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2013/05/30 第183回国会 参議院 参議院会議録情報 第183回国会 法務委員会 第7号
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2013/05/30 第183回国会 参議院

参議院会議録情報 第183回国会 法務委員会 第7号

#1
第183回国会 法務委員会 第7号
平成二十五年五月三十日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     長谷川 岳君     加治屋義人君
     山本 一太君     水落 敏栄君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     小川 敏夫君     長浜 博行君
     松野 信夫君     大河原雅子君
     加治屋義人君     長谷川大紋君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         草川 昭三君
    理 事
                前川 清成君
                磯崎 仁彦君
                岸  宏一君
                真山 勇一君
    委 員
                有田 芳生君
                池口 修次君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                大河原雅子君
                礒崎 陽輔君
                尾辻 秀久君
                長谷川大紋君
                水落 敏栄君
                魚住裕一郎君
                森 ゆうこ君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       法務副大臣    後藤 茂之君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  盛山 正仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田村 公伸君
   政府参考人
       法務省刑事局長  稲田 伸夫君
       法務省矯正局長  西田  博君
       法務省保護局長  齊藤 雄彦君
       外務大臣官房参
       事官       新美  潤君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    岡田 太造君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の
 執行猶予に関する法律案(内閣提出)
○犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑
 事手続に付随する措置に関する法律及び総合法
 律支援法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(草川昭三君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、長谷川岳君及び山本一太君が委員を辞任され、その補欠として加治屋義人君及び水落敏栄君が選任をされました。
 また、本日、加治屋義人君が委員を辞任され、その補欠として長谷川大紋君が選任をされました。
    ─────────────
#3
○委員長(草川昭三君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省刑事局長稲田伸夫君、法務省矯正局長西田博君、法務省保護局長齊藤雄彦君、外務大臣官房参事官新美潤君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長岡田太造君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(草川昭三君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ─────────────
#5
○委員長(草川昭三君) 刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取をしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
#6
○有田芳生君 おはようございます。民主党・新緑風会の有田芳生です。
 このテーマについては、今から二年前の十一月二十四日にも私はこの法務委員会で質問させていただいておりますので、パートツーということで、そのときに、今度の問題については人間性回復のための刑法一部改正だという設定をさせていただきました。
 まず、法務省にお聞きをしたいんですが、施設内処遇に加えて社会内処遇を行う刑の一部執行猶予制度の導入について、特に再犯の問題を考えるときに、再犯率、一般的に再犯率が今どのぐらいなのか、さらには、有職者、つまり職業を持っている方の再犯率、あるいは社会復帰をしたにもかかわらず職業のない方の再犯率、そしてまた、その中で薬物犯についての比較、その三つの点について、まずお聞きをしたいと思います。
#7
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 再犯率を見る一つの指標といたしまして累積再犯率というものがございます。例えば、平成十九年に刑事施設を出所した者がその後五年以内に再び刑務所に戻ってくるという者の割合、いわゆる累積再犯率でございますが、これを見てみますと、満期釈放者について見ますと、全体は五一・六%でございますが、お尋ねのありました覚醒剤事犯で入所していた者につきましては五八・五%ということで、全体よりも七%程度高くなっているというのが実情でございます。
 また、仮釈放者について見ますと、全体では累積再入率二九・三%でございますが、覚せい剤取締法違反により入所していた者の累積再入率は四二・六%ということで、一三%ぐらい高くなっておりまして、覚醒剤事犯者は他の罪種により入所していた者と比較して再犯率が高いということが言えるというふうに考えております。
 また、仕事の関係でございます。平成二十三年に保護観察が終了した者につきまして調べましたところ、終了時の職業で有職であった者、仕事があった者の再犯率は七・二%でありましたが、仕事がなかった無職者の再犯率は二七・二%ということになっておりまして、無職者の再犯率は有職者の四・二倍となっております。さらに、これ少し広げまして平成十四年から二十三年の間の累計を見てみますと、この数が約五倍にまで広がっているということでございます。
 以上でございます。
#8
○有田芳生君 薬物の問題については後で少し詳しくお聞きをしたいと思いますが、今お話ありましたように、職業のない方がやはり約五倍再犯率が高いと、これをどう私たちの社会で克服していくのかということが大きな課題だというふうに思います。
 私は、前回の質問でも作家の吉村昭さんの「仮釈放」という作品を紹介させていただきました。吉村さんは作家ですけれども、徹底した取材に基づいてそれを文学の形にまとめ上げられましたけれども、この「仮釈放」という吉村さんの作品は現代版の「罪と罰」だというような高い評価を得ているわけですけれども、その主人公は本当に真面目な方だったんだけれども、本当に追い詰められて家庭内の問題で殺人を犯さざるを得なかった。そしてまた、仮釈放で社会に出てきたんだけれども、何年もやはり刑務所に入っていると、社会に戻ってきたときに、例えば電車に乗ろうとすると、それまで切符を一つ一つ買わなければいけなかったんだけど、何か最近のようなパスで通れるようになるとか、あるいは買物に行くときも、スーパーマーケット行った場合に周りの人たちの目が物すごく気になって、自分が監視されているんではないかと、そういうような思いで、本当に生きづらい状況の下で最後にこの作品は悲劇に終わるんですけれども、そういった一人一人の心理状況にまでケアをしていくことを含めて、社会復帰というものを考えていかなければいけないと私は考えております。
 そうした場合、保護司の方の役割が非常に重要だというふうにまず思いますけれども、今、保護司の方は一人当たり年間どのぐらいのケースを担当していらっしゃるんでしょうか。
#9
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答えいたします。
 年間の担当件数ですが、地域によりまして多い少ないありまして一概には言えませんが、例えば平成二十四年でいいますと、二十四年の取扱件数を保護司さんの数で割りますと、お一人当たり一・八五件の保護観察の事件を扱っていただいているというのが実情でございます。
#10
○有田芳生君 保護司の方、簡単に言ってしまえば一年間に二人を担当するという理解でいいのかと思いますが、その保護司の方々が本当に人生の中の努力で、そういう犯罪を犯した人たちを社会復帰をしてもらうために努力をしているということは非常に大事なんですが、同時に、もう一つ物質的な支えというのがとても重要な課題だろうというふうに思います。
 よくテレビのドラマあるいは映画なんかでも封筒張りというようなことを言いますけれども、刑務所の中の様々な作業がありますよね。最近の例でいえば、例えばホリエモン、堀江貴文さんが社会復帰をされましたけれども、堀江さんによれば、一等工から十等工まで区別というんでしょうか、段階があって、堀江さんの場合、最初のころは一日平均三十円九十銭だったと、一日の作業報奨金ですね。そして、堀江さんの場合は二〇一一年の六月の場合は一か月で二百六十七円、七月が六百十八円、十一月が千八百二十八円と、こういうふうに上がっていくわけですけれども。
 そこで、まず教えていただきたいのは、一等工から十等工の仕組みというものがどういうものなのか。そしてまた、出所をしたときの作業報奨金というのは平均するとお一人幾らぐらい受け取って社会に復帰するんでしょうか。
#11
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 刑務所に収容されますと、受刑者は労働、刑務所の中で作業をやることになります。したがいまして、これ先ほど委員おっしゃいましたとおり、一等工から十等工までございまして、入ったときには十等工から始まります。それで、作業の習熟度ですとか作業をどれだけこなせるようになったかとか、そういったことで徐々に上がってまいりまして、長くいますと一等工まで上がっていくという仕組みになっているところでございます。
