と言うんですよ。
 だから、現場を把握しないでいきなり変えてしまうと、これは現場は納得しません、こういうことでは、こういうことをやられてしまったんでは。これはもう環境省の、本当に信用されなくなってしまいますよ、こういうことをやってしまうと。まあ言ってみれば言いがかりみたいな感じになるわけですけれども、この現場をどうやって納得させるのか。本来だったら、今言っている個体数調整を見合わせるということを本来中止するべきだと私は思いますけれども、どうですか。
#68
○政府参考人(伊藤哲夫君) 保護管理計画自身はまだ策定されたというわけではございません。今後、地元ともいろいろお話を進めながら計画作りをやっていきたいというふうに考えてございます。
 今回、いろいろ地元での説明会でも当然、先ほども申し上げたとおり、地元から厳しい御意見があったということも重々承知をしております。そういった中で、どういったことができるのかといったことについては十分地元ともお話合いをしながら進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
#69
○横山信一君 じゃ、進めていくというのであれば、これはもう漁業補償しかないんですけれども、これは副大臣はどうですか。
#70
○副大臣(田中和徳君) 漁業補償はなかなか我が国ではこういう形では実行されたことがない状況にございまして、なかなか漁業補償というところに結論を、私がお返事をするという状況にないわけでございます。
 いずれにしましても、御指摘ありましたことを我々も深刻に受け止めております。また、四十頭の言わば捕獲等がなされなかったという現実も私自身重く受け止めておりまして、何らかの対策を目に見える形でしていかなきゃいけない、これは当然のことだと思っております。
 いずれにしましても、漁業被害の深刻さを受け止めて、地元と調整を図りながら、水産庁とも海獣類の被害防除対策について情報を得ながら引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
 いずれにしましても、漁業者の皆様方に何か少しでもプラスに向けて対応ができるように、こういうことでひとつ知恵を絞ってまいりたいなと、こう思っております。
#71
○横山信一君 えりも町の漁業者はえりもシールクラブというのをつくってきたんですね。これはほかの地域ではちょっと考えづらいことなんですけれども、えりも町の漁業者というのはこのゼニガタアザラシを非常に大事にしてきていたんですね。漁業と共存するということでシールクラブというのをつくって、この保護と、そして漁業と一体的にやっていくということをやってきたわけです。そういう中で、レッドリストにも載った、また、保護したかいがあって増えてきたと、しかし一方で急激にこの漁業被害が発生をしたということで、今回こういった問題になっているわけです。
 先日、予算委員会でも石原大臣は、農水大臣とも相談しながら漁民の方々が健全な漁業をしっかりできるような仕組みをつくっていかなければならないというふうに答弁をされました。この点について、林大臣、どう思いますか。
#72
○国務大臣(林芳正君) この問題は、横山先生が随分早いころからおっしゃっておられまして、私もできればいろんなそういうところの実態を見に行きたいとは思っておったんですが、ちょっとシーズンが外れてきたということもあるようでございますけれども。
 今それぞれ、環境省それから水産庁からお話があったとおりでございます。こういう問題はなかなか難しいなと。かつて野党時代に鳥獣被害の防止の議員立法を作るときもいろんな調整がございました。また、私、何度かIWCにも出席しておりますが、どうもそのIWCでのやり取りを聞いているような、いろんな難しい調整というのがあるなと、こういうふうに思いましたが。
 今日、委員から御指摘があった、国際的に今どうなっているのかということ、学名はフォカ・ヴィチュリナとか言うそうですけれども、このゼニガタアザラシが国際的にどういうことになっているのかということと、それからもう一つは、国内での御説明環境省からありましたけれども、これ、実際にはこのTのBからUにある意味で下がっているわけでございまして、こういうことを踏まえながら水産庁の方で、私といたしまして何ができるか、もう少しできないかということを考えるとともに、今環境副大臣からも知恵を出したいということがございました。そういうことをやっていくとともに、特にこの委員会やお地元での厳しい状況というのをもう一度環境大臣にお伝えをして、更なるいい知恵が出るようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#73
○横山信一君 時間が来ましたので、以上で終わります。
 よろしくお願いいたします。
#74
○山田太郎君 みんなの党の山田太郎でございます。
 本日は、農林水産の一般質疑ということで、農地集積バンク、それから中国の虎網の話を少しさせてもらおうと思っています。ただ、農地集積の方は先ほど幾つか質問も出ていましたので、私の方は、東シナ海の中国虎網漁船についての、特に日中漁業協定に関してお話をいただければと思っています。
 この中国の虎網に関しましては、先日のNHKの番組でも随分報道、特集がございまして、乱獲によってこの東シナ海の地域、魚も減ってしまうということが報告されておりまして、日本の漁業の皆さんも何とかしてほしいという声も大きくなっています。
 そこで、まず農林水産省さんにお伺いしたいんですけれども、この虎網漁船、又は虎網のこの実態を今どのように把握されておるのか、特に中国の虎網漁船は一体どれぐらいあると把握されているのか、教えてください。
#75
○副大臣(加治屋義人君) 中国虎網漁船については、昨年の日中漁業共同委員会等において中国側に情報提供を申し入れたところです。その結果、中国側から許可船リストが提供されたことから、これを基にして取締船により虎網漁船の照合を進めておりました。また、本年二月に拿捕した虎網漁船の船長等から様々な情報を得てきました。今回の日中漁業取締実務者協議において中国側から、国レベルで管理している虎網漁船は約二百九十そう、主要対象魚種はサバ、アジなどの情報を得たところでございます。
 今後とも、あらゆる機会をとらえて虎網漁船の実態把握に努めてまいりたいと思います。
#76
○山田太郎君 そうしたら、農水省の把握としては中国全体では二百九十そうであるという理解でよろしいんでしょうかね。ちょっと数が少な過ぎるのではないかというふうに余りにも思うわけなんですけれども、その辺ももう一度ちょっと御答弁いただきたいと思います。
#77
○国務大臣(林芳正君) 今、副大臣から答弁をさせていただきましたように、中国側からの情報、国レベルで管理していると、こういうふうに言っております。したがって、よく日中の間であることでございますが、中国の中央政府はこういうことをやっているけれども、現場若しくは省レベルといいますか、のところがなかなかそういうところに入っていないというようなことも、この件というよりも全体的にあることでございますので、あくまで、この今中国側から得られた情報というのは、国レベルで管理している虎網漁船が二百九十だという情報を得たということですので、委員御指摘のように、これが全部かと言われると、まだそこまでの全体の像を、これしかないというふうに言い切れるだけの情報はないということでございます。
