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2013/02/06 第183回国会 参議院 参議院会議録情報 第183回国会 本会議 第5号
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2013/02/06 第183回国会 参議院

参議院会議録情報 第183回国会 本会議 第5号

#1
第183回国会 本会議 第5号
平成二十五年二月六日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
  平成二十五年二月六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(平田健二君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る四日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。金子洋一君。
   〔金子洋一君登壇、拍手〕
#4
○金子洋一君 民主党の金子洋一でございます。
 会派を代表して、財政演説に関して御質問を申し上げます。
 冒頭、昨日明らかになりました中国海軍の艦船による我が国護衛艦への射撃管制用レーダー照射の問題について伺います。
 政府として厳重に抗議したということでございますけれども、中国のこれまでの行動について、小野寺防衛大臣に御報告お願いをいたします。また、我が国の安全を大いに脅かす重大な出来事にもかかわらず、一月十九日の事案及び一月三十日の事案について政府の発表がここまで遅れたことについて、なぜなのか、防衛大臣、お答えをいただきたいと思います。
 中国のこのような行為について、我が国を代表する総理の見解と今後の政府の対応について、安倍総理、お答えください。自公両党のこれまでの動きが中華人民共和国政府に対して誤ったシグナルを送ったのではないでしょうか。
 さて、いわゆるアベノミクスについて取り上げます。
 改正日銀法が施行されました一九九八年から続く我が国経済のデフレ、ここからの脱却や経済再生の重要性から、日銀と密接に連携した強力な金融緩和と大型補正予算の必要性については政府と認識を共有いたします。特に、円高が長期にわたって続いていた原因は、デフレとの戦いが十分でないことにあります。この意味では、日銀法に明言されているように、政府と日本銀行が政策の十分な調整をすることが不可欠であります。
 特に、デフレ脱却にインフレ目標政策などの大胆な金融緩和をもって取り組むことに心から賛成をいたします。私は、初めて国政選挙に挑戦をいたしました平成十五年から、このようなインフレ目標導入などのリフレ政策の実施を訴えてまいりました。そして、初当選の直後から、民主党内でデフレ脱却議員連盟という金融政策にスポットライトを当てた議員連盟を同僚議員とともに立ち上げ、日本銀行による金融政策の大幅な強化の必要性を訴えてまいりました。たとえ党派が違ったとしても、その採用には心から敬意を払いたいと考えております。
 さて、今日現在、日経平均は約一万一千円程度、一ドルは九十二円程度。解散・総選挙が現実味を帯びるにつれて円安が進み、米国株式は横ばいの状況であるにもかかわらず、我が国では株高となりました。十一月中旬の日経平均八千六百円台、一ドル七十九円台から大幅に改善をされました。そして、三か月近くにわたって円安傾向が続いております。
 また、中華人民共和国など一部の国から我が国が円安誘導をしているとの批判が出ているようですが、デフレ脱却の目的のために金融政策を変えようとしたことによるものであり、為替市場への介入があったわけではありません。海外からの非難は、我が国の製品と競合する自国産品の輸出が伸びなくなるという極めて身勝手な理由によるものです。どうか、総理におかれましては、そういったためにする批判には耳を貸さず、我が国の国益を考えて邁進していただきたいと思います。
 以上のように、アベノミクスの大胆な金融政策の基本的な方向性については賛同いたします。しかし、それ以外、特に今回の補正予算に見られるような政府の財政支出の在り方を見ますと、このままでよいのかという懸念を感じざるを得ません。
 一例を挙げれば、今回の緊急経済対策を決定した一月十一日の閣議で、安倍総理は、デフレ、円高からの脱却には政府、日銀の連携による大胆な金融政策が不可欠と改めて強調されました。それはよいと思います。その上で、財政出動の狙いについて、日銀が供給したお金を使うには、政府が率先して需要をつくり、景気の底割れを防がなければならないと発言されたのです。
 こうした財政政策に関する考え方は、失礼ながら旧態依然としたオールドケインジアンのものであります。変動為替相場制の下にある我が国では、単に財政支出をしても、政府が率先して需要をつくっても、大幅な金融緩和がなければ、円高が生じ結果的に政府支出がつくり出した需要は大部分が海外に流出してしまいます。マンデル・フレミング効果と申しますが、これが近年の公共事業の乗数低下の大きな原因であると言われております。
 公共事業の乗数低下にもう一つの原因があるとするならば、我が国の建設土木業界の事業処理量が限られていて、景気対策により大量の公共事業が発注されると、その分だけ民間の工事の消化がストップしてしまうことが考えられます。言わば、ボトルネックが生じてしまうのです。
 具体的にお尋ねをいたします。
 被災地である福島県内の昨年十二月の有効求人倍率が一・一八倍と、統計を取り始めて初めて全国一位になりました。これ自体は大変喜ばしいことであります。しかし、復興需要の増加で、建設関係、これが三・七七倍、工事現場の警備員など保安関係、これは六・五六倍など、そういった求人が増えたためであり、特定の職種に偏りがございます。一方で、求職者数が多い事務関係、これは〇・三五倍です。製造関係、〇・六一倍です。こうしたものは現地での仕事自体が少ないことから低く、また、正社員の求人倍率も〇・七二倍となっております。
 こうしたことを考え合わせれば、経済対策で公共事業を増やした方がいいのか、それとも公共事業以外の事務や製造関係の仕事が増えた方がいいのか、被災地福島の復興を第一に考えれば、これは望ましいのは公共事業以外ではないでしょうか。経済対策は公共事業以外に力点を置くべきだと考えますが、この点について総理にまずお尋ねをいたします。
 こうした公共事業を始めとする財政政策重視は、過去の自公政権でも顕著であります。これから、麻生財務大臣が総理でいらした二〇〇八年に起きたリーマン・ショックへの対応を取り上げます。
 当時の経済財政担当大臣は、リーマン・ブラザーズの破綻について、日本経済にも蜂が刺した程度の影響はあるが、日本の金融機関が傷むことは絶対にないとしました。また、あらゆる専門家の意見を聞いたが、一年で元に戻るというのが共通意見だったと述べました。しかし、問題となったのは、金融機関の健全性などではなく、急激な円高を通じた我が国経済への悪影響だったことは誰の目にも明らかです。
 政府と日銀の政策的な協調を定めた日銀法第四条があるにもかかわらず、日銀は、景気刺激を目指した買いオペなどを行うこともなく、ほとんどそのバランスシートを拡大させず、ベースマネーの供給を増やそうとしませんでした。諸外国では、リーマン・ショックへの対応のため、二〇〇八年九月からその年末までに、米国では約二・五倍、英国では約三倍に中央銀行がバランスシートを拡大させ、その後も通貨供給量を増やし続けたのにもかかわらずです。
 その結果、当時一ドル百十円近かった円レートが、年末には九十円台を大きく割り込む急激な円高ドル安を招きました。当時の政権は、他の先進国で行われた大胆な金融緩和ではなく、経済対策による財政支出で対応しようとしましたが、もちろんこれは有効ではありませんでした。輸出は激減し、リーマン・ショックの震源地である米国での鉱工業の生産は約一五%しか減少しなかったのにもかかわらず、我が国の生産はその倍以上の三〇%以上下落をしたわけであります。
 その後、製造業で働いていた非正規労働者に対する派遣切りが横行し、生活保護者が急増いたしました。これは、働くことのできる若い失業者が生活保護に大量に流入したことが原因です。現在、与党は生活保護費を削減しようとなさっているようですが、私はそれに反対です。今日の生活保護問題の一端はここに端を発しております。麻生財務大臣、当時の総理としてその反省はおありでしょうか。
 このように、大胆な金融緩和を行わずに単に財政支出を増やしても景気は良くなりません。自民党政権では、バブル崩壊以降、事業規模で約二百兆円の公共事業を行ってきましたが、経済再生もデフレ脱却も実現できませんでした。その経験が生かされておりません。金融政策が主であって、財政政策は従でなければなりません。景気浮揚効果がない支出は慎むべきです。この点について総理の答弁を求めます。
 さらに、大胆な金融緩和を保障する政府と日銀の連携についてお尋ねいたします。
 私ども民主党政権の下で、昨年二月十四日、日銀は、金融緩和の政策の一環として、当面目指すべき物価上昇率のめどを一%にすると発表いたしました。これは、不完全ながら我が国で初めて導入されたインフレ目標政策です。
 また、十月三十日には、日銀総裁と当時の城島光力財務大臣、前原誠司経済財政担当大臣が連署して、日銀と政府の共同声明、アコードを発表し、双方が連携をすることを約束いたしました。
