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2013/03/05 第183回国会 参議院 参議院会議録情報 第183回国会 本会議 第9号
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2013/03/05 第183回国会 参議院

参議院会議録情報 第183回国会 本会議 第9号

#1
第183回国会 本会議 第9号
平成二十五年三月五日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第九号
  平成二十五年三月五日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、第三十二回オリンピック競技大会及び第十
  六回パラリンピック競技大会に関する決議案
  (鈴木寛君外九名発議)(委員会審査省略要
  求)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(平田健二君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 鈴木寛君外九名発議に係る第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。鈴木寛君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔鈴木寛君登壇、拍手〕
#5
○鈴木寛君 ただいま議題となりました民主党・新緑風会、自由民主党・無所属の会、公明党、みんなの党、生活の党、みどりの風、日本維新の会、国民新党、新党改革の各派共同提案に係る第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案につきまして、発議者を代表して、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会に関する決議案
  オリンピック夏季競技大会及びパラリンピック競技大会の開催は、ロンドン・オリンピック・パラリンピックに見られるよう、国民に夢と希望を与えるものである。また、東日本大震災からの復興を世界に示すものであり、本年九月に開催地が決定される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会を東京都に招致するため、政府、国会が一体となって取り組むべきである。
  右決議する。
 以上であります。
 オリンピックが、世界共通の人類の文化であるスポーツを発展させ、また、民族の相互理解や世界平和への貢献をしてきたことは御承知のとおりであります。多くのボランティアに支えられた昨年のロンドン・オリンピック・パラリンピックにおいても数多くの感動が生まれましたことは、国民の皆様の記憶に鮮明に残っているところです。
 一九六四年の東京オリンピックは、日本が戦後復興を見事に成し遂げたことを世界に示した大会でありました。それから五十六年たつ二〇二〇年において、再び日本においてオリンピックを開催することは、国民に夢と希望をもたらし、東日本大震災からの復興を示すものであります。
 第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会の開催都市は、本年九月七日に開催される国際オリンピック委員会総会において決定されます。東京への招致を実現するためには、国民が心を一つにして招致活動に当たらなければその成功はあり得ません。そのことを私たちを含め関係者が強く認識して、政府、国会が一体となって取り組むべきであります。
 以上が本決議案を提案する趣旨であります。
 何とぞ皆様の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(平田健二君) これより採決をいたします。
 本決議案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#7
○議長(平田健二君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#8
○議長(平田健二君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十七  
  賛成            二百十二  
  反対               五  
 よって、本決議案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#9
○議長(平田健二君) ただいまの決議に対し、文部科学大臣から発言を求められました。文部科学大臣下村博文君。
   〔国務大臣下村博文君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(下村博文君) ただいまの御決議に対し、所信を申し述べます。
 第三十二回オリンピック競技大会、第十六回パラリンピック競技大会を東京都に招致し、我が国において再び夏季オリンピック競技大会、パラリンピック競技大会が開催されますことは、国民に夢と希望、感動を与え、また、東日本大震災からの復興を示すものになると存じます。
 政府といたしましても、ただいまの御決議の趣旨を十分尊重いたしまして、招致の実現に最善の努力を払ってまいる所存でございます。(拍手)
     ─────・─────
#11
○議長(平田健二君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二月二十八日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。輿石東君。
   〔輿石東君登壇、拍手〕
#12
○輿石東君 民主党・新緑風会の輿石東です。
 政府四演説に対し、会派を代表し、質問をいたします。
 まず、安倍総理の目指す国及び社会像について伺います。
 施政方針演説の中で、総理は、世界一を目指すという言葉を七回も繰り返し、強い日本、それをつくるのは私たち自身ですと述べられています。総理が永遠のテーマと位置付けられておられる美しい国とはどのような国なのか。そして、私たち自身が、誰かに寄りかかる心を捨ててとも述べられていますが、総理の目指す額に汗して働く人が報われる真っ当な社会への具体策とは何なのか。
 あわせて、総理は、石川啄木の詠んだ「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢつと手を見る」という歌をどう解釈されているのか、お聞かせください。
 さて、安倍内閣の最重要課題は日本経済の再生であり、大胆な金融政策、機動的な財政出動、そして民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢で経済の再生を図るというものだと思います。まず、このことについて質問をいたします。
 我が国財政は極めて厳しい状況に置かれています。国と地方の長期債務残高は、去年十二月末に九百四十二兆円と、GDPの約二倍の規模に達し、主要先進国の中では最悪の水準にあります。
 こうした中で編成された平成二十五年度予算は、一般会計の総額で九十二兆六千億円となりました。しかし、その内容には不安を抱かざるを得ません。平成二十五年度予算を一か月の家計に例えれば、月給四十三万円の家庭が、約八百五十万円のローン残高を抱え、その借金返済に二十二万円、子供への仕送りに十六万円を支出しますと、合わせて三十八万円となり、残り五万円では一か月の生活はできません。したがって、そのほかに必要な支払のためのほとんどを新たな借金で賄っているという状態であります。こうしたやりくりが長続きするはずはありません。
 安倍総理は、平成二十五年度予算において、税収が新規国債発行額を上回ったと豪語しておられますが、実体は見かけだけの改善にすぎません。
 政府は、平成二十四年度補正予算と二十五年度当初予算を一体的なものとして編成し、切れ目のない政策対応が実施できるように十五か月予算を組んだと言われております。しかし、補正予算は、復興・防災対策の経費など、通常は当初予算に計上する経費が数多く含まれております。本来、当初予算に盛り込むべき支出を前倒しして補正予算に計上し、当初予算で必要な財源の規模を絞り込んでいるのにすぎないのであります。
 補正予算で追加した約五兆二千億円の借金と二十五年度予算の新たな借金四十二兆九千億円を足し合わせれば、我々民主党政権が維持してきた新規国債発行額四十四兆円の制限を大きく上回ることは明らかであります。
 十五年にも及ぶ長期のデフレから脱却し、我が国経済の再生を図ることは喫緊の課題であり、経済再生によって税収を増やさなければ財政再建も達成することはできません。一方、税収を増やしていくためには、国民生活を安定させ、安心して消費できる環境を整備しなければなりません。
