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2013/03/06 第183回国会 参議院 参議院会議録情報 第183回国会 本会議 第10号
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2013/03/06 第183回国会 参議院

参議院会議録情報 第183回国会 本会議 第10号

#1
第183回国会 本会議 第10号
平成二十五年三月六日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十号
  平成二十五年三月六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(平田健二君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 財政金融委員長川崎稔君から委員長を辞任いたしたいとの申出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(平田健二君) この際、欠員となりました財政金融委員長の選挙を行います。
 つきましては、本選挙は、その手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(平田健二君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、財政金融委員長に藤田幸久君を指名いたします。
   〔拍手〕
     ─────・─────
#7
○議長(平田健二君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。
   〔山口那津男君登壇、拍手〕
#8
○山口那津男君 公明党代表の山口那津男です。
 私は、公明党を代表して、総理の施政方針演説並びに関係三演説に対し、質問いたします。
 強い日本をつくる。そのために自立を求め、希望をつくる。再挑戦できる社会。さらに、経済成長や安心、安全での世界一を目指す気概など、総理の力強い施政方針をお伺いしました。
 総理の言うとおり、自主自立は大切であり、再挑戦が可能な社会が必要であることは論をまちません。その国民の自主自立を尊ぶ気風を重んじればこそ、自立と併せ、共助と公助のバランスによる安心の国づくりが政治に求められているのです。
 世界一を目指す日本。それは豊かさと安心を期待できる国でなければなりません。そのために必要なものは何か。それは人です、人材なのです。女性の力、若者の力、高齢者の力を生かせる社会。そして、それを引き出す安心の社会保障が重要なのです。
 それらに向けて今、政治が優先して取り組むべきことは、財政と外交の具体的課題です。
 まずは、先日、野党の皆様の協力をいただき成立した補正予算の一日も早い執行と、来年度予算について与野党の英知を振り絞った審議と早期の成立が望まれます。そして、外交においては、さきの日米首脳会談などに象徴されるように、緻密で果断な外交活動を展開することです。
 さらに、東日本大震災からの復興の加速化、たゆむことのない財政再建、不安を解消するTPPへの対応、そして安心を実感する社会保障など、山積する課題一つ一つについて、傲慢にならず、性急に事を焦らず、着実に解決していく政治の取組を国民は固唾をのんで見守っているのです。
 公明党は、深く傷ついた日本外交の再建の鍵を握るのは日米関係であり、それを深化、発展させながら両国関係を再構築することが必要であるとの立場でさきの衆議院議員選挙に臨み、連立政権合意でもその方向性を確認しました。今般の訪米で、総理が緊密な日米同盟が完全に復活したと宣言され、両国の信頼回復と関係改善への歩みが前進したものと評価したいと思います。
 その上で、日米間には依然として多くの諸課題が存在することを踏まえ、引き続き、総理のリーダーシップによる具体的な行動と外交努力を重ね、揺るぎない日米関係の構築につなげていくべきと考えます。
 今般の訪米に関し、改めてその成果と意義を総理に伺います。
 先般、総理から直接、日米首脳会談の成果などにつき、御報告をいただく機会がありました。その中で、総理がTPPに単なる経済連携を超えた多面的な戦略的意義を見出されていると感じました。オバマ大統領との共同声明という文書で、聖域なき関税撤廃ではないことを確認した意味は大きく、総理の御苦労に大きな評価が寄せられるものと思います。
 我が党は、TPPへの交渉参加の判断は政府の専権事項であるとして、総理に対応をお任せすることにしました。ただし、当然丸投げではありません。仮に交渉参加を決断するのであれば、交渉で守るべきものは守り、勝ち取るものは勝ち取って、国益を最大化させることが大前提となります。
 TPPの多面的な戦略的意義には賛同しますが、他方、我が国の根幹にかかわる社会保障、食の安全、安心には安易な妥協は許されません。我が国が誇る国民皆保険制度や食品の安全基準が、交渉の結果、不当に損なわれるのではないかという不安の声にこたえる責任があります。
 先日、総理には直接申し上げましたが、参加の判断に当たり、とりわけ次の二点につき特段の配慮を求めます。一つは、情報を開示し、国民的議論を経て、国益を最大化する国民のコンセンサスをつくること。もう一つは、特に農業が多面的な機能を持つことに配慮し、食料自給率を高める努力をすることです。
 現在のTPP交渉では国民皆保険制度や食品の安全基準が議論になっているのかいないのか、TPPはそれぞれの国が自国にとって必要で合理的な規制や制度を講じることを妨げるのか妨げないのか、共同声明の趣旨に沿ってメリット、デメリットの政府試算をやり直すとどうなるのか、それらについて国民に最大限の情報提供を行い、国民の声に真摯に耳を傾けつつ、判断していただきたいと思います。
 TPP参加の戦略的意義を含め、総理御自身の言葉で国民に説明を行うとともに、その覚悟のほどを伺います。
 アジア太平洋地域の安定と繁栄に資するべき近隣諸国との関係改善は、我が国の喫緊の課題です。
 韓国では朴槿恵氏が大統領に就任しました。竹島問題をめぐり悪化した日韓関係の早期改善に向け、両国首脳同士の対話や議員連盟等の交流を加速化させるとともに、核実験を強行した北朝鮮への対応などについて緊密な連携を図ることが重要です。
 また、三回目の核実験を強行した北朝鮮に対し、ミサイル発射などを含む一連の挑発的行為を改めて強く非難し、各国と連携を強化し、追加的制裁を含む新たな安保理決議の早期採択など、断固とした措置をとるべきです。
 日米首脳会談でも確認された今後の北朝鮮への対応と朴新大統領率いる韓国と我が国との望ましい関係につき、総理の見解を伺います。
 東日本大震災から間もなく二年。被災された皆様、今なお避難生活を強いられている皆様に対し、重ねて心からお見舞いを申し上げます。生活現場に密着する公明党は、これまで以上に被災地の復興、福島の再生に全力を尽くしてまいります。
 内閣発足以来、復興庁の司令塔機能の強化など復興を加速する支援策が講じられてきました。一方で、いまだに三十二万人に及ぶ避難者の実情や、遅々として進まない住宅再建や除染の実態に目を向けるとき、更なる対策の強化が必要です。
 また、今年度補正予算及び来年度予算案には、被災住民の定着促進を図る震災復興特別交付税の増額のほか、福島原子力災害避難区域等帰還・再生加速事業、長期避難者生活拠点形成交付金、福島定住緊急支援交付金など、これまで対処できなかった課題に対する新たな支援制度が盛り込まれました。今後、これらの施策の実施により、被災者の住宅や生活再建、避難者の帰還など、効果が期待できます。
 福島においては、除染の推進や中間貯蔵施設の確保、賠償の実施、健康管理、風評被害への対応、長期避難者への支援など、あらゆる課題が山積しています。今後、政府が復興庁を中心に縦割り行政の弊害を排し、これらの課題にいかに迅速かつ的確に対処し、福島の再生を推し進めることができるか、被災者の方々は期待を持って見詰めています。
 以上、東日本大震災からの復興、福島の再生の加速化について、改めて総理の決意を伺います。
 まず、平成二十五年度当初予算について申し述べます。
 来年度予算は、平成二十四年度補正予算と一体的な十五か月予算として、日本経済の再生へ切れ目のない対策、東日本大震災からの復興加速など、公明党の主張が反映されております。
 特に、経済再生に向けた具体的政策手段として、世界で勝ち抜く製造業の復活に向けた、部素材分野や、省エネ、再エネの研究開発支援、iPS細胞(人工多能性幹細胞)研究を含む医療関連分野のイノベーション推進、中小企業への多角的支援などが盛り込まれました。
 また、公明党が主張してきた命を守る防災・減災ニューディールを踏まえ、インフラの再構築を加速。国が管理する道路や河川管理施設などの修繕、長寿命化の推進のほか、補正予算で創設した防災・安全交付金に約一兆円を積み増し、地方自治体が実施する対策を強力に支援するとともに、公立小中学校の耐震化率を九四%まで引き上げるなど、安心、安全に大きく寄与する内容となっております。
 また、予防医療分野では、子宮頸がん、Hib、小児用肺炎球菌の三ワクチンについて予防接種法に基づく定期接種に追加するほか、厳しい経済状況にある大学生らへの無利子奨学金の貸与者数の拡大、保育所の待機児童受入れ枠拡大なども盛り込まれるなど、バランスの取れた予算案となっております。
 地方公務員給与については、復興財源捻出のために実施している国家公務員の平均七・八%の給与削減に準じた協力をお願いしています。今回、地方自治体のこれまでの削減努力に配慮し、これまでの行革の努力を反映する地域の元気づくり事業費として三千億円を計上したことは、公明党の主張に沿ったものと高く評価します。
 一方で、歳入面では、税収見込額約四十三・一兆円に対し、新規国債発行額は約四十二・九兆円と、民主党政権下で三年間続いた新規国債発行額が税収を上回る異常事態を克服して、プライマリーバランスの改善を図っております。
 財政健全化に向けては、恒常的に歳出抑制・削減しながらも、今後も安定した経済成長を成し遂げつつ、歳入を確保するという財政運営が求められます。
 そこで、来年度予算の早期成立へ向けた決意とともに、さきのG20での財政状況に関する不確実性を解消するとのコミットメントを踏まえ、今年九月のサンクトペテルブルク・サミットまでに策定する中期的な財政戦略の方向性、さらに財政健全化目標についての総理の所見を伺います。
 さて、先日発表された貿易統計によると、一月の貿易赤字は過去最大の一兆六千二百九十四億円となりました。輸出額は前年同月比で六・四%伸びて八か月ぶりに増加したものの、急速な円安による輸入品価格がそれを上回った形です。特に、原油や液化天然ガスなど燃料価格の上昇は、電気代や石油製品価格の上昇を招いています。中でも灯油価格の高騰は、寒冷地を中心に重大な影響を及ぼしており、仮設住宅や社会福祉施設、生活困窮者に対する灯油購入費の助成について早急に対応すべきと考えます。特に、先般の暴風雪の痛ましい被害に思いを致すとき、なおさらこの感を深くします。
 また、経済性ある液化天然ガスの安定輸入に向け、石油価格連動からの脱却を目指すなど、総理が先頭に立って、調達コスト引下げに向けた取組を積極的に行うべきと考えます。
 さらに、小麦や大豆といった輸入原材料由来食品の値上がりが国民生活を直撃することも予想されます。こうした円安の副作用ともいうべき影響についてしっかりと対応することは、政府の経済対策について国民の理解を進めるためにも重要だと考えます。総理の見解並びに御決意をお聞かせください。
 次に、税制改正について申し上げます。
 平成二十五年度税制改正大綱では、公明党の主張を反映して、車体課税の見直し、住宅ローン減税の拡充、雇用確保のための税制など、暮らしに配慮した減税が数多く盛り込まれています。
 まずは、車体課税について、公明党が従来から強く主張してきた取得税の廃止を含めた税負担の軽減と簡素化について具体化が進みました。特に、公明党が粘り強く主張し取り組んできた自動車取得税について、消費税率が八%の段階で引き下げ、一〇%時には廃止することを与党税制大綱で明記したことは大きな前進であります。
 住宅ローン減税については、その期限を四年間延長し、最大控除額も大幅に拡充しました。与党大綱では、所得税や住民税の納税額が少ない中低所得者が住宅ローン減税の減税枠を使い切れないことに対応するため、中低所得者に対して現金給付を行うことも確認され、引き続き納得できる制度となるよう議論を重ねてまいります。
 さらに、経済対策の一環として、雇用促進策、給与引上げ策が盛り込まれている点も指摘しておきます。
 雇用促進策では、新規の従業員雇用の人数に応じて法人税を減税する制度を拡充し、給与引上げ策では、従業員の給与支給総額を前年度比で五%以上アップした場合に、増加額の一〇%、中小企業では二〇%を法人税から減税することが可能となり、企業にとっては雇用増による減税か給与増による減税かのどちらかを選択できる制度になりました。
 また、事業承継税制の要件緩和により親族以外の後継者への事業承継が容易になったことや、研究開発投資に対する法人税の税額控除の上限を二〇%から三〇%に引き上げるほか、中小企業の交際費を損金算入できる制度も拡充され、雇用と景気回復の好循環が生まれることが期待されます。
 消費税率の引上げを控え、消費税に対する国民の理解を得ることが重要です。今回の改正を含め、十数年に一度の抜本改正と位置付け、引き続き税制課題について真摯に取り組んでまいります。
 先日、与党税制協議会の下、軽減税率制度調査委員会が設置され、軽減税率の導入に向けて更に具体的な議論が深まることを期待し、今後、与党内において議論を更に加速させたいと考えます。
 これら税制改正、中でも軽減税率の導入について、総理の所見を伺います。
 女性・若者支援のための政策について伺います。
 自立を促し、世界一を目指すためには、あらゆる分野での女性や若者の活躍が不可欠です。
 政府は、若者・女性活躍推進フォーラムを立ち上げ、成長戦略に反映すべく検討を開始しましたが、今後、全ての政策立案において必要な視点として考慮すべきと考えます。まずは、総理の女性・若者支援策についての基本的認識を伺います。
 さて、公明党は、全国の女性議員を中心に、女性が健康で生き生きと活躍できる社会の構築に取り組んできました。
 特に、女性の健康を守るために、女性特有のがんである子宮頸がん・乳がん対策として無料検診クーポンを配付、乳がんの早期発見につながるマンモグラフィーの全国普及、子宮頸がんワクチンの平成二十五年度からの定期接種化などを実現してきました。また、妊婦健診の公費助成も徐々に拡大し、平成二十五年度からは恒常的な仕組みへ移行されることとなっています。
 今後、HPV検査の普及促進のための子宮頸がん予防推進法の制定や、女性特有のがん対策を含めたがん対策推進基本計画の着実な推進を図るべきです。
 また、女性の就職支援や仕事と育児の両立支援を促す施策、保育環境の整備、さらには、出産・育児期に離職しても収入やキャリアでマイナスとならない雇用制度の在り方など、きめ細かい支援策を継続的に行うことが重要です。がん対策と併せて、総理の答弁を求めます。
 子ども・子育て支援については、社会保障と税の一体改革において、財源の確保とともに、待機児童の解消に向けた方向性など、大きく前進をいたしました。今後、具体的な実施に当たり、とりわけ子育て世代の声を聞きながら、制度の充実を図ることを求めます。
 また、幼児教育の無償化については、自公連立政権合意に沿って、今月より政府・与党において本格的な検討を始めることになりました。
 さきにも申し述べましたが、補正予算と一体的な子育て支援が必要との公明党の主張のとおり、平成二十五年度当初予算案においても待機児童解消のための予算が拡充されました。潜在的な待機児童解消のために、今後、子ども・子育て会議で保育人材の確保、処遇改善について議論されることと承知しておりますが、これらの具体的な課題についてどのようにお考えか、幼児教育の無償化と併せて、総理の答弁を求めます。
 若者政策について伺います。
 社会全体が高齢化する中、有権者に占める青年層の比率は相対的に減少傾向にあり、さらに、若者の投票率が高齢者に比べ低い水準で推移している傾向も相まって、民主主義の高齢化が懸念されています。
 いかに若者の声を政治に反映していくかは、世界一を目指す日本にとって最重要な視点です。若者を将来の国づくりの中心に据える、また、道州制を始めとする新しい国の在り方を議論すべき今こそ、是非、早期に十八歳選挙権を実現し、若者の政治参加を強力に推進すべきではないでしょうか。
 言うまでもなく、日本経済の力強い再生を推進する上で、次代を担う若者世代が安心して、生きがいを持って働くことのできる環境をつくっていくことが肝要です。若者の雇用情勢の改善に向けて雇用創出と就労支援に一層力を入れるとともに、正規、非正規の格差是正やワーク・ライフ・バランスの推進など、雇用の質の向上を推進すべきです。
 雇用を始めとする若者政策について、国家戦略として一体的かつ強力に進めるべきであると考えますが、総理の決意を聞かせてください。
 生活困窮者対策について質問いたします。
 社会の変化によって、経済的困窮や社会的な孤立を招く、いわゆる生活困窮者をめぐる問題が深刻化しています。貧困や格差の固定化は更なる貧困の連鎖につながりかねず、虐待や孤立、教育格差など様々な問題へと波及する根本的な課題であり、自主自立を目指すために、共助、公助のバランスを整え、具体的かつ戦略的な解決策を講ずることは政治の責任でもあります。
 政府は、生活困窮者の自立を支援する新法の提出を検討するに当たり、現場で支援活動に従事されている関係者の意見も十分に踏まえつつ、地域の力が十分に発揮できる体制をつくるべきです。また、生活訓練や社会訓練を含めたきめの細かい自立・就労支援策や、子供への学習支援などが全国で確実に実施されるよう必要な財源措置を講ずべきと考えます。
 また、生活困窮者対策とともに、生活保護制度の見直し及び保護基準の適正化を行うこととしています。生活保護制度を悪用した不正・不適正受給対策を講じるとともに、生活保護受給者の就労、自立を促すための支援策を強化していくことが欠かせません。
 例えば、埼玉県では、生活保護受給者の自立を支援する生活保護受給者チャレンジ支援、アスポートという事業を独自に立ち上げ、教育、就労、住宅の総合的な支援を民間団体に委託し、マンツーマンで対応するなど、大きな効果を上げています。こうしたきめの細かい取組には謙虚に学ぶべきところがあります。
 あわせて、生活保護基準の見直しによって他の様々な制度への影響は避けられません。例えば、就学援助は多くの自治体で生活保護基準額を支給の目安にしており、就学援助費が減額されるとの不安の声も寄せられており、適切な激変緩和措置を講じるべきであると考えます。
 総理の生活困窮者対策と生活保護見直し、そして激変緩和策についての認識を伺います。
 障害者施策について伺います。
 公明党は、障害の有無にかかわらずに社会生活を送り、社会参加の機会を平等に得ることのできる共生社会の実現に取り組んできました。
 その取組の大きな柱は三つ。すなわち、障害者自身の意見が尊重される体制の整備、障害者の権利擁護の推進、障害者が地域で暮らせる社会の構築の三本です。
 昨年成立した障害者総合支援法にもこの主張が随所にちりばめられており、障害程度区分を障害支援区分に見直すことや意思決定支援の配慮などが盛り込まれています。いよいよ本年四月から施行されるに当たり、円滑に実施されるよう、政府の適切な対応を求めます。
 これまで、公明党は、障害者権利条約の批准に向け、障害者基本法を改正するなど、国内法の整備を推進してきました。現在、政府において、いわゆる障害を理由とする差別を解消する法律案の検討を進めていますが、共生社会実現への確かな一歩となるよう、今国会中に法案を提出し、早期の成立を求めます。
 法整備を始めとする障害者施策の一層の推進について、安倍総理の決意を伺います。
 公明党は、これまで、子供の命を守る政治に力を入れてまいりました。中でも、学校耐震化と通学路の安全対策は具体的に推進してきた政策です。
 この通学路の安全対策について伺います。
 昨年、公明党の提言を受け、政府は全国で小学校通学路の緊急点検を実施しました。今年一月二十五日に発表された報告によれば、安全対策が必要とされた箇所は七万四千四百八十三か所、そのうち二万二千七百十四か所が対策済みとしていますが、いまだ五万を超える箇所が未対策です。残りの危険な通学路の対策をいつまでに実施し、ゼロとするのか、政府は見届ける責任があると考えますが、総理の見解を求めます。
 先般、教育再生実行会議がいじめ対策などを取りまとめた提言を総理に提出しました。
 提言には、道徳教育の教科化などが盛り込まれましたが、いじめ対策として道徳教育を教科化する必要があるのか疑問視する声も少なくありません。
 今後、いじめ対策の具体化へ向けて、制度設計や法制化に当たっては、教師の多忙や孤立など学校現場の抱える課題解決や、子供の視点に立った実効性のある方策こそが必要であり、現場の声を踏まえ、広範に議論することが重要だと考えますが、総理の所見を伺います。
 続いて、オリンピック・パラリンピックの二〇二〇年招致について伺います。
 本年九月七日、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われる国際オリンピック委員会総会で開催都市が決定されます。残り半年と迫る招致活動について、東京都やスポーツ界だけに任せず、国を挙げて力を尽くす必要があると考えます。この度の衆参の国会決議を受け、改めて総理の決意を伺います。
 国民世論を踏まえれば、我が国は原子力発電に依存しない温暖化対策を進めていく以外にないと考えますし、自公両党は、連立政権発足に当たり、省エネルギー、再生可能エネルギーの加速的な導入や火力発電の高効率化等の推進によって可能な限り原発依存度を減らすことに合意しています。
 現在、国際社会では、各国が掲げる二〇二〇年の削減目標や行動と温暖化抑制のために必要な削減レベルとの間に大きな隔たり、すなわちギガトンギャップが存在することが課題になっています。今こそ、国際社会と協調して我が国の温暖化対策を再構築する本格的な再スタートを切るべきです。
 また、地球温暖化対策はエネルギー政策と一体です。今年行われるエネルギー基本計画の見直しについて、総理はどのような基本方針で進めるお考えなのでしょうか。
 特に、再生可能エネルギーについては、特別措置法において、昨年七月の施行からの三年間を集中導入期間としています。公明党の主張を踏まえ、補正予算、本予算案に再生可能エネルギー導入加速化プログラムなどが盛り込まれていますが、総理はどのように再生可能エネルギーの集中導入を進めるお考えか、温暖化対策の再構築、エネルギー基本計画の見直しと併せて、総理の所見を伺います。
 以上、山積する課題について申し上げました。
 近代批評の巨人と言われた小林秀雄氏は、先哲プラトンについて、こう語っています。政治はみんなが一緒に生きる道ですから、一番大事な問題で、政治の実際の苦労もした人ですから、政治は経験論なのです、だから全く具体的です、実に日常的で人間的なところが良いのですとあります。
 政治は空想ではありません。市井の声に共感する能力こそ政治家に求められる資質です。安倍政権に寄せられた期待に共感し、日本の将来を切り開く取組を着実に実行することにより、期待を信頼に変えていこうではありませんか。
 私ども公明党もその責任の一端を担う決意を申し上げ、私の代表質問とさせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#9
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山口那津男議員にお答えをいたします。
 総理訪米の成果と意義についてのお尋ねがありました。
 今回の日米首脳会談では、オバマ大統領との間で、米軍再編等の安全保障の課題、北朝鮮などの地域情勢、TPPなどの経済の課題、テロ対策等のグローバルな課題など幅広い分野にわたり、日米同盟を深化させる方向性について率直な議論を行い、認識の一致を見ました。
 今般の会談を通じて、オバマ大統領との個人的な信頼関係を築くとともに、この三年間で著しく失われた日米の絆と信頼を取り戻し、緊密な日米同盟を完全に復活させるという大きな成果を得ました。
 こうした成果を踏まえ、今後、外交・安全保障、経済を含むあらゆる分野において、日米間での緊密な協力を具体的に進め、関係を更に強化してまいります。
 TPPについてのお尋ねがありました。
 自由貿易の推進は我が国の対外通商政策の柱です。力強い経済成長を達成するためには、自由貿易体制を強化し、諸外国の活力、特に環太平洋地域の成長力を取り込むということは当然メリットがあります。そのためにも、我が国が積極的に国際的なルール作りに参加していくことが重要であります。
 これまで得られた情報では、公的医療保険制度の在り方そのもの等についてはTPPの協定交渉において議論の対象となっていないと承知をしております。国民皆保険制度は日本の医療制度の根幹であり、この制度を揺るがすことは絶対にありません。
 また、現在のところ、個別の食品安全基準の緩和も議論されていないと承知しています。食の安全が損なわれることのないよう、国際基準や科学的知見を踏まえつつ、適切に対応してまいります。
 国民への情報提供については、今後とも、公開できることは状況の進展に応じてしっかりと国民の皆様に提供してまいります。
 いずれにせよ、TPPについては、国益にかなう最善の道を求めていくこととしていますが、山口代表のお考えはしっかりと承っており、十分に留意してまいります。
 今後の日韓関係と北朝鮮への対応についてお尋ねがありました。
 韓国は、基本的な価値と利益を共有する最も重要な隣国であります。日韓の間には難しい問題もありますが、日韓双方で新政権が成立した機会を生かし、御指摘の首脳間の対話や議員連盟等の活動も通じながら、二十一世紀にふさわしい未来志向の関係を構築するため、朴槿恵大統領とともに努力していく考えであります。朴槿恵大統領とは、今夕にも電話首脳会談を行う予定であります。
 北朝鮮に関しては、先般の日米首脳会談において、オバマ大統領との間で、核実験に対する懸念を共有し、日米が結束してこの問題に対処していくことを確認しました。我が国としては、米国や韓国を始め、中国、ロシアなどの関係国と緊密に連携し、国連安保理が新たな強い決議を速やかに採択するよう引き続き働きかけていくなど、断固とした対応を取ってまいります。
 東日本大震災からの復興と、福島の再生の加速化に向けた覚悟についてお尋ねがありました。
 東日本大震災からの復旧・復興は、内閣の最重要課題の一つです。今後、住宅再建に向けた見通しを示した上でその実現を目指すとともに、福島の避難区域への早期帰還と定住を一体的に加速させるべく、全力で取り組んでまいります。