 これらは、デフレ突入以降の日銀と政府の連携の強化としては画期的なものでありました。
 さて、先月末に公表になりました平成十四年の日銀金融政策決定会合の議事録では、当時の財務副大臣が、日銀に対して、為替介入の効果を高めるために非不胎化の実施や長期国債の買入れ増を会議の席上で提言をしていたことが明らかとなっております。当時の与党の努力を評価したいと思います。
 よく決定会合で政府出席者が発言することを日銀の独立性に対する侵害だと解釈する人がいるのですが、法律に根拠のある会合に出席をして発言することに何ら制限があるわけはありません。結果的にそうした提言は必ずしも受け入れられなかったわけですが、やはり何らかの方法で共同声明による政策協定に縛りを持たせることが必要ではないでしょうか。総理にお尋ねをいたします。
 次に、日銀の独立性について財務大臣にお尋ねをいたします。
 日銀法には独立性という文言が記してあるのでしょうか。また、日銀の独立性の定義はどのようなものでしょうか。自主性という言葉と独立性では意味が違うと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、安倍総理は、今国会の答弁の中で、日銀が自ら設定した二%の物価安定目標について責任を持ってできるだけ早期に実現することを期待していると度々発言しておられます。あたかも日銀が独立して二%という目標を設定したかのように聞こえます。これは果たして世界的に標準とされる中央銀行独立性の観点からして正しい発言なのでしょうか。
 ここで、ほかの国の中央銀行の総裁の発言を引用いたします。米国の中央銀行に当たる連邦準備制度、FRBのベン・バーナンキ議長は世界恐慌の研究家として大変に有名です。官僚のOBではなくて、経済学者なのです。そして、彼自身、昨年の一月にFRBにインフレ目標政策を公式に導入いたしました。
 そのバーナンキ議長は、講演の中で、中央銀行の金融政策の目標は政治当局によって設定されるが、その目標を追求する方法においては政治的支配から独立であるべきと述べております。さらに、中央銀行の政策遂行において目標の独立性と手段の独立性を区別して考えることは有用であるとして、目標の独立性、すなわち、中央銀行によって政策目標を定めることが自由に行えるようにすることは、民主主義社会では正当化することは難しいことですとまで強調して述べております。
 御存じのように、これまで日銀は、物価の安定という日銀法に定められてきた目的ですら達成できていませんでした。そして、独立性を得た一九九八年から、その年からちょうど消費者物価は前年比でマイナスに転落をし、現在に至るまで基本的に前年比ゼロ%からマイナス一%の間で推移してきております。世界で我が国だけが継続的なデフレに陥っているわけであります。長年、日銀を厳しく批判してきたノーベル賞経済学者であるポール・クルーグマンが昨年の春指摘したように、日銀はこれまでその任務に失敗してきたというわけであります。
 官僚組織に暴走を許してはなりません。今後は、政府と日銀が事前に相談をして金融政策の目標を設定すべきではないでしょうか。つまり、何%の物価上昇率をいつまでに達成し、そのためにはベースマネーを最大限どのくらいまで拡大することができる、そして、達成できなかったときには明確な説明責任を日銀が果たす、こういった具体的な約束をすべきではないでしょうか。
 これまで引用したバーナンキ議長の講演、これは実は、二〇一〇年五月に日本銀行金融研究所主催による国際コンファランスで行われたものなのであります。中央銀行の独立性を曲解して誤った政策を取る日銀への警告の意味があったと解釈すべきではないかと思います。
 ここで、総理にお尋ねいたします。政府との具体的な約束なく、日銀自身に単に二%という物価安定目標を設定させたことは誤りではないでしょうか。
 また、先ほど、リーマン・ショックへの対応として、各国の中央銀行がバランスシートを拡大し、ベースマネーの供給を増やしたことを申しました。ところが、先日の日銀金融政策決定会合でも、二〇一四年中までしかベースマネーを増やす約束が行われておりません。
 総理にお尋ねをいたします。先日の経済財政諮問会議では、日銀白川総裁は、二〇一四年以降の資金供給は状況次第で増え得ると発言をしております。日銀にフリーハンドを与えてしまっていますが、これまでの日銀の失敗の歴史に照らし合わせて、これでも十分だとお考えなんでしょうか。
 今後も円安は続くと思います。とすれば、特にエネルギーや食料などの輸入品の価格が高騰する可能性が強くあります。今、物価安定の目標が消費者物価の前年比上昇率で二%となっているわけですが、これは自民党の公約でも同様です。しかし、そこで使われる物価指標は、輸入物価の高騰に左右されてしまう消費者物価総合であってはなりません。食料及び電気代、都市ガス代、プロパンガス、灯油、ガソリン代などのエネルギーを除く指数、いわゆるコアコア指数でなければ、生活感覚からも遠く、また、何の景気回復のための努力もなく自動的に達成されてしまうことにもなりかねません。なぜコアコア指数ではないのですか。財務大臣にお尋ねをいたします。
 さて、これまでは日銀法に基づく政府と日銀の連携の在り方についてお尋ねしてきました。そして、円安が進めばおのずと輸入物価が上昇することについて述べました。これからは、今回の補正予算がその円安の影響を十分考慮に入れていないことについてお尋ねをいたします。
 今回の対策は、十一月中旬に円安が進み始めてから約二か月たってから完成をいたしました。当然、円安の弊害についても対策を検討する時間的余裕はあったわけであります。ところが、以前の円高が日本経済の問題だった時期の経済対策と同工異曲の内容であることに私は驚きました。
 例を挙げますと、民主党が与党の時代に抜本的な見直しをすることとした自動車関係諸税の再検討も先送りされてしまいました。円安でガソリン代が上がるわけですから、ユーザーの負担を考えれば、自動車重量税や取得税といった自動車の購入や保有にかかわる税金はすぐに下げる必要があるのではないでしょうか。
 また、自民党の税調会長は、自動車重量税を道路の維持修理に主に使いたいとの発言を先日なさいました。これでは、総理が幾ら一般財源だと強弁なさっても、実際には道路特定財源の復活にほかならないではないですか。
 いや、道路特定財源は廃止したとあくまでおっしゃるならば、ガソリンや軽油の価格に含まれている揮発油税や軽油引取税の暫定税率相当分は、その根拠を失っているわけですから、円安の進行に伴ってエネルギー価格の高騰が予想される今、廃止すべきではないでしょうか。
 電気料金も円安の影響を受けます。輸入されているLNGや原油の円建て価格が高くなるからです。現在の仕組みでは価格高騰分が自動的に国民の電気料金に上乗せされますが、受益者が限られている公共事業に回す予算を削り、国民があまねく受益できる電気料金への補助金に回すべきではないでしょうか。
 パンや麺類の原料となる輸入小麦も高騰します。これも政府による公定価格です。なぜ補正予算で引下げの財源を確保しないのでしょうか。なぜ、こうした国民生活を守り、それゆえ景気刺激効果も極めて大きい円安対策が今回の補正予算に盛り込まれていないのでしょうか。お金の使い方が間違っているんではないですか。総理にお尋ねをいたします。
 また、麻生財務大臣は、消費税の引上げについて、景気が悪い中では上げない旨の発言をしていらっしゃいます。私も賛成ですが、どのような景気状況であれば上げないのか、具体的に伺いたいと思います。
 これまで述べましたように、金融緩和をしてデフレ脱却を目指すアベノミクスの全体方針は正しいと私も思います。あとは、その実現のための手法と、その成果をいかに国民全体に回していくのかが大きな問題です。
 甘利経済財政担当大臣は、先日、業績が良くなったら一時金を増やしたらどうですかと、今年の春闘の中の何らかのタイミングで政府から産業界に働きかけをした方がいいと発言なさいました。一〇〇%賛成です。どうか総理からも働きかけを是非お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 物価が上がってもお給料が上がらなければ国民の生活は厳しくなります。所得が増えれば内需も拡大し、景気も好循環に入ってまいります。
 以上、額に汗して働く人々の生活を目に見える形で良くしていく政策を実現するために、これから、私も微力ですが、全力で活動することをお約束をさせていただきまして、私からの代表質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 金子洋一議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、中国海軍艦艇による火器管制レーダーの照射事案に関し、私の見解と今後の対応についてお尋ねがありました。
 今回の事案は、不測の事態を招きかねない危険な行為であり、極めて遺憾であります。本件を受け、速やかに外交ルートを通じて中国側に抗議し、遺憾の意を表明するとともに、再発防止を強く求めました。
 日中両国の間で対話に向けた兆しが見られる中で、中国側により、このような一方的な挑発行為が行われたことは非常に遺憾であります。中国側に対し、改めて戦略的互恵関係の原点に立ち戻って、このような行為の再発を防止し、事態をいたずらにエスカレートさせないよう強く自制を求めてまいります。