 民主党政権は、政治的に困難な課題ではありましたが、放置できない問題として、社会保障の充実、安定化と財政健全化を同時に達成するために、消費税率引上げを始めとする税制改革にも正面から取り組んでまいりました。このいわゆる社会保障と税の一体改革は、民主、自民、公明の三党合意によって実現したものであり、是非とも堅持していく必要があると思います。総理の所見を伺います。
 政府は、平成二十四年度補正予算で五兆円を超える新たな国債発行を行いました。これでは余りに緊張感に欠ける財政運営と言わざるを得ません。政府にそうした認識はあるのでしょうか。
 政府が先月二十八日提示した平成二十五年度の国と地方の基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスの試算を見ても、昨年八月の二十五兆四千億円、五・二%から、三十三兆九千億円、GDP比六・九%と赤字額が大幅に悪化しております。総理、平成二十七年度赤字半減の政府目標は達成できますか。世界一を目指すといっても、借金世界一は許されないでしょう。
 また、補正予算の内容も、事前防災・減災に名を借りた公共事業を重視したものとなっております。二十五年度予算の公共事業関係費五兆三千億円に対し、補正ではその約半分に当たる二兆四千億円が計上されています。
 このような公共事業に偏った経済対策では、一時的に景気は回復しても、持続的な経済成長は困難であります。場当たり的な経済対策を繰り返すだけでは、かつての自民党が歩んだ道と同じであり、問題の先送りではありませんか。安倍総理の見解を求めます。
 日本経済再生に向けたアベノミクスの三本の矢の一つが大胆な金融政策です。政府は、去る一月二十二日、日本銀行との間で共同声明を発表し、デフレからの早期脱却と持続的な経済成長実現に向けて一体となって取り組む決意を明らかにされました。
 物価上昇率の安定目標二%は政府も共有する、しかし、達成するための手段の選択は日銀の専権事項であると政府は国会のやり取りの中で繰り返し答弁されています。しかし、総理や財務大臣の発言からは、日銀の独立性を尊重するというよりも、むしろ二%の物価目標が達成されなければ日銀の責任と言わんばかりの責任逃れの姿勢であります。
 経済構造の改革を図る、成長戦略を推進する、これらがなければ十五年に及ぶ未曽有のデフレを克服することはできません。総理にその決意があるか、お伺いをいたします。
 政府、日銀の共同声明で物価目標二%が掲げられました。マーケットは政府、日銀の政策判断を好感し、株価の上昇、行き過ぎた円高の是正と、我が国の経済は一転して景気の回復基調に入ったかのように思われております。しかし、つい先日、二月二十六日には、イタリアの政治状況が混迷しそうだというだけで、円が一時的に四円も高くなり、株価も下落をしました。
 マーケットは水ものであり、本当に景気は上向いていくのでしょうか。今あるのは、実体のない不安定な期待感だけではないかと懸念いたします。値上げの春などとの声も聞こえてまいります。物価だけが上昇し、賃金の上昇が付いてこなければ、国民の生活はかえって苦しくなるだけではありませんか。総理の考えを伺います。
 これまでのところ、政府の政策は、アベノミクスの三本の矢のうち金融政策と財政政策に依存するにとどまっています。最後の矢である民間投資を喚起する成長戦略はどうやって実施されますか。
 長引く円高とデフレ不況から脱却し、雇用や所得を継続的に拡大していくためには、実効性のある成長戦略を策定し、着実に実行に移していかなければなりません。成長戦略がなければ、一時的で中身のない、見せかけだけの経済成長で終わってしまいます。総理は、いかなる成長戦略によって我が国経済を再生させようとお考えですか。その筋道をお示しください。
 安倍総理は、大胆な規制改革に取り組むとの決意も示されております。その際、雇用関連、エネルギー・環境関連、そして健康・医療関連を重点分野として指定し、規制改革を推進するように指示を出されました。
 規制改革は、これまでも歴代の内閣が既得権益と闘いながら取り組んできた分野であります。業界団体が反発する規制改革、果たして安倍内閣としてどこまで手が付けられるのか、その決意を示していただきたいと思います。
 厳しい財政状況にある我が国において、予算の無駄な執行は厳に戒めなければなりません。参議院は、決算重視の参議院として、予算の審査と並んで決算の審査を重視して取り組んでまいりました。
 私たちは、これまでも内閣に対して決算の早期提出を求めて実現させてまいりました。また、自らも早期審査に努め、その結果を政府の予算編成に反映させるべく、引き続き決算審査の充実に努めてまいります。こうした参議院の役割についての総理の認識を伺います。
 平成二十三年三月十一日という日を決して忘れることはできません。余りにも多くの尊い命が奪われ、いまだに三十万人を超える被災者が住み慣れた町を離れ、仮設住宅等で避難生活を送っております。
 こうした中、安倍政権発足から二か月もたたないうちに政権内部でスキャンダルが発覚し、国土交通省の大臣政務官が辞職をしました。一刻も早く被災前の暮らしを取り戻そうと懸命に頑張っている被災者の皆さんにどう説明されるのか、総理に伺います。
 東日本大震災によって、改めて私たちは、四方を海に囲まれ、地震から逃れられない土地に暮らしていることを思い知らされました。私たちは、今度の大震災から何を学び、これからどのような心構えで毎日を過ごせばよいのか、改めて総理の考えを伺います。
 大震災以降、民主党政権としては、復興基本法の成立や復興庁の設置を始め、四次にわたる補正予算に加え、今年度予算でも、当然必要な財源を手当てしてまいりました。しかし、被災者の孤立防止、心のケアを始めとするきめ細やかな被災者支援、また住宅再建や高台移転、瓦れきの処理、産業雇用への取組など、いずれもまだ道半ばであります。また、既に地価高騰で生活再建に壁といった声も聞かれてきます。
 真に被災者のためになることであれば、私たちも惜しみなく協力してまいります。厳しい状況の中でも、あしたに向かって復興に力を尽くしている被災者のために、政府の今後の取組を伺います。
 また、安倍政権として、大震災によって起きた福島第一原発の事故の現状をどう把握しておられるのか、認識を伺います。
 そうした中で、除染作業員への不払や、手抜き除染など、原発事故で被害を受けた方々の心を踏みにじるような問題も次々に明らかになっております。今後、政府はこれらの問題にどのように取り組んでいかれるのか。
 あわせて、今後原発をどうするか。総理は、施政方針演説の中で、安全が確認された原発は再稼働しますと述べられていますが、このことも含め、日本のエネルギー問題に今後どう対処されていくおつもりか、考えを伺いたいと思います。
 次に、外交防衛問題についてお尋ねします。
 総理は、さきの日米首脳会談を受け、日米同盟の信頼、強い絆は完全に復活したと宣言され、また、環太平洋経済連携協定、TPP交渉参加の道筋を付けられました。
 総理は、参議院選挙までは安全運転と称していますが、総理の狙いは、集団的自衛権の憲法解釈を見直し、日米協力ガイドラインの再改定、防衛力の増強、武器輸出三原則の更なる緩和を進め、日米同盟の強化の美名の下に対米追随外交に先祖返りしようとしているのではありませんか。さらに、国防軍の創設を盛り込んだ憲法改正へと導き、総理の言う強い日本をつくることにつなげようとしているのではありませんか。
 また、総理は、危機突破内閣を標榜し、国益を守る、主張する外交を取り戻すと声高に主張しています。さきの訪米では、政策演説において、日本は二級国家にはならない、日本は強くあり続けなければならないと表明されました。総理が否定する二級国家とはどのような国なのか、総理が目指す強い日本とはどのような国なのでしょう。
 また、総理は、河野談話作成の経緯について言及され、靖国神社への参拝に意欲を示しておられます。これに対して、近隣諸国はもとより、米国やオーストラリアからも日本の右傾化ではないかと懸念する声が上がっております。総理は、大局的な見地から、安全運転に徹し、村山談話や河野談話の継承を明確にされ、歴史認識問題におけるタカ派的な色彩を抑制して、現実主義的な外交路線を堅持するお考えはありませんか。
 安倍総理から、外交防衛問題の取組姿勢についての認識をお示し願います。
 TPP交渉参加問題についてお尋ねします。
 安倍総理は、日米共同声明を踏まえ、聖域なき関税撤廃が前提ではないとの認識に立ったと表明しておられます。これに対し、拙速に交渉に参加すれば国益を損なうとの懸念も根強いものがあります。何より、国民への情報提供など、国民の目線に立って国益を守ること、TPPに参加する国々や国民にとって共に利益となる枠組みになることが重要であります。また、日中韓FTAや東アジア地域の包括的経済連携などへの取組も大切であります。