 特に、福島については、現地のニーズにきめ細かく対応するため、各省庁の縦割りを排し、福島、東京の二本社体制を整備したところです。除染の推進や適切な賠償、インフラの復旧など、御指摘のような様々な課題を整理し、一つ一つ解決いたします。
 今後も、現場主義を徹底しながら、復興庁を中心に政府一丸となって、被災地の復興と福島の再生を加速してまいります。
 来年度予算の早期成立と財政健全化に向けた取組についてお尋ねがありました。
 二十五年度予算については、デフレからの早期脱却、経済再生に向けた、二十四年度補正予算に続き、早期に成立させていただけるよう全力を尽くしてまいります。
 また、強い経済の再生を図りながら財政の健全化を進めることが極めて重要であり、国、地方のプライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べて赤字の対GDP比の半減、二〇二〇年度までに黒字化との財政健全化目標の実現を目指します。
 今後、経済財政諮問会議において、財政健全化と経済再生の双方を実現する道筋について検討を進め、年央の骨太方針の取りまとめに向けた検討状況も踏まえつつ、財政健全化目標を実現するための中期財政計画について具体化の検討を進めてまいります。
 灯油価格の高騰、液化天然ガスの調達などが国民生活に与える影響及びその対策についてのお尋ねがありました。
 今般の石油製品価格の上昇を受け、石油製品価格や需給の監視を強化しているところです。
 お尋ねの灯油購入費の助成については、平成十九年度及び二十年度の原油価格の高騰に伴う政府全体の取組の一環として特別交付税措置を講じたところでありますが、まずは、引き続き当事者や国民生活に与える影響などを注視してまいります。
 また、天然ガスの安定的かつ低廉な調達に向けて、シェールガスの生産拡大で価格が低下している北米からのLNG輸入の実現、日本企業による資源開発の権益獲得への支援を通じた供給源の多角化、LNG消費国間の連携強化による買主側の価格交渉力の強化などに積極的に取り組んでいきます。
 こうした国民生活への影響については、三本の矢を同時に射込むことにより、企業の収益機会を増やし、雇用や所得の拡大を実現することで国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしてまいります。
 税制改正についてのお尋ねがありました。
 二十五年度税制改正については、御指摘のとおり、住宅ローン減税の拡充、給与等の支給や雇用を増やす企業に対する優遇税制の創設などを行うこととしており、これにより、社会保障・税一体改革の着実な実施や成長と富の創出の好循環の実現を図ってまいりたいと考えております。
 また、消費税の軽減税率については、与党税制改正大綱を踏まえ、軽減税率導入に当たっての様々な課題について、与党における御議論を踏まえながら検討を行っていく必要があると考えております。
 女性・若者支援策についてのお尋ねがありました。
 政府としては、女性と若者にチャンスがあって活躍できる社会を我が国が目指していくという基本認識に立ち、女性、若者の支援に取り組んでいきたいと考えております。また、女性や若者の力を活用していくことが我が国の経済の再生や成長に不可欠と考えております。
 今後、若者・女性活躍推進フォーラムにおいて、当事者である女性や若者、その関係者のお話を地方の声も含めてお伺いしながら、政府・与党一体となって女性、若者の活躍を強力に応援してまいります。
 女性が健康で生き生きと活躍できる社会の構築についてのお尋ねがありました。
 御指摘のありました子宮頸がん予防も含めた女性特有のがん対策につきましては、がん対策推進基本計画に基づき、着実に推進してまいります。
 また、若者・女性活躍推進フォーラムにおける御意見等も踏まえながら、待機児童の解消に向けた取組や仕事と育児の両立と併せ、仕事への復帰を応援するため、一層きめ細かな支援について検討を進め、女性が生き生きと活躍できる社会を進めてまいります。
 子ども・子育て支援策についてのお尋ねがありました。
 子育て世代の期待にこたえることができるよう、子ども・子育て支援新制度について必要な財源を確保の上実施し、子ども・子育て支援の充実を図ってまいります。
 同時に、新制度の実施を待たず、保育所の整備や運営、保育士の確保を進めるなど、待機児童解消に向けて全力で取り組んでまいります。
 幼児教育の無償化については、関係府省の連携の下、子ども・子育て支援新制度との関係、財源確保の観点等を踏まえた検討を行ってまいります。
 選挙権年齢の引下げについてのお尋ねがありました。
 選挙権年齢の引下げについては、民主主義の土台となる選挙制度の根幹にかかわる問題であるため、年齢条項について定めた法律体系全体の整合性を図りつつ、各党各会派による御議論を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
 若者の雇用対策、正規、非正規の格差是正やワーク・ライフ・バランスの推進についてのお尋ねがありました。
 日本経済の力強い再生を推進する上で、次代を担う若者世代が安心して生きがいを持って働くことのできる環境をつくることが重要であります。
 このため、政府としては、若者の安定雇用の確保や個々の事情に応じたきめ細かな就労支援、非正規雇用労働者の待遇の改善に向けた取組を進めるとともに、経済界や労働界など官民一体となったワーク・ライフ・バランスの実現に向けて取り組んでいきます。
 生活困窮者対策及び生活保護制度の見直し等についてのお尋ねがありました。
 生活困窮者対策については、生活訓練などを含む就労支援や包括的な相談支援、子供に対する学習支援などに地域全体で取り組むことが必要であります。これら支援策を制度化するため、必要な財源の確保を図りつつ、早期の法案提出に向け、努力していきます。
 また、生活保護制度については、支援を必要とする人に確実に保護を行うという制度の基本的な考え方は維持しつつ、不正受給対策や自立・就労支援等の強化に取り組みます。
 さらに、生活扶助基準の見直しに伴う他制度への影響については、それぞれの制度の趣旨や目的等を踏まえ、できる限り影響が及ばないように対応することが政府の基本方針であり、こうした方針に基づき、適切に対応していきます。
 障害者施策の推進についてのお尋ねがありました。
 障害の有無にかかわらず、全ての人々が生きがいを感じ、チャンスを与えられる社会の実現が重要です。障害者総合支援法の円滑な施行のため、制度を実施する自治体の準備等を含め、万全を期してまいります。
 また、障害を理由とする差別の解消に関する法律案については、現在、与党で検討が進められており、政府においても、こうした状況を踏まえ、必要な検討を行っていきます。
 今後とも、障害者の自立と社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に進めてまいります。
 通学路の安全対策についてのお尋ねがありました。
 通学路の交通安全確保は喫緊の課題です。御党の提案も踏まえて実施した緊急合同点検に基づき、対策が必要な箇所について、予備費も活用し、迅速に対策を進めているところです。
 また、今年度補正予算や来年度予算案においても、歩道の整備、横断歩道の設置など、通学路の安全対策を盛り込んでおり、政府としても、できる限り速やかに対策が行われるよう、必要な支援に努めてまいります。
 いじめ対策についてのお尋ねがありました。
 いじめ対策については、教育再生実行会議の提言や与党の議論も踏まえ、内閣を挙げて対策の強化や法制化につなげてまいります。
 これらの対策を講じるに当たっては、学校現場の抱える課題や子供の視点を踏まえるため、教育現場の声にも耳を傾け、社会総掛かりで実効性ある対策としていくことが重要であり、今後、御指摘の観点も十分踏まえつつ、しっかり取り組んでまいります。
 オリンピック・パラリンピック東京招致についてのお尋ねがありました。
 東京招致については、三月一日に全閣僚による会議を設置、開催し、国内外において政府全体で招致活動をしっかりと支援するよう指示しました。また、来日中の国際オリンピック委員会評価委員に対して、政府としても是非とも招致を実現すべく全面的に支援する考えであることを私から直接お伝えをしました。
 招致活動を国民的な運動に高めていくことができるよう、両院における御決議の趣旨も踏まえ、政府を挙げて全力で支援してまいります。
 エネルギー基本計画の見直しと再生可能エネルギーの導入、地球温暖化対策についてのお尋ねがありました。
 前政権の二〇三〇年代原発稼働ゼロを可能とするという方針については、ゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。
 エネルギー基本計画については、こうした基本方針に沿って、経済産業大臣の下で検討を進めてまいります。
 低炭素社会の創出にも資する再生可能エネルギーについては、固定価格買取り制度の着実な運用に加え、予算・税制措置、規制改革などにより、今後三年間で最大限その普及を加速させてまいります。
 地球温暖化対策については、このような取組も通じ、しっかりと推進するとともに、攻めの地球温暖化外交戦略を組み立ててまいります。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(平田健二君) 江口克彦君。
   〔江口克彦君登壇、拍手〕
#11
○江口克彦君 みんなの党の江口克彦です。
 みんなの党を代表して、質問をさせていただきます。
 まずは、安倍総理大臣及び内閣が世論調査を見る限り高い支持を得ていること、御同慶の至り。初心忘れず、国家国民のために誠意を持って御尽力されることを期待しています。
 ところで、安倍内閣は発足以来、金融政策など積極的な経済政策を打ち出し、国民の期待を集めていますが、その反面では、補正予算編成内容から見ても、古い自民党政権の手法の再現ではないかとの危惧も感じられます。
 今次の安倍内閣は真の体制改革を目指していると思われますが、まず、安倍内閣の性格、心構えを改めて安倍総理にお尋ねします。
 次に、よく言われているように、いわゆる金融政策ひも説があります。緩み切ったひもを押すことは困難との例えでありますが、デフレの状況での金融政策はインフレのときよりもはるかに困難であります。したがって、金融緩和だけでは景気は良くなりません。本当に景気を良くするためには、成長分野に資金が流れやすくする規制緩和、特に分野別の垣根の撤廃が必要であると思います。
 しかるに、我が国では、各府省別に制度が違い、資金も土地も人材も技術も情報も分断されています。医療は主として医療法人、介護は社会福祉法人、教育は学校法人、農業は農業法人になっています。官庁別に制度が異なっています。
 例えば、医療法人では、株式や社債を発行して資金を調達することもできない。有能な経営者が医療事業を起こすことも難しいし、まして、IT技術者が医療機関のトップの座に着くことはあり得ません。これでは、医療分野に資金が入りにくいし、優秀な経営者やIT技術者も入ってきません。同様のことは、介護、保育の施設、教育機関、農業分野でも顕著であります。
 この際、各府省別法人格制度を廃止し、資金や人材、技術、情報が適切かつ容易に流動するようにすべきではないかと思います。安倍内閣が成長戦略を唱えられるのなら、この程度の規制緩和は実行すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 また、長きにわたる中央集権体制、官僚制の下で我が国は規制で覆い尽くされています。安倍総理の三本目の矢、成長戦略は本格的、抜本的な規制改革なくしては不可能と思います。具体的にどのような規制改革をどのような方法で行うのか、安倍総理の答弁を求めます。
 さて、政府はインフレ率二%をめどにしていますが、これはあくまでも平均値であります。食料、電気料金、ガソリンなど、日々の生活必需品の上昇率は確実に高くなり、一般国民の生活には大打撃を与えることになると思われます。加えて、今のままでいけば、消費税が、一四年四月に八%、一五年十月に一〇%と引き上げられますから、国民の生活は一層深刻な打撃を受けるのは必至ではないでしょうか。
 一方、耐久消費財や設備関係の値上がり率は低く抑えられることが予想されますから、たとえ平均二%にとどまったとしても、低所得者、特に高齢者などの生活は著しく圧迫されるのではないかと考えられます。官僚的な平均の理論では生活実感から遊離してしまうと思いますが、麻生財務大臣に、そのことに対してどのようにお考えになっているのか、お尋ねしたい。
 ところで、そもそも消費税増税は社会保障の改革と一体ということでありました。経営の原則からするならば、徹底的に事業の中の無駄と非効率を排除し、経済成長戦略を確立し、その上で社会保障制度を議論する。そして、最終的な結論を出し、社会保障の全体の規模を確認してから、今、消費税増税による手当てが必要か否か、増税の検討に取り組むのが正当な手順であります。
 その手順を踏まずして、社会保障制度改革国民会議に先送りし、あまつさえ、その結論を待たずにとにかく消費税増税を先行させることは、建築する建物の青写真を作成する前に価格を決めるようなもので、経営を知らない官僚に踊らされて民自公三党合意がなされたことは極めて遺憾と言わざるを得ません。
 この逆の手順は、さきの平成二十四年度補正予算でも見られました。すなわち、何をやるかの前にとにかく予算総額を先行させる。経済の青写真を示さないまま、十兆円という総枠ありきで不要不急な事業が詰め込まれていました。
 こういう経営の原則を知らないままに逆の手順で国家経営を行うのは、国民を不幸にするだけであります。今からでも遅くはない。消費税増税は、国民が納得するような行政の無駄と非効率の排除に努力し、毎年膨れ上がる社会保障費に適切なる見直しを行うなど、社会保障の全体像が確実に示されるまで凍結すべきであると思いますが、いかがでしょうか。経営経験があり、高い見識のある麻生財務大臣にお伺いします。
 次に、財政危機への備えについてお伺いします。
 毎年約四十五兆円の国債発行が続き、国と地方の長期債務残高については、平成二十五年度末の時点で九百七十七兆円に達する見込みとなっております。それに対して、家計が保有する金融資産の残高は千五百兆円、うち負債を引いた純金融資産は約一千百五十兆円と言われております。このままでは、三、四年もすれば家計が保有する純金融資産を国と地方の長期債務残高が上回ってしまう。
 他方、経常収支の動向について、二〇一二年の黒字額は約四兆七千三十六億円と前年比五〇・八%減少し、昨年の十一月と十二月には二か月連続で赤字となっています。経常収支の動向が直ちに国債市場に影響するとは申しませんが、中長期的な赤字傾向が続けば国債市場への悪影響も避けられないということになると思います。ヨーロッパの経済不安を引き合いに、巨額の債務残高を抱える日本は大丈夫かと問われたときに、家計の金融資産残高の大きさや経常収支の黒字を理由に大丈夫だと言える状況ではなくなりつつあります。
 政府は、国内で国債を消化できないような事態を想定し、市場で起き得る事態やリスクを分析し、検討していると思いますが、そのとき我が国の経済がどのような状況に、また国民生活がどのような状況になると予想されているのか、あるいは、そのような状況になる前に何らかの対策、対応を考えておられるのか、安倍総理にその見解をお尋ねします。
 さて、エネルギー問題は危機に直面していると言えます。しかし、まさに危機に直面して、その危機を直視するとき、そこに初めて活路が見出せることは、三十四年間の経営者としての経験からも申し上げることができます。
 危機に直面して、ろうばいし、恐怖感を持ち、深刻になると、危機を克服する創意工夫は生まれてきません。知恵が生まれてきません。直視し、冷静にかつ真剣に立ち向かえば、必ず解決策は出てきます。こうした考えによって人類は発展してきたのであります。必要は発明の母ですが、危機は進歩の父であると私は思っております。
 したがって、我が国が抱える原発問題は、まさに見方を変えれば好機、革新的エネルギーをつくり出す好機の機会であります。既に全国各地で太陽光発電の取組も加速しており、また、諸外国ではシェールガスの普及も進みつつあります。また、これからメタンハイドレートやオーランチオキトリウムの可能性も考えられる。
 安倍総理は、施政方針演説で、安全が確認された原発は再稼働と言われましたが、このような判断は、かえって政府、民間の危機感を薄め、革新的なエネルギーの開発を遅らせることになると思います。この際、むしろ政府が率先して絶対的危機を設定すること、言い換えれば、明確に原発ゼロを決めること、そして、原発ゼロへの期限を早急に定めることが民間の革新的エネルギーの創造を刺激、原発からの脱却を急速に促進することになると思いますが、いかがでしょうか。
 原発ゼロへの期限を明確にかつ早急に定めることについて、安倍総理にお尋ねいたします。
 現在の官僚制度は、府省別の縦割り人事が徹底しており、多くの弊害が出ています。特に近年は、官僚社会において職業公務員なる言葉さえ流布され、技能や経験のゆえに中途採用された者は二、三年の短期間で退職させられています。
 職業公務員の人事は、同じ府省の官僚間の評判によって決まるものであり、民間の評価はもちろん、大臣や内閣さえも介入できない有様であります。これは、組織の死に至る病の一つ、機能組織の共同体化現象と言わざるを得ません。
 安倍総理は、前回、二〇〇七年においては、国家公務員制度改革を目指して懇談会を設け、国家公務員制度改革基本法の策定を進められました。この法案は、多少の修正の末、福田康夫内閣のときに成立しましたが、実行段階で一部の官僚の抵抗に遭い、放置されています。
 政府は、今こそ真剣に公務員制度改革に邁進すべきだと思いますが、安倍総理にその覚悟をお尋ねします。
 これにも関連しますが、公務員制度の問題点の一つは、国民に損失を与えるような誤りを犯した担当者及び組織が何の責任も取らない点であります。
 公共事業の需要見通しの誤り、誤認逮捕事件、省令や通達による過剰な規制、それが生み出す社会の不便さと不快さ、そういう国民に迷惑を掛けた官僚は、何の責任も問われることなく、むしろ昇進しています。民間では、企業に損失を与えた経営者には株主代表訴訟によって個人的にも責任が追及されます。公務員に対しても当該個人の責任を追及する方法を検討すべきだと私は思いますけれども、安倍総理にその覚悟と決断の有無をお伺いいたします。
 法治国家としての法体系の整備についてお伺いします。
 変化の激しいこの時代において、法治国家として、社会経済状況に適合した法体系の整備は欠かせないと思っております。経済状況に適合した法体系の整備、これを是非取り組んでいただきたいと思いますが、我が国の法体系の頂点に位置する憲法にもその論理は当てはまると私は確信をいたしております。そういう観点から、安倍政権が憲法改正を掲げているところは私は大いに理解できるところであります。
 一方、憲法以外の法体系の整備についてはどのようにお考えでしょうか。我が国では、これまでに昭和二十九年と昭和五十七年の二度、まとまった法律の整備改廃が行われていますが、それから時代も大きく変化しています。適用対象が消滅した法律、目的が達成され存在意義が乏しくなった法律は、行政の無駄、非効率を招きます。
 この際、行政改革の一環として、全ての法律の必要性を改めて検証し、役割を終えた法律は廃止するなど、既存の法体系の整理統合を検討すべきときと思いますが、安倍総理の見解をお伺いいたします。
 最後に、今日の我が国の低迷と閉塞感は、国の形、すなわち中央集権体制に起因しているところが大きいと考えます。
 人、物、金、情報を東京の一点に集めるこの統治機構は、ひたすら東京を繁栄させ、ひたすら地方を衰退させています。百四十年前から続き、さらに昭和十三年の国家総動員法で軍部によって強化された中央集権体制は、既に体制疲労を起こし、有効に機能しなくなっています。それどころか、それを支える官僚制も、アメリカの社会学者マートンが指摘しているような様々な弊害が著しくなってきました。そのことによって、我が国は完全に霞が関によって一地方自治体、一国民に至るまで統制、支配、管理、指示され、ために、自治体も国民も国に甘え、官僚に依存する風潮が出てきました。
 安倍総理が施政方針演説で、福沢諭吉の言葉、「一身独立して一国独立する」を引用されましたが、今の中央集権体制、官僚制では一身独立は不可能であります。また、共助、公助も自助が前提であるはずであるにもかかわらず、自助の精神は、中央集権体制、官僚制の下では期待すべくもありません。
 さらに、今までは東京の発展が日本の発展を意味していました。しかし、グローバル化の時代では、東京の発展だけでは世界に伍していくことはできないばかりか、このまま行けば安倍総理の言われる二級国家に堕することになると思います。決して強い国をつくることはできません。
 強い国をつくるためには、全国各地に繁栄の拠点をつくらなければなりません。その各地の繁栄の拠点の総合計が日本の国力、日本の繁栄ということになるからです。
 そこで、現在のような、東京だけが発展し、地方が衰退する状況を脱し、全国各地を活性化し、若者を元気にし、高齢者に生きがいをもたらす国の形、すなわち地域分権体制、道州制に統治機構を転換させなければならないと考えます。
 幸いに、自民党、公明党、日本維新の会、みんなの党は、さきの総選挙で道州制を公約しましたが、この四党が議席を伸ばしたことは意味深いことだと思います。
 また、昨年四月に、宮城県の村井嘉浩知事、岡山県の石井正弘前知事らが中心になって、道州制推進知事・指定都市市長連合を発足。さらに、今月二日、四日ほど前でありますけれども、関西広域連合も橋下徹市長の主導の下、道州制のあり方研究会を発足させました。
 安倍総理は、第一次安倍内閣の折、当時の渡辺喜美行革大臣に道州制担当を兼務させられ、内閣官房に道州制ビジョン懇談会をつくられました。また、今回も新藤総務大臣に道州制担当大臣を兼務させられました。道州制に懸けられる安倍総理の思いは並々ならぬものがあると私は思われますが、その思い、意図を改めてお伺いしたいと思います。
 また、新藤総務大臣も就任記者会見で、大きな方向として必要と思っている、今後、法律の制定も含めて進めていくべき課題と道州制を特に取り上げ、覚悟を述べられておられますが、道州制の必要性をどのように理解されておられるのか、新藤総務大臣に道州制への覚悟をお伺いしたいと思います。
 御身大切に、安倍総理の御健康を心から念じ申し上げて、みんなの党を代表しての質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#12
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 江口克彦議員にお答えをいたします。
 内閣の性格や心構えについてお尋ねがありました。
 今回の安倍内閣が目指すものは、経済や教育など日本が直面する様々な危機を突破し、強い日本を取り戻すことであります。危機を突破するために必要なら、どのような改革でも果敢に取り組んでいく覚悟があります。
 世界で一番企業が活躍しやすい国をつくるため、国際先端テストを導入し、聖域なき規制改革を進めます。行政や公務員制度の改革、地方分権改革も必要です。みんなの党の皆さんにも是非とも御協力をいただき、諸改革を共に進めていきたいと考えております。
 規制改革についてお尋ねがありました。
 規制改革については、雇用関連、エネルギー・環境関連、健康・医療関連を重点分野と位置付け、これらを始めとして、経済再生に資するものから優先的に見直しを行うよう指示をしたところであります。具体的な規制改革を検討するため、規制改革会議の下に重点分野ごとのワーキンググループを設置して検討を進めています。省庁縦割りにとらわれることなく、政府一丸となって取り組んでまいります。
 財政危機についてお尋ねがありました。
 我が国においては、今のところ国債の円滑な消化を行うことができていますが、仮に、財政の持続可能性への信頼が損なわれ、国債消化が困難となるようなリスクが顕在化した場合には、国債価格の下落や金利の上昇等を通じ、経済、財政、国民生活に重大な影響が及ぶと考えられます。
 例えば、欧州債務危機の状況を見ても、財政に対する市場の信認を失った国は、財政状況の急激な悪化に伴う給付や負担面からの厳しい措置等を余儀なくされています。
 政府としては、そのような事態を決して招くことがないよう、機動的な財政運営を行いつつも、中長期的な財政健全化の取組を継続することが重要です。
 今後、経済財政諮問会議において、財政健全化と日本経済再生の双方を実現する道筋について検討を進めてまいります。
 原子力発電と革新的エネルギーについてのお尋ねがありました。
 エネルギー政策については、まず、いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提であります。この観点から、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという前政権の方針は、ゼロベースで見直します。あわせて、再生可能エネルギーの最大限の導入を図るとともに、世界初のメタンハイドレートの海洋産出試験など、革新的なエネルギーの開発を進めてまいります。
 公務員制度改革についてお尋ねがありました。
 国家公務員制度改革の重要性については、国家公務員制度改革基本法が成立した当時と現在とでいささかも変わっていないと認識しております。行政や公務員制度の在り方について、これまでの改革の成果に加え、国際的な大競争時代への変化をとらえ、改革を進める必要があります。これまで基本法に基づき提出された法案に対して様々な議論があったことも踏まえ、過去の経緯の総括を行った上で、必要な改革を進めてまいります。
 公務員個人の責任追及の検討についてのお尋ねがありました。
 公務員の人事管理については、公務員が自分の仕事に誇りと責任を持って能動的に進めていくよう運営するとともに、信賞必罰の徹底を図ることが重要であります。国等に賠償責任が生じ、公務員にその責がある場合には、国家賠償法に基づく公務員に対する求償権について、適正かつ厳格な行使の徹底を図ってまいります。
 行政改革の一環としての既存の法体系の整理合理化についてのお尋ねがありました。
 行政の無駄や非効率を排除し、行政機能を高めることは重要であります。そのため、行政の在り方について、これまでの改革の成果に加え、時代の変化をとらえた改革に取り組み、行政の無駄や非効率を排除します。既存の法律の整理合理化についても検討してまいります。
 道州制についてのお尋ねがありました。