 それから、作業報奨金の額でございますけれども、これ原則釈放時に支給するものでございますけれども、平成二十五年度における受刑者一人当たりの釈放時支給額は六万八千九百二十五円、一人一月当たりの報奨金の計算額は四千八百十六円というところでございます。
#12
○有田芳生君 二年前の十一月に同じことをお聞きしたときには大体六万七千円であると。少し上がっているんですが、社会に復帰するとき、大体七万円弱のお金を持って社会復帰をしようとしても、身寄りがあったり、あるいは本当に財産のある保護司の方が丁寧に協力してくださる場合は別ですけれども、敷金とか権利金とかも含めて、そのお金で社会復帰するというのはなかなか困難なのが一般的だろうと思うんですが、そこら辺はどのようにお考えなんでしょうか。
#13
○政府参考人(西田博君) そういった議論もございますけれども、作業報奨金は、一応懲役という刑の内容でございますので、作業がですね、したがいまして労働の対価としての賃金ではございませんで、作業を行った受刑者に対して報奨として支払っているところでございまして、そういう金額になっているところでございます。
 ただ、一般社会の物価の上昇等ございますので、そういったものに見合って、僅かでございますけれども、少しずつ改善をしていっているというところでございます。
#14
○有田芳生君 ちょっと常識的な感覚として、もう一度お聞きしたいんですが、七万ぐらいのお金を持って社会復帰をして、それで円滑な社会生活に戻ることはできるとお考えでしょうか。
#15
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 なかなかお答えしづらいんですけれども、取りあえずは我々考えておりますのは、出て、当面の間、食べて生活するような、そういったものが賄えればなというふうな気持ちでおりますけれども、先ほど申しましたように、賃金という性格ではないものですから、なかなか多額にするということは難しいというところでございます。
#16
○有田芳生君 人間かすみを食って生きているわけではないんで、やはり物質的な基盤がある程度ないと社会復帰というのも難しいことだろうというふうに思いますので、そういう点も今後改善をしていただきたいと願うと同時に、これ大臣にお聞きをしたいんですけれども、先ほどお話ありましたように、犯罪白書にも出ていますけれども、保護観察対象者のうち、職のある人の再犯率が七・四%なのに、職のない人の再犯率は三六・三%と。さっきの七万円ほどを持って社会に出てちょっと働いてみたけれども、なかなか厳しいという人は本当に追い詰められていくというふうに思うんですよね。
 無職者の再犯率が有職者の再犯率の約五倍になっているというときに、就労支援を社会としてどのように取り組んでいくのかというのは非常に大事な課題だというふうに思います。そして、その就労支援についても前歴があるという方をやはり理解をして職に就いてもらうという、そういう立ち直りを図る努力をしてくださっている民間の事業主で協力雇用主という人たちがいらっしゃると聞いておりますが、この協力雇用主に対する支援策と同時に、最近法務省が積極的に保護観察対象者の雇用の取組についてもなさっていると聞いているんですが、そこら辺、二点について大臣にお伺いしたいと思います。
#17
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、有田委員がおっしゃいましたように、刑務所を出まして社会復帰をしていくためには、仕事、それから居場所というものがやはりなきゃいかぬと、こういうことだろうと思います。
 それで、刑務所出所者の就労の確保のためには、今おっしゃった協力雇用主ですね、その立ち直りに非常に御理解と御協力をいただいているんですが、そういう協力雇用主による雇用を拡大していくことはもう不可欠だと思うんです。
 それで、今、協力雇用主の開拓、確保に法務省としては力を入れて取り組んでおりまして、少しずつその数は拡大しております。今、協力雇用主としては約一万一千事業主に登録をいただいておりまして、平成二十五年に初めて一万を超えたということでございますが、そこで雇用される出所者の人数も少しずつ増加はしているんです。しかしながら、実際に刑務所出所者等を雇用していただいている協力雇用主というのはいまだ約四百事業主にとどまっております、実際に使っていただいているということになりますとですね。非常にこの事業主の登録は進んでおりますけれども、雇用の拡大にはまだまだ課題がたくさんございます。
 そこで、協力雇用主に対する支援策も充実させる必要があるというふうに考えておりまして、平成二十五年度予算においては、協力雇用主が刑務所出所者等を雇用する場合、やはりいろんな不安もお持ちですから、その不安を軽減できるように、保護観察官と協力事業主の間の連携といいますか、緊密に連絡を取り合うという、そういう経費などを予算措置をしたところでございます。
 それから、今月から法務省でも、保護処分として保護観察を受けている少年を非常勤職員として雇用する取組を始めました。これは……(発言する者あり)まあまだ一人なんですが、始めたところでございます。
 それで、これはやはり雇用を拡大するというのはなかなか、どうしても民間にお願いをしなきゃならない部分が多いんですが、そのときに、どういうことをやっぱり問題を感じておられるかというようなことも、自分たちが全然経験ないというのもおかしいじゃないかということで、ただ、実際に刑務所を出た方をすぐに雇うとなりますと、今の国家公務員法等はそういう経歴のある者はなかなか雇いにくい仕組みになっておりますので、取りあえず少年の保護観察を受けている人を非常勤職員として始めようということで試みているわけでございますが、こういった知見を生かして、協力雇用主の方々がどういう問題を抱えておられるかということも我々自身で体験しながら就労支援というものを道筋を切り開いていきたいと、このように考えております。
#18
○有田芳生君 法務省の積極的な対応で、しかしまだお一人ということで、しかも雇用期間が半年ということですから、更に充実をさせる方向を考えていただきたいと思います。
 さらに、もう一つ問題点は、厄介なのは薬物だと思うんですよね。私も、かつて仕事を一緒にした人物が、もう三回も薬物の問題を起こして、いまだ刑務所に入っている。出てきたときも、よく知られている人ですから、写真なんかを見るともう全然別人格のような様相を呈していて、これは本当に、頑張るんだ、立ち直るんだとマスコミの前で言っていたにもかかわらず何度も繰り返してしまうという薬物の恐ろしさが広がっているというふうに思うんです。
 そこで、保護観察官が二十四年度から専門職試験になったとお聞きをしましたけれども、その保護観察官が専門職試験になったときに、例えば薬物に対する専門的な知識を問うとか、そういった内容になっているんでしょうか、あるいはどうなっているんでしょうか。法務省の方にお願いします。
#19
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答えいたします。
 これまで保護観察官、国家公務員試験のU種、V種を受かった者から主に採用してまいりました。
 平成二十年の更生保護法改正以降、今お話のありましたような薬物関係の専門的なプログラム等、専門的なプログラム処遇が導入されたこともありまして、保護観察官に対して専門的な処遇に対する基礎的な知識等が求められるというようなことになってまいりました。
 そういう中、今お話がありましたように、平成二十四年度に法務省専門職員(人間科学)採用試験というものができまして、平成二十五年度から採用を始めておりますが、保護観察職員にはこの専門職員試験の中で保護観察官区分というものがございます。これは、保護観察官になりたいという方がその区分で受けるわけですが、それで通ってきた方を中心に採用しようというふうに考えております。
 この試験の合格者は、試験科目の関係で、保護観察処遇等に関連する心理、教育、福祉及び社会学といった分野について一定の専門的知識を有する者でありますから、これにより保護観察官の更なる専門性の向上が図られるものというふうに期待しております。
 それから、薬物の処遇に当たりましては、やはり専門的な知識が必要だということで、薬物依存治療を専門とされておられる医師の方とか、その他関係者の方を講師に招きまして研修等も順次実施しているところでございまして、今後とも研修の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
#20
○有田芳生君 薬物問題というのは日本の治安にも深くかかわる問題ですから、更に充実していかなければいけないと思いますが、端的に、薬物事犯の施設内処遇の現状、さらには、これから始まるでしょうけれども、社会内処遇の在り方というのはいかがなものなんでしょうか。それぞれに分けて教えてください。
#21
○政府参考人(西田博君) お答えいたします。
 私の方から刑事施設内における薬物の関係の処遇について御説明申し上げます。
 刑務所内におきましては、薬物依存離脱指導ということで、麻薬、覚醒剤その他薬物に対する依存がある受刑者に対して、薬物依存の認識とか薬物使用に係る自分の問題点を理解させた上で、今後薬物に手を出さずに生活していく決意を固めさせて、再使用に至らないための具体的な方法を考えさせるという目的で実施している指導でございます。
 指導項目につきましては、薬物の薬理作用と依存症、薬物使用に係る自己洞察、薬物使用の影響など約十項目から成るものを定めまして、これを三か月から六か月の期間で実施して指導しているということが標準でございます。
 実施におきましては、指導方法としてはグループワーク、受刑者同士で話をさせながら自己の問題性に気付かせていく方法を取る、こういったことをやっているとともに、指導者として、国の職員だけではなくて、ダルクといった民間自助グループの協力も得て行っているところでございます。
#22
○有田芳生君 専門家の間でも、今回の法改正を通して、アメリカには千か所以上あると言われておりますが、いわゆるドラッグコート、日本でも、処罰も必要ですけれども同時に治療を比重を高めていくというようなことが、やはり本人の社会復帰のみならず社会の治安を安定させる方向になると思いますので、そういう方向で今後更に努力をしていっていただきたいというふうに考えます。
 そして、あと残された時間で、今、刑法の一部改正などについて、これは人間性回復のための法改正であると、そのパートツーの質問をさせていただきましたけれども、残された時間で、五月九日に谷垣法務大臣にもお聞きをしたいわゆるヘイトスピーチ、憎悪表現についてお聞きをしたいというふうに思います。