 安倍総理に、TPP交渉への取組や国民への情報提供、農業分野を始めとする国内対策の方針について見解を伺います。
 そして、総理は、日米首脳会談で緊密な日米同盟が完全に復活したとされております。総理が進めようとしている防衛計画の見直し、防衛力の増強、集団的自衛権の行使に向けた憲法解釈の変更、日米防衛協力ガイドラインの見直しなどの動きについては、国防費を削減している米国のアジア太平洋地域への関与を支えていくものではないかとの指摘があります。また、アルジェリアにおける人質事件を契機とした日本版の国家安全保障会議、NSCの創設の動きや、自衛隊による在外邦人救出のための自衛隊法改正の検討などと併せ、安倍総理には軍事力偏重の傾向がうかがえるとの意見もあります。さらに、普天間飛行場移設問題に関連して、沖縄県知事に対して、名護市辺野古沖の埋立認可申請を行う動きが伝えられております。
 他方、日米首脳会談では、基地負担の軽減やオスプレイ配備問題に対する沖縄県民の切実な声をどのように米側に伝えたのか。総理から、日米首脳会談に関連する安全保障、防衛問題に関する諸懸案に対する認識をお聞かせいただきたいと思います。
 中国との間では、沖縄県の尖閣諸島をめぐり、緊張が続いています。大局的な見地から関係改善に努めなければなりません。総理は日中首脳会談の開催に意欲を示しておられますが、大切なことは、我が国が冷静に対応し、中国を挑発しない姿勢を貫くことであります。野田内閣は国が島を所有して安定的に管理する自制の利いた措置をとりましたが、安倍内閣もこれを継承し、また、事態のエスカレート防止のため、緊急連絡体制の構築を急ぐべきであります。
 総理は、日中平和友好条約締結三十五周年の今年、首脳会談の開催と戦略的互恵関係の再構築に向けて知恵を絞るべきであります。総理の御認識をお聞かせください。
 北朝鮮の核、ミサイルの開発は、我が国の安全保障上、重大な脅威で、政府は、関係諸国や国連安保理と連携し、北朝鮮に対話と圧力の両輪で北朝鮮の拉致・核・ミサイル問題の解決に全力で取り組むべきであります。総理の御決意を伺います。
 朴槿恵新大統領が就任した韓国との間には竹島問題という難しい問題もありますが、大局的な観点から未来志向の関係を築き、北朝鮮問題に共同して対処していかなければなりません。総理の御認識をお聞かせください。
 ロシアのプーチン大統領は北方領土問題の取組に意欲を示していますが、その解決に向けた構図を日ロ両国で描くべき時期が今まさに到来していると思われます。総理の御見解を伺います。
 次に、選挙制度改革についてお尋ねします。
 昨年十一月十四日の党首討論において、野田前総理と安倍総理は、定数削減をこの通常国会で実現することを約束されました。これは大変重い国民との約束であります。
 自民党も、二〇一〇年の参議院選挙で、衆参の国会議員定数を三年後、すなわち今年の夏までに一割削減することを約束され、さらに、さきの総選挙公約でも、衆議院の定数削減については、三党合意に基づき、選挙制度の抜本的な見直しについて検討を行い、次期通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行いますと訴えられております。
 先月二十二日の自民、公明、民主三党幹事長会談において、我が党から今国会で法改正を行うことを確約するよう強く求めましたが、自民党は、今国会での実現に後ろ向きな姿勢を示し、協議会の設置も拒まれたと聞いております。これでは到底、今国会の実現などおぼつかないのではないでしょうか。
 残された時間は余りなく、責任ある与党として、会期末までに定数削減をどのような道筋で実現していこうとしているのか、総理、自民党総裁にお尋ねをいたします。
 国会同意人事の在り方について伺います。
 国会同意人事については、事前に人事情報が意図的に報道されることにより、国会における審議を形骸化させ、事実上、政府が提案を議会に追認させようとする場になってはいけないということから、事前報道された人事案は受け付けないことになった経緯があります。
 去る二月十九日に、与野党協議の結果、新たなルールが導入され、同意人事案件の内示までのあらゆる過程で情報管理の徹底を図ることを政府に求める、また、人事案件内示前に人事案が報道された場合、内示後、政府に対し、情報漏えいがなかったか否かを調査させ、各院の議院運営委員会理事会に報告させるものとするとなっております。
 今回の日銀総裁人事についても、政府関係者による情報漏えいがなければ知り得ないと考えられる人事情報が乱れ飛んでおります。さらに、そうした報道を受け、名前が出ている方々が取材に対し、既に国会が同意し、その任に就いたかのような対応ぶりの報道もされております。市場も反応しているとの報道さえあります。
 このように、国会を軽視、無視する政府関係者による人事情報の漏えいに対し、安倍総理はどのように認識されているのか。事実関係を政府として徹底的に調査し、議院運営委員会に報告するとともに、二度とこのようなことがないようにどのような対応を取られるのか、お答えをいただきたいと思います。
 人づくりなくして国づくりなし。教育は未来への先行投資とも言われています。経済再生と並んで安倍内閣挙げての最重要課題であり、施政方針演説の中でも、総理自身、子供が主役の教育再生と総理が位置付けられた教育問題について伺います。
 まず、教育の現状と課題について、総理の御認識をお聞かせください。
 次に、ひな祭りも過ぎ、三月を迎えた子供たちにとっては、進級、卒業という別れの時期にもなります。深刻な社会問題となっているいじめ、体罰の問題について伺います。
 いじめあるいは体罰に耐えられず、自ら命を絶った子供たちの報道には言葉もありません。どんな教育改革よりも、どんな政策よりも、今必要なのは、子供たちが安心して毎日を過ごすことのできる環境を、心の居場所を探すことだと考えます。全ての子供たちに出番と居場所のある楽しい学校にしなければなりません。一人の大切な命を救えずに、声高に教育改革を唱えるほどむなしいことはないと思います。
 安倍内閣の教育再生実行会議は、二月二十六日、いじめの問題等への対応について、道徳を教科にという提案をしました。私たち民主党も、二月十二日、いじめ対策推進基本法を取りまとめました。しかし、今、いじめたら怒られる、それを理解してもらうには怖い先生が学校にいないと駄目、武道家、一番いいのはボクシング、空手、柔道、プロレス、いないなら警察OBを雇う、今の時点ではこれしかないと思います、こんな耳を疑いたくなるような文部科学副大臣の発言をめぐって委員会でも紛糾しています。総理の教育再生への見解を伺います。
 今を生きる私たちは、あしたに、未来に責任を持たなければなりません。共に生きる共生社会を目指し、政治も経済も教育も、全ては子供たちの笑顔のためにあることを信じ、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#13
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 輿石東議員から御質問をいただきました。
 私が目指す国及び社会像についてのお尋ねがありました。
 私が目指す美しい国とは、活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自立の精神を大切にする、世界に開かれた国のことであります。
 長期にわたるデフレ不況により、どんなに頑張っても雇用や手取りが減る状況が長い間続いてきました。強い経済を取り戻すため、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を力強く射込みます。そのことが、額に汗して働く人が報われる真っ当な社会を取り戻す道であると考えております。
 一九一〇年に作られた御指摘の石川啄木の歌も、当時、日本では不況が長引いており、どんなに仕事を頑張っても暮らしが楽にならない状況を歌ったものと考えます。
 頑張る人の手取りを増やすため、私自身、可能な限り報酬の引上げを行ってほしいと産業界に直接要請するとともに、税制で利益を従業員に還元する企業を応援してまいります。日々の暮らしを少しでも良くするためには、強い経済を取り戻していかなければなりません。
 社会保障・税一体改革についてのお尋ねがありました。
 消費税率の引上げを含む社会保障・税一体改革は、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す観点から取り組む改革であり、自民、公明、民主の三党合意に基づき改革を推進します。
 三党間での協議の進展も踏まえ、社会保障制度改革推進法に基づき、社会保障制度改革国民会議において御議論いただき、改革を具体化してまいります。