 続きまして、公共事業の効果と経済対策の力点についてのお尋ねがありました。
 今回の緊急経済対策における公共事業については、老朽化対策や耐震化など、国民の生活を守る事業、成長や地域活性化を促す事業に重点化をしており、国民の生命や財産が守られるという重要な効果を有するものであると考えております。これらを実施することで、政府自ら需要を創出することによる経済効果が見込まれます。また、事業の執行に当たっては、人員の不足に応じた施工方式の導入等の取組を進めることにより、民間工事に支障を生じないよう努めることとしております。
 こうした機動的な財政政策に加え、大胆な金融緩和、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を一体的かつ強力に実行していくことで、経済再生を推し進め、雇用や所得の拡大につなげてまいります。
 経済財政政策についてお尋ねがありました。
 これまでの累次の経済対策は一定の景気下支え効果はあったと考えていますが、その延長線上にある対応では経済の再生を進めることはできません。このため、私の内閣では、これまでとは次元の違う大胆な政策パッケージとして、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という三本の矢を一体として実行してまいります。
 なお、今般の今年度補正予算及び来年度予算に盛り込んだ公共事業については、国民の生活を守り、地域活性化を促すために必要なものと考えております。
 また、政府としては、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現すべく、日本銀行が大胆な金融緩和を推進することを強く期待しております。
 共同声明に関連したお尋ねがございました。
 金子洋一議員から、私の金融政策については評価をいただいたこと、大変感謝を申し上げたいと思います。
 共同声明に基づき、経済財政諮問会議において、原則として四半期ごとに金融政策と物価等に関する集中審議を行うこととしております。透明性の高い形で金融政策についてしっかりと検証することにより、説明責任を強化するとともに、共同声明の実効性を担保してまいります。
 物価安定目標の設定についてのお尋ねがありました。
 政府としては、デフレ脱却には従来の政策枠組みを大きく見直していくことが必要であると、こう考えておりました。共同声明の取りまとめに当たっては、こうした考え方の下、日本銀行と密接な意思疎通を行いました。共同声明に示された二%の物価安定目標は、こうした政府との意思疎通を踏まえ、日本銀行が定めたものであります。いずれにしても、日本銀行が責任を持って、できるだけ早期に物価安定目標を実現することを期待しております。
 先月の金融政策決定会合における日銀の緩和措置についてお尋ねがありました。
 政府としては、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現すべく、日本銀行が大胆な金融緩和を推進することを期待しておりますが、そのための具体的な金融政策の手法については、政府としてコメントすることは差し控えます。
 なお、共同声明では、金融政策等について経済財政諮問会議で検証することとしており、日銀にしっかりと説明責任を果たしてもらう仕組みとしているところであります。
 自動車重量税についてお尋ねがありました。
 自動車重量税等の車体課税については、今般の与党税制改正大綱を踏まえ、平成二十六年度税制改正に向け、与党における検討状況を踏まえながら検討してまいります。また、自動車重量税は一般財源であり、道路特定財源を復活するものでは全くありません。
 揮発油税等の燃料課税については、税制抜本改革法第七条に規定されているとおり、地球温暖化対策等の観点から、当分の間の措置として税率水準が維持されていること等を踏まえ、検討してまいります。
 電気料金への補助金についてのお尋ねがありました。
 電気の供給に係るコストについては、電気の利用者が負担することが原則であり、国民全体の負担により電気料金に直接的に補助することは考えておりません。
 一方で、中長期的な電気料金の引下げに向け、競争による効率化と安定供給を両立する電力システム改革や、北米からのシェールガスの輸入の実現などを通じた天然ガスの安定的かつ低廉な調達に最大限取り組んでまいります。
 円安に伴う輸入小麦への対応についてお尋ねがありました。
 御指摘のあった輸入小麦の政府売渡価格は、二月と八月の年二回、過去六か月間に政府が輸入する価格を基に決定しているものであります。今後の政府売渡価格の改定においても、国際穀物相場の影響は受けるものの、為替については過去六か月間の水準が反映されるため、直近の為替動向自体が改定幅に大きな影響を与えるわけではないと考えております。
 一時金についてお尋ねがありました。
 将来への確かな期待を持てるような成長戦略により、企業の収益を向上させ、それを雇用の拡大や賃金の上昇につなげていきたいと考えております。昨日の経済財政諮問会議において、産業界と意思疎通を密にして、業績が改善している企業には、報酬の引上げ等を通じ、所得の増加につながるよう御協力をお願いをしていくとの方針をお示ししたところであります。金子議員の御指摘のとおり、我々もしっかりと取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(麻生太郎君) リーマン・ショック後の対応や生活保護についての御質問をちょうだいしました。
 リーマン・ショック後の世界的な金融危機を受けた実体経済の急速な悪化などを踏まえて、日本においても、諸外国と同様に雇用対策を含む累次の経済対策を実施したところです。雇用調整助成金などがその例だと存じますが、こうした対応は、経済の底割れを防ぎ、経済を下支えするために必要なものであり、有効でなかったとの御指摘は当たらないと考えております。
 今般の生活扶助基準の見直しにつきましては、自公民三党で成立をさせた社会保障制度改革推進法の規定に沿って、専門的な検証結果などを踏まえ、適正化を図る観点から行うものであります。
 日銀の独立性についての御質問をちょうだいしました。
 日銀法では、金融政策における日銀の独立性について、日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は尊重されなければならないと規定されており、独立性ではなく自主性という文言が用いられているのは御存じのとおりです。
 これは、平成九年の日本銀行法改正時の基本的考え方となりました中央銀行研究会報告書におきまして、日本の制度の下では、日本銀行は国会や内閣から完全に独立した存在ではあり得ないとの考え方が示されたことを踏まえたものと承知をいたしております。
 次に、物価指標についての御質問がありました。
 日本銀行からは、家計が消費する財・サービスを包括的にカバーした指標が国民の実感に即しており、物価の安定をとらえる上で適当との考え方から、二%の物価安定目標を消費者物価総合指数で見ることにしたと伺っております。
 なお、英国、カナダ、豪州等々、インフレターゲット政策を採用している多くの国におきまして、食料品やエネルギーを含めた総合指数で目標値を設定しているものと承知をいたしておるところです。
 最後に、消費税引上げ実施の判断についての御質問をいただきました。
 昨年八月に成立をいたしました税制抜本改革法では、来年四月に消費税率を引き上げることが決まっておりますが、御存じのように、附則第十八条に規定されているとおりでありまして、機械的に何が何でも引き上げるということではありません。
 引上げに当たっては、特定の経済指標だけではなく、様々な指標を含め、経済状況などを総合的に勘案して判断することといたしております。
 いずれにいたしても、日本の経済を全力を挙げて再生していかなければならぬというのが大前提だろうと思います。(拍手)
   〔国務大臣小野寺五典君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(小野寺五典君) 金子議員にお答えします。
 中国海軍艦艇による海上自衛隊の護衛艦等への火器管制レーダー照射についてお尋ねがありました。
 中国のこれまでの行動については、一月三十日午前十時ごろ、東シナ海において、中国海軍ジャンウェイU級フリゲート一隻から海上自衛艦の護衛艦「ゆうだち」が火器管制レーダーを照射されました。
 なお、一月十九日午後五時ごろにも、東シナ海において、中国海軍ジャンカイT級フリゲート一隻から海上自衛隊の護衛艦「おおなみ」搭載ヘリコプターに対する火器管制レーダーの照射が疑われる事案が発生しております。
 本件に関しては、事案の事実関係等について慎重に分析、確認を行ったところであり、また、このような危険な行為が短期間のうちに立て続けで行われた可能性が高い特異な事例であったことを踏まえ、今般、公表を実施したものです。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(平田健二君) 吉田博美君。
   〔吉田博美君登壇、拍手〕
#9
○吉田博美君 私は、自由民主党の吉田博美でございます。