 実は、前回私は言わなかったんですけれども、今から二年前の二〇一一年の六月五日、東京港区の芝公園で拉致問題を解決するための集会がありました。主催者は、被害者御家族である家族会、そして救う会、そして拉致議連が催して、集会が終わったときに芝公園からデモがありました。新橋を通り、数寄屋橋を通り、最後は常盤橋まで向かったんですけれども、そのときにデモの中から、全ての朝鮮人を東京湾にたたき込めというシュプレヒコールが上がったんですよ。これは二〇一一年の六月五日のデモです。映像にも残っております。それを聞いた横田滋さん、早紀江さんがびっくりしました。何であんなことを言うんだと、拉致問題とは直接関係ない朝鮮人を東京湾にほうり込めと、そういうことでは困るということを強くおっしゃいました。
 最近でもそのようなことをおっしゃっているのは、前回お聞きをした在特会、在日特権を許さない市民の会などの集団が、やはり拉致問題に取り組むと言いながらもそのような発言を今でも繰り返しているんですよ。ですから、滋さんも早紀江さんも、もう何とかやめてもらいたいんだということを強く強くおっしゃっております。
 さらに、付け加えておけば、彼らが、めぐみさんの拉致をされた直後の北朝鮮から発表された写真が例えば車なんかに張り付けられて、そういうヘイトスピーチと一緒に語られるのはもう耐え難いというふうにおっしゃっているんですよね。だから、そういうことが二〇一一年から続いていて、前回お聞きしたように、更にエスカレートしている現状が残念ながらあります。
 大臣は前回、私の質問に対して憂慮に堪えないという表現をしてくださいましたけれども、この法務委員会以降、何らかの発信をしてくださったというふうに思いますけれども、何か、例えば記者会見でお話しになったとか、そういうものがあれば御紹介いただきたいと思います。
#23
○国務大臣(谷垣禎一君) 私どもは人権擁護機関を持っておりまして、その一年間の活動目標の一つに、外国人に対する偏見や差別の解消を目指そうということで、外国人の人権を尊重しようと、これを啓発活動の年間強調事項として掲げてまいりまして、全国各地でその講演会あるいは啓発冊子の配布といったようなことを行ってきたわけです。
 それで、今、有田委員がおっしゃったように、特定の国を名指しをして外国人を排斥するというような言動がこのごろ見られると、その中には殺せといったような過激な表現まで含まれているわけですね。それで、五月九日にこの委員会で有田委員とそのような議論をさせていただきまして、翌日の五月十日金曜日ですが、閣議後の記者会見で、こうした行為につきまして法務大臣として所見を述べまして、国民の皆様にも呼びかけを行ったところでございます。それから、十三日の月曜日には、またそういう人権啓発の観点から記者会見における私の発言を法務省のホームページに掲載しまして、できるだけ広くの方に知っていただこうということでやったほか、人権擁護局から全国の各法務局あるいは地方法務局に対しまして、こういった啓発活動に更に意を用いてやってほしいという事務連絡を出したところでございます。
 今後とも、こういうことには力を入れまして、差別意識を生じさせることにつながりかねない言動には十分我々としても注意をしてやっていこうと、このように考えております。
#24
○有田芳生君 ありがとうございます。
 谷垣大臣のみならず、その二日前に、五月七日、参議院の予算委員会では安倍首相がやはり同様の発言をしてくださり、さらには菅官房長官も憂慮しているということを記者会見で語ってくださいました。
 しかし、残念ながら、首相、法務大臣、官房長官が憂慮に堪えないというような発言をして以降も、例えば私は川崎での彼らのデモにも行きました。さらには新大久保でもデモがありました。あるいは五月二十五日では大阪でも同じようなデモが引き続き行われていて、川崎では、プラカードにキル・コリア、朝鮮人殺せ、新大久保でもそのプラカードは掲げられておりました。あるいは、二十五日の大阪では、朝鮮人を射殺しろ、ぶち殺せ、あるいは朝鮮人大虐殺を宣言するぞ、こういうことが収まっていないどころか繰り返されている現状があるんですよね。
 ですから、そういう現状をどうしていくかということについて、やはり大臣の発信も含めてですけれども、最近でいえば日弁連の会長が、皆様方にお配りしておりますけれども、日弁連会長声明で、人種的憎悪をあおり立てる言動に反対すると、これは五月二十四日付けです。つまり、日弁連会長の立場からすると、憲法十三条が保障する個人の尊厳や人格権を根本から傷つけると。十三条だけではなく十四条でも、御承知のように、法の下の平等であって、人種、信条、性別、社会的身分などによって差別されないというふうにありますから、やはり憲法上も問題な状況がいまだ続いているということを残念ながら指摘せざるを得ないというふうに思います。
 そこで、外務省にお聞きをしたいんですけれども、日本が一九九五年に加入をした人種差別撤廃条約、その第四条の(a)項、(b)項を日本は留保をしたままですよね。そこはどういう文言になっていて、なぜ留保をしているんでしょうか。
#25
○政府参考人(新美潤君) お答えいたします。
 まず、今委員から御指摘がございましたとおり、この人種差別の撤廃条約に関する我が国の留保でございますが、これはまさに四条の(a)と(b)につきまして、日本国は、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約第四条(a)及び(b)の適用に当たり、同条に「世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って」と規定してあることに留意し、日本国憲法の下における集会、結社及び表現の自由その他権利の保障と抵触しない限度において、これらの規定に基づく義務を履行すると、留保をしているわけでございます。
#26
○有田芳生君 人種差別撤廃条約に九五年に加入をして、人種差別撤廃委員会はもう十年以上前から日本は法律的な対応を取るべきだという勧告を繰り返しております。最近では、二〇一三年の一月に人種差別撤廃委員会に対して日本政府の報告書はこのように述べております。「現在の日本が人種差別思想の流布や人種差別の扇動が行われている状況にあるとは考えていない。」。
 だけど、繰り返し、大臣も含めてお考えいただきたいんですけれども、この数年間の日本というのは、例えば、京都の朝鮮初級学校での事件、あるいは奈良の水平社博物館での差別的な事件、あるいは徳島県県教組への襲撃事件、あるいはロート製薬に対する脅迫事件など、集団で暴力や脅迫的デモを行っていることによって既に有罪判決やあるいは民事の損害賠償を求める判決が出ているんですよね。もう数年前からそういう事態にあるにもかかわらず、日本政府の人種差別撤廃委員会に対する報告書では、もう一回繰り返しますけれども、「人種差別思想の流布や人種差別の扇動が行われている状況にあるとは考えていない。」と。
 これは、やはり、最近、先ほども御紹介しましたような一部集団のデモにおける人種差別的、排外主義的なシュプレヒコール、言辞だけではなくて、繰り返し繰り返し、朝鮮民族はゴキブリだとか、繰り返しますけれども、鶴橋大虐殺をやるぞとか、いい韓国人も悪い韓国人も殺せとか、つまり在日韓国・朝鮮人だけではなく日本人にも向かってきている状況が続いてきているにもかかわらず、もう一度外務省にお聞きをしたいんですけれども、そういった団体及び行動というのは、人種差別撤廃条約の第四条本文、こうあります、人種差別の扇動、それには当たらないとお考えなんでしょうか。
#27
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。
 今委員から御指摘ございまして、第四条でございますけれども、まず第四条の主文でございますが、四条の主文は、人種の優越若しくは皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝、団体、人種的憎悪、人種的差別を助長する、一部飛ばしますけれども、宣伝及び団体を非難し、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する旨、一般的な義務の規定を定めておりまして、このことをもちまして、それをもって各締約国、日本も含めまして、具体的な処罰立法といったような規定をとることまでを義務付けているものではないと解しております。
#28
○有田芳生君 ということは、人種差別の扇動には当たらないとお考えなんですか。もう一度お答えください。
#29
○政府参考人(新美潤君) この条約自身に基づいてその個別の事案が人種差別に当たるかどうかということについては定義はございませんで、今、先ほど御質問についてお答えいたしましたのは、そういう問題について日本政府として何をとる必要があるのかないのかということで、この四条につきましてはその立法的な措置をとることまでは義務付けられていないというものでございます。
#30
○有田芳生君 じゃ、更に聞きましょう。人種差別撤廃条約第二条一項(b)及び(d)、先ほど述べたような今の日本で現実に目の前でずっと続いている事態について、個人又は団体による人種差別に当たらないとお考えですか。
#31
○政府参考人(新美潤君) 今委員が、先ほど御指摘ありました五月九日のこの委員会の議論におきましても、法務大臣始め、まず政府として御答弁させていただいたとおり、ヘイトスピーチという概念は必ずしも確立されたものではないということをまず申し上げたいと思います。
 その上で、今御質問がございました条約の二条の一項の(b)及び(d)につきましては、各締約国がいかなる個人又は団体による人種差別も後援せず、擁護せず又は支持しないことを約束し、また全ての適当な方法により、いかなる個人、集団又は団体による人種差別も禁止し、終了させることを定める規定であるとされております。
 他方、これらの規定は、各締約国が具体的な処罰等の立法を規定することまでも義務付けているものではないと申し上げたいと思います。
#32
○有田芳生君 じゃ、もう一度繰り返します。新大久保、鶴橋、大阪の、鶯谷等々、全国各地で、例えば名古屋だと平和展示会があるとそこに脅迫的言辞で駆け付けたりしている団体なんですけれども、そういったものが人種差別思想の流布や人種差別の扇動が行われている状況にあるとは考えていないという、状況にあるとは考えていないその根拠はどこにあるんでしょうか。先ほど述べたことは差別に当たらないんでしょうか。前回の委員会の質問も含めてですけど。
#33
○政府参考人(新美潤君) 今質問に対してお答え申し上げましたのは、この人種差別撤廃条約、そしてその条約上の定義と条約上の義務という関係で申し上げたわけでございまして、それ以上、一般的に言って、一般論として今の、今回の大阪の鶴橋とかそういう問題が人種差別に当たるか当たらないかという問題についてお答えしたわけではございません。