 財政運営と経済対策についてのお尋ねがありました。
 二十四年度補正予算については、足下の経済に弱い動きが見られ、経済再生が喫緊の課題となる中、緊急経済対策を実施するため、大型の補正予算としました。
 その中で、持続的成長に貢献する分野などに重点を置いて、効果が持続し、将来の成長につながるものと期待をしています。また、公共事業については、国民の命と暮らしを守るインフラ老朽化対策や防災・減災対策など、真に必要な経費を計上したところであります。
 他方で、財政出動をいつまでも続けるのではなく、民間投資を喚起する成長戦略を策定、実行し、持続的な経済成長の実現を図りながら財政再建を進めることが極めて重要です。
 経済財政諮問会議において、財政健全化と経済再生の双方を実現する道筋の検討を進め、財政健全化目標の実現を目指します。
 経済構造の改革及び成長戦略の推進によるデフレ克服への決意に関するお尋ねがありました。
 デフレからの脱却のため、先般の共同声明にあるように、二%の物価安定目標を日本銀行が責任を持ってできるだけ早期に実現することを期待しております。
 他方、物価上昇は実体経済の成長を伴って安定的に実現していくことが望ましいと考えております。このため、政府としても、機動的なマクロ経済政策運営に努めるとともに、将来のあるべき社会像を確かな成長戦略に結び付けることによって強い経済を取り戻していくことが重要であり、政府の強力なコミットの下で成長戦略を一丸となって実行していきます。
 景気の見通しと賃金の上昇についてお尋ねがありました。
 我が国の景気は、一部に弱さが残るものの、下げ止まっております。また、最近、株価の回復等も見られ、こうした改善の兆しを本格的な景気回復につなげていくことが重要です。
 このため、三本の矢を同時に射込むことにより、企業の収益機会を増やし、雇用や所得の拡大を実現することで、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていきます。この過程で、特に企業の収益力向上の成果が適切に労働者にも分配されることが重要であり、私から、可能な限り報酬の引上げを行ってほしいと産業界に直接要請をしました。また、政府も、平成二十五年度税制改正において、利益を従業員に還元する企業を支援することとしており、是非とも活用していただきたいと思います。既に、この方針に御賛同いただき、従業員の報酬引上げを宣言する企業も現れています。
 このような取組を通じ、経済再生を雇用、所得の拡大につなげるという好循環を目指してまいります。
 成長戦略と規制改革についてのお尋ねがありました。
 成長戦略の策定に当たっては、健康に長生きできる社会の構築、クリーンかつ経済的なエネルギー需給の実現など、幾つかの将来のあるべき社会像を戦略目標として設定をしています。
 戦略目標実現のために、コア技術への研究開発投資、規制改革、関連投資の促進などの政策資源を一気通貫で投入するためのロードマップを策定いたします。また、立地競争力強化や雇用の拡大、国際展開等にも取り組んでいきたいと考えています。
 成長戦略は、文章をまとめるだけではなく、政府が強力にコミットし、一丸となって実行することが活力ある民間投資の誘発につながると考えています。今回は、日本経済再生の司令塔として、全閣僚が一丸となった日本経済再生本部を設置し、私が矢継ぎ早に具体策を判断し、次々と実行に移すこととしたいと考えています。
 規制改革については、雇用関連、エネルギー・環境関連、健康・医療関連を重点分野と位置付け、これらを始めとして、経済再生に資するものから優先的に見直しを行うよう指示をしたところであります。規制改革は、経済活性化、民需主導の経済成長を実現する重要な手段であると考えており、大胆な改革を推進してまいります。
 決算審査に関する参議院の役割についてのお尋ねがありました。
 参議院においては、これまでも決算の早期審査、審査の充実に努め、種々の改革に取り組まれてきたことに改めて敬意を表します。国会における決算の審査は、執行された予算が所期の目的を果たしているか等について審議、検討いただくもので、極めて重要なものであります。今後とも、その充実を図っていただくことを期待をしております。
 国土交通大臣政務官の辞任を被災者にどう説明するのかとのお尋ねがありました。
 御指摘の政務官辞任については、速やかに後任として坂井政務官を任命しており、国政の遂行に支障が生じないよう進めております。被災者の皆様が求めていることは、何よりも結果であり、一日も早い復興の実現であります。政局に明け暮れていると思われかねない永田町の目線での言葉のやり取りよりも、被災者の目線で目に見える復興という結果を出すことにより被災者の理解を得てまいります。
 東日本大震災を踏まえた心構えと今後の復興の取組についてお尋ねがありました。
 多様な災害が頻発する我が国において、災害から国民を守り、国を守ることは政治の究極の責任であり、ハードとソフトを組み合わせて、事前防災・減災を目指していかなければなりません。同時に、私たち国民一人一人が自らの安全は自ら守るとの意識を持っていかねばなりません。
 御指摘のように、復興については様々な課題があり、政府としては、自治体やNPOとの連携による孤立防止や心のケアの実施、住宅再建の工程や目標の公表と加速化、瓦れき処理の早期完了、中小企業の再建や企業立地の推進のための補助などにしっかりと取り組んでまいります。
 今後も、現場主義を徹底しながら、復興庁を中心に課題を具体的に解決し、政府一丸となって復興を加速してまいります。
 福島第一原発事故の現状の把握、除染作業における問題への取組、今後の原発の取扱い及びエネルギー政策についてお尋ねがありました。
 東京電力福島第一原発については、安定した状態が継続している一方で、一日も早い安全な廃炉が極めて重要です。国が前に出て研究開発の主導的な役割を果たし、世界の英知を結集して取り組んでまいります。
 手抜き除染の指摘については、私からも環境大臣に指示を行い、再発防止に取り組んでいるところです。関係機関が連携して除染と復興の加速化を図ってまいります。
 エネルギー政策については、いかなる事態においても、国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提であります。エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。
 原発の再稼働については、科学的安全基準の下で判断していくこととし、三年程度で既存原発の行く末を見極めながら、十年以内に新しい安定したエネルギーミックスに移行させていきます。その際、できる限り原発依存度を低減させていくという方向で検討してまいります。
 我が国の外交防衛問題への取組姿勢について、対米追随ではないかとのお尋ねがありました。
 政府としては、厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、我が国自身の防衛力の強化、集団的自衛権についての有識者による議論、日米間におけるガイドラインの見直しの検討等を進めるとともに、F35の部品製造への参画について武器輸出三原則等によらないこととしました。また、こうした取組を通じ、日米同盟をより強固なものにしていきたいと考えています。これらは、我が国の安全を確保する観点からの当然の取組であるとともに、地域の平和と安全に資するものであり、対米追随外交との御指摘は全く当たりません。
 また、自由民主党の憲法改正草案においては、自衛隊を国防軍として位置付けることとしていますが、国際法上、自衛隊が軍隊として扱われていることを踏まえたものであります。
 私が目指す強い日本とは、国民一人一人が将来への夢と希望、ふるさと日本への誇りと自信を抱き、目の前にある様々な危機を突破していくことができる国であり、もとより、私は、憲法の平和主義や戦争の放棄を変えるつもりは全くありません。
 強い日本と、さきの訪米の政策演説についてお尋ねがありました。
 私が目指す強い日本とは、国民一人一人が将来への夢と希望、日本への誇りと自信を抱き、目の前にある様々な危機を突破していくことができる国です。米CSISが昨年八月に発表した日本についての報告の中で、日本が経済的重要性や防衛力を有し、国際的な課題にリーダーシップを発揮できる一級国家であり続けるのか、それとも二級国家に落ちることで満足するのかとの記述がありました。この問いかけに対して、私は、さきの訪米の政策演説で、日本は今もこれからもそのような二級国家にはならないとの意思をはっきりと内外に示した所存であります。
 歴史認識の問題と外交路線についてのお尋ねがありました。