 地方の元気なくして国の元気はありません。道州制の導入は、地域経済の活性化や行政の効率化などを目指し、国の在り方を根底から見直す大きな改革であります。与党において道州制に関する基本法の早期の制定を目指し議論が行われており、今後、政府としても連携を深め、取り組んでまいります。かつて道州制ビジョン懇談会で座長を務めていただいた江口議員にも、是非とも御理解をいただきたいと思います。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(麻生太郎君) 日本銀行の設定した物価安定目標の影響についての御質問をちょうだいしました。
 日本銀行が先般設定をいたしました二%の物価安定目標は、消費者物価指数総合を見ることとされております。これは、同指数が、家計が消費する財・サービスを包括的にカバーした指標であって、物価の安定をとらえる上で適当との考えに基づくものと日本銀行からは伺っております。
 いずれにせよ、日本銀行による大胆な金融政策とともに、政府としても、物価上昇に合わせて雇用や所得の拡大を実現することといたしており、低所得者や高齢者を始めとする国民の生活に悪影響が出ないよう万全を期してまいりたいと考えております。
 社会保障改革の全体像と消費税増税についてのお尋ねがありました。
 今回の一体改革におきましては、三党合意に基づき、社会保障改革と税制改革を一体として着実に進めているところでありまして、既に社会保障改革関連で八本の法律が既に成立いたしておるところでもあります。加えて、医療・介護分野など社会保障に残された課題に対応するため、社会保障改革国民会議を設置し、その審議の結果を踏まえて所要の手当てを講ずることといたしております。
 今後とも、三党合意や社会保障制度改革推進法の規定に基づきまして、社会保障改革を着実に推進するとともに、より少ない負担でより質の良い給付を行うことを目指して、社会保障の重点化、効率化に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
 また、消費税率の引上げにつきましては、これは、昨年八月に成立をいたしました税制抜本改革法の附則第十八条に沿って、本年秋に、経済状況などを総合的に勘案し、判断をしていくことといたしております。
 無駄遣いの根絶、歳出削減への不断の取組や社会保障改革の取組に加え、三本の矢で長引くデフレ不況から脱却して日本経済を全力を挙げて再生してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣新藤義孝君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(新藤義孝君) 道州制についてのお尋ねにお答えしたいと思います。
 道州制の導入は、国の在り方を根底から見直す大きな改革であり、地域住民に対する行政サービスの向上や行政の効率化を図るとともに、国家の統治機能を強化することを目指したものと考えております。
 この改革に当たっては国民的な議論が必要であり、現在、道州制に関する基本法の早期制定を目指し、与党において検討が進められています。今後、政府としても連携を深め、取り組んでまいりたいと存じます。(拍手)
#15
○議長(平田健二君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時二十三分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#16
○副議長(山崎正昭君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。長浜博行君。
   〔長浜博行君登壇、拍手〕
#17
○長浜博行君 民主党の長浜博行です。
 会派を代表して、安倍総理の施政方針演説に対して御質問をさせていただきます。
 我々は何のために国会議員を志したのか、国会議員になったときの熱い初心を思い出して、総理は演説で私たちに訴えました。
 総理と私は、平成五年の選挙で初当選をしました。議場の最前列に並んで座っていたことを思い出します。そのときは、私が与党、総理は野党席でした。壇上には、当時御一緒だった方も座っておられます。
 一九九三年にも政権交代の選挙があったのです。長く続いた自民党政権下でも、年々増えていく社会保障関係費をどのように対処すべきか、議論がされていました。国民に満足していただくためには国民に御負担をお願いするという難しいテーマであったため、大平総理を始め歴代総理が御苦労をされておられました。時の総理、細川護熙総理も、社会保障と税の改革に着手をしようとしましたが、困難な課題でした。
 国民の皆様に安心、安全をお届けする社会保障の再構築と地球環境の保全、安倍総理のお問いかけに対する私の答えであります。
 では、私から総理への質問に入らせていただきます。
 先般の所信表明演説でも、そして今回の施政方針演説においても、私には重要と思われる社会保障政策に対する安倍総理の姿勢が全く見えてきません。
 民主党は、これまで陰に隠れがちだった若年世代や子育て、非正規雇用の問題に光を当て、人に着目した社会保障政策への方向転換が必要であることを示して、その実現を目指してまいりました。この転換は社会の変化に応じていつかは行わなければならなかったことであり、それが二〇〇九年の総選挙による政権交代によってなされたことは、我が国の政治にとって大変意義があったことと考えております。そして、昨年末の総選挙の結果、政権が再び交代しましたが、社会の変化への対応は絶えず続けなければならず、ジャパン・イズ・バックと言って以前の姿に戻ることは許されません。
 年金、医療、介護、福祉、百年安心でしょうか。安倍総理の見解を伺います。
 社会保障と税の一体改革の意義について伺います。
 民主党政権は、高齢化の進展により今後更に社会保障費が増大していくこと、そして、社会保障を維持するためには相応の財源が必要であることについて、現実を直視して国民の間に議論を生み、一定の共通理解をつくることができました。
 ところが、安倍政権になると、強い日本というスローガンの下、安全保障や経済成長を勇ましく前面に押し出す代わりに、社会保障を後景に退けてしまいました。せっかく膨らんだ社会保障に関する国民的議論の機運をしぼませてしまったように思えてなりません。社会保障が将来にわたって恩恵をもたらすかどうかは国民にとって生活に直結する最大の関心事であり、その機能の維持のために努力していくことは政治にとって最大の義務と考えます。
 そこで、総理に伺います。社会保障と税の一体改革の意義について、どのように認識されておられるのでしょうか。
 次に、社会保障制度改革の今後の見通しについて伺います。
 改革の議論は、現在、社会保障制度改革推進法に基づき、社会保障制度改革国民会議において行われているところでありますが、今年八月二十一日の設置期限まで、残された期間はいよいよ半年を切りました。しかも、改革推進法はそれまでに法制上の措置を講ずることまで求めております。夏に参議院選挙が行われることを考えれば、議論を加速しなければならないことは誰の目にも明らかであります。
 ところが、現状は、驚いたことに、改革推進法が求める法制上の措置について、法案提出に限らず柔軟な対応をとの考えを示す閣僚まで現れる有様でございます。これでは、結局のところ、今年の夏を迎えても政府としての明確な形が示されず、将来の社会保障改革の見通しが立たなくなる懸念は拭えません。
 国民会議は内閣に設置され、その主任の大臣は総理であります。その総理に伺います。
 参議院選後に社会保障を先送りしないと明言されましたが、国民会議の議論の取りまとめを行うのは参議院選の前ということでよろしいのか、また、総理として参議院選前に具体的にどのような形で新たなる社会保障制度を国民の前に示そうとしているのか、明確に御答弁を願います。
 次世代育成対策について伺います。
 民主党は、社会全体で次世代育成を進めていくためには、子育て世帯に対する経済的な支援のほかに、子供を保育所に預けて就労できるようにしたり、育児休業の取得を促進したりといった働き方の面での環境整備が必要と考え、重点政策として取り組んでまいりました。いわゆるM字カーブを更に改善して女性が安心して働き続けることができれば、結果としてGDPの押し上げにもつながります。
 そこで、まず、就労促進の観点から見た次世代育成の取組について、総理のお考えを伺います。
 また、与党は政権公約において幼児教育無償化を掲げておりますが、その対象は三歳児からであり、ゼロ歳から二歳児までは対象になりません。自民党は、ゼロ歳から二歳までは家庭での教育を第一とすべきとお考えのようでありますが、そうであれば、この間、働く母親が不安なく職場を離れ、後に復帰できるような就労環境の整備を進めて初めてそれが成り立つのではないでしょうか。待機児童の八割以上がこの年齢に集中していることに現実のニーズが表れております。よもや社会や家族の変化に逆行することを前提とすべきではないと思いますが、総理の御所見を伺います。
 さらに、次世代育成に当たっては、子供の貧困の問題も深刻であります。
 我が国の子供の相対的貧困率は平成二十一年で一五・七%であり、これは子供の六、七人に一人、四十人のクラスであれば六人が貧困であることを意味します。民主党は、従前よりこの問題に積極的に取り組み、子供の貧困率削減の数値目標を定めることなどを主な内容とする法案を提出する方向でございます。子供の貧困の現状に対する総理の御認識と今後の対策の方向についてお答えをください。
 いわゆるアベノミクスと財政再建について伺います。
 安倍内閣は、平成二十五年度予算において四十二・九兆円の公債を発行しようとしております。政府はこの額について四年ぶりに税収を下回ったと胸を張っておりますが、十五か月予算という言葉を隠れみのとして二十四年度補正予算における公債を考え合わせれば、実質的な新規公債発行額は税収を上回ることが露呈をいたします。
 野田総理が消費税率引上げを粘り強く説いて法案を成立させた際には、財政再建路線が堅持されたとして長期金利の上昇は免れました。しかし、今回、アベノミクスに沸く一方で、財政規律が緩み、国債の信認が低下して長期金利が上昇する事態になれば、社会保障の機能強化どころではなくなります。現に、今国会において、与野党の議員を問わず財政規律に対する懸念を表明しているところにその危機感が表れております。
 社会保障と税の一体改革が工程上のターゲットにしているのは、二〇一五年、すなわち再来年であり、たとえその間にアベノミクスによって経済が上向いたとしても、喉元過ぎれば熱さを忘れるとばかりに財政再建を先送りにする余裕は全く残されておりません。政府は、経済財政諮問会議で、二〇一三年度の基礎的財政収支の赤字が七%前後になるとの試算を示しました。昨年八月では五・二%でありましたが、それでは一五年までに赤字を一〇年度の六・七%から半減するという国際公約はどのようになさるのでしょうか、お答えをください。
 近年、財政再建が経済成長率を回復させる効果を持つとの実証研究の結果が示されており、財政再建それ自体が成長戦略の一つであると指摘されているところでもあります。持続可能な社会保障の維持のためにも、財政再建の歩みをひとときも止めてはならないと考えますが、総理の御決意を伺います。
 地球温暖化対策について、安倍総理の所見をお伺いいたします。
 私は、昨年末、カタール・ドーハでのCOP18に出席をし、東日本大震災、福島第一原発の影響があったとしても気候変動問題に対し国民を挙げて取り組むとし、再生可能エネルギーの固定価格買取り制度の導入開始を始め、新しい仕組みを構築することにより社会変革をもたらしていくことを強調をいたしました。
 総理は、六年前の二〇〇七年五月に発表された美しい星へのいざないにおいて、世界全体の排出量を現状から二〇五〇年までに半減という長期目標を世界共通目標とすることを提案なさいました。
 時は移り、今年一月に開催された第三回日本経済再生本部において、総理は、今後の地球温暖化対策の取組について、十一月のCOP19までに二五%削減目標をゼロベースで見直すことを表明をされたわけであります。
 そこで、二〇五〇年までに全世界半減という目標の第一次安倍内閣での総理の思いと、第二次安倍内閣の方針はどのように整合性を取っていかれるのか、分かりやすく御説明をいただきたいと思います。
 また、対処方針を誤ると、IPCC報告書で述べている気温上昇を二度以内に抑えるためには、現状の先進国の削減目標では達成できないというギガトンギャップを更に広げるのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 この問題と関連させて、停止中の原子力発電所を再稼働させるという発想をお持ちかどうか、化石燃料による発電が増加する中、お考えをお聞かせください。
 私は、グローブ・ジャパンの一員として、各党の環境問題に関心の高い方々と一緒に活動をさせていただいておりますが、再生可能エネルギーの促進については今後どう対応していかれようとしておられるのか、総理の御所見をお伺いいたします。
 中国で発生している浮遊性の微小粒子物質による大気汚染問題についてお伺いをいたします。
 今冬の厳しい寒さによって、中国では、石炭使用による集中暖房、自動車の排気ガスや工場排煙の影響で、一月中旬から北京を中心に大気汚染に伴う濃霧が広範囲に発生していることは御承知のとおりであります。特に、呼吸器の奥まで入り込みやすいことなどから、人への健康に影響が懸念をされるPM二・五は、偏西風に乗り、我が国各地でも基準値の一立方メートル当たり三十五マイクログラムを上回る数値を示しております。総理は、この問題についてどのように対処されるおつもりでしょうか。
 私は千葉県選出なので広大な房総半島を歩き回っておりますが、大変ひどい花粉症であるために大変つらい黄砂が飛んでくる季節になりました。子供や呼吸器系の疾患を抱える方々に対して、どのような配慮をされるのでしょうか。
 越境大気汚染の問題は、PM二・五にとどまりません。中国沿海部で稼働している原子力発電所、また、これから建設が予定されているものを合わせるとかなりの数になると思われますが、シビアアクシデントの発生時の我が国への影響についてはどのようにお考えでしょうか。
 四月からは、文科省で実施されていた放射性物質の測定業務が原子力規制委員会に移管されます。モニタリング体制も新たな段階に入ると思われますが、拡散予測シミュレーションも行っておられるのか、お答えをください。
 越境大気汚染問題は、発生源で対応しなければ我が国では防ぎようがありません。環境省においても専門家会合が開催されたり、中国との対応策を協議するようになったとも伺いますが、我が国の持つ先端技術と数々の公害を克服してきた経験を移転することによって、中国国民の健康で文化的な生活にも貢献することが日中友好にとっても極めて意義のあることと思いますが、総理の御所見を求めます。
 アスベスト対策についてお伺いをいたします。
 中皮腫と石綿の関連が明らかになってから四十年になりますが、いまだ完璧な診断法や治療法がなく、苦しまれている被害者の方、労災認定が認められず裁判を起こされている御家族や御遺族の方がいらっしゃいます。
 総理は覚えておられないかもしれませんが、私は、二〇〇六年、安倍総理が内閣官房長官のとき、石綿健康被害救済法の本会議質疑で、所管の環境大臣にではなく、あえて官房長官に御登壇いただき御質問をさせていただきました。それは、この問題が内閣を挙げて取り組まなければならないほど歴史的経緯があり、過去のみならず、将来にわたって被害の拡大が危惧されたからであります。総理は、アスベスト問題をどのように認識をされておられますか。
 救済法が施行されてから七年が経過し、その間、医療費、療養手当の支給対象期間の拡大や、救済給付の対象となる指定疾病の追加、特別遺族給付金の支給対象の拡大など、るる改正をしてまいりました。
 今回は、東日本大震災の被災地での事例や、今後建築物の解体の増加が見込まれる中、アスベストの飛散防止対策の更なる強化が必要として、大気汚染防止法の改正案提出が予定をされております。個々の法律の改正も必要でありますが、それでもなおアスベスト対策は不十分だと思っております。全ての被害者が十分な救済、補償を受けられるよう、また、アスベスト疾患の治療方法、医療体制やその除去対策など、総合的に取り組むための枠組みとしての基本法の制定についてはどのようにお考えでしょうか、総理の御所見を伺います。
 今日、私は、社会保障と環境問題を主として取り上げました。二〇〇九年の政権交代の意義は、無機質な箱物から生身の人に政策立案の軸を移動したことにあると私は思っております。いわゆるコンクリートから人への例えであります。国民皆年金、皆保険から半世紀が過ぎ、社会保障をその入りと出の問題を含めて持続可能なものにすることが急務であります。特に、未来の日本を支えてくれる子供たち、今は有権者じゃないので私たちを選ぶことはできません。次の世代の安心、安全を確保しなければなりません。今の地球は未来からの預かり物であります。ですから、環境問題も同様です。
 総理が強調される強い日本、立派な国、強い国は何をイメージされているのでしょうか。国を余り意地になって前面に出すより、立派な人、強い人と、人をまず考えてみたらどうでしょう。その人が集まったものが国なのですから、大分印象が違うと思います。そうすれば、唐突に、共助や公助の精神は、単にかわいそうな人を救うことではありませんといった発言が出てくるはずはありません。強くなければ生きていけない、でも、優しくなければ生きていく資格がない、こういう一節が脳裏をよぎりました。
 どうか、安倍総理におかれましては、健康に御留意の上、国民のために、そして国家のために御尽力をいただきますことを御祈念申し上げ、質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#18
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 長浜博行議員にお答えをいたします。
 社会保障政策に対する姿勢についてのお尋ねがありました。
 年金、医療、介護、福祉などの社会保障制度は、少子高齢化の進展や社会保障費の急速な増大などの社会経済の変化への対応が迫られております。安定財源を確保しながら受益と負担の均衡が取れた持続可能な制度を構築することが必要であり、社会保障・税一体改革に取り組んでまいります。
 自助自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べてまいります。また、社会保障は、経済を成長させ、雇用を確保する中で、税や保険料の負担を分かち合っていくことで成り立つものであります。三本の矢で力強い日本経済を立て直してまいります。
 社会保障・税一体改革の意義、国民会議の議論の取りまとめなどについてのお尋ねがありました。
 社会保障・税一体改革は、少子高齢化が進展する中で、安定財源を確保しながら持続可能な社会保障制度の構築を目指すものであり、暮らしの安心を取り戻すために必要不可欠な改革であります。
 先般の参議院予算委員会での私の答弁は、参議院選挙の前後にかかわりなく、社会保障のあるべき姿をしっかりと議論していくとの趣旨であり、今後、改革推進法に基づき、八月二十一日の設置期限に向けて、国民会議で精力的に議論するなど、改革の具体化に向けて取組を進めてまいります。
 その上で、政府としては、こうした国民会議の審議結果を踏まえるとともに、三党協議の状況など様々な状況も踏まえながら、必要な法制上の措置を検討してまいります。
 次世代育成対策についてお尋ねがありました。
 少子化対策は待ったなしの重要課題であると認識しており、男女が共に仕事と子育てを両立できるよう、保育所の整備など待機児童の解消に向けた取組と併せて、両立支援に取り組む事業者への助成など、子育てを支える社会づくりを進めております。
 引き続き、若者・女性活躍推進フォーラムにおける御意見等も踏まえ、社会や家族の変化に対応した次世代育成対策を進めてまいります。
 なお、幼児教育の無償化については、関係府省の連携の下、子ども・子育て支援新制度との関係、財源確保の観点等を踏まえた検討を行ってまいります。
 子供の貧困の問題についてお尋ねがありました。
 子供の貧困対策については、子供たちが生まれ育った家庭環境によって子供たちの将来が左右されることのないよう取り組むことが重要であると考えております。
 このため、児童手当や児童扶養手当の支給など経済的支援、保育や地域の子育て支援の実施、生活保護世帯などに対する学習支援、就学支援などの対策に取り組んでいきます。
 財政再建に向けた決意についてお尋ねがありました。
 政府としては、国、地方のプライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べて赤字の対GDP比の半減、二〇二〇年度までに黒字化との財政健全化目標の実現を目指します。
 このため、平成二十五年度予算については、財政健全化目標を踏まえ、国債発行をできる限り抑制することとし、税収が公債金を上回る状況を回復したところであります。同時に、社会保障・税一体改革を引き続き具体化し、中長期的に持続可能な財政と社会保障の実現を図ってまいります。
 今後、経済財政諮問会議において財政健全化と経済再生の双方を実現する道筋についての検討を進め、財政健全化目標の実現を目指します。
 地球温暖化対策についてお尋ねがありました。
 二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を半減することを目標とし、地球温暖化対策をしっかりと推進する方針は不変です。
 世界全体での大幅な排出削減を実現するためには、高い技術力を持つ我が国こそが世界の温暖化対策を主導していくべきであります。そのため、技術で世界に貢献していく攻めの地球温暖化外交戦略を組み立ててまいります。
 原子力発電所の再稼働と再生可能エネルギーの促進についてお尋ねがありました。
 原発の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、安全と認められない限り原発の再稼働はありません。他方、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減も含め、責任あるエネルギー政策を構築する観点から、安全と認められた場合には、原子力規制委員会の判断を尊重し、再稼働を進めます。
 あわせて、再生可能エネルギーについては、固定価格買取り制度を着実に運用することに加え、予算・税制措置、規制改革などにより、今後三年間で最大限再生可能エネルギーの普及を加速させてまいります。
 PM二・五による中国の大気汚染への対処についてお尋ねがありました。
 影響の評価や国民への注意喚起を的確に行うため、観測体制を拡充するとともに、実態解明に全力を挙げてまいります。
 現時点の国内の濃度は健康への影響が心配されるレベルではありませんが、濃度が高くなったときに外出や屋外での長時間の激しい運動を減らすなど、注意喚起のための暫定的な指針を策定したところであります。地方自治体における注意喚起を行うための体制整備を促してまいります。
 子供や呼吸器系の疾患を抱える方々などは健康影響を受けやすいと考えられるため、濃度が高くなったときには体調に応じてより慎重に行動するよう呼びかけてまいります。
 中国の原子力発電所において事故が発生した場合の我が国への影響についてお尋ねがありました。
 仮に事故が発生した際には、大気に放出された放射性物質が我が国に到達する可能性は否定できず、適切に対応する必要があると考えております。このため、海外の原子力発電所の事故発生時に情報を早期に共有する国際的な枠組みに我が国も参加しております。
 また、国内における緊急時の体制として、現段階においては中国における事故を想定した拡散予測シミュレーションは行っていませんが、海外の事故情報を入手した際、関係省庁が連携して放射線モニタリングを実施、公表するほか、迅速に情報収集を徹底するなど、所要の対応を取る方針であります。
 PM二・五による越境大気汚染に対する中国への協力についてのお尋ねがありました。
 中国との間では、大局的観点から戦略的互恵関係を推進していく考えであります。
 御指摘のとおり、公害を克服した日本の経験と環境技術を生かした協力を始めとして、アジアにおける様々な環境分野の枠組みを活用した周辺諸国と協力した取組など、多角的な検討を進め、越境大気汚染問題の解決に向けて積極的に取り組んでまいります。
 アスベスト問題についてのお尋ねがありました。
 アスベストによる健康被害は社会全体で取り組むべき重要な課題であると認識しております。このため、疾病を早期に発見する方法や治療法の研究開発及びすき間のない補償、救済に努めてまいります。加えて、アスベストの全面禁止や飛散防止の更なる強化を図ってまいります。今後とも、関係省庁が緊密に連携して、総合的なアスベスト対策を着実に実施してまいります。
 以上であります。(拍手)
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#19
○副議長(山崎正昭君) 有村治子君。
   〔有村治子君登壇、拍手〕
#20
○有村治子君 自由民主党の有村治子です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、政府四演説について質問いたします。
 数々の経済指標が好転しています。安倍総理の下、日本経済は回復に向け再び力強く歩み始めています。この勢いを東日本大震災からの復旧加速に向けていただきたいと念じ、まず、総理が最重要項目とされる復興についてお伺いいたします。
 間もなく東日本大震災より二年の三月十一日を迎えます。直近の世論調査においても、復興に必要な財源を確保するための増税を肯定する民意が示される一方で、復興予算が適切に使われていないと感じている世論が実に八割に上ります。復興予算と銘打ちながら、被災地再建と直接関係のないような予算の使われ方は、納税者たる国民との信頼を損ねます。民主党政権時代に明らかになった復興予算の流用問題を私たちは正していかねばなりません。
 しかし、来年度の復興予算においても、財務省が、被災地における検査装置の復旧等という項目で、実は十億円を超える予算を関西の税務署改修費用などに充てようとしていたことが自民党内の勉強会で明らかになりました。他省庁の予算をチェックし、税の適正執行をつかさどる財務省ですら、このような予算流用の意図を持ち得るのだということに私はショックを覚えました。
 国家予算が必要なところに適切に執行され、税の無駄を省くことは国民益につながります。しかし、その一方で、自らの権益を広げ、予算拡大を狙う各省庁の省益があります。本来は、国家国民益と各省庁の省益や方向性を一致させていくことが最も望ましい姿ですが、復興予算を精査すると、被災地の復興や国民全体の利益に反する省益が各省庁を駆り立て、予算付け替えの動機になっているような事案が見受けられます。