 自由民主党・無所属の会を代表し、財政演説に関しまして質問をさせていただきます。
 先日、アルジェリアで人質事件が発生し、十名もの尊い日本人の命が失われました。この場をお借りしまして、謹んで哀悼の意を表します。
 政府におかれましては、関係各国、民間企業との協調、連携を図りながら、事件の究明、再発の防止に全力で取り組まれるようお願いを申し上げます。
 さて、先日、我が党の橋本聖子議員がすばらしい代表質問をされましたが、橋本議員は、総選挙後の議員総会におきましても、示唆に富んだすばらしいお話をされました。オリンピックでメダルを取るアスリートとその域まで達しないアスリートとの比較であります。普通、選手は負けて反省しますが、メダリストは勝って反省し、しかも、勝因を相手のミスにあることを素直に認め、自らおごり高ぶらない選手、そうしたアスリートこそが本当に強いメダリストになるとのことであります。
 我が自民党も、さきの衆議院選挙で大勝しましたが、まさに勝っておごらずという精神を忘れず国政に当たっていかなければなりません。党益よりも国益を優先し、野党の主張にも真摯に耳を傾け、みんなが納得する政策を取りまとめます。そうすれば、政府・与党に対して国民の皆様はその努力にふさわしい評価を与えてくれるものと確信しております。
 総理にも、国民各層の声に耳を傾けるのはもちろんのこと、胸襟を開いて野党党首と話す機会を持っていただきたいと思います。挙国一致の国政運営について、総理の御認識と覚悟をまずお聞きします。
 政権交代とともに、経済活動はおもしが取れたように回復をしています。
 振り返りますと、野田前総理は昨年十一月十四日の党首討論の場において解散を明言されました。その当日の為替は七十九円九十銭、株価は八千六百六十四円でありました。それが今、為替は一時九十三円を付け、株価は一万一千円前後に上がってきたのであります。いわゆるアベノミクスとマーケットで評価されている安倍政権の経済政策への期待がここまで市場を押し上げたと言えます。
 実際の経済活動も、マーケットの上昇機運に刺激され、回復してきています。一月二十三日に発表された月例経済報告によりますと、八か月ぶりに景気判断が上方修正をされました。個人消費、住宅建設、公共投資、いずれも底堅い動きとなっています。企業の生産活動が上向きつつあり、国民全体の景況感に明るさが見え始め、景気が底入れから回復に向かうとの見方が出てきています。九〇年代後半から延々と続くデフレからの脱却がようやく視野に入ってきたと言えます。
 総理は、今の経済状態をどのように判断されているのでしょうか、御認識をお聞きします。
 このような経済状態の中で、この度、緊急経済対策が取りまとめられ、大型の補正予算が提出されました。同時に、日銀との政策協調を進め、円高・デフレ対策も進んでいます。迅速に経済復活へののろしを上げられた安倍総理の政策手腕を高く評価をいたします。
 補正予算は、国の財政支出が十・三兆円、事業規模で二十・二兆円と、過去二番目の規模であります。二十五年度本予算とも合わせて切れ目のない形で十五か月予算が組まれ、経済活動を継続して押し上げていくものと期待されます。
 財務大臣には、補正予算、緊急経済対策の概要について御説明を願います。
 政府では、補正予算の経済効果は、実質GDPを二%程度押し上げ、また、六十万人程度の雇用創出につながると推定をされています。ただ、民間の研究機関などでは、この経済効果を楽観的過ぎるのではないかと懐疑的に見るところがないわけではありません。
 経済財政政策担当大臣には、補正予算の経済効果に関して、なるほど、それなら二%成長、六十万人の雇用が実現できるなと確信が持てるよう、国民の皆様に分かりやすく御説明をいただきたいと思います。
 緊急経済対策では、日本経済再生へ向けて、まずは東日本大震災からの復興の加速、防災の強化が挙げられています。笹子トンネル事故に見られるように、老朽化した社会インフラの補充、整備は喫緊の課題であり、中長期的な観点から国土の実情に合わせて進めなくてはなりません。
 公共事業の充実に関して、一部には、人からコンクリートへとのやゆや、昔の自民党に先祖返りしたとの批判もあるようですが、これは全く実情が分かっていない批判であります。財政事情が厳しい中、無駄な投資はしていませんし、できないのであります。公共事業の充実による国土強靱化の必要性について、総理のお考えを確認いたします。
 経済対策は、特に地方に住む人々に温かく、また、丁寧に配慮した内容になっていると思います。
 地方は公共事業と農林水産業に経済活動の多くを頼っていますが、補正予算の中身を見ると、成長による富の創出、暮らしの安心・地域の活性化という重点分野において、中小企業・農林水産業対策、安心できる医療の構築、公共交通の活性化など、地域の実情に合わせた予算が付けられております。
 少子高齢化が進む地方では、医療と交通インフラが不可分のものであります。そのために、命の道を整備し、ミッシングリンクをなくし、ドクターヘリなどの緊急医療体制を拡充しなければなりません。
 財務大臣には、地方あっての日本という観点からの政策がこの補正予算でしっかりと推進されていることを地方に住む方に分かるように丁寧に御説明ください。
 財政規律、財政再建について伺います。
 補正予算と本予算で国債が増発されたことで、来年三月末の国と地方の債務残高は九百七十七兆円と、名目GDPの約二倍に達する見込みであります。
 これに対し、今年夏には経済財政諮問会議が中長期的な財政の姿を明示するとのことですが、その中で財政規律、財政健全化への強いメッセージが盛り込まれ、情勢が改善すると期待されます。
 経済財政諮問会議の報告ではどのような財政再建への道筋が描かれるのか、ロードマップに沿った政府の財政再建への取組について、総理から具体的に御説明ください。
 市場には、国債の増発によっていずれは財政の規律が緩み、国債が売られ、長期金利が上昇するのではないかとの懸念が一部にはあるようです。そうした事態の悪化は避けられると期待しますが、緊急の事態に備えておく必要はあると考えます。我が党では、急に長期金利が上昇するリスク、すなわちXデーに備えて対応策を内々検討してまいりました。政府におかれましては、まずは財政規律をしっかりと維持することが最重要ですが、万が一にもリスクが高まりそうな場合は、我が党の対応策を参考にしながら、事前に万全の準備を怠ることがないようお願いをいたします。
 財務大臣から、政府のXデーへの備えに関する御認識をお聞かせください。
 総理は、我が長野県松代藩に伝わる「日暮硯」を御存じでしょうか。藩政改革に大なたを振るった恩田木工の物語であります。
 恩田は、主君から藩政改革の命を受け、すぐさま、妻に離縁、子供を勘当、家来を首に、親族と絶縁を言い渡しました。改革のため全てのしがらみを断ち切り、飯と汁のみを食し、自らの全てを律して、藩財政の再建、綱紀粛正に取り組んだのであります。周りの者は恩田のたたずまいと覚悟に打たれ、藩の者上から下まで彼の考えが徹底されたといいます。また、その政治姿勢は彼の死後も今日まで代々語り継がれているのであります。
 総理にはそこまでは求めません。しかしながら、我が国の財政は世界的に見ても最悪の状態にあることからして、その精神は極めて大事だと思います。恩田木工という人物への感想とこれからの財政再建への覚悟をお聞かせください。
 戦後の焼け野原から今日に至るまで、日本人は本当によく頑張ってきたと思います。ただ、日本列島という限られた市場、人口規模では成長にも限界があります。世界に目を開き、とりわけ急速に購買力が高まりつつあるアジア各国を経済活動に取り込まなければなりません。それには、諸外国のリーダーに負けないよう、総理にトップセールスの役割を果たしていただきたいと思います。
 先日の我が党の中曽根議員会長の質問にもあったように、世界から注目され、高い評価を受ける安倍ドクトリンを公表し、外交、経済両面にわたり世界のリーダーとして御活躍をいただきたい。総理の決意と御見識を披露ください。
 最後になりますが、私の好きな言葉、座右の銘は温故知新であります。ふるきを求め新しきを知ると。自民党も日本のふるき良き文化、伝統を守り、時代の要請にこたえつつ改革を加えていく堂々とした保守政治を進めるべきであります。
 総理は、先日、日本プロスポーツ大賞を受賞した阿部選手と会われました。阿部選手は野球の捕手、安倍総理は政治の保守であり、ホシュ同士お互いに頑張ろうとエールを交わしたと報道されていました。
 野球では捕手がゲームの要、政治では保守が要であり、そこが緩むとがたがたになるのは同じであります。安倍総理には、これからも保守政治の王道を邁進していただくよう期待とお願いを込めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#10
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 吉田博美議員の御質問にお答えをいたします。
 挙国一致の国政運営についてお尋ねがありました。
 我が国を取り巻く数々の危機を突破していくために、国会は、与野党の英知を結集させ、国力を最大限に発揮させるための場でなければなりません。吉田議員御指摘のとおり、必要に応じて野党党首の皆様の御意見を聞く機会を設けることを含め、各党各会派と丁寧な議論を心掛け、建設的な議論を行っていきたいと考えております。