 ただ、あえて申し上げれば、これは法務大臣がこれまでも委員会で申し上げてこられましたとおり、ヘイトスピーチの概念はもちろん確立されたものでございませんけれども、今委員から、あるいは五月九日の委員会も含めて御指摘があったような行為は、人々に嫌悪感を与えるものだけではなくて、やはり差別意識を生じさせることにもつながりかねないという問題でございまして、一人一人の人権が尊重される豊かで安心できる成熟した社会を実現をするという観点から、甚だ残念であると考えております。
#34
○有田芳生君 谷垣大臣などの御努力も含めて、マスコミ状況も徐々にですが変わってきているといふうに私は考えております。
 皆さんにお配りしておりますけれども、岐阜新聞の五月二十七日付けの社説、ヘイトスピーチ、言論の暴力、法的な規制もと。これは共同通信の記者が書いた社説なんですけれども、そこにありますけれども、つまり日本に今、外務省の方が説明くださったように、人種差別的な思想の流布や扇動というのはないんだということに対して、「この認識は一時代前の認識になりつつあるようにも思える。」と。これはそのとおりだというふうに、一般的な感覚を持っている方だと思われるだろうと私は判断しております。だからこそ、これから大事なのは日本がどのように対処していくかなんですが、もう一度外務省にお聞きをします。
 二〇一〇年、人種差別撤廃委員会の日本審査総括所見の第十三パラグラフの(a)のところにこうあります。第四条に基づく差別禁止規定を完全に実施するための法律の欠如を是正することと、そういうことが二〇一〇年の四月六日に勧告されておりますけれども、二〇一〇年からもう三年がたちましたが、外務省の方としてどのような検討がこの三年間なされたんでしょうか。具体的にお話しください。
#35
○政府参考人(新美潤君) お答え申し上げます。
 まず、委員から御指摘ございましたとおり、二〇一〇年の四月に、この人種差別撤廃委員会におきまして日本に対する最終見解というのが出されまして、今先生の御指摘にあったように、パラの十三だと思いますけれども、一連の検証を慫慂するということにつきまして、法律の欠如を是正することということが言われております。これが二〇一〇年でございますが、それを踏まえまして、これ当然日本政府の中で、関係各省ともシェアをして検討いたしました。
 その結果も踏まえて、これは人種差別委員会のコンテクストでございますけれども、これも先生御承知だと思いますが、二〇一三年の一月に日本政府の報告書というのを上程いたしまして、まさにその中で、政府間で検討した結果として、これも繰り返しになりますけれども、右この留保を撤回し、人種差別思想の流布等に対し、正当な言論までも不当に萎縮させる危険を冒してまで処罰立法措置をとることを検討しなければならないほど、現在の日本が人種差別の思想の流布や人種差別の扇動が行われている状況にあるとは考えていないと答えた次第でございます。
 そして、若干繰り返しでございますが、私ども申し上げたとおり、決して今のこのいわゆるヘイトスピーチ、あるいは委員が御指摘された行為というのが、私先ほど申し上げたように、極めて甚だ残念であると考えているわけでございますけれども、今申し上げましたとおり、正当な言論、つまり表現の自由、そういうところを萎縮させる危険まで冒して検討しなければならないのかと、そういう観点から、それをやらなければいけないほどの人種差別思想の流布や人種差別の扇動が行われている状況にあるとは考えていないと、そういう全体的なコンテクストの中で御理解いただければと思います。
#36
○有田芳生君 だから、現実と実態が懸け離れたときに、やはり理論と現実が食い違ったときにはその理論を変える勇気が必要だというふうに思います。もう有罪判決が出たり、民事で訴訟で負けたりしているにもかかわらず、二〇一三年一月の政府報告にはそういうことは一切書かれていなくて、差別はないというような文言があるわけですよね。だから、これが非常に重要、問題点だと思います。
 もう時間ないので、外務省にお聞きをしますけれども、OECD三十四か国において、特別法である人種差別法、あるいはヘイトスピーチ、ヘイトクライムに対する禁止法あるいは条項のない国というのはどこでしょうか。
#37
○政府参考人(新美潤君) 今委員御指摘の点につきまして、今朝御質問の通告をいただいたのでございますが、ちょっと今の時点でお答えできるだけの材料を持っておりませんので、関係省庁とも現況を調べてみたいと思います。
#38
○有田芳生君 恐らく日本だけです。
 ですから、谷垣大臣、こういう現実を真っ正面から見据えて私たちも努力をしなければいけないですが、まず実態がどうなのかと、そういう調査委員会などを設置するという方向も積極的に考えていただけないかというふうに思います。罰則のない差別禁止法を作ることだって可能だと思いますので、そういうことを含めて、政府が差別の流布はないと言うならば、いや、そんなことはないじゃないかという、そういう調査から始めるという、そういう方向性、積極的に考えていただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。
#39
○国務大臣(谷垣禎一君) 人権擁護機関としては、先ほど申し上げた啓発活動というだけではなく、人権相談あるいは、何というんでしょうか、調査活動というのもあるわけです、人権侵犯事件。そういう観点から私たちも関心を持って見ていかなければならないわけですが、今の、今現在ですね、そういう人権状況の把握には我々も力を入れて努めなければならないわけですが、今の人権擁護機関の仕組みを超えた調査機関を設けるということは現時点では考えておりません。
#40
○有田芳生君 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
#41
○真山勇一君 おはようございます。
 私も、この議題になっております二つの法律案について伺っていきたいというふうに思っております。
 ただ、もうこの法案は既に出されておりますし、私が調べた限りでもかなりいろいろ審議もされていますし、参考人からのお話も伺うなど、かなり審議も尽くされているというふうに思っております。しかも、例えば犯罪白書などにはもうある程度の数字、事実関係なども出ておりますし、今日も私の前の有田委員もいろいろ数字的なことを伺っておりますので、そういうところをなるべく重ならないようなことで伺っていきたいというふうに思っております。
 とにかく、今回のこの二つの法案が目指すところというのは、罪を犯した者がまた罪を犯して刑務所へ帰ってきてしまうという、その再犯をする者を何とか減らしたいと。これは、私の理解では、再犯者が増えているというよりは、犯罪全体が減っているのに再犯者が減らないと、ですから、この再犯者を少しでも減らす方法はないかということでいろいろと法務省が対策を取っていただいているというふうに理解しております。
 様々な施策ですとか取組も行われていることは十分承知しているんですが、その上でお伺いしたいのは、やはり罪を犯していわゆる社会へ戻ってきた人が、まず、それではここで更生をしていこうというふうに考えたときにぶち当たる大きな問題というのが、一つはやっぱり住むところと、それから働く、どうしたら生活ができるかという、これはもう本当に明白なことだと思うんですね。
 そうすると、実際に刑務所から出てきた人がどうやって住まいを見付けるのか。つまり、住まいがある人、例えば知り合いがいる、肉親がいる、取りあえず身を寄せるところがあればいいけれども、ない人の場合はどうするのかという点を一つ伺いたいのと、それからもう一つは、それでは仕事を見付けるためにはどうしたらいいのか、その辺の、仕事を見付ける就労支援の今の段階でどういうことになっているのかということを、この二点。やはり出てきた当人にとっては住まいも仕事もという両方だと思いますので、それの現状をまず伺いたいと思います。
#42
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど有田委員との議論でも若干申し上げたところでございますが、今おっしゃるように、居場所、住むところと仕事というものがないとなかなか社会復帰ができないと、そのとおりだろうと私思います。
 そこで、まず、刑務所出所者の帰住先確保、行き場のないというようなことでは困るということでございまして、全国に百四ある更生保護施設に対しまして宿泊保護等々の委託を行っております。それで、平成二十四年度は約八千八百人がそういう場所に帰住をしたと、これは大体三か月から六か月そういう施設を利用してそこにいてもらうと、こういうことでございます。それから、平成二十三年度からは、緊急的住居確保・自立支援対策ということで、NPO法人、自立準備ホームというような通称で呼んでおりますが、そういうNPO法人等への委託を実施いたしまして、こちらの方は平成二十四年度で約千二百人が帰住をいたしました。
 それから、就労支援でございますが、平成十八年度から法務省で、厚生労働省と連携いたしまして、刑務所出所者等総合的就労支援対策というのを実施しておりまして、平成二十四年度までに一万五千三百人が就職に至るといった一定の成果を上げております。
 それから、平成二十三年度から民間のノウハウを活用した寄り添い型の支援ということで、更生保護就労支援モデル事業というのをやっておりまして、就労が困難な刑務所出所者等の就労確保あるいは職場定着に相応の効果を上げているところでございます。
 それから、最近では地方公共団体で、公共工事等の競争入札に協力雇用主に対する優遇制度を導入したり、あるいは非常勤職員として保護観察対象者等を雇用する取組を始めるところが増えてきております。こういう状況を踏まえまして、これも先ほど有田委員との議論で申し上げましたが、法務省も保護処分として保護観察を受けている少年を非常勤職員として雇用する取組を始めたところでございます。
 引き続き、関係機関等々とよく連携しまして、出所者に対する帰住先確保、就労支援、力を入れてまいりたいと考えております。
#43
○真山勇一君 今まず帰住先についてのお話が出ましたけれども、この実際の数字で出所者全体の帰住先がない方を十分カバーできているのかどうか伺いたいんですが。
#44
○政府参考人(齊藤雄彦君) 今、毎年刑務所から出所される方が大体三万人ぐらいいるというふうに理解しております。そのうちの半分ぐらいが満期出所ということで、その中の七千人ぐらいの方がなかなか帰住先がないという方がおられるというふうに聞いております。更生保護施設では仮釈放者も当然受け入れているわけでございまして、必ずしもこの数で十分受入れができているという現状にはないというのが実情でございます。
#45
○真山勇一君 やはり帰住先のある人とない人ということになると、出てきたときの本人の、何というんですか、心の持ちようというか、心理的にかなり違うと思うんですね。住むところがないということになれば、まず働くことも探さなければならないということになると、非常にせっぱ詰まった気持ちになっているんじゃないかと、本人は、思うんです。