 当然のことながら、復興予算も国会で審議、議決を経て成立したものであり、国民の代表として国会で議席をお預かりしている私たち議会人にも、もちろん重要な審議責任があります。そして、事実、与野党の国会質疑を通して予算の流用を見破り、是正できた実績も数々あります。しかし、復興予算の個々の項目の下に復興以外の事業が巧妙に入れ込まれ、もっともらしく仕上げられた予算書からは、省庁からの内部告発でもない限り、予算の付け替え、からくりの全貌がなかなか見破れない、こういうもどかしさにじくじたる思いをしてきた与野党議員は少なくないはずであります。各省庁のこのモラルハザードを起こさない行政風土をつくることこそ、政治のあるべき姿です。
 そこで、提案申し上げます。本来、公益、国民益に資する予算であれば、復興予算という大義名分を隠れみのにしないで、正々堂々と一般会計に予算項目を立てるよう省庁に徹底する。説明責任が負えないような案件は、そもそも予算に計上しない。その周知徹底を図った上で、納税者に全く理解されないような極端な付け替えが発覚した場合には、その予算編成に携わった省庁のみならず、予算案を上げてきた部、局の責任の所在を明らかにして、次年度の予算においても社会的ペナルティー、制裁があるという緊張感を持って予算編成に当たっていただきたいと考えます。
 安倍総理は、被災地復興予算の流用など、批判を招くことがないよう使途を厳格化すると度々発言されています。各省庁を束ね、行政全体として流用を防ぐための具体的方策を、総理、お聞かせください。
 先日のアルジェリアにおけるテロ事件では、残念ながら、誠に残念ながら、日本は最多の犠牲者を出しました。今回犠牲になられた方々は、エネルギーの安定供給という国益の最前線に立っていた同胞です。日本人が国際的なテロの標的になってしまう事案が厳然たる事実として存在する中、例えば日本人だけが人質に取られてしまった場合、日本政府は、危機にある邦人をしっかり保護できる体制や法整備、自前のルートを確保できるのでしょうか。
 海外で活躍する日本人の多くは、日本のパスポートを持っていることの価値を語られます。同時に、経済的豊かさなど、その価値ある国籍ゆえに日本人がテロや国際紛争のターゲットにされるという状況を断じて許してはなりません。次のターゲットを生まないためにも、危機における邦人保護体制を築いていくことが安倍政権、私たち自由民主党の、国民の命を守る上で大事な課題だと認識いたします。
 憲法の精神、法治国家としての秩序と信用、テロに対し、一丸となって立ち向かうという国際社会の要請、国民の安全を守り切るために全力を尽くす国家と国民との信頼という主要な価値のはざまで、どのような整理をし、日本政府としていかなるメッセージを内外に発せられるのか、その方針、進捗状況を総理にお伺いいたします。
 次に、教育問題、学力全国調査について伺います。
 平成十九年に、四十三年ぶりにやっと再開できたこの全国学力調査は、平成二十二年からは児童生徒のたった三割だけを対象とする抽出調査に変わってしまいました。長年、文部科学省を敵視し、教育政策で対峙してきた日本教職員組合、日教組が幅を利かせる民主党政権が全員参加方式の学力調査制度をゆがめてしまったからです。
 学力測定がイデオロギー対立に振り回されるようなことはあってはなりません。世界に目を向けて活躍が期待される日本の子供たちの確かな学力を測定し、伸ばす手段の一つとして、長期的、全国的な動向が把握できる全員参加での調査をこれからも継続すべきだと考えますが、政府の長期的展望はいかがでしょうか、文部科学大臣に伺います。
 全国学力調査については、調査結果の公表も大事なテーマです。様々な世論調査は、一貫して全員参加の学力調査の毎年の実施と測定結果の公表を支持しています。
 しかし、民主党政権下の昨年十二月に文部科学省が定めた平成二十五年度、来年度の実施要綱では、都道府県が市町村の結果を公表したり、市町村が学校別の結果を公表したりすることを禁止しています。
 果たしてこれが妥当な方針なのでしょうか。税金で学力テストを実施しながら、個人情報を除いた学校別の測定結果や傾向すら国民の前に公にせず、そこで得られた知見や考察を次年度以降の教育方針に反映できる形で国民に還元しようとすらしない。このようなことがまかり通るのであれば、文部科学省は、いまだ民主党政権下の影響下、とりわけ日本教職員組合、日教組に引っ張られているのではないかと国民から疑念を持たれても仕方ありません。特定の政治勢力、圧力団体から決別をするという覚悟を決めてこそ、教育の正常化が図られ、世論の支持が集まるというものです。
 下村文部科学大臣は、民主党政権時代に作られたこの方針を見直すことに言及されました。大事な御決断だと支持をいたします。文部科学省も、これら世論の声を直視し、堂々と確かな学力づくりに邁進していただきたい。必要であれば、各自治体の判断も尊重しつつ、学校ごとの結果を公表できるようにすべきだと考えますが、検討状況はいかがでしょうか、お尋ねいたします。
 また、調査結果は、単なるランキングの発表に流れる傾向を厳に戒め、努力した自治体や学校、生徒自身が粘り強く取り組んできた内容こそが評価されるように公表していただくことが肝心です。学力測定から得られる考察を、確かな学力、豊かな生活習慣を育む国民全体の価値ある知恵にまで高めていただきたいと願い、伺います。
 総理は、施政演説において、男女が共に子育てと仕事を両立できる社会の実現を掲げられました。働く母親にとって保育は切実な問題であり、重点化していただいたことを率直に歓迎します。
 そこで、保育をめぐる問題について質問いたします。
 私自身、二人の子供の母親として保育園にお世話になる中で、片時も目を離さず子供たちの安全を見守ってくださる保育園の先生方の献身的な働きとプロ意識に頭が下がる思いです。
 待機児童の解消が指摘される一方、当の保育園にあって、保育士の人材確保が思うように進まず、離職率も高いという状況が現在全国的に見られています。努力して保育士の資格を取得されても、実際にはその資格を生かせず、残念ながらほかの仕事に就かれる方も少なくありません。
 その大きな要因の一つは、保育士の処遇にあります。給与面を見ると、全業種の平均賃金は月三十二万円となっていますが、保育士は二十二万円と、十万円も少なくなっています。平成二十四年度補正予算では、保育士の待遇改善のために四百三十八億円が計上されました。これ自体は有り難いことですが、抜本的な対策も必要です。
 田村厚生労働大臣は、これまでも保育の充実に一生懸命取り組んでいただきました大事な同志です。安倍政権として、より長期的な視野に立った保育園の整備、保育士の処遇改善にどのように取り組んでいかれるのか、田村大臣、お聞かせください。
 次に、我が国が直面する領土問題についてお聞きします。
 韓国では、国史という教科の国定教科書で見開き二ページにわたって竹島、韓国で言うところの独島について記述し、その詳細を子供たちに伝えています。
 一方で、日本の子供たちは、我が国固有の領土がどこからどこまでなのか、健全な国土、領土意識を持つための基本的情報すら教科書で十分に教えられていません。このような現実について、安倍総理並びに文部科学大臣は、いかなる御所見を持たれ、領土教育は本来どのようにあるべきだとお考えでしょうか、伺います。
 自衛官、海上保安官、警察官、消防士などの皆さんが、事あらば危険を顧みず公の安全のために職責を果たせるかどうかは、練度を高める日々の修練とともに、多くの国民にその職責の重要性が理解され、支持されているかどうかにもよります。今この瞬間も領土・領海・領空の国境線を守っていらっしゃる自衛官、海上保安官、警察官等の諸官に対し、さきの演説を始め、機会をとらえて敬意と感謝の念を示されている安倍総理の姿勢に心から共感をしています。
 領空や宇宙空間のみならず、サイバー空間までもが防衛の対象となる現在においても、古代より言われてきた海を制する者が世界を制するという言葉が本質的に伝える地政学的、戦略的な海の重要性は、何ら変わっていないと私は認識しています。総理は、施政演説で、海における法の支配の重要性について強調されました。今、まさに尖閣諸島周辺海域において中国による力の行使、誇示が頻繁に起こり、国際法に基づく秩序が脅かされています。
 先日、中国海軍の艦船が海上自衛隊の護衛艦に対して射撃管制用レーダーを照射する事件が発生しました。総理も防衛大臣も、不測の事態を招きかねない危険な行為だった、大変異常なことだと控えめな発言に徹しておられましたが、果たして中国は事の重要性を本当にわきまえているのだろうか、一つ間違えば戦争を引き起こすおそれもあったじゃないかとの強い抗議、懸念の声が国民から上がったのも当然でありましょう。
 歴史上、突発的、局所的な小競り合いによって紛争や戦争が勃発してしまった例は残念ながら数多くあります。法の支配による地域の安定、秩序を脅かし、強引に海洋権益を拡大しようとする大国を隣に持ちながら、海洋国家日本の安全をいかにして守るのか。中国の挑発に乗らず、平和的に対等に伍していく安全保障政策の方針を伺います。
 我が国の国防費はこの十年ほとんど変わっていませんが、昨日、発表された中国政府予算案については、中国の二〇一三年度国防費は実に十一兆一千百億円、この十年でおよそ四倍にも膨らみ続けていることが判明しました。総理は、この中国国防費の規模、またこの二十年間、たった一年の例外を除いて、毎年国防費が一〇%以上ずつ増長している傾向をどのように認識、解釈されますか。日本にとってこれは軍事的脅威ではないのでしょうか、しっかりとした御意見を伺います。
 平成の御代になってから二十五年、四半世紀がたちました。この間、アメリカでは四人の大統領が政治の中枢を担い、イギリスでも五人の首相が政権を担当、同じ敗戦を喫したドイツにおいてはたった三人の首相が長期政権を担い、EUにおけるリーダーシップを発揮し続けています。この間、日本の首相は、二十五年間で実に十五人、十六回の交代がありました。毎年社長が替わる企業が信用を保てるはずがありません。毎年首長が替わる市区町村において、長期的視野に立った投資などできようはずもありません。いわんや、一国の宰相がどうして務まるでしょうか。
 近年、私たち国民は、日本の首相が精根尽きて朽ち果てていく姿を続けざまに見てきました。首相が窮地に立たされたときに、ベストコンディションではない状況の中で下した政治的判断が更なる支持率急落と不信を招き、内閣や与党、霞が関の官庁においても人の心が離れていく遠心力が働き、その足下を突き崩すかのように外患の危機が迫り、外国首脳とのトップ会談がセットできないまま退陣せざるを得なくなるというパターンです。
 歴代の首相が疲労こんぱいの上、八方ふさがりになって次々と枯渇していくのを毎年のように近くで目にするたびに、これは、各首相御自身の資質の問題のみならず、むしろシステムとしての制度や慣習に大幅な改善の余地があるのではないかと考えるようになりました。今この点を是正しなければ、今後も、日本の首相が毎年潰れて、刻々と動いていく世界の中で日本だけが取り残されてしまう危惧があります。一体どうすれば、日本の看板である首相を摩耗させることなく、国家の意思決定に際して確かな判断を重ね、国運を切り開いていくという宰相本来の仕事に多くのエネルギーを割いてもらえるのか、切実な問題として認識しています。
 かつて首相を務められた麻生副総理は、総理大臣という職責はどす黒いほどの孤独に耐える能力を求めてくる、日本の首相は事務的作業などで忙殺される時間が長いゆえ、先進国首相の中でも最も忙しく、その一方、権限は最も少ないという偽らざる実感を吐露されています。
 ならばこそ、伺います。どこをどう改善すれば、国家のトップリーダーを摩耗させ、枯渇させ続ける日本の現状から脱却できるのか、日本丸の漂流を打ち止めるために、行政と政治、内閣と国会はいかなる距離感を持つべきなのか、行政機関はどのように内閣を支え、国民に奉仕するのが健全なのか。首相が毎年のように交代するという不幸な轍を直視し、日本の政治は今こそ度重なった失敗を乗り越えていかなければなりません。
 かつて転落の修羅場を自ら経験され、その経験をも腹にぐっと据えて、国家の未来に貢献すべく再び最前線に立ち上がられた安倍総理、麻生財務大臣に、日本の国力を守る基盤としての首相職をどう守っていくべきなのか、忌憚のない教訓と知恵を敬意を持ってお伺いいたします。
 近年続いてきた日本の凋落をここでしっかりと食い止める、日本の本来の国力に見合った経済力、外交力、教育力、文化発信力をつくり固め成していくためには、国民から信頼され、安定感があり、国際社会の信用を得る長期政権を打ち立てることが何より重要だと確信しています。当然のことながら、これは、いかなる政党のためでもなく、日本の再起を懸けての悲願であります。
 私たちの安全、繁栄の基盤である日本の未来を懸けて、信じられる政治、決められる政治を確立したいです。国民が誇りを持ってそれぞれの分を果たし、安心や幸せ、希望を育む真っ当な国づくりを進める安倍政権、私たち自由民主党でありたいという意思と決意を明確にして、私、自由民主党、有村治子の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#21
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 有村治子議員にお答えをいたします。
 復興予算流用の具体的な防止策についてのお尋ねがありました。
 復興関連予算の使途につきましては、安倍内閣として初めて開催した復興推進会議において、流用等の批判を招くことがないよう、使途の厳格化を行うことを指示いたしました。これを踏まえて、復興関連予算については、防災地域の復旧・復興に直接資する施策のみを復興特別会計に計上することを基本としております。また、被災地向け予算は全て復興庁に一括計上することとし、執行段階でも復興庁において内容を確認した上で予算配分を行うこととしております。
 アルジェリアにおけるテロ事件についてのお尋ねがありました。
 我が国政府は、事件発生当初より、テロ行為を断固非難するとともに、人命を第一に全力でテロ事件への対応を行ってまいりました。現在、このテロ事件への対応に関して、有識者からも意見を求め、検証を行っております。事件の教訓を踏まえ、今後とも、我が国企業や邦人が海外の最前線で安心して活躍できるよう、必要な対策に迅速に取り組むとともに、我が国がテロ行為に屈せず、国際社会と連携しながら、テロとの闘いに積極的に取り組んでいく姿勢を明らかにしてまいります。
 領土教育についてお尋ねがありました。
 我が国の将来を担う子供たちが自国の領土を正しく理解することは極めて重要であり、改正教育基本法を受けた学校教育法の改正により、我が国と郷土の現状と歴史についての正しい理解を義務教育の目標に掲げたところであります。その趣旨を踏まえ、教科書においては我が国の領土についての記述が充実されてきたところでありますが、引き続き、我が国の領土の範囲について理解させるとともに、領土をめぐる問題についても、我が国が正当に主張している立場に基づき、しっかりと教育を進めてまいります。
 我が国の安全保障政策の方針、特に中国の活動への対応についてお尋ねがありました。
 我が国は、自ら適切な防衛力の整備に努めるとともに、日米安保体制を堅持し、より良い安全保障環境を確保するための外交努力や国際平和協力を推進していくことを安全保障政策の基本としております。
 中国の活動への対応に関しては、自国の領土・領海・領空は断固として守り抜くとの決意の下、海上保安庁、防衛省を始めとする関係省庁が連携して尖閣諸島及びその周辺海空域の警戒警備に当たっており、引き続きしっかりと取り組んでまいります。同時に、中国側に対しては、事態をエスカレートさせないよう自制を求め、国際社会ともしっかり連携しつつ、個別の問題があっても関係全体に影響を及ぼさないようコントロールしていくとの戦略的互恵関係の原点に立ち戻るよう粘り強く訴えていきます。
 中国の国防費に対する我が国の認識についてお尋ねがありました。
 中国の国防費は、御指摘のとおり、この十年で約四倍、二十四年間で三十倍の規模となっており、今般、中国政府が発表した今年の国防予算も、前年執行額比一〇・七%の増加となっているものと承知しております。
 中国の透明性を欠いた軍事力の増強は、我が国を含む地域の共通の懸念事項です。我が国としては、国防費を含めた中国の国防政策について引き続き注視するとともに、透明性の向上や国際的な行動規範の遵守につき、中国との様々な対話や交流を通じ、関係国とも連携して働きかけていく考えであります。
 首相職を守るための知恵と教訓についてお尋ねがございました。
 私がこの高い場からお話しする、そういう資格はないわけでありますが、私は、何よりもまず、総理大臣である私が意識を変えていかねばならないと考えており、また、実践をしているつもりであります。それは、国民の政治への求めに合わせ、取り組む課題に優先順位を付けていくことであります。
 広く国民大衆とともに政治の責任を全うせんとは、自由民主党の立党宣言の言葉であります。自由民主党が摩耗することなく長きにわたって政権を担ってこれたのは、国民とともに政治を進める姿勢があったからだと私は信じております。
 現在、経済、教育、外交・安保など様々な国家的な危機に直面し、その突破を国民が求めています。国民とともに丁寧に議論を重ねながら皆様とともに前に進んでいきたい、このように決意をしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣下村博文君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(下村博文君) 有村議員から三つの質問がありました。
 最初に、全員参加での全国学力・学習状況調査を継続することに関する長期的展望についてお尋ねがありました。
 国として全ての子供たちの学力向上を図るため、全ての市町村、学校などにおいて全国的な状況との比較により課題を把握し、その結果を学校の指導改善等に生かすことは重要であると考えております。
 このため、平成二十五年度調査については、小学校六年生、中学校三年生の全児童生徒を対象とした悉皆調査を実施し、新たな追加調査と併せてきめ細かい把握、分析を行います。
 また、平成二十六年度調査については、抽出調査から悉皆調査に見直して、必要な準備経費を平成二十五年度予算案に盛り込みました。
 平成二十七年度以降についても、引き続き、日本の将来を担っていく全ての子供たちの学力向上を図っていくため、継続的に悉皆調査で実施する方向で検討してまいります。
 次に、全国学力・学習状況調査の学校別の結果の公表に関する検討状況のお尋ねがございました。
 教育委員会や学校が、保護者や地域住民に対し説明責任を果たすために、子供たちの学力の状況等について積極的な情報提供を行うことは重要でございます。一方、調査結果の公表に当たっては、学校の序列化や過度な競争につながらないよう十分配慮することも必要と考えます。
 平成二十五年度については、その両方の観点を踏まえつつ、四年ぶりの悉皆調査に全国の学校から広く参加していただくことを考えて、平成十九年度から二十一年度の悉皆調査のときと同様に、各学校の結果の公表は各学校の判断に委ねることとしております。
 平成二十五年度については、この取扱いで調査を実施し、各学校の結果の公表が更に進むよう、文部科学省としても促してまいります。
 平成二十六年度以降の調査における結果の公表の取扱いについては、本調査は貴重な予算を使って教育改善のために実施していることや、保護者や地域住民に対する説明責任を果たすという観点を踏まえつつ、関係者の意見も聞きながら、改めて検討してまいります。
 また、領土教育についてのお尋ねがありました。
 学校における領土教育については、その重要性に鑑み、新学習指導要領及び解説により、我が国の領域をめぐる問題などに関する取扱いを充実したところでございます。これにより、全ての中学校地理の教科書において竹島の記述がなされるとともに、来年度以降使用される全ての高等学校地理の教科書において竹島や尖閣諸島の記述がなされるようになったところでございます。
 将来を担う子供たちが我が国の領土や領土問題を正しく理解することができるよう、我が国が正当に主張している立場に基づいた領土教育を進めてまいります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(田村憲久君) 有村議員から、保育所の整備、また、保育士の処遇改善に対する取組の御質問をいただきまして、ありがとうございます。
 まずは、待機児童の解消に向け、保育所等の整備を進めるとともに、平成二十五年度予算案において、約七万人の保育所受入れ児童数の拡大に必要な予算を計上させていただきました。
 また、保育の量的拡大に伴う人材確保は喫緊の課題であることから、平成二十四年度補正予算で、保育士の処遇改善を始めとした従来より一歩踏み込んだ取組を推進していくこととしているところでございます。
 さらに、より長期的な視野に立った取組といたしまして、平成二十七年度に本格施行が予定されております子ども・子育て支援新制度、これにおきまして、消費税財源等による安定財源を確保した上で、市町村が地域の保育需要を把握し、それに見合った認定こども園や保育所等の整備を行うなど、計画的に保育の量的拡大を図っていくこと、また、処遇の改善などにより保育士の確保を図るとともに、職員配置の改善など質の向上についても優先順位を付けながら対応していくことといたしております。なお、ハード、ソフト両面からこれが必要でございまして、しっかりと頑張ってまいります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(麻生太郎君) 首相の職務を守るためにという御質問をちょうだいしましたので、先ほど安倍総理大臣がお答えられたことと基本的に同じであります。
 あえて付け加えさせていただければ、行政職の長に、いま少し静かに、自由に考える時間を与えるべきだと存じます。(拍手)
    ─────────────
#25
○副議長(山崎正昭君) 羽田雄一郎君。
   〔羽田雄一郎君登壇、拍手〕
#26
○羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎です。
 安倍総理の施政方針演説に対し、会派を代表して質問をさせていただきます。
 安倍総理、二度目の総理就任、おめでとうございます。戦後の政治家で二度も総理の座に着いたのは吉田茂総理以来のことであります。幸運もあると思いますが、まさしく偉業とも言えるかもしれません。実は、私と安倍総理には世襲政治家の家庭で育ったという共通するものがあります。共に祖父、父と三代にわたる政治家で、しかも安倍総理の場合は祖父、岸信介さん、私の場合は父、孜がそれぞれ総理大臣の重責を果たしました。
 私と安倍総理は与野党に分かれており、しかも私は参議院の議員であります。私が冒頭、あえて安倍総理にお祝いの言葉を贈ったのは、ねじれ国会の現状の中、ともすれば与野党による政争が激化しがちで、未来への責任を担うという政治家としての本来持つべき大事な使命が必ずしも十分に果たされていないことに危機感を抱いてきたからであります。
 その上、自民党の一部には、二院制の持つ意義を忘れ、本院を衆議院のカーボンコピーとみなし、一院制に改めるべきだとの議論が根強くあります。私は、とんでもないことだと強く反論します。言うまでもなく、本院は、任期が六年あり、解散がなく、衆議院の行き過ぎをチェックする再考の府、熟議の府としての重要な役割を持っているからであります。
 安倍総理、あなたは、六年前、健康を害して途中で総理を辞任することになったことを忘れてはなりません。十分に健康維持に留意され、私たち民主党を始め野党との真摯な議論を通じて、国民の平和、安全、繁栄の実現に向け精励するよう要望しておきます。
 私たち民主党は、残念ながら、昨年十二月の衆議院選挙で敗北したことにより、政権の座を失いました。しかし、与党の経験を得たことで、地に足が付いた政策を語ることができるようになったと自負しております。私も国土交通大臣を拝命し、貴重な経験を積むことができました。以下の質問は、そうした経験を踏まえて行います。安倍総理におかれましては、どうか率直かつ明快な答弁をなされますよう期待しております。
 まず、冒頭にお聞きしたいのはTPP交渉についてであります。
 TPPの対応の悪さ、戦略なき首脳会談に安倍内閣の外交交渉の危うさを感じているのは私だけではないと思います。
 聖域なき関税撤廃は前提でないことを、先般、オバマ大統領と直接会談し確認したと言われますが、あれだけ米国からいろいろな要求があり、農協を始め医療・保険分野から反対の声が上がっているのに、今更何を言っているのかと感じざるを得ません。
 私は、小さな島国日本が全ての関税撤廃の枠組みに入ることはそぐわないと思っています。しかし、世界の中の日本ということを考えれば、政府間交渉に入らないという選択はないだろうと考えてきました。だからこそ、野田総理も、TPPの政府間交渉にしっかり臨むと同時に、日中韓のFTA、東アジア経済連携協定、RCEPを同時並行して進めていくと表明、TPPは政府間交渉をし、日中韓のFTAは協議に入ることが中国、韓国から表明され、東アジアのRCEPの枠組みも前進しました。
 国益の確保を大前提としながら戦略的外交交渉を行ってきた野田内閣の外交の勝利と言っても過言ではないと考えますが、今後、安倍内閣としてどのように進めていかれるのか、伺います。
 次にお聞きしたいのは、尖閣諸島や竹島をめぐる我が国の領海における海洋権益に絡む問題です。とりわけ、尖閣諸島の領有権に固執する中国との間では領海・領空侵犯事件が相次いでおり、一部マスコミの中には今にも日本と中国が戦火を交えかねないとの危機感をあおり立てるものがあります。中国や韓国は、日本にとって歴史的にも深いつながりを持ち、まさに一衣帯水の間柄にある重要な隣国であります。私は、未来永劫にわたり断固として平和友好関係を堅持していくべきだと考えています。
 そこで、海洋権益をめぐる問題の現状をどのように認識されているのか、御見解をお示しいただきたい。また、さきのオバマ大統領との日米首脳会談ではこの問題についてどのような話合いが行われたのですか。日米同盟を外交の基軸とする我が国としては、万が一にも中国や韓国との領土紛争を招かないためにも、これまで以上に日米関係を緊密に維持していく必要があるのは言うまでもありません。日米関係の今後の在り方についても、総理のお考えをお聞かせください。
 国土交通省は、御存じのように、海洋権益を守ることを使命とする海上保安庁を所管しております。私が国土交通大臣のとき、領海の警備に当たる巡視船やヘリコプターなどの整備に踏み切り、海上の警備・保安体制の強化に取り組みました。また、海上保安官が遠方の離島上で起きた犯罪に対処できるように法律を改め、外国の船舶に対して立入検査を経ることなく領海外への退去を命じることができるようにしました。尖閣諸島をめぐる緊張した事件の対処には、一義的に海上保安庁が当たるのは自明の理であります。防衛省が前面に出てくることは、無用の刺激を避ける意味でも慎重でなければならないと考えます。