#78
○山田太郎君 先週の木曜日と金曜日に二日間、東京で日中漁業協定の第十四回日中漁業共同委員会の準備会がされたというふうにお伺いしています。この虎網対策で日本側はどのような提案をされたのか、教えていただけますでしょうか。
#79
○国務大臣(林芳正君) 五月十六日、十七日と、日中漁業共同委員会の第一回準備会合、開催をされました。相互入漁の操業条件、また暫定措置水域の資源管理等、こういったことについての事前協議を行いまして、引き続き協議を行っていこうということになりました。中身につきましては交渉事でございますので差し控えたいと思いますが、あらゆる機会をとらえて、この虎網漁船の隻数や漁獲高、今お話ありましたように、そういうものも含めて情報提供をしてもらう、それから管理をきちっと強化するように求めていくと、こういうふうに考えております。
#80
○山田太郎君 今大臣お話ありました日中漁業協定の暫定水域では、日中両国が操業する漁船名ですとか、それから魚種の種類をあらかじめお互いに通知するということになっているかと思います。この通知された漁船等、魚種の中、特に漁船ですね、虎網漁船が入っているのかどうかということもお伺いさせてください。
#81
○副大臣(加治屋義人君) 日中漁業協定によって、中国の虎網漁船は我が国の排他的経済水域では入漁が認められておりません。一方、日中暫定措置水域等においては我が国の法令等が適用されないことから虎網漁船の操業が可能としております。
 虎網漁法は巻き網と底引き網を組み合わせたような漁法で、漁獲能力が高く、我が国水産業界に、水産資源に大変悪影響を与えるとの声が上がっているのも承知をいたしております。
 日中両国は日中暫定措置水域で操業する漁船名簿の交換を行っており、その中で漁船名及び漁業種類について通報をしております。御指摘の虎網漁船について、中国側の名簿上、巻き網にまとめて通報され、虎網と巻き網の区別が付けることができないところでございます。
 今後、中国側の漁船管理状況等を調査しつつ、引き続きあらゆる機会をとらえて中国側に対し虎網漁船の総数や漁獲高等の情報提供、管理強化等を求めていく所存であります。
#82
○山田太郎君 その日中漁業協定の話も見ていきたいと思うんですけれども、資料三の方を御覧いただけますでしょうか。
 日中暫定水域の漁獲の実績を今回お伺いしましたら、上限の漁獲量が中国が約百七十一万トン、それから日本が約十一万トンと。余りにも日中の間で大きな差がありまして、この数字を見てびっくりしたんですけれども。
 ただ、もう一つ、よく見てみますと、実際の漁獲の実績は中国が百七十一万トンで、これは上限の九九・九%を捕っているということになっているんですね。一方で、我が国は三万八千トンということでありまして、上限の十一万トンに対して三五%しか実際には捕っていないと。どうして日本の漁船はせっかく十一万トン捕れるという交渉をしているのに三万八千トンしか漁獲がないのかと。
 いろんな情報、報道によりますと、虎網漁船が日本の船を漁場から締め出していると、一列にこの水域に張り付いて入れさせていないんじゃないかと、こんなこともありますけれども、この辺り、見解いただけますでしょうか。
#83
○国務大臣(林芳正君) 今お話をしていただきましたように、この暫定水域では、協定発効時の漁獲実績、これをベースにして、二〇〇二年から今おっしゃっていただいたような数字を上限目標値ということで設定をしてございます。
 日本側の操業実績を確保しながら中国側の漁獲量を抑えるように協議はやってきたところでございますが、二〇一一年の操業実績は、今御指摘いただいたように、日本側三万八千二百七十八トンと。中国側も実は、上限目標値二百十三万トンですが、実績は百七十万トンということで、実績は下回っているということでございますが、数字を見れば分かるように、うちが三万八千に対して向こうは百七十ということですから、数字的には圧倒的に向こうの方が大きいと、こういうことであります。
 虎網の大きなものがそこにいて我が方のものがなかなか入っていけないというような今お話がありましたが、そういうことも含めてしっかりと我々の方で、せっかく枠を持っているわけですから、漁業がそういうことに煩わされずにきちっと操業していけますように、この日本漁船の安定的な操業確保ということ、そのためにこういうことをきちっとつくってやっているわけでございますから、しっかりと中国側と協議してまいりたいと思っております。
#84
○山田太郎君 安倍総理の方も、農林水産物の輸出を一兆円にするということで目指されています。水産物でいえばブリとかサバ、特にこの暫定水域、サバが多く捕れるということで、非常に重要な漁場だと思います。
 ちょっと今回の農水省さん又は水産庁さんの交渉を見ていますと、尖閣のこともあるんでしょうか、どうもちょっと弱腰というか、もうちょっと頑張ってもらいたいなと。少なくとも状況がどうなっているか、中国側からの数字しか分からぬということではなくて、例えば空中から写真を撮って把握するとか、いろんなまず方法が必要だというふうにも思いますし、この上限漁獲量に関しても日本の枠をできるだけ広げていく、そもそも水産大国日本というのの復活のためにはここのところが非常に重要だというふうに考えております。
 そういった意味で、今後の水産行政、特にこの問題に関してもうちょっと踏み込んで、どんな方針を出されようとされているのか、また、先ほどは交渉事だというふうにお伺いしましたが、非常に今回の漁業協定、重要なことだと思っています。せめても国民の方にメッセージというか、これは非常に報道もされていることですので、是非、大臣の方、並びに関係者の方から強いメッセージと方針、それからその中身、対策、教えていただきたいと思います。
#85
○国務大臣(林芳正君) 大変大事な御指摘だと思います。
 先ほど数字の話は、今、副大臣からお話しした数字はそういう性格だと申し上げましたが、それはもちろんそれだけにとどまる、交渉がですね、向こうからいただいてそれで終わりということではなくて、今後とも中国側の漁船管理状況、これは調査しなきゃいけないというふうに思っております。
 委員がおっしゃったようなやり方が予算上できるかどうかは別として、向こうの状況をやはり調査をする。漁船同士でいろいろそこにやっているわけですから、そういう方々からもいろんな情報をいただくということもあるいはあろうかと思いますが、そういうことをやりながら、おたくはこういうふうになっているではありませんかということをきちっとこの協議の場で相手に示して、厳しい交渉というものをやってまいらなければならないというふうに思っておりまして、そのことは交渉担当者にも徹底しておきたいというふうに思っております。
#86