 最近の経済の動向についてのお尋ねがありました。
 我が国経済は、長期にわたり需要が弱い中で、企業などによる日本経済の将来に対する成長期待の低下やデフレ予想の固定化もあって、デフレが継続してまいりました。こうした中、足下では我が国の景気は弱い動きとなっていますが、一部に下げ止まりの兆しも見られます。また、景気回復への期待を先取りする形で株価も回復し始めるなど、改善の兆しが見られます。
 今後、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という三本の矢でこれを景気回復につなげ、経済再生を推し進めてまいります。
 公共事業の充実による国土強靱化の必要性についてお尋ねがありました。
 公共事業イコール無駄遣いあるいは悪であるという単純なレッテル張りからは卒業しなければなりません。公共事業について思慮深い議論を進めていく考えであります。今後、老朽化対策や耐震化といった国民の命を守る真に必要な公共事業を着実に進めてまいります。
 また、事前防災・減災の考えに基づいた国土の強靱化を推進するためには、このようなハード事業のみならず、ソフト面も含めた総合的な対応が必要であり、国土強靱化担当大臣の下で府省横断的に検討してまいります。
 財政再建への道筋についてお尋ねがありました。
 強い経済の再生を図りながら財政の再建を進めることが極めて重要であり、二〇一五年度までに国、地方のプライマリーバランスの赤字の対GDP比を二〇一〇年度の水準から半減し、二〇二〇年度までに国、地方のプライマリーバランスを黒字化するとの財政健全化目標を実現する必要があります。
 財政健全化目標を踏まえ、国債に対する信認を確保するためにも、来年度予算において国債発行額をできる限り抑制するとともに、社会保障・税一体改革を継続し、中長期的に持続可能な財政の実現を図ってまいります。今後、経済財政諮問会議において財政健全化と日本経済再生の双方を実現する道筋について検討を進めてまいります。
 続きまして、吉田博美議員を始め、多くの傑出した人物を輩出をした長野県松代藩の藩政改革を行った恩田木工についてお尋ねがございました。
 いかなる世でも、国家的な危機に立ち向かうには、恩田木工のような危機突破に向けた強い志と我が身を顧みず一身をささげる覚悟が不可欠であります。そうした決然としたリーダーの姿が、官を動かし、民を動かし、ひいては国を動かすものと確信をしております。
 我が国も今、危機的な状況にあります。私は、強い日本をつくるため我が身をささげる覚悟であります。恩田木工のレベルまでには行きませんが、皆さんの先頭に立ち、ひるむことなく危機を突破してまいります。
 財政再建への覚悟についてお尋ねがありました。
 強い経済の再生なくして、財政の再建も日本の将来もないと考えております。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を一体として実行してまいります。同時に、財政健全化目標を踏まえ、来年度予算において公債発行額をできる限り抑制するとともに、社会保障・税一体改革を継続し、日本経済再生と中長期的に持続可能な財政の双方の実現を図ってまいります。
 外交、経済両面にわたり世界のリーダーとして活躍する決意についてお尋ねがありました。
 私は、日本経済の再生に最優先の課題として取り組んでまいります。日本経済が復活すれば、地域や世界の平和や繁栄に対しても、より大きな貢献を行うことが可能となります。このような観点を踏まえ、私は広く世界地図を俯瞰するような観点で戦略的な外交を展開してまいります。
 また、先般の東南アジア訪問の機会には対ASEAN外交についての五原則を発表しましたが、今後とも、様々な機会をとらえて外交に関する私の基本的な考え方を内外に発信していく所存であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(麻生太郎君) 補正予算と緊急経済対策の概要についての御質問をいただきました。
 先月十一日に決定をいたしました緊急経済対策は、日本経済再生に向けた政策対応の第一弾として、復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安心・地域活性化の三分野を重点として、財政支出とともに、政策金融などあらゆる政策を総動員したものといたしており、規制改革の取組、為替市場の安定に資する施策も盛り込んだものであります。
 二十四年度補正予算は、この緊急経済対策を実施するための支出十兆三千億円を盛り込むとともに、基礎年金国庫負担の二分の一の実現などのための経費も併せて計上しており、日本経済と国民生活に極めて重要なものであると考えております。速やかに御審議をお願いしたいと考えておるところです。
 地方のための補正予算という観点からの御質問も併せていただきました。
 今回の補正予算では、地方の活力を向上させる様々な施策を盛り込まさせていただいております。
 例えば、交通インフラの整備につきましては、災害時の緊急輸送や病人搬送にも活用される災害に強い道路ネットワークの整備の推進や、鉄道の安全性の向上を通じた地域の公共交通システムの活性化などを行うことといたしております。
 また、農林水産業の基盤整備や、地域における需要を創出するため、中小企業・小規模事業者による試作品開発の支援などにもしっかりと取り組むことといたしております。
 さらに、今回、地方の資金調達への配慮と緊急経済対策の迅速な実施を行うという観点から、地域の元気臨時交付金を創設し、公共投資に係る地方の負担を大幅に軽減することなどといたしておるところです。
 このように、補正予算の施策について、一日も早く地方に住む方を含め国民の皆様にお届けすることが最も重要であろうと考えております。
 国債金利の上昇に備えてについての御質問もいただきました。
 国債金利が急上昇するというリスクが顕在化した場合には、経済、財政、国民生活に重大な影響が及ぶというのは当然のことですが、そのような事態が招くことがないよう、機動的な財政運営を行いつつ、あわせて、中長期的な財政健全化の取組を継続していくことが肝要、重要であります。
 そのために、平成二十五年度の予算編成の基本方針にもあるように、国、地方のプライマリーバランスにつきましては、平成二十七年度までに赤字の対GDP比を平成二十二年度の水準から半減させ、そして、平成三十二年度までに黒字化するとの財政健全化目標を実現する必要があり、今後、そのための中期的財政計画を年央をめどに作成いたしたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣甘利明君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(甘利明君) 補正予算、緊急経済対策の経済効果についてお尋ねがありました。
 緊急経済対策の経済効果は、東日本大震災からの復興の加速、事前防災・減災等の復興・防災対策に加えまして、民間投資の喚起等の成長による富の創出、医療、子育て支援等の暮らしの安心・地域活性化等、本対策の三分野にまたがる予算措置による経済効果を概算をしたものであります。
 緊急経済対策におきましては、即効性があり、一過性でない、民需を喚起するような施策を盛り込んでおります。また、予算の早期執行に万全を期すことといたしております。こうしたことを踏まえまして、緊急経済対策の予算措置による実質GDP押し上げ効果はおおむね二%程度、雇用創出効果は六十万人程度と見込んでいるわけであります。
 また、このほかに、本対策に盛り込まれました規制改革、税制改正、金融資本市場の活性化等の各施策や、イノベーション促進や研究開発を始めとする成長戦略等が具体化されることによりまして、民間投資や消費が喚起されるとともに、競争力の強化、所得、雇用の増大を伴う経済成長が期待をされております。
 平成二十四年度補正予算の成立後、施策の早期実施を通じまして、経済への効果が一日も早く発揮されますように取り組んでまいります。
 以上です。(拍手)
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#13
○議長(平田健二君) 竹谷とし子君。
   〔竹谷とし子君登壇、拍手〕
#14
○竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子です。
 財政演説に対して、公明党を代表して質問させていただきます。
 安倍政権の発足後、景気回復への期待を先取りする形で株価が回復し始めています。この改善の兆しを実体経済に確実に結び付けていくため、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢、そして、その第一弾である日本経済再生に向けた緊急経済対策を速やかに成立させ、実行していくことが重要だと考えます。
 まず初めに、事前防災・減災等について伺います。
 この事業に係る経費として二兆二千五億円が計上されていますが、これを指してばらまきと批判する声があります。しかし、地震や台風、大雪など自然災害が多い我が国では、命と生活を守るための公共事業は必要不可欠なものであり、公共事業が全て無駄、ばらまきというのは誤った認識であります。