 安倍総理、あなたは、これからの海上保安庁の体制強化をどうするおつもりなのか、防衛省との役割分担についてもお考えをお聞かせください。
 海上保安庁は、全国に第一から第十一まで十一の海上保安本部を擁しております。このうち、那覇、石垣の第十一管区海上保安本部が尖閣諸島警備の最前線の役割を果たしております。中国の監視船による周辺海域や領海侵入は昨年九月以来頻発していますが、海上保安庁では、領海警備に当たる巡視船の配備や人員の新たな強化策を検討していると聞いております。
 太田国土交通大臣、どのような新たな対策を講じるおつもりですか、尖閣専従部隊を新設するとの構想があるのですか、具体的なお考えをお聞かせいただきます。
 次に、東日本大震災の復興についてお尋ねします。
 安倍総理は、最優先課題の柱の一つとして被災地の復興を掲げています。私は、国土交通大臣のとき、被災市街地の復興に力を入れ、防災集団移転事業や津波復興拠点整備事業などに取り組みました。今なお被災地の復興事業に手を抜くわけにはいかないのは当然です。安倍総理、あなたの決意のほどをお聞かせください。また、太田国土交通大臣にも、これからの取組について具体的なお考えをお伺いします。
 しかし、復興事業をめぐり、政府と関係自治体との間に問題が生じております。というのは、復興交付金は、国土交通省始め厚生労働、農林水産、文部科学、環境の五省四十の事業に限定され、しかも、従来の公共事業と同じように縦割りで申請、承認が行われています。このため、複数の省にまたがるような総合的な復興プランの場合、事業の執行が遅れがちになっているのです。
 安倍総理、あなたは、復興庁を東京と福島の二本社体制にし、福島復興再生総局を設置しました。復興庁の福島復興局、環境省の福島環境再生事務所、内閣府の原子力災害対策本部の三つの出先機関を統括、指揮する体制にしたものです。
 ただ、問題なのは、これは設置の法的根拠がなく、役割分担や命令系統が複雑化する懸念が生じていることです。関係自治体の要望をスムーズに受け入れ、事業の執行が迅速に行われるのですか、総理に伺います。
 予算案では、復興交付金は前年度から倍増の五千九百十八億円計上されていますが、せっかく旗振り役となるはずの復興庁も調整の機能を十分に果たしているとは言い難い面があります。
 安倍総理、こうした問題点を一日も早く解消して、復興事業を促進させる必要があるのではないですか。例えば、復興予算を復興庁に一元化したり、運用面での改善を図るなど、政治が主導する形で対策を講じなければならないと思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、教育問題についてお尋ねします。
 実は、私も、今でいういわゆるいじめを体験しました。ドラマ等の影響もあり、政治家の家庭で育っているというだけでいじめの対象にされやすかったのです。
 大津市で起きた中学生のいじめ事件や大阪での高校生への体罰事件など、学校現場ではいじめの問題が注目されております。警察庁のまとめによりますと、昨年一年間に摘発、補導した少年事件のうち、いじめが原因のものは二百六十件で、前年の百十三件から二・三倍に増えました。一九八四年以降では四番目に多い水準であり、それだけいじめ問題が深刻化していると言えます。
 一方、学校教育法では明確に体罰を禁じております。私は、熱血指導の名目の下で体罰に一定の効果があると考えることは間違っていると思います。安倍総理、あなたは、いじめ・体罰事件をどのようにとらえていますか。下村文部科学大臣、現状の認識を問うとともに、いじめ対策をどうしていくのか、お考えをお聞きします。
 ところで、教育委員会をめぐる隠蔽体質が問題になり、教育委員会制度の在り方が問われております。安倍総理は、一月に教育再生実行会議をつくりました。総理は、経済再生と並び教育再生を安倍政権の最重要課題と位置付けており、この場でいじめ防止対策や学制の見直しなどに取り組むお考えのようですが、教育委員会制度についてはどのような改革を検討していますか。自民党は、自治体の首長が教育長を選ぶように改めることを公約しています。しかし、戦後の教育において、教育委員会は教育の中立性を守ることを重視してきたはずです。時の政権の思惑や首長の都合で教育政策が変えられることは間違いではありませんか。安倍総理、あなたの御所見をお伺いをいたします。
 安倍総理は、前回の政権のときも同様に教育再生会議をつくりました。今回の実行会議について、総理は、持論である強い日本をつくる上で不可欠なものとし、物議を醸すことになったとしても、御意見を活発にいただきたいと初会合で挨拶をされました。この言葉には一体どういう意味があるのですか。道徳教育の教科化を提唱していることや、会議のメンバーに首相に近い保守的な思考の持ち主が多いことから、有識者の中には、教育への政治介入を強め、国家主義的教育の復活を目指しているのではないかと危惧を抱く者が少なくありません。総理、あなたの真意を聞かせてください。
 私は、大学で保育士の資格を取りました。子供が国の宝であることは、昔も今も変わりません。日本の未来を担う子供たちを何よりも大切にする、つまりチルドレンファーストは私の信念であり、民主党の考えであります。この観点から教育費の無償化に取り組み、民主党でそれを実現してきました。子供の育ち、学びを社会全体で支えていくと、この考えが基礎になっているわけでありますが、自民党が公約で所得制限を設けることを打ち出したのには納得ができません。幼児教育を含めて、無償化はあくまで所得制限なしで行うべきではありませんか。安倍総理の見解を問います。下村文部科学大臣の所見も伺います。
 私は、本院の議員となって以来、政策の柱の一つに、官から民へ、中央から地域へと我が国の古いシステムを根本から変える地方分権、地域主権の実現に全力を傾けてきました。官を頂点にした補助金行政が地方をコントロールしているのを改め、権限や財源を地方に移譲する分権国家の確立こそ、新しい日本の姿であると確信しているからであります。その意味で、私たち民主党が政権を担い、これまでのひも付き補助金を廃止して、地方自治体の自由な裁量に任せる地域自主戦略交付金、つまり一括交付金をつくったことは誇るべきことでした。ところが、政権交代により、自民党は地方分権に逆行するようにひも付き補助金を復活させたのであります。安倍総理、あなたは、地方分権を踏みにじる施策を取っていることを認識していますか、撤回する気はないですか、御所見を明快に語っていただきたいと思います。
 地方交付税とは、改めて強調するまでもありませんが、地方自治体間の財政格差を解消するため、自治体が自由に使える財源であります。安倍政権は、この地方交付税を六年ぶりに四千億円削減し、予算案では十七兆一千億円を計上しました。当然、自治体が反発したのはやむを得ません。その上に一括交付金を廃止したのですから、自治体の首長が一斉にブーイングを発しました。安倍総理、あなたは、中央集権化を目指そうとしているのですか。地方を政府のコントロール下に置き、またぞろ霞が関主導の政治に戻そうというわけですか。有識者の中には、ひも付き補助金の復活により、与党議員の口利きを通じた利権政治の復活と分析する人もおります。
 安倍総理、あなたの狙いは一体どこにあるのですか、お答えください。
 自治体が激しく抵抗していることに、地方公務員の給与を政府が七月から一律にカットすることがあります。官民格差を埋めるため人事委員会等の勧告に基づいて自治体が自主的に給与を決めるシステムを、政府の財政上の理由で改めるのは納得がいきません。これは、国家公務員が二年間で平均七・八%給与をカットするのに合わせて地方公務員にも同様のカットを迫るものであります。これによって財源である地方交付税が四千億円削減できるわけで、来年からの消費税引上げに備え、国と地方の公務員にも言わば身を切る改革をしてもらうとの政治的狙いがあるようです。しかし、地方公務員の給与は地方の企業の給与基準になっていて、安倍総理が賃金を上げるよう経済界に要請していることと逆行し、整合性が取れず、ますます大企業と地方の賃金格差を助長するということになるのではないでしょうか。
 麻生財務大臣、自治体の反対にもかかわらず、地方交付税の削減、地方公務員の給与カットを断行するのはなぜですか、御答弁ください。あわせて、新藤総務大臣の見解を求めます。
 民主党政権では、厳しい地方財政の現状を踏まえて地方交付税を毎年増額する努力を行い、中期財政フレームにおいて、地方の安定的な財政運営に必要な地方の一般財源の総額については、前年度の水準を下回らないよう確保してきました。社会保障や環境対策など、地方自治体として果たすべき役割が増えており、財政需要の増加は避けられません。民主党の中期財政フレームと同じように、地方の一般財源の総額確保に努めるべきだと考えますが、安倍総理、新藤総務大臣の御所見を伺います。
 私は、政治家の信条として、国会議員とは国民に対する最大のボランティア活動であり、サービス業であることを肝に銘じてまいりました。そして、情熱、行動力、志をもってすれば道は必ず開けると考えてきました。その意味で、二〇〇九年に自民党に代わって民主党が政権を担うことになったときは、一つの到達点として有権者の皆様とともに喜びを分かち合いました。
 しかし、極めて残念なことに、総選挙で敗北して、昨年の暮れに三年三か月続いた政権の座から滑り落ちました。これは、民主党が公約を十分に果たせず、国民の皆様の信頼を裏切ったからであり、心から反省をしております。
 冒頭に申し上げましたように、私は、自民党と切磋琢磨し合いながら、政権交代ある政治、これを目指すことが日本の民主主義を向上させることにつながると考えております。民主党が目指した、官僚丸投げではなく政治主導の政治、地域主権、税金の無駄遣いと天下りの根絶などは依然として色あせてはいない大事な政策だと信じております。
 再び国民の皆様の信頼を取り戻し、自民党から政権を奪還し、未来への責任を果たす政治の実行に向け、努力することをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#27
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 羽田雄一郎議員にお答えをいたします。
 TPPについてのお尋ねがございました。
 御指摘の日中韓FTAやRCEPへの取組を含め、アジア太平洋地域、東アジア地域、欧州などとの経済連携を積極的、戦略的に進めてまいります。
 さきの日米首脳会談では、TPPに関し、日米の共同声明を発出し、聖域なき関税撤廃が前提とされるものではないことを初めて首脳レベルで確認をいたしました。今般の首脳会談で私自身が得た認識も踏まえ、国益にかなう最善の道を求めてまいります。
 尖閣諸島及び竹島に関する認識、日米首脳会談での取扱い及び日米関係の今後の在り方についてのお尋ねがありました。
 尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、そもそも解決すべき領有権の問題は存在しません。尖閣諸島をめぐる情勢については、我が国からはエスカレートさせずに、毅然かつ冷静に対処してまいります。竹島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、国際法にのっとり、冷静かつ平和的に問題を解決をしていく考えであります。
 先般の日米首脳会談では、オバマ大統領と様々な議論を行い、日米同盟を基礎としつつ、アジア太平洋地域を力ではなくルールが支配する地域にすべく協力していくことで一致をいたしました。
 今後、外交・安全保障、経済を含むあらゆる分野において日米間での緊密な協力を具体的に進め、日米同盟を更に強化し、地域や国際社会の平和と安定にしっかりと貢献してまいります。
 海上保安庁の体制強化及び防衛省との役割分担についてのお尋ねがありました。
 尖閣諸島周辺海域において中国公船による領海侵入が繰り返されるなど、情勢は厳しさを増しております。このため、警戒警備を第一義的に担う海上保安庁において、専従の領海警備体制を確立するなどその体制を強化するとともに、自衛隊の艦艇、航空機等による警戒監視と適切に連携させるなどして、その警戒警備に万全を期しております。
 東日本大震災からの復興に懸ける決意についてお尋ねがありました。
 復興は、安倍内閣の最重要課題の一つです。復興大臣の下に設置した住宅再建・復興まちづくりの加速化のためのタスクフォースにおいて、速やかに、防災集団移転促進事業などを含め、住宅再建、町づくりに向けた工程や目標を公表した上で、その実現及び加速化に全力で取り組んでまいります。
 このような取組を通じて、被災地で今を懸命に生きる人たちにこたえられるよう、被災自治体とともに政府一丸となって復興を加速してまいります。
 福島復興再生総局の体制についてお尋ねがありました。
 福島復興再生総局は、福島への対応を抜本強化するため、現地福島における三つの行政機関を束ねる体制として早急に整備したものであります。政府としては、福島の各行政機関が各々の責任をしっかりと果たしていくとともに、この体制の下、復興大臣の統括、指揮により、縦割りを打破し、現地の三つの機関を一体運用していきます。
 今後も、福島復興再生総局を中心に、現場が抱える個別のニーズを丁寧にお伺いしながら、様々な課題に対し、被災地の実態に合わせて即断即決することを可能とし、福島の再生を加速してまいります。
 復興事業の促進についてお尋ねがありました。
 復興事業については、現場の実情に柔軟に対応できるように、復興交付金を創設し、その運用の改善を図ってきたところであります。今後、更なる運用の柔軟化を図るとともに、関連する制度も活用して、復興庁が中心となって現場に合った支援をしてまいります。
 また、今後は、被災地向け予算については全て復興庁に一括計上することとしており、行政の縦割りを排し、復興庁を中心として現場主義で復興を加速させてまいります。
 いじめ・体罰問題についてのお尋ねがありました。
 いじめは人として決して許されないことであり、体罰は断ち切らなければならない悪弊であります。いじめや体罰を背景に子供が尊い命を絶つといった痛ましい事案は、断じて繰り返してはなりません。このため、政府としては、教育再生実行会議の提言を踏まえ、スピード感を持って、道徳教育の充実、社会全体でいじめに向き合う体制づくり、体罰として許されない行為と懲戒との区別の明確化など、いじめ・体罰問題への対策の強化や法制化につなげてまいります。
 教育委員会制度についてお尋ねがありました。
 教育再生を果たす上で、教育の政治的中立性の確保に留意しつつ、責任体制を明確にするなど、教育委員会制度の改革を行うことは不可欠であります。このため、現在、教育再生実行会議において、教育委員会制度の改革の方向性について御議論をいただいているところであり、今後、その提言を踏まえて抜本的な改革に向けた検討を進めてまいります。
 教育再生実行会議の初会合における私の挨拶の意味と、メンバーの人選についてのお尋ねがありました。
 二十一世紀の日本にふさわしい教育体制を構築し、子供たち一人一人が未来を信じ、それぞれの夢を実現できるよう教育再生を実行していくためには、従来の制度や施策にとらわれることなく、変えるべきは思い切って変えていくという姿勢が重要であります。
 御指摘の私の発言は、その意味で、大所高所から自由闊達に御審議いただきたいとの趣旨で申し上げたものであります。
 なお、会議のメンバーにはこうした議論にふさわしい方々を幅広い分野から人選したものであり、御指摘は当たらないと考えます。
 教育の無償化についてお尋ねがありました。
 教育を社会で支えることは重要であると同時に、そのための政策はより効果的に進める必要があると考えます。
 高校無償化制度については、所得制限の導入も含め、真に公助が必要な方々への制度となるよう検討してまいります。
 幼児教育の無償化については、関係府省の連携の下、子ども・子育て支援新制度との関係、財源確保の観点等を踏まえた検討を行ってまいります。
 地域自主戦略交付金の廃止についてのお尋ねがありました。
 地域自主戦略交付金については、地方から、窓口の一本化や手続の簡素化、総額の確保などの課題が指摘されていました。本交付金を廃止し、各省庁の交付金等に移行することとしたのは、これらの課題を解消するためであります。
 その際、地方六団体からの意見も聞き、交付金のメニューの大くくり化や継続事業の着実な実施に必要な総額の確保など、地方の意見を反映した施策を推進しております。政府としては、引き続き地方分権改革を進めてまいる所存であります。
 地方の一般財源総額についてお尋ねがありました。
 地方が安定的な財政運営を行うためには、地方の一般財源総額を適切に確保することが必要であります。したがって、平成二十五年度の地方財政計画においては、社会保障関係費の増加等を適切に反映して歳出を計上した上で、一般財源総額について、平成二十四年度と同水準を確保しました。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣太田昭宏君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(太田昭宏君) 海上保安庁の体制の強化についてお尋ねがございました。
 尖閣三島の取得、保有以降、尖閣諸島周辺海域では中国公船が常時徘回する事態となっております。このような状況を踏まえ、領海警備に万全を期すため、大型巡視船十四隻相当による専従体制を確立する等、早急に海上保安庁の体制を強化する必要があると考えております。
 このため、平成二十四年度補正予算及び平成二十五年度予算案におきまして、大型巡視船の新規建造、海上保安官の大幅な増員等、海上保安庁の体制強化のために必要な経費を計上しております。
 今後とも、我が国を取り巻く様々な情勢を踏まえながら、海上保安庁の体制の充実強化を図り、領海警備に万全を期してまいります。
 次に、東日本大震災からの復興事業についてお尋ねがございました。
 道路などの基幹インフラの復旧はかなり進んでいる状況にございますが、更に被災地の復興を強力に進めるためには、生活の基盤となる住宅再建や防災集団移転促進事業などによる町づくりを加速することが重要であると認識しています。
 このため、復興庁など関係省庁とも連携し、住まいの確保がいつ実現するかについて被災者の方に具体的な見通しを持っていただけるよう、住宅再建や町づくりに関する工程表を近日中に示す予定であります。また、用地取得の迅速化や人員、資材の確保など、工程表の着実な実施に向けた施策パッケージも提示します。
 これらにより、現場が直面している課題に即した対応を講じ、被災自治体それぞれの隘路を打開して事業をスピードアップすることにより復興を実感していただくことができるよう、全力で取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣下村博文君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(下村博文君) 羽田議員から二つの御質問がありました。
 最初に、いじめと体罰の対策についてお尋ねがありました。
 いじめは決して許されないことですが、どの学校でも、どの子供にも起こり得るものであります。いじめの問題については、まず、いじめは絶対に許されないとの意識を日本全体で共有し、子供を加害者にも、被害者にも、傍観者にもしない教育、これを実現することが重要だと考えます。
 いじめ問題については、先般、教育再生実行会議において第一次提言が取りまとめられました。文部科学省としては、この提言を踏まえ、スピード感を持って道徳教育の抜本的充実や教科化の検討に取り組むとともに、特にいじめ対策の法制化について、国会における検討に提言が生かされるよう、与党、議会との連携を深めてまいります。
 また、体罰については、学校教育法で禁止されており、いかなる場合にも許されるものではありません。全国的な体罰の状況を把握するため、本年一月、各教育委員会などに対して、主体的に体罰の調査を行い、文部科学省へ報告するよう求めるとともに、体罰禁止の徹底等を求める通知を発出したところでございます。
 文部科学省としては、今後、教育再生実行会議の提言を踏まえ、懲戒と体罰の区別について現場の教員が理解しやすい丁寧な説明を行うことや、部活動指導のガイドラインの策定を早急に行うなど、引き続き体罰禁止の徹底を図ってまいります。
 次に、教育の無償化のお尋ねでありますが、高校無償化制度については、限られた財源の中で真に公助が必要な方々のための制度にするため、低所得者世帯への支援の充実と公私間の教育費の格差是正の観点から、所得制限の導入も含め、平成二十六年度以降の新制度について検討してまいります。
 幼児教育の無償化については、関係府省の連携の下、所得制限の是非も含め、子ども・子育て支援新制度との関係、財源確保の観点、国、地方の役割分担などを踏まえ、検討を行ってまいります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(麻生太郎君) 地方交付税、地方公務員給与についてのお尋ねをちょうだいしました。
 今回の地方公務員給与の引下げの要請は、国、地方とも厳しい財政状況にある中、東日本大震災を契機とした防災・減災事業や地域の活性化といった地域の喫緊の課題に対処するため、当面の対応策として平成二十五年度について給与カットをお願いしたものであります。このような方針の下、地方交付税は、標準的な行政水準に基づいて、今回の要請も踏まえて算定することといたしております。
 もとより、地方公務員の給与は、地方団体が議会での議論を経て条例で定めるものであるのは御存じのとおりです。給与削減を強制するためにそのような算定を行ったわけではありません。また、民間賃金は、各企業の業績、債務や内部留保、株式配当、設備投資などの状況などによって総合的に踏まえて決定されるべきものであります。経済団体に賃金の引上げを要請していることと、今回の地方公務員給与の引下げ要請とが矛盾しているのではないかということは当たらないと考えております。(拍手)
   〔国務大臣新藤義孝君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(新藤義孝君) 羽田雄一郎議員から二点のお尋ねをいただきました。
 まず、地方公務員給与についてお答えいたします。
 今回の地方公務員給与にかかわる要請は、防災・減災事業や地域経済の活性化といった地域の喫緊の課題に対処するとともに、日本の再生に向けて国と地方が一丸となってあらゆる努力を結集しようと、こういう必要があることから、地方公共団体に対し、緊急にお願いをしたものでございます。
 民間企業の給与水準は、その企業の業績や景気の動向など様々な条件により変動するものでありまして、今回の要請が直ちに民間賃金の引下げにつながるものとは考えておりません。また、地方交付税の算定は標準的な行政水準に基づいて行うこととされております。平成二十五年度の地方公務員給与費については、今回の閣議決定に沿った水準を標準的なものとして算定したものであります。
 引き続き、地方側の理解が得られるように努めてまいりたいと存じます。
 次に、地方の一般財源総額についてでございます。
 この平成二十五年度の地方財政計画においては、社会保障関係費の増加等を適切に反映して歳出を計上した上で、地方が安定的に財政運営を行うことができるよう、一般財源総額について平成二十四年度と同水準を確保いたしました。
 各地方自治体においては、このように確保された財源を活用して、住民福祉の向上や地域の元気づくりなど、地域の実情に応じたきめ細かなサービスが提供されることを期待をしております。(拍手)
    ─────────────
#32
○副議長(山崎正昭君) 吉川沙織君。
   〔吉川沙織君登壇、拍手〕
#33
○吉川沙織君 民主党の吉川沙織です。
 私は、当選以来、国会質疑や議員立法を通じて一貫して取り組んでまいりました、雇用、地方行財政、消防防災を中心に、会派を代表して、総理並びに関係大臣に対し、質問いたします。
 一匹の妖怪が日本を徘回している、アベノミクスという妖怪が。果たしてその実態はいかなるものでしょうか。
 アベノミクスは、日本経済の復活につながる新たな経済学なのでしょうか、それとも、円安誘導のための金融緩和と公共事業ばらまきのよみがえりでしょうか。はたまた、かつてのバブル経済という悪夢の再来となるのでしょうか。アベノミクスによって、我が国財政の健全化どころか、国民全員が財政の崖を真っ逆さまでは元も子もありません。
 アベノミクスとはどのような経済政策なのか、これにより日本経済社会はどうなるのか、また、財政健全化に悪影響はないのか、その基本的考え方と将来展望を総理に伺います。
 バブル経済の崩壊後、一九九〇年代以降の長期的な経済停滞と成長期待の終えん、それを受けた様々な構造改革こそ、現在の雇用問題の根源です。そして、その後の世界同時不況を受け、我が国の雇用環境は急速に悪化し、国民は人間らしい仕事に従事できない、そんな状況に追い込まれてしまいました。
 一九四四年のILO宣言では、労働は商品ではないとされています。しかしながら、一連の新自由主義に基づく各種構造改革によって、労働も商品の一つのように取り扱われました。これに不況が重なり、国民は劣悪な雇用環境にさらされるとともに、日本社会に多くの不合理な格差がもたらされました。
 総理及び厚生労働大臣は、これまでの構造改革をどう評価されているのか、また、現在の雇用情勢をどのように受け止めておられるのか、伺います。さらに、アベノミクスは、果たして雇用拡大につながるのか、単なる一部富裕層の消費と資産拡大、あるいは大部分の国民生活を疲弊させる物価上昇につながるだけで、社会に蔓延する不合理な格差の解消につながらないのではないか、併せて総理に伺います。
 規制改革一辺倒の小泉構造改革によって、雇用制度を始め労働環境は粉々に破壊されました。そして、当時のブレーンが、安倍政権を支えるべく政府関係会議に復活しています。
 総理は、小泉・安倍政権での政策を更に推し進めるのでしょうか。これからの日本の雇用制度、労働環境をどうなさるつもりなのでしょうか、総理の基本的見解をお尋ねします。
 特に、雇用労働問題は、二十代から三十代の若年層に凝縮して現れています。私自身、当時の政府の経済政策の失敗から、多くの企業が採用の門戸を大幅に狭める中、十五年前、就職氷河期真っただ中に就職活動をしました。しかし、当時、これが構造的問題にもかかわらず、政治から置き去りにされてしまいました。その結果、同世代の多くが非正規という働き方を余儀なくされ、さらに、職業能力向上の機会に恵まれないまま、現在、三十代半ばを迎えています。