○山田太郎君 そろそろ時間が来ましたので、是非、この問題、勇気を持って中国始め諸外国に対して日本の国益をしっかり主張していただいて、まずは状況の把握をしっかりしていただくと。それで、きちっと、今漁業協定は始まっているわけですから、そこで日本の権利を勝ち取っていく。それから、現場での乱獲防止、せっかく日本は守っているわけですから、中国にもそのことを国際的に守らせる強い姿勢で水産行政やっていただきたいと思って、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#87
○平山幸司君 青森県選出の平山幸司です。
 今日もTPP問題に関しまして質問をしたいと思います。
 先週、五月の十五日、予算委員会で安倍総理と、そしてまた林大臣にもお伺いをしましたけれども、もう一度確認をさせていただきたいと思います。
 自民党の聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加に反対という政権公約ですけれども、これは、交渉参加に当たりTPPは聖域なき関税撤廃を前提としていないということを確認したので、安倍内閣としては既に公約を果たしていると、こういう理解でよろしいでしょうか、大臣にお伺いいたします。
#88
○国務大臣(林芳正君) 基本的には今委員がおっしゃったとおりではないかと思います。総理もそういう御答弁だったと思いますが、一項目め、公約どうなっているかというと、今委員からお話がありましたように、聖域なき関税撤廃、これが前提になっている限りTPP交渉参加に反対する、こういう文面になっておりまして、このことは国民とのお約束ということでございますから、首脳会談における共同声明ということで明示的に、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではないということを確認するということで、共同声明に出たということでございますので、今委員がお話しになったとおりだというふうに思っております。
#89
○平山幸司君 そうしますと、TPP交渉に参加し、例えば交渉の結果、農林水産物について全て関税撤廃すると結果的になったとしても、それは交渉の結果であり、交渉結果を非難されることはあってもこれは公約違反ではないと、そういう今の大臣の認識ですね。
#90
○国務大臣(林芳正君) これは衆議院選挙の公約でございましたので、まだ入るか入らないかについて議論を行っていた段階での公約ということでございます。したがって、こういう書き方になっておりますが。
 今後は、既に交渉参加ということを決定し、そして手続がいけば七月の下旬には参加ということになりますから、当然ここの書き方は次の参議院選挙では変わってくるだろうというふうに思っておるわけでございまして、その公約作りに当たっては、これは我が党内の、自民党内のことでございますけれども、既に党の中に本部というものができまして、ここの本部で決議をいただいておりまして、これも国会で何度かお話をしたことがあると思いますけれども、重要五品目というようなものを入った決議をしていただいておりますし、同趣旨の内容をこの参議院の農水委員会でもしていただいておりますので、今度は、この衆議院選挙でのこの@ということは交渉参加するかしないかについての項目でございますので、これというよりは新しい公約はそういうことになっていくんではないかというふうに考えております。
#91
○平山幸司君 今の御答弁ですと、多分農家の皆さん、私は青森県で、地方の農林漁業に携わっている皆さんは、やっぱりだまされたなと、こういう気持ちを持ってもそれはもうおかしくないなというふうに感じるわけであります。
 結果として、交渉参加までであり、交渉参加後、結局は関税がどういうふうに結果的になるのであれ、交渉参加後は衆議院選挙で約束した公約には縛られないと、大臣、そういう考えですよね。
#92
○国務大臣(林芳正君) 誤解があるのかもしれませんが、これはもう読んでいただければ分かるように、交渉参加について、要するに交渉に入るかどうかについての公約ということでございます。
 その段階は一歩進んで、今度は交渉には参加をするということでございますから、今度はこの交渉参加したTPPなるものがどういうものになっていかなければならないのかということを、先ほど私申し上げたように、党でも御決議をいただきましたし、同趣旨の内容をここの委員会でも御決議いただいておりましたので、こういうものにしていく、この交渉でそういう国益を勝ち取っていきますというようなお約束に多分なるんだろうなというふうに思いますし、これは党のことですから、今私の立場としては、その決議を踏まえてしっかりと交渉をしていくということが今の立場でございます。
#93
○平山幸司君 やはり聞いてはっきりしましたけれども、前回の予算委員会でも質問させていただきましたけれども、一項目め、これが、結果がどうあれそこを乗り越えたということであれば、あと一項目めから六項目めまでははなから守る気はないんだなということを強く感じておりまして、それではいけないと、私はこういうふうに思います。
 そこで、今大臣が、参議院選挙においてはまたその約束が変わるというお話をしておりましたので、それでは、そこはどうなるのかということを少し聞きたいと思います。
 というのは、やはり一番目の聖域なき関税撤廃に関してでございますけれども、交渉の中で聖域を勝ち取るということに関して、自民党は、重要五品目、これを挙げているわけであります。例えば、米の関税は現在七七八%、麦は二五六%、牛肉三八・五%、例えば乳製品のバターは三六〇%等々、このタリフラインの全てにおいて関税水準が完全に維持されなければ日本は聖域を守ったということにはならず、結果として交渉は不発、脱退という判断をするのかどうか、これ、農林水産物ですので、その部分を大臣にお伺いします。
#94
○国務大臣(林芳正君) 先ほど私が申し上げました自民党の、これはもうちょっと中の話ですが、政務調査会の中に普通は政策を議論するものを置きますが、それを越えて党全体の本部ということで外交・経済連携本部を置きまして、その中のTPP対策委員会というところで決議が三月十三日にされております。
 全部を読むと長いのでそこの部分を読ませていただきますと、政府は、国民生活に対する影響を明らかにし、守るべき国益をいかにして守るかについての明確な方針と十分な情報を国民に速やかに提示しなければならない、そして、このTPP交渉参加に関する決議、これはそれに先立って二月二十七日に既になされておりますが、その実現に向けた戦略的方針を確立すべきであるということで、いろんなことを書きまして、それで農林分野でございますが、農林水産分野の重要五品目等やこれまで営々と築き上げてきた国民皆保険制度などの聖域、死活的利益の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすると、こういう決議になっておりますので、先ほど私が申し上げました決議、これが今の読み上げたところを含めた決議でございますので、これを踏まえてしっかりと国益を守るために交渉していくということを国会でも何度かお答えさせていただいているところでございます。
#95