 昨年来、被災地では、公共事業の入札不調や生コンクリートなどの資材調達が滞り工事が進まない、あるいは、家を再建しようとしたところ、震災前よりも建設費が大幅に値上がりしているなど、土木建設業の供給力不足が復興の足かせになっていることが顕著になってきています。
 一方で、被災地以外の地域では、長引く不況で仕事がなく、予算の削減で必要な社会インフラの維持管理も先送りされる中、資金繰りが立ち行かずに廃業の危機に陥っている土木建設や資材業者も少なくありません。人材も設備も一時的な需要の増加に対して柔軟に対応することは困難であり、災害に備える意味でも、一定の供給能力を確保しておくため、必要な公共事業を先送りせずに適時に行うことが重要です。
 また、維持修繕を先送りすることで、かえって老朽化を早めて社会インフラのライフサイクルコストが高く付くケースが指摘されております。
 我が党は、予防保全と長寿命化対策によって、安全性を高めながら社会インフラのコストを低減する方策を提案しています。不況の今だからこそ、命を守る事前防災・減災に財政出動を行うことは、景気対策としても効果が高く、中長期的な財政健全化にも資するものであり、極めて合理的な政策と考えます。改めて、事前防災・減災の意義について総理にお伺いいたします。
 一方で、公共事業に対する国民の不信感を払拭するため、国民に見える形で、そこにお金を掛ける理由、幾ら掛けて、何をしたかを開示することが信頼性と必要性の理解を深めることにつながると考えます。また、あわせて、その工事によって地域に雇用が生まれ、地域経済の活性化につながっているかどうかを明確にすることも重要と考えますが、その具体的な手法について国土交通大臣に伺います。
 さらに、社会インフラの維持管理費を効率的に抑える取組として、非破壊検査や無人検査技術などの開発と導入の検討、またICTを活用した戦略的アセットマネジメントなどを進めることが必要だと考えます。国土交通大臣のお考えを伺います。
 短期的には事前防災・減災で景気対策を行う一方、中長期的な成長分野が必要です。我が党は、原発に依存しない社会を目指し、省エネ、再エネの普及促進をエネルギー政策の柱の一つとしています。
 エネルギー白書によると、我が国のエネルギー自給率は四・八%。エネルギーの輸入のために多額の国富が海外に流出しています。省エネ、再エネ導入には初期投資が掛かりますが、後のエネルギー輸入量を減らすことにつながります。
 例えば、エネルギーマネジメントシステムの節電効果は、高いもので三〇%近く、投資回収まで四・六年という実績も報告されています。また、地中熱を利用する設備機器や地域冷暖房の活用などで、年間の一次エネルギーコストを四割以上削減している事例もあります。蓄電池の普及で再生可能エネルギーの導入が加速することも期待されます。省エネ、再エネの普及促進は、海外に流出していたエネルギー輸入のためのお金を日本国内に還流させ、新しい産業と雇用を生み出すことにつながります。
 低炭素・省エネ社会というより良い未来を目指す中で、現在の状況を更に良いものに変えていく省エネ、再エネへの取組の意義について、総理のお考えを伺います。
 一方で、この度の緊急経済対策の財政支出十兆二千八百十五億円のうち五兆二千二百十億円は、将来世代にも負担をお願いする公債発行です。景気回復が期待される一方で、国民の中には公債に大きく依存した国家財政への先行き不安と行政のお金の使い方に対する不信感が存在しており、大型予算に対する国民の目は一層厳しさを増していることを忘れてはならないと思います。
 政府のお金の使い方に対する国民の信頼を得るためには、予算編成及びその執行過程において、情報の透明性を高め、その目的と内容について真摯に分かりやすく十分な説明に努め、問題が発覚した場合には速やかに是正措置を行い、改善に取り組むという、民間で当たり前に行われているPDCAの業務改善サイクルをつくることが必要不可欠です。
 現在、政策評価を行う機能として、財政法四十六条に基づく予算執行調査、政策評価法に基づく各省庁の政策評価、会計検査院法に基づく会計検査、国会における決議などがありますが、これらも踏まえ、改善すべき政策を総合的に整理、評価し、政府の方針と整合性を持たせた上で、その結果を実行に移すための具体的な工程表を策定して、完遂まで進捗を管理する手続及びその責任組織を政府内に置くべきと考えます。総理のお考えを伺います。
 政府は、大規模災害などで借換債を発行できない事態には、緊急時に限り、日銀から一時的に借りられることになったことを受けて、一月二十九日の臨時閣議で、国債整理基金特別会計の基金残高十兆二千億円のうち七兆二千億円を取り崩す予算案を決定しました。これによって、国債利払い費と基金の運用益の差額、年間七百億円前後の利払い費が節約になると推計されます。
 昨年の予算委員会でこのことを提案して以来、財務省と協議を続けてきましたが、実現させた安倍政権の実行力を評価するとともに、粘り強く本件に御尽力くださった方々に対して感謝申し上げたいと思います。
 一方で、約二十年前のバブル経済崩壊後、V字回復を果たした企業グループの多くが真っ先に手を着けたのは、グループ企業内でのキャッシュマネジメントシステムの導入、資金管理を集中し、手元のお金は極力減らし、高い利子が掛かる借金を減らすことでした。
 政府内においても、財政融資資金勘定を通じて特別会計や独立行政法人などの資金管理を行っている部分はありますが、それぞれの組織で少しずつ余裕資金を手元に置くことで、政府総体で見た場合にはまだまだ多額の手元流動性を持っています。
 政府全体で見れば、それに必要な資金は公債で賄われており、利払い費の増大につながっています。国民の政府の無駄遣いに対する厳しい批判を受け止め、キャッシュマネジメントの高度化により、政府全体の資金管理を効率化し、無駄な利払い費抑制に努めることは喫緊の課題であると考えます。財務大臣のお考えを伺います。
 最後に、PDCAを回しながら予算の使い方を継続的に改善し、国民への説明責任を果たすためには、公会計制度の改革が必要であると考えます。
 政府は、二〇〇三年より複式簿記・発生主義会計の要素を取り入れた民間企業の会計に近い形の財務書類を作成、開示していますが、事業ごとのコスト情報の集計、開示など、改善の余地があると考えます。また、地方自治体においても、先駆的な自治体では事業ごとのコストまで集計、開示していますが、まだ多くの自治体は固定資産台帳も整備できていないという状況にあります。
 国及び自治体は、納税者から預かる多額のお金を管理する以上、その使い方について説明する義務と効率的に管理する責任を負っています。民間企業並みにPDCAサイクルを回して業務改善に取り組み、説明責任を果たしていくためには、公会計制度の改革は不可欠と考えます。
 今後の公会計制度改革への取組について、総理、財務大臣及び総務大臣のお考えを伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#15
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 竹谷とし子議員にお答えをいたします。
 事前防災・減災の意義についてお尋ねがありました。
 多様な災害が頻発する我が国において、事前防災・減災対策は、国民の生命と財産を守るために極めて重要であると認識をしております。そのため、真に必要な事業を着実に推進をしてまいります。
 また、こうした取組を進めていくことで、需要の創出を通じた景気浮揚効果も期待されると考えております。
 省エネルギー、再生可能エネルギーに取り組む意義についてお尋ねがありました。
 省エネルギー、再生可能エネルギーの推進は、エネルギー安全保障の強化、低炭素社会の創出に加え、新しいエネルギー関連の産業創出、雇用拡大の観点からも重要であります。また、省エネルギーについては、石油危機以降、我が国のエネルギー効率は四割改善し、産業競争力の向上にも貢献してまいりました。
 今後、固定価格買取り制度の着実な運用に加え、予算、税制措置、規制改革、製品の省エネルギー性向上のための法制度の拡充などにより、今後三年間で最大限の省エネルギーの推進及び再生可能エネルギーの普及を加速してまいります。
 政策のチェックと改善についてお尋ねがありました。
 現在、政府においては、政策評価法に基づく各府省における政策評価や財政当局による予算執行調査を行っているほか、内閣から独立した機関による会計検査、国会における審査等、様々な観点からチェックも受け、より良い政策の実施につなげているところであります。
 以上のような取組は、各機関固有の意義の下実施されているため、新たな組織を設けるか否かは別としても、行政府の政策をチェックし、改善につなげるためのより良い方策について今後も勉強を重ねてまいります。
 公会計制度改革についてお尋ねがありました。
 国及び地方公共団体が納税者からお預かりをした税金の使途等について説明責任を果たし、効率的に管理することは大変重要であると認識をいたしております。今後も、国の財務書類等による情報開示の改善に努めるとともに、各地方公共団体の財務書類の整備を促してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(麻生太郎君) 政府全体の資金管理の効率化についての御質問をちょうだいしました。
 国庫の資金繰りに関しましては、特別会計を含む国庫全体で日々の財政活動に必要な資金のみを調達し、極力、現金預金を保有しないことで資金調達に係る費用を抑制するよう工夫をいたしております。