 ですから、やはり何を先にやるかということ、私申し上げたように、仕事もそして住まいもということだと思うんですが、ある程度施設に入っている期間、期間がある程度限定されるんじゃないかというふうに理解しているんですが、大体どのぐらい入っていて、それで住まいを見付けることができるのかどうか、そういう数字も出ておりますでしょうか。
#46
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答えいたします。
 今ちょっと必ずしも正確な数字持っていないんで恐縮なんですが、大体三か月程度入っていただいているというふうなイメージでございます、更生保護施設にですね。入っていただきまして、更生保護施設でハローワーク等を紹介して一生懸命仕事を一緒になって探すと。そこから仕事に通っていただくと。そして、その出るまでの間に自分でアパートを借りる頭金とか敷金とか、それから一か月ぐらいの生活資金を何とかためていただくと。それで、出ていっていただいて、民間のアパートなどに住んでいただいて、仕事を継続していただくと。大体そういうふうな形で今やっていただいているというのが実情でございます。
#47
○真山勇一君 大体三か月ぐらいというふうに伺ったんですが、先ほど有田委員のときの話も出ましたけれども、刑務所を出るときに持っている現金というのが六万七千円、平均そのぐらいだというふうに伺ったんですが、この後、そういう施設で住まいを見付けるということで三か月ぐらいということなんですが、三か月で見付けられれば、これは比較的順調というか、いいケースじゃないかなというふうに思っています。やはり住まいを見付けて、そしてプラス仕事を見付けていくということは大変だと思いますので、この辺の国の取組というのはまた今後も引き続きやっていただきたいというふうに思うんですが。
 さて、それでは、今三か月ぐらいで出て、仕事を見付けて、自分で住まいを見付けて出ていくということだったんですが、実は私も保護司をしておりまして、私の場合は住まいがないという人ではなくて、もちろん帰住先はある、家族が待っている、知り合いがいるという人を扱ったことがあるんですが、その人でさえやっぱり戻ってきてから仕事を見付けるのが大変難しいんですね。それで、やはり出てきてからハローワークへ行って仕事を見付ける、そしてそこには、先ほどお話あったように、厚生労働省と協力をしていただいている係の方がいらっしゃる、その人と話を、相談しながら仕事を探すというんですけれども、やっぱりそれでも何か月か掛かってしまう。やはり出てきた人は、さあ、しっかりと更生しようという気持ちで出てきていますんで仕事も一生懸命見付けようとするんですが、なかなか今のこの御時世、大分不況も続いていました。それから、自分の希望の仕事ということもあるでしょうし、そういうことでなかなか見付からなくて、実際に仕事を探している間にだんだんだんだん見付からないことによって落ち込んだり、元気がなくなってくるということがあったんですね。
 やはり仕事を見付けることの難しさというのがあるんですが、この辺りの体制、例えばハローワークへ出かけても、実際には一週間かあるいは一か月に二回ぐらいしか担当官と話ができない、しかも新しい仕事がなかなかリストとして出てこないので何回か探しに行ってもなかなか見付からないというような状況が続いているんですけれども、この辺りの、全く任せるということが一つ非常に本人にとっては苦痛じゃないかなということと、それから協力雇用主も、先ほどのお話ですと、実際に登録してある数は多いけれども雇う会社は少ないということがありますが、この辺り、もう少し例えば何か仕事のチャンスを見付けるような取組とか施策ということは考えておられないでしょうか。
#48
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答え申し上げます。
 ハローワーク等、なかなか先生御指摘のとおり、容易に仕事が見付かるというわけではないわけでございまして、更生保護施設では職員も一緒に行ったりして積極的に仕事を探すなどしております。
 先生も御指摘されましたように、何といいましても、前科があることを分かりながら雇ってくださる協力雇用主さんへの支援というか、協力雇用主さんに雇っていただくということが重要でございまして、その増加とか、それから実際雇っていただく方の数を増やすということを法務省取り組んでおりまして、ここ数年増加傾向で、協力雇用主さんは約一万一千ぐらいにまでなっているということでございます。
 しかし、これも委員御案内のように、実際に雇っておられる事業主となると四百ぐらいの事業主ということで、ますます、もっともっと課題があるということで、この協力雇用主さんに対していろいろと支援をしていかなければいけないというふうに思っております。
 その一つといたしまして、本年度予算では職場定着協力者謝金といったものを付けていただきまして、例えば、協力雇用主さんが刑務所出所者等を雇っていただくと、いろいろ仕事も教えていただく、生活態度などもいろいろ指導していただくということで、そういう状況について定期的に保護観察所にも報告していただくと。保護観察所はそれを利用していろいろまた本人の処遇に活用すると。そういう本人の処遇に関する協力もしてもらうということに対する謝金なども協力雇用主さんに対して支払うというような予算なども付けさせていただいたりしているところでございます。
#49
○真山勇一君 分かりました。
 その一方で、実際に受け入れる側というのを、現実的に対応していくのがやはり保護観察官であり保護司であると思うんですけれども、先ほどのお話ですと、現在保護司が担当している対象者の数が一・八五件ぐらいというふうに説明がございましたけれども、今度のこの新しいこういうシステムによって早くに仮釈放で出てくることによって、例えば現体制の中でどのぐらい実際に任務というか、実際の対象が増えていくのか、そんな予想というか見込みはお持ちでしょうか。
#50
○国務大臣(谷垣禎一君) 今回のこの法律で一部執行猶予制度というものを入れた場合に、年間どのくらいの事件について一部執行猶予の言渡しがあるのか、そのうちどのくらいに保護観察を付するのかというのは率直に言ってなかなか予想は難しいところでございますが、やはり私どもとすれば一定の見込みを立てていかなければなりませんので、あえて申し上げれば、現在の統計から推計いたしますと、年間二千人ないし三千人程度が年間新たに増加する保護観察対象者となる可能性があるというふうに一応今見ております。
 こういった認識の上にどうしていくかということでございますが、この刑の一部の執行猶予制度の実施に当たりましては、成立後、施行までに準備期間もございますので、その間に当然、関係機関や団体等々とより一層緊密な協議、連携を図っていかなければなりませんが、保護観察事件数の動向や、それから保護観察官、それから保護司の業務負担などの今の状況を踏まえますと、必要となる実施体制の準備もこれは考えていかなければならないと思います。ここはもう少し詰めて考えて努力をしていきたいと思っております。
#51
○真山勇一君 時間がなくなりましたので、最後にお願いをしたいと思います。
 今おっしゃったように、これはもう恐らく予想されるのは、現場には負担がいろいろと掛かってくるのではないか。でも、やはり再犯者を減らすということは、これはやはり是非進めたいというふうに思っております。
 今回の法改正については、私は前向きにとらえたいというふうに思います。ただ、このシステムというか体制だけできても、やっぱりその裏付けがないと、なかなか本当に再犯者を減らすというところまでその目的を達成するのは難しいと思います。ちょっと変な言い方になりますけれども、仏作って魂入れずみたいなことにはならないように、やっぱり再犯者を実際にこれで減らすことができたというところまでやっていく必要があると思いますし、そのためには運用ですとか、それから場合によっては財源的なものも必要になると思いますので、こういう辺りを今後また是非、法案の例えば見直しということがあるのなら、そういうところでやっていくべきではないかなということをお願いをいたします。
 それとともに、今、この法案を提出するに当たっての足りない部分ですね、今申し上げたようなところを、やはり附帯決議というようなものが私は必要ではないのかなということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#52
○森ゆうこ君 生活の党の森ゆうこでございます。
 今回の法改正によって、全部実刑、一部執行猶予、全部執行猶予ということで、既に議論はなされているんですけれども、議事録を見ましてもこの分水嶺がどこになるのかということがなかなか理解しづらいというふうに思っておりますので、改めて、この分水嶺がどのようになるのか、また、これは刑を寛刑化あるいは厳罰化することになるのではないかという疑問が前の審議でも指摘をされておりました。
 その点についてもう一度確認をさせていただきたいということと、裁判官に限らず検察官や弁護士の訴訟活動にも影響が出てくるのではないかと、改正の趣旨について関係機関との情報の共有化を努めるとともに、施行状況を把握する必要があるというふうに思いますけれども、この点について基本的なお考えを分かりやすく御説明いただきたいと思います。
#53
○国務大臣(谷垣禎一君) 若干ちょっと答弁が長くなってしまうかもしれませんが、今回のこの一部執行猶予制度、これは施設内処遇に引き続いて、必要そしてかつ相当な期間、執行猶予の取消しによる心理的強制の下で社会内処遇を実施して、そして再犯防止、改善更生を図るということが趣旨でございます。
 そういった観点から、この法律案では、犯情の軽重、それから犯人の境遇そのほかの情状を考慮して、刑事責任の観点から相当であり、さらに再び犯罪をすることを防ぐために必要かつ相当であると認められるときといった要件の下で刑の一部の執行猶予を言い渡すことができるものとしております。
 したがいまして、裁判所は、刑事責任の軽い重い等々から見て、一部でも実刑を言い渡すことが相当でない者については今までと同じように刑の全部の執行猶予の判決を言い渡すことになると、こういうことだろうと思います。他方、その刑事責任の軽い重い、軽重を踏まえつつ、施設内処遇に引き続き十分な社会内処遇を実施して、再犯防止、改善更生を図ることが必要かつ相当であるという者については一部執行猶予を言い渡す、こういうことが考えられるところでございます。
 それから、法令の定めにより執行猶予を付し得ない場合はもちろんでございますが、刑事責任が重大で、刑の一部でも執行を猶予することが再び犯罪をすることを防ぐために必要ではない又は相当ではない、こういう者につきましては全部実刑の判決を言い渡すこととなると。ちょっと、やや概括的でございますが、こういうことだろうと思います。