○平山幸司君 決議を踏まえてというところまでに答弁がなってしまうんですね。そこをはっきりさせたいんです。要するに、その決議を踏まえて、踏まえた上で、現状の関税を一歩も譲らないことが日本として聖域を確保したという認識で、大臣、よろしいですか。
#96
○国務大臣(林芳正君) 私が申し上げているのはもう先ほど申し上げたとおりでございまして、これを踏まえて国益を守るために交渉に全力を挙げるというのが政府の立場であります。これは、党の決議ということと、それから党の公約ということでありますから、例えばよく総理が御答弁されるのは、どういう場合に脱退するのかということをよく逆に聞かれるわけでございますけれども、今から交渉を臨むときにあらかじめこういう場合には脱退をすると言えば、そこまでは逆に譲るのかということになってしまいかねないということでありますから、この決議を踏まえてしっかりと交渉に臨むということを申し上げております。
#97
○平山幸司君 よく手のうちを明かしてしまうのでそこははっきりと言えないというような答弁をされるんですけれども、これは手のうちを明かす以前の私は問題だと思っています。
 というのは、大臣、先ほど交渉参加に踏み切ったので、あとの一から六はもう、公約はもういいんだというような認識、ちょっとまたそれ少し時間があればやりたいんですけれども、そことは別に、そもそも自民党としてはこの聖域なき関税撤廃を前提とするTPPには反対という認識なわけでありますから、手のうちを明かす明かさないにかかわらず、この関税というものを一歩も譲らず守るということが国益を守るということだと国民、農家の皆さんも認識しておりますし、それを信じているわけであります。
 よって、今のその踏まえてという言葉、決議を踏まえてということ、それを踏まえてどこまでを聖域なき関税撤廃なのか、そうではないのかとするその基準を明らかにしていただきたいんです。大臣、そこのところをもう一度お願いいたします。
#98
○国務大臣(林芳正君) 先ほどの公約のところで、二から六までについて私何も申し上げておりませんので、一についてお尋ねがあったので、一について、交渉参加するかしないかについてのこれは明らかにそういう文章ですから、そのことについてはこの間の共同声明でそこの手当てをしたというお答えをいたしたわけでございまして、二から六につきましては、まさにこれは交渉参加するかしないかというよりは交渉そのものの話ということで、読んでいただければ分かるとおりのことでございますから、これは最初の段階で、交渉参加を決めるに当たっては、これに明らかに反する場合は交渉参加は難しいだろうと申し上げておりましたし、交渉参加になってからはこれ二から六までもきちっと交渉の中で実現していくということを総理も私も申し上げておるところでございますので、そこは誤解のないように申し上げておきたいと思います。
 今まさに平山委員がおっしゃっていただいたように、どこがどこまでなのかという基準を示せということが、私は申し上げている、じゃ、その基準までは譲るということに逆になってしまいかねないということでありますから、繰り返すようでございますが、この党の決議を示して、聖域なき関税撤廃という決議を踏まえてやっていくと、こういうことでございます。
#99
○平山幸司君 少し議論が、聖域なき関税撤廃の部分とその他の二から六までの部分でちょっと議論が二つ混乱する状況になってしまいましたので、もう一度この委員会でも、また今後も続けていきたいと思うんですが。
 もう一回最後に聞きます、大臣に。
 前回、三月二十一日、農林水産委員会でも大臣御答弁なさっておりますので、そうしますと、この一番目の聖域なき関税撤廃ではない、二から六の食の安心、安全であったり、あとはISD条項であったり、それらは公約として続いているんだと、これは間違いなく国民との約束で、それは守るんだと、そういう認識でよろしいですね。
#100
○国務大臣(林芳正君) ですから、先ほど申し上げたとおりでございますし、私もそういうふうに国会で答弁させていただいておりますし、政府としてですね。
 それから、公約ということはこれは党のお決めになることですから、党で今から参議院選挙に向けての公約というのは最終的に取りまとめられると承知しておりますが、それのベースになるべき文書ということで先ほど党の決議を御披露したわけでございまして、その中の第四グループ、これが農林水産委員会の範囲のところでございますが、そこにも例えば食の安全、安心の基準ですとかいろんな、漁業補助金というようなここには明記されていないことも書かれておると同時に、全体の決議の中で先ほど御指摘いただいた二から、二、三、四、五、六という五項目についても明記をされておりますので、恐らくはこの二から六のところも党として公約の中にきちっと入っていくんではないのかなというふうに思っておりますが、これはあくまで党でお決めになることということでございます。
#101
○平山幸司君 時間になりましたので、また次回、議論させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#102
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 私、今のやり取りを聞いていまして、大臣の答弁が変わっているなと、前回私が質問させていただいたときと随分変わっているなというふうに思って聞いていたわけですが、それはちょっとまた違う機会にやらせていただいて、また私も違う角度から質問したいと思います。
 五月八日の予算委員会のときに安倍総理に質問したんです。そのときに、私の、日本の農産品の重要品目について何か一つでも守れる約束は取れたんでしょうかというふうに質問したのに対して、現在これは絶対大丈夫だということを申し上げることは残念ながらできませんというふうに総理はおっしゃって、農産品の重要品目について、今何一つ守れる約束がないということを明らかにしたわけです。
 まず、この点で、農水大臣としてはどのようにこれ受け止めておられますか。
#103
○国務大臣(林芳正君) これ、五月八日の予算委員会は紙先生の御質問に対しての総理の答弁ということですが、紙委員の御質問は、何もまだ取れていないと、約束取れていないということですかと、こういう御質問でございました。総理の答弁は、まだ日本は正式にこの交渉に参加をしていないわけでございますので、現在これは絶対大丈夫だということは申し上げることは残念ながらできませんがと、そしてその後、まさにこれから始まる交渉の中においてと、こういう文脈でございましたので、これは御本人に聞いていただくのが一番確実だとは思いますが、このやり取りを見させていただければ、当然まだ入っていないので、今の段階で取れているものはないという趣旨で答弁をされたんだろうなというふうに私は受け止めております。
 まさに、総理が御答弁されたように、交渉の中で議論をしていくということでございますから、先ほど平山委員とやり取りさせていただきましたように、党や国会の決議を踏まえて、また共同宣言等々で農産物のセンシティビティーというのをきちっと、日本にあるということを両国の合意事項として、共通認識としてうたっておりますので、そのことを使いながらしっかりと確保に全力を尽くしていきたいと思っております。