 具体的には、財政資金が必要な年金の支給日に国債を発行する、また、租税などの歳入日に極力歳出を行うなどということをして、少なくとも、平成十六年度平均で国内指定預金の平均残高約二・七兆円が、現在、平成二十三年度で一兆円まで減ってきておるというようなことをいたしておりまして、引き続き、資金管理の効率化には取り組んでいかなければならないものだと考えております。
 国の公会計制度の改革についての御質問をちょうだいしました。
 国は、財務情報の一層の充実を図る観点から、各省庁の政策評価の項目別に人件費、物件費、事務費を表示した政策別のコスト情報を平成二十一年度分より公表いたしております。更に細かな事業ごとのコスト情報の集計につきましては、その利活用の状況や業務負担などを踏まえつつ、検討する必要があろうと考えております。
 予算を効率的に利用する、使用するとともに、説明責任を果たしていくという必要性はもう御指摘のとおりでありまして、今後とも、適切な情報開示及び有効活用に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(太田昭宏君) 公共事業に対する信頼性と必要性の理解を深めるための方策についてお尋ねをいただきました。大事なことだと思います。
 公共事業の実施に当たりましては、防災・減災対策やインフラの老朽化対策などに重点を置いて、その必要性を十分に精査した上で、国民の皆様に納得いただける事業を積み上げるということが必要であると認識しています。
 そのために、費用と効果が見えるよう、新規に事業着手する場合、そして一定期間が経過した場合、それぞれ事業評価を行い、事業の必要性や効果などについての情報公開に努めております。
 また、事業評価に当たりまして、総合的な評価を行った上で、学識経験者等から成る第三者機関の審議を経ることにしております。
 引き続き、公共事業への国民の皆様の御理解をいただけるよう、透明で厳格な手続を推進してまいります。
 次に、社会インフラの維持管理費を効率的に抑える取組についてお尋ねがございました。
 今後、高度経済成長期に集中的に整備いたしましたインフラが急速に老朽化することを踏まえまして、国民の命を守る公共事業として、インフラの維持管理や更新に重点的に取り組む必要があります。そのため、事前の備えとして、まず点検、調査、そして老朽化対策が重要になると認識をしています。
 点検、調査を効率的、効果的に実施するためには、御指摘をいただいたように、レーザーや赤外線等を活用した非破壊検査、そうした技術や光ファイバーを活用したICTなど、新しい技術の開発、導入を進めることが有効だと考えます。
 そのほか、点検、調査結果を始めとする情報、データの蓄積、データバンク利活用やセンサーを事前に取り付けるなど、継続的なモニタリングに関するこうした技術につきましても、インフラの予防的な保全の観点から重要だと考えております。
 このため、関連する学会や民間とも連携しながら、新しい技術の開発や導入を推進し、インフラの戦略的な維持管理、更新に取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣新藤義孝君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(新藤義孝君) 竹谷とし子議員から、今後の公会計制度改革への取組についてお尋ねいただきました。
 御指摘いただきましたように、地方公共団体においても、現行の現金主義による決算情報の開示に加えて、複式簿記・発生主義といった企業会計の考え方及び手法を参考として、財政状況を分かりやすく開示することは重要であります。
 このため、総務省といたしましても、こうした企業会計の考え方に即した財務書類の整備を地方公共団体に促してきたところであり、今後も引き続き推進してまいりたいと思います。(拍手)
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#19
○議長(平田健二君) 真山勇一君。
   〔真山勇一君登壇、拍手〕
#20
○真山勇一君 みんなの党、真山勇一です。
 昨年十二月十四日に繰上げ当選をさせていただいてから、間もなく二か月を迎えようとしているところです。そんな新参者の私に、こうして本会議場での代表質問の機会を与えていただきました皆様にまずお礼を申し上げます。
 先日、私は、東日本大震災の被災地であります宮城県石巻市に出かけてきました。震災の後、福島に行き、現地を見てきましたけれども、議員になってからは今回が初めての被災地入りでした。そこで見た現地の様子はとても信じられないものであり、私は大きなショックを受けました。あれからもう二年近くがたとうとしているのに、目の前には震災直後とまるで変わっていない風景が広がっていたからです。
 家並みや商店街があった海岸沿いの平地は一面雑草が茂る荒れ放題の野原となり、その中に廃墟となったコンクリートの建物が一つぽつんと残っているだけでした。海岸から山道を車で登っていくと、木立の中に突然現れた白いプレハブの建物、それは仮設住宅でした。人が住んでいるはずなのに、幾ら見回してもそこには人影も人の声もなく、ただひっそりと静まり返っているだけでした。改めて目の当たりにした被災地の現状に、私は切ない気持ちになり、政治の責任、そして政治家としての責任を感じないわけにはいきませんでした。
 総理を始め閣僚の皆様も現地を訪ねられたことと思いますが、被災地の今を御覧になって何を感じられたでしょうか、お聞かせいただければと思います。
 現地で会った多くの方たちが、復興どころか、復旧すらなかなか進まない毎日の生活に、先が見えないと不安を訴えていらっしゃいました。そんな中で私が唯一の救いを感じたのは、被災地の皆さんが決して笑顔を忘れてはいないことでした。同時に、私は、被災地の皆さん、国民の皆さんと同じ目の高さに立って、分かりやすい政治をやらなければと改めて強く思いました。
 今回の巨額の予算措置で日本経済が再生し、私たちみんなが元気になるためには、何よりもまず被災地が元気を取り戻すことが大事ではないかと私は痛感しています。私たちみんなの党は、より迅速な、そして地元の声を復興に反映させるためには、復興庁を現地に置くべきと主張してきました。
 今回、これまでの職員三百人に新たに五十人を増員する一方、現地の三つの復興局のうち、福島を東京と同格の福島復興再生総局にしたと伺っています。しかし、これではむしろ東京と福島のツートップ体制になってしまい、決定が遅れたり、対応が割れたりしたらどうするのでしょうか。また、あとの二か所、宮城と岩手は優先順位が低いということになるのでしょうか。かえって縦割りの弊害、ひずみが出るとは思われないでしょうか。新しい体制をどう運用していくのか、お聞かせいただきたいと思います。
 もう一つ気になることがあります。復興庁に地元の自治体の代表者が入っていないことです。これでは、被災者の皆さんが意思決定に参加することができないのではないでしょうか。実際、復興庁は査定庁などとも呼ばれているほどです。現地では、自分たちの思いや希望がなかなか届かないという声をたくさん聞きました。こうした現実を御存じでしょうか、そして、どう受け止めていらっしゃるのでしょうか、お聞かせください。
 みんなの党は、地域のことは地域で決める、地域が主役という地域主権型道州制を主張しています。今回こそ、人、金、権限を現地に移して、自分たちのことは自分たちで決めてもらえるような体制を被災地につくる絶好のチャンスではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
 そして、これも伺わなければなりません。
 福島で被災された方たちや避難された方、子供の健康管理や生活再建はほったらかしが続いているように思えます。昨年六月に子ども・被災者支援法が成立してから八か月が過ぎました。しかし、政府はいまだに基本方針を策定しておらず、補正にも来年度予算案にも具体的な施策は何も盛り込まれませんでした。就任されてから一か月以上が過ぎた根本大臣に伺いますが、基本方針の策定についてどんな指示を出されたのでしょうか。少なくとも会議などは開かれたのでしょうか。具体的にいつまでに基本方針を策定されるのか、お答えください。
 復興をめぐっては、さきに復興予算の流用が問題になりました。
 今回の補正予算、来年度の予算では流用はしないとおっしゃっていますが、果たして本当に大丈夫なのという声を耳にします。当然だと思います。そもそも、流用の原因となった復興基本法は、元々の民主党政府案では被災地に限られていたものを、自民、公明が入った三党談合で、全国防災という名目を加え、何でもできるように使用目的を拡大してしまいました。原因となった法律をそのままにしておいて、流用問題が再び起こらないと言えるのでしょうか。復興基本法を改正するつもりはないのでしょうか。新政権がスタートしたのですから、流用を起こさないための対策を改めて具体的に示してはいただけないでしょうか。
 また、補正予算の今回の使われ方を見てみますと、公共事業の大盤振る舞い、まさにばらまきとしか言いようがありません。総額五兆円もの金額の契約、そして執行が年度末の三月三十一日までにできるんでしょうか。一か月ちょっとしかないのですから、ほとんどが来年度予算に繰越しになるだろうと誰もが思うでしょう。