 若い世代が不安定な雇用にとどめ置かれているこんな現状は、社会保障制度持続性の観点からも大きな問題であり、日本の社会経済に甚大な悪影響を及ぼす端緒が顕在化しています。そこで、新卒者のみならず、前回の就職氷河期に当時の政権が政治の光を当てなかった三十五歳以上を中心とした施策が不可欠です。さきの補正予算で三十五歳未満を対象とする基金事業は追加されたようですが、三十五歳以上の対策が手薄になっている感は否めません。厚生労働大臣はどのような抜本的施策を考えておられるのか、お伺いします。
 雇用対策は喫緊の課題であり、対策を検討する場合、地域の視点が極めて重要です。地域の様々な特性に応じて雇用問題は異なっているからです。各地域が実施している雇用対策は多様であり、国レベルの一律的なものより、地域の実情を反映した施策が望ましいのです。総理及び厚生労働大臣としては、今後、地域の雇用対策にどう取り組んでいくのか、地域の視点も生かした雇用対策をどう考えておられるのか、お伺いします。
 国民は人間破壊とまで言われる雇用環境に置かれており、勤労の権利を定める憲法第二十七条や労働基本権を定める憲法第二十八条はないがしろにされています。これら国民が人間らしく働き生きる権利が脅かされ、憲法の保障する生存権は危機的状況にあります。その中で、総理は、これら生存権保障を含む日本国憲法の改正の検討を進める考えを示しておられます。生存権保障を規定した現行憲法に対する総理の基本的考えを伺います。
 また、一方、現行憲法第九十九条は、閣僚などの憲法遵守義務を定めています。閣僚は、内心の自由を持ちつつも、公務に当たっては現行憲法を遵守する必要があります。ところが、報道では特に取り上げられておりませんが、総務大臣は、一月十一日の閣議後記者会見の発言で、「シンプルに言うと、主権というのは国家にあると思っています」と話しておられます。その後、先日の総務委員会において、大臣の主権に対する考え方について水を向けられ、国民に主権がある、国と国との関係においては国家主権というものが存在すると過日の発言を取り繕っておられます。
 しかし、このシンプルに発した言葉こそが本音なのではないでしょうか。主権が国民にあるというのは当然のことわりです。現行憲法を踏まえて公務に従事される以上、憲法遵守義務についていささかの疑念を持たれることがあってはなりません。内閣の長たる総理の見解を伺います。
 次に、地方行財政問題について伺います。
 政府は、財務省のかいらいである財政制度等審議会に世論を誘導させ、財務省の意向に沿った地方財政改革をもくろんでいます。また、その逆に、財政審の平成二十五年度予算編成に向けた考え方では、算出根拠を伴わない歳出特別枠の地方財政計画への計上を批判させておきながら、国から中央集権的に地方公務員給与を削減させ、その削減額に見合った事業費に合わせて、歳出に特別枠を設定しています。
 これでは、単に弱い自治体いじめではありませんか。自治体の財政事情は千差万別です。国家公務員の給与減額支給措置に準じて地方公務員の給与削減を求めるとともに、それを反映して地方交付税を強制的に削減した場合、財政力の弱い団体ほど、その影響を大きく受けることになります。また、今の政権は、地域経済の再生なくして日本経済の再生なしと、国と地方の共通認識をお持ちなのではありませんか。その点からも極めて遺憾な問題です。総理、そして総務大臣も経験された財務大臣の見解を伺います。
 地方の自主性、自立性を最優先として地方を重視した施策を進めることは重要です。国が地方公務員の給与削減を強制することは、地方自治の根幹にかかわる重大な問題です。ましてや、地方交付税を国の政策目的実現のための手段として用いることは、地方の固有財源という地方交付税の性格を否定するものであり、断じて行うべきではありません。総理及び総務大臣の見解を伺います。
 次に、安倍政権での地方分権についてお伺いします。
 かつての地方分権改革推進委員会の第二次勧告では、国の出先機関の改革方針を具体かつ明確に示し、それに基づいて国家公務員の三万五千人削減を勧告しておられます。この方針はまた復活するということでしょうか。国の出先機関については廃止などの抜本的改革を行い、国家公務員についても地方並みに大規模な定数削減を断行するのでしょうか。委員会を設置した当時の総理でもある安倍総理と、同勧告を受け取った当時の総理である財務大臣、そして現在の総務大臣にそれぞれ見解を伺います。
 地方財政は、国の財政ルールに強く縛られながら、日本国民が日本中どこに住んでも同一水準の行政サービスが受けられるよう、自治体は日々努力しています。
 ところが、先ほどの財政制度等審議会の考え方によれば、「今のまま国による地方歳出の財源保障を続けることは難しく、地方交付税の財源保障機能を縮小・限定するとともに、各地方団体が地域住民と向き合って自主的な財源調達を行うことが求められるようになると考えられる。」とされています。
 そこで、かつて地方の味方であった財務大臣と、現在地方の味方であるはずの総務大臣の双方に伺います。現在、地方財源不足の補填に関しては、国、地方の折半ルールが採用されています。このルールは二〇一三年度までのはずです。翌年度以降は国に配慮した別のルールが検討されるのでしょうか。
 また、同じく財政審の考え方によれば、これも現在、当分の間の措置とされている地方法人特別税・譲与税について、自治体間の水平的な財政調整を行う財政調整目的税として恒久化するのも将来の選択肢であると読めるくだりがあります。これは、現在の地方交付税の財源保障機能と財源調整機能を無理やり切り離し、財源保障機能について国の責任を放棄し、財政調整目的税で代替させようというのではありませんか。地方法人特別税・譲与税は税の抜本的改革までの当分の措置とされ、未解決の問題です。
 財務大臣及び総務大臣は、地方交付税の機能の在り方、地方法人特別税・譲与税の取扱いについてどのような見解をお持ちなのか、伺います。
 そもそも、真の分権型社会の実現に向け、自治体の自主的かつ自立的な行財政運営を可能とする歳入構造を構築するためには、国と地方の役割分担を抜本的に見直し、地方が担う事務と責任に見合った税源配分とすることが必要です。
 ところが、政府は、国、地方の役割分担に関する根本的見直しを不問に付したまま、ひたすら地方交付税の削減を目指しています。このような姿勢は、地方分権改革に逆行するのではありませんか。総理及び総務大臣の見解を伺います。
 最後に、消防防災について伺います。
 私は、当選以来、一貫して消防防災行政の充実強化を訴え続けてまいりました。防災、減災の中でも、特に社会資本整備などのハード事業と、自治体におけるBCP、いわゆる業務継続計画、避難勧告基準やハザードマップの策定、避難訓練の実施、防災教育の充実などのソフト事業とを両輪で進めることの重要性を指摘してまいりました。
 昨年九月に政府の防災基本計画が修正され、その基本方針にハード、ソフト両面からの強化によってこそ真の防災、減災が可能となるとの考え方が盛り込まれ、政府の基本方針となりました。
 しかし、日本経済再生に向けた緊急経済対策などから見て取れる今の内閣の防災対策は、国土強靱化をうたい、インフラの再構築、整備が強調されており、土建国家日本をほうふつとさせる、まさにコンクリート中心の防災対策と言わざるを得ません。ハードとソフトの両面が相まってこそ、真の防災が実現するのです。
 総理は、ソフト面の防災対策についていかがお考えなのか、また、二〇一三年度政府予算案では具体的にどのような対応をされているのか、伺います。
 また、消防防災施策を充実させるためには、政府が一体となって取り組むための体制整備が必要です。去る二月八日には、長崎市の福祉施設で痛ましい火災事故が発生いたしました。これまでも、重大火災事故が発生するたびに、スプリンクラーの設置基準見直しや設置のための補助金の拡充等が行われてきました。それにもかかわらず、再び悲惨な事故が発生したのです。
 まず、事故原因と今後の抜本的対応策についてお伺いします。あわせて、今回の火災を受けて、この際、全福祉施設にスプリンクラー設置を義務付けることとし、そのための設置費用に対する補助金も拡充すべきと考えますが、総理の考えはいかがでしょうか。
 現在、福祉施設の防火対策については、厚生労働省所管の施設の設置・運営基準、国土交通省所管の建築基準法に基づく基準、総務省消防庁所管の消防法令に基づく基準など、様々な基準があります。しかし、厚労省、国交省、総務省が場当たり的に対策を講じているのが実態であり、総合的視点に欠けた対策となっているのではないでしょうか。
 自治体に対しては、関係省庁から対応する担当部局にそれぞれ指導、通達が出されており、自治体の各部局がせっかく調査等を行っても、所管以外の法令違反については見逃してしまっているという事実があります。まさに中央縦割りの弊害が象徴的に現れています。
 今回の事故を教訓として、三省の対策に横串を刺す形での法令等の整備、組織の新設、情報の共有など、総合的な対策の構築に向けて、省庁間の縦割りを打破し、政府一体となって速やかに取り組む必要があると考えますが、総理の見解を伺います。
 そして、消防防災行政面の財源措置では、その充実と透明化が重要です。
 消防費の財源内訳はほとんどが一般財源で賄われており、市町村の普通交付税は今後更に減少していくことが予想されます。また、消防に関する個別補助金も三位一体の改革を契機として削減されてしまい、大災害が発生して、ようやく抜本的検討がなされる状況です。
 東日本大震災などの大規模災害を始め各種災害が頻発する中で、予防防災の観点からも、地方交付税の算定方法も再検討するとともに、消防関連補助金の充実が必要と考えます。また、消防を含めた防災関連予算の透明化を図るため、統一性、総覧性に配慮しつつ、消防予算を含めた政府全体の防災関連予算を示すべきであると考えますが、総理、財務大臣及び総務大臣の見解を伺います。
 消防防災に関連し、国民の安全確保の観点からは、昨年の予算委員会でも取り上げましたとおり、サイバー攻撃等への対策は重要です。そして、サイバー空間対策においても、消防防災行政と同様に、高度なセキュリティー技術の開発やそれに対応した人材育成、国民への啓発などソフト対策や、官民一体となった緊密な連携などの実施が非常に重要です。総理の考え方はいかがでしょうか。
 総理は、本年夏までに新たな情報セキュリティー戦略を策定するよう指示するとともに、今国会では内閣情報通信政策監を設置する法案の審議が予定されています。ICTをめぐる環境が激変する中、迅速な対応が不可欠です。例えば、防災行政無線のデジタル化については、自治体財政が厳しくなかなか進んでいないことから、五年前、私はこの本会議で電波利用料を新たな財源とすることを提案しましたが、そのための電波法改正案は今国会にやっと提出予定です。
 情報セキュリティ政策会議の構成員に現在は構成員ではない外務大臣を追加するなどの体制整備や、民間を含めた情報の共有化、国民への啓発等は即刻実行すべきと考えますが、総理の見解をお尋ねします。
 最後になりますが、私は、六年前、被選挙権を得たばかりの三十歳で本院に議席を預かりました。就職氷河期の中、必死で就職活動をしたのが一九九八年、会社員として社会に出たのが一九九九年、バブル経済は既に崩壊した後のことでした。つまり、私は、右肩上がりの日本社会や経済を知らない世代であり、多くの借金を背負わされる世代でもあります。でも、その借金は、これまでの政権が積み重ねてきた効果の乏しい景気対策、需要予測を下回る道路や空港の乱造が膨大な財政赤字を積み重ねてきたのです。
 先日の衆議院予算委員会で、総理は政治は結果だと答弁されたようですが、若い世代を中心に格差は確実に広がり、日本に格差が固定化しつつある現状、これこそがこれまでの政治の結果ではないでしょうか。だからこそ、我が国は、いつか来た道をたどってはいけないと強く感じています。
 全ての世代が明日に夢や希望を持てるよう、雇用環境の抜本的改善を図ることを始め、地域の自主性、自立性を尊重した地域経済の再生を日本経済の再生につなげること、国民の生命、身体を守るため消防防災対策を増強することを政府に強く求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#34
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 吉川沙織議員にお答えをいたします。
 安倍政権の経済政策についてお尋ねがありました。
 私の内閣では、長引くデフレから脱却するため、これまでとは次元の違う大胆な政策パッケージとして、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢で経済再生を推し進めていきます。これにより、企業の収益機会を増やし、雇用や所得の拡大を実現することで、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていきます。
 また、強い経済の再生なくして、財政の再建も日本の将来もありません。持続的な経済成長の実現を図りながら、財政健全化目標の実現に向けて取り組んでまいります。
 これまでの構造改革、現在の雇用情勢についてお尋ねがありました。
 これまでの自民党政権においては、経済産業構造の変化に応じて必要な改革を行ってきました。第一次安倍内閣においても、パートタイム労働者の処遇改善や最低賃金の引上げに向けた取組を行うなど、頑張る人が報われる社会の実現のため、各種の取組を行ってきました。
 現在の雇用情勢については、完全失業率や有効求人倍率が改善するなど、緩やかに持ち直しているものの、依然として厳しい状況にあると認識しています。政府としては、成長戦略などにより経済の再生を図り、雇用情勢の改善に取り組んでまいります。
 安倍政権の経済政策についてお尋ねがありました。
 大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を同時に射込むことにより、企業の収益機会を増やし、雇用や所得の拡大を実現することで、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていきます。
 この過程で、特に企業の収益力向上の成果が適切に労働者にも分配されることが重要であり、私から、可能な限り報酬の引上げを行ってほしいと産業界に直接要請をしました。既に、この方針に御賛同いただき、従業員の報酬引上げを宣言する企業も次々と現れてきております。
 また、格差を固定してはならないのは当然のことであります。政府として、頑張る人が報われるという社会の信頼の基盤を確かなものとするとともに、自助自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人にはしっかりと援助の手を差し伸べてまいります。
 これからの日本の雇用制度、労働環境についてお尋ねがありました。
 働く意欲のある人たちに仕事をつくり、頑張る人たちの手取りを増やし、頑張る人が報われる社会、何度でもチャレンジできる社会をつくり上げたいと考えております。このため、政府としては、若者、女性、高齢者、障害者など、個々の事情に応じたきめ細かな就労支援を行い、活躍できる機会をつくります。また、誰もが安心して健康に働くことができる労働環境の整備にしっかりと取り組んでいきます。
 地域の実情に応じた雇用対策についてお尋ねがありました。
 地域で効果的に雇用を生み出すために、地域の実情に応じた雇用対策を講じることが不可欠であります。このため、地域ごとの雇用や産業構造の特性を踏まえた取組を支援しているところですが、さらに、地域の産業構造の転換等に資するような取組にも支援を広げることとしております。働く意欲のある人たちに仕事をつくることと併せて、魅力あふれる地域づくりを進めていきます。
 憲法に対する基本的見解についてお尋ねがありました。
 自由民主党は、結党以来、憲法改正を主張しており、昨年四月には憲法改正草案を発表し、党として、二十一世紀にふさわしいあるべき憲法の姿を示しています。
 新しい時代にふさわしい憲法の在り方については国民的な議論が深まることを強く期待しておりますが、もとより、憲法が認める生存権は当然に保障されるべき基本的人権であると考えております。
 閣僚の憲法遵守義務についてお尋ねがありました。
 憲法第九十九条は、国務大臣などの公務員は、憲法の規定を遵守するとともに、その完全な実施に努力しなければならない旨を定めたものであり、安倍内閣においても、当然、憲法を厳に遵守してまいります。
 地方公務員給与の削減についてお尋ねがありました。
 地方公務員給与の削減については、防災・減災事業や地域経済の活性化といった地域の喫緊の課題に対処するため、国に準じた取組を要請しているものであり、自治体いじめである、あるいは経済の再生の観点から問題であるとの御指摘は当たりません。
 また、地方公務員の給与は各地方公共団体が議会での議論を経て条例で定めるものであり、地方交付税はあくまで標準的な行政水準に基づいて算定を行うものであることから、今回の措置が地方自治の観点から問題があるとは考えておりませんが、引き続き地方の理解が得られるよう努めてまいります。
 国の出先機関の改革方針についてお尋ねがありました。
 国の出先機関に関しては、これまでも地方への事務権限の移譲等必要な取組を行ってきたところでありますが、今後、御指摘の地方分権改革推進委員会第二次勧告を含むこれまでの経緯や地方の声等も踏まえ、その在り方を検討してまいります。
 地方交付税の削減についてお尋ねがありました。
 平成二十五年度の地方財政計画において、地方が安定的な財政運営を行えるよう、社会保障関係費の増加等を適切に反映して歳出を計上した上で、地方交付税を含む一般財源総額について平成二十四年度と同水準を確保しました。今後とも、地方の安定的な財政運営を確保しつつ、引き続き地方分権改革を進めてまいります。
 ソフト面での防災対策についてお尋ねがありました。
 災害から国民の生命と財産を守るためには、災害に強い強靱な国づくりをソフト、ハード両面から進めることが極めて重要と考えています。平成二十五年度予算においては、ソフト面の防災対策として、学校における防災教育の充実、地域の防災を担う人材の育成等を盛り込んだところでありますが、引き続き、ハード、ソフト両面にわたる防災対策に全力で取り組んでいきます。
 福祉施設における防火対策についてのお尋ねがありました。
 お尋ねの長崎市のグループホーム火災については、火災発生後、政府からも速やかに現地に職員を派遣するなどして火災原因調査を進めております。同時に、全国の社会福祉施設におけるスプリンクラー設備の設置状況等、防火対策の実態調査を行っているところであります。今後、二度とこうした痛ましい事故が起きないよう、スプリンクラー設備の設置基準や設置に係る支援措置等を含めた総合的な防火対策について、各省庁が緊密に連携し、必要な取組を検討するなど、政府一体となって防火対策に関する施策を進めてまいります。
 消防防災への財政措置についてお尋ねがありました。
 大規模災害に備えた消防防災の強化は非常に重要な課題です。平成二十五年度は、災害に強い町づくりを支援するための緊急防災・減災事業費を地方財政措置するほか、消防防災関連補助金を充実させることといたしました。消防を含めた政府全体の防災関係予算については、毎年度、内閣において概要を取りまとめ、公表しております。今後とも、必要な事業が着実に推進されるよう取り組んでまいります。
 サイバー攻撃への対応についてお尋ねがありました。
 サイバー攻撃への対応は、国家の安全保障、危機管理上極めて重要な課題であり、今後、取組を強化する必要があると認識しています。このため、先般、私から新たな情報セキュリティー戦略の策定を指示いたしました。御指摘も参考にしながら、対策を強力に推進してまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(田村憲久君) 吉川議員からは三問ほど御質問をいただきました。
 まずは、これまでの構造改革の評価と現在の雇用情勢についてのお尋ねでございますが、従前の自民党政権においては、経済産業構造の変化に応じて必要な労働分野の改革を行ってまいったところであります。そうした改革に当たっては、労働者の労働条件の確保や雇用の安定と密接にかかわるものであることから、労働問題の当事者である労使が十分に議論を尽くして結論を取りまとめてまいりました。
 現在の雇用情勢については、平成二十五年一月の完全失業率や有効求人倍率、これが前月より改善しており、緩やかに持ち直しているものと思っておりますが、依然として厳しい状況にあると認識をいたしております。
 現在実施している雇用対策に加え、先日成立した平成二十四年度補正予算に盛り込んだ雇用対策を的確に実施してまいります。また、平成二十五年度予算案に必要な雇用対策を計上しており、厳しい雇用情勢の改善に全力で取り組んでいく所存でございます。
 続きまして、三十五歳以上を中心とした方々に対する雇用対策についてお尋ねがございました。
 就職活動の時期が新卒採用の特に厳しい時期に当たり、正社員として就職できなかった方々の正規雇用化は大変重要だと存じております。このため、三十五歳以上の求職者も含め、正規雇用を目指す方々が安定した職業に就くことができるよう、わかものハローワークなどの支援拠点を中心に、トライアル雇用の活用を通じて、正規雇用に向けて支援を全力で行ってまいりたいというふうに思っております。
 それから、これが最後でございますが、地域の実情に応じた雇用対策についてのお尋ねがございました。
 地域で効果的に雇用を生み出していくためには、地域ごとに異なる雇用や産業構造の特性を踏まえながら、地域のニーズや実情に応じて雇用対策を実施していくことが非常に重要であると考えております。
 現在、地域雇用開発促進法に基づき、市町村レベルの地域の関係者が創意工夫を凝らし、地域の産業振興策と一体となって実施する人材育成や雇用創出の取組を支援する実践型地域雇用創造事業、また、離職を余儀なくされた方の雇用機会を創出するため、自治体が地域の実情に応じて様々な事業を実施する雇用創出基金事業など、これらによりまして地域の実情に応じた雇用対策を実施しているところであります。
 さらに、来年度予算案では、都道府県レベルの地域の関係者が、その提案により地域の産業政策と一体となって実施する人材の確保、育成を通じた質の高い雇用創造の取組を支援する戦略産業雇用創造プロジェクトを新たに盛り込んだところであります。
 いずれにいたしましても、このような事業を着実に実施してまいりまして、地域の実情に応じた雇用対策に取り組んでまいりたいと思っております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(麻生太郎君) 地方交付税、地方公務員給与についてのお尋ねがありました。
 今回の地方公務員給与の引下げ要請は、国、地方とも厳しい財政状況にある中、東日本大震災を契機とした防災並びに減災事業や地域の活性化といった地域の喫緊な課題に対処するため、当面の対応策として二十五年度について給与カットをお願いしたところであります。
 また、地方交付税は標準的な行政標準に基づいて算定を行うものでありまして、今回の要請も踏まえて算定することといたしております。もとより、地方公務員の給与は各地方団体が議会の議論を経て条例で定めるものでありまして、給与削減の手段としてそのような算定を行ったわけではありません。その上で、地方財政計画におきましては給与削減分をこうした地域の課題に充てることとしており、自治体いじめであるとか、あるいは経済再生の観点から問題であるとの御指摘は当たらないと存じます。
 国の出先機関改革の方針についてのお尋ねもありました。
 平成二十年十二月の地方分権改革推進委員会第二次勧告において、御指摘の国家公務員削減を含む出先機関の改革方針が示されたことは承知をいたしております。国の出先機関に関しましては、これまでの経緯や地方の声を踏まえて、地方分権改革担当大臣を中心にその在り方について検討されているものと承知をいたしております。
 地方財源不足の補填の在り方についてのお尋ねもありました。
 国と地方は公経済、公の経済を支える車の両輪であることを踏まえれば、これは、地方の財源不足につきましては国のみが全額責任を負うのは適切ではないと存じます。このため、国と地方の両者が責任を持つなどの観点から、地方の財源不足につきましては、国が赤字公債の発行により調達した資金で行う地方交付税の特例加算と、地方の借金である臨時財政対策債の発行により、国と地方が半分ずつ補填しているものであります。
 平成二十六年度以降につきましては、これまでの考え方や国の極めて厳しい財政状況、地方の財源不足の状況などを踏まえつつ、国と地方が互いに協力をして財政健全化の取組を進めていくとの観点から、総合的に検討してまいりたいと考えております。
 地方交付税の機能の在り方、地方法人特別税・譲与税についてのお尋ねもありました。
 地方税収につきましては、地域間に御存じのように大きな格差がある中にあって、地方が安定的な財政運営を行うに当たりましては、地方法人課税の在り方を見直すなどによる財源の偏在性の是正を含む地方税の充実や、また、地方交付税の財政調整機能、財源保障機能がバランス良く組み合わされるということが重要と考えております。
 地方法人特別税・譲与税の見直しに関する具体的な方策につきましては、現在、総務省の地方財政審議会において議論されていると承知をいたしております。当然、財政制度審議会で示された観点なども含めまして、総務省とよく相談をいたしながら、財政抜本改革法で示された方針に沿って検討してまいりたいと考えております。
 最後になりましたが、防災関係予算の透明化についてのお尋ねがありました。
 総理から先ほど御答弁がありましたとおり、毎年度の防災関係予算につきましては、科学技術の研究とか災害予防などの分野ごと、消防庁を含みます各省庁ごとに区分した上で内閣府に公表しておるのは御存じのとおりでありまして、ちなみに、二十一府省庁で総額にいたしますと、消防庁だけですと九十九億九千八百万円でありますけれども、全二十一府省庁を足しますと三兆六千七百八十億円になろうかと存じます。
 したがいまして、日本として災害が頻発する、そういった土地柄、全ての災害もうみんなあると言っていいぐらいこの国はいろいろ、津波を含めて全てあります、そういった国でありますので、この防災対策は極めて重要であると私どもも認識しておりまして、引き続き、真に必要な事業を着実に推進をしてまいりたいと思って、明細につきましては総務省の資料が一番適当かと存じます。(拍手)
   〔国務大臣新藤義孝君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(新藤義孝君) 吉川沙織議員から、様々な御指摘とともに六点のお尋ねをいただきました。
 まず、地方交付税についてのお答えであります。