 しかし、こういった要件の判断に当たりましては、裁判所において刑事責任に見合った科刑の実現という観点、それから被告人の再犯防止、改善更生を図るといういわゆる特別予防の観点から、事案ごとに個別的事情を勘案してその該当性を判断することになりますので、一律に示すのはなかなか、今お問いかけでございますが、難しいなと、概括的に申し上げると今のようなことになるのかなということでございます。
#54
○森ゆうこ君 実際の施行に当たっては、今いろんな点でそれぞれ判断しなければならないということですから、改正の趣旨について今後とも関係機関との情報の共有化に努めていただきたいというふうに思いますし、施行状況を十分把握する必要があるということを改めて指摘をさせていただきたいと思います。
 次に、薬物事犯者の処遇と関係各所との連携について伺います。
 昨年十月より試行されております新たな薬物事犯者に対するプログラムや地域支援ガイドラインについて、試行の現状はどのようになっているでしょうか。また、試行する中で問題点や改善点等は出てきているのか、関係各所との連携の状況はどのようになっているのか、本格実施の時期についてはいつごろを考えているのか、伺いたいと思います。
#55
○国務大臣(谷垣禎一君) 昨年十月から薬物事犯者に対するプログラムあるいは地域支援ガイドライン案というのをやって、あるわけでございますが、まず、規制薬物全般に対応できるように新たに薬物処遇プログラムというのを開発いたしましたが、これについては、一部猶予制度の施行に先駆けまして、昨年の十月から覚醒剤事犯者を対象として全国の保護観察所で実施しております。
 それから、地域支援ガイドライン、これは案でございますが、これに基づく試行事業などにつきましては、医療・福祉機関と各保護観察所との間で協議を行いまして、平成二十四年度に二十三の保護観察所で実施をしておりまして、本年では三十四の保護観察所に拡大して実施しているということでございます。
 それから、問題点や改善点につきましては、本年度、薬物依存治療の専門家等を構成員とする研究会というのがございますが、ここにおきまして実施状況を検証しまして、プログラム実施体制や、医療あるいは福祉機関との連携の在り方も含めて整理、検討することとしておりますが、当面、薬物処遇プログラムにつきましては、実施対象者を覚醒剤事犯者だけではなくて大麻などの薬物事犯者全体に拡大して実施していこうと。
 それから、地域支援ガイドラインの案につきましては、医療・福祉機関等との更なる連携に努めまして、これを全国五十の保護観察所にまで拡大して実施していくことがそれぞれ課題ではないかと考えております。
 先ほどお話しした専門家等を構成員とする研究会で問題点や改善点を整理、検討していただいて、その協議内容を踏まえまして刑の一部の執行猶予制度の施行までに本格実施をすることとしていきたいと、こういうふうに考えております。
#56
○森ゆうこ君 そこで、厚労省からも来ていただいていると思いますので、質問させていただきたいと思います。
 昨年の第百八十国会のこの法案審議におきまして、西村厚生労働副大臣が、当事者や有識者などから構成する検討の場を今年の秋、つまり昨年ですけれども、めどに立ち上げるべく準備を進めており、地域における医療や社会復帰支援のために必要な施策について更に検討を行っていきたいというふうに答弁されていますが、その後、厚労省としてはどのように対応されているでしょうか。
#57
○政府参考人(岡田太造君) お答えさせていただきます。
 アルコール、薬物、それからギャンブルなどの依存症は、適切な治療と支援によって回復が十分可能な疾患である一方、依存者が必要な治療を受けられないという現状がありまして、具体的な対策の検討が非常に重要な課題だというふうに認識しております。
 こうした状況を踏まえ、また今御審議いただいています法案の動向なども踏まえまして、昨年十一月から有識者や当事者などによる検討会を開催いたしまして、今年の三月に今後の依存症対策の方向性などについて報告書が取りまとめられたところでございます。
 報告書では、今後必要と考えられる取組といたしましては、本人や家族が気軽に依存症に関する相談ができる体制の整備、医療機関、行政、自助団体の連携体制の整備、依存症者が必要な医療を受けられる体制の整備、当事者の状況に応じた回復プログラムの整備、地域における本人や家族の支援体制の整備を柱に掲げまして、各項目について具体的な提言がなされているところでございます。
 今後、この報告書の内容を踏まえまして依存症対策の更なる推進を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
#58
○森ゆうこ君 有機的に各関係者が連携をして、実効性のある施策を更に進めていただきたいと思います。
 女子受刑者に対する処遇について伺います。
 女子の刑事施設の収容率につきましては、既決が一〇八・七%と、収容定員四千三百四十人を約一割上回る状態が続いております。また、刑事施設の職員一人当たりの被収容者負担率は、平成十年の三・〇四から十八年には四・四八まで上昇し、二十三年も三・六八と高い水準にあり、女子施設の負担率は三・七八となっております。
 本年三月、堂本暁子元千葉県知事らが女子受刑者の処遇改善などを求める要望書を谷垣大臣に提出をされておりますけれども、大臣は女子刑務所の現状をどのように認識しておられるでしょうか。また、この堂本さんたちの要望書に対してどのように対応していくおつもりでしょうか。
#59
○国務大臣(谷垣禎一君) 今の女子刑務所の現状は、今、森委員からお話がありましたように、過剰収容もございます。それから、高齢化も相当進み、いろんな問題点がございます。
 そういう中で、非常に今、女子受刑者の処遇をどうしていくかということはよく研究して対処しなければならない問題だと思っておりましたところ、三月二十七日に堂本元千葉県知事が私のところにおいでになりまして、要望書と申しますか提案をいただきました。その中には、女子受刑者の特性に応じた環境整備あるいは処遇改善が必要ではないかといったような御意見、それから女子刑務所の適切な運営、これはいろいろな女子職員等々の在り方も含めて御提言をいただいたわけでございまして、女子刑務所の在り方研究委員会としてこれからいろいろ研究をしていただけるということでございます。
 大変私はタイムリーな御提言をいただいていると思っておりまして、法務省としても、こういった堂本元知事たちがやられる研究に、何というんでしょうか、できる限り御協力をして、その御意見を踏まえながら女子刑務所の在り方等を改善していくことができたらと、このように考えております。
#60
○森ゆうこ君 既に、昨年の犯罪対策閣僚会議の再犯防止に向けた総合対策におきましても、女性の受刑者や少年院在院者には過去の被虐待経験や性被害による心的外傷、摂食障害の問題等を抱える例が多いことが指摘されているとして、女性受刑者や少年院在院者において特徴的な問題に着目した指導、支援を充実させる必要があると、こういうふうに結論が出ているわけですので、先ほど申し上げました現状での被収容負担率ではその女性受刑者の特性に応じたきめ細かな施設内処遇を行う上で問題があると、もう既にそのことは指摘をされているというふうに思います。
 したがって、研究をしていただくということは結構なんですけれども、すぐさまやはり対応を講じるべきではないかというふうに思いますので、もう一言その点について御答弁をいただきたいと思いますし、さらには、平成二十三年における入所受刑者の罪名別構成比を見ますと、女子では覚せい剤取締法違反が最も高いと。薬物依存の回復支援としてダルクの果たしている役割は大きいんですが、やはり女性専用施設の少なさが指摘をされております。
 今回の法改正もございますので、女性薬物事犯者の施設内処遇及び社会内処遇の現状と、法施行を見据えた対策をきちんと取るべきであるというふうに考えますが、この点も併せて御答弁をいただきたいと思います。
#61
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、森委員から女子刑務所の問題点もいろいろ御指摘をいただきました。
 早急に取り組まなければならないことが多いのも事実でございまして、やはり女子刑務所でございますから刑務官も女子が中心になってやらなければならないわけでございますが、育児あるいは産前産後の休暇であるとかいうようなことが男性の刑務所と違う問題としてございまして、欠員がある意味では恒常的になっているところがございます。そういう意味で新陳代謝も激しいというようなところがございまして、そうしますと、初任者研修等々やるというようなことになると、なかなか、ある程度職員は増えてきておりますけれども、実際の実員といいますか、そういうものにかなり追われているという面があることも事実でございまして、そういうことも踏まえ、また、女性受刑者の場合には男性の受刑者の場合と違ういろんな問題、心理的な問題もあると思いますし、例えば摂食障害というようなもの、私も聞きますと、男性受刑者の場合には余り摂食障害というようなことがないようでありますが、女性受刑者の場合にはそういうようなことがあるということも聞いておりますので、いろんな、そういうことも含めた対応を考えなければならないと思います。
 それから、確かに女性受刑者の場合には薬物依存と申しますか、これが極めて覚せい剤取締法を中心に多い、これは事実でございますので、今、刑事施設ではこういう薬物依存がある受刑者に対しては、自分がどうしてこういう薬物使用になったのかという問題点をまず自分でよく理解していただくということが必要で、そういう上で再使用に至らないいろいろな具体的な方法を考えさせるというようなことで、薬物依存離脱指導というのを実施しているわけでございますが、森委員がお触れになったダルク等々、大変力を入れてやっていただいておりまして、そういったところの御協力をいただきながらやっていっているわけでありますが、先ほど申し上げましたような女性の、何というんでしょうか、特性に応じた新たな処遇プログラムというようなものもこれから十分更に整備をしていかなければならないと思っております。
#62
○森ゆうこ君 もう時間ですけれども、やはり今回の法改正、これを実効あるものにするためにはきちんとした支援体制を構築することが何よりも重要だというふうに思いますし、保護観察対象者が必ず増加するということだと思いますので、現場の保護観察官の増員、これをきちんと計画的に図らなければならないと。既に現場で様々な声が上がっておりますので、この後、井上委員が詳しく質問をされるというふうに思いますけれども、私も同様に、この現場の人的体制をしっかりと強化すると。
 それから、先ほど申し上げました女性の薬物依存から回復の支援の体制を強化しなければならないということを、強くそのことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#63