 政府は、補正予算を来年度予算と合わせて十五か月予算としていますが、実質十三か月なのに百二兆八千億円という膨大な額に膨れ上がっています。
 問題の多いこの予算が本当にうまくいき、日本の経済を回復させる呼び水となるのかも、まさに賭けをしているような状態でしょう。経済再生を目指す三本の矢、いわゆるアベノミクスで今のところ株価は上昇、円安も進むなど、その効果に期待感は表れているように見えます。アベノミクスの中心的な柱である大胆な金融政策が期待だけで終わらないためには、日銀法改正や日銀幹部人事が大切です。
 焦点の日銀総裁、副総裁人事については、みんなの党は再三、その条件として、英語が堪能、マクロ経済学の博士号、そして危機管理を含むマネジメント能力を挙げていますが、財務省事務次官OBや日銀のOBといった役所の人事による天下りでは大胆な政策転換は無理です。天下りでない適任者を登用するおつもりがあるのかどうか、改めてお聞かせください。
 今回の十五か月予算で日本の経済再生が実現できるのか、国民から見れば不安がいっぱいというのが現実だと思います。たとえ期待どおりのシナリオでデフレ脱却、景気回復、成長二%、六十万人の雇用創出ができたとしても、その効果、実感が国民の収入増という形で出てくるのかという疑問があります。企業の業績が上がるというだけではなくて、働く人の賃金が増えてこそ初めて元気な日本の再生ができたと言えるのではないでしょうか。働く人たちの賃金、収入の増加は一体どれくらいのものになるのか、当然試算をされていることと思います。また、収入増ばかりではありません。ガソリンや食料品などの物価の値上がり、そして増税が生活を直撃するでしょう。
 こうしたアベノミクスが私たち国民のところにまでもたらす効果、影響について、分かりやすくその数字を具体的に示していただけないでしょうか。
 これまでの政府の発言や取組を見ていると、国民は安心するどころではありません。収入が増える期待も持てない賃金の不安、国民の過半数が望んでいない原発、社会保障先送りの増税、これらに政府はどうこたえてくれるのか。賃金の不安、原発、増税というこの三つは、国民がノーと言いたい、三本の矢ならぬ三本の厭と言えます。
 今、国民一人一人の安心があってこそ元気な日本があると言えるのではないかと私は思います。
 強さばかりではなく、弱い者への優しさを持つのが日本の良き伝統ではないでしょうか。強い中にも優しさのある政治を目指すことが私たちの役目ではないかと思います。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#21
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 真山勇一議員にお答えをいたします。
 被災地を訪ねた感想についてのお尋ねがありました。
 私は、総理就任後、直ちに福島を視察し、一月には宮城の被災地を訪問いたしました。被災地でいまだ多くの方々が避難生活を余儀なくされている状況から、一刻も早く元の生活に戻ってもらい、住宅再建の取組を加速させなければならないと感じました。
 また、困難な状況の中でも地域の産業が少しずつ復活してきていることから、今後、本格的ななりわいの再開を果たし、日本再生を加速していくことが重要であると感じました。
 今週末には岩手、宮城の被災地を訪問する予定であります。今後とも、被災者の声に耳を傾けてまいります。
 福島復興の体制についてお尋ねがありました。
 福島の復興については、現場主義を徹底し、現地で即断即決できるようにするために、復興大臣をトップとして体制を一本化する福島復興再生総局を福島に設置をいたしました。他方で、福島現地では解決し切れない制度の設計、改正等が必要な課題の調整等については、東京の福島復興再生総括本部で行い、総局をバックアップしてまいります。このような機能分担の下で、福島、東京の二本社体制がしっかりと機能するよう、復興大臣が責任を持って統括をしてまいります。
 また、岩手、宮城は地震、津波により甚大な被害を受けた地域であり、それぞれの地域の課題に応じた対策をしっかりと進めてまいります。
 現場への権限移譲についてお尋ねがありました。
 復興は住民に身近な市町村が中心となって取り組んでおり、国は、被災自治体の具体的な要望を伺いつつ、財政や人材、ノウハウ等の面から責任を持って支援をしているところであります。
 現地のマンパワー確保のため被災自治体や復興局に職員を派遣するとともに、特に福島における復興については、現場主義を徹底するため、福島復興再生総局を現地に設置し、本庁事務方トップクラスが現地で即断即決をする体制としました。
 こうした体制の下で、今後とも現地の御要望にきめ細かくこたえてまいります。
 復興予算の流用についてお尋ねがありました。
 復興関連予算の使途につきましては、一月十日の復興推進会議において、流用等の批判を招くことがないよう、使途の厳格化を行うことを指示いたしました。それを踏まえて、全国防災事業については、子供の安全確保に係る緊急性の高い学校耐震化や、津波被害を踏まえて新たに必要性が認識された一部公共事業に限定し、厳しく絞り込んだ上で、今回、復興特別会計に計上することとしています。したがって、復興基本法を改正する必要はないと考えております。
 次期日銀総裁、副総裁についてお尋ねがありました。
 次期日銀総裁、副総裁については、出身母体は問わず、デフレ脱却に向け、金融政策に関する私の考え方に理解をいただき、確固たる決意と能力でこの課題に取り組んでいく方を人選してまいります。
 安倍内閣の経済財政運営が国民にもたらす効果についてお尋ねがありました。
 日銀による大胆な金融緩和に加えて、政府としても、機動的なマクロ経済政策運営を行うとともに、競争力、成長力の強化に向けた成長戦略を実行することとしております。
 我が国経済は、世界経済の緩やかな回復が期待される中で、これらの政策効果等により、国内需要主導で回復が進むと見込まれます。こうした中で、次第に賃金全体にも望ましい効果が波及すると見込んでおります。
 経済再生が雇用や所得の拡大につながるよう、昨日、経済財政諮問会議において、産業界と意思疎通を密にし、業績が改善している企業には報酬の引上げ等を通じて所得の増加につながるよう御協力をお願いしていくとの方針をお示ししたところであり、しっかりと取り組んでまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(麻生太郎君) 復興費の流用についての御質問をいただきました。
 先ほど総理からの御発言もありましたように、本年一月十日の復興推進会議において、総理から、復興関連予算については流用などの批判を招くことがないよう、使途の厳格化を行うこととの指示を受け、全国向け予算につきましては、復興関連予算を経理いたします東日本大震災復興特別会計に原則として計上しないことといたしております。
 例外としては、巨大津波による被害を受けて新たに認識された技術上の課題に対応するための公共事業、また、子供の安全確保に係る学校の耐震化事業、そして既契約の国庫債務負担行為の歳出化分などに限りまして復興特別会計に計上いたしておりますが、これらの予算に必要な財源は、被災地向け予算に不足の来すことのないよう一般会計から繰り入れることといたしております。(拍手)
   〔国務大臣根本匠君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(根本匠君) 真山先生から二問の御質問がございました。
 まず、子ども・被災者支援法についてお答えいたします。
 原発事故で被災した子供を始めとする住民の生活を守り支えていくことは、大変重要です。これまでも、福島県と協力して子供の健康管理調査や自然体験活動の機会の提供などに取り組んできたところであります。さらに、平成二十五年度予算案では、子供たちが元気に遊ぶための全天候型運動施設の整備費など、子ども・被災者支援法の趣旨も踏まえつつ、必要な施策を盛り込みました。また、基本方針については様々な御意見もいただいてきており、こうした意見の整理や専門的な検討も十分に行っていく必要があると考えています。その結果を踏まえ、基本方針を策定してまいります。
 次に、復興予算流用の具体的な防止策についての御質問をいただきました。
 今後の復興関連予算については、これまで国会等で厳しく指摘を受けたことや総理からの指示などを踏まえ、被災地域の復旧・復興に直接資する施策のみを復興特別会計に計上することを基本としています。また、被災地向け予算は全て復興庁が一括計上することとし、事業内容について厳しく精査を行っており、執行段階でも内容を確認した上で予算配分を行うこととしています。
 先ほど財務大臣からも答弁がありましたとおり、全国防災事業については、津波被害を踏まえて新たに必要性が認識された技術上の課題に対応するための公共事業、また、子供の安全確保に係る学校の耐震化事業のうち緊要性の高いものに限定し、厳しく絞り込んだ上で復興特別会計に計上することとしています。(拍手)
#24
○議長(平田健二君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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