#104
○紙智子君 米国との二国間の協議の中でもこの話というのはされているはずなんですけれども、それをめぐってもまだ何ら要するにそういう話合いができていないということの表れだと思うわけですよ。だって、オバマ大統領と安倍総理が二月に共同声明を上げたときに、要するに例外なき関税撤廃が前提ではないという話を確認できたということを言っているわけですから、当然その進み方としては、じゃ、日本の重要品目についてはこれこれのものを守りたいと思っているんだと、それについては確認できるんですかということは、二国間であっても本来しているはずなんですよ。それが何ら明らかにされていないということがあるわけです。
 日米共同声明で、両国共に二国間貿易上のセンシティビティーが存在することを認識しつつと、表現としてはしつつとしながらも、この日米の事前協議の決着で明らかになったことは何かというと、米国のセンシティビティーである自動車分野については最大限の関税の後ろ倒しという形で最大限の配慮がなされていると。さらに、日本の自動車市場の更なる開放という、この日米自動車協議を続行していこうということも決めているわけですね。
 さらに、四月二十四日の米国政府の、米国議会上院と下院ですね、この議長への書簡というのが出されていますが、これでは日本のセンシティビティーなどは一言も触れていないんですね。一言も触れていないですよ。
 農水大臣、こういう取扱いになっていることについて日本政府は何かアクションをしたのか、それとも唯々諾々とこれ米国政府に従っているんですか。
#105
○大臣政務官(稲津久君) 経緯も踏まえて私の方から御答弁させていただきます。
 今、紙委員からの御指摘のこの四月の二十四日の米国の通商代表部の件でございますけれども、これは、米国通商代表部から米国の議会へ通知された書簡については、これは米国内の手続に基づいて米国通商代表部が国内向けに説明を行ったと、このようなものであるということで承知をしております。
 我が国の農産品に関するセンシティビティーについてですけれども、これは先ほど紙委員からも御指摘もありました二月の日米首脳が出しました共同声明、それから四月の日米合意の往復書簡、この中で確認をされていることでございまして、我が国としては、これらの日米間の共通認識、これをしっかり踏まえて国益を守り抜き、聖域を確保すると、このことに全力を尽くす考えでございます。
 以上でございます。
#106
○紙智子君 今の答弁からいうと、結局これは全然そのことに対してアクションしていないということですよね。言われるままに今従っているというようなことだったのかなというふうに思っているわけです。
 それで、あれはアメリカ向けの国内向けに出しているものだからという話するんですけど、その言い方も私絶対おかしいと思うんですね。だって、USTRの作っている文書というのは、これは日本との交渉があったから、それに基づいて国内にも発表しているわけで、これはいいかげんな作り話でやっているわけじゃないわけで、合意が日本とあるところをやっぱり発表しているわけですからね。
 それから、このTPP交渉で最大限の交渉力を発揮してやるんだというふうに言っても、これ、この間の経過からいうと、総理大臣自ら三月十五日の記者会見で、既に合意されたルールがあれば、遅れて参加した日本がそれをひっくり返すことが難しいのは厳然たる事実ですと言って認めているわけですよ。
 それだけではなくて、七月の会合の参加も、これ流動的なんじゃありませんか。必ず参加できるかどうかということもまだ決まっていないと。現時点で確実に参加できるというのは九月の会合だけですよね。だとすると、このたった一回の会合で日本の農業を守ることができるのかと。守れるって言うんであれば、具体的なその根拠についてどういうことがあるんだということでお答えいただきたいと思います。
#107
○国務大臣(林芳正君) まず、先ほどのUSTRから米国議会へ出されたものということですが、これはまさに政務官から御答弁をさせていただきましたように国内向けの説明ということで、それでは逆に、日米共同声明ですとかこの四月の往復書簡、これはお互い合意している文書で表に出させていただきましたが、これについての説明を我が国で例えば我々が関係者に対してやるとか経産省がやることについて、一々USTRがこういう文章にしろということを言ってくるんだろうかといえば、それはないわけでございまして、あくまでもそれぞれ自分たちの関係者について説明をすると。ただ、申し上げなきゃいけないことは、この共同声明、それから往復書簡、これは公開されておりますので、全ての関係者の皆様は見ることができるという前提の中でやっているということは申し上げておきたいと思います。
 それから、七月の交渉の見通し、これは今まさに最終段階で、今、大体会合の最後に次の会合の場所、時間等を決めるということでございますから、今やっております会合でこれは最終的に決まるということで、実質的な議論にきちっと参加をできるように引き続き関係国に働きかけている状況であるというふうに考えております。
 その後、九月ということは予定をされておりますが、これも申し上げましたように、今度は七月の会合がもしあれば、あるということで今やっているわけですが、今度は七月の交渉の最後に次はどこでどれぐらいやるかということを決めていくということでありますから、その時点では正式に我々が入っていると、こういうふうに思いますので、しっかりと情報収集、交渉参加しながら、それに向けて対応をするということでございます。
#108
○紙智子君 今のお話聞いていても、全然見通しが見えないわけですよ。何の勝算もなくTPP交渉に参加しようとしているじゃないかとしか言えないわけですね。
 米国政府は、これ五月七日に交渉方針を策定すべく、日本のTPP交渉への参加に関連する全ての要素についてパブリックコメントを求めると、官報の公示を出しました。それで、そこには日本による特定の品目の取扱いということもコメント対象としているわけですよ。つまり、日本が重要品目としている農産品についても、新たに業界団体からコメントを求めようとしているわけです。要するに、TPP交渉で、これ徹底的に日本を追い詰めていって、この関係業界団体、多国籍企業から更なる要求を求めるという場を設定しようというわけですよ。
 そういうふうになっているときに、もうたったその一回しかできないかもしれない、そういう会合で日本の主張をどれだけ反映させられるのかと。言ってみれば、業界団体はもう、米も含めてそうですけれども、日本に対して例外は認めないんだと、もう全部開けろというふうに言ってくるわけですよ。そういう場がたくさん設定されている中で、それに対してどれだけ日本が頑張ってやって取れるのかということでいえば、もう到底その日本の主張を反映させることっていうのは到底これはできないんじゃないかというふうに言わざるを得ないわけですよ。
 ですから、今こそこれ、農林水産業を守るためには交渉撤退を決意すべきだと、もうこの段階で決意すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#109