 いわゆる村山談話や河野談話についての私の考え方はこれまでの国会における答弁で明らかにしているとおりでありますが、いずれにせよ、歴史認識の問題については、政治・外交問題化させるべきではなく、歴史家や専門家に委ねることが適当であると考えております。また、外交路線については、普遍的な価値を重視しつつ、日本の国益を守るために、主張する外交を戦略的に展開していく考えであります。
 TPPについてのお尋ねがありました。
 御指摘の日中韓FTAや東アジア地域包括的経済連携への取組を含め、アジア太平洋地域、東アジア地域、欧州などとの経済連携を戦略的に推進してまいります。
 政府としては、TPPについては、今般の首脳会談で私自身が得た認識も踏まえ、国民の目線に立って、国益にかなう最善の道を求めてまいります。状況の進展に応じて、しっかりと国民の皆様に情報提供してまいります。
 農業においては、生産額の減少、担い手の高齢化などの課題があり、TPP交渉への参加いかんにかかわらず、農業の活性化を図っていくことは極めて重要であることから、攻めの農政に力を入れていきたいと考えております。
 我が国自身の防衛力の強化に関する取組等と米国との関係についてのお尋ねがありました。
 政府は、厳しさを増す安全保障環境の中、防衛大綱の見直し、我が国自身の防衛力の強化等に取り組むとともに、集団的自衛権につき、有識者による議論を始めています。また、日米間においてガイドラインの見直しの検討を進めていきたいと考えています。これらは、我が国の安全を確保する観点からの当然の取組であるとともに、地域の平和と安定に資するものであり、今後とも我が国としての責任をしっかりと果たしていく考えであります。
 私には軍事力偏重の傾向がうかがえるのではないかとのお尋ねがありました。
 国家安全保障会議については、外交・安全保障に関する諸課題につき、政治の強力なリーダーシップにより迅速に対応できる環境を整えるため、その設置に向けた検討を行っているものです。自衛隊法の改正については、アルジェリアにおけるテロ事件の教訓を踏まえ、派遣先国における様々な輸送ニーズに的確に対応するため、現行法制で十分か検討しているものです。いずれも、国民の生命、財産や我が国の領土・領海・領空を守り抜くために必要な措置を講じようとするものであり、御指摘は当たりません。
 沖縄の負担軽減についてのお尋ねがありました。
 普天間飛行場の移設やオスプレイ配備などに関し、沖縄に厳しい声が存在することは重く受け止めており、私自身、日米首脳会談に先立って沖縄を訪問した際、仲井眞知事を始めとする関係者の方々とお話をし、県民の皆様の思いを再確認しました。
 先般の日米首脳会談では、私から、米軍再編については現行の日米合意に従って作業を進め、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を実現していく旨述べ、普天間飛行場の移設及び嘉手納以南の土地の返還計画を早期に進めていくことで一致しました。
 引き続き、沖縄の方々の声によく耳を傾け、信頼関係を構築しながら、沖縄の負担軽減に全力で取り組んでまいります。
 尖閣諸島をめぐる緊急連絡体制の構築及び日中関係についてお尋ねがありました。
 尖閣諸島は歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、自国の領土・領海・領空を守るという断固たる意思を持って適切に取り組んでまいります。一方、日中間において、不測の事態を避ける観点から、重層的な意思疎通の仕組みを構築していくことも重要と考えており、その一環として防衛当局間の海上連絡メカニズムの早期運用開始を中国側に呼びかけています。
 日中関係は最も重要な二国間関係の一つであり、中国側に対し、個別の問題があっても関係全体に影響を及ぼさないようにコントロールしていくとの戦略的互恵関係の原点に立ち戻るよう、粘り強く訴えていきます。私の対話のドアは常にオープンです。
 北朝鮮政策についてお尋ねがありました。
 政府としては、米国や韓国等の国連安保理関係国と引き続き緊密に連携し、断固とした措置を追求していく所存であり、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けて、対話と圧力の方針を貫き、全力で取り組んでいきます。
 日韓関係についてのお尋ねがありました。
 韓国は、基本的な価値と利益を共有する最も重要な隣国です。日韓間には難しい問題もありますが、日韓双方で新政権が成立した機会を生かし、二十一世紀にふさわしい未来志向の関係を構築するために、朴槿恵大統領とともに努力していく考えです。その上で、御指摘の北朝鮮問題についてもしっかりと連携して対応していく考えであります。
 北方領土問題についてのお尋ねがありました。
 アジア太平洋地域の戦略環境が大きく変化する中で、互恵の原則に立って、あらゆる分野で日ロ協力を進めていくことが日本の国益に資すると考えます。
 北方領土問題については、日ロ関係を全体として発展させていく中で、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すべく、ロシアとの交渉を粘り強く行っていく考えです。
 このような考えの下、本年のしかるべき時期に日本の総理として十年ぶりにロシアを公式訪問する予定であり、私のロシア訪問を日ロ関係の発展に新たな弾みを与えるものとしたいと考えています。
 衆議院の定数削減についてのお尋ねがありました。
 衆議院議員の定数削減は、さきの三党合意において、選挙制度の抜本的な見直しの検討を行い、今般の国会終了までに結論を得て必要な法改正を行うこととしており、私は、自由民主党総裁として、党に対し、積極的に取りまとめを行うよう指示をしております。
 この問題は議会政治の根幹にかかわる重要な課題であるので、各党各会派においてしっかり御議論をいただく必要がありますが、与党で意見集約され、各党各会派から御賛同を得られれば、直ちに法案は成立するものと考えております。
 いずれにせよ、私としてはしっかり改革を進めてまいる決意であります。
 国会同意人事についてのお尋ねがありました。
 同意人事案件につきましては、新たなルールを踏まえ、衆参両院への内示までのあらゆる過程で情報管理の徹底を図ってきましたが、今回、事前にマスコミに報道がされたことは極めて遺憾であります。
 事実関係については調査を行いましたが、報道に至った原因となる事実については確認できませんでした。この調査結果については、昨日の議運理事会に御報告させていただいたところです。
 政府としては、今後、内示までのあらゆる過程で情報管理の徹底と再発防止に努めてまいります。
 教育の現状と課題、いじめ・体罰問題、教育再生についてのお尋ねがありました。
 いじめや体罰を背景に子供が尊い命を絶つ事案が発生するなど、大きな課題を抱える教育を再生し、世界トップレベルの学力と規範意識を身に付ける機会を保障していくことが重要と考えます。
 御指摘の谷川文部科学副大臣の発言は個人的見解であり、体罰を容認するものではないと承知しておりますが、いずれにしても、政府としては、教育再生実行会議の提言を踏まえて、いじめ・体罰問題の対策の強化や法制化につなげることを始め、教育を取り巻く重要課題に内閣を挙げて全力で取り組んでまいります。(拍手)
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#14
○議長(平田健二君) 溝手顕正君。
   〔溝手顕正君登壇、拍手〕
#15
○溝手顕正君 自由民主党の溝手顕正です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、政府四演説について質問いたします。
 総理は、施政方針演説で、「一身独立して一国独立す」という福沢諭吉の言葉を引いて、私たち自身が自立して力強い日本をつくっていこうと呼びかけられました。病から復活された総理自身の姿とも、また震災から復興しつつある東北の姿とも重なり、大変説得力のあるお言葉だったと思います。
 本日、私からは、我が国が自立に向け、直面する三つの課題、外交、経済、震災復興について総理のお考えを伺いたいと思います。
 今後の日米関係と我が国の外交についてでございます。
 まずは、外交問題から伺います。
 日本は、戦後、安全保障をアメリカに依存し、自らは経済成長に資源を集中することで世界第二位の経済大国に上り詰めました。しかし、その後、冷戦の終結やアジアの急成長によって我が国を取り巻く環境は大きく変わってきました。
 第一次安倍内閣が誕生した二〇〇六年には、北朝鮮が初の核実験を行い、翌年には、中国のGDPがドイツを抜いて世界第三位となりました。当時の安倍内閣は戦後レジームからの脱却を掲げましたが、それは、外交・安全保障面でいえば、我が国の経済力にふさわしい応分の負担をし、世界の平和と安定への責任を果たすことであったと思います。