○委員長(草川昭三君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、松野信夫君が委員を辞任され、その補欠として大河原雅子君が選任をされました。
    ─────────────
#64
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 この二つの法案については、一昨年の臨時国会で二回質問もし、そして参考人の質疑もいたしました。ですので、今日は、法案の中心点である受刑者の再犯防止や社会復帰の促進の観点から、社会内処遇を拡充する上での必要な施策や体制の問題中心に質問をいたします。
 まず、検察の問題です。この犯罪者の社会復帰とか再犯防止というのは、どちらかというと矯正、保護、それから厚労などとの連携ということが専ら言われてきましたけれども、実は検察自身の課題でもあると。
 今年二月の検察長官会同で、小津検事総長も犯罪者の社会復帰や再犯防止に目を向けた検察運営ということを強調をされております。具体的にはどういう基本的な考え方と取組が必要とされているとお考えでしょうか。
 まず、大臣からお願いします。
#65
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、井上委員がおっしゃいましたように、私も今回法務大臣となりまして、昔法律を勉強し、司法修習生などで検察で修習した時代に比べますと、保護、矯正と検察との間の連携というものが大分進んできたといいますか、その重要性を随分強調するようになったなということを感じております。
 もちろん、検察当局においてもかねてからそれぞれ事案に応じた相応の処分あるいは科刑というものを、相応の科刑というのを実現を目指してきたのは、これは当然なことだと思いますが、それに加えて、要するに、捜査をし、起訴をし、公判をする段階から、犯罪者の社会復帰であるとか、あるいは再犯防止をどうやって図っていくかということを考慮に入れながらやっていこうという流れになっているように思います。それで、そういうことに向けた関係機関の連携というのも意を用いてやろうという機運が高まってきて、私はこれは非常に結構なことだと思っております。
 今年、検事総長が二月に全国の検察長官に対して、犯罪者の社会復帰、再犯防止に目を向けた検察運営を行うことが必要であると述べられておりますが、こうした流れを踏まえた検事総長の御発言だったと思っておりますので、私どももそういう認識の下にこれから取り組んでまいりたいと、このように考えております。
#66
○井上哲士君 具体的に、例えば東京地検では今年の四月から社会復帰支援室というのを発足をされておりますし、仙台、大津、長崎の各地検では、福祉の専門家らが集まる民間組織との連携も進めているというふうに聞いておるわけですが、具体的にどういう取組がされていて、これを、私はいいことだと思うんですが、全国的に広げていくという点ではどういうことをお考えでしょうか。
#67
○政府参考人(稲田伸夫君) ただいまお話ございました東京地検におきましては、本年一月から社会福祉士の方を非常勤の職員として採用させていただき、関係機関との調整などを行ってもらい、被疑者らを釈放した後に、この被疑者らの受入先の確保につなげようという取組をしているというふうに承知しております。
 また、お話ございましたように、長崎でありますとか仙台、大津などの各地検では、知的障害者らの支援に詳しい外部の福祉あるいは医療関係者らによって構成される委員会と連携をいたしまして、検察官が被疑者の処分を検討するに当たりまして専門的な観点から、例えば、その被疑者の方の障害の程度でありますとか、受入先があるかないか、その存在などの個別的な事情を踏まえまして、社会内での更生支援が可能か否かなどのことにつきまして助言を受けるなどの取組をしているというふうに報告を受けております。
 検察当局におきましては、先ほど大臣のお話もございましたように、このような取組をできるだけ進めていきたいというふうに考えているところでございまして、これらを通じまして再犯防止のために適切に対処していくものと承知しております。
#68
○井上哲士君 まさに刑事司法の入口から出口にかけて、そしてまた政府全体としても取組が進められているわけでありますが、是非こういうことを強化をしていただきたいと思います。
 その上で、主に保護の問題でお聞きをするんですが、この薬物事犯の処遇プログラムについて先ほども質問がありました。前回質問した際には、一部猶予制度の導入によって保護観察期間が長期化することが見込まれるために、それに応じた専門的な処遇プログラムを開発し、さらに試行、検証を行った上で検討したいと、こういう答弁でありました。
 お聞きしていますと、いわゆるコアプログラムというのを五回やって、長期の方には更にフォローアップをやるというふうに言われるんですが、私は、長期の方にはそれにふさわしい別プログラムということも必要ではないかなという思いをしているんですけれども、その辺も含めてどのような検討をされているでしょうか。
#69
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答えいたします。
 今委員の方から御指摘ありましたように、平成二十三年に薬物依存治療などの専門家から成ります薬物処遇研究会というものをつくりまして、覚醒剤だけではなくて薬物全般に汎用性のある新たなプログラムを作りまして、これを昨年十月から全国の保護観察所で試行しているところでございます。その内容、もう先生御案内のように、五回のコアプログラムと、あと一か月置きぐらいにずっと継続していくという内容のフォローアッププログラムから成っておりまして、一応長期に対応したというふうなものになっております。
 今年、先ほどの薬物処遇研究会の構成員とほぼ同様の構成員で薬物地域支援研究会というのをまた立ち上げておりまして、この研究会におきまして、保護観察期間の長期化を見据えて、現在やっておりますプログラム、長期化に対応するプログラムについて問題点とか検討すべき部分、さらに効果なども検証していただくということにしております。その結果なども十分踏まえさせていただきまして、更にプログラムが効果的なものになるように検討を加えていきたいというふうに思っております。
#70
○井上哲士君 是非、検討を更に深めていただきたいと思うんですが、こうしたプログラムを進める上でも、先ほど森議員より予告をしていただきましたが、保護観察官の体制強化が非常に重要だと思います。
 この更生保護法が作られたときの、二つの法律をくっつけたときの附帯決議でも保護観察官の大幅増員と、こういうふうに言われておりますし、この法案が一昨年の参議院の委員会で一旦可決されたときにも同様の附帯決議もあります。毎年請願も採択をされているわけですが、この間、どのようにこの観察官の体制整備が行われてきたでしょうか。
#71
○政府参考人(齊藤雄彦君) お答えいたします。
 平成二十年六月の更生保護法の施行以降、再犯防止対策の充実強化のために保護観察官の増員を図らせていただいておりまして、また増員を付けていただいているということでございます。
 具体的に申し上げますと、管理職を除いて保護観察所で実際に処遇をしている保護観察官の数でございますが、平成二十年度は八百五十二人でした。その後は、平成二十一年度になりまして八百八十一人、二十二年度は九百二十一人、二十三年度は九百五十四人、平成二十四年度は九百八十人、平成二十五年度は九百八十二人となっておりまして、平成二十年から五年間で百三十人増加させていただいているというところでございます。
#72
○井上哲士君 全体厳しい中でも増員は進んできたわけでありますが、ただ、それ以上に業務が増加をしているという実態だと思うんですね。
 私、これ今年の三月に保護局が編集、発行された更生保護の新たな施策・取組メニューブックというものを手に持っておるんですが、これA4、百八十七ページもある大変大部なものでありますが、これ大臣は御覧になったことありますか。
#73
○国務大臣(谷垣禎一君) 全部は読んでおりませんが、斜めには拝見いたしました。
#74
○井上哲士君 これ保護司用というふうになっていますが、お聞きしますと、実際は保護観察官の方もこれ持っていないと今の全体の業務について分からないというぐらい、この間、非常に増えているわけですね。
 この目次から、新しい法律が施行された後に導入された主な施策、取組をちょっとピックアップして手元に、資料に配りました。段階別処遇、特別観察期間、特定暴力対象者に対する処遇、専門的処遇プログラム、再犯防止のための住居と就労の確保、自立促進センター、社会貢献活動、贖罪指導プログラム、保護者に対する措置、所在不明者対策、犯罪被害者等の施策などが並んでいるわけですね。
 これが入ったことによってどのようにその保護観察官の業務が変わっているかということを現場で聞き取りをいたしまして、資料二にまとめてみました。
 例えば、段階的処遇ですけれども、従来は、担当保護司による毎月二回程度の面接されていたのが、このA段階に段階処遇になりますと、主任官による少なくとも三か月に一回の面接及び往訪があると。それから、四番、専門的処遇プログラム。先ほどありましたけれども、これでも面接の回数、おおむね月八回程度があるとお聞きいたしました。これにフォローアッププログラムが加わりますと更に面会の数が増えると。それから、再犯防止のための住居と就労の確保になりますと、自立準備ホームであるとかハローワーク、自治体との連携強化ということで、そことのいろんな連絡が、これも年間四十五回程度増えると。こういうお話を伺いました。
 全体として、この仕事の種類と量が増えて、しかも非常に困難、専門性の必要な事案が増えているということが見て取れるわけですね。その結果、一人一人の保護観察官の仕事がどうなっているのかとお聞きいたしましたのが資料三でありますけれども、確かに人数は一定増えましたので担当する保護観察の事件の数は百八十件から百件に減り、環境調整事件も百二十件から百件に減っておりますが、月当たりの面接回数、先ほど申し上げたようないろんな施策に伴って従来十回程度だったのが四十回になったとお聞きするんですね。大体一回面接するのに、準備で一時間、面接で一時間、報告で一時間ぐらい掛かるというふうに言われておりました。それから、月当たりの往訪回数も三回から十回に、それから関係機関との協議が従来六回ぐらいだったのが五十回になると。これに加えて、更にいろんな施策による業務が増えていると。
 こういう状況でありまして、私は、本当に今保護観察官の方々の献身的な奮闘に支えられておりますが、今の増員の状況でも、現在の仕事、業務量からいってももっともっと体制強化が必要だと思っておりますけれども、まず現状認識を保護局長にお聞きしたいと思います。
#75