○国務大臣(林芳正君) 同じお答えになってしまうかもしれませんが、交渉参加国は本年中の交渉妥結を目指して交渉を続けているということでございますが、しかし実際の交渉がどういうふうになっていくかということはまだ予断を許さないところでございますし、我々も交渉に参加すれば、先ほど平山委員とのやり取りで言わせていただいたような方針できちっと交渉してまいると、こういうことでございます。
 したがって、今の段階で委員がおっしゃっているような、もう駄目だからやめてしまえということはないのではないかというふうに考えております。
#110
○紙智子君 私は、もうちょっと見通し持てないなというふうに思いますよ、率直に言って。ですから、是非撤退すべきだと。農水大臣はそのことを是非閣僚会議の中でも言っていただきたいし、その立場で力を尽くすべきだと思います。
 あとはまたやりますけれども、今日もう一つ最後に質問しておきたいのは諫早湾の干拓事業の問題です。農水省としてこの開門に伴う有明海などの環境変化を調査するわけですが、その調査のスケジュールが出されています。こういう形で出されているわけですけれども。
 それで、二〇一二年から二〇一三年にかけて事前の調査をやると、二〇一三年から二〇一八年にかけて開門時の調査をやって、二〇一八年から閉門後の事後調査をするというふうになっているわけですね。なぜ閉門なのかと。福岡高裁の判決は、これは排水門を開放して、以降五年間にわたってこれを継続するということは決まっているわけですけれども、閉門時期については何ら書いていないわけですよ。何でこれ閉門ということになっているんですか。
#111
○副大臣(加治屋義人君) 諫早湾については、紙先生全くおっしゃったとおりでございまして、福岡高裁の判決、これは、国は本年十二月までに排水門を開放して、以後五年間にわたって開放を継続せよと、おっしゃるとおりでございます。これを受けまして、従来から意見交換等の機会に、開門は五年間行うのであって、五年たったら閉門すると説明してきておりまして、昨年、当時の郡司農林水産大臣が長崎を訪問されたときにも、長崎県関係者に対して同じ旨を述べておられます。これは、判決文において、五年間にわたって開放を継続せよとされている以上、五年たった後の時点についてまで国は法的に拘束されるものではないとの考え方に立っているところでございます。
 以上でございます。
#112
○紙智子君 趣旨は、やっぱり実際に開けて調査しなきゃいけないと。その結果、改善されるかもしれないわけですよね。改善されても止めてしまうわけですか。改善されたらやっぱり開けて、もっとやっぱりそれに、確かめられた中身に基づいて進んでいくというのは当たり前であって、それをもう最初から、そもそも開けてもいないうちから閉めることを言うというのはおかしいんじゃないですかね。
#113
○国務大臣(林芳正君) 今、副大臣から答弁いたしましたように、裁判の判決は五年間にわたって開放を継続せよと、こういうことでございました。したがって、その後については法的な拘束はないということで、我々としては、郡司前大臣の時代でございましたけれども、長崎関係者に対してそういう説明を行ってきて、開門は五年間行うのであって、五年たったら閉門するという立場を取ってきておりますので、今、同様にそういう立場を取らせていただきたいと思っておるところでございます。
#114
○紙智子君 全く納得できないわけで、今、長崎側に閉めることを説明してきたんだというんだけれども、実際に原告団は全然説明を受けていないわけですよね。本来だったら、これ勝訴した側の意見もちゃんとやり取りして、その後拘束されていないというんだったら余計話し合わなきゃいけないはずなのに、それをやらないで一方的に閉めることを約束するというのは、これちょっと行き過ぎだというふうに思うわけですよ。
 それで、漁業者の皆さんは、やっぱり豊かな海や宝の海を戻してほしいと願っていて、やっぱりそういう立場に立つならば……
#115
○委員長(中谷智司君) 申合せの時間を過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
#116
○紙智子君 はい。
 農業も漁業も大事ですから、農水大臣としてはその立場でやっていただきたいということを、撤回していただきたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
#117
○舟山康江君 みどりの風の舟山康江でございます。
 今日は、私は、政権交代後、強く農水省としても、また内閣としても進めておりますこの攻めの農林水産業に関して質問をさせていただきたいと思います。
 折しも今日、今日付けで農林水産業の強化策を検討する関係閣僚会議が立ち上がったと聞いておりますし、また、これに合わせて農林水産業・地域の活力創造本部でしょうか、内閣官房にこういった実行部隊も立ち上がっているということでありますので、この攻めの農林水産業の考える方向性、目指すべき方向性、そしてこれの実現可能性についてお聞きしたいと思います。
 まず最初に、私も攻めの農林水産業を全て否定するつもりもありませんし、やはり大規模化をして効率化を図っていくというこの一般的な方向はそのとおりだと思っております。ただ、この大規模化に伴って非常に効率的な生産が増えて供給が過剰になるという懸念も今現在実際に起きております。
 例えばキノコでありますけれども、ナメコ等のキノコ類で、ある地域でかなり大規模な生産施設ができました。これに伴って供給量が二割ぐらい増えているという中で、価格が非常に今大きく低下していると。私は、これは別にこのキノコのことを聞くつもりはありませんけれども、こういった現状があちらこちらで起きる可能性があると思うんです。効率化を図って付加価値を付けていって、それに対する供給、今は非常に少ない供給だからこそそこに付加価値が生まれておりますけれども、それが一般化をして大衆化をしてどんどん増えてくるとなれば、その品目の、その作目の価格というのが量の拡大によって大きく下落するという懸念というのは付き物ではないかと思います。
 こういう懸念に対してどのように対処するおつもりか、お答えいただきたいと思います。
#118
○国務大臣(林芳正君) 大変大事なポイントだというふうに思います。
 まず、その前に、攻めの農林水産業とかいうと、どうも今の委員のように、大きくしていく、強くしていくというところばかりが強調されやすいので、今日の本部でも、産業政策と地域政策の両面から農林水産業、農山漁村地域の活力の向上を図っていこうということで趣旨を徹底したところでございまして、その一つの大きな産業政策という意味では、今委員がおっしゃったところあるわけでございますが、攻めというとそこだけではないということをまず申し上げておきたいと思いますが、その上で、やはり関連産業分野、特に食の分野、ここを含めて農業者が川下に下りていって十分な所得を確保できるということが大事だと思っております。