 あれから六年。我が国の安全保障をめぐる環境は日々緊張感を増し、国民の誰もが危機を実感するまでになりました。集団的自衛権の行使、憲法の改正など、前回安倍総理が目指した政策の必要性はますます高まっていると言えます。
 総理は、先日の日米首脳会談で、強固な日米同盟を再確認されました。これは、ある意味では、戦後レジームの原点に立ち戻ることであり、また、我が国の新たな役割を考える第一歩になるものだと考えます。
 そこで、今回の日米首脳会談を踏まえた今後の日米関係の展望と、世界の平和と安定のための我が国が果たすべき役割について、総理のビジョンをお聞かせいただければと思います。
 北朝鮮の問題に対する対応について。
 日米首脳会談では、北朝鮮の核実験に対する断固たる対処を確認できた点にも成果がありました。北朝鮮の核開発、ミサイル開発は、我が国にとって差し迫った脅威であり、断じて容認することはできません。日米が連携して、また国際社会が足並みをそろえて、北朝鮮に対する制裁を強力に実施し、核を放棄させることが必要です。
 そこで、伺います。国連でも北朝鮮に対する制裁強化に向けた議論が行われておりますが、現在の状況はどうなっているのでしょうか。また、日本政府として各国にどのような働きかけを行っているのでしょうか、状況をお聞かせください。
 また、国連による制裁とは別に、日米が協力して独自の制裁を行うことも必要です。安倍総理がオバマ大統領に提案されたように、日米による金融制裁を行えば、世界第一位と世界第三位の経済大国による制裁ですから、その効果は大きいでしょう。日米合同の金融制裁についての実施の見通しをお聞かせください。
 さらに、北朝鮮への制裁が実効力を持つためには、その最大の支援者である中国の協調も不可欠です。我が国と中国とは、尖閣列島などをめぐる緊張関係がありますが、北朝鮮の核開発を認めないという点では立場は共通しています。最近、中国は制裁の強化に否定的な考えもしているようですが、総理は、北朝鮮の問題に関し、中国に対してどのような働きかけをしておられるか、お聞かせいただきたい。
 今後の外交で大きなポイントの一つは、韓国との関係であります。対中国、対北朝鮮などの地域の課題に対処するに当たっては、日米韓の三か国協調が不可欠となります。韓国に対しては、領土問題、歴史問題など、主張すべきところはしっかり主張しつつ、利害が一致する点については大局的な観点から協力していくというしたたかな外交が必要だと考えます。
 先月二十五日、朴槿恵大統領が就任し、韓国政治も転機を迎えております。李明博前大統領は、竹島への上陸、天皇陛下への謝罪要求など、暴挙を繰り返し、日韓の信頼関係を根底から崩してしまいました。残念ながら、協調すべき分野では協調し、主張すべき分野では主張するという戦略的で合理的な関係を結べる相手なのか、疑問を抱かざるを得ませんでした。
 したがって、今回の大統領交代を日韓関係の修復に向けた転機としていかなければなりません。総理は、この韓国のこれまでの行動や、朴新大統領の誕生という状況を踏まえて、今後、韓国とどのような関係を築いていくべきだとお考えか、お聞かせをいただきたい。
 また、どのような関係を築くにせよ、まずは首脳同士の対話から信頼関係を構築していくほかはないと考えますが、近々、朴新大統領と首脳会談を行うお考えはあるのでしょうか、お聞かせください。
 次に、安倍総理が三本の矢と表現している経済対策についてお伺いいたします。
 現在は、一本目の矢が見事に的を射て、二本目の矢である緊急経済対策をまさに放った段階だと言えるでしょう。
 経済対策で何よりも重要なことは、民間企業が元気になることであります。政府が公共事業で景気を刺激することは景気回復の出発点としては大変重要ですが、最終的には、民間企業の力で経済が回っていく、需要が需要を呼ぶという状況になることが必要であります。そのためには、企業の利益が投資や消費に回らなくてはなりません。特に、雇用や給料に回るようになって初めて国民が景気回復を実感するようになり、国全体のムードが変わってきます。
 当面は、デフレを脱却し、物価を上昇させることが最大の課題であり、そこに集中するべきですが、物価が上昇し始めてから雇用や賃金に反映されるまでの間、どの程度時間差があるのかという点も意識していく必要があると考えます。
 産業競争力会議の中でも、半年や一年で給料は上がらない、早くても三年ぐらい掛かるとおっしゃっている委員がいます。しかし、三年も掛かるようでは、給料が上がる前に消費税が上がってしまい、需要がますます冷え込んでしまうでしょう。
 二十五年には、税制改正で雇用や給料を増やした企業への法人税減税が盛り込まれています。こうした対策が効果を発揮すれば、もっと早い給料の上昇も期待できるのではないでしょうか。
 安倍総理も、実際に給料が上がるまでに三年も掛かったら困るとお考えのはずであります。物価が上がっても簡単に給料は上がらないという意見に対して、どのように答えていくのか。国民が安心して前向きな気持ちになれるような御説明をお願いいたします。
 政府は、二〇一五年度までに国と地方のプライマリーバランスの赤字を半減させ、二〇二〇年度までに黒字化するという目標を掲げています。これは民主党政権時代に定めた目標ですが、安倍総理も麻生財務大臣も、この財政健全化目標を実現する必要があると答弁されております。
 一方で、政府は、経済財政諮問会議で議論し、財政健全化目標を達成するための中期財政計画を策定するとも言っております。この計画は、どのような内容を想定しているのでしょうか。これまでの目標と何が変わるのか、現時点でのお考えをお聞かせいただきたい。
 財政健全化の方法にも工夫が求められます。極度の節約は経済ではないという言葉があります。保守主義の父と言われるイギリスの思想家エドマンド・バークの言葉でございます。その言葉には、巨額の出費が真の経済にとって不可欠だと続きます。私は、日本の財政状況で巨額の出費とまではさすがに言いません。しかし、ある程度の出費が経済にとって不可欠であることは確かです。
 政府が景気を刺激し、経済成長を実現することで、税収が増え、財政健全化が達成できるのです。そのためにこそ、補正予算での緊急経済対策や二十五年度予算での公共事業の増額を行っております。
 私は、景気が良くなって税収が増えるという見通しの下で行うのであれば、大型の補正予算や公共事業による景気刺激と財政再建は全く矛盾しないと考えます。総理も同じ考えだと思いますが、いかがでしょうか。御見解をお聞かせください。
 経済対策の中身として重要な役割を果たすのが、事前防災です。いわゆる十五か月予算では、一般会計で七・七兆円の公共事業費が計上されています。その中で、事前防災の強化のために総額一・六兆円の防災・安全交付金が創設することになっています。これは、地方自治体によるインフラ老朽化対策や事前防災・減災対策のための使い勝手の良い交付金であるとのことです。まさに、時代のニーズに合った大変意義ある予算だと思います。
 そこで、今後は、実際にどの程度地方が自由に使えるのかということが重要になってまいります。最近、様々な交付金ができており、その都度、地方の使い勝手が良いということが強調されますが、地方の立場になると、本当に使いたいところで使えるとは限らないこともあります。
 例えば、海沿いにある古い市庁舎を移転して安全な防災拠点となる市庁舎を造りたいというときに、面倒な条件なしに使える交付金はあるのでしょうか。あるいは、海に近い小学校を高台にある中学校と同じ敷地に移転して小中一貫の学校を造りたいというときには、どの交付金が使えるのでしょうか。ちょうどよい交付金がないときには、自治体としては、実際のニーズではなく、交付金の条件に合わせて事業を行うことになってしまいます。
 結局、どの交付金も、国が決めたメニューに当てはまるのみにしか使えないという仕組みになっております。この考え方が変わらない限り、使い勝手を良くするという、メニューを何十種類も増やしても、何百ページもある交付要領を作るという方向になります。それでは自治体の負担は増えるばかりです。
 そういう発想ではなく、これには使えないということだけ決めて、それ以外なら自由に使えるようにすべきではないでしょうか。本当の意味での地方の自由度を上げるため、発想の転換が必要だと思います。防災・安全対策の交付金についてはそのような自由度を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 来年度予算案では、国家公務員の七・八%の削減に合わせて、地方公務員の給与も削減するよう、地方交付税が減額される方向です。閣議決定では、各地方団体において速やかに国に準じて必要な措置を講ずるよう要請するとなっております。
 私は、地方の首長をやっていましたので、この問題は非常に悩ましく思っています。復興増税という形で国民や企業に負担をお願いしている今、国だけでなく地方公共団体も職員の給与を減らすべきというのは、全くの正論です。