 地方交付税の算定は標準的な行政水準に基づいて行うこととしております。今回、政府といたしましては、地方公共団体に対して国家公務員の給与減額支給措置に準じた措置を講ずるよう要請する閣議決定を行ったわけであります。このため、平成二十五年度の地方交付税における地方公務員給与費については、この閣議決定に沿った水準を標準的なものとして算定を行うこととしており、地方交付税を給与削減の手段として用いるものではございません。
 このようなことから、今回の措置は、地方の固有財源という地方交付税の性格を否定するものとは考えておりません。
 次に、国の出先機関の改革方針についてのお答えをいたします。
 平成二十年十二月の地方分権改革推進委員会第二次勧告において、出先機関の事務権限の見直し、組織の見直しや、御指摘の国家公務員を削減することを含む出先機関の改革方針が示されたことは承知をしております。
 国の出先機関に関しては、今後、地方への事務権限の移譲について、これまでの経緯等を踏まえ、地方の声もお伺いしながら、行政サービスが向上するか、あるいは国と地方両方の機能強化につながるか、そういった観点を大切にしながら十分な検討を行った上で必要な取組を進めてまいりたいと思っております。
 次に、地方の財源不足の補填についてのお尋ねであります。
 地方の財源不足については、国と地方が折半して補填することを基本としております。国は一般会計からの地方交付税の特例加算、そして地方は臨時財政対策債の発行により対応してきており、現行法においては平成二十五年度までの特例措置となっております。
 平成二十六年度以降に財源不足が生じた場合の補填方法については改めて検討することになりますが、いずれにしても、地方公共団体が自主的、主体的に行政サービスを提供できるよう、地方財源の安定的な確保について適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、地方交付税の機能の在り方と地方法人特別税・譲与税の取扱いについてお尋ねがありました。
 地方交付税は、財源保障機能とそして財源調整機能という二つの重要な役割を担っております。今後ともこれらの機能を堅持していくことが必要であり、このため、御指摘の財政調整目的税で代替させることは考えておりません。
 地方法人特別税・譲与税については、税制抜本改革法に基づき、今回の改革に併せて抜本的に見直しをします。あわせて、地方法人課税の在り方を見直すことにより、地域間の税源偏在の是正策を講じるため、国、地方の税制全体を通じた幅広い検討を行ってまいりたいと思います。
 続きまして、地方交付税の削減についてのお尋ねでございます。
 平成二十五年度の地方財政計画においては、社会保障関係費の増加等を適切に反映をして歳出を計上した上で、地方が安定的に財政運営を行うことができるように、地方交付税を含む一般財源総額について、平成二十四年度と同水準を確保しております。
 なお、平成二十五年度の地方交付税が前年度に比べ減となっているのは、一般財源総額について前年度と同水準を確保する中にあって、地方税等が増となっております。これによるものでありまして、地方交付税の削減を目指しているものではございません。
 今後とも、地方の安定的な財政運営を確保しつつ、引き続き地方分権改革を進めてまいりたいと存じます。
 最後に、消防防災に係る財政措置についてお尋ねがございました。
 消防防災に係る地方交付税措置については、通常の措置に加え、平成二十五年度は、耐震化等の災害に強い町づくり、そして地域の防災力の強化などの地方単独事業についても支援するために緊急防災・減災事業費を確保しております。また、消防防災施設や緊急消防援助隊の車両等の整備に係る補助金につきましては、平成二十五年度当初予算及び平成二十四年度補正予算を合わせて百六十二億円を確保し、平成二十四年度の当初予算五十六億円から大幅に充実をさせていただいております。
 また、毎年度の防災関連予算については、科学技術研究や災害予防等の分野ごと、消防庁を含む省庁ごとに区分した上で、内閣府において公表をさせていただいております。
 今後とも、国民の命を守る消防防災体制の強化を図るため、消防関連補助金を含めた消防防災に係る財政措置の充実に努めてまいりたいと思います。(拍手)
    ─────────────
#38
○副議長(山崎正昭君) 森ゆうこ君。
   〔森ゆうこ君登壇、拍手〕
#39
○森ゆうこ君 生活の党の森ゆうこでございます。
 私は、生活の党を代表して、生活者の視点で質問いたします。
 今冬の豪雪災害でお亡くなりになられた方々に、心からお悔やみを申し上げます。地元新潟県を歩いていると、深刻な高齢化が豪雪地帯の生活をますます厳しくしていると痛感します。総理は、新たな豪雪対策について、いかがお考えでしょうか。
 また、急激な円安による灯油やガソリンなどの値上げが特に雪国の暮らしを直撃しています。先ほど来の答弁では何の具体策も示されていません。もっと具体的な円安対策をお聞かせください。
 間もなく東日本大震災から二年になります。中越大震災や中越沖地震の経験から言えることは、人々の生活再建が進まなければ地域は復興しないということです。中越沖地震の後、個人財産の形成に税金は使えないという財務省の大反対を押し切って、被災者生活再建支援法を改正し、遡及適用したことが復興を大きく後押ししました。総理、津波被災地域の高台移転等を加速するために、財務省をねじ伏せて、個人の住宅再建を更に支援するお考えはありませんか。
 子供たちを放射能から守る、この大切なフレーズはどこへ行ったのでしょうか。原発事故子ども・被災者支援法の大きな目的の一つは、低線量汚染地域の子供たちに移住や疎開をする権利を認めることです。総理、チェルノブイリ事故後のソ連政府のように、移住権を認め、支援するつもりはありませんか。
 放射能対策は最優先の課題です。原発サイトの汚染水問題や各地の放射性汚泥など、一時的な管理は限界に達しつつあります。新しい技術も活用し、これまでにない発想で早急に対応すべきです。あわせて、放射能で汚染されたものを拡散する政策は世界の常識に反するものであると考えますが、総理の御所見を伺います。
 例えば、新しい技術の中に、下村文部科学大臣も御関心のあるナノ純銀によるセシウム低減技術があります。二月六日、放射線関係の研究会で、半減期を著しく短縮させる減弱効果があったとの検証測定結果が報告されました。まずは、しかるべき機関に実情を調査研究させるべきと考えますが、下村大臣、いかがですか。
 世界のエネルギー産業が目指す方向は、福島原発事故後、一変しました。
 再生可能エネルギーの分野は、今後の成長産業、希望であると総理自身が所信表明でも述べられました。日本は、太陽光、風力、地熱、潮力、バイオマスなど再生可能エネルギーのポテンシャルと、本格的に試掘が始まった油田、ガス田、メタンハイドレート等を見れば、全てのエネルギー需要を賄って余りある資源大国になる可能性を秘めていると政府の様々な試算で確認できます。
 安倍総理、世界一を目指していこうではありませんか。この世界中の国と企業がこれから覇権を争う再生可能エネルギーの分野こそ、再生医療などと並んで日本の技術力と人材を集中して胸を張って世界に貢献できる分野です。再生可能エネルギー世界一を国の目標に掲げて、最終的にはエネルギー自給国家を目指そうではないですか。いかがですか。これは、エネルギー安全保障の観点からも国策として極めて重要だと考えますが、総理のお考えを伺います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 今後の国際的な競争を考えれば、十年後の脱原発を決めて既に動き始めたドイツなどに対して、原発は安全を確認して再稼働して、徐々に依存度を減らせばいいなどという安倍総理のお考えで勝てますか。到底太刀打ちできないでしょう。
 まずは、脱原発の基本方針を決めて、国の責任で廃炉にする。廃炉に係る電力会社の損失処理等にも配慮した諸施策を実施し、電力会社は、国から得た資金で二酸化炭素ガス排出量の多い古い火力を、エネルギー効率が良く排出量の少ない天然ガスコンバインドサイクル等に置き換えたり、再生可能エネルギーに投資する。そのことで、原発以上に多くの雇用が地域に生まれる。一定期間は原発立地地域に優先的に再生可能エネルギー関連施設を造るなど、地域の再生支援策を法律で決めればいい。どうですか、安倍総理はまだ原発ゼロに踏み出す勇気をお持ちではありませんか。
 生活の党は、TPPに反対です。TPPは自由貿易協定ではありません。農業だけではなく、医療、保険、知的財産など、我が国のあらゆる制度や法律などが自由な経済活動の妨げになると加盟国の企業に訴えられれば、変更を余儀なくされる可能性があります。
 田村厚生労働大臣は、アメリカ通商部のカトラー代表補はそれぞれの国の医療保険制度に注文を付けることはないとはっきりと言っていたと講演で述べられたそうですが、それではなぜ日米共同声明にそのことが明記されなかったのでしょうか。また、海外の保険会社から日本の国民皆保険によって商売が邪魔されたと訴えられたとしても、日本の保険会社も同じ条件にあり大丈夫だろうというのが厚生労働省の判断だ、医療はそれほど大きな問題にならないと大臣は述べられておりますが、TPPに加盟すれば、規制の必要性を立証する責任が生じ、立証できなければ開放の追加措置があると言われています。なぜ大丈夫だろうなどとのんきなことが言えるんでしょうか。総理、こんなことで本当に国益を守れるんですか。
 私は、稲田朋美大臣の正論に賛同します。いわく、日本はもうけたもの勝ち、何でもありを是正し、カジノ資本主義を正す責務がある、TPP参加はそういう役割を自ら放棄することになる、なぜなら、TPPは米国の基準を日本が受け入れ、日本における米国の利益を守ることにつながるからだ、それは、日本が日本でなくなること、日本が目指すべき理想を放棄することにほかならない、TPPバスの終着駅は日本文明の墓場なのだ、まさしく正論であります。
 総理、衆院選挙の公約を守って、TPP交渉に参加しないことをここで表明していただけませんか。
 税と社会保障制度一体改革について伺います。
 持続可能な安心、そして信頼できる社会保障制度をまず先に示すことが消費税増税の大前提だったはずです。年金、医療、介護の改革は一体どうなったのでしょうか。
 私たちは、かたくなに消費税率を上げることに反対の立場ではありません。まず、社会保障制度のビジョンを示し、歳入庁を設置してマイナンバーで所得や資産を捕捉し、その上で全ての人に公正公平な課税や保険料徴収が行われることを担保することが必要だという立場です。
 社会保障国民会議に報告された民主、自民、公明三党実務者協議の議事録を見ると、歳入庁を議題にすることさえも反対している党があります。歳入庁の設置とマイナンバーの導入、そして社会保障制度の抜本改革は三点セットと考えますが、総理のお考えを伺います。
 まず消費税を上げて、それを何に使うのかは後から議論しようと言うから、それはおかしい、順序が違うということもあって反対しました。本当に消費税の増額分を社会保障の充実に回す仕組みができるんですか。
 実務者の議事録を見ると、どこの政党かは分かりませんが、年金制度の抜本改革は必要ないと主張されている党があり、抜本改革を主張する政党とは三党合意の内容の解釈に違いが出ているようです。総理も、年金制度の抜本改革は必要ないとの立場ですか。それなら、消費税を単に引き上げるだけではないでしょうか。いかがですか。
 消費税には幾つかの欠陥があります。価格転嫁しにくい内税にしたことはもちろん、何よりも大きいのは、正社員の給与には仕入れ税額控除を認めず、派遣社員の派遣料には仕入れ税額控除を認めたことです。これでは、同じ売上げ、同じ人件費の企業でも、正社員を減らして非正規の雇用を増やした企業は国に納める消費税が少なくて済みます。
 昨年三月二日の衆議院予算委員会公聴会で、当時、政府税調メンバーの三木義一青山学院大学教授も指摘されていたとおり、小泉内閣で人材派遣を製造業まで拡大したことと相まって、消費税が派遣労働を促進してきた面があります。
 そのことが、今日の格差社会の根底にあります。非正規で所得が少ない若者は結婚できない。だから、少子化に歯止めが掛からない。悪循環に陥っています。
 この消費税の欠陥を放置したまま税率を上げることになれば、社会のひずみは更に拡大します。安倍総理、税率引上げの前に、立ち止まって、消費税の欠陥是正に取り組まれるおつもりはありませんか。
 社会保障制度を持続可能なものにするためにも、社会の支え手である若い人たちの雇用を安定的にし、所得を増やす必要があります。総理は、オバマ大統領の一般教書演説のように、最低賃金を上げることを明言するおつもりはありませんか。そして、非正規雇用を減らす対策を講じるつもりはありませんか。
 私たち生活の党は、国民の生活が第一の政治を実現するためにこれからも全力を尽くすことをお誓い申し上げ、質問を終わります。
 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#40
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 森ゆうこ議員にお答えをいたします。
 豪雪対策についてのお尋ねがありました。
 今年の冬の豪雪については、特別交付税の繰上げ交付や社会資本整備総合交付金の配分により措置するなど、自治体の除排雪に対する支援を行っているところです。先般、関係閣僚会議を開催したところであり、政府として緊張感を持って対応に万全を期してまいります。
 また、高齢化などにより、雪処理の担い手が不足していることに対応して、国が地域で除雪活動を行うためのガイドブックの策定を行うなど、豪雪地帯の実情に応じた支援に努めてまいります。
 ガソリンや灯油などの価格上昇への対応についてお尋ねがありました。
 最近のガソリンや灯油等の石油製品価格の上昇については、為替相場の動向に加え、中東・北アフリカ情勢をめぐる地政学的リスクの増大などによる原油価格上昇など様々な要因を背景としており、今後とも価格動向を監視していきます。
 いずれにせよ、三本の矢を同時に射込むことにより、企業の収益機会を増やし、雇用や所得の拡大を実現することで、雪国など厳しい状況にある地域を含め、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしてまいります。
 津波被災地域の高台移転等を加速するための個人の住宅再建に対する支援についてお尋ねがありました。
 個人の住宅再建については、従来の生活再建支援金による支援に加え、防災集団移転促進事業等において利子相当額の補助をするなど、高台移転等を円滑に進めるための支援策を講じているところです。
 また、今回の補正予算において、被災自治体が防災集団移転促進事業等の対象とならない住宅の再建支援策を講じることができるよう、震災復興特別交付税を増額しました。
 引き続き、住宅再建への支援を行ってまいります。
 子供たちを放射能から守ることについてのお尋ねがありました。
 避難指定区域等以外の区域においては、避難することが義務付けられておらず、被災者の方々が、自主的に避難するか、住み続けるかを自ら選択されています。
 政府としては、子供を始めとする被災者の方々の生活を守り支えるため、自主的に避難される方の生活上の負担の軽減や、被災地に住み続ける方の健康上の不安の解消に向けた施策を共に充実させることで、様々な被災者の方々にきめ細かな支援を行ってまいります。
 原発サイトの汚染水や各地の放射性汚泥についてのお尋ねがありました。
 東京電力福島第一原発の汚染水については、増加の原因となる地下水の流入抑制を図るとともに、放射性物質の除去などの処理を行った上でタンクに貯蔵しております。海への安易な放出は行わないこととしております。
 こうした汚染水処理を始め廃炉に向けた取組は、多くの作業がこれまでに経験のない技術的に困難な課題を伴うもので、諸外国や国際機関と連携し、世界の英知を結集して取り組んでまいります。
 また、放射性物質を含む汚泥については、その処理が進むように、処理に伴う安全性の周知を行うとともに、関係する地方公共団体の協力を得ながら取り組んでまいります。
 再生可能エネルギーについてのお尋ねがありました。
 再生可能エネルギーは、純国産のエネルギー源であり、その普及が進むことでエネルギー安全保障の強化に大きく寄与していくと考えています。
 加えて、再生可能エネルギーの普及は、低炭素社会の創出や新しいエネルギー関連の産業創出、雇用拡大の観点からも重要です。
 このため、今後三年間で最大限再生可能エネルギーの普及を加速させるため、固定価格買取り制度の着実な運用に加え、予算・税制措置、規制改革などの措置を講じてまいります。
 雇用の観点も含めて、エネルギー政策についてのお尋ねがありました。
 エネルギーは、豊かな国民生活や新たな雇用を創出する活発な産業活動の生命線です。
 このため、いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すことが必要です。この観点から、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという前政権の方針はゼロベースで見直すとともに、省エネルギー、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の効率化等を進めてまいります。
 現在、エネルギー政策の見直しの議論を進めており、この中で、原子力発電所の廃炉の進め方、原発立地地域への対応などについても、国としての具体的な対応策や役割を検討してまいります。
 日米の共同声明、TPP交渉と公的医療保険制度及びTPP交渉への参加についてお尋ねがありました。
 国民皆保険制度は日本の医療制度の根幹であり、この制度を揺るがすことは絶対にないということを申し上げたいと思います。
 政府としては、TPPについては、今般の首脳会談で私自身が得た認識も踏まえ、国益にかなう最善の道を求めてまいります。交渉に参加するかどうかということについては、党内や米国との協議も踏まえ、私が最終的に判断をいたします。
 社会保障制度改革、歳入庁、社会保障・税番号制度についてのお尋ねがありました。
 社会保障制度改革については、年金や子育て分野について、既に消費税率の引上げ分を財源とする関係法案が成立をしていますが、今後、改革推進法に基づき、医療・介護分野を始めとして、国民会議で議論を深めるなど、改革の更なる具体化に向けて検討を進めてまいります。
 歳入庁においては、昨年成立をした税制抜本改革法において、自民、公明、民主の三党合意に基づき、年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施するとされているところです。政府としては、この法律の規定に基づき、年金保険料の徴収体制をどのように強化していくのか、幅広い観点から検討してまいります。
 また、より公平な社会保障制度や税制の基盤となる社会保障・税番号制度関連法案を国会に提出したところであります。今通常国会での早期成立を目指してまいります。政府としては、必要な改革についてしっかり取り組んでまいります。
 消費税率の引上げと年金改革についてのお尋ねがありました。
 社会保障・税一体改革については、消費税率引上げによる税収分を全額、社会保障の充実と安定化に向けるという考え方の下、自民、公明、民主の三党間での協議を通じて進めてきております。
 このうち、年金制度については、基礎年金国庫負担割合二分の一の恒久化や、低所得、低年金の高齢者に対する給付金制度の創設など、既にその使途に関する法律が成立しております。今後の年金制度の改革については、これら三党で議論し実施された改革内容を出発点にして、改革推進法に基づき、三党協議や国民会議で御議論をいただき、その内容を踏まえて検討していきます。
 消費税に関する事項についてお尋ねがありました。
 消費税の転嫁対策については、事業者の実態を十分に把握し、与党における御議論を踏まえつつ、価格表示の在り方を含め、実効性のある対策の具体化に取り組んでまいります。
 派遣労働者の受入れ企業は、派遣料に係る消費税額を控除できることになりますが、一方で、人材派遣会社に対しては派遣料に上乗せして消費税を支払うことになるため、直接雇用の場合と比べて損得は生じないことになります。したがって、消費税が非正規雇用を拡大してきたということにはならないと考えております。
 若者の雇用の安定、最低賃金の引上げ及び非正規雇用対策についてのお尋ねがありました。
 日本経済の力強い再生を推進する上で、次代を担う若者が安心して生きがいを持って働くことのできる環境をつくることが重要です。このため、若者の安定雇用の確保や個々の事情に応じたきめ細かな就労支援を行います。賃金等の労働条件は各企業の労使関係において決定されるものですが、成長戦略により、企業の収益を向上させ、それが雇用の拡大や賃金の上昇をもたらすような好循環を生み出してまいります。
 こうした取組と併せて、最低賃金については、中小企業への支援を工夫しつつ、労使と丁寧に調整しながらその引上げに努めてまいります。また、非正規労働者の雇用の安定、待遇改善に向けた取組についてもしっかり進めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣下村博文君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(下村博文君) 森議員から、ナノ純銀によるセシウムの低減技術についてのお尋ねがございました。
 除染技術については、これまでも様々な研究機関や団体等から新しい技術が提案され、日本原子力研究開発機構においては、様々な除染技術に対して実証試験等を行い、その効果を確認してまいりました。
 さて、私も関心のあるナノ純銀によるセシウム低減技術でございますが、日本原子力研究開発機構が関係の大学とともに二度にわたる試験を実施しましたが、残念ながら御指摘の効果は確認されなかったものと聞いております。しかし、除染技術として効果的なものを活用していくことは極めて重要であり、文部科学省としては、日本原子力研究開発機構に対し、今後とも、各方面から御提案のある技術について、関係各省とも連携し、積極的にその技術的評価に取り組み、有望な技術の確認を行うよう要請してまいります。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(田村憲久君) 森ゆうこ議員から、TPP協定交渉に関する私の講演での発言についての御質問をいただきました。
 昨年三月に米通商代表部の代表補のカトラー氏から、TPPは日本や他の国の医療保険制度を民営化することを強いるものではない、また、いわゆる混合診療を含め、民間の医療サービス提供者を認めることを要求するものではないといった発言があったことを基に、講演で分かりやすく私から述べさせていただいたものであります。また、昨年二月のTPP交渉参加に向けた米国との協議では、米国より、公的医療保険制度の廃止をTPP交渉参加国に要求していることはないとの説明もございました。
 次に、海外の投資家が訴える可能性については、これまで我が国が締結した投資協定及び経済連携協定の多くにおいて、公的医療保険などの社会保険を含む社会事業サービスに係る内外無差別の取扱いを適用除外しております。さらに、交渉の結果、このような適用除外を盛り込まなかった場合であっても、現行の公的医療保険制度のある我が国において海外の保険会社と日本の保険会社の取扱いは同じであり、内外無差別、いわゆる内国民待遇の違反により協定違反を問われることは想定されないことから、そのような旨を述べたものでございます。
 いずれにせよ、国民皆保険制度は日本の医療制度の根幹でありますので、これからも堅持してまいります。(拍手)
    ─────────────
#43
○議長(平田健二君) 山下芳生君。
   〔山下芳生君登壇、拍手〕
#44
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、総理に質問します。
 東日本大震災から間もなく二年となります。しかし、復旧・復興、とりわけ住宅再建の遅れは深刻です。親戚宅に身を寄せていたが、二年もたち、これ以上は肩身が狭い、狭い仮設住宅に二世帯で同居しているが、もう限界、世帯ごとに入りたいなど、今でも仮設住宅への入居待ちが陸前高田市で七十世帯、東松島市で百世帯にも上っています。
 災害公営住宅の建設を急ぐとともに、被災者が自ら住宅を再建する支えとなる被災者生活再建支援法による支援金を大幅に拡充すべきではありませんか。
 これから住宅を再建する被災者にとって、消費税増税は大打撃となります。岩手県では、住宅の再建に平均二千万円掛かります。消費税が一〇%になれば二百万円となり、支援金三百万円の大半が消えてしまいます。総理、消費税の増税が復興の妨げになるとは考えないのですか。こんなことはやめるべきではありませんか。
 TPPについて質問します。
 総理は、これまで、聖域なき関税撤廃が前提なら交渉参加に反対と繰り返し述べてきました。なぜか。関税が撤廃されたら大変なことになるからです。
 農産物の関税撤廃によって、経営規模が百倍以上のアメリカや千五百倍以上のオーストラリアの農業と日本農業は丸裸の競争にさらされ、壊滅的な打撃を受けます。
 農林水産省の試算では、主食の米さえ九割が外国産に置き換わり、食料自給率は今の三九%から一三%に激減します。こんなことになれば、国民の生存そのものが根本から脅かされるではありませんか。だからこそ、自由貿易の下でも、農産物には高い関税を課し、自国の食料はできる限り国内で生産するという食料主権が国際的にも広く認められているのです。
 総理は、聖域なき関税撤廃は前提でないことをオバマ大統領と確認したと述べました。そこで、お聞きします。
 首脳会談を踏まえて発表された日米の共同声明では、関税を撤廃することがTPPの原則だとした二〇一一年十一月のTPPのアウトラインを確認するとされました。加えて、全ての物品が交渉の対象となることも確認するとされました。ならば、日本でいえば、米、麦、牛肉、乳製品、甘味資源など、重要品目は全て関税撤廃を求められることになるではありませんか。違うのですか。明確にお答えください。
 総理は、TPPに対応し、強い農業をつくり、農産物の輸出を増やすと言います。しかし、これは事の本質をごまかすものです。一番の問題は、食料の自給率を高めるかどうかにあります。政府の食料・農業・農村基本計画では、食料自給率を五〇%に引き上げるとしています。国民の約九割も、食料は高くても国内産でと望んでいます。総理は、国民の切実な願いである食料自給率向上を投げ捨てるのですか。それとも、TPPに参加しても自給率は向上できるとでも言うのですか。
 TPPは関税だけではありません。各国の基準や制度の違いを非関税障壁として撤廃することも原則としています。アメリカは、この原則に沿って、遺伝子組換え表示をやめよ、農薬の残留基準を緩めよ、混合診療を解禁し、医療への営利企業の参入を認めよなどと迫ってきています。TPPに加われば、食の安全や医療、雇用が脅かされることは明らかではありませんか。