 規模拡大をやって生産コストを低減してたくさん作っていくということですが、まさに需要にかかわらずに供給を拡大すると何が起こるかというと、まさに今委員がおっしゃったように価格が下落をするということは、我々のような経済学を途中で余り勉強しなかった者でもそれくらいのことは分かるわけでございまして、そういう意味では需要サイドのニーズを敏感に酌み取りながらそれを生産と結び付けていく、フィードバックしながらこの循環をつくっていく、ここが非常に大事だと、こういうふうに思っておりまして、先般成立させていただきました予算、二十五年度予算でも新規事業として四十億円を計上して日本の食を広げるプロジェクト、これを創設しておりまして、ニーズに応じた商品開発をするとか、それから海外市場の発掘等による輸出等の増大、国産の農林水産物の利用拡大と、こういうことを進めていくことによってやはり需要のフロンティアを拡大するということを、先ほど委員がおっしゃった供給サイドの強化ということと併せてやっていく必要があるというふうに考えております。
#119
○舟山康江君 今まさに大臣からお答えいただきましたけれども、私はやはり農業政策を考えるに当たって産業政策的な側面と、それから地域政策的な側面を総合的に考える必要があるんだと思います。
 ただ、私、今両方考えるんだということを言っていただきましたけれども、今出ているその攻めの農林水産業、見えているところ、部分だけをとらえますと、非常にこの産業政策的側面ばかりが目立っていると思います。規模拡大をする、農地を集約化する、そして外にも活路を見出して輸出を倍増していくということですね、あと六次産業化、そういうことを進めていくことによって、そこに全ての農業の現場が乗っかれるということに私はならないと思うんですね。
 ですから、そういう中で、じゃ、地域を考えたときに、まさに農業のこれ今の政権の中でも多面的な機能ということを随分強調しておられますけれども、この多面的な機能というのは、大規模農家がいればそれが発揮できるというだけではなくて、やはり中小の小さな零細農家がいて、高齢農家がいて、そこでいろんな支え合い、助け合いのコミュニティーを築きながらそれを発揮していくんだと思うんです。そういう役割というのはこの攻めの農林水産業の中にどのように位置付けられて、どう支えていくつもりなのか。一時期、前の自民党政権のときですね、品目横断経営安定対策事業、この政策の中では、やはり規模でその政策対象者を絞るという方法を取ったと思いますけれども、こういう方法をこれからも取るのか、また、それとも中小のそういった農家の役割に対してもしっかりと支えていくのか、そこが非常に産業政策的な側面を強調する余りに見えなくなっているわけなんですけれども、そこはどのように融合させていくおつもりなのか、教えてください。
#120
○国務大臣(林芳正君) やはり、一言で言うとどっちもやるということではないかというふうに思います。強くしていく、強くなるべきところを強くしていくとともに、攻めという意味は、例えば私の地元、中山間地多いんですが、棚田のところで、今、山口型放牧というふうに言われるようになりましたが、棚田に牛を放牧することによって耕畜連携みたいなことが起きるとか、それから、風が結構吹いている、棚田ということは急傾斜なので、そこで風力エネルギーを利用してそれを循環させるとか、いろんな取組があるので、条件が一見不利に見えるようなところでも、だから守ると。だから、もうとにかく今のままで何とか頑張るというよりも、もう少し何か付加価値を付けていく方法はないだろうかという方向でやっていくということが私は大事だと、こう思っております。
 少しよそのことなんですが、山口ではなくて新潟の有名なコシヒカリの、魚沼産という非常に有名なものがありますが、これもやはりそういう条件が一見不利に見えるような棚田で、山から下りてくる水が非常に冷たいものですから、その冷たい水が来て、日較差、日中と朝夜の温度の差が非常に大きい中で非常にぎゅっと締まったいいお米ができるんだということを聞かせていただいたわけでございまして、確かにハワイみたいなところでふわっとやっていい米は多分できないんだろうなと、こう聞いていて思ったんでございますが、やはりそういう側面というのをまずは考えていかなければいけないし、さらに、今委員がおっしゃっていただいたように、集落を維持する、それから共同体を守っていくとか、農業に不可欠な水利とか草刈りとか、そういうものを一緒にやっていくということをやはり地域政策の観点に立ってやっていく必要があるということでございます。
 中山間地域に対する直接支払とか、水路、農道の共同管理への支援、それから、もう一つは都市から来ていただく交流活動、特に子供さんが来ていただいて体験していただくということで非常に意味のある活動が展開されておるようでございますので、こういうことに対するソフト、ハード両面での支援と、こういうことを併せ持って、農業の持っているいろんな機能を全体としてやはり維持増進していくということが必要だと思っております。
#121
○舟山康江君 今大臣がおっしゃったように、例えば棚田のお米というのは、手間も掛かるけれどもそこに付加価値も乗っていく可能性があるということです。
 ただ、残念ながら、その付加価値が全て価格に乗り切れるかというと、なかなかそううまくいかないのかなと思うんですね。コストは掛かる、その掛かり増し経費の一部はもしかしたらその付加価値で補填できるかもしれませんけれども、なかなか必ずしもそうならない。そこをどう穴埋めをしていくかという観点がなければ、なかなかこういった地域政策的な観点での総合政策というのは難しいんではないかと思います。
 そういった中で、恐らく多面的機能に着目をするような、私、前回の質問でも指摘させていただきましたけれども、EUで今後導入しようとしておりますそういった環境的な役割、グリーニング支払というような形の手当てというのをやはり併せて考えていかなければ、とにかく土地利用型でも大規模化をしていけばいいという話、これは私は全く違うんではないかと思います。現実にやはり細々とした、零細よりは少し大きい方がコスト低減に役立つというのは、これはもちろんそうですけれども、でも、いろんなデータを見ますとコスト低減にも限界がありまして、大体十から十五、よくて二十ぐらい、それ以上になるとむしろコストが上がるというんでしょうか、このコストの低減には限界がある。そして、大規模にやればやるほど、いわゆる手を掛けた付加価値が高い品質というのは保てなくなるような、そんな傾向もありますので、やはり、とかく規模拡大をすればどんどんコストが下がって競争力が強まるんだという無知な議論も周りで出てきますけれども、そこに対してはそうではないということを是非こういった会議の中でもしっかりと大臣の方から声を上げていただきたいと思うんですけれども、そこはどのようにお考えでしょうか。
#122
○国務大臣(林芳正君) 私は勇気がないものですから、人のことを余り無知なんということをその場で申し上げるよりも、実はこういうことがありますよということを数字でお示ししていきたいと思っております。