 しかし、その手段として地方交付税を減らすということは、財政力の弱い自治体ほど大きな影響を受けるということになります。本来、地方交付税は地方税収の偏在を是正するための制度です。それを給与削減の手段として使うのはいかがなものか、地方公務員の給料はその自治体が自主的に決めるのではないかという主張も、確かに正論です。
 国の主張も地方の主張にも、それぞれ一理あるだけに難しい問題だと考えます。安倍総理は、国が地方に給料の削減を要請すること、そして、その手段として地方交付税を削減することについて、地方自治制度との整合性をどうお考えでしょうか、伺いたいと存じます。
 地方財政は、最終的には地方と都市という大きな構造問題に行き着くところと考えます。
 都市には人口や企業が集中するため、税収も集中します。同時に、人口密度が高ければ、道路や水道など、一人当たりの行政コストは安くて済みます。一方で、地方は税収が少ないばかりか、同じ道路や水道を造るにしても、隣の家まで何百メートルという場合も多く、一人当たりのコストがどうしても高くなります。
 図書館や劇場などの公共施設も、都市では一か所あれば多くの人が利用できますが、例えば上野の博物館は、都内だけでなく埼玉や千葉からも電車一本で来られます。しかし、地方では、隣の県の博物館に簡単に行けるという人は限られているでしょう。やはり自治体ごとに公共施設や文化施設が必要になってきます。
 こう考えますと、現在のように、人口を基準としての財源配分では大きな不公平が生じてしまいます。もちろん、現在の地方交付税も、人口以外に自治体の面積や道路の延長に応じて算定されている部分もあります。しかし、基本的には人口割りの要素が強いことは否定できません。したがって、人口密度の低い自治体ほど財政が苦しくなるのです。
 地方への財源配分は、面積や地形など人口以外の要素をもっと重視して、同じことをやるのでもお金が掛かるという実態を踏まえて行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。この地方と都市の在り方、国土のグランドデザインにもかかわる問題であります。総理のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
 安倍内閣の経済政策のうち、最後の肝、三本目の矢は、産業競争力会議で議論を行われております成長戦略です。
 金融政策と財政政策は、デフレ脱却と円高是正のため緊急に必要な対策です。この二本の矢は即効性のある対策ですが、いつまでも効果が続くものではありません。持続的な経済成長のためには、成長戦略を確立し、民間企業を元気にする民間主導の成長を実現する必要があります。
 日本の企業競争力の向上のためには、産業活動に不可欠な各種コストの引下げや、企業活動を縛る税制や規制の見直しが必要であります。現状では、日本企業が海外企業と競合する上で不利な条件が余りに多過ぎます。海外とのイコールフッティングの達成は、成長戦略の最優先課題と言ってもいいでしょう。企業の海外流出を防ぎ、国内での雇用を確保するためにも必要不可欠であります。
 特に、企業負担となるコストの中で第一に挙げられるのは電気料金であります。日本の電気料金は、以前から中国、韓国、アメリカなどに比べて相当割高であります。震災による原発停止以降、更に値上げされております。
 エネルギー価格を低く抑えることは、企業活動についてメリットがあるだけでなく、貿易赤字の削減にとっても有効であり、政府が緊急に取り組むべき課題の一つと考えます。
 電力会社も、アメリカのシェールガスなど、安い燃料を輸入しようとする動きを始めていますが、政府としても、こうした動きをより積極的に支援する必要があるかと考えます。エネルギーの調達価格の引下げについて、政府としての取組方針を伺いたいと存じます。
 コストの引下げと併せて、成長分野への重点投資も重要であります。特に、私は、優れた技術を持つ企業を更に伸ばすために、特許料収入などへの税制優遇が必要だと考えます。これは経済界からの要望にも上がっております。
 この仕組みはパテントボックス税制といい、ヨーロッパや中国で最近相次いで導入されております。イギリスでは、四月から特許料収入に対する法人税率が一〇%に引き下げられます。既にオランダでは税率が五%、中国では無税になっております。
 こうした国々と競争していく上で、日本で研究開発を行うだけで不利になるという現状は早急に改めるべきと考えます。このままでは、元気な企業がどんどん日本から逃げてしまうおそれがあります。このパテントボックス税制の導入について、政府としての対応はいかがでありましょうか。
 次に、消費税の転嫁対策でございます。
 来年予定される消費税増税も大きな問題ですが、様々な、軽減税率の導入等、問題点がありますが、本日、私は転嫁対策の問題を取り上げたいと思います。
 中小企業にとって、消費税が円滑に転嫁できるかどうかは死活問題であります。法制度やガイドラインなどの整備はもちろん重要ですが、そうした制度面だけでなく、個別に中小企業からの苦情や相談を受け付け、厳しい指導や摘発を行っていくことも必要だと考えます。
 しかし、公正取引委員会や中小企業庁にはそれに対応するだけの人数がいるでしょうか。消費税の引上げの前後には、臨時に人間を増員して相談体制や監視体制を整備することが必要でないかと考えます。政府としてはどのように取り組むか、お聞かせをいただきたいと思います。
 最後に、震災復興について伺います。
 震災復興については、民主党政権時の遅れを取り戻すことが最優先の課題であります。民主党政権は、復興庁や復興国債、復興特区など、自民党・公明党の野党案を九五%丸のみしてようやく復興基本法を成立させました。しかし、器は良くても、それを動かすのに未熟過ぎて、満足に動かすことができませんでした。言わば、高い車を買ったのに運転の技術が余りに悪かった、そんな状況です。
 その大きな原因は、政権と官僚との信頼関係がなかったことです。大臣や副大臣が、部下である、パートナーであるはずの官僚を敵とみなして信用しませんでした。私は、広島県で市長をしていました。市長が部下を信じないで、君たちは私の敵だ、君たちの仕事は無駄だなどと言っていたら、仕事ができるわけがありません。これは、役所だけでなく、あらゆる民間企業においても当然のこととして理解されていることだと思います。
 霞が関は大ばかだとまで言った震災のときの総理大臣だった人がいますが、恐ろしいことです。それでは、どんないい器があっても動くはずがありません。
 我々は、こうした膨大な時間を無駄にしてしまった状態から、何とかして遅れを取り戻そうと必死で努力をしています。しかし、被災地では人が足りません。自治体の職員が足りない、建設の作業員が足りない、水産業の人が足りない、こうした状況で、復興がなかなか思うように進みません。全国から人が集まっているようなところもありますが、全体としてはまだまだ足りません。
 被災地のこの圧倒的な人手不足に対して、政府として対策を強化すべきではないでしょうか。一方では職に就けない人も多く、一方では人手不足で復興の進まない地域もある。この状況を、国全体としてもっとうまく調整できないかと考えます。総理、お考えをお聞かせいただきたいと存じます。
 以上、私の地方自治体での経験や企業経営者としての経験も踏まえて質問をさせていただきました。私が最も申し上げたいのは、国民が、そして企業が元気を取り戻す政策が必要だということです。
 日本の資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一は、個人の富は、すなわち国家の富であると言いました。国が豊かになるには、まず国民が豊かになる必要があるということです。国民や企業を元気にして、経済成長によって税収を上げる、その結果として国が豊かになる、これが経済政策の王道であり、我が国財政再建もそのような順序で行う必要があります。
 今年より来年が、来年より再来年がもっと豊かで幸せになるという希望を、かつて我々は当たり前のように持っておりました。この希望を日本人がもう一度取り戻せるように、我々自由民主党は内閣と一体になって取り組んでいく決意であります。このことを表明いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#16
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 溝手顕正議員にお答えをいたします。
 日米関係の展望と、世界の平和と安定のために我が国が果たすべき役割についてお尋ねがありました。
 今回の日米首脳会談で、緊密な日米同盟の絆を確認し、同盟強化の方向性についても意見の一致を見たことを踏まえ、今後、外交・安全保障、経済を含むあらゆる分野において日米間での緊密な協力を具体的に進め、関係を更に強化していきます。