 TPP交渉はきっぱり断念すべきであります。
 デフレ不況からの脱却には賃金の引上げが必要との認識は、今や立場を超えた共通のものとなりつつあります。総理も報酬の引上げを産業界に要請したと述べました。
 賃金引上げには何が必要でしょうか。経済財政諮問会議に提出された内閣府の資料は、企業は、正規雇用を絞り込み、賃金水準の低い非正規雇用のウエートを高めることで人件費を抑制していると述べています。つまり、歴代自民党政権が進めてきた派遣労働の容認と拡大、期間を定めて働く有期労働の拡大が賃金を低く抑える手段とされているのであります。
 総理、本気で報酬の引上げを目指すなら、政治の責任で労働法制の規制緩和を改め、雇用は正社員が当たり前の流れをつくるべきではありませんか。
 今や全労働者に占める非正規雇用の割合は三五%を超え、日本社会にとって放置できない深刻な事態をもたらしています。非正規雇用の労働者は、今、低賃金にあえいでいるだけではありません。リタイアするまで不安定な生活を強いられ、老後も極めて低い年金を余儀なくされることになります。それだけではありません。三十代の男性では、正社員の未婚率が三〇・七%なのに、非正社員はその二・五倍、七五・六%にも上っています。
 総理、こうした働かせ方が無年金、低年金や少子化の一因となり、日本の将来を危うくさせているとの認識はありますか。
 一方で、非正規雇用の広がりが若者を正社員を目指す苛烈な競争に駆り立てています。その中で、新卒の若者を正社員として大量に採用し、長時間残業、パワハラなどで短期間のうちに企業に極端に従属する人間に変えてしまう。その過程で若者は選別され、精神を病むなどして大量に退職に追い込まれる。いわゆるブラック企業が有名企業にまで広がっていることは看過できません。
 若者の能力を生かすのではなく、すり潰す、非道、無法な企業を許さないために、政府としてブラック企業の実態を調査すること、背景にある長時間労働を規制し、若者に安定した雇用を保障することを強く求めます。
 今日から、米軍岩国基地を拠点にオスプレイの低空飛行訓練が始まります。既に、沖縄では、昨年十月にオスプレイが配備されて以来、住宅密集地を避けることとした日米合意などなかったかのように、密集地の上空を我が物顔で飛び回り、深夜十時以降の夜間飛行訓練、重さ三トンものコンクリートブロックをつり下げて運ぶ訓練など、戦地を想定した異常な訓練が繰り返されています。
 昨年末の沖縄県の調査では、実に飛行の六割が日米合意に違反していました。ところが、政府はいまだに合意違反を認めることさえしておりません。こんな姿勢でどうして国民の命、安全を守ることができるのですか。
 米海兵隊の環境レビューには、オスプレイの任務は、橋頭堡や中間輸送を要さずに、艦船から離陸し、迅速に人員、装備及び補給物資を陸地の前線戦闘区域へと輸送することであり、低空飛行訓練の目的は、遠征地における海上又は陸上拠点からの運用、強襲支援及び航空退避のためであると明記されております。日本の防衛とは何の関係もない、米軍が海外で戦争するための訓練を、なぜ沖縄県民が、なぜ日本国民が甘受しなければならないのですか。
 沖縄でも本土でも、米軍によるオスプレイの低空飛行訓練を中止し、配備を撤回するよう米側に申し入れるべきではありませんか。それこそが国民の安全に責任を持つ総理の第一の任務であることを述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#45
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 山下芳生議員にお答えします。
 住宅の再建についてお尋ねがありました。
 災害公営住宅の建設については、復興大臣の下に設置された住宅再建・復興まちづくりの加速化のためのタスクフォースにおいて、工程や目標を公表した上で、その実現及び加速化に全力で取り組んでまいります。
 また、住宅や生活の再建については、被災者生活再建支援金による支援を講じています。さらに、今般の補正予算で、津波被災地域の自治体が住まいの形成に資する施策を通じて住民の定着促進を進めるため、震災復興特別交付税を増額したところであります。
 東日本大震災からの復興と消費税率の引上げについてのお尋ねがありました。
 東日本大震災からの復興は、私の内閣の最優先課題の一つです。被災者の方々に対し、住宅ローン減税の拡充や、住宅の再取得等に係る標準的な消費税の負担増加に対応し得る給付措置など、様々な措置を講じるとともに、復興庁が現場主義を徹底して、被災地における住宅再建等の課題にしっかり取り組んでまいります。
 他方で、今般の一体改革による消費税率の引上げは、増大する社会保障の持続性と安心の確保、国の信認維持のために行うものであります。本年秋に、附則第十八条にのっとって、様々な経済指標を含め、経済状況等を総合的に勘案して判断をしていくこととなります。
 いずれにしても、震災からの復興を加速するとともに、三本の矢で長引くデフレから脱却し、日本経済を全力を挙げて再生してまいります。
 TPPに関する日米の共同声明についてのお尋ねがありました。
 さきの日米首脳会談では、オバマ大統領との間で、日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品といった二国間貿易上のセンシティビティーが両国にあると、そして、最終的な結論は交渉の中で決まっていくものであること、TPP交渉参加に際し、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められていないことの三点を明示的に確認し、日米の共同声明を発出しました。これらを踏まえ、私は、TPPでは聖域なき関税撤廃が前提とされるものではないとの認識に至ったものです。
 いずれにせよ、日米の共同声明にあるとおり、最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであり、御指摘は当たりません。
 TPPと食料自給率についてお尋ねがありました。
 食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国民に対する国家の最も基本的な責務であり、国内農業生産の増大を図り、食料自給率を向上させることは重要であると考えております。このため、TPP交渉への参加いかんにかかわらず、農業の活性化を図っていくことは極めて重要な課題であり、攻めの農政に力を入れていきたいと考えております。
 TPPの非関税分野と交渉参加についてのお尋ねがありました。
 TPPについては、アジア太平洋地域における高い水準の自由化を目標とし、市場アクセスのみならず、様々な非関税分野のルール作りを含む包括的な経済連携協定として交渉されているものと承知しています。
 他方、これまで得られた情報では、TPP協定交渉では、現在のところ、個別の食品安全基準の緩和は議論されていないと承知しています。また、公的医療保険制度の在り方そのもの等についても議論の対象となっていないと承知しています。
 いずれにせよ、TPP交渉に参加するかどうかということについては、党内や米国との協議も踏まえ、私が最終的に判断していきます。
 非正規雇用労働者も含めた報酬の引上げなどについてのお尋ねがありました。
 経済の再生を推し進める中で、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにすることが重要です。御指摘の非正規雇用労働者については、政府としては、その処遇の改善に向けた取組等を行う事業主に対する支援を進めてまいります。同時に、イノベーションや規制改革など、成長戦略に取り組むことにより経済成長を成し遂げ、労働者全体の雇用と賃金の増大を目指してまいります。
 なお、これまでの自民党政権においては、経済産業構造の変化に応じて必要な労働分野の改革を行ってきたところです。
 非正規雇用の無年金、低年金化や少子化への影響についてお尋ねがありました。
 非正規雇用は、雇用が不安定であり、賃金が低いなどの問題が指摘されており、また、厚生年金の適用対象とならない人も多く、被用者としての十分な保障を受けられないおそれがあることや、離婚率の増加の要因にもなっています。このため、正規雇用を希望する非正規雇用労働者の正規雇用化を進めるなど、非正規雇用対策に全力で取り組んでまいります。
 いわゆるブラック企業と若者の雇用についてのお尋ねがありました。
 労働基準法などの違反が疑われる企業には調査に入り、長時間労働の抑制を指導し、重大な法違反については厳正に対処するなど、しっかりと取り組んでいきます。また、いわゆるブラック企業ではないかという不安から、若者が優良な中小企業に目を向けない状況があります。こうした状況の改善を図り、若者の労働支援を進めてまいります。
 オスプレイの飛行状況や訓練等についてのお尋ねがありました。
 我が国は、日米安保条約に基づき、我が国の防衛及び地域の平和と安定を確保しており、在日米軍が訓練を通じて即応態勢を維持することは安保条約の目的達成のために極めて重要であります。もとより、訓練に際して米軍が我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることは言うまでもありません。
 オスプレイに関して、その配備は我が国の安全保障にとって大変大きな意味がありますが、依然として、沖縄を始めとする地元において、厳しい目が向けられており、日米合同委員会合意が守られていないのではないかとの声があることは承知をしております。
 オスプレイの運用に際しては、地元の皆様の生活への最大限の配慮が大前提です。今後とも、日米合同委員会合意等について丁寧に御説明するとともに、この合意の適切な実施について米側との間で必要な協議を行ってまいります。
 以上であります。(拍手)
    ─────────────
#46
○議長(平田健二君) 亀井亜紀子君。
   〔亀井亜紀子君登壇、拍手〕
#47
○亀井亜紀子君 みどりの風の亀井亜紀子でございます。
 政府四演説について、みどりの風を代表し質問いたします。
 我々は何のために国会議員を志したのかと総理は演説で問いかけました。私は二〇〇七年夏の安倍内閣のときに初当選したのですが、当時最も熱く訴えたことは、米国主導の新自由主義、いわゆる市場原理主義からの脱却でした。この思想は規制改革を伴うことが特徴です。小泉・竹中路線の構造改革は、総合規制改革会議や規制改革・民間開放推進会議を設置して進められました。安倍内閣においても、聖域なき規制改革を進めるため、規制改革会議が発足しました。経済財政諮問会議も復活し、産業競争力会議のメンバーには竹中平蔵氏が入っています。
 そこで、お尋ねいたします。
 総理は、官から民へのスローガンで進められた規制緩和や郵政民営化は正しかったとお考えですか。
 先般、改正郵政民営化法に自民党が賛成したことは、民営化担当相であった竹中氏の間違いを認めたに等しいと思うのですが、いかがですか。
 構造改革の結果は惨たんたるものだと私は思います。タクシーやバスの規制緩和は、運転手の賃金低下やツアーバスの事故につながりました。大学設置基準の緩和や司法制度改革は学部や法科大学院の定員割れを引き起こし、問題が山積しています。総理、六三三四制の見直しによる教育再生より、大学や法科大学院の見直しが急務ではありませんか。
 労働分野の規制緩和も罪深い政策です。
 総務省の発表によれば、契約社員や派遣社員などの有期雇用労働者は約一千四百十万人、全労働者の四人に一人です。私は、労働者派遣法の改正による規制強化を目指していました。ところが、政府提出法案は民自公の三党合意により大幅に修正されました。
 修正案の趣旨説明に対する自民党議員の質疑は、次のようなものでした。資本主義社会では、労働者には働き方を選ぶ権利がある、企業にも雇い方を十分選択する権利がある。企業が人を雇いにくくする民主党の政策は、雇用を減らし、失業を増やし、国の競争力を奪い、空洞化を加速させる。登録型派遣や製造業務への派遣を禁止するなどという現実離れした案を二度と持ち出すことがないよう強く求める。私は、これを聞いて修正案に反対しました。同時に、非正規社員を正社員化する改革は無理だろうとも思いました。雇用形態にとらわれない賃金制度、同一労働同一賃金の仕組みを日本流に取り入れる方が現実的だと今は考えています。
 先日、厚生労働省が正社員と非正規労働者の中間に位置する准正規労働者の創出に乗り出すと報道されました。中二階を設けて労働者を階層化した場合、問題がより複雑化しませんか。厚生労働大臣の見解を伺います。
 TPPについて質問いたします。
 TPPは規制改革と切り離せない問題であり、言うまでもなく米国からの外圧です。総理は、貿易や投資のルールを国際的に調和していかねばなりませんと自らおっしゃいましたが、これこそがTPPの本質であり、関税撤廃よりも規制調和、つまり各国のルールを米国流に変えることを狙っています。総理、なぜルールを調和する必要があるのでしょうか。
 今回の日米共同声明は、自動車と保険がターゲットであることを示しています。自動車については、米国が輸入車に対する関税二・五%を当面維持すると伝えています。一方、日本では輸入車に対する関税は既に撤廃されており、その上、軽自動車の規格がルール違反だと言われては交渉参加に何のメリットもありません。
 保険についても、医療保険の市場拡大を狙う米国が日本の国民皆保険制度、かんぽや共済を非関税障壁だと攻撃するでしょう。郵政民営化も米国の年次改革要望書による外圧が原因でした。民営化見直しでようやく郵便、貯金、保険の三事業を全国一律に扱えるよう戻したのに、TPPに参加すればまた逆戻りです。
 政府は、復興財源として平成二十七年度までに四兆円の郵政株の売却を予定する一方、新規事業の認可には後ろ向きです。株式の価値を高めずに売却することは、国民の預貯金を安値で放出することになりませんか。円安が続けば資金は海外に流出するでしょう。これはアベノミクスにかかわる問題です。
 米国の財政は実質破綻しており、歳出の強制削減が発動されました。一方、日本の国債発行残高が一千兆円あっても財政破綻しないのは、国民の個人金融資産が一千五百兆円あるからです。つまり、国債を買い支えている国民の預貯金が海外に流出する政策は決定的に国益を損ねます。アベノミクスが成功するか否かは、日銀の金融緩和で増えた資金が国内に循環するかどうかに懸かっています。
 さらに、物価上昇に伴う所得の増加がなければ消費は伸びず、景気も回復しません。総理、来年春の消費税引上げはせっかくの景気対策を台なしにするのではないですか。軽減税率に必要なインボイスの導入も間に合いません。消費増税は少なくとも賃金の上昇とインボイスの導入時期に合わせるべきだと思いますが、総理の見解を伺います。
 医薬品や医療機器の購入に係る消費税を経営者が負担する一方、保険診療に消費税が掛からない損税の問題について伺います。
 医療は聖域だから消費税は課さないと決めたのは、消費税三%の時代です。社会保障のための増税で医療機関が倒産しては本末転倒ですが、どう対処されるのか、厚生労働大臣に伺います。
 麻生財務大臣にもお尋ねします。
 消費税引上げは、麻生政権で決定された平成二十一年度税制改正法附則の文言が根拠とされました。経済状況の好転を前提として、消費税を含む税制の抜本的な改革を行うとの表現について、前提である景気回復が達成されていないと指摘すると、これはリーマン・ショック前の景気に戻るという意味であるとの説明を財務省から受けました。当時の認識について、麻生大臣に伺います。
 これについて地方公聴会で尋ねたところ、リーマン・ショックとは都会の金持ちもようやく貧乏になったかというだけであって、地方においてはバブル崩壊以降ずっと不況であると言われました。これは地方の本音であり、自公政権は失われた二十年に責任があります。
 民主党を中心とする連立政権は期待外れだったかもしれませんが、それでも、麻生政権から引き継いだとき四十兆円を下回っていた税収を四十三兆円にまで戻して安倍政権に渡したのです。この二十年を総括したとき、自公政権は何に失敗し、アベノミクスはどこが違うのか、総理に伺います。
 金融円滑化法が今月末で切れるので、中小企業の倒産が心配されています。この法律は延命の時間稼ぎだと言われますが、景気が上向くまでつなぐ必要はあるのです。年間自殺者数はようやく三万人を下回りました。法律を打ち切る理由を金融担当相に伺います。
 最後に、保守とは何か、日本は何を守るべきか、総理にお尋ねします。
 みどりの風は、日本の伝統文化に根差した社会構造、農耕民族として自然を敬い、共生し、富を分かち合う社会が日本であり、それこそが保守であると考えます。農業に国土を保全する多面的な役割があることを重視する民族です。欧米の市場原理主義は日本になじみません。豊かな自然資源を守るためには、使用済核燃料も増やせないのです。
 憲法改正に反対ではありませんが、自衛隊を国防軍にする改正は反対です。民主主義における憲法には国民が権力を監視する意味があり、政府が改正を押し付けるべきではありません。
 憲法について、守るべきものについて、総理の見解を伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
#48
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 亀井亜紀子議員にお答えをいたします。
 規制改革や郵政民営化についてのお尋ねがありました。
 規制改革や郵政民営化は、国民の利便の向上、経済活性化等を目的として行われたものであり、その重要性は変わるものではないと考えております。また、昨年行われた郵政民営化法の改正は、法律の枠組みを維持した上で、郵政三事業の一体的なサービス提供を確保する等の必要な見直しを行い、より良い郵政民営化を目指したものと理解しています。
 政府としては、今後とも、改正郵政民営化法にのっとって、その成果を国民に実感していただけるよう対応してまいります。
 大学や法科大学院の見直しについてのお尋ねがありました。
 大学力は国力そのものであり、大学の強化なくして我が国の発展はありません。今後、教育再生実行会議でも大学の教育研究の充実強化について御議論をいただき、それを踏まえ、世界トップレベルの大学力の実現を目指して取り組んでまいります。
 法科大学院については、現在、政府において法曹養成制度全体の在り方について検討を進める中でその見直しについても検討しており、その結論を踏まえ、法科大学院教育の一層の充実に努めてまいります。
 TPPについてお尋ねがありました。
 TPPについては、アジア太平洋地域における高い水準の自由化を目標とし、市場アクセスのみならず、様々な非関税分野のルール作りを含む包括的な経済連携協定として交渉されているものと承知しています。
 他方、先進国、途上国を含む複雑な利害が錯綜する多数国間交渉において、御指摘のように、米国が自国に都合の良いルールを押し付けることが容易にできるとは考えられません。
 いずれにせよ、TPP交渉に参加するかどうかということについては、党内や米国との協議も踏まえ、私が最終的に判断をいたします。
 日本郵政株式売却についてのお尋ねがありました。
 現在、日本郵政が平成二十七年秋までを目途として株式上場に向けた体制を整備中であり、政府としては、同社の体制整備がなされた後に、決算や株式市況等を総合勘案して売却の具体的なタイミングを決定することとしております。
 新規事業については法令にのっとり適切に審査が行われているところでありますが、いずれにせよ、その株式価値を高めるため、まずは日本郵政が一層魅力ある企業となるよう努力することを期待しております。
 消費税率の引上げについてのお尋ねがありました。
 消費税率の引上げについては、法律で来年四月に引き上げることが決まっておりますが、機械的に何が何でも引き上げるということではなく、一体改革の目的に沿って税収を確保できることが重要と考えています。例えば、強いデフレが続いて、消費税率を引き上げても、逆に減収になるようでは意味がありません。
 本年秋に、附則第十八条にのっとって、経済状況等を総合的に勘案して判断をしていくこととなります。その際、様々な経済指標を確認する中で、賃金など雇用情勢も見てまいります。
 なお、インボイス制度は、与党税制改正大綱において軽減税率導入に当たっての様々な課題の一つとされており、与党における御議論も踏まえつつ、検討を行っていく必要があります。
 いずれにしても、三本の矢で長引くデフレから脱却し、日本経済を全力を挙げて再生してまいります。
 失われた二十年の総括と私の経済政策についてお尋ねがありました。
 我が国は、バブル崩壊以来、長年にわたるデフレの中で、莫大な国民の所得と産業の競争力が失われ、頑張る人が報われるという社会の信頼の基盤も揺るがされています。この間の累次の経済対策は、一定の景気下支え効果はあったと考えていますが、デフレを脱却することはできませんでした。
 こうした教訓を踏まえれば、従来の延長線上にある対応では経済を再生することはできません。このため、私の内閣では、これまでとは次元の違う政策パッケージとして、三本の矢を一体的に進めているところであります。こうした取組により、デフレを脱却し、地方経済を含め、経済再生を実現させてまいります。
 保守の考え方についてお尋ねがありました。
 保守とは、生まれ育った国に自信を持ち、今までの長い歴史をその時代に生きた人の視点で見詰め直そうとする姿勢であると私は考えています。日本には、自立自助を基本に、何かあれば支え合うという社会があります。息をのむほど美しい棚田の風景、伝統ある文化を大切にしていかねばなりません。
 ただ、こうした伝統も文化もかたくなに守ろうとするだけでは、次世代に引き継げる保証はありません。守るべきものはしっかりと守りながら、変えるべきは変えていく勇気も必要であります。
 みどりの風の皆様には、是非とも御協力をいただきながら、日本が誇る伝統や文化を共に発展させていきたいと考えております。
 憲法及び守るものについてのお尋ねがありました。
 自由民主党は、立党以来、憲法改正を主張しており、昨年四月には憲法改正草案を発表し、党として二十一世紀にふさわしいあるべき憲法の姿を示しています。新しい時代にふさわしい憲法の在り方については、国民的な議論が深まることを強く期待しております。
 また、私が総理大臣として取り戻し、そして守っていきたいものは、さきの施政方針演説で申し上げたとおり、頑張る人が報われる真っ当な社会であり、国民一人一人が将来への夢と希望、ふるさと日本への誇りと自信を抱くことができる強い日本であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣田村憲久君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(田村憲久君) 亀井亜紀子議員から、二問御質問をいただきました。
 まず、一問目でありますが、正社員と非正規労働者の中間に位置する准正規労働者の創出についてのお尋ねがございました。
 厚生労働省といたしましては、准正規労働者という言葉は使ったことはございません。その上で、非正規雇用の問題については、正規雇用を希望する非正規雇用労働者の正規雇用化を進めるとともに、非正規雇用労働者が安心して働けるよう正規雇用との格差の是正を図ることが重要であると考えております。その際に、典型的な正社員だけではなく、多様な働き方が選べる環境整備を進めることが必要でありまして、このために、企業内でのキャリアアップの支援、今回の二十五年度本予算でも要求をいたしておりますけれども、キャリアアップ助成金などを利用いたしながら、頑張った人が報われる社会の実現に向けて全力を尽くしてまいる所存でございます。
 それともう一問、医療に係る消費税の対応についてのお尋ねがございました。
 社会保険診療は、国民に必要な医療を提供するという高度の公共性を有することから、消費税は非課税とされております。このため、消費税導入と引上げが行われた平成元年と平成九年でございますけれども、診療報酬改定を行い、仕入れに要した消費税負担部分を措置し、医療機関の負担が生じないよう対応してきましたが、特に高額な投資を行っている個々の医療機関にとっては負担感があるといった御意見がございます。
 したがって、消費税の八%への引上げに向けた対応については、医療機関等における高額の投資に係る消費税負担に関する措置や診療報酬における対応を検討するため、中央社会保険医療協議会の下に分科会を設け、具体的な検討を進めているところでございます。
 また、医療に係る消費税の在り方についても、税制抜本改革法等を踏まえ、検討をしてまいりたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#50
○国務大臣(麻生太郎君) 平成二十一年度税制改正附則第百四条についてのお尋ねがあっております。
 附則百四条の経済状況の好転に関しましては、一般的には、景気が悪化しているという状況から持ち直して改善してきつつあるという状態を指すが、最終的には、数字も大事だが、経済の実態などいろいろ考えた上で判断する、これが当時、国会で私が答弁をいたした内容だと存じます。
 なお、今般の消費税率の引上げにつきましては、昨年八月に成立をしております税制抜本改革法の附則第十八条にのっとって、本年秋には、様々な経済指標を含め、経済状況などを総合的に勘案し、判断をしていくこととなりますというように定められております。
 いずれにいたしましても、三本の矢で長引くデフレ不況から脱却を図り、日本経済の再生に全力を挙げていくというのが一番肝心なことになろうかと存じます。
 次に、金融円滑化法の再々延長を行わない理由についてのお尋ねもあっております。
 円滑化法は、本年三月までに期限が到来をいたします。金融機関による貸付条件の変更などの実行率は九割を既に超えておりますなど、その取組はほぼ定着してきておると存じます。一方、条件変更を繰り返して行っている借り手が最近では八割に上ってきておるのも確かです。また、貸付条件の変更などを受けたものの、経営改善計画が策定できていない借り手が増加してきておるという傾向にもあります。このため、同法の再々延長というものを考えておらず、むしろ中小企業、零細企業の真の経営改善を図ることが喫緊の課題と認識をしております。
 政府としては、経営改善計画の策定支援など、個々の債務者の状況に応じたきめ細かな支援を行うよう様々な施策を推進することといたしております。また、副大臣以下、金融庁幹部を派遣し、全都道府県で説明会を開催させ、その周知に努めるなど、中小企業に対する支援に全力を今後とも尽くしてまいる所存であります。(拍手)
#51
○議長(平田健二君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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