 委員がおっしゃったお話はたしか生源寺先生が書かれた本にも、だんだんだんだん土地が広がっていくと、どこかでやっぱり平らになっていってコストが下がっていかないというのはあります。限界効用が逓減をするというのを昔習ったことがありますが、そういうことも併せて、一体どういうふうな目標を持ってやっていくかということ。
 これはそれぞれ、民主党のとき始めていただいた人と農地プランというところで、どういうところに集めていって誰にやってもらうのかということを集落で話し合ってもらうということは非常に大事なことではないかというふうに思いますし、我々が今度は県の段階でやっていこうとしているところにも、やはりとにかく大きくなればなるほどいいんだということ一本やりではない今の考え方というのはきちっと押さえながら、先ほどちょっと冒頭に、ナメコのときに申し上げたんですが、需要と供給がやっぱり見合って、ここがつながっていって初めて所得といいますか付加価値が上がっていくと、このことをきちっとやっぱり根底に押さえておかなければいけないというふうに思っております。
#123
○舟山康江君 最初の話を指摘いただきましたので、その点にちょっと戻りますけれども、今生産している方々はそれこそ需要をにらみながら生産をしてきました。しかし、そこに目を付けて新しい新規参入の大きな工場が、結局元々本当にきちんとずっと長いことその相手の顔を見ながら生産してきた人をともすれば潰しかねないというような現状も起きるということを是非お考えいただかないと、新しいその最新設備の工場だけが生き残って元々の地元の農家が潰れてしまうということになれば、これは私は望むべき方向ではないと思いますので、是非そこはしっかりと今後の議論の中で御検討いただきたいと思います。
 そして、そのいわゆる攻めの農林水産業という中の一つに六次産業化ということがあります。六次産業化を推進するに当たりましては、やはり差別化などの付加価値の増大ということも考えていかなければなりません。そういう中で、現在、今、衆議院の方で食品表示法案というものが議論されておりますけれども、この中で例えば原料原産地表示の議論等もされていると聞いております。
 私は、やはりこの付加価値の増大という意味では、原料原産地表示の対象範囲の拡大ですとか、トレーサビリティー制度の対象拡大などの対応も必要だと思っておりますけれども、残念ながら今回のこの法案の審議の中では原料原産地表示の対象範囲というのは特にいじらないような方向であると思いますけれども、しっかりとこれ、幾ら作ったところで、本当に大量生産の安いものを原料にしているもの、それからきちんと手を掛けて作ったものの差別化が表示の上でされていかなければ買手の方もそれが分からないと思うんですね。是非、ですから、その表示をきちんとするべきだと思いますけれども、まず担当である消費者庁の方からお答えいただきたいと思います。
#124
○副大臣(伊達忠一君) 今お話されておりました原料原産地の表示の拡大の具体的な状況ということでございますが、加工食品の原料原産地表示はJAS法に基づく加工食品品質表示基準で定められている表示の基準の一つであります。消費者基本計画において加工食品の原料原産地表示の義務付けを着実に拡大するとされていることから、消費者庁においては対象品目を追加しながら、増やす方向で取り組んでいるところでございます。
 そして、今、現在はJAS法と食品衛生法それから健康増進法に関する基準を統合した食品表示法案、今おっしゃっていましたこの法案を審議をしているところでございまして、この法案が成立後においては、消費者や事業者の方々の意見を幅広く聞きながら、新たな原料原産地表示の在り方について義務範囲の拡大も含めて検討していきたいと、こう思っております。
#125
○舟山康江君 義務範囲の拡大を具体的にもっとスピード感を持ってやっていかなければ、まさにその付加価値が全く付いていかないと思うんです。少なくとも加工食品で、身近な例でいえば飲料ですね、果物ジュース、こういったものに関してまだ義務付けがされておりません。それは原料の差がなかなか出にくいというふうに言われておりますけれども、やはりこの国内の生産を振興するに当たりましては……
#126
○委員長(中谷智司君) 申合せの時間を過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
#127
○舟山康江君 済みません。はい。
 少なくともこの飲料に関しては簡単にできると思います。こういったものから着実に進めていかなければ、私はこの六次産業化というのも中途半端に終わってしまう、付加価値がなかなか付いていかないと思っておりますので、是非、消費者庁においても、また農林水産省においてもしっかりとこれを早急に進めていただきたい、このことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#128
○委員長(中谷智司君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#129
○委員長(中谷智司君) 次に、森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。林農林水産大臣。
#130
○国務大臣(林芳正君) 森林の間伐等の実施の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 森林は、国土の保全、水源の涵養等の多面的な機能を有しており、また、二酸化炭素の吸収による地球温暖化の防止の機能の持続的な発揮を確保する上でも適正な森林が整備されることが重要であります。
 このような中、森林吸収源対策の重要性及び気候変動に関する国際連合枠組条約等をめぐる国際的な動向を踏まえると、森林による二酸化炭素の吸収作用を保全・強化するため、引き続き間伐等の実施を促進していく必要があるとともに、新たに成長に優れた種苗の確保を推進する必要があります。
 このため、平成三十二年度までの間、間伐等に要する経費等に対する支援措置を引き続き講ずるとともに、併せて成長に優れた種苗の母樹の増殖を促進するための措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、間伐等の実施の促進に関する計画を作成した市町村に対する交付金の交付、当該計画に基づく間伐等の実施及び助成について地方公共団体の支出する経費に係る地方債の起債の特例等の支援措置を平成三十二年度まで引き続き講ずることとしております。
 第二に、都道府県知事は、農林水産大臣が定めた基本指針に即して、成長に優れた種苗の母樹の増殖に関する基本方針を定めることができることとし、この基本方針に即して、当該母樹の増殖に取り組む計画を作成し都道府県知事の認定を受けた者は、林業・木材産業改善資金の償還期間及び据置期間の延長等の支援措置を受けることができることとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#131
○委員長(中谷智司君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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