 このような日米の協力関係は、グローバルな課題への対応でも力を発揮すべきものであり、こうした幅広い協力関係の強化を通じて、地域や国際社会の平和と安定のためにしっかりと貢献してまいります。
 北朝鮮に対する国連の制裁強化についてお尋ねがありました。
 北朝鮮の核実験は断じて容認できず、国連安保理が制裁を追加、強化し、より効果的な内容の決議を採択することにより、国際社会として明確なメッセージを出す必要があると考えています。
 我が国は、現在、安保理メンバーではありませんが、そのような決議の採択に向け、米国、韓国、中国及びロシア等と様々なレベルで緊密に連携協力しており、例えば先般の日米首脳会談では、安保理による制裁の追加、強化も含め、この問題について引き続き協力していくことをオバマ大統領と確信したところであります。
 北朝鮮問題に対する日米の金融制裁についてお尋ねがありました。
 先般の日米首脳会談では、オバマ大統領との間で金融制裁を含む追加的制裁について日米間で緊密に協力をしていくことで一致しており、今後の北朝鮮の対応や国際社会の動向等を考慮しつつ、日米間で緊密に協力をしてまいります。
 北朝鮮問題に関する中国への働きかけについてお尋ねがありました。
 中国は北朝鮮に対して大きな影響力を有しており、我が国は、追加的制裁を含む新たな安保理決議の採択等、断固とした措置をとるよう、中国ともニューヨークや北京で意思疎通をしながら関係国と緊密に連携してしっかりと取り組んでまいります。
 日韓関係についてのお尋ねがありました。
 韓国は、基本的な価値と利益を共有する最も重要な隣国であります。日韓の間には難しい問題もありますが、日韓双方で新政権が成立をした機会を生かし、二十一世紀にふさわしい未来志向の関係を構築するために朴槿恵大統領とともに努力していく考えであります。朴大統領とは、近々、まずは電話首脳会談を行うべく調整をしているところであります。
 物価が上がっても簡単には給料が上がらないとの懸念についてお尋ねがありました。
 大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を同時に射込むことにより、企業の収益機会を増やし、雇用や所得の拡大を実現することで国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていきます。この過程で、特に企業の収益力向上の成果が適切に労働者にも分配されることが重要であり、私から、可能な限り報酬の引上げを行ってほしいと産業界に直接要請を行いました。また、政府も、平成二十五年度税制改正において利益を従業員に還元する企業を支援することとしており、是非とも活用していただきたいと考えております。
 既に、この方針に御賛同いただき、従業員の報酬引上げを宣言する企業も次々と現れてきており、このような取組を通じ、経済再生を雇用、所得の拡大につなげるという好循環を目指してまいります。
 財政健全化についてお尋ねがありました。
 政府としては、国、地方のプライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べて赤字の対GDP比の半減、二〇二〇年度までに黒字化との財政健全化目標の実現を目指します。
 今後、経済財政諮問会議において財政健全化と経済再生の双方を実現する道筋について検討を進め、年央の骨太方針の取りまとめに向けた検討状況も踏まえつつ、財政健全化目標を実現するための中期財政計画の具体化の検討を進めてまいります。
 いずれにしても、強い経済の再生なくして、財政の再建も日本の将来もありません。今年度補正予算は、デフレからの早期脱却と景気の底割れ回避の観点から思い切った規模とした一方、来年度予算は、財政健全化目標を踏まえ、国債発行をできる限り抑制し、税収が公債金を上回る状況を回復したところです。
 防災・安全交付金及び事前防災対策についてお尋ねがありました。
 防災・安全交付金については、防災、減災に資する事業であれば幅広く支援対象としており、ハード事業のみならず、ハザードマップや避難計画の作成といった対策にも柔軟に対応できる、地方の創意工夫が生かせる自由度の高い支援制度としております。
 また、御指摘のとおり、事前防災対策、老朽化対策は国民の生命と財産を守るために継続的に実施していくべきものと認識しており、限られた財源の中で必要な額の確保に努めつつ、効果的、効率的に取り組んでまいります。
 地方公務員の給与削減についてお尋ねがありました。
 地方交付税は標準的な行政水準に基づいて算定を行うものであって、地方公務員の給与引上げに関する閣議決定も踏まえて算定することとしていますが、もとより、地方公務員の給与は各地方公共団体が議会の議論を経て条例で定めるものであります。したがって、今回の措置により、地方自治制度に不整合が生じているとは考えておりません。
 今回の要請は、東日本大震災を契機とした防災・減災事業や地域経済の活性化といった地域の喫緊の課題に対処するため、当面の対応策として平成二十五年度についてお願いしているものであります。引き続き、地方側の理解が得られるよう努めてまいります。
 地方への財源配分についてお尋ねがありました。
 地方団体が標準的な水準の行政を行うために必要な財源は、地方交付税により保障しております。地方交付税の配分に当たっては、地方団体の財政需要を的確に算定するため、人口に限らず、面積や、道路等の公共施設の規模を始め様々な指標を組み合わせて用いております。今後とも、地方団体の財政需要の的確な算定を通じて適切に財源確保を行ってまいります。
 エネルギーの調達価格の引下げについてお尋ねがありました。
 震災後、原発停止に伴う化石燃料の需要増と価格上昇により我が国の燃料調達費は増大しており、貿易赤字が拡大する中、燃料調達費の削減は我が国経済にとって喫緊の課題であります。
 政府としては、燃料調達費の削減に向け、シェールガスの生産拡大で価格が低下している北米からのLNG輸入の実現、日本企業による資源開発の権益獲得への支援を通じた供給源の多角化、LNG消費国間の連携強化による買主側の価格交渉力の強化などに取り組んでおります。
 特に、米国からのLNG輸入の実現に向けては、先般の日米首脳会談において、私から、対日輸出が早期に承認されるよう改めて要請し、これに対し、オバマ大統領からは、米国における輸出許可についての審査はまだ続いているが、同盟国としての日本の重要性は常に念頭に置いている旨の発言があったところであります。
 引き続き、資源外交の積極的な展開や権益獲得に向けたリスクマネーの供給などを通じて、資源の安定的かつ低廉な調達に最大限取り組んでまいります。
 パテントボックス税制の導入についてお尋ねがありました。
 パテントボックス税制については、欧州等の幾つかの国において導入されているものと承知をしております。こうした新たな政策減税措置の導入については、その目的、影響や財源等を含めた検討を行う必要があるものと考えております。
 御指摘のように、優れた技術を持つ元気な企業を更に伸ばしていくことは、経済活性化の観点から極めて重要な課題です。このため、平成二十五年度税制改正では、研究開発税制の拡充や設備投資を促進する税制の創設などを行うこととしており、こうした施策を通じて我が国企業の活性化のための環境整備に努めてまいります。
 消費税の転嫁対策についてお尋ねがありました。
 中小企業の方々が消費税を円滑かつ適正に転嫁できるよう環境を整備することは重要であります。したがって、法制度などを整備するとともに、消費税の転嫁拒否等の行為に対する調査、指導等を行うため、公正取引委員会や中小企業庁の人員を臨時的に増員するなど、相談、取締り、監視体制を強化し、転嫁対策に万全を期してまいります。
 被災地の人手不足対策、また、職に就けない方々及び人手不足の状況をどのように調整するかについてお尋ねがありました。
 被災地の復興を加速するため、復興に携わる自治体や建設業者等の人員不足への対策を強化することは重要です。このため、復興大臣の下に住宅再建・復興まちづくりの加速化のためのタスクフォースを設置し、被災自治体への人的支援や建設業者の広域的な人材確保等、柔軟かつ迅速に対応することとしています。また、水産業を含めた人手不足や職に就けない方々への支援として、ハローワークにおいて個々の求職者ごとに担当者を決め、きめ細かな就職支援を行うなど、被災地における雇用のミスマッチの解消に全力を挙げて取り組んでまいります。(拍手)
#17
○議長(平田健二君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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