○政府参考人(齊藤雄彦君) 今委員から詳細に御説明がありましたように、新たな施策がここ数年次々と出てきておりまして、もちろんそれらは当然必要なものなんですが、現場には相当の負担になっていることも事実でございます。さらに、これらの施策を十分実施するために必要な体制の整備にこれまで努めてまいりましたが、今後ともそのような体制の整備に努めていきたいというふうに思っております。
#76
○井上哲士君 そこで、大臣にお聞きするんですが、今でも非常にこういう状況があります。これに刑の一部執行猶予が加わるということになりますと、先ほど、二千から三千人ぐらい増えると、対象者が、こういうお話がありました。しかも、全部執行猶予と違って一部執行猶予の方は犯情も重い方が多いわけでありますし、非常にそういう点では処遇に様々な困難もある方もいらっしゃるでしょう。しかも、最長五年間の保護観察期間でありますから、積み上がっていくとどんどん増えていくという可能性もあるわけであります。
 私は、この新しい制度が効果が上がるまでにはやはり一定の期間が要ると思うんですが、問題がいろいろ出てくるのは、割と、例えば一部執行猶予期間中に重大事件を起こすとか、そういうことが重なりますと問題が非常に早く浮き彫りになるということがありまして、やっぱり出発の段階からきちっとした体制を取るということなしにこの制度への国民的信頼というものも勝ち取れないと思うわけで、実際に動き出すまでに今の状況に加えて、新たに増えることを考えて、どういう体制でいくのか。それから、更に増えた上でどこまで目指していくのかというきちっとした計画を持って進めることが必要かと思いますが、この点、大臣、いかがでしょうか。
#77
○国務大臣(谷垣禎一君) 井上委員から大変今の保護観察の業務、保護観察所の業務について分かりやすくまとめていただき、あとの資料も大変有益な資料を付け加えていただきました。心から感謝申し上げます。
 それで、今、先ほどからも御議論してまいりましたように、今度の新しい一部執行猶予制度が取り入れられますと、年間二千人から三千人程度観察対象者が増えるというふうに予測しております。それから、委員が指摘されましたように、累積して積み上がっていくということもあると思います。それから、先ほど局長が御答弁申し上げましたように、これ、今業務が増えてきておりまして、それぞれ懸命に取り組んでもらっておりますが、相当ぎりぎりのところで仕事をしているなという認識も持っております。
 それで、先ほども御答弁申し上げましたが、この法律を通していただいて実施までには若干準備期間もあるわけでございますが、その間にいろいろ業務の、何というんでしょうか、適切な業務の推進とかいろいろやらなければならないこともありますが、やはり人というものは大事だろうと思います。今おっしゃるように、計画的にこれは取り組んでいかなければ、場当たりでは対応ができないんだろうと思います。
 定員、予算等々いろいろございますので、今の段階でまだ十分御答弁することはできませんが、私としても力を入れて取り組んでまいりたいと思っております。
#78
○井上哲士君 これは累次、全会一致の附帯決議も付いている、請願も採択されていることでありますので、是非よろしくお願いいたします。
 終わります。
#79
○委員長(草川昭三君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、刑法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
   〔賛成者挙手〕
#80
○委員長(草川昭三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 次に、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#81
○委員長(草川昭三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、真山君から発言を求められておりますので、これを許します。真山勇一君。
#82
○真山勇一君 私は、ただいま可決されました刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党、公明党、みんなの党、生活の党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。少々長めですが、よろしくお願いをいたします。
    刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、両法の施行に当たっては、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 更生保護の責務は国が負うべきものであることを踏まえ、両法の施行までに、施設内処遇と社会内処遇の有機的な連携を図るために必要な体制整備を計画的に進めるとともに、保護観察官の専門性の一層の強化及び増員など、国の更生保護体制に関する一層の充実強化を図ること。
 二 刑の一部の執行猶予の適用に当たっては、厳罰化又は寛刑化に偏ることがないよう、関係刑事司法機関とその趣旨について情報の共有化に努めるとともに、両法の適正な運用を図るため、その施行状況を把握する体制を整備すること。
 三 薬物事犯者の処遇に当たっては、民間の医療・社会福祉関係機関及び地方公共団体との更なる連携を強化し、その治療体制の拡充及び地域での効果的なフォローアップなど、改善更生及び再犯防止の実効性を高めるための施策の充実を図ること。
 四 再犯防止及び社会復帰を図る上で、保護司や民間の自立更生支援団体等の担う役割は大きく、その機能の拡充が緊要となっていることに鑑み、その支援体制の確立及び十分な財政措置を講ずるとともに、保護観察等における緊密な連携強化を図っていくこと。
 五 社会貢献活動については、どのような活動・期間が再犯防止等に有効か十分検証を行い、民間の自立更生支援団体等とも緊密な連携を図るとともに、地域住民等関係者の不安を払拭するため、効果的な体制を設けること。
 六 再犯を防止するためには、刑務所出所者等の就労の促進安定が効果的であることに鑑み、昨今の厳しい雇用・経済情勢に対応したよりきめ細やかな就労支援・雇用確保を一層推進していくこと。
 七 政府のこれまでの再犯防止施策について適正な評価を行うとともに、両法の対象とならなかった事犯者の再犯防止等を図るため、諸外国で導入されている保護観察の充実強化策の例も踏まえながら、引き続き有効な施策を研究調査し実施できるよう努めること。
 八 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部執行猶予が、刑事施設における処遇に引き続き保護観察処遇を実施することによりその再犯を防ぐためのものであることを踏まえ、本制度の施行後、薬物使用等の罪を犯した者の再犯状況について当委員会に報告するとともに、より充実した制度にするための検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
 九 東日本大震災の被災地においては、今も多数の保護司等が活動困難な状態に陥っていることに鑑み、その更生保護体制について、保護司の充足に加え、地方公共団体及び医療・社会福祉関係機関等との連携体制の整備に万全を期するとともに、両法の施行に当たっては、被災地の状況に十分配慮すること。
右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
#83
○委員長(草川昭三君) ただいま真山君から提出をされました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#84
○委員長(草川昭三君) 全会一致と認めます。よって、真山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 ただいまの決議に対し、谷垣法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。谷垣法務大臣。
#85
○国務大臣(谷垣禎一君) ただいま可決されました刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#86
○委員長(草川昭三君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○委員長(草川昭三君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ─────────────
#88
○委員長(草川昭三君) 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。谷垣法務大臣。
#89
○国務大臣(谷垣禎一君) 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 平成十九年六月に犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律が成立し、これにより、犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度が創設されたところですが、一般に、犯罪被害者等は、犯罪により多大な損害を被り、経済的にも困窮することが少なくないと指摘されており、その権利利益のより一層の保護を図るため、この制度を利用する被害者参加人の経済的負担を軽減するための施策を講ずることが求められております。
 そこで、この法律案は、公判期日等に出席した被害者参加人が旅費等の支給を受けられるようにするとともに、国選被害者参加弁護士の選定を請求することができる要件を緩和するため、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、公判期日等に出席した被害者参加人に対する旅費等の支給に関する規定等の整備であり、公判期日等に出席した被害者参加人は、裁判所を経由して請求書等を日本司法支援センターに提出し、日本司法支援センターから、旅費、日当及び宿泊料の支払を受けられることとしております。
 第二は、国選被害者参加弁護士の選定請求に係る要件の緩和に関する規定等の整備であり、被害者参加人の資力基準について、その算定の基礎となる必要生計費等を勘案すべき期間を三月間から六月間に伸長することにより、国の費用で被害者参加弁護士が選定される被害者参加人の範囲を拡大することとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#90
○委員長(草川昭三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会をいたします。
   午前十一時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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